JP2002516068A - Staphylococcusaureus遺伝子およびポリペプチド - Google Patents

Staphylococcusaureus遺伝子およびポリペプチド

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JP2002516068A JP2000536845A JP2000536845A JP2002516068A JP 2002516068 A JP2002516068 A JP 2002516068A JP 2000536845 A JP2000536845 A JP 2000536845A JP 2000536845 A JP2000536845 A JP 2000536845A JP 2002516068 A JP2002516068 A JP 2002516068A
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ギル エイチ. チョイ,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、S.aureus由来の11個の新規な遺伝子およびそれらがコードするポリペプチドに関する。また、これらを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法が提供される。本発明はさらに、S.aureusポリペプチド活性アゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング法に関する。本発明はさらに、生物学的サンプルにおいて、Staphylococcus核酸、ポリペプチド、および抗体を検出するための診断方法に関する。本発明はさらに、Staphylococcusによる感染の予防または減弱のための新規なワクチンに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、新規のStaphylococcus aureus遺伝子(S.
aureus)核酸およびポリペプチドに関する。これらを産生するためのベク
ター、宿主細胞、および組換え法がまた、提供される。さらに、本発明のS.a
ureus核酸およびポリペプチドに対する、プローブ、プライマー、および抗
体を使用しての、Staphylococcus aureusを検出するため
の診断方法が提供される。本発明はさらに、S.aureusポリペプチド活性
のアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法、S.
aureus核酸およびポリペプチドを使用してのワクチンに関する。
【0002】 (発明の背景) Staphylococcus属には、少なくとも20個の異なる種が含まれ
る。(概説については、Novick,R.P.,The Staphyloc
occus as a Molecular Genetic System
in Molecular Biology of the Staphylo
cocci, 1−37(R.Novick編、VCH Publishers
,New York(1990)を参照のこと)。種は、ハイブリダイゼーショ
ン動力学によって80%以上互いに異なるが、1つの種内の株は、同じ基準によ
り少なくとも90%同一である。
【0003】 種S.aureus、グラム陽性、通性好気性の、凝集形成球菌(clump
−forming cocci)は、以下に簡単に記載されるように、ヒトにお
いて細菌感染の最も重要な病因学的因子の1つである。
【0004】 (ヒトの健康およびS.aureus) Staphylococcus aureusは、遍在性の病原である。例え
ば、Mimsら、MEDICAL MICROBIOLOGY(Mosby−Y
ear Book Europe Limited, London, UK
1993を参照のこと)。これは、重篤度において軽症から致死性までの範囲に
わたる種々の状態の病原因子である。S.aureus感染によって引き起こさ
れるより一般的な状態のいくつかは、熱傷、蜂窩織炎、眼瞼感染、食中毒、関節
感染、新生児新生児結膜炎、骨髄炎、皮膚感染、外科創傷感染、熱傷様皮膚症候
群、および中毒性ショック症候群であり、これらのいくつかは、以下にさらに記
載される。
【0005】 熱傷:熱傷創傷は、一般に、最初は無菌である。しかし、それらは一般に感染
に対して物理的および免疫障壁を妥協し、液体および電解質の損失を引き起こし
、そして結果として局所または一般生理学的機能不全となる。冷却後、生存可能
な細菌との接触により、傷害部位で混合したコロニー形成が生じる。感染は、熱
傷表面(「焼痂」)上の非生存可能細片に制限され得、それは、全皮膚感染へと
進行し得、そして焼痂の下の生存可能な組織を侵襲し得、そしてそれは、皮膚の
下に到達し得、リンパ球および血液循環に進入し得、そして敗血症へと発達し得
る。S.aureusは、熱傷創傷感染において代表的に見出される最も重要な
病原の1つである。それは、顆粒組織を破壊し得、そして重篤な敗血症を生じ得
る。
【0006】 蜂巣炎:蜂巣炎は、代表的に表面的な起源から広がって皮膚層の下へと蔓延す
る皮膚の急性の感染であり、最も一般的には、S.aureusによって、S.
