JP2001261573A - 腫瘍転移抑制剤 - Google Patents

腫瘍転移抑制剤

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JP2001261573A JP2000070826A JP2000070826A JP2001261573A JP 2001261573 A JP2001261573 A JP 2001261573A JP 2000070826 A JP2000070826 A JP 2000070826A JP 2000070826 A JP2000070826 A JP 2000070826A JP 2001261573 A JP2001261573 A JP 2001261573A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腫瘍の軟部臓器への転移を抑制する。 【解決手段】 カルシトニン類を有効成分とする腫瘍転
移抑制剤を処方する。カルシトニン類は、天然型でもよ
く、またアナログペプチドでもよい。 【効果】 生命維持に関わる軟部臓器への腫瘍転移を抑
制することによって、延命効果が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルシトニン類を
有効成分とする腫瘍の軟部臓器転移抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】腫瘍の原発巣での増殖に伴い、他の軟部
臓器、及び骨への転移を起こすことが知られており、抗
癌剤によりこの増殖及び転移を抑制する事で患者の助命
およびQOLの改善がもたらされる。癌の増殖、転移抑
制に関しては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、免疫腑活
剤、抗癌性抗生物質等の抗癌剤が用いられており、治療
効果を奏するものの、血液毒性、心臓毒性、肝臓毒性
等、多くの重篤な副作用が懸念されている(日本医事新
報;Vol.3740,3(1995))。また骨への
転移に関してはビスフォスフォネート系製剤での治療効
果が報告されているものの確証は得られていない。
【0003】カルシトニン類の腫瘍転移抑制作用に関し
ては、前立腺癌による骨転移をPTH拮抗作用により防
止した報告(in Calcitonin 1980;
295(1980))があり、骨転移に伴う骨破壊に対
する適応も考えられてきた(The Bone;Vo
l.10,125(1996))。また骨転移後の骨転
移巣に対しては、甲状腺癌後、骨転移した症例で甲状腺
ホルモンとカルシトニン(エルカトニン)を投与して転
移巣の腫瘤の消退と骨欠損部への石灰化による改善が認
められ(ホルモンと臨床;Vol.34(増刊号),1
74(1986))、また、尿管癌で血中カルシウム濃
度が上昇したため、エルカトニンとプレドニゾロンを投
与したが、結果的に血中カルシウム濃度は下がらなかっ
たが、骨転移もなかった(Internal Medi
cine;Vol.33,107(1994)ことが報
告されており、またこれらの症例では抗癌剤で懸念され
ている重篤な副作用は認められていない。
【0004】カルシトニン類は、1962年Coppら
により発見された血清カルシウム低下ホルモンであり
(Endocrinology;Vol.70,638
(1963))、骨ページェット病(日整形学誌;Vo
l;58,937(1979))、骨粗鬆症(綜合臨
床;Vol.39,3623(1990))、高カルシ
ウム血症(J.Bone Mineral Meta
b.;Vol.6,93(1988))などの治療剤と
して有効性が確立され、低毒性の薬剤として臨床的に使
用されている。また、腎臓に対してはナトリウム、リン
などの電解質排泄促進作用(Am. J. Physi
ol.;Vol.246,927(1984))、胃に
対して胃液分泌抑制作用(Acuta Endocri
nol.(Suppl);Vol.155,216(1
971))、膵臓に対して外分泌抑制作用(Gut;V
ol.18,615(1977))、骨粗鬆症の疼痛に
対して鎮痛作用(Agents Actions;Vo
l.41,121(1994))などが知られている。
【0005】これらの作用は、各種標的細胞に存在する
カルシトニンレセプターを介してシグナルを与えること
によるものと考えられ、破骨細胞に対してはプロテイン
キナーゼCを活性化するホスホリパーゼC経路を介して
細胞内に情報を伝えることが示され(Science;
Vol.251,1078(1991)、Proc.N
atl. Acad. Sci. USA;Vol.9
1,2115(1991))、この作用により破骨細胞
の運動性が調節を受け(J. Endocrino
l.;Vol.126,473(1990))骨吸収を
抑制することが考えられている。また、腫瘍細胞におい
てもカルシトニンレセプターの存在が報告されており
(Endocrinology;Vol.136,53
77(1995))、腫瘍細胞に対する調節機能が予想
