JP2002528112A - タンパク質 - Google Patents

タンパク質

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JP2002528112A
JP2002528112A JP2000579627A JP2000579627A JP2002528112A JP 2002528112 A JP2002528112 A JP 2002528112A JP 2000579627 A JP2000579627 A JP 2000579627A JP 2000579627 A JP2000579627 A JP 2000579627A JP 2002528112 A JP2002528112 A JP 2002528112A
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ブヨルク、ラルス、ヘンリック
ラスムッセン、マグヌス
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アクティノバ リミテッド
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Abstract

(57)【要約】 α2マクログロブリンに結合することができるタンパク質を記述する。タンパク質は配列番号:1のアミノ酸配列またはその機能的変種を含む。本発明はまた、長さがアミノ酸少なくとも6個のタンパク質の断片を含むペプチドにも関する。A群連鎖球菌(Group A streptococcus)に対する保護的免疫応答を形成することができるタンパク質またはペプチドは、配列番号:1のアミノ酸配列もしくはその機能的変種、またはそのいずれかの長さがアミノ酸少なくとも6個の機能的変種を含む。そのようなタンパク質またはペプチドは、薬学的に許容される担体と共にワクチン組成物において用いてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、α2-マクログロブリンに結合することができる新規タンパク質ファ
ミリーとこのタンパク質ファミリーのペプチド断片に関する。本発明はまた、A
群連鎖球菌(group A streptococcus)のワクチン組成物において用いられるα2 -マクログロブリン結合タンパク質に由来するタンパク質またはペプチドの使用
に関する。
【0002】 (発明の背景) 化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)(GAS)は、咽頭炎
、膿か疹、猩紅熱、および丹毒のような多様な疾患を引き起こす重要なヒト病原
菌である。この菌によって引き起こされるより重度の感染症は、壊死性筋膜炎、
連鎖球菌毒性ショック様症候群である。
【0003】 化膿連鎖球菌(S. pyrogenes)はその表面タンパク質を通じていくつかのヒト
血漿タンパク質に結合する。化膿連鎖球菌はプロテナーゼ阻害剤であるα2マク
ログロブリン(α2M)に結合する。α2Mはジスルフィド結合によって互いに結合
された同一のサブユニット2組からなる718 kDaの糖タンパク質である。
【0004】 これまでの研究から、α2Mに結合するA群連鎖球菌の78 kDaの非タンパク質溶
解性細胞壁タンパク質が同定されている(チャートウォル(Chhatwal)ら、J. B
acteriol.(1987)、169(8)3691〜5)。
【0005】 (発明の概要) 本発明者らは、A群連鎖球菌(group A streptococcus)である化膿連鎖球菌(
S. pyogenes)のいくつかの株の表面上に発現される新規グループのタンパク質
を同定した。これらのタンパク質はα2-マクログロブリンに結合することができ
、G群連鎖球菌のタンパク質Gと何らかの相同性を示す。化膿連鎖球菌に由来する
新規タンパク質を、本発明者らはタンパク質GRABと命名している。このタンパク
質をコードする遺伝子をgrabと呼ぶ。
【0006】 本発明は特に、α2Mに結合することができ、配列番号:1のアミノ酸配列また
はその機能的変種を含むタンパク質に関する。好ましい態様において、タンパク
質は、配列番号:2のアミノ酸配列またはその機能的変種を含み、および/また
は配列番号:3のアミノ酸配列またはその変種を有する1つまたはそれ以上の縦
列反復を含む。本発明のタンパク質はさらに、細胞膜接着領域および疎水性膜貫
通領域を含む。好ましくは、タンパク質は、配列番号:1〜11のいずれかのアミ
ノ酸配列およびその変種からなる。
【0007】 本発明はまた以下を提供する: ・ (a)配列番号:1〜11のいずれか、または(b)配列番号:1〜11のいず
れかの変種、のアミノ酸配列を有するタンパク質の長さが少なくともアミノ酸6
個の断片を含むペプチド; ・ 個体において免疫応答形成能を有する上記のペプチド、そのようなペプチ
ドを含むワクチン組成物、およびそのようなペプチドを個体に投与することを含
む免疫方法; ・ 上記DNAが以下から選択される、本発明のタンパク質またはペプチドをコ
ードするDNA配列: (a)配列番号:12〜16のいずれかのDNA配列またはその相補鎖; (b)(a)に定義したDNA配列またはその断片と選択的にハイブリダイズするD
NA;および (c)遺伝子コードの縮重がなければ(a)または(b)に定義したDNA配列とハ
イブリダイズするであろう、そしてその配列が同じアミノ酸配列を有するタンパ
ク質またはペプチドをコードする、DNA配列; ・ 調節配列に機能的に結合した本発明のDNA配列を含む発現ベクター; ・ 本発明のDNA配列または本発明の発現ベクターによって形質転換した宿主
細胞; ・ 所望のタンパク質またはペプチドの発現を提供する条件で、本発明の宿主
細胞を培養することを含む、本発明のタンパク質またはペプチドを産生するプロ
セス; ・ 本発明のペプチドまたはタンパク質に結合することができる抗体および抗
体を用いる免疫療法によって個体を治療する方法。
【0008】 (発明の詳細な説明) 本発明は一般的に、α2Mに結合するタンパク質に関する。細菌またはタンパク
質に対するα2Mの結合は、放射標識α2Mを用いて決定することができる。例えば
、細菌を放射標識α2Mと共にインキュベートすることができる。遠心後、沈降物
の放射活性を測定して、細菌を含まない対照試料に対する加えた活性の百分率と
して表すことができる。放射標識α2Mの結合はまた、非標識α2Mまたはタンパク
質Gのような他のタンパク質と競合することができた。このことは、新規タンパ
ク質が、α2M上でタンパク質Gまたは重なり合う部位が結合する部位と同じ部位
で結合することを示唆している。このことは、A群連鎖球菌(Group A streptoco
ccus)(GAS)細菌のα2M結合はタンパク質G様タンパク質に起因することを示唆
している。これを、下記の例によって確認し、これによってタンパク質GRABがGA
Sの唯一のα2M結合タンパク質であることが示唆される。
【0009】 下記の実施例はまた、その表面にタンパク質GRABをもはや発現していない、A
群連鎖球菌である化膿連鎖球菌(S. pyogenes)の変異株の作製について記載す
る。これはまた対照としても用いることができる。タンパク質に対するα2Mの結
合は、ニトロセルロースのような支持体にタンパク質を固定して、放射標識α2M
をプローブとして用いることによって評価することができる。洗浄後、結合した
タンパク質の放射活性を測定して、結合タンパク質に対するα2Mの特異的結合の
指標を得ることができる。下記の実施例は、細菌またはタンパク質の双方に対す
るα2Mの結合を評価する一つの方法を記述する。
【0010】 本発明者らは、タンパク質GRABを発現する化膿連鎖球菌(S. pyogenes)に対
するα2Mの結合を阻害することができるタンパク質GRABの領域を同定した。この
領域の配列を配列番号:1に記載する。本発明は、配列番号:1のアミノ酸配列
およびこの配列の変種を含むタンパク質に関する。変種という用語は、配列番号
:1の正確な配列とは異なる可能性がある関連アミノ酸配列にも適用するために
用いられる。本発明の変種は、下記により詳細に説明するように、異なる多数の
方法で同定することができる。
【0011】 本発明のもう一つの局面において、タンパク質またはペプチドは、個体におい
て免疫応答、好ましくはA群連鎖球菌(group A streptococcus)に対する保護免
疫応答を生成するために提供される。好ましくはA群連鎖球菌(化膿連鎖球菌)
は、本明細書において定義されるタンパク質GRABを発現する細菌である。ワクチ
ン製剤において用いられるタンパク質またはペプチドは、個体において免疫応答
を生成することができるものである。適したタンパク質またはペプチドは、蛋白
質GRABまたはその変種に由来する。ワクチン製剤において用いられるそのような
蛋白質またはペプチドは、α2Mに対する結合能を保持しても保持しなくてもよい
。本発明のタンパク質またはペプチドはまた、タンパク質GRABに対する抗体を産
生するために用いてもよく、抗体はGAS感染症の診断または免疫療法による治療
において用いてもよい。
【0012】 変種配列は、化膿連鎖球菌(S. pyogenes)の他の株から生じたタンパク質GRA
Bにおいて同定してもよい。化膿連鎖球菌の多くの異なる株から単離したタンパ
ク質GRABの部分配列データを配列番号:7〜11に示す。これらの配列のそれぞれ
が、AP1に由来するタンパク質GRABにおける1残基の差を除いて、配列番号:1
の配列を含む(配列番号:9)。配列番号:1からの変種は18位におけるトレオ
ニンのイソロイシンへの置換である。この配列は本発明の変種配列の一例である
【0013】 下記の実施例は、化膿連鎖球菌の他の多くの株からのタンパク質GRABの発現を
示す。これらの株からのタンパク質GRABを同様に用いて、α2M結合領域、または
タンパク質GRABを発現する化膿連鎖球菌に対するα2Mの結合を阻害する領域を同
定してもよく、同様に配列番号:1の変種である配列を同定してもよい。そのよ
うなタンパク質GRABからの関連する領域は、他の株からのタンパク質GRABについ
て得られたアミノ酸配列データを、配列番号:1〜11に記載の配列と並置するこ
とによって同定することができる。最大の配置が得られれば、配列番号:1の変
種を含むタンパク質の関連する領域を容易に同定することができる。
【0014】 本発明のもう一つの局面において、タンパク質および変種配列は、ワクチン製
剤において用いることができ、ペプチドを個体に投与することによってそれに対
する免疫応答、好ましくはA群連鎖球菌に対する保護的免疫応答が形成される配
列である。本発明のこの局面において、タンパク質またはペプチドはα2Mとの結
合能をもはや有しなくてもよい。そのような配列は、α2Mに結合する配列を同定
するために下記のように誘導してもよいが、α2Mとの結合能が、α2Mの結合能を
維持するタンパク質のアミノ酸配列における欠失、置換、または挿入のために失
われるように改変してもよい。特に好ましいのは、下記により詳細に記述するタ
ンパク質GRABの断片である。
【0015】 他の化膿連鎖球菌(S. pyogenes)株からのタンパク質GRABはまず、株のα2M
結合特性を調べることによって同定することができる。その後、所望の配列情報
をは、ゲノムDNAをクローニングして、配列番号:1〜11に記載のペプチドをコ
ードするDNAの部分とハイブリダイズするプライマーを用いたPCRを実施すること
によって、得ることができる。下記の実施例は、多くの化膿連鎖球菌株に由来す
るタンパク質GRABの同定および部分的シークエンシングを示している。特に、配
列番号:17〜21に記載の配列とハイブリダイズするプライマーは、他の化膿連鎖
球菌株からのタンパク質GRABのクローニングおよびシークエンシングに用いるこ
とができる。配列番号:1に記載のタンパク質GRABの領域は、化膿連鎖球菌の異
なる株において高度に保存されている。一般的に、他の化膿連鎖球菌に由来する
変種配列は、配列番号:1からアミノ酸1、2、3、4または5個が異なると予
想され、アミノ酸残基1または2個異なる可能性がより高いであろう。この変種
配列を有するタンパク質はα2Mとの結合能を保持している。
【0016】 配列番号:1の変種にはまた、配列番号:1とは異なるが天然に存在する蛋白
質GRABに必ずしも由来しない配列が含まれる。これらの変種は、配列番号:1と
%相同性を有する、またはこの配列内に多くの置換を有すると記載してもよい。
または、変種は下記により詳細に説明するように、配列番号:12〜16のいずれか
1つとハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされてもよい。
【0017】 配列番号:1の変種は、それに対して少なくとも78%相同性を有する変種であ
る。好ましくは変種は、それに対して少なくとも83%または87%相同であり、よ
り好ましくは91%または96%相同であろう。タンパク質の相同性を測定する方法
は、当技術分野において周知であり、本明細書において、相同性はアミノ酸同一
性に基づいて計算されることは、当業者によって十分に理解されるであろう(「
ハードな相同性」)。
【0018】 アミノ酸置換は、例えば配列番号:1の1、2または3から4、5または6置
換まで行ってもよい。改変された配列は一般的に、α2Mとの結合能を保持してい
る。保存的置換は例えば以下の表に従って行ってもよい:
