JP2002534437A - 核膜を通した核酸の移動のための細胞輸送システムの使用 - Google Patents
核膜を通した核酸の移動のための細胞輸送システムの使用Info
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Abstract
Description
の核中に核輸送剤を用いて輸送する方法並びに、核輸送剤の、癌、ウィルス感染
、神経系の疾患、移植片拒絶反応および単一遺伝子または多遺伝子性遺伝性疾患
の治療のための遺伝子治療における使用に関する。
しないすべての細胞中への遺伝物質の輸送に必要である。核酸のための核輸送シ
ステムは、これが、ほとんどまたは全く分裂しない細胞中へのDNAの効率的な
移動を促進するため、極めて重要である(Dowty et al., 1995, Wilke et al., 1
996)。ほとんどの一次細胞(primary cell)は、この群に属する。一次細胞は、2
つの理由により科学的に最も興味深い。第1に、生物から新たに単離した前述の
細胞は、細胞のタイプの機能的な状態を、これに由来する細胞系よりもはるかに
良好に反映する。第2に、これらは、遺伝子治療の標的細胞である。さらに、核
輸送システムは、移動の開始と分析との間の期間中に分裂していなかった細胞が
、移動した遺伝物質を発現することができるようにすることにより、確立された
細胞系中へのDNA移動の効率を増大させる。
時的に崩壊する際に、細胞分裂の間に同時に発生することができるか、またはこ
れは活発に生じなければならない。
通過することができない。核中に進入することができるためには、約50kDa
よりも大きいタンパク質が、輸送機構により認識されなければならない核局在シ
グナル(nuclear localization signal;NLS)を必要とする。代表的に、十分
なシグナルは、4〜8個のアミノ酸から成り、陽性のアミノ酸であるアルギニン
およびリシンに富んでおり、プロリンを含む。これは、発生において強力に保護
され、従って哺乳類NLSはまた、酵母において機能的である。異種のNLSは
また、標的分子を核中に輸送するための手段として用いることができる。このた
めに、NLSを、比較的無秩序な位置において細胞質タンパク質の配列中に導入
することができるか、またはタンパク質、またはさらには金粒子に化学的に結合
させることができる(Gorlich, 1998において論評された)。
への輸送のために用いる。 休止細胞に感染することができるHIVおよび他のレンチウィルスは、ウィル
スタンパク質および細胞輸送機構を用いて、これらのDNAを核中に移動させる
。Vpr中のNLSおよびHIV前統合複合体のマトリックスタンパク質(Galla
y et al., 1996)は、分裂しない細胞の感染に必須である(Naldini et al., 1996
)。ウィルスがいかにしてこれらのゲノムを核中に移動させるかについてほとん
ど知られていないが、NLSを含むウィルス構造タンパク質の補助はさらに、一
般的な原理であり得る。これはまた、以下の観察により示唆されている:HSV
カプシドタンパク質における特定の変異は、ウィルスDNAの核中への輸送を妨
げる(Batterson et al., 1983)。アデノウィルスDNAは、崩壊したカプシドの
ヘキソンタンパク質と共に、核中に輸送される(Greber et al., 1993)。SV4
0 DNAの核中への輸送は、DNAと連結したままであるウィルスタンパク質
(おそらくVp3)により媒介される(Nakanishi et al., 1996)。NLSを含む
2種の細菌タンパク質は、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacte
rium tumefaciens)T−DNAの植物核中への輸送の原因となる(Citovsky et al
., 1994)。
ノウィルスおよびヘルペスウィルスの突然変異体変種を、遺伝子治療方法の開発
のためのDNA移動ビヒクルとして用いる。第1に、これは、ウィルス成分への
免疫学的反応の危険を伴い(Friedmann, 1994, 1996)、第2に、ヘルパー細胞系
は、比較的突然変異していないウィルスゲノムの放出を排除することができない
系において用いられる。さらに、これらの系の取り扱いは、困難である。 核局在シグナルを含むペプチドまたはタンパク質によりトランスフェクション
効率を高めることが推測されるいくつかの人工的系が、記載された。
,237号)には、センダイウィルス、リポソームおよびDNAの核輸送を支持
