JP2002540113A - ボロン酸含有試薬およびオリゴヌクレオチド - Google Patents

ボロン酸含有試薬およびオリゴヌクレオチド

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、修飾オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドへの取り込みに有用なアリールボロニック酸試薬を提供する。こうして生成した修飾オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、巨大分子の固定化と精製のための生物結合反応に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願への相互参照 本出願は、現在米国特許第6,031,117号となっている米国特許出願第
09/272,978号(1999年3月19日出願)、および現在米国特許第
6,013,783号となっている米国特許出願第09/272,834号(1
999年3月19日出願)の優先権を主張する(これらはその全体が、参照する
ことにより本明細書に組み込まれる)。 発明の分野 本発明は、核酸固定化、精製および検出の分野、さらに詳しくは修飾オリゴヌ
クレオチドおよびポリヌクレオチドへのボロニック酸(boronic acid)の導入の
ための試薬に関する。 発明の背景 アリールボロニック酸(例えば、フェニルボロニック酸)は、ある必要な官能
基を有する広範な極性分子と相互作用することが知られている。安定性の異なる
複合体(1,2−ジオール、1,3−ジオール、1,2−ヒドロキシ酸、1,3
−ヒドロキシ酸、1,2−ヒドロキシルアミン、1,3−ヒドロキシルアミン、
1,2−ジケトンおよび1,3−ジケトン)が、中性のフェニルボロニック酸ま
たはフェニルボロネート陰イオンとの間で存在することが知られている。固定化
されたフェニルボロニック酸は、多様な生物学的試料から、必要な官能基を有す
る分子種を選択的に保持するためのクロマトグラフィー支持体として使用されて
いる。特に限定されないが、炭水化物、カテコールアミン、プロスタグランジン
、リボヌクレオチド、およびステムを含む多くの重要な生物学的分子は、必要な
官能基を含有し、この方法で解析または精製されている。生物学的分子の単離と
分離のためのフェニルボロニック酸クロマトグラフィー媒体の使用は、いくつか
の総説に記載されている(Singhal, R.P.とDeSilva, S.S.M. (1992) Adv. Chrom
atog., 31:293-335; Mazzeo, J.R.とKrull, I.S. (1989) BioChromatog., 4, 12
4-130;およびBergold, A.とScouten, W.H. (1983)、Solid Phase Biochemistry
(Scouten, W.H.編)pp. 149-187, ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wi
ley & Sons)、ニューヨークを参照)。
【0002】 cisまたはコアクシャル1,2−ジオールおよび1,3−ジオール官能基を
有する分子種(そして特に炭水化物)は、フェニルボロネート陰イオンを有する
固定化化合物と複合体を形成して、アルカリ性水溶液条件下で環状エステルを形
成することが知られている(例えば、Lorand, J.P.とEdwards, J.O. (1959) J.
Org. Chem., 24, 769を参照)。さらにアリールボロニック酸残基に結合する炭
水化物は、アリールボロニック酸とアリールボロニック酸内に含有されるアミン
官能基との電子的相互作用を増強して、蛍光性変化を誘導することが知られてい
る(T.D. Jamesら、(1994) J. Chem. Soc. Chem. Comm., 477-478を参照)。
【0003】 生物学的分子(例えば生物学的巨大分子)と複合体を形成する能力を考慮する
と、アリールボロニック酸から得られる試薬は、固定化、精製および検出を含む
多様な生物結合への応用に有用である。生物結合とは、化学的または生物学的手
段により2つまたはそれ超の異なる分子種(そのうち少なくとも1つは、生物学
的巨大分子である)の結合のための説明用語である。生物結合には、特に限定さ
れないが、タンパク質、ペプチド、多糖、ホルモン、核酸、リポソームおよび細
胞の、互いの結合または任意の他の分子種との結合があり、これは有用な性質を
付与する。生物学的巨大分子の固定化はまた、生物結合の場合の特殊なケースと
考えられ、ここで巨大分子は、可逆的または不可逆的に不溶性支持体に結合して
いる。生物結合は、生化学的、免疫化学的および分子生物学的研究に広く使用さ
れている。生物結合の主要な応用には、特に限定されないが、遺伝子プローブの
検出、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、モノクローナル抗体薬剤ターゲ
ティングおよび医用イメージングがある。
【0004】 多くの例において、生物結合は、2つの結合パートナーの間の結合対を形成す
る既知の反応に基づく。生物結合反応の1つの例は、第1の結合パートナー(例
えば、オルト置換アセトアミドフェニルボロニック酸)と第2の結合パートナー
(例えば、糖タンパク質に結合した炭水化物残基の隣接ジオール残基)が関与す
る(Cai, S.X.とKeana, J.F.W. (1991) Bioconjugate Chem. 2, 317-322を参照
)。
【0005】 さらに、3−イソチオシアネートフェニルボロニック酸由来のフェニルボロニ
ック酸生物接合体は、医用イメージングで使用するために、放射性テクネチウム
ジオキシム複合体をモノクローナル抗体に付加するのにうまく使用されている(
Linder, K.E., Wen, M.D., Novotnik, D.P., Malley, M.F., Gougoutas, J.Z.,
Nunn, A.D.とEckelman, W.C. (1991) Bioconjugate Chem., 2, 160-170; Linder
, K.E., Wen, M.D., Novotnik, D.P., Ramalingam, K., Sharkey, R.M., Yost,
F., Narra, R.K.とEckelman, W.C. (1991) Bioconjugate Chem., 2, 407-414を
参照)。
【0006】 さらにボロニック酸試薬は、サリチルヒドロキサム酸(SHA)および2,6
−ジヒドロキシベンゾヒドロキサム酸(DHBHA)から得られる、新に開発さ
れたボロニック酸複合体形成試薬とともに使用する時、生物結合試薬として広い
有用性を示している。ボロニック酸試薬、ボロニック酸複合体形成試薬、これら
の接合体と生物接合体、ならびにその調製法と使用は、米国特許第5,594,
111号、5,623,055号、5,668,258号、5,648,470
号、5,594,151号、5,668,257号、5,677,431号、5
,688,928号、5,744,627号、5,777,148号、5,83
1,045号および5,831,046号に開示されている。
【0007】 生物結合反応におけるアリールボロニック酸の有用性を考慮すると、当該分野
で必要なものは、例えば自動固相合成中に合成オリゴヌクレオチドに取り込みや
すいボロニック酸化合物である。こうして産生されるボロニック酸修飾オリゴヌ
クレオチドは、生物結合反応(例えば巨大分子の固定化、精製および検出)に有
用であろう。本発明は、これらおよび他のニーズを満足する。 発明の要約 アリールボロニック酸から得られる試薬は、生物学的巨大分子と複合体を形成
する能力の結果として、種々の生物結合反応への応用に有用である。本発明は、
入手できるボロニック酸試薬を包含し、ボロニック酸修飾合成オリゴヌクレオチ
ドの調製に有用である。従って1つの態様において本発明は、式Iの一般的構造
を有する化合物に関する。
【0008】
【化7】
【0009】 式Iにおいて、R1は、特に限定されないが、アリールボロニック酸エステル
残基(例えば、フェニルボロニック酸エステル)を含む官能基である。式I中の
Yは、特に限定されないが、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単
結合(ここで、mは約1〜約5の範囲の値を有する整数である)を含む官能基で
ある。本明細書において、Yが炭素−炭素単結合である時、R1は、カルボニル
基に直接結合している。式I中のZは、特に限定されないが、1〜16個の炭素
原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキレンアミドアルキレンおよ
びアルキレンアミドアルキレンアミドを含む官能基である。式I中のXは、特に
限定されないが、メチレン基と炭素−炭素単結合を含む官能基である。Xが炭素
−炭素単結合である時、式I中のメチン炭素は、OR3に直接結合している。式
I中のR2は、特に限定されないが、水素、トリチル、モノメトキシトリチルお
よびジメトキシトリチルを含む官能基である。式I中のR3は、特に限定されな
いが、水素または活性化リン残基を含む官能基である。
【0010】 式Iのアリールボロニック酸化合物は、自動固相合成中のオリゴヌクレオチド
の合成に有用である。こうして生成したオリゴヌクレオチドは、種々の生物結合
反応(例えば、核酸の固定化、精製、および検出)に有用である。オリゴヌクレ
オチドは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’末端または5’末
端に付加した式Iの化合物を用いて合成することができる。
【0011】 従って他の態様において本発明は、修飾5’を有しかつ以下の一般式を有する
オリゴヌクレオチドを提供する。
【0012】
【化8】
【0013】 式IIにおいてRは、特に限定されないが、アリールボロニック酸残基(例えば
、フェニルボロニック酸)を含む官能基である。式II中のYは、特に限定されな
いが、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは約
1〜約5の範囲の値を有する整数である)を含む官能基である。式II中のZは、
特に限定されないが、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンア
ミド、アルキレンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドを
含む官能基である。式II中のXは、特に限定されないが、メチレン基と炭素−炭
素単結合を含む官能基である。式II中のR6は、特に限定されないが、水素およ
びヒドロキシルを含む官能基である。式II中のR7は、特に限定されないが、ヒ
ドロキシルとモノリン酸エステルを含む官能基である。式II中の指数nは、約0
〜約10の範囲の整数である。式II中の指数n’は、約10〜約10000の範
囲の整数である。式II中のNu’とNu''は、特に限定されないが、アデニン、
グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよびヌクレオチド類似体を含む独立に
選択されるヌクレオチド塩基である。変数R、YおよびXは、nのあるモノマー
値について同じかまたは異なっていてもよい。変数R6とNu’は、n5のあるモ
ノマー値について同じかまたは異なっていてもよい。
【0014】 さらに別の態様において本発明は、修飾3’と以下の一般式を有するオリゴヌ
クレオチドを提供する。
【0015】
【化9】
【0016】 式IIIにおいてRは、特に限定されないが、アリールボロニック酸残基(例え
ば、フェニルボロニック酸)を含む官能基である。式III中のYは、特に限定さ
れないが、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、m
は約1〜約5の範囲の値を有する整数である)を含む官能基である。式III中の
Zは、特に限定されないが、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキ
レンアミド、アルキレンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンア
ミドを含む官能基である。式III中のXは、特に限定されないが、メチレン基と
炭素−炭素単結合を含む官能基である。式III中のR6は、特に限定されないが、
水素とヒドロキシルを含む官能基である。式III中のR7は、特に限定されないが
、ヒドロキシルとモノリン酸エステルを含む官能基である。式III中の指数nは
、約0〜約10の範囲の値を有する整数である。式III中の指数n’は、約10
〜約10000の範囲の値を有する整数である。式III中のNu’とNu''は、
特に限定されないが、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよび
ヌクレオチド類似体を含む独立に選択されるヌクレオチド塩基である。変数R、
YおよびXは、nのあるモノマー値について同じかまたは異なっていてもよい。
変数R6とNu’は、n’のあるモノマー値について同じかまたは異なっていて
もよい。
【0017】 本発明のこれらおよび他の態様は、以後の詳細な説明を読むと、より容易に明
らかになるであろう。 発明の詳細な記載及び好適な実施態様 I.用語解説 本明細書において「アルキル」という用語は、分岐または非分岐炭化水素鎖(
例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−
ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、オクタ−デシルおよび2−メチルフ
ェニル)を意味する。これらの基は、そのようなアルキル基に一般的に結合する
1つまたはそれ超の官能基(例えば、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ
、ヨード、メルカプトまたはチオ、シアノ、アルキルチオ、ヘテロシクリル、ア
リール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコイル、アルキル、アルケ
ニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなど)で随時置換されて、トリフ
ルオロメチル、3−ヒドロキシヘキシル、2−カルボキシプロピル、2−フルオ
ロエチル、カルボキシメチル、シアノブチルなどのアルキル基を形成する。
【0018】 「アルキレン」という用語は、1〜20個の炭素原子および好ましくは約1〜
16個の炭素原子を有する、上記の2価アルキル基、例えばメチレン(−CH2
−)、プロピレン(−CH2CH2CH2−)、クロロエチレン(−CHClCH2 −)、2−チオブテン−CH2CH(SH)CH2CH2、1−ブロモ−3−ヒド
ロキシル−4−メチルペンテン(−CHBrCH2CH(OH)CH(CH3)C
2−)を意味する。
【0019】 「アルキレンアミド」という用語は、−(CH2nNC(O)または−(CH 2nC(O)N基(ここで、nは、約1〜約20、好ましくは約1〜16である
)を意味する。
【0020】 「アルキレンアミドアルキレン」という用語は、−(CH2nNC(O)(C
2nまたは−(CH2nC(O)N(CH2n基(ここで、nは、約1〜約2
0、好ましくは約1〜16である)を意味する。
【0021】 「アルキレンアミドアルキレンアミド」という用語は、−(CH2nNC(O
)(CH2nNC(O)または−(CH2nC(O)N(CH2nC(O)Nま
たは(CH2nNC(O)(CH2nC(O)Nまたは−(CH2nC(O)N
(CH2nNC(O)(ここで、nは、約1〜約20、好ましくは約1〜16で
ある)を意味する。
【0022】 「アリール」という用語は、好ましくは約6〜14個の炭素原子を有する少な
くとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ナフチル)を形成するか、またはその
ようなアリール基に一般的に結合する1つまたはそれ超の官能基(例えば、ヒド
ロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプトまたはチオ、シアノ
、シアノアミド、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキ
シル、カルボアルコイル、アルキル、アルケニル、ニトロ、アミノ、アルコキシ
ル、アミドなど)で、随時置換されて、ビフェニル、ヨードビフェニル、メトキ
シビフェニル、アントリル、ブロモフェニル、ヨードフェニル、クロロフェニル
、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、ホルミルフェニル、アセチルフェニ
ル、トリフルオロメチルチオフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、アルキ
ルチオフェニル、トリアルキルアンモニウムフェニル、アミドフェニル、チアゾ
リルフェニル、オキサゾリルフェニル、イミダゾリルフェニル、イミダゾリルメ
チルフェニルなどのアリール基を形成する、炭素原子の鎖を意味する。
【0023】 「アシル」という用語は、−C(O)R基を意味し、ここでRは、上記で定義
したアルキルまたはアリール(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ま
たはブチリル)である。
【0024】 「アルコキシ」という用語は、−ORを意味し、ここでRはアルキルである。
【0025】 「アミド」という用語は、アミド結合を−C(O)NR−を意味し、ここでR
は水素またはアルキルである。
【0026】 「アミノ」という用語は、アミン結合−NR−を意味し、ここでRは水素また
はアルキルである。
【0027】 本明細書において「ヌクレオチドモノマー」という用語は、「標準的」ヌクレ
オチド、すなわちアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、およびウラシ
ル、およびこれらのヌクレオチドの誘導体を意味する。そのような誘導体には、
特に限定されないが、イノシン、5−ブロモデオキシシチジン、5−ブロモ−デ
オキシウリジン、N6−メチル−デオキシアデノシン、5−メチル−デオキシシ
チジンなどがある。
【0028】 本明細書において「保護基」という用語は、分子上の反応性基(例えば、ヒド
ロキシルまたはアミン)が結合されているかまたは置換されている基を意味する
。保護基は、1つまたはそれ超の化学反応工程中に、特定の基の反応を防止する
ように選択される。一般に具体的な保護基は、分子中に存在する他の反応性基を
変化させることなく反応性基を回復できるように、後で除去できるように選択さ
れる。保護基の選択は、保護すべき特定の基の官能基と、それと接触する化合物
である。保護基の選択は、当業者に公知である。例えば、Greeneら、Protective
Groups in Organic Synthesis、第2版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社
(John Wiley and Sons, Inc.)(Somerset, N.J.)(1991)を参照されたい。
II.化合物 ある態様において本発明は、生物結合反応で有用なポリヌクレオチドやオリゴ
ヌクレオチドの合成の試薬として有用な、新規なアリールボロニック酸誘導体を
提供する。オリゴヌクレオチドへのこれらのアリールボロニック酸試薬の取り込
みは、オリゴヌクレオチドが生物結合反応(これは、特に限定されないが、タン
パク質、ペプチド、多糖、ホルモン、核酸、リポソームおよび細胞のような生物
学的分子の結合を含む)に参加することを可能にする。
【0029】 従って1つの態様において本発明は、式I:
【0030】
【化10】
【0031】 (式中、R1、Y、Z、X、R2およびR3は、上記で定義した)の一般的構造を
有する化合物に関する。
【0032】 式Iの化合物は、例えば高い繰り返し効率で自動固相オリゴヌクレオチド合成
をするのに有用である。ある好適な実施態様において、反応性の高い活性化リン
残基および容易に除去可能な保護基が使用される。ある好適な実施態様において
1は、フェニルボロニック酸エステルである。いくつかの好適なフェニルボロ
ニック酸エステル残基には、特に限定されないが、以下の残基がある:
【0033】
【化11】
【0034】 式中、R4とR5は、特に限定されないが、水素、メチルおよびフェニルを含む
官能基である。Qは、特に限定されないが、メチレン基および炭素−炭素単結合
を含む官能基である。本明細書において、Qが炭素−炭素単結合である時、Qの
両端の炭素原子は、直接結合される。
【0035】 R3は、特に限定されないが、水素と活性化リン残基(特に限定されないが、
ホスホラミダイト、H−ホスホネート、メチルホスホネート、ホスホロチオエー
ト、ホスホトリエステル、ヘミスクシネート、固相支持体に共有結合したヘミス
クシネート、シクロヘキシルカルボジイミド、および固相支持体に共有結合した
シクロヘキシルカルボジイミド)を含む官能基である。好ましくはR3は、ホス
ホラミダイトである。
【0036】 Zは、随時アミド基で中断される約1〜約16個の炭素原子を有するスペーサ
ー基である。さらにZは、アミド基で始まりかつ終わることができる。好ましく
はZは、C1−C5アルキレン基またはC1−C5アルキレンアミド基である。
【0037】 ある好適な実施態様において、Xはメチレン基であり、R2はジメトキシトリ
チル基、例えばO−(4,4’−ジメトキシトリチル)である。R3は、好まし
くはホスホラミダイト基、例えばO−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプ
ロピルアミノホスホラミダイト基である。式Iの好適な化合物は、1−O−(4
,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−[(4−ジヒドロキシボリル(ベンゾ
ピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β−アラニル)]セリノール3−O−
(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミノホスホラミダイトである
【0038】 本発明の化合物は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチド合成の
両方で、合成オリゴヌクレオチドの任意の位置に、アリールボロニック酸残基(
例えばフェニルボロニック酸またはフェニルジボロニック酸残基)を導入するの
に有用である。好適な実施態様において、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレ
オチドの5’末端または3’末端が修飾される。好適な実施態様において式Iの
化合物は、合成オリゴヌクレオチドの5’末端にフェニルボロニック酸またはフ
ェニルジボロニック酸残基を導入するのに使用される。
【0039】 従って、他の実施態様において本発明は、式IIの一般的構造を有する化合物に
関する:
【0040】
【化12】
【0041】 式中、R、Y、Z、X、R6、R7、n、n’、Nu’およびNu''は、上記で
定義した。さらに変数R、YおよびXは、nのあるモノマー値に対して同じかま
たは異なってよい。さらに変数R6とNu’は、n’のあるモノマー値に対して
同じかまたは異なってよい。
【0042】 ある好適な実施態様において式IIのRは、フェニルボロニック酸残基である。
適当なフェニルボロニック酸残基には、特に限定されないが、以下がある:
【0043】
【化13】
【0044】 いくつかの他の態様において式Iの化合物は、合成オリゴヌクレオチドまたは
ポリヌクレオチドの3’末端にアリールボロニック酸(例えば、フェニルボロニ
ック酸またはフェニルジボロニック酸残基)を導入するのに使用される。従って
他の実施態様において本発明は、式IIIの一般的構造を有する化合物に関する:
【0045】
【化14】
【0046】 式中、R、Y、Z、X、R6、R7、n、n’、Nu’およびNu''は、上記で
定義した。さらに変数R、YおよびXは、nのあるモノマー値に対して同じかま
たは異なってよい。さらに変数R6とNu’は、n’のあるモノマー値に対して
同じかまたは異なってよい。式IIIのRは、好ましくはフェニルボロニック酸残
基である。好適なフェニルボロニック酸残基は、式IIについて上記したものであ
る。 III.合成 式Iの種々の化合物の合成に関する詳細は、図1〜7に示し、さらに後述の実
施例1〜3に詳述する。一般的合成方策は以下の通りである。図1〜2または3
〜5において、脂肪族アミノ基を含有する保護1,2−または1,3−ジオール
は、それぞれ保護アリールボロニック酸(例えば、フェニルボロニック酸)のカ
ルボン酸誘導体の活性化型(例えば、N−ヒドロキシスクシニミドエステルまた
はイミダゾリド)と反応させられる。1,2−または1,3−アミン含有ジオー
ルは、1−ヒドロキシルで酸不安定性残基(例えば、4,4’−ジメトキシトリ
チル)で保護される。フェニルボロニック酸は、別の1,2−または1,3−ジ
オール(例えば、1,3−プロパンジオール、ピナコール、またはベンゾピナコ
ール)を使用して保護されて、環状ジエチルを生成する。生じる生成物を、次に
活性化ホスフィン(例えば、2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルアミノク
ロロホスフィン)と反応させて、オリゴヌクレオチド合成に有用な最終活性化物
質を生成する。
【0047】 式Iの化合物の調製のための合成中間体として有用なアリールボロニック酸(
例えばフェニルボロニック酸)は通常、ハロゲン化アリールからアリールマグネ
シウムまたはアリールリチウムを生成し、次にトリアルコキシボレートでトラン
スメタレーションすることにより、in situで合成される(Todd, M.H.ら、(1997
) Tetrahedron Lett., 38, 6781-6784; Crisofoli, W.A.ら、(1991) Tetrahedro
n Lett., 32, 5881-5884; Sharp, M.J.ら、(1987) Tetrahedron Lett., 28, 509
3-5096;およびLarson, R.D.ら、(1994) J. Org. Chem., 59, 6391-6394を参照)
【0048】 さらに、ハロゲン化アリールとアルコキシジボロン(Ishiyama, T.ら、(1995)
Org. Chem., 60, 7508-7510; Giroux, A.ら、(1997) Tetrahedron Lett., 38,
3841-3844を参照)またはジアルコキシヒドロボラン(Murata, M.ら、J. Org. C
hem. 1997, 62, 6458-6459を参照)から、触媒としてPdCl2(dppf)を
使用して、フェニルボロニック酸を生成するために、遷移金属触媒交差結合反応
が開発されている。式Iの化合物の調製のための合成中間体として有用なフェニ
ルボロニック酸は、同時係属出願第09/138,105号(1998年8月2
1日出願)の主題である。
【0049】 いったん産生されると式Iの化合物は、式IIおよび式IIIの化合物を生成する
ために使用することができ、これらは、当業者に公知の自動固相合成法を使用し
て調製することができる。例えば自動固相オリゴヌクレオチド合成(式Iの化合
物により提供されたような、1つまたはそれ超の非天然の修飾を含有するオリゴ
ヌクレオチドを含む)の化学は、以下の総説論文や参考書に記載されている:Cr
ockett, G.C. (1983) "The Chemical Synthesis of DNA", Aldrichimica Acta 1
6(3), 47-55; Engels, J.W.およびUhlmann, E. (1989) "Gene Synthesis", Ange
w Chem. Int. Ed. Engl. 28, 716-734; Goodchild, J. (1990) "Conjugates of
Oligonucleotides and Modified Oligonucleotides: A Review of Their Synthe
sis and Properties", Bioconjugate Chem. 1(3), 165-187; Oligonucleotide S
ynthesis: A Practical Approach (1984) M.J. Gait編(IRL Press Limited: Oxf
ord, England), 217 pp。
【0050】 固相状態合成では、式Iの化合物を供給するタイミングとその濃度は、市販の
DNA合成機で使用される非修飾の市販のホスホラミダイトに典型的なプロトコ
ールと差は無い。市販の合成機(例えば、モデル394、アプライドバイオシス
テムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティ、カリホルニア州、アメリカ
合衆国)上の余分のホスホラミダイト用に設けられたポート上の容器に、式Iの
化合物を含有する溶液を加えればよいだけである。しかし式Iの特定化合物の結
合効率が他のホスホラミダイトより実質的に低い場合、式Iの化合物の供給のタ
イミングまたはその濃度を変更して合成を最適化することが必要かも知れない。
低い結合効率を補正するためのオリゴヌクレオチド合成プロトコールの最適化手
段は、当業者に公知である。一般的には、供給する試薬の濃度または量を上げて
、高結合効率を達成するだけである。結合効率を測定する手段もまた、公知であ
る。例えばR2がジメトキシトリチル(DMT)の場合、結合効率は、酸工程(
これはDMT基を除去する)中のDMT陽イオン濃度を測定することにより決定
することができる。DMT陽イオン濃度は、通常酸洗浄液を分光光度計でモニタ
ーして測定される。酸/DMT溶液は、明るい橙色である。あるいは、結合が失
敗した場合、キャッピングはオリゴヌクレオチドのさらなる伸長を防止するため
、例えば毛細管電気泳動またはHPLCを使用して、末端切断型と完全長オリゴ
ヌクレオチドの比率を比較することにより、結合効率を推定することができる。
【0051】 固相オリゴヌクレオチド合成は、多くの固層支持体を使用して実施することが
できる。好適な支持体は、合成されたオリゴヌクレオチド中で3’末端塩基とな
る保護されたモノマーが結合するための官能基を提供するものである。この支持
体は、特定の合成化学で使用される試薬に対して不活性でなければならない。適
切な支持体は、当業者に公知である。固層支持体材料には、特に限定されないが
、ポリアクロイルモルホリド、シリカ、制御多孔性ガラス(CPG)、ポリスチ
レン、ポリスチレン/ラテックス、およびカルボキシル修飾テフロン(登録商標 )がある。好適な支持体は、アミノ官能基化制御多孔性ガラスとカルボキシル官 能基化テフロンである。
【0052】 固相オリゴヌクレオチド合成は、出発点として、固層支持体に結合した完全に
保護されたモノマー(例えば、保護されたヌクレオチド)を必要とする。この結
合は典型的には、リンカーに共有結合した3’−ヒドロキシル(結合している時
