JP2003010935A - 中空部材、その製造方法、その製造装置、およびその中空部材を使用した流体流通システム - Google Patents

中空部材、その製造方法、その製造装置、およびその中空部材を使用した流体流通システム

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JP2003010935A
JP2003010935A JP2001198511A JP2001198511A JP2003010935A JP 2003010935 A JP2003010935 A JP 2003010935A JP 2001198511 A JP2001198511 A JP 2001198511A JP 2001198511 A JP2001198511 A JP 2001198511A JP 2003010935 A JP2003010935 A JP 2003010935A
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Kazuyuki Wakuide
和志 涌出
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピニング加工により端部が適切に屈曲成形
されてなる中空部材を提供する。 【解決手段】 中空部材は、屈曲方向内側壁Waが素管
Wの内側からのスピニング加工によって径方向外側に張
り出すように成形されており、屈曲方向外側壁Wbが素
管Wの外側からのスピニング加工によって径方向内側に
絞られるように成形されている。素管Wの屈曲成形され
ない部分の中心軸線C1と素管Wの屈曲された端部の中
心軸線C2とは、その偏角中心C0が屈曲境界線L上に
位置する状態で連続している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空部材、その製
造方法、その製造装置、およびその中空部材を使用した
流体流通システムに関し、さらに詳しくは、スピニング
加工により素管の端部を屈曲成形してなる中空部材、そ
の製造方法、その製造装置、およびその中空部材を使用
した流体流通システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば内燃機関など、燃焼機関には、流
体流通システムとして流体である排気ガスを流通させる
ための排気系を備えており、この排気系には、排気ガス
を通過させてこの排気ガス中に含まれる有害成分を除去
処理するために触媒コンバータが設けられている。触媒
コンバータは、一般に図25に参照されるように、排気
ガスが流通される触媒容器としての中空部材W'の内部
に、流体処理部材として触媒担体TがマットMに巻回さ
れた状態で設けられる。
【0003】このような触媒コンバータを製造するにあ
たっては、例えば、特開昭57‐48339号公報など
に開示されているように、触媒容器の触媒設置部と略同
じ径を有する素管を用意して、その素管をスピニング加
工によって縮径成形し、コーン部と接合部を触媒設置部
から連続して成形することが従来から行われている。そ
して、当該公報には、内部を流通する排気ガスの熱や振
動に対する耐久性の向上などの目的から、触媒容器の板
厚を必要に応じて変化させることも開示されている。
【0004】また、このような触媒コンバータなどに使
用される中空部材W'においては、図24に示すよう
に、その両端に接続される内燃機関Eのエキゾーストマ
ニホールドFとマフラGなどの後処理工程部とが所定の
角度で配設されており、両者F、Gの間に介装される触
媒コンバータを、素管を屈曲成形してなる中空部材W’
により構成する必要がある場合がある。
【0005】かかる中空部材をスピニング加工により成
形するために、例えば、特開平11‐151535公報
などに開示されているように、ワーク(素管)の管軸と
ロール(成形工具)の公転軸を相対的に傾斜させてスピ
ニング加工を施すことを特徴とする管端の成形方法、お
よび、ワークの管軸とロールの公転軸を相対的に傾斜さ
せることを特徴とする管端の成形装置が知られている。
そして、当該公報では、スピニング加工の際に、成形工
具を素管の外側から押し当てて、コーン部および接合部
の偏角成形を縮径成形と同時に行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術のうち、特開平11‐151535公報にあっ
ては、素管の外側に成形工具を押し当てて縮径成形と同
時に偏角成形するため、図21に示すように、屈曲方向
内側壁Wa’が径方向内側に突出することとなる。ま
た、このように成形するために、屈曲成形されていない
部分の中心軸線C1’と屈曲成形された部分の中心軸線
C2'との交点である偏角中心C0’が屈曲境界線L’
上に位置しないこととなる。このように成形された触媒
コンバータでは、流体である排気ガスの流通効率が低下
すると共に、触媒担体の端面に均等に排気ガスが導入さ
れず、含まれる有害成分を効率よく除去処理することが
できないという問題があった。さらに、このように効率
よく有害成分を除去できないために、触媒コンバータを
余計な大きさに設定しなければならず、そのための大き
な設置スペースが必要となると共にコストがかかるとい
う問題もあった。
【0007】また、特開平11‐151535公報に開
示されているように、触媒設置部に対してコーン部およ
び接合部を屈曲させて偏角成形した場合にあっては、触
媒担体を通過した排気ガスがコーン部の屈曲方向外側壁
に衝突して振動や騒音が発生することとなる。かかる振
動などを低減させるために、触媒担体を通過した排気ガ
スが衝突するコーン部の屈曲方向外側壁の板厚を厚く成
形することが考えられるが、特開昭57‐48339号
公報など、従来の技術にあっては、いずれも、スピニン
グ加工される素管の軸方向に板厚を変化させることはで
きても、周方向に板厚を変化させる、すなわち、コーン
部の屈曲方向外側壁を厚く屈曲方向内側壁を薄く成形す
ることはできなかった。そして、コーン部の屈曲方向内
側壁の厚さまで厚く成形すると、重量が不要に増加する
などの問題があった。
【0008】本発明は、上述した問題に鑑みてなされた
もので、スピニング加工により端部が適切に屈曲成形さ
れてなる中空部材を提供することを目的とし、また、内
