JP2002525048A - Rnasepポリペプチド - Google Patents

Rnasepポリペプチド

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JP2002525048A JP2000570302A JP2000570302A JP2002525048A JP 2002525048 A JP2002525048 A JP 2002525048A JP 2000570302 A JP2000570302 A JP 2000570302A JP 2000570302 A JP2000570302 A JP 2000570302A JP 2002525048 A JP2002525048 A JP 2002525048A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規細菌リボヌクレオ蛋白複合体およびその成分に関する。より詳細には、本発明は、スタフィロコッカス・アウレウスから単離されたRNaseP RNAならびに抗微生物化合物の同定のためのスクリーニングにおけるRNasePRNAの使用ならびに治療におけるかかる化合物の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、新たに同定されたポリヌクレオチドおよびこれら特定のポリヌクレ
オチドの特定のものによりコードされるポリペプチド、RNAとポリペプチドの
分子複合体、かかるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用、ならびにかか
るポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造ならびにポリヌクレオチドで形質
転換された組み換え宿主細胞に関する。本発明は、特に、スタフィロコッカス属
(Staphylococci)、とりわけスタフィロコッカス・アウレウス(エス・アウレ
ウス(Staphlococcus aureus))由来のかかるポリヌクレオチドおよびポリペプ
チドに関する。また本発明は、かかるポリヌクレオチドおよび/またはポリペプ
チドの生合成、アッセンブリーまたは作用を阻害することに関し、さらに治療に
おけるかかる阻害剤の使用にも関する。
【0002】発明の背景 本発明は、新規細菌リボヌクレオ蛋白複合体およびその構成部分に関する。よ
り詳細には、本発明は、RNaseP、特に、スタフィロコッカス・アウレウス
由来のRNasePならびに抗微生物化合物の同定のためのスクリーニングにお
けるRNasePまたはその構成成分の使用ならびに治療におけるかかる化合物
の使用に関する。 スタフィロコッカス属は医学的に重要な微生物属を形成している。それらは、
2つの型の疾患、侵入性および毒素生産性の疾患を引き起こすことが知られてい
る。侵入感染は、一般に、皮膚表面および深部組織に影響する膿瘍形成により特
徴付けられている。癌患者において、エス・アウレウスは2番目に主要な要因の
大腸菌である。骨髄炎、敗血性関節炎、敗血性静脈炎および急性細菌性心内膜炎
もまた比較的一般的である。スタフィロコッカス属の毒素生産性特性による臨床
的症状は、少なくとも3つの症状ある。かかる疾患が発症することで、その結果
の発現により、組織感染症および菌血症に対抗する用に外毒素の作用が形成され
る。かかる症状は、スタフィロコッカス属による食中毒、熱傷様皮膚症候群およ
び毒素ショック症候群を包含する。
【0003】 スタフィロコッカス・アウレウス感染の頻度は過去20年間に劇的に上昇して
いる。これは多重抗生物質耐性株の出現、および免疫系が低下した人の集団の増
加に起因している。いくつかのまたは全ての標準的な抗生物質に対して耐性を有
するスタフィロコッカス・アウレウス株を単離することはもはやめずらしいこと
ではない。この現象がこの生物に対する新しい抗菌剤、ワクチンおよび診断試験
についての必要性を形成した。
【0004】 病原性に関連したある種のスタフィロコッカスの蛋白、例えば凝固酵素、溶血
毒、白血球毒およびエキソおよびエンテロ毒素が同定されているが、さらなる標
的が常に有用である。なぜなら、抗微生物剤のスクリーニングの標的はしばしば
結果を片寄らせるからである。よって、新たな標的は新たなクラスの抗微生物剤
の発見を可能にするものである。
【0005】発明の簡単な説明 本発明は、新規リボヌクレオ蛋白複合体、特に、スタフィロコッカス・アウレ
ウス由来のかかる複合体、ならびに別個に単離されたそのRNAおよび蛋白成分
を提供する。 本発明のもう1つの態様によれば、かかる複合体の蛋白およびRNA成分をコ
ードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)が提供される。 詳細には、本発明は、本明細書に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドを
提供する。 また本発明は、例えば、RNAまたは蛋白成分の発現に対するアンチセンス阻
害剤として作用しうる、本明細書記載の配列由来の新規オリゴヌクレオチドにも
関する。オリゴヌクレオチドまたはそのフラグメントもしくは誘導体を用いて、
触媒活性を直接的に阻害でき、あるいはRNA蛋白複合体形成を妨害することに
より間接的に活性を阻害することもできる。蛋白およびRNA成分は、別個にあ
るいは複合体となって、抗微生物化合物を同定するように設計されたスクリーニ
ングにおける標的としても有用である。 表1[配列番号:2]に記載のアミノ酸配列および公知のアミノ酸配列または
他の蛋白、例えばビー・サチリス(B.sbtilis) RNase P 蛋白の配列
アミノ酸の間の相同関係により新規RNase Pポリペプチドとして同定され
ているポリペプチドを提供することが本発明の一の目的である。 本発明のさらなる目的は、RNase Pポリペプチド、特にRNase P
としてここに記載したポリペプチド、およびRNase PRNA、特に触媒R
NAに転写されたポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドをコードする
ポリヌクレオチドを提供することである。 本発明の特に好ましい具体例は、ポリヌクレオチドは、遺伝子の全長またはそ
の異型を含む表1[配列番号:1]に記載の配列を含むRNase Pポリペプ
チドをコードする部位を含むポリヌクレオチドである。 本発明のもう一つの特に好ましい具体例は、表1[配列番号:2]のアミノ酸
配列またはその異型を含むスタフィロコッカス・アウレウスからの新規RNas
e P蛋白である。 本発明のもう1つの態様によれば、寄託株中に含まれるスタフィロコッカス・
アウレウスWCUH29株により発現可能な生長したポリペプチドをコードする
単離核酸分子が提供される。
【0006】 本発明のさらなる態様によれば、RNaseP、詳細にはスタフィロコッカス
・アウレウスのRNase Pをコードしている単離核酸分子が提供され、それ
にはmRNA、cDNA、ゲノムDNAが包含される。本発明のさらなる具体例
は、生物学的、診断学的、予防的、臨床的もしくは治療的に有用なその変種、お
よびそれらを含む組成物を包含する。 本発明のもう1つの態様によれば、治療または予防を目的とした、特に遺伝学
的免疫を目的とした、本発明のポリヌクレオチドの使用が提供される。本発明の
特に好ましい具体例には、RNase Pの天然に存在する対立遺伝子変種およ
びそれによりコードされるポリペプチドがある。 本発明のもう1つの態様として、本明細書においてRNasePと称されるス
タフィロコッカス・アウレウスの新規ポリペプチド、ならびに生物学的、診断学
的、予防的、臨床的もしくは治療的に有用なそのフラグメント、変種および誘導
体、および前記したフラグメントおよびアナログの変種および誘導体、およびそ
れらを含む組成物が提供される。 本発明の特に好ましい具体例には、RNaseP遺伝子の天然に存在する対立
遺伝子によりコードされるRNasePポリペプチドの変種がある。 本発明の好ましい具体例において、上記RNasePポリペプチドの製造方法
がある。 本発明のさらに別の態様によれば、例えば、抗体を含め、抗細菌剤として有用
なかかるポリペプチドの阻害剤が提供される。 本発明の特定の好ましい具体例によれば、RNaseP発現の評価、疾病の治
療、例えば上気道疾患(例えば、中耳炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺
炎)、下気道疾患(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾患(例えば、感染性心内
膜炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿瘍)、CNS疾患
(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前
中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管疾患(例えば、副睾丸炎、腎内
および腎周囲膿瘍、トキシックショック症候群)、皮膚疾患(例えば、膿痂疹、
毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、ならびに骨および関節疾
患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のご
とき髄膜炎の治療、遺伝学的変異のアッセイ、ならびに細菌、特にスタフィロコ
ッカス・アウレウス細菌に対する免疫学的応答を生起するための生物へのRNa
sePポリペプチドまたはポリヌクレオチドの投与のための、製品、組成物およ
び方法が提供される。 本発明のこのおよび他の態様の特定の好ましい具体例によれば、特に、ストリ
ンジェントな条件下でRNasePポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーシ
ョンするポリヌクレオチドが提供される。 本発明の特定の好ましい具体例において、RNasePポリペプチドに対する
抗体が提供される。
【0007】 本発明の他の具体例において、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド
の結合、あるいは相互作用して、それらの活性を阻害または活性化する化合物の
同定方法が提供され、該方法は、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチド
との間の結合あるいは他の相互作用を可能にする条件下で、本発明のポリペプチ
ドまたはポリヌクレオチドをスクリーニングすべき化合物と接触させて、化合物
との結合あるいは他の相互作用を評価し(かかる結合または相互作用は、ポリペ
プチドまたはポリヌクレオチドと化合物との結合あるいは相互作用に応答して検
出可能なシグナルを提供することのできる第2の化合物に関連している)、次い
で、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの結合または相互作用から
生じるシグナルの存在または不存在を検出することにより、化合物がポリペプチ
ドまたはポリヌクレオチドに結合あるいは相互作用して、それらの活性を活性化
または阻害するかどうかを決定することを含む。 本発明のさらにもう1つの態様によれば、RNasePのアゴニストおよびア
ンタゴニスト、好ましくは静細菌性または殺細菌性アゴニストおよびアンタゴニ
ストが提供される。 本発明のさらなる態様において、単細胞または多細胞生物に投与するための、
RNasePポリヌクレオチドまたはRNasePポリペプチドを含む組成物が
提供される。 開示した本発明の精神および範囲内での種々の変更および修飾は、以下の記載
を読むこと、および本明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易に
明らかとなろう。
【0008】用語 以下の説明は、本明細書において汎用される特定の用語の理解を容易にす
るために示すものである。他の特定の定義は本明細書の他の場所で説明する。 「宿主細胞」は外来性ポリヌクレオチド配列により形質転換もしくはトランス
フェクションされた、または形質転換またはトランスフェクションすることので
きる細胞である。 当該分野にて周知であるように「同一性」は、配列を比較して測定されるよう
な、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間または二つまたはそれ以上のポリ
ヌクレオチド配列間の関係である。当該分野において、「同一性」とはまた、時
には、かかる配列の2つの鎖の間の合致により決定されるような2つのポリペプ
チドまたはポリヌクレオチド配列間の関連性の程度をも意味する。「同一性」は
ともに既知方法により容易に算出できる(Computational Molecular Biology,Les
k,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、ニューヨーク、1988
年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.編、アカデミッ
ク・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer Analysis of Sequence Data,ハ゜ート I,Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャージー 、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.、アカデミッ
ク・プレス、1987年;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDever
eux,J.編、Mストックトン・プレス、ニューヨーク、1991年;およびCarillo,H.,お
よびLipman,D.,SIAM J., Applied Math., 48:1073(1988)があるがこれらに限ら
ない)。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する2つの配列間で最も
良く適合するように設計される。同一性および類似性を測定する方法は、公に利
用できるコンピュータープログラムに集成されている。二つの配列間の同一性お
よび類似性を測定する好ましいコンピュータープログラム法は、GCGプログラ
ムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984)、BLASTP
、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403(1990)))を包含する
が、これらに限定されるものではない。BLAST Xフ゜ロク゛ラムはNCBIおよび他のソースから 公に利用できる(BLAST Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda
, MD 20894; Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990))。
【0009】 説明するように、配列番号:1の対照配列に対して少なくとも95%の同一性
を有する単離ポリヌクレオチド配列を包含するポリヌクレオチド配列によって、
ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は対照配列と同一であることが示される。
ただし、ポリヌクレオチド配列は配列番号:1の対照ヌクレオチド配列中の10
0個当たり5個所までの変異を含んでいてもよい。言い換えれば、対照ヌクレオ
チド配列に少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を包含するポリ
ヌクレオチドを得るために、対照配列中5%までヌクレオチドが決死津するかま
たは他のヌクレオチドで置換されてもよいか、あるいは対照配列中の全ヌクレオ
チドの5%までのヌクレオチドが対照配列中に挿入されても良い。対照配列のか
かる変異は対照ヌクレオチド配列の5または3末端で起こっても、独立して対照
配列中または対照配列中の1個または1個以上の隣接する群中のヌクレオチドの
間で広がっているかかる末端間のいずれで起こってもよい。類似して、、配列番
号:2の対照配列に対して少なくとも95%の同一性を有する単離ポリペプチド
配列を包含するポリペプチド配列によって、ポリペプチドのヌクレオチド配列は
対照配列と同一であることが示される。ただし、ポリペプチド配列は配列番号:
2の対照ヌクレオチド配列中の100個当たり5個所までの変異を含んでいても
よい。言い換えれば、対照ヌクレオチド配列に少なくとも95%の同一性を有す
るヌクレオチド配列を包含するポリペプチドを得るために、対照配列中5%まで
ヌクレオチドが決死津するかまたは他のヌクレオチドで置換されてもよいか、あ
るいは対照配列中の全ヌクレオチドの5%までのヌクレオチドが対照配列中に挿
入されても良い。対照配列のかかる変異は対照ヌクレオチド配列の5または3末
端で起こっても、独立して対照配列中または対照配列中の1個または1個以上の
隣接する群中のヌクレオチドの間で広がっているかかる末端間のいずれで起こっ
てもよい。 「単離された」とは、「ヒトの手により」、その天然の状態から変えられるこ
と、すなわち、天然物の場合、その本来的な環境から変化または除去あるいは両
方されたことを意味する。例えば、生体に天然に存在するポリヌクレオチドまた
はポリペプチドは「単離された」ものではないが、その天然状態で共存する物質
から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書で用いる
用語としての「単離された」ものである。
【0010】 「ポリペプチド(複数でも可)」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合で
互いに結合した2つまたはそれ以上のアミノ酸を含むいずれのペプチドまたは蛋
白をもいう。「ポリペプチド(複数でも可)」は、通常、ペプチド、オリゴペプ
チドまたはオリゴマーと称される短い鎖、および一般に蛋白と称される長い鎖の
両方をいう。ポリペプチドは、遺伝子によりコードされている20個のアミノ酸
以外のアミノ酸を含有してもよい。「ポリペプチド(複数でも可)」は、プロセ
ッシングおよび他の翻訳後の修飾のごとき自然の工程、または化学修飾技法のい
ずれかによって修飾されたものを有する。かかる修飾は、基本テキストにて、お
よびより詳細な研究論文にて、ならびに膨大な研究文献にて詳しく記載されてお
り、それらは当業者に周知である。同じ型の修飾が、所定のポリペプチド中、い
くつかの部位で、同じまたは異なる程度にて存在してもよいことは明らかであろ
う。また、所定のペプチドは多くの型の修飾を有していてもよい。修飾は、ペプ
チド骨格、アミノ酸側鎖、アミノまたはカルボキシル末端を含め、ポリペプチド
のどこででも起こりうる。修飾は、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リ
ボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド
またはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホス
ホチジルイノシトールの共有結合、交差結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱
メチル化、共有交差結合の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホ
ルミル化、ガンマーカルボキシル化、糖鎖形成、GPIアンカー形成、ヒドロキ
シル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白分解的プロセッシン
グ、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、糖鎖形成、脂質付加、硫酸化、グルタミ
ン酸残基のガンマーカルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP−リボシル化
、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のごとき転移RNAにより媒介される蛋
白へのアミノ酸付加、およびユビキチネーションを包含する。例えば、蛋白−ST
RUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 第2版,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Co
mpany,New York(1993)およびWold,F.,POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATIO
N OF PROTEIN,Posttranslational protein Modifications:Perspectives and Pr
ospects,pgs. 1-12,B.C.Johnson編,Academic Press,New York(1983);Seifterら,
Meth Enzymol.(1990)182:626-646、およびRattanら, proteinynthesis:Posttrans
lational Modifications and Aging,Ann N.Y. Acad Sci(1992)663:48-62を参照
のこと。ポリペプチドは、分枝してもよく、分枝を伴ったまたは伴わない環状で
あってもよい。環状、分枝および分枝環状ポリペプチドは、翻訳後の天然のプロ
セッシングの結果であり、同様に全く合成的な方法で合成できる。
【0011】 本明細書で用いる「変種」なる用語は、対照ポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドとは各々異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドであるが、本質的な特
性は保持している。典型的なポリヌクレオチドの変種は、別の対照ポリヌクレオ
チドとはヌクレオチド配列が異なる。変種のヌクレオチド配列の変化は、対照ポ
リヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させるも
のであってもよく、変化させないものであってもよい。以下に論じるように、ヌ
クレオチドの変化は結果的に、対照配列によりコードされるポリペプチドにおけ
るアミノ酸置換、付加、欠失、融合および末端切断を招く。典型的なポリペプチ
ドの変種は、別の対照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的には、差
異は、対照ポリペプチドおよび変種の配列が、全体的に非常に類似しており、多
くの領域で同一なものに限られる。変種および対照ポリペプチドは、1またはそ
れ以上の置換、付加、欠失が任意の組み合わせで起こることにより、アミノ酸配
列が変化し得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝学的コードにより
コードされたものであってもなくてもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ドの変種は、例えば対立遺伝子変種のような自然発生的なものでもよく、または
自然発生することが知られていない変種でもよい。ポリヌクレオチドおよびポリ
ペプチドの非自然発生変種は、突然変異技術または直接的合成、および当業者に
知られた他の組み換え法により製造できる。
【0012】発明の詳細な説明 リボヌクレオ蛋白であるRNase Pは生合成におけるRNA(tRNA)
の転移に重要な役割を示しており、それ自体蛋白生合成の重要中間体である。R
Nase Pはエンドリボ核酸分解作用により前駆体tRNAを成熟tRNAに
プロセッシングする機能を果たしている。研究された原核細胞における複合体は
2個のサブユニットから構成されている。それらは触媒RNAおよび蛋白コファ
クターである。ある種のRNase P分子に関する最近のレビューが存在する
。例えば、L. A. Kirsebom, Molecular Microbiology 17(3), 411-420 (1995)ま
たはN. R. Pace and J. W. Brown, J. Bacteriol. 177(8), 1919-1928 (1995)参
照。 本発明は、後でより詳細に説明する新規RNase Pポリペプチドおよびポ
リヌクレオチドに関する。詳細には、本発明は、図2および5並びに配列番号:
2に示すRNase Pポリペプチドに対するアミノ酸配列相同性により関連づ
けられるスタフィロコッカス・アウレウススタフィロコッカス・アウレウスの新
規RNase Pポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。特に本発明は
、それぞれ表1、配列番号:1および配列番号:2に示すヌクレオチドおよびア
ミノ酸配列を有するRNase Pならびに寄託株のDNAのRNase Pヌ
クレオチド配列およびそれらによってコードされたアミノ酸配列に関する。また
本発明は、RNase PのRNA成分、特にこの触媒形態ならびにかかる成分
が転写される配列に関する。
【0013】RNase PのRNA成分 系統発生論的比較により、二次構造モデリングおよび最小コンセンサス構造の
同定が容易に可能となる(図1)。RNase PのRNA構造に関するデータ
が利用可能であり、w.w.w.(http://jwbrown.mbio.ncsu.edu/RNaseP/home.html)上
のRNase Pテ゛ータヘ゛ースが利用可能である。RNA成分が転写される本発明のホ゜リヌクレオチト゛ を図3[配列番号:14]に示す。 一般的には、少数のヌクレオチドは保存されているが、水素結合領域中の補正
的塩基変化は、ユーバクテリアにおいて全体構造が保存されていることを示す。
一次配列の普遍的保存(E. coli: 61-74, 353-360)は他の保存的または半保存的
ヌクレオチドとともに機能上の重要性を示すものであるが、それらの意義は不明
である。現在に至るまで、すべてのRNase PのRNA分子は折り畳まれて
コンセンサス「カゴ様」構造に適合できるものであり、このドメインを越えたと
ころでは原核細胞および真核細胞のRNase PのRNAの間には説得力のあ
る構造類似性はない。
【0014】RNase P蛋白成分 蛋白の正確な機能上の役割は依然不明である。インビトロにおいては、蛋白成
分が触媒活性に必要とされないような実験条件を確立することもできるが、イン
ビボにおいて蛋白成分は必要であるように思われる。エス・アウレウス由来の新
規なRNase P成分は、エス・アウレウス(Sau)配列が他の微生物由来
の配列と一緒に配置した図2[配列番号:2]中に示されるアミノ酸配列により
同定され、特徴付けられている。 例えば、図5[配列番号:1および2]に示される配列から作成したプローブ
を用いて、Maniatis ら(後掲)に記載のインサイテューコロニーハイブリダイゼ
ーションによりスタフィロコッカス・アウレウスゲノムライブラリーを探索する
ことにより、無傷のRNase P蛋白成分をコードする全長配列を得てもよい
【0015】 表1 RNase Pポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列 (A)スタフィロコッカス・アウレウスのRNase Pポリヌクレオチド配列
由来の配列[配列番号:1] 5’-ATG TTA TTG GAA AAA GCT TAC CGA ATT AAA AAG AAT GCA GAT TTT CAG AGA
ATA TAT AAA AAA GGT CAT TCT GTA GCC AAC AGA CAA TTT GTT GTA TAC ACT TGT
AAT AAT AAA GAA ATA GAC CAT TTT CGC TTA GGT ATT AGT GTT TCT AAA AAA CTA
GGT AAT GCA GTG TTA AGA AAC AAG ATT AAA AGA GCA ATA CGT GAA AAT TTC AAA
GTA CAT AAG TCG CAT ATA TTG GCC AAA GAT ATT ATT GTA ATA GCA AGA CAG CCA
GCT AAA GAT ATG ACG ACT TTA CAA ATA CAG AAT AGT CTT GAG CAC GTA CTT AAA
ATT GCC AAA GTT TTT AAT AAA AAG ATT AAG TAA-3’
【0016】 (B)この表のポリヌクレオチド配列から推定されるスタフィロコッカス・RN
ase Pポリペプチド配列[配列番号:2] NH2- MLLEK VYRIK KNADF GRIYK KGHSV ANRQF VVYTC NNKEI DHFRL GISVS KKLGN A
VLRN KIKRA IRENF KVHKS HILAK DIIVI ARQPA KDMTT LQIQN SLEHV LKIAK VFNKK I
K-COOH
【0017】 (C)ポリヌクレオチド配列の具体例[配列番号:1] X-(R1)n-ATG TTA TTG GAA AAA GCT TAC CGA ATT AAA AAG AAT GCA GAT TTT CAG
AGA ATA TAT AAA AAA GGT CAT TCT GTA GCC AAC AGA CAA TTT GTT GTA TAC ACT
TGT AAT AAT AAA GAA ATA GAC CAT TTT CGC TTA GGT ATT AGT GTT TCT AAA AAA
CTA GGT AAT GCA GTG TTA AGA AAC AAG ATT AAA AGA GCA ATA CGT GAA AAT TTC
AAA GTA CAT AAG TCG CAT ATA TTG GCC AAA GAT ATT ATT GTA ATA GCA AGA CAG
CCA GCT AAA GAT ATG ACG ACT TTA CAA ATA CAG AAT AGT CTT GAG CAC GTA CTT
AAA ATT GCC AAA GTT TTT AAT AAA AAG ATT AAG TAA-(R2)n-Y (D) ポリヌクレオチド配列の具体例 [配列番号:2]. X-(R1)n-MLLEK VYRIK KNADF GRIYK KGHSV ANRQF VVYTC NNKEI DHFRL GISVS KKLG
N AVLRN KIKRA IRENF KVHKS HILAK DIIVI ARQPA KDMTT LQIQN SLEHV LKIAK VFNK
K IK-(R2)n-Y (E) スタフィロコッカス・アウレウスRNaseP RNA遺伝
子[配列番号:3]. 5'-GTTCTGATATTTTGGGTAATCGCTATATTATATAGAGGAAAGTCCATGCTCACACAGTCTGAGATGATT
GTAGTGTTCGTGCTTGATGAAACAATAAATCAAGGCATTAATTTGACGGCAATGAAATATCCTAAGTCT TTCGATATGGATAGAGTAATTTGAAAGTGCCACAGTGACGTAGCTTTTATAGAAATATAAAAGGTGGAA CGCGGTAAACCCCTCGAGTGAGCAATCCAAATTTGGTAGGAGCACTTGTTTAACGGAATTCAACGTAT AAACGAGACACACTTCGCGAAATGAAGTGGTGTACGACAGATGGTTATCACCTGAGTACCAGTGTGA CTAGTGCACGTGATGAGTACGATGGAACAGAACATGGCTTATAGAAATATCACTACTA G-3' (F) ポリヌクレオチド配列の具体例[配列番号:3]. X-(R1)n-GTTCTGATATTTTGGGTAATCGCTATATTATATAGAGGAAAGTCCATGCTCACACAGTCTGAGA
TGATT GTAGTGTTCGTGCTTGATGAAACAATAAATCAAGGCATTAATTTGACGGCAATGAAATATCCTAAGTCT TTCGATATGGATAGAGTAATTTGAAAGTGCCACAGTGACGTAGCTTTTATAGAAATATAAAAGGTGGAA CGCGGTAAACCCCTCGAGTGAGCAATCCAAATTTGGTAGGAGCACTTGTTTAACGGAATTCAACGTAT AAACGAGACACACTTCGCGAAATGAAGTGGTGTACGACAGATGGTTATCACCTGAGTACCAGTGTGA CTAGTGCACGTGATGAGTACGATGGAACAGAACATGGCTTATAGAAATATCACTACTA G-(R2)n-Y
【0018】本発明のポリペプチド 本発明のポリペプチドは、表1[配列番号:2]に示すポリペプチド(特に成
熟ポリペプチド)ならびにポリペプチドおよびフラグメント、特にRNase
Pの生物学的活性を有するものを包含し、さらに表1[配列番号:2]のポリペ
プチドまたはその重要部分に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプ
チドおよびフラグメント、より好ましくは表1[配列番号:2]のポリペプチド
に対して少なくとも80%の同一性を有し、さらにより好ましくは表1[配列番
号:2]のポリペプチドに対して少なくとも90%の類似性を有し(さらにより
好ましくは少なくとも90%の同一性を有し)、さらに好ましくは表1[配列番
号:2]のポリペプチドに対して少なくとも95%の類似性を有する(さらによ
り好ましくは少なくとも95%の同一性を有する)ポリペプチドおよびフラグメ
ント、さらに通常には少なくとも30個、より好ましくは少なくとも50個のア
ミノ酸を含むかかるポリペプチドの部分を包含する。
【0019】 本発明はまた、表1(D)[配列番号:2](式中、アミノ末端においてXは
水素であり、カルボキシル末端においてYが水素または金属、RおよびR
アミノ酸残基であり、nは1および1000の間整数である)に示す式のポリペ
プチドを包含する。どちらのR基(ここでRは1以上である)によっても示され
るアミノ酸残基の鎖は、ヘテロポリマーであってもホモポリマーであってもよく
、好ましくはヘテロポリマーである。 フラグメントは、前述のポリペプチドのアミノ酸配列のすべてではなく一部に
対して全く同一であるアミノ酸配列を有する変種ポリペプチドである。RNas
ePポリペプチドについては、フラグメントは「独立して存在(free st
anding)」しているか、または一部分もしくは領域を形成することにより
、大型のポリペプチド内に含まれていてもよく、最も好ましくは単一の連続した
領域、すなわち大型の単一ポリペプチドとして含まれる。
【0020】 好ましいフラグメントは、例えば、表1[配列番号:2]またはそれらの変種
のアミノ酸配列、の一部を有する末端切断ポリペプチドを包含し、例えば、アミ
ノ末端を含む一連の残基、またはカルボキシル末端を含む一連の残基も含まれる
。宿主細胞、特にスタフィロコッカス・アウレウススタフィロコッカスアウレウ
ス中の本発明のポリペプチドの分解形態も好ましい。また、構造的または機能的
属性により特徴づけられたフラグメント、例えばアルファーヘリックスおよびア
ルファーヘリックス形成領域、ベータシートおよびベータシート形成領域、ター
ンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領
域、アルファー両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、表面形成領域、
基質結合領域、および高抗原性指標領域を含むフラグメントなども好ましい。 RNasePの活性を媒介し、あるいは活性を改善し、望ましくない活性を減
じられたフラグメントである生物学的に活性のあるフラグメントも好ましい。動
物、とりわけヒトにおいて抗原的または免疫原的なフラグメントもまた含まれる
。個体、特にヒトにおけるスタフィロコッカス・アウレウスの生存に必須の機能
、あるいは疾病開の開始または維持する能力を付与する酵素の受容体またはドメ
インを含むフラグメントが特に好ましい。 本発明のポリペプチドのフラグメントである変種を、ペプチド合成による対応
全長ポリペプチドの製造に使用してもよく、それゆえ、これらの変種を全長のポ
リペプチド製造のための中間体として用いてもよい。本発明のポリヌクレオチド
のフラグメントである変種を用いて本発明の全長のポリヌクレオチドを合成して
もよい。
【0021】本発明のポリヌクレオチド 本発明の別の態様は単離ポリヌクレオチドに関するものであり、それには表1
[配列番号:2]の推定アミノ酸配列を有するRNasePポリペプチドをコー
ドする全長遺伝子、ならびにそれらに密接に関連したポリヌクレオチドおよびそ
れらの変種が包含される。 本明細書に提供される情報を用いて、例えば配列番号:1、3、4および14
に示すポリヌクレオチド配列を用い、出発物質スタフィロコッカス・アウレウス
WCUH29細胞からの染色体DNAフラグメントをクローニングおよび配列決
定するために用いるような標準的なクローニングおよびスクリーニングを用いて
、RNasePポリペプチドまたはRNA(配列番号:3から転写されるものの
ごとき)をコードしている本発明のポリヌクレオチドを得て、次いで、全長のク
ローンを得てもよい。例えば、本発明のポリヌクレオチド配列、例えば配列番号
:1、3、4および14に示す配列またはRNaseP構造蛋白遺伝子を得るた
めに、イー・コリ(E.coli)またはいくつかの他の適切な宿主におけるス
タフィロコッカス・アウレウス WCUH29の染色体DNAのクローンの典型
的なライブラリーを、部分的配列に由来する配列に由来する、好ましくは17量
体またはそれ以上の長さの放射性標識化オリゴヌクレオチドにてプローブする。
プローブのDNAに同一であるDNAを担持するクローンはストリンジェントな
条件を用いて区別できる。元の配列から設計した配列決定プライマーを用いてこ
のように同定した個々のクローンを配列決定することにより、両方向で配列が伸
長できるようになり、全遺伝子配列を決定できる。このような配列決定は便宜的
にプラスミドクローンから調製した変性二本鎖DNAを用いて実施する。適切な
技法については、Maniatis,T.、Fitsch,F.F.およびSambrookら、Molecular Clonin
g,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ
ー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載さ
れている(Screening By Hybridization 1.90およびSequencing Denatured Doubl
e-Stranded DNA Templates 13.70参照)。本発明の典型例において、表2[配列
番号:1、4および5]に示すポリヌクレオチドが、スタフィロコッカス・アウ
レウス WCUH29由来のDNAライブラリー中に見いだされた。
【0022】 表1[配列番号:1]に示す特定のDNA配列は、当該分野において周知であ
るアミノ酸残基分子量を用いて算出できる推定分子量を有する、おおよその表1
[配列番号:2]に示すアミノ酸残基の数を有する蛋白をコードする読み取り枠
を含有する。配列番号:1のヌクレオチド番号1から351番の間にあるポリヌ
クレオチドが配列番号:2のポリペプチドをコードする。終止コドンは配列番号
:1のヌクレオチド番号352から始まる。 本発明のRNasePは、寄託株のRNasePをコードするDNAを配列決
定した結果により明らかなように、構造的にRNasePファミリーの他の蛋白
に関係する。蛋白は、公知の蛋白中ビー・サチリス蛋白と最大の相同性を示す。
表1[配列番号:2]のRNasePは、その全長にわたりビー・サチリスRN
asePポリペプチドのアミノ酸配列と有意な同一性および類似性を有している
【0023】 本発明は、全長にわたって、表1[配列番号:1]にコーディング配列と同一
のポリヌクレオチド配列を提供する。さらに、本発明により提供するされるもの
は、成熟ポリペプチドのコーディング配列またはそれらのフラグメント、ならび
にその他のコーディング配列を有する読み枠中の成熟ポリペプチドのコーディン
グ配列またはそのフラグメント、例えばリーダーまたは分泌配列、プレ、プロ、
プレプロ蛋白配列をコードする配列を提供する。ポリヌクレオチドは、例えば、
転写された非翻訳配列、終止シグナル、リボソーム結合部位、mRNAを安定化
する配列、イントロン、ポリアデニル化シグナル等の転写非翻訳配列、および付
加アミノ酸をコードする付加コーディング配列等の非コーディング5’および3
’配列等の非コーディング配列をも含有しうるが、これらに限定するのではない
。例えば、融合ポリペプチドの精製を促すマーカー配列をコードすることもでき
る。本発明のある好ましい態様において、マーカー配列は、pQEベクター(Q
iagen, Inc.)中に提供されるようなヘキサ−ヒスチジンペプチド(G
entzら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86:821-824(1989)に記載される)または
HAタグ(Wilsonら、Cell,37:767(1984))である。本発明のポリヌクレオチドは
また、構造遺伝子および遺伝子発現を調節する天然の配列をも含むが、これらに
限定するものではない。 好ましい本発明の具体例は、RNasePポリペプチドをコードする表1の配
列番号:1に示すヌクレオチド1ないし351または354を有するポリヌクレ
オチドである。
【0024】 また本発明は、表1(C)[配列番号:1]および(F)[配列番号:3]に
示す式のポリヌクレオチドを包含し、式中の5’末端においてXは水素であり、
3’末端においてYは水素または金属であり、R1およびR2は核酸残基、nは
1ないし3000の整数である。いずれかのR基(Rは1個よりも多い)により
示される核酸残基の伸長部分はヘテロポリマーであってもホモポリマーであって
もよく、好ましくはヘテロポリマーである。表1(F)[配列番号:3]に示す
配列の好ましい具体例は、RまたはRが1ないし10個または1ないし20
個、特別には1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のヌクレオチド
である。また本発明は、かかるポリヌクレオチドから転写されるRNA、特に触
媒RNAを提供する。
【0025】 上記した本明細書の用語「ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド」
は、本発明のポリペプチド配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含
し、詳細には、細菌のポリペプチド、より詳細には表1[配列番号:2]に示す
アミノ酸配列を有するスタフィロコッカス・アウレウスのRNase Pのポリ
ペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含する。該用語は、コー
ディング配列および/または非コーディング配列を含んでいてもよいさらなる領
域を伴った、ポリペプチドをコードしている単一の連続領域または不連続領域(
例えば、組み込まれたファージまたは配列の挿入または配列の編集により分断さ
れたもの)を含むポリヌクレオチドを包含する。 さらに本発明は、表1[配列番号:2]の推定アミノ酸配列を有するポリペプ
チドの変種をコードする本明細書記載のポリヌクレオチドの変種にも関する。本
発明のポリヌクレオチドのフラグメントである変種を用いて本発明の全長ポリヌ
クレオチドを合成してもよい。 核酸塩基の標準A、G、C、T/U表記に加えて、「N」なる文字も用いる。
「N」は、4つのDNAまたはRNA塩基のいずれかが、DNAまたはRNA配
列の指定位置にあることを意味する。ただし、好ましい具体例において、隣接し
たヌクレオチド位置と一緒になって作用する場合、正確な読み取り枠を読み取っ
た場合で、Nがかかる読み取り枠中で未成熟終止コドンを生成する効果を有する
塩基とすることができない。
【0026】 さらに特に好ましい具体例は、表1[配列番号:2]のRNase Pポリペ
プチドのアミノ酸配列を有するRNase P変種をコードするポリヌクレオチ
ドであり、その中には、いくつか、少しの、5ないし10、1ないし5、1ない
し3、2、1または0個のアミノ酸残基を置換、欠失または付加を任意の組み合
わせで施したアミノ酸配列を有する。中でもとりわけ好ましいものは、RNas
e Pの特性および活性を変化させないサイレント置換、付加および欠失である
【0027】 本発明のさらに好ましい具体例は、表1[配列番号:2]に示すアミノ酸を有
するRNase Pポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して、
その全長にわたり少なくとも50%、60%または70%の同一性があるポリヌ
クレオチド、およびかかるポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチド
である。あるいはまた、寄託株のRNase Pポリペプチドをコードしている
ポリヌクレオチドに対してその全長にわたり少なくとも80%同一である領域を
含むポリヌクレオチド、およびそれに対して相補的なポリヌクレオチドが最も非
常に好ましい。この点に関して、全長で少なくとも90%同一であるポリヌクレ
オチドがとりわけ好ましく、中でも少なくとも95%の同一性を有するものが特
に好ましく、さらに少なくとも95%の同一性を有するものの中でも少なくとも
97%であるのがより好ましく、中でも少なくとも98%および少なくとも99
%の同一性であるのが特に好ましく、さらに少なくとも99%の同一性であるの
がより好ましい。 本発明の好ましい具体例は、配列番号:3、4または14に示すヌクレオチド
配列を有するRNasePポリヌクレオチドおよびかかるポリヌクレオチドに対
して相補的なポリヌクレオチドに対して全長にわたり少なくとも50%、60%
または70%の同一性を有するポリヌクレオチドである。あるいはまた、寄託株
のRNasePポリヌクレオチドおよびそれに対して相補的なポリヌクレオチド
に対して全長にわたり少なくとも80%の同一性を有する領域を含むポリヌクレ
オチドが最も好ましい。この点において、これらの特に好ましいポリヌクレオチ
ドのうち、上記ポリヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有するポ
