JP2003004924A - 回折光学素子および光学装置 - Google Patents

回折光学素子および光学装置

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JP2003004924A
JP2003004924A JP2001189109A JP2001189109A JP2003004924A JP 2003004924 A JP2003004924 A JP 2003004924A JP 2001189109 A JP2001189109 A JP 2001189109A JP 2001189109 A JP2001189109 A JP 2001189109A JP 2003004924 A JP2003004924 A JP 2003004924A
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diffractive optical
wavelength
diffraction grating
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JP2001189109A
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Tama Takada
球 高田
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い波長範囲にわたって回折効率が略一定
で、しかも作製が容易な回折光学素子を提供する。 【解決手段】 1周期の断面が階段状の回折格子に、略
均一に分布した第1の領域と第2の領域を設定する。第
2の領域の1周期内の高低差を第1の領域の1周期内の
高低差の2倍にして、第2の領域の設計波長を第1の領
域の設計波長の2倍にする。また、第2の領域の1周期
内の段数を第1の領域の1周期内の段数と同じにして、
階段状の部位の水平面の幅を全て同じにし、第1、第2
の領域の設計波長に対する回折効率を最高にする。第1
の領域の総面積と第2の領域の総面積の比の設定によ
り、第1の領域の設計波長から第2の領域の設計波長ま
での全波長範囲の回折効率を略一定にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回折格子によって
光を回折させる回折光学素子およびこれを用いる光学装
置に関し、特に、広い波長範囲にわたって回折効率が略
一定の回折光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】回折格子によって光を回折させる回折光
学素子は、種々の光学装置の光学系に用いられている。
回折光学素子には様々な利点があるが、主なものは次の
とおりである。(1)回折角が波長に依存するため、分光
に利用することができる。(2)回折格子を設ける面を曲
面としてレンズとすれば、同一のパワーを有する通常の
レンズよりも薄型の素子となる。(3)レンズとは正負が
逆の波長分散特性を有するため、レンズを用いる光学系
の色収差を補正することができる。
【0003】回折格子の凹凸の高低差は設計波長に応じ
て定められ、使用波長が設計波長から離れるほど回折効
率は低下する。また、回折格子は、1周期内の最高部と
最低部の間が傾斜面であるブレーズ型のときに回折効率
が最も高くなる。この理想的なブレーズ型の回折格子の
場合、設計波長をλ0、使用波長をλとすると、1次の
回折効率ηは次の式1で表される。 η=[sin{π(1−λ0/λ)}/π(1−λ0/λ)]2 … 式1
【0004】設計波長が550nmのときの回折効率を
図10に示す。400〜800nmの波長範囲で、回折
効率は61.5%から100%までの値となる。このよ
うに、回折光学素子を広い波長範囲の光に対して使用す
ると、回折効率が大きく変化する。回折効率が波長によ
って大きく相違すると、波長ごとの光の強度を検出する
分光器では、波長に応じて出力を補正しなければならな
い。また、カメラでは、色収差の補正が不完全になり、
撮影した像に色むらが生じてしまう。
【0005】この問題点に関連して、特開平11−16
0512号では、回折格子を3つの領域に分割し、各領
域の設計波長を450、532、614nmとして、領
域ごとに高低差を相違させることが提案されている。こ
