JP2002531852A - 胚様体を用いる毒性の分類 - Google Patents

胚様体を用いる毒性の分類

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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/142Toxicological screening, e.g. expression profiles which identify toxicity

Abstract

(57)【要約】 本発明は、化学組成物の毒性を同定および分類するため、ならびに毒性についての新規組成物をスクリーニングするための、方法およびシステムを提供する。本発明は、遺伝子発現またはタンパク質発現における変化を検出する工程、そしてそれ故、既知および未知の毒性の種々の化学組成物と接触された、単離された哺乳動物胚様体における分子プロフィールを確立する工程、ならびにその分子プロフィールを、その化学組成物の毒素と相関付ける工程を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、毒性化合物を同定し、そして特徴づけるための方法、および毒性効
果について新規化合物をスクリーニングするための方法を提供する。
【0002】 (背景技術) 米国において、現在、毎年およそ55,000の化学物質が生産、または使用
される。これらの化合物の比較的わずかしか、急性の毒性または慢性の毒性につ
いての総合的な試験を受けていない。市販の化学物質の1パーセント未満しか完
全な健康上の有毒性の評価を受けていないと推定される。これらの化合物の毒性
を試験するための、より迅速かつ低費用の手段が所望される。そのような手段は
また、高スループット使用に受け入れ可能である場合、特に有用であり得る。
【0003】 産業用化学物質および家庭用化学物質に加えて、毎年医化学物質としての用途
に、多くの化学組成物が開発される。潜在的医化学物質の試験に関係する規定は
、食品医化学物質庁(「FDA」)によって公布され、それは現在、薬物候補が
ヒトの臨床試験に進められ得る前に、少なくとも2種において(これらの1種の
みがマウスであり得る)毒性、変異原性および他の効果の総合的試験を必要とし
ている。前臨床毒性試験単独で、数百から数千ドルの費用がかかる。
【0004】 1997年に、医化学物質産業は、毒性を決定するためのスクリーニングアッ
セイおよび試験に45億ドル以上を費したと推定された。この莫大な投資にも関
わらず、全ての見込みのあるヒト治療剤の約3分の1は、予想不可能な毒性のた
めにヒト臨床試験の第一相において不合格になる。現在、利用可能な毒性学的ス
クリーニングアッセイは、ヒト治療に関連する全ての毒性は検出しないことは明
白である。潜在的毒性について潜在的治療剤をスクリーニングするより良い手段
は、新規治療剤を開発する費用および不正確さを減少し、この不正確さを減少す
ることによって、薬物開発に対して、さらなる財源を投資するように、民間団体
を奨励する。
【0005】 伝統的な「単一レポーター」細胞株および動物毒性試験に対する、現在利用可
能な代替物は、完全にはこれらのニーズを満たさない。例えば、Farr,米国
特許第5,811,231号は、選択されたストレスプロモーターを選択して、
そして種々の細胞株の細胞における、それらのプロモーターに連結された遺伝子
の転写レベルを決定することによって、毒性化合物を同定および特徴づけする方
法を提供する。従って、この方法は、このプロモーターおよび細胞株の両方が、
目的の生物に対する潜在的毒性薬剤の効果を表す、その程度に依存する。
【0006】 オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションアレイの使用は、化学組成物の
潜在的毒性を決定するための別のルートを提供する。培養物の細胞を化学組成物
に曝し、次いで曝された細胞の発現パターンと、他の化学薬剤に曝された細胞の
発現パターンとを比較して、この試験化合物の発現パターンに類似する発現パタ
ーンを検出し、従って、これら化学組成物の毒性が類似することを予測すること
を可能にする(例えば、Service,R.,Science 282:39
6−399(1998)を参照のこと)。これらの方法は、個々の細胞株がイン
タクトな生物の複雑な生物学を十分に表さないかもしれないという事実に苦しむ
。さらに、複数の細胞株において、この試験をさらに繰り返すことは、生物にお
いて生じる、細胞および組織間の複雑な相互作用を、再現または説明しない。
【0007】 当該分野において必要とされることは、細胞が他の型の細胞と相互作用する環
境において、潜在的毒性について化学組成物を系統的に試験する方法である。さ
らに必要とされることは、費用、時間ならびに動物試験およびヒト試験の倫理的
問題のない、どれが生物全体に対する組成物の効果に関連するかを試験する手段
である。本発明は、これらおよび他の必要性に取り組む。
【0008】 (発明の開示) 本発明は、化学組成物の毒性を評価するための新規の方法を提供する。実施形
態の1つの群において、本発明は、以下の工程:a)単離された哺乳動物胚様体
(EB)に、化学組成物を接触させる工程;およびb)この化学組成物に対して
応答する、この哺乳動物胚様体における遺伝子発現またはタンパク質発現の変化
を記録して、この化学組成物の分子プロフィールを作成する工程、を含む、化学
組成物の分子プロフィールを作成する方法に関する。
【0009】 本発明はさらに、以下の工程:a)単離された哺乳動物胚様態に、予め決定さ
れた毒性を有する化学組成物を接触させる工程;b)この化学組成物に対して応
答する、この哺乳動物胚様体における遺伝子発現またはタンパク質発現の変化を
記録して、化学組成物の分子プロフィールを作成する工程;ならびにc)予め決
定された毒性を有する、少なくとも2つの化学組成物を用いて、工程a)および
b)を反復することによって、分子プロフィールのライブラリーを編集する工程
、を含む、予め決定された毒性を有する化学組成物の分子プロフィールのライブ
ラリーを編集する方法を具体化する。
【0010】 本発明の別の実施形態は、EB細胞における試験化学組成物分子プロフィール
と、予め決定された毒性を有する、同定された化学組成物の分子プロフィールと
を比較することによって、試験化学組成物の毒性を分類するための方法を提供す
る。1つの局面において、この化学組成物は、予め決定された毒性を有する化学
組成物と同じであり得る。例えば、この試験化学物質は、既知の化学組成物と同
一の分子プロフィールを現わす場合、この試験を通じて同定される。
【0011】 本発明はさらに、予め決定された毒性を有する複数の化学組成物のプロフィー
ルを含むライブラリーとプロフィールを比較することによる、試験化学組成物の
毒性を分類するための体系的な方法を含む。好ましくは、これらの化学組成物は
、型および標的組織または標的器官の点において、類似の毒性を及ぼすライブラ
リーに含まれる。このライブラリーは、データベースの形態であり得る。データ
ベースは、異なる毒性カテゴリーの化学組成物についての、1つより多いライブ
ラリーを含み得る。
【0012】 本発明の1つの局面において、試験化学組成物の毒性は、EB細胞におけるそ
の分子プロフィールの、予め決定された毒性を有する化学組成物の分子プロフィ
ールに対する比較に従って順位づけられ得る。
【0013】 本発明における胚様体は、ヒトの胚様体、またはマウス種ならびにイヌ、ネコ
、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマおよびヒツジ種の胚様体を含む、非ヒト哺乳類の胚様
体であり得る。
【0014】 遺伝子発現またはタンパク質発現のレベルの変化は、下記のいずれかから選択
される標識の使用によって検出され得る:蛍光性、比色性、放射活性、酵素、酵
素基質、ヌクレオシドアナログ、磁性、ガラスまたはラテックスビーズ、金コロ
イドおよび電子トランスポンダー。その変化はまた、質量スペクトル法によって
検出され得る。この化学組成物は、既知(例えば、潜在的に新規の薬剤)または
未知(例えば、道端に捨てられている未知の化学物質のサンプル、および未知の
毒性のサンプル)であり得る。
【0015】 さらに、化学組成物は、既知の毒性の薬剤(例えば、神経毒、肝臓毒素、造血
細胞の毒素、筋肉毒素、発癌物質、催奇形物質、または1つ以上の生殖器官に対
する毒素)の治療剤(または、潜在的治療剤)であり得る。この化学組成物は、
さらに農薬(例えば、殺虫剤、殺菌剤、殺線虫剤および肥料)、化粧品(いわゆ
る「美容品(cosmeceuticals)」を含む)、産業廃棄物または副
産物、あるいは環境汚染物質であり得る。それらはまた、動物治療剤または潜在
的動物治療剤であり得る。
【0016】 本発明はさらに、化学組成物の分子プロフィールを、化学組成物の分子プロフ
ィールのライブラリーと比較するための統合システムを含む。その統合システム
は、アレイ上の標識のパターンを読み取るために適応されたアレイリーダーを備
え、既知のまたは未知の化学組成物と接触された、哺乳動物胚様体の複数の遺伝
子発現プロフィールあるいはタンパク質発現プロフィールを有するデータファイ
ルを備えるコンピュータに、作動可能に連結される。
【0017】 本発明はまた、化学組成物の分子プロフィールと毒性を相関づける統合システ
ムを含む。その統合システムは、アレイ上の標識のパターンを読み取るために適
応されたアレイリーダーを備え、予め決定された毒性を有する化学組成物の複数
の、分子プロフィールおよび分子プロフィール−毒性の相関付けに適したプログ
ラムを有するデータベースファイルを備えるデジタルコンピュータに、作動可能
に連結される。本発明の統合システムは、1時間に500個より多い標識を読み
取り得、そしてさらにアレイ上の標識のパターンを読み取るための、光学検出器
に作動可能に連結され得る。
【0018】 (発明を実施するための形態) (A.定義) 本明細書中で使用されるように、「胚様体」、「EB」または「EB細胞」と
は、代表的に細胞の集団からなる形態学的構造をいい、その大部分は、分化を受
けた胚性幹(「ES」)細胞に由来する。EB形成のための適した培養条件下(
例えば、白血病抑制因子または他の類似するブロッキング因子の除去)において
、ES細胞は増殖し、そして分化し始める細胞の小さな集団を形成する。分化の
第1段階は、通常ヒトにおける分化の約1〜4日に対応し、ここで、この小さな
細胞の集団は、外層上に内胚葉細胞の層を形成し、そしてそれは「単純な胚様体
」であるとみなされる。第2段階においては、通常、ヒトにおける分化後の約3
〜20日に対応し、「複合胚様体」が形成され、それは外胚葉細胞および中胚葉
細胞ならびに誘導組織の広範な分化により特徴づけられる。本明細書中で使用さ
れるように、用語「胚様体」または「EB」は、文脈により必要なければ、単純
な胚様体および複合胚様体の両方を含む。胚様体がES細胞の培養物中で形成さ
れたときの決定は、当業者により慣用的になされる(例えば、形態の視覚的検査
)。約20細胞以上の浮動性の集団は、胚様体であるとみなされる。例えば、S
chmitt,R.,ら(1991)Genes Dev.5:728−740
;Doetschman,T.C.,ら(1985)J.Embryol.Ex
p.Morph.87:27−45を参照のこと。本明細書中に使用されるよう
な用語「胚様体」、「EB」または「EB細胞」は、適切な条件下で培養される
場合、その大部分が異なる細胞系統に発達し得る多能性細胞である、細胞の集団
を含むこともまた理解される。本明細書中で使用されるように、その用語はまた
、胚の性腺領域から抽出された初期細胞である、始原生殖細胞から誘導される、
同等の構造をいう。例えば、Shamblottら(1998)Proc Na
tl Acad Sci(USA)95:13726−13731を参照のこと
。始原生殖細胞はまた、ときどき当該分野において、ES細胞または胚性生殖性
細胞と称され、適切な因子を用いて処理した場合に、胚様体が誘導され得る多能
性ES細胞を形成する。例えば、Hogan,米国特許第5,670,372号
;Shamblottら(前出)を参照のこと。
【0019】 本明細書中で使用されるように、「毒性」は、生存生物またはその一部に対す
る化学物質の任意の有害効果を意味する。毒性は、個々の細胞、組織、器官また
は器官系に対するものであり得る。従って、毒性の測定は、環境中での化学物質
の曝露の有意性を含む、ヒトの健康または動物の健康に対する化学品の潜在的効
果の決定に不可欠である全ての化学物質および全ての薬物は、いくらかの濃度に
おいて有害効果を有する;従って、その問題は、一部分で、薬剤または化学物質
が、述べられた目的のために市販されるのに十分に低い危険性を有するかどうか
、あるいは、環境汚染の点について、環境中のその存在によって引き起こされる
危険性が、その廃棄を防ぐための特別の注意を必要とするかどうか、あるいは、
一旦それが廃棄された際の検疫または修復が必要であるかどうかである。例えば
、Klaassenら編、CasarettおよびDoull’s Toxic
ology:The Basic Science of Poisons,M
cGraw−Hill(New York,NY,第5版、1996)を参照の
こと。本明細書中で使用されるように、「予め決定された毒性」を有する化学組
成物は、決定されている化学組成物の毒性の型および/または特定の薬力的な特
性を意味する。例えば、ある化学組成物は、肝臓の毒性を誘導することが公知で
あり得る。さらに、その化学物質によって生じる肝臓の毒性の重症度は、肝臓組
織と接触する化学物質の量または濃度によって、定量的に測定され得る。
【0020】 本発明に従って、「遺伝子発現またはタンパク質発現における変化」は、標準
組織培養培地および標準培養条件のみに曝された胚様体の、遺伝子またはタンパ
ク質の発現レベルと比較した、1つ以上の遺伝子またはタンパク質の発現レベル
の変化を意味する。文脈に依存して、この句は、単一のタンパク質または遺伝子
の発現における変化(胚様体が化学薬剤に曝された場合のように、コントロール
の胚様体によっては発現されないタンパク質を発現する)を意味し得るか、ある
いは胚様体(または胚様体の群)のタンパク質発現の全てのパターンを意味し得
る。
【0021】 本明細書中で使用されるように、「化学組成物」、「化学物質」、「組成物」
および「薬剤」は、一般的に同義語であり、そして目的の化合物をいう。化学品
は、例えば、潜在的治療剤、農薬、環境的汚染物質または犯罪現場、廃棄物処理
場で見出されるか、または道端に捨てられている未知の物質としてみなされる化
学品であり得る。
【0022】 本明細書中で使用されるように、化学組成物の「分子プロフィール」または「
プロフィール」とは、化学組成物により接触された胚様体の、培養培地のみに接
触する、同様の胚様体との比較における、遺伝子発現またはタンパク質発現、あ
