JP2002525042A - 胚幹細胞の増殖および/または誘導 - Google Patents

胚幹細胞の増殖および/または誘導

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Abstract

(57)【要約】 胚幹(ES)細胞を、ES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する化合物の存在下で培養する。ES細胞は、遺伝子的に改変されていない。それにもかかわらず、化合物は分化した細胞の増殖に必須であるシグナリング経路を阻害するが、ES細胞の増殖に必須ではない−したがって、ES細胞は培養物中に選択的に維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、胚幹(ES)細胞の増殖および/または誘導およびそのための組成
物に関する。
【0002】 幹細胞自己再生は、哺乳動物胚の発達中の増殖および多様化ならびに成体にお
ける組織修復およびホメオスタシスの基礎を支持する。しかし、幹細胞生物学に
おける研究は、インビトロで増殖され得る正常な非形質転換幹細胞が存在しない
ことによって妨げられている。この例外はマウスES細胞であり、これは、培地
にサイトカインレセプターgp130を活性化するリガンドが補充される場合、
多能性幹細胞として無限に培養され得る。これらの幹細胞は、初期胚に一時的に
のみ存在する。しかし、これらは本質的に腫瘍形成性であり、そして初期胚が異
所部位に移植される場合、幹細胞腫瘍である奇形癌を発生する。さらに、マウス
胚盤胞の外胚葉が培養物に外植される場合、不死胚幹(ES)細胞株が誘導され
得る。
【0003】 ES細胞の増殖は、サイトカインLIFの存在に依存的であり、このサイトカ
インLIFは、2つの関連するサイトカインレセプターであるgp130および
低親和性LIFレセプターであるLIF−Rを含むヘテロメリック複合体の活性
化によって未分化幹細胞の増殖を促進する。
【0004】 gp130を介するシグナル伝達は、JAKキナーゼ類の活性化に依存する。
このキナーゼは、サイトカインレセプターの膜近位のbox1/box2領域と
会合する非レセプターチロシンキナーゼの1つのクラスである。活性化されると
、JAK類は、gp130の細胞内ドメインにおいてチロシンをリン酸化し、S
rc−ホモロジー−2(SH2)ドメインを含むタンパク質に対する結合部位を
生成する。これらのタンパク質は、順番にリン酸化され得、その結果、種々のシ
グナリング分子を活性化する。これらのシグナリング分子としては、STAT(
シグナルトランスデューサーおよび転写のアクチベーター)1および3、チロシ
ンホスファターゼSHP−2、マイトジェン活性化プロテインキナーゼERK1
およびERK2、インスリンレセプター基質−1(IRS−1)、Grb2関連
ドッキングタンパク質(Gab1)、およびホスファチジルイノシトール(PI
)−3キナーゼ、ならびに非レセプターチロシンキナーゼhckおよびbtkが
挙げられる。これらの中でも、STATおよびMAPKシグナリング経路は、種
々の細胞タイプにおいてgp130を活性化するリガンドに対する生物学的応答
を媒介することに本質的な役割を果たすことが証明されている。
【0005】 STATは、レセプターへのリクルートメントの際にリン酸化され、ダイマー
化し、次いで標的遺伝子の転写を調節する細胞核にトランスロケートする潜在性
転写因子のファミリーである。発明者らは最近、STAT3の活性化が、ES細
胞の多能性表現型を維持するために必要とされることを示した。STAT3を係
合し得ないキメラgp130レセプターは、シグナリング自己再生ができなかっ
たが、変異体を妨害するSTAT3の過剰発現はES細胞を分化させた。しかし
、STAT3の構成的活性形態の不在下で、発明者らは、このレギュレーターが
単独で十分であるか、または他のシグナルもまた自己再生に必要とされるのかを
決定できなかった。
【0006】 gp130はまた、タンパク質チロシンホスファターゼと会合し得る。この広
く発現した酵素はまた、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)からのシグナル
伝達に関連しており、そしてERKシグナリングカスケードのポジティブエフェ
クターとみなされる。SHP−2ホスファターゼについての生物学的に関連する
基質は明確には同定されていないが、触媒的に不活性なSHP−2変異体の過剰
発現が、ERK経路のレセプターが介在した活性化を抑制し得ることは重要であ
る。gp130レセプター複合体へのリクルートメントはまた、SHP−2のチ
ロシンリン酸化を生じる。これらのホスホチロシンは、アダプタータンパク質G
rb2に対する結合部位として作用し得、これはSOSおよびRasとの相互作
用によって、ERK経路へのレセプターと潜在的にカップリングする。ERK1
およびERK2の刺激は、増殖因子に対する細胞の細胞分裂促進性応答を媒介す
ることに役割を果たすことが示されているが、この役割の正確な性質はまだ明確
にされていない。
【0007】 ES細胞の増殖を特異的に促進するある因子の存在下でES細胞の培養物を維
持することは知られており、そしてLIFはこのような1つの因子である。しか
し、これは、分化を全く抑制しないわけではない;そのため分化した細胞がやが
て過剰増殖になるこれらの培養物からの、ES細胞の持続的損失がある。したが
って、このような公知の因子中で増殖する場合、ES細胞の小さい分化速度さえ
も低下するという問題が残る。
【0008】 この技術分野でのさらなる問題は、培養物中で増殖し得るES細胞の範囲が、
他の種からES細胞を誘導するために努力しているにもかかわらず、ほんの2、
3のタイプ、主としてマウスES細胞のみに制限されることである。
【0009】 (i)ES細胞および(ii)ES細胞以外の細胞で区別して発現される選択
可能マーカーをES細胞に導入することも知られている。次いで、選択は、分化
した細胞を排除するために使用され得る。しかし、これはES細胞の遺伝子改変
を必要とする。
【0010】 本発明の目的は、ES細胞を得るおよび/または培養する代替方法を提供する
ことである。本発明の他の目的は、公知の培養物においてES細胞の分化の速度
を低下させることである。さらなる目的は、ES細胞の培養物の維持または誘導
のための培養培地成分を提供することである。
【0011】 本発明は、ES細胞の自己再生を選択的に促進するおよび/またはES細胞以
外の細胞の増殖または生存を阻害する、すなわち、分化した細胞に選択的に作用
する、化合物のクラスの発見に基づく。
【0012】 したがって、本発明は、胚幹(ES)細胞の培養方法を提供し、この方法は、
ES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する化合物の存在下でES
細胞を維持する工程を含む。
【0013】 本発明は、分化した細胞に作用しそして分化した細胞の選択的除去または殺傷
または増殖の遅延を可能にする化合物を使用する点で優れており、したがってE
S細胞の比較的純粋な培養物の保持を容易にする。これまで、公知のES増殖因
子、例えばLIFの使用により、かなり低レベルの分化したES細胞を生じた。
公知の因子および本発明の化合物の両方を使用して、このレベルは、本発明によ
ってさらに低下され得る。
【0014】 本発明の化合物の効果は、選択的であり、阻害効果が、ES細胞におけるより
も分化した細胞においてより大きい程度まで見られる。化合物はES細胞におけ
る阻害効果を実質的に有さないことが好ましい。