の設定での回折効率を図11に示す。各領域の回折効率
は各々の設計波長で100%となる。しかし、実際に
は、個々の領域に設計波長に近い波長の光だけが入射す
るわけではなく、いずれの領域にも広い波長範囲の光が
入射するから、回折格子全体としての総合的な回折効率
は、3領域の回折効率の平均値となる。例えば、3領域
の面積が等しいとき、総合的な回折効率は、400〜8
00nmの波長範囲で66.3%から95.0%となる。
このため、回折効率が大きく変化するという問題は、依
然解消されない。
【0006】ブレーズ型の回折格子は、回折効率の観点
からは理想的であるが、作製が難しく、量産には不向き
である。そこで、ブレーズ型の最高部と最低部の間の傾
斜面を階段状の形状で近似することが行われている。こ
のような回折格子はマルチレベル型と呼ばれる。マルチ
レベル型の回折格子は、水平面と垂直面のみからなるた
め、半導体技術で確立されているフォトリソグラフィに
よって容易に作製することができる。例えば、米国特許
4,895,790では、k枚のフォトマスクを用いて、
エッチングをk回行うことにより、段数が(2k−1)
の階段形状を作製することが提案されている。マルチレ
ベル型では、水平面の幅を狭くして段数を多くするほど
回折効率は高くなる(理想的なブレーズ型の回折効率に
近づく)が、水平面の幅には加工上の最小限界があるた
め、回折格子の周期(ピッチ)に応じて最適な段数が定
まることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開平11−1
60512号においても、回折格子をマルチレベル型と
しており、3つの領域の最大高低差を相違させるため
に、段差(隣り合う水平面の高低差)は同じにし、段数
を領域ごとに相違させている。この方法では、領域ごと
に段数が異なるため、最大高低差が最小の領域すなわち
段数が最少の領域を基準に最適の段数を定めると、他の
領域では段数が最適な段数よりも多くなって、水平面の
幅を最小限界以下にする必要が生じる。水平面の幅を最
小限界以下にすると、階段状の形状が崩れてしまい、回
折効率が低下する。逆に、最大高低差が最大の領域すな
わち段数が最多の領域を基準に最適の段数を定めると、
他の領域では段数が最適な段数よりも少なくなって、最
適な段数であれば得られるはずの回折効率を得ることが
できなくなる。
【0008】また、領域間の最大高低差の比は、設計波
長の比であり、簡単な正数比にはならない。このため、
偶然の場合を除き、異なる領域に高さの同じ水平面や高
低差の等しい水平面の組が存在することがなく、異なる
領域を1度のエッチングで加工することはできない。そ
の結果、領域ごとに個別にエッチングを行う必要が生じ
て、作製効率がよくない。
【0009】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、広い波長範囲にわたって回折効率が略一定
で、しかも作製が容易な回折光学素子を提供することを
目的とする。また、そのような回折光学素子を備えた高
性能の分光装置および撮像装置を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、1周期の断面が段差の等しい階段状の
回折格子を有する回折光学素子において、回折格子が、
1周期内の段数が一定で、1周期内の最大高低差が一定
の第1の領域と、1周期内の段数が一定で第1の領域の
1周期内の段数に等しく、1周期内の最大高低差が一定
で第1の領域の1周期内の最大高低差の2倍の第2の領
域より成るものとする。
【0011】この回折光学素子の回折格子は2種類の領
域を有しており、第2の領域の最大高低差は第1の領域
の最大高低差の2倍である。すなわち、第1の領域と第
2の領域の設計波長は1:2であり、回折格子は波長比
が1:2である第1の波長の光と第2の波長の光を効率
よく回折させることができる。しかも、第1の領域と第
2の領域は、段数が同じであるから、階段状の部分の水
平面の幅が同じであり、どちらも段数に応じた最高の回
折効率を与える設定とすることが可能である。つまり、
第1の領域による第1の波長の光の回折効率と、第2の
領域による第2の波長の光の回折効率を等しくすること
ができる。
【0012】任意の波長の光に対する回折格子全体とし
ての回折効率は、第1の領域と第2の領域の面積比を重
み係数とする第1の領域の回折効率と第2の領域の回折
