JP2002371098A - マラリア感染診断材及びマラリア原虫の増殖を抑える免疫用抗原 - Google Patents

マラリア感染診断材及びマラリア原虫の増殖を抑える免疫用抗原

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JP2002371098A JP2001176044A JP2001176044A JP2002371098A JP 2002371098 A JP2002371098 A JP 2002371098A JP 2001176044 A JP2001176044 A JP 2001176044A JP 2001176044 A JP2001176044 A JP 2001176044A JP 2002371098 A JP2002371098 A JP 2002371098A
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勝 吉田
Hiroyuki Oku
浩之 奥
Ryoichi Katagai
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Mamoru Suzuki
守 鈴木
Shigeyuki Kano
繁之 狩野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ヒトおよび他の動物との免疫反応を利用したマ
ラリア原虫に対する免疫学的応答を誘発できるペプチド
またはその類似体を提供する。 【解決手段】 本発明のペプチド化合物は、ヒトエノ
ラーゼアミノ酸配列とは相違を有する部分に由来する、
マラリア原虫の解糖系酵素エノラーゼの部分アミノ酸配
列を有する。生合成または化学合成された本発明のペプ
チド化合物は、患者血清と反応させることで熱帯熱マラ
リア感染の診断材に、また熱帯熱マラリア原虫の増殖を
抑えるかまたはマラリア原虫の融解を引き起こす抗体を
産生する免疫用抗原として用いることができる。本発明
のペプチド化合物はさらに、熱帯熱マラリア感染患者に
能動免疫を生じさせる症状改善薬として、非感染者には
防御免疫を用いたワクチンとして作用することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトおよび他の動物と
の免疫反応を利用した、マラリア原虫に対する免疫学的
応答を誘発することができるペプチドまたはその類似体
に関する。本発明はまた、マラリア感染への免疫状態の
診断材料、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparu
m)の増殖を抑える免疫用抗原若しくは免疫用DNAワクチ
ンに関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】マラリアは、熱帯地域全体に
広く蔓延している最も深刻な原虫感染症である。日本に
於いても、仕事・観光などによるマラリア患者の移入
(輸入マラリア)が次第に増加してきている。これまで
にマラリア制圧のため、多数のマラリア抗原や遺伝子の
解析結果を基礎に、ワクチンの開発が進められてきた
(狩野繁之ら、臨床と微生物 (1997) vol 24, pp.178-1
82、特表2000-504223、特表平11-508130、特開2001-002
699、特表平08-502402、特表平08-500979、特表平09-50
3742)。これら従来の開発・研究は実験室で得られた知
見をもとにしている。ところが実際のマラリア原虫(Pl
asmodium)は複雑な免疫回避システムを持っており、実
験室レベルでの研究のみでは単純に対処できないことが
わかってきた。
【0003】従来ワクチンの開発はマラリア原虫の遺伝
子工学の応用研究として先進各国において活発に推進さ
れてきた。現在コロンビアのPatarroyoらによって作ら
れたワクチンがタンザニアで試用され、効果の有無につ
いて議論を呼んでいる(Amador et al., Journal of Cl
inical Immunology (1996) vol. 16, pp. 183-189、Her
rera et al., American Journal of Tropical Medicine
and Hygiene (1992)vol. 47, pp. 682-690)。
【0004】マラリアのワクチン開発・研究に於いて
は、研究室内の実験だけで得られた成果をもとに進めら
れる趨勢があった。従ってPatarroyoの合成マラリアワ
クチンがコロンビアおよびタンザニアで野外試験で試さ
れたとき、いかなる免疫状態にある流行地集団に対して
このワクチンを利用すべきかが十分に検討されなかっ
た。そのため、ワクチン接種により、どの程度の効果を
みたかについての評価判定が説得力に欠ける結果に終わ
ったことは否定できない。
【0005】マラリアに対するヒトの免疫力は流行地の
集団もしくは個人によって大きく異なっている(Norazm
i et al. Japanese Journal of Tropical Medicine and
Hygiene (1996) vol.24, pp.237-239、Kano et al. So
utheast Asian J Trop Med Public Health (1998) vol.
29, pp.341-343)。例えば熱帯熱マラリア(Plasmodium
falciparum)に感染し急性期にある日本人の輸入マラ
リア患者や流行地で発症している児童の血清は、流行地
で絶えずマラリア感染にさらされ感染しても症状のあら
われないかほとんどない住民の血清と比較して、原虫由
来の抗原分子への抗体価が大きく異なることが知られて
いる。この事実は、マラリアワクチンはそれぞれの流行
地・非流行地での集団若しくは個人の免疫学的特性を考
慮して開発されなくては十分な効果をあげることができ
ないことを示している。
【0006】以上の理由で、流行地・非流行地または集
団・個人の免疫力を診断し、その上でマラリア原虫の増
殖を抑える免疫用抗原を開発することが求められてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒトおよび
他の動物との免疫反応を利用した、マラリア原虫に対す
る免疫学的応答を誘発することができるペプチドまたは
その類似体を提供することを課題とする。本発明は特
に、マラリア感染への免疫状態の診断材料、熱帯熱マラ
リア原虫(Plasmodium falciparum)の増殖を抑える免
疫用抗原若しくは免疫用DNAワクチンを提供することも
課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】マラリアワクチンの開発
に於いてはマラリア原虫の実験室レベルでの解析に加え
て流行地での病態疫学研究が必要である。流行地でのマ
ラリアに対するヒトの免疫力は流行地の集団若しくは個
人によって大きく異なる。熱帯熱マラリアに感染し、急
性期にある日本人の輸入マラリア患者や流行地で発症し
ている児童の血清を使いウエスタンブロットを行った結
果、これらの患者の抗体が47 kDマラリア抗原に特異的
に結合する事実を見いだした(Norazmi et al. Japane
se Journal of Tropical Medicine and Hygiene (1996)
vol.24, pp.237-239、 Kano etal. Southeast Asian
J Trop Med Public Health (1998) vol.29, pp.341-34
3)。
【0009】タイ国マヒドン大学熱帯医学病院を訪れる
熱帯熱マラリア患者をその症状により重症、中程度、軽
症の3グループに分け、47 kD抗原への反応性を調べたと
ころ、重症>中程度>軽症の順に陽性率が高いことがわ
かった。更に47 kD分子のアミノ酸配列を調べたところ
分子量48.7 kDの解糖系酵素、エノラーゼであった。つ
まり、解糖系酵素、エノラーゼは患者の病気、病態に応
じた抗原性を表す分子であり、抗エノラーゼ抗体は熱帯
熱マラリアへの防御免疫分子として働いていることがわ
かった。本発明の発明者らは、この結果に基づいて鋭意
研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0010】したがって本発明は、熱帯熱マラリア原虫
(Plasmodium falciparum)のエノラーゼのアミノ酸配
列で抗原となりうる部分配列を利用し、マラリア原虫に
対する免疫学的応答を誘発することができるペプチドま
たはその類似体、ペプチド化合物によるマラリア感染に
対する免疫状態の診断材料(免疫検査)、マラリア原虫
の増殖を抑える免疫用抗原若しくは当該抗原を発現可能
な免疫用DNAワクチンを提供する。マラリア原虫には、
熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の他