部に流体を流通させる流体流通システムに使用する場合
に、流体の流通効率を向上させることができ、さらに
は、流体の流通による振動などを抑止することができる
構造の中空部材を提供することを目的とする。また、本
発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、スピニ
ング加工により素管の端部を適切に屈曲成形して中空部
材を製造することができる方法を提供することを目的と
し、また、かかる中空部材の生産効率を向上させること
ができる方法を提供することを目的とする。さらに、本
発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な
構成で、端部が適切に屈曲成形されるように素管をスピ
ニング加工して中空部材を製造することができる装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の中空部材にか
かる発明は、上記目的を達成するため、スピニング加工
により端部が屈曲成形されてなる中空部材であって、内
側からのスピニング加工により屈曲方向内側壁が成形さ
れていることを特徴とするものである。
【0010】請求項2の中空部材にかかる発明は、上記
目的を達成するため、スピニング加工により端部が屈曲
成形されてなる中空部材であって、屈曲成形された端部
の中心軸線と屈曲成形されていない部分の中心軸線との
交点が屈曲境界線上に位置するよう成形されてなること
を特徴とするものである。
【0011】請求項3の中空部材にかかる発明は、上記
目的を達成するため、請求項1または2に記載の発明に
おいて、屈曲方向外側壁の厚みが屈曲方向内側壁の厚み
よりも厚く成形されていることを特徴とするものであ
る。
【0012】請求項4の中空部材の製造方法にかかる発
明は、上記目的を達成するため、スピニング加工により
素管の端部を屈曲成形してなる中空部材を製造する方法
であって、素管の端部を内側からスピニング加工するこ
とにより屈曲方向内側壁を成形する内側壁成形工程と、
素管の端部を外側からスピニング加工することにより屈
曲方向外側壁を成形する外側壁成形工程と、を含むこと
を特徴とするものである。
【0013】請求項5の中空部材の製造方法にかかる発
明は、上記目的を達成するため、請求項4に記載の発明
において、内側壁成形工程と外側壁成形工程とを、同じ
スピニング加工工具を用いて連続して行うことを特徴と
するものである。
【0014】請求項6の中空部材の製造装置にかかる発
明は、上記目的を達成するため、素管をスピニング加工
して端部が屈曲成形されてなる中空部材を製造するため
の装置であって、素管に対して相対的に公転しつつ少な
くともその内周面に当接されるスピニング加工工具と、
スピニング加工工具を素管の内周面の屈曲方向内側に相
対的に押圧させる屈曲方向内側押圧手段と、を備えたこ
とを特徴とするものである。
【0015】請求項7の流体流通システムにかかる発明
は、上記目的を達成するため、請求項1から3のいずれ
かに記載の中空部材を使用して、その内部に流体を流通
させることを特徴とするものである。
【0016】請求項1の中空部材にかかる発明では、中
空部材を構成する素管の屈曲境界から端部であって屈曲
方向内側壁となる部分が径方向内側から外側に向かうス
ピニング加工により成形される。そのため、中空部材の
屈曲方向内側壁は、従来の技術のように元の素管よりも
径方向内側に突出することなく、逆に、径方向外側に張
り出すよう成形されている。一方、中空部材を構成する
素管の屈曲境界から端部であって屈曲方向外側壁となる
部分は、径方向外側から内側に向かうスピニング加工に
より、元の素管よりも径方向内側に絞られるように成形
される。これにより、中空部材は、その端部がスピニン
グ加工により屈曲成形される。そして、必要に応じて、
中空部材の屈曲成形された端部は、縮径など、スピニン
グ加工によってさらに所定形状に成形される。
【0017】請求項2の中空部材にかかる発明では、中
空部材のスピニング加工によって屈曲成形された端部
が、その中空部材を構成する素管の端部の中心軸線と、
屈曲成形されていない部分の元の素管の中心軸線との交
点を屈曲境界線上に位置するように成形されていること
により、屈曲成形された中空部材の中心軸線が全体にわ
たって連続する。
【0018】請求項3の中空部材にかかる発明では、請
求項1または2に記載の発明において、中空部材をその
内部に流体を流通させために使用する場合に、流体が衝
突する屈曲方向外側壁の厚みが屈曲方向内側壁の厚みよ
りも厚く成形されて剛性が向上するため、流体の衝突に
よる振動や騒音が抑止される。
【0019】請求項4の中空部材の製造方法にかかる発
明では、内側壁成形工程において、中空部材を構成する
素管の屈曲境界から端部であって屈曲方向内側壁となる
部分を径方向内側から外側に向かうスピニング加工によ
り成形する。これにより、中空部材の屈曲方向内側壁
は、従来の技術のように元の素管よりも径方向内側に突
出することなく、逆に、径方向外側に張り出すよう成形
される。一方、外側壁成形工程では、径方向外側から内
側に向かうスピニング加工により、中空部材を構成する
素管の屈曲境界から端部であって屈曲方向外側壁となる
部分を、元の素管よりも径方向内側に絞るように成形す
る。これらの工程により、中空部材の端部がスピニング
加工により屈曲成形される。そして、必要に応じて、中
空部材の屈曲成形された端部を、縮径など、スピニング
加工によってさらに所定形状に成形する。なお、内側壁
成形工程と外側壁成形工程は、同時にまたは前後して、
それぞれ1回行うことにより素管を所定の角度まで屈曲
成形し、または、僅かな角度に屈曲成形するようにそれ
ぞれ繰り返し行って所定の角度まで屈曲成形することが
できる。
【0020】請求項5の中空部材の製造方法にかかる発
明では、内側壁成形工程と外側壁成形工程とを、同じス
ピニング加工工具を用いて連続して行うことにより、少
ない設備で製造効率が向上する。
【0021】請求項6の中空部材の製造装置にかかる発
明では、スピニング加工工具を素管に対して相対的に公
転しつつその内周面に当接し、屈曲方向内側押圧手段に
よって屈曲方向内側に相対的に押圧させる。中空部材の
屈曲方向内側壁は、従来の技術のように元の素管よりも