【0015】 好ましくは、化合物は、活性化されたまたは少なくとも維持された、すなわち
、阻害されない場合、ES細胞以外の細胞を増殖させるまたは増殖を可能にする
シグナリング経路を阻害する。このように、化合物は、もしあるなら、ES細胞
における効果と比較して、分化した細胞に対して効果的に選択的に毒性である。
分化した細胞は、死ぬかまたはその存在下で遅くなった増殖を有するかのいずれ
かである。阻害は、全体的または部分的であり得、そして経路に沿った種々の点
で生じ得、そして経路を阻害する効果を有するあらゆる化合物がインヒビターと
してみなされるべきである。シグナリング経路を参照することにより、内因性ま
たは外因性物質が細胞機能、例えば、細胞分割、細胞周期、代謝における直接的
効果を有する経路、ならびにレセプター媒介シグナリング経路によるような間接
的効果による経路を含むことが意図される。
【0016】 本発明のさらなる利点は、ES細胞の選択およびその培養物中での維持が、細
胞の遺伝子操作を必要とせずに達成されることである。これは、特にヒト由来の
ES細胞の誘導に関連する主要な利点を表す。そのかわりに、本発明の好ましい
実施態様では、ES細胞の選択および/または誘導は、シグナリング経路の発見
によって達成される。この経路は、ブロックまたは阻害され得、その活性化また
は維持は、分化した細胞の増殖に必須であるがES細胞の増殖には必須ではない
。「必須」とは、分化した細胞が少なくともひどいハンディキャップを受けるこ
とを意味し、例えば、その経路が阻害された場合、ひどく遅れた増殖となる、ま
たは他の基本的な機能が重大な不利な影響を受ける、ならびに経路が阻害される
場合細胞増殖が停止するまたは細胞が死ぬことを意味する。経路の阻害が、実際
に分化した細胞の死を生じないが、その代わりに、比較的増殖が遅く、培養物中
でES細胞が選択的に増殖をすれば、本発明において所望の効果が達成される。
好ましくは、分化した細胞は、ES細胞と比較して実質的に停止した増殖を有す
る。
【0017】 本発明の1つの実施態様では、化合物は、ras/MAPKカスケードの成分
の活性を阻害するかまたは低下させる。使用において、インヒビターは、非毒性
レベルで培養培地中に存在し、レセプター媒介経路を阻害するこの経路は、活性
化されたときには通常分化した細胞を増殖させるがES細胞の増殖に必要ではな
い。したがって、結果として、ES細胞の選択的増殖が得られる。
【0018】 本発明の特定の実施態様では、化合物は、1つ以上のマイトジェン活性化プロ
テインキナーゼ、例えば、ERK1およびERK2を阻害する。本発明のもう1
つの実施態様では、化合物は、類似の効果を有するSHP−2を、例えば、gp
130へのこの酵素の結合を阻害することによって阻害する。さらなる実施態様
では、このインヒビターはMEKを阻害する。
【0019】 以下の実施例に記載する、本発明の特定の実施態様では、MEKインヒビター
PD098059は、培養物中のES細胞を未分化状態のまま維持するために使
用される。本発明のさらなる特定の実施態様は、MEK−1およびMEK−2に
選択的であるマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼインヒビターU0
126である(Favataら、1998)。炭疽病致死因子もまた、PD09
8059と同様のMAPKK阻害プロファイルを示すことが見出されている(D
uesberyら、1999)。これらの種々の化合物は、単独でまたは組み合
わせてまたは他の因子とともに使用され得る。
【0020】 本発明のインヒビターは、分化した細胞における細胞周期を阻害して、それに
よって細胞増殖を抑制または遅延させ得る。本発明の特定のインヒビターは、M
EKを阻害し、そしてこの酵素の下流のサイクリンの誘導は、結果として中断さ
れる;したがって、細胞周期の種々の期が影響を受け、そして分化した細胞のS
期へのサイクリン依存性エントリーが阻害される。本発明の別の選択的増殖は、
ras/MAPKカスケードの成分のダウンレギュレーションによって達成され
得る。MKP−3は、MAPキナーゼホスファターゼおよびERKの公知のダウ
ンレギュレーターの一例であり、そして本発明の特定の実施例では、MKP−3
は、導入遺伝子(transgene)によってES細胞に導入されている。これは、任
意の2つ以上の本発明のインヒビターの組み合わせの使用によって得られるべき
ES細胞の選択的培養物に対するさらなる選択肢である。詳細には、ras/M
APKカスケードの成分およびSHP−2の両方とも、同時に阻害され得るが、
一般的にインヒビターのあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。
【0021】 「増殖(propagation)」および対応する用語は、ES細胞が娘細胞を形成し
て、ES細胞の総数が増加する、すなわち、ES細胞が生存しそして増加するこ
とを意味することを意図する。「増殖(proliferation)」およびその対応する
用語は、同じ意味を有することを意図する。「自己再生」およびその対応する用
語は、少なくとも1つの娘細胞が親と同一であることを意味することを意図する
【0022】 本発明の第2の局面によれば、ES細胞の増殖を促進する第1の化合物および
第1の化合物に対する細胞の応答を増強する第2の化合物の存在下でES細胞を
維持する工程を含む、ES細胞の培養方法が提供される。
【0023】 これは、増加したES細胞増殖が、所定量の第1の化合物に対して達成される
という利点を有する。この方法の例において、LIFは、当該技術分野で公知で
あるようにES細胞増殖を促進するために使用され、そしてある量の第2の化合
物は、LIFの効果を増加させる。第1の化合物は、好ましくは、細胞表面レセ
プターを介して作用しそして少なくとも1つのレセプターサブユニットを介して
その活性を発揮し、そして第2の化合物は、細胞内シグナリング経路を改変して
第1の化合物に対するES細胞の応答を増加させる。
【0024】 第2の化合物は、本発明の第1の局面によれば好ましくはインヒビターであり
得る。第2の化合物はまた、第1の化合物からのES細胞増殖誘導シグナルを伝
達する同じレセプターサブユニットに結合するかあるいは影響を与え得る。
【0025】 本発明の第3の局面は、以下の化合物: (a)ES細胞の増殖または生存を促進する化合物;および (b)ES細胞以外の細胞の増殖または生存を阻害する化合物; の存在下でES細胞を維持する工程を含む、ES細胞の培養方法を提供する。
【0026】 化合物(a)は、ES細胞増殖を促進する公知の化合物から選択され、特にL
IFであり、そして本発明の第1の局面の化合物から次に選択され得る化合物(
b)と組み合わせて使用され得る。
【0027】 本発明の好ましい実施態様では、化合物(a)および(b)の組み合わせは相
乗作用的である。したがって、ES細胞は、自己再生するES細胞の割合をとも
に増加させる2つの因子の存在下で維持され、そしてこの増加は、2つの化合物
を別々の培養物中で使用して組み合わせた自己再生の割合の増加よりも大きい。
【0028】 化合物(b)は、ES細胞以外の細胞の増殖に必須であるシグナリング経路を
適切に選択的に阻害し、化合物(a)によって媒介される残存するES細胞の増
殖と組み合わせて、分化した細胞の選択的死または増殖阻害に至る。本発明の第
2の局面の1つの実施態様では、化合物(b)は、本発明の第1の局面に関する
上記および下記の阻害化合物から選択され、そして好ましくは、ras/MAP
Kカスケードのインヒビターである。化合物(a)は、代表的には、未分化ES
