JP2002520298A - 標的化部位特異的薬物送達組成物および使用方法 - Google Patents

標的化部位特異的薬物送達組成物および使用方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、治療剤の送達のための薬学的組成物および方法に関する。本発明の方法および組成物は、治療物質の部位特異的送達を達成し得、特に必要な治療レベルでの標的化部位に到達する際の問題を提示したオリゴヌクレオチドのような薬剤のためのより低い用量および改善された効力を可能にする。超音波の標的化導入を用いて、治療剤の放出を促進し得る。送達系としては、N2枯渇またはN2を含まない環境下で形成されるタンパク質でカプセル化されたガス充填微小泡が挙げられる。これらの微小泡は、空気の存在下で超音波処理された微小泡よりも小さくかつ安定している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、生物活性物質の送達のための薬学的組成物および方法に関する。本
発明の方法および組成物を使用して、生物学的に活性な物質の部位特異的送達を
達成し得る。この特異性は、より低い薬物用量かつ改善された効力を可能にし、
標的化された器官における治療濃度の達成の問題に代表的に悩まされるオリゴヌ
クレオチドのような薬剤について特により低い薬物用量かつ改善された効力を可
能にする。
【0002】 (発明の背景) 薬物送達技術は、薬物利用可能性を増大するために、薬物用量を減少させるた
めに、および結果的に薬物が誘導する副作用を減少させるために薬物治療におい
て用いられる。これらの技術は、身体中の薬物の放出を制御、調節、および標的
するように働く。目下の薬物送達の目標は、より少ない頻度の薬物投与、全身性
循環もしくは特定の標的器官部位における薬物の一定かつ継続した治療レベルの
維持、望ましくない副作用の減少、ならびに所望の治療利益を実現するのに必要
な量および用量濃度の減少を含んでいた。最終的には、所望の薬物の標的器官へ
の送達を非侵襲的に標的とした方法が所望される。
【0003】 今日まで、薬物送達系としては、タンパク質、多糖、合成ポリマー、赤血球、
DNAおよびリポソームに基づく薬物キャリアが挙げられた。新世代の生物製剤
(例えば、モノクローナル抗体、遺伝子治療用ベクター、抗癌剤(例えば、タキ
ソール)、ウイルスベースの薬物、およびオリゴヌクレオチド(ODN)および
ポリヌクレオチド)は、送達に関していくつかの問題を提示している。実際、薬
物送達は、これらの薬剤の主流の治療的用途を達成するための主な障害であり得
、これらの薬剤の当初の可能性は、無制限であるように見えたが、それらの治療
パラメーターは、完全な利益の実現を妨げた。
【0004】 化学的に改変してヌクレアーゼ耐性を付与された合成オリゴデオキシリボヌク
レオチド(ODN)の使用は、薬物治療に対して基本的に異なるアプローチを示
す。今日までの最も一般的な適用は、特定の標的化mRNA配列に相補的な配列
を有するアンチセンスODNを使用する。治療へのアンチセンスオリゴヌクレオ
チドのアプローチは、単純かつ特異的な薬物設計の着想を含み、その着想におい
て、ODNは、翻訳またはより初期のプロセシング事象の過程において機械的な
介入を引き起こす。このアプローチの利点は、遺伝子特異的作用についての能力
であり、この作用は、比較的低い用量、そして最小の非標的化副作用に反映され
るはずである。しかし、生物学的研究において現在最も一般的に使用されるアナ
ログである、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、タンパク質に対する非
特異的結合を頻繁に提示する。一般的に、アンチセンスアプローチの主な潜在的
利点(低用量および最小の副作用)は、期待はずれであった。
【0005】 オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの薬物送達は、2つの重要なチャ
レンジに集中していた:細胞中へのオリゴヌクレオチドのトランスフェクション
およびインビボでのオリゴヌクレオチドの分布の変化。トランスフェクションに
関して、インビトロでの細胞取り込みを改善するための生物学的アプローチは、
リポソームおよびウイルスベクター(例えば、再構成されたウイスルおよび偽ビ
リオン)のようなビヒクルの使用を含んでいた。体内分布を改善するための方法
は、カチオン性脂質のような薬剤に焦点を当てていた。このカチオン性脂質は、
大部分の細胞の負に荷電した表面への正に荷電した脂質の引力に起因して、薬物
の細胞取り込みを増大させると想定される。
【0006】 カチオン性リポソームは、カテーテルにより投与される場合、インビボでの脈
管細胞中への遺伝子の移入を増強することが報告されている(Muller,D
.W.ら、Circ.Res.75(6):1039〜49、1994)。カチ
オン性脂質DNA複合体もまた、気管投与後マウスの肺への効果的な遺伝子移入
をもたらすことが報告されている。アシアログリコプロテインポリ(L)−リジ
ン複合体は、センダイウイルスコートタンパク質を含有するリポソームとの複合
体化と同様に限定された成功を経験した。毒性および体内分布は、重要な問題の
ままである。
【0007】 前述より、生物製剤、特にポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの送達
のためにより有効な標的化薬物送達系は、これらの薬物がそれらの完全な能力を
達成するために必要とされることが理解され得る。
【0008】 (発明の要旨) 1つの局面において、本発明は、生物学的薬剤を特定の組織部位へ送達するた
めの方法を提供する。この方法は、(a)タンパク質でカプセル化され、不溶性
ガスを含有する複数の微小泡(microbubble)の水性懸濁液を形成す
る工程であって、ここで、この生物学的薬剤が、空気中での超音波処理を介して
得られる微小泡内のN2分圧よりも低いこの微小泡内のN2分圧を生じる条件下で
、そのタンパク質と結合体化される、工程;および(b)この懸濁液を動物に投
与し、その結果このタンパク質が、タンパク質のバイオプロセシングの部位へと
この微小泡結合体化剤を指向し、そしてこの微小泡の消散の際、この生物学的薬
剤を放出する工程、を包含する。好ましくは、この微小泡は、N2枯渇環境、お
よびより好ましくはN2を含まない環境(例えば、酸素)で形成される。
【0009】 好ましい実施態様において、微小泡をカプセルするタンパク質は、アルブミン
、ヒトγグロブリン、ヒトアポトランスフェリン、β−ラクトースおよびウレア
ーゼからなる群より選択され、アルブミンが特に好ましい。不溶性ガスは、好ま
しくはペルフルオロカーボン(例えば、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタ
ン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、またはペルフルオロペンタン
)であり、ペルフルオロプロパンおよびペルフルオロブタンが特に好ましい。組
織部位は、例えば、動物の肝臓または腎臓であり得る。
【0010】 タンパク質と結合体化される好ましい生物学的薬剤としては、ポリヌクレオチ
ド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、およびリボザイム、ならびにナプロキ
セン、ピロキシカム、ワルファリン、フロセミド、フェニルブタゾン、バルプロ
酸、スルフイソキサゾール、セフトリアキソン、およびミコナゾールが挙げられ
る。選択された実施態様において、生物学的薬剤は、ポリヌクレオチド、例えば
、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチジーンオリゴヌクレオチド、オリゴ
ヌクレオチドプローブ、ベクター、ウイルスベクターまたはプラスミドである。
好ましいポリヌクレオチドのクラスは、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
を含む。
【0011】 本発明はまた、生物学的薬剤を特定の組織部位に送達するための関連方法を提
供し、この方法は、(a)タンパク質でカプセル化され不溶性ガスを含有する微
小泡の水性懸濁液を形成する工程であって、ここで、この生物学的薬剤がそのタ
ンパク質に結合体化される、工程;(b)この懸濁液を動物に投与する工程;お
よび(c)その組織部位を超音波に曝露する工程、を包含する。好ましくは、微
小泡は、空気中での超音波処理を介して得られる微小泡内のN2分圧よりも低い
この微小泡内のN2分圧を生じる条件下で形成される。従って、この微小泡は、
好ましくは、N2枯渇環境において形成され、そしてより好ましくはN2を含まな
い環境、例えば、酸素中で形成される。
【0012】 任意のこれらの方法の実践において、微小泡の懸濁液は、好ましくは以下の工
程を実行することにより形成される:(a)5重量%〜50重量%、好ましくは
約5重量%のデキストロースを含むデキストロース水溶液を用いて、約2重量%
〜約10重量%、好ましくは約5重量%のヒト血清アルブミンを含むアルブミン
水溶液を、約2倍〜約8倍、好ましくは約3倍に希釈する工程;(b)この溶液
を不溶性ガスで攪拌する工程;および(c)好ましくはN2枯渇環境において、
この溶液を超音波処理ホーン(sonication horn)に曝露し、溶
液中で微粒子部位に空洞を作製し、それによって直径約0.1〜10ミクロンの
安定した微小泡を生成する工程。好ましくは、工程(b)のN2枯渇環境とは、
2を含まない環境(例えば、酸素)であり、これは超音波処理ホーン(son
icating horn)とこの溶液との間の界面に吹き込まれる。
【0013】 別の局面において、本発明は、超音波画像化に有用な微小泡組成物を提供し、
この組成物は、タンパク質でカプセル化され不溶性ガスを含有する複数の微小泡
の水性懸濁液を含み、ここで、その微小泡中のN2分圧は、空気中で超音波処理
された微小泡のN2分圧より低い。関連した局面において、本発明は、生物学的
薬剤の標的部位への送達に有用な組成物を提供する。この組成物は、このタンパ
ク質に結合体化された生物学的薬剤を有するような微小泡の水性懸濁液を含む。
好ましくは、この微小泡は、N2なしである。この微小泡の好ましいサイズは、
直径0.1〜10ミクロンである。
【0014】 これらの組成物において、タンパク質は、好ましくは、アルブミン、ヒトγグ
ロブリン、ヒトアポトランスフェリン、β−ラクトースおよびウレアーゼから選
択され、アルブミンが特に好ましい。不溶性ガスは、好ましくはペルフルオロカ
ーボン(例えば、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、ペルフルオロプロ
パン、ペルフルオロブタン、およびペルフルオロペンタン)であり、ペルフルオ
ロブタンおよびペルフルオロプロパンが特に好ましい。微小泡をカプセル化する
タンパク質への結合体化に適切な生物学的薬剤としては、オリゴヌクレオチド、
ポリヌクレオチド、およびリボザイム、ならびにナプロキセン、ピロキシカム、
ワルファリン、フロセミド、フェニルブタゾン、バルプロ酸、スルフイソキサゾ
ール、セフトリアキソン、およびミコナゾールが挙げられる。オリゴヌクレオチ
ドが特に好ましい。
【0015】 本発明はまた、特に、血管の外傷を受けた動物において頸動脈狭窄形成を防ぐ
方法を提供する。この方法は、(a)アルブミンでカプセル化された、不溶性ガ
スを含有する微小泡の水性懸濁液を形成する工程であって、ここで、この微小泡
を満たしているガスが、N2枯渇もしくは、好ましくはN2なしであり、そしてこ
のアルブミンが、平滑筋の増殖を媒介する調節酵素をコードする遺伝子の発現を
阻害する核酸生物学的薬剤に結合体化されている、工程、および(b)この懸濁
液を動物に投与する工程、を包含する。好ましい方法としては、(c)外傷部位
を超音波に曝露し、生物学的薬剤の放出を促進する工程をさらに包含する。この
阻害される遺伝子は、好ましくはc−mycまたはc−mybである。
【0016】 上記のように、これらの組成物および方法を用いて、生物学的薬剤の有効な投
薬量を有意に減少させ得、治療指標を増大させ、そして生物学的利用能を改善さ
せる。用量におけるこの減少は、同様に薬物の細胞傷害性および副作用を減少さ
せ得る。さらに、本発明は、他の血漿結合薬物(例えば、ヘパリン、ジルチアゼ
ム、リドカイン、プロパノロール(propanolol)、シクロスポリン、
および血液プール活性化を必要とする化学療法剤)の有効性を増強し得る。例え
ば、ヘパリンの抗凝固特性は、その薬物を、オロソムコイド標識ペルフルオロカ
ーボンに曝露されて超音波処理されたデキストロース/アルブミンと最初に組合
わせ、次いでその組合わせを静脈内に投与することによって、劇的に増強され得
ることが本明細書中で示される。
【0017】 結合体は、水性懸濁液として非経口投与のために設計される。投与後、そして
目的の部位で注入されたボーラスの到着と一致するように時間を合わせた後、エ
ネルギーが、音波の形態で投与され得、微小泡の空洞の生成をもたらし得;次い
で、薬剤は、放出されそして目的の器官または他の部位へ送達される。アルブミ
