JP2003013267A - 金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法 - Google Patents

金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱脂液中石鹸分の除去率に優れ、省エネルギ
ーを達成することが可能な金属帯のアルカリ性脱脂液の
処理方法の提供。 【解決手段】 金属帯の脱脂槽1で使用後のアルカリ性
脱脂液の少なくとも一部を抜き出し、冷却器3で冷却
後、アルカリ性脱脂液中に析出した石鹸を分離除去装置
6で分離除去し、得られたアルカリ性脱脂液を脱脂槽1
に再循環する金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法であ
って、(1) 分離除去装置6における石鹸の分離除去量、
または(2) 冷却器3と分離除去装置6との間のアルカリ
性脱脂液中の析出石鹸量および/または析出石鹸粒子の
粒径の測定結果、または(3) 分離除去装置6出側のアル
カリ性脱脂液の石鹸含有量の測定結果に基づいて、冷却
器3におけるアルカリ性脱脂液の冷却温度を制御する金
属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属帯の脱脂に用
いたアルカリ性脱脂液の処理方法に関し、特に、アルカ
リ性脱脂液中の石鹸分の除去率に優れ、省エネルギーを
達成することが可能な金属帯のアルカリ性脱脂液の処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼帯など金属帯の連続処理ライン
においては、金属帯を連続的に供給しつつ、圧延、熱処
理、あるいはめっきなどの表面処理が行われている。上
記した連続処理ラインとしては、例えば、鋼帯の連続熱
間圧延ライン、連続冷間圧延ライン、連続焼鈍ライン、
連続溶融亜鉛めっきラインなどが代表的なものであり、
これらのラインに、鋼帯表面の圧延油などに起因する汚
れを除去するためにアルカリ性脱脂液(以下、脱脂液と
も記す)を用いた脱脂設備が付設されている。
【0003】図6に、従来の鋼帯など金属帯の脱脂設備
のフローシートを示す。なお、図6において、1は金属
帯(鋼帯)浸漬方式の脱脂槽(アルカリ洗浄装置)、2
は脱脂液循環槽である脱脂液貯槽、3は冷却器、6は析
出石鹸分離除去装置(以下、分離除去装置とも記す)、
7a、7bはアルカリ性脱脂液(:脱脂液)、8は蒸気配管
(蛇管)、8aは蒸気、9は冷却水供給配管、9aは冷却
水、9Pは冷却水供給配管9に付設されたポンプ、11は脱
脂液抜き出し配管、12は脱脂液処理用配管、13、14は脱
脂液戻り配管、18は冷却器3出側脱脂液の液温測定・記
録計、fは金属帯(鋼帯)の搬送方向、M(S)は金属
帯(鋼帯)、Vは弁を示す。
【0004】図6に示す冷却器3、分離除去装置6は、
下記のように構成されている。 冷却器3 :脱脂液と冷却水との間接熱交換による
冷却器 分離除去装置6:濾布を用いた濾過器 すなわち、図6に示す金属帯の脱脂設備においては、脱
脂反応(けん化反応)を促進するため、例えば脱脂槽1
の脱脂液7a中に蛇管形式の蒸気配管8を浸漬し、脱脂液
7aの液温を70〜80℃程度に昇温して鋼帯Sなど金属帯M
の脱脂が行われる。
【0005】また、脱脂槽1から脱脂液を抜き出し、脱
脂液貯槽(脱脂液循環槽)2を経由して冷却器3に送液
し、脱脂液と冷却水とを間接熱交換させ、脱脂液を冷却
する。冷却器3で冷却した脱脂液は、冷却によって析出
した石鹸を析出石鹸分離除去装置(:分離除去装置)6
で分離除去し、処理後の脱脂液を脱脂液貯槽2を経由し
て脱脂槽1に再循環する。
【0006】上記した脱脂液の冷却器3による冷却時の
液温の制御方法としては、冷却器3出側の脱脂液の液温
の測定結果に基づいて、冷却水の流量あるいはさらに冷
却水の水温を制御する制御方法が用いられている。しか
しながら、上記した方法の場合、石鹸分の除去率が必ず
しも十分でなく、下記(1) 、(2) の問題が生じる。
【0007】(1) 脱脂液の発泡による作業環境上の問題
および生産性の低下:脱脂液中の石鹸分の濃度が高い場
合、脱脂液の表面張力が低下し、発泡現象が生じる。特
に、脱脂槽における鋼帯など金属帯の走行速度が速い場
合、金属帯(鋼帯)が槽内の脱脂液を攪拌し激しく発泡
する。
【0008】また、脱脂法として電解脱脂を用い、脱脂
速度の面から電流密度を上げる場合、激しく発泡する。
発泡が生じた場合、脱脂槽から泡が溢れて周辺部を汚染
し、作業環境を悪化させると共に、操業を阻害し、生産
性が低下する。 (2) アルカリ原単位の増加:上記した発泡が生じた場
合、脱脂槽からアルカリが流出するため、金属帯(鋼
帯)単位処理量当たりのアルカリ原単位が増加し、薬剤
消費量が増加する。
【0009】上記した問題に対処するため、従来、例え
ば前記した冷却器3における冷却水の流量を多めに設定
するか、あるいは冷却水の水温を低めに設定する必要が
あり、省エネルギー上問題があるばかりでなく、操業条
件によっては、前記した発泡が避けられず、作業環境、
生産性およびアルカリ原単位の面で問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、脱脂液中石鹸分の除去率に優
れ、省エネルギーを達成することが可能な金属帯のアル
カリ性脱脂液の処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、金属帯の
脱脂槽で使用後のアルカリ性脱脂液の少なくとも一部を
