JP2002527411A

JP2002527411A - 雰囲気中に湿気を維持するための装置及び化学組成物

Info

Publication number: JP2002527411A
Application number: JP2000575552A
Authority: JP
Inventors: フラー，ピーター、イー
Original assignee: シーオーツーテクノロジーズ、インコーポレイテッド
Priority date: 1998-10-09
Filing date: 1999-10-06
Publication date: 2002-08-27
Also published as: CA2355687A1; EP1119377A4; EP1119377A1; US6106775A; AU6295299A; HK1039073A1; WO2000021580A1

Abstract

(57)【要約】水と、重炭酸ナトリウムのような少くとも１種類の水溶性物質と、又はアセチルサリチル酸と、又は、それらの混合物と組み合わせることによって生成される水成組成物、及び、そのような水成組成物を用いて雰囲気中に湿気を導入し維持する方法。この水成組成物は、野菜、果物、肉、魚、海鮮食物、チーズ及びその他の酪農製品、クッキー、パン、ケーキ、赤砂糖及びトルティヤを含む各種食物、及び、切り花の有効寿命を延長させるのに用いることができる。この水成組成物は、食物に直接付与してもよく、あるいは、蒸発器に付与してもよい。蒸発器は、間通穴を有するシェルと、シェル内に包被された吸収材とで構成される。水成組成物を蒸発器に付与した後、蒸発器を、保存すべき食物を収容したスペース内に置く。蒸発器は、必要に応じて水成組成物を再付与することによって再生することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】関連出願本出願は、１９９８年１０月９日に出願された「液体を雰囲気中へ蒸発させる
ための装置及び方法」と題する米国特許仮出願第６０／１０３，７０５号の特典
を主張して１９９９年９月２３日に出願された「液体を雰囲気中へ蒸発させるた
めの装置及び方法」と題する米国特許出願第０９／４０５，４２８号の一部継続
出願である。上記両出願の記載内容が本明細書に編入されているものとする。

【０００２】発明の属する技術分野本発明は、水又は他の液体を雰囲気（周囲空気又は大気）中へ蒸発させるため
の化学組成物及び装置及び方法に関し、特に、水と、周囲空気への水の蒸発を容
易にし、増大させ、蒸発時間を長くする、重炭酸ナトリウムのような少くとも１
種類の水溶性物質、又はアセチルサリチル酸のような弱酸、又は、それらの混合
物とを組み合わせる又は結合させることによって生成される水成組成物に関する
。

【０００３】従来の技術水蒸気を空気中へ導入するための、あるいは、空気中の湿度を高め維持するた
めの多くのシステム及び機器は、古くから長年に亘って開発されてきた。中でも
最も広く用いられているのは、おそらく、水を積極的に気化させる、又は何らか
の方法で空気中へ蒸発させる電動加湿器であろう。そのような加湿器は多くの環
境下において水蒸気を空気中十分に導入することができるが、電動加湿器は幾つ
かの欠点及び制約が随伴する。

【０００４】第１に、電動加湿器は、一般に比較的構造が複雑であり、空気の流れを誘引す
る、又は、水を積極的に気化させる運動部品を備えている。そのような加湿器の
製造コストが高いため、コスト高でさえなければ加湿器の使用が有益であるよう
な場でも使用を断念しなければならないことがしばしばある。又、電気エネルギ
ーを供給するコストも、多くの状況下において電動加湿器の使用を実用上不適切
とする要因となることがある。

【０００５】又、在来の加湿器は、一般に、サイズが大きくて扱いにくく、別の場所へ容易
に搬送することができないという欠点もある。例えば、冷凍システムや多くの人
間環境内に用いられる加湿器は、一般に、所定場所に恒久的に又は一時的に固定
されており、容易には動かせない。更に、在来の加湿器は、大抵の場合、定期的
な保守を必要とするので、所有及び稼働コストが高く、それによって、多くの状
況下において加湿器を使用しにくくしている。

【０００６】在来の加湿器の以上の欠点に鑑みて、製造コスト及び稼働コストが比較的安く
い加湿器を求める要望がある。又、電力やその他の外部パワーの供給を必要とせ
ずに作動させることができる加湿器を提供することができれば、有益であろう。
しかもそのような加湿器がポータブルで、ユーザーがようにに取り扱うことがで
きるものであればなお有利である。更に、外部からのパワー又はエネルギーを必
要とすることなくそれ自体で独立して作動することができる自蔵式又は自立式で
、かつ、支持構造体に恒久的に又は一時的に固定する必要なしに所望の環境に置
くことができる加湿器を提供することができれば、非常に有益であろう。

【０００７】発明の概要本発明は、水を雰囲気中へ蒸発させるための化学組成物又は化合物及び装置及
び方法に関する。本発明による化学組成物又は化合物は、水を、重炭酸ナトリウ
ムのような少くとも１種類の水溶性物質と、又はアセチルサリチル酸のような弱
酸と、又は、それらの混合物と組み合わせる又は結合させることによって生成さ
れる。例えば、水と、重炭酸ナトリウムと、アセチルサリチル酸とを組み合わせ
ることによって生成される水成組成物は、空気中の湿度を、さもなければ期待で
きないような高いレベルにまで上昇させ、維持するのに有用であることが判明し
た。

【０００８】本発明は、又、例えば食物や植物等を含むいろいろな種類の腐敗性（腐敗し易
い）製品又は生鮮食料品の有効寿命又は棚持ち（貯蔵又は保存寿命）を延長する
ために上記水成組成物を用いるための方法に関する。（ここでいう「腐敗性製品
」とは、加工又は調理された食物、天然の農水産物を含む、腐敗し易い物質のこ
とをいう。）例えば、上記水成組成物は、食料品店、レストラン、冷蔵又は冷凍
トラック又はその他の場所において野菜果物やその他の農水産物又は天然の産物
にスプレーするか、あるいは、何らかの方法で直接付与又は塗布することができ
、それによって、野菜果物やその他の天然産物の鮮度をより長い時間維持するこ
とができる。

【０００９】本発明の他の側面によれば、上記水成組成物は、又、複数の穴を有し、水吸収
性の吸収材を包む実質的に剛性のシェル（外殻）を備えた蒸発器に適用すること
もできる。蒸発器への水成組成物の適用は、少くとも２つの包括的な方法のうち
の１つによって実施することができる。第１の方法によれば、蒸発器内に収容す
る吸収材に、その製造中又はその他の時点で重炭酸ナトリウムとアセチルサリチ
ル酸を含有させることができる。この場合、水を吸収材に付与すると、上記水成
組成物が蒸発器内で生成される。第２の方法によれば、上記水成組成物を蒸発器
の外部で生成し、その後、その水成組成物を吸収材に付与する。蒸発器内に本発
明の水成組成物を収容したならば、その蒸発器を、湿気を導入し又は維持すべき
どのような場所にでも置くことができる。

【００１０】本発明の蒸発器は、在来の加湿器に比べて重要な利点を提供する。即ち、本発
明の蒸発器は、電力又はその他の外部エネルギー源を必要としない自立式ユニッ
トである。従って、この蒸発器は、在来の加湿器が実用的でなく、あるいは、使
用不能であったような多くの環境下で使用することができる。本発明の蒸発器の
製造コスト及び稼働コストは、構造が簡単であること、運動部品がないこと、及
び、電気無しで作動することができることなどの理由から、従来の加湿システム
製造及び稼働コストに比べて著しく安い。本発明の蒸発器のもう１つの利点は、
その可搬（ポータブル）性と、いろいろな異なる場所で再使用可能なことである
。

【００１１】本発明の水成組成物は、多くの用途に使用できることが判明している。例えば
、本発明の蒸発器又は蒸発装置は、農水産物貯蔵所、農水産物輸送トラック、冷
蔵庫等に湿気を導入するのに用いることができ、それによって、農水産物の有効
寿命又は保存寿命を従来可能であったより長くすることができる。本発明は、ま
た、むき出しの（包装されていない、又は、容器内に収納されていない）冷蔵肉
、魚、海産食物、チーズ及びその他の食物の早期の変色や傷み又は腐敗を防止す
るのにも適用することができる。本発明によれば、クッキー、パン、ケーキ、赤
砂糖、トルティヤ（メキシコの主食、トウモロコシ粉の円い薄焼き）、及びその
他の乾燥又は非冷蔵食物の保存寿命を延長することができる。

