JP2002518054A - アラビドプシスタリアナ(Arabidopsisthaliana)からのAIRシンセターゼを用いた殺草化合物のスクリーニング方法 - Google Patents

アラビドプシスタリアナ(Arabidopsisthaliana)からのAIRシンセターゼを用いた殺草化合物のスクリーニング方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、AIRシンセターゼ活性を有する組換えで製造した酵素を用いて、殺草活性について化学品をスクリーンニングする方法および、それによって、望まない草木の成長を抑制するための殺草化合物を同定するために使用することを開示する。さらに、本発明は、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を用いて、植物、植物組織、植物種子および植物細胞における殺草剤耐性の開発方法ならびにそのようなトランスジェニック植物を作物畑での雑草の成長を選択的に抑制するのに使用する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、新規プリン生合成に関連する酵素である5'-ホスホリボシル-5-アミ
ノイミダゾール(AIR)シンセターゼの酵素活性を阻害する殺草化合物のスクリー
ニング方法に関する。本発明はまた、それによって同定される殺草剤化合物を、
望まない草木の成長を制御するために使用することに関する。本発明はまた、植
物、植物組織、植物の種子および植物細胞における殺草剤耐性の開発に適用する
ことができる。
【0002】 AIRシンセターゼは、新規プリン生合成経路における酵素的段階であり、プリ
ンヌクレオチドであるIMP、AMPおよびGMPの合成に至る。新規プリン生合成は、
窒素同化経路において中心的役割を演じ、細菌、酵母、ハエ(Drosophila)および
哺乳動物の間で維持されている(シュノール(Schnorr)ら、(1994) The Plant Jo
urnal, 6: 113-121)。AIRシンセターゼの酵素活性は経路の第5工程に対応し、
5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジン(FGAM)の5'-ホスホリボシル-5-
アミノイミダゾール(AIR)への転化を触媒する。大腸菌(E. coli)では、この工程
は、purM遺伝子によってコードされたタンパク質によって行われる。最近、AIR
シンセターゼ活性を有する酵素をコードするアラビドプシス(Arabidopsis)のc-D
NAがクローン化され、その配列が決定された(セネコフ(Senecoff)およびミーガ
ー(Meagher)(1993) Plant Physiol. 102: 387-399;シュノール(Schnorr)ら、(1
994) The Plant Journal, 6: 113-121)。
【0003】 望ましくない草木、例えば作物畑の雑草を制御するために殺草剤を使用するこ
とは、ほとんど一般的な実施になってきた。殺草剤市場は年間150億ドルを超え
る。この広い使用にもかかわらず、雑草の制御は、農家にとって重大でかつ費用
のかかる問題を残す。 殺草剤の効果的な使用は、堅実な経営を必要とする。例えば、施用の時間およ
び方法ならびに雑草植物の成長段階が、殺草剤で雑草を良好に制御するために重
大である。種々の雑草種が殺草剤に抵抗性であるので、効果的な新しい殺草剤の
製造がますます重要になってきている。ここで、組換えDNA技術を行う高処理量
スクリーンを用いて、新規な殺草剤を見出すことができる。植物の成長および発
達に不可欠であるとわかった代謝酵素が、標準の分子生物学的技術によって組換
えにより製造され、酵素活性の新規な阻害剤のためのスクリーンにおいて殺草剤
標的として使用されることができる。したがって、そのようなスクリーンによっ
て見出された新規な阻害剤は、望ましくない草木を制御するために殺草剤として
使用することができる。
【0004】 より大きい効能、より広い雑草スペクトルおよび土中でのより速い分解を示す
殺草剤はまた、不運なことに、より大きい作物への植物毒性を有し得る。この問
題に適用される1つの解決は、殺草剤に抵抗性または耐性である作物を開発する
ことであった。殺草剤に耐性の作物のハイブリッドまたは変種は、作物への損傷
という付随する危険なしに雑草を殺すために殺草剤を使用することを可能にする
。耐性の開発は、殺草剤への作物の感受性の故にその使用が前には除外されるか
または(例えば発芽前の使用に)制限されていた作物への殺草剤の適用を可能に
することができる。例えば、米国特許第4,761,373号(アンダーソン(Anderson)
らによる)は、種々のイミダゾリノンまたはスルホンアミド殺草剤に抵抗性の植
物に関する。抵抗性は、変えられたアセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)酵素に
より付与される。米国特許第4,975,374号(グッドマン(Goodman)らによる)は、
グルタミンシンセターゼ(GS)を阻害することが知られている殺草剤、例えばホス
フィノトリシンおよびメチオニンスルホキシイミンによる阻害に抵抗性の変異体
グルタミンシンセターゼ(GS)をコードする遺伝子を含む植物細胞および植物に関
する。米国特許第5,013,659号(ベドブルック(Bedbrook)らによる)は、植物を
、スルホニル尿素殺草剤による阻害に抵抗性にする変異体アセトラクテートシン
ターゼを発現する植物に関する。米国特許第5,162,602号(ソマーズ(Somers)ら
による)は、シクロヘキサンジオンおよびアリールオキシフェノキシプロパン酸
殺草剤による阻害に耐性の植物を開示する。耐性は、変えられたアセチル補酵素
Aカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)により付与される。
【0005】 本発明の1つの目的は、新しいまたは改善された殺草剤を同定するための方法
を提供することである。本発明の別の目的は、雑草のような植物の成長を抑制す
るために、そのような新しいまたは改善された殺草剤を用いる方法を提供するこ
とである。本発明のなお別の目的は、そのような新しいまたは改善された殺草剤
に耐性である、改善された作物植物を提供することである。
【0006】 内因性遺伝子の発現の不活化を可能にするアンチセンス確認系(antisense val
idation system)を用いて、本発明者らは、5'-ホスホリボシル-5-アミノイミダ
ゾール(AIR)シンセターゼ活性が植物において不可欠であることを証明した。こ
のことは、植物においてAIRシンセターゼを阻害する化学品が植物に有害な効果
を有するようであり、もしかすると良好な殺草剤候補であることを暗示する。本
発明はしたがって、その阻害剤を同定するために、精製AIRシンセターゼを用い
る方法を提供し、これは次に、例えば作物、特に作物学的に重要な作物、例えば
メイズ(maize)および他の穀類作物、例えば小麦、オーツ、ライ、モロコシ属(so
rghum)、コメ、大麦、雑穀(millet)、芝生および飼草等ならびに綿、サトウキビ
、テンサイ、脂肪種子用ナタネおよび大豆が成育する畑において、望まない草木
の成長を抑制するために殺草剤として使用することができる。
【0007】 本発明は初めて、アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼ遺伝子の正
しいヌクレオチド配列を開示する。プレタンパク質をコードするヌクレオチド配
列は、SEQ ID NO:1で示され、推定の成熟タンパク質をコードするヌクレオチド
配列は、SEQ ID NO:3で示される。アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセター
ゼプレタンパク質の正しいアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2で示され、推定の成熟
アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼの正しいアミノ酸配列は、SEQ I
D NO:4で示される。本発明はまた、AIRシンセターゼ活性を有し、SEQ ID NO:2ま
たはSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と同じかまたは実質的に同様のアミノ
酸配列を含む、分離された酵素を包含する。好ましくは、アミノ酸配列は植物に
由来する。
【0008】 本発明はまた、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列をコー
ドするヌクレオチド配列を含む、分離された核酸分子を包含する。好ましくは、
ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3である。別の実施態様にお
いては、ヌクレオチド配列は、NRRL受入番号B-21976として指定された大腸菌(E.
coli)株DH5apASMに受託されている。本発明はまた、本発明の核酸分子に操作可
能に結合された非相同のプロモーター配列を含むキメラ遺伝子;そのようなキメ
ラ遺伝子を含む組換えベクター;およびそのようなキメラ遺伝子を含む宿主細胞
を包含する。好ましくは、宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞または植物細胞であ
る。本発明はまた、本発明の植物細胞を含む植物およびそのような植物からの種
子を包含する。
【0009】 好ましい実施態様においては、本発明は、植物の成長または生存能力を阻害す
る能力を有する化学品を同定する方法を記載し、この方法は、(a)第1の反応
混合物中のAIRシンセターゼ活性を有する酵素とAIRシンセターゼの基質とを、酵
素がAIRの合成を触媒することができる条件下で合わせること;(b)第2の反
応混合物中の試験されるべき化学品および酵素と、AIRシンセターゼの基質とを
、第1の反応混合物におけるのと同じ条件下で同じ時間合わせること;(c)第
1および第2の反応混合物における酵素の活性を測定し、比較することを含み、
ここで、第2の反応混合物における酵素活性が、第1の反応混合物におけるより
少ない、望ましくは有意に少ないことは、(b)の化学品が植物の成長または生
存能力を阻害する能力を有することを示す。好ましい実施態様においては、AIR
シンセターゼの基質は5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジン(FGAM)で
あり、さらに好ましい実施態様においては、AIRシンセターゼの基質はb-FGAMで
ある。別の好ましい実施態様においては、AIRシンセターゼ活性を有する酵素は
植物由来であり、より好ましくは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示されるヌ
クレオチド配列と同じかまたは実質的に同様のヌクレオチド配列によってコード
される。別の実施態様においては、AIRシンセターゼ酵素は、SEQ ID NO:2または
SEQ ID NO:4のアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列によっ
てコードされる。なお別の実施態様においては、AIRシンセターゼ酵素は、SEQ I
D NO:2またはSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と同じかまたは実質的に同様
のアミノ酸配列を有する。別の好ましい実施態様においては、化学品は、植物中
のAIRシンセターゼの活性を阻害することによって植物の成長または生存能力を
阻害することができる。なお別の好ましい実施態様においては、酵素の活性は、
反応混合物中に生成されるAIRを測定することによって決定される。別の好まし
い実施態様においては、酵素の活性は、反応混合物中のATPから誘導されたADPを
測定することによって決定される。
【0010】 別の好ましい実施態様においては、本発明は、植物の成長または生存能力を阻
害する能力を有する化学品を同定する方法を記載し、この方法は、(a)第1の
反応混合物中の5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジン(FGAM)シンセタ
ーゼ活性を有する酵素およびAIRシンセターゼ活性を有する酵素と、FGAMシンセ
ターゼの基質とを、酵素がAIRの連結合成を触媒することができる条件下で合わ
せること;(b)第2の反応混合物中の試験されるべき化学品および酵素と、FG
AMシンセターゼの基質とを、第1の反応混合物におけるのと同じ条件下で同じ時
間合わせること;ならびに(c)第1および第2の反応混合物におけるAIRシン
セターゼ活性を有する酵素の活性を測定し、比較することを含み、ここで、第2
の反応混合物におけるAIRシンセターゼ酵素活性が、第1の反応混合物における
より少ない、好ましくは有意に少ないことは、(b)の化学品が植物の成長また
は生存能力を阻害する能力を有することを示す。好ましい実施態様においては、
FGAMシンセターゼの基質は、5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミド(FGA
R)であり、さらに好ましい実施態様においては、FGAMシンセターゼの基質はb-FG
ARである。別の好ましい実施態様においては、AIRシンセターゼ活性を有する酵
素は植物由来であり、より好ましくは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示され
るヌクレオチド配列と同じかまたは実質的に同様のヌクレオチド配列によってコ
ードされる。別の実施態様においては、AIRシンセターゼ酵素は、SEQ ID NO:2ま
たはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列に
よってコードされる。なお別の実施態様においては、AIRシンセターゼ酵素は、S
EQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と同じかまたは実質的に
同様のアミノ酸配列を有する。別の好ましい実施態様においては、化学品は、植
物中のAIRシンセターゼの活性を阻害することによって植物の成長または生存能
力を阻害することができる。なお別の好ましい実施態様においては、酵素の活性
は、反応混合物中に生成されるAIRを測定することによって決定される。別の好
ましい実施態様においては、酵素の活性は、反応混合物中のATPから誘導されたA
DPを測定することによって決定される。
【0011】 本発明はまたさらにアッセイを記載し、このアッセイは、(a)第1の反応混
合物中の5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジン(FGAM)シンセターゼ活
性を有する酵素およびAIRシンセターゼ活性を有する酵素と、FGAMシンセターゼ
の基質とを、酵素がAIRの連結合成を触媒することができる条件下で合わせるこ
と;(b)第2の反応混合物中の化学品および酵素と、FGAMシンセターゼの基質
とを、第1の反応混合物におけるのと同じ条件下で同じ時間合わせること;なら
びに(c)第1および第2の反応混合物におけるAIRシンセターゼ活性を有する
酵素の活性を測定することからなる工程を含み、ここで、第2の反応混合物にお
けるAIRシンセターゼ活性を有する酵素の活性が、第1の反応混合物におけるAIR
シンセターゼ活性を有する酵素の活性より少ない、望ましくは有意に少ないなら
、化学品は、AIRシンセターゼ活性を有する酵素の活性を阻害することができる
。好ましい実施態様においては、FGAMシンセターゼの基質は、5'-ホスホリボシ
ル-N-ホルミルグリシンアミド(FGAR)であり、さらに好ましい実施態様において
は、FGAMシンセターゼの基質はb-FGARである。なお別の好ましい実施態様におい
ては、酵素の活性は、反応混合物中に生成されるAIRを測定することによって決
定される。別の好ましい実施態様においては、反応混合物はATPを含み、酵素の
活性は、反応混合物中のATPから誘導されたADPを測定することによって決定され
る。
【0012】 別の好ましい実施態様においては、本発明は、植物におけるAIRシンセターゼ
活性を阻害する殺草活性を有する化学品を同定する方法を記載し、この方法は、
(a)AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする分離されたヌクレオチド
配列を含み、かつ酵素的に活性なAIRシンセターゼを過剰発現(overexpress)する
ことができる、トランスジェニック植物、植物組織、植物種子または植物細胞を
得ること;(b)試験されるべき化学品を、トランスジェニック植物、植物の細
胞、組織または部分に施用し、かつ同系の形質転換されていない植物、植物細胞
、組織または部分に施用すること;(c)化学品の施用後に、トランスジェニッ
クおよび形質転換されていない、植物、植物の細胞、組織の成長または生存能力
を測定すること;ならびに(d)化学品の施用後に、トランスジェニックおよび
形質転換されていない、植物、植物の細胞、組織の成長または生存能力を比較す
ることを含み、ここで、同系のトランスジェニック植物、植物の細胞、組織また
は部分の成長または生存能力を有意に抑制することなしに、非トランスジェニッ
ク植物、植物の細胞、組織または部分の成長または生存能力を抑制することは、
(b)の化学品が、植物においてAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤活性を
有することを示す。望ましくは、化学品は、同系のトランスジェニック植物、植
