JP2002520053A - 凝固因子fvii/fviiaに対する向上した親和性を持つ組織因子タンパク質変異体 - Google Patents

凝固因子fvii/fviiaに対する向上した親和性を持つ組織因子タンパク質変異体

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、組織因子タンパク質のアミノ酸配列変異体を提供する。この組織因子タンパク質変異体は、野生型の対応物より大きな因子VII/VIIaに対する親和性を有する。また本発明は、新規な組成を含む医薬品組成物、並びにそれらの診断、治療、及び予防方法における使用も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は、組織因子タンパク質のアミノ酸配列変異体を含んでなる新規な組成
物に関する。この組織因子タンパク質変異体は、それらに対応する哺乳動物組織
因子タンパク質より大きな、FVII/FVIIaに対する親和性を有する。ま
た本発明は、この新規な組成物を含有してなる医薬品組成物、並びにそれらの診
断、治療、及び予防方法における使用にも関する。
【0002】 (関連する開示の説明) 組織因子(TF)は、凝固因子VIIa(FVIIa)及びチモーゲン前駆体
因子VII(FVII)のレセプターである。TFは263アミノ酸残基の糖タ
ンパク質であって219残基の細胞外ドメイン、単一の膜貫通ドメイン、および
短い細胞質ドメインからなる(Fisher等, (1987) Thromb. Res. 48: 89-99)。
TFの細胞外ドメインは各々が約105アミノ酸の2つの免疫グロブリン様フィ
ブロネクチンIII型ドメインからなる。各ドメインは、Igスーパーファミリ
ーC2型相同性を持つ2つの反平行のβ−シートから形成される。FVIIaと
TFとのタンパク質相互作用は、全体的にTF細胞外ドメインに媒介され(Mull
er等, (1994) Biochem. 33: 10864-10870; Gibbs等, (1994) Biochem. 33: 1400
3-14010; Ruf等, (1994) Biochem. 33: 1565-1572)、それは大腸菌、培養され
たチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びサッカロミセスセレビシアエ
において発現されている(Waxman等, (1992) Biochemistry 31: 3998-4003; Ruf
等, (1991) J. Bio. Chem. 266: 2158-2166及びShigamatsue等, (1992) J. Biol
. Chem. 267: 21329-21337)。FVIIaを阻害する活性部位を持つヒトTF(
hTF)細胞外ドメイン及びその複合体の構造が、最近x-線クロマトグラフィ
ーによって決定された(Harlos等, (1994) Nature 370: 662-666; Muller等, (1
994) Biochemistry 33: 10864; Banner等, (1996) Nature 380: 41-46)。
【0003】 hTFの細胞外ドメインはアラニンスキャンニング突然変異誘発によって広範
に特徴付けられている(Kelley等, (1995) Biochemistry、34: 10383-10392; Gob
bs等, (1994), 上掲; Ruf等, (1994), 上掲)。アミノ酸番号16〜26および
129〜147の領域にある残基はFVIIaとの結合並びにこの分子の凝血原
機能に寄与している。Lys20、Trp45、Asp58、Tyr94、及び
Phe140の各残基はFVIIaとの結合のための自由エネルギー(ΔG)に
大きく寄与(1kcal/mol)をしている(Kelley等, 上掲)。Lys20及びAs
p58のアラニン残基での置換は、FVIIa親和性において各々78-及び3
0-倍の低下を導く(Kelley等, 上掲)。FVIIaに接触する他の近傍部位で
の17の単一部位変異体の組は、親和性において小幅な低下(ΔΔG=0.3−
1.0kcal mol−1)をもたらした。各々が結晶構造においてFVIIaに接触
しているTF残基Thr17、Arg131、Leu133及びVal207の
変異は、FVIIaへの親和性に影響しない。Lys15Ala及びTyr18
5Alaの変異は、親和性の小さな向上(ΔΔG=−0.4kcal mol−1)をも
たらす(Kelley等, (1995) 上掲)。hTFにおけるLys20のアラニン置換
によって課される親和性の78倍の低下は、Asp58のトリプトファン置換に
よって逆転する(Lee及びKelley, (1998) J. Biol. Chem. 273: 4149-4154)。
【0004】 アミノ酸番号157〜168の領域にある残基はTF−FVIIaの凝結促進
機能に寄与するが(Kelley等, (1995) 上掲;Ruf等, (1992) J. Biol. Chem., 2
67: 22206-22210)、FVII/FVIIa結合にとって重要ではない。リジン
残基165及び166がTF補因子機能に重要なことが示されているが、FVI
Ia複合体の形成には関与していない(Roy等, (1991) J. Biol. Chem., 266: 2
2063; Ruf等, (1992), J. Biol. Chem., 267: 6375)。リジン残基165及び1
66は、TFのフィブロネクチンIII型ドメインのC末端に位置し、突然変異
誘発に基づいてFVIIa結合に重要であることが判明している残基とは反対側
の分子表面にある(Kelley等, (1995) 上掲)。これらのリジン残基をアラニン
で置換すると、TF−FVIIa複合体によって触媒されるFX活性化速度の低
下をもたらす(Ruf等, (1992) 上掲)。hTF(sTF)の残基1−219を含
むLys165Ala−Lys166Ala変異体(hTFAA)は、FVII
aへの結合について膜TFとの競合を通してインビトロでの血液凝固の外部経路
を阻害する。動脈血栓症のウサギモデルにおいて、この変異体は、出血傾向を増
加させることなく血栓形成を部分的に阻止する(Blood 89, 3219-3227)。しか
しながら、抗血栓効果には、この変異体の高用量が必要とされ、これは一部には
、FVIIaがsTFよりも約1000倍緊密に細胞表面Tfに結合するからで
ある(Kelley等, (1997) 上掲)。より大きな見かけの親和性は、FVIIaγ-
カルボキシグルタミン酸含有(Gla)ドメインとリン脂質との相互作用による
【0005】 TFは血管内皮によって血漿から分離された細胞上に構成的に発現される(Ca
rson,S.D.及びJ.P.Brozna、(1993), Blood Coag. Fibrinol., 4: 281-292)。内
皮細胞及び単球上におけるその発現は、炎症性サイトカインまたは細菌性リポ多
糖との接触によって誘発される(Drake等, (1989) J. Cell Biol., 109: 389)
。組織が損傷を受けると、露出したTFの細胞外ドメインは、FVIIと親和性
の高いカルシウム依存性複合体を形成する。一旦TFと結合すると、FVIIは
ぺプチド結合切断によって活性化されてセリンプロテアーゼFVIIaを与え得
る。この段階をインビボで触媒する酵素はまだ確認されていないが、インビトロ
ではFXa、トロンビン、TF−FVIIa、及びFIXaがこの切断を触媒で
きる(Davie等, (1991) 30: 10363-10370)。FVIIaはその生理学的基質で
あるFX及びFIXに弱い活性しか示さないが、TF−FVIIa複合体はFX
およびFIXを迅速に活性化する。
【0006】 TF−FVIIa複合体は、外因性血液凝固経路の第一次的な開始剤を構成す
る(Carson, S.D.及びJ.P. Brozna, (1993) Blood Coag. Fibrinol., 4: 281-29
2; Davie, E.W.等 (1991) Biochemistry, 30: 10363-10370; Rapaport, S.I.及
びL.V.M. Rao, (1992)Arterioscler. Thromb., 12: 1111-1121)。この複合体は
、FXからXa因子(FXa)、FIXからIXa因子(FIXa)、及びそれ
に加えてFVIIからFVIIaへの活性化により外因性経路を開始させる。T
F−FVIIaの作用は最終的にプロトロンビンからトロンビンへの変換を誘発
し、多くの生物学的機能を実行する(Badimon, L.等 (1991) Trends Cardiovasc
. Med. 1: 261-267)。トロンビンの最も重要な機能は、フィブリノーゲンのフ
ィブリンへの変換であり、それは重合して凝血塊を形成する。またTF−FVI
Ia複合体は、接触活性化系の生理学的効果を拡張する二次的因子としても関与
している。
【0007】 この血漿プロテアーゼ系の関与は、動脈及び静脈の血栓症、敗血性ショック、
成人呼吸困難症候群(ARDS)、播種性血管内血液凝固症(DIC)及び他の
様々な疾患状態を含む種々の臨床的表現型に重要な役割を果たしていることが示
唆されている(Haskel, E.J.等 (1991), Circulation, 84: 821-827; Holst, J.
等 (1993) Haemostasis, 23(補1): 112-117; Creasey, A.A.等 (1993) J. C1in.