効率の加重平均となる。式1および図10より明らかな
ように回折効率は設計波長に関して非対称であるが、第
1、第2の領域の面積比の設定次第で、第1の波長から
第2の波長までの波長範囲全体を一部に含む広い波長範
囲にわたって、回折効率を略一定にすることができる。
【0013】第1の領域と第2の領域は、最大高低差の
比が1:2であって段数が同じであるから段差の比も
1:2となり、高さの等しい水平面や、高低差の等しい
水平面の組を有することになる。回折格子をフォトリソ
グラフィによって作製する場合、高さの等しい水平面
や、高低差の等しい水平面のうち低い方の水平面は1度
のエッチングで同時に形成することができるから、工程
数を少なくすることができて、作製効率も向上する。
【0014】ここで、第1の領域と第2の領域が回折格
子の全体にわたって略均一に分布している構成とすると
よい。巨視的に見て回折格子のどの部位にも第1の領域
と第2の領域が一定の面積比で存在することになり、部
位間で回折効率に差が生じるのを避けることができる。
【0015】入射角が0°のときの第1の領域の最高の
回折効率の波長を350nm以上かつ550nm以下と
するとよい。この場合、入射角が0°のときの第2の領
域の最高の回折効率の波長は700nm以上かつ110
0nm以下となる。このようにすると、入射角が0°か
ら大きく離れない使用形態において、可視光全体を略一
定の回折効率で回折させることができる。
【0016】また、第1の領域の総面積を第2の領域の
総面積の1.7倍以上かつ2.6倍以下とするとよい。第
1、第2の領域の面積比をこのようにすると、可視光全
体に対する回折効率の一定度が特に高くなる。
【0017】本発明ではまた、分光装置は、光を波長に
応じて分離させる光学系の一部に、上記のいずれかの回
折光学素子を備えるものとする。分離後の光の強度を波
長にかかわらず略一定にすることができて、強度の補正
をする必要がなくなる。
【0018】本発明ではまた、撮像装置は、光を結像さ
せる光学系の一部に、上記のいずれかの回折光学素子を
備えるものとする。レンズによる屈折で生じる色収差を
良好に補正することができて、像に色むらが発生するの
を避けることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明する。第1の実施形態である回
折光学素子1の構成を図1に模式的に示す。回折光学素
子1は、表面に凹凸の周期的配列である回折格子11が
形成された平板状の基板10より成る。図1は、回折光
学素子1全体の平面図であり、きわめて微細な構造であ
る回折格子11の形状自体は表していない。回折格子1
1は、回折特性の異なる2種類の領域11a、11bを
有する。第1の領域11aと第2の領域11bは共に帯
状であって多数存在し、その幅方向(x方向)に交互に
設けられている。
【0020】回折格子11の等高線図を図2に模式的に
示す。回折格子11は、凹凸の周期的配列の方向(x方
向)が領域11a、11bの幅方向に一致するように、
すなわち、高さの同じ点が領域11a、11bの長さ方
向(y方向)に連なるように設定されている。
【0021】回折格子11の周期方向の断面を図3に模
式的に示す。回折格子11はブレーズ型の傾斜面を階段
状の形状で近似したマルチレベル型であり、1周期p内
に複数の水平面を有する。回折格子11の周期は全体に
わたって一定であり、第1の領域11aと第2の領域1
1bのいずれにおいても周期は同じである。なお、1周
期の始点と終点は任意に定義することができるが、ここ
では最も高い水平面と最も低い水平面の境界から最も高
い水平面と最も低い水平面の境界までを1周期pとい
う。
【0022】第2の領域11bの1周期内の最大高低差
(最も高い水平面と最も低い水平面の高低差)h2は、
第1の領域11aの1周期内の最大高低差h1の2倍で
ある。一方、1周期内の段数(水平面の数m−1)は第
1の領域11aと第2の領域11bで同じであり、ま
た、段差(隣り合う水平面の高低差)は1周期内では等
しい。したがって、第2の領域11bの段差d2は第1
の領域の段差d1の2倍であり、水平面の幅wは全て等
しい。
【0023】なお、回折格子11は、傾斜面の最高部と
最低部の高低差をm等分して各等分点と最高部とを水平
面としたものであり、傾斜面の最低部に対応する水平面
は存在しない。図3に示した例は、傾斜面の最高部と最