るいは両方の発現の変化のパターンをいう。
【0023】 本明細書中で使用されるように「データベース」とは、化学組成物によって接
触された胚様体の、培養培地のみに接触する同様の胚様体との比較における、遺
伝子発現またはタンパク質発現、あるいはその両方の発現のパターンにおける変
化に対する、化学薬剤の毒性、生物学的効果またはその両方についての情報と相
関する情報を記録するための順位付けられたシステムをいう。
【0024】 本明細書中で使用されるように「ライブラリー」とは、化学組成物によって接
触された胚様体における遺伝子発現またはタンパク質発現、あるいはその両方の
発現における変化の、他の化学組成物によって生じるような発現のプロフィール
に対する比較を可能にする、少なくとも2つの化学組成物の分子プロフィールの
編集物をいう。
【0025】 「アレイ」は、順位付けられた配置または配列を意味する。最も一般的に、ア
レイとは、本明細書中では、オリゴヌクレオチド(cDNAおよびゲノムDNA
を含む)あるいは相補的オリゴヌクレオチド(cDNAおよびゲノムDNAを含
む)を捕獲するために使用されるチップ上または他の表面上に配置されたリガン
ドまたはそのリガンドについての基質の順位付けられた配置をいう。その配列に
おける各々の位置のオリゴヌクレオチドまたはリガンドは既知であるので、その
(核酸の)配列または(タンパク質の)物理的特性は、核酸または基質がアレイ
に結合する位置によって決定され得る。
【0026】 「作動可能に連結される」は、1つのエレメントにおいて生じる事象(例えば
、光学的リーダーによる読み取り)が、第2のエレメントへ伝達され、そして第
2のエレメントにより作用(例えば、光学的リーダーからのデーターに関係する
コンピュータによる計算)されるのを可能にする様式で、2つ以上のエレメント
が連結されることを意味する。
【0027】 (B.一般的記載) 本発明は、生物体全体(人体を含む)の複雑な生物学的相互作用および細胞性
相互作用を緻密にモデル化する1つの系における、ゲノム全体(genome−
wide)に基づいた化学組成物の毒性を評価する方法を提供する。1つの局面
において、本発明は、その標的を確認する能力、ならびにその潜在的治療剤に対
する応答に関連する、発現した全ての遺伝子を、迅速に同定する能力、および定
量する能力の両方のために、薬剤の開発において特に有用である。
【0028】 本発明は、胚様体の特性を利用することによって、それらの目的を達成する。
胚様体は、異なる組織に分化する細胞の複合体の群を提示する。1つの実施形態
において、胚様体内の細胞は、実質的にそれらの分化について同調される。従っ
て、既知の間隔で、大部分の同調された細胞は、3つの胚の胚葉に分化し、そし
てさらに複数の組織型(例えば、軟骨、骨、平滑筋および横紋筋ならびに神経組
織(胚性神経節を含む))に分化する。従って、胚様体内の細胞は、なおマウス
およびより大型の哺乳動物の使用にともなう費用および困難さを回避しながら、
従来の単一細胞アッセイまたは酵母アッセイよりも、生物全体の複雑性に、さら
により近いモデルを提供する。さらに、ヒト胚様体の最近の利用可能性は、ヒト
器官系およびヒトにおける毒性をモデリングするための、より近いビヒクルを提
供することによって本発明の予測的な能力を改善する。
【0029】 本発明の胚様体は、細胞集団を含み、その集団のほとんどが、適切な条件下で
培養した場合に、異なる細胞系統に発生し得る、多能性細胞である。この胚様体
が、全能性ES細胞由来の多能性細胞を、少なくとも51%含むことが好ましい
。より好ましくは、この胚様体は、全能性ES細胞由来の多能性細胞を、少なく
とも75%含む。そしてさらにより好ましくは、この胚様体は、分化全能性ES
細胞由来の多能性細胞を、少なくとも95%含む胚様体である。
【0030】 最も単純な形態において、本発明に従って分子プロフィールを作製する方法は
、胚様体を、目的の化学組成物と接触させる工程、次いで、化学組成物に曝され
た胚様体(「試験胚様体」)を、その薬剤に曝されなかった胚様体(「コントロ
ール胚様体」)と比較した、遺伝子発現、タンパク質発現または両方の発現にお
ける変化を決定する工程を含む。
【0031】 さらに、ライブラリーは、2つ以上の異なる化学組成物(例えば、類似の毒性
を有する化合物)についての分子プロフィールを編集することによって、作製さ
れ得る。これらの組成物の分子プロフィールは、それらの遺伝子発現パターンあ
るいはタンパク質発現パターンにおいて共通する変化を識別するために、定性的
または定量的のいずれかで互いに比較され得る。例えば、それぞれの化学組成物
についての全体的な遺伝子発現パターンまたはタンパク質発現パターンは、固有
であり得るが、ある特定の遺伝子またはタンパク質の発現レベルにおける変化は
、類似の毒性を有する組成物の間で類似し得る(いくつかの遺伝子/タンパク質
は、類似に上方制御され得、従って、コントロールと比較してより高い量で発現
され得るが、一方、他の遺伝子/タンパク質は、類似に下方制御され、従ってコ
ントロールと比較して少量で発現され得る)。 次いで、これらの化学組成物のこれらの共通の分子の特徴は、それらの毒性と相
関付けられ得、そして新規の、または以前に試験されていない化学組成物の毒性
を評価するための代理マーカーとして働き得る(例えば、薬物スクリーニングア
ッセイにおける薬物リード)。
【0032】 何千もの化合物が、前臨床研究および臨床研究を受けてきた。前臨床研究はと
りわけ、少なくとも2種の哺乳動物種(そのうちの1種は通常マウス種、代表的
にマウスまたはラット)における毒性研究を含み、そして臨床検査は常に任意の
明白な毒性についての情報を含む。種々のこれらの化合物の毒性について、かな
りの量の情報が、利用可能である。利用可能な毒性の情報に基づき、これらの化
合物は、毒性の特定のカテゴリー中で分類され得る。例えば、多くの化学組成物
を、それらが毒性を及ぼす組織または器官に従って、表1に列挙する。
【0033】
【表1】 本発明の1つの実施形態において、肝臓毒性を有することが知られている組成
物は、EB細胞におけるそれらの分子プロフィールの体系的分析のために使用さ
れる。別の実施形態において、心血管系に対して毒性を生じる組成物が、ES細
胞における、それらの分子プロフィールについて評価される。なお、別の本発明
の実施形態において、神経系に対して毒性を生じる組成物は、EB細胞における
それらの分子プロフィールについて評価される。あるいは、選り抜きの疾患を処
置するための既知の薬物、または潜在的薬物は、それらの毒性の体系的分析にお
いて、一緒に使用され得る。この点に関して、例えば、抗癌薬物および抗癌薬物
候補は、それらの組織の毒性ならびに器官の毒性についてスクリーニングされ得
る。
【0034】 本発明の1つの局面に従って、化学組成物の分子プロフィールは、非ヒト動物
、ヒトまたは両方において実証される、これらの薬剤の毒性に相関付けられ得る
。次いで、新規の薬剤または以前に試験されていない薬剤に曝された胚様体の発
現パターンを、既知の毒性の薬剤によって誘導される発現のようなプロフィール
のライブラリーに対して比較することによって、この新規薬剤の毒性の可能性の
ある型として予測され得る。さらに、この新規薬剤の毒性(もし、存在する場合
)は、既知の毒性組成物の間で順位付けられ、薬物の開発における優先化のため
の情報を提供し得る。
【0035】 薬物開発におけるその有用性に加えて、本発明はまた、化学組成物の毒性に関
係のある他の領域における用途を有する。従って、本発明は、農薬(例えば、殺
虫剤および肥料)の毒性を評価するために利用され得る。さらに、本発明は、化
粧品にも使用され得る。例えば、本発明を使用して、毒性について候補化粧品を
スクリーニングし、その後、その化合物を動物研究に移し、そのことによってD
raize eye刺激試験のような手順を実施することが必要な動物の数を、
潜在的に減少する。同様に、本発明の方法は、「美容品(cosmeceuti
cal)」としての使用を意図する薬剤に対して適用され得る。ここで、主に化
粧品である薬剤はまた、いくつかの準治療的特性を有すると主張される。さらに
、本発明は環境汚染物質(廃棄物、石油化学製品残留物、燃焼産物および製造工
程の産物)の相対毒性を評価するために使用され得る。そのような汚染物質の例
は、ダイオキシン、PCBおよび炭化水素を含む。
【0036】 一般的に、タンパク質発現または遺伝子発現のレベルを検出するために使用さ
れるその方法は、少なくともタンパク質発現量または遺伝子発現量の、相対的な
測定を提供することが好ましい。より好ましくは、その方法は、タンパク質発現
または遺伝子発現の定量的測定を提供し、既知の毒性の化学組成物に曝された胚
様体の、タンパク質発現または遺伝子発現に対する、試験化学組成物に曝された
胚様体の、タンパク質発現または遺伝子発現の比較を容易にする。
【0037】 (C.胚様体を調製) 1つの実施形態において、本発明において使用される胚様体は、分化を可能に
する培養条件下において胚性幹細胞(「ES細胞」)の集団に由来し得る。ES
細胞は、複数の、特殊化された細胞型を生じ、そして最終的に終末の(term
inally)分化細胞を生じることが可能である未分化で、未熟な全能細胞で
ある。ES細胞は、代表的に初期の胚盤胞の内部細胞塊に由来し、そして培養に
おいて、無限に増殖され得る。例えば、Kellerら、WO96/16162
を参照のこと。ES細胞は、最初、全能細胞である。例えば、Hogan、米国
特許第5,690,926号を参照のこと。ES細胞を培養するための技術は、
当該分野において周知である。例えば、Robertson,E.、「Embr
yo−derived Stem Cell Lines」Robertson
,E.編、Teratocarcinomas and ES cells:A
practical approach、IRL Press(Washin
gton,DC 1987);Hogan,R.ら、編、Manipulati
ng the Mouse Embryo:A Laboratory Man
ual、Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess、(Cold Spring Horbor,NY、1986)を参照の
こと。
【0038】 ES細胞を使用した哺乳動物胚様体を調製する方法は、当該分野において公知
である。例えば、Kellerら(前出)は、胚様体培地中でES細胞を培養す
ることによるES細胞集合を調製する工程を記載する。代表的には、ES細胞は
、白血球阻害因子(「LIF」)の存在下において、未分化状態のままである。
LIFは、例えば、Gearing、米国特許第5,187,077号において
記載される。LIFを使用した、ES細胞のインビトロ増殖は、William
s、米国特許第5,166,065号において、教示される。
【0039】 分化を開始するために、ES細胞はLIF含有胚性幹細胞培地から取り除かれ
、LIFを含まない培地中で再培養される。Kellerら(前出)、13を参
照のこと。一般的に、この細胞は、接着を促進するために処置されていなかった
プラスチックウェア中で培養される(例えば、細菌グレード(bacteria
l−grade)プラスチックウェア、TeflonTMコートされたプラスチッ
クウェア、または接着を減少させるために公知の他の材料)。次いで、細胞は一
団になる傾向があり、そして1つの塊のようなES細胞の相互作用は、胚様体の
形成を誘導するために作用し、ここで3つの胚葉に分化を開始し、そしてさらに
特定の組織型の細胞(例えば、例えば、筋細胞、上皮細胞、神経細胞、および造
血細胞)に分化を開始する(Snodgrassら、「Embryonic S
tem Cells:ResearchおよびClinical Potent
ials」SmithおよびSacher編、Peripheral Bloo
d Stem Cells American Association of
Blood Banks、Bethesda MD(1993))。
【0040】 Thomson、WO96/22362は、線維芽支持細胞の存在下において
、不定に未分化の状態のままである霊長類のES細胞を記載する。支持細胞は、
分裂する能力を取り除くために放射線照射されるが、ES細胞細胞の培養を支持
する基材および種々の因子を提供する細胞である。例えば、Robertson
(前出)、およびHoganら(前出)、を参照のこと。初期マウス胚性線維芽
細胞が好ましいが、マウス3T3細胞またはSTO細胞が使用され得る(例えば
、Hoganら(前出);TadaroおよびGreen(1963)、J.C
ell Biol.17:299;WareおよびAxelrad(1972)
Virology 50:339)。支持細胞からの除去の際に、霊長類のES
細胞は種々の細胞型に分化し、高密度で増殖される場合、胚様体を形成する。T
homas(前出);Thomsonら(1996)、Biol.Reprod
.57:254−259;およびThomsonおよびMarshall(19
98)Curr Top Dev Biol.38:133−165を参照のこ
と。多くの他の哺乳動物(例えば、ブタ)のES細胞由来の胚様体の形成もまた
、報告されている。Shimら(1997)Biol.Reprod.57:1
089−95を参照のこと。
【0041】 本発明に従って得られた胚様体は、当該分野において公知であり、そしてKe
llerら(前出)において記載されるように、これらの形態によって視覚的に
同定され得る。規定された培養条件下において、胚様体は密に充填された(pa
cked)細胞または細胞凝集体または細胞隗の一般的形態を有し、ここで、個
々の細胞は容易に検出できない。細胞隗の大きさおよび個々の細胞のおよその大
きさにより算定され得る胚様体における細胞の数は、約5個〜約2,000個の
範囲であり得るが、好ましくは、約10〜約100の範囲であり得る。さらによ
り好ましい胚様体における細胞数は、約20個である。
【0042】 あるいは、本発明に従って得られた胚様体は、規定された段階の胚様体細胞の
集団に対する、特異的な抗体のような特異的マーカーの検出により同定され得る
。例えば、Kellerら(前出)は、Day−4EB細胞集団が、少量のSc
a−1レセプター、C−kitレセプターおよびClass I H−2bを実
質的に発現し、そしてThy 1、VLA−4、CD44およびCD45を本質
的に発現しない。従って、Day−4EBにおける細胞は、このような細胞がこ
れらの表面の抗原に対する抗体を用いて染色される場合、同じ染色パターンを実
質的に有する。
【0043】 必要な場合、本発明に従って得られ、そして培養された胚様体は、当該分野に
おいて公知の方法(例えば、フローサイトメトリ、セルソーティング、濾過また
は遠心法)を用いて、それらの物理的特性または化学的特性(例えば、大きさ、
質量、密度、特異的抗原または遺伝子発現)に基づいて培養物から単離され得る
