JP2002537850A - 細胞に接する作用物質を試験するためのメンブランモジュール - Google Patents

細胞に接する作用物質を試験するためのメンブランモジュール

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Abstract

(57)【要約】 蓋(3)、底面(4)および側壁(5)によって制限されている内部空間(2)、この内部空間(2)内に配置された第1の毛管メンブラン(6)の系および第2の毛管メンブラン(11)の系および場合によっては毛管メンブランの他の系を備え、この場合内部空間(2)内の毛管メンブランは、底面(4)と平行な平らな少なくとも1つの層に対して配置されており、内部空間(2)内で毛管外空間で毛管メンブランの周囲には細胞培養空間が形成されており、この場合毛管メンブランは、その両端部の少なくとも片側が内部空間(2)の側壁(5)内に侵入し、内部空間(2)が液密で外向きに密閉されているように、この端部がそれぞれ系に応じて別々に注型材料(9、10)中に埋設されており、この場合内径を有する全ての系の毛管メンブランは、入口装置(7、12)および/または出口装置(8、13)と液体結合されており、この場合内部空間(2)は、0.1〜5cmの体積を有する、細胞に接する作用物質を試験するためのメンブランモジュール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、請求項1の上位概念に記載された、細胞に接する作用物質を試験す
るためのメンブランモジュールならびにその使用に関する。
【0002】 例えば、癌研究または癌治療の範囲内で、迅速な試験による化学治療の可能な
出発を評価するために、癌患者の癌細胞または腫瘍細胞に接する細胞増殖抑制剤
の作用を試験するという課題がしばしば課されている。このために、作用物質の
スクリーニングを行ない、即ち多数の作用物質の作用を種々の用量で数時間に亘
って、即ち癌細胞に接する異なる薬動力学を用いて確認し、ひいては一定の化学
治療に対する患者の応答を著しく確実に予測することが必要とされる。
【0003】 公知の作用物質のかかる患者特異性の試験は、所謂動物モデルで実施される作
用物質試験とは区別され、この場合には、例えばWO94/25074および米
国特許第5676924号明細書に提案された方法に相応してヒトの腫瘍細胞を
中空繊維膜断片中にカプセル化し、これを被検動物に移植する。実際に、この方
法の場合には、被検動物中へのかかる細胞の直接の移植とは異なり、カプセル化
によって被検動物の免疫応答が妨害され、細胞増殖抑制剤を用いての被検動物の
治療につき異なる動物細胞が同時に試験されうる。しかし、この方法は、必然的
に劣悪な自動化の可能性およびヒトに対する試験結果のしばしば劣悪な適用可能
性のために限界を有している。
【0004】 従って、試験管内試験によって患者に特異的な供述および腫瘍に特異的な供述
を行なわせることが試みられている。この種の試験の場合には、試験すべき腫瘍
細胞の培養、即ち細胞培養アッセイについて、細胞培養に対する試験物質、即ち
作用物質の作用が試験される。この種の試験の場合には、通常、標準培養容器お
よび標準培養法が使用されるが、しかし、これら標準培養容器および標準培養法
は、細胞の三次元的な成長を可能にせず、即ち実際の細胞は、刺激され得ない。
しかし、例えば細胞増殖抑制剤の作用は、細胞の空間的な配置および細胞の入手
可能性によって決定的な影響を及ぼされる。更に、細胞動力学の調整、即ち作用
物質の一定の濃度時間経過の影響または種々の作用物質を前後して時間的にずら
せて試験するような組合せ療法の影響は、公知の試験管内試験では不可能である
かまたは極めて制限されてのみ可能であるにすぎない。
【0005】 同日に出願されたドイツ連邦共和国特許出願第19910540.5号には、
メンブランモジュールを使用しながら作用物質を試験管内試験するための方法が
提案されており、この方法を用いて公知の試験管内試験の欠点は、少なくとも減
少される。この場合には、例えば腫瘍細胞は、メンブランモジュールの細胞培養