リヌクレオチドが好ましく、少なくとも95%の同一性を有するものが特に好ま
しい。さらにそのうえ、少なくとも95%の同一性を有するもののうち少なくと
も97%の同一性を有するものが非常に好ましく、さらに少なくとも98%の同
一性、そのうえさらに少なくとも99%の同一性を有するものが特に非常に好ま
しい。これらのポリヌクレオチドがRNA、とりわけ、触媒RNAであるのが特
に好ましい。
【0028】 好ましい具体例は、表1[配列番号:1]のDNAによりコードされる成熟ポ
リペプチドあるいは配列番号:3、4または14のDNAにより転写されるRN
asePのRNA成分と実質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0029】 本発明はさらに本明細書上述の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに
関する。この点に関して、本発明は特にストリンジェントな条件で本明細書上述
のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書
で用いる「ストリンジェントな条件」および「ストリンジェントなハイブリダイ
ゼーション条件」なる用語は、配列間の同一性が少なくとも95%、好ましくは
少なくとも97%である場合のみに起こるハイブリダイゼーションを意味する。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、50%ホルムア
ミド、5xSSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)
、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハーツ溶液、10%硫酸
デキストラン、および20μg/mlの変性し、剪断されたサケ精子DNAを含
有する溶液中、42℃で一晩インキュベーションし、続いて約65℃で0.1x
SSC中でフィルターを洗浄するものである。ハイブリダイゼーションおよび洗
浄条件は周知であり、Sambrookら、Molecular Clonin
g,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング
・ハーバー、ニューヨーク(1989)、とりわけその第11章に実例が示され
ている。
【0030】 本発明はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件で、配列番号
:1、配列番号:3、配列番号:4または配列番号14に示すポリヌクレオチド
配列に関する完全遺伝子を含む適当なライブラリーを、各々、配列番号:1、配
列番号:3、配列番号:4または配列番号14に示す上記ポリヌクレオチド配列
またはそのフラグメントの配列を有するプローブでスクリーニングし、DNA配
列を単離することにより得ることのできるポリヌクレオチド配列を本質的に含む
ポリヌクレオチドをも提供する。かかるポリヌクレオチドを得るために有用なフ
ラグメントには、例えば本明細書の別の箇所において説明するプローブおよびプ
ライマー等がある。
【0031】 本発明のポリヌクレオチドアッセイに関してここでさらに論じるが、例えば上
述の本発明のポリヌクレオチドを、RNase PをコードするcDNA全長お
よびゲノムクローンを単離するための、およびRNase P遺伝子に高度な配
列類似性を有するその他の遺伝子の全長cDNAおよびゲノムクローンを単離す
るための、RNA、cDNAおよびゲノムDNA用のハイブリダイゼーションプ
ローブとして使用することができる。このようなプローブは通常少なくとも15
塩基を含む。好ましくはこのようなプローブは少なくとも30塩基を有し、少な
くとも50塩基を有していてもよい。とりわけ好ましいプローブは少なくとも3
0塩基を有し、50塩基またはそれ以下である。 配列番号:1および/または2および/または3および/または4および/ま
たは14の配列由来のオリゴヌクレオチドである本発明のポリヌクレオチドを本
明細書記載の方法に使用してもよいが、好ましくはPCRに使用して、本明細書
で同定したポリヌクレオチドの全体または一部が感染した組織に転写されるかど
うかを決定する。かかる配列が、病原体が達成した感染段階および感染型の診断
にも有用であることが理解される。
【0032】 また本発明は、さらなるアミノもしくはカルボキシル末端アミノ酸、または成
熟ポリペプチドに内在するアミノ酸を加えた成熟蛋白であるポリペプチドをコー
ドできるポリヌクレオチドも提供する(例えば成熟形態が一つ以上のポリペプチ
ド鎖を有する場合)。このような配列は、前駆体から成熟形態への蛋白のプロセ
ッシングに役割を担い、蛋白の輸送を可能にし、蛋白の半減期を延長もしくは短
縮し、またはとりわけアッセイもしくは製造のための蛋白の操作を容易にするこ
とができる。一般的にインビボの場合、付加アミノ酸は、細胞性酵素によりプロ
セッシングされ、成熟蛋白から取り除かれる。 1またはそれ以上のプロ配列と融合した成熟形態のポリペプチドを有する前駆
蛋白は、ポリペプチドの不活性形態でありうる。プロ配列が除去されると、通常
にはこのような不活性前駆体が活性化される。プロ配列のいくつかまたはすべて
を活性化の前に除去できる。通常、このような前駆体はプロ蛋白と称される。 要するに、本発明のポリヌクレオチドは成熟蛋白、リーダー配列を加えた成熟
蛋白(プレ蛋白と称することができる)、プレ蛋白のリーダー配列ではない1ま
たはそれ以上のプロ配列を有する成熟蛋白の前駆体、またはリーダー配列および
1またはそれ以上のプロ配列を有するプロ蛋白の前駆体であるプレプロ蛋白をコ
ードしていてもよく、プロ配列は通常ポリペプチドの活性および成熟形態を生成
するプロセッシング段階で除去される。
【0033】スタフィロコッカス・アウレウスのRNase PのRNA構造遺伝子のクロー ニング ビー・サチリスRNasePRNAに対する部分的相同性を、無作為に配列さ
れたイー・コリ宿主中のエスアウレウスDNAライブラリーからの配列を含む一
の管理下にあるエス・アウレウスデータベース中にて同定した。この相同性(A
33202:ビー・スブチリスRNAヌクレオチド311−460)は図3[配
列番号:14]に示される。 これらのデータに基づくPCRプライマーを遺伝子の3’末端に設計し(プラ
イマー: 5’−CGC GAA GTG TGT CTC GTT TAT
ACG−3’)[配列番号:5]、5’ドメイン内の普遍的保存配列(5’−G
AG GAA AGT CCA TGC TC−3’)[配列番号:6](RN
ase Pデータベースw.w.w.から入手可能)に基づく別のプライマーは、遺伝
子の約90%を復元することができる。完全な構造遺伝子を、RNA産物により
予測されるヘリックスP1およびP2(図1)が形成される縮重プライマー(5
’−GATATTTCTAAC−3’) [配列番
号:13]を用いて増幅させた。構造遺伝子を、T7プロモーターの後方にクロ
ーンし、配列決定し、ビー・スブチリス相同体と高度に関係付けられていること
がわかった(図2)。ヘリックスP1およびP2をコードした(転写した)厳密
なエス・アウレウスゲノム配列は、本発明の方法および化合物、例えば上記した
縮重プライマー[配列番号:13]を用いて当業者であれば決定できる。正確な
5’末端は、エス・アウレウスWCUH29から単離した内因性エス・アウレウ
スRNAを用いてプライマー伸長分析により決定されている。プライマー伸長分
析により決定されたRNasePRNA5’の始めの20個のヌクレオチドの配
列は: 5’−GUUCUGAUAUUUUGGGUAAU−3’ [配列番号:15]
である。 予測される二次構造を図4に示し、これは推定ビー・スブチリスRNAse
P RNの二次構造、および実験用RNA構造プロービング分析に利用可能なデ
ータの基づいている。さらなる説明および定義 RNaseP RNA遺伝子のコーディング領域は、例えば、ナショナル・コ
レクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッ
ド(本明細書中、「NCIMB」という)、23ストリート、マッカードライブ
、アベルディーンAB2 1RY、スコットランドに1995年9月11日に寄
託し、NCIMB受託番号40771が付与されたスタフィロコッカス・アウレ
ウスWCUH29株を含む寄託菌を用いてスクリーニングすることにより、単離
してもよい。寄託したことにより、寄託株をスタフィロコッカス・アウレウスW
CUH29株という。本明細書においてエス・ニューモニアエ株寄託物を「寄託
株」または「寄託株のDNA」という。 寄託株は全長のRNaseP遺伝子を含んでいる。寄託株中に含まれるポリヌ
クレオチド配列ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は
、本明細書の配列に関するいずれの記載といずれの不一致においても支配的であ
る。 寄託株の寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条
約の条件下でなされている。特許が発行されると何らの制限または条件もなく、
最終的に株は分譲される。寄託は当業者の便宜のためにのみ提供され、35U.
S.C.112条のもとに要求されるような、寄託が実施可能要件であることを
承認するものではない。 寄託株、それに由来の化合物を製造、使用または販売するためにはライセンス
が必要であるが、そのようなライセンスはここでは付与さるものではない。
【0034】 当該分野で知られた合成化学的方法により本明細書記載のヌクレオチド配列を
得ることができ、また本明細書開示の個々の配列から構築されたプローブを用い
てDNA調製物をプローブすることによりスタフィロコッカス・アウレウスWC
UH29から得ることもできる。別法として、開示配列由来のオリゴヌクレオチ
ドを、細菌ゲノム源からの配列をPCRによるクローニングプロセスにおいてP
CRプライマーとして作用させることもできる。かかる配列もまた、病原体が達
成した感染のタイプの診断において有用であることが認識される。 本発明のポリヌクレオチドはRNAの形態またはDNAの形態であってよく、
該DNAはcDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを包含する。DNAは2本
鎖または1本鎖であってよく、1本鎖の場合、コーディング鎖または非コーディ
ング(アンチセンス)鎖であってよい。ポリペプチドをコードするコーディング
配列は、示されたコーディング配列と同一であってもよく、あるいは同じポリペ
プチドをコードするが遺伝コードの重複または縮重の結果、異なるコーディング
配列となったものでもよい。 よって、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチ
ドのコーディング配列のみを含むポリヌクレオチドならびにさらなるコーディン
グ配列および/または非コーディング配列を含むポリヌクレオチドを包含する。 それゆえ、本発明は、ポリヌクレオチド中の成熟ポリペプチドのコーディング
配列が、同じ読み枠において、宿主細胞からのポリペプチドの発現および分泌を
助けるポリヌクレオチド配列、例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御す
る分泌配列として機能するリーダー配列に融合していてもよいポリヌクレオチド
を包含する。リーダー配列を有するポリペプチドはプレ蛋白であり、宿主により
開裂されて成熟形態のポリペプチドを生じるリーダー配列を有していてもよい。
ポリヌクレオチドは、成熟蛋白にさらなる5’アミノ酸残基が付加したプロ蛋白
をコードしていてもよい。プロ配列を有する成熟蛋白はプロ蛋白であり、蛋白の
不活性形態である。プロ配列が開裂されると、活性成熟蛋白が残る。 よって、例えば、本発明のポリヌクレオチドは成熟蛋白をコードしていてもよ
く、あるいはプロ配列を有する蛋白をコードし、またはプロ配列およびプレ配列
(リーダー配列)の両方を有する蛋白をコードしていてもよい。さらに、本明細
書に示すアミノ酸配列はNH−末端にメチオニン残基が示されている。しかし
ながら、ペプチドの翻訳後修飾の間に、この残基が欠失されてもよい。したがっ
て、本発明は、本明細書に開示した各蛋白のメチオニン含有およびメチオニン欠
失アミノ末端変種の両方の使用を企図する。
【0035】 本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子の5’または3’末端においてイン・フ
レームでマーカー配列に融合したコーディング配列を有していて、本発明のポリ
ペプチドの精製を可能にするものであってもよい。マーカー配列は、細菌宿主の
場合にマーカー配列に融合したポリペプチドの精製を可能にするためのpQEシ
リーズのベクター(Quiagen Inc.から市販されている)により提供
されるヘキサ−ヒスチジンタグであってもよい。別法として、マルトース結合蛋
白(MBP)融合系を用いてもよい。この系において、目的遺伝子はMBPをコ
ードするmalE遺伝子(New England BioLabsにより提供
される)に融合される。マルトースに対するMBPのアフィニティーにより1工
程で融合生成物を精製する。予め処理されたXa開裂部位は、目的の遺伝子産物
からのMBP成分の効果的な除去を可能にする。 下記する実施例を容易に理解するために、特定の頻繁に用いる方法および/ま
たは用語を説明する。 「プラスミド」は、一般に、当業者に馴染みの標準的命名法に従って、小文字
pを前に、および/または大文字および/または数字が続くようにデザインされ
ている。本明細書に記載の出発プラスミドは、市販されているか、汎用されてい
るか、または周知の公知操作を汎用することにより利用可能なプラスミドより構
築することができる。さらに、記載したものと等価なプラスミドが周知であり、
当業者に明らかであろう。
【0036】 DNAの「消化」は、DNAの特定配列にのみ作用する制限酵素でのDNAの
触媒的開裂をいう。本発明に使用する種々の制限酵素は市販されており、それら
の反応条件、コファクターおよび他の必須因子は当業者に知られているであろう
。分析を目的とする場合、典型的には、1μgのプラスミドまたはDNAフラグ
メントを約2ユニットの酵素とともに約20μlのバッファー溶液中に使用する
。プラスミド構築のためのDNAフラグメントの単離を目的とする場合には、典
型的には、より多い体積中で5ないし50μgのDNAを20ないし250ユニ
ットの酵素で消化する。個々の制限酵素に関する適当なバッファーおよび基質量
は製造者により詳述されている。約37℃で約1時間のインキュベーション時間
を通常使用するが、供給者の説明に従って変更してもよい。消化後、反応物をア
ガロースゲルで直接電気泳動して所望フラグメントを単離する。開裂フラグメン
トのサイズ分離は、一般に1%アガロースゲルを用いて行う。 「オリゴヌクレオチド」は、1本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2本の相
補的なポリデオキシヌクレオチド鎖であり、化学合成されたものであってもよい
。かかる合成オリゴヌクレオチドは5’リン酸を欠いているので、キナーゼ存在
下でATPを用いてリン酸を付加しなければ別のオリゴヌクレオチドに連結しな
いであろう。合成オリゴヌクレオチドは脱リン酸されていないフラグメントに連
結するであろう。 「連結」は、2つの2本鎖核酸フラグメント間のホスホジエステル結合形成プ
ロセスをいう(Maniatis, T.ら、前掲、146頁)。特記しないか
ぎり、連結すべきほぼ等モルのDNAフラグメント0.5μgにつき10ユニッ
トのT4 DNAリガーゼ(リガーゼという)を用いて既知バッファーおよび条
件下で連結を行ってもよい。 好ましくは、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは単離形態であり
、好ましくは、均一にまで精製されているものである。
【0037】 「レプリコン」は、インビボにおいてDNA複製の自律的単位として機能する
、すなわち、それ自身の制御下で複製しうる遺伝学的エレメント(例えば、プラ
スミド、染色体、ウイルス)である。 「ベクター」はプラスミド、ファージまたはコスミドのごときレプリコンであ
り、別のDNAセグメントを結合して、結合セグメントの複製を引き起こすこと
ができるものである。 「2本鎖DNA分子」は、2重ヘリックスポリマー形態(弛緩およびスーパー
コイル状の両方)のデオキシリボヌクレオチドをいう。この用語は分子の一次お
よび二次構造についてのみ使用し、個々の三次形態に限るものではない。よって
、この用語は、特に直鎖状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、ウイルス
、プラスミドおよび染色体に見られる2本鎖DNAを包含する。特定の2本鎖D
NA分子の構造をいう場合、通常の慣習に従って、DNAの非転写鎖(すなわち
、mRNAに対して相同的な配列を有する鎖)に沿って5’から3’の方向の配
列のみを示す。 特定の蛋白のDNA「コーディング配列」またはを「コードするヌクレオチド
配列」は、適当な調節配列の制御下におかれた場合、転写され、ポリペプチドに
まで翻訳されるDNA配列である。 「プロモーター配列」は、細胞中のRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’
方向)のコーディング配列の転写を開始させることができるDNA調節領域であ
る。本発明を定義するために、プロモーター配列は翻訳開始コドン(例えば、A
TG)によってコーディング配列の3’末端に結合され、上流(5’方向)に伸
長しており、バックグラウンド以上の検出可能なレベルの転写を開始させるに必
要な最小数の塩基またはエレメントを含んでいる。プロモーター配列中に、転写
開始部位(便利には、ヌクレアーゼS1でのマッピングにより決定される)なら
びにRNAポリメラーゼの結合に応答しうる蛋白結合ドメイン(コンセンサス配
列)がみられる。真核生物プロモーターは、常にではないがしばしば、「TAT
A」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。原核生物プロモーターは−10
および−35コンセンサス配列を含む。 DNA「制御配列」は、プロモーター配列、リボソーム結合部位、ポリアデニ
ル化シグナル、転写ターミネーション配列、上流調節ドメイン、エンハンサー等
を総称し、それらは包括的に宿主細胞におけるコーディング配列の発現(すなわ
ち、転写および翻訳)を行うものである。 RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コーディング配列をmRN
Aに転写する場合、制御配列は細胞においてコーディング配列の「発現を指令」
するのであり、該mRNAはその後コーディング配列によりコードされるポリペ
プチドへと翻訳される。
【0038】 「宿主細胞」は、外来DNA配列により形質転換またはトランスフェクション
された細胞、あるいは形質転換またはトランスフェクションされうる細胞である
。 かかる外来DNAが細胞膜内部に導入された場合、細胞は外来DNAにより「
形質転換」されたものである。外来DNAは染色体DNA中の組込まれて(共有
結合して)細胞のゲノムを形成してもよく、しなくてもよい。原核細胞および酵
母においては、例えば、外来DNAはプラスミドのごときエピソームエレメント
上に維持されてもよい。真核細胞については、安定に形質転換またはトランスフ
ェクションされた細胞系は、外来DNAが染色体中に組込まれて染色体複製によ
りそれが娘細胞に遺伝するようになった細胞である。この安定性は、外来DNA
を含む娘細胞の集団を含む細胞系またはクローンを確立する真核細胞の能力によ
り示される。 「クローン」は、単一細胞に由来するかまたは有糸分裂により共通の祖先に由
来する細胞集団である。「細胞系」は、インビトロにおいて多くの世代にわたり
安定に増殖しうる一次細胞のクローンである。 DNA構築物の「異種」領域は、別のDNA分子中に存在するかまたは結合し
た同定可能なDNAセグメントであって、天然において他の分子に結合した状態
で見いだされないものである。
【0039】RNase PのRNA成分の調製 本発明はまた、ポリヌクレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含むベク
ター、本発明ベクターで遺伝子操作される宿主細胞および組換え技法による本発
明のポリペプチドの製造にも関する。 それゆえ、本発明のさらなる態様によれば、上記ポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドを宿主中で発現させ、発現生成物を回収することによる組み換え
法による、本発明のポリペプチドの製造方法が提供される。別法として、本発明
のポリペプチドを慣用的なペプチド合成装置により合成的に製造することもでき
る。 本発明のベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターであっ
てよい)を用いて宿主細胞を遺伝子操作(トランスダクションまたは形質転換ま
たはトランスフェクション)する。ベクターはプラスミド、コスミド、ファージ
等の形態であってよい。遺伝子操作した宿主細胞を、プロモーター活性化、形質
転換体の選択または遺伝子の増幅に適するように改変した慣用的な栄養培地で培
養する。温度、pH等の培養条件はすでに発現のためにその宿主細胞に使用され
たものであり、それらは当業者に明らかであろう。 適当な発現ベクターは、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えば、細
菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミ
ドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクターを包含する。しかしな
がら、宿主中で複製可能で生存可能である限り、他のベクターを用いてもよい。 発現系もしくはそれらの一部、または本発明のポリヌクレオチドを組み込むこ
とができる。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、例えば、Davisら、
Basic Methods in Molecular Biology(1
986);Sambrookら、Molecular Cloning;A L
aboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1
989)のように、多くの標準的な実験マニュアルに記載される方法により行う
ことができ、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキス
トラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクシ
ョン、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トラ
ンスダクション、スクレープ負荷、バリスティック導入および感染等がある。
【0040】 適当な宿主の代表的なものには、細菌細胞、例えばスタフィロコッカス属 (Streptococci)、スタフィロコッカス属(Staphyloco
cci)、エンテロコッカス属(Enterococci)、イー・コリ(E.