【0044】 広範に注目される最近の発生において、2つのグループがヒト胚盤胞由来のE
S細胞の発生を報告している。Thomsonら、(1988)Science
282:1145−1147およびShamblottら、(1998)Pr
oc Natl Acad Sci(USA) 95:13726−13731
を参照のこと。
【0045】 Thomsonらの研究において、臨床目的にのためのインビトロ受精により
産生されるヒト胚は、インフォームドコンセントおよび施設内審査委員会の認可
(institutional review board approval
)の後に、個人によって寄付された。胚は、胚盤胞の段階まで培養され、内部塊
が単離され、そしてES細胞株は、非ヒト霊長類ES細胞ついて予め記載される
(そして上記で言及される)本質的に同じ手段によって得られる(同上)。この
細胞は、全ての3つの胚性胚葉の派生体(derivative)に分化可能で
あった(同上)。他の霊長類のES細胞を用いる場合、LIFは、ヒトES細胞
を線維芽支持細胞の非存在下において分化するのを維持するのに十分ではなかっ
たが、コンフルエンスまで増殖し、そして培養ディッシュ中で積み重なることが
可能な場合、線維芽支持細胞の存在下でさえ分化した(同上)。
【0046】 Shamblottらの研究において、生殖隆起および腸管膜含有始原生殖細
胞(「PGC」)(受精後5〜9週に停止した妊娠から得られたヒト胚から採取
される)は、ヒト組換えLIF、ヒト組換え塩基性線維芽細胞増殖因子、および
フォルスコリンの存在下において、マウスSTO線維芽細胞支持層上で、培養さ
れた。7〜21日の期間にわたり、PGCが、胚様体へと発達する幹細胞のコロ
ニーを生じた。胚様体は、広範な種々の分化細胞型(全ての3つの胚性胚葉の派
生体を含む)を含むことが示された。ThomsonらおよびShamblot
tらにより製作された胚様体のようなヒト胚様体が、本発明の方法において使用
され得ることが予想される。
【0047】 ES細胞はまた、除核細胞から形成され得、これに所望のヒト細胞または哺乳
動物細胞の核が挿入された。例えば、Roblら、国際公開番号WO98/07
841を参照のこと。
【0048】 化学的組成物を試験するために使用される胚様体は、任意の脊椎動物種の胚様
体であり得る。胚様体が由来する特定の種の選択は、代表的には、いくつかの因
子のバランスを反映する。第1に、研究の目的に依存して、1つ以上の種が特に
関心が持たれ得る。例えば、ヒト胚様体は、潜在的なヒト治療として試験される
組成物を用いる使用のために特に関心が持たれ、一方ウマ胚様体、ネコ胚様体、
ウシ胚様体、ブタ胚様体、ヤギ胚様体、イヌ胚様体、またはヒツジ胚様体は、潜
在的な獣医学治療のためにより関心が持たれ得る。
【0049】 第2に、ヒト治療の試験に関してさえ、費用および取り扱いの考慮は、いくつ
かまたは全ての試験が、非ヒト胚様体および非霊長類の胚様体さえ用いて行われ
ることが指示され得る。ヒトES細胞を得ることは、例えば、現在、インフォー
ムドコンセントおよび施設内審査委員会の検査(institutional
review board review)のみならず、強い労働集約的傾向(
labor intensive tending)もまた必要とする。Mar
shall、Science 282:1014−1015(1998年11月
6日)を参照のこと。霊長類の胚様体を得ることは、同じ法的要求を明らかには
負わない一方、第1に霊長類を得ることを必要とし、そして重大でかつ高価な動
物管理義務(animal husbandry obligation)を負
う。従って、多くの試験のためには、マウス,ラット、モルモット、ウサギ、お
よび他の容易に入手可能な、ならびに高くない、実験動物由来の胚様体を使用す
ることが所望され得る。
【0050】 第3に、かなりの情報が、化学的組成物の毒性に関して利用可能であるような
種を選択することがしばしば価値があり、その結果、遺伝子およびタンパク質の
発現において観察される変化は、毒性の種々の型に関連し得る。この理由のため
に、マウスおよびラットは、好ましい実施形態である。ほとんどの前臨床試験は
、少なくとも1つのマウス種に関してなされ、従って、マウスおよびラットの種
々の組織に対して種々の組成物の毒性に関する多数の情報が存在する。マウスま
たはラット由来の胚様体を使用することは、胚様体中における遺伝子発現または
タンパク質発現における変化と、それらの種においてこれらの薬剤により表され
る毒性との相関を可能にする。前臨床試験において一般的に使用される他の種の
胚様体(例えば、モルモット、ウサギ、ブタおよび犬)はまた、同様の理由のた
めに好ましい。代表的に、これらの種の胚様体は、「第1の通過(first
pass)」のスクリーニングのために使用され、またここで、ヒトにおける毒
性に関する詳細な情報は必要とされず、またここで、得られたマウスまたは他の
これらの実験種の1つは、ヒトにおける公知の毒性または他の効果と関連してい
る。
【0051】 第4に、霊長類は前臨床試験において広範囲に使用されず、そして他の実験動
物より購入および維持するためにしばしば、より高価であるが、それらの生化学
および発生生物学は、より一般的な実験動物の生化学および発生生物学より、ヒ
トのそれにかなり近い。従って、霊長類に由来する胚様体は、毒性試験のために
好ましく、ここでこの研究は、さらなる費用および取り扱いの考慮を正当化する
ために十分に重要である。もっとも好ましくは、ヒト胚様体である。なぜなら、
これらの胚様体における薬剤の毒性についての結論は、ヒトに対する化学的組成
物の効果にもっとも直接的に関連すると考えられ得るからである。霊長類の胚様
体またはヒト胚様体における研究が、他の種の胚様体における毒性研究の結果を
確認するためになされることが予測される。ヒト胚様体は、ヒトにおける毒性が
費用および法的障害を請け負うのに十分に興味深い毒性である場合に用いられ、
そしてヒトES細胞の使用に対する法的障害は負担が少なくなるので、時間がた
てばより好適になることが予想される。
【0052】 第5に、ヒト治療に関して、取り締まり機関は、ヒト試行が開始し得る前に、
動物データを一般的に必要とする;前臨床動物研究において使用される種の胚様
体を使用することが一般的に所望される。次いで、胚様体における毒性試験の結
果は、動物試行の間に予測する毒性の程度および型に関し、研究者を導き得る。
特定の動物種が、他の種より異なる型のヒトの毒性のより良いモデルであること
が当該分野で公知であり、そして種はまた、薬物を代謝するためのそれらの能力
において異なる。例えば、Williams、Environ Health
Perspect.22:133〜138(1978);Duncan、Adv
Sci 23:537〜541(1967)を参照のこと。従って、特定の前
臨床の毒性研究における使用のために好ましい特定の種は、薬物候補の意図され
る使用に従って、変更し得る。例えば、生殖系に影響することが意図される薬物
に対する適切なモデルを提供する種は、神経系に影響することが意図される薬物
のために適切なモデルと同じでなくてもよい。前臨床試験のための適切な種の選
択のための判定基準は、当該分野で周知である。
【0053】 異なる種由来のES細胞は、本発明の方法において使用され得る一方、一般的
に、哺乳動物細胞が好ましい。以下の議論において、コントロール胚様体および
試験胚様体の任意の所定の比較において、コントロールとして使用される胚様体
および化学的組成物の影響を試験するために使用される胚様体は、同様の種のE
S細胞に由来することが、予想される。
【0054】 (D.胚様体と化学的組成物との接触) (1.概要) 一旦胚様体培養が開始されると、胚様体は、化学的組成物と接触され得る。便
宜上、化学的組成物は水溶液中にあり、そして培養培地に導入される。導入は、
任意の便宜的手段による導入であり得るが、通常、ピペット、マイクロピペット
、またはシリンジの手段による導入であり得る。いくつかの適用(例えば、高ス
ループットスクリーニング)において、化学的組成物は、オートメーション化さ
れた手段(例えば、自動ピペッティングシステム、これはロボットアーム上にあ
ってもよい)によって導入される。化学的組成物はまた、薬学的賦形剤、結合剤
、および薬学的組成物において一般的に使用される他の物質を用いるかもしくは
用いないで、または意図された使用において用いられ得る他のキャリアを用いて
、粉末形態または固体形態として培地に導入され得る。例えば、農薬としての使
用または石油化学製剤としての使用のために意図された化学的組成物は、農薬ま
たは石油化学製剤の毒性を試験するために、それらのみで培地に導入され得るか
、または農薬または石油製剤の組み合わせが、相乗作用の効果を有するかどうか
を決定するために、他の材料(それらが共に使用され得るか、または環境中で見
出され得る)と共に導入され得る。代表的には、培養は、化学的組成物を導入後
、この組成物が培地全体に分散されることを保証するために、少なくとも短く振
盪される。
【0055】 (2.接触の時期) 化学的組成物が培地に添加される時期は、当業者の自由裁量内であり、そして
特定の研究対象とともに変更する。便宜上、化学的組成物は、胚様体が幹細胞か
ら発生するとすぐに添加され、胚様体の全ての組織の発生の際のタンパク質また
は遺伝子発現における変更の決定を可能にする。しかし、特定の組織型における
組成物の効果に研究の焦点を合わせることに関心が持たれ得る。以前に記載され
るように、個々の組織(例えば、筋肉組織、神経組織、および肝組織)は、胚様
体が形成された後の特定の時期に発生することが公知である。従って、化学的組
成物の添加は、目的の組織における遺伝子発現またはタンパク質発現の変化に対
する効果を観察するために、目的の組織が発生を開始する時期に、または発生の
開始後の選択された時期に行われるよう計画され得る。
【0056】 (3.化学的組成物の投薬) 異なる量の化学的組成物が、その組成物の細胞傷害性について知られている情
報の量、研究の目的、利用可能な時期、および当業者の資源に依存して胚様体を
接触するために使用される。化学的組成物は、ちょうど1つの濃度で投与され得
、詳細には、ここで、この化合物を用いる他の研究または過去の仕事または分野
経験は、特定の濃度が、身体において最も一般的に見出される濃度であることを
示した。さらに一般的に、化学的組成物は、平行して実行される胚様体の培養に
対して異なる濃度で添加され、その結果、遺伝子発現またはタンパク質発現に関
する濃度の差異の効果、および従って、異なる濃度の組成物の毒性における差異
が、評価され得る。代表的には、例えば、化学的組成物は、正常濃度または培地
濃度で添加され、そして所望される精度の程度に依存して、2倍または5倍の濃
度の増加および減少によって分類される。
【0057】 この組成物が、未知の細胞毒性の1つである場合、組成物が試験される濃度範
囲を決定するために、予備研究が便宜上第一に行われる。投与濃度を決定するた
めの種々の手順は、当業者に公知である。1つの一般的な手順は、例えば、その
薬剤が直接的に細胞傷害性である投与量を決定することである。次いで、当業者
は、2分の1まで用量を減少させ、そして代表的に、目的の型の細胞の培養と平
行して、5倍または2倍の希釈濃度で目的の薬剤を投与することにより、用量研
究を行う。環境的汚染のため、この組成物はまた、環境中において見出される濃
度で通常試験される。農薬について、食品に残留物を残す殺虫剤のような薬剤は
、残留物が見出される濃度で通常試験されるが、おそらく他の濃度も同様に試験
される。
【0058】 (E.遺伝子発現またはタンパク質発現のレベルの変化の検出) (1.タンパク質発現の変化の検出) タンパク質発現は、当該分野で公知の多くの方法により検出され得る。例えば
、サンプル中のタンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル
電気泳動(「SDS−PAGE」)により分離され、クーマシーブルーまたは銀
染色のような染色を用いて視覚化され得る。放射性標識は、ゲル上に1枚のX腺
フィルムを置くことにより検出され得る。タンパク質はまた、等電点電気泳動を
介してそれらの等電点に基づいて分離され、そして染色により視覚化され得る。
さらに、SDS−PAGEは、等電点電気泳動(通常、垂直方向で行われる)と
の組み合わせいにおいて行われ、サンプル中のタンパク質の二次元の分離を提供
し得る。タンパク質は、高圧液体クロマトグラフィー、FPLC、薄層クロマト
グラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー
、イオン交換クロマトグラフィー、表面増強レーザー脱離/イオン化(surf
ace enhanced laser desorption/ioniza
tion)(「SELDI」)、マトリックス補助(matrix−assis
ted)レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)、および沈降速度が十分に
異なる場合に、密度勾配遠心法のような技術によりさらに分離され得る。これら
の技術を用いるタンパク質発現のレベルの変化を検出することは、例えば、効果
に関心がある化学的組成物と接触する胚様体由来のサンプル(「試験サンプル」
)および目的の化学的組成物の存在以外、同一の条件下で培養させた胚様体由来
のサンプル(「コントロールサンプル」)を平行して行うことにより、そして、
検出されたタンパク質および検出されたタンパク質の量における差異に注目する
ことによって、達成され得る。
【0059】 免疫検出法は、タンパク質発現における変化を検出するための1群の有用な技
術を提供する。これらの技術において、抗体は、代表的に、標準的プロトコル(
例えば、HalowおよびLane、Antibodies,A Labora
tory Manual(Cold Spring Harbor Labor
atory、Cold Spring Harbor、NY、1988)におい
て教示されるプロトコル)によって、マウスまたはウサギにこのタンパク質を注
入することにより、このタンパク質に対して惹起される。次いで、そのように惹
起された抗体は、当該分野において公知の種々の免疫学的アッセイ(ELISA
、蛍光免疫アッセイ、ウェスタンブロットおよびドットブロット、免疫沈降、な
らびに焦点免疫アッセイ)において、タンパク質の存在を検出かつ定量化するた
めに使用され得る。タンパク質発現における変化は、試験サンプルおよびコント
ロールサンプルに関し平行試験を行うことにより、かつサンプル間の任意の結果
における任意の差異に注目することによって決定され得る。ELISAの結果、
例えば、存在するタンパク質量と直接関連する。
【0060】 タグ化することは、タンパク質発現の変化を検出および決定する別の方法を提
供する。例えば、タンパク質をコードする遺伝子は、検出可能なタグを含むハイ
ブリッドタンパク質を産生するように操作され得、その結果このタンパク質は、