空間内に装入され、その際、細胞培養空間内には、培地を供給しかつ酸素添加、
即ち細胞に酸素を供給するためのメンブラン系が配置されており、定義された濃
度時間経過で試験すべき少なくとも1つの作用物質を細胞培養空間内に供給し、
その際、同時に細胞培養空間内に存在する細胞の細胞活力が観察される。
【0006】 細胞を培養するための種々のメンブランモジュールが公知である。即ち、ドイ
ツ連邦共和国特許出願公開第3633891号明細書には、動物細胞を培養する
ための装置が記載されており、この装置を用いて細胞は増殖され、価値のある物
質、即ち産物が細胞から取得される。この装置は、マット状の配置で互いに主に
平行な毛管メンブランを備え、この毛管メンブランの端部は、注型材料中に埋設
されており、この端部を介して栄養物質が細胞に供給される。また、この装置に
は、細胞への酸素の供給を改善するための他のメンブランも使用されていてもよ
い。完成メンブランモジュールの場合には、毛管メンブランは、本質的にケーシ
ングの軸線に対して互いに平行に存在している。
【0007】 米国特許第5516691号明細書には、有機体、殊に細胞または細菌類を培
養しかつ維持する物質交換能力を利用するモジュールが開示されている。このモ
ジュールは、外側ケーシング、少なくとも3つの依存しないメンブラン系からな
り、この場合少なくとも2つのメンブラン系は、中空繊維膜として形成されてお
り、この中空繊維膜は、例えばこの中空繊維膜の交叉した配置で重なり合った層
からなる緊密に詰め込まれた網状組織を形成する。この中空繊維膜は、端部の少
なくとも一方で注型材料中に埋設されており、少なくとも1つの入口に関連する
かまたは1つの入口および1つの出口に関連する。中空繊維膜の間の外側空間内
には、有機体、殊に細胞が存在する。種々の中空繊維膜系を介して、モジュール
の内部空間内に存在する細胞への栄養物質、ガスおよび代謝産物の運搬が行なわ
れるかまたはモジュールの内部空間内に存在する細胞からの栄養物質、ガスおよ
び代謝産物の運搬が行なわれる。
【0008】 米国特許第5516691号明細書に記載のメンブランモジュールは、有利に
肝臓細胞の培養に使用され、体外肝臓支持系中で使用される。この場合には、細
胞の物質交換能力を利用することが重要であり、即ちできるだけ多数の細胞がメ
ンブランモジュール中で培養されなければならず、ひいては細胞の収容のために
大きなモジュール体積が準備されなければならない。このために、米国特許第5
516691号明細書には、外側寸法12×12cmを有する試験モジュールが
記載されており、この場合には、100個の層の中空繊維膜が重なり合って配置
されており、さらに50個の中空繊維膜層が垂直方向に上方から下方へ緊密に詰
め込まれた網状組織の形成のために別の層と織り合わされている。明らかなメン
ブランモジュールは、複雑な構造を有し、多数のメンブランモジュールが使用さ
れなければならない作用物質スクリーニングのためには不適当である。
【0009】 ドイツ連邦共和国特許出願公開第3633891号明細書にも米国特許第55
16691号明細書にも開示されていないモジュール構造は、細胞に接する作用
物質の試験、殊に作用物質のスクリーニングに使用可能である。
【0010】 従って、本発明の課題は、細胞に接する作用物質の試験に適しており、殊にか
かる作用物質のスクリーニングの際、即ちさらにそれぞれ種々の濃度時間経過で
試験することができる多数の作用物質の試験の際に使用することができるメンブ
ランモジュールを提供することである。
【0011】 この課題は、蓋、底面および側壁によって制限されている内部空間を有するケ
ーシング、内部空間内に配置された第1の毛管メンブランの系および第2の毛管
メンブランの系および場合によっては毛管メンブランの少なくとも1つの他の系
を備え、この場合全ての毛管メンブランは、それぞれ第1の端部および第2の端
部ならびに液体を運搬しうる内径を有し、この場合内部空間内の毛管メンブラン
は、底面と平行な平らな少なくとも1つの層に対して配置されており、ケーシン
