JP2003001956A - 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体および平版印刷版原版

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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐汚れ性と高耐刷力とを両立することが
できる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷
版用支持体の提供。 【解決手段】アルミニウム板に粗面化処理、アルカリエ
ッチング処理および陽極酸化処理を行って得られる平版
印刷版用支持体であって、表面に、波長が2〜10μm
の大波構造と、平均直径が0.1〜1.5μmのピット
からなる中波構造と、ピット内部の微細な凹凸からなる
小波構造とを有し、かつ、該陽極酸化処理によって生成
される陽極酸化皮膜において、マイクロポアの平均ポア
径が0〜15nm、平均ポア密度が0〜400個/μm
2 である平版印刷版用支持体、および、該平版印刷版用
支持体上に、画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版用支持体
および平版印刷版原版に関し、詳しくは、平版印刷版と
したときに、耐汚れ性と耐刷性とを両立することができ
る、最適な表面形状を有する平版印刷版用支持体および
それを用いた平版印刷版原版に関する。また、本発明
は、耐汚れ性と耐刷性に優れ、更に、耐キズ性と感度と
がともに優れる平版印刷版用支持体およびそれを用いた
平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷法は水と油が本質的に混じり合
わないことを利用した印刷方式であり、これに使用され
る平版印刷版の印刷版面には、水を受容して油性インキ
を反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」とい
う。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域(以
下、この領域を「画像部」という。)とが形成される。
【0003】平版印刷版に用いられる平版印刷版用アル
ミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」と
いう。)は、その表面が非画像部を担うように使用され
るため、親水性および保水性が優れていること、更には
その上に設けられる画像記録層との密着性が優れている
こと等の相反する種々の性能が要求される。支持体の親
水性が低すぎると、印刷時に非画像部にインキが付着す
るようになり、ブランケット胴の汚れ、ひいてはいわゆ
る地汚れが発生する。また、支持体の保水性が低すぎる
と、印刷時に湿し水を多くしないとシャドー部のつまり
が発生する。よって、いわゆる水幅が狭くなる。
【0004】これらの性能の良好な平版印刷版用支持体
を得るためには、アルミニウム板の表面を砂目立て(粗
面化処理)して凹凸を付与するのが一般的である。この
凹凸については下記に示すように、様々な形状が提案さ
れている。特開平8−300844号公報には、中波と
小波の開口径を規定した大波、中波および小波を有する
3重構造が記載されている。特開平11−99758号
公報および特開平11−208138号公報には、大小
の2重構造において小波の径を規定することが記載され
ている。特開平11−167207号公報には、大小の
2重の凹部(ピット)に加えて更に微小な突起を付与す
る技術が記載されている。特許第2023476号明細
書には、開口径を規定した2重構造が記載されている。
特開平8−300843号公報には、表面の滑らかさを
示す因子a30を規定した2重構造が記載されている。
特開平10−35133号公報には複数の電気化学的粗
面化処理(以下「電解粗面化処理」ともいう。)に際し
て重畳されるピット径の比を規定した構造が記載されて
いる。
【0005】この砂目立てには、ボールグレイニング、
ブラシグレイニング、ワイヤーグレイニング、ブラスト
グレイニング等の機械的粗面化方法、塩酸および/また
は硝酸を含む電解液中でアルミニウム板を電解エッチン
グする電解粗面化方法および米国特許第4,476,0
06号明細書に記載されている機械的粗面化方法と電解
粗面化方法を組み合わせた複合粗面化方法等が用いられ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、耐汚れ性と耐刷性とがトレードオフ
の関係にあり、耐汚れ性と耐刷性との両立ができなかっ
た。したがって、本発明は、この問題を解決し、優れた
耐汚れ性と高耐刷力とを両立することができる平版印刷
版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体を提
供することを目的とする。
【0007】また、近年、画像形成技術の発展に伴い、
細くビームを絞ったレーザ光をその版面上に走査させ、
文字原稿、画像原稿等を直接版面上に形成させ、フィル
ム原稿を用いず直接製版することが可能となりつつあ
る。 レーザ光照射により画像記録層中で光熱変換を起こすこ
とによって画像記録層のアルカリ可溶化を引き起こしポ
ジ画像を形成する、いわゆるサーマルポジタイプの平版
印刷版原版においては、画像形成原理としてレーザ露光
による画像記録層中のバインダーの分子間相互作用の微
妙な変化を利用しているために、露光/未露光部分のア
ルカリ可溶化のオン/オフの程度の差が小さくなってい
る。このため、実用に耐える明確なディスクリミネーシ
ョンを得る目的で、現像液に対する表面難溶化層を画像
記録層の最上層として設けて未露光部の現像溶解性を抑
えた画像記録層構造を形成するという手段が用いられて
いる。
【0008】しかしながら、表面難溶化層が何らかの原
因で損傷すると、本来画像部となる部分でも、現像液に
溶解しやすくなってしまう。つまり、実用上非常に傷付
きやすい印刷版になってしまっている。このため、印刷
版のハンドリング時のぶつかり、合紙での微妙な擦れ、
版面への指の接触等の些細な接触によってもキズ状の画
像抜けが発生してしまうので、刷版作業時の取り扱いが
難しいのが現状である。この傷付きやすさを改善する目
的で、画像記録層表面にフッ素系の界面活性剤やワック
ス剤の層を設けて摩擦係数を下げることが試みられてい
るが、未だ十分な対策とはなっていない。
【0009】また、上述したような、接触等によるキズ
状の画像抜けは、画像記録層が表面難溶化層を有しない
サーマルポジタイプの平版印刷版原版や、サーマルネガ
タイプその他の平版印刷版原版においても問題となって
いる。
【0010】近年、上記の傷付きやすさを改善する目的
で、画像記録層表面を滑らかにすることが試みられてい
る。これは、画像記録層表面の凹凸が変形すると、表面
難溶化層が破壊され、現像液が浸透しやすくなってしま
うことに鑑みたものである。平坦な画像記録層表面を実
現するためには、支持体の表面形状をできるだけ平坦に
することが有効であるが、単純に支持体の表面形状を平
坦にすると、画像記録層と支持体との密着性が低下し、
一方、画像記録層と支持体との密着性を確保しようとし
て、単に機械的粗面化処理等の方法により画像記録層と
支持体との接触面積を増やすだけでは、画像記録層表面
に凹凸が形成されてしまい、画像記録層が傷付きやすく
なってしまう。したがって、画像記録層表面を平坦にし
てキズを防止することと、画像記録層と支持体との密着
性を優れたものとして十分な印刷性能を確保することと
を両立することは、極めて困難であった。
【0011】また、粗面に波長0.4μm程度以下の凹
凸を設けることにより、画像記録層表面の形状に変化を
もたらさずに画像記録層と支持体との密着性を高めるこ
とができるが、凹部に入り込んだ画像記録層が現像時に
除去されにくいので、現像に必要な露光量が多くなる、
即ち、感度が低下するという問題がある。
【0012】よって、本発明は、傷付きにくく、感度が
高く、印刷性能に優れ、通常作業での取り扱いが容易で
ある平版印刷版原版およびそれに好適に用いられる平版
印刷版用支持体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、本発明を完成した。即
ち、本発明は、アルミニウム板に粗面化処理、アルカリ
エッチング処理および陽極酸化処理を行って得られる平
版印刷版用支持体であって、表面に、波長が2〜10μ
mの大波構造と、平均直径が0.1〜1.5μmのピッ
トからなる中波構造と、ピット内部の微細な凹凸からな
る小波構造とを有し、かつ、該陽極酸化処理によって生
成する陽極酸化皮膜において、マイクロポアの平均ポア
径が0〜15nm、平均ポア密度が0〜400個/μm
2 である平版印刷版用支持体を提供する。
【0014】本発明者は、上記課題を解決すべく、平版
印刷版用支持体の表面形状について鋭意検討した結果、
上記表面形状により、耐汚れ性と耐刷性とのバランスを
高い水準で維持することができることを見出し、本発明
を完成したのである。
【0015】また、平版印刷版原版の画像記録層表面に
は、支持体表面の凹凸に起因する凹凸が存在する。サー
マルポジタイプの画像記録層に物体等が接触した場合、
その物体等によって画像記録層表面が擦られると、凸部
の頂上部分がわずかに擦り取られ、表面難溶化層が破壊
され、ときには支持体が部分的に露出する。現像時に
は、この表面難溶化層が破壊された部分から、支持体と
画像記録層との界面に現像液が浸透していきやすいた
め、画像記録層が支持体との界面付近から溶解し始め
る。即ち、擦られた場所から優先的に現像されるのであ
る。したがって、マクロ的に見ると、キズ部分が白い線
となって観察される。
【0016】本発明者は、鋭意研究の結果、上記知見を
得た。そして、画像記録層表面の凹凸を少なくして滑ら
かにしつつ、支持体の表面積を大きくして画像記録層と
支持体との密着性を確保するために、支持体の表面を、
波長が2〜10μmの大波構造と、平均直径が0.1〜
1.5μmのピットからなる中波構造と、ピット内部の
微細な凹凸からなる小波構造とを有する、大中小三重構
造の形状にすることで、キズが発生しにくくなることを
見出した。
【0017】更に、上記構造とするだけでは、小波構造
を構成するピット内部の微細な凹凸に入り込んだ画像記
録層が除去されにくいので、それを補うために現像性
(感度)を向上させる必要がある。本発明者は、上記大
中小三重構造の形状を有する支持体表面において、陽極
酸化皮膜におけるマイクロポアの平均ポア径および平均
ポア密度を通常より小さい特定の範囲にすることによ
り、マイクロポアに入り込んだ画像記録層の量を少なく
することができることおよび現像液がマイクロポアの内
部に浸透して画像記録層全体の浸透速度が低下するのを
防止することができることを見出し、それにより傷付き
にくく、感度が高く、印刷性能に優れる平版印刷版原版
を実現することができることを見出して、本発明を完成
したのである。
【0018】前記アルミニウム板におけるCuの含有量
が0〜0.005質量%であるのが好ましい。即ち、C
uを全く含まないか、0.005質量%以下で含むか、
のいずれかであるのが好ましい。アルミニウム板におけ
るCuの含有量が0〜0.005質量%であると、中波
構造を構成するピットがより均一に形成されるため、画
像記録層と支持体との密着性がより高くなる。
【0019】また、本発明は、前記平版印刷版用支持体
上に、画像記録層を設けてなる平版印刷版原版を提供す
る。本発明の平版印刷版原版は、本発明の平版印刷版用
支持体を用いているので、従来トレードオフの関係から
脱しえなかった耐汚れ性と耐刷性のバランスを高い水準
で維持することができる。
【0020】更に、本発明は、前記平版印刷版用支持体
上に、加熱または放射線の照射によりアルカリ可溶化す
る画像記録層を設けてなる平版印刷版原版、および、加
熱または放射線の照射により硬化する画像記録層を設け
てなる平版印刷版原版を提供する。本発明の平版印刷版
原版は、本発明の平版印刷版用支持体を用いているの
で、従来のサーマルポジタイプおよびサーマルネガタイ
プの平版印刷版原版に比べ、傷付きにくく、感度が高
く、印刷性能に優れ、通常作業での取り扱いが容易であ
る。本発明によって、特に、サーマルポジタイプの平版
印刷版原版において本質的問題であった傷付きやすさを
大幅に改善することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 [平版印刷版用支持体] <アルミニウム板(圧延アルミ)>本発明の平版印刷版
用支持体に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定
なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウ
ムまたはアルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板
のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む
合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミ
ネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまた
は紙を用いることもできる。更に、特公昭48−183
27号公報に記載されているようなポリエチレンテレフ
タレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された
複合体シートを用いることもできる。
【0022】以下の説明において、上記に挙げたアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金からなる各種の基板をア
ルミニウム板と総称して用いる。 前記アルミニウム合金
に含まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケ
ル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質
量%以下である。 特に、銅の含有量は、0〜0.005
質量%であるのが好ましい。
【0023】本発明においては、純アルミニウム板を用
いるのが好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精
錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有
するものでもよい。このように本発明に用いられるアル
ミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従
来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A10
50、JIS A1100、JIS A3005、JI
S A3004、国際登録合金 3103A等のアルミ
ニウム合金板を適宜利用することができる。 また、アル
ミニウム板の製造方法は、連続鋳造方式およびDC鋳造
方式のいずれでもよく、DC鋳造方式の中間焼鈍や、均
熱処理を省略したアルミニウム板も用いることができ
る。最終圧延においては、積層圧延や転写等により凹凸
を付けたアルミニウム板を用いることもできる。また、
本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0. 1〜
0. 6mm程度である。 この厚みは印刷機の大きさ、印
刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更する
ことができる。
【0024】本発明の平版印刷版用支持体は、上記アル
ミニウム板に粗面化処理、アルカリエッチング処理およ
び陽極酸化処理を行って得られるが、このアルミニウム
支持体の製造工程には、粗面化処理、アルカリエッチン
グ処理および陽極酸化処理以外の各種の工程が含まれて
いてもよい。
【0025】<粗面化処理(砂目立て処理)>上記アル
ミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理され
る。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公
報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面
化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。
更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に
砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化
処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワ
イヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と
研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイ
ン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブ
ラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処
理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単
独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、
ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、
塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との
組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙
げられる。特に、機械的粗面化処理を行った後に電解粗
面化処理を行うと、得られる平版印刷版用支持体の表面
を、後述する大波構造と中波構造の二重構造としやすい
ので好ましい。
【0026】ブラシグレイン法の場合、研磨剤として使
用される粒子の平均粒径、最大粒径、使用するブラシの
毛径、密度、押し込み圧力等の条件を適宜選択すること
によって、アルミニウム支持体表面の長い波長成分(大
波)の凹部の平均深さを制御することができる。ブラシ
グレイン法により得られる凹部は、平均波長が2〜10
μmであるのが好ましく、平均深さが0.2〜1μmで
あるのが好ましい。
【0027】電気化学的粗面化方法としては、塩酸電解
液中または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化
学的方法が好ましい。好ましい電流密度は、陽極時電気
量50〜400C/dm2 である。更に具体的には、例
えば、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解
液中で、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流
密度100〜400C/dm2 の条件で直流または交流
を用いて行われる。電解粗面化処理によれば、表面にピ
ットを付与することが容易であるため、画像記録層と支
持体との密着性を高くすることができる。
【0028】機械的粗面化処理の後の電解粗面化処理に
より、平均直径0.1〜1.5μm、平均深さ0.05
〜0.4μmのクレーター状またはハニカム状のピット
(上記大波より短い波長の波長成分(中波)の凹部)を
アルミニウム板の表面に90〜100%の面積率で生成
し、大波構造と中波構造の二重構造を形成することがで
きる。即ち、機械的粗面化処理により平均波長2〜10
μmの大波が形成され、電解粗面化処理によりピットつ
まり中波が形成される。なお、機械的粗面化処理を行わ
ずに、電解粗面化処理のみを行う場合には、ピットの平
均深さを0.3μm未満とするのが好ましい。例えば、
機械的粗面化処理を行わずに、電解粗面化処理を好まし
くは条件を変えて二回以上行うことにより、平均波長2
〜10μmの大波構造およびピットの平均直径0.1〜
1.5μmの中波構造からなる二重構造を形成すること
もできる。設けられたピットは、印刷版の非画像部の汚
れにくさおよび耐刷性を向上する作用を有する。電解粗
面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必要
なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間との積
が、重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピッ
トを形成できることは、省エネの観点からも望ましい。
粗面化処理後の表面粗さは、JIS B0601−19
94に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ3.