ンでカプセル化された微小泡または他のタンパク質でカプセル化された微小泡と
生物製剤との結合体化は、生物製剤の特定の組織(タンパク質と伝統的に相互作
用する組織を含む)への標的化送達を可能にし得る。
【0018】 改良されたガス充填微小泡は、N2枯渇環境またはN2を含まない環境の存在下
で微小泡を形成することによって達成される。そのような環境は、より小さいが
、静脈血および動脈血中でより安定である微小泡を生成する。これらのより小さ
い微小泡は、心筋においてより大きな診断用超音波のコントラストを生じ、そし
て治療実施態様において、より大きな効力を有した状態で、薬物をこれらの領域
に運び得る。
【0019】 本発明は、診断超音波画像化において伝統的に使用される薬剤および方法を使
用し、そして同様に治療剤の送達のためにその標的部位で治療剤の可視化のため
の手段を提供する。
【0020】 これらおよび他の本発明の目的および特徴は、以下の発明の詳細な説明を添付
の図面とともに読むと、より完全に明らかになる。
【0021】 (発明の詳細な説明) (I.超音波の治療用途) 超音波画像化は、治療手順を補助するための診断ツールとして長く使用されて
いる。これは、音波エネルギーが目的の領域に集束され得、そして反射して画像
が生じるという原理に基づく。一般的に、超音波変換器は、画像化される領域の
上に横たわる身体の表面上に配置され、そして音波を発生および受容することに
より生じる超音波エネルギーが伝達される。超音波エネルギーは、変換器に対し
て後方へ反射され、ここで超音波エネルギーは超音波画像へと翻訳される。反射
されたエネルギーの量および特徴は、組織の音響特性に依存する。好ましくは、
エコー源性である造影剤を使用して、目的の領域における超音波エネルギーを生
じ、そして受容される画像化を改善する。超音波造影心臓図検査計測器の考察に
ついては、DeJong、「Acoustic Properties of
Ultrasound Contrast Agents」、Cip−Gege
vens Koninklijke Bibliotheek、Denhag(
1993)、120頁(以下参照)を参照のこと。
【0022】 超音波造影心臓図検査を用いて心臓内の構造の描写、弁の完全性の評価、およ
び心臓内吻合の実証が行われている。心筋超音波造影心臓図検査(MCE)を使
用して、ヒトにおける冠状動脈の血流予備力を測定している。MCEは、心筋灌
流における相対変化の評価および危険性のある領域の描写に安全でかつ有用な技
術であることが見出されている。
【0023】 超音波振動はまた、種々の薬物の吸収を増大させるために、医療分野において
治療レベルで使用されている。例えば、日本国特許公開第52−115591号
には、薬物の経皮吸収が超音波振動により増強されることが開示されている。米
国特許第4,953,545号および同第5,007,438号はまた、超音波
振動の補助による薬物の経皮吸収の技術を開示する。米国特許第5,315,9
98号は、薬物の拡散および浸透を可能にするための、超音波エネルギーと組合
わせて微小泡を含む薬物治療のためのブースターを開示する。この参考文献は、
本発明の特定の実施態様とは対象的に、20分間までの超音波の治療レベルの使
用を開示する。本発明の特定の実施態様は、よりずっと短い時間で曝露する、診
断レベルの超音波を使用して、結合体化された生物活性剤の放出を促進する。
【0024】 本発明に従って、伝統的な診断用超音波治療の造影剤を使用して治療剤を特異
的に指定された目的の部位に結合させ、次いでこの治療剤を特異的に指定された
目的の部位に放出させ、それによって薬物の分布を変更し得る。この目的は、造
影剤を単独で用いて、および任意の診断用超音波の使用なしで達成され得る。そ
のような造影剤が伝統的な診断超音波治療(例えば、0.1〜3.5MPaの範
囲のピーク陰圧、および1.0〜40MHzの範囲の送信周波数を含む)と組み
合わされて用いられ、目的の部位にて治療剤の放出を促進し得ることもまた本明
細書中で実証される。この方法の好ましい実施態様において、低周波数の超音波
、すなわち1MHz未満の周波数、最も好ましくは約10kHz〜約40kHz
の周波数が使用される。
【0025】 (II.治療用組成物) 本発明の薬学的組成物は、血液不溶性ガスを含み、好ましくは0.1〜10ミ
クロンの直径を有する微小泡の液体懸濁物、好ましくは水性懸濁物を含む。この
微小泡は、そのようなガスの微小泡を液体へ包括することによって形成される。
この微小泡は、フッ化炭素または六フッ化硫黄ガスのような様々な血液不溶性ガ
スを含み得る。一般には、体温で非毒性でありかつガス状である任意の不溶性ガ
スが使用され得る。このガスはまた、この薬学的組成物が、微小泡を形成するよ
うに超音波処理される場合、約0.1ミクロンと10ミクロンとの間の平均サイ
ズの直径を有する、安定な微小泡を形成しなければならない。この範囲の平均直
径を有する微小泡は、経肺通過に適切であり、そして静脈内注射後および標的部
位への移行の間に、微小泡内でガスの有意な拡散を防止するに十分安定である。
【0026】 不溶性ガスもまた、窒素または酸素よりも低い拡散係数および血液可溶性を有
さなければならず、これは、血管の内部圧で拡散する。有用なガスの例は、フッ
化炭素ガスおよび六フッ化硫黄である。一般に、過フッ化炭素ガス(例えば、過
フッ化メタン、過フッ化エタン、過フッ化プロパン、過フッ化ブタン、および過
フッ化ペンタン)が好ましい。これらのガスの過フッ化プロパンおよび過フッ化
ブタンは、ヒトにおける眼内注射のための安全性が実証されているので、特に好
ましい(例えば、WongおよびThompson,Ophthalmolog
y 95:609−613を参照のこと)。
【0027】 ガス状の微小泡は、被膜原性(filmogenic)タンパク質コーティン
グによって安定化される。適切なタンパク質としては、アルブミン、ヒトγグロ
ブリン、ヒトアポトランスフェリン、β−ラクトースおよびウレアーゼのような
天然に存在するタンパク質が挙げられる。本発明は、好ましくは、天然に存在す
るタンパク質を使用するが、合成タンパク質もまた使用され得る。特に好ましい
のは、ヒト血清アルブミンである。このタンパク質は、体内で容易に代謝され、
そして造影剤として幅広く使用されている。
【0028】 薬学的に受容可能な糖類(例えば、デキストロース)の混合物を含む水溶液を
、先に記載されたタンパク質と組み合わせて使用することが好ましい。本発明の
使用に適した他の糖類の例は、単糖類(式C6126を有するもの(例えば、ヘ
キソース糖、デキストロース、フルクトース、またはそれらの混合物))、二糖
類(式C122211を有するもの(例えば、スクロース、ラクトース、もしくは
マルトース、またはそれらの混合物))、または多糖類(例えば、式(C610
5nを有する可溶性デンプン(ここで、nは、20と約200との間の全ての
数である)(例えば、アミラーゼもしくはデキストランまたはそれらの混合物)
)である。しかし、糖類は、本発明の結果を達成するために必須ではない。
【0029】 本発明の治療用薬剤は、宿主への末梢投与のために薬学的に有効な投薬量形態
で、必要に応じて、超音波治療と組み合わせて処方される。一般に、このような
宿主sはヒト宿主であるが、他の哺乳動物宿主(例えば、イヌまたはウマ)もま
た、この治療に供され得る。
【0030】 (III.微小泡組成物の調製) 好ましい実施態様において、本発明の組成物は、市販のアルブミン(ヒト)、
U.S.P.溶液(一般に、5重量%または20重量%の滅菌水溶液として供給
される)、および市販のデキストロース(静脈内投与のためのU.S.P.)の
混合物から処方される。最も好ましい実施態様において、この混合物は、ヒト血
清アルブミンの2重量%〜10重量%の溶液の2倍から8倍の希釈物を、デキス
トロースの5重量%〜50重量%溶液とともに含む。
【0031】 微小泡は、代表的には、超音波処理ホーンを用いて、室温および大気圧にて超
音波処理することによって形成される。このような超音波処理は、流体中の粒子
状物質またはガスの部位で、デキストロース/アルブミン溶液中に空洞化を引き
起こす。これらの空洞化部位は、最終的に共鳴し、そして崩壊しておらずかつ安
定な小さな微小泡を生成する。超音波処置の間、この溶液は、不溶性ガス、好ま
しくは過フッ化炭素ガスで、約80秒間灌流される。一般的には、約4×108
Mより大きな濃度の約0.1〜10μmの間の微小泡および好ましくは、5〜6
μmの直径を生成する超音波処理条件が好ましい。得られた微小泡は、室温にて
、少なくとも約120±5分間濃縮され、ここで過剰な溶液は、超音波用シリン
ジ(sonicating syringe)に納まる。
【0032】 調製の代替法において、実施例2に記載されるように、15±2mlの超音波
処理したデキストロース/アルブミンは、超音波処理の前に8±2mlの過フッ
化炭素ガスとともに手で攪拌される。次いで、超音波処理を、80±5秒間進行
させる。
【0033】 調製の第3の方法(多くの血漿結合薬物についての微小泡の親和性を改善する
ように設計された)は、超音波処理の前の、5〜30mgのオロソムコイド(α
−酸糖タンパク質)のアルブミン/デキストロース溶液への添加を含む。
【0034】 本発明に従って、微小泡は、好ましくは、N2枯渇、好ましくはN2を含まない
環境で、代表的にはN2枯渇(空気に対する比較において)またはN2なしのガス
を超音波処理ホーンと溶液との間の境界へと誘導することによって形成される。
以下にさらに議論されるように、この方法で形成される微小泡は、空気中で形成
される微小泡より有意に小さい。これらのより小さい微小泡はより安定であり、
そして治療薬および診断薬の送達の改善をもたらす。
【0035】 次いで、微小泡は、生物学的に活性な薬剤とともにインキュベートされ、その
結果、その医薬は、タンパク質にコートされた微小泡と結合体化する(代表的に
は、非共有結合により)。オリゴヌクレオチドのアルブミンにコートされた微小
泡への結合研究は、実施例4〜7に記載される。これらの研究は、例えば、その
結合が飽和可能であり、従って、非特異的相互作用が制限されることを示した(
実施例6)。実施例7において、微小泡の形態のフィルム原性タンパク質(造影
剤において従来的に使用されるような)は、微小泡が不溶性ガスで満たされる場
合、化合物を結合するそれらの能力を保持することが実証される。この発見は、
このような微小泡造影剤において、タンパク質球が変成したタンパク質から構成
されるという先の報告とは反対である。例えば、米国特許第4,572,203
号、米国特許第4,718,433号、および米国特許第4,774,958号
を参照のこと。本明細書中で実証されるように、空気よりもむしろ不溶性ガス(
例えば、過フッ化炭素)が微小泡のために使用される場合、タンパク質はその結
合活性を保持する。この効果は、おそらく、超音波処理エネルギーのほとんどが
不溶性ガスによって吸収されるという事実に起因する。従って、タンパク質(例
えば、アルブミン)は、生物学的に活性な医薬に結合して、微小泡/薬剤結合体
を形成し得る。一方、空気を満たした微小泡は、おそらく、あまりそれらの結合
能力を保持しない。
【0036】 (IV.治療用薬剤) 本発明に有用な治療用薬剤は、フィルム原性タンパク質と結合するそれらの能
力を介して選択され、そして逆もまた同様である。例えば、このフィルム原性タ
ンパク質がアルブミンである場合、この治療薬は、オリゴヌクレオチド、ポリヌ
クレオチド、またはリボザイムを含み得、これらの全てはアルブミンに結合し得
、そしてそれ自体、微小泡との結合体を形成し得る。部位1(これは、本発明の
組成物および方法においてインタクトなままであることが確認されている)でア
ルブミンに結合に結合する薬物の一覧表は、以下の通りである:
【0037】
【化1】 オロソムコイドがデキストロース/アルブミンに添加されるならば、増強され
得る薬物の列挙としてはまた、以下が挙げられる:エリスロマイシン(抗生物質
)、リドカイン(抗不整脈薬)、メペリジン(鎮痛薬)、メサドン(鎮痛薬)、
ベラパミルおよびジルチアゼム(抗狭心症薬)、シクロスポリン(免疫抑制剤)
、プロパノール(propanolol)(抗高血圧薬および抗狭心症薬)、な
らびにキニジン(抗不整脈薬)。
【0038】 アルブミンと、特に部位1で結合する他の薬物もまた、この実施態様において
有用であり、そして薬物相互作用および当該分野で標準的な薬学の教科書(例え
ば、「Drug Information」AHFS 1999(Americ
an Society of Health System)または「Drug
Facts and Comparisons」(Berney Olinに
よって出版され、そして4年ごとに改訂される))を通じて当業者によって確認
され得る。適切なタンパク質−生物学的薬剤の組み合わせを決定するためのアッ
セイが、それらの中に開示され、そして本発明の方法を用いて研究するその能力
のついての任意の組み合わせを試験するために使用され得る。
【0039】 以下に実証されるように、本発明は、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオ
チド治療について特に関連する。なぜなら、有効なアンチセンス、抗遺伝子、プ