【0019】
【0020】 第二の欄の同じブロックのアミノ酸、好ましくは第三の欄の同じ線に存在する
アミノ酸を互いに置換してもよい。
【0021】 好ましくは、本発明のタンパク質は配列番号:1の伸長を含む。このように、
タンパク質は好ましくは配列番号:2を含む。タンパク質はまた、配列番号:1
の少なくとも全てを組み入れる配列番号:2の断片である配列を含んでもよい。
従って、タンパク質は配列番号:2のN-末端で始まるアミノ酸25個の配列を含ん
でもよく、配列番号:2のアミノ酸30、35、40、45または50個から、配列番号:
2のアミノ酸58個の完全な配列までを含んでもよい。本発明のタンパク質はまた
、そのような配列の変種を含んでもよい。
【0022】 変種は配列番号:1の変種と類似のように定義することができる。このように
、変種は化膿連鎖球菌(S. pyogenes)の他の株に由来する変種配列を含んでも
よい。例えば、実施例は化膿連鎖球菌の多くの異なる株に由来するタンパク質GR
ABについて記述する。配列番号:7〜11は、これらの株のいくつかに関する配列
データを示す。配列番号:2と最大の同一性が得られるように並置すると、当業
者は配列番号:2の変種配列を決定することができるであろう。
【0023】 他の変種は、先に述べたようにα2M結合を調べてクローニングおよびシークエ
ンシングすることによって、他の化膿連鎖球菌の株から先にに概要したように同
定することができる。変種タンパク質のα2M結合は、放射標識α2Mを用いて組換
え型タンパク質の発現クローニングおよびウェスタンブロッティングによって決
定することができる。
【0024】 変種はまた、%相同性によって同定することができ、上記のような置換を有す
ることができる。置換の数をより多くすること、またはより低い%相同性は、配
列番号:2のより長い断片または完全な配列のような、より長い配列について認
容することができる。例えば、配列番号:2において1、2、3から約10または
15個までの置換を組み入れてもよい。または、変種は少なくとも74%、78%、ま
たは81%相同性を有してもよく、好ましくは少なくとも85%、または90%、95%
、97%、または98%相同性を有する。先に述べたように、変種は好ましくはα2M
に対する結合能を維持している。
【0025】 本発明のタンパク質はまた、配列番号:3の配列もしくはその変種配列、また
はいずれかの配列の断片を含んでもよい。好ましくは、本発明のタンパク質はさ
らに、配列番号:3およびその変種の2つまたはそれ以上の縦列反復を含む。化
膿連鎖球菌(S. pyogenes)から単離されて、タンパク質GRABと命名されたタン
パク質は、配列番号:2またはその変種のC-末端に隣接する少なくとも2つの反
復配列を有する。これらの反復配列は配列番号:3に記載の配列またはその変種
を有する。配列番号:7〜11からわかるように、配列は単一のタンパク質GRAB内
の各反復配列内で、そして化膿連鎖球菌の異なる株から単離したタンパク質GRAB
間で、何らかの変動を示しうる。このように、本明細書において用いられる反復
という用語は、同じ配列の正確な繰り返しが存在することを意味するのではなく
、単に配列および1つまたはそれ以上のその変種が好ましくは縦列で存在するこ
とを意味する。
【0026】 タンパク質は2、3、4、5または6またはそれ以上の反復配列を含んでもよ
い。それぞれの反復配列は一般的に長さがアミノ酸28個であるが、長さが21個〜
35個までであってもよい。各タンパク質内で、その反復配列の長さは多様であっ
てもよい。例えば、タンパク質はアミノ酸28個の配列の後にアミノ酸35個の変種
反復配列を含んでもよい。本発明の反復配列は、高次コイル構造に適合させても
よい。この構造はアミノ酸単位の7次構造に基づいており、これによってタンパ
ク質はコイルを形成する。
【0027】 化膿連鎖球菌(S. pyogenes)の他の株に由来する配列番号:3の反復配列の
変種は、配列番号:7〜11に記載した配列を参照することによって容易に同定す
ることができる。これらの配列のそれぞれは、少なくとも2つの反復配列を有す
る。他の化膿連鎖球菌株からのタンパク質GRABに由来する反復配列は、クローニ
ングおよびシークエンシングによって上記に概要するように同定することができ
る。本発明に含まれる他の変種は、配列番号:1また配列番号:2に関して上記
のように%相同性または置換によって同定される配列である。例えば、変種は、
配列番号:3と少なくとも60%相同性、好ましくは少なくとも70もしくは75%か
ら85%まで、または90%から少なくとも96%までの相同性を有する反復配列であ
ってもよい。変種は配列番号:3の1、2、または3個から6、7、8または9
個までの置換を有してもよい。好ましくは変種は、領域がコイル構造を形成する
ように7次構造を保持する。本明細書に記載するように、反復配列をコードする
ポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる
配列もまた、本発明の変種である。
【0028】 本発明のタンパク質はまた、細胞膜接着領域および膜貫通領域のようなさらな
る領域を含んでもよい。配列番号:4の配列は、α2M結合領域、反復配列領域お
よび細胞膜接着領域および膜貫通領域を有するタンパク質を含む。本発明のタン
パク質は、タンパク質の他の配列に関して先に定義したように、細胞膜接着およ
び膜貫通領域の変種を含みうる。そのような変種は、好ましくは細胞膜接着機能
および/または膜貫通機能を保持する。
【0029】 膜貫通領域または接着領域がタンパク質に確実に存在しないことが望ましいか
も知れない。例えば、α2Mとの結合能を有するが、それが発現される細菌細胞か
ら排泄されるタンパク質が望ましい場合、接着および膜貫通領域はタンパク質の
一部として発現されないことが好ましい。
【0030】 本発明の好ましい態様において、タンパク質は本質的に配列番号:1〜11のい
ずれか1つおよび上記のようなその変種を含む。
【0031】 本発明はまた、本発明のタンパク質の長さがアミノ酸少なくとも6個の断片を
含むペプチドに関する。特に、本発明は配列番号:1〜11のいずれか1つの配列
を有するタンパク質の断片を含むそのようなペプチドに関する。好ましくは断片
は、長さがアミノ酸少なくとも10個、例えば少なくとも12または15個であろう。
断片は長さがアミノ酸20、30、40、60、または150個までであってもよい。
【0032】 好ましい態様において、本発明のペプチドはα2Mとの結合能を有する。この結
合は先に概要したように決定することができる。当業者によって容易に認識され
るように、長さがより短いペプチドは、好ましくは化膿連鎖球菌(S. pyogenes
)に由来するタンパク質GRABの断片を含む。より長いペプチドに関して、配列は
先に述べたように、より小さい%相同性またはより大きい置換数のようなより大
きい変種を示してもよい。
【0033】 本発明のもう一つの局面において、ペプチドは個体に投与した場合に免疫応答
の形成能、好ましくは、個体における保護免疫応答の形成能を有する。そのよう
なペプチドはα2Mとの結合能をさらに保持してもよい。しかし、そのような結合
は必ずしも必要ではない。本態様において用いられるペプチドは、配列番号:1
〜11のいずれか1つの配列および上記のようなその変種を有するタンパク質の断
片、を含む。そのような断片は長さが少なくともアミノ酸6個であり、好ましく
は断片は長さがアミノ酸少なくとも10個、例えば少なくとも12または15個から20
、30、または40個までであろう。長さがアミノ酸60または150個までの断片のよ
うなより長い断片も同様に用いてもよい。配列番号:1〜11の配列の変種は、α 2 Mとの結合能に関して先に記述している。しかし、ワクチン組成物において用い
られるそのような変種は、α2Mの結合能を保持する必要はない。ワクチンにおい
て用いられるそのような変種配列は、個体に投与した場合に免疫応答の形成能を
有する配列である。
【0034】 好ましくは、ワクチン製剤に組み入れられるペプチドは蛋白質GRABの細胞外領
域に由来するペプチドである。好ましいペプチドには、DSP18、配列番号:22;E
KL 24、配列番号:23;EKL18、配列番号:24;EER17、配列番号:25およびKKT18
、配列番号:26が含まれる。好ましいペプチドには同様に、配列番号:22〜26の
一部または全てを組み入れる本発明のタンパク質のこれらのペプチドの変種およ
び断片が含まれる。特定の好ましい態様において、本発明は、C-末端に存在して
、α2M結合領域に隣接するタンパク質GRABの領域に由来するペプチドに関する。
そのようなペプチドは配列番号:23、24、または25のペプチドによって例示され
る。本発明の一つの態様において、ワクチン組成物において用いられるペプチド
は、α2Mとの結合能を保持していない。α2M部位との結合は、そのような投与し
たペプチドに単に結合して、ワクチン組成物としてのその有効性を低下させる、
またはインビボでGRABに結合して標的エピトープを曖昧にする遊離のα2Mが大量
に存在すれば、ペプチドの有効性を低下させる可能性がある。
【0035】 本発明のワクチン組成物において用いられるペプチドは、蛋白質GRABに由来す
るより長いペプチド配列を含んでもよく、または完全長のタンパク質を含んでも
よい。しかし、好ましくはワクチン組成物は上記のようにタンパク質GRABの断片
を含む。免疫応答を形成するために用いられるペプチドは、免疫試験によって同
定してもよい。例えば候補ペプチドを動物に投与して、その後ペプチドに特異的
である抗体または生成されたT細胞反応を決定してもよい。ペプチドの動物への
投与後に生成された抗血清は、ペプチドの結合能またはタンパク質GRABとの結合
能に関して評価してもよい。その後、動物にA群連鎖球菌(Group A streptococc
us)をチャレンジして、保護的免疫応答が生成されたか否かを評価してもよい。
【0036】 もう一つの態様において、ペプチドは上記のように反復配列の断片またはその
変種を含む。この態様において、ペプチドは、先に概要したように長さがアミノ
酸約28個である完全な反復配列、または2つもしくはそれ以上の縦列の反復配列
を含んでもよい。
【0037】 本発明のタンパク質およびポリペプチドは実質的に単離型であってもよい。タ
ンパク質またはペプチドは、蛋白質またはペプチドの意図する目的を妨害しない
担体または希釈剤と混合してもよく、それでも実質的に単離されたと見なされる
であろう。本発明のタンパク質またはペプチドはまた純粋に精製型であってもよ
く、その場合一般的に、調製物中のタンパク質またはペプチドの重量で90%以上
、例えば、95%、98%、または99%以上が本発明のタンパク質またはペプチドで
ある、調製物中にタンパク質またはペプチドを含むであろう。
【0038】 本発明のタンパク質またはペプチドは、その同定または精製を補助するために
例えば、1つまたはそれ以上のヒスチジン残基を加えることによって、または細
胞からの分泌を促進するためにシグナル配列を加えることによって改変してもよ
い。多くの化膿連鎖球菌(S.pyogenes)株のタンパク質GRABに由来するシグナル
配列のいくつかを配列番号:7〜11に記載し、α2M結合領域、配列番号:1また
はその変種からN-末端に存在することが認めうる。固相支持体との結合に適した
型でペプチドまたはタンパク質を提供することが望ましいかも知れない。このよ
うに、タンパク質またはペプチドは例えば、シスチン残基を加えることによって
固相支持体との結合を増強するように改変してもよい。
【0039】 本発明のタンパク質またはペプチドは、顕示性の標識によって標識してもよい
。顕示性の標識は、タンパク質またはペプチドを検出されるようにする如何なる
適した標識であってもよい。適した標識には、125I、35Sのような放射性同位元
素、または酵素、抗体、ポリヌクレオチドおよびビオチンのようなリンカーが含
まれる。本発明の標識したタンパク質およびペプチドは、例えばα2Mのレベルを
評価するためにアッセイにおいて用いてもよい。そのようなアッセイでは、固相
支持体に結合したペプチドを提供することが好ましいかも知れない。本発明はま
た、容器においてキットの形で包装された、そのような標識および/または固定
タンパク質およびペプチドにも関する。キットは選択的に、他の適した試薬(複
数)、対照物質(複数)、または説明書等を含んでもよい。
【0040】 本発明のタンパク質は、タンパク質を発現する化膿連鎖球菌(S. pyogenes)
から単離してもよい。本発明のタンパク質およびペプチドは、そのような単離タ
ンパク質の断片として調製してもよい。本発明のタンパク質およびペプチドは合
成によって、または組み換え手段によって生成してもよい。本発明のタンパク質
およびポリヌクレオチドのアミノ酸配列は、天然に存在しないアミノ酸を含める
ように、または化合物の安定性を増加するように改変してもよい。タンパク質ま
たはペプチドが合成手段によって生成される場合、そのようなアミノ酸は製造の
際に導入してもよい。タンパク質またはペプチドはまた、合成または組換え型産
生後に改変してもよい。
【0041】 本発明のタンパク質またはペプチドは、D-アミノ酸を用いて産生してもよい。
そのような場合、アミノ酸はCからN方向において逆配列に結合されるであろう。
これは、そのようなタンパク質またはペプチドを産生するための技術分野におい