抜き出し、冷却器で冷却後、該アルカリ性脱脂液中に析
出した石鹸を分離除去装置で分離除去し、得られたアル
カリ性脱脂液を前記脱脂槽に再循環する金属帯のアルカ
リ性脱脂液の処理方法であって、前記分離除去装置にお
ける石鹸の分離除去量に基づいて、前記冷却器における
アルカリ性脱脂液の冷却温度を制御することを特徴とす
る金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法である。
【0012】前記した第1の発明においては、前記分離
除去装置として、装置内空間が脱脂液で満たされた流通
式かつ濾過式の分離除去装置を用いると共に、該分離除
去装置の前後の脱脂液の圧力差(圧力損失):ΔPを測
定し、前記石鹸の分離除去量の指標として、単位時間当
たりのΔPの変化量を用いることが好ましい。第2の発
明は、金属帯の脱脂槽で使用後のアルカリ性脱脂液の少
なくとも一部を抜き出し、冷却器で冷却後、該アルカリ
性脱脂液中に析出した石鹸を分離除去装置で分離除去
し、得られたアルカリ性脱脂液を前記脱脂槽に再循環す
る金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法であって、前記
冷却器と分離除去装置との間のアルカリ性脱脂液中の析
出石鹸量および/または析出石鹸粒子の粒径の測定結果
に基づいて、前記冷却器におけるアルカリ性脱脂液の冷
却温度を制御することを特徴とする金属帯のアルカリ性
脱脂液の処理方法である。
【0013】前記した第2の発明においては、前記析出
石鹸量の指標として、前記分離除去装置出側のアルカリ
性脱脂液または該アルカリ性脱脂液の測定用試料に光を
入射したときの脱脂液からの散乱光の光量の関数である
析出石鹸量を用いることが好ましい。第3の発明は、金
属帯の脱脂槽で使用後のアルカリ性脱脂液の少なくとも
一部を抜き出し、冷却器で冷却後、該アルカリ性脱脂液
中に析出した石鹸を分離除去装置で分離除去し、得られ
たアルカリ性脱脂液を前記脱脂槽に再循環する金属帯の
アルカリ性脱脂液の処理方法であって、前記分離除去装
置出側のアルカリ性脱脂液の石鹸含有量の測定結果に基
づいて、前記冷却器におけるアルカリ性脱脂液の冷却温
度を制御することを特徴とする金属帯のアルカリ性脱脂
液の処理方法である。
【0014】前記した第3の発明においては、前記石鹸
含有量の指標として、前記分離除去装置出側のアルカリ
性脱脂液または該アルカリ性脱脂液の測定用試料に光を
入射したときの脱脂液からの散乱光の光量の関数である
石鹸含有量を用いることが好ましい(第3の発明の第1
の好適態様)。また、前記した第3の発明においては、
前記石鹸含有量の指標として、前記分離除去装置出側の
アルカリ性脱脂液の測定用試料を所定温度まで冷却した
後の析出石鹸量の測定結果を用いることが好ましい(第
3の発明の第2の好適態様)。
【0015】また、この場合の析出石鹸量の指標として
は、冷却後のアルカリ性脱脂液の測定用試料に光を入射
したときの、脱脂液からの散乱光の光量の関数である析
出石鹸量を用いることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を第1の発明、第2
の発明、第3の発明の順に、さらに詳細に説明する。 〔第1の発明:〕前記したように、第1の発明の要旨
は、アルカリ性脱脂液中に析出した石鹸の分離除去装置
における分離除去量に基づいて、冷却器におけるアルカ
リ性脱脂液の冷却温度を制御する金属帯のアルカリ性脱
脂液の処理方法である。
【0017】前記した第1の発明においては、前記分離
除去装置として、装置内空間が脱脂液で満たされた流通
式かつ濾過式の分離除去装置を用いると共に、該分離除
去装置の前後の脱脂液の圧力差(圧力損失):ΔPを測
定し、前記石鹸の分離除去量の指標として、単位時間当
たりのΔPの変化量を用いることが好ましい。図1に、
本発明の金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法に係わる
金属帯の脱脂設備の一例を、フローシートによって示
す。
【0018】図1において、9Pr はモータ回転数制御方
式のポンプ、20は分離除去装置6の前後の脱脂液の圧力
差(圧力損失):ΔPの測定装置(以下、ΔP測定装置
とも記す)、21は脱脂液流量測定装置、22は演算・制御
装置、23は制御信号を示し、その他の符号は前記した図
6と同様の内容を示す。なお、図1は、析出石鹸分離除
去装置6の濾過器により析出石鹸の分離が行われ、析出
石鹸分離除去装置に付設された演算・制御装置22によっ
て冷却器3における脱脂液の冷却温度が制御されている
状態を示す。
【0019】図1に示す金属帯の脱脂設備においては、
前記した図6の脱脂設備と同様の方法で鋼帯Sなど金属
帯Mの脱脂が行われる。また、脱脂槽1から脱脂液を抜
き出し、脱脂液貯槽(脱脂液循環槽)2を経由して冷却
器3に送液し、脱脂液と冷却水とを間接熱交換させ、脱
脂液を冷却する。
【0020】冷却器3で冷却した脱脂液は、冷却によっ
て析出した石鹸を分離除去装置6で分離除去し、処理後
の脱脂液を脱脂液貯槽2を経由して脱脂槽1に再循環す
る。なお、図1に示す分離除去装置6は、装置(濾過
器)内空間が脱脂液で満たされた流通式の分離除去装置
であり、分離除去装置の前後の脱脂液の圧力差(圧力損
失):ΔPを測定し、分離除去装置6における析出石鹸
の分離除去量の指標として、単位時間当たりのΔPの変
化量(以下、単にΔPの変化量とも記す)を用い、下記
の方法で脱脂液の冷却器3による液温の制御を行う。
【0021】すなわち、脱脂液が流通している分離除去