に、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、四日熱
マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア
原虫(Plasmodium ovale)の3種が含まれるが、これら3
種のマラリア原虫ではエノラーゼ遺伝子が単離されてお
らず、病原性の発生にエノラーゼが関与していないと考
えられている。
【0011】より具体的には、本発明は、ヒトエノラー
ゼタンパク質のアミノ酸配列と熱帯熱マラリア原虫エノ
ラーゼタンパク質のアミノ酸配列との間の構造的相違部
位を含むペプチドであってマラリア原虫に対する免疫学
的応答を誘発しうるペプチドまたはその類似体を提供す
る。本発明の以下において、このペプチドまたはその類
似体を合わせて、本発明のペプチド化合物という。本発
明においてはさらに、上述した本発明のペプチド化合物
を固相表面に結合させることからなる熱帯熱マラリア感
染の免疫診断材、当該本発明のペプチド化合物を有効成
分として含有する熱帯熱マラリア原虫の増殖を抑制する
免疫用抗原を提供する。本発明は、このペプチドをコー
ドするDNA若しくはそのDNAにハイブリダイズするDNA、
当該DNAを含有する熱帯熱マラリア原虫の増殖を抑制す
る免疫用DNAワクチンもまた提供する。
【0012】エノラーゼ(ホスホピルビン酸ヒドラター
ゼあるいは2-ホスホグリセリン酸デヒドラターゼとも呼
ぶ)は、以下の式
【化1】2-ホスホグリセリン酸 → 2-ホスホエノール
ピルビン酸+H2O の反応を触媒する解糖系酵素として知られている。ヒト
由来エノラーゼは分子量約44〜47 kDの3種類のサブユニ
ットα、β、γよりなる二量体で、現在5種類のアイソ
ザイム(αα、αβ、ββ、αγ、γγ)の存在が明ら
かになっている。これに対して、ヒトには存在せず熱帯
熱マラリア原虫にのみ特有なアミノ酸配列を有するペプ
チドはヒトにとって異物であり、抗原部位(エピトー
プ)になりうる。これを特定するためにアミノ酸配列の
比較を行った。表1に示したのは熱帯熱マラリア原虫由
来エノラーゼタンパク質(SEQ ID NO: 2)とヒトエノラ
ーゼα型サブユニットタンパク質(Human alpha enolas
e、SEQ ID NO: 3)との配列比較の例である。βやγ型
サブユニットと熱帯熱マラリア原虫由来エノラーゼの配
列で比較をおこなってもよい。なお、熱帯熱マラリア原
虫エノラーゼのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は
ともに、M. Readら(Read, M. et al., EuropeanJourna
l of Biochemistry, vol.220, pp. 513-520 (1994). G
enBank登録番号U00152、登録日1994年6月6日)およびKa
wazu, S.ら(GenBank登録番号 AB026051、登録日1999年
4月16日)により発表されている。
【0013】その中からアミノ酸残基の構造的相違部位
を含むペプチドをすべて抽出した。本発明において“構
造的相違部位”とは、対応するアミノ酸残基が異なる
(置換)部位、対応するアミノ酸残基が欠失、または挿
入した部位を含む。本発明における具体的な一態様にお
いて、選択されたアミノ酸配列を含む、10〜30残基のア
ミノ酸配列を選択した。表1で示す4種の部分配列ペプチ
ド、 GG14:Gly Ser Lys Asn Glu Trp Gly Trp Ser Lys Ser
Lys Leu Gly(SEQ IDNO: 4); AA13:Ala Ala Pro Asn Lys Val Ser Leu Tyr Lys Tyr
Leu Ala(SEQ ID NO:5); GL16:Gly Phe Ala Pro Asn Ile Leu Asn Ala Asn Glu
Ala Leu Asp Leu Leu(SEQ ID NO: 6);および AD22:Ala Ser Glu Phe Tyr Asn Ser Glu Asn Lys Thr
Tyr Asp Leu Asp PheLys Thr Pro Asn Asn Asp(SEQ ID
NO: 7); は選択できるアミノ酸配列の一部の例であるが、本発明
においてはこれらのペプチドには限定されない。
【0014】本発明のペプチドの類似体とは、ペプチド
を構成するアミノ酸が置換、欠失および/または挿入す
ることにより生成されるペプチドであって、免疫学的応
答に関して本発明のペプチドと同等の活性を有するペプ
チドのことをいう。
【0015】本発明において“免疫学的応答”とは、細
胞性免疫学的応答と体液性免疫学的応答の両方を含む概
念である。このうち、細胞性免疫学的応答とは、例えば
マクロファージ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、好
酸球、T細胞などにより引き起こされる免疫のことをい
い、熱帯熱マラリア原虫に対する細胞性免疫学的応答と
しては、キラーT細胞が関与するものが知られている。
また、体液性免疫学的応答とは、抗原の認識と排除に対
して、抗体が関与する免疫のことをいい、熱帯熱マラリ
ア原虫に対する体液性免疫学的応答としては、熱帯熱マ
ラリア原虫由来のタンパク質、糖鎖などに対して特異的
に結合することができる宿主由来の抗体により引き起こ
されるものが知られている。本発明においては、マラリ
ア原虫のタンパク質に対して体液性免疫学的応答として
抗体を誘導することが好ましい。
【0016】上述したような免疫学的応答を引き起こし
やすくするため、本発明のペプチド化合物は、マラリア
原虫由来エノラーゼのエピトープの高次構造を含みうる
アミノ酸配列を有することが好ましい。このような構造
部分は、エノラーゼタンパク質の高次構造において分子
の外側に露出している部分に相当し、マクロファージや
NK細胞、T細胞などの免疫系細胞、あるいは抗体により
認識されやすい部分である。
【0017】本発明のペプチド化合物は、有機化学的方
法、生化学的方法などいずれの合成方法によっても調製
することができる。有機化学的方法により本発明のペプ
チド抗原を調製する方法としては、例えば、(1)本発
明のペプチド抗原をいくつかの部分に分けて別個に合成
し、それらを結合させることにより本発明のペプチド抗
原を得る方法;(2)固相担体上にアミノ酸を順次結合
して最後に切り出すことで本発明のペプチド抗原を得る
方法;を使用することができ、これらについては本明細
書の実施例中にて説明する。しかし、これらの方法に限
定される訳ではなく、本発明の実施例で開示した方法以
外の合成手順を用いて合成しても良い。例えば、ペプチ
ド自動合成装置により本発明のペプチド化合物の合成な
ど当業者が使用可能なペプチド合成法の何れを使用して
もよい。
【0018】本発明のペプチド化合物は生化学的方法
(すなわち組換えDNA技術)によっても得ることができ
る。例えば大腸菌発現ベクターのプロモータ下流に熱帯
熱マラリア原虫由来エノラーゼ遺伝子の全配列(SEQ ID
NO: 1)または部分配列をコードするDNAを挿入してな
るエノラーゼタンパク質発現ベクターを用いて、大腸菌
発現系を使用してエノラーゼタンパク質を発現させるこ
とによって達成される。この発現ベクターは、公知の方
法(例えば、Sambrook and Russel, MOLECULAR CLONIN
G: A LABORATORY MANUAL, 3rd edition (2001))にした
がって構築することができる。このベクターを用いて公
知の方法に基づき大腸菌を形質転換させ、タンパク質を
産生、回収、精製することにより、エノラーゼの部分配
列をもつペプチド化合物を得ることができる。
【0019】熱帯熱マラリア原虫由来エノラーゼのアミ
ノ酸配列のうちヒト由来エノラーゼのアミノ酸配列との
構造的相違部位に基づく、上述したように製造した本発
明のペプチド化合物は、宿主生体に投与することによ
り、宿主体内で熱帯熱マラリア原虫に対する免疫学的応
答を引き起こすことができる。
【0020】より具体的には、本発明のペプチド化合物
は、宿主生体に投与することにより、血清中に熱帯熱マ
ラリア原虫の増殖を抑える中和抗体を誘導することがで
きる。このことから、本発明のペプチド化合物は、マラ
リア原虫の増殖を抑えることができるか、あるいはマラ
リア原虫の融解を引き起こすことができる免疫用抗原と
して使用できることがわかった。
【0021】本発明においては、上述した本発明のペプ
チド化合物を含む、マラリア原虫感染の予防用または治
療用医薬組成物を提供することもできる。このような医
薬組成物には、医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤また
はキャリアーを含んでいてもよい。また、そのような賦
形剤には、宿主の免疫活性を高めるためのアジュバント