細胞の増殖を促進する公知の化合物から選択され、例えば、ES細胞においてサ
イトカインレセプターgp130を活性化するサイトカインである。LIFは1
つの例である。もう1つは、IL−6とsIL−6Rとの組み合わせである。
【0029】 本発明は、さらに、第4の局面において、ES細胞の培養のための培養培地を
提供し、そしてこれはES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する
化合物を含む。
【0030】 第5の局面では、本発明は、ES細胞の増殖または生存を促進する第1の化合
物および第1の化合物に対するES細胞の応答を増強する第2の化合物を含む、
ES細胞の培養のための培地を提供する。
【0031】 第6の局面では、本発明は、ES細胞の培養のための培養培地を提供し、これ
は、(a)ES細胞の増殖または生存を促進する化合物、および(b)ES細胞
以外の細胞の増殖または生存を阻害する化合物を含む。
【0032】 本発明の培養培地は、好ましくは、本発明の第1から第3の局面に関して記載
したような成分によって特徴付けられ、そして好ましくは、従来の培養培地成分
をさらに含む。
【0033】 本発明は、さらに、本発明の第4から第6の局面のいずれかによる培養培地の
存在下でES細胞を培養する工程を含む、ES細胞の実質的に純粋な培養物を得
るおよび/または維持する方法を提供する。本発明は、ES細胞タイプに限定さ
れることなく適用され、そして脊椎動物細胞、特に、哺乳動物細胞、霊長類細胞
、齧歯類細胞、およびヒト細胞に適切に適用され得る。さらに詳細に以下に記載
される特定の実施態様では、マウス細胞が使用されている。「ES」細胞とは、
胚幹細胞、胚性癌腫細胞、胚生殖腺細胞、胚由来多能性幹細胞、および生殖腺由
来幹細胞を含むことを意図する。
【0034】 本発明のなおさらなる局面は、胚または胚様体から細胞を単離する工程、およ
びES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する化合物の存在下で細
胞の培養物を維持する工程を含む、ES細胞を誘導する方法を提供する。こうし
て得られた細胞は、次いで、ES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻
害する化合物またはさらなる化合物の存在下で維持され得る。以下に記載の特定
の実施態様では、この方法は、インビボで胚を発達させる工程、原始羊膜腔形成
の前に胚を採取する工程、および採取物から細胞を単離する工程を含み、そして
単離された細胞からES細胞を誘導する工程、あるいは、そこからES細胞を単
離する前に化合物の存在下でインビボで胚を培養する工程を含む。
【0035】 本発明のよりさらなる局面は、インビトロで胚を発達させる工程、胚の内部細
胞塊から細胞を単離する工程、およびES細胞以外の細胞の増殖または生存を選
択的に阻害する化合物の存在下で単離した細胞を維持する工程を含む、ES細胞
を誘導する方法を提供する。この方法は、化合物の存在下で培養前に原始内胚葉
を除去する工程を含み得る。
【0036】 ES細胞の誘導に関する本発明の上記2つの局面では、ES細胞以外の細胞の
増殖または生存を選択的に阻害する化合物は、酵素SHP−2の活性を阻害する
か、ras/MAPKカスケードを阻害するか、MEKを阻害するか、マイトジ
ェン活性化プロテインキナーゼを阻害するか、または非ES細胞のS期へのサイ
クリン依存性エントリーを阻害する化合物から選択される。したがって、本発明
のES細胞−選択メカニズムを介してES細胞を誘導する可能性が開かれ、これ
がこれまで可能ではなかった種々の種について初めてES細胞を誘導することが
できた。
【0037】 本発明の特定の実施態様では、ES細胞を、未分化胚芽細胞へ再導入するに際
し、生殖系を含む発育中の動物のすべての細胞タイプに寄与するような能力を保
持しながらインビトロで増殖した。したがって、これらの細胞は、幹細胞自己再
生の調節を研究するために扱いやすい実験系を示す。ES細胞増殖を調節する基
礎となるメカニズムの同定は、他の哺乳動物種からES細胞株を樹立するための
改善された方策を開発し、そして体性幹細胞の自己再生の理解に寄与し得る。
【0038】 分化した細胞においてgp130のリガンド媒介係合により、STAT3およ
びSHP−2シグナリング分子はリクルートメントおよびリン酸化する。内因性
gp130またはキメラGRgp(278)レセプターのいずれかによるES細
胞の刺激は、SHP−2のチロシンリン酸化を増加させた。この改変は、gp1
30のチロシン118がフェニルアラニンに変異した場合にブロックされ、この
単一のチロシンがSHP−2のリクルートメントに必須であることを確認した。
この欠損にもかかわらず、変異したレセプターは、ES細胞の自己再生を完全に
指示し得、活性化リガンドが低濃度であっても効果的であることを証明した。興
味深いことに、内因性SHP−2遺伝子の両方のコピーとも変異されているES
細胞は生存しており、そして自己再生を受ける。変異タンパク質がN末端SH2
ドメインの欠失を有するので、これらのES細胞がgp130と結合することが
知られている領域は、LIFに対する異なる応答性を示すことが期待され得る−
実際、細胞はインビトロで分化するための損なわれた能力を示した。
【0039】 ERK1およびERK2の活性化も、ES細胞におけるgp130の刺激に関
連するので、発明者らは、キメラレセプターによるこれらのMAPキナーゼの活
性化を検討した。ES細胞におけるgp130の刺激は、ERK1およびERK
2リン酸化の増加の引き金となったが、Y118Fキメラレセプターの係合の際
に、応答は検出され得なかった。さらに、MEKインヒビターPD098059
の阻害濃度でのES細胞の処理は、ES細胞の自己再生をブロックせず、むしろ
わずかに増強したようである。しかし、明らかに、LIFの不在下では、PD0
98059はES細胞の分化を抑制しなかった。これらの結果は、本発明に従っ
て、SHP−2またはShcのようなもう1つの経路のいずれかを介する、ER
K1およびERK2の活性化が、ES細胞の増殖を維持することに重要ではない
ことを証明する。ES細胞の選択的増殖を得るには、非ES細胞におけるこれら
の酵素の活性化が相対的に大きな重要性を有している。
【0040】 このgp130依存性ERK活性化が要求されないことは、ES細胞の準形質
転換された性質に関連し得る。分化した細胞におけるERKの樹立した機能は、
サイクリンDの誘導によって少なくとも一部、G1/Sによる移行を調節するこ
とである。しかし、ESは、非常に短いG1期を有し、そしてG1関連制御メカ
ニズムをほとんど有していないようである(Savatierら、1994;S
avatierら、1996)。さらに、ERKシグナリング依存性が低いこと
は、ES細胞が、血清、強力なマイトジェン、およびERK活性のインデューサ
ーの不在下で増殖し続けるという観察と一致する(JohanssonおよびW
iles、1995)。このように、本発明によるS期へのサイクリン依存性エ
ントリーの阻害は、ES細胞の選択的増殖および/または生存を可能にする。
【0041】 ES細胞のインビトロ分化は、G1サイクリン発現の誘導、長いG1期の樹立
、および細胞分割の速度の低下に関連する(Savatierら、1996)。
この移行は、おそらく、外胚葉細胞の初期の迅速な拡張後、原腸形成時に胚で正
常に生じる変化を反映する。興味深いことに、アフリカツメガエルまたはマウス
のいずれかの胚発達中のSHP−2活性の阻害は、中胚葉細胞株の形成における