0mmで測定した算術平均粗さ(Ra )が、0.2〜
0.5μmであるのが好ましい。
【0029】<アルカリエッチング処理>このように砂
目立て処理されたアルミニウム板は、アルカリにより化
学的にエッチングされる。本発明において好適に用いら
れるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセ
イソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸
ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ムが挙げられる。アルカリエッチング処理の条件は、A
lの溶解量が0.05〜30g/m2 となるような条件
で行うのが好ましい。また、他の条件も、特に限定され
ないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好
ましく、5〜30質量%であるのがより好ましく、ま
た、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好まし
く、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリエ
ッチング処理は、1種の方法に限らず、複数の工程を組
み合わせることができる。アルカリエッチング処理は、
1段階の処理に限られない。例えば、機械的粗面化処理
を施した後に、アルカリエッチング処理を行い、引き続
きデスマット処理(後述するスマット除去のための酸洗
い)を行い、更に電解粗面化処理を施した後に、再びア
ルカリエッチング処理を行い、引き続きデスマット処理
を行うなど、アルカリエッチング処理およびデスマット
処理は、いずれも複数回組み合わせて行うことができ
る。
【0030】このアルカリエッチング処理により、ピッ
トの平均直径を0.1〜1.5μmに制御すると同時
に、ピットの内部に微細な凹凸からなる小波構造を形成
することができる。微細な凹凸は、不定形であり、その
円相当径(面積円相当径)は、例えば、0.005〜
0.1μmとすることができる。したがって、粗面化処
理により大波構造と中波構造の二重構造が形成されてい
るため、このアルカリエッチング処理による小波構造の
形成により大中小三重構造を形成することができる。よ
って、大中小三重構造を形成するようにアルカリエッチ
ング処理の条件を選択することが必要である。
【0031】アルカリエッチング処理を行った後、表面
に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い
(デスマット処理)が行われる。用いられる酸として
は、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、
ホウフッ化水素酸が挙げられる。特に、電解粗面化処理
後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭
53−12739号公報に記載されているような50〜
90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方
法が挙げられる。
【0032】<陽極酸化処理>以上のように処理された
アルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。
この際、マイクロポアに起因する感度低下を抑えるため
に、陽極酸化皮膜におけるマイクロポアの平均ポア径を
0〜15nmとし、かつ、平均ポア密度を0〜400個
/μm2 とすることが必要である。即ち、本発明の平版
印刷版用支持体においては、陽極酸化被膜がマイクロポ
アを有しても有しなくてもよく、マイクロポアを有して
いる場合には、その平均ポア径は15nm以下であり、
その平均ポア密度は400個/μm2 以下である。中で
も、陽極酸化被膜がマイクロポアを有しないのが、感度
に優れる点で、好ましい。陽極酸化処理はこの分野で従
来行われている方法で行うことができる。具体的には、
硫酸を主成分とし、必要に応じて、リン酸、クロム酸、
シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等と組
み合わせた水溶液の中で、アルミニウム板に直流または
交流を流すとアルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形
成することができる。
【0033】この際、少なくともAl合金板、電極、水
道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれ
ていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加さ
れていても構わない。ここでいう第2、第3の成分とし
ては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、A
l、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等
の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝
酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、
フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ
酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜
10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0034】陽極酸化処理の条件は、使用される電解液
によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一
般的には電解液濃度1〜15質量%、液温−5〜40
℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜20V、電
解時間10〜200秒であるのが適当である。
【0035】本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1
〜5g/m2 であるのが好ましい。1g/m2 未満であ
ると版に傷が入りやすくなり、一方、5g/m2 を超え
ると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利とな
る。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/m2 であるの
がより好ましい。
【0036】<アルカリ金属ケイ酸塩処理>上記のよう
に処理して得られる陽極酸化皮膜が形成されたアルミニ
ウム支持体を、必要に応じて、アルカリ金属ケイ酸塩の
水溶液を用いて浸せき処理する。処理条件は、特に限定
されないが、例えば、濃度0.01〜5.0質量%の水
溶液を用いて、温度5〜40℃で、1〜60秒間浸せき
し、その後、流水により洗浄する。より好ましい浸せき
処理温度は10〜40℃であり、より好ましい浸せき時
間は2〜20秒間である。
【0037】本発明に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩
は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ
酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶
液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム等を適当量含有してもよい。また、アルカリ金属ケ
イ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第
IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属
塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチ
ウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫
酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸
塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、
例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカ
リウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ
化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウ
ム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙
げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第
IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせ
て用いられる。
【0038】アルカリ金属ケイ酸塩処理によって吸着す
るSi量は蛍光X線分析装置により測定され、その吸着
量は約1.0〜15.0mg/m2 であるのが好まし
い。このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、アルミニウ
ム支持体表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上効
果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑
制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低
減することができる。
【0039】<封孔処理>陽極酸化処理後、所望によ
り、封孔処理を行ってもよい。封孔処理は陽極酸化処理
された支持体を、熱水または無機塩もしくは有機塩を含
む熱水溶液に浸せきさせる方法、水蒸気浴に曝す方法等
によって行われる。具体的には、例えば、特開平4−1
76690号公報や特開平11−301135号公報に
記載の加圧水蒸気や熱水による封孔処理が挙げられる。
本発明の平版印刷版用支持体において、封孔処理を行う
場合には、封孔処理後の陽極酸化皮膜におけるマイクロ
ポアの平均ポア径が0〜15nm、平均ポア密度が0〜
400個/μm2 であれば、封孔処理前の陽極酸化皮膜
におけるマイクロポアがこれらを満たしていなくてもよ
い。 <界面制御処理>また、陽極酸化処理後、所望により、
親水化処理等の界面制御処理を実施してもよい。界面制
御処理としては、上述したアルカリ金属ケイ酸塩処理の
ほかに、特公昭36−22063号公報に開示されてい
るフッ化ジルコン酸カリウムや、米国特許第3,27
6,868号明細書、同第4,153,461号明細書
および同第4,689,272号明細書に開示されてい
るようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用い
られる。
【0040】上記の各項目で記載した各処理の詳細につ
いては、公知の条件を適宜採用することができる。ま
た、本明細書に挙げた文献の内容は、引用して本明細書
の内容とする。
【0041】[平版印刷版原版]本発明の平版印刷版用
支持体には、以下に例示する感光層、感熱層等の画像記
録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができ
る。画像記録層は、特に限定されないが、例えば、コン
ベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイ
プ、フォトポリマータイプ、サーマルポジタイプ、サー
マルネガタイプ、機上現像可能な無処理タイプが好適に
挙げられる。以下、これらの好適な画像記録層につい
て、詳細に説明する。
【0042】<コンベンショナルポジタイプ>コンベン
ショナルポジタイプの感光層を有する本発明の平版印刷
版原版に用いられるポジ型感光性樹脂組成物としては、
露光の前後で現像液に対する溶解性または膨潤性が変化
するものならば使用できるが、その中に含まれる好まし
いものとして、o−キノンジアジド化合物が挙げられ
る。例えば、水不溶性かつアルカリ可溶性の高分子化合
物(以下、「アルカリ可溶性高分子化合物」という。)
とo−キノンジアジド化合物とを含有するポジ型感光性
樹脂組成物の場合、o−キノンジアジド化合物は、少な
くとも一つのo−キノンジアジド基を有する化合物で、
活性光線によりアルカリ水溶液に対する溶解性を増すも
のが好ましい。
【0043】このようなものとしては、種々の構造のも
のが知られており、例えば、J.KOSAR著「Lig
ht−Sensitive Systems」(Joh
nWiley & Sons,Inc,1965年発
行)p.336−352に詳細に記載されている。o−
キノンジアジド化合物としては、特に種々のヒドロキシ
化合物とo−ベンゾキノンジアジドまたはo−ナフトキ
ノンジアジドとを原料とするスルホン酸エステルが好適
である。
【0044】上記のようなo−キノンジアジド化合物と
しては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアル
デヒド樹脂またはクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂と
のエステル;米国特許第3,635,709号明細書に
記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−
5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹
脂とのエステル;特公昭63−13,528号公報に記
載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5
−スルホニルクロライドとレゾルシン−ベンズアルデヒ
ド樹脂とのエステル;特公昭62−44,257号公報
に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−5−スルホニルクロライドとレゾルシン−ピロガロー
ル・アセトン共縮合樹脂とのエステル;
【0045】特公昭56−45,127号公報に記載さ
れている末端にヒドロキシ基を有するポリエステルに
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニル
クロライドをエステル化させたもの;特公昭50−2
4,641号公報に記載されているN−(4−ヒドロキ
シフェニル)メタクリルアミドのホモポリマーまたは他
の共重合しうるモノマーとの共重合体に1,2−ナフト
キノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエ
ステル化させたもの;特公昭54−29,922号公報
に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−5−スルホニルクロライドとビスフェノール・ホルム
アルデヒド樹脂とのエステル;特公昭52−36,04
3号公報に記載されているp−ヒドロキシスチレンのホ
モポリマーまたは他の共重合しうるモノマーとの共重合
体に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホ
ニルクロライドをエステル化させたもの;1,2−ナフ
トキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドと
ポリヒドロキシベンゾフェノンとのエステルがある。
【0046】その他、本発明に使用できる公知のo−キ
ノンジアジド化合物としては、特開昭63−80254
号、特開昭58−5737号、特開昭57−11153
0号、特開昭57−111531号、特開昭57−11
4138号、特開昭57−142635号、特開昭51
−36129号、特公昭62−3411号、特公昭62
−51459号、特公昭51−483号等の各公報に記
載されているもの等を挙げることができる。o−キノン
ジアジド化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形
分に対して、通常、5〜60質量%であり、好ましくは
10〜40質量%である。
【0047】o−キノンジアジド化合物以外の感光性化
合物としては、アルカリ可溶性基を酸分解基で保護した
化合物と光酸発生剤との組み合わせからなる化学増幅系
の感光物(光照射感応性混合物)を用いることができ
る。
【0048】化学増幅系の感光物に用いられる光酸発生
剤としては、公知のものを用いることができる。例え
ば、S.I.Schlesinger,Photog
r.Sci.Eng.,18,387(1974)、
T.S.Bal et al,Polymer,21,
423(1980)等に記載されているジアゾニウム
塩、米国特許第4,069,055号明細書、同4,0
69,056号明細書、特開平3−140140号公報
等に記載されているアンモニウム塩、D.C.Neck
er et al,Macromolecules,1
7,2468(1984)、C.S.Wen et a
l,Teh,Proc.Conf.Rad.Curin
g ASIA,p.478 Tokyo,Oct(19
88)、米国特許第4,069,055号、同4,06
9,056号の各明細書等に記載されているホスホニウ
ム塩、J.V.Crivello et al,Mac
romorecules,10(6),1307(19
77)、Chem.& Eng.News,Nov.2
8,p.31(1988)、欧州特許第104,143
号、米国特許第339,049号、同第410,201
号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−
296514号の各公報等に記載されているヨードニウ
ム塩、J.V.Crivello et al,Pol
ymer J.17,73(1985)、J.V.Cr
ivello et al.J.Org.Chem.,
43,3055(1978)、W.R.Wattet
al,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,22,1789(1984)、
J.V.Crivello et al,Polyme
r Bull.,14,279(1985)、J.V.
Crivello et al,Macromorec
ules,14(5),1141(1981)、J.
V.Crivello et al,J.Polyme
r Sci.,PolymerChem.Ed.,1
7,2877(1979)、欧州特許第370,693
号、米国特許第3,902,114号,欧州特許第23
3,567号、同297,443号、同297,442
号、米国特許第4,933,377号、同410,20
1号、同339,049号、同4,760,013号、
同4,734,444号、同2,833,827号、独
国特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書等に記載されて
いるスルホニウム塩、
【0049】J.V.Crivello et al,
Macromorecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記
載されているセレノニウム塩、C.S.Wen et
al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curi
ng ASIA,p.478 Tokyo,Oct(1
988)等に記載されているアルソニウム塩等のオニウ
ム塩;米国特許第3,905,815号明細書、特公昭
46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭
55−32070号、特開昭60−239736号、特
開昭61−169835号、特開昭61−169837
号、特開昭62−58241号、特開昭62−2124
01号、特開昭63−70243号、特開昭63−29
8339号の各公報等に記載されている有機ハロゲン化
合物;K.Meier et al,J.Rad.Cu
ring,13(4),26(1986)、T.P.G
ill et al,Inorg.Chem.,19,
3007(1980)、D.Astruc,Acc.C
hem.Res.,19(12),377(189
6)、特開平2−161445号公報等に記載されてい
る有機金属/有機ハロゲン化物;S.Hayase e
t al,J.Polymer Sci.,25,75
3(1987)、E.Reichmaniset a
l,J.Pholymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.
Zhu et al,J.Photochem.,3
6,85,39,317(1987)、B.Amit
et al,Tetrahedron Lett.,
(24),2205(1973)、D.H.R.Bar
ton et al,J.ChemSoc.,3571
(1965)、P.M.Collins et al,
J.Chem.Soc.,Perkin I,1695
(1975)、M.Rudinstein et a
l,Tetrahedron Lett.,(17),
1445(1975)、J.W.Walker et
al J.Am.Chem.Soc.,110,717
0(1988)、S.C.Busman et al,
J.ImagingTechnol.,11(4),1
91(1985)、H.M.Houlihan et
al,Macormolecules,21,2001
(1988)、P.M.Collins et al,
J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,
532(1972)、S.Hayase et al,
Macromolecules,18,1799(19
85)、E.Reichmanis et al,J.
Electrochem.Soc.,Solid St
ate Sci.Technol.,130(6)、
F.M.Houlihan et al,Macrom
olcules,21,2001(1988)、欧州特
許第0290,750号、同046,083号、同15
6,535号、同271,851号、同0,388,3
43号、米国特許第3,901,710号、同4,18
1,531号の各明細書、特開昭60−198538
号、特開昭53−133022号の各公報等に記載され
ているo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生
剤;
【0050】M.Tunook et al,Poly
mer Preprints Japan,35
(8)、G.Berner et al,J.Rad.
Curing,13(4)、W.J.Mijs et
al,Coating Technol.,55(69
7),45(1983),Akzo、H.Adachi
etal,Polymer Preprints,J
apan,37(3)、欧州特許第0199,672
号、同84515号、同199,672号、同044,
115号、同0101,122号、米国特許第4,61
8,564号、同4,371,605号、同4,43
1,774号の各明細書、特開昭64−18143号、
特開平2−245756号、特開平4−365048号
の各公報等に記載されているイミノスルフォネ−ト等に
代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物;特
開昭61−166544号公報等に記載されているジス
ルホン化合物を挙げることができる。
【0051】これらの活性光線または放射線の照射によ
り分解して酸を発生する化合物(光酸発生剤)の添加量
は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常、0.
001〜40質量%であり、0.01〜20質量%であ
るのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ま
しい。
【0052】また、アルカリ可溶性基を酸分解基で保護
した化合物(酸により開裂しうる化合物)は、−C−O
−C−結合または−C−O−Si−結合を有する化合物
であり、以下の例を挙げることができる。 (a)少なくとも一つのオルトカルボン酸エステルおよ
びカルボン酸アミドアセタール群から選ばれるものを含
み、その化合物が重合性を有することができ、上記の群
が主鎖中の架橋要素として、または側方置換基として生
じうるような化合物、(b)主鎖中に反復アセタールお
よびケタール群から選ばれるものを含むオリゴマー性ま
たは重合体化合物、(c)少なくとも一種のエノールエ
ステルまたはN−アシルアミノカーボネート群を含む化
合物、(d)β−ケトエステルまたはβ−ケトアミドの
環状アセタールまたはケタール、(e)シリルエーテル
群を含む化合物、(f)シリルエノールエーテル群を含
む化合物、(g)アルデヒドまたはケトン成分が、現像
剤に対して、0.1〜100g/Lの溶解性を有するモ
ノアセタールまたはモノケタール、(h)第三級アルコ
ール系のエーテル、(i)第三級アリル位またはベンジ
ル位アルコールのカルボン酸エステルおよび炭酸エステ
ル。
【0053】光照射感応性混合物の成分として、酸によ
り開裂しうる化合物である上記(a)の化合物は、独国
特許出願公開第2,610,842号明細書および同第
2,928,636号明細書に記載されている。上記
(b)の化合物を含む混合物は、独国特許第2,30
6,248号明細書および同第2,718,254号明
細書に記載されている。上記(c)の化合物は、欧州特
許出願公開第0,006,626号明細書および同第
0,006,627号明細書に記載されている。上記
(d)の化合物は、欧州特許出願公開第0,202,1
96号明細書に記載されている。上記(e)の化合物
は、独国特許出願公開第3,544,165号明細書お
よび同第3,601,264号明細書に記載されてい
る。上記(f)の化合物は、独国特許出願公開第3,7
30,785号明細書および同第3,730,783号
明細書に記載されている。上記(g)の化合物は、独国
特許出願公開第3,730,783号明細書に記載され
ている。上記(h)の化合物は、例えば、米国特許第
4,603,101号明細書に記載されている。上記
(i)の化合物は、例えば、米国特許第4,491,6
28号明細書およびJ.M.Frechetらの論文
(J.Imaging Sci.30,59−64(1
986))に記載されている。これらのアルカリ可溶性
基を酸分解基で保護した化合物の含有量は、感光性樹脂
組成物の全固形分に対して、通常、1〜60質量%であ
り、好ましくは5〜40質量%である。
【0054】感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性高分
子化合物を含有してもよい。アルカリ可溶性高分子化合
物としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹
脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・
クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、フェノール
変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロ
ゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタクリルアミドの共重合体、ハイドロキノンモ
ノメタクリレート共重合体、特開平7−28244号公
報に記載されているスルホニルイミド系ポリマー、特開
平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基
含有ポリマー等が挙げられる。また、特開昭51−34
711号公報に記載されているようなフェノール性ヒド
ロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866
号に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル
系樹脂や、ウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ可溶性
の高分子化合物も用いることができる。これらのアルカ
リ可溶性高分子化合物は、重量平均分子量が500〜2
00,000であるのが好ましく、また、数平均分子量
が200〜60,000であるのが好ましい。アルカリ
可溶性高分子化合物は、単独で用いてもよく、2種以上
を組み合わせて使用してもよく、感光性樹脂組成物の全
固形分に対して、80質量%以下の含有量で用いられ
る。
【0055】更に、米国特許第4,123,279号明
細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホ
ルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデ
ヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基
として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物
を併用することは、画像の感脂性を向上させるうえで好
ましい。かかるアルカリ可溶性高分子化合物は、通常、
感光性樹脂組成物の全固形分に対して、90質量%以下
の含有量で用いられる。
【0056】感光性樹脂組成物中には、更に必要に応じ
て、感度を高めるための環状酸無水物、露光後直ちに可
視像を得るための焼き出し剤、画像着色剤としての染
料、その他のフィラー等を加えることができる。
【0057】感光性樹脂組成物中には、感度を高めるた
めに環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加す
るのが好ましい。環状酸無水物としては、具体的には、
米国特許第4,115,128号明細書に記載されてい
る化合物が挙げられる。
【0058】有機酸類としては、特開昭60−8894
2号公報、特開平2−96755号公報等に記載されて
いる、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸
類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、リン酸エステル
類、カルボン酸類等が挙げられる。
【0059】上記の環状酸無水物類、フェノール類およ
び有機酸類の含有量の合計は、感光性樹脂組成物の全固
形分に対して、0.05〜15質量%であるのが好まし
く、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。
【0060】露光後、直ちに可視像を得るための焼き出
し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化合物
と、酸と塩を形成して色調を変える有機染料との組み合
わせを挙げることができる。
【0061】焼き出し剤に用いられる露光によって酸を
放出する感光性化合物としては、例えば、特開昭50−
36209号公報、同55−62444号公報等に記載
されているo−ナフトキノンジアジド化合物;特開昭5
3−36223号公報に記載されているトリハロメチル
−2−ビロンやトリハロメチル−s−トリアジン;特開
昭55−77742号公報に記載されている2−トリハ
ロメチル−5−アリール−1,3,4−オキサジアゾー
ル化合物;ジアゾニウム塩等を挙げることができる。こ
れらの化合物は、単独または混合して使用することがで
き、その含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し
て、0.3〜15質量%であるのが好ましい。
【0062】感光性樹脂組成物においては、光分解して
酸性物質を発生する化合物の光分解生成物と相互作用す
ることによってその色調を変える有機染料が、少なくと
も1種以上用いられるのが好ましい。このような有機染
料としては、例えば、ジフェニルメタン系、トリアリー
ルメタン系、チアジン系、オキサジン系、フェナジン
系、キサンテン系、アントラキノン系、イミノナフトキ
ノン系、アゾメチン系の色素を用いることができる。具
体的には、例えば、特開昭50−36209号公報、同
55−77742号公報等に記載されている化合物が挙
げられる。
【0063】特に好ましい有機染料は、トリアリールメ
タン系染料である。トリアリールメタン系染料の中で
は、特開昭62−2932471号公報、特開平5−3
13359号公報に記載されているような対アニオンと
してスルホン酸化合物を有するものが特に有用である。
【0064】これらの染料は単独でまたは混合して使用
することができ、その含有量は、感光性樹脂組成物の全
固形分に対して、0.3〜15質量%であるのが好まし
い。また、必要に応じて他の染料、顔料と併用すること
