JP2650534B2 - アルミニウム合金製自動車部材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製自動車部材の製造方法

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JP2650534B2 JP28603891A JP28603891A JP2650534B2 JP 2650534 B2 JP2650534 B2 JP 2650534B2 JP 28603891 A JP28603891 A JP 28603891A JP 28603891 A JP28603891 A JP 28603891A JP 2650534 B2 JP2650534 B2 JP 2650534B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金から
なる押し出し成形品に曲げ加工などの2次成形を行って
自動車部材を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車においては、安全性や快適
性を向上することから、空調装置や電子制御装置および
その他の機能部品などの車載部品点数が多くなる傾向に
あり、車体剛性に支障を招くことなく、車体を軽くする
ために、アルミニウム合金を使うことが考えられてきて
いる。つまり、アルミニウム合金は、鋼材などよりも比
重が極めて軽いことから、肉厚を厚くすることができ、
必要かつ十分な剛性を保つことができるからである。
【0003】ここで、フロントピラーのような自動車部
材を製造する方法を、図8〜図10を用いて説明する。
先ず、図8に示すような所定長さの長尺状な押し出し成
形品1を、アルミニウム合金ビレットから押し出し成形
する。この押し出し成形品1は、筒状の成形品本体2の
外側に、フランジ3を、成形品本体2の押し出し方向に
沿って一体形成してある。このフランジ3と成形品本体
2の外側面との間の挟角なるフランジ形成角度θは、鋭
角になっている。次に、所定長さの長尺状に押し出し成
形された押し出し成形品1は、図9および図10に示す
ような2次成形としての曲げ加工が施されてフロントピ
ラーのような自動車部材となる。この2次成形は、具体
的には、図9に示すように、押し出し成形品1のフラン
ジ3が上方に向くようにして、押し出し成形品1の成形
品本体2の両端部を引っ張り成形機10の材料クランプ
11,12に保持し、引っ張り成形機10のコントロー
ラ13からの指示で材料クランプ11,12を押し出し
成形品1の長手方向両側に移動して、押し出し成形品1
に材料の降伏点以上の応力がかかるような引っ張り力P
1を長手方向に付与する。そして、引っ張り力P1を付与
したまま、コントローラ13からの指示で引っ張り成形
機10の成形型14を上昇駆動して、図10(A)に示
すように、押し出し成形品1に曲げモーメントMを加え
ることにより、押し出し成形品1を成形型14の所定曲
げ半径を有する加工面15に沿って曲げる。これによ
り、押し出し成形品1が所定の曲げ形状に成形されたフ
ロントピラーのような自動車部材となる。なお、図10
(A)中において、L1は押し出し成形品1の2次成形
非対象部分、L2は押し出し成形品1の2次成形対象部
分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したアルミニウム
合金製自動車部材の製造方法にあっては、2次成形時
に、図10(A)に示す曲げモーメントMを受ける2次
成形対象部分L2において、フランジ3が、図10
(B)に仮想線で示す押し出し成形時のフランジ形成角
度θを小さくしようとする力P2を受けて仮想線示から
実線示のような変形量Cを生じる。この2次成形時に生
じる断面形状の変形は、2次成形終了後に、図外のプレ
スを使用した機械加工、あるいは手加工による断面形状
の修正を要し、製作工数が増大し、コストアップの要因
となる。
【0005】そこで本発明は、アルミニウム合金製の押
し出し成形品を、自動車部材として製造する場合に、曲
げ加工などの2次成形時での押し出し成形品の断面形状
を維持させることを課題にしている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミニウム
合金からなる押し出し成形品の曲げ加工などの2次成形
対象部分に、2次成形による変形を見込んだ逆方向の予
備変形を与えながら押し出し成形を行った後、この押し
出し成形品の2次成形対象部分に曲げなどの2次成形を
行う。
【0007】
【作用】2次成形時において、押し出し成形品の予備変
形が、正常な断面形状となるように、回復する。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面とともに前述