欠損のため正常に原腸形成できないことに関連する。したがって、外胚葉細胞の
分化は、胚細胞が最初に正常な増殖制御メカニズムに役立つようになる点を示す
。重要なことに、これはまた、胚組織の外植した移植片が悪性奇形癌を形成する
能力を失う状態である。
【0042】 したがって、SHP−2/ERK活性化は、ES細胞増殖に必須ではない。発
明者らの結果は、チロシン118が、gp130レセプターの活性をダウンレギ
ュレートして、GRgp(Y118F)レセプターによって刺激された細胞にお
いて用量応答の劇的なシフトおよびSTAT3の延長した活性化を引き起こすこ
とを示唆する。最近まで、SHP−2は、最初に、シグナリングのポジティブエ
フェクターとして、あるいはsrcファミリーキナーゼのアダプタータンパク質
または潜在的アクチベーターのいずれかとみなされてきた。しかし、ネガティブ
調節機能は、SHP−1(エリスロポエチンレセプター機能のサプレッサー)と
の相同性、およびCTLA−4(T細胞レセプターのインヒビター)との相互作
用の両方によって示唆された。チロシン118の変異が、神経芽腫細胞および肝
癌細胞においてSTAT3シグナリングを増加させることが、最近報告されてい
る。STAT3応答性プロモーター構築物からの転写も、触媒的に不活性なSH
P−2タンパク質の過剰発現によって増加しており、このことはホスファターゼ
がこの効果のメディエーターであることを示した。この結論は、Y118Fレセ
プターおよびその関連のJAKキナーゼの両方の持続したリン酸化によって支持
された。しかし、触媒的に不活性なSHP−2タンパク質の過剰発現は、トラン
スフェクトしたES細胞における用量応答のわずかなシフトのみを生じ(TB、
CS未公表)、これは、SHP−2のホスファターゼ活性の損失が、GRgp(
Y118F)レセプターの増加した活性に全体的に寄与し得ないことを示す。
【0043】 ES細胞におけるgp130依存性SHP−2およびERK活性化が必須の機
能ではないことは、自己再生における傑出した役割をさらに強調する。しかし、
高濃度のG−CSFにおけるGRgp(Y118F)トランスファクタントの制
限された増殖は、過剰のシグナリングがES細胞増殖を妨害し得ることを示すの
で、興味深い。STAT3の過剰活性化は、この表現型に関連があるが、それは
Y118Fレセプターの刺激が、STAT3のチロシンリン酸化を持続させ、お
よび内因性STAT3標的遺伝子SOCS3の持続した活性化を生じるからであ
る。さらに、STAT3ドッキング部位のいくつかの組み合わせた変異誘発は、
Y118F置換の効果を抑制し得る。
【0044】 チロシン118のさらに下流のシグナルはまた、ES細胞の増殖および分化に
影響を与え得た。MEKインヒビターPD098059での処理で観察される自
己再生の増加は、ERK活性化がES細胞の増殖を損なうことを意味する。興味
深いことに、PC12細胞のgp130依存性調節および星状膠細胞分化の研究
は、MAPK経路の活性化が、STAT3を介して媒介されるシグナルと拮抗し
得ることを示唆している。両方の場合とも、低下したMAPK活性は、STAT
3依存性リポーター構築物からの転写を増強した。PD098059で処理した
ES細胞では、自己再生は、LIFの飽和レベルでさえ増強された。これは、本
発明のインヒビターの効果が、LIFによって刺激されるERK活性の阻害によ
るだけでなく、血清に存在する分化インデューサー、またはES細胞およびその
分化した子孫によって分泌されるものの作用をブロックすることによって生じ得
ることを示唆する。
【0045】 本発明を、ここで、図面によって示した特定の実施態様で説明する: 図1は、ES細胞におけるSHP−2のgp130依存性リン酸化を示す。
【0046】 図2は、ES細胞のgp130依存性自己再生および増殖におけるチロシン1
18の変異の効果を示す。
【0047】 図3は、ES細胞におけるERK1およびERK2のgp130依存性リン酸
化を示す。
【0048】 図4は、ES細胞自己再生およびERK活性化におけるMEKインヒビターP
D098059の効果を示す。
【0049】 図5は、ES細胞多能性におけるPD098059の効果を示す。
【0050】 図6は、gp130およびキメラGRgp130レセプターの刺激後の活性化
したSTAT3の衰退を示す。
【0051】 図7は、ES細胞におけるSOCS−3遺伝子発現のgp130依存性誘導を
示す。
【0052】 図8は、幹細胞分化におけるMEKインヒビターの効果を示す。
【0053】 より詳細には、図1は、ES細胞におけるSHP−2のgp130依存性リン
酸化を示す。GRgp(278)またはGRgp(Y118F)キメラレセプタ
ーのいずれかを発現するES細胞を、IL−6(100ng/ml+sIL−6
R)またはG−CSF(30ng/ml)で15分間誘導した。SHP−2タン
パク質を、未刺激または刺激した細胞のライセートから免疫沈降し、SDS−ポ
リアクリルアミドゲルで分画し、そしてニトロセルロースメンブランにトランス
ファーした。フィルターを、抗ホスホチロシン抗体(上のパネル)でプローブし
、剥がして、そして抗SHP−2抗体で再プローブした(下のパネル)。SHP
−2のチロシンリン酸化形態および2つの追加のタンパク質の位置を矢印で示す
【0054】 図2は、ES細胞のgp130依存性自己再生および増殖におけるチロシン1
18の変異の効果を示す。
【0055】 (A)G−CSFに応じてGRgp(278)およびGRgp(Y118F)
キメラレセプターによって媒介される幹細胞再生。Oct−4遺伝子座からのβ
ガラクトシダーゼ発現によって測定される自己再生を、G−CSF(300fg
〜30ng/ml)とともに培養し、6日後にアッセイした。2つの独立したク
ローンについてのデータを、IL−6(100ng/ml+sIL−6R)との
応答に関して標準化した3重の試料の2重測定について平均±s.e.m.で表
す。
【0056】 (B)300fg、30pg、および30ng/mlのG−CSFとの6日培
養後のGRgp(278)およびGRgp(Y118F)トランスファクタント
によって形成された、X−gal染色した代表的なコロニーの顕微鏡写真。
【0057】 (C)サイトカインなし、IL−6(100ng/ml+sIL−6R)、G
−CSF(30ng/ml)、またはIL−6(100ng/ml+sIL−6
R)およびG−CSF(30ng/ml)と6日間培養した後のGRgp(27
8)およびGRgp(Y118F)トランスファクタントによって形成された、
代表的なコロニーの顕微鏡写真。
【0058】 図3は、ES細胞におけるERK1およびERK2のgp130依存性リン酸
化を示す。GRgp(278)およびGRgp(Y118F)キメラレセプター
のいずれかを発現するES細胞を、処理しないか、あるいはIL−6(100n
g/ml+sIL−6R)またはG−CSF(30ng/ml)で10または2
0分間刺激するかのいずれかであった。細胞ライセートを、10%SDS−アク
リルアミドゲル上で分離し、ニトロセルロースメンブラン上にエレクトロブロッ
トし、そしてERKおよびSTAT3の活性リン酸化形態に特異的な抗体で連続
してプローブした。リン酸化および脱リン酸化ERKの両方に結合する抗体で、
剥がしたフィルターを再プローブすることによって、等価量のタンパク質を試料
中にロードしたことを確認した。
【0059】 図4は、ES細胞自己再生およびERK活性化における、MEKインヒビター
PD098059の効果を示す。
【0060】 (A)PD098059で処理したES細胞の自己再生。LIFの亜飽和レベ
