JP2002531566A - メトトレキセート誘導体 - Google Patents

メトトレキセート誘導体

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JP2002531566A
JP2002531566A JP2000586727A JP2000586727A JP2002531566A JP 2002531566 A JP2002531566 A JP 2002531566A JP 2000586727 A JP2000586727 A JP 2000586727A JP 2000586727 A JP2000586727 A JP 2000586727A JP 2002531566 A JP2002531566 A JP 2002531566A
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mtx
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methotrexate
halogen
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JP2000586727A
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ロバート・ジョージ・ホワイテイカー
クサンテ・イー・ウェルズ
ウェイン・ジェラード・レイリー
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Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization CSIRO
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Abstract

(57)【要約】 式Iのメトトレキセート共役物: 【化1】 及び自己免疫要素を有する疾患及び癌の治療におけるその使用について開示する。この化合物の特定の態様は、メトトレキセート-γグリシントリスであり、式中、Mはメトトレキセート又はその類似化合物であり、A=H、CX2-O-R2,又はハロゲンであり、B=H、CX2-O-R3,又はハロゲンであり、Xは、独立にH又はハロゲンであり、nは、0、又は1以上であり、Yは、リンカー基である。並びに、上記の式Iの化合物、及び薬学的に許容されるキャリア又は希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。本発明の組成物は、座薬、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、ローション、インプラント、パッチ、又はフォームの形態とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メトトレキセート(MTX)の誘導体、当該誘導体を含む組成物、及
びこのMTX誘導体の使用を含む治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MTXは、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)上の活性部位に結合でき、競合
的阻害を通じてDNA及びRNAの生合成に必要なテトラヒドロ葉酸(THF)の形成をブ
ロックすることができる。MTXはまた、他の葉酸依存性酵素を阻害する。
【0003】 MTXが核酸合成を阻害する能力を使用して、異常な細胞増殖の治療が行われて
いる。活発に増殖している細胞は、MTXに対してより感受性が高いので、これを
使用して癌の細胞増殖を選択的に損なわせることができる。MTXは、抗がん剤と
して広く使用されて、腫瘍性の疾患の治療が行われている。MTXはまた、抗−増
殖性及び免疫調節として作用し、そして乾癬及びリューマチ性関節炎の治療に使
用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
経口MTX は現在、中程度又は重度の関節炎及び不応性乾癬の治療に使用されて
いる。週当たりの投薬量は、2.5乃至25mgである。この薬剤の使用は、その主要
な長期間の副作用が肝臓障害である毒性により制限される。MTXを局所的に適用
することにより、毒性を低減し、そして乾癬治療における効果を改善する試みは
ほとんど又は全く成功していないが、それはおそらくは皮膚透過性又は薬剤の皮
膚中の滞在時間が乏しいためである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第一の態様において本発明は、
【0006】
【化3】
【0007】 [式中、 Mはメトトレキセート又はその類似化合物であり; A=H、 CH2-O-R2、又はハロゲンであり; B=H、CH2-O-R3、又はハロゲンであり; Xは、独立にH又はハロゲンであり; nは、0又は1以上であり; Yは、リンカー基 (ここで、nは1より大きい場合、 それぞれのYは、同一又は異なっていて、 R1,R2,及びR3は、同一又は異なっていて、水素、置換若しくは非置換
のメチル、エチル、飽和若しくは不飽和脂肪族アシル基である 但し、 ・nが0又は1であり、AがCH2-O-R2であり、及び/又は、BがCH2-O
-R3である場合、 R1,R2,R3は、脂肪族アシル基からは選択されない; ・nが2以上であり、AがCH2-O-R2であり、及び/又は、BがCH2-O-
3であり、R1,R2,R3のうちの少なくとも一つは、脂肪族アシル基である場合
、 -[Y]n-は、-(AA)n-又は-(AA)n-1-以外のもの(ここでAAは、
アミン酸である)である] を提供する。
【0008】 メトトレキセート類似化合物の例は、従来技術に記載されている。例えばA.L
Jackman ed (1999). "Antifolate Drugs in Cancer Therapy" Humana Press、To
towa、 New Jersey、 Matsuoka、H and Mihara, M (1998). " The Synthesis an
d biological evaluation of new methotorexate derivatives in rheumatoid a
rthritis. Drugs of the Future 1998. 23(9); 1015-1022 and Degraw、 J et a
l. (1995) "New analogs of methotrexate in cancer and arthitis". Current
Medicinal Chemistry 2:630-653があるが、これら開示事項を参照することによ
り本願に組み込む。
【0009】 好ましくはMはメトトレキセートである。 本発明において有益なリンカー基には、以下のものが含まれる: a)M側にアミノ基を有し、NHC(A)(B)CX2OR1基側にカルボキシル基を有する
リンカー基、 例えばアミノ酸又は抗生物質; b)M側にアミノ基を有し、 NHC(A)(B)CX2OR1基側にスルホン酸基を有するリ
ンカー基、例えば2-アミノエタンスルホン酸(タウリン); c) M側にヒドロキシル基を有し、NHC(A)(B)CX2OR1基側にカルボキシル基を
有するリンカー;このリンカーは、ヒドロキシ酸であってもよい。ヒドロキシ酸
は、アミノ酸の類似化合物であって、当該アミノ酸のアミノ基がヒドロキシ基で
置換されていてもよい。ヒドロキシ酸の例には、グリコール酸(HOCH2COOH;乳酸(
HOCH(CH3)COOH);4-ヒドロキシ-酪酸HOCH2CH2CH2COOH;6-ヒドロキシ-カプロン
酸;10-ヒドロキシ-デカン酸;2-ヒドロキシ-カプロン酸;2-ヒドロキシ酪酸;3
-ヒドロキシ-酪酸等; d)M側にヒドロキシル基を有し、NHC(A)(B)CX2OR1基側にスルホン酸基を有
するリンカー基、例えば2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセトン酸(isethoni
c acid)); e)M側にヒドロキシル基を有し、NHC(A)(B)CX2OR1基側に反応性ハロゲン化
物基を有するリンカー基、例えば2-クロロエタノール; f)ヒドロキシ基及びアルデヒド基を有するリンカー基、例えばp-ヒドロキシ
ベンズアルデヒド; g)ハロゲン化物基及びカルボキシル基を有するリンカー基、例えば2-クロロ
酢酸; h)二つの反応性ハロゲン化物基を有するリンカー基、例えば1,2-ジブロモエ
タン;及び i)アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド。
【0010】 NHC(A)(B)CX2OR1基は、メトトレキセート 化合物のα又はγカルボキシル基に
結合していてもよい。最も好ましくは、-NHC(A)(B)CX2OR1基はメトトレキセート
