JP2002540770A - 抗マラリア原虫組成物および使用法 - Google Patents

抗マラリア原虫組成物および使用法

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Abstract

(57)【要約】 赤血球に対する熱帯熱マラリア原虫の結合を阻害する組成物を提供する。より詳しくは、熱帯熱マラリア原虫結合性タンパク質に特異的な抗体、および熱帯熱マラリア原虫の結合を妨害する遮断ペプチドが本発明に包含される。提供される方法は本明細書に提供した抗体とペプチドを利用し、マラリアなどの熱帯熱マラリア原虫疾患の診断、予防および治療方法、並びに生体サンプルおよび培地中の熱帯熱マラリア原虫の検出方法を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願の相互参照 本発明は1999年3月4日出願の米国仮特許出願番号60/122,842
および1999年9月13日出願の米国仮特許出願番号60/153,575の
優先権を主張する。
【0002】 (技術分野) 本発明は微生物学および免疫学の分野に関連し、より詳しくはマラリアの検出
、診断および治療用の組成物および方法に関する。とりわけ、本発明は熱帯熱マ
ラリア原虫(Plasmodium falciparum)赤血球結合性タン
パク質抗原が赤血球に結合するのを阻害するペプチドおよび抗体に関する。
【0003】 (背景技術) 地域流行性のマラリアは合衆国から消滅したが、マラリアが、アフリカ、アジ
ア、ラテンアメリカなどの国々で毎年数百万人の人々が亡くなる、世界で最も重
要な感染症の一つであることに変わりはない。マラリアの特徴的発症は悪寒とそ
れに続く104〜107°Fの発熱、さらに多量の発汗である。マラリアの他の
徴候は貧血、生命必須器官への血流低下、血小板減少、および糸球体腎炎などで
ある。さらに、中枢神経系が関与すると、症候はせん妄、痙攣、麻痺、昏睡、そ
してさらに急速な死に至る。
【0004】 ヒトでのマラリア病は以下の4種のマラリア原虫寄生体を原因とする、熱帯熱
マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. v
ivax)、卵形マラリア原虫(P. ovali)、および四日熱マラリア原
虫(P. malariae)。これらの種のそれぞれはマラリア原虫寄生体ま
たは胞子体を伝播するメスのハマダラカ属(Anopheles)蚊を介してヒ
トに伝播される。胞子体が一旦ヒトの血流に入ると、それらは肝臓の細胞または
肝細胞に局在化する。1〜2週間後、感染した肝細胞が崩壊し、成熟寄生体また
は分裂小体を放出する。次に、分裂小体は赤血球細胞または赤血球に付着し、侵
入してマラリアの赤内期が始まる。
【0005】 マラリア寄生体による赤血球侵入がマラリア発病と病理の直接的原因である。
マラリアの特徴である熱、貧血、循環系変化、および免疫病理学的現象は大半が
赤血球崩壊と寄生赤血球に対する宿主免疫応答の結果である。このような理由で
、マラリア原虫生活環の赤内期はワクチンの開発とマラリア治療にとって極めて
重要な期である。
【0006】 マラリアの赤内期での新しいまたは新規な治療剤開発の戦略が数多くある。戦
略の一つは寄生体生存に決定的な寄生分子を同定することである。感染肝細胞か
らまたは感染赤血球から放出される細胞外分裂小体は、それらが生存するとすれ
ば、数分以内に他の赤血球に侵入しなければならない。マラリア寄生体による侵
入は、寄生体表面のレセプターに寄生体タンパク質が結合することに依存する(
Hadley et al., 1986)。
【0007】 興味深いことに、異なる寄生体種は赤血球に侵入するために異なる赤血球のレ
セプターを使用する。熱帯熱マラリア原虫はEBA−175と呼称する175k
Daの赤血球結合タンパク質を介して赤血球に侵入する。EBA−175は侵入
に際して、赤血球上のそのレセプター、グリコホリンAに結合する赤血球侵入リ
ガンドとして機能する(Camus and Hadley, 1985; S
im et al., 1990; Orlandi et al., 199
2; Sim et al., 1994b)。それに対して、ヒト三日熱マラ
リア原虫およびサルの東南アジアマラリア原虫(P. knowlesi)はあ
る種の赤血球上に存在するダッフィ血液型抗原に結合して赤血球に侵入する(M
iller et al., 1975)。三日熱マラリア原虫および東南アジ
アマラリア原虫のダッフィ抗原結合タンパク質をコードする遺伝子はクローニン
グされ、配列決定されている(それぞれ、Fang et al., 1991
and Adams et al., 1990)。
【0008】 赤血球に侵入するために三日熱マラリア原虫および東南アジアマラリア原虫が
使用するタンパク質をコードする遺伝子の配列決定により、これらのタンパク質
が、赤血球侵入のために熱帯熱マラリア原虫が使用するタンパク質、EBA−1
75をコードする遺伝子と同じファミリーのメンバーであることが証明された(
Adams et al., 1992)。Duffy結合タンパク質とEBA−1
75間の相同性は5’および3’システインリッチドメインに限定される。これ
らのシステインリッチドメイン内には、システインと幾つかの芳香族残基が保存
されているが、介在するアミノ酸配列は異なっている。Sim等(1994b)
は、熱帯熱マラリア原虫のEBA−175の5’システインリッチドメインが、
レセプター結合ドメインを含んでいることを証明したが、一方、Chitnis
およびMiller(1994)は、三日熱マラリア原虫および東南アジアマラ
リア原虫の5’システインリッチドメインが、Duffy結合ドメインを含んでいる
ことを証明した。図1参照。
【0009】 (発明の要約) 本発明はマラリア原虫感染症およびマラリア原虫関連感染症の検出、診断およ
び治療用の組成物および方法を提供する。とりわけ、該組成物はマラリア原虫赤
血球結合性タンパク質が赤血球に結合するのを特異的に阻害するEBA−175
抗体とペプチドを含む。好ましくは、該抗体は熱帯熱マラリア原虫のEBA−1
75赤血球結合性タンパク質に特異的に結合する。さらに好ましい実施形態では
、該抗体はR215、R215、R217およびR256と命名され、本明細書
に記載の性質を有する。さらに、他の好ましい実施形態は、EBA−175ペプ
チドは配列番号1、配列番号2および配列番号3のアミノ酸配列を有する。
【0010】 本発明のEBA−175抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体で
もよい。EBA−175に特異的な抗体はヒトまたは動物に投与してヒトまたは
動物を熱帯熱マラリア感染に対して受身免疫し、それによってマラリアなどの熱
帯熱マラリア原虫関連疾患を減少させることができる。熱帯熱マラリア原虫赤血
球結合性タンパク質に特異的なEBA−175ペプチドは、ヒトまたは動物に投
与してヒトまたは動物を熱帯熱マラリア感染に対して免疫し、それによってマラ
リアなどの熱帯熱マラリア原虫関連疾患を減少させることができる。該抗体はま
た、マラリア研究および大量のEBA−175タンパク質単離にとってのインビ
トロ研究手段としても有用である。EBA−175抗体は熱帯熱マラリア原虫の
有無およびその量を検出する診断キットにも使用可能であって、それがマラリア