て一般的である。
【0042】 多くの側鎖改変は、当技術分野で既知であり、本発明のタンパク質またはペプ
チドの側鎖に行ってもよい。そのような改変には、例えば、アルデヒドとの反応
の後にNaBH4による還元を行う還元的アルキル化、メチルアセチミデートによる
アミド化、または無水酢酸によるアシル化によるアミノ酸の改変が含まれる。
【0043】 本発明はまた、本発明のタンパク質およびペプチドをコードするポリヌクレオ
チド、および組換え型手段によって本発明のタンパク質およびペプチドを産生す
る場合の利用にも関する。特に、本発明は、(a)配列番号:12〜16のいずれか
1つのDNA配列、またはその相補鎖;(b)(a)に定義したDNA配列またはその断
片とハイブリダイズするDNA配列;および(c)遺伝子コードの縮重がなければ(
a)または(b)に定義したDNA配列とハイブリダイズして、同じアミノ酸配列を
有するポリペプチドをコードするDNA配列、に関する。ハイブリダイゼーション
は典型的に、6×SSC、0.5%SDSで65℃のハイブリダイゼーション緩衝液のよう
な高ストリンジェンシー条件で実施する。本明細書に記述の条件と同等のハイブ
リダイゼーション条件は、本発明のポリヌクレオチドを同定するために用いるこ
ともできる。
【0044】 本発明のポリヌクレオチドは、これらのDNA配列に対して対応するRNAを含んで
もよい。ポリヌクレオチドは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。それらは
また、その中に合成または改変されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであ
ってもよい。オリゴヌクレオチドに対する異なるタイプの多くの改変は当技術分
野で既知である。これらには、メチルホスホネート、およびホスホロチオエート
骨格、分子の3'および/または5'末端でのアクリジンまたはポリリジンの付加が
含まれる。本発明の目的に関して、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、当技
術分野で利用できる如何なる方法によって改変してもよいと理解される。
【0045】 本発明の好ましいポリヌクレオチドは、上記のタンパク質およびペプチドの如
何なるものもコードするポリヌクレオチドを含む。当業者は多くの異なるポリヌ
クレオチドが遺伝子コードの縮重の結果として同じタンパク質またはペプチドを
コードしうることを理解するであろう。
【0046】 配列番号:12〜16のいずれか1つのDNA配列、またはそれらの配列のいずれか
1つと相補的なDNA配列と選択的にハイブリダイズすることができるヌクレオチ
ド配列は一般的に、そのようなDNA配列と少なくとも70%、好ましくは少なくと
も80%、または90%、およびより好ましくは少なくとも95%または97%相同であ
ろう。この相同性は典型的に、上記DNA配列の少なくとも20個、好ましくは少な
くとも30個、例えば少なくとも40個、60、もしくは100個またはそれ以上の隣接
するヌクレオチドの領域に及ぶ。
【0047】 上記の相同性の程度と最小の大きさとの如何なる組合せも、本発明のポリヌク
レオチドを定義するために用いてもよいが、よりストリンジェントな組合せ(す
なわち、より長い長さに及ぶより高い相同性)が好ましい。このように、例えば
、25ヌクレオチド、好ましくは30ヌクレオチドにわたって少なくとも80%相同で
あるポリヌクレオチドは、ヌクレオチド40個にわたって少なくとも90%相同であ
るポリヌクレオチドと共に、本発明の一つの局面である。
【0048】 ポリヌクレオチドまたはタンパク質配列の相同体を、本明細書において言及す
る。そのような相同体は典型的に、例えば少なくとも15、20、30、100個以上の
隣接ヌクレオチドまたはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも70%相同性、好
ましくは少なくとも80、90%、95%、97%、または99%相同性を有する。相同性
は、アミノ酸同一性に基づいて計算してもよい(時に「ハードな相同性」と呼ば
れる)。
【0049】 例えば、UWGCGパッケージは、相同性を計算するために用いることができるBES
TFITプログラムを提供する(例えば、そのデフォルト設定に基づいて用いる)。
【0050】 (デベリュー(Devereux)ら(1984)、Nucleic Acids Research 12、387〜39
5頁)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムを用いて、アルツシュル(Altschul, S.
F.、(1993)、J. Mol. Evol. 36:290〜300);アルツシュルら(Altschul, S.
F.、(1990)、J. Mol. Biol. 215:403〜10)に記載されているように、相同性
を計算する、または配列を一列に並べることができる(同等または対応する配列
を同定するように(典型的にそのデフォルト設定に基づいて))。
【0051】 BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情
報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて一般に利用できる。この
アルゴリズムはデータベース配列において同じ長さのワードと並置した場合に、
何らかの陽性値閾値スコアに合致するか、またはこれを満たす疑問の配列におけ
る長さWの短いワードを同定することによって、高いスコアの配列対(HSPs)を
まず同定することを含む。Tは、隣接するワードスコア閾値と呼ばれる(アルツ
シュル(Altschul)ら、上記)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを
含むHSPを発見するための検索を開始するための種子として作用する。ワードヒ
ットは、累積配置スコアを増加することができる限り、それぞれの配列に沿って
双方向に伸長させる。ワードヒットに関して双方向への伸長は、累積配置スコア
がその最大値から量X減少した場合;陰性採点残基配列が1つまたはそれ以上蓄
積したために、累積スコアがゼロもしくはそれ以下になった場合;またはいずれ
かの配列の末端に達した場合、に停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T
およびXは、配列の感度および迅速性を左右する。BLASTプログラムは、デフォル
ト(省略時解釈)としてワードの長さ(W)11、BLOSUM62採点マトリクス(ヘニ
コフ&ヘニコフ(Henikoff and Henikoff)(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 89:10915〜10919を参照のこと)配置(B)を50、期待値(E)を10、M=5
、N=4、そして双方の鎖の比較を用いる。
【0052】 BLASTアルゴリズムは2つの配列の類似性の統計分析を実行する;例えば、カ
ーリン&アルツシュル(Karlin and Altschul)(1993)、Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 90:5873〜5787)を参照のこと。BLASTアルゴリズムによって提供され
る類似性の一つの手段は、最小和確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチ
ドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば
、配列は、第一の配列と第二の配列を比較した場合の最小和確率が約1未満であ
れば、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましく
は約0.001未満であれば、配列はもう一つの配列と類似であると考えられる。
【0053】 本発明のポリヌクレオチドを用いて、プライマー、例えばPCRプライマー、別
の増幅反応のためのプライマー、プローブ、例えば、放射活性または非放射活性
標識を用いた従来の手段によって顕示性標識で標識したプローブを生成してもよ
く、またはポリヌクレオチドをベクターにクローニングしてもよい。そのような
プライマー、プローブ、および他の断片は、長さが少なくとも15ヌクレオチド、
好ましくは少なくとも20、例えば少なくとも25、30または40ヌクレオチドであり
、同様に、本明細書において用いられる本発明のポリヌクレオチドという用語に
含まれる。本発明のプライマーの例を、配列番号:17〜21に記載する。
【0054】 より長いポリヌクレオチドは、一般的に組換え型手段を用いて、例えばPCR(
ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて生成されるであろう。これは
、1対のプライマー(例えば、約15〜30ヌクレオチド)を、クローニングするこ
とが望まれるgrab領域に作製し、プライマーを、細菌細胞、好ましくは化膿連鎖
球菌(S. pyogenes)株から得たDNAに接触させ、所望の領域の増幅を生じる条件
でポリメラーゼ連鎖反応を実施し、増幅された断片を単離し(例えば、アガロー
スゲル上での反応混合物を精製することによって)、そして増幅されたDNAを回
収することを含む。プライマーは、増幅されたDNAが適したクローニングベクタ
ーにクローニングすることができるように、適した制限酵素認識部位を含むよう
にデザインしてもよい。
【0055】 一般的に本明細書に記載の技術は、当技術分野で周知であるが、特にサムブル
ックら(Sambrook、1989)を参考にしてもよい。
【0056】 本発明のポリヌクレオチドまたはプライマーは、顕示性標識を有してもよい。
適した標識には32P、または35Sのような放射性同位元素、酵素標識またはビオチ
ンのような他のタンパク質標識が含まれる。そのような標識を本発明のポリヌク
レオチドまたはプライマーに加えてもよく、本質的に既知の技術を用いて検出し
てもよい。
【0057】 標識もしくは非標識の本発明のポリヌクレオチドもしくはプライマーまたはそ
の断片は、細菌試料においてgrabを検出またはシークエンシングするための核酸
に基づく試験において当業者が用いてもよい。
【0058】 そのような検出のための試験は、一般的に、DNAを含む細菌試料を、ハイブリ
ダイズする条件で本発明のポリヌクレオチドまたはプライマーを含むプローブと
接触させて、試料中のプローブと核酸とのあいだに形成された二本鎖を検出する
ことを含む。そのような検出は、PCRのような技術を用いて行ってもよく、また
はプローブを固相支持体に固定して、プローブとハイブリダイズしない核酸を試
料から除去した後、プローブとハイブリダイズした核酸を検出することによって
行ってもよい。または、試料核酸を固相支持体に固定してもよく、そのような支
持体に結合したプローブの量を検出することができる。
【0059】 本発明のプローブは、適した容器において試験キットの形で簡便に包装されて
いてもよい。そのようなキットにおいて、プローブは、キットがデザインされる
アッセイ様式がそのような結合を必要とする場合、固相支持体に結合してもよい
。キットはまた、プローブによって調べるべき試料を処置して、プローブを試料
中の核酸とハイブリダイズさせるための適した試薬、対照試薬、説明書等を含ん
でもよい。
【0060】 本発明のポリヌクレオチドは、組換え型の複製可能なベクターに組み入れるこ
とができる。ベクターを用いて、適合性の宿主細胞において核酸を複製させても
よい。このように、さらなる態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチ
ドを複製可能なベクターに導入して、ベクターを適合性の宿主細胞に導入し、そ
してベクターの複製が得られる条件で宿主細胞を増殖させることによって、本発
明のポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。ベクターは宿主細胞から回収
してもよい。適した宿主細胞は、大腸菌のような細菌、酵母、哺乳類細胞株およ
び他の真核細胞株、例えばSf9細胞のような昆虫細胞が含まれる。
【0061】 好ましくは、ベクターにおける本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞によっ
てコード配列の発現を提供することができる調節配列に機能的に結合している、
すなわちベクターは発現ベクターである。「機能的に結合した」という用語は、
記載の成分が意図したようにそれらを機能させる関係にある、近接する位置を意
味する。コード配列に「機能的に結合した」調節配列は、コード配列の発現が対
照配列と適合する条件で行われるようにライゲーションされる。
【0062】 そのようなベクターを、本発明のポリペプチドの発現を提供するために上記の
ような適した宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトさせてもよい。このプ
ロセスは、ポリペプチドをコードするコード配列のベクターによって発現を提供
する条件で、上記のような発現ベクターによって形質転換した宿主細胞を培養す
る段階、そして選択的に発現されたポリペプチドを回収する段階を含んでもよい
【0063】 ベクターは、例えば、起点または複製、選択的に上記ポリヌクレオチドの発現