が含まれていてもよい。
【0022】本発明の一態様において、複数の本発明の
ペプチド化合物をスペーサー物質により連結することに
より、1分子中に複数個の本発明のペプチド化合物を含
有する物質を作成することができる。このスペーサー物
質は、直線状にペプチド化合物を並べて高分子量化する
ために利用される。上記複数のペプチド化合物は、1種
類の本発明のペプチド化合物を複数連結してもよく、あ
るいは複数種類の本発明のペプチド化合物を連結しても
よい。
【0023】ここで使用することができるスペーサー物
質には、ペプチド、ジカルボン酸化合物、ジアミン化合
物、などがあるが、これらのものには限定されない。本
発明においては、ペプチドを使用することが好ましい。
【0024】例えばスペーサー物質がペプチドである場
合には、複数の本発明のペプチド化合物は、組換えDNA
技術にしたがって作成することができる。より具体的に
は、本発明のペプチド化合物とスペーサーであるペプチ
ドが連結したものをコードする核酸分子を作製し、その
核酸分子を周知の発現系(例えば、Sambrook and Russe
l, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 3rd edi
tion (2001))に従って発現させることにより、複数の
本発明のペプチドがスペーサーペプチドにより連結し
た、目的とするペプチド化合物を作成することができ
る。
【0025】本発明のペプチド化合物は、投与される宿
主生体において抗原と免疫系細胞との結合(conjugat
e)を亢進し、より高い免疫活性を付与するため、高分
子量化して免疫原性を向上させてから投与することもで
きる。本発明による結合(conjugate)の実現に使用し
得るキャリヤー分子もしくは高分子担体の一例として、
破傷風トキソイド、オボアルブミン、血清アルブミン、
ヘモシアニン等のような天然タンパク質が挙げられる。
キャリヤーがヘモシアニンである場合は、例えばBoquet
らの方法(P. Boquet et al, Molecular Immunology (1
988) vol. 19,pp. 1441-1549)によって、ペプチドお
よびキャリヤーそれぞれのアミノ基同士をグルタールア
ルデヒドで結合させることもできる。例えばMAPまたは
リシンデンドリマーと呼ばれる合成高分子キャリヤーも
使用可能である。
【0026】エピトープもしくは抗原決定基(immunoge
nic determinant)を有する10〜30個のアミノ酸残基を
有するペプチド配列で、特に化学的に合成し易いものに
関し、そのin vivoでの免疫原性を増大するには該ペプ
チド配列を生理学的に許容され得る無毒性のキャリヤー
分子と共有結合によって結合させ、分子量がおよそ10kD
a以上になるように高分子量化することが必要である。
通常分子量が10 kDaを上回る分子量を有する他の種類の
使用可能な高分子キャリヤーもまた、公知である。
【0027】MAPまたはリシンデンドリマーと呼ばれる
合成高分子キャリヤーを用いた多量体ペプチドの合成
は、例えばTam の方法が挙げられる(James P. Tam., P
roc. Natl. Acad. Sci. USA. (1988) vol. 85、 5409-5
413)。公知の合成法により、βアラニン-システイン
(S-アセトアミドメチル)のジペプチドを固定した樹脂
にリシンをステップワイズに反応結合させることにより
目的とする架橋体を調製することができる。すなわち、
ジペプチドにリシンひとつの結合体は2量体の分岐ペプ
チドとして、さらにリシンを反応させて得られるリジン
3個結合体は4量体の分岐ペプチドとして、さらにリシン
を反応させて得られるリジン7個の結合体は8量体の架橋
体として使用することができる。また8量体はシステイ
ン残基のアセトアミドメチル基をヨウ素で酸化的に脱保
護し、ジスルフィド結合を形成させることでも得ること
ができる。これら架橋体に目的とするペプチドの構成ア
ミノ酸を通常の方法により順次反応結合させることによ
り多量体ペプチドを合成することができる。n量体のnは
2以上の整数を意味し、特に制限されないが、実用性の
点からnは2〜8が好ましい。
【0028】前述したように、47 kD抗原タンパク質、
すなわち分子量48.7 kDの解糖系酵素、エノラーゼへの
免疫学的反応性を調べたところ、重症>中程度>軽症の
順に陽性率が高いことがわかった。そして、エノラーゼ
部分アミノ酸配列を利用した本発明のペプチド化合物
は、人工抗原として熱帯熱マラリア患者の血清中にある
抗エノラーゼ抗体とよく免疫的に反応する。したがっ
て、本発明においてはこの事実に基づいて、本発明のペ
プチド化合物またはスペーサー物質で連結した複数の本
発明のペプチド化合物を使用して末梢血中の抗47 kD抗
原タンパク質抗体、すなわち抗エノラーゼ抗体を検出す
ることにより、マラリア感染の重症度を推測することが
できる。
【0029】抗エノラーゼ抗体と結合した本発明のペプ
チド化合物またはスペーサー物質で連結した複数の本発
明のペプチド化合物を、当該技術分野において既知の検
出系、例えば蛍光ELISA法など、を用いて検出できる。
このことから、本発明のペプチド化合物は熱帯熱マラリ
ア感染の免疫診断材料に利用することができる新規な化
合物として使用できることがわかった。したがって、本
発明のペプチド配列は、マラリア感染を診断するための
診断材、特に、マラリア患者の血清抗体と、非常に反応
しやすい人工抗原として有用である。
【0030】本発明のペプチド化合物またはスペーサー
物質で連結した複数の本発明のペプチド化合物は、固相
表面に結合させ、固定化し、若しくは吸着させることに
より、マラリア診断材として提供することができる。こ
こで固相表面としては、例えばフィルム、ラテックス粒
子、プラスチックプレートまたはマイクロビーズなどの
固相表面が挙げられるが、これらには限定されない。例
えば、フィルム状にした本発明のペプチド化合物は、ス
ピンキャスト法で調製することができ、このフィルム上
に試験試料をプロットすることにより試験試料中の抗体
の存在を検出することができる。ラテックス粒子に結合
した本発明の化合物は、乳化重合法、懸濁重合法に従っ
て調製することができ、凝集反応に使用することができ
る。プラスチックプレート上またはマイクロビーズ上へ
の固定化は、50 mg/0.1 mLの本発明の化合物をプラスチ
ックプレートのウェル中に適量を滴下することにより、
または200 mg/0.1 mLの本発明の溶液中にマイクロビー
ズを浸すことにより行うことができる。
【0031】実際の使用にあたっては、本発明のペプチ
ド化合物またはスペーサー物質で連結した複数の本発明
のペプチド化合物を、単独でまたは上述した形態で、提
供することができるほか、これらを含むキットの形態で
も提供することができる。例えば、本発明のペプチド化
合物を使用した診断方法の具体例としては、上記抗原の
1種以上を所定量だけ滴定マイクロプレートのカップ内
に入れること、前記ウェル内へ、診断されるべき生物学
的液体、例えば血清を希釈したもの、を希釈度を上げな
がら導入すること、マイクロプレートをインキュベート
すること、マイクロプレートを適当な緩衝液で注意深く
洗浄すること、特異的に標識した、血液免疫グロブリン
に対する抗体をカップ内に添加すること、及び、生物学
的流体中にエノラーゼ抗体が存在することを指示する形
成された抗原抗体複合体を検出することを含む。
【0032】抗免疫グロブリン抗体の標識は、基質を加
水分解し得る諸酵素中から選択した酵素によって実施す
るのが好ましく、このような酵素としては、ホースラデ
ィッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファ
ターゼ(ALP)などが知られているが、これらのみには
限定されない。前記基質はその放射線吸収に、少なくと
も所定の波長帯内で変化をこうむる。基質を好ましくは
対照との比較において検出することによって、感染や病
状回復度が測定できる。
【0033】マラリアの重症度は、熱帯熱マラリア原虫
の赤血球感染率により決定される。すなわち、末梢赤血
球のうち5%以上が熱帯熱マラリア原虫の感染を受けて
いる場合に重症マラリアと判断され、これを原虫数に換
算すると、末梢血1μl中に原虫が25万個以上存在するこ
とに相当する。それ以下の感染率である場合あるいは末
梢血中原虫数である場合には軽症マラリアと判断され
る。末梢血中に存在するマラリア原虫数の測定は、顕微
鏡下で赤血球中の原虫の数を数える方法などの方法で検
出することにより行う。
【0034】このように好ましい方法は、特にELISA技
術による酵素免疫測定法あるいは蛍光抗体法による検出
である。滴定は、蛍光抗体法による測定か、あるいは直
接的または間接的酵素免疫測定であってもよい。こうし
て、調査血清中の抗体を定量的に滴定し得る。例えばG.