化合物の、γカルボキシルに、適宜リンカーを介して結合している。
【0011】 Yがアミノ酸である場合、これは適切な何れのアミノ酸でもよく、天然及び非
天然のアミノ酸、及びこれらの類似化合物が含まれる。好ましくはアミノ酸はグ
リシンである。 好ましくは R1、R2、及びR3はそれぞれHである。 好ましくはnは、0-5の範囲内である。
【0012】 本発明の好ましい態様において、Mはメトトレキセートであり、そして-[Y]
n-は、-[AA]n-であるが、ここでAA は、アミノ酸である。好ましくはAAはグリ
シンであり、そしてnは1である。nが2以上である場合、それぞれのAAは、同じ
アミノ酸である必要はない。 好ましいメトトレキセート誘導体は、メトトレキセート-γ-グリシン-トリス
(MTX-γ-GT)である。
【0013】 第二の態様において本発明は、上記の式Iの化合物、及び薬学的に許容される
キャリア又は希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。 本発明の組成物の好ましい形態において、Mはメトトレキセートであり、Yはグ
リシンであり、そしてnは1である。 一の好ましいメトトレキセート誘導体は、メトトレキセート-γ-グリシン-ト
リスである。
【0014】 経口投与に適する組成物には、溶液、カプセル、懸濁液、エマルジョン等が含
まれる。 本発明の組成物は、通常の錠剤調製用成分を含む錠剤の形態とすることができ
る。 非経口的投与に適する組成物には、水性及び非水性の、注射可能な溶液又はエ
マルジョンが含まれる
【0015】 局所的投与に適する調剤は、クリーム、ジェル、ペースト、軟膏、湿布、鼻噴
霧、肺エアロゾル、又はフォームの形態であって、本発明の化合物を取り込んだ
ものとすることができる。 本発明の組成物は、座薬、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペース
ト、ローション、インプラント、パッチ、又はフォームの形態とすることができ
る。 本発明の組成物は、インプラントの形態とすることができる。 本発明の組成物は、肺に投与するための、液体のエアロゾル又は粉末とするこ
とができる。 本発明のMTX誘導体の、薬学的組成物中の投薬量レベルは、は、選択した時間
枠の中で予防的又は治療的反応を起すのに十分な量とすることができる。
【0016】 本発明はまた、癌又は自己免疫の要素のある疾患の患者を治療する方法も提供
するが、ここで当該方法は上記の式Iの化合物の予防的又は治療的に有効な量を
投与することを含むものである。
【0017】 従って第三の態様において本発明は、自己免疫の要素を有する疾患又は癌の患
者を治療する方法提供するが、ここで当該方法は患者に対して、式IIの化合物
【0018】
【化4】
【0019】 [式中、 D=H、又はCX2-O-R4、又はハロゲンであり; E=H、又はCX2-O-R5、又はハロゲンであり; Xは、上述の定義通りであり; nは、上述の定義通りであり; Yは、上述の定義であり;そして R4、R5、及びR6は、同一又は異なり、そして水素、置換若しくは非置換の、メ
チル基、エチル基、又はアシル基であって、飽和若しくは不飽和結合を有するも
のである。] の有効量を投与することを含んでいる。
【0020】 自己免疫の要素を有する疾患は、免疫抑制が要求されるいずれの状態であって
もよい。例えば、自己免疫の要素を有する疾患は、乾癬又はリューマチ性関節炎
であってもよい。 自己免疫の要素を有する疾患は、炎症性腸疾患やクローン病の患者であっても
よい。 好ましくはこの第三の態様の方法において使用される化合物は、式Iの化合物
である。
【0021】 本発明の治療方法は、何れかの適切な経路、例えば経口的なもの、非経口的な
もの、インプラントによるもの、及び局所的なものとすることができる。
【0022】 本発明のMTX誘導体の投薬レベルは、治療する状態の性質及び程度に依存する
が、一般的には、投薬量は、予防的又は治療的効果を得るのに十分な量である。
本発明の薬学的組成物は、当該組成物の約0.001乃至約90%の範囲の量で、MTXを
含んでいてもよい。経口の形態をとる組成物、例えば錠剤の場合、当該経口組成
物の最大で85%、好ましくは約2乃至60%のMTX誘導体を含むことができる。本願
に規定するこの濃度は、例示するためのものであり、限定するためのものではな
い。
【0023】 本発明をよりよく理解するため、以下の非限定的態様を示す。
【0024】
【発明の実施形態】
略語: AICAR:ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキサミド APA:4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイン酸 DAHMP:2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシメチルメチルプテリジン DCC:1,3 -ジシクロヘキシルカルボジイミド DCM:ジクロロメタン DECP:シアノホスホン酸ジエチル DMA:N,N-ジメチルアセトアミド DMAP:4-ジメチルアミノピリジン DMF:N,N-ジメチルホルムアミド Et2O:ジエチルエーテル EtNiPr2:ジ-イソプロピルエチルアミン EtOAc:酢酸エチル GT:グリシン-トリス GTP1:グリシン-トリスモノパルミテート GTP2:グリシン-トリスジパルミテート GTP3:グリシン-トリストリパルミテート HOAC:酢酸 HOSu:N-ヒドロキシスクシンイミド MABA:N-メチルアミノ安息香酸 MTX:メトトレキセート MTX-γ-GT:メトトレキセート-γ-グリシン-トリス MTX-γ-GTP1:メトトレキセート-γ-グリシン-トリスモノパルミテート MTX-γ-GTP2:メトトレキセート-γ-グリシン-トリスジパルミテート MTX-γ-GTP3:メトトレキセート-γ-グリシン-トリストリパルミテート OMe:メチルエステル P2O5:五酸化燐 PmCl:塩化ペルミトイル PPh3:トリフェニルホスフィン RM:反応混合物 RT:室温 tBu:tertブチルエステル tBuOAc:酢酸tertブチル TFA:トリフルオロ酢酸 TPPO:酸化トリフェニルホスフィン Z-GT:ベンジルオキシカルボニルグリシン-トリス Z-GTP1:ベンジルオキシカルボニルグリシン-トリスモノパルミテート Z-GTP2:ベンジルオキシカルボニルグリシン-トリス-ジパルミテート Z-GTP3:ベンジルオキシカルボニルグリシン-トリス-トリパルミテート
【0025】 メトトレキセート-γ-グリシン-トリス(MTX-γ-GT)の調製
【0026】
【化5】
【0027】 N-(ベンジルオキシカルボニル)-グリシン-トリス(Z-GT; USP 5,952,499) (1.7
0g, 5.44mmol)を、加熱して攪拌しながらエタノール(60ml)中に溶解した。冷水
バス中に浸して室温に冷却した後、パラジウム-オン-カーボン(10%, 0.14g)を加
え、該系を瀉出し、水素ガスで三回充填した。混合物を室温で19時間水素環境
の下で激しく攪拌し、次いで二つのグラスファイバー(GF/A)濾過ペーパーを通じ
て濾過した(新鮮なエタノール(約10ml)でリンスする)。濾過物を蒸発させ、
白色の固体としてGT(0.97g, 100%)を回収した。:1H n.m.r. (d6-DMSO)δ2.1,br
s, NH2; 3,1,s, NCH2CO; 3.55,s, 3xCH2O; 5.0,br s, 3xOH; 7.95,br s, NH。
【0028】
【化6】
【0029】 メトトレキセート-α-tert-ブチルエステル(MTX-α-tBu; USP 5,952,499) (0.
438g, 0.86mmol)を攪拌しながらDMF(4ml)中に溶解した。HOSu(0.12g, 1.03mmol)
を加え、溶解が生じるまで攪拌した。DCC(0.27g, 1.29mmol)を加え、生じた混合
物を16時間窒素下で室温で攪拌した。さらなるDCC(100mg)を加え、混合物をさ
らに数時間攪拌した。DMF(1.5ml)中のGT(0.23g, 1.29mmol)を加え、生じた混合
物を54時間攪拌した。混合物をグラスウールを通じて濾過し、濾過物を蒸発さ
せた。残余物をシリカゲル上で放射状にクロマトグラフィーにかけた。DCM中の1
5%メタノールでの溶出により、黄色の固体としての表題の化合物(0.33g, 57%)が
得られた。1H n.m.r. (d6-DMSO)δ1.39,s, C(CH3)3; 1.96,m, glu-β-CH2;2.2
4,m, glu-γ-CH2;3.21,s, Nme;3.52,d,J6Hz, 3xCH2O;3.70,d, J6Hz, glyNCH2CO;
4.22,m, glu-α-H;4.69,t,J6Hz, 3xOH;4.79,s, ArCH2N;6.62,br s, NH2;6.82,7.
