JP2002524071A - 変異体egiiiセルラーゼ、そのようなegiii組成物をコードするdna、およびそれらを産生する方法 - Google Patents

変異体egiiiセルラーゼ、そのようなegiii組成物をコードするdna、およびそれらを産生する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、改善された安定性および/能力を有する変異体EGIIIセルラーゼに関する。変異体セルラーゼは、安定性および/能力を改善するために、感受性残基における置換を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 1. 発明の分野 本発明は、例えば、セルラーゼと共に用いた場合に問題となることが知られて
いる界面活性剤中における能力、あるいは熱ストレス(temperature stress)の条
件下における能力を改善させた新規な変異体セルラーゼ組成物に関する。さらに
詳細には、本発明はトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)によって産生
されるEGIIIにおける変異に関するものであり、その変異によって、熱または界
面活性剤介在ストレスの条件下において、能力の改善がもたらされる。
【0002】2. 従来技術 セルラーゼは、セルロース中のβ−D−グルコシド結合を加水分解できる酵素で
ある。セルロース分解酵素は、伝統的に3つのクラスに分類されている:エンド
グルカナーゼ、エキソグルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ、およびβ−グ
ルコシダーゼであり(Knowles, J. et al., (1987) TIBTECH 5: 255-261)、多く
の細菌、酵母、および真菌によって産生されることが知られている。
【0003】 セルロース分解酵素の使用のために開発された用途の中で主要なものとして、
(バイオ)エタノール製造のための(木材)セルロースパルプの糖への分解、「
ストーンウォッシュ(stone washing)」および「バイオポリッシング(biopolishi
ng)」のような織物処理、ならびに洗剤組成物中における用途が挙げられる。さ
らに、セルラーゼは、機械パルプの処理において有用であることが知られている
(例えば国際特許公開第WO92/16687号を参照)。さらに、セルラーゼは、飼料添加
物として(例えば国際特許公開第WO91/04673号を参照)、および穀物の湿式粉砕に
おいて有用であることが知られている。
【0004】 しかしながら、最も重要なこととして、セルラーゼは、織物処理において、す
なわち泥または灰色がかった外観を除去するのを助けるために洗剤組成物中にお
いて(例えば、セルラーゼを加えた洗剤を用いると洗浄能力が改善されることを
記載している英国特許出願第2,075,028号、第2,095,275号、および第2,094,826
号を参照)、あるいは織物の感触および外観をよくするために販売前の織物の処
理において用いられる。さらには、英国特許出願第1,358,599号は、洗剤におい
てセルラーゼを用いると綿混織物のガサガサした感触が減ること、使用済み織物
を再生する織物処理においてセルラーゼを使用すること、さらにセルラーゼは使
用済み織物の色を明るく鮮やかにすることによってそれらを再生する織物処理に
おいて使用されることについて記載している(例えば、The Shizuoka Prefectura
l Hammamatsu Textile Industrial Research Institute Report, Vol. 24, pp.
54-61 (1986) を参照)。例えば、綿混織物を繰り返し洗浄すると、その織物が灰
色じみた外観となり、これは、機械的作用によって生じる、しばしば「毛玉(pil
ls)」と呼ばれる、破壊されかつ乱れた小繊維のせいであると考えられている。
この灰色じみた外観は、特に着色織物において顕著である。従って、セルラーゼ
が繊維の乱れた最上層を除去し、従って織物の全体的外観を改善し得ることは価
値がある。
【0005】 さらに、セルラーゼは多くの工業プロセスにおいて有効であることが分かって
いる。従って、1つ以上の特定の用途に関して特に有効な能力特性を有する特定
のセルラーゼ組成物または成分を探索することが本分野における趨勢であった。
真菌および細菌において産生(発現)されたセルラーゼが注目の対象であった。
結晶形態のセルロースの分解が可能である完全セルラーゼ系統は発酵法を介して
大量に容易に産生されるため、例えば、トリコデルマ種(特にトリコデルマ・ロ
ンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum))のような特定の真菌によって
産生されるセルラーゼが大いに注目されている。特定セルラーゼの性質およびそ
れらが工業プロセスにおいて果たす能力を特定するために、特定のセルラーゼ複
合体が広く分析されている。例えば、Wood et al., “Methods in Enzymology”
, 160, 25, pages 234 et seq. (1988)には、完全真菌セルラーゼ系統は、エキ
ソセロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)(“CBH”)、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.
4)(“EG”)、およびβ−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)(“BG”)として同定された
酵素を含むいくつかの異なる酵素分類を含むことが開示されている。CBH、EG、
およびBGの真菌セルラーゼ分類は、各分類の中に含まれる多様な成分にさらに展
開させることができる。米国特許第5,475,101号(Ward et al.)は、トリコデルマ
・ロンギブラキアタムに由来するEGIIIと称する1つの特に有用な酵素の精製お
よび分子クローニングについて開示している。
【0006】 国際特許公開第WO94/14953号は、それぞれ20ヌクレオチドを有する一連のDNA
配列の任意の1つを含む核酸によってコードされるエンドグルカナーゼについて
開示している。
【0007】 Oio et al., Curr. Genet., Vol.18, pp.217-222 (1990)は、アミノ酸配列NNLW
G、ELMIW、およびGTEPFTを含むアスペルギルス・アキュレアタス(Aspergillus a
culeatus)によって産生されるエンドグルカナーゼF1−CMCをコードするcDNA配列
について開示する。Sakamoto et al., Curr. Genet., Vol.27, pp.435-439 (199
5)は、アミノ酸配列ELMIWおよびGTEPFTを含むアスペルギルス・カワチ(Aspergil
lus Kawachii)IFO4308由来のエンドグルカナーゼCMCase−1をコードするcDNAに
ついて開示する。Ward et al.は、アミノ酸配列NNLWG、ELMIW、およびGTEPFTを
有するEGIIIの配列について開示する。さらには、一方はエルビニナ・カロトバ
ラ(Erwinia carotovara)由来であり、他方はロドサームス・マリナス(Rhodother
mus marinus)由来である、アミノ酸配列ELMIWを含む2つのセルラーゼ配列が、S
aarilahti et al., Gene, Vol.90, pp.9-14 (1990)およびHreggvidsson et al.,
Appl. Environ. Microb., Vol. 62, No.8, pp.3047-3049 (1996)において開示
されている。しかしながら、それら文献のいずれも、それらアミノ酸配列が、他
のセルラーゼを同定し、または単離するのに特に適切であることについては開示
も示唆もしておらず、特に、細菌、放線菌、および他の糸状菌のような多種多様
な生物から、そのようなセルラーゼを得ることができることについて示唆できて
いない。
【0008】 上記の分野のいくつかまたは全てにおいて用途を有する多くのセルラーゼ組成
物に関連する当業界での知識にもかかわらず、セルラーゼが一般的に用いられる
組成物、すなわち、家庭用の洗剤、ストーンウォッシュ組成物、または洗濯用洗
剤中に通常存在する特定の界面活性剤組成物に耐性を有するセルラーゼ組成物が
引き続き必要とされている。従来技術のセルラーゼでの1つの問題は、例えば直
鎖アルキルスルホン酸塩(LAS)のような界面活性剤組成物に対する感受性であっ
た。界面活性剤は洗剤中に偏在するため、そのような化合物による不活化に対す
るセルラーゼの感受性は、洗剤中におけるセルラーゼの価値を非常に不利にし得
る。トリコデルマ・リーセイ由来のEGIIIはLAS型化合物に対する優れた耐性を有
するが、界面活性剤に対する耐性に重要であるとして本出願において同定された
特定残基を修飾することによって、さらに改善することができる。
【0009】発明の概要 本発明の目的は、界面活性剤の存在下において改善された能力を有する新規な
変異体EGIIIセルラーゼ組成物を提供することにある。
【0010】 本発明のさらなる目的は、熱ストレスの条件下において改善された能力を有す
る新規な変異体EGIIIセルラーゼ組成物を提供することにある。
【0011】 本発明のさらなる目的は、洗濯洗剤を含む洗剤用途において優れた能力をもた
らすであろう新規な変異体EGIIIセルラーゼ含有組成物を提供することにある。
【0012】 本発明のさらなる目的は、織物処理の分野において使用するための改善された
能力特性を有する新規な変異体EGIIIセルラーゼ含有組成物を提供することにあ
る。
【0013】 本発明の更なる目的は、動物飼料の添加物として、デンプン加工において、お
よびパン作りの用途において、バイオマスの削減のために、改善された特性を有
する新規な変異体EGIIIセルラーゼ組成物を提供することである。
【0014】 本発明に従って、1つ以上のアミノ酸を修飾または欠失させて、熱および/ま