【００１２】本発明の水成組成物及び蒸発器は、人間環境にも適用することができる。例え
ば、本発明の水成組成物及び蒸発器は、呼吸気管が乾燥するのを防止するために
睡眠中の人間の傍に置くことができる。そのよう技法は、喘息や呼吸器系統の疾
患を有する人を治療するのに特に有利である。補給酸素依存患者に送給される酸
素流内に１基又は複数基の蒸発器を置けば、その補給される酸素の湿度（酸素中
に含有される湿気の量）を高めることができ、さもなくばそのような患者に起こ
りがちな呼吸器系統の顕著な乾燥を防止することができる。上述したどの例にお
いても、本発明の蒸発器は、低コスト、可搬性、電力消費無し、及び再使用性と
いう利点を提供することができる。

【００１３】本発明の上記及びその他の目的、特徴及び利点は、添付図を参照して以下に記
述する本発明の実施形態の説明から一層明らかになろう。

【００１４】好ましい実施形態の説明本発明は、水を雰囲気中へ蒸発させるための化学組成物及び装置及び方法に関
する。本発明による化学組成物は、水を、重炭酸ナトリウムのような少くとも１
種類の水溶性物質と、又はアセチルサリチル酸のような弱酸と、又は、それらの
混合物と組み合わせることによって生成される。例えば、水と、重炭酸ナトリウ
ムと、アセチルサリチル酸とを組み合わせることによって生成される水成組成物
は、空気中の湿度を、さもなければ期待できないような高いレベルにまで上昇さ
せ、維持するのに有用であることが判明した。

【００１５】本発明は、又、例えば食物や植物等を含むいろいろな種類の腐敗性製品又は生
鮮食料品の有効寿命又は棚持ち（貯蔵又は保存寿命）を延長するために上記水成
組成物を用いるための方法に関する。例えば、上記水成組成物は、食料品店、レ
ストラン、冷蔵又は冷凍トラック又はその他の場所において野菜果物やその他の
農水産物又は天然産物にスプレーするか、あるいは、何らかの方法で直接付与す
ることができ、それによって、野菜果物やその他の天然産物の鮮度をより長い時
間維持することができる。

【００１６】本発明の水成組成物は、水を雰囲気中へ好便に蒸発させるために蒸発器と組み
合わせて用いることができる。本発明の蒸発器は、吸収材を包む又は収容する実
質的に剛性のシェル（殻体）を備えたものとすることができる。シェルの外部と
内部の間で空気の流通を可能にするためにシェルに複数の穴が穿設される。本発
明の水成組成物を蒸発器内の吸収材に付与すれば、その蒸発器は、周囲環境の湿
気レベルを増大又は維持するために任意の選択された場所に置くことができる。

【００１７】本発明の蒸発器は、自立式で、ポータブルであり、任意の場所に設置し、又そ
こから撤去することができる。本発明の蒸発器の好ましい実施形態は、電力源又
はその他の外部パワー源を必要としないという点で受動的である。その代わり、
本発明の蒸発器は、湿気を導入すべき実質的にどんな環境にでも設置することが
でき、電気エネルギー無しで作動することができる。

【００１８】本発明の水成組成物は、多くの用途に使用できることが判明している。本発明
の範囲は、ここに開示された技術に従って特定の選択された環境へ湿気を導入す
るための方法にも及ぶ。例えば、本発明の水成組成物は、商用環境においても消
費者環境においても野菜やその他の農水産物の保存寿命を延長するのに用いるこ
とができる。又、本発明の蒸発器は、冷蔵環境において肉、魚、海産食物、チー
ズ及びその他の酪農製品及びその他の食物を保存するのに用いることができる。
本発明の水成組成物は、又、冷蔵環境においてであれ、非冷蔵環境においてであ
れ、パン、クッキー、赤砂糖、トルティヤ等の乾燥食物の保存寿命を延長し、そ
れらの風味及びその他の特性を保存するのに用いることができる。更に、本発明
の水成組成物を用いれば、ロースト肉、ホットドッグ等の加熱食物の外観及び風
味を本発明によらざれば不可能な長期間に亙って維持することができる。

【００１９】本発明の水成組成物は、食物保存機能の他に、人間環境を調整し、患者に湿気
を送給するのにも用いることができることが判明している。例えば、本発明の蒸
発器を就寝中の人間の傍に置けば、その人の周囲環境に湿気を導入することがで
き、特に喘息や呼吸器系統の疾患を有する人の呼吸能力を改善することができる
。又、別の例として、補給酸素依存患者に送給される酸素流内に１基又は複数基
の蒸発器を置けば、その補給される酸素流に湿気を付与することができ、そのよ
うな患者に起こりがちな呼吸器系統の乾燥を防止又は排除することができる。

【００２０】 I. 水成組成物一実施例においては、水と、アスピリン（アセチルサリチル酸）と、重炭酸ナ
トリウム（重曹）とを組み合わせることによって生成される水成組成物を用いて
、環境内への湿気の蒸発を促進し、かつ、蒸発時間を長くする。アセチルサリチ
ル酸と重炭酸ナトリウムの量及び割合は決定的に重要な要素ではないが、本発明
は、アセチルサリチル酸と重炭酸ナトリウムとを約５０重量％対５０重量％から
約１０重量％対９０重量％迄の範囲の相対量で混合又は組み合わせることによっ
て実施することができる。例えば、これらの２つの物質を、アセチルサリチル酸
約２０重量％、重炭酸ナトリウム約８０重量％の割合で混合することが、ある種
の実施例においては好ましいが、アセチルサリチル酸と重炭酸ナトリウムをそれ
以外の相対量とすることも、完全に適切であり、本発明の範囲内である。

【００２１】本発明者はいかなる特定の作動原理にも制限されたくはないが、現在のところ
、雰囲気中への水の蒸発を高める本発明の原理は、下記の物理的過程に因ると考
えられる。重炭酸ナトリウムは水に溶解したとき（イオンに）解離し、それによ
って水の氷点（凝固点）を降下させる種（種類の物質）の一例である。本発明の
水成組成物を純水の氷点温度又はそれに近い温度で使用すると、重炭酸ナトリウ
ムの凝固点降下作用により水成組成物を液体状態に維持することができ、それに
よって、水の蒸発を継続させることができる。本発明の実際に観察される作用効
果を創生する原因がそのような物理的過程に因るものであるかどうかに関係なく
、本発明の水成組成物は雰囲気中に湿気を創生し維持する効果があることは事実
として観察されている。

【００２２】一般的にいえば、本発明の範囲は、水に溶解する任意の適当な物質（例えば、
非電解質）を組み合わせることによって得られる水成組成物にまで及ぶが、本発
明に用いる水溶性物質は、電解質であることが好ましく、重炭酸ナトリウムが最
も好ましい。特定的にいえば、本発明の好ましい組成物は、水と、重炭酸ナトリ
ウムと、アセチルサリチル酸とを組み合わせることによって生成される水成組成
物である。電解質が水に溶解したときに創出するイオンの数は、特に水成組成物
を純水の氷点温度又はそれに近い温度で使用する場合、重炭酸ナトリウムに代え
るべき他の電解質を選択する上で考慮すべき１つの要素である。一般に、イオン
の数が多いほど、凝固点降下作用が大きく、氷点温度が低くなる。水成組成物を
食物に近接させて使用する場合は、考慮すべきもう１つの要素は、その電解質又
は他の水溶性物質が食物にとって安全であるかどうか、そして食物に使用するこ
とを認可されているものであるかどうかということである。より特定的にいえば
水に溶解する種（種類の物質）は、蒸発によって適正なレベルの湿気を付与すべ
き食物に近接又は接触して用いるのに適合したものであることが好ましい。重炭
酸ナトリウムは本発明の水成組成物を生成するのに用いるための有用な溶質であ
るが、本明細書中の説明から当業者には明らかなように、本発明の範囲は、重炭
酸ナトリウム以外の水溶性物質にも及び、本発明は他の水溶性物質によっても実
施することができる。

【００２３】本発明の他の実施例においては、重炭酸ナトリウムのような溶質をアセチルサ
リチル酸の存在下で水と組み合わせることによって水成組成物を生成する。更に
他の実施例によれば、水とアセチルサリチル酸とを重炭酸ナトリウムの存在下で
組み合わせることによって水成組成物を生成する。