ローブ診断薬またはウイルスもしくはプラスミドヌクレオチド送達を使用する遺
伝子療法に対する一次障害物は、治療薬の治療効果を達成するに十分な高濃度で
標的部位に到達する能力であるからである。本発明は、遺伝子療法ベクター、診
断用ヌクレオチドプローブの形態でヌクレオチド配列の送達に特に有用であるか
、あるいはアンチセンスまたは抗遺伝子型のストラテジーでヌクレオチド配列を
送達して、最終的に標的細胞における遺伝子発現を変更するかまたは検出するた
めに特に有用である。
【0040】 本発明に使用されるオリゴヌクレオチドは、核酸塩基、糖部分、ヌクレオシド
間リン酸結合、またはこれらの部位での改変の組み合わせの1つ以上の改変を含
み得る。このヌクレオシド間リン酸結合は、例えば、ホスホロチオエート、ホス
ホルアミデート、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート、または(混合骨
格で改変されたオリゴヌクレオチドを生成するための)このような類似の結合の
組み合わせであり得る。他のオリゴヌクレオチドアナログとしては、モルホリノ
オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、2’−O−アリルまたは2’−O−アルキ
ル改変オリゴヌクレオチド、およびN3’→P5’ホスホルアミデートが挙げら
れる。好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート
オリゴヌクレオチドである。
【0041】 オリゴヌクレオチド合成のための任意の公知の方法は、オリゴヌクレオチドを
調製するために使用され得る。これらは、任意の市販の自動化核酸合成装置(例
えば、Applied Biosystems,Inc.,DNA合成装置(M
odel 380B)を使用して、ホスホルアミデート化学を使用して、製造業
者のプロトコルに従って、最も都合良く調製される。ホスホロチオエートオリゴ
ヌクレオチドは、StekおよびZon(J.Chromatography,
326:263−280)に記載される方法に従って、そして、Applied
Biosystems DNA Synthesizer User Bul
letin,Models 380A−380B−381A−391−EP(1
989年12月)において合成されそして精製され得る。ODNは、当業者に公
知の方法によって細胞に導入される。例えば、Iversen,1991,「I
n vivo Studies with Phosphorothioate
Oligonucleotides:Pharmacokinetics P
rologue」、Anticancer Drug Des.6:531−8
を参照のこと。
【0042】 (V.送達方法) 本発明の送達療法を実施するための好ましい方法において、本発明の薬学的液
体薬剤は、静脈内注射、静脈内的(i.v.注入)、経皮的、または筋肉内的に
、好ましくはこの薬剤の活性の標的部位付近で、哺乳動物宿主に導入される。治
療部位は、特定の腫瘍の位置、特定の感染の位置、差次的な遺伝子活性化に起因
して特定の遺伝子産物を発現する器官、損傷または血栓の部位、治療薬のさらな
る進行および分布のための部位のような部位を含み得る。
【0043】 (A.超音波なし) 本発明の実施態様に従って、タンパク質(例えば、アルブミン)でコートされ
た、不溶性(例えば、過フッ化炭素)ガスの微小泡は、オリゴヌクレオチドとの
安定な結合体を形成することが示された(実施例4〜6を参照のこと)。ODN
結合体化泡は、動物に導入され、それにより、このタンパク質コーティングは、
結合体化薬剤を相互作用部位に指向させ得る。最終的には、泡散逸として、この
薬剤は、組織部位で放出される。本発明者らは、超音波の適用が、タンパク質コ
ーティングのバイオプロセシングの部位への生物製剤の標的化送達には必要では
ないことを示した。このことは、実施例9に示され、ここでは、ODN結合体化
微小泡は、肝臓および腎臓に指向され、そしてヘキソバルビタールの代謝を変更
するに有効であった。このタンパク質は、微小泡および結合体を、プロセシング
部位に通過させ、そして泡散逸として、オリゴヌクレオチドまたは他の生物製剤
が放出されてその部位で相互作用し、生物学的薬剤の画分が、従来の投与と比較
して、同じ生物学的効果を達成することを可能にする。
【0044】 一般に、標的部位は、フィルム原性タンパク質のバイオプロセシングに基づい
て選択される。例えば、腎臓および肝臓は、アルブミンを取り込み、そしてアル
ブミン微小泡は、結合体化生体活性薬剤のこれらの領域への投与を特異的に指向
させるために使用され得る。この生体分布は、上記のように、実施例9で実証さ
れる。他のフィルム原性タンパク質の代謝およびバイオプロセシングは、標準的
な薬理学の教科書(例えば、「Basic and Clinical Pha
rmacology」、第7版、Bertram G.Katzung編、Ap
pleton&Lange,1997)に記載される。
【0045】 (B.超音波あり) 本発明の1つの実施態様において、診断用超音波フィールドは、注射されたボ
ーラスが標的部位に到達するときに導入される。実施例8に実証されるように、
PS−ODN標識した過フッ化炭素含有微小泡の診断用超音波への曝露は、PS
−ODNの強度を変更しないが、そのアルブミン結合からはODNを放出する。
【0046】 超音波の適用は、様々な方法によって達成され得る。例えば、超音波変換器は
、標的部位の上に直接配置され得る。従来の超音波デバイスは、20kHzから
数Mhzの超音波シグナルを供給し得る。このシグナルは、一般的に、診断用超
音波のために約3〜約5MHz、および治療用超音波のために1MHz未満、好
ましくは約20kHzのレベルで適用される。超音波によって供給されるエネル
ギーは、微小泡を生じて、治療用部位で、または血液プールに薬剤を放出する。
この方法はまた、ボーラスが超音波フィールドに侵入するように、可視化させる
【0047】 あるいは、超音波変換器は、血液プール中の部位にわたって配置され得、循環
を通過するように、微小泡の一定の曝露を可能にする。この手順は、実施例13
に示されるように、特定の薬物(例えば、ヘパリン)の全身性の効果を増強する
【0048】 超音波増強が使用され得る配置部位の例としては、腎臓、心室(heart
chamber)、大動脈または大静脈が挙げられる。実施例12は、標識した
ODN結合体化微小泡の送達と組み合わせた、腎臓の標的化超音波処理を記載す
る。1つの腎臓に限定される超音波処理は、この部位で検出されるODNにおけ
る有意な増加をもたらした。以下の節VIでさらに記載されるのは、罹患した領
域の超音波処理に伴うアンチセンスのc−mycへの投与による、動脈再狭窄の
阻害における標的化超音波処理の使用である。
【0049】 別の実施態様において、注入物(injectate)は、標的領域に到達す
るまで、モニターされるかまたは時間調節され得る。対照の薬剤は単独で使用さ
れて、投与から治療部位への伝達を時間調節する。治療薬の投与後、低周波数(
20kHzから約2MHz)の超音波は、標的部位で、適切な時間間隔後に、適
切なドップラーエコーまたは超音波エコー装置を用いて導入され、その結果、超
音波のフィールドは、標的部位を包含し、そして医薬は、微小泡から放出される
。この時点は、一般的に、目的の器官ならびに注射部位に従って変化する。
【0050】 (VI.再狭窄の阻害) (A.背景) 何人かの研究者が、平滑筋細胞の移動および増殖の結果としての血管バルーン
損傷後に新内膜(neointimal)過形成が生じることを示した(Aus
tin,G.E.ら、「Intimal Proliferation of
Smooth Muscle Cells as on Explanatio
n for Recurrent Coronary Artery Sten
osis After Percutaneous Transluminal
Coronary Angioplasty」、J Am.Coll.Car
diol.6:369−75,1985;Libby,P.ら、「A Casc
ade Model for Restenosis:A Special C
ase of Atherosclerosis Progression」、
Circulation 86:III47−III52,1992;Clow
es,A.W.ら、「Regulation of Smooth Muscl
e Cell Growth in Injured Artery」、J.C
ardiovasc.Pharmacol.14:S12−S15,1989)
。この新内膜形成は、バルーン損傷および血管内ステント挿入(stentin
g)の両方の後の再狭窄の血管造影観察において、役割を果たす(Mintz,
G.S.ら、「Intravascular Ultrasound Insi
ghts into Mechanisms of Stenosis For
mation And Restenosis」、Cardiol.−Clin
.15:1:17−29,1997)。血管平滑筋の増殖を担うプロトオンコジ
ーンの合成を阻害する合成アンチセンスオリゴヌクレオチド(ODN)は、冠状
動静脈または頸動脈の損傷後の狭窄形成を首尾良く阻害した(Shi,Y.ら、
「Transcatheter Delivery of C−Myc Ant
isense Oligomers Reduces Neointimal
Formation in a Porcine Model of Coro
nary Artery Balloon Injury」、Circulat
ion 90:944−51,1994;Morishita,R.ら、「In
timal Hyperplasia After Vascular Inj
ury is Inhibited by Antisense CDK2 K
inase Oligonucleotides」、J.Clin.Inves
t.93:1458−64,1994)。この時点まで、このような処置は、血
管内または外膜周囲(periadventitial)への直接送達を必要と
した。本発明者らは、ODN(詳細には、c−mycおよびc−mybへ)が過
フッ化炭素を曝露されて超音波処理されたデキストロース/アルブミン(PES
DA)微小泡に結合することを実証した(Porter,T.R.ら、「Int
eraction of Diagnostic Ultrasound wi
th Synthetic Oligonucleotide−Labeled
Perfluorocarbon−Exposed Sonicated D
extrose Microbubbles」、J.Ultrasound.M
ed.15:577−584,1996)。続く研究は、経皮的低周波数超音波
は、音波を作り出さない(insonification)フィールド内に含ま
れる血管へのODNの堆積を増加させることを示した(Porter,T.R.
ら、「The Effect of Microbubble Gas Com
position and External Ultrasound Fre
quency on the Non−Invasive Enhanceme
nt of Antisense Oligonucleotide Deli
very to the Vascular Wall in Pigs」、C
irculation Suppl.2249,1997)。実施例14に記載
される研究は、低周波数の超音波およびPESDA微小泡に結合したc−myc
に静脈内注射されたODNに伴うこの増強された血管堆積は、頸動脈のバルーン
損傷後の新内膜形成を阻害し得るか否かを決定するために行われた。
【0051】 以前の研究における動脈損傷後の以前のODNの送達方法は、直接動脈送達ま
たは外膜周囲適用のいずれかを必要とした(Shiら、1994(上記に引用)
;Morishita,R.ら、1994(上記に引用);Bennett,M
.R.ら、「Effect of Phosphorothioated Ol
igonucleotides on Neointimal Formati
on in the Rat Carotid Artery」、Arteri
oscler.Thromb.Vasc.Biol.17:2326−32,1
997)。
【0052】 (B.本研究) 実施例14は、本明細書中に記載される経皮的超音波および静脈内微小泡送達
系(c−mycプロトオンコジーンに対するアンチセンスを含む)を使用するブ
タにおける頸動脈新内膜形成の阻害を記載する。右頸動脈にわたる領域は、バル
ーン拡張直後および3日後の両方に、合計6分間、各注射の前後に音波を作り出
さなかった。実施例に実証されるように、PESDA微小泡に結合した、静脈投
与されたODNの超音波標的化堆積は、内膜過形成を阻害すること、ならびに管
腔直径に対して有意に小さな内膜厚の比を作製することにより、狭窄形成を阻害
した。
【0053】 非侵襲性であることに加えて、超音波標的化アプローチは有利である。なぜな
ら、損傷後の様々な時間間隔で繰り返され得るからである。c−mycに対する
アンチセンスの外膜周囲適用は内側の複製を抑制したが、この抑制は、もはやラ
ットにおける頸動脈損傷の4日後では証拠ではない(Bennett M.R.