グの内部空間内で毛管外空間で毛管メンブランの周囲には細胞培養空間が形成さ
れており、この場合毛管メンブランは、その両端部の少なくとも片側が内部空間
の側壁内に侵入し、内部空間が液密で外向きに密閉されているように、系に応じ
て前記内部空間に対して別々に少なくとも1つの端部がそれぞれ注型材料中に埋
設されており、この場合内径を有する全ての系の毛管メンブランは、入口装置お
よび/または出口装置と液体結合されている、細胞に接する作用物質を試験する
ためのメンブランモジュールによって解決され、この場合このメンブランモジュ
ールは、内部空間が0.1〜5cmの体積を有することによって特徴付けられ
る。
【0012】 メンブランモジュールの本発明による実施形式によって、一方で、作用物質が
試験される細胞を、生体内での条件、即ち生存する有機体内での条件をできるだ
け正確に刺激する培養条件下で保持することが可能となる。他方、本発明による
メンブランモジュールの本発明による小さな内部空間体積0.1〜5cmは、
作用物質の試験、殊に作用物質のスクリーニングのための前記メンブランモジュ
ールの使用を可能にする。このような作用物質のスクリーニングは、個々の作用
物質試験のために細胞物質の微少量だけが必要とされる場合にのみ可能であり、
したがって例えば多数の作用物質、即ち例えば多数の細胞増殖抑制剤または作用
物質組合せ物を異なる作用物質プロフィール、即ち異なる薬動力学で癌撲滅に対
する適性について試験し、即ち作用物質のスクリーニングを実施するために、癌
患者から細胞を微少量だけ取り出さなければならない。次に、このために、相応
するモジュールで構成された系で平行に接続することができる、多数の本発明に
よるメンブランモジュールが使用される。従って、好ましくは、本発明によるメ
ンブランモジュールは、細胞に接する作用物質を試験するために使用される。こ
の場合、試験すべき作用物質は、試験で存在する細胞に接する作用を試験前に予
測することができないかまたは十分には予測することができないか、或いは患者
に特異的かまたは腫瘍に特異的な作用を予測することができないかまたは十分に
は予測することができないような物質である。この種の作用物質は、例えば細胞
増殖抑制剤、抗生物質、サイトカイン(Cytokine)、成長ファクターまたは抗ウ
ィルス物質である。
【0013】 本発明によるメンブランモジュール中に使用される毛管メンブランは、種々の
種類の外側輪郭を、即ち横断面を考慮した際に種々の外形で有することができる
。毛管メンブランは、例えば本質的に円形または円環形、三角形、四角形、六角
形または八角形の輪郭を有することができ、また、卵形、楕円形、三分裂した形
、四分裂した形等で構成されていてもよい。また、異なる系の毛管メンブランは
、異なる外側輪郭を有していてもよい。相応して、毛管メンブランの内部断面に
関連するものも当てはまる。好ましくは、本質的に円形の輪郭を有する毛管メン
ブランが使用される。
【0014】 内部空間内での死空間帯域を回避するために、本発明によるモジュールのの内
部空間は、目視方向で少なくとも1つの毛管メンブラン層に対して垂直方向に有
利に円形の内部断面を有する。特に好ましくは、内部空間は、10〜20mmの
直径を有する。特に好ましい実施形式において、内部空間は、0.3〜3.0m
lの体積を有する。
【0015】 有利に、第1の毛管メンブランは、栄養物質の連続的供給および代謝産物の導
出に使用される。この場合には、第1の毛管メンブランの2つの端部は、それぞ
れ注型材料中に埋設されており、第1の毛管メンブランの内径は、入口装置なら
びに出口装置と液体結合されており、栄養媒体溶液が交叉流法で貫流可能である
。第1の毛管メンブランは、液状栄養媒体の供給に適していなければならない。
即ち、有利には、拡散輸送機構または対流輸送機構に基づいて膜壁を通じての連
続的な物質輸送を可能にする膜が重要である。従って、要件に応じて、即ち膜を
通じての栄養媒体の拡散輸送または対流輸送が必要か否かに応じて、ナノ濾過膜
もしくは限外濾過膜または精密濾過膜が使用される。
