JP2002536460A - 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法 - Google Patents

熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法

Info

Publication number
JP2002536460A
JP2002536460A JP2000582490A JP2000582490A JP2002536460A JP 2002536460 A JP2002536460 A JP 2002536460A JP 2000582490 A JP2000582490 A JP 2000582490A JP 2000582490 A JP2000582490 A JP 2000582490A JP 2002536460 A JP2002536460 A JP 2002536460A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
copolymer
adhesive composition
composition according
ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000582490A
Other languages
English (en)
Inventor
恒一郎 川手
栄美 石井
広治 伊藤
尚之 鳥海
Original Assignee
ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー filed Critical ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー
Priority claimed from PCT/US1999/023499 external-priority patent/WO2000029500A1/en
Publication of JP2002536460A publication Critical patent/JP2002536460A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 従来技術のホットメルト接着剤の問題点を解決し、熱圧着の間の流れ抵抗が大きく、かつ高い耐半田耐熱性を有する熱接着タイプの接着剤として使用できる熱硬化性接着剤組成物を提供する。この熱硬化性接着剤組成物は、(a)分子内にエポキシ基を有するポリエチレン系共重合体と(b)ロジンとを含有する、接着成分を含む熱硬化性接着剤組成物であって、前記ロジンが分子内にカルボキシル基を有し、かつ、前記接着成分中に分散された無機コロイドをさらに含んでなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、反応性(熱硬化性)の熱接着タイプの接着剤として利用できる接着
剤組成物に関し、特に熱圧着時の流れ抵抗が大きく、かつ高い半田耐熱性を有し
、電子部品の接着やICパッケージの作製に適した、接着剤を形成するための組
成物に関する。
【0002】 発明の背景 熱接着が可能なホットメルト接着剤において、その耐熱性等の性能の向上を目
的として、接着後の架橋反応を可能にした、いわゆる反応性(硬化性)ホットメ
ルト接着剤が知られている。従来の反応性ホットメルト接着剤の例としては、次
の(1)〜(6)のタイプを挙げることができる。 (3)イソシアネート基を有するポリマーを含有する湿気硬化型接着剤(米国
特許5,418,288号(対応する日本国特許出願は特開平6−158017
号公報に開示。) (3)シリル基を有するポリマーを含有するシラノール縮合型接着剤(特開平
5−320608号公報に開示)。 (3)アクリロイル基を有するポリマーを含有するラジカル重合型接着剤(特
開昭63−230781号公報に開示)。 (3)グリシジル基を有するポリマーとフェノール樹脂とを含有する熱硬化型
接着剤(特開平6−172731号公報に開示)。 (3)熱接着後に放射線照射により架橋させる方法(特開平6−306346
号公報に開示)。 (3)エチレン、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボ
ン酸エステルの三元共重合体と、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体
と、ジアリルフタレート化合物を含む架橋性樹脂組成物(特開平4−45123
号公報に開示)。
【0003】 しかしながら、これらに開示された従来の反応性ホットメルト接着剤では、以
下の《1》〜《7》の様な問題点をいまだ有している。 《1》一般に架橋反応が遅く、長時間のポストキュアが必要である。(たとえ
ば、上記(1)、(2)の場合) 《2》架橋反応の際に水分を必要とし、外気と接触しにくい部分の接着には不
向きであるものがある。(たとえば、上記(1)の場合) 《3》反応副生成物として水分を発生し、接着力の経時劣化等の悪影響を及ぼ
すものがある。(たとえば、上記(2)の場合) 《4》フィルム状に成形するために溶剤を必要とし、接着完了後の残留溶剤が
悪影響を及ぼすものがある。(たとえば、上記(1)〜(4)の場合) 《5》一般に常温(約25℃)で保存した場合でも架橋反応が徐々に進み、貯
蔵安定性が低い。(たとえば、上記(1)〜(3)の場合) 《6》放射線架橋タイプの接着剤は、放射線が照射できないか、若しくは照射
しにくい部分の接着には不向きである。(上記(5)の場合) 《7》共重合体の分子間の熱硬化反応が必須であるため、フィルム等の所定の
形状への成形工程において、加熱による組成物のゲル化を防止するのが困難であ
り、実質的には連続生産ができない。(上記(6)の場合)
【0004】 また、ポリエチレン系共重合体としてのエチレン−グリシジルメタクリレート
共重合体と、ロジンとを含んでなるホットメルト接着剤が、特開平9−2537
1号公報に開示されている。上記ロジンは、タッキファイヤー(粘着付与剤)と
して添加されており、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体のグリシジ
ル基の極性作用とあいまって、金属表面に対する接着性が改善されている。また
、好適なロジンは、酸価が100以下であるロジンエステルであり、したがって
、この接着剤は、ロジンとエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体との熱
硬化反応を積極的に利用したものではない。また、この公報には、エチレン−グ
リシジルメタクリレート共重合体(ポリエチレン系共重合体の)分子間での架橋
反応を意図する記載もない。
【0005】 前述の様なポリエチレン系共重合体を含有する接着剤は、電気分野におけるホ
ットメルト接着剤として好適に使用できる。この様なポリエチレン系ホットメル
ト接着剤は、化学的に安定で、半導体製品などに課せられるプレッシャークッカ
ーテスト等の過酷な条件下でのテストでも、その安定性が証明されている。また