pyrogenesと組み合わせて引き起こされる。蜂巣炎は、全身性の感染を
導き得る。実際、蜂巣炎は、相乗的細菌壊疽の1つの局面であり得る。この状態
は、代表的には、S.aureusおよび微好気性streptococciの
混合物によって引き起こされる。それは壊死を引き起こし、そして処置は、壊死
組織の切除に限定される。その状態は、しばしば致死性である。
【0007】 眼瞼感染(eyelid infections):S.aureusは、眼
感染においてとりわけ、新生児における、ものもらいおよび「粘着性眼(sti
cky eye」の原因である。代表的には、このような感染は、眼の表面に限
定され、そしてときどきその表面を貫通し、より重篤な結果を伴い得る。
【0008】 食中毒:S.aureusのいくつかの株は、胃および小腸の消化プロセスに
よって破壊されない5つの血清学的に異なる、熱および酸安定性の腸毒素(腸毒
素A〜E)の1つ以上を産生する。十分な量における毒素の消化は、代表的には
、重篤な嘔吐を生じるが、下痢は生じない。その効果は、生存可能な細菌を必要
としない。毒素は公知であるが、その作用メカニズムは、理解されていない。
【0009】 関節感染:S.aureusは、骨関節に感染し、骨髄炎のような疾患を引き
起こす。例えば、R.Cunninghamら(1996)J.Med.Mic
robiol.44:157−164を参照のこと。
【0010】 骨髄炎:S.aureusは、血行性骨髄炎の最も一般的な原因因子である。
その疾患は、成人よりも子供および青年において生じる傾向があり、そして骨に
対する非貫通的傷害と関連する。感染は、代表的には、成長する骨の長い末端に
おいて生じ、従って、肉体的に未成熟の集団においてそれが発生するのである。
最もしばしば、感染は、長い成長する骨の末端における松果体成長板に隣接する
萌芽する毛細血管ループの近傍に局在する。
【0011】 皮膚感染:S.aureusは、膿瘍および腫脹のようなマイナーな皮膚感染
の最も一般的な病原である。このような感染は、しばしば通常宿主応答機構によ
って解決されるが、それらはまた、重篤な内部感染へと発達し得る。経鼻通過疫
病の再発性感染は、S.aureusの経鼻保菌者に罹患する。
【0012】 外科的創傷感染:外科的創傷は、しばしば身体の奥へと貫通する。従って、こ
のような創傷の感染は、患者に対して重篤な危険性を保有する。S.aureu
sは、外科的創傷における感染の最も重要な原因因子である。S.aureus
は、外科的創傷に侵襲することに異常に熟達している;縫合した創傷は、ずっと
少ないS.aureus細胞によって感染され得、次いで、正常皮膚における感
染を引き起こすことが必要である。外科創傷の侵襲は、重篤なS.aureus
敗血症を導き得る。S.aureusによる血液流の侵襲は、内部器官、特に心
臓弁および骨の播種および感染へと導き得、心内膜炎および骨髄炎のような全身
性の疾患を引き起こす。
【0013】 熱傷様皮膚症候群:S.aureusは、「熱傷様皮膚症候群」(中毒性表皮
壊死症、リッター疾患、およびライエル病とも呼ばれる)の原因である。この疾
患は、より年長の子供において発症し、代表的には、S.aureus株の開花
(flowering)によって引き起こされる発生において、剥脱(exfo
liation)(熱傷様皮膚症候群とも呼ばれる)を産生する 。細菌は、最
初マイナーな病変のみに感染し得、その毒素は、細胞間結合を破壊し、上皮層に
広がり、そして感染にその皮膚の外層を貫通させ、その疾患を類型化する剥離を
生じる。皮膚の外層の分断は、一般に下部の正常皮膚を顕わにするが、その過程
で損失した流体は、それが適切に処置されなかった場合には、幼児において重篤
な傷害を生じ得る。
【0014】 中毒性ショック症候群:中毒性ショック症候群は、いわゆる中毒性ショック症
候群毒素を産生するS.aureusの株によって引き起こされる。その疾患は
、任意の部位でS.aureus感染によって引き起こされ得るが、タンポンを
使用する女性のみの疾患であるともっぱら間違って考えられることが多すぎる。
その疾患は、毒素血症および敗血症を包含し、そして致死性であり得る。
【0015】 院内感染:1984年の国立院内感染監視調査(National Noco
somial Infection Surveillance Study(
「NNIS」)において、S.aureusは、医薬、手術、産科学、小児科学
、および新生児を含む多くの病院サービスにおける外科創傷感染の最も流行性の
因子であった。
【0016】 他の感染:S.aureusが関与する他の型の感染、危険因子などは、以下
において議論されている:A.Trilla(1995)J.Chemothe
rapy 3:37−43;F.Espersen(1995)J.Chemo
therapy 3:11−17;D.E.Craven(1995)J.Ch
emotherapy 3:19−28;J.D.Breenら(1995)I
nfect.Dis.Clin.North Am.9(1):11−24(そ
れぞれ、本明細書中にその全体が援用される)。
【0017】 (S.aureus株の薬物への耐性) ペニシリンの導入前、S.aureusに重篤に感染した患者についての予後