はオキソ)を介し、これは次に、固層支持体に共有結合する。次に最初の合成サ
イクルは、その3’−ホスフェートを介して、縮合反応により結合ヌクレオチド
の5’−ヒドロキシルにヌクレオチドモノマーを結合させ、これは3’−5’ホ
スホジエステル結合を形成する。次の合成サイクルでは、最後に結合したヌクレ
オチドの5’−ヒドロキシルにヌクレオチドモノマーを付加する。こうしてオリ
ゴヌクレオチドが3’から5’方向に合成され、その3’が固層支持体に結合し
た「増殖する」オリゴヌクレオチドが生成される。
【0053】 当業者は、ヌクレオシドモノマーを固層支持体に結合させる無数の手段を知っ
ているが、スクシネートまたはヘミスクシネートを介して制御多孔性ガラスに共
有結合したモノマーが一般的に好ましい。制御多孔性ガラスにヘミスクシネート
を介して結合した従来の保護されたヌクレオチドは、多くの異なる供給源(例え
ば、Glen Research, スターリング、バーモント州、アメリカ合衆国);アプラ
イドバイオシステムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティ、カリホルニ
ア州、アメリカ合衆国;ファルマシアエルケービー(Pharmacia LKB)、 ピスカ
タウェイ、ニュージャージー州、アメリカ合衆国)から市販されている。
【0054】 オリゴヌクレオチドの3’末端に式Iの化合物を配置することは、固層支持体
に結合した式Iの完全にブロックされた化合物を用いて、オリゴヌクレオチド合
成を開始する必要がある。多くの異なる反応性基で官能基化した制御多孔性ガラ
スは、市販されている(例えば、シグマケミカル(Sigma Chemical)、セントル
イス、ミズーリ州、アメリカ合衆国)。結合スキームは、Atkinsonら、第3章、
Gait編、Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, アイアールエル
プレス(IRL Press)、ワシントン・ディー・シー(1984)に記載されてい
る。塩化トリイソプロピルベンゼンスルホニル、イミダゾリド、トリアゾリド、
またはテトラゾリドはまた、縮合剤として使用することができる。ジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)と構造類似体はまた、適当なリンカーである。他
のリンカーと適当な縮合基は、当業者に公知である。
【0055】 完全長オリゴヌクレオチドがいったん合成されると、保護基が除去され(オリ
ゴヌクレオチドが脱保護される)、次にオリゴヌクレオチドは、使用前に固層支
持体から切断される。切断と脱保護は、同時にまたは順に起きても良い。2つの
操作は、互いに割り込んで、一部の基がオリゴヌクレオチドから除去されてから
固層支持体から切断され、他の基は溶液中の切断されたオリゴヌクレオチドから
脱保護されてよい。このイベントの順序は、存在する特定のブロッキング基、固
層支持体への具体的な結合、および合成を行う個人の好みに依存する。脱保護が
切断に先行する場合、保護基は、オリゴヌクレオチドから洗浄除去され、オリゴ
ヌクレオチドは固層支持体に結合して残る。逆に脱保護が切断の後の場合、除去
された保護基はオリゴヌクレオチドとともに溶液中に残るであろう。オリゴヌク
レオチドは、使用前にこれらの保護基から単離する必要がしばしばある。
【0056】 本発明のオリゴヌクレオチドは、短い1本鎖配列に限定されない。当業者は、
オリゴヌクレオチド合成は典型的には、約1,000塩基、好ましくは約100
塩基の上限があり、多くのオリゴヌクレオチドは一緒に結合して、長い配列を生
成することは理解されるであろう。さらに、相補的配列を有するオリゴヌクレオ
チドは、一緒にハイブリダイズされて2本鎖分子を形成する。オリゴヌクレオチ
ドをハイブリダイズまたは連結させてより長い2本鎖分子を形成する方法は、当
業者に公知である(例えば、サムブルーク(Sambrook)ら、モレキュラークロー
ニング、実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Har
bor, ニューヨーク、1985年)。 IV.生物接合体 上記したように式Iのアリールボロニック酸は、自動固相合成法を使用して合
成オリゴヌクレオチド中に取り込み、式IIと式IIIの化合物を生成しやすい。こ
うして生成した修飾オリゴヌクレオチドは、特に限定されないが、巨大分子(例
えば、核酸)の固定化、精製、および検出を含む生物結合反応に有用である。
【0057】 2つまたはそれ超の分子種を化学的または生物学的手段で結合させると、生物
結合が起きる。多くの例において、生物結合は、2つの結合パートナーの間の結
合対を形成する既知の反応に基づく。例えば生物結合反応は、抗原と結合タンパ
ク質(例えば抗体)との間で起きる。生物結合反応には、特に限定されないが、
タンパク質、ペプチド、多糖、ホルモン、核酸、リポソーム、および細胞、また
は他の生物学的分子の、互いの結合または任意の他の分子種との結合があり、こ
れは有用な性質を付与する。本発明の修飾オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレ
オチドは、第1の結合パートナーとして特に有用であり、第2のパートナーとし
ての核酸の固定化、精製、および検出に関して生物結合を生成する。
【0058】 速記法を使用して生物結合を例示するために、第1の結合パートナーは式IIま
たはIIIの化合物であり、これは以下の図で示される:
【0059】
【化15】
【0060】 この図では、「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さが約10〜約10,
000塩基であり、3’末端または5’末端のいずれかに約1〜約10個のアリ
ールボロニック酸残基を有する(ここでB’は、HまたはB(OH)2基である
)式IIまたはIIIのオリゴヌクレオチドを示す。
【0061】 この例では、第2の結合パートナーは、そこに接合体が結合した2−ヒドロキ
シベンゾヒドロキサム酸(サリチルヒドロキサム酸)から得られる分子である。
適当な接合体には、特に限定されないが、タンパク質、ペプチド、多糖、ホルモ
ン、核酸、リポソーム、細胞、および蛍光性標識物がある。第2の結合パートナ
ーは、以下で示される:
【0062】
【化16】
【0063】 式IVにおいて、Xは、特に限定されないが、OH、NH2、NHR’、NHO
H、およびNHOR’があり、R’は特に限定されないが、CH3、CH2CH3
、CH2CN、CH2COOH、CH2CONH2、およびCH2OCH3を含む基で
ある。Yは特に限定されないが、O、SおよびNHを含む基であり、好ましくは
Oである。
【0064】 式IVの化合物およびその調製法は、米国特許第5,594,111号、5,5
94,151号、5,623,055号、5,648,470号、5,668,
257号、5,668,258号、5,677,431号、5,688,928
号、5,744,627号、ならびに同時係属出願:米国特許出願第08/48
8,193号(1995年6月7日);米国特許出願第08/577,068号
(1995年6月22日出願);米国特許出願第08/689,341号(19
97年8月7日出願);米国特許出願第08/956,195号(1997年1
0月22日出願);および米国特許出願第08/956,204号(1997年
10月22日出願)に開示されている。
【0065】 本発明のある実施態様において、第1の結合パートナーとしての式IIまたは式
IIIのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、第2の結合パートナーと
しての式IVの接合体との生物結合は、以下の式Vの生物接合体を生成する:
【0066】
【化17】
【0067】 式中、X2は、OH、NH2、NHR’、NOH、およびNOR’であり、R’
は上記で定義したものである。
【0068】 第1の結合パートナーとしての式IIまたはIIIの化合物と第2の結合パートナ
ーとしての式VIの化合物を使用する生物接合体を作成することもできる。
【0069】
【化18】
【0070】 式VIの化合物とその調製は、米国特許第5,777,148号と5,837,
878号、ならびに同時係属出願:米国特許出願第08/956,194号(1
997年10月22日出願);米国特許出願第08/956,196号(199
7年10月22日出願)(これらは参照することにより本明細書に組み込まれる
)に開示されている。こうして生成した生物接合体は、以下の式VIIで示される
【0071】
【化19】
【0072】 式VIとVIIの生物接合体は、緩衝化水溶液または有機溶液中で調製される。生
物接合体は、数分以内に約4℃〜約70℃の温度範囲で生成される。あるpHの
水溶液中の生物接合体の安定性は、基X2とYにより大きな影響を受ける。例え
ば、式VIの生物接合体(ここでXはNOHであり、YはOである)は、pHが4
.5より大きく12.5未満の水溶液中で安定である。しかし式VIIの生物接合
体(ここでXはNOHであり、YはOである)は、ほぼpHが2.5より大きく
12.5未満の水溶液中で安定である。従って、低pHの緩衝化水溶液中で作業
する時は、式VIIの生物接合体が好ましい。
【0073】 各結合パートナー間の生物結合反応(ボロニック酸複合体形成)は、イオン強
度の大きな変化、有機溶媒の存在、界面活性剤の存在、カオトロピック剤(タン
パク質変性剤)の存在に対して非感受性であり、これらは先行技術の間接的標識
系に適合せず、生物学的巨大分子の構造は、必要な結合性を保存するように維持
しなければならない。多くの例において、本明細書に記載の系により、生物接合
体の形成を支配する制約は、生物活性分子種の活性(未変性のコンフォメーショ
ン)を維持するのに必要な条件により付加されるものに限定される。
【0074】 本発明を具体例により詳細に説明する。以下の例は例示目的であり、決して本
発明を限定するものではない。当業者は、同じ結果を得るために種々の重要では
ないパラメータを変化させ修飾することができることを、容易に理解するであろ
う。 V.実施例 実施例1 本例は、1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒ
ドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)]アミノ−1
,3−オクタンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピ
ルアミノホスホラミダイトの調製を例示する。
【0075】
【化20】
【0076】 A.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸の合成 4−カルボキシフェニルボロニック酸(10.0g、60.2mmol)を熱無水
1,4−ジオキサン(150ml)に溶解し、少量の活性炭で処理し、まだ熱いう
ちに0.5μmガラスフィルターでろ過した。ろ液を加熱還流し、ベンゾピナコ
ール(22.1g、60.3mmol)を加えた。溶液を1時間還流し、室温まで冷
却した。次にロータリーエバポレーターで溶媒を除去して白色の固体を得て、こ
れを−20℃で酢酸エチル/ヘキサンから一晩結晶化した。固体をろ過し、真空
下で乾燥して23.3g(収率78%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび高速液体クロマトグラフィーで確
認した。
【0077】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 13.23(ブロードシングレット、1H, CO2H)
、8.19(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 8.13 (ダブレット、2H, ArH), 7.1
0 (マルチプレット、20H, ArH [ベンゾピナコール])。13C NMR (75 MHz, DMSO-
d6);δ 167.4, 141.9, 135.4, 129.2, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.3。
【0078】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.9±0.1分。 B.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸NHS
エステルの合成 4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸(17.
4g、35.0mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100ml)中に溶解した。
N−ヒドロキシスクシニミド(4.0g、34.8mmol)を加え、次に1,3−
ジシクロヘキシルカルボジイミド(7.2g、34.6mmol)を加えた。反応物
を室温で一晩攪拌し、この間1,3−ジシクロヘキシル尿素の白色の沈殿物が生
成した。固体をろ過して除去し、少量のテトラヒドロフランで洗浄した。一緒に
したろ液を、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固してオフホワイトの固体を得
た。この固体をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、溶液をろ過し、ヘキ
サン(300ml)を加えた。−20℃で一晩結晶化させた。固体をろ過し、真空
下で乾燥して18.4g(収率89%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
および13C NMRで確認した。
【0079】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.31(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 8
.25 (ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 7.15 (マルチプレット、20H, ArH [ベ
ンゾピナコール]), 2.91 (シングレット、4H, CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO
-d6);δ 170.4, 161.9, 141.7, 136.0, 129.7, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 9
6.5, 25.5。 C.8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−3−オキソオクタン酸
メチルの合成 6−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]安息香酸(25.0g、9
4.0mmol)と2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(13
.6g、94.0mmol)を無水ジクロロメタン(500ml)に溶解した。トリエ
チルアミン(35ml、255mmol)を加え、反応混合物を乾燥窒素下で室温で攪
拌した。ジエチルシアノホスホネート(15.4ml、94.0mmol)を加えると
、溶液は急速に黄色になる。一晩攪拌後、溶液を注意深く1M塩酸(200ml、
2回)、水(200ml、3回)、および塩化ナトリウム飽和水溶液(200ml、
1回)で洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ロータリー
エバポレーターで濃縮して、粘性の橙色のシロップを得た。この物質を無水メタ
ノール(500ml)に溶解し、乾燥窒素下で4時間還流した。溶液を冷却し、ロ
ータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル:ヘキサン(1:
1、v/v、50ml)に溶解し、10mlのアリコートを分取用HPLC(Waters Pr
epLC 2000システム)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラ
ムで精製した。流速は50ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した:50
:50(v/v)酢酸エチル:ヘキサンで22分、次に100%酢酸エチルで18
分、次に100%メタノールで20分。溶出液を、270nmの吸収でモニターし
た;生成物は最初の大きなピークに溶出する。生成物の画分をプールし、ロータ
リーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な淡黄色のシロップを得て、これは4
℃に保存すると固化して、27.7g(収率92%)の生成物を与える。生成物
の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0080】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.33 (マルチプレット、5H, ArH), 7.23 (ト
リプレット、 1H, NH), 5.00 (シングレット、2H, ArCH2O), 3.60 (シングレ
ット、3H, OCH3), 3.58 (シングレット、2H, [C=O]CH2[C=O]), 2.97 (カルテ
ット、2H, NHCH2CH2), 2.49 (トリプレット、2H, CH2CH2[C=O]), 1.40
(マルチプレット、4H, NHCH2CH2およびCH2CH2[C=O]), 1.20 (マルチプ
レット、2H, CH2CH2CH2). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ203.6, 168.0,
156.3, 137.5, 128.4, 127.8, 65.2, 51.7, 48.5, 42.1, 40.1, 29.2, 25.6, 2
2.5。HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.
1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配
、15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター
):保持時間=13.0±0.1分。 C.8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−1,3−オクタンジオ
ールの合成 8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−3−オキソオクタン酸メ
チル(26.0g、80.9mmol)を無水テトラヒドロフラン(125ml)に溶
解した。この溶液を、乾燥窒素下で無水テトラヒドロフラン(250ml)中の水
素化ホウ素リチウム(6.1g、279.8mmol)の冷却(氷浴)溶液にゆっく
り滴下して加えた。添加が完了後、反応混合物を室温まで暖め、一晩攪拌した。
次に混合物を氷浴で冷却し、1Mの塩酸(300ml)を静かに滴下して加えた。
添加が完了後そして発泡が停止後、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し
て、ほとんどのテトラヒドロフランを除去した。残渣(水+生成物)にクロロホ
ルム(250ml)を加え、混合物をよく振盪し、層を分離した。水層を追加のク
ロロホルム(250ml)で抽出した。クロロホルム抽出物を塩化ナトリウム飽和
水溶液(100ml、1回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。
ろ液を蒸発乾固して、粘性の清澄な無色のシロップを得た。このシロップをメタ
ノール(100ml、5回)で同時蒸発させ、残渣をエチルエーテルとヘキサンか
ら−20℃で一晩結晶化した。白色の固体をろ過し、真空下で乾燥して23.5
g(収率98%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRな
らびにHPLCで確認した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.33 (マルチプレ
ット、5H, ArH), 7.22 (トリプレット、1H, NH), 5.00 (シングレット、2H, Ar
CH2O), 4.33 (トリプレット、1H, CH2OH), 4.29 (ダブレット、1H, CHOH
), 3.50 (マルチプレット、3H, CH[OH]CH2CH2OH), 2.98 (トリプレットのダ
ブレット、2H, NHCH2CH2), 1.52-1.23 (マルチプレット、10H, NHCH2CH 2 CH2CH2CH2CH[OH]CH2CH2OH). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ156.4,
137.6, 128.5, 127.9, 67.4, 65.2, 58.4, 40.4, 40.2, 37.5, 29.5, 26.4, 25
.0。HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.
1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配
、15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター
):保持時間=11.0±0.1分。 D.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−(ベンジルオキシカ
ルボニル)アミノ−1,3−オクタンジオールの合成 メチル8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−1,3−オクタン
ジオール(8.3g、28.0mmol)を無水ピリジン(50ml、1回)で同時蒸
発させた。得られたシロップを無水ピリジン(50ml)に溶解し、塩化4,4’
−ジメトキシトリチル(10.0g、29.5mmol)を加えた。橙色の溶液を水
分の無いところで室温で一晩攪拌した。次にメタノール(10ml)を加え、溶液
を室温でさらに1時間攪拌した。t−ブチルメチルエーテル(200ml)を加え
、混合物をよく攪拌し、懸濁液を−20℃で2時間放置した。混合物をろ過し、
固体をt−ブチルメチルエーテル(100ml)で洗浄し、一緒にしたろ液をロー
タリーエバポレーターで濃縮して粘性の黄色のシロップを得た。シロップを酢酸
エチル(20ml)とヘキサン(20ml)+トリエチルアミン(1ml)に溶解し、
この溶液の5mlのアリコートを、分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム
)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製した。流
速は50ml/分の39:60:1(v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルア
ミンであった。溶出液を、280nmの吸収でモニターした。生成物の画分をプー
ルし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な淡黄色のシロップを得
た。このシロップを真空下で水酸化カリウムペレット上で乾燥して12.9g(
収率77%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならび
にHPLCで確認した。1H NMR (300 MHz, アセトニトリル-d3):δ7.45-7.27 (
マルチプレット、14H, ArH [DMT, Cbz]), 7.22 (トリプレット、1H, NH), 6.86
(ダブレット、4H, ArH [DMT]), 5.62 (ブロードシングレット、1H, CHOH), 5
.04 (シングレット、2H, ArCH2O), 3.75 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.
63 (ダブレット、1H, CHOH), 3.20-3.00 (マルチプレット、4H, NHCH2CH2 およびCH2CH2O-DMT), 1.72-1.23 (マルチプレット、10H, NHCH2CH2CH 2 -CH2CH2CH[OH]-CH2CH2O-DMT)。13C NMR (75 MHz, クロロホルム-d):
δ 158.9, 156.8, 145.1, 137.0, 136.3, 130.3, 128.8, 128.3, 128.2, 127.1,
113.5, 87.0, 71.5, 66.7, 62.7, 55.4, 41.2, 37.4, 36.9, 30.1, 26.8, 25.3
。 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=17.2±0.1分。 E.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−アミノ−1,3−オクタ
ンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−(ベンジルオキシカル
ボニル)アミノ−1,3−オクタンジオール(12.9g、21.6mmol)をメ
タノール(250ml)に溶解した。この溶液を1リットルのParr水素化容器に入
れ、容器に窒素を5分間パージした。酢酸エチル(20ml)でスラリーにしたパ
ラジウム担持活性炭触媒(1.0g、10%Pd/C)を加え、溶液をParrシェ
ーカーに固定した。容器を再度窒素でパージし、排気して、35psiの圧力で水
素を導入した。容器を室温で6時間攪拌し、次に真空にし、窒素を充填し、シェ
ーカーから取り出した。内容物を0.5μmのガラスファイバーでろ過し、ろ液
をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロップを得た。シ
ロップをさらに水酸化カリウムで真空下で乾燥して、10.1g(収率100%
)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLC
で確認した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ7.38-7.16 (マルチプレット、9H,
ArH), 6.86 (ダブレット、4H, ArH), 3.71 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.
63 (マルチプレット、4H, CHOHとCH2NH2), 3.04 (トリプレット、2H, NH2 CH2CH2), 2.53 (トリプレット、2H, CH2CH2O-DMT), 1.61-1.17 (マルチ
プレット、10H, NH2CH2CH2-CH2CH2CH2CH[OH]CH2CH2O-DMT)。13 C NMR (75 MHz, クロロホルム-d6):δ 158.2, 145.6, 136.4, 128.9, 129.1, 1
27.9, 126.7, 113.2, 85.4, 67.3, 60.7, 55.0, 41.1, 37.5, 32.3, 26.5, 25.1
。 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=12.7±0.1分。 F.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル]アミノ−1,3−オク
タンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−アミノ−1,3−オクタン
ジオール(10.0g、21.6mmol)を無水テトラヒドロフラン(100ml)
に溶解し、4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸
N−ヒドロキシスクシニミドエステル(12.8g、21.6mmol)を加えた。
清澄な溶液を、室温で乾燥窒素下で一晩攪拌した。次に反応混合物をロータリー
エバポレーターで濃縮して粘性のシロップとした。残渣を、トリエチルアミン(
10ml)を含有する酢酸エチル(100ml)に溶解し、溶液を4℃で数時間冷却
した。冷混合物をろ過して、一部の沈殿固体を除去し、ろ液をロータリーエバポ
レーターで濃縮して粘性のシロップとした。残渣を酢酸エチル(25ml)とトリ
エチルアミン(1ml)を含有するヘキサン(25ml)に溶解し、この溶液の5ml
のアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム)によりPorasil
シリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製した。流速は50ml/分の
39:60:1(v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルアミンであった。
溶出液を、280nmの吸収でモニターした。生成物の画分をプールし、ロータリ
ーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な淡褐色のシロップをを得た。このシロ
ップをさらに、水酸化カリウムペレットで真空下で乾燥して14.9g(収率7
3%)の淡い茶色のガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13
NMRならびに勾配および定組成HPLCで確認した。1H NMR (300 MHz, DMSO
-d6):δ8.61 (トリプレット、1H, NH), 8.14 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 8
.00 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.39-7.09 (マルチプレット、30H, ArH [DM
T, ベンゾピナコール]), 6.86 (ダブレット、4H, ArH [DMT]), 4.27 (ダブレッ
ト、1H, CHOH), 3.70 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.57 (ブロードシン
グレット、1H, CHOH), 3.29 (トリプレットのダブレット、2H, NHCH2CH2)
, 3.07 (トリプレット、2H, CH2CH2O-DMT), 1.70-1.23 (マルチプレット、1
0H, NHCH2CH2CH2CH2CH2CH-[OH]CH2CH2O-DMT)。13C NMR (75 MHz
, DMSO-d6):δ 166.0, 158.1, 145.4, 141.9, 138.4, 136.3, 135.1, 129.7, 12
8.1, 127.8, 127.5, 127.2, 127.0, 126.5, 113.1, 96.1, 85.3, 67.2, 60.5, 5
5.9, 38.1, 37.4, 29.1, 26.6, 24.9。HPLC(逆相、4.6×100mm C
4カラム、流速1.0ml/分、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.