のプロモーター、および選択的にプロモーターの調節物質を有するプラスミド、
ウイルスベクターであってもよい。ベクターは、1つまたはそれ以上の選択マー
カー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合にはアンピシリン抵抗性遺伝子、そ
して哺乳類ベクターに関してはネオマイシン抵抗性遺伝子を含んでもよい。ベク
ターは、例えば、RNAを産生するためにインビボで用いてもよく、または宿主細
胞をトランスフェクトもしくは形質転換するために用いてもよい。
【0064】 プロモーター/エンハンサーおよび他の発現調節シグナルは、発現ベクターが
デザインされる宿主細胞に適合するように選択してもよい。例えば、原核細胞プ
ロモーター、特に大腸菌株において用いるのに適したプロモーターを用いてもよ
い。本発明のポリペプチドの発現が哺乳類細胞において実施される場合、哺乳類
プロモーターを用いてもよい。組織特異的プロモーター、例えば、肝細胞特異的
プロモーターを用いてもよい。ウイルスプロモーターも同様に用いてもよく、例
えばモロニーマウス白血病ウイルスの長末端反復(MMLV LTR)、プロモーターラ
ウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガ
ロウイルス(CMV)IEプロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、また
はアデノウイルスプロモーターを用いてもよい。これらのプロモーターは全て、
当技術分野で容易に入手できる。
【0065】 ワクチンは、本発明のタンパク質またはペプチドを1つまたはそれ以上および
生理学的に許容される担体または希釈剤から調製してもよい。典型的に、そのよ
うなワクチンは、液体溶液または懸濁液としての注射剤として調製する;注射す
る前の液体において溶液または懸濁液として適した固体剤形も同様に調製しても
よい。調製物は同様に乳化してもよく、タンパク質をリポソームに封入してもよ
い。活性免疫原性成分は、薬学的に許容され、活性成分と適合性である賦形剤と
混合してもよい。適した賦形剤は例えば、水、生理食塩液、デキストロース、グ
リセロール、エタノール等およびその組合せである。
【0066】 さらに、望ましければ、ワクチンは、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および
/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントのような補助剤の少量を含ん
でもよい。有効となる可能性があるアジュバントの例には、水酸化アルミニウム
、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MD)、N-アセチ
ル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、ノル-MDPと呼ば
れる)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1
'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミ
ン(CGP 19835A、MTP-PEと呼ばれる)、および細菌から抽出した3つの成分、す
なわちモノホスホリルリピッドA、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨
格(MPL+TDM+CWS)の2%スクアレン/ツイーン80乳液を含むRIBIが含まれる
が、これらに限定しない。アジュバントの有効性は、このポリペプチドを様々な
アジュバントからなるワクチンとして投与することによって得られる、GRAB抗原
性配列を含む免疫原性ポリペプチドに対して作製された抗体の量を測定すること
によって決定してもよい。
【0067】 ワクチンは通例、例えば、皮下または筋肉内のいずれかに注射することによっ
て非経口投与する。投与の他の様式に適したさらなる製剤には、坐剤、および場
合によっては経口製剤が含まれる。坐剤の場合、従来の結合剤および担体は例え
ば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含んでもよい;そのよう
な坐剤は、活性成分を0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で含む混合物
から形成してもよい。経口製剤は、薬学等級のマンニトール、乳糖、デンプン、
ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシ
ウム等のような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は溶液、懸濁液、
錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、または粉剤の形となり、活性成分を10%
〜95%、好ましくは25%〜70%を含む。ワクチン組成物を凍結乾燥する場合、凍
結乾燥した材料を投与前に例えば懸濁液として溶解してもよい。溶解は好ましく
は緩衝液において行う。
【0068】 患者に経口投与するためのカプセル剤、錠剤および丸剤に、例えばユードラジ
ット「S」、ユードラジット「L」、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む腸溶コーティングを提供してもよい
【0069】 本発明のタンパク質またはペプチドは、中性または塩の形としてワクチンに製
剤化してもよい。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(ペプチドの遊離のアミ
ノ基によって形成される)、および例えば塩酸もしくは燐酸のような無機酸、ま
たは酢酸、シュウ酸、酒石酸、およびマレイン酸のような有機酸によって形成さ
れる塩が含まれる。遊離のカルボキシル基によって形成される塩も同様に、例え
ばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄のよ
うな無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノ
エタノール、ヒスチジン、およびプロカインのような有機塩基に由来してもよい
【0070】 ワクチンは、投与製剤と適合するように、そして予防的および/または治療的
に有効となる量で投与する。投与すべき量は、一般的に用量あたり抗原5μg〜1
00 mgの範囲、好ましくは250 μg〜10 mgであるが、これは治療すべき被験者、
被験者の免疫系の抗体合成能、そして望ましい保護の程度に依存する。投与する
ために必要な活性成分の正確な量は、医師の判断に委ねられ、それぞれの患者に
特有であってもよい。
【0071】 ワクチンは、単回投与スケジュールで、または好ましくは多数回投与スケジュ
ールにおいて投与してもよい。多数回投与スケジュールは、ワクチン接種の初回
コースが1〜10回の異なる投与で、その後免疫応答を維持または強化するために
必要な一定の間隔、例えば2回目の投与に関しては1〜4ヶ月、そして必要であ
れば、その後数ヶ月後に投与(複数)を行ってもよいスケジュールである。投与
レジメはまた、個人の必要に応じて決定され、少なくとも一部医師の判断に依存
するであろう。
【0072】 α2Mの結合能を有する本発明のタンパク質およびペプチドは、試料からα2Mを
精製するために用いてもよい。典型的に、本発明のタンパク質またはペプチドは
固相支持体に結合されるであろう。潜在的にα2Mを含む試料を、試料からα2Mを
除去するために支持体に適用することができる。望ましければ、次に、α2Mをさ
らなる使用のために支持体から放出することができる。
【0073】 α2Mの連鎖球菌表面への結合を阻害することができる本発明のタンパク質およ
びペプチドは、細菌表面へのそのようなα2Mの結合を阻害するために用いてもよ
い。タンパク質およびペプチドはまた、α2M結合に影響を及ぼす可能性がある他
の物質を同定するために競合試験において用いることができる。
【0074】 本発明のタンパク質およびペプチドは、連鎖球菌の株に対して抗体を産生する
ために用いることができる。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のタンパク質
およびペプチドの産生に用いることができる。先に概要したように、それらはま
た、grabに対する関連遺伝子を同定するためのプライマーまたはプローブとして
用いてもよい。
【0075】 本発明のヌクレオチド配列および発現ベクターはまた、先に概要したようにワ
クチン製剤として用いることができる。ワクチンは、裸のヌクレオチド配列を含
んでもよく、または陽イオン脂質、ポリマー、もしくはターゲティング系と組み
あわせてもよい。ワクチンは、核酸ワクチンを輸送するために適した如何なる技
術によって輸送してもよい。
【0076】 上記のように調製した免疫原性ポリペプチドは、抗体、ポリクローナル抗体お
よびモノクローナル抗体を産生するために用いることができる。ポリクローナル
抗体が望ましい場合、選択した哺乳類(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等
)を本発明の免疫原-ポリヌクレオチドによって免疫する。免疫した動物からの
血清を回収して、既知の方法に従って処理する。ポリペプチドに対するポリクロ
ーナル抗体を含む血清が、他の抗原に対する抗体を含む場合、ポリクローナル抗
体は、免疫アフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。ポ
リクローナル抗血清を産生および処理する技術は当技術分野で既知である。
【0077】 本発明のポリペプチドにおける連鎖球菌エピトープに対するモノクローナル抗
体はまた、当業者によって容易に産生することができる。ハイブリドーマによっ
てモノクローナル抗体を作製する一般的な方法論は周知である。不死化抗体産生
細胞株は、細胞融合によって、同様にBリンパ球の腫瘍遺伝子DNAによる直接形質
転換、またはエプスタイン-バーウイルスによるトランスフェクションのような
他の技術によって産生することができる。本発明のポリペプチドに対する一連の
モノクローナル抗体は、様々な特性、すなわちアイソタイプおよびエピトープ親
和性に関してスクリーニングすることができる。好ましくは抗体はGRABタンパク
質エピトープに対して特異的である。
【0078】 本発明のポリペプチドに対する抗体、モノクローナル抗体およびポリクローナ
ル抗体は、診断において特に有用であり、中和する抗体は受動免疫療法において
有用である。特に、モノクローナル抗体は、抗イディオタイプ抗体を作製するた
めに用いてもよい。抗イディオタイプ抗体は、それに対する保護が望ましい感染
物質の抗原の「内部像」を有する免疫グロブリンである。
【0079】 抗イディオタイプ抗体を作製する技術は当技術分野で既知である。これらの抗
イディオタイプ抗体はまた、連鎖球菌を治療するためと共に、本発明のポリペプ
チドの免疫原性領域を解明するために有用となる可能性がある。
【0080】 上記の抗体の断片、例えばFab断片を用いることが可能である。本発明のペプ
チドに対して作製された抗体は、受動免疫療法によってGAS感染症を治療するた
めに個体に投与してもよい。本発明の抗体は、薬学的に許容される担体と共に製
剤化して、ワクチン組成物に関して先に述べたように輸送してもよい。好ましく
は、抗体は個体のGAS感染症を改善するために有効量で投与される。
【0081】 (実施例) 以下の実施例は本発明を説明する。
【0082】 (実施例1) 化膿連鎖球菌(S. pyogenes)はタンパク質G様タンパク質を通じて天然のα2M
に結合する−異なる株の化膿連鎖球菌を、放射標識した天然のα2Mの結合能に関
して試験した。APと呼ばれる化膿連鎖球菌株は、チェコ共和国プラハの衛生疫学
研究所から入手する。KTL株はフィンランド保健研究所から、そしてSF370株はAT
CC 700294から入手する。細菌を初期静止相または一晩培養後に回収して、0.05
%ツイーン-20および0.02%アジドを含むPBS(PBSAT)によって洗浄して、同じ
緩衝液に再浮遊させた。細菌の濃度は、分光光度計によって決定して、2×109
個または4×108個を、PBSAT 225 μl中で放射標識α2Mと共に50分間インキュベ
ートした。競合のため、非標識阻害剤の異なる量を試験管に加えた。遠心後、沈
殿物の放射活性を決定して、ポリプロピレンチューブに対する非特異的結合を差
し引いて、加えた活性の百分率として表記した。
【0083】 結果を図1Aに示す。結合は0〜76%の範囲であり、所定の血清型内でも株によ
って異なった。α2Mのトリプシン複合型には結合しなかった(データは示してい
ない)。
【0084】 加えたα2Mの53%に結合する臨床的に重要なM1血清型のKTL3株を、さらなる試
験のために選択した。放射標識α2MのKTL3株に対する結合は、非放射活性α2Mと
、G群連鎖球菌(group G Streptococcus)である株G148からのタンパク質Gによっ
て競合しうる(図1B)。α2MとKTL3細菌との反応のスキャッチャードプロット(
図1C)は、2つの異なる親和性が存在することを示唆しており、1つは高親和性
相互作用であってKd=2.0×108 M-1であり、もう一つは低親和性相互作用Kd=5.