タグの検出により特異的に検出され得る。例えば、タンパク質が分離されたゲル
における放射性標識の直接的イメージングおよび定量化を可能にするシステムが
、利用可能である。発現における差異は、試験サンプルおよびコントロールサン
プルに存在するタグの量における差異を観察することにより決定され得る。
【0061】 タンパク質もまた、標準的なタンパク質化学的技術により分析され得る。例え
ば、タンパク質は、トリプシン、ブドウ球菌Bプロテアーゼ、キモトリプシン、
また他のタンパク分解酵素を用いてタンパク分解消化を行うことにより、分析さ
れ得る。発現における差異は、消化された産物の相対的な量を比較することによ
って決定され得る。
【0062】 タンパク質の発現における差異を決定するための1つの特に好ましい方法は、
質量分光法、すなわち「MS」であり、これは少ない努力に対して最も広い数の
タンパク質のもっとも広いプロフィールを提供する。さらに、MSは、サンプル
に存在するタンパク質の正確な検出のみならず、定量も可能である。この手順は
、それ自体か、またはサンプル中に存在するタンパク質を分割する選択的物理的
特性に基づいた1つ以上の前述の方法と組み合わせるかのいずれかで使用され得
る。区分は、サンプル中の異なる物理的特性のタンパク質の数を減少させ、そし
てタンパク質の類似の大きさ、静電変化、金属イオンに対する親和性などの比較
を可能にすることにより、よりよいMS分析を生じる。従って、例えば、サンプ
ル中のこのタンパク質は、SDS−PAGEおよび等電点電気泳動に供され得、
そしてゲル上の目的の生じた点は、MSに供され得る、以下の実施例1において
、最初の区分がサイズカラムを用いて行われ、そして第2の区分がSELDIを
用いて行われた。実施例1に従うプロトコルにおいて、30kDより小さい分子
量を有するタンパク質が、分析されたことに注目すべきである。あるいは、もち
ろん、より高い分子量のタンパク質が、本発明の方法において分析され得、そし
てこのタンパク質は、当業者が調製して、サンプル中の全てのタンパク質を分析
する場合、または例えば、予備分析が、サンプル中の異なるタンパク質の総数が
、区分されることなく分析するのに十分小さいことを示す場合、区分される必要
はない。
【0063】 質量分析計と接続されたコンピューターもまた、タンパク質の発現の変化が特
定の細胞毒性を指示し得るかどうかの決定を容易にするために、サンプルを分析
するのに使用され得る。例えば、MSからの読出しは、コントロールの胚様体に
おけるタンパク質の発現が定量化され、次いで示されたコントロール胚様体によ
って発現するタンパク質よりもより多い量またはより少ない量で発現されるタン
パク質のみを、化学的組成物と接触する胚様体の定量化されたタンパク質発現か
ら引かれる「減算計算(subtructive calculation)」
において使用され得る。この方法は、コントロール集団および試験集団との間の
タンパク質発現における差異に関し、直ぐに注意を集める。このような比較の例
は、図1Bおよび図1Cにおいて示され、そして以下の実施例1において詳細に
議論される。
【0064】 (2.遺伝子発現の変化の検出) 多くの方法が、遺伝子発現のレベルの検出および比較のために当該分野で公知
である。
【0065】 このような比較のための1つの標準的な方法は、ノーザンブロットである。こ
の技術において、RNAはサンプルから抽出され、そしてRNA分析のために適
切な、種々のゲルのいずれかにロードされ、次いでこれが、標準方法に従って、
大きさによってRNAを分離するために泳動される(例えば、Sambrook
,Jら、Molecular Cloning、A Laboratory M
anual.Cold Spring Harbor Laboratory
Press、Cold Spring Harbor、NY(第2版 1989
))。次いで、このゲルが、ブロットされ(Sambrook、(前出)におい
て記載されるように)、そして目的のRNAついてプローブ化するためハイブリ
ダイズさせる。このプローブは、放射性または非放射性であり得、検出システム
について当業者の好みに依存する。例えば、プローブを用いたハイブリダイゼー
ションは、製造者指示に従って、「Genius System」(Boehr
inger Mannhein Corporation、Indianapo
lis、IN)を用いて、結合プローブの化学発光検出により観察かつ分析され
得る。レーンにおけるRNAの平等なローディングは、例えば、リボゾームRN
Aバンドのエチジウムブロマイド染色により判断され得る。あるいは、プローブ
は、放射性標識され得、かつ写真フィルムを用いて放射性標識され得、かつオー
トラジオグラフィックで検出され得る。
【0066】 このRNAはまた、種々の方法のいずれかによって増幅され得、次いで検出さ
れ得る。例えば、Marshall、米国特許第5,686,272号が、リガ
ーゼ連鎖反応すなわち「LCR」を用いたRNA配列の増幅を開示する。LCR
は、Landegrenら、Science、241:1077〜1080(1
988);Wuら、Genomics、4:560〜569(1989);Ba
rany、PCR Methods and Applications、1:
5−16(1991);およびBarany、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA、88:189〜193(1991)によって広範に記載されて
いる。または、このRNAは、DNAに逆転写され得、次いでLCR、ポリメラ
ーゼ連鎖反応(「PCR」)、または他の方法により増幅され得る。RNAの逆
転写をコードするための模範的プロトコルは、米国特許第5,705,365号
において教示される。適切なプライマーの選択およびPCRプロトコルは、例え
ば、Innis,M.ら、編、PCR Protocols 1990(Aca
demic Press、San Diego CA)(今後は、「Innis
ら」)において教示される。メッセンジャーRNAの差示的な発現はまた、mR
NAをcDNAに逆転写することによって比較され得、次いで、Belyavs
ky、米国特許第5,814,445号において教示されるように、制限酵素に
より切断され、そしてcDNAフラグメントの比較を可能にするために、電気泳
動で分離され得る。
【0067】 代表的には、プライマーは、ビオチンを用いてあるいは任意の多数の蛍光色素
を用いて5’末端で標識される。プローブは通常、西洋ワサビペルオキシダーゼ
(HRP)およびアルカリホスファターゼのような酵素を用いて標識される(L
evensonおよびChang、Nonisotopically Labe
led Probes and Primers in Innisら、前出を
参照のこと)が、例えば、ビオチン−ソラレンを用いてもまた標識され得る。プ
ライマーの標識および酵素標識されたプローブの合成に関する詳細な例示的プロ
トコルは、LevensonおよびChang、前出によって教示される。ある
いは、プローブはまた、放射活性な放射性同位体を用いて標識され得る。放射活
性的に標識されたDNAプローブおよびRNAプローブの合成に関する典型プロ
トコルは、Sambrookら、前出に示される。通常、32Pが、DNAプロー
ブおよびRNAプローブの標識に使用される。PCR産物の検出に関する多数の
方法は、公知である。例えば、Innis、前出(これは、非同位体的に標識し
たプローブを用いたPCR産物の検出に関する詳細なプロトコルを示す)を参照
のこと。一般的に、プローブおよびPCR産物のハイブリダイゼーションを可能
にする工程が存在し、これに続いて、検出を可能にするための1つ以上の発展し
た工程が存在する。
【0068】 例えば、ビオチン化されたソラレンプローブを使用する場合、ハイブリダイズ
したプローブを、ストレプトアビジンHRP結合体とともにインキュベートし、
次いでインキュベートし、次いでテトラメチレンベンジジン(TMB)のような
色素原とインキュベートする。あるいは、放射活性な標識されたプローブを使用
することを実施者(practitioner)が選択した場合、プローブがハ
イブリダイズしたPCR産物は、オートラジオグラフィーによって検出され得る
。別の例として、ビオチン化dUTP(Bethesda Research
Laboratories,MD)を、増幅の間に使用し得る。次いで、標識さ
れたPCR産物を、アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンフィルターにサザン
トランスファーし、そして例えば、ストレプトアビジン/アルカリホスファター
ゼ検出系によって検出し得る。取込まれたビオチン化dUTPの検出に関するプ
ロトコルは、例えば、Loら、Incorporation of Bioti
nylated dUTP、Innisら、前出に示される。最終的に、PCR
産物を、アガロースゲルで電気泳動し得、そして核酸を、特異的に核酸を認識す
るエチジウムブロマイドのような色素によって検出し得る。
【0069】 Sutcliffe、米国特許第5,807,680号は、示差的に発現した
mRNAの同時の同定および相対的な濃度の測定に関する方法を教示する。アン
カープライマー、続くPCRを用いたcDNAの形成を包含する技術は、組織に
よって発現されるほとんど全てのmRNAの強度がmRNAの濃度とおおよそ一
致するゲル上の個別のバンドとしての可視化を可能にする。
【0070】 技術の別の群は、相対的な転写物発現レベルの分析を使用する。4つのそのよ
うなアプローチが、近年、包括的、高スループット分析を可能にするために開発
されている。第1に、cDNAを、サンプル中でRNAから逆転写し得(上記の
参考文献中に記載されるように)、そして試験サンプルおよびコントロールサン
プル中に発現された遺伝子に対して発現した配列タグを規定するために、5’末
端および3’末端の単一通過配列決定(single pass sequen
cing)に供し得る。異なるサンプル由来のタグの相対的な表示の列挙は、サ
ンプル中の遺伝子転写物の相対的な表示の概算を提供する。
【0071】 第2に、EST上の変動が開発され、多数の転写物の定量的かつ同時の分析を
可能にする遺伝子発現の連続分析すなわち「SAGE」として公知である。この
技術は、短い診断的配列タグの単離および標的機能の遺伝子発現特徴のパターン
を明らかにするための配列決定を使用し、そして、例えば、正常細胞および腫瘍
細胞における何千もの遺伝子の発現レベルを比較するために使用されてきた。例
えば、Velculescuら、Science 270:368−369(1
995);Zhangら、Science 276:1268−1272(19
97)を参照のこと。
【0072】 第3に、ディファレンシャルディスプレイに基づいてアプローチが開発されて
きた。これらのアプローチにおいて、発現した遺伝子内のフラグメント長に関す
る情報と結び付けられた場合、特定の配列区切りによって定義されたフラグメン
トは、遺伝子の独特の同定法として使用され得る。次いで、細胞内に発現された
遺伝子の相対的な表示は、その遺伝子と関連するフラグメントの相対的な表示に
よって推定され得る。この考えを開拓するために開発された数種のアプローチの
うちのいくつかの例は、Gene Logic,Inc.により使用された示差
的に発現された配列の制限酵素分析(「READS」)、およびDigital
Gene Technologies,Inc.により使用された全遺伝子発
現分析(「TOGA」)である。例えば、CLONTECH,Inc.(Pal
o Alto,CA)は、PCRによる示差的に発現された遺伝子の同定のため
のDeltaTM Differential Display Kitを販売す
る。
【0073】 第4に、好ましい実施形態において、検出は、ハイブリダイゼーション分析に
関する多くの技術のうちの1つによって実施される。これらのアプローチにおい
て、目的のサンプル由来のRNAは、通常、標識したcDNAを得るための逆転
写に供される。次いで、cDNAを、チップまたは他の表面に既知の順序で配列
されている既知の配列のオリゴヌクレオチドあるいはcDNAに典型的にハイブ
リダイズさせる。標識したcDNAがハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの
位置は、cDNA上の配列情報を提供し、一方、標識されハイブリダイズされた
RNAまたはcDNAの量は、目的のRNAまたはcDNAの相対的な表示の概
算を提供する。さらに、この技術は、2つ以上の異なる検出可能な標識を用いる
同時のハイブリダイゼーションを可能にする。次いで、このハイブリダイゼーシ
ョンの結果は、サンプルの相対的な発現の直接的な比較を提供する。
【0074】 多くのキットが、ハイブリダイゼーション分析に関して市販されている。これ
らのキットは、高密度フォーマット上の特異的なRNAまたはcDNAの同定を
可能にし、このフォーマットには、フィルター、顕微鏡スライド,マイクロチッ
プ、および質量分析法に依存する技術が挙げられる。例えば、Affymetr
ix,Inc.(Santa Clara,CA)は、目的の遺伝子の高精度な
配列に対して、公知の配列、公知の長さおよび公知の位置を用いた、何千もの異
なるオリゴヌクレオチドプローブをアレイ内に含むGeneChipTM Pro
beアレイを販売する。CLONTECH,Inc.(Palo Alto,C
A)のAtlasTMcDNA Expression Arrayは、588の
選択された遺伝子の発現パターンのモニタリングを可能にする。Hyseq,I
nc.(Sunnyvale,CA)のGene Discovery Mod
uleは、以前の配列情報無しに、1細胞当たり1 mRNAコピーの解像度で
、RNAの高スル−プットスクリーニングを可能にする。Incyte Pha
rmaceuticals Inc.(Palo Alto,CA)は、例えば
、ヒト癌の要求されたオリゴヌクレオチドおよびシグナル伝達遺伝子を含む、マ
イクロアレイを提供する。この分野において他の企業によって使用される技術は
、例えば、Service.R.,Science 282:396−399(
1998)に議論される。
【0075】 (3.標識) タンパク質および遺伝子の両方は、本発明の方法における発現のレベルの変化
を検出するために標識され得る。用語「標識」とは、分光学的手段、光化学的手
段、生化学的手段、免疫化学的手段、または化学的手段によって検出可能な組成
物をいう。例えば、有用な核酸標識およびタンパク質標識には、32P、35S、蛍
光色素、電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて通常使用されるよう
な)、ビオチン、ジオキシゲニン(dioxigenin)、あるいは抗血清ま
たはモノクローナル抗体が利用可能なハプテンおよびタンパク質が挙げられる。