5)中のアセトニトリルの線形勾配、15分で0〜100%アセトニトリル、2
60nmの吸光度を検出器でモニター):保持時間=19.4±0.1分。HPL
C(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7% 0.1M
酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを使用する
定組成溶離):保持時間=6.2±0.1分。 G.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル]−アミノ−1,3−
オクタンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミ
ノホスホラミダイトの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒドロキシ
ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル]−アミノ−1,3−オク
タンジオール(3.5g、3.7mmol)を、無水ジクロロメタン(50ml、塩基
性アルミナでろ過した)に溶解した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2
.6ml、14.9mmol)を加え、溶液を乾燥窒素下で室温で攪拌した。2−シア
ノエチル−N,N−ジイソプロピル−アミノクロロホスフィン(1.2ml、5.
4mmol)を滴下して加え、溶液を1時間攪拌した。次に反応混合物をロータリー
エバポレーターで約20mlに濃縮し、酢酸エチル(150ml、100mlの重炭酸
ナトリウム飽和水溶液であらかじめ洗浄した)を加えた。有機溶媒を重炭酸ナト
リウム水溶液で洗浄(50ml、1回)し、次に塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄
(50ml、1回)し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をロータ
リーエバポレーターで蒸発乾固して、淡黄色のシロップを得た。この物質を、酢
酸エチル(25ml)とトリエチルアミン(1ml)を含有するヘキサン(25ml)
に溶解した。この溶液の5mlのアリコートを分取用HPLCによりPorasilシリ
カ(40mm×100mm;Waters)のカラムで精製した。流速は50ml/分の19
:80:1(v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルアミンであった。溶出
液を、270nmの吸収でモニターした:生成物は大きなピーク中であった。生成
物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色の
ガラス様泡状物を得て、これをさらに無水炭酸カリウムで真空下で乾燥して2.
7g(収率78%)の生成物を得た。生成物の純度を、1HとHPLCで確認し
た。1H NMR (300 MHz, アセトニトリル−d3):δ 8.14 (ダブレット、2H, ArH
[PBA]), 7.89 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.43-7.08 (マルチプレット、31
H, ArH [DMT, ベンゾピナコール] およびNH), 6.86-6.82(2つのダブレット、
4H, ArH [DMT]), 3.95 (マルチプレット、1H, CHO-P), 3.74-3.734 (2つのシ
ングレット、6H, Ar-OCH3)、3.50 (マルチプレット、4H, OCH2CH2CNとNC
H(CH3)2)、3.34 (マルチプレット、2H, NHCH2CH2), 3.12 (マルチプレッ
ト、2H, CH2CH2O-DMT), 2.58-2.46 (トリプレットのダブレット、2H, OCH 2 CH2CN), 1.80-1.30 (マルチプレット、10H, NHCH2CH2CH2CH2CH2CH
[OH]CH2CH2O-DMT), 1.12-1.01 (ダブレットの2つのダブレット、12H, NCH(
CH3)2)。1H NMRスペクトルは、部分的に分離したジアステレオ異性体の
存在のために複雑であったことに注意されたい。HPLC(逆相、4.6×10
0mm C4カラム、流速1.0ml/分、7% 0.1M酢酸トリエチルアンモニ
ウム(pH6.5):93%アセトニトリルを使用する定組成溶離):保持時間
=11.7と12.8±0.1分(ジアステレオ異性体)。 実施例2 本例は、1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−[(4−ジヒ
ドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニ
ル)]アミノ−1,2−プロパンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,
N−ジイソプロピルアミノホスホラミダイトの調製を例示する。
【0081】
【化21】
【0082】 A.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸の合成 図4と5に関して、4−カルボキシフェニルボロニック酸(10.0g、60
.2mmol)を熱無水1,4−ジオキサン(150ml)に溶解し、少量の活性炭で
処理し、まだ熱いうちに0.5μmガラスフィルターでろ過した。ろ液を加熱還
流し、ベンゾピナコール(22.1g、60.3mmol)を加えた。溶液を1時間
還流し、室温まで冷却した。次に溶媒を、ロータリーエバポレーターで除去して
、白色の固体を得て、これを−20℃でエチルエーテル/ヘキサンから一晩結晶
化した。固体をろ過し、真空下で乾燥して23.3g(収率78%)の生成物を
得た。生成物の純度を、1Hと13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0083】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 13.23(ブロードシングレット、1H, CO2H)
、8.19(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 8.13 (ダブレット、2H, ArH), 7.1
0 (マルチプレット、20H, ArH [ベンゾピナコール])。13C NMR (75 MHz, DMSO-
d6);δ 167.4, 141.9, 135.4, 129.2, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.3。
【0084】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.9±0.1分。 B.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸NHS
エステルの合成 4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸(17.
4g、35.0mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100ml)中に溶解した。
N−ヒドロキシスクシニミド(4.0g、34.8mmol)を加え、次に1,3−
ジシクロヘキシルカルボジイミド(7.2g、34.6mmol)を加えた。反応物
を室温で一晩攪拌し、この間1,3−ジシクロヘキシル尿素の白色の沈殿物が生
成した。固体をろ過して除去し、少量のテトラヒドロフランで洗浄した。一緒に
したろ液を、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固してオフホワイトの固体を得
た。この固体をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、溶液をろ過し、ヘキ
サン(300ml)を加えた。−20℃で一晩結晶化させた。固体をろ過し、真空
下で乾燥して18.4g(収率89%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
および13C NMRで確認した。
【0085】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.31(ダブレット、ArH [安息香酸]), 8.25
(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 7.15 (マルチプレット、20H, ArH [ベンゾ
ピナコール]), 2.91 (シングレット、4H, CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6)
;δ 170.4, 161.9, 141.7, 136.0, 129.7, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.5,
25.5。 C.3−(N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プ
ロパンジオールの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニンN−ヒドロキシスクシニミドエ
ステル(16.0g、50.0mmol)を50mlの2−プロパノールに溶解(静か
に加熱しながら)し、3−アミノ−1,2−プロパンジオール(4.6g、50
.4mmol)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌した。白色の沈殿物が生成した。
次にロータリーエバポレーターで溶媒を除去して、白色の固体を得て、これを水
(200ml)に溶解した。陰イオン交換樹脂(AG1−X8[OH-型]、50
g湿重量;バイオラッド(Bio-Rad))を加え、スラリーを1時間攪拌した。樹
脂をろ過して除去し、水(100ml、1回)とメタノール(100ml、2回)で
洗浄した。一緒にしたろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して白色の固
体を得た。この固体をトルエン(100ml、1回)と同時蒸発させ、次に真空下
で充分乾燥して14.1g(収率96%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0086】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.85(トリプレット、1H, NH [アミノプロ
パンジオール), 7.37-7.26 (マルチプレット、5H, ArH), 7.21 (トリプレット、
1H, NH [β−アラニン]), 4.99 (シングレット、2H, ArCH2O), 4.64 (ブロー
ドシングレット、2H, OH), 3.48 (ペンテット、1H, CH2CH[OH]CH2OH), 3.2
7 (ダブレットのダブレット, 2H, CH2CH[OH]CH2OH), 3.18 (カルテット、2H
, NHCH2CH2), 3.08 (マルチプレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O
H), 2.28 (トリプレット、2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6);δ
171.0, 156.3, 137.4, 128.5, 127.9, 70.5, 65.3, 63.8, 42.2, 37.2, 35.7。
【0087】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=9.4±0.1分。 D.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(N−ベンジルオキシカ
ルボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プロパンジオールの合成 3−(N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プロ
パンジオール(5.0g、16.9mmol)を、無水ピリジン(50ml)に溶解し
、塩化4,4’−ジメトキシトリチル(5.7g、16.9mmol)を加えた。黄
色の溶液を、乾燥窒素下で室温で一晩攪拌した。次にメタノール(10ml)を加
え、溶液をさらに1時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで<40℃
の浴温度で除去して、粘性の黄色のシロップを得た。シロップを酢酸エチル(2
00ml)と5%(w/v)炭酸ナトリウム水溶液(100ml)とで分配した。層を
分離し、酢酸エチル層を塩化ナトリウム飽和水溶液(150ml、1回)で洗浄し
た。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ロータリーエバ
ポレーターで濃縮して黄色のガムを得た。ガムを、酢酸エチル:トリエチルアミ
ン(1ml)を含有するヘキサン(1:1 v/v、30ml)で溶解し、ろ過し、この
溶液の5mlのアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム)によ
りPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製した。流速は5
0ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した:74:25:1(v/v/v)酢酸
エチル:ヘキサン:トリエチルアミンで10分溶出して、いくつかの小さな混入
物質を溶出しし、次に94:5:1(v/v/v)酢酸エチル:メタノール:トリエ
チルアミンで20分溶出して、所望の生成物を溶出した。溶出液を、270nmの
吸収でモニターした。生成物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸
発乾固して、清澄な淡黄色のシロップを得た。シロップを真空下で水酸化カリウ
ムペレットでさらに乾燥して、5.4g(収率54%)のパリパリのガラス様泡
状物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認
した。
【0088】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.80 (トリプレット、1H, NH[アミノプロパ
ンジオール]), 7.41-7.18 (マルチプレット、15H, ArH [DMT, Cbz]およびNH[β
−アラニン]), 6.88 (ダブレット、4H, ArH [DMT]), 5.00 (シングレット、2H,
ArCH2O), 4.97 (ダブレット、1H, CH[OH]), 3.72 (シングレット、6H, ArOCH3),
3.68 (マルチプレット、1H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.19 (カルテット、2H, NHC
H2CH2), 3.14 (マルチプレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.85 (
マルチプレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.24 (トリプレット、2H, NHCH2CH2 )。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 170.5, 158.1, 156.0, 145.0, 137.2, 135.9
, 129.7, 128.2, 127.8, 127.6, 127.5, 126.5, 113.1, 85.2, 68.7, 65.7, 65.
1, 54.9, 42.6, 37.1, 35.5。
【0089】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=15.3±0.1分。 E.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(β−アラニル)アミノ
−1,2−プロパンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(N−ベンジルオキシカル
ボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プロパンジオール(5.4g、9.0
mmol)を無水メタノール(150ml)に溶解した。この溶液を1リットルのParr
水素化容器に入れ、容器に窒素を5分間パージした。酢酸エチル(20ml)でス
ラリーにしたパラジウム担持活性炭触媒(1.0g、10%Pd/C)を加え、
溶液をParrシェーカーに固定した。容器を再度窒素でパージし、排気して、35
psiの圧力で水素を導入した。容器を室温で6時間攪拌し、次に真空にし、窒素
を充填し、シェーカーから取り出した。内容物を0.5μmのガラスファイバー
でろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロ
ップを得た。シロップをさらに水酸化カリウムペレットで真空下で乾燥して、4
.0g(収率96%)のパリパリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1
Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0090】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.86 (トリプレット、1H, NH[アミノプロパ
ンジオール]), 7.40-7.18 (マルチプレット、9H, ArH), 6.87 (ダブレット、4H
, ArH), 3.72 (シングレット、6H, ArOCH3), 3.68 (マルチプレット、1H, C
2CH[OH]CH2O-DMT), 3.21 (マルチプレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]
CH2O-DMT), 3.10 (ブロードシングレット、3H, NH2およびOH), 2.90 (マル
チプレット、CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.68 (トリプレット、2H, NH2CH2
2), 2.24 (トリプレット、2H, NH2CH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6 ): δ 171.7, 158.1, 145.1, 136.0, 129.7, 127.8, 127.7, 126.5, 113.1, 85.
2, 68.7, 65.7, 54.9, 42.5, 38.7, 38.1。
【0091】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=11.9±0.1分。 F.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)]
アミノ−1,2−プロパンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(β−アラニル)アミノ−
1,2−プロパンジオール(4.0g、8.6mmol)を無水ジクロロメタン(1
00ml)に乾燥窒素下で溶解した。4−ジヒドロキシボリル−(ベンゾピナコー
ル環状エステル)安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(8.5g、
14.4mmol)を加えると、溶液は淡黄色になった。反応混合物を室温で6時間
攪拌し、次に重炭酸ナトリウム飽和水溶液(100ml、1回)次に塩化ナトリウ
ム飽和水溶液(100ml、1回)で洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して黄色のシロップを得
た。シロップを、トリエチルアミン(1ml)を含有する酢酸エチル(25ml)に
溶解し、この溶液の5mlのアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000シ
ステム)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製し
た。流速は50ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した:99:1(v/v/v
)酢酸エチル:トリエチルアミンで10分溶出して、いくつかの小さい混入物質
を溶出し、次に79:20:1(v/v/v)酢酸エチル:メタノール:トリエチル
アミンで20分溶出して所望の生成物を溶出した。溶出液を、270nmの吸収で
モニターした。生成物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固
して、清澄な淡黄色のシロップを得た。シロップを真空下で水酸化カリウムペレ
ットでさらに乾燥して、3.9g(収率48%)のパリパリのガラス様の泡状物
を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびに勾配および定組成H
PLCで確認した。
【0092】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.64 (トリプレット、1H, NH [β−アラニ
ン]), 8.11 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.97 (ダブレット、2H, ArH [PBA]
), 7.86 (トリプレット、1H, NH[アミノプロパンジオール]), 7.41-7.08 (マル
チプレット、30H, ArH [DMT, ベンゾピナコール]), 6.86 (ダブレット、4H, ArH
[DMT]), 4.97 (ダブレット、1H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.72 (シングレッ
ト、6H, ArOCH3), 3.70 (マルチプレット、1H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.
46 (カルテット、2H, NHCH2CH2), 3.16 (マルチプレットのダブレット、2H,
CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.89 (マルチプレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT
), 2.38 (トリプレット、2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ
170.8, 166.2, 158.3, 145.2, 142.0, 138.3, 136.1, 135.1, 129.9, 128.2, 12
8.0, 127.8, 127.5, 127.3, 127.1, 126.7, 113.3, 96.3, 85.4, 68.9, 65.9, 5
5.1, 42.9, 36.3, 35.3。
【0093】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=18.7±0.1分。
【0094】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=2.5±0.1分。 G.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)]
アミノ−1,2−プロパンジオール2−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジ
イソプロピルアミノホスホラミダイトの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−[(4−ジヒドロキシ
ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)]ア
ミノ−1,2−プロパンジオール(3.9g、4.1mmol)を、無水ジクロロメ
タン(100ml、塩基性アルミナでろ過した)に溶解した。N,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン(3.6ml、20.7mmol)を加え、溶液を乾燥窒素下で室温
で攪拌した。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルアミノクロロホスフィ
ン(1.1ml、5.0mmol)を滴下して加え、溶液を1時間攪拌した。次に反応
混合物をジクロロメタン(100ml)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(
50ml、1回)、次に塩化ナトリウム飽和水溶液(50ml、1回)で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで蒸
発乾固して、淡黄色のガラス様泡状物を得た。この物質を酢酸エチル(15ml)
とトリエチルアミン(1ml)を含有するヘキサン(10ml)に溶解した。この溶
液の5mlのアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム)により
Porasilシリカ(40mm×100mm;Waters)のカラムで精製した。流速は50m
l/分とした。以下のステップ勾配を使用した:50:49:1(v/v/v)酢酸エ
チル:ヘキサン:トリエチルアミンで10分溶出して、次に99:1 酢酸エチ
ル:トリエチルアミンで5分溶出し、次に49:50:1の酢酸エチル:メタノ
ール:トリエチルアミンで5分溶出した。溶出液を、270nmの吸収でモニター
した;生成物は99:1(v/v)酢酸エチル:トリエチルアミンで溶出する。生
成物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色
のシロップを得た。シロップを真空下で水酸化カリウムペレットでさらに乾燥し
て、3.6g(収率76%)のパリパリのガラス様の泡状物を得た。生成物の純
度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0095】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.65 (トリプレットのダブレット、1H, NH
[β−アラニン]), 8.15 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.99 (ダブレット、2H
, ArH [PBA]), 7.84 (トリプレットのダブレット、1H, NH[アミノプロパンジオ
ール]), 7.43-7.10 (マルチプレット、30H, ArH [DMT, ベンゾピナコール]), 6.
87 (ダブレットのダブレット、4H, ArH [DMT]), 4.06 (マルチプレット、1H,
CH), 3.71 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.80-3.35 (マルチプレット、8H,
OCH2CH2CN, NCH(CH3)2, CHCH2OおよびNHCH2CH2), 3.18 (マルチ
プレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.03 (マルチプレットの
ダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.69 (トリプレットのダブレット、
2H, OCH2CH2CN), 2.40 (マルチプレット、2H, NHCH2CH2), 1.02 (ダブ
レットのダブレット、12H, NCH(CH3)2)。1H NMRスペクトルは、部分的に
分離したジアステレオ異性体の存在のために複雑であったことに注意されたい。 31 P NMR (121 MHz, DMSO-d6):δ 149.1, 148.4 (ジアステレオ異性体)。
【0096】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=4.1と4.8±0.1分(ジアステレオ異
性体)。 実施例3 本例は、1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [(4−ジヒ
ドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニ
ル)]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミ
ノホスホラミダイトの合成を例示する。
【0097】
【化22】
【0098】 A.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸の合成 図6と7を参照して、4−カルボキシフェニルボロニック酸(10.0g、6
0.2mmol)を熱無水1,4−ジオキサン(150ml)に溶解し、少量の活性炭
で処理して、熱いうちに0.5μmガラスファイバーフィルターでろ過した。ろ
液を加熱還流して、ベンゾピナコール(22.1g、60.3mmol)を加えた。
この溶液を1時間還流し、次に室温まで冷却した。次に溶媒をロータリーエバポ
レーターで除去して白色の固体を得て、これをエチルエーテル/ヘキサンから−
20℃で一晩結晶化した。固体をろ過して、真空下で乾燥して、23.3g(収
率78%)の生成物を得た。この生成物の純度を、1H NMRおよびHPLC
により確認した。
【0099】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 13.23 (ブロードシングレット, 1H, CO2H), 8
.19 (ダブレット, 2H, ArH [安息香酸]), 8.13 (ダブレット, 2H, ArH), 7.10 (
マルチプレット, 2OH, ArH [ベンゾピナコール])。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):
δ 167.4, 141.9, 135.4, 129.2, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.3。
【0100】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.9±0.1分。 B.4−ジヒドロキシボリル (ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸NHS
エステルの合成 4−ジヒドロキシボリル (ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸 (17.
4g、35.0mmol)を無水テトラヒドロフラン (100ml)に溶解した。N−
ヒドロキシスクシニミド (4.0g、34.8mmol)を加え、続いて1,3−ジ
シクロヘキシルカルボジイミド (7.2g、34.6mmol)を加えた。反応物を
一晩室温で撹拌すると、1,3−ジシクロヘキシル尿素の白色の沈殿物が生成し
た。この固体をろ過して除去し、少量のテトラヒドロフランで洗浄した。一緒に
したろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、オフホワイト色の固体を
得た。固体をテトラヒドロフラン (100ml)に溶解し、この溶液をろ過し、ヘ
キサン (300ml)を加えた。−20℃で一晩結晶化させた。固体をろ過して、
真空下で乾燥して、18.4g (収率89%)の生成物を得た。生成物の純度を
1Hおよび13C NMRにより確認した。
【0101】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.31 (ダブレット, 2H, ArH [安息香酸]), 8.
25 (ダブレット, 2H, ArH [安息香酸]), 7.15 (マルチプレット, 2OH, ArH [ベ
ンゾピナコール]), 2.91 (シングレット, 4H, CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6 ):δ 170.4, 161.9, 141.7, 136.0, 129.7, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.5
, 25.5。 C.n−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニルセリンメチルエステルの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニンN−ヒドロキシスクシニミドエ
ステル (14.1g、44.0mmol;バッケム (Bachem))を100mlの無水N
,N−ジメチルホルムアミドに溶解して、セリンメチルエステル塩酸塩 (5.2
g、43.6mmol)を加えた。混合物を室温で撹拌し、N,N−ジイソプロピル
エチルアミン (10ml、57.4mmol)を加えた。反応物を一晩撹拌した。次に
溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、清澄な無色のシロップを得た。こ
の物質を酢酸エチル (250ml)と水 (250ml)とに分配した。層を分離し、
酢酸エチル層を、順に重硫酸カリウム半飽和水溶液 (200ml、1回)、重炭酸
ナトリウム飽和水溶液 (200ml、2回)および塩化ナトリウム飽和水溶液 (2
00ml、1回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
ろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、清澄な無色のシロップを
得た。このシロップを真空で十分に乾燥して、10.4g (収率74%)の無定
形の白色の固体を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHP
LCにより確認した。
【0102】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.21 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.33
(マルチプレット, 5H, ArH), 7.18 (トリプレット, 1H, NH [β−アラニン]), 5
.00 (トリプレット, 1H, OH), 4.99 (シングレット, 2H, Ar-CH2O), 4.32 (マル
チプレット, 1H, CH), 3.62 (マルチプレット, 2H, CH2OH), 3.60 (シングレッ
ト, 3H, CH3), 3.18 (カルテット, 2H, NHCH2CH2), 2.33 (トリプレット, 2H, N
HCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 171.0, 170.5, 155.9, 137.2, 128.2
, 127.6, 127.5, 65.1, 61.1, 54.5, 51.5, 36.9, 35.2。
【0103】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=9.9±0.1分。 D.3−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニ
ル−β−アラニルセリンメチルエステルの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニルセリンメチルエステル (10.
