JP2002537143A - 射出成形用冷却キャビティインサート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 一体の内側および外側部分（136、138）を備えるキャビティインサート（10）を有する射出成形装置であって、内側および外側部分（136、138）の間に冷却液流路（166）を有する装置。好ましい態様では、冷却液流路（166）は、内側部分（136）の外側面（162）中に機械加工される溝（164）により形成される。これにより、冷却液は、これまでより、キャビティ（66）に接近して流れるようになるため、冷却効率を高めると同時に、サイクル時間を短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、一般には、射出成形装置、さらに具体的には、内部に冷却液流路を
設けたキャビティインサートを有する射出成形装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

冷却液流路または導管を有する射出成形装置はよく知られている。例えば、19
95年６月27日に発行された本出願人の米国特許第5,427,519号には、冷却液流路
が、ノズル内の中央液体成形材料流路の周りに延びる、熱硬化装置が記載されて
いる。1995年８月22日に発行された本出願人の米国特許第5,443,381号には、ゲ
ートインサートを通って延びる冷却液流路を有するホットランナー装置が記載さ
れている。Mold-Maters Limitedにより、1998年２月２日に提出されたカナダ国
特許出願第2,228,931号は、らせん状の冷却液導管または通路を有するゲートイ
ンサートの別の例である。

【０００３】 199７年７月29日に発行された本出願人の米国特許第5,652,003号に記載されて
いるように、キャビティインサートに冷却液導管を備えることも知られている。
米国特許第5,736,173号（Wright）、第5,582,851号（Hofstetter）、第4,622,00
1号（Bright）および第4,497,624号（Brun）でも、プレフォームおよびその他の
項目について異なる冷却設計が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

従って、本発明は、キャビティインサートに、内側および外側部分を備え、こ
れら内側および外側部分は一体に結合され、両部分の間に冷却液流路が延びる構
成により、従来の技術の問題点を少なくとも部分的に解決することを目的とする
。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 このため、本発明の態様の１つでは、本発明は、金型内部に延びる外側面を備
えるキャビティと、金型内部に設けられた内側面を備える中空キャビティインサ
ートとを有し、キャビティインサートの内側面が、キャビティの外側面を形成す
る射出成形装置を提供する。キャビティインサートは、中空の内側部分と、中空
の外側部分とを有し、両部分は、一体に結合されている。外側部分は内側面を備
え、内側部分は外側面を備える。内側部分は、外側部分の内部で、内側部分の外
側面と外側部分の内側面とが接するように、嵌め合う。内側部分の外側面または
外側部分の内側面のいずれかが、その中に溝を有し、内側部分と外側部分との間
に延びる冷却液流路を形成する。冷却液流路は、キャビティ周囲の予め定めた形
状で、冷却液入口から冷却液出口まで延びている。

【０００６】

【発明の実施の形態】

本発明のその他の目的および利点は、添付の図面を参照にしながら行う以下の
説明から明らかになる。

【０００７】 まず、図１を参照する。図１は、本発明の好ましい態様に従う細長い形状の液
体冷却中空キャビティ10を備え、飲料びんプレフォームを成形するのに用いられ
る多数個取り射出成形システムまたは装置の一部を示す。この構成では、多数の
加熱ノズル12が型16に設けられた開口部14に、取り付けられている。各加熱ノズ
ル12の後端18が鋼溶融物分配マニホールド22の正面20に接する。各ノズル12は、
一体型の電気加熱要素24により加熱され、その前端28に延びる熱電対要素26を備
え、作業温度を監視および制御する。各加熱ノズル12は、開口部14内の円形定位
座32に嵌められた円筒形定位フランジ30を有する。これにより、加熱ノズル12と
、周囲を取り囲む型16との間に、断熱空隙34が形成される。金型16は、冷却導管
36を通じた冷却水のポンピングにより冷却される。