ら、1997(上記に引用))。本研究において、実施例12に記載されるよう
に、PESDAに結合した第2の0.5ミリグラムの用量のODNは、損傷の3
日後に静脈内投与された。減少した内膜過形成およびより大きな血管管腔の両方
が、ODN−PESDA群において30日で観察された。より大きな管腔サイズ
が、ODN−PESDA群における血管成長またはコントロール群における収縮
に起因するか否かは未知である。なぜなら、バルーン前損傷IVUSデータが利
用可能ではなかったからである。
【0054】 血管拡張は、バルーン損傷後の狭窄形成の程度を決定することにおける重要な
因子であり、生じる内膜過形成の量よりも重要であることが示されている(Ka
kuta,T.ら、「Differences in Compensator
y Vessel Enlargement,Not Intimal For
mation,Account for Restenosis After
Angioplasty in the Hypercholesterole
mic Rabbit Model」、Circulation 89:280
9−15、1994)。超音波標的化送達で処置した被験体におけるより大きな
管腔面積は、c−mycに対するODNの重要な効果が、アテローム性動脈硬化
症に応答する不適切な補償拡大(compensatory enlargem
ent)を予防することであることを示し得る。ODNが管腔拡大を生じ得る1
つの方法は、培地のc−myc媒介性細胞移動を妨害することによってであり、
c−ycに対するアンチセンスの直接適用によって阻害されたプロセスである(
Bennett M.R.ら、1997(上記に引用);Biro,Sら、「I
nhibitory Effects of Antisense Oligo
nucleotides Targeting c−myc mRNA on
Smooth Muscle Cell Proliferation and
Migration」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 9
0:654−58,1993)。ODNが血管サイズを変更し得る別の機構は、
エンドセリン−1の産生(強力な血管収縮薬およびマイトジェン物質)を刺激す
るc−mycの能力を阻害することによる(Shichiri.M.ら、「Bi
phasic Regulation of the Preproendot
helin−1 Gene by c−myc」、Endocrinology
138(11):4584−90、1997)。
【0055】 この研究は、超音波の存在下で、PESDA微小泡に結合したODNの増強し
た取り込みが、頸動脈バルーン損傷後の狭窄形成に対する重要な効果を有するこ
とを確認し、そして送達系としての超音波および微小泡の生理学的な有効性を実
証する。
【0056】 超音波は、オリゴヌクレオチドがカチオン性リポソームのようなほかのキャリ
ア系に対して送達される場合に、培養したHeLa細胞における遺伝子発現を増
強することが示されている(Unger,E.C.ら、「Ultrasound
Enhances Gene Expression of Liposom
al Transfection」、Invest.Radiol.32:72
3−27、1997)。超音波の存在下でのこの増強された細胞取り込みの機構
は、細胞膜の空洞化誘導性二重層障害であると仮定されている(Mitrago
tri,S.ら、「Transdermal Drug Delivery U
sing Low−Frequency Sonophoresis」、Pha
rmaceutical Research 13:411−20、1996)
。それゆえ、微小泡は、この空洞化の閾値をより低くするその能力のために、他
のキャリア系を超える固有の利点を有し得る(Holland,C.K.ら、「
Thresholds for Transient Cavitation
Produced by Pulsed Ultrasound in a C
ontrolled Nuclei Environment」、J.Acou
st.Soc.Am.88:2059−69,1990)。空洞化がODNの増
強された取り込みのための機構である場合、微小泡の存在およびこの研究で使用
されるより低周波数の超音波(20kHz)の両方は、改善された取り込みを有
し得る。
【0057】 結論として、静脈内ODN−PESDAおよび経皮的低周波数超音波は、バル
ーン損傷後の血管壁に対するアンチセンスの直接適用と類似の様式において頸動
脈狭窄形成を阻害することが示されている。これらのデータは、超音波およびO
DNを含む微小泡送達系が、バルーン血管形成術または血管内ステント挿入後の
狭窄形成を阻害するための強力な非侵襲性方法であり得ることを実証する。
【0058】 (VII.N2枯渇環境における微小泡調製の利点) アルブミン殻を含む微小泡は、それらの膜を通過する可溶性ガスの迅速な拡散
を可能にする。過フッ化炭素含有微小泡は、より高分子量のガスの拡散の低速度
および血中におけるその不溶性に起因して、同じ膜を有する空気含有微小泡より
も長く残存する。
【0059】 しかし、過フッ化炭素含有微小泡はなお、空気中での超音波処理によって調製
される(すなわち、超音波処理環境のいずれの改変も伴わない)場合、空気ガス
の有意な量を含み得る。この意味において、「不溶性ガス含有」とは、本明細書
中で使用される場合、血液不溶性ガス(例えば、過フッ化炭素)とともに攪拌す
ることによって形成される微小泡をいうが、超音波処理の間に存在する他のガス
を含むこともまた意図される。従って、空気で超音波処理された微小泡は、アル
ブミン膜を通過して存在する濃度勾配によって影響され得る。
【0060】 数学的モデルは、不溶性のガスを含む微小泡が、組織および血液が窒素を含有
する場合により長く持続することを示唆した(Burkard,M.E.ら、「
Oxygen Transport to Tissue by Persis
tent Bubbles:Theory and Simulations」
,J.Appl.Physiol.2874−8,1994)。血中窒素の非存
在下では(すなわち、酸素化された血液)、PCMB中からの窒素は、PCMB
から拡散し、それらのサイズを減少させることが予測される。
【0061】 従って、実施例10に示されるように、100%酸素化された動脈血に曝され
たPCMBは、空気血に曝されたPCMBよりもサイズが有意に小さかった(表
4、実施例10を参照のこと)。このインビトロの研究は、窒素が微小泡から酸
素化された血液に拡散した場合に、酸素化血液が、正常な血液と比較して過フル
オロカーボン含有MBのサイズを減少させたことを確証する。しかし、酸素化さ
れた血液は、純粋な空気を含有するアルブミン微小泡を用いて示されたように、
微小泡からの可溶性ガスの迅速な拡散に起因して、過フルオロカーボン含有微小
泡を完全には破壊しなかった(Wible J.Jr.ら、「Effects
of Inspired Gas on the Efficacy of A
lbunex(登録商標) in Dogs」、Circulation 88
(補遺):1−401(1993))。
【0062】 表面張力および吸収圧力は、微小泡の直径が減少するにつれて増加するので、
静脈内のPCMBによって産生される画像強度はまた、微小泡の内側および外側
の窒素および酸素濃度における変化によって影響を受けることが仮定された。微
小泡酸素含量を増大することによって(従って、微小泡中のN2の分圧を下げる
ことによって)、血液中の微小泡の残存が延長され得ることが仮定された。これ
は、N2枯渇環境またはN2を含まない環境において微小泡を形成することによっ
て達成される。
【0063】 本明細書中で使用される場合、用語「N2枯渇」または「窒素枯渇」とは、空
気のN2含量よりも少ないN2含量をいい。その結果、このような環境の存在下に
おける超音波処理によって形成されたガスで満ちた微小泡中のN2の分圧は、空
気の存在下での超音波処理によって達成されたN2の分圧よりも低い。(空気は
、代表的には、重量で約75.5%、体積で約78%の窒素を含む)。代表的に
は、N2枯渇環境は、空気の酸素含量よりも高い酸素含量を有する。N2枯渇環境
は、それが実質的にN2を含まない場合(例えば、商業的に供給される純粋な酸
素)に、「N2を含まない」。
【0064】 従って、微小泡は、代表的には、N2枯渇ガスまたはN2を含まないガス(例え
ば、酸素)を、超音波処理ホーンと溶液との間の界面に吹き付けることによって
、N2枯渇環境またはN2を含まない環境において超音波処理される。この場合に
おいて、「不溶性ガス含有」微小泡は、不溶性ガス(例えば、過フルオロカーボ
ン)を含有し、そしてN2枯渇ガスまたはN2を含まないガスのいくらかの量を含
有することが予測される。(いくらかの少量の空気が、これらの条件下でさえ微
小泡に入り得るが、微小泡に含まれるガスは、実質的にN2を含まないと見なさ
れる。) この改変は、実質的により小さな微小泡を作ることが見出された。この微小泡
は、血流中でより安定であり、コントラストおよび薬物送達の改善を生じた。こ
のような効果は、実施例11において記載される非開胸研究において一貫して観
察され、空気の存在下で超音波処理されたPCMBよりもより大きな心筋のコン
トラストを生じた。100ミリ秒までの短いパルス間隔を使用する間欠性の画像
化(10ヘルツ画像化)を用いてでさえ、視覚的に明白な心筋のコントラストは
、N2を含まない環境中で超音波処理した微小泡を用いてもなお達成された。
【0065】 本発明は、標的化された送達系として、薬学的組成物中のこのような造影剤の
使用および超音波の適用を包含する。造影剤の製造におけるN2枯渇環境または
2を含まない環境の使用はまた、心筋の画像化における造影剤の効果の改善で
ある。
【0066】 (実施例) 以下の実施例は、例示目的のみのためであって、いかなる場合においても本発
明を限定することを意図しない。多数の他のタンパク質生物活性薬剤の組合せが
本発明において使用され得、そして本明細書中で意図されることが当業者によっ
て理解される。例えば、フィルモーゲンタンパク質(filmogenic p
rotein)が、α1酸 糖タンパク質である場合、生物活性薬剤は、リドカ
イン、インデラル、またはヘパリンであり得る。
【0067】 以下のすべての実施例において、すべての部および割合は、別に特定されない
限りは重量によるものであり、そしてすべての希釈は容積によるものである。
【0068】 (実施例1.ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド合成) 鎖伸長合成を、ABI Model391 DNAシンセサイザー(Perk
in Elmer,Foster City,CA)の1μmolカラム支持体
上で実行するか、または、これは、Lynx Therapeutics,In
c.(Hayward CA)によって提供された。1μmol合成は、ABI
ユーザーブレティン58により、シアノエチルホスホルアミダイトおよび二硫化
テトラエチルチウラムを用いるイオウ処理を使用した。放射性標識されたオリゴ
ヌクレオチドを、Glen Research(Bethesda,MD)によ
る亜リン酸水素原料として合成した。
【0069】 (実施例2.微小泡懸濁物の調製) 5%ヒト血清アルブミンおよび5%デキストロースを、商業的な供給源より入
手した。5%デキストロース溶液の3部および5%ヒト血清アルブミン溶液の1
部(総計16ml)を、35ml Monojet(登録商標)シリンジに引き
上げた。各々のデキストロース/アルブミンサンプルを、デカフルオロブタンま
たは空気のいずれかの8±2mlで、手で攪拌し、次いで、そのサンプルを20
キロヘルツでの80±5秒間の電気機械的超音波処理に曝した。この様式によっ
て作製された4つの連続した、過フルオロカーボンに曝され超音波処理したデキ
ストロース/アルブミン(PESDA)微小泡のサンプルの平均サイズは、血球
計数によって測定されるように、4.6±0.4ミクロンであった。そして平均
濃度は、Coulter計数器によって測定されるように、1.4×109泡/
mLであった。
【0070】 (実施例3.微小泡/ODN結合体の調製) 配列5’−TAT GCT GTG CCG GGG TCT TCG GG
C3’(c−mybに相補的な24mer)(配列番号2)および5’TTAG
GG(配列番号3)を有する、均一に35S標識されたPS−ODN(ホスホロチ
オエートオリゴヌクレオチド)を、過フルオロカーボンに曝された、超音波処理
したデキストロース/アルブミン(PESDA)微小泡サンプル溶液と、0.5
mlの最終容量中で、37℃で30分間インキュベートした。その溶液を、微小
泡が上端に生じ得るように立てた;次いで、サンプルを、底の清澄な溶液または
微小泡を含む上端層のいずれかから、取り除き得た。
【0071】 (実施例4.洗浄したかまたは洗浄していないPESDA微小泡へのホスホロ
チオエートODN結合) 洗浄した微小泡を作製するために、実施例1において調製したような微小泡の
溶液を、5%デキストロースの1000倍過剰容量で洗浄して、微小泡と結合し
ていないアルブミンを除去した。微小泡を4時間発生させた。次いで、低位の溶
液を除去し、洗浄した泡を残し、次いで0.9%塩化ナトリウムと共に混合した
。洗浄した微小泡中のアルブミンタンパク質濃度は、Bradfordアッセイ
(Bradford,M.ら、「A Rapid and Sensitive
Method for the Quantification of Mi
crogram Quantities of Protein Utiliz
ing the Principle of Protein−Dye Bin
ding」、Anal.Biochem.72:248,1976)によって決
定されるように、0.28±0.04mg/mlであった。
【0072】 放射性標識された24mer PS−ODNを、洗浄したかまたは洗浄してい
ないPESDA微小泡の懸濁物に、5nMの濃度で添加した。溶液中の放射能を
、液体シンチレーションカウンター(モデルLSC7500;Beckman
Instruments GmbH,Munich,Germany)を用いて
測定した。Hydrocount生分解性シンチレーションカクテル(5ml)
を100μlサンプルに添加した。サンプルを各実験の後すぐに計数し、次いで
24時間後に、化学発光およびクエンチングの影響を減少させるために再び計数
した。
【0073】 液体シンチレーション計数によって計数された、PS−ODNの、PESDA
微小泡(上端層)、洗浄した低層(アルブミンを含まない)、洗浄していない低
層(アルブミンを含む)への分配を表1に示す。表1に報告されている実験にお
ける全放射能の回収率は、約96%であった。
【0074】
【表1】 このデータは、微小泡を伴わない洗浄していない溶液におけるアルブミンが、
PS−ODNに結合することを示す。微小泡を伴わないアルブミンの除去(洗浄
した泡)は、PESDA微小泡とのPS−ODNの分配の増加を生じた(比は、
TTAGGG PS−ODNについて1.67、およびc−myb PS−OD
Nについて2.16である)。
【0075】 (実施例5.洗浄したアルブミンコート微小泡に対するODNの結合親和性) 実施例4の洗浄した微小泡に対するPS−ODNの接合親和性を評価するため
に、結合部位に対する競合リガンドとして過剰の非放射性PS−ODNの増加し
た量を含む混合物を調製した。配列5’−d(CCC TGC TCC CCC
CTG GCT CC)−3’(配列番号4)を有する非放射性のPS−OD
N 20merを、一連の増加する濃度(0、3.3、10、32.7、94.