は、芳しくなかった。1940年代初期のペニシリンの導入後、最悪のS.au
reus感染でさえ、一般に、首尾良く処置され得た。しかし、まもなくS.a
ureusのペニシリン耐性株が出現した。今日、院内感染において遭遇するS
.aureusの株のほとんどは、ペニシリンに反応しない;しかし、幸運にも
、コミュニティー感染において遭遇するS.aureusについてはこの限りで
ない。
【0018】 現在、S.aureusのペニシリン耐性株は、ペニシリンをペニシリン酸(
penicillinoic acid)に変換し、それにより抗生物質活性を
破壊するラクタマーゼを産生することが周知である。さらに、ラクタマーゼ遺伝
子は、しばしば、エピソーム、代表的にはプラスミド上に伝播し、そしてしばし
ば一緒になって多剤耐性を付与するエピソームエレメント上のいくつかの遺伝子
の唯一のものである。
【0019】 メチシリンは、1960年代に導入され、S.aureusにおけるペニシリ
ン耐性の問題をほとんど克服した。これらの化合物は、抗生物質活性の原因であ
るペニシリンの部分を保存し、そしてペニシリンをラクタマーゼを不活化するの
に良好な基質にする他の部分を修飾または改変する。しかし、メチシリン耐性は
、S.aureusにおいて、アミノグリコシド系、テトラサイクリン系、クロ
ラムフェニコール系、マクロライド系、およびリンコサミド(lincodam
ide)系を含む、この生物に対して効果的な多くの他の抗生物質に対する耐性
を伴って出現した。実際、S.aureusのメチシリン耐性株は、一般に、多
剤耐性である。
【0020】 メチシリン耐性S.aureus(MRSA)は、世界じゅうで最も重要な院
内病原の1つとなっており、重大な感染コントロール問題を提起する。今日、多
くの株が、バンコマイシン型グリコペプチド抗生物質を除いて、実質的に全ての
抗生物質に対して多剤耐性である。
【0021】 腸球菌からS.aureusへのバンコマイシン耐性遺伝子の移動が研究室に
おいて観察されたという最近の報告は、MRSAがバンコマイシンに対しても耐
性となり得るという、一般的に公衆衛生災害を生じると考えられる状況に対する
危惧を有する。MRSAは、実質的に全てのβラクタム抗生物質に対するその耐
性を、mecA遺伝子によってコードされる特別なペニシリン結合タンパク質(
PBP)2aの発現に依っている。このさらなる非常に親和性の低いpbp(こ
れは、耐性株においてのみ見出される)は、通常のセットのS.aureus
pbp1〜4を飽和させるに十分に高いβラクタム濃度での、細胞壁ペプチドグ
リカン合成においてなお機能する唯一のpbpであるようである。1983年に
、mecAとは独立したいくつかのさらなる遺伝子が、MRSAの高レベルのメ
チシリン耐性を保持するのに必要であることが、トランスポゾンTn551を使
用して挿入変異誘発によって示された。これらの遺伝子の妨害は、PBP2a発
現を妨害することによって耐性レベルに影響を及ぼさず、そしてそれゆえfem
(メチシリン耐性の発現に必須である因子)またはaux(補助遺伝子)として
呼ばれた。
【0022】 その間に、6つのfem遺伝子(femA〜F)が記載され、そしてさらなる
aux遺伝の最小数は、10より多いと見積もられている。femAおよびfe
mBでの妨害は、メチシリン耐性の強力な減少(PBP2aなしでの株の感受性
までもどる)をもたらす。これらのfem遺伝子は、細胞壁合成の特定の段階に
関与する。結果として、fem因子の不活化は、すでに感受性である株において
βラクタム過感受性を誘導する。femAおよびfemBの両方は、ペプチドグ
リカンペンタグリシンペプチド間架橋形成に関与することが示されている。fe
mAは、グリシン2およびグリシン3の形成を担い、そしてfemBは、グリシ
ン4およびグリシン5の形成を担う。S.aureusは、モノグリシンムロペ
プチド前駆体の形成に関与し得る。femC〜Fは、ペプチドグリカンステムペ
プチドのイソDグルタミン酸残基のアミド化、Lアラニン(ペプチド間架橋の1
位のグリシンの代わりに)とのマイナーなムロペプチドの形成に影響を及ぼし、
なお未知の機能を実行するか、またはペプチドグリカン前駆体生合成の初期段階
(Lリジンの付加)に、それぞれ関与する。
【0023】 これまでのところ、各々の新たな抗生物質は、耐性株を生じ、多剤耐性である
ものが出現し、そして耐性の漸増的にしつこい形態が出現し始める。S.aur
eus感染の薬物耐性は、すでに、顕著な処置困難性を提示し、これは、新たな
治療剤が開発されない限り、さらに悪化する可能性が高い。S.aureusは
、S.aureusにおけるペプチドグリカン架橋の合成に関与しているようで
あるので、その遺伝子は、抗生物質耐性のメカニズムを研究するにおいて重要な
ツールを提供する。S.aureus遺伝子およびそのポリペプチドはまた、ア
ンタゴニストまたはアゴニストについての潜在的な標的であり、これは抗生物質
として有用であり得るか、または他の抗生物質に対する耐性をブロックすること
に有用である。すなわち、低分子のようなアンタゴニストまたはアゴニストは、
抗生物質自体として有用であり得、他の抗生物質と相加的に作用するか、または