【0016】 本発明によるモジュールの他の好ましい実施形式において、第1の毛管メンブ
ランは、その内径が入口装置と液体結合されており、これに反して出口装置とは
、液体結合されていない。この場合、第1の毛管メンブランは、専ら栄養媒体溶
液の供給に使用されており、さらにこの栄養媒体溶液は、デッドエンド法で第1
の毛管メンブランを貫流するが、しかし、代謝産物の搬出には、使用されない。
この場合、例えば第2の毛管メンブランの2つの端部は、同一の注型材料中に埋
設されており、この場合には、さらに第1の毛管メンブランは、例えばU字形の
管中で内部空間内に配置されている。
【0017】 第1の毛管メンブランのこの種の実施形式の場合には、本発明によるメンブラ
ンモジュールの内部空間内には、第3の毛管メンブランの系が配置されており、
この第3の毛管メンブランの系により代謝産物は、細胞から搬出されることがで
きる。有利に、第3の毛管メンブランは、同様にデッドエンド法で貫流されるメ
ンブランであり、この場合このメンブランの内径は、出口装置と液体結合されて
いるが、しかし、入口装置とは液体結合されていない。本発明によるメンブラン
モジュールのこの種の実施態様の場合には、第1の毛管メンブランおよび第3の
毛管メンブランの壁面は、有利に対流的に貫流可能であり、この場合第1の毛管
メンブランおよび第3の毛管メンブランは、有利に精密濾過膜である。使用の際
には、栄養媒体を含有する液体流は、毛管膜を介して毛管外細胞培養空間内に流
入し、この毛管外細胞培養空間を貫流し、この場合栄養物質は、細胞から放出さ
れ、代謝産物は、液体流から放出される。引続き、代謝産物の含量が増加された
液体流は、第3の毛管メンブランを介して細胞培養空間から導出される。このた
めに、本発明によるメンブランモジュールは、有利に内部区間内の内部圧力が5
00ミリバールになるまで緊密に実施される。
【0018】 第2の毛管メンブランは、有利に内部空間内でのガス状物質の供給に適してい
る膜である。即ち、モジュール内部空間内での例えば酸素のガス輸送またはモジ
ュール内部空間からの二酸化炭素のガス輸送のための膜、即ち酸素添加膜が重要
である。第2の毛管メンブランを介して酸素の供給ならびに二酸化炭素の搬出が
行なわれる好ましい場合には、第2の毛管メンブランは、入口装置ならびに出口
装置と液体結合される。しかし、第1の毛管メンブランを介して例えば酸素の供
給だけが行なわれ、例えば二酸化炭素の搬出が代謝産物の搬出と共に第1の毛管
メンブランまたは第3の毛管メンブランを介して行なわれることも可能である。
この場合、第2の毛管メンブランは、その内径が入口装置とだけ液体結合されて
おり、デッドエンド法で貫流される。
【0019】 本発明によるメンブランモジュールの好ましい実施態様において、第1の毛管
メンブランおよび第2の毛管メンブランの内径は、入口装置ならびに出口装置と
結合されており、即ち交叉流法で貫流可能である。この場合、系の毛管メンブラ
ンの第1の端部および第2の端部は、有利に内部空間の側壁を通じて内部空間の
対向面上で発生する。勿論、系の毛管メンブランの両端部の貫通位置が互いに角
度をもって、例えば直角に配置されることも可能である。
【0020】 本発明によるモジュールは、細胞培養空間内に作用物質を供給する装置を備え
ている。1つの好ましい実施態様において、この装置は第1の毛管メンブランで
ある。この場合、このメンブランモジュールを使用する場合には、試験すること
ができる作用物質は、栄養媒体中に供給され、栄養媒体流と一緒に細胞培養空間
内に侵入する。更に、作用物質の濃度時間プロフィールは、なかんずく第1の毛
管メンブランの透過性によって影響を及ぼされる。
【0021】 もう1つの好ましい実施態様において、作用物質を供給するための装置は、例
えば側壁を通じての少なくとも1つの穿孔の形で内部空間内の少なくとも1つの
取り込み口からなり、この取り込み口には、モジュールの外側に向かって入口装
置または作用物質のための計量供給装置が接続されている。また、取り込み口は
、モジュールの内部空間とモジュールの外側環境との間の少なくとも1つの隔壁