低部の高低差を4等分した場合のものであり、したがっ
て、1周期内の水平面の数mは4、段数は3になってい
る。
【0024】このような構成の回折格子11では、第2
の領域11bの設計波長は第1の領域11aの設計波長
の2倍に定まる。また、水平面の幅wは全て等しいか
ら、第1の領域11aと第2の領域11bのいずれにお
いても、水平面の幅wを加工上の最小限界にすることが
可能であり、したがって、第1の領域11aによるその
設計波長の光の回折効率と、第2の領域11bによるそ
の設計波長の光の回折効率とを、等しくかつ最高にする
ことができる。
【0025】任意の波長λの光に対する回折格子11全
体としての総合的な回折効率ηtは、第1の領域11a
の回折効率η1と第2の領域11bの回折効率η2の加
重平均となり、式2で表される。 ηt=η1・S1/S+η2・S2/S … 式2
【0026】ここで、重み係数に含まれるS1およびS
2は、それぞれ第1の領域11aの総面積および第2の
領域11bの総面積であり、Sは回折格子11の全面積
(S1+S2)である。また、第1、第2の領域11
a、11bの回折効率η1、η2は、前述の式1より算
出される。
【0027】第1の領域11a、第2の領域11bの設
計波長λ0をそれぞれ440nm、880nmとし、第
1の領域11aの総面積S1と第2の領域11bの総面
積S2の比を2:1としたときの回折格子11の総合的
な回折効率ηtを、各領域11a、11bの回折効率η
1、η2と共に図4に示す。400〜800nmの波長
範囲における回折格子11の総合的な回折効率ηtは6
4.8〜68.4%であり、略一定になっている。第1の
領域11a、第2の領域11bの設計波長λ0をこれら
の値とするとき、第1の領域11aの総面積S1を第2
の領域11bの総面積S2の1.7〜2.6倍の範囲内と
すれば、この波長範囲の回折効率ηtの最大値と最小値
の比は1.1以下になる。
【0028】なお、図4は、1周期内の段数を無限にし
たとき、すなわち、理想的なブレーズ型としたときのも
のであり、段数が少ないほど回折効率は低下する。例え
ば、段数が15、7、3(水平面の数mが16、8、
4)のとき、回折効率はそれぞれブレーズ型の98.
7、95.0、81.1%となる。ただし、階段状の形状
に近似することによる回折効率の低下は、2つの設計波
長間の回折効率が略一定であることには全く影響しな
い。
【0029】後述するように、回折格子11はフォトリ
ソグラフィによって作製するが、エッチング加工で形成
し得る水平面の幅wの最小限界は1μm程度である。ま
た、上記のように可視の波長範囲の光を回折させる場
合、回折格子11の周期pは4μm程度であるから、1
周期内の段数の最適値は3(水平面の数mの最適値は
4)となる。したがって、回折格子11は、可視光全体
を50%以上の略一定な回折効率で回折させることが可
能である。
【0030】1周期内の最大高低差h1、h2は、段数
が傾斜面の高低差を等分した数よりも1少ないから、近
似前の理想的なブレーズ型の最大高低差hの(m−1)
/m倍とする。なお、理想的なブレーズ型の回折格子に
入射角0゜で光を入射させる場合、最大高低差hは、透
過型とするときは式3、反射型とするときは式4とな
る。ここで、nは媒質の屈折率であり、式3においては
基板の屈折率、式4においては、光を基板側から入射さ
せるときは基板の屈折率、光を空気側から直接入射させ
るときは空気の屈折率、すなわち1である。 h=λ0/(n−1) … 式3 h=λ0/2n … 式4
【0031】設計波長λ0は回折光学素子1を実際に使
用する際の光の入射角を考慮して定めるのが理想的であ
る。しかし、本実施形態の回折光学素子1では、広い波
長範囲で回折効率を略一定にすることができるから、入
射角を厳密に考慮して設計波長λ0を定める必要はな
い。例えば、入射角を0゜としておき、第1の領域11
aの設計波長を350〜550nmの範囲内の値とし、
第2の領域11bの設計波長をその2倍の値として回折
格子11を作製しておけば、使用時の入射角が30°程
度であっても、可視光全体を略一定の回折効率で回折さ
せることができる。
【0032】回折格子11の作製方法について、段数が
3すなわち水平面の数mが4の場合を例にとって説明す
る。作製工程を図5に模式的に示す。まず、基板10の
平坦な表面にフォトレジスト(不図示)を塗布し、1周
