JP2002537362A - ビオチン化ケモカイン抗体複合体 - Google Patents

ビオチン化ケモカイン抗体複合体

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Abstract

(57)【要約】 ビオチン化された薬理学的に活性な薬剤およびそれを含む複合体が開示される。特に、ビオチン化ケモカインが記載される。複合体はさらに、ビオチンに選択的に結合する抗ビオチン抗体を含む。複合体は遊離ビオチンとの接触によって解離し得る。複合体は特に、インビボまたはインビトロで腫瘍細胞およびウイルス感染細胞に対する免疫反応を増強するために有用である。ビオチン化ケモカインおよびそれを含む複合体は、ケモカイン媒介性細胞応答を含む種々の疾患状態の根底にあるメカニズムを調節するのに、および疾患活性部位に薬剤を選択的に送達するのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、抗ビオチン抗体またはその断片と任意で複合体化するビオチン化化
合物に関連する。より具体的には、本発明はビオチン化ケモカインおよびビオチ
ンに選択的に結合する抗体またはその断片を含む複合体に関連する。ビオチン化
ケモカインおよびそれを含む複合体は、ケモカイン媒介性細胞応答を含む種々の
疾患状態の根底にあるメカニズムを調節するのに、および疾患活性部位に薬剤を
選択的に送達するのに有用である。
【0002】 (発明の背景) ケモカインは、炎症における細胞の補充および活性化に関与するサイトカイン
分子の種類である。これらのケモカインは、ポリペプチドのアミノ末端近くに位
置する、2つの高度に保存されたシステインアミノ酸の間隔の性質によって、4
つのサブグループに分類された。最初のケモカインサブグループは“CXC”と
呼ばれる;第2のサブグループは“CC”と呼ばれる;3番目のケモカインサブ
グループは“CX3C”と呼ばれる;そして4番目のケモカインサブグループは
“C”と呼ばれる。これらのサブグループ内で、ケモカインはさらに、アミノ酸
配列の相同性に基づく関連するファミリーに分けられる。CXCケモカインファ
ミリーは、IP−10およびMigファミリー;GROα、GROβ、およびG
ROβファミリー;インターロイキン−8(IL−8)ファミリー;およびPF
4ファミリーを含む。CCケモカインファミリーは、単球走化性タンパク質(M
CP)ファミリー;マクロファージ阻害タンパク質−1α(MIP−1α)、マ
クロファージ阻害タンパク質−1β(MIP−1β)、およびランテス(reg
ulated on activation normal Tcell ex
pressed)(RANTES)を含むファミリーを含む。間質細胞由来因子
1α(SDF−1α)および間質細胞由来因子1β(SDF−1β)は、アミノ
酸配列相同性によってCXCおよびCCケモカインサブグループにほぼ同程度関
連したケモカインファミリーを代表する。CX3Cケモカインファミリーは、フ
ラクタカイン(fractalkine)を含む;Cケモカインファミリーは、
リンホタクチン(lymphotactin)を含む。一般的に、CXCケモカ
インはCXCRクラスのレセプターのメンバーと結合する;CCケモカインはC
CRクラスのレセプターと結合する;CX3CケモカインはCX3CRクラスの
レセプターと結合する;そしてCケモカインはCRクラスのレセプターと結合す
る。
【0003】 ケモカインレセプターを発現する細胞は、免疫応答に関与すると考えられる、
または他の因子を放出してインビボで他の細胞過程を媒介し得る、リンパ球、顆
粒球、および抗原提示細胞(APC)のような遊走性細胞を含む。ケモカイン勾
配の存在は、ケモカインレセプターを発現する遊走性細胞を誘引するようにはた
らく。例えば、遊走性細胞は、ケモカイン勾配によって、炎症の特定の部位に誘
引され得、その部位でそれらはさらに免疫応答を修飾するのに役割を果たす。ケ
モカインレセプターはまた、ウイルスタンパク質との相互作用に関与する。特に
、CXCR4(fucin)、CCR5、および他のケモカインレセプターが、
HIV−1およびHIV−2の補助レセプターとして同定された。それに加えて
、ケモカインレセプターは、ニューロン、小神経膠細胞、上皮細胞および繊維芽
細胞のような、種々の非運動性細胞に発現される。ケモカインはまた、顆粒放出
、サイトカイン放出、血管形成、増殖および分化のような、種々の非遊走性細胞
機能に影響することが知られている。しかし、インビボにおけるケモカインの半
減期は比較的短い。(例えばD.Hechtmanら、J.Immunol.1
47(3):883−892(1991)を参照のこと、これはIL−8が30
分以内に注射前レベルへ減少することを報告している。) インビボで注射されたケモカインの半減期を延長させるために、およびケモカ
インの細胞集団への標的化送達を達成してケモカイン勾配を確立するために、様
々なアプローチも試された。例えば、「ケモカインドメインを含むキメラポリペ
プチド」と題する、国際出願番号PCT/US98/04002(公開番号WO
98/38212、発明者S.HerrmannおよびS.Swanberg)
は、抗体の結合ドメインのような異種由来ポリペプチドに共有結合したケモカイ
ンポリペプチドをコードする配列を含むキメラDNA分子を報告している。同様
に、「抗腫瘍免疫応答の補充および刺激のためのキメラ抗体融合タンパク質」と
題する、国際出願番号PCT/US98/01785(公開番号WO98/33
914、発明者J.Rosenblattら)は、腫瘍特異的抗原に特異的に結
合する結合領域およびケモカインおよび/または同時刺激リガンドを含むキメラ
分子を報告している。「融合タンパク質に基づく治療的抗体」と題する、H.F
ell,Jr.およびM.Gayleに発行された、米国特許第5,645,8
35号もまた、生物学的に活性なリンホカインと結合した免疫グロブリンの部分
を含む、抗体に基づいた融合タンパク質を報告している。残念ながら、前述の方
法はそれぞれケモカイン融合タンパク質の作製を必要とし、それによって異なる
ケモカイン構築物それぞれの産生にあわせて作られた方法の開発を必要とする。
従って、融合タンパク質技術に関連して代弁された革新にも関わらず、ケモカイ
ンを同族ケモカインレセプターを発現する細胞へ標的化送達する普遍的なアプロ
ーチは存在しない。従って、インビボまたはインビトロで細胞へケモカインを送
達する一般的に適用可能な方法の必要性が依然として存在する。好ましくは、普
遍的な方法は、インビボまたはインビトロで容易に可逆的であるものである。
【0004】 (発明の要旨) 本発明は、遊離ビオチンの存在下で可逆的に解離し得る、ビオチン化ケモカイ
ン抗体複合体を提供することによって、これらおよび他の障害を克服する。従っ
て、本発明はビオチン化ケモカイン抗体複合体の濃度を、複合体をインビボまた
はインビトロで様々な量の遊離ビオチンにさらすことによって調節し得る方法を
提供する。本発明の複合体は、炎症部位への遊走性細胞のケモカイン誘導補充に
よって媒介されるもののような免疫応答を調節することを含む種々の適用、およ
びケモカインレセプターを発現する細胞へ薬剤を標的化送達するのに有用である
。より広い局面では、本発明はGタンパク質共役型レセプターに結合するビオチ
ン化ペプチドリガンドを含む。従って、本発明は薬剤(診断剤および治療剤)の
、そのようなレセプターを発現する予め選択された細胞への標的化送達を可能に
し、そして有利に、これらの目的を達成するために個々の融合タンパク質を合成
する必要性を避け、そして活性の迅速なダウンレギュレーションのメカニズムを
提供する。
【0005】 本発明の1つの局面によって、以下の成分それぞれの少なくとも1種類を含む
組成物が提供される:(a)以下のものを含むビオチン結合体(「ビオチン化薬
剤」とも呼ばれる):(i)薬理学的に活性な薬剤に共有結合したビオチン(i
i)薬理学的に活性な薬剤;および(b)抗ビオチン抗体。抗ビオチン抗体は、
ビオチンに選択的に結合し本発明の複合体を形成する。組成物はさらに任意で、
薬剤学的に許容できる担体を含み、そして皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下
、および制御放出送達を含む、インビボにおける種々の送達方法のために処方さ
れ得る。好ましい薬理学的に活性な薬剤はケモカインであるが、Gタンパク質共
役型レセプターに結合する他のペプチドリガンドも本発明のより広い局面内に含
まれる。
【0006】 ビオチンは、天然にそのL異性体型で存在する酵素補助因子である。Lビオチ
ンを本発明のビオチン結合体を形成するのに使用するのが好ましいが、本発明は
ビオチンのD異性体型、および他のビオチン誘導体も含む。一般的に、ビオチン
はリンカー分子によって薬理学的に活性な薬剤(例えばケモカイン)に結合し、
「ビオチン結合体」を形成する。従って、本明細書中で使用される場合、「ビオ
チン」という語句は、ビオチンのDおよびL異性体型およびビオチンがリンカー
分子に結合しているビオチン誘導体を含む。リンカー分子は、ビオチンおよび/
またはリンカー分子の存在が、薬剤の薬理学的な活性に不利に影響しないことを
保証するように、構造を有しそしてビオチンと薬理学的に活性な薬剤との間の十
分な距離を提供するように選択される。そのようなリンカー分子は、ペプチドお
よびタンパク質をお互いに結合するために、および他の機能的分子をタンパク質
に結合させるために、当該分野で周知である。
【0007】 特定の好ましい実施形態によって、ビオチン化された薬理学的に活性な薬剤は
、Gタンパク質共役型レセプターに選択的に結合するペプチドである。Gタンパ
ク質共役型レセプターに結合する例示的なペプチドリガンドは、アンギオテンシ
ン;ブラジキニン;ボンベシン/ニューロメジン;C3a;C5a;カルシトニ
ン;カルシトニン遺伝子関連ペプチド;ケモカイン;コレシストキニン;コノプ
レッシン(Conopressin);副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF
);CD55−崩壊促進因子(DAF);利尿ホルモンレセプター;エンドセリ
ン;MLP;FSH糖タンパク質ホルモン;ガラニン;成長ホルモン放出ホルモ
ン(GHRH);成長ホルモン分泌促進物質(GSH);胃抑制性ペプチド;グ
ルカゴン様ペプチド;グルカゴン;ゴナドトロピン放出ホルモン;LH糖タンパ
ク質ホルモン;メラノコルチンレセプター;ニューロペプチドY;ニューロテン
シン;オピオイド;オキシトシン;活性化トロンビンおよびプロテアーゼ(Th
rombin and Protease Activated);下垂体アデ
ニル酸シクラーゼ活性化ペプチド;PTH/PTHrP;セクレチン;ソマトス
タチン;タキキニン;甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;TSH糖タンパク質ホ
ルモン;バソプレッシン;バソトシン;血管作用性腸ペプチド(VIP)を含む
。好ましい実施形態では、薬理学的に活性な薬剤はケモカインである。本発明の
方法に従って使用される例示的なケモカインは、表1で提供される。表は特許請
求の範囲の後にある。一般的に、ビオチンはリンカー分子によって薬理学的に活
性なペプチドと結合する。より具体的には、ケモカインであるペプチドでは、ビ
オチンはリンカーによってケモカインのカルボキシル末端に結合する。本発明の
ビオチン化ケモカインは、ケモカインの完全な配列に結合したビオチン、および
そのようなペプチドの短縮されたまたは延長した型(例えばアミノ末端またはカ
ルボキシル末端配列の一部を欠いたケモカインペプチド)に結合したビオチンを
含む。いかなる特定のメカニズムまたは理論に拘束されることを望まないが、ケ
モカインの高度に塩基性のカルボキシル末端と負に荷電したグルコサミノグリカ
ンとの相互作用が、ケモカインの細胞取り込みを媒介し、そしてケモカインの高
度に塩基性のカルボキシル末端の短縮または欠失を、改善した半減期の性質を有
する新規ケモカインアゴニストを産生するために使用し得ると考えられる。本発
明はまた、ケモカインの正常な薬理学的活性を阻害するケモカインアンタゴニス
トとして使用するために、特にアミノ末端における、ビオチン化短縮または延長
ケモカインペプチドを含む。(例えばD.Hechtmanら、J.Immun
ol.147(3):883−892(1991)を参照のこと、これは急性炎
症部位における多形核白血球蓄積のIL−8様阻害剤を報告している。) 本発明の複合体はさらに、ビオチン結合体中のビオチンに選択的に結合する抗
ビオチン抗体を含む。本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、イ
ンタクトな抗体、および抗体断片、例えばFab’2断片、CDR3領域を含む
。好ましくは、抗ビオチン抗体は、ヒト、ヒト化、または霊長類化抗体であり、
そしてヒトにおいて非抗原性である。本発明の抗ビオチン抗体は、ビオチン単独
またはリンカー分子に結合したビオチンに選択的に結合する、ビオチン結合ドメ
インを有する。本発明の抗ビオチン抗体の顕著な特徴の1つは、ビオチン結合体
と複合体化した場合の、遊離ケモカイン(結合体化していない、または複合体に
結合していない)またはビオチン化ケモカインの半減期よりも有意に長い複合体
の半減期である。従って、インビボで短い半減期を示す遊離ケモカインと対照的
に(D.Hechtmanら、前出を参照のこと)、本発明の複合体はおよそ1
日から1ヶ月の半減期を有する(より好ましくは、約1週間から約2週間)。さ
らに、複合体の有効な半減期は、複合体をビオチンと(インビボまたはインビト
ロで)接触させて平衡を複合体解離に移動させることによって減弱され得る。従
って、生理的レベルを超える遊離ビオチン(単独またはリンカー分子と結合)の