径方向内側に突出することなく、逆に、径方向外側に張
り出すよう成形される。また、中空部材の屈曲方向外側
壁は、屈曲方向内側壁を張り出し成形したスピニング加
工工具または別のスピニング加工工具により、素管の屈
曲境界から端部であって屈曲方向外側壁となる部分を、
元の素管よりも径方向内側に絞るように成形する。中空
部材の端部は、これらのスピニング加工により屈曲成形
される。そして、必要に応じて、中空部材の屈曲成形さ
れた端部は、縮径など、スピニング加工によってさらに
所定形状に成形される。
【0022】請求項7の流体流通システムにかかる発明
では、屈曲成形された中空部材の中心軸線が全体にわた
って連続するため、中空部材を、その内部に流体を流通
させるために使用すると、流体の流通効率が良好とな
る。また、この中空部材内に流通される流体に所定の処
理を行うための処理部材を配置した場合には、その処理
部材の端面に均等に流体が当たることとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】最初に、本発明の中空部材の製造
装置の実施の一形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明
する。
【0024】この実施の形態における中空部材の製造装
置は、概略、素管Wをスピニング加工して端部が屈曲成
形されてなる中空部材W’を製造するための装置であっ
て、少なくとも素管W内に挿入可能なスピニング加工工
具1A、1B、1Cと、スピニング加工工具1A、1
B、1Cを素管Wに対して相対的に公転駆動する公転駆
動手段2と、スピニング加工工具1A、1B、1Cの公
転径を調整制御する公転径調整手段3と、スピニング加
工工具1A、1B、1Cを素管Wに対してその公転軸方
向に相対的に移動させる軸方向移動手段4と、素管Wを
スピニング加工工具1A、1B、1Cの公転軸Xに対し
て所定の角度で保持する保持手段5と、スピニング加工
工具1A、1B、1Cを素管Wの内周面の屈曲方向内側
に相対的に押圧させて張り出し成形する屈曲方向内側押
圧手段(後述する)と、を備えている。ここで、屈曲方
向内側とは素管Wの屈曲成形された方向の側をいい、屈
曲方向外側とは素管Wの屈曲成形された方向とは反対側
をいう。そして、屈曲方向内側壁Waとは、素管Wの屈
曲成形された部分の周方向において、中立軸Wcから屈
曲方向内側の部分をいい、屈曲方向外側壁Wbとは中立
軸Wcから屈曲方向外側の部分をいうこととする。
【0025】軸方向移動手段4は、図1に示した実施の
形態の場合、基台10上の左方に後述するスピニング加
工工具1Aおよび1Bの公転軸X方向(図1の左右方
向)に延在するように設けられたガイドレール11と、
ガイドレール11上に摺動可能に支持された公転軸方向
移動台12と、基台10に軸回りに回転可能に設けられ
たボールねじ軸13と、このボールねじ軸13を数値制
御可能に回転駆動する軸方向駆動モータ14と、公転軸
方向移動台12の下方に設けられボールねじ軸13に螺
合されたボールねじナット15を有するブラケット16
と、を備えてなる。軸方向駆動モータ14を所定量駆動
してボールねじ軸13を軸回りに回転させることによ
り、ボールねじ軸13に螺合されたボールねじナット1
5を介してブラケット16が連結されている公転軸方向
移動台12をガイドレール11に沿って図1の左右方向
へ任意に移動させることができる。
【0026】公転駆動手段2は、公転軸方向移動台12
にベアリング(図2)17を介して回転可能に支持され
たスピニング加工工具1A、1Bを支持するスピンドル
18と、公転軸方向移動台12上に設けられたスピンド
ル駆動モータ19と、このスピンドル駆動モータ19の
駆動力をスピンドル18に伝達する巻き掛け伝動手段2
0とを備えてなる。図1に示した実施の形態の場合、巻
き掛け伝動手段20は、スピンドル18に設けられたプ
ーリ21と、スピンドル駆動モータ19に設けられたプ
ーリ22と、両プーリ21、22の間に巻き掛けられた
ベルト23によって構成されている。
【0027】この実施の形態におけるスピニング加工工
具は、素管Wの内部に挿入してその内周面を押圧するこ
とが可能な径を有する内周成形ローラ1Aと、素管Wの
外周面を押圧する一対の外周成形ローラ1B、1Bと、
により構成されている。内周成形ローラ1Aは軸方向移
動部材25に偏心した状態で転動可能に支持されてお
り、外周成形ローラ1Bは径方向移動部材26に転動可
能に支持されている。
【0028】内周成形ローラ1Aを支持する軸方向移動
部材25は、その外周面にスプライン外歯25aが形成
されており、スピンドル18の中央に形成されたスプラ
イン内歯18aに軸方向移動部材25が軸方向へ移動可
能に噛合されている。内周成形ローラ1Aは、軸方向移
動部材25に偏心した状態で支持されていることによ
り、スピンドル18の回転に伴って素管Wの内周面に沿
って公転される。なお、内周成形ローラ1Aは、異なる
径の素管Wに対応すべく、その公転径を相対的に移動さ
せるための手段として、複数の径を有するものが用意さ
れ、屈曲成形する素管Wの径に対応する径のものが軸方
向移動部材25に着脱可能に取付けられる。
【0029】軸方向移動部材25には軸方向進退機構2
4が接続されている。軸方向進退機構24は、軸方向移
動部材25の後端面に接合された接続杆27と、公転軸
X方向にピストンロッド28aを進退駆動するシリンダ
28と、接続杆27とシリンダ28のピストンロッド2
8aとの間に介装されてスピンドル18の回転をシリン
ダ28のピストンロッド28aに伝えることなく、シリ
ンダ28による駆動を接続杆27に伝えるベアリング2
9と、を備えてなる。シリンダ28のピストンロッド2
8aを前進限まで伸長駆動すると、軸方向移動部材25
に支持された内周成形ローラ1Aが外周成形ローラ1B
と公転軸X方向に略同じ位置である進出位置まで前進
し、シリンダ28のピストンロッド28aを後退限まで
退縮駆動すると、軸方向移動部材25に支持された内周
成形ローラ1Aが外周成形ローラ1Bよりもスピンドル
18側に近接する退避位置まで後退する。
【0030】公転径調整手段3は、外周成形ローラ1B
を支持している径方向移動部材26と、スピンドル18
の径方向に延在するように設けられた径方向移動部材2