など、疾患の発症または再発の診断または予後診断となる。さらに、熱帯熱マラ
リア原虫が赤血球に結合するのを阻害するEBA−175ペプチドは、熱帯熱マ
ラリア原虫抗体の有無およびその量を検出する診断キットにも使用可能であって
、それがマラリアなど、疾患の発症についての診断または予後診断となる。
【0011】 該組成物はまた、熱帯熱マラリア原虫抗体および抗体フラグメント、熱帯熱マ
ラリア原虫遮断ペプチド、熱帯熱マラリア原虫抗血清、細胞障害剤に結合した熱
帯熱マラリア原虫レセプター作用薬および熱帯熱マラリア原虫レセプター拮抗薬
をも包含する。かかる組成物は研究への応用に有用である。該組成物は、医薬的
に許容し得る添加物、または徐放性化合物または組成物、例えば、生物分解性ポ
リマーなどと併用した場合、ワクチンまたは治療用組成物などの治療剤として有
用である。
【0012】 診断と分析の方法およびキットは、生物体液および生物組織を含む多様な生物
サンプルについての熱帯熱マラリア原虫の検出および測定、また、組織および細
胞内の熱帯熱マラリア原虫位置確認のために開発することが可能である。該方法
とキットは当業者周知の形状とし得る。
【0013】 本発明方法はマラリアなどの熱帯熱マラリア病の治療、診断および予防方法で
ある。さらに提供されるのは、EBA−175タンパク質、熱帯熱マラリア原虫
および熱帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質の検出方法である。これらの
方法では本明細書に記載のEBA−175抗体とペプチドを採用する。予防方法
とは熱帯熱マラリア原虫寄生体に感染する前に受身免疫を行い、赤血球の寄生体
感染を阻止することである。治療法とは感染後に投与して、寄生体の拡散を阻害
し、熱帯熱マラリア原虫感染の徴候を改善することでもある。熱帯熱マラリア原
虫感染症の診断方法とは、生物サンプルを本明細書に記載の抗体と結合させる方
法であって、その場合の抗体の結合がマラリアを示している。熱帯熱マラリア原
虫および熱帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質の検出方法は、生物体液お
よび組織などの生物サンプル中、および培地中において、EBA−175タンパ
ク質、熱帯熱マラリア原虫および熱帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質の
検出を目的とする方法である。
【0014】 従って、本発明の目的の一つは、1種以上のEBA−175抗体または遮断ペ
プチドを含む組成物を提供することである。
【0015】 本発明の他の目的はマラリアなどの熱帯熱マラリア原虫関連疾患の治療方法を
提供することである。 本発明のさらなる目的はマラリアの治療方法を提供することであり、その場合
1種以上のEBA−175抗体および/または遮断ペプチドを含む組成物をかか
る治療を必要とする個体に投与する。
【0016】 本発明の他の目的はマラリアなどの熱帯熱マラリア原虫関連疾患の診断方法を
提供することである。 本発明のさらに他の目的はマラリアの診断方法を提供することであり、その場
合、1種以上のEBA−175抗体を含む組成物を使用する。
【0017】 本発明のさらなる目的はマラリアなどの熱帯熱マラリア原虫関連疾患の予防方
法を提供することである。 本発明の他の目的はマラリアの予防方法を提供することであり、その場合、1
種以上のEBA−175抗体またはペプチドを含む組成物をかかる予防を必要と
する個体に投与する。
【0018】 本発明の他の目的は、培地中、および生物組織および体液などの生物サンプル
中に熱帯熱マラリア原虫を検出する方法を提供することである。 本発明のさらなる目的は熱帯熱マラリア原虫の検出方法を提供することであり
、その場合、1種以上のEBA−175抗体を含む組成物を使用する。
【0019】 本発明のこれらの、および他の目的、特徴および利点は以下の開示態様の詳細
な説明および添付された請求項を参照することにより、明らかとなろう。
【0020】 (発明の開示) 熱帯熱マラリア原虫感染症の治療用、熱帯熱マラリア原虫感染症に関係する疾
患の診断用、および熱帯熱マラリア原虫感染症に関係する疾患の予防用組成物お
よび方法が提供される。該組成物は熱帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質
およびそのフラグメントの結合を阻害する分離した抗体とぺプチドである。本発
明の抗体とぺプチドはプラスモディウム(Plasmodium)種のEBA−
175赤血球結合性タンパク質に結合する。本発明の一態様において、該プラス
モディウム種は熱帯熱マラリア原虫であり、EBA−175タンパク質はCam
usおよび Hadley(1985)、Sim等 (1990)、およびOr
landi等(1992)に記載されたものである。
【0021】 本明細書にて使用する場合、「抗体」という用語はモノクローナル抗体、ポリ
クローナル、キメラ、1本鎖、二重特異性、サル化およびヒト化抗体、Fabフ
ラグメントなどを含み、Fab免疫グロブリン発現ライブラリーの産物およびペ
プチド抗体フラグメントを含む。また、本明細書にて使用する場合、用語「EB
A−175抗体」とは、プラスモディウム種のEBA−175赤血球結合性タン
パク質に結合する抗体をいう。また、理解すべきことは、本明細書にて使用する
場合、用語「単離された」とは、通常本来の状態で併存する成分の少なくとも一
部を実質的にまたは本質的に含まない組成物をいう。このように、本発明の単離
されたEBA−175抗体およびタンパク質は、通常元の環境において、会合し
ている物質の一部を含まない。一般に、本発明の単離されたEBA−175抗体
およびタンパク質は、銀染色ゲル上バンドの強度により測定した場合、その純度
が少なくとも約80%、通常少なくとも約90%、また、好ましくは約95%で
ある。
【0022】 理解すべきことは、「単離された」という用語は本発明からEBA−175抗
体とタンパク質を含む融合タンパク質を排除するものではないということである
。本発明は本明細書に記載したEBA−175抗体とタンパク質および他のタン
パク質を含む融合タンパク質またはキメラタンパク質をも視野に置く。また、本
発明はヒト化EBA−175抗体をも包含する。例えば、本明細書に記載したマ
ウス起源のEBA−175抗体は、当業者既知の方法によりヒト化することが可
能である。非ヒト起源の抗体をヒト化するのに使用する方法の例は、ヒト免疫グ
ロブリンをコードする遺伝子を有するトランスジェニックマウスの使用、および
非ヒト抗体の可変領域ドメインとヒト免疫グロブリン遺伝子とを含む融合タンパ
ク質を創出する組換え技術の使用である。従って、本発明は、本明細書に記載し
た抗体の可変領域と、ヒト免疫グロブリン、特にヒトIgGの非可変領域とを含
むヒト化EBA−175抗体を企図するものである。
【0023】 さらに、本明細書にて使用する不定冠詞および定冠詞(a、anおよびthe
)は“1またはそれ以上”を意味するものとし、文脈が不適切とならない限り、
複数を含むものとする。本明細書にて使用する用語「ポリペプチド」、「ペプチ
ド」および「タンパク質」は互いに置換し得るものであって、ペプチド結合によ
り結合した2個以上のアミノ酸から構成される生物分子を意味するものとする。