、即ち分離壁であってもよく、この場合このモジュールは、蓋の一部分、底面ま
たは側壁であり、例えば作用物質の供給のために毛管を突き通すことができるが
、しかし、毛管の除去後に液密に密閉することができる。その他の点では、この
ような隔壁は、有利に内部空間への細胞培養物の供給または内部空間からの試料
の取出しのために使用されることができる。また、内部空間内への細胞培養物の
供給は、蓋の上に行なうこともでき、さらにこの目的のために取り去り可能に構
成されている。同様に、細胞培養空間の換気は、必要に応じて、例えば隔壁上の
毛管を用いてかまたは同様に取り去り可能な蓋上で行なうことができる。しかし
、換気は、例えば疎水性の多孔質膜により行なうこともでき、この場合この多孔
質膜は、例えば内壁中に埋設されておりかつ内部空間をモジュールの外側と結合
している。
【0022】 もう1つの好ましい実施形式によれば、作用物質を供給するための装置は、毛
管メンブランの他の系であり、この毛管メンブランを介して、試験すべき作用物
質は、均一の分布で内部空間内に供給されることができる。
【0023】 また、本発明によるメンブランモジュールにおいて、毛管メンブランの他の系
が含まれていてもよく、例えばこの系を用いて細胞培養空間からの試料の取出し
が可能になる。
【0024】 均一な栄養物質の供給および導出、均一な酸素添加および作用物質をメンブラ
ン系の1つを介して供給する場合に均一な作用物質供給を保証するために、毛管
メンブランは、目視方向に見て少なくとも1つの層に対して垂直方向に層内で内
部空間の内部断面に亘って均一に分布している。この場合には、隣接した毛管メ
ンブラン間の好ましい最大の水平方向の間隔は、層内で50〜500μmの範囲
内にある。同様に、異なる系の毛管メンブランが目視方向で層に対して垂直方向
に交叉する配置にもたらされることは、有利である。これは、例えば第1の毛管
メンブランと第2の毛管メンブランとが互いに織り合わされていることによって
達成されることができる。1つの好ましい実施形式において、毛管メンブランは
、系に応じて別々にそれぞれ少なくとも1つの層で配置されており、この場合、
また層は、異なる系の毛管メンブランが目視方向で層に対して垂直方向に交叉す
るように配置されている。
【0025】 好ましくは、本発明によるメンブランモジュールは、毛管メンブランの全ての
系の2〜15個の層を含む。内部空間内での毛管メンブランの全体数は、有利に
2〜20である。
【0026】 本発明によるメンブランモジュールを使用する際に細胞培養空間内に導入され
る細胞の沈降挙動に基づいて、好ましいモジュール実施形式で内部空間内に毛管
の多数の層が配置されており、これらの層は、蓋と底面との間の内部空間の高さ
に亘って非対称的に厚手の連続層で底面付近に分布している。
【0027】 内部空間内で有利に内部断面に亘って毛管メンブランの均一な分布を有する層
に対して配置されている、大きな体積のモジュールと比較して僅かな数の毛管メ
ンブランと結合した、本発明によるメンブランモジュールが有するような内部空
間体積を有するメンブランモジュールの場合には、毛管メンブランの端部での埋
設ならびにこの毛管メンブランと入口装置および/または出口装置との結合は、
しばしば困難になる。本発明によるメンブランモジュールの好ましい実施形式の
場合には、個々の系の毛管メンブランの端部は、それぞれ纏まって束になり、小
管状の端部断片、例えばオリーブ形状管(Schlaucholive)の形で注型材料中に
埋設されている。その中に埋設された毛管メンブランを有し、同時に入口装置も
しくは出口装置でもある小管状の端部断片は、簡単に本発明によるメンブランモ
ジュールの内部空間の側壁内に、例えば適当な接着剤と液密に接着され、この端
部断片の自由端部が供給管もしくは排出管に接続されている。
【0028】 本発明によるメンブランモジュールを使用する場合には、細胞培養空間内に存
在する細胞を可視的に観察すること、即ち例えば鏡検することがしばしば必要と
される。このために、好ましいメンブランモジュールの場合には、蓋および底面