6を摺動可能に支持するガイドレール30と、公転軸X
方向に設けられたボールねじ軸31と、このボールねじ
軸31を軸回りに制御可能に回転駆動する径方向駆動モ
ータ32と、ボールねじ軸31に螺合されたボールねじ
ナット33を有する軸方向移動部材34と、軸方向移動
部材34の軸方向の移動を径方向移動部材26の径方向
の移動に変換するリンク機構35とを備えてなるもの
で、軸方向移動部材34に対するスピンドル18に伴う
リンク機構35の回転を絶縁するためのベアリング36
が軸方向移動部材34とリンク機構35との間に介装さ
れている。軸方向移動部材34は、公転軸方向移動台1
2に対して、その軸回りに回転不能に、且つ、その軸方
向に摺動可能に支持されており、ベアリング36のアウ
タレース(図示は省略する)に接続されている。リンク
機構35は、略L字型に形成されたリンク部材37によ
って構成されてなるもので、その中間角部がスピンドル
18内に設けられたピン38によって枢着されており、
一方端がベアリング36のインナーレース(図示は省略
する)に係合され、他方端が径方向移動部材26に係合
されている。径方向駆動モータ32の駆動によりボール
ねじ軸31をその軸周りに回転させて、これに螺合され
たボールねじナット33を有する軸方向移動部材34が
図2の一点鎖線よりも上方に示したように軸方向右方に
移動されると、リンク機構35によって径方向移動部材
26に支持された外周成形ローラ1Bの公転径が相対的
に拡大し、軸方向移動部材34が図2の一点鎖線よりも
下方に示したように軸方向左方に移動されると、リンク
機構35によって径方向移動部材26に支持された外周
成形ローラ1Bの公転径が相対的に縮小するように、径
方向移動部材26の移動が調整・制御される。
【0031】基台10上の右方には、スピニング加工工
具1A、1Bの公転軸X方向と直交する水平方向(図3
の左右方向)に延在するようにガイドレール40が設け
られており、ガイドレール40上には屈曲方向移動台4
1が摺動可能に支持されている。基台10には、屈曲方
向駆動モータ42によって軸回りに数値制御可能に回転
駆動されるボールねじ軸43がガイドレール40と平行
に設けられている。屈曲方向移動台41の下方にはブラ
ケット44が形成されており、ブラケット44にはボー
ルねじ軸43と螺合されるボールねじナット45が設け
られている。屈曲方向駆動モータ42を所定量駆動して
ボールねじ軸43を軸回りに回転させることにより、ボ
ールねじ軸43に螺合されたボールねじナット45を介
して屈曲方向移動台41をガイドレール40に沿って図
3の左右方向へ任意に移動させることができる。以下の
説明では、これら屈曲方向移動台41を水平方向に移動
させるための機構を屈曲方向移動手段6と称する。
【0032】屈曲方向移動台41には、素管Wを保持す
る保持手段5として、半割状の一対からなるクランプ部
材50と、クランプ部材50を相対的に開閉させる開閉
手段51と、クランプ部材50に保持された素管Wを公
転軸Xに対して所定の角度に維持する偏角手段52と、
が設けられている。図3に示した実施の形態の場合、偏
角手段として数値制御可能な偏角駆動モータ52がその
回転軸52aを垂直方向に延在させるように屈曲方向移
動台41に配設されており、また、開閉手段としてのシ
リンダ51がそのピストンロッド51aを偏角駆動モー
タ52の回転軸52aの延長線上に位置させるように配
設されている。そして、下方のクランプ部材50が偏角
駆動モータ52の回転軸52aに支持されており、上方
のクランプ部材50がシリンダ51のピストンロッド5
1aと相対回転可能に支持されている。素管Wは、偏角
駆動モータ52を回転作動させていない状態において、
その中心軸線Cが内周成形ローラ1Aおよび外周成形ロ
ーラ1Bの公転軸Xの延長線上に位置するようシリンダ
51の駆動によって両クランプ部材50、50の間で保
持される。そして、偏角駆動モータ52を回転作動させ
ると、その回転軸52aに支持された下方のクランプ部
材50の回転に伴ってシリンダ51のピストンロッド5
1aと相対回転可能に支持された上方のクランプ部材5
0も回転し、両クランプ部材50,50に保持された素
管Wが内周成形ローラ1Aおよび外周成形ローラの公転
軸Xに対して偏角保持される。さらに、図1に示した実
施の形態では、両クランプ部材50、50の間で保持す
るに際して素管Wの位置決めを行うために、位置決め手
段53が設けられている。位置決め手段は、素管Wの中
心軸線C上に配置されたシリンダ53により構成されて
なるもので、偏角させない状態で、そのピストンロッド
53aを伸長駆動限に達するよう駆動させ、そのピスト
ンロッド53aの先端に素管Wを当接させて素管Wの軸
方向の位置を位置決めするもので、この状態でシリンダ
51を伸長駆動し両クランプ部材50、50の間で素管
Wを保持する。
【0033】なお、本発明の中空部材の製造装置は、上
述した実施の形態に限定されることはない。例えば、軸
方向移動手段4は、上述したように素管Wに対してスピ
ニング加工工具1A、1Bを移動する構成ではなく、図
示は省略するが、公転するスピニング加工工具1A、1
Bを軸方向に移動不能として、素管Wを軸方向に移動さ
せるよう構成することができる。
【0034】次に、本発明の中空部材の製造方法の実施
の一形態を、図1〜図3に示すと共に以上説明したよう
に構成された装置を用いた場合によって、図4〜図7に
基づいて詳細に説明する。
【0035】本発明の中空部材の製造方法は、該略、ス
ピニング加工により素管Wの端部を屈曲成形してなる中
空部材を製造する方法であって、素管Wの端部を内側か
らスピニング加工することにより屈曲方向内側壁Waを
元の素管Wから径方向外側に張り出させるように成形す
る内側壁成形工程と、素管Wの端部を外側からスピニン
グ加工することにより屈曲方向外側壁Wbを元の素管W
から径方向内側に絞るように成形する外側壁成形工程
と、を含むものである。
【0036】スピニング加工により素管Wの端部を屈曲
成形するに際しては、偏角駆動モータ52を回転作動さ
せて偏角させることなく、且つ、位置決め手段53のピ
ストンロッド53aを前進限まで伸長駆動させて、かか
るピストンロッド53aに素管Wの端部を当接すること
により位置決めさせた状態で、シリンダ51を駆動して
両クランプ部材50、50の間で素管Wを保持させる。