【0024】 本発明はプラスモディウム種のEBA−175赤血球結合性タンパク質に特異
的に結合する抗体とペプチドを包含する。本明細書にて使用する場合、“特異的
に結合する”および“選択的に結合する”という用語は同義語であって、特定さ
れたイムノアッセイ条件下で、明記した抗体とペプチドが、それぞれ特定のペプ
チド/タンパク質または抗体に優先的に結合し、サンプル中に存在する他のペプ
チド/タンパク質または抗体には有意な量で結合しない結合反応をいう。特異結
合とは、タンパク質類と他の生物物質の不均一母集団の存在下にペプチドまたは
抗体が存在するときの決定因子である。かかる条件下でのぺプチドまたは抗体に
対する特異結合は、特定のタンパク質に対し特異性の選択される抗体または遮断
ペプチドを必要とする。様々なイムノアッセイの様式が、特定のタンパク質と特
異的に免疫反応する抗体とペプチドを選択するために使用し得る。例えば、固相
ELISAイムノアッセイが、あるタンパク質と特異的に免疫反応するモノクロ
ーナル抗体を選択するために常套的に使用される。イムノアッセイの様式と特異
的免疫反応性を決定するのに使用し得る条件については、Harlow and
Lane (1988) Antibodies, A Laborator
y Manual, Cold Spring Harbor Publica
tions, New York、を参照。
【0025】 本発明の一態様において、抗体はプラスモディウム種のEBA−175赤血球
結合性タンパク質の5’システインリッチ領域に結合する。好ましい実施形態と
しては、プラスモディウム種は熱帯熱マラリア原虫である。熱帯熱マラリア原虫
の5’システインリッチ領域を領域IIとして図1に示す。領域IIはEBA−
175タンパク質のアミノ酸約145〜760個を包含する。図1に示すように
、5’システインリッチ領域はさらに2つの領域F1とF2に分割されるが、こ
れを本明細書ではそれぞれRII/F1およびRII/F2と命名する。本発明
に包含されるのは、熱帯熱マラリア原虫のEBA−175タンパク質の領域II
に結合する抗体であり、より好ましくは熱帯熱マラリア原虫のEBA−175タ
ンパク質のRII/F2領域に結合する抗体である。
【0026】 本発明の一態様においては、EBA−175タンパク質の一領域に結合する抗
体が提供され、その場合の該領域はEBA−175タンパク質のRII/FII
領域のフラグメントである約10個のアミノ酸配列からなる。さらなる態様にお
いて、10個のアミノ酸配列はEBA−175タンパク質のアミノ酸およそ48
8〜497に相当し、より好ましくは、CVPPRRQELC(配列番号1)の
アミノ酸配列を有する。
【0027】 本発明の組成物はプラスモディウム種および/またはEBA−175タンパク
質またはペプチドが赤血球に結合するのを阻害するペプチドをも包含する。本明
細書にて使用する場合、“EBA−175ペプチド”という用語はプラスモディ
ウム種のEBA−175タンパク質の5〜100アミノ酸配列をいい、より好ま
しくはプラスモディウム種のEBA−175タンパク質の5〜25アミノ酸配列
をいい、最も好ましくはプラスモディウム種のEBA−175タンパク質の5〜
15アミノ酸配列をいう。一態様において、該ペプチドはすでに定義されている
ように赤血球結合タンパク質EBA−175の結合を阻害する(Camus a
nd Hadley (1985); Sim et al. (1990),
and Orlandi et al. (1992))。他の態様において
、本発明はEBA−175タンパク質のアミノ酸およそ488〜497に相当す
るEBA−175ペプチドを提供する。好ましい実施形態は、該ペプチドは、C
VPPRRQELC(配列番号1)、CNMVPMSRC(配列番号2)または
CWSINPRWC(配列番号3)のアミノ酸配列を有する。本発明のペプチド
類を創出する場合、留意すべきことは、ファージ展示技法にて周知のように、該
ペプチドがGGGS(配列番号4)の末端アミノ酸配列を任意に含むことである
【0028】 用語“相当する”および“対応する”とは、アミノ酸を参照する場合、異なる
タンパク質またはそのフラグメントの同じ領域で2つのアミノ酸を比較すること
を示し、その場合、該タンパク質は同族体、オーソログまたはパラログである。
同族体は実質的な相同性をもつタンパク質と定義し、その場合、“実質的な相同
性”は以下に定義する。オーソログは非同一アミノ酸配列および同じ機能特性を
もつタンパク質と定義され、その場合のタンパク質は異なる種からのものである
が、その場合の種は共通の祖先起源を有する。パラログは非同一アミノ酸配列お
よび同じ機能特性をもつタンパク質と定義され、その場合のタンパク質は同一の
種からのものである。
【0029】 本発明はEBA−175ペプチド誘導体を包含するものであることをも理解す
べきである。EBA−175ペプチド誘導体はEBA−175ペプチドのアミノ
酸配列を有する配列を包含する。EBA−175ペプチド誘導体はまた、EBA
−175ペプチド配列に相当する配列のペプチドをも包含する。“配列”はより
大きな配列内に見出される連続したアミノ酸の配列である。本明細書にて定義す
るように、より大きな配列とはアミノ酸約10個のEBA−175ペプチドであ
る。配列は一般により大きな配列の少なくとも約70%、より好ましくは80%
、そして最も好ましくは90%から構成される。
【0030】 また、EBA−175ペプチド誘導体は当初の配列または引続く配列内の1以
上のアミノ酸が、天然のアミノ酸残基またはアミノ酸残基類似体(修飾アミノ酸
ともいう)により置換された修飾配列をもつペプチドをも包含する。適切なEB
A−175ペプチド誘導体は、EBA−175ペプチドのアミノ酸配列に、また
はEBA−175ペプチドの抗血管形成配列に実質的に相同である修飾配列を有
する。
【0031】 “アミノ酸残基”とはタンパク質またはペプチド内に見出される一部分であり
、−NH−CHR−CO−(ただし、Rは天然アミノ酸の側鎖である)により表
される。ペプチド内に見出される一部分という場合、“アミノ酸残基”および“
アミノ酸”という用語は互いに置換えて使用しうる。“アミノ酸残基類似体”と
は、以下の式:−NH−CHR−CO−(ただし、Rは脂肪族基、置換脂肪族芳
香族基、ベンジル基、置換ベンジル基、芳香族基または置換芳香族基であり、ま
た、Rは天然アミノ酸の側鎖に対応しない)を有するDまたはLの立体配置を含
む。
【0032】 本明細書に記載したEBA−175ペプチド配列におけるアミノ酸残基の適切
な置換は、熱帯熱マラリア原虫またはEBA−175タンパク質が赤血球に結合
するのを遮断するEBA−175ペプチドを生じる同類置換を包含する。同類置
換はアミノ酸(天然または修飾)の置換が、置換されるアミノ酸に構造的に関連
する場合の置換である。“構造的に関連する”アミノ酸はおよそ同じサイズであ
って、側鎖に同じまたは同様の官能基をもつ。
【0033】 以下に提供するのは、一群の天然および修飾アミノ酸であり、その場合の一群
の各アミノ酸は同様の電子的および立体的性質を有する。このように、同類置換
はあるアミノ酸を同一群の別のアミノ酸と置換することにより実施することがで
きる。これらの群に制限はなく、また、各群においてはさらに修飾したアミノ酸
も包含し得ることを理解すべきである。
【0034】 I群に包含されるのは、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、およ