【０００８】 溶融物分配マニホールド22もまた、一体型の電気加熱要素38により加熱される
。溶融物分配マニホールド22は、ボルト44で一緒に固定されたマニホールドプレ
ート40とクランププレート42との間に取り付けられる。溶融物分配マニホールド
22は、中央定位座46と、多数の断熱スペーサー48との間に配置されており、これ
らスペーサーは、マニホールと、周囲を取り囲む冷却された金型16との間に断熱
空隙50を形成する。

【０００９】 溶融物通路52が、溶融物分配マニホールド22の入口部分56内の中央入口54から
延び、溶融物分配マニホールド22内で分岐し、中央溶融物内腔58を通って、各加
熱ノズル12内に延びる。溶融物通路52は、冷却されたゲートインサート64から細
長いキャビティ66に延びるゲート62と心合せされた２個構成ノズルシール60を通
って延びる。飲料びんプレフォームを製造するためのこのキャビティ66は、外側
のキャビティインサート10およびスレッド・スプリット（thread split）インサ
ート68と、内側の冷却された金型コア70との間に延びる。ゲートインサート64と
キャビティインサート10は、キャビティプレート74内の開口部72に嵌められてお
り、このキャビティプレート74を通って、冷却水路76が冷却ゲートインサート64
まで延びる。

【００１０】 冷却された金型コア70は、細長い中空の外側部分80内部に延びる細長い中空の
内側部分78を有する。金型コア70は、ドーム型の前端84から後端86に延びる外側
面82を有する。細長い金型コア70の外側面82は、前部分88と後部分90とを有する
。前部分88は、キャビティ66の内側面92を形成し、後部分90は、キャビティ66か
ら、開口部94を通って後方に延び、コア固定部材96を通過する。コア固定部材96
は、ボルト100によりコア受け板98に固定される。コア固定部材96はまた、開口
部102を通って、滑り部材104および磨耗板106を通過し、磨耗板106は、ねじ110
により、抜取り板108に固定されている。冷却液供給および帰り管路112、114は
、コア受け板98内に延びており、内側部分78を通って長さ方向に延びる中央冷却
液ダクト116、ならびに、金型コア70の内側部分78と外側部分80との間に延びる
円筒形外側冷却液ダクト118にそれぞれ接続される。

【００１１】 金型コア70の外側部分82の後部分90は、金型コア70の後部分86に向かい内側に
傾斜したテーパー部分120を有する。図からわかるように、コア固定部材96を通
る開口部94は、テーパー部分124を備えた内側面122を有し、このテーパー部分12
4も、金型コア70の後端86に向かい内側に傾斜して、金型コア70の外側面82の後
部分90のテーパー部分120と嵌め合う。金型コア70の外側面82の後部分90もまた
、ねじ込み部分126を有し、これに、円筒形ナット128がねじ込まれる。ナット12
8は、コア固定部材96の後面132内の座130に嵌められ、穴134と嵌め合うスパナ・
レンチにより締め付けられ、これによって、金型コア70がコア固定部材96に固定
され、金型コア70の外側面82のテーパー部分120が、コア固定部材96を通る開口
部94の内側面122の合せテーパー部分124と嵌め合う。また、図２および３を参照
にして、キャビティインサート10は、細長い中空の内側部分136と、細長い中空
外側部分138と、ベース部分140とを含む。外側部分138は、外側面142と円筒形内
側面144とを含む。図からわかるように、外側面142は、前部に向かって内側に傾
斜し、キャビティプレート74を通って延びる合せテーパー付き開口部72内部に嵌
まっている。また、外側部分138もベース部分140内の円形座150に嵌まる後端148
を有する。ベース部分140は、穴152を有し、この穴152を介してねじ154は、キャ
ビティプレート74内の穴156中に延び、これにより、キャビティインサート10を
適切な位置に固定する。