素管Wは、屈曲成形前の板厚t0が全体にわたって略均
等となるように成形されている(図26の中立軸Wcに
おける板厚t0を参照されたい)。
【0037】このとき、保持された素管Wの内径に対応
する径を有する内周成形ローラ1Aが軸方向移動部材2
5に取付けられており、軸方向移動部材25に接続され
た軸方向進退機構24のシリンダ28が伸長駆動され
て、内周成形ローラ1Aは外周成形ローラ1Bと軸方向
に略同じ位置である進出位置まで前進されている。ま
た、外周成形ローラ1Bは、図2の一点鎖線より上方に
示したように、径方向移動モータ32の駆動によってボ
ールねじ機構31、33、およびリンク機構35を介し
てスピンドル18の径方向外側に開くよう制御されてい
る。この状態から軸方向移動手段4の軸方向駆動モータ
14を駆動して、内周成形ローラ1Aおよび外周成形ロ
ーラ1Bが素管Wの屈曲開始位置Sに臨むように公転軸
方向移動台12を図1の右方に前進させる。そして、公
転駆動手段2のスピンドル駆動モータ19によりスピン
ドル18を回転させると、内周成形ローラ1Aおよび外
周成形ローラ1Bが素管Wに対して公転する(図4)。
【0038】次いで、図2の一点鎖線より下方に示した
ように、公転径調整手段3の径方向駆動モータ32の駆
動によってボールねじ機構31、33、およびリンク機
構35を介してスピンドル18の径方向内側に外周成形
ローラ1Bを閉じるよう移動させて素管Wの外周面に接
触させる。この状態で、軸方向移動手段4の軸方向駆動
モータ14の駆動により公転軸方向移動台12を図1の
左方に前進させて、公転している内周成形ローラ1Aお
よび外周成形ローラ1Bを素管Wの屈曲開始位置Sから
端部に向かって抜きつつ、屈曲方向移動手段6の屈曲方
向駆動モータ42の駆動によりボールねじ機構43、4
5を介して径方向移動台41を屈曲方向外側に相対的に
移動させる。これにより、素管Wの屈曲開始位置Sから
端部は、その屈曲方向内側壁Waが内側から公転してい
る内周成形ローラ1Aによって押圧されスピニング加工
されて元の素管Wから径方向外側に張り出すように成形
され(内側壁成形工程)、またこれと同時に、その屈曲
方向外側壁Wbが外側から公転している外周成形ローラ
1Bによって押圧されてスピニング加工されて元の素管
Wから径方向内側に絞られる成形されて(外側壁成形工
程)、素管Wの屈曲開始位置Sから端部が屈曲成形され
ることとなる。このように、本発明の中空部材の製造装
置における屈曲方向内側押圧手段は、公転する内周成形
ローラ1Bに対して素管Wを軸方向および径方向に相対
的に移動させる軸方向移動手段4および屈曲方向移動手
段6によって構成されている。
【0039】内周成形ローラ1Aおよび外周成形ローラ
1Bの1回のパスによって素管Wを屈曲成形することが
できる角度は、その板厚や材質など、塑性変形能によっ
て異なる。そのため、1回のパスで所望する角度に素管
Wを屈曲成形できない場合には、上述したように内周成
形ローラ1Aおよび外周成形ローラ1Bによるスピニン
グ加工を複数回繰り返して、図6および図7に示すよう
に、素管Wを所望の角度まで徐々に屈曲成形する。
【0040】このように屈曲成形された素管Wは、図2
2に示すように、屈曲方向内側壁Waが従来の技術(図
21を参照)のように素管Wの内側に突出することはな
く、また、その屈曲されていない部分の中心軸線C1に
対して屈曲境界線Lが略直交するよう形成される。そし
て、素管Wの屈曲成形されない部分の中心軸線C1と素
管Wの屈曲された端部の中心軸線C2とは、その交差す
る点(偏角中心C0という)が屈曲境界線L上に位置す
る状態で連続している。
【0041】さらに、素管Wの屈曲方向内側壁Waは、
内側から内周成形ローラ1Aが拡径させるように押圧す
るため、周方向に引っ張り応力を受けて板厚が薄く変化
し(ず26のt1を参照)、一方、素管Wの屈曲方向外
側壁Wbは、外側から外周成形ローラ1Bが縮径させる
ように押圧するため、周方向に圧縮応力を受けて板厚が
厚く変化することとなる(図26のt2を参照)。
【0042】そして、図20に示すように、必要に応じ
て、素管Wの屈曲成形された端部をさらにスピニング加
工して先端に向かって漸次縮径するテーパー状に成形す
る場合には、図2の実線で示しように、軸方向移動部材
25に接続された軸方向進退機構24のシリンダ28を
退縮駆動して、内周成形ローラ1Aを移動させ、外周成
形ローラ1Bから軸方向にスピンドル18に近接する退
避位置に後退移動させる。この状態で、公転径調整手段
3の径方向移動モータ32の駆動によって外周成形ロー
ラ1Bを屈曲方向外側壁Wbに対してさらに押圧し、図
20の右方に示すように、屈曲方向外側壁Wbを絞るよ
う成形する。かかる場合には、図25および図26に示
すように、屈曲方向外側壁Wbが周方向に圧縮応力さら
に受けて、その板圧t2がさらに厚くなるよう成形され
る。
【0043】次に、本発明の中空部材の製造方法の別の
実施の形態を、上述したように構成された中空部材の製
造装置を使用する場合によって、図8〜図11に基づい
て詳細に説明する。なお、この実施の形態については上
述した実施の形態と異なる部分のみを説明することと
し、同様または相当する部分については同じ符号を付し
てその説明を省略する。
【0044】この実施の形態においては、素管Wを位置
決めした状態で両クランプ部材50、50の間で保持
し、公転径調整手段3の径方向駆動モータ32の駆動に
よって外周成形ローラ1Bを径方向外側に開くよう制御
した状態で、公転軸方向移動台12を前進させ、内周成
形ローラ1Aおよび外周成形ローラ1Bを素管Wの屈曲
開始位置Sに臨ませる(図8)。そして、径方向駆動モ
ータ32の駆動によって外周成形ローラ1Bを閉じて素
管Wの外周に接触させる(図9)。続いて、偏角手段で
ある偏角駆動モータ52を駆動して両クランプ部材5
0、50の間で保持された素管Wを所定角度傾斜させる
と共に、両成形ローラ1A、1Bの公転軸Xの延長線
(後に素管Wの屈曲された端部の中心軸線C2と一致す
る)と素管Wの屈曲成形されない部分の中心軸線C1と
が交差する点(すなわち、偏角中心C0)がこのときの
内周成形ローラ1Aと外周成形ローラ1Bの素管Wに対
する接触点を結んだ仮想線、すなわち屈曲境界線L上に
