JP2002534128A - 除草剤のターゲットとなる遺伝子とその遺伝子をターゲットとする方法 - Google Patents

除草剤のターゲットとなる遺伝子とその遺伝子をターゲットとする方法

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JP2002534128A JP2000593762A JP2000593762A JP2002534128A JP 2002534128 A JP2002534128 A JP 2002534128A JP 2000593762 A JP2000593762 A JP 2000593762A JP 2000593762 A JP2000593762 A JP 2000593762A JP 2002534128 A JP2002534128 A JP 2002534128A
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ジョセフ バドジスジュースキ,グレゴリー
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グローバー,リン ウェグリッチ
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シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、植物の成長に不可欠なタンパク質をコードしている、シロイヌナズナから単離した遺伝子に関する。正常な成長および発育のためにこれら遺伝子が不可欠であることに基づき、これらタンパク質を用いて新しい除草剤を発見する方法も本発明に含まれる。本発明は、潜在的な除草剤であるインヒビターを同定するためのスクリーニング・アッセイにも利用することができる。本発明は、除草剤に耐性な植物、植物組織、植物の種子、植物細胞の開発にも応用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、植物が芽生えて成長するのに不可欠なタンパク質をコードする、シ
ロイヌナズナから単離した遺伝子に関するものである。本発明は、正常な成長、
発育のための遺伝子が不可欠であることに基づき、これらタンパク質を除草剤の
ターゲットとして用いる方法にも関する。本発明は、潜在的な除草剤であるイン
ヒビターを同定するためのスクリーニング・アッセイにも有効である。本発明は
、除草剤に耐性な植物、植物組織、植物の種子、植物細胞の開発にも応用できる
可能性がある。
【0002】 作物を栽培している畑の雑草などの望ましからぬ植物を制御するのに除草剤を
使用することは、ほとんど普遍的な行為となっている。除草剤の市場は、年に15
0億ドルを超える。除草剤はこのように広範に用いられているにもかわらず、雑
草の制御は農民にとって相変わらず重大かつコストのかかる問題である。
【0003】 除草剤を効果的に利用するには正しく管理する必要がある。除草剤を用いて雑
草をうまく制御するためには、例えば、除草剤を付着させる時期と方法や雑草の
成長段階が極めて重要である。さまざまな種類の雑草が除草剤耐性を有するため
、効果のある新しい除草剤を生産することがますます重要になっている。新規な
除草剤は、今や、組み換えDNA技術を利用したハイスループット・スクリーニン
グによって発見することができる。植物の成長、発育にとって不可欠であること
がわかった代謝酵素は、標準的な分子生物学の方法を利用して組み換えにより生
産して、その酵素の活性を抑制する新規なインヒビターを探すためのスクリーニ
ングにおける除草剤のターゲットとして用いることができる。こうしたスクリー
ニングによって発見された新規なインヒビターは、望ましからぬ植物を制御する
ための除草剤として用いることができる。
【0004】 強力で、多彩な雑草に適用でき、土中で以前のものよりも素早く分解する除草
剤は、残念なことに、作物に対する毒性も従来以上に大きくなる可能性がある。
この問題に対する1つの解決法は、除草剤に対して抵抗性の、あるいは耐性のあ
る作物を育てることである。除草剤に対して寛容な作物のハイブリッドまたは変
異体だと、その作物に害を与えることを心配せず、除草剤を使用して雑草を殺す
ことができる。寛容性を開発することにより、作物が除草剤に対して感受性を有
するために以前は禁止または(発芽前の使用に)制限されていた除草剤をその作
物に使用することができるようになる。例えば、アンダーソンらのアメリカ合衆
国特許第4,761,373号は、さまざまなイミダゾリノン除草剤またはスルホンアミ
ド除草剤に対する耐性のある植物を対象としている。変性したアセトヒドロキシ
酸シンターゼ(AHAS)という酵素が耐性を与える。グッドマンらのアメリカ合衆
国特許第4,975,374号は、グルタミン・シンターゼ(GS)を抑制することが知ら
れているホスフィノトリシンやメチオニン・スルホキシミンなどの除草剤による
抑制に対する耐性のある、突然変異したGSをコードする遺伝子を含む植物細胞と
植物に関するものである。ベッドブルックらのアメリカ合衆国特許第5,013,659
号は、スルホニル尿素除草剤による抑制に対する耐性を植物に持たせる突然変異
したアセト乳酸シンターゼを発現する植物を対象としている。ソマーズらのアメ
リカ合衆国特許第5,162,602号には、シクロヘキサンジオンとアリールオキシフ
ェノキシプロパン酸を用いた除草剤による抑制に対する耐性を有する植物が開示
されている。寛容性は、変性したアセチル補酵素Aカルボキシラーゼ(ACCase)
によって与えられる。
【0005】 上記のような進展にもかかわらず、望ましからぬ有害な植物(例えば雑草)が
成長するという問題が相変わらず残されている。さらに、人口が増加するにつれ
、食料不足も増えるであろう。したがって、効果的かつ経済的な新しい除草剤を
見つけることが、長年懸案となっていながらまだ実現していない要求として存在
している。
【0006】 誤解がないようにするため、この明細書で使用するいくつかの用語を以下のよ
うに定義する。
【0007】 キメラ:由来がはっきりとした複数のDNA配列が組み換えDNA技術によって互い
に融合した結果として、ベクターまたは遺伝子などのDNA配列が、自然界には存
在せず、特に形質変換される植物では生じることのない1つのDNA配列となったも
のを1つまたはそれ以上含む構成となっていることを指すのに用いる。
【0008】 補因子:酵素触媒反応に必要とされる、有機分子または金属イオンなどの天然
の反応体。補因子としては、例えば、NAD(P)、リボフラビン(FAD、FMNを含む
)、葉酸塩、モリブドプテリン、チアミン、ビオチン、リポ酸、パントテン酸、
補酵素A、S-アデノシルメチオニン、ピリドキサールリン酸、ユビキノン、メナ
キノンなどが挙げられる。なお補因子は、再生、再使用が可能である。
【0009】 DNAシャッフリング:DNAシャッフリングは、DNA分子の中に、好ましくはラン
ダムに突然変異または再配置を急速、簡単、かつ効果的に導入する方法、あるい
は2つまたはそれ以上のDNA分子の間でDNA配列を、好ましくはランダムに交換さ
せるための方法である。DNAシャッフリングの結果として得られるDNA分子は、少
なくとも1つの鋳型DNA分子に由来する、自然界には存在しないDNA分子である。
シャッフルされたDNAは、鋳型DNAによってコードされる酵素と比べて変化した酵
素をコードしており、その結果として鋳型DNAによってコードされる酵素と比べ
て生物活性が変化していることが好ましい。
【0010】 酵素の活性:この明細書では、酵素が基質を生成物に変換する際の触媒として
の能力を意味する。酵素の基質には、天然に存在する基質だけでなく、天然に存
在する基質のアナログも含まれる。そのアナログも、その酵素を用いて生成物の
アナログに変換することができる。酵素の活性は、例えば、所定の時間が経過し
た後の反応生成物の量を測定することによって、あるいは所定の時間が経過した
後に反応混合物中に残っている基質の量を測定することによって決定することが
できる。酵素の活性は、所定の時間が経過した後に反応混合物中に残っている未
使用の補因子の量を測定することによって、あるいは所定の時間が経過した後に
反応混合物中で使用された補因子の量を測定することによって決定することもで
きる。酵素の活性は、所定の時間が経過した後に反応混合物中に残っている自由
エネルギーのドナーまたはエネルギーの高い分子(例えば、ATP、ホスホエノー
ルピルビン酸塩、アセチルリン酸、ホスホクレアチン)の量を測定することによ
って、あるいは所定の時間が経過した後に反応混合物中で使用された自由エネル
ギーのドナーまたはエネルギーの高い分子(例えば、ADP、ピルビン酸塩、酢酸
塩、クレアチン)の量を測定することによっても決定することもできる。
【0011】 発現:植物の内在性遺伝子または植物に移植した遺伝子の転写および/または
翻訳を意味する。例えばアンチセンス構造体の場合には、発現は、アンチセンス
DNAのみの転写を意味する可能性がある。
【0012】 遺伝子:コード配列とそれに付随した調節配列を意味する。コード配列は、mR
NA、rRNA、tRNA、snRNA、センスRNA、アンチセンスRNAに転写される。調節配列
の具体例としては、プロモータ配列、5' 非翻訳配列、3' 非翻訳配列、終結配列
などが挙げられる。存在する可能性のある他のエレメントとしては、例えばイン
トロンがある。
【0013】 除草剤:植物、植物細胞、植物の種子、植物組織を殺す、あるいはそれらの成
長を抑制するのに使用する化学物質のことである。
【0014】 異種DNA配列:宿主細胞に天然状態では付随しておらず、その宿主細胞に導入
されることになるDNA配列であり、自然界に存在するDNA配列の、自然に発生する
ことはない多数のコピーや、自然界にはない配列と機能上関連している同種DNA
配列を有する遺伝子構造体が含まれる。
【0015】 相同DNA配列:宿主細胞に元々付随していて、宿主細胞に導入されることにな
るDNA配列。
【0016】 インヒビター:例えば生合成酵素、受容体、シグナル伝達タンパク質、構造遺
伝子産物、輸送タンパク質などの植物の成長や生存に不可欠なタンパク質の酵素
活性を不活性にすることによって異常な成長を引き起こす化学物質。本発明にお
いては、インヒビターとは、植物からの245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子によってコードされた酵素活性を変化させる化学
物質のことである。より一般的には、インヒビターは、245遺伝子、5283遺伝子
、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子によってコードされた遺伝子産物
と相互作用することによって宿主細胞の異常な成長を引き起こす。
【0017】 同質遺伝子(Isogenic):遺伝的にまったく同じ植物。ただし、異種DNA配列
が存在しているか不在であるかは、異なっていてもよい。
【0018】 単離された:本発明においては、単離されたDNA分子または酵素は、人間の手
によって元の環境から離れて存在するようになったために天然の産物ではないDN
A分子または酵素のことである。単離されたDNA分子または酵素は、精製した状態
で存在していてもよいし、例えばトランスジェニック宿主細胞の中という非天然
環境に存在していてもよい。
【0019】 マーカー遺伝子:選択またはスクリーニングを可能にする特質をコードしてい
る遺伝子。
【0020】 成熟タンパク質:通常は葉緑体などの細胞器官を標的としたタンパク質で、こ
のタンパク質からは移行状態のペプチドが除去されている。
【0021】 ミニマル・プロモータ:上流の活性がないときに、不活性であるか、あるいは
プロモータの活性が顕著に低下したプロモータ・エレメント、特にTATAエレメン
ト。適切な転写因子が存在していると、ミニマル・プロモータが機能して転写を
可能にする。
【0022】 変化した酵素活性:植物内で自然に生まれる酵素活性(すなわち、人間が直接
的または間接的に操作しな場合に自然に生まれる酵素活性)とは異なっており、
自然に生まれる酵素活性を抑制するインヒビターに対して耐性になっている。
【0023】 植物:任意の植物、特に種子植物のことを意味する。
【0024】 植物細胞:植物の構造上および生理学上の単位で、プロトプラストと細胞壁を
含んでいる。植物細胞は、単離された単一の細胞や培養された細胞の形態のほか
、より高度に組織化された単位の一部、例えば植物組織や植物器官の一部となっ
ていることが可能である。
【0025】 植物材料:葉、幹、根、花、花の一部、果実、花粉、花粉管、胚珠、胚嚢、卵
細胞、接合子、胚芽、種子、切り枝、細胞または組織の培養物のほか、植物の任
意の他の部分または産物のことを意味する。
【0026】 前躯体タンパク質(Pre-protein):通常は葉緑体などの細胞器官を標的とし
たタンパク質で、まだ移行状態のペプチドを含んでいるもの。
【0027】 組み換えDNA分子:組み換えDNA技術を利用して合体させた複数のDNA配列の結
合体。
【0028】 選択マーカー遺伝子:発現することにより、形質転換された細胞に選択上の利
点を与えることはないが、形質転換された細胞を形質転換されていない細胞から
表現型で区別できるようにする遺伝子。
【0029】 有意な増加:測定技術に固有の誤差の範囲を超えた酵素活性の増加。インヒビ
ターの存在下で野生型酵素と比べて活性が約2倍またはそれ以上増加しているこ
とが好ましいが、さらに好ましいのは、約5倍またはそれ以上の増加であり、最
も好ましいのは、約10倍またはそれ以上の増加である。
【0030】 有意な減少:酵素反応による産物の量が測定技術に固有の誤差範囲を超えて減
少することを意味する。インヒビターの存在下で野生型酵素と比べての活性が約
2倍またはそれ以上減少していることが好ましいが、さらに好ましいのは、約5倍
またはそれ以上の減少であり、最も好ましいのは、約10倍またはそれ以上の減少
である。
【0031】 最も広い意味では、“実質的に同じ”という用語は、この明細書でヌクレオチ
ド配列に関して使用する場合には、参照ヌクレオチド配列に対応するヌクレオチ
ド配列であって、参照ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドと実
質的に同じ構造および機能を有するポリペプチドをコードしており、例えばその
ポリペプチドの機能に影響を与えないアミノ酸の変化だけが起こっているヌクレ
オチド配列のことを意味する。実質的に同じヌクレオチド配列は、参照ヌクレオ
チド配列によってコードされたポリペプチドをコードしていることが望ましい。
“実質的に同じ”という用語は、特定の細胞内での発現を最適化するために変更
したヌクレオチド配列を含むことを特に意味する。実質的に同じヌクレオチド配
列と参照ヌクレオチド配列で配列が一致している割合は、少なくとも65%である
ことが望ましく、少なくとも75%であることがさらに望ましく、少なくとも85%
であることがより好ましく、少なくとも90%であることがさらに好ましく、少な
くとも95%であることがそれ以上に好ましく、少なくとも99%であることがより
一層好ましい。配列の比較は、スミス−ウォーターマン配列アラインメント・ア
ルゴリズム(例えば、ウォーターマン, M.S.、『コンピュータ生物学入門:マッ
プ、配列、ゲノム』、チャップマン&ホール社、ロンドン、1995年、ISBN 0-412
-99391-0)を用いて実行する。 localSプログラム(バージョン1.16)を以下の
パラメータで用いる。すなわち、一致:1、不一致のペナルティ:0.33、オープ
ン・ギャップのペナルティ:2、ギャップ延長のペナルティ:2である。参照ヌク
レオチド配列と“実質的に同じ”ヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列と
、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で50℃に
てハイブリダイズする。それを2×SSC、0.1%SDSを用いて50℃にて洗浄する。よ
り望ましいのは、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのED
TAの中で50℃にてハイブリダイズさせ、1×SSC、0.1%SDSを用いて50℃にて洗浄
することである。それよりもさらに望ましいのは、7%のドデシル硫酸ナトリウ
ム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で50℃にてハイブリダイズさせ、0.5×
SSC、0.1%SDSを用いて50℃にて洗浄することである。さらに好ましいのは、7%
のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で50℃にてハ
イブリダイズさせ、0.1×SSC、0.1%SDSを用いて50℃にて洗浄することである。
それよりも好ましいのは、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4
、1mMのEDTAの中で50℃にてハイブリダイズさせ、0.1×SSC、0.1%SDSを用いて6
5℃にて洗浄することである。この明細書では、“245遺伝子”、“5283遺伝子”
、“2490遺伝子”、“3963遺伝子”、または“4036遺伝子”という用語は、それ
ぞれ配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、または配列ID番号
9を含むDNA分子、あるいはそれぞれ配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、
配列ID番号7、または配列ID番号9と実質的に同じヌクレオチド配列を含むDNA分
子のことを意味する。245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、また
は4036遺伝子のホモログは、以下に説明するパラメータを用いて測定した場合に
配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、または配列ID番号10と
少なくとも30%が一致するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列をそれぞ
れ含んでおり、これらホモログによってコードされるアミノ酸配列は、それぞれ
245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク質、または403
6タンパク質の生物活性を有する。
【0032】 “実質的に同じ”という用語は、この明細書でタンパク質に関して使用する場
合には、参照タンパク質に対応するタンパク質であって、参照タンパク質と実質
的に同じ構造および機能を持ち、例えばアミノ酸配列にそのタンパク質の機能に
影響を与えない変化だけが起こっているタンパク質のことを意味する。タンパク
質またはアミノ酸配列に関してこの用語を使用する場合には、実質的に同じタン
パク質またはアミノ酸配列と参照用のタンパク質またはアミノ酸配列は、一致し
ている割合が、デフォルトのBLAST解析パラメータを用いて少なくとも65%であ
ることが望ましく、さらに望ましいのは少なくとも75%一致していることであり
、少なくとも85%一致していることがより好ましく、少なくとも90%一致してい
ることがさらに好ましく、少なくとも95%一致していることがそれ以上に好まし
く、少なくとも995%一致していることがより一層好ましい。この明細書で使用
する“245タンパク質”、“5283タンパク質”、“2490タンパク質”、“3963タ
ンパク質”、または“4036タンパク質”という用語は、それぞれ配列ID番号1、
配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、または配列ID番号9と実質的に同じヌ
クレオチド配列を含むDNA分子によってコードされたアミノ酸配列のことを意味
する。245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク質、ま
たは4036タンパク質のホモログは、以下に説明するパラメータを用いて測定した
場合にそれぞれ配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、または
配列ID番号10と少なくとも30%が一致するアミノ酸配列であり、これらホモログ
は、それぞれ245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク
質、または4036タンパク質の生物活性を有する。
【0033】 当業者であれば、“実質的に同じ”ヌクレオチド配列、タンパク質、またはア
ミノ酸配列と参照ヌクレオチド配列、タンパク質、またはアミノ酸配列が一致す
る割合を決定するのに、GAP解析などの他の解析ツールを使用することにも馴染
んでいるはずである。したがって本発明では、“実質的に同じ”は、ニードルマ
ンとヴュンシュ(ニードルマンとヴュンシュ、J. Mol. Biol. 、第48巻、443−4
53ページ、1970年)のアルゴリズムに基づいた、GAPを応用したウィスコンシン
大学のGCG, SEQWEBにおいて、デフォルトGAP解析パラメータを用いて決定するこ
ともできる。
【0034】 “245遺伝子”に関しては、上記のGAP解析を利用した場合、“実質的に同じ”
とは、配列ID番号2と少なくとも47%が一致、好ましくは少なくとも60%が一致
、さらに好ましくは少なくとも75%が一致、より好ましくは少なくとも85%が一
致、それよりも好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なく
とも99%が一致するタンパク質をコードするヌクレオチド配列のことを意味する
【0035】 “5283遺伝子”に関しては、上記のGAP解析を利用した場合、“実質的に同じ
”とは、配列ID番号4と少なくとも74%が一致、好ましくは少なくとも80%が一
致、さらに好ましくは少なくとも85%が一致、より好ましくは少なくとも90%が
一致、それよりも好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少な
くとも99%が一致するタンパク質をコードするヌクレオチド配列のことを意味す
る。また、“実質的に同じ”は、上記のGAP解析を利用してヌクレオチドの比較
を行なう場合には、配列ID番号3と少なくとも80%が一致、好ましくは90%が一
致、より好ましくは95%が一致、さらに好ましくは99%が一致するヌクレオチド
配列を意味することが好ましい。
【0036】 “2490遺伝子”に関しては、上記のGAP解析を利用した場合、“実質的に同じ
”とは、配列ID番号6と少なくとも82%が一致、好ましくは少なくとも85%が一
致、さらに好ましくは少なくとも90%が一致、より好ましくは少なくとも95%が
一致、それ以上に好ましくは少なくとも99%が一致するタンパク質をコードする
ヌクレオチド配列のことを意味する。また、“実質的に同じ”は、上記のGAP解
析を利用してヌクレオチドの比較を行なう場合には、配列ID番号5と少なくとも8
7%が一致、好ましくは90%が一致、より好ましくは95%が一致、さらに好まし
くは99%が一致するヌクレオチド配列を意味することが好ましい。
【0037】 “3963遺伝子”に関しては、上記のGAP解析を利用した場合、“実質的に同じ
”とは、配列ID番号8と少なくとも40%が一致、好ましくは少なくとも60%が一
致、さらに好ましくは少なくとも80%が一致、より好ましくは少なくとも90%が
一致、それよりも好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少な
くとも99%が一致するタンパク質をコードするヌクレオチド配列のことを意味す
る。また、“実質的に同じ”は、上記のGAP解析を利用してヌクレオチドの比較
を行なう場合には、配列ID番号7と少なくとも49%が一致、好ましくは60%が一
致、より好ましくは80%が一致、さらに好ましくは90%が一致、それよりも好ま
しくは95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも99%が一致するヌクレオチ
ド配列を意味することが好ましい。
【0038】 “4036遺伝子”に関しては、上記のGAP解析を利用した場合、“実質的に同じ
”とは、配列ID番号10と少なくとも67%が一致、好ましくは少なくとも80%が一
致、さらに好ましくは少なくとも85%が一致、より好ましくは少なくとも90%が
一致、それよりも好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少な
くとも99%が一致するタンパク質をコードするヌクレオチド配列のことを意味す
る。
【0039】 さらに、上記のGAP解析を利用した場合、“245遺伝子のホモログ”は、配列ID
番号2と少なくとも24%が一致、好ましくは少なくとも30%が一致、より好まし
くは少なくとも40%が一致、さらに好ましくは少なくとも45%が一致、さらに好
ましくは少なくとも55%が一致、さらに好ましくは少なくとも65%が一致、それ
以上に好ましくは少なくとも75%が一致するアミノ酸配列をコードするヌクレオ
チド配列を含んでおり、このホモログによってコードされるアミノ酸列は245タ
ンパク質の生物活性を有する。
【0040】 さらに、上記のGAP解析を利用した場合、“5283遺伝子のホモログ”は、配列I
D番号4と少なくとも23%が一致、好ましくは少なくとも40%が一致、より好まし
くは少なくとも50%が一致、さらに好ましくは少なくとも60%が一致、それ以上
に好ましくは少なくとも74%が一致するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド
配列を含んでおり、このホモログによってコードされるアミノ酸列は5283タンパ
ク質の生物活性を有する。
【0041】 さらに、上記のGAP解析を利用した場合、“2490遺伝子のホモログ”は、配列I
D番号6と少なくとも30%が一致、好ましくは少なくとも40%が一致、より好まし
くは少なくとも50%が一致、さらに好ましくは少なくとも60%が一致、それ以上
に好ましくは少なくとも80%が一致するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド
配列を含んでおり、このホモログによってコードされるアミノ酸列は2490タンパ
ク質の生物活性を有する。
【0042】 さらに、上記のGAP解析を利用した場合、“3963遺伝子のホモログ”は、配列I
D番号8と少なくとも34%が一致、好ましくは少なくとも40%が一致、より好まし
くは少なくとも50%が一致、さらに好ましくは少なくとも60%が一致、それ以上
に好ましくは少なくとも75%が一致するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド
配列を含んでおり、このホモログによってコードされるアミノ酸列は3963タンパ
ク質の生物活性を有する。
【0043】 さらに、上記のGAP解析を利用した場合、“4036遺伝子のホモログ”は、配列I
D番号10と少なくとも44%が一致、好ましくは少なくとも50%が一致、より好ま
しくは少なくとも60%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも75%が一致する
アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、このホモログによっ
てコードされるアミノ酸列は4036タンパク質の生物活性を有する。
【0044】 タンパク質またはアミノ酸配列に関して上記のGAP解析を利用した場合、“245
遺伝子”については、“実質的に同じ”タンパク質またはアミノ酸配列と参照用
のタンパク質またはアミノ酸配列(この場合には配列ID番号2)が一致している
割合は、少なくとも47%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なく
とも75%、より好ましくは少なくとも85%、それよりも好ましくは少なくとも95
%、それ以上に好ましくは少なくとも99%である。“245タンパク質のホモログ
”は、配列ID番号2と少なくとも24%が一致、好ましくは少なくとも30%が一致
、より好ましくは少なくとも40%が一致、さらに好ましくは少なくとも45%が一
致、より好ましくは少なくとも55%が一致、それよりも好ましくは少なくとも65
%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも75%が一致するアミノ酸配列を含ん
でおり、245タンパク質のホモログは245タンパク質の生物活性を有する。
【0045】 “5283遺伝子”に関して上記のGAP解析を利用した場合、実質的に同じタンパ
ク質またはアミノ酸配列と参照用のタンパク質またはアミノ酸配列(この場合に
は配列ID番号4)が一致している割合は、少なくとも74%、好ましくは少なくと
も80%、さらに好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、そ
れよりも好ましくは少なくとも95%、それ以上に好ましくは少なくとも99%であ
る。“5283タンパク質のホモログ”は、配列ID番号4と少なくとも23%が一致、
好ましくは少なくとも40%が一致、より好ましくは少なくとも50%が一致、さら
に好ましくは少なくとも60%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも74%が一
致するアミノ酸配列を含んでおり、5283タンパク質のホモログは5283タンパク質
の生物活性を有する。
【0046】 “2490遺伝子”に関して上記のGAP解析を利用した場合、実質的に同じタンパ
ク質またはアミノ酸配列と参照用のタンパク質またはアミノ酸配列(この場合に
は配列ID番号6)が一致している割合は、少なくとも82%、好ましくは少なくと
も85%、さらに好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、そ
れ以上に好ましくは少なくとも99%である。“2490タンパク質のホモログ”は、
配列ID番号6と少なくとも30%が一致、好ましくは少なくとも40%が一致、より
好ましくは少なくとも50%が一致、さらに好ましくは少なくとも60%が一致、そ
れ以上に好ましくは少なくとも80%が一致するアミノ酸配列を含んでおり、2490
タンパク質のホモログは2490タンパク質の生物活性を有する。
【0047】 “3963遺伝子”に関して上記のGAP解析を利用した場合、実質的に同じタンパ
ク質またはアミノ酸配列と参照用のタンパク質またはアミノ酸配列(この場合に
は配列ID番号8)が一致している割合は、少なくとも40%、好ましくは少なくと
も60%、さらに好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そ
れ以上に好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも99%である
。“3963タンパク質のホモログ”は、配列ID番号8と少なくとも34%が一致、好
ましくは少なくとも40%が一致、より好ましくは少なくとも50%が一致、さらに
好ましくは少なくとも60%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも75%が一致
するアミノ酸配列を含んでおり、3963タンパク質のホモログは3963タンパク質の
生物活性を有する。
【0048】 “4036遺伝子”に関して上記のGAP解析を利用した場合、実質的に同じタンパ
ク質またはアミノ酸配列と参照用のタンパク質またはアミノ酸配列(この場合に
は列ID番号10)が一致している割合は、少なくとも67%、好ましくは少なくとも
80%、さらに好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、それ
以上に好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも99%である。
“4036タンパク質のホモログ”は、配列ID番号10と少なくとも44%が一致、好ま
しくは少なくとも50%が一致、より好ましくは少なくとも60%が一致、それ以上
に好ましくは少なくとも75%が一致するアミノ酸配列を含んでおり、4036タンパ
ク質のホモログは4036タンパク質の生物活性を有する。
【0049】 基質:基質は酵素が自然に認識する分子であり、生化学的経路において酵素が
自然に固有の機能を実行することにより、基質が生成物に変換される。あるいは
基質は、やはり酵素によって認識される変化した分子であり、自然に発生する反
応と似た酵素反応において、基質が酵素によって生成物に変換される。
【0050】 耐性(Tolerance):元のままで変化させていない植物の正常な成長または機
能を抑制するのに十分な量のインヒビターまたは除草剤に暴露したときに、正常
な成長または機能をほぼ維持する能力。
【0051】 形質転換:細胞、組織、または植物に異種DNAを導入するプロセス。形質転換
された細胞、組織、または植物は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、形
質転換したその子孫も含むものと理解する。
【0052】 トランスジェニック:対象とするDNA配列と機能上関連した適切なプロモータ
を含むことが好ましい組み換えDNA分子を用いて形質転換されて安定な状態にな
っていること。 配列ID番号1 シロイヌナズナ245遺伝子のcDNA配列 配列ID番号2 配列ID番号1に示したシロイヌナズナ245DNA配列によってコードさ
れるアミノ酸配列 配列ID番号3 シロイヌナズナ5283遺伝子のcDNA配列 配列ID番号4 配列ID番号3に示したシロイヌナズナ5283DNA配列によってコード
されるアミノ酸配列 配列ID番号5 シロイヌナズナ2490遺伝子のcDNA配列 配列ID番号6 配列ID番号5に示したシロイヌナズナ2490DNA配列によってコード
されるアミノ酸配列 配列ID番号7 シロイヌナズナ3963遺伝子のcDNA配列 配列ID番号8 配列ID番号7に示したシロイヌナズナ3963DNA配列によってコード
されるアミノ酸配列 配列ID番号9 シロイヌナズナ4036遺伝子のcDNA配列 配列ID番号10 配列ID番号9に示したシロイヌナズナ4036DNA配列によってコード
されるアミノ酸配列 配列ID番号11 オリゴヌクレオチドSLP346for 配列ID番号12 シロイヌナズナ245遺伝子のゲノム配列の一部 配列ID番号13 シロイヌナズナ245遺伝子のcDNA配列から得られた3'UTR 配列ID番号14 シロイヌナズナ5283遺伝子のゲノム配列 配列ID番号15 オリゴヌクレオチドSLP328 配列ID番号16 オリゴヌクレオチドLW60 配列ID番号17 シロイヌナズナ5283遺伝子のcDNA配列から得られた5'UTR 配列ID番号18 シロイヌナズナ5283遺伝子のcDNA配列から得られた3'UTR 配列ID番号19 シロイヌナズナ2490遺伝子のゲノム配列 配列ID番号20 シロイヌナズナ2490遺伝子のcDNA配列から得られた5'UTR 配列ID番号21 シロイヌナズナ2490遺伝子のcDNA配列から得られた3'UTR 配列ID番号22 オリゴヌクレオチドSLP369 配列ID番号23 オリゴヌクレオチドSLP370 配列ID番号24 シロイヌナズナ3963遺伝子のゲノム配列 配列ID番号25 オリゴヌクレオチド-21 配列ID番号26 シロイヌナズナ3963遺伝子のcDNA配列から得られた3'UTR 配列ID番号27 シロイヌナズナ4036遺伝子のゲノム配列 配列ID番号28 栽培変種植物ランズバーグからのcDNAと栽培変種植物コロンビア
からのゲノム配列の間に見られるさまざまな違いを含む、シロイヌナズナ4036遺
伝子のcDNAコード配列 配列ID番号29 配列ID番号28に示したシロイヌナズナ4036DNA配列によってコー
ドされるアミノ酸配列 本発明が対象とするのは、配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID
番号7、及び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列
と実質的に同じヌクレオチド配列を含む、単離されたDNA分子である。好ましい
のは、配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、及び配
列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列と実質的に同
じアミノ酸配列をコードしている本発明のDNA分子である。さらに好ましいのは
、配列が、配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID
番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列となっている本発明
のDNA分子である。さらに好ましいのは、配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、
配列ID番号6、配列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択し
たいずれか1つの配列と実質的に同じアミノ酸配列となっている本発明のDNA分子
である。さらに好ましいのは、ヌクレオチド配列が植物のヌクレオチド配列とな
っている本発明のDNA分子である。より好ましいのは、植物がシロイヌナズナで
ある本発明のDNA分子である。さらに好ましいのは、タンパク質が、245活性、52
83活性、2490活性、396活性、及び4036活性からなるグループの中から選択した
いずれか1つの活性を有する本発明のDNA分子である。本発明には、配列ID番号1
、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9からなるグループ
の中から選択したいずれか1つの配列と実質的に同じヌクレオチド配列によって
コードされるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列も含まれる。好ましいのは、配列
ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9からなる
グループの中から選択したいずれか1つの配列によってコードされるアミノ酸配
列を含む本発明のアミノ酸配列である。本発明のさらに別の目的は、配列ID番号
2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグルー
プの中から選択したいずれか1つの配列と実質的に同じアミノ酸配列を含むアミ
ノ酸配列である。好ましいのは、配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番
号6、配列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれ
か1つの配列となっている本発明のアミノ酸配列である。さらに好ましいのは、
タンパク質が、245活性、5283活性、2490活性、396活性、及び4036活性からなる
グループの中から選択したいずれか1つの活性を有する本発明のアミノ酸配列で
ある。本発明は、配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び
配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列によってコー
ドされるアミノ酸配列の中の少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含むアミ
ノ酸配列を対象としている。本発明は、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号
6、配列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか
1つの配列の中の少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含むアミノ酸配列も
対象としている。本発明の1つの目的は、本発明のDNA分子と機能上関連したプロ
モータを含む発現カセットである。さらに本発明は、本発明の発現カセットを含
む組み換えベクターであって、そのベクターが、宿主細胞を安定に形質転換でき
ることを特徴とする組み換えベクターも対象としている。さらに、本発明は、本
発明の発現カセットを含む宿主細胞であって、上記ヌクレオチド配列がこの宿主
細胞内で発現可能であることを特徴とする宿主細胞も対象としている。好ましい
のは、宿主細胞が真核細胞となっている本発明の宿主細胞である。さらに好まし
いのは、宿主細胞を、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞からなるグループの中から
選択した本発明の宿主細胞である。同様にさらに好ましいのは、宿主細胞が原核
細胞となっている本発明の宿主細胞である。同様にさらに好ましいのは、宿主細
胞が細菌細胞となっている本発明の宿主細胞である。本発明は、本発明の植物細
胞を含む植物または種子を対象としている。好ましいのは、245活性、5283活性
、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれ
か1つの活性を抑制するインヒビターに対して耐性な本発明の植物である。
【0053】 本発明は、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有す
るタンパク質をコードする異種DNA分子を含む宿主細胞を獲得し、そのタンパク
質をその宿主細胞内で発現させる操作を含む方法も対象とする。宿主細胞は、細
菌細胞、酵母細胞、または昆虫細胞であることが好ましい。
【0054】 本発明はさらに、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性か
らなるグループの中から選択した変化した活性を有する遺伝子産物をコードする
ヌクレオチド配列を作る方法であって、 a)請求項1のヌクレオチド配列をシャッフルし、 b)その結果得られた、シャッフルされたヌクレオチド配列を発現させ、 c)上記の変化していないヌクレオチド配列の遺伝子産物の245活性、5283活性
、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグループの中から選択した活性と
比較して、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグ
ループの中から選択した変化した活性を選択するという操作を含む方法も対象と
する。
【0055】 好ましいのは、ヌクレオチド配列が、配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号
5、配列ID番号7、及び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1
つの配列となっている方法である。本発明は、本発明の方法によって得ることが
できるシャッフルされたDNA分子を対象とする。本発明は、本発明の方法によっ
て生成したシャッフルされたDNA分子を対象とする。本発明は、本発明によって
得られたシャッフルされたDNA分子であって、そのシャッフルされたDNA分子が、
245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグループの中
から選択したいずれか1つの活性を抑制するインヒビターに対して耐性が増大し
た遺伝子産物をコードしていることを特徴とするDNA分子も対象とする。本発明
のさらに別の目的は、本発明のヌクレオチド配列と機能上関連したプロモータを
含む発現カセットである。本発明は、本発明の発現カセットを含む組み換えベク
ターであって、そのベクターが、宿主細胞を安定に形質転換できることを特徴と
する組み換えベクターも対象としている。本発明のさらに別の目的は、本発明の
発現カセットを含む宿主細胞であって、ヌクレオチド配列がこの宿主細胞内で発
現可能であることを特徴とする宿主細胞も対象としている。好ましいのは、宿主
細胞が真核細胞となっている本発明の宿主細胞である。同様に好ましいのは、宿
主細胞を、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞からなるグループの中から選択した本
発明の宿主細胞である。同様に好ましいのは、宿主細胞が原核細胞となっている
本発明の宿主細胞である。同様に好ましいのは、宿主細胞が細菌細胞となってい
る本発明の宿主細胞である。本発明の1つの目的は、本発明の植物細胞を含む植
物または種子である。好ましいのは、245活性、5283活性、2490活性、3963活性
、及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制す
るインヒビターに対して寛容な本発明の植物である。本発明は、配列ID番号1、
配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9からなるグループの
中から選択したいずれか1つの配列によってコードされたタンパク質と相互作用
する化合物を選択する方法であって、 a)配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、配列ID番号9から
なるグループの中から選択したいずれか1つの配列、または配列ID番号1、配列ID
番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、配列ID番号9からなるグループの中から選択
したいずれか1つの配列と実質的に同じ配列を含むDNA分子を発現させて対応する
タンパク質を産生させ、 b)ステップa)で発現したタンパク質と相互作用する能力を有すると思われる
化合物をテストし、 c)ステップb)のタンパク質と相互作用する化合物を選択するという操作を含
む方法も対象とする。
【0056】 本発明のさらに別の目的は、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4
036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制するインヒ
ビターを同定する方法であって、 a)配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、配列ID番号9から
なるグループの中から選択したいずれか1つのヌクレオチド配列を含むとともに
、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグループの
中から選択したいずれか1つの活性を有するDNA分子、あるいはこれらヌクレオチ
ド配列と実質的に同じヌクレオチド配列またはそのホモログを備えるDNA分子を
植物細胞の中に導入して、その配列を野生型の発現レベルよりも高いレベルで機
能発現させ、 b)この植物細胞を、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性
からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制する能力をテスト
する化合物と、そのような抑制を実現する条件下で併合し、 c)ステップb)の条件下で植物細胞の成長を測定し、そして d)その植物細胞の成長を、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び40
36活性からなるグループの中から選択した変化していない活性を有する植物細胞
の成長と同一の条件下で比較し、 e)ステップd)で植物細胞の成長を抑制した化合物を選択するという操作を含
む方法である。
【0057】 本発明は、本発明の方法で同定可能な除草活性を有する化合物を対象とする。
本発明はまた、除草活性を有する化合物を同定する方法であって、 a)本発明のタンパク質と、このタンパク質と相互作用する能力をテストする
化合物とを、相互作用を実現する条件下で併合し、 b)ステップa)で同定した、上記タンパク質と相互作用することが可能な化合
物を選択し、 c)ステップb)同定した化合物を、除草活性をテストするために植物に付着さ
せ、そして d)除草活性を有する化合物を選択するという操作を含む方法も対象とする。
【0058】 本発明はさらに、本発明の方法で同定可能な除草活性を有する化合物を対象と
する。本発明のさらに別の目的は、植物に対し、本発明のアミノ酸配列の活性を
抑制する化合物を、その植物の成長を抑制するのに十分な量付着させることによ
りその植物の成長を抑制する方法である。
【0059】 好ましいのは、本発明の方法において、上記化合物が、本発明の方法で同定可
能な除草活性を有する化合物となっている方法である。本発明は、除草剤に対し
て寛容な本発明の植物または種子に対し、本発明の方法で同定可能な除草活性を
有する化合物を、除草剤に対して寛容なその植物または種子の成長を有意に抑制
することなく望ましからぬ植物の成長を抑制する量だけ付着させることにより作
物を改良する方法を対象とする。本発明の1つの目的は、配列ID番号11、配列ID
番号12、配列ID番号13、配列ID番号14、配列ID番号15、配列ID番号16、配列ID番
号17、配列ID番号18、配列ID番号19、配列ID番号20、配列ID番号21、配列ID番号
22、配列ID番号23、配列ID番号24、配列ID番号25、配列ID番号26、配列ID番号27
、配列ID番号28、及び配列ID番号29からなるグループの中から選択したいずれか
1つの配列と実質的に同じヌクレオチド配列を含むDNA分子である。
【0060】 本発明の1つの目的は、新規な除草剤を同定するための効果的かつ便利な方法
を提供することである。本発明の1つの特徴は、ペプチド放出因子2と配列が類似
したシロイヌナズナの1つの遺伝子(この明細書では245遺伝子と名づける)の同
定である(クレイゲン他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第82巻、3616−3620ペ
ージ、1985年;クレイゲンとカスキー、Biochimie、第69巻、1031−1041ページ
、1987年;イトー他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第95巻、8165−8169ページ
、1998年)。本発明の別の特徴は、245遺伝子が、苗の成長、発育に不可欠であ
るという発見である。本発明の1つの利点は、新規な除草機構を有するこの新た
に発見された不可欠な遺伝子により、当業者が容易にかつ素早く新規な除草剤を
同定できることである。
【0061】 本発明のさらに別の特徴は、以下に記す遺伝子と配列が類似したシロイヌナズ
ナの1つの遺伝子(この明細書では5283遺伝子と名づける)の同定である。類似
した遺伝子とは、スキゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe
)由来のまだキャラクテリゼーションされていない遺伝子;mRNA前躯体のスプラ
イシングにおいて不可欠な因子をコードしている、サッカロミセス・セレヴィジ
エ(Saccharomyces cerevisiae)のPRP31遺伝子(ヴァイデンハマー他、Nucl. A
cids Res.、第24巻、1164−1170ページ、1996年;ヴァイデンハマー他、Mol. Ce
