JP2002522009A - Ste−20関連蛋白質キナーゼ - Google Patents

Ste−20関連蛋白質キナーゼ

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JP2002522009A JP2000543584A JP2000543584A JP2002522009A JP 2002522009 A JP2002522009 A JP 2002522009A JP 2000543584 A JP2000543584 A JP 2000543584A JP 2000543584 A JP2000543584 A JP 2000543584A JP 2002522009 A JP2002522009 A JP 2002522009A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規キナーゼポリペプチドSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5、新規キナーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と共に、様々なキナーゼ関連疾患および状態の診断および治療のために有用な様々な産物および方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願 本出願は、参照として本明細書に、図面、表、または図を含むその全文が組み
入れられる、1998年4月14日に提出された「STE20関連蛋白質キナーゼ」と題す
るプロウマン&マルチネス(Plowman and Martinez)の米国特許仮出願第60/081 ,784号(Lyon&Lyon文書番号第232/279号)の優先権を主張する。
【0002】発明の分野 本発明は新規キナーゼポリペプチド、新規キナーゼポリペプチドをコードする
ヌクレオチド配列、ならびに様々なキナーゼ関連疾患および状態の診断および治
療に有用な様々な産物および方法に関する。
【0003】発明の背景 本発明の背景に関する以下の説明は、本発明の理解に役立てるために提供する
のであって、本発明に先行する技術であることを認めるものでも、先行技術を記
載しているものでもない。
【0004】 細胞のシグナル伝達は、それによって多様な細胞のプロセスを調節する外界刺
激が細胞内部に中継される基本的なメカニズムである。シグナル伝達の重要な生
化学的メカニズムの一つは、蛋白質の可逆的なリン酸化であり、これによって成
熟蛋白質の活性を、その構造および機能を変化させることによって調節すること
が可能となる。
【0005】 真核生物において最もよく特徴が調べられている蛋白質キナーゼは、セリン、
スレオニン、およびチロシン残基のヒドロキシル部分で蛋白質をリン酸化する。
これらのキナーゼは大きく2群に分けられ、一つはセリンおよびスレオニンのリ
ン酸化に特異的なキナーゼであり、もう一つはチロシンのリン酸化に特異的なキ
ナーゼである。「二重特異性キナーゼ」と呼ばれる幾つかのキナーゼは、セリン
/スレオニン残基と共にチロシン上でリン酸化することができる。
【0006】 蛋白質キナーゼはまた、細胞内でのその局在部位によっても特徴付けすること
ができる。幾つかのキナーゼは、リガンドの結合のような外的環境に反応してそ
の触媒活性を直接変化させることができる膜貫通受容体型蛋白質である。他のキ
ナーゼは、膜貫通ドメインを欠損する非受容体型の蛋白質である。それらは細胞
膜の内表面から核までの多様な細胞内分画に認めることができる。
【0007】 多くのキナーゼは、その活性がそのリン酸化状態によって調節される他のキナ
ーゼがそれらの基質の中に含まれる、調節カスケードに関与している。そのよう
な経路の活性化の結果生じたリン酸化によって、最終的に何らかの下流のエフェ
クターの活性が調節される。
【0008】 蛋白質キナーゼは、既知のメンバーが数百個存在する真核生物蛋白質の最大の
ファミリーの一つである。これらの蛋白質は、共通の触媒コア構造を含む異なる
12のサブドメインに細分することができるアミノ酸250〜300個のドメインを共有
している。これらの保存された蛋白質モチーフを最近、PCRに基づくクローニン
グ戦略を用いて調べたところ、既知のキナーゼ数が有意に増加した。
【0009】 蛋白質キナーゼの触媒ドメインの配列を多数配置させ、そしてその後の節減分
析によって、以下を含む異なる派生物またはサブファミリーに、関連するキナー
ゼを分離することが可能となった:チロシンキナーゼ、環状ヌクレオチド依存的
キナーゼ、カルシウム/カルモジュリンキナーゼ、サイクリン依存的キナーゼお
よびMAPキナーゼ、セリンスレオニンキナーゼ受容体、ならびに他のあまり定義
されていない幾つかのサブファミリー。
【0010】発明の概要 標的PCRクローニング戦略および「モチーフ抽出」バイオインフォーマティク
ス(bioinformatics)スクリプトを用いて、STE20キナーゼファミリーの哺乳類
のメンバーを、本発明の一部として同定した。これらのSTE20ファミリーメンバ
ーの全ての触媒ドメインの多数配置および節減分析によって、これらの蛋白質が
異なるサブグループ9個に分けられることが明らかになる。このような分類は、
それぞれの蛋白質の残りの非触媒部分に存在するモチーフの予測のみならず、調
節、基質およびシグナル伝達経路においても非常に正確であることが判明した。
本発明には、STE20ファミリーの新規メンバーの部分的または完全な配列、その
分類、予想または推定蛋白質構造、ならびにその生物学的および治療的重要性を
解明するための戦略が含まれる。
【0011】 このように、本発明の第一の局面は、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、S TLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5から
なる群より選択されるキナーゼポリペプチドをコードする、単離、濃縮または精
製された核酸分子を特徴とする。
【0012】 核酸に関して「単離された」とは、天然の供給源から単離された、または合成
されたDNAおよびRNAを含む、互いに結合したヌクレオチドのポリマーを意味する
。本発明の単離された核酸は、天然では純粋または分離された状態で認められな
いという点において独自である。「単離された」という用語を用いることは、天
然に存在する配列がその通常の細胞(すなわち染色体)環境から切り離されてい
ることを示している。このように、配列は細胞不含溶液中であってもよく、また
は異なる細胞環境に置かれていてもよい。この用語は、その配列が存在する唯一
のヌクレオチド鎖であることを意味するのではなく、それが本来関連する非ヌク
レオチド材料を本質的に含まない(少なくとも約90〜95%純粋)ことを意味して
おり、このように、単離された染色体とは区別される。
【0013】 核酸に関して用いられる「濃縮」という用語は、特定のDNAまたはRNA配列が、
正常もしくは疾患を有する細胞またはその配列を採取した細胞中に存在する量よ
り、関係する細胞または溶液中に存在する総DNAまたはRNAが有意に高い割合(2
〜5倍)を占めることを意味する。これは、存在する他のDNAまたはRNA量を選択
的に減少させることによって、特定のDNAもしくはRNA配列の量を選択的に増加さ
せることによって、または両者の組合せによって、人為的に行うことができる。
しかし、濃縮されたという用語は、他のDNAまたはRNA配列が存在しないことを意
味するわけではなく、単に関係する配列の相対量が有意に増加していることを意
味することに注意されたい。「有意」という用語は、増加のレベルが、そのよう
な増加を行う人にとって有用であることを示すために用いられ、一般的に、他の
核酸と比較して少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも5〜10倍またはそ
れ以上増加していることを意味する。この用語はまた、他の起源からのDNAまた
はRNAが存在しないことを意味するわけではない。他の起源のDNAは、例えば、酵
母もしくは細菌ゲノムからのDNA、またはpUC19のようなクローニングベクターを
含んでもよい。この用語は、一つのmRNAのレベルが他の種のmRNAと比較して本来
増加している可能性がある、ウイルス感染症または腫瘍型の増殖のような天然に
存在する事象とは区別される。すなわち、この用語は、人が所望の核酸の比率を
上昇させるために介入する状況に限って当てはまることを意味する。
【0014】 ヌクレオチド配列が精製された形であることはまた、幾つかの目的にとって有
利である。核酸に関して「精製された」という用語は、(均一な調製物のように
)絶対的な純度を必要としない。その代わりに、配列は、天然の環境の場合より
比較的より純粋であることを意味する(天然のレベルと比較して、このレベルは
、例えばmg/mlに関して少なくとも2〜5倍大きくなければならない)。cDNAラ
イブラリから単離された個々のクローンは、電気泳動的に均一になるまで精製し
てもよい。これらのクローンから得られた本明細書で請求されるDNA分子は、総D NAまたは総RNAから直接得ることができる。cDNAは天然には存在しないが、むし
ろ好ましくは部分精製した天然に存在する物質(メッセンジャーRNA)の操作に
よって得る。mRNAからのcDNAライブラリの構築は、合成物質(cDNA)の作製を伴
い、cDNAライブラリを有する細胞のクローン選択によって、純粋な個々のcDNAク
ローンを合成ライブラリから単離することができる。このように、mRNAからのcD NAライブラリの構築および異なるcDNAクローンの単離を含むプロセスによって、
本来のメッセージの約106倍精製が得られる。このように、少なくとも1桁の精
製、好ましくは2または3桁、およびより好ましくは4または5桁の精製が明白
に予想される。
【0015】 「キナーゼポリペプチド」とは、配列番号:5、配列番号:6、もしくは配列
番号:7のアミノ酸配列に記載の32個(好ましくは40個、より好ましくは45個、
最も好ましくは55個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、または対応する完全長
のアミノ酸配列;配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、もしくは配列番
号:105のアミノ酸配列に記載の250個(好ましくは255個、より好ましくは260個
、最も好ましくは270個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、または対応する完
全長のアミノ酸配列;配列番号:18のアミノ酸配列に記載の27個(好ましくは30 個、より好ましくは40個、最も好ましくは45個)もしくはそれ以上の連続アミノ
酸;配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31 、もしくは配列番号:103のアミノ酸配列に記載の16個(好ましくは20個、より
好ましくは25個、最も好ましくは35個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、また
は対応する完全長のアミノ酸配列;配列番号:97もしくは配列番号:99のアミノ
酸配列に記載の6個(好ましくは10個、より好ましくは15個、最も好ましくは25 個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸;配列番号:101のアミノ酸配列に記載の2 2個(好ましくは30個、より好ましくは35個、最も好ましくは45個)もしくはそ
れ以上の連続アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;配列番号:107
のアミノ酸配列に記載の78個(好ましくは80個、より好ましくは85個、最も好ま
しくは90個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、または本明細書に記述のその機
能的誘導体を意味する。完全長の配列が示されていない配列に関しては、残りの
配列は当業者に周知の方法を用いて決定することができ、本発明に含まれると解
釈される。特定の局面において、アミノ酸100、200、300個またはそれ以上のポ
リペプチドが好ましい。キナーゼポリペプチドは、ポリペプチドの機能的活性が
保持される限り、配列番号:13のアミノ酸1〜22位のみを含む断片、または配列
番号:107のアミノ酸1〜33位のみを含む断片を含まない、完全長の核酸配列ま
たは完全長の核酸配列の如何なる部分によってコードされることも可能である。
【0016】 アミノ酸配列は、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13 、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、
配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配
列番号:100、配列番号:103、配列番号:105、もしくは配列番号:107に示す配
列、または対応する完全長のアミノ酸配列、または配列番号:13のアミノ酸1〜
22位のみを含む断片もしくは配列番号:107のアミノ酸1〜33位のみを含む断片
を含まない、その断片と実質的に類似である。配列番号:5、配列番号:6、配
列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列
番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番
号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、もし
くは配列番号:107に示す配列と実質的に類似である配列は、好ましくは、配列
番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番
号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号
:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号
:103、配列番号:105、もしくは配列番号:107に示す配列と、少なくとも90%
(より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは99〜100%)の同一性
を有すると考えられる。
【0017】 「同一性」とは、その類似性または関連性を測定する配列の特性を意味する。
同一性は、同一残基数を残基およびギャップの総数で除して、得られた商に100
をかけることによって測定される。「ギャップ」は、アミノ酸付加または欠失の
結果である配置中の空白である。このように、正確に同じ配列の2つのコピーは
100%同一性を有し、それより保存の程度が少ない配列、および欠失、付加、ま
たは置換を有する配列は同一性の程度がより低いであろう。当業者は、標準的な
パラメータを用いて配列同一性を決定するために、幾つかのコンピュータープロ
グラム、例えばブラスト(アルトシュル(Altschul)ら、(1990)Nucleic Acid s Res. 25:3389〜3402)、ブラスト2(アルトシュル(Altschul)ら、(1990
)J. Mol. Biol. 215:403〜410)、およびスミス・ウォーターマン(スミス(S mith)ら、(1981)J. Mol. Biol. 147:195〜197)を利用できることを認識す
ると思われる。
【0018】 好ましい態様において、本発明は、(a)配列番号:5、配列番号:6、配列
番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番
号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号
:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、または配列番号:107に
記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする;(b)(a)のヌクレオ
チド配列の相補体である;(c)(a)のヌクレオチド分子と非常にストリンジェ
ントな条件でハイブリダイズし、且つ天然に存在するキナーゼポリペプチドをコ
ードする;(d)以下のアミノ酸残基の部分:配列番号:5の1〜21位、22〜274 位、もしくは275〜416位、配列番号:6の1〜31位、32〜308位、309〜489位、
もしくは490〜516位、配列番号:7の1〜178位、もしくは179〜414位、配列番
号:13の1〜22位、23〜289位、290〜526位、527〜640位、641〜896位、もしく
は897〜1239位、配列番号:14の1〜255位、256〜442位、443〜626位、627〜954 位、もしくは955〜1297位、配列番号:15の1〜255位、256〜476位、477〜680位
、681〜983位、もしくは984〜1326位、配列番号:18の1〜13位、14〜273位、27 4〜346位、347〜534位、もしくは535〜894位、配列番号:22の1〜21位、22〜27 7位、278〜427位、428〜637位、638〜751位、もしくは752〜898位、配列番号:2 3の1〜66位、67〜215位、216〜425位、426〜539位、540〜786位、もしくは787
〜887位、配列番号:24の1〜25位、26〜273位、274〜422位、423〜632位、もし
くは633〜748位、配列番号:29の1〜51位、52〜224位、225〜393位、394〜658
位、もしくは659〜681位、配列番号:31の1〜25位、26〜281位、284〜430位、4 31〜640位、641〜754位、755〜901位、もしくは902〜1001位、配列番号:97の1
〜10位、11〜321位、もしくは322〜373位、配列番号:99の1〜57位、58〜369位
、または370〜418位、配列番号:103の1〜52位、53〜173位、174〜307位、308
〜572位、もしくは573〜591位、配列番号:105の1〜24位、25〜289位、290〜39 7位、398〜628位、629〜872位、もしくは873〜1227位、または配列番号:107の
1〜33位、34〜294位、295〜337位、338〜472位、473〜724位、もしくは725〜96 8位、を全てではないが1つまたはそれ以上欠損する場合を除き、配列番号:5
、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、
配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配
列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:103、配列番号:105、ま
たは配列番号:107に記載のアミノ酸配列を有するキナーゼポリペプチドをコー
ドする;(e)(d)のヌクレオチド配列の相補体である;(f)配列番号:5の
1〜21位、22〜274位、もしくは275〜416位、配列番号:6の1〜31位、32〜308 位、309〜489位、もしくは490〜516位、配列番号:7の1〜178位、もしくは179 〜414位、配列番号:13の23〜289位、290〜526位、527〜640位、641〜896位、も
しくは897〜1239位、配列番号:14の1〜255位、256〜442位、443〜626位、627
〜954位、もしくは955〜1297位、配列番号:15の1〜255位、256〜476位、477〜
680位、681〜983位、もしくは984〜1326位、配列番号:18の1〜13位、14〜273
位、274〜346位、347〜534位、もしくは535〜894位、配列番号:22の1〜21位、
22〜277位、278〜427位、428〜637位、638〜751位、もしくは752〜898位、配列
番号:23の1〜66位、67〜215位、216〜425位、426〜539位、540〜786位、もし
くは787〜887位、配列番号:24の1〜25位、26〜273位、274〜422位、423〜632
位、もしくは633〜748位、配列番号:29の1〜51位、52〜224位、225〜393位、3 94〜658位、もしくは659〜681位、配列番号:31の1〜25位、26〜281位、282〜4 30位、431〜640位、641〜754位、755〜901位、もしくは902〜1001位、配列番号
:97の1〜10位、11〜321位、もしくは322〜373位、配列番号:99の1〜57位、5 8〜369位、もしくは370〜418位、配列番号:103の1〜52位、53〜173位、174〜3 07位、308〜572位、もしくは573〜591位、配列番号:105の1〜24位、25〜289位
、290〜397位、398〜628位、629〜872位、もしくは873〜1227位、または配列番
号:107の1〜33位、34〜294位、295〜337位、338〜472位、473〜724位、もしく
は725〜968位、のアミノ酸残基から、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:
7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22 、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、
配列番号:99、配列番号:103、配列番号:105、または配列番号:107に記載の
アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする;(g)(f)のヌクレオチド配
列の相補体である;(h)N末端ドメイン、触媒ドメイン、C末端ドメイン、コイ
ルドコイル構造領域、プロリンリッチ領域、スペーサー領域、インサート、およ
びC末端テールからなる群より選択されるドメインを、1つもしくはそれ以上欠
損する場合を除き、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13 、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、
配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配
列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、もしくは配列番号:107に記載の
アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする;または(i)(h)のヌクレオ
チド配列の相補体である、ヌクレオチド配列を含むキナーゼポリペプチドをコー
ドする単離、濃縮、または精製された核酸分子を特徴とする。
【0019】 「相補体」という用語は、互いに都合のよい多数の相互作用を形成することが
できる2つのヌクレオチドを意味する。例えば、アデニンはそれらが2つの水素
結合を形成することができることから、チミンと相補的である。同様に、グアニ
ンおよびシトシンは、それらが3つの水素結合を形成することができることから
相補的である。ヌクレオチド配列は、第一の配列のヌクレオチドの全てが第二の
配列のヌクレオチドの全てと相補的であれば、もう一つのヌクレオチド配列の相
補体である。
【0020】 「ドメイン」という用語は、特定の機能を含むポリペプチドの領域を意味する
。例えば、シグナル伝達蛋白質のN末端もしくはC末端ドメインは、シグナル伝達
分子を細胞の異なる領域に局在させる分子の結合、または特定の細胞シグナルの
伝達に直接関与する他のシグナル伝達分子の結合、を含むがこれらに限定しない
機能を発揮することができる。蛋白質の残りの部分から離れて発現され、それ自
身機能することができるドメインもあるが、機能を保持するために無傷の蛋白質
の部分を保持しなければならないドメインもある。後者は蛋白質の機能的領域と
呼ばれ、これもドメインに関する。
【0021】 「N末端ドメイン」という用語は、蛋白質キナーゼの開始物質であるメチオニ
ンと触媒ドメインとの間に存在する触媒外領域を意味する。N末端ドメインは、
触媒ドメインのN末端境界を明確にするために、非重複蛋白質データベースに対
する蛋白質配列のスミス・ウォーターマン配置後に同定することができる。その
長さに応じて、N末端ドメインはキナーゼ機能において調節的役割を果たしても
、果たさなくてもよい。N末端ドメインが調節的役割を果たすことが示されてい
る蛋白質キナーゼの例は、Cdc42およびrac結合のために用いられるCRIBモチーフ
を含むPAK65である(ブルベロ(Burbelo, P. D.)ら、(1995)J. Biol. Chem. 270、29071〜290740)。
【0022】 N末端ドメインは、配列番号:5に記載の配列のアミノ酸残基1〜21位、配列
番号:6に記載の配列のアミノ酸残基1〜31位、配列番号:13に記載の配列のア
ミノ酸残基1〜22位、配列番号:18に記載の配列のアミノ酸残基1〜13位、配列
番号:22に記載の配列のアミノ酸残基1〜21位、配列番号:24に記載の配列のア
ミノ酸残基1〜25位、配列番号:29に記載の配列のアミノ酸残基1〜51位、配列
番号:31に記載の配列のアミノ酸残基1〜25位、配列番号:99に記載の配列のア
ミノ酸残基1〜57位、配列番号:103に記載の配列のアミノ酸残基1〜52位、配
列番号:105に記載の配列のアミノ酸残基1〜24位、または配列番号:107に記載
の配列のアミノ酸残基1〜33位に及ぶ。
【0023】 「触媒ドメイン」という用語は、典型的に長さがアミノ酸25〜300個で、ATPも
しくはGTPのような高エネルギーリン酸塩ドナー分子から、それ自身(自己リン
酸化)または他の蛋白質(外因性リン酸化)へのホスフェート転移反応を行う原
因となる蛋白質キナーゼの領域を意味する。蛋白質キナーゼの触媒ドメインは、
高度に保存されたアミノ酸残基を含むサブドメイン12個で構成され、ポリペプチ
ドの適当な折り畳み構造および触媒に関与する。触媒ドメインは、非重複蛋白質
データベースに対する蛋白質配列のスミス・ウォーターマン配置後に同定するこ
とができる。
【0024】 触媒ドメインは、配列番号:5に記載の配列のアミノ酸残基22〜274位、配列
番号:6に記載の配列のアミノ酸残基32〜308位、配列番号:7に記載の配列の
アミノ酸残基1〜178位、配列番号:13に記載の配列のアミノ酸残基23〜289位、
配列番号:14に記載の配列のアミノ酸残基1〜255位、配列番号:15に記載の配
列のアミノ酸残基1〜255位、配列番号:18に記載の配列のアミノ酸残基14〜273 位、配列番号:22に記載の配列のアミノ酸残基22〜277位、配列番号:23に記載
の配列のアミノ酸残基1〜66位、配列番号:24に記載の配列のアミノ酸残基26〜
273位、配列番号:29に記載の配列のアミノ酸残基394〜658位、配列番号:31に
記載の配列のアミノ酸残基26〜281位、配列番号:97に記載の配列のアミノ酸残
基1〜278位、配列番号:99に記載の配列のアミノ酸残基58〜369位、配列番号:
101に記載の配列のアミノ酸残基1〜103位、配列番号:103に記載の配列のアミ
ノ酸残基308〜572位、配列番号:105に記載の配列のアミノ酸残基25〜289位、ま
たは配列番号:107に記載の配列のアミノ酸残基34〜294位に及ぶ。
【0025】 本明細書において用いられる「触媒活性」という用語は、キナーゼ触媒ドメイ
ンが基質をリン酸化する速度を定義する。触媒活性は、例えば、リン酸化産物に
変換された基質量を時間の関数として決定することによって測定することができ
る。触媒活性は、時間を一定に保持して、一定期間後にリン酸化された基質の濃
度を決定することによって、本発明の方法によって測定することができる。基質
のリン酸化は蛋白質キナーゼの活性部位で起こる。活性部位は通常、基質が蛋白
質キナーゼに結合して、リン酸化される中空部分である。
【0026】 本明細書において用いられる「基質」という用語は、本発明のキナーゼによっ
てリン酸化される分子を意味する。キナーゼはセリン/スレオニンまたはチロシ
ンアミノ酸上で基質をリン酸化する。分子はもう一つの蛋白質またはポリペプチ
ドであってもよい。
【0027】 「C末端ドメイン」とは、蛋白質キナーゼの触媒ドメインまたは最後(C末端に
最も近い位置に存在する)の機能的ドメインとカルボキシ末端アミノ酸残基との
間に存在する領域を意味する。「機能的」ドメインとは、他の蛋白質とのアミノ
酸配列相同性から予想されるように、または特殊な構造的立体配置(すなわちコ
イルドコイル)を生じる可能性があるアミノ酸配列の存在によって、調節または
触媒的役割を果たす可能性があるポリペプチドの如何なる領域も意味する。C末
端ドメインは、触媒ドメインの、または機能的なC末端触媒外ドメインのC末端境
界域を定義するために、非重複蛋白質データベースに対する蛋白質配列のスミス
・ウォーターマン配置を用いて同定することができる。その長さおよびアミノ酸
組成に応じて、C末端ドメインはキナーゼ機能において調節的役割を果たしても
、果たさなくてもよい。C末端ドメインが調節的役割を果たす蛋白質キナーゼの
例は、そのC末端近傍にヘテロトリマーGbサブユニット結合部位を含むPAK3であ
る(リーウ(Leeuw, T.)ら(1998)Nature 391、191〜195)。
【0028】 C末端ドメインは、配列番号:5に記載の配列のアミノ酸残基275〜416位、配
列番号:6に記載の配列のアミノ酸残基309〜489位、配列番号:7に記載の配列
のアミノ酸残基179〜414位、配列番号:13に記載の配列のアミノ酸残基897〜123 9位、配列番号:14に記載の配列のアミノ酸残基955〜1297位、配列番号:15に記
載の配列のアミノ酸残基984〜1326位、配列番号:18に記載の配列のアミノ酸残
基535〜894位、配列番号:22に記載の配列のアミノ酸残基752〜898位、配列番号
:97に記載の配列のアミノ酸残基279〜330位、配列番号:99に記載の配列のアミ
ノ酸残基370〜418位、または配列番号:105に記載の配列のアミノ酸残基873〜12 27位に及ぶ。
【0029】 「シグナル伝達経路」という用語は、細胞膜を通じて細胞外シグナルを伝達し
て細胞内シグナルにする分子を意味する。次に、このシグナルは、細胞反応を刺
激することができる。シグナル伝達プロセスに関与するポリペプチド分子は、典
型的に受容体および非受容体蛋白質チロシンキナーゼ、受容体および非受容体蛋
白質ホスファターゼ、SRC相同性2および3ドメイン、ホスホチロシン結合蛋白
質(SRC相同性2(SH2)およびホスホチロシン結合(PTBおよびPH)ドメイン含
有蛋白質)、プロリンリッチ結合蛋白質(SH3ドメイン含有蛋白質)、ヌクレオ
チド交換因子、および転写因子である。
【0030】 本明細書において用いられる「コイルドコイル構造領域」という用語は、COIL Sのようなコンピューターアルゴリズムによって予想されるように、コイルドコ
イル構造をとる確率が高いポリペプチド配列を意味する(ルーパス(Lupas, A.
)(1996)Meth. Enzymology 266:513〜525)。コイルドコイル構造は、平行な
2つまたは3つの両親媒性α-ヘリックスによって形成される。コイルドコイル
は他のポリペプチドのコイルドコイルドメインに結合して、ホモまたはヘテロダ
イマーを形成する(ルーパス(Lupas, A)(1991)Science 252:1162〜1164)
。コイルドコイル依存的オリゴマー形成は、セリン/スレオニンキナーゼの触媒
活性を含む蛋白質機能に必要であることが示されている(ロウ(Roe, J.)ら(1 997)J. Biol. Chem. 272:5838〜5845)。
【0031】 コイルドコイル構造領域は、配列番号:13に記載の配列のアミノ酸残基290〜5 26位、配列番号:14に記載の配列のアミノ酸残基256〜442位、配列番号:15に記
載の配列のアミノ酸残基256〜476位、配列番号:22に記載の配列のアミノ酸残基
428〜637位、配列番号:23に記載の配列のアミノ酸残基216〜425位もしくは540
〜786位、配列番号:24に記載の配列のアミノ酸残基423〜632位、配列番号:31
に記載の配列のアミノ酸残基431〜640位もしくは755〜901位、配列番号:105に
記載の配列のアミノ酸残基291〜398位もしくは629〜668位、または配列番号:10 7に記載の配列のアミノ酸残基473〜724もしくは725〜968位に及ぶ。
【0032】 本明細書において用いられる「プロリンリッチ領域」という用語は、所定のア
ミノ酸の長さにわたってそのプロリン含有量が、蛋白質に認められるこのアミノ
酸の平均的な含有量より高い(すなわち>10%)、蛋白質キナーゼの領域を意味
する。プロリンリッチ領域はアミノ酸配列を視覚的に調べることによって容易に
識別することができ、DNAスタープログラムエディットセクのような標準的なコ
ンピューター配列解析プログラムによって定量することができる。プロリンリッ
チ領域、は調節的な蛋白質・蛋白質相互作用に関与していることが示されている
。これらの相互作用の中で、本発明に最も適切なものは、特定の蛋白質キナーゼ
(すなわちヒトPAK1)に認められる「PxxP」プロリンリッチモチーフと、アダプ
ター分子NckのSH3ドメインとを含む(ガリステオ(Galisteo, M. L.)ら(1996
)J. Biol. Chem. 271:20997〜21000)。「PxxP」プロリンリッチモチーフを含
むその他の調節的相互作用には、WWドメインが含まれる(スドル(Sudol, M.)
(1996)Prog. Biochys. Mol. Bio. 65:113〜132)。
【0033】 プロリンリッチ領域は、配列番号:13に記載の配列のアミノ酸残基527〜640位
、配列番号:14に記載の配列のアミノ酸残基443〜626位、配列番号:15に記載の
配列のアミノ酸残基477〜680位、配列番号:18に記載の配列のアミノ酸残基347
〜534位、配列番号:105に記載の配列のアミノ酸残基398〜628位、または配列番
号:107に記載の配列のアミノ酸残基338〜472位に及ぶ。
【0034】 本明細書において用いられる「スペーサー領域」という用語は、予想される機
能的ドメインの間に存在する蛋白質キナーゼの領域を意味する。スペーサー領域
は、データベースにおける如何なるアミノ酸配列とも検出可能な相同性を有せず
、隣接する機能的ドメインのC末端およびN末端境界を明確に定めるために、非重
複蛋白質データベースに対する蛋白質配列のスミス・ウォーターマン配置を用い
ることによって同定することができる。スペーサー領域は蛋白質キナーゼ機能に
おいて基本的な役割を有しても有していなくてもよい。キナーゼ機能におけるス
ペーサー領域の調節的な役割に関する先例は、インタードメイン相互作用におけ
るsrcキナーゼスペーサーの役割によって提供される(ウ(Xu, W.)ら(1997)N ature 385:595〜602)。
【0035】 スペーサー領域は、配列番号:13に記載の配列のアミノ酸残基641〜896位、配
列番号:14に記載の配列のアミノ酸残基627〜954位、配列番号:15に記載の配列
のアミノ酸残基681〜983位、配列番号:18に記載の配列のアミノ酸残基274〜346 位、配列番号:22に記載の配列のアミノ酸残基278〜427位もしくは638〜751位、
配列番号:23に記載の配列のアミノ酸残基67〜215位もしくは426〜539位、配列
番号:24に記載の配列のアミノ酸残基274〜422位もしくは633〜748位、配列番号
:29に記載の配列のアミノ酸残基225〜393位、配列番号:31に記載の配列のアミ
ノ酸残基282〜430位もしくは641〜754位、配列番号:103に記載の配列のアミノ
酸残基174〜307位、配列番号:105に記載の配列のアミノ酸残基669〜872位、ま
たは配列番号:107に記載の配列のアミノ酸残基295〜337位に及ぶ。
【0036】 本明細書において用いられる「インサート」という用語は、近縁の相同体が存
在しない蛋白質キナーゼの部分を意味する。インサートは、非重複蛋白質データ
ベースに対する蛋白質配列のスミス・ウォーターマン配列を用いて、またはDNA
スタープログラムメガラインを用いて相同配列の多数の配列配置によって同定す
ることができる。インサートは、蛋白質・蛋白質相互作用に対する新しい接点を
を示すことによって、またはそのような相互作用を妨害することによって機能的
役割を果たす可能性がある。インサートは配列番号:29に記載の配列のアミノ酸
残基52〜224位、または配列番号:103に記載の配列のアミノ酸残基53〜173位に
及ぶ。
【0037】 本明細書において用いられる「C末端テール」とは、相同性によってその最も
近縁の相同体のC末端アミノ酸を超えて伸長するまたは突出する、蛋白質キナー
ゼのC末端ドメインを意味する。C末端テールは、非重複蛋白質データベースに対
する蛋白質配列のスミス・ウォーターマン配列配置を用いて、またはDNAスター
プログラムメガラインを用いて相同的な配列の多数の配列配置によって、同定す
ることができる。その長さに応じて、C末端テールはキナーゼ機能において調節
的役割を有しても有しなくてもよい。
【0038】 C末端テールは、配列番号:6に記載の配列のアミノ酸残基490〜516位、配列
番号:23に記載の配列のアミノ酸残基787〜887位、配列番号:29に記載の配列の
アミノ酸残基659〜681位、配列番号:31に記載の配列のアミノ酸残基994〜1093
位、または配列番号:103に記載の配列のアミノ酸残基573〜591位に及ぶ。
【0039】 所望の特異性および選択性に応じて、様々な低ストリンジェンシーまたは高ス
トリンジェンシーハイブリダイゼーション条件を用いてもよい。これらの条件は
当業者に周知である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件では、高
度に相補的な核酸配列のみがハイブリダイズする。好ましくは、そのような条件
は、20連続ヌクレオチドのうちミスマッチ1または2個以上を有する核酸のハイ
ブリダイゼーションを防止し、より好ましくはそのような条件は50連続ヌクレオ
チドのうちミスマッチ1または2個以上を有する核酸のハイブリダイゼーション
を防止し、最も好ましくは、そのような条件は100連続ヌクレオチドのうちミス
マッチ1または2個以上を有する核酸のハイブリダイゼーションを防止する。場
合によっては、条件は、完全長の配列においてミスマッチ5個以上を有する核酸
のハイブリダイゼーションを防止してもよい。
【0040】 ストリンジェントなハイブリダイゼーションアッセイ条件とは、以下のように
少なくともストリンジェントであるハイブリダイゼーションアッセイ条件を意味
する:50%ホルムアミド、5×SSC、50 mM NaH2PO4、pH 6.8、0.5%SDS、0.1 mg /ml超音波処理サケ精子DNA、および5×デンハート溶液中で42℃で一晩ハイブリ
ダイゼーション;2×SSC、0.1%SDSによって45℃で洗浄;および0.2×SSC、0.1 %SDSによって45℃で洗浄。最もストリンジェントなハイブリダイゼーションア
ッセイ条件では、2回目の洗浄は0.1×SSCで70℃までの温度で行うことができる
(参照として本明細書に、図面、表または図を含めて組み入れられる、ベルガー
(Berger)ら(1987)「分子クローニング技術ガイド(Guide to Molecular Clo ning Techniques)」、421頁)。しかし、他の応用はこれらの条件の組合せ以外
の条件の利用を必要としてもよい。所望のハイブリダイゼーションを得るために
必要な条件を決定する方法は、当業者に周知であり、ハイブリダイズすべき配列
、および試験すべき試料を含むがこれらに限定しない、幾つかの要因に基づいて
いる。
【0041】 その他の好ましい態様において、本発明は、宿主細胞において転写を開始する
ために有効なベクターまたはプロモーターをさらに含む、キナーゼポリペプチド
をコードする単離、濃縮または精製された核酸分子を特徴とする。本発明はまた
、組換え型核酸、好ましくは細胞または生物中の組換え型核酸を特徴とする。組
換え型核酸は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:9、配
列番号:10、配列番号:11、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:20、配列
番号:21、配列番号:27、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100、配列
番号:102、配列番号:104もしくは配列番号:106に記載の配列、またはその機
能的誘導体、および宿主細胞において転写を開始するために有効なベクターもし
くはプロモーターを含んでもよい。または、組換え型核酸は、細胞において機能
的な転写開始領域、キナーゼポリペプチドをコードするRNA配列と相補的な配列
、および細胞において機能的な転写終結領域を含むことができる。特異的ベクタ
ーおよび宿主細胞の組合せについては以下に述べる。
【0042】 「ベクター」という用語は、細胞にトランスフェクトすることができ、細胞ゲ
ノム内で、または細胞ゲノムとは無関係に複製することができる一本鎖または二
本鎖の環状核酸分子を意味する。環状二本鎖核酸分子は切断して、それによって
制限酵素による処理によって直鎖状にすることができる。核酸ベクター、制限酵
素、および制限酵素によって切断される核酸配列に関する知識の取り合わせは、
当業者に容易に入手できる。キナーゼをコードする核酸分子は、制限酵素によっ
てベクターを切断して、2片を共にライゲーションすることによってベクターに
挿入することができる。
【0043】 「トランスフェクト」という用語は、核酸ベクターまたは他の核酸分子を細胞
生物に挿入する多くの方法を定義する。これらの方法は、細胞を高濃度の塩、電
場、洗浄剤、もしくはDMSOによって処理して、外膜もしくは細胞壁を関係する核
酸分子に対して透過性にする多様な技術、または、様々なウイルス形質導入方法
の使用を含む。
【0044】 本明細書において用いられる「プロモーター」とは、遺伝子配列発現のために
必要な核酸配列を意味する。プロモーター領域は生物によって変化するが、異な
る生物に関して当業者に周知である。例えば、原核生物では、プロモーター領域
は、プロモーター(RNA転写の開始を指示する)と共に、RNAに転写されると合成
開始のシグナルを発するDNA配列の双方を含む。そのような領域は通常、TATAボ
ックス、キャッピング構造、CAAT配列等のような、転写および翻訳の開始に関係
する5'-非コード配列を含む。
【0045】 好ましい態様において、単離された核酸は、配列番号:1、配列番号:2、配
列番号:3、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:17、配列
番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:96、配列番
号:98、配列番号:100、配列番号:102、配列番号:104、もしくは配列番号:1 06に記載の核酸配列、または対応する完全長の配列を、含む、本質的にこれらか
らなる、またはこれらからなり、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、
配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配
列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列
番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、もしくは配列番号
:107のアミノ酸配列、または対応する完全長のアミノ酸配列、その機能的誘導
体、または配列番号:5、配列番号:6、もしくは配列番号:7、または対応す
る完全長のアミノ酸配列の少なくとも40、45、50、60、100、200、もしくは300
連続アミノ酸;配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、または対応する完
全長のアミノ酸配列の少なくとも250、255、275、300、もしくは400連続アミノ
酸;配列番号:18の少なくとも27、30、35、40、50、100、200、もしくは300連
続アミノ酸;配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列
番号:31、もしくは配列番号:103、または対応する完全長のアミノ酸配列の少
なくとも16、25、35、50、100、200、もしくは300連続アミノ酸;配列番号:97
もしくは配列番号:99のアミノ酸配列に記載の6個(好ましくは10個、より好ま
しくは15個、最も好ましくは25個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、または対
応する完全長のアミノ酸配列;配列番号:101のアミノ酸配列に記載の22個(好
ましくは30個、より好ましくは35個、最も好ましくは45個)もしくはそれ以上の
連続アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;または配列番号:107の
少なくとも80、85、90、100、200、もしくは300連続アミノ酸、またはその機能
的誘導体をコードする。STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2 、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択
されるキナーゼポリペプチドは、配列番号:5、配列番号:6、もしくは配列番
号:7の少なくとも40、45、50、60、100、200、もしくは300連続アミノ酸;配
列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、もしくは配列番号:105の少なくと
も250、255、275、300、もしくは400連続アミノ酸;配列番号:18の少なくとも2 7、30、35、40、50、100、200、もしくは300連続アミノ酸;配列番号:22、配列
番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、もしくは配列番号:10 3の少なくとも35、40、45、50、100、200、もしくは300連続アミノ酸;配列番号
:97もしくは配列番号:99のアミノ酸配列に記載の6個(好ましくは10個、より
好ましくは15個、最も好ましくは25個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸;配列
番号:101のアミノ酸配列に記載の22個(好ましくは30個、より好ましくは35個
、最も好ましくは45個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸;または配列番号:10 7の少なくとも80、85、90、100、200、もしくは300連続アミノ酸、または対応す
る完全長の配列もしくはその誘導体を、含む、本質的にそれらからなる、または
それらからなる。核酸はcDNAクローニングまたはサブトラクティブハイブリダイ
ゼーションによって天然起源から単離してもよい。天然起源は、哺乳類、好まし
くはヒト、血液、精子、または組織であってもよく、核酸はトリエステル法また
は自動DNAシンセサイザーを用いて合成してもよい。
【0046】 「哺乳類」という用語は、好ましくはマウス、ラット、ウサギ、モルモット、
ヒツジ、およびヤギのような生物、より好ましくはネコ、イヌ、サル、および類
人猿、最も好ましくはヒトを意味する。
【0047】 さらに他の好ましい態様において、核酸は保存されたまたは独自の領域であり
、例えばさらなるポリペプチドの同定およびクローニングを容易にするためのハ
イブリダイゼーションプローブのデザイン、さらなるポリペプチドのクローニン
グを容易にするためのPCRプローブのデザイン、ポリペプチド領域に対する抗体
を得るため、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドをデザインするために有用
な領域である。
【0048】 「保存された核酸領域」とは、特定の核酸配列がより低いストリンジェンシー
条件でハイブリダイズすることができる、キナーゼポリペプチドをコードする2
つまたはそれ以上の核酸上に存在する領域を意味する。キナーゼポリペプチドを
コードする核酸のスクリーニングに適したより低いストリンジェンシー条件の例
は、参照として本明細書に図面、図、または表を含むその全文が組み入れられる
、アベ(Abe)ら(J. Biol. Chem. 19:13361〜13368、1992)に提供される。好
ましくは、保存された領域は20ヌクレオチドのうち5個が異なるに過ぎず、20ヌ
クレオチドのうちより好ましくは2個、または最も好ましくは20ヌクレオチド中
1個が異なるに過ぎない。
【0049】 「独自の核酸領域」とは、他の天然に存在するポリペプチドをコードする配列
には存在しないが、キナーゼポリペプチドをコードする核酸に存在する配列を意
味する。そのような領域は好ましくは、配列番号:5、配列番号:6、もしくは
配列番号:7のアミノ酸配列に記載の32個(好ましくは40個、より好ましくは45 個、最も好ましくは55個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、または対応する完
全長のアミノ酸配列;配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、もしくは配
列番号:105のアミノ酸配列に記載の250個(好ましくは255個、より好ましくは2 60個、最も好ましくは270個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、または対応す
る完全長のアミノ酸配列;配列番号:18のアミノ酸配列に記載の27個(好ましく
は30個、より好ましくは40個、最も好ましくは45個)もしくはそれ以上の連続ア
ミノ酸;配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号
:31、または配列番号:103のアミノ酸配列に記載の16個(好ましくは20個、よ
り好ましくは25個、最も好ましくは35個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、ま
たは対応する完全長のアミノ酸配列;配列番号:97もしくは配列番号:99のアミ
ノ酸配列に記載の6個(好ましくは10個、より好ましくは15個、最も好ましくは
25個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸;配列番号:101のアミノ酸配列に記載
の22個(好ましくは30個、より好ましくは35個、最も好ましくは45個)もしくは
それ以上の連続アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;または配列番
号:107のアミノ酸配列に記載の78個(好ましくは80個、より好ましくは85個、
最も好ましくは90個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸、またはその機能的誘導
体をコードする。特に、独自の核酸領域は好ましくは哺乳類起源である。
【0050】 本発明の第二の局面は、上記ポリペプチドがSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、ST LK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPA K5からなる群より選択される、試料中のキナーゼポリペプチドをコードする核酸
を検出するための核酸プローブを特徴とする。好ましくは、核酸プローブは、配
列番号:13のアミノ酸1〜22位のみからなる、または配列番号:107のアミノ酸
1〜33位のみからなる断片を含まない、配列番号:5、配列番号:6、配列番号
:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:
22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97 、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、もしくは配
列番号:107に記載のアミノ酸配列、または対応する完全長のアミノ酸配列によ
ってコードされる蛋白質の断片であるキナーゼポリペプチドをコードする。核酸
プローブは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:9、配列
番号:10、配列番号:11、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:20、配列番
号:21、配列番号:27、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100、配列番
号:102、配列番号:104もしくは配列番号:106に記載の配列、または対応する
完全長の配列、またはその機能的誘導体とハイブリダイズするヌクレオチドに基
づく配列を含む。
【0051】 好ましい態様において、核酸プローブは、配列番号:5、配列番号:6、配列
番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番
号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号
:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、もしく
は配列番号:107に記載の配列の少なくとも6、12、75、90、105、120、150、20 0、250、300または350連続アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列、ま
たはその機能的誘導体をコードする核酸とハイブリダイズする。
【0052】 プローブを用いる方法には、ハイブリダイゼーションが起こるような条件で核
酸プローブと試料とを接触させること、およびキナーゼRNAに結合したプローブ
の有無または量を検出することによって、試料中のキナーゼRNAの有無または量
を検出することが含まれる。プローブとキナーゼポリペプチドをコードする核酸
配列とのあいだに形成された核酸二本鎖を、検出された核酸の配列の同定に用い
てもよい(参照として本明細書に、図面、図または表を含むその全文が組み入れ
られる、ネルソン(Nelson)ら、「非同位DNAプローブ技術(Nonisotopic DNA P robe Techniques)」、アカデミックプレス、サンジエゴ、クリッカ(Kricka)
編、275頁、1992)。そのような方法を実施するためのキットは、その中に核酸
プローブを配置した容器手段を含むように構築してもよい。
【0053】 第三の局面において、本発明は、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7 、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる
群より選択されるキナーゼポリペプチドをコードする核酸分子を含む組換え型細
胞または組織について記述する。そのような細胞において、核酸はゲノム調節エ
レメントの制御下にあってもよく、または外因性プロモーターを含む外因性調節