5、167、および626μM)の放射性24merを含むチューブに添加した
。各々の泡の懸濁物を、反転することによって混合し、そして37℃で60分間
インキュベートした。
【0076】 観察した結合データをLineweaver−Burkeプロットとして図1
に示す。微小泡に対する結合についての平衡解離定数Km(二連で行った7つの
濃度について計算した)は、1.76×10-5Mであった。
【0077】 (実施例6.ODN−微小泡競合結合研究) サンプルの3つのグループを以下のように三連で調製し、そして各々のサンプ
ルを室温で20分間インキュベートした。
【0078】 グループA(コントロール):100μlの微小泡/900μLの生理食塩水
+2μLの非標識20mer グループB:100μlの微小泡/900μLの生理食塩水+2μLのFIT
C標識20mer(最終20mer濃度=151nM) グループC:100μlの微小泡/800μLの生理食塩水+2μLのFIT
C標識20mer+100μLの非標識20mer。
【0079】 フローサイトメトリー分析を、100mW空冷アルゴンレーザーおよびLys
isII収集および分析ソフトウェアを備えたFACStar Plus(Be
cton Dickinson)を使用して行った。最小限104の収集した微
小泡についてリストモードデータを使用し、そして各々のサンプルについて独立
した分析を行った。FITC標識した微小泡の分布を、表2に提供する。
【0080】
【表2】 PE=パーセント事象;MI=平均強度;SE=標準誤差1 平均はコントロールと有意に異なる;P<0.0012 平均は151nMサンプルと有意に異なる;P<0.001。
【0081】 過剰の非標識PS−ODNを含むサンプル中の平均蛍光強度の有意な減少は、
微小泡への結合が飽和し得ることを示す。結果として、微小泡表面とのPS−O
DNの非特異的相互作用は制限される。
【0082】 (実施例7.空気を含む微小泡へのODNの結合対過フルオロカーボンを含む
微小泡へのODNの結合) 空気を含む超音波処理されたデキストロース/アルブミン微小泡へのPS−O
DNの結合の均一性対過フルオロカーボンを含む超音波処理されたデキストロー
ス/アルブミン微小泡へのPS−ODNの結合の均一性を、フローサイトメトリ
ーによって測定した。洗浄したPESDA微小泡に対するPS−ODNのガウス
分布(データは示さず)は、これらの微小泡のアルブミンが、オリゴヌクレオチ
ドについてのその結合部位を保持したことを示した。洗浄したRA−SDA微小
泡についてのガウス分布の非存在は、これらの微小泡の超音波処理の間に、この
オリゴヌクレオチドについてのアルブミン結合部位1の損失が生じたことを示し
た。(アルブミン結合特性、特にそれらがオリゴヌクレオチドに関する場合につ
いては、Kumarら、「Characterization of Bind
ing Sites,Extent of Binding,and Drug
Interactions of Oligonucleotides wi
th Albumin」Antisense Res.Dev.5:131−1
39(1995)を参照のこと)。
【0083】 上述から、PS−ODNはPESDA微小泡中のアルブミンに結合することが
観察され得、このことは、アルブミン上の結合部位1は、電気機械的な超音波処
理によるこれらの泡の産生後、生物学的に活性であることを示す。しかし、この
結合部位親和性は、電気機械的な超音波処理が空気のみを用いて行われる場合に
は失われる。さらに、洗浄によるPESDA微小泡を伴わないアルブミンの除去
は、微小泡を有するPS−ODNの有意な分配を生じる(表1)。これらの観察
は、アルブミンの変性が、空気の存在下での超音波処理で示唆されたように、超
音波処理の間に過フルオロカーボン含有デキストロース/アルブミン溶液を用い
ては起こらないことを実証する。
【0084】 PESDA微小泡中のアルブミンの保持された生物活性(とりわけ、部位1に
おいて)を、結合部位についてリガンドと競合するような増加した量の過剰の非
放射性PS−ODNの存在下で、洗浄したPESDA微小泡へのPS−ODNの
結合の親和性によって確証した(表2)。過剰の非標識PS−ODNを含むサン
プル中での平均蛍光強度の有意な減少は、微小泡への結合が飽和し得ることを示
す。
【0085】 (実施例8.結合したオリゴヌクレオチドを有する微小泡の超音波への曝露) 以前に記載されたもの(Mor−Avi,V.ら、「Stability o
f Albunex(登録商標) Microspheres under U
ltrasonic Irradiation;an in vitro St
udy」J.Am.Soc.Echocardiology 7:S29,19
94)と同様の、可変流ミクロスフェアスキャニングチャンバーを使用した。こ
のシステムは、Masterflex(登録商標)フローシステム(Micro
gon,Inc.,Laguna Hills,CA)に連結された環状のスキ
ャニングチャンバーを含む。このスキャニングチャンバーは、各側を水で満たし
たチャンバーで囲まれ、そして各側で音響学的に透明な物質で束縛されている。
PS−ODN標識されたPESDA微小泡(0.1ml)を、スキャニングチャ
ンバーに対して近位にボーラスとして1秒間にわたって注入し、次いで、水道水
を満たしたスキャニングチャンバーに、100ml/分の制御された流速でプラ
スチックチュービングを通して流した。泡がスキャニングチャンバーを通過した
ときに、スキャナー(2.0MHz周波数、1.2MPaピーク陰圧)を、従来
的な30ヘルツフレームレートで超音波を送達するために設定した。超音波が送
達されないコントロールランもまた行った。
【0086】 スキャニングチャンバーの通過後、その溶液は同じサイズのプラスチックチュ
ービングを経由して、メモリ付きシリンダーに通した。最初の10mLを廃棄し
た。次の10mLを収集し、そしてサンプルのより低い部分に存在する任意の遊
離のオリゴヌクレオチドから頂部の微小泡を分離するために放置した。
【0087】 溶出物のより上方操作およびより下方操作の両方からの滴下物を、血球計スラ
イド上に配置し、そして10倍の拡大率を用いて分析した。これらのスライドの
写真を作製し、そして36平方センチメートルの視野にわたって微小泡の数を手
で計数した。溶出物のより高い部分およびより低い部分もまた、ホルムアミドお
よびEDTAの溶液で15倍(v/v)で混合し、そして95℃で5分間加熱し
た。次いで、これらのサンプルを、Applied Biosystems M
odel 373A DNAシークエンサーで、20%ポリアクリルアミドゲル
を用いて試験した。データをGeneScanner(登録商標)ソフトウェア
を用いて得て、そして曲線の下の蛍光強度領域を測定し得た。
【0088】
【表3】 a頂部=超音波処理後の溶出物の頂部の層;底=超音波処理後の底の層 超音波に対する曝露後の頂部の層において微小泡の有意な損失が存在する(超
音波なしで219±54微小泡に対し、診断的な超音波に曝露した場合、溶出液
の上部の層において53±21微小泡)。この微小泡計数の損失は、上部の泡含
有層における初期PS−ODN濃度に関わらず明白であった。泡を含まないより
低い層におけるPS−ODN濃度は、ゲル電気泳動によって測定され、有意に増
加した。このデータは、診断的超音波に対するPS−ODN標識PESDA微小
泡の曝露がPS−ODNの完全性を変化させないが、そのアルブミン結合から遊
離させることを示す。
【0089】 (実施例9.アンチセンスオリゴの微小泡送達を介する変化した生物分布) チトクロームP450 IIB1遺伝子配列に対するアンチセンスホスホロチ
オエートオリゴヌクレオチドを設計し、ヘキソバルビタールの代謝を変化させた
(PBはCYP IIB1 mRNAを刺激し、そして結果として、ヘキソバル
ビタール(これはCYP IIB1によって水酸化される)は、より迅速に代謝
され、そしてその鎮静的効果が減少する。このアンチセンスオリゴは、この効果
と反作用することが期待される)。
【0090】 オリゴヌクレオチドを、ラットチトクロームP450 IIB1の公知の配列
に従って合成し、そしてこのオリゴヌクレオチドは以下の配列を有した:GGA
GCA AGA TAC TGG GCT CCA T(配列番号5)および
AAA GAA GAG AGA GAG CAG GGA G(配列番号6)
。これらのオリゴを、より初期に記載されたように、過フルオロカーボンに曝さ
れて超音波処理されたデキストロース/アルブミン微小泡(PESDA)と結合
体化し、そしてラットに静脈内送達した。210〜290グラムの間の雄性Sp
rague−Dawleyラット(Sasco,Omaha)をすべての研究の
ために使用した。これらは、AAALAC認定動物資源設備であるネブラスカ大
学医学センターの動物区域で飼育された。これらの動物を、12時間の光/暗サ
イクルに曝し、そしてPurinaラット餌および水道水を自由に利用可能にし
た。
【0091】 指定されたグループのラットに、80mg/kg/日で2日間、腹腔内にフェ
ノバルビタール(PB)(Mallinckrodt,St.Louis)を注
入した。PB注入をODN微小泡注入と同時に与えた。ホスホロチオエートOD
N注入は、1mg/kg/日で2日間であった。最初の注入の48時間後、睡眠
時間を測定した。
【0092】 各々のラットに、100mg/kgのヘキソバルビタール(Sigma,St
.Louis)を、PBおよび/またはODNでの処理の2日目の最後に腹腔内
に注入した。その動物を、背を下にして配置し、それらがなおヘキソバルビター
ルからの鎮静の下にあることを確実にし;そして睡眠時間を、それらが起きあが
るときまでそれらが背中を下にして配置されている時間と規定した。
【0093】 結果は、オリゴヌクレオチド結合体化微小泡の送達が、薬物の効力を非常に改
善したことを示す。コントロールラットは、約23分間の睡眠時間を有した。P
Bの投与は、睡眠時間を11.4±4.5分間まで減少させた。しかし、1/2
0用量の微小泡結合体化オリゴを与えられたラットは、50分間より長い睡眠時
間を経験した。比較すると、非微小泡結合体化オリゴは、睡眠時間にあまり変化
をもたらさなかった(約13分間)。
【0094】 オリゴの生体分布を決定するために、動物を最終的にエチルエーテルを用いて
屠殺し、そしてミクロソームをFranklinおよびEstabrook(1
971)によって記載されたように調製した。肝臓を、門脈を介して12mlの
4%生理食塩水で灌流し、次いで動物から取り除いた。肝臓をみじん切りにし、
0.25Mショ糖(Sigma)中でホモジナイズし、そしてSorvall
RC2−B遠心管(Dupont,Wilmington,DE)中で8000
×g、4℃で、20分間遠心分離した。上清を回収し、0.25Mショ糖に再懸
濁し、そしてSorvall OTD55B超遠心管(Dupont)中で、1
00,000×g、4℃で、45分間遠心分離した。ペレットを1.15% K
Cl(Sigma)中で再懸濁し、そして100,000×gで1時間、4℃に
て遠心分離した。最終的なペレットを等量の緩衝液(10mM Tris−酢酸
、1mM EDTA、20% グリセロール;Sigma)中で再懸濁し、そし
て−80℃で凍結させた。
【0095】 タンパク質濃度を、Bradfordアッセイ(Bradford,1976
)によって決定した。ホモジネートのアリコート(80μl)を、96ウェルプ
レート(Becton,Dickinson Labware,Lincoln
Park,NJ)に添加した。次いで、Bradford試薬(20μl;B
io−Rad,Richmond,CA)を添加し、そしてプレートをマイクロ
プレートリーダー(Molecular Devices,Newport M
N)上で595nmにおいて読みとった。データを、既知のウシ血清アルブミン
(Sigma)を用いて生成された標準曲線と比較した。
【0096】 CYP IIB1含量は、ペントキシレゾルフィン(pentoxyreso
rufin)O−脱アルキル化(PROD)活性によって決定された(例えば、
Lubet,R.A.ら、Arch.Biochem.Biophys.238
(1):43−8,1985)。ミクロソームサンプルについて、1mlの0.
