JP2002538222A - 医薬品および診断用物質の充実性腫瘍内への取り込みを増大させるための薬剤 - Google Patents

医薬品および診断用物質の充実性腫瘍内への取り込みを増大させるための薬剤

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Abstract

(57)【要約】 ブラジキニンアゴニストなどの薬剤は、最初に宿主動物の血流中に存在する医薬用または診断用物質の、該宿主内に存在しうる非中枢神経系充実性腫瘍の間隙空間への輸送を増大させる。特に有効な薬剤はセレポート(登録商標)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 癌は、今もなお理解、診断および治療するのが最も困難な疾患の1つである。
数十年も徹底的な研究の対象となっているが、該疾患を引き起こす生理学的プロ
セスに対する我々の知見において著しい進展がいくつかあったにもかかわらず、
この疾患あるいはこれらの疾患群の原因および予防は不明のままである。
【0002】 癌またはその充分な治療の理解が欠如する理由の1つは、癌が種々の物理的状
態で現れることである。癌は、広汎性細胞として(例えば、白血病)、または充
実性腫瘍として生じ得る。充実性腫瘍は、様々な解剖学的部位または体内部位に
存在しうる。これらの腫瘍は、通常、体内に見出される器官の内部またはそれに
隣接して存在しうる。
【0003】 充実性腫瘍は、最小の大きさに達すると、速やかに自身の血液供給および脈管
構造(細動脈、毛細血管および細静脈)を獲得する(そうでなければ、身体の正
常な血液供給および脈管構造を用いる)。この腫瘍血管構造は、身体の正常な器
官の脈管構造のものと類似する性質をいくつか有する。しかしながら、充実性腫
瘍の脈管構造はまた、正常な器官のものとは異なる性質も有する。充実性腫瘍で
は血管の分布が一様でない。充実性腫瘍の脈管構造は、脈管構造において曲がり
くねった経路、盲目的な(blind) 末端、および動脈部と静脈部との間に異常なシ
ャントを有する。充実性腫瘍内の血管では、血流が著しく遅滞する。また、充実
性腫瘍の脈管構造内の血液粘度は、正常な組織内の血液のものより高いようであ
る。さらに、充実性腫瘍内の血管壁は、血流内に含まれる分子に対して漏出性で
ありうるか、またはかかる分子に対して完全に不透過性でありうる。しばしば、
漏出性および不透過性は、同じ充実性腫瘍内の同じ血管内で生じ得る。
【0004】 充実性腫瘍の別の特有の特徴は、正常な器官における間隙圧と比べて、高い間
隙圧が存在することである。充実性腫瘍を含む細胞群を囲む空間内に存在する液
流の圧力は、腫瘍の内部空間において正常な組織および器官の内部空間内よりも
ずっと高い。充実性腫瘍の内部空間における高い間隙圧は、血流に存在する分子
の充実性腫瘍の内部空間内への移動を大きく遅滞させる。この遅滞は、主に、血
流から充実性腫瘍の間隙空間への圧力勾配の下方の(down)分子の移動によって
血流から充実性腫瘍の内部空間内へと輸送される分子に特に影響する。充実性腫
瘍内の高い間隙圧のため、かかる移動は、ずっと遅くなるか、または存在しなく
なる。
【0005】 上記の理由により、血流から充実性腫瘍、特に非中枢神経系充実性腫瘍の内部
空間への治療用または診断用分子の送達は容易に起こらない。現時点では、充実
性腫瘍を構成する腫瘍細胞群に治療用または診断用医薬品を送達することは困難
である。同様に、腫瘍細胞群が該医薬品による影響を受けるのに充分長い間、充
分な量のかかる医薬品を腫瘍細胞の近傍に維持することは困難である。主に、こ
れは、充実性腫瘍の腫瘍細胞が脈管外領域、しばしば該腫瘍内の所与の血管から
ある程度離れた領域に存在することによる。
【0006】 血流から充実性腫瘍の内部空間への分子、特に治療用または診断用の医薬用分
子の改良された送達が、これらの充実性腫瘍の診断および治療を向上しうること
は容易にわかる。これは、非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への分子の送達に
ついて特に言えることである。宿主の血流内へのかかる分子の投与、それに続く
充実性腫瘍の内部空間への輸送は、充実性腫瘍の治療および診断における重要な
進歩となろう。この送達手法は、腫瘍から血流へのロスを伴うこれらの分子の充
実性腫瘍塊内への直接の身体的投与よりもずっと侵襲性が低い。
【0007】 発明の概要 本発明は、宿主の血流から宿主内に存在する非中枢神経系充実性腫瘍の内部空
間への分子の輸送を増大させる方法に関する。この方法は、かかる分子の輸送を
増大させる薬剤の有効量の宿主への脈管内共投薬を含む。腫瘍に送達される分子
は、該薬剤と逐次的または同時に共投薬される、内因性分子または外因性分子で
ありうる。
【0008】 本発明の利点は、治療的、予防的または診断的価値のある分子を共投薬しなが
ら該薬剤を脈管内投与することにより、血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部
空間への分子の輸送を増大させる実用的な手段が提供されることである。
【0009】 好ましい薬剤はブラジキニンアゴニストである。特に好ましいブラジキニンア
ゴニストは、アミノ酸またはアミノ酸類似体のコア配列を有するペプチドである
組成物である。コアペプチドにおいて、配列は、N−末端からC−末端に向かっ
て、アルギニン−プロリン−ヒドロキシプロリン−グリシン−チエニルアラニン
−セリン−プロリン−4−Me−チロシンΨ(CH2 NH)アルギニン(配列番
号:1)であり、ここで、CH2 NHは4−Me−チロシンとアルギニンのアミ
ノ酸間の還元されたペプチド結合を表す。ブラジキニンの類似体であるこのペプ
チドは、本明細書において、便宜上、セレポート(登録商標)(CereportTM)と
称する。この配列の立体配座類似体もまた、宿主の血流から非中枢神経系充実性
腫瘍の内部空間への分子の輸送を増大させる性質を有するものであれば、好まし
いブラジキニンアゴニストである。
【0010】 発明の詳細な説明 本発明は、宿主の血流から宿主内に存在する非中枢神経系充実性腫瘍の内部空
間への分子の輸送を増大させる方法に関する。非中枢神経系充実性腫瘍の内部空
間には、細胞群と腫瘍細胞群との間の間隙空間、自身同士の間の間隙空間が含ま
れる。宿主は任意の動物でありうる。宿主の例には、ヒトおよび飼育動物(例え
ば、イヌ、ネコ、ウシまたはウマ)ならびに実験目的が意図される動物(例えば
、マウス、ラット、ウサギ)などの哺乳動物が含まれる。
【0011】 宿主の血流内の分子は宿主に対して外因性でありうる。例えば、それは、腫瘍
に対して治療的または予防的効果を有する医薬用物質でありうる。これらの腫瘍
は、自身の十分な(intimate)血液供給を伴う充実性腫瘍である。かかる腫瘍は
、腫瘍が維持され、成長するのに必要とされる栄養分および他の物質を供給する
血管を有する。宿主の血流内の分子は、本発明の薬剤の有効量の共投薬により、
これらの血管から腫瘍の内部空間へとより容易に輸送され、それにより、腫瘍内
へ医薬用または診断用物質が進入する。腫瘍の内部空間に送達された医薬用物質
、特に化学療法用物質は、腫瘍を、根絶しないにしても、停止、安定化、縮小を
もたらす種々の生理学的プロセスを引き起こす。他の医薬用物質には、腫瘍の内
部空間に送達されると腫瘍の成長を遅滞させる親水性物質が含まれる。本質にお
いて、本発明における、輸送を容易にする薬剤は、腫瘍の間隙空間、それゆえ、