存在下でのみビオチン結合体から抗体の解離を可能にする、本発明の抗ビオチン
抗体が選択される。すなわち、複合体は生理的なビオチン濃度の条件下では解離
しない。血中のビオチンの生理的濃度は、約0.5nモル/リットル、または1
22ng/L(122pg/ml)である。本明細書中で使用される場合、生理
的濃度を超える濃度は、考慮される特定の薬剤の生理的濃度より少なくとも10
倍、より好ましくは少なくとも100倍、および最も好ましくは少なくとも10
00倍高いものとして規定される。従って、先行技術の融合タンパク質と対照的
に、本発明は、例えば、複合体を生理的濃度を超える濃度の外来性由来遊離ビオ
チンに、複合体の解離に有利に平衡反応が移動する条件下で接触させることによ
って、抗体がビオチン化ケモカインから選択的に解離し得るメカニズムを提供す
る。従って、本発明の抗体は、部分的には外来性ビオチンの存在下で、ビオチン
化された薬理学的に活性な薬剤から解離する能力に基づいて選択される。
【0008】 好ましくは、本発明の抗体は、複合体化した時、生理的レベルを超える遊離ビ
オチンの存在下で、アビジン−ビオチン複合体の半減期より有意に短い複合体の
半減期を示す。生理的レベルを超える遊離ビオチン存在下における複合体の半減
期は、当業者に公知の日常的な手順によって決定され得る。従って、アビジン−
ビオチン複合体と対照的に、本発明の複合体の半減期は、生理的レベルを超える
遊離ビオチンの存在下でのアビジン−ビオチン複合体の半減期の少なくとも10
分の1、好ましくは100分の1、そしてより好ましくは1000分の1である
。より具体的には、生理的レベルを超える遊離ビオチン存在下における本発明の
好ましい複合体の半減期は、抗ビオチン抗体からのビオチンの解離に関して、約
1時間より短く、より好ましくは約0.5時間より短く、そして最も好ましくは
約15分より短い。公に入手可能であり、そして本発明による使用(または使用
のためのさらなる修飾)のために、抗体が許容できる解離速度定数および/また
は親和性定数を示すかどうか決定するためにスクリーニングアッセイで試験し得
る、典型的な抗ビオチン抗体は、下記で同定する。
【0009】 任意で、本発明の抗体はさらに、薬理学的薬剤のレセプター(例えばケモカイ
ンレセプター)を発現する細胞へ標的化送達するための、診断的薬剤または治療
的薬剤を含む。典型的な治療的薬剤および診断的薬剤は下記に記載する。
【0010】 本発明のある好ましい局面において、抗ビオチン抗体は、複数の特異性、好ま
しくは二重特異性を示す。これによって、その抗体が、ビオチンに選択的に結合
する第1の結合ドメイン、および少なくとも1つの他の分子に選択的に結合する
第2の結合ドメインを含むことを意味する。例えば、抗体は第2のビオチン分子
、腫瘍細胞関連抗原、またはウイルス関連抗原に対する第2の特異性を示し得る
。典型的な腫瘍関連抗原は、以下の型の腫瘍細胞由来である:乳癌細胞、卵巣癌
細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、および他の、例えばher2−neu発現癌細
胞。一般的に、腫瘍細胞関連抗原は細胞表面抗原である。腫瘍関連抗原のより具
体的な例は、癌胎児性抗原(結腸、肺、および乳房のような上皮由来の腫瘍およ
びその転移)、EGF−R(膀胱癌および乳癌)、前立腺特異的膜抗原(前立腺
癌)、GD2(神経芽細胞腫)、膜免疫グロブリン(リンパ腫)、およびT細胞
レセプター(T細胞リンパ腫)を含む。典型的なウイルス関連抗原は、HIVの
gp120、HbsAg、C型肝炎ウイルスの極初期遺伝子、CMVの極初期遺
伝子、エプスタインバーウイルスの極初期遺伝子、およびRSウイルスの極初期
遺伝子を含む。
【0011】 ある好ましい実施形態において、複合体はTH1応答を媒介する遊走細胞の補
充に関与するケモカインを含むビオチン結合体、および腫瘍細胞関連抗原および
ビオチン化ケモカインに選択的に結合する本発明の抗体を含む。この実施形態に
よって、本発明の複合体は腫瘍細胞抗原を発現する腫瘍細胞へ送達され、そして
それによって腫瘍細胞の位置へのTH1型細胞の補充を媒介して限局的TH1免
疫応答を増強する。さらに他の実施形態では、本発明の抗体は二重特異性を示し
て、炎症の限局的部位を治療するための位置への、前もって選択したTH2型細
胞の補充を可能にする。
【0012】 本発明のさらに別の局面によって、治療的に有効な量の本発明のビオチンおよ
び薬学的に受容可能なキャリアを含むビオチン組成物が提供される。このビオチ
ン組成物は、本発明のビオチン化された薬理学的に活性な薬剤抗体複合体を有す
るかまたは受ける、被験体への投与に有用である。ビオチン組成物の投与は、イ
ンビボで複合体の解離を促進し、そしてそれによって当業者がインビボで複合体
の半減期をさらに調節することを可能にする。一般的に、本発明のビオチン化ケ
モカインの半減期は、そのビオチン結合体が本発明の抗ビオチン抗体と複合体化
する時により長く、そしてビオチン結合体がインビボで「遊離」(複合体化して
いない)で存在するときにより短い。よって、インビボでの複合体の解離は、イ
ンビボでビオチン結合体の自然な分解の促進を引き起こす。このビオチン組成物
はまた、インビトロで濃度を調節するために使用し得る。
【0013】 ビオチン組成物は、様々な方法で投与し得、そして好ましくは経口形態で投与
される。一般的に、治療的に有効な量のビオチンは、ビオチン補助食品に比べて
、本発明の経口ビオチン組成物で有意に多い。典型的には、本発明の経口ビオチ
ン組成物は、補助食品中のビオチン濃度より少なくとも10倍、好ましくは10
0倍、そしてより好ましくは少なくとも1000倍多い。好ましい実施形態では
、ビオチン組成物中に存在するビオチンの治療的に有効な量は、約100μgか
ら約100mgである。より好ましくは、有効な量のビオチンは約100μgか
ら約10mgであり、そして最も好ましくは有効な量のビオチンは約1mgから
約10mgである。
【0014】 本発明のさらに別の局面によって、ビオチン結合体の混合物を含む組成物が提
供される。この組成物は以下のものを含む:(a)以下のものを含む第1のビオ
チン結合体:(i)第1のビオチン(ii)それに共有結合した第1の薬理学的
活性を有する第1の薬剤;および(b)以下のものを含む第2のビオチン結合体
:(i)第2のビオチン(ii)それに共有結合した第2の薬理学的活性を有す
る第2の薬剤。第1のビオチンおよび第2のビオチンは、同じであっても異なっ
てもよい。例えば、第1のビオチンは第2のビオチンに含まれるものとは異なる
リンカーを含み得る。そのビオチンの性質に関わらず、そのビオチンは最初およ
び第2の薬剤にそれぞれ、第1のおよび第2の薬理学的活性に不利に影響(有意
な程度減少させる)しない方法で結合する。好ましくは、第1の薬剤および第2
の薬剤は、同じかまたは異なる細胞型に発現する異なるレセプターに結合する、
異なるケモカインを表す。この組成物は、任意でさらに、第1のビオチン結合体
および/または第2のビオチン結合体に結合する抗ビオチン抗体を含む。従って
、この組成物はまた、抗ビオチン抗体によって2つ以上のケモカインを可逆的に
結合させる手段を提供する。よって、本発明の複合体を、新規融合タンパク質の
構築を必要とすることなく、異なるカテゴリーの予め選択されたケモカインレセ
プター(例えばCCR2およびCXCR3レセプター)を標的化するために使用
し得る。さらに他の実施形態では、抗ビオチン抗体は、ビオチンおよび予め選択
された細胞の表面に発現する抗原への結合について二重特異性を有する。例えば
、第1の抗ビオチン抗体を、細胞傷害性T細胞に発現するレセプターを標的化す
るのに使用し得(たとえばCD8)、そして第2の抗ビオチン抗体を、単球また
はウイルス感染細胞に発現するレセプターを標的化するのに使用し得る。この方
法で、同じかまたは異なるケモカインを含む本発明の複合体を、同じかまたは異
なる細胞型へ送達し得る。
【0015】 本発明のさらに別の局面によって、ビオチン結合体組成物が提供される。その
組成物は、本発明の上記で記載したビオチン結合体およびレセプターを含む。こ
のビオチン結合体は、薬理学的活性を有する薬剤(例えばケモカイン)に共有結
合したビオチンを含む。好ましくは、レセプターはインビボでの使用、特に腸管
外での使用のために作られたものである。典型的なレセプターは、下記で開示さ
れる。
【0016】 本発明のさらに別の局面によって、被験体において炎症を治療する方法が提供
される。本明細書中で使用される場合、治療するという用語は、治療される特定
の状態の症状を防止、阻害、および改善することを含む。この治療方法は、その
ような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量のビオチン結合体または(
a)ビオチン結合体および抗ビオチン抗体を含む治療的に有効な量の複合体を投
与する工程を含む。このビオチン結合体は以下のものを含む:(i)ビオチン(
ii)それに共有結合した、炎症に関連する予め選択された細胞(例えば遊走細
胞)によって発現されるレセプターに選択的に結合する薬剤。ビオチン結合体ま
たは複合体の投与は、被験体における炎症を防止または低減する。ある実施形態
では、このビオチン結合体および抗ビオチン抗体を、被験体に同時にまたは連続
的に投与する。最も好ましい実施形態では、このビオチン結合体は、ビオチン化
ケモカインである。本発明のこの局面でビオチンが結合する薬剤として使用し得
る典型的なケモカインは、表1で提供される。ある好ましい実施形態では、予め
選択された細胞は、T細胞または白血球のような遊走細胞であり、そして複合体
の投与は被験体における腫瘍細胞位置への遊走細胞の補充を増強する。
【0017】 本発明のさらに別の局面によって、診断的薬剤または治療的薬剤を予め選択さ
れた細胞へ送達する方法が提供される。この予め選択された細胞は、その表面に
本発明のビオチン結合体に選択的に結合するレセプターを発現している。本発明
のこの局面によると、その方法は、予め選択された細胞(例えば白血球)を含む
細胞集団を、有効な量の本発明の複合体に、その予め選択された細胞に複合体を
送達する条件下で接触させる工程を含む。この複合体は以下のものを含む:(a
)以下のものを含むビオチン結合体:(i)ビオチン(ii)それに共有結合し
た、予め選択された細胞によって発現されるレセプターに選択的に結合する薬剤
、および(b)このビオチンに選択的に結合した抗ビオチン抗体。この抗ビオチ
ン抗体はさらに、診断的薬剤および/または治療的薬剤を含む。典型的な治療的
薬剤は、本願の他の場所で記載されるもののような細胞傷害性薬剤を含む。典型
的な診断的薬剤は、下記で記載されるもののような検出可能標識を含む。本発明
の診断的薬剤および/または治療的薬剤は、抗体がビオチンに選択的に結合する
能力に不利に影響しない方法で、抗ビオチン抗体に結合する。
【0018】 本発明のさらに別の局面によって、予め選択された走化性応答を調節(アップ
レギュレーションまたはダウンレギュレーション/脱感作)する方法が提供され
る。その方法は、そのような治療が必要な被験体に、治療的に有効な量のビオチ
ン化ケモカインアゴニストまたはケモカインアンタゴニストを投与して、走化性
または他のケモカインにより媒介される前炎症性応答を調節する工程を含む。ケ
モカイン応答を調節する方法を、ヒト疾患の様々な動物モデルにおいて特定のケ
モカインレセプターの役割を評価するために使用し得る。ケモカイン応答を調節
する方法を、例えばそのような治療が必要な被験体に本発明のビオチン化ケモカ
インアンタゴニスト、特にビオチン化CXCケモカインアンタゴニストを投与す
ることによって、内在する炎症性細胞の補充および/または活性化を阻害するた
めにも使用し得る。さらに、その方法をケモカインのレセプターを発現する特定
の白血球集団を同定するために、診断的画像化、試薬のスクリーニング、および
ヒト疾患の新規動物モデルを作製(例えば正常な走化性応答を阻害して、そして
その動物モデルにおける症状の変化を観察することによって)するために使用し
得る。
【0019】 これらおよび他の本発明の局面、ならびに様々な利点および有用性は、好まし
い実施形態の詳細な説明および付随する図を参照することによってより明らかと
なる。
【0020】 本出願において言及された全ての文書は、全体として本明細書中で参考として
援用される。
【0021】 (発明の詳細な説明) 本発明は、遊離ビオチンの存在下で可逆的に解離し得る、ビオチン化ケモカイ
ン抗体複合体を提供する。よって、本発明は、インビボまたはインビトロで様々
な量の遊離ビオチンに複合体をさらすことによって、ビオチン化ケモカイン抗体
複合体の濃度を調節し得る方法を提供する。本発明の複合体は、炎症部位への遊
走細胞のケモカイン誘導補充によって媒介されるもののような免疫応答の調節を
含む様々な適用、およびケモカインレセプターを発現する細胞への薬剤の標的化
送達に有用である。
【0022】 本明細書中で使用される場合、薬理学的に活性な薬剤は、Gタンパク質共役型
レセプターに結合するペプチドを指す。Gタンパク質共役型レセプタースーパー
ファミリー(GPCR)は、共通の構造的相同性を共有するレセプタータンパク
質の大きなグループである。典型的なGPCRは、カルシウム感受性レセプター
(CSR)および代謝共役型グルタミン酸レセプター(mGluR)(Tana
ge,Y.ら、Neuron、1992、8:169−179;Brown,E
.ら、Nature、1993、366:575−580);糖タンパク質ホル
モンのいくつかのレセプター(Segaloff,D.ら、Oxf.Rev.R
eprod.Biol.、1992、14:141−168)、フェロモンレセ
プター(OrsおよびVNR)(これらもまたGPCRである(Buck,L.
