JP2002526718A - 手動式ポンプ又はコンプレッサ - Google Patents

手動式ポンプ又はコンプレッサ

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JP2002526718A
JP2002526718A JP2000574836A JP2000574836A JP2002526718A JP 2002526718 A JP2002526718 A JP 2002526718A JP 2000574836 A JP2000574836 A JP 2000574836A JP 2000574836 A JP2000574836 A JP 2000574836A JP 2002526718 A JP2002526718 A JP 2002526718A
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ペック,ジュリアン,クロード
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ペック,ジュリアン,クロード
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Abstract

(57)【要約】 プーリ(9)の周囲に巻かれた引張りコードの力で動作させられるポンプ又はコンプレッサを有する装置であり、プーリが軸(11)を駆動し、軸がポンプ又はコンプレッサを駆動する。そして、プーリは、リトラクタ型のバネ(32)、捻じりバー、又は弾性バンドによって巻き戻される。リトラクタバネは、プーリに対し、「同軸かつ同平面」には設置されていない。本発明の原理は、圧縮可能な、または圧縮不能な流体を扱う、往復運動式あるいは回転式のポンプ又はコンプレッサに適用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、手動で操作されるポンプ又はコンプレッサに関し、自転車のタイヤ
に空気を入れる操作、その他、圧縮性流体の圧縮又は移動、非圧縮性流体の移動
などの用途に適したものに関する。
【0002】 上記の用途に適した手動式ポンプについては、先行技術としてすでに多くのも
のが知られている。その中でも、携帯式自転車用ポンプは、多くが容積移送式往
復ポンプ(単一のピストンが単一のシリンダ内で往復運動するもので、ユーザは
直接ピストンを押す、という種類のポンプ)である。以下、このような装置を「
従来型の自転車ポンプ」と呼ぶ。
【0003】 自転車用ポンプの設計に当たっての目標には、以下のようなものがある: ・小型であること ・軽量であること ・製造時の経済性 ・高い圧力を発生させる能力 ・使用時の早さ(所望の圧力にまでできるだけ早くタイヤをふくらませることが
できること) ・使い易さ(手の力がそれほど強くない人でもタイヤを高圧にふくらませること
ができること) ・使用時の利便性(例えば、しゃがまなくともタイヤをふくらませることができ
ること)
【0004】 さらに目標とすべきこととしては、大人よりも子供にとって使用が容易である
、ということが挙げられるだろう。
【0005】 従来の自転車用ポンプには、数多くの不都合がある。特に、ピストンの口径及
びストローク長の選択によっては、設計上の妥協が必要となる。タイヤをふくら
ますには、ある程度の量のエネルギーが必要であり、従来型の自転車ポンプでは
、ユーザが直接ピストンを押すことで空気を圧縮している。空気を圧縮するため
に使われるたエネルギーの大きさは、「力×距離」である。力の値は、タイヤ中
の空気圧及びシリンダの口径によって決まる。距離の値は、ポンプの長さの関数
である。
【0006】 口径が大きくストロークも長ければ、ポンプを使った処理は速くなるが。しか
し、口径が大きいということは、圧力が高くなった状態でピストンに加えなけれ
ばならない圧縮力が非常に大きくなることを意味するし、ストロークを長くすれ
ば、ポンプの携帯性は低下する。
【0007】 従来の自転車用ポンプに関して更に不都合な点は、腕及び肩の筋肉だけが使わ
れるということである。これらの筋肉は体の中で特に強い筋肉とはいえない。ま
た、ユーザはポンプを使う際に前かがみにならなければいけない。
【0008】 先行技術において、公知の自転車用ポンプとしては、更にもう一つ別の種類が
あり、これを「ロープ駆動ポンプ」という。
【0009】 この種類のポンプは、ユーザからポンプへ力を伝えるのに別の手段を用いるこ
とで、従来の自転車用ポンプの不都合を緩和しようとしている。
【0010】 ロープ駆動ポンプは典型的な構成として、本体部(通常、ユーザが足で踏んで
押さえつける)と、1本以上のロープ(これをユーザが引くことでポンプが駆動
される)とを有する。本発明は、ロープ駆動ポンプである。
【0011】 ロープ駆動ポンプは、上に一覧で示した設計における目標に関して、原則とし
て従来の自転車用ポンプより優れていて、その理由はいくつかある。第1に、ロ
ープを引っぱる際、空気を圧縮するのに使われるエネルギーは、やはり「力×距
離」となるが、その距離とはロープの長さであり、1〜2メートルの範囲となる
が、ロープの長さに対応して装置のサイズが大きくなることはない。第2に、ユ
ーザは立ったまま装置を操作することができ、この方が便利である。第3に、ユ
ーザはロープを引っ張るのにあたって、足、腕、肩の筋肉、そして背筋を使うこ
とができる。ロープを引くのは本質的に持ち上げ動作だからである。人体は、物
を持ち上げるには非常に効率的にできているので、このことは従来の自転車用ポ
ンプに比べて人間工学的に大きな効果といえる。
【0012】 ロープ駆動ポンプとして公知のものには、主に2つの種類がある。第1の種類
のものは2つのハンドルを有し、2本の手で操作され、ポンプを両方向に駆動す
る。一例として、US 5,180,283号公報(Vickery)に記載のものがある。このよ
うなポンプには、いくつかの不都合がある。第1に、ロープの長さをユーザ毎に
適正なものとすることが重要となる。背の高い人もいれば低い人もいるので、ロ
ープの長さを調整可能にしなければならない。第2に、使用後、ロープがポンプ
本体の外側に出たままとなる。通常、最もよい方法は、装置の一部分にロープを
巻きつけることであるが、これはいくぶん見た目がよくない。第3に、構造がほ
ぼ対称となっているので、ロープから装置に加えられる張力に対して装置を安定
させるために、ユーザは両方の足を装置に乗せることが望ましいが、そうすると
、ユーザが体のバランスを失ってしまうおそれがあり、装置の本体をその他の場
合に比べて大きくする必要もでてくる。
【0013】 2番目の種類のロープ駆動ポンプにおいては、ポンプは1つの方向にしか駆動
されない。ロープはプーリから引き離され、この過程でポンプが駆動される。そ
の後、ハンドルが解放されると、コイルバネがロープをプーリ上に巻き戻し、プ
ーリは、何らかのクラッチ手段又はラチェット手段によってポンプから解放され
る。この種類の装置の例には、EP 0806568号公報(Festo)の装置がある。
【0014】 本発明は、この第2の種類のロープ駆動ポンプの一例である。
【0015】 なお、本発明の適用対象が自転車用ポンプに限定されない点に留意願いたい。
すなわち、他の空気入れや空気移動の用途に用いたり、または、水のような非圧
縮性流体を扱うビルジポンプやこれに類似した物の中で使用することもできる。
特に、本発明は、空気圧縮用ポンプとして噴霧システム(例えば、家庭用又は業
務用の庭園噴霧システム)用に使用される場合がある。
【0016】 本発明が提供するのは、流体を移動又は圧縮するための装置であって、回転軸
を介して機械的回転駆動入力を受けるよう配置されたポンプ手段又はコンプレッ
サ手段と、前記駆動入力を供給する駆動手段とを有し、前記駆動手段は、回転部
及び前記回転部に沿って進む引張りコード手段であって、ユーザが前記引張りコ
ード手段の一端を引くと前記回転部が回転し、前記回転部の当該回転が前記機械
的回転駆動入力を供給するというようなものと、そして、前記引張りコード手段
を引き戻すように働くトルクを供給するよう配置されたトルク供給手段とを有し
ており、前記回転手段及び前記トルク供給手段が、「同軸上であると同時に同一
面上である」という条件とを満たさないことを特徴とする装置である。
【0017】 上記の一覧に示した自転車用ポンプの設計目標との関連で言えば、本発明は、
先行技術をはるかに上回る効果を有しており、特に、EP 0806568号公報において
提案されている構成を上回っている。以前からあるロープ駆動ポンプに関して問
題となるのは、提案された構成だと、大き過ぎるか、重過ぎるか、あるいは、高
価過ぎて商業ベースに乗らない、ということである。EP 0806568号公報には、主
バネがプーリの内側に巻かれている(全体の構成の占有スペースを小さくするう
えで、明らかに有効な方法であろう)。これに対し、本発明は、バネをプーリか
ら隔てる反直観的なステップによってスペースを小さくしている。すなわち、バ
ネドラムの外径を大きくし、それによってプーリの内径を小さくしている。
【0018】 これによって装置全体のサイズを小さくできるのは、バネをプーリから分離す
ることで、これら2つの重要な部品を、互いの影響を受けずに自由に設計するこ
とが可能となる、ということによる。より直径の大きいバネを使用することで、
バネによって実現できる回転数を大きくすることができる。しかし、EP 0806568
号公報の発明では、同じことをしてもメリットはない。なぜなら、プーリの直径
もいっしょに大きくなってしまうからである。引っ張る長さが一定である場合、
プーリの直径が大きくなるということは、コードを巻く回数が減ってしまうこと
を意味するのだ。本発明によれば、バネの直径を大きくすることで有効な回転数
を増やすことができ、そして、プーリの直径も小さくすることができる。そのた
め、引っ張る長さが同じでもプーリの回転数は大きくすることができる。
【0019】 自転車のタイヤをふくらませるには、タイヤのサイズと必要な圧力とに応じて
、ある程度の量の自由空気を圧縮する必要がある。そして、これを実行するに当
たっては、できるだけコードを引く回数が少ない方が効果的と言えよう。本発明
によれば、1回コードを引くたびに圧縮できる自由空気の量をより大きくするこ
と、あるいは、1回コードを引くたびに移動する空気の量を減らすことなくシリ
ンダのサイズを小さくすること、が可能となる。シリンダは装置の中で最も大き
い部品のうちに含まれるので、シリンダを小さくできれば、装置全体のサイズも
小さくすることができる。
【0020】 EP 0806568号公報において提案されている装置では、使用するシリンダを大き
くしない限り、1回コードを引くたびに圧縮できる自由空気の量を大きくするこ
とはできない。しかし、大きなシリンダを使えば装置も大きくなり、高い圧力の
かかる状態でコードを引くことは難しくなる。
【0021】 本発明では、初期状態でのコードは直径の小さいプーリに巻きつけておくこと
ができる。そのため、コードの大部分がプーリから解かれた時、所定の長さだけ
引っ張られたコードに対して、大量の空気が圧縮される。しかし、コードがプー
リ上に巻き戻されるつれて、プーリの有効径は大きくなっていく。これによる効
果は、有効径が大きくなるほど、同じ長さだけコードを引いても、それに対して
圧縮される空気の量が小さくなっていくこと、である。
【0022】 これは、コードの大部分がプーリに巻きついている場合であり、ハンドルが装
置の近くにある時に起こることである。したがって、ハンドルが装置の近くにあ
る状態では、コードを引くのに大きな力は不要であり、ポンプの動きはゆっくり
している。これが効果的であるのは、先ず、ポンプを動かし始めるのが容易であ
る(いかなるスティクション(stiction)も解消でき、いくらかの初期モメンタ