【0076】 広範な種々の標識および結合技術が公知であり、そしてこれらは、科学文献お
よび特許文献の両方に広範に報告され、そして核酸、増幅した核酸およびタンパ
ク質の標識に関する本発明に対して、一般的に適用可能である。適切な標識には
、放射性ヌクレオチド、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光成分、化学発
光成分、磁性粒子などが挙げられる。標識薬剤には、例えば、モノクローナル抗
体、ポリクローナル抗体、タンパク質、または親和性マトリックスのような他の
ポリマー、炭化水素あるいは脂質が任意に挙げられる。標識した核酸またはタン
パク質の検出は、免疫ブロット法、放射活性マーカーまたは生物発光マーカーの
追跡、サザンブロット法、ノーザンブロット法、あるいは大きさ、電荷または親
和性に基づいて分子を追跡する他の方法を含む、任意の多くの方法によって進め
得る。使用される特定の標識または特定の検出成分および特定のアッセイは、本
発明の重要な局面ではない。
【0077】 検出可能な部分は、検出可能な物理学的特性または化学的特性を有する任意の
材料であり得る。このような検出可能な標識は、ゲル、カラムおよび固体基質の
領域中で十分に発色され、そして一般的に、このような方法において有用な標識
は,本発明に適用され得る。従って、標識は、分光学的手段、光学的手段、生化
学的手段、免疫学的手段、電気的手段、視覚的手段または化学的手段によって検
出可能な任意の組成物である。本発明において有用な標識としては、蛍光色素(
例えば、フルオレセインイソチオシアネート、Texas red、ローダミン
など)、放射性同位元素標識(例えば、3H、125I、35S、14C、または32P)
、酵素(例えば、一般に、遺伝子産物のマーカーとしてまたはELISAにおい
てかのいずれかで、検出可能な酵素として使用されるLacZ、CAT、西洋ワ
サビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、核酸インターカレータ
ー(例えば、エチジウムブロマイド)および金コロイド(colloidal
gold)または色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプ
ロピレン、ラテックスなど)のビーズのような比色標識、ならびに電子トランス
ポンダー(例えば、米国特許第5,736,332号)が挙げられる。
【0078】 蛍光標識は、単一種の有機分子に限定されないが、無機分子、有機分子および
/または無機分子の多分子混合物、結晶、ヘテロポリマーなどを含むことが認識
される。従って、例えば、シリカ殻(silica shell)中に囲まれて
いるCdSe−CdSコアシェルナノ結晶は、生物学的分子に対する結合に関し
て容易に誘導体化され得る。Bruchezら(1998)Science 2
81:2013−2016。同様に、高度に蛍光な量子ドット(highly
fluorescent quantum dot)(硫化亜鉛キャップド(c
apped)セレン化カドミウム)は、超高感度な生物学的検出における使用に
関する生体分子と共有結合的に結合している。WarrenおよびNie(19
98)Science 281:2016−2018。
【0079】 標識は、当該分野で周知の方法に従って、所望の核酸またはタンパク質に直接
的または間接的に結合される。上記に示したように、広範な種々の標識が、要求
される感受性、化合物の結合の容易さ、安定性要件、計装の入手可能性および廃
棄設備に依存して、標識の選択と共に、使用され得る。非放射活性な標識は、し
ばしば、間接的な手段によって付着される。一般的に、リガンド分子(例えば、
ビオチン)は、ポリマーに共有結合的に結合する。次いで、リガンドが、抗リガ
ンド分子(例えば、ストレプトアビジン)に結合し、抗リガンド分子は、固有に
検出可能であるかまたはシグナル系(例えば、検出可能な酵素、蛍光化合物、ま
たは化学発光化合物)に共有結合的に結合されるかのいずれかである。多くのリ
ガンドおよび抗リガンドが使用され得る。リガンドが、天然の抗リガンド(例え
ば、ビオチン、チロキシン、およびコルチソル)を有する場合、リガンドは、標
識した抗リガンドとともに使用され得る。あるいは、任意のハプテンまたは抗原
性化合物が、抗体との組み合わせで使用され得る。
【0080】 標識はまた、シグナル生成化合物に直接結合され得る(例えば、酵素または蛍
光体との結合による)。標識として目的の酵素は、第一にヒドロラーゼ(特にホ
スファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ)または酸化還元酵素(特に
ペルオキシダーゼ)である。蛍光化合物には、フルオレセインおよびその誘導体
、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、蛍光緑色タンパ
ク質などが挙げられる。化学発光化合物には、ルシフェリンおよび2,3−ジヒ
ドロナフタラジンジオン(例えば、ルミノール)が挙げられる。
【0081】 標識を検出する方法は、当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射活
性標識である場合、検出に関する方法は、シンチレーションカウンター、近接カ
ウンター(proximity counter)(シンチレーション流体を有
するマイクロタイタープレートが組込まれている)、またはオートラジオグラフ
ィーにおけるような写真のフイルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、
適切な波長の光を用いた蛍光色素の励起および生じる蛍光の検出によって(例え
ば、顕微鏡、写真のフィルムを介した視覚的検査、電荷結合デバイス(CCDS
)または光電子増倍管などの電子検出器の使用によって)検出され得る。同様に
、酵素標識は、酵素に対して適切な基質を提供し、そして生じた反応産物を検出
することによって検出され得る。最後に、簡単な比色標識は、しばしば、標識に
関連する色を観察することによって単純に検出される。従って、種々のディップ
スティックアッセイ(dipstick assay)において、結合した金は
、しばしばピンクを表し、一方、種々の結合したビーズはビーズの色を表す。
【0082】 (F.分子プロフィールと毒性の関連付け) 本発明は、予め決定された毒性を有する化学組成物の広がり続ける群を用いた
試験胚様体の接触による、分子プロフィールのライブラリーの編集の多重反復を
意図する。多くの化学組成物の毒性および生物学的効果は、以前の動物試験およ
び臨床試験を通してすでに公知である。任意のそのような情報が、胚様体におけ
る遺伝子発現またはタンパク質発現の変化と共に注意して記述される。多数の化
学組成物または薬剤における試験からのデータが収集された場合、ライブラリー
を形成するために構築される。別々のライブラリーは、毒性の各タイプについて
維持され得;好ましくは、単一のデータベースが、実施された全ての試験の結果
を記録するように維持され得、そして胚様体が曝露される薬剤の毒性情報に任意
に利用可能であり得る。好ましくは、生物学的効果もまた、留意される。過去の
実験は、毒性の生物学がより理解されるにつれ、生物学的効果は、しばしば特定
の毒性を関連するようになるかまたは特定の毒性に関するマーカーになることを
示す。
【0083】 本発明は、化学組成物と接触している試験胚様体の各反復が、化学組成物に特
徴的な遺伝子発現もしくはタンパク質発現またはその両方のパターンを生じるこ
とを意図する。類似した毒性である妥当な多数の化学化合物の遺伝子発現または
タンパク質発現における変化の定量が望ましく、その結果、毒性に関連する遺伝
子発現もしくはタンパク質発現またはその両方のパターンが、決定され得る。類
似した毒性を有する薬物のクラスに共通するEB細胞における遺伝子発現パター
ンまたはタンパク質発現パターンの変化は、生物学および毒性に関連していそう
な化合物の認識に対して有用な、代理分子プロフィールとして作用する。これは
、遺伝子発現またはタンパク質発現におけるこれらの変化および毒性の相関であ
り、この相関は、本発明に、以前試験されていない化合物に関するその予測能力
を与える。
【0084】 遺伝子発現またはタンパク質発現のパターンと毒性との相関は、任意の簡便な
手段によって実施され得る。例えば、パターンの視覚的比較は、異なる型の毒性
に関連したパターンを決定するために実施され得る。より簡便には、この相関は
、前の節において考察された1つのデータベースプログラムを用いて、コンピュ
ーターによって行なわれ得る。好ましくは、ニューラルネットワークプログラム
は、パターン認識に対して特別に設計されているので、この相関は、ニューラル
ネットワークプログラムを用いてコンピューターによって実施される。一旦特定
の毒性に対するバイオマーカーである発現マーカーの相関がなされると、再び簡
便には、コンピューターによって、新規または未知の化学組成物により誘導され
た遺伝子発現またはタンパク質発現のパターンに対する、公知のパターンの比較
がなされ、発現の最も近い一致が提供され得る。次いで、このパターンは、新規
または未知の化学物質のありそうな毒性を予測するために、再検討される。
【0085】 (G.試験化学化合物の毒性の分類および順位) 試験化学組成物の分子プロフィールは、前の節に記載されるような試験化学組
成物によって接触される胚様体における遺伝子発現またはタンパク質発現の変化
を検出することによって確立され得る。一旦試験化合物の分子プロフィールが決
定されると、分子プロフィールは、予め決定された毒性を有する化学組成物の分
子プロフィールと、または好ましくは、予め決定された毒性を有する化学組成物
の分子プロフィールのライブラリーと比較され得る。このような比較の結果は、
試験組成物が毒性であるか否かの確立、どのタイプの毒性か、およびどのように
毒性が他の公知の毒性組成物と比較されるかを予測するための情報を提供する。
【0086】 本発明の実施の目的に関して、EB細胞における分子プロフィールに基づく試
験組成物の毒性の予測は、100%正確である必要はない。薬物開発の効率およ
び費用における大きな正の影響を有するためには、より低い毒性の可能性をある
程度ただ上昇させなければならず、そして従って、例えば、より成功した薬物候
補物は、新規薬物リード(lead)の最優先リストの上位半分である。
【0087】 前の節で述べたように、化学組成物に曝露された胚様体における遺伝子発現ま
たはタンパク質発現の変化は、当該分野で公知の任意の多数の手段によって検出
され得る。出力データは、代表的には、質量分析計に接続されたコンピューター
に直接送られ、そして種々の計算へすぐに利用可能であるので、MSによって決
定されたタンパク質発現は、そのような比較に関して特に簡便である。変化が画
像的表現に対して感受性である場合、MSが、検出の手段として使用される場合
、直接比較が、コントロール胚様体に対して比較されるタンパク質の発現に対す
る化学組成物の効果によってされ得る。例えば、数値的な読出しを生じるELI
SAによって変化が検出される場合、この数値的な読出しは、タンパク質の発現
の定量化に使用され得る。遺伝子発現に対して、ノーザンブロットは、プローブ
された各RNAに対するRNA存在量と相関し得る。遺伝子発現がハイブリダイ
ゼーションアレイによって検出される場合、試験胚様体由来およびコントロール
胚様体由来の核酸に関するハイブリダイゼーションのパターンは、比較に関する
基礎を提供する。
【0088】 分子プロフィールの比較は、当該分野で公知の多数の手段によってなされ得る
。通常、計算から生じたグラフは保存され得(例えば、ファイルフォルダなど)
、そして、コントロールと比較した発現の共通パターンおよび差違を識別するた
めに、視覚的に調べられ得る。しかし、好都合なことに、データは、コンピュー
ターによって保存および比較され得る。プログラムは、例えば、質量分析法のデ
ータと比較するために、利用可能である。例えば、図1Bおよび図1Cは、「減
算計算」および図表示の使用を示し、2つの化学組成物のいずれかと接触させた
胚様体(「試験サンプル」)のタンパク質発現に対するコントロール胚様体(「
コントロールサンプル」)におけるタンパク質発現を比較する。この比較におい
て、コントロールサンプルによって発現された各タンパク質の量は、試験サンプ
ルによって発現された量から差引かれる。コントロールサンプルの値は、水平線
によって表示され、そして異なる量で発現された任意のタンパク質の量は、この
線より上または線より下として表示され(それぞれ、コントロールと比較した正
の量および負の量を示している)、線の高さは、試験サンプルの発現による量が
、コントロールの発現による量とは異なることを指摘する。この方法は、タンパ
ク質発現における差違に対する注目に焦点を当てる。同様の様式において、プロ
グラムはまた、2つ以上の試験サンプルの発現を比較するために使用され得、こ
れにより発現パターンにおける任意の差違が、容易に識別され得る。発現のパタ
ーンはより類似すればするほど、2つの薬剤の効果、および毒性のタイプがより
類似すると予想される。
【0089】 別の比較の形態を、図2、3、および4に示す。これらの図は、コントロール
サンプルによって、および2つの化学組成物の1つに曝露された試験サンプルに
よって発現された小さい核タンパク質、小さい細胞質タンパク質、および大きい
細胞質タンパク質、その上、サンプルによって発現されたタンパク質の量ををグ
ラフ的に示す。これらのグラフは、視覚的に比較され得、そしてタンパク質およ
び発現された量は手動で記録され得る。好ましくは、結果は、検索可能なデータ
領域に記録された化学組成物の公知の毒性に関する情報と共に、コンピューター
データベース中に配置される。タンパク質発現または遺伝子発現において検出さ
れた変化の他の形態からの全データはまた、再検討され得、そして手動で記録さ
れるかまたはコンピューターデータベースの中に記録され得る。例えば、ELI
SA由来の値またはウエスタンブロット上で同定されたタンパク質は、コントロ
ールサンプルおよび試験サンプルにおいて発現されたタンパク質のタイプおよび
量を同定するために記録され得る。同様に、ノーザンブロット上のパターン、ま
たはオリゴヌクレオチドアレイ上のハイブリダイゼーションパターンは、コント
ロールサンプルおよび試験サンプルの遺伝子発現を同定するために記録され得る
。情報は、手動で保存され得るが、好ましくは、コンピューターの中に検索可能
な形態で維持される。
【0090】 Enterprise Data Management(Sybase,I
nc.,Emeryville,CA)またはOracle8(Oracle
Corp.,Redwood Shores,CA)のような、標準的なデータ
ベースプログラムは、情報を保存および比較するために使用され得る。あるいは
,データは、具体的に設計されたプログラム(例えば、Partek Inc.