装置(濾過器)6の前後の脱脂液の圧力差(圧力損
失):ΔPを、ΔP測定装置20で経時的、好ましくは連
続的に測定し、分離除去装置6における石鹸の分離除去
量を知る。すなわち、上記したΔPの単位時間当たりの
増加量が基準値よりも大きい場合は、石鹸の分離除去量
が多いと判定する。
【0022】一方、分離除去装置6を流通している脱脂
液の流量が、基準流量に対して増加もしくは減少した場
合は、濾布に堆積した石鹸量が同じ場合でも、その分Δ
Pは大もしくは小となる。そのため、脱脂液流量測定装
置21によって、分離除去装置6を流通している脱脂液の
流量を測定する。
【0023】ΔP測定装置20によるΔP測定結果の信号
および脱脂液流量測定装置21による脱脂液流量測定結果
の信号は、演算・制御装置22へ伝送される。演算・制御
装置22においては、予め求めたΔPの変化量と単位時間
当たりに濾布に堆積した石鹸量と脱脂液流量との関係式
から、単位時間当たりに濾布に堆積した石鹸量(:単位
時間当たりの石鹸の分離除去量、以下、単に石鹸の分離
除去量とも記す)を演算し、石鹸の分離除去量に対応し
た出力信号23をモータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモ
ータあるいはさらに冷却水の温度調節装置(図示しな
い)へ伝送し、モータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモ
ータの回転数の制御による冷却水供給配管9の冷却水9a
の流量の調節、あるいはさらに冷却水9aの水温の調節の
制御を行う。
【0024】すなわち、前記した脱脂液の圧力損失:Δ
Pの単位時間当たりの増加量が基準値に対して少なく、
分離除去装置6aにおける石鹸の分離除去量が基準値に対
して少ない場合は、脱脂液中の石鹸分の析出量が少ない
と判定し、例えば、下記(1)、(2)の制御を行う。 (1) ΔPの単位時間当たりの増加量が基準値に対して小
の場合:前記制御を行い、冷却水9aの流量を増加する。
【0025】(2) ΔPの単位時間当たりの増加量が基準
値に対してかなり小の場合:前記制御を行い、冷却水9a
の流量の増加に加え、冷却水9aの水温も低下する。上記
した制御は、演算された石鹸の分離除去量の基準値に対
する偏差に応じて適宜選択でき、予め、演算・制御装置
にその選択基準を記憶させておくことによって、自動的
に選択することもできる。
【0026】上記した分離除去装置6における石鹸の分
離除去量に基づく脱脂液冷却温度の制御方式によれば、
下記(1) 〜(3) の優れた効果が得られる。 (1) 脱脂液の石鹸分除去率の向上:後記の実施例で示さ
れるように、上記した制御を行うことによって、前記し
た図6に示す従来の冷却器3出側の脱脂液の液温の測定
結果に基づく制御に対して、脱脂液の石鹸分除去率が向
上する。
【0027】(2) ポンプ等における消費電力の低減:脱
脂液の液温を過剰に低下させることがないため、ポンプ
9Pr (9P)のモータあるいはさらに冷却水の温度低下に要
する消費電力が低減できる。 (3) 脱脂槽の脱脂液昇温エネルギーの削減:脱脂液の液
温を過剰に低下させることがないため、脱脂液貯槽2を
経由して脱脂槽1に再循環される脱脂液の温度低下がそ
の分少なくなり、蒸気など脱脂槽1の脱脂液昇温に必要
なエネルギーを削減することができる。
【0028】以上、第1の発明について述べたが、第1
の発明における分離除去装置としては、濾過式の分離除
去装置に限定されることはなく、遠心分離機、沈降分離
器などその他の分離除去装置を用いることもできる。ま
た、前記した第1の発明の好適態様における濾過式の分
離除去装置における濾材としては、濾布に限定されるこ
とはなく金網などその他の濾材を用いることもできる。
【0029】〔第2の発明:〕前記したように、第2の
発明の要旨は、アルカリ性脱脂液の冷却器と分離除去装
置との間のアルカリ性脱脂液中の析出石鹸量および/ま
たは析出石鹸粒子の粒径の測定結果に基づいて、冷却器
におけるアルカリ性脱脂液の冷却温度を制御する金属帯
のアルカリ性脱脂液の処理方法である。
【0030】前記した第2の発明においては、析出石鹸
量の指標として、分離除去装置出側のアルカリ性脱脂液
または該アルカリ性脱脂液の測定用試料に光を入射し、
該脱脂液からの散乱光の光量を測定し、散乱光の光量の
関数である析出石鹸量を用いることが好ましい。これ
は、析出石鹸量は、脱脂液に光を入射したときの脱脂液
からの散乱光の光量の関数として求めることができるた
めである。
【0031】図2に、本発明の金属帯のアルカリ性脱脂
液の処理方法に係わる金属帯の脱脂設備の一例を、フロ
ーシートによって示す。図2において、30は脱脂液中の
析出石鹸量測定装置または脱脂液中の析出石鹸粒子の粒
径測定装置、31は制御装置、32は制御信号を示し、その
他の符号は前記した図1、図6と同様の内容を示す。
【0032】なお、析出石鹸量測定装置または析出石鹸
粒子の粒径測定装置30は、冷却器3と分離除去装置6と
の間を送液される脱脂液中の析出石鹸量または析出石鹸
粒子の粒径を測定する。図2に示す金属帯の脱脂設備に
おいては、前記した図6の脱脂設備と同様の方法で鋼帯
Sなど金属帯Mの脱脂が行われる。
【0033】また、脱脂槽1から脱脂液を抜き出し、脱
脂液貯槽(脱脂液循環槽)2を経由して冷却器3に送液
し、脱脂液と冷却水とを間接熱交換させ、脱脂液を冷却
する。冷却器3で冷却した脱脂液は、冷却によって析出
した石鹸を分離除去装置6で分離除去し、処理後の脱脂
液を脱脂液貯槽2を経由して脱脂槽1に再循環する。