H. Campbell et al., American Journal of Tropical
Medicine and Hygiene (1987) vol.37, pp.17-21に述べ
られている。
【0035】本発明のペプチド化合物を含むワクチン組
成物または症状改善薬組成物は、水溶液の状態、または
乾燥状態のいずれで提供しても良い。これらのペプチド
組成物は、免疫原性を高めるためにアジュバント(adju
vant)、安定剤、溶解助剤、増量剤、等張剤等の慣用の
添加剤を含んでもよい。本発明の化合物を含むペプチド
組成物をヒトまたは動物に投与する場合には、水溶液の
状態で保存されている場合にはそのままの濃度でまたは
生理食塩水または適当なバッファーなどで希釈して用い
ることができる。乾燥状態で保存されている場合には、
生理食塩水または適当なバッファーで適当に希釈して用
いることができる。投与は皮下投与、筋肉内投与、静脈
内投与などの方法により行うことができる。一回当たり
の投与量は、皮下投与の場合には1〜500 mg、より好ま
しくは10〜50 mgの量で、筋肉内投与の場合には0.01〜2
00 mg、より好ましくは0.1〜50 mgの量で投与すること
ができる。ワクチン投与は、1回で全量を投与しても、2
回またはそれ以上の回数に分けて全量を投与してもよ
い。2回またはそれ以上の回数に分けて投与する場合に
は、2週間〜3週間程度の間隔をあけて行うのが好まし
い。
【0036】本発明のペプチド化合物を含むワクチン組
成物または症状改善薬組成物は、徐放性固形物などの形
で提供することもできる。本発明の場合、マラリア原虫
の増殖を抑制することができる徐放性固形物は、ポリマ
ー形成剤に本発明のペプチド化合物等を溶解し、それを
固形化することにより作製することができる。本発明に
おいて使用することができるポリマー形成剤には、アク
リロイル-L-プロリンメチルエステル(acryloyl-L-Prol
ine methyl ester)、アクリロイル-L-アラニンメチル
エステル(acryloyl-L-Alanine methyl ester)、メタ
クリロイル-L-アラニンメチルエステル(methacryloyl-
L-Alanine methyl ester)などが含まれるが、これらに
は限定されない。
【0037】たとえばアクリロイル-L-プロリンメチル
エステルにより徐放性固形物を作製する場合、本発明の
化合物をアクリロイル-L-プロリンメチルエステル水溶
液に溶かした後、ガラスアンプルに充填し、60Co線源か
らのγ線照射をすることにでポリマーに転換することに
より作成することができる。このような徐放性ワクチン
組成物は、1〜10週間継続的に本発明のペプチド化合物
を放出することができる。当業者であれば、所望の速度
で本発明の化合物を放出するように、徐放性固形物中に
含まれる本発明の化合物量を容易に決定することができ
る。
【0038】ワクチンや症状改善薬としての効果の判定
は、TragerとJensenの培養法の変法に従い、培養上清中
に一定量の抗体を添加して、マラリア原虫の増殖の阻害
を形態的に観察することにより行うことができる(W. T
rager and J. B. Jensen (1976) Science, 193, 673-67
5)。本発明のワクチン組成物または症状改善薬組成物
をヒトまたは動物に投与し、所定時間後に採取したヒト
または動物の血清抗体を用いて、赤血球に寄生した熱帯
熱マラリア原虫のin vitro培養系での増殖を抑制できる
かどうかを調べる。
【0039】本発明の一態様においては、上述したよう
な本発明のペプチド化合物またはスペーサーペプチドに
より連結された複数の本発明のペプチド化合物をコード
するDNAも提供する。このようなDNA分子は、本発明のペ
プチド化合物をコードする天然のDNA配列からなってい
るものであっても、あるいはこのようなペプチド化合物
をコードすることができる縮重配列からなるDNA分子で
あってもよい。このようなDNA分子は、目的とする本発
明のペプチド化合物を発現するための使用することがで
きる。具体的には、上述したDNA分子を当該技術分野に
おいて周知の発現ベクターに連結し、当該発現ベクター
をその発現ベクターの発現に適した宿主中に導入して発
現させることにより、本発明のペプチド化合物を発現す
ることができる。
【0040】本発明の別の一態様においては、上述した
本発明のペプチド化合物をコードするDNA分子またはそ
れにハイブリダイズするDNA分子を含有し、マラリア原
虫の増殖を抑制する免疫用DNAワクチンもまた提供す
る。本発明のペプチド化合物をコードするDNA分子は、
前述したように当該技術分野において既知のin vivo発
現系を用いて生体内で本発明のペプチド化合物を発現さ
せ、体内で免疫反応を引き起こすために使用することが
できる。本発明のペプチド化合物をコードするDNA分子
にハイブリダイズするDNA分子は、生体内でmRNAへの転
写を行うことにより、アンチセンス化合物を合成するこ
とができる。これにより、マラリア原虫はエノラーゼタ
ンパク質を合成することができなくなり、増殖を抑制さ
れることになる。
【0041】
【発明の効果】本発明のアミノ酸配列に従って合成した
本発明のペプチド化合物は、マラリア原虫に対する免疫
学的応答を誘発することができる。本発明のペプチド化
合物はまた、人工抗原として熱帯熱マラリア患者の血清
中にある抗エノラーゼ抗体とよく反応し、抗エノラーゼ
抗体を検出できる。さらに、本発明のペプチド化合物を
免疫感作させたウサギ血清は完全に赤血球に寄生した熱
帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のin vitr
o培養系での増殖を著しく抑制したことから、本発明の
アミノ酸配列は熱帯熱マラリアの診断材料として使用す
ることができる。さらに症状改善薬やワクチンとしての
効果があることがわかった。従って、本発明のペプチド
化合物は熱帯熱マラリア感染の免疫診断材料として、さ
らに症状改善薬やワクチンとして使用することができ
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の化合物を実施例にて説明す
る。実施例で用いた熱帯熱マラリア原虫由来エノラーゼ
部分配列の選択方法の一例を表1に示す(GG14、AA13、G
L16、AD22)。次いで、これらの部分配列ペプチドを利
用した免疫診断材料の応用および効果を実施例によって
具体的に記述する。しかしながら、これらの実施例は本
発明を具体的に説明するだけのものであり、本発明の範
囲を限定することを意図しているものではない。
【0043】実施例1:熱帯熱マラリア原虫由来エノラ
ーゼ部分配列の選択 エノラーゼは、以下の式
【化2】2-ホスホグリセリン酸 → 2-ホスホエノール
ピルビン酸+H2O の反応を触媒する解糖系酵素として知られている。ヒト
由来エノラーゼは分子量約44〜47 kDの3種類のサブユニ
ットα、β、γよりなる二量体で、現在5種類のアイソ
ザイム(αα、αβ、ββ、αγ、γγ)の存在が明ら
かになっている。これに対して、ヒトには存在せず熱帯
熱マラリア原虫にのみ特有なアミノ酸配列を有するペプ
チドはヒトにとって異物であり、抗原部位(エピトー
プ)になりうる。これを特定するためにアミノ酸配列の
比較を行った。表1に示したのはヒトエノラーゼα型サ
ブユニットタンパク質(Human alpha enolase、SEQ ID
NO: 1)と熱帯熱マラリア原虫由来エノラーゼタンパク
質(SEQ ID NO: 2)の配列比較の例である。βやγ型サ
ブユニットと熱帯熱マラリア原虫由来エノラーゼの配列
で比較をおこなってもよい。
【0044】その中からアミノ酸残基の構造的相違部
位、すなわち置換、欠失、または挿入、を含むペプチド
をすべて抽出した。このようなペプチドの中から、選択
されたアミノ酸配列を含む、10〜30残基のアミノ酸配列
を選択した。以下の実施例で示す部分配列ペプチド4種
(GG14、AA13、GL16、AD22)は下記の表1に下線で示
し、これらのペプチドは以下の配列: GG14:Gly Ser Lys Asn Glu Trp Gly Trp Ser Lys Ser
Lys Leu Gly(SEQ IDNO: 3); AA13:Ala Ala Pro Asn Lys Val Ser Leu Tyr Lys Tyr
Leu Ala(SEQ ID NO:4); GL16:Gly Phe Ala Pro Asn Ile Leu Asn Ala Asn Glu