腫瘍細胞群への医薬用および診断用物質の透過性に対する腫瘍の血管の障壁(ba
rrier )を低減する。この透過性の障壁を低減することにより、医薬用および診
断用物質は、該物質の輸送を容易にする薬剤の投与なしの場合よりも高い相対濃
度で、腫瘍間隙空間および腫瘍細胞群に、より容易に到達する。いったん間隙空
間内に入ると、該物質は、腫瘍細胞上の特定の受容体分子と相互作用し、医薬的
効果を生じたり、受動位置(passive location)マーカーとして機能したりしう
る。
【0012】 本発明で使用しうる医薬用物質の種類には、化学療法用物質、サイトカイン、
タキソテール、オリゴヌクレオチド、抗体断片、タンパク質、ペプチド、放射活
性化合物、および充実性腫瘍の治療または予防に使用される他の種類の薬剤が含
まれる。化学療法用物質の例には、アドリアマイシン、メトトレキサート、シク
ロホスファミド、エトポシド、カルボプラチンおよびシスプラチンが含まれる。
【0013】 宿主の血流内の分子は、画像診断用物質または造影物質でありうる。診断用物
質の例には、99−Tcグルコヘプトネート(glucoheptonate)などの放射活性
により標識された物質、68−Gaなどのポジトロン・エミッション・トモグラ
フィー(positron emission tomography)(PET)、またはガドリニウムをド
ープした(doped )キレート形成剤(例えば、Gd−DTPA)などの磁気共鳴
画像法(MRI)手法に用いる物質が含まれる。コンピュータ連動断層撮影(C
T)手法に使用されるヨウ素化化合物もまた使用しうる。
【0014】 宿主の血流への外因性分子の投与経路は、皮下、静脈内もしくは筋肉内への注
射によるか、または消化管、呼吸器系もしくは皮膚などの体組織を介する吸着に
よる非経口的であり得る。該分子が投与される形態(例えば、カプセル、錠剤、
溶液、エマルジョン)は、少なくとも一部は、それが投与される経路に依存する
【0015】 セレポート(登録商標)またはその立体配座類似体を含む、本発明の薬剤はま
た、伝統的な投与経路の1つにより投与されうる。すなわち、本発明の薬剤は、
脈管内注射、皮下注射もしくは筋肉内注射、経口投与、経皮投与もしくは鼻腔内
投与、および吸入経路または徐放経路などの技術により投与されうる。これらの
投与経路は、宿主の血流内への本発明の薬剤の送達のための種々の利用可能なオ
プションを提供する。
【0016】 外因性分子の投与および本発明の薬剤の宿主の血流への投与は、時間的に同時
にまたは逐次的に起こり得る。例えば、治療薬は錠剤の形態で経口投与すること
ができ、一方で、ある程度の時間後に本発明の薬剤の静脈内投与を行いうる。こ
れは、血流を介する非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への該治療剤の輸送を増
大させる薬剤が投与される前に、治療剤が胃腸管から吸収され、血流により取り
込まれる時間を与えるためである。あるいはまた、薬物の脈管内注射の前または
同時に投与すると非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間内への薬物の取り込みが最
大となる場合、本発明の薬剤はかかる投与順序で投与され得る。したがって、本
明細書で使用される「共投薬」という用語は、血流から腫瘍の内部空間への該分
子の輸送を増大させることと、血液から腫瘍の細胞群への外因性分子の最大通過
を許容することの同時効果を生み出すために、本発明の薬剤および外因性分子が
、該薬剤および外因性分子の両方の有意な血中濃度を達成する時間に投与される
ことを意味する。好ましくは、医薬用または診断用薬剤は、本発明の薬剤の投与
中または投与直前に宿主に投与される。これらの特定の投与様式は、通常、医薬
用または診断用薬剤が腫瘍の間隙空間に進入する際における薬剤の有効性を最大
にする。
【0017】 化合物は、内因性リガンドにより誘発されるものと類似する生理学的活性を増
大または誘発するとき、アゴニストと称される。本発明では、作動性(agonisti
c )プロセスは、まず初期の細胞表面受容体媒介性事象を介して機能すると考え
られる。内因性リガンドおよびアゴニストは、本発明では、ブラジキニンおよび
ブラジキニン類似体である。ブラジキニンは、以下の配列:アルギニン−プロリ
ン−プロリン−グリシン−フェニルアラニン−セリン−プロリン−フェニルアラ
ニン−アルギニン(配列番号:2)を有する9個のアミノ酸からなる天然ペプチ
ドである(Lehninger, A.L.,Biochemistry, p.97(1975))。類似体は、親化合物
の構造的誘導体である。ブラジキニンの類似体は、血流から非中枢神経系充実性
腫瘍の内部空間への分子の輸送に対して類似する効果または増強された効果を有
する、上述のブラジキニン構造内のアミノ酸の数および/または配列の誘導体で
ある化合物でありうる。ブラジキニン分子の修飾は、アミノ酸の変更または修飾
、ペプチド結合の修飾、C末端および/またはN−末端伸長物の付加などにより
行いうる。
【0018】 本発明において有用な特定の組成物をセレポート(登録商標)またはその立体
配座類似体と称する。これらの組成物は特に、血流から非中枢神経系充実性腫瘍
の内部空間への目的分子の輸送を増大させる。これらの組成物の投与の結果とし
て起こる血流から腫瘍の内部空間への分子の輸送の増大は、受容体分子、おそら
く、非中枢神経系充実性腫瘍の脈管構造を形成する内皮細胞の表面上に位置する
2 受容体により媒介されると考えられる。これらの受容体と本発明の組成物と
の相互作用は、内皮細胞および/または上皮細胞の輸送性を改変し、それにより
、目的分子などの分子に関して血流から腫瘍の間隙空間内への移動が増大される
ようである。該受容体でのこの相互作用の結果、または細胞の受容体もしくは認
識分子と本発明の薬剤との間に生じる分子の結合もしくは認識の後に生じるいく
つかのまだ未判明の事象の結果、これらの分子はより自在に該間隙空間内に進入
し、維持される。
【0019】 ブラジキニンとして知られる物質は、血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部
空間への目的分子の輸送を増大しうる。この治療の増強は、おそらく、セレポー
ト(登録商標)またはその立体配座類似体の場合と同じメカニズムにより生じる
。すなわち、ブラジキニンは、おそらく、セレポート(登録商標)またはその立
体配座類似体と同じ受容体(B2 )で相互作用し、輸送プロセスの改変を引き起
こし、その結果、ある種の分子がより容易く血流を離れて腫瘍の間質液に進入す
る。この理由のため、セレポート(登録商標)またはその立体配座類似体および
ブラジキニンは、薬理学的アゴニストであるとみなされうる。
【0020】 セレポート(登録商標)およびある特定の立体配座類似体は、ブラジキニンと
同様、アミノ酸の配列を有するペプチドである。このアミノ酸配列は、輸送プロ
セスに関連する分子、例えば受容体分子と相互作用し、血流内に存在するか、も
しくは血流内に到達するように投与された目的分子の腫瘍の内部空間への輸送の
増大をもたらしうるように立体配座を有する。種々のセレポート(登録商標)ま
たは立体配座類似体には、その特異的なアミノ酸配列により適切な立体配座が付
与され、その結果、輸送プロセスに関連する分子と相互作用して、血流から非中
枢神経系充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸送の増大を引き起こす。一次配