1Mリン酸カリウム緩衝液中の1mgタンパク質、1mlの2μM 5−ペント
キシレゾルフィン(Pierce,Rockford,IL)、および17μl
の60mM NADPHを混合し、37℃で10分間インキュベートした。次い
で、その混合物を、2mlキュベットに添加し、そしてRF5000U分光蛍光
光度計(Shimadzu,Columbia,MD)で、530nmの励起波
長および585nmの放射波長を用いて読みとった。未知のサンプルの濃度を、
レゾルフィン(Pierce,Rockford,IL)の標準曲線から計算し
た。結果を、nmol レゾルフィン/mg タンパク質/分で記録した。
【0097】 CYP IIB1タンパク質の直接測定を、CYP IB1タンパク質を指向
する抗体を使用して、ELISAアッセイによって測定した(Schuursお
よびVan Weeman,Clin.Chim.Acta 81(1):1−
40,1977)。肝臓サンプル(ウェルあたり50μg)を、96ウェルnu
nc−immunoプレート(InterMed,Skokie,IL)上で1
00μlの0.35%炭酸水素ナトリウム緩衝液中に一晩プレーティングした。
ミクロソームを、PBS中の1%ウシ血清アルブミン(PBS/BSA)で3回
洗浄し、そして200μlのPBS/BSAと共に37℃で1時間インキュベー
トした。PBS/BSAを除去し、そして50μlのCYP IIB1抗体(O
xygene,Dallas,TX)を添加し、そして37℃で1時間インキュ
ベートした。そのミクロソームを生理食塩水/Tween(登録商標)20(S
igma)で5回洗浄し、そして50μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ抗体(
Bio−Rad)を添加した。そのミクロソームを、37℃で1時間インキュベ
ートし、生理食塩水/Tween(登録商標)で5回洗浄し、そして85%生理
食塩水で2回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ基質(100μl;Kir
kegaard&Perry Labs,Gaithersburg,MD)を
添加し、そしてプレートを、マイクロプレートリーダー(Molecular
Devices)で、1時間、405nmで連続して読みとった。結果を、mO
D/分で、西洋ワサビペルオキシダーゼ活性として記録した。
【0098】 結果は、オリゴ結合体化微小泡は、そのオリゴを、フェノバルビタール代謝の
部位である肝臓および腎臓に方向付けたことを実証した。
【0099】 (実施例10.正常および酸素富化動脈血中での超音波処理後のPESDA微
小泡のサイズおよび濃度) 動脈血を、4匹のイヌおよび3匹の健常なブタから、屠殺する直前に空気吸入
条件下で採取した。動物のうちの4匹において、さらなる動脈血を、動物が10
0%酸素を最低10分間にわたって吸入した後に得た。この血液を、60mlヘ
パリン処理注射器に収集し、そしてスキャニングチャンバ中に注射するまで温水
浴中で37℃にて保持した。スキャニングチャンバ中への血液の注射の直前に、
0.2mlのペルフルオロカーボン含有微小泡(PCMB)を、止め栓を通して
60ml注射器中の血液に注射し、そしてこの注射器を手で穏やかに反転および
回転させることによって混合した。
【0100】 次いで、このサンプルを、スキャニングチャンバ中に50ml/分の流速で注
射した。一旦このチャンバが満たされたら、注射のために用いられるプラスチッ
クチュービングへとこのスキャニングチャンバを連結している、閉じられた止め
栓を開け、そして超音波曝露(1Hzまたは従来の30〜45Hzのフレームレ
ートで断続的)を開始した。超音波曝露の後、流出血液が、スキャニングチャン
バから、メスシリンダーへと連結されたチュービングへと流れ出た。最初の10
mlの血液を廃棄し、そして次の15mlの血液を、3個の5mlアリコートと
して、反転させキャップをした注射器中へと採取した。最後の5mlのサンプル
の採集の3分後、ツベルクリン注射器を最高レベルの溶出血液中に浸漬し、そし
て1滴を血球計算板スライドの上に置いた;この長さの時間を選択して、溶出血
液中の微小泡が頂部に上昇して収集されることを可能にした。次いで、血球計算
板スライドを、40倍の倍率で光学顕微鏡(Olympus BH−2,Oly
mpus America Inc.,Woodbury,NY)を用いて検鏡
し、そして最大濃度の微小泡を含む視野を血球計算板視野で撮影した。
【0101】 後に写真を拡大し、そして25cm2視野を選択して、この視野における微小
泡の濃度および平均直径を分析した。濃度を、スライド全体の小泡の総数を計数
することによって決定した。この技術を用いて測定された微小泡濃度は、Cou
lterカウンターでの測定値と非常に密接に相関し、そしてこの技術でのサイ
ズの測定値は、公知の5ミクロンスフェア(Coulter Size Sta
ndards Nominal 5μm Microspheres,Miam
i,FL)を用いて較正された。
【0102】 (インビトロでのスキャニングチャンバ:)スキャニングチャンバシステムは
、蠕動性Masterflexフローシステム(Microgon,Inc.,
Laguna Hills,CA)に連結された35ml円柱状スキャニングチ
ャンバからなっていた。スキャニングチャンバの両側に封止されているのは、厚
さ6.6ミクロンの音響透過性ラテックス材料によって結合された、円柱状生理
食塩水充填チャンバである(Safeskin,Inc.;Boca Rato
n,FL)。超音波曝露の間のスキャニングチャンバ内の圧力を、スキャニング
チャンバの近位に配置された圧力変換器(モデル78304A;Hewlett
Packard Co.,Andover,MA)によって測定し、全ての試
行を通じて平均7±3mmHgであった。
【0103】 2つの異なる2.0メガヘルツ超音波変換器を、インビトロでの研究のために
用いた(Hewlett Packard 1500;Andover,Mas
sachusetts;およびHDI 3000,Advanced Tech
nology Laboratories,Bothell,Washingt
on)。生成されたピークの負の圧力は、Hewlett Packard変換
器について1.1MPaであり、そしてHDI 3000スキャナーについて0
.9MPaであった。全ての研究についての画像化深度は、8.2センチメート
ルであり、そして両方の変換器についての焦点は8センチメートルであった。各
変換器についてのフレームレートは、従来(30〜42Hz)または断続的(1
Hz)のいずれかであった。スキャニングチャンバからの全ての画像を、高忠実
度ビデオテープに記録した。
【0104】 (結果:)表3は、動脈血(空気および100%酸素)中で超音波に曝露した
後のPCMBについての平均微小泡サイズにおける相違を実証する。PCMBを
、100%酸素付加動脈血へと曝露した場合、インソネーション(insona
tion)後の平均微小泡サイズに有意な減少が存在した(p=0.01)。よ
り小さな微小泡サイズは、断続的画像化後(7.3±3.7μm空気 対 6.
4±3.2μm 100%酸素)および従来の画像化後(7.5±3.5μm空
気 対 6.3±3.0μm 100%酸素)の両方で見られた。
【0105】 微小泡濃度は、空気動脈血における断続的画像化と比較した場合、従来のフレ
ームレートに曝露した後に有意に減少した(表3)。しかし、従来のフレームレ
ートは、同じ変換器出力では、酸素付加した動脈血中で破壊した場合ほど多くの
PCMBを破壊しなかった。
【0106】
【表4】 微小泡濃度は、空気動脈血中での断続的画像化と比較した場合、従来のフレー
ムレートに曝露した後に減少した(表4)。しかし、従来のフレームレートは、
同じ変換器出力では、酸素付加した動脈血中で破壊した場合ほど多くのPCMB
を破壊しなかった。
【0107】 (実施例11.N2を含まない環境で形成された微小泡対空気環境で形成され
た微小泡のインビボ画像化研究) ペルフルオロカーボン含有微小泡(PCMB)を、実施例1に記載の通りに調
製した。1部の5%ヒト血清アルブミンおよび3部の5%デキストロース(計1
6ml)を、8mlのデカフルオロブタンを用いて手動で攪拌した。攪拌後、サ
ンプルに、電気機械的超音波処理を80±2秒間行った。80秒間の超音波処理
プロセスを、2つの異なる環境で行った:空気(RA)または100%酸素(N 2 を含まない環境)のいずれかを、超音波処理ホーンとペルフルオロカーボンデ
キストロース/アルブミン溶液との間の界面に超音波処理の間に吹き込んだ。
【0108】 (インビボでの画像化:)タンパク質水溶液に超音波処理をすることによって
形成される微小泡が哺乳動物に注射されて、所定の領域の音響特性を変更し、次
いでその領域が超音波によってスキャンされて医学的手順における使用のための
画像が得られる診断的超音波画像化方法が周知である。例えば、米国特許第4,
572,203号、同第4,718,433号および同第4,774,958号
を参照のこと。
【0109】 超音波処理の間に100%酸素(O2 PCMB)または空気(RA PCM
B)のいずれかに曝露された微小泡サンプルを、イヌに静脈内に注射した。画像
化を、1.7MHz調波変換器(HDI 3000;Advanced Tec
hnology Laboratories;Bothell,Washing
ton)を用いて行った。変換器出力を、0.3〜0.8MPaに設定し、そし
て2つの異なる微小泡サンプルからのビデオ強度(videointensit
y)の全ての比較のために一定に保った。バックグラウンドを差し引いた心筋ビ
デオ強度の比較のためのフレームレートは、43Hz(従来)または10Hz(
断続的)のいずれかであった。全ての手順は、Institutional A
nimal Care and Use Committeeによって承認され
、そしてPosition of the American Heart A
ssociation on Research Animal Useに従っ
た。
【0110】 RA(空気)PCMBおよびO2 PCMBのボーラス注射は、0.0025
ml/kgまたは0.005ml/kgのいずれかであった。サンプル中の微小
泡の濃度は、同じであると決定された。ピークの前壁ビデオ強度および後壁ビデ
オ強度を、Tom−Techレビューステーション(Louisville,C
olorado)を用いてオフラインで得られた、デジタル化したスーパーVH
Sビデオテープ画像(Maxell,Japan)から測定した。Tom−Te
chレビューステーションは、1〜255のグレースケール範囲にわたってビデ
オ強度を定量する。目的の領域を、各セグメントの心筋層中央に配置した。
【0111】 この定量分析に加えて、短軸視野からの前壁領域、隔膜領域、側壁領域、およ
び後壁領域における局部的心筋コントラスト増強の視覚的評価を、2人の独立し
た調査者によって行った。各領域に、0(心筋コントラストなし)、1+(中程
度の心筋コントラスト増強)または2+(腔の強度に近づいた明るい心筋コント
ラスト増強)を割り当てた。
【0112】 O2 PAMBとRA PCMBとの間のピーク心筋ビデオ強度の計6の比較
を、3匹のイヌにおいて行った。表5では、注射前に、100%酸素の存在下で
超音波処理したPCMBが、サイズおよび濃度において、空気の存在下で超音波
処理したPCMBと類似したことがわかり得る。しかし、3匹全てのイヌでは、
10ヘルツフレームレート(断続的画像化)を用いるピークの心筋ビデオ強度は
、100%酸素の存在下で超音波処理したPCMBについて有意に高かった。
【0113】 酸素付加したPCMBのみが、経胸壁画像化のために用いられる用量で一貫し
た均質な心筋コントラストを生じた。視覚的心筋コントラストは、RA PCM
Bの同じ用量の後で24のうち9の領域で2+であったのと比較して、静脈内O 2 PCMB注射後に24のうち20の領域で2+であった(p=0.001)
【0114】
【表5】 酸素付加したPCMBのみが、経胸壁画像化のために用いられる用量で一貫し
た均質な心筋コントラストを生じた。視覚的心筋コントラストは、RA PCM
Bの同じ用量の後で24のうち9の領域で2+であったのと比較して、静脈内O 2 PCMB注射後に24のうち20の領域で2+であった(p=0.001)
【0115】 予測された通り、空気血液中の微小泡濃度は、より高いフレームレートに曝露
した場合、有意に減少した。しかし、より迅速なフレームレートによるこの破壊
は、PCMBが酸素付加血液中にある場合、いくらか弱められた。この相違の理
由は明らかではない。1つの可能性は、酸素付加された血液における微小泡から
のより迅速な窒素の拡散が、より高い内部濃度のペルフルオロカーボンを生じ、
従って不溶性ペルフルオロカーボンについての拡散勾配を増加させたことである
。その低い溶解度に起因して、微小泡からのその増強された拡散は、より小さな
、カプセル化されていないペルフルオロカーボン微小泡の形成に至る。血球計算
の分解能は、カプセル化されていない微小泡とカプセル化された微小泡を区別す
ることができず、従ってそれら両方を計算する。この説明はまた、100%酸素
付加動脈血に曝露したPCMBについて観察された、より小さな平均微小泡サイ
ズを説明し得る。
【0116】 (統計分析:)独立t検定を用いて、超音波処理の間に異なるガスに曝露した
PCMBサンプルの微小泡のサイズおよび濃度を比較した。これをまた用いて、
インビボ研究におけるピーク心筋ビデオ強度における差を比較した。データが正
規分布していない場合、非パラメトリック検定を行った。静脈内O2 PCMB
およびRA PCMB後の視覚的心筋コントラスト増強の比較を、分割表(co
