JP2003001774A - 積層ポリエステル支持体及びそれを用いたインクジェット記録材料並びに熱現像感光材料 - Google Patents

積層ポリエステル支持体及びそれを用いたインクジェット記録材料並びに熱現像感光材料

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JP2003001774A
JP2003001774A JP2001187909A JP2001187909A JP2003001774A JP 2003001774 A JP2003001774 A JP 2003001774A JP 2001187909 A JP2001187909 A JP 2001187909A JP 2001187909 A JP2001187909 A JP 2001187909A JP 2003001774 A JP2003001774 A JP 2003001774A
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Kenji Onuma
憲司 大沼
Hidetoshi Ezure
秀敏 江連
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実質的に片面のみの塗布で製品に必要なカー
ルバランスを付与することができる積層ポリエステル支
持体及び生産性に優れ、良質の画像形成が可能なインク
ジェット記録材料並びに熱現像感光材料の提供。 【解決手段】 実質的に片面のみに塗布される片面塗布
用積層ポリエステル支持体であって、該支持体が2層以
上のポリエステル層を積層してなる積層ポリエステル支
持体であり、少なくとも1層が共重合成分として1種の
金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エ
ステル結合単位に対して3〜8モル%含有し、かつ、1
種のポリアルキレングリコールをポリエステル反応生成
物の2〜8質量%共重合成分として含有するポリエステ
ルからなることを特徴とす片面塗布用積層ポリエステル
支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実質的に片面のみ
の塗布で製品に必要な機能を付与することができる、生
産性に優れた積層ポリエステル支持体及びそれを用いた
インクジェット記録材料並びに熱現像感光材料に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、医療用X線写真及び印刷製版には
支持体上にハロゲン化銀を含む画像形成層を設けてなる
ハロゲン化銀写真感光材料を用い、湿式現像法により画
像形成が行われていたが、近時環境面への配慮から現像
液を必要とせず、廃液を伴わない乾式画像形成方法、い
わゆる熱現像感光材料を用いた画像形成方法が重要視さ
れるようになった。これまで湿式現像法のハロゲン化銀
写真感光材料では、湿式現像及びその後の乾燥時に膨張
収縮してカールを生じやすく、さらには湿式現像法のハ
ロゲン化銀写真感光材料はパトローネ等の容器にフィル
ム状に巻き込まれて包装保管されているため、使用時巻
癖ができていてカールを生じやすい等の理由から、画像
形成層とは反対側の面にカールバランスを取るためのバ
ッキング層が設けられる。
【0003】これに対して、乾式現像法を用いた熱現像
感光材料では上記湿式現像法のハロゲン化銀写真感光材
料の場合のような湿式現像にもとずく膨張収縮がなく、
また通常シート状で画像形成に使用されるためカールの
発生が少なく、バッキング層等のカールバランス対策は
不要となり、実質的に片面のみの塗布を可能とすること
ができ、その場合加工性や画像品質の向上、コストの低
減が得られる等の利点を生ずる。また、同じく乾式で画
像形成が行われるインクジェット記録材料においても、
通常シート状で画像形成に使用されるため裏面塗布等の
カールバランス対策は不要となり、片面のみの塗布を可
能とすることができ、その場合加工性や画像品質の向
上、コストの低減が得られる等の利点を生ずる。
【0004】しかしながら、本発明者等の多くの実験の
結果、実質的に片面塗布とした熱現像感光材料において
も熱現像時の乾燥収縮及び現像後の吸湿による反りの問
題があり、またインクジェット記録材料の場合も、画像
形成時のインクの吸収及びその後の乾燥による反りの問
題があり、良質の画像を得るためにはその対策が必要不
可欠であり、特に支持体自体のアンチカール対策が重要
であることがわかってきた。
【0005】上記支持体自体のアンチカール対策につい
ては既にいくつかの提案がなされており、例えば、特開
平4−93937号、同6−11795号、同6−16
1035号、同6−289534号、同6−24002
0号、同6−110154号等の公報にはスルホン酸基
又はその塩を有する芳香族ジカルボン酸を含有するポリ
エステルを支持体として用いる技術が提案されている。
【0006】しかしながら上記各公報記載のポリエステ
ル支持体は、あくまで湿式の現像処理を前提としたハロ
ゲン化銀写真感光材料に用いられるためのものであり、
実質的に片面のみに塗布層が設けられるインクジェット
記録材料又は熱現像感光材料を用いた乾式画像形成方法
に適用するとカールバランスが崩れて、良質な画像が得
られないという問題が残った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みて提案されたものであり、その目的とするところは実
質的に片面のみの塗布で製品に必要なカールバランスを
付与することができる積層ポリエステル支持体及び該積
層ポリエステル支持体を用いたことにより、生産性に優
れ、良質の画像形成が可能なインクジェット記録材料並
びに熱現像感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は下
記構成により達成される。
【0009】1.実質的に片面のみに塗布される片面塗
布用積層ポリエステル支持体であって、該支持体が2層
以上のポリエステル層を積層してなる積層ポリエステル
支持体であり、少なくとも1層が共重合成分として1種
の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全
エステル結合単位に対して3〜8モル%含有し、かつ、
1種のポリアルキレングリコールをポリエステル反応生
成物の2〜8質量%共重合成分として含有するポリエス
テルからなることを特徴とす片面塗布用積層ポリエステ
ル支持体。
【0010】2.前記1に記載の片面塗布用積層ポリエ
ステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とするイ
ンクジェット記録材料。
【0011】3.25℃、相対湿度55%での立ち上が
りカールが5mm以下であることを特徴とする前記2に
記載のインクジェット記録材料。
【0012】4.前記1に記載の片面塗布用積層ポリエ
ステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とする熱
現像感光材料。
【0013】5.画像形成層の上に保護層を設けたこと
を特徴とする前記4に記載の熱現像感光材料。
【0014】6.25℃、相対湿度55%での立ち上が
りカールが5mm以下であることを特徴とする前記4又
は5に記載の熱現像感光材料。
【0015】7.最大吸収波長(λmax)が700〜
900nmの水溶性赤外線吸収化合物を含有する層が、
画像形成層と同じ側に設けられていることを特徴とする
前記4〜6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【0016】なお、本発明でいう実質的に片面のみに塗
布される片面塗布用積層ポリエステル支持体とは、片面
のみに下引層、画像形成層、表面保護層等を設け、裏面
には例えばバック層の如き支持体のカールバランスに影
響を与える層は一切設けない支持体のことであり、支持
体のカールバランスに影響を与えない、後述の易滑性層
等は必要により裏面に設けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に述べ
る。
【0018】〈積層ポリエステル支持体の構成〉本発明
の積層ポリエステル支持体(支持体ともいう)は、2層
以上のポリエステル層を積層してなり、好ましくは積層
構造が異なる2層以上のポリエステル層を積層してなる
支持体であって、少なくとも1層が後述する金属スルホ
ネート基を有する芳香族ジカルボン酸及びポリアルキレ
ングリコールを共重合成分として含有する共重合ポリエ
ステルであることを特徴としている。
【0019】なお、上記好ましくは積層構造の異なる2
層以上のポリエステル層とは、支持体を2等分する位置
を中心として、その両側の特性が異なり、互いに非対称
である2層以上のポリエステル層から構成され、このこ
とが巻き癖防止やカールバランスの観点から好ましい。
ここでいう非対称とは物理的、機械的あるいは化学的に
相違することを意味し、例えば、構成する層の厚さが異
なる、ポリエステルを構成する主構成成分やその量が異
なる、ポリエステルの共重合成分やその量が異なる、あ
るいは固有粘度が異なる、さらには吸水率、弾性率が異
なることも含まれる。
【0020】本発明の支持体の非対称を確認する方法と
しては、各種分析機器を用いることができ、特に限定さ
れないが、積層構造については支持体断面を顕微鏡観察
により確認することができる。また、支持体を半分に分
割する面まで、それぞれ上下から削り取り、上下の分析
対象物を得て、加水分解を行い液体クロマトグラフィー
やNMR分析、GPC分析を行ってもよい。また、この
上下の分析対象物の固有粘度測定、吸水率、弾性率測定
を行ってもよい。
【0021】上記のように本発明の支持体は、好ましく
は積層構造が異なる2層以上のポリエステル層を積層し
て形成されるが、製造設備が複雑化する等の点から一般
的には2層又は3層が好ましい。
【0022】本発明の支持体の構成の特に好ましい例と
しては、汎用のホモポリマーからなるポリエステル(汎
用ポリエステルともいう)を多く含む層と、後述する金
属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸及びポリ
アルキレングリコールを共重合成分として含有すること
により吸湿性が付与された共重合ポリエステルを多く含
む層とを2層以上積層して設ける。この場合、画像形成
層は汎用ポリエステルを主成分とする層側に塗設するこ
とが好ましく、さらに、積層間の接着性向上のためには
特開平6−161035号公報に記載のように、汎用ポ
リエステル層に共重合ポリエステルを混合することが好
ましく、混合する割合は5〜50質量%であることが好
ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
【0023】また、共重合成分の比率の異なる共重合ポ
リエステルを2種以上準備して2層以上積層してもよ
い。この時、積層間の接着性向上のためには隣接する層
間の共重合成分差をある範囲内に設定することが好まし
く、例えば特開平6−289534号公報を参考にでき
る。共重合ポリエステルを3層以上積層してなる支持体
の場合、該積層してなる支持体の画像形成層を塗設しな
い側の層の金属スルホネート基を有するポリエステル共
重合体成分比率を画像形成層を塗設する側の層よりも多
くすることが好ましい。
【0024】本発明の支持体の製造において、ポリエス
テルを積層する方法としては、従来公知の方法で行うこ
とができる。例えば、複数の押出機及びフィードブロッ
ク式ダイあるいはマルチマニフォールド式ダイによる共
押出し法、積層体を構成する単層フィルム又は積層フィ
ルム上に積層体を構成するその他の樹脂を押出機から溶
融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる押出しラミネ
ート法、積層体を構成する単層フィルム又は積層フィル
ムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介して積層する
ドライラミネート法などが挙げられる。中でも製造工程
が少なくてすみ、各層間の接着性が良好な共押出し法が
好ましい。
【0025】(汎用ポリエステル)本発明に用いられる
汎用ポリエステルは、芳香族二塩基酸1種とグリコール
1種を構成成分とするポリエステルであり、二塩基酸と
してはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体など
