JP2002524083A - ヒトエリスロポエチンの生産 - Google Patents

ヒトエリスロポエチンの生産

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、脊髄増殖性肉腫ウイルスプロモーターにより誘導されたヒトエリスロポエチン遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換した哺乳動物細胞中、殊に腎臓細胞中における、組換え体ヒトエリスロポエチンの生産に関する。さらに本発明は、大腸菌由来のトリプトファンシンセターゼ遺伝子を選択可能マーカーとして用いる、エリスロポエチン―生産細胞の調製にも関する。本発明は、血清を含まず蛋白質も含まない培地を用いる細胞培養プロセスの改良にも向けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、脊髄増殖性肉腫ウイルスプロモーターにより誘導されたヒトエリス
ロポエチン遺伝子を含有する発現ベクターにより形質転換された哺乳動物細胞、
特に腎臓細胞中における、組換え体ヒトエリスロポエチンの生産に関する。さら
に本発明は、選択可能マーカーとして大腸菌(Escherichia coli)由来のトリプト
ファンシンセターゼ遺伝子を用いるエリスロポエチン生産細胞の調製に関する。
本発明はさらに、血清を含まず蛋白質も含まない培地を用いる細胞培養プロセス
の改良にも向けられている。
【0002】 (発明の背景) エリスロポエチンは、循環しているエリスロポエチンマスの生理学的レベルを
調節し維持する主要なホルモンであり、赤血球生成の早い段階で骨髄幹細胞の細
胞分化を刺激し、最終的に赤血球になる分化細胞の増殖と成熟(減数分裂、matu
ration)を促進する。エリスロポエチンは、34ないし38kDaの範囲の分子
量を有し、その40ないし50%が炭化水素部分とみられる糖蛋白質である。そ
れは原始的には成人の腎臓内、および哺乳動物胎児の肝臓内に産生する。身体が
健常状態にあり、組織が赤血球の現存数により充分に酸素供給を受けているとき
は、エリスロポエチンは血漿内に極めて低い濃度で存在している。この通常の低
濃度は、通常の加齢によって失われてゆく赤血球の置換を刺激するには充分であ
る。低酸素血症状では循環する赤血球により輸送される酸素が減少し、循環系内
のエリスロポエチン量が増加する。低酸素血症は、脳出血、放射線への過度の曝
露による赤血球の破壊、高い高度あるいは人事不省による酸素取り込みの減少、
または各種型の貧血により、血液の大量が失われて生じる。健康な器官中ではホ
メオスタシス(定常化傾向)機構が、貧血の程度に応じて最適ヘマトクリット値
を維持するように血中のエリスロポエチン濃度の増加を誘導する。
【0003】 しかしながら、慢性腎不全による貧血の場合は、進行性の腎実質および肝機能
破壊のためエリスロポエチンが産生され得ず、従って、循環系中のエリスロポエ
チン濃度が増加しない。 エリスロポエチンは今や各種貧血症、特に慢性腎不全症の認容された処置とし
て定着するに至っている。エリスロポエチンを含有する医薬製品は、さらに赤血
球生成刺激による、腎機能低下のためあるいは腎摘出後のため血液透析を受けて
いる患者の貧血予防および術後患者の回復促進などでも、臨床的に適用されてい
る。
【0004】 組換え体ヒトエリスロポエチンは、哺乳動物細胞中で産生された最初の組換え
バイオ医薬品として貧血症の処置のために入手可能となったものである。例えば
、ドイツではCHO−K1セルライン中で産生された組換え体エリスロポエチン
がJanssen-CilagからErypoの商品名(登録商標)で販売されている。
【0005】 ヒトエリスロポエチン遺伝子は、既に1985年に単離され、特性を調べられ
ている(Lin et al.(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 7580-7584; Jacobs
et al. (1985) Nature 313, 806-810)。この遺伝子の全コード化領域は5.4キロ
塩基HindIII-BamHI断片内に含まれており、この遺伝子は4つのイントロン(1562
塩基対)と5つのエクソン(582塩基対)とを含み、ヒトエリスロポエチン分泌のた
めの27アミノ酸シグナルペプチド、および166アミノ酸の成熟蛋白質をコー
ドしている。さらに、エリスロポエチンは、インビボでの活性に必要なシアル酸
を含有している。非グリコシル化(糖鎖付加のない)エリスロポエチンはインビ
トロの活性は有するが、インビボでは全く活性を示さない。これは、非グリコシ
ル化(糖鎖付加のない)蛋白質の半減期がヒトの循環系では極端に短いことによ
る。
【0006】 Lin et al.(前記)は、SV40下流プロモーターにより誘導されたゲノミッ
クエリスロポエチン遺伝子を含有する発現ベクターで安定的に形質転換した、C
HO(Chinese hamster ovary)細胞中での組換え体ヒトエリスロポエチン産生
を記載しており、他方、Jacobs et al.は、アデノウイルスの主要下流プロモー
ターの制御下にヒトエリスロポエチンcDNAを含有するベクターでトランスフ
ェクトした、COS細胞(猿細胞由来のSV40DNAの完全長分節を含有する
セルライン)中の一時的発現実験でのエリスロポエチン産生を開示している。
【0007】 さらに、欧州特許出願No.0148605には、猿エリスロポエチンcDNAクローン