3×106 M-1である。KTL3株に対するα2Mの結合は、タンパク質Gによって競合さ
れないため、われわれは、連鎖球菌ゲノムシークエンシングプロジェクトデータ
ベースに対するtBLASTn検索においてG148からのタンパク質Gのタンパク質配列を
用いた。
【0085】 タンパク質Gのα2M結合Eドメインと共に、タンパク質Gのシグナル配列および
細胞壁接着部位と何らかの相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を同定
した。このタンパク質を、タンパク質G関連α2M結合タンパク質からタンパク質G
RABと命名し、これは推定分子量22.8 kDaのアミノ酸217個からなった。図2Aに、
タンパク質GRABとタンパク質Gとの相同性の略図を示す。図2Bに、ヌクレオチド
およびアミノ酸配列を示す。A領域はα2M結合領域を含む。2つの反復領域をR1
およびR2として、この後に壁貫通領域(W)および膜貫通領域(M)が続く。タン
パク質GRABはグラム陽性表面細胞壁接着タンパク質(LPXTGX)のコンセンサス配
列を含み、この後に疎水性アミノ酸19個の枝と長さ7残基の親水性C-末端領域を
含むことが判明した(図2B)。タンパク質GRABの最初のアミノ酸34個は、タンパ
ク質Gのシグナル配列(Ss)と何らかの相同性を示し、この後に、タンパク質Gの
Eドメインと何らかの相同性を有するアミノ酸35個が続く(図2B)。タンパク質G
との相同性領域に空白をあけると、アミノ酸28個の独自の反復領域が2個同定さ
れた。
【0086】 (実施例2) grabの発現の分布−ゲノムDNAを化膿連鎖球菌(S. pyogenes)から調製した。
PCRは、Taqポリメラーゼ(ギブコ-BRL、ガイサースバーグ、メリーランド州)、
およびgrabにハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドを用いて実施した。プ
ライマーは、図2Bにおいて以下のヌクレオチドにハイブリダイズした;プライマ
ー1:101〜125、プライマー2:101〜128、プライマー3:160〜185、プライマ
ー4:594〜563、およびプライマー5:627〜605。制限酵素およびリガーゼはギ
ブコ-BRL社から購入して、標準的なライゲーション、形質転換、およびプラスミ
ド単離法を用いた。PCRスクリーニングおよびpGEMにおけるクローニング(プロ
メガ社、マディソン、ウィスコンシン州)に関しては、プライマー1および5を
用いた。pGEM-grabプラスミドのシークエンシングは、ABI-470プリズムおよびTa
q染色ジデオキシターミネーターキット(パーキン・エルマー社、ノーウォーク
、コネチカット州)を用いて実施した。
【0087】 α2M結合をスクリーニングするために用いた同じ株に、grabとハイブリダイズ
するプライマーを用いてPCRを行った。PCR産物はAP9株を除き全ての株について
産生することができたが、産物の大きさは500塩基対(bp)から850 bpまで多様
であった(図3A)。PCR産物を4つの株からシークエンシングすると、サイズの
多形性は、アミノ酸28個の反復配列の数が多様であることが原因であることが判
明した(図3B)。これら4つの株からの配列と、連鎖球菌ゲノムシークエンシン
グプロジェクトにおいて示された配列との比較により、タンパク質GRABが高度に
保存されていることが判明した。C-および-末端はいずれもほぼ100%保存されて
いるのに対し、反復領域は株のあいだで86%の同一性を示した(図3B)。配列番
号:7〜11は、これらの株についての部分的配列データを示している。配列番号
:12〜16は、対応するヌクレオチド配列を示す。
【0088】 grabの転写はノザンブロッティングを用いて調べ、この場合放射標識α2Mを結
合したKTL3株および結合しなかった株(AP1)からの総RNAを、初期対数増殖期、
後期対数増殖期、初期静止期および後期静止期の細菌から単離した。RNAを電気
泳動して、ブロッティングし、プライマー1および5を用いてgrabから生成した
PCR産物をプローブとして調べた。grab RNA約600 bpの転写物の検出可能な量は
、KTL3細菌に認めたがAP1には認めなかった。発現は初期対数増殖期で最高であ
り、後期静止期では検出不能量まで減少した。同じフィルターを16Sとハイブリ
ダイズするプローブによって調べると、それぞれのウェルに同じ量のRNAが適用
されたことを確認した。
【0089】 (実施例3) タンパク質GRABは最後のN-末端を通じてα2Mに結合する−KTL3株からの予想成
熟タンパク質GRAB(図2Bのアミノ酸34〜189位)をコードするDNAを、プライマー
3および5にそれぞれ存在するEcoRIおよびPstI部位を用いてpMal-p2ベクターに
PCRクローニングした。ベクターは大腸菌に形質転換した。分子クローニング目
的のため、大腸菌のDH5α株を用いた。pMal-p2ベクターを用いる場合、大腸菌を
、グルコース2 g/Lを含むルリア・ベルタニブロス(トリプトン(ディフコ)10
g、NaCl 10 g、および酵母抽出物5 g/L)中で増殖させた。ペトリ皿において
増殖させる場合、バクトアガー(ディフコ社)15 g/Lを加えた。大腸菌がプラス
ミドを含む場合、アンピシリン(シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)100 μ
g/mlを培地に加えた。マルトース結合タンパク質(MBP)とタンパク質GRABとの
融合タンパク質は、IPTGの誘導後に産生された。
【0090】 融合タンパク質はアミラーゼ樹脂上でのアフィニティクロマトグラフィーによ
って精製した。融合体、MPB-Grab、タンパク質G、およびβ-ガラクトシダーゼの
MSP-α鎖にSDS-PAGEを行って、クーマシー染色を行った。同じSDS-PAGEをニトロ
セルロースフィルターにブロッティングして、フィルターを放射標識α2Mをプロ
ーブとして調べた。MBP-GRABの予想される大きさは60 kDaであるが、これは見か
けの大きさ80 kDaに移動する。タンパク質GおよびMBP-GRAB融合体はいずれも、
α2Mに結合することが判明したが、MBPはα2Mに結合することができなかった。
同様に、MBP-GRAB、タンパク質GおよびMBPをニトロセルロースメンブレンの溝に
適用して、α2Mをプローブとして調べたところ、MBP-GRABはα2Mに結合するがMB
Pは結合しないと結論することができた。MBP-GRABは、KTL3細菌に対して放射標
識α2Mの結合に競合するが、MBPは競合しないことが判明した(図4)。このよ
うに、タンパク質GRABおよびタンパク質Gはいずれも、α2MのKTL3細菌との結合
を阻害することができ、このことは、2つのタンパク質がα2Mの同じエピトープ
と相互作用することを示している。成熟タンパク質GRABの最N-末端(アミノ酸34
〜56位、図2B、配列番号:1)に及ぶペプチドを合成したところ、これはKTL3細
菌に対するα2Mの結合に競合することができるが、重なり合うペプチド(図2Bの
アミノ酸49〜68位)は、結合に影響を及ぼさなかった(図4)。このように、わ
れわれは、タンパク質GRABの最後のN-末端がα2Mの結合に関与していると結論す
る。
【0091】 (実施例4) その表面にタンパク質GRABを欠損する変異体の作製−推定細胞壁接着領域をコ
ードする部分を欠損するgrabの断片を、プライマー2および4を用いてKTL3株か
らPCRによって作製した。断片を、それぞれプライマー3および4内でのみ切断
するXhoIおよびHindIIIによって切断して、連鎖球菌自殺プラスミドpFW13の対応
する部位にクローニングして、FW-grabを作製した。これによって、細胞壁接着
部位をコードする部分を欠損するgrabの468 bp内部断片(図2Bのヌクレオチド11
3〜580位)を生じた(図5)。プラスミドを大腸菌に電気穿孔して、プラスミド
を精製して、相同的組換えのためにpFW-grab2μgをKTL3細菌に電気穿孔して(
図5)、カナマイシン抵抗性形質転換体を数個得た。このクローニング戦略を用
いれば、変異体は表面結合タンパク質GRABを欠損して、その代わりに切断型(図
2Bにおけるアミノ酸34〜174位)を分泌するはずである。MR4と呼ばれる1つの形
質転換体を選択したところ、その放射標識α2Mの結合能は完全に消失した(図5
)。
【0092】 MR4およびKTL3の一晩培養からの上清をTCAによって沈殿させ、SDS-PAGEを行っ
て、ニトロセルロースにブロッティングして、放射標識α2Mをプローブとして調
べると、MR4株は32 kDaのα2M結合タンパク質を分泌するが、KTL3培地には存在
しないことが判明した。成熟タンパク質GRABの予想される大きさは14.9 kDaであ
るが、これはSDS-PAGEにおいて明らかにかなり遅く移動し、これはMBP-GRAB融合
体が予想より遅く移動するというする知見と一致している。MR4およびKTL3細菌
はTHY培地において類似の増殖特徴を有し、変異体は新鮮なヒト血液において野
生型と同様に生存した(データは示していない)。
【0093】 (実施例5) ハイブリダイゼーションプロトコールは以下のように実施する。連鎖球菌を、
0.2%酵母抽出物(THY)を含むトッド・ヒューイットブロスにおいて5%CO2
で37℃で増殖させた。ゲノムDNAを化膿連鎖球菌(S. pyogenes)から調製した。
DNA 20 μgをEcoRIによって切断して、アガロースゲル電気泳動を行い、ハイボ
ンドN-フィルターに毛細管ブロッティングした(アマシャム社、アマシャム、イ
ギリス)。プローブはTaqポリメラーゼおよびgrabとハイブリダイズする配列GAC
TCACCTATCGAACAGCCTCGおよびAGCTTCTTCTGATTGTAAAGCGを有する合成オリゴヌクレ
オチドを用いてPCRによって生成した。PCR産物をマイクロスピン(登録商標)S-
200 HRカラム上で精製して、バクテリオファージT4ポリメラーゼを用いて[α-32 P]dATPによって放射標識した。メンブレンを6×SSC、0.5%SDS、5×デンハー
ト溶液、および100 μg/mlサケ精子DNAの溶液中で50℃で2時間プレハイブリダ
イズした。プローブを5分間沸騰させて、6×SSC、0.5%SDSおよび5×デンハ
ート溶液に加えて、65℃で14時間インキュベートした。この後、2×SSC+0.5%
SDS中で室温で5分間、そして2×SSC+0.1%SDS中で15分間洗浄した。さらなる
洗浄は0.1×SSC+0.5%SDS中で37℃で1時間、そして0.1×SSC+0.1%SDSで53℃
で30分間実施した。フィルターは、風乾した後、BAS-III造影プレートに暴露し
て、バイオイメージングアナライザBAS-2000によってスキャンした。
【0094】 (実施例6) α2Mは活性であり、タンパク質GRABと結合するとMタンパク質をトリプシン消
化から保護する−KTL3またはMR4細胞109個をα2M 20 μgと共に40分間インキュ
ベートして、PBSによって注意深く洗浄した。結合したα2Mを0.1グリシンpH2を
用いて溶出して、SDS-PAGEを行った。これと平行して、トリプシン0.3 μgをα2 M処置細菌に加えて、トリプシンを表面結合α2Mと5分間反応させた。遊離のト
リプシン(α2Mと複合体を形成していない)を、SBTIの4倍モル濃度過剰量を加
えることによって遮断した。細胞を遠心によって沈降させ、得られた沈降物をPB
S1 mlによって洗浄して、クロラムフェニコール40 μg/mlを加えたPBS 150 μl
中に再浮遊させた。上清中および再浮遊させた沈殿物に残留しているトリプシン
の活性は、発色基質ベンゾイル-L-アルギニン-p-ニトロアニリド(L-BAPNA)ナ
トリウムを0.25 mg/mlの濃度で用いて3時間後にOD405を測定することによって
決定した。MR4について得られた値をKTL3の値から差し引いて、既知濃度の精製