【0034】上記した脱脂液の冷却器3による冷却時の
液温の制御方法としては、下記の制御方法を用いる。 (アルカリ性脱脂液中の析出石鹸量の測定結果に基づく
制御:)析出石鹸量の測定装置としては、特に制限はな
いが、好ましくは光源と受光器(:散乱光光量測定装
置)とから構成される濁度計を用いる。
【0035】濁度計としては、透過光濁度計、散乱光濁
度計または積分球濁度計のいずれを用いてもよい。な
お、濁度計の試料槽としては、冷却器3出側配管から脱
脂液が連続的に試料槽に流入し、上記出側配管に戻る流
通式の試料槽(以下、脱脂液測定用フローセルとも記
す)を用いることが好ましい。
【0036】また、冷却器3出側配管中の脱脂液の液温
測定装置、測定系雰囲気温度制御装置を設け、脱脂液測
定用フローセル、脱脂液サンプルの供給配管および戻り
配管それぞれの周囲の雰囲気温度が冷却器3出側の脱脂
液液温と等しくなるように測定系を構成することが好ま
しい。なお、本発明においては、直接、冷却器3出側配
管中の脱脂液に光を入射し、脱脂液からの散乱光の光量
の測定結果に基づき析出石鹸量を求めてもよい。
【0037】本制御においては、冷却器3出側配管の脱
脂液中の析出石鹸量を例えば前記した濁度計である析出
石鹸量測定装置30で測定する。なお、前記したように、
析出石鹸量は、脱脂液からの散乱光の光量の関数として
求めることができる。濁度計の光量の測定結果などに基
づく析出石鹸量の測定結果の信号は、制御装置31へ伝送
される。
【0038】制御装置31においては、析出石鹸量に対応
した出力信号32をモータ回転数制御方式のポンプ9Pr
モータあるいはさらに冷却水の温度調節装置(図示しな
い)へ伝送し、モータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモ
ータの回転数の制御による冷却水供給配管9の冷却水9a
の流量の調節、あるいはさらに冷却水9aの水温の調節の
制御を行う。
【0039】すなわち、例えば、下記(1) 、(2) の制御
を行う。 (1) 冷却器3出側配管中の脱脂液の析出石鹸量が基準値
に対して少ない場合:前記制御を行い、冷却水9aの流量
を増加する。 (2) 冷却器3出側配管中の脱脂液の析出石鹸量が基準値
に対してかなり少ない場合:前記制御を行い、冷却水9a
の流量の増加に加え、冷却水9aの水温も低下する。
【0040】上記した制御は、析出石鹸量の測定結果に
基づき適宜選択でき、予め、制御装置にその選択基準を
記憶させておくことによって、自動的に選択することも
できる。上記した析出石鹸量の測定結果に基づく脱脂液
冷却温度の制御方式によれば、前記した図1に示す制御
方式と同様の理由で下記(1) 〜(3) の優れた効果が得ら
れる。
【0041】(1) 脱脂液の石鹸分除去率の向上 (2) ポンプ等における消費電力の低減 (3) 脱脂槽の脱脂液昇温エネルギーの削減 (アルカリ性脱脂液中の析出石鹸粒子の粒径の測定結果
に基づく制御:)析出石鹸粒子の粒径の測定装置として
は、特に制限はないが、好ましくはレーザ回折・散乱式
粒度分布測定装置を用いる。
【0042】なお、測定装置としては、冷却器3出側配
管から脱脂液が連続的にレーザ回折・散乱式粒度分布測
定装置のフローセルに流入し、前記出側配管に戻る流通
式の測定装置を用いることが好ましい。また、冷却器3
出側配管中の脱脂液の液温測定装置、測定系雰囲気温度
制御装置を設け、上記したフローセル、脱脂液サンプル
の供給配管および戻り配管それぞれの周囲の雰囲気温度
が冷却器3出側の脱脂液液温と等しくなるように測定系
を構成することが好ましい。
【0043】本制御においては、冷却器3出側配管の脱
脂液中の析出石鹸粒子の粒径を、例えば上記したレーザ
回折・散乱式粒度分布測定装置である析出石鹸粒子の粒
径測定装置30で測定する。なお、粒径としては、50%累
積平均粒径などを用いることができる。析出石鹸粒子の
粒径測定結果の信号は、制御装置31へ伝送される。
【0044】制御装置31においては、析出石鹸粒子の粒
径に対応した出力信号32をモータ回転数制御方式のポン
プ9Pr のモータあるいはさらに冷却水の温度調節装置
(図示しない)へ伝送し、モータ回転数制御方式のポン
プ9Pr のモータの回転数の制御による冷却水供給配管9
の冷却水9aの流量の調節、あるいはさらに冷却水9aの水
温の調節の制御を行う。
【0045】すなわち、アルカリ性脱脂液の冷却器3と
分離除去装置6との間を流通するアルカリ性脱脂液中の
析出石鹸粒子の粒径(50%累積平均粒径)が基準値に対
して小さい場合は、アルカリ性脱脂液の冷却が不十分で
あると判定し、例えば、下記(1) 、(2) の制御を行う。 (1) 冷却器3出側配管中の脱脂液の析出石鹸粒子の粒径
(50%累積平均粒径)が基準値に対して小さい場合:前
記制御を行い、冷却水9aの流量を増加する。
【0046】(2) 冷却器3(後段冷却器5)出側配管中
の脱脂液の析出石鹸粒子の粒径(50%累積平均粒径)が
基準値に対してかなり小さい場合:前記制御を行い、冷
却水9aの流量の増加に加え、冷却水9aの水温も低下す
る。上記した制御は、析出石鹸粒子の粒径測定結果に基
づき適宜選択でき、予め、制御装置にその選択基準を記
憶させておくことによって、自動的に選択することもで
きる。
【0047】上記した析出石鹸粒子の粒径測定結果に基
づく脱脂液冷却温度の制御方式によれば、前記した図1
に示す制御方式と同様の理由で下記(1) 〜(3) の優れた
効果が得られる。 (1) 脱脂液の石鹸分除去率の向上 (2) ポンプ等における消費電力の低減 (3) 脱脂槽の脱脂液昇温エネルギーの削減 以上、第2の発明について述べたが、第2の発明におけ
