JP2002526117A - 細胞外新規rage結合タンパク質(en−rage)及びその使用 - Google Patents

細胞外新規rage結合タンパク質(en−rage)及びその使用

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JP2002526117A
JP2002526117A JP2000574713A JP2000574713A JP2002526117A JP 2002526117 A JP2002526117 A JP 2002526117A JP 2000574713 A JP2000574713 A JP 2000574713A JP 2000574713 A JP2000574713 A JP 2000574713A JP 2002526117 A JP2002526117 A JP 2002526117A
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peptide
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nucleic acid
patient
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シュミット、アン・マリー
スターン、デビッド
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Columbia University of New York
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    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 本発明は、単離されたヒトEN−RAGEペプチドを提供する。また、本発明は、ある化合物がEN−RAGEペプチドのRAGEペプチドとの相互作用を阻害し得るかどうかを決定する方法であって:(a)(i)RAGEペプチド、若しくはsRAGEペプチド、又はそれらのうちの何れかの断片、(ii)EN−RAGEペプチド又はその断片、および(iii)前記化合物を混合することと;(b)工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチドとの相互作用のレベルを測定することと;(c)工程(b)で測定された相互作用の量と、前記化合物の非存在下において工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチドとの間で測定された量とを比較することにより、前記化合物が、EN−RAGEペプチドとRAGEペプチドとの相互作用を阻害できるかどうかを決定することとを備え、前記化合物の存在下での相互作用の量の減少が、前記化合物が前記相互作用を阻害できることの指標となる方法を提供する。本発明はまた、患者の炎症を阻害する方法であって、前記患者においてEN−RAGEペプチドと後生的糖化最終産物受容体(RAGE)との相互作用を妨害することができ、それによって前記患者の炎症を阻害し得る化合物を前記患者に投与することを含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本明細書で開示されている発明は、米国保健福祉省から国立衛生研究所のグラ
ント第AG00602号の下、及び合衆国公衆衛生局のグラント第DK5249
5号、HL56881号、AG00602号、DE11561号の下、合衆国政
府の補助によってなされた。従って、米国政府は、本発明に一定の権利を有する
【0002】 本出願を通じて、本文中に様々な文献が著者名と日付によって参照されている
。これらの参考文献の完全な引用は、各実験の実験詳細の部の末尾にアルファベ
ット順で列記されているであろう。本明細書に記載され、特許権が請求されてい
る本発明がなされた時点での、当業者に公知の技術水準をより完全に記述するた
めに、これらの文献の開示内容全体を本出願に参考文献として組み込む。
【0003】
【発明の背景】
AGEの受容体(RAGE)は、細胞表面分子の免疫グロブリンスーパーファ
ミリーの一員である(1−2)。まず、グルコース(アルドース糖)修飾された
タンパク質、すなわち、後生的糖化最終産物(AGEs;Advanced G
lycation Endproducts)の細胞受容体として、同定され、
性質決定された後(3−13)、RAGEは、正常な発育状態下とアルツハイマ
ー病下の両者で、他のリガンドと相互作用することが報告された(14−16)
。通常の発育において、RAGEは、培養された胚性ニューロンで神経突起の成
長を媒介するポリペプチドであるアムホテリンと相互作用する。それらの研究で
は、抗RAGE F(ab’)又は可溶性RAGE(sRAGE)の何れかが
、アムホテリンがコートされたマトリックス上での神経突起の成長を阻害したが
、ラミニンまたはポリ−l−リシンのような他の基材でコートされたマトリック
ス上では阻害は起こらなかった(3)。後の研究で、RAGEは、アルツハイマ
ー病での神経細胞毒性とニューロンの死滅の発症と関連するポリペプチドである
アミロイド−β−ペプチドのニューロン及びミクログリア細胞の受容体として同
定された。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、単離されたヒトEN−RAGEペプチドを提供する。本発明は、あ
る化合物がEN−RAGEペプチドのRAGEペプチドとの相互作用を阻害し得
るかどうかを決定する方法であって、(a)(i)RAGEペプチド、若しくは
sRAGEペプチド、又はそれらのうちの何れかの断片と、(ii)EN−RA
GEペプチド又はその断片と、(iii)前記化合物とを混合することと;(b
)工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチドとの相互作用の
レベルを測定することと;(c)工程(b)で測定された相互作用の量と、前記
化合物の非存在下で工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチ
ドとの間で測定された量とを比較することにより、前記化合物が、EN−RAG
EペプチドとRAGEペプチドとの相互作用を阻害できるかどうかを決定するこ
ととを備え、前記化合物の存在下での相互作用の量の減少が、前記化合物が前記
相互作用を阻害できることの指標となる方法も提供する。本発明は、患者の炎症
を阻害する方法であって、前記患者でのEN−RAGEペプチドと後生的糖化最
終産物受容体(RAGE)との相互作用を妨害し得る化合物を前記患者に投与す
ることによって、前記患者の炎症を阻害することを備えた方法も提供する。
【0005】
【発明の詳細な記述】
本明細書では、以下の略号が用いられる:CML−カルボキシメチル−リシン
;AGE−後生的糖化最終産物;RAGE−後生的糖化最終産物受容体;sRA
GE−後生的糖化最終産物の可溶性受容体;EN−RAGE−細胞外新規RAG
E結合タンパク質。
【0006】 本発明は単離されたヒトEN−RAGEペプチドを提供する。ある態様では、
前記単離されたEN−RAGEペプチドは、表1に示されたN末端アミノ酸配列
を有する。別の態様では、前記EN−RAGEペプチドは、Genbank受付
番号AF011757のcDNA配列によってコードされる。単離された核酸分
子は、EN−RAGEペプチドをコードしている。ある態様では、前記EN−R
AGEペプチドは、ヒトEN−RAGEである。別の態様では、前記核酸は、D
NA、cDNA、又はRNAである。ある例において、前記EN−RAGEの核
酸配列は、図5に示されている配列である(配列番号1)。
【0007】 本発明は、EN−RAGE核酸分子を含む複製可能なベクターも提供する。あ
る態様では、前記複製可能なベクターは、原核生物の発現ベクター、酵母発現ベ
クター、バキュロウイルス発現ベクター、又は哺乳類発現ベクターである。
【0008】 本発明は、前記複製可能なベクターを含む宿主細胞も提供する。ある態様では
、前記宿主細胞は、真核細胞、体細胞、又は生殖細胞である。
【0009】 別の態様において、本発明の核酸分子は検出可能な部分で標識され得る。前記
検出可能な部分は、蛍光標識、ジゴキシゲニン、ビオチン、酵素、放射活性原子
、常磁性イオン、および化学発光標識からなる群から選択され得る。
【0010】 本発明は、実質的に3’から5’方向のEN−RAGE核酸配列のユニークな
断片からなる核酸分子であって、前記配列が、天然のEN−RAGEペプチドを
コードする遺伝子の少なくとも一部に対してアンチセンスである核酸分子も提供
する。
【0011】 本発明は、EN−RAGEペプチド又はその断片と薬学的に許容される担体を
含む組成物も提供する。ある態様では、前記薬学的に許容される担体は、エアロ
ゾル、静脈内の、経口、又は局所の担体である。
【0012】 本発明は、EN−RAGEのユニークな配列を含むエピトープと免疫的に反応
する抗体も提供する。
【0013】 本発明は、細胞中でEN−RAGE mRNAを特異的に切断できるリボザイ
ムも提供する。
【0014】 本発明は、トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その生殖細胞又は体細
胞が、EN−RAGEペプチド又は生物学的に活性なその変種をコードし、胚段
階で前記哺乳類又はその先祖に導入された核酸分子を含有するトランスジェニッ
ク非ヒト哺乳類も提供する。ある態様では、EN−RAGEポリペプチドをコー
ドする核酸分子は、哺乳類の細胞中で過剰発現される。別の態様では、前記核酸
分子はヒトEN−RAGEペプチドをコードする。別の態様では、前記活性な変
種はEN−RAGEの相同体を含む。
【0015】 本発明は、トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その生殖細胞又は体細
胞が、EN−RAGEペプチドの発現レベルが天然の哺乳類のEN−RAGEペ
プチドの発現レベル以下に減少するようにデザインされた適切な配列を有する適
切なベクターでトランスフェクトされたトランスジェニック非ヒト哺乳類を提供
する。ある態様では、前記適切なベクターは、相同的組換えを可能にするための
適切なクローニングされたゲノム核酸分子を含有する。別の態様では、前記適切
なベクターはEN−RAGE mRNA分子、又は天然のEN−RAGE mR
NA配列に対してアンチセンスな配列を含むアンチセンス分子を切断できるリボ
ザイムをコードする。
【0016】 本発明は、ある化合物がEN−RAGEペプチドのRAGEペプチドとの相互
作用を阻害し得るかどうかを決定する方法であって、(a)(i)RAGEペプ
チド、若しくはsRAGEペプチド、又はそれらのうちの何れかの断片と、(i
i)EN−RAGEペプチド又はその断片と、(iii)前記化合物とを混合す
ることと;b)工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチドと
の相互作用のレベルを測定することと;(c)工程(b)で測定された相互作用
の量と、前記化合物の非存在下で工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(i
i)のペプチドとの間で測定された量とを比較することにより、前記化合物が、
EN−RAGEペプチドとRAGEペプチドとの相互作用を阻害できるかどうか
を決定することとを備え、前記化合物の存在下での相互作用の量の減少が、前記
化合物が前記相互作用を阻害できることの指標となる方法も提供する。
【0017】 ある態様では、工程(a)(i)の断片はRAGEのVドメインである。別の
態様では、工程(a)(i)又は(a)(ii)の断片は合成である。別の態様
では、前記化合物は、天然に存在するsRAGEペプチドの一部分を含む。別の
態様では、前記化合物は、ペプチド模倣体である。別の態様では、前記化合物は
有機分子である。別の態様では、前記化合物は、ペプチド、核酸、あるいは無機
化合物である。別の態様では、前記化合物は10,000ダルトン未満の分子で
ある。別の態様では、前記化合物は抗体又はその断片である。別の態様では、前
記化合物は変異されたRAGEペプチド又はその断片である。別の態様では、前
記化合物は変異されたsRAGEペプチド又はその断片である。別の態様では、
前記化合物は変異されたEN−RAGEペプチド又はその断片である。別の態様
では、工程(a)(i)のペプチドは固体表面に付着される。別の態様では、工
程(a)(ii)のペプチドは固体表面に付着される。別の態様では、工程(a
)(i)又は工程(a)(ii)のペプチドは検出可能に標識される。別の態様
では、前記検出可能な標識は蛍光、ビオチン、又は放射能を含む。
【0018】 別の態様では、スクリーニング法での前記混合は、細胞中で起こる。別の態様
では、前記混合は動物中で起こる。
【0019】 本発明は、本明細書に記載したスクリーニング法によって同定された化合物で
あって、患者の炎症の抑制に有用である化合物も提供する。
【0020】 本発明は、本明細書に記載した方法によって同定された化合物であって、患者
の全身性エリテマトーデス又は炎症性ループス腎炎の治療に有用な化合物も提供
する。
【0021】 本発明は、本明細書で上記した方法によって同定された以前には未知であった
化合物を提供する。
【0022】 本発明は、患者の炎症を阻害する方法であって、前記患者においてEN−RA
GEペプチドと後生的糖化最終産物受容体(RAGE)との相互作用を妨害する
ことができ、それによって前記患者の炎症を阻害し得る化合物を前記患者に投与
することを含む方法も提供する。
【0023】 別の態様では、前記化合物は抗EN−RAGE抗体若しくはその断片、又は抗
RAGE抗体若しくはその断片である。別の態様では、前記化合物はsRAGE
ペプチドである。別の態様では、前記化合物は、実質的に、sRAGEペプチド
のリガンド結合ドメイン又はEN−RAGEペプチドのリガンド結合ドメインか
らなる。別の態様では、前記化合物は、核酸分子又はペプチドである。他の態様
において、前記ペプチドは抗体、あるいはその断片である。別の態様では、前記
核酸分子は、リボザイム、又はアンチセンス核酸分子である。
【0024】 別の態様では、前記ペプチドは、抗体又はその断片である。別の態様では、前
記核酸分子は、リボザイム又はアンチセンス核酸分子である。別の態様では、前
記化合物は、請求項26のスクリーニング法によって同定された化合物である。
【0025】 別の態様では、前記炎症は、遅延型過敏症、加速されたアテローム性動脈硬化
症、又はループス腎炎を伴う。別の態様では、前記患者は、ヒト、類人猿、マウ
ス、ラット、又はイヌである。
【0026】 別の態様では、前記投与は、病変内、腹腔内、筋肉内又は静脈内注射;注入;
リポソームを介した送達;又は局所、莢膜内、歯肉ポケット、経直腸、気管支内
、鼻、口、眼、又は耳からの送達を含む。別の態様では、前記化合物は、毎時間
、毎日、毎週、毎月、又は毎年ごとに投与される。別の態様では、前記化合物の
有効量は、約0.000001mg/kg体重〜約100mg/kg体重を含む
【0027】 別の態様では、前記患者は、全身性エリテマトーデス、炎症性ループス腎炎、
敗血性ショック又は内毒素血症に罹患している。別の態様では、前記患者は炎症
に罹患している。
【0028】 さらなる態様では、前記患者は、EN−RAGEを含有する炎症細胞の召集が
起こる自己免疫又は炎症性疾患に罹患している。別の態様では、前記患者は、細
菌が関連した、又は他の病原体が関連した感染症に罹患している。
【0029】 別の態様では、前記方法は、前記化合物を投与する間に、前記患者に薬学的に
許容される担体を投与することをさらに備える。別の態様では、前記担体は、希
釈剤を含む。別の態様では、前記担体は、ウイルス、リポソーム、ミクロカプセ
ル、ポリマーに封入した細胞、又はレトロウイルスベクターを含む。別の態様で
は、前記担体は、エアロゾル、静脈内、経口、又は局所担体である。別の態様で
は、前記化合物は、経時放出インプラントから投与される。
【0030】 本発明は、ある化合物が、EN−RAGEタンパク質の第2のタンパク質に結
合する能力を阻害できるかどうかを決定する方法であって、(a)EN−RAG
Eタンパク質、前記第2のタンパク質、及び前記化合物を混合することと;(b
)前記EN−RAGEタンパク質と前記第2のタンパク質との結合量を測定する
ことと;(c)工程(b)で測定された結合量を、前記化合物の非存在下におけ
るEN−RAGEと前記第2のタンパク質との結合量と比較することを備え、結
合量の減少が、前記化合物がEN−RAGEタンパク質の前記第2のタンパク質
に結合する能力を阻害できることの指標となる方法も提供する。
【0031】 RAGEのヒトcDNAは1406塩基対であり、404アミノ酸の成熟した
タンパク質をコードする。Neeperら1992の図3を参照。本明細書で使
用する「RAGEのVドメイン」とは、「Neeper.M.,Shmidt,
A.M.,Brett,J.,Yan,S.D.,Wang,F.,Pan,Y
.C.,Elliston,K.,Stern,D.,and Shaw,A.
Cloning and expression of RAGE:a ce
ll surface receptor for advanced gly
cosylation and products of proteins.