(St.Charles,MO)から入手可能)において記録され得、または分
析され得、またはその両方であり得る。
【0091】 さらに、質量分析装置のような統合された分析的システムを販売する企業は、
記録結果のためのソフトウェアが統合された器械と共に提供する。そのような企
業には、Finnigan Corp.(San Jose,CA),Perk
in−Elmer Corp.(Norwalk CT)、Ciphergen
Biosystems,Inc.(Palo Alto CA)、およびHe
wlett Packard Corp.(Palo Alto,CA)が挙げ
られる。同様に、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションサービスを提供す
るIncyte Pharmaceuticals,Inc.(Palo Al
to CA)のような企業は、ハイブリダイゼーションアレイのスキャンした画
像の記録および分析のための、独自の画像認識アルゴリズムを保持する。
【0092】 好ましい実施形態において、データは、ニューラルネットワーク技術によって
記録および分析され得る。ニューラルネットワークは、複雑非線形モデリング方
程式であり、これは、データセットの中のパターン認識のために具体的に設計さ
れた。そのようなプログラムの1つは、NeuroShell Classif
ierTM分類アルゴリズム(Ward Systems Group,Inc.
(Frederick,MD)より)である。他のニューラルネットワークプロ
グラムは、例えば、Partek,Inc.,BioComp Systems
,Inc.(Redmond WA)およびZ Solutions,LLC(
Atlanta,GA)から入手可能である。
【0093】 (H.アレイ読取り機の適合) 1つの実施形態において、本発明は、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド
のアレイの形成、または遺伝子発現またはタンパク質発現のそれぞれにおける変
化を検出するための結合タンパク質のアレイの形成に関する。そのようなアレイ
は、アレイ読取り機によってスキャンまたは読まれ得る。
【0094】 典型的に、アレイ読取り機は、アレイ上の標識のパターン(例えば、結合した
タンパク質またはハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドのパターン)を読取る
ために適合されている光学スキャナを有し、スキャナ上に格納したコンピュータ
ーに作動可能に接続されるかあるいは既知または未知の毒性化学組成物と接触さ
れた哺乳動物胚様体の複数の遺伝子発現プロフィールまたは複数のタンパク質発
現プロフィールを有する1つ以上のデータファイルにアクセス可能である(例え
ば、外部ドライブ上またはインターネットを介して)。しかし、このアレイ読取
り機は、電子応答器のように光学的に読取られ得ない標識を「読取る」ことに適
した検出デバイスと適合され得る。
【0095】 (I.高スループットスクリーニングにおける使用) 本発明の方法は、高スループットスクリーニングへ容易に適合され得る。高ス
ループット(HTP)スクリーニングは、より大きな製薬企業においてすでに開
発された特徴付けられていない多数の化合物、ならびにコンビナトリアルケミス
トリーによって現在合成されている新規化合物の氾濫ために、非常に所望される
。本発明を用いると、何百もの化学化合物が胚様体において試験され得、そして
遺伝子発現またはタンパク質発現あるいはその両方において得られた変化は、タ
イプと新規の化合物が保持する毒性の度合いの可能性を予想するために、公知の
化学組成物の毒性と比較され得る。次いで、受容可能な毒性プロフィールを有す
るこれらの組成物は、さらなるレベルの試験について考慮され得る。
【0096】 HTPスクリーニングは、自動化そして統合された培養系、サンプル調製(タ
ンパク質またはRNA/cDNA)、および分析の使用によって容易にされ得る
。標準的なロボットのアーム、またはより最近に開発されたマイクロチップおよ
びミクロな液体のデバイス(例えば、Caliper Technologie
s Corp.(Palo Alto,CA)(米国特許第5,800,690
号に記載)、Orchid Biocomputer,Inc.(Prince
ton,NJ)(1997年10月25日、New Scientistに記載
)、および非常に低量の試薬を用いる自動化された分析の方法を提供する他の企
業によって開発されたもの)を用いる通常の実験器具において、これらの工程は
、実施され得る。例えば、McCormick,R.ら、Anal.Chem.
69:2626−2630(1997);Turgeon,M.、Med La
b.Management Rept、1997年12月、1頁を参照のこと。
【0097】 (実施例) (実施例1.毒性スクリーニングのために選択した化学化合物) 毒性の特定のカテゴリーに入る組成物は、分子プロフィールを確立し、そして
特定の毒性についてライブラリーを編集するために使用され得る。表1は、特定
の組織または生物に対して、あるいは発生段階の間、毒性であることが公知であ
る多くの組成物を列挙する。具体的に、それぞれの組成物により接触させている
胚様体における遺伝子またはタンパク質発現パターンの改変を決定することによ
り、肝臓毒性を引き起こすこれらの組成物を、それらの分子プロフィールについ
て評価する。肝臓毒性を有する組成物の分子プロフィールを含むライブラリーは
、このように編集される。心血管毒性を引き起こすこれらの組成物は、それらの
分子プロフィールおよび編集されるライブラリーについて同様に評価される。さ
らに、中枢神経系に対して毒性を有する組成物および発生毒性を有する組成物に
ついての分子プロフィールおよびそれらのライブラリーは、胚葉体系を使用して
同様に確立される。一般的には上記のような実験手順、およびより詳細には以下
の実施例において記載される実験手順は、続いて分子プロフィールおよび特定の
毒性の型を有する組成物に関するライブラリーを編集する。
【0098】 特定の疾患に対して活性を有することが既知であるかまたは恐れのある薬物は
、毒性評価のための分子プロフィールおよび分子ライブラリーを確立するために
使用され得る。類似の毒性(例えば、表1に列挙される毒性)を有する抗神経形
成(antineuoplastics)薬物は、これらの薬物に曝される胚葉
体で遺伝子発現パターンまたはタンパク質発現パターンにおける改変を決定する
ことにより、分子プロフィールを編集するために使用され得る。同様に、類似の
毒性を有する抗体もまた、胚葉体で遺伝子発現パターンまたはタンパク質発現パ
ターンにおけるそれらの改変について評価され得る。糖尿病を制御する薬物、脂
質レベルを低下させるための薬物または抗炎症性薬物がまた、使用される。一旦
、同様の毒性を有する薬物の特定の型の分子プロフィールを含む合成ライブラリ
ーを確立すると、これを、それらの潜在的な毒性について同様の型の新規な薬物
リードについてスクリーニングするために使用し得る。同様に、一般的には上記
のような実験手順、およびより詳細には以下の実施例において記載される実験手
順を、分子プロフィールおよび分子ライブラリーの編集、ならびに新規薬物リー
ドの毒性を分類/順位付けする。
【0099】 (実施例2.肝臓毒性に関する化学薬剤についてのタンパク質プロフィールの
確立) この実施例は、胚葉体の培養、肝臓毒性を有する異なる化学薬剤への胚葉体の
曝露、および胚葉体でのタンパク質発現における変化の決定を実証する。
【0100】 5千のCCE胚幹細胞(Robertson,E.ら、Nature 323
:445−448(1986))を維持し、そしてKeller(Keller
,Gら、Mol.Cell Biol.,13:473−486(1993))
に従って回収した。手短には、この細胞を5mlのIMDM培地、20%FCS
、アスコルビン酸(50μg/ml)およびモノチオグリセロール(2.6×1
-5v/v)中で6%CO2、37℃にて培養した。2日目、胚葉体を含むプレ
ートのうちの1つのグループ(グループ「A」)にトログリタゾン(稀であるが
重篤な肝臓毒性を示す、糖尿病の制御のために市販される薬物)を20μMの最
終濃度で添加した。同じ日に、エストル酸エリスロマイシン(Sigmaカタロ
グ E8630)(既知の肝臓毒性を有する、エリスロマイシンの形態)を50
μMの最終濃度で、第2グループのプレート(グループ「B」)に添加した。コ
ントロールとして提供するために、胚葉体を含む第3グループのプレート(グル
ープ「C1」)をいかなる薬物の添加もなしで培養した。さらに、培養培地中に
おけるタンパク質の分解についてのコントロールとして、胚葉体を含むプレート
と並行して、組織培養培地のみを含むプレート(グループ「C2」)を培養した
。6日後、および再び9日後に、この培養物を回収し、細胞をPBSで2回洗浄
し、そして氷上でPBS、0.5%Triton X100中で10分間、溶解
した。核をペレット化し、そして上清を除去し、そして分析まで−80℃で保存
した。この核を0.2%SDSを含むPBS中で溶解し、そしてDNAを剪断す
るために往復(dounce)ホモジナイズした。この不溶物質をペレット化し
、そして核溶解液を分析まで−80℃で保存した。細胞質および核溶解液をまた
、任意の試験化学組成物に曝す前に、0日目に採取し、さらなるコントロールと
して提供した。
【0101】 この溶解液および培地サンプルを、50mMのTris−HCl(pH8)ま
たは0.4MのNaClを含む緩衝液中で3倍に希釈した。希釈した溶解液また
は希釈した培地の小分けしたサンプルを、30kDカットオフでサンプルを分画
するサイズ分離スピンカラム中に置き、そして50mMのTris−HCl(p
H8)および50mMのNaCl中で平衡化した。それぞれの画分について、こ
のカラムを700gで3分間スピンした。それぞれのカラムについて、カラム平
衡化緩衝液を使用して4つの25μLの画分を回収した。
【0102】 表面増強レーザー脱離/イオン化(「SELDI」)により、このサンプルを
区画化し、質量分光法によりタンパク質を検出した。SELDIは、タンパク質
を選り抜きの表面上で捕獲し、次いでそれを選択したストリンジェンシーで洗浄
し得、捕獲のために使用した表面の金属イオンに対する親和性のような所望の特
性に従って分画した。
【0103】 Ciphergen標準相チップ(Ciphergen Biosystem
s,Palo Alto,CA)を使用して、スピンカラムにより生じた画分中
のタンパク質を区画化した。それぞれの画分の1μLのアリコートをこのチップ
上のスポット上に沈着し、そしてこのサンプルを室温にて5分間乾燥した。0.