ル(5U/ml)で増殖したD027ES細胞を、PD098059で5日間処
理し、そしてOct−4遺伝子座からのβ−ガラクトシダーゼ発現についてアッ
セイした。データを、LIFとの応答に関して標準化した3重の試料の2重測定
について平均±s.e.mで表す。
【0061】 (B)ERK活性化のPD098059依存性阻害。GRgp(278)でト
ランスフェクトしたD027細胞を、LIF(5U/ml)およびPD0980
59の亜飽和レベルで48時間培養した。次いで、細胞を、G−CSF(30n
g/ml)で10分間刺激し、試料緩衝液中で溶解し、そしてリン酸特異的抗E
RK抗体とのイムノブロッティングによってERK活性化について分析した。次
いで、このフィルターをリン酸化および脱リン酸化したERKの両方に結合する
抗体でプローブすることによって、等価量のタンパク質をすべての試料において
ロードしたことを確認した。
【0062】 (C)LIFに対するES細胞の用量応答におけるPD098059の効果。
25μM PD098059またはベヒクル(0.05%DMSO)中のLIF
に対するD027ES細胞の用量応答を、Oct−4遺伝子座からのβ−ガラク
トシダーゼ発現によって測定した。データを、LIF(111U/ml)+ベヒ
クルでの処理に対する細胞の最大応答に関して標準化した3重の試料の2重測定
について平均±s.e.mで表す。
【0063】 図5は、ES細胞多能性におけるPD098059の効果を示す。ZIN40 ES細胞を、25μM PD098059+5U/ml LIFで48時間処
理し、LIFを含む培地をさらに24時間再供給し、次いでC57BL/6胚盤
胞にマイクロインジェクションした。胚を、妊娠9.5日目に収集し、そしてβ
−ガラクトシダーゼ活性について染色した。代表的な胚をパネルに示す。
【0064】 図6は、gp130およびキメラGRgp130レセプターで刺激した後の活
性化STAT3の衰退を示す。GRgp(278)およびGRgp(Y118F
)ES細胞トランスファクタントを、IL−6(100ng/ml+sIL−6
R)またはG−CSF(30ng/ml)で25分間刺激し(0)、サイトカ
インを含まない培地を再供給し、そして試料を40分間隔で収集した。細胞ライ
セートのイムノブロットを、STAT3の活性リン酸化形態に特異的な抗体で、
次いでリン酸化および非リン酸化STAT3の両方を認識する抗体と連続してプ
ローブした。STAT3の活性化が、より遅く移動するSTAT3種の出現に関
連し、おそらくSTAT3のセリンリン酸化形態であることに留意すること。
【0065】 図7は、ES細胞におけるSOCS−3遺伝子発現のgp130依存性誘導を
示す。
【0066】 (A)未刺激(−)のあるいはLIF(L、100ユニット/ml)またはG
−CSF(G、30ng/ml)のいずれかで所定の時間(分)刺激した、GR
gp(278)、GRgp(Y126−275F)、およびGRgp(Y118
F)レセプターを発現するES細胞から調製したトータルRNA(10g)につ
いて、ノーザン分析を行った。約3kb SOCS−3 mRNAのハイブリダ
イゼーションおよび18S rRNAのエチジウムブロミド染色を、それぞれ上
および下の3つのパネルに示す。
【0067】 (B)パネルAに示すSOCS−3 mRNA発現の代表的な図。SOCS−
3 mRNAハイブリダイゼーションを、リン光分析(phosphorimage analysis
)によって定量し、そしてシグナルを、LIFでの刺激後90分に各細胞株で得
られるシグナルに関して標準化した。
【0068】 図8は、本発明のMEKインヒビターが凝集培養物において未分化ES細胞を
維持することを示す。
【0069】 (実施例1)材料および方法 細胞培養およびトランスフェクション ES細胞を、10%ウシ胎児血清、0.1mM 2−メルカプトエタノール、
およびLIFを含むGlasgow改変イーグル培地(GMEM)中で、フィー
ダーセルなしで維持した。D027細胞は、相同組換えによって不活性化したl
if遺伝子およびOct−4遺伝子座内に挿入されたIRES−βgeoリポー
ターの両方のコピーを有する。ZIN40細胞は、分化した細胞タイプで広く発
現される核局在化したβ−ガラクトシダーゼマーカー遺伝子を有する。トランス
フェクションは、2×10細胞を、Bio−Rad遺伝子パルサーを使用して
、0.4cmキュベット中で0.8kVおよび3μFで100μgの直線にした
プラスミドDNAとエレクトロポレートすることにより行った。安定にトランス
フェクトしたクローンを、20μg/mlゼオシン(Invitrogen)を
含む培地中で選択した。
【0070】プラスミド構築 ヒトG−CSFRの細胞外ドメインをトランスメンブランドメインおよび完全
な細胞質領域を含むマウスgp130のEcoRIフラグメントに融合すること
によって、GR/gp130キメラレセプターを生成した。チロシン118のフ
ェニルアラニン置換を、PCRオーバーラップ変異誘発によってgp130の細
胞内ドメインに導入した。PCR産物を、GRgp(278)キメラ中に置換し
、そして配列決定した。レセプターcDNAを発現ベクターpCAGIZ内に挿
入した。このベクターは、サイトメガロウイルスエンハンサー−ヒトβ−アクチ
ンプロモーター、レセプターcDNAの挿入のための部位、内部リボソームエン
トリー部位(IRES)、およびゼオシン耐性遺伝子からなる、二シストロン発
現カセットを含む。
【0071】自己再生アッセイ D027細胞におけるOct−4遺伝子座からのβ−ガラクトシダーゼの発現
を、ONPGアッセイで定量した。細胞を、24ウェルディッシュ中でウェルあ
たり5000でプレートし、そしてサイトカインの存在または不在下で6日間培
養した。細胞をPD098059で処理し、ウェルあたり2500でプレートし
、そしてインヒビターの添加前に通常の培養培地で一晩培養した。6日目に、細
胞をPBSで1回洗浄し、そして0.4mlの0.25M Tris pH 7
.5、0.5mM DTT、0.5% NP40で溶解した。ライセート(40
μl)を、マイクロタイタープレート中で100μlのONPG緩衝液(60m
M NaHPO、40mM NaHPO、10mM KCl、1mM
MgCl、50mM 2−メルカプトエタノール、1.2mM ONPG)と
混合し、37℃にて2〜4時間インキュベートし、そして420nmの吸光度を
読みとった。すべてのアッセイを3重で行った。
【0072】免疫沈降およびイムノブロッティング プレーティング(100mmディッシュあたり2〜3×10細胞)1日後の
ES細胞に、1%ウシ胎児血清を含みそしてサイトカインを含まない培地を再供
給した。翌日、細胞を、血清を含まない培地に移し、4時間後にIL−6(10
0ng/ml+可溶性レセプター)またはG−CSF(30ng/ml)で15
分間刺激した。次いで、細胞を、氷冷したPBSで1回洗浄し、そして掻き取っ
て1mlの氷冷した溶解緩衝液(150mM NaCl、10mM Tris・
HCl pH 7.4、0.5% NP40、1mM NaVO、1mM E
DTA、0.5mM PMSF)に入れた。澄明なライセートを、1μg抗SH
P−2抗体(Santa Cruz)と4℃にて1時間インキュベートし、次い
でプロテインAセファロースを加え、そしてインキュベーションを一晩続けた。
免疫沈降物を、2×SDS試料緩衝液中で溶解し、10%SDSポリアクリルア
ミドゲルでの電気泳動によって分画し、そしてニトロセルロース上にエレクトロ
ブロットした。ブロッキング緩衝液(25mM Tris−HCl pH 7.