することを意味する加えられたタンパク質に基づく遺伝子移動系が記載されてい
る。このために、この群は、HMG−1(高移動度1群タンパク質)、DNAに
結合するクロマチンの基本的非ヒストンタンパク質を用いた。HMG−1は、長
い基本的領域を通してDNAに結合する。これは、核中に局在するが、既知のN
LSを有しない。インビトロで、HMG−1タンパク質は、ベクターDNAとの
複合体を形成する。精製されたHMG−1の生成は、費用がかかり、大きな労働
力を要する。
。この正の電荷のために、HMG−1は、DNAと複合するトランスフェクショ
ン試薬として、ここで細胞膜を通してのDNAの通過のために用いられる。効率
は低い。Wako BioProducts (Richmond, VA, U.S.A)社は、核輸送を媒介するため
のリポフェクション試薬のための添加剤としてのタンパク質HMG−1および−
2を販売した(1997)。
ヒトヒストンH1から成る組換えタンパク質を用いた同様の方法を繰り返した。
これらのタンパク質は、共に、刊行物に示されたように、明らかにDNAとの大
きい複合体を形成し、細胞膜の通過に適するが、核輸送には適さない。
ドが、同様に用いられた。 P. Alestromのグループ(Collas et al., 1996, Collas およびAlestrom, 1996
, 1997a, b)は、SV40から複合体DNAまでのNLSペプチドを用いて、こ
れを細胞により核中に輸送した。このDNA結合は、専ら、この機能のために必
須であるNLSの正に帯電したアミノ酸により発生する。この結果、DNAがペ
プチドと複合している限りは、核輸送タンパク質のための実際のシグナルの遮蔽
が発生する。蛍光標識したDNAのNLS依存性輸送は、これらを受精ゼブラフ
ィッシュ卵の溶菌液中でインキュベートした際に、ウニ精子からインビトロで形
成した単離された雄前核において観察することができる。細胞あたり≧100:
1(NLSペプチド:ベクター)および≧1,000ベクターコピーの分子比に
おいて、ルシフェラーゼ発現の増大は、ベクターDNAを細胞の細胞質中にマイ
クロ注入した際に、ゼブラフィッシュの胚において観察することができる。(1
00ペプチド/ベクターおよび1,000の注入されたベクターにおいて、6倍
の増加が、0ペプチドと比較して得られた。)高い密度により、場合によっては
すべてのNLSがDNAに完全に形成するわけではなく、従って輸送機構にアク
セス可能な部分が残る;これは、効果を完全に認識することができる理由であり
得る(Sebastyen et al., 1998参照)。輸送機構は、おそらく2つのペプチド配
列から構成されるシグナルを認識することができる。(Boulikas, 1993)。
子に共有結合させ、NLSは、DNAらせんの全長にわたり散乱した。この大規
模な変更により、DNAは、もはや転写することができない。この記事において
討議されているように、DNAは、立体的な理由により、すべてがDNAの負の
帯電での相互作用により遮蔽されるわけではない多くのNLSペプチドが結合す
る際に、明らかに核中に輸送されるのみである。
性ヒンジ領域およびNLSからなるペプチドを記載している。DNA結合がまた
この場合においてアミノ酸正電荷により達成されるため、試薬は、細胞膜を通っ
ての輸送と同時に作用することを意味するDNAと複合体を形成する。なぜNL
S配列がDNAの結合に関与せず、従って核輸送タンパク質のための実際のシグ
ナルが、ペプチドがこれに結合している限りはDNAにより再び同様に遮蔽され
るかは、明らかでない。さらに、発生した複合体は、極めて大きくなることがで
き(Emi et al., 1997, Niidome et al., 1997, Wadhwa et al., 1997, Trubetsk
oy et al., 1998)、これは、核孔を通しての輸送を付与する(Lanford et al., 1
986, Yoneda et al., 1987, 1992)。細胞膜を通してのDNAの通過(Sorgi et
al., 1997, Hawley-Nelson et al., 1997参照)を支持するトランスフェクショ
ン試薬としてのポリカチオンペプチドの既知の機能を超える効果は、示されてい
ない。
ン抱合体を示唆している。陽イオン性ポリリシン、陽イオン性NLSおよびDN
Aから成る出現する複合体は、これがDNAに結合している限りは核輸送シグナ
ルを遮蔽することは、この場合において真実である。
に、挿入剤を介して結合させている。ベクターおよびペプチドをプレインキュベ
ートした後(1:300の比率)、リポフェクションの効率は、4〜5倍に増大