る分離除去装置としては、濾過式の分離除去装置に限定
されることはなく、遠心分離機、沈降分離器などその他
の方式の分離除去装置を用いることもできる。
【0048】〔第3の発明:〕前記したように、第3の
発明の要旨は、アルカリ性脱脂液の分離除去装置出側の
アルカリ性脱脂液の石鹸含有量の測定結果に基づいて、
冷却器におけるアルカリ性脱脂液の冷却温度を制御する
金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法である。前記した
第3の発明においては、前記石鹸含有量の指標として、
分離除去装置出側のアルカリ性脱脂液または該アルカリ
性脱脂液の測定用試料に光を入射し、脱脂液からの散乱
光の光量を測定し、散乱光の光量の関数である石鹸含有
量を用いることが好ましい(第3の発明の第1の好適態
様)。
【0049】これは、上記した石鹸含有量は、上記した
脱脂液または脱脂液の測定用試料に光を入射したときの
脱脂液からの散乱光の光量の関数として求めることがで
きるためである。上記した第3の発明の第1の好適態様
における脱脂液からの散乱光の光量の測定装置としては
特に制限はないが、前記した第2の発明と同様に、好ま
しくは光源と受光器(:散乱光光量測定装置)とから構
成される濁度計を用いる。
【0050】濁度計としては、透過光濁度計、散乱光濁
度計または積分球濁度計のいずれを用いてもよい。ま
た、前記した第3の発明においては、前記石鹸含有量の
指標として、分離除去装置6出側のアルカリ性脱脂液の
測定用試料を所定温度まで冷却した後の析出石鹸量の測
定結果を用いることも好ましい(第3の発明の第2の好
適態様)。
【0051】また、この場合の析出石鹸量の指標として
は、冷却後のアルカリ性脱脂液の測定用試料に光を入射
し、脱脂液からの散乱光の光量を測定し、散乱光の光量
の関数である析出石鹸量を用いることが好ましい。これ
は、上記した析出石鹸量は、冷却後のアルカリ性脱脂液
の測定用試料に光を入射したときの脱脂液からの散乱光
の光量の関数として求めることができるためである。
【0052】上記した第3の発明の第2の好適態様にお
ける析出石鹸量の測定装置としては、特に制限はない
が、前記した第2の発明と同様に、好ましくは光源と受
光器(:散乱光光量測定装置)とから構成される濁度計
を用いる。濁度計としては、透過光濁度計、散乱光濁度
計または積分球濁度計のいずれを用いてもよい。
【0053】図3に、本発明の金属帯のアルカリ性脱脂
液の処理方法に係わる金属帯の脱脂設備の一例を、フロ
ーシートによって示す。図3において、40は脱脂液(:
アルカリ性脱脂液)の石鹸含有量測定装置、41は制御装
置、42は制御信号を示し、その他の符号は前記した図
1、図6と同様の内容を示す。
【0054】なお、図3に示す金属帯の脱脂設備におい
ては、石鹸含有量測定装置40として、濁度計を用いてい
る。図3に示す金属帯の脱脂設備においては、前記した
図6の脱脂設備と同様の方法で鋼帯Sなど金属帯Mの脱
脂が行われる。また、脱脂槽1から脱脂液を抜き出し、
脱脂液貯槽(脱脂液循環槽)2を経由して冷却器3に送
液し、脱脂液と冷却水とを間接熱交換させ、脱脂液を冷
却する。
【0055】冷却器3で冷却した脱脂液は、冷却によっ
て析出した石鹸を分離除去装置6で分離除去し、処理後
の脱脂液を脱脂液貯槽2を経由して脱脂槽1に再循環す
る。上記した脱脂液の冷却器3による冷却時の液温の制
御方法としては、下記の制御方法を用いる。すなわち、
本制御においては、先ず、分離除去装置6出側配管の脱
脂液中の石鹸含有量を、例えば前記した濁度計である石
鹸含有量測定装置40で測定する。
【0056】濁度計の散乱光光量の測定結果などに基づ
く石鹸含有量の測定結果の信号は、制御装置41へ伝送さ
れる。制御装置41においては、石鹸含有量に対応した出
力信号42をモータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモータ
あるいはさらに冷却水の温度調節装置(図示しない)へ
伝送し、モータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモータの
回転数の制御による冷却水供給配管9の冷却水9aの流量
の調節、あるいはさらに冷却水9aの水温の調節の制御を
行う。
【0057】すなわち、分離除去装置6出側のアルカリ
性脱脂液の石鹸含有量が基準値に対して多い場合は、ア
ルカリ性脱脂液の冷却が不十分であると判定し、例え
ば、下記(1) 、(2) の制御を行う。 (1) 石鹸含有量が基準値に対して多い場合:前記制御を
行い、冷却水9aの流量を増加する。
【0058】(2) 石鹸含有量が基準値に対してかなり多
い場合:前記制御を行い、冷却水9aの流量の増加に加
え、冷却水9aの水温も低下する。上記した制御は、石鹸
含有量測定結果に基づき適宜選択でき、予め、制御装置
41にその選択基準を記憶させておくことによって、自動
的に選択することもできる。
【0059】上記した分離除去装置6出側のアルカリ性
脱脂液の石鹸含有量の測定結果に基づく脱脂液冷却温度
の制御方式によれば、前記した図1に示す制御方式と同
様の理由で下記(1) 〜(3) の優れた効果が得られる。 (1) 脱脂液の石鹸分除去率の向上 (2) ポンプ等における消費電力の低減 (3) 脱脂槽の脱脂液昇温エネルギーの削減 図4に、本発明の金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法