α2Mを用いて同じアッセイを平行して実施した標準物質と比較した(0.5 μg)
。保護アッセイに関して、細菌を上記のようにα2Mと共にプレインキュベートし
て、クロラムフェニコールを含むトリプシン0.1 μgのPBS溶液によって上記のよ
うに37℃で60分間処理した。細菌を、上記のように10 mMベンザミジンとクロラ
ムフェニコールを加えたPBSATで10倍希釈して、細菌2×108個に放射標識フィブ
リノーゲンを用いた結合アッセイを行った。
【0095】 α2Mのほぼ0.5 μgがKTL3細菌109個に結合するがMR4からの溶出液にはバンド
を認めないことが判明した。これと平行して、活性なα2Mの結合量は、α2Mを捕
獲したトリプシンの量を計算することによって推定した。このL-BAPNAアッセイ
は、KTL3 109個がα2Mの0.27±0.03 μgに結合することを示し、これは細菌から
溶出しうる量とよく相関する。
【0096】 トリプシン活性は全て上清に認められたため、トリプシンとα2Mとの複合体は
KTL3表面から放出された。これが、タンパク質GRABからのトリプシン-α2M複合
体の放出によるものか、またはタンパク質GRABのトリプシンによる分解によるも
のかを調べるために、KTL3細胞をトリプシンおよびSBTIによって処置して洗浄し
、α2Mと共にインキュベートして、結合したα2Mを溶出した。α2Mは、トリプシ
ン処理細胞に結合せず、タンパク質GRABがトリプシンによって消化されたことを
示している。このように、KTL3の表面に結合したα2Mは活性であり、タンパク質
GRABはトリプシン処理に感受性があるという結論に達した。
【0097】 化膿連鎖球菌(S. pyogenes)Mタンパク質の特徴はトリプシン分解に対するそ
の感受性である。このためわれわれは、α2Mと共にKTL3細菌をプレインキュベー
トすると、Mタンパク質、このようにフィブリノーゲン結合を、トリプシンによ
るタンパク質溶解的分解から保護しうるか否かを調べた。KTL3のフィブリノーゲ
ン結合はα2M前処置によって保存されるが、MR4のフィブリノーゲン結合はα2M
前処置によって影響を受けないことが判明した(図6)。
【0098】 (実施例7) SCPは溶液でのα2M、または化膿連鎖球菌に結合したα2Mによって捕獲される
−放射標識SCPを活性化緩衝液(1 mM EDTA、および10 mM DTTの0.1 M NaAc-HAc
、pH 5.0)において40℃で30分活性化した。活性化SCP(4 μl)は、α2M 4
μlまたは血漿2μlのPBS溶液20 μlと混合して、37℃で15分反応させ、非還元
条件を用いてSDS-PAGEを行った後、オートラジオグラフィーを行った。または、
細菌2×109個をα2M 40 μgによって前処置して、洗浄し、放射標識および活性
化SCPによって15分間インキュベートした。細菌を遠心して沈降させ、沈降物をP
BSAT2 mlによって洗浄して、再度遠心した。沈降物の放射活性を測定して、結
合した材料を非還元SDS-PAGE試料緩衝液中に沈降物を浮遊させることによって放
出した。溶出物にSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーを行った。
【0099】 先に概要したように、放射標識および活性化SCPを精製α2Mまたは血漿のいず
れかと混合して、非還元SDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーを行った。放射
標識SCPおよびα2Mを参考として同じゲル上で分離した。放射活性の一部は、α2 Mの見かけの大きさを有するバンドとして認めることができ、このことは、共有
結合複合体がSCPとα2Mのあいだに形成されたことを示している。KTL3とMR4をα 2 Mによって前処置すると、KTL3に対するSCPの結合の増加が起こるが、MR4細菌で
は起こらなかった(図7)。結合した材料をこれらの細菌から溶出して、SDS-PA
GEおよびオートラジオグラフィーを行うと(先のように、参考として放射標識SC
Pおよびα2Mを用いて)、SCPは、KTL3の場合はα2Mと複合体を形成するがMR4と
は複合体を形成しないことが判明した。上清を同じゲルから分離すると、α2M前
処置KTL3細菌から放射活性の少量をα2Mの見かけの大きさを有するバンドとして
認めることができた(データは示していない)。このように、われわれは、溶液
でのα2Mまたはタンパク質GRABを通じて化膿連鎖球菌に結合したα2Mは、SCPを
捕獲して、おそらく同様に阻害することができるという結論に達した。
【0100】 (実施例8) タンパク質GRAB抗血清の生成。アミノ酸34〜188位をコードするタンパク質GRA
Bの一部(図2B)を、KTL3株からPCR増幅して、pET11dベクター(ファルマシアバ
イオテック、アップサラ、スウェーデン)にクローニングした。プラスミドイン
サートのシークエンシングによって、クローニングした遺伝子がKTL3株からのgr
abと同一であることを確認した。得られた大腸菌(BL21、ファルマシアバイオテ
ック社)形質転換体を2×YT中で、OD620が0.5となるまで増殖させ、0.5 mM IPT
Gを用いて誘導した。細菌を3時間後に遠心によって回収して、20 mMトリス塩酸
pH 8に再浮遊させた。細菌を超音波処理して8000×gで再度遠心した、細菌溶解
物をモノQカラムおよびFPLCシステム(ファルマシアバイオテック社)を用いて
イオン交換クロマトグラフィーを行った。タンパク質GRABは、約90%均一となる
まで精製することができた。
【0101】 イオン交換クロマトグラフィーからのタンパク質GRAB 100 μgの生理食塩液溶
液500 μlにフロイントの完全アジュバント330 μlおよび不完全アジュバント17
0 μlを加えて、この材料を用いてウサギ一羽を免疫した。タンパク質GRAB 100
μgの、フロイントの不完全アジュバント500 μlを含む生理食塩液溶液500 μl
によって、ウサギを6週間後に追加免疫した。追加免疫の2週間後に血液を採取
して、血清を調製した。血清をELISA実験において用いて、タンパク質GRABまた
はマルトース結合タンパク質(MBP、大腸菌の同じ株から精製)1 ngの50 mM炭
酸緩衝液pH 9.6溶液をマキシソルブプレート(ヌンク社)に4℃で一晩吸収させ
た。PBS+0.05%ツイーン20(PBST)、1%(w/v)BSA(シグマ社)200 μlを用
いてウェルを室温で1時間ブロッキングして、同じ緩衝液でタンパク質GRAB抗血
清または免疫前血清の様々な量と共に2時間インキュベートした。これに、PBST
による洗浄を5ラウンド行って、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギ抗体(PBST
+1%BSAによって3000倍希釈)と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄
をさらにもう1ラウンド行った後、展開溶液(ABST 1 mgおよび過酸化水素6 m
g/mlのクエン酸ナトリウム溶液、pH 4.5)200 μlを各ウェルに加えて、室温で2
0分インキュベートした後にOD405を測定した。0.3以上の値を陽性と見なした。
免疫前血清の力価は100倍未満であり、免疫血清の力価はタンパク質GRABに関し
て128 000倍以上、そしてMBPに関して4000倍以上であった。
【0102】 同様に、KTL3またはMR4細菌を65℃で熱殺菌して、細菌108個を各ウェルに吸収
させた(上記のように)。第二抗体の代わりにタンパク質A(5000倍希釈)を用
いることを除いて上記のようにELISAを実施した。免疫前血清の力価はKTL3につ
いて200倍、そしてMR4について100倍であった。免疫血清の力価は、KTL3に関し
て4000倍、そしてMR4に関して<1000倍であった。
【0103】 抗血清をさらに、実施例4に記載のように調製したメンブレンのウェスタンブ
ロッティングに用いた。フィルターを、5%スキムミルクを有するPBSTを用いて
37℃で30分ブロッキングした。免疫または免疫前血清をブロッキング緩衝液で10
00倍希釈して、フィルターを37℃で30分間インキュベートした。その後フィルタ
ーを0.5 M NaClを含むPBSTを用いて37℃で10分間3回洗浄した。ペルオキシダー
ゼ標識ヤギ抗ウサギ抗体(ブロッキング緩衝液で3000倍希釈)と共に37℃で30分
インキュベートした後、上記のように洗浄した。44.4 mM p-クマリン酸500 μl
、250 mMルミノール(5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン)100 μl
、および30%H2O2 6.1 μlからなり、トリス塩酸pH 8 20 mlに溶解した新たに
作製した基質を、メンブレンと共にインキュベートした。メンブレンを室温で1
分間インキュベートして、風乾させて、プラスチックバッグに入れてXARフィル
ム(コダック社)上で暴露した。免疫前血清は反応を示さなかったが、免疫血清
は実施例4に記載のα2M結合タンパク質と同じ大きさのバンドと特異的に反応し
た。
【0104】 (実施例9) 本研究の目的は、様々なGRABペプチドによって免疫したヒツジが、対応するペ
プチドまたは本来のGRABタンパク質との結合能を有するIgG抗体を産生するか否
か、そしてIgG抗体が滴定できるか否かを決定することであった。関連するペプ
チド1 mgの生理食塩液溶液1.3 mlおよびフロイントの完全/不完全アジュバン
ト3.25 mlを各免疫に用いた。
【0105】 追加免疫は、生理食塩液1.3 ml中のペプチド0.5 mgとアジュバント3.25 mlに
よって3週間間隔で実施した。免疫混合物を各ヒツジの皮下部位6箇所に注射し
た。用いたペプチドは以下の通りであった:
【表1】 C* ヘテロ双機能リンカーに接着するためのシステインインサート。ペプチド
はKLH、すなわちキーホールリンペットヘモシアニンに結合している。
【0106】 抗GRABペプチド抗血清を分析するための滴定および阻害ELISAプロトコール。 GRABタンパク質を、0.05 M重炭酸緩衝液pH 9.6中で1μg/mlの濃度でマイクロ
タイタープレートにコーティングした(100 μl/ウェル)。プレートを37℃で
1時間インキュベートした。次にプレートをPBS-T(250 μl/ウェル)によって
5回洗浄し、1%BSA/PBS-T(100 μl/ウェル)によって37℃で1時間ブロッキ
ングした。
【0107】 プレートをPBS-Tによって5回洗浄した後、FCA/Spy-PG-EKL24-KLH、FCA/Spy-P
G-EKL 18-KLH、FCA/Spy-PG-EER 17-KLH、FCA/Spy-PG-DSP18-KLH、およびFCA/Spy
-PG-KKT19-KLHを含むペプチド結合ワクチン候補体によって免疫したヒツジから
得た免疫後血清を、PBS-Tによって100倍〜1,000,000倍希釈した。次に血清をGRA
Bコーティングプレート(100 μl血清/ウェル)上で37℃で1時間インキュベー
トした。プレートをPBS-Tによって5回洗浄して、ロバの抗ヒツジIgG/ペルオキ
シダーゼ結合物(PBS-Tで1000倍)と共に37℃で1時間インキュベートした。次
にプレートを0.1 mg/ml TMB基質(100 μl/ウェル)と共に10分間インキュベー
トした後、反応を2 M H2SO4(50 μl/ウェル)によって停止させた。吸光度を
450 nmで読みとった。
【0108】 阻害ELISAの場合、上記のペプチド結合体によって免疫したヒツジからの免疫
後血清を10,000倍希釈で、0〜10 μg/mlの範囲の濃度で対応する遊離のペプチ
ドと共に37℃で1時間プレインキュベートした。対照として、免疫後血清(10,0
00倍)をSpy-PH-QKQ19(10 μg/ml)と共にインキュベートした。このペプチド