する。この高度に正の電荷のために、用いられるSV40ペプチドは、DNAと
複合することができる。DNAと陽イオン性ペプチドとの複合は、細胞膜を通し
ての通過の効率を改善することにより、増大したリポフェクション効率を生じる
(Sorgi et al., 1997, Hawley-Nelson et al., 1997参照)。核輸送は、少なく
とも大きい複合体が発生する際に、これによりむしろ損なわれる(上記参照)。
用いられるNLSペプチドが、これらの電荷によりDNAに結合するため、核輸
送機構による輸送シグナルの認識が損なわれる(上記参照)。例に記載された突
然変異誘発挿入剤の使用は、適用性を制限する。Szokaは、またDNAに非共有
結合的および非特異的に結合するが、前述のように、NLSペプチド自体がDN
Aに結合し、これを複合化するのを防止することができないトランスフェクショ
ンのための追加の分子を提案している。NLSペプチドとDNAとの直接的な関
連の問題は、討議されていない。
載している。NLSペプチドを、直接、またはDNA結合分子との共有結合の後
に、ベクターDNAと混合する。次に、生じた複合体を、リポフェクション(ま
たは他のトランスフェクション)に用いる。この系において、NLSを有しない
ポリカチオンペプチドの添加により、陽イオン性NLSの添加よりも、トランス
フェクション効率が増大する。スペルミジンのNLSペプチドへの結合の結果、
トランスフェクション効率がさらに増大する。従って、またこの場合において、
増幅効果は単に、DNAを陽イオン性ペプチドを介して複合させることにより、
説明される。NLSの存在によってトランスフェクション効率がさらには増大し
ないため、核輸送機構のための認識配列が、この場合同様に遮蔽されることが推
測されるべきである。
定的に抑制するための、C末端NLSペプチドを有するPNAオリゴヌクレオチ
ドの輸送を記載している。NLSは、PNAオリゴヌクレオチドの核中への輸送
の役割を有し、従ってこれらを次にこれらの標的配列とハイブリッド形成するこ
とができる。 現在まで、DNAの核中への輸送のための既知の剤は、効率が極めて低いとい
う欠点を有する。この低い効率は、休止細胞をトランスフェクト可能にするのに
は不十分である。
従ってまた休止細胞または極めてゆっくりと分割している細胞だけが有用な程度
にトランスフェクト可能になるようにする核輸送剤を提供することである。
特異的に結合し、非特異的結合による2つ以上のDNA分子を含む複合体の形成
を生じず、モジュールBがDNAに非特異的に結合しない核局在シグナルまたは
非NLSシグナルを含む核輸送剤により、解決される。本発明の好ましい核輸送
剤は、配列をDNAと特異的に結合させ、および/またはDNA末端に特異的に
結合するモジュールAを含む。特に好ましいのは、モジュールAが合成ペプチド
、タンパク質またはペプチド核酸(PNA)である核輸送剤である。
NAと複合体を形成しない伸長核局在シグナル(extended nuclear localization
signal)を含む。モジュールBが、ほぼ中性の正味電荷を有する伸長核局在シグ
ナルを含む核輸送剤が好ましい。モジュールBが、核局在シグナルおよび側方の
負に帯電したアミノ酸を含む伸長核局在シグナルを含む核輸送剤が、特に好まし
い。NLS配列は、天然に存在するNLS配列と同一である必要はなく、またこ
れがNLSとして機能的である限りは、理論的考慮に基づくアミノ酸配列である
ことができる。さらに、モジュールBは、核局在シグナルまたは伸長核局在シグ
ナルに直接属さないペプチド配列または非ペプチド成分を含むことができる。好
ましいのは、核局在シグナルとモジュールAとの間の距離を増大する成分である
。
アミンまたは陽イオン性重合体を含む、遺伝子輸送システムに関する。 さらに、本発明は、DNAを真核細胞、好ましくは一次細胞の核中に輸送する
方法において、細胞が、輸送されるべきDNAおよび本発明の核輸送剤で当業者
に知られている方法によりトランスフェクトされる、前記方法に関する。 他の態様は、本発明の核輸送剤の、特に癌、ウィルス感染、神経系の疾患、移
植片拒絶反応および単一遺伝子または多遺伝子性遺伝性疾患の治療のための遺伝
子治療における使用に関する。
現は、核局在シグナルが核輸送機構に対して完全に認識可能であることを防止す
る関連を示す。 本発明において用いる「モジュールAのDNAへの特異的結合」という表現は
、第1に、DNAヌクレオチドの配列が相互作用について決定的である配列特異
的結合および第2にDNA一重または二重らせん末端により媒介されたDNAと
の共有結合を示す。