列が不適切である場合、ペプチドは適切な立体配座をとらず、それにより被験体
の輸送プロセスにおける増大がもたらされない。
【0021】 セレポート(登録商標)または立体配座類似体が、例えば受容体分子と相互作
用し、血流から充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸送の増大をもたらす適切
な立体配座は、本発明のセレポート(登録商標)または立体配座類似体の配列を
構成するアミノ酸の構造に制限を加える。特定のアミノ酸配列のみがセレポート
(登録商標)またはその立体配座類似体のメンバーとなる;すなわち、それらが
、血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸送の増大をもた
らしうるような適切な立体配座を可能にするための基準を満たす。
【0022】 セレポート(登録商標)または立体配座類似体ならびにブラジキニンのペプチ
ド擬似物もまた、血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への分子の輸送を
増大しうる薬剤として使用しうる。これらのペプチド擬似物は、セレポート(登
録商標)、その立体配座類似体またはブラジキニンのように受容体または認識分
子との相互作用を許容する立体配座を有する。
【0023】 本発明で使用するための具体的かつ好ましい態様は、N−末端からC−末端に
向かって:アルギニン−プロリン−ヒドロキシプロリン−グリシン−チエニルア
ラニン−セリン−プロリン−4−Me−チロシンΨ(CH2 NH)−アルギニン
(配列番号:1)の直鎖状アミノ酸配列を有するペプチドである。このペプチド
を本明細書ではセレポート(登録商標)と称する。セレポート(登録商標)の合
成方法は、米国特許第5, 268, 164号明細書に与えられており、その合成
経路は参照により本明細書に取り込まれる。しかしながら、他の公知の調製方法
を用いてセレポート(登録商標)または立体配座類似体を製造することができる
【0024】 このペプチド、セレポート(登録商標)は、以下の:第5アミノ酸が、フェニ
ルアラニンと類似するが、フェニル基がチエニル基に置き換わったチエニルアラ
ニンである;第8アミノ酸が、4位がメチル基で置換されているチロシンである
;および第8と第9のアミノ酸間のペプチド結合が、還元されたペプチド結合等
配電子体、すなわちCH2 NHで置き換わっている、の様式で従来の直鎖状アミ
ノ酸と異なる。血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸送
の増大をもたらすようにな水溶液中での適切な立体配座が許容されれば、本態様
のペプチドおよびペプチド擬似性類似体もまた本発明の一部である。これらの後
者の組成物は、本態様の「立体配座類似体」と称する。
【0025】 好ましい輸送剤セレポート(登録商標)は、以下の点:第3アミノ酸のヒドロ
キシプロリンがプロリンと置き換わっている;第5アミノ酸のチエニルアラニン
がフェニルアラニンと置き換わっている;第8アミノ酸の4−Me−チロシンが
フェニルアラニンと置き換わっている;および第8と第9のアミノ酸間の還元さ
れたペプチド結合が従来のペプチド結合と置き換わっている、でブラジキニンと
異なる。これらの違いにより、セレポート(登録商標)は、血流から充実性腫瘍
の内部空間への分子の輸送の増大に関し、ブラジキニンの輸送性と比べるとより
効果的となる。血流から充実性腫瘍の内部空間への分子の輸送を増大させるのに
必要とされるセレポート(登録商標)はずっと少なく、所与の投与量のセレポー
ト(登録商標)では、同じ投与量のブラジキニンと比べると、より多くの目的分
子が充実性腫瘍の内部空間へと輸送される。
【0026】 本発明のセレポート(登録商標)または立体配座類似体の特有の特徴は、血流
から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸送の増大をもたらすた
めの適切な立体配座がセレポート(登録商標)または立体配座類似体に許容され
るために重要である。以下の修飾:N−末端アルギニンがグアニジノ側鎖を含有
するアミノ酸類似体と置き換わっている;)第2アミノ酸(プロリン)がヒドロ
キシプロリン、デヒドロプロリン、N−メチルアラニンまたは別のプロリン類似
体と置き換わっている;第3アミノ酸(ヒドロキシプロリン)がプロリン、デヒ
ドロプロリン、別のプロリン類似体、アラニン、サルカシン(sarcasine )また
はN−メチルアラニンと置き換わっている;第5アミノ酸(チエニルアラニン)
が別の芳香族アミノ酸または疎水性脂肪族アミノ酸と置き換わっている;第6ア
ミノ酸(セリン)がグリシン、トレオニン、アラニン、アロトレオニン、アスパ
ラギン、グルタミンまたはそれらの類似体と置き換わっている;第7アミノ酸(
プロリン)がヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、N−メチルアラニンまた
は別のプロリン類似体と置き換わっている;第8アミノ酸(4−Me−チロシン
)が別のO−アルキルチロシンまたは疎水性脂肪族アミノ酸と置き換わっている
;C−末端アルギニンが、グアニジノ側鎖を含有するアミノ酸類似体と置き換わ
っている;および第8アミノ酸(4−Me−チロシン)とC−末端アルギニン(
Ψ(CH2 NH))との間のペプチド擬似性等配電子結合がΨ(CSNH)、Ψ
(NHCO)またはΨ(CH2 S)と置き換わっている、がセレポート(登録商
標)に対してなされうるが、適切な立体配座は維持される。
【0027】 セレポート(登録商標)の立体配座類似体を得るためのこの一般的なスキーム
において、変更は:N−末端またはC−末端のアルギニンがβ−シクロアルギニ
ン、ホモアルギニン、γ−ヒドロキシアルギニン、カナバニン、 2−アミノ−4−グアニド酪酸(guanidobutanoic acid)、シトルリンまたはホモ
シトルリンに;第2または第7アミノ酸(プロリン)がヒドロキシプロリンまた
はデヒドロプロリンに;第3アミノ酸(ヒドロキシプロリン)がプロリンまたは
デヒドロプロリンに;第5アミノ酸(チエニルアラニン)がデヒドロフェニルア
ラニン、フェニルアラニンもしくは別の芳香族類似体に;第6アミノ酸(セリン
)がグリシンまたはトレオニンに;および第8アミノ酸(4−Me−チロシン)
がO−アルキルチロシンに、に限定されることが好ましい。
【0028】 これらの具体的なアミノ酸の指定により、セレポート(登録商標)またはその
立体配座類似体が血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸
送の増大をもたらしうるのに適切な、セレポート(登録商標)またはその立体配
座類似体の立体配座が達成される。これらのアミノ酸の位置および指定は、受容
体または認識分子との所望の相互作用が生じ得るのに適切な、セレポート(登録
商標)またはその立体配座類似体の立体配座が許容されるために重要であると思
われる。
【0029】 本発明の範囲内の別の変形例は、N−末端アルギニンに対する1個以上のアミ
ノ酸または類似体の任意の追加、またはこのアルギニンの第一(primary )アミ
ノ基マスキング(例えば、アセチル化)である。これらの追加のアミノ酸は、典
型的なペプチド結合により互いに、およびN−末端アルギニンに結合し、したが
って追加のアミノ酸をセレポート(登録商標)または立体配座類似体のポリペプ
チドのN−末端領域にする。これらの追加のアミノ酸は、アルギニンまたはリジ