たは界面活性剤介在のストレスの存在下における安定性等の改善された能力がも
たらされた変異体EGIIIを提供する。好ましくは、修飾または欠失させるアミノ
酸残基は、EGIIIにおける位置11、12、23、27、32、51、55、57、79、81、93、1
07、159、179、183および/または204の任意の1つ以上の残基に相当する。
【0015】 本発明の別の実施形態において、本発明に基づく変異体EGIIIをコードするDNA
を提供する。さらに、前記DNAを含む発現ベクター、そのような発現ベクターで
形質転換させた宿主、およびそのような宿主によって産生された変異体EGIIIを
提供する。
【0016】 また、例えば洗濯洗剤またはストーンウォッシュ組成物のような織物処理にお
いて、バイオマスの削減において、飼料添加物の製造または飼料の加工において
、紙またはパルプに基づく製品の製造のための木材パルプの加工において、なら
びにグルコース、高フルクトースコーンシロップ、および/またはアルコールの
製造を容易にするための穀物湿式粉砕または乾式粉砕の間におけるデンプンの加
工において、変異体EGIIIを使用することも本発明の範囲内である。
【0017】発明の詳細な説明 本出願人は、トリコデルマ・リーセイ由来のEGIIIに対して顕著な相同性を有
するヒポクレア・シュベイニティ(Hypocrea schweinitzii)由来の新規なセルラ
ーゼを単離した。本セルラーゼの分析によって、顕著な相同性に関わらず、前記
2つのセルラーゼの間には能力における実質的な相違が存在することを発見した
。実際、その相同的酵素は、熱ストレスの条件下において、または界面活性剤の
存在下において、顕著に低下した能力を有する。特に、EGIIIが単に14のアミノ
酸残基位置においてのみヒポクレア・シュベイニティ由来のEGIII相同物と相違
することから、この発見は興味深く、それら14の位置がEGIIIの安定性および/
または能力に重要な影響を持つことを示唆する。従って、我々は、14の相違する
位置の1つ以上におけるEGIIIの残基を最適化することによって、EGIIIの能力を
最適化することが可能であることを発見した。
【0018】 従って、本発明は、例えば界面活性剤および/または熱ストレスの存在下にお
ける能力を改善させた変異体EGIIIセルラーゼに関する。その変異体は、酵素の
安定性および/または能力を改善させる残基で、安定性および/または能力に重
要であるとして同定された1つ以上の残基が置換されることを特徴とする。好ま
しくは、その位置における野生型残基と比較して、酸化、アルカリ、または熱に
対する改善された安定性を有する残基で、感受性残基を置換する。適切な置換は
、付加的な安定性および/または活性利益をもたらす任意の置換であり、特に好
ましい置換は、電荷、極性および/またはサイズに関して保存的修飾をもたらす
置換である。非限定的な例示として、特に有用な置換として、ロイシンをイソロ
イシンに変更し、イソロイシンをロイシンに変更し、トリプトファンをチロシン
に変更し、トレオニンをアスパラギンに変更し、アラニンをグリシンに変更し、
セリンをアスパラギンに変更し、グリシンをプロリンに変更し、さらにアスパラ
ギンをトレオニンに変更するような置換が挙げられる。
【0019】 明細書中において、請求発明の特性を明確にするため、特定の用語を以下に定
義して明らかにする。
【0020】 「セルラーゼ」は、当業界でよく分類されたカテゴリーの酵素であり、セルロ
ースポリマーをより短いセロ−オリゴ糖オリゴマー、セロビオース、および/ま
たはグルコースに加水分解することのできる酵素を含む。セルラーゼ酵素の一般
的な例として、エキソセロビオヒドロラーゼ、およびエンドグルカナーゼが挙げ
られ、特に真菌および細菌等の多くの種のセルロース分解性生物から得ることが
できる。
【0021】 「EGIII」セルラーゼは、Ward et al., 米国特許第5,475,101号、およびProce
edings on the SecondTRICEL Symposium on Tricoderma Reesei Cellulase And
Other Hydrolases, Suominen & Reinikainen eds., Espoo Finland (1993), pp.
153-158 (Foundation for Biotechnical and Industrial Fermentation Researc
h, Vol. 8)に記載されているエンドグルカナーゼ成分を称する。その中に記載の
ように、EGIIIはトリコデルマ・リーセイ(ロンギブラキアタム)由来であり、
最適pHが約5.8、等電点(pI)が約7.4、および分子量が約25kDであることを特徴
とする。トリコデルマ・リーセイ由来のEGIIと一般的に称される酵素が、以前あ
る著者によって学名EGIIIとして文献において称されたが、その酵素は、分子量
、pI、および最適pHにおいて、この中でEGIIIとして定義された酵素とは実質的
に異なる。
【0022】 「界面活性剤」は、界面活性特性を有するとして、一般的に当業界で認識され
ている任意の化合物を意味する。従って、例えば界面活性剤は、一般的に洗剤に
おいて認められる陰イオン、陽イオン、および非イオン界面活性剤を含む。陽イ
オン界面活性剤、および長鎖脂肪酸塩として、飽和または不飽和脂肪酸塩、アル
キルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩またはエステ
ル、アミノ酸型界面活性剤、リン酸エステル界面活性剤、3から4のアルキル置
換基および最大1つのフェニル置換アルキル置換基を有するものを含む第四級ア
ンモニウム塩が挙げられる。陽イオン界面活性剤および長鎖脂肪酸塩の例は、英
国特許出願公開第2094826Aに開示されており、その開示内容は、引例によってこ
の中に組み込まれる。本組成物は、そのような陽イオン界面活性剤、および長鎖
脂肪酸塩を約1から20重量%含んでいて差し支えない。陰イオン界面活性剤とし
て、直鎖または分枝アルキルベンゼンスルホン酸塩;直鎖もしくは分枝アルキル
基またはアルケニル基を有するアルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩;アル
キルまたはアルケニル硫酸塩;オレフィンスルホン酸塩;およびアルカンスルホ
ン酸塩が挙げられる。陰イオン界面活性剤の適切な対イオンとして、ナトリウム
およびカリウムのようなアルカリ金属イオン;カルシウムおよびマグネシウムの
ようなアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;および1から3の炭素数
2または3のアルカノール基を有するアルカノールアミンが挙げられる。両性界
面活性剤として、第四級アンモニウムスルホン酸塩、およびベタイン型両性界面
活性剤が挙げられる。そのような両性界面活性剤は、同じ分子内に正および負電
荷の両方の基を有する。非イオン界面活性剤は通常、ポリオキシアルキレンエー
テル、ならびに高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキシド付
加物、および脂肪酸グリセリンモノエステル等を含む。本発明において使用する
界面活性剤の例は、英国特許出願公開第2094826Aに開示されており、その開示内
容は引例によってこの中に組み込まれる。そのような界面活性剤の混合物を用い
ても差し支えない。
【0023】 「セルロース含有織物」は、セルロースを含有する綿または綿以外から成る、
あるいは天然セルロース系物質および合成セルロース系物質(ジュート、麻、ラ
ミー、レーヨン、およびリヨセル(lyocell))を含むセルロース混紡を含有する
綿または綿以外から成る、縫ったまたは縫っていない織物、糸、または繊維を意
味する。合成セルロース含有織物の項目の下に含まれるのは、レーヨンとして当
業界で周知の再生織物である。他の合成セルロース含有織物として、化学修飾セ
ルロース繊維(例えばアセテートによって誘導体化したセルロース)および溶媒
紡績(solvent-spun)セルロース繊維(例えばリヨセル)が挙げられる。そのよう
な物質から成る任意の糸または繊維もセルロース含有織物の定義内に特に含まれ
る。セルロース含有物質は、合成繊維のような物質、および羊毛および絹のよう
な天然の非セルロース系繊維と共に、混紡に組み込まれることが多い。
【0024】 「綿混織物」は、綿織物、綿ニット、綿デニム、綿糸、原綿等を含む、純綿も
しくは綿混紡から成る、縫ったまたは縫っていない織物、糸または繊維を意味す
る。綿混紡を用いた場合、その織物中の綿の量は、好ましくは、35重量%以上で
ある。混紡として用いる場合は、その織物において用いられる他の物質として、
セルロース系物質を含む1つ以上の綿以外の繊維、あるいはポリアミド繊維(例
えばナイロン6およびナイロン66)、アクリル繊維(例えばポリアクリロニトリ
ル繊維)、ポリエステル繊維(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリビニ
ルアルコール繊維(例えばビニロン)、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデ
ン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ尿素繊維、およびアラミド繊維のような合成繊
維を含んでいて差し支えない。
【0025】 「ストーンウォッシュ組成物」は、セルロース含有織物をストーンウォッシュ
するのに用いるための組成物を意味する。ストーンウォッシュ組成物は、消費者
に販売するために展示する前に、すなわち製造工程の間に、セルロース含有織物
を改変するために用いられる。一方、洗剤組成物は汚れた衣類の洗濯を対象とす
る。
【0026】 「ストーンウォッシュ」は、デニムの衣服に「ストーンウォッシュした」外観
を与えるために、攪拌および連続条件下、すなわち回転式ドラム洗濯機において
、セルラーゼ溶液でセルロース含有織物を処理することを意味する。本発明に基
づくセルラーゼ溶液は、完全にあるいは部分的に、機能上、従来法における石の