物の細胞、組織または部分の成長または生存能力を有意に抑制することなしに、
非トランスジェニック植物、植物の細胞、組織または部分の成長または生存能力
を抑制する。好ましい実施態様においては、AIRシンセターゼ活性を有する酵素
は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示されるヌクレオチド配列と同じかまたは
実質的に同様のヌクレオチド配列によってコードされる。別の実施態様において
は、AIRシンセターゼ酵素は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列を
コードすることができるヌクレオチド配列によってコードされる。なお別の実施
態様においては、AIRシンセターゼ酵素は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4で示
されるアミノ酸配列と同じかまたは実質的に同様のアミノ酸配列を有する。
【0013】 本発明はさらに、修飾されたAIRシンセターゼ活性を有し、したがって天然に
生じるAIRシンセターゼ活性に対して普通に阻害する濃度での殺草剤による阻害
に耐性である、植物、植物組織、植物種子および植物細胞を包含する。本発明に
包含される殺草剤耐性植物は、普通に阻害する殺草剤について潜在的標的である
もの、特に上記した作物学的に重要な作物を含む。この実施態様に従えば、植物
、植物組織、植物種子または植物細胞は、野生型の修飾されていないAIRシンセ
ターゼの活性を普通に阻害する濃度での殺草剤による阻害に耐性である修飾され
たAIRシンセターゼをコードするヌクレオチドコード配列に操作可能に結合され
た、植物において適当なプロモーター機能を含む組換えDNA分子で形質転換され
、好ましくは安定に形質転換される。修飾されたAIRシンセターゼ活性はまた、
野生型AIRシンセターゼ遺伝子の多重コピーを植物に与えることによる野生型の
殺草剤感受性AIRシンセターゼの発現を増加することによって、または野生型よ
り強い(stronger-than-wild-type)プロモーターの制御下で野生型AIRシンセター
ゼ遺伝子を超過発現することによって、植物に付与されることができる。かくし
て作られたトランスジェニック植物、植物組織、植物種子または植物細胞はした
がって、慣用の選択技術によって選択され、それによって、殺草剤耐性の系統が
分離され、特性決定され、発生される。あるいは、殺草剤耐性系統を生成するた
めに、無作為もしくは部位特異的な変異誘発を使用することができる。
【0014】 したがって、本発明は、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする植物
から分離されたヌクレオチド配列を含むDNA分子で形質転換された植物、植物細
胞、植物種子または植物組織を提供し、ここで、酵素はAIRシンセターゼ活性を
有し、DNA分子は、天然に生じるAIRシンセターゼ活性を普通に阻害する量での殺
草剤に対する耐性を、植物、植物細胞、植物種子または植物組織に付与する。こ
の実施態様の1つの例にしたがって、AIRシンセターゼ活性を有する酵素は、SEQ
ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示されるヌクレオチド配列と同じかまたは実質的
に同様のヌクレオチド配列によってコードされるか、またはSEQ ID NO:2またはS
EQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と同じかまたは実質的に同様のアミノ酸配列
を有する。
【0015】 本発明はまた、植物において天然に生じるAIRシンセターゼ活性を阻害する化
学品を植物に施用することからなる工程を含む、植物の成長を抑制する方法を提
供する。関連する態様において、本発明は、植えられた作物種子または植物の作
物を含む畑において雑草の成長を選択的に抑制するための方法に関し、この方法
は、(a)天然に生じるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に耐性の植物ま
たは植物種子である、殺草剤耐性の作物または作物種子を植えること;および(
b)畑の作物または作物種子および雑草に、天然に生じるAIRシンセターゼ活性
を阻害する量で殺草剤を施用することからなる工程を含み、ここで、殺草剤は、
作物の成長を有意に抑制することなしに、雑草の成長を抑制する。
【0016】 本発明はさらに、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする鋳型DNA分子
から、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする変異誘発されたDNA分子を
形成する方法であって、該鋳型DNA分子が、二重鎖無作為(double-stranded-rand
om)断片に切断されている方法を提供し、この方法は、(a)得られる二重鎖無
作為断片の個体群に少なくとも1つの単鎖もしくは二重鎖のオリゴヌクレオチド
を添加し、該オリゴヌクレオチドは、鋳型DNA分子と同一の領域および非相同の
領域を含むこと;(b)二重鎖無作為断片およびオリゴヌクレオチドの得られる
混合物を、単鎖分子へと変性すること;(c)得られる単鎖分子の個体群をポリ
メラーゼと共に、アニールした断片の対を形成するために該同一の領域で該単鎖
分子のアニーリングをもたらす条件下でインキュベートし、該同一の領域は、対
のうちの1つが他の複製を開始し、それによって、変異誘発された二重鎖ポリヌ
クレオチドを形成するのに十分であること;(d)第2および第3の工程を少な
くともさらに2サイクル繰り返すことからなる工程を含み、ここで、さらなるサ
イクルの第2工程において得られる混合物は、前のサイクルの第3工程からの変
異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを含み、かつ、さらなるサイクルは、さら
なる変異誘発二重鎖ヌクレオチドを形成し、変異誘発された二重鎖ポリヌクレオ
チドは、鋳型DNA分子によりコードされるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤
に対する高められた耐性を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする。上記の方
法によって得られるAIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする変異誘発さ
れたDNA分子がまた提供され、該変異誘発されたDNA分子は、該鋳型DNA分子によ
りコードされるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に対する高められた耐性
を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする。
【0017】 本発明はまた、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも2
つの非同一鋳型DNA分子からAIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする変異
誘発されたDNA分子を形成する方法を提供し、この方法は、(a)鋳型DNA分子に
、鋳型DNA分子のそれぞれと同一の領域を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオ
チドを添加すること;(b)得られる混合物を単鎖分子へと変性すること;(c
)得られる単鎖分子の個体群をポリメラーゼと共に、オリゴヌクレオチドの鋳型
DNA分子へのアニーリングをもたらす条件下でインキュベートし、ポリメラーゼ
による重合の条件は、鋳型DNA分子の一部に対応する重合生成物が得られるよう
な条件であること;(d)第2および第3の工程を少なくともさらに2サイクル
繰り返すことからなる工程を含み、第3工程で得られる伸長生成物は、次のサイ
クルでの重合のために鋳型DNA分子をスイッチすることができ、それによって、
異なる鋳型DNA分子から誘導される配列を含む変異誘発された二重鎖ポリヌクレ
オチドを形成し、変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドは、鋳型DNA分子によ
りコードされるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に対する高められた耐性
を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする。上記の方法によって得られるAIRシ
ンセターゼ活性を有する酵素をコードする変異誘発されたDNA分子がまた提供さ
れ、該変異誘発されたDNA分子は、該鋳型DNA分子によりコードされるAIRシンセ
ターゼ活性を阻害する殺草剤に対する高められた耐性を有するAIRシンセターゼ
酵素をコードする。
【0018】 好ましくは、上記の2つの方法のいずれかにしたがえば、少なくとも1つの鋳
型DNA分子は真核生物に由来する。より好ましくは、該真核生物は植物である。
なおさらに好ましくは、該植物は、アラビドプシス タリアナ(Arabidopsis tha
liana)である。最も好ましくは、鋳型DNA分子の該種は、SEQ ID NO:1またはSEQ
ID NO:3と同一であるかまたは実質的に同様である。上記の2つの方法のいずれ
かの別の実施態様においては、少なくとも1つの鋳型DNA分子は原核生物に由来
する。
【0019】 本発明の他の目的および利点は、以下の本発明の記載および限定しない実施例
の検討から、当業者に明らかになろう。 明瞭にするために、本明細書において使用したある種の用語は、以下のように
定義され、示される: 活性化可能な(activatable)DNA配列:ゲノム、望ましくは植物のゲノムで遺伝
子の発現を調節するDNA配列。活性化可能なDNA配列は、ゲノム中において内因性
の標的遺伝子に相補的である。活性化可能なDNA配列が細胞中に誘導され、発現
されたときには、それは標的遺伝子の発現を阻害する。本発明に関して有用な活
性化可能なDNA配列は、優勢な阻害剤をコードするか、または優勢な阻害剤とし
て働くもの、例えば、安定に形質転換された植物中で遺伝子機能を妨害して植物
の正常な成長および発達に不可欠の1つ以上の遺伝子を正に同定することができ
る翻訳可能な、または翻訳可能でないセンス配列を含む。好ましい活性化可能な
DNA配列は、アンチセンスDNA配列である。標的遺伝子は好ましくは、タンパク質
、例えば植物の成長または生存に不可欠の、生合成酵素、レセプター、シグナル
導入タンパク質、構造遺伝子生成物または輸送タンパク質をコードする。特に好
ましい実施態様においては、標的遺伝子は、AIRシンセターゼ活性を有する酵素
をコードする。アンチセンス配列と標的遺伝子との相互作用は、植物を殺すかま
たは正常な植物の成長または発達を少なくとも阻害するように、標的遺伝子の実
質的な発現阻害をもたらす。
【0020】 活性化可能なDNA構成物:合成プロモーターに結合することができ、かつ合成
プロモーターを活性化することができる完全なハイブリッド転写因子が存在しな
ければ、細胞、望ましくは植物細胞に導入されたときに、発現されない、すなわ
ち、サイレントである、活性化可能なDNA配列に操作可能に結合された合成プロ
モーターを含む組換えDNA構成物。活性化可能なDNA構成物は、細胞、組織、また
は植物に導入されて、活性化可能なDNA配列を発現することができる安定なトラ
ンスジェニック系統を形成する。
【0021】 補因子:酵素が触媒する反応において必要とされる天然の反応体、例えば有機
分子または金属イオン。補因子は、例えばNAD(P)、リボフラビン(FADおよびFMN
を含む)、葉酸塩、モリブドプテリン、チアミン、ビオチン、リポ酸、パントテ
ン酸および補酵素A、S-アデノシルメチオニン、ピリドキサールホスフェート、
ユビキノン、メナキノンである。
【0022】 連結合成:酵素的生合成であって、2つの連続した酵素的段階によって最終生
成物が合成され、第1の酵素的段階のための基質は第1の酵素により中間生成物
へと転化され、この中間生成物は第2の酵素的段階のための基質として働き、中
間生成物の外部添加なしに、第2の酵素により最終生成物へと転化される。 DNAシャッフリング(shuffling):DNAシャッフリングは、変異誘発または転位
を、好ましくは無作為にDNA分子に導入する方法または、2つ以上のDNA分子間に
、好ましくは無作為にDNA配列の交換を生じる方法である。DNAシャッフリングか
ら得られるDNA分子は、少なくとも1つの鋳型DNA分子から誘導される天然でなく
生じるDNA分子である、シャッフルされたDNA分子である。シャッフルされたDNA
は、鋳型DNAによりコードされる酵素に関して修飾された酵素をコードし、好ま
しくは、鋳型DNAによりコードされる酵素に関して変えられた生物学的活性を有
する。
【0023】 酵素活性:は、本明細書では、基質の生成物への転化を触媒する酵素の能力を
意味する。酵素のための基質は、酵素の天然の基質を含むが、また、酵素によっ
て生成物または生成物の類似体へと転化されることができる天然の基質の類似体
を含む。酵素の活性は、例えばある時間後に反応中の生成物の量を測定すること
によって、またはある時間後に反応混合物中に残っている基質の量を測定するこ
とによって測定される。酵素の活性はまた、ある時間後に反応混合物中に残って
いる反応の未使用補因子の量を測定することによって、またはある時間後に反応
混合物中の使用した補因子の量を測定することによって測定される。酵素の活性
はまた、ある時間後に反応混合物中に残っている自由エネルギーまたは高エネル
ギー分子のドナー(例えばATP、ホスホエノールピルベート、アセチルホスフェ
ートまたはホスホクレアチン)の量を測定することによって、またはある時間後
に反応混合物中の、自由エネルギーまたは高エネルギー分子の使用されたドナー
(例えば、ADP、ピルベート、アセテートまたはクレアチン)の量を測定するこ
とによって測定される。
【0024】 殺(除)草剤:植物、植物細胞、植物種子または植物組織を殺すか、またはそ
の成長を抑制するために使用される化学物質。 異種(非相同の)DNA配列:それが導入される宿主細胞と本来関連のないDNA配
列であり、天然に生じるDNA配列の天然でなく生じる多重コピーを含む。 同種(相同の)DNA配列:それが導入される宿主細胞と本来関連のあるDNA配列
【0025】 阻害剤:タンパク質、例えば植物の成長または生存に不可欠の生合成酵素、レ
セプター、シグナル導入タンパク質、構造遺伝子生成物または輸送タンパク質の
酵素活性を不活化する化学物質。本発明においては、阻害剤は、植物からのAIR
シンセターゼの酵素活性を不活化する化学物質である。「殺草剤」という語は、
本明細書では、植物、植物細胞、植物種子または植物組織に施用されたときに、
阻害剤を定義するために使用される。
【0026】 同系(isogenic):遺伝的に同一である植物。ただし、それらがトランスジーン
の存在または不在によって異なることができることを除く。 単離された(isoloted):本発明においては、単離されたDNA分子または単離さ
れた酵素は、人の手によって、自然環境から離れて存在し、したがって自然の生
成物でないDNA分子または酵素である。単離されたDNA分子または酵素は、精製さ
れた形状で存在することができ、または自然でない環境、例えばトランスジェニ
ック宿主細胞中で存在することができる。
【0027】 成熟タンパク質:細胞小器官、例えば葉緑体に対して普通に標的にされ、それ
からトランジットペプチドが分離されたタンパク質。 最小プロモーター:不活性であるかまたは、上流での活性化の不在下で非常に
減らされたプロモーター活性を有するプロモーター要素、特にTATA要素。適当な
転写因子の存在中で、最小プロモーターは、転写を許すように機能する。
【0028】 修飾された酵素活性:植物に天然に生じる酵素活性(すなわち、人によるその
ような活性の直接または間接の操作なしに天然に生じる酵素活性)とは異なる酵
素活性であり、天然に生じる酵素活性を阻害する阻害剤に耐性である。 プレタンパク質:細胞小器官、例えば葉緑体に対して普通に標的にされ、なお
そのトランジットペプチドを含むタンパク質。
【0029】 有意の増加:測定技術に固有の誤差の限界より大きい酵素活性の増加であり、
好ましくは、阻害剤の存在中で野生型酵素の活性の約2倍以上の増加であり、よ
り好ましくは、約5倍以上の増加、最も好ましくは約10倍以上の増加。 有意に少ない:とは、酵素反応の生成物の量が、測定技術に固有の誤差の限界
より大きいことを意味し、好ましくは阻害剤の不在中で野生型酵素の活性の約2
倍以上の減少、より好ましくは約5倍以上の減少、最も好ましくは約10倍以上の
減少である。
【0030】 最も広い意味で、「実質的に同様の」という語は、本明細書においてヌクレオ
チド配列に関して使用されるときには、参照ヌクレオチド配列に対応するヌクレ
オチド配列を意味し、ここで、対応するヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド
配列によりコードされるポリペプチドと実質的に同じ構造および機能を有するポ
リペプチドをコードする。例えば、ポリペプチド機能に影響しないアミノ酸にお
ける変化のみが生じる場合である。望ましくは、実質的に同様のヌクレオチド配
列は、参照ヌクレオチド配列によりコードされるポリヌクレオチドをコードする
。実質的に同様のヌクレオチド配列と参照ヌクレオチド配列との間の同一性のパ
ーセンテージは、望ましくは少なくとも65%、より望ましくは少なくとも75%、