0g、30.8mmol)を無水ピリジン (100ml)に溶解して、塩化4,4’−
ジメトキシトリチル (11.0g、32.5mmol)を加えた。この黄色の溶液を
乾燥窒素下で室温で一晩撹拌した。次にメタノール (10ml)を加えて、この溶
液をさらに1時間撹拌した。溶媒を<40℃の浴温でロータリーエバポレーター
で除去して、粘性の黄色のシロップを得た。このシロップを酢酸エチル (300
ml)と重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (150ml)とに分配した。層を分離して、
酢酸エチル層を順に重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (150ml、1回)および塩化
ナトリウム飽和水溶液 (150ml、1回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫
酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、ロータリーエバポレーターで濃縮して、黄
色のシロップを得た。このシロップを酢酸エチル (100ml)に溶解して室温で
撹拌した。ヘキサン (200ml)をゆっくり滴下して加えると、ほぼ白色の固体
が沈殿した。固体を−20℃で一晩回収し、ろ過し、酢酸エチルとヘキサンとの
混合物 (1:1、v/v) (100ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、17.0g
(収率88%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならび
にHPLCにより確認した。
【0104】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.51 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.39-
7.21 (マルチプレット, 15H, ArH [DMT, Cbz]およびNH [β−アラニン]), 6.90
(ダブレット, 4H, ArH [DMT]), 5.02 (シングレット, 2H, Ar-CH2O), 4.60 (マ
ルチプレット, 1H, CH), 3.73 (シングレット, 6H, Ar-OCH3), 3.64 (シングレ
ット, 3H, CO2CH3), 3.23 (マルチプレット, 4H, NHCH2CH2およびCHCH2O), 2.43
(トリプレット, 2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 171.0, 170.7
, 158.4, 156.2, 144.8, 137.3, 135.5, 135.4, 129.9, 128.5, 127.9, 127.8,
126.9, 113.2, 85.5, 65.3, 63.0, 55.0, 52.3, 51.9, 37.0, 35.2。
【0105】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=15.9±0.1分。 E.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニ
ル−β−アラニルセリノールの合成 3−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニル
−β−アラニルセリンメチルエステル (10.0g、16.0mmol)を無水テト
ラヒドロフラン (100ml)に溶解した。この溶液を乾燥窒素下で、無水テトラ
ヒドロフラン (100ml)中の水素化ホウ素リチウム (1.0g、45.9mmol
)の撹拌溶液に滴下して加えた。この清澄な無色の溶液を室温で乾燥窒素下で6
時間撹拌した。次に水 (50ml)を加えて、混合物をさらに4時間撹拌した。テ
トラヒドロフラン (200ml)を加えると、白色の固体が沈殿した。混合物をろ
過し、固体を少量のテトラヒドロフランで洗浄して、ろ液をロータリーエバポレ
ーターで約50mlに濃縮した。酢酸エチル (250ml)を加えて、層を分離した
。酢酸エチル溶液を、順に重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (100ml、1回)およ
び塩化ナトリウム飽和水溶液 (100ml、1回)で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥して、ろ過した。ろ液からロータリーエバポレーターで溶媒を留去して
、清澄なシロップを得て、これをさらに真空で水酸化カリウムペレットで乾燥し
て、9.3g (収率97%)のパリパリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度
を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCにより確認した。
【0106】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.80 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.40-
7.19 (マルチプレット, 15H, ArH [DMT, Cbz]およびNH [β−アラニン]), 6.88
(ダブレット, 4H, ArH [DMT]), 5.00 (シングレット, 2H, Ar-CH2O), 4.63 (ト
リプレット, 1H, CH2OH), 4.01 (マルチプレット, 1H, CH), 3.72 (シングレッ
ト, 6H, Ar-OCH3), 3.45 (トリプレット, 2H, CHCH2OH), 3.20 (カルテット, 2H
, NHCH2CH2), 2.98 (マルチプレットのダブレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.32 (ト
リプレット, 2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 170.2, 158.2, 15
6.2, 145.3, 137.3, 136.0, 129.9, 129.1, 128.5, 127.9, 127.6, 126.7, 113.
2, 85.2, 65.2, 62.6, 60.8, 55.0, 50.9, 37.2, 35.8。
【0107】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.8±0.1分。 F.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−β−アラニルセリノールの合
成 1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニル
−β−アラニルセリノール (9.3g、15.5mmol)を無水メタノール (20
0ml)に溶解した。この溶液を1リットルのParr水素化容器に入れて、この溶液
を窒素で5分間パージした。酢酸エチル (20ml)でスラリー化したパラジウム
担持活性炭触媒 (1.0g、10% Pd/C)を加えて、この容器をParrのシ
ェーカーに装着した。容器を再度窒素でパージし、排気して、水素を35psiの
圧力まで導入した。容器を室温で6時間振盪し、次に排気し、窒素を充填してシ
ェーカーから取りだした。内容物を0.5μmガラスファイバーフィルターでろ
過して、ろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロッ
プを得た。このシロップをさらに真空で水酸化カリウムペレットで乾燥して、7
.1g (収率93%)のパリパリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1
Hおよび13C NMRならびにHPLCにより確認した。
【0108】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.87 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.38-
7.20 (マルチプレット, 9H, ArH), 6.88 (ダブレット, 4H, ArH), 3.97 (マルチ
プレット, 1H, CH), 3.72 (シングレット, 6H, Ar-OCH3), 3.45 (ダブレット, 2
H, CHCH2OH), 3.26 (ブロードシングレット, 3H, NH2およびOH), 2.95 (マルチ
プレットのダブレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.73 (トリプレットのダブレット, 2
H, NH2CH2CH2), 2.19 (トリプレット, 2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-
d6):δ 171.3, 158.3, 145.4, 136.1, 130.0, 128.0, 127.9, 126.7, 113.3, 85
.3, 62.7, 60.9, 55.0, 51.0, 37.8, 37.7。
【0109】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=11.0±0.1分。 G.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [ (4−ジヒドロキ
シボリル− (ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)
]セリノールの合成 1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−β−アラニルセリノール (7.
1g、14.4mmol)を無水テトラヒドロフラン (100ml)に乾燥窒素下で溶
解した。トリエチルアミン (2.0ml、14.4mmol)を加え、続いて4−ジヒ
ドロキシボリル (ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸N−ヒドロキシ−ス
クシンイミドエステル (8.5g、14.4mmol)を加えた。反応混合物を室温
で24時間撹拌し、ろ過して、ろ液をロータリーエバポレーターで粘性のシロッ
プ状になるまで濃縮した。このシロップを酢酸エチル (250ml)に溶解して、
溶液を、順に重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (200ml、2回)、次いで塩化ナト
リウム飽和水溶液 (200ml、1回)で洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウム
で乾燥し、ろ過して、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、黄色のシロ
ップを得た。シロップを、トリエチルアミン (1ml)を含有する酢酸エチル (6
0ml)に溶解して、この溶液の10mlのアリコートを分取用HPLC(Waters P
repLC 2000システム)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカ
ラムにより精製した。流速は50ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した
:66:33:1 (v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルアミンで10分
間いくつかの少数混入物質を溶出し、次に98:1:1 (v/v/v)酢酸エチル:
メタノール:トリエチルアミンで20分間所望の生成物を溶出した。溶出液は、
270nmの吸光度によりモニターした。生成物画分をプールして、ロータリーエ
バポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロップを得た。このシロップをさ
らに真空で水酸化カリウムペレットで乾燥して、7.1g (収率93%)のパリ
パリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRにより
、さらには勾配および定組成HPLCで確認した。
【0110】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.64 (トリプレット, 1H, NH [β−アラニン]
), 8.09 (ダブレット, 2H, ArH [PBA]), 7.95 (ダブレット, 2H, ArH [PBA]), 7
.83 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.38-7.09 (マルチプレット, 3OH, Ar [D
MT, ベンゾピナコール]), 6.85 (ダブレット, 4H, ArH [DMT]), 4.68 (トリプレ
ット, 1H, CHCH2OH), 4.05 (マルチプレット, 1H, CH), 3.70 (シングレット, 6
H, Ar-OCH3), 3.49 (ダブレット, 4H, CHCH2OHおよびNHCH2CH2), 2.98 (マルチ
プレットのダブレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.46 (トリプレット, 2H, NHCH2CH2)
13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 166.3, 158.2, 145.3, 142.0, 141.9, 138.1,
136.0, 135.2, 129.9, 128.2, 127.9, 127.6, 127.4, 127.1, 126.7, 113.2, 9
6.3, 85.2, 62.6, 60.9, 55.1, 50.9, 36.3, 35.4。
【0111】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=18.6±0.1分。
【0112】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=2.4±0.1分。 H.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [ (4−ジヒドロキ
シボリル− (ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)
]セリノール3−O− (2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミノホ
スホラミダイトの合成 1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [ (4−ジヒドロキシ
ボリル (ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β−アラニル)]セリ
ノール (7.2g、7.6mmol)を無水ジクロロメタン (250ml、塩基性アル
ミナでろ過)に溶解した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン (5.5ml、3
1.6mmol)を加えて、溶液を乾燥窒素下で室温で撹拌した。2−シアノエチル
−N,N−ジイソプロピル−アミノクロロホスフィン (2.5ml、10.5mmol
)を滴下して加え、溶液を1時間撹拌した。次に反応混合物をロータリーエバポ
レーターで約50mlまで濃縮し、酢酸エチル (300ml、100mlの重炭酸ナト
リウム飽和水溶液で前もって洗浄した)を加えた。この有機溶液を重炭酸ナトリ
ウム飽和水溶液 (100ml、1回)および次に塩化ナトリウム飽和水溶液 (10
0ml、1回)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をロー
タリーエバポレーターで蒸発乾固して、淡黄色のガラス様泡状物を得た。この物
質を酢酸エチル (25ml)およびトリエチルアミン (1ml)を含むヘキサン (1
5ml)に溶解した。この溶液の5mlアリコートを分取用HPLC(Waters PrepL
C 2000システム)によりPorasilシリカ(40mm×100mm;Waters)のカラム
により精製した。流速は50ml/分とした。以下の多相線形勾配を使用した:5
0:49:1 (v/v/v)〜79:20:1 (v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリ
エチルアミンで10分間、99:1 (v/v)酢酸エチル:トリエチルアミンで5
分間、79:20:1酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミンで2分間、そ
してこの組成で3分間保持。溶出液は、260nmの吸光度でモニターした;生成
物は最初の大きなピークで溶出した。生成物画分をプールし、ロータリーエバポ
レーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロップを得た。このシロップを酢酸エ
チル (30ml)+トリエチルアミン (2ml)に溶解して、この溶液を、急速撹拌
氷冷ヘキサン (300ml)に滴下して加えることによって、白色の沈殿物が生成
した。沈殿物を−20℃で一晩回収し、ろ過し、冷ヘキサンで十分に洗浄し、真
空下で無水炭酸カリウムで乾燥して、7.9g (収率91%)の生成物を得た。
生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCにより確認した。
【0113】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.64 (トリプレットのダブレット, 1H, NH [
β−アラニン]), 8.11 (ダブレット, 2H, ArH [PBA]), 7.97 (ダブレット, 2H,
ArH [PBA]), 7.95 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.38-7.09 (マルチプレッ
ト, 3OH, Ar [DMT, ベンゾピナコール]), 6.85 (ダブレット, 4H, ArH [DMT]),
4.22 (マルチプレット, 1H, CH), 3.70 (シングレット, 6H, Ar-OCH3), 3.70-3.
40 (マルチプレット, 8H, OCH2CH2CN, NCH (CH3)2, CHCH2OPおよびNHCH2CH2), 3
.02 (マルチプレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.68 (トリプレットのダブレット, 2H
, OCH2CH2CN), 2.48 (マルチプレット, 2H, NHCH2CH2), 1.02 (ダブレットのダ
ブレット, 12H, NCH (CH3)2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 170.5, 166.2, 1
58.3, 145.2, 142.1, 142.0, 138.1, 135.9, 135.2, 129.9, 128.2, 127.9, 127
.6, 127.4, 127.1, 126.8, 119.0, 113.3, 96.3, 85.4, 62.3 (ブロード), 58.5
, 58.4, 58.3, 58.2, 42.6, 42.4, 36.3, 35.4, 31.0, 24.4, 24.3, 22.1, 19.9
, 19.8。 31P NMR (121 MHz, DMSO-d6):δ 147.4, 147.1 (ジアステレオマー異
性体). HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=4.4±0.1分。 実施例4 本例は、ボロニック酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドの自動固相合成を
例示する。
【0114】 オリゴデオキシリボヌクレオチドPX001 (配列:5'-CGC CAG GGT TTT CCC
AGT CAC GAC-3')を、標準的自動ホスホラミダイト化学 (モデル394自動D
NA合成機、パーキンエルマー/アプライドバイオシステムズ (Perkin Elmer/A
pplied Biosystems) [フォスターシティー、カリホルニア州]製、および添付
されるウルトラファスト (UltraFast)DNA合成試薬、グレン・リサーチ (Gle
n Research) [スターリング、バージニア州]製)をトリチルON (Trityl ON
)モードで用いて1μmolスケールで合成した。完成したオリゴデオキシリボヌ
クレオチドは、支持体に保持した。適切な量の所望のフェニルボロニック酸 (P
BA)含有ホスホラミダイトを、無水アセトニトリル (1−O− (4,4’−ジ
メトキシトリチル)−8−N− [4−ジヒドロキシボリル− (ベンゾピナコール
環状エステル)ベンゾイル)]アミノ−1,3−オクタンジオール3−O− (2
−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−アミノホスホラミダイトおよび1
−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N− [ (4−ジヒドロキシボリ
ル (ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β−アラニル)]アミノ−
1,2−プロパンジオール3−O− (2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロ
ピル−アミノホスホラミダイト)、または75:25 (v/v)無水アセトニトリ
ル:無水テトラヒドロフラン (1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2
−N− [ (4−ジヒドロキシボリル− (ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾ
イル)−β−アラニル)]セリノール3−O− (2−シアノエチル)−N,N−
ジイソプロピルアミノホスホラミダイト)のいずれかに溶解して、0.1Mの最
終濃度を得た。この溶液をDNA合成機に、特別のホスホラミダイトの瓶の位置
の1つに入れた。次に1つ以上のPBA残基をオリゴデオキシリボヌクレオチド
の5’末端に、結合反応の「待ち時間」を15分に延長した、標準的結合サイク
ルの変法を用いて付加した。再び、合成は、トリチルONモードで行った。オリ
ゴデオキシリボヌクレオチドへのPBAアミジトの付加の結合収率は、各サイク
ルの回収トリチル溶液およびこれに続く分析HPLCから>95%であると推定
された。
【0115】 完成したトリチル化PBA修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドは、次に製造
業者のプロトコールにしたがって、装置上の濃水酸化アンモニウムにより支持体
から切断した。ヌクレオ塩基上の保護基とボロニック酸は、加熱ブロック中の水
酸化アンモニウム溶液を60℃で1時間加熱することにより、同時に除去した。
次にこの溶液を冷蔵庫で4℃に冷却して、スピードバック (SpeedVac)真空濃縮
器 (サヴァント・インスツルメンツ (Savant Instruments) [ファーミングデー
ル (Farmingdale)、ニューヨーク州])で約1mlまで濃縮した。粗PBA修飾
オリゴデオキシリボヌクレオチドを含む溶液を4℃で貯蔵して、後に高速液体ク
ロマトグラフィーにより精製できた。 実施例5 本実施例は、ボロニック酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドの精製を例示
する。
【0116】 粗トリチル化ボロニック酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドを、合成オリ
ゴデオキシリボヌクレオチドを精製するのに一般的に利用される方法の変法を用
いて、逆相HPLCにより精製した。しかしトリチル化未修飾オリゴデオキシリ
ボヌクレオチドおよび標識オリゴデオキシリボヌクレオチドを精製するために一
般に使用されるC18およびC8相は、トリチル化ボロニック酸修飾オリゴデオ
キシリボヌクレオチドには不十分にしか機能しなかった。所望の生成物に関連す
るピークは、非常にブロードであり、テーリングがひどく、不純物からの分離が
不十分であった。C4相がよく機能し、満足な結果を与えることが見い出された
【0117】 粗トリチル化ボロニック酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドの上記溶液の
アリコート (10〜100μl)を、ヒューレット・パッカード・シリーズ (Hew
lett Packard Series)1050液体クロマトグラフィーに結合した4.6mm×
150mm C4カラム (イナートシル (Inertsil)5μm、メタケム・テクノロ
ジーズ (MetaChem Technologies) [トーランス、カリホルニア州])に注入し
た。0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH6.5 (成分A)中のアセトニ
トリル (成分B)の二相性線形勾配を使用して、クロマトグラムを展開した。勾
配は以下のとおりとした:95:5 (v/v)A:B〜65:35 (v/v)A:Bを
21分間で、次に10:90 (v/v)A:Bを3分間で。流速は1.0ml/分とし
、280nmのUV検出を用いて分離を観測した。生成物のオリゴデオキシリボヌ
クレオチドは、18〜22分でカラムから溶出したが、PBA残基の数が多いほ
ど対応して保持時間が長い。生成物を回収して、スピードバックで蒸発乾固して
、油状ペレットを得た。このペレットを1mlの80:20 (v/v)氷酢酸:水に
溶解して、室温で1時間放置することによりトリチル基を除去した。再び溶液を
スピードバックで蒸発乾固して、油状ペレットを得た。ペレットを0.5mlの水
に溶解して凍結保存した。10μlのアリコートを、上記カラムおよび勾配を用
いてHPLCにより分析した。この手順により得られたボロニック酸修飾オリゴ
デオキシリボヌクレオチドの純度は、一般に>90%であった (下記図8を参照
)。
【0118】 本明細書に言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、参照することに
より、全ての目的のためにその全体を本明細書の一部とした。本発明は、好まし
い実施態様およびその実施例を参照して説明したが、本発明の範囲は、これらの
記述される実施態様だけに限定されるものではない。当業者には明らかであるよ
うに、添付される請求の範囲により定義および限局される本発明の精神と範囲か
ら逸脱することなく、上述の発明には修飾および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(β
−アラニル)アミノ−1,2−プロパンジオールを調製するための合成法を要約
する。
【図2】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−
[(4−ジヒドロキシ−ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)
−β−アラニル]アミノ−1,2−プロパンジオール3−O−(2−シアノエチ
ル)−N,N−ジイソプロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法
を要約する。
【図3】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−β−アラ
ニルセリノールを調製するための合成法を要約する。
【図4】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−
[(4−ジヒドロキシ−ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)
−β−アラニル]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプ
ロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法を要約する。
【図5】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−
[(3,5−ビス−ジ−ヒドロキシボリル(ピナコール環状エステル)ベンゾイ
ル)−β−アラニル]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイ
ソ−プロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法を要約する。
【図6】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−アミ
ノ−1,3−オクタン−ジオールを調製するための合成法を要約する。
【図7】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−
[(4−ジヒドロキシ−ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル]
アミノ−1,3−オクタンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジ
イソ−プロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法を要約する。
【図8】 5’末端に1、2、3および4つのアリールボロニック酸残基を有する、自動
合成により調製される4つのボロニック酸修飾オリゴヌクレオチドの高速液体ク
ロマトグラフィー精製を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の名称】 ボロン酸含有試薬およびオリゴヌクレオチド
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、 R1は、アリールボロン酸エステル残基であり; Yは、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは
1〜5の整数である)よりなる群から選択されるメンバーであり; Zは、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキ
レンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドよりなる群から
選択されるメンバーであり; Xは、メチレン基および炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバー
であり; R2は、水素、トリチル、モノメトキシトリチルおよびジメトキシトリチルよ
りなる群から選択されるメンバーであり; R3は、水素および活性化リン残基よりなる群から選択されるメンバーである
) の化合物。
【化2】 (式中、 R4とR5は、水素、メチルおよびフェニルよりなる群から独立に選択されるメ
ンバーであり; Qは、メチレン基および炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバー
である) よりなる群から選択されるメンバーである請求項2に記載の化合物。
【化3】 (式中、 Rは、アリールボロン酸残基であり; Yは、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは
1〜5の整数である)よりなる群から選択されるメンバーであり; Zは、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキ
レンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドよりなる群から
選択されるメンバーであり; Xは、メチレン基および炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバー
であり; R6は、水素およびヒドロキシルよりなる群から選択されるメンバーであり; R7は、ヒドロキシルおよびモノリン酸エステルよりなる群から選択されるメ
ンバーであり; nは、約0〜約10の整数であり; n’は、約10〜約1000の整数であり;そして Nu’とNu''は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよび
ヌクレオチド類似体よりなる群から独立に選択されるメンバーであり; ここで、 R、Y、およびXは、nのいずれか所定のモノマー値に対して同じかまたは異
なってもよく;R6とNu’は、n’のいずれか所定のモノマー値に対して同じ
かまたは異なってもよい) の化合物。
【化4】 よりなる群から選択されるメンバーである、請求項16に記載の化合物。
【化5】 (式中、 Rは、アリールボロン酸残基であり; Yは、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは
1〜5の整数である)よりなる群から選択されるメンバーであり; Zは、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキ
レンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドよりなる群から
選択されるメンバーであり; Xは、メチレンおよび炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバーで
あり; R6は、水素およびヒドロキシルよりなる群から選択されるメンバーであり; R7は、ヒドロキシルおよびモノリン酸エステルよりなる群から選択されるメ
ンバーであり; nは、約0〜10の整数であり; n’は、約10〜1000の整数であり;そして Nu’とNu''は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよび
ヌクレオチド類似体よりなる群から独立に選択されるメンバーであり; ここで、 R、Y、XおよびXは、nのいずれか所定のモノマー値に対して同じかまたは
異なってもよく;R6とNu’は、n’のいずれか所定のモノマー値に対して同
じかまたは異なってもよい) の化合物。
【化6】 よりなる群から選択されるメンバーである、請求項27に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願への相互参照 本出願は、現在米国特許第6,031,117号となっている米国特許出願第
09/272,978号(1999年3月19日出願)、および現在米国特許第
6,013,783号となっている米国特許出願第09/272,834号(1
999年3月19日出願)の優先権を主張する(これらはその全体が、参照する
ことにより本明細書に組み込まれる)。 発明の分野 本発明は、核酸固定化、精製および検出の分野、さらに詳しくは修飾オリゴヌ
クレオチドおよびポリヌクレオチドへのボロン酸(boronic acid)の導入のため
の試薬に関する。 発明の背景 アリールボロン酸(例えば、フェニルボロン酸)は、ある必要な官能基を有す
る広範な極性分子と相互作用することが知られている。安定性の異なる複合体(
1,2−ジオール、1,3−ジオール、1,2−ヒドロキシ酸、1,3−ヒドロ
キシ酸、1,2−ヒドロキシルアミン、1,3−ヒドロキシルアミン、1,2−
ジケトンおよび1,3−ジケトン)が、中性のフェニルボロン酸またはフェニル
ボロネート陰イオンとの間で存在することが知られている。固定化されたフェニ
ルボロン酸は、多様な生物学的試料から、必要な官能基を有する分子種を選択的
に保持するためのクロマトグラフィー支持体として使用されている。特に限定さ
れないが、炭水化物、カテコールアミン、プロスタグランジン、リボヌクレオチ
ド、およびステムを含む多くの重要な生物学的分子は、必要な官能基を含有し、
この方法で解析または精製されている。生物学的分子の単離と分離のためのフェ
ニルボロン酸クロマトグラフィー媒体の使用は、いくつかの総説に記載されてい
る(Singhal, R.P.とDeSilva, S.S.M. (1992) Adv. Chromatog., 31:293-335; M
azzeo, J.R.とKrull, I.S. (1989) BioChromatog., 4, 124-130;およびBergold,
A.とScouten, W.H. (1983)、Solid Phase Biochemistry (Scouten, W.H.編)pp
. 149-187, ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニュー
ヨークを参照)。
【0002】 cisまたはコアクシャル1,2−ジオールおよび1,3−ジオール官能基を
有する分子種(そして特に炭水化物)は、フェニルボロネート陰イオンを有する
固定化化合物と複合体を形成して、アルカリ性水溶液条件下で環状エステルを形
成することが知られている(例えば、Lorand, J.P.とEdwards, J.O. (1959) J.