び以下の側鎖をもつ修飾アミノ酸である:エチル、n−プロピル、n−ブチル。
好ましくは、I群はロイシン、イソロイシン、バリン、およびメチオニンを包含
する。
【0035】 II群に包含されるのは、グリシン、アラニン、バリン、およびエチル側鎖を
有する修飾アミノ酸である。
【0036】 III群に包含されるのは、フェニルアラニン、フェニルグリシン、チロシン
、トリプトファン、シクロヘキシルメチル、および置換ベンジルまたはフェニル
側鎖を有する修飾アミノ残基である。好ましくは、置換基は以下のものを1個以
上含む:ハロゲン、メチル、エチル、ニトロ、−NH2、メトキシ、エトキシ、
および−CN。好ましくは、III群はフェニルアラニン、チロシン、およびト
リプトファンである。
【0037】 IV群に包含されるのは、グルタミン酸、アスパラギン酸;グルタミン酸また
はアスパラギン酸の置換もしくは非置換脂肪族、芳香族もしくはベンジルエステ
ル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル、ベン
ジルまたは置換ベンジル);グルタミン、アスパラギン、−CO−NH−アルキ
ル化グルタミンまたはアスパラギン(例、メチル、エチル、n−プロピル、およ
びイソプロピル);および側鎖−(CH23−COOHを有する修飾アミノ酸、
そのエステル(置換または非置換脂肪族、芳香族もしくはベンジルエステル)、
そのアミド、およびその置換または非置換のN−アルキル化アミドである。好ま
しくは、IV群はグルタミン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸メチル、アス
パラギン酸エチル、アスパラギン酸ベンジル、およびグルタミン酸メチル、グル
タミン酸エチルおよびグルタミン酸ベンジル、グルタミン、およびアスパラギン
である。
【0038】 V群に包含されるのは、ヒスチジン、リジン、オルニチン、アルギニン、N−
ニトロアルギニン、β−シクロアルギニン、γ−ヒドロキシアルギニン、N−ア
ミジノシトルリン、および2−アミノ−4−グアニジノブタン酸、リジン同族体
、アルギニン同族体、およびオルニチン同族体である。好ましくは、V群はヒス
チジン、リジン、アルギニン、およびオルニチンである。アミノ酸の同族体とは
側鎖のメチレン単位を1ないし約3個加えたもの、または差引いたものである。
【0039】 VI群に包含されるのは、セリン、スレオニン、システイン、および−OHま
たは−SHで置換されたC1〜C5の直鎖または分枝アルキル側鎖、例えば、−
CH2CH2OH、−CH2CH2CH2OHまたは−CH2CH2OHCH3などを有
する修飾アミノ酸である。好ましくは、VI群はセリン、システイン、またはス
レオニンである。
【0040】 本発明の他の局面において、本明細書に記載したアミノ酸配列におけるアミノ
酸残基に対する適切な置換は、熱帯熱マラリア原虫またはEBA−175タンパ
ク質が赤血球に結合するのを遮断するEBA−175誘導体に至らしめる“厳格
な置換”である。熱帯熱マラリア原虫またはEBA−175タンパク質が赤血球
に結合するのを遮断するEBA−175誘導体に至らしめる厳格な置換は、より
多くの場合、高度に保存的である位置よりも、あまり高度ではない保存位置で可
能であると思われる。本発明において、厳格な置換は保存システインアミノ酸残
基ではあまり可能であると思われない。“厳格な置換”は置換している(天然ま
たは修飾の)アミノ酸が、置換されるべきアミノ酸と比べて有意に異なるサイズ
および/または電子的性質を有する置換である。例えば、置換しているアミノ酸
の側鎖は、置換されるべきアミノ酸の側鎖よりも有意に大きい(または小さい)
か、および/または置換されるべきアミノ酸とは有意に異なる電子的性質を有す
る官能基をもち得る。
【0041】 この型の厳格な置換は、アラニンに対するフェニルアラニンまたはシクロヘキ
シルメチルグリシンの置換、グリシンに対するイソロイシン、相当するLアミノ
酸に対するDアミノ酸、またはアスパラギン酸に対する−NH−CH[(CH2
5−COOH]−CO−の置換などである。あるいは、官能基を側鎖に加えて
もよいし、側鎖から除いてもよいし、または他の官能基と交換してもよい。この
型の厳格な置換の例は、バリン、ロイシンまたはイソロイシンの脂肪族側鎖にア
ミンまたはヒドロキシル、カルボン酸などを加えること、アスパラギン酸または
グルタミン酸の側鎖カルボン酸をアミンに取り替えるか、またはリジンまたはオ
ルニチンの側鎖アミン基を除くことである。尚、さらに代わり得るのは、置換し
ているアミノ酸の側鎖が置換すべきアミノ酸の官能基とは有意に異なる立体的、
電子的性質を有し得ることである。かかる修飾の例はグリシンに対するトリプト
ファン、アスパラギン酸に対するリジン、およびセリン側鎖に対する−(CH2
4−COOHである。これらの例はこれらに制限されることを意味するもので
はない。
【0042】 “実質的な相同性”が2つのアミノ酸配列間に存在するのは、各アミノ酸配列
の対応する位置の十分な数のアミノ酸残基が一致しているか、または構造的に関
連しており、第一のアミノ酸配列をもつタンパク質またはペプチドと第二のアミ
ノ酸配列をもつタンパク質またはペプチドとが同様の生物活性を示すような場合
である。一般に、第一のアミノ酸配列において少なくとも30%、より好ましく
は少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%のアミノ酸が、第二のア
ミノ酸配列と一致しているか、または構造的に関連している場合に、アミノ酸配
列間に実質的な配列相同性がある。相同性は多くの場合、配列分析ソフトウエア
、例えば、BLASTINまたはBLASTPを用いて測定する。(ヌクレオチ
ド配列について)BLASTINにより2つの配列を比較する(例えば、2つの
配列を互いに対して“ブラスト”化する)ためのデフォルト・パラメーターを整
合=1とし、不整合ペナルティ=−2とし、開ギャップ=5とし、また拡張ギャ
ップ=2とする。タンパク質の配列についてBLASTPを使用する場合のデフ
ォルト・パラメーターは、整合=0とし、不整合ペナルティ=0とし、開ギャッ
プ=11とし、また拡張ギャップ=1とする。
【0043】 本明細書に記載したEBA−175抗体およびペプチドは、ワクチンおよび治
療用組成物の製造に有用である。本明細書に使用する場合、“ワクチン”という
用語は、本明細書に記載したように、EBA−175抗体またはそのフラグメン
トを含む組成物であって、熱帯熱マラリア原虫に感染する前または後に、個体を
受身免疫するのに使用する。また、“ワクチン”という用語は本明細書に記載し
たEBA−175ペプチドを含む組成物であって、熱帯熱マラリア原虫に感染す
る前に、個体を能動免疫するのに使用する。従って、本発明はEBA−175タ
ンパク質が赤血球細胞または赤血球に結合するのを阻害する抗体を包含する。さ
らに本発明が包含するのは、熱帯熱マラリア原虫が赤血球細胞に侵入するのを阻
害する抗体である。該抗体はインビトロおよび/またはインビボで熱帯熱マラリ
ア原虫が赤血球細胞に侵入するのを阻害する。
【0044】 本発明のEBA−175抗体およびペプチドは血清から単離するか、または化
学的もしくは生物学的方法で合成することができる。例えば、EBA−175抗