エレメントの制御下であってもよい。「外因性」とは、キナーゼポリペプチドの
コード配列にインビボで転写が通常カップリングしていないプロモーターを意味
する。
【0054】 ポリペプチドは好ましくは、配列番号:13のアミノ酸1〜22位のみからなる、
または配列番号:107のアミノ酸1〜33位のみからなる断片を含まない、配列番
号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号
:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:
29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:1 03、配列番号:105、もしくは配列番号:107に記載のアミノ酸配列によってコー
ドされる蛋白質の断片、または対応する完全長のアミノ酸配列である。「断片」
とは、キナーゼポリペプチドに存在するアミノ酸配列を意味する。好ましくは、
そのような配列は、配列番号:5、配列番号:6、もしくは配列番号:7、また
は対応する完全長のアミノ酸配列の少なくとも32、45、50、60、100、200、もし
くは200連続アミノ酸;配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、もしくは
配列番号:105、または対応する完全長のアミノ酸配列の少なくとも250、255、2 75、300、もしくは400連続アミノ酸;配列番号:18の少なくとも27、30、35、40 、50、100、200、もしくは300連続アミノ酸;配列番号:22、配列番号:23、配
列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、もしくは配列番号:103、または対
応する完全長のアミノ酸配列の少なくとも16、25、35、50、100、200、もしくは
300連続アミノ酸;配列番号:97もしくは配列番号:99のアミノ酸配列に記載の
6個(好ましくは10個、より好ましくは15個、最も好ましくは25個)もしくはそ
れ以上の連続アミノ酸;配列番号:101のアミノ酸配列に記載の22個(好ましく
は30個、より好ましくは35個、最も好ましくは45個)もしくはそれ以上の連続ア
ミノ酸;配列番号:107の少なくとも78、85、90、100、200、もしくは300連続ア
ミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;またはその機能的誘導体を含む
【0055】 第四の局面において、本発明は、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7 、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる
群より選択される単離、濃縮、または精製されたキナーゼポリペプチドを特徴と
する。
【0056】 ポリペプチドに関して「単離された」とは、天然源から単離された、または合
成されたポリペプチドを含む、互いに結合したアミノ酸(アミノ酸2個またはそ
れ以上)のポリマーを意味する。本発明の単離されたポリペプチドは、天然では
純粋または分離された状態で認められないという点において独自である。「単離
された」という用語を用いることは、本来存在する配列がその通常の細胞環境か
ら切り離されていることを示す。このように、配列は細胞不含溶液中に存在して
もよく、または異なる細胞環境に置かれていてもよい。この用語は、その配列が
存在する唯一のアミノ酸鎖であることを意味するのではなく、それが天然に関連
する非アミノ酸材料を本質的に含まない(少なくとも約90〜95%純粋)ことを意
味している。
【0057】 ポリペプチドに関して用いられる「濃縮」という用語は、特定のアミノ酸配列
が、正常または疾患を有する細胞またはその配列を採取した細胞に存在する量よ
り、関係する細胞または溶液中に存在する総アミノ酸配列が有意に高い割合(2
〜5倍)を占めることを意味する。これは存在する他のアミノ酸配列を選択的に
減少させることによって、または関係する特定のアミノ酸配列の量を選択的に増
加させることによって、または両者の組合せによって、人為的に行うことができ
る。しかし、濃縮されたという用語は、他のアミノ酸配列が存在しないことを意
味するわけではなく、単に関係する配列の相対量が有意に増加していることを意
味することに注意されたい。本明細書で用いられる「有意」という用語は、増加
のレベルが、そのような増加を行う人にとって有用であることを示すために用い
られ、一般的に、他のアミノ酸配列と比較して少なくとも約2倍、より好ましく
は少なくとも5〜10倍またはそれ以上増加していることを意味する。この用語は
また、他の起源からのアミノ酸配列が存在しないことを意味するわけではない。
他の起源のアミノ酸配列は、例えば、酵母もしくは細菌ゲノム、またはpUC19の
ようなクローニングベクターによってコードされるアミノ酸配列を含んでもよい
。この用語は、人が所望のアミノ酸の比率を上昇させるために介入する状況に限
って当てはまることを意味する。
【0058】 アミノ酸配列が精製された形であることはまた、幾つかの目的にとって有利で
ある。ポリペプチドに関して「精製された」という用語は、(均一な調製物のよ
うに)絶対的な純度を必要としない。その代わりに、配列は、天然の環境の場合
より比較的より純粋であることを意味する。天然のレベルと比較して、このレベ
ルは、(例えばmg/mlに関して)少なくとも2〜5倍大きくなければならない。
少なくとも1桁、好ましくは2または3桁、より好ましくは4または5桁の精製
が明らかに予想される。物質は、好ましくは機能的に有意なレベルで汚染を含ま
ず、例えば90%、95%、または99%純粋である。
【0059】 好ましい態様において、キナーゼポリペプチドは、配列番号:13のアミノ酸1
〜22位のみからなる、または配列番号:107のアミノ酸1〜33位のみからなる断
片を含まない、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配
列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列
番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番
号:101、配列番号:103、配列番号:105、もしくは配列番号:107に記載のアミ
ノ酸配列、または対応する完全長のアミノ酸配列によってコードされる蛋白質の
断片である。好ましくは、キナーゼポリペプチドは、配列番号:5、配列番号:
6、もしくは配列番号:7の少なくとも32、45、50、60、100、200、もしくは20 0連続アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;配列番号:13、配列番
号:14、配列番号:15、もしくは配列番号:105の少なくとも250、255、275、30 0、もしくは400連続アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;配列番号
:18の少なくとも27、30、35、40、50、100、200、もしくは300連続アミノ酸;
配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、も
しくは配列番号:103の少なくとも16、25、35、50、100、200、もしくは300連続
アミノ酸、または対応する完全長のアミノ酸配列;配列番号:97もしくは配列番
号:99のアミノ酸配列に記載の6個(好ましくは10個、より好ましくは15個、最
も好ましくは25個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸;配列番号:101のアミノ
酸配列に記載の22個(好ましくは30個、より好ましくは35個、最も好ましくは45 個)もしくはそれ以上の連続アミノ酸;配列番号:107の少なくとも78、85、90
、100、200、もしくは300連続アミノ酸、またはその機能的誘導体を含む。
【0060】 好ましい態様において、キナーゼポリペプチドは、(a)配列番号:5、配列
番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番
号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号
:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号
:105、または配列番号:107に記載のアミノ酸配列;(b)以下のアミノ酸残基
の部分:配列番号:5の1〜21位、22〜274位、もしくは275〜416位、配列番号
:6の1〜31位、32〜308位、309〜489位、もしくは490〜516位、配列番号:7
の1〜178位、もしくは179〜414位、配列番号:13の1〜22位、23〜289位、290
〜526位、527〜640位、641〜896位、もしくは897〜1239位、配列番号:14の1〜
255位、256〜442位、443〜626位、627〜954位、もしくは955〜1297位、配列番号
:15の1〜255位、256〜476位、477〜680位、681〜983位、もしくは984〜1326位
、配列番号:18の1〜13位、14〜273位、274〜346位、347〜534位、もしくは535 〜894位、配列番号:22の1〜21位、22〜277位、278〜427位、428〜637位、638
〜751位、もしくは752〜898位、配列番号:23の1〜66位、67〜215位、216〜425 位、426〜539位、540〜786位、もしくは787〜887位、配列番号:24の1〜25位、
26〜273位、274〜422位、423〜632位、もしくは633〜748位、配列番号:29の1
〜51位、52〜224位、225〜393位、394〜658位、もしくは659〜681位、配列番号
:31の1〜25位、26〜281位、282〜430位、431〜640位、641〜754位、755〜901
位、もしくは902〜1001位、配列番号:97の1〜10位、11〜321位、もしくは322
〜373位、配列番号:99の1〜57位、58〜369位、もしくは370〜418位、配列番号
:103の1〜52位、53〜173位、174〜307位、308〜572位、もしくは573〜591位、
配列番号:105の1〜24位、25〜289位、290〜397位、398〜628位、629〜668位、
669〜872位、もしくは873〜1227位、または配列番号:107の1〜33位、34〜294
位、295〜337位、338〜472位、473〜724位、もしくは725〜968位、を全てではな
いが1つもしくはそれ以上欠損する場合を除き、配列番号:5、配列番号:6、
配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配
列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列
番号:97、配列番号:99、配列番号:103、配列番号:105、または配列番号:10 7に記載のアミノ酸配列;(c)配列番号:5の1〜21位、22〜274位、もしくは2 75〜416位、配列番号:6の1〜31位、32〜308位、309〜489位、もしくは490〜5 16位、配列番号:7の1〜178位、もしくは179〜414位、配列番号:13の23〜289 位、290〜526位、527〜640位、641〜896位、もしくは897〜1239位、配列番号:1 4の1〜255位、256〜442位、443〜626位、627〜954位、もしくは955〜1297位、
配列番号:15の1〜255位、256〜476位、477〜680位、681〜983位、もしくは984 〜1326位、配列番号:18の1〜13位、14〜273位、274〜346位、347〜534位、も
しくは535〜894位、配列番号:22の1〜21位、22〜277位、278〜427位、428〜63 7位、638〜751位、もしくは752〜898位、配列番号:23の1〜66位、67〜215位、
216〜425位、426〜539位、540〜786位、もしくは787〜887位、配列番号:24の1
〜25位、26〜273位、274〜422位、423〜632位、もしくは633〜748位、配列番号
:29の1〜51位、52〜224位、225〜393位、394〜658位、もしくは659〜681位、
配列番号:31の1〜25位、26〜273位、274〜422位、423〜632位、633〜746位、7 47〜993位、もしくは994〜1093位、配列番号:97の1〜10位、11〜321位、もし
くは322〜373位、配列番号:99の1〜57位、58〜369位、もしくは370〜418位、
配列番号:103の1〜52位、53〜173位、174〜307位、308〜572位、もしくは573
〜591位、配列番号:105の1〜24位、25〜289位、290〜397位、398〜628位、629 〜668位、669〜872位、もしくは873〜1227位、または配列番号:107の1〜22位
、34〜294位、295〜337位、338〜472位、473〜724位、もしくは725〜968位、の
アミノ酸残基から、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13 、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、
配列番号:24、配列番号:29、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:103、
配列番号:105、もしくは配列番号:107に記載のアミノ酸配列;または(d)C末
端ドメイン、触媒ドメイン、N末端ドメイン、スペーサー領域、プロリンリッチ
領域、コイルドコイル構造領域、インサート、およびC末端テールからなる群よ
り選択されるドメインを、全てではないが1つまたはそれ以上欠損する場合を除
き、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:13 、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:22、
配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配
列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、または配列番号
:107に記載のアミノ酸配列、を有するアミノ酸配列を含む。
【0061】 ポリペプチドは、当技術分野で周知の方法によって天然起源から単離すること
ができる。天然起源は哺乳類、好ましくはヒト、血液、精子、または組織であっ
てもよく、ポリペプチドは自動ポリペプチドシンセサイザーを用いて合成しても
よい。単離、濃縮、または精製されたキナーゼポリペプチドは、好ましくは:ST LK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、もしくはSTLK7ポリペプチド;ZC1、ZC2、ZC 3、もしくはZC4ポリペプチド;KHS2ポリペプチド;SULU1もしくはSULU3ポリペプ
チド;GEK2ポリペプチド;またはPAK4もしくはPAK5ポリペプチドである。
【0062】 幾つかの態様において、本発明は、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STL K7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からな
る群より選択される組換え型キナーゼポリペプチドを含む。「組換え型キナーゼ
ポリペプチド」とは、それがその位置(例えば、天然に認められる場合と異なる
細胞または組織に存在する)、純度または構造のいずれかにおいて天然に存在す
るポリペプチドとは異なるように、組換え型DNA技術によって産生されたポリペ
プチドを意味する。一般的に、そのような組換え型ポリペプチドは、天然に通常
認められるものとは異なる量で細胞中に存在する。
【0063】 第五の局面において、本発明は、ポリペプチドがSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5 、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およ
びPAK5からなる群より選択される、キナーゼポリペプチド、キナーゼポリペプチ
ドドメイン、または断片に対して特異的結合親和性を有する抗体(例えば、モノ
クローナル抗体またはポリクローナル抗体)を特徴とする。「特異的な結合親和
性」とは、抗体が、特定の条件で他のポリペプチドに結合する場合より大きい親
和性で、標的キナーゼポリペプチドに結合することを意味する。抗体または抗体
断片は他のポリペプチドに結合することができる領域を含むポリペプチドである
。「特異的な結合親和性」という用語は、特定の条件で他のポリペプチドに結合
する場合より大きい親和性でキナーゼポリペプチドに結合する抗体を記述する。
【0064】 「ポリクローナル」という用語は、抗原または抗原機能を持つその誘導体で免
疫感作した動物の血清より誘導された抗体分子からなる異種集団の抗体のことを
言う。ポリクローナル抗体の産生に際しては、種々の宿主動物に抗原を注入して
免疫感作するとよい。宿主の種類に応じてさまざまなアジュバントが免疫応答を
高めるために用いられうる。
【0065】 「モノクローナル抗体」とは、ある特定の抗原に対する実質的に同種の集団の
抗体である。それらは、培養中の連続継代細胞系で抗体分子を産生させるために
用いられる何らかの方法によって得ることができる。モノクローナル抗体は当業
者に既知の方法によって入手してもよい(Kohlerら、Nature 256: 495-497, 197 5及び米国特許第4,376,110、両文献とも形態、表、または図面を含むその全体が
この明細書に参照文献として組み入れられる)。
【0066】 「抗体断片」という用語は抗体の部分を指し、それは特定の分子に対する特異
的結合親和性を示す過敏に変化する領域や取り巻く重鎖及び軽鎖の部分であるこ
とが多い。過敏な可変領域は、ポリペプチド標的に物理的に結合する抗体の一部
分である。
【0067】 本発明のキナーゼポリペプチドに対して特異的な結合親和性を持つ抗体または
抗体断片は、キナーゼ-抗体の免疫複合体を形成するに適した条件下で試料をそ
の抗体を用いて探索することによってその試料中におけるキナーゼポリペプチド
の存在やキナーゼポリペプチドの量を検出するため、またそのキナーゼポリペプ
チドに結合する抗体の存在やその抗体の量を検出するための方法において利用で
きる。このような方法を実施するための診断用キットは、キナーゼに特異的な抗
体の結合パートナーの複合体やその抗体自体を含むのと同様に、そのキナーゼに
特異的な抗体または抗体断片を含むように構築するとよい。
【0068】 本発明のキナーゼポリペプチドに対して特異的結合親和性を持つ抗体または抗
体断片は、原核生物または真核生物から単離、濃縮、または精製できる。当業者
に既知の日常的方法によって、原核生物でも真核生物でも抗体または抗体断片の
産生が可能になる。ポリペプチド分子からなる抗体の精製、濃縮、及び単離につ
いては上記に記載されている。
【0069】 本発明のキナーゼポリペプチドに対して特異的結合親和性を持つ抗体は、免疫
複合体を形成させるような条件下で試料と抗体を接触させ、続いてキナーゼポリ
ペプチドに複合化する抗体の存在や量を検出することによってその試料に含まれ
るキナーゼポリペプチドの存在や量を調べるための方法において利用することが
できる。このような方法を実施するための診断用キットは、抗体を含む第1容器
とその抗体の結合パートナーの複合体及び例えば放射性同位元素のようなラベル
を含む第2容器を備えるようにように構築するとよい。またこの診断用キットに
は、FDA最適使用法の注意書きと説明書も添付するとよい。
【0070】 第六の局面において本発明は、キナーゼポリペプチドまたはキナーゼポリペプ
チドドメインに対して特異的結合親和性を示すような抗体を産生するハイブリド
ーマに特徴があって、ここでポリペプチドはSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK 6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5か
らなる群より選択される。「ハイブリドーマ」によっては、例えば本発明のキナ
ーゼに対する抗体などの抗体を分泌できる不死化細胞系が意味される。好ましい
態様では、このキナーゼに対する抗体は、本発明のキナーゼポリペプチドを特異
的に結合できるアミノ酸配列を含んでいる。
【0071】 第七の局面において本発明は、STLK2、STLK3、STLK4、STLK6、STLK7、STLK5、
ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5からなる群よ
り選択されるキナーゼポリペプチドに結合できるキナーゼポリペプチド結合試薬
を特徴とする。この結合試薬は、本発明のキナーゼポリペプチドに存在するエピ
トープを認識する精製抗体であると好ましい。他の結合試薬には、キナーゼポリ
ペプチド類に結合する分子や、一つのキナーゼポリペプチドに結合する類似の分
子が含まれる。このような結合試薬は、例えばPDGFR活性を測定する解析法のよ
うな、キナーゼ結合パートナー活性を測定する検定法を利用して同定できる。
【0072】 また本発明は、本発明のキナーゼポリペプチドまたは等価の配列を含むヒト細
胞をスクリーニングする方法を特徴とする。この方法には、例えば本発明のキナ
ーゼを同定するために本明細書に記載した方法(例えば、クローニング法、サザ
ンブロットまたはノーザンブロット解析法、インサイチューハイブリダイゼーシ
ョン、PCR増幅法など)のような、当技術分野で日常的に行われる標準的な方法
を用いてヒト細胞内の新規なポリペプチドを同定する工程が含まれる。
【0073】 第八の局面において本発明は、(a)STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、ST LK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5からな
る群より選択されるキナーゼポリペプチドを試験物質と接触させる段階、(b)
前記ポリペプチドの活性を測定する段階、及び(c)前記物質が前記ポリペプチ
ドの活性を調節するかどうかを検出する段階からなる各段階を含むキナーゼ活性
を調節する物質を同定する方法を特徴とする。
【0074】 「調節する」という用語は、本発明のキナーゼの機能を変化させる化合物の能
力のことを言う。モジュレーターは好ましくは、本発明のキナーゼに接触させた
その化合物の濃度に応じてそのキナーゼの活性を活性化したり抑制したりする。
【0075】 「活性化する」という用語は、キナーゼの細胞内活性を高めることを意味する
。抑制という用語は、キナーゼの細胞内活性を小さくすることを意味する。キナ
ーゼ活性は好ましくは、本来の結合パートナーとの相互作用である。
【0076】 また「調節する」という用語は、本発明のキナーゼと本来の結合パートナーと
の間で複合体を形成する確率を大きくしたり小さくしたりしてそのキナーゼの機
能を変化させることを言う。モジュレーターは好ましくはキナーゼと本来の結合
パートナーとの間でそのような複合体を形成する確率を大きくし、より好ましく
はそのキナーゼと本来の結合パートナーとの間で複合体を形成する確率を、キナ
ーゼに接触させた化合物の濃度に応じて大きくしたり小さくしたりし、そして最
も好ましくはそのキナーゼと本来の結合パートナーとの間で複合体を形成する確
率を小さくする。
【0077】 「複合体」という用語は、互いに結合した少なくとも二つの分子のアセンブリ
のことを言う。シグナル伝達複合体は、互いに結合した少なくとも二つのタンパ
ク質分子を含むことが多い。例えばタンパク質チロシン受容体のタンパク質キナ
ーゼであるGRB2、SOS、RAF、及びRASは、マイトジェンリガンドに応答してシグ
ナル伝達複合体を形成すべく集合化する。
【0078】 「本来の結合パートナー」という用語は、細胞内のキナーゼに結合するポリペ
プチド、脂質、小分子、または核酸を意味する。キナーゼと本来の結合パートナ
ーとの間の相互作用の変化は、相互作用を形成する確率の増加または減少として
、即ちキナーゼ/本来の結合パートナーの複合体の濃度の増加または減少として
それ自体で明らかにできる。
【0079】 本明細書で用いられる「接触する」という用語は、試験化合物を含む溶液を、
本方法の細胞を入れた液状培地の溶液と混合することを意味する。またこの化合
物を含む溶液は、本方法の細胞に一種または複数の試験化合物が取り込まれるの
を容易にするための例えばジメチルスルホキサイド(DMSO)のような別の成分を
含んでいてもよい。試験化合物を含む溶液は、例えばピペットを基とする装置や
シリンダーを基とする装置のような供給装置を利用して細胞を浸した培地に添加
すればよい。
【0080】 第九の局面において本発明は、(a)STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、ST LK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5からな
る群より選択されるキナーゼポリペプチドを細胞内で発現させる段階、(b)前
記細胞に試験物質を添加する段階、及び(c)細胞の表現型、または前記ポリペ
プチドと本来の結合パートナーとの間の相互作用の変化をモニターする段階から
なる各段階を含む細胞内のキナーゼ活性を調節する物質を同定するための方法に
特徴がある。
【0081】 本明細書で用いられる「発現する」という用語は、細胞内でキナーゼ遺伝子を
含む核酸ベクターから本発明のキナーゼが生じることを意味する。核酸ベクター
は、本明細書で記載したような当技術分野では周知の方法を用いて核酸にトラン
スフェクトされる。
【0082】 第十の局面において本発明は、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、
ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5からなる群よ
り選択されるキナーゼの活性を調節する物質を、疾患を治療する必要のある患者
に投与することによってその疾患を治療する方法を提供する。好ましくはその疾
患は、免疫-関連疾患及び異常、臓器移植、心筋梗塞、心血管性疾患、脳卒中、
腎不全、酸化性ストレスが関連する神経変性疾患、及び癌からなる群より選択さ
れる。最も好ましくは免疫-関連疾患及び異常には慢性関節リウマチ、関節硬化
症、及び自己免疫疾患が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0083】 好ましい態様において本発明は、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、PAK4、及びPAK5 からなる群より選択されるキナーゼのポリペプチドの活性を調節する物質を、そ
のような治療を必要としている患者に投与することによってその疾患または異常
を治療即ち抑制する方法を提供する。好ましくはその疾患または異常は、慢性関
節リウマチ、関節硬化症、自己免疫疾患、及び臓器移植からなる群より選択され
る。また本発明は、STLK1、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、及びSTLK7か
らなる群より選択されるキナーゼポリペプチドの活性を調節する物質を、そのよ
うな治療を必要としている患者に投与することによってその疾患または異常を治
療したり抑制したりする方法を特徴とする。好ましくはその疾患または異常は、
免疫-関連疾患及び異常、心筋梗塞、心筋症、脳卒中、腎不全、及び酸化性スト
レスが関連する神経変性疾患からなる群より選択される。最も好ましくは免疫-
関連疾患及び異常は慢性関節リウマチ、慢性炎症性腸疾患、慢性炎症性骨盤疾患
、多発性硬化症、喘息、骨関節症、乾癬、関節硬化症、鼻炎、自己免疫疾患、及
び臓器移植からなる群より選択される。
【0084】 また本発明は、ZC1、ZC2、ZC3、及びZC4からなる群より選択されるキナーゼの
ポリペプチドの活性を調節する物質を、そのような治療を必要としている患者に
投与することによってその疾患または異常を治療したり抑制したりする方法を特
徴とする。好ましくはその疾患は、免疫-関連疾患及び異常、心血管性疾患、及
び癌からなる群より選択される。最も好ましくは免疫-関連疾患及び異常は、慢
性関節リウマチ、慢性炎症性腸疾患、慢性炎症性骨盤疾患、多発性硬化症、喘息
、骨関節症、乾癬、関節硬化症、鼻炎、自己免疫疾患、及び臓器移植からなる群
より選択される。
【0085】 キナーゼ-関連疾患または異常を治療するのに有用な物質は好ましくは、問題
となっている疾患または異常の治療に対応する活性についての一つまたはそれ以
上のインビトロでの解析法において、陽性の結果を示す(このような解析法の例
は、下記のセクションVI及び本明細書の実施例7で示して提供されている。)
。好都合な活性をスクリーニングできる物質の例は下記のセクションVIにおい
て示され、参照される。キナーゼの活性を調節する物質には好ましくは、下記の
セクションVI及び実施例7において参照した方法及びスクリーニングにより決
定したようにアンチセンスオリゴヌクレオチド及びプロテインキナーゼのインヒ
ビターが含まれるが、これらに限定するわけではない。
【0086】 「抑制する」という用語は、生物が異常な状態に変化したり発現したりする確
率を減少させることを言う。
【0087】 「治療する」という用語は、治療効果を持っていて、生物の異常な状態を少な
くとも部分的に緩和したり無くしたりすることを意味する。
【0088】 「治療効果」という用語は、異常な状態を引き起こしたり該状態に関係する阻
害因子または活性化因子を意味する。治療効果によって、異常な状態の症状のう
ち一つまたはそれ以上がある程度開放される。異常な状態の治療法に関して治療
効果とは、以下の一つまたはそれ以上を意味する。即ち(a)細胞の増殖、成長
、または分化が増加すること、(b)細胞死の抑制(即ち、ゆっくりとなったり
停止したりすること)、(c)変性の抑制、(d)異常な状態に関連する症状の
うち一つまたはそれ以上がある程度開放されること、及び(e)影響を受けた細
胞集団の機能が向上することである。異常な状態に対しての効果を示す化合物は
、本明細書に記載しているようにして同定できる。
【0089】 「異常な状態」という用語は、生物の正常な細胞または組織の機能から外れた
その生物の機能を指す。異常な状態は細胞増殖、細胞分化、または細胞の生存性
に関連すると考えられる。
【0090】 異常な細胞増殖状態には、繊維性疾患及び脈管性疾患などの癌、異常な脈管形
成及び血管形成、傷の癒着、乾癬、糖尿病、及び炎症が含まれる。
【0091】 異常な分化状態には、神経変性疾患、傷の治癒速度の遅延、及び組織移植の治
癒速度の遅延が含まれるがこれらに限定するわけではない。
【0092】 異常な細胞が生存する状態には、プログラムされた細胞死(アポトーシス)経
路が活性化されたり排除されたりする状態が関与する。プロテインキナーゼの数
はアポトーシス経路と関連する。プロテインキナーゼのどれか一つの機能が異常
形になると、結果的に細胞が不死になったりあるいは成熟する前に細胞死が起き
たりすると考えられる。
【0093】 シグナル伝達工程においてキナーゼの機能が関連する「異常型」という用語は
、生物において発現が過剰であったり少なかったりするか、その触媒活性が野生
型のプロテインキナーゼ活性より低かったり高かったりするように突然変異して
いるか、本来の結合パートナーとそれ以上相互作用できないように突然変異して
いるか、別のプロテインキナーゼやプロテインホスファターゼによってそれ以上
修飾されないか、あるいは本来の結合パートナーとそれ以上相互作用しないキナ
ーゼを意味する。
【0094】 「投与する」という用語は、生物の細胞または組織に化合物を導入する方法を
言う。異常な状態は、生物の細胞または組織が生物体内に存在する場合、または
生物体外に存在する場合に抑制したり治療したりできる。生体外に存在する細胞
は細胞培養皿に維持され、即ち生育することができる。生物体内に留まっている
細胞に対しては、化合物を投与するための多くの方法が当技術分野には存在して
おり、それには(限定するわけではないが)経口適用法、腸管外適用法、粘膜適
用法、注入適用法、及びエアロゾル適用法が含まれる。生体外の細胞に対しては
、この化合物を投与するための多くの方法が当技術分野には存在しており、それ
には(限定するわけではないが)細胞微小注入法、形質転換法、及びキャリア法
が含まれる。
【0095】 また異常な状態は、異常型を持っている細胞のグループに、生物への一つの形
質導入経路で投与することによって抑制したり治療したりできる。続いて生物機
能に対する化合物投与の影響をモニターするとよい。生物は好ましくはマウス、
ラット、ウサギ、モルモット、またはヤギであり、更に好ましくはサル、または
類人猿であり、最も好ましくはヒトである。
【0096】 第十一の局面において本発明は、疾患または異常を診断するツールとして試料
に含まれるキナーゼポリペプチドを検出する方法を特徴とし、該方法は、(a)
STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU 1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5からなる群より選択されるキナーゼポリペプチ
ドの核酸標的領域にハイブリダイゼーションアッセイを行う条件下で、ハイブリ
ダイズする核酸プローブと試料を接触させる段階であって、前記プローブがポリ
ペプチドをコードする核酸配列と、その断片、及び該配列と該断片の相補物を含
むプローブであるような工程、並びに(b)疾患の指標であるそのプローブと標
的領域のハイブリッドの存在または量を検出する段階からなる各工程を含む。
【0097】 本発明の好ましい態様において、疾患または異常は慢性関節リウマチ、関節硬
化症、自己免疫疾患、臓器移植、心筋梗塞、心筋症、脳卒中、腎不全、酸化性ス
トレスが関連する神経変性疾患、及び癌からなる群より選択される。他の好まし
い態様においては、キナーゼポリペプチドはPAK4及びPAK5からなる群より選択さ
れ、またポリペプチドはZC1、ZC2、ZC3、及びZC4からなる群より選択され、且つ
疾患は癌である。
【0098】 キナーゼの「標的領域」とは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配
列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:17、配列番号:19、配列
番号:20、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:96、配列番号:98、配列番
号:100、配列番号:102、配列番号:104、もしくは配列番号:106に記載する核
酸塩基配列、または対応する完全長の配列、その機能的誘導体かその断片であっ
て、核酸プローブが特異的にハイブリダイズする配列である。特異的ハイブリダ
イゼーションでは、他の核酸が存在する場合にそのプローブだけが本発明の標的
領域のキナーゼと検出可能にハイブリダイズすることが示される。データベース
に存在する最も密接に関連する配列のアラインメント及び比較からなる当技術分
野でで周知の方法によって推定標的領域が同定できる。
【0099】 好ましい態様における核酸プローブは、配列番号:5、配列番号:6、配列番号
:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:2 2、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97
、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、もしくは配
列番号:107で列挙される配列の少なくとも6、12、75、90、105、120、150、200 、250、300または350個の隣接するアミノ酸をコードするか、対応する完全長の
アミノ酸配列あるいはその機能的誘導体をコードするキナーゼ標的領域にハイブ
リダイズする。ハイブリダイゼーションの条件は、他の核酸分子が存在していて
もそのキナーゼ遺伝子とのみハイブリダイズするようになっているべきである。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件では、相補性の高い核酸配列の
みがハイブリダイズする。好ましくはこのような条件では、20個の隣接するヌ
クレオチドの中から1個または2個以上のミスマッチを伴う核酸のハイブリダイ
ゼーションを阻止する。このような条件は上記に定義されている。
【0100】 試料に含まれるキナーゼ遺伝子を検出して診断できる疾患には、キナーゼの核
酸(DNAやRNA)が正常の細胞に比較して増幅されている疾患が含まれる。「増幅
」により、細胞中のキナーゼDNAまたはRNAの数が正常の細胞に比較して大きくな
っていることを意味する。選択された疾患では、キナーゼ遺伝子の染色体の局所
が増幅される可能性があり、その結果、その遺伝子のたくさんのコピーができ、
即ち増幅される。遺伝子の増幅によってキナーゼRNAの増幅が引き起こされる場
合があり、即ちキナーゼRNAがキナーゼDNAの増幅の起きていないところで増幅さ
れる可能性がある。
【0101】 ある正常な細胞ではキナーゼRNAは基本的に発現しないが、「増幅」によって
細胞中のキナーゼRNAが検出できるほどに存在するようになる。他の正常な細胞
では基底レベルのキナーゼの発現が見られ、そのためこれらの場合では、増幅が
基底レベルに比べて少なくとも1〜2倍、好ましくはより多くのキナーゼRNAが
検出できる。
【0102】 試料に含まれるキナーゼ核酸を検出することで診断できる疾患は好ましくは癌
を含む。本発明の核酸プローブ法に適する試験試料には、例えば細胞もしくは細
胞の核酸抽出物、または生物体液が含まれる。上記に記載した方法で用いた試料
は、アッセイ法の様式、検出方法及びアッセイ法が行われるべき組織、細胞また
は抽出物の性質に基づいて変化する。細胞の核酸抽出物を調製するための方法は
当技術分野では周知であり、用いた方法と互いに影響を及ぼさないような試料を
得るために、容易に適合させることが可能である。
【0103】 最後の局面における本発明は、疾患または異常を診断するツールとして試料に
含まれるキナーゼポリペプチドを検出する方法に特徴があり、その方法は、(a
)試料中にSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、
KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、及びPAK5からなる群より選択されるキナーゼ
ポリペプチドをコードする核酸標的領域、またはその一つもしくはそれ以上の断
片を、キナーゼポリペプチドをコードする対照の核酸標的領域、またはその一つ
もしくはそれ以上の断片と比較する段階、及び(b)標的領域と対照標的領域と
の間の配列や量の違いを疾患または異常の指標として検出する段階を含む。好ま
しくはこの疾患または異常は、免疫-関連疾患及び異常、臓器移植、心筋梗塞、
心血管疾患、脳卒中、腎不全、酸化性ストレスが関連する神経変性疾患、及び癌
からなる群より選択される。免疫-関連疾患及び異常には、限定するわけではな
いが前述したものが含まれる。
【0104】 本明細書において用いられているような「比較する」という用語は、試料から
単離された核酸標的領域と対照核酸標的領域との間の不一致を確認することを意
味する。その不一致とは、例えば挿入、欠失、または点突然変異のようにヌクレ
オチド配列についてであってもよいし、また得られるヌクレオチド配列の量につ
いてであってもよい。配列についてのこれらの不一致を検出する方法は、当業者
にとって周知である。「対照」の核酸標的配列は、正常の細胞、例えば前述した
ような疾患に罹患していない細胞に存在している配列のアラインメントやその量
を意味する。
【0105】 本発明は本明細書に広範かつ一般的に記載されている。この一般的な開示に含
まれるより限定した部分も一般性のやや低い集合も、それぞれ本発明の部分を形
成する。これには、構成要件から何らかの要素を除去して但し書にしたりネガテ
ィブな限定を加えたりした本発明の一般的な説明が、その除去した要素が本明細
書に特別に引用されているかどうかにかかわらず含まれる。例えばいくつかの例
では、ZC4キナーゼポリペプチドの核酸配列は好ましい態様の部分を構成しない
であろう。
【0106】 上記に説明した本発明の概要は限定しているのではなく、本発明の他の特徴や
利点も以下の本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなると思われ
る。
【0107】詳細な説明 本発明は、キナーゼポリペプチド、該ポリペプチドペプチドをコードする核酸
、該核酸を含む細胞、該ポリペプチドに対する抗体、該ポリペプチドを用いる検
定法、及び前述した全てに関係する方法に部分的に関する。本発明は新規なキナ
ーゼポリペプチドを単離して特徴を明らかにしたことに基づいている。ポリペプ
チド及び核酸は、周知で標準的な合成法を用いて作成すればよく、そこで本明細
書に存在する配列が得られる。
【0108】 パン酵母(Saccharomyces cerevesiae)のDNA配列が最近明らかになったこと
で、単純な真核生物に含まれる遺伝子情報の第1の完全な例が提供できた。この
酵母のゲノムを分析すると、少なくとも113個のプロテインキナーゼを含むこと
が明らかになった。これらのキナーゼは数個の構造的に関連するグループにさら
に分割された。これらの新しく定義されたグループの一つは、G-タンパク質が仲
介するシグナルに応答するプロテインキナーゼカスケードを開始する酵母フェロ
モン応答経路に関与したプロテインキナーゼであるSTE20という基礎的メンバー
に代表されるため、STE-20ファミリーと言われた。パン酵母(S. Cerevesiae)
は、このファミリーに含まれる二つの別のメンバーであるCLA4、及びYOL113W(H RA65)を持っている。
【0109】 STE20-ファミリーに属する数種の哺乳動物の相同物が最近同定されたが、それ
にはSOK-1(ヒトSTE20)、DC-キナーゼ、KHS、HPK1、NIK、SLK、GEK、PAK1、PAK 65、MST1、及びCDC7が含まれる。さらにショウジョウバエ(Drosophila)と線虫
(C. elegans)のゲノムについての努力の成果からもSTE20-ファミリーに属する別
のプロテインキナーゼであると同定されたが、それは構造的に独特な触媒外ドメ
インを持っていて、それには線虫(C. elegans)から得られるZC504,4及びSULU キナーゼや、ショウジョウバエ(Drosophila)のNINACが含まれる。
【0110】 STE20-関連プロテインキナーゼは、成長因子またはサイトカインに対する応答
などのさまざまな細胞応答、炎症性シグナル(即ち、TNFα)、アポトーシス性
の刺激(即ち、Fas)、T細胞とB細胞の共同刺激、細胞骨格のアーキテクチャー
のコントロール、及び細胞の形質転換を調節するように関与していた。通常STE2 0-関連キナーゼはMAPKカスケードの上流のレギュレーターとして機能する。例に
は、HPK1、即ちプロテインキナーゼ経路を活性化して、ストレス-活性化プロテ
インキナーゼSAPK/JNKを導くタンパク質-セリン/スレオニンキナーゼ(STK)
と、PAK1、即ちRacと相互作用してRas-MAPK経路を介する細胞の形質転換の際に
役目を果たす上流側のCDC42-結合性ドメインを持つSTKと、マウスNIK、即ち上流
側受容体のチロシンキナーゼと相互作用して下流側のSTE11-ファミリーキナーゼ
と連結するNIKとが含まれる。
【0111】 STE20-キナーゼは、上流側のレギュレーターと相互作用すると考えられるさま
ざまな非触媒性ドメインを持っている。例としては、SH-3含有タンパク質と相互
作用するプロリン-リッチドメイン、またはRac、Rho、及びRabといった小さなG- タンパク質と相互作用する特異性ドメインが挙げられる。これらの相互作用があ
るため、チロシンキナーゼ、サイトカイン受容体、TNF受容体、Fas、T細胞受容
体、CD28、またはCD40などの種々の細胞表面の受容体を活性化するような外部刺
激に応答する別個の生化学的経路間でクロストークする機構が提供できる。
【0112】I本発明の核酸 本明細書に記載されている単離核酸分子の機能的等価物も本発明の範囲に含ま
れる。遺伝子コドンが縮重してある種のコドンが他のコドン、即ち同じアミノ酸
を特定しその結果同じタンパク質を生じさせるような他のコドンで置換されても
よい。核酸配列は、メチオニン及びトリプトファンを除いて、既知のアミノ酸が
一つ以上のコドンによってコード可能であるため、実質的にさまざまな形をとり
うる。したがって本発明のキナーゼ遺伝子の部分や全部は、配列番号:1、配列
番号:2、配列番号:3、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号
:17、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:
96、配列番号:98、配列番号:100、配列番号:102、配列番号:104、及び配列
番号:106で示される有意に異なる核酸配列を生成するために合成されうる。し
かしながらそのコードされたアミノ酸配列は保存されている。
【0113】 さらにその核酸配列は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号
:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:2 0、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100 、配列番号:102、配列番号:104、もしくは配列番号:106で示される核酸、ま
たはその誘導体の化学式の5'末端や3'末端に少なくとも一つのヌクレオチドの付
加、欠失または置換が起きた結果生じるヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
これに関して、ヌクレオチド配列によってコードされていて、付加、欠失または
置換が起きても配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列
番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番
号:24、配列番号:29、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番
号:103、配列番号:105、または配列番号:107のアミノ酸配列が変わらないヌ
クレオチドやポリヌクレオチドを用いることができる。例えば本発明は、本発明
の核酸配列またはその誘導体の5'末端に開始コドンとしてATGが付加されていた
り、あるいは本発明のヌクレオチド配列またはその誘導体の3'末端に停止コドン
としてTTA、TAGまたはTGAが付加されていたりして得られる核酸配列を含むよう
に設計される。さらに本発明の核酸分子は、必要に応じて5'末端や3'末端に制限
酵素のエンドヌクレアーゼの認識部位を結合して持っていてもよい。
【0114】 用いた核酸配列をこのような機能的な変異体にすると、それに融合した外来の
核酸配列によってコードされる異型のタンパク質の分泌や処理を促進する機会を
提供できる。本発明のキナーゼ遺伝子のヌクレオチド配列及び遺伝子コードによ
って認められるその断片の変異体は全て本発明に含まれる。
【0115】 さらに、コドンを欠失したり、または構造的に修飾されているが、非修飾の核
酸分子によって産生したポリペプチドと実質的に同じ利用性と活性を持っている
ポリペプチドを産生するために、縮重コドン以外のコドンを用いて一つまたはそ
れ以上のコドンを置換したりすることが可能である。当技術分野で認識されてい
るように、たとえ核酸分子間の違いが遺伝子コードの同義性に関係ないとしても
、ポリペプチドの産生のために生じさせた核酸分子が二つである場合、その二つ
のポリペプチドは機能的に等価である。
【0116】哺乳動物のSTLK2 完全長のヒトSTLK2のcDNA(配列番号:1)は3268bpの長さであり、181bpの5'
非翻訳領域(UTR;1〜181)に連結した1248bpのオープンリーディングフレーム
(ORF)と52個のヌクレオチドポリアデニル化領域が続く1784bpの3'UTR(1433〜
3216)とを含む。ポアデニル化シグナル(AATAAA)は3193〜3198位に見いだされ
る。第1ATGを結合する配列は始まりがメチオニンであってコザックの共通配列(
Kozak, M.、Nucleic Acids Res. 15, 8125-8148 (1987))と同じになり、STLK2
に対する翻訳開始部位であると考えられている。さらにヒトSTLK2とその関連す
るSOK-1及びMST3タンパク質とは、この推定した開始メチオニンがすぐ後に続く
アミノ酸配列を保存している。
【0117】 数個のEST断片は、5'末端にAA191319と3'末端にW16504を持つ完全なSTLK2配列
に広がっている。
【0118】哺乳動物のSTLK3 部分的なヒトSTLK3のcDNA(配列番号:2)は3030bpの長さであり、1476bpの3' UTR(1550〜3025)に連結した1548bpのORFと5個のヌクレオチドポリアデニル化
領域とを含む。潜在的なポリアデニル化シグナル(AATAAA)は3004番目の位置で
始まる。コード領域はこの配列の5'の範囲がすべてオープンであるため、これは
明らかにN末端の開始メチオニンを欠如する部分的なcDNAクローンである。
【0119】 多数のEST断片は、5'末端にAA278967と3'末端にAA628477及び他のものとを持
つ完全なSTLK3配列に広がっている。
【0120】哺乳動物のSTLK4 部分的なヒトSTLK4のcDNA(配列番号:3)は3857bpの長さであり、2596bpの3' UTR(1244-3839)に連結した1242bpのORFと18個のヌクレオチドポリアデニル化
領域とを含む。潜在的なポリアデニル化シグナル(AATAAA)は2181〜3822番目の
位置に存在している。コード領域はこの配列の5'の範囲がすべてオープンである
ため、これは明らかにN末端の開始メチオニンを欠如する部分的なcDNAクローン
である。ほとんど完全長のマウスSTLK4のcDNAは、1773bpのESTのAA117438で表さ
れる。それにはヒトSTLK4の共通配列からなる付加的な21個のヌクレオチドが5'
にわたっているが、そのコード領域はこの配列の5'の範囲がすべてオープンであ
るため、これも明らかにN末端の開始メチオニンを欠如する部分的なcDNAクロー
ンである。
【0121】 数個のEST断片は、5'末端にAA297759と3'末端にAA100484及び他のものとを持
つ完全なSTLK3配列に広がっている。
【0122】哺乳動物のSTLK5 完全長のヒトSTLK5のcDNA(配列番号:96)は2110bpの長さであり、229bpの5' UTRと762bpの3'UTRに連結した1119bpのORFを含む。第1ATGを結合する配列は始ま
りがメチオニンであってコザックの共通配列(同上文献)と同じになり、STLK5
に対する翻訳開始部位であると考えられている。数個のEST断片は、5'末端にAA2 97059とF07734が、そして3'末端にR46686とF03423、それに他の配列とを持つ完
全なSTLK5配列に広がっている。
【0123】哺乳動物のSTLK6 完全長のヒトSTLK6のcDNA(配列番号:98)は2,001bpの長さであり、75bpの5' UTRと673bpの3'UTRに連結した1,254bpのORFからなる。第1ATGを結合する配列は
始まりがメチオニンであってコザックの共通配列(同上文献)と同じになり、ST LK6に対する翻訳開始部位であると考えられている。
【0124】哺乳動物のSTLK7 部分的なヒトSTLK7のcDNA(配列番号:100)は311bpの長さであり、309bpのOR Fからなる。そのコード領域はこの配列の5'及び3'の範囲の両方がすべてオープ
ンであるため、これは明らかにN末端の開始メチオニンとC末端の停止コドンを欠
如する部分的なcDNAクローンである。
【0125】哺乳動物のZC1 完全長のヒトZC1のcDNA(配列番号:9)は3798bpの長さであり、6bpの5'UTRと
75bp(3724〜3798)の3'UTRに連結した3717bpのORF(7〜3723)を含む。3'UTRに
ポリアデニル化シグナル(AATAAA)またはポリアデニル化領域は存在していない
。第1ATGを結合する配列は始まりがメチオニンであってコザックの共通配列と同
じになり、ヒトZC1に対する翻訳開始部位であると考えられている。
【0126】 多数のEST断片(W81656)はヒトZCl遺伝子の3'末端とマッチするが、提出の時
点では発明者は、その5'末端とマッチするものはGenBankまたはESTデータベース
に存在しないと疑わない。
【0127】哺乳動物のZC2 ヒトZC2の部分cDNA(配列番号:10)は、3891塩基対のオープンリーディング
フレーム(ORF)(1〜3891の塩基)と164塩基対の3'非翻訳領域(3892〜4955の
塩基)を含み、その全長は4055塩基対である。この配列の5'方向にコード領域が
開いているので、このcDNAは明らかにN末端のメチオニンをコードする開始コド
ンを欠いた部分cDNAクローンである。3'非翻訳領域には、ポリA付加シグナル(AA TAAA)もポリAテールも存在しない。
【0128】 複数のEST断片(R51245)がヒトのZC2遺伝子の3'末端と一致するが、本願の出願
時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の5'末端
と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。
【0129】哺乳動物のZC3 ヒトZC3の部分cDNA(配列番号:11)は、3978塩基対のオープンリーディン
グフレーム(ORF)(1〜3978の塩基)と152塩基対の3'非翻訳領域(3979〜4133の
塩基)を含み、その全長は4133塩基対である。この配列の5'方向にコード領域が
開いているので、このcDNAは明らかにN末端のメチオニンをコードする開始コド
ンを欠いた部分cDNAクローンである。3'非翻訳領域には、ポリA付加シグナル(AA TAAA)もポリAテールも存在しない。
【0130】 複数のEST断片(R54563)がヒトのZC3遺伝子の3'末端と一致するが、本願の出願
時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の5'末端
と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。
【0131】哺乳動物のZC4 ヒトZC4の完全長cDNA(配列番号:104)は、3684塩基対から成る。もとも
と、この配列は、X染色体のゲノムDNAの配列を基にして組み立てられたものであ
る。
【0132】 複数のEST断片(R98571)がヒトのZC4遺伝子の3'末端と一致するが、本願の出願
時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の5'末端