【００２４】本発明の更に他の実施例においては、水と、重炭酸ナトリウムのような少くと
も１種類の水溶性物質と、少くとも１種類のセルロース系物質、又はでんぷん系
物質、又はたんぱく質系物質とを混合することによって水成組成物を生成する。
セルロース系物質は、セルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、及びそれらの混合物、及びそれら
の誘導体から成る群から選択することができる。でんぷん系物質は、でんぷん、
アミロペクチン、アミロース、シーゲル（ｓｅａｇｅｌ）、酢酸でんぷん、ヒ
ドロキシエチルエーテルでんぷん、イオン化でんぷん、長鎖アルキルでんぷん、
デキストリン、アミンでんぷん、燐酸でんぷん、ジアルデヒドでんぷん、及びそ
れらの混合物、及びそれらの誘導体から成る群から選択することができる。たん
ぱく質系物質は、プロラミン、コラーゲン誘導体、ゼラチン、膠、カゼイン、及
びそれらの混合物、及びそれらの誘導体から成る群から選択することができる。

【００２５】 II. 水成組成物の用途本発明の水成組成物は、任意所望の用途において雰囲気中に湿気を導入し維持
するのに用いることができる。一実施例においては、食物を収容したスペース内
に水成組成物を用いることができ、それによって、食物の環境内に創出される湿
気の量を増大させ、維持する。そのような方法を実施するために、技術者は、水
成組成物を保存すべき食物に近接したところに置く。ここでいう「近接」とは、
水成組成物を直接食物の上に載せることも含み、又、水成組成物を蒸発器内又は
蒸発器上に置いてその蒸発器を食物を収容したスペース内に配置することも含む
。

【００２６】本発明の水成組成物を用いて有効寿命又は棚持ちを延長することができる食物
の例としては、野菜、果物、肉、魚、海鮮食物、チーズ及びその他の酪農製品、
パン、クッキー、赤砂糖、トルティヤ、調理済みホットドッグ、及びそれ等に類
する食物がある。以上のリストは、例として挙げただけであり、本発明を限定す
るためではない。又、上述した食物には、冷蔵されたもの、室温又は室温近くで
貯蔵されたもの、及び加熱環境で貯蔵されたものが含まれる。

【００２７】ここで、「冷蔵」という用語は、普通に理解されている意味で用いられており
、農水産物、食肉、酪農製品等が食物産業において慣用的に貯蔵されている低温
を意味する。食物産業の慣例による特定の冷蔵又は加熱要件なしに貯蔵される食
物の一例は、室温又は室温近くの温度で貯蔵される食物である。

【００２８】ここでいう「加熱環境」とは、食物の腐敗又は傷み又は食物中のバクテリアの
繁殖を防止する目的で室温より高い温度にまで加熱された環境をも含むものとす
る。例えば、ローストチキンや調理済みホットドッグは、通常、分又は時間単位
の時間加熱環境内に保存される。

【００２９】又、ここでいう食物の棚持ちの保存とは、切り花等の、通常は冷蔵されるか、
あるいは、腐り易い他の製品の保存にまで及ぶ。更に、本発明の水成組成物及び
そのいろいろな使用方法は、生きた植物のための育成条件を向上させるために、
温室又はその他の制御された環境内で実施することもできる。

【００３０】Ａ．直接付与本発明の一実施形態においては、本発明の水成組成物は、食物に直接付与され
る。例えば、食物は、トラックに搭載された、又は小売店の店内又は施設内に設
置された冷蔵ユニット内、食料品店の陳列ケース内、レストラン内、又は他の任
意の場所に置くことができるが、本発明の水成組成物の直接付与は、それを野菜
又はその他の農産物に水をスプレーするのに慣用されているノズル付きホースか
らスプレーすることによって実施することができる。

【００３１】水成組成物のそのような直接付与は、野菜、果物、切り花、食肉、魚、海鮮食
物、チーズ及びその他の食物の有効寿命又は棚持ちを延長することとと、それら
の食物の早期の変色や傷み又は腐敗を防止するという二重の効果をもたらすこと
ができる。第１に、水成組成物は、雰囲気中への水の蒸発を促進するとともに、
蒸発の継続時間を延長する。第２に、水成組成物は、食物に直接接触し、それに
よって食物の水分含有を存続させる。

【００３２】Ｂ．蒸発器本発明の別の実施形態においては、本発明の水成組成物は、図１Ａに示される
ような蒸発器に付与されるか、又は、蒸発器内又は蒸発器上に付与される。蒸発
器１０は、吸収材１４を包む又は収容する実質的に剛性のシェル（外殻）１２（
一部破除して示されている）を備えている。シェル１２には、シェルの内部と外
部の間で気体の流通を可能にするために１つ又は複数の穴１６が貫通穿設されて
いる。複数の穴１６を不規則に又は規則的に間隔を置いて穿設することが好まし
い。穴１６のサイズは、吸収材１４が使用中シェル１２の外部へ突出するのを防
止し、かつ、蒸発器１０の置かれる周囲環境の物体が吸収材１４に接触するのを
防止するように選択することができる。シェル１２の穴１６の個数及びサイズは
、シェルの内部と外部の間の空気流量を増減させるために選択することができ、
それによって水の蒸発速度を制御する手段の１つとすることができる。

【００３３】吸収材１４は、水を雰囲気中へ蒸発させることができるような態様で水成媒体
（水成組成物）を保持することができるものであれば、実質的にどんなものであ
ってもよい。吸収材１４の好適な例としては、家庭環境において普通に用いられ
ている天然スポンジや合成スポンジ等が挙げられる。吸収材１４が天然又は合成
スポンジから成るものである場合は、それを複数の立方形又はその他の規則的又
は不規則形状の塊体又は部片に分割することができる。その一例が図１Ａに示さ
れている。吸収材１４を図に示されるように複数の部片に分割することは、それ
らの各部品の周り及び部品と部品の間に空気を通流させることができ、かつ、水
分を蒸発させることができる吸収材の露出表面積を増大させるという利点をもた
らす。

【００３４】好ましい実施形態では、個々の吸収材部片の間、並びに、吸収材１４とシェル
１２の間の隙間がなくなるほど密には吸収材１４をシェル１２内に充填しない。
シェル１２内に若干の空間を残すこのにより蒸発器１０を通しての十分な空気の
流れを可能にし、それによって、水分の蒸発を高めることができる。充填度の配
慮は、吸収材１４が水分に露呈されると膨潤又は膨張する性質のものである場合
は特に重要である。例えば、吸収材１４は、多くの場合、乾燥した状態でシェル
１２内に充填され、充填時の吸収材のサイズは、それが後に水に露呈されたとき
のサイズより相当に小さい。

【００３５】シェル１２は、蒸発器１０を使用すべき環境に応じて、多数の材料の中から任
意に選択された材料で構成することができる。一実施例においては、シェル１２
は、実質的に剛性の熱可塑性又は熱硬化性プラスチック材で製造される。シェル
１２の素材を選択する上で考慮すべき要素は、耐水性、耐久性、耐摩性、及び、
その蒸発器１０伸しよう環境において遭遇することが予測される物質に対する不
活性である。シェル１２の素材として使用することができるその他の材料の例と
しては、金属、あるいは用途によっては木材等がある。

【００３６】水成組成物は、少くとも２つの技法のうちの１つに従って蒸発器１０に付与さ
れる。第１の技法では、重炭酸ナトリウム及びアセチルサリチル酸のような最終
的に水に溶解する物質は、吸収材１４の製造工程中又は製造後に、かつ、水を蒸
発器１０内へ導入する前に、吸収材１４のところに又はその中に堆積又は塗布又
は投与（ｄｅｐｏｓｉｔ）することができる。この技法によれば、水成組成物を
生成する操作は、水を吸収材１４に付与して重炭酸ナトリウム及びアセチルサリ
チル酸のような１種類又はそれ以上の種類の溶質と混合させたときに実施される
。例えば、水の導入は、蒸発器１０を一定容量の水の中に浸漬させるか、蒸発器
１０の上に水を注ぐことによって行うことができる。いずれの場合にも、水は、
穴１６を通って蒸発器１０内に入り、吸収材１４によって吸収される。水の一部
又は全部が最終的に吸収材１４から蒸発するが、それによって、蒸発器１０から
の蒸発速度を低下させる。ただし、この実施形態では、水成組成物を吸収材１４
に再付与（補給）することによって蒸発器１０を容易に再生（蒸発器に水成組成
物を再装填）することができる。再生と蒸発サイクルが反復される間、重炭酸ナ
トリウム及びアセチルサリチル酸は吸収材１４のところに残留することができる
ことが判明している。従って、蒸発器１０を再生する操作は、大抵の場合、単に
、残留重炭酸ナトリウム及びアセチルサリチル酸を含有している吸収材１４に水
を再付与するだけである。