があり、グリコールとしてはエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチ
レングリコール、p−キシリレングリコールなどがあ
る。なかでもテレフタル酸とエチレングリコールを構成
成分とするポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0026】〈共重合ポリエステル〉本発明に用いられ
る共重合ポリエステルは、少なくとも1種の金属スルホ
ネート基を有する芳香族ジカルボン酸と、少なくとも1
種のポリアルキレングリコールとを共重合成分とし、芳
香族二塩基酸とグリコールを主構成成分とする共重合ポ
リエステルであり、二塩基酸としてはテレフタル酸、イ
ソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などがあ
り、グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、p−キシリレングリコールなどがある。な
かでもテレフタル酸とエチレングリコールを主構成成分
とする共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0027】金属スルホネート基を有する芳香族ジカル
ボン酸は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体、及
びこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リ
チウムなど)で置換した化合物が用いられる。金属スル
ホネート基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割
合は、全エステル結合単位に対して3〜8モル%である
ことが好ましい。3モル%未満だと本発明の片面塗布に
よるバランスカールの効果が得られず、また8モル%を
越えると支持体のみで吸湿したときのカールが強く、塗
布前に支持体の湿度管理等取り扱いにくいため好ましく
ない。
【0028】上記共重合ポリエステルの共重合成分であ
るポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどが用いら
れるが、このうちポリエチレングリコールが好ましく、
分子量は特に限定されないが300〜20000が好ま
しく、更に好ましくは600〜10000、特に100
0〜5000のものが好ましく用いられる。
【0029】ポリアルキレンオキシジカルボン酸として
は、ポリエチレンオキシジカルボン酸、ポリテトラメチ
レンオキシジカルボン酸などが用いられるが、このうち
ポリエチレンオキシジカルボン酸が好ましく、分子量は
特に限定されないが300〜20000が好ましく、更
に好ましくは600〜10000、特に1000〜50
00のものが好ましく用いられる。ポリアルキレングリ
コール(末端の水素原子を除いて計算したときの)の共
重合割合は、該共重合ポリエステル反応生成物の2〜8
質量%であることが好ましい。2質量%より少ないと積
層時の層間の接着力が小さく、製膜時の積層不良が起こ
り、8質量%より多いと積層するポリエステル樹脂の間
の結晶性に差が生じ、平面性が悪くなったり、白濁した
りすることがあるため好ましくない。
【0030】〈その他のポリエステル〉本発明の支持体
には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他のポ
リエステル成分が共重合されていてもよいし、他のポリ
エステルポリマーがブレンドされていてもよい。
【0031】上記他のポリエステルの構成成分であるカ
ルボン酸又は酸無水物としては、ベンゼンジカルボン酸
又はその誘導体としては、2,7−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸及びその低級アルキルエステル(無水
物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導
体);シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカ
ルボン酸及びヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジ
カルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエス
テル等のエステル形成可能な誘導体);及びアジピン
酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸及
びダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体
(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能
な誘導体)を全二塩基酸の10モル%以下の量で使用し
てもよい。
【0032】上記他のポリエステルの構成成分である二
価のアルコールとしては、プロピレングリコール、トリ
メチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール、p−キシ
レングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールA、p,p’−ジヒドロキシフェニ
ルスルフォン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、エチレン、
プロピレン)グリコール、及びp−フェニレンビス(ジ
メチロールシクロヘキサン)などを挙げることができ
る。これらは二価のアルコールの10モル%以下の量で
使用してもよい。
【0033】上記他のポリエステルとしては、例えば安
息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香
酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性
化合物によって末端の水酸基又はカルボキシル基を封鎖
したものであってもよく、あるいは、例えば少量のグリ
セリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エ
ステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られる
範囲内で変性されたものでもよい。
【0034】本発明の支持体に用いられる汎用ポリエス
テル及び共重合ポリエステルの重合は、通常の公知の方
法で行うことができる。上記共重合ポリエステルの重合
ではジカルボン酸成分とグリコール成分をエステル交換
後、高温、減圧下にて重縮合せしめて共重合ポリエステ
ルを得ることができ、この際、共重合成分である金属ス
ルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸類やポリエチ
レングリコールをエステル交換反応後に添加し、重縮合
を行う。
【0035】本発明の支持体に用いられる汎用ポリエス
テル及び共重合ポリエステルは0.35〜0.70の範
囲の固有粘度を有している。この範囲以下では脆弱性が
不充分となり、この範囲以上では機械強度が強すぎるこ
とになる。
【0036】〈酸化防止剤〉本発明の支持体には、酸化
防止剤を含有させてもよい。特に支持体を構成するポリ
エステルを重合する過程で微量のポリオキシアルキレン
基を有する化合物を含むようになる場合は、支持体の製
膜工程で該ポリオキシアルキレン基を有する化合物が熱
分解し、該熱分解生成物が熱現像感光材料に悪影響を及
ぼして画像カブリを発生し易くなるため、酸化防止剤添
加が有効である。含有させる酸化防止剤はその種類につ
き特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することが
できるが、例えばヒンダードフェノール系化合物、ホス
ファイト系化合物、チオエーテル系化合物などの酸化防
止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダ
ードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。
【0037】酸化防止剤の含有量は、通常、支持体に対
して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質
量%である。酸化防止剤の含有量が少ないと、熱現像感
光材料に利用した場合のカブリ現象が生じやすくなり、
多すぎると支持体のヘーズが高くなり透明性に劣る場合
がある。なお、これらの酸化防止剤は1種を単独で使用
してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0038】〈着色剤〉本発明の支持体を医療診断画像
用のインクジェット記録材料又は熱現像感光材料材料に
用いる場合、観察者の目を和らげる、診断をしやすくす
る等の目的で支持体を青色に着色させることが好まし
い。
【0039】着色の方法としては特に限定はなく、ポリ
エステルの重合から溶融押出までのいずれかの段階で必
要量の着色剤を添加し、着色すればよく、また、あらか
じめ高濃度のいわゆるマスターペレットを用意してお
き、適宜希釈して溶融押出する方法は濃度をコントロー
ルしやすいことから好ましく用いられる。回収ポリエス
テルを含有させる場合などで濃度の微調整が必要な場合
はこの方法が有効である。マスターペレットにおける染
料の濃度は102〜104ppmが好ましい。
【0040】本発明の実施に好ましく用いられる染料と
しては、例えばアントラキノン型、アゾ型、アゾメチン
型、インドアニリン型、オキソノール型、トリフェニル
メタン型、カルボシアニン型などがあるが、より好まし
く用いることができるのはアントラキノン型の染料であ
り、分光光度計による吸収極大が570〜700nmに
ある染料であることが好ましい。より具体的な化合物の
例については、特開平3−231738号公報6ペー
ジ、化合物No.37〜No.40に記載されているも
のである。
【0041】〈易滑性付与層〉本発明の支持体には、必
要に応じて易滑性を付与する層を設けることが好まし
い。特に画像形成層を塗設しない側の面の層に易滑性を
付与することが生産、搬送などの面で有利であり好まし
い。易滑性付与手段としては特に限定はないが、ポリエ
ステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、
ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部
粒子析出方法、あるいは界面活性剤などをフィルム表面
に塗布する方法などが一般的である。
【0042】本発明の支持体は多層構成であるので、上
記の酸化防止、ライトパイピング防止、易滑性などの機
能付与、又は上記以外の各種添加剤の添加は、全層に添
加することができるが、少なくとも表面層に添加されて
いることが好ましい。他の層の添加量を減らす、あるい
は添加しないことで積層ポリエステル支持体の透明性を
高くすることもできる。
【0043】〈立ち上がりカール〉次に立ち上がりカー
ルについて説明する。
【0044】本発明の支持体をインクジェット記録材料
に用いる場合、材料がカールしていると記録時の搬送性
や鑑賞時の取扱性において不便が生じる。また本発明の
積層ポリエステルを熱現像感光材料に用いる場合におい
ても、非対称であるため、共重合ポリエステル成分が多
い層の側を裏面とし、共重合ポリエステル成分が少ない
層の側に画像形成層を塗設した場合、バランスカールに
よって支持体のカールを抑えることができる。本発明に
おけるインクジェット記録材料又は熱現像感光材料のカ
ール量は、立ち上がりカールにして5mm以下であるこ
とが好ましい。最も好ましい状態は立ち上がりカールが
0mm、すなわち完全に平面の状態のことである。ここ
でいう立ち上がりカールとは、材料を18cm×30c
mに切り出し、25℃、相対湿度55%で4時間調湿し
た後に平面な台の上に置いたとき、台の上から立ち上が
った4スミの高さの平均を指す。
【0045】〈下引層中の染料〉次に本発明の支持体を
熱現像感光材料に用いた場合における下引層中の染料に
ついて記載する。
【0046】本発明の支持体を熱現像感光材料に用いる
場合、鮮鋭性の高い画像を得るためには、画像形成層に
赤外線露光して画像形成に寄与しなかった赤外線の一部