体およびペプチドは細胞培養物から単離するか、組換え遺伝子発現またはポリペ
プチド合成により産生させるか、またはEBA−175抗体もしくはペプチドを
包含し、生ずる大型のポリペプチドからインビトロでの酵素触媒により誘導する
ことができる。組換え技法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅技法
によるDNA供給源からの遺伝子増幅、および逆転写酵素/PCRなどの増幅技
法によるRNA供給源からの遺伝子増幅などである。一態様において、EBA−
175ペプチドはファージ展示技法を経由して生産、分析する。ファージ展示技
法に使用し得るファージ・ベクターは、λ、M13、MS2、Mu、P4、λg
tIIおよびΦX174などであるが、これに限定されるものではない。
【0045】 本発明のEBA−175抗体およびペプチドは、熱帯熱マラリア原虫またはそ
の抗体の検出または同定のために、検出可能な標識により直接標識することがで
きる。本明細書に使用する場合、“検出する”または“検出”という用語は、検
討下の生物分子の存在を定量する、または定量的に測定することをいう。イムノ
アッセイに使用する標識は一般に当業者既知のものであり、酵素、放射性同位元
素、および蛍光、発光、並びにコロイド金およびラテックスビーズなどの着色粒
子を含む色原物質などを包含する。適切なイムノアッセイは酵素結合抗体免疫吸
着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイである。
【0046】 本発明のEBA−175抗体およびペプチドは、プロテインAもしくはGまた
は第二抗体など、免疫グロブリンに親和性を有する標識物質との反応により間接
的に標識することができる。第二抗体を使用する場合、適切なイムノアッセイは
イムノブロットまたはウエスタンブロットである。さらに、該抗体または遮断ペ
プチドは第二物質と接合させ、該抗体に接合させた第二物質に親和性を有する標
識第三物質により検出することができる。例えば、該抗体または遮断ペプチドは
ビオチンに接合させ、その抗体−ビオチン複合体を標識したアビジンまたはスト
レプトアビジンにより検出することができる。同様に、該抗体または遮断ペプチ
ドはハプテンに接合させ、その抗体−ハプテン複合体を、標識した抗ハプテン抗
体により検出することができる。これら抗体の標識方法および複合体のアッセイ
方法、その他の方法は当業者周知のものである。
【0047】 検出可能な生物分子または化学物質により標識する場合、該抗体またはペプチ
ドは、下記の方法およびアッセイによるインビボおよびインビトロ診断薬と実験
室研究などの目的に有用である。種々の型の標識体、その標識体をポリペプチド
および抗体に接合させる方法は当業者周知である。数種の特異的標識体を以下に
述べる。
【0048】 例えば、EBA−175抗体およびペプチドは、放射性標識体、例えば、これ
らに限定されるものではないが、32P、3H、14C、35S、125I、または131
に接合させる。標識体の検出はシンチレーションカウンティング、ガンマ線スペ
クトロメトリーまたはオートラジオグラフィーなどの方法により実施し得る。ホ
タル・ルシフェリン誘導体などの生物発光標識体も有用である。生物発光物質は
共有結合により簡便な方法でポリペプチドまたは抗体に結合し、標識した抗体は
、ルシフェラーゼなどの酵素がATPとの反応を触媒し、生物発光分子に光子を
放出させるのを利用し検出する。発蛍光団も標識体として使用し得る。発蛍光団
の例はフルオレセインと誘導体、フィコエリスリン、アロ−フィコシアニン、フ
ィコシアニン、ローダミン、およびテキサスレッドなどである。発蛍光団は一般
に蛍光検出計により検出する。
【0049】 EBA−175抗体およびペプチドは、別法として色原体で標識し、酵素また
は親和性標識物として提供することもできる。例えば、抗体をビオチニル化し、
ビオチン−アビジン反応に利用することができるが、これは酵素または発蛍光団
などの標識体に結合することも可能である。あるいは、抗体またはペプチドをペ
ルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたは他の酵素で標識し、基質の添加
により発色反応または蛍光反応を生じるようにしてもよい。添加物として5−ア
ミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン(ルミノール(商標)とし
ても知られる)(Sigma Chemical Comapny、St.Lo
uis.MO)など、また速度上昇剤としてp−ヒドロキシビフェニル(p−フ
ェニルフェノールとしても知られる)(Sigma Chemical Com
apny、St.Louis.MO)などを使用し、発光反応を介して西洋ワサ
ビペルオキシダーゼなどの酵素を増幅することができる;また、酵素基質の発光
性または蛍光性ジオキセタン誘導体も使用し得る。かかる標識体は酵素結合イム
ノアッセイ(ELISA)を使用して検出するか、または分光光度計を用いて色
変化を検出することによっても検出し得る。さらに、EBA−175抗体および
ペプチドは、当業者周知の方法に従い、免疫電子顕微鏡に使用するコロイド金で
標識することもできる。
【0050】 本明細書に記載のEBA−175抗体およびペプチドは、とりわけ、熱帯熱マ
ラリア原虫感染症の治療、予防、診断および検出のために有用である。本発明の
EBA−175抗体およびペプチドは、マラリアなどの熱帯熱マラリア原虫関連
疾患の治療、予防、診断または予後診断に使用し得る。予防方法では熱帯熱マラ
リア原虫による感染に先立ち、本発明の抗体により受身免疫し、赤血球の寄生体
感染を阻害する。また、予防方法では熱帯熱マラリア原虫による感染に先立ち、
本発明の遮断ペプチドで能動免疫し、赤血球の寄生体感染を阻害する。治療方法
では感染後に該抗体および/または遮断ペプチドを投与し、寄生体の拡散を阻害
し、熱帯熱マラリア原虫感染の症候を改善する。
【0051】 従って、本発明はプラスモディウム種関連疾患の治療方法を包含し、該方法は
プラスモディウム種関連疾患の治療に有効な量の分離EBA−175抗体を個体
に投与することを含む。一態様において、プラスモディウム種は熱帯熱マラリア
原虫である。さらなる態様において、プラスモディウム種関連疾患はマラリアで
ある。また、本発明に包含されるのは、熱帯熱マラリア原虫が個体の赤血球細胞
に侵入するのを阻害する方法であって、該方法は熱帯熱マラリア原虫が個体の赤
血球細胞に侵入するのを阻害する有効な量の分離EBA−175抗体を個体に投
与することを含む。
【0052】 本発明の抗体およびペプチドは、生物サンプルもしくは検体または培地中の熱
帯熱マラリア原虫を検出または定量するのに使用するか、または下記のごとき診
断方法およびキットにも使用することができる。これらのテストの結果は、マラ
リアなどの熱帯熱マラリア原虫が介在する疾患の発症または再発の予測または診
断に使用することができる。熱帯熱マラリア原虫の赤血球結合性タンパク質に対
する抗体は、さらなる量の熱帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質をアフィ
ニティクロマトグラフィーなどにより単離するために、またはペプチド作用薬も
しくは拮抗薬の開発のために、製造施設または実験室において使用することもで