Org. Chem., 24, 769を参照)。さらにアリールボロン酸残基に結合する炭水化
物は、アリールボロン酸とアリールボロン酸内に含有されるアミン官能基との電
子的相互作用を増強して、蛍光性変化を誘導することが知られている(T.D. Jam
esら、(1994) J. Chem. Soc. Chem. Comm., 477-478を参照)。
【0003】 生物学的分子(例えば生物学的巨大分子)と複合体を形成する能力を考慮する
と、アリールボロン酸から得られる試薬は、固定化、精製および検出を含む多様
な生物結合への応用に有用である。生物結合とは、化学的または生物学的手段に
より2つまたはそれ超の異なる分子種(そのうち少なくとも1つは、生物学的巨
大分子である)の結合のための説明用語である。生物結合には、特に限定されな
いが、タンパク質、ペプチド、多糖、ホルモン、核酸、リポソームおよび細胞の
、互いの結合または任意の他の分子種との結合があり、これは有用な性質を付与
する。生物学的巨大分子の固定化はまた、生物結合の場合の特殊なケースと考え
られ、ここで巨大分子は、可逆的または不可逆的に不溶性支持体に結合している
。生物結合は、生化学的、免疫化学的および分子生物学的研究に広く使用されて
いる。生物結合の主要な応用には、特に限定されないが、遺伝子プローブの検出
、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、モノクローナル抗体薬剤ターゲティ
ングおよび医用イメージングがある。
【0004】 多くの例において、生物結合は、2つの結合パートナーの間の結合対を形成す
る既知の反応に基づく。生物結合反応の1つの例は、第1の結合パートナー(例
えば、オルト置換アセトアミドフェニルボロン酸)と第2の結合パートナー(例
えば、糖タンパク質に結合した炭水化物残基の隣接ジオール残基)が関与する(
Cai, S.X.とKeana, J.F.W. (1991) Bioconjugate Chem. 2, 317-322を参照)。
【0005】 さらに、3−イソチオシアネートフェニルボロン酸由来のフェニルボロニック
酸生物接合体は、医用イメージングで使用するために、放射性テクネチウムジオ
キシム複合体をモノクローナル抗体に付加するのにうまく使用されている(Lind
er, K.E., Wen, M.D., Novotnik, D.P., Malley, M.F., Gougoutas, J.Z., Nunn
, A.D.とEckelman, W.C. (1991) Bioconjugate Chem., 2, 160-170; Linder, K.
E., Wen, M.D., Novotnik, D.P., Ramalingam, K., Sharkey, R.M., Yost, F.,
Narra, R.K.とEckelman, W.C. (1991) Bioconjugate Chem., 2, 407-414を参照
)。
【0006】 さらにボロン酸試薬は、サリチルヒドロキサム酸(SHA)および2,6−ジ
ヒドロキシベンゾヒドロキサム酸(DHBHA)から得られる、新に開発された
ボロン酸複合体形成試薬とともに使用する時、生物結合試薬として広い有用性を
示している。ボロン酸試薬、ボロン酸複合体形成試薬、これらの接合体と生物接
合体、ならびにその調製法と使用は、米国特許第5,594,111号、5,6
23,055号、5,668,258号、5,648,470号、5,594,
151号、5,668,257号、5,677,431号、5,688,928
号、5,744,627号、5,777,148号、5,831,045号およ
び5,831,046号に開示されている。
【0007】 生物結合反応におけるアリールボロン酸の有用性を考慮すると、当該分野で必
要なものは、例えば自動固相合成中に合成オリゴヌクレオチドに取り込みやすい
ボロン酸化合物である。こうして産生されるボロン酸修飾オリゴヌクレオチドは
、生物結合反応(例えば巨大分子の固定化、精製および検出)に有用であろう。
本発明は、これらおよび他のニーズを満足する。 発明の要約 アリールボロン酸から得られる試薬は、生物学的巨大分子と複合体を形成する
能力の結果として、種々の生物結合反応への応用に有用である。本発明は、入手
できるボロン酸試薬を包含し、ボロン酸修飾合成オリゴヌクレオチドの調製に有
用である。従って1つの態様において本発明は、式Iの一般的構造を有する化合
物に関する。
【0008】
【化7】
【0009】 式Iにおいて、R1は、特に限定されないが、アリールボロン酸エステル残基
(例えば、フェニルボロン酸エステル)を含む官能基である。式I中のYは、特
に限定されないが、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(こ
こで、mは約1〜約5の範囲の値を有する整数である)を含む官能基である。本
明細書において、Yが炭素−炭素単結合である時、R1は、カルボニル基に直接
結合している。式I中のZは、特に限定されないが、1〜16個の炭素原子を有
するアルキレン、アルキレンアミド、アルキレンアミドアルキレンおよびアルキ
レンアミドアルキレンアミドを含む官能基である。式I中のXは、特に限定され
ないが、メチレン基と炭素−炭素単結合を含む官能基である。Xが炭素−炭素単
結合である時、式I中のメチン炭素は、OR3に直接結合している。式I中のR2 は、特に限定されないが、水素、トリチル、モノメトキシトリチルおよびジメト
キシトリチルを含む官能基である。式I中のR3は、特に限定されないが、水素
または活性化リン残基を含む官能基である。
【0010】 式Iのアリールボロン酸化合物は、自動固相合成中のオリゴヌクレオチドの合
成に有用である。こうして生成したオリゴヌクレオチドは、種々の生物結合反応
(例えば、核酸の固定化、精製、および検出)に有用である。オリゴヌクレオチ
ドは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’末端または5’末端に
付加した式Iの化合物を用いて合成することができる。
【0011】 従って他の態様において本発明は、修飾5’を有しかつ以下の一般式を有する
オリゴヌクレオチドを提供する。
【0012】
【化8】
【0013】 式IIにおいてRは、特に限定されないが、アリールボロン酸残基(例えば、フ
ェニルボロン酸)を含む官能基である。式II中のYは、特に限定されないが、O
(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは約1〜約5
の範囲の値を有する整数である)を含む官能基である。式II中のZは、特に限定
されないが、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、ア
ルキレンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドを含む官能
基である。式II中のXは、特に限定されないが、メチレン基と炭素−炭素単結合
を含む官能基である。式II中のR6は、特に限定されないが、水素およびヒドロ
キシルを含む官能基である。式II中のR7は、特に限定されないが、ヒドロキシ
ルとモノリン酸エステルを含む官能基である。式II中の指数nは、約0〜約10
の範囲の整数である。式II中の指数n’は、約10〜約10000の範囲の整数
である。式II中のNu’とNu''は、特に限定されないが、アデニン、グアニン
、チミン、シトシン、ウラシルおよびヌクレオチド類似体を含む独立に選択され
るヌクレオチド塩基である。変数R、YおよびXは、nのあるモノマー値につい
て同じかまたは異なっていてもよい。変数R6とNu’は、n5のあるモノマー値
について同じかまたは異なっていてもよい。
【0014】 さらに別の態様において本発明は、修飾3’と以下の一般式を有するオリゴヌ
クレオチドを提供する。
【0015】
【化9】
【0016】 式IIIにおいてRは、特に限定されないが、アリールボロン酸残基(例えば、
フェニルボロン酸)を含む官能基である。式III中のYは、特に限定されないが
、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは約1〜
約5の範囲の値を有する整数である)を含む官能基である。式III中のZは、特
に限定されないが、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミ
ド、アルキレンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドを含
む官能基である。式III中のXは、特に限定されないが、メチレン基と炭素−炭
素単結合を含む官能基である。式III中のR6は、特に限定されないが、水素とヒ
ドロキシルを含む官能基である。式III中のR7は、特に限定されないが、ヒドロ
キシルとモノリン酸エステルを含む官能基である。式III中の指数nは、約0〜
約10の範囲の値を有する整数である。式III中の指数n’は、約10〜約10
000の範囲の値を有する整数である。式III中のNu’とNu''は、特に限定
されないが、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよびヌクレオ
チド類似体を含む独立に選択されるヌクレオチド塩基である。変数R、Yおよび
Xは、nのあるモノマー値について同じかまたは異なっていてもよい。変数R6
とNu’は、n’のあるモノマー値について同じかまたは異なっていてもよい。
【0017】 本発明のこれらおよび他の態様は、以後の詳細な説明を読むと、より容易に明
らかになるであろう。 発明の詳細な記載及び好適な実施態様 I.用語解説 本明細書において「アルキル」という用語は、分岐または非分岐炭化水素鎖(
例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−
ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、オクタ−デシルおよび2−メチルフ
ェニル)を意味する。これらの基は、そのようなアルキル基に一般的に結合する
1つまたはそれ超の官能基(例えば、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ
、ヨード、メルカプトまたはチオ、シアノ、アルキルチオ、ヘテロシクリル、ア
リール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコイル、アルキル、アルケ
ニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなど)で随時置換されて、トリフ
ルオロメチル、3−ヒドロキシヘキシル、2−カルボキシプロピル、2−フルオ
ロエチル、カルボキシメチル、シアノブチルなどのアルキル基を形成する。
【0018】 「アルキレン」という用語は、1〜20個の炭素原子および好ましくは約1〜
16個の炭素原子を有する、上記の2価アルキル基、例えばメチレン(−CH2
−)、プロピレン(−CH2CH2CH2−)、クロロエチレン(−CHClCH2 −)、2−チオブテン−CH2CH(SH)CH2CH2、1−ブロモ−3−ヒド
ロキシル−4−メチルペンテン(−CHBrCH2CH(OH)CH(CH3)C
2−)を意味する。
【0019】 「アルキレンアミド」という用語は、−(CH2nNC(O)または−(CH 2nC(O)N基(ここで、nは、約1〜約20、好ましくは約1〜16である
)を意味する。
【0020】 「アルキレンアミドアルキレン」という用語は、−(CH2nNC(O)(C
2nまたは−(CH2nC(O)N(CH2n基(ここで、nは、約1〜約2
0、好ましくは約1〜16である)を意味する。
【0021】 「アルキレンアミドアルキレンアミド」という用語は、−(CH2nNC(O
)(CH2nNC(O)または−(CH2nC(O)N(CH2nC(O)Nま
たは(CH2nNC(O)(CH2nC(O)Nまたは−(CH2nC(O)N
(CH2nNC(O)(ここで、nは、約1〜約20、好ましくは約1〜16で
ある)を意味する。
【0022】 「アリール」という用語は、好ましくは約6〜14個の炭素原子を有する少な
くとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ナフチル)を形成するか、またはその
ようなアリール基に一般的に結合する1つまたはそれ超の官能基(例えば、ヒド
ロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプトまたはチオ、シアノ
、シアノアミド、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキ
シル、カルボアルコイル、アルキル、アルケニル、ニトロ、アミノ、アルコキシ
ル、アミドなど)で、随時置換されて、ビフェニル、ヨードビフェニル、メトキ
シビフェニル、アントリル、ブロモフェニル、ヨードフェニル、クロロフェニル
、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、ホルミルフェニル、アセチルフェニ
ル、トリフルオロメチルチオフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、アルキ
ルチオフェニル、トリアルキルアンモニウムフェニル、アミドフェニル、チアゾ
リルフェニル、オキサゾリルフェニル、イミダゾリルフェニル、イミダゾリルメ
チルフェニルなどのアリール基を形成する、炭素原子の鎖を意味する。
【0023】 「アシル」という用語は、−C(O)R基を意味し、ここでRは、上記で定義
したアルキルまたはアリール(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ま
たはブチリル)である。
【0024】 「アルコキシ」という用語は、−ORを意味し、ここでRはアルキルである。
【0025】 「アミド」という用語は、アミド結合を−C(O)NR−を意味し、ここでR
は水素またはアルキルである。
【0026】 「アミノ」という用語は、アミン結合−NR−を意味し、ここでRは水素また
はアルキルである。
【0027】 本明細書において「ヌクレオチドモノマー」という用語は、「標準的」ヌクレ
オチド、すなわちアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、およびウラシ
ル、およびこれらのヌクレオチドの誘導体を意味する。そのような誘導体には、
特に限定されないが、イノシン、5−ブロモデオキシシチジン、5−ブロモ−デ
オキシウリジン、N6−メチル−デオキシアデノシン、5−メチル−デオキシシ
チジンなどがある。
【0028】 本明細書において「保護基」という用語は、分子上の反応性基(例えば、ヒド
ロキシルまたはアミン)が結合されているかまたは置換されている基を意味する
。保護基は、1つまたはそれ超の化学反応工程中に、特定の基の反応を防止する
ように選択される。一般に具体的な保護基は、分子中に存在する他の反応性基を
変化させることなく反応性基を回復できるように、後で除去できるように選択さ
れる。保護基の選択は、保護すべき特定の基の官能基と、それと接触する化合物
である。保護基の選択は、当業者に公知である。例えば、Greeneら、Protective
Groups in Organic Synthesis、第2版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社
(John Wiley and Sons, Inc.)(Somerset, N.J.)(1991)を参照されたい。
II.化合物 ある態様において本発明は、生物結合反応で有用なポリヌクレオチドやオリゴ
ヌクレオチドの合成の試薬として有用な、新規なアリールボロン酸誘導体を提供
する。オリゴヌクレオチドへのこれらのアリールボロン酸試薬の取り込みは、オ
リゴヌクレオチドが生物結合反応(これは、特に限定されないが、タンパク質、
ペプチド、多糖、ホルモン、核酸、リポソームおよび細胞のような生物学的分子
の結合を含む)に参加することを可能にする。
【0029】 従って1つの態様において本発明は、式I:
【0030】
【化10】
【0031】 (式中、R1、Y、Z、X、R2およびR3は、上記で定義した)の一般的構造を
有する化合物に関する。
【0032】 式Iの化合物は、例えば高い繰り返し効率で自動固相オリゴヌクレオチド合成
をするのに有用である。ある好適な実施態様において、反応性の高い活性化リン
残基および容易に除去可能な保護基が使用される。ある好適な実施態様において
1は、フェニルボロン酸エステルである。いくつかの好適なフェニルボロニッ
ク酸エステル残基には、特に限定されないが、以下の残基がある:
【0033】
【化11】
【0034】 式中、R4とR5は、特に限定されないが、水素、メチルおよびフェニルを含む
官能基である。Qは、特に限定されないが、メチレン基および炭素−炭素単結合
を含む官能基である。本明細書において、Qが炭素−炭素単結合である時、Qの
両端の炭素原子は、直接結合される。
【0035】 R3は、特に限定されないが、水素と活性化リン残基(特に限定されないが、
ホスホラミダイト、H−ホスホネート、メチルホスホネート、ホスホロチオエー
ト、ホスホトリエステル、ヘミスクシネート、固相支持体に共有結合したヘミス
クシネート、シクロヘキシルカルボジイミド、および固相支持体に共有結合した
シクロヘキシルカルボジイミド)を含む官能基である。好ましくはR3は、ホス
ホラミダイトである。
【0036】 Zは、随時アミド基で中断される約1〜約16個の炭素原子を有するスペーサ
ー基である。さらにZは、アミド基で始まりかつ終わることができる。好ましく
はZは、C1−C5アルキレン基またはC1−C5アルキレンアミド基である。
【0037】 ある好適な実施態様において、Xはメチレン基であり、R2はジメトキシトリ
チル基、例えばO−(4,4’−ジメトキシトリチル)である。R3は、好まし
くはホスホラミダイト基、例えばO−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプ
ロピルアミノホスホラミダイト基である。式Iの好適な化合物は、1−O−(4
,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−[(4−ジヒドロキシボリル(ベンゾ
ピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β−アラニル)]セリノール3−O−
(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミノホスホラミダイトである
【0038】 本発明の化合物は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチド合成の
両方で、合成オリゴヌクレオチドの任意の位置に、アリールボロン酸残基(例え
ばフェニルボロン酸またはフェニルジボロン酸残基)を導入するのに有用である
。好適な実施態様において、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの5’
末端または3’末端が修飾される。好適な実施態様において式Iの化合物は、合
成オリゴヌクレオチドの5’末端にフェニルボロン酸またはフェニルジボロン酸
残基を導入するのに使用される。
【0039】 従って、他の実施態様において本発明は、式IIの一般的構造を有する化合物に
関する:
【0040】
【化12】
【0041】 式中、R、Y、Z、X、R6、R7、n、n’、Nu’およびNu''は、上記で
定義した。さらに変数R、YおよびXは、nのあるモノマー値に対して同じかま
たは異なってよい。さらに変数R6とNu’は、n’のあるモノマー値に対して
同じかまたは異なってよい。
【0042】 ある好適な実施態様において式IIのRは、フェニルボロン酸残基である。適当
なフェニルボロン酸残基には、特に限定されないが、以下がある:
【0043】
【化13】
【0044】 いくつかの他の態様において式Iの化合物は、合成オリゴヌクレオチドまたは
ポリヌクレオチドの3’末端にアリールボロン酸(例えば、フェニルボロニック
酸またはフェニルジボロン酸残基)を導入するのに使用される。従って他の実施
態様において本発明は、式IIIの一般的構造を有する化合物に関する:
【0045】
【化14】
【0046】 式中、R、Y、Z、X、R6、R7、n、n’、Nu’およびNu''は、上記で
定義した。さらに変数R、YおよびXは、nのあるモノマー値に対して同じかま
たは異なってよい。さらに変数R6とNu’は、n’のあるモノマー値に対して
同じかまたは異なってよい。式IIIのRは、好ましくはフェニルボロン酸残基で
ある。好適なフェニルボロン酸残基は、式IIについて上記したものである。 III.合成 式Iの種々の化合物の合成に関する詳細は、図1〜7に示し、さらに後述の実
施例1〜3に詳述する。一般的合成方策は以下の通りである。図1〜2または3
〜5において、脂肪族アミノ基を含有する保護1,2−または1,3−ジオール
は、それぞれ保護アリールボロン酸(例えば、フェニルボロン酸)のカルボン酸
誘導体の活性化型(例えば、N−ヒドロキシスクシニミドエステルまたはイミダ
ゾリド)と反応させられる。1,2−または1,3−アミン含有ジオールは、1
−ヒドロキシルで酸不安定性残基(例えば、4,4’−ジメトキシトリチル)で
保護される。フェニルボロン酸は、別の1,2−または1,3−ジオール(例え
ば、1,3−プロパンジオール、ピナコール、またはベンゾピナコール)を使用
して保護されて、環状ジエチルを生成する。生じる生成物を、次に活性化ホスフ
ィン(例えば、2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルアミノクロロホスフィ
ン)と反応させて、オリゴヌクレオチド合成に有用な最終活性化物質を生成する
【0047】 式Iの化合物の調製のための合成中間体として有用なアリールボロン酸(例え
ばフェニルボロン酸)は通常、ハロゲン化アリールからアリールマグネシウムま
たはアリールリチウムを生成し、次にトリアルコキシボレートでトランスメタレ
ーションすることにより、in situで合成される(Todd, M.H.ら、(1997) Tetrah
edron Lett., 38, 6781-6784; Crisofoli, W.A.ら、(1991) Tetrahedron Lett.,
32, 5881-5884; Sharp, M.J.ら、(1987) Tetrahedron Lett., 28, 5093-5096;
およびLarson, R.D.ら、(1994) J. Org. Chem., 59, 6391-6394を参照)。
【0048】 さらに、ハロゲン化アリールとアルコキシジボロン(Ishiyama, T.ら、(1995)
Org. Chem., 60, 7508-7510; Giroux, A.ら、(1997) Tetrahedron Lett., 38,
3841-3844を参照)またはジアルコキシヒドロボラン(Murata, M.ら、J. Org. C
hem. 1997, 62, 6458-6459を参照)から、触媒としてPdCl2(dppf)を
使用して、フェニルボロン酸を生成するために、遷移金属触媒交差結合反応が開
発されている。式Iの化合物の調製のための合成中間体として有用なフェニルボ
ロン酸は、同時係属出願第09/138,105号(1998年8月21日出願
)の主題である。
【0049】 いったん産生されると式Iの化合物は、式IIおよび式IIIの化合物を生成する
ために使用することができ、これらは、当業者に公知の自動固相合成法を使用し
て調製することができる。例えば自動固相オリゴヌクレオチド合成(式Iの化合
物により提供されたような、1つまたはそれ超の非天然の修飾を含有するオリゴ
ヌクレオチドを含む)の化学は、以下の総説論文や参考書に記載されている:Cr
ockett, G.C. (1983) "The Chemical Synthesis of DNA", Aldrichimica Acta 1
6(3), 47-55; Engels, J.W.およびUhlmann, E. (1989) "Gene Synthesis", Ange
w Chem. Int. Ed. Engl. 28, 716-734; Goodchild, J. (1990) "Conjugates of
Oligonucleotides and Modified Oligonucleotides: A Review of Their Synthe
sis and Properties", Bioconjugate Chem. 1(3), 165-187; Oligonucleotide S
ynthesis: A Practical Approach (1984) M.J. Gait編(IRL Press Limited: Oxf
ord, England), 217 pp。
【0050】 固相状態合成では、式Iの化合物を供給するタイミングとその濃度は、市販の
DNA合成機で使用される非修飾の市販のホスホラミダイトに典型的なプロトコ
ールと差は無い。市販の合成機(例えば、モデル394、アプライドバイオシス
テムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティ、カリホルニア州、アメリカ
合衆国)上の余分のホスホラミダイト用に設けられたポート上の容器に、式Iの
化合物を含有する溶液を加えればよいだけである。しかし式Iの特定化合物の結
合効率が他のホスホラミダイトより実質的に低い場合、式Iの化合物の供給のタ
イミングまたはその濃度を変更して合成を最適化することが必要かも知れない。
低い結合効率を補正するためのオリゴヌクレオチド合成プロトコールの最適化手
段は、当業者に公知である。一般的には、供給する試薬の濃度または量を上げて
、高結合効率を達成するだけである。結合効率を測定する手段もまた、公知であ
る。例えばR2がジメトキシトリチル(DMT)の場合、結合効率は、酸工程(
これはDMT基を除去する)中のDMT陽イオン濃度を測定することにより決定
することができる。DMT陽イオン濃度は、通常酸洗浄液を分光光度計でモニタ
ーして測定される。酸/DMT溶液は、明るい橙色である。あるいは、結合が失
敗した場合、キャッピングはオリゴヌクレオチドのさらなる伸長を防止するため
、例えば毛細管電気泳動またはHPLCを使用して、末端切断型と完全長オリゴ
ヌクレオチドの比率を比較することにより、結合効率を推定することができる。
【0051】 固相オリゴヌクレオチド合成は、多くの固層支持体を使用して実施することが
できる。好適な支持体は、合成されたオリゴヌクレオチド中で3’末端塩基とな
る保護されたモノマーが結合するための官能基を提供するものである。この支持
体は、特定の合成化学で使用される試薬に対して不活性でなければならない。適
切な支持体は、当業者に公知である。固層支持体材料には、特に限定されないが
、ポリアクロイルモルホリド、シリカ、制御多孔性ガラス(CPG)、ポリスチ
レン、ポリスチレン/ラテックス、およびカルボキシル修飾テフロンがある。好
適な支持体は、アミノ官能基化制御多孔性ガラスとカルボキシル官能基化テフロ
ンである。
【0052】 固相オリゴヌクレオチド合成は、出発点として、固層支持体に結合した完全に
保護されたモノマー(例えば、保護されたヌクレオチド)を必要とする。この結
合は典型的には、リンカーに共有結合した3’−ヒドロキシル(結合している時
はオキソ)を介し、これは次に、固層支持体に共有結合する。次に最初の合成サ
イクルは、その3’−ホスフェートを介して、縮合反応により結合ヌクレオチド
の5’−ヒドロキシルにヌクレオチドモノマーを結合させ、これは3’−5’ホ
スホジエステル結合を形成する。次の合成サイクルでは、最後に結合したヌクレ
オチドの5’−ヒドロキシルにヌクレオチドモノマーを付加する。こうしてオリ
ゴヌクレオチドが3’から5’方向に合成され、その3’が固層支持体に結合し
た「増殖する」オリゴヌクレオチドが生成される。
【0053】 当業者は、ヌクレオシドモノマーを固層支持体に結合させる無数の手段を知っ
ているが、スクシネートまたはヘミスクシネートを介して制御多孔性ガラスに共
有結合したモノマーが一般的に好ましい。制御多孔性ガラスにヘミスクシネート
を介して結合した従来の保護されたヌクレオチドは、多くの異なる供給源(例え
ば、Glen Research, スターリング、バーモント州、アメリカ合衆国);アプラ
イドバイオシステムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティ、カリホルニ
ア州、アメリカ合衆国;ファルマシアエルケービー(Pharmacia LKB)、 ピスカ
タウェイ、ニュージャージー州、アメリカ合衆国)から市販されている。
【0054】 オリゴヌクレオチドの3’末端に式Iの化合物を配置することは、固層支持体
に結合した式Iの完全にブロックされた化合物を用いて、オリゴヌクレオチド合
成を開始する必要がある。多くの異なる反応性基で官能基化した制御多孔性ガラ
スは、市販されている(例えば、シグマケミカル(Sigma Chemical)、セントル
イス、ミズーリ州、アメリカ合衆国)。結合スキームは、Atkinsonら、第3章、
Gait編、Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, アイアールエル
プレス(IRL Press)、ワシントン・ディー・シー(1984)に記載されてい
る。塩化トリイソプロピルベンゼンスルホニル、イミダゾリド、トリアゾリド、
またはテトラゾリドはまた、縮合剤として使用することができる。ジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)と構造類似体はまた、適当なリンカーである。他
のリンカーと適当な縮合基は、当業者に公知である。
【0055】 完全長オリゴヌクレオチドがいったん合成されると、保護基が除去され(オリ
ゴヌクレオチドが脱保護される)、次にオリゴヌクレオチドは、使用前に固層支
持体から切断される。切断と脱保護は、同時にまたは順に起きても良い。2つの
操作は、互いに割り込んで、一部の基がオリゴヌクレオチドから除去されてから
固層支持体から切断され、他の基は溶液中の切断されたオリゴヌクレオチドから
脱保護されてよい。このイベントの順序は、存在する特定のブロッキング基、固
層支持体への具体的な結合、および合成を行う個人の好みに依存する。脱保護が
切断に先行する場合、保護基は、オリゴヌクレオチドから洗浄除去され、オリゴ
ヌクレオチドは固層支持体に結合して残る。逆に脱保護が切断の後の場合、除去
された保護基はオリゴヌクレオチドとともに溶液中に残るであろう。オリゴヌク
レオチドは、使用前にこれらの保護基から単離する必要がしばしばある。
【0056】 本発明のオリゴヌクレオチドは、短い1本鎖配列に限定されない。当業者は、
オリゴヌクレオチド合成は典型的には、約1,000塩基、好ましくは約100