、この様な接着剤を、集積回路(IC)のリードフレームのリードピンを固定す
るためのフィルム接着剤として利用する場合、テープを180℃程度の温度で熱
圧着した後に半田浴に漬け、さらに230〜260℃の熱環境に放置する様な条
件で使用される。したがって、ポリエチレン系ホットメルト接着剤を、電子部品
の接着や、ICパッケージの作製のために用いるには、熱圧着時の流れ抵抗が大
きく、かつ高い半田耐熱性を有することが要求される。しかしながら、従来技術
は、この様な要求性能を満たすための改良について具体的には教示していない。
【0006】 一方、熱圧着時の流れ抵抗が大きくし、かつ高い半田耐熱性を有する様にする
ために、ホットメルト接着剤の反応性を高めることは有利ではある。しかしなが
ら、従来の反応性ホットメルト接着剤は、上記《1》〜《7》の問題点を有する
ので、電気分野におけるホットメルト接着剤としては適さない。
【0007】 発明の要旨 すなわち、本発明の目的は、従来の反応性ホットメルト接着剤の有する上記《
1》〜《7》の問題点を解決でき、熱圧着時の流れ抵抗が大きく、かつ高い半田
耐熱性を有する熱接着タイプの接着剤として利用できる、熱硬化性接着剤組成物
を提供することにある。
【0008】 好ましい態様の詳細な説明 本発明は、上記課題を解決するために、(a)分子内にエポキシ基を有するポ
リエチレン系共重合体と、(b)ロジンとを含有する、接着成分を含んでなる接
着剤組成物において、 前記ロジンが分子内にカルボキシル基を有し、かつ 前記接着成分中に分散された無機コロイドをさらにを含んでなることを特徴と
する、熱硬化性接着剤組成物を提供する。
【0009】 ここで、本発明の熱硬化性接着剤組成物が、前述の従来の接着剤の問題点をど
のようにして解決するのかを説明する。
【0010】 本発明の熱硬化性接着剤組成物(以下、「接着剤組成物」と呼ぶこともある。
)は、接着成分として、分子内にエポキシ基を有するポリエチレン系共重合体(
以下「共重合体 (a)」と呼ぶ場合もある。)と、分子内にカルボキシル基を
有するロジン(以下「ロジン(b)」と呼ぶ場合もある。)とを含有することを
特徴とする。この熱硬化性接着剤組成物から形成された接着剤の熱硬化反応は、
実質的に、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体等の「共重合体
(a)」の「エポキシ基」と、「ロジン(b)」の 「カルボキシル基」との反
応であるので、水分等の反応副生成物を発生させず、しかも、一般に架橋反応が
速く、長時間のポストキュアを必要としない。また、架橋反応の際に水分を必要
としない。したがって、上記《1》、《2》および《3》の問題を解決できる。
【0011】 本発明の接着剤組成物から形成された接着剤は、常温(約25℃、以下「常温
」という用語は、すべて約25℃を意味する。)で固体であるが、所定の温度に
て、比較的低圧、短時間(たとえば、100〜200℃にて、0.1〜10kg
/cm2 、0.1〜30秒間)で熱圧着でき、圧着時の加熱または圧着後の加熱
(ポストキュア)により硬化(架橋)させることができる。したがって、熱接着
−熱架橋タイプの接着剤として有用に使用できる。この様な接着剤は、たとえば
、接着剤組成物に電子線を照射し、ポリエチレン系共重合体分子のエチレン単位
間に架橋構造を導入して形成することができる。これらの接着剤は、従来の放射
線架橋タイプのものと異なり、放射線が照射できないか、若しくは照射しにくい
被着体の部分に接着剤を配置した後、加熱により架橋を完了できるので、上記《
6》の問題が解決できる。熱硬化を行う時の加熱温度は通常120℃以上であり
、加熱時間は通常1分以上である。
【0012】 本発明の接着剤組成物は、通常のホットメルト接着剤等のホットメルト可能な
組成物に比べて低い温度(たとえば、120℃以下)で溶融し、容易にホットメ
ルトコーティングできる。また、ホットメルト時の流動性が比較的高く、コーテ
ィングしまたはフィルム状に成形するために溶剤を必要としない。すなわち、フ
ィルム状に成形するために溶剤を必要とせず、接着完了後の残留溶剤が悪影響を
及ぼすこともないので、上記《4》の問題が解決できる。
【0013】 本発明の接着剤組成物において、メルトコーティングまたはエクストルージョ
ン成形の際の加熱温度での、共重合体(a)とロジン(b)との硬化反応は極め
て緩やかであり、接着剤組成物がゲル化したり、その粘性(複素弾性率)が、連
続生産が困難になる様なレベルまで上昇することはない。また、90℃未満では
硬化反応は実質的には進行しないので、接着剤組成物の貯蔵安定性を高めること
ができる。したがって、上記《5》の問題を解決できる。また、接着剤を被着体
に適用した後の架橋(いわゆる、後架橋、またはポストキュア)において、共重
合体の分子間の熱架橋反応が必須ではない様に組成を選択できるので、フィルム
等の所定の形状への加熱成形工程において、組成物のゲル化を効果的に防止でき
、連続生産が容易である。したがって、上記《7》の問題点を解決できる。
【0014】 一方、130℃以上、好適には150℃以上の温度では硬化反応が急速に進行
するので、ポストキュア等の熱硬化処理時間を容易に短縮できる。
【0015】 本発明の接着剤組成物は、上記の様な熱硬化性を有することに加えて、前記接
着成分中に分散された無機コロイドさらにを含んでなることを特徴とする。した
がって、本発明の接着剤組成物から形成された接着剤は、熱圧着時の流れ抵抗が
大きく、かつ高い半田耐熱性を有する、熱硬化性−熱接着タイプの接着剤として
利用できる。
【0016】 本発明の接着剤は、好適には次の方法で製造する。すなわち、(i)前記接着
成分と、前記接着成分中に分散された無機コロイドとを含んでなる接着剤組成物
を形成し、(ii)その接着剤組成物に電子線を照射し、前記接着成分に含まれ
るポリエチレン系共重合体分子間に架橋構造を導入し、接着剤を製造する。この
方法によれば、フィルム等の所定の形状への加熱成形工程において、組成物のゲ
ル化を特に効果的に防止でき、連続生産が極めて容易である。
【0017】 (熱硬化性接着剤組成物) 本発明の熱硬化性接着剤組成物は、接着成分として必須である分子内にエポキ
シ基を有するポリエチレン系共重合体(共重合体(a))、およびロジン(b)
に加えて、分子内にエポキシ基を持たない熱可塑性ポリマー(c)を含むのが好
適である。これにより、接着剤組成物から形成された接着剤(熱接着性フィルム
接着剤等)の接着性を容易に高めることができる。この様な熱可塑性ポリマーと
しては、好適には分子内にエポキシ基を持たないポリエチレン系共重合体(c'
)であり、特に好適にはエチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン−
アルキル(メタ)アクリレート共重合体である。この様なポリエチレン系共重合
体は、分子内にエポキシ基を有するポリエチレン系共重合体との相溶性が高く、
接着性を損なうことなく、接着剤組成物の熱圧着性やメルトコーティング性を効
果的に高めることができる。