Ala Leu Asp Leu Leu(SEQ ID NO: 5);および AD22:Ala Ser Glu Phe Tyr Asn Ser Glu Asn Lys Thr
Tyr Asp Leu Asp PheLys Thr Pro Asn Asn Asp(SEQ ID
NO: 6); を有する。これらのペプチドは、選択できるアミノ酸配
列の一部の例である。
【表1】
【0045】実施例2:エノラーゼの部分配列を含む抗
原ペプチド化合物の合成 以下の実施例で用いた部分配列を含むペプチド化合物に
は、直線状の検査用抗原ペプチド、および分岐型の検査
用・抗体産生用抗原ペプチドを用いた。AD22(SEQ ID N
O: 6)を一例として、直線状抗原ペプチドを図1に、分
岐型抗原ペプチドを図2に示した。これらの合成法は公
知の方法、すなわち、2種類の有機化学的方法により合
成した。一つは本発明のペプチド抗原をいくつかの部分
に分けて別個に合成し、それらを結合させることにより
目的とするペプチド抗原を得る方法である。他の方法は
固相担体上にアミノ酸を順次結合して最後に切り出すこ
とで本発明のペプチド抗原を得る方法である。
【0046】実施例3:エノラーゼ部分配列による熱帯
熱マラリア感染者の検出 実施例2で合成したマラリア原虫由来エノラーゼの部分
配列ペプチド(GG14、AA13、GL16、AD22;各100 mg)と
卵アルブミン(100 mg)を緩衝液(1 ml、pH 9.6、0.1
M炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液)に
溶かした。その後、以前に記載された方法に従い、この
溶液を、暗室にて、0℃、24時間にわたって撹拌を行
い、アルブミンに合成抗原を結合(conjugate)させた
(幅誠二、浜岡利之、“免疫実験操作法”、抗原VII-
5、p1129、日本免疫学会編(1974))。
【0047】次いで、合成抗原にリンクしたタンパク質
を、96ウェル抗原吸着用プレート(Microfluor B "U" B
ottom Plate [B-Plate], Dynex Technologies, Inc.,
USA)に吸着させるため、合成抗原にリンクしたタンパ
ク質溶液をウェルに滴下した後、37℃で3時間処理し
た。一つのウェル当たりの合成抗原濃度は、0.5 mgであ
る。
【0048】患者血清としてはブラジルのマラリア患者
の血清を、対照血清としては非感染者(日本人)の血清
を、それぞれ用いた。マラリア患者の血清および対照血
清は、2%NGS-PBS緩衝液、pH 7.2(0.15 Mリン酸緩衝液
を1容に対し、0.85%生理的食塩水を3容の割合で加え、
さらに正常ヤギ血清を2%加えた)を用いて。1/800倍希
釈した。この希釈血清(0.5 mg/ウェル)を合成抗原に
リンクしたタンパク質が吸着しているウェルに滴下し
た。インキュベーションは、37℃、60分行った。インキ
ュベーション後、Buffer I(0.15 Mリン酸緩衝液、pH
7.2、を1容に対し、0.85%生理的食塩水を3容の割合で
加え、さらにTween 20を全量の0.1%加えた)にて5分お
きに3回洗浄した。
【0049】次いで、2%NGS-PBS緩衝液にて、1/5000倍
希釈した酵素標識抗体(アルカリフォスタファーゼ結合
-抗ヒトIgGモノクローナル抗体)を50μl/ウェル注入
し、37℃、60分、インキュベーションした。反応終了
後、Buffer Iにて5分おきに3回洗浄した。その後、0.1
M Tris-HCl緩衝液にて、200μMに希釈した蛍光基質(4-
メチルアンベリフェリル(umbelliferyl)-ホスフェー
ト)を50μl/ウェル分注し37℃、60分、インキュベー
ションした。測定は、Micro FLUOR Reader(DYNATEC LA
BORATORIES, INC.)で行った。抗体価の測定結果は、相
対蛍光単位(Relative Fluorescence Units, RFU値)で
表示した。
【0050】図3に示したように、実施例で合成した直
線状の部分配列ペプチド、GG14、AD22、AA13、GL16を用
いて熱帯熱マラリア患者血清(P)の抗体価を蛍光ELISA法
で測定した。比較として非感染者血清(H)との抗体価を
示す。何れの部分ペプチドでも患者の抗体価(RFU値)
は非感染者より平均値では大きい。また、エノラーゼの
全長配列を抗原として使用しても同様に患者の抗体価
(RFU値)は非感染者より平均値では大きいことわかっ
た。すなわち実施例で用いたエノラーゼ部分配列は全長
配列から特定され、免疫診断に用いることのできる抗原
配列であるとわかる。すなわち免疫診断材料として有効
である。
【0051】実施例4:エノラーゼ部分配列による熱帯
熱マラリア感染者の病状検査 図4に示したように、マラリア原虫由来エノラーゼの部
分配列ペプチド、AD22、AA13、GL16を用いて熱帯熱マラ
リア患者血清の抗体価(RFU値)を蛍光ELISA法で測定
し、経日変化を追跡(days)した。何れの部分ペプチド
でも患者が入院した日(0日目)から重症化が進むにつ
れて抗体価が増大し(0〜10日目)、症状が改善してく
るに従い急速に減少してくることがわかる(10日目以
降)。これは抗エノラーゼ抗体が重症化と症状改善の指
標になることを示している。比較例として症状が改善せ
ず、悪化し、死亡した患者例では抗体価の減少が見られ
ないことがわかった。
【0052】さらに、部分配列ペプチドと比較するた
め、熱帯熱マラリア原虫そのもの(破砕した原虫試料)
との反応について検討し、その結果を図5に示す。この
結果からも明白なように、破砕した原虫試料では症状の
改善に伴う抗体価の減少が見られない。従って、症状改
善の指標としては使えないことがわかった。一方、エノ
ラーゼの全長配列を抗原として用いたときには患者の症
状改善経過の追跡が可能である。すなわち実施例で選択
されたエノラーゼ部分配列は全長配列から特定された症
状の回復経過を見る免疫診断に用いることのできる抗原
配列であるとわかる。すなわち部分配列ペプチド(AD2
2、SEQ ID NO: 6)は熱帯熱マラリア感染者の症状を追
跡するための材料としても有効であることがわかる。
【0053】実施例5:エノラーゼ部分配列ペプチドに
よる抗部分ペプチド血清および抗部分ペプチド抗体の作
初回免疫は図2に例示したような、分岐型エノラーゼ部
分配列ペプチドをそれぞれ600μg、完全フロイントアジ
ュバントと共にウサギ(日本白色種、メス、11週齢)背
部皮下に投与した。追加免疫は初回免疫より2週間後、4
週間後、6週間後にそれぞれ300μg、150μg、100μgを
不完全フロイントアジュバントと共に初回同様に免役し
た。最終免疫より1週間後、ウサギをペントバルビター
ルによる全身麻酔導入後、頸静脈より 全採血を行っ
た。採血後、血清を分離した。必要な場合はIgGを抗体
精製用カラム(ImmunoPure Protein A、Pierce 社(米
国))により分離精製して用いた。
【0054】得られた血清を使用して、組み換え型熱帯
熱マラリア原虫エノラーゼ(全長配列)をSDS-PAGE及び
ウェスタンブロットにより試験した。SDS-PAGE(Sodium
dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresi
s)はタンパク質試料を分子量によって分離し、タンパ
ク質の分離、同定、純度検定、分子量決定を行う手段で
ある。その結果抗ペプチド血清は組み換え型エノラーゼ
を認識することがわかった。すなわち実施例で選択され
たエノラーゼ部分配列は全長配列から特定されたエノラ
ーゼを認識できるエピトープ配列であることがわかっ
た。
【0055】実施例6:徐放製剤化したエノラーゼ部分
配列ペプチドによる抗部分ペプチド血清および抗部分ペ
プチド抗体の作成 図2に例示したような、分岐型エノラーゼ部分配列ペプ
チドを2 mgのエノラーゼ部分配列ペプチドを0.2 mlの70
%アクリロイル-L-プロリンメチルエステル水溶液に溶
かしたのち、0.5 cm内径のガラスアンプルに充填した。
次いで、このアンプルを窒素雰囲気下、氷温で60Co線源
からのγ線を、10 kGy/hの線量率、2時間照射した。照
射により、アクリロイル-L-プロリンメチルエステルは
重合しポリマーになる。この放射線重合により、合成抗
原を包括したロッド状の徐放性固形物を得た。
【0056】得られた徐放性固形物からの合成抗原の放
出を、37℃の生理食塩水中で測定したところ、44±8μg