他の抗生物質と協同的に作用する。
【0024】 (発明の要旨) 本発明は、表1および配列番号1〜配列番号22に示す、単離されたS.au
reusポリヌクレオチドおよびポリペプチド(奇数の配列番号を有するポリヌ
クレオチド配列および偶数の配列番号を有するポリペプチド)を提供する。本発
明の1つの局面において、(a)表1に示されるヌクレオチド配列;(b)表1
に示される任意のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
および(c)(a)または(b)における任意のヌクレオチド配列に相補的なヌ
クレオチド配列、からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌク
レオチドを含む単離された核酸分子を提供する。本発明はさらに、上記(a)、
(b)、および(c)の核酸分子のフラグメントを提供する。
【0025】 本発明のさらなる実施態様には、上記の(a)、(b)、または(c)におけ
る任意のヌクレオチド配列に少なくとも90%同一な核酸配列、およびより好ま
しくは、少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一な核酸
配列を有するポリヌクレオチド、あるいは、ストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件下で、上記の(a)、(b)、または(c)におけるポリヌクレオ
チドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子が含まれ
る。本発明のさらなる核酸の実施態様は、上記(a)のアミノ酸配列を有するS
.aureusポリペプチドのエピトープ保有部分のアミノ酸配列をコードする
ポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子に関する。
【0026】 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含む組換えベクター、およびそ
の組換えベクターを含有する宿主細胞、ならびにそのようなベクターおよび宿主
細胞を作製する方法に関する。本発明はさらに、組換え技術による、S.aur
eusのポリペプチドまたはペプチドの産生におけるこれらのベクターの使用に
関する。
【0027】 本発明はさらに、表1に記載される任意のポリペプチドのアミノ酸配列からな
る群から選択されるアミノ酸配列を有する単離されたS.aureusポリペプ
チド、またはそのフラグメントを提供する。
【0028】 本発明のポリペプチドはまた、表1に記載されるものに対して、少なくとも7
0%の類似性、そしてより好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、9
0%、95%、96%、97%、98%、または99%の類似性を有するポリペ
プチド、ならびに上記の配列に少なくとも70%同一、より好ましくは、少なく
とも75%同一、そしてなおより好ましくは、80%、85%、90%、95%
、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有するポ
リペプチド;ならびにこのようなポリペプチドをコードする単離された核酸分子
を含む。
【0029】 本発明はさらに、ワクチン、好ましくは、表1に記載されるS.aureus
のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはそのフラグメントの1つ以上
を、薬学的に受容可能な希釈剤、キャリア、もしくは賦形剤とともに含む多成分
ワクチンを提供し、ここで、このS.aureusポリペプチドは、Staph
ylococcus属のメンバーもしくは少なくともS.aureusに対する
免疫応答を動物において誘発するのに有効な量で存在する。本発明のS.aur
eusポリペプチドはさらに、1つ以上の他のブドウ球菌もしくは非ブドウ球菌
生物の1つ以上の免疫源と組み合わせて、Staphylococcus属のメ
ンバーに対する、そして必要に応じて1つ以上の非ブドウ球菌生物に対する、免
疫応答を惹起するように意図された多成分ワクチンを産生し得る。
【0030】 本発明のワクチンは、DNA形態(例えば、「裸の」DNA)で投与され得、
ここで、このDNAは、1つ以上のブドウ球菌ポリペプチドをコードし、そして
必要に応じて、1つ以上の非ブドウ球菌生物のポリペプチドをコードする。1つ
以上のポリペプチドをコードするDNAは、これらのポリペプチドが融合タンパ
ク質として発現されるように構築され得る。
【0031】 本発明のワクチンはまた、遺伝子操作された生物または宿主細胞の成分として
投与され得る。従って、1つ以上のS.aureusポリペプチドを発現する遺
伝子操作された生物または宿主細胞は、動物に投与され得る。例えば、そのよう
な遺伝子操作された生物または宿主細胞は、1つ以上の本発明のS.aureu
sポリペプチドを細胞内に、その細胞表面に、またはその周囲空間に含み得る。
さらに、このような遺伝子操作された生物もしくは宿主細胞は、1つ以上のS.