ンであり、あるいは2個の追加のアミノ酸がある場合は、N−末端アミノ酸はメ
チオニンでありうる。単一のアミノ酸が追加され、アルギニンである場合、それ
はアセチルまたは他のマスキング剤(例えば、プロピル、ベンゼンなど)で再度
置換されうるか、またはL−異性体型でありうる。好ましい追加のN−末端アミ
ノ酸群は、アルギニン−、アセチルアルギニン−、リジン−、アルギニン−アル
ギニン−、リジン−リジン、メチオニン−アルギニン−またはメチオニン−リジ
ン−であり、ここで、これらの追加のアミノ酸はDまたはL立体配置のいずれか
である。
【0030】 本発明のセレポート(登録商標)または立体配座類似体のコア配列を構成する
アミノ酸はL−異性体として形成されるべきである。D−異性体は、コア配列の
いくつかの位置(例えば、8位)が置換され得るが、得られるペプチドでは、そ
の分子輸送活性がなお維持される。
【0031】 本発明はまた、血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への目的分子の輸
送を増大させるために宿主動物に投与するのに適する医薬組成物に関する。これ
らの医薬組成物は、当業者に公知の製薬学的に許容され得る担体内に、1種以上
のセレポート(登録商標)または立体配座類似体を含む。該医薬組成物は、しば
しば宿主動物の血管内への注射により投与される。特に、セレポート(登録商標
)または立体配座類似体は、肺内に高濃度で存在することが知られているアンギ
オテンシン変換酵素(ACE)によって著しく分解されないことから、該医薬組
成物は静脈内注射されうる。対照的に、ブラジキニンは、ACEおよび他の酵素
、例えば、アミノペプチダーゼまたはカルボキシペプチダーゼによって著しく分
解される。
【0032】 投与される、ゆえに医薬組成物の単位としてパッケージングされるセレポート
(登録商標)または立体配座類似体の量は、選ばれたセレポート(登録商標)ま
たは立体配座類似体の有効性、腫瘍の種類、宿主集団全体と比較した宿主の大き
さおよび他の個々の違い、ならびに充実性腫瘍の間隙空間内へ輸送される目的分
子に依存する。医薬組成物中のセレポート(登録商標)または立体配座類似体の
実際の量および濃度は、当業者により容易に決定されうる。
【0033】 本発明の医薬組成物はまた、充実性腫瘍の内部空間内へ輸送される目的分子を
含み得る。これらの組成物内には、目的分子と、その充実性腫瘍の内部空間内へ
の進入を促進するセレポート(登録商標)または立体配座類似体との両方が簡便
なパッケージに含まれる。これにより、2種の物質の共投薬が許容され、そのた
め、これらの物質の投与の有効性が最大になる。
【0034】 血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への分子の輸送を増大させるのに
有効な、宿主へのブラジキニンアゴニスト、セレポート(登録商標)または立体
配座類似体の投与量は、該宿主に対する毒性レベルより充分に低い。したがって
、ブラジキニンアゴニスト、セレポート(登録商標)または立体配座類似体の非
毒性用量は、輸送活性を損なうことなく投与されうる。
【0035】 本発明の薬剤の有効量は、血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間、すな
わち充実性腫瘍組織の間隙空間への目的分子の輸送を有意に増大させる量である
。そこで、目的分子は、治療的または予防的効果を発揮するか、あるいは診断的
手法の実施を許容する。該有効量は、個体ベースで決定され、少なくとも一部は
、個体の大きさ、具体的な腫瘍、治療すべき症状の重篤度、得ようとする結果、
具体的な輸送剤、相補的受容体または認識分子に対する所与の輸送剤の親和性結
合における個体差などの考慮に基づく。したがって、該有効量は、かかる要因を
用い、通常の実験手法を使用するだけで当業者により決定されうる。
【0036】 輸送剤に応答した、血流から充実性腫瘍の内部空間への分子の輸送の増大は、
血液から腫瘍への分子の通過量だけでなく、分子の種類にも関係する。該分子の
構造および化学的特性は、その輸送能力に影響する。
【0037】 ブラジキニンアゴニストの製造方法は、メリフィールド(Merrifield)法の固
相ペプチド合成法(Merrifield, R.B., J. Am. Chem. Soc., 86:304(1964);Drap
rau, G. and Regoli, D., Methods in Enzymology, 163:263-272(1988))である
。ブラジキニンアゴニストの固相ペプチド合成法における第1工程は、選択した
ペプチド配列のC−末端保護アミノ酸と固相支持体または樹脂との間の共有結合
の形成である。ペプチド鎖は、N−末端Boc−保護(N−tert−ブトキシ
カルボニル)基がトリフルオロ酢酸(TFA)により除去される脱保護反復サイ
クルにより1残基ずつ構築される。この後、塩として残ったアミノ基のジイソプ
ロピルエチルアミン(DEA)による中和、および該配列における次のアミノ酸
の連結が続く。サイクルは、該配列が完成するまで繰返される。完全な合成後、
ペプチドを樹脂から切り離し、精製する。
【0038】 セレポート(登録商標)の化学合成は、米国特許第5, 268, 164号明細
書に示されており、その関連の教示は参照により本明細書に取り込まれる。
【0039】 本発明を以下の具体的な実施例により、さらに説明する。
【0040】 実施例 I. 14C−カルボプラチンの充実性腫瘍内への取り込み 懸濁した腫瘍細胞を側腹部に皮下移植して、インサイチュで充実性腫瘍を作製
したラット宿主で、一連の研究を行なった。腫瘍への14C−カルボプラチンの取
込みにおけるセレポート(登録商標)の投与効果を評価した。
【0041】被験体および飼育条件 雄Fischerラット(170-220g;Taconic Farms, Germantown, NY)をこれ
らの研究に用いた。食物と水を自由に入手できるポリプロピレンのケージで動物
を対で飼育した。室温22±1℃で12h明:12h暗サイクルおよび相対湿度
レベル50±5%で動物飼育器を維持した。
【0042】腫瘍細胞の維持および移植 MAT B(III )細胞株(ATCC CRL-1666 )、ラット腹水乳腺癌(ascites
mammary adenocarcinoma)を使用して、ラットの移植で辺縁腫瘍を作製した。2
0mM HEPES、1/2X抗体−抗真菌、および10%熱不活性化ウシ胎仔
血清を補充したMcCoy培地5A(GIBCO )を使用して、95%空気/5%C
2 湿潤雰囲気中37℃で、細胞を増殖させ、維持した。
【0043】 移植直前に、MAT B−III 細胞を、密度5×106 /mlで1.2%メチ
ルセルロースに懸濁した。この懸濁液(1×106 細胞)200μlを22Gの
針を使用して各動物の側腹部に皮下注入した。
【0044】血管カニューレ挿入 腫瘍移植の一週間後、ウレタン麻酔下で(1.8g/kg;i.p.)、カニ
ューレ(PE50, Clay Adams, Bectin Dickinson, Sparks, MD)を薬物投与のため
に頸静脈に、および生理学的パラメーターの測定のため両方の大腿動脈に配置し
た。
【0045】薬物投与および生理学的モニタリング 滅菌した0.9%生理食塩水にセレポート(登録商標)(RMP-7, Alkermes, I
nc., Cambridge, MA)と14C−カルボプラチンまたは14C−デキストラン(それ
ぞれ、SA=144μCi/mgおよび1.08μCi/mg)とを溶解して、