J.Biol.Chem.267:14998−15004,1992」(そ
の内容は、参考文献として本明細書に組み込まれる)の図5に示されている免疫
グロブリン様可変ドメインを意味する。Vドメインは、Neeperら(199
2)の図4に示されているように、23位〜120位のアミノ酸を含む。示され
ているリーダー配列は、前記Vドメインの一部ではなく、ヒトでは、前記Vドメ
インは、アミノ酸A−Q−N−I−Tから始まる。RAGEタンパク質中のAG
E結合部位を規定するのに最小限必要なアミノ酸配列は、120アミノ酸よりず
っと少ないかもしれない。
【0032】 ウシのEN−RAGE核酸配列をクローニングし、受付番号AF 01175
7でGenbankに寄託した。EN−RAGEの核酸配列は図5に示されてい
る。他の種に存在するEN−RAGEの相同体は、当業者に公知の方法によって
取得できるであろう。例えば、ウシEN−RAGE核酸cDNA配列にユニーク
な配列は、ヒトの相同体を得るために、ヒトcDNAライブラリーをスクリーニ
ングするためのプローブとして使用し得る。
【0033】 AGE(CML修飾されたAGE)のようなRAGEのリガンド及びp12、
炎症誘導性サイトカインは、炎症細胞を活性化する。これは、マウスで示された
。これらの活性化効果は、sRAGEの存在下でブロックされる。このように、
本発明は、患者におけるRN−RAGEとRAGEとの相互作用を妨害すること
ができる化合物を投与することによって、患者の炎症(例えば、免疫刺激による
炎症)をブロックする方法を提供する。このような方法は、炎症に対して選択的
であろう。前記化合物は、一例として、特にRAGEのリガンドの拮抗的阻害剤
としてデザインされる。
【0034】 スクリーニングアッセイは、成分の1つが固体表面に結合又は付着されたとこ
ろで実施し得る。ある態様では、前記ペプチドは、固体表面に付着されている。
別の態様では、RAGEのAGE結合部位の配列を有する第2のペプチドは固体
表面に結合又は付着されている。この態様で有用な固体表面は、当業者に公知で
あろう。例えば、固体表面の一例は、ビーズ、カラム、プラスチックの皿、プラ
スチックのプレート、顕微鏡のスライド、ナイロン膜などである。前記固体表面
を構成する材質は、一例として、合成品である。
【0035】 スクリーニングアッセイの工程(a)の成分の1つは、検出可能に標識され得
る。前記成分(前記化合物、前記ペプチド又は前記Vドメイン又は第2のペプチ
ドの何れか)は、蛍光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、放射性原子、常磁性
イオン、及び化学発光標識を含む検出可能な部分(moiety)で標識され得
る。前記成分は、化学的な、酵素的な、又は他の適切な手段のような共有結合手
段によって、酵素又は放射性同位体のような部分で標識され得る。
【0036】 ある態様では、前記患者は哺乳類である。別の態様では、前記患者は脊椎動物
である。好ましい態様では、前記哺乳類はヒトである。ある例では、前記患者は
糖尿病患者である。本発明の別の例では、前記患者は、糖尿病、腎不全、アミロ
イドーシス、老化、又は炎症に罹患している。前記患者は、米国医学協会の身長
及び体重の基準によって定義される肥満患者であってもよい。前記患者は老齢で
あってもよい。前記患者は、ヒト、霊長類、ウマの患者、ヒツジ(opine)
の患者、トリの患者、ウシの患者、ブタ、イヌ、ネコ、又はマウスの患者であり
得る。
【0037】 ある態様では、前記患者は、AGEに関連した疾病に罹患している。別の態様
では、このようなAGEに関連した疾病は、脳、網膜、腎臓、脈管構造、心臓、
又は肺に現れる。別の態様では、前記患者は、アルツハイマー病又は患者に蓄積
するAGEによって出現する疾病に罹患している。別の態様では、前記患者は、
軟組織の傷害、視力の衰え、心臓血管病、腎臓病などのような糖尿病の症状に罹
患している。このような症状は、当業者に公知であろう。
【0038】 前記化合物は、ポリペプチドであり得る。前記ポリペプチドは、ペプチド、ペ
プチド模倣体(peptidomimetic)、合成ポリペプチド、天然のポ
リペプチドの誘導体、修飾されたポリペプチド、標識されたポリペプチド、又は
非天然のペプチドを含むポリペプチドであり得る。前記ペプチド模倣体は、加速
されたアテローム性動脈硬化症になりやすい患者で加速されたアテローム性動脈
硬化症を抑制することができる化合物を決定するために、ペプチド模倣体である
様々な化合物の巨大なライブラリーをスクリーニングすることによって同定され
得る。前記ポリペプチドは、天然には見出されないキラリティーを有する非天然
のポリペプチド、すなわちD−アミノ酸又はL−アミノ酸であり得る。
【0039】 ある態様では、前記化合物はアンタゴニストであり、該アンタゴニストは、A
GEより高い親和性でRAGEを結合することができるため、AGEの結合の効
果を拮抗的に喪失させる。別の態様では、前記化合物は、RAGEの発現を阻害
し得るリボザイムであり得る。別の態様では、前記化合物は、抗RAGE抗体、
抗AGE抗体、RAGE抗体の抗Vドメインである。前記抗体は、モノクローナ
ル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、霊長類化であり得る。前記化合物は、こ
のような抗体の断片であり得る。
【0040】 本発明の別の態様では、前記方法は、前記ポリペプチドを投与する間に、前記
患者に、薬学的に許容される担体を投与することをさらに備え得る。前記投与は
、病変内、腹腔内、筋肉内又は静脈内注射;注入;リポソームを介した送達;又
は局所、鼻、口、眼、又は耳からの送達を含む。さらなる態様では、前記投与は
、気管支内投与、肛門又は莢膜内投与を含む。
【0041】 前記ポリペプチドは、(例えば、経時放出形態で)毎時間、毎日、毎週、毎月
、若しくは毎年、又は単回送達として送達され得る。前記送達は、一定期間にわ
たる連続的な送達、例えば静脈内送達であり得る。
【0042】 前記ポリペプチドの有効量は、約0.000001mg/kg体重〜約100
mg/kg体重を含み得る。ある態様では、前記有効量は、約0.001mg/
kg体重〜約50mg/kg体重を含み得る。別の態様では、前記有効量は、約
0.01mg/kg体重〜約10mg/kg体重を含み得る。実際の有効量は、
ポリペプチドのサイズ、ポリペプチドの生物分解性、ポリペプチドの生物活性、
及びポリペプチドの生物学的利用能に基づくであろう。もしポリペプチドが迅速
に分解せず、生物学的利用能があり、高度に活性があれば、有効であるためには
、より少ない量が必要とされるであろう。前記有効量は、当業者に公知であろう
。それは、ポリペプチドの形態、ポリペプチドのサイズ、及びポリペプチドの生
物活性にも依存するであろう。当業者であれば、バイオアッセイでの生物活性を
決定し、これによって、有効量を決定するために、ポリペプチドに対する経験的
な活性テストを定型的に行うことができるだろう。
【0043】 本発明の別の態様では、前記方法は、前記化合物を投与する間に、前記患者に
、薬学的に許容される担体を投与することをさらに備え得る。前記投与は、病変
内、腹腔内、筋肉内又は静脈内注射;注入;リポソームを介した送達;又は局所
、鼻、口、眼、又は耳からの送達を含み得る。
【0044】 前記化合物は、(例えば、経時放出形態で)毎時間、毎日、毎週、毎月、若し
くは毎年、又は単回送達として送達され得る。前記送達又は投与は、一定期間に
わたる連続的な送達、例えば静脈内送達であり得る。
【0045】 前記化合物は、sRAGEのポリペプチド類縁体のようなsRAGEポリペプ
チドであり得る。このような類縁体には、sRAGEの断片が含まれる。Alt
onら(WO 83/04053)によって公表された出願の手順に従って、本
明細書に明記したものと、1以上の残基の同一性又は位置について、1次構造が
異なるポリペプチド(例えば、置換、末端及び中間への付加、並びに欠失)の微
生物での発現をコードする遺伝子を容易にデザインし、製造することができる。
交互に、cDNA及びゲノム遺伝子の修飾は、周知の位置指定変異導入技術によ
って容易に達成することができ、類縁体、及びsRAGEポリペプチドの誘導体
を作成するために利用できる。このような産物は、sRAGEの生物学特性を少
なくとも1つ共有しているが、他の特性は異なっていてもよい。例として、本発
明の産物は、例えば、欠失によって短縮された産物、又は加水分解に対してより
安定である産物(それ故、天然のものと比べて、より顕著な、又はより長時間持
続する効果を有し得る);又は1以上のO−グリコシル化及び/又はNグリコシ
ル化され得る部位を欠失若しくは付加するように改変され、又は、例えばアラニ
ン若しくはセリン残基によって欠失若しくは置換された1以上のシステイン残基
を有し、微生物系から活性型として単離することがより容易であり得る、又は1
以上のチロシン残基がフェニルアラニンによって置換され、標的タンパク質若し
くは標的細胞上の受容体に事実上容易に結合する産物を含む。連続するアミノ酸
配列の一部、すなわちsRAGE中の2次構造のみが重複するポリペプチド断片
であって、sRAGEのある特性を有し、他の特性を有しなくてもよい断片も含
まれる。本発明の1以上のポリペプチドが治療的な有用性又は、sRAGE拮抗
のアッセイにおけるような他の状況での有用性を有するためには活性は必要では
ないことに注意しなければならない。拮抗的なアンタゴニストは、例えば、sR
AGEの過剰生産の場合に、極めて有用であり得る。
【0046】 本発明のポリペプチド類縁体の応用としては、天然のタンパク質、糖タンパク
質、及び核タンパク質に現存するアミノ酸配列を実質的に復元する合成ペプチド
の免疫学的特性の報告がある。より具体的には、相対的に低分子量のポリペプチ
ドが、ウイルス抗原、ポリペプチドホルモン等のような生理的に重要なタンパク
質の免疫反応と持続時間及び程度が類似する免疫反応に参加することが示されて
きた。このようなポリペプチドの免疫反応には、ペプチドホルモンの2次構造を
概ね共有するが、それらの1次構造のコンフォメーションを共有しなくてもよい
合成ペプチドの生物学的及び免疫学的な特性に関連する、免疫学的に活性な動物
における特異抗体の形成の刺激が含まれる[Lerner et al.,Ce
ll,23,309−310(1981);Ross et al.,Natu
re294,645−658(1981);Walter et al,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA78,4882−4886(19
81);Wong et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA,79、5322−5326(1982);Baron et al.,C
ell,28,395−404(1982);Dressman et al.
,Nature,295,185−160(1982);and Lerner
,Scientific American,248,66−74(1983)
.Kaiser et al.,[Science,223,249−255(
1984)]も参照]。
【0047】 本発明の化合物は、少なくとも部分的には天然のものでなくてもよいペプチド
模倣体化合物であり得る。ペプチド模倣体化合物は、sRAGEのアミノ酸配列
の一部の小分子模倣体であり得る。前記化合物は、前記模倣によって、安定性、
効力、有効性、及び生物学的利用能が増加していてもよい。さらに、前記化合物
は、毒性が減少していてもよい。前記ペプチド模倣体化合物は、粘膜の腸の透過
性が増大していてもよい。前記化合物は、合成的に調製してもよい。本発明の化
合物には、L−、D−、又は非天然のアミノ酸、α、αニ置換されたアミノ酸、
N−アルキルアミノ酸、乳酸(アラニンの等電子類縁体)、が含まれ得る。前記
化合物のペプチド骨格は、少なくとも1つの結合がPSI−[CH=CH](K
empf et al.1991)で置換され得る。前記化合物には、さらに、
トリフルオロチロシン、p−Cl−フェニルアラニン、p−Br−フェニルアラ
ニン、ポリ−L−プロパルギルグリシン、ポリ−D,L−アリルグリシン、又は
ポリ−L−アリルグリシンが含まれ得る。
【0048】 本発明のある態様は、前記化合物が、適切な模倣で置換された結合、ペプチド
骨格、又はアミノ酸成分を有するペプチド模倣体化合物である。適切なアミノ酸
模倣体であり得る天然でないアミノ酸の例には、I−アラニン、L−α−アミノ
酪酸、L−γ−アミノ酪酸、L−α−アミノイソ酪酸、L−ε−アミノカプロン
酸、7−アミノヘプタン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、システイ
ン(アセトアミドメチル(acetamindomethyl))、N−ε−B
oc−N−α―CBZ−L−リシン、N−ε−Boc−N−α―Fmoc−L−
リシン、L−メチオニンスルフォン、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、N−
α−Boc−N−δCBZ−L−オルニチン、N−δ−Boc−N−α−CBZ
−L−オルニチン、Boc−p−ニトロ−L−フェニルアラニン、Boc−ヒド
ロキシプロリン、Boc−L−チオプロリンが含まれる。(Blondelle
, et al.,1994:Pinilla,et al.1995)が含ま
れる。
【0049】 別の態様では、前記化合物は、可溶性RAGE(sRAGE)又はその断片で
あり得る。可溶性RAGEは、細胞表面に存在せず、細胞膜に随伴しない。
【0050】 前記患者は、哺乳類又は非哺乳類であり得る。前記患者は、ヒトであり得る。
前記患者は、マウス、ラット、ウシ、サル、ウマ、ブタ、又はイヌであり得る。
前記患者は、糖尿病患者であり得る。
【0051】 前記化合物の投与は、病変内、腹腔内、筋肉内又は静脈内注射;注入;リポソ
ームを介した送達;局所、鼻、口、肛門、眼、又は耳からの送達であり得る。前
記投与は、一定期間にわたる連続的な投与又は断続的且つ一定の間隔での投与で
あり得る。前記担体は、希釈剤、エアロゾル、局所担体、水溶液、非水溶液、又
は固体担体であり得る。
【0052】 本発明の何れの方法の実施又は何れの薬学的組成物の調製においても、「治療
的有効量」とは、患者でEN−RAGE/RAGEの相互作用を防ぐことができ
る量である。従って、前記有効量は、治療を受けている患者、治療すべき症状に
応じて変わるであろう。本発明のために、投与方法には、皮膚、皮下、静脈内、
非経口、経口、局所、又はエアロゾルによる投与が含まれ得るが、これらに限定
されない。
【0053】 本明細書において使用する「適切な薬学的に許容される担体」には、リン酸で
緩衝化した生理的食塩水溶液、水、油/水エマルジョン又はトリグリセリドエマ
ルジョンのようなエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、錠剤、被覆された錠剤
、及びカプセルのような標準的な薬学的に許容される任意の担体が包含される。
前記化合物の静脈内及び腹腔内投与に有用な許容されるトリグリセリドエマルジ
ョンの例は、商業的にIntralipid(登録商標)として知られるトリグ
リセリドエマルジョンである。
【0054】 典型的には、このような担体は、デンプン、ミルク、糖、ある種の粘土、ゼラ
チン、ステアリン酸、タルク、植物脂肪又は油、ゴム(gum)、グリコール、
又は他の公知の賦形剤のようなある種の賦形剤を含有する。このような担体は、
香料及び色素添加物又は他の成分も含み得る。
【0055】 本発明は、適切な賦形剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又
は担体とともに、治療的有効量のポリペプチド組成物及び化合物を含む薬学的組
成物も提供する。このような組成物は、液体であるか、又は凍結乾燥され、若し
くはその他の方法で乾燥された製剤であり得、様々な緩衝成分(例えば、Tri
s−HCl、酢酸、リン酸)、pH、及びイオン強度の賦形剤、表面への吸収を
防ぐためのアルブミン又はゼラチンのような添加物、界面活性剤(例えば、Tw
een 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可
溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例え
ば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(チメロサール、ベン
ジルアルコール、パラベン)、充填剤又は張性制御剤(例えば、ラクトース、マ
ンニトール)、ポリエチレングリコールのようなポリマーの前記化合物への共有
結合、金属イオンとの錯化、又はポリ乳酸、ポリグリコール酸、ハイドロゲル等
のようなポリマー化合物の粒状調製物中又は粒状調製物上への、又はリポソーム
、ミクロエマルジョン、ミセル、単一膜層又は複数膜層の小胞、赤血球のゴース
ト、又はスフェロプラスト上への前記化合物の取り込みを含み得る。このような
組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、前記化合物又は組成物のインビボでの
放出速度、及びインビボでのクリアランス速度に影響を与えるであろう。組成物
の選択は、前記化合物の物理的及び化学的特性に依存するであろう。
【0056】 制御又は維持された放出用の組成物には、親油性のデポ中(例えば、脂肪酸、
蝋、オイル)の製剤が含まれる。本発明には、ポリマー(例えば、ポロキサマー
又はポロキサミン)でコートされた粒状組成物及び組織特異的な受容体、リガン
ド、若しくは抗原に対して誘導された抗体に結合された、又は組織特異的な受容
体のリガンドに結合された化合物も含まれる。本発明の前記組成物の別の態様は
、粒状形態の保護用コーティング、プロテアーゼ阻害剤、又は非経口、肺、鼻、
及び経口を含む様々な投与経路のための透過増加剤を取り込む。
【0057】 投与すると、化合物は、しばしば、循環から素早く消滅してしまい、それ故、
相対的に短い薬学的活性しか示さないことがある。従って、治療的効果を維持す
るためには、相対的に大用量の生物活性のある化合物を頻回投与することが必要
であり得る。ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレ
ングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、又はポリプロリンのような水溶性ポリ
マーの共有結合によって修飾された化合物は、対応する未修飾の化合物と比べて
、静注後に、かなり長い血中での半減期を示すことが知られている(Abuch
owski et al.,1981;Newmark et al.,198
2; and Katre et al.,1987)。このような修飾は、水
溶液中での前記化合物の溶解度も増大させ、凝集をなくし、前記化合物の物理的
及び化学的安定性を増大させ、前記化合物の免疫原性及び反応性を大きく減少さ
せ得る。その結果、未修飾の化合物を用いたときと比べて、より少ない頻度又は
より少ない用量でこのようなポリマー化合物の付加物を投与することによって、
所望のインビボでの生物学的活性が達成され得る。
【0058】 PEGは、哺乳類で極めて低い毒性を有するので(Carpenter et
al.,1971)、化合物へのポリエチレングリコール(PEG)の付着は
特に有用である。例えば、アデノシンデアミナーゼのPEG付加物は、重症複合
免疫不全症を治療するためにヒトに使用することが米国で承認された。PEGの
抱合によってもたらされる第2の利点は、異種化合物の免疫原性と抗原性を効果
的に減少することである。例えば、ヒトのタンパク質のPEG付加物は、重篤な
免疫応答を引き起こすリスクなしに、他の哺乳類種の病気を治療するのに有用で
あり得る。本発明のポリペプチド又は組成物は、前記ポリペプチド又は前記ポリ
ペプチドを産生し得る細胞に対する宿主の免疫応答を減少又は阻害するために、
ミクロカプセル化装置に入れて送達され得る。本発明のポリペプチド又は組成物
は、リポソームのような膜にミクロカプセル化して送達してもよい。
【0059】 PEGのようなポリマーは、アミノ末端アミノ酸のαアミノ基、リシン側鎖の
εアミノ基、システイン側鎖のスルフヒドリル基、アスパラギン酸又はグルタミ
ン酸側鎖のカルボキシル基、カルボキシ末端アミノ酸のαカルボキシル基、チロ
シン側鎖のようなタンパク質中の1以上の反応性アミノ酸残基に、又はある種の
アスパラギン、セリン、又はトレオニン残基に付着した糖鎖の活性化された誘導
体に、簡易に付着され得る。
【0060】 これまで、タンパク質との直接的反応に適した多くの活性化された形態のPE
Gが記載されてきた。タンパク質のアミノ基との反応に有用なPEG試薬は、カ
ルボン酸又はカルボネート誘導体の活性エステル、とりわけ脱離基がN−ヒドロ
キシスクインイミド、p−ニトロフェノール、イミダゾール、または1−ヒドロ
キシ−2−ニトロベンゼン−4−スルホネートであるものが含まれる。マレイミ
ド又はハロアセチル基を含有するPEG誘導体は、タンパク質の遊離スルフヒド
リル基を修飾するための有用な試薬である。同様に、アミノヒドラジン又はヒド
ラジド基を含有するPEG試薬は、タンパク質中の炭水化物基の過ヨウ素酸酸化
によって生じたアルデヒドとの反応に有用である。
【0061】 <担体との製薬> ある好ましい態様では、薬学的担体は液体であってよく、薬学的組成物は溶液
の形態であろう。同様に好ましい他の態様では、薬学的に許容される担体は固体
であり、組成物は粉末又は錠剤の形態である。さらなる態様では、薬学的な担体
はゲルであり、組成物は座剤又はクリームの形態である。さらなる態様では、前
記活性成分は、薬学的に許容される経皮貼付薬の一部として調剤してもよい。
【0062】 固体担体は、香料、減摩剤、可溶化剤、懸濁剤、賦形剤、潤滑剤(glida
nt)、圧縮補助剤、結合剤、又は錠剤崩壊剤としても作用し得る1以上の物質
を含むことができる。それは、カプセル化物質でもあり得る。粉末では、前記担
体は、細かく分割された活性成分と混合される細かく分割された固体である。錠
剤では、活性成分は、必要な圧縮特性を有する担体と適切な比率で混合され、所
望の形状及びサイズに圧縮される。粉末及び錠剤は、好ましくは、99%までの
活性成分を含有する。適切な固体担体には、例えば、リン酸カルシウム、ステア
リン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラ
チン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低溶融蝋、及びイオン交換樹脂が含
まれる。
【0063】 液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤、及び加
圧された組成物を調製するのに使用される。活性成分は、水、有機溶媒、両者の
混合物、又は薬学的に許容される油若しくは脂肪のような薬学的に許容される液
体担体中に溶解、又は懸濁され得る。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、
防腐剤、甘味料、香料、懸濁剤、濃縮剤、着色料、粘度調整剤、安定化剤、又は
浸透圧調整剤のような他の適切な薬学的添加物を含有することができる。経口及
び非経口投与のための適切な液体担体の例には、水(上記の添加物、例えば、セ
ルロース誘導体、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を一
部含有する)、(一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコールを含む
)アルコール、及びそれらの誘導体、並びに油(例えば、ヤシ油、及びラッカセ
イ油)が含まれる。非経口投与のためには、担体は、オレイン酸エチル及びミリ
スチン酸イソプロピルのような油状エステルでもあり得る。無菌液体担体は、非
経口投与用の無菌液体型組成物において有用である。加圧組成物用の液体担体は
、ハロゲン化炭化水素又は他の薬学的に許容される圧縮不活性ガスであり得る。
【0064】 無菌溶液又は懸濁液である液体薬学的組成物は、例えば、筋肉内、莢膜内、硬
膜外、腹腔内、又は皮下注射によって使用することができる。無菌溶液は、静脈
投与してもよい。前記活性成分は、無菌水、生理的食塩水、又は他の適切な無菌
の注射可能な溶媒を用いて、投与時に、溶解又は懸濁させ得る無菌固体組成物と
して調製し得る。担体は、必要な不活性結合剤、懸濁剤、減摩剤、香料、甘味料
、防腐剤、色素及びコーティングを含むことが予定されている。
【0065】 本発明の前記活性成分(すなわち、前記スクリーニング法によって同定された
化合物又はその組成物)は、他の溶質又は懸濁剤、例えば、溶液を等張にするの
に十分な生理的食塩水又はグルコース、胆汁酸塩、アラビアゴム、ゼラチン、モ
ノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80(ソルビトールのオレイン酸エス
テル、及びエチレンオキサイドと共重合したその無水物)等を含有する滅菌溶液
又は懸濁液の形態で経口投与できる。
【0066】 前記活性成分は、液体又は固体組成物のうちの何れかの形態で、経口投与する
こともできる。経口投与に適した組成物は、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、及び
粉末のような固体形態、並びに溶液、シロップ、エリキシル、及び懸濁液のよう
な液体形態を含む。非経口投与に有用な形態には、無菌溶液、エマルジョン、及
び懸濁液が含まれる。
【0067】 本発明の別の態様では、前記患者は糖尿病を有し得る。前記患者は、糖尿病に
伴う合併症を示してもよい。このような合併症の幾つかの例には、内皮及びマク
ロファージAGE受容体の活性化、変化したリポタンパク質、マトリックス、及
び基底膜タンパク質;血管平滑筋の変化した収縮及びホルモン応答性;変化した
内皮細胞の透過性;ソルビトールの蓄積;神経のミオイノーシトールの枯渇、又
は変化したNa−K ATPase活性を含む。このような合併症は、「Por
te and Schwartz,Diabetes Complicatio
ns:Why is Glucose potentially Toxic?
