JP2003012880A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JP2003012880A
JP2003012880A JP2001251640A JP2001251640A JP2003012880A JP 2003012880 A JP2003012880 A JP 2003012880A JP 2001251640 A JP2001251640 A JP 2001251640A JP 2001251640 A JP2001251640 A JP 2001251640A JP 2003012880 A JP2003012880 A JP 2003012880A
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JP2001251640A
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Kiyoteru Kashiwame
浄照 柏女
Takashi Watabe
崇 渡部
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れるとともに、硬化物の膜厚
に依存せず、クラックや白化等の発生を長期間に亘って
防止する硬化性組成物を提供すること。 【解決手段】 少なくとも1つの反応性ケイ素基を有す
るポリイソブチレン系重合体(A)と、数平均分子量が
400以上の光硬化性化合物(B)と、空気酸化硬化性
化合物(C)と、第3級ヒンダードアミン系光安定剤
(D)と、を含むことを特徴とする硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硬化性組成物に関
し、より詳しくは、貯蔵安定性や耐候性に優れ、シーラ
ントや接着剤等の成分として好適に用いることの可能な
湿分硬化型の硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】硬化性のシーラントや接着剤の主要成分
として適用可能な重合体として、反応性ケイ素基を有す
るポリイソブチレン系重合体(以下、場合により「PI
B」という。)が知られている(例えば、特開昭63−
6003号公報)。PIBは、疎水性の飽和炭化水素か
らなる骨格を有しているために、同様の用途で多用され
ている反応性ケイ素基を有するプロピレンオキシド系重
合体に比べて、耐候性や耐水性に優れている。
【0003】したがって、PIBは太陽光の照射や風雨
を受ける屋外使用に適していると考えられており、実際
の使用に際して充分な耐久性を発揮させるために、種々
の添加剤の添加による変性が行われている。例えば、特
開平10−152584号公報には、PIBにシランカ
ップリング剤や空気中の酸素と反応性の化合物等を添加
することにより、耐候接着性を向上させることが可能で
あると報告されており、特開平8−41138号公報に
は、PIBに光硬化性物質及び酸素と反応性の化合物を
添加することにより、硬化物の表面を非粘着性にして汚
染を防止することができると報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された組成は貯蔵安定性に劣る場合が多く未使
用の状態で長期間保管すると増粘等の問題が生じること
があった。また、硬化物が太陽光や風雨に長期間晒され
た場合に、クラックや白化を生じ易く、特に、硬化物の
膜厚が薄くなることによってそれらの発生が顕著となる
という問題があった。
【0005】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、反応性ケイ素基を有するポリイ
ソブチレン系重合体を含む硬化性組成物であって、未使
用の状態での貯蔵安定性に優れるとともに、硬化物の膜
厚に依存せず、クラックや白化等の発生を長期間に亘っ
てより確実に防止することが可能な硬化性組成物を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも1つ
の反応性ケイ素基を有するポリイソブチレン系重合体に
対して、特定分子量の光硬化性化合物と、特定構造のヒ
ンダードアミン系光安定剤とを添加することにより、未
使用の状態での貯蔵安定性及び長期間に亘るクラックや
白化の防止性能を顕著に向上させることができることを
見出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明の硬化性組成物は、少な
くとも1つの反応性ケイ素基を有するポリイソブチレン
系重合体(A)と、数平均分子量が400以上の光硬化
性化合物(B)と、空気酸化硬化性化合物(C)と、第
3級ヒンダードアミン系光安定剤(D)と、を含むこと
を特徴とするものである。
【0008】光硬化性化合物の添加によりPIBの耐候
性を向上させる試みは上述のように既になされている
が、この場合における耐候性の向上は表面粘着性を防止
するという方法を採るため、PIB硬化物中での光硬化
性化合物の表面移行性が良好であることが好ましく、か
かる観点からは分子量の低い化合物の方が有効であると
従来より考えられていた。また、ヒンダードアミン系安
定剤は、耐候性向上を目的としてシーラント等の組成物
に用いられることのある化合物であるが、PIBとの組
み合わせにおいては、ヒンダードアミン系安定剤におけ
るアミノ基の置換基の数により耐候性に与える影響は大
差がないと考えられていた。すなわち、安定剤が第2級
ヒンダードアミン系安定剤であっても第3級ヒンダード
アミン系光安定剤であってもクラックや白化の防止性能
は同等であると考えられていた。ところが、本発明者ら
は、従来からの当業者の認識に反して、PIBには、む
しろ高分子量の光硬化性化合物を添加することが好まし
く、更に第3級ヒンダードアミン系安定剤と空気酸化硬
化性化合物とを組み合わせることで、従来では不可能で
あった高度の耐久性が実現可能であることを新たに見出
したものである。
【0009】本発明においては、前記光硬化性化合物
(B)が、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリト
ールのラクトン付加物及びジペンタエリスリトールのラ