ら、Cell、1991、51:127−133;Dulac,C.ら、Cel
l、1995、83:159−206))を含む。Gタンパク質共役型レセプタ
ーに結合する他の典型的なペプチドリガンドは、アンギオテンシン;ブラジキニ
ン;ボンベシン/ニューロメジン;C3a;C5a;カルシトニン;カルシトニ
ン遺伝子関連ペプチド;ケモカイン;コレシストキニン;コノプレッシン(Co
nopressin);副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF);CD55−
崩壊促進因子(DAF);利尿ホルモンレセプター;エンドセリン;MLP;F
SH糖タンパク質ホルモン;ガラニン(Galanin);成長ホルモン放出ホ
ルモン(GHRH);成長ホルモン分泌促進物質(GHS);胃抑制性ペプチド
;胃抑制性ペプチド;グルカゴン様ペプチド;グルカゴン;ゴナドトロピン放出
ホルモン;LH糖タンパク質ホルモン;メラノコルチン(Melanocort
in)レセプター;ニューロペプチドY;ニューロテンシン;オピオイド;オキ
シトシン;活性化トロンビンおよびプロテアーゼ(Thrombin and
Protease Activated);下垂体細胞アデニル酸シクラーゼ活
性化ペプチド;PTH/PTHrP;セクレチン;ソマトスタチン;タキキニン
;甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;TSH糖タンパク質ホルモン;バソプレッ
シン;バソトシン;および血管作用性腸ペプチド(VIP)を含む。
【0023】 薬理学的に活性な薬剤は、その薬理学的に活性な薬剤の薬理学的活性に不利に
影響しない方法で、ビオチンに共有結合する。ペプチドのその同族Gタンパク質
共役型レセプターへの結合は、Gタンパク質シグナル送達(細胞内カルシウムお
よび/またはサイクリックヌクレオチドの濃度の変化を測定するアッセイのよう
な、伝統的なスクリーニングアッセイを用いて測定し得る出来事)を伴う(例え
ば「カルシウムレセプター−活性分子」と題する、PCT公開番号WO94/1
8959、発明者E.Nemethらを参照のこと)。ケモカインは、薬理学的
に活性な薬剤の好ましい種類である。本発明の組成物および方法で有用な、典型
的および好ましいケモカインは、表1で述べるものを含む。
【0024】 この表は、特許請求の範囲の直前に位置する。
【0025】 議論を簡単にするために、以下の発明の詳細な説明は、主に典型的なビオチン
化された薬理学的に活性な薬剤としてビオチン化ケモカインを含む、組成物およ
び方法に向けられる。Gタンパク質共役型レセプターに結合する他のペプチドで
、本明細書中で記載したケモカインを置換し、本発明のさらなるビオチン化され
た薬理学的に活性な薬剤および複合体を作製および使用し得ることが理解される
べきである。
【0026】 本発明の1つの局面によって、以下の成分を含む組成物が提供される:(a)
以下のものを含むビオチン結合体:(i)ビオチン(ii)それに共有結合した
薬理学的に活性な薬剤;および(b)抗ビオチン抗体。この抗ビオチン抗体は、
ビオチンに選択的に結合して本発明の複合体を形成する。この組成物はさらに、
任意でレセプターを含み、そして皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下および徐
放性送達を含む、インビボにおける様々な送達方法のために処方され得る。好ま
しい薬理学的に活性な薬剤は、ケモカインである。
【0027】 ビオチンは、天然にそのL異性体型で存在する酵素補因子である。本発明のビ
オチン結合体を形成するためにL−ビオチンを使用するのが好ましいが、本発明
はまた、ビオチンのD異性体型、および他のビオチン誘導体も含む。一般的に、
このビオチンは、薬理学的に活性な薬剤(例えばケモカイン)とリンカー分子に
よって結合し、「ビオチン結合体」を形成する。このリンカー分子は、このビオ
チンおよび/またはリンカー分子の存在が薬剤の薬理学的活性に不利に影響しな
いことを保証するように、構造を有しそしてビオチンと薬理学的に活性な薬剤と
の間の十分な距離を提供するように、選択される。そのようなリンカー分子は、
ペプチドとタンパク質とを互いに結合させるため、および他の機能的分子をタン
パク質へ結合させるために、当該分野で周知である。本明細書中で使用される場
合、「ビオチン」は、L異性体型である天然に存在する代謝ビオチン(Sigm
a Chemical Co.、St.Louis、MO;Pierce Ch
emical Co.、Rockford、IL)、ならびに前述のビオチン分
子のD異性体型および修飾をいう。「修飾ビオチン」によって、薬理学的に活性
な薬剤へのビオチンの共有結合を促進する方法でさらなる分子が結合したビオチ
ン(L異性体またはD異性体のいずれか)を意味する。代表的には、修飾ビオチ
ンは、リンカー分子が結合したビオチンを指す。
【0028】 一般的に、ビオチンは、リンカー分子によって薬理学的に活性な薬剤と結合す
る。より具体的には、ケモカインであるペプチドでは、ビオチンは、リンカーに
よってこのケモカインのカルボキシル末端に結合する。本発明のビオチン化ケモ
カインは、このケモカインの完全な配列に結合したビオチン、およびそのような
ペプチドの短縮された型または延長した型(例えば、そのアミノ末端配列または
カルボキシル末端配列の一部を欠いたケモカインペプチド)に結合したビオチン
を含む。いかなる特定のメカニズムまたは理論にも拘束されることを望まないが
、ケモカインの高度に塩基性のカルボキシル末端と負に荷電したグルコサミノグ
リカンとの相互作用が、ケモカインの細胞取り込みを媒介すること、そしてケモ
カインの高度に塩基性のカルボキシル末端を短縮または欠失させることを、改善
した半減期の特徴を有する新規ケモカインアゴニストを作製するために使用し得
ることが考えられる。本発明はまた、ケモカインの正常な薬理学的活性を阻害す
るケモカインアンタゴニストとして使用するために、特にアミノ末端において、
ビオチン化された、短縮化ケモカインペプチドまたは延長ケモカインペプチドも
含む。(例えばD.Hechtmanら、J.Immunol.147(3):
883−892(1991)を参照のこと、これは急性炎症部位における多形核
白血球蓄積のIL−8様阻害剤を報告している。)そのようなビオチン化短縮化
ケモカインペプチドを、ケモカインの正常な薬理学的活性を阻害するアンタゴニ
ストとして使用し得る。従って、例えば本発明のビオチン化短縮化ケモカインは
、ケモカインのCXCファミリーおよびCCファミリーにおける、それぞれCX
C配列またはCC配列のN末端側の部分のような、そのアミノ末端配列の一部を
欠くケモカインペプチドのカルボキシル末端に共有結合したビオチンを含む。例
えば、J.Gogら、J.Exp.Med.186:131−137(1997
)を参照のこと、これはマウス狼瘡様疾患モデルにおいてアンタゴニストとして
機能する短縮化ヒトMCP−1を報告している。
【0029】 リンカー分子を、ビオチンを本発明の薬理学的に活性な薬剤に共有結合させる
ために使用する。そのような分子は、多くの本およびカタログ、例えばPier
ce Catalog and Handbook、Rockford、Ill
で議論されている。代表的には、これらの試薬を、タンパク質の付近の関係(n
ear−neighbor relationships)、タンパク質の3次
元構造、酵素−基質の方向、固相固定化、ハプテン−キャリアタンパク質結合、
および細胞膜における分子関係の決定を助けるために使用する。それらはまた、
抗体−酵素結合体、イムノトキシンおよび他の標識タンパク質試薬を調製するの
に有用である。
【0030】 本発明に従う使用のために、薬理学的に活性な薬剤のネイティブな構造を維持
することが必要である。従って、ペプチドのアミノ酸側鎖に結合する官能基を含
むリンカー分子が選択される。二官能性の試薬(ビオチンを薬理学的に活性な薬
剤に架橋可能である)は、以下に基づいて分類される: 1.官能基および化学的特異性 2.架橋の長さ 3.架橋する基が同様か(ホモ二官能性)または異なるか(ヘテロ二官能性) 4.基が化学的に反応するかまたは光化学的に反応するか 5.試薬が切断可能かどうか 6.試薬が放射標識または他の標識でタグ化され得るかどうか。
【0031】 リンカー分子を用いて標的化しうる反応基は、一級アミン、スルフヒドリル基
、カルボニル基、炭水化物、およびカルボン酸を含む。それに加えて、光化学反
応性フェニルアジドのようなリンカー分子を用いて、あらゆる反応基を非選択的
に結合し得る。
【0032】 様々な長さのスペーサーアームまたは架橋を有するリンカー分子が入手可能で
ある。これらの架橋は2つの反応性末端をつなぐ。本発明に従って使用するため
のリンカー分子は、薬理学的に活性な薬剤の薬理学的活性、およびビオチンの抗
ビオチンン抗体に結合する能力を最低限に阻害するように選択されなければなら
ない。立体効果が架橋の潜在的な反応部位間の距離を規定するので、相互作用の
ために異なる長さの架橋が必要である。より長いスペースアームを含む架橋剤を
用いる分子間架橋が有利である(約3から約15原子)。
【0033】 特定の相互作用に伴うタンパク質のコンホメーションの変化も、相互作用の前
および後に架橋研究を行うことによって分析し得る。例えば、結合した薬剤の薬
理学的活性を測定するか、または結合した薬剤の同族レセプターへ結合する能力
を測定するスクリーニングアッセイにおいて、異なるアームの長さの架橋剤を用
いて、結合の成功を分析することによって比較する。妨げられたアミノ酸が架橋
のために利用可能になるようにタンパク質の配座が変化する場合、異なる反応基
および/またはスペーサーアームを有する架橋剤を使用することが望ましくあり
得る。
【0034】 結合試薬は、少なくとも2つの反応基を含む。ホモ二官能性架橋剤は、少なく
とも2つの同一の反応基を含み得、そしてヘテロ二官能性試薬は、2つ以上の異
なる反応基を含む。アミン、スルフヒドリル基を通じて結合するか、または非特
異的に反応するホモ二官能性架橋剤およびへテロ二官能性架橋剤が、多くの商業
的な供給源から入手可能である。Pierce Co.、Rockford、I
Lから入手可能な典型的なリンカー分子を、表2、3、4、および5に示す。こ
れらの表はまた、リンカー分子が反応性である基、例えばスルフヒドリル基、ア
ミノ基等を同定する。
【0035】 一般的に、リンカー分子は、リンカー分子を遊離アミノ基、遊離スルフヒドリ
ル基、または遊離カルボキシル基にカップリングさせることを含む、標準的なタ
ンパク質カップリング技術を用いてビオチンに共有結合する。同様に、リンカー
分子の2番目の官能基部分は、標準的なタンパク質カップリング化学技術を用い
てケモカインに結合する。一般的に、リンカー分子はケモカインのカルボキシル
末端に結合する。本発明のケモカインへのビオチンの結合に好ましいリンカー分
子は、実施例で提供されるものである。一般的に、例えば、実施例で開示される
もののような結合アッセイにおいて決定されるように、リンカー分子を介するビ
オチンのケモカインへの結合が、ケモカインのそれぞれのレセプターに結合する
能力を阻害しないように、リンカー分子が選択される。従って、本発明はまた、
本発明の方法によって使用するためのリンカー分子を選択する方法、すなわち、
ビオチンをケモカインに「テスト」リンカー分子を介してカップリングし、そし
てその後ビオチン化ケモカインを薬理学的活性アッセイまたは結合アッセイに供
して、ケモカインが本質的にその薬理学的活性および/またはそれぞれのレセプ
ターに結合する能力を保持しているかどうかを決定することによって、提供する
【0036】 本発明のビオチン化ケモカインは、アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性
を示し得る。「アゴニスト」は、問題のシグナル伝達経路を活性化する分子また
は化合物を意味する。「アンタゴニスト」は、問題のシグナル伝達経路を阻害す
る分子または化合物を意味する。本明細書中で使用される場合、ケモカインアゴ
ニスト活性は、ケモカインの同族レセプターに結合し、そして例えば細胞内シグ
ナルを誘発することによってレセプターを活性化するケモカインの能力をいう。
本明細書中で使用される場合、ケモカインアンタゴニスト活性は、本発明のケモ
カインの、レセプターの活性化および細胞内シグナル伝達事象を誘発することな
く、その同族レセプターに結合する能力をいう。従って、本発明のケモカインア
ンタゴニストは、インビボまたはインビトロで、それぞれのレセプターに対する
ケモカインの結合および活性を競合的に阻害し、そしてそれによって細胞内シグ
ナル伝達を阻害するために使用され得る。さらに、またはあるいは、本発明のケ
モカインアゴニストは、細胞を循環ケモカインによるさらなる刺激に対して無反
応性にするために使用され得る。「細胞を無反応性にすること」によって、細胞
がもはや走化性、Ca2+流入、または脱顆粒アッセイに反応性でないことを意味
する。
【0037】 本発明の1つの局面によって、抗ビオチン抗体に非共有結合して本発明の複合
体を形成するビオチン結合体を含む組成物(複合体組成物)が提供される。ビオ
チン結合体は、薬理学的に活性な薬剤に共有結合したビオチン、およびビオチン
に選択的に結合して複合体を形成する抗ビオチン抗体を含む。本発明の複合体組
成物は、例えば、免疫応答を調節するために有用であり、そして特に、炎症の治
療、抗腫瘍反応の増強、およびウイルス感染の治療に有用である。
【0038】 本明細書中で使用される場合、抗ビオチン抗体は、ビオチン単独か、リンカー
分子にカップリングしたビオチンか、または本発明の薬理学的に活性な薬剤にカ
ップリングしたビオチンに選択的に結合する抗体または抗体フラグメントをいう
。本発明の抗ビオチン抗体は、ビオチンに結合し、そして複合体化した場合、ア
ビジン−ビオチン複合体の半減期より有意に短い複合体の半減期を示すように選
択される。アビジン−ビオチン複合体の半減期は、インビトロでおよそ200日
のオーダーである。従って、アビジン−ビオチン複合体とは対照的に、本発明の
複合体の半減期は、アビジン−ビオチン複合体の半減期の少なくとも10分の1
、好ましくは100分の1、そしてより好ましくは1000分の1である。より
具体的には、ビオチンの抗ビオチン抗体からの解離に関して、本発明の好ましい
複合体の半減期は、約1時間より短く、より好ましくは約0.5時間より短く、
そして最も好ましくは約15分間より短い。公に入手可能であり、そして抗体が
本発明による使用(または使用のためにさらなる修飾)のために許容できる解離
速度定数および/または親和性定数を示すか否かを決定するためのスクリーニン
グアッセイで試験し得る典型的な抗ビオチン抗体は、H.Bagciら、FEB
S 322(1):47−50(1993)に記載されている。また、F.Ko
henら、Meth.in Enzymol.279:451−463(199
7);Vincent,P.およびSamuel,D.、J.Immunol.