位置するように、屈曲方向移動手段6の屈曲方向駆動モ
ータ42を駆動して屈曲方向移動台41を僅かに移動さ
せる(図10)。この状態から、内周成形ローラ1Aお
よび外周成形ローラ1Bを公転させつつ軸方向移動手段
4の軸方向駆動モータ14の駆動により素管Wの屈曲開
始位置Sから端部に向かって抜くよう移動させる(図1
1)。これにより、素管Wの屈曲開始位置Sから端部
は、その屈曲方向内側壁Waが内側から公転している内
周成形ローラ1Aによって押圧されスピニング加工され
て元の素管Wから径方向外側に張り出すように成形され
(内側壁成形工程)、またこれと同時に、その屈曲方向
外側壁Wbが外側から公転している外周成形ローラ1B
によって押圧されてスピニング加工されて元の素管Wか
ら径方向内側に絞られる成形されて(外側壁成形工
程)、素管Wの屈曲開始位置Sから端部は屈曲成形され
ることとなる。この実施の形態においては、本発明の中
空部材の製造装置における屈曲方向内側押圧手段は、公
転する内周成形ローラ1Aおよび外周成形ローラ1Bに
対して素管Wを相対的に偏角させる偏角手段52、およ
び、両成形ローラ1A、1Bを素管Wから抜くように相
対的に軸方向に移動させる軸方向移動手段4によって構
成されている。
【0045】この実施の形態において屈曲成形された素
管Wは、上述した実施の形態と同様に、屈曲方向内側壁
Waが従来の技術(図21を参照)のように素管Wの内
側に突出することはなく、また、素管Wの屈曲成形され
ない部分の中心軸線C1と素管Wの屈曲された端部の中
心軸線C2とは、その偏角中心C0が屈曲境界線L上に
位置する状態で連続しているが、図23に示すようにそ
の屈曲されていない部分の中心軸線C1に対して屈曲境
界線Lが所定の角度で交差するよう形成される点で相違
している。
【0046】次に、本発明の中空部材の製造装置とその
製造方法の別の実施の形態を、図12〜図19に基づい
て詳細に説明する。なお、この実施の形態については上
述した実施の形態と異なる部分のみを説明することと
し、同様または相当する部分については同じ符号を付し
てその説明を省略する。
【0047】この実施に形態における中空部材の製造装
置の概略を説明すると、スピニング加工工具として、上
述した実施の形態における外周成形ローラ1Bと同様
に、一対からなり径方向に移動可能に支持された成形ロ
ーラ1Cが使用される。しかしながら、この実施の形態
における成形ローラ1Cは、上述した実施の形態におけ
る外周成形ローラBと異なり、素管Wの内部に挿入して
その内周面も押圧しスピニング加工することも可能なよ
うに構成されている。
【0048】また、この実施の形態における中空部材の
製造方法の概略を説明すると、上述の成形ローラ1Cを
備えた製造装置を使用するため、内側壁成形工程と外側
壁成形工程とを、同じ成形ローラ1Cにより連続して交
互に行う。
【0049】スピニング加工により素管Wの端部を屈曲
成形するに際しては、偏角手段52を偏角させていない
状態で素管Wを保持手段5により保持する(図12)。
このとき、一対の成形ローラ1C、1Cは、径方向駆動
モータ32の駆動によってスピンドル18の径方向外側
に開くよう制御されている。
【0050】次に、両成形ローラ1C、1Cを素管Wの
内部に挿入し得るように、径方向駆動モータ32の駆動
によって一対の成形ローラ1C、1Cを径方向に互いに
近接移動させて閉じる(図13)。このとき、成形ロー
ラ1Cと素管Wとは、軸方向に互いに離間されている。
【0051】次いで、閉じた状態の成形ローラ1Cを軸
向移動モータ14の駆動によって軸方向に近接移動させ
て素管Wの内部に挿入する(図14)。続いて、偏角手
段の偏角駆動モータ52を回転作動させて保持手段5に
保持された素管Wを所定角度傾斜させると共に、屈曲方
向移動手段6の屈曲方向駆動モータ42を駆動して屈曲
方向移動台41を僅かに移動させて、偏角中心C0を屈
曲境界線L上に位置させる(図15)。この状態で、公
転駆動手段2のスピンドル駆動モータ19の駆動により
成形ローラ1Cを公転させつつ、軸方向移動手段4の軸
方向駆動モータ14の駆動により素管Wの屈曲開始位置
Sから端部に向かって抜くよう移動させる(図16)。
これにより、素管Wの屈曲方向内側壁Waのみが、内側
から公転している成形ローラ1Cによって径方向外側に
向かって押圧されスピニング加工されて元の素管Wから
径方向外側に張り出すように成形される(内側壁成形工
程)。
【0052】その後、両成形ローラ1C、1Cが素管Wの
端部に干渉しないように、径方向駆動モータ32の駆動
によって一対の成形ローラ1C、1Cを開くように径方
向に互いに離間移動させ(図17)、続いて、成形ロー
ラ1Cを軸向駆動モータ14の駆動によって素管Wの屈
曲開始位置Sまで相対的に軸方向に移動させてから、両
成形ローラ1C、1Cを閉じるように径方向に互いに近
接移動させて、素管Wの屈曲開始位置Sの外周面に当接
させる(図18)。そして、成形ローラ1Cを公転させ
つつ素管Wの屈曲開始位置Sから端部に向かって抜くよ
うに移動させると、図19に示すように、素管Wの屈曲
方向外側壁Wbのみが、外側から公転している成形ロー
ラ1Cによって径方向内側に向かって押圧されスピニン
グ加工されて元の素管Wから径方向内側に絞られるよう
に成形されて(外側壁成形工程)、素管Wの屈曲開始位
置Sから端部は屈曲成形されることとなる。そして、図
20に示すように、必要に応じて、素管Wの屈曲成形さ
れた端部をさらにスピニング加工して先端に向かって漸
次縮径するテーパー状に成形する場合には、公転径調整
手段3の径方向移動モータ32の駆動によって屈曲成形
を行った成形ローラ1Cを屈曲方向外側壁Wbに対して
さらに押圧し、図20の右方に参照されるように、屈曲
方向外側壁Wbを絞るよう成形する。
【0053】この実施の形態において屈曲成形された素
管Wは、上述した実施の形態と同様に、屈曲方向内側壁
Waが従来の技術(図21を参照)のように素管Wの内
側に突出することはなく、また、素管Wの屈曲成形され
ない部分の中心軸線C1と素管Wの屈曲された端部の中
心軸線C2とは、その偏角中心C0が屈曲境界線L上に
位置する状態で連続しており、図23に示すようにその
屈曲されていない部分の中心軸線C1に対して屈曲境界
線Lが所定の角度で交差するよう形成される。