は配列QKQQQLETEKQISEASRKS C*-COOHを有する。次に、血清ペプチド混合物を、
先に示したように、GRABコーティングしたプレート上でアッセイした。
【0109】 以下の阻害ELISAにおいて、免疫後ヒツジ血清を、100 μg/mlの濃度で対応す
る原料ペプチドまたはSpy-PH-QKQ19対照ペプチドと共にインキュベートした。
【0110】 100倍および1000倍希釈で、免疫前および免疫後血清の吸光度はいずれも概し
て類似であった。10,000倍希釈と100,000倍希釈では、免疫前と免疫後血清の吸
光度に大きい差をしばしば認めた。図8は、GRABコーティングプレート上でのヒ
ツジ抗DSP-18ペプチド血清のアッセイ結果を示す。
【0111】 阻害ELISAは、全ての場合について、免疫後血清におけるGRAB結合抗体は、対
応する原料ペプチドを加えることによって、全GRABタンパク質の結合を阻害する
ことができることを確認した。原料ペプチド100 μg/mlを血清に加えたELISAの
結果を下記の表1に示す。原料ペプチド100 μg/mlを血清に加えると、%阻害レ
ベルは一般的に80%を超えて、血清試料中に存在するIgG抗体の高い割合がペプ
チド特異的であることを示している。
【0112】
【表2】 NB. 用いた対照ペプチドはSpy-PH-QKQ-19であった。
【0113】 滴定ELISAプロトコール ペプチドをマイクロタイタープレートに、0.05 M炭酸・重炭酸緩衝液pH 9.6中
で5μg/mlの濃度でコーティング(100 μl/ウェル)した。プレートを37℃で
1時間インキュベートした。次にプレートをPBS-T(250 μl/ウェル)によって
5回洗浄して、1%BSA/PBS-T(100 μl/ウェル)によって37℃で1時間ブロッ
キングした。
【0114】 プレートをPBS-Tによって3回洗浄した後、FCA/Spy-PG-EKL24-KLH、FCA/Spy-P
G-EKL 18-KLH、FCA/Spy-PG-EER 17-KLH、FCA/Spy-PG-DSP18-KLH、およびFCA/Spy
-PG-KKT19-KLHを含むペプチド結合ワクチン候補体によって免疫したヒツジから
得た免疫後血清を、PBS-Tによって100倍〜1,000,000倍希釈した。次に血清をGRA
Bコーティングプレート(100 μl血清/ウェル)上で37℃で1時間インキュベー
トした。プレートをPBS-Tによって5回洗浄して、ロバの抗ヒツジIgG/ペルオキ
シダーゼ結合物(PBS-Tで1000倍)と共に37℃で1時間インキュベートした。PBS
-Tによって5回洗浄した後、プレートを0.1 mg/ml TMB基質(100 μl/ウェル)
と共に10分間インキュベートした後、反応を2 M H2SO4(50 μl/ウェル)によ
って停止させた。吸光度を450 nmで読みとった。
【0115】 Spy-PG-EKL24について上記の実験から得られた結果を図9に示し、下記の表2
において全てのペプチドについて要約する。
【0116】
【表3】
【0117】 (実施例10) 免疫試験 1群10匹のマウス(5〜6週齢)の尾の付け根の皮下に、CFAと共に乳化した
ペプチド/タンパク質/ペプチド結合物30 μgを含むワクチン乳剤50 μlを免疫
した。対照マウスにはCFAに乳化したPBSを投与した。フロイントの完全アジュバ
ント(CFA、H37Ra、ディフコラボラトリーズ、カタログ番号3113-60-5)に乳化
したペプチドは以下のように調製する:
【0118】 ペプチド(10 mg/ml原液)33 μlおよび滅菌PBS 517 μlをCFA 550 μlと共に
エッペンドルフ中で混合した。18G針をつけた1 mlシリンジを用いて、容量が半
分に減少するまで材料を均一にした。エッペンドルフ中で1000 rpmで1分遠心す
ることによって混合物を調べてもよく、混合物が分離しなければOKで先に進む。
または乳剤1滴を水に落として、乳化していれば、水滴は堅いままで分散しない
はずである。乳化した混合物を同じシリンジに入れて、ツベルクリン針を固定し
て、気泡を除去した。
【0119】 マウスは、PBSに溶解したペプチド/タンパク質/ペプチド結合物の30 μgお
よび15 μgをそれぞれ、23および30日目に皮下に追加免疫注射した。
【0120】 マウスを14、23、29および38日目に尾動脈から採血して、血清を分離して、以
下のように−20℃で保存した。尾動脈をメスで切断して、マウス血液をエッペン
ドルフチューブ(100〜300 μl)に採取した。血液を4℃で一晩、または37℃で
1時間凝固させた。凝血を滅菌した箸またはピペットチップによって取り出して
捨て、エッペンドルフチューブを3000 rpmで10分間遠心した。血清(透明な上清
)を新鮮なチューブに採取した。短期間保存は4℃で1週間以内、長期保存は−
20℃で行う。ELISAは、実施例11において下記に記載のように実施した。
【0121】 結果を図10に示す。
【0122】 47日目の採血からの血液を用いてオプソニン化を行った。原液GAS(A群連鎖球
菌(Group A streptococcus))の100 μlアリコットを、滅菌トッド・ヒューイ
ットブロス(THB)/1%ネオペプトン5 ml中で一晩培養した。アッセイにおい
て対数増殖期増殖細菌を用いるために、一晩GAS培養20 μlを予め37℃に加温し
ておいたTHB/1%ネオペプトン5 mlに接種した。GASを37℃で2時間増殖させ
た。GAS(対数増殖期GAS[2時間培養]または初期相のGAS[一晩培養から]のいずれ
か)を滅菌生理食塩液によって10-5に希釈した。
【0123】 細菌の10-4および10-5希釈液50 μlを熱不活化(60℃、10分)正常マウス血清
または免疫マウス血清50 μlと混合して、ウェルを混合して、室温で20分間イン
キュベートした。
【0124】 正常ヘパリン加ヒト血液(アッセイにおいて用いるGASの株に対して非オプソ
ニンであることを予め試験した)400 μlを加えて、混合物を末端から末端まで
揺り動かしながら37℃で3時間インキュベートした。細菌希釈液50 μlを播種し
て、ペトリ皿において、溶解した2.5%血液THB寒天15 mlと混合した。細菌の10- 4 希釈液50 μlを、接種サイズを推定するために播種するまで4℃で維持して。
プレートを37℃で一晩インキュベートした。平均コロニー数をプレート上のコロ
ニーを計数することによって決定した。細菌のコロニー形成単位(CFU)の減少
百分率を、マウス免疫血清とのインキュベーション後の平均コロニー数を正常マ
ウス血清と比較して、希釈倍率を乗じることによって計算する。
【0125】 試験は以下のように実施した:
【0126】 免疫群当たりオプソニン化アッセイにおいて用いた血清の数 ・ GRABタンパク質n=3 ・ EKL24-KLH、n=10 ・ DSP18-KLH、n=6 ・ KKT19-KLH、n=10 ・ PepM 88/30、n=3 88/30 GASに由来するPepMによって免疫したマウスの
血清を、アッセイにおける陽性対照として用いた。
【0127】 結果を図11に示す。平均値は±SEMである。
【0128】 (実施例11) タンパク質GRABのα2M結合部位にC-末端で隣接する領域に対する特異性を有す
るヒト血清中の抗体を特異的に探索するために、さらなる試験を実施した。その
ような抗体は、この領域がGASの表面上で利用できるはずであることから、タン
パク質GRABに結合することができるはずである。実施例10に記載の試験に関して
、EKL24をヒト集団においてさらに調べた。ヒト試験は、A群連鎖球菌感染症に高
度に暴露された地域流行ヒト集団(タイ国)の既に存在する免疫に重点を置いた
。下記の表3は、リウマチ性心疾患(RHD)を有する人と心疾患を有しない健常
人からの血清が類似しており、双方ともEKL24に対する抗体を含むことを示して
いる。抗体力価は下記のようにELISAによって測定した。
【0129】 抗原(ペプチド/タンパク質)を炭酸・重炭酸緩衝液によって5μg/mlに希釈
した。例えば、10 mg/ml保存液からペプチド5 μlを炭酸・重炭酸緩衝液10 ml
に加えた(プレート1枚当たり十分量)。ウェルあたり100 μgを平底のポリ塩
化ビニルマイクロプレート(フローらボラトリーズインク)に加えて、4℃で一
晩または37℃で90分インキュベートした。抗原をプレートから軽く振って除去し
、ウェルを5%スキムミルクのPBS-ツイーン20溶液200 μlによって4℃で一晩
または37℃で90分ブロッキングした。プレートをPBS-ツイーン20によって3回洗
浄した。ヒトまたはマウス血清は最初の列では100倍希釈して、その後最終容量1
00 μlとしてプレート上で連続2倍希釈を12800倍希釈まで行った。
【0130】 次に、一次抗体と共にプレートを37℃で90分インキュベートした。プレートを
PBS-ツイーン20で5回洗浄した。ヒト血清を用いる場合、ヤギ抗ヒトIgG/HRP(
バイオラド社)、またはマウス血清を用いる場合には、ヤギ抗マウスIgG(アム
ラド社)を0.5%スキムミルク/PBS-ツイーン20液で3000倍希釈した。100 μlを
各ウェルに加えて、37℃で90分インキュベートした。プレートをPBS-ツイーン20
によって5回洗浄した。OPD基質(OPD FAST、シグマ-OPD、およびキットに添付
された緩衝液錠剤)100 μlを各ウェルに加えて、暗所で室温で30分インキュベ
ートした。吸光度を450 nmで測定した。ヒト抗体の場合、ヒトIgGの既知の濃度
に対する吸光度の標準曲線を用いて抗原特異的抗体濃度を計算し、マウス抗体に
関しては、滴定値を用いて抗体量を測定し、平均値プラス正常マウス血清ウェル
の3標準偏差として定義する。
【0131】 結果を下記の表3に示す。
【0132】
【表4】 表3.対照およびRHDタイ人におけるペプチドSpy-PG-EKL24(37-61)に対する血
清抗体反応
【0133】 ELISAを用いてペプチドに対するヒト血清抗体を測定した。力価はブランク(
抗体なし)ウェルの平均値プラス3標準偏差として定義する。
【0134】 その後、T細胞集団アッセイを実施した。
【0135】 ヘパリン加血液30 mlを50 mlファルコン円錐チューブ2本に分けて、滅菌PBS
によって2倍希釈(15 ml)する。血液をフィコール10 mlに重層する(室温)。
【0136】 細胞を室温で遠心によって、1200 rpmで30分間分離する(ブレーキをオフにす
る)。チューブのPBMC層を、滅菌したピペットによって採取して、50 mlファル
コンチューブ1本にプールして、滅菌PBSによって50 mlに希釈して1500 rpmで10
分間遠心した。
【0137】 上清を捨てて、PBMCを滅菌RPMI/10%正常ヒト血清(NHS)5 mlに再浮遊させ
る。NHSは60℃で20分熱不活化して、RPMIにおいて10%となるように培地に加え
、濾過滅菌してからアッセイに用いる。
【0138】 細胞を計数して、100 μg/mlストレプトマイシン/1000 U/mlペニシリン/2.5
μg/mlファンギゾン(CSL:カタログ番号0929501)を含むRPMI/10%NHSに再浮
遊させて、最終濃度1×106個/mlとした。
【0139】 ペプチド/タンパク質を96ウェル丸底プレートに既定の至適濃度(ペプチド30
μg/ウェル)で播種した。抗原を含まないウェルを含めた。PBMC 200 μl、最
終濃度2×105個/ウェルを、ペプチド/タンパク質を含む96ウェルプレートに加
えた。5%CO2において37℃で4日間培養した後、サイトカイン分析のために各
ウェルから培養上清25 μlを採取することができる。培養6日後、3Hメチルチミ
ジン0.25 μCiを各ウェルに加えて、16時間後に、標識の取り込みを液体シンチ
レーション分光計によって測定した。細胞をフィルターマット上に回収して、フ
ィルターを乾燥させた後、シンチラント12 mlを含むプラスチックバッグに密封