Meth.165:177−182(1993);およびK.Dakshina
murtiら、Meth.in Enzymol.184:111−119(1
990)も参照のこと。
【0039】 解離速度定数および結合速度定数は、公知の方法を用いて決定し得る。例えば
、そのような速度定数は、Biacore(登録商標)システム器具(Biac
ore AB、Uppsala、Sweden)を用いて測定し得る。この方法
によって、本発明のビオチン化ケモカインのようなリガンドは、金フィルムに固
定化され、そして抗ビオチン抗体のような結合タンパク質を、結合タンパク質が
リガンドに結合するのを可能にする条件下で金フィルムに接触させる。Biac
ore(登録商標)器具は、金フィルムの表面で屈折率を測定するために、およ
び結合タンパク質の固定化リガンドへの結合および解離のリアルタイム測定を提
供するために、レーザーを使用している。on−rate定数、off−rat
e定数、および親和性定数(on−rate定数のoff−rate定数に対す
る比)を決定するために、製造業者の指示によって器具を使用する。
【0040】 本発明の抗体はまた、上記で同定したもののような伝統的な方法によって決定
し得る親和性定数に関して特徴付けられ得る。一般的に、本発明の抗体は約1.
0から約100.0ナノモル濃度の範囲の親和性定数を有する。好ましくは、本
発明の抗ビオチン抗体は約1から約50ナノモル濃度の範囲の親和性定数を有し
、そしてより好ましくは、抗体は約1から約10ナノモルの範囲の親和性定数を
有する。対照的に、アビジン−ビオチン複合体の親和性定数(約1015M)は、
本発明の抗体のものより数対数(several logs)高い。
【0041】 本発明の抗体は、部分的にはビオチン−抗ビオチン抗体複合体の解離速度定数
を測定するスクリーニングアッセイにおいて選択される。一般的に、可溶性のビ
オチン分子(例えば、LまたはD−ビオチン、リンカー分子に結合したビオチン
、または本発明の薬理学的に活性な薬剤と直接または間接的に結合したビオチン
)が、複合体中で抗ビオチン抗体が結合しているビオチンと置換または競合する
能力を測定するELISAアッセイを行うことによって、抗体の選択を達成する
。本発明の抗体はビオチンへの結合に関して選択的であるが、抗ビオチン抗体が
結合する特異的なエピトープ領域は、ビオチンの部分およびリンカー分子を含み
得る。従って、本明細書中で開示される抗体は、インビボまたはインビトロで本
発明の抗体と複合体化したビオチン結合体と置換または競合する、可溶性ビオチ
ンの競合的結合を可能にする。結果として、本発明の複合体は、複合体の平衡を
、複合体の解離を可能にするように置換するのに有効な濃度で、複合体をビオチ
ン分子(例えばL−ビオチン)と接触させることによって、インビボまたはイン
ビトロで解離され得る。ビオチンに対して極端に高い親和性を有する抗体(例え
ば約1nMか0.1nMより高い)は、可逆的な反応を必要とする適用について
は避けられるが、慢性炎症性疾患および癌におけるように、延長した半減期が望
ましい適用については好ましい。複合体化した場合に適切な半減期定数および複
合体の解離を可能にする能力を有する抗体を選択する典型的なスクリーニングア
ッセイは、実施例において提供される。従って、本発明は、抗体が本発明の方法
によって使用されることを可能にする特定の構造的性質を有する抗ビオチン抗体
の選択を提供する。本発明はまた、ビオチンが結合したケモカインの薬理学的活
性の干渉を最小限にする適切なスペーサーの長さを有するリンカー分子の選択、
およびビオチンに結合した場合、ビオチンおよびリンカー分子の一部に選択的に
結合するモノクローナル抗体を産生するのに使用し得るリンカー分子の一次構造
を選択することを可能にする。実施例はまた、例えばインビボでの複合体の半減
期を測定することによって、インビボにおける複合体の安定性を、およびその組
織局在性を評価するアッセイを提供する。
【0042】 本願を通して、「抗体」という用語は、全長(「インタクトな」)抗体分子、
およびその機能的に活性なフラグメント(例えばFab、Fab’2、Fd、s
cFv、およびビオチンに選択的に結合するCDR3領域を含む抗体フラグメン
ト)を含むように、その最も広い意味で使用された。抗体は伝統的な方法論に従
って調製されたポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。好ましくは、
ヒト治療的適用のための抗体はヒト抗体である。
【0043】 当該分野で周知のように、抗体分子の小さな部分、パラトープのみが、抗体の
そのエピトープへの結合に関与している(一般的に、Clark,W.R.(1
986)The Experimental Foundations of
Modern Immunology、Wiley & Sons,Inc.、
New York;Roitt,I.(1991)Essential Imm
unology、第7版、Blackwell Scientific Pub
lications、Oxfordを参照のこと)。例えば、pFc’領域およ
びFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合には関与して
いない。Fab’2フラグメントと呼ばれる、pFc’領域を酵素的に切断した
か、またはpFc’領域無しに産生された抗体は、インタクトな抗体の抗原結合
部位を両方とも保持する。同様に、Fabフラグメントと呼ばれる、Fc領域を
酵素的に切断したか、またはFc領域無しに産生された抗体は、インタクトな抗
体分子の抗原結合部位の1つを保持する。Fabフラグメントは、共有結合した
抗体の軽鎖およびFdと示される抗体の重鎖の一部からなる。Fdフラグメント
は、抗体の特異性の主要な決定基であり(1つのFdフラグメントは、抗体の特
異性を変えることなく、10個までの異なる軽鎖と結合し得る)、そしてFdフ
ラグメントは分離してもエピトープ結合能力を保持する。
【0044】 抗体の抗原結合部分には、当該分野で周知のように、抗原のエピトープと直接
相互作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの四次構造を維持す
るフレームワーク領域(FR)が存在する(一般的に、Clark、1986;
Roitt、1991を参照のこと)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fdフラグ
メントおよび軽鎖のいずれにおいても、3つの相補性決定領域(CDR1〜CD
R3)によってそれぞれ分けられた4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4
)が存在する。CDR、特にCDR3領域、およびより具体的には重鎖CDR3
が、抗体の特異性の大きな原因である。
【0045】 哺乳動物抗体の非CDR領域は、もとの抗体のエピトープ特異性を保持しなが
ら、非特異的または異種特異的な抗体の同様の領域と置換され得ることは、現在
当該分野で十分に確立されている。これは、非ヒトCDRをヒトFRおよび/ま
たはFc/pFc’領域と共有結合して機能的抗体を産生する、「ヒト化」抗体
の開発および使用において、最も明らかに証明される。従って、例えばPCT国
際公開番号WO92/04381号は、マウスFR領域の少なくとも一部がヒト
由来のFR領域で置換された、ヒト化マウスRSV抗体の産生および使用を教示
する。抗原結合能力を有するインタクトな抗体のフラグメントを含むそのような
抗体は、しばしば、「キメラ」抗体といわれる。
【0046】 従って、当業者に明らかであるように、本発明はまた、Fab’2 フラグメン
ト、Fabフラグメント、Fvフラグメント、およびFdフラグメント;Fcお
よび/またはFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域
および/または軽鎖CDR3領域が相同的なヒトまたは非ヒト配列で置換された
キメラ抗体(例えば、市販の抗ビオチン抗体に基づく);FR領域および/また
はCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が
相同的なヒトまたは非ヒト配列で置換されたキメラF(ab’)2フラグメント
抗体;FR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および
/または軽鎖CDR3領域が相同的なヒトまたは非ヒト配列で置換されたキメラ
Fabフラグメント抗体;ならびにFR領域および/またはCDR1領域および
/またはCDR2領域が相同的なヒトまたは非ヒト配列で置換されたキメラFd
フラグメント抗体も提供する。本発明はまた、いわゆる一本鎖抗体、および全合
成V遺伝子ライブラリーのようなライブラリーから得たヒト抗体も含む。そのよ
うな場合、本発明のビオチンまたはビオチン結合体、またはそのフラグメント、
またはビオチンの複合体を、ファージディスプレイライブラリーを含むペプチド
ライブラリーをスクリーニングして、ビオチンまたは本発明のビオチン結合体に
選択的に結合するペプチド結合ポリペプチドを同定および選択するのに使用し得
る。そのような分子を、記載したように、スクリーニングアッセイのために、精
製プロトコールのために、炎症を処置するか、診断的または治療的薬剤を送達す
るか、またはインビボもしくはインビトロで走化性応答を調節する本発明の複合
体における使用のために、および当業者に明らかである他の目的のために使用し
得る。
【0047】 より長い半減期が望ましい処置のために、本発明の抗体は、好ましくはFc領
域を含むインタクトな抗体分子である。そのような完全な抗体は、より小さなフ
ラグメント抗体(例えばFab)よりも長い半減期を有し、そして静脈内、腹腔
内、筋肉内、腔内(intracavity)、皮下、または経皮投与のために
より適切である。
【0048】 キメラFabフラグメントを含むFabフラグメントが、本発明のペプチドが
局所組織環境に直接投与される方法において好ましい。例えば、本発明のペプチ
ドが腫瘍または感染の部位に直接投与される場合、Fabフラグメントが好まし
い。この治療的様式に関して、FabはFab’2および免疫グロブリン分子全
体に対していくつかの利点を提供する。まず、2価のFab’2および免疫グロ
ブリン分子全体がその標的抗原に出会った場合、そのような複合体が形成され得
るが、Fabはその同族抗原に対して結合部位を1つしか持たないので、免疫複
合体の形成が除外される。組織における免疫複合体の沈着は、ある場合には有害
な炎症性反応を引き起こし得るので、このことはいくらか重要である。2番目に
、FabはFc領域を欠くので、補体カスケードの活性化のような、Fcによっ
て活性化される有害な炎症性反応を引き起こし得ない。3番目に、小さなFab
分子の組織への透過性は、より大きな抗体全体よりも非常に良好であるようであ
る。4番目に、免疫グロブリン抗体分子全体は、有用な量を産生するために哺乳
動物細胞を必要とするのに対して、FabはE.coliのような細菌中で容易
にかつ安価に産生され得る。E.coli中でのFabの産生は、これらの抗体
フラグメントを、細胞培養による産物より安価な、大きな発酵槽で産生すること
を可能にする。
【0049】 従って、本発明はビオチン、およびビオチンを含む結合体(「ビオチン結合体
」)(例えば、リンカー分子および/または薬理学的に活性な薬剤を有する)に
選択的に結合する多くのサイズおよび型の結合ポリペプチドを含む。これらの結
合ポリペプチドはまた、抗体技術以外の供給源から得ることができる。例えば、
そのようなポリペプチド結合薬剤は、細菌鞭毛ペプチドディスプレイライブラリ
ーまたはファージディスプレイライブラリーのような、溶液中または固定化形式
で容易に調製され得る縮重ペプチドライブラリーによって提供され得る。コンビ
ナトリアルライブラリーもまた、1つ以上のアミノ酸を含むペプチドから合成さ
れ得る。ライブラリーはさらに、ペプチド部分および非ペプチド合成部分から合
成され得る。
【0050】 あるいは、本発明の抗ビオチン抗体は、例えばインビボで複合体の半減期を最
小にすることが望ましい適用のために、クリアランスを増強するように選択され
得る。レセプターの受動阻害/脱感作に対して細胞クリアランスを媒介する要求
に依存して、適切なアイソタイプの抗ビオチン抗体を調製し得る。この目的を達
成するために、抗体フラグメントまたはIgG1、IgG2a、IgG2b、I
gG3、IgA、およびIgMからなるグループより選択されるサブクラスの完
全な抗体を投与する。
【0051】 さらに別の実施形態によって、同じまたは異なる細胞表面における2つのレセ
プターの架橋を媒介し得る抗ビオチン抗体を選択することが望ましくあり得る。
そのような適用のために、IgG3抗体サブタイプのような、より大きなヒンジ
部の柔軟性を有する抗ビオチン抗体を利用することが望ましい。
【0052】 ヒト治療に向けられる適用では、ヒトにおいて非抗原性である抗体、例えばヒ
トモノクローナル抗体またはそのフラグメントを有することが望ましい。他の哺
乳動物(例えば飼育動物(例えばイヌ、ネコ)および家畜(例えばウシ、ヒツジ
、およびウマ))の治療に向けられる適用では、複合体のビオチン化ケモカイン
および抗体成分は、治療される種において非抗原性であるように選択されるべき
である。
【0053】 本発明の抗体は、前もって選択した細胞への標的化送達のために選択され得る
。この選択は、特定のサブグループの抗体を選択することによって(例えば、抗
体のFcドメインの性質による、Fcレセプターを有する細胞への抗体の標的化
伝達)、または抗体結合ドメインの特異性によって達成され得る。例えば、本発
明の抗ビオチン抗体は、必要に応じて、腫瘍関連抗原またはウイルス関連抗原に
選択的に結合する結合ドメインを含む。
【0054】 本明細書中で使用される場合、「腫瘍細胞関連抗原」は、例えば「Chime
ric Antibody Fusion Proteins for the
Recruitment and Stimulation of an A
nti−Tumor Immune Response」と題する、国際出願P
CT/US98/01785号(公開番号第WO98/33914号)、発明者
J.Rosenblattら、において使用されるような当該分野の用語である
。二重特異性を有する本発明の抗体は、好ましくは乳癌細胞、卵巣癌細胞、肺癌
細胞、前立腺癌細胞、またはその表面に癌細胞の増殖に関連するタンパク質を発
現する他の細胞である腫瘍細胞由来の、腫瘍細胞関連抗原に結合する。典型的な
腫瘍細胞関連抗原は、癌胎児性抗原(結腸、肺、および乳房のような上皮由来の
腫瘍およびその転移)、EGF−R(膀胱癌および乳癌)、前立腺特異的膜抗原
(前立腺癌)、GD2(神経芽細胞種)、膜免疫グロブリン(リンパ腫)、およ
びT細胞レセプター(T細胞リンパ腫)を含む。さらに、腫瘍細胞関連抗原の特
定の例は、B細胞リンパ腫のIgイディオタイプ、黒色腫の変異サイクリン依存
性キナーゼ4、黒色腫のPmel−17(gp100)、黒色腫のMART−1
(Melan−A)、黒色腫のp15タンパク質、黒色腫のチロシナーゼ、黒色
腫、甲状腺髄質、小細胞肺癌、結腸および/または気管支扁平上皮細胞の癌のM
AGE1、2および3、膀胱、黒色腫、乳房、および扁平上皮細胞の癌のBAG
E、黒色腫のgp75、黒色腫の腫瘍胎児抗原のようなタンパク質;乳房、膵臓
、および卵巣の癌のmuc1ムチンのような炭水化物/脂質、黒色腫のGM2お
よびGD2ガングリオシド;癌の変異p53、結腸癌の変異rasおよび乳癌の
HER−2/neu癌原遺伝子のような癌遺伝子;子宮頸および食道の扁平上皮
細胞癌のヒトパピローマウイルスタンパク質のようなウイルス産物を含む。また
、さらなる腫瘍抗原(例えばP1A、コネキシン37、MAGE−1、MAGE
−3、MART1/Aa、gp100、チロシナーゼ)および/または選択され
た腫瘍抗原の組織分布に関する情報に関しては、Moriokaら、J.Imm