ができ、その使用量は染料および顔料の総質量に対して
70質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下で
あるのがより好ましい。
【0065】上記感光性樹脂組成物の各成分を溶媒中に
溶解させ、または分散させて、本発明の平版印刷版用支
持体上に塗布することによって、本発明の平版印刷版原
版が得られる。溶媒としては、具体的には、例えば、ア
ルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンア
ルコール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プ
ロパノール等)、炭化水素類(トルエン、シクロヘキサ
ン等)、ハロゲン化炭化水素類(エチレンジクロライド
等)、ケトン類(アセトン、アセチルアセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸
エチル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ
−2−プロピルアセテート等)、エーテル類(エチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテ
ル等)、アミド類(ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドン等)、γ−ブチロラ
クトン、ジメチルスルホキシド、水およびこれらの溶媒
の混合物から適切に選択して使用することができる。
【0066】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げるこ
とができる。
【0067】<コンベンショナルネガタイプ>コンベン
ショナルネガタイプの感光層を有する本発明の平版印刷
版原版に用いられるネガ型感光性樹脂組成物としては、
例えば、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高
分子化合物(結合剤)とを含有するものが挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物に用いられるジアゾ樹脂として
は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩と、ホルムアルデヒ
ド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物が挙げら
れる。上記ジアゾ樹脂としては、例えば、p−ジアゾフ
ェニルアミン類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド
等のアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩ま
たはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機
溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩;特公昭47−1167号
公報に記載されているような、前記縮合物と、スルホン
酸塩類、例えば、p−トルエンスルホン酸、プロピルナ
フタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ジ
ブチルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−
5−スルホン酸との反応生成物である有機溶媒可溶性ジ
アゾ樹脂有機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78
340号公報に記載されている6量体以上を20モル%
以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。ま
た、特開昭58−27141号公報に記載されているよ
うな3−メトキシ−4−ジアゾ−ジフェニルアミンを
4,4′−ビス−メトキシ−メチル−ジフェニルエーテ
ルで縮合させメシチレンスルホン酸塩としたもの等も適
当である。更に、特公昭49−48001号公報に記載
されている芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂や、特開
平2−29650号公報に記載されている酸基を有する
芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂も好ましく用いられ
る。また、特開平4−18559号公報に記載されてい
る酸基を有するアルデヒドまたはアセタール化合物で縮
合されたジアゾ樹脂も同様に好ましく用いることができ
る。更に、カルボキシ基、スルホ基、スルフィン酸基、
リンの酸素酸基およびヒドロキシ基からなる群から選ば
れる少なくとも一つの有機基を有する芳香族化合物と、
ジアゾニウム化合物、好ましくは芳香族ジアゾニウム化
合物とを構造単位として含む共縮合体も好ましい。な
お、これらのジアゾ樹脂は、単独で用いてもよく、2種
以上の混合物として用いてもよい。ジアゾ樹脂の含有量
は、感光層の全固形分に対して、1〜70質量%である
のが好ましく、3〜60質量%であるのがより好まし
い。
【0068】ネガ型感光性樹脂組成物に用いられるアル
カリ可溶性または膨潤性の高分子化合物としては、酸含
有量が好ましくは0.1〜5.0meq/g、より好ま
しくは0.2〜3.0meq/gであり、実質的に水不
溶性(即ち、中性または酸性の水溶液に不溶性)で、皮
膜形成性を有する有機高分子化合物であって、アルカリ
現像液に溶解しまたは膨潤することができ、かつ、上述
したジアゾ樹脂の共存下で光硬化して上記現像液に不溶
化しまたは非膨潤化するものが好ましい。酸含有量が
0.1meq/g未満であると、現像が困難となる場合
があり、5.0meq/gを超えると、現像時の画像強
度が著しく弱くなる場合がある。
【0069】特に好適な結合剤としては、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分
として含む多元共重合体が挙げられる。例えば、特開昭
50−118802号、特開昭53−120903号、
特開昭54−98614号および特開昭56−4144
号の各公報等に記載されている多元共重合体が挙げられ
る。
【0070】また、結合剤としては、酸性ポリビニルア
ルコール誘導体や酸性セルロース誘導体も有用である。
また、ポリビニルアセタールやポリウレタンをアルカリ
可溶化した特公昭54−19773号、特開昭57−9
4747号、同60−182437号、同62−582
42号および同62−123453号の各公報に記載さ
れている結合剤も有用である。
【0071】結合剤の分子量は0.5〜20万であるの
が好ましく、2〜15万であるのがより好ましい。これ
らの結合剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して
用いてもよい。
【0072】感光層におけるジアゾ樹脂および結合剤の
含有量は、これら両者の総量を基準にして、ジアゾ樹脂
が3〜60質量%であり、結合剤が97〜40質量%で
あるのが適当である。ジアゾ樹脂の含有量は、少ない方
が感度は高いが、3質量%未満であると、結合剤を光硬
化させるためには不十分となり、現像時に光硬化膜が現
像液によって膨潤し、膜が弱くなる。逆に、ジアゾ樹脂
の含有量が60質量%を超えると、感度が低くなり、実
用上難点が出てくる。好ましくは、ジアゾ樹脂が5〜4
0質量%であり、結合剤が95〜60質量%である。
【0073】上記感光性樹脂組成物の各成分を溶解する
溶媒に溶かして、本発明の平版印刷版用支持体上に塗布
することによって、本発明の平版印刷版原版が得られ
る。溶媒は、アルカリ可溶性高分子化合物を含有する中
間層を設ける場合には、アルカリ可溶性高分子化合物を
溶解しないものが選択される。具体的には、例えば、上
述したコンベンショナルポジタイプの感光層の場合と同
様の溶媒が挙げられる。塗布する方法としては、上述し
たコンベンショナルポジタイプの感光層の場合と同様な
種々の方法を用いることができる。
【0074】上記成分の濃度(固形分)は、2〜50質
量%であるのが適当である。塗布量(固形分)としては
0.5〜4.0g/m2 であるのが好ましい。0.5g
/m 2 よりも少ないと、耐刷性が劣化する場合がある。
4.0g/m2 よりも多いと、耐刷性は向上するが、感
度が低下してしまう場合がある。
【0075】感光性樹脂組成物中には、塗布性を向上さ
せるための界面活性剤、例えば、特開昭62−1709
50号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。フッ素系界面活性剤の添加量
は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜
1質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質量%
であるのがより好ましい。
【0076】なお、上述したコンベンショナルネガタイ
プの感光層の下層に任意の層を設けてもよい。例えば、
特開2000−105462号公報に記載されている、
酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分と
を有する高分子化合物を含有する中間層等が挙げられ
る。
【0077】<フォトポリマータイプ> (感光層)フォトポリマータイプの感光層を有する本発
明の平版印刷版原版に用いられる光重合型感光性組成物
(以下「光重合性組成物」という。)は、付加重合可能
なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチ
レン性不飽和結合含有化合物」という。)と、光重合開
始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要
に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化
合物を含有する。
【0078】光重合性組成物に含有されるエチレン性不
飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照
射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合
し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有す
る化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、
末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましく
は2個以上有する化合物の中から任意に選択することが
でき、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量
体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これ
らの共重合体等の化学的形態を有する。
【0079】モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド
が挙げられる。不飽和カルボン酸とエステルのモノマー
を形成する脂肪族多価アルコール化合物の具体例として
は、エチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、
テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、ヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエ
リスリトール、ソルビトール、トリ(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレート、ビス[p−(3−ヒドロキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]ジメチルメタ
ン、ビス−[p−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェ
ニル]ジメチルメタン等が挙げられる。ただし、3価以
上のアルコール化合物は、分子内に少なくとも二つ以上
の重合性不飽和基が含有されていればいずれでもよい。
また、本発明においては、これらのエステルモノマーの
混合物を用いることもできる。
【0080】不飽和カルボン酸とアミドモノマーを形成
する脂肪族多価アミン化合物の具体例としては、メチレ
ンジアミン、エタンジアミン、プロパンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、キシリレンジアミン、シクロヘキサン
ジアミン、シクロヘキサンジメチルアミン等が挙げられ
る。
【0081】その他の例としては、特公昭48−417
08号公報に記載されている1分子中に2個以上のイソ
シアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、ヒ
ドロキシ基を有するビニルモノマーを付加せしめた1分
子中に2個以上の重合性ビニル基を有するビニルウレタ
ン化合物、特開昭51−37193号公報および特公平
2−32293号公報に記載されているようなウレタン
アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭4
9−43191号、特公昭52−30490号の各公報
に記載されているようなポリエステルアクリレート類、
エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキ
シアクリレート類等の多官能の(メタ)アクリレートを
挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vo1.2
0,No.7,p.300−308(1984年)に光
硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されている
ものも使用することができる。
【0082】これらのエチレン性不飽和結合含有化合物
の含有量は、光重合性組成物の全固形分に対して、5〜
80質量%であるのが好ましく、30〜70質量%であ
るのがより好ましい。
【0083】光重合性組成物に含有される光重合開始剤
としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で
公知である種々の光重合開始剤または2種以上の光重合
開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いること
ができる。以下に光重合開始剤の具体例を列挙するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。400nm
以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2
高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合に、
種々の光開始系が提案されている。以下に光重合開始剤
の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。光重合開始剤の具体例としては、光還元性
染料(米国特許第2,850,445号明細書記載:ロ
ーズベンガル、エオシン、エリスロジン等)、アミン
(特公昭44−20189号公報記載)、ラジカル発生
剤(特公昭45−37377号、特開昭52−1126
81号、同58−15503号、特開平2−17964
3号および同2−244050号の各公報記載)、ヘキ
サアリールビイミダゾール(特公昭47−2528号公
報および特開昭54−155292号公報記載)、環状
シス−α−ジカルボニル化合物(特開昭48−8418
3号公報記載)、環状トリアジン(特開昭54−151
024号公報記載)、ビイミダジール(特開昭59−1
40203号公報記載)、有機過酸化物(特開昭59−
1504号、同59−140203号、同59−189
340号、同62−174203号および特公昭62−
1641号の各公報ならびに米国特許第4,766,0
55号明細書記載)、活性ハロゲン化合物(特開昭63
−258903号公報および特開平2−63054号公
報記載)、ボレート化合物(特開昭62−143044
号、同62−150242号、同64−13140号、
同64−13141号、同64−13142号、同64
−13143号、同64−13144号、同64−17
048号、特開平1−229003号、特開平1−29
8348号、同1−138204号および同11−84
647号の各公報記載)、チオール化合物(特開昭59
−140203号公報等記載)、ジスルホン化合物(特
開昭61−166544号公報記載)、チタノセン化合
物(特開昭59−152396号、同61−15119
7号、特開平4−219756号、同4−221958
号、同6−295061号、同8−334897号、特
開2000−147763号および同2001−042
524号の各公報記載)、鉄−アレーン錯体(特開平1
−304453号公報、同1−152109号公報等記
載)等が挙げられる。
【0084】本発明においては、特にチタノセン化合物
を用いた系が感度の点で優れているので、好適に用いら
れる。チタノセン化合物としては、種々のものを用いる
ことができるが、例えば、特開昭59−152396号
公報および特開昭61−151197号公報に記載され
ている各種チタノセン化合物から適宜選んで用いること
ができる。
【0085】これら光開始系において、光で露光(光重
合)を可能にするためには、画像記録層が、更に増感色
素または増感助剤を含有するのが好ましい。光重合開始
剤に増感色素を併用することで、光重合開始剤の感光波
長領域を調整することができる。組み合わせる色素とし
て好ましいものは、シアニン系、メロシアニン系、キサ
ンテン系、ケトクマリン系、ベンゾピラン系の色素であ
る。シアニン系色素は、特に限定されないが、特開昭6
2−143044号公報、特公昭46−42363号公
報等に記載されているものが好適に例示される。メロシ
アニン系色素は、特に限定されないが、特公昭61−9
621号公報、特開平2−179643号公報等に記載
されているものが好適に例示される。また、メチン鎖中
に、チアゾリジノン環、イミダゾリキノン環、オキサゾ
リジン環またはジチオラノン環を含有するメロシアニン
染料(例えば、特開平2−244050号、特公昭59
−28326号、特開昭59−89303号、特開平8
−129257号の各公報等)も好適に例示される。キ
サンテン系色素は、特に限定されないが、ローダミン
B、ローダミン6G、エチルエオシン、アルコール可溶
性エオシン、ピロニンY、ピロニンBが好適に例示され
る。ケトクマリン系色素およびベンゾピラン系色素は、
特に限定されないが、特開平8−334897号公報に
記載されている化合物が好適に例示される。
【0086】更に、光重合性組成物は、上記光重合開始
剤に加えて、感度を一層向上させる作用、または、酸素
による重合阻害を抑制する作用等を有する公知の化合物
を共増感剤として含有してもよい。このような共増感剤
の例としては、アミン類(例えば、M.R.Sande
rら著「Journal of Polymer So
ciety」第10巻、p.3173(1972)、特
公昭44−20189号、特開昭51−82102号、
特開昭52−134692号、特開昭59−13820
5号、特開昭60−84305号、特開昭62−185
37号および特開昭64−33104号の各公報、なら
びに、Research Disclosure 33
825号に記載されている化合物等)、チオールおよび
スルフィド類(例えば、特開昭53−702号公報およ
び特公昭55−500806号公報に記載されている化
合物等)、特開平5−142772号公報に記載されて
いるチオール化合物、特開昭56−75643号公報に
記載されているジスルフィド化合物、アミノ酸化合物
(例えば、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−4
2965号公報に記載されている有機金属化合物(例え
ば、トリブチルスズアセテート等)、特公昭55−34
414号公報に記載されている水素供与体、特開平6−
308727号公報に記載されているイオウ化合物
(例、トリチアン等)、特開平6−250389号公報
に記載されているリン化合物(ジエチルホスファイト
等)等が挙げられる。
【0087】これらの光重合開始剤または光開始系の含
有量は、上記エチレン性不飽和結合含有化合物100質
量部に対し、0.05〜100質量部であるのが好まし
く、0.1〜70質量部であるのがより好ましく、0.
2〜50質量部であるのが更に好ましい。
【0088】光重合性組成物に含有される高分子結合剤
は、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけで
なく、感光層をアルカリ現像液に溶解させる必要がある
ため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分
子重合体が使用される。このような有機高分子重合体と
して、例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水
現像が可能になる。このような有機高分子重合体として
は、側鎖にカルボキシ基を有する付加重合体、例えば、
特開昭59−44615号、特公昭54−34327
号、特公昭58−12577号、特公昭54−2595
7号、特開昭54−92723号、特開昭59−538
36号および特開昭59−71048号の各公報に記載
されているもの、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリ
ル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合
体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共
重合体等が挙げられる。
【0089】また、高分子結合剤としては、側鎖にカル
ボキシ基を有する酸性セルロース誘導体を用いることも
できる。また、ヒドロキシ基を有する付加重合体に環状
酸無水物を付加させたものも有用である。
【0090】中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート
/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合
性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)ア
クリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。ま
た、水溶性有機高分子重合体として、ポリビニルピロリ
ドン、ポリエチレンオキサイド等が有用である。また、
硬化皮膜の強度を向上させるためには、アルコール可溶
性ポリアミド、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテ
ル;特公平7−120040号、特公平7−12004
1号、特公平7−120042号、特公平8−1242
4号、特開昭63−287944号、特開昭63−28
7947号、特開平1−271741号および特開平1
1−352691号の各公報に記載されているポリウレ
タン樹脂も有用である。
【0091】これらの有機高分子重合体には、側鎖にラ
ジカル反応性基を導入することにより、硬化皮膜の強度
を向上させることができる。付加重合反応しうる官能基
として、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ
基等が、光照射によりラジカルになりうる官能基とし
て、メルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリア
ジン構造、オニウム塩構造等が、極性基として、カルボ
キシ基、イミド基等がそれぞれ挙げられる。付加重合反
応しうる官能基としては、アクリル基、メタクリル基、
アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和結合基が特
に好ましいが、アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸
基、リン酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウ
レイド基、ウレイレン基、スルホ基およびアンモニオ基
からなる群から選ばれる官能基も有用である。
【0092】光重合性組成物の現像性を維持するために
は、本発明における高分子結合剤は適当な分子量および
酸価を有するのが好ましい。重量平均分子量は、500
0〜30万であるのが好ましく、また、酸価は20〜2
00であるのが好ましい。
【0093】高分子結合剤は光重合性組成物中に任意の
量を混和させることができるが、光重合性組成物の全固
形分に対し、10〜90質量%であるのが好ましく、3
0〜80質量%であるのがより好ましい。90質量%を
超えると、形成される画像強度等の点で好ましくない。
また、エチレン性不飽和結合含有化合物と高分子結合剤
との質量比は、1/9〜9/1であるのが好ましく、2
/8〜8/2であるのがより好ましく、3/7〜7/3
であるのが更に好ましい。
【0094】本発明においては、上記光重合性組成物が
赤外線吸収剤を含有することもできる。赤外線吸収剤の
具体例としては、後述するサーマルポジタイプの感熱層
に用いられる各種の赤外線吸収剤が挙げられる。
【0095】光重合性組成物は、以上の必須成分のほか
に、光重合性組成物の製造中または保存中においてエチ
レン性不飽和結合含有化合物の不要な熱重合を阻止する
ために、少量の熱重合禁止剤を含有するのが好ましい。
好適な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メ
トキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、
4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキ
シルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒド
ロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合
禁止剤の含有量は、光重合性組成物の全固形分に対し
て、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
【0096】また、光重合性組成物には、必要に応じ
て、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸や
ベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を含有させ
て、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させても
よい。高級脂肪酸誘導体等の含有は、光重合性組成物の
全固形分に対して、約0.5〜約10質量%であるのが
好ましい。
【0097】更に、光重合性組成物には、感光層の着色
を目的として、着色剤を含有させてもよい。着色剤とし
ては、上述したコンベンショナルポジタイプおよびコン
ベンショナルネガタイプの感光層に用いられる染料およ
び顔料(例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、
カーボンブラック)が挙げられる。着色剤の含有量は、
光重合性組成物の全固形分に対して、約0.5〜約20
質量%であるのが好ましい。また、光重合性組成物に
は、硬化皮膜の物性を改良するため、無機充填剤;ジオ
クチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジル
ホスフェート等の可塑剤等の添加剤を含有させてもよ
い。これらの含有量は、光重合性組成物の全固形分に対
して、10質量%以下であるのが好ましい。
【0098】光重合性組成物は、後述する接着層上に塗
布する際には、種々の溶媒に溶かして使用に供される。
溶媒としては、上述したコンベンショナルネガタイプの
感光層に用いられる溶媒として例示したのと同様のもの
が挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは混合して
使用することができる。塗布溶液の濃度(固形分)は、
1〜50質量%であるのが好ましい。光重合性組成物に
は、塗布面質を向上させるために、界面活性剤を含有さ
せることができる。
【0099】感光層の被覆量(固形分)は、約0.1〜
約10g/m2 であるのが好ましく、0.3〜5g/m
2 であるのがより好ましく、0.5〜3g/m2 である
のが更に好ましい。
【0100】(酸素遮断性保護層)また、通常、上記感
光層の上には、酸素の重合禁止作用を防止するために、
酸素遮断性保護層が設けられる。酸素遮断性保護層に含
有される水溶性ビニル重合体としては、ポリビニルアル
コール、その部分エステル、エ−テル、アセタール、そ
れらに必要な水溶性を有せしめるような実質的量の未置
換ビニルアルコール単位を含有するその共重合体が挙げ
られる。ポリビニルアルコールとしては、71〜100
%加水分解され、重合度が300〜2400のものが挙
げられる。その他の有用な重合体としては、ポリビニル
ピロリドン、ゼラチン、アラビアゴムが挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0101】酸素遮断性保護層を塗布する際に用いる溶
媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エタノー
ル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類等を純水と混合して用いてもよい。塗布溶液
の濃度(固形分)は、1〜20質量%であるのが好まし
い。酸素遮断性保護層には、更に塗布性を向上させるた
めの界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の
可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。酸素遮断性保
護層の被覆量は、乾燥後の質量で、約0.1〜約15g
/m2 であるのが好ましく、約1.0〜約5.0g/m
2 であるのがより好ましい。
【0102】(接着層)フォトポリマータイプの感光層
の下層として、以下に示す接着層を設けるのは、本発明
の好ましい態様の一つである。接着層は、アルケニル
基、アルキニル基等のラジカルによって付加反応を起こ
しうる官能基(以下「付加反応性官能基」という。)を
有するシリコン化合物を含有する。接着層の塗設は、付
加反応性官能基と、アルコキシ基等の加水分解可能な官
能基とを有する有機シリコン化合物(以下「有機シリコ
ン化合物(S)」という。)を用いて、平版印刷版用支
持体の表面を処理することにより、該加水分解可能な官
能基と、支持体表面の金属、金属酸化物、水酸化物、ヒ
ドロキシ基、支持体の化成処理によって形成されるシラ
ノール基等とを反応させて、有機シリコン化合物と支持
体表面との間に共有結合を形成させ、付加反応性官能基
を支持体表面に結合させ、または植え付ければよい。有
機シリコン化合物(S)の具体例としては、トリアルコ
キシシリル化合物(以下「有機シリコン化合物(S−
1)」という。)、テトラアルコキシシラン化合物(以
下「有機シリコン化合物(S−2)」という。)等のシ
ランカップリング剤が挙げられる。
【0103】有機シリコン化合物(S)としては、平版
印刷版としたときの耐汚れ性を向上させる観点から、有
機シリコン化合物(S−1)と有機シリコン化合物(S
−2)とを混合して用いるのが好ましい。
【0104】上述した有機シリコン化合物は、中央のS
i原子に結合する1〜4個の付加反応性官能基のうち少
なくとも1個が加水分解されずに残っている状態で平版
印刷版用支持体に塗布される。有機シリコン化合物を平
版印刷版用支持体上に塗設する際、そのまま用いてもよ
く、適当な溶媒で希釈して用いてもよい。平版印刷版用
支持体上で有機シリコン化合物をより強固に結合させる
ために、水および/または触媒を加えることができる。
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキシレ
ングリコール等のアルコール類が好適に例示され、ま
た、触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等の酸;
アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等
の塩基が好適に例示される。
【0105】平版印刷版用支持体上の付加反応性官能基
の量は、結合させる付加反応性官能基の種類によって異
なるが、通常、10nm2 あたり0.01〜1000個
であり、0.05〜200個であるのが好ましく、0.
