JP2002516367A - 常温架橋性組成物または熱架橋性組成物製造用の触媒 - Google Patents

常温架橋性組成物または熱架橋性組成物製造用の触媒

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、常温架橋性組成物または熱架橋性組成物の架橋用触媒であって、天然源および／または合成源からの脂肪族カルボン酸および／または芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩を含み、このカルボン酸は、直鎖もしくは分岐鎖で、飽和、モノ不飽和もしくはポリ不飽和のカルボン酸であることを特徴とする触媒を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 （発明の属する技術分野） 本発明は、常温架橋性組成物または熱架橋性組成物製造用の触媒に関する。
【０００２】 （従来の技術） 熱架橋性組成物および常温架橋性組成物は、従来から知られており、ジョイン
トシール剤、接着剤、パテ、充填材などとしての用途が知られている。このよう
な用途に使用される組成物は、通常、官能化したバインダーと、架橋剤と、架橋
反応促進用の触媒とを組み合わせなる。これに加えて、充填材、可塑剤、染料な
どの変性剤を添加することができる。
【０００３】 バインダーとして、例えば、ヒドロキシ末端を有する付加ポリマーが知られて
おり、このポリマーは、ジイソシアネート架橋剤および通常の触媒を用いて架橋
される。これとは別の態様では、ケイ酸テトラアルキルエステルを架橋剤として
用い、スズ（II）オクトエート（octoat）を触媒として採用している（US -A-3,
624,014）。
【０００４】 EP 0 356 715 B1は、液体または塗布可能な加硫ゴム混合物を開示し、この混
合物は、少なくとも１つのオレフィン系不飽和ポリマーを含め、複数のポリマー
をベースとしている。また混合物は、次のような物質を含んでなる。 ・30〜70重量部のポリマーA：これは、高分子1つ当たり、平均して少なくとも２
つのヒドロキシ基を含む。 ・70〜30重量部のポリマーA相溶性ポリマーB：これは、高分子1つ当たり、平均
して、少なくとも２つのカルボン酸および／または無水カルボン酸残基または、
少なくとも１つのカルボン酸および無水カルボン酸残基を含む。 ・10〜120重量部の加硫促進剤、所望により充填材および／または助剤 ・所望により、0.1〜5重量部のエステル化触媒。
【０００５】 上記ポリマーAおよびBの少なくとも１つは、そのオレフィン性二重結合によっ
て高温および通常の反応条件下に加硫化することができ、成分AおよびBの一方の
みは、加硫性ポリジエンから得られる。ただし、他の成分は、ポリエステルまた
は付加コポリマー（各々、OHおよび／またはカルボン酸または無水カルボン酸残
基を含む）と相溶性のポリアミドから構成されるか、またはポリマーAおよびBは
、ポリジエンまたはそのコポリマーから得られる。
【０００６】 EP 0 181 441 A1は、熱架橋性組成物、および常温架橋性組成物の製法を開示
し、この常温架橋性組成物は、触媒の添加によって常温架橋が誘発されるような
２つの官能化バインダーを組み合わせてなる。バインダー（I）は、予めヒドロ
キシ基で適切に官能化したホモブタジエンをベースとする付加ポリマーを含む。
他方、バインダー（II）は、無水コハク酸残基などを有するホモブタジエンまた
はコブタジエンをベースとする、同様な付加ポリマーである。ポリマーは、種々
の方法で変性することができる。もっとも、実際の架橋反応については、ヒドロ
キシ基と、酸無水物残基との反応のみが重要である。生成物特性の変性のため、
広い意味で、他の全ての変性法を使用することができる。
【０００７】 EP 0 181 441 A1は、上記組成物の常温架橋反応を、窒素含有触媒またはスル
ホン酸によって好適に触媒できる旨、開示する。
【０００８】 開示された窒素含有触媒には、ピリジン、N-メチルイミダゾール、3-アミノ-2
,4-ジメチルペンタン、ジ（2-エチルヘキシル）アミンなどが包含される。好適
なスルホン酸として、p-トルエンスルホン酸が例示される。
【０００９】 上記組成物は、特に、金属部分用や構造部分用の加熱硬化型接着剤として使用
され、その接着工程の間に、加熱処理にさらに付される。従来技術の触媒は、こ
のような用途に対し、不利である。このような組成物によって、金属部分を結合
しようとすると、スルホン酸は、触媒量であっても、湿潤区域において腐食速度
を増加させ、よって、安定性が低下する。一般に、この欠点は、アミンの使用に
よって回避しうる。しかしながら、後の処理工程において加熱が必要な場合、ア
ミンの使用も、問題となる。常温架橋に必要な量（バインダー全量を基準に約1
％の量）で、高温に付すと、揮発性のアミン化合物が蒸発して、処理工程におい
て、著しく不快な臭気が伴う。
【００１０】 （発明が解決しようとする課題） 本発明が解決しようとする課題は、既知の触媒化合物と同様な触媒活性を示す
一方、金属部分に対し腐食作用を示さず、かつ使用に際し不快な臭気を何ら発生
しないような触媒を提供することである。
【００１１】 （発明の開示） 上記課題は、本発明の触媒を提供することで達成することができる。すなわち
本発明は、常温架橋性組成物または熱架橋性組成物の架橋用触媒であって、 天然源および／または合成源からの脂肪族カルボン酸および／または芳香族カ
ルボン酸のアルカリ金属塩を含み、 このカルボン酸は、直鎖もしくは分岐鎖で、飽和、モノ不飽和もしくはポリ不
飽和のカルボン酸であることを特徴とする触媒を提供する。
【００１２】 触媒 上記課題を達成するため、まず、考慮に入れるべきことは、カルボキシレート
が、エステル化反応における既知の触媒活性を基準に、無水物残基とアルコール
基との反応を触媒するのに適した物質となりうることである。一般に、エステル
化反応は、室温を超える温度で実施され、この反応温度は、エステルのタイプに
依存して、約80〜280℃の範囲である。他方、室温での触媒は、知られていない
。
【００１３】 天然源および／または合成源からの脂肪族カルボン酸および／または芳香族カ
ルボン酸のアルカリ金属塩は、そのアルキルおよび／またはアリール置換化合物
およびそれらの混合物も含め、全て、好適である。特に、ポリマーマトリックス
と混和性を示して均一に混和しうるような上記アルカリ金属塩であって、特に好
適には、炭素鎖C3〜C22の脂肪族カルボン酸残基を有する場合である。要すれば
、アルカリ金属塩は、不活性溶媒中の溶液の形態で使用することができる。この
種の化合物は、通常の金属およびその合金に対し、腐食作用を示さない。さらに
、上記アルカリ金属塩は、実質的に無臭であって、加熱しても、ポリマーから強
い臭気を発生させないような低揮発性である。
【００１４】 標準的なスチールの試験板に、カルボン酸アルカリ金属塩含有架橋性組成物を
被覆し、数時間、80℃で、大気湿分に暴露しながら保存した場合、遊離酸の触媒
作用下に観察されるような、不快な臭気も、腐食の兆候も何ら起こらないことを
確認することができた。
【００１５】 室温において、ヒドロキシ官能化ポリマーと酸無水物官能化ポリマーとを架橋
反応させる際、その触媒活性は、用いたカルボン酸アルカリ金属塩の濃度によっ
て制御することができる。流動性を示さずかつ表面粘着性を示さなくなるような
組成物が形成されるまで、約1時間の処理のため、上記塩濃度は、ポリマー混合
物100部当たり、0.5〜2.0部、好適には0.7〜1.5部で充分である。既知のアミン
またはスルホン酸で同様な作用を達成するには、これらの物質は、ポリマー混合
物100部当たり約1部の濃度で使用される。
【００１６】 驚くべきことに、本発明によれば、上記アルカリ金属塩の安定性は、室温では
充分な触媒活性を示さないような多価金属イオン（亜鉛、カルシウム、ビスマス
イオンなど）のカルボン酸塩に匹敵する。
【００１７】 （実施例） 次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これに限定
されるものではない。以下の実施例では、本発明のカルボン酸アルカリ金属塩を
、他の物質と比較して、その触媒活性を証明する。 実施例1 加工紙の紙コップに、以下の成分を、Mizerディスクを用い、室温で2分間、均
一に混合した。 ・50 gの低分子量1,4-シス-ポリブタジエンのマレイン酸付加物、平均分子量1,8
00〜2,400、酸価80〜95 KOH mg/g ・50 gのポリブタジエノール、OH価0.83 meq/g ・1.0 gの2-エチルヘキサン酸カリウム、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル中に溶解
【００１８】 混合物を基板に注ぎ、20℃で1時間後に、硬度について試験した。 1時間後、組成物は、以下の特性を有する。 ・表面粘着性示さず ・流動性示さず ・曳糸性示さず
【００１９】 実施例2〜6 実施例1と同様な方法によって、以下の成分を混合した。 ・50 gの1,4-シス-ポリブタジエンのマレイン酸付加物 ・50 gのポリブタジエノール ・1.0 gの触媒（表１参照） 結果を以下の表１に示す。
【００２０】
【表１】
【００２１】 比較例1〜6 実施例1と同様な方法に従い、異なる触媒を用いた。結果を表２に示す。
【００２２】
【表２】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペーター・ボルン ドイツ連邦共和国デー−69207ザントハウ ゼン、ヘルマン−レンス−ヴェーク39番 (72)発明者 ウヴェ・ヴァインブレヒト ドイツ連邦共和国デー−68199マンハイム、 ゼンタイヒプラッツ10番 (72)発明者 ディーター・グール ドイツ連邦共和国デー−67346シュパイア ー、ナッハティガレンヴェーク３番 Ｆターム(参考） 4F070 AA06 AA40 AB03 AC11 AC42 AE01 AE16 GA06 GA10 GB09 GC09 4J002 BL011 EG026 EG056 FD017 FD018 FD146 FD156