塩基の上限があり、多くのオリゴヌクレオチドは一緒に結合して、長い配列を生
成することは理解されるであろう。さらに、相補的配列を有するオリゴヌクレオ
チドは、一緒にハイブリダイズされて2本鎖分子を形成する。オリゴヌクレオチ
ドをハイブリダイズまたは連結させてより長い2本鎖分子を形成する方法は、当
業者に公知である(例えば、サムブルーク(Sambrook)ら、モレキュラークロー
ニング、実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Har
bor, ニューヨーク、1985年)。 IV.生物接合体 上記したように式Iのアリールボロン酸は、自動固相合成法を使用して合成オ
リゴヌクレオチド中に取り込み、式IIと式IIIの化合物を生成しやすい。こうし
て生成した修飾オリゴヌクレオチドは、特に限定されないが、巨大分子(例えば
、核酸)の固定化、精製、および検出を含む生物結合反応に有用である。
【0057】 2つまたはそれ超の分子種を化学的または生物学的手段で結合させると、生物
結合が起きる。多くの例において、生物結合は、2つの結合パートナーの間の結
合対を形成する既知の反応に基づく。例えば生物結合反応は、抗原と結合タンパ
ク質(例えば抗体)との間で起きる。生物結合反応には、特に限定されないが、
タンパク質、ペプチド、多糖、ホルモン、核酸、リポソーム、および細胞、また
は他の生物学的分子の、互いの結合または任意の他の分子種との結合があり、こ
れは有用な性質を付与する。本発明の修飾オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレ
オチドは、第1の結合パートナーとして特に有用であり、第2のパートナーとし
ての核酸の固定化、精製、および検出に関して生物結合を生成する。
【0058】 速記法を使用して生物結合を例示するために、第1の結合パートナーは式IIま
たはIIIの化合物であり、これは以下の図で示される:
【0059】
【化15】
【0060】 この図では、「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さが約10〜約10,
000塩基であり、3’末端または5’末端のいずれかに約1〜約10個のアリ
ールボロン酸残基を有する(ここでB’は、HまたはB(OH)2基である)式I
IまたはIIIのオリゴヌクレオチドを示す。
【0061】 この例では、第2の結合パートナーは、そこに接合体が結合した2−ヒドロキ
シベンゾヒドロキサム酸(サリチルヒドロキサム酸)から得られる分子である。
適当な接合体には、特に限定されないが、タンパク質、ペプチド、多糖、ホルモ
ン、核酸、リポソーム、細胞、および蛍光性標識物がある。第2の結合パートナ
ーは、以下で示される:
【0062】
【化16】
【0063】 式IVにおいて、Xは、特に限定されないが、OH、NH2、NHR’、NHO
H、およびNHOR’があり、R’は特に限定されないが、CH3、CH2CH3
、CH2CN、CH2COOH、CH2CONH2、およびCH2OCH3を含む基で
ある。Yは特に限定されないが、O、SおよびNHを含む基であり、好ましくは
Oである。
【0064】 式IVの化合物およびその調製法は、米国特許第5,594,111号、5,5
94,151号、5,623,055号、5,648,470号、5,668,
257号、5,668,258号、5,677,431号、5,688,928
号、5,744,627号、ならびに同時係属出願:米国特許出願第08/48
8,193号(1995年6月7日);米国特許出願第08/577,068号
(1995年6月22日出願);米国特許出願第08/689,341号(19
97年8月7日出願);米国特許出願第08/956,195号(1997年1
0月22日出願);および米国特許出願第08/956,204号(1997年
10月22日出願)に開示されている。
【0065】 本発明のある実施態様において、第1の結合パートナーとしての式IIまたは式
IIIのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、第2の結合パートナーと
しての式IVの接合体との生物結合は、以下の式Vの生物接合体を生成する:
【0066】
【化17】
【0067】 式中、X2は、OH、NH2、NHR’、NOH、およびNOR’であり、R’
は上記で定義したものである。
【0068】 第1の結合パートナーとしての式IIまたはIIIの化合物と第2の結合パートナ
ーとしての式VIの化合物を使用する生物接合体を作成することもできる。
【0069】
【化18】
【0070】 式VIの化合物とその調製は、米国特許第5,777,148号と5,837,
878号、ならびに同時係属出願:米国特許出願第08/956,194号(1
997年10月22日出願);米国特許出願第08/956,196号(199
7年10月22日出願)(これらは参照することにより本明細書に組み込まれる
)に開示されている。こうして生成した生物接合体は、以下の式VIIで示される
【0071】
【化19】
【0072】 式VIとVIIの生物接合体は、緩衝化水溶液または有機溶液中で調製される。生
物接合体は、数分以内に約4℃〜約70℃の温度範囲で生成される。あるpHの
水溶液中の生物接合体の安定性は、基X2とYにより大きな影響を受ける。例え
ば、式VIの生物接合体(ここでXはNOHであり、YはOである)は、pHが4
.5より大きく12.5未満の水溶液中で安定である。しかし式VIIの生物接合
体(ここでXはNOHであり、YはOである)は、ほぼpHが2.5より大きく
12.5未満の水溶液中で安定である。従って、低pHの緩衝化水溶液中で作業
する時は、式VIIの生物接合体が好ましい。
【0073】 各結合パートナー間の生物結合反応(ボロン酸複合体形成)は、イオン強度の
大きな変化、有機溶媒の存在、界面活性剤の存在、カオトロピック剤(タンパク
質変性剤)の存在に対して非感受性であり、これらは先行技術の間接的標識系に
適合せず、生物学的巨大分子の構造は、必要な結合性を保存するように維持しな
ければならない。多くの例において、本明細書に記載の系により、生物接合体の
形成を支配する制約は、生物活性分子種の活性(未変性のコンフォメーション)
を維持するのに必要な条件により付加されるものに限定される。
【0074】 本発明を具体例により詳細に説明する。以下の例は例示目的であり、決して本
発明を限定するものではない。当業者は、同じ結果を得るために種々の重要では
ないパラメータを変化させ修飾することができることを、容易に理解するであろ
う。 V.実施例 実施例1 本例は、1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒ
ドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)]アミノ−1
,3−オクタンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピ
ルアミノホスホラミダイトの調製を例示する。
【0075】
【化20】
【0076】 A.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸の合成 4−カルボキシフェニルボロン酸(10.0g、60.2mmol)を熱無水1,
4−ジオキサン(150ml)に溶解し、少量の活性炭で処理し、まだ熱いうちに
0.5μmガラスフィルターでろ過した。ろ液を加熱還流し、ベンゾピナコール
(22.1g、60.3mmol)を加えた。溶液を1時間還流し、室温まで冷却し
た。次にロータリーエバポレーターで溶媒を除去して白色の固体を得て、これを
−20℃で酢酸エチル/ヘキサンから一晩結晶化した。固体をろ過し、真空下で
乾燥して23.3g(収率78%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hと13
C核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび高速液体クロマトグラフィーで確認し
た。
【0077】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 13.23(ブロードシングレット、1H, CO2H)
、8.19(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 8.13 (ダブレット、2H, ArH), 7.1
0 (マルチプレット、20H, ArH [ベンゾピナコール])。13C NMR (75 MHz, DMSO-
d6);δ 167.4, 141.9, 135.4, 129.2, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.3。
【0078】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.9±0.1分。 B.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸NHS
エステルの合成 4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸(17.
4g、35.0mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100ml)中に溶解した。
N−ヒドロキシスクシニミド(4.0g、34.8mmol)を加え、次に1,3−
ジシクロヘキシルカルボジイミド(7.2g、34.6mmol)を加えた。反応物
を室温で一晩攪拌し、この間1,3−ジシクロヘキシル尿素の白色の沈殿物が生
成した。固体をろ過して除去し、少量のテトラヒドロフランで洗浄した。一緒に
したろ液を、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固してオフホワイトの固体を得
た。この固体をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、溶液をろ過し、ヘキ
サン(300ml)を加えた。−20℃で一晩結晶化させた。固体をろ過し、真空
下で乾燥して18.4g(収率89%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
および13C NMRで確認した。
【0079】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.31(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 8
.25 (ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 7.15 (マルチプレット、20H, ArH [ベ
ンゾピナコール]), 2.91 (シングレット、4H, CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO
-d6);δ 170.4, 161.9, 141.7, 136.0, 129.7, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 9
6.5, 25.5。 C.8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−3−オキソオクタン酸
メチルの合成 6−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]安息香酸(25.0g、9
4.0mmol)と2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(13
.6g、94.0mmol)を無水ジクロロメタン(500ml)に溶解した。トリエ
チルアミン(35ml、255mmol)を加え、反応混合物を乾燥窒素下で室温で攪
拌した。ジエチルシアノホスホネート(15.4ml、94.0mmol)を加えると
、溶液は急速に黄色になる。一晩攪拌後、溶液を注意深く1M塩酸(200ml、
2回)、水(200ml、3回)、および塩化ナトリウム飽和水溶液(200ml、
1回)で洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ロータリー
エバポレーターで濃縮して、粘性の橙色のシロップを得た。この物質を無水メタ
ノール(500ml)に溶解し、乾燥窒素下で4時間還流した。溶液を冷却し、ロ
ータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル:ヘキサン(1:
1、v/v、50ml)に溶解し、10mlのアリコートを分取用HPLC(Waters Pr
epLC 2000システム)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラ
ムで精製した。流速は50ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した:50
:50(v/v)酢酸エチル:ヘキサンで22分、次に100%酢酸エチルで18
分、次に100%メタノールで20分。溶出液を、270nmの吸収でモニターし
た;生成物は最初の大きなピークに溶出する。生成物の画分をプールし、ロータ
リーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な淡黄色のシロップを得て、これは4
℃に保存すると固化して、27.7g(収率92%)の生成物を与える。生成物
の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0080】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.33 (マルチプレット、5H, ArH), 7.23 (ト
リプレット、 1H, NH), 5.00 (シングレット、2H, ArCH2O), 3.60 (シングレ
ット、3H, OCH3), 3.58 (シングレット、2H, [C=O]CH2[C=O]), 2.97 (カルテ
ット、2H, NHCH2CH2), 2.49 (トリプレット、2H, CH2CH2[C=O]), 1.40
(マルチプレット、4H, NHCH2CH2およびCH2CH2[C=O]), 1.20 (マルチプ
レット、2H, CH2CH2CH2). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ203.6, 168.0,
156.3, 137.5, 128.4, 127.8, 65.2, 51.7, 48.5, 42.1, 40.1, 29.2, 25.6, 2
2.5。HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.
1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配
、15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター
):保持時間=13.0±0.1分。 C.8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−1,3−オクタンジオ
ールの合成 8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−3−オキソオクタン酸メ
チル(26.0g、80.9mmol)を無水テトラヒドロフラン(125ml)に溶
解した。この溶液を、乾燥窒素下で無水テトラヒドロフラン(250ml)中の水
素化ホウ素リチウム(6.1g、279.8mmol)の冷却(氷浴)溶液にゆっく
り滴下して加えた。添加が完了後、反応混合物を室温まで暖め、一晩攪拌した。
次に混合物を氷浴で冷却し、1Mの塩酸(300ml)を静かに滴下して加えた。
添加が完了後そして発泡が停止後、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し
て、ほとんどのテトラヒドロフランを除去した。残渣(水+生成物)にクロロホ
ルム(250ml)を加え、混合物をよく振盪し、層を分離した。水層を追加のク
ロロホルム(250ml)で抽出した。クロロホルム抽出物を塩化ナトリウム飽和
水溶液(100ml、1回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。
ろ液を蒸発乾固して、粘性の清澄な無色のシロップを得た。このシロップをメタ
ノール(100ml、5回)で同時蒸発させ、残渣をエチルエーテルとヘキサンか
ら−20℃で一晩結晶化した。白色の固体をろ過し、真空下で乾燥して23.5
g(収率98%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRな
らびにHPLCで確認した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.33 (マルチプレ
ット、5H, ArH), 7.22 (トリプレット、1H, NH), 5.00 (シングレット、2H, Ar
CH2O), 4.33 (トリプレット、1H, CH2OH), 4.29 (ダブレット、1H, CHOH
), 3.50 (マルチプレット、3H, CH[OH]CH2CH2OH), 2.98 (トリプレットのダ
ブレット、2H, NHCH2CH2), 1.52-1.23 (マルチプレット、10H, NHCH2CH 2 CH2CH2CH2CH[OH]CH2CH2OH). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ156.4,
137.6, 128.5, 127.9, 67.4, 65.2, 58.4, 40.4, 40.2, 37.5, 29.5, 26.4, 25
.0。HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.
1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配
、15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター
):保持時間=11.0±0.1分。 D.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−(ベンジルオキシカ
ルボニル)アミノ−1,3−オクタンジオールの合成 メチル8−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−1,3−オクタン
ジオール(8.3g、28.0mmol)を無水ピリジン(50ml、1回)で同時蒸
発させた。得られたシロップを無水ピリジン(50ml)に溶解し、塩化4,4’
−ジメトキシトリチル(10.0g、29.5mmol)を加えた。橙色の溶液を水
分の無いところで室温で一晩攪拌した。次にメタノール(10ml)を加え、溶液
を室温でさらに1時間攪拌した。t−ブチルメチルエーテル(200ml)を加え
、混合物をよく攪拌し、懸濁液を−20℃で2時間放置した。混合物をろ過し、
固体をt−ブチルメチルエーテル(100ml)で洗浄し、一緒にしたろ液をロー
タリーエバポレーターで濃縮して粘性の黄色のシロップを得た。シロップを酢酸
エチル(20ml)とヘキサン(20ml)+トリエチルアミン(1ml)に溶解し、
この溶液の5mlのアリコートを、分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム
)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製した。流
速は50ml/分の39:60:1(v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルア
ミンであった。溶出液を、280nmの吸収でモニターした。生成物の画分をプー
ルし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な淡黄色のシロップを得
た。このシロップを真空下で水酸化カリウムペレット上で乾燥して12.9g(
収率77%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならび
にHPLCで確認した。1H NMR (300 MHz, アセトニトリル-d3):δ7.45-7.27 (
マルチプレット、14H, ArH [DMT, Cbz]), 7.22 (トリプレット、1H, NH), 6.86
(ダブレット、4H, ArH [DMT]), 5.62 (ブロードシングレット、1H, CHOH), 5
.04 (シングレット、2H, ArCH2O), 3.75 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.
63 (ダブレット、1H, CHOH), 3.20-3.00 (マルチプレット、4H, NHCH2CH2 およびCH2CH2O-DMT), 1.72-1.23 (マルチプレット、10H, NHCH2CH2CH 2 -CH2CH2CH[OH]-CH2CH2O-DMT)。13C NMR (75 MHz, クロロホルム-d):
δ 158.9, 156.8, 145.1, 137.0, 136.3, 130.3, 128.8, 128.3, 128.2, 127.1,
113.5, 87.0, 71.5, 66.7, 62.7, 55.4, 41.2, 37.4, 36.9, 30.1, 26.8, 25.3
。 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=17.2±0.1分。 E.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−アミノ−1,3−オクタ
ンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−(ベンジルオキシカル
ボニル)アミノ−1,3−オクタンジオール(12.9g、21.6mmol)をメ
タノール(250ml)に溶解した。この溶液を1リットルのParr水素化容器に入
れ、容器に窒素を5分間パージした。酢酸エチル(20ml)でスラリーにしたパ
ラジウム担持活性炭触媒(1.0g、10%Pd/C)を加え、溶液をParrシェ
ーカーに固定した。容器を再度窒素でパージし、排気して、35psiの圧力で水
素を導入した。容器を室温で6時間攪拌し、次に真空にし、窒素を充填し、シェ
ーカーから取り出した。内容物を0.5μmのガラスファイバーでろ過し、ろ液
をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロップを得た。シ
ロップをさらに水酸化カリウムで真空下で乾燥して、10.1g(収率100%
)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLC
で確認した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ7.38-7.16 (マルチプレット、9H,
ArH), 6.86 (ダブレット、4H, ArH), 3.71 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.
63 (マルチプレット、4H, CHOHとCH2NH2), 3.04 (トリプレット、2H, NH2 CH2CH2), 2.53 (トリプレット、2H, CH2CH2O-DMT), 1.61-1.17 (マルチ
プレット、10H, NH2CH2CH2-CH2CH2CH2CH[OH]CH2CH2O-DMT)。13 C NMR (75 MHz, クロロホルム-d6):δ 158.2, 145.6, 136.4, 128.9, 129.1, 1
27.9, 126.7, 113.2, 85.4, 67.3, 60.7, 55.0, 41.1, 37.5, 32.3, 26.5, 25.1
。 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=12.7±0.1分。 F.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル]アミノ−1,3−オク
タンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−アミノ−1,3−オクタン
ジオール(10.0g、21.6mmol)を無水テトラヒドロフラン(100ml)
に溶解し、4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸
N−ヒドロキシスクシニミドエステル(12.8g、21.6mmol)を加えた。
清澄な溶液を、室温で乾燥窒素下で一晩攪拌した。次に反応混合物をロータリー
エバポレーターで濃縮して粘性のシロップとした。残渣を、トリエチルアミン(
10ml)を含有する酢酸エチル(100ml)に溶解し、溶液を4℃で数時間冷却
した。冷混合物をろ過して、一部の沈殿固体を除去し、ろ液をロータリーエバポ
レーターで濃縮して粘性のシロップとした。残渣を酢酸エチル(25ml)とトリ
エチルアミン(1ml)を含有するヘキサン(25ml)に溶解し、この溶液の5ml
のアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム)によりPorasil
シリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製した。流速は50ml/分の
39:60:1(v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルアミンであった。
溶出液を、280nmの吸収でモニターした。生成物の画分をプールし、ロータリ
ーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な淡褐色のシロップをを得た。このシロ
ップをさらに、水酸化カリウムペレットで真空下で乾燥して14.9g(収率7
3%)の淡い茶色のガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13
NMRならびに勾配および定組成HPLCで確認した。1H NMR (300 MHz, DMSO
-d6):δ8.61 (トリプレット、1H, NH), 8.14 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 8
.00 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.39-7.09 (マルチプレット、30H, ArH [DM
T, ベンゾピナコール]), 6.86 (ダブレット、4H, ArH [DMT]), 4.27 (ダブレッ
ト、1H, CHOH), 3.70 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.57 (ブロードシン
グレット、1H, CHOH), 3.29 (トリプレットのダブレット、2H, NHCH2CH2)
, 3.07 (トリプレット、2H, CH2CH2O-DMT), 1.70-1.23 (マルチプレット、1
0H, NHCH2CH2CH2CH2CH2CH-[OH]CH2CH2O-DMT)。13C NMR (75 MHz
, DMSO-d6):δ 166.0, 158.1, 145.4, 141.9, 138.4, 136.3, 135.1, 129.7, 12
8.1, 127.8, 127.5, 127.2, 127.0, 126.5, 113.1, 96.1, 85.3, 67.2, 60.5, 5
5.9, 38.1, 37.4, 29.1, 26.6, 24.9。HPLC(逆相、4.6×100mm C
4カラム、流速1.0ml/分、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.
5)中のアセトニトリルの線形勾配、15分で0〜100%アセトニトリル、2
60nmの吸光度を検出器でモニター):保持時間=19.4±0.1分。HPL
C(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7% 0.1M
酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを使用する
定組成溶離):保持時間=6.2±0.1分。 G.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル]−アミノ−1,3−
オクタンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミ
ノホスホラミダイトの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−[(4−ジヒドロキシ
ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル]−アミノ−1,3−オク
タンジオール(3.5g、3.7mmol)を、無水ジクロロメタン(50ml、塩基
性アルミナでろ過した)に溶解した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2
.6ml、14.9mmol)を加え、溶液を乾燥窒素下で室温で攪拌した。2−シア
ノエチル−N,N−ジイソプロピル−アミノクロロホスフィン(1.2ml、5.
4mmol)を滴下して加え、溶液を1時間攪拌した。次に反応混合物をロータリー
エバポレーターで約20mlに濃縮し、酢酸エチル(150ml、100mlの重炭酸
ナトリウム飽和水溶液であらかじめ洗浄した)を加えた。有機溶媒を重炭酸ナト
リウム水溶液で洗浄(50ml、1回)し、次に塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄
(50ml、1回)し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をロータ
リーエバポレーターで蒸発乾固して、淡黄色のシロップを得た。この物質を、酢
酸エチル(25ml)とトリエチルアミン(1ml)を含有するヘキサン(25ml)
に溶解した。この溶液の5mlのアリコートを分取用HPLCによりPorasilシリ
カ(40mm×100mm;Waters)のカラムで精製した。流速は50ml/分の19
:80:1(v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルアミンであった。溶出
液を、270nmの吸収でモニターした:生成物は大きなピーク中であった。生成
物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色の
ガラス様泡状物を得て、これをさらに無水炭酸カリウムで真空下で乾燥して2.