ll. Biol.、第17巻、3580−3585ページ、1997年);スカフォールド付着領域(S
AR)DNA結合タンパク質をコードしている、ピスム・サティヴム(Pisum sativum
)のSARBP-1遺伝子とSARBP-2遺伝子(ルゼペッキ他、Acta Biochim. Pol.、第42
巻、75−81ページ、1995年);IKBの持つ成長抑制効果を抑制することのできる
タンパク質をコードしている、サッカロミセス・セレヴィジエのSIK1遺伝子(モ
ラン他、Cell Growth & Differentiation、第6巻、789−798ページ、1995年)で
ある。SIK1遺伝子産物は、Nop56とも呼ばれ、不可欠な核小体タンパク質である
ことが判明している(ゴーティエ他、Mol. Cell. Biol.、第17巻、7088−7098ペ
ージ、1997年)。本発明の別の特徴は、5283遺伝子が、苗の成長、発育に不可欠
であるという発見である。本発明の1つの利点は、新規な除草機構を有するこの
新たに発見された不可欠な遺伝子により、当業者が容易にかつ素早く新規な除草
剤を同定できることである。
【0062】 本発明のさらに別の特徴は、葉緑体エンベロープ・タンパク質と配列が類似し
たシロイヌナズナの1つの遺伝子(この明細書では2490遺伝子と名づける)の同
定である(コー他、The Journal of Biological Chem.、第270巻、28601−28608
ページ、1995年;ウー他、The Journal of Biological Chem.、第269巻、32264
−32271ページ、1994年;パン他、The Journal of Biological Chem.、第272巻
、25623−25627ページ、1997年)。本発明の別の特徴は、2490遺伝子が、苗の成
長、発育に不可欠であるという発見である。本発明の1つの利点は、新規な除草
機構を有するこの新たに発見された不可欠な遺伝子により、当業者が容易にかつ
素早く新規な除草剤を同定できることである。
【0063】 本発明のさらに別の特徴は、以下に記す多数のDNA修復タンパク質と配列が類
似したタンパク質をコードしている、シロイヌナズナの1つの遺伝子(この明細
書では3963遺伝子と名づける)の同定である。類似したタンパク質とは、スキゾ
サッカロミセス・ポンベ由来のRad32p(ジーンバンク登録番号Q09683);ホモ・
サピエンス由来のhMre11(ジーンバンク登録番号U37359);サッカロミセス・セ
レヴィジエ由来のMre11p(ジーンバンク登録番号U60829)(ジョウヅカとオガワ
、Genetics、第139巻、1521−1532ページ、1995年;ポールとゲラート、Molecul
ar Cell、第1巻、969−979ページ、1998年)である。本発明の別の特徴は、3963
遺伝子が、苗の成長、発育に不可欠であるという発見である。本発明の1つの利
点は、新規な除草機構を有するこの新たに発見された不可欠な遺伝子により、当
業者が容易にかつ素早く新規な除草剤を同定できることである。
【0064】 本発明のさらに別の特徴は、以下に記す多数の生物に由来する1-デオキシ-D-
キシルロース 5-リン酸レダクトイソメラーゼと配列が類似したタンパク質をコ
ードしている、シロイヌナズナの1つの遺伝子(この明細書では4036遺伝子と名
づける)の同定である。多数の生物とは、シネコシスティス(Synechocystis)
・sp.(スイス−プロットQ55663)、枯草菌(スイス−プロットO31753)、大腸
菌(スイス−プロットP45568)(タカハシ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第
95巻、9879−9884ページ、1998年)などである。本発明の別の特徴は、4036遺伝
子が、苗の成長、発育に不可欠であるという発見である。本発明の1つの利点は
、新規な除草機構を有するこの新たに発見された不可欠な遺伝子により、当業者
が容易にかつ素早く新規な除草剤を同定できることである。
【0065】 本発明の1つの目的は、除草活性を有する抑制性化合物を探索するアッセイを
開発するため、植物において不可欠な遺伝子を提供することである。遺伝子の研
究結果は、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝
子がシロイヌナズナの中で突然変異を起こしたとき、得られる表現型はホモ状態
で苗にとって致命的であることを示している。これは、突然変異した遺伝子によ
ってコードされている遺伝子産物が非常に重要な役割を担っていることを示唆す
る。
【0066】 T-DNAの挿入による突然変異誘発を利用して、本発明の発明者は、シロイヌナ
ズナの245遺伝子、シロイヌナズナの5283遺伝子、シロイヌナズナの2490遺伝子
、シロイヌナズナの3963遺伝子、またはシロイヌナズナの4036遺伝子によってコ
ードされた活性(この明細書では、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、
又は4036活性と名づける)が、シロイヌナズナの苗にとって不可欠であることを
明らかにした。これは、植物の内部でこのタンパク質の機能を抑制する化学薬品
が、植物に対して有害である可能性があり、よい除草剤の潜在的な候補であるこ
とを意味する。したがって本発明により、以下に説明する遺伝子配列によってコ
ードされた精製タンパク質を利用してそのインヒビターを同定する方法が提供さ
れる。このインヒビターは、例えば作物、中でも農業的に重要な作物が育ってい
る畑において望ましからぬ植物の成長を抑制する除草剤として用いることができ
る。農業的に重要な作物としては、トウモロコシや、それ以外の穀物である、コ
ムギ、エンバク、ライムギ、モロコシ、イネ、オオムギ、アワ、芝生や飼葉など
のほか、ワタ、サトウキビ、サトウダイコン、ナタネ、ダイズが挙げられる。
【0067】 本発明は、シロイヌナズナに由来する245遺伝子と名づけたヌクレオチド配列
を開示している。cDNAクローンのヌクレオチド配列を配列ID番号1に、対応する
アミノ酸配列を配列ID番号2に示してある。ゲノムDNA配列の一部についてのヌク
レオチド配列を配列ID番号12に示してある。本発明には、配列ID番号1に示した
ヌクレオチド配列と実質的に同じヌクレオチド配列も含まれる。本発明にはさら
に、アミノ酸配列が配列ID番号2に示したアミノ酸配列と実質的に同じ植物のタ
ンパク質も含まれる。そのようなタンパク質は、潜在的な除草剤であるインヒビ
ターを同定するためのスクリーニング・アッセイに用いることができる。
【0068】 本発明はさらに、シロイヌナズナに由来する5283遺伝子と名づけたヌクレオチ
ド配列を開示している。cDNAクローンのヌクレオチド配列を配列ID番号3に、対
応するアミノ酸配列を配列ID番号4に示してある。ゲノムDNA配列のヌクレオチド
配列を配列ID番号14に示してある。本発明には、配列ID番号3に示したヌクレオ
チド配列と実質的に同じヌクレオチド配列も含まれる。本発明にはさらに、アミ
ノ酸配列が配列ID番号4に示したアミノ酸配列と実質的に同じ植物のタンパク質
も含まれる。そのようなタンパク質は、潜在的な除草剤であるインヒビターを同
定するためのスクリーニング・アッセイに用いることができる。
【0069】 本発明はさらに、シロイヌナズナに由来する2490遺伝子と名づけたヌクレオチ
ド配列を開示している。cDNAクローンのヌクレオチド配列を配列ID番号5に、対
応するアミノ酸配列を配列ID番号6に示してある。ゲノムDNA配列のヌクレオチド
配列を配列ID番号19に示してある。本発明には、配列ID番号5に示したヌクレオ
チド配列と実質的に同じヌクレオチド配列も含まれる。本発明にはさらに、アミ
ノ酸配列が配列ID番号6に示したアミノ酸配列と実質的に同じ植物のタンパク質
も含まれる。そのようなタンパク質は、潜在的な除草剤であるインヒビターを同
定するためのスクリーニング・アッセイに用いることができる。
【0070】 本発明はさらに、シロイヌナズナに由来する3963遺伝子と名づけたヌクレオチ
ド配列を開示している。cDNAクローンのヌクレオチド配列を配列ID番号7に、対
応するアミノ酸配列を配列ID番号8に示してある。ゲノムDNA配列のヌクレオチド
配列を配列ID番号24に示してある。このヌクレオチド配列は、MDK4.6と表記され
るMDK4クローンの一部と、発明者が報告したcDNAクローンに基づく3'末端の付加
配列の両方に由来するゲノムDNA配列を含んでいる。本発明には、配列ID番号7に
示したヌクレオチド配列と実質的に同じヌクレオチド配列も含まれる。本発明に
はさらに、アミノ酸配列が配列ID番号8に示したアミノ酸配列と実質的に同じ植
物のタンパク質も含まれる。そのようなタンパク質は、潜在的な除草剤であるイ
ンヒビターを同定するためのスクリーニング・アッセイに用いることができる。
【0071】 本発明はさらに、シロイヌナズナに由来する4036遺伝子と名づけたヌクレオチ
ド配列を開示している。cDNAクローンのヌクレオチド配列を配列ID番号9に、対
応するアミノ酸配列を配列ID番号10に示してある。ゲノムDNA配列のヌクレオチ
ド配列を配列ID番号27に示してある。栽培変種植物ランズバーグに由来するcDNA
クローンと栽培変種植物コロンビアに由来するゲノム配列を比較することにより
、ヌクレオチドの違いが13ヶ所に見つかった。以下の表1に、これらの違いがま
とめてある。配列ID番号28は配列ID番号9と同じであるが、これら13ヶ所の違い
がある。配列ID番号28の対応するアミノ酸配列が配列ID番号29に示してある。本
発明には、配列ID番号9に示したヌクレオチド配列と実質的に同じヌクレオチド
配列も含まれる。本発明にはさらに、アミノ酸配列が配列ID番号10および配列ID
番号29に示したアミノ酸配列と実質的に同じ植物のタンパク質も含まれる。その
ようなタンパク質は、潜在的な除草剤であるインヒビターを同定するためのスク
リーニング・アッセイに用いることができる。
【0072】 好ましい実施態様では、本発明は、植物において245活性、5283活性、2490活
性、3963活性、または4036活性を抑制する能力を有する化学薬品を同定する方法
であって、a)245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有す
る酵素をコードしており、酵素活性のある245遺伝子産物、5283遺伝子産物、249
0遺伝子産物、3963遺伝子産物、または4036遺伝子産物(完全長のもの 、または
途中で切断されているが活性は残っているもの)を過剰発現させることのできる
非天然のヌクレオチド配列を含む、好ましくは安定に形質変換された植物、植物
の組織、植物の種子、または植物細胞を獲得し、b)その形質転換された植物、
植物細胞、植物組織、またはその一部と、同質遺伝子で形質転換されていない植
物、植物細胞、植物組織、またはその一部とに化学薬品を付着させ、c)その化
学薬品を付着させた後に、形質転換された植物、植物細胞、植物組織、またはそ
の一部と、同質遺伝子で形質転換されていない植物、植物細胞、植物組織、また
はその一部とにおける成長または成長可能性を観察し、d)その化学薬品を付着
させた後に、形質転換された植物、植物細胞、植物組織、または植物の一部と、
同質遺伝子で形質転換されていない植物、植物細胞、植物組織、または植物の一
部とにおける成長または成長可能性を比較し、e)形質転換された植物、植物細
胞、植物組織、またはその一部の成長または成長可能性を有意に抑制することな
く、同質遺伝子で形質転換されていない植物、植物細胞、植物組織、またはその
一部の成長可能性または成長を抑制する化学薬品を選択するというステップを含
むことが好ましい方法に関する。好ましい実施態様では、245活性、5283活性、2
490活性、3963活性、または4036活性を有する酵素は、望ましくは配列ID番号1、
配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、または配列ID番号9に示したヌクレオ
チド配列と同じか実質的に同じで、植物、好ましくはシロイヌナズナに由来する
ヌクレオチド配列によってコードされている。別の実施態様では、245活性、528
3活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有する酵素は、それぞれ配列ID
番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、または配列ID番号10に示した
アミノ酸配列をコードすることのできるヌクレオチド配列によってコードされて
いる。さらに別の実施態様では、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、ま
たは4036活性を有する酵素は、それぞれ配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号
6、配列ID番号8、または配列ID番号10に示したアミノ酸配列と同じか実質的に同
じアミノ酸配列を有する。
【0073】 本発明により、変化した245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または403
6活性を持ち、したがって天然の245活性、5283活性、2490活性、3963活性、また
は4036活性を通常は抑制するレベルでも除草剤による抑制に寛容な植物、植物組
織、植物の種子、植物細胞も実現される。本発明による、除草剤に耐性な植物と
しては、通常は活性を抑制する除草剤の潜在的なターゲットとなったであろう植
物、中でも農業において重要な上記の作物を含んでいる。この実施態様によれば
、植物、植物組織、植物の種子、植物細胞は、野生型の変化していない245遺伝
子産物、5283遺伝子産物、2490遺伝子産物、3963遺伝子産物、または4036遺伝子
産物の活性を通常は抑制するであろう濃度の除草剤による抑制に対して寛容な変
化した245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を
コードするヌクレオチド配列と機能上関連した、植物内で機能する適切なプロモ
ータを含む組み換えDNA分子を用いて、好ましくは安定に形質転換される。変化
した245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を植物に与える
には、野生型の245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036
遺伝子の複数のコピーを植物に与えることによって、あるいは野生型の245遺伝
子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を、野生型よりも
強力なプロモータの制御下で過剰発現させることによって、野生型の除草剤感受
性245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク質、または4
036タンパク質の発現を増加させるという方法を用いてもよい。次に、このよう
にして作った形質転換された植物、植物組織、植物の種子、植物細胞に対して従
来からある選択法で選択を行なって除草剤に対して寛容な系統を分離し、その分
離した系統をキャラクテリゼーションし、発育させる。別の方法として、ランダ
ムな突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発を利用して除草剤に対して寛容
な系統を生み出すこともできる。
【0074】 したがって、本発明により、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、また
は4036活性を有する酵素をコードしている植物から単離されたヌクレオチド配列
を含むDNA分子を用いて形質転換した植物、植物組織、植物の種子、または植物
細胞であって、DNA分子が、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または40
36活性を発現し、そのDNA分子が、その植物、植物組織、植物の種子、または植
物細胞に対し、通常は自然に発生する245活性、5283活性、2490活性、3963活性
、または4036活性を抑制する量の除草剤に対する耐性を与えることを特徴とする
植物、植物組織、植物の種子、または植物細胞が提供される。この実施態様の一
例によると、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有す
る酵素は、それぞれ配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、ま
たは配列ID番号9に示したヌクレオチド配列と同じか実質的に同じヌクレオチド
配列によってそれぞれコードされているか、あるいは配列ID番号2、配列ID番号4
、配列ID番号6、配列ID番号8、または配列ID番号10に示したアミノ酸配列と同じ
か実質的に同じアミノ酸配列をそれぞれ含んでいる。
【0075】 本発明により、植物内で自然に生まれる245活性、5283活性、2490活性、3963
活性、または4036活性を抑制する化学薬品を植物に付着させるステップを含む、
植物の成長抑制法も提供される。これと関連した側面として、本発明は、作物の
種子または苗が植えられた畑において望ましからぬ植物の成長を選択的に抑制す
るため、(a)天然245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を
抑制する除草剤に対して寛容な作物または作物の種子を必要に応じて植え、(b
)その除草剤に対して寛容な作物または作物の種子と畑の望ましからぬ植物とに
対し、天然245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を抑制す
る量の除草剤を付着させるというステップを含む方法であって、その除草剤が、
作物の成長を有意に抑制することなく雑草の成長を抑制することを特徴とする方
法を対象としている。
【0076】 本発明の他の目的ならびに利点は、本発明に関する以下の記述と例示としての
実施例を研究することにより、当業者に明らかになろう。
【0077】 以下の実施例に示すように、新規な遺伝子構造を同定すること、ならびに植物
の正常な成長と発育に245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、また
は4036遺伝子が不可欠であることが、T-DNAの挿入による突然変異誘発を用いて
シロイヌナズナで初めて明らかになった。発明者は、植物において245遺伝子、5
283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子が不可欠であることを
明確にし、これらの不可欠な活性をコードする遺伝子を同定することにより、新
しい除草剤開発のための重要かつ探し求められていたツールを提供することがで
きる。
【0078】 苗に対して致死的な突然変異を分離するシロイヌナズナの挿入突然変異系統は
、不可欠なタンパク質を同定する第1のステップで同定される。ゲノムの中にT-D
NA挿入体を有する単一のT1植物から採取したT2種子から開始し、苗に関する致死
性に関してホモの苗を分離する系統を同定する。そうした系統は、殺菌剤である
ベノミルとマキシムを含む最少培地の上に種子を置き、室温にて光のもとで7及
び14日後に生存できない苗をスクリーニングすることによって見つけることがで
きる。生存できない表現型には、色素が変化したもの、形態が変化したものが含
まれる。これらの表現型は、プレート上で直接に、あるいは苗を土に移植した後
に土の中で観察する。
【0079】 ある系統が苗に対する致死性を分離していると同定されたならば、T-DNA内の
耐性マーカーが致死性と同時分離するかどうかを調べる(エランパリ他、The Pl
ant Cell、第3巻、149−157ページ、1991年)。種子を、選択薬剤を含む培地の
上に置き、苗のその薬剤に対する耐性または感受性を得点化することにより、同
時分離解析を行なう。使用する選択薬剤の具体例としては、ハイグロマイシンま
たはホスフィノトリシンが挙げられる。耐性を示した約35の苗を土に移植し、そ
の子孫が苗に関する致死性を分離するかどうかを調べる。不可欠な遺伝子をT-DN
A挿入体が破壊する場合には、耐性表現型と苗致死性表現型がすべての植物で同
時分離される。したがって、そのような場合には、すべての耐性植物は、次世代
に苗致死性を分離する。この結果は、それぞれの耐性植物が、両方の表現型を示
すDNAに関してヘテロであることを示している。
【0080】 T-DNA耐性マーカーと苗致死性表現型を同時分離するこれらの系統について、
各挿入体の分子的特性をキャラクテリゼーションする最初のステップとしてサザ
ン解析を行なう。サザン解析は、ヘテロ接合体から単離したゲノムDNAに対し、T
-DNAベクターDNAとハイブリダイズすることのできるプローブを用いて行なう。T
-DNA挿入体の一方の側または両側に隣接するシロイヌナズナのゲノムDNAを分子
クローニングするため、サザン解析の結果を用い、適切な制限酵素を選択してプ
ラスミド救出を行なう。このようにして得られたプラスミドを、制限酵素による
消化を利用して解析し、プラスミドをその消化パターンに基づいて複数のクラス
に分類する。各クラスのプラスミド・クローンについてDNA配列を決定する。得
られた配列を解析し、非T-DNAベクター配列が存在しているかどうかを確かめる
。そのような配列が見つかった場合には、BLASTおよびBLAST2のプログラム(ア
ルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−410ページ、1990年;アルトシ
ュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402ページ、1997年)を用いて D
NAとタンパク質のデータベースでその配列を探索する。標準的な分子生物学の方
法により、各遺伝子に付加されたゲノム配列とcDNA配列を同定する。
【0081】 タグをつけた苗致死性系統#245からT-DNAの境界に隣接するDNAを単離すること
により、シロイヌナズナの245遺伝子を同定した。T-DNAの境界に隣接するシロイ
ヌナズナのDNA領域は、ゲノム探索配列F17K7TR(登録番号B24357)と99%一致す
る。発明者は、245遺伝子産物が植物における正常な成長と発育に不可欠である
ことを初めて証明すると同時に、タンパク質の相同性から245遺伝子産物の機能
を特定した。本発明は、シロイヌナズナの245遺伝子のcDNA配列と、シロイヌナ
ズナの245タンパク質のアミノ酸配列を開示している。cDNAクローンに対応する
ヌクレオチド配列を配列ID番号1に、そのタンパク質をコードするアミノ酸配列
を配列ID番号2に示す。配列ID番号1の3'に見られるUTRを配列ID番号13に示す。
ゲノムDNAの一部に対応するヌクレオチド配列を配列ID番号12に示す。本発明は
、植物に由来し、アミノ酸配列が、配列ID番号1に示したヌクレオチド配列によ
ってコードされるアミノ酸配列と同じか実質的に同じであり、しかも245活性を
有する、単離されたアミノ酸配列も対象としている。BLASTおよびBLAST2のプロ
グラムをデフォルト設定で使用すると、245遺伝子の配列が、さまざまな真核生
物種のペプチド放出因子2と類似していることがわかる。類似性に注目すべき種
としては、大腸菌(RF-2)[スイス−プロット登録番号P07012];サルモネラ・
ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)(RF-2 Salty)[スイス−プロッ
ト登録番号P28353];ミコバクテリウム・ルベルクローシス(Mycobacterium tu
berculosis)(RF-2:prfB)[スイス−プロット登録番号O05782]などが挙げら
れる。以下のタンパク質配列と245タンパク質の間でギャップ解析を行なうこと
により、245タンパク質との配列の一致が以下のようになることがわかった。す
なわち、大腸菌(RF-2)[スイス−プロット登録番号P07012](27.2%一致);
サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)(RF-2 Salty)[ス
イス−プロット登録番号P28353](24.6%一致);ミコバクテリウム・チュベル
キュローシス(Mycobacterium tuberculosis)(RF-2:prfB)[スイス−プロッ
ト登録番号O05782](27.2%一致)である。さらに、シネコシスティス(Genpep
t登録番号BAA18577)(31.5%一致);シロイヌナズナの第5染色体のP1クローン
MAB16(登録番号AB018112NID)(46.2%一致)である。
【0082】 タグをつけた苗致死性系統#5283からT-DNAの境界に隣接するDNAを単離するこ
とにより、シロイヌナズナの5283遺伝子を同定した。T-DNAの境界に隣接するシ
ロイヌナズナのDNA領域は、シロイヌナズナで配列がわかっているBAC(BAC T13D
8、第1染色体)の内部領域と一致している。このBACクローンは、116,177bpの配
列を含んでおり、そのうちのほんのわずかの部分が5283遺伝子を含むゲノム領域
に対応している。BAC配列の情報があるにもかかわらず、発明者は、5283遺伝子
産物が植物における正常な成長と発育に不可欠であることを初めて証明すると同
時に、タンパク質の相同性から5283遺伝子産物の機能を特定した。本発明は、シ
ロイヌナズナの5283遺伝子のcDNA配列と、シロイヌナズナの5283タンパク質のア
ミノ酸配列を開示している。cDNAクローンに対応するヌクレオチド配列を配列ID