好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、なおさらに好まし
くは少なくとも95%、なおいっそうさらに好ましくは少なくとも99%である。配
列の比較は、スミス‐ウォーターマン配列アラインメントアルゴリズム(Smith-W
aterman sequence alignment algorithm)(例えば、ウォーターマン(Waterman),
M.S. コンピュータ使用の生物学への入門:マップ、配列およびゲノム(Introd
uction to Computational Biology : Maps, sequences and genomes) チャップ
マン(Chapman)&ホール(Hall). ロンドン:1995 ISBN 0-412-99391-0またはhttp:
//www.hto.usc.edu/software/seqaln/index.html参照)を用いて行われる。以下
のパラメータを用いて、ローカルSプログラム(localS program)、バージョン(ve
rsion)1.16が使用される:マッチ(match):1、ミスマッチ ペナルティ(mismat
ch penalty):0.33、オープン‐ギャップペナルティ(open-gap penalty):2、エ
クステンデッド‐ギャップペナルティ(extended-gap penalty):2。参照ヌクレ
オチド配列と「実質的に同様の」ヌクレオチド配列は、7%ナトリウムドデシル
サルフェート(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA 50℃にて2 x SSCで洗浄、0.1%S
DS 50℃で、より望ましくは7%ナトリウムドデシルサルフェート(SDS)、0.5M
NaPO4、1mM EDTA 50℃にて1 x SSCで洗浄、0.1%SDS 50℃で、なおさらに
望ましくは7%ナトリウムドデシルサルフェート(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDT
A 50℃にて0.5 x SSCで洗浄、0.1%SDS 50℃で、好ましくは7%ナトリウムド
デシルサルフェート(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA 50℃にて0.1 x SSCで洗浄
、0.1%SDS 50℃で、より好ましくは7%ナトリウムドデシルサルフェート(SDS
)、0.5M NaPO4、1mM EDTA 50℃にて0.1 x SSCで洗浄、0.1%SDS 65℃で、参
照ヌクレオチド配列に対してハイブリッド形成する。
【0031】 「実質的に同様の」という語は、本明細書でタンパク質に関して使用されると
きには、タンパク質が参照タンパク質と実質的に同じ構造および機能を有する、
参照タンパク質に対応するタンパク質を意味し、例えば、ポリペプチド機能に影
響を及ぼさないアミノ酸配列の変化だけが生じる場合である。タンパク質または
アミノ酸配列について使用されるときには、実質的に同様のタンパク質またはア
ミノ酸配列と参照タンパク質またはアミノ酸配列との間の同一性のパーセンテー
ジは、望ましくは少なくとも65%、より望ましくは少なくとも75%、好ましくは
少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、なおさらに好ましくは少なく
とも95%、なおいっそうさらに好ましくは少なくとも99%である。
【0032】 基質:基質は、酵素が自然に認識し、酵素が自然にその機能を行う生化学的経
路における生成物へと転化する分子であるか、またはその分子を修飾したもので
あり、これはまた酵素によって認識され、自然に生じる反応と同様の酵素反応に
おける生成物へと酵素によって転化される。 耐性:阻害剤または殺草剤にさらされたときに、正常の成長または機能を続け
る能力。
【0033】 形質転換:非相同DNAを細胞、組織または植物へ導入するための方法。形質転
換された細胞、組織または植物は、形質転換プロセスの最終生成物だけでなく、
そのトランスジェニックの子孫を包含すると理解される。 トランスジェニック:好ましくは、興味あるDNA配列に操作可能に結合された
適当なプロモーターを含む組換えDNA分子を用いて安定に形質転換される。 配列一覧表中の配列の簡単な説明 SEQ ID NO:1 アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼプレタンパク質を
コードするDNA配列 SEQ ID NO:2 アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼプレタンパク質の
アミノ酸配列 SEQ ID NO:3 推定の成熟アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼをコー
ドするDNA配列 SEQ ID NO:4 推定の成熟アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼのアミ
ノ酸配列 SEQ ID NO:5 オリゴヌクレオチドJG-L SEQ ID NO:6 オリゴヌクレオチド AS-1 SEQ ID NO:7 オリゴヌクレオチドAS-2 SEQ ID NO:8 オリゴヌクレオチドslp242 SEQ ID NO:9 オリゴヌクレオチドslp244 SEQ ID NO:10 オリゴヌクレオチドslp243 寄託 以下の物質は、特許手続きの目的での微生物の寄託の国際承認において、ブダ
ペスト条約の期間、農業研究サービス(Agricultural Research Service)、特許
培養物コレクション(Patent Culture Collection)(NRRL)、1815 ノース ユニ
バーシティ ストリート(North University Street)、ピオリア(Peoria)、イリ
ノイ州 61604に寄託された。寄託された物質の入手可能性についての全ての制
限は、特許が授与されたなら変更なく除かれるであろう。クローン 受入番号 寄託日 DH5apASM NRRL B-21976 1998年4月17日 I.アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼ遺伝子の正しい配列 アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼ遺伝子を、本発明者らが再配
列決定し、アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼ遺伝子について公開
されているDNA配列(ジェンバンク受け入れL12457、セネコフ(Senecoff)および
ミーガー(Meagher)(1993) Plant Physiol. 102:387-399)と比較した。配列決
定の結果は、公開されたDNA配列における実質的誤りを明らかにし、結果として
、SEQ ID NO:1の位置1,027に対応する位置にシトシン塩基の挿入を生じた。この
挿入は、アミノ酸配列におけるフレームシフト変異に至り、したがって、アラビ
ドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼについて正しい推論されたアミノ酸配
列とは離れて教示する。本発明は初めて、アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシ
ンセターゼ遺伝子の正しいヌクレオチド配列ならびにアラビドプシス(Arabidops
is) AIRシンセターゼの正しいアミノ酸配列を開示する。プレタンパク質をコー
ドするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1で示され、成熟タンパク質をコードす
るヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:3で示される。SEQ ID NO:1で示されるヌクレ
オチド配列によってコードされるアラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセター
ゼプレタンパク質の正しいアミノ酸配列はSEQ ID NO:2で示され、SEQ ID NO:2で
示されるヌクレオチド配列によってコードされる推定の成熟アラビドプシス(Ara
bidopsis) AIRシンセターゼの正しいアミノ酸配列はSEQ ID NO:4で示される。ア
ラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼプレタンパク質をコードするヌク
レオチド配列は、大腸菌(E. coli)株DH5apASMにおいて寄託され、NRRL受入番号B
-21976で示された。本発明はまた、植物に由来する分離されたアミノ酸配列を包
含し、ここで該アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示されるヌク
レオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と同一であるか、または実質的
に同様であり、該アミノ酸配列は、5'-ホスホリボシル-5-アミノイミダゾール(A
IR)シンセターゼ活性を有する。本発明はまた、植物に由来する分離されたアミ
ノ酸配列をさらに包含し、ここで該アミノ酸配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID
NO:4で示されるアミノ酸配列と同一であるか、または実質的に同様であり、該ア
ミノ酸配列は、5'-ホスホリボシル-5-アミノイミダゾール(AIR)シンセターゼ活
性を有する。 II.アンチセンス阻害により証明された、植物におけるAIRシンセターゼ遺伝子
の不可欠性 以下の実施例に示されたように、正常な植物成長および発達のためにAIRシン
セターゼ遺伝子が不可欠であることが、PCT出願第EP98/07577号(引用すること
により、本明細書に組入れられる)に記載されたアンチセンス確認系(antisense
validation system)を用いた、植物におけるアンチセンス阻害によって初めて
証明された。植物におけるAIRシンセターゼ機能の不可欠性が確立されたので、
本発明者らはそれによって、新たな殺草剤開発のための重要な、捜し求められて
いた道具を提供する。
【0034】 本発明に記載された系においては、DNA結合領域および活性化領域を含むハイ
ブリッド転写因子遺伝子が作られる。さらに、活性化可能なDNA配列に操作可能
に結合された合成プロモーターを含む活性化可能なDNA構成物が作られる。ハイ
ブリッド転写因子遺伝子および合成プロモーターは、ハイブリッド転写因子のDN
A結合領域が合成プロモーターに特異的に結合することができ、よって、活性化
可能なDNA配列の発現を活性化するように選択され、または設計される。第1の
植物がハイブリッド転写因子遺伝子で形質転換され、第2の植物が活性化可能な
DNA構成物で形質転換される。第1の植物および第2の植物は交雑されて、ハイ
ブリッド転写因子および合成プロモーターをコードする配列を両方含む後代植物
を生成し、活性化可能なDNA配列は、後代植物において発現される。好ましい実
施態様においては、活性化可能なDNA配列は、内因性遺伝子、例えばAIRシンセタ
ーゼ遺伝子の発現を不活化することができるアンチセンス配列である。それ故に
、後代植物は、内因性遺伝子を正常に発現することができないであろう。
【0035】 このアンチセンス確認系は、他の点では、構成的に(constitutively)誘導され
たトランスジーンとして回収不能(unrecoverable)であり得る形質を発現させる
のに特に有用である。例えば、潜在的に致死的な効果を有する外来遺伝子または
、不可欠の遺伝子の機能を破壊するように設計されたアンチセンス遺伝子もしく
は優性ネガティブ(dominant-negative)変異は、植物生物学の基礎研究において
非常に興味深いが、固有の実験上の問題を示す。減少された形質転換頻度が、特
定の構成的に誘導されたトランスジーンに関する致死性の証拠としてよく引用さ
れるが、このタイプの負の結果は、代替の単純説明(alternative trivial expla
nation)に苦しめられる。本発明は、その発現と切り離した試験トランスジーン
の安定な維持および繁殖を可能にしたので、農業の分野での重要な進歩である。
トランスジーン挿入を発現と切り離すこの能力は、引き出されるべき遺伝子機能
の不可欠性についての結論を固めるのに特に有用である。本発明の実質的な利益
は、正常な成長または発達のために不可欠の植物遺伝子が、このようにして、こ
のやり方で同定することができることである。そのような遺伝子の同定は、有効
な殺草剤の同定のために化合物ライブラリーをスクリーニングするための有用な
標的を提供する。以下に、アンチセンス確認系を、より詳細に記載する: A.ハイブリッド転写因子遺伝子 本明細書で記載したアンチセンス確認系において使用するためのハイブリッド
転写因子遺伝子は、(1)DNA結合領域および(2)プロモーターで転写機械アセンブ
リング(transcriptional machinery assembling)の成分と相互作用する活性化領
域をコードするDNA配列を含む。典型的には、DNA結合領域が5'-末端の方にあり
、活性化剤領域が3'-末端の方にあって、その発現がハイブリッド転写因子を生
成するハイブリッド遺伝子を形成するように、遺伝子断片が結合される。当業者
は、DNA結合領域をコードする種々のDNA配列を、活性化領域をコードする種々の
DNA配列と機械的に合わせて、広範囲のハイブリッド転写因子遺伝子を生成する
ことができる。DNA結合領域をコードするDNA配列の例としては、これらに限定さ
れることはないが、GAL4、バクテリオファージ434、lexA、laclおよびファージ
ラムダリプレッサー(phage lambda repressor)のDNA結合領域をコードするもの
が挙げられる。活性化領域をコードするDNA配列の例としては、これらに限定さ
れることはないが、単純ヘルペスVP16、メイズ C1およびP1の酸性活性化領域を
コードするものが挙げられる。さらに、適当な活性化領域は、選んだ生物からの
DNA片を適当なDNA結合領域と融合し、機能について直接選択することによって分
離することができる(エストルヒ(Estruch)ら、(1994) Nucleic Acids Res. 22:
3983-3989)。転写活性化剤タンパク質の領域は、別種の起源のタンパク質間で
交換することができる(ブレント(Brent)およびタシュネ(Ptashne) (1985) Cell
43: 729-736)。好ましいハイブリッド転写因子遺伝子は、メイズC1活性化領域
に融合されたGAL4 DNA結合領域をコードするDNA配列を含む。 B.活性化可能なDNA構成物 本明細書で記載したアンチセンス確認系において使用するための活性化可能な
DNA構成物は、(2) 活性化可能なDNA配列に操作可能に結合した(1)合成プロモー
ターを含む。合成プロモーターは、ハイブリッド転写因子のDNA結合領域によっ
て認識される少なくとも1つのDNA結合部位および、最小プロモーター、好まし
くは植物細胞によって認識されるプロモーターから誘導されるTATA要素を含む。
より好ましくは、TATA要素は、合成プロモーターが挿入される植物細胞タイプに
より認識されるプロモーターから誘導される。望ましくはDNA結合部位は、最小
プロモーターがより効率的に活性化されることができるように、合成プロモータ
ーと関連する活性化可能なDNA配列がより効率的に発現されるように、合成プロ
モーターにおいて多数回繰り返される。当業者は、望ましい合成プロモーターを
作るために、ごく普通の分子生物学および組換えDNA技術を使用することができ
る。本発明において有用な合成プロモーターを作るために使用することができる
DNA結合部位の例としては、これらに限定されることはないが、GAL4 DNA結合タ
ンパク質により認識される上流活性化配列(UASG)、lacオペレーターおよびlex
A結合部位が挙げられる。植物細胞により認識されるプロモーターTATA要素の例
としては、CaMV 35S、メイズBz1プロモーターおよびUBQ3プロモーターから誘導
されるものが挙げられる。特に好ましい合成プロモーターは、その5'末端で、GA
L4 DNA結合領域により認識される上流活性化配列(UASG)の約10個のコンカテマ
ーの直接繰り返しに融合された、TATA要素を含む切形の(truncated)CaMV 35S配
列(転写の開始に対して-59〜+48のヌクレオチド)を含む。
【0036】 活性化可能なDNA配列は、植物細胞における安定な導入および発現が望まれる
任意のDNA配列を包含する。特に望ましい活性化可能なDNA配列は、センスまたは
アンチセンス配列であり、その発現は、それらの内因性の対の遺伝子の減少され
た発現をもたらし、それによって、正常な植物の成長または発達を阻害する。活
性化可能なDNA配列は、合成プロモーターに操作可能に結合されて、活性化可能
なDNA構成物を形成する。合成プロモーターに結合でき、これを活性化できるハ
イブリッド転写因子がまた存在するのでなければ、活性化可能なDNA構成物にお
ける活性化可能なDNA配列は、トランスジェニック系統において発現されない。
すなわちサイレントである。以下でより完全に記載されるように、活性化可能な
DNA構成物は次に、細胞、組織または植物に導入されて、活性化可能なDNA配列を
発現する安定なトランスジェニック系統を形成する。本発明においては、活性化
可能なDNA配列は好ましくは、アンチセンスAIRシンセターゼ配列を含む。 C.ハイブリッド転写因子遺伝子または活性化可能なDNA構成物を含むトランス
ジェニック植物 本明細書で記載したアンチセンス確認系は、ハイブリッド転写因子遺伝子を含