1〜50個であるのがより好ましい。付加反応性官能基
量が10nm2 あたり0.01個未満であると、十分な
光接着強度が得られにくい。有機シリコン化合物を厚く
塗り重ねることによって、10nm2 あたりの付加反応
性官能基量を実質的にいくらでも多くすることができる
が、最表面に露出した状態で存在させることのできる付
加反応性官能基量は10nm2 あたり高々10個である
ので、厚く塗り過ぎても無駄になる。付加反応性官能基
量が多すぎて、非画像部の親水性が不足しないようにす
るためには、10nm2 あたりの付加反応性官能基の量
を1000個以下とするのが好ましい。
【0106】有機シリコン化合物(S−1)に対する有
機シリコン化合物(S−2)の混合モル比は、具体的に
は、0.05〜500であるのが好ましく、0.2〜2
00であるのがより好ましく、1〜100であるのが更
に好ましい。また、上記範囲で、有機シリコン化合物
(S−2)に由来する親水性基の量を多くすればするほ
ど非画像部の親水性が増す。ただし、親水性基の密度が
低い場合でも、付加反応性官能基を親水化処理すること
によって親水性基の密度を向上させることができる。
【0107】平版印刷版用支持体の表面への付加反応性
官能基の導入および有機シラン化合物の具体的態様は、
例えば、特開平7−159983号公報および同8−3
20551号公報に記載されている内容を用いることが
できる。
【0108】本発明に用いられる接着層の分布ムラがな
いようにするために、これらの処理液を支持体に塗布す
る前に溶媒を加えて濃度調整を行うことが好ましい。こ
の目的に使用する溶媒としてはアルコール類、特にメタ
ノールが好適であるが、他の溶剤、有機化合物、無機添
加剤、界面活性剤等を加えることもできる。他の溶剤の
例としては、上述したコンベンショナルネガタイプの感
光層に用いられる溶媒として例示したものが挙げられ
る。添加することのできる有機化合物の例としては、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン
樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコールが挙げ
られる。無機添加剤の例としては、コロイダルシリカ、
コロイダルアルミナが挙げられる。
【0109】本発明において用いられる液状組成物(有
機シリコン化合物またはその溶液もしくはゾル液)の施
工方法は、ハケ塗り、浸せき塗布、アトマイジング、ス
ピンコーティング、ドクターブレード塗布等、各種のも
のも使用することができ、必要とする処理膜厚等を勘案
して決められる。
【0110】なお、上述した付加反応性官能基を有する
シリコン化合物を含有する接着層は、フォトポリマータ
イプだけでなく、コンベンショナルポジタイプ、コンベ
ンショナルネガタイプ、サーマルポジタイプ、サーマル
ネガタイプおよび無処理タイプの各画像記録層において
も、設けることができる。
【0111】<サーマルポジタイプ> (感熱層)本発明に用いられるサーマルポジタイプの感
熱層は、アルカリ可溶性高分子化合物と赤外線吸収剤と
を含有する。ここで、アルカリ可溶性高分子化合物は、
高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する
単独重合体、これらの共重合体、およびこれらの混合物
を包含する。したがって、サーマルポジタイプの感熱層
は、アルカリ現像液に接触すると溶解する特性を有す
る。アルカリ可溶性高分子化合物としては、下記(1)
〜(6)の酸性基のうち少なくとも一つを高分子の主鎖
および/または側鎖中に有するものが、アルカリ現像液
に対する溶解性の点で好ましい。
【0112】 (1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(−SO2 NHCO
R、−SO2 NHSO2R、−CONHSO2 R)(以
下「活性イミド基」という。) (4)カルボキシ基(−CO2 H) (5)スルホ基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0113】上記(1)〜(6)中、Arは、置換基を
有していてもよい2価のアリール連結基を表す。Rは、
置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0114】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ可溶性高分子化合物の中でも、(1)フ
ェノール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性
イミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が好まし
く、特に、(1)フェノール基または(2)スルホンア
ミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が、アルカ
リ現像液に対する溶解性、膜強度を十分に確保する点か
ら最も好ましい。
【0115】つぎに、これらのアルカリ可溶性高分子化
合物の重合成分の代表的な例について述べる。 (1)フェノール性ヒドロキシ基を有する重合性モノマ
ーとしては、フェノール性ヒドロキシ基と、重合可能な
不飽和結合とをそれぞれ一つ以上有する低分子化合物か
らなる重合性モノマーが挙げられ、例えば、フェノール
性ヒドロキシ基を有するアクリルアミド類、メタクリル
アミド類;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、ヒドロキシスチレン等の各誘導体類が挙げられる。
これらフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーは、
2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0116】(2)スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマーとしては、1分子中、窒素原子に少なくとも一つ
の水素原子が結合したスルホンアミド基(−NH−SO
2 −)と、重合可能な不飽和結合とをそれぞれ一つ以上
有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げら
れ、例えば、アクリロイル基、アリル基またはビニロキ
シ基と、モノ置換アミノスルホニル基または置換スルホ
ニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。この
ような化合物としては、例えば、特開平8−12302
9号公報に記載されている一般式(I)〜(V)で示さ
れる化合物が挙げられる。これらの化合物のうち、スル
ホンアミド基を有する重合性モノマーとして、具体的に
は、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N
−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルア
ミド等を好適に使用することができる。
【0117】(3)活性イミド基を有する重合性モノマ
ーとしては、特開平11−84657号公報に記載され
ている活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、
1分子中に、活性イミド基と、重合可能な不飽和結合を
それぞれ一つ以上有する低分子化合物とからなる重合性
モノマーが挙げられる。活性イミド基を有する重合性モ
ノマーとしては、具体的には、N−(p−トルエンスル
ホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホ
ニル)アクリルアミド等を好適に使用することができ
る。
【0118】また、上記(4)カルボキシ基、(5)ス
ルホ基および/または(6)リン酸基を有するアルカリ
可溶性高分子化合物としては、例えば、1分子中に、こ
れらの酸性基と、重合可能な不飽和基とをそれぞれ一つ
以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成
分とする重合体を挙げることができる。
【0119】サーマルポジタイプの感熱層に用いられる
アルカリ可溶性高分子化合物を構成する、上記(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特
に1種のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最
小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最
小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることも
できる。共重合の方法としては、従来公知のグラフト共
重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用い
ることができる。
【0120】前記共重合体は、共重合させる上記(1)
〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体
中に10モル%以上含まれているのが好ましく、20モ
ル%以上含まれているのがより好ましい。10モル%未
満であると、現像ラチチュードを十分に向上させること
ができない傾向がある。
【0121】また、化合物を共重合して共重合体を形成
する場合、その化合物として、上記(1)〜(6)の酸
性基を含まない他の化合物を用いることもできる。
【0122】アルカリ可溶性高分子化合物としては、赤
外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点
で、米国特許第4,123,279号明細書等に記載さ
れているフェノール性ヒドロキシ基を有するノボラック
樹脂類、ピロガロールアセトン樹脂が好ましい。
【0123】アルカリ可溶性高分子化合物は、その重量
平均分子量が500以上であることが好ましく、1,0
00〜700,000であることがより好ましい。ま
た、その数平均分子量が500以上であることが好まし
く、750〜650,000であることがより好まし
い。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1
〜10であることが好ましい。
【0124】アルカリ可溶性高分子化合物は、それぞれ
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その
合計の含有量が、感熱層の全固形分に対して、1〜90
質量%であるのが好ましく、2〜70質量%であるのが
より好ましく、2〜50質量%であるのが更に好まし
い。含有量が1質量%未満であると、耐久性が悪化する
傾向にあり、また、90質量%を超えると、感度および
画像形成性が低下する傾向があるため好ましくない。
【0125】本発明に用いられる赤外線吸収剤は、光を
吸収して発熱する物質である。赤外線吸収剤は、露光エ
ネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用
解除を効率よく行うことを可能とする。本発明における
赤外線吸収剤は、記録感度の観点から、波長700〜1
200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が
好ましい。
【0126】前記顔料としては、市販の顔料、ならび
に、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料を利用することができる。
【0127】前記顔料の種類としては、例えば、黒色顔
料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、
紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔
料、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶
性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレート
アゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ
顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックを用いるこ
とができる。
【0128】これらの顔料は表面処理をせずに用いても
よく、従来公知の表面処理を施して用いてもよい。
【0129】前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの
範囲にあるのが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあ
るのがより好ましく、0.1〜1μmの範囲にあるのが
更に好ましい。上記範囲であると、顔料の分散物の感熱
層塗布液中での安定性、感熱層の均一性等の点で好まし
い。
【0130】前記顔料を分散する方法としては、例え
ば、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)等に記載されているインキ製造やトナー製造等に用
いられる公知の分散技術が使用できる。
【0131】前記染料としては、市販の染料および文献
(例えば、「色素ハンドブック」(株)講談社刊(19
86年)、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具
体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンア
ゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタ
ロシアニン染料、カルボニウム染料、アズレニウム染
料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、ス
クワリリウム色素、ピリリウム塩、金属金属錯体(例え
ば、ジチオール金属錯体、含金属フタロシアニン)等の
染料を用いることができる。
【0132】本発明においては、これらの顔料または染
料の中でも、赤外光または近赤外光を吸収するものが、
赤外光または近赤外光を発光するレーザの利用に適する
点で特に好ましい。
【0133】そのような赤外光または近赤外光を吸収す
る顔料としては、フタロシアニン(含金属フタロシアニ
ンを含む。)、カーボンブラックが好適に用いられる。
また、赤外光または近赤外光を吸収する染料としては、
例えば、シアニン染料、メロシアニン染料、イミニウム
染料、オキソノール染料、ピリリウム(チオピリリウ
ム、セレナピリリウム、テルナピリリウムを含む。)系
染料、ナフトキノン染料、スクワリリウム染料、フタロ
シアニン(含金属フタロシアニンを含む。)染料、有機
金属錯体(ジチオール、ジアミン等との金属錯体化合物
等)等が挙げられる。具体的には、例えば、特開平7−
285275号公報の段落番号[0020]〜[002
1]に記載されている化合物、および、「エレクトロニ
クス関連色素−現状と将来展望−」第16章(株)シー
エムシー(1998年刊)等の公知資料に記載されてい
る化合物が挙げられる。
【0134】また、前記染料として好ましい別の例とし
て、米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)または(II)として記載されている近赤外吸収
染料、特開2000−267265号公報に記載されて
いるアルカリ性水溶液に可溶となる赤外吸収色素、特開
平11−309952号公報に記載されている熱によっ
て親水性に変化する官能基を含有する赤外吸収色素、特
開2000−160131号、同2000−33027
1号、同2001−117216号および同2001−
174980号の各公報に記載されているポリメチン色
素、特開2000−352817号公報に記載されてい
るフタロシアニン色素が挙げられる。ただし、本発明に
用いられる赤外線吸収剤としての色素は、これらに限定
されるものではない。
【0135】これらの顔料または染料の含有量は、感熱
層の全固形分に対して、好ましくは0.01〜50質量
%、より好ましくは0.01〜30質量%、更に好まし
くは0.1〜10質量%、染料の場合、特に好ましくは
0.5〜10質量%、顔料の場合、特に好ましくは1〜
10質量%である。顔料または染料の含有量が0.01
質量%未満であると感度が低くなる場合があり、また、
50質量%を超えると感熱層の均一性が失われ、感熱層
の耐久性が悪くなる場合がある。
【0136】これらの染料または顔料は他の成分と同一
の層に添加してもよいし、別の層を設け、そこへ添加し
てもよい。別の層とする場合、熱分解性でありかつ分解
しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の溶解性を
実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層へ添加す
るのが好ましい。
【0137】感熱層は、更に、必要に応じて、種々の添
加剤を含有することができる。例えば、熱分解性であ
り、分解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の
溶解性を実質的に低下させる物質を併用すると、画像部
の現像液への溶解阻止性の向上を図ることができるの
で、好ましい。そのような物質としては、例えば、オニ
ウム塩、キノンジアジド類、芳香族スルホン化合物、芳
香族スルホン酸エステル化合物が挙げられる。
【0138】オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウ
ム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム
塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩
が挙げられる。中でも、好適な具体例としては、上述し
たコンベンショナルポジタイプの感光層に用いられる光
酸発生剤として例示した化合物と同一の内容のものが挙
げられる。
【0139】オニウム塩の対イオンは、無機イオンまた
は有機イオンであり、具体的には、上記各公知文献に記
載されているものを用いることができる。
【0140】好適なキノンジアジド類としてはo−キノ
ンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用い
られるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個の
o−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解により
アルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物
を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは
熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キ
ノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化するこ
との両方の効果により感材系の溶解性を助ける。
【0141】本発明に用いられるo−キノンジアジド化
合物としては、上述したコンベンショナルポジタイプの
感光層に用いられるのと同様の化合物が挙げられる。
【0142】オニウム塩やo−キノンジアジド化合物の
添加量は、感熱層の全固形分に対して、好ましくは1〜
50質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ま
しくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物
は単一で使用できるが、2種以上の混合物として使用し
てもよい。
【0143】サーマルポジタイプの感熱層に含有される
他の成分としては、赤外線等の活性放射線で記録可能な
公知の種々の画像記録層材料の成分を適宜選択して用い
ることができる。サーマルポジタイプの感熱層は、必要
に応じて、種々の添加剤を含有するすることができる。
例えば、他のオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香
族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等を
含有させると、アルカリ可溶性高分子化合物の現像液へ
の溶解抑止機能を向上させることができるので、好まし
い。
【0144】また、感熱層は、更に感度を向上させる目
的で、フェノール類、米国特許第4,115,128号
明細書等に記載されている環状酸無水物類、特開昭60
−88942号公報、特開平2−96755号公報等に
記載されている有機酸類を含有することもできる。環状
酸無水物類、フェノール類および有機酸類の含有量は、
添加される層の全固形分に対して、0.05〜20質量
%であるのが好ましく、0.1〜15質量%であるのが
より好ましく、0.1〜10質量%であるのが特に好ま
しい。
【0145】また、これら以外にも、エポキシ化合物、
ビニルエーテル類、特開平8−276558号公報に記
載されているヒドロキシメチル基を有するフェノール化
合物およびアルコキシメチル基を有するフェノール化合
物、特開昭62−251740号公報および特開平3−
208514号公報に記載されているような非イオン界
面活性剤、特開昭59−121044号公報および特開
平4−13149号公報に記載されているような両性界
面活性剤、欧州特許出願公開第950,517号明細書
に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭6
2−170950号公報および特開平11−28809
3号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー
共重合体、特開平11−160860号公報に記載され
ているアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物、可
塑剤類(例えば、ポリエチレングリコール;カルボン
酸、リン酸等のアルキルエステル類)等を目的に応じて
適宜含有することができる。これら添加剤は、感光層の
他の性能を劣化させない範囲で任意に添加することがで
きる。具体的には、それぞれ、添加される層の全固形分
に対して、0.01〜15質量%であるのが好ましく、
0.1〜5質量%であるのがより好ましい。
【0146】また、感熱層は、露光による加熱後直ちに
可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての
染料や顔料を含有することができる。焼き出し剤として
は、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸
放出剤)と塩を形成しうる有機染料との組み合わせが例
示される。具体的には、特開昭50−36209号、特
開昭53−8128号、特開昭53−36223号、特
開昭54−74728号、特開昭60−3626号、特
開昭61−143748号、特開昭61−151644
号および特開昭63−58440号の各公報等に記載さ
れている化合物が挙げられる。
【0147】画像着色剤としては、前述の塩形成性有機
染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有
機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性
染料が挙げられる。また、特開昭62−293247号
公報および特開平5−313359号公報に記載されて
いる染料は特に好ましい。これらの染料の添加量は、添
加される層の全固形分に対して、0.01〜10質量%
であるのが好ましく、0.1〜3質量%であるのがより
好ましい。
【0148】本発明の感熱層は1層でもよいし、特開平
11−218914号公報に記載されているような2層
構造として設けてもよい。
【0149】感熱層は、通常、上記各成分を溶媒に溶か
して得られる感熱層塗布液を、平版印刷版用支持体上に
塗布することにより製造することができる。ここで使用
する溶媒としては、上述したコンベンショナルネガタイ
プの感光層で用いられるのと同様の溶媒が挙げられる
が、これに限定されるものではない。これらの溶媒は単
独でまたは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添
加剤を含む全固形分)の濃度は、1〜50質量%である
のが好ましい。塗布する方法としては、上述したコンベ
ンショナルポジタイプの感光層の場合と同様な種々の方
法を用いることができる。
【0150】また、感熱層の塗布量(固形分)は、用途
によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2
あるのが好ましい。上記範囲より塗布量が少なくなる
と、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果た
す感熱層の皮膜特性が低下する。
【0151】(下塗層)サーマルポジタイプの感熱層と
支持体との間には、必要に応じて、下塗層を設けること
ができる。下塗層に含有される成分としては種々の有機
化合物が挙げられる。例えば、カルボキシメチルセルロ
ース;デキストリン;アラビアガム;2−アミノエチル
ホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基
を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホス
ホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メ
チレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホ
スホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、
ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の
有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフ
ィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン
酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリ
シン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールア
ミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上混合して用いてもよい。
【0152】また、下塗層としては、特開2000−1
05462号公報に記載されている、酸基を有する構成
成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化
合物を含有する中間層も好適に用いられる。この中間層
を設けると、十分なアルカリ現像性を有し、印刷時の耐
汚れ性および画像強度の低下を生じることなく、鮮明な
画像の印刷物を多数枚得ることができるようになる。な
お、この下塗層は、サーマルポジタイプだけでなく、コ
ンベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイ
プ、フォトポリマータイプ、サーマルネガタイプおよび
無処理タイプの各画像記録層においても、設けることが
できる。
【0153】下塗層は次のような方法で設けることがで
きる。即ち、水もしくはメタノール、エタノール、メチ
ルエチルケトン等の有機溶剤またはそれらの混合溶剤に
上記の有機化合物を溶解させた溶液を平版印刷版用支持
体上に塗布し乾燥させて設ける方法と、水もしくはメタ
ノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤
またはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させ
た溶液に、アルミニウム板を浸せきさせて上記化合物を
吸着させ、その後水等によって洗浄し乾燥させて設ける
方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の好ま
しくは0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方
法で塗布することができる。また、後者の方法では、溶
液の濃度は好ましくは0.01〜20質量%、より好ま
しくは0.05〜5質量%であり、浸せき温度は好まし
くは20〜90℃、より好ましくは25〜50℃であ
り、浸せき時間は好ましくは0.1秒〜20分、より好
ましくは2秒〜1分である。上記方法に用いる溶液は、
アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩
基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質により、pH1
〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録
材料の調子再現性改良のために黄色染料を含有すること
もできる。下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2
あるのが適当であり、5〜100mg/m2 であるのが
好ましい。被覆量が2mg/m2 未満であると、十分な
耐刷性が得られない場合がある。また、200mg/m
2 を超えても同様である。
【0154】<サーマルネガタイプ> (感熱層)サーマルネガタイプの感熱層は、赤外線吸収
剤を含有し、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部を形
成するネガ型の感熱層であれば、いずれのものも適用す
ることができる。このようなサーマルネガタイプの感熱
層の一つとして、光重合層が好適に挙げられる。光重合
層は、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤
(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重
合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物
とを含有し、好ましくは更に(D)バインダーポリマー
を含有する。光重合層においては、赤外線吸収剤が吸収
した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オ
ニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルが
発生する。ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個の
エチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン性不飽
和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化
合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合
反応が生起し、硬化する。
【0155】また、光重合層のほかに、サーマルネガタ
イプの感熱層の一つとして、酸架橋層が好適に挙げられ
る。酸架橋層は、(E)光または熱により酸を発生する
化合物(以下「酸発生剤」という。)と、(F)発生し
た酸により架橋する化合物(以下「架橋剤」という。)
とを含有し、更に、これらを含有する層を形成するため
の、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可
溶性高分子化合物を含有する。酸架橋層においては、光
照射または加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸
が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士の間または架橋
剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成
され、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤
に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを
効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収
剤が配合される。
【0156】光重合層に用いられる各化合物について以