全投与期間にわたり0.05ml/minの速度でシリンジポンプを用いて静脈
内に注入した。基準としてヒト臨床プロトコルを使用して、14C−カルボプラチ
ンまたはデキストラン(100μCi/kg)を15分間注入した後、直ちにセ
レポート(登録商標)の10分注入を続けた。実験を通して、体温を適温(37
.0±1.0℃)に維持し、動脈血液ガス、pH、血圧をモニタリングした。生
理学的値が正常範囲を超える動物は、使用しなかった。
【0046】腫瘍切開 薬物投与プロトコルの最後に、ラットを屠殺し、辺縁腫瘍を迅速に取り出した
。1〜2mm厚の切片を腫瘍の中心から切り出した。切片を次いで切開した断片
の中心(腫瘍内部)と外側の縁(腫瘍外部)を含有する2つの等しい部分に分け
た。各腫瘍試料の重さを量り、シンチレーションバイアルに入れ、放射能の測定
としてシンチレーションカウントを用いて放射能の量(nCi/g)を各領域で
コンピューターにより算出した。
【0047】 図1は、セレポート(登録商標)の10分注入までにカルボプラチンのボーラ
スを2分投与した時の、腫瘍内部および腫瘍外部へのカルボプラチン(MW 3
71)の取り込みを示す。
【0048】 セレポート(登録商標)を投与すると、両方の腫瘍部分に対してカルボプラチ
ンが有意に取り込まれる。この結果は、3つのセレポート(登録商標)注入量に
対して明らかであり、セレポート(登録商標)が注入されない時の取り込み結果
と対照的である。
【0049】 図2は、セレポート(登録商標)の5分注入中にカルボプラチンのボーラスを
2分投与した時の、腫瘍内部および腫瘍外部へのカルボプラチンの取り込みを示
す。
【0050】 セレポート(登録商標)を0.75μg/kg、1.0μg/kg、1.75
μg/kgおよび2.5μg/kgで投与すると、両方の腫瘍部分に対してカル
ボプラチンが有意に取り込まれる。対照的に、0.5μg/kgおよび5.0μ
g/kgで5分間のセレポート(登録商標)投与では、特にセレポート(登録商
標)を注入しない場合の結果と比較した時、カルボプラチンは有意に取り込まれ
ない。図2に示した結果は、セレポート(登録商標)注入時間に注目することに
より図1のものと比較されうる。
【0051】 図3は、セレポート(登録商標)の投与前に、カルボプラチンを15分間注入
した時の、腫瘍内部および腫瘍外部へのカルボプラチンの取り込みを示す。
【0052】 セレポート(登録商標)を投与すると、すべての用量で両方の腫瘍部分に対し
てカルボプラチンが有意に取り込まれるが、0.36μg/kgは、おそらく例
外である。この結果は、セレポート(登録商標)を注入しない時の結果と対照的
である。
【0053】 II. 14C−デキストランの充実性腫瘍への取り込み 図4は、セレポート(登録商標)の投与前に、デキストランを15分間注入し
た時の、腫瘍内部および腫瘍外部へのデキストラン(MW 70kDa)の取り
込みを示す。
【0054】 セレポート(登録商標)が投与されると、両方の腫瘍部分に対してデキストラ
ンが有意に取り込まれる。この結果は、3つのセレポート(登録商標)注入量に
対して明らかであり、セレポート(登録商標)が注入されない時の取り込み結果
と対照的である。
【0055】 III. 異なる身体部位に位置する充実性腫瘍における14C−カルボプラチンの取 り込み MAT B−III 細胞(1×106 )を雌Fischerラットの2つの解剖
学的に異なる部位に移植した。腫瘍細胞を後部側腹部の皮下腔、または乳脂肪パ
ッド(mammary fat pad )に正常位に、のいずれかで移植した。7日後、動物は 14 C−カルボプラチン(100μCi/kg)の15分間i.v.注入を受け、
次いで直ちに1.0μg/kgで生理食塩水またはセレポート(登録商標)のど
ちらかの10分注入を続けた。生理食塩水またはセレポート(登録商標)注入に
続き、腫瘍を迅速に取り出し、内部および外部領域に切り裂いた。各腫瘍領域の
放射能量を、シンチレーションカウントにより測定した。
【0056】 図5は、側腹部または乳パッドのどちらかに位置する移植された腫瘍へのカル
ボプラチンの取り込みを示す。セレポート(登録商標)を注入すると、どちらの
部位に位置する腫瘍によってもカルボプラチンが有意に取り込まれる。これらの
結果は、充実性腫瘍の解剖学的位置は、腫瘍へのカルボプラチンの取り込みの増
加におけるセレポート(登録商標)の効果を変えないことを示す。
【0057】 IV. 肝臓内に存在する充実性腫瘍における14C−カルボプラチンの取り込み MAT B−III 細胞(1×106 )を雄Fischerラットの肝臓に25
Gの針および1mlツベルクリンシリンジを使用して直接移植した。14日後、
動物は14C−カルボプラチン(100μCi/kg)の15分間i.v.注入を
受け、次いで直ちに1.0μg/kgで生理食塩水またはセレポート(登録商標
)のどちらかの10分注入を続けた。生理食塩水またはセレポート(登録商標)
注入に続き、肝臓を迅速に取り出した。腫瘍を、肝臓周辺組織を除いて切開し、
内部および外部領域に分割した。腫瘍を直に囲む肝臓の1mm細片(内側リング
(inner ring))および隣接した肝臓の1mm細片(外側リング(outer ring)
)もまた取り出して、アッセイした。さらに未処理葉から等量の肝臓の細片を取
り出して、アッセイした。この肝臓細片を対照として用いた。
【0058】 図6は、移植された腫瘍および隣接した肝臓細片ならびに(a well as )対照
の肝臓細片へのカルボプラチンの取り込みを示す。セレポート(登録商標)を注
入した時、カルボプラチンは腫瘍により有意に取り込まれる。対照的に、セレポ
ート(登録商標)は、腫瘍に隣接する肝臓組織へのカルボプラチンの取り込みに
おいても、肝臓の対照細片へのカルボプラチンの取り込みにおいても有意な効果
を持たない。結果は、特に隣接した非腫瘍組織における取り込みと比較して、セ
レポート(登録商標)は、腫瘍組織へのカルボプラチンの取り込みを主に引き起
こすことを示す。
【0059】 V. 充実性腫瘍および種々の器官における14C−カルボプラチンの取り込み 図7は、1μg/kgでセレポート(登録商標)を動物に投与した時の、移植
された腫瘍および種々の器官へのカルボプラチンの取り込みを示す。セレポート
(登録商標)の5分注入中にカルボプラチンを2分ボーラスとして投与した。
【0060】 セレポート(登録商標)を投与した時、心臓、肺および肝臓はいくらかのカル
ボプラチンの取り込みを示すが、腫瘍組織における取り込みは、これらの他の記
載の組織への取り込みをはるかに上回る。セレポート(登録商標)は、腫瘍組織
へのカルボプラチンの取り込みを選択的に生じることが結論づけられうる。
【0061】 VI. 充実性腫瘍および肺での14C−カルボプラチンの保持 図8は、セレポート(登録商標)投与後のカルボプラチンの取り込み後の、移
植された腫瘍および肺でのカルボプラチンの保持を示す。セレポート(登録商標
)の5分注入中にカルボプラチンを2分投与した。
【0062】 カルボプラチンは、腫瘍組織に少なくとも90分間保持される。対照的に、カ
ルボプラチンは、最初の取り込み後、肺に保持されない。肺でのカルボプラチン
の取り込みは、セレポート(登録商標)が腫瘍組織以外でカルボプラチンの取り
込みを引き起こすわずかな例の1つであることに注目すべきである。これらの結
果は、かかる取り込みが、腫瘍組織への取り込みを除いて一時的であることを示
している。