【００１２】 この態様では、キャビティインサート10の内側部分136は、円筒形内側面158を
有し、この内側面158は、キャビティ66の外側面160と、溝164を設けた外側面162
とを形成する。内側部分136の外側面162は、外側部分138の内側面144と隣接する
ように、外側部分138の内部に嵌まる。内側部分136の外側面162における溝164は
、予め定めた形状で、冷却液流路166を形成するように延びる。この流路166は、
冷却液入口168および冷却液出口170から、内側部分136と外側部分138との間に延
びる。これらは両方共、外側部分138を通って、キャビティプレート74内の、そ
れぞれ供給および帰り管路172、174まで延びる。この態様では、キャビティイン
サート10の外側部分138は、ゲートインサート64も収納することができるように
、内側部分136より長くなっている。

【００１３】 図２および３を参照にしながら、本発明に従うキャビティインサート10の製造
方法を説明する。まず、図２に示す内側部分136、外側部分138およびベース部分
140は、鋼を機械加工し、内側部分136の外側面162に延びる乱流を提供できるよ
うに造形した溝164を設ける。次に、ニッケル合金ろう付けペーストから成るビ
ードを、ベース部分140の円形座150の周りに施し、内側部分136、外側部分138お
よびベース部分を図３に示すように組み立てる。また、内側部分136の前端176の
周りにも、ニッケル合金ろう付けペーストから成るビードを施す。次に、組み立
てた内側部分136、外側部分138およびベース部分140を真空炉中で、約1925F（ニ
ッケル合金の融点より高い）温度まで徐々に加熱する。炉を加熱しながら、これ
を比較的高い真空まで排気することにより、ほぼ全部の酸素を除去し、次に、ア
ルゴンまたは窒素等の不活性ガスで部分的に部分的に再充填する。ニッケル合金
の融点に達すると、ニッケル合金は溶融し、内側および外側部分136、138とベー
ス部分140と間の毛管作用により、流動し、これら３つの部品を一体としてろう
付けする。その結果、図３に示す一体の１個構成キャビティインサートが形成さ
れる。このように、真空炉で部品をろう付けして結合することにより、それらの
間の金属結合が達成され、これによって、キャビティインサート10の強度を最大
にし、冷却液流路166からの冷却液の漏れを防止する。

【００１４】 使用に際しては、装置を図１に示すように組み立てた後、加熱要素24、38に電
力を供給して、ノズル12および溶融物分配マニホールド22を予め定めた作動温度
まで加熱する。また、金型16内の冷却導管36、ならびに、ゲートインサート64に
到るキャビティプレート74内の管路76を通して、ポンプ（図示せず）により、水
等の適した冷却液を循環させる。通常、グリコール等のクリーナー液を供給およ
び帰り管路112、114を介して、閉じたループ状の冷却装置にポンプで汲み上げ、
金型コア70および供給および戻り管路172、174を通して循環させることにより、
キャビティインサート10中を循環させる。予め定めたサイクルに従って、成形機
（図示せず）から加圧された溶融物を、溶融物分配マニホールド22の溶融物通路
52の中央入口54に導入する。このマニホールド22から、溶融物は、各加熱ノズル
12中の中央溶融物内腔58および２個構成ノズルシール60を通って流れ、さらに、
ゲート62を通過して、キャビティ66を充填する。キャビティ66が満たされると、
射出圧力が、充填のために瞬間的に保持された後、開放される。短い冷却時間の
後、金型16を開放して、製品を取り出す。取出し後、金型16を閉鎖し、射出圧力
を再び加えることにより、キャビティ66を再充填する。このサイクルを連続的に
繰り返す。尚、サイクル時間は、キャビティ66の大きさ、ならびに、成形する材
料の種類に応じて異なる。

【００１５】 好ましい態様として、一体の内側および外側部分136、138間に延びる冷却液流
路166を有する冷却キャビティインサート10について説明してきたが、当業者に
は理解され、また、添付の請求の範囲に記載されるように、本発明の範囲を逸脱
することなく、その他の様々な変更が可能であることは明らかである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の好ましい態様に従うキャビティインサートを示す多数個取り射出成形
装置の部分的断面図である。