72 AA'BB',J9Hz, ArH;7.14,s, trisNH;7.46,br,s, NH2;8.10,t,J6Hz, glyNH;8.2
7,d,J7Hz, gluNH;8.56,s,H-7, マススペクトル[電気スプレーイオン化、陽イオ
ンモード(ES(+))]m/z671(M+1)。
【0030】
【化7】
【0031】 MTX-α-t-Bu-γ-GT(0.459g, 0.68mmol)を、TFA(3ml)中に攪拌しながら溶解し
た。溶液を室温で1.5時間攪拌し、溶媒を真空下で蒸発させた。残余物を水中
に溶解し、溶液のpH(約2)を、重炭酸ナトリウム水溶液(75ml中に1g)で6に調節
した。水性HOAc(10%)をpH4まで加えた。溶液を凍結乾燥し、残余物をフラッシュ
クロマトグラフィーによって精製し、次いでシリカゲル上でラジカルクロマトグ
ラフィー(二回)で精製した。3:5メタノール:クロロホルム中の1-3%の水での
溶出により、黄色の固体として表題の化合物(0.086g, 21%)が得られた。1H n.m.
r. (d6-DMSO)δ1.96,m, glu-β-CH2;2.14,m, glu-γ-CH2;3.19,s, Nme;3.5-3.7
,m, 3xCH2OH+3xCH2OH;3.95,m, glyNCH2CO;4.41,m, glu-α-H;4.76,s, ArCH2N;5.
37,br s, NH2;6.61,br,s NH2;6.84,7.62 AA'BB',J9Hz, ArH;7.60,m, gluNH;7.71
,s, trisNH;8.23,t,J6Hz, glyNH;8.57,s,H-7, ES(+)マススペクトル m/z615(M+1
), 637(M+Na), 659(M+2Na)。
【0032】 メトトレキセート-γ-グリシン-トリスモノ、ジ及びトリパルミテート(MTX-γ-G
TP1, MTX-γ-GTP2, MTX-γ-GTP3)の調製 表題の化合物は、USP 5,952,499に記載されたように、もしくは以下の方法に
より調製できる。
【0033】
【化8】
【0034】 方法: DAHMP.HClを、水性酢酸中に溶解した(80℃で加熱しながら)。溶液をグラ
スウールを通じて濾過し、45℃に冷却した。pHを濃縮水酸化アンモニウム溶液
で5.3-5.6(pHペーパーでモニターする)に調節した。RMを室温に冷却し、濾過し
た。回収された黄色/カラメル色の固体を水で二回洗浄し、80℃で二晩P2O5
対して真空オーブン中で乾燥し、金色/褐色の固体として所望のDAHMP(遊離塩
基)(52.90g, 92%)を得た。
【0035】
【化9】
【0036】 方法: Br2を氷冷して混合したDMA中のPPh3に窒素下でシリンジを介してゆっくりと加
えた。固体のDAHMPを加え(RMに対して窒素「ブリーズ」)、RMを室温で24時間
攪拌した。アミンをシリンジで加え、次に固体MABA(窒素「ブリーズ」)を加え
た。RMを室温で67.5時間攪拌させた。RMを水性水酸化ナトリウム溶液(0.33M
, 125ml)に注ぎ、生じた沈殿を濾過し、濾過物を水性酢酸(10%v/v)でpH5.5に調
節した。沈殿を回収し、水、冷却エタノール及びエーテルで連続的に洗浄し、4
0℃で4日間真空オーブンで乾燥して、黄色の固体を得た(25.79g)。TPPO及びMA
BA混在物を除去するために、粗生成物を室温で50時間3:2メタノール:エタノ
ール(50ml)中で攪拌し、濾過し、Et2O(二回)で洗浄し、風乾し、瀉出して、黄
色の固体としてAPA(24.48g, 87%)を得た。
【0037】
【化10】
【0038】 方法 HC1O4を、tBuOAG 中にある基質の懸濁液/部分溶液へゆっくりと添加した(酸
を添加する間に、基質は溶解し始めた)。RMを、あまくフタをしたフラスコ内で
、RTで40時間撹拌した。RMは、0.5N Hclで抽出した(2 x 200ml、 1 X 150ml)
。水性層を氷/塩/ドライアイスの浴槽(>-5°C)で冷却し、そして固体の炭酸水
素ナトリウムで(pHがおおよそ8になり、NaHCO3がもう溶解しなくなるまで)、溶
液の温度を約-4°Cに維持しつつ中和した。この混合物をエーテル(RT、4 x 200
ml)で抽出し、有機層を組み合わせたものを塩水(100ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4 )、そして蒸発させて(ロータリーエバポレーター、その次にオイルポンプ、加熱
なし) 、所望の生成物(10.77g、 45%)を、ほぼ無色の、粘性油であって、-20°
Cで保存すると一部が固形になるものを得た。
【0039】
【化11】
【0040】 方法 APA(顆粒状化済)を少しずつ10分間かけて、DMF (400ml)中のDECP及びEtNiPr2(
第一添加分)の溶液に添加した。溶液を油浴(予め80°Cにしたもの)中に2 分間
浸した(内部温度34°C)。このフラスコを当該油浴から取出し、そして30 分間
撹拌した(内部温度22°C)。EtNiPr2(第二の添加分)を添加し、その後にDM
F(50+10ml(洗浄用))中のグルタミン酸塩を添加した。RMを室温で窒素雰囲気
下に、14時間(一晩)撹拌した。水(60ml)中のNaHCO3 (1.80g、21mmol)を添加
し、この混合物を30分間撹拌し、次にエバポレーションにかけた(ロータリー/オ
イルポンプ、45°C)。残渣をクロロホルム(約400ml)に溶解し、そしてこの溶液
を水(300ml)、及び5%の重炭酸ナトリウム水溶液(200ml)で洗浄した。有機層を塩
水(30ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレーションにかけた。DCM
中5% メタノールを使用して、残渣(茶色、粘性のゴム状)を小型のシリカカラム
にかけて極性の不純物を除去し、そして得られた生成物は、シリカゲルのフラッ
シュクロマトグラフィーにかけてDCM中7-12%メタノールで溶出し、淡黄色の個体
の3つの画分:1 (微量の不純物) (2.17g、18%); 2:高純度の純粋物) (4.40g
、36%);及び3:(微量の不純物) (2.77g、22%) で生成物を得た。
【0041】 MTX-α-tBuエステル (これはUSP 5,952,499に記載の中間体と同じである、化合物IV)
【0042】
【化12】
【0043】 方法 最初の3つの反応物を混合し、あまくフタをしたフラスコ内で19時間、RT
で撹拌した。水中の硫酸ナトリウムを添加し、混合物を2,3分間撹拌し(BaSO4 の沈殿物が、すぐに形成したと思われる)、次に、No. 3又は4 のガラス濾過器(
glass sinter)上の2xGF/A濾紙で濾過した。濾過物のpHを5に、水中10%のHOAC
で調節した。得られた懸濁液(ゼラチン状の沈殿物)を30分間冷蔵し、次に固体
を 、ガラス濾過器上のNo. 1 濾紙を使用して濾過して回収した。回収した固体
を一晩、風乾し(ロート内の濾紙上に残っていた)、脱気して(オイルポンプ)、
所望の、薄いオレンジ色/黄色の固体である生成物(4.41g、91%)を得た。
【0044】
【化13】
【0045】 方法 Z-GTを5Lの三つ首の丸底フラスコ中のDMF中に溶解した。DCM(l.6L)を添加し
、そして 撹拌した溶液を、氷浴で1時間冷却した。DCM 中のPmCl溶液(100 ml)
を一滴ずつ、2時間かけて添加し、その浴の温度を-13乃至-10°Cに維持した。
滴下ロートをDCM (100 ml)で洗浄した。RM を同じ温度で更に2時間撹拌し、次に
4°Cで週末を越した。溶媒を真空下で除去した(真空にしている間に生じた沈
殿物は、DMFを効率良く除去するためにDCM除去後に濾過した)。残渣をEtOAc(400
ml)で抽出し、次にDCM (800 ml)で抽出した(EtOAc抽出を行うと、当該抽出物を