4、2.7mM KCl、140mM NaCl、0.1% Tween20、
1% BSA)で一晩処理した後、メンブランを、抗ホスホチロシン抗体4G1
0(Transduction Laboratories)および抗SHP−
2抗体の順にプローブした。ブロットを、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ウ
サギIgGとインキュベートし、そしてECL試薬(Amersham)を使用
して発色した。抗体を、62.5mM Tris・HCl pH 6.8、2%
SDS、100mM 2−メルカプトエタノール中50℃での30分間のインキ
ュベーションによるプロービングの間にメンブランから剥がした。
【0073】 STAT3およびERKリン酸化の分析については、6ウェルディッシュのウ
ェルあたり1×10ES細胞を、プレートした。細胞を、血清を欠乏させ、そ
して上記のようにサイトカインで処理し、次いで100μlのSDS試料緩衝液
中で溶解した。10μlアリコートを、10%SDSポリアクリルアミドゲル上
で分画し、ニトロセルロース上にエレクトロブロットし、そして供給業者(Ne
w England Biolabs)によって提供される指示書に従って、抗
ERKおよび抗STAT3抗体でプローブした。
【0074】ノーザンブロッティング RNAを上記と同様に調製したが、夾雑DNAを除去するために、第2のイソ
プロパノール沈降を2M LiCl中4℃での一晩沈降に置きかえた。トータル
RNA(10μg)を、0.66Mホルムアルデヒド/アガロースゲル上で分離
し、そしてナイロンメンブラン(Boehringer)にトランスファーした
。ハイブリダイゼーションを、[α−32P]dCTP標識したDNAプローブ
を使用して、上記のように行った。プローブは、SOCS3 ESTプラスミド
(IMAGEクローン番号864805、HGMPから得られるGenbank
受託番号AA444828)のEcoRI−NotIフラグメントであった。配
列分析は、このプローブがSOCS−3(U88328)のヌクレオチド166
6〜2176に対応することを確認した。
【0075】キメラ分析 ZIN40 ES細胞を、C57BL/6胚盤胞に注入し、そして偽妊娠マウ
スにトランスファーした。マウスを、妊娠9.5日目で屠殺し、そして胚をX−
galで染色した。
【0076】結果 チロシン118はES細胞においてSHP−2のgp130依存性リン酸化を必 要とする BAFプロB細胞株におけるこれまでの研究は、SHP−2ならびにMAPK
ERK1およびERK2のgp130依存性活性化が、gp130の細胞質領域
におけるチロシン118(膜から118アミノ酸残基に位置する)によって媒介
されることを示した。ES細胞におけるチロシン118の機能的役割を検討する
ために、発明者らは、gp130のトランスメンブラン領域および細胞質領域に
融合した顆粒球コロニー刺激因子レセプター(G−CSFR)の細胞外ドメイン
からなるキメラレセプターをコードするcDNAを構築した。ES細胞はG−C
SFRを正常には発現せずそしてG−CSFに対する自己再生応答を示さないの
で(データは示さず)、これらのキメラレセプターは、内因性サイトカインレセ
プターの独立したシグナリングを検討するために使用され得る。非改変キメラレ
セプターのGRgp(278)またはフェニルアラニンがチロシン118の代わ
りに置換されている変異レセプターのGRgp(Y118F)のいずれかをコー
ドするcDNAを、pCAGIZ発現ベクターにクローニングし、そしてエレク
トロポレーションによってD027ES細胞に安定に導入した。
【0077】 いくつかの分化した細胞タイプにおいて、SHP−2は、チロシンリン酸化さ
れ、次いでチロシンリン酸化gp130レセプターサブユニットへリクルートメ
ントする。SHP−2がES細胞においてこの改変を受けるかどうかを検討する
ために、SHP−2免疫沈降物を、GRgp(278)およびGRgp(Y11
8F)トランスフェクタントから調製し、次いでIL−6(+sIL−6R)ま
たはG−CSFのいずれかで刺激し、そしてウエスタンブロッティングによって
ホスホチロシンについてプローブした(図1A)。内因性gp130またはGR
gp(278)レセプターのいずれかによって刺激された細胞でリン酸化された
SHP−2が増加したことが検出された。2つの追加のチロシンホスホプロテイ
ンが、リン酸化SHP−2と同時沈降した。約100kDで移動するバンドは、
リン酸化SHP−2と関連することがすでに報告されているIRS−1関連アダ
プタータンパク質であるGab1を示し得る。SHP−2のリン酸化の増加はG
Rgp(Y118F)レセプターの刺激後には検出されず、チロシン118が、
ES細胞におけるこのホスファターゼの効果的なgp130依存性リン酸化に必
須であることを確認した。
【0078】SHP−2活性化はES細胞自己再生に必要とされない SHP−2の活性化がES細胞の増殖に必要であるかどうかを決定するために
、G−CSFに対するGRgp130の応答を、自己再生アッセイで測定した。
D027細胞は、幹細胞特異的遺伝子Oct−4内に挿入されたLacZ遺伝子
を有する。結果として、この組み込まれたリポーター遺伝子の発現は、未分化E
S細胞に制限され、そして得られるβ−ガラクトシダーゼ活性は、幹細胞自己再
生の尺度を提供する。さらに、LIF遺伝子の両方のコピーは、遺伝子ターゲテ
ィングによって不活性化されており、したがってES細胞増殖の自己分泌刺激を
低下させる。各レセプター構築物についての2つの独立して単離したクローンか
らのβ−ガラクトシダーゼ活性を、300fg〜30ng/ml G−CSF処
理6日後の中密度培養物中で測定した。
【0079】 図2Aに示されるデータは、GRgp(278)トランスフェクタントの自己
再生が用量依存的様式で増加し、3〜30ng/ml G−CSFでプラトーに
達したことを示す。逆に、GRgp(Y118F)ES細胞の最大自己再生応答
は、ちょうど30pg/ml G−CSFで達した。30pg/ml G−CS
Fで維持されたGRgp(Y118F)コロニーの形態は、未分化ES細胞を代
表した(図2B)。この結果は、チロシン118によるSHP−2の活性化が、
ES細胞自己再生を指示するために必要とされないことを証明する。両方のレセ
プターキメラとも同じレベルでES細胞トランスフェクタントの細胞表面に発現
されたが、これは、125I標識したG−CSFとの結合によって測定した(デ
ータは示さず)。したがって、用量応答のシフトは、変異体レセプターが、シグ
ナリング活性を増強し得たことを示唆する。
【0080】 興味深いことに、より高濃度のG−CSFで、GRgp(Y118F)トラン
スフェクタントは、一般に未分化ES細胞にみられるより平坦になったコロニー
形態よりもむしろ細胞の小さい凝集体を形成した(図2B)。これらのコロニー
は、β−ガラクトシダーゼを発現し、そして幹細胞マーカーのアルカリホスファ
ターゼについて陽性に染色し(図2Bおよびデータを示さず)、ES細胞が未分
化のままであったことを示した。これは、G−CSFでの最初の処理後、これら
の培養物にIL−6+sIL−6Rを含む培地を再供給した場合、代表的なES
細胞増殖およびコロニー形態の再現によって確認した(データは示さず)。
【0081】 高濃度のG−CSFでのGRgp(Y118F)の異常な出現は、単にG−C
SFに対するY118Fレセプターの親和性が増加することのみではないようで
ある(図2C)。なぜなら、この応答が、高レベルのLIFで処理した野生型細
胞で、または飽和レベルのIL−6(+sIL−6R)、G−CSF、もしくは
IL−6(+sIL−6R)+G−CSFで処理したGRgp(278)トラン
スフェクタントで、観察されないからである。さらに、細胞をG−CSFおよび
IL−6(+sIL−6R)で同時に刺激した場合に、高レベルのG−CSFで
GRgp(Y118F)細胞の表現型を維持した。この観察は、異常なES細胞
の形態が、自己再生シグナルの部分的損失によるという説明を排除し、そして表
現型がgp130の下流のシグナルの過剰活性化から生じることを示唆する。こ
れらのデータをまとめると、ES細胞においてgp130シグナリングをダウン
レギュレートする点で、チロシン118の重要な役割を指摘する。
【0082】チロシン118はERK1およびERK2の活性化に必要である SHP−2の活性化がERK経路にgp130をカップリングし得るので、発
明者らは、チロシン118がまた、ES細胞においてERK1およびERK2の
活性化に必要とされるかどうかを検討した。G−CSFまたはIL−6(+sI
L−6R)で処理したGRgp130トランスフェクタントにおけるERKの活
性化を、ERK1およびERK2のリン酸化(活性化)形態に特異的な抗体での
イムノブロッティングによって評価した(図3)。活性化したERKの基礎レベ
ルを、血清枯渇後の未処理細胞で一貫して検出した。増加したERKリン酸化を
、内因性gp130およびGRgp(278)レセプターによって刺激した細胞
において観察した。これは、GRgp(Y118F)キメラによる刺激の証拠で
はなかった。STAT3のチロシンリン酸化形態に特異的な抗体での再プロービ
ングによって、両方のキメラレセプターがSTAT3を活性化することに効果的