Invest., 91: 2850~2860; またColman, R.W. (1989)N. Engl. J. Med., 320: 1
2071209; Bone, R.C. (1992) Arch. Intern. Med., 152: 1381-1389も参照)。
TFの過剰発現および/または異常な利用は血栓症および敗血症双方の病理生理
学に関連している(Taylor等, (1991) Circ. Shock, 33: 127; Warr等 (1990),
Blood, 75: 1481; Pawashe等 (1994) Circ. Res., 74: 56)。TFは、動脈硬
化症プラーク内にある細胞の表面に発現される(Wilcox等, (1989) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 86: 2839)。これに加え、TFは腫瘍転移に影響するとされ
ている(Bromberg等 (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92: 8205)。抗-T
Fモノクローナル抗体の中和は、ヒヒ敗血症モデルで死亡を予防し(Taylor等 (
1991) Circ. Shock, 33: 127)、ウサギにおけるエンドトキシン誘導DICを弱
め(Warr等 (1990) Blood, 75: 1481)、及びウサギの動脈血栓症モデルで血栓
再形成を予防する(Pawashe等 (1994) Circ. Res., 74: 56)ことが示された。
【0008】 (発明の概要) 本発明は、組織因子タンパク質のアミノ酸配列変異体を含んでなる組成物を提
供する。この組織因子タンパク質変異体は、それらが誘導される哺乳動物組織因
子対応物よりも、FVII/FVIIaに対して大きな親和性を持つ。好ましい
実施態様では、本発明は、 FVIIからFVIIa、FIXからFIXa又はFXからFXaの触媒的変換
等のTF−FVIIaが媒介又は関連する過程を阻害し、それによって血液凝固
の外因性経路の初期の事象を阻止する組成物を提供する。従って、本発明は、場
合によっては凝固因子X活性化のための補因子を欠く組織因子タンパク質変異体
を提供する。よって、本発明の組成物は、FVII又はFVIIaへの結合につ
いて内因性組織因子と競合することができ、或る態様では内因性組織因子の血液
凝固効果を中和できる。
【0009】 本発明の組成物は、出血性疾患の処置のための治療及び予防方法において有用
である。例えば、本発明の一態様では、組織因子タンパク質変異体は、凝血因子
VIII、IX又はXIの欠損症を含む種々の慢性及び急性出血性疾患のための
凝血誘発治療用組成物として処方される。さらなる態様では、本発明は、TF−
FVIIa媒介又は関連過程の阻害のための治療及び予防方法並びに組成物を提
供する。有利には、これらの組成物は、低用量の医薬品製剤を提供する。
【0010】 本発明の特別な態様では、組織因子タンパク質変異体は、哺乳動物組織因子タ
ンパク質から誘導され、Asp54、Glu56、Glu130、Arg131
、Leu133、Arg135及びPhe140からなる群から選択されるヒト
アミノ酸残基に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つが他のアミノ酸に置換さ
れたアミノ酸配列を有し、この組織因子タンパク質変異体は、FVII/FVI
Iaに対して、それが誘導された哺乳動物組織因子より大きな親和性を持つ。好
ましくは、組織因子タンパク質変異体は、Asp54及びGlu56からなる群
から選択されるアミノ酸残基の少なくとも1つ、及びGlu130、Arg13
1、Leu133、Arg135及びPhe140からなる群から選択されるア
ミノ酸残基の少なくとも1つが他のアミノ酸に置換された、可溶性組織因子タン
パク質変異体である。本発明の特別な態様では、Asp54に対する他のアミノ
酸残基が好ましくはLys、Asn、Glu、Ala及びSerからなる群から
選択され;Glu56に対する他のアミノ酸残基が好ましくはAsp、His、
Gln及びTrpからなる群から選択され、Glu130に対する他のアミノ酸
残基が好ましくはAsp、Ala、Ser及びGlyからなる群から選択され、
Arg131に対する他のアミノ酸残基が好ましくはGln、Ile、Pro、
Ser、Leu、Lys、Thr及びMetからなる群から選択され、Leu1
33に対する他のアミノ酸残基が好ましくはAlaであり、Arg135に対す
る他のアミノ酸残基が好ましくはTrp、Gln、Leu、Tyr、Thr及び
Alaからなる群から選択され、及びPhe140に対する他のアミノ酸残基が
好ましくはAsn、His、Val、Ala、Arg及びGlyからなる群から
選択される。
【0011】 さらに本発明は、因子VII/VIIa結合にエネルギー的に寄与する、又は
FVII/FVIIa補因子活性に寄与するアミノ酸残基におけるアミノ酸置換
をさらに有する組織因子タンパク質変異体を提供する。従って本発明は、FVI
Ia補因子機能を欠いた、及び対応する組織因子タンパク質に比較して増大した
FVII/FVIIaに対する親和性を持つ組織因子タンパク質のアミノ酸配列
変異体を提供する。本発明の特別な態様では、好ましくは、Lys15、Asp
44、Trp158、Ser163、Gly164、Lys165、Lys16
6及びTyr185からなる群から選択される少なくとも1つのさらなるアミノ
酸残基が、アラニン等の他のアミノ酸残基で置換される。
【0012】 一実施態様において、本発明の組成物はポリペプチドであり、本発明は、本発
明のポリペプチドをコードする、単離された核酸、好ましくはDNAを含む物質
の組成物を包含する。この態様によると、本発明は、そのDNA分子に作用可能
に結合した発現制御配列、そのDNA分子を含みその制御配列が当該べクターで
形質転換された宿主細胞に認識される発現ベクター、好ましくはプラスミド、及
び当該ベクターで形質転換された宿主細胞をさらに含む。
【0013】 さらに本発明は、ここに記載する組成物の治療的応用にまで拡張される。即ち
発明は、本発明の組成物及び製薬的に許容される賦形剤を含む医薬品組成物を包
含する。これらの分子を含む医薬品組成物は、遺伝的凝固因子欠損症、脈管病お
よび炎症性反応を包む血栓性または凝固障害性関連の疾患または障害の治療又は
予防に使用できる。これらの応用には、例えばTF−FVIIaの阻害が指示さ
れる哺乳動物を治療する方法であって、その哺乳動物に医薬品組成物の製薬的有
効量を投与することを含んでなる方法が包含される。このような適応症は、深部
静脈血栓症、動脈血栓症、術後血栓症、冠動脈バイパス移植(CABG)、経皮
経管冠動脈形成術(PTCA)、発作、腫瘍転移、炎症、敗血性ショック、高血
圧、ARDS及びDICを含む。また本発明の組成物は、血栓溶解療法における
アジュバントとしても使用できる。
【0014】 (好適な実施態様の詳細な説明) (定義) 特許請求の範囲及び明細書で使用する用語は、特に断らない限り以下に記載す
るように定義される。 説明を通して使用される略語は次のものを含む:IXa因子についてのFIX
a;XIa因子についてのFXIa;Xa因子についてのFXa;組織因子につ
いてのTF;VII因子チモーゲンについてのFVII;VIIa因子について
のFVIIa;組織因子−VIIa因子複合体についてのTF−FVIIa;F
VII及び/又はFVIIaについてのFVII/FVIIa;細胞外ドメイン
残基1−219(配列番号:2)を含む可溶性組織因子についてのsTF;位置
165及び166におけるLysのAlaへの置換を含むsTF変異体(配列番
号:3)についてのhTFAA;Dennis等, (1994) J. Biol. Chem. 269(35): 2
2129-22136におけるのと同じ名前のクニッツ型TF-FVIIa阻害薬について
のTF7I−C;見掛けの平衡解離定数についてのKi*;プロトロンビン時間に
ついてのPT;活性化部分トロンボプラスチン時間についてのAPTT。 ここで用いられる場合のアミノ酸又はアミノ酸残基という用語は、変異体につ
いて以下でさらに説明するように、天然発生Lアミノ酸又はDアミノ酸を意味す
る。共通して使用される一及び三文字略語が、アミノ酸についてここで用いられ
る(Bruce Alberts等, Molecular Biology of the Cell, Garland Publishing,
Inc., New York (3d ed. 1994))。
【0015】 TF−FVIIa仲介または関連過程または事象、あるいはこれと同等に、血
漿FVIIaに関連する活性は、本発明によればTF−FVIIaの存在を必要
とする任意の事象である。凝血塊形成の一般的機構は、Medical Physiology, 13
th ed., Lange, Los Altos CA, pp411-414 (1987)の総説においてGanongにより
、及びBach (1988) CRC Crit. Rev. Biochem. 23(4): 359-368により概説されて
いる。血液凝固には、血小板凝集を誘発するトロンビン生成及び血小板プラグを
安定化するフィブリン形成という2つの経路の合流が必要とされる。この過程は
、各々が別々のプロ酵素およびプロ補因子の存在を必要とする幾つかの段階を含
む。この過程は、フィブリンの架橋および血栓形成で終了する。フィブリノーゲ
ンはトロンビンの作用でフィブリンに変換される。一方、トロンビンは、プロト
ロンビンのタンパク質分解的切断によって形成される。このタンパク質分解は活
性化された血小板表面に結合するFXaによって行われ、FVaとカルシウムの
存在下でプロトロンビンを切断する。TF−FVIIaは凝固の外部経路による
FXのタンパク質分解的活性化のために必要である。従って、TF−FVIIa
が媒介または関連する過程またはFVIIaに関連する活性は、TF−FVII
a複合体形成からフィブリン血小板凝塊形成まで及び最初にTF−FVIIaの
存在を必要とする凝固カスケードにおける任意の段階を含む。例えばTF−FV
IIa複合体はFXからFXa、FIからFIXa、及びこれに加えてFVII
からFVIIaへの活性化によって外部経路を開始させる。TF−FVIIa媒
介または関連プロセス又はFVIIa活性は、例えば、因子VII及び他の必要
な試薬の存在下での因子Xから因子Xaへの変換についてRoy, S. (1991) J. Bi
ol. Chem., 266: 4665-4668、及びO'Brien, D.等 (1988) J. Clin. Invest., 82
: 206-212に記載されたもののような標準的な検定法を使用して便利に測定でき
る。
【0016】 TF−FVIIa関連疾患または障害は、深部脈管血栓症、動脈血栓症、発作
、腫瘍転移、血栓分解、動脈硬化症及び血管形成術後の再狭窄のような脈管病、
炎症、敗血症ショック、毒血症、低血圧、成人呼吸困難症候群(ARDS)、汎
発性血管内血液凝固(DIC)及びその他の疾患のような急性および慢性の徴候
を含むフィブリン形成に関連する慢性血塞性疾患または障害を意味する。TF−
FVIIa関連障害は、前記のようなインビボ凝固障害に限定されるものではな
く、透析操作、血液濾過または外科手術の間の血液バイパス等の過程で患者から
インラインで取り出された血液を含む血液の体外循環に起因する血液凝固といっ
たエキソビボのTF−FVIIa関連過程も含む。
【0017】 「出血性疾患」は、遺伝的及び獲得された大出血に向かう傾向を特徴とする。
このような出血性疾患の例は、因子VIII、IX及びXIの欠損症である。獲
得された疾患の例は、血液凝固因子、例えば因子VIII、フォン・ビルブラン
ト因子、因子IX、V、XI、XII及びXIIIのインヒビターの獲得、凝固
因子合成の低下を含む肝臓疾患の結果としての止血障害、急性及び慢性腎臓疾患
に伴う出血傾向、及び外傷又は手術後の鬱血を含む。
【0018】 用語「組織因子タンパク質」及び「哺乳動物組織因子タンパク質」は、天然発
生哺乳動物組織因子又は以下に記載するような組換え組織因子に対応するアミノ
酸配列を有するポリペプチドを意味するのに使用される。天然発生TFには、ヒ
ト種並びにウサギ、ラット、ブタ、ヒト以外の霊長類、ウマ、マウス及びヒツジ
の組織因子のような他の動物種の組織因子を含む(例えば、Hartzell等, (1989)
Mol. Cell. Biol., 9: 2567-2573; Andrews等, (1991) Gene, 98: 265-269; 及
びTakayenik等, (1991) Biochem. Biophys. Res. Comm., 181: 1145-1150参照)
。哺乳動物組織因子タンパク質のアミノ酸配列は、一般に知られているか、又は
従来法技術を通して入手可能である。
【0019】 天然発生組織因子タンパク質に加えて、用語「哺乳動物組織因子タンパク質」
は、天然発生組織因子タンパク質をコードする核酸配列が組織因子タンパク質ア