が互いに平行に配置されており、それぞれ断片で透明材料から形成されている。
【0029】 好ましくは、本発明によるメンブランモジュールは、少なくとも部分的に熱フ
ィルムを備えており、例えば37℃の温度への内部空間の温度処理を可能にする
。しかし、このような温度処理は、内部空間内に導入された熱交換系により、例
えば毛管系の形状で毛管メンブランの内部空間内に配置された系と同様に可能で
あるが、しかし、この場合毛管は、液密の壁を有し、内径側で温度処理液を貫流
させる。
【0030】 本発明によるメンブランモジュールは、懸濁細胞、即ち懸濁液で存在する細胞
についての作用物質試験ならびに付着の必要がある細胞についての作用物質試験
に適している。この場合、付着の必要がある細胞は、メンブランモジュールの内
部空間内に存在する表面、例えば側壁、蓋または底面に付着するかまたは不動態
化されていてもよいか、或いは内部空間内に配置された毛管メンブランに付着す
るかまたは不動態化されていてもよい。しかし、毛管メンブラン表面に細胞が付
着する場合には、この毛管メンブラン表面は、妨げのない物質交換のためにはも
はや完全には使用されないものと思われる。従って、本発明によるメンブランモ
ジュールは、好ましい実施形式で内部空間内に配置された、細胞を有利に不動態
化するための装置を含み、この場合この装置は、特に好ましくは繊維状の単一フ
ィラメント、織物または編物からなる。ポリエステルからなる、不動態化のため
の装置を用いた場合には、特に良好な結果を生じる。このような装置は、例えば
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3633891号明細書に記載されている。
【0031】 懸濁液を使用に到らせる使用のためには、本発明によるメンブランモジュール
は、1つの好ましい実施形式において、層状の担持剤を含有し、この担持剤は、
内部空間の高さに亘って分布して毛管メンブランの層間に導入されている。また
、この層状の担持剤によって、懸濁細胞が強力に析出傾向を有する場合には、懸
濁細胞の良好な分布が細胞培養空間に亘って達成される。担持材料は、例えば微
細多孔質の平面状膜の形またはフリースの形で存在することができ、この場合平
面状膜またはフリースの孔径は、懸濁液を少なくとも十分にこのような平面状膜
またはこのようなフリースによって滞留させるように定められている。この種の
担持剤を導入することによって、懸濁細胞は、種々の層で維持される。この場合
、本発明によるメンブランモジュールは、有利に懸濁細胞の導入、即ち種々の位
置での細胞での接種を、内部空間の高さに亘って、例えば相応する数の隔膜を通
じて可能にし、この場合この隔膜は、高さに亘って分布して側壁中に配置されて
いる。相応することは、作用物質を供給するための装置についても云えることで
ある。
【0032】 本発明による実施形式に基づいて、本発明によるメンブランモジュールの内部
空間内での後の使用の場合には、内部空間内全体で、例えば栄養媒体濃度、個々
のガス成分の濃度または温度に関連して極めて均一な条件が支配している。従っ
て、本発明によるモジュールの1つの好ましい実施形式は、モジュールの内部空
間内での条件を監視するためのセンサー、特に有利に少なくとも1つのマイクロ
センサー、即ち寸法に関連して本発明によるメンブランモジュールの小さな寸法
に適合しているセンサーを含み、この場合には、このようなセンサーの位置に関
連して内部空間内での均一な条件のために特殊な要件を課すことはできない。こ
の種のマイクロセンサーを用いることにより、例えばpH値、酸素分圧、グルコ
ース濃度、ラクテート濃度、圧力および/または温度は、内部空間内でオンライ
ンで測定されることができ、この場合には、小型化によって細胞培養空間内に存
在する細胞培養物に対するセンサーの支障のある影響は、全く生じない。
【0033】 次に、本発明を実施例につき詳説する。
【0034】 図1には、拡大された縮尺で本発明によるメンブランモジュールが示されてお
り、この本発明によるメンブランモジュールは、細胞培養物を収容するための内