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 常温架橋性組成物または熱架橋性組成物の架橋用触媒であっ
    て、 天然源および／または合成源からの脂肪族カルボン酸および／または芳香族カ
    ルボン酸のアルカリ金属塩を含み、 このカルボン酸は、直鎖もしくは分岐鎖で、飽和、モノ不飽和もしくはポリ不
    飽和のカルボン酸であることを特徴とする触媒。
  2. 【請求項２】 上記アルカリ金属のカチオンは、ナトリウムおよび／または
    カリウムから選択される請求項1記載の触媒。
  3. 【請求項３】 上記カルボン酸アルカリ金属塩のカルボン酸残基は、4〜22
    の炭素原子を有する請求項1記載の触媒。
  4. 【請求項４】 請求項1〜3のいずれかに記載の触媒についての、常温架橋性
    組成物または熱架橋性組成物を製造するための使用。
  5. 【請求項５】 常温架橋性組成物または熱架橋性組成物であって、 カルボン酸残基を有する1,3-ブタジエン系付加ポリマー、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の1またはそれ以上の触媒および、架橋反応を触媒しないような通常の
    添加剤を含むことに加え、 一級ヒドロキシおよび／または二級ヒドロキシ基を有する1,3-ブタジエン系付
    加ポリマーを含んでなることを特徴とする組成物。
  6. 【請求項６】 上記触媒を、ポリマー混合物100重量部当たり、0.5〜2.0重
    量部、特に0.7〜1.5重量部の量で含有する請求項5記載の組成物。
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