JP2002531635A - 水性高分子錯体および耐腐食性組成物 - Google Patents

水性高分子錯体および耐腐食性組成物

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JP2002531635A JP2000585473A JP2000585473A JP2002531635A JP 2002531635 A JP2002531635 A JP 2002531635A JP 2000585473 A JP2000585473 A JP 2000585473A JP 2000585473 A JP2000585473 A JP 2000585473A JP 2002531635 A JP2002531635 A JP 2002531635A
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acrylic acid
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ヤン,シ,チェン
ブラウン,リチャード
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ザ・ボード・オブ・ガバナーズ・フォー・ハイヤー・エデュケイション、ステイト・オブ・ロード・アイランド・アンド・プロビデンス・プランテーションズ
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Abstract

(57)【要約】 ポリアニリンと高分子イオンとの間に形成される高分子錯体を含有する塗料組成物。前記高分子錯体に加えて、該組成物は水分散性結合剤を含有する。その組成物は、電気泳動法または非電気泳動法により金属基板に塗布する水性ペイントとして有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (発明の分野) ポリアニリンと高分子イオンとの間に形成される高分子錯体を含有する塗料組
成物。前記高分子錯体に加えて該組成物は水分散性結合剤を含有する。その組成
物は、電気泳動法または非電気泳動法により金属基板上に塗布する水性ペイント
として有用である。
【0002】 (関連技術の説明) 導電性高分子材料(π共役高分子)は、被覆表面に特別の電気的、光学的、電
子活性的特性を付与する高分子塗料材料として潜在的有用性を持つ。それを金属
の塗料として用いると、金属の腐食に対する保護を与えることができる(発明者
Wesslingのドイツ特許第4334628号、発明者Kinlenの米国
特許第5532025号)。この導電性高分子材料を非導電性材料表面に電気伝
導性の形態で被覆してその表面を電気伝導性にすることもできる。π共役高分子
の例は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェンなどで
ある。
【0003】 π共役高分子は、それらをイオン性化合物でドープすると電気伝導性となる。
電気伝導性状態においては、π共役高分子の主鎖は、ポリカチオンである。π共
役高分子の主鎖上のプラス電荷は、電気伝導性をもたらす移動電荷である。その
ドーピング剤は、プラスの電荷と釣り合いを保つ対イオンである。従来の導電性
高分子材料を塗料向けに使用することの難点は、それらの2つの特性、すなわち
、(1)それらがドープ状態で不安定であること、および、(2)それらが操作
性に欠けること、と関連している。操作性欠如の理由は、その導電性高分子材料
がπ共役高分子であるという事実に由来する。非局在化されたπ電子構造は、硬
い高分子鎖および強い鎖間引力をもたらす。したがって、従来の導電性高分子は
、溶解したり、融解したり、他の高分子とブレンドしたりすることが容易にはで
きない。
【0004】 物質安定性の欠如は、イオン性ドーピング剤がπ共役高分子から失われやすい
かまたは偏析されやすいという事実に由来する。従来技術において使用されるド
ーピング剤の例としては、塩化水素、p−トルエンスルホン酸、4−ドデシルベ
ンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等がある(発明者Jen他
、1991年12月3日発行の米国特許第5069820号、発明者Elsen
baumer、1992年11月3日発行の米国特許第5160457号、発明
者Cao他、1993年発行の米国特許第5232631号、発明者Kinle
n、1996年10月22日発行の米国特許第5567356号)。これらの導
電性高分子材料を、熱、水、溶媒および/または水分に曝すと、これら分子のド
ーピング剤は失われる。一旦ドーピング剤が失われると、高分子はその電気伝導
性および電子活性を失う。このドーピング剤の減損は製造工程中または被覆した
製品の使用期間中のどちらかで起こる。ある場合には、大きな有機物の基を持っ
た分子状アニオンを使用してドーピング剤の減損の速度を減少する。これは単に
ドーピング剤が失われる速度を遅くするだけで、問題の解決にはならない。たと
えドーピング剤が失われなくても、ドーピング剤が顕微鏡的範囲の規模で拡散す
ることによって、電気伝導性は失われることがあり得る。ドーピング剤のπ共役
高分子主鎖からの顕微鏡的範囲規模(0.1μmの範囲)での分離が脱ドーピン
グをもたらす。ポリマーとドーピング剤間の顕微鏡的規模の相偏析は熱または溶
媒によって容易に促進される。その分子状ドーピング剤は、π共役高分子主鎖で
ある高分子鎖の周辺から偏析する傾向があり、その結果望ましい特性を失うこと
になる。
【0005】 従来のπ共役高分子材料の1つの問題はそれらがもろくて硬い固体である点で
ある。塗料を塗布しても、従来のπ共役高分子材料は基板表面に接着しない。し
たがって、そのπ共役高分子材料を絶縁性の非導電性樹脂とブレンドして、基板
に接着しうる混合物を形成する。米国特許第5532025号、同第55430
84号、同第5556518号を参照されたい。導電性高分子を、エポキシ、ポ
リウレタン、ポリアクリル酸エステルあるいはアルキッド等の結合剤の非導電性
高分子マトリックス中に埋め込むと、ドーピング剤減損の速度は肉眼で見える水
準では(例えば、0.1mmの範囲)減少するが、顕微鏡的範囲規模(0.1μ
mの範囲)での偏析の問題は解決されない。電子活性特性は数カ月の間に劣化の
徴候を示すであろう。数多くある応用分野に対して、この物質の安定性は十分に
良好とはいえない。塗料の使用期間またはこれらπ共役高分子材料のブレンドの
問題に加えて、製造工程上の問題がある。
【0006】 ドーピング剤は、製造工程中に、熱によるかまたは水または極性溶媒との接触
によって容易に失われる。例えば、米国特許第5543084号はエポキシとポ
リアニリンのブレンドを電気泳動塗装する方法を開示している。導電性高分子で
あるPANI−PTSA(p−トルエンスルホン酸でドープしたポリアニリン)
を水溶液中で機械的にブレンドし、次いで金属上に電気泳動で塗装した。その開
示から、π共役高分子がエポキシと共に析出する前にPANI−PTSAのアニ
オン性ドーピング剤が失われたことは明白である。ポリアニリンを電気伝導性が
ある状態に戻すためには、塗料をショウノウスルホン酸中に浸漬して再ドーピン
グする必要があった。再ドーピングによって組み込まれたドーピング剤は熱によ
るかあるいは水分に曝すことによって再度容易に脱ドープされることが予想され
る。
【0007】 ドープしてないポリアニリン(エメラルド色をした塩基)を使用する塗料が文
献に開示されている(発明者McAndrew他の米国特許第5441772号
、発明者Epstein他の米国特許第5824371号)。これらドーピング
剤なしのπ共役高分子材料は、高分子主鎖上に電荷の担体がないために非導電性
である。殆どの実用性において、π共役高分子材料を電気伝導状態に維持するこ
とは必須である。したがって、操作性があってかつドーピング剤の減損に対して
安定な電気伝導性高分子材料を有することが望まれる。
【0008】 上述の救済策の代替としてπ共役高分子と高分子ドーピング剤との分子錯体を
合成する方法がある。高分子ドーピング剤がπ共役高分子に強く結合している場
合は、そのドーピング剤は、導電性高分子の製造工程中ならびに使用期間中に容
易に失われることはないであろう。安定なドーピング剤を有する操作性のある導
電性高分子の合成方法が以前に開示された(発明者Liu他の米国特許第548
9400号)。この開示においては、構成要素ポリアニリンと構成要素高分子電
解質とを含有する高分子錯体を得るためにテンプレートによって導かれる化学的
な重合方法を用いた。反応生成物は、導電性高分子材料と高分子電解質との間の
非共有結合による分子錯体である。この分子錯体は、並ぶようにして結合してい
る高分子成分の2本の線状鎖を含有する。この錯体は二重らせん構造の合成高分
子である。ポリアニリンが導電性の構成要素であるときは、dsPANは、二重
らせん構造のポリアニリンを表す。二重らせん構造の生物高分子物質DNAと比
較すると、合成dsPANは構造が不規則であって、通常はらせん構造をしてい
ない。高分子電解質の例は、ポリ(スチレンスルホン酸)およびポリ(アクリル
酸)である。この2つの高分子構成要素は強く結合しているのでこれらの高分子
錯体は安定で容易に再ドープすることはない。
【0009】 この第5489400号特許に開示されているdsPANは、3つのタイプか
らなるものである。第1のタイプは、ポリアニリンの水溶性高分子錯体である。
このタイプのdsPANは、耐腐食性塗料への応用は適当ではない。なぜなら、
純粋なdsPAN塗料は水と接触すると再溶解し、そのため、塗膜は雨または湿
気のある空気中におくとなくなってしまうからである。水溶性のdsPANを塗
膜が水に溶解するのを防ぐ高分子結合剤に組み込むことはできるものと考えられ
る。しかしながら、このタイプのdsPANの親水性度は、腐食から保護するに
は依然として問題である。塗膜は、水分を吸収するか、または、水中で膨潤し、