【0018】 共重合体(a)の含有量は、接着成分全重量に対して、通常40〜98重量%
、好適には45〜80重量%の範囲である。また、分子内にエポキシ基を持たな
い熱可塑性ポリマー(c)を含むときには、その含有量は、接着成分全重量に対
して、通常1〜50重量%、好適には5〜20重量%の範囲である。上記熱可塑
性ポリマーの含有量が少なすぎると、上記効果が得られないおそれがあり、反対
に上記熱可塑性ポリマーの含有量が多すぎると、反応性(熱硬化性)が低下する
おそれがある。
【0019】 また、本発明の接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上記2種類
のポリエチレン系共重合体以外の他のポリマーを含むこともできる。
【0020】 本発明で使用する、共重合体(a)および分子内にエポキシ基を持たない熱可
塑性ポリマー(c)の加熱時の流動性は、それを190℃において測定したメル
トフローレート(以下、「MFR」と略号を用いる場合もある。)を用いて表せ
ば、通常1[g/10分]以上である。1以上であれば、接着剤組成物の熱接着
が可能である。しかしながら、接着剤組成物のメルトコーティングを容易にする
ためには、好適には15以上である。一方、MFRが大きすぎると、硬化した組
成物の凝集力が低下するおそれがある。これらの観点から、MFRは、特に好適
には20〜1,000の範囲である。ここで、「MFR」は、JIS K 67
60の規定に従い測定された値である。また、これらの重量平均分子量は、MF
Rが上記の様な範囲になる様に選択される。
【0021】 また、共重合体(a)および、必要に応じて含まれる、分子内にエポキシ基を
持たない熱可塑性ポリマー(c)の合計は、接着剤組成物全体に対して、通常6
0〜99重量%の範囲が好適である。これらの含有割合が少なすぎると、接着性
が低下するおそれがある。
【0022】 (熱硬化性接着剤) 本発明の接着剤組成物は、熱硬化性の接着剤を形成するための、接着剤前駆体
組成物として適している。本発明による接着剤は、好適には、上記接着剤組成物
を用い、前記接着成分に含まれるポリエチレン系共重合体分子のエチレン単位間
に架橋構造を導入して形成される。この様な架橋構造は、接着剤の熱圧着時の弾
性率を向上させる様に作用する。弾性率の向上により、2つの被着体の間に挟ま
れた接着剤の層が、熱圧着操作の際に不要に大きく流動することを防ぎ、接着剤
が被着体の間からはみ出したり、接着剤の層の厚みが小さくなりすぎて接着性能
が低下することを効果的に防止する。
【0023】 上記の様な性能を制御する接着剤の弾性率は、250℃における貯蔵弾性率(
G´)により規定されるのが望ましい。しかしながら、本発明の接着剤は、加熱
時に硬化反応が進行するので、通常この温度では一定の弾性率を示さない。そこ
で、接着剤の貯蔵弾性率を次のように定義する。すなわち、使用前(熱圧着前等
、被着体上へ適用する前)の接着剤を試料とし、動的粘弾性測定装置を用い、試
料の温度を90℃から300℃まで、昇温速度5℃/分にて昇温させ、剪断速度
6.28rad/秒にて測定した時の250℃における値であると定義する。
【0024】 この定義による接着剤の貯蔵弾性率は、通常1×104 〜1×107 Pa、好
適には2×104 〜1×106 Paの範囲である。この貯蔵弾性率が小さすぎる
と、熱圧着操作における流動を防止する効果が低下し、反対に大きすぎると、瞬
間的な熱圧着(たとえば30秒以下)操作での接着(仮接着)が不良になるおそ
れがある。この様な仮接着が不良であると、接着した部品を後工程(たとえば、
ポストキュア工程)へ運搬する時に、部品が基材から脱着する。
【0025】 分子間架橋は、通常、共重合体(a)どうしの分子間において、エチレン単位
間に形成される。また、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等の
「分子内にエポキシ基を持たないポリエチレン系共重合体(c' )(以下、「共
重合体(c' )」と呼ぶ場合もある。)」が、追加成分として組成物中に含まれ
る場合、共重合体(c' )どうしの分子間、共重合体(a)どうしの分子間、お
よび共重合体(c' )と共重合体(a)との分子間のエチレン単位間に形成され
る。この様な分子間架橋は、たとえば、電子線照射により、共重合体(a)また
は/および(c' )のエチレン単位がラジカル的に活性化され、エチレン単位間
で架橋反応が進行する。
【0026】 本発明の接着剤は、接着剤組成物をフィルム状、またはその他の形に成形し、
その成形物に電子線を照射し、共重合体の分子間の架橋構造を形成して製造する
ことができる。たとえば、次の様な方法で製造することができる。まず、分子内
にエポキシ基を有するポリエチレン系共重合体(共重合体(a))と、無機コロ
イドをと練り込んでマスターバッチを形成する。マスターバッチは、この後の混
練工程を容易にするために、通常ペレット状に形成する。また、共重合体(a)
は最終の接着剤組成物に含まれるべき全量を用いてマスターバッチを形成しても
良いが、通常、一部の量の共重合体(a)を用いる。続いて、このマスターバッ
チペレットと、残りの量の共重合体(a)とをイクストルーダーの最初のゾーン
から投入し、混練し、途中のゾーンから、熱溶融させたロジン(b)を添加し、
最終出口からすべての成分が均一に混合された接着剤組成物を得ることができる
。この時、分子内にエポキシ基を持たない熱可塑性ポリマー(c)、例えば、共
重合体(c' )を組成物に含有させる場合、通常、上記最初のゾーンから、上記
の他の成分とともに投入する。
【0027】 この様にして得た接着剤組成物を、T−ダイコーティング等の塗布方法にてフ
ィルム状に成形し、この成形フィルムに電子線を照射し、上記共重合体(a)お
よび/又は(c' )の分子間に架橋構造を導入し、フィルム状の本発明の接着剤
を得ることができる。
【0028】 (分子内にエポキシ基を有するポリエチレン系共重合体) 分子内にエポキシ基を有するポリエチレン系共重合体(共重合体(a))は、
たとえば、ポリエチエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体である
。共重合体(a)は、接着剤組成物を所定の温度にて加熱したときに、ロジン(
b)と硬化反応して、硬化物の凝集力を高める働きをする。この様な高凝集力は
、接着剤組成物の接着性能を向上させるのに有利である。また、電子線照射によ
り、共重合体(a)どうしの分子間、または/および共重合体(c' )との分子
間での架橋構造を形成し、接着剤組成物の熱圧着時の弾性率を向上させる様に作
用する。一方、接着剤組成物を比較的低温で溶融させ、メルトコーティングを容
易にする作用も有する。また、接着剤組成物に良好な熱接着性(溶融して被着体
に密着した後、冷却、固化した段階での被着体に対する接着性を意味する。)を
付与する。
【0029】 共重合体(a)は、たとえば、 (i)グリシジル(メタ)アクリレートモノマーと、 (ii)エチレンモノマーとを 含んでなるモノマー混合物を出発モノマーとして重合して得ることができる。ま