クトン付加物からなる群より選ばれる少なくとも1つの
ポリオールの不飽和カルボン酸エステルであって数平均
分子量が400以上の光硬化性化合物であることが好ま
しい。そして、前記不飽和カルボン酸エステルは、(メ
タ)アクリル酸エステルであることが好ましい。また、
前記第3級ヒンダードアミン系光安定剤(D)は、数平
均分子量1000以上の第3級ヒンダードアミン系光安
定剤であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。先ず、本発明における、少なく
とも1つの反応性ケイ素基を有するポリイソブチレン系
重合体(A)(以下、単に「化合物A」という。)につ
いて説明する。
【0011】化合物Aにおける反応性ケイ素基とは、反
応によりシロキサン結合を形成しうる基をいう。かかる
基としては、下記一般式(1)で表される基が好まし
い。
【化1】
【0012】式中、R1及びR2は、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜2
0のアラルキル基又は(R’)3SiO−(R’は、炭
素数1〜20の置換若しくは非置換の炭化水素基であ
り、3個のR’は同一でも異なっていてもよい。)で示
されるトリオルガノシロキシ基、Xは水酸基又は加水分
解性基をそれぞれ示す。R1、R2及びXがそれぞれ2個
以上存在するときは、これらはそれぞれ同一でも異なっ
ていてもよい。aは0〜3の整数、bは0〜2の整数、
mは0〜19の整数をそれぞれ示す。但し、a+mb≧
1でなければならない。
【0013】Xが加水分解性基である場合、かかる基と
しては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ
基、アルケニルオキシ基、アミノ基、ケトキシメート
基、アミノオキシ基、カルバモイル基、メルカプト基を
例示でき、これらのなかではアルコキシ基が特に好まし
い。アルコキシ基の炭素数は1〜6が好ましく、1〜4
が更に好ましい。アルコキシ基としてはメトキシ基が特
に好ましい。
【0014】反応性ケイ素基は、ポリイソブチレン系重
合体に直接結合していても、エーテル結合、チオエーテ
ル結合、エステル結合、ウレタン結合、尿素結合等の結
合を介して結合していてもよい。また、ポリイソブチレ
ン系重合体に結合する反応性ケイ素基の数は1以上であ
ればよい。ここで、ポリイソブチレン系重合体に結合す
る反応性ケイ素基の数は平均値を意味するため整数でな
い場合がある。本発明においては、反応性ケイ素基の数
は1.1〜10が好ましく、1.1〜5が好ましく2〜
5が更に好ましい。反応性ケイ素基の数が1未満である
場合は、シーラント等の組成物を作製した場合に硬化性
が不充分になり、良好なゴム弾性が得られなくなる。
【0015】なお、本発明においてポリイソブチレン系
重合体とは、イソブチレンを必須成分とするモノマーを
重合して得られた重合体をいう。すなわち、ポリイソブ
チレン系重合体はイソブチレンホモポリマー又はイソブ
チレンモノマーと他のモノマーとのコポリマーを意味す
る。ポリイソブチレン系重合体が、コポリマーである場
合、該コポリマーを形成する全モノマー中イソブチレン
モノマーの含有割合は、50重量%以上が好ましく、7
0重量%以上がより好ましい。
【0016】イソブチレンモノマーと共重合する上記他
のモノマーとしては、例えば、イソブチレン以外のオレ
フィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニル
シラン、アリルシラン等が挙げられる。具体的には、1
−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−
メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペン
テン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニル
エーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、イソブテルピニルエーテル、シクロヘキシルビニル
エーテル、クロロエチルビニルエーテル、スチレン、α
−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチ
レン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニ
ルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビ
ニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジクロロシ
ラン、ジビニルジメトキシシラン、1,3−ジビニル−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、テトラビ
ニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルジメチル
クロロシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジク
ロロシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチル
ジメトキシシランが例示可能である。
【0017】なお、化合物Aは、上述のポリイソブチレ
ン系重合体に少なくとも1つの上記反応性ケイ素基を結
合させたものであるが、ポリイソブチレン系重合体がコ
ポリマーであり、イソブチレンモノマー以外のモノマー
としてメトキシシリル基やクロロシリル基を有するモノ
マーを使用した場合は、反応性ケイ素基が結合したポリ
イソブチレン重合体が得られるので、これに反応性ケイ
素基を更に結合せしめるかどうかは任意である。
【0018】化合物Aの製造方法は特に制限されない
が、例えば、末端がビニル基であるポリイソブチレン系
重合体を合成した後に、かかるビニル基と水素化ケイ素
化合物とを反応(ヒドロシリル化反応)させることによ
り得ることができる。この場合においては、反応性ケイ
素基は−CH2−CH2−を介してポリイソブチレン系共