使用に置き換わるであろう。デニムの衣類にストーンウォッシュした外観を与え
るための方法は、米国特許第4,832,864号に記載されており、その全てがこの中
に引用される。通常、ストーンウォッシュ技術は、インジゴ染め綿デニムに適用
されてきた。
【0027】 「洗剤組成物」は、汚れたセルロース含有織物の洗濯のための洗浄液における
使用を対象とする混合物を意味する。本発明の関係において、そのような組成物
は、セルラーゼおよび界面活性剤に加えて、追加の加水分解酵素、ビルダー、漂
白剤、漂白活性化剤、青味剤および蛍光色素、ケーキング阻害剤(caking inhibi
tor)、マスキング剤、セルラーゼ活性化剤、酸化防止剤、ならびに可溶化剤を含
んでいて差し支えない。そのような組成物は、ストーンウォッシュ組成物とは対
照的に、通常、汚れた衣類を洗濯するのに用いられ、製造工程の間には用いられ
ない。セルラーゼを含む洗剤組成物は、例えば米国特許第5,290,474号(Clarkson
et al.)、および欧州特許公開第271 004号に記載されており、それらはこの中
に引用されている。
【0028】 「変異体」は、C末端およびN末端のいずれか一方、または両方に対する1つ以
上のアミノ酸の付加、アミノ酸配列における1つまたは多数の異なる部位におけ
る1つ以上のアミノ酸の置換、タンパク質の一方の末端または両方の末端におけ
る、あるいはアミノ酸配列の1つ以上の部位における1つ以上のアミノ酸の欠失
、アミノ酸配列における1つ以上の部位における1つ以上のアミノ酸の挿入によ
って、前駆体タンパク質(例えば天然タンパク質)から誘導されるタンパク質を
意味する。変異体酵素の調製は、好ましくは、天然タンパク質をコードするDNA
配列を修飾し、そのDNA配列によって適切な宿主を形質転換させ、さらに修飾DNA
配列を発現させて変異体酵素を形成させることによって達成される。本発明の変
異体は、前駆体酵素のアミノ酸配列と比較して変化したアミノ酸を含むペプチド
であって、前駆体酵素の特徴的な酵素特性を維持するが、ある特定の側面におい
て変化した特性を有するペプチドを含む。例えば、変異体EGIIIは、上昇した最
適pH、あるいは向上した熱または酸化安定性を有するが、セルロース分解活性を
維持するであろう。本発明に基づく変異体は、発現されるセルラーゼ誘導体の機
能的活性が維持されているセルラーゼ誘導体をコードするDNA断片に由来するも
のであって差し支えない。例えば、セルラーゼをコードするDNA断片は、コード
するセルラーゼ領域の機能的活性が維持されているセルラーゼDNA配列に対して
5’または3’末端において結合しているヒンジまたはリンカーをコードするDN
A配列またはその部分をさらに含んでいて差し支えない。
【0029】 「発現ベクター」は、適切な宿主におけるDNAの発現に影響を与えられる適切
な制御配列に作動可能に連結したDNA配列を含むDNA構築物を意味する。そのよう
な制御配列として、転写に影響するプロモーター、転写を制御するための必要に
応じてのオペレーター配列、mRNA上の適切なリボソーム結合部位をコードする配
列、および転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられる。好ましくは、異
なる種類の細胞は、異なる発現ベクターと共に用いられる。枯草菌において用い
られるベクターのための好ましいプロモーターはAprEプロモーターであり、大腸
菌において用いられる好ましいプロモーターはLacプロモーターであり、サッカ
ロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)において用いられる好まし
いプロモーターはPGK1であり、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)に
おいて用いられる好ましいプロモーターはglaAであり、およびトリコデルマ・リ
ーセイ(ロンギブラキアタム)のための好ましいプロモーターはcbhlである。ベク
ターは、プラスミド、ファージ粒子、あるいは単に潜在的なゲノム挿入であって
差し支えない。適切な宿主に導入されるとすぐに、ベクターは、宿主ゲノムに依
存しないで複製および機能することができ、あるいは適切な条件下において、ゲ
ノム自体に一体化される。本明細書において、プラスミドとベクターはしばしば
互換的に用いられている。しかしながら、本発明は、同様の機能を果たし、かつ
当業界で公知でありまたは公知となる他の形態の発現ベクターを含むことが意図
されている。従って、本発明のDNA配列を発現させる際に、多種多様な宿主/発
現ベクターの組合せを用いることができる。有用な発現ベクターは、例えば、SV
40の種々の公知の誘導物、例えばcol E1、pCR1、pBR322、pMb9、pUC19、および
それらの誘導物等の大腸菌由来のプラスミド、例えばRP4のようなより広い宿主
域プラスミド(wider host range plasmid)、例えばNM989のようなλファージな
らびにM13および線状1本鎖DNAファージのような他のDNAファージの多数の誘導
物、2μプラスミドまたはその誘導体のような酵母プラスミド、動物細胞におい
て有用であるベクターのような真核細胞において有用なベクター、ならびにファ
ージDNAまたは他の発現制御配列を用いるために修飾されているプラスミドのよ
うなプラスミドおよびファージDNAの組合せに由来するベクター等、染色体の、
非染色体の、および合成のDNA配列の断片から構成されていて差し支えない。本
発明の発現ベクターを用いる発現技術は、当業界で公知であり、概して、例えば
Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Second Edition,
Cold Spring Harbor Press (1989)に記載されている。本発明のDNA配列を含む
そのような発現ベクターは、組込み操作を介して特定の種のゲノムに直接挿入す
ることによって、単細胞宿主に導入される(例えば、引例によってこの中に組み
込まれているBennett & Lasure, More Gene Manipulations in Fungi, Academi
c Press, San Diego, pp. 70-76 (1991)、およびその中に挙げられている真菌宿
主への標的ゲノム挿入について記載している項を参照)。
【0030】 「宿主細胞株」または「宿主細胞」は、本発明に基づくDNAを含む発現ベクタ
ーのための適切な宿主を意味する。本発明において有用な宿主細胞は、一般に、
原核細胞または真核細胞宿主であり、発現が達成され得る任意の形質転換可能な
微生物を含む。特に、宿主細胞株は、枯草菌、大腸菌、トリコデルマ・リーセイ
(ロンギブラキアタム)、サッカロミセス・セレビシアエ、またはアスペルギルス
・ニガーであって差し支えない。組換えDNA技術を用いて構築したベクターで宿
主細胞を形質転換させ、またはトランスフェクションした。そのような形質転換
宿主細胞は、スウォレニン(swollenin)およびその変異体(突然変異体)をコー
ドするベクターを複製し、および所望のペプチド産物を発現することができる。
本発明に基づく好ましい実施形態において、「宿主細胞」は、細胞、およびトリ
コデルマ種の細胞から作成したプロトプラストの両方を意味する。
【0031】 「シグナル配列」は、細胞外部への成熟形態のタンパク質分泌を促進させる、
タンパク質のN末端部分に結合したアミノ酸配列を称する。このシグナル配列の
定義は、機能的な定義である。成熟形態の細胞外タンパク質は、分泌過程の間に
切断されるシグナル配列を欠いている。
【0032】 「DNAベクター」は、EGIIIの発現を生じさせるために、適切な宿主細胞の形質
転換の際に用いることができる、EGIIIまたは上記の変異体をコードする1つ以
上のDNA断片またはDNA変異体断片を含む核酸配列を意味する。
【0033】 「機能的に結合した」は、プロモーター、ターミネーター、分泌シグナルまた
はエンハンサー領域のような調節領域が構造遺伝子に連結して、構造遺伝子の発
現を制御することを意味する。
【0034】 本発明は、変異体EGIIIの発現、精製および/または単離、ならびに使用に関す
る。それら酵素は、好ましくは、上記の方法に基づき同定されおよび単離された
遺伝子を利用する組換え法によって調製される。しかしながら、本発明において
用いられる酵素は、天然単離物からの精製のような他の慣用技術によって得られ
ても差し支えない。
【0035】 本発明に基づく変異体EGIIIを発現させる目的のために形質転換される微生物
は、好都合なことに、トリコデルマ種由来の細胞株を含んでいて差し支えないと
本発明者は考えている。従って、本発明に基づく変異体EGIIIセルラーゼを調製
するための好ましい態様は、少なくとも上記のように検出された変異体EGIIIの
部分または全てをコードするDNAの断片を含むDNA構築物で、宿主細胞トリコデル
マ種を形質転換させることを含む。通常、DNA構築物をプロモーターに機能的に
結合するであろう。さらに、所望のタンパク質を発現するための条件下で形質転
換宿主細胞を培養する。続いて、所望のタンパク産物を精製して、実質的に単一
物にする。
【0036】 しかしながら、実際に、変異体EGIIIをコードする所定のDNAのための最良の発
現媒体は相違するであろう。従って、変異体EGIIIの起源の生物に系統的な類似
性を有する形質転換宿主においてタンパク質を発現させることが最も好都合であ
ろう。トリコデルマ種発現系の本説明は、単に例示目的であり、本発明の変異体
EGIIIを発現させるための1つの選択肢として示されたものである。しかしなが
ら、当業者は、もし適切であれば、異なる宿主細胞において変異体EGIIIをコー
ドするDNAを発現させたいと考えて差し支えなく、最適な発現宿主を特定する際
に、変異体EGIIIの起源を考慮する必要があることを理解すべきである。さらに
は、熟練者は、当業界で利用可能な手段を用いて、日常的な技術によって特定遺
伝子のための最良の発現系を選択することが可能であろう。
【0037】 1つの実施形態において、細胞株は、過剰発現タンパク質を得るのに有用な細