が、吸収されずに積層ポリエステル支持体にまで達して
反射し、また支持体中を通って、画像領域の外に戻って
きて露光されることにより、画像の鮮鋭性を低下させる
ので、可能な限り画像に寄与しない赤外線を吸収、カッ
トすることが重要である。すなわちハレーションを防止
するために、本発明においては、露光に用いる赤外線レ
ーザーに適した吸収を有する赤外染料が画像形成層と同
じ面の下引層中にあることが好ましい。本発明に有用な
700〜900nmの赤外線吸収染料としては、この範
囲の吸収波長を有する赤外線吸収染料であれば如何なる
ものも使用することができる。例えば、特開昭59−6
481号、同59−182436号等の公報、米国特許
第4,271,263号、同4,594,312号等の
明細書、欧州特許公開第533,008号、同652,
473号、特開平2−216140号、同4−3483
39号、同7−191432号、同7−301890
号、同9−230531号、同10−104779号、
同10−104785号、特表平9−509503号等
の公報等に記載されているポリメチン系染料、スクアリ
リウム系染料等を挙げることができる。
【0047】〈本発明のインクジェット記録材料に関す
る一般記載〉本発明でいうインクジェット記録材料は、
片面のみに塗布される積層ポリエステル支持体上に画像
形成層(インク吸収層ともいう)を設けて得られる記録
材料であり、該インク吸収層にインクの微小液滴を付着
させ画像・文字などの記録を行うものであり、ここでい
うインク吸収層は、親水性バインダーを主体に構成され
るいわゆる膨潤型インク吸収層と、空隙層を記録層中に
持つ空隙型インク吸収層のどちらのタイプでも構わない
が、インク吸収性、耐にじみ性に優れていて、高濃度画
像が得られやすい点からで空隙型インク吸収層を有する
インクジェット記録材料が好ましい。本発明において空
隙型インク吸収層を有するインクジェット記録材料を製
造するには、本発明の前記積層ポリエステル支持体上
に、親水性バインダー中に無機微粒子、消泡剤、必要に
より硬膜剤等を分散含有する水分散液を好ましくは乾燥
膜厚10〜30μm、より好ましくは15〜25μmに
塗布加工して製造される。
【0048】以下、上記無機微粒子、親水性バインダ
ー、消泡剤、硬膜剤等について説明する。
【0049】(無機微粒子)本発明に用いられる無機微
粒子としては、インク吸収層の透明性を高くするため
に、低屈折率のものがより好ましく、例えば、微粒子シ
リカ、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム、ベーマイト水酸化アルミニウム又はその水和物等
が挙げられるが、好ましくはシリカである。
【0050】微粒子シリカは製造法により乾式法と湿式
法に大別されるが、この乾式法は気相法と同義である。
気相法により合成された微粒子シリカとしてはハロゲン
化珪素の高温での気相加水分解による方法(火炎加水分
解法)、及びケイ砂とコークスを電気炉でアークにより
加熱還元気化しこれを空気酸化する方法(アーク法)が
知られている。また、湿式法シリカとしては珪酸塩の酸
分解により活性シリカを生成した後、適度に重合させて
凝集・沈殿させて得られる。
【0051】本発明においては微粒子シリカの中でも、
特に気相法により合成された微粒子シリカが特に高い空
隙率と強い皮膜強度が得られる点で好ましい。
【0052】本発明の無機微粒子の平均粒径は、100
nm以下であることが必要である。特に該無機微粒子と
して、気相法により合成された微粒子シリカである場合
には好ましくは平均1次粒径が30nm以下であり、特
に好ましくは20nm以下であり、この場合に特に本発
明の効果が大きい。下限は合成上、通常3nmである。
気相法により合成された微粒子シリカは塗布液中で2次
凝集してより大きな粒子を形成するが、この場合、2次
凝集粒子の平均粒径は下限30nmであることが好まし
く、上限は100nmであることが好ましい。
【0053】上記において無機微粒子の平均粒径は、粒
子そのものあるいは空隙型インク吸収層の断面や表面を
電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求
めてその単純平均値(個数平均)として求められる。こ
こで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定したと
きのその直径で表したものである。
【0054】(親水性バインダー)本発明のインクジェ
ット記録材料において、上記無機微粒子と組み合わせて
用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアル
コール及びその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、
ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセ
ルロース、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用い
ることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や
水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使
用するのが印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0055】本発明では特に皮膜形成性のため、ポリビ
ニルアルコール又はその誘導体が好ましく、中でも平均
重合度が1000以上が好ましく、最も好ましくは平均
重合度が2000以上のポリビニルアルコール又はその
誘導体である。また、ケン化度は70〜100%が好ま
しく、特に80〜100%が最も好ましい。
【0056】上記親水性バインダーは2種以上併用する
こともできるが、この場合であってもポリビニルアルコ
ール又はその誘導体を少なくとも50質量%以上含有し
てるのが好ましい。
【0057】上記ポリビルアルコール誘導体としては、
カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリ
ビニルアルコール又はノニオン変性ポリビニルアルコー
ルが上げられる。
【0058】カチオン変性ポリビニルアルコールは、カ
チオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニ
ルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0059】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アン
モニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジ
メチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0060】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%であ
る。
【0061】カチオン変性ポリビニルアルコールの重合
度は通常500〜4000、好ましくは1000〜40
00が好ましい。
【0062】また、酢酸ビニル基のケン化度は通常60
〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0063】アニオン変性ポリビニルアルコールは例え
ば、特開平1−206088号公報に記載されているよ
うなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開
昭61−237681号、同63−307979号等の
公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶
性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7
−285265号公報に記載されているような水溶性基
を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0064】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号公報に記載さ
れているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルア
ルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導
体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基
を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック
共重合体等が挙げられる。
【0065】本発明のインクジェット記録材料のインク
吸収層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は
質量比で3倍以上であることが、高い空隙率と高い皮膜
強度を得る上で好ましい。同様の観点から更に好ましい
無機微粒子の親水性バインダーに対する比率は6以上で
ある。
【0066】親水性バインダーに対する無機微粒子の比
率の上限は、皮膜のひび割れ性能の点から概ね8以下で
あることが好ましい。
【0067】(消泡剤)本発明に用いられる消泡剤とし
ては、一般に知られている種々の消泡剤、例えば油脂
系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、エー
テル系、りん酸エステル系、アミン系、アミド系、金属
石鹸系、硫酸エステル系、シリコン系等が使用できる
が、中でも脂肪酸エステル系、エーテル系、金属石鹸
系、シリコン系が好ましく、シリコン系が特に好まし
い。これらは単独又は、2種以上の組み合わせで使用し
ても良い。
【0068】脂肪酸エステル系消泡剤としては、例え
ば、ステアリル酸イソアミル、こはく酸ジエステル、ジ
エチレングリコールジステアレート、オキシエチレンソ
ルビタンモノラウリル酸エステル等が挙げられ、市販品
としては、例えばNopcoChem.Co製のNop
co KF等が挙げらる。エーテル系消泡剤としては、
例えば、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘ
プチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカ
ルビトール等が挙げられ、市販品としては、例えば竹本
油脂(株)製バイオニンK−17、バイオニンK−2
5、サンノプコ(株)製SNデフォーマー777等が挙
げられる。金属石鹸系消泡剤としては、例えばステアリ
ル酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン
酸カリウムが挙げられ、市販品としては、サンノプコ
(株)製ノプコDF122−NS等が挙げられる。
【0069】シリコン系消泡剤としては、例えばシリコ
ンオイル、シリコンエマルジョン、シリコン処理粉末、
有機変性シリコンオイル、フルオロシリコンオイル等が
挙げられ、市販品としては、サンノプコ(株)製のSN
デフォーマー381、SNデフォーマー5016、デヒ
ドラン1513、東レダウコーニングシリコーン(株)
製のSM−5513等が挙げられる。特にシリコン系消
泡剤は、微量で効果があり、本発明の無機微粒子の好ま
しい態様としての微粒子シリカと組み合わせて使用する
場合に、効果が大きい。
【0070】これらは単独又は、2種以上の組み合わせ
で使用しても良い。また、使用量は塗布液に対して、
0.0001〜1質量%が好ましく、より好ましくは、
0.0004〜0.5質量%で使用すると、本発明の効
果が顕著に奏される。
【0071】(硬膜剤)本発明のインクジェット記録材
料のインク吸収層中には前記親水性バインダーと架橋し
得る硬膜剤を添加するのがインク吸収層の造膜性の改
良、皮膜の耐水性、及び本発明の目的である印字後の皮
膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤とし
てはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を
含有する有機硬膜剤、クロムみょうばん、ほう酸、ある
いはほう砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