それによって、金属基板に対する結合剤の接着性が低下する。
【0010】 開示されているdsPANの第2のタイプは、水性反応媒体から沈殿する不溶
性固形物であった。このタイプのdsPANは、結合剤との混合が激しい機械混
合によって(発明者Kinlen他の米国特許第5543084号の実施例13
に記載されている単一らせん構造のPANI−PTSAをエポキシとブレンドす
るために使用したものと類似の方法で)のみ可能である。この方法で作製したブ
レンドは、米国特許第5543084号における脱ドーピングの問題は克服する
ものの、依然として理想的ではない。その分散体には大きくてもろい粒子が含ま
れている。その粒子は、沈殿粒子をボール・ミルで砕いたときでさえも、高分子
と金属間の最適な相互作用のためには十分小さくはない。大きな粒子は金属表面
を「濡らさない」。もう1つの問題は、機械的にかきまぜた懸濁液は安定な分散
体ではないことである。大規模な工業生産にとっては、均一で安定な懸濁液を保
有するのは困難である。
【0011】 第5489400号特許に開示されている第3のタイプのdsPANは、小粒
子のコロイド懸濁液である。その粒径は、電子活性高分子が金属保護を付与する
ために金属表面と相互作用するには適しているが、水中のコロイド粒子濃度が極
めて低い(水1リットル当たりコロイド粒子は1グラム未満)。この低い濃度は
、好ましいハイソリッド含量の塗料配合には適合しない。
【0012】 PCT公開特許WO97/03127は、極性有機溶媒に溶解し、ペイントと
して金属表面に塗布することができる化学的に変性したdsPANを開示してい
る。開示されている塗料は、金属を腐食から保護した。これら有機溶解性dsP
ANは、発明者Liuの米国特許第5489400号に開示されている水溶性d
sPANの水吸収(膨潤)の問題を克服した。このタイプのdsPANは、溶剤
型ペイントまたは熱硬化性塗料向け疎水性エポキシオリゴマーとのブレンドとし
て使用するのに適している。このタイプのdsPANは、水性エポキシとの安定
な混合物を作製しようとしても水に分散しない。したがって、このタイプのds
PANは、水性塗料への応用には適さない。
【0013】 樹脂の金属類への電気泳動塗装は、自動車および電気機器に用いるスチールに
対する優れた腐食保護膜を提供する。導電性高分子材料を電気泳動塗料浴中の添
加剤として用いることによって、金属を腐食から保護する効果は高まるはずであ
る。単一らせん構造の導電性高分子材料を含有する電気泳動塗料は、PCT特許
WO93/14166、米国特許第5128396号、同第5543084号、
同第5556518号に開示されている。しかしながら、これらの開示の中で用
いられているドーピング剤は非高分子の小分子イオンであって、電気泳動塗装処
理中の脱ドーピングおよび熱または水分によって塗装金属から脱ドーピングする
という不利益がある。
【0014】 (発明の概要) 本発明は、全ての単一らせん導電性高分子材料に共通の脱ドーピングの問題を
有利に避ける組成物を含む。ポリアニリンの高分子錯体をラテックス状の小さな
粒子として水に分散する。その高分子錯体は、ペイントを塗った表面の水吸収お
よび膨潤の問題を避けるために十分に疎水性である。ラテックス状の懸濁液の粒
径は、π共役高分子材料が金属表面と効果的に相互作用することができるように
十分に小さい。非導電性結合剤中のπ共役高分子材料の百分率は、十分に低くて
もよく、そのため、塗料の機械的強度は本質的にπ共役高分子材料のない塗料と
同等である。
【0015】 本発明は、水性塗料に応用するのに適したπ共役高分子材料の2成分高分子錯
体の一団を含む。本発明はまた、それら高分子錯体の製造方法、耐腐食性の調合
物へのそれらの高分子錯体の使用、それら高分子錯体を含有する塗料組成物の一
団、その塗料組成物を表面に塗布する方法、及びそれらの塗料組成物それ自体を
包含する。
【0016】 より具体的には、本発明は、以下のものを含む。 1.π共役高分子、高分子イオン(これはπ共役高分子のドーピング剤として役
立つ)、非導電性高分子間に高分子錯体(これは塗料の結合剤または樹脂として
役立つ)を含む水性塗料組成物。 2.π共役高分子および高分子ドーピング剤が強固に(非共有結合で)結合し、
分子状錯体を形成している(1)の水性塗料組成物。 3.高分子状錯体が非導電性高分子結合剤と十分な親和性を持ち、そのため、水
性分散体が、偏析せず、乾燥した塗膜が均質な組成である(2)の水性塗料組成
物。 4.金属基板に電気泳動法によって塗装し、高分子ドーピング剤および非導電性
高分子結合剤を含有する塗膜を形成することができる(3)に記載の組成物。3
つの成分はいずれも無視できる程度のドーピング剤の減損で金属表面に電着され
る。 5.π共役高分子の高分子錯体を含有しない塗料組成物と比較して高められた耐
腐食性能を有する(3)または(4)に記載の塗料組成物。 6.非導電性高分子が熱硬化性高分子であり、π共役高分子の高分子錯体が耐腐
食性付与添加剤および橋かけ剤の2つの機能に役立つ(3)、(4)、(5)い
ずれかの塗料組成物。 7.任意で、前記の電子活性(あるいは導電性)高分子錯体を、付加的な橋かけ
剤を含有する市販の電着塗料調合品への添加剤として使用する。 8.前記塗料組成物を金属表面に析出させる電着塗装方法。 9.塗料組成物を金属表面にカソード析出させる電着塗装方法。 10.アルミニウム合金の表面に保護塗膜を形成する(9)の電着塗装方法。 11.スチールの表面に保護塗膜を形成する(9)の電着塗装方法。
【0017】 (好ましい実施形態の説明) 1態様において本発明は、水性であり、疎水性/親水性のバランスの必要性を
満足させる2成分からなるdsPAN錯体を開示する。その2成分型高分子錯体
は、高分子の2つの構成要素を含有する必要がある。構成要素の1つは、π共役
高分子であって、塗料に電子活性および導電性の特性を付与し、そのため、塗膜
は、金属表面との相互作用によって金属を腐食から保護する効果がある。
【0018】 もう1つ構成要素は、高分子イオンであって、非常に多数の場所で、静電引力
、水素結合、ファンデルワールス力のいずれかによってπ共役高分子に非共有結
合で結合する。高分子錯体の2成分間の強固な結合によって、イオン性ドーピン
グ剤の減損に対して必要な安定性が与えられる。二重らせん構造の高分子錯体に
おけるこの優れたドーピング剤安定性によって、従来技術における単一らせん構
造の導電性高分子材料の欠陥が克服される。二重らせん構造の高分子錯体の1例
は、錯体中のπ共役成分としてポリアニリンを有し、第2構成要素としては高分
子アニオンを有するdsPANである。その他のπ共役錯体の例としては、ポリ
アニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポ
リ(p−フェニレン)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(フリレンビニレン
)、ポリ(カルバゾール)、ポリ(チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポ
リ(イソチアナフテン)等があり、高分子が電気伝導性の形態をしているときに
そこに電荷を有する。
【0019】 高分子アニオンの例は、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ビニル
メチルエーテル−マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合
体、メタクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共
重合体、その他のアニオン性高分子である。
【0020】 アニオン性高分子に加えて、プロトン受容性アミンおよび第三級アミン等、ア
ニオン官能基およびカチオン官能基の両方を含有する高分子を使用することがで
きる。第2構成要素中にあるこのイオン性官能基は、少なくとも2つの機能を果
たす。それらは、(1)アニオン性基がπ共役高分子に帯電するプラス電荷の対
イオンとなる機能、および、(2)高分子上のアニオンおよびカチオンの両方が
、dsPANが水に分散するのを助けて、それが水性塗料材料として使用できる
ようにする機能である。
【0021】 本発明のもう1つの態様は、二重らせん構造の高分子錯体が、その親水性およ
び疎水性に関してバランスがとれている点である。その錯体は、水に分散できる
ように十分に親水性であるが、塗料を金属に塗布した後に水を吸収するほど親水
性過ぎないことが必要である。塗料用として使用するには親水性過ぎるdsPA
Nの例は、発明者Liu他の米国特許第5489400号のポリアニリンとポリ
(スチレンスルホン酸)の間の分子状錯体のそれである。この高分子錯体PAN
:PSSAは、水溶性であって、高度に溶媒和化した不ぞろいのコイル状高分子
として水中に溶解する。このdsPANは、塗料のための要件の1つである水に
分散性である点は満たすが、もう1つの要件は満たさない。PAN:PSSAを
高分子結合剤なしで表面に塗布しても、それを水に浸漬すると、それはすぐに再
溶解してしまう。PAN:PSSAをエポキシまたはポリウレタン等の高分子結
合剤と共に表面に塗布しても、その塗料は吸湿性であるという問題を有する。そ
れは水を吸収して膨潤する性質があり、塗料に応用するには望ましくない。
【0022】 以下の方法の1つまたは両方によって、適当な疎水性/親水性バランスを実現
することができ、ラテックス状の錯体の分散体を得られることが知られている。
すなわち、(1)所望の疎水性/親水性バランスを実現するために、一定数のイ
オン性官能基(親水性)および一定数の高分子主鎖に付いている非イオン性有機
疎水性官能基を含有する高分子(2成分からなる高分子錯体の第2構成要素)を
使用するか、または、(2)親水性官能基のほとんどを、高分子粒子の表面にさ
らして粒子の水中懸濁液とするが、高分子粒子内部の疎水性内容は最大にするあ
る種の高分子鎖の折り重なり(球状タンパク質によく見られる三次構造に似たも