【0054】なお、この実施の形態においては、本発明
の中空部材の製造装置における屈曲方向内側押圧手段
は、素管W内に挿入されて公転する成形ローラ1Cに対
して素管Wを相対的に偏角させる偏角手段52、およ
び、成形ローラ1Cを素管Wから抜くように相対的に軸
方向に移動させる軸方向移動手段4によって構成されて
いる。
【0055】成形ローラ1Cを素管Wの外周および内周
に対してそれぞれ1回のパスで所望する角度に素管Wを
屈曲成形できない場合には、上述したように素管Wの内
側壁成形工程と外側壁成形工程とを交互に複数回繰り返
すことによって、素管Wを所望の角度まで徐々に屈曲成
形する。
【0056】この実施の形態においては、一対の成形ロ
ーラ1C、1Cによって素管Wに対する内側壁成形工程
と外側壁成形工程とを連続して行うことができるため、
製造装置の構成が簡略となると共に生産性が向上する。
そして、内側壁成形工程と外側壁成形工程とを個別に行
うため、素管Wの屈曲方向外側壁Wbから屈曲方向内側
壁Waに向かって材料が流動することが抑止され、図2
5および図26に示すように、素管Wの屈曲方向内側壁
Waが周方向に引っ張り応力を受けることによる板厚の
減少と、屈曲方向外側壁Wbが周方向に圧縮応力を受け
ることによる板厚の増加とが顕著に現れることとなる。
【0057】このように屈曲成形された中空部材W’
は、例えば、図25に示したように、内部にマットMが
巻回された触媒担体Tを配し、他端側をスピニング加工
などによって縮径させて触媒コンバータを構成すること
ができる。そして、図24に示すように、車両の内燃機
関EのエキゾーストマニホールドFに接続した場合、板
厚が厚くなった屈曲方向外側壁Wbが下方を向くように
設置されるため、路面から跳ねた小石などの衝突や、雨
水になどによる腐食に対する耐久性が向上する。、そし
て、従来では、これらの耐久性を持たせるために、触媒
コンバータの下方にカバー(図示は省略する)を取付け
る必要があったが、本発明による中空部材を使用するこ
とにより、カバーを取付ける必要がなくなるため、車両
の軽量化と取付け部品数を少なくすることによるコスト
の低減を図ることができる。さらに、本発明による中空
部材W’を使用して触媒コンバータを構成した場合に
は、屈曲方向内側壁Waが素管Wの内側に突出すること
はなく、また、その屈曲されていない部分の中心軸線C
1と屈曲成形された端部の中心軸線C2とが屈曲境界線
上で交差するよう連続しているため、排気ガスが屈曲部
に対して衝突することにより発生する振動や騒音を抑止
することができると共に、排気ガスの流通効率を向上さ
せることができ、さらには、排気ガスの衝突が少ない屈
曲方向内側壁Waの板厚t1を薄くして軽量化を図るこ
とができると共に、内燃機関Eから排出された排気ガス
を触媒担体Tの全面にわたって均等に通過させるよう流
通させることができることから浄化処理効率を向上させ
ることができ、もって、触媒担体Tを小型化することが
できる。なお、本発明により屈曲成形された中空部材
は、触媒コンバータとして使用する場合に、図24に示
した実施の形態に限定されることなく、屈曲成形された
部分の側をエキゾーストマニホールドFに接続するよう
構成することもできる。
【0058】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、内側からのス
ピニング加工により屈曲方向内側壁が径方向外側に張り
出すように成形されていることにより、端部が内部に突
出することなく適切に屈曲成形されてなる中空部材を提
供することができる。
【0059】請求項2の発明によれば、屈曲成形された
端部の中心軸線と屈曲成形されていない部分の中心軸線
との交点が屈曲境界線上に位置するよう成形されてなる
ことにより、屈曲成形された中空部材の中心軸線が全体
にわたって連続するため、内部に流体を流通させる場合
に、流体の流通効率を向上させることができる構造の中
空部材を提供することができる。
【0060】請求項3の発明によれば、請求項1または
2に記載の発明において、内部に流体を流通させる場合
に、流体が衝突する屈曲方向外側壁の厚みが屈曲方向内
側壁の厚みよりも厚く成形されていることにより、かか
る部分の剛性が向上するため、流体の衝突による振動な
どを抑止することができる構造の中空部材を提供するこ
とができる。
【0061】請求項4に記載の発明によれば、素管の端
部を内側からスピニング加工することにより屈曲方向内
側壁を成形する内側壁成形工程と、素管の端部を外側か
らスピニング加工することにより屈曲方向外側壁を成形
する外側壁成形工程と、を含むことにより、屈曲方向内
側壁が径方向外側に張り出すよう成形され、屈曲方向外
側壁が径方向内側に絞るように成形されるため、素管の
端部を適切に屈曲成形して中空部材を製造することがで
きる方法を提供することができる。
【0062】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明において、内側壁成形工程と外側壁成形工程と
を、同じスピニング加工工具を用いて連続して行うこと
により、少ない設備で効率よく中空部材を製造すること
ができる方法を提供することができる。
【0063】請求項6に記載の発明では、素管に対して
相対的に公転しつつ少なくともその内周面に当接される
スピニング加工工具と、スピニング加工工具を素管の内
周面の屈曲方向内側に相対的に押圧させる屈曲方向内側
押圧手段と、を備えたという簡単な構成で、中空部材の
屈曲方向内側壁を径方向外側に張り出すよう成形し、ま
た、屈曲方向外側壁を径方向内側に絞るように成形する
ため、端部が適切に屈曲成形されるように素管をスピニ
ング加工して中空部材を製造することができる装置を提
供することができる。
【0064】請求項7に記載の発明では、請求項1から
3のいずれかに記載の中空部材を使用して、その内部に
流体を流通させることにより、流体の流通効率を向上さ
せることができるため、小型化を図った適切な流体流通
システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空部材の製造装置の実施の一形態を
説明するために示した正面図である。
【図2】径方向移動手段と内周成形ローラを軸方向に移
動させるための軸方向進退機構とを説明するための概略
図である。