【００３７】水成組成物を蒸発器１０に付与する第２の技法によれば、水を重炭酸ナトリウ
ム（又は他の電解質）及びアセチルサリチル酸と組み合わせることによって水成
組成物を蒸発器１０の外部で生成する。例えば、技術者が一定容量の水成組成物
を生成し、同じ技術者がその組成物を蒸発器１０に付与してもよく、あるいは、
別の技術者が製造した水成組成物を最終ユーザーに頒布してもよい。この第２の
技法の場合は、水成組成物を蒸発器１０に付与する操作は、一定容量の蒸発器１
０を水成組成物の中に浸漬させるか、水成組成物を蒸発器１０の上に注ぐことに
よって行うことができる。

【００３８】蒸発器１０に水が付与されたならば、蒸発器１０は、周囲環境へ湿気を供給す
るのに使用できる準備態勢が整ったことになる。蒸発器１０は、吸収材１４の表
面からシェル１２内の空気中へ水が蒸発していくのに伴って周囲環境内へ湿気を
導入する。穴１６は、加湿された空気をシェル１２の内部から流出させるととも
に、水蒸気を外部環境（周囲環境）へ拡散させる働きをする。図１Ａにみられる
ように、蒸発器１０は、電源又はその他のパワー供給源を必要としないという意
味で完全に受動的なデバイスとすることができる。しかも、多くの場合、蒸発器
１０は、その周りに空気流を創生するためのファン又はその他の機器を用いるこ
となく、適量の湿気を供給することができる。もちろん、場合によっては、任意
の外部装置を用いて蒸発器１０を被い、それを貫通する空気流を誘引させること
により周囲環境への水分の蒸発及び導入を高めるようにするることもできる。

【００３９】本発明の蒸発器の１つの利点は、電動加湿器を使用することが実用的でないか
、望ましくないか、あるいは不可能であるような環境においても使用することが
できることである。本発明の蒸発器のもう１つの利点は、電気エネルギーを必要
とする加湿器に比べて、製造コスト及び稼働コストが安いことである。

【００４０】蒸発器１０は、実質的に任意所望のサイズ及び形状とすることができる。図１
Ａの蒸発器１０は球形状とされているが、その他の形状を用いることもできる。
実際、球形状以外の形状が望ましい場合も多々ある。例えば、立方形、角錐形、
角柱形等は、蒸発器が転がって動いてしまう可能性を少なくすることができる。
いずれにしても、形状の如何に拘わらず、本明細書に開示された原理に従って構
成された蒸発器はすべて本発明の範囲に包含される。

【００４１】図１Ｂは、図１Ａの蒸発器１０とは異なる形状を有する蒸発器１１０の一例を
示す。蒸発器１１０は、形状以外の点ではすべて蒸発器１０に類似したものとす
るか、それと同じものとすることができる。例えば、蒸発器１１０は、吸収材１
１４を実質的に囲包するシェル１１２を有する。シェル１１２は、その内外間の
空気の流れを可能にする１つ又は複数の穴１１６を有する。

【００４２】蒸発器１０及び１１０は、ユーザーが持ち上げて水の中へ容易に浸漬させるこ
とができるように十分に小さいサイズとすることが望ましい場合が多いが、所望
に応じて大きいサイズとすることもできる。立方体の表面積は、その立方体の直
径の大きさに比例して増大しない。従って、本発明の蒸発器の蒸発効率を高める
には、単一の大型蒸発器ではなく、幾つかの小型の蒸発器を設けるのが有利であ
る場合が多い。

【００４３】蒸発器１０及び１１０は、自立式でポータブルであるため、１回の使用と次の
使用との間で比較的容易に殺菌することができる。例えば、蒸発器１０及び１１
０は、沸騰水の中に浸漬させてもよく、あるいは、他の熱的又は化学的殺菌手段
にかけることもできる。

【００４４】図２は、雰囲気中へ湿気を導入し維持するために図１Ａの蒸発器１０及び水成
組成物を用いる本発明の方法の一実施例を示すフローチャートである。工程４６
として示されるように、アセチルサリチル酸及び重炭酸ナトリウムのような１種
類又は複数種類の物質を蒸発器の吸収材に付与する。工程４８において、吸収材
をシェル内に入れる。又は、吸収材をシェルによって包む。この段階で、蒸発器
の製造が完了し、使用準備が整う。

【００４５】工程５０において、蒸発器を水中に浸漬させるか、あるいは、蒸発器の上に水
を注ぐことによって吸収材に水を付与する。その水の一部が吸収材によって吸収
され保持される。次いで、工程５２において、蒸発器を湿気の導入を必要とする
選択された環境内に置く。工程５４によって示されるように、上述した原理に因
り蒸発器から周囲環境内へ湿気が放出される。置かれた環境の性質にもよるが、
吸収材は最終的に完全に乾いてしまうので、その時点で蒸発器を再生（再装填）
することができる。判定ブロック５６に従って、蒸発器を再生する必要がある場
合は、工程５０へ戻って工程を反復する。

【００４６】Ｃ．パレット本発明の他の実施形態においては、水成組成物を、図１Ａに示された蒸発器の
ような単体構造ではなく、パレットに付設された、又はパレット内に一体に組み
込まれた蒸発器に付与する。パレットとそれに組合わされた複数の蒸発器の一例
が図３に示される示されている。パレット１２０は、果物、野菜、その他の腐敗
性食物や、花及びその他の腐敗性製品の箱又はクレートを搬送又は貯蔵するのに
用いることができる。パレット１２０は、輸送業、倉庫業及び食物産業において
広く用いられている慣用のパレットに多くの点で類似したものであってよい。図
３の例では、パレット１２０は、その上に載せるべき箱やクレートを支持するた
めの支持表面１２４を提供する本体１２２を有する。本体１２２は、輸送又は保
管中腐敗性製品を支持するための支持手段の一例を代表するものである。更に、
パレット１２０は、フォークリフトの歯を受容するように形成された細長いチャ
ンネル又は溝１２５を有するものとすることができる。ただし、パレット１２０
の基本的構造及び腐敗性製品を支持するための支持手段は、図３に示される形態
とは異なる形態とすることができることは言うまでもない。パレット１２０は、
熱可塑性おあ熱硬化性プラスチック材又はその他の合成材料で形成することがで
き、あるいは、木材又はその他の適当な材料で形成してもよい。

【００４７】パレット１２０の、慣用のパレットにはみられない１つの特徴は、パレット１
２０は雰囲気中へ水を蒸発させるための１つ又は複数の蒸発器１２６を受容する
ように、又は、それらに付設されるように、又は、それらを一体的に形成するよ
うに構成されていることである。蒸発器１２６は、図１Ａ及び図１Ｂの蒸発器１
０，１１０の基本構造に類似した基本構造を有している。即ち、蒸発器１２６は
、吸収材を実質的に囲包するシェル１２８を有する。シェル１２８は、その内外
間の空気の流れを可能にするために貫通穿設された１つ又は複数の穴１３４を有
する。

【００４８】図３の実施形態では、パレット１２０は、その本体１２２に、複数の蒸発器１
２６を受容するように形成された複数のチャンバー１３４を有する。各チャンバ
ー１３４は、蒸発器１２６出し入れするために開放することができ、蒸発器１２
６を所定位置に固定するために閉鎖することができる可動パネル１３６を有して
いる。これらのパネル１３６及びパレット１２０の他の適当な部位に、蒸発器１
２６と周囲環境との間で空気を流通させるための複数の開口１３８が形成されて
いる。

【００４９】パレット１２０は、腐敗性製品を搬送又は貯蔵のために収容しているスペース
へ湿気を供給するために用いることができる。上述した本発明の水成組成物を蒸
発器１２６の吸収材１３０に付与する。かくして、雰囲気（周囲空気）中への水
の蒸発が増大され、蒸発継続時間が延長され、それによって、パレット１２０上
に支持されている腐敗性製品の有効寿命を延長することができる。

【００５０】本発明のパレット及びそのパレットに蒸発器を固定するための構造は、図３に
示される例示された特定の実施形態とは異なる形態とすることができる。従って
、本発明の範囲は、ここに開示された本発明の水成組成物及び蒸発器と組み合わ
せて使用するように適合されたいかなるパレットにも及ぶ。

【００５１】本発明のパレットは、任意所望の環境内に使用することができる。例えば、本
発明のパレットは、本発明の蒸発器及び水成組成物の保存作用に鑑みて、本発明
を適用しなければ、より速い、よりコストのかかる輸送方法を必要とするような
腐敗性製品を船舶又はトラックで搬送するのに使用することができる。