の)を生み出す合成方法を用いる。
【0023】 第1の方法としては、例えば、ポリアニリンとアクリル酸メチルアクリル酸共
重合体との高分子錯体は、高分子鎖中のアクリル酸メチル部分とアクリル酸部分
の相対数を適当に選択して合成する。アクリル酸メチル部分の百分率が高いほど
高分子錯体はより疎水性になり、アクリルモノマー単位の百分率が高いほど高分
子錯体はより親水性になる。
【0024】 第2の方法は、高分子錯体前駆物質の分子自己集合を必要とする。自己集合し
た前駆物質粒子は、水に分散すると、テンプレートに従って重合した後は、水性
ではあるが塗料に応用するのに十分疎水性である高分子錯体をもたらす構造を有
する。その方法は、2段階の合成手順を用いる。第1段階において、疎水性のコ
アと親水性の表面を有する前駆物質粒子を準備する。第2段階において、その前
駆物質粒子を重合し、π共役高分子の水性高分子錯体を形成する。この合成戦略
は、水性のラテックス状dsPANの合成で示している。ポリアニリンと高分子
イオンであるビニルメチルエーテルアクリル酸共重合体との間の水性高分子錯体
PVME−MAの合成である。
【0025】 第1段階において、アニリンモノマーは水に溶解した高分子イオンPVME−
MAに加える。そのアニリンモノマーは、PVME−MAの主鎖に吸着され、ア
ニリンモノマーが吸着された場所には疎水性部分を有する付加物が形成される。
十分な長さの高分子付加物(PVME−MA):(アニリン)nが疎水性になる
と、付加物の高分子鎖は折り重なって球状粒子となり、球状粒子の内部には疎水
性の鎖が詰まり、親水性の基は、水/粒子界面の場所を占める。その付加物の凝
集体は、この場面で水溶液中に存在することが可能である。溶液は、特徴的な光
散乱現象を示し、回転半径20nmから100nmを有する粒子の形成を示唆す
る。付加物(PVME−MA):(アニリン)n粒子の大きさは、水とアルコー
ルの混合溶媒の使用、溶液の酸性度、溶液の温度制御によって調節可能である。
【0026】 第2段階において、その前駆物質は、過酸化水素または過硫酸ナトリウム等の
酸化剤を導入して重合する。この場面の間に、付加物(PVME−MA):(ア
ニリン)nに吸着されたアニリンモノマーは重合して高分子PVME−MAに強
固に、ただし非共有結合で、結合し、高分子錯体(PVME−MA):ポリアニ
リンを形成する。この高分子錯体は、粒子表面が親水性のために、溶液から沈殿
(単一らせん構造のポリアニリンであれば沈殿するような)することなく、水性
溶液中に分散する。この高分子錯体ポリアニリン:(PVME−MA)は、ラテ
ックス状の水中懸濁液である。それは、金属、プラスティック、ガラス等の表面
に高分子塗膜を形成する。塗料中の水が一旦蒸発すると、その塗料はもはや水ま
たは通常の溶媒では再溶解しない。この塗料は、十分に高い疎水性基含量を有し
ており、そのため、その塗料は水に膨潤する問題がなく(これは水溶性のPAN
:PSSA錯体とは対照的である)、したがって、その錯体は塗料に応用するの
に適している。
【0027】 この方法で合成したポリアニリン:(PVME−MA)錯体は、水分散するこ
とができ、水または溶媒による脱ドーピングに対する耐性があるので単一らせん
構造のポリアニリンを超える利点を有する。適当な疎水性/親水性バランスを有
する高分子錯体はまた、乾燥した塗膜の水膨潤の問題を減少するので、米国特許
第5489400号に開示されている水溶性高分子錯体と比較して、塗料に応用
するのにより好適である。本発明の組成物は、同時係属の国際出願、発明者Ya
ng他のWO97/03127(腐食制御用電子活性高分子塗量)のそれとは異
なる。WO97/03127は、有機溶媒可溶性のdsPANを開示しており、
一方、本発明は、水性塗料組成物を開示している。
【0028】 均一で安定な水生樹脂組成物。
【0029】 dsPANと非導電性水性樹脂の間の分子会合による塗膜の優れた均一性。
【0030】 本発明のもう1つの態様は、導電性高分子錯体および非導電性樹脂を含有する
水性塗料である。その樹脂は、熱可塑性または熱硬化性であり得る。その非導電
性高分子の樹脂は、導電性高分子の結合剤として寄与し、その高分子の樹脂は、
工業的に入手できる熱可塑性または熱硬化性塗料材料から選択するのが好ましい
。π共役高分子の高分子錯体は、π共役高分子錯体と非導電性樹脂の分子間会合
を相当程度もたらす官能基を有する。この分子間会合は2つの点で有利である。
すなわち、(1)塗料は、顕微鏡またはナノメーター規模で均一のため、偏析し
ない安定なペイントまたは塗料浴と塗装製品の性能に信頼がおけるという利点を
伴い、(2)電気泳動塗料材料として使用すると、その分子会合によってその樹
脂とπ共役高分子錯体は電着塗装工程中に分離しないことが確実となる。
【0031】 π共役高分子錯体と非導電性樹脂の間の分子間会合は、静電引力、水素結合、
疎水性相互作用、化学結合の形成から生じる。これら分子間相互作用のいくつか
は、非導電性樹脂としてのカチオン性エポキシと電子活性のπ共役高分子として
のポリアニリン:(PVME−MA)またはポリアニリン:PAA錯体とを含有
する水性ペイント配合物において立証することができる。この分子間相互作用を
理解するには、カチオン樹脂とO−共役高分子錯体の構造的特徴を簡単に調べる
と役に立つ。
【0032】 工業用のカチオン性エポキシ樹脂は、多官能エポキシドオリゴマーであって、
他のタイプのエポキシ樹脂にあるエポキシ基およびヒドロキシル基に加えて化学
的に結合した第三級または第四級アンモニウムの官能基を有する。分子量が1,
000と1,500の間にある低分子量のエポキシ樹脂を、第二級アミンと反応
させると末端の第三級アミノ基と並んでヒドロキシル基を形成する。このアミン
の官能基は、その後乳酸または酢酸等の弱い有機カルボン酸と中和して水溶性塩
の形態にある高分子を生成する。その水性樹脂はそのとき酸性溶液中でポリカチ
オンとなっている。
【0033】 ポリアニリン:PVME−MA錯体またはポリアニリン:PAA錯体等のπ共
役高分子錯体は、高分子の2つ構成要素を含有している。構成要素の1つはポリ
カルボン酸である。例えば、重合度が約1000のPVME−MAは、高分子主
鎖に付いている約500のカルボキリル官能基を有している。そのカルボン酸官
能基のかなりの部分は、溶液のpHが3または4より高い場合イオン化される。
このpHにおいてポリアニリン鎖のプラス電荷の数はPVME−MA鎖のそれよ
りも少ない。dsPANの正味の電荷はマイナスである。したがって、π共役高
分子錯体は、ポリアニオンである。
【0034】 PVME−MAおよびカチオン性エポキシを溶液中で混合すると、ポリアミン
とポリカチオンの間の静電引力によって、高分子錯体が形成される。ポリアニオ
ンとポリカチオンの電荷が正確に一致すると高分子錯体は溶液から沈殿する。こ
の現象はPVME−MA溶液をカチオン性エポキシ樹脂で滴定するなかで観察す
ることができる。電荷のバランスがとれたポリアニオン/ポリカチオン錯体のそ
の沈殿は、ポリカチオンとポリアニオンの間の強固な会合を示すものである。水
性塗料用の実際の配合では、カチオン性エポキシ樹脂とπ共役高分子錯体は、電
荷がバランス点に行くのを避け、それによって沈殿を防ぐやり方で混合する。カ
ソード電着塗料として応用する場合は、分子会合粒子の全体の電荷はプラスであ
り、そのため、粒子は電気泳動によってカソード側に導かれる。
【0035】 静電気的会合に加えて、ポリアニリン:PVME−MAまたはポリアニリン:
PAAのカルボン酸基とカチオン性エポキシ樹脂中の窒素原子の間には多数の水
素結合が存在する。あるタイプのカチオン性エポキシ樹脂は、π共役高分子錯体
といくらか疎水性の相互作用をもたらすビスフェノールA部分を含有しており、
そのため、その疎水性の相互作用もまた分子間の会合に寄与する可能性がある。
【0036】 以下の例は、分子間会合の存在を立証するものである。カチオン性エポキシと
混合したポリアニリン:PVME−MA(またはポリアニリン:PAA)の水溶
液を電気泳動塗料溶液として使用した。カチオン性エポキシの20部(重量で)
をポリアニリン:PVME−MAの1部と混合した。その結果得られるpHが4
.5〜5.5の範囲の溶液中でdsPANとカチオン性エポキシが分子間会合し
た錯体は、その溶液が沈殿なしで安定である事実から、電気的に中性でないこと
は明らかである。2つの同一のアルミニウムA6060切片(1”×2”)(約
2.54cm×約5.08cm)を樹脂/dsPANの懸濁液中に浸漬し、直流
電源につないだ。50Vから200Vの範囲の電圧を90秒間印加する電気泳動
法を実施し塗装した。2つの電極を塗料浴から取り去ると、アノードには高分子
の析出がなく、一方、カソードは高分子塗膜の均一な層を持っていた。切片を両
方共炉(180℃)の中に20分間置いた。カソードに析出した高分子は硬化し
て緑色をしたエポキシ塗膜を形成した。使用したカチオン性エポキシは、透明で
無色のビスフェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーである。緑色は塗膜中
にdsPANが存在する証拠である。そのエポキシ塗膜のUV可視吸収スペクト
ルを反射分光計で測定した。得られたスペクトルは、ポリアニリンが電気伝導性
であるエメラルド色をした塩の状態のときのそれとマッチする。対照実験におい
て、カチオン性エポキシなしのdsPAN溶液(pH4.5)を電気泳動浴とし
て用いた。その電気泳動塗料は、アノードに薄い緑色の層およびカソードには析
出なしという結果をもたらした。
【0037】 前の段落で説明した実験は、dsPANとカチオン性樹脂との間に分子間会合
が存在することへの一層の支持を与えるものである。dsPANは、それが溶液
中で唯一の高分子成分であるときは、正味ではマイナスの電荷を有しており、電
気泳動によってそれはアノード側に移動する。dsPANとカチオン性エポキシ
を溶液中で混合すると、dsPANとカチオン性エポキシとの間で分子間会合が