部空間2を有する多数の分割されたケーシング1を備えている。内部空間2は、
蓋3、蓋と平行な底面4および側壁5によって制限されており、目視方向に蓋ま
たは底面に対して垂直方向に円形の内部断面を有している。蓋3および底面4は
、内部区間内での細胞の観察を可能にするために、透明材料から成る。側壁5は
、本例の場合には、硬化された注型材料から成り、この注型材料中には、同時に
底面付近に存在する毛管メンブランが埋設されており、したがって内部空間2と
ケーシングの外側とのあいだの液密の密閉が生じる。
【0035】 内部空間内には、第1の毛管メンブラン6が個別的な層の形で配置されており
、この第1の毛管メンブランは、交叉流モジュール中で貫流可能であり、この第
1の毛管メンブランの両端部は、対向する側で内部空間の側壁を通って内部空間
から抜け、オリーブ形状管7、8でそれぞれ注型材料9、10中に埋設されてい
る。図1に記載のメンブランモジュールは、さらに1つの層の第2の毛管メンブ
ラン11を含み、この第2の毛管メンブランは、図において図の平面に対して垂
直方向に延在している。
【0036】 図2は、図1に示されたメンブランモジュールを部分的な破断面を有する平面
図で示し、モジュールの内部空間内の毛管メンブランの配置を明示している。内
部空間2は、ケーシング1によって包囲されており、円形の蓋3で覆われている
。内部空間2内には、第1の毛管メンブラン6と第2の毛管メンブラン11が均
一に内部空間2の内部断面に亘って分布している。第1の毛管メンブラン6は、
この図面内で右から左向きに延在し、この場合この第1の毛管メンブランは、均
一の分布のために内部空間内で内部断面に亘って平坦化されており、その際この
第1の毛管メンブランの両端部は、オリーブ形状管7、8で束に纏められており
、そこで埋設されている。第2の毛管メンブラン11は、この図面内で上から下
向きに延在し、同様に均一の分布のために内部空間内で内部断面に亘って平坦化
されており、この第2の毛管メンブランの両端部で束に纏められており、オリー
ブ形状管12、13中に埋設されている。第1の毛管メンブラン6と第2の毛管
メンブラン11は、内部空間2内で交叉している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるメンブランモジュールを示す断面図。
【図2】 内部空間内の毛管メンブランの分布を示すための部分的な破断部分を有する、
図1に示された本発明によるメンブランモジュールを示す平面図。
【符号の説明】
1 ケーシング、 2 内部空間、 3 蓋、 4 蓋と平行な底面、 5
側壁、 6 第1の毛管メンブラン、 7、8 オリーブ形状管、 9、10
注型材料、 11 第2の毛管メンブラン、 12、13 オリーブ形状管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フリードリッヒ ハウク ドイツ連邦共和国 グロースホイバッハ クリンゲンヴェーク 6 (72)発明者 クリストフ ツィンマーラー ドイツ連邦共和国 アモールバッハ ドレ スデナー シュトラーセ 1 (72)発明者 ルーディ ヴォルベック ドイツ連邦共和国 エアレンバッハ アム シュタットヴァルト 24 Fターム(参考) 4B029 AA07 AA08 BB11 FA07 GA08 GB02 GB06 4B065 AA87X BC21 BC41 BD50 CA46

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蓋(3)、底面(4)および側壁(5)によって制限されて
    いる内部空間(2)を有するケーシング(1)、内部空間(2)内に配置された
    第1の毛管メンブラン(6)の系および第2の毛管メンブラン(11)の系およ
    び場合によっては毛管メンブランの少なくとも1つの他の系を備え、この場合全
    ての毛管メンブランは、それぞれ第1の端部および第2の端部ならびに液体を運
    搬しうる内径を有し、この場合内部空間内の毛管メンブランは、底面(4)と平