きる。
【0053】 マラリアなどの熱帯熱マラリア原虫が関連する疾患は、熱帯熱マラリア原虫関
連疾患に罹患している患者に、実質的に精製されたEBA−175抗体、EBA
−175ペプチド、EBA−175ポリペプチド作用薬もしくは拮抗薬、または
EBA−175ポリペプチド抗血清を含む医薬組成物を投与することにより予防
または治療する。さらなる予防および治療方法は、細胞毒性もしくは抗寄生体作
用因子に結合したEBA−175抗体、EBA−175ペプチド、EBA−17
5ポリペプチド抗血清、またはEBA−175レセプター作用薬および拮抗薬の
投与である。
【0054】 EBA−175に特異的な抗体を患者に投与して、熱帯熱マラリア原虫感染に
対し患者を受身免疫し、それによってマラリアなどの熱帯熱マラリア原虫関連疾
患を軽減することが可能である。熱帯熱マラリア原虫が赤血球細胞に結合するの
を特異的に阻害する遮断ペプチドを患者に投与して、熱帯熱マラリア原虫感染に
対し患者を能動免疫し、それによってマラリアなどの熱帯熱マラリア原虫関連疾
患を軽減することが可能である。EBA−175抗体またはEBA−175ペプ
チドの投与は、熱帯熱マラリア原虫感染の徴候が現われる前に行うことができる
。かかる投与は熱帯熱マラリア原虫が流行している地域の個体にとって、または
流行性地域に旅行する計画のある個体に重要である。EBA−175抗体および
ペプチドの投与は、熱帯熱マラリア原虫感染の徴候が表面化した後でも、マラリ
ア原虫寄生体の生活環を断ち、また生物体の拡散を阻害するために実施し得る。
【0055】 好ましい実施形態としては、マラリアに対し受身または能動免疫するためのワ
クチンは、非経口(すなわち、筋肉内、皮内または皮下)投与により免疫するた
めの単回投与用量に包装する。最も好ましいのは、該ワクチンを三角筋に筋肉内
注射することである。該ワクチンは投与し易くするために、医薬的に許容し得る
担体と併用する。担体は通常、水または緩衝化塩溶液であり、保存剤を含めても
よい。該ワクチンは投与時に再懸濁するように凍結乾燥してもよく、溶液でもよ
い。
【0056】 抗体またはペプチドが接合し得る担体は、ポリマーの徐放系であってもよい。
合成ポリマーはワクチンの製剤化にとりわけ有用であり、抗体の制御放出に有効
である。抗体またはペプチドのマイクロカプセル化は制御放出にも効果的である
。マイクロカプセル化用特定のポリマーの選択には多くのファクターが寄与する
。ポリマー合成の再現性とマイクロカプセル化工程、マイクロカプセル化材料の
コストと工程、毒性学的プロフィール、可変放出速度の要件、およびポリマーと
抗原の理化学的適合性が、考慮しなければならないすべてのファクターである。
有用なポリマーの例は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
オルトエステル・ポリアミド、ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)(P
LGA)および他の生物分解性ポリマーである。
【0057】 該医薬組成物またはワクチンの好適なヒト投与用量は、0.0lmg/kg〜
10mg/kgである。この範囲に基いて、体重の重い場合には同等の投与用量
を決定することができる。投与用量は該組成物を投与する個体に合わせて調節す
べきであり、個体の年齢、体重および代謝に応じて変わり得る。該ワクチンは、
さらにチメロサール(エチル(2−メルカプトベンゾエート−S)水銀ナトリウ
ム塩)(Sigma Chemical Comapny、St.Louis.
MO)などの安定剤または生理学的に許容し得る保存剤を含んでいてもよい。
【0058】 本発明の抗体は生物サンプルまたは培地中の熱帯熱マラリア原虫ペプチドの検
出にも使用し得る。混合物中ポリペプチドなどの成分の検出、および/またはそ
の量の測定については、技術上既知の多くの技法がある。対象とするポリペプチ
ドに特異的に結合する抗体を使用するイムノアッセイは、周知測定技法の一つで
ある。古典的な方法としては、ポリペプチド含有サンプルと該ポリペプチドに特
異的な既知過剰量の抗体とを反応させ、遊離の抗体から結合した抗体を分離し、
いずれか一方の量を定量することからなる。多くの場合、該抗体はリポーター基
で標識して、上記のように結合した被検体の量の定量を可能とする。リポーター
基または“標識”とは一般に蛍光もしくは放射活性基または酵素である。
【0059】 イムノアッセイはサンプル中の熱帯熱マラリア原虫検出のために以下のように
実施する: サンプルは当業者周知の方法により取得または入手する。検出すべき熱帯熱マ
ラリア原虫ポリペプチド含有サンプルは培地または何らかの生物供給源から入手
し得る。生物供給源の例は、血清、血漿、尿、髄液、醗酵液、リンパ液、組織培
養液、および腹水である。イムノアッセイに先立ち、サンプルは希釈、精製、濃
縮、濾過、溶解、懸濁または他の操作により処理し、イムノアッセイの結果を最
適化することができる。
【0060】 熱帯熱マラリア原虫ポリペプチド検出のために、本発明の熱帯熱マラリア原虫
赤血球結合性タンパク質抗体の1種以上とサンプルとをインキュベートする。該
抗体は標識するか、または前記のごとき固相ビーズまたは粒子に接合させ得る。
標識した抗体は、次いで、当業者周知の方法により検出する。本明細書にて使用
する「検出する」または「検出した」という用語は、免疫化学的または組織学的
方法など、生物分子検出の既知技法の使用を意味する。かかる方法は該ペプチド
に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を使用する免疫学的技法であ
り、例えば、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ、ラジオイムノアッセイ、化学発光
アッセイ、または他のタイプの当業者既知抗体関連アッセイである。
【0061】 現行の結合アッセイ技法は多様な検出システムから恩恵を受けており、そのシ
ステムは酵素触媒発色反応、放射性核種、化学発光、生物発光、蛍光、蛍光偏光
、および様々な電位差と光学バイオセンサ技法などである。
【0062】 結合アッセイは被検体レセプターにより被検体を結合させ、サンプル中の被検
体濃度を定量することによる。被検体−レセプターアッセイは競合または非競合
のいずれかで説明し得る。非競合アッセイは一般にアッセイで定量すべき被検体
濃度を実質的に超える過剰量の被検体レセプターを利用する。サンドイッチ・ア
ッセイは非競合アッセイの例であり、多くの場合、固相に結合した1個の被検体
レセプターと、検出可能に標識した第二被検体レセプターを含む。被検体は先ず
固相に結合した被検体レセプターに結合し、次いで、第二標識被検体レセプター
を加えて被検体を定量し易くする。結合した被検体は、非結合試薬、例えば、非
結合標識第一被検体レセプターなどから、固相に結合した被検体レセプターの使
用により容易に分離することができる。
【0063】 競合アッセイは一般に被検体を含む疑いのあるサンプル、被検体類似複合体、
および被検体レセプターが提供する限られた数の結合部位に対するこれらの競合
反応からなる。競合アッセイはさらに均一系または不均一系のいずれでも説明し
得る。均一系のアッセイでは競合に関与する反応物質すべてを混合し、被検体の
量を被検体レセプターと被検体−複合体または被検体類似体−複合体間の結合の