される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低毒性で重
篤な副作用を有しないカルシトニン類による腫瘍の軟部
臓器への転移抑制方法を提供し、肺、肝臓等の生命維持
のために必須な臓器での腫瘍の増殖を抑制することで延
命効果をもたらすことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために研究を重ねた結果、全く意外にもカルシ
トニン類が、腫瘍の軟部臓器への転移抑制に対して有効
であることを見出した。すなわち培養腫瘍細胞を皮下に
接種したモデル系において、カルシトニン類は軟部臓器
への転移を抑制し、延命効果をもたらした。本物質の腫
瘍転移抑制効果は、腫瘍細胞4T1をBalb/cマウ
スの皮下に接種し、これにカルシトニン1単位を毎日投
与すると肝臓、肺への転移が著明に抑制され、延命効果
がもたらされた。本発明は上記の知見に基づいてなされ
たものであり、カルシトニン類を有効成分とする腫瘍転
移抑制剤である。
【0008】本発明におけるカルシトニン類とは、少な
くともカルシトニンレセプターに対する結合能を有する
ペプチドホルモンであればいずれでもよく、その一部は
臨床的に高カルシウム血症、骨ページェット病や骨粗鬆
症に対する治療薬として使用されており、天然型カルシ
トニンまたはそのアナログペプチドが挙げられる。天然
型カルシトニンの例としては、ウナギカルシトニン、サ
ケカルシトニン、ブタカルシトニン、ニワトリカルシト
ニン、ヒトカルシトニン等が挙げられる。またそのアナ
ログペプチドの例としては、カルシトニン類の構造に基
づいてその1,7位のジスルフィド結合をアミノスベリ
ン酸にてエチレン結合に置換した合成誘導体が挙げら
れ、例えばエルカトニン(〔Asu1.7〕ウナギカルシ
トニン、)、〔Asu1.7〕ヒトカルシトニン、〔As
1.7〕サケカルシトニン、〔Asu1.7〕ニワトリカル
シトニン、〔Asu1.7〕ブタカルシトニンなどが知ら
れており、これらの物質や合成法については、英国特許
第1516947号明細書などに記載されている。上記
以外のカルシトニン類についても少なくともカルシトニ
ンレセプターに対する結合能を有するペプチドホルモン
であれば、本発明の範囲に含まれる。
【0009】カルシトニン類が、ラットの血清カルシウ
ム値低下作用を指標とした生物学的測定法(第十三改正
日本薬局方第二追補,27(1999))で定量された
0.5〜5000単位のカルシトニン活性を有していれ
ば、本発明の範囲に含まれる。これらのカルシトニン類
は、極めて低毒性であり、例えばエルカトニンをマウ
ス、及びラットに静脈内、筋肉内、皮下、経口の各経路
で1300または7400単位/kg(体重)投与して
も致死的毒性は全く観察されなかった。本発明における
薬剤の形態としては、例えば注射剤、直腸吸収剤、膣吸
収剤、経鼻吸収剤、経皮吸収剤、経肺吸収剤、口腔内吸
収剤、経口投与剤などが挙げられ、これらの投与形態は
何ら限定されるものではない。
【0010】注射剤としては好ましくは筋肉内投与また
は、静脈内投与のために使用されるもので、直腸吸収剤
・膣吸収剤は一般に坐剤の形態で使用され、経鼻吸収剤
・経皮吸収剤は適当な吸収促進剤を添加した製剤の形態
で使用され、経肺吸収剤は適当な分散剤もしくは水、及
び噴射剤を含有するエアゾール組成物の形態で使用され
る。口腔内吸収剤は適当な吸収促進剤を添加して例えば
舌下錠などの形態で使用され、また経口投与剤はリポゾ
ーム製剤、マイクロカプセル製剤などの経口用としての
形態で使用される。
【0011】これらの薬剤は通常のそれぞれの薬剤形態
に適した剤型に調整される。注射剤は、例えばエルカト
ニンを緩衝剤、等張化剤、pH調整剤を適量溶解した注
射用蒸留水に溶解し、除菌フィルターを通して滅菌した
ものをアンプルに分注することによって調整され得る。
直腸吸収剤、膣吸収剤は、例えばエルカトニンをベクチ
ン酸ナトリウムやアルギン酸ナトリウムなどのキレート
能を有する吸収促進剤、塩化ナトリウムやグルコースな
どの高張化剤を適宜選択使用して、蒸留水または油性ビ
ヒクルに溶解または分散して直腸・膣注入坐剤又は坐剤
として調整される(英国特許第2092002号明細
書、同第2095994号明細書参照)。
【0012】経鼻吸収剤は、例えばエルカトニンに水溶
性有機酸であるグルクロン酸、コハク酸、酒石酸などの
吸収促進剤を添加した液剤あるいは粉末剤として調整さ
れる(特開昭63−243033号公報、特開昭63−
316737号公報、特開平1−230530号公報、
特開平2−111号公報、特開平2−104531号公
報)。更に、エルカトニンに適宜乳剤を加えて経鼻吸収
剤を得ることもできる(特開平4−99729号公
報)。
【0013】経皮吸収剤は、例えばサケカルシトニンに
エーゾン(Azone)などの吸収促進剤を添加して皮
膚からの吸収を促進させる方法が報告されている(日本
薬剤学会第2年会、講演要旨集p57−58)し、また
イオントフォレーシスによる方法(Ann. N.