ミノ酸配列における一又は複数のアミノ酸の置換、挿入又は欠失をコードする組
織因子タンパク質核酸配列を生成するように修飾された、所謂「組換え」組織因
子タンパク質を含む。この用語は、天然発生でない一又は複数のアミノ酸残基を
含む天然発生又は組換え組織因子タンパク質である「合成」組織因子タンパク質
をさらに含む。組換え及び合成組織因子タンパク質製造のために適した方法はこ
こに開示される。合成及び組換え組織因子タンパク質は、この分野で一般に知ら
れており、例えば、sTF(Waxman等, (1992) Biochemistry 31: 3998-4005)
及び機能的FVII/FVIIaには結合するがFVII/FVIIaのFX活
性化のための補因子として作用する能力は低下した組織因子タンパク質変異体(
例えば、hTFAA、Lee及びKelley, (1998) J. Biol. Chem. 273: 4149-4154
参照)を含む。このような組織因子タンパク質変異体は、例えば、米国特許第5,
349,991号及び第5,726,147号に記載され、ここに記載した哺乳動物組織因子タン
パク質の定義に包含されることを意味する。
【0020】 哺乳動物TFに「対応する」本発明のTFタンパク質は、一般に、ヒト、ウシ
、ラット、ブタ、イヌ又は他の哺乳動物TFタンパク質の相同アミノ酸配列、或
いはここに定義した定性的生物学的活性を有するインビトロで生成された相同変
異体を含む配列番号:1の配列の相同アミノ酸配列である。本発明のTFタンパ
ク質に対する相同性は、配列を整列させ、最大の同一性を達成するのに必要なら
ばギャップを導入した後、配列番号:1のアミノ酸残基、哺乳動物アミノ酸配列
又はここで定義するコンポジット配列いずれかと同一の候補配列内のアミノ酸残
基の割合として定義される。候補配列内でのN-又はC-末端延長又は削除は、同
一性を低下させないと解釈される。本発明における「コンポジットアミノ酸」は
、263アミノ酸残基構造でヒトTFと同じ位置を持つ他の哺乳類脊椎動物種か
らの代替アミノ酸を意味する。従って、コンポジットアミノ酸置換と呼ばれるア
ミノ酸置換は、同定されたアミノ酸を他の哺乳動物種からの等価物又はコンポジ
ットアミノ酸で置換する。コンポジットTF配列は、他の哺乳動物種からのコン
ポジットアミノ酸で置換された野生型配列からのアミノ酸を少なくとも1つ有す
ると定義される。
【0021】 従って、本発明は、少なくともここに定義されるような定性的生物学的活性を
有し、例えば、配列番号:1のポリペプチド又は配列番号:2のポリペプチドと
少なくとも75%のアミノ酸相同性を持つTF変異体を考慮する。TF変異体ア
ミノ酸配列は、好ましくは配列番号:1又は配列番号:2の配列と少なくとも8
0%、より好ましくは85%の配列相同性を持つ。しかしながら、TF変異体又
は関連化合物は、ここに記載したTF変異体の特徴を維持していれば、配列番号
:1又は配列番号:2の配列と50%未満の配列相同性を示してもよい。
【0022】 本発明のTF変異体の定義に含まれるのは、配列番号:1又は配列番号:2のア
ミノ酸配列変異体であって、本発明のものに加えてアミノ酸が他の残基で置換さ
れており、予め決められた突然変異(例えば、部位指向性PCR突然変異誘発)
;上に列挙したもののような他の哺乳動物種のTFからの他のコンポジットアミ
ノ酸置換、及び上記及び下記の他の天然発生変異体を含む。また、上記のTF変
異体であって、当該TF変異体が置換、化学的、酵素的、又は他の適当な手段に
より天然発生アミノ酸以外の部分で修飾されたものも含まれ、この変異体はここ
に記載した定性的生物学的活性を有するものと解される。例示的な非天然発生ア
ミノ酸置換は、ここで以下に記載するものを含む。
【0023】 上記のように、一実施態様では、アミノ酸置換変異体は、ここに記載したもの
に加えて、TF変異体分子内に除去されてその位置に別の残基が挿入された少な
くとも1つのアミノ酸残基を有する。置換的突然変異のための部位は、様々な種
からのTF変異体に見られるアミノ酸が側鎖バルク、電荷及び/又は疎水性の点
で実質的に相違している部位を含む。これらのアミノ酸は、例示的な非天然発生
アミノ酸を含む、ここで以下に記載するような例示的な保存的置換基で置換され
ている。
【0024】 対象となる他の部位は、野生型TF及び様々な種から得た変異体の特定の残基
が同一であるものである。これらの位置は、TF変異体の生物学的活性にとって
重要である。これらの部位、特に少なくとも3つの他の同一的に保存された部位
の配列内にあるものは、相対的に保存的な形式で置換される。このような保存的
置換は、好ましい保存的置換という見出しの下で以下に示す。このような置換が
、ここに定義したような定性的生物学的活性を保持することが示されるならば、
以下に例示的な保存的置換として命名するより実質的な変化がなされ、生物学的
活性について試験される。
【0025】 この点において、アミノ酸は、側鎖バルク、電荷及び/又は疎水性に基づいて
置換されてもよいと理解される。アミノ酸残基は4つの主要な群に分類される: 酸性:この残基は生理的pHにおけるHイオンの喪失により負の電荷を持ち、
この残基は水溶液によって誘引されて、ペプチドが水溶液中にある場合にそれが
含まれるペプチドの立体配置における表面位置を求める。 塩基性:この残基は生理的pHにおけるHイオンとの結合により正電荷を持ち
、この残基は水溶液によって誘引されて、ペプチドが生理的pHの水性媒体中に
ある場合にそれが含まれるペプチドの立体配置における表面位置を求める。 中性/非極性:この残基は生理的pHで荷電せず、この残基は水溶液に反発し
て、ペプチドが水性媒体中にある場合にそれが含まれるペプチドの立体配置にお
ける内部位置を求める。これらの残基は「疎水性残基」とも呼ばれる。 中性/極性:この残基は荷電していないが、この残基は水溶液によって誘引さ
れて、ペプチドが水性媒体中にある場合にそれが含まれるペプチドの立体配置に
おける外部位置を求める。 アミノ酸残基は、それらの側鎖基について、環状又は非環状、芳香族又は非芳
香族としてさらに分類でき、これらの名称は当業者にとって常識である。
【0026】
【0027】 遺伝子によってコードされず、一般的に遭遇するアミノ酸は以下を含む、Gl
u及びAspについての2-アミノアジピン酸(Aad);Glu及びAspに
ついての2-アミノピメリン酸(Apm);Met、Leu、及び他の脂肪族ア
ミノ酸についての2-アミノブチル酸(Abu);Met、Leu、及び他の脂
肪族アミノ酸についての2-アミノヘプタン酸(Ahe);Glyについての2-
アミノイソブチル酸(Aib);Val、及びLeu及びIleについてのシク
ロヘキシルアラニン(Cha);Arg及びLysについてのホモアルギニン(
Har);Lys、Arg及びHisについての2,3-ジアミノプロピオン酸
(Dpr);Gly、Pro及びAlaについてのN-エチルグリシン(EtG
ly);Gly、Pro及びAlaについてのN-エチルグリシン(EtGly
);Asn、及びGlnについてのN-エチルアスパラギン(EtAsn);L
ysについてのヒドロキシルリジン(Hyl);Lysについてのアロヒドロキ
シルリジン(AHyl);Pro、Ser、及びThrについての3-(及び4)
ヒドロキシプロリン(3Hyp、4Hyp);Ile、Leu、及びValにつ
いてのアロ-イソロイシン(AIle);Alaについてのアミジノフェニルア
ラニン;Gly、Pro、及びAlaについてのN-メチルグリシン(MeGl
y、サルコシン);IleについてのN-メチルイソロイシイン(MeIle)
;Met及び他の脂肪族アミノ酸についてのノルバリン(Nva);Met及び
他の脂肪族アミノ酸についてのノルロイシン(Nle);Lys、Arg及びH
isについてのオルニチン(Orn);Thr、Asn及びGlnについてのシ
トルリン(Cit)及びメチオニンスルホキシド(MSO);Pheについての
N-メチルフェニルアラニン(MePhe)、トリメチルフェニルアラニン、ハ
ロ(F、Cl、Br、及びI)フェニルアラニン、トリフルオロフェニルアラニ
ン。
【0028】 TF変異体の特定の残基又は領域の、ここに記載した以外のアミノ酸置換に対
して、レセプター特異性について同定するための有用な方法は、Cunningham及び
Wells (1989) Science, 244: 1081-1085に記載されているように、アラニン・ス
キャンニング突然変異誘発と呼ばれる。ここで、残基又は標的残基の基が同定さ
れ(例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu等の荷電残基)、中性
又は負荷電アミノ酸に置換されて、アミノ酸と細胞内外の周囲の水性環境との相
互作用に影響を与える。次いで、この置換に機能的感受性を示すドメインを、置
換部位において又はついて更に又は他の変異を導入することにより精製する。よ
って、アミノ酸配列変異を導入する部位が予め決定されるが、変異体の性質自体
は予め決定する必要はない。例えば、与えられた部位における変異体の性能を最
適化するために、Alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン
又は領域で行い、発現されたTF変異体を所望の活性の最適な組み合わせについ
てスクリーニングしてもよい。
【0029】 タンパク質又はペプチドライブラリのファージ表示は、向上した親和性、変化
した特異性、又は向上した安定性を持つTF変異体の選択のための他の方法論で
ある(Smith, G.P. (1991) Curr. Opin. Biotechnol. 2: 668-673)。M13遺
伝子III被覆タンパク質との融合物として一価形式で表示される高親和性タン
パク質(Clackson, T.等, (1994) Trend Biotechnol. 12: 173-183)は、多数ラ
ウンドの結合性選択の後にファージミド粒子中にパッケージされた対応するDN
Aのクローニング及び配列決定により同定される。
【0030】 他のTF変異体は、国際公開公報WO97/20939に記載されたもの等の融合物並び
に免疫グロブリン定常領域委又は他の免疫グロブリン領域、アルブミン、又は19
89年4月6日に発行されたWO89/02922に記載されたフェリチン等の長い半減期を持
つタンパク質とのC-末端融合物を含む。ここで用いられる場合の用語「イムノ
アドヘシン」は、異種タンパク質の「結合ドメイン」(「アドヘシン」、例えば
、TF細胞外ドメイン)と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを結
合させる抗体様の分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認
識部位及び結合部位(抗原結合部位)以外の(即ち、「異種の」)所望の結合特
異性を持つアドヘシンアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融
合物を含む。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG 、IgG、IgG、又はIgGサブタイプ、IgA、IgE、IgD又は
IgMといった任意の免疫グロブリンから得られる。イムノアドヘシンは、例え
ば、米国特許第5,116,964号に記載されている。
【0031】 ヒト組織因子タンパク質の配列(配列番号:1)並びにアミノ酸に与えた番号
は、Fisher等, (1987) Thrombosis Res. 48: 89-99に記載されているものであ
る。この残基位置番号は、本発明の組織因子タンパク質変異体において置換がさ
れた残基を示すために、三文字アミノ酸表記と組み合わせて使用される。即ち、
例えば、天然発生ヒト組織因子タンパク質の残基位置54においてセリン(Se
r)がアスパラギン酸(Asp)に置換した組織因子タンパク質変異体では、「
Asp54Ser」などの表記が使用される。複数の置換は、各置換をダッシュ
(−)で分離して同様の形式で表記する。即ち、例えばヒト組織因子タンパク質
の15及び185のアミノ酸がアラニン(Ala)残基で置換された組織因子タ
ンパク質変異体では、「Lys15Ala−Tyr185Ala」という表記が
使用される。
【0032】 本発明の文脈内でヒト以外の哺乳動物種からの組織因子タンパク質が使用され
る範囲では、ヒト以外の組織因子タンパク質の配列でなされるアミノ酸置換は、
配列を整列させた後にヒトアミノ酸残基に対応するアミノ酸になされる。 ここで用いられる場合の「組織因子タンパク質変異体」は、哺乳動物組織因子
タンパク質のアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列を持つ組織因子タンパク
質を指す。組織因子タンパク質変異体のアミノ酸配列は、ここに記載する本発明
による哺乳動物組織因子タンパク質のアミノ酸配列の一又は複数のアミノ酸の置
換により、哺乳動物の組織因子タンパク質アミノ酸配列から「誘導される」。こ
のような置換は、一般的に、哺乳動物組織因子タンパク質をコードする核酸配列