【００５２】Ｄ．クレート従来、切り花は、アイス内に詰められ、フォーム（発泡）構造材で形成された
実質的に気密のクレート内に入れられて栽培者から小売店へ搬送されている。こ
の方法でも、多くの場合、花がしおれるのを十分に防止するが、一部の花がアイ
スとの直接接触に起因する霜焼けによって損傷されることもしばしばある。

【００５３】図４は、輸送中切り花を保存するように構成されたクレートを示す。クレート
１４０は、ワイヤ、プラスチック、木材又はその他の適当な材料で形成された複
数の構造部材１４２を有する。構造部材１４２は、切り花を収容するためのクレ
ート１４０の内部空間を画定する。クレート１４０には、本発明の水成組成物を
担持することができる蒸発器１４４又はここに開示された他の蒸発器に類似した
特徴を有する１つの蒸発器が、着脱自在に、又は、クレートと一体化された形態
で設けられる。

【００５４】輸送中切り花を保存するためにクレート１４０を用いれば、切り花の有効寿命
を延長することができる。輸送前に、蒸発器１４４に本発明の水成組成物を装填
し、花をクレート１４０内に入れる。この技法によれば、花の輸送にアイスの使
用を不要にすることができ、それによって、斯界において従来しばしば経験して
きた霜焼けによる損失を回避することができる。

【００５５】 III. 使用例本発明の水成組成物の用途範囲を例示し、その使用によって派生する利点を具
体的に説明するために、以下に本発明の水成組成物の幾つかの用途を説明する。
以下の各例は、特に断らない限り、本発明の水成組成物と組み合わせての蒸発器
の使用を例示するものである。ただし、ある種の環境下では、水だけを用いて、
又は、水をアセチルサリチル酸のみと組み合わせて用いて、又は、水を重炭酸ナ
トリウム又は他の適当な電解質のみと組み合わせて用いても、劇的な効果ではな
いが、質的に類似した効果が観察された。本発明の範囲は、ここに開示した用途
の他に、そのような用途をも包含する。

【００５６】例１図５は、農産物の棚持ちを延長させるために用いられる本発明の蒸発器を示す
。この蒸発器１０は、図１Ａを参照して上述したように構成され、水を付与する
ことによって賦活される。図５に示されるは、農産物クレート１８が一部破除さ
れた透視図で示されている。クレート１８には、この例では、収穫された後詰め
られたレタス２０を収容しており、消費者に販売する小売店へ出荷できる状態に
ある。農産物業界において周知のように、レタスを始めその他の野菜及び農産物
の棚持ちは限られており、規定の時間内に消費者に販売しなければならない。こ
のように棚持ちが限られていることが、輸送費用及び取り扱い費用を増大させる
要因となっている。農産物を短時間のうちに消費者に届けなければならないから
である。

【００５７】レタスは、畑から収穫されてから４、５日以内に消費者に販売することが農産
物業界の標準慣行である。従って、レタスは、通常、収穫後約７２時間以内に小
売店へ輸送される。この約７２時間以内という基準が、レタスを特定の栽培地域
からトラックで輸送することができる距離を制限することになる。更に、レタス
栽培地域から地理的に比較的離れた地域へは、７２時間以内に届けるためにはレ
タスをほぼ昼夜兼行で輸送しなければならない。このような厳しい輸送慣行と、
時折生じる農産物の腐敗とが相俟って、消費者レベルでの農産物の価格に跳ね返
ってくる。

【００５８】レタス２０又はその他の農産物を出荷する前にクレート１８内に蒸発器１０を
挿入することにより、農産物の腐敗やその他の劣化を防止することができること
が認められた。蒸発器１０をレタス２０又はその他の農産物の環境内、特に図５
に示されるような密閉空間内に挿入した場合、その環境内へ導入される湿気が、
農産物に保存効果を与える。例えば、本発明の水成組成物と蒸発器を用いれば、
農産物の通常の棚持ちを１〜３日以上延長させることができることが判明した。

【００５９】又、レタスを輸送する冷蔵トラック内に蒸発器１０を置いた場合にも、農産物
に同様の保存効果を与えることが判明している。更に、蒸発器１０は、又、食料
品店の冷蔵ユニット内に保存された、又は、冷蔵陳列ケース内に陳列されたのう
さんぶつの棚持ちを延長させることができることも、実験によって証明された。

【００６０】図５に示されるような冷蔵農産物環境へ湿気を送給することは、冷蔵トラック
やその他の冷蔵庫内に電動加湿システムを単に置くことに比べて大きな利点を有
する。例えば、本発明の蒸発器１０は、電動システムを用いては今まで不可能で
あった図５に示されるような個々のクレート内に好便に置くことができる。更に
、本発明の蒸発器製造及び稼働コストは、電動加湿システムの製造コスト及び稼
働コストに比べて大幅に安い。しかも、蒸発器１０は、クレート１８がトラック
内の空間から小売店の冷蔵ユニットへ移された後もクレート１８内にそのまま残
しておくことができる。そのような論理的な利点は別として、事実として、本発
明の蒸発器の使用は、レタス及びその他の農産物の有効寿命を在来の電動加湿シ
ステムによって達成されていたより十分に長くすることができることが判明した
。

【００６１】図５は蒸発器１０をレタスに対して使用した場合を例示しているが、本発明は
、他の辞したにいかなる種類の野菜に対しても、又、果物に対してもその有効寿
命を延長するために実施することができる。本発明の保存効果は、水成組成物を
担持した蒸発器を冷蔵トラック、食料品店のウオークイン冷蔵ユニット、又はそ
の他の冷蔵環境内に置いた場合等を含め、いろいろな状況において認められる。

【００６２】例２一実験において、ここに開示された蒸発器は、レタスの有効寿命を蒸発器なし
の場合のそれより１〜３日延長させることができることが認められた。即ち、本
発明の水成組成物を担持した蒸発器をレタスが保存されている冷蔵ユニット内に
置いたところ、レタス葉の黄色化又はその他の劣化の開始が約１〜３日遅らされ
た。そのような食物保存効能は、農産物産業において大きな利点を提供すること
ができる。小売店への農産物の納品緊急度が軽減されるので輸送コストを削減す
ることができる。更に、小売店は、従来は毎日又は週に数回も農産物積み荷を受
け取るのが普通であったが、本発明を適用すれば、週１回のベースで農産物積み
荷を受け取ることができる。

【００６３】例３一実験において、本発明の水成組成物を一定量の刻みレタスとその他の野菜を
含む新鮮野菜サラダ内に直接挿入した蒸発器に付与したところ、この野菜サラダ
は、蒸発器を挿入しなかったときと比べて、より長い期間鮮度と緑色を保ち、き
れいな外観を保つことが認められた。従って、レストラン経営者は、野菜サラダ
の有効寿命を長くするために本発明を有利に活用することができ、野菜サラダを
作る頻度と、腐らせて廃棄しなければならない食物の量の両方の点でコスト削減
を達成することができる。

【００６４】例４本発明の水成組成物を担持した蒸発器は、いろいろな種類の野菜及び果物の棚
持ちを延長させるために食料品店の開放型冷蔵農産物陳列ケース内に使用するこ
とができることが認められた。一実施例において、本発明の水成組成物を担持し
た幾つかの蒸発器を開放型冷蔵農産物陳列ケース内の後部近くに約２ｆｔの間隔
を置いて配置した。各蒸発器の寸法は、約２ｉｎ×２ｉｎ×２ｉｎであった。

【００６５】この実験において、葉野菜は、蒸発器を挿入しなかったときと比べて、より長
い期間鮮度ときれいな外観を維持した。又、野菜及び果物の有効寿命は、例１〜
３に関連して上述したのと同等の期間延長された。

【００６６】例５小売店の冷蔵切り花陳列ケースに蒸発器を置いた場合にも、花に保存効果を及
ぼすことが認められた。切り花の葉及び及び花弁は、蒸発器を挿入しなかったと
きと比べて、より長い期間美しい新鮮な外観を維持した。特に、カスミソウのよ
うな微細な花は、最も重要な利点のうちの幾つかを享受した。

【００６７】例６本発明の水成組成物を担持した蒸発器は、植物を育成する温室内に設置したと
きにも重要な利点を提供することができる。例えば、本発明の蒸発器は、制御さ
れた環境内で植物の乾燥を抑制することができ、それによって、水やりの頻度を
少なくすることができる。水やりの回数を少なくすることは、植物につくカビや
ウドンコ病菌の繁殖を抑制するとにつながり、従って、植物の全体的な活力を高
める。温室や制御された環境内で栽培される、野菜、花、米等を含む実質的にど
んな植物でも、本発明の水成組成物及び蒸発器の使用によって得られる十分な湿
気の維持から利益を受けることができる。