【0072】親水性バインダーがポリビニルアルコール
である場合には特に、分子中に少なくとも2個のエポキ
シ基を有するエポキシ系硬膜剤、ほう酸又はその塩、ほ
う砂が好ましい。ほう酸としてはオルトほう酸だけでな
く、メタほう酸や四ほう酸等も使用することができる。
【0073】上記硬膜剤の添加量は上記親水性バインダ
ー1g当たり通常1〜200mg、好ましくは2〜10
0mgである。
【0074】その他、本発明のインクジェット記録材料
にかかわるインク吸収層、空隙の作製方法、製造方法、
バインダー、無機微粒子、添加剤等の構成等ついては特
開平11−277877号公報に細部記載されている。
【0075】〈本発明の熱現像感光材料の一般記載〉本
発明の熱現像感光材料は実質的に片側のみに塗布される
熱現像感光材料であって、支持体の片側にハロゲン化
銀、有機銀塩、バインダー、還元剤、必要により硬調化
剤、マット剤、色調剤、その他を含有する画像形成層
(感光性層ともいう)及び表面保護層等の非感光性層を
設けて形成され、画像露光後、例えば80〜180℃で
熱現像して画像形成が行われる。
【0076】以下、ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、バイ
ンダー、還元剤、必要により添加される硬調化剤、マッ
ト剤、色調剤等について、説明する。
【0077】(ハロゲン化銀粒子)ハロゲン化銀粒子の
形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒
子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げ
ることができるが、本発明において特に立方体状粒子、
14面体粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン
化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは
2以上100以下、より好ましくは3以上50以下がよ
い。これらは米国特許第5,264,337号、同5,
314,798号、同5,320,958号等の明細書
に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ること
ができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まっ
た粒子も好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒
子外表面としては特に制限はないが、ミラー指数〔10
0〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が
50%以上、更には70%以上、特に80%以上である
ことが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感
色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸
着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging
Sci.,29,165(1985年)により求める
ことができる。
【0078】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は後
述する有機銀塩粒子形成後に調製してもよいし、ハロゲ
ン化銀粒子を予め調製しておき、これを有機銀塩粒子を
調製するための溶液に添加してもよく、又はこれらの方
法の組み合わせも可能である。本発明に用いられるハロ
ゲン化銀粒子は少なくとも粒子形成後に調製されること
が好ましい。更には特に両方法を組み合わせることが好
ましい。即ち、本発明においては予め調製されたハロゲ
ン化銀粒子を加えて有機銀粒子を形成し、その後更にハ
ロゲン化銀粒子を形成することが特に好ましい。
【0079】また、本発明において予めハロゲン化銀粒
子を調製する場合、P.Glafkides著 Chi
mie et Physique Photograp
hique(Paul Montel社刊,1967
年)、G.F.Duffin著Photographi
c Emulsion Chemistry(TheF
ocal Press刊,1966年)、V.L.Ze
likman etal著 Making and C
oating PhotographicEmulsi
on(The Focal Press刊,1964
年)等に記載された方法を用いて調製することができ
る。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれで
もよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応さ
せる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの
組合せ等のいずれを用いてもよい。
【0080】本発明においてハロゲン化銀粒子のハロゲ
ン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩
沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであって
もよい。
【0081】本発明におけるハロゲン化銀粒子はヌード
ル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法
等の公知の脱塩法により脱塩することができる。
【0082】本発明の熱現像感光材料には全ハロゲン化
銀粒子の80%以上(個数)、好ましくは85%以上遷
移金属イオンが含有されるのが好ましい。該遷移金属錯
体は、下記一般式で表される6配位錯体が好ましい。
【0083】一般式 〔ML6m 式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる
遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−、2−又は3−
を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲ
ン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン
化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナー
ト、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニ
トロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはア
コ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位
子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占める
ことが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていて
もよい。本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学
増感されていることが好ましく、増感方法としてはイオ
ウ増感、セレン増感、テルル増感、貴金属増感、還元増
感等公知の増感法を用いることができる。また、これら
増感法は2種以上組み合わせて用いることもできる。イ
オウ増感にはチオ硫酸塩、チオ尿素化合物、無機イオウ
等を用いることができる。セレン増感、テルル増感に好
ましく用いられる化合物としては、特開平9−2305
27号公報に記載の化合物を挙げることがきる。貴金属
増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば塩
化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチ
オシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特
許第2,448,060号、英国特許第618,061
号等の明細書に記載されている化合物を挙げることがで
きる。還元増感法の貝体的な化合物としてはアスコルビ
ン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上又は
pAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元
増感することができる。
【0084】本発明の熱現像感光材料には、分光増感色
素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレッ
クスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、
ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニ
ン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を
用いることができる。例えば特開昭63−159841
号、同60−140335号、同63−231437
号、同63−259651号、同63−304242
号、同63−15245号等の公報、米国特許第4,6
39,414号、同4,740,455号、同4,74
1,966号、同4,751,175号、同4,83
5,096号等の明細書に記載された増感色素が使用で
きる。本発明の熱現像感光材料に使用可能な増感色素は
例えばResearch Disclosure It
em17643IV−A項(1978年12月p.2
3)、同Item1831X項(1978年8月p.4
37)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。特に各種レーザーイメージャーやスキャナーの光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。例えば特開平9−34078
号、同9−54409号、同9−80679号等の公報
に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0085】有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリ
ン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキ
サゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダ
ゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。
有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基
性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オ
キサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツ
ール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラ
ゾロン核などの酸性核も含む。
【0086】本発明においては、特に赤外に分光感度を
有する増感色素を用いることが好ましい。
【0087】(有機銀塩)本発明において有機銀塩は還
元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する
有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜3
0、好ましくは15〜28の炭素原子数)の脂肪族カル
ボン酸の銀塩が好ましい。配位子が、4.0〜10.0
の銀イオンに対する錯安定度定数を有する有機又は無機
の銀塩錯体も有用である。例えば次のものがある:有機
酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ア
ラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン
酸、オレイン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、マレイン酸、リノール酸等の銀塩);銀のカルボ
キシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキ
シプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピ
ル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩);アルデヒ
ドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応
生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒド
ロキシ置換芳香族カルボン酸類(例えば、サリチル酸、
安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チ
オジサリチル酸等)とのポリマー反応生成物の銀錯
体);チオン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カ
ルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾ
リン−2−チオン、3−カルボキシメチル−4−チアゾ
リン−2−チオン等の銀塩又は錯体);イミダゾール、
ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール、1
H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−
1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから
選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5
−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプ
チド類の銀塩。好適な銀塩の例は、Research
Disclosure第17029及び29963に記
載されており、特に好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキ
ジン酸銀又はステアリン酸銀である。
【0088】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と
錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正
混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−12764
3号公報に記載されている様なコントロールドダブルジ
ェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にア
ルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ
(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウ
ムなど)を作製した後に、コントロールダブルジェット
により、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の
結晶を作製する。その際に予め別調製したハロゲン化銀
粒子を混在させてもよい。
【0089】本発明においては有機銀塩は平均粒径が1
μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。有機
銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒
状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体
積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好
ましくは0.01〜0.8μm、特に0.05〜0.5
μmが好ましい。また単分散とは、ハロゲン化銀の場合
と同義であり、好ましくは変動係数が1〜30%であ
る。本発明においては、有機銀塩が平均粒径1μm以下
の単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にす
ることで濃度の高い画像が得られる。さらに有機銀塩は
平板状粒子が全有機銀の60%以上有することが好まし
い。本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの
比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略
す)が3以上のものをいう。
【0090】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm) 有機銀塩をこれらの形状にするためには、有機銀塩形成
時の温度、各液の濃度や添加速度、撹拌速度等の条件を
最適に制御すること、また、前記有機銀塩結晶をバイン
ダーや界面活性剤などとともにボールミルや高圧ホモジ
ナイザーなどで分散粉砕すること等で得られる。
【0091】本発明においては熱現像感光材料の失透を
防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀
量に換算して1m2当たり0.5〜2.5gであること
が好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られ
る。また銀総量に対するハロゲン化銀の量は、銀の質量
比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましく
は0.1〜15%の間である。
【0092】(バインダー)本発明の熱現像感光材料の
感光性層のバインダーとしては、ポリビニルブチラー
ル、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチ
レート、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹
脂、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。そ
の中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテー
ト、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、
ポリウレタン等がに好ましく用いられる。
【0093】(還元剤)本発明の熱現像感光材料には還
元剤を内蔵させる。本発明の熱現像感光材料に好適な還
元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,
773,512号、同3,593,863号等の明細
書、及びResearch Disclosure第1
7029及び29963に記載されており、次のものが
ある。
【0094】アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物
(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキ
セノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類
(reductones)エステル(例えば、ピペリジ
ノヘキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロ
キシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N
−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾ
ン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラ
ゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーア
ミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、
ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピ
ルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニ
ル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例え
ば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミド
アニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミ
ド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類
(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テト
ラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサ
リン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキ
サリン);アミドオキシン類;アジン類(例えば、脂肪
族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸
の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシ
ルアミンの組み合わせ、リダクトン又はヒドラジン;ヒ
ドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール
類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス
−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導
体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフ
ェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオ
ン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例え
ば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−
1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例え
ば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチ
ルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−ト
リ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5
−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フ
ェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3
−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤はヒンダ
ードフェノール類である。ヒンダードフェノール類とし
ては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0095】
【化1】
【0096】式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜
10のアルキル基(例えば、−C49、2,4,4−ト
リメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数
1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブ
チル)を表す。
【0097】(硬調化剤)硬調化剤として代表的には下
記一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体が用いられ
る。
【0098】
【化2】