に係わる金属帯の脱脂設備の他の一例を、フローシート
によって示す。
【0060】図4において、50は脱脂液(:アルカリ性
脱脂液)の石鹸含有量測定装置、50a は測定用脱脂液冷
却器、50b は濁度計、51は制御装置、52は制御信号を示
し、その他の符号は前記した図1、図6と同様の内容を
示す。すなわち、図4に示す石鹸含有量測定装置50は、
測定用脱脂液冷却器50a と濁度計50b とから構成される
液流通式の測定装置である。
【0061】図4に示す金属帯の脱脂設備においては、
前記した図6の脱脂設備と同様の方法で鋼帯Sなど金属
帯Mの脱脂が行われる。また、脱脂槽1から脱脂液を抜
き出し、脱脂液貯槽(脱脂液循環槽)2を経由して冷却
器3に送液し、脱脂液と冷却水とを間接熱交換させ、脱
脂液を冷却する。
【0062】冷却器3で冷却した脱脂液は、冷却によっ
て析出した石鹸を分離除去装置6で分離除去し、処理後
の脱脂液を脱脂液貯槽2を経由して脱脂槽1に再循環す
る。上記した脱脂液の冷却器3による冷却時の液温の制
御方法としては、下記の制御方法を用いる。すなわち、
本制御においては、先ず、分離除去装置6出側配管の脱
脂液中の石鹸含有量を、例えば前記した測定用脱脂液冷
却器50a および濁度計50b から構成される石鹸含有量測
定装置50で測定する。
【0063】なお、上記した測定用脱脂液冷却器50a に
おける測定用脱脂液の冷却温度は、少なくとも冷却器3
出側配管中の脱脂液の液温未満とし、対象とする脱脂液
に応じて予め実験的に求めることができる。分離除去装
置6出側配管から分流された測定用脱脂液中の溶解石鹸
分は、測定用脱脂液冷却器50a 中で析出し、析出石鹸粒
子を含んだ測定用脱脂液は、濁度計50b の脱脂液測定用
フローセルを流通する過程で濁度が測定される。
【0064】濁度計の散乱光光量の測定結果などに基づ
く石鹸含有量の測定結果の信号は、制御装置51へ伝送さ
れる。制御装置51においては、石鹸含有量に対応した出
力信号52をモータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモータ
あるいはさらに冷却水の温度調節装置(図示しない)へ
伝送し、モータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモータの
回転数の制御による冷却水供給配管9の冷却水9aの流量
の調節、あるいはさらに冷却水9aの水温の調節の制御を
行う。
【0065】すなわち、分離除去装置6出側のアルカリ
性脱脂液の石鹸含有量が基準値に対して多い場合は、ア
ルカリ性脱脂液の冷却が不十分であると判定し、例え
ば、下記(1) 、(2) の制御を行う。 (1) 石鹸含有量が基準値に対して多い場合:前記制御を
行い、冷却水9aの流量を増加する。
【0066】(2) 石鹸含有量が基準値に対してかなり多
い場合:前記制御を行い、冷却水9aの流量の増加に加
え、冷却水9aの水温も低下する。上記した制御は、石鹸
含有量測定結果に基づき適宜選択でき、予め、制御装置
51にその選択基準を記憶させておくことによって、自動
的に選択することもできる。
【0067】上記した分離除去装置6出側のアルカリ性
脱脂液の石鹸含有量の測定結果に基づく脱脂液冷却温度
の制御方式によれば、前記した図1に示す制御方式と同
様の理由で下記(1) 〜(3) の優れた効果が得られる。 (1) 脱脂液の石鹸分除去率の向上 (2) ポンプ等における消費電力の低減 (3) 脱脂槽の脱脂液昇温エネルギーの削減 以上、第3の発明について述べたが、第3の発明におけ
る分離除去装置としては、濾過式の分離除去装置に限定
されることはなく、遠心分離機、沈降分離器などその他
の方式の分離除去装置を用いることもできる。
【0068】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明する。 (実施例1)前記した図1に示す金属帯の脱脂設備を用
い、下記試験条件下で、冷間圧延で得られた鋼帯の脱脂
を行った。
【0069】(試験条件:) 圧延油:植物油 脱脂槽1:鋼帯浸漬通板方式 脱脂液(アルカリ洗浄液):(苛性ソーダ、無機リン酸
ソーダ、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル)を含有する金属用洗浄
剤の3%水溶液 脱脂槽1の脱脂液液温:80℃ 分離除去装置6:濾布式濾過器 すなわち、図1に示す金属帯の脱脂設備において、脱脂
槽1に鋼帯Sを浸漬通板し脱脂を行った。
【0070】また、脱脂槽1から脱脂液を抜き出し、脱
脂液貯槽(脱脂液循環槽)2を経由して冷却器3に送液
し、脱脂液と冷却水とを間接熱交換させ、脱脂液を冷却
した。冷却器3で冷却した脱脂液は、冷却によって析出
した石鹸を分離除去装置6で分離除去し、処理後の脱脂
液を脱脂液貯槽2を経由して脱脂槽1に再循環した。
【0071】また、上記した脱脂液の冷却器3による冷
却時の液温の制御方法としては、分離除去装置6の前後
の脱脂液の圧力差(圧力損失):ΔPを測定し、石鹸の
分離除去量の指標として、単位時間当たりのΔPの変化
量(:ΔPの変化量)を用い、下記の方法で制御を行っ
た。すなわち、脱脂液が流通している分離除去装置(濾
過器)6の前後の脱脂液の圧力差(圧力損失):ΔP
を、ΔP測定装置20で経時的に測定した。
【0072】また、脱脂液流量測定装置21によって、分
離除去装置6を流通している脱脂液の流量を測定した。
ΔP測定装置20によるΔP測定結果の信号および脱脂液
流量測定装置21による脱脂液流量測定結果の信号を、演
算・制御装置22へ伝送した。演算・制御装置22において