と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。また、ZC 4遺伝子はGenBankデータベースに登録されている登録番号Z83850のヒトのゲノム
クローンに含まれる。
【0133】哺乳動物のKHS2 ヒトKHS2の完全長cDNA(配列番号:17)は、2682塩基対のORF(6〜2687の塩
基)と、これを挟む5塩基対の5'非翻訳領域、及び1336塩基対の3'非翻訳領域(2 688〜4023の塩基)を含み、その全長は4023塩基対である。ポリA付加シグナル(A ATAAA)と推定される配列が、塩基配列の4008番目から4013番目の位置に見出され
るが、3'非翻訳領域にポリAテールは存在しない。この遺伝子の翻訳開始コドンA TG付近の配列は、開始メチオニンコドンに関するKozakのコンセンサス配列と一
致することから、このATGがヒトKHS2遺伝子における翻訳開始部位であると考え
られる。
【0134】 ヒトKHS2遺伝子の5'末端(AA446022)及び3'末端(R37625)に、複数のEST断片の
配列が一致する。
【0135】哺乳動物のSURU1 ヒトSURU1の完全長cDNA(配列番号:19)は、その全長が4177塩基対であり
、2694塩基対のORF(415〜3108の塩基)と、これを挟む414塩基対の5'非翻訳領
域(1〜414の塩基)、及び1069塩基対の3'非翻訳領域(3109〜4177の塩基)を含
む。3'非翻訳領域は19塩基のポリAテールを伴っている。ポリA付加シグナル(AAT AAA)と推定される配列が、塩基配列の4164番目から4169番目の位置に見出される
。この遺伝子の翻訳開始コドンATG付近の配列は、開始メチオニンコドンに関す
るKozakのコンセンサス配列と一致することから、このATGがヒトSURU1遺伝子に
おける翻訳開始部位であると考えられる。
【0136】 ヒトSURU1遺伝子の5'末端(N27153)及び3'末端(R90908)に、複数のEST断片の配
列が一致する。
【0137】哺乳動物(マウス)のSURU3 マウスSURU3の部分cDNA(配列番号:21)は、その全長が2249塩基対であり
、2244塩基対のORF(6〜2249の塩基)と、5塩基対の5'非翻訳領域(1〜5の塩基
)を含む。この遺伝子の翻訳開始コドンATG付近の配列は、開始メチオニンコド
ンに関するKozakのコンセンサス配列と一致することから、このATGがマウスSURU 3遺伝子における翻訳開始部位であると考えられる。マウスSURU3 cDNAの3'末端
はヒトSURU3 cDNA と1620塩基にわたってDNA配列の90%が一致しており、この
ことはこれら二つの遺伝子が機能的なオルソログであることを示唆するものであ
る。
【0138】 ESTの一断片(AA446022)のみがマウスSURU3の部分遺伝子の3'末端と一致するが
、本願の出願時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺
伝子の5'末端と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認してい
る。
【0139】哺乳動物(ヒト)のSURU3 ヒトSURU3の部分cDNA(配列番号:20)は、その全長が3824塩基対であり、2 358塩基対のORF(2〜2359の塩基)と、1465塩基対の3'非翻訳領域(2360〜3824
の塩基)を含む。3'非翻訳領域は19塩基のポリAテールを伴っている。ポリA付加
シグナル(AATAAA)と推定される配列が、塩基配列の2602番目から2607番目の位置
に見出される。この配列の5'方向にコード領域が開いているので、このcDNAは明
らかにN末端のメチオニンをコードする開始コドンを欠いた部分cDNAクローンで
ある。ヒトSURU3 cDNAの5'末端はマウスSURU3 cDNA と1620塩基にわたってDNA配
列の90%が一致しており、このことはこれら二つの遺伝子が機能的なオルソロ
グであることを示唆するものである。
【0140】 複数のEST断片(R02283)がヒトのSURU3遺伝子の3'末端と一致するが、本願の出
願時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の5'末
端と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。
【0141】哺乳動物のGEK2 ヒトGEK2の完全長cDNA(配列番号:106)は、その全長が2962塩基対であり
、2737塩基対のORF(59〜2795の塩基)と、58塩基対の5'非翻訳領域(1〜58の塩
基)を含む。この遺伝子の翻訳開始コドンATG付近の配列は、開始メチオニンコ
ドンに関するKozakのコンセンサス配列と一致することから、このATGがヒトGEK2 遺伝子における翻訳開始部位であると考えられる。
【0142】 複数のEST断片(AA465671)がヒトのGEK2遺伝子の5'末端と一致するが、本願の
出願時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の3' 末端と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。
【0143】哺乳動物のPAK4 ヒトPAK4の完全長cDNA(配列番号:27)は、その全長が3604塩基対であり、
2043塩基対のORF(143〜2185の塩基)と、これを挟む142塩基対の5'非翻訳領域
(1〜142の塩基)及び1419塩基対の3'非翻訳領域を含む。3'非翻訳領域は22塩基
のポリAテールを伴っている。ポリA付加シグナル(AATAAA)と推定される配列が、
塩基配列の3582番目から3588番目の位置に見出される。この遺伝子の翻訳開始コ
ドンATG付近の配列は、開始メチオニンコドンに関するKozakのコンセンサス配列
と一致することから、このATGがヒトPAK4遺伝子における翻訳開始部位であると
考えられる。
【0144】 複数のEST断片(AA535791)がヒトのPAK4遺伝子の3'末端と一致するが、本願の
出願時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の5' 末端と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。
【0145】哺乳動物のPAK5 ヒトPAK5の完全長cDNA(配列番号:102)は、その全長が2806塩基対であり
、1773塩基対のORFと、これを挟む201塩基対の5'非翻訳領域及び833塩基対の3'
非翻訳領域を含む。この遺伝子の翻訳開始コドンATG付近の配列は、開始メチオ
ニンコドンに関するKozakのコンセンサス配列(前記)と一致することから、こ
のATGがヒトPAK5遺伝子における翻訳開始部位であると考えられる。
【0146】 複数のEST断片(AA442867)がヒトのPAK5遺伝子の3'末端と一致するが、本願の
出願時点では、GenBankデータベースにもESTデータベースにも、この遺伝子の5' 末端と一致する配列は全く存在しないことを、本発明者らは確認している。
【0147】II. STE20関連キナーゼの検出のための核酸プローブ、検出方法及びキット 本発明の他の核酸分子を得るために、本発明の核酸プローブを用い、適当な染
色体DNAもしくはcDNAのライブラリーを通常のハイブリダイゼーションによる手
法でスクリーニングすることができる。染色体DNAもしくはcDNAのライブラリー
は適当な細胞を用いて、当技術分野におけて認知されている方法(例えば、Mole cular Cloning: A Laboratory Manual、second edition, Cold Spring Harbor L aboratory, Sambrook, Fritsch, & Maniatis編 1989))に従って調製すること
ができる。
【0148】 また、目的とするポリペプチドのN末端もしくはC末端部分のアミノ酸配列に対
応する塩基配列を有する核酸プローブを得るために、化学合成を行うこともでき
る。合成した核酸プローブは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライ
マーとして用いてもよい。本発明の断片を得るために、適当な染色体DNAもしく
はcDNAのライブラリーを用い、認知されているPCR法に従ってポリメラーゼ連
鎖反応を行う。具体的には、「方法と応用についての指針」(A Guide to Metho ds and Applications), Academic Press, Michaelら編 1990, 5)等の成書に記
載のPCRプロトコールに従って反応を行う。
【0149】 本願において開示される配列を基に、当技術分野において公知のコンピュータ
による配列並列化処理及び配列解析の手法 ("Molecular Cloning: A Laborator y Manual", 1989, 前掲)によって、当業者は容易にこのようなプローブをデザイ
ンすることができる。本発明のハイブリダイゼーション用プローブは、アイソト
ープ標識、酵素標識、蛍光標識、ビオチン-アビジン標識、化学発光標識その他
の標準的な標識技術により標識可能である。ハイブリダイゼーションを行った後
に、プローブは公知の方法で可視化される。
【0150】 本発明の核酸プローブは、DNAプローブのみならず、当技術分野における公知
の方法で作製されたRNAプローブも含む。核酸プローブは支持固体上に固定され
ていてもよい。支持固体としては次のようなものを例としてあげることができる
が、これらの例のみに限定されるものではない。ポリカーボネート等のプラスチ
ック、アガロースやセファロース等の複合糖質、ポリアクリルアミド及びラテッ
クス粒子等のアクリル樹脂。このような支持固体への核酸プローブの固定化の技
術は当技術分野において公知である。
【0151】 核酸プローブを用いた本発明の方法に好適な被検試料は、例えば、細胞、細胞
もしくは生物学的液体試料から抽出した核酸である。上記の方法に用いられる試
料は、測定の様式、検出方法、検体としての組織、細胞、抽出物の性質によって
変わる。細胞から核酸抽出物を調製する手法は、当技術分野におけて公知である
。これらの手法を用いて、使用する方法に見合った試料を容易に調製できる。
【0152】 試料中における本発明の核酸の有無を調べる方法は、以下の(a)および(b)
の段階を含む。(a)ハイブリダイゼーションが起こるような条件下で該試料と
前記の核酸プローブを接触させる段階、(b)該核酸分子に結合した該プローブ
の有無を検出する段階。前述したような当技術分野における公知の手技により、
当業者は核酸プローブを選択して用いることができる。被験試料としては、ヒト
の組織由来のRNA試料を含むが、必ずしもこれのみに限定されるものではない。
【0153】 試料中における本発明の核酸の有無を検出するためのキットは、少なくとも1
個の容器としての手段を含み、前記の核酸プローブはこの容器中に保持される。
このキットは、更に、以下の試薬のうち一種もしくは複数の試薬を含む他の容器
を含んでいてもよい。その試薬とは、洗浄試薬及び結合した核酸プローブの有無
の検出に用いる検出試薬である。検出試薬の例としては、アイソトープ標識され
たプローブ、酵素標識されたプローブ(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ
フォスファターゼ)、アフィニティー標識されたプローブ(ビオチン、アビジン
もしくはストレプトアビジン)等が挙げられるが、必ずしもこれらの例に限定さ
れるものではない。
【0154】 詳しく言えば、このコンパートメントに分けられた容器を有するキットには、
異なった容器に試薬を保持するようなキット全てが含まれる。このような容器と
しては、小さなガラス容器、プラスチック容器、板状のプラスチックや紙等も含
む。このような容器によって、効率よく試薬を一つのコンパートメントから別の
コンパートメントに移すことができ、試料と試薬が互いに混じり合うことを防ぎ
、また各容器の薬剤もしくは溶液を一つのコンパートメントから定量的に取り出
し、別のコンパートメントに加えることを可能にする。このような容器としては
、被検試料を入れる容器、測定に使うプローブやプライマーを入れる容器、洗浄
試薬(リン酸緩衝溶液、トリス緩衝溶液など)を入れる容器、ハイブリダイズし
たプローブ、結合した抗体、増幅産物などを検出するために用いる試薬を入れる
容器等を含む。本発明の核酸プローブが、当技術分野において周知の実用的なキ
ットの形態に容易に組み込めるものだということは、当業者であれば直ちに理解
しうる。
【0155】III. STE20関連核酸分子を含むDNAの構築とこのDNA構築物を含む細胞 本発明はまた、宿主細胞中で5’末端から3’末端の方向に効率よく転写を行う
ためのプロモーターと上記の核酸分子を含む組換えDNA分子に関する。更に、本
発明はベクターと上記核酸分子とから成る組換えDNA分子に関する。本発明はま
た、細胞中で機能する転写領域、上記のポリペプチドに対応するアミノ酸配列を
コードするRNA配列に相補的な配列、及び該細胞中で機能する転写終結領域を含
む核酸分子に関する。前記の分子は、単離及び/もしくは精製されたDNA分子であ
ってもよい。
【0156】 本発明は更に、上記の核酸分子を含みポリペプチドを発現できる細胞もしくは
生物に関する。そのポリペプチドは、ポリペプチドを発現できるように改変され
た細胞から精製できる。細胞が「所望のポリペプチドを発現するように改変され
た」とは、その細胞が通常はそのタンパク質を産生しないかまたは少量しか産生
しないものであるが、遺伝子工学的手法でその細胞が目的のタンパク質を産生す
るように操作したことを意味している。当業者であれば、容易にゲノムDNA、cDN Aもしくは合成DNA配列のいずれかを、真核細胞もしくは原核細胞のいずれかに導
入し発現させることができる。
【0157】 DNAのような核酸分子が、ポリペプチドを「発現可能である」とは、その分子
が転写翻訳の制御に関する情報を保持した塩基配列を有し、かつその配列がポリ
ペプチドをコードする核酸の配列に「機能しうるように結合」されていることを
意味している。機能しうるような結合とは、遺伝子配列の発現が可能となるよう
な方法で、制御に関するDNA配列と発現させようとしているDNAの配列を結合させ
ることを意味する。遺伝子配列の発現に必要な制御領域の性質は、正確には生物
の種類によって変わるが、一般的にはプロモーター領域を含む。このプロモータ
ー領域は、原核生物では、(RNAの転写開始を司る)プロモーターとRNAに転写さ
れる際に合成の開始点を指令するDNA配列の双方を含む。このような領域は通常
、転写翻訳の開始に関与する5'-非コード領域を含む。例えば、TATAボックス、
キャップ部位の配列、CAAT配列等である。
【0158】 もし必要ならば、本発明のキナーゼをコードする配列の3'側の非コード領域に
ついても、上記の方法で得うることができる。このような領域は転写終結やポリ
A付加等に関する転写終結制御配列を内包しているとが考えられる。それゆえ、
本発明のキナーゼをコードしているDNA配列に本来連続している3'-領域をも保持
させることで、転写終結シグナルが組み込まれたことになる。転写終結シグナル
が宿主細胞中での発現時に、充分に機能しないのであれば、宿主細胞中で機能す
る3'領域と交換すればよい。
【0159】 2つのDNA配列(例えば、プロモーター領域の配列と本発明のキナーゼをコー
ドする配列)間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異を導入するような結
果を与えることがなく、(2)本発明のキナーゼをコードしている遺伝子配列の
転写を指令するプロモーター領域の配列の活性を妨げず、また(3)プロモータ
ー領域の配列により転写される本発明のキナーゼ遺伝子の配列の転写活性を妨げ
ない等の条件を満たす時、2つのDNA配列が「機能しうるように結合」している
と言うことができる。このように、もしプロモーター領域がDNA配列の転写を活
性化することができるのならば、そのプロモーター領域はそのDNA配列に対し機
能するように結合しているのである。それゆえ、本発明のキナーゼをコードする
遺伝子を発現させるためには、適当な宿主によって認識される転写翻訳のシグナ
ルが必要となるのである。
【0160】 本発明は、本発明のキナーゼ(またはその機能的類似体)をコードする遺伝子
の真核細胞もしくは原核細胞における発現を含む。一般に、原核細胞の宿主の方
が非常に簡便に効率よく組換え蛋白質を生産できるので、本発明のキナーゼの発
現系として好適なものの一つと考えられる。最も頻用される原核生物は、大腸菌
であり様々な系統が挙げられるが、大腸菌以外の細菌株を含む他の微生物系統も
また使用可能である。
【0161】 原核細胞の発現系では、その宿主に適合性を有する種から得られた複製部位と
制御配列を含むプラスミドベクターが用いられる。好ましいプラスミドベクター
の例としては、pBR322, pUC118, pUC119等が挙げられる。好ましいファージベク
ターもしくはバクテリオファージベクターとしては、λgt10、λgt11等が挙げら
れる。好適なウイルスベクターにはpMAM-neo, pKRCなどが含まれる。本発明にお
いて使用するベクターとしては、用いる宿主中で複製可能なものが好ましい。
【0162】 認知されている原核細胞宿主としては、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillu s)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シュードモナス(Pseudomonas)、
サルモネラ(Salmonella)、セラチア(Serratia)等が含まれる。しかしながら
、かかる条件下では(原核細胞中では)、ポリペプチドの糖鎖付加は起こらない
。原核細胞宿主は、発現プラスミド中の複製単位及び制御配列に関して適合性を
有していなければならない。
【0163】 本発明のキナーゼ(またはその機能的類似体)を原核細胞宿主において発現さ
せる際には、本発明のキナーゼをコードする配列を、機能を発揮しうる原核生物
のプロモーターと機能しうるように結合しなければならない。そのようなプロモ
ーターは構成的なものでもよいが、制御可能(例えば、誘導性もしくは脱抑制性
制御可能)なものの方がより好ましい。構成的プロモーターの例としては、バク
テリオファージλのint プロモーター、pBR322のβ-ラクタマーゼ遺伝子のblaプ
ロモーター、pPR325のクロラムフェニコール・アセチル転移酵素遺伝子のCATプ
ロモーター等が挙げられる。誘導可能な原核生物のプロモーターの例としては、
バクテリオファージλのメジャーライト- レフトプロモーター、大腸菌のtrp、r ecA、lacZ、lacI、 gal等のプロモーター、枯草菌のα-amylase のプロモーター
(Ulmanenら、J. Bacteriol. 162:176-182, 1985) 及びζ-28特異的プロモーター
(Oilmanら、Gene Sequence 32:11-20, 1984)、枯草菌のバクテリオファージのプ
ロモーター(Gryczan, In: The Molecular Biology of the Bacilli, Academic Press, Inc., NY, 1982)、ストレプトマイセスのプロモーター(Wardら、Mol. G en. Genet. 203:468-478, 1986)等がある。原核生物のプロモーターに関する概
説したものとしては、Glick (Ind. Microbiot. 1:277-282. 1987)、Cenatiempo (Biochimie 68:505-516, 1986)、及びGottesman (Ann. Rev. Genet. 18:415-442 , 1984)によって著されたものがある。
【0164】 原核細胞中での適切な発現には、遺伝子のコード領域の上流にリボゾームの結
合部位も必要である。リボゾームの結合部位に関しては、例えば、Goldら (Ann. Rev. Microbiol. 35:365-404, 1981)によって明らかにされている。制御配列、
発現ベクター、形質転換の方法等に関して、どれを選択すべきかについては、そ
の遺伝子の発現に用いる宿主細胞によって異なる。本明細書においては、「細胞
」、「細胞株」、「培養細胞」なる言葉は互いに言い換え可能である。このよう
な名称は全てそれから派生した子孫をも包含するものである。それゆえ、「形質
転換体」、もしくは「形質転換された細胞」という言葉は、一番最初の、おおも
との細胞とそれに由来する培養細胞の両方を、意味するのである。このような名
称は、その細胞の継代数とは無関係である。また、企図的に導入された変異や自
然に発生した変異等があることから、継代された全ての細胞が完全には同一のDN Aを有するものではないと考えられる。しかしながら、たとえ変異を有する子孫
細胞であっても、その定義のとおり、最初に形質転換された細胞の機能と同一の
機能を有している。
【0165】 本発明の発現系に用いられる宿主細胞には、厳密な制限はなく、それが目的の
キナーゼのポリペプチドを発現する際に好適に用いられるものであればよい。好
ましい宿主には、少なからず真核細胞も含まれる。好適な真核細胞宿主には、例
えば、酵母菌、真菌、昆虫細胞、インビボ及び組織培養の哺乳動物細胞などが含
まれる。宿主として有用な哺乳動物細胞は、HeLa細胞、VERO及びCHO-K1などの線
維芽由来の細胞、もしくはリンパ系由来の細胞及びその派生体を含む。好適な哺
乳動物細胞は、SP2/0 やJ558Lといった細胞、更にIMR332のような神経芽種由来
の細胞を含み、これらはタンパク質の翻訳後修飾を行うのにより適した能力を有
していると考えられる。
【0166】 更には、植物細胞も宿主として用いることができる。また、カリフラワーモザ
イクウイルスの35S及び19S、ノパリン合成酵素のプロモーター及びポリA付加シ
グナル配列などの植物細胞に適合する制御配列も使用することが可能である。別
の好適な宿主には、昆虫細胞がある。例えば、ショウジョウバエの幼虫である。
昆虫細胞を宿主として用いるなら、ショウジョウバエのアルコールデヒドロゲナ
ーゼのプロモーターを利用できる(Rubin、Science 240:1453-1459, 1988)。ま
た、別法としてカイコ多角体ウイルスのベクターを用いて、本発明のキナーゼを
大量に昆虫細胞(Jasny, Science 238:1653, 1987; Millerら、In: Genetic Engi neering, Vol. 8, Plenum, Setlowら編、277-297, 1986)の中で発現させること
も可能である。
【0167】 酵母菌がグルコースに富んだ培地中で生育する際に、糖の分解に関わる酵素群
が大量に産生される。このような解糖系の酵素をコードした遺伝子で、かつ高レ
ベルに発現している遺伝子に由来するプロモーターと転写終結の配列要素を組み
込んだ酵母菌の発現系は、いずれも利用可能である。既知の解糖系遺伝子由来の
配列は、転写制御のシグナルとしては非常に効率の高いものである。酵母菌の場
合には翻訳後修飾も起こるという点で、大きな利点がある。強力なプロモーター
配列と高コピー数のプラスミドを用いた組換えDNAの手法が何種類もあり、所望
のタンパク質の生産に利用しうる。酵母菌は、哺乳動物のクローン化された遺伝
子上にあるリーダー配列(leader sequence)を認識し、リーダー配列(すなわ
ち 、プレペプチド(pre-peptide))有するペプチドを分泌する。哺乳動物細胞
を宿主として本発明のキナーゼを発現させたい場合には、数種類のベクター系が
適用可能である。
【0168】 宿主の性質に応じて、様々な転写翻訳の制御配列が用いられる。そのような転
写翻訳制御の信号の役割を果たす配列は、アデノウイルス(adenovirus)、ウシ
・パピローマウイルス(bovine papilloma virus)、サイトメガロウイルス(cy tomegalovirus)、シミアン・ウイルス(simian virus)など、ウイルスに由来
するもので、高レベルに発現する特定の遺伝子の制御に関わる配列であってもよ
い。または、アクチン、コラーゲン、ミオシン等の哺乳動物遺伝子に由来するプ
ロモーターを用いることもできる。転写開始の制御に関するシグナル配列は転写
を活性化したり抑制したりするものであるが、このような配列を用いると発現の
レベルをコントロールできる。利点を有すると思われるのは、温度感受性の制御
配列である。これは温度を変化させることによって遺伝子発現の抑制・活性化が
可能である。また、化学物質(例えば、代謝産物など)によって制御されるもの
もある。
【0169】 真核細胞中での本発明のキナーゼの発現には、真核生物に由来する制御領域が
必要となる。このような領域は一般的には、RNA合成の開始を司るプロモーター
領域を含んでいる。好ましい真核細胞のプロモーターとは、例えば、マウスのメ
タロチオネンI (metallothionein I)遺伝子のプロモーター(Hamerら、J. Mol. A ppi. Gen. 1:273-288, 1982)、ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight, C ell 31:3.55-365, 1982)、SCV40の初期プロモーター(Benoistら、Nature (Londo n) 290:304-31, 1981)、及び酵母菌のgal4 遺伝子のプロモーター(Johnstonら、
Proc. Nati. Acad. Sci. (USA) 79:6971-6975, 1982; Silverら、Proc. Natl. A cad. Sci. (USA) 81:5951-5955, 1984)等が含まれる。
【0170】 真核生物のmRNAの翻訳は最初のメチオニンをコードするコドンのところで開始
する。それゆえ、真核細胞のプロモーター配列と本発明のキナーゼをコードする
DNA配列(またはその機能的類似体)をつなぐ結合部分の配列には、メチオニン
のコドン(つまり、AUG)が一つも含まれないように注意すべきである。もしそ
のようなコドンがあると、(AUGが本発明のキナーゼをコードしている配列と同
一の読み枠にあるなら)融合タンパク質が生成する、もしくは、(AUGが本発明
のキナーゼをコードしている配列と異なる読み枠にあるなら)フレームシフト変
異が生成してしまうことになる。
【0171】 本発明のキナーゼをコードする配列とそれに対して機能しうるように結合され
ているプロモーターを含む核酸分子は、非複製型のDNAもしくはRNAとして、原核
細胞もしくは真核細胞に導入できる。このような核酸分子は、直鎖状の分子でも
よいが、より好ましくは閉環状分子である。このような分子は自己複製ができな
いので、導入した配列の一過的な発現によって、遺伝子が発現をする。またこれ
とは別に、導入した配列を宿主の染色体に組み込ませると遺伝子発現は恒久的な
ものとなる。
【0172】 所望の遺伝子配列を宿主の染色体に組み込ませることが可能なベクターも使用
できる。導入した配列が安定に染色体に組み込まれた細胞の選別は、ベクターを
含む宿主細胞が選択可能となるようなマーカーを一種類もしくは複数を、同時に
宿主に導入することで達成できる。このようなマーカーは、栄養要求性の宿主に
対して原栄養性を付与するものであり、もしくは薬剤耐性(例えば、抗生物質、
銅などの重金属等に対する耐性)を付与するものである。選別可能なマーカー遺
伝子の配列は、発現させたい遺伝子DNAと直接つないでもよいし、同一の細胞に
同時導入(co-transfection)してもよい。また、他の配列要素もmRNA合成の最
適化のためには必要である。このような要素としては、スプライシングのシグナ
ルとなる配列、転写のプロモーター、エンハンサー、転写終結シグナル等が含ま
れる。このような配列要素の組み込まれたcDNAの発現ベクターには、Okayama (M ol. Cell. Biol. 3:280-, 1983)の記述にあるベクターも含まれる。
【0173】 導入したい核酸分子は、受容宿主中で複製可能なプラスミドもしくはウイルス
ベクターに挿入する事もできる。この目的のために、多様なベクターが使用可能
である。実際にプラスミドもしくはウイルスベクターを選ぶ際の重要な条件には
次のようなものがある。ベクターを含む受容細胞とベクターを含まない受容細胞
が容易に区別できて選別し易いこと。特定の宿主においてベクターのコピー数が
所望の数に達するものであること。宿主細胞と、それとは異なる種の細胞のどち
らにもベクターを導入できる、所謂「シャトル型」ベクターであることが必要で
あるかどうか等が考慮される。
【0174】 好ましい原核生物のベクターとしては、大腸菌中で複製可能なプラスミド(例
えば、pBR322、ColE1、pSClOl、pACYC184、πVX: "Molecular Cloning: A La boratory Manual", 1989, 前掲)を含む。枯草菌のプラスミドには、pC194, pC2 21, pT127等がある (Gryczan, In: The Molecular Biology of the Bacilli, Ac ademic Press, NY, pp. 307-329, 1982)。好適なストレプトマイセスのプラスミ
ドは、p1J101 (Kendall et a1., J. Bacteriol. 169:4177-4183, 1987)、及びφ
C31等のストレプトマイセスのバクテリオファージ(Chater et a1., In: Sixth International Symposium on Actinomycetales Biology, Akademiai Kaido, Bud apest, Hungary, pp. 45-54, 1986)を含む。シュードモナスのプラスミドにつ
いては、John等(Rev. Infect. Dis. 8:693-704, 1986)、及びIzaki (Jpn. J. Bacteriol. 33:729-742, 1978) により論述されたものがある。
【0175】 好ましい真核生物プラスミドは、例えば、ウシ・パピローマウイルス(BPV)、
ワクシニアウイルス、SV40等のウイルスベクター、及び酵母菌の2−μの複製起
点を有する環状プラスミドなど、またこれらから派生した類縁体がある。このよ
うなプラスミドは、当技術分野においてよく知られているものである(Botstein ら、Miami wntr. Symp. 19:265-274, 1982; Broach, In: "The Molecular Biol ogy of the Yeast Saccharomyces: Life Cycle and Inheritance", Cold Sprin g Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, p. 445-470, 1981; Broach, C ell 28:203-204, 1982; Bollon et a1., J. Clin. Hematol. Oncol. 10:39-48, 1980; Maniatis, In: Cell Biology: A Comprehensive Treatise, Vol. 3, Gene Sequence Expression, Academic Press, NY, pp. 563-608, 1980)。
【0176】 発現させるために目的の構築物を含むベクターもしくは核酸分子を調製後、こ
のDNA構築物を適切な方法のどれかで適当な宿主細胞に導入する。導入法には各
種あるが、その例としては、例えば、形質転換法(transformation)、形質移入
法(transfection)、接合法(conjugation)、プロトプラスト融合法(protopl ast fusion)、電気穿孔法(electroporation)、パーティクルガン法(particl e gun technology)、リン酸カルシュウム沈殿法(calcium phosphate-precipit ation)、直接的顕微鏡微量注入法(direct microinjection)等が挙げられる。
ベクターの導入後に、受容細胞を選択培地中で生育さる。この培地中では、ベク
ターを有する細胞のみが選択的に生育するのである。クローン化された遺伝子の
発現によって、本発明のキナーゼもしくはその断片が生産される。タンパク質の
発現は、このように、形質転換された細胞で起こるか、もしくはその細胞を分化
誘導(例えば、神経芽細胞へのブロモデオキシウリジンの投与等)することによ
って起こるのである。本発明のペプチドを生産させるために、多様な条件下で培
養を行うことができる。最適な培養条件は、本来の生理的条件に類似した条件で
ある。
【0177】IV. 本発明のタンパク質 本発明のポリペプチドを得るために、当技術分野において既知の多様な方法を
利用することが可能である。このポリペプチドをもともと自然に産生している組
織や細胞から精製してもよいが、代わりに、上記の単離された核酸断片を用いて
、いずれかの生物を利用し本発明のキナーゼを発現させることも可能である。本
発明の試料は、細胞、細胞のタンパク質抽出物・膜抽出物、及び生物学的液体試
料を含む。試料は、測定の様式、検出方法、検体としての組織、細胞、抽出物の
性質によって変わる。その生物が本発明のポリペプチド含む限り、いかなる真核
生物も本発明のポリペプチドの供給源として用いることができる。本願において
、「供給源としての生物」とは、その生物が目的のタンパク質サブユニットを発
現しており、その生物からサブユニットを最終的に単離してくるための生物であ
るかどうかということには関係なく、そのサブユニットのアミノ酸配列が由来す
るその起源となっている生物のことを指している。
【0178】 夾雑物を含まないポリペプチドを得るために、当業者はタンパク質を単離する
既知の方法に従って容易にこれを達成することができる。このような方法として
は、ゲル濾過クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)、高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー(ion-exchange chromatography)、及びイムノアフィニティークロマトグラフィー(immuno-af finity chromatography)等があるが、必ずしもこれらに限定されるわけではな
い。
【0179】哺乳動物のSTLK2 アミノ酸配列の解析により、STLK2はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たな
い細胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。STLK2は21アミノ酸
残基のN末端ドメイン、全てのモチーフがセリン/スレオニン・キナーゼの特徴を
備えている253アミノ酸残基の活性ドメイン、及び142アミノ酸残基のC末端ドメ
インから成る。
【0180】 STLK2の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナー
ゼ、MST3 (GB:AF024636) 及びSOK-1 (GB:X99325)、線虫(C. elegans)のキナー
ゼyk34b11.5 (GB:U53153)であり、それぞれSTLK2と72.7%、68.7% 、69.3%のアミ
ノ酸が同一である。
【0181】 ヒトのSTLK2の21アミノ酸から成るN末端ドメインは、MST3 (GB:AF024636)のN
末端ドメイン比べると、71.4%のアミノ酸が一致している。ヒトのSTLK2は、2番
目の位置のグリシン残基を欠いており、それゆえミリスチル化を受けていないと
考えられる。非重複タンパク質データベースのスミス・ウォーターマン検索を行
うと、有意な相同性を有するタンパク質は見つからないことから、このドメイン
は未知の機能を有していることが示唆される。
【0182】 ヒトのSTLK2の253アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSOK-1 (X99325)及び
MST3 (GB:AF024636)、線虫のyk34b11.5 (GB:U53153)、STLK3(配列番号:6)に
最も近く、それぞれ88.9%、87.4%、78.3%、49%のアミノ酸が一致している。この
ことから、ヒトのSTLK2はSTE20-関連キナーゼのSTLKサブファミリーに位置する
ことが分かる。STLK2のキナーゼドメインは、他のSTE20関連キナーゼに対しては
、これより低い相同性を示す。すなわち、ヒトMST2 (GB:U26424)に対して55.9% 、ヒトGCK (GB:U07349) に対して49.2%、ヒト KHS1 (GB:U77129) に対して49.2% 及びヒトHPK1 (GB:U664G4) に対して44.2%である。ヒトSTLK2の活性ドメインの
活性ループは、キナーゼ活性の自己調節に関わる4つの潜在性スレオニン・リン
酸化部位が存在し、ヒトSOK-1及びMST3の活性ループと同一である。
【0183】 ヒトSTLK2の142アミノ酸残基のC末端ドメインは、ヒトのSOK-1 (X99325)及びM ST3 (GB:AF024636)、線虫のyk34b11.5 (GB:U53153)に対して最も近縁である。そ
れぞれアミノ酸の同一性は、39.9%、39.9%、33.3%である。このC末端ドメインは
、関連するヒトのSTLK3 (配列番号:6) 、及び STLK4 (配列番号:7)のC末端
ドメインに対し、ある程度有意なアミノ酸の類似性を示している。
【0184】 関連するヒトのSOK-1 キナーゼ(GB:X99325)のC末端ドメインは、このキナーゼ
の触媒活性に対し抑制性に働くことが示されている(Pombo, C.M., Bonventre, J .V., Molnar, A., Kyriakis, J. and Force, T. EMBO J. 15, 4537-4546 (1996) )。ヒトのSOK-1 (GB:X99325)のC末端とヒトのSTLK2のC末端との間の配列の一致
率(39.2%)を基にすると、ヒトのSTLK2のC末端もまたこのキナーゼの抑制性ド
メインとして機能していることが推定される。
【0185】哺乳動物のSTLK3 ヒトSTLK3の部分cDNAの3030塩基対から成る塩基配列は、516アミノ酸(配列番
号:6)をコードしている。このタンパク質の推定分子量は、56,784ダルトンで
ある。アミノ酸配列の解析により、STLK3はシグナル配列も膜貫通ドメインも持
たない細胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。しかしながら
、このcDNAクローンは、開始コドンATGを欠いており、完全なN末端のアミノ酸配
列は得られていない。STLK3は31アミノ酸残基のN末端ドメイン、全てのモチーフ
がセリン/スレオニン・キナーゼの特徴を備えている277アミノ酸残基の活性ドメ
イン、及び181アミノ酸残基のC末端ドメインから成る。このタンパク質のC末端
ドメインは、STLK2と比べると、25アミノ酸の挿入配列があり、またそのC末端は
27アミノ酸余計に伸びている。
【0186】 STLK3の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナー
ゼ、STLK4 (配列番号:7)、MST3 (GB:AF024636)、SOK-1 (GB:X99325)、及びSTL K2 (配列番号:5)であり、それぞれSTLK3と71.1%、37.6% 、38.1%、38.4%のア
ミノ酸が同一である 。
【0187】 非重複タンパク質データベースのスミス・ウォーターマン検索を行っても、ヒ
トのSTLK3の31アミノ酸から成るN末端ドメインは、プロリン-アラニンの繰り返
し配列に対する相似性以外には有意なアミノ酸配列上の相同性を示すものはなか
った。
【0188】 ヒトのSTLK3の277アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTLK4 (配列番号:
7)、SOK-1 (X99325)及びMST3 (GB:AF024636)、及びSTLK2(配列番号:6)に最
も近く、それぞれ88.2%、49.2%、49%、49%,のアミノ酸が一致している。またこ
れ以外に、下等な生物のセリン/スレオニン・キナーゼ(STK)にも強い相同性を
示す。シロイヌナズナ(A. thaliana)のGenBank登録番号AC002343 に対して51. 7%、シロイヌナズナのGenBank登録番号Z97336に対して43.1%、シロイヌナズナの
GenBank登録番号U96613 に対して42.1%、線虫(C. elegans)のGenBank登録番号
U53153に対して43.3%である。STE20-関連キナーゼのSTLKサブファミリーの他の
メンバー(ヒトSTE20、MST3、STLK2、及びSTLK4)と比較してみると、ヒトSTLK3 の活性ドメインの活性ループは、キナーゼ活性の自己調節に関わる3つの潜在性
スレオニン・リン酸化部位が保存されている。
【0189】 ヒトSTLK3の181アミノ酸残基のC末端ドメインは、ヒトのSTLK4 (配列番号:7
) に対して55.5%のアミノ酸が同一であり、またヒトのDCHT の部分cDNA(GB:AF0 17635)と比べると100%アミノ酸が一致している。ヒトSTLK3のC末端ドメインは
、STE20と比べると、26アミノ酸の挿入配列を含んでいる。同様の26アミノ酸(8 7.5%のアミノ酸一致率)の挿入は、STLK4においてもみられる。
【0190】 ヒトSTLK3のC末端に伸長している27アミノ酸は、STLK4と77.8%のアミノ酸が一
致しているが、他のSTLKファミリーのメンバーにはこの部分は存在しない。この
二つのSTLKファミリーのメンバーにおけるC末端部の高い相同性は、これまでに
同定されていないタンパク質-タンパク質相互作用に関係していることを示唆す
る。
【0191】 ヒトSTLK3とSTE20の間のC末端における弱い相同性はキナーゼの抑制性ドメイ
ンとして機能している可能性を示唆する。
【0192】哺乳動物のSTLK4 3857塩基対から成るヒトSTLK4の部分cDNAの塩基配列は、414アミノ酸(配列番
号:7)をコードしており、推定される分子量は45,451ダルトンである。アミノ
酸配列の解析により、STLK4はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たない細胞内
セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。しかしながら、このcDNAク
ローンは、開始コドンATGを欠いており、完全なN末端のアミノ酸配列は得られて
いない。STLK4の部分タンパク質の配列は、セリン/スレオニン・キナーゼのC末
端のモチーフのVIからXIまでに相当する178アミノ酸の活性ドメインを含み、そ
の後ろに236アミノ酸のC末端ドメインが続く。このC末端ドメインには、ヒトSTL K2と比較して、それぞれ25アミノ酸及び41アミノ酸の二つの挿入配列が存在する
【0193】 STLK4の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナー
ゼ、STLK3 (配列番号:6)、MST3 (GB:AF024636)、STLK2 (配列番号:5)、及び
SOK-1 (GB:X99325)であり、それぞれSTLK4と71.0%、46.8% 、43.9%、37.7%のア
ミノ酸が同一である 。
【0194】 ヒトのSTLK4の178アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTLK3 (配列番号:
6)、SOK-1 (X99325)及びMST3 (GB:AF024636)、STLK2(配列番号:5)及びMST1 (GB:U18297)に最も近く、それぞれ88.2%、54.2%、54.0%、53.7%、45.7%のアミ
ノ酸が一致している。またこれ以外に、下等な生物のセリン/スレオニン・キナ
ーゼ(STK)にも強い相同性を示す。シロイヌナズナ(A. thaliana)のGenBank
登録番号AC002343 に対して56.9%、線虫(C. elegans)のGenBank登録番号 U531 53に対して52.5%、シロイヌナズナのGenBank登録番号Z97336に対して46.2%、シ
ロイヌナズナのGenBank登録番号U96613 に対して45.7%である。STE20-関連キナ
ーゼのSTLKサブファミリーの他のメンバー(ヒトSTE20、MST3、STLK2、及びSTLK 3)と比較してみると、ヒトSTLK4の活性ドメインの活性ループは、キナーゼ活
性の自己調節に関わる3つの潜在性スレオニン・リン酸化部位が保存されている
【0195】 ヒトSTLK4の236アミノ酸残基のC末端ドメインは、ヒトのSTLK3 (配列番号:6
) 及びヒトのDCHT の部分cDNA(GB:AF017635)に対して58.1%のアミノ酸が同一
である。ヒトSTLK4のC末端ドメインは、ヒトSTE20と比べると、25アミノ酸の挿
入配列を含んでいる。同様の26アミノ酸の挿入配列は、STLK4においてもみられ
、そのアミノ酸一致率は87.5%である。
【0196】 ヒトSTLK4とSTE20の間のC末端における弱い相同性はキナーゼの抑制性ドメイ
ンとして機能している可能性を示唆する。
【0197】哺乳動物のSTLK5 2110塩基対から成るヒトSTLK5の完全長cDNAの塩基配列は、373アミノ酸のポリ
ペプチド(配列番号:97)をコードしており、推定される分子量は41,700ダル
トンである。アミノ酸配列の解析により、STLK5はシグナル配列も膜貫通ドメイ
ンも持たない細胞内STE20サブファミリーに属するキナーゼであると推定された
。STLK5は10アミノ酸残基のN末端ドメイン、全てのモチーフがセリン/スレオニ
ン・キナーゼの特徴を備えている311アミノ酸残基の活性ドメイン、及び52アミ
ノ酸残基のC末端ドメインから成る。
【0198】 STLK5の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナー
ゼ、STLK6 (配列番号:99)、及びSPAK (AF099989)であり、アミノ酸配列全長
でみると、それぞれSTLK5と51%、33%のアミノ酸が同一である 。またこれ以外に
、データベースに登録されているシロイヌナズナ(A. thaliana: GB AC002343
)及び線虫(C. elegans: GB U53153)の配列に対し有意な相同性を示す。
【0199】 ヒトSTLK5のN末端の10アミノ酸から成るドメインと有意な相同性を示すものは
、タンパク質データベースには存在しなかった。
【0200】 ヒトのSTLK5の311アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTLK6及びSPAKと比
べて、それぞれ51%、34%のアミノ酸が一致している。STLK5の活性ドメインは、
ヒトのSTE20と比べると、キナーゼ・サブドメインのXとXIの間に45アミノ酸の挿
入配列を有している。マウスのEST (GB:AA575647)と複数のヒトのEST断片が、こ
の挿入配列に相当する部分を含んでいることから、この領域はSTLK5にとって不
可欠な部分でることが示される。
【0201】 ヒトSTLK5の52アミノ酸残基のC末端ドメインは、ヒトのSOK-1 (GB:X99325)に
対して41.3%のアミノ酸が同一である。ヒトSTLK5とSTE20の間のC末端における弱
い相同性はキナーゼの抑制性ドメインとして機能している可能性を示唆する。
【0202】哺乳動物のSTLK6 2001塩基対から成るヒトSTLK6の完全長cDNAの塩基配列は、418アミノ酸のポリ
ペプチド(配列番号:99)をコードしており、推定される分子量は47,025ダル
トンである。アミノ酸配列の解析により、STLK5はシグナル配列も膜貫通ドメイ
ンも持たない細胞内STE20サブファミリーに属するキナーゼであると推定された
。STLK6は57アミノ酸残基のN末端ドメイン、全てのモチーフがセリン/スレオニ
ン・キナーゼの特徴を備えている312アミノ酸残基の活性ドメイン、及び49アミ
ノ酸残基のC末端ドメインから成る。
【0203】 STLK6の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナー
ゼ、STLK5 (配列番号:97)、STLK7 (配列番号:101)、及びSPAK (AF099989 )であり、アミノ酸配列全長でみると、それぞれSTLK6と50%、35%、30%のアミノ
酸が同一である 。またこれ以外に、データベースに登録されているシロイヌナ
ズナ(A. thaliana: GB AC002343)及び線虫(C. elegans: GB U53153)の配
列に対し有意な相同性を示す。
【0204】 ヒトSTLK6のN末端の57アミノ酸から成るドメインと有意な相同性を示すものは
、タンパク質データベースには存在しなかった。
【0205】 ヒトのSTLK6の312アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTLK5及びSPAKと比
べて、それぞれ51%、30%のアミノ酸が一致している。
【0206】 ヒトSTLK6の49アミノ酸残基のC末端ドメインは、STLK5及びSPAKと比べて、ア
ミノ酸の一致率は低かった(29%)。
【0207】哺乳動物のSTLK7 311塩基対から成るヒトSTLK7の部分cDNAの塩基配列は、103アミノ酸のポリペ
プチド(配列番号:101)をコードいる。アミノ酸配列の解析により、STLK7
は細胞内STE20サブファミリーに属するキナーゼの内部断片であると推定された
。この配列は、STLK7のN末端及びC末端部分を欠いており、推定される活性ドメ
インのN末端103アミノ酸のみを含むものである。
【0208】 STLK7の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナー
ゼ、SPAK (AF099989)、STLK5 (配列番号:97)、及びSTLK6 (配列番号:99)
であり、キナーゼドメインの領域内では、それぞれSTLK6と86%、38%、35%のアミ
ノ酸が同一である 。またこれ以外に、データベースに登録されているシロイヌ
ナズナ(A. thaliana: GB AC002343)及びショウジョウバエ(Drosophila mela nogaster : GB:AF006640)の配列に対し有意な相同性を示す。
【0209】哺乳動物のZC1 3798塩基対から成るヒトZC1の塩基配列は、1239アミノ酸のポリペプチド(配
列番号:13)をコードしており、推定される分子量は142,140ダルトンである
。アミノ酸配列の解析により、ZC1はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たない
細胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。完全長のZC1タンパク
質は22アミノ酸残基のN末端、全てのモチーフがセリン/スレオニン・キナーゼの
特徴を備えている267アミノ酸残基の活性ドメイン、237アミノ酸のコイルドコイ
ル構造を形成すると予測される領域、114アミノ酸のプロリンに富む領域、256ア
ミノ酸のスペーサー領域、及びこれに続く343アミノ酸残基の潜在的にRab/Rho-
結合領域を含むC末端ドメインから成る。
【0210】 ZC1の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナーゼ
、ZC2 (配列番号:14)、ZC3 (配列番号:15)、及びZC4 (配列番号:16)で
あり、それぞれZC1と61.7%、60.9%、43.8%のアミノ酸が同一である 。またこれ
以外に、GenBank登録番号Z50029のコスミドZC504.4にコードされる線虫(C. ele gans)のキナーゼの配列と45.5%のアミノ酸が一致する。ZC1はマウスのNIK (GB: U88984)に対して、90%の相同性を有することから、このマウスのセリン/スレオ
ニン・キナーゼ(STK)に対するヒトの相同遺伝子であることが示唆される。
【0211】 ヒトZC1の22アミノ酸残基のN末端ドメインは、コスミドZC504.4にコードされ
る線虫(C. elegans)のキナーゼ(GB Z50029)と58.8%のアミノ酸が一致し、ま
たマウスのNIK (GB:U88984)とは完全にアミノ酸配列(100%)が一致している。
ヒトのZC1は、2番目の位置のグリシン残基を欠いており、それゆえミリスチル
化を受けていないと考えられる。非重複タンパク質データベースのスミス・ウォ
ーターマン検索を行うと、有意な相同性を有するタンパク質は見つからないこと
から、このドメインは未知の機能を有していることが示唆される。
【0212】 ヒトZC1の267アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTE20-サブファミリーに
属するキナーゼ、ZC3 (配列番号:15)、ZC2 (配列番号:14)、KHS2(配列番
号:18)、SOK-1(GB:X99325)、GCK(GB:U07349)、GEK2(配列番号:107
)、及びコスミドZC504.4にコードされる線虫のキナーゼ(GB:Z50029)に最も近く
、それぞれ90.6%、90.2%、60.6%、47.4%、45.4%、42.5%、82.6%のアミノ酸が一
致している。ZC1キナーゼ・ドメインはマウスのNIK (GB:U88984)とは98.1%のア
ミノ酸が同一である。ZC1はその活性ループ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化
部位を含んでいる。ZC2、ZC3、ZC4、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3、PAK4及びPAK5
など他のSTE20-関連キナーゼにも、この「TPY」モチーフは保存されている。
【0213】 Lupasのアルゴリズム(Lupas, A. Meth. Enzymoi. 266, 513-525 (1996))に基
づいて予測をすると、ヒトZC1のキナーゼ・ドメインのC末端側に隣接して、237
アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる領域が存在する。ZC1のこの
領域と最も関連性が高いのは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナーゼ、
ZC3 (配列番号:15)、ZC2 (配列番号:14)、及びGEK2(配列番号:107)
、更にヒトPITSLRE (GB:U04824)であり、それぞれ65.5%、65.4%、25.3、29.0%の
アミノ酸が一致する。ZC1のコイルドコイル・ドメインもマウスのNIKに対しアミ
ノ酸の相同性が90.6%の値を示す。線虫の相同体であるZC504.4とは全長にわたっ
て、32.2%のアミノ酸が一致する。
【0214】 ヒトZC1及びこれに近縁のZC3のコイルドコイルと予測されたドメインの内側に
、ロイシン・ジッパー(Leu-X6-Leu-X6-Leu-X6-Leu-X20-Leu-X6-Leu)が形成さ
れると推定できる領域が存在する。コイルドコイルと予想される構造の内部にロ
イシンの繰り返し配列が存在するという事実は、このロイシン・ジッパーが二量