ムをためることができる)からであり、また、背の低い人、特に子供たちにとっ
て、ポンプを使うのが容易になるからである。
【0023】 いったんプーリと主軸とが回転すれば、その時点でシステムはいくらかのモメ
ンタムを有し、初期スティクションは解消されている。そうして、効果的である
のは、コードがプーリからほどかれるにつれてプーリの有効径が小さくなり、そ
の結果、同じ長さだけコードを引っ張っても、これに対して圧縮される空気の量
は大きくなっていく、という点がである。
【0024】 また、このことからは更なる効果が生じる。というのは、人の身長は様々であ
り、背の低い人々(特に子供たち)は、背の高い人々に比べて一般に力が弱いか
らである。本発明において効果的なのは、プーリの有効径が大人よりも子供に対
して大きくなるので、力の強い人ほど、その力を使ってタイヤをより速くふくら
ませることができる一方、背の低い人々も、それなりの力で高い圧力にまでタイ
ヤをふくらませることができる、という点である。
【0025】 図に示すように、本発明の好適な実施の形態では、円形の断面を有する標準的
なコードが使用されている。しかし、他の実施の形態として、布製又はプラスチ
ック製のベルトをプーリに巻きつけるやり方もある。その場合は、ベルトの幅が
プーリのフランジ間の間隔よりもわずかに小さくなるような設計とする。こうす
ることで、上記の効果はより確実となる。なぜなら、ベルトの方が、円形のコー
ドがプーリ上で重なる場合よりもより確実な形で重なっていくからである。また
、コードはプーリのフランジを横方向に押す傾向があるため、フランジはこの横
向きの負荷に耐えられるだけの固さを持たせた設計にしなければならない。それ
に対し、ベルトは平らに重なって巻かれていく傾向があるので、プーリのフラン
ジに対して問題となるほどの横向き負荷が加わることはない。
【0026】 これまでの内容では、本発明による装置のサイズがEP 0806568号公報で提案さ
れている構成に比べて小さくできる理由を説明している。ある程度までしか装置
を小型化できないのには、いくつか要因がある。これらの中で最も重要なのは、
バネによって発生させられる回転の回数である。そのため、できるだけ小型の装
置を設計しようとする場合、EP0806568号公報が示すようにバネの外側にコード
を巻くという形は、避けなければならない。装置の小型化を妨げる他の要因とし
ては、部材の強度に対する考慮、人間工学上の考慮(踏み板及びハンドルのサイ
ズ)、そして、熱に対する考慮(空気の圧縮は熱を発生させるため、これを装置
の部品によって適切に放熱しなければならない)がある。
【0027】 好適な実施の形態においては、前記ポンプ手段又はコンプレッサ手段は、軸受
を有するクランク軸を中心として駆動される両面ピストンを有し、前記クランク
軸及び軸受は、一対の従動部の上でカムとして動作し、前記ピストンの平行な内
面で構成される。
【0028】 好適な実施の形態において、前記トルク供給手段は、リトラクタ型のバネを有
する。
【0029】 好適な実施の形態において、前記駆動手段は更に前記引張りコード手段が上に
巻かれるよう配置されたプーリを有し、その巻き方は、引張りコード手段の第1
の端部が引かれることで前記プーリが回転するさせられるような形である。
【0030】 また、好適な実施の形態において、前記伝達手段は、巻き戻し中の前記プーリ
の回転が前記第1の軸に伝わらないように配置された、フリーホイール/クラッ
チ手段又はラチェットを有する。
【0031】 また、好適な実施の形態において、前記トルク供給手段は、前記プーリからは
半径方向に離されており、前記トルク供給手段は第2の軸に巻かれ、前記プーリ
の回転は、前記プーリに搭載された第1の平歯車と前記第2の軸に搭載された第
2の平歯車とによって、前記第2の軸の回転に連結される。
【0032】 以下、本発明の好適な実施の形態について、図面1乃至4を参照しながら説明
する。図1は、「ベース部」2Aと「覆い」2Bとから成るハウジング1内にほ
ぼ格納された状態の装置を示している。図2は、覆い2Bの「穴」4を通って突
き出した「コード」3を示し、コード3の外側端部には「ハンドル」5が取り付
けられている。覆い2Bは、「踏み板」6を備える形に設計されており、ユーザ
は、この踏み板6に足を置くことで、ハンドル5によってコード3に加えられる
力の結果として装置にかかってくる力に対向して、地上に装置を固定することが
可能となる。また、図2には、コネクタ8に接続された空気「ホース」7が示さ
れている。コネクタ8は、自転車のタイヤにつなぐことができ、シュレイダー型
又はプレスタ型の弁に使用できる。また、コネクタ8には、圧力計(図示せず)
を組み込んでもよい。
【0033】 図3及び4は、装置のその他の部分を示す。コード3はプーリ9に巻かれてい
る。コード3の一端はハンドル5に、もう一方の端はプーリ9にそれぞれつなが
れている。
【0034】 プーリ9は、「フリーホイールクラッチ」10に取り付けられ、クラッチ10
は「主軸」11に取り付けられている。フリーホイールクラッチ10は、プーリ
9が、主軸11に対して一方の方向にのみ自由に回転できるようにするとともに
、プーリ9が主軸11に対して逆の方向には回転できないように配置されている
【0035】 主軸11は、「主軸受」12と「副軸受」13との間に取り付けられている。
主軸受12は「ブラケット」14に取り付けられ、副軸受13は、ベース部2A
と覆い2Bとが組み立てられる際に、これらの間で保持される。主軸11の一方
の端部は副軸受13内にある。
【0036】 主軸のもう一方の端部には、「カム」15が取り付けられ、その上には、「カ
ム軸受」16が配置されている。カム軸受16は、主軸11の軸線に対して偏心
している。
【0037】 カム軸受16は「ピストン」18の中央にある「リセス」17にはめ込まれる
。ピストンは、一対の「シリンダ」19内部を自由に往復運動する。一対のシリ
ンダ19はブラケット14に、両者の共有軸線が主軸の軸線に対して垂直になる
ような形で取り付けられる。
【0038】 ピストン18の各端部の近くには、ピストン18とシリンダ19との間を空気
密閉する「O型リング」21をはめ込むための「溝」20が設けられている。
【0039】 各シリンダ19の外側端部には「エンドキャップ」22があり、エンドキャッ
プ22は、吸気弁(図示せず)、排気弁(図示せず)、エンドキャップ22とシ
リンダ19との間を空気密閉する手段を有する。
【0040】 エンドキャップ22は、キャップ内の「クリアランスホール」24を通ってブ
ラケット14内の「ネジ穴」25に留められる「ネジ」23によって固定される
。シリンダ19は、エンドキャップ22とブラケット14との間に保持される。
【0041】 エンドキャップ22は、それぞれ「出口ポート」26を有し、これらによって
お互いがつながっているとともに、ホース7にも接続される。
【0042】 主軸11と並行に、「第2軸」27がある。プーリ9には「第1ギア」28が
設けられ、第2軸27には「第2ギア」29が設けられている。主軸11及び第
2軸27は、第1ギア28が常に第2ギア29とかみ合うような距離を置く形に
配置される。
【0043】 第2軸27は、「バネ受」30と「バネドラム」31との間に設置されている
。バネ受30は、ベース部2Aと覆い2Bとが組み立てられる際に、両者の間に
保持される。バネドラム31は、軸受としての特性をいくつか有するプラスチッ
クからなり、第2軸27用の第2軸受の役割を果たす。
【0044】 「主バネ」32は、リトラクタ型バネであり、バネドラム31の内側で巻かれ
ている。主バネ32は、一方の端部がバネドラム31の周囲に取り付けられ、も
う一方の端部が第2軸27に取り付けられ、それによって、これら2つの部品の
間にトルクを発生させる。
【0045】 上述の装置部品は、ハンドル5が引張られてプーリ9から離れていく際に、フ
リーホイールクラッチ10がロックしてプーリ9が主軸11に対して回転するの
を防ぐとともに、バネドラム31に対して第2軸27が回転することで、主バネ
32の張力が増す、という形に配置されている。同様に、ハンドル5がプーリ9
の方向に引き戻される際には、主バネ32の張力が解放され、それによってプー
リ9が主軸11に対して回転することになる。フリーホイールクラッチ10がこ
の方向に解放するからである。この結果、コード3はプーリ9に巻き取られる。
【0046】 また、装置は、いつでも主バネ32にいくらかの張力が存在するように組み立
てられる。主バネ32は、第1ギア28及び第2ギア29を介してプーリ9につ
なげられているので、この張力は常にコード3にも伝えられる。
【0047】 次いで、自転車のタイヤをふくらませるのに用いる場合の、本実施の形態の操
作について、以下、図2乃至4を参照しながら説明する。
【0048】 装置は、ふくらませようとするタイヤの近くの地面に置かれ、コネクタがタイ
ヤ弁に取り付けられる。ホースに余分な力が加わらないよう、装置とタイヤとの
間隔は小さくしておくほうがよい。ユーザは、足を踏み板にのせて装置を固定し
てから手でハンドルを握る。
【0049】 その後、ユーザは、ハンドルを引いてコードをプーリからほどいた後、ハンド
ルを放して主バネの力でコードをプーリに巻き戻させる、という動作を繰り返す
。ユーザがハンドルを引く際には、コードがプーリからほどかれ、プーリはフリ
ーホイールクラッチを介して主軸を駆動する。主軸はカム及びカム軸受を回転さ
せる。これを受けて、カム軸受はピストンの中央リセスの対向面に交互に作用し
、ピストンをシリンダ内で往復運動させる。ピストンが一方のエンドキャップに
向けて動くと、シリンダ内でピストンとエンドキャップとの間にある空気は圧縮
され、排気弁を開かせる。これによって、圧縮された空気はエンドキャップ、出
口ポート、ホース、コネクタ、そしてタイヤ弁を通ってタイヤへと流れる。
【0050】 上死点を通過した後、ピストンはエンドキャップから離れ始める。これによっ
て排気弁が閉じて吸気弁が開くので、外からシリンダ内に空気が流れ込む。これ
はピストンが下死点に達するまで続く。その時、吸気弁が閉じてピストンはエン
ドキャップ方向へ戻り始め、シリンダ内の空気を再び圧縮する。
【0051】 ピストンの2つの端部は逆位相で動作する。そのため、一方の端部が空気を圧
縮している間、もう一方の端部は空気を引き込む、という形で正反対となる。
【0052】 また、ユーザがハンドルを引くと、プーリの回転は第1ギア及び第2ギアによ
ってバネ軸に伝えられる。バネ軸が回転すると、主バネの張力は大きくなる。こ
れは、ユーザの引っ張り動作が終了位置に達するまで続く。
【0053】 引っ張り動作の終了位置では、主バネは張力を受けており、この張力は第1の
ギア及び第2のギアによってコードに伝えられる。ユーザがハンドルを装置に戻
す方向に動かすと、バネの張力によってコードがプーリに巻き取られる。操作プ
ロセスのこの部分において、フリーホイールクラッチは解放され、コードがプー
リに巻き取られる間、主軸及びピストンはアイドル状態を保つ。
【0054】 ユーザは必要な回数だけ、タイヤに充分な空気が入ったと思うまで、コードを
引っ張る動作とコードをバネに巻き取らせる動作とを繰り返せばよい。圧力計を
装置に取り付ければ、充分な空気が入ったかどうかの判断の助けとなるだろう。
そして、コネクタをシュレーダー型弁又はプレスタ型弁から取り外せば、タイヤ
の空気入れプロセスは完了する。
【0055】 上述した自転車用ポンプの設計目標との関わりで言えば、本発明は従来技術、
特にEP0806568号公報で提案されている構成に比べてはるかに優れている。以前
からあるロープ駆動ポンプの問題点は、提案された構成が、商業ベースに乗せる
には大きすぎ、重すぎ、しかも、高価すぎる、ということである。EP0806568号
公報では、主バネがプーリ内部に巻かれており、これは全体の構成のスペースを