/日の速度で35日間にわたって徐々に放出することがわ
かった。この徐放性固形物に対するマラリアワクチンと
しての効果を調べるため、ウサギ(日本白色種、メス、
11週齢)背部皮下に埋め込んだ。徐放性固形物を埋め込
んでから7週間後、ウサギをペントバルビタールによる
全身麻酔導入後、頸静脈より全採血を行った。採血後、
血清を分離した。必要な場合はIgGを抗体精製用カラム
クロマトグラフィー(ImmunoPure Protein A、Pierce
社(米国))により分離精製して用いた。
【0057】実施例7:抗部分配列ペプチド血清による
熱帯熱マラリア原虫の増殖抑制実験 増殖抑制実験はTragerとJensenの培養法の変法に従い
(Trager & Jensen前述)、培養上清中に一定量の抗体
を添加して、マラリア原虫の増殖阻害を観察することに
より行った。
【0058】実施例5で得られた抗部分配列ペプチド血
清を熱帯熱マラリア原虫の培養中に10倍、20倍、200倍
希釈で添加した。その結果、血清の希釈率を上げること
で増殖率が抑えられるとわかった。図6にAD22部分ペプ
チドで免疫したウサギ血清とコントロール(免疫前のウ
サギ血清)による熱帯熱マラリア原虫増殖阻害率の結果
を示す。この時の原虫の形態をギムザ染色で顕微鏡観察
したところ、抗部分配列ペプチド血清を添加したもので
はシゾントに成熟できず、赤血球中で死んで行く様子が
観察された。シゾントは分裂体と呼ばれ、血流中の増殖
サイクルの1形態である。赤血球中のトロフォゾイト
(栄養体、輪状体)がシゾント(分裂体)へ成熟し、患
者の発熱と新たな赤血球への感染を引き起こすメロゾイ
トとなる。シゾントへの成熟を止めることにより、患者
の発熱と重症化(新たな赤血球への感染)を直接抑える
ことができる。
【0059】図7には抗組み換えエノラーゼ抗体(抗エ
ノラーゼIgG)とコントロール(標準ウサギIgG)による
熱帯熱マラリア原虫増殖率の比較を示した。エノラーゼ
の全長配列を抗原として使用しても熱帯熱マラリア原虫
の増殖率の抑えられることがわかる。従って図6に示し
た部分配列での実施例は全長配列から抜き出された増殖
抑制効果のあるエピトープ配列による効果であることが
わかる。すなわちヒトと熱帯熱マラリア原虫のエノラー
ゼアミノ酸配列の比較により選択された部分配列ペプチ
ドは、マラリア原虫の増殖抑制に有効であることがわか
った。
【0060】
【配列表】 <110> 日本原子力研究所(Japan Atomic Energy Research Institute) <120> マラリア感染診断材及びマラリア原虫の増殖を抑える免疫用抗原(Mater ial for diagnosing Malaria infection and immunogens for suppressing the growth of Plasmodium.) <130> 010995 <160> 6 <200> 1 <211> 1341 <212> DNA <213> Plasmodium falciparum <220> <223> Nucleotide sequence of Plasmodium falciparum enolase <400> 1 atggctcatg taataactcg tattaatgcc cgtgaaattt tagattctag aggaaaccca 60 actgtagaag ttgacttaga gaccaactta ggtattttca gagctgccgt accatctggt 120 gcctccactg gtatttatga agccttggaa ttaagagata atgacaagag caggtactta 180 ggaaagggtg ttcaaaaagc tatcaagaac attaatgaaa ttattgctcc aaaattgatt 240 ggaatgaatt gtactgaaca aaagaaaatt gacaatttaa tggttgaaga attagatgga 300 agtaaaaatg aatggggatg gtcaaaaagt aagttaggag ctaatgctat tttagctata 360 tccatggctg tatgtagagc tggtgcagct gctaataaag tatctttata caaatatttg 420 gcacaattag ctggaaagaa aagtgaccaa atggtattac cagtaccttg tttaaacgtt 480 atcaatggag gatcccatgc aggaaacaaa ttatctttcc aagaatttat gatagtgcca 540 gttggtgctc catcatttaa 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acid sequence of Plasmodium falciparum enolase <400> 2 atg gct cat gta ata act cgt att aat gcc cgt gaa att tta gat tct Met Ala His Val Ile Thr Arg Ile Asn Ala Arg Glu Ile Leu Asp Ser 5 10 15 aga gga aac cca act gta gaa gtt gac tta gag acc aac tta ggt att Arg Gly Asn Pro Thr Val Glu Val Asp Leu Glu Thr Asn Leu Gly Ile 20 25 30 ttc aga gct gcc gta cca tct ggt gcc tcc act ggt att tat gaa gcc Phe Arg Ala Ala Val Pro Ser Gly Ala Ser Thr Gly Ile Tyr Glu Ala 35 40 45 ttg gaa tta aga gat aat gac aag agc agg tac tta gga aag ggt gtt Leu Glu Leu Arg Asp Asn Asp Lys Ser Arg Tyr Leu Gly Lys Gly Val 50 55 60 caa aaa gct atc aag aac att aat gaa att att gct cca aaa ttg att Gln Lys Ala Ile Lys Asn Ile Asn Glu Ile Ile Ala Pro Lys Leu Ile 65 70 75 80 gga atg aat tgt act gaa caa aag aaa att gac aat tta atg gtt gaa Gly Met Asn Cys Thr Glu Gln Lys Lys Ile Asp Asn Leu Met Val Glu 85 90 95 gaa tta gat gga agt aaa aat gaa tgg gga tgg tca aaa agt aag tta Glu Leu Asp Gly Ser Lys Asn Glu Trp Gly Trp Ser Lys Ser Lys Leu 100 105 110 gga gct aat gct att tta gct ata tcc atg gct gta tgt aga gct ggt Gly Ala Asn Ala Ile Leu Ala Ile Ser Met Ala Val Cys Arg Ala Gly 115 120 125 gca gct gct aat aaa gta tct tta tac aaa tat ttg gca caa tta gct Ala Ala Ala Asn Lys Val Ser Leu Tyr Lys Tyr Leu Ala Gln Leu Ala 130 135 140 gga aag aaa agt gac caa atg gta tta cca gta cct tgt tta aac gtt Gly Lys Lys Ser Asp Gln Met Val Leu Pro Val Pro Cys Leu Asn Val 145 150 155 160 atc aat gga gga tcc cat gca gga aac aaa tta tct ttc caa gaa ttt Ile Asn Gly Gly Ser His Ala Gly Asn Lys Leu Ser Phe Gln Glu Phe 165 170 175 atg ata gtg cca gtt ggt gct cca tca ttt aaa gaa gcc tta aga tat Met Ile Val Pro