の従来例と同一部分に同一符号を付して詳述する。
【0009】第1実施例 図1は、第1実施例に使用する押し出し成形機を示して
いる。この図1に示す押し出し成形機20は、押し出し
プレス21によりアルミニウム合金ビレット22を、成
形ダイス23から所定の断面形状に押し出して、成形品
本体2の外側にフランジ3Aを一体形成してなる押し出
し成形品1Aを成形する。この成形ダイス23から押し
出された押し出し成形品1Aは、ガイドレール24に沿
って押し出し成形品1Aの押し出し方向Xに移動する保
持装置25で保持されながら長尺状になる。この押し出
し成形機20には、成形ダイス23から押し出された直
後において、押し出し成形品1Aのフランジ3Aの曲げ
加工などの2次成形対象部分L2に、2次成形による変
形を見込んだ逆方向の予備変形を与えるために、予備変
形加工装置30を設けてある。この予備変形加工装置3
0のコントローラ31は、押し出しプレス21に設けら
れた圧力センサ32が検出した検出押し出し圧力に相当
する出力信号(以下、検出押し出し圧力と称する)と、
保持装置25に設けられた速度センサ33が検出した押
し出し成形品1Aの検出押し出し速度に相当する出力信
号(以下、検出押し出し速度と称する)とにより、成形
ダイス23の押し出し方向下流側近傍に設けられた油圧
駆動タイプの加工工具34を駆動制御するものであっ
て、このコントローラ31への押し出し成形品1Aの生
産計画データ入力により、加工工具34のアクチュエー
タ35への油圧供給路切り換え機構36を動作させて、
加工工具34を押し出し成形品1Aの押し出し方向Xと
直交する方向Yへ前後進制御する。なお、図1中の符号
40は、予備変形加工を実施する部分以外の押し出し成
形品1Aが変形するのを阻止する拘束部材である。
【0010】したがって、この第1実施例では、予備変
形加工装置30のコントローラ31が、圧力センサ32
から入力された検出押し出し圧力と、速度センサ33か
ら入力された検出押し出し速度と、コントローラ31に
予め入力された生産計画データとにより、油圧供給路切
り換え機構36を動作し、この油圧供給路切り換え機構
36を通して油圧供給源37から作動油をアクチュエー
タ35の前進ポートに供給したり、または、油圧供給源
37から作動油をアクチュエータ35の後進ポートに供
給したりすることにより、加工工具34の移動量と移動
方向とを制御しつつ、加工工具34を前後進して、成形
ダイス23から押し出された押し出し成形品1Aのフラ
ンジ3Aの2次成形対象部分L2に、2次成形による変
形を見込んだ逆方向の予備変形量Dを与える。この予備
変形量Dは、2次成形としての曲げ加工を行うことによ
り、フランジ3Aが所定のフランジ形成角度θに回復す
る量であり、図2に示すように、2次成形対象部分L2
において、曲げ加工の中心部分が最大値となり、2次成
形非対象部分L1との境目で最小値0となるように、押
し出し成形品1Aの押し出し方向Xに沿って連続的に変
化させられている。
【0011】このようにして得られた押し出し成形品1
Aは、従来と同様に、成形本体2の両端部を引っ張り成
形機10の材料クランプ11,12で保持し(図9参
照)、押し出し成形品1Aに材料の降伏点以上の応力が
かかるような引っ張り力P1を付与したまま、引っ張り
成形機10の成形型14に沿わせて、押し出し成形品1
Aに曲げモーメントMを加えることにより(図10
(A)参照)、フランジ3Aの予備変形量Dが回復し、
2次成形対象部分L2でのフランジ形成角度が、2次成
形非対象部分L1でのフランジ形成角度θとほぼ同じに
なり、長手方向にわたって断面形状が維持されたフロン
トピラーのような自動車部材を得ることができる。
【0012】この第1実施例の実験結果を、図3〜図5
にもとづいて説明する。図3は、押し出し成形後に曲げ
加工を行ったフロントピラーを示している。このフロン
トピラーにおいては、図3(B)に示す断面形状を持つ
押し出し成形部材1Bを、図3(A)に示す曲げ半径3
00mmにて曲げ加工を実施した後、各測定点G,H,
I,J,K,L,K′,J′,I′,H′,G′での変
形量を測定した。この押し出し成形部材1Bは、成形品
本体2Bとフランジ3Bとを備えている。
【0013】この実験においては、従来例と第1実施例
との対比を知るために、(1)フランジ2Bに逆方向の
予備変形量Dを与えずに(D=0)、押し出し成形部材
1Bを押し出し成形し、この押し出し成形部材1Bに曲
げ加工を実施したときの各測定点での変形量(曲げ加工
後の変形量)Cを図4に示し、(2)フランジ2Bに逆
方向の予備変形量Dの最大値を、予備変形量Dを与えな
いときの曲げ加工後の変形量Cの最大値の0.5倍,1.