,Science, Vol.272,pages 699−700」の最新版
で考察されている。
【0068】 本発明は、遅延型過敏症、炎症性大腸炎、慢性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、
アテローム性動脈硬化症のような慢性の炎症性疾患、アルツハイマー病、糖尿病
、及び腎不全でのENRAGE/RAGE相互作用を妨害することによって、患
者の炎症を抑制する方法を提供する。
【0069】 本発明は、EN−RAGEとRAGEの相互作用を通じて転写因子を活性化す
る方法を提供する。ある態様では、前記転写因子はNF−κBである。別の態様
では、前記転写因子はIL−1βである。別の態様では、前記転写因子はTNF
−αである。別の態様では、前記転写因子はIL−2である。
【0070】 本発明は、EN−RAGE又はEN−RAGE様分子とのRAGEの相互作用
を通じて、免疫反応に対して中心的な細胞を活性化する方法を提供する。
【0071】 本発明は、細胞骨格や細胞の形状、シグナル伝達、並びに化学走性、食作用、
脱顆粒、及び反応性酸素種(ROI)の生成を含む食作用機能の調節を変化させ
る方法を提供する。
【0072】 本発明は、RAGEとアミロイドβペプチドとの相互作用を阻害することによ
り、アルツハイマー病を治療する方法を提供する。
【0073】 本発明は、慢性的な細胞の活性化を阻害する方法であって、慢性的な細胞の活
性化を患う患者に、EN−RAGEとRAGEとの相互作用を阻害し得る物質を
投与することを備えた方法を提供する。ある態様では、前記物質は、可溶性RA
GE、抗RAGE抗体、抗EN−RAGE抗体、又はF(ab’)断片のような
何れかの抗体の断片である。
【0074】 本発明は、炎症に起因する組織の傷害を阻害する方法であって、慢性的な細胞
の活性化を患う患者に、EN−RAGEとRAGEとの相互作用を阻害し得る物
質を投与することを備えた方法を提供する。
【0075】 本発明は、患者の炎症を阻害する方法であって、RAGEとEN−RAGEと
の相互作用を阻害するのに十分な量の、前記患者におけるEN−RAGEとRA
GEとの相互作用を阻害し得る物質を、炎症を患う患者に投与することにより、
前記患者の炎症を阻害することを備えた方法を提供する。ある態様では、前記物
質は、可溶性RAGE、抗RAGE抗体、抗EN−RAGE抗体、又はF(ab
’)断片のような何れかの抗体の断片である。
【0076】 患者における細胞の活性化のレベルは、多くの方法で測定することができ、こ
のような方法は、当業者に公知であろう。例えば、インターロイキン−1β、T
NF−α、及び炎症反応の存在の指標となることが知られている他のサイトカイ
ンのような活性化の指標となるある種の分子のレベルを測定することができる。
【0077】 本発明は、患者の大腸炎を治療する方法であって、前記患者におけるRAGE
とEN−RAGEとの相互作用を阻害できる物質を患者に投与して、慢性的な炎
症を減少させることにより、前記患者の大腸炎を治療することを備えた方法を提
供する。
【0078】 本発明は、患者の炎症を阻害する方法であって、患者におけるRAGEとEN
−RAGEとの相互作用を阻害できる少なくとも1つの物質を投与することによ
り、前記患者の炎症を阻害することを備えた方法を提供する。ある態様では、抗
RAGE抗体と抗EN−RAGE抗体の両者が投与される。
【0079】 本発明は、以下の実験の詳細の部で説明される。これらの部は、本発明の理解
を助けるために記載されたものであり、いかなる意味においても、さらにその後
に存在する特許請求の範囲に記載された本発明を限定することを意図したもので
はなく、またそのように解してはならない。
【0080】
【実験の詳細】
実験#1 本発明は、(カルグラニュリン分子のファミリーと幾らかの配列類似性を有す
る)新規炎症誘発性サイトカイン様分子(EN−RAGE)を提供する。EN−
RAGEは、(好中球のような)炎症細胞の内部に存在するタンパク質であり、
このような炎症細胞によって放出され得る。EN−RAGEは、細胞性受容体R
AGEと相互作用することによって、炎症反応の伝播と維持に必要であり得る生
物学的活性を有する。
【0081】 例1:AGE受容体(RAGE)とのEN−RAGE(細胞外新規Rage結
合タンパク質)の相互作用は、炎症反応を永続させる:可溶性AGE受容体(s
RAGE)による遅延型過敏症反応の抑制 RAGE(the Receptor for Advanced Glyc
ation Endproducts)の発現は、炎症の状態下で増加する。こ
こで、我々は、内皮細胞のような細胞上のRAGEと相互作用して、擾乱と関連
した態様で、細胞の特性を変化させるEN−RAGE(すなわち、xtrac
ellular ovel RAGE−binding protein(細
胞外新規RAGE結合タンパク質))と称される、カルグラニュリンファミリー
の炎症誘発性サイトカインの新規メンバーを報告する。可溶性RAGE(RAG
Eの細胞外リガンド結合ドメイン;sRAGE)又は抗RAGE若しくは抗EN
−RAGE F(ab’)断片の投与は、遅延型過敏症のモデルで、炎症を顕
著に減弱させた。これらのデータは、RAGEを炎症反応と関連付け、EN−R
AGEとRAGEとを抗炎症性介入(intervention)の新しい標的
として同定する。このように、可溶性RAGEは、さらに、新しいクラスの抗炎
症剤をデザインするための典型的な構造である。
【0082】 AGE受容体(RAGE)は、細胞表面分子の免疫グロブリンスーパーファミ
リーのメンバーである(1−2)。まず、グルコース(アルドース糖)修飾され
たタンパク質、すなわち後生的糖化最終産物(Ages)に対する細胞の受容体
として同定され、性質決定された後(3−13)、RAGEは、正常な発育状態
下とアルツハイマー病下の両者で、他のリガンドと相互作用することが報告され
た(14−16)。正常な発育において、RAGEは、培養胚性ニューロンの神
経突起の成長を媒介するポリペプチドであるアムホテリン(amphoteri
n)と相互作用する。それらの研究では、抗RAGE F(ab’)断片又は
可溶性RAGE(sRAGE)は何れも、アムホテリンがコートされたマトリッ
クス上の神経突起の成長を阻害したが、ラミニン、又はポリ−l−リシンのよう
な他の基材がコートされたマトリックス上の神経突起の成長は阻害しなかった(
3)。後の研究で、RAGEは、アルツハイマー病における神経細胞毒性と神経
の死滅の発症と関連するポリペプチドであるアミロイド−β−ペプチドに対する
ニューロンとミクログリア上の受容体として同定された。
【0083】 我々の研究室で得られた未発表の観察で、我々は、増加したRAGEの発現は
、活性型ループス腎炎患者からの腎臓組織中のような炎症性の病変の血管及び炎
症細胞中に見られることを見出した(図1)。それ故、我々は、その状態下では
、おそらく炎症反応に参加するために、RAGEは別のリガンドと相互作用する
のかもしれないという仮説を立てた。
【0084】 ここでは、この発見が、RAGEは、カルグラニュリンCと密接な相同性を有
する分子と相互作用することを実証する。我々は、この分子をEN−RAGE( xtracellular ovel RAGE−binding pro
tein)と名付け、EN−RAGE:RAGE相互作用が、炎症反応と重要な
関わりを有する内皮細胞のような細胞を活性化することを示す。マウスの遅延型
過敏症のモデルでは、リガンド相互作用ドメインを含有する可溶性RAGE(s
RAGE)の投与は、細胞の活性化と炎症の進行を阻害する。これらの発見は、
RAGEを抗炎症性介入の新しい標的として同定する。
【0085】 <物質と方法> EN−RAGEの単離と精製 ウシの肺のアセトン粉末(SIGMA(登録商標))を、tris(0.02
M、pH7.4);NaCl(0.15M);オクチル−β−グルコシド(1%
);及びプロテアーゼ阻害剤(PMSFとアプロチニン)を含有する緩衝液中で
の可溶化に供した。SPセファロース(Pharmacia LKB(登録商標
))、及び(バキュロウイルス発現系から調製された)精製された可溶性ヒトR
AGEを吸着したaffiゲル10レジン(BIO−RAD(登録商標))への
連続的なクロマトグラフィー後に、固定化されたカラム画分(Nunc Max
isorp dishes)(NUNC(登録商標))と上記のように125
標識したsRAGEを用いたスクリーニングアッセイに基づいてRAGE結合タ
ンパク質を同定した。ヘパリン含有緩衝液(1mg/mL)で溶出した後、陽性
画分が同定された。RAGE結合タンパク質を配列分析に供した。
【0086】 EN−RAGEのクローニング: ウシ肺のライブラリーからEN−RAGE
のcDNAをクローニングし、バキュロウイルス発現系に配置した。この系では
、リーダー配列を欠くEN−RAGEは、Sf9細胞中で合成された。続いて、
界面活性剤を含有する緩衝液中での細胞の可溶化、及びヒドロキシルアパタイト
とヘパリン含有レジン上での連続精製後に、EN−RAGEが精製された。最終
産物は、クマシー染色されたSDS−PAGEゲル上で単一のバンドを示し、D
etoxiゲルカラム(PIERCE(登録商標))上でのクロマトグラフィー
後には、エンドトキシンが全くなかった。検出可能なエンドトキシンが存在しな
いことは、カブトガニアメーバ様細胞アッセイ(SIGMA(登録商標))を用
いて確認した。
【0087】 配列分析: SDS−PAGE後に、RAGE結合活性を有する約12kDa
のポリペプチドが同定され、ゲルのバンドは、以前公表した方法(17)に従っ
て溶出した。タンパク質が確実にフィルターから完全に洗浄されるようにするた
めに、2つの一定分量(各0.1mL)のグアニジン(5.0M)、尿素(5.
0M)、トリフルオロ酢酸(0.2%)、アセトニトリル(10%)、及びZw
ittergent 3−08(1.0%)(Calbiochem)の最終洗
浄を添加することによって、前記公表した方法を改変した。アミノ末端配列の分
析を行った。自動化されたエドマン分解は、HP−G1005A配列決定機(H
ewlett Packard Analytical Instrument
s)を用いて行った。内部の配列を得る目的で、抽出緩衝液が通常の半分の量の
SDSを含有すること以外は(1)上述のように、溶出のためにゲルのバンドを
処理した。エンドプロテイナーゼLys−C(1μg)(Boehringer
Mannheim)を加え、サンプルを一晩インキュベートした。続いて、1
mm×50mmのPLRP−Sカラム(Polymer Laboratori
es,Ltd.)上のmicrobore HPLC(Michrom Bio
resources)によって、消化物を分画した。用いたグラジエントは、ト
リフルオロ酢酸(0.1%)中のアセトニトリル(5〜75%)から1分毎に2
%であり、画分は30秒間隔で集めた。214nmで吸光度をモニターし、続い
て、クロマトグラフィーのピークに相当する画分を配列分析にかけた。
【0088】 内皮細胞の活性化: ヒトの臍静脈の内皮細胞を単離し、性質決定し、以前記
載したように培養した(18)。内皮細胞増殖因子が加えられていない無血清R
PMI1640中で細胞を24時間培養した後、表記の濃度のEN−RAGEで
細胞を刺激した。表記されている場合には、ウサギの抗ヒトRAGE IgG;
非免疫ウサギIgGで細胞を前処理し、あるケースでは、EN−RAGEでの刺
激に先立って、表記の濃度の可溶性RAGE(sRAGE)で、EN−RAGE
を2時間前処理した。EN−RAGEでの刺激から8時間後に、パラホルムアル
デヒド(2%)で30分間細胞を固定し、PBSで2回洗浄し、細胞表面上の非
特異的結合部位をブロックするために無脂肪ドライミルク(5%)とBSA(2
.5%)を含有するPBSで処理した。抗VCAM−1 IgG(Santa
Cruz Biotechnologies,Santa Cruz,CA)を
用いた細胞表面ELISAを行った。機能的なVCAM−1活性の評価は、以前
記載したように(10)、51Cr標識したMolt−4細胞(ATCC)を用
いて決定した。
【0089】 遅延型過敏症モデル; 遅延型過敏症のマウスモデルは、以前公表した研究(
19)に基づいて確立した。左鼠頚部のリンパ節に、メチル化されたBSA(m
BSA;25mg/mL;SIGMA(登録商標))、NaCl(0.9%)、
デキストラン(5−40×10MW;50mg/mL;SIGMA(登録商標
))、及びフロイントの不完全アジュバント(50%;ICN Biomedi
cal)を含有するエマルジョン(0.1mL)を皮下注射することによって、
6週齢の雌のCF−1マウス(Charles River laborato
ries)を感作した。3週間後、左後足の裏に、mBSA(0.4mg/mL
;0.050mL)を皮下注射した。表記されている場合には、mBSAによる
局所攻撃誘発の24及び12時間前、並びに6及び12時間後に、sRAGE(
表記の用量)、マウス血清アルブミン(SIGMA(登録商標))、免疫又は非
免疫F(ab’)断片(Pierceのキットを用いて調製)を腹腔内注射す
ることによって、マウスを前処理した。足底部(foot pad)にmBSA
を注射してから24時間後に、足底部の臨床スコアを実施した。続いて、マウス
を人道的に屠殺し、足をホルマリン(10%)で固定するか、又は、さらなる分
析のために凍結した。ヘマトキシリンとエオシン(SIGMA(登録商標))で
染色した足の切片に対して組織学的なスコアを実施した。臨床スコアは、以下の
ように(スケール;1〜5)に定義した:1=炎症がなく、このため、未処置の
足と同じ;2=僅かな発赤と浮腫;3=足底部の肌のしわを伴う重篤な発赤と浮
腫;4=足底部の肌のしわを伴わない重篤な発赤と浮腫;5=足指の広がりをも
たらす重篤な発赤と浮腫。ヘマトキシリンとエオシン染色後の組織学的スコア
、以下のように(スケール;1〜5)に定義した:1=僅かな皮下の浮腫を伴う
が白血球の浸潤はない;2=僅かな皮下の浮腫を伴う血管周囲への僅かな白血球
の浸潤;3=肉芽腫(granulomata)を伴わない重篤な白血球の浸潤
;及び4=肉芽腫を伴う重篤な白血球の浸潤。
【0090】 <結果> EN−RAGEの同定: ウシの肺抽出物から(RAGEは、最初、ここから
精製された)のRAGE結合タンパク質を同定するためにデザインされた一連の
実験の後に、約12kDaのポリペプチドを同定した。配列分析時に、このポリ
ペプチドは、カルグラニュリンCファミリーのタンパク質のメンバーとかなりの
相同性を有することが分かった(表1)(20−21)。このクラスのタンパク
質は、炎症細胞内部で細胞内に存在している。炎症部位で放出されると、我々は
、それらが、続いて、既に炎症反応に召集されている他の細胞を引きつけて、活
性化することができるかもしれないと推測した。このため、このことは、炎症反
応を伝播し、維持することにより、細胞の傷害の確率を増加させる重要な手段を
意味するかもしれない。
【0091】 EN−RAGEは、RAGE依存的に、内皮細胞を活性化する: この仮定を
テストするために、上述のようにEN−RAGEを精製し、内皮細胞と共にイン
キュベートした。EN−RAGEをYUVECとインキュベートすると、RAG
E依存的に細胞表面の血管細胞接着分子(VCAM−1)の増加がもたらされた
(図2)。これらのデータは、炎症の中心部で、EN−RAGEのEC−RAG
Eとの相互作用が、さらに炎症反応を伝播するための手段であることを意味する
かもしれないということを示唆していた。EN−RAGE処理したECの表面上
にVCAM−1抗原が増加するのと一致して、続いて、(VCAM−1に対する
リガンド、VLA−4を有する)Molt−4細胞への結合の増加が起こった(
図3)。BSA又は非免疫IgGのうちの何れかとのインキュベーションは、E
N−RAGEがEC VCAM−1を活性化する能力に影響を与えなかったが、
sRAGE又は抗RAGE F(ab’)は、EN−RAGEが被処理HUV
ECへのMolt−4の結合を増加する能力を著しく減弱せしめた。
【0092】 我々は、インビボモデルで、これらの仮定をテストしようとした。我々は、R
AGEのリガンドが、少なくとも部分的に、タンパク質/脂質の糖化/酸化の産
物、後生的糖化最終産物、すなわちAGEであると思われる糖尿病マウスにおい
て、RAGEの可溶性、リガンド結合部分(可溶性又はsRAGE)の投与が、
糖尿病の無アポリポタンパク質Eマウスでのアテローム性動脈硬化症の加速(1
2)を抑制し、遺伝的に糖尿病のdb+/db+マウス(22)での創傷治癒を
改善することを実証した。このように、肉芽腫性炎症病変(遅延型過敏症)のモ
デルによって特定された効果のような、高度な炎症の中心部でのEN−RAGE
の生物学的効果が、sRAGEの存在下で抑制され得るかもしれない。
【0093】 このことをテストするために、我々は、まず、雌のCF−1マウスの鼠頚部の
リンパ節にメチル化されたBSA(mBSA;RAGEを結合しない)を注射す
ることによってマウスを感作した遅延型過敏症(DH)のモデルを研究した。感
作から3週間後に、後足底部中にmBSAを注射することによって、マウスを攻
撃誘発した。図4に示されているように、臨床スコア(1〜4)と組織学的スコ
ア(1〜5)の両者を含む1〜9のスケールで、炎症スコアをデザインした。
【0094】 我々の仮定どおり、予めmBSAでリンパ節を感作したマウスの足底部にmB
SAを注射すると、sRAGEの投与によって、炎症が用量依存的に抑制された
(図4)。100μgの用量のsRAGEで、炎症は、顕著に抑制された(p<
0.01)。対照的に、マウス血清アルブミンの投与は、炎症性病変の出現に全
く影響がなかった(図4)。このモデルでの炎症の進行におけるEN−RAGE
とRAGEの重要な役割と合致して、抗EN−RAGE F(ab’)又は抗
RAGE F(ab’)の何れかでマウスを処置すると、炎症がかなり抑制さ
れた(各ケースで、非免疫F(ab’)での処置と比べて、p<0.05)。
抗EN−RAGEと抗RAGE F(ab’)の両者でマウスを処置すると、
免疫反応のさらなる抑制がもたらされた(非免疫F(ab’)での処置に比べ
てp<0.05)(図4)。
【0095】 <考察> 遅延型過敏症反応で観察される炎症の表現型は、確実に、多数の細胞種とそれ
らの細胞媒介物質の複雑な相互作用と寄与の頂点を表している。炎症の進行では
、重要な刺激源は、炎症細胞自体に由来し得る。最初、炎症部位に召集されると
、好中球及びマクロファージのような細胞は、EN−RAGEを含むカルグラニ
ュリンファミリーの媒介物質の如き媒介物質を放出し、炎症反応を伝播し、維持
するかもしれない。EN−RAGEの如きこのような媒介物質は、遺伝子発現の
変化に達するであろう現象を開始するために、細胞の受容体を必要とすると思わ
れる。
【0096】 我々のデータは、EN−RAGE−RAGE相互作用がこれらの過程での重要
な要素であることを強く示唆する。sRAGEの存在下で、用量依存的に、ほぼ