塩水又は水で洗浄すると沈殿するものとなる)。組み合わせた有機層を塩水で洗
浄し、乾燥させた(MgSO4)。真空下での溶媒除去により、黄色のロウ(133.48g)
の粗生成物が得られた。HPLC分析は、Z-GTP3、 Z-GTP2、及びZ-GTP1が、28.8%、
47.4%、そして23.8%の比率の混合物であることを示した。
【0046】
【化14】
【0047】 方法 MTX-α-tBuエステルを、撹拌しながらDMF中に溶解した。DCM (200ml)を添加
した。DCCを添加して、その溶液を20分間撹拌した。DCM (70ml) 中のGTP3 を一
滴ずつ10分間かけて添加した。DMAPを添加し、RMを窒素雰囲気下で一晩(24時間
)撹拌した。RMを濾過して白色の固体の尿素副産物をDCCから除去し、そして濃
縮して(ロータリー/オイルポンプ、50°C)、DMFを除去した。残渣をDCM中に溶
解し、再濾過し、そしてエバポレーションにかけた。残渣をEtOAc/DCM(150/l20m
l)に溶解し、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、エバポレーションにかけた。残
渣をl半分に分け、それぞれをシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにか
け、最初の半分を5%メタノールで溶出し、次の半分をDCM中3.7-4.4%のメタノー
ルで溶出した。不純物画分の再クロマトグラフィーにより、二つの画分:(1) (>
95%純度) (17.18g、58%)、及び(2)(90-95%純度)(4.83g、16%)。の生成物が得
られた(薄い黄色の固体)。更に8-10%のメタノールで溶出すると、薄い黄色の固
体の副産物を含む3番目の画分が得られた。
【0048】
【化15】
【0049】 方法 TFAを一滴ずつ、DCM中の基質の、氷冷した撹拌溶液に添加した。RMをRTまで
暖め、次に窒素雰囲気下で5.5時間撹拌した。RM を一晩4°Cに置き、次にDCM(2
5ml)で希釈し、そして重炭酸ナトリウム水溶液(5% w/v、35ml)(pH>7であること
を確認済)で洗浄した。HOAC(氷酢酸、1.8ml)を添加し、そして混合物を振った(p
H〜4であることを確認済)。有機層を水(2x25ml)で洗浄し(当該エマルジョンは、
少量のNaClと、メタノールと、新鮮な溶媒を添加し、かき混ぜ、暖めると壊れた
)、乾燥させ(MgSO4)、そして エバポレーションにかけた。残渣をシリカゲルの
フラッシュクロマトグラフにかけて、DCM中の8-30%のメタノールステップ勾配
(3X4%、2X5%)で溶出して、3つの画分:(1)(微量の、より高いRf副産
物、187mg)、(2)(より純度の高いもの、476mg)、及び(3)(微量のより低いRf副産
物、79mg)で生成物を得た。全画分は黄色の固体であり、そして高純度であった
。画分(2) -> 97.25%の純度(HPLCによる)。収率=742mg、90%。 MTX-γ-GTP1及びMTX-γ-GTP2は、同様の方法において、Z-GTP1及び2からそれ
ぞれ調製することができる。
【0050】 in vitroDHFR阻害 ジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR)は、MTXの標的酵素である。これは、以下の
反応を触媒する。
【0051】
【化16】
【0052】 この活性は、340nmでのNADPH酸化のin vitroで追跡して測定することにより求
められる。
【0053】 方法 DHFRの、MT、MTX-γ-GT、及びMTX-γ-GTP1による阻害は、Imbert AM、Pignon
T、Lena N (1983)"Enzymatic assay for methotrexate with a centrifugal ana
lyzer (CobasBio)" Clin Chem 29(6):1317-1318に記載の方法で測定した。
【0054】 結果 MTX-γ-GTは、MTXと同じ濃度範囲においてDHFRを阻害した (表1)。
【0055】
【表1】
【0056】 MTX-γ-GTP1の阻害活性もまた、試験した。DHFRの50%阻害を引き起こすのに
必要な濃度は、76nMであった。これは4.8nMで50%のDHFR阻害を引き起こしたMT
Xと比較して16倍活性が低かった。 MTX-γ-GTP1は、これらの条件下では、DHFRを阻害しなかった。 MTX-γ-GTP2、及びMTX-γ-GTP3は、これらの溶解性がこのアッセイシステムに
おいて不適合であったので、試験しなかった。
【0057】 ラットにおける遅延型過敏症(DTH)応答を使用した、MTX-γ-GT、MTX-γ-
GTP1、及びMTX-γ-GTP3の試験 遅延型過敏症(DTM)は、種々の治療薬の作用を調べるために用いることができ
る免疫応答である。これは、被験者を化合物に敏感にさせ、次に同じ化合物で攻
撃し、攻撃部位における水腫の発達を観察することにより証明できる。MTXは、
水腫を軽減する免疫抑制効果があり、そしてこのDTH 応答における軽減を使用し
て、MTX-γ-GT、MTX-γ-GTP1、及びMTX-γ-GTP3の効果の一の側面を調査した。
【0058】 方法 コペンハーゲン(COP)ラットの腹部を剃り、そしてアセトン中0.5%ジニトロフ
ルオロベンゼン(DNFB) 100μlを毎日、3日間適用した。同時に、このラットに
ダイズ油、MTX (0.5mg)、又は等モル量のMTX-γ-GT、 MTX-γ-GTFl、又はMTX-γ
-GTP3のいずれかを経口的に、毎日、5日間投与した。7日目に、ラットに、メト
トレキセートで麻酔をかけ、そしてアセトン中の0.2%DNFBの25μlを左のフット
パッド(footpad)に適用する直前に、フットパッドの容積を測定した。麻酔を
かけた状態で、フットパッドの容積を、23時間目に測定した。実験室で作製した
体積変動記録器を使用して、体積変動記録法(浸漬後に観察れる容積変化による
、対象の容積の測定)を行って、フットパッドの容積を測定した。水腫の正味の
値は、23時間目の足の容積から、0時間目の容積を差し引いて求めた。
【0059】 薬剤: MTX (1mg/ml)ダイズ油中 MTX-γ-GT - (1.4 mgs/ml)ダイズ油中-(Batch QY5-64MXS) MTX-γ-GTP1-(1.88 mg/ml)ダイズ油中-(Batch GB4-99 NB00077-p50) MTX-γ-GTP3-(3mg/ml)ダイズ油中- (Batch QY 4-41 FP) 対照-ダイズ油
【0060】 結果: フットパッドの水腫の正味の値を図1に示した。 フットパッドの水腫の平均の正味の値は、対照のラットと比較すると、MTX、M
TX-γ-GTP1、及びMTX-γ-GTで処置したラットにおいては、 顕著に低かったが、
MTX-γ-GTP3ではそうではなかった(表2)。同様に、MTX-γ-GTP3で処置したラッ
トのフットパッドの正味の値は、MTXで処置したラットにおけるよりも顕著に低
かった(p=0.021)。
【0061】
【表2】
【0062】 考察: DTHは、抗原で攻撃した後の炎症反応として明らかになる、in vivoのT細胞依
存性免疫応答である。従って、これらの結果は、MTX-γ-GT、及びMTX-γ-GTP1の
免疫抑制効果は、MTXと少なくとも同等か、又はおそらくはそれ以上であること
を示している。
【0063】 in vitro細胞毒性 MTX及びトリスとのその共役物が、培養細胞の増殖を阻害する能力を調査した
【0064】 方法: MTX及びMTX-トリス共役物が、細胞の増殖に与える影響は、通常の細胞培養方