およびヒトゲノミッククローンの単離および性質特定、および、COS−1およ
びCHOセルライン中での組換え体エリスロポエチンの産生が記載されている(
但し、猿およびヒトのエリスロポエチン遺伝子発現はSV40下流プロモーター
の制御下で行う)。
【0008】 欧州特許出願No.0225231には、エリスロポエチン遺伝子をアデノウイルス―2
主要下流プロモーター、またはマウスのMT−I(metallothionein-I)プロモ
ーターのいずれかの制御下に発現させる、安定的にトランスフェクトした哺乳動
物のセルライン中でのエリスロポエチン産生プロセスが記載されている。
【0009】 さらに、欧州特許出願No.0232034には、ヒト細胞中での、即ち、ナマルワNama
luwa)細胞中での、SV40プロモーターを用いてエリスロポエチンの発現を誘
導し、ネオマイシン耐性(neo')遺伝子を選択可能なマーカーとして用いる、組換
え体エリスロポエチンの産生が記載されている。
【0010】 同様に、欧州特許出願No.0236059には、M−MuLV(Moloney murine leukem
ia virus)LTRプロモーターの制御下で、neo'遺伝子を選択可能なマーカーと
する、ヒトエリスロポエチン遺伝子を保持する発現ベクターでトランスフェクト
した、腎臓細胞中でのエリスロポエチンの産生が開示されている。 しかしながら、大規模なエリスロポエチンの生産に適する効果的な発現システ
ムがなお必要とされていた。
【0011】 (発明の開示) 本発明の目的の一つは、従って、哺乳動物細胞中で高レベルにエリスロポエチ
ンを発現させるエリスロポエチン発現ベクターを提供すること、および、該発現
ベクターをベースとする組換え体エリスロポエチンの生産プロセスを提供するこ
とである。
【0012】 驚くべきことに、MPSV(脊髄増殖性肉腫ウイルス、myeloproliferative sa
rcoma virus)プロモーターおよびゲノミックエリスロポエチンDNA配列をベー
スとする新しい宿主ベクター系を用いると、哺乳動物細胞におけるエリスロポエ
チン生成物を、細胞培養液上澄み中の全蛋白質の50%以上にも及ぶ大画分とな
し得ることが判明した。
【0013】 本発明は、従って、MPSV(myeloproliferative sarcoma virus)プロモー
ターにヒトエリスロポエチン遺伝子を作動可能なように連結させてある新規発現
ベクターを提供するものである。さらに、該新規発現ベクターをトランスフェク
トした哺乳動物宿主細胞を適切な栄養条件下に培養する段階を含む、哺乳動物宿
主細胞中にエリスロポエチンを生産させるプロセスを提供するものである。
【0014】 脊髄増殖性肉腫ウイルスは、以前、Ostertage et al. (1980) J. Virol. 33,5
73-582;よって報告され;ネズミの線維芽細胞(murine fibroblasts)を形質転
換し、さらに血液生成系の細胞中に変化を起こさせるものとして知られている。
この本発明で用いるMPSVプロモーターは、既に、例えば、Artelt et al.(19
88) Gene 68, 213-219によって研究されている。
【0015】 好ましい態様では、哺乳動物宿主細胞中でエリスロポエチンを生産させるこの
プロセスは、(1)エリスロポエチンの発現がMPSVプロモーターの制御下に
あるエリスロポエチン発現ベクターの調製、(2)該エリスロポエチン発現ベク
ターの哺乳動物宿主細胞中への導入、(3)該細胞の培養によるエリスロポエチ
ンの生産、および(4)該細胞培地からのエリスロポエチンの回収、の各段階を
含むものである。 好ましくは、哺乳動物宿主細胞は腎臓細胞であり、最も好ましくは、ベビーハ
ムスターの腎臓(BHK)細胞、例えば、BHK21である。
【0016】 先行技術の多くは、DHFR遺伝子によりコードされる酵素ジヒドロフォレー
トリダクターゼ(dihydrofolate reductase;DHFR)が、メトトレキセート(
methotrexate)薬剤によって阻害され得るという事実およびヒポキサンチンおよ
びチミジンを欠く培地中で増殖した細胞がメトトレキセートによって阻害または
殺滅されるという事実に依拠する、DHFR選択系を使用している。適当な条件
下、例えばメトトレキセートの最小濃度においては、メトトレキセート含有培地
中で耐性があり生育し得る細胞を取得することができる。これらの細胞は、それ
らのDHFR遺伝子数が増幅すること、そのためDHFR酵素産生の増加を来す
ことからメトトレキセート耐性であることが分る。
【0017】 これらの生存細胞は、順次メトトレキセートの濃度増加処理を受けてより多く
のDHFR遺伝子数を含有する細胞株となり得る。興味の対象である、DHFR
遺伝子と一緒にまたはDHFR遺伝子で形質転換されて発現ベクター上に運び込
まれたこの遺伝子、例えば、エリスロポエチン遺伝子は、しばしばそれらの遺伝
子コピー数を増加して見出される。従って、このDHFR系は概して選択/増幅
の組合わせアプローチで用いられる。しかしながら、このDHFR選択/増幅系
の使用には、それに伴う若干の問題点がある。メトトレキセートの強い毒性のた
めに、全生産プロセスを通して選択圧を維持することができない。高度生産も、
培地からメトトレキセートを一旦除去すると、普通の生産性に戻ってしまうこと
が多い。
【0018】 さらに、先行技術でよく用いられている別の坑代謝物耐性マーカー、neoマー