0倍,1.5倍の3種類に設定し、曲げ加工を実施した
ときの各測定点での変形量(曲げ加工後の変形量)C′
を図5に示し、(3)与える予備変形量Dは、測定点K
−L−K′間で最大値とし、測定点K−J−I−H間お
よび測定点K'−J'−I'−H′間で最大値から最小値
0まで徐々に変化させ、測定点H−G間および測定点
H'−G′間で0とした。
【0014】この図4および図5に示した実験結果を考
察すると、予備変形量Dの最大値を、予備変形量Dを与
えないときの曲げ加工後の変形量Cの最大値の1.0倍
とし、その予備変形量Dを最大値から0に徐々に近づけ
て変化させることにより、断面形状の変形の少ない2次
成形部材を得ることが確認できる。
【0015】第2実施例 図6は、第2実施例に使用する押し出し成形機20を示
したものであって、予備変形加工装置50の加工工具5
1と、加工工具51の駆動機構52とに特徴がある。つ
まり、予備変形加工装置50は、コントローラ31から
の指示により、駆動機構52のパルスモータ53の回転
量と回転方向とを制御し、このパルスモータ53の回転
力を駆動機構52の複数のギヤからなる減速機構54を
介して加工工具51に伝達し、加工工具51を成形ダイ
ス23の押し出し成形品1Aの押し出し方向下流側近傍
で押し出し成形品1Aの周方向に回転運動させることに
より、押し出し成形品1Aの2次成形対象部分L2に、
前記第1実施例と同様の予備変形を与える。また加工工
具51は、図7に示すように、支持部材55の軸受け部
56に回転可能に外嵌装着されている。この加工工具5
1には、押し出し成形品1Aのフランジ3Aが通る加工
溝57を形成してある。この加工溝57の底部には、ほ
ぼ半円形の逃げ溝58を形成してある。上記支持部材5
5の軸受け部56は、内部に押し出し部材1Aを通す円
筒状に形成されている。軸受け部材56の周壁には、フ
ランジ3Aを通す逃げ溝59を形成してある。したがっ
て、加工工具51が軸受け部56を中心として図7に示
す矢印W方向に正転または逆転することにより、成形ダ
イス23から押し出し成形された押し出し成形品1Aの
2次成形対象部分L2のフランジ3Aに予備変形を与え
る。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、アルミニ
ウム合金の押し出し成形時に、その押し出し成形品の2
次成形対象部分に、2次成形による変形量を見込んだ逆
方向の変形量を与えておき、その後、押し出し成形品の
2次成形対象部分に曲げ加工などの2次成形を実施する
ので、2次成形時において押し出し成形品の予備変形が
正常な断面形状となるように回復する。したがって、2
次成形後の修正が不要となり製作工数が低減し、アルミ
ニウム合金製の自動車部材を安価に提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に使用する押し出し成形機
を示す構成図。
【図2】第1実施例による押し出し成形品を示すもので
あって、(A)は平面図、(B)は(A)に示すB−B
線に沿う断面図。
【図3】第1実施例の実験に使用したフロントピラーを
示すものであって、(A)は平面図、(B)は(A)に
示すB−B線に沿う断面図。
【図4】第1実施例の実験に使用した予備変形を与えな
いときの曲げ加工後のフランジの変形量を示す測定結果
図。
【図5】第1実施例の実験に使用した予備変形を与えと
きの曲げ加工後のフランジの変形量を示す測定結果図。
【図6】本発明の第2実施例に使用した押し出し成形機
を示す構成図。
【図7】図6に示すB−B線に沿う断面図。
【図8】従来のアルミニウム合金からなる押し出し成形
品を示す斜視図。
【図9】従来の押し出し成形品に引っ張り力を付与した
状態を示す曲げ加工工程図。
【図10】従来の押し出し成形品に曲げモーメントを付
与した状態を示すものであって、(A)は曲げ加工工程
図、(B)は(A)に示すB−B線に沿う断面図。
【符号の説明】
1,1A…押し出し成形品 1B…押し出し成形部材 2,2B…成形品本体 3,3A,3B…フランジ 22…アルミニウム合金ビレット D…予備変形量

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金からなる押し出し成形
    品の曲げ加工などの2次成形対象部分に、2次成形によ
    る変形を見込んだ逆方向の予備変形を与えながら押し出
    し成形を行った後、この押し出し成形品の2次成形対象
    部分に曲げなどの2次成形を行うことを特徴とするアル
    ミニウム合金製自動車部材の製造方法。
JP28603891A 1991-10-31 1991-10-31 アルミニウム合金製自動車部材の製造方法 Expired - Lifetime JP2650534B2 (ja)

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