unol.153:5650(1994)を参照のこと。例えば、B細胞のCD
19も、ある白血病およびリンパ腫を標的化するのに使用し得る。さらなる黒色
腫腫瘍抗原配列は、Curr.Opin.in Immunol.6:733−
740(1994)においてSlingluffらによって報告されているもの
である。変異APC遺伝子産物のペプチドであるさらなる腫瘍細胞抗原は、Na
ture 371:662(1994)においてTownsendらによって報
告されているものである。
【0055】 さらに他の実施形態では、本発明の抗ビオチン抗体は、ウイルス関連抗原に結
合するための二重特異性を有する。典型的なウイルス関連抗原は、HIVのgp
120、HbsAg、C型肝炎ウイルス、CMV、エプスタインバーウイルス、
およびRSウイルスの前初期遺伝子を含む。
【0056】 二重特異性を有する抗体は、ケモカインの、抗ビオチン抗体が選択的に結合す
る抗原を発現している細胞への標的化送達に有用である。この様式では、ビオチ
ン化ケモカイン、および任意で、さらなる治療的薬剤または診断的薬剤を、例え
ば腫瘍細胞関連抗原を発現している細胞、またはウイルス関連抗原を発現してい
る細胞/ウイルスへ選択的に送達し得る。本発明の好ましい実施形態では、二重
特異性を有する抗体を、腫瘍細胞またはウイルス粒子/ウイルス感染細胞の部位
で局在化免疫応答を増強するために使用する。例えば、ビオチン化ケモカインお
よび腫瘍細胞関連抗原に選択的に結合する結合ドメインを有する抗ビオチン抗体
を含む本発明の複合体を投与することによって、本発明の複合体を、癌を処置す
るための局在化TH1応答を増強するために使用し得る。複合体の腫瘍細胞への
標的化送達は、ケモカインのレセプターを発現するTH−1型細胞の選択的な補
充を引き起こす。TH−1型細胞に発現するレセプターに結合する典型的なケモ
カインは、IP−10、MIG、RANTES、およびITACを含む。
【0057】 癌を処置するための複合体で有用な抗ビオチン抗体は、ビオチンへの結合に選
択的な結合ドメイン、および腫瘍細胞関連抗原への結合に選択的な少なくとも1
つの他の結合ドメインを有する。腫瘍細胞関連抗原に関連する癌を有する被験体
への複合体の投与は、複合体の腫瘍細胞への標的化を可能にするために、および
それによって腫瘍細胞の部位でケモカインの局在化濃縮を引き起こすために行わ
れる。いかなる特定の理論にもメカニズムにも拘束されることを望まないが、腫
瘍細胞の部位における上昇したケモカイン濃度の存在は、TH1細胞のその部位
への補充を媒介するケモカイン勾配、および腫瘍細胞のさらなる増殖(grow
th)および/または増殖(proliferation)を阻害または防止す
るTH1免疫応答の増強を引き起こすと考えられる。類似した様式で、TH1応
答の欠如の結果として繁茂する他の状態または疾患(例えば、狼瘡、関節炎)を
、この様式で処置し得る。同様に、全体としてまたは部分的に、十分なTH2応
答の欠如に起因して繁茂する疾患または状態(例えば、ハンセン病、喘息、クロ
ーン病および潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患、気腫および肝線維症のような
線維症に関連した疾患)を、(複合体を疾患細胞へ標的化するために)二重特異
性を有する抗ビオチン抗体、ならびにTH2型細胞にあるレセプターの補充およ
び/またはTH2型細胞にあるレセプターへの結合に有効なビオチン化ケモカイ
ンを含む複合体を投与することによって、同様な様式で処置し得る。TH2型細
胞を補充するおよび/またはTH2型細胞に結合する典型的なケモカインは、エ
オタキシン(eotaxin)、TARC、およびMDCを含む。
【0058】 本発明の抗ビオチン抗体は任意で、抗体のビオチンまたは適切な場合にはさら
なる抗原に結合する能力に不利に影響しない様式で抗体に結合した、治療的薬剤
または診断的薬剤を含む。本明細書中で使用される場合、「治療的薬剤」は、望
ましくは腫瘍細胞関連抗原または他の感染関連抗原を発現する細胞に選択的に標
的化されたあらゆる治療的分子を含む。治療的薬剤は、抗新生物性薬剤、放射性
ヨウ素化化合物、毒素、他の細胞増殖抑制性または細胞溶解性薬物等を含む。抗
新生物性治療剤は周知であり、そしてアミノグルテチミド、アザチオプリン、硫
酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチ
ン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビジン(cytarabid
ine)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン
、タキソール、エトポシド、フルオロウラシル、インターフェロン−α、ロムス
チン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトーテン、塩酸プロカルバジン
、チオグアニン、硫酸ビンブラスチン、および硫酸ビンクリスチンを含む。さら
なる抗新生物性薬剤は、第52章、抗新生物性薬剤(Paul Calabre
siおよびBruce A.Chabner)、およびそれの導入部、1202
−1263、GoodmanおよびGilmanの「The Pharmaco
logical Basis of Therapeutics」、第8版、1
990、McGraw−Hill,Inc.(Health Professi
ons Division)で開示されたものを含む。毒素は、例えば、ヨウシ
ュヤマゴボウの抗ウイルスタンパク質、コレラ毒素、百日咳毒素、リシン、ゲロ
ニン(gelonin)、アブリン、ジフテリア外毒素、またはPseudom
onas外毒素のようなタンパク質であり得る。毒素部分はまた、コバルト−6
0のような高エネルギーを放射する放射性核種であり得る。細胞傷害性薬剤はま
た、例えば、チミジンキナーゼ(TK)のようないわゆる「自殺」酵素およびそ
の「自殺」基質であるガンシクロビル、DAB389 EGF(Pickeri
ngら、J.Clin.Invest.91:724−9(1993))、およ
びアリルアミン(Hysmithら、Toxicology 38:141−5
0(1986))を含む。
【0059】 あるいは、または加えて、本発明の抗ビオチン抗体はさらに、検出可能な標識
のような診断的薬剤を含む。放射性標識、蛍光標識、酵素標識、またはフリーラ
ジカル標識を用いて、当該分野で公知の技術を用いて、抗体を標識し得る。イン
ビボまたはインビトロで、癌関連抗原を発現する細胞および組織を画像化するた
めに、特定の診断的標識薬剤と、および/または上記で述べた治療的薬剤と、標
準的な結合手順によって、抗体を結合し得る。診断的薬剤は、硫酸バリウム、ヨ
ーセタム酸、ヨーパン酸、イポデートカルシウム、ジアトリゾエートナトリウム
、メグルミンジアトリゾエート、メトリザマイド、チロパノエートナトリウム、
およびフッ素−18および炭素−11のような陽電子エミッター、ヨウ素−12
3、テクネチウム−99m、ヨウ素−131およびインジウム−111のような
ガンマエミッター、フッ素およびガドリニウムのような核磁気共鳴のための核種
を含む放射性診断薬を含むが、これらに限られない。本発明の抗体および複合体
を、インビボまたはインビトロで使用し得る。よって、検出可能な標識は、本明
細書中で記載するもののような、より伝統的なインビトロ標識を含み得る。代表
的な蛍光標識は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリ
トリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、およびフルオレサミンを含む。
代表的な化学発光化合物は、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウ
ムエステル、イミダゾール、および蓚酸エステルを含む。代表的な生物発光化合
物は、ルシフェリン、およびルシフェラーゼを含む。代表的な酵素は、アルカリ
ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコース−6リン酸デヒドロゲナー
ゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびペルオキシ
ダーゼを含む。本発明で有用な他の診断的薬剤は、当業者に明らかである。
【0060】 本発明のさらに別の局面によって、治療的に有効な量のビオチンおよび薬学的
に許容できるキャリアを含むビオチン組成物が提供される。ビオチン組成物は、
インビボまたはインビトロで複合体の量を減少させるのに有用である。いかなる
特定の理論にもメカニズムにも拘束されることを望まないが、本発明の複合体を
投与された被験体への、ビオチン組成物の投与は、ビオチン化ケモカインの複合
体からの置換を引き起こし、それによってインビボの有効な複合体濃度を減少さ
せると考えられる。従って、ビオチン化ケモカインを抗ビオチン抗体から解離さ
せることによって、ビオチン化ケモカインの半減期を変化させることが可能であ
る。よって、ビオチン組成物はインビボまたはインビトロで複合体の濃度を調整
するために、およびもし保証されるなら、治療を終了するための薬学的解毒剤と
して有用である。
【0061】 本発明のさらに別の局面によって、薬学的に許容できるキャリア中に、治療的
に有効な量のビオチンを含む組成物が提供される。治療的に有効な量のビオチン
は、本発明の複合体の効果を中和するのに必要な量である。従って、本明細書中
で開示されるビオチン組成物は、インビボまたはインビトロで、本発明の複合体
の有効な濃度を調整するために使用することを意図される。ビオチン組成物を、
本発明の複合体を投与された被験体に投与することによって、複合体、遊離のビ
オチン化された薬理学的に活性な薬剤、および遊離の抗体の平衡方程式を調整し
得る。このようにして、遊離ビオチンの投与を、平衡を複合体の解離に有利に移
動するために使用し得る。
【0062】 好ましくは、ビオチン組成物中のビオチンの治療的に有効な量は、約100μ
gから約100mgである。より好ましくは、ビオチン組成物中のビオチンの濃
度は、約100μgから約10mgであり、そして最も好ましくは、ビオチンの
濃度は約1mgから約10mgである。一般的に、補助食品として投与されるビ
オチンの濃度は、0.3mgという米国推奨1日許容量である。対照的に、本願
のビオチン組成物中のビオチンの濃度は、補助食品の適用のために投与される濃
度の少なくとも10倍、およびより好ましくは100倍高い。
【0063】 本発明のさらに別の局面によって、本発明の複合体の混合物を含む組成物が提
供される。組成物は以下のものを含む:(a)以下のものを含む第1のビオチン
結合体:(i)第1のビオチン(ii)それに共有結合した、第1の薬理学的活
性を有する第1の薬剤;および(b)以下のものを含む第2のビオチン結合体:
(i)第2のビオチン(ii)それに共有結合した、第2の薬理学的活性を有す
る第2の薬剤。第1のビオチンおよび第2のビオチンは、同じまたはお互いに異
なるものであり得る。例えば、第1のビオチンはL異性体であり得、そして第2
のビオチンはD異性体であり得る。
【0064】 第1のおよび第2の薬剤の同定は、複合体の混合物が適用される特定の使用に
依存する。従って、ビオチン結合体の混合物は、本発明の複合体を形成する、お
よび任意で、インビボまたはインビトロで特定の細胞集団への複合体の標的化送
達を行うために、さらに1つ以上の抗ビオチン抗体を含み得る。例えば、抗ビオ
チン抗体は、ビオチンおよび腫瘍細胞関連抗原に対する二重特異性を有し得る。
この例では、第1のおよび第2の薬剤は、腫瘍に対するTH1応答を増強するた
めに、異なる免疫系細胞の腫瘍細胞位置の部位への補充を媒介する2つの異なる
ケモカインであり得る。同様に、本発明の複合体の混合物を、異なるケモカイン
のウイルス感染細胞への標的化送達を実施するために使用し得る。ある好ましい
実施形態では、組成物はさらに、予め選択された細胞の表面に発現するビオチン
および抗原に対して結合するために二重特異性を有する抗ビオチン抗体を含む。
例えば、第1の抗ビオチン抗体を細胞傷害性T細胞に発現するレセプター(例え
ば、CD8)を標的化するために使用し得、そして第2の抗ビオチン抗体を単球
またはウイルス感染細胞に発現するレセプターを標的化するために使用し得る。
このようにして、同じまたは異なるケモカインを含む本発明の複合体を、同じま
たは異なる細胞型へ送達し得る。
【0065】 本発明のさらに別の局面によって、本発明のビオチン結合体および薬学的に許
容できるキャリアを含む薬学的組成物が提供される。この特定の実施形態に関し
て使用される場合、「薬学的に許容できるキャリア」は、好ましくはビオチン結
合体を含む薬学的に許容できるキャリアは、インビトロアッセイで通常使用され
る緩衝液調製物(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水)を除くというさらなる制限
を伴って、本発明の薬学的組成物に関して下記で定義される。より好ましくは、
本発明のビオチン結合体のための薬学的に許容できるキャリアは、静脈内、腹腔
内、または皮下の投与形態で使用するために選択される。よって、治療的に有効
な量のビオチン結合体もまた、インビボ投与のために適切であるように選択され
る。一般的に、治療的に有効な量のビオチン結合体は、ELISAアッセイのよ
うなインビトロアッセイに関して使用されるビオチン結合体の濃度より少なくと
も10倍、より好ましくは100倍、および最も好ましくは1000倍高い。
【0066】 本発明のさらに別の局面によって、ビオチン化ケモカインを単独で、または抗
ビオチン抗体と複合体化して用いる治療方法が提供される。その治療方法は、そ
のような処置が必要な被験体において炎症を治療するのに有用である。その方法
は、被験体に以下のものを含む治療的に有効な量の複合体を投与することを含む
:(a)以下のものを含むビオチン結合体:(i)ビオチン(ii)それに共有
結合した、予め選択された細胞(例えば、遊走性細胞)に発現するレセプターに
選択的に結合する薬剤;および(b)ビオチンに選択的に結合して複合体を形成
する抗ビオチン抗体。複合体の投与は、被験体において炎症を防止または低減す
る。いかなる特定の理論にもメカニズムにも拘束されることを望まないが、予め
選択された細胞が遊走性細胞である特定の実施形態では、複合体の投与は、遊走
性細胞の炎症部位への補充の阻害を引き起こすと考えられる。ビオチン結合体お
よび抗ビオチン抗体は、被験体に同時にまたは連続的に投与され得る。その方法
は任意で、インビボまたはインビトロで複合体の有効な濃度を調節するために(
平衡を複合体の解離へ向けて移動させることによって)、ビオチンの薬学的に許
容できる組成物のさらなる投与を含む。ケモカイン、その各レセプター、および
これらレセプターを発現する遊走性細胞の例は、表1で提供される。
【0067】 本発明のさらに別の局面によって、特定の予め選択された細胞(例えば、白血
球またはウイルス感染細胞)の集団を除去するために、細胞傷害性薬剤を送達す
る方法が提供される。その方法は、インビボまたはインビトロで実施され得る。
例えば、その方法を、細胞傷害性薬剤を予め選択された細胞集団に、その細胞集
団を患者に注入する前に送達するために使用し得る。その方法をまた、例えば細
胞を本発明のビオチン結合体または複合体と1時間、37℃で、または細胞を脱
感作するのに十分な他の条件下で接触させることによって、インビトロで細胞の
再注入の前に予め選択された細胞のケモカインレセプターを脱感作するために使
用し得る。このようにして、処理した予め選択された細胞のインビボにおけるケ
モカイン勾配への感受性を阻害し得る。
【0068】 治療的薬剤(例えば、細胞増殖抑制性または細胞傷害性薬剤)を予め選択され
た細胞へ送達する方法は、予め選択された細胞(例えば、ウイルス感染細胞)を
含む細胞の集団を、治療的薬剤を含む有効な量の複合体と、治療的薬剤を予め選