番号3に、そのタンパク質をコードするアミノ酸配列を配列ID番号4に示す。ゲノ
ムDNAに対応するヌクレオチド配列を配列ID番号14に示す。cDNA配列からの5'UTR
に対応するヌクレオチド配列を配列ID番号17に、cDNA配列からの3'UTRに対応す
るヌクレオチド配列を配列ID番号18に示す。本発明は、植物に由来し、アミノ酸
配列が、配列ID番号3に示したヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸
配列と同じか実質的に同じであり、しかも5283活性を有する、単離されたアミノ
酸配列も対象としている。BLASTおよびBLAST2のプログラムをデフォルト設定で
使用すると、5283遺伝子の配列が、スキゾサッカロミセス・ポンベ由来のSPBC11
9.13c[Genpept登録番号CAA17928];植物由来のSAR DNA結合タンパク質[SARBP
-1:ジーンバンク#AF061962と、SARBP-2:ジーンバンク#AF061963];サッカロ
ミセス・セレヴィジエ由来のprp31とSIK1p(Nop56)[PRP31:スイス−プロット
登録番号Q12460]と類似していることがわかる。以下のタンパク質配列と5283タ
ンパク質の間でギャップ解析を行なうことにより、5283タンパク質との配列の一
致が以下のようになることがわかった。すなわち、スキゾサッカロミセス・ポン
ベ由来のSPBC119.13c[Genpept登録番号CAA17928](40.5%一致);植物由来の
SAR DNA結合タンパク質[SARBP-1:ジーンバンク#AF061962](23.5%一致)、
[SARBP-2:ジーンバンク#AF061963](24.2%一致);サッカロミセス・セレヴ
ィジエ由来のprp31とSIK1p(Nop56)[PRP31:スイス−プロット登録番号Q12460
](24.1%一致)。さらに、シロイヌナズナ(Genpept登録番号AAC18800)は528
3タンパク質と73.8%一致していることがわかった。
【0083】 タグを付けた苗致死性系統#2490からT-DNAの境界に隣接するDNAを単離するこ
とにより、シロイヌナズナの2490遺伝子を同定した。T-DNAの境界に隣接するシ
ロイヌナズナのDNA領域は、シロイヌナズナで配列がわかっているP1クローン(P
1 MTG13、第5染色体)の内部領域と一致している。このP1クローンは、50,641bp
の配列を含んでおり、そのうちのほんのわずかの部分が2490遺伝子を含むゲノム
領域に対応している。2490タンパク質をコードしている配列全部を含む2490のcD
NA配列は、144K24 ESTクローン(ミシガン州立大学より入手)の配列を決定する
ことにより得られる。BAC配列とEST配列の情報があるにもかかわらず、発明者は
、この遺伝子配列の全体を完全に決定し、2490遺伝子産物が植物における正常な
成長と発育に不可欠であることを初めて証明すると同時に、タンパク質の相同性
から2490遺伝子産物の機能を特定した。本発明は、シロイヌナズナの2490遺伝子
のcDNAヌクレオチド配列と、シロイヌナズナの2490タンパク質のアミノ酸配列を
開示している。cDNAクローンに対応するヌクレオチド配列を配列ID番号5に、そ
のタンパク質をコードするアミノ酸配列を配列ID番号6に示す。配列ID番号5の5'
に見られるUTR配列を配列ID番号20に、配列ID番号5の3'に見られるUTR配列を配
列ID番号21に示す。ゲノムDNAに対応するヌクレオチド配列を配列ID番号19に示
す。本発明は、植物に由来し、アミノ酸配列が、配列ID番号5に示したヌクレオ
チド配列によってコードされるアミノ酸配列と同じか実質的に同じであり、しか
も2490活性を有する、単離されたアミノ酸配列も対象としている。BLASTおよびB
LAST2のプログラムをデフォルト設定で使用すると、2490遺伝子の配列が、アブ
ラナ(Brassica napus)由来のToc36(bce42B)葉緑体エンベロープ・タンパク
質(コー他、The Journal of Biological Chem.、第270巻、28601−28608ページ
、1995年;ウー他、The Journal of Biological Chem.、第269巻、32264−32271
ページ、1994年;パン他、The Journal of Biological Chem.、第272巻、25623
−25627ページ、1997年)と類似していることがわかる。2490タンパク質とアブ
ラナ(Brassica napus)由来のToc36(bce42B)葉緑体エンベロープ・タンパク
質(ジーンバンク登録番号#X79091)の間でギャップ解析を行なうことにより、2
490タンパク質との配列の一致が81.7%になることがわかった。
【0084】 タグを付けた苗致死性系統#3963からT-DNAの境界に隣接するDNAを単離するこ
とにより、シロイヌナズナの3963遺伝子を同定した。T-DNAの境界に隣接するシ
ロイヌナズナのDNA領域は、第5染色体上のP1クローンMDK4のゲノム配列(ジーン
バンク登録番号AB010695)と100%一致している。発明者は、3963遺伝子産物が
植物における正常な成長と発育に不可欠であることを初めて証明すると同時に、
タンパク質の相同性から3963遺伝子産物の機能を特定した。本発明は、シロイヌ
ナズナの3963遺伝子のcDNAヌクレオチド配列と、シロイヌナズナの3963タンパク
質のアミノ酸配列を開示している。cDNAクローンに対応するヌクレオチド配列を
配列ID番号7に、そのタンパク質をコードするアミノ酸配列を配列ID番号8に示す
。配列ID番号7の3'に見られるUTR配列を配列ID番号26に示す。ゲノムDNAに対応
するヌクレオチド配列を配列ID番号24に示す。本発明は、植物に由来し、アミノ
酸配列が、配列ID番号7に示したヌクレオチド配列によってコードされるアミノ
酸配列と同じか実質的に同じであり、しかも3963活性を有する、単離されたアミ
ノ酸配列も対象としている。BLASTおよびBLAST2のプログラムをデフォルト設定
で使用すると、3963遺伝子の配列が、多数のDNA修復タンパク質と類似している
ことがわかる。類似しているDNA修復タンパク質としては、例えば、スキゾサッ
カロミセス・ポンベ由来のRad32p(ジーンバンク(Genbank)登録番号Q09683)
;ホモ・サピエンス由来のhMre11(ジーンバンク登録番号U37359);サッカロミ
セス・セレヴィジエ由来のMre11p(ジーンバンク登録番号U60829)が挙げられる
。3963タンパク質と以下のタンパク質の間でギャップ解析を行なうことにより、
3963タンパク質との配列の一致が以下のようになることがわかった。すなわち、
スキゾサッカロミセス・ポンベ由来のRad32p(ジーンバンク登録番号Q09683)(
37.5%一致);ホモ・サピエンス由来のhMre11(ジーンバンク登録番号U37359)
(39.4%一致);サッカロミセス・セレヴィジエ由来のMre11p(ジーンバンク登
録番号U60829)(34.7%一致)である。
【0085】 タグを付けた苗致死性系統#4036からT-DNAの境界に隣接するDNAを単離するこ
とにより、シロイヌナズナの4036遺伝子を同定した。T-DNAの境界に隣接するシ
ロイヌナズナのDNA領域は、シロイヌナズナの第5染色体上のP1クローンMQB2につ
いて公開されているゲノム配列(ジーンバンク登録番号AB009053)と100%一致
している。発明者は、4036遺伝子産物が植物における正常な成長と発育に不可欠
であることを初めて証明すると同時に、タンパク質の相同性から4036遺伝子産物
の機能を特定した。本発明は、シロイヌナズナの4036遺伝子のcDNAヌクレオチド
配列と、シロイヌナズナの4036タンパク質のアミノ酸配列を開示している。栽培
変種植物ランズバーグのcDNAと2つの栽培変種植物のcDNAに対応するヌクレオチ
ド配列を、それぞれ配列ID番号9と配列ID番号28に示す。これらに対応する、タ
ンパク質をコードするアミノ酸配列を配列ID番号10と配列ID番号29に示す。ゲノ
ムDNAに対応するヌクレオチド配列を配列ID番号27に示す。栽培変種植物ランズ
バーグに由来するcDNAクローンと栽培変種植物コロンビアに由来するゲノム配列
を比較することにより、ヌクレオチドの違いが13ヶ所に見つかった。それを以下
の表1に示す。表1.栽培変種植物ランズバーグに由来する4036のcDNAクローンと栽培変種植物
コロンビアに由来する4036ゲノム配列の間で観察されたヌクレオチドの違い ヌクレオチド番号*/栽培変種植物ランズバーグ/栽培変種植物コロンビア/異
なるヌクレオチドを含むコドン(栽培変種植物ランズバーグにおけるアミノ酸残
基と栽培変種植物コロンビアにおけるアミノ酸残基)** 115/G/A/GATからAATへ(AspからAsnへ) 207/T/C/GTTからGTCへ(ValからValへ) 273/C/T/TCCからTCTへ(SerからSerへ) 276/C/T/ATCからATTへ(IleからIleへ) 321/T/C/TTTからTTCへ(PheからPheへ) 393/G/A/GCGからGCAへ(AlaからAlaへ) 485/T/A/CTAからCAAへ(LeuからGlnへ) 464/C/T/CCCからCTCへ(ProからLeuへ) 559/A/C/AAGからCAGへ(LysからGlnへ) 963/T/G/CCTからCCGへ(ProからProへ) 1101/T/A/CCTからCCAへ(ProからProへ) 1254/T/C/TTTからTTCへ(PheからPheへ) 1393/G/A/GATからAATへ(AspからAsnへ) *ヌクレオチドの番号の基準として配列ID番号9を用いた **アミノ酸残基:Ala(アラニン);Asn(アスパラギン);Asp(アスパラギ
ン酸);Gln(グルタミン);Ile(イソロイシン);Leu(ロイシン);Lys(リ
シン);Phe(フェニルアラニン);Pro(プロリン);Ser(セリン);Val(バ
リン) 本発明は、植物に由来し、アミノ酸配列が、配列ID番号7に示したヌクレオチ
ド配列によってコードされるアミノ酸配列と同じか実質的に同じであり、しかも
4036活性を有する、単離されたアミノ酸配列も対象としている。BLASTおよびBLA
ST2のプログラムをデフォルト設定で使用すると、4036遺伝子の配列が、多数の
生物に由来する1-デオキシ-D-キシルロース 5-リン酸レダクトイソメラーゼと類
似していることがわかる。多数の生物とは、例えば、シネコシスティス・sp.(
スイス−プロットQ55663)、枯草菌(スイス−プロットO31753)、大腸菌(スイ
ス−プロットP45568)(タカハシ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第95巻、98
79−9884ページ、1998年)である。4036タンパク質と以下の生物の1-デオキシ-D
-キシルロース 5-リン酸レダクトイソメラーゼの間でギャップ解析を行なうこと
により、4036タンパク質との配列の一致が以下のようになることがわかった。す
なわち、シネコシスティス・sp.(スイス−プロットQ55663)(66.1%一致)、
枯草菌(スイス−プロットO31753)(45.4%一致)、大腸菌(スイス−プロット
P45568)(44.6%一致)(タカハシ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第95巻、
9879−9884ページ、1998年)である。
【0086】 宿主となる生物の体内で245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または403
6活性を組み換えにより生じさせるためには、245活性、5283活性、2490活性、39
63活性、または4036活性を有するタンパク質をコードしているヌクレオチド配列
を、選択した宿主用に設計した発現カセットに挿入し、宿主の中で組み換えによ
る産生を行なわせる場所に導入する。例えば、配列ID番号1、3'UTRとして配列ID
番号13が付随した配列ID番号1、配列ID番号1と実質的に同じヌクレオチド配列、
または245をコードしている配列のホモログを用いて、245活性を有するタンパク
質を組み換えにより産生させることができる。当業者であれば、特殊な調節配列
として、プロモータ、シグナル配列、5'と3'の非翻訳配列、選択した宿主にとっ
て適切なエンハンサなどを選択することができる。得られる分子は、適切なリー
ディング・フレームの中に機能上関連した個々のエレメントを含んでおり、この
分子をベクターに挿入する。このベクターを用いると、宿主細胞を形質転換させ
ることができる。適切な発現ベクターと組み換えタンパク質の産生法は、大腸菌
、酵母、昆虫の細胞などの宿主生物(例えば、ラッコウとサマーズ、Bio/Techno
l.、第6巻、47ページ、1988年を参照のこと)と、バキュロウイルス発現ベクタ
ー、例えば、オートグラフィカ・カリフォルニカ(Autographica californica)
核多角体病ウイルス(AcNPV)のゲノムに由来する発現ベクターについては周知
である。好ましいバキュロウイルス/昆虫系は、線状のオートグラフィカ・カリ
フォルニカ・バキュロウイルスDNA(ファーミンジェン社、サン・ディエゴ、カ
リフォルニア州)の存在下でスポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugipe
rda)Sf9細胞をトランスフェクトするのに用いるpAcHLT(ファーミンジェン社、
サン・ディエゴ、カリフォルニア州)である。得られたウイルスをHighFiveトリ
コプルシア・ニ(Tricoplusia ni)細胞(インヴィトロジェン社、ラ・ジョラ、
カリフォルニア州)に感染させる。同様にして、5283活性、2490活性、3963活性
、または4036活性を組み換えで生じさせる。
【0087】 好ましい実施態様では、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または403
6活性を有するタンパク質をコードしているヌクレオチド配列は、真核生物であ
る哺乳類、ハエ、酵母などに由来するものが可能であるが、植物由来であること
が好ましい。さらに別の好ましい実施態様では、ヌクレオチド配列は、配列ID番
号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、または配列ID番号9に示したヌ
クレオチド配列とそれぞれ同じまたは実質的に同じであるか、あるいは、それぞ
れ245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有し、アミノ酸
配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、または配列ID
番号10に示したアミノ酸配列とそれぞれ同じか実質的に同じであるタンパク質を
コードしている。配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、また
は配列ID番号9に示したヌクレオチド配列は、シロイヌナズナの245タンパク質、
シロイヌナズナの5283タンパク質、シロイヌナズナの2490タンパク質、シロイヌ
ナズナの39635タンパク質、またはシロイヌナズナの4036タンパク質をコードし
ており、そのアミノ酸配列が、それぞれ配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号
6、配列ID番号8、または配列ID番号10に示してある。別の好ましい実施態様では
、ヌクレオチド配列は、原核生物、好ましくは細菌、例えば大腸菌に由来する。
【0088】 245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有する組み換え
産生タンパク質は、いろいろな標準的方法を用いて単離し、精製する。実際に用
いることのできる方法は、使用する宿主生物や、タンパク質が分泌用に設計され
ているかどうかや、当業者にはなじみのある他の同様に因子に応じて異なるであ
ろう(例えば、オースベル, F.他、『分子生物学における最新のプロトコル』の
第16章、ジョン・ワイリー&サンズ社、1994年を参照のこと)。
【0089】 245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有する組み換え
産生タンパク質は、さまざまな目的に役立つ。例えば、ターゲットがまだ同定さ
れていない既知の除草剤が245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または403
6活性を抑制するかどうかを決定するためのスクリーニングを行なう、インビト
ロでのアッセイに用いることができる。このようなインビトロでのアッセイは、
このような酵素活性を抑制することから新規な除草剤の候補となっている化学薬
品を同定するための、より一般的なスクリーニングにも用いることができる。ま
た、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有する組み換
え産生タンパク質を用いてこれら分子の複合構造を明らかにし、さらに既知のイ
ンヒビターとの会合をキャラクテリゼーションすることによって、新規な抑制能
を有する除草剤と、除草剤に対して寛容な形態の酵素を合理的に設計するのに用
いることができる。
【0090】 インビトロでのインヒビター・アッセイ:配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID 番号5、配列ID番号7、または配列ID番号9それぞれの遺伝子産物と相互作用する
小分子リガンドの発見 あるタンパク質が除草剤の潜在的なターゲットであると同定されると、次のス
テップは、どの化学薬品がそのタンパク質と相互作用するかを決定するため、多
数の化学薬品をスクリーニングすることのできるアッセイを開発することである
。機能がわかっているタンパク質のアッセイを開発するのは簡単であるが、機能
がわかっていないタンパク質のアッセイを開発するのはより難しい。
【0091】 この困難は、あるタンパク質とある化合物の相互作用を、そのタンパク質の生
物学的機能がわからなくても検出できる方法を用いることによって克服すること
ができる。蛍光相関スペクトロスコピー、表面強化レーザー脱着/イオン化法、
バイアコア法という3つの方法を簡単に説明する。
【0092】 蛍光相関スペクトロスコピー(FCS)の理論は1972年に開発されたが、FCSを実
現する方法が利用できるようになったのはここ数年のことである(マッジ他、Ph
ys. Rev. Lett.、第29巻、705−708ページ、1972年;マイティ他、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA、第94巻、11753−11757ページ、1997年)。FCSでは、小容積の
サンプルに含まれる蛍光分子の平均分散率を測定する。サンプルのサイズは、蛍
光分子103個と小さく、サンプルの容積は1個の細菌の細胞質ほどの小ささである
。分散率は分子の質量の関数であり、質量が大きくなるにつれて減少する。した
がってFCSは、結合の際の質量の変化、したがって分子の分散率の変化を測定す
ることにより、タンパク質−リガンド相互作用の解析に応用することができる。
典型的な実験では、解析すべきターゲットは、N末端またはC末端に挿入されたポ
リヒスチジン配列などの配列タグとの組み換えタンパク質として発現する。この
発現は、大腸菌、酵母、または昆虫の細胞で起こる。タンパク質はクロマトグラ
フィを用いて精製する。例えば、ポリヒスチジン・タグは、発現したタンパク質
を、イミノ二酢酸アガロースにキレートしたNi2+などの金属キレート・カラムに
結合させるのに用いることができる。次にタンパク質をカルボキシテトラメチル
ローダミンまたはBODIPY(登録商標)(モレキュラー・プローブズ社、ユージー
ン、オレゴン州)などの蛍光タグで標識する。次にタンパク質を溶液内で潜在的
なリガンドに暴露し、その分散率をカール・ツァイス社(ソーンウッド、ニュー
ヨーク州)が市販している機器を用いてFCSにより測定する。タンパク質の分散
率の変化からリガンドの結合を決定する。
【0093】 表面強化レーザー脱着/イオン化法(SELDI)は、ハッチェンズとイップによ
って1980年代後半に考案された(ハッチェンズとイップ、Rapid Commun. Mass S
pectrom.、第7巻、576−580ページ、1993年)。SELDIは、飛行時間質量スペクト
ロメータ(TOF)と組み合わせたときに、チップ上に保持された分子を迅速に解
析する手段となる。この方法は、チップ上にターゲットとなるタンパク質を共有
結合により結合させることによってリガンド−タンパク質相互作用の解析に応用
できるとともに、この方法を用いてMSによりこのタンパク質と結合する小分子を
解析することができる(ウォラル他、Anal. Biochem.、第70巻、750−756ページ
、1998年)。典型的な実験では、解析するターゲットは、FCSについて説明した
ようにして発現させる。次に、精製したタンパク質をさらに調製することなく、
このタンパク質を用いてアッセイを行なう。このタンパク質は、ポリヒスチジン
・タグを用いて、あるいはイオン交換や疎水性相互作用などの他の相互作用によ
って、SELDIチップに結合させる。このようにして準備したチップを、例えばリ
ガンドを連続的に移すことのできるデリバリー系(オートサンプラー)を通じて
潜在的なリガンドに暴露する。次にチップを徐々に厳しい条件で洗浄する。例え
ば、先に行くほど大きな濃度のイオンを含むようにした一連の緩衝溶液で洗浄す
る。1回洗浄を行なうごとにチップにSELDI-TOFを適用し、結合した物質を解析す
る。ターゲットに特異的に結合するリガンドは、そのリガンドを溶離するのに必
要な洗浄の厳しさにより同定される。
【0094】 バイアコアは、表面層に固定されたタンパク質にリガンドが結合する際のその
表面層の屈折率の変化に依存している。この系では、小さなリガンドの集合を、
タンパク質が固定された2〜5ulの細胞に順番に注入する。結合は、表面プラズモ
ン共鳴(SPR)により表面で屈折するレーザー光を記録することによって検出す
る。一般に、表面層における質量の集中度が変化したときの屈折率の変化は、す
べてのタンパク質およびペプチドについてほとんど同じである。そのため、たっ
た1つの方法をすべてのタンパク質に適用することができる(リートベルク他、S
ensors Actuators、第4巻、299−304ページ、1983年;マルムクウィスト、Natur
e、第361巻、186−187ページ、1993年)。典型的な実験では、解析するターゲッ
トは、FCSについて説明したようにして発現させる。次に、精製したタンパク質
をさらに調製することなく、このタンパク質を用いてアッセイを行なう。このタ
ンパク質は、ポリヒスチジン・タグを用いて、あるいはイオン交換や疎水性相互
作用などの他の相互作用を利用して、バイアコア・チップに結合させる。このよ
うにして準備したチップを、リガンドを連続的に移すためにバイアコア社(ウプ
サラ、スウェーデン)が市販している機器に組み込んだデリバリー系(オートサ
ンプラー)を通じて潜在的なリガンドに暴露する。チップ上のSPRシグナルを記
録する。屈折率の変化が、固定されたターゲットとリガンドの間の相互作用を示
している。オン・レートとオフ・レートのシグナルのキネティックスを解析する
ことにより、非特異的相互作用と特異的相互作用を区別することができる。
【0095】 また、ポリペプチドと相互作用する小分子リガンドのアッセイは、インヒビタ
ー・アッセイである。例えば、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝
子、または4036遺伝子など、植物にとって不可欠な遺伝子のインヒビターを同定
するのに役立つそうしたインヒビター・アッセイは、以下のステップを含んでい
る。
【0096】 a)植物の245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク質
、または4036タンパク質とその基質とを、このタンパク質の機能を抑制すると思
われるインヒビター候補の存在下で反応させ、 b)そのインヒビター候補が存在しているときの酵素活性の大きさと、同じ条
件でそのインヒビター候補が存在していないときの酵素活性の大きさとを比較し
、そして c)そのインヒビター候補が245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質
、3963タンパク質、または4036タンパク質を抑制するかどうかを確認する。
【0097】 例えば、植物の245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タン
パク質、または4036タンパク質に対する抑制効果は、アッセイにおいて245活性
、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性が低下するか、または完全に
抑制されることで確認することができる。このような確認は、インヒビター候補
の存在下および不在下において、反応の間に使用された基質の量、生成した中間
生成物または生成物の量を比較することによって行なうことができる。
【0098】 一実施態様では、例えばインビトロでのスクリーニングによって同定された除
草剤候補をさまざまな濃度で植物に付着させる。除草剤候補は、植物にスプレー
することが好ましい。除草剤候補を付着させた後、植物に対するその効果、例え
ば枯れたとか成長が抑制されたとかを記録する。
【0099】 別の実施態様では、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活