重合体に結合する。
【0019】末端がビニル基であるポリイソブチレン系
重合体は、例えば、イソブチレン(場合により更に共重
合モノマー)を重合して得られた重合体にジエン(例え
ば炭素数4〜30のジエン)を付加させる方法や、特開
昭63−6003号に引用されているイニファー法によ
り製造することが可能である。水素化ケイ素化合物とし
ては、下記一般式(2)で表される化合物が例示でき
る。なお、式中のR1、R2、X、a、b及びmは上記R
1、R2、X、a、b及びmと同義である。
【化2】
【0020】末端がビニル基であるイソブチレン系重合
体と水素化ケイ素化合物とを反応させる際には、白金系
触媒、ロジウム系触媒、コバルト系触媒、パラジウム系
触媒、ニッケル系触媒等の触媒を使用することができ、
白金系触媒としては、白金酸、白金金属、塩化白金、白
金オレフィン錯体が好ましい。また、かかる反応は20
〜150℃、好ましくは60〜120℃で数時間行うこ
とが好ましい。
【0021】本発明において化合物Aは単独で用いても
2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、化合物A
の分子量は特に制限されないが、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合の数平均
分子量(Mn)として、500〜30,000が好まし
く、1,000〜15,000が更に好ましい。
【0022】次に、数平均分子量が400以上の光硬化
性化合物(B)(以下、単に「化合物B」という。)に
ついて説明する。本発明における光硬化性化合物(B)
とは、紫外線、可視光、赤外線等の太陽光に含まれる光
により硬化し得る化合物であって、GPCによるMnが
400以上のものをいう。化合物BのMnが400未満
である場合は、長期に亘る耐候性が不充分となる。化合
物BのMnは450以上であることが好ましく、450
〜2500が更に好ましい。
【0023】光硬化性化合物(B)は、太陽光に含まれ
る光により架橋もしくは重合が可能な基(以下、「光官
能基」という。)を少なくとも1つ含有することが好ま
しい。光官能基としては、不飽和基及びアジド基が挙げ
られ、光硬化性化合物(B)は、これらの基の少なくと
も1つを分子側鎖、分子末端、又は側鎖と末端の両方に
有していればよい。なお、光硬化性化合物(B)におけ
る不飽和基とは炭素−炭素不飽和結合を有する基をい
い、アジド基とはアジド(−N3)を含む基をいう。不
飽和基としては、例えば、シンナモイル基、シンナミリ
デン基等の光二量化が可能な光二量化基や、アルケニル
基、(メタ)アクリロイル基等の光重合が可能な光重合
性基が挙げられ、アジド基としては、アジドベンザル
基、アジドフェニル基が挙げられる。
【0024】本発明において、光硬化性化合物(B)
は、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの
ラクトン付加物及びジペンタエリスリトールのラクトン
付加物からなる群より選ばれる少なくとも1つのポリオ
ールの残基を有し、炭素−炭素不飽和結合を有する数平
均分子量が400以上の光硬化性化合物であることが好
ましい。このような化合物としては、上記ポリオールの
不飽和カルボン酸エステル、又は、上記ポリオールと炭
素−炭素不飽和結合及びイソシアネート基を有する化合
物との反応物が挙げられる。本発明においては、上記ポ
リオールの不飽和カルボン酸エステルが特に好ましい。
【0025】ジペンタエリスリトールのラクトン付加物
とは、ジペンタエリスリトールにおける少なくとも1つ
の水酸基と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクト
ン、δ−バレロラクトン等のラクトンとが反応すること
により、ラクトンが開環してエステル結合を形成するこ
とにより付加した化合物をいう。ペンタエリスリトール
のラクトン付加物も上記と同様である。また、上記ポリ
オールのカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリ
ル酸エステルが好ましく、アクリル酸エステルがより好
ましい。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又は
メタアクリル酸(メタクリル酸)を意味する。
【0026】ジペンタエリスリトールのアクリル酸エス
テルであるMn400以上の光硬化性化合物としては、
ジペンタエリスリトールのトリアクリレート、テトラア
クリレート、ペンタアクリレート、又はヘキサアクリレ
ートが挙げられる。ペンタエリスリトールのラクトン付
加物のアクリル酸エステルであるMn400以上の光硬
化性化合物としては、付加させるラクトンの種類や付加
量により、モノアクリレート、ジアクリレート、トリア
クリレート又はテトラアクリレートの態様がある。ジペ
ンタエリスリトールのラクトン付加物のアクリル酸エス
テルであるMn400以上の光硬化性化合物も同様に、
付加させるラクトンの種類や付加量により、モノアクリ
レート、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラア
クリレート、ペンタアクリレート、又はヘキサアクリレ
ートの態様がある。
【0027】ジペンタエリスリトールのアクリル酸エス
テルであるMn400以上の光硬化性化合物としては、
東亜合成化学社製アロニックス M400(ジペンタエ
リスリトールのペンタアクリレート及びヘキサアクリレ
ート)、日本化薬社製KAYARAD DPHA、D−
310及びD−330等を用いることができ、ジペンタ
エリスリトールのラクトン付加物のアクリル酸エステル
であるMn400以上の光硬化性化合物としては、日本
化薬社製KAYARAD DPCA−20、DPCA−
30、DPCA−60及びDPCA−120等を用いる
ことができる。
【0028】本発明においては、上記の他に、モノオー
ル又はポリオールにアルキレンオキシドを付加してなる
アルコールの不飽和カルボン酸エステルである光硬化性
化合物を用いることができる。かかる光硬化性化合物と
しては、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリ
プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロール
プロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプ
ロパンPO変性トリアクリレート、フェノールEO変性
アクリレート等が挙げられる。なお、上記EOはエチレ
ンオキシドを意味し、POはプロピレンオキシドを意味
する。上述した化合物Bは、単独で用いてもよいが、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】次に、空気酸化硬化性化合物(C)(以
下、単に「化合物C」という。)について説明する。本
発明における空気酸化硬化性化合物(C)とは、空気中
に含まれる酸素により重合する不飽和基を分子中に有す
る化合物をいう。
【0030】化合物Cとしては、不飽和高級脂肪酸とア
ルコールとのエステル、1,2−ポリブタジエン、1,
4−ポリブタジエン、ジエン系重合体(共重合体を含
む)、ジエン系重合体の変性物(マレイン化変性物、ボ
イル油変性物等)等が挙げられる。
【0031】本発明においては化合物Cとして不飽和高
級脂肪酸とアルコールとのエステルを用いることが好ま
しい。かかるエステルとしては、オレイン酸、リノール
酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、リシ
ノール酸、アラキドン酸等の高級不飽和脂肪酸と;1価
アルコール(メタノール、エタノール等)、2価アルコ
ール(エチレングリコール、プロピレングリコール
等)、3価アルコール(トリメチロールプロパン、グリ
セリン等)、4価アルコール(ペンタエリスリトール
等)、6価アルコール(ソルビッド等)、水酸基を有す
る有機ケイ素化合物等のアルコールと;の縮合反応より
得られるエステルが挙げられる。
【0032】化合物Cの空気酸化反応は主に不飽和基で
生じるが、その反応性は不飽和基の不飽和結合に数や共
役性に依存している。従って、空気酸化反応の反応性の
観点からは、化合物Cはヨウ素価が100以上のエステ
ルが好ましい。ヨウ素価が100以上を示す不飽和高級
脂肪酸のエステルは、不飽和高級脂肪酸とアルコールと
を縮合させることにより合成可能であるが、乾性油等の
天然物由来のエステルを用いることが価格の観点から好
ましい。
【0033】乾性油は、不飽和高級脂肪酸のグリセリン
エステルを主成分としており、本発明に用いることので
きるものとしては、亜麻仁油、桐油、大豆油、アサ実
油、イサノ油、ウルシ核油、エゴマ油、オイチシカ油、
カヤ油、クルミ油、ケシ油、サクランボ種子油、ザクロ
種子油、サフラワー油、タバコ種子油、トウハゼ核油、
ゴム種子油、ヒマワリ種子油、ブドウ核油、ホウセンカ
種子油、ミツバ種子油等が挙げられる。
【0034】上記乾性油においては、炭素数10以上の
不飽和高級脂肪酸のエステル、炭素数10未満の不飽和
脂肪酸のエステル、飽和脂肪酸エステル、アルコール
類、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸等が共存することがあ
る。本発明においては、乾性油の全重量を基準として、
炭素数10以上の不飽和高級脂肪酸のエステルの含有量
が80重量%以上であることが好ましい。
【0035】上記乾性油のなかでは、空気酸化反応の反
応性の観点から、エレオステアリン酸、リカン酸、プニ
カ酸等の共役系不飽和高級脂肪酸のトリグリセリンエス
テルを主成分とする乾性油が特に好ましい。かかる乾性
油としては、桐油、オイチシカ油、ザクロ種子油、ホウ
センカ種子油が挙げられ、桐油が特に好ましい。上述し
た化合物Cは、単独で用いてもよいが、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0036】次に、第3級ヒンダードアミン系光安定剤
(D)(以下、単に「化合物D」という。)について説
明する。本発明における第3級ヒンダードアミン系光安
定剤とは、分子中に第3級窒素原子を有する置換ピペリ
ジン骨格(例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル
ピペリジル基)を有する光安定剤をいう。
【0037】化合物Dとしては、例えば、ビス−(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート(例えば、チバスペシャルティーケミカルズ社
(以下、「CSC社」という。)製、チヌビン765);
ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−ベンジル)−2−n−ブチルマロネート(例え
ば、CSC社製、チヌビン144);テトラキス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(例え
ば、旭電化工業社製、アデカスタブLA−52);1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸とトリデカノール
と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニ
オールとのエステル(例えば、旭電化工業社製、アデカ
スタブLA−62);1,2,3,4−ブタンテトラカ
ルボン酸とβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9
−ジエチル−{2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン}−α,α’−ジオールと1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニオール
とのエステル(例えば、旭電化工業社製、アデカスタブ
LA−63);4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テト
ラメチル−1−ピペリジノ−2−エタノールとコハク酸
とからなる重合体(例えば、CSC社製、チヌビン62
2LD);N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチ
レンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミ
ノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物
(例えば、CSC社製、CHIMASSOB 119F
L、化学構造を下記化学式(3)に示す。)を例示する
ことができる。
【0038】
【化3】
【0039】本発明においては化合物Dとして、アデカ
スタブLA−52、アデカスタブLA−62、アデカス
タブLA−63、チヌビン622LD、CHIMASS
ORB119 FLとして入手可能な上記化合物を用い
ることが好ましい。また、化合物Dは1種のみを用いて
も、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】本発明の硬化性組成物は、以上説明したポ
リイソブチレン系重合体(A)(化合物A)、光硬化性
化合物(B)(化合物B)、空気酸化硬化性化合物
(C)(化合物C)、及び第3級ヒンダードアミン系光
安定剤(D)(化合物D)を含むものであり、これらの
組成比は特に制限されないが、本発明においては、化合
物Bは、化合物A100質量部に対し0.1〜50質量
部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。化合物
Cは、化合物A100質量部に対し、0.1〜20質量
部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。また、
化合物Dは、化合物A100質量部に対し、0.01〜
10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好まし
い。
【0041】本発明の硬化性組成物は、例えば、上述の
方法により化合物Aを合成した後、これと化合物B、化
合物C、及び化合物Dを混合することにより得ることが
できる。また、化合物Aの原料モノマー等に化合物B、
化合物C、及び化合物Dを添加した後に、化合物Aを合
成してもよい。合成や混合の際には有機溶剤を用いるこ
とができ、合成又は混合後、必要によりこの有機溶剤を
除去することが可能である。
【0042】本発明の硬化性組成物は、化合物A、化合
物B、化合物C、及び化合物Dの他にも、充填剤、硬化
促進剤、接着性付与剤、脱水剤、チキソ性付与剤、溶
剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤成分を含んでいても
よい。このような添加剤成分を含む硬化性組成物を調整
する方法は特に制限されず、硬化性組成物の製造途中又
は製造後の適当な時期に、添加剤成分を一度に、又は何
回かに分けて添加すればよい。以下、これらの添加剤成
分について説明する。
【0043】まず、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる充填剤について説明する。本発明においては、
硬化性組成物に対して充填剤を添加することができる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、フュームドシリカ、
沈降性シリカ、表面シリコーン処理シリカ微粉体、無水
ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシ
ウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化
チタン、ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜
鉛華、無機質中空体、有機樹脂中空体、各種粉体状充填
剤、繊維状充填剤が挙げられる。これらの充填剤は単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明に
おける充填剤の使用量は、化合物A100質量部に対し
て1〜1000質量部が好ましく、50〜250質量部
がより好ましい。
【0044】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる硬化促進剤について説明する。本発明における
化合物Aに含有される反応性ケイ素基の架橋反応は、反
応を促進する化合物が存在しなくとも進行するが、反応
性ケイ素基が、例えば、アルコキシシリル基の場合、実
用上充分な硬化速度を発現させるためには硬化促進剤を
使用することが好ましい。
【0045】硬化促進剤としては、2価スズ化合物;4
価スズ化合物;2価ビスマス化合物;リン酸、p−トル
エンスルホン酸、フタル酸、リン酸ジ−2−エチルヘキ
シル等の酸性化合物;アミン化合物が挙げられる。2価
スズ化合物や2価ビスマス化合物は、第1級アミン化合
物と併用すると硬化促進効果が向上する。硬化促進剤は
1種又は2種以上を組み合わせて使用することも可能で
ある。硬化促進剤を使用する場合の硬化促進剤の添加量
は、化合物A100質量部に対して0.1〜10質量部
が好ましい。
【0046】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる接着性付与剤について説明する。本発明におい
て、接着性を改良する目的で硬化性組成物に接着性付与
剤を添加してもよい。接着性付与剤としては、(メタ)
アクリロイルオキシ基含有シラン、アミノ基含有シラ
ン、メルカプト基含有シラン、エポキシ基含有シラン、
カルボキシル基含有シラン、2種以上のシランカップリ
ング剤の反応生成物(アミノ基含有シランとエポキシ基
含有シランとの反応物生成物等)等のシランカップリン
グ剤が挙げられる。上記の化合物は単独で使用してもよ
く、2種類以上を併用してもよい。シランカップリング
剤の使用量は、化合物A100質量部に対して0.1〜
10質量部が好ましい。本発明においては、接着性付与
剤として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノ
ボラック型エポキシ樹脂、難燃型エポキシ樹脂等のエポ
キシ樹脂を添加することもできる。エポキシ樹脂を添加
する場合の使用量は化合物A100質量部に対して0.