を変えることによりなされ、そのような変換をする好適な方法は、この分野で知
られ、ここに記載されている。
【0033】 (発明の実施の形態) 本発明の組織因子タンパク質変異体は、例えば、哺乳動物組織因子タンパク質
のアミノ酸配列におけるアミノ酸置換により、FVII又はFVIIaに十分な
親和性で結合する哺乳動物組織因子タンパク質であり、組織因子タンパク質変異
体及び野生型組織因子タンパク質が生理的濃度で存在する場合、野生型組織因子
タンパク質と有効に競合する。好ましくは、組織因子タンパク質はFVII/F
VIIaに対して野生型組織因子タンパク質より大きな親和性を持ち、より好ま
しくは、FVII/FVIIaに対してそれが誘導された哺乳動物組織因子タン
パク質より大きな親和性を有する。従って、当該タンパク質がFVII/FVI
Iaに結合することが本発明のTF変異体の特徴である。従って、本発明のTF
変異体は、TFのFVII/FVIIaへの結合に必要な残基を野生型又は哺乳
動物TFタンパク質と共有する。「FVII/FVIIaへの結合」とは、本発
明のTF変異体が、少なくとも生理的濃度においてTF変異体が野生型TFと結
合について競合できる程度のFVII/FVIIaに結合する能力を持つことを
意味する。TFド変異体の中で好適なのは、上掲のKelley等, (1995)に記載され
たような標準的な結合アッセイにおいて、FVII/FVIIaについて約10
.0ピコモル(pM)から約1マイクロモル(μM)の間のKDを持つものであ
る。さらに好ましくは、TFドメインは、FVII/FVIIaについて約10
pMから約10ナノモル(nM)の間、最も好ましくは約10pMから1nMの
間のKDを有する。
【0034】 本発明によると、組織因子タンパク質変異体は、哺乳動物組織因子タンパク質
から、Asp54、Glu56、Glu130、Arg131、Leu133、
Arg135及びPhe140からなる群から選択されるヒト組織因子タンパク
質のアミノ酸残基に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することによ
り誘導される。好ましくは、組織因子タンパク質変異体は、それが誘導された哺
乳動物組織因子タンパク質よりも、FVII/FVIIaに対して大きな親和性
を有する。好ましくは、組織因子タンパク質変異体は可溶性組織因子タンパク質
であり、好ましくはAsp54及びGlu56からなる群から選択される少なく
とも1つのアミノ酸残基、及びGlu130、Arg131、Leu133、A
rg135及びPhe140からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ
酸残基が他のアミノ酸に置換されたsTFタンパク質変異体である。
【0035】 本発明によると、Asp54に対する他のアミノ酸残基が好ましくはAsp、
Lys、Asn、Glu、Ala及びSerからなる群から選択され;Glu5
6に対する他のアミノ酸残基が好ましくはAsp、His、Gln及びTrpか
らなる群から選択され、Glu130に対する他のアミノ酸残基が好ましくはA
sp、Ala、Ser及びGlyからなる群から選択され、Arg131に対す
る他のアミノ酸残基が好ましくはGln、Ile、Pro、Ser、Leu、L
ys、Thr及びMetからなる群から選択され、Leu133に対する他のア
ミノ酸残基が好ましくはAlaであり、Arg135に対する他のアミノ酸残基
が好ましくはTrp、Gln、Leu、Tyr、Thr及びAlaからなる群か
ら選択され、そしてPhe140に対する他のアミノ酸残基が好ましくはAsn
、His、Val、Ala、Arg及びGlyからなる群から選択される。
【0036】 好ましくは、本発明の組織因子タンパク質変異体は、哺乳動物TFタンパク質
から、ヒトTFのAsp54に対応するアミノ酸残基のSerでの置換、Glu
130に対応するアミノ酸のAsp、Gly及びAlaからなる群から選択され
るアミノ酸での置換、Arg131に対応するアミノ酸残基のGlnでの置換、
Arg135に対応するアミノ酸残基のTrp及びGlnからなる群から選択さ
れるアミノ酸残基での置換、及びPhe140に対応するアミノ酸のAsnでの
置換により誘導される。
【0037】 さらなる実施態様では、組織因子タンパク質変異体は、FVII/FVIIa
に対して、野生型組織因子タンパク質より大きな、好ましくはヒトアミノ酸残基
Asp54、Glu130、Arg131、Leu133、及びPhe140に
対応する各アミノ酸残基の置換によりそれが誘導された哺乳動物組織因子タンパ
ク質よりも大きな親和性を有する。好ましくは、アミノ酸は上記のスキームにし
たがって置換される。
【0038】
【0039】 本発明の文脈において、用語「133cons」は、組織因子タンパク質変異
体の配列Glu130Asp−Arg131Gln−Leu133Ala−Ar
g135Arg−Phe140Asnを示すのに使用される。従って、133c
ons−hTFAAは、ここに定義したhTFAAにおいて、さらにGlu13
0Asp−Arg131Gln−Leu133Ala−Arg135Arg−P
he140Asn配列置換を有するものを示す。同様に、Lys15Ala−1
33cons−hTFAAは、ここに定義したhTFAA配列において、さらに
Lys15Alaと、Glu130Asp−Arg131Gln−Leu133
Ala−Arg135Arg−Phe140Asnの置換を有するものを示す。
【0040】 本発明によると、TF変異体は、これに限定するものではないが、膜貫通ドメ
イン及び細胞質ドメインの両方を有する全長のリン脂質関連組織因子タンパク質
、並びに野生型組織因子又は哺乳動物組織因子タンパク質の膜貫通及び/又は細
胞質ドメインの全部又は一部が欠失したTF変異体も包含する。本発明のTF変
異体の中で好ましいのは、野生型組織因子の膜貫通及び細胞質ドメインの全部又
は一部が欠失したものである。本発明のこの態様によると、TF変異体は、野生
型組織因子のN-末端フィブロネクチンIII型ドメインの少なくとも一部を含
む。好ましくは、TF変異体は少なくとも野生型組織因子の1−102アミノ酸
を含む。より好ましくは、本発明のTF変異体は、野生型組織因子の両方のフィ
ブロネクチンIII型ドメインを含む。好ましくは、本発明のこの態様によれば
、少なくとも野生型TFの1〜219アミノ酸が存在する。
【0041】 さらに本発明は、因子VII/VIIa結合にエネルギー的に寄与する、又は
FVII/FVIIa補因子活性に寄与するアミノ酸残基において更なるアミノ
酸置換を有し、場合によってはFVIIa補因子機能を欠く組織因子タンパク質
対応物に比較して向上したFVII/FVIIaに対する親和性を持つ組織因子
タンパク質のアミノ酸配列変異体を提供する組織因子タンパク質変異体を提供す
る。本発明のこの態様によると、好ましくはヒトアミノ酸残基Lys15、As
p44、Trp158、Ser163、Gly164、Lys165、Lys1
66及びTyr185に対応するアミノ酸からなる群から選択される、さらに少
なくとも1つのアミノ酸残基がアラニン等の他のアミノ酸残基で置換されている
【0042】 例として、野生型TFの長さに沿った特定のアミノ酸の置換、挿入又は欠失は
、FVIIaに対する補因子として作用する能力の低下したTF変異体を産生す
る。当業者は、TFの凝固促進機能に寄与するような野生型TFの残基を認識す
るであろう。例えば、アミノ酸157〜168の領域にある残基はTF−FVI
Iaの凝固促進機能に寄与する(Kelley等, (1995) 上掲;Ruf等, (1992) 上掲
)が、FVII/FVIIa結合にとっては重要ではない。本発明によれば、こ
れらのアミノ酸の全部または任意のものを選択的に置換するかまたは欠失させて
、FVII/FVIIaに結合するが野生型組織因子の凝固促進活性を中和する
ことができるTFドメインを提供する。
【0043】 好ましい実施態様において、野生型組織因子のTrp158、Lys159、
Ser163、Gly164、Lys165、Lys166、及びTyr185
残基の任意のもの又は全部を選択的に置換または欠失させて本発明のTFドメイ
ンを提供する。好適な置換は米国特許第5,346,991号に記載されており、生理的
なpHで実質的に正に荷電した側鎖を有するもの以外のアミノ酸による置換を包
む。例示的な置換にはTrp158Phe、Lys159Ala、Ser163
Ala、Lys165Ala、Lys166Ala、及びTyr185Alaの
任意のもの又は全部を含む。本発明の最も好ましい態様では、TF補因子機能に
重要であるがFVIIa複合体形成を阻害しないリジン残基165及び166が
選択的に置換される(Roy等, (1991) J. Biol. Chem. 266: 22063; Ruf等, (199
2) J. Biol. Chem. 267: 6375)。従って、本発明の好ましい態様によれば、少
なくとも野生型組織因子の165及び166の残基を選択的に置換して、FVI
I/FVIIaに結合する能力は保持するが、前記のような補因子として作用す
る能力が低下した分子が得られる。特定の態様では、これらの残基のアラニン置
換が好適であるが、TF−FVIIa複合体に触媒されるFX活性化の速度を低
下させる任意の置換が適当である(Ruf等, (1992) 上掲)。
【0044】 本発明の好適な組織因子変異体は、「心筋梗塞および凝固障害性疾患の処置に
有用な組織因子突然変異体」と題する米国特許第5,346,991号に記載されたもの
であり、その開示は特に参考としてここに取り入れる。この特許は、内因性組織
因子が血液凝固を誘発する能力を阻害することのできる組織因子変異体の作成を
記載している。これらの変異体は、正に荷電した165と166アミノ酸残基の
一方または両方を生理的pHで実質的に正に荷電する側鎖を持たないα−アミノ
酸で置換したものである。これらの変異体には、野生型組織因子の細胞質部分、
残基244〜263、並びに残基220〜243の膜貫通領域が除去された前記
のヒト組織因子の分子が含まれる。これらの組織因子変異体の何れもが適切に本
発明のTFドメインを形成することができる。また、国際公開公報WO 94/28017
もFVII/FVIIaに結合することができるが凝固促進性補因子活性が低下
したTF変異体を記載している。そこに記載された分子の中で最も好ましいのは
、野生型組織因子タンパク質に相同的なアミノ酸配列を持ち、TF補因子機能に
関連するアミノ酸の少なくとも1つが選択的に置換、欠失又は置き換えられて、
そのFVII/FVIIaに結合する能力は保持するが前記補因子として作用す
る能力は低下した分子を与える組織因子タンパク質である。
【0045】 当業者は、FVIIa結合に寄与するTFの残基を認識するであろう(Kelley
等, (1995) 上掲;Gibbs等, (1994) 上掲;Ruf等, (1994) Biochemistry、33: 15
65-1572; Schullek等, (1994) J. Biol. Chem., 269: 19399-19043; Muller等,
(1994) 33: 10864-10869)。本発明によれば、TF変異体は、少なくとも前記
FVIIa/FVII結合のために必要な残基を野生型TFと共有する。好まし
くは、この組織因子変異体は、野生型組織因子タンパク質との間に少なくとも約
80%の配列相同性、より好ましくは約85〜95%の配列相同性を共有するで
あろう。
【0046】 本発明の組織因子変異体の組換え合成のためのタンパク質をコードするDNA
を作成するために種々の技術が利用可能である。例えば、結果的なタンパク質の
アミノ酸配列における変化をコードする天然発生DNA配列に基づいてDNAを
誘導することが可能である。これらの突然変異DNAを、本発明の組織因子変異
体を得るために使用できる。これらの技術は、単純な形では、以下に議論するよ
うな組換え技術により遺伝子修飾する組織因子をコードする遺伝子を得て;この
遺伝子を適切な発現べクターに挿入し;このベクターを適当な宿主細胞に挿入し
:この宿主細胞を培養してハイブリッド分子を発現させ;そしてそこで産生され
た分子を精製することを考慮している。
【0047】 幾分特定的には、本発明の組織因子変異体をコードするDNA配列は、DNA
配列の合成的構築によって得られる(Sambrook, J.等、「分子クローニング(Mo
lecular・Cloning)」、 (2nd ed.) Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1989)
)。 例えば、野生型組織因子をコードする発現べクターを得て、部位特異的突然変
異誘発(Kunkel等, (1991) Meth. Enzymol., 204: 125-139; Carter, P.等, (19
86) Nucl. Acids. Res., 13: 4331; Zoller, M.J.等, (1982) Nucl. Acids Res.