小さくする方法としては明らかに効果がある。これに対し、本発明は、バネをプ
ーリから離し、バネドラムの外径を大きくして、それによってプーリの内径を小
さくするという反直観的な手法によってスペースを小さくしている。
【0056】 これによって装置全体のサイズが小さくできる理由は、バネをプーリから分離
することで、これら2つの主要部品を別々に自由に設計することができる、とい
うことである。バネの直径が大きいほど、バネの回転数は大きくできる。しかし
、EP0806568号公報の装置では、このことによるメリットはない。なぜなら、プ
ーリの直径も大きくなってしまい、引張る長さが同じであっても、コードの回転
数は少なくなるからである。本発明によれば、バネの直径を大きして可能な回転
回数を多くすることができるとともに、プーリの直径を小さくし、それによって
引張る長さが同じ場合のプーリの回転数を多くすることができる。
【0057】 自転車のタイヤをふくらませるためには、タイヤのサイズ及び所望の圧力に応
じて、ある程度の体積の自由空気を圧縮する必要がある。そして、ふくらませる
までにコードを引く回数が少ないほど、効果があると言える。本発明によれば、
コードを引く動作1回毎により大きな体積の空気を圧縮することができる。ある
いは、コードを引く動作1回毎に送り込むことのできる空気量を減らすことなく
、シリンダのサイズを小さくすることが可能となる。シリンダは、装置の中で最
も大きい部品に属するものなので、これによって、装置全体のサイズも小さくす
ることができる。
【0058】 EP0806568号公報で提案された装置の場合、コードを引く動作1回につき圧縮
できる自由空気の体積を増やそうとすれば、使用するシリンダを大きくするしか
ない。しかし、大きなシリンダを使うと、装置自体も大きくなって、圧力が高い
状態ではコードを引くことが難しくなる。
【0059】 本発明では、コードは最初、直径の小さいプーリに巻き付けておくことができ
、そのため、コードのほとんどがプーリからほどかれた時点では、コードを引張
る長さが同じでも圧縮される空気の量は多くなる。しかし、コードがプーリに巻
き取られていくにつれ、プーリの有効径は大きくなる。これによる効果は、有効
径が大きくなるのに従い、同じ長さだけコードを引張った際に圧縮される空気の
量は少なくなる、ということである。
【0060】 これは、コードのほとんどがプーリに巻き付けられている場合であり、ハンド
ルが装置に近いところにある際に起こる。そうして、ハンドルが装置の近くにあ
る場合は、コードを容易に引くことができ、ポンプはゆっくりと動作する。これ
が効果的である理由は、先ずポンプの起動がより容易になる(あらゆるスティク
ションを解消し、ある程度の初期モメンタムを蓄積できる)からであり、さらに
、背の低いユーザ、特に子供にとって、ポンプの使用が容易になるからである。
【0061】 プーリ及び主軸が回転しているのであれば、その時点でシステムはある程度の
モメンタムを有しており、初期スティクションは既に解消されている。そうして
、効果的なのは、コードがプーリからほどけるのに従ってプーリの有効径が小さ
くなることで、コードを同じ長さだけ引張った際に圧縮される空気の量が多くな
っていくことである。
【0062】 このことによって更なる効果が生じるが、それは、人それぞれ身長が異なり、
背の低い人、特に子供は、背の高い人よりも一般に力が弱いからである。本発明
において効果的なのは、プーリの有効径が、大人よりも子供に対して大きくなる
ということである。そのため、より力の強い人は、力を利用してより早くタイヤ
をふくらませることができ、一方、背の低い人は、それなりの力しかなくても、
高い圧力にまでタイヤをふくらませることができるのである。
【0063】 本発明の好適な実施の形態では、図に示すような、円形の断面を有する標準的
なコードを用いている。しかし、他の好適な実施の形態では、布製又はプラスチ
ック製のベルトをプーリに巻きつけ、ベルトの幅がプーリのフランジ間の間隔よ
りも少し小さくなるようにしてある。こうすれば、上述の効果はより確実となる
。なぜなら、プーリ上に円形コードを重ねて巻く場合に比べ、ベルトの方がより
確実な形で重ね巻きすることができるからである。また、コードはプーリのフラ
ンジを横方向に押す傾向があるので、フランジについては、この横方向の負荷に
耐えられるだけの強度を持つように設計する必要がある。これに対し、ベルトは
平らに巻かれていくものなので、プーリのフランジに横方向の問題となるほどの
大きな負荷がかかることは全くない。
【0064】 これまでに説明した内容では、本発明によれば、EP0806568号公報で提案され
た構成に比べて装置のサイズを小さくできる、ということを述べた。装置のサイ
ズをある程度までしか小さくできないのには、要因がいくつかある。その中でも
最も重大なものは、バネが発生させることのできる回転数である。そのため、装
置のサイズが最小となるように設計する場合は、バネの外側にコードを巻き付け
るというEP0806568号公報が示す方法は、どうしても避けなければならない。ま
た、装置の小型化を妨げる他の要因としては、部材の強度に関する考慮、人間工
学的な考慮(踏み板及びハンドルのサイズ)、そして、熱に関する考慮(空気の
圧縮によって熱が生じるので、これを装置内の部品によって放熱しなければなら
ない)がある。
【0065】 以下、本発明に関わる他の実施の形態をいくつか説明する。
【0066】 上記の好適な実施の形態では往復ポンプについて説明しているが、本発明は、
往復ポンプに限定されない。詳しく言えば、主軸は回転ポンプに接続することと
してもよい。本発明に関して、2軸型の実施の形態、ルーツ送風機型の実施の形
態、ギアポンプ型の実施の形態、そして回転歯型の実施の形態においては、出力
軸がコンプレッサの1本の軸につながれ、コンプレッサのもう1本の軸は、2本
の軸の間で動作するタイミングギア又はそれに類似の機構によって駆動される。
【0067】 本発明に関わるスクロール型の実施の形態では、主軸はスクロールコンプレッ
サの軸につながれる。
【0068】 上述の好適な実施の形態は、シリンダを2つ有する型のものであるが、装置が
有するシリンダの数は1つであってもよいし、2つより多くてもよい。
【0069】 上述の好適な実施の形態については、主軸に取り付けられたカム上で回転する
カム軸受によって駆動されるピストンだけについて説明している。プロファイル
ドカム型の実施の形態では、円形カムではなくプロファイルドカムによって駆動
されるので、軸が回転する際の装置の動きがなめらかになる。これによれば、折
り返し力が少なくともある程度までは緩和され、その結果として、装置がガタつ
く感じを抑制できると共に装置におけるピークストレスも低減できる、という効
果がある。
【0070】 同様に、プロファイルドピストン型の実施の形態では、ピストンのリセス内面
が、軸が回転する際の装置の動きをなめらかにするよう形作られており、それに
よって、プロファイルドカム型の実施の形態におけるのと同様の効果が得られる
【0071】 本発明におけるクランク軸型の実施の形態は、上述の好適な実施の形態とは大
きく異なっているので、以下、図5及び6を参照しながら説明する。
【0072】 図5及び6では、コード3はプーリ9に巻かれており、コード3の一方の端部
はハンドル5に、もう一方の端部はプーリ9に、それぞれつながれている。
【0073】 プーリ9は、主軸11に取り付けられたフリーホイールクラッチ10に取り付
けられている。フリーホイールクラッチ10は、プーリ9が、主軸11に対して
一方向に自由に回転できるようにするとともに、プーリ9が主軸11に対して逆
の方向には回転できないように配置されている。
【0074】 主バネ32はバネドラム31内部に格納されており、主バネ32の一方の端部
がプーリ9に取り付けられ、主バネ32のもう一方の端部はバネドラム31に取
り付けられている。バネドラム31はハウジング(図示せず)内に設置され、主
バネ32がプーリ9とハウジングとの間にトルクを発生させるようになっている
。プーリ9及び主軸11はいずれも、バネドラム31に対し、それ以外の場合で
は自由に回転する。
【0075】 主軸11は、一対の「主たる軸受」33の間に設置されており、主たる軸受3
3は各々、「ブラケット」34の一部を成している。ブラケット34は両方とも
ハウジングに固定されている。
【0076】 主軸11の各端部には「カットアウト」35があり、一対の「クランク」36
が主軸11に対して回転することのないように、D形状をなしている。クランク
36は、主軸11上で互いに対して逆位相の(相手に対して180度回転した)
状態になるよう配置されている。各クランク36は偏心の「スピゴット」37を
備え、その上には「接続ロッド」38の一方の端部が取り付けられる。各接続ロ
ッド38のもう一方の端部は、各「ピストン」39の背面側リセス(図示せず)
に回転可能に取り付けられる。
【0077】 各ピストン39は更に、図3及び4に示したのと同様なピストン用シール(図
示せず)を有している。
【0078】 各ブラケット34は更に「シリンダ」40を有し、ピストン39はその中を自
由に往復運動する。各シリンダ40の端部には「エンドキャップ」41があり、
前記シリンダ40を空気的に密閉している。また、連結棒(図示せず)が、図3
及び4に示したのと同様な形で、各エンドキャップ41を対応するブラケット3
4に接続する。
【0079】 各エンドキャップ41は、「吸気弁」42及び「排気弁」43を有する。
【0080】 上述の装置部品の配置は、ハンドル5が引張られてプーリ9から離れていく際
に、フリーホイールクラッチ10がロックしてプーリ9が主軸11に対して回転
するのを防ぎ、バネドラム31に対する主軸11の回転が主バネ32の張力を増
す、という形になっている。同様に、ハンドル5がプーリ9方向に戻される際に
は、主バネ32の張力が解放され、それによって、プーリ9が主軸11に対して
回転する。これは、フリーホイールクラッチ10がこの方向に解放するからであ
る。この結果、コード3はプーリ9に巻き取られる。
【0081】 また、装置は、常に主バネ32にいくらかの張力が存在するように組み立てら
れる。主バネ32はプーリ9につなげられているので、この張力は常にコード3
にも伝えられる。
【0082】 このクランク軸型の実施の形態についてはハウジングを図示していないが、本
実施の形態の装置も、上述の好適な実施の形態に関して図1及び2で示したのと
同様のハウジングに収納されていると考えてよい。
【0083】 クランク軸型の実施の形態についての操作手順は、上述の好適な実施の形態の
場合の操作手順と同様であるので、ここでは詳しい説明はしない。
【0084】 以上の説明から明らかなように、好適な実施の形態とクランク軸型の実施の形
態との間には、根本的な相違が2つある。第1に、好適な実施の形態がカムを用
いて動作するのに対し、クランク軸型の実施の形態はクランク軸システムを用い
て動作する。第2に、好適な実施の形態では、主バネはプーリから半径方向に隔
てられていたのに対し、クランク軸型の実施の形態では、主バネはプーリから軸
線方向に隔てられている。従って、これらのコンセプトを他の2つの形で結合で
きることは、明らかである。
【0085】 第1に、好適な実施の形態について、同軸線上とする変形例がある。これは、
図1乃至4に示したカム駆動ポンプから成るが、第2軸上に主バネが位置するの
ではなく、主バネは主軸上にある(図5及び図6に示すクランク軸型の実施の形
態を参照)。
【0086】 第2に、クランク軸型及びギア型の実施の形態がある。この場合、図5及び図
6に示すクランク軸の配列が、図1乃至4に示すバネ及びプーリの配列に組み合
わされる。
【0087】 これまでに説明した実施の形態では、バネがプーリから軸線方向又は半径方向