む第1の植物および活性化可能なDNA構成物を含む第2の植物を使用する。上記
したハイブリッド転写因子遺伝子および活性化可能なDNA構成物は、良く知られ
た、当分野でごく普通に使用される方法によって植物に導入され、そのような方
法としては、それらに限定されることはないが、交雑、アグロバクテリウム(Agr
obacterium)媒介形質転換、Tiプラスミドベクター、直接DNA取り込み、例えばミ
クロ投射衝撃(microprojectile bombardment)、リポソーム媒介取り込み、ミク
ロ注入等が挙げられる。形質転換体(transformant)は、当業者に公知の標準の方
法にしたがって、トランスジーンの存在および機能性についてスクリーニングさ
れる。 D.ハイブリッド転写因子遺伝子および活性化可能なDNA構成物の両方を含むト
ランスジェニック植物 ハイブリッド転写因子遺伝子および活性化可能なDNA構成物の両方を含むF1植
物は、他家受粉によって生成され、適当なマーカーの存在について選択される。
活性化可能なDNA構成物だけを含む植物と対照的に、F1植物は、強い構成性のプ
ロモーター、例えばCaMV 35Sを用いて得られるものと比べて、高濃度の活性化可
能なDNA配列発現生成物を生成する。 E.アンチセンス確認アッセイ したがって、本明細書に記載した系における有用なアッセイは、以下の段階を
含む: 合成プロモーターが植物中に存在するときに合成プロモーターを活性化するこ
とができるハイブリッド転写因子をコードするハイブリッド転写因子遺伝子を用
いて安定に形質転換された第1のトランスジェニック植物を提供することであっ
て、第1のトランスジェニック植物はハイブリッド転写因子について相同である
こと;b)活性化可能なDNA配列、例えばアンチセンスAIRシンセターゼ配列に操
作可能に結合された、段階a)のハイブリッド転写因子によって活性化可能な合
成プロモーターを含む活性化可能なDNA構成物を用いて安定に形質転換された第
2のトランスジェニック植物を提供すること;c)第1のトランスジェニック植
物を第2のトランスジェニック植物と交雑して、ハイブリッド転写因子の存在中
で活性化可能なDNA配列を発現するF1植物を生成すること;およびd)F1植物に
おいて活性化可能なDNA配列の発現の効果を測定すること。 III.AIRシンセターゼの組換え製造およびその使用 宿主生物におけるAIRシンセターゼの組換え製造のために、AIRシンセターゼを
有する酵素をコードするヌクレオチド配列を、選ばれた宿主のために設計された
発現カセットに挿入し、それが組換えによって製造される宿主中に導入する。特
定の調節配列、例えばプロモーター、シグナル配列、5'および3'の未翻訳配列お
よび選ばれた宿主に適当なエンハンサーの選択は、当業者の範囲内である。適当
な読出しフレームに結合された個々の要素を含む得られた分子は、宿主細胞へと
形質転換されることができるベクター中に挿入されることができる。タンパク質
の組換え製造のために適当な発現ベクターおよび方法は、宿主生物、例えば大腸
菌(E. coli)、酵母および昆虫細胞について良く知られている(例えば、ラッコ
ウ(Luckow)およびサマーズ(Summers)、Bio/Technol. 6: 47 (1988)参照)。特定
の例としては、プラスミド、例えばpBluescript(ストランタジーン(Stratagene
)、ラ ジョラ(La Jolla), CA)、pFLAG(インターナショナル バイオテクノロ
ジーズ社(International Biotechnologies Inc.)、ニューヘイブン(New Haven)
、CT)、pTrcHis(インビトロゲン(Invitrogen)、ラ ジョラ(La Jolla), CA)
およびバキュロウィルス発現ベクター、例えばオートグラフィカ カリフォルニ
カ(Autographica californica)核多角体病ウィルス(AcMNPV)のゲノムから誘導
されたものが挙げられる。好ましいバキュロウィルス/昆虫系は、pVl11392/Sf2
1細胞である(インビトロゲン(Invitrogen)、ラ ジョラ(La Jolla), CA)。
【0037】 好ましい実施態様においては、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードす
るヌクレオチド配列は、真核生物、例えば哺乳動物、ハエ(fly)または酵母に由
来するが、好ましくは植物に由来しない。さらに好ましい実施態様においては、
ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示されるヌクレオチド配
列と同一であるかもしくは実質的に同様であるか、または、AIRシンセターゼ活
性を有する酵素をコードし、そのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO
:4で示されるアミノ酸配列と同一であるかもしくは実質的に同様である。SEQ ID
NO:1で示されるヌクレオチド配列は、そのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2で示され
るアラビドプシス(Arabidopsis) AIRシンセターゼプレタンパク質をコードし、S
EQ ID NO:3で示されるヌクレオチド配列は、そのアミノ酸配列がSEQ ID NO:4で
示されるアラビドプシス(Arabidopsis) 推定成熟AIRシンセターゼをコードする
。別の好ましい実施態様においては、ヌクレオチド配列は、原核生物、好ましく
は細菌、例えば大腸菌(E. coli)に由来する。この場合には、AIRシンセターゼ活
性を有する酵素は、purM遺伝子によってコードされる。
【0038】 組換えによって製造されるAIRシンセターゼは、種々の標準の技術を用いて分
離され、精製される。使用できる実際の技術は、使用する宿主生物、酵素が分泌
のために設計されているかどうか、および他の当業者に知られているそのような
要因に依存して変わる(例えば、ジョン ウィリー&サンズ社(John Wiley & So
ns Inc.)により出版された(1994)、オースベル(Ausubel), F.らによる、「分子
生物学における現今のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)
」の16章参照)。
【0039】 組換えによって製造されるAIRシンセターゼは、種々の目的のために有用であ
る。例えば、その標的が同定されていない公知の殺草化学品をスクリーニングし
てAIRシンセターゼを阻害するかどうかを決めるために、それらをイン ビトロ(
in vitro)でのアッセイにおいて使用することができる。そのようなイン ビト
ロ(in vitro)でのアッセイはまた、そのような酵素活性を阻害し、したがって新
規な殺草剤候補である化学品を同定するためにより一般的なふるいとして使用で
きる。あるいは、組換えによって製造されるAIRシンセターゼは、これらの分子
の複雑な構造を解明するために、および、新しい阻害的な殺草剤ならびに酵素の
殺草剤耐性形態を合理的に設計するために公知の阻害剤とのそれらの関連をさら
に特徴づけるために使用することができる。 IV.イン ビトロ(in vitro)阻害剤アッセイ 不可欠の植物遺伝子、例えばAIRシンセターゼによりコードされる酵素の阻害
剤を同定するのに有用なイン ビトロ(in vitro)アッセイは好ましくは、a)AI
Rシンセターゼ活性を有する酵素およびその基質を、酵素の機能の推測される阻
害剤の存在中で反応させること;b)推測される阻害剤の存在中での酵素活性の
速度を、推測される阻害剤の不在中同じ条件下での酵素活性の速度と比較するこ
と;ならびにc)推測される阻害剤がAIRシンセターゼ酵素活性を阻害するかど
うか決定することからなる工程を含む。好ましい実施態様においては、阻害剤候
補の存在中および不在中で、蛍光または吸光度検出を用いるイン ビトロ(in vi
tro)アッセイにおいて合成されたAIRの量を比較することによって、そのような
決定がなされる。別の好ましい実施態様においては、阻害剤候補の存在中および
不在中で、蛍光または吸光度検出を用いるイン ビトロ(in vitro)アッセイにお
いて形成されたADPの量を比較することによって、そのような決定がなされる。A
IRシンセターゼのための好ましい基質は5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシン
アミジン(FGAM)であり、特にb異性体、b-FGAMである。
【0040】 別の好ましい実施態様においては、連結されたFGAM シンセターゼ/AIRシンセ
ターゼアッセイが使用され、それによって、アッセイの検出限界を上げ、AIRシ
ンセターゼ活性の化学的阻害のための改善されたスクリーニング手順がもたらさ
れる。そのような連結アッセイは好ましくは、a)5'-ホスホリボシル-N-ホルミ
ルグリシンアミジン(FGAM)シンセターゼ活性を有する酵素、AIRシンセターゼ活
性を有する酵素およびFGAMシンセターゼの基質を、酵素機能の推測される阻害剤
の存在中で反応させること;b)推測される阻害剤の存在中での酵素活性の速度
を、推測される阻害剤の不在中同じ条件下での酵素活性の速度と比較すること;
ならびにc)推測される阻害剤がAIRシンセターゼ酵素活性を阻害するかどうか
決定することからなる工程を含む。好ましい実施態様においては、阻害剤候補の
存在中および不在中で、蛍光または吸光度検出を用いるイン ビトロ(in vitro)
アッセイにおいて合成されたAIRの量を比較することによって、そのような決定
がなされる。別の好ましい実施態様においては、阻害剤候補の存在中および不在
中で、蛍光または吸光度検出を用いるイン ビトロ(in vitro)アッセイにおいて
形成されたADPの量を比較することによって、そのような決定がなされる。FGAM
シンセターゼの好ましい基質は5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミド(F
GAR)であり、特にb異性体、b-FGARである。さらに好ましい実施態様においては
、FGAM シンセターゼ活性を有する酵素は細菌に由来し、好ましくは、purL遺伝
子によりコードされる大腸菌(E. coli) FGAM シンセターゼである。purL遺伝子
は好ましくは、大腸菌(E. coli)において組換えにより製造される。任意の適当
なAIRシンセターゼを使用することができるが、好ましくは、そのようなイン
ビトロ(in vitro)アッセイにおいて使用されるAIRシンセターゼは植物に由来す
る。別の好ましい実施態様においては、プリン生合成経路でAIRシンセターゼに
先行する1種より多い酵素活性を一緒にするアッセイが使用される。
【0041】 好ましい実施態様においては、イン ビトロ(in vitro)アッセイにおいて使用
される酵素は、酵素を含む細胞から、好ましくは細胞の粗抽出物から誘導される
。酵素は好ましくは、細胞から、または粗抽出物から分離され、精製される。酵
素は好ましくは組換えにより製造され、好ましくは、アッセイで使用される前に
分離され、精製される。イン ビトロ(in vitro)アッセイにおいて同定された化
学品は、次に、植物の成長または生存能力を阻害するそれらの能力について試験
される。 V.イン ビボ(in vivo)阻害剤アッセイ A. 1つの実施態様においては、推定される殺草剤、例えばイン ビトロ(in
vitro)のスクリーニングによって同定されたものを、種々の濃度で植物に施用す
る。推定される殺草剤は好ましくは植物に噴霧される。推定される殺草剤の施用
後、植物へのその効果、例えば死または成長の抑制を記録する。 B. 別の実施態様においては、AIRシンセターゼ活性の阻害剤についてのイン
ビボ(in vivo)スクリーニングアッセイは、AIRシンセターゼ活性を有するヌク
レオチド配列を超過発現することができるトランスジェニック植物、植物組織、
植物種子または植物細胞を使用し、ここで、AIRシンセターゼは、トランスジェ
ニック植物、植物組織、植物種子または植物細胞において酵素的に活性である。
ヌクレオチド配列は好ましくは、真核生物、例えば哺乳動物、ハエ(fly)または
酵母に由来するが、好ましくは植物に由来しない。さらに好ましい実施態様にお
いては、ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:3で示されるヌクレ
オチド配列と同一であるかもしくは実質的に同様であるか、または、AIRシンセ
ターゼ活性を有する酵素をコードし、そのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2またはS
EQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と同一であるかもしくは実質的に同様である
。別の好ましい実施態様においては、ヌクレオチド配列は原核生物、好ましくは
細菌、例えば大腸菌(E. coli)に由来する。この場合には、AIRシンセターゼ活性
を有する酵素は、purM遺伝子によってコードされる。
【0042】 化学品を次に、トランスジェニック植物、植物組織、植物種子または植物細胞
に施用し、かつ、同系の形質転換されていない植物、植物組織、植物種子または
植物細胞に施用し、トランスジェニックおよび形質転換されていない植物、植物
組織、植物種子または植物細胞の成長または生存能力を、化学品の施用後に測定
し、比較する。 VI.殺草剤耐性植物 本発明はさらに、植物において天然に生じるAIRシンセターゼ活性を阻害する
殺草剤に耐性の植物、植物組織、植物種子および植物細胞に関し、ここで、耐性
は、変えられたAIRシンセターゼ活性によって付与される。変えられたAIRシンセ
ターゼ活性は、植物に追加の野生型のAIRシンセターゼ遺伝子を提供することに
よる野生型殺草剤感受性AIRシンセターゼの発現を増加することによって、修飾
された殺草剤耐性AIRシンセターゼを植物において発現させることによって、ま
たはこれらの技術の組合せによって、本発明に従って植物に与えられることがで
きる。典型的な植物としては、これらの殺草剤が、それらの普通に意図される目
的のために施用される任意の植物を包含する。好ましくは、作物学的に重要な作
物、例えば綿、大豆、脂肪種子用ナタネ、テンサイ、メイズ、コメ、小麦、大麦
、オーツ、ライ、モロコシ属(sorghum)、雑穀、芝生、飼草等である。 A.野生型AIRシンセターゼの増加された発現 増加された発現によって変えられたAIRシンセターゼ活性を達成することは、
殺草剤によって引き起こされる成長阻害を克服するのに少なくとも十分な植物細
胞中のAIRシンセターゼ濃度をもたらす。発現された酵素の濃度は一般に、天然
に発現される量の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは
少なくとも10倍である。増加された発現は、野生型AIRシンセターゼ遺伝子の多
重コピー;遺伝子内のコード配列の多重発生(すなわち遺伝子増幅)または、植
物細胞中の内因性遺伝子の非コード調節配列における変異によるものであり得る
。そのような変えられた遺伝子活性を有する植物は、当分野で公知の方法(例え
ば、米国特許第5,162,602号および米国特許第4,761,373号ならびにそこに引用さ
れた文献参照)により、植物において直接選択することによって得ることができ
る。これらの植物はまた、当分野で公知の遺伝子操作技術によって得ることがで
きる。殺草剤感受性のAIRシンセターゼ遺伝子の増加された発現はまた、AIRシン
セターゼをコードする相同または非相同の構造遺伝子に操作可能に結合された植
物細胞中の関連する構造遺伝子の発現をさせることができるプロモーターを含む
組換えDNAまたはキメラDNAを用いて、植物細胞を形質転換することによって行う
ことができる。好ましくは、形質転換は安定であり、それによって、遺伝性のト
ランスジェニック形質を与える。 B.変性された殺草剤耐性AIRシンセターゼの発現 この実施態様に従えば、植物、植物組織、植物種子または植物細胞が、AIRシ
ンセターゼの殺草剤耐性形態をコードするコード配列に操作可能に結合された、
植物において機能的な適当なプロモーターを含む組換えDNA分子を用いて安定に
形質転換される。酵素の殺草剤耐性形態は、修飾されていない天然に生じる酵素
の形態を阻害する殺草剤に対する耐性を付与する、少なくとも1つのアミノ酸置
換、付加または欠失を有する。かくして作られたトランスジェニック植物、植物
組織、植物種子または植物細胞は次に、慣用の選択技術によって選択され、それ
によって、殺草剤耐性の系統が分離され、特性決定され、発育させられる。
【0043】 以下に、AIRシンセターゼの殺草剤耐性形態をコードする遺伝子を得るための
方法を記載する: 1つの一般的方法は、微生物における直接または間接の変異誘発手法を含む。
例えば、遺伝的に操作可能な微生物、例えば大腸菌(E. coli)またはS.セレビジ
エ(serevisiae)は、変異原、例えばUV光またはエチルもしくはメチルメタンスル
ホネートを用いたイン ビボ(in vivo)での無作為変異誘発に供することができ
る。変異誘発手法は、例えばミラー(Miller)、分子遺伝学における実験(Experim
ents in Molecular Genetics)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリ
ー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールド スプリング ハーバー(Cold S
pring Harbor)、ニューヨーク(1972);デイビス(Davis)ら、後生的細菌遺伝学(A