下に述べる。 (A)赤外線吸収剤 赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を
有する。赤外線吸収剤が発生させた熱により、ラジカル
発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや酸を発生させ
る。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長7
60〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料
である。
【0157】前記染料としては、例えば、サーマルポジ
タイプの感熱層に含有される赤外線吸収剤として、上記
に例示した染料が挙げられる。これらの染料のうち特に
好ましいものとして、オキソノール色素、シアニン色
素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、有機金属錯体
類(フタロシアニン金属塩、ジチオレート金属錯体等)
が挙げられる。具体的には、特開平11−119421
号、同11−95421号、特開2000−26726
5号、同2000−338651号、同2000−34
7393号および同2001−125260号の各公報
等に記載されている赤外線吸収色素が挙げられる。
【0158】前記顔料としては、市販の顔料、ならび
に、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料を利用することができる。具体的には、
例えば、サーマルポジタイプの感熱層に含有される赤外
線吸収剤として、上記に例示した顔料が挙げられる。こ
れらの顔料の詳細は、サーマルポジタイプの感熱層に用
いられる顔料と同様である。
【0159】染料または顔料の含有量は、感熱層の全固
形分に対して、0.01〜50質量%であるのが好まし
く、0.1〜10質量%であるのがより好ましく、更
に、染料の場合には、0.5〜10質量%であるのが更
に好ましく、また、顔料の場合には、1.0〜10質量
%であるのが更に好ましい。含有量が0.01質量%未
満であると、感度が低くなることがあり、50質量%を
超えると、平版印刷版とした場合に、非画像部に汚れが
発生することがある。
【0160】(B)ラジカル発生剤 ラジカル発生剤は、熱エネルギーによりラジカルを発生
させ、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始さ
せ、促進させる化合物である。ラジカル発生剤として
は、従来公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小
さな結合を有する化合物等を適宜選択して用いることが
できる。例えば、オニウム塩化合物(具体的には、上述
したコンベンショナルポジタイプの感光層に用いられる
光酸発生剤として例示したオニウム塩化合物等)、カル
ボニル化合物、有機過酸化物、有機ハロゲン化合物、ア
ゾ系重合開始剤、アジド化合物、チタノセン系化合物、
ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸塩化
合物、ジスルホン化合物が挙げられる。具体的には、例
えば、上述したフォトポリマータイプの感光層に用いら
れる光重合開始剤として例示したものが挙げられる。
【0161】また、ラジカル発生剤として、有機ホウ素
錯体を用いることもできる。有機ホウ素錯体としては、
例えば、特開平6−157623号、特開平6−175
564号、特開平6−175561号の各公報に記載さ
れている有機ホウ素スルホニウム錯体または有機ホウ素
オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公
報および特開平6−175553号公報に記載されてい
る有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−18871
0号公報に記載されている有機ホウ素ホスホニウム錯
体、特開平6−348011号、特開平7−12878
5号、特開平7−140589号、特開平7−3065
27号、特開平7−292014号等の各公報に記載さ
れている有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
【0162】これらラジカル発生剤の中でも、特に、オ
ニウム塩化合物が好ましい。本発明において、好適に用
いることのできるオニウム塩化合物の具体例としては、
特開2001−133969号公報の段落番号[003
0]〜[0033]に記載されているものを挙げること
ができる。本発明において用いられるオニウム塩化合物
は、極大吸収波長が400nm以下であるのが好まし
く、360nm以下であるのがより好ましい。このよう
に吸収波長を紫外線領域にすることにより、本発明の平
版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができ
る。
【0163】これらのラジカル発生剤の含有量は、感熱
層の全固形分に対して、0.1〜50質量%であるのが
好ましく、0.5〜30質量%であるのがより好まし
く、1〜20質量%であるのが更に好ましい。含有量が
0.1質量%未満であると感度が低くなり、また、50
質量%を超えると印刷時非画像部に汚れが発生する場合
がある。これらのラジカル発生剤は、1種のみを用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの
ラジカル発生剤は他の成分と同一の層に添加してもよい
し、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0164】(C)ラジカル重合性化合物 ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性
不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、
末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましく
は2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合
物群は当該産業分野において広く知られるものであり、
本発明においてはこれらを特に限定なく用いることがで
きる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即
ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合
物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。
【0165】モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。
好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロ
キシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有
する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と、単官能ま
たは多官能のイソシアネート類またはエポキシ類との付
加反応物、単官能または多官能のカルボン酸との脱水縮
合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート
基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カル
ボン酸エステルまたはアミド類と、単官能または多官能
のアルコール類、アミン類またはチオール類との付加反
応物、更に、ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置
換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類
と、単官能または多官能のアルコール類、アミン類また
はチオール類との置換反応物も好適である。また、別の
例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和
ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用す
ることも可能である。
【0166】より具体的な態様としては、フォトポリマ
ータイプの感光層に含有されるエチレン性不飽和結合含
有化合物として、上記に例示したのと同様の内容が挙げ
られる。
【0167】これらのラジカル重合性化合物について、
どのような構造を用いるか、単独で使用するか2種以上
を併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳
細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に
設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が
好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、
画像部、即ち、硬化膜の強度を高くするためには、3官
能以上のものがよく、更に、異なる官能数や異なる重合
性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化
合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合
物等:例えば、特公昭49−43191号、同52−3
0490号、同46−43946号、特公平1−403
37号、同1−40336号、特開平2−25493
号、特開昭61−22048号の各公報、日本接着学会
誌,vol.20(No.7)(1984)等)を組み
合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する
方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の
高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピード
や現像液中での析出という点で好ましくない場合があ
る。また、感熱層中の他の成分(例えば、バインダーポ
リマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対し
ても、ラジカル重合化合物の選択および使用法は重要な
要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上
化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがあ
る。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上
せしめる目的で特定の構造を選択することもありうる。
画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に関して
は、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合に
は、好ましくない相分離が生じたり、画像記録層の粘着
性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の転
写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が
生じるなどの問題を生じうる。
【0168】これらの観点から、ラジカル重合性化合物
の配合比は、多くの場合、感熱層の全固形分に対して、
5〜80質量%であるのが好ましく、20〜75質量%
であるのがより好ましい。また、これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。そのほか、ラジカ
ル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大
小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観
点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更
に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成および
塗布方法も実施しうる。
【0169】(D)バインダーポリマー 本発明においては、更にバインダーポリマーを使用する
のが好ましい。バインダーポリマーとしては線状有機ポ
リマーを用いることが好ましい。線状有機ポリマーとし
ては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像ま
たは弱アルカリ水現像を可能とするために、水または弱
アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマ
ーが選択される。このような線状有機ポリマーとして
は、側鎖にカルボキシ基を有するラジカル重合体、例え
ば、特開昭59−44615号、特公昭54−3432
7号、特公昭58−12577号、特公昭54−259
57号、特開昭54−92723号、特開昭59−53
836号、特開昭59−71048号の各公報に記載さ
れているもの、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリル
酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合
体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共
重合体等が挙げられる。また、同様に、側鎖にカルボキ
シ基を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。この
ほかに、ヒドロキシ基を有する重合体に環状酸無水物を
付加させたもの等が有用である。
【0170】特にこれらの中で、ベンジル基またはアリ
ル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリ
ル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れ
ており、好適である。
【0171】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特開平11−352691号の各公報等に記載されてい
る酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非
常に、強度に優れるので、耐刷性および低露光適性の点
で有利である。
【0172】更に、このほかに、水溶性線状有機ポリマ
ーとして、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサ
イド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるた
めに、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4
−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリ
ンのポリエーテル等も有用である。
【0173】本発明で使用される線状有機ポリマーの重
量平均分子量は、好ましくは5000以上であり、より
好ましくは1万〜30万であり、また、数平均分子量
は、好ましくは1000以上であり、より好ましくは2
000〜25万である。多分散度(重量平均分子量/数
平均分子量)は1以上であり、好ましくは1.1〜10
である。
【0174】これらの線状有機ポリマーは、ランダムポ
リマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいず
れであってもよい。
【0175】バインダーポリマーは単独で用いてもよ
く、混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有
量は、感熱層の全固形分に対して、20〜95質量%で
あるのが好ましく、30〜90質量%であるのがより好
ましい。含有量が20質量%未満であると、画像形成し
た際、画像部の強度が不足する場合がある。また、含有
量が95質量%を超えると、画像形成されない場合があ
る。また、ラジカル重合性化合物と線状有機ポリマーと
の質量比は、1/9〜7/3であるのが好ましい。
【0176】つぎに、酸架橋層に用いられる各化合物に
ついて以下に述べる。 (A)赤外線吸収剤 酸架橋層に必要に応じて用いられる赤外線吸収剤は、前
記光重合層において説明した(A)赤外線吸収剤と同様
のものを用いることができる。赤外線吸収剤の含有量
は、感熱層の全固形分に対して、0.01〜50質量%
であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがよ
り好ましく、更に、染料の場合には、0.5〜10質量
%であるのが更に好ましく、また、顔料の場合には、
1.0〜10質量%であるのが更に好ましい。含有量
が、0.01質量%未満であると、感度が低くなること
があり、50質量%を超えると、平版印刷版としたとき
に、非画像部に汚れが発生することがある。
【0177】(E)酸発生剤 酸発生剤とは、200〜500nmの波長領域の光を照
射し、または100℃以上に加熱することにより、酸を
発生する化合物をいう。酸発生剤としては、光カチオン
重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の
光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されて
いる公知の酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる公
知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。例え
ば、オニウム塩化合物、o−キノンジアジド化合物、有
機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。
これらの具体例は、上述したラジカル発生剤として例示
したのと同様のものが挙げられる。オニウム塩化合物の
好ましい態様としては、例えば、特開平10−3950
9号公報の段落番号[0010]〜[0035]に記載
されている化合物等が挙げられる。o−キノンジアジド
化合物としては、サーマルポジタイプの感熱層に用いら
れるものとして上記に例示したのと同様の化合物が挙げ
られる。
【0178】他の例としては、上述したコンベンショナ
ルポジタイプの感光層に用いられる光酸発生剤として例
示したのと同様の、有機金属/有機ハロゲン化物、o−
ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノス
ルホネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生
する化合物、ジスルホン化合物;これらの酸を発生させ
る基または化合物を、ポリマーの主鎖または側鎖に導入
された化合物が挙げられる。
【0179】更に、V.N.R.Pillai,Syn
thesis,(1),1(1980)、A.Abad
et al,Tetrahedron Lett.,
(47)4555(1971)、D.H.R.Bart
on et al,J.Chem.Soc.,(B),
329(1970)、米国特許第3,779,7798
号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載
されている、光により酸を発生させる化合物を用いるこ
ともできる。
【0180】上述した酸発生剤の中でも、特開2001
−142230号公報の段落番号[0197]〜[02
22]に記載されている化合物が好ましい。
【0181】酸発生剤の含有量は、感熱層の全固形分に
対して、0.01〜50質量%であるのが好ましく、
0.1〜25質量%であるのがより好ましく、0.5〜
20質量%であるのが更に好ましい。酸発生剤の含有量
が0.01質量%未満であると、画像が得られないこと
があり、また、50質量%を超えると、平版印刷版とし
たときに、印刷時において非画像部に汚れが発生するこ
とがある。酸発生剤は単独で使用してもよいし、2種以
上を組み合わせて使用してもよい。
【0182】(F)架橋剤 架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で
置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチ
ル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシ
メチル基を有する化合物、(iii)エポキシ化合物。
【0183】以下、上記(i)〜(iii)の化合物に
ついて詳述する。 (i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で
置換された芳香族化合物としては、例えば、ヒドロキシ
メチル基、アセトキシメチル基またはアルコキシメチル
基でポリ置換されている芳香族化合物または複素環化合
物が挙げられる。ただし、レゾール樹脂として知られる
フェノール類とアルデヒド類とを塩基性条件下で縮重合
させた樹脂状の化合物も含まれる。ヒドロキシメチル基
またはアルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合
物または複素環化合物の中でも、ヒドロキシ基に隣接す
る位置にヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基
を有する化合物が好ましい。また、アルコキシメチル基
でポリ置換された芳香族化合物または複素環化合物の中
でも、アルコキシメチル基が炭素数18以下の化合物が
好ましい。具体的には、例えば、特開2000−267
265号公報の段落番号[0077]〜[0083]に
記載されている一般式(8)〜(11)の化合物が挙げ
られる。これらの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を
向上させることができる点で好ましい。
【0184】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−ア
ルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許出願公開第0,133,
216号、西独特許第3,634,671号および同第
3,711,264号の各明細書に記載されている、単
量体およびオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮
合物ならびに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、欧州特許
出願公開第0,212,482号明細書に記載されてい
るアルコキシ置換化合物等が挙げられる。中でも、例え
ば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N
−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基
を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好まし
く、N−アルコキシメチル誘導体がより好ましい。
【0185】(iii)エポキシ化合物としては、一つ
以上のエポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリ
ゴマー、ポリマー等のエポキシ化合物が挙げられ、例え
ば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生
成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエ
ピクロルヒドリンとの反応生成物が挙げられる。そのほ
かに、米国特許第4,026,705号明細書および英
国特許第1,539,192号明細書に記載されている
エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0186】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の
化合物を用いる場合の含有量は、感熱層の全固形分に対
して、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜75
質量%であるのがより好ましく、20〜70質量%であ
るのが更に好ましい。架橋剤の添加量が、5質量%未満
であると、得られる画像記録材料の感熱層の耐久性が低
下することがあり、また、80質量%を超えると、保存
時の安定性が低下することがある。
【0187】本発明においては、架橋剤として、特開2
000−267265号公報の段落番号[0088]〜
[0097]に記載されている一般式(12)で表され
るフェノール誘導体も好適に使用することができる。
【0188】(G)アルカリ可溶性高分子化合物 アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹
脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が
挙げられる。ノボラック樹脂としては、フェノール類と
アルデヒド類とを酸性条件下で縮合させた樹脂が挙げら
れる。
【0189】中でも、フェノールとホルムアルデヒドと
から得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルム
アルデヒドとから得られるノボラック樹脂、p−クレゾ
ールとホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドとから得られる
ノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒ
ドとから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレ
ゾールとホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹
脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−
/p−混合、m−/o−混合およびo−/p−混合のい
ずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドとから得ら
れるノボラック樹脂や、フェノールとパラホルムアルデ
ヒドとを原料とし、触媒を使用せず密閉状態で高圧下で
反応させて得られるオルソ結合率の高い高分子量ノボラ
ック樹脂等が好ましい。ノボラック樹脂は、重量平均分
子量が800〜300,000で、数平均分子量が40
0〜60,000であるものの中から、目的に応じて好
適なものを選択して用いるのが好ましい。
【0190】また、側鎖にヒドロキシアリール基を有す
るポリマーも、ノボラック樹脂と同様に好適に用いられ
る。前記ヒドロキシアリール基としては、ヒドロキシ基
が一つ以上結合したアリール基が挙げられる。前記アリ
ール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ア
ントラセニル基、フェナントレニル基等が挙げられる。
中でも、入手の容易性および物性の観点から、フェニル
基およびナフチル基が好ましい。側鎖にヒドロキシアリ
ール基を有するポリマーの具体例としては、特開200
1−142230号公報の段落番号[0130]〜[0
163]に詳細に記載されているものが挙げられる。ア
ルカリ可溶性高分子化合物は、単独で用いてもよく、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0191】アルカリ可溶性高分子化合物の含有量は、
感熱層の全固形分に対して、5〜95質量%であるのが
好ましく、10〜95質量%であるのがより好ましく、
20〜90質量%であるのが更に好ましい。アルカリ水
可溶性樹脂の含有量が、5質量%未満であると、感熱層
の耐久性が劣化することがあり、また、95質量%を超
えると、画像形成されないことがある。
【0192】また、酸架橋層としては、上述した以外に
も、特開平8−276558号公報に記載されているフ
ェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特開平
7−306528号公報に記載されているジアゾニウム
化合物を含有するネガ型記録材料、特開平10−203
037号公報に記載されている環内に不飽和結合を有す
る複素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架
橋反応を利用したネガ型画像形成材料等を用いることも
できる。
【0193】(H)その他の成分 サーマルネガタイプの感熱層は、上記各成分のほかに、
必要に応じて、更に、種々の化合物を添加してもよい。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ上述した染料およ
び顔料を画像の着色剤として使用することができる。こ
れらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別
がつきやすいので、添加する方が好ましい。着色剤の含
有量は、感熱層の全固形分に対して、0.01〜10質
量%であるのが好ましい。
【0194】また、感熱層が光重合層である場合、塗布
液の調製中または保存中において、ラジカル重合性化合
物の不要な熱重合を阻止するために、上述したフォトポ
リマータイプの感光層の光重合性組成物に用いることが
できる熱重合禁止剤を、少量の熱重合防止剤として添加
することが好ましい。熱重合防止剤の含有量は、感熱層
の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるの
が好ましい。
【0195】また、必要に応じて、酸素による重合阻害
を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高
級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感
熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の含
有量は、感熱層の全固形分に対して、約0.1〜約10
質量%であるのが好ましい。
【0196】更に、感熱層においては、必要に応じて、
各種添加剤を併用することができる。具体的には、上述
したサーマルポジタイプの感熱層に任意に添加される成
分として用いられる化合物が挙げられる。
【0197】上記感熱層を設けて本発明の平版印刷版原
版を得るには、サーマルポジタイプの感熱層と同様の方
法を用いればよい。
【0198】塗布し乾燥させて得られる感熱層の塗布量
(固形分)は、用途によって異なるが、通常、0.5〜
5.0g/m2 であるのが好ましい。上記範囲である
と、各種性能が好適なものとなる。
【0199】<無処理タイプ>無処理タイプの感熱層と
しては、例えば、加熱または輻射線の照射により、照射
部分が特定の酸性基(例えば、ホスホ基、スルホ基、カ
ルボキシ基)を発生して可溶化するポリマー、または、
照射部分が疎水性領域を形成しうる化合物(以下「疎水
性化前駆体」ともいう。)を含有する親水性ポリマーマ
トリックスを含有する感熱層が挙げられる。
【0200】特定の酸性基を発生して可溶化するポリマ
ーとしては、スルホン酸発生系のものが好ましく、例え
ば、特開平10−282672号公報に記載されている
スルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−も
しくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリ
マー等を挙げることができる。
【0201】疎水性化前駆体としては、例えば、 (a)疎水性微粒子ポリマー (b)疎水性物質を内包するマイクロカプセル が挙げられる。これらは、加熱により、互いに融着した
り、マイクロカプセルが内包する疎水性化前駆体が熱に
より化学反応を起こしたりして、画像部領域、即ち、疎
水性領域(親インキ領域)を形成しうる。そして、これ
らの疎水性化前駆体は、好ましくは親水性のバインダー
中に分散されているので、画像記録(露光)後は、印刷
機シリンダー上に平版印刷版原版を取り付け、湿し水お
よび/またはインキを供給することで、特段の現像処理
を行うことなく、機上現像することができる。
【0202】疎水性微粒子ポリマーおよび疎水性物質を
内包するマイクロカプセルの平均粒径は、いずれも0.