程度に及ぼす影響により定量する。観察されるシグナルはこの結合の程度により
調整し、サンプル中の被検体量に関連させることができる。米国特許3,817
,837はかかる均一系競合アッセイを説明し、そこでは被検体類似体−複合体
が被検体類似体−酵素複合体であり、この場合の被検体レセプターである抗体が
被検体または被検体類似体に結合し得る。該抗体が被検体類似体−酵素複合体に
結合すると、該酵素が非結合状態にある場合に観察される活性に比べ、酵素の活
性を低下させる。非結合被検体と被検体類似体−酵素複合体との被検体−レセプ
ター結合部位に対する競合により、被検体濃度が増大するにつれ、非結合被検体
類似体−酵素複合体の量が増大し、それによって観察されるシグナルが増大する
。酵素反応の産物は分光光度計により動力学的に測定し得る。
【0064】 不均一系競合アッセイでは、被検体レセプターに結合型の被検体類似体複合体
を遊離の被検体類似体複合体から分離し、結合フラクションまたは遊離フラクシ
ョンを測定することが必要である。遊離体から結合体を分離するには、被検体レ
セプターを介した固相への固定化か、または沈殿させることにより、被検体レセ
プター結合体を遊離の被検体類似体複合体から除去することにより実施し得る。
結合フラクションまたは遊離フラクション中の被検体類似体複合体の量を次いで
定量し、サンプル中の被検体濃度に関連付ける。通常、結合フラクションの簡便
な形状は、例えば、固相化したものであり、その結果、要すれば、それを洗浄し
て残余の非結合被検体類似体複合体を除去し、結合した被検体類似体複合体また
は関連産物の測定をし易くすることができる。遊離のフラクションは通常液状で
あり、一般に測定に不向きである。単一アッセイで複数の被検体を定量しようと
する場合であって、もしすべてが単一の液に混合しているならば、個々の被検体
類似体複合体を何らかの方法で識別し得ない限り、各被検体についての被検体類
似体複合体の遊離フラクションを定量することが不可能である。しかし、視覚的
に解釈されるアッセイにおいて被検体類似体複合体の遊離フラクションを検出す
ることは、かかるアッセイで発色する色強度が一般に被検体濃度の広い範囲で被
検体濃度に比例するので、明らかに有利である。
【0065】 好ましい実施形態は、熱帯熱マラリア原虫ポリペプチドを検出・評価する方法
はタンパク質の生産ロットからサンプルを取出すことを含む。次いで、免疫優性
ポリペプチドの有無判定は当業者周知のアッセイ技法により成し得るが、その方
法は、例えば、ウエスタン・ブロット分析、ラジオイムノアッセイ、およびEL
ISAアッセイなどである。
【0066】 第二の好ましい実施形態は、熱帯熱マラリア原虫ポリペプチドを検出する方法
では、マラリアの診断または予後診断のために哺乳動物から体液および組織など
の生体サンプルを取得することを含む。該サンプルは、好ましくは、哺乳動物、
好ましくはヒトまたはサルの血液、脳脊髄液、尿または組織から入手する。次い
で、免疫優性ポリペプチドの有無判定は当業者周知のアッセイ技法により成し得
るが、その方法は、例えば、ウエスタン・ブロット、ラジオイムノアッセイ、お
よびELISAアッセイなどである。
【0067】 熱帯熱マラリア原虫ペプチドの存在および量を検出するキットも提供される。
該キットは当業者周知の如何なる形状であってもよく、本明細書記載の一つ以上
の方法を実施し、生体サンプル中の熱帯熱マラリア原虫を検出すること、または
患者もしくは保菌者の熱帯熱マラリア原虫感染を検出またはモニターするのに有
用である。該キットは、生体サンプル中の熱帯熱マラリア原虫を検出するための
アッセイを実施するのに必須の試薬、そのすべてではないにしてもその多くをキ
ットが供給する点で便利である。試薬類は予め測り、アッセイを実施する容器中
にまたは固相上に一定の形状で収めておくが、それによってアッセイを行う個々
人が、実施する操作回数を最少とすることが可能である。さらに、アッセイはキ
ットに内包してある所定量の抗原または抗体など、標準品と同時に実施し、試験
結果を検証または評価することができる。
【0068】 キットは、好ましくは、サンプル中の熱帯熱マラリア原虫結合性タンパク質の
検出に使用し得る1種以上の熱帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質抗体を
含む。キットはさらにサンプル中のそれぞれの熱帯熱マラリア原虫結合性分子ま
たはリガンドに、本明細書に記載したように、抗体を結合またはハイブリダイズ
させる適切な試薬と、結合したペプチドの検出を促進する試薬を含むことができ
る。キットはさらにサンプルを安全に得るための器具、試薬を収容する容器、時
間を測るもの、サンプル希釈用バッファー、および比色計、屈折計、または色変
化を測定し得る標準品を含んでいてもよい。
【0069】 好ましい実施形態は、抗体を含む試薬は、最も好ましくは単一の容器内で凍結
乾燥する。その容器に水性サンプルを加えて凍乾した試薬を溶解させ、それを反
応させる。最も好ましくは、該試薬は当業者周知の方法に従い、単一容器内で継
続的に凍結乾燥し、サンプル添加前の試薬による反応を最少とする。
【0070】 当該アッセイキットは以下の技法に採用される試薬を含むが、これらに限定さ
れるものではない:競合および非競合アッセイ、ラジオイムノアッセイ、生物発
光および化学発光アッセイ、蛍光アッセイ、サンドイッチアッセイ、免疫放射ア
ッセイ、ドットブロット法、免疫ブロット法を含む酵素結合アッセイ、およびE
LISA。これらの技法に関連して使用される材料は、マイクロタイタープレー
ト、尿または血液の迅速モニター用抗体被覆ストリップまたは浸漬スティックな
どであるが、これらに限定されるものではない。各キットについて、そのアッセ
イの範囲、感度、精度、信頼度、特異性および再現性が確立されている。アッセ
イ内およびアッセイ間の変動は、置換または活性の標準曲線上、20%、50%
および80%の点で確立されている。
【0071】 さらに好ましい実施形態は、本アッセイキットでは免疫ブロット法を使用し、
説明書、熱帯熱マラリア原虫ポリペプチド、および検出可能な分子に接合した熱
帯熱マラリア原虫赤血球結合性タンパク質抗体を使用する。本キットはマラリア
罹患および非罹患哺乳動物およびヒトの生体体液および組織抽出物中、並びに培
地中の熱帯熱マラリア原虫測定に有用である。
【0072】 本発明は以下の実施例によって更に説明されるが、それは、いかなる方法にお
いても発明の範囲に限定を強いるものとして解釈すべきではない。逆に、本発明
の精神及び/又は添付したクレームの範囲から逸脱することなく、本明細書の記
載を読んだ後に、当業者にそれ自体を示唆してもよい種々のその他の実施態様、
変更及びその同等物に対して方策が持たれてもよいことを明瞭に理解すべきであ
る。
【0073】 実施例1 EBA−175に結合するモノクローナル抗体の産生 マウスモノクローナル抗体は、Harlow and Lane (1988
) Antibodies, A Laboratory Manual, C
old Spring Harbor Publications, New
York に記載のプロトコールに従い作製した。簡単に説明すると、免疫原と
して精製した組換えバキュロウイルスEBA−175領域IIタンパク質により
Balb/cマウスを免疫した。免疫マウスは同系マウス融合パートナーSp2