aureusポリペプチドを分泌し得る。本発明のワクチンはまた、免疫系調節
因子(例えば、CD86およびGM−CSF)とともに動物に同時投与され得る
【0032】 本発明はまた、動物においてStaphylococcus属の1つ以上のメ
ンバー、好ましくは、1つ以上のS.aureus種の単離体に対する免疫学的
応答を誘導する方法を提供し、この方法は、その動物に上記のワクチンを投与す
る工程を包含する。
【0033】 本発明はさらに、動物においてStaphylococcus属のメンバー、
好ましくは、少なくともS.aureus種、による感染を予防、減弱、または
制御するのに十分な防御免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は、その動
物に、表1に記載される1つ以上のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ま
たはそれらのフラグメントを含む組成物を投与する工程を包含する。さらに、こ
れらのポリペプチド、それらのフラグメントは、別の免疫原に結合体化され得る
か、そして/またはアジュバントとともに混合物として投与され得る。
【0034】 本発明はさらに、1つ以上の本発明のS.aureusポリペプチドを投与す
ることによって動物において惹起された抗体、およびこのような抗体およびその
フラグメントを産生するための方法に関する。本発明はさらに、組換え抗体およ
びそのフラグメント、ならびにそのような抗体およびそのフラグメントを産生す
るための方法に関する。
【0035】 本発明はまた、Staphylococcus属のメンバーによって、動物に
おいて、表1のポリヌクレオチドの発現を検出するための診断方法を提供する。
1つのこのような方法は、動物由来のサンプルにおいて、S.aureusポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現についてアッセイする工程を包含
する。この発現は、直接的に(例えば、表1に記載されるアミノ酸配列に応答し
て惹起される抗体を使用するポリペプチドのレベルをアッセイすることによって
)か、または間接的に(例えば、表1に記載されるアミノ酸配列について特異性
を有する抗体についてアッセイすることによって)かのいずれかで、アッセイさ
れ得る。ポリペプチドの発現はまた、表1の核酸を検出することによってアッセ
イされ得る。このような方法の例は、Staphylococcus核酸配列を
増幅および検出するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を含む。
【0036】 本発明はまた、Staphylococcus核酸にストリンジェントな条件
下でハイブリダイズし得る表1に記載されるヌクレオチド配列(奇数の配列番号
)の全部または一部を有する核酸プローブに関する。本発明はさらに、動物から
得られた生物学的サンプル中の1つ以上のStaphylococcus核酸を
検出する方法に関し、このStaphylococcusポリペプチドをコード
するこの1つ以上の核酸は、以下を含む:(a)上記サンプルを1つ以上の上記
の核酸プローブと、ハイブリダイゼーションが生じるような条件下で接触させる
工程、および(b)上記の1つ以上のプローブの、生物学的サンプルに存在する
Staphylococcus核酸へのハイブリダイゼーションを検出する工程
【0037】 (本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド) (femXポリヌクレオチドおよびポリペプチドの特徴) 配列番号1に示されるヌクレオチド配列を、S.aureus重複クローンB
TEFS71およびBTEJE39を配列決定することによって決定した。この
ヌクレオチド配列は、414アミノ酸残基を含み、そして推定分子量が約49.
1kDaであるfemXポリペプチド(配列番号2)をコードするオープンリー
ディングフレームを含む。このオープンリーディングフレームは、ヌクレオチド
164〜166位のN末端メチオニンをコードする開始コドンを含む。
【0038】 本発明のfemXポリペプチドは、ペプチドグリカン架橋の形成に関与する公
知の遺伝子に対してアミノ酸配列相同性を有し、eprおよびfem遺伝子ファ
ミリーに特徴的な保存されたシステインパターンを含む。配列番号2のS.au
reus femXポリペプチドは、コンピュータープログラムBLAST(A
ltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410
)を用いて、epr(M.Sugaiら(1997)J.Bacteriol.