おこる。適当な混合割合により、dsPAN:エポキシ錯体の正味電荷は、その
錯体が単一体としてカソードに析出するようにプラスにすることができる。
【0038】 dsPANとカチオン性エポキシの間の会合を制御できることは有利である。
それによって、単一らせん構造のポリアニリン粒子の同じエポキシとの混合物よ
りも、塗料浴をより均一にでき、懸濁液はより安定になる。分子による会合で電
極に析出することによって、熱硬化工程の間に相偏析され難くなる。その結果よ
り均一でより良好な塗膜となる。
【0039】 適当な触媒によって、2つの成分のエポキシ官能基とカルボキシル官能基とを
化学的に結合することもまた可能である。
【0040】 熱硬化性樹脂用の架橋結合剤として、高分子錯体を用いることができる。
【0041】 本発明のもう1つの観点は、熱硬化性ポリマー用の架橋結合剤として、π−共
役ポリマーの高分子錯体を用いてもよいことである。例えば、エポキシを熱硬化
性樹脂として用いる場合、PAN:PAAおよびPAN:PVME−MA錯体が
架橋結合剤として作用するであろう。エポキシ樹脂中のエポキシド官能基および
ヒドロキシル官能基は、高分子錯体PAN:PAAまたはPAN:PVME−M
A中のカルボキシル官能基と反応する。この反応は、酸または塩基触媒の存在ま
たは熱により促進できる。
【0042】 バインダー樹脂と反応して架橋結合剤として作用する能力は、二重ストランド
導電性ポリマーに独特なものである。単一ストランドのポリアニリンまたはその
他の導電性ポリマーは、たとえドーパントを選択して1個または複数のカルボキ
シル官能基を含んでいたとしても、バインダー樹脂の架橋結合に寄与できない。
仮に、小さな分子ドーパントが樹脂と反応したとしても、ドーパントは、ポリア
ニリンまたはその他のπ−共役ポリマーから切り離され易い。それは、導電性ポ
リマーをドープした導電性状態から非ドープ絶縁状態に転換し、電気的活性を失
わせることになる。
【0043】 π−共役ポリマーを含有するエポキシ樹脂を高められた温度(60から180
℃)で硬化させると、架橋結合がほぼ完結する。配合物中にほかの架橋結合剤を
存在させる必要がないことは明らかに好都合である。明白ではないが、硬化塗膜
がより均質な濃度のπ−共役ポリマーを含有し、π−共役ポリマーが塗膜有効寿
命の期間に移動しないことは同等に価値ある利点である。これは、共有結合によ
らず、樹脂ポリマーとブレンドしてπ−共役ポリマーに定着させるだけの単一ス
トランド・ポリアニリンより有利になるに違いない。熱または老化の影響で、π
−共役ポリマーが移行し、塗膜中のドメイン内に分離されるであろう。このよう
なことが起きると、時間と共に塗膜性能の低下を来たすことになる。これに代わ
り、π−共役ポリマーは、高分子第2ストランドと強力に結合し、硬化後に、熱
硬化性樹脂の三次元網目構造に共有結合的に定着する。エポキシ中に分子状に分
散したdsPAN混合物、および樹脂中の高分子錯体の共有結合的な定着により
、この塗膜の特性と性能は、単一ストランドポリアニリンの高分子ブレンドより
一層安定になると期待される。
【0044】 電気的に活性なポリマーを3重量%以上のエポキシ樹脂と共に用いる時に、硬
化が完結し、硬化樹脂混合物が非粘着性になり、硬質塗膜になることが判った。
塗料配合物が通常の電気泳動塗装浴より僅かに酸性である時には、1%という低
いπ−共役ポリマー量でエポキシの完全硬化が可能になる。酸性型(π−共役主
鎖上に移動性遊離基カチオンをもつ)は、dsPANとエポキシドの間の架橋結
合反応に触媒作用を及ぼしていると考えられる。
【0045】 高含有量のdsPANを必要としないで得られる耐食性効果 本発明の驚異的な発見は、バインダー樹脂中のきわめて低濃度のdsPANが
、腐食防止の改良に効果的であることである。アルミニウムおよびスチール上に
施した、6%から1%の範囲のPAN:PVME−MAまたはPAN:PAAを
含むdsPAN含有エポキシ塗料サンプルを通常の電気泳動塗料と比較して試験
した。ASTM B−117塩水噴霧試験および電気化学インピーダンス分光試
験の結果は、dsPAN含有エポキシ塗膜が従来の電気泳動塗膜より有効である
ことを示した。
【0046】 dsPANは、広範なpH範囲の環境下でよりよい性能を発揮する。dsPA
Nは、単一ストランドPANに比較して脱プロトンに対してより抵抗性もってい
る。
【0047】 dsPANは、別の観点でも単一ストランドPANより好都合である。単一ス
トランドPANは、pH5またはそれ以上の水と接触した時に、導電性を失う。
実際に、単一ストランド・ポリアニリンを滴定した結果は、pH3から4で導電
性が低下することを示している。pH値が5以上になった時に、単一ストランド
・ポリアニリンの色は緑色から青色に変化する。二重ストランド・ポリアニリン
は、脱プロトンに対して大いに抵抗性を示す。例えば、PAN:PAAおよびP
AN:PVME−MAの水性懸濁液は、pH8.5から9まで緑色であり、導電
状態を保っている。二重ストランドポリマー中のポリアニオン性第2ストランド
は、微視的環境を提供する原因になり、pH値を変動させて導電体から絶縁体に
変換させる(「化学的刺激に対する分子擬似メモリーとしての二重ストランド・
ポリアニリン」G.P.Kota,L.Sun,H.Liu,S.C.Yang
,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.488,pp35
9〜364(1998))。
【0048】 ポリアニリンおよび樹脂バインダーを含有する塗膜を、中性pHの水性塩水噴
霧試験(ASTM B−117)または一定時間の浸漬試験を行う時、耐食性の
低減および電気化学インピーダンスの低減が、ポリアニリン成分色が緑色から青
色に変化する時点に完全に一致することが判り、このことは、ポリアニリンの導
電性緑色状態(エメラルド塩)が、絶縁性青色状態(エメラルド塩基)に比較し
て、効果的な耐食性成分であることを示している。さらに、導電性ポリマーをア
ンモニアで脱プロトンして金属上に塗装した時に、この塗膜は、O−共役ポリマ
ーを含まない塗料に比較して、耐食性の点で殆ど利点がない。これは、耐食性に
関しては、ポリアニリンの導電性状態が非導電性状態に比較してより効果的であ
ることを示している。この塗料(O−共役ポリマーおよび非導電性樹脂の混合物
を含む)が、導電体である必要がないことが判った。O−共役ポリマーが導電状
態であることだけが必要である。導電性ポリマーが、塗膜中で連続的網目構造を
形成することなく、微視的導電性を与えなくとも、塗料樹脂中のO−共役ポリマ
ーは耐食性に対して効果がある。O−共役ポリマーが脱プロトン化され、エメラ
ルド塩基型に変換する時に、耐食効果が失われる。
【0049】 dsPANは、脱プロトンされ難く、広範囲な環境下で適用される。従来の単
一ストランド・ポリアニリンは、わずかに酸性環境(pH<5)で有効であるに
過ぎない。dsPAN含有樹脂は、中性pHの環境(pH5〜7)および海水(
pH8)に対して有効である。
【0050】 dsPANは、商用の水性塗料配合物と両立する。
【0051】 この二重ストランド導電性ポリマーは、商用水性ペイントまたは電気泳動塗装
浴に対する添加剤としても使用できる。導電性ポリマーを添加した水性ペイント
配合物は、添加剤を混合する手段が適切であるならば、(実施例で示される)安
定な懸濁液になる。この新規な配合物は、通常の電気泳動手段により電気泳動塗
装できる。180℃で硬化させた電気泳動塗装金属のサンプルは、硬質塗膜を与
える。塗装サンプルを試験した結果、対象サンプルに比較して改良された耐食性
を有することが判った。
【0052】 通常の硬化剤を用いた硬化 硬化剤として、通常の化学変性したまたは封鎖したポリアミン、ポリメルカプ
タンまたはポリイソシアネートを使用できる。これらの硬化剤は、化学的に変性
しまたは封鎖して、電気泳動塗装浴中でエポキシと反応することを防止する必要
がある。架橋結合は、焼付時の高められた温度で完結する。
【0053】 代わりに、高温硬化剤も使用できる。高温硬化剤の例には、ポリカルボン酸、
ポリ酸無水物、ポリフェノールおよびカルボキシ官能性ポリエステルがある。こ
れらの硬化剤は、触媒の不在下では、室温でエポキシと反応しないが、焼付時の
高められた温度で反応する。
【0054】 この塗料は、通常の表面処理を施した、または施さない金属表面に適用できる
【0055】 アルミニウム合金に塗装する従来の方法は、クロム酸塩へ表面変換できる表面
処理を含んでいる。本発明の塗料は、表面前処理を施さない裸のアルミニウム合
金の表面に適用できる。表面前処理を施さないアルミニウムサンプルに行った本
発明の塗膜は、優れた耐食性を示した。本発明の塗料配合物は、有毒なクロム酸
塩を用いるに塗装に置き換わる塗料として有用である。
【0056】 塗料は、塗装または電気泳動により実施できる。
【0057】 二重ストランド導電性ポリマーを含む水性塗料組成物は、塗装、浸漬、または
電気泳動により金属表面に適用できる。
【0058】 実施例1 r=NAN/N-COOH=1のポリアニリン:ポリ(アクリル酸)錯体の合成[ポ
リアニリン:ポリ(アクリル酸)、r=1](本実施例で、発明者が用いる記号
「:」は、2種のポリマー間の非共有結合を表す。r値はNAN/N-COOHの比率
を示す) ステップ1:ポリ(アクリル酸)上へのアニリンの吸着による[ポリ(アクリ
ル酸):(アニリン)n]の作成
【0059】 水/メタノール溶液中でポリ(アクリル酸)上へアニリンモノマーを吸着(ま
たは結合)させることにより、[ポリ(アクリル酸):(アニリン)n]錯体を
作成した。吸着アニリン分子は、後のステップ3で重合させる。
【0060】 10mlのメタノールおよび7.208gのポリ(アクリル酸)水溶液(25
%のPAAを含有する、ポリサイエンス、分子量=90,000)を混合する。
水を加え、溶液の体積を100mlにする。マグネチックスターラを用いて溶液
を15分間激しく攪拌する。この溶液は、0.025モルのポリ(アクリル酸)