【0063】 VII . Walker256腫瘍での14C−カルボプラチンの取り込み MAT B−III 細胞に対して前述したのと同じ方法で、雄Wistarラッ
トの後部側腹部の皮下腔にWalker256細胞(ATCC CCL-38 )(1×10 7 )を移植して、インサイチュで充実性腫瘍を作製した。8日後、動物は14C−
カルボプラチン(100μCi/kg)の15分間i.v.注入を受け、次いで
直ちに1.0μg/kgで生理食塩水またはセレポート(登録商標)のどちらか
の10分注入を続けた。生理食塩水またはセレポート(登録商標)注入に続き、
腫瘍を迅速に取り出し、内部および外部領域に切開した。各腫瘍領域の放射能量
を、シンチレーションカウントにより測定した。
【0064】 図9は、移植された腫瘍の内部領域および外部領域へのカルボプラチンの取り
込みを示す。セレポート(登録商標)を投与すると、カルボプラチンが有意に取
り込まれる。これらの結果は、セレポート(登録商標)投与のために増加したカ
ルボプラチンの取り込みが、腫瘍型に特異的でないことを示している。セレポー
ト(登録商標)を投与すると、異なる辺縁充実性腫瘍がカルボプラチンを取り込
む。
【0065】 VIII. 14C−カルボプラチンおよびセレポート(登録商標)投与後の腫瘍退縮 図10は、カルボプラチンを動物に投与した時の腫瘍の大きさの退縮を示す。
ある例では、カルボプラチンに加えてセレポート(登録商標)を投与する。カル
ボプラチンを15分間注入した後、直ちに1.5μg/kgでセレポート(登録
商標)の10分注入を続けた。
【0066】 セレポート(登録商標)およびカルボプラチンの投与は、カルボプラチンのみ
の投与と比較して移植された腫瘍の退縮を著しく引き起こした。(カルボプラチ
ンおよびセレポート(登録商標)を投与した時)18日目までに、腫瘍は、カル
ボプラチンを投与しなかったらなったであろう大きさの約1/3に、セレポート
(登録商標)をカルボプラチンと共に投与しなかったらなったであろう大きさの
約1/2に縮小した。これらの結果は、セレポート(登録商標)が、おそらく腫
瘍によるカルボプラチンの増加した取り込みを引き起こすことにより、腫瘍退縮
におけるカルボプラチンの効力に著しく影響を及ぼすことを説明する。
【0067】 さらなる研究において、MAT B−III 細胞を、雄Fischerラットの
後部側腹部に皮下移植した。9日または10日後に腫瘍が1cm3 の大きさに増
殖した時、塩酸ケタミン、キシラジン、およびアセプロマジン(acepromazine)
の溶液で動物を麻酔した。薬物投与目的のために体内留置用(indwelling)頸静
脈内カニューレを動物に配置した。首のつけ根で矢状の切開を行ない、シリコン
カテーテルの挿入のために、頸静脈に小切開を行なった。カニューレを首の後ろ
を通して外面化し、皮下に配置されたダクロンメッシュボタンで、適所に固定し
た。手術の直後、動物をポリスチレンバケツに入れた。生理食塩水またはカルボ
プラチン/セレポート(登録商標)の頸静脈内注入を回転連動(swivel-linked
)注入ラインに連結したシリンジポンプを用いて行った。5mg/kgの用量の
カルボプラチンを、腫瘍へのカルボプラチンの拡散を有意に高めることが先に示
された(1.5μg/kg)の用量のセレポート(登録商標)と組み合わせて使
用した。
【0068】 動物を3つの処理群に分けた:(1)食塩水を25分間注入した;(2)カル
ボプラチンを15分間注入した後、生理食塩水の10分間の注入を続けた;およ
び(3)カルボプラチンを15分間注入した後、セレポート(登録商標)の10
分間の注入を続けた。一週間後、覚醒下、軽い抑制条件下で、全動物は1回目と
同一の2回目の処理を受けた。腫瘍の大きさを2〜3日ごとに記録した。
【0069】 図11は、腫瘍移植後の経時的な腫瘍体積変化を示す。カルボプラチンのみの
注入は、生理食塩水注入の対照と比較して、腫瘍成長に一時的な遅れを生じる。
しかしながら、数日内で、カルボプラチンのみを注入した動物における腫瘍は、
生理食塩水で処理したラットに対するものに平行な速度で成長し、2回目のカル
ボプラチン注入に応答しなかった。対照的に、同一の用量のカルボプラチンをセ
レポート(登録商標)と組み合わせた時、より強い、持続した腫瘍成長の遅延を
達成し、それは2回目の薬物組み合わせの注入の時間を十分に超えて延長した。
【0070】 IX. 転移性肺腫瘍移植ならびにカルボプラチンおよびセレポート(登録商標) 投与後の延長された動物生存 MAT B−III 細胞を200μlの懸濁液中1×105 または1×106
胞のどちらかの頸静脈内インジェクションにより、12匹の雌F−344 Fi
scherラットの肺に導入した。実施例Iに記載のように、細胞および動物を
維持し、取り扱った。インジェクション後の種々の時間で、肺の表面腫瘍コロニ
ーの数を評価した。動物の気管に墨汁をインジェクトすることにより、腫瘍を目
視によりカウントした。肺組織を墨汁により黒くし、それにより墨汁を吸収しな
いために白いままである腫瘍を明らかにした。
【0071】 これらの肺腫瘍コロニー評価の結果を図12に示す。これらの結果は、1×1
6 のMAT B−III 細胞のインジェクションは、最初の細胞インジェクショ
ン後時間が経過すると、これらの動物における転移性肺腫瘍の数の増加へと続く
ことを示している。対照的に、1×105 のMAT B−III 細胞を最初にイン
ジェクトすると、細胞インジェクション後、これらの動物における転移性肺腫瘍
の数が減少する。
【0072】 MAT B−III 細胞の頸静脈内インジェクション後形成される転移性肺腫瘍
は、種々の大きさを持つ。1×106 のMAT B−III 細胞のインジェクショ
ン後種々の時間で、転移性肺腫瘍の個々の大きさを目視により評価した。これら
の個々の転移性肺腫瘍の大きさ測定値を、<1mm、1〜3mmおよび>3mm
の任意に選択された大きさの範疇に配置した。
【0073】 これらの大きさ測定評価の結果を、図13に示す。転移性肺腫瘍の大きさが、
約1〜3mmの大きさに密集することが、これらの結果から明白である。腫瘍の
大きさのこの密集は、最初のMAT B−III 細胞懸濁液のインジェクションか
ら時間が経過しても、有意に変化しない。しかしながら、前に示したように、最
初の細胞インジェクションから時間が経過すると、表面腫瘍コロニーの総数は増
加する。同様に、必然的に各大きさの範疇における表面腫瘍コロニーの数もまた
増加する。したがって、腫瘍細胞インジェクション後時間が経過すると、表面肺
腫瘍の転移が生じるが、表面腫瘍コロニーの大きさは、1〜3mm近くに密集し
て比較的変化しないままであると結論づけられうる。
【0074】 最後に、MAT B−III 転移性肺表面腫瘍の移植に供された動物の生存にお
けるカルボプラチンおよびセレポート(登録商標)の投与の効果を評価した。こ
の研究において、200μl懸濁液として1×106 MAT B−III 細胞を、
54匹の雄Fischerラットに頸静脈内インジェクションにより移植した。
16日後、前に移植を行った頸静脈に体内留置用カニューレを挿入した。16日
目および23日目に、動物は15分間にわたり5mg/kgのカルボプラチンの
連続的な注入を受けた。15分カルボプラチン注入の直後に、動物は生理食塩水
またはセレポート(1.5μg/kg)の10分の連続的な注入を受けた。動物
の生存率を次いでモニタリングした。
【0075】 この研究結果を図14に示す。抗腫瘍剤であるカルボプラチンを投与しない場
合、MAT B−III 細胞のインジェクション後約35日目に全ての死が生じる