カーには、哺乳動物細胞中で形質転換体を選択するのに高価な薬剤であるG41
8を比較的に大量使用しなければならないという本質的な不都合がある。 従って、本発明の他の目的は、エリスロポエチン生産についての先行技術中で
記載されている選択マーカーシステムの不都合を克服し、かつ有毒添加物を用い
ずに、哺乳動物細胞中でエリスロポエチンを大量生産させるプロセスを提供する
ことにある。
【0019】 本発明によれば、トリプトファン生成能力に基づいて選択される哺乳動物宿主
細胞中でエリスロポエチンを生産させるプロセスが提供される。
【0020】 多くの哺乳動物細胞は、ある種の、所謂必須アミノ酸合成に必要な酵素性経路
を欠落しており、そのためそれらを外部ソースから得なければならない。必須ア
ミノ酸1種の不存在だけでも蛋白質合成のほぼ50%が阻害される;基礎的な速
度は明かに外因性蛋白質の移動によって遅延する。1988年、Hartman and Mullig
an (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 8047-8051)は、形質転換した哺乳動物細
胞の代謝性選択用マーカーとしてトリプトファンを適用できることを発見した。
このマーカーシステムは、大腸菌のトリプトファン合成遺伝子(trpB)をベース
とするものであり、インドールのトリプトファンへの変換を触媒する。しかしな
がら、これまでのところ、trpB遺伝子がエリスロポエチン生産に有用な選択マー
カーとして記載されたことは全くない。
【0021】 驚くべきことに、trpBを選択マーカーとして使用することにより、選択した宿
主細胞中で、遺伝子増幅なしに高いエリスロポエチンの発現レベルを観測できる
ことが判明した。
【0022】 好ましい態様では、トリプトファンシンセターゼ遺伝子を、エリスロポエチン
発現ベクターにより、宿主細胞にコトランスフェクトする。しかしながら、適切
なプロモーター、好ましくはMPSVプロモーターの制御下のヒトエリスロポエ
チンをコードするDNA配列と、やはり適切なプロモーターの制御下のtrpB遺伝
子とを含有する単一核酸分子で、哺乳動物宿主細胞をトランスフェクトすること
も勿論可能である。
【0023】 細胞培養培地に普通加えられている血清、例えば、牛胎児血清が、トリプトフ
ァンバックグラウンドを示すという事実があるため、血清は透析してトリプトフ
ァンを除去しておくべきである。それ故、このtrpB選択システムは、トリプトフ
ァンを無毒かつ安価なインドールでより容易に置き換え得る、血清を含まない培
地中での大規模生産に特に有用である。 それ故、好ましい態様では、このエリスロポエチン大量生産プロセスは、外因
性トリプトファンを欠く血清を含まない培地中で、哺乳動物宿主細胞を培養する
段階を含む。好ましくは、この宿主細胞は腎臓細胞、好ましくはBHK細胞、例
えば、BHK21である。
【0024】 上で言及したように、現今の生産プロセスは、例えば牛胎児血清を含有する培
地中で生育する組換え体チャイニーズハムスター卵巣細胞のような組換え体哺乳
動物細胞のローラーボトル培養をベースとするものである。血清の添加は、細胞
増殖のために必要な生育因子を供給するために必須である。この添加物の存在は
、しかしながら、幾つかの観点から有害なものであり:主たる懸念は生成物の安
全性である。製造プロセスから医薬製品を経由して患者に病原性因子を移送する
危険については、特に狂牛病(BSE; bovine spongiform encephlopathy)が
広範囲に蔓延したとき以来、格別の考慮が払われている。下流の工程の間に不活
化されないプリオン(purions)は、ウイルスと同様に、プロセスに際して重大
な危険を与える。この心配があるために、この危険を最小化するために必要な安
全性の基準は、原材料(血清)についてのおびただしい試験から最終製品の性状
検査に至るまで、すさまじいものとなっている。
【0025】 製造プロセスにおいて全ての生物学的誘導材料を排除することが製品の品質お
よび安全性を顕著に増加させるばかりでなく、同時に製造コストを低減し製品の
承認も簡易化するので、血清を含まず蛋白質も含まない培地を使用することは、
組換え体哺乳動物細胞の培養に少なからぬ利点を与えるものである。
【0026】 例えば、EP-A-0148605は、0.1mM非必須アミノ酸およびL―グルタミンを補った
高グルコースDMEM、または、0.05mM非必須アミノ酸およびL―グルタミンを
補った、高グルコースDMEMとHam'sF12との50−50混合物である、血清を含ま
ない生育培地中でのCHO細胞からのエリスロポエチンの製法を開示している。 さらに、欧州特許出願No.0513738には、動物インシュリンの代わりに原核細胞
由来の組換え体インシュリンおよびトランスフェリン、並びに水溶性鉄化合物を
含有する、血清を含まない培地中での哺乳動物細胞の培養が記載されている。
【0027】 EP-A-0531911は、ポリビニールフォルマルおよびポリビニールブチラル由来の
培地表面を使用し、細胞が好ましくは連続単層として培養された、蛋白質を含ま
ない培地中でのヴエロ細胞(vero cell)の培養プロセスを記載している。 しかしながら、多くの場合、血清を含まない培地中での培養は、その前に特別
の適合ストラテジーにより血清を含まない培地中での生育に適合させたセルライ
ン、例えば、Zang et al. (1995) により Bio/Technology 13, 389-392に記載さ