体形成の際の接着面となり、ヒトZC1の分子内での、もしくは別の分子との二量
体形成を媒介する可能性が非常に高いことを示している(Hirst, J.D.ら、Protei n Engineering 9 657-662 (1996))。
【0215】 ヒトZC1の114アミノ酸から成るプロリンに富んだ領域は、ヒトのSTE20-サブフ
ァミリーに属するキナーゼ、ZC2 (配列番号:14) 及び ZC3 (配列番号:15) と最も近縁であり、それぞれ35.8%、24.9%のアミノ酸が一致する。ZC1のプロリ
ンに富んだドメインは、マウスのNIK(GB:U88984)に対しアミノ酸レベルで36.4 %の相同性を示す。このヒトZC1のプロリンに富んだドメインの内部には、3つの
潜在的なSH3ドメイン結合モチーフ「PxxP」(モチーフI、II、及びIII)が存在
する。モチーフIは、ヒトのZC1と線虫(C. elegans)のZC504.4(GB:Z50029)で保
存されている。モチーフIIは、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4及び線虫(C. elegans)のZC 504.4で保存されている。モチーフIIIは、ZC1、ZC2、ZC3及びZC4で保存されてい
る。マウスのNIKのモチーフII及びIIIは、アダプター分子であるNckのSH3モチー
フに結合することが示されている(Su, Y-C.ら、EMBO J. 16, 1279-1290 (1997 ))。このことから、ヒトのZC1もNckまたは、SH3ドメインもしくはWWドメインを
含むタンパク質に結合し、成長因子よって誘起されるシグナル伝達に関与する可
能性が示唆される。
【0216】 256アミノ酸から成るヒトZC1のスペーサー領域は、ヒトのSTE20-サブファミリ
ーに属するキナーゼ、ZC2 (配列番号:14) 及び ZC3 (配列番号:15)、更に
ヒトPITSLRE (GB:U04824)と最も近縁であり、それぞれ59.9%、33.1%、29.6%、26 .4%のアミノ酸が一致する。また、マウスのNIKに対しても、59.9%の相同性を示
す。線虫の相同体であるZC504.4は、このスペーサー領域では限られた配列にの
み類似性を示す。
【0217】 343アミノ酸から成るヒトZC1のC末端は、ヒトのSTE20-サブファミリーに属す
るキナーゼ、ZC3 (配列番号:15)、ZC2 (配列番号:14) 及びZC4 (配列番号
:16)と最も近縁であり、それぞれ89.2%、88.9%、42.3%のアミノ酸が一致する
。ZC1のC末端は、マウスのNIKに対しても、98.8%の相同性を示す。このC末端部
では、線虫の相同体であるZC504.4もヒトのZC1と68.7%のアミノ酸が一致してい
る。低いけれども明らかに有意であるような相同性が、ヒトのKHS2 (配列番号:
18)、GCK (GB:U07349) 及びマウスのシトロン(citron) (GB:U07349)に対し
て見られる。アミノ酸の一致率は、それぞれ26.6%、23.1% 、36.2%である。GCK
はSTE20ファミリーに属するキナーゼであり、そのC末端ドメインは低分子量Gタ
ンパク質Rab8に結合することが示されている(Ren, M.ら、Proc. Natl. Acad. S ci. 93, 5151-5155 (1996))。シトロン(citron)は非キナーゼタイプのRho-結
合性タンパク質である(Madaule, P.ら、FEBS Lett. 377, 243-238 (1995))。
【0218】 ヒトZC1のC末端領域が、潜在性Rab-ドメインまたはRho-結合性ドメインを有す
る他のタンパク質と配列上の類似性を示すことから、ZC1は低分子量Gタンパク質
依存性の経路のシグナル伝達に関係することが示唆される。
【0219】哺乳動物のZC2 4055塩基対から成るヒトZC2の部分cDNAの塩基配列は、1297アミノ酸(配列番
号:14)をコードしており、推定される分子量は147,785ダルトンである。ア
ミノ酸配列の解析により、ZC2はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たない細胞
内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。しかしながら、このcDNA
クローンは、開始コドンATGを欠いており、完全なN末端のアミノ酸配列は得られ
ていない。このN末端を欠失したZC2タンパク質は、全てのモチーフがセリン/ス
レオニン・キナーゼの特徴を備えている255アミノ酸残基の活性ドメイン、187ア
ミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予測される領域、184アミノ酸のプロ
リンに富む領域、328アミノ酸のスペーサー領域、及びこれに続く343アミノ酸残
基の潜在的にRab/Rho-結合領域を含むC末端ドメインから成る。
【0220】 ZC2の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナーゼ
、ZC3 (配列番号:15)、ZC1 (配列番号:13)、及びZC4 (配列番号:16)で
あり、それぞれZC1と88.3%、61.7%、41.9%のアミノ酸が同一である 。またこれ
以外に、GenBank登録番号Z50029のコスミドZC504.4にコードされる線虫(C. ele gans)のキナーゼの配列と41.7%のアミノ酸が一致する。
【0221】 ヒトZC2の255アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTE20-サブファミリーに
属するキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)、ZC3 (配列番号:15)、SOK-1(GB:X9 9325)、KHS2(配列番号:18)、MST1 (GB:U18297)、GCK(GB:U07349)、及び
コスミドZC504.4にコードされる線虫のキナーゼ(GB:Z50029)に最も近く、それぞ
れ90.2%、89.8%、49.0%、48.6%、47.9%、45.0% 、76.7%のアミノ酸が一致してい
る。ZC2はその活性ループ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる
。ZC1、ZC3、ZC4、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3、PAK4及びPAK5など他のSTE20-関
連キナーゼにも、この「TPY」モチーフは保存されている。
【0222】 Lupasのアルゴリズム(前掲)に基づいて予測をすると、ヒトZC2のキナーゼ・ド
メインのC末端側に隣接して、187アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えら
れる領域が存在する。ZC2のこの領域と最も関連性が高いのは、ヒトのSTE20-サ
ブファミリーに属するキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)、ZC3 (配列番号:15) 、及びGEK2(配列番号:107)、更にヒトPITSLRE (GB:U04824)であり、それ
ぞれ65.8%、61.5%、29.7% 、29.6%のアミノ酸が一致する。線虫の相同体であるZ C504.4とは全長にわたって、30.8%のアミノ酸が一致する。ヒトのZC2ではZC1及
びZC3と比較して、29アミノ酸の欠失があり、その結果ZC1に見いだされる潜在的
ロイシン・ジッパー構造が欠失している。
【0223】 ヒトZC2の184アミノ酸から成るプロリンに富んだ領域は、ヒトのSTE20-サブフ
ァミリーに属するキナーゼ、ZC3 (配列番号:15)及びZC1 (配列番号:13)と
最も近縁であり、それぞれ35.9%、28.6%のアミノ酸が一致する。ZC1のプロリン
に富んだドメインは、マウスのNIK(GB:U88984)に対しアミノ酸レベルで36.4%
の相同性を示す。この領域は、マウスのWW-結合タンパク質WB7(GB:U92455)及び
ヒトのSH3ドメイン結合性タンパク質3BP-1(GB:X87671)に対しても有意な相同性
を示し、それぞれ27.7% 、25.3%のアミノ酸が一致する。
【0224】 ヒトZC1のプロリンに富んだドメインの内部に見いだされる潜在的なSH3ドメイ
ン結合モチーフ「PxxP」のうち、2つのモチーフ(モチーフII、及びIII)が、Z C2のプロリンに富んだドメインの内部にも存在する。モチーフIIは、ZC1、ZC3、
ZC4及び線虫(C. elegans)のZC504.4で保存されており、またモチーフIIIは、Z C1、ZC3及びZC4で保存されている。マウスのNIKのモチーフII及びIIIは、アダプ
ター分子であるNckのSH3モチーフに結合することが示されている。このことから
、ヒトのZC1もNckまたは、SH3ドメインもしくはWWドメインを含むタンパク質に
結合し、成長因子よって誘起されるシグナル伝達に関与する可能性が示唆される
【0225】 328アミノ酸から成るヒトZC2のスペーサー領域は、ヒトのSTE20-サブファミリ
ーに属するキナーゼ、ZC1(配列番号:13) 及び ZC3 (配列番号:15)、更に
マウスNIK(GB:U88984)と最も近縁であり、それぞれ31.6%、26.9%、25.9%のアミ
ノ酸が一致する。線虫の相同体であるZC504.4は、このスペーサー領域では限ら
れた配列にのみ類似性を示す。
【0226】 343アミノ酸から成るヒトZC2のC末端は、ヒトのSTE20-サブファミリーに属す
るキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)、 ZC3 (配列番号:15)、及びZC4 (配列番
号:16)、更にマウスNIK(GB:U88984)と最も近縁であり、それぞれ88.9%、88.3 %、41.9%、88.0%のアミノ酸が一致する。このC末端部では、線虫の相同体である
ZC504.4もヒトのZC2と67.2%のアミノ酸が一致している。低いけれども明らかに
有意であるような相同性が、ヒトのGCK (GB:U07349)、マウスのシトロン(citro n) (GB:U07349) 及び酵母菌(S. cerevislae)のRho1 GDP/GTP交換因子であるR OM2 タンパク質(GB:U19103)に対しても見られる。アミノ酸の一致率は、それぞ
れ22.3%、22.2%、21.9%である。
【0227】 ZC2のC末端領域が、潜在性Rab-ドメインまたはRho-結合性ドメインを有する他
のタンパク質と配列上の類似性を示すことから、ZC1と同様にZC2もまた低分子量
Gタンパク質依存性の経路のシグナル伝達に関係することが示唆される。
【0228】哺乳動物のZC3 4133塩基対から成るヒトZC3の部分cDNAの塩基配列は、1326アミノ酸(配列番
号:15)のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は149,906ダル
トンである。アミノ酸配列の解析により、ZC3はシグナル配列も膜貫通ドメイン
も持たない細胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。しかしな
がら、このcDNAクローンは、開始コドンATGを欠いており、完全なN末端のアミノ
酸配列は得られていない。このN末端を欠失したZC3タンパク質は、全てのモチー
フがセリン/スレオニン・キナーゼの特徴を備えている255アミノ酸残基の活性ド
メイン、221アミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予測される領域、204ア
ミノ酸のプロリンに富む領域、303アミノ酸のスペーサー領域、及びこれに続く3 43アミノ酸残基の潜在的にRab/Rho-結合領域を含むC末端ドメインから成る。
【0229】 ZC3の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナーゼ
、ZC1 (配列番号:13)、ZC2 (配列番号:14)、及びZC4 (配列番号:16)で
あり、それぞれZC3と62.0%、61.0%、42.5%のアミノ酸が同一である 。更に、Gen Bank登録番号Z50029のコスミドZC504.4にコードされる線虫(C. elegans)のキ
ナーゼの配列と46.7%のアミノ酸が一致する。
【0230】 ヒトZC3の255アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTE20-サブファミリーに
属するキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)、ZC2 (配列番号:14)、SOK-1(GB:X9 9325)、KHS2(配列番号:18)、GCK(GB:U07349)、SULU1 (配列番号:22) 、GEK2 (配列番号:107)及びコスミドZC504.4にコードされる線虫のキナーゼ
(GB:Z50029)に最も近く、それぞれ90.6%、89.3%、49.0%、48.3%, 45.0%、43.1%
、42.3%、76.7%のアミノ酸が一致している。ZC3はその活性ループ中に潜在的な
「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる。ZC1、ZC2、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3 、PAK4及びPAK5など他のSTE20-関連キナーゼにも、この「TPY」モチーフは保存
されている。
【0231】 Lupasのアルゴリズム(前掲)に基づいて予測をすると、ヒトZC3のキナーゼ・ド
メインのC末端側に隣接して、221アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えら
れる領域が存在する。ZC3のこの領域と最も関連性が高いのは、ヒトのSTE20-サ
ブファミリーに属するキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)、ZC2 (配列番号:14) 、及びGEK2(配列番号:107)であり、それぞれ66.9%、61.5%、27.5%のアミ
ノ酸が一致する。また同様にラットのPLC-beta(GB:A45493)及びヒトPITSLRE ( GB:H54024)でありに対しても近縁であり、それぞれ29.6%、25.9%のアミノ酸が一
致する。線虫の相同体であるZC504.4とは全長にわたって、26.8%のアミノ酸が一
致する。
【0232】 ヒトZC3及びこれに近縁のZC1のコイルドコイルと予測されたドメインの内側に
、ロイシン・ジッパー(Leu-X6-Leu-X6-Leu-X6-Leu-X20-Leu-X6-Leu)が形成さ
れると推定できる領域が存在する。コイルドコイルと予想される構造の内部にロ
イシンの繰り返し配列が存在するという事実は、このロイシン・ジッパーが二量
体形成の際の接着面となり、ヒトZC1の分子内での、もしくは別の分子との二量
体形成を媒介する可能性が非常に高いことを示している(Hirst, J.D.ら、Protei n Engineering 9 657-662 (1996))。
【0233】 ヒトZC3の204アミノ酸から成るプロリンに富んだ領域は、ヒトのSTE20-サブフ
ァミリーに属するキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)及びZC2 (配列番号:14)と
最も近縁であり、それぞれ66.9%、61.5%のアミノ酸が一致する。
【0234】 ヒトZC1のプロリンに富んだドメインの内部に見いだされる潜在的なSH3ドメイ
ン結合モチーフ「PxxP」のうち、2つのモチーフ(モチーフII、及びIII)が、Z C3のプロリンに富んだドメインの内部にも存在する。モチーフIIは、ZC1、ZC2、
ZC4及び線虫(C. elegans)のZC504.4で保存されており、またモチーフIIIは、Z C1、ZC2及びZC4で保存されている。マウスのNIKのモチーフII及びIIIは、アダプ
ター分子であるNckのSH3モチーフに結合することが示されている。このことから
、ヒトのZC3もNckまたは、SH3ドメインもしくはWWドメインを含むタンパク質に
結合し、成長因子よって誘起されるシグナル伝達に関与する可能性が示唆される
【0235】 303アミノ酸から成るヒトZC3のスペーサー領域は、ヒトのSTE20-サブファミリ
ーに属するキナーゼ、ZC1(配列番号:13) 及び ZC2 (配列番号:14)と最も
近縁であり、それぞれ30.1%、27.1%のアミノ酸が一致する。線虫の相同体である
ZC504.4では、このZC3のスペーサー領域に相当する部分をほとんど欠失している
【0236】 343アミノ酸から成るヒトZC3のC末端は、ヒトのSTE20-サブファミリーに属す
るキナーゼ、ZC1 (配列番号:13)、 ZC2 (配列番号:14)、及びZC4 (配列番
号:16) と最も近縁であり、それぞれ89.2%、88.9%、42.5%のアミノ酸が一致
する。このC末端部では、線虫の相同体であるZC504.4もヒトのZC3と67.2%のアミ
ノ酸が一致している。低いけれども明らかに有意であるような相同性が、ヒトの
GCK (GB:U07349)、更にキナーゼではないマウスのシトロン(citron) (GB:U073 49) 及び酵母菌(S. cerevislae)のRho1 GDP/GTP交換因子であるROM2 タンパク
質(GB:U19103)に対しても見られる。アミノ酸の一致率は、それぞれ21.6%、32.4 %、22.9%である。
【0237】 ZC3のC末端領域が、潜在性Rab-ドメインまたはRho-結合性ドメインを有する他
のタンパク質と配列上の類似性を示すことから、ZC1、ZC2と同様にZC3もまた低
分子量Gタンパク質依存性の経路のシグナル伝達に関係することが示唆される。
【0238】哺乳動物のZC4 3684塩基対から成るヒトZC4の完全長cDNAの塩基配列は、1227アミノ酸(配列
番号:105)のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は138,205
ダルトンである。アミノ酸配列の解析により、ZC4はシグナル配列も膜貫通ドメ
インも持たない細胞内STE20-サブファミリーに属するキナーゼであると推定され
た。この完全長のZC4タンパク質は、25アミノ酸のN末端、全てのモチーフがセリ
ン/スレオニン・キナーゼの特徴を備えている265アミノ酸残基の活性ドメイン、
108アミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予測される領域、231アミノ酸の
プロリンに富む領域、40アミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予測される
スペーサー領域、204アミノ酸のスペーサー領域(ドメインB)、及びこれに続
く355アミノ酸残基の潜在的にRab/Rho-結合領域を含むC末端ドメイン(ドメイン
C)から成る。
【0239】 ZC4に最も近縁なものは、ヒトZC1 (配列番号:13、これは、別名ヒト HGK, ヒトKIAA0687, マウスNIK, ヒト AC005035, ヒト NIK, and 線虫 MIG-15等と同
一のキナーゼである)、ZC2 (配列番号:14、これは部分配列であるヒトKIAA05 51と類似している)、及びZC3 (配列番号:15)である。複数の配列から組み立
てられたデータベースに登録されているゲノム断片の配列(Z83850)は、ZC4と
その配列が一致している。ただし、このゲノム断片の配列では、エクソンの境界
の同定が不適切である(Aboら、(1998) EMBO J. 17: 6527-6540.)。
【0240】 ヒトZC4の25アミノ酸のN末端ドメインは、ヒトZC1のC末端部分に対して、弱い
相同性を示すが、それ以外にタンパク質データベース中には、有意な相同性を示
すものは見つからない。
【0241】 ヒトZC4の265アミノ酸残基の活性ドメインは、ZC1 (配列番号:13)、ZC3 (
配列番号:15)、及びZC2 (配列番号:14)に最も近く、それぞれ63%、64%、6 2%のアミノ酸が一致している。
【0242】 Lupasのアルゴリズム(前掲)に基づいて予測をすると、ヒトZC4のキナーゼ・ド
メインのC末端側に隣接して、108アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えら
れる領域が存在する。ZC4のこの領域と最も関連性が高いのは、ZC1 (配列番号:
13)、ZC3 (配列番号:15)、及びZC2 (配列番号:14)であり、それぞれ29% 、25%、20%のアミノ酸が一致する。
【0243】 ヒトZC4の231アミノ酸から成るプロリンに富んだ領域に対し有意な相同性を示
すものは、タンパク質データベース中には見つからない。ZC4のこの領域は、SH3 ドメインもしくはWWドメインを含むタンパク質に潜在的に結合できる可能性を持
つ「PxxP」モチーフを二つ含んでおり、このことは、ZC4が成長因子よって誘起
されるシグナル伝達に関与する可能性を示唆する。更に、ヒトZC4のプロリンに
富んだ領域の内側には、二量体形成の際に接着面とてはたらくロイシン・ジッパ
ー(Leu-X6-Leu-X6-Leu-X6-Leu-X20-Leu-X6-Leu)が形成されると予測できる領
域が存在する。ZC-STE20サブファミリーのキナーゼ(ZC1、ZC2及びZC3)は類似
の「PxxP」モチーフとロイシン・ジッパーを有している。
【0244】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、ヒトZC4のこのプロリンに富ん
だ領域のC末端側に隣接して、40アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えら
れる領域が存在する。ヒトZC4のこの領域に対し有意な相同性を示すものは、タ
ンパク質データベース中には見つからない。
【0245】 ZC4の酸性アミノ酸とセリンに富んだ204アミノ酸から成るドメイン「B」に対
し有意な相同性を示すものは、タンパク質データベース中には見つからない。
【0246】 355アミノ酸から成るヒトZC4のC末端は、ZC1 (配列番号:13)、ZC3 (配列番
号:15)、及びZC2 (配列番号:14)と最も近縁であり、それぞれ43%、42%、4 2%のアミノ酸が一致する。
【0247】 ZC4のC末端領域が、潜在性Rab-ドメインまたはRho-結合性ドメインを有する他
のタンパク質と配列上の類似性を示すことから、ZCサブファミリーの他のSTE20
キナーゼと同様にZC4もまた低分子量Gタンパク質依存性の経路のシグナル伝達に
関係することが示唆される。
【0248】哺乳動物のKHS2 4023塩基対から成るヒトKHS2の塩基配列は、894アミノ酸(配列番号:18)
のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は101,327ダルトンである
。アミノ酸配列の解析により、KHS2はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たない
細胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。この完全長のKHS2タ
ンパク質は、13アミノ酸のN末端、全てのモチーフがセリン/スレオニン・キナー
ゼの特徴を備えている255アミノ酸残基の活性ドメイン、73アミノ酸のスペーサ
ー領域、188アミノ酸のプロリンに富む領域、及びこれに続く360アミノ酸残基の
潜在的にRab/Rho-結合領域を含むC末端ドメインから成る。
【0249】 KHS2の最も近縁のキナーゼは、ヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナーゼ
、KHS1 (GB:U177129)、GCK (GB:U07349)、及びHPK1 (GB:U07349)であり、それぞ
れKHS2と65.5%、51.9%、44.9%のアミノ酸が同一である 。更に、GenBank登録番
号Z55363の線虫(C. elegans)のセリン/スレオニン・キナーゼ(STK)の配列と
38.5%のアミノ酸が一致する。
【0250】 ヒトKHS2の13アミノ酸から成るN末端ドメインを、非重複タンパク質データベ
ースに対するスミス・ウォーターマン並列検索で調べたが、このドメインの機能
を予想させるような有意な相同性は見つからなかった。ヒトのKHS2は、2番目の
位置のグリシン残基を欠いており、それゆえミリスチル化を受けていないと考え
られる。
【0251】 ヒトKHS2の260アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSTE20-サブファミリー
に属するキナーゼ、KHS1 (GB:U177129)、GCK (GB:U07349)、HPK1 (GB:U66464)、
SOK-1 (GB:X99325)、MST1 (GB:U18297)、ZC1 (配列番号:13), 及び線虫(C. elegans )のキナーゼ (GB:U55363)に最も近く、それぞれ85.4%、75.1%、67.7%
、51.4%、48.1%、49.8%、72.0%のアミノ酸が一致している。KHS2はその活性ルー
プ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる。ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、
GEK2、SULU1、SULU3、PAK4及びPAK5など他のSTE20-関連キナーゼにも、この「TP Y」モチーフは保存されている。
【0252】 73アミノ酸から成るヒトKHS2のスペーサー領域は、ヒトのSTE20-サブファミリ
ーに属するキナーゼ、KHS1(GB:U177129)、HPK1 (GB:U66464)、GCK (GB:U07349)
と最も近縁であり、それぞれ60.3%、43.5%、44.0%のアミノ酸が一致する。
【0253】 ヒトKHS2の188アミノ酸から成るプロリンに富んだ領域は、ヒトのSTE20-サブ
ファミリーに属するキナーゼ、HPK1 (GB:U66464)、GCK (GB:U07349)、及びKHS1( GB:U177129)と最も近縁であり、それぞれ33.3%、31.9%、31.4%のアミノ酸が一致
する。
【0254】 2つの潜在的なSH3ドメイン結合モチーフ「PxxP」(モチーフI、及びII)が、
ヒトのKHS2のプロリンに富んだドメインの内部も存在する。モチーフIは、KHS1
及びHPK1においても保存されており、またモチーフIIは、GCK及びKHS2で保存さ
れている。モチーフIIを含むヒトHPK1の192アミノ酸から成る領域は、アダプタ
ー分子であるGrb2のC末端のSH3モチーフに結合することが示されている(Anafi, Mら、J. Biol. Chem. J. 272, 27804-27811 (1997))。このことから、ヒトのKHS 2も、このプロリンに富む領域を介して、SH3ドメインもしくはWWドメインを含む
タンパク質に結合する可能性が示唆される。
【0255】 360アミノ酸から成るヒトKHS2のC末端は、KHS1 (GB:U177129)、GCK (GB:U0734 9)、HPK1 (GB:U66464)、及び線虫 (C. elegans) のキナーゼ(GB:U55363)と最も
近縁であり、それぞれ74.9%、54.8%、42.9%、31.0%のアミノ酸が一致する。GCK
はSTE20ファミリーに属するキナーゼであり、そのC末端ドメインは低分子量Gタ
ンパク質Rab8に結合することが示されている(Ren, M.ら、Proc. Natl. Acad. S ci. 93, 5151-5155 (1996))。
【0256】哺乳動物のSULU1 4196塩基対から成るヒトSULU1の塩基配列は、898アミノ酸(配列番号:22)
のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は105,402ダルトンである
。アミノ酸配列の解析により、SULU1はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たな
い細胞内セリン/スレオニン・キナーゼに属するキナーゼであると推定された。
この完全長のSULU1タンパク質は、21アミノ酸のN末端、全てのモチーフがセリン
/スレオニン・キナーゼの特徴を備えている256アミノ酸残基の活性ドメイン、15 0アミノ酸のスペーサー領域、210アミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予
測される領域、114アミノ酸のスペーサー領域、147アミノ酸のコイルドコイル構
造を形成すると予測されるC末端ドメインから成る。
【0257】 SULU1の最も近縁のキナーゼは、STE20-サブファミリーに属するキナーゼのマ
ウスSULU3 (配列番号:24)、ヒトSULU3 (配列番号:23)、及び線虫(C. ele gans)のキナーゼSULU(GB:U11280)であり、それぞれSULU1と68.9%、72.2%、38 .2%のアミノ酸が同一である 。
【0258】 ヒトSULU1の21アミノ酸から成るN末端ドメインは、マウスSULU3 (配列番号:
24)、及び線虫(C. elegans)のキナーゼSULU(GB:U11280)と最も近縁であり
、それぞれ86.3%、62.3%のアミノ酸が同一である 。ヒトのSULU1は、2番目の位
置のグリシン残基を欠いており、それゆえミリスチル化を受けていないと考えら
れる。非重複タンパク質データベースのスミス・ウォーターマン検索を行うと、
有意な相同性を有するタンパク質は見つからないことから、このドメインは未知
の機能を有していることが示唆される。
【0259】 ヒトSULU1の256アミノ酸残基の活性ドメインは、マウスSULU3 (配列番号:2
4)、ヒトのSOK-1(GB:X99325)、STLK2 (配列番号:5)、MST1 (GB:U18297)、P AK1 (GB:U24152)、ZC2 (配列番号:14)、及びKHS2 (配列番号:18)に最も近
く、それぞれ86.3%、48.1%、46.9%、45.2%、43.3%、43.1%、42.0%のアミノ酸が
一致している。線虫のSULU STKとは、この領域では62.3%のアミノ酸が一致する
。SULU1はその活性ループ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる
。ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、GEK2、KHS2、SULU3、PAK4及びPAK5など他のSTE20-関連
キナーゼにも、この「TPY」モチーフは保存されている。
【0260】 150アミノ酸から成るヒトSULU1のスペーサー領域は、ヒトSULU3 (配列番号:
23)及び線虫(C. elegans)のキナーゼ(GB:U11280)と最も近縁であり、それ
ぞれ53.5%、10.4%のアミノ酸が一致する。
【0261】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、ヒトSULU1のキナーゼ・ドメイ
ンのC末端側に隣接して、210アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる
領域が存在する。SULU1のこの領域と最も関連性が高いのは、SULU3 (配列番号:
23)、線虫(C. elegans)のSULU(GB:U11280)、GEK2(配列番号:107)、
及び ZC1 (配列番号:13)であり、それぞれ68.6%、26.8%、23.2%、22.8%のア
ミノ酸が一致する。
【0262】 114アミノ酸から成るヒトSULU1のスペーサー領域は、ヒトSULU3 (配列番号:
23)と最も近縁であり、73.7%のアミノ酸が一致する。低いけれども明らかに有
意であるような相同性が、マウスのPITSLRE (GB:U04824)及びDLK (GB:A55318)、
ヒトのZC1 (配列番号:13)及びGEK 2 (配列番号:107)、更に線虫(C. ele gans)の SULU STK (GB:U11280)に対して見られる。それぞれアミノ酸の一致率
は、39.7%、35.4%、29.5%、23.6%、37.6%である。
【0263】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、ヒトSULU1の第2スペーサー領
域のC末端側に隣接して、147アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる
領域が存在する。SULU1のこの領域と最も関連性が高いのは、ヒトSULU3 (配列番
号:24)、ZC1 (配列番号:13)、及びGEK2(配列番号:107)、更に、線
虫(C. elegans)のSULU(GB:U11280)であり、それぞれ73.3%、28.4%、26.1%、
39.5%のアミノ酸が一致する。
【0264】哺乳動物(ヒト)のSULU3 3824塩基対から成るヒトSULU3部分cDNAの塩基配列は、786アミノ酸(配列番号
:23)のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は92,037ダルトン
である。アミノ酸配列の解析により、SULU3はシグナル配列も膜貫通ドメインも
持たない細胞内セリン/スレオニン・キナーゼに属するキナーゼであると推定さ
れた。このN末端を欠いたヒトのSULU3タンパク質は、66アミノ酸残基の部分活性
ドメインとこれに続く149アミノ酸のスペーサー領域、210アミノ酸のコイルドコ
イル構造を形成すると予測される領域、114アミノ酸の第2スペーサー領域、100 アミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予測されるC末端ドメインから成る
【0265】 ヒトSULU3の最も近縁のキナーゼは、マウスSULU3 (配列番号:24)、ヒトSUL U1 (配列番号:22)、及び線虫(C. elegans)のキナーゼSULU(GB:U11280)で
あり、それぞれ66.3%、68.9%、32.9%のアミノ酸が同一である 。マウス及びヒト
のSULU3の間の高い相同性は、この二つのタンパク質が互いに遺伝的相同タンパ
ク質であることを示している。
【0266】 ヒトSULU3の66アミノ酸残基の部分活性ドメインは、マウスSULU3 (配列番号:
24)、及びヒトのSTE20-サブファミリーに属するキナーゼ、ZC1(配列番号:1
3)、STE20(GB:X99325)、KHS1(GB:U177129)、及びGEK 2(配列番号:107
)、更には、線虫(C. elegans) のSULUキナーゼ(GB:U11280)に最も近く、それ
ぞれ83.3%、47.0%, 45.5%、43.5%、41.8%、55.6%のアミノ酸が一致している。
【0267】 149アミノ酸から成るヒトSULU3のスペーサー領域は、マウスSULU3 (配列番号
:24)、STE20(GB:X99325)及びMST1 (GB:U18297)、更に線虫(C. elegans)
のSULUキナーゼ(GB:U11280)と最も近縁であり、それぞれ98.7%、21.9%、21.8% のアミノ酸が一致する。
【0268】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、ヒトSULU3の第1スペーサー領
域のC末端側に隣接して、210アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる
領域が存在する。SULU3のこの領域と最も関連性が高いのは、マウスSULU3 (配列
番号:24)、ヒトのSULU1(配列番号:22)、ZC1 (配列番号:13)及びGEK2 (配列番号:107)、更には線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280
)であり、それぞれ99. 5%、68.6%、27.4%、22.5%のアミノ酸が一致する。
【0269】 114アミノ酸から成るヒトSULU3の第2スペーサー領域はと最も近縁なものは、
マウスSULU3 (配列番号:24)、ヒトのSULU1(配列番号:22)、GEK2(配列
番号:107)及びZC1 (配列番号:13) 、更には線虫(C. elegans)のSULU
キナーゼ(GB:U11280)であり、それぞれ99.1%、73.7%、24.6%、24.1%、41.2%の
アミノ酸が一致する。
【0270】 Lupasのアルゴリズム(前掲)に基づいて予測をすると、ヒトSULU3の第2スペ
ーサー領域のC末端側に隣接して、247アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考
えられる領域が存在する。SULU3のこの領域と最も関連性が高いのは、ヒトSULU1 (配列番号:22)及びZC1 (配列番号:13)、ラットPKN(GB:D26180)、マウスp l60 ROCK1 (GB:U58512)、更に、線虫(C. elegans)のSULU(GB:U11280)であり
、それぞれ73.7%、26.7%、24.0%、21.0%のアミノ酸が一致する。
【0271】 100アミノ酸から成るヒトSULU3のC末端は、ヒトのプリオン(prion)タンパク
質(GB:L38993)と最も近縁であり、45.0%のアミノ酸が一致する。
【0272】哺乳動物(マウス)のSULU3 2249塩基対から成るマウスSULU3部分cDNAの塩基配列は、748アミノ酸(配列番
号:24)のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は87,520ダルト
ンである。アミノ酸配列の解析により、SULU3はシグナル配列も膜貫通ドメイン
も持たない細胞内セリン/スレオニン・キナーゼに属するキナーゼであると推定
された。このマウスの部分SULU3タンパク質は、25 アミノ酸のN末端、全てのモ
チーフがセリン/スレオニン・キナーゼの特徴を備えている248アミノ酸残基の活
性ドメイン、149アミノ酸のスペーサー領域、210アミノ酸のコイルドコイル構造
を形成すると予測される領域、116アミノ酸のスペーサー領域から成る。
【0273】 マウスSULU3の最も近縁のキナーゼは、ヒトSULU3 (配列番号:23)及びSULU1 (配列番号:22)、及び線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)であ
り、それぞれ97.0%、72.3%、38.4%のアミノ酸が同一である 。マウス及びヒトの
SULU3の間の高い相同性は、この二つのタンパク質が互いに遺伝的相同タンパク
質であることを示している。
【0274】 マウスSULU3の25アミノ酸から成るN末端ドメインは、ヒトSULU1(配列番号:2
2)、及び線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)と最も近縁であり、
それぞれ70.0%、44.4%のアミノ酸が同一である 。
【0275】 マウスSULU3は、2番目の位置のグリシン残基を欠いており、それゆえミリス
チル化を受けていないと考えられる。非重複タンパク質データベースのスミス・
ウォーターマン検索を行うと、有意な相同性を有するタンパク質は見つからない
ことから、このドメインは未知の機能を有していることが示唆される。
【0276】 マウスSULU3の248アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSULU1 (配列番号:
22)、STE20(GB:X99325)、ZC1(配列番号:13)、及びKHS1(GB:U177129)、
更には、線虫(C. elegans) のSULUキナーゼ(GB:U11280)に最も近く、それぞれ
86.7%、46.6%、43.3%、59.4%のアミノ酸が一致している。マウスSULU3はその活
性ループ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる。ZC2、ZC3、ZC4
、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3、PAK4及びPAK5など他のSTE20-関連キナーゼにも、
この「TPY」モチーフは保存されている。
【0277】 149アミノ酸から成るマウスSULU3のスペーサー領域は、ヒトSULU3 (配列番号
:23)、SULU1(配列番号:22)及びSTE20(GB:X99325)、更に線虫(C. ele gans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)及び酵母菌(S. cerevlsiae)のSTE20 (GB: L04655) キナーゼと最も近縁であり、それぞれ98.7%、53.4%、21.9%、59.4%、21 .9%のアミノ酸が一致する。
【0278】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、マウスSULU3のスペーサー領域
のC末端側に隣接して、210アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる領
域が存在する。マウスSULU3のこの領域と最も関連性が高いのは、ヒトSULU3 (配
列番号:23)、ZC1 (配列番号:13)及びGEK2(配列番号:107)、更には
線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)であり、それぞれ99.5%、27.4 %、22.5%、29.2%のアミノ酸が一致する。
【0279】 116アミノ酸から成るマウスSULU3のC末端側スペーサー領域はと最も近縁なも
のは、ヒトSULU3 (配列番号:23)、GEK2(配列番号:107)及びZC1 (配列
番号:13) 、更には線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)であり
、それぞれ98.3%、24.6%、24.1%、40.5%のアミノ酸が一致する。
【0280】哺乳動物(マウス/ヒト)のSULU3 2249塩基対から成るマウスのSULU3 cDNAと3824塩基対から成るヒトのSULU3 cD NAは、互いに重複する1620塩基対の領域(アミノ酸にして541残基に相当する)
を有している。この重複領域の配列の一致率は、DNAのレベルで90%、アミノ酸の
レベルで98%である。この重複領域における高い相同性を基に、本発明者らは、
「単一遺伝子に由来する複数の機能的オルソログ(functional orthologues of a single gene)が存在する」という説を提唱している。この二つのマウスとヒ
トのcDNAを組み合わせてできる4492塩基対の配列は、1001アミノ酸のポリペプチ
ド(配列番号:31)をコードし、その推定される分子量は116,069ダルトンで
ある。アミノ酸配列の解析により、SULU3はシグナル配列も膜貫通ドメインも持
たない細胞内セリン/スレオニン・キナーゼに属するキナーゼであると推定され
た。このSULU3タンパク質は、25 アミノ酸のN末端、全てのモチーフがセリン/ス
レオニン・キナーゼの特徴を備えている248アミノ酸残基の活性ドメイン、149ア
ミノ酸のスペーサー領域、210アミノ酸のコイルドコイル構造を形成すると予測
される領域、114アミノ酸の第2スペーサー領域、247アミノ酸の第2のコイルド
コイル構造を形成すると予測されるC末端の領域と100アミノ酸のC末端部から成
る。マウスのSULU3クローンは、第2のコイルドコイルとC末端部を欠いており、
一方、ヒトのクローンではN末端のドメインとキナーゼ・ドメインの248アミノ酸
のうち66アミノ酸を除く全部が欠けている。
【0281】 このSULU3の最も近縁のキナーゼは、SULU1 (配列番号:22)、及び線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)であり、それぞれ72.3%、38.4%のアミノ
酸が同一である 。
【0282】 このSULU3の25アミノ酸から成るN末端ドメインは、ヒトSULU1(配列番号:22
)、及び線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)と最も近縁であり、そ
れぞれ70.0%、44.4%のアミノ酸が同一である 。SULU3は、2番目の位置のグリシ
ン残基を欠いており、それゆえミリスチル化を受けていないと考えられる。非重
複タンパク質データベースのスミス・ウォーターマン検索を行うと、有意な相同
性を有するタンパク質は見つからないことから、このドメインは未知の機能を有
していることが示唆される。
【0283】 SULU3の248アミノ酸残基の活性ドメインは、ヒトのSULU1 (配列番号:22)、
SOK-1(GB:X99325)、ZC1(配列番号:13)、及びKHS1(GB:U177129)、更には
、線虫(C. elegans) のSULUキナーゼ(GB:U11280)に最も近く、それぞれ86.7%
、46.6%、43.3%、42.0%、59.4%のアミノ酸が一致している。SULU3はその活性ル
ープ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる。ZC2、ZC3、ZC4、GEK 2、KHS2、SULU1、PAK4及びPAK5など他のSTE20-関連キナーゼにも、この「TPY」
モチーフは保存されている。
【0284】 149アミノ酸から成るSULU3のスペーサー領域は、SULU1(配列番号:22)及
びSOK-1(GB:X99325)、更に線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)
及び酵母菌(S. cerevlsiae)のSTE20 (GB:L04655) キナーゼと最も近縁であり
、それぞれ53.4%、21.9%、59.4%、21.9%のアミノ酸が一致する。
【0285】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、SULU3のスペーサー領域のC末
端側に隣接して、210アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる領域が
存在する。SULU3のこの領域と最も関連性が高いのは、ZC1 (配列番号:13) GE K2(配列番号:107)、及び線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280
)であり、それぞれ27.4%、22.5%、29.2%のアミノ酸が一致する。
【0286】 114アミノ酸から成るSULU3のスペーサー領域はと最も近縁なものは、ヒトSULU 1(配列番号:22)、GEK2(配列番号:107)及びZC1 (配列番号:13) 、更
には線虫(C. elegans)のSULUキナーゼ(GB:U11280)であり、それぞれ73.7%、
24.6%、24.1%、41.2%のアミノ酸が一致する。
【0287】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、SULU3の第2スペーサー領域の
C末端側に隣接して、247アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられる領域
が存在する。SULU3のこの領域と最も関連性が高いのは、ヒトSULU1 (配列番号:
22)及びZC1 (配列番号:13)、ラットPKN(GB:D26180)、マウスpl60 ROCK1 (G B:U58512)、更に、線虫(C. elegans)のSULU(GB:U11280)であり、それぞれ73 .7%、26.7%、24.0%、21.0%、37.6%のアミノ酸が一致する。
【0288】 100アミノ酸から成るSULU3のC末端は、ヒトのプリオン(prion)タンパク質(
GB:L38993)と最も近縁であり、45.0%のアミノ酸が一致する。
【0289】哺乳動物のGEK2 2926塩基対から成るヒトGEK2の塩基配列は、968アミノ酸(配列番号:107
)のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は112,120ダルトンであ
る。アミノ酸配列の解析により、GEK2はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たな
い細胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。この完全長のGEK2
タンパク質は、33アミノ酸のN末端、全てのモチーフがセリン/スレオニン・キナ
ーゼの特徴を備えている261アミノ酸残基の活性ドメイン、43アミノ酸のスペー
サー領域、135アミノ酸のプロリンに富む領域、252アミノ酸のコイルドコイル構
造を形成すると予測される領域、更にこの領域もコイルドコイル構造を形成する
と予測される244アミノ酸の領域から成る。
【0290】 GEK2に最も近縁ものは、ラットのATI-46 (GB:U33472、これは、GEK2の潜在的
な第1のコイルドコイル・ドメインの中央からC末端に向かって伸びている部分c DNAクローンである)、マウスのLOK (GB:D89728)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)のpolo-類似キナーゼ1(GB:AF100165)、及びヒトのSLK (GB:AB002804) である。各々に対するアミノ酸の一致率は、91.3%、88.5%、65.0%、44.7%である
。ヒトGEK2、マウスLOK、及びラットAT1-46間の相同性の高さからすると、ヒトG EK2は、これら齧歯類のタンパク質に密接に関連するタンパク質であるか、もし
くは相同タンパク質(orthologue)であると考えられる。最近、GEK2の完全長の
cDNA が新たに得られたとの報告が成された(STK10またはヒトLOK AB015718)。
この968アミノ酸から成る配列はGEK2の配列(配列番号:107)と99%一致して
いる。
【0291】 ヒトのGEK2の33アミノ酸から成るN末端ドメインは、マウスLOK(GB:D89728)
及びヒトSLK (GB:AB002804)と最も近縁であり、それぞれ100%、54.5%のアミノ酸
が同一である 。
【0292】 ヒトGEK2は、2番目の位置のグリシン残基を欠いており、それゆえミリスチル
化を受けていないと考えられる。非重複タンパク質データベースのスミス・ウォ
ーターマン検索を行うと、有意な相同性を有するタンパク質は見つからないこと
から、このドメインは未知の機能を有していることが示唆される。
【0293】 ヒトGEK2の261アミノ酸残基の活性ドメインは、マウスLOK(GB:D89728)、ラ
ットのATI-46 (GB:U33472)、及びヒトSLK (GB:AB002804)、更には、線虫(C. el egans) のキナーゼ(GB:Z81460)に最も近く、それぞれ97.7%、90.8%、54.5%、55 .9%のアミノ酸が一致している。GEK2はその活性ループ中に潜在的な「TPY」制御
-リン酸化部位を含んでいる。ZC2、ZC3、ZC4、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3、PAK4 及びPAK5など他のSTE20-関連キナーゼにも、この「TPY」モチーフは保存されて
いる。
【0294】 43アミノ酸から成るGEK2のスペーサー領域は、マウスLOK(GB:D89728)、及び
ヒトSLK (GB:AB002804)に最も近く、それぞれ83.7%、77.6%のアミノ酸が一致し
ている。
【0295】 ヒトGEK2の135アミノ酸から成るプロリンに富んだ領域は、マウスLOK(GB:D89 728)と最も近縁であり、66.2%のアミノ酸が一致する。このヒトGEK2のプロリン
に富んだドメインの内部には、潜在的な「PxxP」SH3ドメイン結合モチーフが存
在し、マウスLOKにもこのモチーフは保存されている。
【0296】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、ヒトGEK2のプロリンに富んだ
領域のC末端側に隣接して、252アミノ酸のコイルドコイルを形成すると考えられ
る領域が存在する。GEK2のこの領域と最も関連性が高いのは、ラットのATI-46 ( GB:U33472)、マウスLOK(GB:D89728)、ヒトSLK (GB:AB002804) 及びZC2(配列番
号:14)であり、それぞれ90.8%、86.9%、42.2%、29.7%のアミノ酸が一致する
【0297】 Lupasのアルゴリズムに基づいて予測をすると、ヒトGEK2のコイルドコイル構
造のC末端側に隣接して、244アミノ酸残基のコイルドコイルを形成すると考えら
れる第2の領域が存在する。GEK2のこの領域と最も関連性が高いのは、ATI-46 ( GB:U33472)、マウスLOK(GB:D89728)、ヒトSLK (GB:AB002804) 及びZC1(配列番
号:13)であり、それぞれ91.8%、92.6%、70.4%、26.7%のアミノ酸が一致する
。線虫のキナーゼ(GB:Z81460)とは、この領域では31.5%%のアミノ酸が一致する
【0298】哺乳動物のPAK4 3604塩基対から成るヒトPAK4の塩基配列は、681アミノ酸(配列番号:29)
のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は74,875ダルトンである。
アミノ酸配列の解析により、PAK4はシグナル配列も膜貫通ドメインも持たない細
胞内セリン/スレオニン・キナーゼであると推定された。この完全長のPAK4タン
パク質は、55アミノ酸のrac-結合モチーフを有すると推定されるN末端、既知の
哺乳類PAKタンパク質には存在しない173アミノ酸の挿入配列、169アミノ酸のス
ペーサー領域、全てのモチーフがセリン/スレオニン・キナーゼの特徴を備えて
いる265アミノ酸残基の活性ドメイン、及び23アミノ酸のC末端から成る。
【0299】 PAK4に最も近縁なものは、ヒトのPAK5 (配列番号:30) 、PAK1 (GB: U24152 )、及びPAK65 (GB:U25975)、更に線虫(C. elegans)のキナーゼ(GB: Z74029)で
ある。各々に対するアミノ酸の一致率は、76.8%、49.5%、49.8%、34.6%である。
【0300】 ヒトのPAK4の51アミノ酸から成るN末端ドメインは、ヒトのPAK1 (GB: U24152) 、及びPAK65 (GB:U25975)、更に線虫(C. elegans)のキナーゼ(GB: Z74029)と
最も近縁であり、それぞれ50.0%、50.0%、49.0%のアミノ酸が同一である。
【0301】 ヒトのPAK4のアミノ酸13から23までの位置の11残基から成る領域は、Cd c42/Rac-結合モチーフ(SXPX4-6HXXH)のコンセンサス配列と一致する(Burbelo, P.D., Dreschel, D. and Hall, A. J. Bio. Chem. 270, 29071-29074 (1995))
【0302】 既知の哺乳類PAKタンパク質中には存在しないヒトPAK4 の173アミノ酸の挿入
配列は、線虫(C. elegans)のキナーゼ(GB: Z74029)と、39.0%のアミノ酸が
一致している。非重複タンパク質データベースのスミス・ウォーターマン検索を