性を抑制するインヒビターの生体内でのスクリーニング・アッセイにおいては、
245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有するヌクレオチ
ド配列を過剰発現することのできる形質転換された植物、植物組織、植物の種子
、または植物細胞を用いる。この場合、245遺伝子産物、5283遺伝子産物、2490
遺伝子産物、3963遺伝子産物、または4036遺伝子産物は、形質転換された植物、
植物組織、植物の種子、または植物細胞で酵素活性を示す。ヌクレオチド配列は
、酵母などの真核生物に由来することが可能であるが、植物由来であることが好
ましい。別の好ましい実施態様では、ヌクレオチド配列は、配列ID番号1、配列I
D番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、または配列ID番号9に示したヌクレオチド
配列とそれぞれ同じまたは実質的に同じであるか、あるいは、それぞれ245活性
、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を有し、アミノ酸配列が、配
列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、または配列ID番号10に示
したアミノ酸配列とそれぞれ同じか実質的に同じである酵素をコードしている。
別の好ましい実施態様では、ヌクレオチド配列は、原核生物、好ましくは細菌、
例えば大腸菌に由来する。
【0100】 次に化学薬品を形質転換された植物、植物組織、植物の種子、または植物細胞
と、同質遺伝子で形質転換されていない植物、植物組織、植物の種子、または植
物細胞に付着させ、形質転換された植物、植物組織、植物の種子、または植物細
胞と形質転換されていない植物、植物組織、植物の種子、または植物細胞の成長
または成長可能性を比較して確認する。形質転換されていない植物の成長を抑制
できるが形質転換された植物の成長には影響を与えない化合物を、245活性、528
3活性、2490活性、3963活性、または4036活性を抑制する特異的インヒビターと
して選択する。
【0101】 本発明は、天然245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を
抑制する除草剤に対して耐性な植物、植物組織、植物の種子、または植物細胞も
対象としている。この場合、耐性は、変化した245活性、5283活性、2490活性、3
963活性、または4036活性によりそれぞれ与えられる。変化した245活性、5283活
性、2490活性、3963活性、または4036活性は、本発明に従って野生型の除草剤感
受性245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の発
現を増大させることにより、植物に対して与えることができる。そのためには、
例えば追加の野生型245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4
036遺伝子を提供すること、および/または、内在性の245遺伝子、5283遺伝子、
2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を例えば強力なプロモータを用いて
発現を刺激して過剰発現させることが考えられる。変化した245活性、5283活性
、2490活性、3963活性、または4036活性は、配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID
番号5、配列ID番号7、配列ID番号9と実質的に同じヌクレオチド配列またはこれ
らのホモログを植物内で発現させることによっても実現することができる。さら
に変化した245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性を植物に
与えるには、変化して除草剤に対して寛容になった245遺伝子、5283遺伝子、249
0遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子をそれぞれ植物の中で発現させる。こ
れらの方法を組み合わせることもできる。代表的な植物としては、本来の目的で
これらの除草剤を付着させるあらゆる植物が挙げられる。好ましいのは、ワタ、
ダイズ、ナタネ、サトウダイコン、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、エ
ンバク、ライムギ、モロコシ、アワ、芝生や飼葉など、農業的に重要な作物であ
る。
【0102】 発現を増加させて変化した245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4
036活性を実現することにより、植物細胞内での245活性、5283活性、2490活性、
3963活性、または4036活性のレベルが、対照の植物の正常な成長を抑制するのに
十分な量の除草剤を付着させたときに起こる成長抑制に打ち勝つのに少なくとも
十分になる。一般に、発現した酵素のレベルは、自然に発現する量の少なくとも
2倍、好ましくは少なくとも5倍、さらに好ましくは少なくとも10倍である。増加
した発現は、野生型の245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、また
は4036遺伝子の複数のコピー;遺伝子内におけるコード配列の大量発生(すなわ
ち遺伝子増幅)または植物細胞内の内在性遺伝子の非コード調節配列における突
然変異に起因する可能性がある。変化した遺伝子を有するこのような植物は、従
来から知られている方法(例えば、アメリカ合衆国特許第5,162,602号、第4,761
,373号と、その中に引用されている文献を参照のこと)を用いて植物の中から直
接に選択することにより得られる。これらの植物は、従来技術で知られている遺
伝子工学によって得ることもできる。除草剤感受性245遺伝子、5283遺伝子、249
0遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の発現増大は、植物細胞を、245タンパ
ク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク質、4036タンパク質、ま
たはこれらのホモログをコードしているホモまたはヘテロな構造遺伝子と機能上
関連した植物細胞内の付随構造遺伝子の発現を促進することのできるプロモータ
を含む組み換えDNA分子またはキメラDNA分子を用いて形質転換することによって
も実現することができる。形質転換が安定で、遺伝可能な形質転換された特徴を
提供できることが好ましい。
【0103】 この実施態様によれば、植物、植物組織、植物の種子、または植物細胞は、除
草剤に対して寛容な形態の245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3
963タンパク質、または4036タンパク質をコードしているコード配列と機能上関
連した、植物内で機能する適切なプロモータを含む組み換えDNA分子用いて安定
に形質転換する。除草剤に対して耐性な形態の酵素は、少なくとも1つのアミノ
酸の置換、付加、または欠失を持っており、それが、自然に生まれる変化してい
ない形態の酵素を抑制する除草剤に対する寛容性を与えている。次に、このよう
にして作った形質転換された植物、植物組織、植物の種子、または植物細胞を従
来からある選択法を用いて選択することにより、除草剤に対して寛容な系統を単
離し、その系統をキャラクテリゼーションし、発育させる。除草剤に対して寛容
な形態になった245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパ
ク質、または4036タンパク質をコードする遺伝子を得る方法を以下に説明する。
【0104】 一般的な1つの方法は、微生物に直接または間接に突然変異を誘発する方法で
ある。例えば、大腸菌やサッカロミセス・セレヴィジエなどの遺伝子操作が可能
な微生物の生体内で、紫外線、エチルメタンスルホン酸、メチルメタンスルホン
酸などの突然変異誘発物質を用いて、ランダムな突然変異を誘発させることがで
きる。突然変異誘発の方法は、例えば、ミラー著、『分子遺伝学における実験』
、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハ
ーバー、ニューヨーク州、1972年;デイヴィス他著、『高等細菌遺伝学』、コー
ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバー
、ニューヨーク州、1980年;シャーマン他著、『酵母遺伝学における方法』、コ
ールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバ
ー、ニューヨーク州、1983年;アメリカ合衆国特許第第4,975,374号に記載され
ている。突然変異誘発のために選択された微生物は、正常なインヒビター感受性
を有する245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子
をそれぞれ含んでおり、この遺伝子によって与えられる活性に依存する。突然変
異を起こした細胞は、変化していない遺伝子を抑制する濃度のインヒビターが存
在している条件下で成長させる。このインヒビターの存在下で突然変異を起こし
ていない微生物よりもよく成長する(すなわち、このインヒビターに対して耐性
を示す)突然変異を起こした微生物のコロニーを選択し、さらに解析を行なう。
このインヒビターに対する寛容性を与える245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子
、3963遺伝子、または4036遺伝子をクローニングまたはPCR増幅によってこのコ
ロニーから単離し、その配列を明らかにする。次に、変化した遺伝子産物をコー
ドしている配列をクローニングして微生物に戻し、インヒビター耐性を与える能
力があるかどうかを確認する。
【0105】 突然変異で除草剤に対して寛容になった植物の245遺伝子、5283遺伝子、2490
遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の対立遺伝子を得る方法としては、植物
の中から直接選択する方法がある。例えば、シロイヌナズナ、ダイズ、トウモロ
コシなどの植物の成長抑制に対して突然変異した245遺伝子、5283遺伝子、2490
遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子が及ぼす効果は、従来法で不稔にした種
子を、単純な最少塩類培地上のさまざまな濃度のインヒビターを含む複数のプレ
ートの上に置くことにより確認する。濃度は、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1
、0.3、1、3、10、30、110、300、1000、3000ppmの範囲である。有意に成長を抑
制することを繰り返し検出できる最少の濃度を用いて次の実験を行なう。最少濃
度を決定するのは従来技術におけるルーチン・ワークである。
【0106】 植物材料の突然変異誘発を利用して、選択した集団内で耐性のある対立遺伝子
が生まれる頻度を増やす。突然変異した種子材料は、化学的または物理的に突然
変異を誘発させた種子または花粉など、さまざまな供給源からのものである(ノ
イファー、『生物学的研究のためのトウモロコシ』、シェリダン編、ユニヴァー
シティ・プレス、グランド・フォークス、ノースダコタ州、61−64ページ、1982
年)。次にこれを使って植物を受精させ、得られるM1突然変異体の種子を回収す
る。シロイヌナズナに典型的だが、エチルメタンスルホン酸などの化学薬品、ま
たはγ線や高速中性子などの物理的手段によって突然変異を起こした種子から成
長させた植物の子孫の種子であるM2の種子(レーレ・シーズ社、トゥーソン、ア
リゾナ州)を、寛容性を選択するため、適切な濃度のインヒビターを含む最少塩
類培地上に10,000種子/プレート(直径10cm)までの密度で置く。植えてから7
〜21日後まで成長し続けて緑のままになっている苗を土に移植し、成熟して種子
がつくまで成長させる。これら種子の子孫に対して除草剤に対する寛容性をテス
トする。寛容性という特徴が支配的ならば、種子が3:1/耐性:感受性に分離す
る植物は、M2世代で耐性に関してヘテロであると考えられる。完全に耐性のある
種子を生む植物は、M2世代で耐性に関してホモであると考えられる。元のままの
種子に対する突然変異誘発やそのM2子孫の種子のスクリーニングは、他の種、例
えばダイズ(例えば、アメリカ合衆国特許第5,084,082号)に対して実行するこ
ともできる。また、除草剤に対する寛容性をスクリーニングする突然変異体の種
子は、化学的または物理的な手段で突然変異させた花粉を用いた受精の結果とし
ても得られる。
【0107】 除草剤寛容性の遺伝学的基礎がそれぞれ245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子
、3963遺伝子、または4036遺伝子にあることの確認は、以下のようにしてなされ
る。第1に、インヒビターに対する耐性を示す植物からの245遺伝子、5283遺伝子
、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の対立遺伝子を、配列ID番号1、
配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、または配列ID番号9に示したシロイヌ
ナズナのcDNAコード配列に基づくプライマー、あるいは耐性のある対立遺伝子を
生み出すのに用いる植物由来の変化していない245遺伝子、5283遺伝子、2490遺
伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の配列に基づくプライマー(こちらのプラ
イマーのほうが好ましい)を用いてPCRにより単離する。コード配列中に突然変
異が存在していることを確認するために対立遺伝子の配列を決定した後、その対
立遺伝子が、耐性を与えると推定される対立遺伝子が導入されて形質転換された
植物に対し、インヒビターに対する耐性を与える能力を有するかどうかをテスト
する。植物としては、シロイヌナズナでもよいし、成長が245インヒビター、528
3インヒビター、2490インヒビター、3963インヒビター、または4036インヒビタ
ーの影響を受ける他の任意の植物でもよい。第2に、挿入された245遺伝子、5283
遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を既知の制限断片長多型(
RFLP)に対してマッピングしたり(例えば、チャン他、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA、第85巻、6856−6860ページ、1988年;ナム他、Plant Cell、第1巻、699−
705ページ、1989年を参照のこと)、切断増幅多型配列(CAPS)に対してマッピ
ングしたり(コニークズニーとオースベル、The Plant Journal、第4巻(2)、4
03−410ページ、1993年)、SSLPに対してマッピングしたりする(ベルとエッカ
ー、Genomics、第19巻、137−144ページ、1994年)。245インヒビター、5283イ
ンヒビター、2490インヒビター、3963インヒビター、または4036インヒビターの
それぞれに対する耐性は、同じマーカーを用いて独立にマッピングする。寛容性
がそれぞれ245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝
子における突然変異に起因する場合には、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子
、3963遺伝子、または4036遺伝子の位置から区別できない位置に寛容性特性がマ
ッピングされる。
【0108】 245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の除草
剤寛容性対立遺伝子を得るための別の方法は、植物細胞培養物の中からの選択で
ある。胚芽、葉盤など、植物組織の外植片、または活発に成長しているカルス、
または対象とする植物の分散培養物を、抑制性除草剤、または実験室環境で使用
するのに適した同様のインヒビターをいろいろな濃度で存在させた状態にて、培
地上で成長させる。培養物ごとにさまざまな成長度が記録される。ある培養物で
は、通常ならば抑制作用のある濃度のインヒビターの存在下でも成長を続ける急
速成長変異体コロニーが発生する。このような急速成長変異体が発生する頻度は
、組織または細胞をインヒビターに暴露する前に、化学的または物理的な突然変
異誘発物質を用いて処理することによって大きくすることができる。除草剤に対
する耐性を与えると推定されている、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、396
3遺伝子、または4036遺伝子の対立遺伝子を単離し、すでに説明したようにして
テストする。次に、除草剤耐性を与えると同定された対立遺伝子を遺伝子工学に
よって発現が最適になるようにし、植物の中に入れて形質転換させる。これら対
立遺伝子を含む組織または細胞の培養物から植物を再生させることもできる。
【0109】 さらに別の方法は、野生型で除草剤感受性のある植物の245遺伝子、5283遺伝
子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を細菌または酵母の中で突然変
異させ、その微生物を、抑制作用を有する濃度の(すなわち、異常な成長を引き
起こしたり、成長を抑制したり、細胞死を引き起こしたりするのに十分な)イン
ヒビターを含む培地上で培養し、そのインヒビターの存在下で正常に成長するコ
ロニーを選択するというものである。さらに詳細には、植物のcDNA、例えば245
タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク質、または4036タ
ンパク質をコードしているシロイヌナズナのcDNAをクローニングして、245活性
、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性が欠けている微生物に入れる
。次に、形質転換された微生物に対し、従来技術で知られている化学的または酵
素的な任意の方法を用いて、生体内での突然変異、またはインビトロでの突然変
異を誘発させる。例えば、亜硫酸水素塩(ショートル他、Methods Enzymol.、第
100巻、457−468ページ、1983年)、メトキシルアミン(カドナガ他、Nucl. Aci
ds Res.、第13巻、1733−1745ページ、1985年)、オリゴヌクレオチド指向性飽
和突然変異誘発(ハッチンソン他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第83巻、710
−714ページ、1986年)、またはさまざまなポリメラーゼ取り込み誤り法(例え
ば、ショートル他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第79巻、1588−1592ページ、
1982年;シライシ他、Gene、第64巻、313−319ページ、1988年;ルング他、Tech
nique、第1巻、11−15ページ、1989年)を用いる。通常は抑制作用を有する濃度
のインヒビターの存在下で正常に成長するコロニーを取り出し、繰り返してリス
トリーキングを行なうことにより精製する。このコロニーのプラスミドを精製し
、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性の欠けた微生物に
再び入れることにより、そのプラスミドがインヒビターに対して寛容性を与える
能力を持っているかどうかをテストする。次に、このテストに合格したプラスミ
ドからのcDNA挿入体のDNA配列を決定する。
【0110】 除草剤耐性のある245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タ
ンパク質、または4036タンパク質は、インビトロでの組み換えを含む方法によっ
ても得られる。この方法は、DNAシャッフリングとも呼ばれる。DNAシャッフリン
グにより、突然変異、好ましくはランダムな突然変異が、それぞれ245活性、528
3活性、2490活性、3963活性、または4036活性をコードしているヌクレオチド配
列に導入される。DNAシャッフリングにより、それぞれ245遺伝子、5283遺伝子、
2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子それぞれの中で配列の組み換えと再
配置が起こったり、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4
036遺伝子のうちの2つまたはそれ以上の間で配列の組み換えと交換が起こったり
もする。これらの方法により、突然変異した245コード配列、5283コード配列、2
490コード配列、3963コード配列、または4036コード配列が何百万も生まれる。
突然変異した遺伝子、すなわちシャッフルされた遺伝子をスクリーニングして、
除草剤に対する耐性が改善されるなどの望ましい特性を有する突然変異や、さま
ざまなインヒビターに対する幅広い寛容性を有する突然変異を選び出す。このよ
うなスクリーニングは当業者のルーチン・ワークである。
【0111】 好ましい実施態様では、突然変異した245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子は、少なくとも1つの鋳型となる245遺伝子、5283
遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子から形成される。なお、鋳
型となる245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子
は、所望のサイズの複数の二本鎖ランダム断片に切断されている。突然変異した
245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を形成す
る方法は、以下のようなステップを含んでいる。すなわち、得られた二本鎖ラン
ダム断片の集合に対し、二本鎖ランダム断片と一致する領域と一致しない領域と
を含む、1つまたはそれ以上の一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドを付加
するステップと;その結果得られた、二本鎖ランダム断片とオリゴヌクレオチド
の混合物を変性させて一本鎖断片にするステップと;得られた一本鎖断片の集合
を、ペアの一方が他方の複製を準備するのに十分な上記の一致領域で一本鎖断片
がアニーリングすることによりアニールした断片のペアが形成されるという条件
のもとで、ポリメラーゼとともに培養し、そのことによって突然変異した二本鎖
ポリヌクレオチドが形成されるステップと;第2のステップと第3のステップを少
なくともさらに2サイクル繰り返すステップとを含んでいる。ここに、次サイク
ルの第2ステップで得られた混合物は、前サイクルの第3ステップからの突然変
異した二本鎖ポリヌクレオチドを含んでおり、その次サイクルでは、さらに突然
変異した二本鎖ポリヌクレオチドが形成され、その突然変異したポリヌクレオチ
ドが、自然に発生する245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活
性を抑制する除草剤に対する耐性が増大した突然変異した245遺伝子、5283遺伝
子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子となっている。好ましい実施態
様では、二本鎖ランダム断片の集合中の二本鎖ランダム断片の単一の種の濃度は
、全DNAの1重量%未満である。さらに好ましい別の実施態様では、鋳型となる二
本鎖ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを少なくとも約100種含んでいる。
別の好ましい実施態様では、二本鎖ランダム断片のサイズは約5bp〜5kbである。
さらに好ましい別の実施態様では、上記方法の第4ステップは、第2ステップと第
3ステップを少なくとも10サイクル繰り返す操作を含んでいる。そのような方法
は、例えば、ステンマー他、Nature、第370巻、389−391ページ、1994年;アメ
リカ合衆国特許第5,605,793号、第5,811,238号;クラメリ他、Nature、第391巻
、288−291ページ、1998年;WO 97/20078に記載されている。これら参考文献の
内容は、この明細書に参考として組み込まれている。
【0112】 別の好ましい実施態様では、2つまたはそれ以上の異なる245遺伝子の任意の組
み合わせを相補的延長プロセス(StEP)によりインビトロで突然変異させる。こ
れについては、例えば、ツァオ他、Nature Biotechnology、第16巻、258−261ペ
ージ、1998年に記載されている。2つまたはそれ以上の245遺伝子を鋳型として用
い、PCR反応の延長サイクルを伴ったPCR増幅を行なう。この反応は、ポリメラー
ゼの最適重合温度よりも低い温度で行なわせることが好ましい。同様にして、52
83遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子に対してもStEPを実施す
る。例えば、最適温度が約72℃である熱安定なポリメラーゼを使用する場合、延
長反応の温度は72℃よりも低いことが望ましく、65℃よりも低いことがさらに望
ましく、60℃よりも低いことがより好ましく、延長反応の温度は55℃であること