胞株であるトリコデルマ・リーセイ(ロンギブラキアタム)を含む。例えば、Appl
. Microbiol. Biotechnology, 20 (198)pp. 46-53(Sheir-Neiss et al.)に記載
のRL−P37は、増加した量のセルラーゼ酵素を分泌することが知られている。RL
−P37の機能的等価物として、トリコデルマ・リーセイ(ロンギブラキアタム)細
胞株RUT−C30(ATCC No. 56765)および細胞株QM9414(ATCC No. 26921)が挙げられ
る。それら細胞株は、変異体EGIIIを過剰発現させるのにも有用であろうと考え
ている。
【0038】 潜在的に有害な天然のセルラーゼ活性が存在しない状況下において変異体EGIII
を得ることが望ましい場合、変異体EGIIIをコードするDNA断片を包含するDNA構
築物またはプラスミドを導入する前に、1つ以上のセルラーゼ遺伝子を欠失させ
たトリコデルマ宿主細胞株を得ることが有用である。そのような細胞株は、米国
特許第5,246,853号、および国際特許公開第WO92/06209号に開示の方法によって
調製することができ、それらはこの中に引用される。1つ以上のセルラーゼ遺伝
子を欠く宿主微生物において変異体EGIIIを発現させることによって、同定およ
びそれに続く精製過程が簡素化される。クローン化されているトリコデルマ種由
来の任意の遺伝子は、例えばcbh1、cbh2、eg/1、およびeg/3遺伝子、ならびにEG
IIIおよび/またはEGVタンパク質をコードする遺伝子が欠失されていて差し支え
ない(例えば、それぞれ、米国特許第5,475,101号および国際特許公開第WO94/28
117号を参照)。
【0039】 遺伝子欠失は、当業界で公知の方法によって、欠失させまたは破壊させるべき
所望の遺伝子をプラスミドに挿入することによって成し得る。次に、所望の遺伝
子のコーディング領域内にある適切な制限酵素部位でその欠失プラスミドを切断
し、さらにその遺伝子のコード配列またはその部分を選択マーカーで置換する。
欠失させまたは破壊させるべき遺伝子の遺伝子座からの、好ましくは約0.5から2
.0kbの間のフランキングDNA配列は、選択マーカー遺伝子の一方の側に残される
。適切な欠失プラスミドは、フランキングDNA配列を含む欠失遺伝子を含有する
断片および選択マーカー遺伝子が1本鎖の直線片(a single linear piece)とし
て除去され得るように、通常、単一の制限酵素部位を有する。
【0040】 選択マーカーは、形質転換菌の検出を可能とするように選ぶ必要がある。選択
される微生物において発現される任意の選択マーカー遺伝子が適切であろう。例
えば、トリコデルマ種を用いる場合、選択マーカーは、形質転換体における選択
マーカーの存在が、形質転換体の特性に顕著な影響を与えないように選ばれる。
そのような選択マーカーは、測定可能な産物をコードする遺伝子であって差し支
えない。例えば、宿主細胞株において欠損している場合、栄養要求性表現型を示
す宿主細胞株をもたらすような、トリコデルマ種遺伝子の機能的コピー(functio
nal copy)を用いて差し支えない。
【0041】 好ましい実施形態において、機能的pyr4遺伝子で、トリコデルマ種のpyr4-
生細胞株を形質転換させて、形質転換のための選択マーカーを提供する。フルオ
ロオロチン酸(FOA)に耐性であるトリコデルマ種細胞株の選択によって、pyr4-
生株を得ることができる。Pyr4遺伝子は、ウリジンの生合成に必要な酵素である
オロチジン−5’−モノリン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子である。
ウリジンを欠く培地中で培養した完全なpyr4遺伝子を有する細胞株は、フルオロ
オロチン酸に対して選択的である。FOA耐性株を選択することによって、機能的
オロチジンモノリン酸デカルボキシラーゼ酵素を欠き、成長のためにウリジンを
必要とするpyr4-派生株を選択することができる。また、FOA選択技術を用いて、
機能的オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーゼを欠くウリジン要求株を得る
こともできる。その酵素をコードする遺伝子の機能的コピーでそれら細胞を形質
転換させることができる(Berges and Barreau, Curr. Genet., 19, 1991, pp. 3
59-365)。上記のFOA耐性技術を用いて、派生株の選択を容易に行うことができ、
さらに好ましくはpyr4遺伝子を選択マーカーとして用いる。
【0042】 1つ以上のセルラーゼ遺伝子を発現する能力を欠くようにpyr4-トリコデルマ
種を形質転換させるために、欠失したまたは破壊したセルラーゼ遺伝子を含む1
本鎖DNA断片を欠失プラスミドから単離し、適切なpyr4-トリコデルマ宿主を形質
転換するのに用いる。pyr4遺伝子産物を発現し、それによって宿主細胞株のウリ
ジン栄養要求性を補足する能力に基づき、形質転換体を同定および選択する。次
に、欠失させるべき遺伝子のゲノムコピーのコード領域の一部または全てをpyr4
選択マーカーで置換する二重交さ組込み(double crossover integration event)
を同定および確認するために、得られた形質転換体についてサザンブロット分析
を実施する。
【0043】 上記の特定のプラスミドベクターはpyr4-形質転換体の調製に関連するが、本
発明はそれらベクターに限定はされない。上記の技術を用いて、トリコデルマ種
の細胞株において、種々の遺伝子を欠失および置換させて差し支えない。さらに
、上記のように、任意の利用可能な選択マーカーを用いて差し支えない。実際、
クローン化および同定された任意のトリコデルマ種の遺伝子を、上記の方法を用
いて、ゲノムから欠失させて差し支えない。
【0044】 上記のように、用いられる宿主株は、選ばれた選択マーカーに対応する非機能
的遺伝子(単数または複数)を欠くあるいは有するトリコデルマ種の派生物である
。例えば、pyr4選択マーカーを選んだ場合、形質転換法における受容株として特
定のpyr4-派生株を用いる。同様に、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillu
s nidulans)遺伝子amdS、argB、trpC、niaDに対応するトリコデルマ種遺伝子を
含む選択マーカーを用いても差し支えない。対応する受容株は、それぞれ、argB - 、trpC-、niaD-のような派生株でなければならない。
【0045】 適切な微生物に挿入するために、変異体EGIIIセルラーゼをコードするDNAを調
製する。本発明に基づく変異体EGIIIセルラーゼをコードするDNAは、機能的セル
ロース分解活性を有するタンパク質をコードするのに必要なDNAの全てを含む。
変異体EGIIIセルラーゼまたはその誘導体をコードするDNA断片またはDNA変異体
断片を、例えばcbh1またはegl1遺伝子のプロモーターのような真菌プロモーター
配列に機能的に連結させて差し支えない。
【0046】 また、過剰発現を容易にするために、種々の変異体EGIIIセルラーゼをコード
するDNAの1つ以上のコピーを細胞株に組み込んで差し支えないと考えている。
セルラーゼをコードするDNAを運ぶ発現ベクターの構築によって、種々の変異体E
GIIIセルラーゼを調製して差し支えない。変異体EGIIIセルラーゼをコードする
挿入DNA断片を運ぶ発現ベクターは、所定の宿主生物において自立複製でき、あ
るいは宿主のDNAに一体化することができる任意のベクターであって差し支えな
く、通常プラスミドである。好ましい実施形態において、遺伝子の発現を達成す
るための2つの型の発現ベクターについて考えている。第1の型は、プロモータ
ー、遺伝子コーディング領域、およびターミネーター配列の全てが発現されるべ
き遺伝子に由来するDNA配列を包含する。必要な場合は、自身の転写調節配列お
よび翻訳調節配列の制御下に発現されるべきドメインを残すために、望ましくな
いDNA配列(例えば望ましくない領域をコードする)を欠失させることによって遺
伝子切断を行って差し支えない。新規な遺伝子配列の複数コピーを宿主に組み込
むための選択を可能とする選択マーカーもベクターに含まれる。
【0047】 第2の型の発現ベクターは、予め構築されており、高いレベルの転写に必要な
配列および選択マーカーを含んでいる。発現カセットのプロモーターおよびター
ミネーター配列の転写制御下にあるように、遺伝子またはその部分のコーディン
グ領域をこの汎用発現ベクターに挿入して差し支えない。例えば、pTEXは、その
ような汎用発現ベクターである。強力なcbh1プロモーターの下流に遺伝子または
その部分を挿入して差し支えない。
【0048】 ベクターにおいて、構造遺伝子に対するリーディングフレームにおいて、転写
および翻訳配列、すなわち適切なプロモーター配列およびシグナル配列に対して
作動可能に、本発明の変異体EGIIIセルラーゼをコードするDNA配列を連結する必
要がある。プロモーターは、宿主細胞において転写活性化を示す任意のDNA配列
であって差し支えなく、かつ宿主細胞に対して同種のまたは異種のタンパク質を
コードする遺伝子に由来していて差し支えない。シグナルペプチドは、変異体EG
IIIセルラーゼまたはその誘導体の細胞外産生をもたらす。シグナル配列をコー
ドするDNAは、好ましくは、発現されるべき遺伝子と自然に結合するDNAであるが
、本発明では、例えばトリコデルマ由来のエキソセロビオヒドロラーゼ、または
エンドグルカナーゼのような任意の適切な供給源からのシグナル配列を考えてい
る。
【0049】 本発明の変異体EGIIIセルラーゼをコードするDNA配列をプロモーターと連結さ
せ、さらに適切なベクターに挿入するために用いる方法は、当業界で公知である
【0050】 形質転換、トランスフェクション、マイクロインジェクション、マイクロポレ
ーション、バイオリスティックボンバードメント(biolistic bombardment)等の
ような公知技術に基づいて、上記のDNAベクターまたは構築物を宿主細胞に導入
することができる。
【0051】 好ましい形質転換技術において、トリコデルマ種では、DNAに対する細胞壁の透