た、本発明の効果を損なわない限り、追加の第3のモノマーとして、プロピレン
、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等が使用できる。この場合、アル
キル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は、通常1〜8の範囲である。
【0030】 共重合体(a)の具体例としては、 1:グリシジル(メタ)アクリレートとエチレンの2元共重合体、 2:グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、およびエチレンの3元共
重合体、 3:グリシジル(メタ)アクリレート、エチレン、およびアルキル(メタ)ア
クリレートの3元共重合体、 を挙げることができる。この様な共重合体(a)は、グリシジル(メタ)アクリ
レートとエチレンとを含むモノマー混合物を重合させてなる繰り返し単位を、高
分子全体に対して、通常50重量%以上含み、好適には75重量%以上含む。ま
た、上記繰り返し単位中の、グリシジル(メタ)アクリレート(G)とエチレン
(E)の重合比率(G:E)は、好適には50:50〜1:99、特に好適には
20:80〜5:95の範囲である。エチレンの含有量が少なすぎると、共重合
体(c)およびロジン(b)に対する共重合体(a)の相溶性が低下し、均一な
組成物ができないおそれがあり、また、電子線架橋が困難になるおそれがある。
反対に、エチレンの含有量が多すぎると、接着性能が低下するおそれがある。な
お、共重合体(a)は、1種単独または2種以上の混合物として使用することが
できる。
【0031】 (分子内にエポキシ基を持たない熱可塑性ポリマー) 本発明の接着剤組成物中に必要に応じて含まれる、分子内にエポキシ基を持た
ない熱可塑性ポリマー(c)は、好ましくはポリエチレン系共重合体(c' )で
あり、共重合体(c' )は、接着剤組成物を比較的低温で溶融させ、メルトコー
ティングを容易にし、また、接着剤組成物の熱接着性を高める様に作用する。さ
らに、電子線照射により、共重合体(c' )どうしの分子間、または/および共
重合体(a)との分子間での架橋構造を形成し、接着剤組成物の熱圧着時の弾性
率を向上させる様に作用する。一方、共重合体(a)に比べて共重合体(c' )
は吸水性が低いので、接着剤組成物の耐水性を高める様にも作用する。また、一
般に、共重合体(a)に比べて軟化点が低いので、硬化した組成物が熱サイクル
を受けた時に内部応力を緩和し、接着性能を高める働きも有する。
【0032】 共重合体(c' )としては、好適にはエチレン−アルキル(メタ)アクリレー
ト共重合体が使用できる。この共重合体は、たとえば、 3.アルキル(メタ)アクリレートモノマーと、 (b)エチレンモノマーとを 含んでなるモノマー混合物を出発モノマーとして重合して得ることができる。ま
た、本発明の効果を損なわない限り、追加の第3のモノマーとして、プロピレン
、酢酸ビニル等が使用できる。なお、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート
共重合体の出発モノマーは、エポキシ基を有する共重合性モノマーを含まない。
また、上記出発モノマーは、本発明の効果を損なわない限り、カルボキシル基ま
たはカルボン酸の無水物官能基を有する共重合性モノマーを含んでも良いが、好
適にはこれらの官能基を実質的に含まない。この様にすれば、共重合体(a)と
共重合体(c' )との熱硬化反応が生じず、フィルム等の所定の形状への成形工
程における、組成物のゲル化および不所望な粘性上昇を防止することが極めて容
易になる。
【0033】 エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体における、アルキル(メタ
)アクリレートのアルキル基の炭素数は、好適には1〜4の範囲である。アルキ
ル基の炭素数が4を超えると、架橋後の組成物の弾性率を高めることができない
おそれがある。
【0034】 エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体の具体例としては、 1:アルキル(メタ)アクリレートとエチレンの2元共重合体、 2:アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、およびエチレンの3元共重
合体、 を挙げることができる。この様な共重合体は、アルキル(メタ)アクリレートと
エチレンとを含むモノマー混合物を重合させてなる繰り返し単位を、高分子全体
に対して、通常50重量%以上含み、好適には75重量%以上含む。また、上記
繰り返し単位中の、エチル(メタ)アクリレート(A)とエチレン(E)の重合
比率(A:E)は、好適には60:40〜1:99、特に好適に50:50〜5
:95の範囲である。エチレンの含有量が少なすぎると、電子線架橋による弾性
率の向上効果が低下するおそれがあり、反対にエチレンの含有量が多すぎると、
接着性能が低下するおそれがある。共重合体(c' )は、1種単独または2種以
上の混合物として使用することができる。
【0035】 (分子内にカルボキシル基を有するロジン(ロジン(b))) 本発明において使用されるロジン(以下、「ロジン(b)」と呼ぶこともある
。)はカルボキシル基を有し、熱硬化操作において、前記共重合体(a)と反応
し、接着剤組成物を熱硬化し、接着性能を高める様に作用する。
【0036】 ロジン(b)としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、または
、それらを化学変性したもの(たとえば、重合ロジン)が使用できる。ロジン(
b)の酸価は、好適には100〜300、特に好適には150〜250である。
酸価が低すぎると、共重合体(a)との反応性が低下し、組成物の硬化性が低下
するおそれがあり、反対に高すぎると、加熱成形時の安定性(粘性の上昇防止効
果)が低下するおそれがある。なお、ここで「酸価」とは、試料1gを中和する
のに要する水酸化カリウムのmg数で表された値である。
【0037】 ロジン(b)の軟化点は、好適には50〜200℃、特に好適には70〜15
0℃である。軟化点が低すぎると、貯蔵中に共重合体(a)との反応が生じ、貯
蔵安定性が低下するおそれがあり、反対に高すぎると、共重合体(a)との反応
性が低下し、組成物の硬化性が低下するおそれがある。なお、ここで「軟化点」
とは、JISK6730にしたがって測定された値である。
【0038】 本発明の接着成分中に含まれるロジン(b)の割合は、通常1〜20重量%で
ある。1重量%未満では組成物の硬化性および熱接着性が低下するおそれがあり
、反対に20重量%を超えると、硬化後の組成物の接着性能が低下するおそれが
ある。この様な観点から、好適には2〜15重量%、特に好適には3〜10重量
%の範囲である。
【0039】 ロジン(b)は、1種単独または2種以上の混合物として使用することができ
、また、本発明の効果を損なわない限り、カルボキシル基を実質的に持たないロ
ジンも併用することもできる。