であることを確認した。これらの結果は、チロシン118がES細胞においてE
RK経路の活性化を媒介することを証明する。
【0083】PD098059でERK活性化をブロッキングすることはES細胞増殖を損な わない シグナル自己再生に対するGRgp(Y118F)の能力は、ERK活性化が
ES細胞の増殖に必要とされないことを意味する。この仮説をテストするために
、D027細胞を、特異的MEKインヒビターであるPD098059の存在下
で培養した。亜飽和濃度のLIF(5U/ml)をこれらの実験に使用して、自
己再生シグナリングの変化に対するアッセイの感度を増加させた。驚くべきこと
に、3〜25μMのPD098059でのES細胞の処理は、ベヒクル単独で培
養した細胞と比較した場合、自己再生を阻害しなかった(図4A)。さらに驚く
べきことに、実際、自己再生のレベルは、12〜25μMで達成されている最大
レベルで用量依存的な様式で増加した。50μM以上のPD098059の濃度
で、ES細胞の増殖は損なわれたが、これはおそらく薬物のいくつかの非特異的
阻害効果の結果と考えられ、そしてX−gal染色によるβ−ガラクトシダーゼ
に陽性に染色される小さい未分化コロニーを生じた(データは示さず)。
【0084】 gp130によるERK活性化がこれらの長期培養物において連続的に抑制さ
れることを確認するために、GRgp(278)細胞を、インヒビター+LIF
とともに48時間インキュベートし、次いでG−CSFでキメラレセプターによ
って刺激した。イムノブロットは、ERK1およびERK2のG−CSF依存性
リン酸化が、3〜12μMから次第に減少し、そして25μMのPD09805
9で効果的にブロックされたことを示した(図4B)。PD098059の阻害
濃度での未分化ES細胞の持続した増殖は、ERK1およびERK2のgp13
0依存性活性化が、ES細胞の増殖に必要とされないことを確認する。
【0085】 自己再生におけるPD098059の効果は、インヒビターが、LIFに対す
るES細胞の用量応答を変化し得ることを示唆した。ES細胞の自己再生を、2
5μMのPD098059またはベヒクル(0.2%DMSO)のいずれかの存
在下で、0.1〜100U/ml LIFでの処理後にアッセイした(図4C)
。PD098059での処理は、すべての濃度のLIFでβ−ガラクトシダーゼ
活性のレベルを増加させた。これは、薬物が、そのLIFに対する応答を増強す
るよりもむしろES細胞の用量依存性を変化させないことを意味する。重要なこ
とには、PD098059は、LIFの不在下でES細胞の分化をブロックしな
かった。
【0086】PD098059中で増殖したES細胞は多能性を保持する ES細胞コロニー形態およびOct−4発現は、未分化表現型の信頼性のある
指標であるが、細胞が多能性であることを証明していない。したがって、発明者
らは、gp130依存性ERKシグナリングの不在下で増殖したES細胞が、発
達中の胚に組み込まれそして適切に分化する能力を有するかどうかを検討した。
細胞を、LIF+25μM PD098059の存在下で、またはLIFの不在
下で、48時間低密度(1000細胞/cm)で培養した。次いで、これらに
、LIFを含むがインヒビターを含まない培地をさらに24時間再供給した後、
マウス胚盤胞にマイクロインジェクションした。ZIN40細胞は、分化した細
胞タイプで広く発現される核局在化したβ−ガラクトシダーゼマーカーを有する
ので、この実験に使用した。β−ガラクトシダーゼについての妊娠中期の胚の染
色は、PD098059で処理したES細胞がキメラに寄与することを示した(
図5)。しかし、LIFの不在下で48時間培養した細胞は、胚をコロニー化で
きなかった(データは示さず)。この結果は、gp130依存性ERK活性が、
ES細胞の多能性を維持することに必要とされないことを確認する。
【0087】STAT3シグナルの減衰はチロシン118によって媒介される 発明者らは、これまでに、STAT3の活性化が、ES細胞のgp130依存
性自己再生に必須であることを証明している。チロシン118を変異することが
この重要なレギュレーターに影響を与えるかどうかを検討するために、STAT
3の活性化を、GRgp(278)および(Y118F)トランスフェクタント
において比較した。30fg/ml〜300ng/mlのG−CSFでの25分
間の細胞の急激な刺激によっても、キメラレセプターによって誘導されるSTA
T3のチロシンリン酸化のレベル間に顕著な差は示されなかった(データは示さ
ず)。しかし、レセプターを介するシグナリングは、STAT3シグナル持続を
検討した場合に区別された(図6)。細胞を、G−CSFまたはIL−6(+s
IL−6R)のいずれかで25分間刺激し、サイトカインを含まない培地を再供
給し、次いで試料を40分間隔で収集した。リン酸化したSTAT3の衰退につ
いての類似のタイムコースが、内因性gp130レセプターまたはGRgp(2
78)のいずれかによる刺激後に得られたが、シグナルは120分では検出不可
能であった。逆に、STAT3の活性化は、G−CSF処理したGRgp(Y1
18F)細胞中で持続され、そして160分でも検出し得た。この結果は、チロ
シン118が、STAT3の活性化を正常に減衰するシグナルを媒介することを
示す。
【0088】チロシン118の置換は染色体標的遺伝子の過剰誘導に至る STAT3の延長した活性化がES細胞において遺伝子調節に影響を及ぼすか
どうかを研究するために、発明者らは、SOCS遺伝子の発現を検討した。これ
らの遺伝子は、サイトカインによって迅速に誘導され、そしてサイトカインレセ
プター機能のネガティブレギュレーターとして機能し得るタンパク質をコードす
る。SOCS−1は、M1細胞におけるSTAT3標的であるが、これは、LI
Fに応答するSOCS−1発現のいかなる増加も観察されなかったので、ES細
胞における場合ではあり得ない(データは示さず)。逆に、LIFとのLIFR
/gp130複合体によるかまたはGRgp(278)キメラによるかのいずれ
かで刺激されたES細胞において、SOCS−3の発現が一時的に誘導された(
図7)。この観察された発現のピークレベルは、サイトカインの添加後90分で
生じ、そして3時間目までに非誘導レベル近くに戻った。4つのSTAT3ドッ
キング部位が部位特異的変異誘発によって排除されているキメラレセプターであ
るGRgp(Y126−275F)によって刺激したES細胞において、SOC
S−3転写物の誘導はなかった。この結果は、ES細胞においてSOCS−3遺
伝子がSTAT3の標的であることを意味する。重要なことには、GRgp(Y
118F)レセプターの活性化後、90分で得られたSOCS−3発現のピーク
レベルは増強され、そしてLIFレセプターまたはGRgp(278)による刺
激とは逆に、SOCS−3 mRNAレベルは、刺激後少なくとも6時間まで上
昇し続けた。したがって、おそらく、STAT3の延長した活性化がその標的遺
伝子の増強された発現を生じるようである。これは、GRgp(Y118F)ト
ランスフェクタントについて観察されたG−CSFに対する用量応答でのシフト
の基礎となり得る。
【0089】MEKインヒビターPD098059は凝集培養物において未分化ES細胞を持 続する 凝集は、ES細胞を誘導して、分化しそして多数の分化した細胞タイプを含む
胚様体として知られる構造物を形成する。未分化細胞は、誘導された分化および
/またはアポトーシスのため胚様体形成の間にほとんどまたは完全に排除される
【0090】 Oct4遺伝子座へのβgeoの標的された組込みを有するIOUD2ES細
胞を使用して、β−ガラクトシダーゼに対する組織化学的染色によって未分化細
胞の可視化を可能にした。凝集体を、0、25、50、75、または100μm
のPD098059の存在下で100細胞/20μl液滴を播種することによっ
て懸滴を形成した。凝集体を、6日間維持し、次いでゼラチンコーティングした
ディッシュに移し、そして一晩付着させた。次いで、培養物を固定し、そしてβ
−ガラクトシダーゼ活性に対して染色した。Mekインヒビターの不在下で、胚
様体は十分に分化され、そしてOct4 β−ガラクトシダーゼ発現細胞は生育
物中にほとんど存在しなかった(図8、上のパネル)。しかし、PD09805
9の存在下では、未分化のβ−ガラクトシダーゼポジティブ細胞の表示は、用量
応答様式で増加した。75〜100μmのPD098059濃度で、大多数の細
胞は分化しなかった(図8、下のパネル)。これらの条件における未分化細胞の
数は、MEKインヒビターの不在下でのコントロール培養物に存在する数をはる
かに超えており、したがって、この結果は、細胞の剥離によるだけではないこと
を示している。この所見は、ERK活性化が、胚様体の分化のプロセスに重要で
あり、そして幹細胞の分化が、Mek活性を低下またはなくすことによって抑制
され得ることを示す。
【0091】 (実施例2)幹細胞株の誘導 幹細胞株を単離するために、胚をインビボで発達させ、そして移植し、次いで
原始羊膜腔形成前に採取した(6.5dpc等価)。外胚葉を顕微解剖し、そし
てPD098059の存在下でES細胞培地中の懸濁培養物に入れた。数日懸濁
培養した後、外胚葉を解離し、そして組織培養プラスチック上にプレートした。
PD098059を、未分化幹細胞数が増加するまで、培養培地中に維持した。
幹細胞株はまた胚から誘導されたが、この胚は、胚盤胞段階でICMの免疫手術