が追加の側方のアミノ酸を有することを示す。好ましいのは、2〜40個、好ま
しくは4〜20個の追加の側方のアミノ酸を有する伸長核局在シグナルである。 本発明において用いる「この電荷によってDNAと複合体を形成しない伸長核
局在シグナル」という表現は、モジュールBが、これがDNAと非特異的に反応
せず、従って核輸送機構について完全にアクセス可能なままであるように電荷が
分布する核局在シグナルを含むことを示す。
の伸長された部分が、負に帯電したアミノ酸を有して、実際の核局在シグナルの
正電荷を埋め合わせ、従って3つ以下の正の余剰の電荷が伸長核局在シグナルの
全体の領域において発生することを示す。
核局在シグナルが、核輸送機構に自由にアクセス可能なままであることは、他の
利点である。本発明の核輸送剤を用いる際の核輸送機構への核局在シグナルの核
輸送およびアクセス可能性を損なう大きいDNA複合体を回避すると、DNAの
核中への明らかに一層効率的な輸送に至る。 本発明において、DNA結合部分(モジュールA)も核局在シグナル(モジュ
ールB)も、大きいDNA複合体の形成に至らない。
の形成に至らない。モジュールAは、配列に特異的に結合するか(即ち、正の電
荷のためのみに非特異的ではなく)またはDNA末端に共有結合する。
ielson et al., 1991)または配列特異的様式で核酸に結合する他の物質であるこ
とができる。さらに、モジュールAは、DNAに特異的に結合する組換えタンパ
ク質、例えばlacレプレッサーまたはこの高アフィニティー突然変異体である
(Kolkhof, 1992, Fieck et al., 1992)か、またはDNA末端に特異的に配列に
結合するレトロウィルスインテグラーゼ(LTR核配列を有する)(Ellisonおよ
びBrown, 1994)であることができる。
有し、トポイソメラーゼによる開列を可能にするが、所属がない場合には、DN
Aらせんの末端への共有結合は、生物学的に、例えばポックスウィルスのトポイ
ソメラーゼIにより媒介することができる(Shuman, 1994)。
Sシグナルである。 本発明の非NLSシグナルの用語は、核局在シグナルではないシグナルを示す
が、トランスフェクションについては、遺伝子治療またはDNAワクチン化は、
DNAの細胞中への輸送または細胞内のDNAの輸送の役割を有する。
A取り込みを媒介することができる細胞表面構造のためのリガンド;例えばエン
ドソームからのDNAの早発の出口を促進するための、膜を不安定化するペプチ
ド;細胞結合において媒介して構造を核への好ましい細胞内輸送に輸送するシグ
ナル。
空間的配向のためにDNAと複合体を形成しない伸長核局在シグナル(前に定義
したように)である。核局在シグナルは、合成的に生成することができるか、ま
たはタンパク質の一部であることができる。
よりDNAに結合しないシグナル配列−側方配列を有する、および有しない−を
用いて、ほとんどの核局在シグナルの必須の部分であるこれらの電荷が、核輸送
機構のためのシグナルとして遮蔽されるようにする。
グナルまたは伸長核局在シグナルの一部ではないペプチド配列および非ペプチド
成分を含み得る。好ましくは、これらは、核局在シグナルの一層良好な立体的配
置、特にDNA分子への増大した距離を可能にする。
たアミノ酸によりほとんど埋め合わせることができる場合には、良好に適合され
る。これらのアミノ酸は、タンパク質中のこれらの位置において天然に存在する
ことができるか、または構造の考慮に基づいて導入されていることができる。本
来的な意味で、負のアミノ酸は、多くのNLS核配列に隣接して位置する(Xiao
et al., 1997)。最も完全に調査されたNLSであるSV40からのNLSにつ
いて、これらの側方の配列は、核輸送の効率を明らかに増大させることを示すこ
とができる(RihsおよびPeters, 1989, Rihs et al., 1991, Chen et al., 1991,
Jans et al., 1991, Xiao et al., 1997)。大きいタンパク質(IgM)は、こ
れを、隣接する配列により伸長されたSV40 NLSに化学的に結合させた後
であるが、これをSV40核NLSペプチドに結合させた後ではないときに、核
中に輸送された(Yoneda et al., 1992)。
Aにより遮蔽されるこれらの配列(単数または複数)に伴う危険は、比較的低い
。しかし、一層高い効率のために、伸長されたNLS配列はまた、この場合にお
いて用いることができる。 非クラシックNLS、例えば大過剰の正の電荷を有しないかまたは輸送の従来
の経路を介して核に達しないインフルエンザウィルス核タンパク質(Wang et al.