行うと、有意な相同性を示すタンパク質は見つからないことから、この領域は未
知の機能を有していることが示唆される。
【0303】 ヒトPAK4の169アミノ酸のスペーサー領域に対して有意な相同性を示すものが
見つからないことから、この領域は未知の機能を有していることが示唆される。
【0304】 PAK1中の同等な領域にスペーサーが存在し、この部分がグアニンヌクレオチド
交換因子PIX(Manser, E.ら (1998) Molecular Cell, 1, 183-192)と結合する
。この領域におけるPAK4の配列はPAK1とはかなり異なるので、このPAK4のスペー
サー・ドメインはPAK1と比べてグアニンヌクレオチド交換因子に対する結合の特
異性が異なるのかもしれない。
【0305】 ヒトPAK4の265アミノ酸残基の活性ドメインは、及びヒトPAK5 (配列番号:3
0) 、PAK1 (GB:U24152)、GCK (GB:U07349)、SOK-1 (GB:X99325)、及び SLK (GB :AB002804)、更には、線虫(C. elegans) のキナーゼ(GB: Z74029)と酵母菌(S . cerevisiae)のSTE20-関連キナーゼ(GB:L04655)に最も近く、それぞれ95.9%、
51.7%、41.3%、39.8%、37.4%、60.2%、47.9%のアミノ酸が一致している。PAK4は
その活性ループ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位を含んでいる。ZC1、ZC2 、ZC3、ZC4、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3、及びPAK5など他のSTE20-関連キナーゼ
にも、この「TPY」モチーフは保存されている。
【0306】 23アミノ酸から成るPAK4のC末端は、Gタンパク質のbetaサブユニットに対する
結合部位と相同性を有する配列を含んでいる(Leeuw, T.ら、Nature, 391, 191- 195 (1998))。それゆえ、PAK4はCdc42依存性及びGタンパク質依存性のシグナル
伝達経路の両方によって活性化される可能性を有している。
【0307】哺乳動物のPAK5 2806塩基対から成るヒトPAK5の完全長cDNAの塩基配列は、591アミノ酸(配列
番号:103)のポリペプチドをコードしており、推定される分子量は64,071ダ
ルトンである。アミノ酸配列の解析により、PAK5はシグナル配列も膜貫通ドメイ
ンも持たない細胞内STE20サブファミリーに属するキナーゼであると推定された
。この完全長のPPAK5タンパク質は、52アミノ酸のp21(低分子量Gタンパク質)-結
合性ドメイン(PDBもしくはCRIB)であると推定されるN末端、既知の哺乳類PAK
タンパク質には存在しない121アミノ酸の挿入配列、134アミノ酸のスペーサー領
域、全てのモチーフがセリン/スレオニン・キナーゼの特徴を備えている265アミ
ノ酸残基の活性ドメイン、及び19アミノ酸のC末端から成る。
【0308】 PAK5に最も近縁なものは、ヒトのPAK4 (配列番号:29) 、ショウジョウバエ
(Drosophila melanogaster)PAK(「mushroom bodies tiny」とも呼ばれる、GB : AJ011578)、線虫(C. elegans)のC45Bll.lb(Z74029)、及びヒトのPAK3(Q 13177)である。各々に対するアミノ酸の一致率は、48% (327/674 アミノ酸)、5 0% (330/651 アミノ酸)、43% (アミノ酸のギャップを除いて234/435 アミノ酸)
、47% (アミノ酸のギャップを除いて190/405 アミノ酸)である。最近、PAK5の完
全長のcDNA が新たに得られたとの報告が成された(PAK4 AF005046)。この591
アミノ酸から成る配列はPAK5の配列(配列番号:103)と同一である。(Aboら
、(1998) EMBO J. 17:6527-6540)。
【0309】 ヒトのPAK5の52アミノ酸から成るN末端ドメインは、ヒトのPAK4 (配列番号:
29)、ショウジョウバエPAK(AJ011578)、線虫(C. elegans)のC45Bll.lb(Z 74029)、及びヒトのPAK3(Q13177)である。それぞれ65%、57%、54%、53%のア
ミノ酸が一致する。
【0310】 ヒトのPAK5(図18)のアミノ酸12から22までの位置の11残基から成る
領域は、低分子量G タンパク質結合性ドメイン(PDBもしくはCRIB)(SXPX4-6HX XH)のコンセンサス配列と一致する(Burbelo, P.D., Dreschel, D. and Hall, A . J. Bio. Chem. 270, 29071-29074 (1995) )。本参考文献は本願において図表
を含めその全文が参照されるべきものとして引用するものである。
【0311】 ヒトPAK5 の121アミノ酸の挿入配列は、PAK4(配列番号:29)の同様のドメ
インと比較すると、43%のアミノ酸が同一であるが、この配列は他の既知のPAKタ
ンパク質中には存在しない。
【0312】 PAK1中の同等な領域にスペーサーが存在し、この部分がグアニンヌクレオチド
交換因子PIX(Manser, E. et al (1998) Molecular Cell, 1, 183-192、本参考
文献は本願において図表を含めその全文が参照されるべきものとして引用するも
のである)と結合する。この領域におけるPAK5の配列はPAK1とはかなり異なるの
で、このPAK5のスペーサー・ドメインはPAK1と比べてグアニンヌクレオチド交換
因子に対する結合の特異性が異なるのかもしれない。
【0313】 ヒトPAK5の134アミノ酸から成るコラーゲン類似の領域は、数種類の生物種のp ro-αI型のコラーゲンと比べると、34%のアミノ酸が同一である。この領域は他
の既知のPAKには存在しない。
【0314】 ヒトPAK5の265アミノ酸残基の活性ドメインは、及びヒトPAK4 (配列番号:2
9) 、ショウジョウバエPAK(AJ011578)、線虫(C. elegans)のC45Bll.lb(Z7 4029)、及びヒトのPAK3(Q13177)である。それぞれ78%、80%、61%、55%のアミ
ノ酸が一致する。PAK5もその活性ループ中に潜在的な「TPY」制御-リン酸化部位
を含んでいる。ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、GEK2、KHS2、SULU1、SULU3、及びPAK4など
他のSTE20-関連キナーゼにも、この「TPY」モチーフは保存されている。
【0315】 19アミノ酸から成るC末端は、ゲノムDNAにおいて同定されたPAKに類似した相
同体と、80%のアミノ酸が一致している。更にこのヒトPAK5のC末端は、Gタンパ
ク質のbetaサブユニットに対する結合部位と相同性を有する配列を含んでいる(
Leeuw, T.ら、Nature, 391, 191-195 (1998) 192、本参考文献は本願において図
表を含めその全文が参照されるべきものとして引用するものである)。それゆえ
、PAK5はCdc42依存性及びGタンパク質依存性のシグナル伝達経路の両方によって
活性化される可能性を有している。
【0316】V. 抗体、ハイブリドーマ、これを用いた方法、及びSTE20-関連キナーゼの検出
のためのキット 本発明は、本発明のキナーゼに対して親和性を有する抗体に関する。キナーゼ
のポリペプチドは、下記の配列番号で表されるアミノ酸配列、もしくはそれらの
機能的類縁の配列、または下記の配列番号の配列中の少なくとも連続する9アミ
ノ酸残基(好ましくは少なくとも20,30,35,40もしくはそれ以上の連
続するアミノ酸残基)を有するものである。これらの配列番号とは、配列番号:
5、 配列番号:6、 配列番号:7、 配列番号:13、 配列番号:14、 配列番号:
15、 配列番号:18、 配列番号:22、 配列番号:23、 配列番号:24、 配列番
号:29、 配列番号:97、 配列番号:99、 配列番号:101、 配列番号:103、
配列番号:105、 配列番号:107である。
【0317】 本発明は、また本発明のキナーゼに対して特異的な親和性を有する抗体に関す
る。このような抗体は、本発明のキナーゼに対する親和性と、他のポリペプチド
に対する親和性を比較することによって単離され得る。本発明のキナーゼとそれ
以外のポリペプチドを区別するための方法において使用する目的で、本発明のキ
ナーゼに選択的に結合する抗体を選ぶことになる。このような方法とは、例えば
、他のポリペプチドが混在する組織中で発現するキナーゼの発現量の変化を解析
する方法等であるが、もちろんこの例示された方法に限定されるものではない。
【0318】 本発明のSTE20-関連キナーゼは、例えば、抗体の生産、医薬品組成物の同定、
DNA・タンパク質相互作用の研究などのための様々な手技・方法に用いることが
できる。
【0319】 本発明のキナーゼは、抗体もしくはハイブリドーマの生産に利用しうる。抗体
が必要な際に、本願に記載された方法でペプチドを調製し、これを抗原として用
いうることは、当業者であれば容易に理解される。本発明の抗体には、モノクロ
ーナル抗体、ポリクローナル抗体、これら抗体の断片化されたもの及びヒト化型
抗体を含む。本発明の抗体をヒト化型にしたものは、キメラ化もしくは免疫グロ
ブリンの相補性決定領域の移入法(CDR grafting)等の当技術分野で公知の方法
を用いて創り出すことができる。
【0320】 本発明はまた、上記のモノクローナル抗体もしくはその抗体の結合に関係する
部分の断片を産生するハイブリドーマに関する。ハイブリドーマとは、特異的モ
ノクローナル抗体を分泌することのできる不死化した細胞株のことである。
【0321】 一般的に、モノクローナル抗体やハイブリドーマを調製する手法は、当技術分
野でよく知られたものである(Campbell, "Monoclonal Antibody Technology: L aboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology," Elsevier Sc ience Publishers, Amsterdam, The Netherlands, 1984; St. Grothら、J. Immu nol. Methods 35:1-21, 1980)。抗体を産生する動物(マウス、ラビット、その
他)は、使用するポリペプチドで免疫することができる。免疫法は当技術分野で
周知のものである。このような方法には、ポリペプチドの皮下及び腹腔内投与も
含む。免疫に必要なポリペプチドの量が、免疫を施す動物の種類、ポリペプチド
の抗原性、投与する部位等によって変わることは、当業者によって理解されると
ころである。
【0322】 抗原性を増強するために、ポリペプチドは修飾を施してもよいし、アジュバン
トと混合して投与してもよい。ポリペプチドの抗原性を増強させる方法は、当技
術分野において公知のものである。そのような方法には、抗原を異種タンパク質
(グロブリンもしくはβ-ガラクトシダーゼ等)と結合させて用いる方法、免疫
時にアジュバントと混合して使用する方法等が含まれる。
【0323】 モノクローナル抗体の作製は、免疫を施した動物から脾臓を摘出し、SP2/0-Ag l4等のミエローマ細胞と融合し、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
細胞として確立する、という手順で行われる。ハイブリドーマが所望の性質を備
えた抗体を産生しているかを同定するための方法として、当技術分野において複
数の方法が知られているが、いずれの方法を用いてもよい。このような方法とし
ては、ハイブリドーマのスクリーニングの際に用いる酵素免疫測定法(ELISA as say)、ウエスタン・ブロット分析、放射標識免疫測定法(radioimmunoassay)( Lutzら、Exp. Cell Res. 175:109-124, 1988)等が含まれる。所望の抗体を分泌
しているハイブリドーマのクローン化、及び抗体のクラス・サブクラスの決定等
は、当技術分野における既知の手法で行うことができる(Campbell, "Monoclona l Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecul ar Biology", 前掲 1984)。
【0324】 ポリクローナル抗体の作製は、免役した動物から抗体を含む抗血清を取り出し
、所望の特異性を有する抗体の有無を上記の方法のいずれかで調べる、という手
順で行われる。上記の抗体は、検出を可能にするために標識される。抗体の検出
可能な標識は、次のようなものを用いて行うことができる。すなわち、ラジオア
イソトープ、(ビオチン、アビジン等の)親和性標識、(西洋ワサビ・ペルオキ
シダーゼ、アルカリ・フォスファターゼ等の)酵素標識、(FITC、ローダミン等
の)蛍光標識、常磁性体原子などである。標識については、当技術分野で公知の
方法で行うことができる(例えば、参考文献として次のようなものが挙げられる
: Stembergerら、J Histochem. Cytochem. 18:315, 1970; Bayerら、Meth. Enz ym. 62:308-, 1979; Engvalら、Immunol. 109:129-, 1972; Goding, J. Immunol . Meth. 13:215-, 1976)。本発明の標識された抗体は、特異的ペプチドの発現
している組織、細胞を同定するためのインビトロ測定、インビボ測定、インサイ
チュー測定のいずれにも用いることができる。
【0325】 上記の抗体は、支持固体に固定することもできる。このような支持固体の例と
しては、ポリカーボネート等のプラスチック、アガロースやセファロースのよう
な複合糖質、及びポリアクリルアミドやラテックス粒子のようなアクリル樹脂等
が含まれる。抗体をこのような支持固体に固定化する技術は、当技術分野におい
て公知である(Weirら、"Handbook of Experimental Immunology" 4th Ed., Bla ckwell Scientific Publications, Oxford, England, Chapter 10, 1986; Jacob yら、Meth. Enzym. 34, Academic Press, N.Y., 1974)。本発明の固定化抗体は
、免疫クロマトグラフィー等の他、インビトロ測定、インビボ測定、インサイチ
ュー測定のいずれにも用いることができる。
【0326】 更には、特定のペプチド配列に特異的に結合するペプチド、抗ペプチド・ペプ
チドを合理的に設計し作製するために、当業者は、抗体に関し本願において開示
された技術、方法、キットのみならず、現在使用可能な手技を使用することがで
きる(Hurbyら、"Application of Synthetic Peptides: Antisense Peptides". In Synthetic Peptides, A User's Guide, W.H. Freeman, NY, pp. 289-307, 19 92; Kaspczakら、Biochemistry 28:9230-9238, 1989)。
【0327】 抗ペプチド・ペプチドは、本発明のキナーゼのペプチド配列中に存在する疎水
性のアミノ酸や無荷電の極性アミノ酸はそのままにして、塩基性アミノ酸と酸性
アミノ酸を交換することによって創り出すことができる。例えば、リジン、アル
ギニン、及び/もしくはヒスチジン残基をアスパラギン酸またはグルタミン酸で
置き換え、グルタミン酸残基はリジン、アルギニン、もしくはヒスチジン残基で
置き換える。
【0328】 本発明は更に、試料中のSTE20関連キナーゼのポリペプチドを検出する以下の
二つの段階を含む方法に関する。すなわち、(1)免疫複合体が形成されるよう
な条件下で、試料を上記の抗体と接触させる段階、(2)該ポリペプチドに結合
した該抗体の有無を検出する段階。詳細には、本法は、被検試料を1種もしくは
複数種類の本発明の抗体と混合し反応させる段階と、被検試料に抗体が結合した
か否かを測定する段階を含む。本発明のキナーゼが正常な発現レベルと比較して
変化している場合には、疾病の可能性を示唆するものである。
【0329】 抗体を被検試料とインキュベートする条件は様々である。反応の条件は、測定
の様式、検出方法、測定に用いる抗体のタイプや性質などによって変わる。本発
明の抗体を用いる当たり、通常使用される免疫学的測定の方法(放射免疫測定法
、酵素標識免疫測定法、拡散オクタロニー法、ロケット蛍光免疫測定法など)の
いずれもが採用可能であることは、当業者の認知するところである。このような
測定の方法の例に関しては、以下の著者により著された成書に記載がある。すな
わち、Chard ("An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques " Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands, 1986)、Bulloc kら ("Techniques in Immunocytochemistry," Academic Press, Orlando, FL Vo l. 1, 1982; Vol. 2, 1983; Vol. 3, 1985)、Tijssen ("Practice and Theory o f Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecul ar Biology," Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands, 19 85)などである。
【0330】 本発明の免疫測定における被検試料としては、細胞のタンパク質抽出物・膜抽
出物、及び血液、血漿、尿などの生物学的液体試料が含まれる。上記の方法に用
いられる被検試料は、測定の様式、検出方法の性質、被検試料として用いられる
組織、細胞、抽出物の種類によって変わる。細胞からタンパク質抽出物・膜抽出
物を調製する方法は、当技術分野において公知のものであり、利用する測定系に
おいて測定可能な試料を得るために用いることができる。
【0331】 キットは、前記の検出方法で測定をするために必要な試薬をすべて含むもので
ある。キットは以下のものを含む。すなわち。(1)上記の抗体を保持するため
の第1の容器等の手段、(2)抗体及び標識物質が反応もしくは結合を起こす相
手となる分子を含む複合体を保持するための第2の容器等の手段。別の好ましい
実施例において、キットはさらに以下の内の一つまたは複数のものを含む一つも
しくは複数の容器を備えている。すなわち、洗浄試薬、及び結合した抗体の有無
を検出することのできる試薬。
【0332】 検出試薬の例としては、標識2次抗体、また別法として1次抗体が標識されて
いる場合には、標識抗体と反応可能な発色試薬、酵素試薬、及び抗体結合性試薬
が含まれるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。コンパートメントに
分けられた容器を有するキットについては、核酸プローブのキットに関し既に、
本願に記載している。本発明に記載の抗体が、当技術分野において周知の実用的
なキットの形態に容易に組み込めるものだということは、当業者であれば直ちに
理解しうる。
【0333】VI. STE20関連キナーゼと相互作用する化合物の単離 更に本発明は、以下の段階を含む本発明のSTE20関連キナーゼを結合する化合
物の検出法に関する。すなわち、(1)本発明のキナーゼを化合物と反応させる
段階、(2)キナーゼに結合した化合物の有無を検出する段階。この化合物は、
様ざまな物質の混ざり合った混合物、例えば、血清、体液もしくは細胞抽出物等
の中に含まれるものであってもよい。
【0334】 更に本発明は、以下の段階を含むキナーゼ活性またはキナーゼが結合する分子
の活性に関する作動薬もしくは拮抗薬の検出法に関する。すなわち、(1)本発
明のキナーゼを産生する細胞を、ある化合物の存在下で培養する段階、および(
2)キナーゼ活性またはキナーゼが結合する分子の活性のレベルの変化を検出す
る段階である。このようして同定された化合物は、その化合物の有無の指標とな
る活性の変化を惹起するものである。この化合物は、様ざまな物質の混ざり合っ
た混合物、例えば、血清、体液もしくは細胞抽出物等の中に含まれるものであっ
てもよい。この化合物が同定されたならば、これを当技術分野において公知の技
術で単離することができる。
【0335】 更に本発明は、以下の段階を含み、哺乳動物においてキナーゼの関与する活性
に対し作動的(促進的)もしくは拮抗的な作用を起こさせる方法に関する。すな
わち、該哺乳動物に該作動性もしくは該拮抗性効果を誘起するのに充分な量の作
動薬もしくは拮抗薬を投与する段階。該哺乳動物に該作動性もしくは該拮抗性効
果を誘起するのに充分な量の作動薬もしくは拮抗薬を投与する段階を含み、STE2 0関連キナーゼの活性の作動薬もしくは拮抗薬を用いて哺乳動物の疾患を治療す
る方法もまた、本願に含まれるものである。疾患の新しい治療法を見いだすため
に、生化学者及び化学者はタンパク質キナーゼの機能を阻害するような分子の設
計・合成し・試験を重ねてきた。ある種の低分子量の有機化合物分子は、タンパ
ク質キナーゼの機能に影響を及ぼす化合物として分類されている。タンパク質キ
ナーゼの機能を阻害するとの報告が成されている分子の例としては、ビス単環式
、二環式、及び複素環式のアリール化合物(Maguire等によって1992年11月
26日に出願された国際特許出願WO 92/20642)、ビニレン-アザインドール誘導
体(Ballinari等によって1994年7月7日に出願された国際特許出願WO 94/1 4808)、1-シクロプロピル-4-ピリジル-キノロン類(米国特許第5,330,992号)
、スチリル化合物(米国特許第5,217,999号)、スチリル基置換ピリジル化合物
(米国特許第5,302,606号)、ある種のキナゾリン誘導体(欧州特許出願第0 566 266 Al号)、セレノインドール類及びセレン化物(Denny等によって1994年
2月17日に出願された国際特許出願WO 94/03427)、三環式多水酸基化合物(D owによって1992年12月10日に出願された国際特許出願WO 92/21660)、
ホスホン酸ベンジル化合物(Dow等によって1991年10月17日に出願され
た国際特許出願WO 91/15495)等が挙げられるが、これらのみに限定されるもの
ではない。
【0336】 細胞膜透過性で酸加水分解に強い化合物は、患者に経口投与された後の生体利
用効率が高く、治療薬としての潜在的な利点を備えていると言うことができる。
しかしながら、これらタンパク質キナーゼ阻害剤の多くは、タンパク質キナーゼ
の機能をそれほど強く抑制するものではない。加えて、多くのものは、色々な種
類のタンパク質キナーゼを阻害いしてしまい、それゆえ疾病治療薬として用いた
時には、複数の副作用を起こすこととなる。
【0337】 しかしながら、ある種のインドリノン類は酸耐性で膜透過性の有機分子に分類
されている。国際特許出願WO 96/22976(Ballinariらにより1996年8月1日
に出願された)は、テトラリン、ナフタレン、キノリン、インドール等の置換基
がオキシドール環に結合した水溶性のインドリノン化合物について記載している
。これら二環式置換基は、順次ヒドロキシル化アルキル基、リン酸基、エーテル
等の極性基で置換される。Tang等により1996年8月23日に出願された"Ind olinone Combinatorial Libraries and Related Products and Methods for the Treatment of Disease"と題する米国特許出願第08/702,232号 (Lyon & Lyon Do cket No. 221/187) 及びTang等により1995年6月7日に出願された"Benzyli dene-Z-Indoline Compounds for the Treatment of Disease"と題する米国特許
出願第08/485,323号 (Lyon & Lyon Docket No. 223/298)、更にBallinariらによ
る1996年8月1日に出願された国際特許出願 WO 96/22976が挙げられる。こ
れらは全て、図を含む全文が参照されるべきものとして、本願に引用されている
ものであり、オキシドール環に結合した単環式置換基とその他の二環式置換基を
有するインドリノン化合物に関するインドリノン・ケミカル・ライブラリーにつ
いて記述している。Tang等により1996年8月23日に出願された"Indolinon e Combinatorial Libraries and Related Products and Methods for the Treat ment of Disease"と題する米国特許出願第08/702,232号 (Lyon & Lyon Docket N o. 221/187) 及びTang等により1995年6月7日に出願された"Benzylidene-Z -Indoline Compounds for the Treatment of Disease"と題する米国特許出願第0 8/485,323号 (Lyon & Lyon Docket No. 223/298)、及びBallinariらによる19
96年8月1日に出願された国際特許出願 WO 96/22976では、インドリノンの合
成法、細胞におけるインドリノン化合物の生物学的活性の試験法、及びインドリ
ノン誘導体の阻害様式について説明している。
【0338】 キナーゼ活性に影響を与える他の物質の例としては、チルフォスチン類、キナ
ゾリン類、キノキサリン類、キノリン類が挙げられるが、これらにのみ限定され
るものではない。上記のキナゾリン類、チルフォスチン類、キノリン類、キノキ
サリン類には、文献に記載されている公知の化合物も含まれる。例えば、キナゾ
リン類に関する代表的な刊行物としては、Barkerらの 欧州特許出願公開第 0 52 0 722 Al号、Jonesらの米国特許第4,447,608号、Kabbeらの米国特許第4,757,072 号、Kaul 及び Vougioukasの米国特許第5, 316,553号、Kreighbaum 及びComerの
米国特許第4,343,940号、Pegg と Wardleworthの欧州特許出願公開第 0 562 734 Al号、Barkerらの Proc. of Am. Assoc. for Cancer Research 32:327 (1991) 、Bertinoの Cancer Research 3:293-304 (1979)、BertinoのCancer Research 9 (2 part 1):293-304 (1979)、Curtinらの Br. J. Cancer 53:361-368 (1986)、F ernandesらの Cancer Research 43:1117-1123 (1983)、Ferrisらの J. Qrq. Che m. 44(2):173-178、Fryらの Science 265:1093-1095 (1994)、Jackmanらの Canc er Research 51:5579-5586 (1981)、Jonesらの J. Med. Chem. 29 (6):1114-111 8、Lee 及び Skiboの Biochemistry26 (23):7355-7362 (1987)、Lemusらの J. O rq. Chem. 54:3511-3518 (1989)、Ley及びSengのSynthesis 1975:415-522 (1975 )、Maxwellらの Magnetic Resonance in Medicine 17:189-196 (1991)、Mini等
のCancer Research 45:325-330 (1985)、Phillips 及びCastleのJ. Heterocycli c Chem. 17 (19):1489-1596 (1980)、Reeceらの Cancer Research 47(11) :2996 -2999 (1977)、Sculierらの Cancer Immunol. and Immunother. 23:A65 (1986)
、Sikoraらの Cancer Letters 23:289-295 (1984)、及びSikoraらの Analytical Biochem. 172:344-355 (1988)が挙げられる。これらは全て、図を含む全文が参
照されるべきものとして、本願に引用されているものである。
【0339】 キノキサリン類については、Kaul 及びVougioukasによる米国特許第5,316,553 号に記載されており、本参考文献は本願において図を含めその全文が参照される
べきものとして引用するものである。
【0340】 キノリン類については、Dolleらの J. Med. Chem. 37:2627-2629 (1994); MaG uire, J. Med. Chem. 37:2129-2131 (1994)、Burkeらの J. Med. Chem. 36:425- 432 (1993)、及びBurkeらの BioOrqanic Med. Chem. Letters 2:1771-1774 (199 2)に記載されており、これら参考文献は全て本願において図を含めその全文が参
照されるべきものとして引用するものである。
【0341】 チルフォスチン類については、Alienらの Clin. Exp. Immunol. 91:141-156 ( 1993)、Anafiらの Blood 82:12:3524-3529 (1993)、Bakerらの J. Cell Sci. 10 2:543-555 (1992)、Bilder 等の Amer. Phvsiol . Soc. pp. 6363-6143-.C721-C 730 (1991)、Bruntonらの Proceedings of Amer. Assoc. Cancer Rsch. 33:558 (1992)、Bryckaertらの Experimental Cell Research 199:255-261 (1992)、 Do ngらの J. Leukocyte Bioloov 53:53-60 (1993)、Dongらの J. Immunol. 151 (5 ):2717-2724 (1993)、Gazitらの J. Med. Chem. 32:2344-2352 (1989)、Gazitら
の J. Med. Chem. 36:3556-3564 (1993)、Kaurらの Anti-Cancer Drugs 5:213-2 22 (1994)、KaurらのKingらの Biochem. J. 275:413-418 (1991)、 Kuoらの Ca ncer Letters 74:197-202 (1993)、 LevitzkiのThe FASEB J. 6:3275-3282 (199 2)、Lyallらの J. Biol. Chem. 264:14503-14509 (1989)、Petersonらの The Pr ostate 22:335-345 (1993)、 Pillemerらの Int. J. Cancer 50:80-85 (1992)、
Posnerらの Molecular Pharmacology 45:673-683 (1993)、Renduらの Biol. Pha rmacology 44(5), 881-888 (1992)、 Sauro 及びThomasの Life Sciences 53:37 1-376 (1993)、Sauro 及びThomasのJ. Pharm. And Experimental Therapeutics 267 (3):119-1125 (1993)、Wolbringらの J. Biol. Chem. 269 (36) : 22470-22 472 (1994)、及びYonedaらの Cancer Research 51:4430-4435 (1991)等の文献に
記載されており、これら参考文献は全て本願において図を含めその全文が参照さ
れるべきものとして引用するものである。
【0342】 タンパク質キナーゼの活性に影響を与える物質として使用され得る他の化合物
としては、1996年8月23日に出願された米国特許出願第08/702/232号に記
載されるようなオキシインドリン類が挙げられる。本参考文献は、本願において
図を含めその全文が参照されるべきものとして引用するものである。
【0343】VII. 新規STE20関連キナーゼヒトSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6およびST LK7の生物学的重要性、用途および臨床的関連性 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6およびSTLK7は、酸化的ストレス因子に関
連するキナーゼであるSOK-1と種々の程度の配列相同性を有する細胞内STKの膨大
中のファミリーに属する(Pombo, CMら、 EMBO J.(17)4537-4546, 1996)。発
明者らは、STLK2は造血細胞において多量に発現されることを示している。従っ
て、STLK2は炎症過程中に酸化的応答経路に関与することがある。また、STLK2は
また、T細胞を活性化させるシグナル伝達経路における成分であると思われる。
いくつかの腫瘍細胞系統における高濃度のSTLK2も、STLK2が腫瘍形成に関与して
いる可能性があることを示していると思われる。
【0344】 STLK2は、2種のヒトSTE20-サブファミリーキナーゼ、MST3およびSOK-1に最も
密接に関連がある。MST3は52,000ダルトンの細胞質キナーゼで、各所で発現され
ており、最も高濃度の発現は心臓、骨格筋および膵臓において見られる。MST3の
セリン/スレオニンキナーゼ活性はリン酸化によって活性化される。SOK-1とは異
なり、MST3はMg++よりMn++を好み、リン酸塩ドナーとしてGTPおよびATPを共に使
用することができる。MST3は二量体化を受けることがある。MST3を活性化する作
用物質はまだ同定されていない。このキナーゼの下流シグナル伝達機序は不明で
ある(Schinkmann, K and Blenis, J. (1997)J. Biol. Chem.272, 28695-2870 3)。
【0345】 SOK-1は50,000ダルトンの細胞質キナーゼで、精巣、大腸、脳および胃で主に
発現され、心臓および肺においてわずかに発現される。SOK-1はまた胚中心B-細
胞系統(RAMOS)および成熟B細胞系統(HS Sultan)においても発現される。SOK -1のセリン/スレオニンキナーゼ活性はリン酸化によって活性化される。SOK-1の
C末端はこのキナーゼの触媒活性に阻害作用を有することが示されている。SOK-1 を活性化すると知られている唯一の作用物質はH2O2のような酸化剤および反応性
酸素種の強力な細胞な発生物質であるキノンであるメナジオンである(Pombo, C . M.ら、EMBO J. 15, 4537-4546)。SOK1は、反応性酸素種の発生および細胞内
貯蔵から細胞質へのカルシウムの放出による化学的酸素欠乏によっても活性化さ
れる。従って、SOK1は虚血、心筋梗塞の原因、卒中および急性腎不全において重
要な役割を果たす(Pombo, C. M.ら、J. Biol. Chem.272, 29372-29379(1997)
)。オキシダントストレスに対する応答におけるSOK-1の活性はストレス活性化
型タンパク質キナーゼ(SAPK)の活性と逆に相関し、SOK-1活性の増加はSAPK活
性の損失と関連し、その逆も言える。SOK-1は4種のMAPキナーゼ経路、SAPK、p38 、ERK-1またはMEK-5/ERK-5のどれをも活性化しない(Pombo, C. M.ら、EMBO J. 15, 4537-4546)。このキナーゼの下流シグナル伝達機序は依然不明である。
【0346】 STLK2は、胸腺、樹状細胞、肥満細胞、単球、B細胞(primary、Jurkat、RPMI
、SR)、T細胞(CD8/CD4+、TH1、TH2、CEM、MOLT4)および巨核細胞(K562)を
含む種々の免疫細胞種および組織において発現されるが、STLK3は胸腺のみであ
り、STLK4は主に胸腺、T細胞(CD4/CD8+、TH1、CEM)およびB細胞(Jurkat、RPM I)において発現される。従って、これらのSTKは、炎症、再灌流損傷(卒中、外
科手術、ショック)、TNFα-媒介性シグナル伝達、インスリン脱感作、じゅく腫
発生、血管損傷、TもしくはB細胞同時刺激に関与すると思われ、または他のMAPK -関連シグナル伝達過程に関与すると思われる。
【0347】 STLK5は、SOK-1、STLK2、STLK3およびSTLK4を含むこのSTE20-サブファミリー
とあまり関連がない。従って、STLK5は、酸化的ストレス応答経路とは別のシグ
ナル伝達経路を仲介する可能性がある。
【0348】 SOK-1、STLK2、STLK3、STLK4、STLK5およびSTLK6のC末端の配列相同性の程度
が高いことより、これらの新規STKは、SOK-1のように逆のC末端モチーフによる
自己阻害を受け得るという可能性が生じる。
【0349】ヒトZC1、ZC2、ZC3およびZC4 ZC1は、チロシンキナーゼ、サイトカインまたはヘテロトリマーG-タンパク質
結合受容体が関与するとされている任意の疾患のまさしく候補である。マウス相
同体はNCKに結合し、活性化PDGFに使用される(Suら、EMBO 16: 1279-1290, 199 7)。ショウジョウバエ相同体はTRAF2に結合し、TNF-αシグナル伝達に関与する
ことが報告されている(Liuら、(1999)Curr. Biol. 9: 101-104, 1999))。Z C1はNCK-およびTRAF2-結合ドメインそのものを含有しないが、関連タンパク質に
結合する可能性がある。
【0350】 STE20-関連タンパク質キナーゼのZCサブファミリーのうち、ZC1は多くの腫瘍
型において非常に広範に過剰発現しており、細胞増殖、形質転換または腫瘍発達
に関与していることを示している。C末端と推定されるMEKK-1結合ドメインのみ
を含有するZCの不完全型は、ラット腸上皮細胞(RIE-1)のH-Ras-V12によって形
成される病巣数を減少することが見いだされた。これらのデータは、ZC1は、こ
れらの細胞が接触阻止および足場(anchorage)-依存型増殖を克服する能力にお
いて何らかの役割を果たすことを示している。
【0351】 ZC1相同体である、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の変
異(Misshapen(msn))は、背閉鎖、細胞形状の変化に関与する過程および胎芽
の位置に必要な発生経路における変異を補足する結果としてクローニングされた
(Treismanら、Gene 186 119-125, 1997)。哺乳類のJNK1/JNK2キナーゼのキイ
ロショウジョウバエ(D. melanogaster)相同体は、背-閉鎖シグナル伝達経路の
msnの下流で機能することが報告された(Suら、Genes Dev.12: 2371-2380, 1998 )。
【0352】 ZC1はショウジョウバエとの相似により、腫瘍形成の多数の局面に関与すると
思われるが、背閉鎖における変異の役割は、細胞接着、細胞移動およびおそらく
遊走の過程のための細胞骨格の調節の際の重大な役割を示している。
【0353】 ZC1ファミリーメンバーmsnおよびNIKとTRAF2との関連は、細胞生存および/ま
たはアポトーシスにおける役割を示している。ZC1ファミリーは、マウス相同体
、NIKにおいて、MEKK1(マイトジェン-活性化/細胞外-調節型キナーゼキナーゼ1 )と結合することが報告されている高度に保存されたドメインを含有する(Suら
、 (1997)EMBO 16(6): 1279-90)。MEKK1はいくつかの系における細胞生存
および/またはアポトーシスに関与する(Schlesingerら、 Front. Biosci. 3: D1181-6, 1998)。それによると、MEKK1はERK1/MAPKまたはJNK/SAPK経路の上流
にあると思われる[Schlesingerら、(1998 Front. Biosci. 3:D1181-6)。ZC1の
3種の相同体、マウスNIK(NCK-相互作用キナーゼ)(Suら、EMBO 16: 1279-90, 1997)、ショウジョウバエmsn(Liuら、Curr. Biol. 9: 101-104, 1999)および
ヒトHGK(HPK/GCK-様キナーゼ)(Yaoら、J. Biol. Chem.274: 2118-25, 1999)
は全て、293T細胞において過剰発現されると、JNK経路を活性化することが報告
されている。
【0354】 ZC1はキナーゼドメインおよび「MEKK」-結合ドメインにおいてこれらの他のフ
ァミリーメンバーと高い程度の相同性を共有するが、上流シグナル伝達アダプタ
ー分子のいくつかの推定結合ドメインを含有する介在領域は異なる(例えば、NC K、TRAF2)。他のファミリーメンバーと異なり、JUNまたはATF2-駆動型ルシフェ
ラーゼ遺伝子の発現を誘導する能力によってわかるように、293T細胞におけるJN K経路を活性化するとは思われない。これらの細胞へのHA-標識したJNKとの同時
トランスフェクションの結果、JNKの中程度の活性化が検出された。ZC1も、同時
トランスフェクションしたERK1を中程度に活性化した。アッセイの陽性対照と比
較して、ERKおよびJNK活性化は非常にわずかであった(それぞれ、MEK1およびME KK1の活性化型)。両方の場合において、活性化は全長のキナーゼを必要とした
。キナーゼドメイン単独ではMBPの自己リン酸化およびリン酸化の活性は5倍まで
であるが、これらの下流キナーゼと思われるものは活性化しない。ZC1と他のフ
ァミリーメンバーとの強い相同性に基づくと、適切な状況が見いだされたら、ZC 1はJNKまたはERK活性化に重要である可能性が高い。
【0355】 ZC1は、同時トランスフェクションアッセイにおいてERK1キナーゼ発現を顕著
に阻害する。この影響はZC1キナーゼ-活性に依存し、野生型およびキナーゼドメ
イン単独でも生じるが、ZC1の3つの型全てが同じ程度で発現されていても、キナ
ーゼ-失活変異体では生じない。これは、転写または翻訳後調節におけるこのキ
ナーゼの役割を示唆している可能性がある。
【0356】 ZC1は、T細胞における同時刺激受容体CD28および/または前-炎症サイトカイン
TNFαによって媒介されるシグナル伝達経路における重要な成分である可能性が
ある。その理由は、野生型ZC1の同時トランスフェクションはRE/AP-ルシフェラ
ーゼおよびNFκB-ルシフェラーゼ受容体遺伝子を活性化したからである。発明者
らのデータは、ZC1はT-細胞においてNFκBを強力に活性化することを示したが、
NFκB駆動型ルシフェラーゼの活性化はNTH 3T3細胞において検出されなかった。
最近の報告(J. Biol. Chem.274: 2118-25; 1999)は、ヒトZC1スプライシング
イソフォーム、HGKはTNFα-シグナル伝達経路に関与することを報告している。
【0357】 自己免疫および移植におけるT細胞活性化の重要性、並びにTNFαが炎症性疾患
において果たす主要な役割を考慮すると、ZC1が、間接リウマチ、慢性炎症性腸
疾患(すなわち、クローン病)、慢性炎症性骨盤病、多発性硬化症、喘息、骨関
節炎、乾癬、アテローム性動脈硬化症、鼻炎および自己免疫病並びに器官移植お
よび循環器疾患を含むが、これらに限定されない免疫疾患の治療標的であると思
われる可能性がある。
【0358】 ZC1はマウスNIKのヒトオルソログ遺伝子であると思われ、おそらく、ZC504.4
コスミドによってコードされる線虫(C. elegans)STE20-サブファミリーキナー
ゼのオルソログ遺伝子であると思われる。
【0359】 マウスNIKは140,000ダルトンのキナーゼで、脳および心臓においてもっとも大
量に発現される。NIKは、C末端過剰-触媒領域に見いだされるプロリン-豊富領域
により、アダプター分子NckのSH3ドメインと相互作用する。この相互作用を仲介
する特定の領域は、NIK、ZC1、2、3と線虫(C. elegans)STE20 ZC504.4キナー
ゼとの間のほぼ均一に逆になる2つのPxxPモチーフである。また、NIKは719アミ
ノ酸のC末端によりMEKK1に結合する(Su, Y-Cら、(1997)EMBO J. 16. 1279-12 90)。MEKK1は、SAPKを活性化するMKK4(SEK1としても周知)を活性化する膜-結
合キナーゼである(Yan, M.ら、(1994)Nature, 372, 798-800)。NIKは、増殖
因子活性化経路およびSAPKによって仲介されるストレス-応答経路に関連するキ
ナーゼとして機能する場合がある。この仮説によると、増殖因子受容体が活性化
されると受容体チロシンがリン酸化され、NckがSH2ドメインを介してリン酸化さ
れたチロシンに結合し、NckのSH3ドメインに結合することによってNIKが膜コン
パートメントに再分布し、膜-結合MEKK1と並ぶ。このように、NIK-MEKK1相互作
用は増殖因子刺激に応答してSAPK経路を刺激する(Su, Y-C.ら、(1997)EMBO J .16, 1279-1290)。
【0360】 ZC1、ZC2、ZC3およびZC4 STKとNIKとの高い相同性を考慮すると、これらのキ
ナーゼは各々増殖因子-およびストレス-活性化シグナル伝達経路を連結する働き
をすると考えられる。SH3-結合ドメインと推定されるドメイン内でZCが示す異質
性は、それらが結合するアダプター分子の性質の点からシグナル伝達特異性を提
供すると思われる。ZC1、ZC2およびZC3のC末端における高い程度の配列の保存性
は、これらのヒトキナーゼが、マウスNIKと異なり、MEKK1とも結合し、SAPKを活
性化することができることを示唆している。ZCキナーゼはまた、Rab、Rhoおよび
Racなどの小型のGTPaseタンパク質に結合するタンパク質ドメインとのC末端の強
い相同性も示す。例えば、ZC1のC末端はマウスRho-結合タンパク質であるシトロ
ンと36.2%同一であり、GCキナーゼのrab-結合領域と23.1%同一である。これは、
アダプター分子に加えて、小型のGTPaseタンパク質もZCキナーゼの膜結合および
活性化を仲介することを示唆している。触媒領域のC末端付近に位置するコイル
ドコイル領域の存在は、ZCキナーゼはまたホモまたはヘテロ二量体化事象により
調節を受けることを強力に示唆している。
【0361】 線虫(C. elegans)STE20 ZC504.4キナーゼはmig-15遺伝子の産物である。こ
の遺伝子の産物は、生育中の虫における上皮形成、Q神経芽細胞遊走および筋肉
上肢標的などのいくつかの発育過程に関与している(Zhu, X.およびHedgecock E .(1997)Worm Breeder's Gazette 14, 76)。ZCキナーゼとZC504.4線虫(C. el egans)キナーゼとの間の高い程度の配列保存性により、線虫(C. elegans)は
、上位性分析によってヒトZCキナーゼのシグナル伝達特性を検討するための有用
なモデル生物となる。
【0362】ヒトKHS2 KHS1(SPS1/STE20と相同なキナーゼ)は100,000ダルトンの細胞質STKで、各所
で発現されている。KHS1は、TNFシグナル伝達経路を使用する、TNFαなどの炎症
性サイトカイン並びに紫外線に応答したSAPK活性化機序に関与するとされている
。その受容体(TNFR1およびTNFR2)にTNFαが結合すると、TNFR1-結合デスドメ
インタンパク質(TRADD)、Fas-結合デスドメインタンパク質(FADDまたはMORT1 )、TNFR-結合因子2(TRAF2)およびSTK RIP(受容体相互作用タンパク質))を
含む多数のシグナル伝達分子の受容体C末端に配列が結合する。TRADD-TRAF2相互
作用は、TRAF2のC末端に存在する逆の領域、TRAF領域によって仲介される。NFκ
BおよびSAPK経路の活性化は、TRAF2のN末端に存在するリングフィンガーモチー
フによって仲介される(Curr. Opinion in Cell. Biol.(1997)9:247-251)。K HS1はTRAF2-依存的にTNFα刺激によって活性化され、KHS1の阻害はTNFα-誘発性
SAPK活性化を遮断するが、NFκB活性化を遮断しない。TRAF2がKHS1を活性化する
機序は不明である。293T細胞へのTRAF2-およびKHS1-発現構築物を同時トランス
フェクションしても、これらの2つの分子の間の直接的な関係は明らかにされな
かった。KHS1は、構成的に活性なキナーゼMEKK1との直接的な関係によってSAPK
経路を活性化する。MEKK1は、その後、SAPKを活性化するSEK1を活性化する。MAP Kおよびp38キナーゼ経路はKHS1によって活性化されない(Shi, C-SおよびKehrl. J. H. (1997)J. Biol. Chem.272, 32102-32107)。その触媒ドメインに加え
て、KHS1の下流シグナル伝達はその逆のC末端を必要とする(Diener, K.ら(199 7)Proc. Natl. Acad. Sci. 94, 9687-9692)。
【0363】 GCK(胚中心キナーゼ)は構成的に活性ナトリウム97,000ダルトンのSTKで、広
範に発現されている。GCKの発現は、リンパ濾胞内の胚中心に局在化されている
ので、GCKはB-細胞分化に関与する可能性がある。GCKは、SEK1の活性化により、
TNFαに応答してSAPK経路を活性化する。サイトカインに応答したGCKの上流活性
化因子およびこのキナーゼのすぐ下流の標的は不明である。GCKのC末端はSEK1を
活性化するのに十分である(Pombo, C. M.ら(1995)Nature,377,750-754)。
【0364】 GCKのマウスオルソログ遺伝子、rab8ip(rab8-相互作用タンパク質)は97,000 ダルトンのタンパク質で、分極したMDCK上皮細胞のトランス-ゴルジ領域の可溶
性細胞質画分と基底側方膜に結合する塩-感受性画分に分画する。rab8ipのC末端
は、rab8、ゴルジ装置からの小胞の輸送に必要な小型GTP-結合タンパク質に結合
する(Ren, M.ら(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. 93, 5151-5155)。SAPKを介
したIL2のようなサイトカインの転写活性化を誘導する以外に、GCKはまた、TNF
αに応答した分泌タンパク質のrab-依存的放出を促進することもできる(Buccio ne, R.ら(1995)Mol. Bio. Cell 6,291)。
【0365】 HPK1(造血タンパク質キナーゼ)は、構成的に活性な90,000ダルトンのSTKで
、造血細胞にだけ発現される。HPK1は、MEKK1(Hu, M.ら(1996)Genes and Dev . 10: 2251-2264)および各所で発現される混合-系統キナーゼMLK-3(Kiefer, F .ら(1996)EMBO J.15:7013-7025)に直接結合して、活性化することによってSA PK経路を活性化する。GCKとは異なり、HPK1のこの機能はキナーゼドメインおよ
びC末端を必要とする。HPK1の上流活性化因子は依然不明である。HPK1は、形質
転換増殖因子-β(TGFβ)シグナル伝達の媒介因子としても主要な役割も果たす
。HPK1は、SEK1をリン酸化することによって、SAPK経路を刺激する、TGFb-活性
化キナーゼ(TAK)を活性化する(Wang W.ら(1997)J. Biol. Chem.272:22771- 22775)。
【0366】 KHS2は胸腺、樹状細胞および単球中で発現される。KHS2は、炎症性サイトカイ
ンに対する細胞応答におけるSAPK活性化仲介因子としてKHS1の機能と相補的な機
能を有すると思われる。KHS2の予測分子量(約101,000ダルトン)を有するSTKが
TNFα刺激時にTNFR-TRAF2複合体中で見いだされるので、KHS2はTRAF2と直接相互
作用する可能性を有すると思われる(VanArsdale, T.およびWare, C.F.(1994)
J. Immunol. 153, 3043-3050)。KHS2のC末端のRabまたはRab-様分子の結合ドメ
インと推定されるドメインの存在は、TRAF2-依存性TNFαサイトカイン応答に何
らかの役割を有すると思われること以外に、KHS2は、小型のGTPaseタンパク質を
使用するシグナル伝達事象を仲介すると思われることを示している。または、ME KK1などの下流キナーゼへのTRAF2-依存的と思われるシグナル伝達にはKHS2のC末
端への小型のGTPaseタンパク質の結合が必要とされることがある。
【0367】ヒトGEK2、SULU1およびSULU3 最近の報告(Y-W Qianら、Science 282:1701-1704, 1988)はPlx1の活性化因
子としてxPlkk1を記載している(アフリカツメガエルポロキナーゼ(Xenopus Po lo)キナーゼ)。アフリカツメガエル卵細胞では、STK Plkk1がPlx1 STKをリン
酸化し、活性化することができる(哺乳類ポロ(Polo)キナーゼまたはPLK)。x Plkk1のドミナントネガティブ(キナーゼ-不活性)型はPlx1活性化を妨害し、卵
核胞崩壊を遅延する。まだ同定されていない別のキナーゼが、おそらく、有糸分
裂中のxPlkk1活性化を担う。
【0368】 xPlkk1タンパク質の全長にわたるGEK2との相同性は、GEK2がxPlkk1のヒト相同
性を示すことを示唆している。これに基づくと、GEK2は哺乳類細胞のPLKの上流
にあると思われる。また、ベイト(bait)としてSULU1コイルドコイル2ドメイン
を使用したファージディスプレイスクリーン結果に基づいて、SUSU1はGEK2とイ
ンビボにおいて相互作用し、従ってGEK2(および/または高次行為ルシフェラー
ゼドメインによるSLK)活性化を調節し、PLKおよび有糸分裂に至る。
【0369】 このような事象のカスケードが哺乳類細胞の有糸分裂に必要である場合には、
任意の時点におけるこのシグナル伝達カスケードの遮断は有糸分裂を遮断すると
思われ、癌の治療に有用であると思われる。
【0370】 最近クローニングされたSTE20-サブファミリーキナーゼ、ラットTAO1はヒトSU LU3の最も可能性の高い齧歯類オルソログ遺伝子である(Rutchinson, M.ら、J. Biol. Chem.273:28625-28632, 1998)。TAO1はインビトロにおいてMEK3、4およ
び6を活性化するが、トランスフェクションされた細胞では、それはMEK3にだけ
結合して、活性化して、p38がリン酸化され、活性化される。これらの結果は、p 38含有ストレス-応答性MAPキナーゼ経路の調節におけるTAO1(SULU3)が関係が
あるとしている。
【0371】 ヒトSULU1は造血源においては弱く発現されるが、SULU3はB-細胞およびTH1-制
限T細胞において見いだされる。これらの哺乳類SULU STKは、線虫(C. elegans
)SULUキナーゼとの強い相同性を示す。このキナーゼが線虫発生において果たす
役割は不明である。哺乳類SULUキナーゼの触媒ドメインとSOK-1(ヒトSTE20)お
よびKHS2などの他のSTE20-サブファミリーキナーゼとの間の強力な配列相同性は
、哺乳類キナーゼがストレス-応答経路に関与することを示唆している。SULUキ
ナーゼのC末端に見られるコイルドコイルドメインと思われるドメインがこのキ