coli)、ストレプトミセス(Streptomyces)およびバチルス・
ズブチリス(Bacillus subtiis)細胞;真菌細胞、例えば酵母
細胞およびアスペルギルス属(Aspergillus)細胞;昆虫細胞、例え
ばドロソフィラS2(Drosophila S2)およびスポドプテラSf9
(Spodoptera Sf9)細胞;動物細胞、例えばCHO、COS、H
eLa、C127、3T3、BHK、293およびボウズ(Bows)黒色腫細
胞;ならびに植物細胞等がある。
【0041】 本発明のポリペプチドを製造するために非常に多くの発現系を使用できる。こ
のようなベクターには、染色体、エピソームおよびウイルス由来のベクター、例
えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母
エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、例えばバキ
ュロウイルス、パポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、アデノ
ウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス等のウイル
ス由来のベクター、ならびにそれらを組み合わせたものに由来するベクター、例
えばプラスミドおよびバクテリオファージの遺伝学的エレメント由来のベクター
、例えばコスミドおよびファージミド等がある。発現系の構築物は発現を制御お
よび引き起こす調節領域を含有していてもよい。この点に関して、一般的には、
宿主中にポリヌクレオチドを保持、伸長または発現するのに、および/またはポ
リペプチドを発現するのに適した任意の系またはベクターを発現に使用できる。
周知のおよび通常的な種々の任意の技術により、適当なDNA配列を発現系に挿
入してもよく、例えばSambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(上
記)に記載されている。
【0042】 種々の方法により適当なDNA配列をベクターに挿入することができる。一般
的には、当該分野で知られた方法により、DNA配列を適当な制限エンドヌクレ
アーゼ部位中に挿入する。 発現ベクター中のDNA配列を適当な発現制御配列(プロモーター)に連結し
てmRNA合成を指令するようにしてもよい。かかるプロモーターの典型例とし
ては、LTRまたはSV40プロモーター、イー・コリのlacまたはtrp、
ラムダファージのPプロモーターならびに真核または原核細胞あるいはそれら
のウイルス中の遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーターが
挙げられる。発現ベクターは翻訳開始用のリボソーム結合部位および/または転
写ターミネーターを含んでいてもよい。ベクターは発現増強に適した配列を含ん
でいてもよい。
【0043】 さらに、好ましくは、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選択のための表現
型を付与する1またはそれ以上の選択可能マーカー遺伝子を含み、そのマーカー
遺伝子は、例えば、真核細胞培養にはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイ
シン耐性であり、イー・コリにおいてはテトラサイクリンもしくはアンピシリン
耐性である。 プロモーター、リボソーム結合部位(細菌での発現の場合)、そして所望によ
りオペレーター(本明細書では、包括的に「制御」エレメントという)の制御下
に遺伝子を置くことができ、その結果、この発現構築物を含むベクターにより形
質転換された宿主細胞中で、所望の蛋白をコードするDNA配列がRNAに転写
される。コーディング配列はシグナルまたはリーダー配列を含んでいても、いな
くてもよい。例えば、イー・コリのtacプロモーターまたはプロテインA遺伝
子(spa)プロモーターおよびシグナル配列を用いて本発明のポリペプチドを
発現させることができる。リーダー配列は、翻訳後プロセッシングにおいて細菌
宿主により除去されうる。例えば、米国特許第4431739号、第44254
37号、第4338397号参照。CAT(クロラムフェニコールトランスフェ
ラーゼ)ベクターまたは選択可能マーカーを有する他のベクターを用いて所望遺
伝子からプロモーター領域を選択することができる。2種の適当なベクターはp
KK232−8およびpCM7である。lacI、lacZ、T3、T7、gp
t、ラムダP、Pおよびtrp等を特に挙げておく。真核細胞プロモーター
はCMV即時初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロ
ウイルス由来のLTRs、およびマウスメタロチオネイン−Iを包含する。適当
なベクターおよびプロモーターの選択は当業者のレベル内のことである。 制御配列のほかに、宿主細胞の増殖に関連して蛋白配列の発現を調節可能な調
節配列を付加することが望ましいかもしれない。調節配列は当業者に知られてお
り、例としては、調節化合物の存在などの化学的または物理的刺激に応じて遺伝
子発現をオンまたはオフにするもの等が挙げられる。他のタイプの調節エレメン
ト、例えば、エンハンサー配列がベクター中に存在してもよい。 特定のコーデイング配列が適当な調節配列とともにベクター中に存在するよう
に発現ベクターを構築し、制御配列に対するコーディング配列の位置および方向
は、コーディング配列が制御配列の「制御」下で転写されるようなものとする(
すなわち、制御配列のところでDNA分子に結合するRNAポリメラーゼがコー
ディング配列を転写するようにする)。コーディング配列の修飾はこの目的の達
成にとり望ましいかもしれない。例えば、いくつかの場合、配列を修飾して適当
な方向で、すなわち読み枠を維持するように制御配列に結合させることが必要で
あるかもしれない。上記クローニングベクターのごときベクター中に挿入する前
に制御配列および他の調節配列をコーディング配列に連結してもよい。別法とし
て、コーディング配列を、すでに制御配列および適当な制限部位を有する発現ベ
クター中に直接クローンしてもよい。
【0044】 一般的には、組み換え発現ベクターは複製開始点および宿主細胞の形質転換を
可能にする選択可能マーカー、例えばイー・コリのアンピシリン耐性遺伝子およ
びエス・セレビシアエ(S. cerevisiae)のTRP1遺伝子ならび
に下流構造遺伝子の直接転写のための高発現遺伝子由来のプロモーターを含むで
あろう。翻訳開始および終結配列ならびに好ましくは周辺腔または細胞外培地中
に翻蛋白を直接分泌させうるリーダー配列とともに異種構造配列を集合させて適
当な配置とする。所望により、異種配列は、所望特性を付与する、例えば安定化
させ、あるいは発現組み換え生成物の精製を容易にするN−末端同定ペプチドを
含む融合蛋白をコードしていてもよい。 適当な上記DNA配列ならびに適当なプロモーターまたは制御配列を含むベク
ターを用いて適当な宿主を形質転換して、宿主に蛋白を発現させてもよい。 より詳細には、本発明は、上記に広範囲にわたって説明した1またはそれ以上
の配列を含む組み換え構築物をも包含する。構築物は、プラスミドもしくはウイ
ルスベクターのごときベクターを含み、ベクター中に本発明配列が順方向または
逆方向に挿入されている。この具体例の好ましい態様において、構築物はさらに
調節配列(例えば当該配列に作動可能に連結されたプロモーターを包含)を含む
。多数の適当なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており、市販され
ている。例えば、下記ベクターがある。細菌ベクター:pET3ベクター(St
ratagene)、pQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen)、
pbs、pD10、phargescript、psiX174、pblues
cript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、p
NH46A、(Stratagene)、ptrc99a、pKK233−3、
pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真核細胞ベクター:pBl
ueBacIII(Invitrogen)、pWLNEO、pSV2CAT、
pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBP
V、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかしながら、宿主中で複製
可能で生存可能である限り、他のプラスミドまたはベクターを用いてもよい。
【0045】 クローニング用の組み換えDNAベクターおよびそれらが形質転換可能な宿主
細胞の例は、バクテリオファージλ(イー・コリ)、pBR322(イー・コリ
)、pACYC177(イー・コリ)、pKT230(グラム陰性細菌)、pG
V1106(グラム陰性細菌)、pLAFR1(グラム陰性細菌)、pME29
0(非イー・コリグラム陰性細菌)、pHV14(イー・コリおよびバチルス・
ズブチリス)、pBD9(バチルス)、pIJ61(ストレプトミセス)、pU
C6(ストレプトミセス)、YIp5(サッカロミセス)、バキュロウイルス昆
虫細胞系、YCp19(サッカロミセス)。一般的には、”DNA Cloning”: Vol
s. I & II, Gloverら、 ed. IRL Press Oxford (1985)(1987)およびT. Maniatis
ら ”Molecular Cloning” Cold Spring Harbor Laboratory (1982)参照。
【0046】 いくつかの場合、宿主細胞からのポリペプチドの分泌、その後の分泌シグナル
の開裂を引き起こす配列を付加することが望ましい。 適当なプロモーターの制御下でポリペプチドを宿主細胞中で発現させることが
できる。無細胞翻訳系を用い、本発明のDNA構築物由来のRNAを用いてかか
る蛋白を得てもよい。原核細胞および真核細胞に使用する適当なクローニングお
よび発現ベクターはSambrook,ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, S
econd Edition, Cold Spring Harbor, N. Y., (1989)により記載されており、こ
れを参照により本明細書に記載されているものとみなす。 適当な宿主株の形質転換および適当な細胞密度までの宿主細胞の増殖の後、適
当な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導)により選択プロモーターを誘
導し、さらなる期間細胞を培養する。 典型的には、遠心分離により細胞を集め、物理的または化学的手段により細胞
を破壊し、ついで、得られた粗抽出物をさらなる精製のためにとっておく。 凍結溶解繰り返し、超音波処理、機械的破壊、あるいは細胞溶解剤の使用を包
含する慣用的方法により、蛋白発現に使用される微生物細胞を破壊することがで
き、かかる方法は当業者によく知られている。 選択した発現系および宿主にもよるが、上記発現ベクターにより形質転換した
宿主細胞を目的ポリペプチドが発現される条件下で増殖させることにより本発明
のポリペプチドを製造してもよい。ついで、ポリペプチドを宿主細胞から単離し
、精製する。発現系がポリペプチドを増殖培地中に分泌する場合、ポリペプチド
を培地から直接精製することができる。ポリペプチドが分泌されない場合、ポリ
ペプチドを細胞溶解物から単離するか、あるいは細胞膜フラクションから回収す
る。ポリペプチドが細胞表面に局在化する場合、細胞全体または単離細胞膜を所
望遺伝子産物のアッセイ可能ソースとして使用することができる。イー・コリの
ごとき細菌宿主において発現されたポリペプチドは封入体からの単離および再生
を必要とするかもしれない。成熟蛋白が不溶性生成物の過剰発現を導く非常に疎
水性の領域を有する場合、疎水性領域が欠失された末端切断蛋白を発現させるこ
とが望ましいかもしれない。適当な増殖条件および回収方法の選択は当業者のな
しうるところである。 硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交
換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用
クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタ
イトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを包含する方法に
より、ポリペプチドを組み換え細胞培養物から回収し、精製することができる。
天然蛋白の立体配置を完成させることにおいて、必要に応じて蛋白再生工程を用
いることができる。最後に、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終
精製工程に用いてもよい。 組み換え製造方法に用いる宿主にもよるが、本発明のポリペプチドは糖鎖付加
されていてもよく、あるいはされていなくてもよい。本発明のポリペプチドは、
最初のメチオニンアミノ酸残基を含んでいてもよい。
【0047】RNase PのRNA成分の調製 RNase PのRNA分子は、標準的条件(供給者、例えば、Promeg
aの推奨条件)下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写のラン−
オフ(run−off)により調製でき、調製される。適当な制限酵素を用いて
プラスミドを直鎖状にし、RNase PのRNAをコードする全長遺伝子を含
む直鎖状dsDNAを得る。調製用変性アクリルアミドゲルからRNAを精製す
るか、あるいはインビトロ開裂アッセイに使用する前に沈殿させる。RNase
PのRNAおよびその蛋白と複合体となったRNA(RNase P蛋白)の
基質を、クローン化遺伝子のインビトロ転写により得ることができる。有用な基
質はプレ−tRNAMetまたはイー・コリのプレ−4.5Sまたはビー・ズブ
チリスのプレ−4.5S分子を包含し(これらに限らない)、上記のごとくT7
RNAポリメラーゼにより指令されるインビトロ転写系を用いて発現させても
よい。RNAはまた、オートメーション合成により調製することもできる。
【0048】アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセイおよび分子 本発明は、本明細書記載のRNase PのRNA部分、蛋白部分および/ま
たは無傷のRNA/蛋白複合体を妨害する薬剤をスクリーニングする方法を提供
し、該方法は、試験薬剤による蛋白および/またはRNAの活性の妨害を測定す
ることを含む。例えば、選択されたRNA部分が触媒活性を有するので、適当な
精製および処方を行った後、その天然または合成RNA基質を変換する能力によ
りRNAの活性を追跡できる。化学合成された異なる試験化合物または天然産物
をかかる酵素活性アッセイに用いることにより、天然または合成基質を競合、あ
るいは酵素活性を阻害する添加物を検出することができる。 本発明のポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細調製物、化学ライブラ
リー、および天然産物混合物中における小型分子基質およびリガンドの結合を評
価してもよい。これらの基質およびリガンドは天然基質およびリガンドであって
もよく、構造上または機能上の模倣物であってもよい。例えば、Coligan et al.