期pの1/2の幅の開口E1を有するマスクM1を用い
てフォトレジストをパターニングし、さらにエッチング
を行う(a)。エッチングで加工する深さは第1の領域
の11aの段差d1の4倍とする。これで、第2の領域
11bの下から2番目の水平面を含む水平面が形成され
る。
【0033】その後、フォトレジストの塗布、マスクを
用いるパターニングおよびエッチングの工程を2回繰り
返す。2回目の工程(b)では、1周期pの1/2の幅
の開口E1と、1周期pの1/4の幅の2つの開口E2
を有するマスクM2を用い、エッチングで加工する深さ
を第1の領域の11aの段差d1の2倍とする。これ
で、第1の領域11aの下から2番目の水平面を含む水
平面と、第2の領域11bの最も下の水平面と下から3
番目の水平面が同時に形成される。
【0034】3回目の工程(c)では、1周期pの1/
4の幅の2つの開口E2を有するマスクM3を用い、エ
ッチングで加工する深さを第1の領域の11aの段差d
1の1倍とする。これで、第1の領域11aの最も下の
水平面と下から3番目の水平面が形成され、回折格子1
1の作製が完了する。
【0035】なお、マスクとエッチングで加工する深さ
とを対応させる限り、上記の3回の工程はどの順序で行
ってもよい。水平面を形成する順序が相違するだけで、
作製した回折格子11の形状は同じになる。
【0036】第1の領域11aと第2の領域11bを別
々に作製すると、用いるマスクは4枚、工程数も4とな
るが、上記の方法では、必要なマスクの数や工程数が少
なくなり、作製効率が向上する。これは、第1の領域1
1aと第2の領域11bに、高さの等しい水平面や高低
差の等しい水平面の組が存在するからである。
【0037】一般に、k回のエッチングでは2kの水平
面を有する(2k−1)段の階段状とすることができる
が、2つの領域を個別にエッチングすれば、総工程数は
2kとなる。これに対し、2つの領域を同時にエッチン
グすることが可能な上記の方法では、総工程数は(k+
1)で済む。したがって、段数が多くなるほど、作製効
率向上の効果は顕著になる。なお、(k+1)回のエッ
チングで形成し得る段数は、最大で(2k−1)であ
り、これ以下の任意の値にすることができる。
【0038】第1の領域11aと第2の領域11bの幅
は、回折格子11の周期pの数十倍程度であり、第1、
第2の領域11a、11bは回折格子11全体にわたっ
て略均一に分布している。したがって、回折格子11の
どの部位においても、広い波長範囲の光を略一定の回折
効率で回折させることが可能である。このように設定し
ておくと、たとえ光の入射位置が変動したとしても、光
に対する第1、第2の領域11a、11bの面積比が変
化しないから、広い波長範囲にわたって回折効率を略一
定とすることが確実に実現される。
【0039】波長分布が光束の断面のどの部位において
も均一な光に対して回折光学素子1を使用する場合は、
第1の領域11aや第2の領域11bの分布に偏りがあ
っても、全体としての回折効率は略一定になる。したが
って、このような用途では、第1、第2の領域11a、
11bが回折格子11全体にわたって略均一に分布して
いる必要はなく、例えば、回折格子11を2つの区画に
区分けし、一方を第1の領域11a、他方を第2の領域
11bとすることもできる。
【0040】しかし、そのような設定では、回折格子1
1のどの部位に光が入射するかによって、光に対する第
1の領域11aと第2の領域11bの面積比が変動する
ことになり、回折効率を一定化することが難しくなる。
この問題は、光の入射位置を厳密に定めて固定すること
により回避することができるが、そのようにするために
は、回折光学素子1に光を導く他の光学素子と回折光学
素子1の位置関係を精度よく設定する必要があり、調整
に時間を要する。したがって、第1の領域11aと第2
の領域11bを略均一に分布させておくのが好ましい。
【0041】なお、ここでは第1の領域11aと第2の
領域11bを真っ直ぐな帯状として交互に配置している
が、式2に基づき設計波長に応じて面積比を定める限
り、第1の領域11aと第2の領域11bの形状や位置
関係は、他の設定とすることもできる。例を図6に示
す。図6において、(a)は第2の領域11bを矩形に
して第1の領域11a内に分散させたもの、(b)は第
1の領域11aと第2の領域11bを同心円の帯状とし