, 10: 6487)、カセット突然変異誘発(Wells, J.A.等, (1985) Gene, 34: 315
)、又は制限選択突然変異誘発(Wells, J.A.等, (1986) Philos. Trans. R. So
c. London Ser A, 317: 415)を施して、この分子の組織因子ドメインを得るこ
とができる。次に、突然変異DNAを活性部位阻害薬ドメインをコードするDN
Aを含む発現ベクターに挿入することにより使用しうる。
【0048】 オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発は、本発明の組織因子変異体をコードす
るDNAを作成するに好適な方法である。この技術は当技術分野でよく知られて
おり、Adelmann等, (1983) DNA, 2: 183に記載されている。簡潔に言えば、野生
型の組織因子の天然又は非変性のDNAを、DNAテンプレートへの所望の突然
変異をコードするオリゴヌクレオチドにハイブリッド化させることによって変化
させ、ここで、そのテンプレートは非変性又は天然のDNA配列を含むプラスミ
ド又はバクテリオファージの一本鎖型である
【0049】 次いで、変異体をコードするDNAを適当なプラスミドまたはべクターに挿入
する。このベクターは宿主細胞を形質転換するのに使用される。一般に、宿主細
胞に適合する種に由来する複製及び制御配列を含むプラスミドベクターが、これ
らの宿主に関して使用される。このベクターは通常、複製部位、並びに形質転換
細胞において表現型選択が可能なタンパク質をコードする配列を有する。
【0050】 例えば、大腸菌は大腸菌種から誘導したプラスミド、pBR322(Mandel,
M.等, (1970) J. Mol. Biol., 53: 154)を使用して形質転換してもよい。プラ
スミドpBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性遺伝子を含有し
、よって選択のための簡単な方法を提供する。その他のベクターは、異なるプロ
モータといった異なる特徴を含み、それらは発現において重要であることが多い
。例えば、プラスミドpKK223−3、pDR720、及びpPL-ラムダは
、tac、trp及びP-プロモータを有する現在利用可能な発現ベクターを
代表する(Pharmacia Biotechnology社)。 他の好適なベクターは、ここに記載したべクターの関連する手がかりを組合せ
ることによって標準的な技術を用いて構築できる。このべクターの関連する手が
かりには、プロモータ、リボソーム結合部位、変異体遺伝子または遺伝子融合、
シグナル配列、抗生物質耐性マーカー、コピー数、及び適当な複製開始点が含ま
れる。
【0051】 宿主細胞は原核生物でも真核生物でもよい。原核生物は、DNA配列をクロー
ニング及び発現して親ポリエプチド、セグメント置換ポリペプチド、残基置換ポ
リペプチド及びポリペプチド変異体を産生するのに適している。例えば、大腸菌
K12株294(ATCC番号31446)は、大腸菌B、大腸菌X1776(
ATCC番号31537)、大腸菌c600及びc600hf1、大腸菌W31
10(F-、ガンマ-、原栄養株/ATCC番号27325)、例えば枯草菌のよ
うなバチルス属菌、及び例えばサルモネラ・ティフムリウム又はセラチア・マル
セッセンスのような他の腸内細菌及び種々のシュードモナス種と同様に使用でき
る。好適な原核生物は大腸菌W3110(ATCC27325)である。原核生
物によって発現された場合、このポリペプチドは典型的にはN-末端メチオニン
またはホルミルメチオニンを含み、グリコシル化はされない。当然のことながら
、これらの例は限定ではなく例示である。
【0052】 原核生物に加えて、酵母培地のような真核生物、又は多細胞生物から誘導した
細胞使用してもよい。原理的には、そのような細胞培地はいずれも作動可能であ
る。しかしながら、脊椎動物細胞において最も関心が高く、培地中での脊椎動物
細胞の増殖(組織培養)が再現性ある操作法になっている(「組織培養(Tissue
Culture)」、Academic Press, Kruse及びPatterson編, [1973])。このような有
用な宿主細胞系の例は、VERO及びHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵
巣(CHO)細胞系、W138、293、BHK、COS−7及びMDCK細胞
系である。
【0053】 2.組成物 本発明の組織因子タンパク質変異体は、典型的には意図する使用に適した組成
物形態で提供される。本発明の変異体は、ここに記載したhTFAAの形態のよ
うな可溶性の形態で調製できる。
【0054】 また、本発明の組織因子変異体は、野生型組織因子の膜貫通ドメインの全部ま
たは一部を含んでいてもよい。本発明によれば、膜固着ドメインを含むTF変異
体を穏やかな界面活性剤またはリン脂質(PL)を含む組成物中で調製するのが
好ましい。膜固着又は膜貫通ドメインを含む全長TFドメインを含有する本発明
の組成物は、その生物学的活性を保持しており、それらは好ましくはリン脂質組
成物中で製剤化される。国際公開公報WO 94/28017は、本発明の組成物に適した
TFドメインを含むリン脂質組成物の調製を記載している。
【0055】 WO 94/28017に記載されており、本発明の医薬品組成物に適した好適な組成物
は、組成物について最高の安定性および生物学的活性を与えるリン脂質組成物で
ある。このようなリン脂質組成物は当技術分野で一般によく知られているように
、好ましくはリポソーム組成物を形成するように製剤化される。記載のように、
本発明のリポソーム組成物に使用するために適したリン脂質は、炭素原子12か
ら20を有する脂肪酸を含むものを包含し、前記脂肪酸は飽和でも不飽和でもよ
い。本発明で使用するために好したリン脂質には、ホスファチジルコリン(PC
)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(
PG)及びホスファチジルセリン(PS)が含まれる。これらのリン脂質は、任
意の天然起源に由来してもよく、そのリン脂質はそれ自体として異なる脂肪酸を
有する分子から構成されていてもよい。異なる起源からのリン脂質を含むリン脂
質混合物を使用してもよい。例えば、PC、PG及びPEは卵黄から得てもよく
;PSは動物の脳及び脊髄から得てもよい。これらのリン脂質は、同様に合成的
起源に由来してもよい。これらのリン脂質を適当な比率で好都合に混合し、本発
明の組成物を調製するために用いるリン脂質混合物を提供する。
【0056】 リポソームの調製は一般によく知られており既に記載されている。リポソーム
調製法の例には、リポソームの逆負荷(米国特許第5,104,661号参照)、又は脂
質小胞へのアンホテリシンBの導入について記載された形式が含まれる(例えば
、Lopez-Berenstein等, (1985) J. Infect. Dis., 151: 704-710; Lopez-Berens
tein, (1987) Antimicrob. Agents Chemother., 31: 675-678; Lopez-Berenstei
n等, (1984)、J. Infect. Dis., 150: 278-283; 及びMehta等, (1984) Biochem.
Biophys. Acta, 770: 230-234参照)。また、サーキュレーション時間の強化さ
れたリポソームを米国特許第5,013,556号に記載されているようにして調製して
もよい。
【0057】 よって、一実施態様では、本発明はリポソーム形態での組織因子変異体の調製
を考慮し、当該リポソームは、そのリポソームの脂質二重層に結合した分子のT
F部分を有し、TF膜固着ドメインは脂質二重層を通して挿入されている。 本発明の他の適当な組成物は、製薬的に許容される担体を有する前記組成物の
いずれを包含し、その担体の性質は様式によって異なり、例えば経口投与では通
常固体担体が用いられ、I.V.投与では液体塩溶液担体である。
【0058】 本発明の組成物は、患者及び本発明のタンパク質に適合する製薬的に許容され
る成分を含む。これらは一般に、懸濁液、溶液及びエリキシル剤、そして特にリ
ン酸緩衝塩水、塩水、ダルベッコの培地、その他のような生物学的緩衝液を包含
する。エアロゾル、又は澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒剤、滑沢
剤、結合剤、崩壊剤、その他(経口投与用固体製剤の場合には、たとえば粉末、
カプセルおよび錠剤のようなもの)を使用してもよい。
【0059】 ここで使用する用語「製薬的に許容される」とは、一般的に、連邦または州政
府の規制当局に承認されたもの又は米国薬局方又は動物、特にヒトに使用するた
めの他の一般に認められた薬局方に列挙されているものを意味する。
【0060】 選択すべき製剤化は、前記種々の緩衝液または、例えば製薬級マンニトール、
ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウムセルロー
ス、炭酸マグネシウム、その他を包含する賦形剤をも使用して達成できる。組成
物の「PEG化(PEGylation)」は、当技術分野で知られている技術(例えば、国
際特許公報WO 92/16555、Enzonの米国特許第5,122,614号、及び国際特許公報WO
92/00748参照)を使用して達成してもよい。経口組成物は、溶液、懸濁液、錠剤
、丸剤、カプセル剤、持続性放出剤、又は粉末の形態としてもよい。
【0061】 3.治療方法 本発明の分子は、血液凝固の誘発又は逆に、組織因子変異体がFXの活性化の
ための補因子を欠く場合、TF−FVIIa複合体の生物学的作用を予防するた
めに治療的に使用できる。TF−FVIIaの阻害は、TF−FVIIa依存性
血液凝固の低下を意図する徴候において望ましい。これらの症例には、限定する
ものではないが、血栓溶解療法と組み合わせた動脈再血栓症の予防が含まれ。T
F−FVIIaは、深部脈管血栓症、動脈血栓症、発作、DIC、敗血性ショッ
ク、心肺バイパス手術、成人呼吸困難症候群、先天性血管浮腫を含む、種々の臨
床的容体において重要な役割を果たすことが示唆されている。従って、TF−F
VIIaの阻害薬は、炎症および/または血栓症の調節において重要な役割を果
たしうる。
【0062】 よって本発明は、ヒトにおけるTF−FVIIaが媒介する事象を抑制する方
法を包含し、その方法は、本発明の組織因子変異体の治療的有効量を必要とする
患者に投与することを含んでなる。本発明のハイブリッド分子の治療的有効量は
、所望の効果を達成するように予め決定される。治療に用いられる量は治療対象
、投与経路および処置すべき病状に依存して変化する。従って、投与すべき用量
は存在するFVII/FVIIaに結合して不活性な複合体を形成し、処置され
る患者において血液凝固を低下させるのに十分な量である。
【0063】 治療的有効性は、TF−FVIIa依存性凝固に関連する一又は複数の症状の
改善によって測定される。このような治療的有効用量は、当業者によって決定で
き、処置すべき患者の年齢条件、性および病状に応じて変化する。全身投与につ
いての適当な用量範囲は、典型的には約1μg/kgから約100mg/kg又
はそれ以上であり、投与経路に依存する。本発明によれば、好適な治療的用量は
約1μg/kg体重から約5mg/kg体重の間である。例えば、適当な措置は
、意図する治療に特定された範囲の血中濃度を維持するに十分な静脈注射または
点滴を包含する。
【0064】 本発明のポリペプチドを含む医薬品組成物は、非経口、局所、経口、または局
所(例えばエアロゾルまたは経皮)、又はこれらの組合せの含む任意の適当な様
式で投与してよい。また適当な措置には、最初の静脈内ボーラス及びそれに続く
1回または複数回の間隔をおいた反復投与が含まれる。
【0065】 例えば、血栓溶解療法の過程で血栓閉塞の再形成を予防するために、本発明の
組成物を血栓溶解剤と組合せて投与する場合には、血栓溶解の治療的有効用量は
従来の用量範囲の約80から100%の間である。血栓溶解剤の通常の用量範囲
は、治療で使用される日用量であって、治療担当医には容易に入手可能である(
「Physicians Desk References 1994」、50th Edition, Edward R. Barnhart出版
社)。典型的な用量範囲は、用いる血栓溶解剤に依存し、組織プラスミノーゲン
活性化剤(t-PA)では0.5から約5mg/kg体重;ストレプトキナーゼ
では患者当たり140,000から2,500,0000単位;ウロキナーゼでは
患者当たり500,000から6,250,00単位;そしてアニソール化ストレ
プトキナーゼ・プラスミノーゲン活性化剤複合体(ASPAC)では0.1から
約10単位/kg体重となるであろう。ここで使用される組み合わせという用語
は、少なくとも本発明の分子及び少なくとも1種の血栓溶解剤を含む単一投与形
態を含む。またこの用語は、本発明の分子が別々に投与されるが、順次投与のよ
うに別々の投与2回によって同時発生的に投与される多数回投与形態も含むこと
を意味する。これらの組合せ及び組成物は、閉塞血栓の溶解を起こす閉塞血栓を
溶解するかまたは形成を予防するように作用する。
【0066】 本発明のさらなる態様によれば、例えば人工弁、プロテーゼ、ステント又はカ