完全な炎症の抑制が見られた。我々の研究に基づけば、sRAGEは、この状態
では、炎症反応に関与すると想定されているRAGEを有する細胞を引きつける
その能力に先だって、EN−RAGEを結合するためのおとりとして作用するの
かもしれない。さらに、抗RAGE/抗EN−RAGE又は抗RAGE+抗EN
−RAGE F(ab’)の存在下では、かなりの炎症の抑制が観察され、炎
症反応の調節におけるこれらの因子の役割をさらに示している。
【0097】 もちろん、sRAGEの有益な効果の下にある別の機序が、これらの状態で作
動しているかもしれないということに留意することは重要である。しかしながら
、表記のF(ab’)断片を用いた上記研究は、この状態での免疫反応の進展
にEN−RAGEとRAGEが関与していることを強く示している。
【0098】 結論的には、ここで記載した研究は、RAGEが炎症反応で中心的な関与をし
ていることを示しており、可溶性RAGEを新規抗炎症剤の開発のための典型的
な構造として同定している。
【0099】 注:図5は、ウシEN−RAGEの核酸配列(cDNA30配列)を示している
【0100】
【表1】 例2:EN−RAGE(Extracellular Novel−RAGE
Binding protein)は内皮細胞を活性化して炎症反応を媒介し
AGE受容体(RAGE)の発現は、アテローム性動脈硬化症と自己免疫性血
管炎のような炎症状態で増大する。我々は、AGE受容体(RAGE)は、この
ような状態で後生的糖化最終産物(AGE)のほかに別のリガンドと相互作用し
ているかもしれないという仮説を立てた。我々は、炎症誘導性媒介物質のカルグ
ラニュリンファミリーと相同性を有する約12kDaのポリペプチドをウシの肺
の抽出物から単離し、精製した。EN−RAGEと呼ばれるこのポリペプチドは
、培養ウェルにおいて、約75nMのKdで、固定化されたRAGEと内皮(E
C)/マクロファージ(MP)RAGEを結合し、このプロセスは、抗RAGE
IgG又は可溶性(sRAGE;RAGEの細胞外部分の2/3)の存在下で
ブロックされた。インビトロでは、培養したECのEN−RAGEへの暴露は、
NF−κBの活性化、細胞表面のVCAM−1の発現(ウシ血清アルブミンBS
Aによる処理と比べて4.3倍)、及びMolt−4細胞(VCAM−1の対リ
ガンドであるVLA−4を有する)(BSAと比較して7倍)の接着を増加し、
全て、ある程度は、抗RAGE IgG又はsRAGEの存在下で阻害された。
マクロファージのEN−RAGEへの暴露は、RAGE依存的に、化学走性の増
加をもたらした。これらの概念をインビボでテストするために、我々は、メチル
化されたBSA(mBSA)の足底部への注射が局所的な炎症を誘導するマウス
での遅延型過敏症のモデルを使用した。sRAGEよる前処理(腹腔内;IP)
は、mBSAを介した炎症を用量依存的に抑制した。100μgのIP sRA
GEでは、mBSA処置した足には炎症がみられず、ビークル、マウス血清アル
ブミン(MSA)で処置したマウスと比べて、NF−κBの活性化が顕著に減弱
していた。さらに、血清中へのTNFαの生成が完全に阻害されていた。抗RA
GE又は抗EN−RAGE F(ab’)の何れかでマウスを処置すると、部
分的な抗炎症反応が観察された。非免疫F(ab’)は、効果がなかった。総
合すると、これらの発見は、EN−RAGEのようなAGEの代わりとなるリガ
ンドがECとMPを活性化することにより、RAGEを、全身化した免疫反応と
関連付けることを示している。
【0101】 例3:sRAGEは、内毒素血症後の死亡率を減少させた:敗血性ショックの
治療の可能性 sRAGE又はEN−RAGEとRAGEの相互作用を阻害できる化合物の使
用は、患者の敗血性ショック又は敗血症の治療に対する有用な物質となり得る。
sRAGEの存在下でLPSを与えると、致死量のLPSを与えた検体の死亡率
が減少することが示された。
【0102】 sRAGEと内毒素血症: 可溶性AGE受容体(sRAGE)は、遅延型過敏症のモデルで炎症を阻止す
ることが示された。ある種の抗炎症型の物質とは異なり、sRAGEは、例えば
、激しいグラム陰性細菌血症の典型的な結果である内毒素血症の状態で投与する
と、有益な効果を示し得ると考えられた。
【0103】 Balb/Cマウスに対して、一様に致死量のLPS(約750μg)を投与
すると、sRAGEの投与(LPS注射前又は後)は、試験的研究で、約50%
のマウスの死を防いだ。
【0104】 これらのデータは、sRAGEの強力な抗炎症効果は、敗血症/内毒素血症の
存在による罹患率/死亡率への不利な傾向を伴わないという主張を強調する。S
RAGEは、それ故、順応性のない炎症反応に対する選択的な防御効果を有する
選択的抗炎症剤となり得る。
【0105】 例4 我々は、ウシコラーゲンIIを用いた感作によって、dbaマウスに関節炎を誘
導した。可溶性RAGE、マウス、100μg/日、腹腔内で、あるマウス(2
0)を処置した。ビークル処置として、他のマウス(20)をマウス血清アルブ
ミンで処置した。半分のマウスを6週後に屠殺し、残りの半分を9週後に屠殺し
た。
【0106】 データは以下のとおりである: 1.我々は、sRAGE対アルブミン処置マウスについて、関節の膨張を測定
した。関節の膨張は、sRAGE処置マウスに対してアルブミン処置マウスで、
2倍増加していた、両時点で<0.05. 2.9週の時点で、アルブミン処置したマウスでの腫瘍壊死因子αの血漿レベ
ルは、sRAGE処置したマウスに対して3倍高かった(p<0.05)。
【0107】 3.ウシコラーゲンIIの耳への局所的な注射は、アルブミン処置したマウスの
耳の厚さに2倍の増加をもたらした;sRAGE処置したマウスでは、ベースラ
インからの変化は全く見られなかった(p<0.05)。
【0108】 4.末梢血での単球のレベルは、アルブミン処置したマウスに対してsRAG
E処置したマウスで2.5倍低く(p<0.05)、炎症の減少を示唆している
【0109】 懸案中の研究:関節の病理とレントゲン写真による研究
【0110】
【参照文献】 実験#2 Rageは新規炎症誘導性の軸:S100/カルグラニュリンポリペプチドに対
する細胞表面受容体を媒介する S100/カルグラニュリンポリペプチドは、炎症部位に存在し、幅広い環境
的なきっかけによって、炎症細胞により、このような部位に標的化されて放出さ
れると思われる。我々は、ここに、AGE受容体(RAGE)がEN−RAGE
xtracellular ovel RAGE−binding pr
otein)に対する細胞表面の受容体であり、S100/カルグラニュリンス
ーパーファミリーの同族のメンバーであることを報告する。内皮細胞、単核食細
胞、及びリンパ球上の細胞性RAGEとのEN−RAGEの相互作用は、細胞の
活性化を引き起こし、中心的な炎症誘導性媒介物質を生成する。中心のシグナリ
ング経路と炎症性遺伝子発現の活性化を停止することによって、EN−RAGE
/RAGEのブロックは、マウスモデルで遅延型の過敏症と炎症性腸炎を和らげ
る。これらのデータは、炎症における新しいパラダイムに光を当て、慢性的な細
胞の活性化と組織の傷害におけるEN−RAGEとRAGEの新しい役割を同定
する。
【0111】 細胞表面分子の免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである後生的糖
化最終産物の受容体は(Schmidt et al.,1992;Neepe
r, et al.,1992)、別個のリガンドと相互作用する。RAGEは
、まず、糖尿病や腎不全のような疾患で蓄積する糖酸化(glycoxidat
ion)の産物である後生的糖化最終産物(AGE)の細胞性受容体として記載
されたが(Brownlee et al.,1988;Sell and M
onnier,1989;Reddy et al.,1995;Miyata
et al.,1996a,b)、最近のデータは、ホメオスタシスと病態生
理学的に重要な状態の両者における、様々な状態で、RAGEの重要な役割が明
らかとなってきていることを示している(Hori et al.,1995;
Yan et al.,1996;Yan et al.,1997)。
【0112】 1つの受容体が1つのリガンドと相互作用するという概念に挑む明らかになり
つつあるパラダイムと合致して、我々は、以前、RAGEが、炎症誘導性サイト
カインのS100/カルグラニュリンスーパーファミリーのメンバーである(Z
immer et al.,1995;Schafer and Heinzm
ann,1996)12kDaのポリペプチドを結合することに気付いた(Ho
ri et al.,1995)。多形核白血球、末梢血由来の単核食細胞、及
びリンパ球のような活性化された炎症細胞から放出されると思われるこのような
分子は、伝統的には、炎症性結膜炎(Gottsch et al.,1997
;Gottsch and Liu,1998)、乾癬性皮膚疾患(Madso
n,1991)、嚢胞性繊維症(Andersson et al.,1988
)、炎症性腸疾患(Lugering et al.,1995;Schmid
et al.,1995)、慢性関節リウマチ(Odink et al.,
1987)、及び慢性寄生生物感染症(Marti et al,1996)の
ような慢性的な炎症を特徴とする状態で蓄積するものとして記載されてきた。し
かしながら、今日まで、S100/カルグラニュリンファミリー中のポリペプチ
ドが炎症プロセスの方向を潜在的に調節する具体的な手段は、明らかにはされて
いなかった。我々は、ここに、EN−RAGE(xtracellular ovel RAGE−binding protein)と名付けられた12
kDaのポリペプチドの性質決定を報告する。EN−RAGE及びEN−RAG
E様分子による細胞性RAGEの連結は、炎症性の表現型の進行に中心的な役割
を果たす細胞である内皮細胞、マクロファージ、及びリンパ球の活性化を媒介す
る。EN−RAGE−RAGEの相互作用が、炎症を増幅する現象のカスケード
において極めて重要な、基部に近い工程であるという考えと一致して、遅延型過
敏症と慢性的炎症性腸疾患のマウスモデルに可溶性RAGE又は抗RAGE/抗
EN−RAGE F(ab’)の何れかを投与すると、NF−κBと炎症性媒
介物質の活性化を抑制しながら、炎症の進行を抑制する。
【0113】 このため、我々のデータは、炎症反応でのEN−RAGEとEN−RAGE様
分子の発病における重要な役割を初めて立証する。自己免疫性の、物理的な、又
は感染を介した傷害の部位へ炎症細胞が召集されると、例えば、我々は、これら
の分子の放出と、引き続き起こるそれらの細胞性RAGEとの相互作用は、強力
な一連の悪化する炎症誘導性の現象を伝播するかもしれないと仮定する。このよ
うに、これらのデータは、炎症における新しいパラダイムに光を当て、慢性的な
細胞の活性化と組織の傷害におけるEN−RAGEとRAGEの新しい役割を同
定する。
【0114】 <実験の手順> 1.タンパク質の配列分析 配列分析を行うために、以前記載したように(Hori et al.,19
95)、SDS−PAGEゲルからバンド(約12kDa)を溶出した。自動化
されたエドマン分解は、HP−G1005A配列決定機(Hewlett Pa
ckard Analytical Instruments, Palo A
lto,CA)を用いて行った。内部の配列決定は、記載したように、エンドプ
ロテイナーゼLys−C(Boehringer Mannheim)消化後に
、ミクロボアHPLCを用いて行った(Hori et al.,1995)。
【0115】 2.分子クローニング ウシ及びヒトのEN−RAGEのcDNAを得るために、製造者の指示書に従
って、ウシ肺ライブラリーとヒト肺ライブラリー(Clontech,Palo
Alto,CA)を用いて、分子クローニングを行った。ウシのEN−RAG
EのcDNAをコードする配列は、#AF 011757(Genbank)で
ある。
【0116】 3.タンパク質発現 EN−RAGEをコードするcDNAをバキュロウイルス発現系に配置し、
podoptera frugiperda 9(Sf9)細胞(Invitr
ogen,Carlsbad,CA)中で発現させた。EN−RAGEは、ヘパ
リンとヒドロキシルアパタイトカラム(Amersham Pharmacia
, Piscataway,NJ)上での連続的なクロマトグラフィーによって
細胞の沈降物から精製し、徐々に増加する濃度のNaClで溶出した。クマシー
染色したゲル上で単一のバンドであり、約12kDaの分子量の精製したEN−
RAGEは、Detox−igelカラム(Pierce,Arlington
Heights,Ill)でのクロマトグラフィーによる実験の前に、エンド
トキシンが存在しなかった。エンドトキシンが存在しないことは、Sigma(
St.Louis,MO)のキット(limulus amebocyte a
ssay)を用いて立証した。表記されている場合には、ヒトの脳から精製した
S100B(Calbiochem−Novabiochem Corp.,S
an Diego,CA)を用いた。
【0117】 4.イムノブロッティング インビトロでの研究: Histopaque1077(Sigma)を使用
することによって、正常なボランティアからヒトの末梢血由来の単核細胞を単離
し、Amrican Type Tissue社(Rockville,MD)
からJurkatE6細胞を取得した。表記されている場合には、PMA(10
ng/mL)、イオノマイシン(100ng/mL)、又はTNF−a(Gen
zyme,Cambridge,MA)によって、細胞を12時間刺激した。プ
ロテアーゼ阻害剤の混合物(Boehringer Mannheim,Ind
ianapolis,IN)を含有するPBSの中で細胞(1×10)を音波
処理(Sonifer 250,Branson,Danbury,CT)し、
14,000rpm、4℃で30分間遠心した。上清のタンパク質濃度は、Bi
o−Radタンパク質アッセイ(Hercules,CA)を用いて測定した。
tris−グリシンゲル(Novex,San Diego,CA)の各レーン
に、7μgのタンパク質を加えた。続いて、ゲルをニトロセルロース膜(Bio
−Rad)に転写し、完全長の組換えウシEN−RAGEに対して調製されたポ
リクローナルウサギ単特異的抗EN−RAGE IgGを用いてイムノブロッテ
ィングを行った。一次抗体の結合部位を示すために、西洋ワサビペルオキシダー
ゼ(Sigma)で標識したヤギの抗ウサギIgGとECL系(Amershm
a−Pharmacia)を用いた。
【0118】 インビボでの研究: CF−1マウスの腹腔内にLPS(Sigma)(30
μg/g体重)を注射した。表記されている場合には、あるマウスは、LPSの
注射の12時間及び1時間前に、マウスのsRAGE(100μg)で前処理し
た。表記の時点でマウスを屠殺し、tris−グリシンゲル(14%;Nove
x)を用いて、血清(0.015mL)を電気泳動にかけ、上記のようにイムノ
ブロッティングを行った。何れの場合にも、ImageQuant、Molec
ular Dynamics(Foster City,CA)を用いて、デン
シトメトリーを行った。
【0119】 5.放射性リガンド結合アッセイ 約5,000cpm/ngの比活性になるように、125IとIodobea
ds(Pierce)を用いて、精製したEN−RAGEを放射線標識した。精
製したヒトRAGE(5μg/ウェル)又はウシ大動脈内皮細胞の何れかを吸着
させた96ウェルの皿で、放射性リガンド結合アッセイを行った。前者の場合に
は、炭酸/重炭酸緩衝液(pH9.3)中のプラスチック性の皿にヒトの可溶性
RAGEを一晩吸着させた後、Tween20(0.05%)を含有するPBS
でウェルを洗浄した。プラスチックのウェル上の占有されていない結合部位は、
カルシウム/マグネシウムとウシ血清アルブミン(1%)を含有するPBSと、
2時間37℃でインキュベートすることによってブロックした。ウェルを吸引し
た後、カルシウム/マグネシウムとBSA0.2%を含有するPBS中で、3時
間37℃で、表記の濃度の放射線標識したEN−RAGE±50倍モル過剰の標
識されていないEN−RAGEの存在下で、放射性リガンド結合アッセイを行っ
た。その時間が終了すると、上記の洗浄用緩衝液でウェルを素早く洗浄し、1m
g/mLのヘパリンを含有する溶液中で、結合した成分の溶出を行った。続いて
、ウェルから溶液を吸引し、ガンマカウンター(LKB,Gaithersbu
rg,MD)の中で計数した。細胞結合アッセイでは、コラーゲンI(Bioc
oat;Becton Dickinson,Bedford MA)を予めコ
ートした96ウェルの組織培養プレート上に、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)
を播種した。集密が達成された時点で、細胞をPBSで洗浄し、上記のように放
射性リガンド結合アッセイを行った。平衡結合データは、KlotzとHuns
tonの式:B=nKA/1+KA(Klotz and Hunston,1
984)(ここで、B=特異的に結合したリガンド(総結合、トレーサーのみと
インキュベートしたウェル−非特異的結合、過剰な非標識成分の存在下でトレー
サーとインキュベートしたウェル)、n=部位/細胞、K=解離定数、及びA=
遊離のリガンド濃度)に従い、非線形最小2乗分析(Prism;San Di
ego、CA)を用いて分析した。表記されている場合には、抗体又は可溶性R
AGEの何れかによる前処理を行った。
【0120】 6.細胞の活性化の研究 内皮細胞: 以前に記載したように(Schmidt et al.,199
5)ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を単離し、性質決定し、培養した。内皮
細胞増殖因子が加えられていない無血清RPMI1640中で細胞を24時間培
養した後、表記の濃度のEN−RAGE又は他の刺激で刺激した。表記されてい
る場合には、ウサギの抗ヒトRAGE IgG;非免疫ウサギIgGで細胞を前
処理し、あるケースでは、EN−RAGEでの刺激に先立って、表記の濃度のs
RAGEで、EN−RAGEを2時間前処理した。EN−RAGEでの刺激から
8時間後に、パラホルムアルデヒド(2%)で30分間細胞を固定し、PBSで
2回洗浄し、細胞表面上の非特異的結合部位をブロックするために無脂肪ドライ
ミルク(5%)とBSA(2.5%)を含有するPBSで処理した。以前記載し
たように(Schmidt et al.,1995b)、抗VCAM−1 I
gG(Santa Cruz Biotechnologies,Santa
Cruz,CA)を用いた細胞表面ELISAを行った。機能的なVCAM−1
活性の評価は、以前記載したように(Schmidt et al.,1995
b)、51Cr標識したMolt−4細胞(ATCC)を用いて決定した。NF
−κBの活性化は、以前に記載したように(Schreiber et al.