dvanced Bacterial Genetics)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリ
ー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールド スプリング ハーバー(Cold S
pring Harbor)、ニューヨーク(1980);シャーマン(Sherman)ら、酵母の遺伝学に
おける方法(Methods in Yeast Genetics)、コールド スプリング ハーバー
ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールド スプリング ハー
バー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(1983);および米国特許第4,975,374
号に記載されている。変異誘発のために選択された微生物は、正常の阻害剤感受
性AIRシンセターゼ遺伝子を含み、この遺伝子によって付与される活性に依存す
る。変異誘発された細胞は、未修飾の遺伝子を阻害する濃度での阻害剤の存在中
で増殖される。阻害剤の存在中での変異誘発されていない微生物より良く増殖す
る(すなわち、阻害剤に抵抗性を示す)、変異誘発された微生物のコロニーを、
さらなる分析のために選択する。これらのコロニーからのAIRシンセターゼ遺伝
子を、クローニングまたはPCR増幅によって分離し、それらの配列を解明する。
変えられた遺伝子生成物をコードする配列は次に、クローン化されて微生物へと
戻されて、阻害剤耐性を与える能力を確実にされる。
【0044】 植物AIRシンセターゼ遺伝子の変異体殺草剤耐性の対立遺伝子を得る方法は、
植物における直接選択を含む。例えば、変異誘発されたAIRシンセターゼ遺伝子
の、植物、例えばアラビドプシス(Arabidopsis)、大豆またはメイズの成長阻害
への効果は、当分野で認識されている方法で殺菌された種子を、増加された濃度
の阻害剤を含む、単純最小塩培地にてプレート上で培養することによって決定さ
れる。そのような濃度は、100万部当たり0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3
、1、3、10、30、110、300、1000および3000部(ppm)の範囲にある。有意の成長
阻害を再現性をもって検出することができる最低投与量が、次の実験のために使
用される。最低投与量の決定は、当分野でごく普通である。
【0045】 抵抗性の対立遺伝子が、選ばれた個体群において生じる頻度を増すために、植
物物質の変異誘発が使用される。変異誘発された種子物質は、種々の供給源から
誘導され、そのようなものとしては、種子の化学的もしくは物理的変異誘発、ま
たは、花粉の化学的もしくは物理的変異誘発を含み(ニューファー(Neuffer)、
生物学的研究のためのメイズ(Maize for Biological Research)、シェリダン(Sh
eridan)編、ユニバーシティ プレス(Univ. Press)、グランド フォークス(Gra
nd Forks)、ND.、pp.61-64(1982))、これは次に、植物および、採取された得ら
れるM1変異体種子を受精させるために使用される。アラビドプシス(Arabidopsis
)について典型的には、化学品、例えばエチルメタンスルホネートで、または物
理的な剤、例えばガンマ線もしくは高速中性子で変異誘発された種子から成長さ
せた植物の後代種子である、M2種子(レール シーズ(Lehle Seeds)、タクソン(
Tucson)、AZ)を、耐性について選択するための阻害剤の適当な濃度を含む最小
塩培地にて、10,000種子/プレート(10cm直径)までの密度で培養する。培養後
7〜21日の、成長を続け、緑のままである苗木を土に移植し、完全に成長させ、
種子を結ばせる。これらの種子の後代を、殺草剤に対する耐性について試験する
。耐性の形質が優性なら、種子が3:1/抵抗性:感受性に分離する植物は、M2 世代では抵抗性についてヘテロ接合体であったと思われる。すべて抵抗性の種子
を生じる植物は、M2世代では抵抗性についてホモ接合体であったと思われる。無
傷の種子におけるそのような変異誘発およびそれらのM2後代種子のスクリーニン
グをまた、他の種、例えば大豆において行うことができる(米国特許第5,084,08
2号参照)。あるいは、殺草剤耐性についてスクリーニングされるべき変異体種
子は、化学的または物理的手段により変異誘発された花粉での受精の結果として
得られる。
【0046】 殺草剤耐性の遺伝的基礎が、修飾されたAIRシンセターゼ遺伝子であることの
確認は、以下で例示されたように確かめられる。第1に、阻害剤に抵抗性を示す
植物からのAIRシンセターゼ遺伝子の対立遺伝子を、SEQ ID NO:1で示されるアラ
ビドプシス(Arabidopsis) cDNAコード配列に基づくか、またはより好ましくは、
耐性対立遺伝子を生成するために使用される植物からの変えられていないAIRシ
ンセターゼ遺伝子配列に基づくプライマーを用いたPCRを使用して分離する。コ
ード配列における変異の存在を決定するために対立遺伝子を配列決定した後、対
立遺伝子を、推定の耐性付与対立遺伝子が形質転換された植物に、阻害剤耐性を
付与するそれらの能力について試験する。これらの植物は、アラビドプシス(Ara
bidopsis)植物または、その成長がAIRシンセターゼ阻害剤に影響されやすい任意
の他の植物であることができる。第2に、挿入されたAIRシンセターゼ遺伝子を
、公知の制限断片長多形性(restriction fragment length polymorphism)(RFLP)
に対してマップ作成する(例えば、チャン(Chang)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 85: 6856-6860 (1988);ナム(Nam)ら、Plant Cell 1: 699-705 (1989)参照
)。AIRシンセターゼ阻害剤耐性の形質は、同じマーカーを用いて独立してマッ
プ作成される。耐性が、そのAIRシンセターゼ遺伝子における変異によるもので
あるときには、耐性の形質は、AIRシンセターゼ遺伝子の位置から区別できない
位置へ位置決めされる。
【0047】 AIRシンセターゼ遺伝子の殺草剤耐性の対立遺伝子を得る別の方法は、植物細
胞培養における選択による。興味ある植物の、植物組織、例えば胚、葉の円盤状
組織(leaf disk)等の外植片(explant)または活発に成長するカルス(callus) ま
たは懸濁培養物を、実験室環境で使用するのに適当な殺草剤もしくは類似の阻害
剤の増加する濃度の存在下で培地中で成長させる。種々の成長の程度を、異なる
培養物において記録する。ある培養物においては、阻害剤の普通に阻害する濃度
の存在中でさえ成長を続ける、速く成長する変異体コロニーが出現する。そのよ
うな速く成長する変異体が生じる頻度は、組織または細胞を阻害剤に曝す前に化
学的または物理的変異原で処理することによって増加することができる。AIRシ
ンセターゼ遺伝子の推定の耐性付与対立遺伝子を分離し、先の段落で記載したよ
うにして試験する。殺草剤耐性を付与すると同定されたそれらの対立遺伝子は次
に、最適発現のために操作され、植物に形質転換されることができる。あるいは
、これらの対立遺伝子を含む組織または細胞の培養物から植物を再生することが
できる。
【0048】 なお別の方法は、野生型の殺草剤感受性植物AIRシンセターゼ遺伝子の、細菌
または酵母中での変異誘発、次いで微生物を、阻害濃度の阻害剤を含む培地で培
養した後、阻害剤の存在中で成長するコロニーを選択することを含む。より詳細
には、植物cDNA、例えばAIRシンセターゼをコードするアラビドプシス(Arabidop
sis) cDNAを、他に選ばれた遺伝子活性を欠く微生物中にクローン化する。形質
転換された微生物を次に、当分野で公知の任意のいくつかの化学的もしくは酵素
的方法、例えば重亜硫酸ナトリウム(ショートル(Shortle)ら、Methods Enzymol
. 100:457-468 (1983));メトキシルアミン(カドナガ(Kadonaga)ら、Nucleic
Acids Res. 13:1733-1745 (1985));オリゴヌクレオチド指向の飽和変異誘発(o
ligonucleotide-directed saturation mutagenesis)(ハッチンソン(Hutchinson
)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:710-714 (1986));または種々のポリメ
ラーゼの誤った組込み法(misincorporation strategy)(例えば、ショートル(Sh
ortle)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79:1588-1592 (1982);シライシ(Shir
aishi)ら、Gene 64:313-319 (1988)およびルン(Leung)ら、Technique 1:11-15 (
1989)参照)によって、イン ビボ(in vivo)での変異誘発またはイン ビトロ(i
n vitro)での変異誘発に供する。普通に阻害する濃度の阻害剤の存在中で成長す
るコロニーを採集し、繰り返しの再ストリーキング(repeated restreaking)によ
って精製する。それらのプラスミドを精製し、AIRシンセターゼ遺伝子活性を欠
く微生物中にそれらを再形質転換することによって、阻害剤耐性を付与する能力
について試験する。次に、この試験を通過するプラスミドからのcDNA挿入物のDN
A配列を決定する。
【0049】 殺草剤抵抗性AIRシンセターゼ酵素はまた、イン ビトロ(in vitro)の組換え
を含む方法(またDNAシャッフリングと呼ばれる)を用いて得られる。DNAシャッ
フリングによって、変異、好ましくは無作為の変異がAIRシンセターゼ遺伝子に
導入される。DNAシャッフリングはまた、AIRシンセターゼ遺伝子内の配列の組換
えおよび転位、または2つ以上の異なるAIRシンセターゼ遺伝子間の配列の組換え
および交換に至る。これらの方法は、多数の変異したAIRシンセターゼ遺伝子の
製造を可能にする。変異した遺伝子またはシャッフルされた遺伝子を、所望の特
性、例えば殺草剤に対する改善された耐性についてスクリーニングし、かつ異な
る種類の阻害剤化学に対して広いスペクトルの耐性を与える変異についてスクリ
ーニングする。そのようなスクリーニングは、当業者の範囲内で十分である。
【0050】 好ましい実施態様においては、変異誘発されたAIRシンセターゼ遺伝子が、少
なくとも1つの鋳型AIRシンセターゼ遺伝子から形成され、ここで、鋳型AIRシン
セターゼ遺伝子は所望の大きさの二重鎖無作為断片へと切断されており、二重鎖
無作為断片の得られる個体群へ1つ以上の単鎖もしくは二重鎖オリゴヌクレオチ
ドを添加し、該オリゴヌクレオチドが二重鎖無作為断片に同一の領域および非相
同の領域を含む工程;二重鎖無作為断片およびオリゴヌクレオチドの得られる混
合物を、単鎖断片へと変性する工程;単鎖断片の得られる個体群をポリメラーゼ
と共に、該同一の領域で該単鎖断片をアニーリングしてアニーリングされた断片
の対を形成する条件下でインキュベートし、該同一の領域は、対の1方が他の複
製を開始し、それによって、変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを形成する
のに十分である工程;ならびに、少なくともさらに2サイクル、第2および第3
の工程を繰り返し、さらなるサイクルの第2工程において得られる混合物は、前
のサイクルの第3工程からの変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを含み、さ
らなるサイクルは、さらなる変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを形成し、
変異誘発されたポリヌクレオチドは、天然に生じるAIRシンセターゼ活性を阻害
する殺草剤に対して高められた耐性を有する変異したAIRシンセターゼ遺伝子で
ある工程を含む。好ましい実施態様においては、二重鎖無作為断片の個体群にお
ける二重鎖無作為断片の1つの種の濃度は、全DNAの1重量%未満である。さら
に好ましい実施態様においては、鋳型二重鎖ポリヌクレオチドは、少なくとも約
100種のポリヌクレオチドを含む。別の好ましい実施態様においては、二重鎖無
作為断片の大きさは、約5bp〜5kbである。さらに好ましい実施態様においては
、この方法の第4工程は、第2および第3の工程を、少なくとも10サイクル繰り
返すことを含む。そのような方法は、例えばステマー(Stemmer)ら(1994)、Natur
e 370: 389-391、米国特許第5,605,793号およびクラメリ(Crameri)ら(1998)、Na
ture 391:288-291ならびに、WO 97/20078に記載されており、これらの参考文献
は、引用することにより本明細書に組入れられる。
【0051】 別の好ましい実施態様においては、2つ以上の異なるAIRシンセターゼ遺伝子
の任意の組合せが、例えばツァオ(Zhao)ら、(1998) Nature Biotechnology 16:
258-261に記載された、互い違い伸長プロセス(staggered extension process)(S
tEP)によって、イン ビトロ(in vitro)で変異誘発される。2つ以上のAIRシン
セターゼ遺伝子が、好ましくはポリメラーゼの最適重合温度より低い温度で行わ
れるPCR反応の伸長回路を用いるPCR増幅のための鋳型として使用される。例えば
、約72℃の最適温度を有する熱安定性ポリメラーゼが使用されるときには、伸長
反応のための温度は、望ましくは72℃より下、より望ましくは65℃より下、好ま
しくは60℃より下であり、より好ましくは伸長反応のための温度は55℃である。
さらには、PCR回路の伸長反応の持続時間は、望ましくは当分野で通常行われる
より短く、より望ましくは30秒未満であり、好ましくは15秒未満であり、より好
ましくは、伸長反応の持続時間は5秒である。短いDNA断片だけが、各伸長反応
において重合され、変性およびアニーリングの各サイクル後に、開始DNA分子間
の伸長生成物の鋳型スウィッチを可能にし、それによって伸長生成物の間に多様
性を生じる。PCR反応におけるサイクルの最適数は、変異誘発されるべき領域を
コードするAIRシンセターゼの長さに依存するが、望ましくは40サイクルより多
く、より望ましくは60サイクルより多く、好ましくは80サイクルより多くが使用
される。AIRシンセターゼ遺伝子のあらゆる組合せについての最適伸長条件およ
びPCR回路の最適数は、当分野で公知の手順を用いて、記載されているようにし
て決定される。PCR反応についての他のパラメータは、当分野で通常使用される
のと本質的に同じである。増幅反応のためのプライマーは好ましくは、AIRシン
セターゼ遺伝子のコード配列の外に位置するDNA配列、例えばAIRシンセターゼ遺
伝子を含むベクターのDNA配列にアニールするように設計され、それによって、P
CR反応で使用される異なるAIRシンセターゼ遺伝子が好ましくは別のベクターに
含まれる。プライマーは望ましくは、AIRシンセターゼコード配列から500bp未満
、好ましくはAIRシンセターゼコード配列から200bp未満、より好ましくはAIRシ
ンセターゼコード配列から120bp離れて位置する配列にアニールする。好ましく
は、AIRシンセターゼコード配列は制限部位に囲まれ、これは、PCR反応中に増幅
されたDNA配列に含まれ、それによって、増幅生成物の適当なベクターへのクロ
ーニングを促進する。
【0052】 別の好ましい実施態様においては、結合性末端を有するAIRシンセターゼ遺伝
子の断片が、WO 98/05765に記載されているようにして製造される。結合性末端
は、AIRシンセターゼ遺伝子の一部に対応する第1のオリゴヌクレオチドを、そ
の遺伝子に存在しないか、または第1のオリゴヌクレオチドに対応する遺伝子の
一部に隣接しない遺伝子の一部に対応する第2のオリゴヌクレオチドに連結する
ことによって製造され、ここで第2のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの
リボヌクレオチドを含む。二重鎖DNAは、第1のオリゴヌクレオチドを鋳型とし
て、かつ第2のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して製造される。リ
ボヌクレオチドは切断され、除去される。リボヌクレオチドに対して5'に位置す
るヌクレオチドがまた除去され、結合性末端を有する二重鎖断片をもたらす。そ
のような断片は、遺伝子配列の新規な組合せを得るように連結することによって
無作為に再組立てされる。
【0053】 本発明におけるイン ビトロ(in vitro)の組換えのために、任意のAIRシンセ
ターゼ遺伝子またはAIRシンセターゼ遺伝子の任意の組合せが使用され、例えば
植物、例えばアラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thaliana)に由来するAIR
シンセターゼ遺伝子、例えばSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3で示されるAIRシン
セターゼ遺伝子;細菌、例えばバチルス スブチリス(Bacillus subtillis)(エ
ボール(Ebbole)およびザルキン(Zalkin)(1987)、J. Biol. Chem. 262:8274-8287
)または大腸菌(E. coli)(スミス(Smith)およびバウム(Baum)(1986)、J. Biol.