テーテルを通過する血液の体外潅流で遭遇するようなエキソビボの凝血を予防す
るために分子を用いうる。本発明のこの態様によれば、体外装置を本発明の組成
物で被覆して外因性活性化経路に基づく凝血塊形成の危険を低下させる。 限定ではなく例示のために以下の実施例を提示する。本明細書中の全ての引用
文献の開示は参考のためにここに取り入れるものとする。
【0067】 (実施例) 材料 ヒトのVIIa因子、X因子、Xa因子、並びにビオチニル化グルタミル-グ
リシル-アルギニンクロロメチルケトン(BEGR-CK)は、Haematologic Technolog
ies社(Essex Jct., VT)から購入した。色素生産性基質クロモジムt-PA(
N-メチルスルホニル-D-フェニル-L-グリシル-L-アルギニン-p-ニトロアニ
リドアセテート)及びスペクトロジムFXa(メトキシカルボニル-D-シクロヘ
キシルグリシル-L-グリシル-L-アルギニン-pニトロアニリドアセテート)は
、各々Boehringer Mannheim社及びAmerican Diagnostica社からである。基質S-
2266(D-バリル-L-ロイシル-L-アルギニン-pニトロアニリドジヒドロク
ロリド)、S-2288(H-D-イソロイシル-L-プロリル-L-アルギニン-pニ
トロアニリドジヒドロクロリド)、及びS-2366(L-ピログルタミル-L-プ
ロリル-L-アルギニン-pニトロアニリドヒドロクロリド)は、Pharmacia Hepar
社からである。基質S-2765(N-a-ベンジルオキシカルボニル-D-アルギ
ニル-L-グリシル-L-アルギニン-pニトロアニリドヒドロクロリド)は、Chrom
ogenix社から購入した。膜組織因子(mTF)は組換え、全長(残基1〜263
)、ヒトTFを発現するヒトの胚腎細胞系(293)を超音波処理して調製した
(Paborsky,L.R.等, Protein Engineering, 3: 547-553 [1990])。TF(1−
243)は細胞質ドメインを欠くTFであり、既に記載したように洗浄剤中で構
築し、精製して製剤化した(Paborsky, (1989) Biochemistry 28: 8072)。TF
(1−243)は、Bach等, (1986) Biochemistry 25: 4007-4020によって修正
されたMimms等, (1981) Biochemistry 20: 833の洗浄剤透析法を用いて、ホスフ
ァチジルコリン/ホスファチジルセリンの70/30混合物で複製した。ウシトリプ
シン、4−メチルウンベリフェリルp−グアニジノベンゾエート、及びCHAP
SはSigma Chemicals社から購入した。ウシ血清アルブミン(BSA)、フラク
ションVは、Calbiovhem社(La Jolla, CA)から得た。N-ベンゾイル-L-ア
ルギニン-p-ニトロアニリドは、Bachem California社(Torrance, CA)から購
入した。ヒトのトロンボプラスチン(Innovin)は、Dade International社(Mia
mi, FL)から購入した。他の全ての試薬は商業的に入手できる最高級品とした。
【0068】 実施例1 sTFファージライブラリの作成及び選別 M13遺伝子III産物のカルボキシル末端ドメイン(残基249−406)
に融合させたsTFをコードするファージミドを、一価ファージ表示(Lowman,
H.B.等, (1991) Biochemistry 30: 10832; Lowman及びWells (1991) Methods in
Enz., 3: 205)で予め展開したベクター、phGH-g3から、標準的技術(Sa
mbrook等, (1989)「Molecular Cloning: A laboratory manual」, Cold Spring
Horbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を用いて作成した。これらのフ
ァージミドは、sTF配列の末端にアンバー停止コドンを持ち、アンバー停止コ
ドンの抑制に機能するXL-1ブルー(Stratagene)等の大腸菌株で発現された
ときにsTF−遺伝子III融合タンパク質が産生される。33B6等の非サプ
レッサー株での発現に際しては、sTFのみが産生される。発現はアルカリホス
ファターゼプロモータの制御下であり、stIIシグナルが遺伝し産物の有効な
選択に使用された。pTFAA-g3と呼ばれる一つのファージミドが、位置1
65及び166においてLysからAlaへの置換を含むsTF変異体をコード
し、ライブラリ1の作成のための出発テンプレートとして使用された。第2のフ
ァージミド、pTF-g3は野生型sTFをコードし、ライブラリ2の作成にお
いて使用された。
【0069】 ライブラリ1作成物の調製において、オリゴヌクレオチド指向性、部位特異的
突然変異誘発(Kunkel (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488)がファー
ジミドpTFAA-g3に実施され、FVIIaに対して顕著に低い親和性を持
つTFAA変異体をコードするDNAテンプレートが生成された。この方法は、
テンプレートDNAからコードされたファージ導入TFが、FVIIa結合性に
ついてライブラリ誘導ファージと競合しそうもなく、突然変異誘発が最適でない
ことを確認した。特に、ライブラリ1について、テンプレートファージミドは、
位置165及び166におけるLysからAlaへの置換に加えて、残基20で
のLysからAlaへの置換(K20A)及び位置58でのAspからGluへ
の置換(D58E)をコードした。次いで、変更されたpTFAA-g3テンプ
レートのオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発を介して、5つのTFコドンを
NNSヌクレオチド配列(ここで、N=G/A/T/C;S=G/C)で同時に
置換することにより変異体ライブラリが作成された。ライブラリ2については、
出発テンプレートはLeu133を置換するTAA停止コドンを持つpTF-g
3であった。この方法は、非変異テンプレート配列から生じたクローンがsTF
-g3融合タンパク質を発現しないことを確認した。ライブラリ1の作成のため
に、pTFAA(K20A、D58E)-g3テンプレートにおいて各々位置2
0及び21のコドン、及び位置54、56及び58において同時に突然変異させ
るために2つのプライマーが使用された。ライブラリ2は、単一オリゴヌクレオ
チドプライマーを用いることによりコドン130、131、133、135及び
140の無作為化を持つテンプレートとしてpTF(133停止)-g3を使用
した。ファージミドライブラリの大腸菌株XL1-ブルー(Stratagene)へのエ
レクトロポレーションによる糸状ファージ表示sTF変異体の調製、及びそれに
続く細菌のヘルパーファージVCSM13(Stratagene)での感染は、記載され
ているように実施した(Lowman及びWells (1991) 上掲)。各非選択ライブラリ
からの少なくとも10のクローンを、突然変異効率を確認するために配列決定し
た。ライブラリ1は、1x10の形質転換体を含み、クローンの約10%が両
方の部位での突然変異を有していた。ライブラリ2は7.5x10の形質転換
体と60%の突然変異頻度を有していた。
【0070】 結合性向上。sTF変異体を表示するファージ粒子を、ビオチニル化FVII
a(BEGR-7a)に対する結合性に基づいて選別した。BEGR-7aは、他
に記載されたように(Kelley等, (1995) Biochem. 34: 10383-10392)、ビオチ
ニル化トリペプチドクロロメチルケトン(BEGR-CK)活性部位阻害剤を用
いて調製した。ストレプトアビジン(分子プローブ)で被覆し牛乳タンパク質で
ブロックしたミクロタイタープレートのウェルを、BEGR-7aの捕捉に使用
した。選択実験の為に、20mMのTris、pH 7.5、100mMのNaCl、5mMのCa
Clを含むバッファー(TNC)中の、TF変異体ライブラリを表示するファ
ージを、ストレプトアビジン+BEGR-7a又はストレプトアビジンのみのい
ずれかを含有するウェルでインキュベートした。室温で1−2時間のインキュベ
ーション後、未結合のファージを除去し、ウェルを0.05%mのTween-20を
含むTNCバッファーで良く洗浄した。次いで結合したファージを、37℃にお
ける10分間のインキュベーションで50mMのEDTAを用いて溶離させた。ウェ
ルから溶離された感染性TF含有ファージ粒子の力価を、XL-1ブルー細胞を
溶離ファージで感染させ、(TFコード化ファージミドを持つ細胞を選択するた
めに)希釈物をアンピシリン含有LBプレートにストリークし、コロニー形成単
位(CFU)を数えることにより測定した。ストレプトアビジンのみを含むウェ
ルから溶離した力価に対するFVIIaを含むウェルからのファージの力価(C
FU/mL溶離バッファー)の比率を計算し、特定の結合におけるラウンド毎の
向上を監視した。
【0071】 ライブラリ1及び2の両方が、下記の表I及びIIに示すように、FVIIa
に対する特異的結合性の有意な向上を与えた。4ラウンドの選別後、ライブラリ
1からの12の選択物にDNA配列決定を施して表Iに示すようなライブラリ位
置におけるアミノ酸配列を与えた。このライブラリから得たコンセンサス配列は
、残基54における変異を除いて野生型とほぼ同一であった。これらの選択物を
、非サプレッサ株である大腸菌27C7で発現させ、sTFタンパク質を免疫親
和性クロマトグラフィーにより精製し、既に記載されているように(Kelley等,
Biochemistry 34: 10383-10392 [1995])FVIIaに対する解離定数(kd)
を測定した。Asp54に置換したSer又はAsnを持つクローンは、FVI
Iaに対する結合について約2倍高い親和性を与えた。
【0072】 カッコ内の数字は選択したクローンの中で与えられた変異体が現れた回数を示す
。コンセンサス配列は、NNSベースのライブラリにおいて予測される無作為頻
度より有意に向上した(≧4倍)、各位置で選択された残基を反映する(Lowman
及びWells (1993) J. Mol. Biol. 234: 564)。キhTFAA及びその変異体につ
いての解離定数は、BIAcore装置を用いた固定化FVIIaの結合についての速
度論的パラメータから決定した。ND=未決定。 この位置は全く可変であり、
強いコンセンサスは観察されない。
【0073】 表IIに与えたアミノ酸配列を持つ7ラウンドの選別後のライブラリ2からの
選択物についてDNA配列を決定した。ライブラリ2の選別から得られたアミノ
酸配列は、ライブラリ1より多様であり、野生型配列とは全く異なる。位置13
1及び135は全く可変であり、131に野生型残基は観察されなかった。野生
型sTFではPheであり、共晶においてFVIIaと接触し、アラニン-スキ
ャンニング突然変異誘発により結合性に重要である事が示された残基140は、
コンセンサスAsnを与えた。全てのクローンは、共晶においてFVIIaに接
触する残基、Leu133に置換したAlaを有していた。Asp130、Gl
n131、Ala133、Arg135、Asn140のコンセンサス配列は、
ライブラリ2の選別から決定した。
【0074】 表II 7ラウンドの選別後の10クローンにおける無作為化位置における残基の分布 (カッコ内の数字は、初期配列における当該位置において現れた与えられた残基
の数を示す。コンセンサス配列は、NNSベースのライブラリにおいて予測され
る無作為頻度より有意に向上した各位置で選択された残基を反映する。)
【0075】 実施例2 hTFAAの作成及び特徴付け FVIIIaに対する結合親和性をさらに比較し、より高い抗凝固能力を持つ
hTFAA変異体を作成するために、pTFAA-g3のオリゴヌクレオチド指
向性突然変異誘発によりLys165Ala:Lys166Ala変異sTFに
おいて変異体を作成した。作成した変異体は、Lys15Ala、Ser54A
la、及びTyr185、並びにライブラリ2コンセンサス配列Asp130−
Gln131−Ala133−Arg135−Asn140の単一部位変異を含
んでいた。ライブラリ2コンセンサス配列と組み合わせたLys15Ala、S
er54Ala、Tyr185Ala置換の一又は複数を有する変異体も作成し
た。ファージミドを、大腸菌W3110の誘導物である非サプレッサ株の大腸菌
株33B6に、発現のために形質転換した。発酵タンク中の10L培地中に接種(1
%)するために終夜飽和培地を用いた。温度を37℃ではなく30℃にした以外
は、既に記載されているように(Carter, P.等, Bio/Technology 10: 163-167 [
1992])発酵を行った。hTFAAタンパク質は、stIIシグナル配列により
細胞周辺腔に分泌された。接種後32時間の遠心分離により細胞を収穫し、−2
0℃で凍結保存した。
【0076】 hTFAAタンパク質を大腸菌細胞ペーストから抽出し、可溶性組織因子の変
異体について記載されているように(Kelley, R.F.等, Biochemistry 34: 10383
-10392 [1995])、抗-TFモノクローナル抗体(D3)カラム(Paborsky, L.R.
