JP2003012807A - 還元型ケラチンの製造方法 - Google Patents

還元型ケラチンの製造方法

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JP2003012807A
JP2003012807A JP2001194831A JP2001194831A JP2003012807A JP 2003012807 A JP2003012807 A JP 2003012807A JP 2001194831 A JP2001194831 A JP 2001194831A JP 2001194831 A JP2001194831 A JP 2001194831A JP 2003012807 A JP2003012807 A JP 2003012807A
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crude
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JP2001194831A
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Takao Komazawa
隆雄 駒沢
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケラチン含有物質から還元剤、蛋白変性剤な
どの不純物を取り除いた還元型ケラチンを簡便かつ迅速
に得られるようにする。また、精製段階における自然酸
化による沈殿物の発生を防止する。 【解決手段】 ケラチン含有物質を水性媒体中で還元剤
および蛋白変性剤の存在下で反応させ、次いで不溶物を
除去することにより得られた粗ケラチン濾液を、中空糸
膜からなるモジュールを用いて精製することにより、還
元型ケラチンを製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は架橋可能なチオール
基を有する還元型ケラチンの製造方法に関するものであ
る。本発明により得られる還元型ケラチンは、架橋可能
なチオール基が存在するので、利用目的に応じた種々の
架橋度のケラチン成型物に加工できる。たとえば、フィ
ルム、繊維、スポンジなどへの成型加工が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】従来より、羽毛や毛髪などの動物組織中
に存在するケラチンは、産業用素材として注目されてい
る。特に還元的手法により得られる還元型ケラチンは、
チオール基を多数含有することから、注目を集めてきた
物質である。しかし、それを精製するための透析操作に
は、多大な時間を要する。また、透析操作は、大量の処
理に適さない。そのため、還元型ケラチンの用途開発に
支障があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ケラチン含有物質より
抽出処理により得られた粗ケラチン溶液から、抽出処理
に用いた還元剤やタンパク変成剤や界面活性剤などの添
加物を取り除くために、一般的にはセロファン透析膜を
用いて、流水下、若しくは浸漬下に1日〜数日かけて透
析を行い精製しているのが現状である。その操作は、効
率が悪いだけでなく、長時間かけて透析するため、得ら
れた還元型ケラチンが徐々に空気等で酸化され、沈殿物
が発生し、性能上と取り扱い上で問題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、中空糸膜からなるカ
ラムを用いて還元型ケラチンを透析することにより、還
元剤や蛋白変成剤や界面活性剤などの添加物やケラチン
の部分酸化物を含まない精製された還元型ケラチンを短
時間で得られることを見出した。すなわち、本発明は、
ケラチン含有物質を水性媒体中で還元剤および蛋白変性
剤の存在下で反応させた粗ケラチン溶液を、中空糸膜を
用いて精製することを特徴とする還元型ケラチンの製造
方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、原料として用い
るケラチン含有物質としては、鳥類の羽毛、ほ乳類など
の獣毛やヒトの毛髪等が挙げられる。ケラチン含有物質
は、水性媒体中で蛋白変性剤の存在下、または蛋白変性
剤と界面活性剤の存在下に、還元剤により還元する抽出
反応を行う。抽出反応に供する水性媒体としては、水系
または水・有機溶媒混合系のいずれでも良い。
【0006】抽出反応に用いる還元剤は、ケラチン含有
物質中のケラチンのジスルフィド結合をある程度還元し
てチオール基にするために加えるものである。還元剤の
種類としては、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの重亜硫酸
塩、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩、2−メルカ
プトエタノールなどのチオール化合物などが挙げられ
る。還元剤の使用量は、通常、ケラチン含有物質10g
に対して0.1〜0.5モル程度であるが、還元剤の種
類により異なるので、この範囲に限定されるものではな
い。
【0007】抽出反応に用いる蛋白変性剤は、ケラチン
含有物質中の蛋白の高次構造を適当にほぐすために加え
る。蛋白変性剤としては、尿素やチオ尿素などが挙げら
れる。蛋白変性剤は、抽出反応液に対して5〜12mo
l/lの濃度で、ケラチン含有物質10gあたり20〜
200mlを用いればよく、好ましくは8〜10mol
/lで80〜120mlであるが、蛋白変性剤の種類に
より異なるので、この範囲に限定されるものではない。
【0008】抽出反応に用いる界面活性剤は、精製操作
中に自然酸化されたケラチンを可溶化するために添加す
る。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオ
ン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などのいずれも用い
ることができる。特に、アルキル硫酸塩類が好ましい。
界面活性剤は、抽出反応液が臨界ミセル形成濃度(CM
C)になるように添加するのが望ましいが、この濃度に
限定されるものではない。
【0009】ケラチン含有物質の抽出反応液は、濾過等
によりキューティクル等の不溶物を取り除き、中空糸膜
からなるモジュールを用いた透析操作におけるモジュー
ルの目詰まり等の不具合を防止する。次いで該濾液(粗