01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜5.0
μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、高精
細な画像形成が可能となり、また、微粒子ポリマーの経
時安定性が良好となる。
【0203】疎水性微粒子ポリマーとしては、熱可塑性
微粒子ポリマー、熱硬化性微粒子ポリマー、熱反応性官
能基を有する微粒子ポリマー等が挙げられる。熱可塑性
微粒子ポリマーとしては、Reseach Discl
osureNo.33303(1992年1月)、特開
平9−123387号、同9−131850号、同9−
171249号、同9−171250号の各公報、欧州
特許出願公開第931,647号明細書等に記載されて
いる熱可塑性微粒子ポリマーを好適なものとして挙げる
ことができる。熱硬化性微粒子ポリマーとしては、例え
ば、フェノール骨格を有する樹脂、尿素系樹脂(例え
ば、尿素またはメトキシメチル化尿素等の尿素誘導体を
ホルムアルデヒド等のアルデヒド類により樹脂化したも
の)、メラミン系樹脂(例えば、メラミンまたはその誘
導体をホルムアルデヒド等のアルデヒド類により樹脂化
したもの)、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂が奉げられる。
【0204】また、疎水性物質を内包するマイクロカプ
セルとしては、例えば、上記疎水性微粒子ポリマーを内
包するマイクロカプセル、即ち、熱可塑性微粒子ポリマ
ー、熱硬化性微粒子ポリマー、熱反応性官能基を有する
微粒子ポリマー等を内包するマイクロカプセルが挙げら
れる。
【0205】しかし、疎水性化前駆体として特に好まし
いのは、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは
熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプ
セルである。これらに共通に用いられる熱反応性官能基
としては、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例え
ば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ア
リル基、ビニルオキシ基等);付加反応を行うイソシア
ネート基またはそのブロック体、その反応相手である活
性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロ
キシ基、カルボキシ基等);付加反応を行うエポキシ
基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシ基または
ヒドロキシ基;縮合反応を行うカルボキシ基とヒドロキ
シ基またはアミノ基;開環付加反応を行う酸無水物とア
ミノ基、ヒドロキシ基またはビニルオキシ基等を挙げる
ことができる。しかし、加熱により化学結合が形成され
る機能を有するものであれば、どのような反応を行う官
能基でもよい。
【0206】このような熱反応性官能基を有する微粒子
ポリマーとしては、アクリロイル基、メタクリルロイル
基、ビニル基、アリル基、ビニルオキシ基、エポキシ
基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イソシア
ネート基、酸無水物;それらを保護した基を有するもの
を挙げることができる。これらの基のポリマー粒子への
導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応
を利用して行ってもよい。
【0207】重合時に導入する場合は、これらの基を有
するモノマーを乳化重合し、または懸濁重合するのが好
ましい。そのような基を有するモノマーの具体例とし
て、例えば、特開2001−293971号公報の段落
番号[0018]〜[0035]に記載されている化合
物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。こ
れらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有し
ないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルア
クリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル等を挙げることができるが、熱反応性官
能基を有しないモノマーであれば、これらに限定されな
い。熱反応性官能基の導入を重合後に行う場合に用いる
高分子反応としては、例えば、国際公開第96/343
16号パンフレットに記載されている高分子反応を挙げ
ることができる。
【0208】熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの
凝固温度は、70℃以上であるのが好ましいが、経時安
定性を考えると100℃以上であるのがより好ましい。
【0209】疎水性微粒子ポリマーの含有量は、感熱層
の全固形分に対して、50質量%以上であるのが好まし
く、60質量%以上であるのがより好ましい。
【0210】本発明に用いられるマイクロカプセルは、
疎水性物質、好ましくは上記熱反応性官能基を有する化
合物を内包している。この熱反応性官能基を有する化合
物としては、重合性不飽和基、ヒドロキシ基、カルボキ
シ基、カルボキシラート基、酸無水物、アミノ基、エポ
キシ基およびイソシアネート基ならびにそのブロック体
から選ばれた少なくとも一個の官能基を有する化合物を
挙げることができる。
【0211】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタ
クリロイル基、ビニル基、アリル基等を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
ような化合物群は当該産業分野において広く知られるも
のであり、本発明においては、これらを特に限定なく用
いることができる。これらの化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、即ち、2量体、3量体およびオリ
ゴマーもしくはそれらの混合物またはそれらの共重合体
が挙げられる。具体的には、例えば、特開2001−2
77742号公報の段落番号[0016]〜[003
2]に記載されているものが挙げられる。
【0212】重合性不飽和基を有する化合物の具体例と
しては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、
マレイン酸等)、そのエステルおよびアミドが挙げら
れ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコ
ールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アミンとのアミドが挙げられる。また、ヒドロキシ基、
アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽
和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミド
と、単官能もしくは多官能イソシアネートまたはエポキ
シドとの付加反応物、および、単官能または多官能のカ
ルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に挙げられる。ま
た、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基
を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単
官能または多官能のアルコール、アミンおよびチオール
との付加反応物、更に、ハロゲン基、トシルオキシ基等
の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまた
はアミドと、単官能または多官能アルコール、アミンお
よびチオールとの置換反応物も好適に挙げられる。ま
た、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、
不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換
えた化合物が挙げられる。
【0213】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである、重合性不飽和基を有する化合物の
モノマーの具体例としては、フォトポリマータイプの感
光層に用いられるエチレン性不飽和結合含有化合物とし
て上記に例示した、各アクリル酸エステル、各メタクリ
ル酸エステル、各イタコン酸エステル、各クロトン酸エ
ステル、各イソクロトン酸エステルおよび各マレイン酸
エステルが挙げられる。具体的には、例えば、特開20
01−293971号公報の段落番号[0021]〜
[0030]に記載されている化合物が挙げられる。
【0214】その他の重合性不飽和基を有する化合物の
例としては、サーマルネガタイプの感熱層に用いられる
ラジカル重合性化合物として上記に例示したのと同様の
ものが挙げられる。
【0215】エポキシ基を有する化合物としては、グリ
セリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェ
ノール類もしくはポリフェノール類またはそれらの水素
添加物のポリグリシジルエーテル等が好適に挙げられ
る。
【0216】イソシアネート基を有する化合物として
は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイ
ソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート;そ
れらをアルコールまたはアミンでブロックした化合物が
好適に挙げられる。
【0217】アミノ基を有する化合物としては、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ポリエチレンイミン等が好適に挙げられる。ヒドロ
キシ基を有する化合物としては、末端メチロール基を有
する化合物、ペンタエリスリトール等の多価アルコー
ル、ビスフェノール・ポリフェノール類等が好適に挙げ
られる。
【0218】カルボキシ基を有する化合物としては、ピ
ロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸等の芳香族多
価カルボン酸、アジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸等
が好適に挙げられる。酸無水物を有する化合物として
は、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸無水物等が好適に挙げられる。ビニルオキシ基を
有する化合物としては、例えば、特開2002−291
62号公報に記載されている化合物が好適に挙げられ
る。
【0219】エチレン性不飽和結合を有する化合物の共
重合体としては、アリルメタクリレートの共重合体が好
適に挙げられる。具体的には、アリルメタクリレート/
メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチル
メタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチ
ルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
【0220】疎水性物質を内包するマイクロカプセルの
製造方法としては、カプセル膜を作る界面重合法、in
−situ法、コンプレックスコアセルベート法、有機
溶媒系からの相分離法等の公知の方法を用いることがで
きる。具体的には、例えば、特開2001−29397
1号公報の段落番号[0036]に記載されている方法
等を用いることができる。
【0221】疎水性物質を内包するマイクロカプセルに
用いられるマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、
溶剤によって膨潤する性質を有するものであるのが好ま
しい。この観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリ
ウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、またはこれらの混合物が好ましく、中
でも、ポリウレアおよび/またはポリウレタンがより好
ましい。上記マイクロカプセル壁には、上記熱反応性官
能基を有する化合物を導入してもよい。
【0222】このような疎水性物質を内包するマイクロ
カプセルは、マイクロカプセル同士が熱により合体する
ものであってもよいし、合体しないものであってもよ
い。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカ
プセル表面またはマイクロカプセル外に滲み出したも
の、または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱
により化学反応を起こせばよい。また、添加された親水
性樹脂、または、添加された低分子化合物と反応しても
よい。また、2種以上のマイクロカプセルに、それぞれ
異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせ
ることによって、マイクロカプセル同士を反応させても
よい。したがって、熱によってマイクロカプセル同士
が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましいことで
あるが、必須ではない。
【0223】感熱層における疎水性物質を内包するマイ
クロカプセルの含有量は、感熱層の全固形分に対して、
10〜60質量%であるのが好ましく、15〜40質量
%であるのがより好ましい。上記範囲内であると、良好
な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得ら
れる。
【0224】疎水性物質を内包するマイクロカプセルを
感熱層に含有させる場合、内包物を溶解させることがで
き、かつ、壁材を膨潤させることができる溶剤をマイク
ロカプセル分散媒中に添加することができる。このよう
な溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化
合物等のマイクロカプセル外への拡散が促進される。こ
のような溶剤の選択は、マイクロカプセル分散媒、マイ
クロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存する
が、多くの市販されている溶剤から容易に選択すること
ができる。例えば、架橋ポリウレアやポリウレタン壁か
らなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール
類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン
類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類
等が好ましい。
【0225】具体的には、上述したコンベンショナルポ
ジタイプに用いられる溶媒として例示したものと同様の
ものが挙げられるが、本発明はこれらに限られない。ま
た、これらの溶剤を2種以上用いてもよい。
【0226】また、マイクロカプセル分散液には溶解し
ないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いるこ
とができる。その添加量は、素材の組み合わせにより決
まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成
が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化す
る。通常、塗布液の5〜95質量%であるのが有効であ
り、10〜90質量%であるのが好ましく、15〜85
質量%であるのがより好ましい。
【0227】無処理タイプの感熱層が、熱反応性官能基
を有する微粒子ポリマーおよび/または熱反応性官能基
を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する
場合には、必要に応じて、これらの反応を開始させまた
は促進させる化合物を添加してもよい。反応を開始させ
または促進させる化合物としては、熱によりラジカルま
たはカチオンを発生するような化合物を挙げることがで
きる。例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合
物、過酸化物、アゾ化合物、オニウム塩(ジアゾニウム
塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、アシルホス
フィン、イミドスルホナート等が挙げられる。具体的に
は、例えば、サーマルネガタイプに用いられるラジカル
発生剤として例示した化合物、および、コンベンショナ
ルポジタイプに用いられる光酸発生剤として例示した化
合物が挙げられる。これらの化合物の含有量は、感熱層
の全固形分に対して、1〜20質量%であるのが好まし
く、3〜10質量%であるのがより好ましい。上記範囲
内であると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効
果または反応促進効果が得られる。
【0228】疎水性化前駆体としては、その周囲が親水
性であり、水に分散しうる自己水分散型微粒子を用いる
のが特に好ましい。自己水分散型微粒子は、自己水分散
性を有するので、感熱層を形成する際に用いられる感熱
層用塗布物中で、容易に、かつ、均一に分散し、また、
該塗布物を塗布し乾燥させた後の感熱層(乾膜)中で
も、親水性バインダーマトリックス中で粒子同士が凝集
することなく均一に分散して存在する。したがって、高
精細な印刷が可能であり、かつ、乾膜の経時安定性に優
れる。
【0229】自己水分散型微粒子としては、(1)分子
内に親油性樹脂の構造部分と親水性基とを有する構造部
分とを有する原料樹脂を、特開平3−221137号公
報、特開平5−66600号公報等に記載されているよ
うな転相乳化法によって乳化剤や保護コロイドなしに水
に分散させて得られる樹脂微粒子、(2)コア/シェル
構造を有し、コア部は親油性樹脂、シェル部は親水性成
分からなる樹脂で構成される微粒子、(3)疎水性物質
を内包し、その表面を親水性の壁材料で保護して得られ
るマイクロカプセル微粒子が好適に挙げられる。これら
の微粒子の周囲を親水性とする方法は、特に限定されな
いが、例えば、特開2001−315452号公報の段
落番号[0052]〜[0056]に記載されているの
と同様の方法が挙げられる。
【0230】上記微粒子ポリマーおよび/またはマイク
ロカプセルは、親水性樹脂からなるマトリックス中に分
散させることで、機上現像する場合には機上現像性が良
好となり、更に、感熱層自体の皮膜強度も向上する。ま
た、親水性樹脂を架橋硬化させて、現像処理不要の平版
印刷版原版を得ることができる。親水性樹脂としては、
例えば、特開2001−293971号公報の段落番号
[0043]に記載されているヒドロキシ基、カルボキ
シ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ア
ミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキ
シメチル基等の親水基を有するものや、特開2000−
335131号公報の段落番号[0063]〜[007
7]に記載されている親水性のゾルゲル変換系結着樹脂
が好ましい。
【0231】親水性樹脂の含有量は、感熱層の全固形分
に対して、5〜40質量%であるのが好ましく、10〜
30質量%であるのがより好ましい。上記範囲内である
と、機上現像する場合にも良好な機上現像性が得られ、
また、良好な皮膜強度が得られる。
【0232】また、上記親水性樹脂は、架橋硬化させて
用いてもよい。親水性樹脂を架橋硬化させる架橋剤とし
ては、通常、架橋剤として用いられている化合物が挙げ
られる。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハ
ンドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編
「高分子データハンドブック、基礎縮」培風館(198
6年)等に記載されている化合物を用いることができ
る。具体的には、例えば、特開2002−36745号
公報の段落番号[0053]に記載されている化合物が
挙げられる。そのほかに、塩化アンモニウム、シランカ
ップリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒
を併用することができる。
【0233】無処理タイプの感熱層においては、親水性
樹脂の中でも、ゾルゲル変換系結着樹脂を用いるのが好
ましい。以下、詳細に説明する。無処理タイプの感熱層
に好適に用いられるゾルゲル変換系結着樹脂としては、
多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状
構造を形成し、かつ、多価元素が未結合のヒドロキシ
基、アルコキシ基等も有していて、これらが混在した樹
脂状構造となっている高分子体であって、ヒドロキシ
基、アルコキシ基等が多い段階ではゾル状態であり、エ
ーテル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂構造が
強固となるような高分子体が挙げられる。
【0234】ゾルゲル変換系結着樹脂は、樹脂組織の親
水性度が変化する性質に加えて、ヒドロキシ基等の一部
が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面
を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持ってい
る。ゾルゲル変換を行うヒドロキシ基、アルコキシ基等
を有する多価元素は、アルミニウム、ケイ素、チタン、
ジルコニウム等が挙げられる。中でも、ケイ素を用いる
シロキサン結合によるゾルゲル変換系が好ましい。以
下、シロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明
するが、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を用い
るゾルゲル変換系は、下記の説明のケイ素をそれぞれの
元素に置き換えて実施することができる。
【0235】シロキサン結合によるゾルゲル変換系は、
ゾルゲル変換が可能な、少なくとも1個のシラノール基
を有するシラン化合物を含む系である。
【0236】ゾルゲル変換によって形成される無機親水
性結着樹脂は、好ましくはシロキサン結合およびシラノ
ール基を有する樹脂である。無処理タイプの感熱層は、
少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物を
含むゾルの系である塗布液を平版印刷版用支持体に塗布
し、塗布後、シラノール基の加水分解縮合が進んでシロ
キサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行することに
よって形成される。また、このゾルゲル変換系によって
形成される感熱層は、膜強度、柔軟性等の物理的性能の
向上や、塗布性の改良等を目的として、後述する有機親
水性ポリマー、架橋剤等を含有することもできる。
【0237】ゲル構造を形成するシロキサン樹脂および
少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物の
具体的の例としては、特開2002−6504号公報の
段落番号[0054]〜[0057]に記載されている
化合物が挙げられる。
【0238】無機親水性結着樹脂の形成には、上記シラ
ン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等の
ゾル−ゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化
合物を併用することができる。このような金属化合物と
しては、例えば、Ti(OR′)4 、TiCl4 、Zn
(OR′)2 、Zn(CH3 COCHCOCH3 2
Sn(OR′)4 、Sn(CH3 COCHCOCH3
4 、Sn(OCOR′)4 、SnCl4、Zr(O
R′)4 、Zr(CH3 COCHCOCH3 4 、Al
(OR′)3 、Al(CH3 COCHCOCH3 3
が挙げられる。
【0239】更に、上記シラン化合物、および、それと
併用することができる上記金属化合物の加水分解反応お
よび重縮合反応を促進するために、従来公知の無機酸、
炭酸、カルボン酸等の酸性触媒またはアンモニア、有機
アミン類等の塩基性触媒を併用することが好ましい。触
媒は、酸もしくは塩基性化合物をそのままで、または、
水、アルコール等の溶媒に溶解させた状態として用いる
ことができる(以下、酸を用いるものを「酸性触媒」、
塩基性化合物を用いるものを「塩基性触媒」とい
う。)。溶媒に溶解させる場合の濃度は、特に限定され
ないが、濃度が濃い方が加水分解反応および重縮合反応
の速度が速くなる傾向がある。ただし、濃度の濃い塩基
性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成すること
があるため、塩基性触媒の濃度(水溶液での濃度換算)
は1N以下であるのが好ましい。
【0240】上述したように、無処理タイプの感熱層と
しては、ゾル−ゲル法によって作成される感熱層(親水
性樹脂としてゾルゲル変換系結着樹脂を含有させた感熱
層)が好ましい。上記ゾル−ゲル法の詳細は、作花済夫
「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1
988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能性薄
膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等
の成書等に詳細に記載されている。
【0241】親水性樹脂の含有量は、感熱層の全固形分
に対して、5〜70質量%であるのが好ましく、10〜
50質量%であるのがより好ましい。上記範囲内である
と、良好な機上現像性および皮膜強度が得られる。
【0242】無処理タイプの感熱層には、赤外線吸収剤
を添加することが必要である。赤外線吸収剤は、波長7
00nm以上の光を吸収する物質であればよく、種々の
顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。
【0243】顔料および染料としては、例えば、上述し
たサーマルポジタイプの感熱層に用いられるものと同様
のものが挙げられる。中でも、顔料としては、水溶性ま
たは親水性の樹脂と分散しやすく、かつ、親水性を損わ
ないように、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートさ
れたカーボンブラックが特に好ましい。顔料の粒径は、
0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、
0.01μm〜0.5μmの範囲にあることがより好ま
しい。また、染料としては、水溶性染料が特に好まし
い。具体的には、例えば、特開2001−96936号
公報の段落番号[0036]〜[0041]に記載され
ている化合物が挙げられる。
【0244】前記金属微粒子としては、光熱変換性で光
照射によって熱融着する金属微粒子であれば特に限定さ
れないが、特開2001−293971号公報の段落番
号[0081]〜[0082]に記載されているよう
に、8〜11族(第VIII族および第IB族)に属す
る金属の単体または合金の微粒子であるのが好ましく、
Ag、Au、Cu、PtおよびPdから選ばれる金属の
単体または合金の微粒子であるのがより好ましい。金属
微粒子は、分散安定剤を含む水溶液に上記金属の塩また
は錯塩の水溶液を添加し、更に還元剤を添加して金属コ
ロイドとした後、不要な塩類を除去して用いられる。具
体的には、例えば、特開2002−29165号公報、
特開2000−335131号公報等に記載されてい
る。
【0245】金属コロイドの平均粒子径は、1〜500
nmであるのが好ましく、1〜100nmであるのがよ
り好ましく、1〜50nmであるのが更に好ましい。そ
の分散度は多分散でもよいが、変動係数が30%以下の
単分散の方が好ましい。
【0246】赤外線吸収剤の含有量は、顔料または染料
の場合、感熱層の全固形分に対して、30質量%以下で
あるのが好ましく、5〜25質量%であるのがより好ま
しく、7〜20質量%であるのが更に好ましい。また、
金属微粒子の場合、感熱層の全固形分の5質量%以上で
あるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ま
しく、20質量%以上であるのが更に好ましい。金属微
粒子の含有量が5質量%未満であると、感度が低くなっ
てしまう場合がある。
【0247】無処理タイプの感熱層には、必要に応じ
て、上述した成分以外に、種々の化合物を含有すること
ができる。例えば、耐刷性を一層向上させるために多官
能モノマーを感熱層のマトリックス中に含有させること
ができる。このような多官能モノマーとしては、マイク
ロカプセル中に内包されるモノマーとして例示したもの
を用いることができる。特に好ましいモノマーとして
は、トリメチロールプロパントリアクリレートを挙げる
ことができる。
【0248】また、無処理タイプの感熱層には、画像形
成後、画像部と非画像部との区別をつけやすくするた
め、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤と
して使用することができる。具体的には、上述したサー
マルポジタイプの感熱層に用いられる画像着色剤と同様
の化合物が挙げられる。また、フタロシアニン系顔料、
アゾ系顔料、酸化チタン等の顔料も、同様に好適に用い
ることができる。これらの含有量は、感熱層の全固形分
に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0249】また、無処理タイプの感熱層がエチレン性
不飽和結合を有する化合物を含有する場合、その不要な
熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加す
ることが好ましい。好適な熱重合防止剤としては、例え
ば、上述したフォトポリマータイプの感光層の光重合性
組成物に用いることができる熱重合禁止剤として例示し
た化合物が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、感熱
層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%である
のが好ましい。
【0250】また、無処理タイプの感熱層には、必要に
応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸
やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加し
て、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させても
よい。高級脂肪酸誘導体の含有量は、感熱層の全固形分
に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好まし
い。
【0251】更に、無処理タイプの感熱層は、必要に応
じて、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を含有す
ることができる。可塑剤としては、上述したサーマルポ
ジタイプの感熱層に用いられる可塑剤と同様の化合物が
例示される。
【0252】また、無処理タイプの感熱層は、無機微粒
子を含有することができる。無機微粒子としては、例え
ば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネ
シウム、アルギン酸カルシウム等が挙げられる。これら
は光熱変換性ではなくても、皮膜の強化、感熱層の表面
粗面化による界面接着性の強化等の効果を奏する。無機
微粒子の含有量は、感熱層の全固形分に対して、1.0
〜70質量%であるのが好ましく、5.0〜50質量%
であるのがより好ましい。1%以下であると期待される
効果が小さく、また、70質量%以上であると本来必要
な赤外線吸収剤の含有量が制約される場合がある。
【0253】また、無処理タイプの感熱層は、親水性ゾ
ル状粒子を含有することができる。上記親水性ゾル状粒
子の平均粒径は、1〜50nmであるのが好ましく、1
〜40nmであるのがより好ましい。親水性ゾル状粒子
の粒径が上記範囲内であると、親水性樹脂内において、
赤外線吸収剤として含有される金属微粒子等や、上述し
た疎水性熱溶融性樹脂微粒子等の疎水性化前駆体(露光
しない状態では疎水性であり、露光により疎水性となる
成分)とともに安定に分散して、感熱層の膜強度を十分
に保持することができ、また、レーザー光等により露光
して製版し、平版印刷版として印刷したときに、非画像
部へのインキの付着汚れを生じない、極めて親水性に優
れたものになるという効果が得られる。親水性ゾル状粒
子としては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、酸化
マグネシウムゾル、炭酸マグネシウムゾル、アルギン酸
カルシウムゾルが好適に挙げられる。中でも、シリカゾ
ル、アルミナゾル、アルギン酸カルシウムゾルまたはこ
れらの混合物が好ましい。これらの親水性ゾル状粒子
は、いずれも、市販品として容易に入手することができ
る。
【0254】上記赤外線吸収剤と上記親水性ゾル状粒子
の存在割合は、質量比で、100/0〜30/70であ
るのが好ましく、100/0〜40/60であるのがよ
り好ましい。また、赤外線吸収剤、疎水性化前駆体およ
び親水性ゾル状粒子の合計の含有量は、感熱層の全固形
分に対して、2〜95質量%であるのが好ましく、5〜
85質量%であるのがより好ましい。
【0255】感熱層は、通常、上記各成分を溶媒に溶か
して得られる感熱層塗布液を、親水層(陽極酸化皮膜層
または親水化処理後の陽極酸化皮膜層)上に塗布するこ
とにより製造することができる。ここで使用する溶媒と
しては、上述したフォトポリマータイプの感光層に用い
られるのと同様の溶媒が挙げられるが、本発明はこれら
に限定されるものではない。これらの溶剤は単独でまた
は混合して使用される。溶媒中の上記成分(全固形分)
の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。
【0256】塗布する方法としては、上述したような種
々の方法を用いることができる。
【0257】また、感熱層の塗布量(固形分)は、用途
によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2
あるのが好ましい。上記範囲より塗布量が少なくなる
と、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果た
す感熱層の皮膜特性が低下する。
【0258】本発明における感熱層には、塗布性を改善
するための界面活性剤、例えば、特開昭62−1709
50号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。界面活性剤の添加量は、感熱
層の全固形分に対して、0.01〜1質量%であるのが
好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがより好ま
しい。
【0259】<オーバーコート層>サーマルポジタイ
プ、サーマルネガタイプおよび無処理タイプ(以下、総
称して「サーマルタイプ」ともいう。)の感熱層の上に
は、オーバーコート層を設けることができる。本発明に
用いられるオーバーコート層は水溶性層であり、現像処
理時または印刷時に容易に除去されるものである。オー
バーコート層は、平版印刷版原版を積み重ねて保存した
場合におけるくっつきを防止するために、離型性を有す
る。
【0260】オーバーコート層の主成分は、水溶性の有
機または無機の高分子化合物であり、その水溶液等を塗
布し乾燥させることによって形成される皮膜がフィルム
形成能を有するものである。具体的には、例えば、特開
2001−162961号公報の段落番号[0011]
に記載されている水溶性樹脂、特開2002−1931
5号公報に記載されているセルロース類等が挙げられ
る。
【0261】また、オーバーコート層は、その他の添加
物を必要に応じて含有していてもよい。例えば、離型性
を増加させるために、水溶性または水分散性のフッ素原
子および/またはケイ素原子を含有する化合物を含有す
るのが好ましい。また、光熱変換物質を含有するのが好
ましい。光熱変換物質としては、例えば、特開2001
−162961号公報に記載されている化合物が好適に
挙げられる。
【0262】オーバーコート層は、表面の動摩擦係数
(μk)が2.5以下であるのが好ましく、0.03〜
2.0であるのがより好ましい。表面の動摩擦係数が上
記範囲であると、平版印刷版原版の搬送性が良好であ
り、かつ、アルカリ現像性または機上現像性および耐刷
性も良好となる。ここで、表面の「動摩擦係数」は、標
準ASTMD1894に従った測定法により測定したも
のである。即ち、下にある材料の表面が上にある材料の
裏面と接触しているように平版印刷版原版が置かれる。
「裏面」とは、平版印刷版用支持体の上に画像記録層お
よびオーバーコート層が設けられていない面を意味し、
「表面」とは、平版印刷版用支持体の上に画像記録層お
よびオーバーコート層が設けられている面を意味する。
動摩擦係数は、平版印刷版原版を3000枚積み重ね
て、35℃、75%の条件下で3日間放置した後、一番
下のサンプルを測定して求めることができる。
【0263】このような好ましい態様のオーバーコート
層は、水溶性樹脂、界面活性剤等の種類や、離型性を増
加させるフッ素原子および/またはケイ素原子を含有す
る化合物の種類および添加量を適宜組み合わせることで
得ることができる。例えば、フッ素原子および/または
ケイ素原子を含有する化合物のオーバーコート層の全固
形物に対する割合を、0.05〜5.0質量%とするの
が好ましく、0.1〜3質量%とするのがより好まし
い。
【0264】<バックコート層>このようにして、本発
明の平版印刷版用支持体上に、各種の画像記録層を設け
て得られた本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に
応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止
するために、有機高分子化合物からなる被覆層(以下
「バックコート層」という。)を設けることができる。
バックコート層の主成分としては、ガラス転移点20℃
以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共
重合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂
が好適に用いられる。飽和共重合ポリエステル樹脂は、
ジカルボン酸ユニットとジオールユニットとからなる。
ジカルボン酸ユニットとしては、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロ
ルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼ
ライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン
酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等
の飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0265】バックコート層は、更に、着色のための染
料、顔料等;平版印刷版用支持体との密着性を向上させ
るためのシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からな
るジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン
性ポリマー等;滑り剤として通常用いられる、ワック
ス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサ
ンよりなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサ
ン、ポリエチレン粉末等を適宜含有することができる。
【0266】バックコート層の厚さは、基本的には合紙
がなくとも画像記録層を傷付けにくい程度であればよ
く、0.01〜8μmであるのが好ましい。厚さが0.