ntinency table)(Fisherの正確検定)を用いて行った。
0.05よりも低いp値を、有意とみなした。
【0117】 変動係数を用いて、インビトロでの研究における微小泡のサイズおよび濃度の
測定における観察者間変動性を測定した。独立した調査者間平均差を用いて、ピ
ーク心筋ビデオ強度における観察者間変動を比較した。
【0118】 2人の独立した観察者が、断続的または従来のいずれかの超音波フレームレー
トに曝露された6つの異なるスライドの微小泡のサイズおよび濃度を測定した。
6つの異なるサンプルにおける2人のs独立した観察者による微小泡のサイズの
測定値についての変動係数は8%(r=0.95;p=0.004)であり、一
方、微小泡濃度の独立した測定値についての変動係数は9%(r=0.99;p
<0.001)であった。経胸壁画像化についての2人の独立した調査者による
ピーク心筋ビデオ強度測定値において報告された平均差は、4±4単位(r=0
.94、SEE=5単位;p<0.001;n=24比較)であり、これは、O 2 PCMBとRA PCMBとの間の前壁ピーク心筋ビデオ強度における16
単位の平均差および後壁ピーク心筋ビデオ強度における13単位の平均差よりも
充分に低い。2人の調査者は、44のうちの37の領域(84%)におけるコン
トラスト増強の視覚的程度において一致した。5つの不一致は、RA PCMB
心筋コントラスト増強の視覚的階級付けにおいてであった(2つの領域において
0対1、3つの領域において1+対2+)。1+が存在するか2+が存在するか
についての不一致が存在した3つの領域は、統計分析において2+を割り当てた
【0119】 (実施例12.微小泡からのODNの取り込みに対する、標的化された超音波
処理の効果) PS−ODN結合体化微小泡の腎臓取り込みに対する超音波処理の効果のイン
ビボでの研究を、3匹のイヌにおいて行った。蛍光標識したPS−ODN PE
SDA微小泡(0.2ml)の静脈内注射を、大腿静脈において与えた。同時に
、左腎臓を、外部に配置した2.0MHz〜2.5MHzの診断超音波変換器(
ピークの負の圧力は1.1MPa)によってインソニファイ(insonify
)した。この腎臓を、注射後、およびこの腎臓における視覚的に明らかなコント
ラスト出現の間、最低2分間にわたって30Hzフレームレートを用いてインソ
ニファイした。各イヌでは、左心室動脈圧および肺動脈圧を、左心室および胚動
脈にそれぞれ配置した生理食塩水を充填したカテーテルを用いた腎臓注射の前お
よび後でモニタリングした。注射の約4時間後、このイヌを屠殺し、そして両方
の腎臓を取り出した。切断切片を、腎皮質から得て、そしてPS−ODNについ
てのサンプルとし、上記の遺伝子スキャニング方法(実施例8)を用いて計数し
た。組織学的切片をまた、糸球体およびネフロンにおいて、蛍光の分析のために
得た。
【0120】 1匹のイヌでは、標識したPESDAにおける静脈内PS−ODN後の非イン
ソニファイ腎臓と比較して10倍を超えて大きなPS−ODNの取り込みが、イ
ンソニファイした腎臓において存在した。3匹のうちの2匹のイヌでは、PS−
ODN取り込みの、インソニファイした腎臓への分配が明らかであった。第1の
イヌでは、非インソニファイ腎臓に対して、インソニファイした腎臓においてP
S−ODNの3倍高い取り込みが存在した。第2のイヌでは、インソニファイし
た腎臓においてPS−ODNの9倍を超える高い取り込みが存在した。しかし、
第3のイヌでは、2つの腎臓の間でPS−ODN取り込みの差は存在しなかった
。PS−ODNで標識したPESDA微小泡の静脈内注射後、血行力学的な変化
は存在しなかった。死後の腎臓の組織学的検査はまた、診断的超音波によって、
いずれの糸球体にも管状細胞にも破壊がないことを示した。
【0121】 (実施例13.微小泡からのヘパリン取り込みに対する超音波処理の効果) 静脈内ヘパリンを、3つの異なる設定で、1500単位のボーラス用量でイヌ
被験体に投与した。設定1では、ヘパリンを、遊離の薬物として与えた。設定2
では、1500単位のヘパリンを、オロソムコイドPESDAに結合させて与え
たが、超音波は血液プールに適用しなかった。設定3では、オロソムコイドPE
SDAに結合させた同じ用量のヘパリン(1500単位)を与え、そして超音波
を血液プールに適用した。活性化部分トロンボプラスチン時間(PTT)のベー
スライン測定を測定し、次いで各注射後に5分間の間隔で、最低15分間にわた
って繰り返した。
【0122】 設定1では、PTTは、5分では106秒を超えて増加したが、15分で30
〜60秒に戻った。設定2では、PTTは10分後には106秒を超えて到達し
、そして15分で60〜80秒に戻った。設定3では、PTTは、15分後に1
06秒を超えるままであった;さらなる測定は行わなかった。
【0123】 (実施例14.経皮超音波およびc−mycプロトオンコジーンに対するアン
チセンスを含む静脈内微小泡送達系を用いる頚動脈新生内膜形成の阻害) 全ての手順は、Institutional Animal Care an
d Use Committeeによって承認され、そしてPosition
of the American Heart Association on
Research Animal Useに従った。28匹の家畜ブタに、ア
スピリン(325mg PO)を前投薬した。次いで、ケタミン(20mg/k
g)、キシラジン(4mg/kg)および補助的なペントバルビタールを用いて
全身麻酔を投与した。このブタに挿管し、そして呼吸器の呼吸空気に置いた。S
wan Ganzカテーテルを、肺動脈中へ前進させて肺の圧力をモニタリング
した。静脈内ヘパリン(4,000〜5,000単位)、アトロピン(0.5〜
1.0mg)、および舌下ニフェジピン(10〜30mg)を与えた。8Fガイ
ドカテーテルを、右頚動脈の近位部分に配置した。大きすぎるバルーン(6.0
mm〜10.5mm)で血管を平均107±34秒間(90〜240秒間の範囲
)拡張することによってこの動脈を傷付けた。この介入を、ブタがその後どの処
置を受けるかを知らない実験的介入心臓病専門医(U.D.)によって行った。
損傷後の血管開存性を、HexabrixまたはRenographin−76
の頚動脈内注射を用いる血管造影によって確認した。
【0124】 最初の20動物を、ランダム化して、バルーン傷害の後に3つのうちの1つの
処置を受けさせた: (a)PESDAに結合したc−mycに対する静脈内ホスホロチオエートO
DN(0.5ミリグラム;Lynx Therapeutics;Haywar
d,California)(ODN−PESDA); (b)c−myc単独に対する同じ用量の静脈内アンチセンス(ODN単独)
;または (c)注射なし(コントロール)。
【0125】 注射を、ODN−PESDAおよびODN単独のブタにおけるバルーン傷害の
3日後に繰り返した。全ての動物は、ケトロラク(60mg)およびソルメドロ
ール(Solumedrol)(40mg)を静脈内で与えられて、微小泡を受
けるようにランダム化されたブタにおける肺高血圧反応を予防した。
【0126】 最後の8匹のブタは、c−mycに対する異なるODNを受けた(モルホリノ
(Morpholino);AVI Biopharma,Inc.;Corv
allis,Oregon)。これらのブタでは、バルーン傷害後、第1の4匹
は、PESDAに結合したODNを受け、そして最後の4匹は、ODN単独(n
=2)または処理無し(n=2)のいずれかを受けた。
【0127】 ODN−PESDAに対してランダム化された動物では、50ワット/cm2
の出力で経皮20キロヘルツ超音波プローブ(Model XL2020;He
at Systems;Farmingdale,New York)によって
、バルーン拡張の直後および3日目の両方において各注射の前および後に、計6
分間、右頚動脈の上の領域にインソニファイした。プローブの加熱に起因する皮
膚の刺激を避けるために、1.5〜2.0センチメートルのカップリングゲルを
、倒置させた切断12ミリリットル注射器を用いて皮膚表面とプローブ先端との
間に配置した。右頚動脈の位置を、診断用変換器(HDI3000;Advan
ced Technology Laboratory;Bothell,Wa
shington)を用いて確認した。
【0128】 (バルーン傷害30日後での測定:)バルーン傷害30日後にて、血管内超音
波(IVUS)測定を行った後でブタを屠殺した。2.9または3.1 F 3
0 Megahertz IVUSカテーテル(CVIS;Sunnyvale
,CA)を蛍光顕微鏡下で遠位頚動脈中へと前進させ、そしてカテーテルの電動
化した引き戻しを行った。管腔面積、総血管面積(管腔+任意の脈管形成斑)、
および血管直径のオフライン面積測定を、以前に傷付けた領域における最大の斑
および最小の管腔の部位にて行った。次いでこのブタを屠殺し、そして頚動脈の
連続切片を、固定後に行った。最大内膜厚さの部位を、デジタル面積測定(NI
H Image 1.61;Bethesda,Maryland)によって測
定した。この血管は、灌流固定を受けなかったので、最大内皮厚さの値は、IV
USによって測定されたバルーン傷害部位での血管直径を指標付けした。IVU
Sおよび組織学的測定の両方は、このブタがどの処置レジメンを受けるかを知ら
ない調査者(それぞれ、W.H.およびS.R.)によって行われた。
【0129】 (統計分析:)3つの群における、バルーン傷害部位での総血管面積、管腔面
積、および管腔直径のIVUS測定における差、ならびに最大内皮厚さの組織学
的測定を、分散分析(Student−Newmann−Keuls複数比較手
順)を用いて比較した。IVUSは、ODN単独を受けた3匹のブタにおいて行
われ得なかったので、ODN単独およびコントロールからのデータをまた合わせ
、そしてStudent t検定またはMann−Whitney Rank
Sum検定によってODN−PESDAと比較した。IVUSおよび組織学的測
定における観察者間変動を、同じ調査者に異なる時点で測定を繰返し、そして測
定値間の差のパーセントを計算をさせることにより計算した。
【0130】 (結果:)2匹のブタが、バルーン傷害プロトコルの間に死んだ。5匹のブタ
(3匹はODN−PESDA、1匹はIV ODN単独、および1匹はコントロ
ール)では、傷害の30日後に傷害または内皮過形成の組織学的証拠は無かった
。残りの21匹のブタのうち、8匹はODN−PESDAを受け、7匹は静脈内
ODN単独を受け、そして6匹は何も受けなかった。20キロヘルツの超音波で
処置されたブタは、適用した超音波の部位で表面剥離(superficial
abrasion)を有していたが、この表面剥離は、30日の追跡ではもは
や明らかでなかった。
【0131】 表1は、3つの群における血管内超音波データおよび組織学的データを含む。
血管内超音波は、16匹のブタにおいて可能であった。ODN単独を受けたブタ
のうち3匹においては、傷害30日後で血栓閉塞していることから、このことは
行われ得ず、そしてODN−PESDAおよびODN単独を受けた各々1匹のブ
タでは、技術的理由から、このことは行われ得なかった。
【0132】 IVUSで測定した傷害部位での総血管面積および管腔面積は、ODN−PE
SDA群において有意に大きかった。組織学での同じ群における有意に小さい最
大内皮厚さにもかかわらず、このより大きな血管サイズが見られた。最大内皮厚
さの組織学的測定がIVUS血管直径を指標付けした場合、3つの群の間に明確
な区別が存在した(表1)。
【0133】 コントロールブタは、超音波およびODN−PESDAで処置したブタと比較
した場合、30日間よでより小さな血管を有したが、より大きな内膜厚さを有し
た。観察者間変動は、IVUS測定において3%(n=12比較)であり、そし
て反復組織学的測定について14%(n=25比較)であった。
【0134】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、PESDA(ペルフルオロカーボンに曝露された超音波処理したデキ
ストロース/アルブミン)微小泡についてのPS−ODNとの結合データのライ
ンウィーバー−バークプロットである。微小泡への結合についての平衡解離定数
m(二連で行った7つの濃度について算出した;実施例5を参照のこと)は、
1.76×10-5Mであった。配列5’d(AAC GTT GAG GGG
CAT)−3’;配列番号1を有する15マーのPS−ODNの、溶液中のヒト
血清アルブミンとの結合について報告されたこの値は、ほとんど3.7〜4.8
×10-5Mの範囲内である(Srinivasan,S.K.ら、「Chara
cterization of Binding Sites,Extent
of Binding,and Drug Interactions of
Oligonucleotides with Albumin」、Antis
ense Res.Devel.5:131、1995)。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】 前述より、生物製剤、特にポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの送達
のためにより有効な標的化薬物送達系は、これらの薬物がそれらの完全な能力を
達成するために必要とされることが理解され得る。 いくつかの参考文献は、ガスを充填した微小泡の、造影剤としての使用を記載
している。米国特許第5,567,415号において、Porterは、ペルフ
ルオロカーボンガスを導入しながらデキストロース−アルブミン懸濁液を超音波
処理することによって調製される微小泡を記載している。Porterら(J.