Val Gly Ala Pro Ser Phe Lys Glu Ala Leu Arg Tyr 180 185 190 ggt gct gaa gta tat cat acc tta aaa tca gaa att aaa aag aaa tat Gly Ala Glu Val Tyr His Thr Leu Lys Ser Glu Ile Lys Lys Lys Tyr 195 200 205 ggt att gat gca acc aat gta ggt gat gaa ggt gga ttt gct cca aat Gly Ile Asp Ala Thr Asn Val Gly Asp Glu Gly Gly Phe Ala Pro Asn 210 215 220 ata tta aac gct aat gaa gct ctt gat tta tta gta act gcc att aaa Ile Leu Asn Ala Asn Glu Ala Leu Asp Leu Leu Val Thr Ala Ile Lys 225 230 235 240 tca gct ggt tat gaa gga aag gtt aaa att gct atg gat gtt gca gct Ser Ala Gly Tyr Glu Gly Lys Val Lys Ile Ala Met Asp Val Ala Ala 245 250 255 tct gaa ttt tac aac agt gaa aac aaa aca tac gat tta gat ttc aaa Ser Glu Phe Tyr Asn Ser Glu Asn Lys Thr Tyr Asp Leu Asp Phe Lys 260 265 270 act cca aat aat gac aaa tca tta gtt aag act gga gct caa tta gtt Thr Pro Asn Asn Asp Lys Ser Leu Val Lys Thr Gly Ala Gln Leu Val 275 280 285 gac tta tac att gat tta gta aag aaa tat cca att gtt tct att gaa Asp Leu Tyr Ile Asp Leu Val Lys Lys Tyr Pro Ile Val Ser Ile Glu 290 295 300 gat cca ttt gat caa gat gat tgg gaa aat tat gct aaa tta aca gca Asp Pro Phe Asp Gln Asp Asp Trp Glu Asn Tyr Ala Lys Leu Thr Ala 305 310 315 320 gct att gga aag gat gtt caa att gtt ggt gat gat tta tta gtt aca Ala Ile Gly Lys Asp Val Gln Ile Val Gly Asp Asp Leu Leu Val Thr 325 330 335 aac cca acc aga att act aaa gct ctt gaa aaa aat gct tgc aat gct Asn Pro Thr Arg Ile Thr Lys Ala Leu Glu Lys Asn Ala Cys Asn Ala 340 345 350 tta cct ctt aaa gtt aac caa atc ggt tct att act gaa gct att gaa Leu Pro Leu Lys Val Asn Gln Ile Gly Ser Ile Thr Glu Ala Ile Glu 355 360 365 gct tgc tta tta tct caa aaa aat aac tgg ggt gtt atg gtt tct cac Ala Cys Leu Leu Ser Gln Lys Asn Asn Trp Gly Val Met Val Ser His 370 375 380 aga tct ggt gaa acc gaa gat gtt ttt att gct gat tta gtt gtt gct Arg Ser Gly Glu Thr Glu Asp Val Phe Ile Ala Asp Leu Val Val Ala 385 390 395 400 tta aga acc gga caa atc aaa aca gga gca cca tgc aga agt gaa aga Leu Arg Thr Gly Gln Ile Lys Thr Gly Ala Pro Cys Arg Ser Glu Arg 405 410 415 aac gcc aaa tat aac caa tta tta aga att gaa gaa tct tta gga aac Asn Ala Lys Tyr Asn Gln Leu Leu Arg Ile Glu Glu Ser Leu Gly Asn 420 425 430 aat gct gtt ttt gct gga gaa aaa ttt aga tta caa tta aat taa Asn Ala Val Phe Ala Gly Glu Lys Phe Arg Leu Gln Leu Asn Stop 435 440 445 <200> 3 <211> 434 <212> PRT <213> human <220> <223> Amino acid sequence of human alpha-enolase <400> 3 Met Ser Ile Leu Lys Ile His Ala Arg Glu Ile Phe Asp Ser Arg Gly 5 10 15 Asn Pro Thr Val Glu Val Asp Leu Phe Thr Ser Lys Gly Leu Phe Arg 20 25 30 Ala Ala Val Pro Ser Gly Ala Ser Thr Gly Ile Tyr Glu Ala Leu Glu 35 40 45 Leu Arg Asp Asn Asp Lys Thr Arg Tyr Met Gly Lys Gly Val Ser Lys 50 55 60 Ala Val Glu His Ile Asn Lys Thr Ile Ala Pro Ala Leu Val Ser Lys 65 70 75 80 Lys Leu Asn Val Thr Glu Gln Glu Lys Ile Asp Lys Leu Met Ile Glu 85 90 95 Met Asp Gly Thr Glu Asn Lys Ser Lys Phe Gly Ala Asn Ala Ile Leu 100 105 110 Gly Val Ser Leu Ala Val Cys Lys Ala Gly Ala Val Glu Lys Gly Val 115 120 125 Pro Leu Tyr Arg His Ile Ala Asp Leu Ala Gly Asn Ser Glu Val Ile 130 135 140 Leu Pro Val Pro Ala Phe Asn Val Ile Asn Gly Gly Ser His Ala Gly 145 150 155 160 Asn Lys Leu Ala Met Gln Glu Phe Met Ile Leu Pro Val Gly Ala Ala 165 170 175 Asn Phe Arg Glu Ala Met Arg Ile Gly Ala Glu Val Tyr His Asn Leu 180 185 190 Lys Asn Val Ile Lys Glu Lys Tyr Gly Lys Asp Ala Thr Asn Val Gly 195 200 205 Asp Glu Gly Gly Phe Ala Pro Asn Ile Leu Glu Asn Lys Glu Gly Leu 210 215 220 Glu Leu Leu Lys Thr Ala Ile Gly Lys Ala Gly Tyr Thr Asp Lys Val 225 230 235 240 Val Ile Gly Met Asp Val Ala Ala Ser Glu Phe Phe Arg Ser Gly Lys 245 250 255 Tyr Asp Leu Asp Phe Lys Ser Pro Asp Asp Pro Ser Arg Tyr Ile Ser 260 265 270 Pro Asp Gln Leu Ala Asp Leu Tyr Lys Ser Phe Ile Lys Asp Tyr Pro 275 280 285 