がさらに好ましい。さらに、PCRサイクルの延長反応を実施する時間は、従来法
におけるよりも短いことが望ましい。さらに望ましいのは30秒未満であり、15秒
未満であることがより好ましく、延長反応の時間は5秒であることがさらに好ま
しい。短いDNA断片だけが各延長反応で重合される。そのため、変性とアニーリ
ングの各サイクルが終了した後に出発材料であるDNA分子同士の間で延長産物の
鋳型の切り換えが可能になる。その結果、延長産物の多様性が生まれる。PCR反
応におけるサイクル数の最適値は、突然変異させる245遺伝子、5283遺伝子、249
0遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の長さに依存するが、40サイクルを超
えることが望ましく、60サイクルを超えることがさらに望ましく、80サイクルを
超えることがさらに好ましい。245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝
子、または4036遺伝子のすべての組み合わせについての最適の延長条件とPCRサ
イクルの最適数は、すでに説明したように従来技術で周知の方法を用いて決定す
る。PCR反応の他のパラメータは、従来技術で一般に用いられているのとほぼ同
じである。増幅反応のプライマーは、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、396
3遺伝子、または4036遺伝子の外部に位置するDNA配列、例えば、245遺伝子、528
3遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を含むベクターのDNA配列
とアニールするように設計することが好ましい。このとき、PCR反応で使用され
る245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子は、別
々のベクターに含まれていることが好ましい。プライマーは、245配列、5283配
列、2490配列、3963配列、または4036配列から500bp未満離れた位置にある配列
とアニールすることが好ましい。この距離は200bp未満であることが好ましく、2
45配列、5283配列、2490配列、3963配列、または4036配列から120bp未満離れて
いることがさらに好ましい。245配列、5283配列、2490配列、3963配列、または4
036配列は、PCR反応の間に増幅されたDNA配列に含まれている制限部位で囲まれ
ていることが好ましい。このようにして、増幅された産物を適切なベクターにク
ローニングするのを容易にする。別の好ましい実施態様では、付着末端を有する
245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の断片は
、WO 98/05765に記載してあるようにして作る。付着末端は、245遺伝子、5283遺
伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の一部に対応する第1のオリ
ゴヌクレオチドを、その遺伝子中に存在しないか、その遺伝子の第1のオリゴヌ
クレオチドに対応する部分に付加されない部分に対応する第2のオリゴヌクレオ
チドと連結させることによって作る。なお第2のオリゴヌクレオチドは、少なく
とも1つのリボヌクレオチドを含んでいる。二本鎖DNAは、第1のオリゴヌクレオ
チドを鋳型として使用し、第2のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用し
て作る。リボヌクレオチドは、切断され、除去される。リボヌクレオチドの5'に
位置するヌクレオチドも除去される。その結果、付着末端を有する二本鎖断片が
得られる。このような断片をランダムに接合し、遺伝子配列の新規な組み合わせ
を得る。
【0113】 245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子のうち
の任意のもの、または245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、また
は4036遺伝子の任意の組み合わせを用い、本発明の文脈でインビトロの組み換え
を行なう。例えば、植物由来の245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝
子、または4036遺伝子、より具体的には、シロイヌナズナの配列ID番号1、配列I
D番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、配列ID番号9に示した245遺伝子、5283遺伝
子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子、または、大腸菌由来の245様
遺伝子、5283様遺伝子、2490様遺伝子、3963様遺伝子、または4036様遺伝子(ク
レイゲン他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第82巻、3616−3620ページ、1985年
;クレイゲンとカスキー、Biochimie、第69巻、1031−1041ページ、1987年;イ
トー他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第95巻、8165−8169ページ、1998年)を
用いる。これら文献はすべて、この明細書に参考として組み込まれている。245
遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の全体または
一部を本発明の文脈で使用する。上記の方法によって得られた突然変異した245
遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子のライブラリ
をクローニングして適切な発現ベクターに入れ、その結果得られるベクターを適
切な宿主、例えばクラミドモナスなどの藻、酵母、または細菌に入れてその宿主
を形質転換する。適切な宿主は、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、ま
たは4036活性の欠けた宿主、例えば大腸菌であることが好ましい。突然変異した
245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子のライブ
ラリを含むベクターで形質転換した宿主細胞を、抑制機能を発揮する濃度のイン
ヒビターを含む培地で培養し、そのインヒビターの存在下で成長するコロニーを
選択する。通常は抑制作用を示す濃度のインヒビターの存在下で成長するコロニ
ーを取り出し、リストリーキングを繰り返して精製する。そのコロニーのプラス
ミドを精製し、このテストに合格したプラスミドからのcDNA挿入体のDNA配列を
決定する。
【0114】 インヒビターに対して寛容な変化した245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子を同定するためのアッセイを、245活性、5283活性
、2490活性、3963活性、または4036活性のインヒビターを同定するためのアッセ
イ(上記のインヒビター・アッセイ)と同様にして実施することができる。ただ
し、以下のような変更を行なう。第1に、突然変異した245タンパク質、5283タン
パク質、2490タンパク質、3963タンパク質、または4036タンパク質を、反応混合
物の1つにおいて、インヒビター・アッセイの野生型の245タンパク質、5283タン
パク質、2490タンパク質、3963タンパク質、または4036タンパク質と置換する。
第2に、野生型酵素のインヒビターが、両方の反応混合物の中に存在している。
第3に、突然変異した活性(インヒビターと突然変異した酵素の存在下での活性
)と突然変異していない活性(インヒビターと野生型酵素の存在下での活性)を
比較して、突然変異していない活性と比べたときに突然変異した活性において酵
素活性の有意な増加が観察されるかどうかを調べる。突然変異した活性は、適切
な基質とインヒビターが存在しているときの突然変異した酵素の活性の1つの指
標である。突然変異していない活性は、適切な基質とインヒビターが存在してい
るときの野生型酵素の活性の1つの指標である。
【0115】 除草剤に耐性な245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タン
パク質、または4036タンパク質をコードしている遺伝子は、除草剤に耐性な植物
を作るのに用いられる以外に、植物細胞の形質転換法における選択マーカーとし
ても使用することができる。例えば、異種DNA配列で形質転換した植物、植物組
織、植物の種子、または植物細胞も、植物が発現することのできる、変化した24
5活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性をコードしている配列
を用いて形質転換することができる。形質転換された細胞は、変化したコード配
列を発現しない植物細胞の成長または成長可能性を抑制するのに十分な量の酵素
インヒビターを含む培地に移す。この培地では、形質転換された細胞だけが成長
することになる。この方法は、変化した245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子を用いて形質転換させることのできる任意の植物
細胞に適用でき、興味の対象である任意の異種DNA配列とともに使用することが
できる。異種DNA配列と変化した遺伝子は、植物細胞内で機能する同じプロモー
タ、または別のプロモータによって発現させることができる。 X. 245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、4036遺伝子、またはその
ホモログの野生型形態または除草剤に耐性な形態は、従来から知られている組み
換えDNA技術を利用して植物細胞または細菌細胞に組み込むことができる。その
ためには、たいていの場合、従来技術で知られている標準的なクローニング法を
利用して、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝
子をコードしているDNA分子を、そのDNA分子がヘテロになっている(すなわち通
常は存在していない)発現系に挿入する。ベクターは、タンパク質をコードして
いる挿入配列を、このベクターを含む宿主細胞の中で転写、翻訳するのに必要な
エレメントを含んでいる。従来技術で知られている多数のベクター系を用いるこ
とができる。例えば、プラスミド、バクテリオファージ・ウイルス、それ以外の
変化したウイルスなどがある。発現系のエレメントは、発現を増大させるために
変化させることもできる。例えば、切断された配列、ヌクレオチドの置換、ヌク
レオチドの最適化、またはそれ以外の変化を利用することができる。従来技術で
知られている発現系を用いると、適切な条件のもとではほとんどすべての作物の
細胞を形質転換することができる。245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963
遺伝子、または4036遺伝子の野生型形態または除草剤に耐性な形態を含む異種DN
A配列は、宿主細胞のゲノムに統合されて宿主細胞を安定に形質転換することが
好ましい。別の好ましい実施態様では、245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子の野生型形態または除草剤に耐性な形態を含む異
種DNA配列は、自己複製ベクター上に位置している。自己複製ベクターの具体例
としては、ウイルス、特にジェミニ・ウイルスが挙げられる。形質転換された細
胞は、植物全体へと再生させることができる。そのとき、245遺伝子、5283遺伝
子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の選択した形態がそのトランス
ジェニック植物に除草剤耐性を与えている。
【0116】 トランスジェニック植物の中で発現させるための遺伝子配列は、植物の内部で
発現することのできる適切なプロモータのあとに続く発現カセットにまず集める
。発現カセットは、異種DNA配列の発現に必要な、あるいは異種DNA配列を発現さ
せるために選択した任意の余分な配列も含んでいてよい。そうした配列としては
、転写ターミネータ、イントロンなどの発現を増大させるための外来性配列、不
可欠な配列、遺伝子産物を特定の細胞器官や細胞区画に向けるための配列などが
挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。これら発現カセットは、以
下に説明する植物形質転換ベクターに容易に移すことができる。
【0117】 発現カセットで使用するプロモータを選択することにより、異種DNA配列が、
このDNA配列を用いて形質転換した植物の内部で空間的、時間的に発現するパタ
ーンが決まる。選択したプロモータは、特定のタイプの細胞(例えば、葉の表皮
細胞、葉肉細胞、根の皮層細胞)の中で、または特定の組織または器官(例えば
、根、葉、花)の中で異種DNA配列を発現する。選択の際には、遺伝子産物が蓄
積する所望の場所がどこであるかを考慮する。選択したプロモータは、さまざま
な誘導条件のもとで遺伝子の発現を促進することができる。プロモータは長さが
さまざまである。すなわち、転写を促進する能力がさまざまである。利用する宿
主細胞系に応じ、従来技術で知られている多数の適切なプロモータのうちの任意
の1つを用いることができる。例えば、構成的発現のためには、CaMV 35Sプロモ
ータ、イネのアクチン・プロモータ、またはユビキチン・プロモータを用いるこ
とができる。調節的発現のためには、タバコまたはシロイヌナズナからの化学的
に誘導できるPR-1プロモータを用いることができる(例えば、アメリカ合衆国特
許第5,689,044号を参照のこと)。
【0118】 さまざまな転写ターミネータを発現カセットで用いることができる。これら転
写ターミネータは、異種DNA配列の先での転写の終結とその配列の正確なポリア
デニル化に重要な役割を果たしている。適切な転写ターミネータは、植物におい
て機能することが知られている転写ターミネータであり、例えばCaMV 35Sターミ
ネータ、tmlターミネータ、ノパリン・シンターゼ・ターミネータ、エンドウのr
bcS E9ターミネータがある。これらは、単子葉植物と双子葉植物の両方で使用す
ることができる。
【0119】 多数の配列が、転写ユニットの中から遺伝子の発現を増大させることが見いだ
されている。これら配列は、本発明の遺伝子と合わせて使用してトランスジェニ
ック植物における発現を増大させることができる。例えば、トウモロコシのAdhl
遺伝子のイントロンを始めとするさまざまなイントロン配列が、特に単子葉植物
において発現を増大させることがわかっている。さらに、ウイルス由来の多数の
非翻訳リーダー配列も、発現を増大させることが知られている。こちらは、特に
双子葉植物において有効である。
【0120】 選択した遺伝子のコード配列は、興味の対象となる作物種において最適に発現
させるため、コード配列を遺伝子工学によって変えることもできる。コード配列
を変えて特定の作物種で発現を最適化するための方法は周知である(例えば、パ
ーラック他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第88巻、3324ページ、1991年;コズ
ィール他、Bio/technol.、第11巻、194ページ、1993年;フェノワとベレー−セ
ール、Nucl. Acids Res.、第21巻、5294−5300ページ、1993年を参照のこと)。
植物の遺伝子、より高等な植物、ラン藻、シアノバクテリアにおけるコドンの使
用を考慮してコード配列を変える方法は周知である(マレイ他、Nucl. Acids Re
s.、第17巻、477−498ページ、1989年の表4;キャンベルとガウリ、Plant Physi
ol.、第92巻、1−11ページ、1990年を参照のこと)。
【0121】 遺伝子産物を特定のターゲットに向けるさまざまなメカニズムが植物に存在す
ることが知られており、そうしたメカニズムの機能を制御する配列が、かなり詳
細にキャラクテリゼーションされている。例えば、遺伝子産物を葉緑体に向ける
ことは、さまざまなタンパク質のアミノ末端に見られるシグナル配列により制御
される。そのシグナル配列は、タンパク質が葉緑体に取り込まれている間に切断
されて、成熟タンパク質が生まれる(例えば、コマイ他、J. Biol. Chem.、第26
3巻、15104−15109ページ、1988年)。他の遺伝子産物は、ミトコンドリアやペ
ルオキシソームなどの他の細胞器官に局在する(例えば、アンガー他、Plant Mo
lec. Biol.、第13巻、411−418ページ、1989年)。DNA配列によってコードされ
ているヘテロな産物をこれら細胞器官に向けるため、これらの産物をコードして
いるcDNAを操作することもできる。さらに、DNA配列によってコードされている
産物を他の細胞区画に向ける配列がキャラクテリゼーションされている。アミノ
末端の配列が、産物を小胞体やアポプラストに向けることと、アリューロン細胞
からの細胞外分泌に重要な役割を果たしている(ケーラーとホー、Plant Cell、
第2巻、769−783ページ、1990年)。さらに、カルボキシ末端配列に加えてアミ
ノ末端配列も遺伝子産物を液胞に向けるのに重要な役割を担っている(シンシ他
、Plant Molec. Biol.、第14巻、357−368ページ、1990年)。上記の適切なター
ゲッティング配列を興味の対象である異種DNA配列と融合させることにより、こ
の産物を任意の細胞器官または細胞区画に向けることができる。
【0122】 植物の形質転換に利用できる形質転換用ベクターが、植物の形質転換の当業者
には多数知られている。本発明に関係する遺伝子は、そうした任意のベクターと
ともに用いることができる。ベクターの選択は、好ましい形質転換技術と形質転
換のターゲットとする種が何であるかによって異なる。ある種のターゲット種に
ついては、抗生物質または除草剤選択マーカーが好ましいであろう。形質転換に
よく用いられる選択マーカーとしては、カナマイシンとそれに関連した抗生物質
に対する耐性を与えるnptII遺伝子(メッシングとヴィエッラ、Gene、第19巻、2
59−268ページ、1982年;ベヴァン他、Nature、第304巻、184−187ページ、1983
年)、除草剤ホスフィノトリシンに対する耐性を与えるbar遺伝子(ホワイト他
、Nucl. Acids Res.、第18巻、1062ページ、1990年;スペンサー他、Theor. App
l. Genet.、第79巻、625−631ページ、1990年)、抗生物質ハイグロマイシンに
対する耐性を与えるhph遺伝子(ブロッホリンガーとディッゲルマン、Mol. Cell
Biol.、第4巻、2929−2931ページ、1984年)、メトトレキセートに対する耐性
を与えるdhfr遺伝子(ブルーイ他、EMBO J.、第2巻(7)、1099−1104ページ、1
983年)、グリフォセートに対する耐性を与えるEPSPS遺伝子(アメリカ合衆国特
許第4,940,935号、第5,188,642号)がある。
【0123】 アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用
いた形質転換には多数のベクターが利用できる。そうしたベクターは、たいてい
少なくとも1つのT-DNA境界配列を備えており、pBIN19(ベヴァン、Nucl. Acids
Res.、第12巻、8711−8721ページ、1984年)などのベクターを含んでいる。アグ
ロバクテリウムによる形質転換に適した代表的なベクターは、pCIB200とpCIB200
1というバイナリー・ベクターと、pCIB10とそのハイグロマイシン選択誘導体と
いうバイナリー・ベクターを含んでいる(例えば、アメリカ合衆国特許第5,639,
949号を参照のこと)。
【0124】 アグロバクテリウム・ツメファシエンスを用いない形質転換では、選択した形
質転換用ベクター中にT-DNA配列を必要とせず、したがってこれら配列が欠けた
ベクターを、T-DNA配列を含む上記のベクターに加えて使用することができる。
アグロバクテリウムを用いない形質転換法としては、粒子打ち込みによる形質転
換、プロトプラストの取り込み(例えばPEGや電気穿孔)、微量注入などがある
。ベクターの選択は、形質転換された種にとって好ましい選択が何であるかに大
いに依存する。アグロバクテリウムを用いない形質転換に適した代表的なベクタ
ーとしては、pCIB3064、pSOG19、pSOG35などが挙げられる(例えば、アメリカ合
衆国特許第5,639,949号を参照のこと)。
【0125】 興味の対象であるコード配列が発現系にクローニングされると、それによって
植物細胞が形質転換される。植物の形質転換法と再生法は、当業者には周知であ
る。例えば、Tiプラスミド・ベクターが、外来性DNAのデリバリーのほか、DNAの
直接的な取り込み、リポソーム、電気穿孔、微量注入、微量打ち込みに用いられ
ている。さらに、アグロバクテリウム属の細菌も植物細胞を形質転換するのに用
いることができる。
【0126】 双子葉植物を形質転換する方法は当業者には周知であり、アグロバクテリウム
に基づいた方法と、アグロバクテリウムを必要としない方法がある。アグロバク
テリウムを必要としない方法には、プロトプラストまたは細胞に外来性遺伝子材
料を直接取り込む操作が含まれる。これは、PEGまたは電気穿孔を媒介とした取
り込み、粒子打ち込みを媒介としたデリバリー、または微量注入によって実現す
ることができる。それぞれの場合、形質転換された細胞は、従来技術で周知の方
法によって植物体全体へと再生される。
【0127】 大部分の単子葉植物種の形質転換は、現在ではルーチン・ワークになっている
。好ましい方法としては、PEGまたは電気穿孔を利用した方法を用いてプロトプ
ラストに遺伝子を直接移す方法、カルス細胞に粒子を打ち込む方法、アグロバク
テリウムを媒介とした形質転換などがある。
【0128】 別の好ましい実施態様では、コプロポルフィリノーゲン・オキシダーゼ活性を
有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を用いて色素体ゲノムを
直接に形質転換する。色素体での発現では、遺伝子が相同組み換えによって各植
物細胞に何千と存在している環状色素体ゲノムのコピーの中に挿入されるため、
核で発現する遺伝子と比べてコピーの数がはるかに多いという利点がある。した
がって植物の全可溶性タンパク質の10%を簡単に超えるレベルで発現させること
ができる。好ましい実施態様では、ヌクレオチド配列は色素体をターゲットとす
るベクターに挿入され、所望の植物宿主の色素体ゲノムが形質転換される。ヌク
レオチド配列を含む色素体ゲノムに関してホモプラスミーになっている植物が得
られる。この植物は、ヌクレオチド配列を高度に発現させうることが好ましい。
【0129】 色素体を形質転換する方法は、例えば、アメリカ合衆国特許第5,451,513号、
第5,545,817号、第5,545,818号、第5,877,462号、PCT出願WO 95/16783とWO 97/3
2977、マクブライド他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第91巻、7301−7305ペー
ジ、1994年に詳しく記載されている。これらはすべて、この明細書にその全体が
参考として組み込まれている。色素体形質転換の基本的な方法には、バイオリス
ティックスまたはプロトプラスト形質転換(例えば、塩化カルシウムまたはPEG
を媒介とした形質転換)を利用して、ターゲットとする適切な組織に、選択マー
カーと隣接するクローニングされた色素体DNAの領域を、ヌクレオチド配列とと
もに導入する操作が含まれる。ターゲッティング配列と名づける1〜1.5kbのフラ
ンキング領域により、色素体ゲノムとの相同組み換えが容易になり、したがって
色素体ゲノムの特定の領域を置換したり変化させたりすることができる。最初は
、スペクチノマイシンおよび/またはストレプトマイシンに対する耐性を与える
葉緑体の16S rRNAとrps12遺伝子における点突然変異を形質転換の選択マーカー
として利用する(スヴァブ, Z.、ハジュキーヴィッツ, P.、マリガ, P.、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA、第87巻、8526−8530ページ、1990年;スタウブ, J.M.と
マリガ, P.、Plant Cell、第4巻、39−45ページ、1992年)。これらマーカー同
士の間にクローニング部位が存在しているため、外来遺伝子を導入するための色
素体ターゲッティング・ベクターを作ることができた(スタウブ, J.M.とマリガ
, P.、EMBO J.、第12巻、601−606ページ、1993年)。形質転換の頻度の実質的
な増加は、劣性rRNAまたはr-タンパク質抗生物質耐性遺伝子を、有力な選択マー
カーである、スペクチノマイシン解毒酵素アミノグリコシド-3'-アデニルトラン
スフェラーゼをコードするaadA遺伝子で置換することにより得られる(スヴァブ
, Z.とマリガ, P.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、913−917ページ、19
93年)。色素体の形質転換に役立つ他の選択マーカーも従来技術で知られており
、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0130】 野生型または変化した形態の本発明の245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子を用いて、裸子植物、単子葉植物、双子葉植物の