Chem. 261: 10632-10637)に由来するAIRシンセターゼ遺伝子、ヒトAIRシンセ
ターゼ遺伝子(アイミ(Aimi)ら、(1990)、Nucleic Acids Res. 18: 6665-6672)
またはショウジョウバエ(Drosophila)からのAIRシンセターゼ遺伝子(ヘニコフ(
Henikoff)ら、(1986)、PNAS 289: 33-37)、ニワトリ(チェン(Chen)ら、(1990)
PNAS 87: 3097-3101)からのAIRシンセターゼ遺伝子であり、そのすべてが、引
用することにより本明細書に組入れられる。AIRシンセターゼ遺伝子全部または
その一部を、本発明において使用することができる。上記した方法によって得ら
れる、変異されたAIRシンセターゼ遺伝子のライブラリーが適当な発現ベクター
へクローン化され、得られるベクターは適当な宿主、例えばコナミドリムシ(Chl
amydomonas)のような藻類、酵母または細菌に形質転換される。適当な宿主は好
ましくは、他にAIRシンセターゼ遺伝子活性を欠く宿主、例えば大腸菌(E. coli)
株SO6609/IKC(シュノール(Schnorr)ら(1994) Plant Journal 6: 113-121)であ
る。変異されたAIRシンセターゼ遺伝子のライブラリーを含むベクターを用いて
形質転換された宿主細胞は、阻害濃度の阻害剤を含む培地で培養され、阻害剤の
存在中で成長するコロニーが選択される。普通に阻害する濃度の阻害剤の存在中
で成長するコロニーを採集し、繰り返しの再ストリーキング(repeated restreak
ing)によって精製する。それらのプラスミドを精製し、次に、この試験を通過す
るプラスミドからのcDNA挿入物のDNA配列を決定する。
【0054】 阻害剤に耐性の、変異されたAIRシンセターゼ遺伝子を同定するためのアッセ
イは、AIRシンセターゼ活性の阻害剤を同定するアッセイ(阻害剤アッセイ、上
記)と同じやり方で、以下の変更を加えて、行うことができる:第1に、変異体
AIRシンセターゼを、阻害剤アッセイの野生型AIRシンセターゼと、反応混合物の
1つにおいて取り換える。第2に、野生型酵素の阻害剤が両方の反応混合物に存
在する。第3に、変異された活性(阻害剤および変異された酵素の存在中での活
性)および変異されていない活性(阻害剤および野生型酵素の存在中での活性)
を比較して、変異されていない活性と比べたときに変異された活性において酵素
活性に有意の増加が観察されるかどうかを決定する。変異された活性は、適当な
基質および阻害剤の存在中で、変異された酵素の活性の任意の尺度である。変異
されていない活性は、適当な基質および阻害剤の存在中で、野生型酵素の活性の
任意の尺度である。有意の増加は、測定技術に固有の誤差の限界より大きい酵素
活性の増加、好ましくは阻害剤の存在中の野生型酵素の活性の約2倍以上の増加
、より好ましくは、約5倍以上の増加、最も好ましくは10倍以上の増加として定
義される。
【0055】 殺草剤耐性植物を作るために使用される他に、殺草剤耐性AIRシンセターゼを
コードする遺伝子はまた、植物細胞形質転換法における選択可能なマーカーとし
て使用できる。例えば、トランスジーンを用いて形質転換された植物、植物組織
、植物種子または植物細胞はまた、植物によって発現されることができる、変え
られたAIRシンセターゼをコードする遺伝子を用いて形質転換されることができ
る。形質転換された細胞は、修飾された遺伝子を発現しない植物細胞の生存可能
性を阻害するのに十分な量で酵素の阻害剤を含む培地に移され、そこでは、形質
転換された細胞のみが生存する。この方法は、修飾されたAIRシンセターゼをコ
ードする遺伝子を用いて形質転換することができる任意の植物細胞に適用可能で
あり、任意の興味あるトランスジーンと共に使用することができる。トランスジ
ーンおよび修飾された遺伝子の発現は、植物細胞において機能性の同じプロモー
ターによって、または別のプロモーターによって誘導されることができる。 VII.植物形質転換技術 野生型または殺草剤耐性形態のAIRシンセターゼ遺伝子を、慣用の組換えDNA技
術を用いて植物または細菌細胞に組み込むことができる。一般に、これは、AIR
シンセターゼをコードするDNA分子を、当分野で公知の標準のクローニング手法
を用いて、DNA分子が非相同である(すなわち、普通に存在しない)発現系に挿
入することを含む。ベクターは、ベクターを含む宿主細胞中の挿入されたタンパ
ク質コード配列の転写および翻訳のために必要な要素を含む。当分野で公知の多
数のベクター系、例えばプラスミド、バクテリオファージウィルスおよび他の修
飾されたウィルスを使用することができる。発現系の成分はまた、発現を増すた
めに修飾することができる。例えば、端を切られた配列、ヌクレオチド置換また
は他の修飾を使用することができる。当分野で公知の発現系を使用して、適当な
条件下で任意の作物植物細胞を実質的に形質転換することができる。野生型また
は殺草剤耐性形態のAIRシンセターゼ遺伝子を含むトランスジーンは好ましくは
安定に形質転換され、宿主細胞のゲノム中へ組み込まれる。別の好ましい実施態
様においては、野生型または殺草剤耐性形態のAIRシンセターゼ遺伝子を含むト
ランスジーンは、自己複製ベクター上に位置する。自己複製ベクターの例はウィ
ルス、特に双子ウィルス(gemini virus)である。形質転換された細胞は、選ばれ
た形態のAIRシンセターゼ遺伝子がトランスジェニック植物において殺草剤耐性
を付与するように、完全な植物へと再生されることができる。 A.植物発現カセットの構成のための必要条件 トランスジェニック植物において発現を意図された遺伝子配列はまず、植物に
おいて発現可能な適当なプロモーターの後ろの発現カセットにおいて組立てられ
る。発現カセットはまた、トランスジーンの発現のために必要とされるかまたは
選択される任意のさらなる配列を含むことができる。そのような配列としては、
それらに限定されることはないが、転写ターミネーター、発現を促進するための
外来の配列、例えばイントロン、生命維持に必要な配列および、特定の器官およ
び細胞区分に対して遺伝子生成物を標的にすることを意図された配列が挙げられ
る。これらの発現カセットは次に、下方に記載された植物形質転換ベクターに容
易に移すことができる。以下は、典型的な発現カセットの種々の成分の記載であ
る。 1.プロモーター 発現カセットにおいて使用されるプロモーターの選択は、トランスジェニック
植物におけるトランスジーンの空間的かつ時間的発現パターンを決定する。選ば
れたプロモーターは、特定の細胞タイプ(例えば、葉の表皮細胞、葉肉細胞、根
の皮層細胞)または特定の組織もしくは器官(例えば、根、葉または花)におい
てトランスジーンを発現し、選択は、遺伝子生成物の蓄積の所望の位置を反映す
る。あるいは、選ばれたプロモーターは、種々の誘発条件下で遺伝子を発現させ
ることができる。プロモーターは、その強さ、すなわち、転写を進める能力にお
いて変化する。使用する宿主細胞系に依存して、当分野で公知の多数のプロモー
ターのうちの任意の1つを使用することができる。例えば、構成的発現のために
は、CaMV 35Sプロモーター、コメのアクチン プロモーターまたはユビキチン
プロモーターを使用することができる。調節的発現のためには、タバコまたはア
ラビドプシス(Arabidopsis)からの化学的に誘発可能なPR-1プロモーターを使用
することができる(例えば、米国特許第5,689,044号参照)。 2.転写ターミネーター 発現カセットにおいて使用するために、種々の転写ターミネーターが利用可能
である。これらは、トランスジーン以外の転写の終止およびその正しいポリアデ
ニル化のために応答性である。適当な転写ターミネーターは、植物において機能
することが知られているものであり、CaMV 35Sターミネーター、tmlターミネー
ター、ノパリン(nopaline)シンターゼターミネーターおよびエンドウのrbcS E9
ターミネーターが挙げられる。これらは、単子葉植物および双子葉植物の両方に
おいて使用できる。 3.発現を促進または調節するための配列 遺伝子発現を促進する多くの配列が転写単位内から見出され、これらの配列は
、本発明の遺伝子と一緒に、トランスジェニック植物においてそれらの発現を増
加するために使用することができる。例えば、種々のイントロン配列、例えばメ
イズAdhl遺伝子のイントロンは、発現を、特に単子葉植物細胞において促進する
ことが示された。さらに、ウィルスに由来する多数の翻訳されていないリーダー
配列がまた、発現を促進することが知られており、これらは特に双子葉植物細胞
において有効である。 4.コード配列最適化 選ばれた遺伝子のコード配列は、興味ある作物種における最適発現のためにコ
ード配列を変えることによって、遺伝学的に操作することができる。特定の作物
種において最適発現を達成するためにコード配列を変性する方法は、よく知られ
ている(例えば、パーラク(Perlak)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 3324
(1991);およびコジール(Koziel)ら、Bio/technol. 11: 194 (1993)参照)。 5.細胞内での遺伝子生成物の標的化 遺伝子生成物の標的化のための種々のメカニズムが植物において存在すること
が知られており、これらのメカニズムの機能を制御する配列は、幾らか詳しく特
性決定されている。例えば、葉緑体に対する遺伝子生成物の標的化は、成熟タン
パク質を生成するために葉緑体の輸入中に間切断される、種々のタンパク質のア
ミノ末端で見出されるシグナル配列によって制御される(例えば、コマイ(Comai
)ら、J. Biol. Chem. 263: 15104-15109 (1988))。他の遺伝子生成物は、他の
小器官、例えばミトコンドリアおよびペルオキシソームに局在化する(例えば、
アンガー(Unger)ら、Plant Molec. Biol. 13: 411-418 (1989))。これらの生成
物をコードするcDNAがまた、これらの器官に対して非相同の遺伝子生成物の標的
化を行うために操作されることができる。さらに、他の細胞区分に対して遺伝子
生成物の標的化を引き起こす配列が特性決定された。アミノ末端配列は、ER、ア
ポプラストおよびアリューロン細胞からの細胞外分泌に対しての標的化に応答性
である(ケーラー(Koehler)&ホー(Ho)、Plant Cell 2: 769-783 (1990))。さ
らには、アミノ末端配列はカルボキシ末端配列と共に、遺伝子生成物の空胞(vac
uolar)標的化に応答性である(シンシ(Shinshi)ら、Plant Molec. Biol. 14: 35
7-368 (1990))。上記した適当な標的化配列の、興味あるトランスジーン配列へ
の融合によって、トランスジーン生成物を任意の小器官または細胞区分へ割り当
てることが可能である。 B.植物形質転換ベクターの構成 植物の形質転換のために利用可能な多数の形質転換ベクターが、植物の形質転
換分野の当業者に知られており、本発明に関係のある遺伝子を、任意のそのよう
なベクターと共に使用できる。ベクターの選択は、好ましい形質転換技術および
形質転換のための標的種に依存する。ある種の標的種のためには、異なる抗生物
質または殺草剤選択マーカーが好ましくあり得る。形質転換においてごく普通に
使用される選択マーカーとしては、カナマイシンおよび関連抗生物質への抵抗性
を付与するnptll遺伝子(メッシング(Messing)&ビエラ(Vierra) Gene 19: 259-
268 (1982);ベバン(Bevan)ら、Nature 304: 184-187 (1983))、殺草剤ホスフ
ィノトリシン(phosphinothricin)への抵抗性を付与するbar遺伝子(ホワイト(Wh
ite)ら、Nucl. Acids Res. 18: 1062 (1990)、スペンサー(Spencer)ら、Theor.
Appl. Genet 79: 625-631 (1990))、抗生物質ハイグロマイシンへの抵抗性を付
与するhph遺伝子(ブロチンガー(Blochinger)&ディゲルマン(Diggelmann)、Mol
. Cell Biol. 4: 2929-2931)、メタトレキセート(methatrexate)への抵抗性を
付与するdhfr遺伝子(ブールイス(Bourouis)ら、EMBO J. 2(7): 1099-1104 (198
3))およびグリホセート(glyphosate)への抵抗性を付与するEPSPS遺伝子(米国
特許第4,940,935号および第5,188,642号)が挙げられる。 1.アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換に適当なベクター アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用い
る形質転換のために多くのベクターが利用可能である。これらは典型的には、少
なくとも1つのT-DNA端配列(border sequence)を有し、かつベクター、例えばpB
IN19(ベバン(Bevan), Nucl. Acids Res. (1984))およびpXYZを含む。アグロバ
クテリウム(Agrobacterium)形質転換に適当な典型的なベクターは、バイナリー
ベクターpCIB200およびpCIB2001ならびにバイナリーベクターpCIB10およびその
ハイグロマイシン選択誘導体 を含む(例えば、米国特許第5,639,949号参照)。 2.非アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換に適当なベクター アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を使用
しない形質転換は、選ばれた形質転換ベクターにおけるT-DNA配列のための必要
条件を回避し、したがって、これらの配列を欠くベクターを、T-DNA配列を含む
上記したようなベクターの他に使用することができる。アグロバクテリウム(Agr
obacterium)をあてにしない形質転換技術は、粒子衝撃(particle bombardment)
、プロトプラストの取り込み(例えばPEGおよびエレクトロポレーション)およ
びミクロ注入による形質転換を含む。ベクターの選択は、形質転換される種の好
ましい選択に大きく依存する。非アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換
に適当な典型的なベクターは、pCIB3064、pSOG19およびpSOG35を含む(例えば、
米国特許第5,639,949号参照)。 C.形質転換技術 興味あるコード配列が発現系へクローン化されたら、それは植物細胞へと形質
転換される。植物の形質転換および再生の方法は、当分野でよく知られている。
たとえば、Tiプラスミドベクターが、外来DNAの配送(delivery)ならびに直接DNA
取り込み、リポゾーム、エレクトロポレーション、ミクロ注入およびミクロ放射
(microprojectile)のために使用された。さらに、アグロバクテリウム(Agrobact
erium)属からの細菌を、植物細胞を形質転換するのに使用することができる。
【0056】 双子葉植物のための形質転換技術は当分野でよく知られており、アグロバクテ
リウム(Agrobacterium)に基づく技術および、アグロバクテリウム(Agrobacteriu
m)を必要としない技術を含む。非アグロバクテリウム(Agrobacterium)技術は、
直接プロトプラストまたは細胞による外因性遺伝物質の取り込みを含む。これは
、PEGまたはエレクトロポレーションが媒介する取り込み、粒子衝撃が媒介する
配送またはミクロ注入によって達成することができる。各場合において、形質転
換された細胞は、当分野で公知の標準の技術を用いて、完全な植物へと再生され
る。
【0057】 ほとんどの単子葉植物種の形質転換もまた、今ではごく普通のものになってき
た。好ましい技術としては、PEGまたはエレクトロポレーション技術、カルス組
織への粒子衝撃ならびにアグロバクテリウム(Agrobacterium)が媒介する形質転
換を用いた、プロトプラストへの直接遺伝子移動を包含する。 VIII.育種 野生型または変えられた形態の本発明のAIRシンセターゼ遺伝子を、裸子植物
、単子葉植物および双子葉植物を含む広範囲の植物細胞へ殺草剤耐性を付与する
のに使用することができる。遺伝子は、これらの広範囲の種類内にある任意の植
物細胞へ挿入することができるが、作物植物、例えばコメ、小麦、大麦、ライ、
コーン、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、テンサイ、豆(bean)、エンドウ、
チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ラディッシュ
、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、コショウ、セロリ
、ニンジン、ウリ科(squash)、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、ナシ
、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、
ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マ
ンゴ、バナナ、大豆、タバコ、トマト、モロコシ属(sorghum)およびサトウキビ
において特に有用である。
【0058】 野生型AIRシンセターゼ遺伝子の高濃度発現および/または、植物に殺草剤耐
性を付与する殺草剤耐性形態のAIRシンセターゼ遺伝子の発現は、製造および品
質のために重要な他の特性と組合せて、当分野で公知の育種のアプローチおよび
技術によって、植物系統へ組み込まれることができる。 殺草剤耐性のAIRシンセターゼ遺伝子の対立遺伝子が、作物植物または、作物
植物を再生することができる植物細胞培養物における直接選択によって得られる
場合には、それは、慣用の育種技術を用いて市販の変種へ移されて、対立遺伝子
を遺伝学的に操作しかつそれを植物へ形質転換する必要なしに、殺草剤耐性の作
物を発育させる。
【0059】 以下の詳細な実施例によって本発明をさらに説明する。これらの実施例は、説
明の目的でのみ与えられたものであり、他に特定がなければ、限定することを意
図しない。 実施例 本明細書において使用した標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は当
分野でよく知られており、サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング(Molec
ular Cloning)版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Co
ld Spring Harbor Laboratory Press)、コールド スプリング ハーバー(Cold
Spring Harbor)、ニューヨーク(1989)および、T.J.シルハビー(Shilhavy)、M.L.