ことが容易に明らかである。この抗腫瘍剤の投与は単独で、約10日生存を延長
する。しかしながら、カルボプラチンに加えてセレポート(登録商標)を投与す
ると、生存プロファイルは約10日さらに延長される。したがって、セレポート
(登録商標)は、おそらく腫瘍塊へのカルボプラチンの増加した取り込みおよび
/または保持を引き起こすことにより、転移性肺腫瘍を有する動物の生存におい
て著しい治療効果を有することが明らかである。
【0076】 X. セレポート(登録商標)を注入した時の間質液圧 図15は、移植された腫瘍の間質液圧(IFP)におけるセレポート(登録商
標)の効果を示す。
【0077】 間質液圧は、血流から腫瘍間隙空間へ投与される物質に対する大きな障害であ
る。1μg/kgで10分のセレポート(登録商標)の注入は、移植された腫瘍
における間質液圧を40%まで減少する。間質液圧におけるこの減少は、カルボ
プラチンまたはデキストラン等の物質の取り込みに強く関連する。
【0078】 XI. 腫瘍へのカルボプラチンの取り込みにおけるB2 レセプターブロッキング の効果 MAT B−III 細胞(1×106 )を雄Fisherラットの後部側腹部の
皮下腔に移植した。7日後、動物は14C−カルボプラチン(100μCi/kg
)の15分i.v.注入を受けた後、直ちに生理食塩水またはセレポート(登録
商標)のどちらかの10分注入を続けた。生理食塩水またはセレポート(登録商
標)の注入後、腫瘍を迅速に取り出し、内部および外部領域に切開した。各腫瘍
領域の放射能量をシンチレーションカウントにより測定した。
【0079】 1セットの実験で、B2 レセプターブロッキング剤D−Arg〔Hyp3 −T
hi5 −D−Tic7 −Oic8 〕(HOE−140)(100μg/kg)を
、セレポート(登録商標)注入(1.0μg/kg)前にまず5分、続けてセレ
ポート(登録商標)注入中に10分の15分間注入した。
【0080】 図16は、セレポート(登録商標)を投与した時の、移植された腫瘍の内部領
域および外部領域へのカルボプラチンの取り込みを示す。しかしながら、B2
ロッキング剤であるHOE−140もまた投与すると、セレポート(登録商標)
のカルボプラチン取り込み効果は取り消される。これらの結果は、セレポート(
登録商標)のB2 レセプターへの結合が、セレポート(登録商標)の存在によっ
て生じる腫瘍によるカルボプラチンの取り込みに密接に関連することを示す。
【0081】 本発明をその好ましい態様に関して詳細に示し記載するが、添付の特許請求の
範囲に規定された本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書で形態
および詳細の種々の変更がなされうることが当業者により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、様々な量で投与されたセレポート(登録商標)に対し、移植された腫
瘍の内部および外部でのカルボプラチン取り込み量を示した概略図である。カル
ボプラチン投与およびセレポート(登録商標)注入の時間的進行(time course
)もまた概略図で示す。
【図2】 図2は、様々な量で投与されたセレポート(登録商標)に対し、移植された腫
瘍の内部および外部でのカルボプラチン取り込み量を示した別の概略図である。
カルボプラチン投与およびセレポート(登録商標)注入の時間的進行もまた概略
図で示す。
【図3】 図3は、様々な量で投与されたセレポート(登録商標)に対し、移植された腫
瘍の内部および外部でのカルボプラチン取り込み量を示した別の概略図である。
カルボプラチン投与およびセレポート(登録商標)注入の逐次的な時間的進行も
また概略図で示す。
【図4】 図4は、様々な量で投与されたセレポート(登録商標)に対し、移植された腫
瘍の内部および外部へのデキストラン取り込み量を示した概略図である。デキス
トラン投与およびセレポート(登録商標)注入の逐次的な時間的進行もまた概略
図で示す。
【図5】 図5は、セレポート(登録商標)を投与したときの、移植された腫瘍の内部お
よび外部でのカルボプラチン取り込み量を示す概略図である。腫瘍は、宿主動物
の側腹部(flank )内または乳房パッド(mammary pad )内に移植した。
【図6】 図6は、宿主動物の肝臓内に移植された腫瘍の内部および外部でのカルボプラ
チン取り込み量を示す概略図である。この図は、セレポート(登録商標)を投与
したときの、これらの腫瘍領域内および肝臓の周辺部分内でのカルボプラチン取
り込み量を概略図で示す。
【図7】 図7は、セレポート(登録商標)を投与したときの、移植された腫瘍および種
々の器官でのカルボプラチン取り込み量を示す概略図である。この取り込みを、
セレポート(登録商標)でなく生理食塩水を投与した場合のカルボプラチン取り
込みと概略図により比較する。
【図8】 図8は、セレポート(登録商標)投与後の様々な時間での、腫瘍内および非腫
瘍肺組織内に保持されたカルボプラチンの量を示す概略図である。
【図9】 図9は、セレポート(登録商標)を投与したときの、移植されたWalker
256腫瘍の内部および外部でのカルボプラチン取り込み量を示す概略図であ
る。
【図10】 図10は、セレポート(登録商標)とともに、またはセレポート(登録商標)
なしのカルボプラチン投与の前後での、移植された腫瘍の大きさ示す概略図であ
る。この図は、生理食塩水対照値、カルボプラチン+生理食塩水、およびカルボ
プラチン+セレポート(登録商標)を概略図で示す。
【図11】 図11は、生理食塩水、カルボプラチン、またはカルボプラチンの特定配列お
よびセレポート(登録商標)を、腫瘍移植後の2つの時間点で注入したときの腫
瘍の大きさを示すグラフ図である。
【図12】 図12は、1×105 または1×106 のいずれかでMAT B−III細胞
をインジェクトした後の様々な時間での存在する転移性肺腫瘍の数を示す概略図
である。
【図13】 図13は、1×106 でMAT B−III細胞をインジェクトした後の様々
な時間での存在する転移性肺腫瘍の数および大きさを示す概略図である。
【図14】 図14は、生理食塩水、カルボプラチン、またはカルボプラチンの特定配列お
よびセレポート(登録商標)を腫瘍細胞インジェクション後の2つの時間点で投
与したときの、1×106 のMAT B−III細胞のインジェクション後での
生存動物のパーセントを示す概略図である。生存動物のパーセントは、腫瘍細胞
インジェクション後、毎日評価した。
【図15】 図15は、生理食塩水またはセレポート(登録商標)のいずれかを注入したと
きの、移植された腫瘍における間質液圧(IFP)に対し、時間0でのベースラ
イン(正常)値からのパーセントの変化を示すグラフ図である。
【図16】 図16は、セレポートを投与したときの、移植された腫瘍の内部および外部で
のカルボプラチン取り込み量を示す概略図である。この図は、セレポート(登録
商標)に加えてB2 受容体アンタゴニストであるHOE−140が存在するとき
の、該腫瘍領域内でのカルボプラチン取り込み量を概略図で示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年3月28日(2001.3.28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C084 AA02 AA03 AA19 BA01 BA08 BA09 BA17 BA23 BA42 CA59 MA02 MA66 NA10 NA13 NA14 ZB262 4C085 HH03 JJ02 KA29 KB55 LL18