Y. Acad. Sci.;Vol.507,32
(1988))でカルシトニン類の経皮吸収剤を得ても
よい。経肺吸収剤は、カルシトニン類を例えばアルラセ
ル、スパン80などの分散剤と共に粉砕研和して均質な
ペーストとし、次いでこのペーストを冷却したフレオン
11、フレオン12などの噴射剤中に分散させた後、弁
を備えた容器に充填して得る方法がある(特開昭60−
161924号公報)。
【0014】口腔内吸収剤は、カルシトニン類に例えば
アスコルビン酸類、酸性アミノ酸類、クエン酸類、不飽
和脂肪酸類、サリチル酸類などを単独、あるいは2種類
以上を組合せ、グルコースなどの賦形剤、メントールな
どの矯味矯臭剤などを添加してトローチ剤、舌下錠、粉
末剤などとして得ることができる(特開昭56−140
924号公報)。経口投与剤は、例えばW/O/Wエマ
ルジョンを用いた方法(Endocrinol. Ja
pan;Vol.23,493(1976))でカルシ
トニン類を調剤してもよいし、またリポゾーム製剤の方
法(Hormone Res.;Vol.16,249
(1982))でカルシトニン類を調剤してもよい。
【0015】このような薬剤は、例えばエルカトニンの
注射剤の場合、エルカトニンの1回投与量としては0.
5〜5000単位投与され、好ましくは1〜400単位
である。その他の製剤、その他のカルシトニン類の場合
も、エルカトニンの力価単位に準じて投与すればよい。
なお投与回数は1日、1〜2回でもよく、また毎日また
は週1〜3回であってもよい。更に、ソリタT−3など
の適当な輸液にカルシトニン類を適量溶解して、例えば
1〜数時間かけて静脈内に点滴投与してもよい。薬剤中
におけるカルシトニン類の量は適宜決められるが、要は
1回投与当たりカルシトニン活性において注射剤の0.