れている適合させたCHO SSF3セルライン、または Sinacore et al.(1996
) により Biotechnology and Bioengineering 52, 518-528に記載されているC
HO DUKX細胞系譜(cell lineage)、との関係おいてのみ言及されている
【0028】 BHK21細胞が、適合化または遺伝子操作しなくても、血清を含まず蛋白質
も含まない培地製剤である Turbodoma および Turbodoma HP-1(Dr. F. Messi C
ell Culture Technologies Buhnrain社、14, 8052 Zurich, Switzerland製品)
中で生育することが見出された。この細胞は、10%の胎性子牛血清と2mMのL-グ
ルタミンをTurbodoma 培地中に含有するEagle's 最小必須培地から取出したのち
も、有意な生育力および生育速度の下降を伴わずに細胞増殖を継続した。しかも
、この培地製剤で、BHK21細胞の培養は、懸濁液中でも担体に結合させても
いずれの場合も可能であった。従って、反応系およびプロセスパラメーターを多
様に選択適用できる。
【0029】 本発明の好ましい態様では、本発明の血清を含まず蛋白質も含まない培地中で
培養した、好ましくはBHK21セルラインである哺乳動物セルラインは、ヒト
エリスロポエチンを生産する能力を有する。最も好ましくは、この血清を含まず
蛋白質も含まない培地は、インシュリンを含有するが、しかし、トリプトファン
は含有しないものとし、そのためトリプトファンシンセターゼ活性によりトリプ
トファンを産生し得るような細胞のみが生育し得るようにする。このトリプトフ
ァンシンセターゼ酵素活性は、細胞を、大腸菌由来のtrpB遺伝子を保有する核酸
分子でトランスフェクトすることにより具備するに至る。このtrpB遺伝子は、任
意のプロモーター、即ち、哺乳動物細胞中での転写をプロモートするプロモータ
ー、例えば、ウイルス性プロモーター類例えばシミアンウイルス(simian virus)
40(SV40)の上流プロモーター、HIVおよびMPSVのプロモーター、
などの制御下に置くことができる。
【0030】 それ故、好ましい態様では、本発明は、ヒトエリスロポエチンの生産プロセス
であり、(1)エリスロポエチンの発現がMPSVプロモーターの制御下にある
エリスロポエチン発現ベクターの調製、(2)該エリスロポエチン発現ベクター
のBHK21細胞中への導入、(3)インドールは含有するがしかし外因性のト
リプトファンは欠落している、蛋白質を含まず血清も含まない培地中での該細胞
の培養、の各段階を含むものである。
【0031】 エリスロポエチンの発現がMPSVプロモーターの制御下にあるエリスロポエ
チン発現ベクターを使用し、この発現ベクターで形質転換した真核宿主細胞を、
蛋白質を含まず血清も含まない培地中で培養することにより、EPO発現レベル
が、先行技術に記載されているプロモーター/エリスロポエチン融合構成物を使
用する場合より際立って高くなることを見出した。同じことが、通常の培地との
対比において、あるいは先行技術に記載されているような予め血清を含まない培
地中で生育するように適合化させたセルラインとの対比において、蛋白質を含ま
ず血清も含まない培地中で、MPSV/エリスロポエチン融合構成物で形質転換
した真核細胞中にエリスロポエチンを産生させる場合にも当てはまる。
【0032】 本明細書中では、「エリスロポエチン」の用語は、エリスロポエチンの生物学
的活性を有する;即ち、赤血球生成を刺激する能力がある、蛋白質を定義してい
ることを意味する。この蛋白質は、ゲノミックDNA配列により、またはcDN
Aクローンによりコードされ得る。さらに、「エリスロポエチン」の用語は、天
然に存在するエリスロポエチンの生物学的活性を有する蛋白質断片をも含んでい
る。好ましくは、組換え体蛋白質は、アミノ酸配列および数(成熟蛋白質では1
66アミノ酸)、その約40%ないし50%が炭水化物部分に基づく約34ない
し38kDaの分子量について、完全にまたは少なくとも実質的に、天然に存在
するヒトエリスロポエチンと対応している。
【0033】 ヒトエリスロポエチンに対する遺伝子は、例えば、American Type Culture Co
llectionから、ATCC No.40381の lambda HE 1 phage lyophilisate として
入手可能である。
【0034】 さらに、「プロモーター」の用語は、核酸分子中で遺伝子(ゲノミックまたは
cDNAクローン)に先行し、mRNAへの遺伝子の転写開始部位を提供してい
るDNA配列を定義していることを意味する。従って、「発現ベクター」の用語
は、その中で、発現させようとしている遺伝子にプロモーターが作動可能なよう
に連結しており、該ベクターを宿主細胞内に導入したのち、宿主細胞を該遺伝子
によりコードされている蛋白質を産生し得るようにする、核酸分子を定義してい
る。しかしながら、作動可能なようにプロモーター(特にMPSVプロモーター
)に融合している有用な遺伝子(特にエリスロポエチン遺伝子)に加えて、発現
ベクターはさらなるプロモーター配列または他の調節配列、例えば、エンハンサ
ー配列例えばSV40、アデノウイルス、レトロウイルスのLTR、またはイム
ノグロブリン遺伝子、ポリアデニル化配列、または選択可能なマーカー配列を含
有していてもよい。適切な発現ベクターは、例えば、Sambrook et al. (1989) M