に隔てられている場合について述べている。だが、バネについては、隔てられて
いるだけでなく、さらに大小の角度回転させてもよい。特に、バネを90度回転
させて、バネ軸の軸線と主軸の軸線とを直角にしてもよい。
【0088】 ラチェット型の実施の形態では、フリーホイールクラッチの代わりにラチェッ
トシステムが配置される。
【0089】 低減型の実施の形態では、第2ギアの歯の数を第1ギアの歯の数より多くする
。こうすると、主プーリの回転数がバネ軸の回転数より大きくなる。これが効果
的であるのは、一般に渦巻きバネが発生させる回転数は最大でも約30〜40回
転であるのに対し、プーリ上でのコードの望ましい回転数は、この数よりも大き
いからである。
【0090】 低減型の実施の形態については、特に、軸を3本有する型の実施の形態がある
。低減型の実施の形態では、すでに述べた通り、第2ギアの歯の数が第1ギアよ
りも多い。すると、直径も第1ギアに比べて大きくなってしまう。装置全体のサ
イズを小さくするという目的から考えると、第2ギアの直径を大きくするよりは
第1ギアの直径を小さくする方がよい。しかし、そうすると、バネドラムとプー
リとの間に干渉が発生し、これを防ぐには第3の軸及び第3のギアを導入しなけ
ればならない。これら第3の軸及びギアは、バネ軸よりも主軸に近い位置に置か
れ、3つのギアの配置が、第1ギア及び第2ギアが第3ギアにかみ合う(しかし
、第1ギアと第2ギアとはかみ合わない)という形にした場合、主プーリの回転
数はバネ軸の回転数よりも大きくなり、しかも、第1ギア、第2ギアとも直径を
大きくする必要がない。
【0091】 タイミング調整ベルト型の実施の形態では、主プーリ及びバネ軸の回転の連結
は、ギアではなく、主プーリとバネ軸との両方に設けられたスプロケットによっ
て実現される。そして、これら2つのスプロケットはタイミング調整ベルトで互
いにつながれている。この構成であれば、低減型の実施の形態と同様、第2のス
プロケットの歯を第1のスプロケットの歯よりも多くすることができ、それによ
って、主プーリの回転数をバネ軸の回転数より多くできる。
【0092】 ゴムバンド型の実施の形態では、主バネの代わりにゴムバンドが使用される。
ゴムバンドは2つのフックの間に張り渡されて、一方はバネ軸に取り付けられ、
もう一方はハウジングに固く取り付けられる。ゴムバンドは、フックがお互いに
対して回転することで捻じりが加えられ、2つのフック間にトルクを発生させる
【0093】 捻じりロッド型の実施の形態では、主バネの代わりに捻じりロッドが使用され
る。捻じりロッドを30〜40回転もするものと共に用いるというのは、ほとん
ど考えられないことである。そこで、これについては、低減型の実施の形態、軸
を3本有する型の実施の形態、又は、タイミング調整ベルト型の実施の形態と組
み合わせ場合に、最も良く動作するであろう。
【0094】 カム型の実施の形態は、本発明に関する重要な例である。これ以降の主要な説
明で、本発明のカム型の実施の形態について述べる。
【0095】 本発明のカム型の実施の形態に従って提供される装置は、流体を移動又は圧縮
するための装置であって、入力回転軸を介して機械的回転駆動入力を受けるよう
配置されたポンプ手段又はコンプレッサ手段と、前記駆動入力を供給するよう配
置された駆動手段とを有し、前記駆動手段は、引張りコード手段と、ユーザが前
記引張りコード手段の一端を引いた時に前記引張りコード手段の動きを前記回転
軸の回転の変換する変換手段とを有し、前記ポンプ手段又はコンプレッサ手段は
、シリンダ内で軸線方向に移動可能なピストンと、前記回転軸とともに回転する
よう配置されたカム手段と、前記カム手段と相互作用して前記ピストンを作動さ
せるよう配置されたカム従動部手段とを有する。
【0096】 前記カム従動部手段は、前記ピストンと関連付けた形で取り付けるか、あるい
は、前記ピストンと一体化した形で形成することもできる。
【0097】 当該装置については、前記ピストンを複数有することとしてもよい。例えば、
装置は前記ピストンを2つ有し、2つのピストンはそれぞれに対応するシリンダ
内部で、共通の軸線上を逆位相で動くよう配置することができる。
【0098】 1つの好適な実施の形態において、前記駆動手段は、前記引張りコード手段が
巻き付けられる形に配置されたプーリであって、引張りコード手段の力端部が引
張られることで回転するプーリと、前記プーリの前記回転を前記回転軸に伝える
よう配置された伝達手段と、前記引張りコード手段を前記プーリ上に巻き戻すよ
う配置されたバネ手段とを有し、前記伝達手段は、巻き戻し期間中の前記プーリ
の回転が前記回転軸に伝わらないように配置された、フリーホイール/クラッチ
手段を有する。
【0099】 もう1つの好適な実施の形態においては、前記駆動手段は、回転部であって、
ユーザが前記引張りコード手段の一端に張力を加えることによって回転する形で
前記引張りコード手段が巻き付くように配置されている回転部と、前記回転部の
前記回転を前記回転軸に伝えるように配置された伝達手段とを有する。
【0100】 以下、本発明に関するカム型の実施の形態について、図7乃至10を参照しな
がら説明する。
【0101】 図7は、「覆い」202で覆われた「ハウジング」201内にほぼ全体が格納
された状態の装置を示している。また、同図に示す通り、「コード」203が、
覆い202に設けられた「穴」204を通って突き出しており、コード203の
外側端部には「ハンドル」205が取り付けられている。覆い202は、2つの
「踏み台」206を備える形に設計されており、操作者は、この踏み台206に
足を置くことで、ハンドル205からコード203に加えられる張力の結果とし
て装置にかかる力に対向して、地上に装置を固定することができる。
【0102】 図8乃至10は、装置の残りの部分を示す。先ず、図には、ハウジング1の側
面に取り付けられ「プーリ」208内部まで達する「固定軸」207が示されて
いる。プーリ208は、固定軸207上に回転可能に取り付けられており、「コ
イルバネ」209は固定軸207とプーリ208との間にトルクを発生させる。
【0103】 コイルバネ209は、プーリ208の「リセス」210内部で逆に巻かれてい
る。コイルバネ209の外側の端部はプーリ208のリセス210内側に取り付
けられている。コイルバネ209の内側の端部は固定軸207に取り付けられて
いる。
【0104】 プーリ208の外周にはコード203が巻かれており、コードの一方の端はプ
ーリ208の外側につながれている。コード203は覆い202の穴204を通
って外に出ている。コード203はプーリ208に巻き付けられているが、その
向きは、コイルバネ209の効果によってトルクがプーリ208に加わるような
向きとなっている。また、その巻き方は、コード203に加わる張力が全く存在
しない状態で、コード203がプーリ208の周りに巻きつくような巻き方であ
る。初期状態での装置では、コイルバネ209に残留張力がわずかに存在するの
みであり、ハンドル205が覆い202の穴204にまっすぐ引かれた際には、
対応する量の張力がコード203に発生する。
【0105】 「フリーホイールクラッチ」211は、ほぼ固定軸207の軸線にそって自由
に回転する。フリーホイールクラッチ211の「外側レース」212はプーリ2
08に取り付けられ、フリーホイールクラッチ211の「内側レース」213は
、固定軸207と軸線が共通の「回転軸」214に接続されている。フリーホイ
ールクラッチ211は、以下に示すように設置される。すなわち、コード203
がハンドル205に引っ張られた場合、内側レース213は外側レース212に
対しては回転せず、その結果、フリーホイールクラッチ211全体がプーリ20
8と共に回転する。その一方、コイルバネ209の力でプーリ208が反対方向
に回転してコード203を巻き取る場合には、内側レース213が外側レース2
12に対して自由に回転し、内側レース213が動かないでいる間は外側レース
212がプーリ209と共に回転する。
【0106】 回転軸214は、「ブラケット」216の「軸受」215を通って「往復運動
軸」218の内側に位置する「カム」217に達し、2つの平行な面の間で、カ
ム217の平らな従動部として動作する。往復運動軸218は、ブラケット21
6内の「スライド軸受」219を通って自由にスライドする。往復運動軸218
の端部はそれぞれ、「ピストン」220となっており、「シリンダ」221内を
自由に往復運動する。ピストン220とシリンダ221との間は、シール(図示
せず)によって気密密閉されている。シリンダ221の反対側の端部には、外か
らシリンダ221内に空気を取り込むように設置された「吸気弁」222と、シ
リンダ221からホース(図示せず)へ圧縮空気を送り出すよう設置された「放
出弁」223とがある。このホースのもう一方の端には、適当なコネクタ(図示
せず)が取り付けられ、気密密閉した形で適当な弁につなげることができるよう
になっている。自転車用タイヤに関して言えば、シュレーダー式又はプレスタ式
の弁が適切であろう。
【0107】 カムの形状は、単なるクランク軸・接続ロッド機構を使ってポンプを駆動した
場合に発生するガタつきを緩和するように設計されている。このカムの形状の性
質については、より詳しい説明を後述する。
【0108】 以下、本実施の形態の装置を使って自転車のタイヤをふくらませる場合の操作
について、図8から図10を参照しながら説明する。
【0109】 装置は、ふくらませようとするタイヤの近くの地面に置き、コネクタをタイヤ
弁に取り付ける。ホースに余分な力が加わらないよう、装置とタイヤとの間隔は
小さくしておくほうがよい。操作者は、足を踏み台にのせて装置を固定してから
手でハンドルを握る。
【0110】 その後、操作者は、ハンドルを引いてコードをプーリからほどいた後、ハンド
ルを放し、コイルバネの力でコードをプーリに巻き戻させる、という動作を繰り
返す。この点については、次のパラグラフで詳しく説明する。
【0111】 操作者がハンドルを引くとプーリからコードがほどけ、プーリが回転するとバ
ネの張力が増す。また、この方向にプーリが回転すると、フリーホイールクラッ
チがロックされて、フリーホイールクラッチの内側レースは、カムを回転軸の軸
線に沿って回転させる。カムは往復運動軸の並行面の間で回転し、先ず一方の面
に、次いでもう一方の面に、交互に作用し、往復運動軸を先ず一方向へ次いで反
対方向へ押しやる。往復運動軸が移動すると、それによってシリンダの1つの中
にあるピストンの1つが押されるので、当該シリンダ内の空気が圧縮され、最終
的には圧縮された空気が排気弁を通ってホースに放出される。そしてさらに、コ
ネクタ、シュレーダー弁又はプレスタ弁を経てタイヤに送り込まれる。それと同
時に、反対側のピストンは弁から離れ、先ず、シリンダ内部に残留する高圧空気
に押され、その後、往復運動軸に引っ張られる。ピストンがシリンダに沿って移
動するのに従って、空気弁が開き、空気は自由にシリンダに流れ込む。コードが
引っ張られている間、このプロセスはその後も繰り返される。
【0112】 操作者がハンドルを放し始めると、コイルバネの力によってコードはプーリに
巻き戻されることになる。この段階において、フリーホイールクラッチは自由に
なり、その結果、フリーホイールクラッチの内側レースは、コードがプーリに巻
き戻されるのにつれてプーリと共に回転する外側レースとは連動しなくなる。
【0113】 タイヤが充分にふくらんだと操作者が感じれば(圧力計を装置に取り付けても
よい)、ハンドルは完全に解放され、コイルバネの動作によってハウジングに引
き戻される。そうすると、コネクタをシュレーダー型又はプレスタ型の弁から取
り外し、操作は完了する。
【0114】 カムの形状については、選択された従動部の形状、及び、装置に望まれる操作
特性に従って定められる。図11に示すのは、平らな従動部を用いる場合の、典