過性が非常に低いことを考慮する必要がある。従って、所望のDNA配列、遺伝子
または遺伝子断片の取込みは最少に過ぎない。形質転換工程の前に、派生株(す
なわち用いられる選択マーカーに対応する機能的遺伝子を欠く)トリコデルマ種
の細胞壁の透過性を向上させるための多くの方法がある。
【0052】 本発明における、形質転換のためのトリコデルマ種を調製するのに好ましい方
法として、真菌の菌子体からプロトプラストを調製することが挙げられる。菌子
体は、発芽した栄養増殖胞子(germinated vegetative spores)から得ることがで
きる。細胞壁を消化してプロトプラストをもたらす酵素で菌子体を処理する。プ
ロトプラストは、懸濁培地中における浸透圧安定化剤の存在によって保護される
。それら安定化剤として、ソルビトール、マンニトール、塩化カリウム、硫酸マ
グネシウム等が挙げられる。通常、それら安定化剤の濃度は、0.8Mから1.2Mの間
でまちまちである。懸濁培地中において、約1.2Mのソルビトール溶液を用いるの
が好ましい。
【0053】 宿主トリコデルマ種細胞株へのDNAの取込みは、カルシウムイオン濃度に依存す
る。通常、取込み溶液において、約10mMCaCl2から50mMCaCl2の範囲の濃度を用い
る。取込み溶液において、カルシウムの必要性に加えて、一般的に含まれる他の
要素は、TE緩衝液(10mM Tris, pH7.4; 1mM EDTA)または10mM MOPS緩衝液(pH6.0)
(モルホリンプロパンスルホン酸)のような緩衝系、およびポリエチレングリコー
ル(PEG)である。ポリエチレングリコールは、細胞膜を融合するために作用し、
従ってトリコデルマ種細胞株の細胞質に運搬されるべき培地中の内容物およびプ
ラスミドDNAの核への運搬を可能とすると考えられている。その融合は、しばし
ば、宿主染色体に穏やかに組み込まれたプラスミドDNAの複数コピーを残す。
【0054】 通常、108から109/ml、好ましくは2x108/mlの細胞密度で透過性処理を受けた
トリコデルマ種のプロトプラストまたは細胞を、形質転換において用いる。適切
な溶液(例えば1.2Mソルビトール;50mM CaCl2)中のそのようなプロトプラストま
たは細胞100μlを所望のDNAと混合する。通常、高濃度のPEGを取込み溶液に添加
する。0.1から1容量の25%PEG4000をプロトプラスト懸濁液に添加して差し支え
ない。しかしながら、約0.25容量をプロトプラスト懸濁液に添加することが好ま
しい。また、ジメチルスルホキシド、ヘパリン、スペルミジン、塩化カリウム等
のような添加剤を取込み溶液に添加して差し支えなく、形質転換を助ける。
【0055】 通常、約0℃で、10から30分の間、上記混合物をさらにインキュベートする。
所望の遺伝子またはDNA配列の取込みをさらに強化するために、追加のPEGをさら
に混合物に添加する。通常、25%PEG4000を形質転換混合物の容量の5から15倍
の容量で添加する;しかしながら、それより多い容量または少ない容量であって
も適切となり得る。25%PEG4000は、形質転換混合物の容量の約10倍が好ましい
。PEGを添加した後、ソルビロールおよびCaCl2を添加する前に、形質転換混合物
をさらに室温でインキュベートする。溶解させた成長培地(molten aliquots of
a growth medium)にプロトプラスト懸濁液を添加する。その成長培地は、形質転
換体のみの成長を可能とする。所望の形質転換体を増殖させるのに適切な任意の
成長培地を本発明において用いることができる。しかしながら、Pyr+形質転換体
を選択する場合、ウリジンを含まない成長培地を用いるのが好ましい。ウリジン
を除いた成長培地上に生じたコロニーを移し、精製する。
【0056】 この段階で、ウリジンを欠く固体培地上におけるでこぼこの輪郭ではなく、速
い成長速度および平坦な円形コロニーの形成によって、安定な形質転換体を不安
定な形質転換体と区別することができる。さらに、場合によっては、固体非選択
培地(すなわちウリジンを含有する)上で形質転換体を培養し、その培地から胞
子を採取し、さらにウリジンを欠く選択培地上で続いて発芽および成長するであ
ろう胞子の割合を特定することによって、安定性のさらなる試験を行っても差し
支えない。
【0057】 上記方法の特定の実施形態において、新規な変異体EGIIIセルラーゼまたはその
誘導体の適切な翻訳後プロセシングの結果として、液体培地中での培養後、活性
形態において、変異体EGIIIセルラーゼまたはその誘導体を宿主細胞から回収す
る。
【0058】 遠心分離、濾過、および例えば硫酸アンモニウムのような塩を用いた上清また
は炉液中のタンパク質の沈殿等の従来技術によって、発現された変異体EGIIIセ
ルラーゼを培地から回収することができる。さらには、イオン交換クロマトグラ
フィー、アフィニティークロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー法を用
いて差し支えない。天然の精製変異体セルラーゼに対して抗体(ポリクロナール
またはモノクロナール)を誘導することができ、あるいは変異体EGIIIセルラー
ゼ分子から合成ペプチドを調製してポリクロナール抗体の誘導に用いることがで
きる。
【0059】 本発明に基づく織物処理は、セルラーゼを含む組成物を用いた織物処理または
洗濯を含む。そのような処理として、それらに限定はされないが、ストーンウォ
ッシュ、セルロース含有織物の織目、感触および/または外観の改善、またはセ
ルロース含有織物の製造または洗濯/再生の間に用いられる他の技術が挙げられ
る。さらに、本発明における、処理とは、セルロース製の織物または繊維から、
「未熟な(immature)」または「だめになった(dead)」綿を除去することを意味する
。未熟な綿は、成熟した綿よりも顕著にまとまりが無く、例えば染色むらのせい
で、展示した場合に質の悪い織物をもたらす。さらに、本発明は、汚れたセルロ
ース含有織物製品を洗濯するのに用いるセルラーゼ成分を含む組成物を考えてい
る。例えば、本発明のセルラーゼは、洗濯用の洗剤組成物において用いることが
できる。本発明に基いて有用である洗剤組成物は、予洗用洗剤、浸置き用洗剤、
および家庭で用いる色再生用組成物のような調製品を含む。この中に記載されて
いるような処理用組成物は、希釈を必要とする濃縮した形態、あるいは希釈液の
形態またはセルロース含有織物に直接用いることができる形態であって差し支え
ない。セルラーゼの織物処理のための一般的な処理技術は、例えば欧州特許出願
公開第220016号、ならびに英国特許出願公開第1,368,599号および第2,095,275号
に記載されている。
【0060】 本発明に基づくセルロース系物質の処理は、さらに、当業界で公知である目的
のために、動物飼料、パルプおよび/または紙、食物、および穀物を処理するこ
とを含む。例えば、セルラーゼは、動物飼料の価値を高め、木材パルプの乾燥性
を改善し、食品を強化し、さらに穀物の湿式製粉工程または乾式製粉工程の間に
穀物中の繊維を減らすことが知られている。
【0061】 本発明に基づく処理は、効果量のセルラーゼ、またはセルラーゼと例えば緩衝
剤、界面活性剤、および/または精練剤等の他の必要に応じての成分との組合せ
を含有する水溶液を調製することを含む。セルラーゼ酵素組成物の効果量は、そ
の意図する目的のために十分なセルラーゼの濃度である。従って、例えば、本発
明に基づくストーンウォッシュ用の組成物におけるセルラーゼの「効果量」は、
例えば縫い目およびはぎ布に着古したおよび色あせた外観をもたらす等のために
、所望の効果をもたらすような量である。同様に、セルラーゼ含有織物の感触お
よび/または外観を改善することを意図する組成物におけるセルラーゼの「効果
量」は、例えば織物の滑らかさを改善するような感触における適度の改善、また
は例えば織物の外観における鮮明さを下げる傾向がある毛玉および小繊維を除去
するような外観における適度の改善をもたらす量である。また、用いるセルラー
ゼの量は、用いる装置、用いる工程のパラメーター(セルラーゼ処理溶液の温度
、セルラーゼ溶液に曝す時間等)、ならびにセルラーゼ活性(例えばより活性が
低いセルラーゼ組成物と比較して、より活性が高いセルラーゼ組成物を用いた場
合には、特定の溶液は、より低いセルラーゼ濃度しか要求しないであろう)に依
存する。処理すべき織物を加える処理用水溶液中の正確なセルラーゼ濃度は、上
記要因ならびに所望の結果に基づき、当業熟練者が容易に特定できる。ストーン
ウォッシュ工程において、処理用水溶液中、通常、セルラーゼは約0.5から5,000
ppm全タンパク質の濃度で存在することが好ましく、さらに最も好ましくは約10
から200ppm全タンパク質の濃度である。セルラーゼ含有織物の感触および/また
は外観の改善のための組成物では、処理用水溶液中、通常、セルラーゼは約0.1
から2,000ppm全タンパク質の濃度で存在することが望ましく、さらに最も好まし
くは約0.5から200ppm全タンパク質の濃度である。
【0062】 処理の好ましい実施形態において、緩衝液の濃度が、用いるセルラーゼが活性
を示す範囲内に溶液のpHを維持するのに十分であるように、処理用組成物におい
て緩衝液を用い、セルラーゼが活性を示すpHは、用いるセルラーゼの特性に依存
する。用いる緩衝液の正確な濃度は、熟練者が容易に考慮し得るいくつかの因子
に依存するであろう。例えば、好ましい実施形態において、緩衝液ならびに緩衝
液の濃度は、最終セルラーゼ溶液のpHを最適セルラーゼ活性に必要なpH範囲内に
維持するように選択する。本発明のセルラーゼの最適pH範囲の特定は、周知技術
に基づいて確かめることができる。セルラーゼの活性範囲内にあるpHでの適切な
緩衝液は、当業者に周知である。
【0063】 セルラーゼおよび緩衝液に加えて、処理用組成物は、必要に応じて界面活性剤
を含んでいて差し支えない。適切な界面活性剤として、例えば陰イオン、非イオ
ン、および両性界面活性剤等の、用いるセルラーゼおよび織物と相性の良い任意
の界面活性剤が挙げられる。この中で用いるための適切な陰イオン界面活性剤と