olecular cloning: a laboratory manual. 2nd edition, Cold Spring Harbor L
aboratory Press. Cold Spring Harbor, New York による標準マニュアルに記載
されているような通常のクローン化技術を用いて取得できる
【0035】 用語「宿主」は、非相同の(異種起源の、heterologous)核酸分子で安定的に
形質転換される、従って、そのゲノム中に該核酸分子または少なくともその部分
を含有し、そして該核酸分子は該細胞により発現される、即ち転写または翻訳さ
れる遺伝子を保有しており、そして所望により遺伝子生成物が該細胞によって分
泌される、細胞を含む。
【0036】 組換え体セルラインを確立するためには、種々の形質転換技法を採用できる。
好ましくは、これらの細胞は、リン酸カルシウム法でトランスフェクトする(実
施例2に記載)。しかしながら、他の通常のトランスフェクション法、例えば、
DEAE―デキストラン媒介トランスフェクション技術、リゾチーム融合、プロ
トプラスト融合または赤血球融合、スクラッピング、直接取り込み、浸透性また
は蔗糖ショック、直接マイクロ注射、間接マイクロ注射例えば赤血球媒介技術、
または宿主細胞への電流付加も使用できる。
【0037】 一般に、トランスフェクションまたは形質転換による、とは、単離したDNA
、RNA、または組換え体DNA技術による合成ヌクレオチドポリマーを用いる
、遺伝情報、殊にcDNAまたはゲノミックエリスロポエチンクローンによりコ
ードされる情報の細胞中への移送を意味する。遺伝情報、特にヒトエリスロポエ
チンをコードするDNA配列情報の細胞中への移送は、選択可能マーカー、好ま
しくは大腸菌由来の選択可能マーカーであるトリプトファンシンセターゼ遺伝子
を用いる細胞のコトランスフェクションにより確実とすることができる。
【0038】 哺乳動物細胞の培養には、通常の培養方法、例えば、通常の組織培養に使用さ
れるフラスコまたは皿を用いる懸濁培養、紡錘型容器中で培地を攪拌して懸濁液
中で細胞を生育させる方法、その中に培地を連続的に循環させる中空の繊維内で
細胞を生育させる方法、および動物細胞の培養用のジャーファーメンター中で細
胞を生育させる方法、などを適用できる。
【0039】 哺乳動物細胞の培養後、組換え体発現生成物を、培地から通常の精製技術、例
えば、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水
性相互作用クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー(hydroxyapatite)、
ゲル濾過法、染料クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィー、を用いて
実質的に精製形態で回収できる。 最終的に、回収したエリスロポエチンの生物学的活性は、数種の異なる方法に
より測定できる。Kurtz and Eckardt は、Nephron (1989);51 Suppl 1:11-14 中
で最近のアッセイを総説している。
【0040】 (図面の簡単な説明) 図1は、8つの選択したBHK21pMPSVgEPO、および8つの選択し
たCHO K1:CycEpMPSVgEPOクローンの上澄みからのWestern B
lot を示す。 図2は、BHK21pMPSVgEPOクローン2由来の細胞培養液上澄みの
銀染色SDSポリアクリルアミドゲルを示す。レーン1は濃縮していない上澄み
液を示し、他方、レーン2は10倍濃縮上澄み液を示す。 図3は、Coomassie 染色SDS PAGE で分析した精製組換え体エリスロポ
エチンサンプルを示す。
【0041】 本発明は、以下さらに詳しく例示的に説明する。 (実施例) 実施例1 エリスロポエチン発現ベクターpMPSVgEPOの調製
【0042】 American Type Culture Collectionから、ヒトエリスロポエチン遺伝子を、凍
結乾燥ラムダHE 1ファージ(Lin et al., 前記ATCC No.40381)として入手
した。ヒトエリスロポエチンのためのゲノミックDNAを含有する断片を保有す
るラムダファージを充分量、この凍結乾燥ファージをSM緩衝液(Sambrook et
al.,前記)中に懸濁させ、そして該ファージを、0.3%グルコース、0.075mMCa
Cl,0.004mMFeCl、2mMMgSOおよび1mg/mlマルトースを含有す
るLB寒天中でLE392大腸菌細胞上にプレートすることにより調製した。この
ファージ粒子を、l5cmペトリ皿当たり10mのSMで一夜集める。このライセート(
lysate)50mlのファージDNAを、Qiagen Lambda キットを用い、製造業者(Qiag
en, Hilden, Germany)の指示どおりにして精製した。得られたDNAの50%を20
μlHO中に取り込み、制限エンドヌクレアーゼHindIIIおよびBamHI (New Eng
land Biolabs (NEB), Schwalbach, Germany)各30ユニットで消化した。5.4 kb
断片を 0.8%アガロースゲルから、Bio 101 (Vista CA, USA)のGene Cleanキッ
トを用いて溶出させた。この5.4 kb 断片は、4つの介在配列と5つのエクソン
とを含む、ヒトエリスロポエチン遺伝子の完全コードを含有していた(Lin et a