等, Biochemistry 28: 8072-8077 [1989])上での免疫親和性クロマトグラフィ
ーによって精製した。この方法により、図1にSDS-PAGEによって示すよ
うに高度に精製されたsTFが得られた。精製されたsTFタンパク質の濃度は
:1)D3抗体の検出(Lee, G.F.等, Biochemistry 36: 5607-5611 [1997])、
及び2)吸収測定によって決定した。
【0077】
【0078】 実施例3 hTFAA変異体によるTF-FVIIa-依存性因子X活性化に対する平衡解離
定数の決定 mTF・FVIIa複合体の触媒機能の阻害についてのhTFAA変異体の相
対的能力を、因子X活性化のアッセイを用いて評価した。このアッセイでは、F
XをmTF・FVIIaの溶液に添加し、種々の時間にアリコートを取り出し、
カルシウムをキレートするためにEDTAを添加して反応を抑制し、次いでスペ
クトロザイムFXa又はS-2765のいずれかのFXa特異的基質を用いて形
成されたFXaの量を測定することによりFXa形成の速度を測定する。これら
の基質のFXa切断はカルシウムを必要とせず;405nMでの吸収測定により加水
分解を監視する。速度は、精製FXaで作成した標準曲線を参照することにより
FXa濃度の計算に使用できる。FX活性化アッセイは、ミクロタイター形式で
実施し、吸収の変化は、Biometallics DeltaSoftIIソフトウエアを備えたMacint
osh SEコンピュータによって制御されたSLT EAR340Atプレートリーダーで監視し
た。KaleidaGraph v3.02(Synergy Software)を用いて非線形回帰分析を行った
。FVIIaの貯蔵溶液の濃度は、TF7I-Cの定量化試料での活性部位滴定
により、FVIIaに対する基質としてクロモジムt-PAを用いて決定した。
TF7I-Cの濃度は、4-メチルウンベリフェリルp-グアニジノベンゾエート
を用いた活性部位滴定をされたトリプシンでの滴定により正確に決定されている
(Jameson, G.W.等, (1973) Biochem. J. 131: 107-117)。80nMのトリプシンに
50mMのTris、pH 8.0、100mMのNaCl、10mMのCaCl、及び0.05%のTr
iton X-100中の希釈した阻害剤のアリコートを加えたものを、室温で1時間イン
キュベートした後、20μlの5mMのN-ベンゾイル-L-アルギニン-p-ニトロア
ニリドを全容量150μlまで添加した。次いで405nmでの吸収の変化を監視した。
阻害剤とトリプシン又はFVIIaとの1:1の化学量論を仮定して濃度を決定
した。次いで、活性部位定量化したFVIIaの溶液への添加の際のクロモジム
t-PA加水分解速度の増加からmTFの濃度を決定した。FX及びFXaの濃
度は製造者から提供されたものである。
【0079】 殆どの場合において、hTFAA変異体に対する平衡阻害定数が、100pMのm
TF・FVIIa及び色素生産性基質スペクトロザイムFXaを用いて決定され
た。これらのアッセイは、20mMのHEPES、pH 7.4、150mMのNaCl、0.1%
のPEG-8000、及び5mMのCaClのバッファー溶液を使用した。基質F
X濃度は200nMであり、反応混合物の全容量は200μLであった。hTFAA変異
体の阻害特性の試験において、mTFの添加に先立って、FVIIaをFX及び
種々の濃度のhTFAA変異体とともに37℃で30分間インキュベートした。
mTFを添加した後、37℃のインキュベーションを続け、mTF添加の1、2
、3、4、5、7.5、及び10分後に反応混合物の25μLアリコートを取り出
し、等容量の50mMのEDTAと混合してFXの活性化を停止させた。形成された
FXaの量は、因子Xaバッファー(10X = 0.2MのHEPES、pH 7.4、1.5Mの
NaCl、0.25MのEDTA、1%のPEG-8000)を最終濃度1Xまで添加し、
次いで0.5mMのスペクトロザイムFXaを添加することにより測定した。各々の
時点での最終容量は200μLであり、スペクトロザイムFXa加水分解の速度は、
室温での405nmにおける吸収変化によって監視し、mOD/分で報告した。
【0080】 より能力のあるhTFAA変異体による阻害を試験するためには、より高感度
のアッセイが要求された。これらのアッセイは25pMのmTF/FVIIaを採用
し、FXaの定量化にS-2765を使用した。反応バッファーは20mMのEPP
S、pH 8.2、100mMのNaCl、5mMのCaCl、0.1%のBSAであった。アッ
セイは、FXaの基質として0.5mMのS-2765を使用したこと、及び吸収測定
を37℃で実施したことを除いて上記のように行った。FXaのアッセイ用バッ
ファーは、20mMのEPPS、pH 8.2、150mMのNaCl、0.1%のBSA、25mMの
EDTAであった。
【0081】 FX活性化の阻害に対する見かけの平衡解離定数(Ki*)は、阻害剤濃度を
変えたアッセイから決定した。精製FXa(Hematech)によるスペクトロザイム
FXa加水分解について標準曲線を作成し、各時点で観察された加水分解速度を
生成されたFXa濃度に変換できるようにした。次いで、これらのデータを、最
小自乗線形回帰により分析し、各濃度の阻害剤についてのFXa生成の初期速度
を計算した。初期速度を非阻害速度と比較して、各阻害剤濃度についてのFX活
性化の速度分数(fractional rate)を得た。等式1を用いた非線形回帰分析を
、これらのデータからKi*を決定するのに使用した。データ、及び非線形回帰
分析から計算した曲線を、hTFAA、Asp54Ser−133cons−T
yr185Ala−hTFAA、及びLys15Ala−Asp54Ser−1
33cons−Tyr185Ala−hTFAAについて図2に示した。
【0082】 これらの値、並びに他のhTFAAに関する値を、hTFAAの値に比較して
表IVに示す。
【0083】 これらの結果は、Lys15Ala−Asp54Ser−133cons−T
yr185Ala−hTFAAが、hTFAAについて測定された値に比較して
36倍向上したFVIIaに対する親和性を持つことを示した。この変異体につ
いて観察された親和性は、単一部位突然変異から添加剤寄与(Wells, (1990) Bi
ochemistry 29: 8509-8517)に基づいて予測されたものにほぼ等しい。単一部位
突然変異及びライブラリ2コンセンサス配列について観察された倍数増加の乗算
は、親和性における40倍の向上と計算された。 等式1: この等式中、[E]は酵素濃度であり、[I]は阻害剤濃度であり、Viは
[I]の存在下におけるFXa生成の初期速度であり、そしてVは阻害剤不
在下における初期速度である。
【0084】 実施例4 血液凝固アッセイ hTFAA、Asp54Ser−133cons−Tyr185Ala−hT
FAA、及びLys15Ala−Asp54Ser−133cons−Tyr1
85Ala−hTFAAの阻害能力を、種々の濃度の各阻害剤を血漿に添加し、
凝固介しにイノビン(Innovin)(Dade)ヒトトロンボプラスチンを用いたプロト
ロンビン時間(PT)を測定することにより比較した。凝固時間は、ACL 300 Re
search Coagulation分析機を使用して測定した。プロトロンビン時間(PT)ア
ッセイでは、インキュベーション時間を120秒および獲得時間を600秒に設
定した。クエン酸添加正常ヒト血漿及び阻害剤を合わせて室温で10分間インキ
ュベーションした後にアッセイした。試料(血漿及び阻害剤)の一部100μL及び
トロンボプラスチン溶液50μLを、37℃で2分間インキュベーションした後に
自動的に混合した。凝固時間は光学的評価によって決定した。
【0085】 図3に示すPTアッセイにおいて、Asp54Ser−133cons−Ty
r185Ala−hTFAA及びLys15Ala−Asp54Ser−133
cons−Tyr185Ala−hTFAAの両方共がhTFAAより大きな凝
固阻害能力を与えた。 10μMのhTFAA、1.5μMのS54-133cons-A185-hTFAA、
又は0.8μMのA15-S54-133cons-A185-hTFAAで、2倍に延
長された凝固時間が得られた。これらのデータは、hTFAAのFVIIaに対
する親和性の向上が抗凝固効果の向上をもたらすことを示している。
【0086】 実施例5 深部内側創傷のウサギモデルにおける抗血栓能力の測定 雄性ニュージーランド白色ウサギ(〜4kg)をケタミン/キシラジンのIM注
射で麻酔して外科的麻酔相(plane)とする。ウサギを拘束ボードに仰臥位に固定
し、37℃に加温し、頚部と大腿内側を剃毛する。テフロンカテーテルを耳辺縁
静脈および大腿動脈に各々薬剤(TF変異体及び対照物)送達及び試料採取のた
めに装着する。処置前に凝固試験(APTTおよびPT)のために血液試料を採
取する。後肢の爪の小皮に作った切創から出血時間を評価する。頚部領域を切開
し、左総頚動脈とその分枝を外科的に露出させる。超音波流動プローブ(Transo
nics(登録商標))を共通の−内側分岐から約5cm尾側の総頚動脈に装着する
。血流が安定なベースラインに到達した後、薬剤(塩水又は試験化合物)を耳辺
縁静脈を通して送達する。次いで、収縮させた塞栓切除カテーテル(Fogarty(
登録商標)、3F)を舌枝の切開部を介して総頚動脈の内腔に導入する。動脈を通
過する血流を一次的に止め、カテーテルを挿入して2−0シルクタイで切開部に
緩く固定する。カテーテルを配置して固定した後に、血流を再開する。収縮バル
ーンを血流プローブの2mm以内まで進め、血管壁の抵抗が感じられるまで食塩
水で膨張させる。カテーテルを定速で第一の分岐点まで後退させ、次いで収縮さ
せる。
【0087】 この操作を各実験動物で数回繰り返し、その後カテーテルを除去する。カテー
テル初回挿入から除去までのバルーン操作は約3分から5分を要し、長さ1.5
から2cmの損傷領域をもたらす。40分間に渡りPT測定のために血液試料を
取り出し、小皮出血時間を評価し、頚動脈を流れる血流を監視する。開存時間は
、動脈に測定可能な血流が検出される全時間長(最大値=40分間)として定義
する。開存率は、頚動脈血流≧5分間を示す試験動物のパーセントを示す。 実験終了時、ウサギを安楽死させ、頚動脈を摘出して切開する。血栓が存在す