179(13):4311−4318)ならびにStaphlococcus種
由来のfemAおよびfemBタンパク質(A.M.Strandenら(19
97)J.Bacteriol.179(1):9−16;G.Thummら、
(1997)Mol.Microbiol.23(6):1251−1265;
W.E.Albornら(1996)Gene 180(1−2):177−1
81)のアミノ酸配列と高度の局所配列同一性を共有することが見出された。
【0039】 種間の強い相同性およびS.aureusのfemタンパク質間の同一性は、
femXが、ペプチドグリカン、ペプチド間架橋生合成に関与することを示す。
従って、本発明のポリペプチドは、それらの機能をブロックするアンタゴニスト
を作製するためのスクリーニング方法において有用である。アンタゴニストは、
例えば、抗生物質耐性S.aureusまたは他のStaphylococcu
s種を処置するための抗生物質として、使用され得る。本発明のポリペプチドの
アンタゴニストは、ペプチドグリカン架橋の形成を測定することにより同定され
得る。より詳細には、ペプチドグリカン架橋のグリシン1〜5の合成は、A.M
.Strandenら(1997)J.Bacteriol.179(1):9
−16(その全体が本明細書中に援用される)により例示されるように測定され
得る。femXのアンタゴニストは、ペプチドグリカン架橋形成を阻害するよう
に作用する。
【0040】 本発明のfemXポリペプチドの他の使用は、以下を含む:特に、免疫アッセ
イにおいてS.aureusを検出するために、エピトープタグとして、SDS
−PAGEゲル上の分子量マーカーとして、分子篩ゲル濾過カラムのための分子
量マーカーとして、免疫アッセイにおけるS.aureusの検出のためのS.
aureus femXに特異的に結合する抗体を生成するために、S.aur
eusおよび他のStaphylococcus種に対する免疫応答を生成する
ために、ならびにS.aureusおよび他のStaphylococcus種
に対するワクチンとして。
【0041】 本発明の単離された核酸分子(特にDNA分子)は、遺伝子マッピングのため
、および例えば、サザンブロット分析およびノザンブロット分析による生物学的
サンプル中のS.aureusを同定するためのプローブとして有用である。本
発明のfemXポリヌクレオチドはまた、femXポリヌクレオチドについての
プライマーを用いてPCRによってS.aureusを検出することにおいて有
用である。本発明の単離されたポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチド
を作製することにおいて有用である。
【0042】 (furA、furB、およびfurCのポリヌクレオチドおよびポリペプチ
ドの特徴) furA、furB、およびfurCのヌクレオチド配列を、S.aureu
sクローンBTEJQ50(配列番号3)、BTALE70(配列番号5)、な
らびにBTEBP80およびBTEFD68(まとめて、配列番号7)を配列決
定することによって決定した。配列番号3のヌクレオチド配列は、136アミノ
酸残基を含み、そして推定分子量が約15.9kDaであるfurAポリペプチ
ド(配列番号4)をコードするオープンリーディングフレームを含む。このオー
プンリーディングフレームは、ヌクレオチド101〜103位のN末端メチオニ
ンをコードする開始コドンを含む。
【0043】 配列番号5のヌクレオチド配列は、148アミノ酸残基を含み、そして推定分
子量が約17.2kDaであるfurBポリペプチド(配列番号6)をコードす
るオープンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレームは
、ヌクレオチド101〜103位のN末端メチオニンをコードする開始コドンを
含む。
【0044】 配列番号7のヌクレオチド配列は、149アミノ酸残基を含み、そして推定分
子量が約17.2kDaであるfurCポリペプチド(配列番号8)をコードす
るオープンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレームは
、ヌクレオチド101〜103位のN末端ロイシンをコードする開始コドンを含
む。
【0045】 本発明のfur(第二鉄(ferric)取り込み調節因子)ポリペプチド(
furA、furB、およびfurC)は、鉄調節に関与する公知の遺伝子に対