ナーゼの調節に何らかの役割を果たす可能性がある。
【0372】 マウスLOK(リンパ球-指向性キナーゼ)は、約130,000ダルトンの構成的に活
性化されたSTKで、主に、脾臓、胸腺および骨髄(Kuramochi, S.ら(1997)J. B iol. Chem.272:22679-22684)並びに減数分裂精巣細胞および原始生殖細胞で発
現される。LOK1遺伝子は、生殖欠損および神経欠損に関連のある領域である、wr 遺伝子座近傍のマウス第11染色体に位置する(Yanagisawa, M.ら(1996)Mol. R eprod. and Dev. 45: 411-420)。LOKは周知のMAPK経路のいずれも(ERK、JNKお
よびp38)およびNFκB経路も活性化しない。LOKの上流シグナル伝達要素および
生物応答を誘発するためにこのキナーゼを使用する細胞外刺激も不明である(Ku ramochi, S.ら(1997)J. Biol. Chem.272: 22679-22684)。
【0373】 ヒトGEK2はマウスLOKと強く関連があるが、非触媒ドメインにおける配列の相
違に基づくと、このSTE20-サブファミリーの別個のメンバーであると思われる。
GEK2は、規定されている経路によってシグナル伝達する可能性がある。GEK2のC
末端にコイルドコイル領域と思われる領域が存在することは、このキナーゼの機
能を調節する際に主要な役割を果たすと思われる。
【0374】ヒトPAK4およびPAK5 p21活性化タンパク質キナーゼ(PAK)はセリン/スレオニン器のSTE20ファミリ
ーの密接に関連のあるサブグループである。出芽中の酵母STE20の広範な遺伝的
および生化学的分析は、細胞外シグナルに適当に応答するのに必要ないくつかの
重要な細胞内経路の連結にこのセリン/スレオニンキナーゼが何らかの役割を果
たすことを示している。適当な下流のMAPK経路の活性化を仲介することによって
、およびアクチン細胞骨格の制御による細胞形態の変化を連結することによって
、STE20は転写応答を連結する。
【0375】 PAKサブグループの指標は、この群のキナーゼにGタンパク質-依存性活性化を
与える小型のG-タンパク質-結合ドメイン(PBD)である。PBDを介して、PAKは活
性化された小型Gタンパク質に結合し、PAK固有のキナーゼ活性が抑制解除される
【0376】 最近まで、3種のPAKキナーゼ、発現が脳、筋肉および脾臓に限られている68 k Dのタンパク質PAK1、発現が各所である62 kDのタンパク質PAK2(PAKI、PAK65)
並びに発現が脳に限られている65 kDのタンパク質PAK3が知られていた。STE20と
同様に、哺乳類PAK(1、2および3)は、細胞外シグナル(増殖因子、マイトジェ
ン、サイトカインおよび種々の細胞性ストレス)に応答することが報告されてお
り(Bagrodiaら(1995)J. Biol. Chem.270:22731-22737;Zhang, S.et al.(199 5).J. Biol. Chem.270: 23934-23936、Frost, J.ら(1998)J. Biol. Chem.273 : 28191-28198; Galisco, M.ら(1996)J. Biol. Chem.271: 20997-21000)、TC R活性化(Yablonski, D.ら(1998)EMBO J.17: 5647-5657)、ヘテロトリマーG
タンパク質-結合受容体(Knaus, U.ら(1995)Science269: 221-223)に関連し
ている。
【0377】 PAKは、当初は、(RacおよびCdc42などの)Rhoファミリーの小型のGタンパク
質のメンバーのエフェクター、従ってそれらの名前はp21-活性化キナーゼ(PAK
)として同定された(Manserら、Nature367:40-46 )。適当な細胞内位置にPAK が使用されることはそれらの機能にとって重要である。細胞内シグナル伝達およ
び形態変化においてPAKが果たす役割を解明する試みは、活性型小型Gタンパク質
(rac、cdc42)、アダプター(nck)および交換タンパク質(PIX、Cool)などの
ような因子によって使用され得る複雑な相互作用によって複雑になる。
【0378】 アダプター分子、Nckは、PAK1のN末端部分のプロリン豊富モチーフにSH3ドメ
インを介して構成的に結合する。増殖因子刺激に応答して活性型増殖因子受容体
にNck-PAK複合体が結合すると、増殖因子-刺激およびストレス-応答経路を連結
する機序となる(Galisteo, M.ら(1996)J. Biol. Chem.271: 20997-21000)。
【0379】 PAK1のN末端に見られるPBDは、GTP-結合型のCdc42およびRacとの高親和性結合
を担う(Burbelo, P.ら(1995)J. Biol. Chem.270:29071-29074)。小型のGTPa sesがPAKを活性化する正確な機序は、一部には、グアニンヌクレオチド交換因子
(GEF)を介するキナーゼと活性化タンパク質増殖因子受容体との結合に関与す
る。GEFは、GTP-結合状態の形成を触媒し、それによってPAKとの結合および活性
化を促進することによって、小型GTPasesを活性化する。周知の哺乳類PAKキナー
ゼ並びにショウジョウバエおよび線虫(C. elegans)PAKは全て、GEFとの高親和
性相互作用を担うN末端過剰触媒モチーフ、PIXを保存している。PAK-Cdc42相互
作用およびその後のPAKがPIX/PAK複合体として生じる(Manser, E.ら(1998)Mo lecular Cell, 1, 183-192)。
【0380】 ヘテロトリマーG-タンパク質によって刺激されるPAKシグナル伝達は、PAK1のC 末端に位置する保存された短いアミノ酸領域とG-タンパク質β-サブユニットと
の相互作用により仲介される(Leeuw, T.ら(1998)Nature, 391: 191-195)。
【0381】 種々の検討が、ヒトPAKが、ストレス-活性化タンパク質キナーゼ経路の活性化
を仲介する際に関与することを示している(JNKおよびわずかな程度であるが、p 38)。PAKはまた、Rhoファミリーの小型Gタンパク質が調節する経路と、ERK経路
の活性化に至るRasのすぐ下流のシグナル伝達経路との相互作用における仲介因
子と思われる(Bagrodiaら(1995).J. Biol. Chem.270: 22731-22737; Zhang, S.ら(1995).J. Biol. Chem.270: 23934-23936; Brown, J.ら(1996)Curr Bio l. 6: 598-60596; Frost, J.ら(1996)Mol. Cell. Biol. 16: 3707-3713)。
【0382】 PAK1は、MEK1がRaf1と相互作用できるのに必要なMEK1の調節部位をリン酸化す
る際に関与するとされている(Frostら(1997)EMBO J.16: 6426-6438)。PAK3
は、Raf1活性に重要な部位のRaf1をリン酸化すると報告されている(King, A.ら
(1998)Nature396: 180-183)。
【0383】 PAKは、アクチン細胞骨格が仲介する細胞形状の形態変化を制御する際に重要
な役割を果たす。このような形態変化は、細胞分割および増殖から細胞運動およ
び小胞輸送の範囲の細胞機能に必要である。PAK活性は、細胞移動に必要な病巣
の接着の局所的な集合(先端部)および離散(収縮端部)に関与しているとされ
ている(Frost J.ら(1998)J. Biol. Chem.273:28191-28198)。
【0384】 PAK2は、アポトーシス中に誘発される形態変化において何らかの役割を果たす
可能性があり(Membrane and morphological changes in apoptotic cells regu lated by caspase-mediated activation of PAK2)(Rude, T.(1997)Science. 276:1571-4))、PAK1はアポトーシスを防止する際に重要である可能性がある(
Faure S.ら(1997)EMBO J.(1997)16:5550-61 )。マイトジェン-足場-非依
存性増殖の克服に加えて、腫瘍細胞は、自由化された細胞増殖を伴う計画された
細胞死から逸脱する必要がある。従って、PAKの阻害は腫瘍におけるアポトーシ
スを誘発する際に有効である可能性がある。
【0385】 哺乳類細胞の形質転換の際のPAKの直接的な要件がPAK1およびPAK2について報
告されている。PAK1のキナーゼ-失活対立遺伝子はPAT1およびシュワン細胞のras 形質転換を遮断する(Tang, Y.ら(1997)Mol. Cell. Biol.17, 4454-4464)。P AK2の顕性不活性な対立遺伝子は、哺乳類細胞のras-仲介型形質転換を妨害する
ことが報告されている(Osada, S.(1997)FEBS Lett 404:227-233)。
【0386】 PAK3の突然変異は、非症候群性X-関連精神遅滞に関与することが報告されてお
り、これは、認知機能におけるPAK3の役割を示唆している(Allen, K.ら(1998
)Nat. Genet. 20: 25-30)。PAK1はPC12細胞におけるに神経突起伸長に関与す
ることが示されている(Daniels, R.ら (1998)EMBO J.17: 754-764; Nikolic, M.ら(1998)Nature395:194-198)。
【0387】 最後に、ミリストイル化した27kDの膜結合NIV Nef遺伝産物はcdc42およびRac
を介してこれらのキナーゼに直接相互作用して、活性化するので、PAK-様STKはA IDS病因にも何らかの役割を果たしている可能性がある。PAK-様STKのNef-仲介型
活性化は、感染宿主における高ウイルス価の誘導およびAIDSの発症に関連する(
Cullen, B. R.(1996)Curr. Biol. 6: 1557-1559)。
【0388】 本発明者らの結果は、PAK4は胸腺、樹状細胞、肥満細胞、単球およびT細胞(T H2-制限細胞およびMOLT4)において発現され、およびB細胞系統RPMI-PAK5は肥満
細胞およびT細胞系統MOLT4で見いだされることを示している。これらのデータは
、免疫系におけるPAK4およびPAK5の役割の可能性を示唆している。
【0389】 PAK4およびPAK5は、既知のPAKと同様に、それらのN末端のcdc42-結合モチーフ
と思われる部分を共有する。PAK4およびPAK5は共に、C末端に、PAK1とヘテロト
リマーG-タンパク質のβ-サブユニットとの間の相互関係を担うモチーフとの配
列相同性を示す(PAK4はアミノ酸残基665-676で、PAK5はアミノ酸残基386-398)
。結果として、PAK4およびおそらく、PAK5は、増殖因子およびG-タンパク質-結
合受容体を刺激するリガンドから発生するシグナル伝達事象を仲介すると思われ
る。
【0390】 PAK4は、フェニルアラニンに突然変異したとき、ヒトPAK1のキナーゼ活性を構
成的に活性にし、活性化のためのcdc42-結合の必要性をなくすロイシンを保存し
ている(Brown J.ら(1996)Curr. Biol.6: 598-605)。PAK5は同等の位置にイ
ソロイシンを含有する。従って、cdc42がヒトPAK1、PAK4をおそらく活性化し、
またPAK5を活性化すると考えられる機序はほぼ同じである可能性がある。
【0391】 しかし、PAK4およびPAK5はPIX-結合モチーフを欠損しているので、結果として
、PIX以外のcdc42-活性化GEF(例えば、Db1およびCool)がこれらのキナーゼの
活性化を担わなければならない。または、PAK4およびPAK5は、GTP-結合状態に活
性化するためにTiamlを使用するRac1などの別のGTPaseによって活性化される場
合がある。
【0392】 PAK4およびPAK5はまたNck-PAK1結合を担うPxxPモチーフを欠損している。PBD
またはcdc42-結合N末端モチーフとGEF-結合領域と推定される領域との間におい
て、PAK4およびPAK5は、PAK1と比較して、長い挿入部を有する(PAK4およびPAK5 は、それぞれ、185アミノ酸および123アミノ酸)。この領域は、おそらく、既知
の哺乳類PAKによって示されるものからアダプター分子および/またはGEFに異な
る結合特性を与える。
【0393】 PAKは、JNK(Bagrodia, S.ら(1995)J. Biol. Chem.. 270:22731-22737)お
よびERKキナーゼ経路(Brown, J.,ら(1996)Curr. Biol.6: 598-605)を活性化
する経路の上流であると報告されている。PAK1は、MEK1をリン酸化することによ
り、ERK経路の活性化においてrasと相乗作用をすることが報告されている(Fros t, J.ら(1997).EMBO J.16: 6426-6438)。発明者らのデータは、MEK1はインビ
トロにおけるPAK4の基質として作用し、これはERK経路の活性化および有糸分裂
誘発におけるPAK4のための役割と思われることを示唆していることを示している
【0394】 発現プロフィール(多種多様な腫瘍細胞系統におけるタンパク質濃度およびRN A濃度の上昇)、PBDを介したcdc42との相互作用、キナーゼ-失活対立遺伝子(Ly s350、351Ale)がNIH3T3細胞のras形質転換を遮断する能力に基づくと、PAK5は
有糸分裂促進的役割も有し、癌に関連している。従って、PAK5キナーゼ活性の小
分子阻害剤のスクリーンにより、多種多様の組織型から誘導される癌に対する治
療的介入のための治療可能性を有する化合物を得ることができる。
【0395】 既知のPAKのうちではどれも、HIV nefタンパク質と相互作用し、それによって
活性化されることが報告されているPAK-様キナーゼに相当しないので(Lu, X.ら
(1996)Current Biology 6: 1677-1684)、PAK4およびPAK5はNefシグナル伝達
の考えられる仲介因子としてHIV病因において何らかの役割を果たす可能性があ
る。
【0396】 PAK4の3'側非翻訳領域は、伸長を受ける傾向があるCA繰り返しを含有する。CA ジヌクレオチド繰り返しの不安定性は疾患と関連すると報告されており(Toren, M. Z.ら(1998)Am. J. Hematol. 57: 148-152)、PAK4の3'側非翻訳領域にお
けるこのような繰り返しの伸長により、これまで未知であった病因にこのキナー
ゼが関与すると思われる。
【0397】臨床的用途 ヒトSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6およびSTLK7 STLK3、STLK5、STLK6およびSTLK7、並びにSTLK4などのSTE20タンパク質キナー
ゼのSTLKサブファミリーの他の相同体は、免疫応答の仲介因子として重要な役割
を果たす可能性がある。従って、それらは、関節リウマチ、慢性炎症性腸疾患(
例えば、クローン病)、慢性炎症性骨盤疾患、多発性硬化症、喘息、骨関節炎、
乾癬、アテローム性動脈硬化症、鼻炎および自己免疫疾患を含むが、これらに限
定されない免疫疾患並びに組織移植を治療するための特定の小分子阻害物質を開
発するための標的となる。他の疾患には循環器疾患が含まれる。
【0398】 ヒトSTLKはまた細胞増殖調節において重要な役割を果たす可能性がある。従っ
て、それらは、癌および転移を治療するための小分子キナーゼ阻害剤を開発する
ための標的となる。STLK5は、非小細胞肺癌、乳癌および末梢神経腫瘍由来の腫
瘍を含む種々の腫瘍中で増幅されることが多い染色体領域にマッピングする。こ
れは、STLK5がヒト腫瘍の発生、維持または進行に何らかの役割をしていると思
われることを示唆している。
【0399】 酸化的ストレスを仲介する際のヒトSTLK2、3および4の考えられる役割は、こ
れらのキナーゼを標的とする薬剤は、心筋梗塞、不整脈および他の心筋症、卒中
、腎不全、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病およびリー症候群、壊死性ミト
コンドリア脳症等などの酸化的ストレス-関連神経変性性疾患の治療に有用であ
ることを証明できることを示唆している。
【0400】ヒトZC1、ZC2、ZC3およびZC4 ZC1はCD28-シグナル伝達経路の成分である可能性があるので、T細胞活性化に
重要である。このように、ZC1および他のZCサブファミリーキナーゼは、関節リ
ウマチ、慢性炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、慢性炎症性骨盤疾患、多発
性硬化症、喘息、骨関節炎、乾癬、アテローム性動脈硬化症、鼻炎および自己免
疫疾患を含むが、これらの限定されない免疫疾患並びに器官移植を治療するため
の特定の小分子阻害剤を開発するための標的となる。他の疾患には循環器疾患が
含まれる。
【0401】 ZC1およびZC2は細胞増殖調節にも関与している。従って、ZCサブファミリーキ
ナーゼは、癌および転移を治療するための小分子阻害剤を開発するための標的で
ある。ZC2は非小細胞肺癌、小細胞肺癌および子宮頸癌を含む種々の腫瘍中で増
幅されることが多い染色体領域にマッピングする。これは、ZC2がヒト腫瘍の発
生、維持または進行に何らかの役割をしていると思われることを示唆している。
【0402】 炎症および酸化的-応答経路におけるヒトZC1、ZC2、ZC3およびZC4役割は、こ
れらのキナーゼを標的とする薬剤が強力な免疫抑制作用を有すると思われること
を強く示唆している。これらの薬剤は、特に関節リウマチ、アテローム性動脈硬
化症、自己免疫疾患および器官移植を治療するのに有用であることを証明するこ
とができる。少なくとも1種の非常に重要な部類の免疫抑制剤、コルチコステロ
イドは、この経路のまだ規定されていない部位のSAPK活性化を遮断することによ
って作用する(Swantek, J. L.ら(1997)Mol. Cell. Biol.(1997)6274-6282
)。ピリジニルイミダゾールのような他の免疫抑制剤は特異的にp38キナーゼを
標的とする(Kumar, S. ら(1997)Biochem. Biopys. Res. Commun. 235: 533-5 28)。MAPKおよびp38経路の薬剤標的により新規免疫抑制剤が開発されると思わ
れる。
【0403】ヒトSULUおよびGEK 有糸分裂を制御する際のこれらの新規STE20-関連タンパク質キナーゼの考えら
れる役割は、これらのキナーゼを特異的に阻害する薬剤は癌および転移の治療に
有用であると思われることを強く示唆している。
【0404】 ストレスおよび酸化的応答経路に関与するSTE20-サブファミリーキナーゼに対
するヒトSTLK5、GEK2、SULU1およびSULU3の強い相同性は、これらのキナーゼを
標的とする薬剤は免疫抑制剤としても有用であり、虚血性疾患を治療するために
も有用であることを強く示唆している。
【0405】ヒトKHS2 炎症およびストレス-応答経路におけるヒトKHS2の役割は、このキナーゼおよ
び関連のあるキナーゼを標的とする薬剤は強力な免疫抑制作用を有すると思われ
ることを強く示唆している。これらの薬剤は、特に関節リウマチ、アテローム性
動脈硬化症、自己免疫疾患および器官移植を治療するために有用であることを証
明することができる。少なくとも1種の非常に重要な部類の免疫抑制剤、コルチ
コステロイドは、この経路のまだ規定されていない部位のSAPK活性化を遮断する
ことによって作用する(Swantek, J. L.ら(1997)Mol. Cell. Biol.(1997)62 74-6282)。ピリジニルイミダゾールのような他の免疫抑制剤は特異的にp38キナ
ーゼを標的とする(Kumar, S.ら(1997)Biochem. Biopys. Res. Commun. 235: 533-528)。MAPKおよびp38経路の薬剤標的により新規免疫抑制剤が開発されると
思われる。
【0406】ヒトPAKファミリー 発現プロフィール(多種多様な腫瘍細胞系統におけるRNA濃度およびタンパク
質濃度の上昇)、PBDを介したCdc42との相互作用、キナーゼ-失活対立遺伝子(L ys350、351Ale)がNIH3T3細胞のras形質転換を遮断する能力に基づくと、PAK5は
癌において何らかの役割を有している。従って、PAK5キナーゼ活性の小分子阻害
剤のスクリーンにより、多種多様の組織型から誘導される癌および転移に対する
治療的介入のための治療可能性を有する化合物を得ることができる。
【0407】 PAK5は非小細胞肺癌および小細胞肺癌を含む種々の腫瘍中で増幅されることが
多い染色体領域にマッピングする。これらの所見は、PAK5がヒト腫瘍および/ま
たは転移の発生、維持または進行に何らかの役割をしていると思われることを示
唆している。
【0408】 炎症およびストレス-応答経路におけるヒトPAK4およびPAK5の役割は、これら
のキナーゼを標的とする薬剤は強力な免疫抑制作用を有すると思われることを強
く示唆している。これらの薬剤は、特に関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症
、自己免疫疾患および器官移植を治療するために有用であることを証明すること
ができる。少なくとも1種の非常に重要な部類の免疫抑制剤、コルチコステロイ
ドは、この経路のまだ規定されていない部位のSAPK活性化を遮断することによっ
て作用する(Swantek, J. L.ら(1997)Mol. Cell. Biol.(1997)6274-6282)
。ピリジニルイミダゾールのような他の免疫抑制剤は特異的にp38キナーゼを標
的とする(Kumar, S.ら(1997)Biochem. Biopys. Res. Commun. 235: 533-528
)。MAPKおよびp38経路の薬剤標的により新規免疫抑制剤が開発されると思われ
る。また、PAK4またはPAK5を標的とする薬剤は免疫抑制剤としておよびAIDS治療
に有用であることを証明することができると思われる。
【0409】VIII. トランスジェニック動物 本発明に関連するトランスジェニック動物を作製するための種々の方法を利用
することができる。DNAを受精卵の前核に注射し、その後、雄および雌の前核を
融合しても、または細胞分裂開始後に胚細胞の核(例えば、2-細胞杯の核)にDN Aを注射してもよい(Brinsterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 4438-4442, 1985)。胚にウイルス、特にレトロウイルスを感染させて、本発明の無機-イオ
ン受容体ヌクレオチドを保有するように改質してもよい。
【0410】 胚の内細胞塊から誘導し、培養して安定化した多分化能性幹細胞を、本発明の
ヌクレオチド配列を組み込むように培養中で操作することができる。里親に植込
んだ胚盤胞に植込むことによってこのような細胞からトランスジェニック動物を
作製し、満期に達することができる。トランスジェニック実験に好適な動物は、
チャールスリバー(Charles River)(マサチューセッツ州ウィルミントン)、
タコニック(Taconic)(ニューヨーク州ゲルマンタウン)、ハーランスプラーグ
ドーリー(Harlan Sprague Dawley)(インディアナ州インディアナポリス)等
などの標準的な販売元から入手することができる。
【0411】 齧歯類の胚を操作し、接合体の前核にDNAをマイクロインジェクションするた
めの手法は当業者に周知である(Hoganら上記)。魚類、両生類の卵および鳥類
のマイクロインジェクション手法はホウデビン(Houdebine)およびチャウロウ
ト(Chourrout)(Experimentia 47: 897-905,1991)に詳細に記載されている。
動物の組織にDNAを導入するための他の手法は米国特許第4,945,050号(Stanford ら、July 30, 1990)に記載されている。
【0412】 トランスジェニックマウスを作製するための一例として、雌のマウスを過剰排
卵であるように誘導する。雌を雄と共に飼育し、交配した雌をCO2窒息または断
頭により犠牲にし、切開した卵管から胚を回収する。周囲の卵丘細胞を除去する
。次いで、前核胚を洗浄し、注射時まで保管する。周期がランダムな雌成獣を精
管切除した雄とつがいにした。レシピエントの雌はドナーの雌と同時に交配した
。次いで、胚を外科的に移した。トランスジェニックラットを作製する手法はマ
ウスと同様である(Hammerら, Cell 63:1099-1112, 1990)。
【0413】 胚幹(ES)細胞を培養する方法およびエレクトレオポレーション、リン酸カル
シウム/DNA沈降および直接注入などの方法を使用して、ES細胞にDNAを導入する
ことによるトランスジェニック動物の作製は当業者に周知である(Teratocarcin omas and Embryonic Stem Cells, A Practical Approach, E. J. Robertson, ed ., IRL Press, 1987)。
【0414】 ランダム遺伝子導入に関する場合には、本発明の配列を含有するクローンを抵
抗性をコードする遺伝子と同時トランスフェクションする。または、ネオマイシ
ン抵抗性をコードする遺伝子を物理的に本発明の配列に連結する。望ましいクロ
ーンのトランスジェニックおよび単離は当業者に周知ないくつかの方法のうち任
意の1つによって実施される(E. J. Robertoson, 前記)。
【0415】 ES細胞に導入されるDNA分子はまた相同組換え方法によって染色体に組み込ま
れることもできる(Capecchi, Science244: 1288-1292, 1989)。組換え事象の
ポジティブセレクション(すなわち、neo抵抗性)およびデュアルポジティブ-ネ
ガティブセレクション(すなわち、neo抵抗性およびガンシクロビル抵抗性)の
ための方法並びにPCRによる望ましいクローンの同定は、任意の図面を含めてそ
の教示内容が参考として本明細書に組み入れられているカペキ(Capecchi)、前
記およびジョイナー(Joyner)ら(Nature338: 153-156, 1989)によって記載さ
れている。手法の最後の段階は標的としたES細胞を胚盤胞に注入し、胚盤胞を擬
似妊娠した雌に移すことである。得られたキメラ動物を飼育し、サザンブロット
法によって分析して、トランスジーンを保有する個体を同定する。齧歯類以外の
哺乳類および他の動物を作製するための手法は別の著者によって考察されている
(Houdebine and Chourrout, supra; Purselら, Science244: 1281-1288, 1989; andSimmsら, Bio/Technology 6:179-183, 1988)。
【0416】 従って、本発明は、本発明のキナーゼをコードするトランスジーンまたはキナ
ーゼの発現に影響を与える遺伝子を含有するヒト以外のトランスジェニック哺乳
類を提供する。このようなトランスジェニック非ヒト哺乳類は、キナーゼの導入
の影響を検討する、またはキナーゼの発現を調節するためのインビボ試験系とし
て特に有用である(すなわち、追加の遺伝子、アンチセンス核酸またはリボザイ
ムを導入することによって)。
【0417】 「トランスジェニック動物」は、ある種のDNAが細胞に人工的に挿入され、そ
のDNAがその細胞から発生するゲノムの一部となる細胞を有する動物である。好
ましいトランスジェニック動物は霊長類、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、
ヤギ、ヒツジ、イヌおよびネコである。トランスジェニックDNAはヒトSTS20-関
連キナーゼをコードすることができる。動物における本来の発現は、受容体の発
現を低下するのに効果的な量のアンチセンスRNAまたはDNAを提供することによっ
て、低下することができる。
【0418】IX. 遺伝子治療 STE20-関連キナーゼまたは他の遺伝子配列も遺伝子治療に有用である(Miller ,Nature357:455-460,1992に考察されている)。ミラー(Miller)は、正の最初
の結果を実証した進歩がヒトの遺伝子治療への実用的な方法となると記述してい
る。遺伝子治療の基本科学はムリガン(Mulligan)(Science260:926-931,1993
)に記載されている。
【0419】 好ましい一態様において、STE20-関連キナーゼコード配列を含有する発現ベク
ターを細胞に挿入し、細胞をインビトロにおいて増殖させ、次いで大量に患者に
注入する。別の好ましい態様において、優れたプロモーター(例えば、強力なプ
ロモーター)を含有するDNAセグメントを本発明のキナーゼをコードする内因性
遺伝子を含有する細胞に、内因性キナーゼ遺伝子の発現をプロモーターセグメン
トが増強するように(例えば、内因性キナーゼ遺伝子に直接連結するようにプロ
モーターセグメントを細胞に移す)移す。
【0420】 遺伝子治療は、腫瘍を標的とするキナーゼcDNAを含有するアデノウイルスの使
用、工作した細胞の植込みによる全身的なキナーゼの増加、キナーゼをコードす
るウイルスの注射または適当な組織への裸の(naked)キナーゼDNAの注射を含ん
でもよい。
【0421】 このようなタンパク質複合体の活性を調節するために、タンパク質複合体の1
つ以上の成分の変更した形態のものを導入することによって標的細胞集団を調節
することができる。例えば、標的細胞内の複合体成分の活性を低下または阻止す
ることによって、ある状態に至る以上なシグナル伝達事象を低下、阻害または回
復させることができる。タンパク質複合体の他の成分と相互作用する能力を保持
するが、シグナル伝達に作用することができない成分の欠失またはミスセンス変
異体を使用して、異常で、有害なシグナル伝達事象を阻止することができる。
【0422】 レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ-関連ウイル
ス、ヘルペスウイルス、いくつかのRNAウイルスまたはウシパピローマウイルス
などのウイルス由来の発現ベクターを、本発明のタンパク質の組換えキナーゼを
コードするヌクレオチド配列(例えば、cDNA)を標的細胞集団(例えば、腫瘍細
胞)に送達のために使用することができる。当業者に周知の方法を使用して、コ
ード配列を含有する組換えウイルスベクターを構築することができる(Maniatis ら, Molecular Cloning: A Laboratory Mannual, Cold Spring Harbor Laborato ry, N.Y.,1989; Ausbelら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.,1989)。または、タン
パク質配列をコードする組換え核酸分子を裸の(naked)DNAとして使用してもよ
く、または標的細胞に送達するためのリポソームもしくは他の脂質系のような再
構成系中で使用してもよい(例えば、Felgnerら,Nature337:387-8, 1989)。ヒ
ト遺伝子治療に使用するために、細胞にプラスミドDNAを直接導入するいくつか
の他の方法が存在し、タンパク質にプラスミドDNAを複合体化することによって
、細胞上の受容体にDNAを標的化することを含む(miller,前記)。
【0423】 最も簡単な形態では、マイクロインジェクション方法によって、少量のDNAを
細胞の核に単に注射することによって遺伝子導入を実施することができる(Cape cchi, Cell 22: 479-88,1980)。組換えDNAが細胞に導入されると、それらは、
転写および翻訳のための細胞の通常の機序によって認識されることができ、遺伝
産物が発現される。DNAをより大量の細胞に導入するための他の方法も試みられ
ている。これらの方法には、DNAをCaPO4と共に沈殿させ、飲作用によって細胞に
取り込まれるトランスフェクション(Chenら,Mol. Cell. Biol.7: 2745-52,1987 )、細胞を高電圧パルスに接触させて膜に穴をあけるエレクトロポレーション(
Chuら, Nucleic Acids Res. 15: 1311-26, 1987)、標的細胞と融合する親油性
小胞にDNAを封入するリポフェクション/リポソーム(Felgnerら,Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA 84: 7413-7417, 1987)、および小型の発射物に結合したDNAを使
用する粒子銃(Yangら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:9568-9572, 1990)が含
まれる。細胞にDNAを導入するための別の方法は、DNAを化学的に修飾したタンパ
ク質に結合することである。
【0424】 アデノウイルスタンパク質はエンドソームを不安定にし、DNAの細胞への取り
込みを増大することができることが報告されている。DNA複合体を含有する溶液
へのアデノウイルスの混合、またはタンパク質架橋剤を使用した、アデノウイル
スに共有結合したポリリジンへのDNAの結合は、実質的に組換え遺伝子の取り込
みおよび発現を改善する(Curielら、Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol.,6:247- 52,1992)。
【0425】 本明細書において使用する「遺伝子導入」とは、外来核酸分子を細胞に導入す
る方法を意味する。遺伝子導入は、遺伝子がコードする特定の産物が発現され得
るように普通に実施される。産物には、タンパク質、ポリペプチド、アンチセン
スDNAもしくはRNA、酵素的に活性なRNAが含まれてもよい。遺伝子導入は培養中
の細胞中で実施されても、動物に直接投与することによって実施されてもよい。
一般に、遺伝子導入は、非特異的または受容体仲介性相互作用による核酸と標的
細胞との接触方法、膜を介するもしくは食作用による細胞内への核酸の取り込み
および原形質膜もしくはエンドソームから細胞質内への核酸の放出を含む。また
、発現には、核酸が細胞の核に移動して、転写のための適当な核因子と結合する
必要がある。
【0426】 本明細書において使用する「遺伝子治療」とは、遺伝子導入の一形態であり、
本明細書において使用される遺伝子導入の定義内に含まれ、具体的には、インビ
ボまたはインビトロにおいて細胞から治療産物を発現させるための遺伝子導入を
いう。遺伝子導入は、細胞上で半ビボによって実施されて、次いで患者に移植さ
れてもよく、または患者に核酸または核酸-タンパク質複合体を直接投与するこ
とによって実施されてもよい。
【0427】 別の好ましい態様において、核酸配列が特定の組織においてのみ発現されるST E-関連キナーゼポリペプチドをコードする核酸配列を有するベクターが提供され
る。組織特異的遺伝子発現を実施する方法は1992年11月3日に提出され、1993年5 月13日に公開された国際公報第93/09236号に記載されている。
【0428】 上記の先のベクターの全てにおいて、本発明のさらに別の局面は、ベクターに
含有される核酸配列は、上記のように、核酸の配列の一部または全てに追加、欠
損または改変を含んでもよいということである。
【0429】 別の好ましい態様において、遺伝子置換方法が記載されている。本明細書にお
いて使用する「遺伝子置換」は、動物においてインビボで発現され、それによっ
て、動物において欠失または欠損している内因性遺伝子の機能を提供または増強
することができる核酸配列を提供することを意味する。
【0430】X. 物質の投与 患者に投与される化合物の用量の設定方法および生物への化合物の投与方法は
、全ての図面、図または表を含めてその全体の内容が参照として本明細書に組み
入れられている1996年8月23日に提出された米国特許出願番号第08/702,282号お
よび1996年8月1日に公開された国際特許公開番号第96/22976号に開示されている
。当業者は、このような記載内容は本発明に適用可能で、容易に本発明に適合さ
せられることを考慮している。
【0431】 適切な用量は、治療対象の疾患の種類、使用する特定の組成物並びに患者のサ
イズおよび生理的条件などの種々の要因に依存する。本明細書に記載する化合物
の治療的に有効な用量は、細胞培養および動物モデルから最初に推定することが
できる。例えば、細胞培養アッセイにおいて設定したIC50を最初に考慮する循環
液中の濃度範囲を得るために動物モデルにおいて用量を製剤化することができる
。ヒトにおける有用な用量をより正確に設定するために動物モデルデータを使用
することができる。
【0432】 疾患を抑制するのに最も適当な薬物の選択を容易にするために、薬物および代
謝物の血漿半減期並びに血漿、腫瘍および主要臓器中の分布を測定することがで
きる。このような測定を実施することができる。例えば、薬剤で治療した動物の
血漿についてHPLC分析を実施して、X-腺、CATスキャンおよびMRIなどの検出方法
を使用して放射性標識した化合物の位置を求めることができる。スクリーニング
アッセイにおいて強力な阻害作用を示すが、薬物動態的特徴の不良である化合物
は、化学構造を変更し、再度試験することによって最適化することができる。こ
れに関しては、良好な薬物動態特徴を示す化合物をモデルとして使用することが
できる。
【0433】 血液細胞組成を測定することによって毒性試験を実施することもできる。例え
ば、以下のように好適な動物モデルにおいて毒性試験を実施することができる:
1)化合物をマウスに投与する(未治療の対照マウスも使用するべきである);
2)血液試料を各治療群の1匹のマウスの尾静脈から定期的に採取する;および
3)赤血球および白血球数、血液細胞組成並びにリンパ球と多形核細胞の割合に
ついて試料を分析する。各投与群の結果を対照と比較したものは、毒性が存在す
るかどうかを示す。
【0434】 各毒性試験の終了時に、動物を犠牲にすることによって、さらに検討を実施す
ることができる(好ましくは、American Veterinary Medical Association guid elines Report of the American Veterinary Medical Assoc. Panel on Euthana sia, Journal of American Veterinary Medical Assoc.,202:229-249,1993によ
る)。次いで、各治療群の代表動物を、転移の徴候、異常な疾患または毒性につ
いて肉眼的な剖検によって調査することができる。組織の肉眼的な異常が見つけ
られたら、組織を組織学的に調査する。体重または血液成分の低下を生じる化合
物は、主要な機関に対して副作用を有する化合物と同様に好ましくない。一般に
、副作用が大きいほど、化合物は好ましくない。
【0435】 癌を治療するためには、疎水性製剤の期待される一日量は1〜500mg/日であり
、好ましくは1〜250mg/日であり、最も好ましくは1〜50mg/日である。活性部分
の血漿濃度が治療的有効性を維持するのに十分であれば、薬剤の投与回数を多く
しなくてもよい。
【0436】 血漿濃度は薬剤の効力を反映するはずである。一般に、化合物がより強力であ
るほど、効果を達成するのに必要な血漿濃度はより低い。
【0437】実施例 以下の実施例は本発明の様々な局面および特徴を限定するものではなく、単に
例示するためのものである。以下の実施例は本発明のSTE20関連キナーゼの単離
と特徴付けを示す。
【0438】実施例1:哺乳動物のSTE20関連プロテインキナーゼをコードするcDNAの単離 材料と方法 新規クローンの同定 チョムチンスキー(Chomczynski)とサッチ(Sacchi)のグアニジン塩/フェ
ノール抽出法(P. ChomczynskiとN. Sacchi、Anal. Biochem. 162、156 (1987)
)を使用して、初代ヒト腫瘍、正常および腫瘍細胞株、正常ヒト組織、および分
画されたヒト造血細胞から全RNAを単離した。これらのRNAはスーパースクリプト
プレアンプリフィケーションシステム(Superscript Preamplification System )(GIBCO BRL、Gaithersburg、MD;ジェラルド(Gerard, GF)ら、(1989)、FOCUS 11、66)を製造者に推奨されている条件下で使用して、一本鎖cDNAを作製する
ために使用した。典型的な反応では60μlの反応容量で1.5μgのオリゴ(dT)12-18 とともに10μgの全RNAを使用した。この産物はRNaseHで処理され、100μlのH2 Oで希釈された。その後のPCR増幅のためにこのsscDNAの1-4μlを各反応において
使用した。
【0439】 縮重オリゴヌクレオチドは確立されたフォスフォアミダイト化学を用いたアプ
ライドバイオシステムズ(Applied biosystems)社の3948 DNA合成機で合成され、
エタノール沈殿され、精製せずにPCRに使用された。縮重オリゴヌクレオチドプ
ライマーの一部の配列とそれらがコードするアミノ酸モチーフは以下のとおりで
ある:
【0440】 これらのプライマーはいくつかのプロテインキナーゼの触媒領域の範囲内にあ
る保存されたモチーフのセンス鎖およびアンチセンス鎖に由来した。縮重ヌクレ
オチド残基の命名は:N=A, C, GまたはT;R=AまたはG;Y=CまたはT;H=A,Cまた
はTであってGでない;D=A,GまたはTであってCでない;S=CまたはG;およびW=Aま
たはTである。
【0441】 PCR反応を複数の一本鎖cDNAに適応した縮重プライマーを用いて行った。プラ
イマーは最終濃度で各5μMとなるように、10mM TrisHCl、pH 8.3、50 mM KCl、1 .5 mM MgCl2、各々200μMデオキシヌクレオシド3リン酸、0.001%ゼラチン、1.5 U AmpliTaqDNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer/Cetus)および1-4μl cDNAを含む
混合物に添加された。 95℃3分の変性に続き、サイクルの条件は94℃30秒、50
℃1分、72℃1分45秒を35サイクルであった。300-350 bpの間に泳動するPCR断
片をジーンクリーンキット(GeneClean Kit) (Bio101)を使用して2% アガロース
ゲルから単離し、pCRIIベクター(Invitrogen Corp. U.S.A)中に製造者のプロ
トコールに従ってT-Aクローン化した。
【0442】 コロニーを単離し、キアゲン(Qiagen)社のカラムを使用して少量のプラスミド
DNA調製を行い、プラスミドDNAをAmpliTaqDNAポリメラーゼを使用したサイクル
シークエンシングダイターミネーターキットFS (ABI、Foster City、CA)を使用
してシークエンシングを行った。シークエンシングの反応産物をABI Prism 377 DNAシークエンサーで泳動し、BLAST整列アルゴリズム(アルチュル(Altschul, S .F.)ら、J. Mol. Biol. 215: 403-10)を使用して解析した。
【0443】 各cDNAに対する結果の項目において詳細が示されるように、正確またはほとん
ど正確なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して様々なPCR断片またはESTを結
合させるために、さらなるPCR戦略がとられた。PCRの条件がそれぞれのオリゴ対
に対してアニーリング温度をTm=4(G+C)+2(A+T)という式を使用して計算した以外
は、上述された通りである。
【0444】cDNAクローンの単離 ヒトcDNAライブラリーはSTE20関連遺伝子に対応するPCRまたはEST断片がプロ
ーブとされた。プローブはランダムプライミングにより32P-標識されて2x106 cp m/mlで使用され、引き続きライブラリースクリーニングのための標準的な手法が
とられた。プレハイブリダイゼーション(3時間)およびハイブリダイゼーショ
ン(一晩)を100 mg/mlの変性サケ精子DNAを含む5X SSC、5Xデンハルト(Denhart )溶液、2.5%硫酸デキストラン、50 mM Na2PO4/NaHPO4、pH 7.0、50%ホルムアミ
ド中で、42℃で行った。ストリンジェントな洗浄を0.1X SSCおよび0.1% SDS中65 ℃で行った。DNAシークエンシングはAmpliTaqDNAポリメラーゼを使用したサイク
ルシークエンシングダイターミネーターキットFS (ABI、Foster City、CA)を使
用して両鎖で行われた。シークエンシングの反応産物はABI Prism 377 DNAシー
クエンサーで泳動した。
【0445】Makegene バイオフォーマティクス(Bioinformatics)ESTアセンブラー ESTレポートはncbi(www.ncbi.nlm.nih.gov)からダウンロードされた。ファ
イルを解凍したのち、以下の情報を抽出するためにプログラム「report2est」が
記述された:1) EST名、2) GenBankアクセッション番号、3) Genbank gi番号、4 ) クローンのId番号、5) ESTの塩基配列、6) 生物、7) ライブラリー名前、8)
研究室名、9) 機関。「report2est」の出力は塩基配列が各記入の第2行にリス
トされていることを除き、各記入の最初の行に上記のすべての情報を有するFAST Aフォーマットのファイルである。結果のファイルは「pressdb」(ncbiツールキ
ットの一部として利用可能)を使用してBLASTのためにフォーマットされる。
【0446】 EST由来の遺伝子または遺伝子の一部を構築するために、プログラム「makegen e」が開発された。このプログラムへの入力はある遺伝子が構築されるべきため
に問われる配列と生物 / 種である。上述のフォーマットされたESTデータベース
の初期検索はBLAST (blastn)を使用して行われる。polyA末端または他の反復配
列のような警告を含むいかなる結果もその先の質問からは除外される。プログラ
ム「blast_parse_reports」は検索結果からFASTAのヘッダ行を抽出するために開
発され、出力には所望の種に対するFASTAヘッダ行のみを抽出するためにその後
選別される。
【0447】 初期の結果は警告および種に対して選別されたものであり、新規のESTが見つ
からなくなるまでデータベースに対して検索が繰り返されるループにはいる。こ
のループは以下の段階からなる:1) 可能な場合は.rまたは.sポストスクリプト
の前の「EST名」の「クローンId」領域またはその一部を使用してESTの両末端の
名前が検索によりデータベースから抽出される、2) 前のループで質問として使
用されたいかなるESTもプログラム「subtract」により現在の質問から削除され
る、3) ESTの結果リストがプログラムbatch_parse_fastaによりデータベースか
ら配列の抽出のために使用される、4) 各配列を使用するデータベースに対してB LASTが行われる、5) 警告を含むBLASTからの出力ファイルが削除される、6) 結
果が種により選別される、7) 前にループを通したときに新規に見いだされたEST があるならば再度ループにはいる。
【0448】 「makegene」により選択されたESTはプログラム「mpd2_cluster」(ハイド(Hi de, W.)、バーク(Burke, J.)、およびダヴィソン(Davison, D.)、ヒューストン
大、未発表)に対する入力として使用される。プログラム「contig」(カーラヴ
ェイジ(Kerlavage, T.)、TIGR、未発表)、「gde2mult」および「gde2sing」(
スミス(Smith, S.W.)ら、CABIOS 10,671-675 (1994))は重複(overlapping)E STを整列化し、共通配列を作るために使用される。
【0449】結果 STLK2のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSTLK2 cDNA配列は二つの重複EST断片であるAA191319およびW16504からな
り、これは質問としてSTLK1 (MST3 GB:AF024636)を用いてESTデータベースのス
ミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用して同定された。二つのクロ
ーンの完全な配列が決定され、全長のヒトSTL2配列を作製するために使用された
【0450】 ESTクローンAA191319は1327bpのインサートと1146bp (382アミノ酸)のORFを
含む。ESTクローンW16504は2474 bpのインサート(poly-A末端は含まない)と68 7 bp(382アミノ酸)のORFを含む。
【0451】 全長ヒトSTLK2 cDNA(配列番号:1)は3268 bp長である。AA191319は1-1327
位にわたり、w16504は743-3216位にわたる。これら二つのクローンの重複部分で
は100%の配列同一性を示す。ヒトSTLK2 cDNAは181 bpの5'UTR (1-181)と1784 bp の3'UTR (1433-3216)が隣接し、52塩基のポリアデニル化領域が続く1248 bpのOR Fを含む。ポリアデニル化シグナル (AATAAA)は3193-3198位に見られる。最初のA TGに隣接する配列は開始メチオニンに対するコザック(Kozak)配列となっており
、STLK2の翻訳開始部位であると考えられる。さらに、ヒトSTLK2および関連する
SOK-1とMST3タンパク質ではこの推定開始メチオニン直後のアミノ酸配列が保存
されている。
【0452】 いくつかのEST断片は5'末端でAA191319と、3'末端でW16504と完全なSTLK2配列
にわたっている。
【0453】 公開されている核酸データベース(NRN)およびタンパク質データベース(NRP)に
対するすべての検索はスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)のgap整列プロ
グラム(スミス(Smith, TF)およびウォーターマン(Waterman MS)、(1981) J. Mo l. Biol. 147、195-197)を使用して行われ、PAM100マトリックスならびにgap開
裂および延長ペナルティーを14:1としてそれぞれ用いた。
【0454】STLK3のcDNAクローニングおよび特徴付け 哺乳動物STLK3クローンである135-31-19は、縮重オリゴTRK1とTRK4を成熟ラッ
ト脳黒質から産生されたsscDNAに用いて、PCRスクリーニングからはじめて同定
された。457 bpのインサートの配列解析によってSTKのSTE20サブファミリーの新
規メンバーであることが示された。
【0455】 質問としてラットSTLK3断片およびヒトSTLK1 (MST3 GB:AF024636)を用いてEST データベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を行うと、ヒトST LK3 cDNA配列の大部分にわたるいくつかの重複ESTを同定した。Makegene解析で
はおよそ44のEST配列から3037 bpのコンティグを作製した。3' ESTは市販されて
いなかったため、一対のプライマー(5'-CACAGAAACGGTCAGATTCAC-3'および5'-GA TCAGGGTGACATCAAGGGAC-3')をこの領域に由来するヒト胎児肝臓sscDNAからPCRク
ローン3R21-20-6を作製した。このクローンおよびEST AA278967は全長STLK2 cDN A配列を作製するために全長が配列決定された。
【0456】 AA278967はヒト扁桃細胞から分離されたCD20+/IgD-胚中心B細胞から作製され
たcDNA由来のIMAGEコンソーシアムにより単離された837 bpのESTである。
【0457】 PCRクローン3R21-20-6はヒト胎児sscDNAから単離され、STLK3の362 C末端アミ
ノ酸をコードする1086 bpのORFを有する、1116 bpのインサートを含む。
【0458】 全長ヒトSTLK3 cDNA(配列番号:2)は3030 bp長である。AA278967は1-814位
にわたり、3R21-20-6は464-1579位にわたっている。これら二つのクローンの間
の重複部分では100%の配列同一性を示す。残る1452 bpの3'UTRは複数の確立され
ていないEST断片の集合物(assembly)に由来する。
【0459】 ほぼ全長のヒトSTLK3 cDNA(配列番号:2)は3030 bp長であり、1476 bpの3' UTR (1550-3025)および5塩基のポリアデニル化領域に隣接する1548 bpのORFか
らなる。ポリアデニル化シグナル(AATAAA)は3004位から開始する。この配列の5' 側全体にコード領域がわたっているので、これは明らかにN末端の開始メチオニ
ンを欠く部分cDNAクローンである。6コピーの「GGCCCC」反復配列が21-67位に
見られた。5つの別個のEST(AA150838、AA286879,AA251679、AA252004、AA2789 67)は同じ反復配列を示し、この配列がヒトSTLK3遺伝子の必須領域でありうる
ことを示している。この状態であるより強力な証拠として、876 bp EST W20737
により示されるSTLK3のマウスのオルソログ(orthologue)の配列が存在する。
【0460】 複数のEST 断片は5'末端でAA278967と、3'末端でAA628477およびその他のもの
と完全なSTLK3配列にわたっている。
【0461】STLK4のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSTLK4 cDNA配列は二つの重複EST断片であるAA297759およびAA100484によ
り構成され、これは質問としてSTLK1 (MST3 GB:AF024636)を用いてESTデータベ
ースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用して同定された。両
方のクローンの完全な配列が決定され、ほぼ完全長さのヒトSTLK4配列を作製す
るために使用された。
【0462】 AA100484はT-84結腸上皮細胞系から単離されたIMAGEコンソーシアムcDNAクロ
ーンである。3694 bpのインサートを有し、1146 bp (382アミノ酸)のコード領
域を有する。NRNデータベースに対するスミスーウォーターマン(Smith-Waterman )配列整列ではこのESTはヒトSTE20様キナーゼ(GB:X99325)と71.4%の同一性を示
した。
【0463】 W16504はヒト胎児心臓cDNAライブラリーから単離されたIMAGEコンソーシアム
クローンである。2474 bpの挿入長(poly A末端を含まない)と687 bp(229アミ
ノ酸)のコード領域を有する。W16504のNRNデータベースに対するスミスーウォ
ーターマン(Smith-Waterman)配列整列ではこのESTはヒトSTE20様キナーゼ(GB:X9 9325)と69.2%同一性を示した。
【0464】 全長のヒトSTLK2 cDNA(配列番号:1)は3268 bp長である。AA191319は1-132 7位にわたり、W16504は743-3216位にわたっている。これら二つのクローンの間
の重複は100%の配列同一性を有する585 bpである。
【0465】 AA100484はT-84結腸上皮細胞系から単離されたIMAGEコンソーシアムcDNAクロ
ーンである。AA100484はその3694 bpでヒトSTLK4の大部分と重なっており、それ
は配列番号:3の146-3839位にわたっている。第2のESTであるAA297759はJurka t T cDNAライブラリーから単離され、ヒトSTLK4コンティグの1-271位にわたって