【0040】 (無機コロイド) 一方、無機コロイドは、通常コロイド粒子の形態で分散液に含有されるので、
粒子が重力により沈降することなく、安定に分散可能である。したがって、この
様な分散液を乾燥して形成した本発明の接着剤組成物では、各成分が均一に混合
した状態を実現でき、熱圧着時の流れ抵抗を大きくすること、および半田耐熱性
を高めることが特に容易である。
【0041】 無機コロイドの含有割合も、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない
が、接着剤組成物の全体量に対して、通常1〜40重量%である。1重量%未満
であると、寸法安定性が低下するおそれがあり、反対に40重量%を超えると、
はく離接着力が低下するおそれがある。この様な観点から、好適な含有割合は、
接着剤組成物の全体量に対して2〜30重量%の範囲である。
【0042】 ここで、「無機コロイド」とは、通常、平均粒子径が1〜100nmの範囲の
微粒子である。たとえば、無機粒子ゾルと接着成分とを混合し、接着成分中に分
散させることができる。無機粒子ゾルは、通常、(i)分散媒と、(ii)その
分散媒中に分散された前記無機コロイドとの混合物である。
【0043】 無機コロイドとしては、シリカコロイドが好適である。熱圧着時の流れ抵抗と
、半田耐熱性とを特に効果的に高めることができるからである。
【0044】 一方、無機コロイドは、好適には表面処理剤にて表面処理されたものである。
これにより、半田耐熱性と、熱圧着時の接着剤の流れ性の改良(流れ抵抗の増大
)とを特に効果的に向上させることができる。
【0045】 表面処理剤としては、たとえば、有機珪素化合物、有機チタネート等の表面改
質剤が使用できる。有機珪素化合物としては、アルキルクロロシラン、アルキル
アルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、アルキルジシラゾン、アミノシラ
ン、チオールシラン、エポキシシラン、ウレアシラン等が好適である。これらの
有機珪素化合物は、単独で使用しても、2種類以上を任意に組み合わせて使用し
てもよい。
【0046】 特に好適には、アルキルジシラゾンである。半田耐熱性が特にすぐれ、JED
EC(Joint Electron Device Engineering Council ;電子素子技術連合評議会
(日本))の半田耐熱規格の最高基準であるレベル1をパス可能な接着剤を形成
することができる。
【0047】 無機コロイドの表面処理は、通常、粒子を分散させた分散液に、表面処理剤を
加え、さらに分散操作を加えて行う。表面処理後の分散液は、表面処理されたコ
ロイド粒子を含有するゾルとして利用できる。また、上記分散液を乾燥した後、
必要に応じて粉砕操作を加え、表面処理された粉体としての粒子を得ることもで
きる。なお、表面処理剤の量は、無機コロイド100重量部に対して、通常0.
001〜30重量部である。
【0048】 (フィルム接着剤) 本発明の接着剤を含むフィルム接着剤は、熱接着タイプの接着材料として有利
であり、同時に前述の従来のホットメルト接着剤が有する課題を解決できる。こ
のフィルム接着剤は、たとえば、2枚の被着体の間にそれを挟み、所定の温度で
熱圧着を行うことによる熱接着に適し、さらに所定温度、所定時間のポストキュ
ア処理を施すことにより、すぐれた接着性能を発揮する。
【0049】 硬化反応は、120℃以上の範囲の温度で進行し、1分〜24時間の範囲の時
間の加熱(圧着時の加熱またはポストキュア)により、十分な接着力(たとえば
、4〜15kg/25mm以上)を発現可能である。120℃の温度での硬化反
応速度は、緩やかであるものの、十分な時間(たとえば、10時間以上)をかけ
れば所望の接着性能を発揮させることが可能である。また、硬化時間を短縮する
には、130〜300℃の範囲にて加熱すれば良い。
【0050】 フィルム接着剤は、たとえば、次のようにして製造する。まず、前述の各成分
を含有する本発明の接着剤組成物を調製する。次に、その接着剤組成物を、剥離
紙(ライナー)等の基材の上にメルトコーティングし、フィルム状の接着剤組成
物を形成する。最後に、フィルム状の接着剤組成物に電子線を照射し、エチレン
単位を含む共重合体の分子間の架橋構造を形成し、本発明の接着剤を含むフィル
ム接着剤を製造する。
【0051】 接着剤組成物の調製は、通常、その原料となる成分を、混練または混合装置を
用いて行い、実質的に均一になるまで混合する。この様な装置には、ニーダー、
ロールミル、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー等が使用
できる。混合時の温度および時間は、共重合体(a)とロジン(c)との反応が
実質的に進行しない様に選択され、通常20〜120℃の範囲の温度、1分〜2
時間の範囲の時間で行う。
【0052】 組成物接着剤組成物の、120℃、6.28rad/秒の条件にて測定された
複素弾性率η* は、好適には500〜1,000,000poise、特に好適
には1,200〜10,000poiseの範囲である。複素弾性率η* が低す
ぎると所定の厚みに成形(又はコーティング)するのが困難になるおそれがあり
、反対に高すぎると連続的に成形することが困難になるおそれがある。
【0053】 メルトコーティングは、通常60〜120℃の範囲の温度にて行う。コーティ
ングには、ナイフコーター、ダイコーター等の通常の塗布手段を用いる。また、
エクストルージョン法により基材を用いずにフィルム状接着剤組成物を形成する
こともできる。電子線照射は、電子線加速器を用い、通常150〜500kVの
範囲の加速電圧、通常10〜400kGyの範囲の照射量にて行う。
【0054】 通常、フィルム接着剤の接着面の、片面または両面をライナーで保護して製品
化する。また、接着面の粘着性が比較的低い場合、ライナーを備え付けることな
く製品化することもできる。
【0055】 フィルム接着剤の厚みは、好適には0.001〜5mm、特に好適には0.0
05〜0.5mmの範囲である。厚みが薄すぎると、フィルム接着剤としての取
り扱いが困難になる傾向があり、反対に厚すぎると、厚さ方向で架橋が不均一に
なり、接着剤としての信頼性が低下するおそれがある。
【0056】 前述の様にして得られるライナー付きフィルム接着剤は、たとえば、次のよう
にして使用する。まず、ライナー付き接着フィルムからライナーを除去し、第1
の被着体と、第2の被着体との間に接着フィルムを挟み、第1の被着体、フィル
ム接着剤、および第2の被着体とがこの順に積層された積層体を形成する。続い
て、その積層体を80〜300℃の範囲の温度、0.1〜100kg/cm2
範囲の圧力にて熱圧着操作を行い、これら3者が互いに密着した接着構造を形成
する。この方法によれば、2つの被着体を、0.1〜30秒の範囲の時間で十分
な接着力で接着することができる。
【0057】 本発明のフィルム接着剤は、上記の様な熱圧着だけでも十分な接着力を発揮す
るが、さらに接着力を高めたい場合はポストキュアを行う。すなわち、上記の接
着方法において、上記接着構造に対して通常120℃以上、好適には130〜3