,Current Protocols in Immunology 1(2):Chapter 5 (1991)参照。 また本発明は、RNasePポリペプチドまたはポリヌクレオチドの作用を増
強(アゴニスト)またはブロック(アンタゴニスト)する化合物、詳細には、静
菌性および/または殺菌性化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方
法をも提供する。該スクリーニング方法は高処理量の方法である。例えば、アゴ
ニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするために、RNasePポリペ
プチドおよびこのようなポリペプチドの標識基質またはリガンドを含む、合成反
応混合物、膜、細胞表面膜もしくは細胞壁のごとき細胞コンパートメント、また
はそれらのいずれかの調製物を、RNasePのアゴニストまたはアンタゴニス
トとなりうる候補分子の存在下または不在下でインキュベーションする。候補分
子がRNasePポリペプチドの作用を増強またはブロックする能力は、標識化
リガンドの結合の低下またはこのような基質からの生成物の産生の低下に反映さ
れる。結合しても影響を及ぼさない分子、すなわちRNasePポリペプチドの
効果を誘導しない分子は、最も良好なアンタゴニストである可能性がある。結合
性が良好で、基質からの生成物の生成速度を高める分子はアゴニストである。基
質からの生成物の生成速度またはレベルの検出はリポーターシステムを用いるこ
とにより強調できる。この点に関して有用なリポーターシステムには、生成物に
転換される比色測定用標識化基質、RNasePポリヌクレオチドまたはポリペ
プチド活性、変化に応答するリポーター遺伝子、および当該分野で周知の結合ア
ッセイ等があるが、これらに限定するものではない。
【0049】 RNasePに対するアンタゴニストのアッセイのもう1つの例は競争アッセ
イであり、競争阻害アッセイに適した条件下で、RNasePおよび可能性のあ
るアンタゴニストを、RNaseP結合分子、組換えRNaseP結合分子、天
然基質もしくはリガンド、または基質もしくはリガンド模倣物と混合する。例え
ば放射活性または比色測定用化合物によりRNasePを標識し、結合分子に結
合した、または生成物に変換されたRNaseP分子の数を正確に決定して、可
能性のあるアンタゴニストの効果を評価できる。 可能性のあるアンタゴニストには、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドに結合し、そのことによりその活性を阻害し消失させる小型有機分子、ペプ
チド、ポリペプチドおよび抗体などがある。また、可能性のあるアンタゴニスト
は、密接に関連した蛋白または抗体のごとき小型有機分子、ペプチド、ポリペプ
チドであって、アンタゴニストは結合分子の同じ部位に結合するが、RNase
Pの活性を誘導せず、それゆえRNasePを結合から排除することによりRN
asePの作用を妨害するものである。 可能性のあるアンタゴニストには、ポリペプチドの結合部位に結合し、および
それを占領し、それにより細胞性結合分子への結合を妨害して、正常な生物学的
活性を妨害する小型分子等がある。小型分子の例としては、小型有機分子、ペプ
チド、ペプチド様分子等があるが、これらに限定するものではない。その他の可
能性のあるアンタゴニストにはアンチセンス分子等がある(これらの分子につい
ての記載に関してはOkano,J.,Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy-nucleotides
as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press, Boca Raton, FL (1
988)参照)。好ましい可能性のあるアンタゴニストには、RNaseP関連化合
物およびRNaseP変種等がある。
【0050】 本明細書に示す各DNA配列を、抗細菌化合物の発見および開発に使用しても
よい。コードされている蛋白は、発現した場合、抗細菌剤のスクリーニングのた
めの標的として使用されうる。さらに、コードされている蛋白のアミノ末端領域
または各mRNAのシャイン−ダルガルノ配列または他の翻訳容易化配列をコー
ドしているDNA配列を用いてアンチセンス配列を構築し、目的とするコーディ
ング配列の発現を制御することもできる。 本発明はまた、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは阻害剤を使用
し、感染の後遺症の原因である病原および哺乳動物宿主間での初期の物理的相互
作用を妨害するものである。細菌、特にグラム陽性菌の内在デバイス上の哺乳動
物の細胞外マトリックス蛋白への、もしくは、創傷部のある細胞外マトリックス
蛋白への付着を防ぐことができ;例えば哺乳類のチロシンキナーゼのリン酸化を
開始することによりRNase P蛋白介在の哺乳類細胞侵入(Rosenshineら、
infact, Immun 60:2211(1992);哺乳類の細胞外マトリックス蛋白と組織の損傷
を媒介する細菌RNase蛋白の間への細菌の付着を阻害;内在デバイスの移植
または他の外科的手術以外を原因とする感染の発生病因の通常の進行を遮断する
のに用いても良い。
【0051】 本発明のアンタゴニストおよびアゴニストを、例えば、上気道疾患(例えば、中
耳炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道疾患(例えば、蓄膿症
、肺膿瘍)、心臓疾患(例えば、感染性心内膜炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性
下痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿瘍)、CNS疾患(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患(例
えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、
腎および尿管疾患(例えば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショ
ック症候群)、皮膚疾患(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感
染、細菌性筋炎)、ならびに骨および関節疾患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄
炎)のごとき疾病の抑制および治療に用いてもよい。
【0052】HTPスクリーニング方法 RNase PによるRNA基質の開裂を阻害する化合物を検出するためのア
ッセイを開発することができる。いくつかの可能なアッセイフォーマットは、化
学合成により部位特異的にRNA中に標識を取り入れる能力に基づくHTPスク
リーニングに適している。慣用的な放射活性に基づくフォーマットが好ましいが
、均質な蛍光に基づくフォーマットはその後のリード化合物のフォローアップに
有用である。いずれのフォーマットの使用も、本発明の意図するところである。
【0053】機能的RNase Pアッセイ ビオチンをRNA基質中の適当な位置に導入し、5’末端を32Pで標識する
。ストレプトアビジンを介して基質を96ウェルプレートに結合させる。基質の
RNase P依存的加水分解の後、放射標識5’リーダー開裂生成物がバルク
溶液相中に放出され、シンチレーションカウンティングにかける。別法としては
、RNA基質をストレプトアビジン被覆フラッシュプレートに結合させて、放射
活性6量体の溶液相中への放出によりシグナルを減少させる。これは、均質かつ
連続的アッセイフォーマットである、アッセイ開始後、さらなる操作を要しない
という利点を有する。いずれのフォーマットも本発明の実施において有用である
。なぜなら、どちらも同じRNA基質を使用するからである。
【0054】RNAフラグメントライブラリーレスキュー RNAと相互作用する化合物を同定するための有効な方法も意図するものであ
る。その概念は、薬剤を隔離し、無傷のリボザイムの機能発揮を継続させること
となる、RNAフラグメント上に再生される薬剤結合部位の過剰発現に基づく(
図6)。この方法は、リボソームRNAに結合するリガンドを検索する関係上、
最近になって記載されたものである(Howard, B-A, et al., Biochem. Cell Bio
. 73 (11/12): 1161-1166 (1995))。選択後、薬剤認識のための最小標的構造を
明らかに示す任意のRNAフラグメントを合理的な薬剤設計のためのプロトコー
ル中に取り入れる。したがって、RNase PのRNAに基づくランダムなフ
ラグメントライブラリーが得られ、RNA/蛋白相互作用を破壊する化合物を同
定するためのHTPスクリーニングに使用される(図7)。
【0055】環状ペプチドファージライブラリー コンホーメーション上の束縛をフレキシブルなリード化合物中に取り入れるこ
とは、リード化合物の潜在能力を高めるための強力な戦略であり、ペプチド模倣
設計の分野において特に有用である(Al-Obeidi, F. et al., J. Med. Chem. 32:
2555-2561 (1989); Barker, P. L., et al., J. Med. Chem. 35: 2040-2048 (1
992))。 環化は、ペプチドでのベーターターン形成の傾向が増加することで明らかにさ
れ、その可能性はスロレプタビジンとの高い親和性リガンドを同棲することで示
される(Lee, M.S.ら、FEBS Lett. 359: 113-118(1995))。 この場合、隣接システイン残基を含めて環状ペプチドライブラリーを構築して
、ファージアッセンブリー中の効果的なジスルフィド結合形成および環化を可能
にする。ジスルフィド架橋された2個のペプチドのストレプトアビジン結合結晶
構造は、いずれもベータ−ターンコンホーメーションとなることが示された(Ka
hn, M. (Guest, Ed., 1993) Tetrahedron 49, Symp. 50, 3433-3677)。 ベータ−ターンは多くの生物学的相互作用における重要な認識エレメントであ
り、それゆえ、小型の束縛されたベータ−ターン模倣物の設計に努力が注がれて
きた(Kahn, M. (Guest Ed., 1993) Tetrahedron 49, Symp. 50, 3433-3677)。こ
の方法は、RNase Pに適用した場合、阻害剤分子としてのペプチド模倣物
の合成に適した環状ペプチドを同定することができる。環状オクタペプチドファ
ージディスプレイライブラリーを構築し、一定のRNAドメインと相互作用する
ペプチドを同定するために使用することができる。
【0056】二次的評価 SELEX:指数的豊富化によるリガンドの系統的発展 合理的な薬剤の設計およびHTPスクリーニングにより同定された化合物の二
次的評価を促進するものとして、構造分析のためにRNase P RNA(M
1 RNA)蛋白が結合するRNA認識モチーフを同定する目的で、この方法を
用いてもよい。その方法は、繰り返し選択ならびに高いアフィニティーで蛋白に
特異的に結合するRNAフラグメントの増幅に基づく(Szostak, J.W., TIBS 17:
89-93 (1992))。RNAのインビトロでの合成を行い、それらの個々の蛋白に結
合する分子のその後の選択を行うためにスタフィロコッカス・アウレウスおよび
イー・コリのRNase P RNAに基づくフラグメントライブラリーを構築
することができる。化学構造および酵素の構造を探索する方法を蛋白/RNA保
護の研究と組み合わせて用いて、相互作用部位をマッピングしてもよい。生じた
RNAフラグメントに基づくSELEXをさらに利用して、RNA認識のための
最小構造必須要件を決定してもよい。
【0057】RNase Pアッセンブリーの破壊 蛋白/RNA−フラグメントペアーの同定により、それらのアッセンブリーを
破壊する化合物のスクリーニングを開発することができる。固定化蛋白に結合し
た標識RNA(ビオチン/ストレプトアビジン)の薬剤により誘発される破壊は
、RNAの存在により生じたシグナルの減少/消失を併発させる。
【0058】RNA/薬剤相互作用 薬剤耐性を付与するRNase PのRNAフラグメント(上記のRNAフラ
グメントレスキューライブラリー)を配列決定し、薬剤存在下および不存在下で
の化学構造および酵素構造の探索を行うためにインビトロで発現させて結合部位
をマッピングしてもよい。一の試みにおいて、SELEXをリード化合物に適用
して、薬剤結合のための最小構造必須要件を同定してもよい。
【0059】RNase Pの基質 プレ−tRNAおよびプレ−4.5S RNA誘導体を包含する最小RNA基
質をHTPスクリーニング用に化学合成してもよい(例えば図8)。特定ヌクレ
オチドの2’−ヒドロキシル基が関与するRNA−リガンド相互作用を、適当に
修飾されたRNAフラグメントを化学合成することにより探索してもよい。リボ
ヌクレオチドに特徴的なC3’−エンド立体配置を保持するために、2’−メト
キシおよび2’−フルオロリボヌクレオチドアナログを用いることができ、立体
上の理由から後者が好ましい。2’−置換基を欠くヌクレオチドは望ましくない
2’−エンド立体配置をとる。 さらに本発明は、本明細書に記載のいずれかの方法により同定される阻害剤に
関する。RNase P作用の酵素的性質のため、遷移状態の模倣物、生成物放
出に対する阻害剤または基質結合に対する阻害剤として作用する阻害剤を同定で
きることが理解される。
【0060】診断アッセイ また本発明は診断試薬として使用するためのRNase Pポリヌクレオチド
の使用にも関する。真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトにおけるRNase
Pの検出は、疾患の診断のための診断法を提供する。RNase P遺伝子を含
む生物に感染した真核生物(本明細書において「個体」とも称する)とりわけ哺
乳動物、特にヒトを種々の方法によりDNAレベルで検出できる。 診断用の核酸は、感染した個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟
骨および皮膚より得ることができる。ゲノムDNAを直接検出に使用してもよく
、あるいは分析の前にPCRもしくはその他の増幅法を用いることにより酵素的
に増幅できる。RNAまたはcDNAもまた同じ方法で用いることができる。増
幅法を用いると、真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトに存在する原核生物株を
、原核生物遺伝子の遺伝子型の分析により特徴づけることができる。対照配列の
遺伝子型と比較した場合の増幅産物の大きさの変化により、欠失および挿入を検
出できる。点突然変異は、増幅DNAを標識したRNase Pポリヌクレオチ
ド配列にハイブリダイズさせることにより同定できる。完全に対合した配列はR
Nアーゼ消化により、または融解温度の差により、誤対合二重らせんから区別で
きる。変性剤含有または不含ゲル中のDNAフラグメントの電気泳動の移動度の
変化を検出することにより、または直接的なDNAの配列決定により、DNA配
列の差を検出してもよい。例えばMeyersら、Science,230:1
242(1985)参照。また、特異的な位置での配列の変化を、ヌクレアーゼ
保護アッセイ、例えばRNアーゼおよびS1保護または化学的切断法によって明
らかにしてもよい。例えばCottonら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85:4397-44
01 (1985)参照。
【0061】 本発明の遺伝子の突然変異または多型性を担持する細胞を、種々の技術により
、DNAレベルで、例えばセロタイピングすることにより検出してもよい。例え
ば、RT−PCRを用いて突然変異を検出することができる。RT−PCRは自
動検出系、例えばGeneScan等と組み合わせて用いるのがとりわけ好まし
い。RNAまたはcDNAを同じ目的でPCRまたはRT−PCRに用いてもよ
い。一例として、RNase Pをコードする核酸に相補的なPCRプライマー
は、突然変異を同定および分析するのに用いることができる。代表的なプライマ
ーの例を実施例に示す。本発明はさらに5’および/または3’末端より1、2
、3または4個のヌクレオチドを除去した、これらのプライマーを提供する。こ
れらのプライマーを用いて、個体から由来の試料により単離されたRNase
P DNAを増幅してもよい。そのプライマーを用いて、感染個体から単離され
た遺伝子を増幅し、ついで、DNA配列を調べるための種々の技法に該遺伝子を
供してもよい。このようにして、DNA配列における突然変異を検出し、感染の
診断および感染性物質のセロタイピングおよび/または分類に使用することがで
きる。
【0062】 本発明はまた、疾患、好ましくは細菌感染、より好ましくはスタフィロコッカ
ス・アウレウスによる感染、最も好ましくは例えば、上気道疾患(例えば、中耳
炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道疾患(例えば、蓄膿症、
肺膿瘍)、心臓疾患(例えば、感染性心内膜炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性下
痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿瘍)、CNS疾患(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患(例え
ば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎
および尿管疾患(例えば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショッ
ク症候群)、皮膚疾患(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染
、細菌性筋炎)、ならびに骨および関節疾患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎
)のような疾病の診断方法を提供し、該方法は、表1[配列番号:1]の配列を
有するポリヌクレオチドのの発現レベルの上昇を個体由来の試料から検出するこ
とを特徴とする。RNase Pポリヌクレオチドの発現の増加または低下は、
ポリヌクレオチドの定量法として当該分野でよく知られたいずれかの方法、例え
ば増幅、PCR、RT−PCR、RNアーゼ保護、ノーザンブロッティングおよ
びその他のハイブリダイゼーション法を用いて測定できる。 さらに、正常対照組織サンプルと比較して、RNase P蛋白の過剰発現を
検出するための本発明診断アッセイを用いて、例えば感染の存在を検出してもよ
い。宿主由来のサンプル中のRNase P蛋白のレベルを決定するために用い
ることができるアッセイ技法は、当業者に周知である。かかるアッセイ法には、
ラジオイムノアッセイ、競争結合アッセイ、ウェスタンブロット分析および ELISAアッセイ等がある。
【0063】抗体 本発明のポリペプチドもしくはそれらの変種、またはそれらを発現する細胞を
免疫源として用いて、かかるポリペプチドに免疫特異的な抗体を得ることができ
る。本明細書で用いる「抗体」には、モノクローナルおよびポリクローナル抗体
、キメラ、一本鎖、サル化抗体およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメント
が包含され、さらに免疫グロブリン発現ライブラリーの産物等のFabフラグメ
ントも包含される。 酵素処理、例えば、パパインを用いてFab部分をFc部分から開裂すること
により、Fabフラグメントをその親モノクローナル抗体から調製してもよい。 本発明のポリペプチドに対して生じる抗体は、ポリペプチドまたはエピトープ
が付いたフラグメント、アナログまたは細胞を、好ましくはヒトはでない動物に
通常の実験法を用いて投与することにより得ることができる。そのようにして得
られた抗体はポリペプチド自体に結合するであろう。このようにして、ポリペプ
チドのフラグメントのみをコードする配列でさえも、生のポリペプチド全体に結
合する抗体を得るために使用することができる。かかる抗体を用いて、ポリペプ
チドを発現する組織からポリペプチドを単離することができる。連続的細胞系培
養により産生される抗体を提供する、当業者周知の技術を用いて、モノクローナ
ル抗体を調製することができる。例としては、Kohler, G.およびMilstein, C.,N
ature, 256:495-497 (1975); Kozborら、Immunology Today, 4:72 (1983);Coleら
、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R Liss, Inc.、77-96頁(198
5)に記載されるような種々の技法がある。 1またはそれ以上の元のポリペプチドおよび/または融合蛋白を用いて、高ア
フィニティーを有し、他のスタフィロコッカス種と好ましい交差反応をする細胞
系を選択するためにハイブリドーマをスクリーニングしてもよい。 一本鎖抗体の産生のために記載された技術(米国特許第4946778号)を
適用して、本発明のポリペプチドに対する一本鎖抗体を得ることができる。また
、トランスジェニックマウスまたはその他の生物、例えばその他の哺乳動物を用
いてヒト化抗体等の抗体を発現させてもよい。
【0064】 別法として、ファージディスプレイ技法を用いて、抗−ポリペプチドを有する
ことにつきスクリーニングされたヒト・リンパ球のPCR増幅されたv−遺伝子
のレパートリーから、抗−RNasePを有することについてスクリーニングさ
れたヒトから、あるいは無処理のライブラリーから、ポリペプチドに対する結合
活性を有する抗体遺伝子を選別することもできる(McCafferty, J.ら、Nature 348
:552-554 (1990); Marks, J.ら、Biotechnology 10:779-783 (1992))。これらの
抗体の親和性はチェインシャフリング(chain shuffling)により改善することも
できる(Clackson, T.ら、Nature 352:624-628 (1991))。 ポリペプチドおよび/または融合蛋白に対する高アフィニティーに関して抗体
を再度スクリーニングすべきである。 上記のごとく、最終抗体のフラグメントを調製してもよい。 抗体は分子量約150000の無傷の抗体あるいはその誘導体、例えばSkerra
, A and Pluckthum, A., Science 240:1038-1040 (1988)に記載されたようなF
abフラグメントまたはFvフラグメントであってもよい。二つの抗原結合ドメ
インが存在する場合、各ドメインは「二特異性」抗体と称する異なるエピトープ
に対して指向される。 詳細には、本発明の無傷の蛋白またはポリペプチドフラグメントよりもわずか
に長いあるいはわずかに短い誘導体を使用してもよい。さらに、1またはそれ以
上のアミノ酸残基が修飾されているポリペプチドを使用してもよい。かかるペプ
チドを、例えば、アミノ酸の置換、付加または転移により、あるいは化学的修飾
により調製してもよい。かかるすべての置換および修飾はペプチド化学の当業者
に広く知られている。
【0065】 上記抗体を用いて、ポリペプチドを発現するクローンを単離し同定し、アフィ
ニティークロマトグラフィーによりポリペプチドを精製することができる。 よって、特に、RNasePポリペプチドまたは例えばRNasePのRNA
を包含するRNasePのポリヌクレオチドに対する抗体を用いて、感染、とり
わけ細菌感染、特に例えば、上気道疾患(例えば、中耳炎、細菌性気管炎、急性
咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道疾患(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾患(例
えば、感染性心内膜炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿
瘍)、CNS疾患(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角
膜炎、眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管疾患(例えば
、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショック症候群)、皮膚疾患(
例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、ならび
に骨および関節疾患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)のような疾病を治療し
てもよい。 好ましくは、本発明のポリペプチドの発現について上記したような適当な発現
系において該抗体をコードしているDNAポリマーを発現させることにより抗体
を調製する。発現系のベクターの選択は、一部には宿主に応じてなされるであろ
うし、宿主としては、例えばイー・コリ(好ましくはB株)もしくはストレプト
ミセス種のごとき原核細胞、あるいはマウスC127、マウスミエローマ、ヒト
HeLa、チャイニーズハムスター卵巣、糸状菌もしくは単細胞真菌または昆虫
細胞であってもよい。宿主はトランスジェニック動物またはトランスジェニック
植物(例えば、Hiatt, A. et al., Nature 340:76-78 (1989)に記載されたよう
な)であってもよい。適当なベクターはプラスミド、バクテリオファージ、コス
ミド、ならびに例えばバキュロウイルスおよびワクシニアに由来する組み換えウ
イルスを包含する。
【0066】 ポリペプチド変種には抗原的、エピトープ的または免疫学的に等価な変種等が
あり、本発明の特定の態様である。本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」
なる用語は、本発明により蛋白またはポリペプチドに対して生成した場合、病原
および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨害する特定の抗体により
特異的に認識されるポリペプチドまたはその同等物を包含する。本明細書で用い
る「免疫学的に等価な誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を産生させる
のに適した処方を用いた場合、抗体が病原および哺乳動物宿主間での即時的な物
理的相互作用を妨害するように作用するペプチドまたはその等価物を包含する。 ポリペプチド、例えば抗原的、免疫学的に等価な誘導体、またはそれらの融合
蛋白は、マウスまたはその他の動物例えばラットもしくはニワトリを免疫するた
めの抗原として使用できる。融合蛋白はポリペプチドに安定性を付与できる。抗
原は、例えば抱合することにより、免疫原性キャリヤ蛋白、例えばウシ血清アル
ブミン(BSA)またはキーホール・リンペット・ヘモシアニン(keyhole limpe
t haemocyanin:KLH)に結合することができる。あるいはまた、蛋白もしくはポリ
ペプチド、またはそれらに抗原的もしくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重
コピーを含む多重抗原ペプチドは、免疫原性を改良するための十分な抗原性を有
しているので、キャリヤーを使用しなくてすむ。 好ましくは、抗体またはそれらの変種を、個体における免疫原性を減じるため
に修飾する。例えば、個体がヒトである場合、最も好ましくは、抗体は「ヒト化
」されており;この場合、ハイブリドーマ由来の抗体の相補性決定領域がヒト・
モノクローナル抗体に移植されており、例えばJones,P.ら、Nature 321:522-525(
1986)またはTempestら、Biotechnology 9:266-273(1991)に記載されている。ヒト
化モノクローナル抗体または結合活性を有するそのフラグメントは本発明の特定
の態様を形成する。 修飾は「ヒト化」したものに限らず、他の霊長類の配列(例えば、Newman R.