, 1997, Neumann et al., 1997)からのNLSもまた、用いることができる。
997)により示されている。 最後に、核輸送機構自体の成分、例えばインポーチン(importin)αのインポー
チンβ結合ドメイン(IBB)から採取した核輸送シグナルを、用いることがで
きる。このドメインを介して、NLS結合タンパク質であるインポーチンαを、
核輸送機構の残りに結合させる(Gorlich et al., 1996, Weiss et al., 1996)。
Aとして)を、在来のベクター配列に結合させる。PNAとベクターとの間の結
合は、配列特異的である。これにより、このような非NLSシグナルの、これら
を修正する必要なしに、ほとんどすべての従来の発現ベクターへの結合が可能に
なる。 PNAのDNAへの配列特異的結合について、ベクターのこれらのDNA配列
のみを用い、PNAによる遮蔽は、DNAの意図された目的をほとんど損なわな
い。
ンピシリン耐性遺伝子のプロモーター)中に存在するプラスミド主鎖における配
列を用いる。しかし、発現領域の非コードらせん中の結合もまた可能である。配
列特異性結合の利点は、PNA−ペプチドハイブリッドのDNAへの簡単かつ迅
速な結合である。例2は、例えば、PNA−ペプチドハイブリッドの二重らせん
DNAへの簡単かつ迅速な結合反応(5分、65℃)を例示する。PNA部分と
実際のシグナルとの間に、スペーサーが存在し得る。スペーサーは、シグナルの
DNAへの距離を増大させる、例えば立体障害を減少させる作用を有し得る。ス
ペーサーはまた、所定の破壊点を導入する、例えばDNAがエンドサイトーシス
された(endocytosed)細胞表面受容体に結合するエンドソーム環境においてリガ
ンドの分離を可能にする作用を有し得る。
能にする百分率にトランスフェクト可能にする。動物またはヒトの体から新たに
単離したほとんどの細胞(一次細胞)は、全く分裂しないかまたは、DNAが、
これが、核に達して発現することができる前に、細胞膜を通して好首尾に輸送さ
れた後に不活性化される程度に、低く分裂する。現在、これにより、一次細胞が
、これらが人工的に刺激されて培養中で増殖しない場合には、トランスフェクト
不能になる。この不可避的な結果は、これらの細胞が、次にこれらの最初の状態
から逸脱することである。一次細胞のトランスフェクションの方法により、体細
胞の最初の状態下での遺伝物質の分析が可能になる。これは、遺伝子機構の調査
および体細胞の内側のプロセスの研究のために、最高に重要である。
めの完全に人工的な遺伝子移動系に対する必須の段階である。このような遺伝子
移動系は、3つの機能的な成分を有しなければならない:1つの成分は、陽イオ
ン性脂質および他の陽イオン性重合体が比較的適切であることが明らかになった
、細胞膜を通してのDNAの通過のための成分である。これは、DNAを(通常
非分裂)標的細胞の核中に移動させるための他の成分および、DNAのゲノム中
への統合を媒介する第3の成分を有しなければならない。本発明において初めて
、第2の成分として作用することができる有効な剤を記載する。遺伝子治療にお
いて用いることができる完全な人工的な遺伝子移動ビヒクルは、一層容易かつ一
層安価に製造され、現在用いられているウィルス系よりも容易に取り扱われるこ
とが予測され、これは、これらの系の内在的な危険に曝されない。遺伝子治療方
法は、例えば、癌、AIDSおよび種々の遺伝性疾患の治療のために提案され、
薬において重要な役割を有する。
のDNAの通過と分析との間の期間に分裂しないDNAの取り込みにアクセス可
能にすることによりすでにトランスフェクト可能であった培養した細胞において
、トランスフェクション効率を増大させる。これは、多くの確立された細胞系に
ついて、トランスフェクション効率の増大により、分析が促進され、必要とされ
る細胞物質の減少した量により一層低い費用が補助されるため、重要である。当
然、このことはまた、一次細胞と確立された細胞系との間のすべての段階につい
て真実である。
PNA配列を用いた(Nielson et al., 1991, Nielson, 米国特許第5,539
,082号)。 ほとんどすべての発現ベクターのプラスミド主鎖において、PNAとの高親和
性会合のために良好に適合された2つの配列を、アンピシリン耐性遺伝子および
複製の起源中に配置した。
NA中で10分間60℃でインキュベートした。次に反応混合物を、RPMIで