【0099】式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよ
い脂肪族基、芳香族基、複素環基又は−G0−D0基を、
0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル
基又はオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−
基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11
−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G1
1)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−
基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族
基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1
が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよ
い。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、
アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては
水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙
げられる。
【0100】一般式(H)において、A0で表される脂
肪族基は好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に
炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好
ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オ
クチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、
これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファ
モイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換され
ていてもよい。
【0101】一般式(H)において、A0で表される芳
香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例
えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表
される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫
黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子
を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダ
ゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリ
ジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベ
ンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられ
る。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換
基を有していてもよい。A0として、特に好ましいもの
はアリール基及び−G0−D0基である。
【0102】又、一般式(H)において、A0は耐拡散
基又はハロゲン化銀吸着基を少なくとも一つ含むことが
好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真
用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラス
ト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置
換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好まし
い。
【0103】一般式(H)において、ハロゲン化銀吸着
促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプ
ト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミ
ド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−9
0439号公報に記載の吸着基等が挙げられる。
【0104】一般式(H)において、B0はブロッキン
グ基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−
CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG
11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)
(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−
基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、
−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1
脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分
子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっ
ても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ま
しいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル
基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スル
ホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基
等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0105】(マット剤)本発明においては、感光性層
側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画
像の傷つき防止のためには、熱現像感光材料の表面にマ
ット剤を配することが好ましく,そのマット剤を感光性
層側の全バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含
有することが好ましい。
【0106】本発明において用いられるマット剤の材質
は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機
物としては、スイス特許第330,158号明細書等に
記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書
等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号
明細書に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛
等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。
有機物としては、米国特許第2,322,037号明細
書に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細
書や英国特許第981,198号明細書等に記載された
澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報に記載のポリ
ビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細
書等に記載のポリスチレンあるいはポリメタアクリレー
ト、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポ
リアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号
明細書に記載されたポリカーボネートの様な有機マット
剤を用いることができる。
【0107】マット剤の形状は、定形、不定形どちらで
も良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられ
る。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算し
たときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒
径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0108】マット剤は、平均粒径が0.5〜10μm
であることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0
μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、
50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40
%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット
剤である。
【0109】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100 マット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好ま
しくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支
持体から見て最も外側の層である。
【0110】マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分
散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布
した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法
を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する
場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0111】(色調剤)本発明の熱現像感光材料には、
色調剤を添加することが好ましい。色調剤は、米国特許
第3,080,254号、同第3,847,612号及
び同第4,123,282号等の明細書に示されるよう
に、写真技術において周知の材料である。好適な色調剤
の例はResearch Disclosure第17
029号に開示されており、次のものがある。
【0112】イミド類(例えば、フタルイミド);環状
イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン
(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾ
リン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン
及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド
類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミント
リフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3
−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(ア
ミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、