ら、Biotechnology 10:1455-1460(1992)を用いてもよい。 本発明のポリヌクレオチドを遺伝学的免疫において使用する場合、例えばプラ
スミドDNAの筋肉への直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet
.1:363(1992);Manthorpeら、Hum.Gene The
r.4:419(1963))、特異的蛋白キャリヤーとDNAとの複合体のデ
リバリー(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985(1989)
)、リン酸カルシウムとのDNA共沈(Benvenisty & Reshe
f、PNAS 83:9551(1986))、種々の形態のリポソーム中への
DNA封入(Kanedaら、Science 243:375(1989))
、微粒子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Ei
senbraunら、DNA Cell Biol.12:791(1993)
)およびクローン化レトロウイルスベクターを用いたインビボ感染(Seege
rら、PNAS 81:5849(1984))等の適切なデリバリー方法を用
いるのが好ましい。
【0067】ワクチン 本発明の別の態様は、個体とりわけ哺乳動物における免疫学的反応を誘導する
方法に関し、該方法は、感染、詳細には細菌感染、最も詳細にはスタフィロコッ
カス・アウレウス感染から個体を防御するための抗体および/またはT細胞免疫
応答を生じさせるに十分なRNasePまたはそのフラグメントもしくは変種を
個体に接種することを特徴とする。かかる免疫学的応答が細菌の複製を遅らせる
方法も提供される。本発明のさらにもう1つの態様は、個体における免疫学的応
答の誘導方法に関し、該方法は、疾病が個体においてすでに確立されているか否
かにかかわらず、インビボでRNaseP、またはそのフラグメントもしくは変
種を発現させるためにRNasePまたはそのフラグメントもしくは変種の発現
を指令する核酸ベクターをかかる個体にデリバリーして、例えば、抗体および/
またはT細胞免疫応答(例えば、サイトカイン産生T細胞または細胞毒性T細胞
)を生じさせる免疫学的応答を誘導して、該個体を疾病から防御する抗体を産生
させることを特徴とする。迅速に遺伝子を所望細胞中に投与する方法としては、
粒子上にコーディングすること等がある。 かかる核酸ベクターはDNA、RNA、修飾核酸、またはDNA/RNAハイ
ブリッドを含んでいてもよい。
【0068】 本発明のさらなる態様は、免疫学的反応を宿主内に誘導できる、または誘導さ
れた宿主に導入した場合、RNasePまたはそれによりコードされている蛋白
に対する免疫学的反応を該宿主に誘導する免疫学的組成物に関し、その組成物は
組換えRNasePまたはそれによりコードされている蛋白を含み、RNase
Pまたはそれによりコードされている蛋白に対する抗原をコードし発現するDN
Aを含む。免疫学的応答を治療的または予防的に用いてもよく、また免疫学的応
答はCTLまたはCD4+T細胞から生じるような抗体免疫または細胞性免疫の
形態であってもよい。 RNasePポリペプチドまたはそれらのフラグメントを、それ自身は抗体を
産生しないが、第1の蛋白を安定化し、免疫原的および保護特性を有する融合蛋
白を産生する能力のある共存蛋白(co−蛋白)と融合させてもよい。好ましく
は、かかる融合組換え蛋白は、抗原補蛋白、例えばヘモフィルス・インフルエン
ザエ(Hemophilus influenzae)由来のリポ蛋白D、グル
タチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはベーターガラクトシダーゼ
のごとき共存蛋白、蛋白を可溶化してそれらの産生および精製を促進する比較的
大きな共存蛋白等を含む。さらに、共存蛋白は免疫系において普遍的な刺激を提
供するという意味で、アジュバントとして作用することができる。共存蛋白は第
1の蛋白のアミノまたはカルボキシいずれの末端に結合していてもよい。
【0069】 本発明は、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよびSato Y
.ら、Science 273:352 (1966)に記載されているような
免疫刺激DNA配列を含む組成物、とりわけワクチン組成物、および方法を提供
する。 また、本発明は、スタフィロコッカス・アウレウスに感染した動物モデルにお
いて、かかる遺伝的免疫化実験に用られるDNA構築物中の細菌細胞表面蛋白の
不変領域をコードすることが示されている、説明したポリヌクレオチドまたはと
りわけそれらのフラグメントを用いる方法を提供し、これらはとりわけ予防的ま
たは治療的免疫反応を刺激することができる蛋白エピトープを同定するのに有用
である。この方法は、哺乳動物、とりわけヒトにおける細菌感染とりわけスタフ
ィロコッカス・アウレウス感染の予防薬または治療的処置の開発のために、感染
に抵抗しこれを一掃するのに成功した動物の必須器官から特に価値あるモノクロ
ーナル抗体をうまく調製することを可能にすると思われる。 ポリペプチドを宿主接種用抗原として用いて、例えば損傷組織への細菌の付着
をブロックすることにより細菌の侵入に対して防御する特異的抗体を得てもよい
。組織損傷の例としては、例えば機械的、化学的もしくは熱的ダメージにより、
または内在デバイスの埋め込みにより引き起こされた皮膚または結合組織の創傷
、または粘膜、例えば口、乳腺、尿道または膣の創傷等がある。
【0070】 また本発明は、適切な担体と一緒になった免疫原性組換え蛋白を含有するワク
チン処方を包含する。蛋白は胃で分解されうるので、非経口的に、例えば皮下、
筋肉内、静脈内または皮内等に投与するのが好ましい。非経口投与に適した処方
には、抗酸化剤、緩衝液、静細菌剤、および処方を個体の体液(好ましくは血液
)と等張にする溶質を含有していてもよい水性または非水性滅菌注射液、および
懸濁化剤または増粘剤を含有していてもよい水性または非水性滅菌懸濁液等があ
る。処方は1回投与または多回投与用容器、例えばシールしたアンプルおよびバ
イアルに入れてよく、使用直前に滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥
状態として保存してもよい。ワクチン処方は処方の免疫原性を高めるアジュバン
ト系を含有していてもよく、例えば水中油系または当該分野で周知のその他の系
等がある。投与量はワクチンの特異的活性に依存し、通常の実験法により容易に
決定できる。 本発明を特定のRNaseP蛋白に関して説明したが、本発明は天然に存在す
る蛋白および、実質的に組換え蛋白の免疫原特性に影響しない付加、欠失または
置換を施した類似の蛋白のフラグメントを包含することが理解されよう。
【0071】組成物、キットおよび投与 本発明はまた上述のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはそれらの
アゴニストもしくはアンタゴニストを含む組成物にも関する。本発明のポリペプ
チドを、細胞、組織もしくは生物に用いられる未滅菌もしくは滅菌済み担体と混
合して、例えば対象への投与に適した医薬的担体と混合して用いることができる
。このような組成物は、例えば溶媒添加物または治療上有効量の本発明のポリペ
プチド、および医薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。このような担体に
は生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノ
ールおよびそれらの組み合わせ等があるが、これらに限定するものではない。 処方は投与法に適したものにすべきである。さらに本発明は、1またはそれ以上
の上記本発明組成物成分を充填した1またはそれ以上の容器を含む診断用および
医薬用パックおよびキットにも関する。
【0072】 本発明のポリペプチドおよびその他の化合物を、単独で、あるいは治療用化合
物等のその他の化合物と組み合わせて用いてもよい。 いずれかの有効かつ利便的な方法、例えば、とりわけ局所、経口、経膣、静脈
内、腹膜腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、または皮膚内の経路で医薬組成物を投与
してもよい。 治療において、または予防薬として、活性物質を注射用組成物として、例えば
好ましくは等張の滅菌水性分散物として個体に投与できる。 別法として、組成物を局所適用用、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟
膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合用の糸、ならびにエアロゾー
ル等の形態に処方してもよく、適当な慣用的な添加物、例えば保存剤、薬物の浸
透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびクリームには軟化剤を含有していてもよ
い。かかる局所用処方は、適合した慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基
剤、およびローションにはエタノールまたはオレイルアルコールを含有していて
もよい。このような担体は重量で処方の約1%から約98%であってよく、より
通常には重量で処方の約80%までとする。 哺乳動物とりわけヒトに投与するために、活性物質の1日あたりの投与量は、
0.01mg/kgから10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgであ
る。医者はあらゆる場合、個体に最も適した実際の投与量を決定し、年齢、体重
および特に個体の反応性に応じて変化させる。上述の投与量は、平均的なケース
の典型例である。もちろん、高用量および低用量の範囲が適合する個々の例もあ
り、かかる例は本発明の範囲内である。
【0073】 内在デバイスには外科的インプラント、補てつデバイスおよびカテーテル等が
あり、即ち個体の体に導入し、長時間その位置に存在するものである。このよう
なデバイスには、例えば人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、血管
カテーテル、脳脊髄液シャント、尿カテーテル、継続的歩行可能腹膜透析(co
ntinuous ambulatory peritoneal dialy
sis:CAPD)カテーテル等がある。 本発明の組成物を注射により投与し、内在デバイスの挿入の直前に、関連細菌
に対する全身的な効果を得てもよい。手術後、デバイスが体内に存在する期間中
、処置を続けてもよい。さらに、外科的手技中に広げるカバーに用いて、細菌性
創傷感染、とりわけスタフィロコッカス・アウレウスの創傷感染を防御すること
もできる。 多くの整形外科医は、補てつ関節を有するヒトについては、菌血症を生じうる
歯科的処置の前に抗生物質予防法を考慮すべきであると考えている。遅延性の重
篤な感染は、時々補てつ関節を失うに至る深刻な合併症であり、有意性のある罹
病率および死亡率を伴う。それゆえ、この状況において、予防的な抗生物質に代
わるものとして、活性物質の使用を拡張することが可能である。
【0074】 上述の治療に加え、一般的には本発明組成物を創傷の治療薬として使用して、
創傷組織において曝露されたマトリックス蛋白に細菌が付着するのを防いでもよ
く、歯科治療においては抗生物質による予防法に代えて、またはそれと組み合わ
せて予防的に使用してもよい。 別法として、本発明の組成物を用いて挿入直前の内在デバイスを浸してもよい
。創傷または内在デバイスを浸すためには、活性物質は1μg/mlから10m
g/mlの濃度であるのが好ましい。 ワクチン組成物を便宜的に注射可能な形態にする。慣用的なアジュバントを用
いて免疫反応を高めてもよい。ワクチン化に適した単位投与量は、抗原0.5〜
5μg/kgであり、このような投与量は1〜3週間隔で1〜3回投与するのが
好ましい。本発明化合物については、指示した投与量範囲では、適切な個体への
投与を妨げるような不利な毒性効果は観察されない。 本明細書に開示した各文献を、参照によりその全体が本明細書に記載されてい
るものとみなす。本願が優先権を主張しているいずれの特許出願も、参照により
その全体が本明細書に記載されているものとみなす。
【0075】 実施例 本発明をさらに、下記の実施例を用いて説明する。実施例は、詳細な具体例を
参照することにより単に本発明を説明するに提供されるものである。かかる具体
例は本発明の特定の態様を説明しているが、開示する発明の範囲を制限また限定
するものではない。 すべての実施例は、標準的な技法、当業者に公知であり慣例の方法を用いて実
施される。ただし、詳細に記載される場合は例外とする。下記の実施例の慣例の
分子生物学的技法は標準の実験マニュアル、例えばSambrook ら、 MOLECULAR CLO
NING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に記載のように実行することができる。. 特記しない限り、下記の実施例に示したすべての部または量は、重量である。
【0076】 特記しない限り、フラグメントのサイズ単離は、Sambrookら、 MOLECULAR CLON
ING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor, N.Y.(1989)およびその他多数の文献、例えばGoeddel ら、N
ucleic Acids Res. 8: 4057 (1980)に記載のアガロースおよびポリアクリルアミ
ドゲルの電気泳動(PAGE)の標準的な技法を用いて実施された。
【0077】 実施例1 ランダムなプライマーを用いたPCR この方法は、ゲノムライブラリーのプローブとは別に部分的遺伝子フラグメン
トから別の配列データを入手するための方法を記載する。 エス・アウレウスのゲノムライブラリーのランダム配列決定を行い、つづいて
、ビー・サチリスP−蛋白配列で配列の相同性の検索を行い、324塩基対(こ
こでは“bp”と示す)フラグメントを同定した。ビー・サチリス蛋白このフラ
グメントの始めの193個のヌクレオチドは、ビー・サチリス P−蛋白および
他の原核生物のRnaseP蛋白のC−末端ハーフに対して有意な相同性を示し
た。推定エス・アウレウス RNaseP蛋白のN−末端ドメインは、推定上消
失した。 推定エス・アウレウスRNase P蛋白配列はビー・スブチリスに対して5
8.7%の類似性、34.9%の同一性(図2のRNase P蛋白配列の配置
を参照)を示した。 公知の配列に相補的な位置1―39およぶ194−215(下記参照、表2)
にある2つの愛顧となる逆方向プライマー、ならびにランダムな六量体プライマ
ー(Gibco)と比較した2つの異なった再生プライマーを用いた新規な二段階P
CRを、エス・アウレウスspp遺伝子の完全な5’末端配列を得るために用い
たHindIIIまたはPstIで部分的に消化した。エス・アウレウスゲノム
DNAは、鋳型として供したプライマー#1(位置194−215)は、終止コド
ンTAAのすぐ下流をアニールし、プライマー#2は(位置15−39)は、公
知の配列(表2参照)の末端の近くをアニ-ルした。
【0078】 表2 プライマー部位
【表1】
【0079】 第一工程において、蛋白のC−末端をコードし、鎖および不明なN−末端の上流
にある逆方向鎖をプライマ#1を用いて増幅し、図9に示すような一本鎖生成物
を得た。所望の配列をこの増幅に付し、ランダムプライマーを次の工程にてその
配列への結合を有利にした。 第二工程において、32P−末端−標識されたプライマー#2およびランダムな
六量体を加え、アニール温度を25℃に落とし、ショートランダムプライマーを
DNAにアニールさせた。
【0080】 PCRにより多くの異なるフラグメントの生成が期待されるが、主要な生成物は
プライマー#2およびランダムプライマー(下記参照)によりプライムされたも
のでなければならない。かかる生成物のみが、蛋白のN−末端ハーフをコードす
べき物として重要であり、またそれらは標識されるため、それらをモニターする
ことができる。ゲル電気泳動によりPCR産物を分離し、フィルムに暴露した後
、限定数の標識したバンドを、放射能写真上で観測することができる。この方法
は、図10に示されている。かかるフラグメントは、その後、適当なベクター、
例えばpUC19にクローンされ、慣例の方法を用いて配列決定される。
【0081】 実施例2 ランダムプライマーを用いたspp5’ドメインのPCR spp遺伝子の5’ハーフを、本明細書中に記載の通り2工程のPCR反応に
より増幅した。PCR生成物を、QIAクイックPCR精製カラムを用いて浄化
し、水50μl中に回収した。サンプルを、SpeedVacSC110(Sa
vant)中減圧下で最終体積が25μlになるように濃縮した。20μlを7
Mの尿素を含む1.6mm、8%ポリアシルアミドゲル上に負荷し、ゲル電気泳
動により分析した。DNAを可視化するために、このゲルを臭化エチジウム(水
中1μg/ml)で着色して写真を撮影した。次いで、ゲルを乾燥させフィルム
に曝した。 臭化エチジウム染色ゲルだけでなく、放射能写真上にも数個の特定された可視
バンドが観測された。それらは50bpから2000bpを越える大きさにあり
、あるバンドは他のバンドよりも強度が大きかった。最も重要な結合は、50b
p、150bp、400bpおよび800bpの大きさである。
【0082】 実施例3 PCRフラグメントのショットガンクローンニング:PCRフラグメ
ントのクローニングおよび配列決定 PCRフラグメントをSmaIカットpUC19Tに平滑末端クローン処理に
付した。1.0μlおよび1.5μlのPCR生成物と100ngのベクターD
NAを16℃で一晩連結した。イー・コリXL1青色細胞(α−補足)をエレク
トロポレーションにより形質転換させ、IPTGおよびx−ガル(青色/白色ス
クリーニング)を含む選択的プレートに置いた。 かかる細胞の形質転換によりPCR生成物の存在下約8.5%白色コロニーを
得た。これに対して、挿入していない対照連結体では、4.6%の白色コロニー
が観測できた。白色コロニーは、IacZ’遺伝子中において読み取り枠が破壊
したためβ−ガラクトシダーゼホロ酵素を形成する能力を喪失しており、もはや
x−ガルを開裂することができなかった。読み取り枠は、挿入により破壊される
か(PCR生成物の存在下)または制限酵素の調製物のエクソヌクレアーゼ活性に
より破壊され、末端ヌクレオチドを開裂させてベクターのSmaI部位を破壊し