Am.Coll.Cardiol.25(2):509、1995)は、空気、
窒素、ヘリウムまたはSF6に、(a)空気中での超音波処理、続いて(b)シ
リンジ中で、選択されたガスとの連続的な混合によって曝露される、ガスを含有
する微小泡を教示する。他の参考文献は、治療剤の送達のための微小泡を記載し
ている。Unger(WO 96/39197)は、両親媒性フッ化化合物中に
カプセル化された微小泡を介する薬物送達を教示する。カプセル化されたガスと
しては、フルオロカーボン、窒素、酸素、または空気が挙げられ得る。典型的な
調製において、この微小泡は、両親媒性フッ化化合物の水性懸濁液を覆う頭部空
間にフルオロカーボンおよび/または窒素を流し込み、そしてその容器を振盪す
ることによって形成される。Porterら(Circulation 96(
8):L401、1997)は、空気またはフルオロカーボンのいずれかを含む
、オリゴヌクレオチドの送達のための微小泡を開示する。PorterおよびI
versen(WO 98/00172)は、タンパク質でカプセル化された微
小泡を比較し、この微小泡は、異なるガス、すなわち、窒素、ヘリウム、および
六フッ化硫黄を含む。この微小泡は、空気中での超音波処理、続いて血液学的ロ
ッカーにおける各々のガスとの混合により調製される。Marsden(WO
98/18498)は、診断用画像化および/または治療における使用のために
標的化された超音波造影剤を記載している。この参考文献は、その薬剤が多くの
数のガスのいずれかを含み得、その行っている35の実施例に実際に使用される
ガスは、ペルフルオロカーボン、SF6、または空気であることを教示する。P
orterら(WO 97/33474)は、超音波と組合さった、微小泡への
結合体化による薬物の送達を教示する。PESDA(ペルフルオロカーボンに曝
露され超音波処理されたデキストロース/アルブミン)微小泡は、ペルフルオロ
カーボンとの手による攪拌、続いて空気中での超音波処理により調製された。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】 (発明の要旨) 1つの局面において、本発明は、生物学的薬剤を特定の組織部位へ送達するた
めの方法を提供する。この方法は、(a)タンパク質でカプセル化され、不溶性
ガスを含有する複数の微小泡(microbubble)の水性懸濁液を形成す
る工程であって、ここで、この生物学的薬剤が、空気中での超音波処理を介して
得られる微小泡内の酸素含量よりも高いこの微小泡内の酸素含量、および2
圧よりも低いこの微小泡内のN2分圧を生じる条件下で、そのタンパク質と結合
体化される、工程;および(b)この懸濁液を動物に投与し、その結果このタン
パク質が、タンパク質のバイオプロセシングの部位へとこの微小泡結合体化剤を
指向し、そしてこの微小泡の消散の際、この生物学的薬剤を放出する工程、を包
含する。好ましくは、この微小泡は、N2枯渇環境、およびより好ましくはN2
含まない環境(例えば、酸素)で形成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】 本発明はまた、生物学的薬剤を特定の組織部位に送達するための関連方法を提
供し、この方法は、(a)上記のように、タンパク質でカプセル化され不溶性ガ
スを含有する微小泡の水性懸濁液を形成する工程であって、ここで、この生物学
的薬剤がそのタンパク質に結合体化される、工程;(b)この懸濁液を動物に投
与する工程;および(c)その組織部位を超音波に曝露する工程、を包含する。 この 微小泡は、空気中での超音波処理を介して得られる微小泡内の酸素含量より
も高いこの微小泡内の酸素含量、および2分圧よりも低いこの微小泡内のN2
圧を生じる条件下で形成される。従って、この微小泡は、好ましくは、N2枯渇
環境において形成され、そしてより好ましくはN2を含まない環境、例えば、酸
素中で形成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 イバーセン, パトリック エル. アメリカ合衆国 ネブラスカ 68127, オマハ, ウィルソン ドライブ 8226 (72)発明者 メイヤー, ギャリー ディー. アメリカ合衆国 オハイオ 45701, ア センス, イースト サークル ドライブ 20, スイート 190 Fターム(参考) 4C076 AA22 AA64 AA95 BB12 CC11 CC41 DD35 EE41 EE59 FF68 4C084 AA11 AA13 MA05 MA23 MA38 NA05 NA06 NA13 ZA361 4C086 AA01 AA02 EA16 EA28 MA03 MA05 MA07 MA23 MA38 NA05 NA06 NA13 ZA36

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的薬剤を特定の組織部位に送達するための方法であっ
    て、以下: (a)タンパク質でカプセル化され不溶性ガスを含有する複数の微小泡の水性
    懸濁液を形成する工程であって、該生物学的薬剤が、空気中での超音波処理を介
    して得られる微小泡内の酸素含量よりも高い該微小泡内の酸素含量、および空気
    中での超音波処理を介して得られる微小泡内のN2分圧よりも低い該微小泡内の
    2分圧を生じる条件下で、該タンパク質に結合体化される、工程;ならびに、 (b)該懸濁液を動物に投与し、その結果該タンパク質が、該微小泡が結合体
    化した薬剤を該タンパク質のバイオプロセシング部位に指向させ、そして該微小
    泡の消散の際に該薬剤を放出する、工程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記微小泡の消散が、前記組織部位を超音波に曝露すること
    によってもたらされる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 生物学的薬剤を動物の標的部位へ送達するための方法であっ
    て、以下: (a)タンパク質でカプセル化され不溶性ガスを含有する複数の微小泡の水性
    懸濁液を形成する工程であって、該生物学的薬剤が、空気中での超音波処理を介
    して得られる微小泡内の酸素含量よりも高い該微小泡内の酸素含量、および空気
    中での超音波処理を介して得られる微小泡内のN2分圧よりも低い該微小泡内の
    2分圧を生じる条件下で、該タンパク質に結合体化される、工程; (b)該懸濁液を該動物に投与する工程、および (c)該標的部位に超音波場を適用する工程、 を包含する、方法。
  4. 【請求項4】 前記微小泡がN2を含まない環境で形成される、請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記環境が酸素からなる、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記タンパク質が、アルブミン、ヒトγグロブリン、ヒトア
    ポトランスフェリン、β−ラクトースおよびウレアーゼからなる群より選択され
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記タンパク質がアルブミンである、請求項6に記載の方法
  8. 【請求項8】 前記不溶性ガスが、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタ
    ン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、およびペルフルオロペンタン
    からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記生物学的薬剤が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ア
    ンチジーンオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドプローブ、ベクター、ウイ
    ルスベクター、およびプラスミドからなる群より選択されるポリヌクレオチドで
    ある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記微小泡が以下: (a)5重量%〜50重量%のデキストロースを含むデキストロース水溶液を
    用いて、約2重量%〜約10重量%のヒト血清アルブミンを含むアルブミン水溶
    液を、約2倍〜約8倍に希釈する工程; (b)該溶液を前記不溶性ガスで攪拌する工程;および (c)N2枯渇環境において、該溶液を超音波処理ホーンに曝露し、該溶液中
    で微粒子部位に空洞を作製し、それによって直径約0.1〜10ミクロンの安定
    した微小泡を生成する工程、 によって形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 工程(c)における前記N2枯渇環境が酸素からなる、請
    求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記酸素が、前記超音波処理ホーンと前記溶液との間の界
    面に吹き込まれる、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 血管の外傷を受けた動物における頸動脈狭窄形成を防ぐた
    めの方法であって、該方法は: (a)タンパク質でカプセル化され不溶性ガスを含有する複数の微小泡の水性
    懸濁液を該動物に投与する工程であって、ここで該タンパク質が、平滑筋の増殖
    を媒介する調節酵素をコードする遺伝子の発現を阻害するオリゴヌクレオチドに
    結合体化される、工程、および (b)該動脈部位に超音波場を適用する工程、 を包含する、方法。
  14. 【請求項14】 前記微小泡が、空気中での超音波処理を介して得られる微
    小泡内の酸素含量よりも高い該微小泡内の酸素含量、および空気中での超音波処
    理を介して得られる微小泡内のN2分圧よりも低い該微小泡内のN2分圧を生じる
    条件下で形成される、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記遺伝子がc−mycまたはc−mybである、請求項
    13に記載の方法。
  16. 【請求項16】 微小泡組成物であって、タンパク質でカプセル化され不溶
    性ガスを含有する微小泡の水性懸濁液を含み、該微小泡が、空気中での超音波処
    理を介して得られる微小泡内の酸素含量よりも高い該微小泡内の酸素含量、およ
    び空気中での超音波処理を介して得られる微小泡内のN2分圧よりも低い該微小
    泡内のN2分圧を有する、微小泡組成物。
  17. 【請求項17】 前記タンパク質に結合体化した生物学的薬剤をさらに含む
    、請求項16に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記タンパク質が、アルブミン、ヒトγグロブリン、ヒト
    アポトランスフェリン、β−ラクトースおよびウレアーゼからなる群より選択さ
    れる、請求項16に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 前記タンパク質がアルブミンである、請求項18に記載の
    組成物。
  20. 【請求項20】 前記不溶性ガスがペルフルオロカーボンである、請求項1
    6に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 前記ガスが、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、
    ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、およびペルフルオロペンタンから
    なる群より選択される、請求項20に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 前記生物学的薬剤がオリゴヌクレオチドである、請求項1
    7に記載の組成物。
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