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 医薬用または診断用物質と、宿主の血流から非中枢神経系充
    実性腫瘍の内部空間への前記物質の輸送を増大させる薬剤の有効量とを、宿主に
    脈管内共投薬する工程を含む、宿主における非中枢神経系充実性腫瘍への医薬用
    または診断用物質の送達方法。
  2. 【請求項2】 宿主がヒトである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記薬剤がブラジキニンアゴニストである請求項1記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 ブラジキニンアゴニストがブラジキニン類似体を含む請求項
    3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記ブラジキニン類似体が、NH2 −アルギニン−プロリン
    −ヒドロキシプロリン−グリシン−チエニルアラニン−セリン−プロリン−4−
    Me−チロシンΨ(CH2 NH)アルギニン−COOH(配列番号:1)または
    その立体配座類似体のアミノ酸配列を有するペプチドを含む請求項4記載の方法
  6. 【請求項6】 前記立体配座類似体が以下の修飾: a) N−末端アルギニンがグアニジノまたはグアニジノ誘導体の側鎖を含有す
    るアミノ酸類似体と置き換わっている; b) 第2アミノ酸(プロリン)がヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、N
    −メチルアラニンまたは別のプロリン類似体と置き換わっている; c) 第3アミノ酸(ヒドロキシプロリン)がプロリン、デヒドロプロリン、別
    のプロリン類似体、アラニン、サルコシンまたはN−メチルアラニンと置き換わ
    っている; d) 第5アミノ酸(チエニルアラニン)が別の芳香族アミノ酸または疎水性脂
    肪族アミノ酸と置き換わっている; e) 第6アミノ酸(セリン)がグリシン、トレオニン、アラニン、allo−
    トレオニン、アスパラギン、グルタミンまたはそれらの類似体と置き換わってい
    る; f) 第7アミノ酸(プロリン)がヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、N
    −メチルアラニンまたは別のプロリン類似体と置き換わっている; g) 第8アミノ酸(4−Me−チロシン)が別のO−アルキルチロシンまたは
    疎水性脂肪族アミノ酸と置き換わっている; h) C−末端アルギニンが、グアニジノまたはグアニジノ誘導体の側鎖を有す
    るアミノ酸類似体と置き換わっている;および i) 第8アミノ酸(4−Me−チロシン)とC−末端アルギニン(Ψ(CH2 NH)との間のペプチド擬似性等配電子結合がΨ(CSNH)、Ψ(NHCO)
    またはΨ(CH2 S)と置き換わっている、 の少なくとも1つを有する前記ペプチドである請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記修飾が: a) N−末端またはC−末端のアルギニンがβ−シクロアルギニン、ホモアル
    ギニン、γ−ヒドロキシアルギニン、カナバニン、 2−アミノ−4−グアニジノ酪酸、リジンもしくはオルニチンのシアノグアニジ
    ノ誘導体、シトルリンまたはホモシトルリンに; b) 第2または第7アミノ酸(プロリン)がヒドロキシプロリンまたはデヒド
    ロプロリンに; c) 第3アミノ酸(ヒドロキシプロリン)がプロリンまたはデヒドロプロリン
    に; d) 第5アミノ酸(チエニルアラニン)がデヒドロフェニルアラニン、フェニ
    ルアラニンもしくは別の芳香族類似体、ロイシン、イソロイシンまたはシクロヘ
    キシルアラニンに; e) 第6アミノ酸(セリン)がグリシンまたはトレオニンに;および f) 第8アミノ酸(4−Me−チロシン)がO−アルキルチロシン、ロイシン
    、イソロイシンまたはシクロヘキシルアラニンに、 から選ばれる請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 光学的に活性なアミノ酸のすべてがL配置である請求項5記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 第8アミノ酸がD配置である請求項5記載の方法。
  10. 【請求項10】 アセチル化基、追加のアミノ酸またはアセチル化された追
    加のアミノ酸が、ペプチド結合を介して前記N−末端アルギニンに結合している
    請求項5記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記医薬用または診断用物質が静脈内投与される請求項3
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記薬剤が静脈内投与される請求項4記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記医薬用または診断用物質と前記薬剤とを同時に前記宿
    主に共投薬する請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記医薬用または診断用物質を、前記薬剤が投与されてい
    る時間中に前記宿主に投与する請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記医薬用または診断用物質と前記薬剤とを逐次的に前記
    宿主に共投薬する請求項1記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記医薬用または診断用物質を、前記薬剤の投与前に前記
    宿主に投与する請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記診断用物質が画像診断用物質を含む請求項1記載の方
    法。
  18. 【請求項18】 前記画像診断用物質が放射標識されている請求項17記載
    の方法。
  19. 【請求項19】 前記医薬用物質が治療上活性な物質である請求項1記載の
    方法。
  20. 【請求項20】 前記治療上活性な物質が化学療法用物質である請求項19
    記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記治療上活性な物質が、腫瘍の成長を遅滞させる親水性
    物質である請求項19記載の方法。
  22. 【請求項22】 宿主の血流から非中枢神経系充実性腫瘍の内部空間への医
    薬用または診断用物質の輸送を増大させる薬剤の有効量を前記宿主に、前記物質
    および前記薬剤が前記宿主の血流中に同時に存在する条件下で脈管内投与する工
    程を含む、宿主の血流中に存在する医薬用または診断用物質の該宿主の非中枢神
    経系充実性腫瘍への送達方法。
JP2000603716A 1999-03-08 2000-03-08 医薬品および診断用物質の充実性腫瘍内への取り込みを増大させるための薬剤 Pending JP2002538222A (ja)

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