【００６８】例７図６は、食肉、魚、海鮮食物、チーズ及びその他の冷蔵食物を保存するために
使用される本発明の蒸発器の別の用途を示す。レストラン経営者及び食料品小売
業者は、多くの場合、食肉２２、チーズ２４及びその他の食物を冷蔵陳列ユニッ
ト２６内に陳列する。これらの食物は、消費者に向けて陳列するためにむきだし
のままにされることが多いが、食肉２２やチーズ２４を周囲空気に露呈すると、
食物を変色させ、食物の風味に悪影響を及ぼすこともあるる劣化現象が誘起され
る。

【００６９】冷蔵陳列ユニット２６内に１つ又は複数の蒸発器１０を配置すると、食肉２２
やチーズ２４の変色を抑制し、それらの棚持ちを保存することができることが認
められた。本発明の蒸発器１０の可搬性、再使用性及びエネルギー非消費性は、
ここに開示した他の例において説明したのと同じように、図４の実施形態におけ
る利点の多くを提供する。冷蔵陳列ユニット２６内に蒸発器１０を用いることの
多くの利点のうちの１つは、冷蔵陳列ユニット２６内に入れる食物を長時間むき
だしのままにしておくことができることである。例えば、小売業者やレストラン
経営者は、食肉２２やチーズ２４を所望ならば一晩中むきだしのままに置いてお
くことができ、それでも食物の外観を保存し、その棚持ちを延長することができ
る。本発明の方法のこの実施形態は、小売り段階での他の冷蔵ユニットや、消費
者の冷蔵庫にも適用することができる。

【００７０】食料品店や小売店は、しばしば、薄切り肉、チーズ、ポテトサラダ、卵サラダ
、マカロニサラダ等を総菜陳列ケースに陳列する。本発明を適用しなければ、大
抵の小売業者は、空気にさらされるサラダの表面が乾燥したり変色したりするの
で、ほぼ１時間置きにサラダを撹拌したり反転させたりする必要があると考える
であろう。しかしながら、本発明の水成組成物を担持した蒸発器を用いれば、サ
ラダの新鮮なきれいな外観を維持するために必要とされる反転頻度は、数時間毎
に１回ですむ。

【００７１】例８一実験において、食肉及び海鮮食物に対する保存効果を観察するために、本発
明の水成組成物を担持した、ほぼ２ｉｎ×２ｉｎ×２ｉｎの寸法の蒸発器を図６
の陳列ユニットと同様のサービス食肉陳列ケース内に配置した。これらの蒸発器
は、ケースの長手に沿ってほぼ２ｆｔ間隔で配置した。又、蒸発器からの水分の
蒸発を促進するために、それらの蒸発器を、冷却空気をケース内を通して循環さ
せる空気流ユニットの近傍に配置した。

【００７２】蒸発器を設けた結果として、むきだしの食肉は、蒸発器を挿入しなかったとき
と比べて、より長い期間新鮮な外観を維持した。この効果は、変色及びその他の
損傷に因り食肉の損失を受ける頻度が減少することにつながる。更に、食肉と一
緒に陳列されたケール等の付け合わせ野菜の乾燥及び変色の度合も大幅に減少し
た。例えば、サービス食肉陳列ケースの管理者が付け合わせを交換しなければな
らない頻度は、従来の毎日ベースではなく、５日に１回程度でよいことが認めら
れた。

【００７３】例９図７に示されるように、食物を非冷蔵環境内に保存するのに本発明の蒸発器を
用いることができる。１例によれば、クッキー３０を保存するクッキー瓶２８の
場合、室温で保存すると、クッキーは急激に乾燥してしまうことが従来知られて
いる。そのようなクッキー瓶２８に本発明の蒸発器１０を挿入すると、クッキー
３０の棚持ちを著しく延長させることができることが判明した。蒸発器１０は、
パン、トルティヤ、ケーキ、赤砂糖及びその他の乾燥食物を保存するのにも同様
に用いることができる。

【００７４】例１０一実験において、本発明の水成組成物を担持した図１Ａの蒸発器１０を、硬化
して乾燥し、使用できない状態になってしまった赤砂糖の容器内に入れた。数時
間内に赤砂糖は、明らかに柔らかくなり、新しい赤砂糖とほぼ同じ良好な状態に
なった。

【００７５】例１１別の実験において、フライドチキン、マッシュポテト、マカロニなどの調理済
み食物を保存するために用いられる加熱された陳列ケース内に、本発明の水成組
成物を担持した蒸発器１０を設置した。本発明の蒸発器を使用する前までは、フ
ライドチキンは、水分喪失のために調理後ほぼ１〜１．５時間後に廃棄されるの
が一般的であった。この実験では、複数の蒸発器を加熱された陳列ケース内に配
置したが、それらの蒸発器のうちの幾つかは堆積されたフライドチキンの山の中
に直接挿入し、他の幾つかはフライドチキンと直接接触しない位置に配置した。

【００７６】この実験の結果として、マッシュポテトとマカロニは、蒸発器を使用しなかっ
たときと比べて、より長い期間十分に良好な外観と鮮度を維持することが分かっ
た。更に、フライドチキンは、調理後２〜３時間以上後でも使用可能状態に保た
れるほどにその水分及び外観を維持した。

【００７７】例１２本発明は、人間環境内へ比較的高い湿度を導入し維持するのにも使用できるこ
とが判明した。例えば、本発明の蒸発器は、人間が呼吸する空気中へ湿気を導入
するのに用いることができる。本発明の蒸発器は、図８に示される設定に限定さ
れるものではないが、本発明の特に有用な１つの使用方法は、蒸発器１０を睡眠
中の人間３２の近傍に置くことであることが認められた。この蒸発器１０に水を
装填すると、蒸発器１０は、呼吸気管が乾燥した空気によって乾いてしまうのを
防止するのに十分な水蒸気を雰囲気中へ導入することができる。どのような人で
も図８に示されるような態様で蒸発器１０を使用することによって利益を享受す
ることができるが、この実施形態は、喘息やその他の呼吸器系統の疾患を持つ人
にとっと特に有用である。

【００７８】人間環境の雰囲気へ湿気を送給するために本発明の蒸発器を用いることは、他
の例に関連して上述した利点と同様の顕著な利点をもたらす。例えば、蒸発器１
０は、電気エネルギーを必要としないので、製造及び稼働コストを安くすること
ができる。更に、蒸発器１０は、安全及びその他の実用上の配慮から人間にそれ
ほど近づけて配置することができなかった従来の電動式加湿装置に比べて、人３
２の顔に近接させて配置することができる。実際、蒸発器１０は、人３２のベッ
ドの上にでも置くことができるのに対して、従来の電動式加湿装置は部屋内の離
れた場所に置かなければならない。本発明は、又、他の多くの人間環境のうちの
任意の環境内で実施することができる。

【００７９】例１３図９は、患者に送給される空気流に本発明の蒸発器を用いて蒸発物質を導入す
る本発明の方法の更に別の実施形態を示す。図９は、患者に酸素又は空気を送給
するシステムの一部分を示す。このシステムのチャンバー３４は、雰囲気源又は
気体源から酸素又は空気を導入する入口チューブ３６を有する。雰囲気源は、酸
素タンク、又はファン、又は入口チューブ３６を通して空気流を誘引するその他
の装置であってよい。チャンバー３４は、又、患者に酸素又は空気を送給する出
口チューブ３８を有している。このチャンバー３４内に以下に説明する目的のた
めに１つ又は複数の蒸発器１０を挿入することができる。

【００８０】一実施形態においては、図９のシステムは、酸素補給源に依存する患者に送給
される酸素流内に水蒸気を導入するのに用いることができる。従来、酸素補給流
を必要とする患者は、しばしば呼吸器系統の著しい乾燥と炎症を起こすことが知
られている。本発明によって酸素流に安価に導入される水蒸気がこの問題を大幅
に軽減することができる。入口チューブ３６からチャンバー３４内へ流入しチャ
ンバー３４内で蒸発器１０の周り及びそれらの内部を貫通して流れる酸素内へ水
蒸気が導入される。図９は蒸発器１０が気体の誘引流を有する環境内に用いられ
る場合を示しているので、この例では、誘引流をもたない他の例におけるよりも
水蒸気が導入される速度が高い。