250μlに調整した。 60〜80%コンフルエントである5×106個のチャイニーズハムスター卵巣
(CHO)細胞を、5mMのEDTAで分離し、15mlのPBS(50×gで
10分間遠心分離した)で洗浄した。ペレットを、250μlのRPMIで再懸
濁させ、予めインキュベートしたDNAと混合し、エレクトロポレーションキュ
ベット(ギャップ幅0.4cm)に移送し、室温で10分間インキュベートした
。エレクトロポレーション(210V、975μF、バイオラッドジーンパルサ
ー(BioRad Gene Pulser))の後、キュベットを、37℃でさらに10分間インキ
ュベートし、その後細胞を、予め加温した培地中に播種した。
明白に示すために、細胞を、記載された方法によりpMACS4.1(ヒトCD
4のための発現ベクター)でトランスフェクトし、細胞分裂を、以下のようにし
て評価した:トランスフェクションの前に、細胞を、1μMのカルボキシフルオ
レセイン二酢酸スクシンイミドエステル(CFDA,SE)(Molecular Probes,
Eugene, U.S.A.)中でインキュベートすることにより緑色蛍光で標識した。細胞
の明るさは、細胞分裂により50%まで減少した。フローサイトメーター(FACSC
alibur)を用いて、分裂しなかった細胞(100%緑色蛍光)が、トランスフェ
クトされた遺伝子(Cy5に結合した抗CD4抗体で染色した後の暗赤色蛍光)
を発現したことを、単細胞レベルで決定した。
−ペプチドで5分以内に標識することができる。PNAを介しての熱不安定成分
の結合を達成するために、37℃での1時間のインキュベーションが、DNAの
ほとんどを標識するために十分である(表1)。
ドを有するTE(pH7.8)中で、65℃または37℃のいずれかで5分〜3
時間インキュベートした。ここで用いたPNA配列
アミノ酸のペプチド(ペプチド2)または27個のアミノ酸が続く10個のAE
EAユニットのスペーサー(Fmoc-AEEA-OH Spacer, PerSeptive Biosystems, Inc
., Framingham, USA)(ペプチド3)のいずれかを位置させた。その後、結合ア
ッセイを、制限エンドヌクレアーゼEarIと共にインキュベートした。制限D
NAを、YOYO(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USA)で染色し、アガ
ロースゲル上で分離し、蛍光スキャナー(Image Plate Reader FLA 2000, 分析
ソフトウェアL−プロセス、バージョン1.6、富士写真フィルム社、東京)で
定量した。制限エンドヌクレアーゼEarIによるDNAの開裂を、PNA結合
部位において阻害した。追加のEarI制限部位は、反応の内部制御として作用
する。
んど不可逆的であり、従って細胞輸送プロセスに適する。タンパク質と比較して
、ペプチドおよびPNAは、比較的安価に合成することができ、比較的容易に、
および比較的長時間貯蔵することができる。
送していないDNAと比較して、一層迅速な発現を誘発した。トランスフェクト
したDNAが、細胞質中で十分長時間生存する場合には、核輸送剤を有するかま
たは有しない迅速に分裂する細胞中のトランスフェクトしたDNAの発現速度は
、少しずつ近似しなければならない。この理由は、細胞質中に残留するトランス
フェクトしたDNAが、細胞分裂中に核に到達することができるという事実であ
る。アフィジコリンを用いて、細胞の分裂活性およびトランスフェクション能力
を、強力に低下させることができる。活性核輸送は、低下したトランスフェクシ
ョン効率のこの効果を消失させる。
NAを、25μMのPNA−NLS
キュベートした。他の手順は、例1に記載した通りであった。
μMのPNA−NLS(ペプチド3)を有するかまたは有しない10μlの最終
容積において、10分間65℃でインキュベートした。リポフェクタミン(Life
Technologies GmbH, Karlsruhe)でのトランスフェクションを、製造者の指示に
従って実施した。 CHO細胞の分裂をほぼ阻害するために、細胞を、血清なしで24時間インキ
ュベートし、続いて血清および20μg/mlのアフィジコリン(Sigma-Aldrich
Chemie GmbH, Deisenhofen)を用いて12時間インキュベートした。リポフェク