択された細胞へ送達する条件下で接触させることを含む。複合体は以下のものを
含む:(a)以下のものを含むビオチン結合体:(i)ビオチン(ii)それに
共有結合した、予め選択された細胞によって発現されるレセプターに選択的に結
合する薬剤;および(b)ビオチンに選択的に結合して複合体を形成する抗ビオ
チン抗体。抗ビオチン抗体はさらに、治療的薬剤を含む。その方法は、細胞集団
を複合体と接触させることが、治療的薬剤の予め選択された細胞への送達を可能
にする条件下で実施される。
【0069】 本発明のまたさらなる局面によって、予め選択された走化性応答を調節する(
アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション/脱感作)方法が提供さ
れる。その方法は、そのような処置が必要な被験体に、治療的に有効な量のビオ
チン化ケモカインアゴニストまたはビオチン化ケモカインアンタゴニストを投与
して走化性応答を調節することを含む。その方法は、ヒト疾患の様々な動物モデ
ルにおいて、特定のケモカインレセプターの役割を評価するのに有用である。好
ましくは、複合体は、ビオチン化ケモカインアゴニストまたはケモカインアンタ
ゴニストの、ケモカインレセプターを発現している細胞への標的化送達を可能に
する二重特異性を有する抗ビオチン抗体を含む。
【0070】 本発明のさらなる別の局面によって、ケモカインレセプターを発現する特定の
白血球集団を同定する方法が提供される。この方法を、レセプターが以前に同定
されていなかったケモカインの同族レセプター(および同族レセプターを発現す
る細胞)を同定するために使用し得る。その方法は、同族レセプターを発現して
いると疑われる細胞を、本発明の標識複合体と接触させること、ならびに複合体
が結合するレセプターおよび/またはレセプターを発現している細胞を同定する
ことを含む。同族レセプターを免疫沈降すること、または応答する細胞を用いて
、さらにより小さいcDNAのプールを発現する宿主細胞トランスフェクタント
からレセプターを発現クローニングする、cDNAライブラリーを構築すること
のいずれかによってレセプターを同定し得る。
【0071】 本発明の組成物は、有効な量で投与される。有効な量は、医学的に望ましい結
果を提供するために充分な、ビオチン化された薬理学的に活性な薬剤または本発
明の複合体の投与量である。一般的に、本発明の複合体の治療的に有効な量は、
約10mg/kg体重より少なく、そしてより好ましくは、約1mg/kgから
約5mg/kg体重である。しかし、有効な量は、処置される特定の状態、処置
される被験体の年齢および身体的状態、状態の重症度、処置の期間、同時治療の
性質(もしあるなら)、特定の投与経路、および保健実務家の知識および専門技
術の範囲内の同様の因子によって変化する。例えば、癌の処置に関して、有効な
量は、癌に関連する腫瘍細胞の増殖(growth)および/または増殖(pr
oliferation)を遅らせるまたは阻害する量である。同様に、ウイル
ス感染を処置するために有効な量は、感染の発達または進行を遅らせるまたは停
止させるために、感染細胞の増殖(growth)および/または増殖(pro
liferation)を減少させるまたは全体的に阻害するのに十分な量であ
る。従って、本発明の組成物を、前述の状態に発展する危険のある被験体におい
て予防的に、上記で述べた状態を処置するために使用し得ることが理解される。
特許請求の範囲中で使用される場合、「阻害」は前述のもの全てを含む。一般的
に、最大の用量、すなわち信頼できる医学的判断によって最も高い安全な用量を
使用することが好ましい。
【0072】 単離されたビオチン結合体およびビオチン複合体を、単独でまたは代替の(相
補的な)薬物治療と組み合せて、注射または時間をかけて徐々に注入することを
含む、任意の従来の経路で投与し得る。例えば、投与は、静脈内、腹腔内、筋肉
内、腔内(intracavity)、皮下、または経皮であり得る。単離され
た本発明のビオチン結合体およびビオチン複合体を使用する場合、腫瘍または感
染細胞部位への直接投与が好ましい。
【0073】 薬物治療は、生理的目的(例えば、癌、感染、または異常な免疫応答の生理的
結果を防止または低減こと)を達成するのに有効な量で、本発明のビオチン結合
体およびビオチン複合体と組み合せて投与される。従って、薬物治療は、薬物治
療が単独で投与された場合には処置される状態の生理的結果を防止または低減で
きないが、本発明のビオチン結合体およびビオチン複合体と組み合せて投与され
た場合には処置される状態の生理的結果を防止または低減できる量で投与され得
ることが意図される。
【0074】 ビオチン結合体およびビオチン複合体は、単独で、または薬学的組成物の一部
分として上記で述べた薬物治療と組み合せて投与され得る。そのような薬学的組
成物は、当該分野で公知の任意の標準的な生理的および/または薬学的に許容で
きるキャリアと組み合せた、単離されたビオチン結合体および/またはビオチン
複合体を含み得る。組成物は、無菌であり、そして患者への投与に適切な1単位
の重量または体積中に、治療的に有効な量の単離されたビオチン結合体およびビ
オチン複合体を含んでいるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「薬
学的に許容できるキャリア」は、ヒトまたは他の動物への投与に適切な、1つ以
上の適合性の固体または液体の充填剤、希釈剤、または封入物質を意味する。「
キャリア」という用語は、活性成分が適用を促進するために組み合せられる、天
然または合成の有機成分または無機成分を示す。薬学的組成物の成分はまた、本
発明の分子と、およびお互いに、望ましい薬学的効力を実質的に損なう相互作用
がないような様式で、同時に混合することができる。薬学的に許容できることは
さらに、細胞、細胞培養物、組織、または生物体のような生物学的システムと適
合性の非毒性物質を意味する。キャリアの特徴は、投与経路に依存する。生理的
におよび薬学的に許容できるキャリアは、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤
、可溶化剤、および当該分野で周知の他の物質を含む。
【0075】 非経口投与に適切な組成物は、簡便に好ましくはレシピエントの血液と等張の
、ビオチン結合体および/またはビオチン複合体の滅菌水性調製物を含む。この
水性調製物を、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に
よって処方し得る。滅菌注射可能調製物もまた、非毒性の非経口で許容できる希
釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタ
ンジオール中の溶液)であり得る。用い得る許容できるビヒクルおよび溶媒は、
水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油
を溶媒または懸濁媒体として従来用いる。この目的のために、合成モノ−または
ジ−グリセリドを含む、任意の低刺激固定油を用い得る。さらに、オレイン酸の
ような脂肪酸を、注射可能物質の調製で使用し得る。経口、皮下、静脈内、筋肉
内等の投与に適切なキャリア処方物を、Remington’s Pharma
ceutical Sciences、Mack Publishing Co
.、Easton、PAで見出すことができる。例えば、抗菌薬、抗酸化剤、キ
レート化剤、および不活性ガス等のような、保存剤および他の添加剤もまた存在
し得る。
【0076】 様々な投与経路が利用可能である。選択される特定の形態はもちろん、選択さ
れる特定の薬物、処置される状態の重症度、および治療的効力のために必要な投
与量に依存する。一般的に、本発明の方法は、臨床的に許容できない有害な効果
を引き起こすことなく、活性化合物の有効なレベルを産生する任意の形態を意味
する、医学的に許容できる任意の投与形態を用いて実施し得る。そのような投与
形態は、直腸、局所、皮間(interdermal)、または非経口経路を含
む。「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、または注入を含む。静脈
内または筋肉内経路は、長期治療および予防に特に適切というわけでない。しか
し、それらは緊急の状況では好ましくあり得る。経口投与および鼻腔内投与は、
それほぼ好ましくないが、任意の方法である。
【0077】 薬学的組成物は、単位投与量形態で簡便に提示され得、そして製薬の分野で周
知の任意の方法に従って調製され得る。全ての方法は、ビオチン結合体およびビ
オチン複合体を、1つ以上の補助的成分からなるキャリアと結合するようにする
工程を含む。一般的に、組成物はビオチン結合体およびビオチン複合体を、液体
キャリア、微細に分割された固体キャリア、または両方と結合するように一様に
、そして完全にすること、次いで、もし必要なら、産物を形作ることによって調
製される。
【0078】 他の送達システムは、時限放出(time−release)、遅延放出、ま
たは徐放性(sustained release)送達システムを含み得る。
そのようなシステムは、上記で記載したビオチン結合体およびビオチン複合体の
反復投与を避け得、患者および医師の便益を増す。多くの種類の放出送達システ
ムが利用可能であり、そして当業者に公知である。それらは、上記で記載したポ
リマーのシステム、ならびにポリ(ラクチド−グリコリド(glycolide
))、コポリ蓚酸、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエス
テル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物のようなポリマーベースのシステ
ムを含む。薬剤を含む前述のポリマーのマイクロカプセルが、例えば米国特許第
5,075,109号に記載されている。送達システムはまた、非ポリマーシス
テムを含む。すなわち、コレステロール、コレステロールエステル、および脂肪
酸のようなステロール、またはモノ−グリセリド、ジ−グリセリド、およびトリ
−グリセリドのような中性脂肪を含む脂質;ヒドロゲル放出システム;シラステ
ィック(sylastic)システム;ペプチドベースのシステム;ワックスコ
ーティング;慣用的な結合剤および賦形剤を用いた圧縮錠剤;部分的に融合した
移植物等である。特定の例は、(a)米国特許第4,452,775号、同第4
,675,189号、および同第5,736,152号で記載されているものの
ような、本発明の薬剤がマトリックス中の形態で含まれている侵食システム、お
よび(b)米国特許第3,854,480号、同第5,133,974号、およ
び同第5,407,686号で記載されるような、活性成分が調節された速度で
ポリマーから浸透する拡散システムを含むが、これらに限定されない。さらに、
ポンプベースのハードウエア送達システムが使用され得る。それらのいくつかは
移植のために適合している。
【0079】 長期徐放性移植物の使用は、慢性的な状態の治療に特に適当であり得る。本明
細書中で使用される場合、長期放出は、移植物が治療的レベルの活性成分を少な
くとも30日間、および好ましくは60日間送達するように構築および配置され
ることを意味する。長期徐放性移植物は、当業者に周知であり、そして上記で記
載された放出システムのいくつかを含む。
【0080】 本発明は、以下の実施例への言及によってより完全に理解される。しかし、こ
れらの実施例は、単に本発明の実施形態を説明することを意図しており、そして
本発明の範囲を制限するとは解釈されない。
【0081】 (実施例) (実施例1.代表的なビオチン化ケモカインの調製) 一般的に、本発明のビオチン化された薬理学的に活性な薬剤(「ビオチン結合
体」)は、当業者に公知の日常的な手順に従って調製されるか、または市販され
ている。市販のビオチン化ケモカインは、ビオチン化ヒトMCP−1、ヒトMI
P−1α、およびヒトMIP−1β(R&D Systems、Minneap
olis、MN)を含む。
【0082】 特定のプロトコールを、代表的なビオチン結合体を調製する典型的な方法とし
て下記で提供するが、代替のリンカー分子および薬理学的に活性な薬剤が、実施
例に記載された特定のリンカー分子および薬理学的に活性な薬剤を置換し、日常
的な実験のみを用いて広範な種々のビオチン結合体を作製し得ることが理解され
る。さらに、本発明の範囲内に含まれるビオチン結合体を、高出力スクリーニン
グアッセイ(例えばELISA、および他の比色定量アッセイ)で試験して、本
発明の方法に従って使用するために最適な性質(例えば走化性結合活性の保持、
抗ビオチン抗体との最適な結合親和性)を有するビオチン結合体を選択し得る。
【0083】 (a)ビオチン化ケモカインの調製: ビオチン化ケモカインおよび一般的なケモカインを、433自動化ペプチド合成
機(PE Biosystems:Foster City、CA)を用いて、
自動化固相f−moc化学(t−boc化学も使用し得る)によって合成した。
例えば、本発明のビオチン化ケモカイン合成のための、典型的な開始材料に関し
て、図1を参照のこと。特別なFsat−moc HBTUサイクルを、合成の
ために使用した。次いでタンパク質を脱保護し、そしてTFAによって樹脂から
切断し、調製用逆相HPLCによって抽出および精製した。精製後、タンパク質
をフォールディングさせ、そして以前に記載したように再精製した(Clark
−Lewis,I.ら、1991、Chemical synthesis,p
urification,and characterization of
two inflammatory proteins,neutrophil
activating peptide 1(interleukin−8)
and neutrophil activating peptide−2
、Biochemistry、30:3128−3135)。ビオチン化ケモカ
インを、合成の間にε−NH2基にアミノカプロン酸−ビオチンで誘導体化した
余分のC末端リシンを組み込むことによって合成した(f−moc−Lys(ア
ミノカプロイル(aminocaproil)−ビオチン)は、Calbioc
hem−Novabiochem、UKから市販されている)。本明細書中で記
載されるケモカインを、C末端から始めて2番目にビオチン−アミノカプロイル
−Lysアミノ酸を用いて作製した。しかし、この修飾は配列の任意の他のリシ
ンに導入し得る。オーソゴナルに保護されたLys残基(例えばfmoc−Ly
s(Dde))を用いることによって、各末端にカルボキシル官能基およびアミ
ノ官能基を有する、任意の他のスペーサー基(表2−5を参照のこと)を使用し
得る。一般的に、この合成反応は、2工程の結合反応を含む。ここで、スペーサ
ーグループを最初にリシン残基に加え、次いでビオチンをスペーサーに結合させ
る。さらに、余分のC末端システインを含むケモカインを合成することによって
、このシステインの修飾を、メルカプト反応基を含む任意のビオチン架橋試薬を
用いて作製し得る(架橋試薬の例に関しては表2−5を参照のこと)。この後者
の修飾は、タンパク質の合成、切断およびフォールディングおよび精製の後に実
施し得る。
【0084】 (実施例2.抗ビオチン抗体の調製) 一般的に、本発明の抗ビオチン抗体は、当業者に公知の日常的な手順に従って
調製されるか、または市販されている。比較的高い親和性(KA〜109-1)で
ビオチンに選択的に結合するモノクローナル抗体を調製する典型的なプロトコー
ルは、H.Bagciら、FEBS 322(1):47−50(1993)に
提供される。また、F.Kohenら、Meth.in Enzymol.27
9:451−463(1997);Vincent,P.およびSamuel,
D.、J.Immunol.Meth.165:177−182(1993);
K.Dakshinamurtiら、Meth.in Enzymol.184
:111−119(1990);およびSigma Chemical Co.