    行な平らな少なくとも1つの層に対して配置されており、ケーシング(1)の内
    部空間内で毛管外空間で毛管メンブランの周囲には細胞培養空間が形成されてお
    り、この場合毛管メンブランは、その両端部の少なくとも片側が内部空間(2)
    の側壁(5)内に侵入し、内部空間(2)が液密で外向きに密閉されているよう
    に、系に応じて前記内部空間に対して別々に少なくとも1つの端部がそれぞれ注
    型材料(9、10)中に埋設されており、この場合内径を有する全ての系の毛管
    メンブランは、入口装置(7、12)および/または出口装置(8、13)と液
    体結合されている、細胞に接する作用物質を試験するためのメンブランモジュー
    ルにおいて、内部空間(2)が0.1〜5cmの体積を有することを特徴とす
    る、細胞に接する作用物質を試験するためのメンブランモジュール。
  2. 【請求項2】 内部空間(2)が目視方向で少なくとも1つの層に対して垂
    直方向に円形の内部断面を有する、請求項1記載のメンブランモジュール。
  3. 【請求項3】 内部空間(2)が10〜20mmの直径を有する、請求項1
    または2記載のメンブランモジュール。
  4. 【請求項4】 蓋(3)と底面(4)が互いに平行に配置されており、それ
    ぞれ断片で透明材料から形成されている、請求項1から3までのいずれか1項に
    記載のメンブランモジュール。
  5. 【請求項5】 毛管メンブランが目視方向で少なくとも1つの層に対して垂
    直方向に層の内部で均一に内部空間(2)の内部断面に亘って分布している、請
    求項1から4までのいずれか1項に記載のメンブランモジュール。
  6. 【請求項6】 異なる系の毛管メンブランが目視方向で少なくとも1つの層
    に対して垂直方向に十字に交叉するように配置されている、請求項1から5まで
    のいずれか1項に記載のメンブランモジュール。
  7. 【請求項7】 内部空間内に作用物質を供給するための装置を備えている、
    請求項1から6までのいずれか1項に記載のメンブランモジュール。
  8. 【請求項8】 作用物質を供給するための装置が側壁(5)内での少なくと
    も1つの入口からなる、請求項7記載のメンブランモジュール。
  9. 【請求項9】 装置が毛管メンブランの他の系からなる、請求項7記載のメ
    ンブランモジュール。
  10. 【請求項10】 個々の系の毛管メンブランの端部がそれぞれ束に纏められ
    ており、小管状の端部片中に埋設されている、請求項1から9までのいずれか1
    項に記載のメンブランモジュール。
  11. 【請求項11】 内部空間内に毛管が多層で配置されており、この毛管が蓋
    (3)と底面(4)との間の内部空間(2)の高さに亘って緊密な連続相で対称
    的に底面(4)の付近で分布している、請求項1から10までのいずれか1項に
    記載のメンブランモジュール。
  12. 【請求項12】 内部空間(2)内で細胞を有利に不動態化するための装置
    が配置されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載のメンブランモ
    ジュール。
  13. 【請求項13】 装置が繊維状単一フィラメント、織物または編物からなる
    、請求項12記載のメンブランモジュール。
  14. 【請求項14】 第1の毛管メンブラン(6)が精密濾過膜であり、この精
    密濾過膜が内部空間内への液状栄養媒体の供給に適しており、第2の毛管メンブ
    ラン(11)が内部空間内へのガス状物質の供給に適している膜である、請求項
    1から13までのいずれか1項に記載のメンブランモジュール。
  15. 【請求項15】 細胞に接する作用物質を試験するための請求項1から14
    までのいずれか1項に記載のメンブランモジュールの使用。
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