l., 前記参照)。
【0043】 MPSVプロモーターを保有するベクターpMPSVHE(Artelt et al.,前
記)は、制限エンドヌクレアーゼHindIIIおよびBamHIにより、製造業者(NEB)の指
示どおりにして消化し、リニヤー化したベクターDNAを、Gene CleanキットBi
o 101を用いてゲル精製した。ベクターDNAほぼ0.5μgと精製エリスロポエチ
ン挿入遺伝子2μgを、T4DNAリガーゼ(NEB)を用いてライゲートし、生成物
をRbClコンピテントDH5アルファ大腸菌細胞(Sambrook et al.,前記)
中に形質転換した。制限分析による正確挿入を用いてコロニーを同定し、Qiagen
Midiprep キットによりプラスミッドDNAを大量調製したのち、該ベクターを
緩衝液2(NEB)の存在下に制限酵素HindIIIおよびBstEII(NEB)で消化して、エリ
スロポエチン遺伝子挿入の5’末端から575bp断片を除去した;エリスロポエチ
ン遺伝子挿入の制限マップについては前記Lin et al.,を再参照)。粘着末端を
、全4ヌクレオチドの存在下に37℃で30分間、T7DNAポリメラーゼ(NEB)で
充填した。この充填反応生成物を、16℃で30分間、T4DNAリガーゼ(NEB)の
存在下にライゲートし、次いでRbClコンピテントDH5アルファ大腸菌細
胞中に形質転換限分析後、正しいベクター構成を有する大腸菌クローンを同定し
、製造業者の指示どおりにQiagen Midiprep キットを用い、大量の当該ベクター
DNAを調製した。生成したベクターは、MPSVプロモーターの制御下のゲノ
ミックエリスロポエチン遺伝子を保有している、消化pMPSVgEPOであっ
た。
【0044】 実施例2 pMPSVgEPOベクターによる、BHK21およびCHO K1:cycE細胞
の安定なトランスフェクション 大腸菌のトリプトファンシンセターゼ遺伝子(trpB)を、安定なpMPSVg
EPOベクターの選択に使用した。この系では、トランスフェクトした細胞を、
トリプトファンシンセターゼ遺伝子(trpB)の遺伝子生成物の酵素活性による、
インドールを必須アミノ酸トリプトファンに変換する能力で選択する。
【0045】 CaPOトランスフェクションの前に、発現ベクターを制限酵素AatIIによ
りリニヤー化し、trpB選択プラスミッドpSV2trpB(前記Hartman and Mul
liganに記載)を、制限エンドヌクレアーゼEcoRIでリニヤー化した。5.7μgのp
MPSVgEPOと0.3μgのpSV2trpBとの混合物を、30μlのHO中
に調製した。30μlの1MCaCl溶液を混合物に加えた。60μlのリン酸塩溶
液(50mM HEPES, 280 mM NaCl, 1.5 mM Na2HPO4, pH 7.05、滅菌濾過済み、オー
トクレーブ処理せず)を加えて5秒間旋回した。室温で25秒間インキュベートし
た後、沈殿を胎児子牛血清(FCS)2%を含むTurbodoma培地2mlを含むポリプロピ
レンのチューブに移した。
【0046】 6ウエルプレートに入れた、BHK21およびCHO K1:cycE細胞培養合
流培地(Renner et a. Biotech. Bioeng. 47, 476-482, 1995)の80%を除去し
、細胞を一度血清を含まないTurbodoma培地で洗った。沈殿に培地2mlを加えた
後、細胞培養物を、37℃、5%COで5時間インキュベートした。沈殿を除去
し、グリセロール(Sigma) 15%およびFCS2%を含有するTurbodoma培地を加
えた。30秒後、グリセロールを含む培地を除去し、FCS10%を含有する培地5
mlを加え、さらにプレートを数回ゆすった。培地を血清を含まない新鮮な培地3
mlと置き換え、18時間後、細胞を、トリプトファンの代わりに300μMのインド
ールと5%の透析した胎児子牛血清(Life Technologie)を含有する50mlの選択培
地を満たしたペトリ皿中に移した。最初のクローンは、10日間培養した後視認で
きるようになるので、培地を80%アガロースで積層してから摘み上げた。1.6%
アガロース溶液をMgおよびCaを含まないPBS中に調製し、オートクレーブし、
そして42℃まで冷ました。この溶液を1:1比で予め加温した培地(42℃)と混
合し、この溶液30 mlでプレートを積層した。室温でゲル化させたのち、コロニ
ーをピペットで摘み上げた。残りの細胞培養プラスチックに粘着した細胞をトリ
プシンで脱着した。
【0047】 最初のクローンを、24ウエルプレート内の次いでT25フラスコ内の、血清を含
まないTurbodoma培地中で生育させた。8つの選択したBHK21およびCHO
K1:cycE細胞クローンの生産性を、Western Blot分析で測定した。Western Bl
ot分析では、全BHK21細胞クローン中での生産性は、CHO K1:cycE細
胞の場合より少なくとも10倍高かった(図1参照)。 最良結果を生成した2種(クローン2および10)を、異なった細胞培養系中
懸濁およびマイクロキャリヤー内で試験した。実施例3および4に詳述する。
【0048】 実施例3 懸濁培養での組換え体ヒトエリスロポエチンの生産 BHK21 pMPSVgEPO、クローン2を、スピナーフラスコ(Integra
Bioscience)内の血清を含まず蛋白質も含まないないTurbodoma培地懸濁液中で
生育させた。T−フラスコ内で生育した2000万個の細胞を細胞解離溶液(Sigma