5〜5000単位の相当量に定めれば充分である。この
ようにして製造・調整されたカルシトニン類は以下の実
施例に示す通り、極めて良好に腫瘍の転移を抑制せし
め、腫瘍転移抑制剤として有用なものである。
【0016】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。尚、図および表中における略語は次の用語を意味
する。 eCT;Elcatonin
【実施例1】マウス乳癌細胞、4T1細胞を10cm細
胞培養ディッシュに播種し、10%ウシ胎児血清(Fe
tal Calf Serum;以下、FCSという)
を添加したダルベッコ変法最少必須培地(Dulbec
co Modified Eagle Medium;
以下、DMEMという)中においてサブコンフルエント
の状態になるまで培養した。培養後リン酸緩衝生理食塩
水にて2回洗浄し、細胞溶解液(4M グアニジンチオ
シアン酸、0.5% ラウロイルサルコシン酸ナトリウ
ム、25mM クエン酸ナトリウム(pH7.0))
0.8mlにて溶解、回収後、1/10量の1.66M
酢酸ナトリウム溶液(pH4.0)、等量のPCI液
(水飽和フェノール50:クロロホルム49:イソアミ
ルアルコール1)を加え、攪拌後、遠心分離した。上清
の水層を回収し、0.8mlのイソプロピルアルコール
を加え、攪拌後、−30℃に保存した。生じた沈殿を遠
心沈降させ、0.8mlの細胞溶解液にて再び溶解し、
等量のイソプロピルアルコールを加え、攪拌後、−30
℃に保存した。
【0017】再び生じた沈殿を遠心にて沈降させ、80
%エタノール溶液にてリンスし、風乾させた後、10m
M Tris−HCl、1mM エチレンジアミン4酢酸
(Ethylenediamine Tetraglu
tamic acid;以下EDTA、という)(pH
8.0)の緩衝溶液にて溶解し、これをRNA溶液と
して逆転写反応に用いた。逆転写反応溶液(50mM
Tris−HCl (pH8.3)、75mM 塩化カリウ
ム、10mM ジチオトレイトール、3mM 塩化マグネ
シウム、および、10nM デオキシアデノシン三リン
酸、10nM デオキシチミジン三リン酸、10nM デ
オキシシチジン三リン酸、10nM デオキシグアノシ
ン三リン酸(以下、この四塩基の混合物をdNTP m
ixという))に総RNA,および,ランダムプライマ
ー(ギブコURL)200ngを加え、70℃10分間
加温の後,氷中にて急冷し、RNAおよびランダムプラ
イマーを変成させた。ここにMMLV逆転写酵素(GI
BCO)を200ユニット加え、37℃にて1時間イン
キュベートし、逆転写反応を行った。
【0018】PCR反応溶液(60mM Tris−H
Cl (pH9.1)、18mM 硫酸アンモニウム、1.
6mM 硫酸マグネシウム、10nM dNTP mi
x)にマウスカルシトニン受容体特異的プライマー(セ
ンス;5’GTT GAC GTTGTG CCC AAT
GGA−3’アンチセンス;5’CCC TGG AA
ATGA ATC AGA GAG−3’20pmol
s、逆転写反応溶液(総RNA 50ng相当)、およ
びElongase Enzyme mix(GIBC
O)を1ユニット加え、Polymerase Cha
in Reaction(以下PCR、という)反応を
行った。反応は、始めに94℃で3分間の熱変性の後、
94℃ 10秒、57℃ 30秒、68℃ 1分の反応を
35サイクル行ない、その後68℃10分の伸長反応を
行った。反応の終了したPCR反応溶液の1/5量をエ
チジウムブロマイド含有の1%アガロースゲルに展開
し、増幅されたDNA断片を検索することでカルシトニ
ンレセプターの発現を確認した。
【0019】その結果4T1細胞においては図1に示す
通り、コントロールとしておいたマウスの腎臓、脳およ
び成長板軟骨の組織と同様にC1aタイプのカルシトニ
ンレセプター発現が確認され、カルシトニン類が腫瘍細
胞に対して直接作用をもたらす可能性が示唆された。
【0020】
【実施例2】4T1細胞を24穴プレートに、1万細胞
個/wellの密度で播種し、10% FCSを含むD
MEM培地に、0.1%ウシ血清アルブミン(Bovi
neSerum Albumin;以下BSA、とい
う)を含むクエン酸緩衝液にて希釈した各濃度のエルカ
トニンを播種当日から添加し単層培養に及ぼす効果を確
認した。培地は毎日交換し、5日間培養後、細胞をリン
酸緩衝生理食塩水にて2回洗浄、0.25%トリプシ
ン、0.02%EDTAにて回収し、その細胞数を血球
計算板上において計測した。その結果は図2に示す通り
に10-10モル濃度(0.02単位/ml相当)以上で
細胞の増殖を抑制した。