植物細胞を含む多彩な植物細胞に除草剤に対する寛容性を与えることができる。
これら幅広い綱の任意の植物細胞に遺伝子を挿入できるとはいえ、作物植物の細
胞に遺伝子を挿入するのが特に有効である。作物植物としては、例えば、イネ、
コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイ
モ、サトウダイコン、マメ、エンドウ、チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワ
ー、ブロッコリ、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニ
ンニク、ナス、コショウ、セロリ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、
ナシ、マルメロ、メロン、プラム、サクランボ、モモ、ネクタリン、アプリコッ
ト、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、クロイチゴ、パイナップル、アボカド、パパ
イヤ、マンゴ、バナナ、ダイズ、タバコ、トマト、モロコシ、サトウキビが挙げ
られる。
【0131】 野生型の245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝
子の高度な発現および/または除草剤に対する寛容性を植物に与える245遺伝子
、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の除草剤寛容形態の
発現と、生産ならびに品質にとって重要な他の特性は、育種法および従来技術に
おける方法で植物系統に組み込むことができる。
【0132】 作物植物の中から、または作物植物を再生させることのできる作物植物細胞培
養物の中から直接選択することによって除草剤耐性のある245遺伝子、5283遺伝
子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子の対立遺伝子を得ることができ
るのであれば、伝統的な育種法を利用してその対立遺伝子を市販されている多彩
な植物に入れ、除草剤に対して寛容な作物を開発する。その場合、対立遺伝子を
遺伝子工学によって操作したりその対立遺伝子を植物に入れて形質転換したりす
る必要はない。
【0133】 本発明を、以下の詳しい実施例を参照してさらに説明する。これらの実施例は
、単なる例示であり、特別の記載がない限りは本発明を限定することを意図して
はいない。
【0134】 実施例 本明細書で用いる標準的な組み換えDNA技術および分子クローニング技術は当
業者には周知であり、サムブルック他編、『分子クローニング』、コールド・ス
プリング・ハーバー・ラボラトリー出版、コールド・スプリング・ハーバー、ニ
ューヨーク州、1989年;T.J. シルヘイヴィー、M.L. バーマン、L.W. エンクイ
スト、『遺伝子融合を利用した実験』、コールド・スプリング・ハーバー・ラボ
ラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1984年;オース
ベル, F.M.他、『分子生物学における最新のプロトコル』、グリーン出版協会と
ワイリー-インターサイエンス社、1987年;ライター他、『シロイヌナズナ研究
における方法』、ワールド・サイエンティフィック出版、1992年;シュルツ他、
『植物の分子生物学マニュアル』、クルワー・アカデミック出版、1998年に記載
されている。これら参考文献には、T-DNAで突然変異誘発したシロイヌナズナの
集団からの遺伝子にタグを付けてクローニングすること;植物への感染および植
物の形質転換;突然変異体を同定するためのスクリーニング;プラスミド・レス
キューといったあらゆるステップで用いられる標準的な方法が記載されている。
実施例1:T-DNAで突然変異誘発したシロイヌナズナの集団からのタグ付き苗致死
系統#245の配列解析 プラスミド・レスキュー法を用いて、T-DNAによる突然変異誘発の結果としてT
-DNA挿入体の一方または両方の側に隣接することになったシロイヌナズナのゲノ
ムDNAを分子クローニングする。このようにして得られたプラスミドを制限酵素
で消化させて解析し、プラスミドをその消化パターンに基づいて分類する。プラ
スミド・クローンの各クラスについてDNA配列を決定する。得られた配列に非T-D
NAベクター配列が存在しているかどうかを解析する。プラスミド・レスキュー・
プロトコルによって回収したプラスミドの配列を、slp346forプライマー(配列I
D番号11)を用いて決定する。slp346forプライマーは、T-DNAの左側の境界にじ
かに隣接するフランキング配列に関する情報を提供する。プラスミド・レスキュ
ーは、245の突然変異に関するホモ接合体に由来するゲノムDNAのPCRによって確
認する。このPCR実験では、予測されるフランキング配列にアンカーしたプライ
マーと(T-DNA挿入体にアンカーした)slp346forプライマーを用いる。プラスミ
ドが救出されたクローンの配列に基づいて予測されるサイズのPCR産物が見つか
ると、プラスミド・レスキューが有効であったことが確認される。slp346forプ
ライマーから得られる配列を用い、ヌクレオチド配列データベースにおいてBLAS
Tx検索を行なう(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−410ページ
、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402ページ、
1997年)。BLAST検索の結果は、回収した植物のフランキング配列が、多数の原
核細胞のペプチド放出因子2というタンパク質と非常によく似ていることを示し
ている。BLAST検索の結果は、T-DNAの挿入が、最初に同定された植物に由来する
ペプチド放出因子2のORFに起こったことを示唆している。ペプチド放出因子の配
列と類似した配列を含むDNA断片は、ポリメラーゼ連鎖反応を利用してシロイヌ
ナズナのゲノムDNAを増幅することによって単離する。この断片を用い、λYESベ
クター中のシロイヌナズナのcDNAライブラリを調べる(エレッジ他、Proc. Natl
. Acad. Sci. USA、第88巻、1731−1735ページ、1991年)。プラスの反応を示し
たファージ・クローンを単離し、標準的な分子生物学の方法を利用してキャラク
タリゼーションを行なう。得られたcDNAクローンをファージから切断し、ヌクレ
オチド配列を決定する。DNAの配列を配列ID番号1に示す。推定されるアミノ酸配
列を、ヌクレオチド配列データベースに対してBLASTx探索を行なうことにより解
析する(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−410ページ、1990年
;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402ページ、1997年)
。BLAST探索の結果は、回収された245のcDNAが、真核生物のペプチド放出因子の
同じ集団と配列が類似していることを示している。 実施例2:T-DNAで突然変異誘発したシロイヌナズナの集団からのタグ付き苗致死
系統#5283の配列解析 プラスミド・レスキュー法を用いて、T-DNAによる突然変異誘発の結果としてT
-DNA挿入体の一方または両方の側に隣接することになったシロイヌナズナのゲノ
ムDNAを分子クローニングする。このようにして得られたプラスミドを制限酵素
で消化させて解析し、プラスミドをその消化パターンに基づいて分類する。プラ
スミド・クローンの各クラスについてDNA配列を決定する。得られた配列に非T-D
NAベクター配列が存在しているかどうかを解析する。プラスミド・レスキュー・
プロトコルによって回収したプラスミドの配列を、slp346forプライマー(配列I
D番号11)を用いて決定する。slp346forプライマーは、T-DNAの左側の境界にじ
かに隣接するフランキング配列に関する情報を提供する。プラスミド・レスキュ
ーは、5283の突然変異に関するヘテロ接合体に由来するゲノムDNAのPCRによって
確認する。このPCR実験では、予測されるフランキング配列にアンカーしたプラ
イマーと(T-DNA挿入体にアンカーした)slp328プライマー(配列ID番号15)を
用いる。プラスミドが救出されたクローンの配列に基づいて予測されるサイズの
PCR産物が見つかると、プラスミド・レスキューが有効であったことが確認され
る。
【0135】 slp346forプライマーから得られる配列を用い、ヌクレオチド配列データベー
スにおいてBLASTn検索を行なう(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、
403−410ページ、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389
−3402ページ、1997年)。BLAST検索の結果は、回収された配列が、シロイヌナ
ズナの第1染色体に位置するゲノムDNA、BAC T13D8(ジーンバンク(Genbank)登
録番号AC004473)と等しいことを示している。BAC T13D8配列の中のヌクレオチ
ド#32,964〜32,987(5'-aaacgcttaccatatctctttcta-3')の逆相補体であるプラ
イマーLW60(配列ID番号16)を設計し、T-DNA挿入体の下流配列を決定するのに
使用する。この実験により、右側の境界の接合が同定される。ゲノムDNA中でT-D
NAが挿入された領域は、BAC T13D8配列の塩基#32,879〜#32,885を含んでいる。
したがって、6塩基が欠失することになる。この挿入は、BAC T13D8上でサッカロ
ミセス・セレヴィジエのSIK1Pタンパク質(ジーンバンク登録番号U20237)と似
たタンパク質をコードしている配列よりも90ヌクレオチド上流で起こる。BAC T1
3D8配列の塩基#33,025〜#34,338を含むDNA断片は、ポリメラーゼ連鎖反応を利用
してシロイヌナズナのゲノムDNAを増幅することによって単離する。この断片を
用いて、IYESベクター中のシロイヌナズナのcDNAライブラリを調べる(エレッジ
他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第88巻、1731−1735ページ、1991年)。プラ
スの反応を示したファージ・クローンを単離し、標準的な分子生物学の方法を利
用してキャラクタリゼーションを行なう。得られたcDNAクローンをファージから
切断し、ヌクレオチド配列を決定する。1つの完全長クローンを同定する。推定
されるアミノ酸配列を、ヌクレオチド配列データベースに対してtBLASTn探索を
行なうことにより解析する(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403
−410ページ、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3
402ページ、1997年)。BLAST探索の結果は、回収された5283のcDNA配列が、シロ
イヌナズナの第1染色体に位置するゲノム配列BAC T13D8に由来することを示して
いる。cDNA配列のイントロン/エキソンの境界は、シロイヌナズナのSIK1Pホモ
ログ(ジーンバンク登録番号AC004473)に関して予測されている境界と同じであ
る。ただし、以下の点が異なっている。5283のcDNAに対するイニシエータ・コド
ンは、塩基#32,975〜#32,977によってコードされ、その直後の塩基#32,978〜#33
,199の位置にイントロンが続いている。 実施例3:T-DNAで突然変異誘発したシロイヌナズナの集団からのタグ付き苗致死
系統#2490の配列解析 プラスミド・レスキュー法を用いて、T-DNAによる突然変異誘発の結果としてT
-DNA挿入体の一方または両方の側に隣接することになったシロイヌナズナのゲノ
ムDNAを分子クローニングする。このようにして得られたプラスミドを制限酵素
で消化させて解析し、プラスミドをその消化パターンに基づいて分類する。プラ
スミド・クローンの各クラスについてDNA配列を決定する。得られた配列に非T-D
NAベクター配列が存在しているかどうかを解析する。プラスミド・レスキュー・
プロトコルによって回収したプラスミドの配列を、slp346forプライマー(5'-GC
GGACATCTACATTTTTGA-3':配列ID番号11)を用いて決定する。slp346forプライマ
ーは、T-DNAの左側の境界にじかに隣接するフランキング配列に関する情報を提
供する。T-DNA挿入体の両端のクローンは、T-DNAの左側の境界を含むプラスミド
として回収される。プラスミド・レスキューは、2490の突然変異に関してヘテロ
接合の植物に由来するゲノムDNAと、野生型2490遺伝子に関してホモ接合の植物
に由来するゲノムDNAとをサザン・ブロット解析で比較することによって確認す
る。サザン・ブロットを行なうためのプローブは、slp369プライマー(5'-CAGAC
CACAATACCTTCAAAAATA-3':配列ID番号22)とslp370プライマー(5'-CCATTGTGTCT
CCCTCCCGCTGTT-3':配列ID番号23)を用いて生成させたPCR産物から調製する。
付加されたBamH1断片が2490ヘテロ接合体中に見つかると、プラスミド・レスキ
ューが有効であったことが確認される。
【0136】 上記のクローンから得られる配列を用い、ヌクレオチド配列データベースにお
いてBLASTn検索を行なう(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−4
10ページ、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402
ページ、1997年)。BLAST検索の結果は、回収した配列が、シロイヌナズナの染
色体5P1クローンMTG13(ジーンバンク#AB008270)に由来するゲノムDNAと同じで
あることを示している。ジーンバンクESTデータベースに対するBLASTn検索を、
ゲノムDNAで挿入が起こった領域について行なったところ、144K24(144K24 T7(
ジーンバンク#T76608)と、144K24XP(ジーンバンク#AA404903))とGBGF153(5
'末端(ジーンバンク#F15182)と、3'末端(ジーンバンク#F15181))という2つ
のESTの末端部に由来する4つの配列が同定される。144K24 ESTの完全な配列を決
定する。この配列は、2490遺伝子のオープン・リーディング・フレーム(ORF)
の全体をコードしている。このESTに関するBLAST解析の結果は、2490タンパク質
がアブラナ(Brassica napus)のToc36タンパク質と配列が似ていることを示し
ている(ジーンバンク#X79091;コー他、The Journal of Biological Chem.、第
270巻、28601−28608ページ、1995年;ウー他、The Journal of Biological Che
m.、第269巻、32264−32271ページ、1994年;パン他、The Journal of Biologic
al Chem.、第272巻、25623−25627ページ、1997年)。Toc36タンパク質は、bce4
4B、Com44、Cim44とも呼ばれる。2490のORFを含むゲノムDNAはこれまで正確には
わかっていなかったため、発明者は、正確なORFの実験的証明と2490遺伝子の配
列類似性を提供する最初の研究者である。 実施例4:T-DNAで突然変異誘発したシロイヌナズナの集団からのタグ付き苗致死
系統#3963の配列解析 プラスミド・レスキュー法を用いて、T-DNAによる突然変異誘発の結果としてT
-DNA挿入体の一方または両方の側に隣接することになったシロイヌナズナのゲノ
ムDNAを分子クローニングする。このようにして得られたプラスミドを制限酵素
で消化させて解析し、プラスミドをその消化パターンに基づいて分類する。プラ
スミド・クローンの各クラスについてDNA配列を決定する。得られた配列に非T-D
NAベクター配列が存在しているかどうかを解析する。プラスミド・レスキュー・
プロトコルによって回収したプラスミドの配列を、-21プライマー(5'-TGTAAAAC
GACGGCCAGT-3';配列ID番号25)を用いて決定する。-21プライマーは、T-DNAの
右側の境界にじかに隣接するフランキング配列に関する情報を提供する。プラス
ミド・レスキューは、3963の突然変異に関するヘテロ接合体に由来するゲノムDN
AのPCRによって確認する。このPCR実験では、予測されるフランキング配列にア
ンカーしたプライマーと(T-DNA挿入体にアンカーした)-21プライマーを用いる
。プラスミドが救出されたクローンの配列に基づいて予測されるサイズのPCR産
物が見つかると、プラスミド・レスキューが有効であったことが確認される。-2
1プライマーから得られる配列を用い、ヌクレオチド配列データベースにおいてB
LASTn検索を行なう(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−410ペ
ージ、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402ペー
ジ、1997年)。BLAST検索の結果は、回収した植物のフランキング配列が、第5染
色体上のP1クローンMDK4に対するゲノム配列(ジーンバンク登録番号AB010695)
と100%一致していることを示している。T-DNAの挿入は、P1クローンMDK4配列の
塩基#36,342の位置、すなわちMDK4.6と同定された遺伝子中で起こった。回収し
たフランキング配列に対してtBLASTX解析を行なうと、サッカロミセス・セレヴ
ィジエのDNA修復タンパク質であるMre11p(ジーンバンク登録番号U60829)と配
列が類似していることがわかる。シロイヌナズナの3963タンパク質の一部をコー
ドしている断片は、ポリメラーゼ連鎖反応を利用してシロイヌナズナのゲノムDN
Aを増幅することにより単離する。この断片を用い、λYESベクター中のシロイヌ
ナズナのcDNAライブラリを調べる(エレッジ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、
第88巻、1731−1735ページ、1991年)。プラスの反応を示したファージ・クロー
ンを単離し、標準的な分子生物学の方法を利用してキャラクタリゼーションを行
なう。得られたcDNAクローンをファージから切断し、ヌクレオチド配列を決定す
る。1つのcDNAクローンを同定する。DNAの配列を配列ID番号7に示す。推定され
るアミノ酸配列を、ヌクレオチド配列データベースに対してBLASTx探索を行なう
ことにより解析する(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−410ペ
ージ、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402ペー
ジ、1997年)。BLAST探索の結果は、回収された3963のcDNAが、多数のDNA修復タ
ンパク質と配列が類似していることを示している。類似しているのは、例えば、
スキゾサッカロミセス・ポンベに由来するRad32p(ジーンバンク登録番号Q09683
);ホモ・サピエンスに由来するhMre11(ジーンバンク登録番号U37359);サッ
カロミセス・セレヴィジエに由来するMre11p(ジーンバンク登録番号U60829)で
ある。3963のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を含むゲノムDNAはこれ
まで正確にはわかっていなかったため、発明者は、3963遺伝子の正確なORFを実
験的に証明した最初の研究者である。従来知られていたエキソン/イントロンの
境界は、35662−35817、36015−36172、36315−36405、36528−36647、36728−3
6796、36865−36956、37045−37147、37247−37354、37476−37538、37785−378
62、38060−38122、38211−38271、38753−38835、38979−39092、39468−39766
、39879−40002、40161−40370である。この明細書に開示したcDNA断片に対応す
るエキソン/イントロンの境界は、失われた5'末端(初めてわかった塩基は3614
7の位置)、36147−36172、36315−36405、36528−36647、36728−36796、36865
−36956、37045−37147、37247−37354、37476−37538、37610−37681、37785−
39092、39212−39290、39377−39445、39532−39776、39879−40002、40161−40
363、40478−40508(終止コドンは40509から始まる)である。 実施例5:T-DNAで突然変異誘発したシロイヌナズナの集団からのタグ付き苗致死
系統#4036の配列解析 プラスミド・レスキュー法を用いて、T-DNAによる突然変異誘発の結果としてT
-DNA挿入体の一方または両方の側に隣接することになったシロイヌナズナのゲノ
ムDNAを分子クローニングする。このようにして得られたプラスミドを制限酵素
で消化させて解析し、プラスミドをその消化パターンに基づいて分類する。プラ
スミド・クローンの各クラスについてDNA配列を決定する。得られた配列に非T-D
NAベクター配列が存在しているかどうかを解析する。プラスミド・レスキュー・
プロトコルによって回収したプラスミドの配列を、slp346プライマー(5'-GCGGA
CATCTACATTTTTGA-3':配列ID番号11)を用いて決定する。slp346forプライマー
は、T-DNAの左側の境界にじかに隣接するフランキング配列に関する情報を提供
する。プラスミド・レスキューは、挿入による4036の突然変異に関するヘテロ接
合体に由来する鋳型ゲノムDNAのPCRによって確認する。このPCR実験では、予測
されるフランキング配列にアンカーしたプライマーと(T-DNA挿入体にアンカー
した)slp328プライマー(5'-ACCTTAGGCGACTTTTGAAC-3';配列ID番号15;T-DNA
挿入体にアンカーしている)を用いる。プラスミドが救出されたクローンの配列
に基づいて予測されるサイズのPCR産物が見つかると、プラスミド・レスキュー
が有効であったことが確認される。
【0137】 上記のクローンから得られる配列を用い、ヌクレオチド配列データベースにお
いてBLASTn検索を行なう(アルトシュール他、J. Mol. Biol.、第215巻、403−4
10ページ、1990年;アルトシュール他、Nucl. Acids Res.、第25巻、3389−3402
ページ、1997年)。BLAST検索の結果は、植物のフランキング配列が、シロイヌ
ナズナの第5染色体のP1 MQB2(ジーンバンク#AB009053)について公開されてい
るゲノム配列と100%一致していることを示している。T-DNAの挿入は、P1クロー
ンの塩基31,380の位置で起こり、MQB2.6と同定された遺伝子を中断している。中
断されたオープン・リーディング・フレーム(ORF)によってコードされている
タンパク質は、多数の生物に由来する1-デオキシ-D-キシルロース 5-リン酸レダ
クトイソメラーゼと類似している。多数の生物とは、シネコシスティス・sp.(
スイス−プロットQ55663)、枯草菌(スイス−プロットO31753)、大腸菌(スイ
ス−プロットP45568)(タカハシ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第95巻、98
79−9884ページ、1998年)などである。ORFを含むゲノム領域は、Web GeneMark
ソフトウエア(ボロドフスキー, M.とムクルニンチ, J.、Computer & Chemistry
、第17巻、123−133ページ、1993年)を用いて再び明らかにされた。次に、予測
されるORFの5'末端と3'末端に対するプライマーを設計し、鋳型としてpFL61シロ
イヌナズナcDNAライブラリ(ミネ他、Plant J.、第2巻、417−422ページ、1992
年)に由来するDNAを用いてPCRを実施する。得られたPCR産物を、TAを連結して
クローニングし(オリジナルTAクローニング・キット、インヴィトロジェン社)
、配列を決定する。4036ORFを含むゲノムDNAにおいては、従来はエキソン/イン
トロンの境界に関して正確にはわかっていなかったため、発明者は、4036遺伝子
の正確なORFを実験的に証明した最初の研究者である。従来知られていたエキソ
ン/イントロンの境界は、33490..33356、31293..31207、30971..30846、30780.
.30718、30622..30473、30345..30288、30194..30083、29996..29892、29805..2
9684、29394..29248、29162..28997である。本発明の配列においては、塩基3192
8がcDNAの開始コドンの最初の塩基であり、塩基28996がcDNAの終止コドンの最初
の塩基である。開始コドンを含むエキソンの3'末端は31836であり、終止コドン
を含むエキソンの5'末端は29161である。この明細書に開示したcDNAの内部エキ
ソン/イントロンの境界は、31640..31448、31294..31202、30965..30843、3077
7..30722、30636..30473、30355..30287、30193..30082、29995..29891、29804.