/0−Ag14との融合用脾臓細胞供与体として使用した。ハイブリドーマは以
下の基準に基づいて選択した: 1.免疫蛍光アッセイにより定量した場合に、寄生した赤血球上EBA−17
5の細胞下先端局在化パターン; 2.組換えバキュロウイルス領域IIタンパク質に対するELISA陽性率;
および 3.ヒト赤血球に結合する未変性EBA−175の中和。 選択したハイブリドーマは限界希釈により2度クローニングし、−180℃に維
持した。
【0074】 実施例2 EBA−175に結合するモノクローナル抗体の評価 標識した4種のIgG1モノクローナル抗体R215、R216、R217お
よびR256について、[35S]メチオニン標識EBA−175が赤血球に結合
するのを阻害する能力を分析した。モノクローナル抗体R215、R217およ
びR256は90%を超えて結合を阻害したが、R216は約30%結合を阻害
した(データ未開示)。バキュロウイルスで発現されるRII EBA−175
領域ペプチドと、酵母で発現されるRII、RII/F1およびRII/F2
EBA−175領域ペプチドはSDS−PAGEにより分離して、標識したモノ
クローナル抗体R216およびR217でプローブした。R216およびR21
7抗体は共にRII/F1領域を認識しなかったが、EBA−175のRII/
F2領域を特異的に認識した(データ未開示)。最も有効な中和性抗体、R21
5、R217およびR256は、RII/F2と命名した5’システインリッチ
領域内の二次構造エピトープを認識する(データ未開示)。対して、モノクロー
ナル抗体R216はRII/F2と命名した5’システインリッチ領域内の直線
性エピトープを認識する(データ未開示)。
【0075】 さらに、モノクローナル抗体R215、R216、R217およびR256に
ついて、インビトロでの分裂小体侵入中和能力を試験した。対照に比較して、モ
ノクローナル抗体R215、R217およびR256は、同種のFVO株におい
て分裂小体侵入をそれぞれ82%、83%および76%遮断した。さらに、R2
15、R217およびR256は異種3D7株において分裂小体侵入をそれぞれ
35%、39%および37%遮断した(図3参照)。
【0076】 実施例3 EBA−175ペプチドのアミノ酸配列 EBA−175抗体R256を用いて拘束した、ヘプタペプチドM13ファー
ジ展示ライブラリーに対するパンニング後、数種のペプチドのアミノ酸配列を決
定した。11種のペプチドの内、6種がPEP R256−2の配列を含み、ペ
プチドの1つがPEP R256−1の配列を含んでいた(図2参照)。
【0077】 本方法の修飾と改変は上記の詳細な説明から当業者には自明である。かかる修
飾と改変は添付の請求項の範囲内に入るものとする。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 マラリア原虫赤血球結合タンパク質の遺伝子構造。EBA−175の領域Iは
アミノ酸残基20〜157を包含し、領域IIはアミノ酸145〜760、領域
III〜Vはアミノ酸743〜1322、および領域VIはアミノ酸1304
〜1394を包含する。領域 IIはさらに領域F1およびF2に分割される。
【図2】 2種のEBA−175遮断ペプチドのファージ配列。EBA−175抗体R2
56を用いて拘束したヘプタペプチドM13ファージ展示ライブラリーに対する
パンニング後、数種のペプチドのアミノ酸配列を決定した。11種のペプチドの
内、6種がPEP R256−2の配列を含み、ペプチドの1つがPEP R2
56−1の配列を含んでいた。
【図3】 EBA−175モノクローナル抗体による熱帯熱マラリア原虫増殖阻害の百分
率。モノクローナル抗体R215、R216、R217およびR256のインビ
トロでの分裂小体侵入を中和する能力について試験した。対照のモノクローナル
抗体に比較したとき、R215、R217およびR256はそれぞれ同種のFV
O株において分裂小体侵入の82%、83%および76%を遮断した。さらに、
R215、R217およびR256は異種の3D7株において分裂小体侵入のそ
れぞれ35%、39%および37%を遮断した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA48 GA03 GA27 4B065 AA86Y AA91X AB04 AC14 BA08 BA24 CA25 CA44 CA46 4C085 AA13 AA14 BA02 CC22 CC23 GG03 GG04 GG05 4H045 AA11 AA20 AA30 CA22 DA76 EA29 EA52 FA72

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスモディウム(Plasmodium)種由来のEBA
    −175タンパク質の5’システインリッチ領域に結合する単離された抗体。
  2. 【請求項2】 前記5’システインリッチ領域が領域IIである請求項1記
    載の単離抗体。
  3. 【請求項3】 前記5’システインリッチ領域が領域II/F2である請求
    項1記載の単離抗体。
  4. 【請求項4】 前記領域が約10個のアミノ酸配列からなる請求項1記載の
    単離抗体。
  5. 【請求項5】 前記アミノ酸配列が配列番号1に示される請求項4記載の単
    離抗体。
  6. 【請求項6】 前記プラスモディウム種が熱帯熱マラリア原虫(Plasm
    odium falciparum)である請求項1記載の単離抗体。
  7. 【請求項7】 前記抗体が赤血球細胞へのEBA−175タンパク質の結合
    を阻害するものである請求項1記載の単離抗体。
  8. 【請求項8】 前記抗体が赤血球細胞への熱帯熱マラリア原虫侵入を阻害す
    るものである請求項1記載の単離抗体。
  9. 【請求項9】 前記抗体がインビトロ(in vitro)で赤血球細胞への熱帯熱マ
    ラリア原虫侵入を阻害するものである請求項8記載の単離抗体。
  10. 【請求項10】 前記抗体がインビボ(in vivo)で赤血球細胞への熱帯熱
    マラリア原虫侵入を阻害するものである請求項8記載の単離抗体。
  11. 【請求項11】 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項1記載の単離
    抗体。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリ
    ドーマ。
  13. 【請求項13】 プラスモディウム種関連疾患の治療に有効な量の請求項1
    記載の単離抗体を個体に投与することを特徴とするプラスモディウム種関連疾患
    の治療方法。
  14. 【請求項14】 前記プラスモディウム種が熱帯熱マラリア原虫である請求
    項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記熱帯熱マラリア原虫関連疾患がマラリアである請求項
    14記載の方法。
  16. 【請求項16】 赤血球細胞への熱帯熱マラリア原虫侵入を阻害するのに有
    効な量の請求項1記載の単離抗体を個体に投与することを特徴とする個体の赤血
    球細胞への熱帯熱マラリア原虫侵入の阻害方法。
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