1〜100質量部が好ましい。エポキシ樹脂を添加する
場合においては、エポキシ樹脂の硬化剤(又は硬化触
媒)をさらに添加することもできる。エポキシ樹脂硬化
剤の使用量はエポキシ樹脂100質量部に対して0.1
〜300質量部が好ましい。
【0047】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる脱水剤について説明する。本発明においては、
硬化性組成物の貯蔵安定性を改良するために、硬化性や
柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲で少量の脱水剤を添加
することできる。このような脱水剤としては、オルトギ
酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル;
オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸ア
ルキル;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン等の加水分解性有機シリコン化合物;加水分解性有機
チタン化合物等が挙げられる。なかでも、価格及び効果
の点から、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシ
シランが特に好ましい。本発明の硬化性組成物に硬化触
媒等を添加して防湿容器に充填して用いる一液配合にお
いては、このような脱水剤は特に有効である。本発明に
おける脱水剤の使用量は、化合物A100質量部に対し
て0.1〜30質量部が好ましい。
【0048】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできるチキソ性付与剤について説明する。本発明にお
いては、硬化性組成物にチキソ性付与剤を添加すること
ができる。チキソ性付与剤の添加により硬化性組成物の
垂れ性が改善される。チキソ性付与剤としては、水添ひ
まし油、脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸亜鉛、微粉末シリカ、有機酸処理炭酸カルシウ
ム等が挙げられる。チキソ性付与剤は、化合物A100
質量部に対して0.5〜10質量部添加することが好ま
しい。
【0049】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる溶剤について説明する。本発明においては、硬
化性組成物に、粘度の調整、組成物の保存安定性向上を
目的として、溶剤を添加することもできる。かかる溶剤
としては脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化
炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、エーテルが
挙げられる。アルコールを添加することにより、本発明
の硬化性組成物の保存安定性が向上する。したがって、
硬化性組成物を長期保存する場合等は、アルコールを添
加することが好ましい。このようなアルコールとして
は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、イソペンチルアルコール、ヘキシルアルコール等の
炭素数1〜10のアルキルアルコールが挙げられる。溶
剤は、化合物A100質量部に対して0.1〜500質
量部が好ましい。
【0050】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる可塑剤について説明する。本発明においては、
硬化性組成物に可塑剤を添加することもできる。可塑剤
としては、フタル酸エステル、脂肪族カルボン酸エステ
ル、ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエス
テル、リン酸エステル、エポキシ可塑剤、塩素化パラフ
ィン、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル、ポリエー
テル誘導体、ポリスチレンオリゴマー、ポリブタジエン
オリゴマー、プロセスオイル類、アルキルベンゼン類、
トリメリット酸類等が挙げられる。
【0051】本発明においては、上記に例示した可塑剤
のうちMnが1000以上のいわゆる高分子可塑剤を用
いることが好ましい。この場合において、高分子可塑剤
のみを用いても、高分子可塑剤と低分子の可塑剤とを併
用してもよい。高分子可塑剤を用いることにより、硬化
物の表面の汚染性や周辺汚染性の低減、硬化物上の塗料
の乾燥性の向上、塗料表面の汚染性の低減等の効果が得
られ、耐候性の向上にも寄与する。また、4,5−エポ
キシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸−ジ−2−
エチルヘキシル等のエポキシ可塑剤を、硬化促進剤とし
て特に2価スズカルボン酸塩と第1級アミンとを組み合
わせて使用した場合には、一定条件下に圧縮状態で固定
した後、固定を解除したときの戻る割合(圧縮復元率)
が大きい硬化物が得られるという効果がある。上記の可
塑剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。本
発明における充填剤の使用量は、化合物A100質量部
に対して1〜1000質量部が好ましい。
【0052】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる老化防止剤について説明する。本発明において
は、硬化性組成物に老化防止剤を添加することができ
る。老化防止剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤が
挙げられ、酸化防止剤としては例えば、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤が使用可能であり、紫外線吸収剤と
してはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用可能で
ある。酸化防止剤及び紫外線吸収剤の使用量は、それぞ
れ、化合物A100質量部に対して0.1〜10質量部
が好ましい。0.1質量部未満では老化防止効果が充分
に発現せず、10質量部を越える場合は経済的に不利で
ある。
【0053】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる上記以外の添加剤成分について説明する。本発
明においては硬化性組成物に加水分解によってトリメチ