ケラチン濾液)を中空糸膜からなるモジュールを用いた
透析操作することにより、チオール基を有する還元型ケ
ラチンを短時間で精製する。
【0010】本発明に用いる中空糸膜は半合成膜系、合
成膜系のいずれでもよく、半合成膜系の例としては、セ
ルロースアセテート中空糸膜、セルローストリアセテー
ト中空糸膜がある。また合成膜系の例としては、ポリス
ルホン中空糸膜等がある。特に、セルロース系中空糸膜
がケラチンの吸着が低いことより、セルロースアセテー
ト中空糸膜が好ましい。また、目的とする還元型ケラチ
ンの分子量がおよそ4万から6万であることから、中空
糸膜の排除分子量は1000〜1万程度であることが好
ましいが、得ようとするケラチン溶液の純度と精製効率
などによって適宜選択できるので、これに限定されな
い。
【0011】本発明による方法は、透析や限外濾過等に
よる従来の方法と違い、短時間に精製処理が可能となる
ため、精製処理している間に還元処理した還元型ケラチ
ン中のチオール基が酸化されることを防止できる利点が
ある。すなわち、中空糸膜モジュールを通すことにより
チオール基を有する還元型ケラチンを短時間に高収率で
得られる。一方、抽出反応に用いた還元剤、蛋白変性
剤、界面活性剤、ケラチン分解生成物などの不用物は、
中空糸膜外に排除される。
【0012】抽出還元工程及び精製の具体的な操作方法
は、次のような例が挙げられる。すなわち、ケラチン含
有物質を8〜10mol/lの尿素水溶液に浸し、還元
剤または還元剤と界面活性剤を加えて密封後、30〜5
0℃で30分から5時間、好ましくは35〜45℃で4
0〜60分加熱攪拌させる。得られた反応溶液から濾過
により不溶物を取り除いて粗ケラチン濾液を得る。別
に、予め中空糸膜繊維を充填したモジュール(たとえ
ば、血液透析用ダイヤライザー)に該濾液を何回かサイ
クルできるように、リザーバーおよびローラーポンプか
らなる回路を組んでおく。その際、中空糸膜カラムの洗
浄側回路には水道水好ましくはイオン交換水を流してお
く。該濾液をリザーバーに入れ、ローラーポンプにて中
空糸膜モジュールを5〜60分循環させる事により精製
された還元型ケラチン水溶液を得る。その際、リザーバ
ーには窒素ガスなどの不活性ガスを流しておくのが好ま
しい。また、必要に応じ適量の還元剤を加えても良い。
上記の操作は一例であり、得ようとするケラチン溶液の
純度と精製効率などによってモジュールの性能(排除分
子量、透水速度など)粗ケラチン溶液の処理流量、透析
水流量を適宜選択できるので、本発明は、これらに限定
されるものではない。
【0013】
【実施例】以下に実施例にて本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではな
い。
【0014】(評価方法) 実施例1〜2および比較例
1〜2で得られた還元型ケラチンの精製物の純度は、尿
素を指標にして比較した。検体の尿素量は、市販の尿素
窒素測定キット(尿素窒素B−テストワコー)を用いて
算出した。
【0015】(実施例1) ヒト毛髪の毛屑を裁断機に
よりおよそ3mm以下の長さに裁断する。その裁断され
た毛髪10gを8mol/l尿素水溶液100gに浸漬
し、メタ重亜硫酸ナトリウム10gおよびドデシル硫酸
ナトリウム5gを添加した後、密封後、100℃で40
分加熱攪拌した。こうして得られた反応液を濾紙により
濾過し、粗ケラチン濾液を得た。これをイオン交換水で
希釈し250mlとし、予め準備しておいた中空糸膜モ
ジュール(ニプロ株式会社製トリアセテートホローファ
イバーダイアライザーFB−150A)の回路のリザー
バーに入れ、粗ケラチン濾液流量は200ml/分、透
析液(イオン交換水)流量は400ml/分で、10分
間、循環させ精製物を得た。
【0016】(実施例2) また実施例1と同様の方法
により得られた粗ケラチン溶液を30分循環させ精製物
を得た。
【0017】(比較例1) 実施例1と同様の方法によ
り得られた粗ケラチン濾液50mlを市販の透析膜チュ
ーブ(商品名:BioDesignDialysis tube:排除分子量
約8000)に入れ、室温下でイオン交換水中500mlに
浸漬し、4時間かけて透析を行い精製物を得た。
【0018】(比較例2) 比較例1と同様な操作で粗
ケラチン濾液を透析膜チューブに入れ、室温下でイオン
交換水中に浸漬し、4時間かけて透析を行った後、イオ
ン交換水を新鮮なものと交換し、更に20時間かけて透
析を行い精製物を得た。
【0019】表1に示すように、実施例1、2で得られ
た還元型ケラチン溶液の精製度合い(純度)は比較例に
比べ高かった。また、処理に要する時間も比較例に比べ
て極めて短時間であった。
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、還元剤、蛋白変性剤な
どの不純物を取り除いたチオール基を有する還元型ケラ
チンを短時間に製造することができる。また、精製段階
における自然酸化による沈殿物の発生を防止できる。ま
た、透析水の交換などの手間も省ける。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラチン含有物質を水性媒体中で還元剤
    および蛋白変性剤の存在下で反応させた粗ケラチン溶液
    を、中空糸膜を用いて精製することを特徴とする還元型
    ケラチンの製造方法。
  2. 【請求項2】 ケラチン含有物質を水性媒体中で還元剤
    および蛋白変性剤および界面活性剤の存在下で反応させ
    た粗ケラチン溶液を、中空糸膜を用いて精製することを
    特徴とする還元型ケラチンの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1315916C (zh) * 2004-05-27 2007-05-16 四川省宜宾五粮液集团有限公司 动物毛角蛋白原液的制备方法及其应用
JPWO2007023816A1 (ja) * 2005-08-23 2009-02-26 株式会社成和化成 還元型ケラチン、還元型キュティクルタンパク及びこれらの混合物の製造法
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CN112574290A (zh) * 2019-09-30 2021-03-30 中国医学科学院药物研究所 一种山羊角角蛋白、其制备方法、其药物组合物及用途

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