.29684、29394..29247である。 実施例6a:大腸菌における組み換え245タンパク質の発現 配列ID番号1のcDNAクローンに対応するタンパク質のコード領域をサブクロー
ニングしてすでに説明した発現ベクターに組み込み、製造者の条件に従って大腸
菌を形質転換する。発現ベクターの具体例としては、pBluescript(ストラタジ
ーン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)、pFLAG(インターナショナル・バイ
オテクノロジーズ社、ニュー・ヘイヴン、コネチカット州)、pTrcHis(インヴ
ィトロジェン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)といったプラスミドがある。
大腸菌を培養し、245活性の発現を確認する。245活性を与えるタンパク質を標準
的な方法で単離する。 実施例6b:大腸菌における組み換え5283タンパク質の発現 配列ID番号3のcDNAクローンに対応するタンパク質のコード領域をサブクロー
ニングしてすでに説明した発現ベクターに組み込み、製造者の条件に従って大腸
菌を形質転換する。発現ベクターの具体例としては、pBluescript(ストラタジ
ーン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)、pFLAG(インターナショナル・バイ
オテクノロジーズ社、ニュー・ヘイヴン、コネチカット州)、pTrcHis(インヴ
ィトロジェン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)といったプラスミドがある。
大腸菌を培養し、5283活性の発現を確認する。5283活性を与えるタンパク質を標
準的な方法で単離する。 実施例6c:大腸菌における組み換え2490タンパク質の発現 配列ID番号5のcDNAクローンに対応するタンパク質のコード領域をサブクロー
ニングしてすでに説明した発現ベクターに組み込み、製造者の条件に従って大腸
菌を形質転換する。発現ベクターの具体例としては、pBluescript(ストラタジ
ーン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)、pFLAG(インターナショナル・バイ
オテクノロジーズ社、ニュー・ヘイヴン、コネチカット州)、pTrcHis(インヴ
ィトロジェン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)といったプラスミドがある。
大腸菌を培養し、2490活性の発現を確認する。2490活性を与えるタンパク質を標
準的な方法で単離する。 実施例6d:大腸菌における組み換え3963タンパク質の発現 配列ID番号7のcDNAクローンに対応するタンパク質のコード領域をサブクロー
ニングしてすでに説明した発現ベクターに組み込み、製造者の条件に従って大腸
菌を形質転換する。発現ベクターの具体例としては、pBluescript(ストラタジ
ーン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)、pFLAG(インターナショナル・バイ
オテクノロジーズ社、ニュー・ヘイヴン、コネチカット州)、pTrcHis(インヴ
ィトロジェン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)といったプラスミドがある。
大腸菌を培養し、3963活性の発現を確認する。3963活性を与えるタンパク質を標
準的な方法で単離する。 実施例6e:大腸菌における組み換え4036タンパク質の発現 配列ID番号9のcDNAクローンに対応するタンパク質のコード領域をサブクロー
ニングしてすでに説明した発現ベクターに組み込み、製造者の条件に従って大腸
菌を形質転換する。発現ベクターの具体例としては、pBluescript(ストラタジ
ーン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)、pFLAG(インターナショナル・バイ
オテクノロジーズ社、ニュー・ヘイヴン、コネチカット州)、pTrcHis(インヴ
ィトロジェン社、ラ・ジョラ、カリフォルニア州)といったプラスミドがある。
大腸菌を培養し、4036活性の発現を確認する。4036活性を与えるタンパク質を標
準的な方法で単離する。 実施例7:DNAシャッフリングによるインビトロでの245、5283、2490、3963、ま
たは4036遺伝子の組み換え 配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、又は配列ID番号9の
ヌクレオチド配列をそれぞれPCRで増幅する。得られたDNA断片をDNアーゼIで処
理して消化させ(ステンマー他、PNAS、第91巻、10747−10751ページ、1994年に
要点が記載されている)、反応混合物からPCRプライマーを除去する。プライマ
ーなしでPCR反応を行なわせ、その後にプライマーを用いてPCR反応を行なわせる
(どちらの反応に関しても、ステンマー他、PNAS、第91巻、10747−10751ページ
、1994年に記載されている)。得られたDNA断片をクローニングしてpTRC99a(フ
ァルマシア社、カタログ番号27-5007-01)に入れて細菌で使用するか、pESCベク
ター(ストラタジーン社のカタログ)に入れて酵母で使用するかし、Biorad Gen
e Pulserを製造会社が定めた条件で使用して電気穿孔することにより、それぞれ
245活性、5283活性、2490活性、3963活性、または4036活性の欠けた細菌株また
は酵母株に形質転換する。形質転換された細菌または酵母を、245活性、5283活
性、2490活性、3963活性、または4036活性を抑制するインヒビターが抑制機能を
発揮する濃度で含まれる培地で成長させ、このインヒビターの存在下で成長する
コロニーを選択する。普通ならば抑制機能を発揮する濃度のインヒビターが存在
している状態で成長するコロニーを採取し、リストリーキングを繰り返すことに
よって精製する。コロニーのプラスミドを精製し、このテストに合格したプラス
ミドに由来するcDNA挿入体のDNA配列を決定する。
【0138】 同様の反応において、タンパク質をコードしているシロイヌナズナの245遺伝
子、5283遺伝子、2490遺伝子、3963遺伝子、または4036遺伝子を含むDNA断片をP
CRで増幅したものと、大腸菌に由来する245遺伝子、5283遺伝子、2490遺伝子、3
963遺伝子、または4036遺伝子を含むDNA断片をPCRで増幅したものとをインビト
ロで再度結合させ、その結果得られる、インヒビターに対する耐性が改善された
変異体を上記のようにして回収する。 実施例8a:相補的延長プロセス(Staggered Extension Process)によるインビ
トロでの245遺伝子の組み換え シロイヌナズナの245タンパク質をコードしている245遺伝子と大腸菌の245遺
伝子をそれぞれクローニングしてpBluescriptベクターのポリリンカーに組み込
む。“逆プライマー”と“M13 -20プライマー”(ストラタジーン社のカタログ
)を用いてPCR反応を行なわせる(要点は、ツァオ他、Nature Biotechnology、
第16巻、258−261ページ、1998年に記載されている)。増幅したPCR断片を適切
な制限酵素で消化させ、クローニングしてpTRC99aに組み込み、突然変異した245
遺伝子を実施例7に記載したようにしてスクリーニングする。 実施例8b:相補的延長プロセスによるインビトロでの5283遺伝子の組み換え シロイヌナズナの5283タンパク質をコードしている5283遺伝子と大腸菌の5283
遺伝子をそれぞれクローニングしてpBluescriptベクターのポリリンカーに組み
込む。“逆プライマー”と“M13 -20プライマー”(ストラタジーン社のカタロ
グ)を用いてPCR反応を行なわせる(要点は、ツァオ他、Nature Biotechnology
、第16巻、258−261ページ、1998年に記載されている)。増幅したPCR断片を適
切な制限酵素で消化させ、クローニングしてpTRC99aに組み込み、突然変異した5
283遺伝子を実施例7に記載したようにしてスクリーニングする。 実施例8c:相補的延長プロセスによるインビトロでの2490遺伝子の組み換え シロイヌナズナの2490タンパク質をコードしている2490遺伝子と大腸菌の2490
遺伝子をそれぞれクローニングしてpBluescriptベクターのポリリンカーに組み
込む。“逆プライマー”と“M13 -20プライマー”(ストラタジーン社のカタロ
グ)を用いてPCR反応を行なわせる(要点は、ツァオ他、Nature Biotechnology
、第16巻、258−261ページ、1998年に記載されている)。増幅したPCR断片を適
切な制限酵素で消化させ、クローニングしてpTRC99aに組み込み、突然変異した2
490遺伝子を実施例7に記載したようにしてスクリーニングする。 実施例8d:相補的延長プロセスによるインビトロでの3963遺伝子の組み換え シロイヌナズナの3963タンパク質をコードしている3963遺伝子と大腸菌の3963
遺伝子をそれぞれクローニングしてpBluescriptベクターのポリリンカーに組み
込む。“逆プライマー”と“M13 -20プライマー”(ストラタジーン社のカタロ
グ)を用いてPCR反応を行なわせる(要点は、ツァオ他、Nature Biotechnology
、第16巻、258−261ページ、1998年に記載されている)。増幅したPCR断片を適
切な制限酵素で消化させ、クローニングしてpTRC99aに組み込み、突然変異した3
963遺伝子を実施例7に記載したようにしてスクリーニングする。 実施例8e:相補的延長プロセスによるインビトロでの4036遺伝子の組み換え シロイヌナズナの4036タンパク質をコードしている4036遺伝子と大腸菌の4036
遺伝子をそれぞれクローニングしてpBluescriptベクターのポリリンカーに組み
込む。“逆プライマー”と“M13 -20プライマー”(ストラタジーン社のカタロ
グ)を用いてPCR反応を行なわせる(要点は、ツァオ他、Nature Biotechnology
、第16巻、258−261ページ、1998年に記載されている)。増幅したPCR断片を適
切な制限酵素で消化させ、クローニングしてpTRC99aに組み込み、突然変異した4
036遺伝子を実施例7に記載したようにしてスクリーニングする。 実施例9:インビトロでの結合アッセイ 組み換えた245タンパク質、5283タンパク質、2490タンパク質、3963タンパク
質、または4036タンパク質を、例えば、それぞれ実施例6a、6b、6c、6d、6eに従
って得る。このタンパク質を、従来技術で周知の方法により、リガンド結合アッ
セイを行なうのに適したチップ上に固定する。チップ上に固定されたタンパク質
を、従来技術で周知の方法に従って溶液中のサンプル化合物に暴露する。固定さ
れたタンパク質とサンプル化合物が接触している間に、タンパク質−リガンド相
互作用を検出することが可能な測定を行なう。このような測定の具体例としては
、すでに説明したSELDI、バイアコア、FCSが挙げられる。タンパク質と結合する
ことがわかった化合物はこのようにして容易に発見されるので、続けてキャラク
テリゼーションを行なう。
【0139】 上記の実施態様は具体例を示したものである。本発明をこのように開示したこ
とにより、当業者は、本発明のさまざまな変形例を考えることができよう。明白
で予測可能なそうした変形例はすべて、添付の請求の範囲に含まれるものとする
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/02 G01N 33/50 Z G01N 33/15 33/566 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A (31)優先権主張番号 09/244,288 (32)優先日 平成11年2月3日(1999.2.3) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 09/252,336 (32)優先日 平成11年2月18日(1999.2.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 09/281,376 (32)優先日 平成11年3月30日(1999.3.30) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 バドジスジュースキ,グレゴリー ジョセ フ アメリカ合衆国,ノースカロライナ 27705,ダーハム,イングルウッド アベ ニュ 2016 (72)発明者 ポッター ルイス,シャロン リー アメリカ合衆国,ノースカロライナ 27613,ローリー,ウィスパーリング ブ ランチ ロード 3837 (72)発明者 ウェグリッチ グローバー,リン アメリカ合衆国,カリフォルニア 95118, サン ホセ,エスカバー レーン 5446 Fターム(参考) 2B030 AB04 AD05 CA15 CA17 CA19 2G045 AA31 AA35 BB20 CB20 DA13 4B024 AA08 AA11 BA80 CA04 DA01 DA02 DA06 DA12 EA04 GA11 HA01 4B063 QA05 QQ09 QQ13 QQ20 QQ21 QQ91 QR48 QR78 QR80 QS24 4B065 AA26X AA72X AA88X AA90X AB01 AC14 BA02 CA24 CA53

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及
    び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列と実質的に
    同じヌクレオチド配列を含む、単離されたDNA分子。
  2. 【請求項2】 前記配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配
    列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか1つの
    配列と実質的に等しいアミノ酸配列をコードしていることを特徴とする、請求項
    1に記載のDNA分子。
  3. 【請求項3】 前記配列が、配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配
    列ID番号7、及び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの
    配列であることを特徴とする、請求項1に記載のDNA分子。
  4. 【請求項4】 前記配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配
    列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか1つの
    アミノ酸配列をコードしていることを特徴とする、請求項1に記載のDNA分子。
  5. 【請求項5】 前記ヌクレオチド配列が、植物のヌクレオチド配列であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のDNA分子。
  6. 【請求項6】 前記植物が、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)であ
    ることを特徴とする、請求項5に記載のDNA分子。
  7. 【請求項7】 前記タンパク質が、245活性、5283活性、2490活性、3963活
    性、及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を有す
    ることを特徴とする、請求項1に記載のDNA分子。
  8. 【請求項8】 配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及
    び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列と実質的に
    同じヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含むアミノ酸配列。
  9. 【請求項9】 配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及
    び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列によってコ
    ードされたアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項8に記載のアミノ酸配
    列。
  10. 【請求項10】 配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、配列ID番号8、
    及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列と実質
    的に等しいアミノ酸配列を含むアミノ酸配列。
  11. 【請求項11】 前記配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、
    配列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか1つ
    の配列であることを特徴とする、請求項10に記載のアミノ酸配列。
  12. 【請求項12】 前記タンパク質が、245活性、5283活性、2490活性、3963
    活性、及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を有
    することを特徴とする、請求項8に記載のアミノ酸配列。
  13. 【請求項13】 配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、
    及び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列によって
    コードされたアミノ酸配列の中の連続した少なくとも20個のアミノ酸残基を含む
    アミノ酸配列。
  14. 【請求項14】 前記配列が、配列ID番号2、配列ID番号4、配列ID番号6、
    配列ID番号8、及び配列ID番号10からなるグループの中から選択したいずれか1つ
    のアミノ酸配列の中の連続した少なくとも20個のアミノ酸残基を含むアミノ酸配
    列。
  15. 【請求項15】 請求項1のDNA分子と作用可能に連結されたプロモータを含
    む発現カセット。
  16. 【請求項16】 請求項15の発現カセットを含む組み換えベクターであって
    、このベクターが、宿主細胞を安定に形質転換できることを特徴とするベクター
  17. 【請求項17】 請求項15の発現カセットを含む宿主細胞であって、上記ヌ
    クレオチド配列がこの細胞内で発現可能であることを特徴とする宿主細胞。
  18. 【請求項18】 前記宿主細胞が、真核細胞であることを特徴とする、請求
    項17に記載の宿主細胞。
  19. 【請求項19】 前記宿主細胞を、昆虫細胞、酵母細胞、及び植物細胞から
    なるグループの中から選択することを特徴とする、請求項17に記載の宿主細胞。
  20. 【請求項20】 前記宿主細胞が、原核細胞であることを特徴とする、請求
    項17に記載の宿主細胞。
  21. 【請求項21】 前記宿主細胞が、細菌細胞であることを特徴とする、請求
    項17に記載の宿主細胞。
  22. 【請求項22】 請求項19の植物細胞を含む植物または種子。
  23. 【請求項23】 前記植物が、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、
    及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制する
    インヒビターに対して耐性であることを特徴とする、請求項22に記載の植物。
  24. 【請求項24】 前記植物が、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、
    及び4036活性からなるグループの中から選択した変化した活性を有する遺伝子産
    物をコードするヌクレオチド配列を作る方法であって、 a)請求項1のヌクレオチド配列をシャッフルし、 b)その結果得られた、シャッフルされたヌクレオチド配列を発現させ、 c)上記の変化していないヌクレオチド配列の遺伝子産物の245活性、5283活性
    、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグループの中から選択した活性と
    比較して、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグ
    ループの中から変化した活性を選択するということを含む方法。
  25. 【請求項25】 前記ヌクレオチド配列が、配列ID番号1、配列ID番号3、配
    列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9からなるグループの中から選択した
    いずれか1つの配列であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 請求項24の方法で得ることができる、シャッフルされたDN
    A分子。
  27. 【請求項27】 請求項24の方法で生成される、シャッフルされたDNA分子
  28. 【請求項28】 請求項24の方法で得られるシャッフルされたDNA分子であ
    って、このシャッフルされたDNA分子が、245活性、5283活性、2490活性、3963活
    性、及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制
    するインヒビターに対する耐性が増大した遺伝子産物をコードしていることを特
    徴とする、シャッフルされたDNA分子。
  29. 【請求項29】 請求項26のヌクレオチド配列と作用可能に連結されたプロ
    モータを含む発現カセット。
  30. 【請求項30】 請求項29の発現カセットを含む組み換えベクターであって
    、このベクターが、宿主細胞を安定に形質転換できることを特徴とするベクター
  31. 【請求項31】 請求項29の発現カセットを含む宿主細胞であって、上記ヌ
    クレオチド配列がこの細胞内で発現可能であることを特徴とする宿主細胞。
  32. 【請求項32】 前記宿主細胞が、真核細胞であることを特徴とする、請求
    項31に記載の宿主細胞。
  33. 【請求項33】 前記宿主細胞を、昆虫細胞、酵母細胞、及び植物細胞から
    なるグループの中から選択することを特徴とする、請求項31に記載の宿主細胞。
  34. 【請求項34】 前記宿主細胞が、原核細胞であることを特徴とする、請求
    項31に記載の宿主細胞。
  35. 【請求項35】 前記宿主細胞が、細菌細胞であることを特徴とする、請求
    項31に記載の宿主細胞。
  36. 【請求項36】 請求項33の植物細胞を含む植物または種子。
  37. 【請求項37】 前記植物が、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、
    及び4036活性からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制する
    インヒビターに対して耐性であることを特徴とする、請求項36に記載の植物。
  38. 【請求項38】 配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、
    及び配列ID番号9からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列によって
    コードされたタンパク質と相互作用する化合物を選択する方法であって、 a)配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9
    からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列、または配列ID番号1、配
    列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9からなるグループの中
    から選択したいずれか1つの配列と実質的に同じ配列を含むDNA分子を発現させて
    対応するタンパク質を産生させ、 b)ステップa)で発現したタンパク質と相互作用する能力を有すると疑われる
    化合物をテストし、 c)ステップb)のタンパク質と相互作用する化合物を選択する、 を含む方法。
  39. 【請求項39】 245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性
    からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制するインヒビター
    を同定する方法であって、 a)配列ID番号1、配列ID番号3、配列ID番号5、配列ID番号7、及び配列ID番号9
    からなるグループの中から選択したいずれか1つのヌクレオチド配列を含むとと
    もに、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性からなるグルー
    プの中から選択したいずれか1つの活性を有するDNA分子、あるいはこれらヌクレ
    オチド配列と実質的に同じヌクレオチド配列またはそのホモログを含むDNA分子
    を植物細胞の中に導入し、その配列を野生型の発現レベルよりも高いレベルで機
    能発現させ、 b)この植物細胞を、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び4036活性
    からなるグループの中から選択したいずれか1つの活性を抑制する能力をテスト
    する化合物と、そのような抑制を実現する条件下で併合し、 c)ステップb)の条件下で植物細胞の成長を測定し、 d)その植物細胞の成長を、245活性、5283活性、2490活性、3963活性、及び40
    36活性からなるグループの中から選択した変化していない活性を有する植物細胞
    の成長と同一の条件下で比較し、そして e)ステップd)で植物細胞の成長を抑制した化合物を選択する、 を含む方法。
  40. 【請求項40】 請求項39の方法で同定可能な除草活性を有する化合物。
  41. 【請求項41】 除草活性を有する化合物を同定する方法であって、 a)請求項8のタンパク質と、このタンパク質と相互作用する能力をテストする
    化合物とを、相互作用を実現する条件下で併合し、 b)ステップa)で同定した、上記タンパク質と相互作用することが可能な化合
    物を選択し、 c)ステップb)で同定した化合物を、除草活性をテストするために植物に付着
    させ、そして d)除草活性を有する化合物を選択する、 を含む方法。
  42. 【請求項42】 請求項41の方法で同定可能な除草活性を有する化合物。
  43. 【請求項43】 植物の成長を抑制する方法であって、この植物に、請求項
    8のアミノ酸配列の活性を抑制する化合物を、この植物の成長を抑制するのに十
    分な量付着させることを特徴とする方法。
  44. 【請求項44】 前記化合物が、請求項39の方法で同定可能な除草活性を有
    する化合物であることを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  45. 【請求項45】 作物を改良する方法であって、請求項23の植物または種子
    と請求項37の植物または種子からなるグループの中ら選択した、除草剤に対して
    耐性な植物または種子に対し、請求項38の方法、請求項39の方法、請求項41の方
    法からなるグループの中から選択した方法で同定可能な除草活性を有する化合物
    を、除草剤に対して耐性なその植物または種子の成長を有意に抑制することなく
    、望ましからぬ植物の成長を抑制する量だけ付着させる操作を含む方法。
  46. 【請求項46】 配列ID番号11、配列ID番号12、配列ID番号13、配列ID番号
    14、配列ID番号15、配列ID番号16、配列ID番号17、配列ID番号18、配列ID番号19
    、配列ID番号20、配列ID番号21、配列ID番号22、配列ID番号23、配列ID番号24、
    配列ID番号25、配列ID番号26、配列ID番号27、配列ID番号28、及び配列ID番号29
    からなるグループの中から選択したいずれか1つの配列と実質的に同じヌクレオ
    チド配列を含むDNA分子。
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