してアミノ酸配列相同性を有する。配列番号2のS.aureus furAポ
リペプチドは、Staphylococcus epidermidis由来の
fur遺伝子(GenBank登録番号gnl|PID|e236389)のアミ
ノ酸配列と高度の局所配列同一性を共有することが見出された。C.Heidr
ichら(1996)FEMS Micro.Letts.140:253−2
59を参照のこと。配列番号2のS.aureus furBポリペプチドは、
Bacillus subtilis由来のfurファミリー遺伝子(GenB
ank登録番号gnl|PID|e281583)のアミノ酸配列と高度の局所配
列同一性を共有することが見出された。N.J.Cummingsら(1997
)Microbiology 143:1855−1859を参照のこと。配列
番号2のS.aureus furCポリペプチドは、Bacillus su
btilis由来の別のfurファミリー遺伝子(GenBank登録番号gn
l|PID|e1185621)のアミノ酸配列と高度の局所配列同一性を共有す
ることが見出された。F.Kunstら(1997)Nature 390:2
49−256を参照のこと。
【0046】 本発明のfurポリペプチドはまた、それら自身の間、ならびに、Bacil
lus subtilis(GenBank登録番号gnl|PID|e1185
777)、Streptococcus pyogenes(GenBank登
録番号gi|1667516)、Neisseria meningitidi
s(GenBank登録番号gi|433299)、Neisseria go
norrheae(GenBank登録番号gi|349012)、Campl
yobacter upsaliensis(GenBank登録番号gi|1
228779)、Camplyobacter jejuni(GenBank
登録番号gi|511113)、Mycobacterium tubercu
losis(GenBank登録番号gnl|PID|e315163)、および
他の細菌種に由来の他のfurおよびfur様遺伝子間で、同一性を共有する。
コンピュータープログラムBLAST(Altschulら(1990)J.M
ol.Biol.215:403−410)を用いて同一性を比較した。
【0047】 S.aureusおよび他の細菌種のfurタンパク質間の強い相同性は、f
urA、furB、furCが、S.aureusにおける鉄調節に関与するこ
とを示す。鉄はほとんどの微生物の増殖および増幅に必須であるので、本発明の
ポリペプチドは、それらの機能をブロックするアンタゴニストを作製するための
、スクリーニング方法において有用である。アンタゴニストは、例えば、S.a
ureusまたは他のStaphylococcus種の感染を処置するための
抗生物質として使用され得る。本発明のポリペプチドのアンタゴニストは、種々
の濃度での鉄の存在下での細菌の増殖能力を測定することにより同定され得る。
【0048】 本発明のfurポリペプチドの他の使用は、以下を含む:特に、免疫アッセイ
においてS.aureusを検出するために、エピトープタグとして、SDS−
PAGEゲル上の分子量マーカーとして、分子篩ゲル濾過カラムのための分子量
マーカーとして、免疫アッセイにおけるS.aureusの検出のためにS.a
ureus furA、furB、およびfurCに特異的に結合する抗体を生
成するために、S.aureusおよび他のStaphylococcus種に
対する免疫応答を生成するために、ならびにS.aureus、他のStaph
ylococcus種および他の細菌属に対するワクチンとして。
【0049】 本発明の単離された核酸分子(特にDNA分子)は、遺伝子マッピングのため
、および例えば、サザンブロット分析およびノザンブロット分析による生物学的
サンプル中のS.aureusを同定するためのプローブとして有用である。本
発明のfurポリヌクレオチドはまた、特定のfurポリヌクレオチドについて
のプライマーを用いてPCRによってS.aureusを検出することにおいて
有用である。本発明の単離されたポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチ
ドを作製することにおいて有用である。
【0050】 (fmtB、pbpF、およびpbpGのポリヌクレオチドおよびポリペプチ
ドの特徴) fmtB、pbpF、およびpbpGのヌクレオチド配列を、それぞれ、S.