00℃の範囲の温度、1分〜24時間の範囲の時間にてポストキュアを施す。ポ
ストキュア工程の時間短縮のため、特に好適な条件は140〜200℃、30分
〜1.2時間である。この方法は、本発明のフィルム接着剤を用いた接着方法と
して最良の実施形態の1つである。また、上記フィルム接着剤に換えて、第1ま
たは第2の被着体の表面に、接着剤組成物を直接コーティングし、電子線を照射
して接着剤組成物の層を形成し、上記接着構造を形成することもできる。
【0058】 (その他の材料) また、本発明の接着剤材料は、本発明の効果を損なわない限り、上記(a)〜
(c)の接着成分および無機コロイド以外に、種々の添加剤を含むことができる
。この様な添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機コロイド以外の充
填材(ポリマー粒子、導電性粒子、顔料等)、ワックス等の滑剤、ゴム成分、粘
着付与剤、架橋剤、硬化促進剤等である。
【0059】 (用途) 本発明の接着剤組成物または接着剤は、IC部品とプリント回路基板との接着
などの、電子部品の接着に特に好適に用いることができる。この他、フッ素系ポ
リマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂等のポリマー被着体
どうし、または、ポリマー被着体と他の材料(繊維、金属、シリコン半導体、セ
ラミック、ガラス等)からなる物品との接着にも好適に使用できる。たとえば、
金属の具体例としては、銅、鉄、ニッケル、金、銀、アルミニウム、タングステ
ン、モリブデン、白金等を挙げることができる。
【0060】 本発明の接着剤組成物または接着剤は、比較的低温で熱圧着可能であり、また
、比較的低温、短時間にてポストキュアを行うと十分な接着力を発現する。した
がって、耐熱性が比較的低い被着体の接着に適している。
【0061】 また、本発明の接着剤組成物の製造では、共重合体(a)および必要に応じて
添加されるポリマー(c)は未反応モノマー等の残留物が除去された精製済のも
のを用いることができ、出発原料としてモノマーを用いた重合工程を必要としな
い。このため、接着剤中に残存する、未反応モノマーやモノマー由来の揮発性有
機物を可及的に少なくすることができる。すなわち、半田リフロー時に生じる揮
発性成分による発泡や、使用者が比較的不快に感じるモノマー臭気の発生を効果
的に防止することができる。
【0062】 本発明の接着剤組成物を、ポリマーフィルム、繊維布、金属箔等の基材に固着
させた接着剤層とすれば、熱圧着可能な接着テープとして使用できる。また、本
発明による接着剤組成物は、接着剤用途の他、シール材としても使用できる。
【0063】 実施例 (実施例1〜5、および比較例1〜4) まず、各例で使用する一部分の量のエチレン−グリシジルメタクリレート共重
合体(共重合体(a):(住友化学(株)社製「(品名)ボンドファーストCG
5001;MFR=350g/10分、エチレン単位:グリシジルメタクリレー
ト単位(重量比率)=82:18)と、表1に記載のシリカコロイドとを練り込
んで、マスターバッチペレットを作製した。続いて、そのマスターバッチペレッ
トと、上記エチレンーグリシジルメタクリレートの残りと、エチレンーエチルア
クリレート(共重合体(c' ))とをイクストルーダーの最初のゾーンから投入
し混練し、途中のゾーンから、熱溶融させたロジン(b)を添加し、最終出口か
らすべての成分が均一に混合されて含まれる、実施例1〜5の接着剤組成物を得
た。上記混練操作は、110℃の温度で行った。
【0064】 なお、各例の接着剤組成物における各成分の割合(単位はすべて重量部)は、
表1に記載した。また、各成分の商品名、入手先等は、表1の下に記載した。
【0065】 一方、シリカコロイドを用いないかった以外は、実施例1と同様にして、比較
例1の接着剤組成物を得た。また、シリカコロイドに代えて、比較的大きな粒子
径(100ミクロン以上)の微粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして比較
例2〜4の接着剤組成物を得た。
【0066】 上記の様にして得た各例の接着剤組成物を、T−ダイコーティングを用いてホ
ットメルトコーティングし、フィルム状に成形し、この成形フィルムに電子線を
照射し、上記エチレン系共重合体の分子間に架橋構造を導入し、各例のフィルム
接着剤を得た。フィルム接着剤の厚さは100ミクロンであった。また、電子線
の照射条件は、200kV、150KGyであった。
【0067】 表1 接着成分の組成 CG5001/KE604/NUC6070/NUC6570 無機コロイド 実施例1 70/5/8/17 SY1 = 8 実施例2 70/5/8/17 SI1 = 8 実施例3 70/5/8/17 SA1 = 8 実施例4 70/5/8/17 SX1 = 8 実施例5 70/5/8/17 SH1 = 8 比較例1 70/5/8/17 なし 比較例2 77/5/8/17 TA2 = 11 比較例3 75/5/8/17 LA2 = 7 比較例4 82/5/8/17 BA2 = 7 注1)単位はすべて重量部である。 注2) CG5001 :エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、住友化学株式会社、品
名:ボンドファースト KE604 : ロジン、荒川化学工業株式会社、品名:パインクリスタル、酸価=24
2 NUC6070 : エチレン−エチルアクリレート共重合体、日本ユニカー株式会社、 MFR =250g/10分、エチレン単位:エチルアクリレート単位=75:25 NUC6570 : エチレン−エチルアクリレート共重合体、日本ユニカー株式会社、 MFR =20g/10分、エチレン単位:エチルアクリレート単位=75:25 SY1 : シリカコロイド、日本エアロジル株式会社、RY200、平均粒子径12 nm(表面処理剤=ポリジメチルシロキサン) SI1 : シリカコロイド、日本エアロジル株式会社、R974、平均粒子径12n m(表面処理剤=ジメチルジクロロシロキサン) SA1 : シリカコロイド、日本エアロジル株式会社、200(無処理)、平均粒子 径12nm SX1 : シリカコロイド、日本エアロジル株式会社、RX974、平均粒子径12 nm(表面処理剤=ヘキサメチルジシラザン) SH1 : シリカコロイド、日本エアロジル株式会社、R805、平均粒子径12n m(表面処理=オクチルトリエトキシシラン) TA2 : 微粒子酸化チタン、テイカ株式会社、MT−500HD、平均粒子径1. 7μm LA2 : タルク、浅田製粉株式会社、FFR、平均粒子径3.6μm BA2 : 沈降性硫酸バリウム、堺化学工業株式会社、#300、平均粒子径0.7 7μm
【0068】 各例の評価を次の様にして行った。 3.流れ性(流れ抵抗) 直径6mm、厚さ0.1mmのフィルム接着剤を180℃、90kg/cm2
において10秒間熱圧着した。圧着前の直径に対する圧着後の直径の百分率(=
100×圧着後の直径/圧着前の直径)を、流れ性[%]とした。なお、このテ