的単離と、それに続く原始内胚葉の顕微手術除去およびES細胞培地+PD09
8059中での培養によって、インビトロで発達させた胚である。
【0092】 本発明によれば、ES細胞自己再生がERK活性化から独立していることは、
実際の応用において重要である。Ras/MAPK経路のようなインヒビターは
、未分化ES細胞の増殖を促進する。未分化細胞タイプの増殖および成熟を抑制
することによって、このようなインヒビターは、ES細胞のルーチンの操作およ
びデノボ誘導を容易にする。
【0093】 (実施例3)MKP−3導入遺伝子の発現 MKP−3をコードする導入遺伝子をES細胞に挿入し、そしてそこから得た
ES細胞の培養物はMKP−3を発現した。ES細胞に関して高度に精製された
培養物が維持され、そしてこれらのES細胞の分化が、MKP−3導入遺伝子を
発現しないコントロール培養物中のES細胞の分化と比較して実質的に低下した
ことを観察した。この実験はまた、本発明の支持において遺伝学的証拠を提供す
る。
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Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の化合物: (a)胚幹(ES)細胞の増殖または生存を促進する化合物;および (b)ES細胞以外の細胞の増殖または生存を阻害する化合物; ここで、該化合物(a)と(b)との組み合わせが相乗作用的である、 の存在下でES細胞の培養物を維持する工程を含む、ES細胞の培養方法。
  2. 【請求項2】 前記化合物(b)が、ES細胞以外の細胞の増殖または生存
    に必須であるシグナリング経路を選択的に阻害する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記化合物(b)が、酵素SHP−2の活性を阻害するか、
    ras/MAPKカスケードを阻害するか、MEKを阻害するか、マイトジェン
    活性化プロテインキナーゼを阻害するか、または非ES細胞のS期へのサイクリ
    ン依存性エントリーを阻害する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記化合物(b)がPD098059である、請求項3に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 前記化合物(a)が、ES細胞においてサイトカインレセプ
    ターgp130を活性化するサイトカインである、請求項1から4のいずれかの
    項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記サイトカインが白血病阻害因子(LIF)である、請求
    項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記LIFの濃度が約5U/mlである、請求項6に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 以下の化合物: (a)ES細胞の増殖または生存を促進する化合物;および (b)ES細胞以外の細胞の増殖または生存を阻害する化合物; ここで、該化合物(a)と(b)との組み合わせが相乗作用的である、 に混合した細胞の培養物を曝露する工程を含む、混合した細胞の培養物からES
    細胞を選択する方法。
  9. 【請求項9】 前記化合物(b)が、酵素SHP−2の活性を阻害するか、
    ras/MAPKカスケードを阻害するか、MEKを阻害するか、マイトジェン
    活性化プロテインキナーゼを阻害するか、または非ES細胞のS期へのサイクリ
    ン依存性エントリーを阻害する、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記化合物(b)がPD098059である、請求項9に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記化合物(a)が、ES細胞においてサイトカインレセ
    プターgp130を活性化するサイトカインである、請求項8から10のいずれ
    かの項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記サイトカインが白血病阻害因子(LIF)である、請
    求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記LIFの濃度が約5U/mlである、請求項12に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 非ヒト胚または胚様体から細胞を単離する工程、およびE
    S細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する化合物の存在下で該細胞
    の培養物を維持する工程を含む、ES細胞を誘導する方法。
  15. 【請求項15】 得られた細胞を解離させる工程、およびES細胞以外の細
    胞の増殖または生存を選択的に阻害する化合物またはさらなる化合物の存在下で
    該解離した細胞を維持する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 インビボで胚を発達させる工程、原始羊膜腔形成の前に該
    胚を採取する工程、および該採取物から細胞を単離する工程を含む、請求項14
    または15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 インビトロで非ヒト胚を発達させる工程、該胚の内部細胞
    塊から細胞を単離する工程、およびES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択
    的に阻害する化合物の存在下で該単離した細胞を維持する工程を含む、ES細胞
    を誘導する方法。
  18. 【請求項18】 前記化合物の存在下で培養前に原始内胚葉を除去する工程
    を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 ES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する
    前記化合物が、酵素SHP−2の活性を阻害するか、ras/MAPKカスケー
    ドを阻害するか、MEKを阻害するか、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ
    を阻害するか、または非ES細胞のS期へのサイクリン依存性エントリーを阻害
    する化合物から選択される、請求項14から18のいずれかの項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 (a)ES細胞の分化を阻害する化合物、および(b)E
    S細胞以外の細胞の増殖または生存を阻害する相乗作用量の化合物を含む、ES
    細胞の選択的培養のための組成物。
  21. 【請求項21】 前記化合物(b)が、ES細胞以外の細胞の増殖または生
    存に必須であるシグナリング経路を選択的に阻害する、請求項20に記載の組成
    物。
  22. 【請求項22】 前記化合物(b)が、酵素SHP−2の活性を阻害するか
    、ras/MAPKカスケードを阻害するか、MEKを阻害するか、マイトジェ
    ン活性化プロテインキナーゼを阻害するか、または非ES細胞のS期へのサイク
    リン依存性エントリーを阻害する、請求項20または21に記載の組成物。
  23. 【請求項23】 前記化合物(b)がPD098059である、請求項22
    に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記化合物(a)が、サイトカインレセプターgp130
    に結合するサイトカインである、請求項20から23のいずれかの項に記載の組
    成物。
  25. 【請求項25】 前記サイトカインがLIFである、請求項24に記載の組
    成物。
  26. 【請求項26】 混合した細胞培養物からES細胞の実質的に純粋な培養物
    を得る方法における、ES細胞以外の細胞の増殖または生存を選択的に阻害する
    化合物の使用。
  27. 【請求項27】 ES細胞の実質的に純粋な培養物を得るための方法におけ
    る、ES細胞の増殖または生存を促進する薬剤に対するES細胞の応答を増強す
    る化合物の使用。
  28. 【請求項28】 前記化合物が、酵素SHP−2の活性を阻害するか、ra
    s/MAPKカスケードを阻害するか、MEKを阻害するか、マイトジェン活性
    化プロテインキナーゼを阻害するか、または非ES細胞のS期へのサイクリン依
    存性エントリーを阻害する、請求項27に記載の使用。
  29. 【請求項29】 前記化合物がPD098059である、請求項28に記載
    の使用。
  30. 【請求項30】 前記薬剤がLIFである、請求項27から29のいずれか
    の項に記載の使用。
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