(St.Louis、MO、カタログ番号#B753、マウスIgG1 α−ビ
オチン クローンBD−34)を参照のこと。さらに、ヒトVh遺伝子およびV
1遺伝子を遺伝子導入したマウスが、Medarex、Annandale、N
Jから、または「Efficient Construction of a
Large Nonimmune Phage Antibody Libra
ry:the production of high−affinity h
uman single−chain antibodies to prot
ein antigens」と表題される、M.D.Sheetsら、PNAS
(USA)95(11):6157−62(1998)に記載される手順に従っ
て調製される、ヒトVhおよびV1遺伝子のファージディスプレイライブラリー
から市販されている。
【0085】 代表的な抗ビオチン抗体を調製する典型的な方法として、プロトコールを下記
で提供する:しかし、代替の抗原性組成物(単独または様々な構造および長さの
リンカー分子と結合したビオチンを含む)が、実施例に記載される特定の抗原性
組成物を置換し、日常的な実験のみを用いて、ある範囲の前もって選択された速
度論的特徴(例えば半減期および親和性定数)を有する抗ビオチン抗体を作製し
得ることが理解される。
【0086】 (a)ビオチン特異的モノクローナル抗体の同定 インビボでの有効性に必要な結合パラメーターを有する、ビオチンに特異的な
マウスモノクローナル抗体を産生するために、本発明者らは、BALB/cマウ
スをフロイントアジュバント中10〜100μgの免疫原のエマルションで3−
4回免疫した(2週間間隔で)。最初の免疫のために完全フロイントアジュバン
トを使用し、そして続く全ての免疫のために不完全フロイントアジュバントを使
用した。免疫原は、カルボキシル末端に加えたリシン残基のε−アミノ基に共有
結合したアミノカプロン酸リンカーによって結合した可溶性ケモカインからなる
。最後の免疫から3週間後、マウスを約10−100μgの可溶性ビオチン化ケ
モカインの静脈内注射によって追加免疫する。4日後、マウスを安楽死させ、そ
して脾臓細胞を適切なマウス融合パートナーと約5〜10:1(脾臓:骨髄腫)
の比で融合させる。融合物全体を10個の96穴プレートに置き、そしてクロー
ンが顕微鏡的に現れるまで8〜10日間インキュベートする。次いで上清を、以
下のプロトコールに従って分析する。
【0087】 (b)一次スクリーニング 一次スクリーニングの目的は、結合化ビオチンに結合する抗体を含むウェルを
全て同定することである。これを、ビオチン化KLHまたはBSAでコートした
ウェルを用いるELISAを使用して達成する。ビオチン化タンパク質を、炭酸
緩衝液中2〜5μg/mlの間の濃度で、4℃で一晩コートする。ウェルをPB
S中2%のBSA溶液で、37℃で1〜2時間ブロックし、次いで自動化プレー
ト洗浄機で洗浄する。各ウェルからの上清を、37℃で1時間インキュベートし
、次いでプレート洗浄機で洗浄する。マウスIgGに特異的な、西洋ワサビペル
オキシダーゼ結合のアフィニティ精製された二次抗体を用いて、マウスビオチン
特異的抗体を検出する。二次抗体を37℃で30分間インキュベートし、次いで
結合しなかった抗体をプレート洗浄機中で洗い流す。基質としてOPDを用いる
アッセイを展開する。ELISAで陽性であるウェル由来の細胞を、24穴プレ
ートに広げ、そして上清を二次スクリーニングで再びアッセイする。
【0088】 (c)二次スクリーニング 結合ビオチン対遊離ビオチンに関して、広い範囲の結合親和性を有する抗体を
同定するために、各上清を、末梢血中のビオチンの濃度に近似するために0.5
nMのビオチン存在下および非存在下でアッセイする。結合活性が可溶性ビオチ
ンの存在によって影響されない上清を、ビオチン化ケモカイン(好ましくは免疫
原以外)、(および/またはリシン−アミノカプロン酸ビオチン)対遊離ビオチ
ンの増加する濃度の存在下で再びアッセイする。アッセイを一次アッセイのよう
に展開する。抗体結合の50%の抑制を引き起こす遊離ビオチン濃度/結合の5
0%の抑制を引き起こす結合ビオチンの濃度から、相対的結合比を計算する。比
によってクローンをグループ化し、そして各グループからの代表を制限希釈によ
ってサブクローニングする。サブクローンを再試験し、産物を拡大し、そして抗
体を精製する。次いで精製抗体を、同じ全体量の各抗体および増加する濃度の遊
離ビオチンを用いて、固定化ビオチン化ケモカイン(1ビオチン分子/分子タン
パク質)を用いたELISAで、遊離ビオチンの存在下で結合ビオチンに結合す
る相対的な能力に関して評価する。一般的に、本発明の方法に従って使用するた
めの抗体を選択する選択基準は以下のようである。治療的介入に有用な抗体は、
好ましくは遊離ビオチンに対する親和性より1〜4桁高い結合ビオチンに対する
親和性を有する。好ましくは、その抗体はまた、血中で見られるよりも高いレベ
ルの遊離ビオチン存在下で結合ビオチンから解離する。従って、医学的に必要な
場合、ビオチンの増加した食餌摂取を、ビオチン化ケモカイン−MAb複合体を
解離するための解毒剤として使用し得る。本発明を完全に利用するために、遊離
ビオチンに対して異なる程度の親和性を有する抗体を同定して、個々の患者およ
び臨床疾患状態に合わせて複合体を作ることが望ましい。
【0089】 (実施例3.ケモカインレセプターへの結合に関するスクリーニングアッセイ
) スクリーニングアッセイのための一般的なプロトコールを下記に示す(代表的
なスクリーニングアッセイの結果に関しては図2を参照のこと)。
【0090】 (a)リガンド結合アッセイ 競合結合アッセイを、125I−ケモカインをホットリガンドとして、および
ビオチン化ケモカインまたは非ビオチン化ケモカインをコールドの競合相手リガ
ンドとして用いて行った。結合反応を、500,000のレセプター細胞トラン
スフェクタントおよび結合緩衝液(50mMのHEPES<pH7.5、1mM
のCaCl2、5mMのMgCl2、0.5%のBSAおよび0.05%のアジド
(azide))中0.1nMの放射性標識ケモカインを用いて、室温で1時間
、0.0008−20nMの8つの異なる濃度の範囲で非標識ケモカインの存在
下または非存在下で行った。250nMの非標識リガンドの存在下で得られた残
留結合によって、非特異的結合を決定する。次いで細胞を0.5MのNaClを
含む結合緩衝液で洗浄し、細胞に結合した放射活性をtop count放射活
性計測器で計測する。各濃度で観察された全体の結合から非特異的結合を引くこ
とによって特異的結合を計算し、そしてIC50値をKaleidGraphソ
フトウェアによって計算した。
【0091】 (実施例4.インビトロでの走化性活性に関するスクリーニングアッセイ) 走化性活性についてのスクリーニングアッセイの一般的なプロトコールを、下
記に示す(代表的なスクリーニングアッセイの結果に関しては図3を参照のこと
)。このアッセイは、下記で記載するインビボでの走化性アッセイで得られた結
果を予想する。
【0092】 (1)インビトロにおけるビオチン化ケモカインの走化性活性の評価 ケモカインにおけるC末端リシン残基に結合したビオチン分子の存在が、生物
学的活性を妨害しなかったことを確認するために、走化性アッセイを、24穴ト
ランスウェル(transwell)プレートで、同族ケモカインレセプターの
マウス型またはヒト型を発現するL1.2トランスフェクタントを用いて行った
。アッセイを行うために、増加する濃度の未修飾ケモカインまたはビオチン化形
態のケモカインを、トランスウェルプレートの適切なウェルの下部チャンバーに
加える一方、1,000,000のケモカインレセプタートランスフェクタント
を上部チャンバーに置いた。細胞を、37℃で3〜5時間移動させ、次いでフィ
ルターを除去し、そして下部チャンバーに移動した細胞を再懸濁して、そしてフ
ローサイトメーター分析によって定量した。
【0093】 (2)インビボにおけるビオチン化ケモカインの走化性活性の評価 (実施例4a.白血球漸増のモデル) ビオチン化ケモカイン−抗体複合体の生物学的活性を評価するために、本発明
者らは、マウス腹膜への白血球の抗原誘導漸増のモデルを使用した。このモデル
において、BALB/c系統、またはC57B1/6系統のマウスを、0日およ
び7日目に、2mgの水酸化アルミニウムを含むアジュバントと混合した100
μgの卵アルブミンを皮下投与することによって感作した。14日目に、10u
gの可溶性卵アルブミンを腹腔内投与することによって、マウスをチャレンジし
た。i.p.チャレンジ後、腹膜に浸透した白血球を腹膜洗浄によって回収し、
そして各型の白血球の数を差次的な細胞計測によって決定した。図(図4)で見
られるように、3つの型の白血球(好酸球、好中球、リンパ球)が、卵アルブミ
ンチャレンジに反応して腹膜に浸透した。好中球の漸増は卵アルブミンへの反応
の初期に起こり、そしてチャレンジ後4〜6時間の間にピークに達する。有意な
好酸球の漸増は、チャレンジから約10時間後まで開始せず、そしてチャレンジ
から48時間後に最高レベルに達する。リンパ球の漸増は最も長く遅延し、そし
てチャレンジから72時間後まで最高である。
【0094】 (実施例4b.ビオチン化エオタキシン(eotaxin)とビオチン特異的
抗体の複合体は、腹膜への好酸球の漸増を阻害する) ビオチン化ケモカインとビオチン特異的モノクローナル抗体の複合体を、2u
g、または0.2ugのケモカインと75ugの抗体を、200μlの体積の生
理食塩水、PBSまたはHBSS中で、37℃で1時間混合することによって、
エキソビボで形成する。これは、それぞれ2:1および20:1の、ケモカイン
に対する抗体のモル比を表す。次いで複合体を、卵アルブミン感作マウスに、i
.p.チャレンジの15分前に、皮下投与する。好酸球の腹膜への漸増に対する
、ビオチン化ケモカイン/MAb複合体の効果を、チャレンジの48時間後に評
価した。図(図5)で見られるように、ビオチン化エオタキシン単独は、高投与
量(2ug)または低投与量(0.2ug)で投与したときに、好酸球の漸増に
有意な効果を示さなかった。対照的に、ビオチン化エオタキシンとビオチン特異
的モノクローナル抗体の複合体は、好酸球の漸増を有意に阻害した。これは、エ
オタキシンの高投与量(2ug)および低投与量(0.2ug)の両方で真実で
あった。コントロールとして、同じ条件下で産生および投与されたビオチン化I
TACと抗体との複合体は、好酸球の漸増に有意な効果を示さなかった。
【0095】 (実施例4c.このモデルにおける腹膜への好中球の漸増は、ビオチン化エオ
タキシンまたはITACとビオチン特異的モノクローナル抗体の複合体によって
影響を受けない) 本発明の特異性を、チャレンジの6時間後に、腹膜への好中球の漸増に対する
エオタキシンまたはITAC/MAbの複合体の活性を評価することによって確
認した。マウス好中球は、エオタキシンまたはITACのレセプターを発現せず
、従っていずれの複合体によっても阻害されない。図(図6)で見られるように
、どちらの複合体も、このモデルにおいて、腹膜への好中球の漸増を阻害し得な
い。
【0096】 (実施例4d.腹膜へのリンパ球の漸増は、ビオチン化ITACとの複合体に
よって阻害されるが、エオタキシンとの複合体によっては阻害されない) 本発明の特異性および広い適用可能性を、特定の白血球集団の漸増を調節する
ことにおける、異なるケモカインレセプターの役割を詳細に分析する能力におい
て証明する。図(図7)で示すように、ビオチン化エオタキシンとMAbの複合
体は、72時間後に、リンパ球の腹膜への漸増に対して有意な効果を示さなかっ
た。対照的に、ビオチン化ITACとMAbの複合体は、72時間後に、リンパ
球の腹膜への漸増を有意に阻害した。
【0097】 (実施例4e.インビボにおける可溶性ケモカインの投与は、組織に局在化す
る、同族レセプターを有する白血球を脱感作し得る) ビオチン特異的モノクローナル抗体と複合体化したビオチン化ケモカインの複
合体が、組織への白血球の漸増を阻害することによるメカニズムとしての脱感作
は、図(図8)に示される実験の結果によって支持された。好酸球を、卵アルブ
ミン感作およびチャレンジされたマウスの腹膜に24時間浸透させた。次いで可
溶性エオタキシンを2回、3時間間隔で、i.p.またはs.c.のいずれかで
の処理の24時間後に(チャレンジの48時間後)投与した。好酸球を腹膜から
回収し、そしてインビトロでその走化性能力について評価した。図(図8)で見
られるように、PBSで処理したマウス由来の好酸球は、溶媒単独と比較して、
エオタキシンに対して有意かつ強い走化性を有した。対照的に、s.c.または
i.p.のいずれかでエオタキシン処理したマウス由来の好酸球は、エオタキシ
ンに対して走化性が無く、インビボにおけるエオタキシンへの暴露が好酸球を脱
感作し、エキソビボでのエオタキシンによるさらなる刺激に対して不応性にした
ことを示唆している。
【0098】 (結論) 前述のことを考慮して、本発明者らは以下の結論に達した。ビオチン化ケモカ
インと抗ビオチンMAbの複合体のS.C.投与は、抗原性チャレンジ後の、組
織へのレセプターを有する白血球の漸増を阻害し得る。その阻害は、関連するレ
セプターを発現する白血球集団に特異的である。予備的な証拠は、可溶性ケモカ
インのs.c.投与は、インビボにおいて脱感作を引き起こし得ることを示唆す
る。この実験的アプローチは、炎症性プロセスにおける様々なケモカインレセプ
ターの役割を調査するための、広範な適用を有し得る。
【0099】 (実施例5.インビボにおける複合体の安定性の評価) 投与後に血中の遊離ケモカインに対する複合体化ケモカインの相対的な量を測
定するいくつかのアプローチが存在する。1つのアプローチは、非競合的ケモカ
イン特異的モノクローナル抗体がウェルに固定化されたELISAを使用するこ