バーマン(Berman)およびL.W.エンキスト(Enquist)による、遺伝子融合を用いる
実験(Experiments with Gene Fusions)、コールド スプリング ハーバー ラ
ボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールド スプリング ハーバ
ー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(1984)ならびに、オースベル(Ausubel),
F.M.らによる、分子生物学における現今のプロトコール(Current Protocols in
Molecular Biology)、グリーン パブリッシング アソシエーションおよびウ
ィリー‐インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscien
ce)による出版(1987)に記載されている。
【0060】 実施例1: アンチセンスAIRシンセターゼに融合された、GAL4結合部位/最小
35S CaMVプロモーターを含むベクターの構成 pAT71:GAL4結合部位および最小35Sプロモーター(-59〜+1)を、EcoRI-Pstl
としてpGALLuc2(ゴフ (Goff) ら、(1991) Genes & Development 5: 298-309)
から切り取り、pBluescriptの各部位に挿入して、pAT52を得る。pAT52のHindIII
-Pstl断片、pCIB1716のEcoRI断片(35S未翻訳リーダー、GUS遺伝子、35Sターミ
ネーターを含む)およびHindIII- EcoRI切断pUC18間の3通りの連結で pAT66を
構成する。pAT66の35Sリーダーを、Pstl-Ncolで切り取り、+1から+48へ伸長する
PCR-生成35Sリーダーで置き換えて、pAT71を得る。
【0061】 pJG304: プラスミドpBS SK+(ストラタジーン(Stratagene)、ラジョラ(LaJolla)、CA)
をSaclを用いて線状にし、緑豆(mung bean)ヌクレアーゼで処理してSacl部位を
除去し、T4リガーゼで再結合してpJG201を作る。10XGAL4コンセンサス結合部位
/CaMV 35S最小プロモーター/GUS遺伝子/CaMVターミネーターカセットを、Kpn
lを用いてpAT71から除去し、pJG201のKpnl部位へクローン化してpJG304を作る。
【0062】 pJG304を、制限エンドヌクレアーゼAsp718で部分消化して、全長線状断片を分
離する。この断片を、モル過剰の22塩基オリゴヌクレオチド JG-L(5' GTACCTCG
AG TCTAGACTCG AG 3'、SEQ ID NO:5)と連結する。制限分析を使用して、GAL4 DN
A結合部位に5'で挿入されたこのリンカーを有するクローンを同定し、このプラ
スミドをpJG304DXholで示す。
【0063】 pDG3: 5'-ホスホリボシル-5-アミノイミダゾール(AIR)シンセターゼcDNAクローン(
セネコフ(Senecoff)およびミーガー(Meagher)(1993) Plant Physiol. 102: 387-
399)の断片を、オリゴヌクレオチドAS-1 (5' GAT CGA GCT CGT TCT CTT CTG TG
T CAT C 3'、SEQ ID NO:6)およびAS-2 (5' GAT CCC ATG GTC CCC AGG TAA AGA C
GT C 3'、SEQ ID NO:7)を用いて、アラビドプシス タリアナ(Arabidopsis tha
liana)cDNAプラスミドライブラリーpFL61(ミネット(Minet)ら、(1992)Plant Jo
urnal, 2: 417-422)からPCR-増幅する。
【0064】 ベクターpJG304ΔXholを、SaclおよびNcolで消化して、GUS遺伝子コード配列
を切り取る。AIRシンセターゼPCR断片をSaclおよびNcolで消化し、pJG304ΔXhol
へ連結してpDG3を作る。 実施例2:GAL4結合部位/CaMV最小35SプロモーターからのAIRシンセターゼア
ンチセンス発現のための植物形質転換ベクター pJG261: ベクターpGPTV(ベッカー(Becker)ら、(1992) Plant Molecular Biology 20:
1195-1197)を、EcoRIおよびHindIIIで消化して、ノパリンシンターゼプロモー
ター/GUSカセットを除去する。同時に、スーパーリンカーを、EcoRIおよびHind
III を用いてpSE380(インビトロゲン(Invitrogen)、サンジエゴ、CA)から切り
取り、EcoRI/HindIII線状化pGPTVへクローン化してpJG261を作る。
【0065】 PDG4: pDG3をXholで切断して、GAL4 DNA結合部位/35S最小プロモーター/アンチセ
ンスAIRシンセターゼ/CaMVターミネーター融合物を含むカセットを切り取る。
このカセットを、転写がBAR選択可能なマーカーから分かれるように、Xhol消化
したpJG261に連結し、pDG4を生成する。
【0066】 実施例3:GAL4結合部位/最小CaMV 35S アンチセンスAIRシンセターゼトラン
スジェニック植物の製造 pDG4を、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens
)株C58C1へ電気形質転換し(electro-transformed)(バイオ‐ラッド ラボラト
リーズ(Bio-Rad Laboratories)、ハーキュリーズ(Hercules)、CA)(pMP90)、ア
ラビドプシス(Arabidopsis)植物(エコタイプ コロンビア(Ecotype Columbia)
)を、浸透によって形質転換する(ベクトルド(Bechtold)ら、C.R. Acad. Sci.
Paris, 316:1188-93 (1993))。浸透した植物からの種子を、15mg/リットルで
バスタ(Basta)を含む発芽培地(4.3g/リットルでムラシゲ‐スクーグ塩(Murash
ige-Skoog salt)、0.5 g/リットルでMes、1%ショ糖、10μg/リットルでチア
ミン、5μg/リットルでピリドキシン、5μg/リットルでニコチン酸、1mg/リ
ットルでミオ‐イノシトール、pH5.8)上で選択する。
【0067】 実施例4:GAL4/C1トランスアクチベータートランスジェニック植物の製造 pSGALC1(ゴフ(Goff)ら、(1991) Genes & Development, 5: 298-309)からのG
AL4-C1 EcoRI断片をpIC20HのEcoRI部位に結合することによって、pSGZL1を構成
する。pSGZL1のGAL4-C1断片を、BamHI-BgIIIで切り取り、pCIB770(ロススタイ
ン(Rothstein)ら、(1987) Gene 53: 153-161)のBamHI部位に挿入してpAT53を得
る。
【0068】 アラビドプシス(Arabidopsis)の根の外植片(explant)を、バルベケンズ(Valve
kens)ら、(1985) PNAS USA 85: 5536-5540に記載したようにして、pAT53を用い
て形質転換する。単一部位挿入を有し、GAL4/C1発現について正のトランスジェ
ニック植物をホモ接合性にする。 実施例5:GAL4/C1トランスアクチベーターおよびGAL4結合部位/最小CaMV 3
5Sプロモーターを用いるAIRシンセターゼのアンチセンス阻害 GAL4結合部位/最小CaMV 35Sプロモーター/アンチセンスAIRシンセターゼ構
成物を含む15のトランスジェニック植物を土に移植し、温室中で完全に発達する
まで成長させる。最初の形質転換体でつけた花を交差させて、ホモ接合のGAL4/
C1トランスアクチベーター系統pAT53-103から受粉する。F1種子を、発芽培地お
よび15mg/リットルのバスタ(Basta)を含む発芽培地に播く。5つのF1系統から
の苗木を土に移植し、温室中で完全に発達するまで成長させる。2つのF1系統か
らの苗木の半分が土で育てた間に死んだ。3つのF1系統からの苗木の半分が白化
し、著しく成長が遅れた。これらの結果は、AIRシンセターゼ遺伝子が植物に不
可欠であることを示す。
【0069】 実施例6:大腸菌(E. coli)における組換え植物AIRシンセターゼの発現 プラスミドベクターpFL61(ミネット(Minet)ら、Plant J., 2: 417-422 (1992
))のアラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thaliana)(ランズベルグ(Landsb
erg))cDNAライブラリーを得、増幅する。アラビドプシス(Arabidopsis) AIRシ
ンセターゼのタンパク質コード配列を増幅するためのPCRプライマーを、公開さ
れているDNA配列(ジェンバンク受入L12457、セネコフ(Senecoff)およびミーガ
ー(Meagher) Plant Physiol. 102: 387-399(1993))から設計し、Pfu DNAポリメ
ラーゼ(ストラタジーン(Stratagene))を用いて、プラスミドライブラリーから
のAIRシンセターゼコード配列を増幅するのに使用する。PCR生成物の配列決定は
、SEQ ID NO:1の位置1027に対応する位置でのシトシン塩基の挿入をもたらし、
間違った予測タンパク質をもたらす、公開されたDNA配列における誤りを示す。
幾つかの他の変更、たとえば、葉緑体トランジットペプチドにおける9bp(アミ
ノ酸3個)の挿入が観察されるが、おそらく生態型間の変動による。プライマー
は、正しいコード配列に対応するように再設計される。AIRシンセターゼプレタ
ンパク質のコード領域を含む構成物のために、プライマーslp242 (5' CGC GGA T
CC TCA CTA CTG ATA GCT TAC GCC TTC ACC 3' 、SEQ ID NO:8)およびslp244 (5'
TTG AAG CCA TGG AAG CTC GGA TTT TG 3' 、SEQ ID NO:9)が使用され、推定の
成熟AIRシンセターゼのコード領域を含む構成物のために、プライマーslp242お
よびslp243 (5' CGC ATG CCA TGG ATA AAG ATG ATG ACA CTG ATA GTC T 3'、SEQ
ID NO:10)が使用される。プレタンパク質のコード領域および推定の成熟タンパ
ク質のコード領域は、発現ベクターpET32a(ノバゲン(Novagen))へサブクロー
ン化され、両方が、バイオラッド ジーン パルサー(Biorad Gene Pulser)およ
び製造業者の条件を用いるエレクトロポレーションによって、E. coli BL21 DE3
pLysS(ノバゲン(Novagen))へ形質転換される。
【0070】 実施例7:増殖およびFGAMシンセターゼの抽出 大腸菌(E. coli)株TX635/pJS113(シェンデル(Schendel)ら(1989) Biochemist
ry 28, 2459-2471)を、インキュベーター/シェーカー中で30℃にて、50μg/m
lのカルベニシリンを含むルリア ブロス(Luria broth)(LB)中で増殖させる。細
胞が、600nmにて約1ODの光学密度に達したときに、56℃の等体積のLBカルベニ
シリンを加えて、細胞を熱処理(heat-shock)する。次に、細胞をインキュベータ
ー/シェーカー中に置き、42℃にて増殖させる。低速遠心分離を用いて、細胞を
長い相(long phase)の端で採集する。遠心管を逆さにし、培地を排出させる。細
胞ペレットを、小さいペンキブラシで、緩衝液A(50mMのEPPS、pH7.5、1mMのED
TA、2mMのDTT、150mMのKCl、10%グリセロール)中に再懸濁し、次いで、18,000
PSIにてフレンチプレッシャーセル(french pressure cell)中で粉砕する。高速
遠心分離をして細胞の破片を除去した後、硫酸アンモニウム(40-60%)で酵素
を沈殿させ、ペレットを-80℃にて貯蔵する。酵素を、少しの体積の緩衝液A中
に再懸濁させ、緩衝液Aへ脱塩するために、セファデックス(Sephadex) G-25カ
ラムに供する。以下のようにして活性をアッセイする。
【0071】 実施例8:増殖およびAIRシンセターゼの抽出 天然のAIRシンセターゼの多重遺伝子コピーを含む大腸菌(E. coli)株pJS24/Tx
393(シュリムシャー(Schrimsher)ら、(1986) Biochemistry 25, 4366-4371)を
、インキュベーター/シェーカー中で37℃にて、50μg/mlのカルベニシリンを
含むLBブロス中で増殖させる。細胞を、増殖物の長い相の端で採集し、低速での
遠心分離でペレットにし、増殖培地を捨て、遠心管を逆さにし、排出させる。細
胞を、小さいペンキブラシで、緩衝液A中に再懸濁させ、約18,000PSIにてフレ
ンチプレッシャーセル中で粉砕する。高速遠心分離をして細胞の破片をペレット
にした後、上清を硫酸アンモニウムで沈殿させ、-80℃にて貯蔵する。
【0072】 実施例9:AIRシンセターゼ活性アッセイ AIRシンセターゼ活性アッセイは本質的に、シュリムシャー(Schrimsher)ら、(
1986) Biochemistry 25, 4356-4365から得た。反応体積は好ましくは以下に記載
するものであるが、実験の必要条件に依存して変えることができる。0.2〜1.0x
10-4単位のAIRシンセターゼ活性を有する酵素(活性の1単位は、1ミリモル/
分の生成物を生じるのに必要とされる酵素の量として定義される)および0.1mM
の5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジン(FGAM)を、50mMのHEPES(pH7
.4〜8.1、好ましくは7.7)、20mMのMgCl2、150mMのKClおよび0.01〜10mM、好ま
しくは2.0mMのATPからなる最終体積96ml中で混合する。AIRの生成物を、好まし
くはブラトン(Bratton)およびマーシャル(Marshall)(J. Biol. Chem. (1939) 1
28, 537-550)に従って、20%(重量/体積)のトリクロロ酢酸(pH1.4)中の1.