ルシラノールを発生する化合物をモジュラス調整剤とし
て添加することもできる。このような化合物を添加する
ことにより、特に2価スズ化合物と第1級アミン化合物
を硬化促進剤とした場合の硬化物のモジュラスが低減さ
れ、かつ表面のべたつきも低減される。トリメチルシラ
ノールを発生する化合物としては、脂肪族アルコール、
フェノール等のトリメチルシリルエーテル等が使用で
き、アルコールの酸性が強いほど硬化を遅くする効果が
ある。アルコールの種類を任意に変えることで、硬化性
の調整も可能であり、そのために複数のアルコールのト
リメチルシリルエーテルを同時に使用することもでき
る。また、ヘキサメチルジシラザン等も使用できる。ト
リメチルシラノールを発生する化合物を使用する場合の
使用量は、化合物A100質量部に対して、0.1〜1
0質量部が好ましい。
【0054】上記の化合物の他、硬化性組成物に、酸化
鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;フタロシア
ニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料を添
加することができる。顔料を添加することにより硬化性
組成物は着色するが、それ以外にも耐候性の向上という
効果も期待できる。また、シーラントとしての美観を高
める目的で、硬化性組成物に対して、その組成物の色と
異なる色の微小体を添加することが可能である。これに
より、花崗岩や御影石のような表面外観を付与させるこ
とができる。さらに、難燃剤、防かび剤、及び塗料用途
に使用されている艶消し剤等を添加することも可能であ
る。
【0055】以上説明したように、本発明の硬化性組成
物は、ポリイソブチレン系重合体(A)と、光硬化性化
合物(B)と、空気酸化硬化性化合物(C)と、第3級
ヒンダードアミン系光安定剤(D)とを必須成分として
含むものである。本発明の硬化性組成物においては、ポ
リイソブチレン系重合体(A)が、光硬化性化合物
(B)、空気酸化硬化性化合物(C)及び第3級ヒンダ
ードアミン系光安定剤(D)と組み合わされることによ
り、未使用の状態での貯蔵安定性が向上し、硬化物の膜
厚に依存せず、クラックや白化等の発生を長期間に亘っ
てより確実に防止することが可能になる。したがって、
本発明の硬化性組成物は、シーラント、防水材、接着
剤、コーティング剤等として使用可能であり、特に、屋
外で長期間風雨や太陽光等に晒されるような用途に好適
に用いることができる。
【0056】上記のような用途に用いる場合、本発明の
硬化性組成物は1液配合又は2液配合にすることができ
る。1液配合とは、硬化性組成物及び硬化促進剤を同一
の配合中に含む配合であり、湿分を遮断した状態で保管
され使用時には空気中の水分と反応して硬化が進行す
る。一方、2液配合とは、硬化性組成物を主成分とする
主剤と、硬化促進剤を主成分とする硬化剤の2成分から
なる配合である。かかる2液配合においては、使用時に
主剤と硬化剤とを混練することにより硬化反応を生じせ
しめる。
【0057】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。なお、以下の製造例、実施例及び比較
例において、部とは質量部を意味する。Mnは上述のと
おりGPCにより求められたものである。
【0058】(製造例1:ポリイソブチレン系重合体の
合成)攪拌装置、窒素ラインを装備した4つ口フラスコ
の中に、乾燥した塩化メチレン560mL、n−ヘキサ
ン1160mL、α−メチルピリジン940mg、p−
ジクミルクロリド22gを秤量し、均一混合液とした後
に、−70℃まで冷却した。次に、酸化バリウムを充填
したカラムを通過させることにより脱水したイソブチレ
ン403gをニードルバルブ付き耐圧ガラス性液化ガス
採取管から重合容器内に導入した。その後、窒素を導入
し常圧に戻し、更に攪拌下、予め冷却した重合用触媒溶
液(四塩化チタン14mL/塩化メチレン80mL)を
一度に加えて重合を開始した。一旦、−54℃まで昇温
した後、約17分で−70℃まで降温した。重合を開始
してから約20分後、1,9−デカジエン132gを添
加し、更に−70℃で4時間攪拌を継続した。黄褐色の
反応溶液を3Lの温水(約45℃)に入れ、約2時間攪
拌し、有機層を分離して、純水による水洗を3回繰り返
した。こうして得られた無色透明の有機層を減圧濃縮
し、両末端にビニル基を有するイソブチレンオリゴマー
(Mn=6,000)約400gを得た。
【0059】次いで、得られたビニル基含有イソブチレ
ンオリゴマー400gを、n−ヘプタン200mLに溶
解し、約70℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラ
ン1.5当量(ビニル基に対する当量)、白金−ビニル
シロキサン錯体1×10-4当量(ビニル基に対する当
量)を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−I
Rにより反応追跡を行い、約4時間で1640cm-1
オレフィン吸収が消失したことを確認した。次に、反応
溶液を減圧濃縮することにより、分子両末端にメチルジ
メトキシシリル基(反応性ケイ素基)を有するポリイソ
ブチレン系重合体(以下、「ポリイソブチレン系重合体
A」という。)を得た。ポリイソブチレン系重合体Aの
Mnは6,200であった。
【0060】(実施例1:硬化性組成物の主剤の製造)
ポリイソブチレン系重合体Aに表1の混練物Aの欄に示
す添加剤を添加して、室温にて充分混練し混練物を得
た。次いで、混練物A328質量部に対し、表2に示す
質量部の光硬化性化合物、空気酸化硬化性化合物、及び
ヒンダードアミン系光安定剤を添加して、3本ペイント
ロールを3回通して室温にて充分混練し、硬化性組成物
の主剤を得た。
【0061】(実施例2〜8及び比較例1〜5:硬化性
組成物の主剤の製造)実施例1と同様にして、混練物A
328質量部に対し、表2にそれぞれ示す質量部の光硬
化性化合物、空気酸化硬化性化合物、及びヒンダードア
ミン系光安定剤を添加し、硬化性組成物の主剤を得た。
なお、比較例1で用いたアロニックスM309は、トリ
メチロールプロパントリアクリレートであり東亜合成化
学社から提供されるMnが296の光硬化性化合物であ
る。また、比較例2で用いたサノール LS770は、
ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケートであり、三共社から提供される第2級ヒ
ンダードアミン系光安定剤である。比較例3で用いたC