を含有した。
【0061】 2.328gの新たに蒸留したアニリンを、激しく攪拌しながらポリ(アクリ
ル酸)溶液に加えた。メタノールを10ml追加し、攪拌を30分間継続した。
アニリンの総量は0.025モルに等しく、混合物のpH値は約5である。
【0062】 下記の考察は、アニリン分子とポリ(アクリル酸)間の分子錯体の生成に一致
する。溶液の粘度がアニリンの添加時にかなり増加した。固有粘度の増加測定値
は、アニリンとポリ(アクリル酸)の単純混合物から予測されたものよりはるか
に大きい。アニリンと錯体の間の結合を伴わない単純混合物では、その固有粘度
は、pH5の溶液中に存在する2成分の和にほぼ等しくなるべきである。この高
粘度は、ポリ(アクリル酸)鎖上へのアニリンの結合と一致する。アニリンがポ
リ(アクリル酸)上に吸着される時に、ポリマー鎖が当初のポリ(アクリル酸)
ランダムコイル鎖に比較してより一層拡張し、粘度が非常に高くなる。アニリン
分子は水素結合によりポリ(アクリル酸)に結合してもよく、またはアニリニウ
ムイオンはポリ(アクリル酸)のイオン化部位の静電気力により強く吸引されて
いてもよい。後者の静電的吸引は高分子電解質に対する「対イオン縮合」として
知られている(参考文献:G.Manning,J.Chemical Phi
sycs,89,3772(1988),Accounts of Chemi
cal Research,12,443(1979))。 アニリンモノマー
とポリ(アクリル酸)間の非共有結合をコロン「:」で表現し、ポリ(アクリル
酸):(An)nアダクトの符号である。
【0063】 ステップ2:乳化したポリ(アクリル酸):(An)nアダクトの作成 100mlの2MのHClをポリ(アクリル酸):アニリン溶液に加えた。こ
の溶液は、高分子錯体のマクロ乳化によって周囲光が散乱することにより、直ち
に乳白色に変化した。溶液を連続して激しく攪拌すると、光の散乱強度が減少し
て、散乱光の色が、徐々に乳白色から少し濁ったほぼ透明色に変化する。この僅
かに濁った溶液を白色光(太陽光)の集束ビームで照射して試験し、黒色の背景
に対する角度で検査した時、散乱光は青色である。
【0064】 最初は、溶液が乳白色のマクロエマルジョンに転換したが、これは、溶液に加
えた酸がステップ1で作成したポリ(アクリル酸):(アニリン)nアダクトの
イオン化度を低減させるからである。非イオン化アダクトは、より疎水性になり
、ポリ(アクリル酸)に吸着されたアニリンを多く含む内部疎水性コアを含有す
る粒子に混合される。粒子の外表面はより親水性であり、ある種のイオン化した
カルボキシレート基をもち、周辺水分子と接触している。この場合、乳化した粒
子は、ポリ(アクリル酸):(アニリン)n高分子アダクトの凝集体になりやす
く、このアダクトの凝集体は、塩酸を添加する時にアニリン分子がポリ(アクリ
ル酸)に結合したままでいるならば、疎水性である。塩酸添加直後に、凝集粒子
のサイズは大きくなるが、しかし凝集体は、メタノール/水溶液中で再配列して
、より小さい粒子になる。
【0065】 光散乱の変化は、可視光の全色を散乱するマクロエマルジョンの初期生成に一
致し、引き続き起きるミクロエマルジョンへの転移は、より小さい粒子の生成を
伴い、短波長領域の可視光だけを散乱させる。メタノールまたはその他の極性有
機溶媒の存在が、初期のマクロエマルジョンをより小さい粒子に壊すことを助勢
する。ある範囲で、この小さな小粒子は、ラテックス製造の乳化重合に見られる
ミクロエマルジョンと同様である(参考文献1:Blackley,D.C.,
「乳化重合」Wiley,New York,1975.参考文献2:K.O.
Calvert,「ポリマーラテックスとその応用」MacMillan,N.
Y.(1982)。通常の水中油形エマルジョンとは異なり、ここで作成する粒
子中の疎水性コアは、アニリンの微視的な滴であるだけでなく、ポリ(アクリル
酸)主鎖に吸収されたアニリンの錯体である。ポリ(アクリル酸):(An)n
アダクトは、凝集または混合されて疎水性コアを形成し、イオン化したカルボン
酸基が水との界面に配置されると推測する。この乳化したポリ(アクリル酸):
(An)nアダクトでは、ポリ(アクリル酸)分子は、下記の2つの役割を果た
している: (1)ポリ(アクリル酸)分子が、第2ポリマーのモノマーを結合して高分子錯
体[ポリアニリン:ポリ(アクリル酸)、r=1]になるための前駆体を形成す
るように作用する、 (2)ポリ(アクリル酸)分子が、乳化剤として作用し、アニリンモノマーが乳
化粒子の内部に吸着され易くする。
【0066】 ステップ3:乳化したポリ(アクリル酸):(An)nアダクトの重合 ステップ2で作成した溶液に3滴の1Mの塩化第2鉄水溶液(FeCl3と2
Mの塩酸)を加えた。一定速度で攪拌しながら、この反応混合物に、3mlの3
0%過酸化水素(0.026モルのH22)を徐々に加えた。溶液は直ちに暗緑
色に変化し、アニリンモノマーが重合してポリアニリンになったことを示した。
溶液中の第2鉄イオンは、酸化重合触媒である。反応は本質的に30分以内に完
結した。精製ステップを開始する前に、反応混合物をさらに30分間攪拌した。
反応生成物を数か月間水溶液で放置したが、反応生成物の顕著な沈澱は起きなか
った。
【0067】 反応生成物の低分子量イオン種および水溶性種を透析により除去した。この溶
液を透析チューブ(SPECTRA/POR、3,500で分子量カット)を用
いて大容量の蒸留水に対して透析した。新鮮な蒸留水を用いて、透析チューブ外
側の蒸留水中に第2鉄イオンが検出(チオシアネート試験により)されなくなる
までこの透析を繰り返した。
【0068】 反復試験の結果は、ステップ1でメタノール/水混合溶媒を使用することが重
要であることを示した。ステップ1の作成段階で、充分な量のメタノールを用い
ない場合には、ステップ3の最終生成物が、直ちにまたは1週間以内に沈澱する
【0069】 メタノール、エタノールまたはある種の他の極性有機溶媒を添加すると、ステ
ップ3の生成物は溶液中で永久的に懸濁状態を保つことができる。極性有機溶媒
混合物は、ポリ(アクリル酸):(AN)n前駆体のマイクロエマルジョンを作
成するためにだけ必要であるが、重合生成物を安定化するためには必要ではない
。ステップ3における、反応生成物中のメタノールの全量は、反応生成物[ポリ
アニリン:ポリ(アクリル酸)、r=1]を沈澱させることなく、除去可能であ
る。メタノールは、大容量の水に対して透析してメタノール濃度をかなり低減さ
せ、または溶液を加熱することによりメタノールを蒸発させて除去した。メタノ
ールの役割は、重合最終生成物が水中で懸濁できるように、ステップ2で粒子サ
イズを縮小させることである。もしも、白色マクロエマルジョンが充分に透明な
ミクロエマルジョンに変換する前に、ステップ3を行うならば、反応生成物は水
中に分散することなく、1日か2日で沈澱するに違いない。このことは、マクロ
エマルジョンからミクロエマルジョンへの転移が水性ポリマー錯体の形成に重要
であることを示している。上記の処方のバリエーションとして、ステップ1でメ
タノールを加えず、ステップ2の始めに加えた。この変更を加えた処方は、また
水性溶液中で安定な水性ポリアニリン錯体を生成し、メタノールの機能が、乳化
した前駆体の粒子径を縮小させ易くするという理論を支持した。
【0070】 実験は、ステップ2で、白色マクロエマルジョンが青色ミクロエマルジョンに
変化した後に、短時間(数時間)以内にステップ3の重合を開始させることが最
良であることを示した。ステップ2の溶液を数日間放置し、その後にステップ3
を実施した場合、反応生成物が沈澱し、この生成物は、ポリアニリン:ポリ(ア
クリル酸)錯体に代わり、ほとんど塩化物がドープされたポリアニリンである。
これは、アニリン分子がミクロエマルジョンから水相に抽出されアニリニウムイ
オンを形成することに起因している。ステップ2で生成したミクロエマルジョン
は、おそらく溶液の平衡状態に代わり準安定状態にある。
【0071】 実施例2 r=NAN/N-COOH=1.5のポリアニリン:ポリ(アクリル酸)錯体の合成
、[ポリアニリン:ポリ(アクリル酸)、r=1.5] 本実施例では、アニリン含有量がr>1に増加し、水中で安定な懸濁物(また
はエマルジョン)を得る。
【0072】 ステップ1:ポリ(アクリル酸)にアニリンを吸着させ[ポリ(アクリル酸)
:(アニリン)n]を作成 7.208gの25重量%のポリ(アクリル酸)(ポリサイエンス製、分子量
=90,000)を10mlのメタノールに加え、次に水を加え100mlのポ
リ(アクリル酸)溶液を作成した。この溶液をマグネチックスターラ付きの丸底
フラスコに移し、休むことなく激しい攪拌を15分間続けた(カルボン酸官能基
の総モル数=0.025モル)。
【0073】 激しく攪拌しながら、3.492gの新しく蒸留したアニリンをポリ(アクリ
ル酸)溶液に徐々に加えた。追加して、10mlのメタノールを加えた。さらに
30分間攪拌を続けた。全ての固体材料は、この時に溶解した(全アニリン量は
0.038モルに等しい)。アニリンを添加した後に、溶液の粘度がかなり上昇
する。
【0074】 ステップ2:乳化したポリ(アクリル酸):(An)nアダクトの作成 100mlの2MのHClをポリ(アクリル酸):アニリン溶液に加えた。最
初は、濁った溶液が生成した。この溶液は、塩酸を添加した後に、高分子錯体の
マクロエマルジョンによって周囲光が散乱されて、直ちに乳白色になった。溶液
を連続して激しく攪拌すると、光の散乱強度が減少して、散乱光の色は、白色か
ら少し濁ったほぼ透明に変化する。
【0075】 ステップ3:乳化したポリ(アクリル酸):(An)nアダクトの重合 反応混合物に、2Mの塩酸に溶解した1Mの塩化第2鉄水溶液(FeCl3
3滴を加えた。一定速度で攪拌しながら、この反応混合物に、4.4mlの30
%過酸化水素(0.039モルのH22)を加え、さらに1時間攪拌した。溶液
は暗緑色である。反応生成物を数か月間水溶液で放置したが、反応生成物の顕著