7g(収率78%)の生成物を得た。生成物の純度を、1HとHPLCで確認し
た。1H NMR (300 MHz, アセトニトリル−d3):δ 8.14 (ダブレット、2H, ArH
[PBA]), 7.89 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.43-7.08 (マルチプレット、31
H, ArH [DMT, ベンゾピナコール] およびNH), 6.86-6.82(2つのダブレット、
4H, ArH [DMT]), 3.95 (マルチプレット、1H, CHO-P), 3.74-3.734 (2つのシ
ングレット、6H, Ar-OCH3)、3.50 (マルチプレット、4H, OCH2CH2CNとNC
H(CH3)2)、3.34 (マルチプレット、2H, NHCH2CH2), 3.12 (マルチプレッ
ト、2H, CH2CH2O-DMT), 2.58-2.46 (トリプレットのダブレット、2H, OCH 2 CH2CN), 1.80-1.30 (マルチプレット、10H, NHCH2CH2CH2CH2CH2CH
[OH]CH2CH2O-DMT), 1.12-1.01 (ダブレットの2つのダブレット、12H, NCH(
CH3)2)。1H NMRスペクトルは、部分的に分離したジアステレオ異性体の
存在のために複雑であったことに注意されたい。HPLC(逆相、4.6×10
0mm C4カラム、流速1.0ml/分、7% 0.1M酢酸トリエチルアンモニ
ウム(pH6.5):93%アセトニトリルを使用する定組成溶離):保持時間
=11.7と12.8±0.1分(ジアステレオ異性体)。 実施例2 本例は、1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−[(4−ジヒ
ドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニ
ル)]アミノ−1,2−プロパンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,
N−ジイソプロピルアミノホスホラミダイトの調製を例示する。
【0081】
【化21】
【0082】 A.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸の合成 図4と5に関して、4−カルボキシフェニルボロン酸(10.0g、60.2
mmol)を熱無水1,4−ジオキサン(150ml)に溶解し、少量の活性炭で処理
し、まだ熱いうちに0.5μmガラスフィルターでろ過した。ろ液を加熱還流し
、ベンゾピナコール(22.1g、60.3mmol)を加えた。溶液を1時間還流
し、室温まで冷却した。次に溶媒を、ロータリーエバポレーターで除去して、白
色の固体を得て、これを−20℃でエチルエーテル/ヘキサンから一晩結晶化し
た。固体をろ過し、真空下で乾燥して23.3g(収率78%)の生成物を得た
。生成物の純度を、1Hと13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0083】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 13.23(ブロードシングレット、1H, CO2H)
、8.19(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 8.13 (ダブレット、2H, ArH), 7.1
0 (マルチプレット、20H, ArH [ベンゾピナコール])。13C NMR (75 MHz, DMSO-
d6);δ 167.4, 141.9, 135.4, 129.2, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.3。
【0084】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.9±0.1分。 B.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸NHS
エステルの合成 4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸(17.
4g、35.0mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100ml)中に溶解した。
N−ヒドロキシスクシニミド(4.0g、34.8mmol)を加え、次に1,3−
ジシクロヘキシルカルボジイミド(7.2g、34.6mmol)を加えた。反応物
を室温で一晩攪拌し、この間1,3−ジシクロヘキシル尿素の白色の沈殿物が生
成した。固体をろ過して除去し、少量のテトラヒドロフランで洗浄した。一緒に
したろ液を、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固してオフホワイトの固体を得
た。この固体をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、溶液をろ過し、ヘキ
サン(300ml)を加えた。−20℃で一晩結晶化させた。固体をろ過し、真空
下で乾燥して18.4g(収率89%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
および13C NMRで確認した。
【0085】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.31(ダブレット、ArH [安息香酸]), 8.25
(ダブレット、2H, ArH [安息香酸]), 7.15 (マルチプレット、20H, ArH [ベンゾ
ピナコール]), 2.91 (シングレット、4H, CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6)
;δ 170.4, 161.9, 141.7, 136.0, 129.7, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.5,
25.5。 C.3−(N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プ
ロパンジオールの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニンN−ヒドロキシスクシニミドエ
ステル(16.0g、50.0mmol)を50mlの2−プロパノールに溶解(静か
に加熱しながら)し、3−アミノ−1,2−プロパンジオール(4.6g、50
.4mmol)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌した。白色の沈殿物が生成した。
次にロータリーエバポレーターで溶媒を除去して、白色の固体を得て、これを水
(200ml)に溶解した。陰イオン交換樹脂(AG1−X8[OH-型]、50
g湿重量;バイオラッド(Bio-Rad))を加え、スラリーを1時間攪拌した。樹
脂をろ過して除去し、水(100ml、1回)とメタノール(100ml、2回)で
洗浄した。一緒にしたろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して白色の固
体を得た。この固体をトルエン(100ml、1回)と同時蒸発させ、次に真空下
で充分乾燥して14.1g(収率96%)の生成物を得た。生成物の純度を、1
Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0086】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.85(トリプレット、1H, NH [アミノプロ
パンジオール), 7.37-7.26 (マルチプレット、5H, ArH), 7.21 (トリプレット、
1H, NH [β−アラニン]), 4.99 (シングレット、2H, ArCH2O), 4.64 (ブロー
ドシングレット、2H, OH), 3.48 (ペンテット、1H, CH2CH[OH]CH2OH), 3.2
7 (ダブレットのダブレット, 2H, CH2CH[OH]CH2OH), 3.18 (カルテット、2H
, NHCH2CH2), 3.08 (マルチプレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O
H), 2.28 (トリプレット、2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6);δ
171.0, 156.3, 137.4, 128.5, 127.9, 70.5, 65.3, 63.8, 42.2, 37.2, 35.7。
【0087】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=9.4±0.1分。 D.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(N−ベンジルオキシカ
ルボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プロパンジオールの合成 3−(N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プロ
パンジオール(5.0g、16.9mmol)を、無水ピリジン(50ml)に溶解し
、塩化4,4’−ジメトキシトリチル(5.7g、16.9mmol)を加えた。黄
色の溶液を、乾燥窒素下で室温で一晩攪拌した。次にメタノール(10ml)を加
え、溶液をさらに1時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで<40℃
の浴温度で除去して、粘性の黄色のシロップを得た。シロップを酢酸エチル(2
00ml)と5%(w/v)炭酸ナトリウム水溶液(100ml)とで分配した。層を
分離し、酢酸エチル層を塩化ナトリウム飽和水溶液(150ml、1回)で洗浄し
た。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ロータリーエバ
ポレーターで濃縮して黄色のガムを得た。ガムを、酢酸エチル:トリエチルアミ
ン(1ml)を含有するヘキサン(1:1 v/v、30ml)で溶解し、ろ過し、この
溶液の5mlのアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム)によ
りPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製した。流速は5
0ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した:74:25:1(v/v/v)酢酸
エチル:ヘキサン:トリエチルアミンで10分溶出して、いくつかの小さな混入
物質を溶出しし、次に94:5:1(v/v/v)酢酸エチル:メタノール:トリエ
チルアミンで20分溶出して、所望の生成物を溶出した。溶出液を、270nmの
吸収でモニターした。生成物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸
発乾固して、清澄な淡黄色のシロップを得た。シロップを真空下で水酸化カリウ
ムペレットでさらに乾燥して、5.4g(収率54%)のパリパリのガラス様泡
状物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認
した。
【0088】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.80 (トリプレット、1H, NH[アミノプロパ
ンジオール]), 7.41-7.18 (マルチプレット、15H, ArH [DMT, Cbz]およびNH[β
−アラニン]), 6.88 (ダブレット、4H, ArH [DMT]), 5.00 (シングレット、2H,
ArCH2O), 4.97 (ダブレット、1H, CH[OH]), 3.72 (シングレット、6H, ArOCH3),
3.68 (マルチプレット、1H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.19 (カルテット、2H, NHC
H2CH2), 3.14 (マルチプレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.85 (
マルチプレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.24 (トリプレット、2H, NHCH2CH2 )。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 170.5, 158.1, 156.0, 145.0, 137.2, 135.9
, 129.7, 128.2, 127.8, 127.6, 127.5, 126.5, 113.1, 85.2, 68.7, 65.7, 65.
1, 54.9, 42.6, 37.1, 35.5。
【0089】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=15.3±0.1分。 E.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(β−アラニル)アミノ
−1,2−プロパンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(N−ベンジルオキシカル
ボニル−β−アラニル)アミノ−1,2−プロパンジオール(5.4g、9.0
mmol)を無水メタノール(150ml)に溶解した。この溶液を1リットルのParr
水素化容器に入れ、容器に窒素を5分間パージした。酢酸エチル(20ml)でス
ラリーにしたパラジウム担持活性炭触媒(1.0g、10%Pd/C)を加え、
溶液をParrシェーカーに固定した。容器を再度窒素でパージし、排気して、35
psiの圧力で水素を導入した。容器を室温で6時間攪拌し、次に真空にし、窒素
を充填し、シェーカーから取り出した。内容物を0.5μmのガラスファイバー
でろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロ
ップを得た。シロップをさらに水酸化カリウムペレットで真空下で乾燥して、4
.0g(収率96%)のパリパリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1
Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0090】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.86 (トリプレット、1H, NH[アミノプロパ
ンジオール]), 7.40-7.18 (マルチプレット、9H, ArH), 6.87 (ダブレット、4H
, ArH), 3.72 (シングレット、6H, ArOCH3), 3.68 (マルチプレット、1H, C
2CH[OH]CH2O-DMT), 3.21 (マルチプレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]
CH2O-DMT), 3.10 (ブロードシングレット、3H, NH2およびOH), 2.90 (マル
チプレット、CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.68 (トリプレット、2H, NH2CH2
2), 2.24 (トリプレット、2H, NH2CH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6 ): δ 171.7, 158.1, 145.1, 136.0, 129.7, 127.8, 127.7, 126.5, 113.1, 85.
2, 68.7, 65.7, 54.9, 42.5, 38.7, 38.1。
【0091】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=11.9±0.1分。 F.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)]
アミノ−1,2−プロパンジオールの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(β−アラニル)アミノ−
1,2−プロパンジオール(4.0g、8.6mmol)を無水ジクロロメタン(1
00ml)に乾燥窒素下で溶解した。4−ジヒドロキシボリル−(ベンゾピナコー
ル環状エステル)安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(8.5g、
14.4mmol)を加えると、溶液は淡黄色になった。反応混合物を室温で6時間
攪拌し、次に重炭酸ナトリウム飽和水溶液(100ml、1回)次に塩化ナトリウ
ム飽和水溶液(100ml、1回)で洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して黄色のシロップを得
た。シロップを、トリエチルアミン(1ml)を含有する酢酸エチル(25ml)に
溶解し、この溶液の5mlのアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000シ
ステム)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカラムで精製し
た。流速は50ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した:99:1(v/v/v
)酢酸エチル:トリエチルアミンで10分溶出して、いくつかの小さい混入物質
を溶出し、次に79:20:1(v/v/v)酢酸エチル:メタノール:トリエチル
アミンで20分溶出して所望の生成物を溶出した。溶出液を、270nmの吸収で
モニターした。生成物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固
して、清澄な淡黄色のシロップを得た。シロップを真空下で水酸化カリウムペレ
ットでさらに乾燥して、3.9g(収率48%)のパリパリのガラス様の泡状物
を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびに勾配および定組成H
PLCで確認した。
【0092】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.64 (トリプレット、1H, NH [β−アラニ
ン]), 8.11 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.97 (ダブレット、2H, ArH [PBA]
), 7.86 (トリプレット、1H, NH[アミノプロパンジオール]), 7.41-7.08 (マル
チプレット、30H, ArH [DMT, ベンゾピナコール]), 6.86 (ダブレット、4H, ArH
[DMT]), 4.97 (ダブレット、1H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.72 (シングレッ
ト、6H, ArOCH3), 3.70 (マルチプレット、1H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.
46 (カルテット、2H, NHCH2CH2), 3.16 (マルチプレットのダブレット、2H,
CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.89 (マルチプレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT
), 2.38 (トリプレット、2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ
170.8, 166.2, 158.3, 145.2, 142.0, 138.3, 136.1, 135.1, 129.9, 128.2, 12
8.0, 127.8, 127.5, 127.3, 127.1, 126.7, 113.3, 96.3, 85.4, 68.9, 65.9, 5
5.1, 42.9, 36.3, 35.3。
【0093】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=18.7±0.1分。
【0094】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=2.5±0.1分。 G.1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−[(4−ジヒドロキ
シボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)]
アミノ−1,2−プロパンジオール2−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジ
イソプロピルアミノホスホラミダイトの合成 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−[(4−ジヒドロキシ
ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)]ア
ミノ−1,2−プロパンジオール(3.9g、4.1mmol)を、無水ジクロロメ
タン(100ml、塩基性アルミナでろ過した)に溶解した。N,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン(3.6ml、20.7mmol)を加え、溶液を乾燥窒素下で室温
で攪拌した。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルアミノクロロホスフィ
ン(1.1ml、5.0mmol)を滴下して加え、溶液を1時間攪拌した。次に反応
混合物をジクロロメタン(100ml)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(
50ml、1回)、次に塩化ナトリウム飽和水溶液(50ml、1回)で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで蒸
発乾固して、淡黄色のガラス様泡状物を得た。この物質を酢酸エチル(15ml)
とトリエチルアミン(1ml)を含有するヘキサン(10ml)に溶解した。この溶
液の5mlのアリコートを分取用HPLC(Waters PrepLC 2000システム)により
Porasilシリカ(40mm×100mm;Waters)のカラムで精製した。流速は50m
l/分とした。以下のステップ勾配を使用した:50:49:1(v/v/v)酢酸エ
チル:ヘキサン:トリエチルアミンで10分溶出して、次に99:1 酢酸エチ
ル:トリエチルアミンで5分溶出し、次に49:50:1の酢酸エチル:メタノ
ール:トリエチルアミンで5分溶出した。溶出液を、270nmの吸収でモニター
した;生成物は99:1(v/v)酢酸エチル:トリエチルアミンで溶出する。生
成物の画分をプールし、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色
のシロップを得た。シロップを真空下で水酸化カリウムペレットでさらに乾燥し
て、3.6g(収率76%)のパリパリのガラス様の泡状物を得た。生成物の純
度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCで確認した。
【0095】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.65 (トリプレットのダブレット、1H, NH
[β−アラニン]), 8.15 (ダブレット、2H, ArH [PBA]), 7.99 (ダブレット、2H
, ArH [PBA]), 7.84 (トリプレットのダブレット、1H, NH[アミノプロパンジオ
ール]), 7.43-7.10 (マルチプレット、30H, ArH [DMT, ベンゾピナコール]), 6.
87 (ダブレットのダブレット、4H, ArH [DMT]), 4.06 (マルチプレット、1H,
CH), 3.71 (シングレット、6H, Ar-OCH3), 3.80-3.35 (マルチプレット、8H,
OCH2CH2CN, NCH(CH3)2, CHCH2OおよびNHCH2CH2), 3.18 (マルチ
プレットのダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 3.03 (マルチプレットの
ダブレット、2H, CH2CH[OH]CH2O-DMT), 2.69 (トリプレットのダブレット、
2H, OCH2CH2CN), 2.40 (マルチプレット、2H, NHCH2CH2), 1.02 (ダブ
レットのダブレット、12H, NCH(CH3)2)。1H NMRスペクトルは、部分的に
分離したジアステレオ異性体の存在のために複雑であったことに注意されたい。 31 P NMR (121 MHz, DMSO-d6):δ 149.1, 148.4 (ジアステレオ異性体)。
【0096】 HPLC(逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=4.1と4.8±0.1分(ジアステレオ異
性体)。 実施例3 本例は、1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [(4−ジヒ
ドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニ
ル)]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミ
ノホスホラミダイトの合成を例示する。
【0097】
【化22】
【0098】 A.4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸の合成 図6と7を参照して、4−カルボキシフェニルボロン酸(10.0g、60.
2mmol)を熱無水1,4−ジオキサン(150ml)に溶解し、少量の活性炭で処
理して、熱いうちに0.5μmガラスファイバーフィルターでろ過した。ろ液を
加熱還流して、ベンゾピナコール(22.1g、60.3mmol)を加えた。この
溶液を1時間還流し、次に室温まで冷却した。次に溶媒をロータリーエバポレー
ターで除去して白色の固体を得て、これをエチルエーテル/ヘキサンから−20
℃で一晩結晶化した。固体をろ過して、真空下で乾燥して、23.3g(収率7
8%)の生成物を得た。この生成物の純度を、1H NMRおよびHPLCによ
り確認した。
【0099】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 13.23 (ブロードシングレット, 1H, CO2H), 8
.19 (ダブレット, 2H, ArH [安息香酸]), 8.13 (ダブレット, 2H, ArH), 7.10 (
マルチプレット, 2OH, ArH [ベンゾピナコール])。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):
δ 167.4, 141.9, 135.4, 129.2, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.3。
【0100】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.9±0.1分。 B.4−ジヒドロキシボリル (ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸NHS
エステルの合成 4−ジヒドロキシボリル (ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸 (17.
4g、35.0mmol)を無水テトラヒドロフラン (100ml)に溶解した。N−
ヒドロキシスクシニミド (4.0g、34.8mmol)を加え、続いて1,3−ジ
シクロヘキシルカルボジイミド (7.2g、34.6mmol)を加えた。反応物を
一晩室温で撹拌すると、1,3−ジシクロヘキシル尿素の白色の沈殿物が生成し
た。この固体をろ過して除去し、少量のテトラヒドロフランで洗浄した。一緒に
したろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、オフホワイト色の固体を
得た。固体をテトラヒドロフラン (100ml)に溶解し、この溶液をろ過し、ヘ
キサン (300ml)を加えた。−20℃で一晩結晶化させた。固体をろ過して、
真空下で乾燥して、18.4g (収率89%)の生成物を得た。生成物の純度を
1Hおよび13C NMRにより確認した。
【0101】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.31 (ダブレット, 2H, ArH [安息香酸]), 8.
25 (ダブレット, 2H, ArH [安息香酸]), 7.15 (マルチプレット, 2OH, ArH [ベ
ンゾピナコール]), 2.91 (シングレット, 4H, CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6 ):δ 170.4, 161.9, 141.7, 136.0, 129.7, 128.2, 127.6, 127.4, 126.2, 96.5
, 25.5。 C.n−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニルセリンメチルエステルの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニンN−ヒドロキシスクシニミドエ
ステル (14.1g、44.0mmol;バッケム (Bachem))を100mlの無水N
,N−ジメチルホルムアミドに溶解して、セリンメチルエステル塩酸塩 (5.2
g、43.6mmol)を加えた。混合物を室温で撹拌し、N,N−ジイソプロピル
エチルアミン (10ml、57.4mmol)を加えた。反応物を一晩撹拌した。次に
溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、清澄な無色のシロップを得た。こ
の物質を酢酸エチル (250ml)と水 (250ml)とに分配した。層を分離し、
酢酸エチル層を、順に重硫酸カリウム半飽和水溶液 (200ml、1回)、重炭酸
ナトリウム飽和水溶液 (200ml、2回)および塩化ナトリウム飽和水溶液 (2
00ml、1回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
ろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、清澄な無色のシロップを
得た。このシロップを真空で十分に乾燥して、10.4g (収率74%)の無定
形の白色の固体を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHP
LCにより確認した。
【0102】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.21 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.33
(マルチプレット, 5H, ArH), 7.18 (トリプレット, 1H, NH [β−アラニン]), 5
.00 (トリプレット, 1H, OH), 4.99 (シングレット, 2H, Ar-CH2O), 4.32 (マル
チプレット, 1H, CH), 3.62 (マルチプレット, 2H, CH2OH), 3.60 (シングレッ
ト, 3H, CH3), 3.18 (カルテット, 2H, NHCH2CH2), 2.33 (トリプレット, 2H, N
HCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 171.0, 170.5, 155.9, 137.2, 128.2
, 127.6, 127.5, 65.1, 61.1, 54.5, 51.5, 36.9, 35.2。
【0103】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=9.9±0.1分。 D.3−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニ
ル−β−アラニルセリンメチルエステルの合成 N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニルセリンメチルエステル (10.
0g、30.8mmol)を無水ピリジン (100ml)に溶解して、塩化4,4’−
ジメトキシトリチル (11.0g、32.5mmol)を加えた。この黄色の溶液を
乾燥窒素下で室温で一晩撹拌した。次にメタノール (10ml)を加えて、この溶
液をさらに1時間撹拌した。溶媒を<40℃の浴温でロータリーエバポレーター
で除去して、粘性の黄色のシロップを得た。このシロップを酢酸エチル (300
ml)と重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (150ml)とに分配した。層を分離して、
酢酸エチル層を順に重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (150ml、1回)および塩化
ナトリウム飽和水溶液 (150ml、1回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫
酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、ロータリーエバポレーターで濃縮して、黄
色のシロップを得た。このシロップを酢酸エチル (100ml)に溶解して室温で
撹拌した。ヘキサン (200ml)をゆっくり滴下して加えると、ほぼ白色の固体
が沈殿した。固体を−20℃で一晩回収し、ろ過し、酢酸エチルとヘキサンとの
混合物 (1:1、v/v) (100ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、17.0g
(収率88%)の生成物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならび
にHPLCにより確認した。
【0104】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.51 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.39-
7.21 (マルチプレット, 15H, ArH [DMT, Cbz]およびNH [β−アラニン]), 6.90
(ダブレット, 4H, ArH [DMT]), 5.02 (シングレット, 2H, Ar-CH2O), 4.60 (マ
ルチプレット, 1H, CH), 3.73 (シングレット, 6H, Ar-OCH3), 3.64 (シングレ
ット, 3H, CO2CH3), 3.23 (マルチプレット, 4H, NHCH2CH2およびCHCH2O), 2.43
(トリプレット, 2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 171.0, 170.7
, 158.4, 156.2, 144.8, 137.3, 135.5, 135.4, 129.9, 128.5, 127.9, 127.8,
126.9, 113.2, 85.5, 65.3, 63.0, 55.0, 52.3, 51.9, 37.0, 35.2。
【0105】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=15.9±0.1分。 E.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニ
ル−β−アラニルセリノールの合成 3−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニル
−β−アラニルセリンメチルエステル (10.0g、16.0mmol)を無水テト
ラヒドロフラン (100ml)に溶解した。この溶液を乾燥窒素下で、無水テトラ
ヒドロフラン (100ml)中の水素化ホウ素リチウム (1.0g、45.9mmol
)の撹拌溶液に滴下して加えた。この清澄な無色の溶液を室温で乾燥窒素下で6
時間撹拌した。次に水 (50ml)を加えて、混合物をさらに4時間撹拌した。テ
トラヒドロフラン (200ml)を加えると、白色の固体が沈殿した。混合物をろ
過し、固体を少量のテトラヒドロフランで洗浄して、ろ液をロータリーエバポレ
ーターで約50mlに濃縮した。酢酸エチル (250ml)を加えて、層を分離した
。酢酸エチル溶液を、順に重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (100ml、1回)およ
び塩化ナトリウム飽和水溶液 (100ml、1回)で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥して、ろ過した。ろ液からロータリーエバポレーターで溶媒を留去して
、清澄なシロップを得て、これをさらに真空で水酸化カリウムペレットで乾燥し
て、9.3g (収率97%)のパリパリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度
を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCにより確認した。
【0106】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.80 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.40-
7.19 (マルチプレット, 15H, ArH [DMT, Cbz]およびNH [β−アラニン]), 6.88
(ダブレット, 4H, ArH [DMT]), 5.00 (シングレット, 2H, Ar-CH2O), 4.63 (ト
リプレット, 1H, CH2OH), 4.01 (マルチプレット, 1H, CH), 3.72 (シングレッ
ト, 6H, Ar-OCH3), 3.45 (トリプレット, 2H, CHCH2OH), 3.20 (カルテット, 2H
, NHCH2CH2), 2.98 (マルチプレットのダブレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.32 (ト
リプレット, 2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 170.2, 158.2, 15
6.2, 145.3, 137.3, 136.0, 129.9, 129.1, 128.5, 127.9, 127.6, 126.7, 113.