して:直鎖または分枝のアルキルベンゼンスルホン酸塩;直鎖または分枝アルキ
ル基またはアルケニル基を有するアルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩;ア
ルキルまたはアルケニル硫酸塩;オレフィンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸
塩等:が挙げられる。陰イオン界面活性剤のための適切な対イオンとして:ナト
リウムおよびカリウムのようなアルカリ金属イオン;カルシウムおよびマグネシ
ウムイオンのようなアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;ならびに炭
素数2または3のアルカノール基を1から3つ有するアルカノールアミン:が挙
げられる。両性界面活性剤として、第4級アンモニウムスルホン酸塩、およびベ
タイン型両性界面活性剤が挙げられる。そのような両性界面活性剤は、同じ分子
内に正および負の電荷の両方の基を有する。非イオン界面活性剤は通常、ポリオ
キシアルキレンエーテル、ならびに高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのア
ルキレンオキシド付加物、および脂肪酸グリセリンモノエステルを含む。当業者
に公知のやり方で、界面活性剤の混合物を用いても差し支えない。
【0064】 この中に記載の方法に使用するために、濃縮セルラーゼ組成物を調製しても差
し支えない。そのような濃縮物は、好ましくは水溶液中に、濃縮された量の上記
セルラーゼ組成物、緩衝剤、および界面活性剤を含有する。そのように形成した
場合、セルラーゼ濃縮物を水で容易に希釈して、必要濃度の各成分を有するセル
ラーゼ調製液を迅速かつ正確に調製することができる。濃縮水溶液を形成した場
合、上記のように、セルラーゼ溶液中の成分が必要濃度になるようにそれら濃縮
液を希釈することができる。そのようなセルラーゼ濃縮物が、セルラーゼ溶液の
容易な調製を可能とし、かつ用いる場所にその組成物を便利に運ぶことを可能と
することは容易に理解できる。処理用濃縮物は、例えば液体、エマルジョン、ゲ
ル、またはペーストのような任意の当業界で公認の形態であって差し支えない。
そのような形態は、当業者に周知である。
【0065】 固形のセルラーゼ濃縮物を用いる場合、そのセルラーゼ組成物は、顆粒、粉末
、塊、または固い円盤状の形態(solid disk)であって差し支えない。顆粒は、洗
浄液(wash medium)への顆粒の溶解速度を下げるような物質を含むように配合し
ても差し支えない。そのような物質および顆粒については、米国特許第5,254,28
3号に開示されており、その全体がこの中に引用されている。
【0066】 また、要望通りに、組成物の最終的な用途に基づいて石、軽石、充填剤、溶剤
、酵素活性化剤、および再付着防止剤(anti-redeposition agents)等の他の物質
を本発明のセルラーゼ組成物と共に用いてもよく、あるいはその組成物中に含め
ても差し支えない。
【0067】 実施例によって、ストーンウォッシュの方法が詳細に記載されているが、記載
のパラメーターは、他の用途、すなわち織物の感触および/外観の改善等のため
に、当業者が容易に変更できる。処理用組成物をストーンウォッシュ組成物と混
ぜて、セルラーゼ酵素を織物に接近させることによって、セルロース含有織物を
効果量のセルラーゼを含有するセルラーゼ含有ストーンウォッシュ組成物と接触
させる。続いて、セルラーゼを含む水溶液と織物とをかき混ぜる。処理用組成物
が水溶液である場合は、繊維を直接その溶液中に浸すことができる。同様に、ス
トーンウォッシュ組成物が濃縮物である場合は、セルロース含有織物の入った浴
槽でその濃縮物を希釈する。ストーンウォッシュ組成物が例えば予洗用ゲルまた
は固形棒のような固形である場合は、その組成物を直接織物または洗浄液に加え
ることによって、そのストーンウォッシュ組成物を接触させることができる。
【0068】 その酵素作用によってセルロース含有織物にストーンウォッシュした外観を与
えるのに効果的な条件下において、セルロース含有織物をストーンウォッシュ組
成物と共にインキュベートする。例えば、ストーンウォッシュの間における、ス
トーンウォッシュ組成物が作用する条件を最適化するように、pH、液体比、温度
および反応時間を調整することができる。「効果的な条件」とは、必然的に、セ
ルラーゼ酵素がセルロース含有織物と効果的に反応できるような、すなわちこの
場合にはストーンウォッシュ効果が得られるようなpH、液体比、および温度を称
する。しかしながら、そのような条件は、当業者が容易に特定できる。本発明の
ストーンウォッシュ組成物のための効果的な反応条件は、対応する先行技術のセ
ルラーゼ組成物と共に用いられる周知の方法に実質的に類似する。従って、本発
明に基づくストーンウォッシュ組成物を用いるための条件を最適化することは、
慣用技術の範囲内である。
【0069】 この中で用いられるストーンウォッシュの間における、液体比、すなわち織物
の重量に対するストーンウォッシュ組成物溶液(すなわち洗浄液)の重量の比は
、通常、デニムの織物において所望のストーンウォッシュ効果を得るのに十分な
量であり、用いる工程に依存する。好ましくは、液体比は:約4:1から約50:
1であり;より好ましくは約5:1から約20:1であり;さらに最も好ましくは
約10:1から約15:1である。
【0070】 本ストーンウォッシュ組成物を用いたストーンウォッシュの間における、反応
温度は、2つの競合する要因によって制御される。第1に、高い温度は通常、反
応速度を高め、すなわち反応を速くし、より低い温度で必要とされる反応時間よ
りも反応時間を短くする。従って、反応温度は通常、約10℃以上である。第2に
、セルラーゼは、所定の反応温度を超えると活性を失うタンパク質であり、その
温度は用いるセルラーゼの特性に依存する。従って、反応温度を過度に高くする
と、セルラーゼ変性の結果としてセルロース分解活性が失われる。セルラーゼ使
用のための標準温度は通常、35℃から65℃であり、それら条件は本発明のセルラ
ーゼにも適していると予想するが、周知技術に基づいて、用いる特定のセルラー
ゼに関して最適温度条件を確かめるべきであろう。
【0071】 反応時間は、ストーンウォッシュを行う特定の条件に依存する。例えば、pH、
温度、およびセルラーゼの濃度は、何れも最適反応時間に影響を及ぼすであろう
。通常、反応時間は、約5分から約5時間であり、好ましくは約10分から約3時
間であり、さらに好ましくは約20分から約1時間である。
【0072】 本発明のさらに別の好ましい実施形態に基づいて、本発明のセルラーゼを洗剤
組成物中において用いることができる。本発明に基づく洗剤組成物は、予洗用組
成物、浸置き用組成物として、または通常の洗浄またはすすぎサイクルによる洗
濯のために有用である。好ましくは、本発明の洗剤組成物は、効果量のセルラー
ゼ、および界面活性剤を含み、さらに必要に応じて、下記の他の成分を含む。
【0073】 本発明の洗剤組成物中において用いるセルラーゼの効果量は、例えば毛玉除去
、柔軟化、毛玉防止、表面繊維除去、灰色化の防止(anti-graying)、および洗浄
のような、セルラーゼによるセルロース含有織物に対する所望の効果をもたらす
のに十分な量である。好ましくは、洗剤組成物中のセルラーゼは、洗剤の約10pp
mから約20,000ppmの濃度で使用する。
【0074】 洗剤組成物中において用いるセルラーゼ酵素の濃度は、好ましくは、洗浄液へ
の希釈に基づき、セルラーゼ酵素の濃度が約0.01から約1,000ppm全タンパク質の
範囲、好ましくは約0.02ppmから約500ppm全タンパク質の範囲、さらに最も好ま
しくは約0.5ppmから約250ppm全タンパク質になるように選択する。洗剤組成物中
において用いるセルラーゼ酵素の量は、洗浄溶液を形成するために水に添加して
その洗剤を希釈する程度に依存するであろう。
【0075】 本発明の洗剤組成物は、例えば、液体、顆粒、エマルジョン、ゲル、またはペ
ーストのような任意の当業界で公認の形態であって差し支えない。そのような形
態は、熟練者に周知である。固形洗剤組成物を用いる場合、好ましくは顆粒とし
てセルラーゼを形成する。好ましくは、セルラーゼ保護剤を追加に含むように顆
粒を配合することができる。洗浄液への顆粒の溶解速度を下げるような物質を含
むように顆粒を配合しても差し支えない。そのような物質および顆粒については
、米国特許第5,254,283号に開示されており、その全体がこの中に引用される。
【0076】 本発明の洗剤組成物は、界面活性剤、すなわち洗剤組成物での使用が周知であ
る陰イオン、非イオンおよび両性界面活性剤等の界面活性剤を用いる。セルラー
ゼ組成物および界面活性剤に加えて、本発明の洗剤組成物は、必要に応じて、1
つ以上の以下の成分を含んでいて差し支えない:セルラーゼ以外の加水分解酵素 適切な加水分解酵素として、エステル結合に作用する、カルボン酸エステル加
水分解酵素、チオエステル加水分解酵素、リン酸モノエステル加水分解酵素、お
よびリン酸ジエステル加水分解酵素;グリコシル化合物に作用するグリコシド加
水分解酵素;N−グリコシル化合物を加水分解する酵素;エーテル結合に作用す
るチオエーテル加水分解酵素;ならびにペプチド結合に作用するアミノ−アシル
−ペプチド加水分解酵素、ペプチジル−アミノ酸加水分解酵素、アシル−アミノ
酸加水分解酵素、ジペプチド加水分解酵素、およびペプチジル−ペプチド加水分
解酵素が挙げられる。それらの中で好ましいのは、カルボン酸エステル加水分解
酵素、グリコシド加水分解酵素、およびペプチジル−ペプチド加水分解酵素であ
る。適切な加水分解酵素として、(1)ペプシン、ペプシンB、レンニン、トリプ
シン、キモトリプシンA、キモトリプシンB、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、
カテプシンC、パパイン、キモパパイン、フィシン、トロンビン、フィブリノリ
シン、レニン、ズブチリシン、アスペルギルスペプチダーゼ(aspergillopeptida