て交互に配置したものである。(b)の場合、回折格子
11も同心円とする。第1、第2の領域11a、11b
を同心円ではない円弧状として交互に配置することもで
きる。その場合の回折格子11の例を図7の等高線図に
示す。
【0042】回折対象とする光の波長は可視光域以外で
あってもよい。例えば、200〜400nmの波長範囲
の紫外光、1000〜2000nmの波長範囲の赤外光
を対象とすることもできる。
【0043】第2の実施形態である分光装置2の構成を
図8に模式的に示す。分光装置2は、光を波長に応じて
分離し、分離した光の強度を個別に検出するもので、ス
リット21aを有する光束規制板21、2つの凹面ミラ
ー22、24、回折光学素子23、およびセンサ25よ
り成る。
【0044】スリット21aを通過した光は、凹面ミラ
ー22によって反射されて、収束しながら回折光学素子
23に入射し、波長に応じた回折角で反射される。回折
光学素子23により反射された光は、凹面ミラー24に
よって反射されて、さらに収束しながらセンサ25に入
射する。センサ25に入射する際には、光は波長ごとに
分離しており、センサ25は各波長の光の強度を検出す
る。
【0045】回折光学素子23としては第1の実施形態
の回折光学素子1を反射型として用いる。回折光学素子
1は、前述のように広い波長範囲の光に対する回折効率
が略一定であるから、センサ25が検出する各波長の光
の強度比は、分離前の強度比を忠実に表す。したがっ
て、センサ25の出力を補正する必要はない。
【0046】回折光学素子23として使用する場合、回
折格子11を図7に示した円弧状とし、凹面ミラー22
からの光が回折格子11の周期方向(x方向)に沿って
入射するように配置するとよい。凹面ミラー22、24
により非点収差が発生するが、その非点収差を補正する
ことが可能になる。
【0047】第3の実施形態である撮像装置3の構成を
図9に模式的に示す。撮像装置3は、光を電気信号に変
換することにより撮影を行うもので、撮影対象からの光
を結像させる撮像光学系として、2つのレンズ群31、
34、回折光学素子32、および絞り33を備えてお
り、撮影光学系による結像面に、撮像素子としてエリア
センサ35を備えている。
【0048】回折光学素子32としては第1の実施形態
の回折光学素子1を透過型として用いるが、基板10は
両面を凹面とされており、回折光学素子32は凹レンズ
としても機能する。回折格子11は同心円状に設定され
ており、第1、第2の領域11a、11bも、図6の
(b)に示したように同心円の帯状とされている。
【0049】撮影対象からの光には、レンズ群31、3
4や凹レンズとしての回折光学素子32による屈折で、
色収差が発生するが、回折光学素子32による回折でこ
れを補正することができる。したがって、色ずれのない
質の高い像を提供することが可能である。色収差の発生
はレンズ群31、34に含まれるレンズの数を増すこと
でも抑えられるが、回折光学素子32を備えれば、レン
ズの数を増さなくても色収差の補正が可能である。
【0050】以上、回折光学素子1ならびにこれを利用
した分光装置2および撮像装置3の実施形態について説
明したが、本発明の回折光学素子は、ここに示した例に
限らず、様々な光学装置に利用することが可能である。
例えば、分光測色器、光ピックアップ、光通信デバイ
ス、レーザビームプリンタ、複写機、顕微鏡等に用いて
も、広い波長範囲の光に対して回折効率が略一定である
という特徴が生かされる。
【0051】
【発明の効果】1周期の断面が段差の等しい階段状の回
折格子を有し、回折格子が、1周期内の段数が一定で、
1周期内の最大高低差が一定の第1の領域と、1周期内
の段数が一定で第1の領域の1周期内の段数に等しく、
1周期内の最大高低差が一定で第1の領域の1周期内の
最大高低差の2倍の第2の領域より成る本発明の回折光
学素子では、波長比が1:2の第1の波長の光と第2の
波長の光の双方を、回折格子の段数に応じた最高の回折
効率で回折させることが可能である。また、第1、第2
の波長に応じて第1、第2の領域の面積比を定めること
で、回折効率を第1の波長から第2の波長までを含む広
い波長範囲の全体にわたって略一定にすることができ
る。しかも、第1の領域の一部の水平面と第2の領域の
一部の水平面をエッチングにより同時に形成することが
できるため、作製効率にも優れている。