法を使用して調査した。以下の細胞株を試験した: JURKAT (ヒトの急性T細胞白血病) スイスマウス線維芽(3T3)細胞 CCRF-CEM(CEM)ヒトT細胞白血病。 JURKAT細胞を、薬剤存在下で64時間培養し、一方、3T3細胞とCEM細胞は、化合物
の存在下にそれぞれ48時間、及び96時間培養した。実験は全て96穴のプレートで
行い、対照のウェルには薬剤を含めなかった。細胞増殖を次に、MTS又はMTT検出
を使用して測定した(D Marks、 L Belov、MW Davey、 RA Davey、A Kidman. Len
kemia Research 16, 1165-1173. "The MIT cell viability assay for cytotoxi
city testing in multidrug-resistant human leukemic cells"。
【0065】 結果: 共役物は全て増殖を阻害したが、元の化合物のMTXと比較して、試験した全て
の細胞タイプにおいて毒性が低かった。結果は表3にまとめた。
【0066】
【表3】
【0067】 活性が低くなったのは、α又はγCOOH上のMTXの修飾によるものと考えられる
。in vivoでMTXは、γ-COOH上でポリグタミル化((glu)nの付加) され、そして
これはMTX毒性の重要な性質である。これにより細胞内の保持が増大し、結果と
してDHFRを介するテトラヒドロ葉酸生合成において持続性の阻害生じる。MTX-γ
-(glu)nはまた、より大きな阻害作用を、DNA及びRNA合成に関与する他の
酵素(チミジレートシンターゼ及びAICARトランスフォルミラーゼが含まれる)
に対して有している。ポリグルタメートの形成及び蓄積は、生体内で望ましくな
い効果を有するかもしれないが、それはこれらが顕著な量において複数の器官(
腎臓及び肝臓)で形成され、そこで長期間の細胞内保持による望ましくない毒性
を示すこととなるからである。
【0068】 共役物のいくつか(即ち、MTX-γ-GT、MTX-γ-GTP1、及びMTX-γ-GTP3)を、γ
-COOHで修飾したが、これらはポリグルタミル化されることはないと考えられ、
したがって、その毒性が低いことの説明がつく。
【0069】 γ-COOHはまた、細胞による取り込みに関与し、修飾はその取り込みを低減す
る可能性が有る。我々の研究において、種々のMTX-γ-共役物は、細胞増殖に対
する異なった効果を示した。MTX-γ-GTはMTX-γ-GTP1や2よりも阻害性が低い。
これは、GTの付加が葉酸トランスポート系を介して薬剤の取り込み(従って毒性
)を妨害する一方で、この効果は一部には、パルミテート基の付加により乗り越
えることが可能であると推定される。パルミテート-共役物は、エンドサイトー
シスにより細胞に入ると考えられる。MTX-γGTは、パルミトイル化された共役物
よりも細胞毒性が低い一方で、生化学的アッセイにおいてはDHFRに対してより阻
害性が高い(上記参照)。これは、MTX-γ-GTと、MTX-γ-GTP1又は2との間の差
は、直接的な酵素阻害ではなくて、トランスポート機構であることを示唆してい
る。
【0070】 α-COOHの修飾は、γ-COOHの修飾よりも、細胞取り込みをより大きな程度で低
減することは広く報告されている。我々の結果はこれと矛盾しない。MTX-α-GT
、及びMTX-GTP2の両方は、それぞれMTX-γ-GT、及びMTX-γ-GTP2よりも毒性がか
なり低い。
【0071】 全体として我々の結果は、文献の報告と一致する。関連する参考文献を以下に
リストアップする: Rosowsky el al.; J. Med. Chem. (1984) 27, 600-604 Rosowsky et al. J. Med. Chem. (1984) 27, 605-609 Rosowsky et al.J. Med. Chem. (1981) 24, 1450-1455 Fan et al.(1991) Biochem. 30、4573-4580.
【0072】 ラットアジュバント誘導関節炎モデルにおけるMTX及びMTX-γ-GTの試験 Baggott及び共同研究者によって、40、15、及び5μmol/kgのMTX投薬量が、
ルイスラットにおけるアジュバント誘導関節炎を、投薬量に依存して阻害効果を
示すことが示されている(Arthritis. Rheum 1998, 41: 1407-10)。ダークアゴウ
チ(DA)を使用した同様のモデルを使用して、MTX-γ-GTの影響が試験されて
いる。
【0073】 方法 DAラットに、フロイトの完全アジュバントを使用して、皮下的に尾基底部に注
射した。関節炎が、非処置ラットにおいて10-12日後に発症した。ラットに、PBS
(対照)、又は等モルの投薬量の(PBS中)MTX又はMTX-γ-GTを、経口的に(強制
栄養により)、6日目に一回投与した。 処置当たり6匹のラットを用いた。関節
炎に対する当該処置の効果を、毎日、体重と関節炎の形跡を調べてモニターした
が、これは、確立されているスコアシステムを使用して定量化した。これには0
乃至4のスコアをそれぞれの足に与えることが含まれる(0は関節炎と炎症の形跡
がないことであり、4は足全体がはれていることを示す)。理論的な最大スコア
は16であったが、スコアが12を越えた場合には、ラットを屠殺した。処置したラ
ットにおいては、軽い関節炎が起き、この疾患は、関節炎が抑制するか又は予防
されるかではなく、遅延するかを調べるための治療期間を越えて引き続いた。
【0074】 結果 6日目における、MTX及びMTX-γ-GTの単一投薬量の結果を、図1のA-Fに示す。
【0075】 結論 MTX及びMTX-γ-GTは、炎症の発症を2-4日遅延させるのに効果的であった。試
験した投薬量において、及び実験誤差の範囲内において、二つの化合物の効果は
区別できなかった。DTHラットのフットパッドの結果からは、MTX-γ-GTP1はまた
、このモデルにおける炎症の発症を遅延するかもしれないことが予想される。MT
X-γ-GTP3はDTHアッセイにおいて陰性であったが、乾癬の治療におけるヒトSPA
試験(下記参照)において活性を示している。ラットにおけるアジュバント誘導
関節炎に対するその効果は、調べる必要がある。
【0076】 MTX-トリス共役物の毒性 毒性を特別に調査した実験は全くないものの、生物学的活性を調べる実験中に
おいては、MTX-トリス共役物は、MTXと比較して全身性の毒性を低減することを
示すことが観察された。
【0077】 以下のことが観察された。 1.MTX、MTX-γ-GTP2、又はMTX-γ-GT3のビヒクルを3日間連続で毎日局所的に
適用することが、メスSkh-1マウスにおけるUVB-誘導性の紅斑に与える影響を
調べる実験を行った。この実験中、6日間、マウスを毒性の兆候(脱水、下痢、
そして食欲不振)について調べ、次にGIT毒性のおおまかな兆候(肥大した、
液充填腸)についての検死を行った。MTX-γ-GTP2 及びMTX-γ-GTP3は、MTXより
も毒性がかなり低いことがわかったが、結果を以下の表にまとめる。
【0078】
【表4】
【0079】 MTXで処置したマウスの多くにおいては、毒性の臨床的兆候、及び検死におけ
る肥大した液充填腸が頻繁に見られた。これらの腸についての組織学的検査によ
り、微じゅう毛の損傷と壊死性の粘膜が顕著に見られた。比較すると、MTX-γ-G
TP2又はMTX-γ-GTP3で処置されたマウスにおいては、GIT損傷、及び死亡率の何
れも見られなかった。全てのマウスにおいて、肝臓及び腎臓は正常であった。
【0080】 2.遅延型の過敏症のアッセイ実験においては、コペンハーゲンラットに、ダイ
ズ油、MTX(0.5mg)、又は等モル量の、MTX-γ-GT、MTX-γ-GT1、又はMTX-γ-GT
3のいずれかを経口的に5日間投与し、同時にDNFBの局所的適用により過敏にし
た。DNFBによる攻撃と、24時間後の検死に引き続き、それぞれのラットのグルー