型的なカムの形状である。このカムは、中程度の圧力においてなめらかな動作を
実現できるよう設計されており、上死点では10度のドエルタイムとなる(空気
がシリンダに吸入、放出されるのに要する時間を確保する)。下の表1は、カム
の動作形状の生成に用いられるデータを示している。
【表1】 半径の変化率は、ピストンがシリンダの底にある時に最大となり、ピストンがシ
リンダの頂点に近づいてシリンダ内部で強い圧力を受けるようになるにつれて小
さくなる。180度から360度の形状が使用されないのは、カムが先ず一方の
ピストンに、次いでもう一方のピストンに作用するため、カムの片側半分は全く
使用されないためである。カムのうち、この使われない側については、一部を取
り除いて図に示すような「切りかき」224を形成しなければならない。ピスト
ンがシリンダに詰まって装置が動かなくなるのを防ぐためである。
【0115】 本発明が従来技術よりも優れているのは、適切に設計されたカムを用いること
で、ガタつくことの多いクランク軸・接続ロッドシステムの動作を非常になめら
かにすることができる点である。これによって、システムの動作がなめらかにな
るだけでなく、付随的なピーク時の力を小さくすることができ、その結果として
、ピーク時の圧力を低減すると共に、より小さく軽量の部品で装置を製造するこ
とが可能となる。また、本発明によれば、より大きなシリンダを使用しても、過
度のガタつきが生じたり、ピーク時の力が過大になったりすることがない。更な
る効果として、装置を小さくすることができる。これは、クランク軸の場合は接
続ロッドを介してピストンと隔てる必要があるのに対して、カムは直接ピストン
に従って動作するためである。このため、クランク軸・接続ロッドシステムの場
合、おおよそ接続ロッドの長さ分だけ大きくなってしまう。本装置はまた、製造
に要する費用が小さくなる。なぜなら、クランク軸・接続ロッドシステムに比べ
て、クランク軸が要らない分だけ部品数が少なくなるからである。
【0116】 本発明を、EP0806568号公報が示すものとほぼ同じ動作をする引張りコードポ
ンプと組み合わせて使用する場合、最も大きな効果は、使用するシリンダを大き
くしてもピーク時の力は大きくならない、ということである。この種類のポンプ
は、ギアボックス手段と組み合わせるか、大型のシリンダを使用する必要がある
。なぜなら、反動抑制バネは、30〜40より多い回転を確実に実現することが
できないからである。このため、ギアボックス手段や大型のシリンダを使用しな
い限り、この特許発明に従って製造されたポンプに自転車タイヤを素早くふくら
ませるだけの体積の空気を供給することはできない。
【0117】 クラッチレスの引張りコードポンプ(図12及び以下の説明を参照)と組み合
わせて使用する場合、回転軸の直径を小さくすることで、大型のシリンダを不要
とすることができ、一方、本発明はクランク軸・接続ロッド型の実施の形態に比
べて動作がなめらかなので、コードが、必要な時に回転軸をしっかり掴むのに役
立つ。クランク軸・接続ロッド型の実施の形態に関わる折り返し力は振動を発生
させることがあり、この振動はコードが回転軸を掴む力に影響を与える。そして
、ポンプの効率を低下させ、コードや装置内のその他の部品をひどく摩耗させる
おそれもある。
【0118】 本発明に関するカム型の実施の形態について、他の変形例を以下に説明する。
【0119】 本発明のカム型の実施の形態に関する変形例で、シリンダが1つだけのもので
は、カムは、180度をかなり上回る角度にわたって装置の動作をなめらかにす
るよう設計することもできる。ただし、360度にわたって動作をなめらかにす
るためには、バネシステムなどのスムージング部材を更に使用する必要がある。
バネについては、1サイクルのうち空気が圧縮されない期間においてはエネルギ
ーを吸収し、1サイクルのうち空気が圧縮される期間においては当該エネルギー
をピストンに戻す、という形で働くように配置することができる。また、空気が
シリンダに引き込まれる際にピストンがカムに押し付けられるようにするために
は、バネやこれに類似の配置が必要となるであろう。
【0120】 2つ以上のシリンダを含む形の実施の形態では、カムの形状は、所定の圧力に
対して360度にわたり、作用をおおよそなめらかにするよう設計してもよい。
【0121】 いくつかの実施の形態では、主軸上の1以上のカムによって複数のピストンが
動作させられるようにしてもよい。
【0122】 本発明のカム型の実施の形態に関する変形例で、クラッチレスのものにおいて
は、クラッチの機能は、回転軸の周りにコードを何回か巻きつけることで実現す
ればよい。こうすれば、コードが引張られた場合、コードは軸を掴んで駆動する
こととなり、逆に、コードが放された場合、コードは軸の表面をすべってプーリ
に巻き取られる。この変形例については図12に示してある。
【0123】 図12は、コードに張力を加えるシステムを示しており、このシステムは、「
設置ブロック」226上に設置された固定の「スレーブ軸」(図示せず)を有し
、スレーブ軸上にはプーリが回転可能に設置されていて、コイルバネがスレーブ
軸とプーリとの間にトルクを発生させる。
【0124】 コードの装置内にある方の端部は、プーリにつながれている。そして、コード
は、「主軸」227に何回か巻き付けられる(図では、1回と4分の3回転巻か
れている)。さらに、覆いに設けられた穴を通って外に出たところでハンドルに
つながれている。主軸にコードを巻く回数については、コードの「末端部」20
3Aと「動作部」203Bとの両方に張力がかかっている状況では、主軸に対し
て駆動に充分な大きさのトルクが与えられるだけの回数とすべきである。一方、
コードの末端部にしか張力がかかっていない状況では、主軸の周囲をコードが滑
る程度の少ない回数でよい。必要な回数がいくつになるかは、コードの設計、主
軸の設計、そして、コードの末端部における張力など、多くの要因によって左右
されるであろう。ある種の環境下においては、必要な回数が1よりも小さくなる
こともありうる。
【0125】 主軸の下方には、2回転分のコードが「コードガイド」228によって隔てら
れている。コードガイドは主軸近くを通り、コードが主軸に沿って移動するのを
防止する。
【0126】 本発明のカム型の実施の形態に関するいくつかの変形例では、ポンプが両方向
に駆動するよう(US5,180,283号公報により近い形に)、装置を設計してもよい
。さらに、カムの形状も、ポンプがいずれの方向にも同じように良好に駆動する
よう、対称形に設計してもよい。
【0127】 本発明のカム型の実施の形態に関するいくつかの変形例では、設計の異なる従
動部を用いてもよく、さらに、採用した従動部の形状に合わせてカムの形状を変
更してもよい。
【0128】 本発明に関するもう一つの重要な例として、ロータリークリート型の実施の形
態がある。これ以降、主要な説明の終わりまでの記述は、本発明のロタリークリ
ート型の実施の形態についての説明である。
【0129】 本発明のロータリークリート型の実施の形態に従って提供される装置は、流体
を移動又は圧縮するための装置であって、機械的回転駆動入力を受けるよう配置
されたポンプ又はコンプレッサ手段と、前記駆動入力を供給する駆動手段とを有
し、前記駆動手段は、回転部と前記回転部の周りを通る引張りコード手段とを有
し、前記引張りコード手段の第1の端部は第1の張力を加えられるように配置さ
れ、前記引張りコード手段の第2の端部はユーザによって第2の張力を加えられ
るように配置され、それによって、ユーザが前記第2の張力を加えることで前記
コード手段が第1の方向に動くと共に前記回転部が対応して回転し、前記回転が
前記機械的回転入力の供給に使用される、という装置である。
【0130】 引張りコード手段は、前記回転部の周りを、1回転よりも大きい角度、ちょう
ど1回転分の角度、あるいは、1回転分よりも小さい角度、前記回転部の周囲を
回ることとしてもよい。また、引張りコード手段は、ケーブル、ロープ、コード
、糸、チェーン、そしてベルトのいずれか1つから成る、としてよい。
【0131】 ロータリークリート型の実施の形態においては、装置は、更に、前記回転部と
離れて、前記引張りコード手段の前記第1の端部に前記第1の力を加えるととも
に前記第2の力が存在しない場合には前記引張りコード手段を巻き戻すように配
置された巻き取り手段、をさらに有する。また、巻き取り手段は、前記引張りコ
ード手段を巻きつけるための巻き手段と、前記巻き手段と協動して前記引張りコ
ード手段に前記第1の力を加えるバネ手段とを有する、とするのが好ましい。
【0132】 さらに別の実施の形態では、前記引張りコード手段の第1の端部は、前記の又
はその他のユーザによって前記第1の力が加えられるように配置されている。
【0133】 ロータリークリート型の実施の形態では、前記第2の力が存在しない場合、前
記第1の力によって、前記コード手段は前記第1の方向と反対の第2の方向へ動
かされる。さらに、好ましい形としては、この動きに対応して前記回転部が回転
することは実質的に皆無である。
【0134】 このことは、ロータリークリート型の実施の形態では容易である。なぜなら、
前記引張りコード手段から前記回転部へと力が転送されて、摩擦接触を介して前
記回転を発生させるからである。
【0135】 引張りコード手段は、円形又は多角形の断面を有する前記回転部のうち一部分
の周りを通るよう配置してもよい。いくつかの実施の形態では、回転部のうち引
張りコード手段が通る部分の断面は、前記引張りコード手段を部分的に変形させ
、それによって掴む力を大きくするように形成されている。さらに別の実施の形
態では、断面が対称形でなく、そのため一方の回転方向での握り力が、他方向で
の握り力より大きくなる。さらに別の実施の形態では、回転部において引張りコ
ード手段が周りを通っている部分は、前記引張りコード手段が前記第1の方向へ
引かれた時はこれを掴み、前記引張りコード手段がその他の方向へ引かれた時は
これを解放するように配置された握り手段を有する。この後者の配置では、握り
手段はクラムクリートを有すること、としてもよい。
【0136】 さらに、回転部は断面の異なる複数の部分を有し、前記引張りコード手段は、
前記複数の部分のうち1つの周りを選択的に通るように配置される、としてもよ
い。特に、前記複数の部分のうち1つは、もう一方よりも断面が大きいこと、と
することもできる。
【0137】 前記回転部は、前記ポンプ又はコンプレッサ手段から伸びるとともに、前記ポ
ンプ又はコンプレッサ手段に前記駆動入力を供給するよう配置されている回転軸
である、とするのが望ましい。
【0138】 以下、本発明のロータリークリート型の実施の形態について、図13乃至15
を参照しながら説明する。
【0139】 図13は、「覆い」102で覆われた「ハウジング」101内に、ほぼ全体が
格納された状態の装置を示している。また、同図に示す通り、「コード」103
が、覆い102に設けられた「穴」104を通って突き出しており、コード10
3の外側端部には「ハンドル」105が取り付けられている。覆い102は、「
踏み台」106を備える形に設計されており、操作者は、この踏み台106に足
を置くことで、ハンドル105によってコード103に加えられる張力の結果と
して装置に加わる力に対して、地面に装置を固定することが可能となる。
【0140】 図14及び15は、コード103に張力を加えるためのシステムを含め、装置
の残りの部分を示しており、その中には、「設置ブロック」108に設置された
固定の「スレーブ軸」107が含まれ、「プーリ」109がスレーブ軸107上
に回転可能に設置されており、「コイルバネ」110がスレーブ軸107とプー
リ109との間にトルクを発生させる。
【0141】 コイルバネ110は、「リセス」111内部で逆に巻かれており、コイルバネ