01μm以下であると、平版印刷版原版を重ねて取り扱
った場合の画像記録層の擦れ傷を防ぐことが困難とな
る。厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷版の周
辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤して
厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させるこ
とがある。
【0267】バックコート層を平版印刷版原版の裏面に
被覆するには種々の方法を適用することができる。例え
ば、上記各成分を適当な溶媒の溶液にして、または乳化
分散液にして、塗布し乾燥させる方法、あらかじめフィ
ルム状に成形したものを接着剤や熱で貼り合わせる方
法、溶融押し出し機で溶融皮膜を形成し、貼り合わせる
方法等が挙げられる。中でも、上述した塗布量を確保す
るうえで好ましいのは、溶液にして塗布し乾燥させる方
法である。溶媒としては、特開昭62−251739号
公報に記載されているような有機溶剤が単独でまたは混
合して用いられる。塗布の方式および条件としては、画
像記録層を塗布する方式および条件の多くを利用するこ
とができる。即ち、例えば、コーティングロッドを用い
る方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、
スライドビードコーターを用いる方法が利用できる。バ
ックコート層は、画像記録層を設ける前に設けてもよ
く、設けた後に設けてもよく、画像記録層と同時に設け
てもよい。
【0268】[画像形成および現像処理]本発明の平版
印刷版原版は、画像記録層の種類に応じて、従来公知の
画像形成(例えば、露光)および現像処理を行って平版
印刷版とすることができる。像露光に用いられる活性光
線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀
灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングス
テンランプ、ケミカルランプが挙げられる。放射線とし
ては、例えば、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外
線、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギー
ビーム(レーザビーム)が挙げられる。レーザビームと
しては、例えば、ヘリウム・ネオンレーザ(He−Ne
レーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウ
ム・カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導
体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げ
られる。また、サーマルタイプの感熱層の場合は、従来
公知のサーマルヘッド方式を用いることもできる。
【0269】中でも、デジタルデータに基づきレーザ光
を照射して所望の画像様に露光した、フォトポリマータ
イプ、サーマルタイプの製版原版は、後述するようにア
ルカリ現像液を用いる方法で現像処理を行うのが好まし
い。このような方法で、露光および現像処理を行うと、
ポジ型の平版印刷版原版(サーマルポジタイプ)の場合
は、露光部の画像記録層に含有される赤外線吸収剤によ
りレーザー光が効率よく吸収され、露光による吸収エネ
ルギーの蓄積により露光部の画像記録層のみが発熱して
アルカリ可溶性となり、アルカリ現像液を用いた現像処
理により、露光部の画像記録層のみが除去されて所望の
画像が形成される。また、ネガ型の平版印刷版原版(サ
ーマルネガタイプ)の場合は、露光部の画像記録層に含
有される赤外線吸収剤によりレーザー光が効率よく吸収
され、露光による吸収エネルギーの蓄積により露光部の
画像記録層のみが発熱して酸を発生し、この酸により共
存する架橋剤が架橋反応を起こし、露光部の画像記録層
のみがアルカリ不溶性となる一方、未露光部の画像記録
層がアルカリ現像液を用いた現像処理により除去され
て、所望の画像が形成される。また、画像記録層がコン
ベンショナルポジタイプである場合は、同様に、後述す
るアルカリ現像液を好適に用いることができる。画像記
録層がコンベンショナルネガタイプである場合は、例え
ば、特開平3−103857号公報に記載されているよ
うな現像液を用いることができる。
【0270】以下、上記方法の現像処理に用いられるア
ルカリ現像液(以下、単に「現像液」ともいう。)につ
いて説明する。現像処理に用いられるアルカリ現像液は
アルカリ性水溶液であり、従来公知のアルカリ水溶液の
中から適宜選択して用いることができるが、ケイ酸アル
カリまたは非還元糖と、塩基とを含有するアルカリ水溶
液が好適に挙げられ、特にpH12.5〜14.0のも
のがより好適に挙げられる。
【0271】ケイ酸アルカリは、水に溶解したときにア
ルカリ性を示すものであり、例えば、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等のアルカリ金属
ケイ酸塩;ケイ酸アンモニウム等が挙げられる。これら
は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0272】ケイ酸アルカリを用いるアルカリ水溶液に
おいては、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2
アルカリ酸化物M2 O(Mはアルカリ金属またはアンモ
ニウム基を表す。)との混合比率および濃度の調整によ
り、現像性を容易に調節することができる。中でも、酸
化ケイ素SiO2 とアルカリ酸化物M2 Oとの混合比率
(SiO2/M2 O:モル比)が0.5〜3.0のもの
が好ましく、1.0〜2.0のものがより好ましい。S
iO2 /M2 Oが0.5未満であると、アルカリ強度が
強くなっていくため、平版印刷版原版に用いられるアル
ミニウム板をエッチングしてしまうという弊害が生じる
ことがあり、また、3.0を超えると、現像性が低下す
ることがある。
【0273】また、上記アルカリ水溶液におけるケイ酸
アルカリの濃度は、1〜10質量%であるのが好まし
く、3〜8質量%であるのがより好ましく、4〜7質量
%であるのが更に好ましい。濃度が1質量%未満である
と、現像性および処理能力が低下することがあり、ま
た、10質量%を超えると、沈殿や結晶を生成しやすく
なり、更に廃液時の中和の際にゲル化しやすくなり、廃
液処理に支障をきたすことがある。
【0274】非還元糖と塩基とを含有するアルカリ水溶
液において、「非還元糖」とは、遊離性のアルデヒド基
やケトン基を持たないために還元性を有しない糖類を意
味する。非還元糖は、還元基同士の結合したトレハロー
ス型少糖類と、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体
と、糖類に水素添加して還元した糖アルコールとに分類
され、これらのいずれも好適に用いることができる。具
体的には、特開平8−305039号公報および特開平
11−216962号公報に記載されている化合物が例
示される。
【0275】これらの非還元糖は、単独で用いてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルカリ水
溶液における非還元糖の含有量は、0.1〜30質量%
であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好
ましい。
【0276】上記ケイ酸アルカリまたは上記非還元糖と
組み合わせて用いられる塩基としては、従来公知のアル
カリ剤を適宜選択することができる。アルカリ剤として
は、例えば、特開平11−216962号公報の段落番
号[0083]〜[0084]に記載されている化合物
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0277】中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムが好ましい。これらを用いると、非還元糖に対する添
加量を調整することにより、広いpH領域においてpH
調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウ
ム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
【0278】アルカリ現像液は、上述したアルカリ水溶
液に、界面活性剤を含有させて得られる。界面活性剤と
しては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カ
チオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性
剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0279】本発明に用いられるノニオン性界面活性剤
は、特に限定されず、従来公知のものを用いることがで
きる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、
ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエー
テル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン
脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部
分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステ
ル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレ
ンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレング
リコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分
エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオ
キシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸
ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシ
アルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキ
ルアミンオキシド等が挙げられる。好ましくは、特開平
11−338126号公報の段落番号[0062]〜
[0067]に記載されている化合物が挙げられる。
【0280】その他の界面活性剤の具体例としては、特
開平11−338126号公報の段落番号[0095]
〜[0099]に記載されている化合物が挙げられる。
【0281】界面活性剤の含有量は、現像液中、0.1
〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜8.0質量
%であるのがより好ましく、1.0〜5.0質量%であ
るのが更に好ましい。含有量が少なすぎると、現像性低
下および感光層成分の溶解性低下を招き、逆に多すぎる
と、平版印刷版の耐刷性を低下させる。
【0282】アルカリ現像液は、キレート剤を含有する
ことができる。キレート剤としては、例えば、Na2
2 7 、Na5 3 3 、Na3 3 9 、Na2 4
P(NaO3 P)PO3 Na2 、カルゴン(ポリメタリ
ン酸ナトリウム)等のポリリン酸塩;エチレンジアミン
テトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ジエ
チレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリ
ウム塩、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリ
ウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレン
ジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム
塩、ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウ
ム塩、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そ
のカリウム塩、そのナトリウム塩、1,3−ジアミノ−
2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナ
トリウム塩等のアミノポリカルボン酸類;2−ホスホノ
ブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、
そのナトリウム塩、2−ホスホノブタノントリカルボン
酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、
1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、その
カリウム塩、そのナトリウム塩、1−ヒドロキシエタン
−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリ
ウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリ
ウム塩、そのナトリウム塩等の有機ホスホン酸類が挙げ
られる。
【0283】キレート剤の含有量は、使用される硬水の
硬度およびその使用量に応じて決定されるが、使用時の
現像液中、0.001〜5質量%であるのが好ましく、
0.01〜1.0質量%であるのがより好ましく、0.
05〜0.5質量%であるのが更に好ましい。
【0284】本発明に用いられるアルカリ現像液には、
更に現像性能を高める目的で、以下のような添加剤を添
加することができる。例えば、特開昭58−75152
号公報に記載されているNaCl、KCl、KBr等の
中性塩、特開昭58−190952号公報に記載されて
いるEDTA、NTA等のキレート剤、特開昭59−1
21336号公報に記載されている[Co(NH3) 6
Cl3 、CoCl2 ・6H2 O等の錯体、特開昭50−
51324号公報に記載されているアルキルナフタレン
スルホン酸ソーダ、n−テトラデシル−N,N−ジヒド
ロキシエチルベタイン等のアニオンまたは両性界面活性
剤、米国特許第4,374,920号明細書に記載され
ているテトラメチルデシンジオール等の非イオン性界面
活性剤、特開昭55−95946号公報に記載されてい
るp−ジメチルアミノメチルポリスチレンのメチルクロ
ライド第四級化合物等のカチオニックポリマー、特開昭
56−142528号公報に記載されているビニルベン
ジルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸ソ
ーダとの共重合体等の両性高分子電解質、特開昭57−
192951号公報に記載されている亜硫酸ソーダ等の
還元性無機塩、特開昭58−59444号公報に記載さ
れている塩化リチウム等の無機リチウム化合物、特開昭
59−75255号公報に記載されている有機Si、有
機Ti等を含有する有機金属界面活性剤、特開昭59−
84241号公報に記載されている有機ホウ素化合物等
が挙げられる。
【0285】また、アルカリ現像液には、現像カスの分
散性や、平版印刷版用原版の画像部の親インキ性を高め
るなどの目的で、必要に応じて、現像安定剤、有機溶
剤、還元剤、有機カルボン酸、硬水軟化剤、防腐剤、着
色剤、増粘剤、消泡剤等を添加してもよい。例えば、特
開平11−216962号公報の段落番号[0101]
〜[0110]に記載されている化合物類が挙げられる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0286】本発明に用いられるアルカリ現像液の使用
態様は、特に限定されない。近年では、特に、製版・印
刷業界において、製版作業の合理化および標準化のた
め、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この
自動現像機は、一般に現像部と後処理部とからなり、印
刷版を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とを有
し、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで
汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現
像処理を行うものである。また、最近は、処理液が満た
された処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷版
を浸せき搬送させて処理する方法も知られている。この
ような自動処理においては、各処理液に処理量、稼動時
間等に応じて補充液を補充しながら処理することができ
る。
【0287】この場合、現像液よりもアルカリ強度の高
い水溶液を補充液として現像液中に加えることによっ
て、長時間現像タンク中に現像液を交換することなく多
量の印刷版を処理することができる。本発明に用いられ
るアルカリ現像液を使用するに際しても、この補充方式
を採用することが好ましい態様である。補充液として
は、例えば、上述したアルカリ現像液であって、現像用
の現像液よりもアルカリ強度の高いものを用いることが
できる。
【0288】現像液および補充液には、現像性の促進ま
たは抑制、現像カスの分散性および画像部の親インキ性
を高める目的で、必要に応じて、上記以外の種々の界面
活性剤、有機溶剤等を添加することもできる。界面活性
剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤
または両性界面活性剤が好ましい。有機溶剤としては、
ベンジルアルコール等が好ましい。また、ポリエチレン
グリコールまたはその誘導体、ポリプロピレングリコー
ルまたはその誘導体等の添加も好ましい。更に、必要に
応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜
硫酸水素酸のナトリウム塩またはカリウム塩等の無機塩
系還元剤;有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を添
加することもできる。
【0289】上述したアルカリ現像液および補充液を用
いて現像処理されて得られる本発明の平版印刷版は、一
般に、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラ
ビアガム、デンプン誘導体を含有する不感脂化液を用い
て後処理がなされる。この後処理には、これらの処理液
を種々組み合わせて行うことができる。また、実質的に
未使用のアルカリ現像液で処理する、いわゆる使い捨て
処理方式とすることもできる。
【0290】また、以下に示すような、平版印刷版原版
に露光した後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有し
ない現像液を用いて現像する平版印刷版の処理方法も用
いられる。この方法を用いると、アルカリ金属ケイ酸塩
を含有する現像液を用いて現像する場合における問題、
即ち、SiO2 に起因する固形物が析出しやすいこと、
現像液の廃液を処理する際の中和処理においてSiO2
に起因するゲルが生成すること等の問題の発生を防止す
ることができる。なお、本方法については、特開平11
−109637号公報に詳細に記載されており、本発明
においては、該公報に記載されている内容を用いること
ができる。
【0291】露光 本方法においては、現像処理の前に、像露光を行う。像
露光に用いられる活性光線の光源としては、上記で例示
したものを用いることができる。
【0292】現像 上記露光の後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有し
ない現像液を用いて現像を行うのが好ましい。本方法に
用いられる好ましい現像液は、実質的にアルカリ金属ケ
イ酸塩を含有しない現像液であれば特に限定されない
が、実質的に有機溶剤を含有しないアルカリ性の水溶液
であるのが好ましい。ただし、必要により有機溶剤を含
有してもよい。また、この現像液は、糖類を含有するの
が好ましい。例えば、主成分として、非還元糖から選ば
れる少なくとも一つの化合物と、少なくとも一種の塩基
とを含有し、pH9.0〜13.5である現像液が挙げ
られる。
【0293】また、画像記録層が無処理タイプである場
合には、露光して製版原版とした後、上述したようなア
ルカリ現像液で現像処理することなく、水または水溶液
での簡易処理で平版印刷版とすることができる。この場
合、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない水溶液
を用いるのが好ましい。例えば、必要に応じて、有機溶
剤を含有してもよいアルカリ性の水溶液が挙げられる。
この水溶液は、更に、糖類(例えば、非還元糖類)から
選ばれる化合物を含有してもよい。また、この無処理タ
イプの平版印刷版原版は、露光して画像記録をした後、
処理することなく、印刷機の版胴に取り付けられ、例え
ば、平版印刷版原版に湿し水を供給し、機上で現像し
た後に、インキを供給して印刷を開始する方法、平版
印刷版原版に湿し水およびインキを供給し、機上で現像
した後に、インキを供給して印刷を開始する方法、平
版印刷版原版にインキを供給し、湿し水を供給すると同
時に紙を供給して印刷を開始する方法によって、印刷を
することができる。
【0294】また、無処理タイプの平版印刷版原版は、
特許第2938398号明細書に記載されているよう
に、版胴上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレー
ザまたはサーマルヘッドにより画像記録し、その後、湿
し水および/またはインキを供給して機上現像すること
もできる。即ち、無処理タイプの平版印刷版原版は、好
ましくは、水または水溶液によって現像することがで
き、また、現像することなくそのまま印刷機に装着して
印刷することができるものである。
【0295】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 <サーマルポジタイプの平版印刷版原版についての実施
例> 1.平版印刷版原版の作成 (実施例1)Si:0. 06質量%、Fe:0.30質
量%、Cu:0. 005質量%、Mn:0.001質量
%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量
%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可
避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶
湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1
200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均
10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃
で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったとこ
ろで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とし
た。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行っ
た後、冷間圧延で、厚さ0.24mmのアルミニウム板
に仕上げた。このアルミニウム板を幅1030mmにし
た後、以下に示す表面処理を連続的に行った。
【0296】(a)機械的粗面化処理 図1に示したような装置を使って、比重1.12の研磨
剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてア
ルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状
ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤
の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナ
イロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50m
m、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシは
φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になる
ように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下
部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300
mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動
モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さ
えつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さ
えつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方
向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであ
った。
【0297】(b)アルカリエッチング処理 上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.
6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度
70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミ
ニウム板を6g/m2 溶解した。その後、スプレーによ
る水洗を行った。
【0298】(c)デスマット処理 温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイ
オンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマ
ット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デ
スマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を
用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0299】(d)電気化学的粗面化処理 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面
化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g
/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニ
ウムイオンを0.007質量%含む。)、温度50℃で
あった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流
値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8m
sec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用い
て、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理
を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用
した電解槽は図3に示すものを使用した。電流密度は電
流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム
板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2 であっ
た。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させ
た。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0300】(e)アルカリエッチング処理 アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミ
ニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチ
ング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g
/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化
を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とす
るスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッ
ジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0301】(f)デスマット処理 温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデス
マット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行っ
た。
【0302】(g)陽極酸化処理 図4に示す構造の二段給電電解処理法の陽極酸化装置
(第一および第二電解部長各6m、第一および第二給電
部長各3m、第一および第二給電電極長各2.4m)を
用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に
供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、い
ずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを
0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0303】前記陽極酸化装置においては、電源67a
および67bからの電流は、第一給電部62aに設けら
れた第一給電電極65aに流れ、電解液を介してアルミ
ニウム板11に流れ、第一電解部63aでアルミニウム
板11の表面に酸化皮膜を生成させ、第一電解部63a
に設けられた電解電極66aおよび66bを通り、電源
67aおよび67bに戻る。一方、電源67cおよび6
7dからの電流は、第二給電部62bに設けられた第二
給電電極65bに流れ、前記と同様に電解液を介してア
ルミニウム板11に流れ、第二電解部63bでアルミニ
ウム板11の表面に酸化皮膜を生成させる。
【0304】電源67aおよび67bから第一給電部6
2aに給電される電気量と、電源67cおよび67dか
ら第二給電部62bに給電される電気量とは等しく、ま
た、第一電解部63aおよび第二電解部63bにおける
電流密度はともに約30A/dm2 であった。第二給電
部62bでは、第一電解部63aで生成した1.35g
/m2 の酸化皮膜面を通じて給電したことになる。最終
的な酸化皮膜量は2.7g/m2 であった。
【0305】(h)アルカリ金属ケイ酸塩処理 陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体(本発
明の平版印刷版用支持体)を温度30℃の3号ケイ酸ソ
ーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せき
することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処
理)を行った。その後、井水を用い、スプレーによる水
洗を行った。
【0306】(i)中間層(下塗り層)の形成 上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後
のアルミニウム支持体(本発明の平版印刷版用支持体)
上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間
乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は1
5mg/m2 であった。
【0307】<下塗り液組成> ・下記式で表される高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0308】
【化1】
【0309】(j)感熱層の形成 ついで、下記組成の感熱層塗布液1を調製し、下塗りし
たアルミニウム支持体に、この感熱層塗布液1を乾燥後
の塗布量(感熱層塗布量)が1.0g/m2 になるよう
塗布し、乾燥して感熱層(サーマルポジタイプの画像記
録層)を形成させ、実施例1の平版印刷版原版を得た。
【0310】 <感熱層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03g ・後述する特定の共重合体1 0.75g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・下記式で表されるシアニン染料A 0.017g
【0311】
【化2】
【0312】 ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0313】<特定の共重合体1>かくはん機、冷却管
および滴下ロートを備えた500mL容の三つ口フラス
コに、メタクリル酸31.0g(0.36mol)、ク
ロロギ酸エチル39.lg(0.36mol)およびア
セトニトリル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら
混合物をかくはんした。この混合物にトリエチルアミン
36.4g(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロ
ートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、
室温下で30分間混合物をかくはんした。
【0314】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間かくはんし
た。反応終了後、この混合物を水1Lにこの水をかくは
んしながら投入し、30分間得られた混合物をかくはん
した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを
水500mLでスラリーにした後、このスラリーをろ過
し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が
得られた(収量46.9g)。
【0315】つぎに、かくはん機、冷却管および滴下ロ
ートを備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p
−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.6
1g(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.