,1998)調製したHUVECからの核抽出物を用いて評価した。10μgの
核抽出物をPAGEゲルにかけ、VCAM−1プロモーターからのNF−κBに
対する32P標識プローブを用いてEMSAを行った(Neish et al
.,1992)。スーパーシフトアッセイは、放射線標識したオリゴヌクレオチ
ドプローブを添加する前に、非免疫抗p50、抗p65、又は両IgG(San
ta Cruz)を核の抽出物と、室温で45分間プレインキュベートすること
によって行った。
【0121】 7.末梢血単核細胞(PBMC)、単核食細胞(MP)、及びJurkat細
化学走性アッセイ: 化学走性アッセイは、ポリカーボネート膜(8μm;N
ucleopore,Pleasanton,CA)を含有する48ウェルのミ
クロケモタクシスチャンバー(Neuro−Probe,Bethesda、M
D)中で、以前に記載したように行った(Schmidt et al.,19
93)。下方のチャンバーは、表記の化学走性刺激を含有していた。ポジティブ
コントロールとしてN−ホルミル−met−leu−phe(Sigma)を使
用した。上方のチャンバーに、Molt−4細胞(細胞表面RAGEを有する)
を加えた(10細胞/ウェル)。37℃で4時間インキュベートした後、前記
膜の上側表面上の移動していない細胞を穏やかに剥ぎ取って除去し、続いて、メ
タノール(100%)中で前記膜を固定し、膜を通って移動した細胞をギムザ(
Sigma)染色し、計数した。9つの高倍率野の中にある細胞を計数し、平均
±SEMを報告した。各実験は2回繰り返し、各ケースで、条件当たり6つの繰
り返しを使用した。
【0122】 分裂促進アッセイ: インビトロ研究では、フィコール勾配(Histopa
que 1077;Sigma)を用いて全血からPBMCを単離し、1×10 細胞/mLの濃度でFBS(10%)を含有するRPMI中に懸濁した。96
ウェルの組織培養ウェルに細胞を播種し、PHA−P(Sigma)による12
時間の刺激の前に、En−RAGEで表記のように12時間処理した。続いて、 Hチミジン(1μCi/ウェル)(New England Nuclear
,Boston,MA)でウェルを瞬間標識し、LKベータプレート(Wall
ac,Inc.,Gaithersburg,MD)を用いた液体シンチレーシ
ョンカウンティングのための採取とプロセッシングの前に、さらに18時間イン
キュベートした。インビボでの研究では、マウスの脾臓細胞(CF−1株)は、
下記のようにDTH研究に供されたマウスの脾臓組織から得ており、Histo
paque1077を用いて単離された。PMA(0.5μg/mL)で、FB
S(10%)を含有するRPMI中の脾臓細胞(5×10細胞/ウェル;96
ウェル組織培養プレート)を18時間刺激し、トリチウムラベルしたチミジンを
用いて、上記のインビトロ研究のように増殖速度を実施した。全ての実験は、3
重の測定を行った。
【0123】 サイトカインレベルの評価: 表記のように、細胞表面RAGEを有するBV
2細胞(Yan et al.,1997)又はJurkatE6細胞(ATC
C)を、EN−RAGEと共に表記の時間インキュベートした。ある実験では、
EN−RAGEでの刺激の前に、細胞を抗RAGE F(ab’)とプレイン
キュベートした。別のケースでは、EN−RAGEは、刺激の前に、sRAGE
とプレインキュベートした。TNF−a、IL−1β、又はIL−2のELIS
Aは、R&D Systems(Minneapolis,MN)のキットを用
いて行った。表記されている場合には、superfect(Qiagen,V
alencia、CA)(1μgDNA/mL培地)を用いて細胞質ドメイン(
尾部)が欠失したヒトRAGEをコードする構築物を用いて細胞をトランスフェ
クトした;pcDNA3(Invitrogen)をベクターとして使用した。
刺激実験は、トランスフェクションの48時間後に行った。
【0124】 注入研究: 尾静脈を介して、約6週齢のBAlb/cマウス(Charle
s River)に、EN−RAGE(30μg)、BSA(30μg)、又は
LPS(500μg)を静脈内注射した。12時間後に、肺を素早く採取し、プ
ロテアーゼ阻害剤(Boehringer Mannheim)を含有するtr
isで緩衝化した生理的食塩水中でホモゲナイズし、8,000rpm、10分
間の遠心にかけた。続いて、上清を4℃、40,000rpmで1時間遠心した
。沈降物は、プロテアーゼ阻害剤とオクチルβグルコシド(2%)を含有するT
BS中に、4時間4℃で溶解した。続いて、懸濁物を、14,000で10分間
遠心し、上清のタンパク質濃度を測定した(Bio−Rad)。30μgタンパ
ク質/レーンの電気泳動とニトロセルロースへのゲル成分の転写後に、イムノブ
ロッティングを行った。抗VCAM−1 IgGは、Santz Cruz B
iotechnologiesから取得し、ECLシステム(Amersham
−Pharmacia)でバンドの可視化を達成した。
【0125】 8.遅延型過敏症のモデル 左鼠頚部のリンパ節に、メチル化されたBSA(mBSA;25mg/mL;
SIGMA(登録商標))、NaCl(0.9%)、デキストラン(5−40×
10MW;50mg/mL;SIGMA)、及びフロイントの不完全アジュバ
ント(50%;ICN Biomedical;Aurora,OH)を含有す
るエマルジョン(0.1mL)を皮下注射することによって、6週齢の雌のCF
−1マウスを感作した。3週間後、左後足の裏に、mBSA(0.4mg/mL
;0.050mL)を皮下注射した。表記されている場合には、mBSAによる
局所攻撃誘発の24及び12時間前、並びに6及び12時間後に、sRAGE(
表記の用量)、マウス血清アルブミン(SIGMA(登録商標))、免疫又は非
免疫F(ab’)断片(Pierce,Arlington Heights
,ILLのキットを用いて調製)を腹腔内注射することによって、マウスを前処
理した。予備知識を与えられていない2人の調査員によって、足底部にmBSA
を注射してから24時間後に、上述のように足底部の臨床スコアを実施した。続
いて、マウスを人道的に屠殺し、足をホルマリン(10%)で固定するか、又は
、さらなる分析のために凍結した。予備知識を与えられていない2人の調査員に
よって、ヘマトキシリンとエオシン(Sigma)で染色した足の切片に対して
組織学的なスコアを実施した。上記レーン当たり10μg添加した足底部核抽出
物を用いて、電気泳動移動度シフトアッセイを行った。IL−2(予想サイズ;
413塩基対)、TNF−a(予想サイズ;310塩基対)、及びβアクチン(
予想サイズ;540塩基対)に対する市販のプライマー(Clontech)を
用いてRT−PCRを行った。あるマウスでは、屠殺時に、脾臓を回収し、Hi
stopaque1077(Sigma)を用いた分離によって脾臓細胞を調製
した。96ウェル組織培養プレートのウェルの中に、5×10の細胞を播種し
、PMA0.5μg/mLを用いて、16時間刺激を行った。その時間が終了し
た時点で、さらに18時間、トリチウムラベルしたチミジンを加えた。続いて、
細胞を回収し、ベータカウンターで計数した。
【0126】 9.無IL−10マウスでの慢性腸炎のモデル C57BL/6系の無IL−10マウス(Jackson Laborato
ries,Bar Harbor,ME)が産まれ、無病原体条件で飼育した。
3週齢の時点で、餌と水に自由に近づける標準的な慣用の住居にマウスを移した
。標準条件に置いてから1週後に、6週間にわたって、腹腔内にMSA(100
μg/日)又はsRAGE(100μg/日)の何れかを1日に1回注射して、
マウスを処置した。その時間が終了した時点で、マウスに深い麻酔をかけ、血漿
を採取した後、組織学的な分析(ヘマトキシリンとエオシン)又は上述のごとき
核抽出物の調製のために、直腸S状部の腸を取り出した。直腸S状部の腸ヘマト
キシリンとエオシン染色した切片は、前記調査員のうちの1人によって、予備知
識を与えずに評価された。血漿のTNF−aのレベルを評価し(R&D sys
tems)、核抽出物に対してNF−κB用のEMSAを行った。
【0127】 <結果> 1.約12kDaのRAGE結合タンパク質の性質決定 我々は、以前、免疫グロブリンスーパーファミリー中のこのような受容体は、
AGE以外のリガンドを使用しているかもしれないと推測した。ウシの肺の界面
活性剤抽出物を調製し、最後の工程での、RAGEが吸着されたAffiゲルの
レジンを含む連続するカラムで前記成分のクロマトグラフィーを行うと、放射性
リガンド結合アッセイでRAGE結合活性を有する2つのポリペプチドが溶出さ
れた。約23kDaのポリペプチドである第1のポリペプチドは、アムホテリン
と同定された(Hori et al.,)。約12kDaのポリペプチドであ
る第2のポリペプチドは、エンドペプチダーゼLys−Cによる消化後に、アミ
ノ末端と内部の両者がアミノ酸配列分析にかけられた(表2)。最初「p12」
と名付けられたこのポリペプチドの配列は、最近、S100A12として分類さ
れた(Ilg et al.,1996)、羊膜液中のウシカルシウム結合タン
パク質−1(CAAF−1)(Hitomi et al.,1996)又はウ
シ角膜の抗原/カルグラニュリンC(Gottsch et al.,1997
)として知られるポリペプチドと最も密接且つ顕著な相同性を有することが明ら
かとなった。このポリペプチドは、その後、EN−RAGE、xtracel
lular ovel RAGE−binding proteinと称され
た。EN−RAGEの配列は、ウシ角膜抗原の配列と2つのアミノ酸が異なって
いた。30位に、EN−RAGEはチロシン(Y)を有しているのに対して、ウ
シ角膜抗原はアルギニン(R)を有していた。36位に、EN−RAGEはグリ
シン(G)を有しているのに対して、ウシ角膜抗原はイソロイシン(I)を有し
ていた(表2)。分子クローニング研究は、EN−RAGEが、炎症誘導性サイ
トカインのカルグラニュリン/S100ファミリーのメンバーであることを明ら
かにした。ウシの肺のライブラリーから得られた2つのcDNAクローンは、3
0位にアルギニン、36位にイソロイシンを有し、推定アミノ酸配列に基づき、
ウシの角膜抗原と同一のポリペプチドをコードしていた。これらのデータに基づ
けば、我々は、我々がEN−RAGEの正確な配列をコードする特異的なクロー
ンを単離しなかったという可能性を除外することはできない。ヒトの肺のライブ
ラリーを用いた分子クローニングは1つのクローンを産生した。このcDNAの
推定アミノ酸配列は、EN−RAGEのヒトの対応物がヒトのカルグラニュリン
C(又はヒト角膜抗原/S100A12)の可能性があることを明らかにした(
Gottsch and Liu、1998;Ilg et al.,1996
;Yamamura et al.,1996)。このポリペプチドの推定アミ
ノ酸配列は、ヒトの対応物がウシ角膜抗原と高度に相同である(>77%)こと
を明らかにした。
【0128】 実際に、p12は、S100/カルグラニュリンスーパーファミリーのメンバ
ーである(Dell’Angelica et al.,1994;Ilg e
t al.,1996;Wicki et al.,1996;Gottsch
et al.,1997;Gottsch and Liu,1998)。こ
のため、我々は、EN−RAGEという名称を維持した。この及び他のこのよう
なファミリーのメンバーの新規特性は、以下に記載されているようにこれらのポ
リペプチドの機能の重要な示唆となるそれらのRAGEとの相互作用だからであ
る。
【0129】
【表2】 2.EN−RAGEの発現は刺激された炎症細胞で増大する S100/カルグラニュリンファミリーの分子は、広範な炎症性疾患、特に慢
性状の疾患に広く伴われる。これらのポリペプチドは、多形核白血球と末梢血由
来の単核食細胞のような炎症細胞から放出されることが知られているので、それ
らは、例えば、マクロファージの移動や活性化を刺激することによって、炎症性
表現型の進行に役割を果たしているかもしれないと長い間推測されていた。この
ため、我々は、EN−RAGEによるRAGEの連結は、炎症誘導性の細胞シグ
ナリング経路を活性化することにより、炎症と関連した態様で、遺伝子発現の調
節をもたらすという考えをテストした。
【0130】 末梢血単核細胞(PBMC)又は不死化したT細胞株であるJurkat細胞
をPMA/イオノマイシンで刺激すると、細胞ホモジネートのイムノブロッティ
ングは、EN−RAGEの生成が、それぞれ2.8倍及び2.1倍増加すること
を明らかにした(図6A)。これに対して、培養したヒト臍静脈内皮細胞(HU
VEC)を典型的な刺激、腫瘍壊死因子αで刺激すると、EN−RAGE発現の
調節は起こらなかった(図6A)。同様に、HUVECのPMA/イオノマイシ
ンへの暴露は、EN−RAGEの発現を増加しなかった(データは示さず)。こ
のように、S100/カルグラニュリンファミリーのメンバーの典型として、E
N−RAGEの発現は、刺激された炎症細胞で調節され得る。
【0131】 EN−RAGEが、インビボの炎症環境で放出されるかどうかを決定するため
に、リポ多糖(LPS)をマウスの静脈内に注入した。EN−RAGEの血漿中
への放出の時間依存性の増加が観察された(図6B)。EN−RAGEの最大の
放出は、注射から12時間後に観察された。イムノブロッティングにより、その
時点で、約3.6倍のEN−RAGEの増加が実証された(図6B)。RAGE
の細胞外リガンド結合ドメイン部である可溶性RAGEが、EN−RAGEを血
漿中に引きつけることにより、その排除と除去を促進するかもしれないという可
能性と一致して、sRAGE(LPSを結合しない)とLPSの同時投与は、L
PS注射の12時間後でさえ(図6B)、イムノブロッティングによる血漿EN
−RAGEに検出可能な増加をもたらさなかった(図6B)。
【0132】 これらのデータは、EN−RAGEがRAGEを結合したことを示唆した。放
射性リガンド結合アッセイでは、125I EN―RAGEは、約91±29n
MのKと約21±2.9fmol/ウェルのキャパシティーで、プラスチック
ウェル上の固定化されたRAGEを用量依存的に結合した(図6C)。放射性ラ
ベルしたEN−RAGEを過剰な非標識のsRAGEとインキュベートすると、
固定化されたRAGEへの結合は著しく弱められた(図6C、挿入図)。放射性
標識されたEN−RAGEのRAGEへの特異的な結合は、50倍モル過剰の非
標識のRAGEの存在下で、82.5%減少した。これに対して、過剰な非標識
のウシ血清アルブミン(BSA)とのインキュベーションは、影響がなかった(
図6C)。さらに、固定化したRAGEの抗RAGE IgGとのプレインキュ
ベーションは、放射性標識されたEN−RAGEの固定化されたRAGEへの結
合を著しく阻害した(図6C、挿入図)。50μg/mLの抗RAGE IgG
の存在下では、結合は67.9%阻害された。これに対して、非免疫IgGとの
プレインキュベーションは影響がなかった(図6C、挿入図)。重要なことに、
過剰なヒトS100Bとのプレインキュベーションも、EN−RAGEのRAG
Eへの結合を著しく抑制し、幅広いS100/カルグラニュリンポリペプチドが
RAGEを結合することが示唆された。
【0133】 しかしながら、EN−RAGEが、炎症反応に関与する細胞の表面上にRAG
Eを引きつけるかもしれないかどうかを決めることが決定的であった。これをテ
ストするために、我々は、培養したウシ大動脈内皮細胞(BAEC)で放射性リ
ガンド結合アッセイを行った。我々の以前の研究と一致して、AGE(Schm
idt et al.,1992)及びアムホテリン(Hori et al.
,1995)のような他のRAGEのリガンドで観察されたのと同様に、125 I EN―RAGEは、約90.3±34nMのKと約163±26.2fm
ol/ウェルのキャパシティーで、用量依存的にBAEC RAGEを結合した
(図6D)。放射線標識されたEN−RAGEのBAEC RAGEへの特異的
な結合は、50倍モル過剰の非標識RAGEの存在下で84.3%減少した。こ
れに対して、過剰な非標識のBSAとのインキュベーションは、効果がなかった
(図6D、挿入図)。放射線標識されたEN−RAGEのRAGEへの結合は、
BAECを50μg/mLの抗RAGE IgGとプレインキュベートすると、
41%阻害されたが、5μg/mLの抗RAGE IgGの存在下では、28.