してLKBワラック1205ベータプレート液体シンチレーションカウンターによって
計数した。ペプチド/タンパク質を有する1試料あたり3個ずつのウェルの平均
cpmを、ペプチドを有しないウェル6個の平均cpmによって除すると刺激指数(SI
)が得られた。既に記述されているように(プルクサコーン、キュリー、ブラン
ト、フォーンフトクル、フンサクナチ、マンモントリ、ロビンソン、ケホー、ガ
ルブレイス、グッド(Pruksakorn, S., Currie B., Brandt E., Phornphutkul C
., Hunsakunachi S., Manmontri, A., Robinson, JH., Kehoe MA, Galbraith, A
., Good MF)、Int. Immunol. 1994;6:1235〜44)、成人被験者において有意
な増殖反応の切り捨て値としてSI5を用いた。
【0140】 アッセイは、集団におけるRHD患者からのPBMCがEKL24を認識することを示した
。結果を下記の表4に示す。
【0141】
【表5】 表4.ペプチドSpy-PG-EKL24(37〜61)に対する対照およびRHDタイ人からのPBM
Cの増殖反応
【0142】 本明細書において言及した配列を下記の配列表に示し、以下のように要約する
ことができる:
【0143】 配列番号:1は、図2Bに示すように株SF370の34〜56位までのアミノ酸配列で
ある。
【0144】 配列番号:2は、図2Bに示すように株SF370の34〜91位のアミノ酸配列である
【0145】 配列番号:3は、図2Bに示すように株SF370の92〜119位までのアミノ酸配列で
あり、タンパク質の反復配列の一つである。
【0146】 配列番号:4は、図2Bに示す株SF370の34〜217位までのアミノ酸配列であり、
完全長の成熟タンパク質、すなわちシグナル配列を有しないタンパク質である。
【0147】 配列番号:5は、図2Bに示す株SF370の34〜174位までのアミノ酸配列である。
タンパク質のこの切断型は膜貫通領域および壁接着領域を欠失している。
【0148】 配列番号:6は、図2Bに示す株SF370の34〜193位までのアミノ酸配列であり、
タンパク質の膜貫通領域を含まない。
【0149】 配列番号:7は、シグナル配列を含む、図2Bに示す株SF370の完全長タンパク
質のアミノ酸配列である。
【0150】 配列番号:8〜11は、株KTL9、AP1、AP49、およびKTL3にそれぞれ由来するタ
ンパク質GRABの部分的アミノ酸配列である。
【0151】 配列番号:12〜16はそれぞれ、配列番号:7〜11のアミノ酸配列をコードする
DNA配列である。
【0152】 配列番号:17〜21は、配列番号:12に由来するプライマーである。
【0153】 配列番号:22はペプチドDSP18のアミノ酸配列である。
【0154】 配列番号:23はペプチドEKL24のアミノ酸配列である。
【0155】 配列番号:24は、ペプチドEKL18のアミノ酸配列である。
【0156】 配列番号:25は、ペプチドEER17のアミノ酸配列である。
【0157】 配列番号:26は、ペプチドKKT19のアミノ酸配列である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 初期静止期まで増殖した化膿連鎖球菌(S. pyogenes)の異なる
株の細菌109個に対する放射標識α2Mの結合をAに示す(バーは+SEMを表す、n=
3)。Bでは、放射標識α2MのKTL3細菌2×108個に対する結合はα2Mとタンパク
質Gとによって競合された(±SD、n=3)。Cでは、α2MとKTL3細菌109個との反
応のスキャッチャードプロットを示す。プロットの勾配から、親和性が異なる2
つの結合部位が存在することが示唆される(それぞれ、Kd=2.0×108 M-1および
5.3×106 M-1)。
【図2】 タンパク質GRABとタンパク質Gとの略図による比較をAに示す。gr
ab/タンパク質GRABの完全なヌクレオチドおよびアミノ酸配列をBに示す。
【図3】 化膿連鎖球菌(S. pyogenes)の異なる株にPCRを実施して、その
結果を(A)に示す。AP9株を除く全ての株から、大きさ500〜850 bpの産物を増
幅することができた(A)。これらの株によってコードされる成熟タンパク質GRA
B(図2Bのアミノ酸34〜188位)の略図による比較をBに示す。
【図4】 MBP-GRABを用いて、KTL3細菌2×103個に対する放射標識α2Mの
結合を阻害した。同様に、1つの合成ペプチド(図2Bのアミノ酸34〜56位)は、
MBP-GRABより作用は弱かったもののα2Mの結合に関して競合することができたが
、重なり合うペプチド(図2Bのアミノ酸51〜68位)は、結合に関して競合しなか
った。バーは±SD、n=3を表す。
【図5】 細胞壁接着部をコードする遺伝子の一部を欠損するgrabの内部断
片を、連鎖球菌の自殺プラスミドpFW13にクローニングして、FW-grabを作製した
。pFW-grabをKTL3細菌に形質転換してMR4を作製した。MR4は示すようにα2M結合
が完全にない(+SD、n=3)。
【図6】 KTL3またはMR4細菌をトリプシン処理した後に放射標識フィブリ
ノーゲンの結合を測定した。いくつかの細菌はα2Mとプレインキュベートしたが
、一部の細菌はプレインキュベートしなかった。わかるように、KTL3をα2Mと共
にプレインキュベーションすると、Mタンパク質、このようにフィブリノーゲン
結合がトリプシン分解から保護されたが、MR4をα2Mによって前処置しても、フ
ィブリノーゲン結合に影響を及ぼさなかった(+SD、n=3)。
【図7】 放射標識および活性化SCPをKTL3(1)、MR4(3)、またはα2Mと
共にプレインキュベートした同じ細菌に(それぞれ2および4)に加えた。α2Mと
共にプレインキュベートしたKTL3細菌に対するSCPの結合は有意に高かった(+SD
、n=3)。
【図8】 GRABコーティングプレート上でのヒツジ抗DSP 18ペプチド血清の
アッセイ結果を示す。
【図9】 を用いたELISAの結果を示す。
【図10】 本発明のタンパク質またはペプチドによって免疫したマウスに
おける血清抗体反応を示す。
【図11】 本発明のタンパク質またはペプチドに対する血清による対数増
殖期A群連鎖球菌のオプソニン化の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/315 C07K 16/12 16/12 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA13 BA31 BA41 BA61 CA01 GA11 4B064 AG27 AG31 CA19 CC24 DA01 DA15 4B065 AA49Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA45 CA46 4C085 AA03 AA13 AA14 BA14 BB11 CC21 EE01 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA11 DA76 DA86 EA29 EA52 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α2Mに結合することができ、しかも配列番号:1のアミノ酸
    配列またはその機能的変種を含む、タンパク質。
  2. 【請求項2】 配列番号:2のアミノ酸配列またはその機能的変種を含む請
    求項1記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 配列番号:3のアミノ酸配列またはその変種を有する1つま
    たはそれ以上の縦列反復をさらに含む、請求項1または2記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】 疎水性膜貫通領域と共に細胞膜接着領域をさらに含む、請求
    項1、2または3のいずれかに記載のタンパク質。
  5. 【請求項5】 配列番号:1〜11のいずれかのアミノ酸配列またはその変種
    からなる上記請求項のいずれかに記載のタンパク質。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のタンパク質の長さが少なくともアミノ酸6個
    の断片を含むペプチド。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のタンパク質のアミノ酸少なくとも20個の断片
    を含む、請求項6記載のペプチド。
  8. 【請求項8】 A群連鎖球菌(group A streptococcus)に対する免疫応答を
    生成することができる請求項6または7記載のペプチド。
  9. 【請求項9】 α2Mに結合する請求項6または7記載のペプチド。
  10. 【請求項10】 配列番号:3の酸配列または上記配列の変種を含む、請求
    項6または7記載のペプチド。
  11. 【請求項11】 配列番号:3のアミノ酸配列または上記配列の変種の2つ
    またはそれ以上の反復配列を含む、請求項10記載のペプチド。
  12. 【請求項12】 以下を含む、A群連鎖球菌に対する保護的免疫応答を形成
    することができるタンパク質またはペプチド: (i)配列番号:1のアミノ酸配列 (ii)(i)の機能的 (iii)(i)または(ii)の長さがアミノ酸少なくとも6個の機能的断片。
  13. 【請求項13】 上記DNA配列が以下から選択される、先行請求項のいずれ
    かに記載のタンパク質またはペプチドをコードするDNA配列: (a)配列番号:12〜16のいずれかのDNA配列またはその相補鎖; (b)(a)に定義したDNA配列またはその断片と選択的にハイブリダイズするDNA
    配列;および (c)遺伝子コードの縮重がなければ、(a)または(b)に定義したDNA配列とハ
    イブリダイズし、その配列が同じアミノ酸配列を有するタンパク質またはペプチ
    ドをコードするDNA配列。
  14. 【請求項14】 調節配列に機能的に結合した請求項13記載のDNA配列を含
    む発現ベクター。
  15. 【請求項15】 請求項13記載のDNA配列によって形質転換した宿主細胞。
  16. 【請求項16】 請求項14記載の発現ベクターによって形質転換される、請
    求項15記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 請求項15または16記載の宿主細胞を、所望のタンパク質ま
    たはペプチドの発現を提供する条件で培養する段階を含む、請求項1〜12のいず
    れかに記載のタンパク質またはペプチドを産生するプロセス。
  18. 【請求項18】 請求項12記載のタンパク質またはペプチド、および薬学的
    に許容される担体を含むワクチン組成物。
  19. 【請求項19】 個体においてA群連鎖球菌(group A streptococcus)に対
    する保護的免疫応答を生成するために用いられる請求項1〜12のいずれかに記載
    のタンパク質またはペプチド。
  20. 【請求項20】 請求項12記載のタンパク質またはペプチドを個体に投与す
    る段階を含む、A群連鎖球菌に対して個体を免疫する方法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜12のいずれか1つに記載のペプチドまたはタン
    パク質に結合することができる抗体。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の抗体を上記個体に投与する段階を含む、GA
    S感染症の個体を治療する方法。
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