Val Val Ser Ile Glu Asp Pro Phe Asp Gln Asp Asp Trp Gly Ala Trp 290 295 300 Gln Lys Phe Thr Ala Ser Ala Gly Ile Gln Val Val Gly Asp Asp Leu 305 310 315 320 Thr Val Thr Asn Pro Lys Arg Ile Ala Lys Ala Val Asn Glu Lys Ser 325 330 335 Cys Asn Cys Leu Leu Leu Lys Val Asn Gln Ile Gly Ser Val Thr Glu 340 345 350 Ser Leu Gln Ala Cys Lys Leu Ala Gln Ala Asn Gly Trp Gly Val Met 355 360 365 Val Ser His Arg Ser Gly Glu Thr Glu Asp Thr Phe Ile Ala Asp Leu 370 375 380 Val Val Gly Leu Cys Thr Gly Gln Ile Lys Thr Gly Ala Pro Cys Arg 385 390 395 400 Ser Glu Arg Leu Ala Lys Tyr Asn Gln Leu Leu Arg Ile Glu Glu Glu 405 410 415 Leu Gly Ser Lys Ala Lys Phe Ala Gly Arg Asn Phe Arg Asn Pro Leu 420 425 430 Ala Lys <200> 4 <211> 14 <212> PRT <213> Plasmodium falciparum <220> <222> Position 100-113 of amino acid sequence of Plasmodium falciparum enolase which is described in SEQ ID NO: 2. <223> Partial amino acid sequence designated GG14 from Plasmodium falci parum enolase. <400> 4 Gly Ser Lys Asn Glu Trp Gly Trp Ser Lys Ser Lys Leu Gly 5 10 <200> 5 <211> 13 <212> PRT <213> Plasmodium falciparum <220> <222> Position 129-141 of amino acid sequence of Plasmodium falciparum enolase which is described in SEQ ID NO: 2. <223> Partial amino acid sequence designated AA13 from Plasmodium falci parum enolase, glycolytic enzyme. <400> 5 Ala Ala Pro Asn Lys Val Ser Leu Tyr Lys Tyr Leu Ala 5 10 <200> 6 <211> 16 <212> PRT <213> Plasmodium falciparum <220> <222> Position 220-235 of amino acid sequence of Plasmodium falciparum enolase which is described in SEQ ID NO: 2. <223> Partial amino acid sequence designated GL16 from Plasmodium falci parum enolase. <400> 6 Gly Phe Ala Pro Asn Ile Leu Asn Ala Asn Glu Ala Leu Asp Leu Leu 5 10 15 <200> 7 <211> 22 <212> PRT <213> Plasmodium falciparum <220> <222> Position 256-277 of amino acid sequence of Plasmodium falciparum enolase which is described in SEQ ID NO: 2. <223> Partial amino acid sequence designated AD22 from Plasmodium falci parum enolase. <400> 7 Ala Ser Glu Phe Tyr Asn Ser Glu Asn Lys Thr Tyr Asp Leu Asp Phe 5 10 15 Lys Thr Pro Asn Asn Asp 20
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、エノラーゼ部分配列の1つ、AD22に
基づく直線状の検査用抗原ペプチドを示す。
【図2】 図2は、エノラーゼ部分配列の1つ、AD22、
に基づく分岐型の検査用・抗体産生用抗原ペプチドを示
す。
【図3】 図3は、マラリア原虫由来エノラーゼの部分
配列を利用したペプチド化合物、GG14、AD22、AA13、GL
16と、様々なブラジル人マラリア患者血清(P)との蛍
光ELISA法による抗体価(RFU値)測定を示したグラフで
ある。比較として非感染者の血清(H)によるデータを
示してある。
【図4】 図4は、マラリア原虫由来エノラーゼの部分
配列ペプチド、AD22、AA13、GL16を用いて、熱帯熱マラ
リア患者血清の抗体価(RFU値)の経日変化を調べた結
果を示す。
【図5】 図5は、熱帯熱マラリア原虫エノラーゼ部分
配列ペプチド、または熱帯熱マラリア原虫そのもの(破
砕した原虫試料)に対する、熱帯熱マラリア患者血清の
反応について検討した結果を示す。
【図6】 図6は、AD22部分ペプチドで免疫したウサギ
血清とコントロール(免疫前のウサギ血清)による熱帯
熱マラリア原虫増殖阻害率の結果を示す。
【図7】 図7は、抗組み換えエノラーゼ抗体(抗エノ
ラーゼIgG)とコントロール(標準ウサギIgG)による熱
帯熱マラリア原虫増殖率の比較を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 G01N 33/53 S ZNA 33/569 A G01N 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/569 A (72)発明者 鈴木 守 群馬県高崎市石原町2514−2 (72)発明者 狩野 繁之 東京都中野区江古田3−14−5 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA13 BA61 HA17 4C084 AA13 NA10 ZB092 ZB382 4C085 AA03 BA06 BB11 DD62 4H045 AA11 AA30 BA09 BA62 CA22 DA86 EA31 EA52

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 2との構造的
    相違部位を含み、熱帯熱マラリア原虫に対する細胞性ま
    たは体液性の免疫学的応答を誘発しうる、ペプチドまた
    はその類似体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物、および医薬的
    に許容可能な担体を含む、マラリア原虫感染症の予防ま
    たは治療のための医薬組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の化合物をフィル
    ム、ラテックス粒子、ビーズ、プラスチックプレートな
    どの固相表面に結合させることよりなる物質。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の化合物を有効成
    分として含有し、マラリア原虫の増殖を抑える免疫用抗
    原。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のペプチド配列を
    コードするDNA。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のDNA配列を含有し、マラ
    リア原虫の増殖を抑える免疫用DNAワクチン。
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