ストにおいて、比較的に流れ抵抗が小さく、220%を超える流れ性を有するも
のは、要求規格を満たさず「NG」と判定され、反対に比較的流れ抵抗が大きく
、220%未満の流れ性を有するものは、「OK」と判定された。すなわち、実
施例1〜5の接着剤は「OK」と判定され、比較例1〜4のものは、すべて「N
G」であった。
【0069】 3.接着力: 10×30mm2 のフィルム接着剤を、銅板(長さ30mm×幅25mm×厚
み0.3mm)と、50μmのポリミドフィルムで挟み、200℃、5N(ニュ
ートン)/cm2 にて10秒間圧着し、銅板/フィルム接着剤/ポリミドフィル
ムの3層からなる積層体を形成した。この積層体において、ポリイミドフィルム
を50mm/分の速度で引っ張った際の90度剥離力(ポリイミドフィルムとフ
ィルム接着剤との剥離力)を測定し、これを接着力とした。
【0070】 3.半田耐熱: このテストは、前述のJEDECの規格に準じたテストである。まず、15×
15mm2 のフィルム接着剤を、厚さ0.6mmのステンレス板と、厚さ125
μmのポリイミドで挟み、200℃、5N(ニュートン)/cm2 にて10秒間
圧着し、ステンレス板/フィルム接着剤/ポリミドフィルムの3層からなる積層
体を形成した。この積層体を、150℃で2時間ポストキュアし、テストサンプ
ルとした。このサンプルを、湿熱エージング後に240℃のリフロー炉を2回と
おし、発泡や剥離が起きなかった場合を「合格」と評価し、発泡または剥離の少
なくともいずれかが起きた場合を「不合格」と評価した。なお湿熱エージングの
条件は、 レベル3:30℃/ 50%RH、および レベル1:85℃/ 85%RH であった。すべての実施例の接着剤は、レベル3の基準を「合格」できた。しか
しながら、レベル1を「合格」できたのは、実施例4の接着剤だけであった。実
施例4では、無機コロイドとして、ヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisila
zane)で表面処理されたシリカコロイドを用いた。
【0071】 3.弾性率: 各例のフィルム接着剤を試料として、レオメトリックス(株)社製の動的粘弾
性装置(型番:RDAII)を用い、貯蔵せん断弾性率G' 、および、損失せん断
弾性率G" を測定した。各弾性率は、90℃から300℃まで5℃/分の昇温さ
せた時の250℃での測定値である。
【0072】 評価結果を下記表2に示す。
【0073】 表2 接着剤特性 流れ性 接着力 半田耐熱 弾性率(250℃,Pa) (%) (N/cm) レベル3 レベル1 G' G" 実施例1 202 12.8 合格 不合格 1.04 ×105 1.22 ×104 実施例2 219 13.1 合格 不合格 1.44 ×106 2.16 ×104 実施例3 217 15.6 合格 不合格 1.15 ×106 2.10 ×104 実施例4 218 14.9 合格 合格 8.59 ×105 7.71 ×103 実施例5 207 17.7 合格 不合格 7.49 ×105 1.19 ×104 比較例1 226 25.6 合格 不合格 7.03 ×105 1.01 ×104 比較例2 239 8.0 合格 不合格 5.43 ×105 9.41 ×103 比較例3 235 13.0 合格 不合格 3.91 ×105 7.06 ×103 比較例4 238 14.0 合格 不合格 5.11 ×105 6.61 ×103
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 201/00 C09J 201/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 鳥海 尚之 神奈川県相模原市松が枝町5−5−402 Fターム(参考) 4J004 AA04 AA07 AA10 AB05 CA04 CA06 CC02 CD08 FA05 4J040 BA202 DA031 DA061 DE022 GA07 GA11 HA306 HD30 HD31 HD32 HD35 HD36 HD37 JB01 JB02 KA03 KA07 KA42 LA01 LA06 LA08 MA02 MA04 MA05 MA10 MB02 PA30 PA33

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも1個のエポキシ基を有するポリエチレン系
    共重合体と(b)分子内にカルボキシル基を有するロジンとを含有する接着成分
    、及び、 前記接着成分中に分散された無機コロイドを含んでなる、熱硬化性接着剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記接着成分は(c)エポキシ基を有しない熱可塑性ポリマ
    ーをさらに含む、請求項1記載の熱硬化性接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性ポリマー(c)はエチレン−アルキル(メタ)
    アクリレート共重合体である、請求項2記載の熱硬化性接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体のア
    ルキル基は1〜4個の炭素原子を有する、請求項3記載の熱硬化性接着剤組成物
  5. 【請求項5】 前記エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体は5
    0:50〜5:95の範囲のアルキル(メタ)アクリレート:エチレンの重合比
    を有するモノマー混合物から得られる、請求項3記載の熱硬化性接着剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記ポリエチレン系共重合体(a)は前記接着成分の合計重
    量を基準として約40〜98重量%の範囲で存在する、請求項1記載の熱硬化性
    接着剤組成物。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性ポリマー(c)は前記接着成分の合計重量を基
    準として約1〜50重量%の範囲で存在する、請求項2記載の熱硬化性接着剤組
    成物。
  8. 【請求項8】 前記ポリエチレン系共重合体(a)及び熱可塑性ポリマー(
    c)の合計重量は前記接着成分の合計重量を基準として約60〜99重量%であ
    る、請求項2記載の熱硬化性接着剤組成物。
  9. 【請求項9】 前記ポリエチレン系共重合体(a)はJIS K6760に
    より190℃において測定したときに、メルトフローレートが約20〜1000
    である、請求項1記載の熱硬化性接着剤組成物。
  10. 【請求項10】 前記ポリエチレン系共重合体(a)はグリシジル(メタ)
    アクリレートとエチレンとの2元共重合体、グリシジル(メタ)アクリレートと
    酢酸ビニルとエチレンとの3元共重合体、及び、グリシジル(メタ)アクリレー
    トとエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとの3元共重合体からなる群より
    選ばれる、請求項1記載の熱硬化性接着剤組成物。
  11. 【請求項11】 前記ポリエチレン系共重合体(a)は20:80〜5:9
    5のグリシジル(メタ)アクリレート:エチレンの重合比を有するモノマー混合
    物から得られる、請求項10記載の熱硬化性接着剤組成物。
  12. 【請求項12】 前記ポリエチレン系共重合体(a)は、前記ポリエチレン
    系共重合体(a)の合計重量を基準として少なくとも約75重量%の量のグリシ
    ジル(メタ)アクリレートとエチレンとを含む繰り返し単位を含む、請求項1記
    載の熱硬化性接着剤組成物。
  13. 【請求項13】 前記ロジン(b)は酸価が約100〜300である、請求
    項1記載の熱硬化性接着剤組成物。
  14. 【請求項14】 前記ロジン(b)は、JIS K6730により測定した
    ときに、軟化点が約50〜200℃である、請求項1記載の熱硬化性接着剤組成
    物。
  15. 【請求項15】 前記ロジン(b)は前記接着成分の合計重量を基準として
    約1〜20重量%の量で存在する、請求項1記載の熱硬化性接着剤組成物。
  16. 【請求項16】 前記無機コロイドはシリカコロイドである、請求項1記載
    の熱硬化性接着剤組成物。
  17. 【請求項17】 前記無機コロイドは前記接着成分の合計重量を基準として
    約1〜40重量%の量で存在する、請求項1記載の熱硬化性接着剤組成物。
  18. 【請求項18】 請求項1記載の熱硬化性接着剤組成物のポリエチレン系共
    重合体(a)のエチレン単位間に架橋構造を導入した、接着剤。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の接着剤によりコーティングされた基材。
  20. 【請求項20】 請求項18記載の接着剤を含む電子部品。
JP2000582490A 1999-10-07 1999-10-07 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法 Pending JP2002536460A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/US1999/023499 WO2000029500A1 (en) 1998-11-16 1999-10-07 Thermosetting adhesive composition, adhesive and production process for adhesive

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002536460A true JP2002536460A (ja) 2002-10-29

Family

ID=22273772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000582490A Pending JP2002536460A (ja) 1999-10-07 1999-10-07 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002536460A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000144082A (ja) * 1998-11-16 2000-05-26 Minnesota Mining & Mfg Co <3M> 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000144082A (ja) * 1998-11-16 2000-05-26 Minnesota Mining & Mfg Co <3M> 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5046366B2 (ja) 接着剤組成物及び該接着剤からなる接着層を備えたシート
JP5736899B2 (ja) フィルム状接着剤、接着シート及び半導体装置
JP5428423B2 (ja) 半導体装置及びフィルム状接着剤
US6590070B1 (en) Thermosetting adhesive composition and adhered structure
JP2004327623A (ja) 封止用フィルム接着剤、封止用フィルム積層体及び封止方法
JP2000017242A (ja) ホットメルト接着剤組成物、熱圧着性フィルムおよびホットメルト接着剤組成物を用いた接着方法
US6265460B1 (en) Hot-melt adhesive composition, heat-bonding film adhesive and adhering method using hot-melt adhesive composition
JP5532575B2 (ja) 接着シート
JP4422232B2 (ja) 熱硬化性接着剤組成物、接着剤および接着剤の製造方法
US6051652A (en) Reactive hot melt composition, composition for preparation of reactive hot melt composition, and film-form hot melt adhesive
JP2010135765A (ja) 半導体用接着シート、ダイシングテープ一体型半導体用接着シート及び半導体装置
JP5476673B2 (ja) 接着シート
JP4201858B2 (ja) 熱硬化性接着剤組成物、その製造方法および接着構造
EP0858488B1 (en) Reactive hot melt composition, composition for preparation of reactive hot melt composition, and film-form hot melt adhesive
US7358289B2 (en) Heat-curable adhesive composition
JPH08291278A (ja) ホットメルト接着剤組成物及び接着性フィルム
JPWO2019150448A1 (ja) 半導体装置の製造方法、フィルム状接着剤及び接着シート
JP2004143217A (ja) 熱硬化性接着剤組成物
JP2000144082A (ja) 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法
JP4635287B2 (ja) 異方性導電フィルム
JP2002226800A (ja) 接着シート、その使用方法及び半導体装置
JP2002536460A (ja) 熱硬化性接着剤組成物、接着剤、および接着剤の製造方法
JP2016190964A (ja) 接着フィルム
CN111394017A (zh) 一种具有高导热率和导电性的热固型粘合材料
CN213583751U (zh) 一种芯片封装结构