プからの腸を、おおまかな変化について調べ、組織学用に試料を回収した。
【0081】 MTXで処置したラットの全て(n=7)は、胃が肥大し、腸が乳白色の液体で充填
されていた。これらのGIT試料の組織学により、厚大化し、炎症したコアを有す
る絨毛、そして上皮と粘膜の壊死の分離と脱落とが明らかになった。これは中程
度乃至重度の傷害の指標である。MTX-γ-GTを受けたラット (n=9)は、正常なGI
Tを示したが、但し、その内の一匹は、肥大した、液充填腸を有していた。MTX-
γ-GTP1(n=14)及びMTX-γ-GTP3(n=14)で処置した群由来のGITを顕微鏡で調
べると、おおまかにいって、異常性はなかった。MTX-トリス共役物で処置したラ
ットのGITにおいては、組織病理学が低減していることが示された。
【0082】 3.ラットにおけるアジュバント誘導性関節炎に与える、MTX及びMTX-γ-GTの影
響を調べる実験において、以下のことが観察された。 a)MTX又はMTX-γ-GT (40 umol/kg)を一回経口投与すると、MTXのグループに
おいて、下痢が1-2日間観察された。これはMTX-γ-GT及びビヒクルのグループに
おいては見られなかった。 b)第二実験では、ラットに3日間離して3回経口投与した。毒性の副作用(
けば立ちと運動失調)が、MTX (5 umole/kg)で処置したラットにおいてみられた
。その後、これらのラットを当初の予定よりも早い時期に屠殺した。検死解剖に
より、GIT、特に小腸(鼓張し、収縮していた)における顕著な変化が示された
。組織学により、空腸及び回腸の粘膜におけるクリプト過形成(crypt hyperpla
sia)及び絨毛構造の喪失がわかった。ある領域においては、クリプトも絨毛上
皮も共に喪失していた。これらのラットの腸間膜リンパ節もまた、肥大していた
。これらの影響のいずれも、ビヒクル及びMTX-γ-GTで処置したグループにおい
ては見られなかった。更に、これらのMTX処置ラットからの末梢血試料は、深刻
な白血球減少症を示したが(約2 X 109/L)、これは主として好中球減少症による
ものである。ビヒクルの対照及びMTX-γ-GTグループにおける白血球数は異なら
なかった(約30 X 109/L)。
【0083】 結論: MTX-トリス共役物は、MTXに比較して毒性が低い。同様の結果が、細胞毒性実
験においても見られた(上記参照)。
【0084】 MTX-トリス共役物のマウス中における分布 イントロダクション MTXは、自己免疫要素を有する疾患、例えば乾癬やリューマチ性関節炎等の経
口的治療に有効である。しかしながら、肝臓の機能低下、壊死、及び肝炎の危険
性のため、その長期の使用には継続した肝臓の検査が必要である。MTXまた、胃
腸の刺激、腎臓毒性、及び流産を誘導する。我々は、MTX-トリス共役物が、生物
学的に活性であるが、in vitro及びin vivoにおいて毒性が低いことを証明した
(上記参照)。更に、局所的、経口的(p/o)、及び静脈内的に(i/v)投与した
、放射性標識したMTX-トリス共役物の分布についてもMTXと同様に、液体シンチ
レーションと全体オートグラフィーを使用してマウスにおいて実験した。これは
、MTX-トリス共役物(又はその分解産物)が、関心のある器官において蓄積して
MTX毒性を示すか、そしてその分泌パターンがMTXのものとは異なるかを調べるた
めのものであった。関連する結果を以下に示す。
【0085】 結果 1.[l4C]-MTX-γ-GTをi/v及び経口で投与したマウスは、[14C]-MTXを投与し
た動物と比較して、より高いレベルの放射活性を便中に排泄したが、同様の量が
尿中にも見られた。[l4C]の組織分布は同様であったが、[l4C]-MTX-γ-GTを与え
たマウスではレベルが低かった。これらの知見は、MTX-γ-GTは、肝臓による排
除がMTXよりも大きいことを示唆している。 2.局所的に適用した後、MTX-γ-GTP3が、MTX処置マウスにおけるよりも長期間
、皮膚表皮において検出された。このことは、MTX-γ-GTP3が皮膚において、MTX
よりも長く保持されることを示唆している。更に、放射活性が、[14C]-MTX-γ-G
TP1及び[3H]-MTX-γ-GTP3を経口投与したマウスの皮膚において存在していた。
これらの知見は、抗−乾癬治療としてのその潜在的使用に関しての重要な含みを
有するものと考えられる。 3.経口投与後、放射性標したMTX-γ-GTP1及びMTX-γ-GTP3の両方は、関心のあ
る器官におけるMTX毒性を示す計測レベルが顕著に低減する。これは、吸収の減
少又は肝臓の排泄(即ち腸肝循環)の増大のいずれかを示唆する。しかしながら
、いったんこれらの共役物が循環系に入ると(即ちi/v投与)、肝臓、脾臓、及
び肺に蓄積することがわかる。このことは、トリスを介して脂肪アシル基に共役
して、薬剤を特定の器官にターゲティングすることの可能性を提供する。 4.[14C]MTXの放射性標識は、主として尿に排出され、便への量は比較的少なか
った。対照的に、[l4C]MTX-γ-GTP1及び[14C]MTX-γ-GTP3をi/vで投与すると、
放射性標識は主として、肝臓排泄により便中に除去され、尿中に検出されるレベ
ルは非常に低かった。
【0086】 考察 MTX-トリス共役物は、経口的に投与すると、MTX毒性に関して、MTXよりも低い
程度で、興味有る器官に蓄積したが、なぜならばそれは、試験した調製物におい
ては、肝臓排除がより大きいか(MTX-γ-GT)又は吸収レベルがより低いか(MTX
-γGTP1)のいずれかであるからである。この分布パターンは、一部には共役物
で見られる毒性の副作用が低減されることを説明するかもしれない(上記の毒性
のセクションを参照)。細胞取り込みとポリグルタミル化が低減することもまた
、貢献している(細胞毒性のセクションを参照)。MTX-γ-GTP1及びMTX-γ-GTP3
は、i/vで投与すると、肝臓、肺及び脾臓に蓄積するものの、毒性の副作用は調
べていない。しかしながら、これらの共役物がポリグルタミル化されるとは考え
にくいが、これはMTX毒性に広く帰属されている機構である。MTX-γ-GTP1及びMT
X-γ-GTP3の両方は、経口投与すると皮膚に見られた。このことは、乾癬の治療
薬としての使用の可能性を示唆するものである。
【0087】 乾癬の局所的治療薬としてのMTX-γ-GTP3の臨床試験 乾癬は、欧州起源のヒトの1-2%に見られる皮膚の状態である。これは、原因
不明で、予後の悪い炎症性の過度の増殖性疾患である。 MTXは、経口投与される場合、中程度乃至重度の乾癬についての効果的な治療
薬である。しかしながら、その使用は、急性の胃腸の問題と長期の肝臓毒性が生
じる。約6週間の治療が、臨床的反応を得るまでに必要である。 局所的に適用されたMTXは、作用部位において薬剤を提供し、副作用がより少
ないと仮説付けられている。このことはトライアルされている(Weinstein et a
l., 1989) が、総合的には、結果は有望ではなく、おそらくは、皮膚の保持が乏
しいからである。我々の観察からは、MTX-γ-GTP3は、MTXの生物学的活性と同様
に、皮膚の保持が増大するであろうことが考えられる。
【0088】 前臨床試験 前臨床試験は、局所的に適用したMTX-γ-GTP3が乾癬の治療に適するかもしれ
ない生物学的活性を有していることを示した。これは、無毛マウスにおけるUVB-
誘導性の表皮過増殖を低減することにおいて、MTXと同程度又はそれ以上の活性
を有していて(図3)、Molek et alの方法(Brit J.Derm(1983) l08:25-31)によ
り決定される、UVB誘導性表皮DNA合成を抑制した(図4)。MTX-γ-GTP2
を皮内注射することは、B16メラノーマの増殖を低減することにおいてMTXよりも