、その結果連結後に枠シフトが起こる。 18個の白色コロニーを取り出し、2ml培養体となるまで培養してプラスミ
ドを得た。個々のプラスミドのサンプルをAccI制限エンドヌクレアーゼ(マ
ルチクローニング部位に切断)で直線にし、元のpUC19と一緒にに沿って1
%TAEアガロースゲル上を泳動させた。
【0083】 その結果、7個のプラスミドが制限消化後にショートフラグメントを放出する
ことがわかった。pUC19にはわずか一つのAccI部位しかないため、かか
る組換えプラスミドは、この酵素のための制限部位を有する挿入体を含まなけれ
ばならない。3個のプラスミドはpUC19より大きいが、フラグメントを放出
しなかった。他の8個のプラスミドはpUC19と同サイズであり挿入体は含ま
たいようであった。 挿入体を含む10個のプラスミドを、順および逆方向pUC/M13シーケン
シングプライマーの両方を用いて配列決定した。 AccI消化の後にフラグメントを放出する6個のプラスミド中5個は、プラ
イマー#2配列で開始する213bp挿入体および既知の14bpを、つづいて
すべてのポラスミドに共通の174ヌクレオチドの配列を有した(配列1、表3
)。6個中の1個のプラスミドにおいて、挿入体(配列2、表3)は微妙に異な
っており:始めの137ヌクレオチドは配列1(点線部)と共通するが、挿入し
た配列はこの部分を超えて伸びており、配列1とは逸脱した(表3を参照)。
【0084】 表3 配列1、2および3の増幅生成物
【表2】
【0085】 プライマー#2配列を太字で、また既知の14個の塩基を下線を付して示す(
既知配列と比べて3個の変化をイタリック体で示す)。 配列1および2の予測される翻訳生成物は、ビー・サチリス P−蛋白と有意
な相同性を示し、かかる挿入体はspp遺伝子の5’ドメインの全配列情報を含
有することを示した。 2個のプラスミドにおいて、spp遺伝子の3’ハーフがプライマー#1の配
列で始まる挿入体の後にあった(配列3、表3)。この配列はすでに公知である
が、エス・アウレウスライブラリーのランダムな配列決定により得られた最初の
配列データと比較して新規な配列は9個の塩基変化(太字で示す)を示した。 2個のプラスミドは、PCRの間に非特異なプライミングの結果である異なっ
た配列を有する挿入体を含んでいた。
【0086】 実施例4 配列データの分析 新たに得られた配列データを一緒に描写し、spp構造遺伝子の完全な配列を
予測して示した。読み取り枠を3’ドメインの部分配列から決定した。この読み
取り枠により開始コドンATGはプライマ−#2配列の174bp上流であると
同定された(上記参照)。この遺伝子の全長は、354bpである。 spp遺伝子のヌクレオチド配列を表1[配列番号:2]に示す;開始コドン
(ATG)および終止コドン(TAA)はいずれも太字で示す。spp遺伝子の
推定翻訳生成物(SP蛋白)は117アミノ酸であり、それも表1[配列番号:
2]に示す。 翻訳された配列を、5個の異なったプロカリオート(prokaryote)からのRN
aseP蛋白の公知のアミノ酸配列と共に配置した。かかる配置は図2に示され
ている。エス・アウレウスSP蛋白配列は、ビー・サチリスP−蛋白配列によく
対合し、ビー・サチリス蛋白と有意な相同性を有する。
【0087】 実施例5 spp遺伝子のPCR 新規に得られた配列データは、全長spp構造遺伝子を増幅するためのPCR
プライマーを、デザインするために用いられた。 このPCRによって、分光学的測定で測定されるように全DNA収量が2μg
の約360bpの単一バンドであることがわかった。該DNAフラグメントはQ
IAクイックPCR精製カラムを用いて浄化され、80μlの水中で回収された
【0088】 実施例6 sppのpMalc2へのクローニング pMalc2ベクターは、クローン遺伝子から生成された蛋白の発現および精
製方法を提供する(New England BioLabs)(Guan, C., Li, P., Riggs, P.D. およ
び Inouye, H. (1987) Gene 67, 21-30; Maina, C.V. ら、 (1988) Gene 74, 365
-373: Riggs, P. in Ausubel, F.M. ら、 (eds) Current prot. in Molecular Bi
ol. (1992): Kellerman および Ferenci (1982) Methods in Enzymol. 90, 459-
463; Yanisch-Perron, C. ら (1985) Gene 33, 103-119; Zagursky, R.J. and B
erman, M.L. (1984) Gene 27, 183-191, regarding the vector and its usesも
参照)。 クローン遺伝子を、マルトース−結合−蛋白(MBP)をコードするイー・コ
リのmalE遺伝子から下流に挿入し、MBP融合蛋白の発現が得られた。該方
法は、lacリプレッサーの制御下、ストロングな”tac”プロモーターを使
用し、マルトースに対するMBPのアフィニティーを用いて融合蛋白の一工程の
精製を用いる。目的の遺伝子の目的の為にmalEおよびlacZa間にある独
特な制限部位を利用し、形質転換体を青色/白色のスクリーニングに付す。ベク
ターもまた、ちょうどポリリンカーの丁度5’の位置に特異的な因子Xaプロテ
アーゼを認識する部位を含んでいる。これにより遺伝子がXmnI部位にクロー
ンされた場合、目的の蛋白に付着した残基にベクター誘導のざんきを残すことな
く、精製後にMBPが切断させるようになる。
【0089】 実施例7 sppPCR生成物のpMalc2への連結 1μgの蛋白融合ベクターpMalc2をXmnIおよびBamHI制限エン
ドヌクレアーゼで切断し、spp構造遺伝子を直接クローンニングすることを可
能にした。小さな15bp挿入体を除去するために、QIAクイックPCR精製
カラムを用いて消化物を浄化し、DNAを90μLの水中に回収した。サンプル
をアガロースゲル電気泳動を用いて分析し、ベクターの完全な消化を確認した。
37℃で30分間両方の酵素と一緒にインキュベーションした後、ベクターは完
全に切断された。 sppPCR生成物はBamHIで消化され、QIAクイックPCR精製カラ
ムを用いて浄化した。 ベクターおよび挿入体を20μl反応物中16℃で一晩連結した。挿入部位に
対するベクターのモル比率は、1:5であった。エレクトロポレーション用のD
NAを調製するために、QIAクイックヌクレオチド除去カラムを用いて連結物
の脱塩を行った。
【0090】 実施例8 イー・コリXL−1青色細胞の形質転換 40μlの電気能力イー・コリXL−1青色細胞を2μlの脱塩された連結反
応物で形質転換させた。細胞をエレクトロポレーション後、1mlのSOC培地
に回収した。1:100の希釈体50μlをアンピシリン、IPTGおよびx−
ガルを含むLBプレート上に置き、37℃で一晩インキュベートした。11個の
白色および1個の青色コロニーを回収した。この11個の白色コロニーを増殖さ
せ、そのプラスミドをクローンから単離した。プラスミドを配列決定に付し、1
1個のプラスミドのうち6個が正しいspp挿入体を含むことを確認した。得ら
れたプスミドはpMalc2::sppを示し、融合蛋白はMBP−SPPを生
成した。
【0091】 実施例9 イー・コリXL−1青色pMalc2::sppにおける細胞増殖お
よび融合蛋白誘導 イー・コリXL−1青色pMalc2::sppの1リットルの培養基を37
℃、220rpmで増殖させ1mMのIPTGをA600が0.6になるまで加
えることによりMBP−SPP融合の発現を誘導した。誘導は2時間続けられた
。この間にわたって、A600をモニターし、細胞が誘導の間なおも増殖してい
ることを確認した。0.5、1.0、1.5および2時間後に1mlのサンプル
を倍容器から取り出し、細胞をペレットにし、そのペレットを100μlのSD
Sゲル負荷バッファーに再懸濁させた。3μlのサンプルをクーマシー染色を用
いたSDS−PAGEにより分析した。 該細胞は、融合蛋白の過剰発現に影響されることなく、増殖を続け、IPTG
誘導の2時間後A600が1.43に達した。 サンプルからの蛋白抽出物をSDS−PAGEで分離し、ウエスタントランス
ファーよるニトロ−セルロース膜に移した。MBP−SPP融合蛋白は、その膜
を抗−MBPウサギ血清およびHRP−結合した抗−ウサギ抗体ト一緒にインキ
ュベートし、続いてECL検出を行うことで免疫−検出を行うことができた。ウ
エスタンブロット(Western Blot)は2個の蛋白が、IPTGの付
加後に誘導されたことを示した。主要な蛋白は、略56kDの推定の大きさであ
り、少量に生産された第2の蛋白は10−15kD以上であった。 spp配列の分析は、イー・コリ中では稀なAUA(ile)およびAGA(
arg)コドンの蓄積を示した。イー・コリ中のAGAの通常頻度は、0.27
%、AUAの頻度は0.51%である。spp配列は4.3%のAGAと5.1
%のAUAとからなる。かかるコドンは、レアなコドンが高い存在量で存在する
蛋白を過剰に発現した場合、枠シフトおよび他の改変翻訳事象を引き起こす下も
知れない。 プラスミドpRI952から由来のArgU tRNA(tRNAUCU)お
よびIleX tRNA(tRNAUAU)を構造的に発現するもう一つのイー
・コリ株を入手した。
【0092】 実施例10 イー・コリW3110 pRI952の形質転換 50μlの電気能力イー・コリW3110 pRI952細胞を2μlの脱塩
した連結反応体と形質転換した。細胞を、エレクトロポーテーション後、1ml
SOC培地中で回収した。100μlの培地をIPTGおよびx−ガルを含む選
択的LBプレート(アンピリン、cam)上に置き、37℃で一晩インキュベー
トした。過剰なコロニーがプレート上で増殖し、計数できなかった。5個の白色
コロニーを選択し、そのプラスミドを単離した。プラスミドの配列決定により、
すべてが正確なspp挿入物を有することがわかった。
【0093】 実施例11 細胞増殖およびイー・コリW3110 pRI952 pMalc
2::sppの融合蛋白誘導 細胞を増殖させ、融合蛋白の発現を上記のように誘導した。細胞はA600
0.6ないし1.45の誘導期間中増殖しつづけた。IPTG付加後0.0、0
.5、1.5および2.5時間で培養基からサンプルを採り、蛋白抽出物をクー
マシー染色体を用いたSDS−PAGEならびに免疫検出(immunodection)を用
いたウエスタン移動法によって分析した。レア−tRNAs IleXおよびA
rgUの過剰発現により、抗−MBP血清により検出されるようなIPTG誘導
の間に過剰発現するわずか一のMBP−SPP融合蛋白だけが得られた。
【0094】 実施例12 アフィニティークロマトグラフィーによりMBP−SPP融合蛋白
の精製 最適誘導につづいて、細胞(イー・コリW3110pRI952 pMalc
2::spp)を収穫し、凍結−解凍サイクルに付した後に音波処理に供し、公
知の技法を用いて細胞壁を弱化することにより破壊した。細胞片を遠心分離によ
り除去し、粗抽出物の蛋白濃度をBIO−RAD蛋白アッセイを用いて決定した
。粗抽出物のタンパク質の総量は86mgであった。粗抽出物のサンプルを、融
合蛋白が音波処理中に細胞から放出したことを示すクーマシー染色を用いたSD
S−PAGEを用いて分析した。 ついで粗抽出物を、アミロース樹脂カラムに通し、ポンプを用いて、それにM
BP−SPP融合体を結合させ、結合していない蛋白をカラムバッファーで十分
に洗浄してカラムから除去した。次いで、本明細書に記載の方法を用いて、10
mMマルトースを補充したカラムバッファーで融合蛋白を溶出した。溶出液を3
mlづつのフラクションとして収集した。サンプルを精製工程中に取り出し、ク
ーマシー染色を用いたSDS−PAGEで分析した。ほとんどすべての融合蛋白
がアミロース樹脂と結合し、ほんのわずかな量のみが流れ経路中にあることが見
られ、非融合蛋白はカラムから洗い出された。フラクション4−11は適当な量
の蛋白を含んでおり、それをプールし、1m/ml濃度の25ml蛋白溶液を得
た。
【0095】 実施例13 融合蛋白の因子Xa開裂およびMBPおよびSPPの分離 500μgの因子Xaプロテアーゼを溶液に加え、融合蛋白を一晩かけて4℃
で開裂した。因子Xaのインキュベーションの前後にSDS−PAGEを用いて
サンプルを分析し、完全な開裂をモニターした。15時間後、ほとんどすべての
融合蛋白が開裂し、42kDMBPおよび約14kDのSPPを得た。 SP蛋白は因子Xaの開裂で容易に沈澱し、遠心分離にかけてMBPより分離
した。SPPペレットを3回洗浄し、次いで5mlのカラムバッファーに再懸濁
した。MBPは溶液中に残存して上清に見られるが、ペレットは主にSP蛋白か
らなり、ある少量の汚染蛋白を含有し、SPPの適当な純調製物が得られた。S
PPの総収量は2.18mg/リットル培養基であった。SPP調製物を、最終
濃度が0.32mg/mlになるまでカラムバッファーで希釈した。1mM D
TTを加えて、システイン残渣間の分子内部のジスルフィド結合形成を阻害した
。7M尿素の添加により変性し、蛋白が再び完全に溶解したのは明らかであった
。蛋白をアリコートし、スナップ−凍結させて−80℃で保存した。
【0096】 実施例14 SP RNAのインビトロ転写 SP RNAをT7 RNAポリメラーゼを用いてプラスミドpSPRからイ
ンビトロにて転写した。pSPRはT7プロモーターの後方にエス・アウレウス
spr遺伝子を有するpUC19誘導体である。プラスミドを、BamHI制限
エンドヌクレアーゼで直線状にし、転写が可能になった。Ambion MEG
AscriptTMT7キッドはSPRNAの大規模な転写に用いられた。転写
反応を30℃で実行し、合成の間RNAが正確な構造にゆっくりと折りたためる
ようにした。該RNAは、非−変性条件下においてCLONTECH Chro
ma−Spin 30カラムを用いて洗浄し、RNAを40μlの水中に回収し
た。転写物の性質を7Mの尿素を含む5%ポリアクリルアミドTBEゲル上をゲ
ル電気泳動させてモニターした。RNAをTLCプレート上のUV−シャドーイ
ングによって可視化した。 pSPRからのSPRNAのインビトロ転写により、予想される大きさの40
1ヌクレオチドからなる単RNA生成物を得た。RNAの総収量は140μgで
あった(分光光度計により決定する)。浄化した後、RNAを40μlの水中に
回収し、29μMの溶液とし、それを−20℃で保存した。
【0097】 実施例15 [α−32P] UTPを組み入れたイー・コリptRNAmet のインビトロ転写 RNase P用の基質であるイーコリptRNAmetを、[α−32P]
UTPの存在下、T7RNAポリメラーゼ(エピセンター(Epicenter
))によりインビトロで転写し、RNAを内部標識した。DNA鋳型pGem3
Z−ptRNAをBstN制限エンドヌクレアーゼで直線状しして転写させた。
20μlの反応物中37℃で60分間該転写を行った。組み込まれていないヌク
レオチドを除去するため、93nt RNA(下記に示す配列)を非−変性条件
下でCLONTECH Chroma−Spin 10カラムを用いて浄化した
。RNAプローブの比活性を計算するため、1μlのサンプルを浄化の前後に取
り出し、5mlのシンチレーションカクテルと混合し、シンチレーション計数器
で測定した。 pGem−3Z中ptRNAmet、転写物の配列(93量体) 5’→3’ [配列番号:12]: GGGCG AAUUC GCCUC GGCUA CGUAG CUCAG UUGGU UAGAG CACAU CACUC AUAAU GAUGG
GGUCA CAGGU UCGAA UCCCG UCGUA GCCAC CAG ptRNAmetの転写により2μM(6ng/μl)溶液を得た。64.3
%のヌクレオチドを転写物中に組み込み、その比活性は2.17110cp
m/μgであった。
【0098】 実施例16 p6AT−1の5’末端標識 化学的に合成された42ntRNA分子p6AT−1を、バクテリオファージ
T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、高比活性[γ−32P]ATP (6
000μCi/μl)で5’−末端標識した。標識は、37℃で30分間10μ
lの反応物中で行った。該酵素を95℃で2時間、熱−不活性化した。塩、組み
込まれていないヌクレオチドおよび酵素を除去するため、p6AT−1を、7M
尿素を含む20%ポリアクリルアミドTBEゲルからゲル精製した。RNAをゲ
ルスライスから抽出し、300mMNaOAcおよび2.5倍容量の100%エ
タノールを用いて沈澱させた。14000g、4℃でスピンした後、RNAペレ
ットを冷却した70%エタノールで2回洗浄した。ペレットを風乾させ、つづい
て50μlの水で再懸濁した。0.5μlを濾紙にスポットし、シンチレーショ
ン計数器で計測した(Cherenkov 分析)。 末端標識は、640,000 cpm/μlの活性を有するp6AT−1調製
物が得られたことを示した。
【0099】 実施例17 SP RNA反応のための最適バッファー条件の決定 イー・コリM1 RNAは、100mM NH4Cl、100mM トリスC
l pH7.5、100mMMgCl中でptRNAmetまたは最小基質p
6AT−1を開裂することができる。エス・アウレウス SP RNAによるい
ずれの基質の開裂の条件も不明であり、イー・コリに最適な条件より逸脱するこ
とは明らかである。エス・アウレウスリボザイムによる基質開裂に対する最適な
バッファー条件を決定するために多数の異なるバッファー条件を調査した。 ホロ酵素反応における100nM SP RNAおよびさらに200nMのS
P蛋白との開裂反応(20μl)を用いて、37℃で30分間行った。基質(p
tRNAmetまたはp6AT−1)を微量加えた(シングル−ターンオーバー
反応)。 無傷の善久体をサイズ分割に付し、開裂したリーダー配列を変性ゲル電気泳動
またはリン光画像装置を用いて、可視化することにより開列をモニター観察した
(Molecular Dynamics Storm 860)。
【0100】 実施例18 p6AT−1開裂におけるKCl対NHClの効果 すべての実験を、100mM TrisCl pH7.5、100mM M
gClおよび1Mまたは2M 一価の塩(KClまたはNHCl)で実行し
た。 1M KClまたはNHClで検出できる開裂生成物は、ほとんど存在しな
かった。2Mの一価の塩が用いられた場合に開裂が起こった。塩化カリウムは、
塩化アンモニウムより良い結果を提供した。