110の外側の端部はプーリ109のリセス111内側に取り付けられている。
そして、コイルバネ110の装置内にある方の端部はスレーブ軸107に取り付
けられている。
【0142】 コード103の装置内の端部はプーリ109につながれている。そして、コー
ド103は、「主軸」112に何回か巻き付けられる(図は、1回と4分の3回
転だけ巻かれたか状態を示す)。コード103はさらに、覆い102に設けられ
た穴104を通って外に出たところでハンドル105につながれている。主軸1
12にコード103を巻く回数については、コード103の「末端部」103A
と「動作部」103Bとの両方に張力がかかっている状況では、主軸112に対
して駆動に必要なトルクを与えるのに充分な回数とすべきである。一方、コード
103の末端部103Aにしか張力がかかっていない状況では、主軸112の周
りにコード103を滑らせられる程度の回数でよい。必要な回転数については、
コード103の設計、主軸112の設計、そして、コード103の末端部103
Aにおける張力など、多くの要因によって左右されるであろう。所定の環境下に
おいては、必要な回数が1回よりも小さくなることもありうる。
【0143】 主軸112の下方には、2回転分のコード103が「コードガイド」113に
よって隔てられている。コードガイド113は主軸112近くを通り、コード1
03が主軸112に沿って動くのを防止している。
【0144】 主軸112は「軸受」114上に回転可能に設置されており、主軸112の一
方の端部には偏心「スピゴット」115が設置されている。「接続ロッド」11
6は、スピゴット115と、「ピストン」118の底部に設けられた「ピストン
軸受」117との両方に、回転可能に設置されている。ピストン118は「シリ
ンダ」119内を自由にスライドする。そして、シール(図示せず)が、ピスト
ン118とシリンダ119との間を気密密閉している。
【0145】 シリンダ119の頂上側端部には、外からシリンダ119内に空気を取り込む
ように設置された「吸気弁」120と、シリンダ119からホース(図示せず)
へ圧縮空気を送り出すよう設置された「排気弁」121とがある。このホースの
もう一方の端には、適当なコネクタ(図示せず)が取り付けられ、気密密閉した
形で適当な弁に接続することができるようになっている。自転車用タイヤに関し
て言えば、シュレーダー式又はプレスタ式の弁となるであろう
【0146】 以下、ロータリークリート型の実施の形態の装置を使って自転車のタイヤをふ
くらませる場合の操作について、図14及び図15を参照しながら説明する。
【0147】 装置は、ふくらませようとするタイヤの近くの地面に置き、コネクタをタイヤ
弁に取り付ける。ホースに余分な力が加わらないよう、装置とタイヤとの間隔は
狭くしておくほうがよい。操作者は、足を踏み台にのせて装置を固定してから手
でハンドルを握る。
【0148】 その後、操作者は、ハンドルを引いてコードをプーリからほどいた後、ハンド
ルを放してコイルバネの力でコードをプーリに巻き戻させる動作を繰り返す。操
作者がハンドルを引いている時、コードは主軸を掴みポンプを駆動する。一方、
操作者がハンドルを放すと、コードは主軸を滑って容易にプーリ上に巻き戻され
る。この点については、次のパラグラフで詳しく説明する。
【0149】 操作者がハンドルを引くとプーリからコードがほどけてコイルバネからのトル
クと反対に回転する。ここで、末端部103Aにおける張力をTTailingとし、
動作部103Bにおける張力をTWorkingとする。これら2つの反対方向の張力
によって、コードが主軸を掴む。これは摩擦による場合もあるが、以下に述べる
ような他の手段による場合もある。操作者がハンドルを引くと、TWorkingはTT ailing よりも大きくなり、コードと主軸との間には充分な掴み力が存在するので
、主軸は回転することになる。
【0150】 主軸の回転によって、スピゴットも主軸の軸線に沿って回転する。すると、そ
れに続いて、接続ロッドとピストンとがシリンダ内部を往復運動する。ピストン
が主軸方向に動くにつれ、吸気弁を通じてシリンダ内に空気が引き込まれる。そ
の後、ピストンが主軸から離れて元の位置に戻るのに従い、シリンダ内の空気は
圧縮され、さらには放出弁を通ってホースに放出される。そこから、圧縮空気は
さらに、コネクタ、シュレーダー弁又はプレスタ弁を通ってタイヤに送り込まれ
る。
【0151】 コードが主軸に沿って動かないよう、コードガイドが設けられている。コード
ガイドは更に、コードが重ならないようにすることで、装置のなめらかな動作が
妨げられないようにする働きがある。
【0152】 操作者がハンドルを引くのを止めると、シュレーダー弁又はプレスタ弁、そし
て放出弁は閉じる。シリンダ内には部分的に圧縮された空気が残る場合があって
、そうなると、ピストンはわずかに主軸方向に押し戻されることがある。これは
、装置の適正な動作に影響を与えるようなものではない。
【0153】 操作者がハンドルを放した時点で、コードの動作部には、もはや張力TWorkin g は全く存在しない。コイルバネからの張力TTailingは、プーリにコードを巻き
戻すよう作用するであろう。重要なことは、もはや張力TWorkingが全く存在し
ないため、コードにはもはや主軸を掴む力がないということである。そのため、
コードは主軸の上を滑って簡単にプーリ方向に戻っていき、主軸やポンプを駆動
する必要はない。
【0154】 ここでもまた、コードガイドのおかげで、コードが主軸に沿って動くことはな
い。コードガイドは更に、コードが重ならないようにすることで、装置のなめら
かな動作が妨げられないようにしている。
【0155】 タイヤに充分な空気が入ったと感じれば(圧力計を装置に取り付けてもよい)
、操作者はハンドルを完全に放せばよい。コイルバネの作用でハンドルはハウジ
ング内に収まる。その後、コネクタをシュレーダー型又はプレスタ型の弁から取
り外せば、それでタイヤをふくらませる操作は完了する。
【0156】 クランク軸、接続ロッド、ピストン、シリンダ、弁、ホース、そしてコネクタ
の設計については、ここでは詳しく述べる必要はない。これはポンプ又はコンプ
レッサの単なる一例にすぎず、こうしたポンプは既によく知られているからであ
る。本発明のロータリークリート型の実施の形態の中心部分は、コードと主軸と
の接続形式であり、これについては、以下に、より詳しく説明する。
【0157】 コードが主軸を掴むための手段の一つは摩擦である。コードと主軸との間の限
定摩擦(F)については、確立された工学方程式が存在する。先ず、限定摩擦(
F)は、単にコードの一方の端部における張力:T1ともう一方の端部における
張力:T2との差である。T2がT1より大きい場合、以下の式となる: F=T2−T1 ただし、以下の式もある: T2=T1efa 上の式において、‘e’はネーピアの対数の基数(およそ2.718)、‘f’は
摩擦係数、そして、‘a’はコードと軸との間の接触角(ラジアン単位で測定)
である。
【0158】 先ず、T2がTWorking(すなわち、操作者が加える引張り力)であり、T1が
Tailing(すなわち、コイルバネから加えられる末端の力)である場合につい
て考える。T2:T1の比率はTWorking:TTailingの比率に等しく、さらに、e fa にも等しい。そして、fに対して非常に敏感に反応するとともに、指数関数の
影響を受ける。言いかえれば、非常に小さいTTailingに対して、滑りが生じる
前に大きなTWorkingを提供するようにシステムを設計できる、ということであ
る。
【0159】 次に、操作者がハンドルを放した場合について考える。ここで、TWorking
0であり、必然的にT1となる(T2>T1なので)。そのため、T2はTTailing
であり、FはT2を上回ることはないので、コードは容易に巻き戻せる。
【0160】 純粋に理論だけから言えば、T2=T1efaであって、しかもT1=0である場合
、T2も0となるはずである。しかし、こうした理論は、現実世界のいくつかの
要素、特に、コードの重さ、固さ、変形性を無視している。これらの要因が重な
れば、TWorkingが存在しない状況であっても、コードと軸との間にはある程度
の摩擦が生じるということである。
【0161】 しかし、コードが軸を掴む手段は摩擦だけではない。図16B及び16Cに示
すように軸が(円形でなく)多角形の断面を有するように作られている場合、も
う一つ別の原理が働き始める。ウィンチの設計においては立証済みのことだが、
ロープは、円形の断面のものにそって引張る場合よりも、多角形の断面のものに
そって引張る場合の方が、抵抗は強い(米国特許公報4,688,765号を参照、Jesus
Guangorena)。Guangorenaによれば、これは摩擦が原因ではなく、多角形の頂
点がロープを変形させる(平らにする)ためであり、この変形がロープ全体に広
がることに対する抵抗が存在するのだという。
【0162】 実際、断面が円形の磨かれたステンレス鋼の場合だと、ポンプを駆動するのに
適した握り力を実現するには、コードを軸に5、6回巻く必要があるのに対し、
断面が6角形又は8角形の磨かれたステンレス鋼の場合は、2回巻くだけで充分
である。多角形断面の頂点部分が尖っていなくても、コードには変形が生じ、各
頂点の半径を小くすれば、コードの摩耗を低減するのに役立つ。同様に、軸に巻
く回数を少なくし、コードがこすりつけられるコードガイドの数も少なくすれば
、コードの摩耗は小さくなる。
【0163】 コードに軸を掴ませる形の3つめは、コード及び軸の少なくとも一方の表面を
非対称な形に(すなわち、ある方向に向かう摩擦が逆方向に向かう摩擦より大き
くなるように)設計する、という方法である。これの簡単な例を図16Dに示す
。このような形状にすれば、コードは、ある方向に向けて軸をしっかりと掴むこ
とになり、しかも軸にコードを巻く回数を非常に少なく(例えば、1回転未満)
することができるとともに、その一方で、コードは逆方向に滑りやすくなる。ま
た、1組の歯を有する形の非対称形のコード(おそらく、ある種のチェーン又は
ベルトに、より近い)を設計することも可能である。この歯によって、コードは
ある方向では軸を掴むのに対し、逆の方向に滑りやすくなる。最終的には、この
ような歯を、形状が非対称という特徴を有する軸と組み合わせる設計にすること
もできる。そうして、コードと軸とをラチェット状の機構に変形することも効果
的である。
【0164】 また、同様の効果は、非対称なコードを用いなくとも、軸がクラムクリートの
ように動作する設計にすることでも実現できる。図16E及び図16Fに、その
例を示す。回転クラムクリート機構が主軸に設置されており、ユーザがコードを
引っ張ると、クリート機構の「スプライン」124にコードがからみ、ポンプを
駆動する。コードが軸の周りを滑ることはない。なぜなら、動作張力TWorking
が大きくなっても、単に、クリート機構のスプラインにコードがいっそう強く掴
まれることになるだけだからである。その一方で、ユーザがハンドルを放すと、
末端張力TTailingの作用線は、クリート機構のスプラインの間からコードを引
張り出す形で働き、コードは自由にTTailingの作用を受けて引張られる。図1
6E及び図16Fに示すスプラインはまっすぐだが、スプラインのについては、
円弧又は螺旋の一部を形成する形、あるいはその他の形としてもよい。特に、イ
ンボリュート形状(円形軸からほどかれるコードの終端がたどる軌跡)を有する
形も可能である。
【0165】 ただし、従来型の軸の場合、必要な回転数に影響を与える別の要因として、末
端張力TTailingがある。この張力を(バネを強くすることで)大きくすると、
コードと軸との間の摩擦が大きくなる(その結果、ハンドルが引かれる際の掴む
力がより強くなる)と共に、巻き戻し張力も大きくなる(その結果、コードは簡