れば取り出してブロットし、重量を記録する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 残基165及び166にアラニン置換を有するヒト組織因子タン
パク質変異体(hTFAA)は、大腸菌細胞ペーストから抽出し、抗-TFモノ
クローナル抗体(D3)カラム(Paborsky, L.R.等, (1989) Biochemistry 28:
8072-8077)上での免疫親和性クロマトグラフィーにより、可溶性組織因子の変
異体について記載されているように精製した(Kelley, R.F.等, (1995) Biochem
istry 34: 10383-10392)。この方法は、SDS-PAGEによって図1に示すよ
うに、sTFタンパク質を高度に精製した。レーン1−Lys15Ala−hT
FAA、レーン2−Tyr185Ala−hTFAA、レーン3−133con
s−hTFAA、レーン4−Asp54Ser−133cons−hTFAA、
レーン5−Asp54Ser−133cons−Tyr185Ala−hTFA
A、レーン6−Lys15Ala−Asp54Ser−133cons−Tyr
185Ala−hTFAA、レーン7−Bio-Rad前染色SDS-PAGE標
準品、低範囲、レーン−8−hTFAA。
【図2】 FX活性化の阻害についての見かけの平衡解離定数(Ki*)は
、阻害薬濃度を変えたアッセイから決定した。等式1を用いた非線形回帰分析を
、これらのデータからKi*を決定するのに使用した。データ、及び非線形回帰
分析から計算した曲線は、hTFAA(配列番号:3)、Asp54Ser−1
33cons−Tyr185Ala−hTFAA(配列番号:9)、及びLys
15Ala−Asp54Ser−133cons−Tyr185Ala−hTF
AA(配列番号:10)について図2に示した。
【図3】 Asp54Ser−133cons−Tyr185Ala−hT
FAA(配列番号:9)、及びLys15Ala−Asp54Ser−133c
ons−Tyr185Ala−hTFAA(配列番号:10)は、図3に示した
PTアッセイにおいてhTFAA(配列番号:3)よりも強力な凝固阻害を与え
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 A61K 37/46 C12P 21/02 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (71)出願人 460 Point San Bruno Blvd.,South San Fra ncisco,California 94080 USA (72)発明者 リー,ジェフリー,エフ. アメリカ合衆国 コロラド 80301,ボル ダー,サウス ハンプトン サークル 4694

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物組織因子タンパク質から誘導され、Asp54、G
    lu56、Glu130、Arg131、Leu133、Arg135及びPh
    e140からなる群から選択されるヒトアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基の
    少なくとも1つが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有し、FVII/F
    VIIaに対して、それが誘導された哺乳動物組織因子より大きな親和性を持つ
    組織因子タンパク質変異体。
  2. 【請求項2】 Asp54及びGlu56からなる群から選択されるアミノ
    酸残基の少なくとも1つ、及びGlu130、Arg131、Leu133、A
    rg135及びPhe140からなる群から選択されるアミノ酸残基の少なくと
    も1つが他のアミノ酸に置換された、請求項1に記載の組織因子タンパク質変異
    体。
  3. 【請求項3】 Asp54に対する他のアミノ酸残基がLys、Asn、G
    lu、Ala及びSerからなる群から選択され、Glu56に対する他のアミ
    ノ酸残基がAsp、His、Gln及びTrpからなる群から選択され、Glu
    130に対する他のアミノ酸残基がAsp、Ala、Ser及びGlyからなる
    群から選択され、Arg131に対する他のアミノ酸残基がGln、Ile、P
    ro、Ser、Leu、Lys、Thr及びMetからなる群から選択され、L
    eu133に対する他のアミノ酸残基がAlaであり、Arg135に対する他
    のアミノ酸残基がTrp、Gln、Leu、Tyr、Thr及びAlaからなる
    群から選択され、及びPhe140に対する他のアミノ酸残基がAsn、His
    、Val、Ala、Arg及びGlyからなる群から選択される、請求項2に記
    載の組織因子タンパク質変異体。
  4. 【請求項4】 Asp54に対する他のアミノ酸残基がSerであり、Gl
    u130に対する他のアミノ酸残基がAsp、Gly及びAlaからなる群から
    選択され、Arg131に対する他のアミノ酸残基がGlnであり、Arg13
    5に対する他のアミノ酸残基がTrp及びGlnからなる群から選択され、及び
    Phe140に対する他のアミノ酸残基がAsnである、請求項3に記載の組織
    因子タンパク質変異体。
  5. 【請求項5】 アミノ酸残基Asp54、Glu130、Arg131、L
    eu133、及びPhe140が置換された、請求項4に記載の組織因子タンパ
    ク質変異体。
  6. 【請求項6】 Glu130に対する他のアミノ酸残基がAspである、請
    求項5に記載の組織因子タンパク質変異体。
  7. 【請求項7】 他のアミノ酸残基に置換されたLys15及びTyr185
    からなる群から選択されるアミノ酸残基の少なくとも1つをさらに有する、請求
    項1に記載の組織因子タンパク質変異体。
  8. 【請求項8】 Lys15及びTyr185におけるアミノ酸置換を有する
    、請求項7に記載の組織因子タンパク質変異体。
  9. 【請求項9】 Lys15及びTyr185に対する他のアミノ酸残基がA
    laである、請求項8に記載の組織因子タンパク質変異体。
  10. 【請求項10】 哺乳動物組織因子タンパク質がヒト組織因子タンパク質で
    ある、請求項1に記載の組織因子タンパク質変異体。
  11. 【請求項11】 ヒト組織因子タンパク質が配列番号:1である、請求項1
    0に記載の組織因子タンパク質変異体。
  12. 【請求項12】 組織因子タンパク質変異体が、ヒト組織因子タンパク質の
    アミノ酸配列において少なくとも1つの他のアミノ酸残基の置換を有する、請求
    項10に記載の組織因子タンパク質変異体。
  13. 【請求項13】 組織因子タンパク質変異体が、FVII/FVIIa結合
    にエネルギー的に寄与する、又はFVII/FVIIa補因子活性に寄与するア
    ミノ酸残基におけるアミノ酸置換をさらに有する、請求項12に記載の組織因子
    タンパク質変異体。
  14. 【請求項14】 FVII/FVIIa補因子活性に必要なアミノ酸残基が
    、Asp44、Trp158、Ser163、Gly164、Lys165及び
    Lys166からなる群から選択される、請求項13に記載の組織因子タンパク
    質変異体。
  15. 【請求項15】 FVIIa補因子活性に必要なアミノ酸残基が、Ser1
    63及びGly164からなる群から選択される、請求項14に記載の組織因子
    タンパク質変異体。
  16. 【請求項16】 Ser163及びGly164がAlaに置換された、請
    求項15に記載の組織因子タンパク質変異体。
  17. 【請求項17】 ヒト組織因子タンパク質が配列番号:2である、請求項1
    4に記載の組織因子タンパク質変異体。
  18. 【請求項18】 製薬的に許容される賦形剤と、請求項1に記載の組織因子
    タンパク質変異体とを含んでなる医薬品組成物。
  19. 【請求項19】 製薬的に許容される賦形剤と、請求項12に記載の組織因
    子タンパク質変異体とを含んでなる医薬品組成物。
  20. 【請求項20】 ヒト因子VII/VIIa(FVII/FVIIa)凝血
    原活性を阻害する方法において、前記FVII/FVIIaを、前記FVII/
    FVIIaの凝血原活性を阻害するのに有効な量の請求項12に記載の組織因子
    タンパク質変異体と接触させることを含んでなる方法。
  21. 【請求項21】 哺乳動物におけるヒト組織因子VIIa(TF−FVII
    a)凝血原活性を阻害する方法において、治療的有効量の請求項19に記載の組
    成物を哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
  22. 【請求項22】 組成物を血栓溶解剤と組み合わせて投与することをさらに
    含む、請求項19に記載の方法。
  23. 【請求項23】 組成物を抗凝固剤と組み合わせて投与することをさらに含
    む、請求項19に記載の方法。
  24. 【請求項24】 因子VIIaの阻害が示されている哺乳動物を治療する方
    法において、治療的有効量の請求項19に記載の組成物を哺乳動物に投与するこ
    とを含んでなる方法。
  25. 【請求項25】 請求項1に記載の組織因子タンパク質変異体をコードする
    、単離されたDNA分子。
  26. 【請求項26】 DNA分子に作用可能に結合した発現調節配列をさらに含
    む、請求項25に記載のDNA分子。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載のDNA分子を含んでなり、調節配列が
    当該ベクターで形質転換された宿主細胞によって認識される発現ベクター。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
  29. 【請求項29】 請求項28に記載の宿主細胞を、組織因子タンパク質変異
    体の発現に適した条件下で培養することを含んでなる、組織因子タンパク質変異
    体をコードするDNA分子を発現させる方法。
  30. 【請求項30】 培養培地から組織因子タンパク質変異体を回収することを
    さらに含む、請求項29に記載の方法。
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