2, 85.2, 65.2, 62.6, 60.8, 55.0, 50.9, 37.2, 35.8。
【0107】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=14.8±0.1分。 F.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−β−アラニルセリノールの合
成 1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンジルオキシカルボニル
−β−アラニルセリノール (9.3g、15.5mmol)を無水メタノール (20
0ml)に溶解した。この溶液を1リットルのParr水素化容器に入れて、この溶液
を窒素で5分間パージした。酢酸エチル (20ml)でスラリー化したパラジウム
担持活性炭触媒 (1.0g、10% Pd/C)を加えて、この容器をParrのシ
ェーカーに装着した。容器を再度窒素でパージし、排気して、水素を35psiの
圧力まで導入した。容器を室温で6時間振盪し、次に排気し、窒素を充填してシ
ェーカーから取りだした。内容物を0.5μmガラスファイバーフィルターでろ
過して、ろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロッ
プを得た。このシロップをさらに真空で水酸化カリウムペレットで乾燥して、7
.1g (収率93%)のパリパリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1
Hおよび13C NMRならびにHPLCにより確認した。
【0108】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 7.87 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.38-
7.20 (マルチプレット, 9H, ArH), 6.88 (ダブレット, 4H, ArH), 3.97 (マルチ
プレット, 1H, CH), 3.72 (シングレット, 6H, Ar-OCH3), 3.45 (ダブレット, 2
H, CHCH2OH), 3.26 (ブロードシングレット, 3H, NH2およびOH), 2.95 (マルチ
プレットのダブレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.73 (トリプレットのダブレット, 2
H, NH2CH2CH2), 2.19 (トリプレット, 2H, NHCH2CH2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-
d6):δ 171.3, 158.3, 145.4, 136.1, 130.0, 128.0, 127.9, 126.7, 113.3, 85
.3, 62.7, 60.9, 55.0, 51.0, 37.8, 37.7。
【0109】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=11.0±0.1分。 G.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [ (4−ジヒドロキ
シボリル− (ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)
]セリノールの合成 1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−β−アラニルセリノール (7.
1g、14.4mmol)を無水テトラヒドロフラン (100ml)に乾燥窒素下で溶
解した。トリエチルアミン (2.0ml、14.4mmol)を加え、続いて4−ジヒ
ドロキシボリル (ベンゾピナコール環状エステル)安息香酸N−ヒドロキシ−ス
クシンイミドエステル (8.5g、14.4mmol)を加えた。反応混合物を室温
で24時間撹拌し、ろ過して、ろ液をロータリーエバポレーターで粘性のシロッ
プ状になるまで濃縮した。このシロップを酢酸エチル (250ml)に溶解して、
溶液を、順に重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (200ml、2回)、次いで塩化ナト
リウム飽和水溶液 (200ml、1回)で洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウム
で乾燥し、ろ過して、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、黄色のシロ
ップを得た。シロップを、トリエチルアミン (1ml)を含有する酢酸エチル (6
0ml)に溶解して、この溶液の10mlのアリコートを分取用HPLC(Waters P
repLC 2000システム)によりPorasilシリカ(47mm×300mm;Waters)のカ
ラムにより精製した。流速は50ml/分とした。以下のステップ勾配を使用した
:66:33:1 (v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリエチルアミンで10分
間いくつかの少数混入物質を溶出し、次に98:1:1 (v/v/v)酢酸エチル:
メタノール:トリエチルアミンで20分間所望の生成物を溶出した。溶出液は、
270nmの吸光度によりモニターした。生成物画分をプールして、ロータリーエ
バポレーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロップを得た。このシロップをさ
らに真空で水酸化カリウムペレットで乾燥して、7.1g (収率93%)のパリ
パリのガラス様泡状物を得た。生成物の純度を、1Hおよび13C NMRにより
、さらには勾配および定組成HPLCで確認した。
【0110】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.64 (トリプレット, 1H, NH [β−アラニン]
), 8.09 (ダブレット, 2H, ArH [PBA]), 7.95 (ダブレット, 2H, ArH [PBA]), 7
.83 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.38-7.09 (マルチプレット, 3OH, Ar [D
MT, ベンゾピナコール]), 6.85 (ダブレット, 4H, ArH [DMT]), 4.68 (トリプレ
ット, 1H, CHCH2OH), 4.05 (マルチプレット, 1H, CH), 3.70 (シングレット, 6
H, Ar-OCH3), 3.49 (ダブレット, 4H, CHCH2OHおよびNHCH2CH2), 2.98 (マルチ
プレットのダブレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.46 (トリプレット, 2H, NHCH2CH2)
13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 166.3, 158.2, 145.3, 142.0, 141.9, 138.1,
136.0, 135.2, 129.9, 128.2, 127.9, 127.6, 127.4, 127.1, 126.7, 113.2, 9
6.3, 85.2, 62.6, 60.9, 55.1, 50.9, 36.3, 35.4。
【0111】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、0.1
M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5)中のアセトニトリルの線形勾配、
15分で0〜100%アセトニトリル、260nmの吸光度を検出器でモニター)
:保持時間=18.6±0.1分。
【0112】 HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=2.4±0.1分。 H.1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [ (4−ジヒドロキ
シボリル− (ベンゾピナコール環状エステル)−ベンゾイル)−β−アラニル)
]セリノール3−O− (2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルアミノホ
スホラミダイトの合成 1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N− [ (4−ジヒドロキシ
ボリル (ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β−アラニル)]セリ
ノール (7.2g、7.6mmol)を無水ジクロロメタン (250ml、塩基性アル
ミナでろ過)に溶解した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン (5.5ml、3
1.6mmol)を加えて、溶液を乾燥窒素下で室温で撹拌した。2−シアノエチル
−N,N−ジイソプロピル−アミノクロロホスフィン (2.5ml、10.5mmol
)を滴下して加え、溶液を1時間撹拌した。次に反応混合物をロータリーエバポ
レーターで約50mlまで濃縮し、酢酸エチル (300ml、100mlの重炭酸ナト
リウム飽和水溶液で前もって洗浄した)を加えた。この有機溶液を重炭酸ナトリ
ウム飽和水溶液 (100ml、1回)および次に塩化ナトリウム飽和水溶液 (10
0ml、1回)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をロー
タリーエバポレーターで蒸発乾固して、淡黄色のガラス様泡状物を得た。この物
質を酢酸エチル (25ml)およびトリエチルアミン (1ml)を含むヘキサン (1
5ml)に溶解した。この溶液の5mlアリコートを分取用HPLC(Waters PrepL
C 2000システム)によりPorasilシリカ(40mm×100mm;Waters)のカラム
により精製した。流速は50ml/分とした。以下の多相線形勾配を使用した:5
0:49:1 (v/v/v)〜79:20:1 (v/v/v)酢酸エチル:ヘキサン:トリ
エチルアミンで10分間、99:1 (v/v)酢酸エチル:トリエチルアミンで5
分間、79:20:1酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミンで2分間、そ
してこの組成で3分間保持。溶出液は、260nmの吸光度でモニターした;生成
物は最初の大きなピークで溶出した。生成物画分をプールし、ロータリーエバポ
レーターで蒸発乾固して、清澄な無色のシロップを得た。このシロップを酢酸エ
チル (30ml)+トリエチルアミン (2ml)に溶解して、この溶液を、急速撹拌
氷冷ヘキサン (300ml)に滴下して加えることによって、白色の沈殿物が生成
した。沈殿物を−20℃で一晩回収し、ろ過し、冷ヘキサンで十分に洗浄し、真
空下で無水炭酸カリウムで乾燥して、7.9g (収率91%)の生成物を得た。
生成物の純度を、1Hおよび13C NMRならびにHPLCにより確認した。
【0113】 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.64 (トリプレットのダブレット, 1H, NH [
β−アラニン]), 8.11 (ダブレット, 2H, ArH [PBA]), 7.97 (ダブレット, 2H,
ArH [PBA]), 7.95 (ダブレット, 1H, NH [セリン]), 7.38-7.09 (マルチプレッ
ト, 3OH, Ar [DMT, ベンゾピナコール]), 6.85 (ダブレット, 4H, ArH [DMT]),
4.22 (マルチプレット, 1H, CH), 3.70 (シングレット, 6H, Ar-OCH3), 3.70-3.
40 (マルチプレット, 8H, OCH2CH2CN, NCH (CH3)2, CHCH2OPおよびNHCH2CH2), 3
.02 (マルチプレット, 2H, CHCH2O-DMT), 2.68 (トリプレットのダブレット, 2H
, OCH2CH2CN), 2.48 (マルチプレット, 2H, NHCH2CH2), 1.02 (ダブレットのダ
ブレット, 12H, NCH (CH3)2)。13C NMR (75 MHz, DMSO-d6):δ 170.5, 166.2, 1
58.3, 145.2, 142.1, 142.0, 138.1, 135.9, 135.2, 129.9, 128.2, 127.9, 127
.6, 127.4, 127.1, 126.8, 119.0, 113.3, 96.3, 85.4, 62.3 (ブロード), 58.5
, 58.4, 58.3, 58.2, 42.6, 42.4, 36.3, 35.4, 31.0, 24.4, 24.3, 22.1, 19.9
, 19.8。 31P NMR (121 MHz, DMSO-d6):δ 147.4, 147.1 (ジアステレオマー異
性体). HPLC (逆相、4.6×100mm C4カラム、流速1.0ml/分、7%
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH6.5):93%アセトニトリルを
使用する定組成溶離):保持時間=4.4±0.1分。 実施例4 本例は、ボロン酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドの自動固相合成を例示
する。
【0114】 オリゴデオキシリボヌクレオチドPX001 (配列:5'-CGC CAG GGT TTT CCC
AGT CAC GAC-3')を、標準的自動ホスホラミダイト化学 (モデル394自動D
NA合成機、パーキンエルマー/アプライドバイオシステムズ (Perkin Elmer/A
pplied Biosystems) [フォスターシティー、カリホルニア州]製、および添付
されるウルトラファスト (UltraFast)DNA合成試薬、グレン・リサーチ (Gle
n Research) [スターリング、バージニア州]製)をトリチルON (Trityl ON
)モードで用いて1μmolスケールで合成した。完成したオリゴデオキシリボヌ
クレオチドは、支持体に保持した。適切な量の所望のフェニルボロン酸 (PBA
)含有ホスホラミダイトを、無水アセトニトリル (1−O− (4,4’−ジメト
キシトリチル)−8−N− [4−ジヒドロキシボリル− (ベンゾピナコール環状
エステル)ベンゾイル)]アミノ−1,3−オクタンジオール3−O− (2−シ
アノエチル)−N,N−ジイソプロピル−アミノホスホラミダイトおよび1−O
− (4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N− [ (4−ジヒドロキシボリル (
ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β−アラニル)]アミノ−1,
2−プロパンジオール3−O− (2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル
−アミノホスホラミダイト)、または75:25 (v/v)無水アセトニトリル:
無水テトラヒドロフラン (1−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N
− [ (4−ジヒドロキシボリル− (ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル
)−β−アラニル)]セリノール3−O− (2−シアノエチル)−N,N−ジイ
ソプロピルアミノホスホラミダイト)のいずれかに溶解して、0.1Mの最終濃
度を得た。この溶液をDNA合成機に、特別のホスホラミダイトの瓶の位置の1
つに入れた。次に1つ以上のPBA残基をオリゴデオキシリボヌクレオチドの5
’末端に、結合反応の「待ち時間」を15分に延長した、標準的結合サイクルの
変法を用いて付加した。再び、合成は、トリチルONモードで行った。オリゴデ
オキシリボヌクレオチドへのPBAアミジトの付加の結合収率は、各サイクルの
回収トリチル溶液およびこれに続く分析HPLCから>95%であると推定され
た。
【0115】 完成したトリチル化PBA修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドは、次に製造
業者のプロトコールにしたがって、装置上の濃水酸化アンモニウムにより支持体
から切断した。ヌクレオ塩基上の保護基とボロン酸は、加熱ブロック中の水酸化
アンモニウム溶液を60℃で1時間加熱することにより、同時に除去した。次に
この溶液を冷蔵庫で4℃に冷却して、スピードバック (SpeedVac)真空濃縮器 (
サヴァント・インスツルメンツ (Savant Instruments) [ファーミングデール (
Farmingdale)、ニューヨーク州])で約1mlまで濃縮した。粗PBA修飾オリ
ゴデオキシリボヌクレオチドを含む溶液を4℃で貯蔵して、後に高速液体クロマ
トグラフィーにより精製できた。 実施例5 本実施例は、ボロン酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドの精製を例示する
【0116】 粗トリチル化ボロン酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドを、合成オリゴデ
オキシリボヌクレオチドを精製するのに一般的に利用される方法の変法を用いて
、逆相HPLCにより精製した。しかしトリチル化未修飾オリゴデオキシリボヌ
クレオチドおよび標識オリゴデオキシリボヌクレオチドを精製するために一般に
使用されるC18およびC8相は、トリチル化ボロン酸修飾オリゴデオキシリボ
ヌクレオチドには不十分にしか機能しなかった。所望の生成物に関連するピーク
は、非常にブロードであり、テーリングがひどく、不純物からの分離が不十分で
あった。C4相がよく機能し、満足な結果を与えることが見い出された。
【0117】 粗トリチル化ボロン酸修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドの上記溶液のアリ
コート (10〜100μl)を、ヒューレット・パッカード・シリーズ (Hewlett
Packard Series)1050液体クロマトグラフィーに結合した4.6mm×15
0mm C4カラム (イナートシル (Inertsil)5μm、メタケム・テクノロジー
ズ (MetaChem Technologies) [トーランス、カリホルニア州])に注入した。
0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH6.5 (成分A)中のアセトニトリ
ル (成分B)の二相性線形勾配を使用して、クロマトグラムを展開した。勾配は
以下のとおりとした:95:5 (v/v)A:B〜65:35 (v/v)A:Bを21
分間で、次に10:90 (v/v)A:Bを3分間で。流速は1.0ml/分とし、2
80nmのUV検出を用いて分離を観測した。生成物のオリゴデオキシリボヌクレ
オチドは、18〜22分でカラムから溶出したが、PBA残基の数が多いほど対
応して保持時間が長い。生成物を回収して、スピードバックで蒸発乾固して、油
状ペレットを得た。このペレットを1mlの80:20 (v/v)氷酢酸:水に溶解
して、室温で1時間放置することによりトリチル基を除去した。再び溶液をスピ
ードバックで蒸発乾固して、油状ペレットを得た。ペレットを0.5mlの水に溶
解して凍結保存した。10μlのアリコートを、上記カラムおよび勾配を用いて
HPLCにより分析した。この手順により得られたボロン酸修飾オリゴデオキシ
リボヌクレオチドの純度は、一般に>90%であった (下記図8を参照)。
【0118】 本明細書に言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、参照することに
より、全ての目的のためにその全体を本明細書の一部とした。本発明は、好まし
い実施態様およびその実施例を参照して説明したが、本発明の範囲は、これらの
記述される実施態様だけに限定されるものではない。当業者には明らかであるよ
うに、添付される請求の範囲により定義および限局される本発明の精神と範囲か
ら逸脱することなく、上述の発明には修飾および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−(β
−アラニル)アミノ−1,2−プロパンジオールを調製するための合成法を要約
する。
【図2】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3−N−
[(4−ジヒドロキシ−ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)
−β−アラニル]アミノ−1,2−プロパンジオール3−O−(2−シアノエチ
ル)−N,N−ジイソプロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法
を要約する。
【図3】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−β−アラ
ニルセリノールを調製するための合成法を要約する。
【図4】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−
[(4−ジヒドロキシ−ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)
−β−アラニル]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプ
ロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法を要約する。
【図5】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−
[(3,5−ビス−ジ−ヒドロキシボリル(ピナコール環状エステル)ベンゾイ
ル)−β−アラニル]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイ
ソ−プロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法を要約する。
【図6】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−アミ
ノ−1,3−オクタン−ジオールを調製するための合成法を要約する。
【図7】 本発明の化合物である1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−8−N−
[(4−ジヒドロキシ−ボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル]
アミノ−1,3−オクタンジオール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジ
イソ−プロピルアミノホスホラミダイトを調製するための合成法を要約する。
【図8】 5’末端に1、2、3および4つのアリールボロン酸残基を有する、自動合成
により調製される4つのボロン酸修飾オリゴヌクレオチドの高速液体クロマトグ
ラフィー精製を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ストロウィッツ,マーク エル. アメリカ合衆国,ワシントン 98072,ウ ッディンビル,トゥーハンドレッドセブン ティーンス プレイス ノースイースト 13818 Fターム(参考) 4C057 GG10 4H048 AA01 AB80 AB81 VA20 VA30 VA45 VA77 4H050 AB81

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 (式中、 R1は、アリールボロニック酸エステル残基であり; Yは、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは
    1〜5の整数である)よりなる群から選択されるメンバーであり; Zは、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキ
    レンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドよりなる群から
    選択されるメンバーであり; Xは、メチレン基および炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバー
    であり; R2は、水素、トリチル、モノメトキシトリチルおよびジメトキシトリチルよ
    りなる群から選択されるメンバーであり; R3は、水素および活性化リン残基よりなる群から選択されるメンバーである
    ) の化合物。
  2. 【請求項2】 R1は、フェニルボロニック酸エステル残基である、請求項
    1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 前記フェニルボロニック酸エステル残基は、 【化2】 (式中、 R4とR5は、水素、メチルおよびフェニルよりなる群から独立に選択されるメ
    ンバーであり; Qは、メチレン基および炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバー
    である) よりなる群から選択されるメンバーである請求項2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 Yは炭素−炭素単結合である、請求項1に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 YはO(CH2mであり、mは1である、請求項1に記載の
    化合物。
  6. 【請求項6】 YはS(CH2mであり、mは1である、請求項1に記載の
    化合物。
  7. 【請求項7】 ZはC1−C5アルキレンである、請求項1に記載の化合物。
  8. 【請求項8】 ZはC1−C2アルキレンアミドである、請求項1に記載の化
    合物。
  9. 【請求項9】 Xはメチレン基である、請求項1に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 Xは炭素−炭素単結合である、請求項1に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 R2はジメトキシトリチルであり、 R3はホスホラミダイトである、請求項3に記載の化合物。
  12. 【請求項12】 Qはメチレン基である、請求項3に記載の化合物。
  13. 【請求項13】 ホスホラミダイトは、β−シアノエチル−N−ジイソプロ
    ピルアミノホスホラミダイトである、請求項11に記載の化合物。
  14. 【請求項14】 1−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2−N−[
    (4−ジヒドロキシボリル(ベンゾピナコール環状エステル)ベンゾイル)−β
    −アラニル)]セリノール3−O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロ
    ピルアミノホスホラミダイトである、請求項13に記載の化合物。
  15. 【請求項15】 式: 【化3】 (式中、 Rは、アリールボロニック酸残基であり; Yは、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは
    1〜5の整数である)よりなる群から選択されるメンバーであり; Zは、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキ
    レンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドよりなる群から
    選択されるメンバーであり; Xは、メチレン基および炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバー
    であり; R6は、水素およびヒドロキシルよりなる群から選択されるメンバーであり; R7は、ヒドロキシルおよびモノリン酸エステルよりなる群から選択されるメ
    ンバーであり; nは、約0〜約10の整数であり; n’は、約10〜約1000の整数であり;そして Nu’とNu''は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよび
    ヌクレオチド類似体よりなる群から独立に選択されるメンバーであり; ここで、 R、Y、およびXは、nのいずれか所定のモノマー値に対して同じかまたは異
    なってもよく;R6とNu’は、n’のいずれか所定のモノマー値に対して同じ
    かまたは異なってもよい) の化合物。
  16. 【請求項16】 Rはフェニルボロニック酸残基である、請求項15に記載
    の化合物。
  17. 【請求項17】 前記フェニルボロニック酸残基は、 【化4】 よりなる群から選択されるメンバーである、請求項16に記載の化合物。
  18. 【請求項18】 ZはC1−C5アルキレンである、請求項15に記載の化合
    物。
  19. 【請求項19】 ZはC1−C2アルキレンアミドである、請求項15に記載
    の化合物。
  20. 【請求項20】 Xはメチレン基である、請求項15に記載の化合物。
  21. 【請求項21】 R6は水素である、請求項15に記載の化合物。
  22. 【請求項22】 Xは炭素−炭素単結合である、請求項15に記載の化合物
  23. 【請求項23】 n’は約10〜800の整数である、請求項15に記載の
    化合物。
  24. 【請求項24】 n’は約10〜400の整数である、請求項23に記載の
    化合物。
  25. 【請求項25】 n’は約10〜100の整数である、請求項24に記載の
    化合物。
  26. 【請求項26】 式: 【化5】 (式中、 Rは、アリールボロニック酸残基であり; Yは、O(CH2m、S(CH2m、および炭素−炭素単結合(ここで、mは
    1〜5の整数である)よりなる群から選択されるメンバーであり; Zは、1〜16個の炭素原子を有するアルキレン、アルキレンアミド、アルキ
    レンアミドアルキレンおよびアルキレンアミドアルキレンアミドよりなる群から
    選択されるメンバーであり; Xは、メチレンおよび炭素−炭素単結合よりなる群から選択されるメンバーで
    あり; R6は、水素およびヒドロキシルよりなる群から選択されるメンバーであり; R7は、ヒドロキシルおよびモノリン酸エステルよりなる群から選択されるメ
    ンバーであり; nは、約0〜10の整数であり; n’は、約10〜1000の整数であり;そして Nu’とNu''は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよび
    ヌクレオチド類似体よりなる群から独立に選択されるメンバーであり; ここで、 R、Y、XおよびXは、nのいずれか所定のモノマー値に対して同じかまたは
    異なってもよく;R6とNu’は、n’のいずれか所定のモノマー値に対して同
    じかまたは異なってもよい) の化合物。
  27. 【請求項27】 R1はフェニルボロニック酸残基である、請求項26に記
    載の化合物。
  28. 【請求項28】 前記フェニルボロニック酸残基は、 【化6】 よりなる群から選択されるメンバーである、請求項27に記載の化合物。
  29. 【請求項29】 ZはC1−C5アルキレンである、請求項26に記載の化合
    物。
  30. 【請求項30】 ZはC1−C2アルキレンアミドである、請求項26に記載
    の化合物。
  31. 【請求項31】 Xはメチレン基である、請求項26に記載の化合物。
  32. 【請求項32】 R6は水素である、請求項26に記載の化合物。
  33. 【請求項33】 Xは炭素−炭素単結合である、請求項26に記載の化合物
  34. 【請求項34】 n’は約10〜800の整数である、請求項26に記載の
    化合物。
  35. 【請求項35】 n’は約10〜400の整数である、請求項34に記載の
    化合物。
  36. 【請求項36】 n’は約10〜100の整数である、請求項35に記載の
    化合物。
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