とである。末梢血の試料からケモカインを捕獲するためにこれを使用する。依然
としてケモカインと複合体化している抗体の量を、ビオチン特異的モノクローナ
ル抗体の重鎖アイソタイプに特異的な、HRP結合二次抗体を用いて評価し得る
。この技術を用いて、ビオチン特異的モノクローナル抗体と複合体化したビオチ
ン化ケモカインのみを同定する。複合体の安定性を、時間経過にわたるケモカイ
ン複合体化抗体の消失を追うことによって評価し得る。放射性標識ケモカインを
用いてビオチン化ケモカイン−MAb複合体を形成することによって、動物モデ
ルにおける複合体の安定性を評価し得る。投与後種々の時間における血液試料を
採取した後、血液の免疫グロブリン画分を、硫酸アンモニウムで沈殿させること
によって(またはプロテインG−セファロースビーズに結合させることによって
)、ビオチンのような小さい分子量種から分離する。免疫グロブリンを含む沈殿
物(またはプロテインG−セファロースビーズに結合した)と比較した上清中の
標識物質の比は、抗体からのケモカインの解離速度の関数である。
【0100】 前述は、特定の好ましい実施形態の単なる詳細な説明であることが理解される
。従って、種々の修飾および同等物が、本発明の意図および範囲から逸脱するこ
となくなされ得ることが、当業者に明らかである。全てのそのような修飾は、添
付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0101】 本願において引用された全ての参考文献、特許および特許公開は、その全体が
本明細書中に参考として援用される。
【0102】 表は以下に示され、そして特許請求の範囲が続く:
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のビオチン化ケモカイン合成のための、典型的な開始材料を説
明する。
【図2】 図2は、C末端ビオチン化ITACは、CXCR3への結合においてITAC
と同等であることを示す。
【図3】 図3は、ビオチン化ITACは、CXCR3を発現するRBL細胞の走化性に
おいてITACと同等であることを示す。
【図4】 図4は、腹膜への好酸球の補充のオボアルブミンモデルにおいて、腹膜への好
酸球の有意な補充は、チャレンジ8時間後まで始まらないことを示す。
【図5】 図5は、卵感作マウスの腹膜への好酸球の補充は、チャレンジの48時間後に
、マウス抗ビオチン抗体と複合体化した低投与量のビオチン化エオタキシン(e
otaxin)によって選択的に阻害されることを示す。
【図6】 図6は、ビオチン化エオタキシンおよびマウス抗ビオチンの複合体は、卵感作
マウスにおいて、チャレンジの6時間後に、腹膜への好中球の補充を阻害しない
ことを示す。
【図7】 図7は、卵感作およびチャレンジされたマウスの腹膜へのリンパ球の補充は、
チャレンジから72時間後に、ビオチン化ITACによって選択的に阻害される
が、マウス抗ビオチン抗体と複合体化したエオタキシンでは阻害されないことを
示す。
【図8】 図8は、卵チャレンジの24時間後に投与された可溶性エオタキシンは、補充
された腹膜好酸球を、少なくとも24時間さらなる走化性刺激に対して無応答性
にすることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ソーラー, ダルス アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02172, ウォータータウン, クライド ロード 20 Fターム(参考) 4C076 AA30 BB01 CC41 EE59 FF31 GG06

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成物であって、 (a)以下: (i)(ii)に共有結合しているビオチン (ii)薬理学的に活性な薬剤、 を含有する、ビオチン結合体;および (b)該ビオチンに選択的に結合して、複合体を形成する抗ビオチン抗体、 を含む、組成物。
  2. 【請求項2】 前記組成物が凍結乾燥されている、請求項1に記載の組成物
  3. 【請求項3】 薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項1に記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 前記薬学的に受容可能なキャリアが、皮内送達、筋肉内送達
    、腹腔内送達、静脈内送達、皮下送達、および制御放出送達からなる群より選択
    される送達の様式のために受容可能である、請求項3に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 前記ビオチンが、L−ビオチン、D−ビオチンおよびそれら
    の誘導体からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記薬理学的に活性な因子が、Gタンパク質共役レセプター
    に結合するリガンドである、請求項1に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 前記薬理学的に活性な因子がケモカインである、請求項1に
    記載の組成物。
  8. 【請求項8】 前記ケモカインが表1に記載のケモカインからなる群より選
    択される、請求項7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 前記ケモカインがカルボキシ末端を有し、そして前記ビオチ
    ンが該ケモカインのカルボキシ末端に共有結合されている、請求項7に記載の組
    成物。
  10. 【請求項10】 前記薬理学的に活性な因子が、アゴニスト活性を有する、
    請求項1に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 前記薬理学的に活性な因子が、アンタゴニスト活性を有す
    る、請求項1に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記ビオチンが、リンカー分子を介して、前記薬理学的に
    活性な因子に共有結合されている、請求項1に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 前記生理学的レベルを超えるビオチンの存在下で、前記複
    合体が、約15分〜約1時間の範囲にある半減期を有する、請求項1に記載の組
    成物。
  14. 【請求項14】 前記抗ビオチン抗体が、約1.0〜約100.0ナノモル
    濃度の範囲にある親和性定数を有する、請求項1に記載の組成物。
  15. 【請求項15】 前記複合体が、前記生理学的レベルを超えるビオチンの存
    在下で、約15分〜約1時間の範囲にある半減期および約1.0〜約100.0
    ナノモル濃度の範囲にある親和性定数を有する、請求項1に記載の組成物。
  16. 【請求項16】 前記抗ビオチン抗体が、インタクトな抗体および抗体フラ
    グメントからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  17. 【請求項17】 前記抗ビオチン抗体が、ヒト抗体またはそのフラグメント
    である、請求項1に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記抗ビオチン抗体が、IgG1サブクラス、およびIg
    G3サブクラスからなる群より選択されるサブクラスを有する、請求項1に記載
    の組成物。
  19. 【請求項19】 前記抗ビオチン抗体が、該抗ビオチン抗体に結合した治療
    剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  20. 【請求項20】 前記抗ビオチン抗体が、細胞傷害性薬剤である治療剤を含
    む、請求項1に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 前記抗ビオチン抗体が、該抗ビオチン抗体に結合した診断
    剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 前記抗ビオチン抗体が、二重特異性を有する、請求項1に
    記載の組成物。
  23. 【請求項23】 前記抗ビオチン抗体が、腫瘍細胞関連抗原に選択的に結合
    する、請求項22に記載の組成物。
  24. 【請求項24】 前記抗ビオチン抗体が、ウイルス関連抗原に選択的に結合
    する、請求項22に記載の組成物。
  25. 【請求項25】 前記複合体が、インビボで1日〜1ヶ月の半減期を有する
    、請求項1に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 前記複合体が、インビボで1週間〜2週間の半減期を有す
    る、請求項1に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 組成物であって、 (a)治療的に有効な量のビオチン;および (b)薬学的に受容可能なキャリア、 を含む、組成物。
  28. 【請求項28】 前記治療的に有効な量のビオチンが、約100μg〜約1
    00mgである、請求項27に記載の組成物。
  29. 【請求項29】 前記治療的に有効な量のビオチンが、約100μg〜約1
    0mgである、請求項27に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 前記治療的に有効な量のビオチンが、約1mg〜約10m
    gである、請求項27に記載の組成物。
  31. 【請求項31】 組成物であって、 (a)以下: (i)(ii)に共有結合している第1のビオチン (ii)第1の薬理学的活性を有する第1の薬剤; を含有する第1のビオチン化薬剤;および (b)以下: (i)(ii)に共有結合している第2のビオチン (ii)第2の薬理学的活性を有する第2の薬剤 を含有する第2のビオチン化薬剤、 を含み、該第1のビオチンおよび該第2のビオチンが同じであっても、異なって
    もよい、組成物。
  32. 【請求項32】 以下: (c)前記第1のビオチンおよび前記第2のビオチンの少なくとも一方に選択
    的に結合して、複合体を形成する抗ビオチン抗体、 をさらに含有する、請求項31に記載の組成物。
  33. 【請求項33】 前記抗ビオチン抗体が、細胞傷害性T細胞、単球およびウ
    イルス感染細胞からなる群より選択される細胞上で発現されるレセプターに結合
    する、請求項32に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 組成物であって、 (a)以下: (i)(ii)に共有結合しているビオチン、 (ii)薬理学的活性を有する薬剤 を含む、ビオチン結合体;および (b)薬学的に受容可能なキャリアであって、該薬学的に受容可能なキャリア
    が非経口的投与のために適切である、薬学的に受容可能なキャリア、 を含有する、組成物。
  35. 【請求項35】 被験体における炎症を処置するための方法であって、該方
    法は、以下の工程: (1)以下: (a)以下を含有するビオチン結合体: (i)(ii)に共有結合しているビオチン (ii)該被験体における炎症部位において所定の選択した細胞により発
    現されているレセプターに選択的に結合する薬剤; および (b)該ビオチンに選択的に結合して複合体を形成する抗ビオチン抗体、 を含有する治療的に有効な量の該複合体を被験体に投与する工程であって、該複
    合体の投与により該被験体における炎症を予防または低減する、工程、 を包含する、方法。
  36. 【請求項36】 前記ビオチン化薬剤および前記抗ビオチン抗体が前記被験
    体に逐次的に投与される、請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 被験体における化学遊走性勾配を調節する方法であって、
    該方法は、以下の工程: (1)請求項1に記載の複合体の有効量を被験体に投与して、該化学遊走性勾
    配を調節する工程、 を包含する、方法。
  38. 【請求項38】 所定の選択された細胞に細胞傷害性薬剤を送達するための
    方法であって、該方法は、以下の工程: (1)所定の選択された白血球を含有する細胞集団と、細胞傷害性薬剤を含む
    有効量の複合体とを、該所定の選択された細胞に該細胞傷害性薬剤を送達する条
    件下で接触させる工程であって、該複合体は、以下: (a)以下を含有するビオチン化薬剤: (i)(ii)に共有結合しているビオチン、 (ii)該所定の選択された細胞により発現されているレセプターに選択
    的に結合する薬剤; および (b)該ビオチンに選択的に結合して、該複合体を形成する抗ビオチン抗体
    であって、該ビオチン抗体は、該細胞傷害性薬剤を含有する、抗ビオチン化抗体
    、 を含有し、 そして、ここで、該細胞集団と該複合体とを接触させる工程が、該細胞傷害性薬
    剤を所定の選択された細胞に送達する条件下で行われる、方法。
  39. 【請求項39】 被験体における所定の選択された走化性応答を調節するた
    めの方法であって、該方法は、以下の工程: (1)治療的に有効な量のビオチン化ケモカインアゴニストまたはケモカイン
    アンタゴニストを、このような処置が必要な被験体に投与して、該走化性応答を
    調節する工程、 を包含する、方法。
  40. 【請求項40】 前記アゴニストまたはアンタゴニストが、抗ビオチン抗体
    と複合体化されている、請求項39に記載の方法。
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