は、予め求めたΔPの変化量と単位時間当たりに濾布に
堆積した石鹸量と脱脂液流量との関係式から、単位時間
当たりに濾布に堆積した石鹸量(:単位時間当たりの石
鹸の分離除去量)を演算し、得られた演算結果に基づ
き、下記の制御を行った。
【0073】なお、下記冷却水9aの流量の調節に加え、
冷却水9aの水温の調節を行うか否かは、石鹸の分離除去
量の演算結果と、予め演算・制御装置に記憶させた選択
基準に基づき自動的に選択する方式を採用し、脱脂液の
冷却度を石鹸の分離除去量に反比例させる形の制御を行
った。すなわち、モータ回転数制御方式のポンプ9Pr
モータの回転数の制御による冷却水供給配管9の冷却水
9aの流量の調節、あるいはさらに冷却水9aの水温の調節
を行う制御である。
【0074】さらに、上記試験時に、冷却器3出側配管
および分離除去装置6出側配管から脱脂液の試料を採取
した。また、採取したそれぞれの脱脂液の試料を、液
温:10℃に冷却後、濾過し、乾燥後の濾過残渣の質量か
ら、下記式(1) に基づいて石鹸分除去率を求めた。 石鹸分除去率={(A−B)/A}×100 (%)………(1) なお、上記式中、 A:冷却器3出側の脱脂液試料についての、単位液量当
たりの乾燥濾過残渣の質量 B:分離除去装置6出側の脱脂液試料についての、単位
液量当たりの乾燥濾過残渣の質量 図5に、得られた石鹸分除去率の測定結果を、後記する
比較例1による石鹸分除去率と対比して示す。
【0075】図5に示すように、本発明によれば石鹸分
除去率が90%と高除去率が得られ、その結果、脱脂槽1
および脱脂液貯槽(脱脂液循環槽)2のいずれにおいて
も泡の発生に伴う脱脂液の槽外への溢流は生じなかっ
た。 (実施例2)前記した図2に示す金属帯の脱脂設備を用
い、実施例1における制御に代えて、冷却器3と分離除
去装置6との間の脱脂液中の析出石鹸量の測定結果に基
づき脱脂液の冷却温度を制御した以外は実施例1と同様
の方法、条件で冷間圧延で得られた鋼帯の脱脂を行っ
た。
【0076】析出石鹸量の測定法としては、前記した濁
度計を用い、下記制御方法で脱脂液の冷却温度を制御し
た。すなわち、冷却器3出側配管の脱脂液中の析出石鹸
量を、析出石鹸量測定装置30である濁度計で測定した。
濁度計の散乱光光量の測定結果の信号は、制御装置31へ
伝送し、制御装置31においては、散乱光光量の関数であ
る析出石鹸量に対応した出力信号32をモータ回転数制御
方式のポンプ9Pr のモータあるいはさらに冷却水の温度
調節装置(図示しない)へ伝送し、下記の制御を行っ
た。
【0077】なお、下記冷却水9aの流量の調節に加え、
冷却水9aの水温の調節を行うか否かは、析出石鹸量の測
定結果と、予め制御装置31に記憶させた選択基準に基づ
き自動的に選択する方式を採用し、脱脂液の冷却度を析
出石鹸量に反比例させる形の制御を行った。すなわち、
モータ回転数制御方式のポンプ9Pr のモータの回転数の
制御による冷却水供給配管9の冷却水9aの流量の調節、
あるいはさらに冷却水の温度調節器の制御による冷却水
9aの水温の調節を行う制御である。
【0078】さらに、上記試験時に、冷却器3出側配管
および分離除去装置6出側配管から脱脂液の試料を採取
し、前記した実施例1と同様の方法で、石鹸分除去率を
求めた。その結果、本実施例においては石鹸分除去率が
93%と高除去率が得られ、脱脂槽1および脱脂液貯槽
(脱脂液循環槽)2のいずれにおいても泡の発生に伴う
脱脂液の槽外への溢流は生じなかった。
【0079】(実施例3)前記した図3に示す金属帯の
脱脂設備を用い、実施例1における制御に代えて、分離
除去装置6出側の脱脂液中の石鹸含有量の測定結果に基
づき脱脂液の冷却温度を制御した以外は実施例1と同様
の方法、条件で冷間圧延で得られた鋼帯の脱脂を行っ
た。
【0080】上記した石鹸含有量は、前記した濁度計で
ある石鹸含有量測定装置40で測定し、下記制御方法で脱
脂液の冷却温度を制御した。すなわち、濁度計の散乱光
光量の測定結果の信号を、制御装置41へ伝送し、制御装
置41においては、散乱光光量の関数である石鹸含有量に
対応した出力信号42をモータ回転数制御方式のポンプ9P
r のモータあるいはさらに冷却水の温度調節装置(図示
しない)へ伝送し、下記の制御を行った。
【0081】下記冷却水9aの流量の調節に加え、冷却水
9aの水温の調節を行うか否かは、石鹸含有量の測定結果
と、予め制御装置41に記憶させた選択基準に基づき自動
的に選択する方式を採用し、脱脂液の冷却度を石鹸含有
量に比例させる形の制御を行った。すなわち、モータ回
転数制御方式のポンプ9Pr のモータの回転数の制御によ
る冷却水供給配管9の冷却水9aの流量の調節、あるいは
さらに冷却水9aの水温の調節を行う制御である。
【0082】さらに、上記試験時に、冷却器3出側配管
および分離除去装置6出側配管から脱脂液の試料を採取
し、前記した実施例1と同様の方法で、石鹸分除去率を
求めた。その結果、本実施例においては石鹸分除去率が
92%と高除去率が得られ、脱脂槽1および脱脂液貯槽
(脱脂液循環槽)2のいずれにおいても泡の発生に伴う
脱脂液の槽外への溢流は生じなかった。
【0083】(比較例1)前記した図6に示す従来の金
属帯の脱脂設備を用い、実施例1における制御に代え
て、冷却器3出側の脱脂液液温が20℃一定となるように
制御した以外は実施例1と同様の方法、条件で冷間圧延
で得られた鋼帯の脱脂を行った。また、実施例1と同様
の方法で、石鹸分除去率を求めた。
【0084】図5に、得られた石鹸分除去率の測定結果
を示す。本比較例においては、石鹸分除去率が80%であ