ションのすべてのその後の段階を、20μg/mlのアフィジコリンの存在下で
実施した。トランスフェクションの結果を、図1に示す。
LSは、トランスフェクションの直後にトランスフェクトされた細胞の百分率を
2倍にすることができるが、数個の細胞が分裂するのみである。アフィジコリン
を用いた細胞分裂速度の減少により生じたトランスフェクション効率の低下を、
このようにして消失させることができる。
合タンパク質として用いた。この突然変異体は、lacオペレーター配列につい
て10−15Mの結合定数を有する(Kolkhof, 1992)。高い親和性は、セリン6
1のロイシンへのアミノ酸置換により達成される。
1〜360)の欠失および位置330におけるロイシンのセリンへの置換を有す
る。これらの突然変異タンパク質は、ホモ四量体の代わりにホモ二量体を形成し
、従って2つの部位の代わりに1つの単一DNA結合部位を含む。しかしまた、
四量体を、本発明の核輸送剤として用いることができる。
。配列
V40−NLSから成る中性の正味電荷を有するハイブリッドおよびポリオーマ
ウィルスVP−2タンパク質からのNLSのN末端側方領域を示す。 lacオペレーター配列は、多くの発現ベクター中に見出すことができ、PC
Rプライマーの拡張として任意の配列に容易に接合することができる。
4bpおよび86bpのフラグメント中に制限ヌクレオチド鎖切断消化により開
裂し、次に、それぞれ、lac−レプレッサーNLS−1−二量体またはNLS
−2−二量体と共に室温で30分間インキュベートした。次に、フラグメントを
、ポリアクリルアミドゲル上で分離した(図2)。lac−オペレーターを含む
86bpフラグメントを、特異的結合により阻害する。非特異的結合の結果、l
ac−オペレーターを欠く914bp−フラグメントが阻害された。完全な特異
的結合の場合において、非特異的結合は、ほとんど観察されなかった。
PMI、150mMの塩化ナトリウムまたは10mMトリス/HCl(pH7.
2)、10mMの塩化カリウムおよび3mMの酢酸マグネシウムから成る緩衝液
において、両方の試験したオペレーター配列と共に達成されることを例証した。
さ30bpの二重らせんDNA2μg(100pmol)と共にインキュベートし、
両方の末端において蛍光染料Cy5で30分間室温で、10mMのトリス/HC
l(pH7.2)、10mMのKCl、3mMの酢酸Mgおよび50μg/ml
のBSAの合計容積300μl中で標識した。非結合DNAを、マイクロコンフ
ィルター(Microcon-filter)(Amicon)を通しての遠心分離により分離した。次に
、試料の緩衝液を、細胞注入緩衝液(76mMのK2HPO4、17mMのKH 2 PO4、14mMのNaH2PO4(pH7.2))に交換した。
たBSA(BSA−FITC)から成る混合物を、それぞれ50のNIH3T3
細胞中に微量注入(microinjection)した(Femtotipsを有するEppendorf Transje
ktor 5246、直径0.5μm、注入の圧力55hPa、注入の時間0.5秒)。
注入の10〜15分後に、細胞を、蛍光顕微鏡法により分析した(図3)。細胞
質中への好首尾の注射に続いて、BSA−FITCは、細胞質中に独占的に存在
する(1a、2aおよび3a)。lac−レプレッサー−NLS突然変異体への
結合の結果、分析することができるほとんどすべての細胞において、細胞質中に
DNAをほとんど残さずに、それぞれ15分以内(NLS1−二量体、2b)お
よび10分以内(NLS2−二量体、3b)にDNAの核中への輸送が生じた。
対照は、結合タンパク質を有しない標識したDNAが細胞質中に残留することを
例証する(1b)。
列が続くポリアデニル化配列を含む、長さ1.1kbの直線状DNA1μgを、
50μlの等張0.5×RPMI(リポフェクションについて)または150m
MNaCl(ポリエチレンイミンを用いたトランスフェクションについて)中で
、30分間室温で、種々の濃度のlac−レプレッサータンパク質(それぞれ約
2.5μg、0.3μgおよび0,15μgの二量体および5μg、0.6μg
および0.3μgの四量体)と共にインキュベートした。試料を、リポフェクタ
ミン(Life Technologies)またはポリエチレンイミン(PEI, ExGen 500, Fermenta
s)と、製造者の指示に従って複合させ、コンフルエントなNIH3T3細胞に加
えた。結果を図4に示す。