な沈澱は起きなかった。
【0076】 反応生成物の低分子量イオン種および水溶性種を透析により除去した。この溶
液を透析チューブ(SPECTRA/POR、3,500で分子量カット)を用
いて大容量の蒸留水に対して透析した。新しい蒸留水を用いて、透析チューブ外
側の蒸留水中に第2鉄イオンが検出(チオシアネート試験により)されなくなる
までこの透析を繰り返した。
【0077】 この緑色の水溶液は、反応生成物の安定な懸濁物を含んでいた。この懸濁液は
無期限に安定である。長時間放置した時、無視できる量の生成物が溶液から沈澱
した。この溶液は、固形分の大きなロスなくして、濾紙を用いて濾過することが
できる。1mlの溶液を微酸性の蒸留水(0.01MのHCl)で希釈した時に
も、懸濁液は安定であった。この希釈液は、コロイド状態であることを示す光散
乱を示した。この溶液と、同一条件で殆ど光散乱を示さない、ポリアニリン:ポ
リ(スチレンスルホン酸)錯体(r=0.5)(下記の実施例11を参照)の溶
液とを比較した時に、差異が見られた。ポリアニリン:ポリ(スチレンスルホン
酸)分子錯体が、真溶液として水に溶解したことを予め立証しておいた。
【0078】 この懸濁液は、ウオーターバス中70℃で1晩加熱した時にも安定であった。
この溶液を収めた容器から水蒸気を逃がした時、溶液の総容量が減少し、高固形
分溶液が生成した。30%固形分の水性懸濁液は、沈澱に対して安定であること
が判った。
【0079】 この懸濁液は、等容量のアセトンを添加することにより完全に沈澱した。この
特性は、通常の水性ラテックスペイントに類似していた。
【0080】 以下の試験は、[ポリアニリン:ポリ(アクリル酸)、r=1.5]の懸濁液
がラテックス懸濁液と同等の特性をもち、この懸濁液は、水に懸濁可能であり、
それを表面に塗装し、塗装後に乾燥した後には不溶性になることを示している。
10%から30%の範囲の固形分を有する緑色液体を、スライドガラス、ポリメ
チルメタクリレートのシート、アルミニウム合金片に塗装した。緑色ペイントを
空気中、室温で乾燥した。乾燥されたフィルムは、様々な接着の程度で基板の表
面に留まった。これらのフィルムを水中に24時間浸漬したが、フィルムは固体
として保持され、溶解する兆候はなかった。
【0081】 比較試験を、[ポリアニリン:ポリ(スチレンスルホン酸)、r=0.5]錯
体を用いて行ったが、この錯体は、従来技術の方法により作成した水溶性高分子
錯体である。[ポリアニリン:ポリ(スチレンスルホン酸)、r=0.5]錯体
を塗装したフィルムは、水中で10分以内に溶解した。この試験は、水性[ポリ
アニリン:ポリ(アクリル酸)、r=1.5]の有効さを示すものである。この
材料は、水性塗装材料として使用でき、しかも乾燥塗膜は耐久性であり、水また
はその他の溶媒による洗浄に耐え得るものである。
【0082】 実施例1および2に概要を説明した方法は、他のポリアニリン高分子錯体の合
成にも応用でき、反応生成物を含むラテックス状水性懸濁液を作成できる。以下
の実施例は、[ポリアニリン:ポリ(ビニルメチルエーテル−コ−マレイン酸)
、r=1から4]の分子錯体の合成、およびこの反応生成物の組成分析を表すも
のである。
【0083】 実施例3 [PAN:PVME−MA、r=1] 1.92gのポリ(ビニルメチルエーテル−コ−マレイン酸)、PVME−M
A、(0.022モルのカルボキシル官能基を含有、Aldrich製、分子量
=67,000)を25mlの蒸留水に溶解した。5mlのメタノールを加え、
この溶液に2gのアニリン(0.022モルのアニリン)を徐々に加え、1時間
攪拌した。この段階で、アニリンがPVME−MAに吸着され、[ポリ(ビニル
メチルエーテル−コ−マレイン酸):(An)n]アダクトを生成する。
【0084】 25mlの3MのHClおよび6.0×10-4モルの塩化第2鉄をこの溶液に
徐々に加え、30分間攪拌した。この段階で、[ポリ(ビニルメチルエーテル−
コ−マレイン酸):(An)n]アダクトのミクロエマルジョンが、酸性溶液中
で適切なサイズになり安定化する。
【0085】 2.5mlの30%過酸化水素(0.022モルのH22)を徐々に加え、ア
ニリンとPVME−MAのアダクトの重合を開始させた。反応混合物の色は直ち
に緑色になった。2時間激しく攪拌した後に、反応混合物を濾紙上に注ぎ少量の
粒子を除去した。濾液は、暗緑色をした反応生成物の均質水性分散液であった。
【0086】 懸濁液の安定性:上記のように得られた溶液は、1年以上も沈澱することなく
均質を保った。分散した生成物は、0.37Mの硫酸ナトリウムなどの塩溶液中
で凝集しなかったが、これは塩析に対する優れた安定性を示している。
【0087】 反応生成物の低分子量イオン性種および水溶性種を透析で除去した。この溶液
を透析チューブ(SPECTRA/POR、3,500で分子量カット)を用い
て大容量の蒸留水に対して透析した。新鮮な蒸留水を用いて、透析チューブ外側
の蒸留水中に第2鉄イオンが検出(チオシアネート試験により)されなくなるま
でこの透析を繰り返した。
【0088】 実施例4 1重量%のPAN:PVME−MAおよび20重量%のカチオン性エポキシを
含む水性塗料組成物 溶液A:実施例3で得た50mlの反応生成物。この溶液は、約5gのPAN
:PVME−MA高分子錯体を含有する。 溶液B:PPG社が製造する250mlのカチオン性エポキシ(商標:Pow
ercron resin、製品コードCR648)。この溶液の固形分は、3
9.5重量%である。
【0089】 第1ステップでは、カチオン性エポキシ樹脂(溶液C)の微酸性希釈液を作成
した。
【0090】 溶液C:50μL(マイクロ・リットル)の85%乳酸を200mlの蒸留水
に加えた。この乳酸水溶液に63mlの溶液Bを攪拌しながら加えた。この溶液
の光散乱特性の変化は、この希釈溶液のエポキシ樹脂の粒子径が、乳白色を呈し
ていた当初の溶液Bの粒子径より小さくなったことを示唆した。太陽光で検査し
た時に、溶液Cは、淡赤色の透過光を伴った半透明であった(前方光散乱)。
【0091】 50mlの溶液Aを、機械的に攪拌しながら溶液Cに徐々に加えた。dsPA
N高分子錯体が存在するために、この溶液の色は緑色になった。機械的攪拌を1
0分間続けた。この溶液に、残った187mlの溶液Bを加えた。得られた溶液
は、均質かつミルキーで、強い青緑色であった。得られた溶液は、4.7から5
.3の間のpH値であった。溶液の全容量は500mlであり、20重量%のエ
ポキシおよび1重量%のPAN:PVME−MAを含有した。この溶液は安定で
あった。3カ月の貯蔵後にも沈澱を生じなかった。
【0092】 溶液AおよびBを200mlの水と直接混合して(50μLの乳酸を用いまた
は用いずに)同じ重量の組成物を作成できるが、得られた溶液は、中間体溶液C
を作成した2段階混合法ほど安定ではない。溶液AおよびBを直接混合する時、
水中の懸濁した粒子は水溶液から沈澱する。この沈澱粒子はカチオン性エポキシ
とPAN:PVME−MAの間のチャージバランスした錯体である。中間体溶液
Cを用いる2段階法が好ましい。溶液Cの作成において、少量の酸を用いて凝集
したエポキシ粒子をより小さい粒子に解離し易くすることが好ましい。酸の例に
は、乳酸、酢酸および塩酸がある。
【0093】 実施例5 1重量%のPAN:PAAおよび20重量%のカチオン性エポキシを含有する
水性塗料組成物 実施例1または2のいずれかで作成したPAN:PAA高分子錯体を用いる以
外は、実施例4に記載と同様な方法を採用した。
【0094】 得られた溶液は、1重量%のPAN:PAA錯体および20重量%のカチオン
性エポキシ樹脂を含んでいた。溶液は均質かつ安定であり、3カ月後にも粒子の
沈澱は生じなかった。
【0095】 実施例6 0.2重量%のPAN:PVME−MAおよび20重量%のカチオン性エポキ
シを含有する水性塗料組成物 溶液Aを、50mlの水中に1gのPAN:PVME−MAを含む水溶液で置
き換える以外は、実施例3で用いた方法と同様の方法を採用した。
【0096】 実施例7 0.2重量%のPAN:PVME−MAおよび20重量%のカチオン性エポキ
シを含有する水性塗料組成物 実施例1または2のいずれかで得た生成物を用いて溶液Aを作成したこと以外
は、実施例6で用いた方法と同様の方法を採用した。
【0097】 金属上へ電気的活性樹脂の電気泳動塗装 実施例4〜7で作成した溶液を電気泳動塗装法の塗装浴として用い、金属上に
高分子塗料を析出させた。最初に、金属板をサンドペーパー(100グリットお
よび300グリット)で研磨し、蒸留水で洗浄した後に塩化メチレンで洗浄した
。これらの金属板を直流電源につないだ。塗装する金属をカソードとしてつなぎ
、白金電極をアノードとしてつないだ。この電極を、実施例4〜7の1つに記載
した方法で作成した塗装浴に浸漬した。この電極に50Vから200Vの範囲の
電圧を90秒間適用した。この浴から取り出した金属板は青緑色の樹脂で被覆さ
れていた。蒸留水で洗浄した後に、塗装サンプルを空気中で10分間乾燥させ、
180℃のオーブン中で20分間硬化させた。
【0098】 硬化サンプルは、平滑で硬質であった。塗料配合物に多官能性アミンなどの通
常の硬化剤を用いなかったことに留意すべきである。これらの実施例では、硬化
剤はdsPAN高分子錯体である。このdsPANは、二重ストランド・ポリマ
ーであり、1つのストランドとしてポリアニリン分子(第1ストランド)を含み
、他のストランドとして高分子ドーパント(第2ストランド)を含んでいる。P
AN:PAAでは、第2ストランドはポリ(アクリル酸)である。PAN:PV
ME−MAでは、第2ストランドはポリ(メチルビニルエーテル−コ−マレイン
酸)である。両ポリマー共に、第2ストランドは、ポリマー中にカルボキシル官
能基を含んでいる。このカルボキシル官能基は、エポキシまたはエポキシのヒド
ロキシ官能基と反応する。これらの反応は、エポキシ樹脂に架橋結合を生じさせ
る。低重量パーセントのカルボン酸ポリマーを用いることにより、エポキシ樹脂