33Mのリン酸カリウム32mlを添加することによって測定する。混合物を遠心分離
して、沈殿タンパク質を除去し、32mlの0.1%(重量/体積)亜硝酸ナトリウム
を添加する。3分後、32mlの0.5%(重量/体積)スルファミン酸アンモニウム
を添加し、さらに数分後、8mlの25%N-(1-ナフチル)エチレンジアミンジヒドロ
クロリドを添加する。10分後、530nmにて吸光度を測定する。
【0073】 あるいは、連結反応手法(coupled reaction procedure)によって、ADP形成を
定量する。この場合、3.5単位のピルベートキナーゼ、4.7単位のラクテートデヒ
ドロゲナーゼ、1.0mMのホスフェノールピルベートおよび0.2mMのNADHを加え、34
0nmにて吸光度を測定する。 実施例10:連結した、FGAMシンセターゼおよびAIRシンセターゼ酵素活性 A.FGAMシンセターゼアッセイ FGARのFGAMへの転化の後、付随するADP形成を検出する。ADP形成は、酵素ピル
ベートキナーゼおよびラクテートデヒドロゲナーゼ(試薬酵素)を使用し、ホス
ホエノールピルベート(PEP)の存在中でNADHのNAD+への転化を検出して、追跡さ
れる。これは、340nmで監視する。ピルベートキナーゼおよびPEPは、ADP からAT
Pの再生を促進する。ATPは、FGAMシンセターゼおよびAIRシンセターゼの両方に
必要とされる基質である。アッセイ緩衝液は、20mMのMgCl2を添加した緩衝液A
である。 B.AIRシンセターゼアッセイ AIRシンセターゼをアッセイするために、基質FGAMを用意することが必要であ
る。FGAMは、同じ反応混合物中でFGARのFGAMへの転化によって提供される。NADH
が添加されるなら、転化は、FGAMシンセターゼアッセイを使用して追跡すること
ができる。FGAR-FGAM転化が十分に(約50μM)進行するときには、次に、AIRシ
ンセターゼを添加する。FGAMの生成後のAIRシンセターゼの添加は、FGAMの初期
濃度が、すべての反応ウェルにおいて一定であることを保証する。ブラトン(Bra
tton)およびマーシャル(Marshall)(J. Biol. Chem. (1939) 128, 537-550)の
方法によって、AIRシンセターゼをアッセイする。AIR製造のために十分な時間(
典型的には15分間)の後、TCAを用いて酵素反応を止める。AIRを、亜硝酸ナトリ
ウムを用いて誘導体化し、亜硝酸塩を次に、スルファミン酸アンモニウムで中和
する。N-(1-ナフチル)エチレンジアミンジヒドロクロリド(NEDD)の添加で、色を
生じさせる。10分後、530nmにて色を監視する。 C.アッセイプロトコール 酵素の供給源とは独立して同じやり方でアッセイを行う。300μLの96ウェルミ
クロタイタープレート中でアッセイを行う。全アッセイ反応体積は、200μLであ
る。基質(FGARを除く)を、(ミクロタイタープレート中の)最終濃度が次のよ
うであるような比で混合する:L-グルタミン(600μM)、ATP(600μM)、PEP(
1mM)およびNADH(200μM)。10X濃度での基質の混合物を20μL/ウェルでピペ
ット注入することができる。試薬酵素およびFGAMシンセターゼをまた混合して、
同時に添加することができる。示唆された量のADP検出/再生混合物は、反応当
たり0.7単位のピルベートキナーゼおよび0.97単位のラクテートデヒドロゲナー
ゼである。これを指針として使用すべきであり、酵素の量を経験的に調整すべき
である。FGAR(200μM)は、2分間のインキュベーション期間後に添加すべきで
ある。FGAMシンセターゼ反応が、約10μM/分の速度で進行して完了した(これ
は10〜15分以内)後、AIRシンセターゼを加える。(AIRシンセターゼの活性によ
って決定される)間隔後、1M K3PO4中20%TCA 66μLで反応を止める。プレート
を遠心分離で回転させて、沈殿タンパク質をペレットにした後、顕色および読み
取りのために、上清を別のミクロタイタープレートに移す。1.2μLの10%亜硝酸
ナトリウムを添加し、3分後、1.2μLの50%スルファミン酸アンモニウムを添加
する(過剰の亜硝酸塩を中和する)。1分後、8.3μLの1%NEDDを添加し、5分
後、ミクロタイタープレート読み取りUV/VIS分光光度計を用いて、プレートを53
0nmにて読む。AIRがその目的のために利用可能でないので、AICARを標準として
使用する。AICARに基づいて妥当な検出限界(バックグラウンドの3倍のOD)の1
0μMが容易に達成可能である。
【0074】 L-グルタミン、ATP、亜硝酸ナトリウム、スルファミン酸アンモニウムおよびN
EDDは、シグマ ケミカルズ(Sigma Chemicals)から入手可能である。FGARは、チ
ェン(Chen)およびヘンダーソン(Henderson)(Can. J. Chemistry (1970) 48: 23
06-2309)またはカリントン(Carrington)ら、(J. Chem. Soc. (1968) 6864)の
方法によって合成される。
【0075】 実施例11:DNAシャッフリングによるAIRシンセターゼ遺伝子のイン ビトロ(i
n vitro)組換え プレタンパク質をコードするA. タリアナ(thaliana)AIRシンセターゼ遺伝子を
、実施例6に記載したようにして、PCRにより増幅する。得られるDNA断片を、本
質的に記載された(ステマー(Stemmer)ら, (1994) PNAS 91: 10747-10751)よう
にして、DNアーゼI処理によって消化し、PCRプライマーを反応混合物から取り出
す。プライマーなしでPCR反応を行った後、プライマーを用いてPCR反応を行い、
両方共、記載された(ステマー(Stemmer)ら, (1994) PNAS 91: 10747-10751)よ
うにして行う。得られるDNA断片をpTRC99a(ファルマシア(Pharmacia)、カタロ
グNo.27-5007-01)へクローン化し、バイオラッド ジーン パルサー(Biorad G
ene Pulser)および製造業者の条件を用いるエレクトロポレーションによって、
大腸菌(E. coli)株SO6609/IKC(シュノール(Schnorr)ら(1994) Plant Journal 6
: 113-121)へ形質転換する。形質転換された細菌を、阻害濃度の阻害剤を含む
培地で増殖させ、阻害剤の存在中で増殖するコロニーを選択する。普通に阻害す
る濃度の阻害剤の存在中で増殖するコロニーを採集し、繰り返しの再ストリーキ
ングによって精製する。それらのプラスミドを精製し、次いで、この試験に通っ
たプラスミドからのcDNA挿入物のDNA配列を決定する。
【0076】 同様の反応において、プレタンパク質をコードするA. タリアナ(thaliana)AIR
シンセターゼ遺伝子を含むPCR-増幅されたDNA断片および、大腸菌(E. coli)purM
遺伝子を含むPCR-増幅されたDNA断片を、イン ビトロ(in vitro)で組換えし、
阻害剤への改善された耐性を有する得られた変異体を上記のようにして回収する
【0077】 実施例12:互い違い伸長プロセス(Staggered Extension Process)によるAIRシ
ンセターゼ遺伝子のイン ビトロ(in vitro)組換え 成熟タンパク質をコードするA. タリアナ(thaliana)AIRシンセターゼ遺伝子お
よび大腸菌(E. coli)purM遺伝子をそれぞれ、pBluescriptベクターのポリリンカ
ーへクローン化する。「逆プライマー(reverse primer)」および「M13 20プライ
マー」(ストラタジーン(Stratagene) カタログ)を用いて、本質的に記載され
た(ツァオ(Zhao)ら、Nature Biotechnology 16: 258-261)ようにして、PCR反
応を行う。増幅されたPCR断片を、適当な制限酵素で消化し、pTRC99aへクローン
化し、変異したAIRシンセターゼ遺伝子を実施例11に記載されたようにしてスク
リーニングする。
【0078】 上記した実施態様は説明のためのものである。本発明のこの開示は、当業者に
、本発明が多くの変形を持つことを知らせる。そのような明らかな予測できる変
形は、添付の請求の範囲に含まれることが意図される。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/10 C12Q 1/25 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/25 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ポッター,シャロン リー アメリカ合衆国,ノースカロライナ 27613,ローリー,ウイスパリング ブラ ンチ ロード 3837 (72)発明者 サブラマニアン,ベンキテスワラン アメリカ合衆国,カリフォルニア 92130, サン ディエゴ,コート マー デハーバ 3980 (72)発明者 ワルターズ,エリック アメリカ合衆国,カリフォルニア 95066, スコッツ バレー,ラ ケスタ ドライブ 140

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:4と同一または実質的に同様
    のアミノ酸配列を含む単離された酵素であって、5'-ホスホリボシル-5-アミノイ
    ミダゾール(AIR)シンセターゼ活性を有する酵素。
  2. 【請求項2】 該アミノ酸配列が植物に由来する、請求項1記載の単離され
    た酵素。
  3. 【請求項3】 該アミノ酸配列がSEQ ID NO:2である、請求項1記載の単離
    された酵素。
  4. 【請求項4】 該アミノ酸配列がSEQ ID NO:4である、請求項1記載の単離
    された酵素。
  5. 【請求項5】 SEQ ID NO:2またははSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を
    コードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 該ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1またははSEQ ID NO:3で
    ある、請求項5記載の単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 該ヌクレオチド配列が、NRRL B-21976と命名された大腸菌(E
    . coli)株DH5apASMにおいて受託されている、請求項5記載の単離された核酸分
    子。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の核酸分子に操作可能に結合された非相同プロ
    モーター配列を含むキメラ遺伝子。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のキメラ遺伝子を含む組換えベクター。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のキメラ遺伝子を含む宿主細胞。
  11. 【請求項11】 細菌細胞である、請求項10記載の宿主細胞。
  12. 【請求項12】 酵母細胞である、請求項10記載の宿主細胞。
  13. 【請求項13】 植物細胞である、請求項10記載の宿主細胞。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の植物細胞を含む植物。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の植物からの種子。
  16. 【請求項16】 植物の成長または生存能力を阻害する能力を有する化学物
    質を同定する方法であって、 (a)第1の反応混合物中のAIRシンセターゼ活性を有する酵素とAIRシンセター
    ゼの基質を、該酵素がAIRの合成を触媒することができる条件下で、併合し; (b)第2の反応混合物中の試験されるべき化学物質および酵素と、AIRシンセ
    ターゼの基質を、第1の反応混合物におけるのと同じ条件下、及び同じ時間にわ
    たり、併合し;そして (c)第1および第2の反応混合物における該酵素の活性を測定及び比較する、
    ことを含み、ここで、第2の反応混合物における酵素活性が、第1の反応混合物
    におけるより低いことが、(b)の化学物質が植物の成長または生存能力を阻害
    する能力を有することを示す、前記方法。
  17. 【請求項17】 植物の成長または生存能力を阻害する能力を有する化学物
    質を同定する方法であって、 (a)第1の反応混合物中の5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジン(F
    GAM)シンセターゼ活性を有する酵素およびAIRシンセターゼ活性を有する酵素と
    、FGAMシンセターゼの基質を、該酵素がAIRの連結合成を触媒することができる
    条件下で併合し; (b)第2の反応混合物中の試験されるべき化学物質および酵素と、FGAMシンセ
    ターゼの基質を、第1の反応混合物におけるのと同じ条件下、及び同じ時間にわ
    たり、併合し;そして (c)第1および第2の反応混合物におけるAIRシンセターゼ活性を有する酵素
    の活性を測定及び比較する、 ことを含み、ここで、第2の反応混合物における酵素活性が、第1の反応混合物
    におけるより低いことが、(b)の化学物質が植物の成長または生存能力を阻害
    する能力を有することを示す、前記方法。
  18. 【請求項18】 植物におけるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草活性を
    有する化学品を同定する方法であって、 (a)AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする単離されたヌクレオチド
    配列を含み、かつ酵素的に活性なAIRシンセターゼを過剰発現(overexpress)する
    ことができる、トランスジェニック植物、植物組織、植物種子または植物細胞を
    得; (b)試験されるべき化学物質を、トランスジェニック植物、植物の細胞、組織
    または部分に施用し、かつ同系の形質転換されていない植物、植物の細胞、組織
    または部分に施用し; (c)該化学物質の施用後に、トランスジェニックおよび形質転換されていない
    、植物、植物の細胞、組織の成長または生存能力を測定し;そして (d)該化学物質の施用後に、トランスジェニックおよび形質転換されていない
    、植物、植物の細胞、組織の成長または生存能力を比較する、 ことを含み、ここで、同系のトランスジェニック植物、植物の細胞、組織または
    部分の成長または生存能力を有意に抑制することなしに、非トランスジェニック
    植物、植物の細胞、組織または部分の成長または生存能力を抑制することが、(
    b)の化学物質が、植物においてAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草活性を有
    することを示す、前記方法。
  19. 【請求項19】 前記基質が5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミジ
    ン(FGAM)である、請求項16記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記基質がb-FGAMである、請求項16記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記基質が5'-ホスホリボシル-N-ホルミルグリシンアミド
    (FGAR)である、請求項17記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記基質がb-FGARである、請求項17記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記のAIRシンセターゼ活性を有する酵素が植物に由来す
    る、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記のAIRシンセターゼ活性を有する酵素が、SEQ ID NO:2
    またははSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と同一であるかまたは実質的に同
    様であるアミノ酸配列を含む、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記のAIRシンセターゼ活性を有する酵素が大腸菌(E. col
    i)に由来する、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記酵素の活性が、反応混合物中に生成されたAIRを測定
    することによって決定される、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法。
  27. 【請求項27】 不所望の草木の成長を抑制する方法であって、その不所望
    の草木に、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法によって同定された化学
    物質を施用するステップを含む、前記方法。
  28. 【請求項28】 AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードするヌクレオ
    チド配列を含むトランスジェニック植物、植物細胞、植物種子または植物組織で
    あって、該ヌクレオチド配列が、該トランスジェニック植物、植物細胞、植物種
    子または植物組織に、野生型植物において普通にAIRシンセターゼ活性を阻害す
    る量で、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法によって同定された化学物
    質に対する耐性を付与する、前記トランスジェニック植物、植物細胞、植物種子
    または植物組織。
  29. 【請求項29】 前記植物または植物の親を、AIRシンセターゼ活性を有す
    る酵素をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ、請求項16〜18のいずれ
    か1項記載の方法によって同定された化学物質に対して植物を耐性にするように
    植物においてヌクレオチド配列を発現することができる単離されたDNA分子を用
    いて形質転換することを含む方法によって作られる植物。
  30. 【請求項30】 植えられた作物種子または植物の作物を含む畑において雑
    草の成長を選択的に抑制する方法であって、 (a)AIRシンセターゼ活性を有するヌクレオチド配列を含む単離されたDNA分子
    を用いて形質転換された植物または植物種子である、殺草剤耐性の作物または作
    物種子を植え、ここで、該ヌクレオチド配列は該植物または植物種子において発
    現可能であること;および (b)畑の作物または作物種子および雑草に、天然に生じるAIRシンセターゼ活
    性を阻害する量で殺草剤を施用すること を含み、殺草剤は、作物の成長を有意に抑制することなしに雑草の成長を抑制す
    る、前記方法。
  31. 【請求項31】 AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする鋳型DNA分
    子から、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする変異誘発されたDNA分子
    を形成するための、該鋳型DNA分子が、二重鎖無作為断片に切断されている方法
    であって、 (a)得られる二重鎖無作為断片の個体群に、少なくとも1つの単鎖もしくは二
    重鎖のオリゴヌクレオチドを添加し、該オリゴヌクレオチドは、鋳型DNA分子と
    同一の領域および非相同の領域を含むこと; (b)二重鎖無作為断片およびオリゴヌクレオチドの得られる混合物を、単鎖分
    子へと変性すること; (c)得られる単鎖分子の個体群をポリメラーゼと共に、アニールした断片の対
    を形成するために該同一の領域で該単鎖分子のアニーリングをもたらす条件下で
    インキュベートし、該同一の領域は、対のうちの1つが他の複製を開始し、それ
    によって、変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを形成するのに十分であるこ
    と; (d)第2および第3の工程を少なくともさらに2サイクル繰り返し、さらなる
    サイクルの第2工程において得られる混合物は、前のサイクルの第3工程からの
    変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを含み、かつ、さらなるサイクルは、さ
    らなる変異誘発二重鎖ヌクレオチドを形成すること、 からなる工程を含み、変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドは、鋳型DNA分子
    によりコードされるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に対する高められた
    耐性を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする、前記方法。
  32. 【請求項32】 AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードする少なくと
    も2つの非同一鋳型DNA分子から、AIRシンセターゼ活性を有する酵素をコードす
    る変異誘発されたDNA分子を形成するための方法であって、 (a)鋳型DNA分子に、鋳型DNA分子のそれぞれと同一の領域を含む少なくとも1
    つのオリゴヌクレオチドを添加すること; (b)得られる混合物を単鎖分子へと変性すること; (c)得られる単鎖分子の個体群をポリメラーゼと共に、オリゴヌクレオチドの
    鋳型DNA分子へのアニーリングをもたらす条件下でインキュベートし、ポリメラ
    ーゼによる重合の条件は、鋳型DNA分子の一部に対応する重合生成物が得られる
    ような条件であること; (d)第2および第3の工程を少なくともさらに2サイクル繰り返し、第3工程
    で得られる伸長生成物は、次のサイクルでの重合のために鋳型DNA分子をスイッ
    チすることができ、それによって、異なる鋳型DNA分子から誘導される配列を含
    む変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドを形成すること からなる工程を含み、、変異誘発された二重鎖ポリヌクレオチドは、鋳型DNA分
    子によりコードされるAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に対する高められ
    た耐性を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする、前記方法。
  33. 【請求項33】 請求項31記載の方法により得られるAIRシンセターゼ活
    性を有する酵素をコードする変異誘発されたDNA分子であって、該鋳型DNA分子に
    よりコードされたAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に対して高められた耐
    性を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする、前記変異誘発されたDNA分子。
  34. 【請求項34】 請求項32記載の方法により得られるAIRシンセターゼ活
    性を有する酵素をコードする変異誘発されたDNA分子であって、該鋳型DNA分子に
    よりコードされたAIRシンセターゼ活性を阻害する殺草剤に対して高められた耐
    性を有するAIRシンセターゼ酵素をコードする、前記変異誘発されたDNA分子。
  35. 【請求項35】 少なくとも1つの鋳型DNA分子が、真核生物に由来する、
    請求項31または32記載の方法。
  36. 【請求項36】 該真核生物が植物である、請求項35記載の方法。
  37. 【請求項37】 該植物がアラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thalian
    a) である、請求項36記載の方法。
  38. 【請求項38】 鋳型DNA分子の該種が、SEQ ID NO:1またははSEQ ID NO:3
    と同一であるかまたは実質的に同様である、請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 1つの鋳型DNA分子が原核生物に由来する、請求項31ま
    たは32記載の方法。
JP2000556042A 1998-06-24 1999-06-22 アラビドプシスタリアナ(Arabidopsisthaliana)からのAIRシンセターゼを用いた殺草化合物のスクリーニング方法 Pending JP2002518054A (ja)

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