【0052】第1の領域と第2の領域が回折格子の全体
にわたって略均一に分布している構成では、巨視的に見
て回折格子のどの部位にも第1の領域と第2の領域が一
定の面積比で存在することになり、部位間で回折効率に
差が生じない。したがって、光の入射位置の自由度が高
くなる。
【0053】入射角が0°のときの第1の領域の最高の
回折効率の波長を350nm以上かつ550nm以下と
すると、入射角が0°から大きく離れない限り、可視光
全体を略一定の回折効率で回折させることが可能になっ
て、用途の広い素子となる。
【0054】また、第1の領域の総面積を第2の領域の
総面積の1.7倍以上かつ2.6倍以下とすると、可視光
全体に対する回折効率の一定度を特に高くすることがで
きる。
【0055】光を波長に応じて分離させる光学系の一部
に、上記の特長を有する回折光学素子を備えた本発明の
分光装置では、分離後の光の強度を波長にかかわらず略
一定にすることができる。したがって、波長に応じて強
度を補正する必要のない使い易い分光装置となる。
【0056】また、光を結像させる光学系の一部に、上
記の特長を有する回折光学素子を備えた本発明の撮像装
置では、レンズによる屈折で生じる色収差を回折光学素
子により良好に補正することが可能である。したがっ
て、色むらのない良質の像を提供する撮像装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の回折光学素子の回折格子の
領域を示す平面図。
【図2】 上記回折光学素子の回折格子の等高線図。
【図3】 上記回折光学素子の回折格子の断面図。
【図4】 上記回折光学素子の回折効率を示す図。
【図5】 上記回折光学素子の回折格子を作製する工程
を示す断面図。
【図6】 上記回折光学素子の回折格子の領域の変形例
を示す平面図。
【図7】 上記回折光学素子の回折格子の変形例の等高
線図。
【図8】 第2の実施形態の分光装置の構成を模式的に
示す図。
【図9】 第3の実施形態の撮像装置の構成を模式的に
示す図。
【図10】 従来の回折光学素子の回折効率を示す図。
【図11】 従来の他の回折光学素子の回折効率を示す
図。
【符号の説明】
1 回折光学素子 10 基板 11 回折格子 11a 第1の領域 11b 第2の領域 2 分光装置 21 光束規制板 21a スリット 22 凹面ミラー 23 回折光学素子 24 凹面ミラー 25 センサ 3 撮像装置 31 レンズ群 32 回折光学素子 33 絞り 34 レンズ群 35 撮像素子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1周期の断面が段差の等しい階段状の回
    折格子を有する回折光学素子において、 回折格子が、1周期内の段数が一定で、1周期内の最大
    高低差が一定の第1の領域と、1周期内の段数が一定で
    第1の領域の1周期内の段数に等しく、1周期内の最大
    高低差が一定で第1の領域の1周期内の最大高低差の2
    倍の第2の領域より成ることを特徴とする回折光学素
    子。
  2. 【請求項2】 第1の領域と第2の領域が回折格子の全
    体にわたって略均一に分布していることを特徴とする請
    求項1に記載の回折光学素子。
  3. 【請求項3】 入射角が0°のときの第1の領域の最高
    の回折効率の波長が350nm以上かつ550nm以下
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の回折光学素子。
  4. 【請求項4】 第1の領域の総面積が第2の領域の総面
    積の1.7倍以上かつ2.6倍以下であることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の回折
    光学素子。
  5. 【請求項5】 光を波長に応じて分離させる光学系の一
    部に、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の
    回折光学素子を備えることを特徴とする分光装置。
  6. 【請求項6】 光を結像させる光学系の一部に、請求項
    1ないし請求項4のいずれか1項に記載の回折光学素子
    を備えることを特徴とする撮像装置。
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