se)A、コラゲナーゼ、クロストリジウムペプチダーゼ(clostridiopetidase)B、
カリクレイン、ガストリシン、カテプシンD.、ブロメリン、ケラチナーゼ、キモ
トリプシンC、ペプシンC、アスペルギルスペプチダーゼB、ウロキナーゼ、カル
ボキシペプチダーゼAおよびB、ならびにアミノペプチダーゼのようなペプチジル
−ペプチド加水分解酵素に属するプロテアーゼ;(2)α−アミラーゼ、β−ア
ミラーゼ、グルコアミラーゼ、転換酵素、リゾチーム、ペクチナーゼ、キチナー
ゼ、およびデキストラナーゼのようなグリコシド加水分解酵素(実質的な構成要
素であるセルラーゼはこのグループから除かれる)。それらの中でα−アミラー
ゼおよびβ−アミラーゼが好ましい。それら酵素は、酸性から中性の系で機能す
るが、細菌から得られた酵素は、アルカリ系で高い活性を示す;(3)カルボキ
シルエステラーゼ、リパーゼ、ペクチンエステラーゼ、およびクロロフィラーゼ
を含むカルボン酸エステル加水分解酵素。それらの中でリパーゼが特に効果的で
ある:が挙げられる。
【0077】 セルラーゼ以外の加水分解酵素は、その目的に従って要求される量だけ洗剤組
成物中に加える。好ましくは、精製タンパク質に関して、0.001から5重量%、
さらにより好ましくは0.02から3重量%の量で加えるべきである。本酵素は、単
独で、あるいは洗剤組成物中の他の成分と組み合わせて、精製していない酵素か
ら成る顆粒の形態で用いるべきである。精製していない酵素の顆粒は、その顆粒
中の精製酵素が0.001から50重量%となるような量で用いる。0.002から20重量%
、好ましくは0.1から10重量%の量でその顆粒を用いる。セルラーゼを用いる場
合と同様に、それら顆粒は、酵素保護剤および溶解遅延物質(dissolution retar
dant material)を含むように形成して差し支えない。
【0078】ビルダー A.2価の金属イオン封鎖剤 組成物は、以下の化合物:リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスホノカルボン酸塩、
アミノ酸塩、アミノポリアセテート高分子電解質、非解離性高分子、ジカルボン
酸塩、およびアルミノケイ酸塩:のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩
より成る群から選択した1つ以上のビルダー成分を約0から約50重量%の量で含
んでいて差し支えない。適切な2価の金属イオン封鎖剤は、英国特許出願公開第
2 094 826 A号に開示されており、その公報はこの中に引用される。
【0079】B.アルカリまたは無機電解質 組成物は、アルカリまたは無機電解質として、以下の化合物:ケイ酸塩、カル
ボン酸塩、および硫酸塩、ならびにトリエタノールアミン、ジエタノールアミン
、モノエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンのような有機アルカ
リ:の1つ以上のアルカリ金属塩をその組成物の約1から約50重量%、好ましく
は約5から約30重量%の量で含んでいて差し支えない。
【0080】再付着防止剤 組成物は、再付着防止剤として、1つ以上の以下の化合物:ポリチレングリコー
ル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびカルボキシメチルセ
ルロース:を約0.1から約5重量%の量で含んでいて差し支えない。
【0081】 それらの中で、カルボキシメチルセルロースおよび/またはポリエチレングリ
コールと本発明のセルラーゼ組成物の組合せは、特に有用な汚れ除去組成物を提
供する。
【0082】漂白剤 モノ過硫酸カリウム、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウ
ム/過酸化水素付加物、および塩化ナトリウム/過酸化水素付加物のような漂白
剤または/およびスルホン化フタロシアニンの亜鉛もしくはアルミニウム塩のよ
うな光感受性の漂白色素と組み合わせた本発明のセルラーゼの使用は、洗浄効果
をさらに改善する。同様に、欧州特許第684 304号に記載の漂白剤および漂白触
媒を用いることができる。
【0083】青味剤および蛍光色素 もし必要であれば、種々の青味剤および蛍光色素を組成物中に加えても差し支
えない。適切な青味剤および蛍光色素は、英国特許出願第2 094 826 Aに開示さ
れており、その公報は引例によってこの中に組み込まれている。
【0084】ケーキング阻害剤 以下のケーキング阻害剤:p−トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩
、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、細かく粉砕したシリカ、アモルファスシ
リカ、粘土、ケイ酸カルシウム(Micro-Cell of Johns Manville Co.のような)
、カルボン酸カルシウム、および酸化マグネシウム:を粉末洗剤に加えて差し支
えない。
【0085】セルラーゼ活性を阻害する因子のためのマスキング剤 本発明のセルラーゼ組成物は、銅、亜鉛、クロム、水銀、鉛、マンガン、また
は銀のイオンあるいはそれらの化合物の存在下において、場合によっては、非活
性化される。種々の金属キレート剤および金属沈殿剤がそのような阻害剤に対し
て効果的である。例えば、必要に応じての添加剤に関連して上記の項で挙げたよ
うな2価金属イオン封鎖剤、ならびにケイ酸マグネシウムおよび硫酸マグネシウ
ムが挙げられる。
【0086】 セロビオース、グルコース、およびグルコノラクトンがしばしば阻害剤として
作用する。可能な限り、そのような糖とセルラーゼとの共存を避けることが好ま
しい。不可避的に、共存した場合には、例えば糖をコーティングすることによっ
て、糖がセルラーゼと直接接触するのを避ける必要がある。
【0087】 場合によっては、長鎖脂肪酸塩および陽イオン界面活性剤が阻害剤として作用
する。しかしながら、もし錠剤化またはコーティングのようなある手段によって
、直接の接触が避けられる場合には、それら物質とセルラーゼとの共存は許容さ
れる。
【0088】 もし必要であれば、上記のマスキング剤および方法を本発明において用いて差
し支えない。
【0089】セルラーゼ活性化剤 活性化剤は、特定のセルラーゼに基づき変化し得る。タンパク質、コバルトお
よびその塩、マグネシウムおよびその塩、カルシウムおよびその塩、カリウムお
よびその塩、ナトリウムおよびその塩、あるいはマンノースおよびキシロースの
ような単糖の存在下において、多くのセルラーゼが活性化され、その洗浄力が顕
著に改善される。
【0090】酸化防止剤 酸化防止剤として、例えばtert−ブチル−ヒドロキシトルエン、4,4’−ブチ
リデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビ
ス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、モノスチレン化クレゾール、モ
ノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、および1,1−ビス(4−ヒド
ロキシ−フェニル)シクロヘキサンが挙げられる。
【0091】可溶化剤 可溶化剤として、例えばエタノールのような低級アルコール、ベンゼンスルホ
ン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のような低級アルキルベンゼンスルホン酸塩
、プロピレングリコールのようなグリコール、アセチルベンゼン−スルホン酸塩
、アセトアミド、ピリジンジカルボン酸アミド、安息香酸塩、および尿素が挙げ
られる。
【0092】 本発明の洗剤組成物は、酸性からアルカリ性にわたる広いpH範囲で用いること
ができる。好ましい実施形態において、本発明の洗剤組成物は、約5から約12以
下の範囲のpHを有するわずかに酸性、中性、またはアルカリ性の洗剤の洗浄液中
で用いることができる。
【0093】 もし望むのであれば、上記成分の他に、香料、緩衝剤、防腐剤、色素等を本発
明の洗剤組成物と共に用いることができる。そのような成分は、当業界で用いら
れている量で普通に用いる。
【0094】 本発明において用いる洗剤基材(detergent base)が粉末の形態である場合、ス
プレー−乾燥法および造粒法等の任意の公知の調製法によって調製される基材で
あって差し支えない。特に、スプレー−乾燥法、凝集法、乾燥混合法、またはノ
ンタワールート (non-tower route)法によって得られる洗剤基材が好ましい。ス
プレー−乾燥法によって得られる洗剤基材は、調製条件に関して限定されない。
スプレー−乾燥法によって得られる洗剤基材は、界面活性剤およびビルダーのよ
うな熱耐性成分の懸濁水溶液を熱い空間にスプレーすることによって得られる中
空顆粒(hollow granules)である。スプレー−乾燥の後、香料、酵素、漂白剤、
無機アルカリビルダーを加えて差し支えない。基材の調製後に、スプレー−乾燥
−造粒または凝集法によって得られた非常に濃厚な顆粒状の洗剤基材に、種々の
成分を加えても差し支えない。
【0095】 洗剤基材が液体である場合は、その液体は、均一な溶液または不均一な分散液
のいずれであっても差し支えない。洗剤中のセルラーゼによるカルボキシメチル
セルロースの分解を防ぐために、組成物中に加える前に、カルボキシメチルセル
ロースを造粒し、または被覆することが望ましい。
【0096】 工業的および家庭用の用途において、それらの環境で普通用いられている温度
、反応時間、および液体比で、例えば汚れた織物のようなセルロース含有織物と
共に本発明の洗剤組成物をインキュベートして差し支えない。インキュベーショ
ン条件、すなわち本発明に基づく洗剤組成物でセルロース含有織物を処理するの
に効果的な条件は、当業者が容易に特定できるであろう。従って、本発明の洗剤
での加工に効果的な適切な条件は、公知のセルラーゼを含有する類似の洗剤組成
物を用いる際の条件に一致するであろう。
【0097】 さらに、本発明に基づく洗剤は、柔軟化、毛玉除去、毛玉防止、表面繊維除去
、または洗浄効果に所望の改善をもたらすのに十分な活性が存在するような中間