)で脱着し、さらにスピナーフラスコ内で0.5g/l Puluronic F68(Sigma)を補っ
た Turbodoma培地200ml中に接種した。培養条件は、37℃、5%CO、回転数2
0 rpmであった。100,000細胞/mlの密度から出発し、細胞を4日間でほぼ100万細
胞/mlの密度になるまで生育させた。7日後、細胞培養物を集め、培養液を3分
間250gで遠心分離した。上澄みをSDS PAGEで分析し、分子量約34−38k
D(図2)のところに強い帯を検出した。Western Blot分析により、この帯が坑
エリスロポエチン抗体(Research Diagnostics, USA)と交叉反応性であることを
確認した。図2で観察できるように、生成物は上澄み中の総蛋白質の約50%を
占めている。
【0049】 実施例4 マイクロキャリヤー培養での組換え体ヒトエリスロポエチンの生産 BHK21 pMPSVgEPO、クローン2を、スピナーフラスコ(Integra
Bioscience)内の、血清を含まず蛋白質も含まないないTurbodomaHP-1培地(F. M
essi Cell Culture Technologies)中でマイクロキャリヤーに付着させて生育さ
せた。T−フラスコ内で生育した2000万個の細胞を細胞解離溶液(Sigma)で脱
着し、さらにTurbodoma HP-1培地25ml中で、5%COの存在下、37℃で5時間
の間に、0.6gのCytodex 1 マイクロキャリヤー(Pharmacia) に接種した。このマ
イクロキャリヤーは、製造業者の指示どおりに調製した。0.5g/l Puluronic F68
(Sigma)を補ったTurbodoma HP-1培地200mlを入れたスピナーフラスコ内に、培
養物を移した。培養条件を、37℃、5%CO、回転数20 rpmとした。100,000
細胞/mlの密度から出発し、4日間で細胞が集合体となるまで生育させた。4日
後、マイクロキャリヤーを沈殿させ、培地の70%を新鮮培地で置き換えた。5日
後および6日後、それぞれ、培地の40%を新鮮培地で置き換え、7日後細胞培養
物を集めた。上澄みは、ELISA (EPO ELISA, Beohringer Mannheim)で測定すると
、10mg/l濃度の組換え体ヒトエリスロポエチンを含有していた。この組換え体エ
リスロポエチン生成物を、実施例5に記載したようにして精製した。
【0050】 実施例5 組換え体ヒトエリスロポエチンの精製 この実施例は、細胞培養物上澄み液からの組換え体ヒトEPOの精製に関する
。このプロセスは、Laemmli, U.K.に従うSDS−PAGEで分析し、Coomassie または銀染色したとき、約34,000MWにおけるポリペプチド成分中に現れる下
記各段階を含む。: A.青色セファロース上の染料クロマトグラフィー、 B.ブチル―東洋パール上の疎水性相互作用クロマトグラフィー、 C.ヒドロキシルアパタイト上のクロマトグラフィー、 D.リソースQ上のアニオン交換クロマトグラフィー。
【0051】 A.染料クロマトグラフィー 細胞を含まない培養物上澄みのpHを、酢酸でpH5.0に調節し、4℃ないし1
0℃で0.45μmフィルターを通してロ過した。ロ液、この実施例では200ml、を、
予めpH 5.0, 4ml/min, 10℃で、20mMの酢酸ナトリウム、5mMのCaCl2および100m
MのNaClとで平衡化した、5mlの青色セファロースCL−6B(Pharmacia)カラム
上に適用した。このゲルを、pH 5.0において20mMの酢酸ナトリウム、5mMのCaCl 2 および100mMのNaClの5CVで、pH6.5において20mMのTris-HCl、5mMのCaCl2
5CVで洗った。蛋白質は、pH 9.0で、100mMのTris-HCl、5mMのCaCl2、および
1MのNaClの2CVで溶出した。
【0052】 B.疎水性相互作用クロマトグラフィー 青色セファロースカラムからの溶出液を、クロマトグラフィーの直後に1NH
ClでpH 6.9とし、負荷する前に10%イソプロパノールとした。5mlカラムにブ
チル―東洋パール(TosoHaas)を室温で負荷し、pH 6.9で、20mMのTris-HCl、5mM
のCaCl2、750mMのNaCl、10%のイソプロパノールで平衡化した。蛋白質試料を負
荷させたのち、カラムを、pH 6.9において、20mMのTris-HCl、5mMのCaCl2、750
mMのNaCl、19%のイソプロパノールで洗った。EPO含量が優勢な蛋白質を、pH
6.9で、20mMのTris-HCl、5mMのCaCl2、750mMのNaCl、27%のイソプロパノール
で溶出させた。この画分を、pH 6.9で、20mMのTris-HCl、5mMのCaCl2により、
3分の1希釈した。
【0053】 C.ヒドロキシルアパタイト上のクロマトグラフィー カラム5mlにヒドロキシルアパタイトUltrogelを室温で負荷し、pH 6.9で、20
mMのTris-HCl、5mMのCaCl2、250mMのNaCl、9%のイソプロパノールで平衡化し
た。前段階からの希釈溶出液を負荷後、カラムをpH 6.8において、10mMのTris-H
Cl、5mMのCaClの5CVで洗った。蛋白質を、pH 6.9で、20mMのTris-HCl、5
mMのCaCl2、750mMのNaCl、および27%のイソプロパノールで溶出させた。この画
分を、pH 6.9において10mMのTris-HCl、10mMのリン酸ナトリウム、および5mMの