7%にすぎなかった。これに対して、非免疫IgGは効果がなかった(図6D、
挿入図)。マクロファージ様培養BV2細胞でも、同様の結果が観察された(示
さず)。
【0134】 これらのデータは、EN−RAGEがRAGEを特異的に結合することを示し
、EN−RAGEによるRAGEの連結が細胞の活性を引き起こすかもしれない
という仮説を我々に立てさせる。
【0135】 3.EN−RAGE及びEN−RAGE様分子によるRAGEの連結は炎症反
応の中心となる細胞を活性化する 内皮細胞: 内皮の活性化は、炎症反応の中心的な成分なので、我々は、まず、EN−RA
GEがEC RAGEを活性化する能力についてテストした。この仮定と合致し
て、EN−RAGEを培養ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)とインキュベート
すると、VLA−4を有する単核細胞が刺激された内皮に標的化され得る重要な
手段である血管細胞接着分子−1(Li et al.,1993;Richa
rdson et al.,1994)の細胞表面への発現の増加がもたらされ
た(図7A)。この大部分がRAGEによって媒介されたということは、RAG
Eへの接近を阻害した実験で明白となった。EN−RAGEを40倍モル過剰の
sRAGEとプレインキュベートすると、抗RAGE IgGと前記細胞とのプ
レインキュベーションの場合と同様に、VCAM−1の発現が著しく減弱した(
図7A)。これに対して、非免疫IgGとのプレインキュベーションは、EN−
RAGEでの処理後の細胞表面のVCAM−1の発現程度に変化をもたらさなか
った(図7A)。EN−RAGEによるRAGEの連結がVCAM−1の細胞表
面の発現の増加をもたらしたという観察と一致して、EN−RAGE刺激した内
皮へのVLA−4を有するMolt細胞の結合の増加が観察された。EN−RA
GEが、Molt−4のHUVECへの結合を増大させる能力は、用量依存的で
あった(図7B、左パネル)。EN−RAGEの効果は時間依存的であり、Mo
lt−4結合の最大の増加は、インキュベーションから8時間後に観察された(
図7B、中央パネル)。我々の以前の発見と一致して、増加したMolt−4の
結合は、EN−RAGEの細胞性RAGEとの相互作用によるものであった。H
UVECを5μg/mLの抗RAGE F(ab’)とプレインキュベートす
ると、Molt−4のEN−RAGE処理した細胞への結合が著しく減弱した。
これに対して、0.1μg/mLの抗RAGE F(ab’)と非免疫F(a
b’)はともに、効果がなかった(図7B、右パネル)。同様に、EN−RA
GEを30倍モル過剰のsRAGEとプレインキュベートすると、EN−RAG
Eを介したMolt−4のHUVECへの結合の増大は著しく減弱した。これに
対して、EN−RAGEをsRAGE(5倍モル過剰)又は5μg/mLのBS
Aの何れかとプレインキュベートしても、有意な効果はなかった(図7B、右パ
ネル)。
【0136】 VCAM−1のmRNAの増加をもたらす重要な手段は、炎症反応における中
心的な転写因子NF−κBの活性化によるものである(Neish et al
.,1992)。以前の研究では、我々は、電気泳動移動度シフトアッセイによ
って実証されたように、AGE及びアミロイドβペプチドによるRAGEの連結
は、NF−κB成分の核内への移動の増加をもたらすことを実証した(Yan
et al.,1994;Yan et al.,1996;Lander e
t al.,1997)。このため、我々は、EN−RAGEによるEC RA
GEの連結がNF−κBの活性化を媒介するかどうかをテストした。HUVEC
から調製した核抽出物の電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)では、EN
−RAGE(2.5又は5.0μg/mL)とのインキュベーションは、デンシ
トメトリーにより、BSAとのインキュベーションと比べて、核のNF−κBを
約5倍増加した(それぞれ、図7C、レーン1、2、及び7、挿入図)。このう
ちの多くがRAGEとの相互作用によって媒介されたということは、EN−RA
GEの前に、HUVECを抗RAGE IgGで前処理する実験によって実証し
た。この実験では、NF−κBの活性化は著しく弱められた(図7C、レーン4
及び挿入図)。同様に、EN−RAGEを過剰なsRAGE(50倍)とプレイ
ンキュベートすると、NF−κBの活性化の減少がもたらされた(図7C、レー
ン3及び挿入図)。抗p−50と抗p−65IgGの両者を用いたスーパーシフ
トアッセイは、EN−RAGEによるRAGEの連結時に活性化したNF−κB
複合体は、p50とp65の両者から構成されることを実証した(図7C、レー
ン13、14、及び15)。これに対して、核抽出物を非免疫IgGとプレイン
キュベートしても、バンドのシフトはもたらされなかった(図7C、レーン12
)。RAGEの細胞質ドメインが、NF−κBの活性化の基部に位置し、不可欠
なシグナリング経路の活性化に極めて重要であるという考えをテストするために
、細胞質ドメインが欠失されたヒトRAGEをコードする構築物を用いた一過性
のHUVECのトランスフェクションを行った。細胞シグナリングの媒介におけ
る細胞質ドメインの重要な役割と一致して、EN−RAGEによって刺激された
NF−κBの活性化は、ベクターのみをトランスフェクトしたもの(図7C、レ
ーン6及び挿入図)と比べて、RAGEの細胞質尾部が欠失した形質移入体(図
7C、レーン5及び挿入図)で顕著に抑制された。
【0137】 総合すると、これらのデータは、内皮細胞でのEN−RAGE−RAGE相互
作用は、炎症反応に関与する重要な転写因子であるNF−κBを活性化すること
を示唆することにより、この相互作用が炎症誘導性の擾乱を与えるかもしれない
中心的な手段を示唆している。
【0138】 単核食細胞: 内皮細胞とともに、単核食細胞(MP)は、免疫/炎症現象を媒介する上で非
常に重要である。我々は、傷害部位に召集された細胞から放出されたEN−RA
GEは、炎症反応を増幅する上でさらに重要であるかもしれないという仮説を立
てた。このため、我々は、EN−RAGEがMP様細胞の移動を刺激する能力に
ついてテストした。改変した化学走性チャンバーにおいて、下側のチャンバーに
配置されたEN−RAGEは、用量依存的に、上側のチャンバーに配置されたM
olt−4細胞(細胞表面RAGEを有する)の化学走性を媒介した(図7D、
左パネル、列2、3、4及び5)。これに対して、下側チャンバーにBSAを置
いても、有意な効果はなかった(図7D、列1)。これが正しい化学走性を表し
ているということは、EN−RAGEが上側チャンバーと下側チャンバーの両者
に配置された実験によって示唆された。Molt−4細胞を加えると、下側チャ
ンバーに有意な移動は起こらなかった図7D、左パネル、列6)。MP細胞の表
面上のRAGEが、EN−RAGEが移動を刺激する主要な手段であるという考
えをテストするために、EN−RAGEを過剰なsRAGEとプレインキュベー
トした。BSAとのプレインキュベーションと比べて(図7D、右パネル、列1
)、下側チャンバーへのMolt−4の移動が著しく弱められた(図7D、右パ
ネル、列2、及び3)。さらに、Molt−4細胞を抗RAGE F(ab’) とプレインキュベートすると、EN−RAGEによって媒介されるMolt−
4の移動が著しく減少した(図7D、右パネル、列5及び6)。これに対して、
非免疫F(ab’)とのプレインキュベーションは、効果がなかった(図7D
、右パネル、列4)。
【0139】 我々は、EN−RAGEのMP−RAGEとの相互作用が、細胞の活性化及び
炎症と重要な関連を有するサイトカインであるIL−1β及びTNF−aのよう
な媒介物質の生成の増大をもたらしたかどうかを描き出そうと試みた。偽トラン
スフェクトした(ベクターのみ)培養マクロファージ様BV2細胞をEN−RA
GEと共にインキュベートすると、細胞の上清中へのIL−1βの顕著な生成が
、用量依存的にもたらされた(図7E、左パネル、黒塗りのバー)。無傷のRA
GE細胞内シグナリング経路が不可欠であることは、ヒトRAGE尾部欠失構築
物をBV2細胞中に一過性にトランスフェクトした実験によって実証された。E
N−RAGEを介した上清中へのIL−1βの生成の完全な抑制が得られ、「ド
ミナントネガティブ」効果と一致していた(図7E、左パネル、ハッチングされ
たバー)。TNF−aを調べると、類似の結果が観察された。EN−RAGE−
RAGE相互作用は、用量依存的に、細胞の上清中へのTNF−aの発現を顕著
に増加させた(図7E、右パネル、黒塗りのバー)。しかしながら、RAGE尾
部欠失構築物で一過性にトランスフェクトすると、BV2上清中へのTNF−a
の生成が喪失した(図7E、右パネル、ハッチングされたバー)。MPにおける
サイトカイン発現の調節が起こる中心的な手段は、NF−κBの活性化によるも
のであった。培養HUVECを用いて得られた結果と同様に、EN−RAGE刺
激されたBV−2細胞から調製した核抽出物のEMSAは、NF−κBの活性化
を明らかにした。このプロセスは、抗RAGE F(ab’)、sRAGEの
存在下で、又は尾部を欠失した構築物でのトランスフェクションで顕著に抑制さ
れた(データは示さず)。
【0140】 末梢血単核細胞およびJurkat細胞: Jurkat細胞中のEN−RAGEによるRAGEの連結は、活性化を媒介
する。末梢血由来の単核細胞(PBMC)をEN−RAGEとインキュベートす
ると、PHA−Pで刺激したときに、細胞を過大な反応に対して準備刺激した。
BSAによる前処理と比べて、トリチウム化されたチミジンの顕著な取り込みが
、予めEN−RAGEとインキュベートした細胞中で見られた(図7F)。これ
が大部分EN−RAGEのPBMC RAGEとの相互作用によるものであるこ
とは、PBMCを抗RAGE IgGとインキュベートした研究、又はEN−R
AGEを過剰なsRAGEとともにプレインキュベートした研究によって実証さ
れた。EN−RAGEで刺激されたトリチウム化されたチミジンの取り込みの著
しい減少が起こった(図7F)。
【0141】 全身的なPBMCの活性化についての証拠と一致して、Jurkat細胞(細
胞表面RAGEを有する)をEN−RAGEとインキュベートすると、RAGE
依存的に、上清培地中へのIL−2の増加した生成がもたらされた(図2G)。
【0142】 総合すると、これらの研究は、内皮細胞、MP、及びリンパ球のような炎症反
応の伝播に極めて重要な細胞の表面にRAGEが引きつけられると、炎症性の表
現型の編成に不可欠な反応である、サイトカイン媒介物質の移動、増殖、及び生
成の刺激に関連した態様で、これらの細胞の活性化がもたらされることを実証し
ている。
【0143】 重要なことに、我々は、RAGEのリガンドであるS100/カルグラニュリ
ンスーパーファミリーメンバーの範囲をテストしようと試み、ヒトS100Bが
ECを活性化する能力をテストした。NF−κBの活性化は炎症性遺伝子発現の
調節にとって不可欠な前駆体なので、我々は、EMSAによってこの考えをテス
トした。HUVECをヒトS100Bで刺激すると、BSAへの細胞の暴露と比
べて(図7H、列1)、NF−κBの核への移行が約13.9倍増加することが
、EMSAによって明らかとなった(図7H、列2)。これらの発見がRAGE
の活性化によるものであることは、抗RAGEIgGとのプレインキュベーショ
ン(図7H、レーン3)又はRAGE尾部欠失構築物でのトランスフェクション
(図7H、レーン5)の何れかがS100Bに対する応答性を著しく弱めた研究
によって実証された。これに対して、非IgGとのプレインキュベーション(図
7H、レーン4)又は偽トランスフェクション(図7H、レーン6)は、効果が
なかった。これらの観察は、広範なS100/カルグラニュリンポリペプチドの
リガンドがRAGEを引きつけることを示している。
【0144】 4.マウスへのEN−RAGEの注入は細胞の活性化及び遺伝子発現の調節を
刺激する 我々は、EN−RAGEがインビボで細胞の活性化と炎症性媒介物質の発現を
媒介するかどうかを決定するために、インビトロモデルでの我々の発見を拡張し
ようと試みた。我々は、インビボでは、EN−RAGEは、免疫/炎症性の攻撃
誘発の部位に局所的に放出されると推測するが、我々は、EN−RAGEを免疫
力のあるマウスに注入すると、炎症性媒介物質の発現を媒介するであろうという
考えをテストした。この考え方どおりに、30μgのEN−RAGEをCF−1
マウス中に注入すると、BSAの注入と比べて、イムノブロッティングにより、
肺のVCAM−1の発現がμ2.4増加した(図8A、それぞれレーン2及び1
)。これが、大部分は血管のRAGEを引きつけたことによるものであるという
ことは、sRAGE(図8A、レーン3)又は抗RAGE IgG(図8A、レ
ーン4)の何れかの存在下で、肺におけるEN−RAGEによって刺激されたV
CAM−1の発現が著しく弱められることによって実証された。これに対して、
非免疫IgG/EN−RAGEの注入は、効果がなかった(図8A、レーン5)
【0145】 5.炎症反応におけるEN−RAGEとRAGEの役割 急性の炎症: しかしながら、これらの仮定の決定的なテストは、EN−RAGEとRAGE
が、炎症のインビボモデルで炎症反応に参加するかどうかであった。我々は、ま
ず、遅延型過敏症のマウスモデル(Dunn et al.,1993)でこの
概念をテストした。このモデルでは、CF−1マウスは、メチル化されたBSA
(mBSA;RAGEを結合しない)で感作された。塩化ナトリウム、デキスト
ラン、及び不完全フロイントアジュバントを含有するエマルジョンと混合したm
BSAを、鼠頚部のリンパ節に局所投与した。21日後に、mBSA又はビーク
ル(リン酸で緩衝化した生理的食塩水)を左後足の足底部に投与した。我々の研
究は、後者は効果がないことを示し、同様に、予め感作せずにmBSAを注射し
ても、炎症反応を生じないことを明らかにした(データは示さず)。左後足の足
底部にmBSAを感作し、攻撃誘発したマウスでは、炎症スコアによる測定によ
れば、顕著な炎症反応が起こった(図9A、B、F)。
【0146】 このモデルで炎症を潜在的に調節する上での、RAGE/EN−RAGEの遮
断の役割をテストするために、ある感作/攻撃誘発されたマウスの腹腔内に、ビ
ークル、マウス血清アルブミン(MSA)を処置した。足底部にmBSAを注入
してから24時間後に、局所的な炎症の顕著な証拠が明らかとなった(スコア、
9.0±0.4)(図9A、列1;及び図9B)。さらに、冒された足底部のH
&E分析によって、肉芽腫と著しい浮腫を伴って、炎症細胞が著しく流入するこ
とが確かめられた(図9F)。しかしながら、全く対照的に、マウスのsRAG
Eの注射は、mBSAで感作/攻撃誘発したマウスで用量依存的に、炎症の抑制
をもたらした。100μg/投与のsRAGEを注射すると、炎症スコアは2.
7±0.3に減少した。MSAと比べてp<0.001(図9A、列2−3−4
−5及び6;並びに図9C)。炎症の顕著な抑制と一致して、sRAGE(10
0μg)処置したマウスの足底部をH&Eによって調べると、この領域への炎症
細胞の流入が顕著に停止することが明らかとなった(図9H)。我々は、少なく
とも部分的に、sRAGEは、EN−RAGEを結合し、その細胞性RAGEの
誘引及び活性化を阻害することによって、その有利な抗炎症作用を発揮すると推
測している。
【0147】 このため、抗EN−RAGE F(ab’)を用いたEN−RAGEの遮断
、又は抗RAGE F(ab’)を用いたRAGE自体へのアクセスの遮断が
、類似の有益な効果を発揮するかどうかを決定し、感作されたマウスへのmBS
Aの注射によって引き起こされた炎症カスケードでの、これらの媒介物質の重要
な役割を立証することが重要であった。感作/攻撃誘発されたマウスを非免疫F
(ab’)で処置すると、全く効果が見られなかった(スコア、9.0±0.
2)。しかしながら、抗RAGE F(ab’)(200μg)又は抗EN−
RAGE F(ab’)の存在下では、炎症反応の顕著な減弱が明らかであり
(図9A、それぞれ9及び11列、並びにそれぞれ9E及びD)、それぞれ、炎
症スコアは4.9±0.8と5.6±0.5であった(両ケースで、非免疫F(
ab’)での処置と比較して、p<0.05)。抗RAGE F(ab’) 又は抗EN−RAGE F(ab’)の何れかの存在下での炎症の減少を確認
すると、組織学的な分析は、炎症細胞、浮腫の数の顕著な減少と肉芽腫の不存在
が明らかとなった(それぞれ、図9JとI)。炎症の媒介におけるEN−RAG
E/RAGEの極めて重要な役割を強く示唆するように、抗EN−RAGEと抗
RAGE F(ab’)の両者を同時に投与すると、顕著な炎症の減少が観察
された(図9A、列12)。炎症スコアは3.6±0.9まで減少した;非免疫
F(ab’)での処置と比べてp<0.01。実際に、H&Eによる分析は、
炎症細胞と浮腫の数が顕著に減少することを明らかにした(図9K)。
【0148】 これらのデータは、EN−RAGE/RAGEの遮断が、このモデルで細胞の
活性化をかなり弱めたことを示唆していた。実際に、sRAGE、抗RAGE
F(ab’)、又は抗RAGE/抗EN−RAGE F(ab’)が投与さ
れたmBSA感作/攻撃誘発されたマウスで炎症が減少するという証拠と平行し
て、冒された足底部から調製した核抽出物でのNF−κBの活性化の顕著な抑制
が観察された。反対側の足底部(mBSAでの感作/局所攻撃誘発なし)と比較
して、mBSAを注射した足底部からの核抽出物から、NF−κBの活性化が約
6.4倍増加することがEMSAによって明らかとなった(図9L、それぞれレ
ーン1及び2)。sRAGE、IP、100μg/投与の存在下では、ビークル
、MSA、IPによる処置と比べて、NF−κBの活性化に顕著な減少が見られ
た(図4L、それぞれレーン4及び2)。mBSA感作/攻撃誘発されたマウス
に抗RAGE/抗EN−RAGE F(ab’)を処置すると、非免疫F(a
b’)による処置(図9L、レーン7)と比べて、NF−κBの活性化が約7
5%減少するのが観察された(図9L、レーン6)。総合すると、これらのデー
タは、EN−RAGE/RAGEの遮断は、細胞シグナリング経路NF−κBの
活性化を強力に弱めることを強く示唆した。
【0149】 EN−RAGEによるRAGEの連結の重要な結果は、少なくとも部分的には
NF−κBの活性化によって媒介された、炎症性媒介物質の増加した発現なので
、我々は、100μgのsRAGEで処置したmBSA感作/攻撃誘発されたマ
ウスから抽出したRNAからのRT−PCRを行い、IL−2又はTNF−aの
うちの何れかの転写物が存在しないことを見出した(図9M、それぞれレーン5
及び2)。これに対して、ビークル、MSA処置したマウスからの足底部では、
IL−2とTNF−aの転写物が明瞭であった(図9M、それぞれレーン4及び
1)。
【0150】 DTHに供したマウスからの脾臓細胞を単離し、エクソビボで分析すると、M