は硬化する。また、dsPANはオリゴマーエポキシの重合触媒としても作用し
て、高分子量エポキシを生成すると考えられる。
【0099】 実施例9 腐食試験 ASTM B−117標準法(「有機塗膜の試験」、N.I.Gaynes、
Noyes Data Corporation、Park Ridge、NJ
、1977)に従い、実施例8で作成したサンプルおよび対照サンプルを塩水噴
霧室に置いた。
【0100】 試験サンプル: 試験サンプルは、サイズが1インチ×2インチ×1/16インチ(約2.54
×5.08×0.1588cm)のアルミニウム合金の塗装片であった。アルミ
ニウム合金AL2024−T3、A7075−T6、A6061−T6は、Me
tal Samples社、Munford、Alabamaから入手した。金
属は、Kaiser Aluminum社が製造した。塗装浴および水性樹脂は
実施例4〜7に記載したものである。電気泳動塗装法は実施例8に記載したもの
である。
【0101】 対照サンプル: 耐食添加剤として電気的活性ポリマーの効果を評価する目的で、既知の電気泳
動塗装技術を用いて対照サンプル作成した。
【0102】 典型的な商用電気泳動塗料組成物は、水溶性または水分散性架橋結合剤である
化学変性エポキシ樹脂、顔料、およびその他の添加剤を含有している。エポキシ
樹脂、架橋結合剤、顔料、およびその他の添加剤を混合して塗装浴を作製した。
10%と40%の間の固形分で樹脂を水に分散させた。対照サンプルは、PPG
社(Cleveland、Ohio)が製造した配合物から作成した。この配合
物の商標はPowercronであり、下記2成分(1)カチオン性エポキシで
あって、CR648の製品コードをもったエポキシ樹脂、および(2)ポリアミ
ンおよびケイ酸鉛を含有し、E6066 Pasteの製品コードをもった硬化
剤からなるものを含んだ。
【0103】 対照サンプル用の塗装浴の作成: 最初に、410.5mlのCR648樹脂(39.5%固形分)と553ml
の脱イオン水を混合し、乳白色溶液の1Lの塗装浴を作成した。この溶液に58
.5gのペースト(灰色のペースト)を加えた。混合物が分離しないように、混
合物を常時攪拌した。得られた溶液は、約19〜21%の固形分であった。
【0104】 電気泳動塗装: 実施例8に記載したサンプルを含有するdsPANに対して行った塗装と同様
な方法で電気泳動塗装を実施した。
【0105】 最初に、金属板をサンドペーパー(100グリットおよび300グリット)で
研磨し、蒸留水で洗浄した後に塩化メチレンで洗浄した。これらの金属板を直流
電源につないだ。塗装する金属をカソードとしてつなぎ、白金電極をアノードと
してつないだ。この電極を塗装浴に浸漬した。この電極に50Vから200Vの
範囲の電圧を90秒間適用した。この浴から取り出した金属板は青緑色の樹脂で
被覆されていた。蒸留水で洗浄した後に、塗装サンプルを空気中で10分間乾燥
させ、180℃のオーブン中で20分間硬化させた。
【0106】 ASTM B−117塩水噴霧試験結果: 試験サンプルおよび対照サンプルを塩水噴霧室で1000時間試験した。試験
室に入れる前に、鋭利なナイフの刃で十文字に切れ目を付けて塗膜を傷つけ、ア
ルミニウムの金属面を露出させた。試験結果に共通する結論は、dsPAN含有
塗料配合物が、クロム酸塩または燐酸塩表面前処理を行わない場合に、従来技術
のアルミニウム合金用電気泳動エポキシ塗料に比較して随意に優れた性能を示す
ことである。本発明の塗料は、糸状腐食、アンダーカットまたは割れ目腐食の減
少に効果があることが判った。dsPAN硬化したエポキシは、金属に接着性が
ある。dsPAN高分子錯体は充分に疎水性であり、水による塗膜の膨潤は起き
ない。本発明の塗料は、エポキシ中の広い範囲のdsPAN含有量について効果
がある。dsPAN含有量は、塗料中のエポキシ樹脂の僅か1%でもよく、対照
サンプルに比較して耐食性能の改良に効果がある。一般に、エポキシ樹脂の1%
から10%の範囲のdsPANを含む塗料組成物が好ましい。
【0107】 また、この試験は、dsPAN含有塗料が、従来技術の単一ストランド・ポリ
アニリンより優れた性能を発揮することを証明した。中性のpHの水性環境中で
単一ストランド・ポリアニリンに対する脱プロトンの問題は、水、雨および水分
に暴露した金属の保護に対して、単一ストランド・ポリアニリンの効果を減少さ
せている。塩水噴霧試験で、単一ストランド・ポリアニリンは、水による脱プロ
トンに起因して、エメラルド塩(緑色導電体)からエメラルド塩基(青色絶縁体
)に変化した。この転移は、通常、Electrochemical Impe
dance Spectroscopy(EIS)試験で、電気化学的インピー
ダンスの低減に関係している。前の塩水噴霧試験の時に、緑色導電体から青色絶
縁体への変化が、腐食に対する保護力の低下の兆しであることに気付いた。全て
のdsPAN含有塗料は、ASTM B−117試験で1000時間の塩水噴霧
に曝した後にも、緑色導電性の状態を維持する。この結果は、dsPAN含有塗
料のその他の利点と同様に脱プロトンに対する抵抗力が、従来技術の単一ストラ
ンド・ポリアニリンより優っていることを確認するものである。
【0108】 図1および2は比較の結果を示している。ほぼ同一条件下で、dsPANの対
照サンプル(図1)とdsPAN含有塗料を比較した。塗装したサンプルに十文
字の切れ目を付け、有機塗膜に欠陥部をつくり、金属表面を露出させた後に試験
を行った。両サンプルを塩水噴霧室に配置した(ASTM B−117)。ds
PAN含有サンプルを42日間塩水噴霧に曝し、一方対照サンプルを35日間塩
水噴霧に曝した。続いて、これらのサンプルを噴霧室から取り出し、60日間空
気中に貯蔵した。写真は、この試験の最後に撮影したものである。dsPAN試
料は、実施例1および5に記載した塗装浴を用い実施例8に記載の方法で電気泳
動塗装した。
【0109】 図1は、糸状腐食が、必要な塩水噴霧1000時間以前に、傷をつけた塗膜か
らかなり拡がっていることを示している。これは、対照サンプルの電気泳動塗装
がアルミニウム合金を腐食から保護しないことを示している。図2は、同様に傷
つけたサンプルの実施例を示し、これは、アンダーカットの兆しおよび糸状腐食
の兆しを示していない。この実施例では、基板金属はAL2024合金である。
同様な結果が、アルミニウム合金AL7075−T6でも証明される。dsPA
N含有塗料は、対照サンプルに比較してよりよい性能を発揮している。AL60
61合金では、対照サンプルおよび試験サンプル共に、1000時間の塩水噴霧
ASTM B−117を切り抜け、AL2024およびAL7075合金の差異
ほどの明らかな差異はない。
【0110】 実施例10 この実施例では、商用塗料組成物に対する添加剤として水性dsPANを用い
た。この配合物では、樹脂および硬化剤の両方を水性dsPANと組み合わせた
。この配合物に用いたdsPANは、商用塗料配合物に対する添加剤と考えられ
る。
【0111】 実施例4〜7で作成した浴に硬化剤を加えて、塗装浴を準備した。エポキシの
架橋結合用として知られる代表的硬化剤を用いることができる。硬化剤として、
通常の化学変性したまたは封鎖したポリアミン、ポリメルカプタンまたはポリイ
ソシアネートを用いることができる。これらの硬化剤は、電気泳動塗装浴でエポ
キシと反応することを防止ために化学変性または封鎖する必要がある。架橋結合
は、焼付時の高められた温度で完結する。代わって、高温硬化剤を用いることも
できる。高温硬化剤の例には、ポリカルボン酸、ポリ酸無水物、ポリフェノール
およびカルボキシル官能性ポリエステルがある。これらの硬化剤は、触媒不在下
では、室温でエポキシと反応しないが、焼付時の高められた温度で反応する。
【0112】 広範囲の水性硬化剤も使用できるが、目的を立証するために、この実施例では
、PPG社(Cleveland、Ohio)が製造する商用の硬化剤を用いる
。この硬化剤の商標はPowercron Pasteで、製品コードE606
6である。
【0113】 410mlのPowercron Resin(CR648、39.5%固形
分の水溶液)に対し58.5gのPowercron Pasteの比率になる
ように、実施例4〜7に記載の溶液にPowercron Paste(E60
66)を加えて、塗料配合物を準備する。得られた溶液は、青緑色がかった灰色
である。これらの溶液を塗装浴として用い、実施例8に記載の電気泳動塗装法で
、アルミニウムおよびスチール・サンプルに塗装した。
【0114】 実施例9に記載と同様な手段でサンプルの腐食試験を実施した。得られた結果
は、実施例8および9で用いた塗料配合物で得た結果に類似している。試験サン
プルおよび対照サンプルの両方は、同一のPowercronエポキシ樹脂およ
びPowercron Pasteを含んでいる。唯一の差異は、試験サンプル
が、二重ストランド・ポリアニリン(dsPAN)の高分子錯体である1つの追
加成分を含むことである。試験したサンプルは、乾燥塗膜の総重量の1%から1
0%の濃度でdsPANを含有した。試験結果は、本発明の配合物が、金属を腐
食から保護するための通常の電気泳動塗料に対する添加剤として有効であること
を示している。
【0115】 前記の説明は、本発明の特定の実施形態に限定した。しかし、本発明に変更お
よび修正を行うことができ、その結果、本発明の利点の一部または全てを達成で
きる。したがって、本発明の精神および範囲内で達成できる全てのこのような変
更および修正をカバーすることが、添付した特許請求の範囲の目的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 塗装した対照試料の写真である。