【図3】素管をスピニング加工工具の公転軸に対して所
定の角度で保持するための、クランプ部材、開閉手段、
偏角手段、を有する保持手段を示した側面図である。、
【図4】本発明の中空部材の製造方法の実施の一形態を
示すもので、素管の屈曲成形を開始する状態の説明図で
ある。
【図5】図4に示した状態から、スピニング加工工具を
素管から相対的に抜くように移動させると共に屈曲方向
に移動させて、内側壁成形工程と外側壁成形工程とを同
時に行った状態の説明図である。
【図6】図5に示した状態から、素管のさらなる屈曲成
形を開始する状態の説明図である。
【図7】図6に示した状態から、スピニング加工工具を
素管から相対的に抜くような移動と屈曲方向への移動を
繰り返し行って、さらに内側壁成形工程と外側壁成形工
程とを同時に行った状態の説明図である。
【図8】本発明の中空部材の製造方法の別の実施の形態
を示したもので、素管の屈曲成形を開始する状態の説明
図である。
【図9】図8に示した状態から、外側成形ローラを閉じ
るように径方向内側に移動させて素管に接触させた状態
の説明図である。
【図10】図9に示した状態から、素管を偏角させた状
態の説明図である。
【図11】図10に示した状態から、スピニング加工工
具を素管から相対的に抜くように移動させて、内側壁成
形工程と外側壁成形工程とを同時に行った状態の説明図
である。
【図12】本発明の中空部材の製造装置およびその製造
方法の別の実施の形態を示すもので、素管の屈曲成形を
開始する状態の説明図である。
【図13】図12に示した状態から、成形ローラを素管
内に挿入し得るように径方向内側に移動させて閉じた状
態の説明図である。
【図14】図13に示した状態から、成形ローラを素管
内に挿入した状態の説明図である。
【図15】図14に示した状態から、成形ローラの公転
軸に対して素管を偏角させた状態の説明図である。
【図16】図15に示した状態から、スピニング加工工
具を素管から相対的に抜くように移動させて、内側壁成
形工程を行った状態の説明図である。
【図17】図16示した状態から、成形ローラを径方向
外側に移動させて開いた状態の説明図である。
【図18】図17示した状態から、成形ローラを閉じる
ように径方向内側に移動させて素管に接触させた状態の
説明図である。
【図19】図18に示した状態から、スピニング加工工
具を素管から相対的に抜くように移動させて、外側壁成
形工程を行った状態の説明図である。
【図20】本発明により屈曲成形された素管の端部をさ
らにスピニング加工によりテーパ状に成形する場合の説
明図であり、かかる場合の素管の屈曲成形されていない
部分の中心軸線屈曲成形された部分の屈曲中心が屈曲境
界線上に位置することを示している。
【図21】従来の技術により屈曲および縮径成形された
素管の屈曲方向内側壁が径方向内側に突出した状態を示
す説明図であり、素管の屈曲成形されていない部分の中
心軸線屈曲成形された部分の屈曲中心が屈曲境界線上に
位置していないことを示している。
【図22】本発明の図4から図7に示した方法により屈
曲成形された素管を示す説明図である。
【図23】本発明の図8から図11または図12から図
19に示した方法により屈曲成形された素管を示す説明
図である。
【図24】本発明により屈曲成形された中空部材を自動
車の内燃機関の排気ガスを浄化するための触媒コンバー
タに使用した場合を示す説明図である。
【図25】図24に示した触媒コンバータの拡大断面図
である。
【図26】図25のY‐Y線の端面図である。
【符合の説明】
1A 内側成形ローラ(スピニング加工工具) 1B 外側成形ローラ(スピニング加工工具) 1C 成形ローラ(スピニング加工工具) 2 公転駆動手段 3 公転径調整手段 4 軸方向移動手段 5 保持手段 6 屈曲方向移動手段 52 偏角手段 W 素管 Wa 屈曲方向内側壁 Wb 屈曲方向外側壁 C1 屈曲成形されていな部分の中心軸線 C2 屈曲成形された部分の中心軸線 C0 C1とC2の交点(偏角中心) W’ 中空部材 X 成形ローラの公転軸

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピニング加工により端部が屈曲成形さ
    れてなる中空部材であって、 内側からのスピニング加工により屈曲方向内側壁が成形
    されていることを特徴とする中空部材。
  2. 【請求項2】 スピニング加工により端部が屈曲成形さ
    れてなる中空部材であって、 屈曲成形された端部の中心軸線と屈曲成形されていない
    部分の中心軸線との交点が屈曲境界線上に位置するよう
    成形されてなることを特徴とする中空部材。
  3. 【請求項3】 屈曲方向外側壁の厚みが屈曲方向内側壁
    の厚みよりも厚く成形されていることを特徴とする請求
    項1または2に記載の中空部材。
  4. 【請求項4】 スピニング加工により素管の端部を屈曲
    成形してなる中空部材を製造する方法であって、 素管の端部を内側からスピニング加工することにより屈
    曲方向内側壁を成形する内側壁成形工程と、 素管の端部を外側からスピニング加工することにより屈
    曲方向外側壁を成形する外側壁成形工程と、を含むこと
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 内側壁成形工程と外側壁成形工程とを、
    同じスピニング加工工具を用いて連続して行うことを特
    徴とする請求項4に記載の中空部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 素管をスピニング加工して端部が屈曲成
    形されてなる中空部材を製造するための装置であって、 素管に対して相対的に公転しつつ少なくともその内周面
    に当接されるスピニング加工工具と、 スピニング加工工具を素管の内周面の屈曲方向内側に相
    対的に押圧させる屈曲方向内側押圧手段と、を備えたこ
    とを特徴とする中空部材の製造装置。
  7. 【請求項7】 請求項1から3のいずれかに記載の中空
    部材を使用して、その内部に流体を流通させることを特
    徴とする流体流通システム。
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