【図２】 組立てのための位置にある、図１のキャビティインサートを構成する３つの部
分を示す分解等角図である。

【図３】 ３つの部分が一体に結合された、図２のキャビティインサートを示す断面図で
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ， ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，Ｃ Ｒ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ， ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，Ｋ Ｚ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ， ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型（16）内部に延びる外側面（160）を備えるキャビティ（66）と、金型（1
   6）内に設けられた内側面（158）を備える中空キャビティインサート（10）とを
   有し、キャビティインサート（10）の内側面（158）が、キャビティ（66）の外
   側面（160）の少なくとも一部を形成する射出成形装置において、 キャビティインサート（10）が、一体に結合される中空の内側部分（136）と
   中空の外側部分（138）とを有し、外側部分（138）は、内側面（144）を備え、
   内側部分（136）は、外側面（162）を備え、内側部分（136）は、外側部分（138
   ）の内部で、内側部分（136）の外側面（162）と外側部分（138）の内側面（144
   ）とが隣接するように嵌め合っており、内側部分（136）の外側面（162）または
   外側部分（138）の内側部分（144）のいずれか一方が、中に溝（164）を有し、
   内側部分（136）と外側部分（138）との間に延びる冷却液流路（166）を形成し
   、冷却液流路（166）は、キャビティ（66）の周りに予め定めた形状で、冷却液
   入口（168）から冷却液出口（170）まで延びていることを特徴とする射出成形装
   置。
2. 【請求項２】 上記内側部分（136）の外側面（162）または外側部分（138）の内側部分（144
   ）が、ほぼ円筒状であることを特徴とする、請求項１に記載の射出成形装置。
3. 【請求項３】 上記溝（164）が、キャビティインサート（10）の内側部分（136）の外側面（
   162）中に延びることを特徴とする請求項２に記載の射出成形装置。
4. 【請求項４】 上記キャビティインサート（10）が、細長い形状で、外側面（82）を有する細
   長い中央金型コア（70）の周りに延び、上記キャビティ（66）が、細長い形状で
   、内側面（92）を有し、細長い中央金型コア（70）と細長いキャビティインサー
   ト（10）との間に延び、中央金型コア（70）の外側面（82）が、細長いキャビテ
   ィ（66）の内側面（92）の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項３
   に記載の射出成形装置。
5. 【請求項５】 金型コアプレートと、 金型キャビティプレートと、 上記金型キャビティプレート中に配置されるほぼ円筒形の金型キャビティイン
   サートとを有し、上記金型キャビティインサートが、金型キャビティ冷却流路を
   画定する少なくとも２つの金属結合した部品と、 から構成されることを特徴とする、射出成形装置用金型キャビティ冷却装置。
6. 【請求項６】 冷却流路が、乱流を生成するように構成されることを特徴とする請求項１に記
   載の金型キャビティ冷却装置。
7. 【請求項７】 上記冷却流路が、金型キャビティインサートの同じ側に位置する入口および出
   口を有することを特徴とする請求項１に記載の金型キャビティ冷却装置。
8. 【請求項８】 金型コアプレートと、 金型キャビティプレートと、 上記金型キャビティプレート中に配置されるほぼ円筒形の金型キャビティイ
   ンサートであって、上記金型キャビティインサートが、金型キャビティ冷却流路
   を画定する少なくとも２つの金属結合した部品から構成される金型キャビティイ
   ンサートと、 少なくとも２つの金属結合した部品から構成される金型ゲートインサートと
   を有し、上記金型キャビティインサートの外側部品が、金型ゲートインサートの
   外側部品でもあることを特徴とする射出成形装置用金型キャビティ冷却装置。
9. 【請求項９】 金型コアプレートを形成し、 金型キャビティプレートを形成し、 上記金型キャビティに配置される独立した金型キャビティインサートを形成
   し、 金型キャビティの周りに冷却液の乱流を生成するため、金型キャビティイン
   サートの内部に、冷却回路を形成する工程を含むことを特徴とする射出成形装置
   における金型キャビティの冷却効率を改善してサイクル時間を短縮する方法。