【００８１】例１４本発明の範囲は、蒸発器を用いるための更に他の方法にまで及ぶ。例えば、植
物環境へ水蒸気を導入するためにも、シェルとその中に囲包された吸収材を有す
る蒸発器を用いることができる。そのような植物環境としては、温室、テラリウ
ム等がある。蒸発器を植物環境内に置くことにより、植物に水をやる頻度を少な
くすることができ、望ましい高いレベルの湿気を維持することができる。別の実
施形態においては、蒸発器を、植物の種子の発芽を促進するために、１個又は複
数個の種子を収容することができるように、あるいは、種子の近傍に置くことが
できるように構成することができる。この場合、蒸発器は、種子を蒸発器内又は
その近傍に好便に固定することができるような形状及びサイズとすることができ
る。

【００８２】例１５図９の例は、又、水以外の物質を蒸発させるために蒸発器を用いることができ
る環境をも例示している。即ち、この蒸発器１０の吸収材には、空気又は酸素内
へ蒸発（気化）させることができる医薬を担持させることができる。入口チュー
ブ３６からチャンバー３４内へ流入しチャンバー３４内で蒸発器１０の周り及び
それらの内部を貫通して流れる空気又は酸素流内へ制御された量の医薬を導入さ
せることができる。次いで、医薬を帯同した空気又は酸素を出口チューブ３８を
通して患者の呼吸器系統へ送給することができる。

【００８３】蒸発器１０の吸収材に担持させる医薬としては、気化させることができ、患者
が肺を通して吸入し吸収することができる広範囲の種類の医薬のうちの任意のも
を用いることができる。患者に医薬を送給するために用いられる蒸発器は図１Ａ
及び１Ｂに示された蒸発器とすることができるが、別法として、図１０の蒸発器
４０を用いることができる。蒸発器４０は、図１Ａの蒸発器１０と同様に、複数
の貫通穴１６を有するシェル１２を備えている。この実施形態のシェル１２は、
ウエファー４２を収容している。ウエファー４２は、医薬を吸収するためのガー
ゼ、基板、又はその他の任意の構造物とすることができる。この実施形態では、
シェル１２は、継目４４のところで開封することができる。継目４４は、シェル
１２を開封するための手段の１例である。

【００８４】例えば、継目４４は、シェル１２の２つの半球体を螺合又は着脱自在に係合さ
せる構成として形成することができ、１回の使用と次の使用との間でウエファー
４２を交換することができる。蒸発器４０は図１Ａの吸収材１４ではなくウエフ
ァー４２を有しているが、この蒸発器の作動は、ここに開示された他の蒸発器と
非常に類似している。即ち、空気又は他の気体が穴１６を通ってシェル１２の内
部に流入し、シェル１２内でウエファー４２から蒸発する水蒸気又は医薬を受け
取る。

【００８５】図１１は、患者に医薬を投与するために蒸発器を製造し、それを用いる本発明
の方法の一実施例を示すフローチャートである。図１１の方法は、例えば図９に
示された環境において実施することができる。工程５８において、先に述べた技
法に従って蒸発器のシェル内の吸収材又は他の構造体に医薬を付与する。工程６
０において、蒸発器を図９のチャンバー３４のような蒸発チャンバー内に入れる
。工程６２において、蒸発チャンバー内を通る酸素又は空気の流れを誘引する。
それによって、工程６４において医薬が雰囲気中へ蒸発する。工程６６において
、医薬帯同雰囲気を患者に送給する。次に、工程６９において、患者が医薬を吸
入する。判定ブロック７０で示されるように、この治療を同じ患者に繰り返すか
、他の患者のために実施することができる。その場合、工程５８へ再度進む。

【００８６】以上、本発明を実施形態に関連して説明したが、本発明は、ここに例示した実
施形態の構造及び形状に限定されるものではなく、いろいろな実施形態が可能で
あり、いろいろな変更及び改変を加えることができることを理解されたい。

【図面の簡単な説明】

【図１Ａ】図１Ａは、本発明による蒸発器を示す一部破断された透視図である。

【図１Ｂ】図１Ｂは、図１Ａの蒸発器と同様のものであるが、異なる形状とした、本発明
による蒸発器を示す一部破断された透視図である。

【図２】図２は、雰囲気中へ湿気を送給するための蒸発器を組み立て、後に使用する本
発明の方法の各工程を示すフローチャートである。

【図３】図３は、パレットと、それに組み込まれた複数の蒸発器の透視図である。

【図４】図４は、クレートと、それに組み込まれた１つの蒸発器の透視図である。

【図５】図５は、図１Ａの蒸発器を具備した農産物クレートを示す一部破断された透視
図である。

【図６】図６は、肉とチーズを入れた冷蔵陳列ケースに図１Ａの蒸発器を組み入れた態
様を示す一部破断された透視図である。

【図７】図７は、クッキーを入れたクッキー瓶と図１Ａの蒸発器を示す一部破断された
透視図である。

【図８】図８は、図１Ａの蒸発器が人間環境に使用される態様を示す透視図である。

【図９】図９は、図１Ａの蒸発器を複数基具備した、患者に酸素又は空気を送給するた
めのシステムの一部分を示す一部破断された透視図である。

【図１０】図１０は、医薬を担持したウエファー基板を含む本発明の蒸発器を示す一部破
断された透視図である。

【図１１】図１１は、患者に医薬を送給するための蒸発器を組み立て、後に使用する本発
明の方法の各工程を示すフローチャートである。

【符号の説明】

１０蒸発器１２シェル１４吸収材１６穴１８クレート、農産物クレート２０レタス２２食肉２４チーズ２６冷蔵陳列ユニット２８クッキー瓶３０クッキー３２人間３４チャンバー３６入口チューブ３８出口チューブ４０蒸発器４２ウエファー４４継目１１０蒸発器１１２シェル１１４吸収材１１６穴１２０パレット１２２本体１２４支持表面１２５チャンネル、溝１２６蒸発器１２８シェル１３０吸収材１３４チャンバー１３４穴１３６パネル、可動パネル１３８開口１４０クレート１４２構造部材１４４蒸発器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷＦターム(参考） 3L055 AA10 DA20 4B021 LP01 LT03 MC01 MK13 MP06 4H011 BB06 BB18 BC18 BC19 CA03 CA04 CB10 CB11 CC03 CD03 DH10