N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロッ
クされたピラゾール類、イソチウロニウム(isoth
iuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み
合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カル
バモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウム
トリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチ
ルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロ
シアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチ
ル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリ
デン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4
−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノ
ン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−
(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノ
ン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3
−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノ
ンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−ク
ロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又
は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリ
ウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジ
ン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、
及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo
−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル
酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテト
ラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1
つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベン
ズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジ
ン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサ
ジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリ
アジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジ
ン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,
6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−
2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好まし
い色調剤としてはフタラゾン又はフタラジンである。
【0113】その他必要により安定剤、カブリ防止剤等
を添加することができる。 (表面保護層)本発明の熱現像感光材料の表面には、表
面を保護したり、擦り傷防止等のため感光性層上に表面
保護層を設けるのが好ましく、該表面保護層のバインダ
ーは、感光性層に用いられるものと同様のものが用いら
れ、その膜厚は0.1〜5.0μmの範囲とするのが好
ましい。
【0114】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以後のポリエチレングリコールの共重合比(質量
%)は末端の水素原子を除いて計算したときの値であ
る。
【0115】〔インクジェット記録材料の作製〕 〈積層ポリエステル支持体1(支持体1ともいう)の作
製〉テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリ
コール64質量部に酢酸カルシウム水和物0.1質量部
を添加し、常法によりエステル交換反応を行なった。得
られた生成物に金属スルホネート基含有芳香族ジカルボ
ン酸としての5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシ
エチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度
35質量%)16質量部(共重合比3モル%/全エステ
ル結合単位)、ポリアルキレングリコールとしてのポリ
エチレングリコール(数平均分子量3000)8.0質
量部(共重合比7質量%/ポリエステル反応生成物)、
三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエ
ステル0.13質量部を添加した。次いで徐々に昇温、
減圧し、280℃、67Paで重合を行ない、共重合ポ
リエステルAを得、これを以下のように加工して支持体
1用の共重合ポリエステルBを得た。
【0116】即ち、市販のポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.65)と上記で得られた共重合ポリエス
テルAを、質量比で共重合ポリエステルA/市販のポリ
エチレンテレフタレート=35/65の割合になるよう
にタンブラー型混合機でブレンドし、支持体1用のポリ
エステルBを得た。
【0117】上記共重合ポリエステルAとポリエステル
Bとを、それぞれ150℃で8時間真空乾燥した後、3
台の押出機を用いて280℃で溶融押出し、Tダイ内で
層状に接合し、冷却ドラム上に静電印加しながら密着さ
せて冷却固化し、3層構成の積層未延伸シートを得た。
このときポリエステルAが両外層、ポリエステルBが中
間層であり、各層の厚さの比が1:3:2となるように
各押出機の押出し量を調整した。この未延伸シートをロ
ール式縦延伸機を用いて90℃で縦方向に3.5倍延伸
した。
【0118】得られた1軸延伸フィルムをテンター式横
延伸機を用いて、第1延伸ゾーン100℃で総横延伸倍
率の50%延伸し、さらに第2延伸ゾーン120℃で総
横延伸倍率3.6倍となるように延伸した。次いで10
0℃で2秒間熱処理し、さらに第1熱固定ゾーン170
℃で5秒間熱固定し、第2熱固定ゾーン210℃で15
秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しながら
室温まで30秒かけて徐冷して厚さ180μm(各層の
膜厚30μm/90μm/60μm)の2軸延伸された
支持体1を得た。以降、30μm厚の共重合ポリエステ
ルA側の面を画像形成層の塗布面とした。
【0119】〈支持体2〜7の作製〉共重合ポリエステ
ルAの合成において、5−ナトリウムスルホジ(β−ヒ
ドロキシエチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶
液(濃度35質量%)の含有質量部(共重合比モル%/
全エステル結合単位)及びポリエチレングリコールの含
有質量部(共重合比質量%/ポリエステル反応生成物)
を表1のごとく変化した他は支持体1と同様にして支持
体2〜7を得た。
【0120】得られた支持体1〜7の加工性を肉眼で観
察したところ、表1に示すように、支持体1〜4は各層
が均一に積層されていて、平面性も優れているが、支持
体5は積層不良であり、支持体6及び7は平面性が不良
であった。
【0121】なお、上記支持体1〜7の30μm厚の共
重合ポリエステルA側の面を後述する画像形成層(イン
ク吸収層又は感光性層)の塗布面とした。
【0122】
【表1】
【0123】〈インクジェット記録材料1〜7の作製〉
平均1次粒径が7nmの気相法により合成された微粒子
シリカ180gを純水1000ml中に添加し、高速ホ
モジナイザーで分散して青白い透明な分散液を得た。次
にこのシリカ水分散液中に、カチオン性ポリマーとして
下記カチオン性ポリマーMor−1の25%水溶液を1
00ml添加し、消泡剤(サンノプコ(株)製のSNデ
フォーマー381)を塗布液に対して、0.01質量%
添加し、30分間高速ホモジナイザーで分散して、青白
い透明な分散液を得た。次に平均重合度300でケン化
度88%の10質量%ポリビニルアルコール水溶液を1
mlを添加し、更に平均重合度が3500でケン化度8
8%の5質量%ポリビニルアルコール水溶液(酢酸エチ
ルを4質量%含有)600mlを徐々に添加した。つい
で硬膜剤として4質量%ほう砂水溶液100mlを添加
し、20mlのエタノールを添加し、さらに、下記AS
分散液を30ml添加し、インク吸収層を形成するシリ
カ塗布液を調製した。
【0124】《AS分散液》下記組成の溶液1と溶液2
を調製し、混合して超音波分散機で分散した。
【0125】 (溶液1) 下記蛍光増白剤−1 0.2g ジ−i−デシルフタレート 3.0g 酢酸エチル 5ml (溶液2) ゼラチン 1.0g 界面活性剤(丸善製薬(株)QC−100) 2.8g 純水 22ml
【0126】
【化3】
【0127】ついで上記のようにして得られたシリカ塗
布液を支持体1〜7の塗布面に湿潤膜厚が200μmで
塗布し、塗布皮膜温度が15℃以下になるように一旦冷
却させた後、40℃の風で120秒間乾燥し、インクジ
ェット記録材料1〜7を作製した。
【0128】〈特性評価〉得られたインクジェット記録
材料1〜7の特性(立ち上がりカール、ひび割れ)を下
記評価基準により評価し、その結果を表2に示した。
【0129】(立ち上がりカール)上記インクジェット
記録材料1〜7をそれぞれ18cm×30cmに切り出
し、25℃、相対湿度55%で4時間調湿した後に塗工
層を上にして平面な台に置いたとき、台の上から立ち上
がった4スミの高さの平均値(単位mm)を立ち上がり
カールとする。立ち上がらず、逆向きになった場合は台
から一番盛り上がった部分の高さの絶対値に負の符号を
つけて表す。
【0130】(ひび割れ)上記インクジェット記録材料
1〜7のそれぞれに10cm×10cmのベタ印字を行
った後、25℃、相対湿度55%で4時間調湿した後の
印字表面をルーペにて黙視で観察し、表面にできた微少
なひび割れの数から以下のように評価し、その結果を表
2に示した。
【0131】 ○:0〜3個 △:4〜10個 ×:11個以上 〔熱現像感光材料の作製〕 〈下引き済み支持体1〜8の作製〉前記インクジェット
記録材料で用いられた支持体1〜7及び市販のポリエチ
レンテレフタレートフィルムの支持体8の塗布面に8W
/m2・分のコロナ放電処理を施し、下記下引塗布液を
乾燥膜厚0.4μmになるように塗設し、135℃で乾
燥させ、さらに123℃で2分間、熱処理を行い、下引
き済み支持体1〜8を作製した。
【0132】 《下引塗布液》 (P−1)固形分30質量% 62g (P−2)固形分30質量% 62g 界面活性剤(A−13) 0.6g 赤外線吸収化合物(水/メタノール=1/1、1質量%) 3g シリカ微粒子(平均粒径2μm) 0.3g 蒸留水で1Lに仕上げる。
【0133】
【化4】
【0134】(P−1)攪拌機、還流冷却器、滴下ロー
ト、窒素導入管を備えた反応容器に、脱気蒸留水300
質量部を入れ、窒素導入管を通して窒素ガスを導入し、
反応容器を窒素ガス雰囲気下にするとともに、水中の溶
存酸素を排除した。80℃に温度を上げた後、滴下ロー
トからドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部
を含む水溶液50質量部を、また、別のロートからスチ
レン34.6質量部、グリシジルメタクリレート68.