単にプーリ上に巻き戻される)。しかし、バネはあまり強くしすぎない方がよい
。なぜなら、ハンドルを引いている間にバネにためられる仕事量は、ポンプの駆
動には使われず、回復されないからである。
【0166】 図14及び図15に示す回転数は少ない(1.75回)が、これは図を見やす
くするためである。これは、高摩擦の主軸、多角形の主軸、または強いコイルバ
ネを想定している。
【0167】 本発明によるロータリークリート型の実施の形態を実際に用いる場合に発生す
る問題の1つは、主軸に沿ってコードがずれ、ついには、コード同士が重なって
しまい装置のなめらかな動作に悪影響を与える、というものである。そこで、こ
のような事態になっても問題が出ない程度に軸を長くした形で装置を設計しても
よい。また、すでに説明したコードガイドを用いることで、こうした事態を防止
してもよい。ただし、コードガイドの利用には問題がない訳ではない。コードガ
イドのためにコードが軸に沿って軸線方向に押し付けられ、コードと軸との間に
摩擦が発生するからである。
【0168】 単独で、又は組み合わせで用いることによって、コードが重なったり軸とコー
ドとの間に過度の摩擦が生じたりすることを防止できるような詳細設計は、数多
くある。ウィンチは、砂時計状又はダンベル状の形、あるいは端部に角度をつけ
た形に設計されることが多く、それによって、コードが軸に沿って限度内で動け
るようにするとともに、端部でコードが重なるのを防止している。軸を先細りの
形にしても、同様の作用が発揮される。また、それとは別に、コードの動作端部
及び末端端部について、主軸から離れていくところで、重なりの問題を防止でき
るような角度をつけることもできる。これだと、軸に沿ったある程度の軸線方向
移動を、認めることも禁止することも可能である。
【0169】 また、1回未満の回転数でコードが軸を駆動できるのであれば、この問題は防
止できる。なぜなら、その場合、コードは軸に設けられた溝の中で動作し、軸に
沿ってはみ出すことはないからである。この形にするには、コードよりもベルト
を用いる方が容易であろう。ベルトであれば、回転数が1回未満であったとして
も、軸に接する表面積が大きくなる。
【0170】 回数をより多くした場合でも、図17に示すように、少なくとも一方がコード
によって駆動される、互いに平行な2本の軸を設置することで、同様の効果を達
成できる。図に示した事例では、主軸112がコードによって駆動され、「自由
軸」122は軸受(図示せず)内で自由に回転する。コード103は、いずれの
軸においても、一連の「溝」123の中で動作する。そのため、回転の有効回数
は非常に多くなるが、いずれの軸でもコードが軸線方向に動くおそれはなく、コ
ードと軸とがこすれ合うこともない。
【0171】 本発明によるロータリークリート型の実施の形態が、EP0806568号公報の発明
よりも優れていると言える根拠は主に以下の2点である。先ず第1に、本発明に
よるロータリークリート型の実施の形態では、フリーホイールクラッチ又はオー
バーハングクラッチといった高価な部品が必要ない。また、フリーホイールクラ
ッチ又はオーバーハングクラッチは、必ずしも信頼性が高いとは言えない場合が
ある。すなわち、自転車用ポンプには泥や水がかかることがあるが、そうした場
合、これらの部品は動作の信頼性が低下してしまうのである。第2に、主軸とス
レーブ軸とを使用することで、ギアシステムなどの伝達システムを追加使用する
ことなしに、プーリの回転数をポンプの回転数と異なるものにできる。このこと
が重要であるのは、コイルバネでは通常30〜40回程度までの回転数しか実現
できず、その結果、プーリ上でのコードの回転数もこの値に制限されるからであ
る。これだと、充分な量の空気を供給するには、それ以外の場合では選択しない
ような大型のシリンダや、複数のシリンダを使うことが必要となり、いずれの場
合もコストが増加する。本発明によるロータリークリート型の実施の形態によれ
ば、主軸の直径を小さくするだけで、同じ効果を達成することができる。
【0172】 本発明によるロータリークリート型の実施の形態に関して、その他の例を以下
に示す。
【0173】 先ず、末端張力TTailingの供給手段については、上述したのとは別のものを
使用してもよい。スレーブ軸をプーリと共に回転させ、バネを軸とハウジングと
の間で動作させるようにするには、簡単な変更をすればよいであろう。さらに根
本的なものとして、TTailingを、全く別の発生源、例えば、コードの末端端部
につるした重しによって発生させることもできる。また、別な形として、コード
の末端端部をハウジングの外に引き出し、もう一つ別のハンドルにつないでもよ
い。ユーザはもう一方の手を使って、自分で末端張力を発生させることができる
。さらに、上記以外にも様々な形が考えられる。
【0174】 本発明によるロータリークリート型の実施の形態に関するマルチシリンダ型の
例では、主軸に取り付けられたクランク軸で駆動される複数の接続ロッドが、複
数のピストンを動作させる形になる。
【0175】 ロータリークリート型の実施の形態に関するバネ補助型の変形例では、1個以
上のバネが使用され、プーリにおいて各サイクルで自然に発生するトルクの変動
を平滑化するのに役立てられる。この変動が最も顕著となるのは、ロータリーク
リート型の実施の形態に関する単一シリンダ往復運動ピストン型の変形例(カム
なし)においてであり、この場合、サイクルの少なくとも半分、ピストンがシリ
ンダ内に空気を引き込む間、全く作業が行われない。バネシステムについては、
サイクルのうち空気に対する動作がより少ない部分ではバネがエネルギーを吸収
し、サイクルのうち空気に対する作用がより大きい部分ではバネがゆるめられる
(蓄積したエネルギーの一部を解放する)、となるように工夫してもよい。
【0176】 ロータリークリート型の実施の形態には、いくつかのマルチスピード型の変形
例がある。第1のマルチスピード型の実施の形態では、主軸は断面の小さい部分
と断面の大きい部分とを有し、これらは主軸の軸線方向に離れていて、コードが
断面の小さい部分を掴んでいても、断面の大きい部分を掴んでいても、いずれで
も主軸が駆動されるようにしてある。そして、コードガイドは、主軸の軸線方向
にも半径方向にも(断面の小さい部分が使用されている場合は、主軸の軸線に向
かう方向にも)移動可能とすることができる。あるいは、主軸は軸線方向に、コ
ードガイドは半径方向に、それぞれ移動可能にしてもよい。
【0177】 第2のマルチスピード型の実施の形態では、主軸の一部分に沿ってスリーブが
あり、スリーブは主軸そのものより断面が大きくなっている。コードの張力が鈍
化すると、スリーブは主軸に沿って移動し、コードは軸の表面でなくスリーブの
表面を掴むようになる。
【図面の簡単な説明】
本発明の好適な実施の形態については、説明にあたって添付の図面の最初の4
枚が参照される。また、他の好適な実施の形態については、説明に当たって、他
の添付図面が参照される。それら添付図面とは以下のものである。
【図1】 完全に組み立てられた状態の装置を示す図である。
【図2】 組み立てられた装置の使用中の状態で、ホースとコネクタとが外に出され、ハ
ンドルが引っ張られている状態を示す図である。
【図3】 組み立てられた装置がハウジングから取り出された状態を、ホース及びコネク
タを省いた形で示す図である。
【図4】 図3に示した装置の分解組立図である。
【図5】 クランク軸型の実施の形態における組み立て済み装置について、ハウジングか
ら取り外された状態を、ホース及びコネクタを省いて示す図である。
【図6】 図5に示した装置の分解組立図である。
【図7】 カム型の実施の形態における、完全に組み立てられた状態の装置を示す図であ
る。
【図8】 カム型の実施の形態における組み立て済み装置を、覆いを外して発明の主要部
分が見える形で示す図である。
【図9】 カム型の実施の形態における組み立て済み装置の断面図である。
【図10】 カム型の実施の形態における組み立て済み装置を、ハウジングから取り外した
形で示す図である。
【図11】 カムの形状及び構成に関するデータを示す図である。
【図12】 カム型の実施の形態におけるクラッチレスの変形例を示す図である。
【図13】 ロータリクリート型の実施の形態における、完全に組み立てられた状態の装置
を示す図である。
【図14】 ロータリクリート型の実施の形態を、覆いを外して発明の主要部分が見える形
で示す図である。
【図15】 ロータリクリート型の実施の形態を、ハウジングから取り外した形で示す図で
ある。
【図16】 円形、多角形、そして非対称の形の軸について断面を示す図である。
【図17】 主軸に対して平行な自由軸を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 3H071 AA01 AA06 BB01 BB05 CC33 DD01 3H075 AA01 BB01 CC34 DA04 DB13 DB23 DB36 DB37 3H076 AA01 AA16 AA32 AA34 BB38 CC09 CC17 CC19

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体を移動又は圧縮するための装置であって、 回転軸を介して機械的回転駆動入力を受けるよう配置されたポンプ又はコンプ
    レッサ手段と、そして、 前記駆動入力を供給する駆動手段とを有し、 前記駆動手段は、 回転部及び引張りコード手段であって、ユーザが前記引張りコード手段の一端
    を引くと前記回転部が回転するように引張りコード手段が前記回転部の周りを通
    っており、当該回転部の回転が前記機械的回転駆動入力を供給する、という回転
    部及び引張りコード手段と、そして、 前記引張りコード手段を引き戻すように働くトルクを供給するよう配置された
    トルク供給手段と、を有し、 前記回転手段及び前記トルク供給手段については、同軸線上かつ同一面上にあ
    る、という関係にはないこと、 を特徴とする装置。
  2. 【請求項2】 前記回転部は、周囲に前記引張りコード手段が巻かれ、前記
    引張りコード手段の前記一端が引かれると回転するプーリを有し、 前記駆動手段は、さらに、前記プーリの回転を前記回転軸に伝達するよう配置
    された伝達手段を有すること、 を特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 引き戻し中の前記引張りコード手段の動きによって前記回転
    軸が回転することがないこと、 を特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記伝達手段は、引き戻し中の前記プーリの回転が前記回転
    軸に伝達されないように配置された、フリーホイール、クラッチ、そしてラチェ
    ット手段のうち1つを有すること、 を特徴とする請求項2に記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記プーリと、前記フリーホイール、クラッチ、そしてラチ
    ェット手段のうち1つとが、前記回転軸と同軸線上に設置されていること、 を特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記トルク供給手段は、前記回転部と同軸線上に配置されて
    いるとともに、前記回転部とは軸線方向に離れた位置にあること、 を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記トルク供給手段は、前記回転部の回転軸から離れた位置
    におかれているとともに、 当該装置は、前記トルク供給手段が供給する前記トルクが前記回転部に伝えら