5%トリフルオロ酢酸(「TFA」)含有50%アセトニトリル中の飽和シナピ
ン酸(「SPA」)の0.5μLの混合物を、それぞれのスポットにアプライし
た。このチップを5分間室温にて、再び空気乾燥させ、そしてSPA混合物の第
2アリコートをアプライした。
【0104】 Ciphergen Protein Biology System 1読
み取り機により、チップを読み取った。データ収集のために、SELDI定量設
定での自動様式を使用した。10に設定された検出器で、タンパク質プロフィー
ルの2つのセット(1つは、低レーザー強度(フィルターを通して15)で、そ
して1つは高レーザー強度(フィルターを通して50)で)を収集した。同じサ
ンプルのスポット上の位置当たり15ショットの平均を出した。SELDIソフ
トウェア(Ciphergen Biosystems,Palo Alto,
CA)を使用して、異なる溶解液からのタンパク質プロフィールを比較した。こ
のプログラムは、互いに1%の範囲内の分子量を有する2つのタンパク質が同一
であることを想定する。次いで、結果を定量化し、試験サンプルをコントロール
サンプルに対して比較し、そして水平線としてコントロールに関して各タンパク
質の量を示すグラフをプリントする。試験サンプル中のそれぞれのタンパク質の
量における任意の減少または過剰は、コントロールを示すラインの下または上と
して、コントロールサンプル中のこのタンパク質の量と比較される。
【0105】 6日目の胚葉体について行った、これら分析の結果を、図1〜図4として示す
。この分析の結果の1部分(胚葉体により発現される核タンパク質における差)
を図1に示す。最上パネル(パネル1A)は、質量分析計から読み出した半調的
な再現である。長軸に沿ってシートを示すと、最上のバンドはコントロール(い
ずれの試験化学組成物の不在下において増殖した胚葉体)に対する質量スペクト
ルであり、真中のバンドは、添加トログリタゾンの存在において増殖した胚葉体
についてのスペクトルであり、そして図1Aの底部のバンドは、エストル酸エリ
スロマイシンに曝した胚葉体により発現された核タンパク質の質量スペクトルを
示す。
【0106】 図1Bおよび図1Cは、1つの試験化学組成物と接触させた胚葉体(「試験胚
葉体」)と化学組成物添加なしの標準組織増殖培地中で増殖したコントロール胚
葉体との間の、タンパク質の発現レベルにおける差を線図で示す。これらのパネ
ルは、それぞれの試験胚葉体とコントロール胚葉体との間での同一のタンパク質
の計算的な減算を示し、試験胚葉体とコントロール胚葉体との間の、発現におけ
る有意な差である胚葉体のタンパク質のみを示す。それぞれのバーは単一のタン
パク質を示し、そしてバーの長さは、コントロール胚葉体により発現された量に
比較した、試験組成物に曝された胚葉体により発現されたタンパク質の量を示す
。中央のラインの上のバーは、試験胚葉体がコントロール胚葉体が発現したタン
パク質よりも多く発現したことを示し;このラインの下のバーは、試験胚葉体が
、試験胚葉体がコントロールの胚葉体が発現したタンパク質より少なく発現した
ことを示す。
【0107】 図1Bは、コントロールの胚葉体と比較した、トログリタゾンの存在下におい
て増殖した胚葉体により発現した核タンパク質における差を示す。図1Cは、エ
ストル酸エリスロマイシンの存在下において増殖した胚葉体、およびコントロー
ルにより発現した核タンパク質における差を示す。(試験胚葉体およびコントロ
ール胚葉体の両方は、発生の6日目である。)図1Bおよび図1Cを左から読み
取ると、出会う第1のバーは、両図について同じ位置でこのラインより上である
が、しかし最高のバーは、図1Cにおいて、より高い。このことは、試験胚葉体
の両方のグループが、コントロールが発現したこのタンパク質より多くのタンパ
ク質を発現したが、しかしエストル酸エリスロマイシンと接触した体が、トログ
リタゾンと接触した体が発現するよりも顕著に多く発現したことを示す。
【0108】 図1CのX軸すなわち分子量の軸に沿って続ると、次の出会う4つのバーはま
た、図1Bにおける対応物を有する。さらに、これらの図のそれぞれにおいて、
同じ3つのタンパク質を示すバーはラインの下であり、対して同じ4番目のタン
パク質についてのバーは、ラインの上である。同様に、ラインの高さは、図1C
と図1Bとの間で異なる。従って、検出される初めの5つの核タンパク質につい
て、トログリタゾンと接触した胚葉体、およびエストル酸エリスロマイシンと接
触した胚葉体は、タンパク質発現の同じパターンを示すが、しかし異なる発現レ
ベルで発現する。これらのタンパク質のそれぞれ、および全ての発現パターンは
、例えば、新規で潜在的な治療剤のような未知の化学組成物が、いくつかの肝臓
毒性を有することを示すプロフィールにおける封入についての候補である。対し
て、図1Cで検出される第1のタンパク質(4000ダルトンの分子量のライン
の直ぐ右)は、図1Bにおいて対応物(または少なくとも、コントロール体の対
応物とは異なるレベルで発現される点での対応物)を有しない。従って、このタ
ンパク質は、トログリタゾンおよびエストル酸エリスロマイシン両方の肝臓毒性
の共通の経路が実証されるタンパク質とみなされない。しかし、他の肝性毒の発
現経路とのこの相関に依存して、これは肝臓毒性と関連し得る。同様の分析を、
この2つのグラフで示されるタンパク質について行い得る。
【0109】 タンパク質発現における差の分析を示すさらなる方法を、図2に示し得る。図
2は、上記の3つの胚葉体グループにおける小核タンパク質の発現をまた比較す
る。これらのグラフにおいて、パネル中のそれぞれのバーは、単一のタンパク質
を示すが、このバーの長さは、コントロールの胚葉体と比較した発現される量の
比較ではなく、発現されるタンパク質の相対量を示す。図2において、最上パネ
ル(2A)は、標準組織培養培地中のタンパク質に加えて、化学組成物に曝され
ていない胚葉体における、質量分光分析により決定されるようなタンパク質の発
現レベルを図示する。真中のパネル(2B)は、トログリタゾンに曝した胚葉体
のタンパク質の発現レベルを示す。そして、底部のパネル(2C)は、エストル
酸エリスロマイシンに接触させた胚葉体の発現レベルを示す。これらのパネルに
おいて、(相対値としてY軸上にプロットする)このタンパク質の発現レベルは
、(X軸上にプロットする)分子量に対してプロットされる。パネルの視覚的な
比較は、そして他は異なるが、試験される2つの薬物に曝される胚葉体により発
現されるタンパク質のいくつかは、同じ(しかし、おそらく異なる発現レベルで
)であり、そして他のタンパク質は、異なり、そして、両方が、どちらの薬物に
も曝されないコントロールの胚葉体が示すよりも異なる発現パターンを示すこと
を明らかにする。
【0110】 図3は、前のパラグラフにおいて議論したタンパク質発現のように、胚葉体の
同じ3つのグループにおける、小さな細胞質タンパク質の発現レベルを示す。こ
のパネルは、図2における様に、同じ順序で配列される。同様に、それぞれのグ
ループについてのタンパク質の発現レベル(Y軸上にプロットする)は、タンパ
ク質の分子量(X軸上にプロットする)に対してプロットされる。同様に、パネ
ルの視覚的な比較は、試験される2つの薬物に曝される胚葉体により発現される
タンパク質のいくつかが同じ(しかし、おそらく異なる発現レベルで)であり、
そして他のタンパク質は異なることを明らかにする。
【0111】 同様に、図4は、上で議論する胚葉体の同じグループにより発現される大きな
細胞質タンパク質の図解的な分析を示す。同様に、質量分析法により決定される
発現レベルをY軸上にプロットし、一方分子量をX軸上にプロットする。同様に
、明確な類似性および明確な差を、試験化学組成物に曝された胚葉体のタンパク
質発現パターンの間、およびこれらのタンパク質発現パターンといずれの試験化
学組成物への曝露なしで増殖した胚葉体のタンパク質発現パターンとの間で観測
し得る。
【0112】 2つの薬物が、複雑なタンパク質発現パターンおよび固有のタンパク質発現パ
ターンを誘導することは、これらの図から明らかである。いくつかのタンパク質
は、コントロールの胚葉体におけるタンパク質発現と比較して、より少ない量で
発現され(または「下方制御される」)、そして他は、コントロールと比較して
、高い量で発現される(または「上方制御される」)。さらに、これらの2つの
化学組成物は、いくつかの同じタンパク質に影響し、従って、共通のサブ−パタ
ーンを共有する。
【0113】 例えば、図2Cにおいて、2500ダルトンの分子量を示すラインの直ぐ右に
、高いライン(Y軸上で15単位以上)が存在し、強く発現されたタンパク質を
示す。パネル2Bおよびパネル2Aに列挙後、トログリタゾンと接触した胚葉体
、およびどちらの薬物にも接触してないコントロールの胚葉体両方においてこの
同じタンパク質が高レベルで発現されることを理解し得る。従って、発現レベル
においていくつかの変化が存在するが、サンプルが取り出された発生時点でこの
タンパク質は胚葉体で高く発現される。しかし、パネル2Cにおいて右の方へ続
け、そして同じ比較をすると、存在する次のタンパク質はまた、おおよそ同じ量
で、トログリタゾンに曝された胚葉体において存在するが、しかしコントロール
の胚葉体によっては全く発現されてない。従って、このタンパク質は、他の組成
物および他の毒性の種類から、肝臓毒性を有する化学組成物を区別するための候
補である。
【0114】 (実施例3.組織毒性および器官毒性についての抗癌薬のスクリーニング) この実施例は、抗癌剤の組織毒性または器官毒性について、抗癌剤をスクリー
ニングするためのEMBRYOID BODYシステムを使用して、図解する。
【0115】 ヒトおよび/または動物における公知の毒性および生物学的指標を有する化合
物および薬物(両方とも抗癌的および治療的)を、胚葉体においてそれらの遺伝
子発現プロフィールまたはタンパク質発現プロフィールを編集するために、選択
する。さらに、ヒトインビトロ細胞培養効果と臨床結果を相関づけるために、活
性の公知の機構に関して、そして以前の研究において使用された化合物を考慮し
て、化合物を選択する。表2。
【0116】
【表2】 (a.遺伝子発現プロフィールの確立) 選択された化合物の遺伝子発現パターンを、cDNAマイクロアレイを使用し
て測定および定量し、そして細胞分化で正規化する。この化合物の遺伝子発現パ
ターンを、この化合物に曝されてないコントロールのEB培養物、または、適切
な場合、同様の機能または毒性を制限する用量を有する、関連する薬物を用いて
処理したEB培養物と比較する。同様の、または関連する毒性を有する多くの抗
癌剤について、遺伝子発現プロフィールを編集することにより、遺伝子発現にお
ける共通する改変を識別し、そして毒性と相関させ、そして試験抗癌薬候補の毒
性を評価するための代理プロフィールとして使用する。
【0117】 cDNAマイクロアレイは、例えば、Shalonら(1996)、Geno
me Res 6:639−645に記載されるように、当該分野で既知であり
そして利用可能である多くの種類のいずれか1つであり得る。cDNAマイクロ
アレイは、コントロール細胞および化学的に処理した細胞の直接的な比較により
、数千の遺伝子の発現の同時モニタリングを可能にする。3’発現配列タグ(E
ST)をアレイにし、そして高速ロボットを使用して、スライドあたり数百〜数
千の密度でガラス顕微鏡スライド上へスポットする。2つの異なる波長で励起す
る蛍光(fluor)(すなわち、Cy3およびCy5)を使用して標識化した
dUTPを用いた逆転写反応を使用して、コントロールRNAおよび試験RNA
から蛍光cDNAプローブを作製する。このことは、それぞれのサンプルにおけ
る関連する遺伝子発現の直接的な比較について、コントロールRNAおよび試験
RNAの両方が、同じチップにハイブリダイゼーションすることを可能にする。
特別に設計された走査型共焦点顕微鏡を使用して、この蛍光シグナルを検出する
。配列が明らかな15,000のヒトクローンおよび8700のマウスクローン
の収集物を、cDNAマイクロアレイを作製するために使用し得る。これらのマ
イクロアレイは、種々の薬剤で処理されたEB培養物における遺伝子発現パター
ンの分析に対して理想的である。
【0118】 手短には、RNAをコントロール細胞および処理EB細胞から単離する。Qi
agenからのRNAeasyキットを使用して、総RNAを調製する。引き続
いて、1サイクルの逆転写においてCy3 dUTPまたはCy5 dUTPの
どちらかを用いてRNAを標識化する。得られた標識化cDNAを濃縮した体積
で混合し、アレイにハイブリダイズする。蒸発を防止する特注設計したチャンバ
ー中で65℃にて、ハイブリダイゼーションを一晩インキュベートする。ハイブ
リダイゼーション後、Cy3チャネルまたはCy5チャネルの両方に関するアレ
イ中のそれぞれのスポットの強度の出力を提供する、特注の共焦点レーザースキ
ャナを用いて、このチップをスキャンする。次いで、さらなる拡張を含むソフト
ウェアパッケージを用いて、データを分析する。これらの拡張は、それぞれのス
ポットにまたがるシグナルの集積、設計されるハウスキーピング遺伝子のパネル
に対するデータの規格化、および遺伝子のリストを生じる統計学的計算を可能に
し、これらの遺伝子の割合は、アウトライアーであるか、または処理により有意
に変化する。画像分析ソフトウェアに加え、用量および/または時間にわたる複
数の実験において遺伝子のクラスター化および分析を可能にするために、Spo
t−FireおよびGeneSpring(両方は、市販される)のような情報
科学パッケージを使用する。一般的に、cDNAマイクロアレイ技術は、定量的
なデータを提供するための存立できる技術として、未だ有効である。赤/緑の比
は、1つの集団対他の集団における遺伝子の発現の、相対的なレベルでの良好な
定性的データを提供するが、この比は、この遺伝子の誘導/ダウンレギュレーシ
ョンのレベルの絶対値ではない。アレイ上のサンプルのそれぞれの対を3通りに
ハイブリダイズする。3連のハイブリダイゼーション実験の2つにおいて、一貫
して誘導または抑制するアウトライアーはさらに、ノーザンブロットまたはRT
−PCRのような伝統的なRNA定量化方法により、さらに確認される。
【0119】 それぞれの薬物を、増殖、分化およびRNA発現に対するへのその影響につい
て、別のEB培養で少なくとも3回試験する。細胞数(増殖)、コロニー数(分
化)およびRNAレベル(cDNAマイクロアレイ)を、3以上の実験について
平均化し、そして平均値およびSEMを決定する。約15の「ハウスキーピング
」遺伝子を使用して、全ての結果を規格化する。これは、ヒトまたは動物におい
て毒性ではないコントロール化合物に対する、試験薬の効果の定量的な比較を可
能にする。統計学的な比較は、コントロールの薬物または非処理の細胞と比較し
て、所定の薬物がEB細胞遺伝子発現に影響するか否かを決定するための、そし
て細胞中のRNAにおける変化が関連性があるか否かを決定するための情報を提
供する。
【0120】 (b.タンパク質発現プロフィールの確立) 選択された抗癌薬のタンパク質発現プロフィールは、実施例2に記載するよう
に、Ciphergen’s SELDI質量分析法(MS)−TOFシステム
を使用して、確立される。0.1%SDSまたはTriton−X100(0.