94g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.
80g(0.015mol)およびN,N−ジメチルア
セトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱し
ながら混合物をかくはんした。この混合物に「V−6
5」(和光純薬社製)0.15gを加え、65℃に保ち
ながら窒素気流下で、混合物を2時間かくはんした。こ
の反応混合物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニ
ル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル
2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジ
メチルアセトアミドおよび「V−65」0.15gの混
合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終
了後、更に、得られた混合物を65℃で2時間かくはん
した。反応終了後、メタノール40gを混合物に加え、
冷却し、得られた混合物を水2Lにこの水をかくはんし
ながら投入し、30分混合物をかくはんした後、析出物
をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白
色固体の特定の共重合体1を得た。得られた特定の共重
合体1の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーにより測定したところ、53,000(ポ
リスチレン標準)であった。
【0316】(実施例2)上記(g)陽極酸化処理にお
いて、電解液として、4質量%のホウ酸アンモニウム水
溶液を用い、第一電解部63aおよび第二電解部63b
における電流密度をともに0.1A/dm2 として低電
流電解とした以外は、実施例1と同様の方法により、実
施例2の平版印刷版原版を得た。
【0317】(実施例3)上記(d)電気化学的粗面化
処理において、電解液を塩酸7.5g/L水溶液(アル
ミニウムイオンを5g/L含む。)とし、電流密度を電
流のピーク値で25A/dm2 とし、電気量をアルミニ
ウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2 とした
以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の平版
印刷版原版を得た。
【0318】(実施例4)用いたアルミニウム板におけ
るCu含有量を0.017質量%とした以外は、実施例
1と同様の方法により、実施例4の平版印刷版原版を得
た。
【0319】(実施例5)(g)陽極酸化処理後、
(h)アルカリ金属ケイ酸塩処理前に、下記のようにし
て加圧水蒸気を用いて封孔処理を行った以外は、実施例
1と同様の方法により、実施例5の平版印刷版原版を得
た。封孔処理は、100℃、1気圧において飽和した蒸
気チャンバーの中で10秒間処理することにより行っ
た。
【0320】(実施例6)上記(d)電気化学的粗面化
処理において、電解液として、硝酸10g/L水溶液
(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオン
を0.007質量%含む。)を用い、電解液の温度を8
0℃とし、TPを0msecとし、電気量をアルミニウ
ム板が陽極時の電気量の総和で130C/dm2 とした
以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6の平版
印刷版原版を得た。
【0321】(比較例1)上記(a)機械的粗面化処理
を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、
比較例1の平版印刷版原版を得た。
【0322】(比較例2)上記(d)電気化学的粗面化
処理において、用いた交流電圧の周波数を3Hzとし、
電解液の温度を35℃とし、電気量をアルミニウム板が
陽極時の電気量の総和で400C/dm2 とした以外
は、実施例1と同様の方法により、比較例2の平版印刷
版原版を得た。
【0323】(比較例3)上記(g)陽極酸化処理にお
いて、電解液の硫酸濃度を250g/L(アルミニウム
イオンを0.5質量%含む。)とし、電解液の温度を5
0℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、比較
例3の平版印刷版原版を得た。
【0324】(比較例4)上記(g)陽極酸化処理にお
いて、電解液として、50g/Lのリン酸水溶液を用
い、第一電解部63aおよび第二電解部63bにおける
電流密度をともに20A/dm2 とした以外は、実施例
1と同様の方法により、比較例4の平版印刷版原版を得
た。
【0325】(比較例5)上記(e)アルカリエッチン
グ処理において、液温を調整してアルミニウム板の溶解
量を1.0g/m2 とした以外は、実施例1と同様の方
法により、比較例5の平版印刷版原版を得た。
【0326】2.平版印刷版用支持体のピット(中波構
造)の平均直径の測定およびピット内部の微細な凹凸
(小波構造)の観察 平版印刷版用支持体の表面を、支持体に垂直な方向か
ら、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000
0倍のSEM写真を撮影した。SEM写真において、3
0個のピットについて直径を測定し、ピットの平均直径
を求めた。また、SEM写真において、ピット内部に微
細な凹凸があるか否かを観察した。結果を第1表に示
す。
【0327】3.平版印刷版用支持体の表面の大波構造
の波長の測定 平版印刷版原版の感熱層をγ−ブチロラクトンで溶解除
去した後、日本電子社製のT−20型走査型電子顕微鏡
を用いて、法線方向から30℃の方向から、露出した表
面を倍率2000倍で観察し、2μmより大きい波長成
分を水平方向に30点測定して、その平均波長を求め
た。結果を第1表に示す。なお、第1表中、「−」は、
該当する波長の凹部がなかったことを示す。
【0328】4.マイクロポアの平均ポア径および平均
ポア密度の測定 平版印刷版原版の感熱層をγ−ブチルラクトンで溶解除
去し、更に、γ−ブチルラクトン中で30分間超音波洗
浄した後、露出した表面をFE−SEM(S−900、
日立製作所社製)により蒸着せずに倍率15万倍でSE
M写真を撮影した。SEM写真で3視野観察し、100
個のポアについてポア径を測定し、その平均値を平均ポ
ア径とした。また、前記SEM写真から、300nm四
方の部分を3視野抜き取り、その中のポア数を数えてポ
ア密度の平均値を求め、平均ポア密度とした。結果を第
1表に示す。
【0329】5.平版印刷版原版の傷付きにくさの評価 上記のようにして得られた平版印刷版原版について、傷
付きにくさの評価を行った。平版印刷版原版の感熱層表
面に合紙を置き、その上下を段ボール紙で挟み、25
℃、50%RHの環境下で3日間放置した。その後、平
版印刷版原版の感熱層表面を木綿製の手袋で5往復擦
り、富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DT−
1を標準使用条件で用いて、自動現像機900NPによ
り現像した。擦った部分が傷付いて白く抜けている程度
を目視で観察して評価した。現像前と全く変化なかった
ものを○、ほぼ支持体が見えてしまい感熱層の色がほと
んど見えなかったものを×、その中間レベルを○△、
△、△×で表した。結果を第1表に示す。
【0330】6.平版印刷版原版の感度の評価 平版印刷版原版をCREO社製のTrendSette
r3244を用いて版面エネルギー量を変更して全面露
光した後、富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液
DT−1を標準使用条件で用いて、自動現像機900N
Pにより現像した。感熱層が完全に除去されたと目視で
観察されたときの版面エネルギー量により感度を評価し
た。結果を第1表に示す。
【0331】7.平版印刷版原版の耐汚れ性の評価 平版印刷版原版を出力500mW、波長830nmビー
ム径17μm(1/e 2 )の半導体レーザーを装備した
CREO社製TrenndSetter3244を用い
て主走査速度5m/秒、版面エネルギー量140mJ/
cm2 で像様露光した。その後、非還元糖と塩基とを組
み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oよりな
るカリウム塩5.0質量%およびオルフィンAK−02
(日信化学社製)0.015質量%を含有する水溶液1
LにC1225N(CH2 CH2 COONa)2 を1g添
加したアルカリ現像液を用いて現像処理を行った。現像
処理は、上記アルカリ現像液を満たした自動現像機PS
900NP(富士写真フイルム(株)製)を用いて、現
像温度25℃、12秒の条件で行った。現像処理が終了
した後、水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))
等で処理して、製版が完了した平版印刷版を得た。この
ようにして得られた平版印刷版を用いて、三菱ダイヤ型
F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS
(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後に
おけるブランケットの汚れを目視で評価した。
【0332】8.平版印刷版原版の耐刷性の評価 耐汚れ性の評価と同様の方法で得られた平版印刷版を用
いて、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、
大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨
のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始
めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性
を評価した。
【0333】本発明の平版印刷版用支持体を用いた本発
明の平版印刷版原版は、傷付きにくく、かつ、感度に優
れることが分かる(実施例1〜6)。特に、用いたアル
ミニウム板におけるCu含有量が0.005質量%であ
る場合(実施例1〜3、5および6)は、中波構造を構
成するピットの平均直径が小さく均一になりやすく、特
に傷付きにくい。これに対して、比較例1〜5は、実施
例1〜6と同様に、感熱層表面の凹凸を少なくして滑ら
かにしたものであるが、以下のような欠点がある。即
ち、平版印刷版用支持体の表面に大波構造がない場合
(比較例1)および大波構造の波長が長すぎる場合(比
較例2)は、感熱層と支持体との間ではく離を起こし、
傷付きやすい。また、陽極酸化皮膜のマイクロポアの平
均ポア密度が高すぎる場合(比較例3)および平均ポア
径が大きすぎる場合(比較例4)は、感度に劣る。更
に、ピット内部に微細な凹凸を有しない場合(比較例
5)は、感熱層と支持体との間ではく離を起こし、傷付
きやすい。また、本発明の平版印刷版用支持体を用いた
本発明の平版印刷版原版は、比較例1〜5の平版印刷版
原版に比べて、耐汚れ性および耐刷性にも優れていた。
【0334】
【表1】
【0335】<サーマルネガタイプの平版印刷版原版に
ついての実施例> 1.平版印刷版原版の作成 (実施例7〜12および比較例6)上記(h)、(i)
および(j)を行わず、下記(k)、(l)および
(m)を行った以外は、実施例1〜6および比較例5と
同様の方法により、各平版印刷版原版を得た。
【0336】(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理 陽極酸化処理により得られた各アルミニウム支持体(本
発明の平版印刷版用支持体)を温度25℃のケイ酸ソー
ダの2質量%水溶液の処理層中へ、15秒間、浸せきす
ることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)
を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0337】(l)中間層(下塗り層)の形成 上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後
のアルミニウム支持体(本発明の平版印刷版用支持体)
上に、後述する下塗り液を塗布し、支持体上のSi量が
3mg/m2 となるように塗設した。
【0338】下塗り液は、以下のようにして調製した。
まず、下記の各化合物を混合し、かくはんした。約5分
で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物を
別の容器へ移し、メタノール3000gを加えることに
より、SG法の液状組成物(ゾル液)を得た。得られた
ゾル液をメタノール/エチレングリコール=9/1(質
量比)で希釈して、下塗り液を得た。
【0339】 <ゾル液組成> ・メタノール 130g ・水 20g ・85質量%リン酸 16g ・テトラエトキシシラン 50g ・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 60g
【0340】(m)感熱層の形成 ついで、中間層を設けた各アルミニウム支持体に、下記
組成の感熱層塗布液[NL−1]をワイヤーバーを用い
て、乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が1.3g/m2
となるように塗布し、115℃で45秒間乾燥させて、
感熱層(サーマルネガタイプの画像記録層)を形成さ
せ、平版印刷版原版[N−1]を得た。
【0341】 <感熱層塗布液[NL−1]組成> ・下記式で表される赤外線吸収剤 0.10g ・下記式で表される重合開始剤(ラジカル発生剤) 0.30g ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.00g ・アリルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体(モル比80:20、重 量平均分子量12万) 1.00g ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、大日本インキ化学工業社製 ) 0.01g ・メチルエチルケトン 9.0g ・メタノール 10.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
【0342】
【化3】
【0343】(実施例13〜18および比較例7)上記
(m)において、感熱層塗布液[NL−1]の変わり
に、下記組成の感熱層塗布液[NL−2]を用いた以外
は、実施例7〜12および比較例6と同様の方法によ
り、平版印刷版原版[NL−2]を得た。
【0344】 <感熱層塗布液[NL−2]組成> ・上記[NL−1]で用いた赤外線吸収剤 0.10g ・下記式で表される酸発生剤(X) 0.15g ・フェノールとホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹脂(重量平均分 子量10000) 1.5g ・下記式で表される架橋剤MM−1 0.50g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.03g ・メチルエチルケトン 15g ・1−メトキシ−2−プロパノール 10g ・メタノール 5g
【0345】
【化4】
【0346】2.平版印刷版原版の傷付きにくさの評価 上述したようにして各支持体から得られた平版印刷版原
版[N−1]および[N−2]について、傷付きにくさ
の評価を行った。平版印刷版原版の感熱層表面に合紙を
置き、その上下を段ボール紙で挟み、25℃、50%R
Hの環境下で3日間放置した。その後、平版印刷版原版
の感熱層表面を木綿製の手袋で5往復擦り、後述する耐
汚れ性および耐刷性の評価と同様の方法で、露光および
現像処理を行って画像形成した。擦った部分が傷付いて
白く抜けている程度を目視で観察して評価した。
【0347】3.平版印刷版原版の感度の評価 上述したようにして各支持体から得られた平版印刷版原
版[N−1]および[N−2]を、版面エネルギー量を
変化させて露光した以外は、後述する耐汚れ性および耐
刷性の評価と同様の方法で、露光および現像処理を行っ
た。画像を形成することができた版面エネルギー量によ
り感度を評価した。
【0348】4.平版印刷版原版の耐汚れ性および耐刷
性の評価 上述したようにして各支持体から得られた平版印刷版原
版[N−1]および[N−2]を、版材供給装置(SA
−L8000)、露光装置(Luxel T−9000
CTP)、コンベア(T−9000 Conveyo
r)、自動現像機(LP−1310H)およびストッカ
ー(ST−1160)を具備する富士写真フイルム
(株)製のCTP出力システムを用いて露光および現像
処理を行って画像形成し、平版印刷版を得た。ここで、
自動現像機の現像処理槽の第一浴には、ケイ酸アルカリ
を主成分とする現像液(富士写真フイルム(株)製DP
−4の水希釈液(1:7))を仕込み、30℃に保温し
た。第二浴には、水道水を仕込んだ。第三浴には、フィ
ニッシングガム液(富士写真フイルム(株)製FP−2
Wの水希釈液(1:1)を仕込んだ。得られた平版印刷
版を用いて、サーマルポジタイプの平版印刷版原版につ
いての実施例と同様の方法で、印刷し、耐汚れ性および
耐刷性の評価を行った。
【0349】本発明の平版印刷版用支持体を用いた本発
明の平版印刷版原版(実施例7〜18)は、比較例6お
よび7の平版印刷版原版に比べて、傷付きにくく、か
つ、感度に優れていた。また、実施例7〜18の平版印
刷版原版[N−1]および[N−2]は、いずれも耐汚
れ性が良好であり、かつ、耐刷性が5万枚以上と優れて
いた。これは、サーマルネガタイプの平版印刷版原版に
おいては、加熱または放射線の照射により画像記録層が
硬化して画像部となるが、この際に、支持体の表面形状
が本発明の平版印刷版用支持体のような特定の表面形状
であると、画像記録層と支持体との密着性が高くなり、
耐刷性が優れたものになるからであると考えられる。
【0350】<無処理タイプの平版印刷版原版について
の実施例> 1.平版印刷版原版の作成 上記(h)、(i)および(j)を行わず、下記(n)
を行った以外は、実施例1〜6と同様の方法により、平
版印刷版原版を得た。
【0351】(n)感熱層の形成 陽極酸化処理により得られた各アルミニウム支持体(本
発明の平版印刷版用支持体)に、下記組成の感熱層用塗
布液[ML]を乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が0.
8g/m2 になるようワイヤーバーで塗布し、90℃で
2分間乾燥させて、感熱層(無処理タイプの画像記録
層)を形成させ、平版印刷版原版を得た。
【0352】<感熱層用塗布液[ML]組成> ・水 70g ・後述する合成例(1)で得られた、熱で外壁が破れる
マイクロカプセル5g(固形分換算) ・ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g ・p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.3g ・下記式F1で表されるε−フタロシアニン(赤外線吸
収剤)の分散物 0.3g
【0353】
【化5】
【0354】<合成例(1)>油相成分として、キシリ
レンジイソシアネート40g、トリメチロールプロパン
ジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチル
メタクリレートとの共重合体(モル比60/40)10
gおよびパイオニンA41C(竹本油脂社製)10gを
酢酸エチル60gに溶解した。水相成分として、PVA
205(クラレ(株)製)の4%水溶液120gを調製
した。油相成分と水相成分とをホモジナイザーを用いて
10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加
し、室温で30分、更に40℃で3時間かくはんした。
このようにして得られたマイクロカプセル分散液の固形
分濃度は20質量%であり、マイクロカプセルの平均粒
径は0.5μmであった。
【0355】2.平版印刷版原版の耐汚れ性および耐刷
性の評価 上述したようにして各支持体から得られた平版印刷版原
版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCr
eo社製Trendsetter 3244VFSを用
いて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面
エネルギー100mJ/cm2 、解像度2400dpi
の条件で露光した後、何ら処理することなく、ハイデル
ベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、
湿し水を供給した後、インキを供給し、更に紙を供給し
て印刷を行った。各平版印刷版原版について、このよう
にして、問題なく機上現像をすることができ、印刷する
ことができた。印刷10枚目の印刷物を20倍のルーペ
を用いて評価したところ、地汚れはなく、ベタ画像部の
濃度の均一性は極めて良好であった。更に印刷を継続し
たところ、細線や細文字の欠落およびベタ画像濃度のム
ラはなく、非画像部の汚れも発生せず、良好な印刷物が
2万枚以上得られた。これは、無処理タイプのネガ型の
平版印刷版原版においては、加熱または放射線の照射に
より画像記録層の有するマイクロカプセルが破れて内包
物が流出した後に硬化するなどの機構で画像部となる
が、この際に、支持体の表面形状が本発明の平版印刷版
用支持体のような特定の表面形状であると、流出した内
包物等が支持体表面の微細な凹凸にひっかかった状態で
硬化し、画像記録層と支持体との密着性が高くなり、耐
刷性が優れたものになるからであると考えられる。
【0356】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、耐汚れ性お
よび耐刷性に優れ、好ましくは、更に、傷付きにくく、
感度が高く、印刷性能に優れ、通常作業での取り扱いが
容易である。本発明の平版印刷版用支持体は、本発明の
平版印刷版原版に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程
の概念を示す側面図である。
【図2】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
電気化学的な粗面化処理に用いられる交番波形電流波形
図の一例を示すグラフである。
【図3】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
電気化学的な粗面化処理に用いられる二つ以上のラジア
ルドラムローラを連結した装置の概略構成図である。
【図4】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
陽極酸化処理に用いられる二段給電電解法の陽極酸化処
理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板 2、4 ローラ状ブラシ 3 研磨スラリー液 5、6、7、8 支持ローラ 11 アルミニウム板 12 ラジアルドラムローラ 13a、13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a、19b サイリスタ 20 交流電源 40、41 主電解槽 50、51 補助陽極槽 62a 第一給電部 62b 第二給電部 63a 第一電解部 63b 第二電解部 64a、64b ニップローラ 65a 第一給電電極 65b 第二給電電極 66a、66b、66c、66d 電解電極 67a、67b、67c、67d 電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23F 1/36 C23F 1/36 C25D 11/04 302 C25D 11/04 302 308 308 11/16 301 11/16 301 C25F 3/04 C25F 3/04 A G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 AD01 AD03 DA18 DA20 2H096 AA06 BA01 BA09 2H114 AA04 AA11 AA23 AA28 BA01 DA04 EA02 EA03 EA04 FA06 GA03 GA05 GA08 GA09 4K057 WA05 WA07 WB05 WC03 WC10 WD05 WE21 WE22 WJ10 WK01 WN10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板に粗面化処理、アルカリエ
    ッチング処理および陽極酸化処理を行って得られる平版
    印刷版用支持体であって、 表面に、波長が2〜10μmの大波構造と、平均直径が
    0.1〜1.5μmのピットからなる中波構造と、ピッ
    ト内部の微細な凹凸からなる小波構造とを有し、かつ、
    該陽極酸化処理によって生成する陽極酸化皮膜におい
    て、マイクロポアの平均ポア径が0〜15nm、平均ポ
    ア密度が0〜400個/μm2 である平版印刷版用支持
    体。
  2. 【請求項2】前記アルミニウム板におけるCuの含有量
    が0〜0.005質量%である請求項1に記載の平版印
    刷版用支持体。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の平版印刷版用支
    持体上に、画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
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