HIMASSORB 944FLは、ポリ[{6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキ
サメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)イミノ}](下記化学式(4))であり、C
SC社から提供される第2級ヒンダードアミン系光安定
剤である。
【0062】
【化4】
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】(硬化性組成物の評価1:貯蔵安定性)実
施例1〜8、比較例1〜5で得られた硬化性組成物の主
剤を、それぞれ密閉容器中で4週間保存(保存温度:5
0℃)し、保存前と保存後のB型粘度計による25℃の
粘度を比較した。貯蔵安定性の評価基準は、○:保存後
の粘度が保存前の1.2倍未満、△:保存後の粘度が保
存前の1.2倍以上1.5倍未満、×:保存後の粘度が
保存前の1.5倍以上、とした。
【0066】(硬化性組成物の評価2:耐候性)実施例
1〜8及び比較例1〜5で得られた硬化性組成物の主剤
と、表1の硬化剤の欄に示す化合物とを室温にて充分に
混練した後(主剤中の混練物A328質量部に対して、
2−エチルヘキサン酸錫が3質量部、ラウリルアミンが
0.75質量部になるように混練した。)、厚さ0.2
mm及び5mmとなるように1mm厚のアルミニウム板
上に塗布し、20℃にて60%の湿度下に7日間、更に
50℃にて65%の湿度下に7日間養生して、前記アル
ミニウム板上で厚さ0.2mm及び5mmの硬化物を形
成させ、これを試験体とした。この試験体を、ダイブラ
・ウィンテス社製メタルウェザオーメーターにて曝露試
験を行い、一定時間後の試験体の表面状態を観察した。
曝露条件は、ライト照射(73℃、50%)6時間+暗
黒(73℃、70%)2時間+結露(30℃、98%)
4時間の繰り返しとした。なお、評価基準は、○:白化
やクラックが認められない、△:若干白化やクラックが
認められる、×:はっきりとした白化やクラックが認め
られる、とした。
【0067】上記試験の結果を以下の表3にまとめて示
す。表3に示すように、実施例1〜8で得られた硬化性
組成物の貯蔵安定性は非常に優れていたが、比較例の中
には貯蔵安定性に劣るものが認められた。また、実施例
1〜8で得られた硬化性組成物の硬化物は、膜厚が薄い
場合(膜厚:0.2mm)、曝露時間が2000時間を
経過した時点でも、白化やクラックが認められず非常に
長期間に亘る良好な耐候性を示した。一方、比較例1〜
5で得られた硬化性組成物の硬化物は同様の膜厚におい
て、暴露時間1000経過前又は1500時間経過前に
おいて白化やクラックが発生した。
【0068】膜厚が厚い場合(膜厚:5mm)において
は、実施例1〜8で得られた硬化性組成物の硬化物は、
曝露時間が3000時間を経過した時点では全く白化や
クラックが認められず、5000時間を経過した時点で
一部の実施例において僅かに白化やクラックが認められ
た。一方、比較例1〜5で得られた硬化性組成物の硬化
物は同様の膜厚において、暴露時間1000時間経過前
又は3000時間未満で白化やクラックが発生した。
【0069】また、貯蔵安定性及び耐候性の結果の総合
評価により、実施例1〜8のうち、数平均分子量が10
00以上の第3級ヒンダードアミン系光安定剤を含有す
る硬化性組成物(実施例3〜8)が特に良好な結果を示
すことがわかった。
【0070】
【表3】
【0071】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、反
応性ケイ素基を有するポリイソブチレン系重合体を含む
硬化性組成物であって、未使用の状態での貯蔵安定性に
優れるとともに、硬化物の膜厚に依存せず、クラックや
白化等の発生を長期間に亘ってより確実に防止すること
が可能な硬化性組成物を提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/10 C09K 3/10 E Fターム(参考) 4H017 AA04 AA25 AB13 AB15 AC17 AD06 4J002 AC022 AC042 AC052 BB201 EH046 EH056 EH076 EH077 EP018 EP028 EP038 EU188 FD010 FD020 FD048 FD142 FD146 FD147 FD150 FD200 FD340 GJ01 GJ02 4J100 AA06P BA75H CA01 CA04 HA37 HA61 HC79 HG09 JA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの反応性ケイ素基を有す
    るポリイソブチレン系重合体(A)と、数平均分子量が
    400以上の光硬化性化合物(B)と、空気酸化硬化性
    化合物(C)と、第3級ヒンダードアミン系光安定剤
    (D)と、を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 前記光硬化性化合物(B)が、ジペンタ
    エリスリトール、ペンタエリスリトールのラクトン付加
    物及びジペンタエリスリトールのラクトン付加物からな
    る群より選ばれる少なくとも1つのポリオールの不飽和
    カルボン酸エステルであって数平均分子量が400以上
    の光硬化性化合物であることを特徴とする請求項1記載
    の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 前記不飽和カルボン酸エステルが、(メ
    タ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項
    2記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 前記第3級ヒンダードアミン系光安定剤
    (D)が、数平均分子量1000以上の第3級ヒンダー
    ドアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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JP2018535290A (ja) * 2015-09-28 2018-11-29 ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 射出成形用プライマー組成物
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