5%)のいずれかの中で、回収したEB培養物からの総細胞溶解液を調製し、製
造者のプロトコルを使用して、タンパク質アレイチップに直接適用する。それぞ
れのチップは、3連の2つの薬物を分析し得る。ストリンジェンシー条件および
実験的複製を行った後、試験化合物あたり平均6のProteinChipsTM で使用する。
【0121】 Ciphergen技術は、サンプル中のタンパク質をこのチップ上で直接的
に捕獲、保持そして精製することを可能にする。次いで、マイクロチップ上のタ
ンパク質を(SELDI)により分析する。この分析は、サンプル中のタンパク
質の分子量を決定する。次いで、サンプル中の精製されたタンパク質の分子量の
自動読み出しを評価し得る。代表的にこの系は、20%未満のCVを有する。こ
のCiphergenデータ分析システムは、内部参照基準に対してデータを規
格化し、そして薬物処置された細胞中に見出されるタンパク質の読み出しからコ
ントロール細胞中に見出されるタンパク質の読み出しを減算する。このデータ分
析は、この薬物ならびにコントロールの細胞においてのみ見出されるタンパク質
により、刺激されるタンパク質発現を明らかにし、このタンパク質の発現は、こ
の薬物により阻害される。この分析は、コントロールと処理されたグループとの
間の、タンパク質発現の定性的な読み出しを提供する。複数のサンプルの分析は
、タンパク質発現における平均的な倍変化および変動性の相対的尺度を提供する
。このことを、タンパク質変化の統計学的尺度を提供し得る平均±SEMとして
示し得る。ヒトにおける毒性の同様の型を誘導する薬物が、EB細胞でのタンパ
ク質発現において同様の変化を引き起こすか否かを決定するために、この分析を
使用する。それぞれの薬物をES細胞の少なくとも3つの異なるグループで分析
する。
【0122】 本明細書において引用される全ての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の
刊行物または特許出願が参考として援用されるように具体的かつ個々に示される
ように、本明細書中で参考として援用される。
【0123】 前述の発明は、明快な理解の目的のために、図解および例示の方法により、幾
分詳細に記載されたが、添付された請求の範囲の精神または範囲から逸脱するこ
となく、特定の変化および改変がそれらに対して為され得ることは、本発明の教
示の見地において、当業者には容易に明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、2つの薬剤のうちの1つに曝された胚様体と、コントロール胚様体と
の間の核タンパク質発現における相違を示す。 図1Aは、質量スペクトル計からの読み出しのハーフトーン効果である。上の
バンドは、コントロール胚様体についての質量スペクトルであり、これは、いず
れかの試験化学組成物の非存在下で増強される。真ん中のバンドは、添加された
トログリタゾン(troglitazone)の存在下で増強される胚様体につ
いての質量スペクトルであり、そして図1Aの下のバンドは、エストル酸エリス
ロマイシンに曝された胚様体によって発現された核タンパク質の質量スペクトル
を示す。 図1Bおよび図1Cは、それぞれ試験胚様体とコントロールの胚様体との間の
、同一のタンパク質の、コンピュータを利用した減算(computation
al subtractions)を提示する棒グラフであり、試験胚様体とコ
ントロール胚様体との間の発現において有意に異なるタンパク質のみを示す。そ
れぞれのバーは、単一のタンパク質を提示し、そして最も高いバーは、化学組成
物に曝されない胚様体による発現量と比較した、試験組成物に曝された胚様体に
よるタンパク質の発現量を提示する。図1B:コントロールのタンパク質の発現
と比較した、トログリタゾンを接触させた試験胚様体のタンパク質の発現。図1
C:コントロールのタンパク質の発現と比較した、エストル酸エリスロマイシン
を接触させた試験胚様体のタンパク質の発現。
【図2】 図2は、質量スペクトルにより検出された小さな核タンパク質の発現を示す棒
グラフである。X軸:検出されたタンパク質の質量。Y軸:相対単位における、
検出されたタンパク量。図2A:化学組成物に曝されないコントロール胚様体の
タンパク質の発現。図2B:トログリタゾンに曝された胚様体のタンパク質の発
現。図2C:エストル酸エリスロマイシンに曝された胚様体のタンパク質の発現
。太線は、トログリタゾンに曝された胚様体とエストル酸エリスロマイシンに曝
された胚様体との間で、異なる量で発現したタンパク質を示す。
【図3】 図3は、質量スペクトルにより検出された小さな核タンパク質の発現を示す棒
グラフである。X軸:検出されたタンパク質の質量。Y軸:相対単位における、
検出されたタンパク量。図3A:化学組成物に曝されないコントロール胚様体の
タンパク質の発現。図3B:トログリタゾンに曝された胚様体のタンパク質の発
現。図3C:エストル酸エリスロマイシンに曝された胚様体のタンパク質の発現
。太線は、トログリタゾンに曝された胚様体とエストル酸エリスロマイシンに曝
された胚様体との間で、異なる量で発現したタンパク質を示す。
【図4】 図4は、質量スペクトルにより検出された大きな核タンパク質の発現を示す棒
グラフ。X軸:検出されたタンパク質の質量。Y軸:相対単位における、検出さ
れたタンパク質の量。図4A:化学組成物に曝されないコントロール胚様体のタ
ンパク質の発現。図4B:トロリタゾンに曝された胚様体のタンパク質の発現。
図4C:エストル酸エリスロマイシンに曝された胚様体のタンパク質の発現。太
線は、トログリタゾンに曝された胚様体とエストル酸エリスロマイシンに曝され
た胚様体との間で、異なる量で発現したタンパク質を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/566 37/00 102 37/00 102 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA40 CB01 CB17 CB30 DA12 DA13 DA14 DA36 DA80 FB01 FB02 FB07 FB08 FB12 GC12 GC15 4B029 AA07 BB11 BB20 CC03 FA12 4B063 QA01 QA18 QQ18 QQ20 QQ42 QQ52 QR08 QR42 QR56 QR62 QR77 QS25 QS36 QX02

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成物の分子プロフィールを作成する方法であって、該
    方法は、以下の工程: a)単離した哺乳動物胚様体を化学組成物と接触させる工程;および b)該化学組成物に対して応答する該哺乳動物胚様体中の、遺伝子発現または
    タンパク質発現における変化を記録し、該化学組成物の分子プロフィールを作成
    する工程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 予め決定された毒性を有する化学組成物の分子プロフィール
    のライブラリーを編集する方法であって、該方法は以下の工程: a)単離された哺乳動物胚様体に、予め決定された毒性を有する化学組成物を
    接触させる工程; b)該化学組成物に対して応答する該哺乳動物胚様体中の、遺伝子発現または
    タンパク質発現における変化を記録し、該化学組成物の分子プロフィールを作成
    する工程;ならびに c)予め決定された毒性を有する、少なくとも2つの該化学組成物を用いて、
    工程a)およびb)を反復することによって、分子プロフィールのライブラリー
    を編集する工程、 を包含する、方法。
  3. 【請求項3】 前記遺伝子発現またはタンパク質発現における変化が、標識
    によって検出される、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記標識が、蛍光性、比色性、放射性、酵素、酵素基質、ヌ
    クレオシドアナログ、磁性、ガラス、ラテックスビーズ、金コロイドおよび電子
    トランスポンダーからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記分子プロフィールが、遺伝子発現における変化を含む、
    請求項1または請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記遺伝子発現における変化が、ヌクレオチドハイブリダイ
    ゼーションアッセイによって検出される、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記分子プロフィールが、タンパク質発現における変化を含
    む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記タンパク質発現における変化が、免疫活性アッセイによ
    って検出される、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記タンパク質発現における変化が、質量分析アッセイによ
    って検出される、請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記単離された哺乳動物胚様体が、ヒトの胚様体である、
    請求項2に記載の方法。
  11. 【請求項11】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    治療剤、神経毒、腎毒素、肝臓毒素、造血細胞の毒素および筋肉毒素からなる群
    から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】さらに、予め決定された毒性を有する化学組成物が、生殖器
    官の1つ以上の細胞に対して毒性である薬剤、催奇性薬剤および発癌物質からな
    る群から選択される、請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    農薬、化粧品および環境汚染物質からなる群から選択される、請求項10に記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 前記単離された哺乳動物胚様体が、非ヒト哺乳類の胚様体
    である、請求項2に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記非ヒト哺乳類が齧歯類である、請求項14に記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    動物の治療剤、神経毒、腎毒素、肝臓毒素、造血細胞の毒素および筋肉毒素から
    なる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    生殖器官の1つ以上の細胞に対して毒性である薬剤、催奇性薬剤および発癌物質
    からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    農薬、化粧品および環境汚染物質からなる群から選択される、請求項14に記載
    の方法。
  19. 【請求項19】 請求項2、請求項10〜請求項18のいずれか1項に記載
    の方法により生成された、予め決定された毒性を有する化学組成物の分子プロフ
    ィールのライブラリー。
  20. 【請求項20】 前記ライブラリーが、少なくとも20の化学組成物につい
    ての分子プロフィールを含む、請求項19に記載のライブラリー。
  21. 【請求項21】 試験化学組成物の毒性を分類する方法であって、該方法は
    、以下の工程: a)請求項1に記載の方法に従って試験化学組成物の分子プロフィールを作成
    する工程;および b)工程a)における分子プロフィールを、予め決定された毒性を有する化学
    組成物の分子プロフィールと比較する工程; を包含する、方法であって、 ここで、該試験化学組成物の毒性の型が、工程b)における該比較によって決
    定される、方法。
  22. 【請求項22】 試験化学組成物の毒性を分類する系統的方法であって、該
    方法は、以下の工程: a)請求項1に記載の方法に従って試験化学組成物の分子プロフィールを作成
    する工程;および b)工程a)における分子プロフィールを、予め決定された毒性を有する化学
    組成物の分子プロフィールの複合ライブラリーと比較する工程であって、ここで
    、該複合ライブラリーが、少なくとも2つの化学組成物の分子プロフィールを含
    み、 該分子プロフィールが、請求項1に記載の方法に従って作成される、工程; を包含する、方法であって、 ここで、該試験化学組成物の毒性の型が、工程b)における該比較によって決
    定される、方法。
  23. 【請求項23】 試験化学組成物の毒性を順位付ける方法であって、該方法
    は、以下: a)請求項1に記載の方法に従って作成される、試験化学組成物の分子プロフ
    ィールを作成する工程;および b)予め決定された毒性を有する化学組成物の分子プロフィールの複合ライブ
    ラリーを用いる、工程a)における分子プロフィールを比較する工程、を包含す
    る方法であって、ここで、該複合ライブラリーは、少なくとも2つの化学組成物
    の分子プロフィールを含み、該分子プロフィールが、請求項1に記載の方法に従
    って作成される、工程; を包含する、方法であって、 ここで、試験化学組成物の毒性が、工程b)における該比較によって順位付けさ
    れる、方法。
  24. 【請求項24】 前記試験化学組成物が、既知または未知である、請求項2
    1、請求項22または請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 さらに、前記単離された哺乳動物胚様体が、ヒト胚様体で
    ある、請求項21、請求項22または請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    治療剤、神経毒、腎毒素、肝臓毒素、造血細胞の毒素または筋肉毒素である、請
    求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    生殖器官の1つ以上の細胞に対して毒性である薬剤、催奇性薬剤および発癌物質
    からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  28. 【請求項28】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    農薬、化粧品および環境汚染物質からなる群から選択される、請求項25に記載
    の方法。
  29. 【請求項29】 さらに、前記単離された哺乳動物胚様体が、非ヒト胚様体
    である、請求項21、請求項22または請求項23に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記非ヒト哺乳類が齧歯類である、請求項29に記載の方
    法。
  31. 【請求項31】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    動物の治療剤、神経毒、腎毒素、肝臓毒素、造血細胞の毒素および筋肉毒素から
    なる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  32. 【請求項32】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    生殖器官の1つ以上の細胞に対して毒性である薬剤、催奇性薬剤および発癌物質
    からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  33. 【請求項33】 さらに、前記予め決定された毒性を有する化学組成物が、
    農薬、化粧品および環境汚染物質からなる群から選択される、請求項29に記載
    の方法。
  34. 【請求項34】 前記化学組成物の分子プロフィールを、予め決定された毒
    性を有する化学組成物の分子プロフィールのライブラリーと比較するための、統
    合システムであって、該システムは、以下:アレイ上の標識のパターンを読み取
    るために適応されるアレイリーダーであって、予め決定した毒性を有する化学組
    成物の複数の分子プロフィールを有するデータベースファイルを備えるデジタル
    コンピューターに作動可能に連結される、アレイリーダー、 を備える、統合システム。
  35. 【請求項35】 前記データファイルが、少なくとも20の遺伝子発現プロ
    フィールまたはタンパク質発現プロフィールを含む、請求項34に記載の統合シ
    ステム。
  36. 【請求項36】 1時間あたりアレイ上の500以上の標識のハイブリダイ
    ゼーションパターンを読み取り得る、請求項34に記載の統合システム。
  37. 【請求項37】 前記アレイ上の標識のパターンを読み取るために、光学検
    出器にさらに作動可能に連結される、請求項34に記載の統合システム。
  38. 【請求項38】 分子プロフィールおよび化学組成物についての毒性を相関
    付けるための、統合システムであって、該システムは、以下:アレイ上の標識の
    パターンを読み取るために適応されるアレイリーダーであって、予め決定した毒
    性を有する化学組成物の、複数の分子プロフィールを有するデータベースファイ
    ルおよび分子プロフィール−毒性の相関付けに適したプログラムを備えるデジタ
    ルコンピューターに作動可能に連結される、アレイリーダー、 を備える、統合システム。
  39. 【請求項39】 前記データファイルが、少なくとも20の遺伝子発現プロ
    フィールまたはタンパク質発現プロフィールを含む、請求項38に記載の統合シ
    ステム。
  40. 【請求項40】1時間あたりアレイ上の500以上の標識のハイブリダイゼ
    ーションパターンを読み取り得る、請求項38に記載の統合システム。
  41. 【請求項41】前記アレイ上の標識のパターンを読み取るために光学検出器
    に、さらに作動可能に連結される、請求項38に記載の統合システム。
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