より効果的であった(USP 5,952,499)。分布についての実験(上述)は、局所的
に適用されたMTX-γ-GTP3は、無毛マウスの表皮において、MTXよりも長期間、保
持されることを示している。局所的に又は経口的に適用されたMTX-γ-GTP3は、M
TXよりも、無毛マウスに対して毒性は低い。(上述参照)。 これらの陽性の前臨床試験の結果、及び乾癬についてのよい動物モデルがない
ことにより、ヒトにおける局所MTX-γGTP3の概念証明の試験に導くこととなった
【0089】 臨床試験の設計 小プラークアッセイ(SPA)は、化合物の抗−乾癬能を、二週間に渡って調べ
るものである。このアッセイは、同時に6つの化合物を、閉塞した単一のプラー
ク上において試験する。それぞれのプラークにおける、試験化合物の位置はラン
ダム化して、評価の偏見と何れの薬剤相互作用効果をも排除した。11人の患者を
対象とした。
【0090】 処置: 0.5%MTX-γ-GTP3溶液(試験剤型) 1.0%MTX-γ-GTP3溶液(試験剤型) MTX-γ-GTP3ビヒクル(陰性対照) 0.5%MTX溶液(参照用剤型) MTXビヒクル(陰性対照) 0.05%吉草酸ベタメタゾン(陽性対照) (MTX-γ-GTP3溶液の全ての濃度は、そのMTX含有量についてのものである)
【0091】
【表5】
【0092】 パラメータ 臨床的反応が明らかになるまでには、約6週間のMTX経口投与による治療が 必
要である。従って、二週間のSPA期間(倫理的理由により制限)では、局所的MTX
-γGTP3の臨床結果は、見られないであろう。しかしながら、乾癬の解消と矛盾
しない、早期の組織学的変化が、活性剤により予期されるであろう。従って、臨
床的調査と同様に、一連の組織病理学的及び免疫組織学的マーカも以下のように
して調査した。 ・臨床: 0、8、15、及び29日目における浸潤及び紅斑 ・組織病理学: 錯角化症 炎症性浸潤 粒状度 表皮肥厚症 血管変化 表皮の厚さ 乳頭腫症 ・免疫組織学 インボルクリン(involucrin) ICAM-1 フィラグリン(filaggrin) Ki-67+ケラチノサイト CD4+及びCD8+T細胞
【0093】
【表6】
【0094】 結果: 臨床 陽性対照である、ベタメタゾンは試験領域の臨床的外観を顕著に改善したが、
これは、トライアルの方法が正しく行われたことを示している。MTX-γ-GTP3又
はMTX試験スポット領域においては、2週間に渡って変化は全くかほとんど見ら
れなかった。これは、経口MTXの抗−乾癬活性に必要な時間が6週間であること
から、予期せぬことであった。試験化合物の何れによる重度の副作用や局所的刺
激は何ら見られなかった。
【0095】 組織学 統計的には、ベタメタゾンは、過角化症とインボルクリン以外の全てのパラメ
ータにおいて抗−乾癬活性を示した。 MTX-γ-GTP3治療は、フィラグリン発現(末端の表皮分化のマーカ)、粒状度(
乾癬においては顆粒層がないか又は不完全である)、及び錯角化症(表皮角質細
胞(horn cell)の不完全な形成)について、11人の患者中、5人において陽
性の効果を示した。
【0096】 フィラグリン 試験した免疫組織学的マーカの全てのうち、フィラグリンが、試験薬剤の活性
についての最も強力な指示薬であった。患者におけるフィラグリンの実験結果は
、ベタメタゾンへの反応と、MTX-γ-GTP3溶液への反応との間に相関関係がある
ことを示した(図5)。MTX-γ-GTP3溶液は、0.5%の濃度で最高のフィラグリン
応答を示し、一方、1%のMTX-γ-GTP3と0.5%のMTXではほぼ等しい結果が得られた
ことを示した。グループとしては、0.5%のMTX-γ-GTP3溶液では、ビヒクルと比
較して、顆粒層中におけるフィラグリンの発現において差があった。MTXに対す
る同様の反応も存在した(図6)。 顆粒度:錯角化症比率 錯角化症に対する顆粒度の比率を計算して、治療の指標とした。この比率の増
大は、乾癬の解決へ向けた傾向を示す。乾癬の早期の解消と矛盾しない、顆粒度
及び錯角化症における組織学的変化は、0.05%の吉草酸ベタメタゾンクリーム(
11人の患者中10人)、及び1.0%のMTX-γ-GTP3溶液(11人の患者中5人)で明らか
であった。-図7 a)及びb)参照。0.5%のMTX-γ-GTP3及びMTXでの治療は、顆粒度
:錯角化症比率においては、ほとんど反応しなかった(それぞれ1人又は2人)。
【0097】 臨床治験の結論 MTX-γ-GTP3はそのビヒクルとの比較において、組織病理学(顆粒度及び錯角化
症)、ケラチノサイト成熟マーカであるフィラグリンで判断して、抗−乾癬効果
を数多くの患者において証明した。これは、MTXに比較したその相対的に低い毒
性とカップリングして、反抗性の乾癬の局所的治療における潜在的治療薬となる
。 当業者ならば、広く記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、特定
の態様に示される本発明について種々の変更及び/又は修飾を行うことができる
であろう。本発明の態様は従って、全ての場合において例示的であり限定的では
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、遅延型の敏感フットパッド水腫における、経口投与し
たMTX-γ-GT、MTX-γ-GTP1、及びMTX-γ-GTP3の効果を証明するプロット(boxpl
ot)である。 MTX-γ-GT、及びMTX-γ-GTP 1はともにこのアッセイにおいて、MT
Xなみに活性である。MTX-γ-GTP1は、統計的にはMTXよりも効果的である(p=0.02
1)。
【図2】 この図は、ラットアジュバント誘導関節炎における、MTX及びMTX
-γ-GTの効果を 示すものである。この結果は、MTX-γ-GTが二段階低い投薬量に
おいて、このモデルにおける間接の炎症の発症を遅延させることにおいてMTXと
同等であることを示した。
【図3】 この図は、MTX-γ-GTP3の、UVB照射後の表皮DNA合成の抑制効果
を示す。UVB照射後、マウスは、初期的なDNA合成の抑制に反応し、その48時
間後に、DNA合成が顕著に増大した。MTX-γ-GTP3は、この合成パルスを抑制
することにおいては、少なくともMTXと同程度に活性である。
【図4】 この図は、MTX及びMTX-トリス共役物が、UVB照射後に表皮細胞内
の減数分裂活性を抑制する効果を示すものである。
【図5】 この図は、SPA原理証明トライアルからのフィラグリン発現を示
すものである。この図は、MTX-γ-GTP3又はMTXの局所投与後の全フィラグリン発
現を、ベタメタゾンでの反応とともに示したものである。患者は右上腹部(the
upper right hand quadrant)において、ベタメタゾンと0.5%MTX-γ-GTP3に陽
性反応した(*で示される。患者1、2、4、6、及び8)。患者5、9、及び10は、
ベタメタゾンに反応したが、0.5%MTX-γ-GTP3には反応しなかった。MTX(丸)
及び1.0%MTX-γ-GTP3(四角)もまた、同様にして陽性の患者を示す。ベタメタ
ゾン及びMTX-γ-GTP3への反応の相関関係は、トライアルにおいて二つの主要な
グループが存在することを示唆している。即ち反応するものと反応しないもので
ある。
【図6】 この図は、SPA患者であって、経口的にMTX-γ-GTP3又はMTXで治
療された者の、顆粒層におけるフィラグリン発現を、ベタメタゾン処置と比較し
た結果をプールしたプロットである。ビヒクルに対し、統計的に顕著な効果が陽
性対照のベタメタゾンに見られる。0.5%MTX-γ-GTP3をそのビヒクルと比較する
と、0.08の境界顕著性(bordeline significance)が得られる。