【0021】また5%子牛血清および5% FCSを含む
DMEMで希釈した4T1細胞を、0.3%軟寒天中に
懸濁し、24穴プレートに1000細胞個/wellに
なるように播種した。寒天がゲル化した後、各濃度のエ
ルカトニンを軟寒天上に添加し、培養7日目にも、同様
にエルカトニンを添加した。この際培養14日目に、5
0個以上の細胞からなるコロニーの数を位相差顕微鏡下
にて計測した。その結果は図3に示す通り、エルカトニ
ン10-10モル濃度以上で細胞の増殖を抑制した。これ
らのことはエルカトニンが直接腫瘍細胞に対して増殖抑
制作用をもたらしていることを示し、このことが軟部臓
器への転移抑制剤として作用する少なくとも一つのメカ
ニズムであることを示唆している。
【0022】
【実施例3】6週齢メスBalb/cマウス(体重約2
0g)の右乳房部の皮下に、ルシフェラーゼ遺伝子を導
入した4T1細胞を100万細胞個/個体で移植した。
1週間後、原発腫瘍が形成されるのを確認した後、エル
カトニン1単位を、0.1%BSAを含むクエン酸緩衝
液に溶解し腹腔内に毎日投与した。コントロール群に
は、0.1%BSAを含むクエン酸緩衝液のみを投与し
た。移植20日目にマウスを屠殺し、肺および肝臓のル
シフェラーゼ活性を計測し、臓器湿重量当りのルシフェ
ラーゼ活性によって腫瘍の臓器への転移抑制効果を評価
した。なお、ルシフェラーゼ活性はDual−Luci
ferase Repoter Assay Syst
em(Promega)を用い、ケミルミノメーターに
て測定した。その結果は図4に示す通り、著明に臓器へ
の転移を抑制するものであった。
【0023】
【実験例4】6週齢メスBalb/cマウス(体重約2
0g)の右乳房部の皮下に、4T1細胞を100万細胞
個/個体で移植し、1週間後、原発腫瘍が形成されるの
を確認した後、エルカトニン1単位を、0.1%BSA
を含むクエン酸緩衝液に溶解しマウスの腹腔内に毎日投
与した。コントロール群には、0.1%BSAを含むク
エン酸緩衝液のみを投与した。マウスの生存率は、Ka
plan−Meierの生存率曲線により評価したとこ
ろ、Wilcoxon検定において図5に示す如く、両
群に有意差が認められ、エルカトニンの延命効果が確認
された。
【0024】
【発明の効果】以上のことから本発明は、カルシトニン
類が腫瘍の転移を抑制し、さらには延命に対して効果を
発揮しうることを示したものであり、かつカルシトニン
類が低毒性であることからも、予防の範囲を含む有用な
腫瘍転移抑制剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4T1細胞のカルシトニンレセプターの発現を
示すものである。
【図2】4T1細胞の単層培養における増殖に及ぼすエ
ルカトニンの抑制効果を示すものである。
【図3】4T1細胞の軟寒天中における増殖に及ぼすエ
ルカトニンの抑制効果を示すものである。
【図4】4T1細胞の臓器転移に及ぼすエルカトニンの
抑制効果を示すものである。
【図5】エルカトニンの4T1細胞臓器転移抑制による
延命効果を示すものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシトニン類を有効成分とする腫瘍の
    軟部臓器転移抑制剤。
  2. 【請求項2】 カルシトニン類が、天然型カルシトニン
    またはそのアナログペプチドである請求項1記載の腫瘍
    転移抑制剤。
  3. 【請求項3】 腫瘍転移抑制剤が、注射剤、直腸座剤、
    膣坐剤、経鼻吸収剤、経皮吸収剤、経肺吸収剤、口腔内
    吸収剤または経口投与剤である請求項1記載の腫瘍転移
    抑制剤。
  4. 【請求項4】 カルシトニン類が、血清カルシウム値低
    下作用を指標として生物学的測定法で定量された0.5
    〜5000単位のカルシトニン活性を有する請求項1記
    載の腫瘍転移抑制剤。
  5. 【請求項5】 天然型カルシトニンが、ウナギカルシト
    ニン、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ニワトリ
    カルシトニンまたはブタカルシトニンである請求項2記
    載の腫瘍転移抑制剤。
  6. 【請求項6】 天然型カルシトニンのアナログペプチド
    が、〔Asu1.7〕ウナギカルシトニン、〔Asu1.7
    ヒトカルシトニン、〔Asu1.7〕サケカルシトニン、
    〔Asu1.7〕ニワトリカルシトニンまたは〔As
    1.7〕ブタカルシトニンである請求項2記載の腫瘍転
    移抑制剤。
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