【図2】 本発明の組成物による塗装試料の写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 13/06 C25D 13/06 B (72)発明者 ブラウン,リチャード アメリカ合衆国・02881・ロードアイラン ド州・ウェイクフィールド・オールド ポ スト ロード・21 Fターム(参考) 4J002 BE04X BG01X BG06X BG13X BH02X CE00W CM01W CN01W DE026 GH01 HA07 4J038 CB001 CF001 CG001 CG142 CH032 DB001 DD121 DG001 DJ012 NA03

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性高分子錯体であって、 カチオン性電荷を有するπ共役高分子構成要素と、 高分子付加物を形成するように非共有結合で前記π共役高分子に結合している
    疎水性/親水性の釣り合った領域およびアニオン性電荷を有する高分子構成要素
    とを含み、 前記π共役高分子が、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(
    フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(フェニレンビニレン
    )、ポリ(フリレンビニレン)、ポリ(カルバゾール)、ポリ(チエニレンビニ
    レン)、ポリアセチレン、ポリ(イソチアナフテン)からなる群から選択され、 前記高分子が、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ビニルメチルエ
    ーテル−マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、メタ
    クリル酸エチル−アクリル酸共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体か
    らなる群から選択され、前記結合した構成要素が、二重らせん構造の高分子錯体
    の形態をしており、前記疎水性/親水性領域が、前記錯体のラテックス状水中分
    散体をもたらし、表面に塗布する前は水溶性であり、表面に塗布した後は水不溶
    性であることを特徴とする高分子錯体。
  2. 【請求項2】 前記疎水性/親水性の釣り合った領域がアニオン性官能基お
    よびカチオン性官能基の両方を有する高分子を含む請求項1に記載の錯体。
  3. 【請求項3】 前記π共役高分子が、ポリアニリンであり、前記高分子が、
    メタクリル酸メチルアクリル酸共重合体である請求項2に記載の錯体。
  4. 【請求項4】 前記カチオン性基がメタクリル酸エステル部分であり、前記
    アニオン性基がアクリル酸部分である請求項3に記載の錯体。
  5. 【請求項5】 前記π共役高分子が、ポリアニリンであり、前記高分子が、
    ポリ(アクリル酸)である請求項1に記載の錯体。
  6. 【請求項6】 前記π共役高分子がポリアニリンであり、前記高分子がビニ
    ルメチレンアクリル酸共重合体であり、前記重合体付加物はその疎水性領域が内
    側に折り重なり、その親水性構成要素が水と接触している請求項1に記載の錯体
  7. 【請求項7】 耐食性組成物であって、塗料組成物と組み合わせた請求項1
    に記載の錯体を含む組成物。
  8. 【請求項8】 前記塗料組成物が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からな
    る群から選択される請求項7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂
    、ビニル樹脂、ウレタン樹脂またはオレフィン樹脂からなる群から選択される請
    求項8に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 前記塗料組成物がエポキシであり、該組成物は、 さらに、キャップしたポリアミン類、キャップしたポリメルカプタン類、キャ
    ップしたポリイソシアナート類からなる群から選択される硬化剤を含む請求項7
    に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 前記塗料組成物がエポキシ樹脂であり、かつそれは、ポリ
    カルボン酸類、酸無水物重合体類、ポリフェノール類、カルボニル官能性ポリエ
    ステル類からなる群から選択される硬化剤を含む請求項7に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記エポキシが、カチオン性エポキシ樹脂である請求項9
    または10のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 前記高分子錯体が前記エポキシ樹脂に橋かけしている請求
    項10に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 水性高分子錯体を形成する方法であって、 カチオン性電荷を有するπ共役高分子構成要素を媒体中に配置する段階と、 前記π共役高分子に結合して高分子付加物を形成するように、疎水性/親水性
    の釣り合った領域およびアニオン性電荷を有する高分子構成要素を加える段階と
    を含み、 前記π共役高分子が、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(
    フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(フェニレンビニレン
    )、ポリ(フリレンビニレン)、ポリ(カルバゾール)、ポリ(チエニレンビニ
    レン)、ポリアセチレン、ポリ(イソチアナフテン)からなる群から選択され、 前記高分子が、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ビニルメチルエ
    ーテル−マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、メタ
    クリル酸エチル−アクリル酸共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体か
    らなる群から選択され、前記結合した構成要素が、二重らせん構造の高分子錯体
    の形態をしており、 前記疎水性/親水性領域の釣り合いを制御して、前記高分子錯体が、表面に塗
    布する前は水溶性であり、表面に塗布した後は水不溶性であるように、前記錯体
    のラテックス状水中分散体を形成する方法。
  15. 【請求項15】 前記疎水性/親水性の釣り合った領域がアニオン性官能基
    およびカチオン性官能基の両方を有する高分子を含む請求項14に記載の錯体。
  16. 【請求項16】 前記π共役高分子がポリアニリンであり、前記高分子がメ
    タクリル酸メチルアクリル酸共重合体である請求項15に記載の錯体。
  17. 【請求項17】 前記カチオン性基がメタクリル酸エステル部分であり、前
    記アニオン性基がアクリル酸部分である請求項16に記載の錯体。
  18. 【請求項18】 前記π共役高分子がポリアニリンであり、前記高分子がポ
    リ(アクリル酸)である請求項14に記載の錯体。
  19. 【請求項19】 前記π共役高分子がポリアニリンであり、前記高分子がビ
    ニルメチレンアクリル酸共重合体である請求項14に記載の錯体であって、かつ
    、前記重合体付加物がその疎水性領域が内側に折り重なり、その親水性構成要素
    が水と接触するように折り重ねるために、その付加物の形成を制御することを含
    む請求項14に記載の錯体。
  20. 【請求項20】 耐食性組成物の形成方法であって、 請求項1に記載の錯体を塗料組成物と組み合わせる段階を含む方法。
  21. 【請求項21】 前記塗料組成物が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂から
    なる群から選択される請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹
    脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂またはオレフィン樹脂からなる群から選択される
    請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記塗料組成物がエポキシであり、該組成物は、さらに、 キャップしたポリアミン類、キャップしたポリメルカプタン類、キャップした
    ポリイソシアナート類からなる群から選択される硬化剤を含む請求項20に記載
    の方法。
  24. 【請求項24】 前記塗料組成物がエポキシ樹脂であり、かつそれは、 ポリカルボン酸類、酸無水物重合体類、ポリフェノール類、カルボニル官能性
    ポリエステル類からなる群から選択される硬化剤を含む請求項20に記載の方法
  25. 【請求項25】 前記エポキシがカチオン性エポキシ樹脂である請求項22
    または23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記高分子錯体が前記エポキシ樹脂に橋かけしている請求
    項14に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記高分子錯体を水中に分散して金属表面の保護塗料を形
    成する段階と、 カチオン性エポキシ樹脂を前記高分子錯体に結合してカソードに析出するよう
    に電荷をもつ塗料溶液を形成する段階と、 カソードに析出するように電荷をもつ溶液により電気泳動法で金属を塗装する
    段階とを含む請求項20に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記金属がアルミニウムである請求項27に記載の方法。
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