8質量部及びn−ブチルアクリレート68.8質量部の
混合単量体液を、更に、別のロートから過硫酸アンモニ
ウム3質量部を含む水溶液50質量部を滴下し、窒素ガ
ス還流下、80℃で8時間重合反応を行い、スチレン/
グリシジルメタクリレート/n−ブチルアクリレート
(20/40/40)水分散性重合体ラテックス(P−
1)を得た。
【0135】(P−2)攪拌機、還流冷却器、滴下ロー
ト、窒素導入管を備えた反応容器に、脱気蒸留水300
質量部を入れ、窒素導入管を通して窒素ガスを導入し、
反応容器を窒素ガス雰囲気下にするとともに、水中の溶
存酸素を排除した。80℃に温度を上げた後、滴下ロー
トからドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部
を含む水溶液50質量部を、また、別のロートからスチ
レン102.6質量部及びグリシジルメタクリレート6
8.4質量部の混合単量体液を、更に、別のロートから
過硫酸アンモニウム3質量部を含む水溶液50質量部を
滴下し、窒素ガス還流下、80℃で8時間重合反応を行
い、スチレン/グリシジルメタクリレート(60/4
0)水分散性重合体ラテックス(P−2)を得た。
【0136】上記下引き済み支持体1〜8上に下記感光
性層及び、表面保護層を塗布し、熱現像感光材料を作製
した。
【0137】〈感光性層の形成〉 《感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製》水900ml中に
平均分子量10万のオセインゼラチン7.5g及び臭化
カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0
に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと
(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウム及
び塩化イリジウムを銀1モル当たり1×10-5モル含む
水溶液を、pAg7.7に保ちながらコントロールドダ
ブルジェット法で8分間かけて添加した。その後4−ヒ
ドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して
平均粒子サイズ0.04μm、粒子サイズの変動係数1
2%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を
得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ
脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH
5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀
乳剤1を得た。
【0138】《ベヘン酸ナトリウム水溶液の調製》34
0mlのイソプロパノールにベヘン酸34gを65℃で
溶解した。次に撹拌しながら0.25モルの水酸化ナト
リウム水溶液をpH8.7になる様に添加した。この際
水酸化ナトリウム水溶液は約400ml必要とした。次
にこのベヘン酸ナトリウム水溶液を減圧濃縮を行いベヘ
ン酸ナトリウムの濃度を8.9質量%とした。
【0139】《ベヘン酸銀分散物の調製》750mlの
蒸留水中に30gのオセインゼラチンを溶解した溶液に
2.94Mの硝酸銀溶液を加え銀電位を400mVとし
た。この中にコントロールドダブルジェット法を用いて
78℃の温度下で上記ベヘン酸ナトリウム溶液374m
lを44.6ml/分のスピードで添加し同時に2.9
4Mの硝酸銀水溶液を銀電位が400mVになる様に添
加した。添加時のベヘン酸ナトリウム及び硝酸銀の使用
量はそれぞれ0.092モル、0.101モルであっ
た。添加終了後さらに30分撹拌し限外濾過により水溶
性塩類を除去して、ベヘン酸銀分散物を得た。
【0140】《感光性乳剤Aの調製》上記ベヘン酸銀分
散物に前記感光性ハロゲン化銀乳剤1を0.01モル加
え、更に撹拌しながらポリ酢酸ビニルの酢酸n−ブチル
溶液(1.2質量%)100gを徐々に添加して分散物
のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗と
水の除去を行った後、バインダーとしてポリビニルブチ
ラール(平均分子量3000)の2.5質量%の酢酸ブ
チルとイソプロピルアルコールの1:2混合溶液60g
を撹拌しながら加えた後、得られたゲル状のベヘン酸銀
及びハロゲン化銀の混合物にさらにバインダーとしてポ
リビニルブチラール(平均分子量4000)及び溶剤と
してイソプロピルアルコールを加え分散して感光性乳剤
Aを調製した。
【0141】〈熱現像感光材料1〜8の作製〉 《感光性層塗布》前記支持体1〜8のそれぞれに以下の
感光性層塗布液を、塗布銀量が2.4g/m2となるよ
うに、またバインダーとしてのポリビニルブチラールが
乾燥膜厚20μmとなるように塗布して、熱現像感光材
料1〜8を作製した。なお、乾燥はいずれも75℃、5
分間で行った。
【0142】 (感光性層塗布液) 感光性乳剤A 銀量として2.4gとなる量 増感色素−1(0.1質量%DMF溶液) 2ml CaBr22水塩(1質量%メタノール溶液) 9ml カブリ防止剤−1(1質量%メタノール溶液) 12ml カブリ防止剤−2(1.5質量%メタノール溶液) 8ml カブリ防止剤−3(2.4質量%DMF溶液) 15ml フタラジン(4.5質量%DMF溶液) 8ml 還元剤−1(10質量%アセトン溶液) 30ml
【0143】
【化5】
【0144】《表面保護層塗布》以下の組成の液を乾燥
後の膜厚が2.5μmになる様に感光層上に塗布した。
【0145】 アセトン 175ml 2−プロパノール 40ml メタノール 15ml セルロースアセテート 8.0g フタラジン 1.0g 4−メチルフタル酸 0.72g テトラクロロフタル酸 0.22g テトラクロロフタル酸無水物 0.5g マット剤(平均粒径4μmの単分散シリカ) 2g 得られた熱現像感光材料1〜8の特性(立ち上がりカー
ル、及び露光と熱現像処理をして得られた画像の鮮鋭性
(MTF))を下記測定法により測定評価し、その結果
を表2に示した。
【0146】《立ち上がりカール》上記熱現像感光材料
1〜8をそれぞれ18cm×30cmに切り出し、25
℃、相対湿度55%で4時間調湿した後に塗工層を上に
して平面な台に置いたとき、台の上から立ち上がった4
スミの高さの平均値(単位mm)を立ち上がりカールと
する。立ち上がらず、逆向きになった場合は台から一番
盛り上がった部分の高さの絶対値に負の符号をつけて表
し、その結果を表2に示した。
【0147】《画像の鮮鋭性(MTF)》熱現像感光材
料1〜8のそれぞれに2856Kの白色光に830nm
の干渉フィルターを用いて分光した光で露光した後、ヒ
ートドラムを有する熱現像用現像機に通して120℃、
5秒熱現像処理を行った。鮮鋭性は光学濃度1.0で1
5本/mm2でのMTF値を用いて評価し、その結果を
表2に示した。
【0148】
【表2】
【0149】表2より実施例の支持体を用いたインクジ
ェット記録材料及び熱現像記録材料は何れも立ち上がり
カールが少なくて優れたカールバランスを有し、さらに
インクジェット記録材料では記録画像にひび割れの発生
がなく、熱現像感光材料では熱現像して得られる銀画像
の解像力が優れていて、かつ生産性にも優れているが、
比較例のポリエステル支持体を用いたインクジェット記
録材料及び熱現像記録材料は上記特性の何れかが悪く実
用性に乏しいことがわかる。
【0150】
【発明の効果】実施例により実証されたように本発明の
支持体を用いたインクジェット記録材料及び熱現像感光
材料によれば、何れも立ち上がりカールが少なくて優れ
たカールバランスを有し、さらにインクジェット記録材
料では記録画像にひび割れの発生がなく、熱現像感光材
料では熱現像して得られる画像の解像力が優れていて、
かつ生産性にも優れている等優れた効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA01 BA12 BA19 BA31 BA41 4F100 AK41B AK41C AK41D AK41E AK42A AK42J AL01A BA02 BA03 BA04 BA05 BA10A BA10B GB90 JL04 YY00A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に片面のみに塗布される片面塗布
    用積層ポリエステル支持体であって、該支持体が2層以
    上のポリエステル層を積層してなる積層ポリエステル支
    持体であり、少なくとも1層が共重合成分として1種の
    金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エ
    ステル結合単位に対して3〜8モル%含有し、かつ、1
    種のポリアルキレングリコールをポリエステル反応生成
    物の2〜8質量%共重合成分として含有するポリエステ
    ルからなることを特徴とす片面塗布用積層ポリエステル
    支持体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の片面塗布用積層ポリエ
    ステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とするイ
    ンクジェット記録材料。
  3. 【請求項3】 25℃、相対湿度55%での立ち上がり
    カールが5mm以下であることを特徴とする請求項2に
    記載のインクジェット記録材料。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の片面塗布用積層ポリエ
    ステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とする熱
    現像感光材料。
  5. 【請求項5】 画像形成層の上に保護層を設けたことを
    特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 25℃、相対湿度55%での立ち上がり
    カールが5mm以下であることを特徴とする請求項4又
    は5に記載の熱現像感光材料。
  7. 【請求項7】 最大吸収波長(λmax)が700〜9
    00nmの水溶性赤外線吸収化合物を含有する層が、画
    像形成層と同じ側に設けられていることを特徴とする請
    求項4〜6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014013418A (ja) * 2006-06-23 2014-01-23 3M Innovative Properties Co 多層光学フィルム、その作製方法及びそれを有するトランザクションカード

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