り、脱脂槽1および脱脂液貯槽(脱脂液循環槽)2にお
ける泡の発生に伴う脱脂液の槽外への溢流を回避するこ
とは困難であった。 (比較例2)前記した図6に示す従来の金属帯の脱脂設
備を用い、実施例1における制御に代えて、冷却器3出
側の脱脂液液温が10℃一定となるように制御した以外は
実施例1と同様の方法、条件で冷間圧延で得られた鋼帯
の脱脂を行った。
【0085】また、実施例1と同様の方法で、石鹸分除
去率を求めた。その結果、本比較例においては、石鹸分
除去率が85%であり、脱脂槽1および脱脂液貯槽(脱脂
液循環槽)2における泡の発生に伴う脱脂液の槽外への
溢流を完全に回避することは困難であった。以上、実施
例および比較例について述べたが、得られた試験結果を
表1に一括して示す。
【0086】また、表1に、各実施例および比較例にお
ける下記式(2) で定義されるエネルギー消費量を、比較
例1のエネルギー消費量を100 として相対値で示す。な
お、ここでエネルギー消費量は、冷却水9aの流量、水温
を調節するために用いられる設備の消費電力と、脱脂液
の昇温に要するエネルギーの和である。表1に示される
ように、本発明によれば、石鹸分除去率が向上し、脱脂
槽および脱脂液貯槽(脱脂液循環槽)における泡の発生
に伴う脱脂液の槽外への溢流を防止することができると
共に、脱脂設備におけるエネルギー消費量を削減するこ
とが可能となった。
【0087】
【表1】
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、脱脂液中石鹸分の除去
率に優れ、脱脂槽などにおける泡の発生に伴う脱脂液の
槽外への溢流を防止し、省エネルギーを達成できる金属
帯のアルカリ性脱脂液の処理方法を提供することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる金属帯の脱脂設備の一例を示す
フローシートである。
【図2】本発明に係わる金属帯の脱脂設備の一例を示す
フローシートである。
【図3】本発明に係わる金属帯の脱脂設備の一例を示す
フローシートである。
【図4】本発明に係わる金属帯の脱脂設備の一例を示す
フローシートである。
【図5】石鹸分除去率を示すグラフである。
【図6】従来の金属帯の脱脂設備を示すフローシートで
ある。
【符号の説明】
1 金属帯(鋼帯)浸漬方式の脱脂槽(アルカリ洗浄装
置) 2 脱脂液貯槽(:脱脂液循環槽) 3 冷却器 6 分離除去装置(:析出石鹸分離除去装置) 7a、7b アルカリ性脱脂液(:脱脂液) 8 蒸気配管 8a 蒸気 9 冷却水供給配管 9a 冷却水 9P ポンプ 9Pr モータ回転数制御方式のポンプ 11 脱脂液抜き出し配管 12 脱脂液処理用配管 13、14 脱脂液戻り配管 18 液温測定・記録計 20 脱脂液圧力損失(ΔP)測定装置(:ΔP測定装
置) 21 脱脂液流量測定装置 22 演算・制御装置 23、32、42、52 制御信号 30 析出石鹸量測定装置または析出石鹸粒子の粒径測定
装置 31、41、51 制御装置 40、50 石鹸含有量測定装置 50a 測定用脱脂液冷却器 50b 濁度計 f 金属帯(鋼帯)の搬送方向 M(S) 金属帯(鋼帯) V 弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K053 RA12 RA22 RA41 XA50 YA02 YA05 YA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯の脱脂槽で使用後のアルカリ性脱
    脂液の少なくとも一部を抜き出し、冷却器で冷却後、該
    アルカリ性脱脂液中に析出した石鹸を分離除去装置で分
    離除去し、得られたアルカリ性脱脂液を前記脱脂槽に再
    循環する金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法であっ
    て、前記分離除去装置における石鹸の分離除去量に基づ
    いて、前記冷却器におけるアルカリ性脱脂液の冷却温度
    を制御することを特徴とする金属帯のアルカリ性脱脂液
    の処理方法。
  2. 【請求項2】 金属帯の脱脂槽で使用後のアルカリ性脱
    脂液の少なくとも一部を抜き出し、冷却器で冷却後、該
    アルカリ性脱脂液中に析出した石鹸を分離除去装置で分
    離除去し、得られたアルカリ性脱脂液を前記脱脂槽に再
    循環する金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法であっ
    て、前記冷却器と分離除去装置との間のアルカリ性脱脂
    液中の析出石鹸量および/または析出石鹸粒子の粒径の
    測定結果に基づいて、前記冷却器におけるアルカリ性脱
    脂液の冷却温度を制御することを特徴とする金属帯のア
    ルカリ性脱脂液の処理方法。
  3. 【請求項3】 金属帯の脱脂槽で使用後のアルカリ性脱
    脂液の少なくとも一部を抜き出し、冷却器で冷却後、該
    アルカリ性脱脂液中に析出した石鹸を分離除去装置で分
    離除去し、得られたアルカリ性脱脂液を前記脱脂槽に再
    循環する金属帯のアルカリ性脱脂液の処理方法であっ
    て、前記分離除去装置出側のアルカリ性脱脂液の石鹸含
    有量の測定結果に基づいて、前記冷却器におけるアルカ
    リ性脱脂液の冷却温度を制御することを特徴とする金属
    帯のアルカリ性脱脂液の処理方法。
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