いる。二つのESTは149位において一つのみの塩基の相違(AA297759ではG、AA100 484ではT)を有する126 bp長にわたって重複する。この部位のTは、A100484から
作製した配列データをもとにした配列番号:3で選択された。ヒトSTLK4の5' 14 5 bpはAA297759からのGenbank登録において配列エラーにより起こる3つの塩基
配列決定でのアンビギュイティー(ambiguity)(配列番号:3でのN)を含む
。EST登録からの配列の不正確さの結果として、ヒトSTLK4のN末端での3つのア
ミノ酸配列のアンビギュイティーは配列番号:7においても存在する。
【0466】 ヒトSTLK4のコード領域は1242 bp長であり(2-1243)、414アミノ酸ポリペプチ
ドをコードしうるもので、2596ヌクレオチドの3' UTR (1244-3839)が続く。ヒト
STLK4は18のアデニン(3840-3857)を持つポリアデニル化された配列で終わる。ポ
リアデニル化シグナル(AATAAA)は3822-3827位の間にみられる。標的PCRクローニ
ングではヒトSTLK4の一つのマウスのオルソログであるクローン135-31-19を同定
した。さらに、ヒトSTLK4のひとつのマウスのオルソログはESTデータベースでは
AA117483として認められた。これらのオルソログのいずれもヒトSTLK4に対しさ
らにN末端配列を加えることはない。
【0467】 ほぼ全長のヒトSTLK4 cDNA(配列番号:3)は3857 bp長であり、2596 bpの3' UTR(1244-3839)および18塩基のポリアデニル化領域に隣接する1242 bpのORFか
らなる。ポリアデニル化シグナル(AATAAA)は2181位および3822位で開始する。こ
の配列の5'側全体にコード領域がわたっていることから、これは明らかにN末端
の開始メチオニンを欠く部分cDNAクローンである。ほぼ全長のマウスSTLK4 cDNA は1773 bpのEST AA117438に示されている。ヒトSTLK4コンセンサスの5'にさらに
21塩基がわたっているが、そのコード領域もまた配列の5'側全体にわたっている
ので、これもまたおそらくN末端の開始メチオニンを欠く部分cDNAクローンであ
る。
【0468】 いくつかのEST 断片は5'末端でAA297759と、3'末端でAA100484およびその他の
ものと完全なSTLK3配列にわたっている。
【0469】STLK5のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSTLK5 cDNA配列は4つの重複配列AI418298、2R96-13-1、3R2S-45-3、およ
びR46685からなる。ヒトSTLK5クローンであるF07734は、はじめ質問としてSPS_s c(U33057)を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman) 検索を使用することにより同定された。
【0470】 AI419298は895 bpインサートのIMAGEコンソーシアムcDNAクローンである。
【0471】 PCRクローン2R96-13-1はF07734に由来するプライマーである5'-CTCATCTGTACAC ACTTCATGGおよび5'-GATTCCCACACTGTAGATGTCを使用してヒト脳sscDNAから単離さ
れた。2R96-13-1は330 bpのインサートを含み、330 bpのORF(110アミノ酸)を
含む。
【0472】 ESTクローンR46685は質問としてSPS_sc(GB:U33057)のC末端を用いてESTデータ
ベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用することにより同
定された。1047 bpのインサートの配列解析では、このESTはヒトSTLK5のC末端
をコードする285 bpのORF(95アミノ酸)を含むことが同定された。
【0473】 PCRクローン3R25-45-3をそれぞれ2R96-13-1およびR46685に由来するプライマ
ーである5'-GGCCCTCGACTACATCCACCACATおよび5'-CAACGAAACTAACACAGCATAAGGを使
用して、ヒト胎児脳sscDNAから単離した。3R25-45-3は330 bpのインサートと750 bpのORF(250アミノ酸)を含む。
【0474】 全長のヒトSTLK5 cDNA(配列番号:96)は2110 bp長であり、229 bpの5' UT Rと762 bpの3'UTRに隣接する1119bpのORFからなる。最初のATGに隣接した配列は
開始メチオニンに対するコザック(Kozak)のコンセンサス(上述)に合致してお
り、STLK5の翻訳開始部位であると考えられる。
【0475】 いくつかのEST断片は5'末端でAA297059およびF07734と、3'末端の部位でR4668 6およびF03423およびその他と完全なSTLK5配列にわたっている。
【0476】 STLK5はヒトCpGアイランド反復配列(Z61277)に41bpの長さ(2-42位、配列番号
:97)で100%の同一性を示している。
【0477】STLK6のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSTLK6は当初、新規のセリンスレオニンキナーゼとして、翻訳されたESTデ
ータベース(AA219667)において同定された。
【0478】 部分的なヒトSTLK6 cDNA(配列番号:98)は2001 bp長であり75 bpの5' UTR と673 bpの3'UTRに隣接する1254 bp ORFからなる。最初のATGに隣接した配列は
開始メチオニンに対するコザック(Kozak)のコンセンサス(コザック(Kozak, M)
、Nucleic Acids Res. 15、8125-8148 (1987))に合致し、STLK6の翻訳開始部位
であると考えられる。
【0479】 出願時では本発明者らはSTLK6は核酸データベースに有意に合致するものはな
いと考えている。
【0480】STLK7のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSTLK7は当初、新規のセリンスレオニンキナーゼとして、翻訳されたESTデ
ータベース(AA988954)において同定された。元のクローンは公開された供給元を
通じて利用可能ではなかったので、AA988954の配列から増幅されたPCR断片によ
って5R54-21-2を得た。
【0481】 部分ヒトSTLK7 cDNA(配列番号:100)は311 bp長で309 bpのORFからなる。コ
ード領域はこの配列の5'および3'の範囲全体にわたっているので、これはN末端
の開始メチオニンおよびC末端の終止コドンを欠く部分的なcDNAクローンである
ことがわかる。
【0482】 STLK7は167 bp領域にわたってヒトSPAK (AF099989)にたいして80%の配列同一
性を示し、391塩基にわたってSLTK7(配列番号:101)に50%の配列同一性を示す
【0483】ZC1のcDNAクローニングと特徴付け ヒトZC1 cDNA配列は二つの重複PCRクローンである3R25-24-2およびR65-12-2か
ら構成される。
【0484】 ヒトZC1クローン125-33-5は当初、ヒト小気道上皮細胞(Clontech)から作製
されたsscDNAに対して、縮重オリゴであるTRK1およびTRK4でのPCRスクリーニン
グにより同定された。503 bpのインサートの配列解析により、C. elegansのZC50 4.4遺伝子産物に関連する新規ヒトSTKをコードしうる501 bpのORF(167アミノ酸
)を同定した。
【0485】 PCRクローン3R25-24-2はマウスのZC1のオルソログ(NIK, GB:U88984)のN末
端、およびもとのヒトZC1クローン125-33-5にそれぞれ由来するプライマーであ
る5'-ATGGCGAACGACTCTCCCGCGAAおよび5'-ACACCAAAATCAACAAGTTTCACCTCを使用し
て、ヒトSNB19神経膠芽細胞腫sscDNAから単離された。3R25-24-2は527 bpのイン
サートと519 bpのORF(173アミノ酸)を含む。
【0486】 PCRクローンR65-12-2は以下のように単離された:質問としてC. elegansのZC5 04.4遺伝子(GB:Z50029)を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Sm ith-Waterman)検索を行うことにより、ORFがC. elegans遺伝子に関連していて同
一の残基(Trp)で終わるようなヒトEST(W81656)を同定した。プライマーは3'か
らこの終始コドンまで設計され(5'-AGTTACAAGGAATTCCAAGTTCT)、鋳型としてヒ
トSNB19神経膠細胞腫由来のSScDNAを用いて、もとのヒトZC1クローン125-33-5に
由来するプライマー(5'-ATGAAGAGGAAGAAATCAAACTG)とともにPCR反応に使用さ
れた。PCRクローンR65-12-2が同定され、ヒトZC1のC末端領域をコードする3534 bpのORF(1178アミノ酸)をもつ3611 bpインサートを含むことがわかった。
【0487】 全長ヒトZC1 cDNA(配列番号:9)は3798 bp長である。クローン3R25-24-2は
1-527位にわたり、クローンR65-12-2は188-3798位にわたる。これら二つのクロ
ーンの間の重複は100%の配列同一性が示される。ヒトZC1は6 bpの5'UTRと75 bp
(3724-3798)の3' UTRに隣接する3717 bpのORF (17-3723)を含む。3' UTRに
はポリアデニル化シグナル(AATAAA)もポリアデニル化領域も存在しない。最初の
ATGに隣接した配列は開始メチオニンに対するコザック(Kozak)のコンセンサスに
合致し、ヒトZC1に対する翻訳開始部位であると考えられる。
【0488】 複数のEST断片(W81656)がヒトZC1遺伝子の3'末端に合致したが、出願時には
本研究者らはその5'末端に合致するものはGenbankにもESTデータベースにもない
と考えている。
【0489】ZC2のcDNAクローニングと特徴付け ヒトZC2cDNA配列は4つの重複するPCRクローンであるG75-31-17、R65-24-6、2 R28-8-1、およびR99-6-10からなる。
【0490】 ヒトZC2クローンG75-31-17は当初、ヒトHLT383初代非小細胞肺癌組織から生成
されたsscDNAに対して、縮重オリゴROS1 (5'-GCNTTYGGNGARGTNTAYGARGG)およびC CK4b (5'-GCTGGATCCYTCNGGNSWCATCCA)を使用してPCRスクリーニングを行うこと
により同定された。492 bpのインサートの配列解析によってC. elegansのZC504. 4遺伝子産物に関連する新規ヒトSTKをコードしうる492 ORF(164アミノ酸)を同
定した。
【0491】 PCRクローンR99-6-10は以下のように単離された:質問としてC. elegansのZC5 04.4遺伝子(GB:Z50029)を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Sm ith-Waterman)検索を行うことにより、ORFがC. elegans遺伝子に関連していて同
一の残基(Trp)で終わるような2つの重複ヒトEST断片(AA115844およびR51245) )を同定した。プライマーはR51245にみられる3'から終始コドンまで設計され(5 '-AGATGGACTGTACTGGGAGG)、鋳型としてヒト胎児脳由来のsscDNAを用いて、AA11 5844に由来するプライマー(5'-ACTTTGTGCAGCTCTGTGGG)とともにPCR反応に使用
された。PCRクローンR99-6-10が同定され、ヒトZC2のC末端領域をコードする93 0 bpのORF(310アミノ酸)をもつ1095 bpインサートを含むことが見出された。
【0492】 PCRクローンR65-24-6はG75-31-17およびR51245にそれぞれ由来するプライマー
である5'-AAGGTTATGGATGTCACAGGGおよび5'-AGATGGACTGTACTGGGAGGを使用して、
ヒトHT29結腸癌細胞系sscDNAから単離された。このPCR反応で使用された3'プラ
イマーはこの遺伝子の1634-1653位の間でプライミングを誤り、不完全な産物形
成を起こした。R65-24-6は1593 bpのインサートと1593 bpのORF(531アミノ酸)
を含む。
【0493】 PCRクローン2R28-8-1はR65-24-6およびR99-6-10にそれぞれ由来するプライマ
ーである5'-CTCACAAGGTTGCCAACAGGおよび5'-AGTCCCCACCAGAAGGTTTACを使用して
、ヒト結腸癌細胞系HT29sscDNAから単離された。2R28-8-1は1538 bpのインサー
トと1536 bpのORF(512アミノ酸)を含む。
【0494】 部分ヒトZC2 cDNA(配列番号:10)は4055 bp長である。クローンG75-31-17 は1-492位にわたり、クローンR65-24-6は58-1650位にわたり、クローン2R28-8-1 は1466-3003位にひろがり、クローンR99-6-10は2961-4055位にわたる。これらの
クローンの間の重複領域では、280位のところでGluからLysに変化が起こるよう
な単一のグアニン(G75-31-17)からアデノシン(R65-24-6)ミスマッチを除いて、1 00%の配列同一性が示された。ヒトZC1およびZC3およびC. elegansのZC504.4でこ
の部位で酸性残基が存在することからは、おそらくGluをコードする配列が正し
いと考えられる。ヒトZC2遺伝子は164 bp(3892-4055)の3'UTRが隣接する3891 bp ORF (1-3891)を含む。3'UTRにはポリアデニル化シグナル(AATAAA)またはポリア
デニル化領域は存在しない。
【0495】 複数のEST断片(R51245)がヒトZC2遺伝子の3'末端に合致するが、出願時には本
研究者らはその5'末端に合致するものはGenbankにもESTデータベースにもないと
考えている。
【0496】ZC3のcDNAクローニングと特徴付け ヒトZC3cDNA配列は4つの重なりあうPCRクローンであるG75-30-30、3R33-5-3
、3R19-17-6、およびR99-43-11からなる。
【0497】 ヒトZC3クローンG75-30-30は当初、ヒトHLT370初代非小細胞肺癌組織から作製
されたsscDNAに対して、縮重オリゴROS1およびCCK4b を使用してPCRスクリーニ
ングを行うことにより同定された。492 bpのインサートの配列解析によってC. e legansのZC504.4遺伝子産物に関連する新規ヒトSTKをコードしうる492 ORF(164 アミノ酸)を同定した。
【0498】 PCRクローンR99-43-11は以下のように単離された:質問としてC. elegansのZC 504.4遺伝子(GB:Z50029)を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(S mith-Waterman)検索を行うことにより、ORFがC. elegans遺伝子に関連していて
同一の残基(Trp)で終わるようなヒト(R54563)を同定した。プライマーはR5456 3にみられる3'から終始コドンまで設計され(5'-TCAGGGGTCAGAGGTCACG)、鋳型
としてヒト胎児脳由来のSScDNAを用いて、R54563の5'末端に由来するプライマー
(5'-CCCAAACCCTACCACAAATTC)とともにPCR反応に使用された。PCRクローンR99- 43-11が同定され、ヒトZC3のC末端領域をコードする564 bpのORF(188アミノ酸
)をもつ719 bpインサートを含むことがわかった。
【0499】 PCRクローン3R-19-17-6はG75-30-30およびR99-43-11にそれぞれ由来するプラ
イマーである5'-CCCCCGGGAAACGATGACCAおよび5'-AGCCGCTGCCCCTCCTCTACTGTを使
用して、ヒトA549肺癌細胞系sscDNAから単離された。このPCR反応で使用された3 'プライマーはプライミングを誤り、不完全な産物形成を起こした。3R19-17-6は
1172 bpのインサートと1170 bpのORF(390アミノ酸)を含む。
【0500】 PCRクローン3R33-5-3はG75-30-30および3R19-17-6にそれぞれ由来するプライ
マーである5'-ACCGCAACATCGCCACCTACTACおよび5'-CTCGACGTCGTGGACCACCを使用し
て、ヒトA549肺癌細胞系sscDNAから単離された。3R33-5-3は2465 bpのインサー
トと2463 bpのORF(821アミノ酸)を含む。
【0501】 全長ヒトZC3 cDNA(配列番号:11)は4133 bp長である。クローンG75-30-30 は1-483位にわたり、クローン3R33-5-3は134-2598位にわたり、クローン3R19-17 -6は2356-3512位にひろがり、クローンR99-43-11は3415-4133位にわたる。これ
らのクローンの間の重複領域では、100%の配列同一性が示される。ヒトZC3遺伝
子は152 bp(3979-4133)の3'UTRが隣接する3978 bp ORF (1-3891)を含む。3'UTR
にはポリアデニル化シグナル(AATAAA)またはポリアデニル化領域は存在しない。
【0502】 複数のEST断片(R54563)がヒトZC3遺伝子の3'末端に合致するが、出願時には本
研究者らはその5'末端に合致するものはGenbankにもESTデータベースにもないと
考えている。
【0503】ZC4のcDNAクローニングと特徴付け ヒトZC4 cDNA配列はPCR断片3R25-27-1により示されたが、当初、ZC504.4 C. e legans遺伝子に強い相同性を示したエクソン配列を持つヒト染色体コスミド82J1 1 (GB:Z833850)で同定された。
【0504】 PCRクローン3R25-27-1はヒト胎児肝臓sscDNA、ならびに82J11コスミドに由来
する潜在的なORF(25729-25852位)およびヒトZC4遺伝子のC末端をコードするES T(R98571)にそれぞれ由来するプライマーである5'-CAATGTTAACCCACTCTATGTCTC および5'-AGTTTGCCGATGTTTTTCTTTTCから単離された。
【0505】 部分ヒトZC4 cDNA(配列番号:12)1459 bp長であり、411 bpの3'領域(104 9-1459)に隣接する1047 bpのORF (2-1048)を含む。3'UTRにはポリアデニル化シ
グナル(AATAAA)またはポリアデニル化領域は存在しない。
【0506】 ZC4_hに対するN末端のコード配列をZ83850および4つの他の配列を含む233,1 37 bpの隣接するDNA配列を構築することにより延長した:cU84B10およびcU230B1 0(サンガーヒトゲノムシークエンシングプロジェクト、http://www.sanger.ac. uk/HGP/)ならびにZ97356およびZ69734(米国国立バイオテクノロジー研究所、ht tp://www.ncbi.nlm.nih.gov/Entrez/nucleotide.html)。コンティグでの各配列
の部位は以下の表に示されている。
【0507】 ZC4染色体コンティグでの配列 233,137 bpのコンティグはサンガーセンター(http://genomic.sanger.ac.uk/ gf/gf.shtml)で利用可能なヒト遺伝子構造推定ソフトウェアであるプログラムF GENES 1.5およびFGENESHを使用してエクソンに対して解析された。
【0508】 結果としてヒトZC4コード配列(配列番号:104)は(終止コドンを除き)3,68 1 bpであり、1227アミノ酸のSTE20キナーゼをコードしている。
【0509】KHS2のcDNAクローニングと特徴付け ヒトKHS2 cDNA配列は4つの重複クローン3R25-51-2,3R16-34-2,3R16-31-2お
よびT79916から構成される。
【0510】 ヒトKHS2クローンAA250855は当初、質問としてKHS1(GB:U77129)を用いてESTデ
ータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用することによ
り同定された。1112 bpのインサートの配列解析によってヒトKHS1遺伝子産物に
関連する新規STKをコードしうる618 bpのORF(206アミノ酸)が同定された。質
問としてAA250855を使用して、第二のEST(AA446022)が見いだされ、この配列はK HS1との比較をもとにヒトKHS2に対する開始メチオニンを含むことが示された。
【0511】 PCRクローン3R25-51-2は、それぞれAA446022およびAA250855に由来するプライ
マーである5'-CCGCCATGAACCCCGGCTTおよび5'-CGATTGCCAAAGACCGTGTCAを使用して
ヒト睾丸癌sscDNAから単離された。3R25-51-2は850 bpのインサートと849 bpのO RF(283アミノ酸)を含む。
【0512】 ESTクローンT79916は、質問としてKSH1(GB:U77129)のC末端を用いてESTデー
タベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用することにより
同定された。2107 bpのインサートの配列解析により、このESTはヒトKHS2のC末
端をコードする345 bpのORFを含み(単一の終始コドンにより分断される115アミ
ノ酸)、1762 bpの3' UTRが続く。
【0513】 PCRクローン3R16-34-2は、それぞれAA250885 およびT79916に由来するプライ
マーである5'-AGAAGTTGCAGCTGTTGAGAGGAおよび5'-TATGGCCCGTGTAAGGATTTCを使用
して、ヒト睾丸sscDNAから単離された。3R16-34-2は1516 bpのインサートと1128 bpのORF(376アミノ酸)を含む。
【0514】 PCRクローン3R16-31-2は、EST T79916に由来するプライマーである5'-GTGCCAG AAGTGTTGTGTTGTAAおよび5'-TATGGCCCGTGTAAGGATTTCを使用して、正常ヒト結腸cD NAから単離された。3R16-31-2は728 bpのインサートと669 bpのORF(223アミノ
酸)を含む。このクローンはEST T79916内に存在する終止コドンがない(KHS2配
列中2662位)。
【0515】 全長ヒトKHS2 cDNA(配列番号:17)は4023 bp長である。クローン3R25-51- 2は1-855位にわたり、クローンAA250885は336-923位にわたり、クローン3R16-34 -2は545-2061位にわたり、クローンT79916は1917-4023位にわたる。これらクロ
ーンの間の重複領域では、4塩基の差異を除いて100%配列の同一性を示すが、こ
のうち2つはアミノ酸を変えず、第三のものは2662位で内部の終始コドンを正す
もので、247位(TからCへの変化)に位置する第四のものはProからLeuへの変化
を引き起こす。ヒトKHS2 cDNAは5bpの5' UTR(1-5)と1336 bpの3' UTR(2688- 4023)に隣接する2682bpのORF(6-2687)を含む。潜在的なポリアデニル化シグ
ナル(AATAAA)は4008-4013位に見られる。3'UTRにはポリアデニル化された領域は
存在しない。最初のATGに隣接した配列は翻訳開始に対しては弱いものであるが
、EST AA446022に由来する134 bpの5' UTR配列はさらなるATGを持たず、ヒトKHS 2に対する推定開始ATGに対して5'方向にインフレームの2つの終止コドンがあっ
た。
【0516】 複数のEST断片がヒトKHS2遺伝子の3'末端(R37625)および5'末端にも合致して
いる。
【0517】SULU1のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSULU1 cDNA配列は3つの重複クローンN40091、2R90-1-1、R90907から構成
される。
【0518】 ヒトSULU1クローンN40091は当初、質問としてC. elegansのSULU遺伝子(GB:U32 275)を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索
を使用することにより同定された。1321 bpのインサートの配列解析ではC. eleg ans SULU遺伝子産物に関連する新規ヒトSTKをコードしうる906 bpのORF(302 ア
ミノ酸)を同定した。
【0519】 ESTクローンR90907は当初、質問としてC. elegansのSULU遺伝子(GB:U32275)の
3'末端を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検
索を使用することにより同定された。1647 bpのインサートの配列解析ではヒトS ULU1遺伝子産物をコードしうる578 bpのORF(192 アミノ酸)を同定した。
【0520】 PCRクローン2R90-1-1はそれぞれN40091およびR90907に由来するプライマーで
ある5'-TATTGAATTGGCGGAACGGAAGおよび5'-TTGTTTTGTGCTCATTCTTTGGAGを使用して
ヒトHT29結腸癌細胞sscDNAから単離された。2R90-1-1は1625 bpのインサートと1 623 bpのORF(541アミノ酸)を含む。
【0521】 全長ヒトSULU1 cDNA(配列番号:19)は4177 bpである。N40091は1-1321位
にわたり、クローン2R90-1-1は1048-2671位にわたり、クローンR90907は2531-41 77位にわたる。これらのクローンの間で重複領域は100%の配列同一性を示す。ヒ
トSULU1 cDNAは414 bpの5'UTR(1-414)と1069 bpの3' UTR(3109-4177)に隣接す
る2694 bpのORF (415-3108)を含み、19塩基のポリアデニル化領域が続く。潜
在的なポリアデニル化シグナル(AATAAA)が4164-4169位に見られる。最初のATGに
隣接した配列は開始メチオニンに対するコザック(Kozak)のコンセンサスに合致
し、ヒトSULU1に対する翻訳開始部位であると考えられる。
【0522】 複数のEST断片はヒトSULU1遺伝子の3'末端(R90908)ばかりではなく5'末端(N27 153)にも合致する。
【0523】マウスSULU3のcDNAクローニングと特徴付け マウスSULU3 cDNA配列はPCR断片2R92-1-6により示される。
【0524】 マウスSULU3クローンG83-4-5は当初、マウスの12日齢胚から産生されたsscD NAに対して、縮重オリゴであるCCK4cおよびCCK4bを用いて行ったPCRスクリーニ
ングから同定された。473 bpのインサートの配列解析ではC. elegansのSULU遺伝
子(GB:U32275)に関連する新規ヒトSTKをコードしうる471bp ORF(157アミノ酸)
を同定した。G83-4-5のアンチセンス鎖はマウスのets1プロトオンコジーン転写
因子(GB:X53953)の5' UTRに核酸レベルで同一である。この相同性はマウスets1
に対するデータベース登録の5'末端に結合したクローニングの副生成物の結果で
あると思われる。
【0525】 PCRクローン3R19-17-6をそれぞれG75-30-30およびR99-43-11に由来するプライ
マーである5'-CCCCCGGGAAACGATGACCAおよび5'-AGCCGCTGCCCCTCCTCTACTGTを使用
してヒトA549細胞sscDNAから単離した。このPCR反応で使用された3'プライマー
はプライミングを誤り、不完全な産物形成を起こした。3R19-17-6は1172 bpのイ
ンサートと1170 bpのORF(390アミノ酸)を含む。
【0526】 PCRクローン2R92-1-6をそれぞれets1遺伝子の5' UTRおよびヒトEST AA234623
に由来するプライマーである5'-ACCGCAACATCGCCACCTACTACおよび5'-GATTGCTTTGT GCTCATTCTTTGGを使用して、マウスの8日齢胚sscDNAから単離した。(ここで示さ
れた)後者はヒトSULU3のC末端をコードする。2R92-1-6は2249 bpのインサート
と2244 bpのORF(748アミノ酸)を含む。
【0527】 部分マウスSULU3 cDNA(配列番号:21)は2249 bp長であり、5 bp の5' UTR (1-5)に隣接する2244 bpのORF(6-2249)からなる。最初のATGに隣接した配列は
開始メチオニンに対するコザック(Kozak)のコンセンサスに合致し、マウスSULU3 に対する翻訳開始部位であると考えられる。
【0528】 一つのEST断片(AA446022)が部分マウスSULU3遺伝子の3'末端に合致するが、出
願時には本研究者らはその5'末端に合致するものはGenbankにもESTデータベース
にもないと考えている。
【0529】ヒトSULU3のcDNAクローニングと特徴付け ヒトSULU3 cDNA配列は二つの重複クローンである2R90-22-1およびAA234623か
ら構成される。
【0530】 ヒトSULU3クローンAA234623は当初、質問としてC. elegansのSULU遺伝子(GB:U 32275)を用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検
索を使用することにより同定された。2652 bpのインサートの配列解析ではC. el egansのSULU遺伝子産物に関連する新規ヒトSTKのC末端をコードしうる1185 bpの
ORF(395 アミノ酸)を同定した。
【0531】 PCRクローン2R90-22-1はそれぞれマウスSULU3 2R92-1-6クローンおよびAA2346 23に由来するプライマーである5'-TATTGAATTGGCGGAACGGAAGおよび5'-TTGTTCTAAG AGTGCCCTCCGを使用して、ヒトSKMel128メラノーマ細胞系から単離された。2R92- 1-6は1897 bpインサートと1896 bp(632アミノ酸)のORFを含む。
【0532】 部分ヒトSULU3 cDNA(配列番号:20)は3824 bpである。クローン2R90-22-1 は1-1897位にわたり、クローンAA234623は1173位にわたる。これらクローンの間
の重複領域は100 %配列同一性を示す。ヒトSULU3 cDNAは1465 bp(2360-3824) 3' UTRに隣接する2358 bpのORF(2-2359)を含み、そのあとに19塩基のポリアデニ
ル化領域が続く。潜在的なポリアデニル化シグナル(AATAAA)は2602-2607位に見
られる。コード領域はこの配列の5'領域全体に渡っているので、これは明らかに
N末端の開始メチオニンを欠いた部分的なcDNAクローンである。
【0533】 複数のEST断片(R02283)がヒトSULU3遺伝子の3'末端に合致するが、出願時には
本研究者らはその5'末端に合致するものはGenbankにもESTデータベースにもない
と考えている。
【0534】GEK2のcDNAクローニングと特徴付け ヒトGEK2 cDNA配列は3つの重複クローンAA459448、3R25-48-1およびGEK2_h#3 から構成される。
【0535】 ヒトGEK2クローンAA459448は当初、質問としてヒトSLK遺伝子(GB:AB002804)を
用いてESTデータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用
することにより同定された。1286塩基のインサートの配列解析により、ヒトSLK
遺伝子産物に関連する新規ヒトSTKのN末端をコードしうる1227 bpのORF(409ア
ミノ酸)を同定した。質問としてSLK遺伝子のC末端を使用しさらなるスミスー
ウォーターマン(Smith-Waterman)検索を行うと、ヒトGEK2のC末端領域をコード
するさらなるESTであるAA323687、AA380492、AA168869を生成した。
【0536】 PCRクローン2R98-41-17はそれぞれAA323687およびAA380492に由来するプライ
マーである5'-AAGACCATGCCGTGCGCCGおよび5'-ATTCCTTCAGGTTCTGGTTATGGを使用し
てヒト睾丸sscDNAから単離された。2R98-41-17は851 bpのインサートと849 bpの
ORF(283アミノ酸)を含む。
【0537】 PCRクローンGEK2_h#3はそれぞれクローン3R25-48-1の配列およびマウスLOK(G B:D89728)の3'末端に由来するプライマーである5'-GCAGCAAGTGGAGAAGATGGおよ
び5'-GGAAGCATCCCCAGAGCTGTAGを使用してH23腫瘍細胞系から作製されたヒトsscD NAから単離された。GEK2_h#3は1042 bpのインサートと1041 bpのORF(347アミノ
酸)を含む。
【0538】 全長ヒトGEK2 cDNA(配列番号:106)は2962 bp長である。クローンAA459448
は1-1286位にわたり、クローン3R25-48-1は1100-2449位にわたり、クローンGEK2 _h#3は1920-2962位にわたる。これらのクローンの間で重複領域は100%の配列同
一性を示す。
【0539】 ヒトGEK2 cDNAは58 bp5' UTR(1-58)についた2904 bpのORF(59-2962)を含む。
最初のATG2隣接した配列は開始メチオニンに対するコザック(Kozak)のコンセン
サスに合致し、ヒトGEK2に対する翻訳開始部位であると考えられる。
【0540】 複数のEST断片(AA465671)が配列の5'末端に合致するが、ヒトGEK2遺伝子の3'
末端は一つのみが(AA380492)合致する。
【0541】PAK4のcDNAクローニングと特徴付け ヒトPAK4 cDNA配列はクローンSNB2#1により示される。
【0542】 ヒトPAK4クローンR88460は当初、質問としてヒトPAK遺伝子(GB:U24152)を用い
てESTデータベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用する
ことにより同定された。2332 bpのインサートの配列解析により、ヒトPAK遺伝子
産物に関連する新規ヒトSTKのC末端をコードしうる930 bp ORF(310アミノ酸)
を同定した。
【0543】 cDNAクローンSNB2#1はR88460に由来するプローブを使用して、ヒト神経膠芽細
胞腫細胞系SNB75 cDNAから単離された。SNB2#1は3604 bpのインサートおよび204 3 bpのORF(681アミノ酸)を含む。
【0544】 全長のヒトPAK4 cDNA(配列番号:27)は3604 bp長であり、142 bpの5' UTR (1-142)および1419 bpの3' UTRに隣接する2043 bpのORF (143-2185)からなり、2 2塩基のポリアデニル化領域が続く。潜在的なポリアデニル化シグナル(AATAAA)
は3582-3588位に見られる。最初のATGに隣接した配列は開始メチオニンに対する
コザック(Kozak)のコンセンサスに合致し、ヒトPAK4に対する翻訳開始部位であ
ると考えられる。
【0545】 PAK4遺伝子の3' UTRはクローンSNB#1およびR88460にそれぞれ32回および23回
見られる多数の反復をもとにして増幅がおこりやすいGTの2塩基繰返し配列を含
む。いくつかの神経学的病気はPAK4配列に見られるそうしたものに類似する2な
いし3塩基の反復配列の増幅と関連があり、PAK4は疾病の標的であり得、3' UTR のこうした繰り返しが診断マーカーとして使用され得ることを示唆している。
【0546】 複数のEST断片(AA535791)がヒトPAK4遺伝子の3'末端に合致するが、出願時に
は本研究者らはその5'末端に合致するものはGenbankにもESTデータベースにもな
いと考えている。
【0547】PAK5のcDNAクローニングおよび特徴 全長のヒトPAK5 cDNA配列は二つの重複クローンH450#1-1およびSNB8#5から構
成される。
【0548】 ヒトPAK5クローンR18825は当初、質問としてヒトPAK4遺伝子を用いてESTデー
タベースのスミスーウォーターマン(Smith-Waterman)検索を使用することにより
同定された。1248 bpのインサートの配列解析により、ヒトPAK4遺伝子産物に関
連する新規ヒトSTKのC末端をコードしうる420 bp ORF(140アミノ酸)を同定し
た。
【0549】 cDNAクローンSNB8#5はR18825に由来するプローブを使用して、SNB75 cDNAライ
ブラリーから単離された。SNB2#1は2028 bpのインサートと1194 bpのORF(398ア
ミノ酸)を含む。
【0550】 部分ヒトPAK5 cDNA(配列番号:28)は2028 bp長であり、833 bpの3' UTR(1 192-2028)に隣接する1194 bpのORF (2-1195)からなり、22塩基のポリアデニル化
領域が続く。潜在的なポリアデニル化シグナル(AATTAAA)は2004-2010位に見られ
る。コード領域はこの配列の5'側全体にわたっているので、これは明らかにN末
端開始メチオニンを欠いた部分的cDNAクローンである。
【0551】 クローンH460#1-1は上記の部分的SNB2#1cDNAクローンに由来するプローブを使
用して、ヒト肺H460 cDNAライブラリーから単離された。2526 bpインサートの配
列解析により全長PAK5をコードしうる1773 bpのORF(592アミノ酸)を同定した
【0552】 ヒトPAK5 cDNA(配列番号102)は2,806 bp長であり、201 bpの5' UTRと833 bp
の3' UTRに隣接する1,773 bpのORFからなる。最初のATGに隣接した配列は開始メ
チオニンに対するコザック(Kozak)のコンセンサス(コザック(Kozak, M)、Nucle ic Acids Res. 15、8125-8148 (1987))に合致し、PAK5の翻訳開始部位であると
考えられる。
【0553】 PAK5は最近のデータベース登録であるAF005046に2795 bpにわたって99%の配列
同一性を示す。これらの配列は同一遺伝子由来でわずかな多型性があると推測さ
れる。
【0554】実施例2:哺乳動物STE20-関連プロテインキナーゼの発現解析 材料と方法 ノーザンブロット解析 ノーザンブロットは60のヒト腫瘍細胞株(HOP-92、EKVX、NCI-H23、NCI-H226
、NCI-H322M、NCI-H460、NCI-H522、A549、HOP-62、OVCAR-3、OVCAR-4、OVCAR-5 、OVCAR-8、IGROV1、SK-OV-3、SNB-19、SNB-75、U251、SF-268、SF-295、SF-539 、CCRF-CEM、K-562、MOLT-4、HL-60、RPMI 8226、SR、DU-145、PC-3、HT-29、HC C-2998、HCT-116、SW620、Colo205、HTC15、KM-12、UO-31、SN12C、A498、CaKi1 、RXF-393、ACHN、786-0、TK-10、LOX IMVI、Malme-3M、SK-MEL-2、SK-MEL-5、S K-MEL-28、UACC-62、UACC-257、M14、MCF-7、MCF-7/ADR RES、Hs578T、MDA-MB-2 31、MDA-MB-435、MDA-N、BT-549、T47D)、22のヒト成人組織(胸腺、肺、十二
指腸、結腸、睾丸、脳、小脳、大脳皮質、唾液腺、肝臓、膵臓、腎臓、脾臓、胃
、子宮、前立腺、骨格筋、胎盤、乳腺、膀胱、リンパ腺、脂肪組織)、および2
つのヒト胎児正常組織(胎児肝臓、胎児脳)から分離された10gの全RNAを、変
性ホルムアルデヒド1.2% アガロースゲル上で泳動し、ナイロン膜に転写するこ
とにより調製された。
【0555】 フィルターに対して、いくつかのSTE-20関連キナーゼ遺伝子のインサートから
合成されたランダムプライム[α-32P]dCTP-標識プローブを用いてハイブリダイ
ゼーションを行った。ハイブリダイゼーションは6X SSC、0.1% SDS、1Xデンハル
ト(Denhart)溶液、100 μg/mlの変性ニシン精子DNAを含む溶液中で、1-2 x 106 cpm/mlの32P-標識したDNAプローブとともに42℃で一晩行われた。フィルターは0 .1X SSC / 0.1% SDS中65℃で洗浄され、Molecular Dynamics 社製ホスホイメー
ジャーに露出された。
【0556】定量的PCR解析 RNAは種々の正常ヒト組織および細胞株から単離した。各RNAの一本鎖cDNAはス
ーパースクリプトプレアンプリフィケーションシステム(GibcoBRL)を使用して
上述のように合成された。これらの一本鎖の鋳型をその後各クローンに特異的な
プライマーを用いて、25サイクルのPCR反応に使用した。反応産物は2%アガロー
スゲルで電気泳動され、エチジウムブロミドで染色され、UV光ボックス上で写真
が撮影された。STK特異的バンドの比強度は各検体に対して概算された。
【0557】DNAアレイをもとにした発現解析 プラスミドDNAアレイブロットは、各STE20-関連キナーゼに対し0.5μgの変性
プラスミドをナイロン膜にローディングすることにより調製された。[α-32P]dC TP-標識一本鎖DNAプローブをいくつかのヒト免疫組織材料または腫瘍細胞(胸腺
、デンドロサイト、肥満細胞、単球、B細胞(初代、Jukat、RPMI8226、SR)、
T細胞(CD8/CD4+、TH1、TH2、CEM、MOLT4)、K562(巨核球)から単離された全
RNAから合成した。ハイブリダイゼーションを6X SSC、0.1% SDS、1Xデンハルト( Denhart)溶液、100 μg/mlの変性ニシン精子DNAを含む溶液中で、106 cpm/mlの3 2 P-標識した一本鎖プローブとともに42℃で16時間行った。フィルターを0.1X SS C / 0.1% SDS中65℃で洗浄され、Molecular Dynamics 社製ホスホイメージャー
に露出した。
【0558】結果 正常組織および腫瘍細胞株でのSTE20関連遺伝子転写産物の分布 ZC1、ZC2、ZC3 RNAの発現は複数のヒト正常組織、培養された初代表皮および
内皮細胞、腫瘍細胞株からの定量的PCRにより解析された。結果は表1および表
2に、0(検出不可)から23(大変強い)の範囲の比較発現値でまとめられてい
る。「x」は試験が行われなかった検体を意味する。ZC1、ZC2、ZC3はほとんど
の正常ヒト組織で、非常に低いレベルですべて発現していたが、ZC1とZC2は培養
された上皮細胞でより多量であり、ZC3は正常腎臓および乳房組織でより多量で
あった。
【0559】 これら3つの遺伝子の発現はまた、多様な腫瘍種の抽出を代表するヒト腫瘍細
胞株のパネルにおいて試験された(表2)。ZC1とZC2ではほとんどのメラノーマ
と目腫瘍由来の細胞株、および一部の非小細胞肺癌および結腸腫瘍由来の細胞株
で強い発現を示した。ZC3の発現はほとんどの乳癌および白血病での高度の発現
を除き、腫瘍細胞株では一貫してより軽度であった。正常組織に対して腫瘍細胞
で高度にZC1、ZC2、ZC3の過剰発現が認められることは、腫瘍学での薬剤開発に
対して魅力的な標的を提供することになると考えられる。
【0560】 すべての新規STE-20関連キナーゼは、各遺伝子をコードするプラスミドを含む
DNAアレイブロットに対してのハイブリダイゼーションを行うことにより、ヒト
免疫組織 / 細胞のパネルで試験された。STLK2はすべての14の免疫検体で広く発
現していたが、一方STLK4およびPAK4では6-7の検体の一群で高度に発現していた
(表3)。いくつかの他のキナーゼ(SULU3、ZC4、KHS2)ではより限定的な発現
であって、一方他のキナーゼは単一の腫瘍材料でのみ発現しており(STLK3では
胸腺、ZC1ではデンドロサイト、ZC3では単球、PAK5では肥満細胞とMOLT4)、い
くつかのさらに他のキナーゼでは試験が行われたすべての免疫材料で発現してい
なかった(GEK2、SULU1、ZC2、STLK5)。こうした発現パターンは同じサブファ
ミリーの構成物間では極めて明瞭であった。この解析ではこれらキナーゼの一部
が種々の免疫異常に対して標的の候補となりうること、またより広く発現する一
部のものではほとんどの増殖している細胞の基礎生物学に欠くことのできない機
能を仲介しうることを示唆している。
【0561】
【表1】 正常ヒト組織および細胞におけるZC1、ZC2、ZC3の発現
【表2】 腫瘍細胞株におけるZC1、ZC2、ZC3の発現
【表3】 ヒト免疫パネルでのSTE20関連キナーゼの発現
【表】 ノーザンのデータからの転写産物の大きさ
【0562】 STLK2は広範囲に発現する。最も高い発現レベルは胎盤、脾臓、PBLで見られる
【0563】 STLK4も、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前
立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸、及び末梢血を含む正常組織において広範囲に発
現する。
【0564】 ZC1は次のヒト癌細胞系で強く発現する。HOP-92、EKVX、NCI-H23、NCI-H226、
NCR-H322M、NCI-H522、A549、HOP-92 (肺);OVCAR-3 OVCAR-4、OVCAR-5(卵巣)
;SNB-19、U251、SF-266、SF-295、SF-539 (CNS);K-562、RPMI-8226(白血病);
DU-145、PC-3 (前立腺)、HT-29、HCC-2998、HCT-116、SW620、COLO-205、HCT-15 、KM-12(結腸)UO-31、CAKi-1、RXF-393、786-0、TK-10(腎臓);LOXIMVI、Malm e-3M、SK-MEL-2、SK-MEL-28、UACC-62、UACC-257、M14(メラノーマ)、及びMCF-7 、MCF-7 / ADR、HIS 578T、MDA-MB-231、MDA-MB-431、MDA-N、BT-549、T-47D(
乳房)。
【0565】 ZC2は脳及び精巣で発現する。ZC2は次のヒト癌細胞系で強く過剰発現する:TK -10(腎臓)、SK-MEL-28、UACC-62(メラノーマ);T47D(乳房)。
【0566】 中程度の発現はHOP92(肺);OVCAR4、IGROV1(卵巣);DNB75、U251(脳);
K-562(白血病);及びCOLO205(結腸)で見られる。
【0567】 SULU1は次のヒト癌細胞系で過剰発現する:HOP-92、EKVX、NCI-H23、NCI-H226 、NCI-H322M、NCI-H522、A549、HOP-62(肺);OVCAR-3、 OVCAR-4、OVCAR-5、
SK-OV-3(卵巣);SNB-19、U251、SF-268、SF-295、SF-539(CNS)、K-562、RPM I-8226(白血病);DU-145、PC-3(前立腺);HT-29、HCC-2998、HCT-116、SW62 0、COLO-205、HCT-15、KM-12(結腸);UO-31、CAKi-1、RXF-393、786-0、TK-10 (腎臓);LOX、IMVI、Malme-3M、SK-MEL-2、SK-MEL-2B、UACC-62、UACC-257、M 14(メラノーマ);MCF-7、MCF-7 / ADR、HIS 578T、MDA-MB-231、MDA-MB-431、
MDA-N、BT-549、T-47D(乳房)。
【0568】 SULU3はRNAの正常組織パネルにおいて幅広い発現のパターンを示した。
【0569】 GEK2は脾臓、胸腺、精巣において発現していた。細胞系RBL-2H3及びH411にお
いて発現が強かった。
【0570】 PAK4は、脳、精巣、及び前立腺の正常細胞及び、HNC1-H23(肺);OVCAR-3(
卵巣)、SNB-19、U251(CNS)、RPMI-8226(白血病)、DU-145(前立腺)、COLO -205、HCT-15(結腸)のヒト癌細胞系において発現していた。
【0571】 PAK5は脳、精巣、膀胱、結腸、副腎随質、脾臓、胎児肝臓、乳房、大脳皮質、
小脳、胸腺、唾液腺、肺、胃、十二指腸、子宮、前立腺、骨格筋及び胎盤の正常
組織において弱い発現を示した。PAK5はヒト癌細胞系HOP-92、EKVX、NCI-H23、N CI-H226、NCI-H322M、NCI-H522、A549、HOP-62(肺)、OVCAR-3、 OVCAR-4、OVC AR-5、SK-OV-3(卵巣)、SNB-19、U251、SF-268、SF-295、SF-539(CNS)、K-56 2、RPMI-8226(白血病)、DU-145、PC-3(前立腺)、HT-29、HCC-2998、HCT-116 、SW620、COLO-205、HCT-15、KM-12 (結腸)、UO-31、CAKi-1、RXF-393、786-0 、TK-10(腎臓)、LOXIMVI、Malme-3M、SK-MEL-2、SK-MEL-28、UACC-62、UACC-2 57、M14(メラノーマ)、MCF-7、MCF-7 / ADR、HIS578T、MDA-MB-231、MDA-MB-4 31、MDA-N、BT-549、T-47D(乳房)において過剰発現していた。
【0572】実施例3:STE20関連プロテインキナーゼ遺伝子発現ベクターの構築 材料及び方法 発現ベクターの構築 a)pCDNA発現ベクターの全長クローン、 b)GST発現カセットのC末端に融合し
た新規なSTE20関連キナーゼの触媒ドメインを含むGST融合構築物、及びc)キナー
ゼドメイン内の推定ATP結合部位でのLysからAla(KからA)への変異を含む、pCN DAベクターに挿入された全長クローン、を含む幾つかのヒトSTE20-関連cDNAの幾
つかの発現構築物を産出した。
【0573】 STE20-関連キナーゼの「KからAへの」変異は、ドミナント・ネガティブ構築物
として機能する可能性があり、これらの新規なSTKの機能を示唆するために利用
されうる。
【0574】結果 ZC1、ZC2、ZC3、 SULU1、SULU3、PAK4及びPAK5の構築物を作製した。
【0575】 全長キナーゼ不活性及びラベルした型を含む、様々なSTE20サブファミリーキ
ナーゼの多くの別の構築物を産出した。さらに、これらのユニークなドメイン構
造に基づき特異的な使用のために次の三つの構築物を設計した。
【0576】 構築物1:SULU1-コイルドコイル2 ベルター:pGEX-4T インサート:コイルドコイル2 配列:アミノ酸752-898 目的:ファージディスプレイ 結果:CEK2CC1と相互作用
【0577】 構築物2:SULU3-コイルドコイル2 ベルター:pGEX4T インサート:GST融合コイル化コイル2 インサートの配列範囲:アミノ酸配列802-898 目的:ファージディスプレイ 結果:ヒトSLKのコイルドコイルド領域と相互作用
【0578】 構築物3:陰性PAK5ドメイン ベルター:pCAN5 インサート:次の変異を含むヒトPAK5の全長コード配列:K350、351A(350位及
び351位のアミノ酸のLysがAlaに変化) 目的:細胞増殖及び形質転換におけるヒトPAK5キナーゼ活性の役割を決定するた
め。 結果:Ras形質転換と相互作用
【0579】実施例4:STE20関連プロテインキナーゼ特異的免疫試薬の作製 材料及び方法 ヒトSTE20関連プロテインキナーゼに対応するKLHまたはMAP接合合成ペプチド
に対する特異的免疫試薬をウサギで調製した。C末端ペプチドをグルタールアル
デヒドでKLHに接合し、C末端のない状態とした。内部ペプチドはブロックしたN
末端にMAP接合した。個々の新規なSTKの細胞質ドメインを含む細菌発現GST融合
タンパク質をウサギに免疫し、また別の免疫試薬を作製することもできる。
【0580】 内因性のソースの試験に先立ち、組換えタンパク質への反応性及び選択性をま
ず様々な免疫血清で調べる。
【0581】ウェスタンブロット SDS-PGE中のタンパク質をイモビロン膜へ移動させた。洗浄バッファーはPBST
(pH7.4の標準リン酸緩衝生理食塩水、及び0.1%トリトン X 100)である。ブロ
ッキング及び抗体インキュベーションバッファーはPBST及び5%牛乳。抗体の希釈
は1:1000から1:2000の間で変化させた。
【0582】結果 三つのSULU1抗血清(539A及び540Aの両方に対して)及び、二つのSULU3抗血清
(542A)が、ペプチド抗原に特異的に反応した。抗血清結合はペプチドに競合で
きた。エピトープでラベルしたSULU1及びSULU3遺伝子を移入した細胞からの抽出
物を用いた実験が行われている。
【0583】 PAK4のC末端ペプチド554Aへの抗血清は精製Gst-PAK4と反応し、組織培養細胞
から正しい分子量のタンパク質を検出した。天然のタンパク質との反応性を測定
するために特異的免疫沈降の実験を行っている。
【0584】 同様の免疫化及び抗血清試験の実験が他の新規なSTE20-キナーゼの個々につい
て行われている。
【表】 STE20関連プロテインキナーゼペプチド免疫原及びウェスタンブロット
または免疫沈降による内因性タンパク質認識におけるそれらの特異性 ND=未実施。
【0585】
【表】 STE20関連プロテインキナーゼGST融合タンパク質免疫原及びウェスタン
ブロットまたは免疫沈降による内因性タンパク質認識におけるそれらの特異性 ND=未実施。
【0586】 50キロダルトンのSTLK2タンパク質は、Jurkat、pGL10、Ramos、A20、WEHI-231 、K562、HELを含む幾つかの造血細胞系、及びC57 / BL6マウスから新たに単離し
た胸腺細胞で強く発現した。STLK2の高レベルの発現はCalu6、Colo205、LS180、
MDAM231及びA549を含む幾つかの腫瘍細胞系でも検出された。
【0587】 160キロダルトンのZC1タンパク質は、Jurkat T細胞、Colo205、HCT116、RIE-1 、293T、MDAMB231及びSK-MEL28で検出された。
【0588】 170キロダルトンのZC2タンパク質は、SK-Me128及びUACC-62で検出された。
【0589】 64キロダルトンのPAK5タンパク質のレベルの増加を乳癌細胞系MDA-231及びMCF -7、及び肺癌細胞系A549で確認した。
【0590】実施例5:STE20関連プロテインキナーゼの組換え発現及びバイオアッセイ法 材料及び方法 哺乳類細胞でのSTE20関連キナーゼの一過性発現 STE20関連キナーゼの構築物を含むpcDNA発現プラスミド(10 μg DNA / 100 m mプレート)をリポフェクタミン(Gibco BRL)で293細胞に導入した。72時間後
、細胞を0.5mLの可溶化バッファー(20 mM HEPES、pH 7.35、150 mM NaCl、10%
グリセロール、1%トリトンX-100、1.5 mM MgCl2、1 mM EGTA、2 mM フッ化フェ
ニルメチルスルホニル、1 μg / mL アプロチニン)に回収した。検体のアリコ
ートを6%アクリルアミド/0.5% ビス-アクリルアミドゲルでSDSポリアクリルア