SA又は非免疫F(ab’)の何れかで処置したマウスからの脾臓細胞と比較
すると、sRAGE、抗RAGE F(ab’)、又は抗EN−RAGE F
(ab’)の何れかで処置したマウスから回収したそれらの脾臓細胞において
、PMAの存在下で分裂促進反応が減少するのが見られた(図3B)。
【0151】 総合すると、これらのデータは、遅延型過敏症でのEN−RAGE−RAGE
相互作用の遮断は、細胞シグナリング経路の活性化、遺伝子発現の調節、及び炎
症性の表現型を著しく抑制することを示唆する。
【0152】 慢性的な炎症: S100/カルグラニュリンポリペプチドの特徴は、それらが、ヒトの炎症性
腸疾患(Lugering et al.,1995;Schmid et a
l.,)1995)のような慢性的な炎症の領域に存在するということである。
RAGEとのそれらの相互作用が、慢性的な炎症の発病において重要であり得る
という考えをテストするために、我々は、マウスの腸炎モデルである無IL−1
0マウス(Kuehn et al.,1993;Rennick et al
.,1997)で、これらの考えをテストした。この考えをテストするために、
4週齢から開始して、MSA又はsRAGEの何れか、100μg/日、IPで
、無IL−10マウスを6週間処置した。その時間が終了した時点で、マウスを
屠殺し、炎症の徴候について直腸S状部の腸を評価した。MSAを与えたマウス
のうち4/5では、リンパ球、マクロファージ、好酸球、及び形質細胞から構成
される粘膜下の結腸の炎症の徴候が明らかであったが、sRAGEで処置したマ
ウスでは、1/5がクリプトの付け根に斑の炎症を示したにすぎなかった(表3
)。これらの発見と一致して、EMSA用に結腸組織を調製すると、MSAを与
えたものと比べて、sRAGE処置した無IL−10マウスから回収した組織に
は、デンシトメトリー単位で平均約3.7倍の減少が観察された(p=0.04
、図10A)。同様に、MSAを与えたマウスと比べて、sRAGEで処置した
マウスでは、血漿TNF−aのレベルに約8.7倍の減少が観察された(p=0
.002、図10B)。
【0153】 総合すると、これらのデータは、EN−RAGE/RAGE軸の阻害が、急性
及び慢性の炎症モデルで、細胞の活性化と主要な媒介物質の発現を強く抑制する
ことを示唆している。
【0154】
【表3】 <考察> 急性及び慢性の炎症部位にS100/カルグラニュリンポリペプチドが存在す
ることは、長い間注目されてきた。実際、S100様分子であるMRP8/14
(骨髄球関連タンパク質)の血清レベルの評価は、長期の腸の機能不全と腫瘍形
成と関連する腸の慢性炎症性疾患である潰瘍性大腸炎患者での病気の活動を追跡
するための手段として示唆されてきた(Lugering et al.,19
95)。S100/カルグラニュリン分子は、カルシウム結合EFハンドドメイ
ンのような、構造的な特徴となる相同性を有する(Schafer and H
eizmann,1996)。これらの特性に基づいて、細胞骨格や細胞の形状
の変化、細胞のカルシウムレベルの増加を介したシグナル伝達、化学走性、食作
用、脱顆粒、及び反応性酸素種(ROI)の生成を含む食細胞機能の調節のよう
なこれらのポリペプチドの細胞内での考えられる広範な機能が推測されてきた(
Snyderman and Goetzl、1981;Smolen et
al.,1981;Lew et al,1984;Sawyer et al
.,1985)。実際に、ROIの生成は、炎症誘導性シグナリング経路の変化
がこれらの分子によって開始されるさらに別の手段を意味しているのかもしれな
い(Schreck et al.,1992)。
【0155】 EN−RAGE及び関連するファミリーのメンバーがシグナルペプチドを欠い
ているという事実にもかかわらず、これらのポリペプチドが、細胞外空間へ容易
にアクセスできるという十分な証拠が存在する(Suzuki et al.,
1983;Shashoua et al.,1984;Schafer an
d Heizmann,1996)。この意味で、以前の研究は、このファミリ
ーのメンバーが、一連の炎症性の現象を媒介し得ることを示唆してきた。例えば
、CP−10(Chemotactic peptide−10;S100ファ
ミリーのメンバー)をマウスに注入すると、誘引されたマクロファージは、スカ
ベンジャー受容体の増加、TNF−aの産生、アセチル化されたLDLの搭載と
泡沫細胞の形成、及び食作用、並びに酸化窒素の産生の減少を示す。さらに、C
P−10を局所足底部に注射すると、多形核白血球の強度の流入後に、混合した
単核細胞の浸潤が起こる(Hu et al.,1996;Geczy、199
6;Yen et al.,1997;Kumar et al.,1998)
。ここに示したデータはこれらの発見を拡張し、炎症部位に炎症細胞が召集され
ると、これらの分子が放出され、細胞性RAGEにターゲッティングされるよう
であることを示唆する。このファミリーのメンバーに対する重要な受容体である
RAGEが引きつけられると、さらなる細胞の刺激が起こり、シグナリング経路
の活性化、遺伝子発現の調節、及び炎症性現象の増幅がもたらされるかもしれな
い(図11)。これらの考察は、EN−RAGE−RAGE相互作用の影響をア
テローム性動脈硬化症のような慢性炎症疾患にまで拡張する(Ross,199
9)。
【0156】 確かに、炎症は、多くの初発刺激と中間の参加分子が関与する複雑なプロセス
である。しかしながら、炎症誘導性の機序は、しばしば、大部分チェックされず
に放置され、慢性的な組織の虚血、細胞死、及び順応性のない修復反応をもたら
すかもしれない。我々のデータは、炎症における新しいパラダイムを示唆する。
EN−RAGEとRAGEとの相互作用を阻害すると、中心的なシグナリング経
路の遮断を介して、炎症反応の不可欠な増幅機構を弱め、サイトカインの発現を
もたらし得る。我々のデータは、これらの分子に対する他の受容体の関与を除外
するものではない。この意味で、さらなる研究によって、EN−RAGEとS1
00B以外のS100/カルグラニュリンファミリーの他の異なるメンバーが、
RAGEと相互作用する能力を有する程度も決定しなければならない。しかしな
がら、これまでに研究された2つ、(1つはカルグラニュリンに近く(EN−R
AGE)、他方はS−100に近い(S100B))では、RAGEが中心的な
細胞での相互作用部位のようである。実際に、sRAGE、抗EN−RAGE
F(ab’)、抗RAGE F(ab’)、又は抗EN−RAGE+抗EN
−RAGE F(ab’)の投与は、TNF−aやIL2のような主要な炎症
媒介物質の生成を顕著に停止させ、炎症性の表現型におけるEN−RAGE及び
関連ファミリーメンバーとRAGEの相互作用の枢要な役割を強く示唆する。本
発見は、そのユニークなリガンド群故に、RAGEのコンテキストを、発育及び
病態生理的に関連する状態の両者に関与する細胞表面分子の免疫グロブリンスー
パーファミリーの異なるメンバーとして拡張する(Schmidt et al
.,1998)。アムホテリンのRAGEのリガンドとしての同定(Rauva
la and Pihlaskari,1987;Parkkinen et
al.,1993;Hori et al.,1995)は、発育する中枢神経
系(CNS)での神経突起の成長におけるRAGEの役割を示唆した。この考え
と一致して、ニューロンのアムホテリンとRAGEの発現は、ラットCNSの発
育中のニューロンで顕著に増加し、共存していた(Hori et al.,1
995)。インビトロの研究では、培養したラットの胚性ニューロンの神経突起
の成長は、可溶性RAGE(sRAGE)又は抗RAGE F(ab’)断片
の何れかを用いたRAGEの遮断によって、アムホテリンをコートしたマトリッ
クス上で特異的に阻害された。注目すべきことに、RAGEが、発育中のニュー
ロン中のアムホテリンと反応して、神経突起の成長を媒介するという観察は、S
100ファミリーの生物学と極めて一致する。S100Bのような後者のグルー
プのあるメンバーは、神経突起の成長を媒介する(Kligman and M
arshak,1985;Marshak,1990;Barger et a
l.,1992)。
【0157】 発育後には、ニューロンのアムホテリン及びRAGEの両者の発現は、恒常状
態では減少する(Hori et al.,1995)。しかしながら、アルツ
ハイマー病(AD)でアミロイドβペプチドが蓄積すると、脳、特に冒されたニ
ューロン及び脈管構造で、RAGEの発現が増大する(Yan et al.,
1996;Mackic et al.,1998)。培養ニューロンとニュー
ロン様の細胞を用いた研究は、アミロイドβペプチドとRAGEの相互作用が、
ニューロンのストレスと毒性、及びミクログリアの活性化を媒介することを示唆
する。後者は、マクロファージコロニー刺激因子の生成の増加をもたらし、我々
の推測によれば、冒された脳での局所的な炎症反応を引き起こすことにより、ニ
ューロンの毒性を悪化させる手段であるかもしれない(Yan et al.,
1997)。アルツハイマー病のヒトの患者の脳内のアミロイドβペプチド部位
と共存するニューロン及び血管のRAGEの増大した発現は、さらに、この相互
作用がインビボで高度に関連しているかもしれないことを示唆する。CNSのニ
ューロン内でレベルとRAGEとアミロイドβペプチドが遺伝的に増大している
マウスを用いて、この相互作用の重要性を明らかにするための研究が進行中であ
る。
【0158】 我々は、恒常状態では、広範な細胞種でRAGEのレベルが非常に低いことを
観察した(Brett et al.,1993;Schmidt et al
.,1995a)。この意味は完全には明らかでないが、他の研究で、我々は、
長期にわたって(6ヶ月まで)、成体の糖尿病マウスに可溶性RAGEを投与し
ても、有害な影響を与えないことを実証した(未発表の観察、D.Stern
and A.M. Schmidt)。実際に、糖尿病の状態では、sRAGE
の投与の有益な効果が見られた。
【0159】 糖尿病の組織では、脈管構造のような組織で、RAGEの発現が高度にアップ
レギュレートされ、高レベルの非酵素的な糖化及び酸化産物AGEと共存してい
る(Schmidt et al.,1995a;Park et al.,1
998)。我々は、少なくとも部分的に、衰弱化する結果を与えるこの疾患での
長期にわたる血管、神経、及び炎症細胞の併発症(Schmidt et al
.,1993;Schmidt et al.,1994;Wautier e
t al.,1994;Schmidt et al.,1995b;Waut
ier et al.,1996;Schmidt et al.,1996;
Miyata et al.,1996)の基礎には、AGE−RAGE相互作
用、及び引き続き起こる慢性的な細胞の擾乱が存在すると仮定している。これと
一致して、sRAGEを糖尿病の齧歯類に投与すると、血管の透過性の亢進を覆
し、加速されたアテローム性動脈硬化症を抑圧する(Wautier et a
l.,1996;Park et al.,1998)。
【0160】 これらの観察に基づき、EN−RAGEが、糖尿病や腎不全からアルツハイマ
ー病にわたる疾患に由来する炎症現象及び細胞の機能不全に寄与する程度は、例
えば、一連の興味深い問題を提起する。さらなる研究は、トランスジェニックマ
ウスモデルでこのような可能性を与えるであろう。
【0161】 我々の本発見は、このように、RAGEが、そのリガンドが蓄積する状態下に
おいて重要な分子であるという考えを敷衍する。NF−κB、NF−Il−6、
g−IRE、Sp1、AP2などのような、宿主の表現型を変え得る様々な転写
因子に対する複数の潜在的なDNA結合部位が存在するRAGEプロモーターの
特徴が同定され(Li and Schmidt,1997;Li et al
.,1998)、RAGEが、異なる多数の環境シグナルに応答する多用途の遺
伝子であることを強く示唆する。さらに、主要組織適合遺伝子複合体内の第6染
色体にヒトのRAGEをコードする遺伝子が位置するということは、RAGEが
、発育から病態生理的に重要な疾患に至る宿主の応答に関与していることを示唆
している(Sugaya et al.,1994)。
【0162】 総合すると、EN−RAGE及びEN−RAGE様分子をRAGEのリガンド
として同定したことは、このように、S100/カルグラニュリンポリペプチド
と免疫グロブリンスーパーファミリー分子であるRAGEの生物学的な関連性を
規定する。EN−RAGE、RAGE、及びそれらの相互作用の遮断が細胞の活
性化を効果的に停止するという我々の実証は、過度の炎症反応を和らげることに
より、組織の傷害を制限するようにデザインされた抗炎症戦略に対する新しい、
根本的な標的としてこれらの媒介物質を同定する。
【0163】
【参照文献】
【0164】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト腎臓(活性型ループス腎炎)の免疫組織化学 活性型ループス腎炎の患者からの腎組織を取得して、ホルマリンで固定し、パラ
フィンに包埋された切片を調製した。切片はウサギ抗RAGE IgGで染色し
た。糸球体の有足突起において、RAGEの発現の増加が見られた。
【図2】 HUVECsをEN−RAGEとインキュベートすると、細胞表面のVCAM
−1が増加する 内皮細胞増殖因子を加えずに、無血清RPMI 1640中でヒト臍静脈内皮細
胞を24時間培養した後、EN−RAGE又はウシ血清アルブミン(BSA)、
両者とも10μg/ml、で刺激した。表記されている場合には、ウサギ抗ヒト
RAGE IgG、非免疫ウサギIgGで細胞を前処理された。ある場合には、
EN−RAGEは、EN−RAGEによる刺激の前に、表記の濃度の可溶性RA
GE(sRAGE)で2時間前処理した。EN−RAGEで8時間刺激した後、
上述のように細胞を固定された。抗VCAM−1 IgGを使用した細胞表面E
LICAを行った。統計学的考察は図中に示されている。
【図3】 HUVECsをEN−RAGEとインキュベートすると、VCAM−1の機能
的活性:Molt−4細胞の増加した結合を増加させる 機能的VCAM−1活性の評価は、上述のように、51Crで標識されたMol
t−4細胞(ATCC)を用いて決定した。HUVECは、BSA(10μg/
mL)又はEN−RAGE(5μg/mL)の何れかで8時間処理した。51
r(0.1mCi)を含むRPMI中で、Molt−4細胞(5x10/mL
)を2時間インキュベートした。その時間の最後に、PBSで細胞を洗浄した後
、処理されたHUVECの単層に1時間添加した。結合していないMolt−4
細胞は、PBSで3回洗浄することによって除去した。続いて、放射能を含有す
るMolt−4細胞を放出するために、triton−X 100(2%)を含
有するバッファー中で細胞を溶解した。統計学的考察は図中に示されている。
【図4】 遅延型過敏症モデル:溶解性RAGEの存在下での炎症の抑制。 CF−1マウスをmBSAで感作した。;3週間後、mBSAを後足底部中に注
入した。あるマウスは、表記の濃度のマウス血清アルブミン、sRAGE、又は
RAGE若しくはEN−RAGEの表記のF(ab’)抗体断片で処置した。
炎症スコアは上記(スケール;1−9)のように定義した。
【図5】ウシEN−RAGEの核酸配列 ウシEN−RAGEのcDNAをクローニングし、受付番号AF011757で
Genbankに寄託した。配列(5’から3’)は、図5に示されている。
【図6−1】 EN−RAGEの発現は刺激された炎症細胞中で増加する(A−B);EN−
RAGEはRAGEを結合する(C−D) (パネルA)EN−RAGEの発現は、刺激されたPBMCs中、及びJurk
at細胞中で増大されるが、HUVEC中では増大されない。;標準中の末梢血
単核細胞、Jurkat E6細胞、又はHUVECは、単独で、又は表記の刺
激の存在下で12時間培養された。PBMC及びJurkat E6細胞をPM
A(10ng/mL)/イオノマイシン(100ng/mL)で刺激し、HUV
ECはTNF−a(10ng/mL)で処理した。12時間のインキュベーショ
ンの最後に、細胞溶解産物を調製し、ウサギ抗EN−RAGE IgG(2μg
/mL)を用いて、上述のように、電気泳動/イムノブロッティングを行った。
1次抗体の部位は、ウサギIgGに対するペルオキシダーゼ結合抗体とECL検
出システムを用いて可視化した。分子量マーカーは、示されているように、同時
に流した。濃度分析の結果が示されている。本実験は2回繰り返され、類似の結
果を得た。
【図6−2】 (パネルB)マウスへのLPSの注入は、EN−RAGEの血漿への生成をも
たらす。:sRAGEの存在下、又は非存在下で(100μg;LPSの注入前
12時間、及び1時間前に投与された)、腹腔内投与によって30μg/kg体
重のLPSをBalb/cマウスに注入した。表記の時点で、血液を回収し、E
N−RAGEのために、上記のように抗−EN−RAGE IgG(2μg/m
L)を用いて、血漿を電気泳動/イムノプロッティングにかけた。濃度分析の結
果が示されている。本実験は2回繰り返され、類似の結果を得た。
【図6−3】 (パネルC−D) EN−RAGEは、精製RAGE(C)とBAECs(D
)を結合する。:Cでは、ヒト可溶性RAGEはプラスティック皿のウェル上に
固定化され、Dでは、集密したBAECsは組織培養処理されたウェル上に培養
された。放射性リガンド結合アッセイは、過剰な非標識EN−RAGE(50倍
)の存在下又は非存在下で、表記の濃度の125−I EN−RAGEを用いて
行った。Cでは、K=約91±29nM、且つキャパシティー=約21±2.
9fmoles/ウェルでの、精製されたRAGEへの特異的な結合が示されて
いる。Dでは、K=約90.3±34nM、且つキャパシティー=約163±
26.2fmoles/ウェルでの、BAECsへの特異的な結合が示されてい
る。表記されている場合には、結合アッセイの前に、表記の量の過剰なsRAG
Eとともに、放射線標識されたEN−RAGE(100nM)を2時間培養する
か、又は、結合アッセイの前に、表記の濃度のウサギ非免疫IgG、若しくはポ
リクローナル単一特異的ウサギ抗−EN−RAGE IgG、若しくは抗−RA
GE IgGとともに、ウェルを2時間プレインキュベートし、結果は、平均値
の%最大特異的結合±SDとして報告された。これらの実験は少なくとも5回行
い、類似の結果を得た。
【図6−4】 (パネルC−D) EN−RAGEは、精製RAGE(C)とBAECs(D
)を結合する。:Cでは、ヒト可溶性RAGEはプラスティック皿のウェル上に
固定化され、Dでは、集密したBAECsは組織培養処理されたウェル上に培養
された。放射性リガンド結合アッセイは、過剰な非標識EN−RAGE(50倍
)の存在下又は非存在下で、表記の濃度の125−I EN−RAGEを用いて
行った。Cでは、K=約91±29nM、且つキャパシティー=約21±2.