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】腐敗性製品の有効寿命を延長させるように雰囲気中へ水を蒸
発させるための方法であって、少くとも水と、水に溶解する１つの種とを組み合わせることによって生成され
る水成組成物を得る工程と、前記水成組成物から腐敗性製品に近接した雰囲気中へ水を蒸発させるように該
水成組成物を該腐敗性製品に近接した位置に置く工程と、から成る方法。
【請求項２】水成組成物を腐敗性製品に近接した位置に置く前記工程は、
該水成組成物を該腐敗性製品に直接付与する工程から成ることを特徴とする請求
項１に記載の方法。
【請求項３】前記腐敗性製品は、食物であり、水成組成物を直接付与する
前記工程は、該水成組成物を該食物上に直接スプレーする工程から成ることを特
徴とする請求項２に記載の方法。
【請求項４】１つ又は複数の穴を貫通穿設されたシェルと、該シェルによって実質的に囲包されており、前記水成組成物を受容する吸収材
とから成る蒸発器を準備し、腐敗性製品に近接した位置に置く前記工程は、該水成組成物を該蒸発器に付与
する工程から成ることを特徴とする請求項１に記載の方法。
【請求項５】水に溶解する前記種は、重炭酸ナトリウムであることを特徴
とする請求項１に記載の方法。
【請求項６】前記水成組成物は、少くとも水と、重炭酸ナトリウムと、ア
セチルサリチル酸とを組み合わせることによって生成されるものであることを特
徴とする請求項４に記載の方法。
【請求項７】水成組成物を得る前記工程は、前記蒸発器の前記吸収材に水
を付与し、該水が、該吸収材に投与されている前記重炭酸ナトリウム及びアセチ
ルサリチル酸と結合することによって該水成組成物を生成する工程から成ること
を特徴とする請求項６に記載の方法。
【請求項８】水成組成物を得る前記工程は、前記蒸発器の前記シェルの外
部で該水成組成物を生成する工程から成ることを特徴とする請求項６に記載の方
法。
【請求項９】前記水成組成物は、少くとも水と、水に溶解する前記種と、
セルロース系物質とを組み合わせることによって生成されるものであり、該セル
ロース系物質は、セルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、及びそれらの混合物、及びそれらの誘
導体から成る群から選択された物質であることを特徴とする請求項１に記載の方
法。
【請求項１０】前記水成組成物は、少くとも水と、水に溶解する前記種と
、でんぷん系物質とを組み合わせることによって生成されるものであり、該でん
ぷん系物質は、でんぷん、アミロペクチン、アミロース、シーゲル、酢酸でんぷ
ん、ヒドロキシエチルエーテルでんぷん、イオン化でんぷん、長鎖アルキルでん
ぷん、デキストリン、アミンでんぷん、燐酸でんぷん、ジアルデヒドでんぷん、
及びそれらの混合物、及びそれらの誘導体から成る群から選択された物質である
ことを特徴とする請求項１に記載の方法。
【請求項１１】前記水成組成物は、少くとも水と、水に溶解する前記種と
、たんぱく質系物質とを組み合わせることによって生成されるものであり、該た
んぱく質系物質は、プロラミン、コラーゲン誘導体、ゼラチン、膠、カゼイン、
及びそれらの混合物、及びそれらの誘導体から成る群から選択された物質である
ことを特徴とする請求項１に記載の方法。
【請求項１２】腐敗性製品の有効寿命を延長させるように雰囲気中へ水を
蒸発させるための方法であって、複数の穴を貫通穿設されたシェルと、該シェルによって実質的に囲包された吸
収材と、該吸収材に投与された組成物とから成る蒸発器を準備する工程と、前記吸収材及び前記組成物に水を付与する工程と、前記蒸発器を前記腐敗性製品に近接した位置に置く工程とから成り、前記組成
物は、少くともアセチルサリチル酸と、該組成物が水に溶解したとき水の氷点を
降下させる働きをする１つの種とを組み合わせることによって生成されたもので
あることを特徴とする方法。
【請求項１３】前記蒸発器は、単体構造であることを特徴とする請求項１
２に記載の方法。
【請求項１４】前記蒸発器は、パレットに一体的に組み込まれていること
を特徴とする請求項１２に記載の方法。
【請求項１５】前記腐敗性製品は、食物であることを特徴とする請求項１
２に記載の方法。
【請求項１６】蒸発器を腐敗性製品に近接した位置に置く前記工程は、該
蒸発器を前記食物が保存されている冷蔵スペース内に置く工程から成ることを特
徴とする請求項１５に記載の方法。
【請求項１７】蒸発器を腐敗性製品に近接した位置に置く前記工程は、該
蒸発器を前記食物が保存されているスペース内に置く工程から成り、該スペース
内の雰囲気は、実質的に室温であることを特徴とする請求項１５に記載の方法。
【請求項１８】蒸発器を腐敗性製品に近接した位置に置く前記工程は、該
蒸発器を前記食物が保存されている加熱されたスペース内に置く工程から成るこ
とを特徴とする請求項１５に記載の方法。
【請求項１９】前記腐敗性製品は、切り花であることを特徴とする請求項
１２に記載の方法。
【請求項２０】前記腐敗性製品は、生きた植物であり、蒸発器を腐敗性製
品に近接した位置に置く前記工程は、該蒸発器を該植物が生育している制御され
た環境内に置く工程から成ることを特徴とする請求項１２に記載の方法。
【請求項２１】前記種は、重炭酸ナトリウムから成ることを特徴とする請
求項１２に記載の方法。
【請求項２２】雰囲気中へ水を蒸発させるための装置であって、少くとも１つの穴を貫通穿設されたシェルと、該シェルによって実質的に囲包された、水吸収性の吸収材と、該吸収材に投与された組成物とから成り、該組成物は、少くともアセチルサリ
チル酸と、該組成物が水に溶解したとき水の氷点を降下させる働きをする１つの
種とを組み合わせることによって生成されたものであることを特徴とする装置。
【請求項２３】前記種は、重炭酸ナトリウムから成ることを特徴とする請
求項２２に記載の装置。
【請求項２４】前記組成物は、少くとも水と、アセチルサリチル酸と、該
組成物を水に溶解させたとき水の氷点を降下させる働きをする前記種とを組み合
わせることによって生成されたものであることを特徴とする請求項２２に記載の
装置。
【請求項２５】前記シェルに取り付けられたパレットを含むことを特徴と
する請求項２２に記載の装置。
【請求項２６】雰囲気中へ水を蒸発させるための装置であって、輸送又は保管中腐敗性製品を支持するための支持手段を含むパレットと、該パレットに取り付けられた蒸発器とから成り、該蒸発器は、水を吸収することができる吸収材と、貫通穿設された１つ又は複数の穴を有し、前記吸収材を実質的に囲包するシェ
ルとから成ることを特徴とする装置。
【請求項２７】腐敗性製品を支持するための前記支持手段は、フォークリ
フトの歯を受容するチャンネルを形成された本体を有することを特徴とする請求
項２６に記載の装置。
【請求項２８】前記本体は、プラスチック材で形成されていることを特徴
とする請求項２６に記載の装置。
【請求項２９】前記蒸発器は、前記吸収材に投与された組成物を含み、該
組成物は、少くともアセチルサリチル酸と、該組成物が水に溶解したとき水の氷
点を降下させる働きをする１つの種とを組み合わせることによって生成されたも
のであることを特徴とする請求項２６に記載の装置。
【請求項３０】前記蒸発器は、前記吸収材に付与された水成組成物を含み
、該水成組成物は、少くとも水と、水と結合したとき水の氷点を降下させる１つ
の種とを組み合わせることによって生成されたものであることを特徴とする請求
項２６に記載の装置。
【請求項３１】水と結合したとき水の氷点を降下させる前記種は、重炭酸
ナトリウムであり、前記水成組成物は、少くとも水と、該重炭酸ナトリウムと、
アセチルサリチル酸とを組み合わせることによって生成されたものであることを
特徴とする請求項３０に記載の装置。
【請求項３２】前記蒸発器は、前記パレットと一体的に形成されているこ
とを特徴とする請求項２６に記載の装置。
【請求項３３】雰囲気中へ水を蒸発させるための装置であって、輸送又は保管中腐敗性製品を保管することができる内部スペースを有するクレ
ートと、該クレートの内部スペースに配置された蒸発器とから成り、該蒸発器は、水を吸収することができる吸収材と、貫通穿設された１つ又は複数の穴を有し、前記吸収材を実質的に囲包するシェ
ルとから成ることを特徴とする装置。
【請求項３４】前記蒸発器は、前記吸収材に投与された組成物を含み、該
組成物は、少くともアセチルサリチル酸と、該組成物が水に溶解したとき水の氷
点を降下させる働きをする１つの種とを組み合わせることによって生成されたも
のであることを特徴とする請求項３３に記載の装置。
【請求項３５】前記蒸発器は、前記吸収材に付与された水成組成物を含み
、該水成組成物は、少くとも水と、水と結合したとき水の氷点を降下させる１つ
の種とを組み合わせることによって生成されたものであることを特徴とする請求
項３３に記載の装置。
【請求項３６】水と結合したとき水の氷点を降下させる前記種は、重炭酸
ナトリウムであり、前記水成組成物は、少くとも水と、該重炭酸ナトリウムと、
アセチルサリチル酸とを組み合わせることによって生成されたものであることを
特徴とする請求項３５に記載の装置。
【請求項３７】前記蒸発器は、前記クレートと一体的に形成されているこ
とを特徴とする請求項３３に記載の装置。
【請求項３８】液体を雰囲気中へ蒸発させるための装置を製造する方法で
あって、アセチルサリチル酸と、水と結合したとき水の氷点を降下させる１つの種とを
組み合わせることによって生成された組成物を吸収材に投与する工程と、前記吸収材を、少くとも１つの貫通穴を有するシェル内に実質的に囲包する工
程と、から成る方法。
【請求項３９】組成物を吸収材に投与する前記工程を、吸収材をシェル内
に囲包する前記工程の前に実施することを特徴とする請求項３８に記載の方法。
【請求項４０】吸収材をシェル内に囲包する前記工程を、組成物を吸収材
に投与する前記工程の前に実施することを特徴とする請求項３８に記載の方法。
【請求項４１】水と結合したとき水の氷点を降下させる前記種は、重炭酸
ナトリウムであり、組成物を吸収材に投与する前記工程は、少くとも水と、前記アセチルサリチル酸と、前記重炭酸ナトリウムとを組み合
わせることによって水成組成物を生成する工程と、該水成組成物を前記吸収材に付与する工程と、水を前記水成組成物から実質的に蒸発させる工程とから成ることを特徴とする
請求項３８に記載の方法。