【図7】 この図は、1.0%、0.5%のMTX-γ-GTP3溶液、0.5%のMTX、及び0
.05%の吉草酸ベタメタゾンクリームで処置した患者の、顆粒度:錯角化症の比
率を示す。1.0% MTX-γ-GTP3は、プラークの解消のこの早期の指示体である陽性
の結果を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 29/00 101 A61P 29/00 101 35/00 35/00 37/00 37/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ロバート・ジョージ・ホワイテイカー オーストラリア・ニュー・サウス・ウェー ルズ・2073・ウエスト・ピンブル・ラムセ イ・アベニュ・23 (72)発明者 クサンテ・イー・ウェルズ オーストラリア・ニュー・サウス・ウェー ルズ・2073・ピンブル・ハミルトン・パレ ード・29 (72)発明者 ウェイン・ジェラード・レイリー オーストラリア・ニュー・サウス・ウェー ルズ・2152・ノースミード・ブリエンズ・ ロード・72 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 CB09 MA04 MA52 MA55 NA06 NA14 ZA66 ZA89 ZA96 ZB07 ZB15 ZB26

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式I: 【化1】 [式中、 Mはメトトレキセート又はその類似化合物であり、 A=H、CX2-O-R2,又はハロゲンであり、 B=H、CX2-O-R3,又はハロゲンであり、 Xは、独立にH又はハロゲンであり、 nは、0、又は1以上であり、 Yは、リンカー基であり、 ここで、nは1より大きい場合、 それぞれのYは、同一又は異なっていて、 R1,R2,及びR3は、同一又は異なっていて、水素、置換若しくは非置換
    の、メチル基、エチル基、飽和若しくは不飽和脂肪族アシル基である 但し、 ・nが0又は1であり、AがCH2-O-R2であり、及び/又は、BがCH2-O
    -R3である場合、 R1,R2,R3は、脂肪族アシル基からは選択されない; ・nが2以上であり、AがCH2-O-R2であり、及び/又は、BがCH2-O-
    3であり、R1,R2,R3のうちの少なくとも一つは、脂肪族アシル基である場合
    、 -[Y]n-は、-(AA)n-又は-(AA)n-1-以外のもの(ここでAAは、
    アミノ酸である)である] の化合物。
  2. 【請求項2】 Mが、そのガンマカルボキシル基を介して結合していること
    を特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 Yが、 a)カルボキシル基及びアミノ基を有する化合物 b)アミノ基及びスルホン酸基を有する化合物 c)ヒドロキシル基及びカルボキシル基を有する化合物 d)ヒドロキシル基及びスルホン酸基を有する化合物 e)ヒドロキシル基及び反応性ハロゲン化物基を有する化合物 f)ハロゲン化物基及びカルボキシル基を有する化合物 g)二つの反応性ハロゲン化物基を有する化合物 h)ヒドロキシル基及びアルデヒド基を有する化合物、及び i)アルキレンオキシド からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 -[Y]n-が、-[AA]n-(ここで、それぞれのAAはア
    ミノ酸である)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    化合物。
  5. 【請求項5】 nが1であり、AAがグリシンであることを特徴とする請求
    項4に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 nが2であり、AAがグリシンであることを特徴とする請求
    項4に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 A及びBが、CH2OHであり、R1がHであることを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 【請求項8】 メトトレキセート-γ-グリシン トリス
  9. 【請求項9】 メトトレキセート-γ-グリシングリシン トリス
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の化合物、及び薬学
    的に許容されるキャリア又は希釈剤を含むことを特徴とする薬学的組成物。
  11. 【請求項11】 前記の組成物が、経口投与に適する形態をとることを特徴
    とする請求項10に記載の薬学的組成物。
  12. 【請求項12】 前記の組成物が、非経口的投与に適する形態をとることを
    特徴とする請求項10に記載の薬学的組成物。
  13. 【請求項13】 自己免疫の要素を有する疾患又は癌の患者を治療する方法
    であって、当該患者に、下記式I: 【化2】 [式中、 Mはメトトレキセート又はその類似化合物であり、 A=H、CX2-O-R2,又はハロゲンであり、 B=H、CX2-O-R3,又はハロゲンであり、 Xは、独立にH又はハロゲンであり、 nは、0、又は1以上であり、 Yは、リンカー基であり、 ここで、nは1より大きい場合、 それぞれのYは、同一又は異なっていて、 R1,R2,及びR3は、同一又は異なっていて、水素、置換若しくは非置換
    のメチル、エチル、飽和若しくは不飽和脂肪族アシル基である 但し、 ・nが0又は1であり、AがCH2-O-R2であり、及び/又は、BがCH2-O
    -R3である場合、 R1,R2,R3は、脂肪族アシル基からは選択されない; ・nが2以上であり、AがCH2-O-R2であり、及び/又は、BがCH2-O-
    3であり、R1,R2,R3のうちの少なくとも一つは、脂肪族アシル基である場合
    、 -[Y]n-は、-(AA)n-又は-(AA)n-1-以外のもの(ここでAAは、
    アミン酸である)である] の化合物の有効量を投与することを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 Mが、そのγカルボキシル基を介して結合していることを
    特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記の治療が、自己免疫の要素を有する疾患であることを
    特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記の自己免疫の要素を有する疾患が、乾癬、リューマチ
    性関節炎、炎症性腸疾患、及びクローン病からなる群より選択されることを特徴
    とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記の疾患が、乾癬であることを特徴とする請求項16に
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記の疾患が、リューマチ性関節炎であることを特徴とす
    る請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記式Iの化合物が、経口的又は非経口的に投与されるこ
    とを特徴とする請求項13乃至18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記式Iの化合物が、メトトレキセート-γ-グリシン-ト
    リスであることを特徴とする請求項13乃至19のいずれか一項に記載の方法。
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