9fmoles/ウェルでの、精製されたRAGEへの特異的な結合が示されて
いる。Dでは、K=約90.3±34nM、且つキャパシティー=約163±
26.2fmoles/ウェルでの、BAECsへの特異的な結合が示されてい
る。表記されている場合には、結合アッセイの前に、表記の量の過剰なsRAG
Eとともに、放射線標識されたEN−RAGE(100nM)を2時間培養する
か、又は、結合アッセイの前に、表記の濃度のウサギ非免疫IgG、若しくはポ
リクローナル単一特異的ウサギ抗−EN−RAGE IgG、若しくは抗−RA
GE IgGとともに、ウェルを2時間プレインキュベートし、結果は、平均値
の%最大特異的結合±SDとして報告された。これらの実験は少なくとも5回行
い、類似の結果を得た。
【図7−1】 RAGEのEN−RAGEとS100Bによる連結は細胞の活性化をもたらす
。内皮細胞(A−D、H)。 (パネルA)VCAM−1のための細胞表面ELISA:非免疫IgG、抗R
AGE IgG、又は過剰の可溶性RAGEのいずれかとの2時間の前処理の存
在下、もしくは非存在下で、表記の伝達物質存在下において、8時間37℃でH
UVECを培養した。その後、細胞を固定し、抗VCAM−1 IgG(4μg
/mL)を用いて、VCAM−1のための細胞表面ELISAを行った。
【図7−2】 (パネルB)Molt−4接着アッセイ:表記の媒介物質の存在下で8時間H
UVECを培養した。EN−RAGEに対して、様々な濃度(左のパネル)とイ
ンキュベーション時間(中央のパネル)を使用した。インキュベーション後、 −クロム標識したMolt−4細胞を1時間単層に結合させた。その時間の最
後に、培養液中で細胞を洗浄し、Triton X−100(1%)存在下で崩
壊させた;得られた物質をベータカウンター中で計数した。右のパネルでは、表
記のF(ab’)、過剰なsRAGE、又は過剰なBSAとの前処理(2時間
)の存在下又は非存在下で、EN−RAGE 5μg/mlによってHUVEC
を処理した。結果は、上記コントロールに対する増加倍数として報告した(BS
Aによる細胞の処理、10μg/mL)。A−Bでは、結果は、平均値±平均値
のSDとして報告されている。実験は、少なくとも3回実施した。
【図7−3】 (パネルC)電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA):表記の媒介物質で
HUVECを8時間処理した。ある場合には、抗RAGE IgGで細胞を前処
理し、別の場合には、過剰のsRAGEでEN−RAGEを前処理した(2時間
)。あるHUVECは、EN−RAGEでの処理の前に、細胞質ドメインが欠失
した形態のヒトRAGEをコードする構築物で、又は対照としてベクターのみ(
pcDNA3)で一過性にトランスフェクトされた。核抽出物を調製し、下記の
ようにEMSAを実施した。スーパーシフトアッセイは、EMSAの前に、核抽
出物を表記の抗体(2μg/mL)と45分間インキュベートすることによって
実施した。濃度分析の結果が挿入図中に示されている。本実験は2回繰り返し、
類似の結果を得た。
【図7−4】 単核食細胞(MPs)(パネルD−E) (パネルD)改変された化学走性アッセイ:改変された化学走性アッセイを記
述のごとく実施した。示されているように、上方又は下方のチャンバーに、媒介
物質を配置し、Molt−4細胞(これは細胞表面RAGEを含む)37℃で4
時間。膜を通して移動した細胞を染色し、9つの高倍率野中で計数した。表記さ
れている場合には(右のパネル)、表記のF(ab’)断片で細胞を前処理し
、又は、化学走性アッセイの前に、過剰のsRAGEとともにEN−RAGEを
2時間インキュベートした。平均値±平均値のSDが示される。各実験は2回行
った。;各ケースにおいて、条件につき6回の繰り返しを使用した。
【図7−5】 (パネルE)IL−1β及びTNF−aの生成:RAGEの細胞質ドメインが
欠失したcDNAをコードする構築物でトランスフェクションされたBV−2マ
クロファージ、又は疑似トランスフェクトされた細胞(ベクターのみ)の何れか
を、8時間37℃で表記の媒介物質と培養した。その時間の最後に、上清を集め
、IL−1βとTNF−aのうちの何れかのためのELISAを実施した。結果
はBSAのみとインキュベートした細胞と比較した、誘導倍数として示されてい
る。3つの実験の平均値±平均値のSDが示されている。 PBMCおよびJurkat細胞(パネルF−G) (パネルF)有糸分裂誘導アッセイ。:記載したように、全血からPBMCを
単離し、組織培養ウェル中に接種した。PHA−Pでの刺激の前に、表記の濃度
のEN−RAGEで12時間細胞を処理した。続いて、H−チミジンでウェル
をパルスし、採集及び液体シンチレーション計測のためのプロセシングの前に、
さらに18時間インキュベートした。ある場合には、非免疫又は抗−RAGE
IgGで細胞を前処理するか、又は過剰のsRAGEでEN−RAGEを前処理
した。
【図7−6】 (パネルG)IL−2の生成:表記の媒介物質とともに、Jurkat E6
細胞を8時間インキュベートした;上清を集め、IL−2のためのELISAを
行った。表記されている場合には、表記のIgGで細胞を前処理するか、又は過
剰のsRAGEでEN−RAGEを前処理した。結果は(BSAのみとの細胞の
インキュベーションと比較した)誘導倍数として報告されている。F−Gでは、
少なくとも2つの実験の平均値±SDが報告されている。
【図7−7】 (パネルH)S100B、RAGEを介してHUVEC中のNF−kBを活性
化する:表記の媒介物質で、8時間HUVECを処理した。抗体又はsRAGE
での前処理及びEMSAは、(C)で上記したように実施した。
【図7−8】 電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)の結果を示す図である。
【図8−1】 EN−RAGEはin vivoで細胞の活性化を媒介する。 (パネルA)肺でのVCAM−1の発現:尾静脈からCF−1マウスにEN−
RAGE(30μg)、BSA(30μg)、又はLPS(500μg)を静注
した。12時間後、素早く肺を回収し、以下に記載されているように、イムノブ
ロッティングのために抽出物を調製した。電気泳動およびイムノブロッティング
は、抗VCAM−1 IgG(0.4μg/mL)を用いて、記述されたように
行った。濃度分析が示されている。本実験は2回繰り返し、類似の結果を得た。
【図8−2】 (パネルB)有糸分裂誘導アッセイ:遅延型過敏症(下記参照)であるマウス
から脾臓細胞を回収し、記載されているように、PMAに対する反応をエクソビ
で調べた。各条件下において、n=5、平均値±SDが示されている。
【図9−1】 EN−RAGE/RAGEの遮断は、遅延型過敏症(DTH)のモデルにおい
て急性炎症を抑制する:臨床的及び組織学的なスコア(A−K) (パネルA)炎症スコア:CF−1マウスを、記載したように、メチル化された
BSA(mBSA)で感作し(左鼡径部)、攻撃誘発した(左後脚)。表記され
ている場合には、sRAGE、マウス血清アルブミン、免疫されたF(ab’) 断片、もしくは非免疫のF(ab’)断片を腹腔内注射することによって、
mBSAでの局所攻撃誘発の24及び12時間前、並びに6及び12時間後にマ
ウスを前処理した。mBSAを足底部へ注入してから24時間後に、記載したよ
うに、2人の盲検調査者によって、足底部の臨床的及び組織学的スコアが実施さ
れた。Aでは、スコア(最大9、炎症なし=2)は、臨床的および組織学的スコ
アの合計として定義されている。:臨床的スコア:1=炎症が存在しない(処理
されていない右の足底部と同一である);2=軽度の発赤及び浮腫;3=中等度
の発赤及び皮膚の皺を伴った浮腫;4=重度の発赤及び皮膚の皺のない浮腫。;
5=重度の発赤及び過剰な浮腫による足指の広がりをともなった浮腫。組織学的
スコア(H&Eの研究に従って):1=白血球の浸潤なし及び皮下の浮腫なし。
;2=軽度の皮下浮腫を伴った、軽度の脈管周囲の白血球の浸潤。;3=肉芽腫
なしの重度の白血球の浸潤。4=肉芽腫を伴った重度の白血球の浸潤。これらの
実験において、n=5/群であり、平均値±平均値のSDが報告されている。
【図9−2】 (パネルB−E)臨床分析:BSAで感作/攻撃誘発された代表的なマウスが
示されるている:B=MSAで処理したもの;C=投与当たり100μg IP
のsRAGEで処理したもの;D=投与当たり200μg IPの抗EN−RA
GE F(ab’)で処理したもの;E=投与当たり200μg IPの抗R
AGE F(ab’)で処理したもの;
【図9−3】 (パネルF−K)H&E分析:mBSAで感作/攻撃されたマウスから得た代
表的な足底部のH&E分析が示されている:F=MSAで処理したもの;G=反
対側の足底部、DTHなし。H=投与当たり100μg IPのsRAGEで処
理したもの;I=投与当たり200μgのIPで抗EN−RAGE F(ab’
;J=投与当たり200μg IPの抗RAGE F (ab’);K=
投与当たり200μg IPで抗EN−RAGE+抗RAGE F(ab’) 。スケールバー=xxxμm。
【図9−4】 (パネルL)EMSA:プールされていた後足底部(n=3/条件)から核抽
出物を調製し、EMSAを実施した。濃度分析の結果が示されている。
【図9−5】 (パネルM)IL−2及びTNF−aのためのRT−PCR:RT−PCRは
、図中に示されているように、後足底部から調製されたRNAから行い、TNF
−a(レーン1及び2)のプライマー、又はIL−2(レーン4及び5)、又は
βアクチンを用いて行った。塩基対マーカーが示されている。レーン3は陰性対
照(PCR中にDNAを加えていない)を示す。
【図10−1】 EN−RAGE/RAGEの遮断は無IL−10マウスにおいて慢性結腸炎症
を抑制する (パネルA)EMSA:核抽出物は、sRAGE(レーン1−6)又はMSA
(レーン7−12)の何れかで処理されたマウスの直腸S状結腸組織から調製し
た。Image Quant/Molecular Dynamicsを用いて
、濃度分析を実施した。MSA処理(n=6)対sRAGE処理マウスの平均デ
ンシトメトリーピクセルユニットは、7,121.8±5,359.6対1.9
91±1,155ユニットであった;p=0.04。
【図10−2】 (B)血漿TNF−aの評価:屠殺直前に、無IL−10マウスから血漿を回収
し、無細胞上清を得るために800rpmで10分間の遠心にかけた。TNF−
aのためのELISAは、製造業者の使用説明書に従って、本検体を用いて行っ
た。MSA(n=6)対sRAGE処理マウス(n=6)の平均値は190.5
±89.0対21.9±63.6pg/mlであった;p=0.002。
【図11】 炎症反応の増幅はEN−RAGE−RAGE軸によって媒介された 我々は、免疫/炎症刺激の部位への召集時に、炎症細胞がEN−RAGE及び
EN−RAGE様 S100/カルグラニュリン分子を放出すると仮定する。続
いて、これらの分子は、エンドセリン、MPs、及びリンパ球のような細胞上で
細胞性RAGEを連結し、それによって、接着分子及びサイトカインのような炎
症の鍵となる媒介物質の生成によって炎症反応を増幅し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 39/395 Y 4B065 45/00 4C084 48/00 4C085 45/00 A61P 3/10 4C086 48/00 9/00 4H045 A61P 3/10 9/10 9/00 13/12 9/10 25/28 13/12 29/00 25/28 37/08 29/00 C07K 14/47 37/08 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/00 1/21 C12Q 1/68 Z 5/10 G01N 33/15 Z 9/00 33/50 Z C12Q 1/68 33/53 D G01N 33/15 C12P 21/08 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 A // C12P 21/08 A61K 37/02 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG ,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,T J,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 シュミット、アン・マリー アメリカ合衆国、ニュージャージー州 07417 フランクリン・レイクス、ハブ ン・ロード 242 (72)発明者 スターン、デビッド アメリカ合衆国、ニューヨーク州 11020 グレート・ネック、タナーズ・ロード 63 Fターム(参考) 2G045 AA29 AA40 CB01 CB21 DA36 DA77 FB01 FB02 4B024 AA01 AA11 AA13 BA44 CA01 CA04 HA11 4B050 CC03 CC10 DD11 LL01 LL03 4B063 QA05 QA06 QA07 QQ42 QQ79 QQ96 QR32 QR48 QR56 QS32 QS34 QX01 4B064 AG27 CA19 CC24 DA01 DA13 DA15 4B065 AA87Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA03 AA07 AA13 AA17 AA27 BA01 BA02 BA05 BA08 BA09 BA10 BA34 BA37 BA38 BA41 BA43 BA44 CA04 CA05 CA18 CA20 CA23 CA53 CA56 CA59 DC50 MA13 MA17 MA22 MA23 MA24 MA28 MA31 MA35 MA37 MA43 MA47 MA52 MA56 MA57 MA58 MA59 MA60 MA63 MA66 MA67 NA14 ZA162 ZA362 ZA452 ZA812 ZB112 ZB132 ZC352 ZC422 4C085 AA14 AA15 AA16 BB11 BB36 BB43 FF24 GG02 GG03 GG04 GG05 GG06 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA18 MA01 MA05 MA13 MA17 MA22 MA23 MA24 MA28 MA31 MA35 MA37 MA43 MA47 MA52 MA56 MA57 MA58 MA59 MA60 MA63 MA66 MA67 NA14 ZA16 ZA36 ZA45 ZA81 ZB11 ZB13 ZC80 4H045 AA10 AA11 BA10 BA70 BA71 CA40 EA20 EA52

Claims (69)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離されたヒトEN−RAGEペプチド。
  2. 【請求項2】 表1に示されたN末端アミノ酸配列を有する単離されたEN
    −RAGEペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のタンパク質であって、前記ペプチドはGe
    nbank受付番号AF011757のcDNA配列によってコードされるタン
    パク質。
  4. 【請求項4】 EN−RAGEペプチドをコードしている単離された核酸分
    子。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の核酸分子であって、前記EN−RAGEペ
    プチドはヒトEN−RAGEである核酸分子
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の核酸分子であって、前記核酸は、DNA、
    cDNA、又はRNAである核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の核酸分子であって、前記核酸配列は図5に
    示されている配列(配列番号1)である核酸分子。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の核酸分子を含む複製可能なベクター。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の複製可能なベクターであって、前記ベクタ
    ーは原核生物の発現ベクター、酵母発現ベクター、バキュロウイルス発現ベクタ
    ー、又は哺乳類発現ベクターであるベクター。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載のベクターを含んだ宿主細胞。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の宿主細胞であって、前記宿主細胞は、
    真核細胞、体細胞、又は生殖細胞である細胞。
  12. 【請求項12】 請求項6に記載の核酸分子であって、検出可能な部分で標
    識される核酸分子。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の核酸分子であって、前記検出可能な部
    分は、蛍光標識、ジゴキシゲニン、ビオチン、酵素、放射活性原子、常磁性イオ
    ン、および化学発光標識からなる群から選択される核酸分子。
  14. 【請求項14】 3’から5’方向のEN−RAGE核酸配列のユニークな
    断片から実質的になる核酸分子であって、前記配列が、天然のEN−RAGEペ
    プチドをコードする遺伝子の少なくとも一部に対してアンチセンスである核酸分
    子。
  15. 【請求項15】 EN−RAGEペプチド又はその断片と薬学的に許容され
    る担体を含む組成物。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の組成物であって、前記薬学的に許容さ
    れる担体は、エアロゾル、静脈内、経口、又は局所用の担体である組成物。
  17. 【請求項17】 EN−RAGEのユニークな配列を含むエピトープと免疫
    的に反応する抗体。
  18. 【請求項18】 細胞中でEN−RAGE mRNAを特異的に切断できる
    リボザイム。
  19. 【請求項19】 トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その生殖細胞
    又は体細胞が、EN−RAGEペプチド又は生物学的に活性なその変種をコード
    し、胚段階で前記哺乳類又はその先祖に導入された核酸分子を含有するトランス
    ジェニック非ヒト哺乳類。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳類であ
    って、前記EN−RAGEポリペプチドをコードする核酸分子は、哺乳類の細胞
    中で過剰発現されるトランスジェニック非ヒト哺乳類。
  21. 【請求項21】 請求項19に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳類であ
    って、前記核酸分子はヒトEN−RAGEペプチドをコードするトランスジェニ
    ック非ヒト哺乳類。
  22. 【請求項22】 請求項19に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳類であ
    って、前記活性な変種はEN−RAGEの相同体を包含するトランスジェニック
    非ヒト哺乳類。
  23. 【請求項23】 トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その生殖細胞
    又は体細胞が、EN−RAGEペプチドの発現レベルが天然の哺乳類のEN−R
    AGEペプチドの発現レベル以下に減少するようにデザインされた適切な配列を
    有する適切なベクターでトランスフェクトされたトランスジェニック非ヒト哺乳
    類。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳類であ
    って、前記適切なベクターは、相同的組換えを可能にするための適切なクローニ
    ングされたゲノム核酸分子を含有するトランスジェニック非ヒト哺乳類。
  25. 【請求項25】 請求項23に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳類であ
    って、前記適切なベクターはEN−RAGE mRNA分子、又は天然のEN−
    RAGE mRNA配列に対してアンチセンスな配列を含むアンチセンス分子を
    切断できるリボザイムをコードするトランスジェニック非ヒト哺乳類。
  26. 【請求項26】 ある化合物がEN−RAGEペプチドのRAGEペプチド
    との相互作用を阻害し得るかどうかを決定する方法であって: (a)(i)RAGEペプチド、若しくはsRAGEペプチド、又はそれらの
    うちの何れかの断片と、 (ii)EN−RAGEペプチド又はその断片と、 (iii)前記化合物とを混合することと; (b)工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチドとの相互
    作用のレベルを測定することと; (c)工程(b)で測定された相互作用の量と、前記化合物の非存在下におい
    て工程(a)(i)のペプチドと工程(a)(ii)のペプチドとの間で測定さ
    れた量とを比較することにより、前記化合物が、EN−RAGEペプチドとRA
    GEペプチドとの相互作用を阻害できるかどうかを決定することとを備え、 前記化合物の存在下での相互作用の量の減少が、前記化合物が前記相互作用を
    阻害できることの指標となる方法。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の方法であって、前記工程(a)(i)
    の断片はRAGEのVドメインである方法。
  28. 【請求項28】 請求項26に記載の方法であって、前記工程(a)(i)
    又は(a)(ii)の断片は合成品である方法。
  29. 【請求項29】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は、天然に
    存在するsRAGEペプチドの一部分を含む方法。
  30. 【請求項30】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は、ペプチ
    ド模倣体である方法。
  31. 【請求項31】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は有機分子
    である方法。
  32. 【請求項32】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は、ペプチ
    ド、核酸、あるいは無機化合物である方法。
  33. 【請求項33】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は10,0
    00ダルトン未満の分子である方法。
  34. 【請求項34】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は抗体又は
    その断片である方法。
  35. 【請求項35】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は変異され
    たRAGEペプチド又はその断片である方法。
  36. 【請求項36】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は変異され
    たsRAGEペプチド又はその断片である方法。
  37. 【請求項37】 請求項26に記載の方法であって、前記化合物は変異され
    たEN−RAGEペプチド又はその断片である方法。
  38. 【請求項38】 請求項26に記載の方法であって、工程(a)(i)のペ
    プチドが固体表面に固定される方法。
  39. 【請求項39】 請求項26に記載の方法であって、工程(a)(ii)の
    ペプチドが固体表面に付着される方法。
  40. 【請求項40】 請求項26に記載の方法であって、工程(a)(i)又は
    工程(a)(ii)のペプチドは検出可能に標識される方法。
  41. 【請求項41】 請求項40に記載の方法であって、前記検出可能な標識は
    蛍光、ビオチン、又は放射能を包含する方法。
  42. 【請求項42】 請求項26に記載の方法であって、前記混合は細胞内で起
    きる方法。
  43. 【請求項43】 請求項26に記載の方法であって、前記混合は動物内で起
    きる方法。
  44. 【請求項44】 請求項26に記載の方法によって同定された化合物であっ
    て、患者の炎症の抑制に有用である化合物。
  45. 【請求項45】 請求項26に記載の方法によって同定された化合物であっ
    て、患者の全身性エリテマトーデス又は炎症性ループス腎炎の治療に有用な化合
    物。
  46. 【請求項46】 請求項26に記載の方法によって同定された化合物であっ
    て、以前には未知であった化合物。
  47. 【請求項47】 患者の炎症を阻害する方法であって、前記患者においてE
    N−RAGEペプチドと後生的糖化最終産物受容体(RAGE)との相互作用を
    妨害することができ、それによって前記患者の炎症を阻害し得る化合物を前記患
    者に投与することを含む方法。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物は抗EN−
    RAGE抗体若しくはその断片、又は抗RAGE抗体若しくはその断片である方
    法。
  49. 【請求項49】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物はsRAG
    Eペプチドであるである方法。
  50. 【請求項50】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物は、実質的
    に、sRAGEペプチドのリガンド結合ドメイン又はEN−RAGEペプチドの
    リガンド結合ドメインからなる方法。
  51. 【請求項51】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物は核酸分子
    またはペプチドである方法。
  52. 【請求項52】 請求項51に記載の方法であって、前記ペプチドは抗体、
    あるいはその断片である方法。
  53. 【請求項53】 請求項51に記載の方法であって、前記核酸分子は、リボ
    ザイム、又はアンチセンス核酸分子である方法。
  54. 【請求項54】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物は、請求項
    26のスクリーニング法によって同定された化合物である方法。
  55. 【請求項55】 請求項47に記載の方法であって、前記炎症は、遅延型過
    敏症、加速されたアテローム性動脈硬化症、又はループス腎炎を伴う方法。
  56. 【請求項56】 請求項47に記載の方法であって、前記患者は、ヒト、類
    人猿、マウス、ラット、又はイヌである方法。
  57. 【請求項57】 請求項47に記載の方法であって、前記投与は、病変内、
    腹腔内、筋肉内又は静脈内注射;注入;リポソームを介した送達;又は局所、莢
    膜内、歯肉ポケット、経直腸、気管支内、鼻、口、眼、又は耳からの送達を含む
    方法。
  58. 【請求項58】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物は、毎時間
    、毎日、毎週、毎月、又は毎年ごとに投与される方法。
  59. 【請求項59】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物の有効量は
    、約0.000001mg/kg体重〜約100mg/kg体重を含む方法。
  60. 【請求項60】 請求項47に記載の方法であって、前記患者は、全身性エ
    リテマトーデス、炎症性ループス腎炎、敗血性ショック又は内毒素血症に罹患し
    ている方法。
  61. 【請求項61】 請求項47に記載の方法であって、前記患者は炎症に罹患
    している方法。
  62. 【請求項62】 請求項47に記載の方法であって、前記化合物を投与する
    間に、前記患者に薬学的に許容される担体を投与することをさらに備える方法。
  63. 【請求項63】 請求項62に記載の方法であって、前記担体は希釈剤を含
    む方法。
  64. 【請求項64】 請求項62に記載の方法であって、前記担体は、ウイルス
    、リポソーム、ミクロカプセル、ポリマーに封入した細胞、又はレトロウイルス
    ベクターを含む方法。
  65. 【請求項65】 請求項62に記載の方法であって、前記担体は、エアロゾ
    ル、静脈内、経口、又は局所担体である方法。
  66. 【請求項66】 請求項62に記載の方法であって、前記化合物は、経時放
    出インプラントから投与される方法。
  67. 【請求項67】 請求項47に記載の方法であって、前記患者は、EN−R
    AGEを含有する炎症細胞の召集が起こる自己免疫又は炎症性疾患に罹患してい
    る方法。
  68. 【請求項68】 請求項47に記載の方法であって、前記患者は、細菌が関
    連した、又は他の病原体が関連した感染症に罹患している方法。
  69. 【請求項69】 ある化合物が、EN−RAGEタンパク質の第2のタンパ
    ク質に結合する能力を阻害できるかどうかを決定する方法であって: (a)EN−RAGEタンパク質、前記第2のタンパク質、及び前記化合物を
    混合することと; (b)前記EN−RAGEタンパク質と前記第2のタンパク質との結合量を測
    定することと; (c)工程(b)で測定された結合量を、前記化合物の非存在下におけるEN
    −RAGEと前記第2のタンパク質との結合量と比較することを備え、結合量の
    減少が、前記化合物がEN−RAGEタンパク質の前記第2のタンパク質に結合
    する能力を阻害できることの指標となる方法。
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