CaCl2により、3分の1希釈した。
【0054】 D.アニオン交換クロマトグラフィー 最終精製段階として、1mlのリソースQカラム(Pharmacia)を15℃で適用した
。このカラムを、pH 7.0において10mMのリン酸塩ナトリウムで平衡化した。ヒド
ロキシルアパタイトカラムからの溶出液を負荷し、続いて平衡緩衝液で2CV洗
った。最後に、pH 7.0において10mMのリン酸塩ナトリウム、250mMのNaClで溶出
することにより、結合したエリスロポエチンを、カラムに痕跡のDNAを残して
遊離させた。蛋白質画分をultrafree-15 5k ultrafilter (Millipore)により1
0倍濃縮し、さらにpH 7.0において10mMのリン酸塩ナトリウムで2倍量に希釈し
た。
【0055】 得られたエリスロポエチン生成物の試料を、Coomanssieで染色した SDS PAGE
上で分析した。精製組換え体ヒトエリスロポエチン70μgを負荷し、そして図3
に示すように、生成物は宿主細胞由来の如何なる蛋白質をも実質的に含んでいな
かった。 本発明は好ましい実施態様に関連させて記述しているが、前記明細書を読めば
当業者ならば多様なその変形、置き換えまたは均等物、並びに本書中に記載した
方法の別の態様を実施できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、8つの選択したBHK21pMPSVgEPO、および
8つの選択したCHO K1:CycEpMPSVgEPOクローンの上澄みか
らのWestern Blot を示す。
【図2】 図2は、BHK21pMPSVgEPOクローン2由来の細胞培
養液上澄みの銀染色SDSポリアクリルアミドゲルを示す。レーン1は濃縮して
いない上澄み液を示し、他方、レーン2は10倍濃縮上澄み液を示す。
【図3】 図3は、Coomassie 染色SDS PAGE で分析した精製組換え
体エリスロポエチンサンプルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA01 CA04 DA02 EA04 FA02 FA10 GA11 HA01 4B064 AG18 CA10 CA19 CC03 CC24 CE10 DA01 4B065 AA90X AB01 AC14 BA02 BB32 CA24 CA44

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 宿主細胞を適切な栄養条件で培養する段階を含む、哺乳動物
    宿主細胞中におけるヒトエリスロポエチンの生産方法であって、該宿主細胞が脊
    髄増殖性肉腫ウイルスプロモーターにより制御されるヒトエリスロポエチンをコ
    ードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされ
    ており、該栄養条件が血清を含まず蛋白質も含まない培地であることを含むもの
    である方法。
  2. 【請求項2】 DNA配列がゲノミッククローンに由来するものである、請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 宿主細胞が腎臓細胞である、請求項1または請求項2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 細胞がベビーハムスター腎臓細胞、好ましくはBHK21細
    胞である、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 血清を含まず蛋白質も含まない培地がツルボドーマ(Turbodo
    ma)培地である、請求項1ないし請求項4の何れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 宿主細胞がそのトリプトファン産生能力により選択される、
    請求項1ないし請求項5の何れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 宿主細胞が大腸菌のトリプトファンシンセターゼ(trpB)遺
    伝子の発現によりトリプトファンを生産し得る、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 さらに、宿主細胞の培養後、細胞培養培地からエリスロポエ
    チンを回収する段階を含む、請求項1ないし請求項7の何れかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 脊髄増殖性肉腫ウイルスプロモーターにより制御されるヒト
    エリスロポエチンをコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換または
    トランスフェクトされ、血清を含まず蛋白質も含まない培地中で培養された哺乳
    動物宿主細胞。
  10. 【請求項10】 大腸菌のトリプトファンシンセターゼ(trpB)遺伝子の発
    現によりトリプトファンを生産し得る、請求項9に記載の哺乳動物宿主細胞。
  11. 【請求項11】 細胞が腎臓細胞、好ましくはベビーハムスター腎臓細胞、
    最も好ましくはBHK21細胞である、請求項9または請求項10に記載の哺乳
    動物宿主細胞。
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