【0101】 次のセクションに記載のさらなるパラメーターが最適となる一価のエンの濃度
の最適条件を調べた。 実施例19 100mM MgCl、2M KClおよび100mM TrisCl(
pHが7.0、7.5および8.0)を含むバッファーを用いてSP RNAに
よるp6AT−1の開列を促進する能力について試験した。 基質は3つすべてのバッファーで開裂されたが、pH7.0では開裂は非常に
少なく、pH8.0が最適であった。
【0102】 実施例20 p6AT−1開裂に対するPEG8000の影響 ポリエチレングリコールの添加によって、イー・コリM1 RNAによる基質
の開裂が改善された。本明細書において、SP RNAによるp6AT−1開裂
に対する異なったPEG8000の濃度の効果を測定した。1%、2.5%およ
いの5%PEGを1M KCl、100mM TrisCl(pH8)、10
0mM MgClを含む反応物に加えた。 基質の開裂能はPEG濃度を高めることで改善され、それゆえ5%PEGが次
の反応使用すべきものとして選択された。
【0103】 実施例21 p6AT−1処理のためのMgClの要件 MgCl濃度を100mMから10mMまで連続的に低下させ、SP RN
Aが基質を処理することができる最低マグネシウムイオン濃度を決定した。10
0mM、50mM、25mMおよび10mMのMgClを2M KCl、10
0mM TrisCl(pH8)および5% PEGを含むバッファー中で試
験した。 100mM MgClで開裂した。しかしながら、SP RNAは50mM
で、25mM MgClでもある程度はp6AT−1を処理することができた
。10mM MgClでは開列を観察できなかった。
【0104】 実施例22 p6AT−1開裂のためのKClの要件の決定 KCl濃度を、100mM TrisCl(pH8)、 100mM Mg
Clおよび5% PEG中で40mMから1.5Mまで連続的に増加させた。 400mM以下のKCl濃度では開裂は見られなかった。400mM KCl p6AT−1 での処理は非常乏しいが、塩の濃度と共に増加して1.5Kc
lで27%の最大値に達した。これは、20分後に35%の基質が開裂した、イ
ー・コリM1 RNAによるp6AT−1開裂に匹敵した。SP RNAによる
p6AT−1の開裂の最適バッファー条件は、1.5M KCl、100mM
TrisCl pH8、100mM MgCl2、5% PEGであった。
【0105】 実施例23 SP RNAによるptRNAmet開裂のためのKCl要件 ptRNAmetは、上記と同様のバッファー条件下で開裂された。ptRN
metは、p6AT−1より良い基質であった。p6AT−1と比較して、p
tRNAmetはKCl濃度が400mM以下であっても処理することができた
。ある程度の開裂は、20MM KClで検出できたが、これらの条件下ではp
6AT−1の開列は観察されなっかった。開裂率はKClの濃度により上昇した
。50%以上の基質が150mM KClで処理され、800mM KClで8
2%に到達した。1Mまたはそれ以上の濃度で85%のptRNAは開裂され、
さらなる増加は検出できなかった;これは15%の基質が開裂できなかったこと
を意味する。正対照であるイー・コリM1 RNAは、20分以内に100mM
Tris.Cl pH7.5、100mM NHCl、100mM MgC
中の基質の80%を開裂した。SPRNAによるptRNAmet開裂の最
適なバッファー条件は、1M KCl, 100mM TrisCl pH8
、100mM MgCl、5% PEGであった。
【0106】 実施例24 エス・アウレウス Rnase P ホロ酵素反応:ホロ酵素によ
るp6AT 1開裂の最適バッファー条件の決定 p6AT 1のエス・アウレウス RNase P ホロ酵素開裂は、低いマ
グネシウム濃度において、異なるKClの濃度の範囲にわたって調査された。全
ての反応は、100mM TrisCl pH8、10mM MgCl、5
% PEGおよび40mMないし1.5MのKCl中で行われた。40mM K
Clにおいて、開列はすでに観測することができた。一価の塩の濃度と共に開裂
の割合は増加して、150mMにてピークを迎え、そのとき基質の50%が処理
された。より高いKCl濃度において、開裂割合は再度減少し、600mMのK
Cl濃度およびそれ以上の濃度においてp6AT−1の処理は行われなかった。
イー・コリのホロ酵素対照は、100mM Tris.Cl pH7.5、10
0mM NHCl、10mM MgCl中において20分以内にp6AT・
1の57%を開裂した。ホロ酵素によるp6AT−1開裂についての最適バッフ
ァーは、150mM KCl、100mM Tris.Cl pH 8.0、1
0mM MgClである。5% PEG 8000であった。p6AT−1は
、SP RNAに対するよりもホロ酵素に対してより良い基質であり、最適条件
下においてわずか27%のp6AT−1が開裂されたにすぎないがエス・アウレ
ウス RNase P ホロ酵素では50%が開裂された。
【0107】 実施例25 ホロ酵素によるptRNA開裂のためのMgClの要件 エス・アウレウス RNase P ホロ酵素は、p6AT・1の処理と同様
の条件下で、ptRNAmetを開裂することができなかった。ホロ酵素は、与
えられたいずれのKCl濃度であっても10mMのMgClで基質を開裂でき
なかった。マグネシウムイオンの濃度は20mMまで上昇し、ホロ酵素ならびに
SPRNAリボザイムをによるptRNA開裂異なるKCl濃度で試験した。バ
ッファーは、100mM TrisCl pH8、20mM MgCl、5
% PEGおよび10mM、50mM、150mM、600mMまたは1.5M
KClを含有した。 10mM MgClおよび低いKCl濃度におけるホロ酵素によるptRN
Aの開裂は、非常に乏しかった。20mM MgClおよび150mM KC
lにおいてホロ酵素はptRNAを非常によく処理し、基質の54%が20分間
のインキュベーション中に開裂した。600mM KClでは低い割合の基質の
処理が検出できたにすぎなかったが、1.5M KClでは良好な開裂が起こっ
た。SP RNA単独でも、かかる条件下でptRNAを開裂することができた
が、塩の濃度が低い場合にはptRNAを開裂できなかった。それゆえホロ酵素
によるptRNAmet開裂のための最適MgCl濃度は、20mMであった
【0108】 実施例26 最適KCl濃度の決定 エス・アウレウス RNase P ホロ酵素を20mMないし1.5Mの範
囲の異なるKCl濃度の下、ptRNAmetを開裂する能力について試験した
。バッファーは、100mM TrisCl pH8、20mM MgCl 5% PEG 8000およびxM KClを含有した。 ホロ酵素は20mMと同程度のKCl濃度ではptRNAを開裂できた。開裂
の割合は150mMをピークに上昇し、そこでは基質の55%が処理された。K
Cl濃度が200mM以上で開裂の割合は減少するが、1M KClで再び改善
され、1,5Mで最大に達する。塩の濃度が高い場合の開裂はホロ酵素活性によ
るものではなく、高いKCl濃度におけるSP RNAリボザイム活性によるも
のであった。 ptRNAmetは、エス・アウレウス RNase P ホロ酵素よりもS
PRNAのためのよりよい基質であった。ホロ酵素によるptRNAmet開裂
の最適バッファー条件は150mM KCl、100mM TrisCl p
H8、20mM MgCl2、5% PEGであった。
【0109】 実施例26 株選択、ライブラリーの生成および配列決定 配列番号:1に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドは、イー・コリ中のス
タヒロコッカス・アウレウスの染色体DNAのクローンのライブラリーから得ら
れた。重複するスタフィロコッカス・アウレウスのDNAを含有する2個または
それ以上のクローンから得た配列データは配列番号:1と類似したDNA配列を
構築するのに用いられた。ライブラリーは、慣例の方法:例えば下記する方法1
および2により調製した。 全細胞のDNAはスタフィロコッカス・アウレウス WCUH 29から、慣
例方法および両方法のいずれかによるサイズにしたがって単離された。
【0110】 方法1 標準的方法に従ってサイズ分画するために、全細胞DNAをニードルに通して機
械的に剪断する。11kbpまでの大きさのDNAフラグメントをエキソヌクレア
ーゼおよびDNAポリメラーゼで処理することによって末端切断し、EcoRIリ
ンカーを付加する。フラグメントを、EcoRIで切断したベクター、ラムダZ
apIIに連結し、標準的方法によりライブラリーをパッケージングし、次いで
パッケージングしたライブラリーでエシェリキア・コリを感染させる。ライブラ
リーを標準方法により増幅させる。
【0111】 方法2 全細胞DNAをライブラリーベクターにクローニングするための一連のフラグメ
ントを得るのに適当な1つの制限酵素(例えば、RsaI、PalI、AluI
、Bshl235I)またはその組み合わせで部分的に加水分解し、かかるフラ
グメントを標準的方法に従ってサイズ分画する。EcoRIリンカーをDNAに連
結し、次いでそのフラグメントをEcoRIで切断したベクター、ラムダZap
IIに連結し、標準的方法によりライブラリーをパッケージングし、パッケージ
ングしたライブラリーでエシェリキア・コリを感染させる。ライブラリーを標準
方法により増幅させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 公開されている配列情報に基づいたRNase P RNAの二
次的構造モデルを示す。
【図2】 文献に記載される他の蛋白成分と比較した本発明のスタフィロコ
ッカスRNase P 蛋白成分の配列を示す。
【図3】 ビー・サチリスから得たRNase P RNA成分の遺伝子を
コードするDNA配列と比較した、無傷の遺伝子をクローンするために用いたR
NA成分をコードする一連のRNase P遺伝子(配列番号:14)をコード
するスフィロコッカスDNAを示す。
【図4】 本発明のRNase PのPNA成分の推定二次的構造を示す。
【図5】 エス・アウレウスRNase Pの蛋白成分のアミノ酸配列およ
びそれをコードするDNAの配列を示す[配列番号:1および2]。
【図6】 薬物/RNAの相互作用を同定するための全細胞のレスキュー分
析の模式図を示す。
【図7】 RNA/蛋白の相互作用を混乱させる化合物を同定するためのス
クリーンの模式図を示す。
【図8】 最小RNase P基質の具体例を示す。
【図9】 RNase P遺伝子の第1の増幅工程における具体例の模式図
を示す。詳細な具体例の模式図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 1/00 A61P 9/00 4C084 9/00 11/00 4C085 11/00 13/00 13/00 17/00 17/00 19/02 19/02 27/02 27/02 31/04 31/04 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 9/22 5/10 C12Q 1/34 9/22 1/68 A C12Q 1/34 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 P G01N 33/15 Z 33/50 (C12N 9/22 C12R 1:445) //(C12N 9/22 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:445) 5/00 A (71)出願人 スミスクライン・ビーチャム・パブリッ ク・リミテッド・カンパニー SmithKline Beecham p.l.c. イギリス国ミドルセックス・ティーダブリ ュ8・9イーピー、ブレンフォード、ニュ ー・ホライズンズ・コート (72)発明者 ザビーネ・グート ドイツ連邦共和国デー−3626ヘリンゲン、 ジートルング10番 (72)発明者 ジョアン・ジェニングズ イギリス、ティエヌ12・0キュージー、ケ ント、ステープルハースト、ステーショ ン・ロード、シングルトン (72)発明者 キャサリン・ディ・プレスコット イギリス、シービー1・1イーエル、ケン ブリッジ、エデン・ストリート6番 (72)発明者 リサ・エイ・ヘッグ アメリカ合衆国19333ペンシルベニア州デ ボン、タングルウッド・レイン554番 (72)発明者 フ・リ アメリカ合衆国19426ペンシルベニア州カ レッジビル、イースト・フィフス・アベニ ュー74番、アパートメント・ジー−301 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 CB21 DA12 DA13 DA14 DA77 FB02 4B024 AA01 BA11 CA04 CA07 CA11 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 HA01 4B050 CC01 CC03 CC05 DD02 LL03 LL10 4B063 QA01 QA19 QQ01 QQ34 QQ42 QQ52 QR08 QR14 QR33 QR42 QR55 QR59 QR62 QR74 QR80 QS05 QS25 QS34 QS36 QX02 QX07 4B065 AA01X AA53Y AA57X AA87X AB01 BA02 CA31 CA44 CA46 4C084 AA17 MA01 NA14 ZA332 ZA362 ZA592 ZA662 ZA812 ZA892 ZA962 ZB352 4C085 AA03 AA13 AA14 BA13 CC32 EE01 GG01

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号:3の核酸配列を含むポリヌクレオチドに対
    して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド; (b)寄託株のスタフィロコッカス・アウレウス中に含まれるRNasePの
    RNA遺伝子により発現されるのと同じ触媒RNAを含むポリヌクレオチドに対
    して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド; (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオ
    チド;および (d)(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチドの少なくとも30個の
    連続した塩基を含むポリヌクレオチド からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 DNAである請求項1のポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 RNAである請求項1のポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 配列番号:3に示す核酸配列を含む請求項2のポリヌクレオ
    チド。
  5. 【請求項5】 請求項1のポリヌクレオチドを含むベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5のベクターを含む宿主細胞。
  7. 【請求項7】 上記DNAによりコードされたポリペプチドを請求項6の宿
    主から発現させることを特徴とするポリペプチドの製造方法。
  8. 【請求項8】 RNasePのRNAまたは触媒フラグメントの生産に十分
    な条件下で請求項6の宿主を培養することを特徴とする、RNasePのRNA
    または触媒フラグメントの製造方法。
  9. 【請求項9】 配列番号3の核酸配列に対して少なくとも90%同一である
    ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
  10. 【請求項10】 請求項9のポリヌクレオチドから転写されたRNAの活性
    または発現を阻害するアンタゴニスト。
  11. 【請求項11】 治療上有効量の請求項10のアンタゴニストを個体に投与
    することを特徴とする、RNasePのポリヌクレオチドを阻害する必要のある
    個体の治療方法。
  12. 【請求項12】 個体における請求項9のポリヌクレオチドの発現または活
    性に関連した疾病の診断方法であって、 (a)上記ポリヌクレオチドでコードされたRNA配列を決定すること、およ
    び/または (b)個体由来の試料中の該RNAの触媒作用、存在または量を分析すること
    を特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 請求項1のポリヌクレオチドと相互作用して、その活性を
    阻害または活性化する化合物の同定方法であって、 化合物とポリヌクレオチドとを相互作用させる条件下で、ポリヌクレオチドを
    含む組成物とスクリーニングべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価
    し(かかる相互作用はポリヌクレオチドと化合物との相互作用に応答した検出可
    能シグナルを提供しうる第2の成分に関連したものである)、 次いで、化合物とポリヌクレオチドとの相互作用により生じるシグナルの存在
    または不存在を検出することにより、化合物がポリヌクレオチドと相互作用して
    、その活性を活性化または阻害するかどうかを決定する ことを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 スタフィロコッカス・アウレスエ由来の単離されたRNa
    se P RNA。
  15. 【請求項15】 配列番号:3の配列のRNA成分をを含むRNase P
    ホモ酵素。
  16. 【請求項16】 配列番号:2の配列の蛋白成分および配列番号:3のDN
    AでコードされたRNA成分を含むRNase Pホロ酵素。
  17. 【請求項17】 請求項16の成分をコードする単離されたDNA。
  18. 【請求項18】 請求項17のDNAを個体または共同的発現する方法。
  19. 【請求項19】 DNAまたは配列番号:3またはこれからコードされたR
    NAを含むRNase Pの阻害剤を同定するためのスクリーン。
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