    れる通り道となるトルク伝達手段を有すること、 を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記トルク伝達手段はギア手段を有すること、 を特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記トルク伝達手段は、スプロケット及び、タイミング調整
    ベルト又はチェーン手段を有すること、 を特徴とする請求項7に記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記トルク供給手段は、コイルバネ、捻じりバー、そして
    弾性バンドのうちの1つを有すること、 を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記トルク供給手段が、前記プーリの回転軸とは同軸でな
    い第2軸の周りに巻かれたバネ手段を有し、 さらに、前記プーリに設置された第1ギアと前記第2軸に設置された第2ギア
    とを有していて、これらのギアを介して前記プーリの回転が前記第2軸の回転に
    結合されること、 を特徴とする請求項2、4又は5のいずれかに記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記第1ギアは、直接に前記第2ギアとかみ合っているこ
    と、 を特徴とする請求項11に記載の装置。
  13. 【請求項13】 前記第1ギア及び前記第2ギアとの間に、さらに、1以上
    のギアが配置されていること、 を特徴とする請求項11に記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記引張りコード手段は、ケーブル、ロープ、コード、糸
    、そしてチェーンのうち少なくとも1つを有すること、 を特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記引張りコード手段は、テープそしてベルトのうち少な
    くとも1つを有すること、 を特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
  16. 【請求項16】 前記ポンプ又はコンプレッサ手段はピストンを有し、 前記回転駆動入力は、前記ピストンの内面として設けられる一対の従動部の上
    でカムとして働く偏心設置されたスピゴットを保持するクランク手段を駆動する
    よう調整されていること、 を特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の装置。
  17. 【請求項17】 前記ピストンが両面ピストンであること、 を特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 【請求項18】 前記内面が平行であること、 を特徴とする請求項16又は17に記載の装置。
  19. 【請求項19】 流体を移動又は圧縮するための装置であって、 入力回転軸を介して機械的回転駆動入力を受けるよう配置されたポンプ又はコ
    ンプレッサ手段と、そして、 前記駆動入力を供給する駆動手段と、を有し、 前記駆動手段は、引張りコード手段と、ユーザが前記引張りコード手段の一端
    を引いた時に、前記引張りコード手段の運動を前記回転軸の回転に変換する手段
    と、を有し、 前記ポンプ又はコンプレッサ手段は、シリンダ内部で軸線方向に移動可能なピ
    ストンと、前記回転軸とともに回転するよう配置されたカム手段と、前記カム手
    段と相互作用して前記ピストンを動作させるよう配置されたカム従動部手段と、
    を有すること、 を特徴とする装置。
  20. 【請求項20】 前記カム従動部手段は、前記ピストンに対して固定されて
    いること、 を特徴とする請求項19に記載の装置。
  21. 【請求項21】 前記カム従動部手段は、前記ピストンに一体化されて形成
    されていること、 を特徴とする請求項19に記載の装置。
  22. 【請求項22】 前記ピストンを複数有すること、 を特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載の装置。
  23. 【請求項23】 前記ピストンを2つ、それぞれシリンダ内で共通の軸線上
    を逆位相で移動するよう配置された形で有すること、 を特徴とする請求項22に記載の装置。
  24. 【請求項24】 前記駆動手段は、 前記引張りコード手段が上に巻かれたプーリであって、当該引張りコード手段
    の自由端部が引張られることで回転させられるように配置されたプーリと、 前記プーリの前記回転を前記回転軸に伝達するよう配置された伝達手段と、そ
    して、 前記引張りコード手段を前記プーリ上に巻き戻すよう配置されたバネ手段と、
    を有し、 前記伝達手段は、巻き戻し中の前記プーリの回転が前記回転軸には伝達されな
    いよう配置された、フリーホイール/クラッチ手段を有すること、 を特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載の装置。
  25. 【請求項25】 前記駆動手段は、 前記引張りコード手段が周囲を通るように配置された回転部であって、ユーザ
    によって前記引張りコード手段の一端に加えられる張力によって回転させられる
    ようになっている回転部と、そして、 前記回転部の前記回転を前記回転軸に伝達するよう配置された伝達手段と、を
    有すること、 を特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載の装置。
  26. 【請求項26】 前記引張りコード手段は、ケーブル、ロープ、コード、糸
    、チェーン、テープ、そしてベルトのうち少なくとも1つを有すること、 を特徴とする請求項19乃至25のいずれかに記載の装置。
  27. 【請求項27】 流体を移動又は圧縮するための装置であって、 機械的回転駆動入力を受けるよう配置されたポンプ又はコンプレッサ手段と、
    そして、 前記駆動入力を供給する駆動手段と、を有し、 前記駆動手段は、回転部と前記回転部の周りを通る引張りコード手段とを有し
    、前記引張りコード手段の第1の端部は第1の張力を加えられるように配置され
    、前記引張りコード手段の第2の端部はユーザによって第2の張力を加えられる
    ように配置され、それによって、ユーザが前記第2の張力を加えることで、前記
    コード手段が第1の方向に動くと共に前記回転部が対応して回転し、前記回転が
    前記機械的回転入力の供給に使用されること、 を特徴とする装置。
  28. 【請求項28】 前記引張りコード手段が前記回転部の周りを回る角度は、
    完全な1回転よりも大きいこと、 を特徴とする請求項27に記載の装置。
  29. 【請求項29】 前記引張りコード手段が前記回転部の周りを回る角度は、
    完全な1回転であること、 を特徴とする請求項27に記載の装置。
  30. 【請求項30】 前記引張りコード手段が前記回転部の周りを回る角度は、
    完全な1回転よりも小さいこと、 を特徴とする請求項27に記載の装置。
  31. 【請求項31】 前記引張りコード手段は、ケーブル、ロープ、コード、糸
    、チェーン、テープ、そしてベルトのうち少なくとも1つを有すること、 を特徴とする請求項27乃至30のいずれかに記載の装置。
  32. 【請求項32】 前記回転部から隔てられており、前記引張りコード手段の
    前記第1の端部に前記第1の力を加えるとともに、前記第2の力が存在しない場
    合には前記引張りコード手段を引き戻すように配置された巻き取り手段、をさら
    に有すること、 を特徴とする請求項27乃至31のいずれかに記載の装置。
  33. 【請求項33】 前記巻き取り手段は、前記引張りコード手段が巻きつけら
    れる巻き手段と、前記巻き手段と協動して前記引張りコード手段に前記第1の力
    を加えるバネ手段とを有すること、 を特徴とする請求項32に記載の装置。
  34. 【請求項34】 前記引張りコード手段の前記第1の端部が、前記の又はそ
    の他のユーザによって前記第1の力が加えられるように配置されていること、 を特徴とする請求項27乃至31のいずれかに記載の装置。
  35. 【請求項35】 前記第2の力が存在しない場合、前記コード手段は前記第
    1の力によって、前記第1の方向と反対の第2の方向へ動かされること、 を特徴とする請求項27乃至34のいずれかに記載の装置。
  36. 【請求項36】 前記第2の方向への前記の動きに対応して前記回転部が回
    転するということが、実質的に皆無であること、 を特徴とする請求項35に記載の装置。
  37. 【請求項37】 力は、前記引張りコード手段から前記回転部へと移されて
    、摩擦接触によって前記回転を発生させること、 を特徴とする請求項27乃至36のいずれかに記載の装置。
  38. 【請求項38】 前記引張りコード手段は、円形の断面を有する前記回転部
    の一部分の周りを通ること、 を特徴とする請求項27乃至37のいずれかに記載の装置。
  39. 【請求項39】 前記引張りコード手段は、多角形の断面を有する前記回転
    部の一部分の周りを通ること、 を特徴とする請求項27乃至37のいずれかに記載の装置。
  40. 【請求項40】 前記回転部のうち引張りコード手段が周りを通る部分の断
    面は、前記引張りコード手段を部分的に変形させ、それによって掴む力を大きく
    するような形に作られていること、 を特徴とする請求項27乃至37のいずれかに記載の装置。
  41. 【請求項41】 前記断面を非対称形とすることにより、ある回転方向にお
    ける握り力が、逆方向での握り力より大きくなるようにすること、 を特徴とする請求項40に記載の装置。
  42. 【請求項42】 回転部において引張りコード手段が周りを通っている部分
    は、前記引張りコード手段が前記第1の方向へ引かれた時は前記引張りコード手
    段を掴み、前記引張りコード手段が逆方向へ引かれた時は前記引張りコード手段
    を解放するように配置された握り手段を有すること、 を特徴とする請求項27乃至37のいずれかに記載の装置。
  43. 【請求項43】 前記握り手段は、クラムクリートを有すること、 を特徴とする請求項42に記載の装置。
  44. 【請求項44】 前記回転部は断面の異なる複数の部分を有し、前記引張り
    コード手段は、前記複数の部分のうち1つの周りを選択的に通るように配置され
    ていること、 を特徴とする請求項27乃至41のいずれかに記載の装置。
  45. 【請求項45】 前記複数の部分のうち1つは、他の部分よりも断面が大き
    いこと、 を特徴とする請求項44に記載の装置。
  46. 【請求項46】 前記回転部は、前記ポンプ又はコンプレッサ手段から伸び
    るとともに、前記ポンプ又はコンプレッサ手段に前記駆動入力を供給するよう配
    置されている回転軸であること、 を特徴とする請求項27乃至45のいずれかに記載の装置。
  47. 【請求項47】 前記ポンプ又はコンプレッサ手段が、回転型のポンプ又は
    コンプレッサであること、 を特徴とする請求項1乃至15及び請求項27乃至46のいずれかに記載の装置
  48. 【請求項48】 前記ポンプ又はコンプレッサ手段が、往復運動式のポンプ
    又はコンプレッサであること、 を特徴とする請求項1乃至15及び請求項27乃至46のいずれかに記載の装置
JP2000574836A 1998-10-01 1999-09-09 手動式ポンプ又はコンプレッサ Pending JP2002526718A (ja)

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