lac−レプレッサー−NLSにより、3〜4倍増大させることができる。ここ
に記載する例において、付着NIH3T3細胞を、トランスフェクションの前に
集密的に培養し、細胞分裂の広範囲の阻害を生じさせた。トランスフェクション
の4時間後、少数の細胞のみが分裂した。本例においていずれにしても限定され
た分裂速度が、トランスフェクションと関連するものとなった期間は、エンドサ
イトーシスにより取り込まれたトランスフェクトされたDNAが、これが発現さ
れるべき核に輸送されることができる前に、エンドソームおよびその後陽イオン
性トランスフェクション試薬との複合体を残さなければならないという事実によ
り、さらに減少する。リポフェクタミン−DNA複合体は、おそらくポリエチレ
ンイミンとのDNA複合体よりも顕著に長く存続し、リポフェクタミンを用いた
lac−レプレッサー−NLSの比較的明らかでない効果を生じる。24時間後
にほとんどの細胞が分裂した後、核輸送試薬を有するおよび有しないトランスフ
ェクトされたDNAの発現速度は、次第に近似する。
。
す図である。
光顕微鏡による観察を示す図である。
す図である。
Claims (17)
- 【請求項1】 2つのモジュールAおよびBから成り、モジュールAが、D
NAに特異的に結合し、2つ以上のDNA分子を含む複合体の形成を生じず、モ
ジュールBが、核輸送剤のDNAへの非特異的結合を媒介しない核局在シグナル
を含む、核輸送剤。 - 【請求項2】 モジュールAが、配列をDNAと特異的に結合させ、請求項
1に記載の核輸送剤。 - 【請求項3】 モジュールAが、DNA末端と特異的に結合する、請求項1
に記載の核輸送剤。 - 【請求項4】 モジュールAが、ペプチド、タンパク質またはPNA(ペプ
チド核酸)である、請求項1〜3のいずれかに記載の核輸送剤。 - 【請求項5】 モジュールBが、この電荷によってDNAと複合体を形成し
ない伸長核局在シグナルを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の核輸送剤。 - 【請求項6】 モジュールBが、ほぼ中性の正味電荷を有する伸長核局在シ
グナルを含む、請求項5に記載の核輸送剤。 - 【請求項7】 モジュールBが、核局在シグナルおよび側方の負に帯電した
アミノ酸を含む伸長核局在シグナルを含む、請求項6に記載の核輸送剤。 - 【請求項8】 モジュールBが、核局在シグナルまたは伸長核局在シグナル
に加えて、核局在シグナルに直接属さない追加のペプチド配列または非ペプチド
成分を含む、請求項5〜7のいずれかに記載の核輸送剤。 - 【請求項9】 モジュールAがPNAであり、モジュールBがNLSシグナ
ルの代わりにまたはNLSシグナルに加えて非NLSシグナルを含む、請求項1
に記載の核輸送剤。 - 【請求項10】 モジュールAがDNAに配列特異的方式で結合するタンパ
ク質であり、モジュールBがNLSシグナルの代わりにまたはNLSシグナルに
加えて非NLSシグナルを含む、請求項1に記載の核輸送剤。 - 【請求項11】 非NLSシグナルが、DNA取り込みを媒介することがで
きる細胞表面構造のためのリガンド、膜を不安定化するペプチドおよび細胞中で
輸送構造への結合を媒介するシグナル、並びに核中で保持を生じるシグナルから
成る群から選択されている、請求項9に記載の核輸送剤。 - 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の核輸送剤および陽イオ
ン性脂質、ペプチド、ポリアミンまたは陽イオン性重合体を含む、遺伝子輸送シ
ステム。 - 【請求項13】 DNAを真核細胞の核中に輸送する方法において、該細胞
が、輸送されるべきDNAおよび請求項1〜11のいずれかに記載の核輸送剤で
トランスフェクトされる、前記方法。 - 【請求項14】 真核細胞が、一次細胞である、請求項13に記載の方法。
- 【請求項15】 請求項1〜11のいずれかに記載の核輸送剤を含む、医薬
組成物。 - 【請求項16】 請求項1〜11のいずれかに記載の核輸送剤の、遺伝子治
療における使用。 - 【請求項17】 請求項1〜11のいずれかに記載の核輸送剤の、癌、ウィ
ルス感染、神経系の疾患、移植片拒絶反応および単一遺伝子または多遺伝子性遺
伝性疾患の治療のための遺伝子治療における使用。
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