ミドゲル電気泳動にて分析し、電気泳動でニトロセルロースに移動させた。非特
異的結合はBlotto(5%w/v脱脂扮乳及び0.2%v/vノニデットp40(Sigma)を含む
リン酸緩衝生理食塩水)にブロットを前もってインキュベートしてブロックし、
組換えタンパク質を、種々の抗ペプチド又は抗-GST-融合特異的抗血清で検出し
た。
【0591】インビトロキナーゼアッセイ 法 STE20関連キナーゼ発現構築物の移入の3日後、293細胞を含む10cmプレートをP BSで洗浄し、ホスファターゼ阻害剤(10 mM NaHPO4、pH7.25、150mM NaCl、1%ト
リトン X-100、0.5%デオキシコレート、0.1% SDS、0.2% アジ化ナトリウム、1mM NaF、1 mM EGTA、4 mM オルトロバナジン塩酸ナトリウム、1%アプロチニン、5 μg/mLロイペプチン)を含む2mLのPBSTDSで氷上にて可溶化した。細胞破片を遠
心分離(12000 x g、15分間、4℃)して除去し、溶解液を1:1プロテインAセフ
ァロースのスラリー50μlに2回続けて、それぞれ1時間インキュベーションし置
換した。0.5mlの洗浄した上澄を、10μLのプロテインA精製キナーゼ特異的抗血
清(GST融合タンパク質または抗ペプチド抗血清から産出)と50μLの1:1プロテ
インAセファロースのスラリーと2時間、4℃で反応させた。その後ビーズをPBSTD Sで2回洗浄し、HNTG(20 mM HEPES、pH 7.5 / 150 mM NaCl、0.1% Triton X-100 、10% グリセロール)で2回洗浄した。
【0592】 セファロースビーズ上の免疫精製したキナーゼを30mM MgCl2、10mM MnCl2、及
び20 μCi [α32P] ATP(3000 Ci / mmol)を含む20μLのHNTGに再懸濁した。キ
ナーゼの反応を常温で30分行い、50 mM EDTA補充HNTGを添加して停止させた。該
検体をHNTG中で6回洗浄し、SDSサンプルバッファー内で5分間沸騰させ、6% SDS- PAGEで分析し、オートラジオグラフィーに付した。ホスホアミノ酸分析をSDS-PA GEゲルから切り出した32P標識したバンドに標準的な2D方法で行った。
【0593】 同様なアッセイ法を該キナーゼの細菌発現GST融合構築物に行った。
【0594】ZC1アッセイバッファー :20 mM Tris pH 7.4、200 mM NaCl、0.5 mM DTT、3 mM MgCl2、0.3 mM MnCl2、100 μM 32PγATP。 基質:0.28mg / mLのミエリンアルカリ性タンパク質(MBP)及び17 μMリン酸
化ZC1ペプチドRTVGRRNTFIGT-PPYWMAPE(太字下線残基はリン酸化の位置を示す)
【0595】 高濃度のMgCl2(3mM)では、ZC1の活性(全長及び組換えキナーゼドメインの
両方)は、外因性基質MBPよりも最大で10倍大きかった。対照的に、活性化ルー
プペプチド基質の自己リン酸化及びリン酸化は共に阻害された。Mn++はキナーゼ
ドメインの切断形態により、自己リン酸化及びペプチドリン酸化を阻害しなかっ
た。しかし、MBPリン酸化Mn++選択性活性、及び自己リン酸化Mn++選択性活性は
、ATP結合リシンの変異で排除され、このことは両者の活性がZC1キナーゼドメイ
ンに起因することを示唆する。
【0596】 SULU1アッセイバッファー:このバッファーは5mM MgCl2以外はZC1のものと同
一である。これらの状況下、他のSTE20ファミリーメンバー(PAK4、ZC1)は自己
リン酸化を阻害され、効率的な自己リン酸化反応のために[Mn]を0.3以下に減少
することが必要とされる。 基質:MBP、ホスビチン、または0.28 mg / mLのα-カゼイン。
【0597】 PAK4、PAK5アッセイバッファー:20 mM Hepes pH 7.2、130 mM KCl、10 mM Mg Cl2、1 mM NaF、20 mMベータリン酸グリセロール、0.5 mM DTT、50 μM ATP、0. 5 μCi 32PγATP。 基質:0.28 mg / mLのMBP、及びPAK5活性化ループ由来の2.5 μMペプチド基質
【0598】 STLK2アッセイバッファー:5 mM MgCl2、5 mM MnCl2、及び5 μCi 32PγATPを
含む以外は上記と同様である。
【0599】形質転換(PAK実験) 正常な形態(扁平で屈折していない細胞形態)及び低率自動形質転換を示す低
経代NIH3T3繊維細胞を用いて形質転換アッセイ法を行った。NIH3T3細胞を10%(
v/v)胎児ウシ血清、ペニシリン(100 U / mL)及びストレプトマイシン(100 U / mL)補充ダルベッコの改変イーグル培地で保持し、37℃、5% CO2の加湿イン
キュベーターで保存した。
【0600】 細胞はDNA-脂質複合体に移入した。製造者の指示どおり、リポフェクタミンを
使用し、NIH3T3細胞を移入した。全ての移入は同量のプラスミドDNA(インサー
トを含まない適切な発現ベクターからのDNAを使用し移入ごとに等量のDNAを与え
た。)で行った。PAK5の様々な対立遺伝子の量を増加させ、1μgのH-Rasの活性
対立遺伝子を共移入した。
【0601】 三週間後、細胞増殖巣(foci)を10%メタノール、10%酢酸で10分間固定して
スコア化し、10%メタノール中で10分間、0.4%(w/v)クリスタルバイオレット
で染色し、脱塩水で洗浄し、常温で乾燥させた。
【0602】移入、刺激、及びルシフェラーゼアッセイ法(ZC1実験) 960_F及び250VにセットしたGene Pulser(Bio-Rad Labs)で電気穿孔法により
細胞(107)を一過的に移入した。20〜40時間後、移入細胞(約105)を様々な刺
激で刺激した。刺激の6時間後、細胞を溶菌し、MicroLumatPlus(EG&G Berthold )を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した(J. Exp. Med. 183-611-620、1996
、これにより全ての製図、表、図を含む全体を本明細書に参照として組み入れる
)。
【0603】結果
【表】 新規なSTE-20関連プロテインキナーゼのタンパク質発現及びキナーゼ活
【0604】ZC1:キナーゼ活性の調節 ZC1は、インビトロ(TNTウサギ網状赤血球系)またはNIH3T3、293T、あるいは
HI299組織培養細胞のいずれかで発現すると、全長キナーゼとして本質的に活性
である。外因性的に発現したキナーゼはまた、癌細胞系から免疫沈降すると活性
となる。
【0605】ZC1:シグナル伝達経路 ヒト白血病T細胞系Jurkatをモデル系として使用し、二つのレポター遺伝子の
活性、RE / AP-ルシフェラーゼ、及びNFk3-ルシフェラーゼへの、共移入した野
生型ZC1の影響を調べた。RE / APはNFkβ様部位及びAP-1部位の両方を含むIL-2
遺伝子プロモーター内の複合物である。
【0606】 Jurkat T細胞の両RE / AP-ルシフェラーゼ及びNFkβ-ルシフェラーゼレポター
遺伝子の最適な活性化はT細胞レセプター及び共刺激剤レセプターCD28の両者の
刺激から産出されたシグナルを必要とする。RE / AP-ルシフェラーゼまたはNFk
β-ルシフェラーゼレポター遺伝子のいずれかを有する野生型ZC1の共移入は、抗
-T細胞レセプターモノクローナル抗体または薬理学的試薬PMA、及び近位のT細胞
レセプターを回避するイオノマイシンで共刺激すると、RE / APまたはNFkβの活
性化を引き起こす。抗-CD28モノクローナル抗体で共刺激しても活性化は見られ
ない。
【0607】 これらの結果は、野生型ZC1は過剰発現すると、CD28特異的シグナルを置換し
、RE / APまたはNFkβを活性化することを示唆している。これらの結果はZC1がC D28シグナル伝達経路に関与することを示唆している。NFkβは、前-炎症サイト
カインTNF-αシグナル伝達でもまた活性化する主経路一つであるため、ZC1はTNF -αシグナル伝達経路の構成要素である可能性がある。
【0608】PAK5:特異的ペプチド基質の設計 特異的インヒビター同定のための小分子ライブラリーのスクリーニングのため
のインビトロキナーゼアッセイ法の開発を助長するため、PAK5の特異的ペプチド
基質の検索を行った。
【0609】 活性化された小Gタンパク質の結合に於いては、PAK5は、そのキナーゼ活性の
抑制解除と、完全活性キナーゼにつながる活性化ループにおけるその後の自己リ
ン酸化につながる高次構造の変化を起すという仮説に、このようなペプチドの設
計に使われる示性は基づいている。関連ファミリーメンバーの自己リン酸化部位
は、生化学的または遺伝学的方法(例えば、Wu, C.ら、J. Biol. Chem. 270: 15 984-15992及びSzczepanowakaら、Proc Natl. Acad. Sci. 94、8503-8508、1997
)で同定されてきた。PAK5の特異的ペプチド基質は、このキナーゼの活性化ルー
プ配列から設計した。
【0610】 TPYモチーフのThr残基で自己リン酸化した活性化ループPAK5ペプチドはPAK5の
高親和性基質として機能する。
【0611】
【表】 キナーゼ基質としてのPAK5活性化ループペプチド 注:太字下線の残基はリン酸化された。
【0612】PAK5:形質転換 継代回数の少ない(low-passage)NIH3T3細胞の、PAK5の様々な対立遺伝子存
在下、または非存在下でのrasによる形質転換は、PAK5のドミナント・ネガティ
ブキナーゼ死滅対立遺伝子はNIH3T3のras形質転換を阻止できることを示した。
従って、NIH3T3細胞のras形質転換にはPAK5の活性が必要である。PAK5活性の阻
害は、癌治療の抗-増殖剤として、治療法的価値を持つ可能性がある。
【0613】PAK4及びPAK5:Cdc42との相互作用 組換え遺伝子の共移入及びキナーゼアッセイ法の検出により測定すると、 PA K4はCDC42小G-タンパク質とは相互作用するが、Rac、RhoA、Rasとは相互作用し
ない。PAK5はまたCdc42と相互作用する。Mycエピトープでラベルした小G-タンパ
ク質(rac、Cdc42、Rac、Rho)の活性対立遺伝子のコード配列は293T細胞で一過
的に発現し、HAエピトープでラベルし35S標識した様々なPAK5の対立遺伝子は、
網状赤血球(TNT)系でインビトロで発現した。
【0614】実施例6:Ste20関連プロテインキナーゼの染色体位置決定 材料及び方法 STE20プロテインキナーゼSTLK3、STLK4、ZC1、ZC2、ZC3、KHS2、SULU1、PAK4
及びPAK5をGeneBridge 4 Radiation Hybrid Panel、RHO2.05(Research Genetic s)を用いてマップした。GeneBridge 4 Panelは91のハイブリッドパネル検体、
さらに一つのヒトの陽性対照(HFL)及び一つのハムスターの陰性対照(A23)を
含む。GeneBridge 4 Panelを用いての試験及びPCR反応を行う際の標準的な反応
条件はResearch Geneticsより入手可能である。
【0615】 PCRマッピングに使用するオリゴヌクレイチド配列(全て5’から3’)は以下
の通りであった:
【0616】 陽性反応はスコアー「1」とし、陰性反応はスコアー「0」とし、あいまいな反
応はスコアー「2」とした。結果を位置解析するため、Whitehead Institute (w ww@genome.wi.mit.edu)に提出した。ZC4、SULU3、STLK2、STLK5及びSTLK6の染
色体上の定位は公表されている(例えばUnigeneから)。GEK2、及びSTLK7の染色
体上の定位は決定していない。
【表】
【0617】 下記に示すように、STE20キナーゼの多くは、様々なヒトの癌に関連した領域
にマップされた。
【0618】 該領域はまたManデータベースのメンデルの遺伝(Mendalian Inheritance)の
様々な資料にも照らし合わせて調べられており、このデータベースは癌を含む多
くのヒトの疾病の情報を探知する。ヒトの癌で発見された染色体異常とマップさ
れた位置の関連についての参考文献は、Knuntilaら、Am J Pathol、1998、152: 1107-1123に見つけることができ、これにより全ての製図、表、図を含む全体を
本明細書に参照として組み入れる。これらのマップされた領域と他の疾病との関
連はManのオンラインメンデルの遺伝(Online Mendalian Inheritance)(OMIM
)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/omim)に提供されている。
【0619】STLK2 h 、xg25-27.1 (公共) 骨肉腫、Xg25-qster、31のうち2。 X-連鎖リンパ増殖性症候群(OMIM番号308240) ヒトSTLK3、2q31.3(Sugen) 頭部及び頚部の扁平上皮癌、30のうち3。
【0620】STLK4 h 、3p22.3-p22.2 (Sugen) 皮膜細胞リンパ腫3p14-p22、27のうち1。 頭部及び頚部の扁平上皮癌、14のうち1。 心筋症(OMIM番号601154)
【0621】STLK5h 、17q23.2-24.2 (公共) 頚部癌、17q、30のうち1。 胃食道結合部腺癌異種移植片、17q、15のうち1。 乳癌、17q12-qter、16のうち1。 膀胱癌、17q22-q23、14のうち1。 乳癌、17q22-q25、101のうち8。 非小細胞肺癌、17q24-q25、50のうち6。 精巣癌、17q24-qter、11のうち2。 悪性末梢神経梢腫、17q24-qter、7のうち5。 アルツハイマー病への罹りやすさ(OMIM番号106180)
【0622】STLK6 h 、2q32.2-q33.3 (公共) 非小細胞肺癌、2q31-q32、50のうち1。 頭部及び頚部の扁平上皮癌腫、2q31-q33、30のうち3。 小細胞肺癌、2q32-q35、22のうち1。
【0623】ZC1 h 、2p11.2 (Sugen) 非小細胞肺癌、2pter-q13、10のうち1。 非小細胞肺癌、2pter-q21、10のうち1。 先天性肺胞たんぱく症(OMIM番号178640)
【0624】ZC2 h 、3q26.31-3q26.32 (Sugen) 非小細胞肺癌、3q26.1-q26.3、103のうち26。 頚部癌、3q26.1-q27、30のうち4。 小細胞肺癌、3q26.3-qter、35のうち3。 頭部及び頚部の扁平上皮癌腫、3q26.3-qter、13のうち3。 境界B細胞リンパ腫、3q26.q27、25のうち1。 骨周囲性骨肉腫、3q26-q28、1のうち1。 胃腸支質腫(gastrointestinal stromal tumor)、3q26-q29、16のうち1。 皮膜細胞リンパ腫、3q26-q29、5のうち1。
【0625】ZC3 h 、17p13.2-13.3 (Sugen) 柔軟組織悪性線維性組織球腫、17p、58のうち2。 平滑筋肉腫、17p、29のうち7。 非小細胞肺癌、17p、50のうち1。
【0626】ZC4 h 、Xq22 (公共) びまん性大細胞性リンパ腫、Xq22-ter、32のうち1。 進行性X-連鎖1聴覚消失症、(OMIM番号304700)
【0627】KHS2 h 、2p22-p22.2 (Sugen) 滑液膜肉腫、2p21-q14、67のうち1。 濾胞性リンパ腫、2p22-p24、46のうち1。 遺伝性結腸直腸癌、タイプ1非ポリポーシス、卵巣癌(MSH2、COCA1、FCC1)(OM IM番号120435)
【0628】SULU1 h 、12q24.21 (Sugen) 神経膠腫、12q22-qter、15のうち1。 胃食道結合部腺癌、12q23-qter、5のうち1。 非小細胞肺癌、12q24.1-.24.3、50のうち2。
【0629】SULU3 h 、17p11.2 (公共) 軟組織悪性線維性組織球腫、17p、58のうち2。 平滑筋肉腫、17p、29のうち7。 非小細胞肺癌、17p、50のうち1。 びまん性大細胞性リンパ腫、17p11.2、32のうち1。 骨肉種、17p11.2-p12、31のうち4。
【0630】PAK4 h 、15q14 (Sugen) 精神分裂病、(OMIM番号118511)。
【0631】PAK5 h 、19q13.2-q13.3 (Sugen) 濾胞性リンパ腫、19q13、46*のうち1。 皮膜細胞リンパ腫、19q13、5のうち1。 肝細胞癌、19q13.1、50のうち2。 小細胞肺癌、19q13.1、35のうち10。 乳癌、19q13.1-gter、33のうち1。 頚部癌、19q13.1-gter、30のうち1。 精巣癌、19q13.1-gter、11のうち1。 軟骨肉腫、19q13.2、29のうち1。 柔軟組織悪性線維性組織球腫、19q13.2-qter、58のうち2。 非小細胞肺癌、19qcen1 q13.3、104のうち6。
【0632】実施例7:サザンブロッティングによる遺伝子増幅の証明 材料及び方法 ナイロン膜をBoehringer Mannheimより購入した。変性溶液は0.4 M HaOH及び0 .6 M NaClを含む。中和溶液は0.5 M Tris-HCl、pH 7.5及び1.5 M NaClを含む。
ハイブリダイゼーション溶液は50%ホルムアミド、6X SSPE、2-5X デンハルト溶
液、0.2 mg / mL変性サケDNA、0.1 mg / mLイーストtRNA、及び0.2 %ドデシル硫
酸ナトリウムを含む。制限酵素はBoehringer Mannheimより購入した。放射性標
識したプローブは、StratageneのPrime-itキットを使用して調整した。プローブ
のテンプレートに使用したベータアクチンDNA断片はClontechより購入した。
【0633】 ゲノムDNAを20の異なる腫瘍細胞系、MCF-7、MDA-MB-231、Calu-6、A549、HCT- 15、HT-29、Colo205、LS-180、DLD-1、HCT-116、PC3、CAPAN-2、MIA-PaCa-2、PA NC-1、Aspc-1、BxPC-3、OVCAR-3、SKOV3、SW 626及びPA-1から単離し、また、ヒ
ト乳房表皮細胞及びヒト臍帯静脈内皮細胞の二つの正常細胞系からも単離した。
【0634】 それぞれのゲノムDNA検体の10μgのアリコートをEcoRI制限酵素で消化し、個
々の10μgの検体をHindIII制限酵素で消化した。制限酵素で消化したDNA検体を0 .7%アガロースゲルにロードし、電気泳動して分離させ、該DNAを標準的な方法
(Sambrook、J. et al (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory)でナイロン膜へ毛管移動させた。
【0635】PAK5アンプリコン(Amplicon) 標準的方法(上記)でハイブリダイゼーション溶液中で42℃、48時間でブロッ
トにハイブリダイズした放射性標識DNAプローブのテンプレートとして、PAK5遺
伝子の600塩基対の断片(EcoRI-SacI)を使用した。ブロットはホスホリメイジ
ャースクリーンに1日暴露し、Molecular Dynamic Storm 840ホスホリメイジャー
でスキャン、分析した。PAK5DNA断片の相対的質量及び遺伝子コピー数値を、得
られたバンド密度から計算した。ブロットはヒトベータアクチンDNA断片からコ
ピーした放射性標識プローブと再びハイブリダイズさせ、上記のように現像して
、等量をロードする検体の質量を確認した。
【0636】結果 PAK5遺伝子は、ヒト細胞系PANC-1(膵臓上皮様癌)及びOVCAR-3(卵巣腺癌)
の正常なDNAコピー数と比較して、3倍の増幅を示し、またヒト細胞系BxPC-3(原
発性膵臓腺癌)の正常なDNAコピー数の約2倍であることが判明した。
【0637】 他のSTE20キナーゼについても同様なサザン解析ができる。
【0638】実施例8:ファージディスプレイでのタンパク質-タンパク質相互作用の検出 材料及び方法 ファージディスプレイは所望のベイトの親和性に基づく分子相互作用を単離す
るための方法を供給する。融合してファージ皮膜タンパク質へクローニングした
cDNA断片は該ファージ表面上に表示される。ベイトと相互作用するファージは親
和性精製により増長し、個々のクローンからのインサートDNAを分析する。
【0639】T7ファージディスプレイライブラリー 製造者の指示に従い、全ライブラリーをT7Select1-1bベクター(Novagen)に
構築した。
【0640】ベイト表示 ベイトとして使用するタンパク質ドメインをGSTへC末端融合して産出し、大腸
菌で発現させた。ペプチドを化学合成し、長鎖スペーサービオチン試薬を用いN
末端をビオチニル化した。
【0641】選抜 PanMix及び大腸菌阻害剤の混合物(Sigma p-8465)を添加した、新たに供給し
たライブラリー(1010〜1012 pfu)のアリコートを固定したベイトに常温で1〜2 時間インキュベートした。非結合ファージを洗浄バッファーで徹底的に(少なく
とも4回)洗浄した。
【0642】 3〜4回の選抜後、結合ファージを100μLの1%SDSに溶出し、アガロースプレー
ト上に塗布し、単一プラークを得た。
【0643】インサートDNAの同定 個々のプラークを25μLの10 mMのEDTAにとり、該ファージを70℃で10分間熱し
て粉砕した。2μLの粉砕ファージを50μLのPCR反応混合液に加えた。サーマルサ
イクリング(94℃で50秒、50℃で1分、72℃で1分)を35回行いインサートDNAを
増幅した。
【0644】バッファーの組成 10X PanMix 5% トリトンX100 10%脱脂粉乳 10 mM EGTA 250 mM NaF 250 μg/mLヘパリン(Sigma) 250 μg/mL剪断煮沸サケ精子DNA(Sigma) 0.05% アジ化ナトリウム をPBS中で調製
【0645】洗浄バッファー 0.5% NP-40 25 μl g / mL ヘパリン を添加したPBS
【0646】 PCR反応混合液 1.0 mLの10 X PCRバッファー(Perkin-Elmer、15 mMのMgを含む) それぞれ0.2 mLのdNTP(150mMのストック) 0.1mLのT7UPプライマー(15 pmol / μl)GGAGCTGTCGTATTCCAGTC 0.1 mLのT7DNプライマー(15 pmol / μl)AACCCCTCAAGACCCGTTTAG EDTA補正のための0.2 mLの25 mM MgCl2、またはMgSO4 適量の蒸留水で10mLに 50μlの反応につき1ユニットのTaqポリメラーゼ
【0647】ライブラリー :T7 Select1-H441
【0648】結果
【表】 ファージディスプレイベイト及び相互作用 (1)SULU1 cclもSLKのイソ型のコイルドコイルドメインのより小さな範囲に相
互作用した。
【0649】 ファージディスプレイのデータはSULU3とSLK及びSULU1とGEK2とのコイルドコ
イルドメインを通しての相互作用の可能性を示唆する。従って、STE20キナーゼ
のSULUサブファミリーの二つのメンバーはプロトタイプがSLKである別のSTE20フ
ァミリーの二つのメンバーと相互作用する。
【0650】 これらの結果は相互作用における特異性を示し、これらのSTE20キナーゼはホ
モまたはヘテロ二量体化を通してお互いに相互作用する可能性を暗示する。また
、SULU関連キナーゼは、シグナル伝達カスケードにおいてSLK関連キナーゼの上
流または下流に直ちに作用する可能性がある。
【0651】 当業者は、本発明が本目的を実行し、記述し、本明細書に固有の目的及び利点
を得ることによく適応していることを容易に理解すると思われる。本明細書に記
載の分子複合体、方法、手順、処理、分子、および特異的化合物は典型的な好ま
しい態様の当面の典型であり、本発明の範囲を制限することを意図するものでは
ない。ここでの変更や別の用途は当業者には想起されるであろうし、それらは特
許請求の範囲により定義される本発明の精神の範囲に含まれる。
【0652】 本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示された発明に様
々な置換及び変更がなされることは当業者には容易に明らかであると思われる。
【0653】 本明細書に記された全ての特許及び出版物は、本発明が属する技術分野の技術
者のレベルを示すものである。
【0654】 本明細書に適切に実例的に記載された本発明は、本明細書に具体的には開示さ
れていない一つもしくは複数の要素の非存在下、または一つもしくは複数の限定
の非存在下で実施される可能性がある。従って、例えばこの中の個々の例におけ
る「含む」、「実質的に成る」及び「から成る」という用語はいずれも、お互い
に他の二つの用語に置き換えることができる。使用してきた用語及び表現は説明
の用語として用いられ、限定の用語としては用いたものではなく、このような用
語や表現において、示され、記載された特徴の同義語またはそれらの一部の除外
を意図せず、しかし、請求された本発明の範囲内での様々な変更が可能であるこ
とが認識される。
【0655】 特に、ここに記載の公式(formulation)は、公式に加えられた賦形剤により
同定されるが、本発明は、これらの賦形剤の組み合わせにより形成された最終的
な公式もまた含むことが意図される。特に、本発明は添加された賦形剤の一つま
たは全てが公式間の反応を起させ、また最後の公式には存在しない、または変更
された形態に存在する公式も含む。
【0656】 さらに、本発明の特徴または局面がMarkushグループによって記載されるとこ
ろでは、当業者はMarkushグループの個々のメンバーまたはメンバーのサブグル
ープによって記載されることも認識すると思われる。例えば、Xが臭素、塩素、
ヨウ素から成る群より選択させるものと記載されれば、Xが臭素である請求項、
及びXが塩素及びヨウ素である請求項が完全に記載される。
【0657】 その他の様態は特許請求の範囲内である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、STE20-STE20ファミリーキナーゼのアミノ酸配列の複数の
配列アラインメントを示す。
【図2】 図2は、STE20-STLK5ファミリーキナーゼのアミノ酸配列の複数の
配列アラインメントを示す。
【図3】 図3A及び3Bは、STE20-ZCファミリーキナーゼのアミノ酸配列の複
数の配列アラインメントを示す。
【図4】 図4は、STE20-KHSファミリーキナーゼのペア様式の配列を示す。
【図5】 図5は、STE20-SULUファミリーキナーゼのアミノ酸配列の複数の
配列アラインメントを示す。
【図6】 図6は、STE20-GEKファミリーキナーゼのペア様式の配列を示す。
【図7】 図7は、STE20-PAKファミリーキナーゼのアミノ酸配列の複数の配
列アラインメントを示す。
【図8】 図8A、8B、8C、8D、及び8Eは、ヒトSTLK2、ヒトSTLK3、ヒトSTLK 4、ヒトSTLK5、ヒトZC1、ヒトZC2、ヒトZC3、ヒトZC4、ヒトKHS2、ヒトSULU1、
ヒトSULU3、マウスSULU3、ヒトGEK2、ヒトPAK4、及びヒトPAK5のアミノ酸配列を
示す。
【図9】 図9A、9B、9C、9D、9E、9F、9G、9H、9I、9J、9K、9L、9M、9N、
9O、及び9Pは、ヒトSTLK2、ヒトSTLK3、ヒトSTLK4、ヒトSTLK5、ヒトZC1、ヒトZ C2、ヒトZC3、ヒトZC4、ヒトKHS2、ヒトSULU1、ヒトSULU3、マウスSULU3、ヒトG EK2、ヒトPAK4、及びヒトPAK5の核酸配列を示す。
【図10】 図10A及び10Bは、ヒトの完全長STLK6(配列番号:99)及びヒ
トSTLK7(配列番号:101)の部分的なアミノ酸配列、ならびにヒトSTLK5(配列
番号:97)、ヒトPAK5(配列番号:103)、及びヒトZC4(配列番号:105)の完
全長のアミノ酸配列を示す。
【図11】 図11A、11B、11C、及び11Dは、ヒトSTLK6(配列番号:98)及
びヒトSTLK7(配列番号:100)の部分的な核酸配列、ならびにヒトSTLK5(配列
番号:96)、ヒトPAK5(配列番号:102)、及びヒトZC4(配列番号:104)の完
全長の核酸配列を示す。
【図12】 図12は、ヒトSPAK、ヒトSTLK6、ヒトSTLK7及び完全長のヒトST LK5の複数の配列アラインメントを示す。
【図13】 図13は、ヒトPAK1、ヒトPAK4及びヒトPAK5の複数の配列アライ
ンメントを示す。
【図14】 図14A及び14Bは、ヒトZC1及びヒトZC4の間のペア様式の配列を
示す。
【図15】 図15は、LOK1と完全長のGEK2との間のペア様式の配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/00 A61P 37/00 4H045 35/00 C07K 16/40 37/00 C12N 1/15 C07K 16/40 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/12 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA 9/12 A61K 37/64 C12Q 1/68 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (71)出願人 230 East Grand Avenu e,South San Francis co,California 94080,U nited States of Ame rica (72)発明者 ホイット デイビッド アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ベル モント バークレー ウェイ 2623 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA10 CA04 DA02 DA12 FA02 GA14 HA01 4B050 CC03 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QQ27 QR32 QR55 QR62 QS34 4B065 AA90X AA93Y AB01 BA02 CA29 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 BA01 DC01 DC32 NA14 ZA011 ZA151 ZA361 ZA811 ZB071 ZB261 4H045 AA10 BA10 CA40 DA01 EA22 EA23 EA28 EA50 FA74

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC 3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択され
    るキナーゼポリペプチドをコードする単離、濃縮、または精製された核酸分子。
  2. 【請求項2】 以下の(a)〜(i)であるヌクレオチド配列を含む、請求項1記
    載の核酸分子: (a)配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:1 4、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24
    、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101
    、配列番号:103、または配列番号:107に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドをコードする; (b)(a)のヌクレオチド配列の相補体である; (c)(a)のヌクレオチド分子と非常にストリンジェントな条件でハイブリダイ
    ズし、且つ天然に存在するキナーゼポリペプチドをコードする; (d)以下のアミノ酸残基の部分:配列番号:5の1〜21位、22〜274位、もしく
    は275〜416位、配列番号:6の1〜31位、32〜308位、309〜489位、もしくは490 〜516位、配列番号:7の1〜178位、もしくは179〜414位、配列番号:13の1〜
    22位、23〜289位、290〜526位、527〜640位、641〜896位、もしくは897〜1239位
    、配列番号:14の1〜255位、256〜442位、443〜626位、627〜954位、もしくは9 55〜1297位、配列番号:15の1〜255位、256〜476位、477〜680位、681〜983位
    、もしくは984〜1326位、配列番号:18の1〜13位、14〜273位、274〜346位、34 7〜534位、もしくは535〜894位、配列番号:22の1〜21位、22〜277位、278〜42 7位、428〜637位、638〜751位、もしくは752〜898位、配列番号:23の1〜66位
    、67〜215位、216〜425位、426〜539位、540〜786位、もしくは787〜887位、配
    列番号:24の1〜25位、26〜273位、274〜422位、423〜632位、もしくは633〜74 8位、配列番号:29の1〜51位、52〜224位、225〜393位、394〜658位、もしくは
    659〜681位、配列番号:31の1〜25位、26〜281位、282〜430位、431〜640位、6 41〜754位、755〜901位、もしくは902〜1001位、配列番号:97の1〜10位、11〜
    321位、もしくは322〜373位、配列番号:99の1〜57位、58〜369位、もしくは37 0〜418位、配列番号:103の1〜52位、53〜173位、174〜307位、308〜572位、も
    しくは573〜591位、または配列番号:107の1〜33位、34〜294位、295〜337位、
    338〜472位、473〜724位、もしくは725〜968位、を全てではないが1つまたはそ
    れ以上欠損する場合を除き、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列
    番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番
    号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号
    :99、配列番号:103、または配列番号:107に記載のアミノ酸配列を有するキナ
    ーゼポリペプチドをコードする; (e)(d)のヌクレオチド配列の相補体である; (f)配列番号:5の1〜21位、22〜274位、もしくは275〜416位、配列番号:6
    の1〜31位、32〜308位、309〜489位、もしくは490〜516位、配列番号:7の1
    〜178位、もしくは179〜414位、配列番号:13の23〜289位、290〜526位、527〜6 40位、641〜896位、もしくは897〜1239位、配列番号:14の1〜255位、256〜442 位、443〜626位、627〜954位、もしくは955〜1297位、配列番号:15の1〜255位
    、256〜476位、477〜680位、681〜983位、もしくは984〜1326位、配列番号:18
    の1〜13位、14〜273位、274〜346位、347〜534位、もしくは535〜894位、配列
    番号:22の1〜21位、22〜277位、278〜427位、428〜637位、638〜751位、もし
    くは752〜898位、配列番号:23の1〜66位、67〜215位、216〜425位、426〜539
    位、540〜786位、もしくは787〜887位、配列番号:24の1〜25位、26〜273位、2 74〜422位、423〜632位、もしくは633〜748位、配列番号:29の1〜51位、52〜2 24位、225〜393位、394〜658位、もしくは659〜681位、配列番号:31の1〜25位
    、26〜281位、282〜430位、431〜640位、641〜754位、755〜901位、もしくは902 〜1001位、配列番号:97の1〜10位、11〜321位、もしくは322〜373位、配列番
    号:99の1〜57位、58〜369位、もしくは370〜418位、配列番号:103の1〜52位
    、53〜173位、174〜307位、308〜572位、もしくは573〜591位、または配列番号
    :107の34〜294位、295〜337位、338〜472位、473〜724位、もしくは725〜968位
    、のアミノ酸残基から、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号
    :13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:
    23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99 、配列番号:103、または配列番号:107に記載のアミノ酸配列を有するポリペプ
    チドをコードする; (g)(f)のヌクレオチド配列の相補体である; (h)C末端ドメイン、触媒ドメイン、N末端ドメイン、スペーサー領域、プロリ
    ンリッチ領域、高次コイル構造領域、およびC末端テールからなる群より選択さ
    れるドメインを、全てではないが1つもしくはそれ以上欠損する場合を除き、配
    列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列
    番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番
    号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番
    号:103、もしくは配列番号:107に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコ
    ードする;または (i)(h)のヌクレオチド配列の相補体である。
  3. 【請求項3】 宿主細胞において転写を開始するために有効なベクターまた
    はプロモーターをさらに含む、請求項1記載の核酸分子。
  4. 【請求項4】 哺乳類から単離、濃縮、または精製された、請求項1記載の
    核酸分子。
  5. 【請求項5】 上記哺乳類がヒトである、請求項4記載の核酸分子。
  6. 【請求項6】 上記ポリペプチドがSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、S TLK7、ZC1、ZC2、ZC3、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる
    群より選択される、試料中のキナーゼポリペプチドをコードする核酸を検出する
    ための核酸プローブ。
  7. 【請求項7】 上記ポリペプチドが配列番号:5、配列番号:6、配列番号
    :7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:
    22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97 、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、または配列番号:107に記載
    のアミノ酸配列によってコードされる蛋白質の断片である、請求項6記載のプロ
    ーブ。
  8. 【請求項8】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC 3、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択される、
    キナーゼポリペプチドをコードする核酸分子を含む組換え型細胞。
  9. 【請求項9】 上記ポリペプチドが、配列番号:5、配列番号:6、配列番
    号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号
    :22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:
    97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103、または配列番号:107に記
    載のアミノ酸配列によってコードされる蛋白質の断片である、請求項8記載の細
    胞。
  10. 【請求項10】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、
    ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択さ
    れる、単離、濃縮、または精製されたキナーゼポリペプチド。
  11. 【請求項11】 配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:
    13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23 、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、
    配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、または配列番号:107に記載の
    アミノ酸配列によってコードされる蛋白質の断片である、請求項10記載のポリペ
    プチド。
  12. 【請求項12】 以下の(a)〜(d)を含む、請求項10記載のポリペプチド: (a)配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:1 4、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24
    、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101
    、配列番号:103、配列番号:105、または配列番号:107に記載のアミノ酸配列
    ; (b)以下のアミノ酸残基の部分:配列番号:5の1〜21位、22〜274位、もしく
    は275〜416位、配列番号:6の1〜31位、32〜308位、309〜489位、もしくは490 〜516位、配列番号:7の1〜178位、もしくは179〜414位、配列番号:13の1〜
    22位、23〜289位、290〜526位、527〜640位、641〜896位、もしくは897〜1239位
    、配列番号:14の1〜255位、256〜442位、443〜626位、627〜954位、もしくは9 55〜1297位、配列番号:15の1〜255位、256〜476位、477〜680位、681〜983位
    、もしくは984〜1326位、配列番号:18の1〜13位、14〜273位、274〜346位、34 7〜534位、もしくは535〜894位、配列番号:22の1〜21位、22〜277位、278〜42 7位、428〜637位、638〜751位、もしくは752〜898位、配列番号:23の1〜66位
    、67〜215位、216〜425位、426〜539位、540〜786位、もしくは787〜887位、配
    列番号:24の1〜25位、26〜273位、274〜422位、423〜632位、もしくは633〜74 8位、配列番号:29の1〜51位、52〜224位、225〜393位、394〜658位、もしくは
    659〜681位、配列番号:31の1〜25位、26〜281位、282〜430位、431〜640位、6 41〜754位、755〜901位、もしくは902〜1001位、配列番号:97の1〜10位、11〜
    321位、もしくは322〜373位、配列番号:99の1〜57位、58〜369位、もしくは37 0〜418位、配列番号:103の1〜52位、53〜173位、174〜307位、308〜572位、も
    しくは573〜591位、配列番号:105の1〜24位、25〜289位、290〜397位、398〜6 28位、629〜668位、669〜872位、もしくは873〜1227位、または配列番号:107の
    1〜33位、34〜294位、295〜337位、338〜472位、473〜724位、もしくは725〜96 8位、を全てではないが1つまたはそれ以上欠損する場合を除き、配列番号:5
    、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、
    配列番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配
    列番号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:103、配列番号:105、ま
    たは配列番号:107に記載のアミノ酸配列; (c)配列番号:5の1〜21位、22〜274位、もしくは275〜416位、配列番号:6
    の1〜31位、32〜308位、309〜489位、もしくは490〜516位、配列番号:7の1
    〜178位、もしくは179〜414位、配列番号:13の23〜289位、290〜526位、527〜6 40位、641〜896位、もしくは897〜1239位、配列番号:14の1〜255位、256〜442 位、443〜626位、627〜954位、もしくは955〜1297位、配列番号:15の1〜255位
    、256〜476位、477〜680位、681〜983位、もしくは984〜1326位、配列番号:18
    の1〜13位、14〜273位、274〜346位、347〜534位、もしくは535〜894位、配列
    番号:22の1〜21位、22〜277位、278〜427位、428〜637位、638〜751位、もし
    くは752〜898位、配列番号:23の1〜66位、67〜215位、216〜425位、426〜539
    位、540〜786位、もしくは787〜887位、配列番号:24の1〜25位、26〜273位、2 74〜422位、423〜632位、もしくは633〜748位、配列番号:29の1〜51位、52〜2 24位、225〜393位、394〜658位、もしくは659〜681位、配列番号:31の1〜25位
    、26〜281位、282〜430位、431〜640位、641〜754位、755〜901位、もしくは902 〜1001位、配列番号:97の1〜10位、11〜321位、もしくは322〜373位、配列番
    号:99の1〜57位、58〜369位、もしくは370〜418位、配列番号:103の1〜52位
    、53〜173位、174〜307位、308〜572位、もしくは573〜591位、配列番号:105の
    1〜24位、25〜289位、290〜397位、398〜628位、629〜668位、669〜872位、も
    しくは873〜1227位、または配列番号:107の34〜294位、295〜337位、338〜472
    位、473〜724位、もしくは725〜968位、のアミノ酸残基から、配列番号:5、配
    列番号:6、配列番号:7、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列
    番号:18、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:29、配列番
    号:31、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:103、配列番号:105、もしく
    は配列番号:107に記載のアミノ酸配列;または (d)C末端ドメイン、触媒ドメイン、N末端ドメイン、スペーサー領域、プロリ
    ンリッチ領域、高次コイル構造領域、およびC末端テールからなる群より選択さ
    れるドメインを、全てではないが1つまたはそれ以上欠損する場合を除き、配列
    番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:13、配列番
    号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:22、配列番号
    :23、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:97、配列番号:
    99、配列番号:101、配列番号:103、配列番号:105、または配列番号:107に記
    載のアミノ酸配列。
  13. 【請求項13】 哺乳類から単離、精製、または濃縮された、請求項10記載
    のキナーゼポリペプチド。
  14. 【請求項14】 上記哺乳類がヒトである、請求項13記載のキナーゼポリペ
    プチド。
  15. 【請求項15】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7ポリペプチド
    である、請求項10記載のキナーゼポリペプチド。
  16. 【請求項16】 ZC1、ZC2、ZC3、またはZC4ポリペプチドである、請求項10 記載のキナーゼポリペプチド。
  17. 【請求項17】 上記ポリペプチドがKHS2ポリペプチドである、請求項10記
    載のキナーゼポリペプチド。
  18. 【請求項18】 上記ポリペプチドがSULU1またはSULU3ポリペプチドである
    、請求項10記載のキナーゼポリペプチド。
  19. 【請求項19】 上記ポリペプチドがGEK2ポリペプチドである、請求項10記
    載のキナーゼポリペプチド。
  20. 【請求項20】 上記ポリペプチドがPAK4またはPAK5ポリペプチドである、
    請求項10記載のキナーゼポリペプチド。
  21. 【請求項21】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2
    、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択
    されるキナーゼポリペプチド、またはSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STL K7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からな
    る群より選択されるキナーゼドメインポリペプチド、に対して特異的な結合親和
    性を有する抗体または抗体断片。
  22. 【請求項22】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、
    ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択さ
    れるキナーゼポリペプチドに対して特異的な結合親和性を有する抗体を産生する
    ハイブリドーマ。
  23. 【請求項23】 以下の段階を含む、キナーゼ活性を調節する物質を同定す
    る方法: (a)STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2
    、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択されるキナーゼポ
    リペプチドを、試験物質と接触させる段階; (b)上記ポリペプチドの活性を測定する段階;および (c)上記物質が上記ポリペプチドの活性を調節するか否かを決定する段階。
  24. 【請求項24】 以下の段階を含む、細胞におけるキナーゼ活性を調節する
    物質を同定する方法: (a)上記ポリペプチドがSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC 2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選
    択される、細胞においてキナーゼポリペプチドを発現する段階; (b)上記細胞に試験物質を加える段階;および (c)細胞表現型の変化、または上記ポリペプチドと本来の結合パートナーとの
    相互作用をモニターする段階。
  25. 【請求項25】 STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、
    ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択さ
    れるキナーゼの活性を調節する物質を、治療を必要とする患者に投与することに
    よって、疾患または障害を治療する方法。
  26. 【請求項26】 上記疾患または障害が、免疫関連疾患および障害、臓器移
    植、心筋梗塞、心血管疾患、卒中、腎不全、酸化的ストレス関連神経変性障害、
    および癌からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 上記物質がインビトロでキナーゼ活性を調節する、請求項
    25記載の方法。
  28. 【請求項28】 上記物質がキナーゼ阻害剤である、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 以下の段階を含む、疾患または障害の診断ツールとして試
    料中のキナーゼポリペプチドを検出する方法: (a)STLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2
    、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5からなる群より選択されるキナーゼポ
    リペプチドの核酸標的領域とハイブリダイゼーションアッセイ条件下でハイブリ
    ダイズする核酸プローブと上記試料とを接触させる段階であって、該プローブが
    上記ポリペプチド、その断片、または上記配列および断片の相補体をコードする
    核酸配列を含む段階;および (b)上記疾患の指標としてプローブ:標的領域ハイブリッドの有無または量を
    検出する段階。
  30. 【請求項30】 上記疾患または障害が、免疫関連疾患および障害、臓器移
    植、心筋梗塞、心血管疾患、卒中、腎不全、酸化的ストレス関連神経変性障害、
    および癌からなる群より選択される、請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 以下の段階を含む、疾患または障害の診断ツールとして試
    料中のキナーゼポリペプチドを検出する方法: (a)上記キナーゼポリペプチドがSTLK2、STLK3、STLK4、STLK5、STLK6、STLK7
    、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、KHS2、SULU1、SULU3、GEK2、PAK4、およびPAK5、または
    その1つもしくはそれ以上の断片からなる群より選択される、試料中の上記キナ
    ーゼポリペプチドをコードする核酸標的領域を、上記キナーゼポリペプチドまた
    はその1つもしくはそれ以上の断片をコードする対照核酸標的領域と比較する段
    階;および (b)上記疾患または障害の指標として、上記標的領域と上記対照標的領域との
    配列の差または量を検出する段階。
  32. 【請求項32】 上記疾患または障害が、免疫関連疾患および障害、臓器移
    植、心筋梗塞、心血管疾患、卒中、腎不全、酸化的ストレス関連神経変性障害、
    および癌からなる群より選択される、請求項31記載の方法。
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