的pHである適切な溶液中の予洗用洗剤として調製しても差し支えない。洗剤組成
物が、液体、スプレー、ゲル、またはペースト状である浸置き用(例えば予洗用
または前処理用)組成物である場合、セルラーゼ酵素は、通常、浸置き用または
前処理用組成物の全重量の約0.0001から約1重量%の範囲で用いる。そのような
組成物中において、必要に応じて界面活性剤を用いて差し支えなく、用いる場合
は、通常、浸置き用組成物の全重量の約0.005から約20重量%の範囲の濃度で含
む。組成物の残りは、浸置き用洗剤において普通用いられている成分、すなわち
希釈剤、緩衝剤、他の酵素(プロテアーゼ)等をそれらの普通の濃度で含有する
【0098】 この中に記載のセルラーゼ酵素を含有する組成物は、染み抜きおよび毛玉除去
や毛玉防止のために使用することができるとともに、色あせた織物の色の再生(
例えば、その全体がこの中に引用されている米国特許第4,738,682号を参照)に
適した単独の組成物として家庭用に使用できる。
【0099】 本発明に基づくセルラーゼの使用は、特に、飼料添加物、ならびにパルプおよ
び紙の加工において有用である。それら付加的な産業上の用途は、それぞれ、例
えば国際特許出願公開第95/16360号およびフィンランド国特許第87372号に記載
されている。
【0100】 さらに本発明およびその利点を説明するために、以下の特定の実施例を示すが
、 本発明を例示するために提示するものであり、何ら本発明の範囲を限定するもの
とみなしてはならないことを理解すべきである。
【0101】実施例 実施例1 EGIIIおよびヒポクレア・シュベイニツィ由来のEGIII相同物の熱安定性試験 熱ストレス下における安定性を確かめるため、EGIIIおよびヒポクレア・シュ
ベイニツィ由来のEGIII相同物について試験した。0.1M MOPS中、pH7.3、48℃で
、0.3mg/mlの酵素について試験し、長時間にわたりoNOC上での活性を測定して比
較した。実験は2回実施した。活性の自然対数をインキュベーション時間に対し
てプロットし、直線の勾配から非活性化の速度定数を得た。種々の変異体の結果
を表1に示す。
【0102】
【表1】 表1に示すように、トリコデルマ・リーセイ由来のEGIIIの半減期は、ヒポクレ
ア・シュベイニツィ由来のEGIII相同物の半減期よりも有意に長かった。
【0103】実施例2 EGIIIおよびヒポクレア・シュベイニツィ由来のEGIII相同物を用いた洗浄試験
EGIIIをヒポクレア・シュベイニツィ由来の相同酵素と比較した。ヒポクレア・
シュベイニツィ由来の酵素のアミノ酸配列をEGIIIのアミノ酸配列と並べて図3
に示す。図3に示すように、2つの酵素のアミノ酸配列は、位置11、12、23、27
、32、55、57、79、81、93、107、159、179、183、および204に相当する太字で
示した残基を除いて一致する。試験は以下のように実施した: 3つの異なる酵素混合物: (a)EGIII;(b)ヒポクレア・シュベイニツィ由来のEG
III相同物;および(c)前記2つの酵素の組合せ:を調整し、70ppmCaCO3(2:1 C
a: Mg)の硬度を有する水の中で、綿の布切れを入れたTerg-o-Tometer中、40℃で
、それぞれ標準LAS含有顆粒洗剤(4g/l)と混合した。125rpmで攪拌し、2.5時間
試験を実施した。試験の後、Terg-o-Tometerから布切れを取り出し、タンブル乾
燥機において乾燥し、さらに種々の程度で毛玉のついた織物のパネルと毛玉のレ
ベルを比較した。図4は、酵素濃度に対する酵素の毛玉除去能を示す。図4に示
すように、ヒポクレア・シュベイニツィ由来のEGIII相同酵素は、任意の濃度で
全く毛玉除去能を示さなかった。一方、EGIIIは酵素濃度に従って上昇する毛玉
除去能を示した。EGIII相同酵素を含有するヒポクレア・シュベイニツィ培養液
にEGIIIを強化すると同等の毛玉除去能を示すことは、EGIII相同酵素の能力を妨
げるのは、培養液の成分ではなく、低い安定性および能力を有する酵素自体であ
ることを示す。
【0104】 本実験の結果は、ヒポクレア・シュベイニツィ由来のEGIII相同酵素の安定性が
EGIIIよりはるかに劣ることを示す。実際、関連酵素は、LSD含有洗剤において全
く活性を持たないが、EGIIIは優れた活性を維持する。それらの結果は、前記2
つの酵素の間で異なる14の残基が界面活性剤安定性を担い、従ってEGIIIの安定
性を改善するのに重要であることを示す。従って、EGIIIにおけるそれら残基の
いくつかまたは全ての適切な修飾によって、おそらく、界面活性剤の存在下にお
ける改善された酵素能力をもたらすであろう。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、トリコデルマ・リーセイ由来のEGIIIのアミノ酸配列を示す。
【図2】 図2は、トリコデルマ・ロンギブラキアタム由来のEGIIIのイントロンを含ま
ないDNA配列を示す。
【図3】 図3は、EGIIIとヒポクレア・シュベイニツィ由来のセルラーゼの完全長配列
を並べて示しており、一次配列モデリングに基づき対応残基を示唆する。
【図4】 図4は、EGIII、ヒポクレア・シュベイニティ由来のEGIII相同物、およびEGII
Iとヒポクレア・シュベイニティ由来のEGIII相同物との組合せのLAS含有洗剤中
、40℃での毛玉除去能の比較を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 9/42 4L031 5/10 C12S 3/08 4L055 9/42 D06M 16/00 ZBPA C12S 3/08 D21H 21/10 D06M 16/00 ZBP D06M 101:06 D21H 21/10 C12N 15/00 ZNAA // D06M 101:06 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZA,ZW (72)発明者 ミチンソン,コリン アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94019 ハーフ ムーン ベイ マートル ストリート 381 Fターム(参考) 2B150 AA20 DF14 4B024 AA03 BA12 CA01 GA11 4B050 CC04 DD03 LL04 4B065 AA70Y AB01 AC02 AC20 BA02 CA27 CA43 CA57 4H003 AB19 BA09 DA01 DA03 DA17 EC03 FA14 FA21 FA22 FA47 4L031 AA02 AB32 BA39 DA01 4L055 AG42 AH18 FA08

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤および熱ストレスに対して感受性である残基にお
    ける置換を含むことを特徴とする変異体EGIIIセルラーゼ。
  2. 【請求項2】 EGIIIにおける位置11、12、23、27、32、51、55、57、79、8
    1、93、107、159、179、183および/または204での1つ以上の残基に対応する位
    置における置換または欠失を含むことを特徴とする請求項1記載のセルラーゼ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のセルラーゼをコードするDNA。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のDNAを含むベクター。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のベクターで形質転換させた宿主細胞。
  6. 【請求項6】 改善された安定性および/または能力を有する変異体EGIII
    セルラーゼを産生する方法であって、以下のステップ: (a) セルラーゼを産生するのに適切な条件下において、適切な培地中におい
    て、請求項5記載の宿主細胞を培養し; (b) 産生されたセルラーゼを採取し;さらに必要に応じて、 (c) 該セルラーゼを精製して、精製されたセルラーゼ産物を提供する: から成ることを特徴とするセルラーゼを作成する方法。
  7. 【請求項7】 界面活性剤およびセルラーゼを含む洗剤組成物であって、該
    セルラーゼが、界面活性剤および/または熱に対して感受性である残基における
    置換を含むことを特徴とする洗剤組成物。
  8. 【請求項8】 前記変異体EGIIIセルラーゼが、位置11、12、23、27、32、5
    1、55、57、79、81、93、107、159、179、183および/または204での1つ以上の
    残基に対応する位置における置換または欠失を含むことを特徴とする請求項7記
    載の洗剤組成物。
  9. 【請求項9】 洗濯洗剤であることを特徴とする請求項7記載の洗剤組成物
  10. 【請求項10】 食器用洗剤であることを特徴とする請求項7記載の洗剤組
    成物。
  11. 【請求項11】 セルロース含有織物の加工における請求項1記載の変異体
    EGIIIセルラーゼの使用方法。
  12. 【請求項12】 飼料添加物としての請求項1記載の変異体EGIIIセルラー
    ゼの使用方法。
  13. 【請求項13】 木材パルプの処理における請求項1記載の変異体EGIIIセ
    ルラーゼの使用方法。
  14. 【請求項14】 グルコースに対するバイオマスの削減における請求項1記
    載の変異体EGIIIセルラーゼの使用方法。
  15. 【請求項15】 ストーンウォッシュまたはインジゴ染めデニムにおける請
    求項1記載の変異体EGIIIセルラーゼの使用方法。
JP2000568953A 1998-09-03 1999-08-24 変異体egiiiセルラーゼ、そのようなegiii組成物をコードするdna、およびそれらを産生する方法 Expired - Fee Related JP4752022B2 (ja)

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