aureusクローンBTED A22およびBTED V18(配列番号9)
、BTEB G73(配列番号11)およびBTAJ O70(配列番号11)
、ならびにBTEB U53およびBTEF B55(配列番号13)を配列決
定することによって決定した。配列番号9のヌクレオチド配列は、498アミノ
酸残基を含み、そして推定分子量が約56.4kDaであるfmtBポリペプチ
ド(配列番号10)をコードするオープンリーディングフレームを含む。このオ
ープンリーディングフレームは、ヌクレオチド101〜103位のN末端メチオ
ニンをコードする開始コドンを含む。
【0051】 配列番号11のヌクレオチド配列は、691アミノ酸残基を含み、そして推定
分子量が約77.2kDaであるpbpFポリペプチド(配列番号12)をコー
ドするオープンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレー
ムは、ヌクレオチド101〜103位のN末端ロイシンをコードする開始コドン
を含む。
【0052】 配列番号13のヌクレオチド配列は、301アミノ酸残基を含み、そして推定
分子量が約34.5kDaであるpbpGポリペプチド(配列番号14)をコー
ドするオープンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレー
ムは、ヌクレオチド101〜103位のN末端メチオニンをコードする開始コド
ンを含む。
【0053】 本発明のfmtB、pbpF、およびpbpGポリペプチドは、いくつかの種
間で公知のペニシリン結合タンパク質に対してアミノ酸配列相同性を有する。配
列番号10のS.aureus fmtBポリペプチドは、特に、Bacill
us subtilis由来のペニシリン結合タンパク質遺伝子(GenBan
k登録番号gnl|PID|e1185286)のアミノ酸配列と局所配列同一性
を共有することが見出された。F.Kunstら(1997)Nature 3
90:249−256を参照のこと。fmtBはまた、抗生物質耐性と関連した
別のStaphylococcus aureusポリペプチド(GenBan
k登録番号gnl|PID|d1024918)と配列同一性を共有する。H.K
omatsuzawaら(1997)Antimicrob.Agents C
hemother.41:2355−2361を参照のこと。
【0054】 配列番号12のS.aureus pbpFポリペプチドは、特にBacil
lus subtilis(GenBank登録番号gnl|PID|e1181
903およびgnl|PID|e1185767)およびStreptococc
us thermophilus(GenBank登録番号gi|643510
)由来のペニシリン結合遺伝子のアミノ酸配列と局所配列同一性を共有すること
が見出された。
【0055】 配列番号14のS.aureus pbpGポリペプチドは、特にPseud
omonas syringae(GenBank登録番号gi|551940
)由来のペニシリン結合遺伝子のアミノ酸配列と局所配列同一性を共有すること
が見出された。E.Roineら(1996)J.Bacteriol.178
:410−417、およびBacillus subtilis(GenBan
k登録番号gnl|PID|e267588)を参照のこと。コンピュータープロ
グラムBLAST(Altschulら(1990)J.Mol.Biol.2
15:403−410)を用いて同一性を比較した。
【0056】 本発明のS.aureus fmtB、pbpF、およびpbpGポリペプチ
ドおよび他の細菌種由来のペニシリン結合タンパク質間の強い相同性は、fmt
B、pbpF、およびpbpGが、S.aureusにおける細胞壁合成および
β−ラクタム耐性に関与することを示す。従って、本発明のポリペプチドは、抗
生物質としての使用のためにそれらの機能を阻害する化合物を作成するために有
用である。本発明のポリペプチドのインヒビターは、種々の濃度での抗生物質の
存在下での細菌の増殖能力を測定することにより、または当該分野で公知の方法
を用いる細胞壁合成アッセイにより同定され得る。
【0057】 本発明のfmtB、pbpF、およびpbpGポリペプチドの他の使用は、以
下を含む:特に、免疫アッセイにおいてS.aureusを検出するために、エ
ピトープタグとして、SDS−PAGEゲル上の分子量マーカーとして、分子篩
ゲル濾過カラムのための分子量マーカーとして、免疫アッセイにおけるS.au
reusの検出のためにS.aureus fmtB、pbpF、またはpbp
Gに特異的に結合する抗体を生成するために、S.aureusおよび他のSt
aphylococcus種に対する免疫応答を生成するために、ならびにS.
aureus、他のStaphylococcus種および他の細菌属に対する
ワクチンとして。
【0058】 本発明の単離された核酸分子(特にDNA分子)は、遺伝子マッピングのため
、および例えば、サザンブロット分析およびノザンブロット分析による生物学的
サンプル中のS.aureusを同定するためのプローブとして有用である。本
発明のfmtB、pbpF、およびpbpGポリヌクレオチドはまた、特定のf
mtB、pbpF、またはpbpGポリヌクレオチドについてのプライマーを用
いてPCRによってS.aureusを検出することにおいて有用である。本発
明の単離されたポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドを作製すること
において有用である。
【0059】 (cbrA、cbrB、およびcbrCのポリヌクレオチドおよびポリペプチ
ドの特徴) cbrA(配列番号15)、cbrB(配列番号17)、およびcbrC(配
列番号19)のヌクレオチド配列は、シングルオペロンを含み、そしてこれらを
、オペロンにわたるS.aureus重複クローンBTACA44およびBTA
GJ54を配列決定することによって決定した。配列番号15のヌクレオチド配
列は、330アミノ酸残基を含み、そして推定分子量が約36.8kDaである
cbrAポリペプチド(配列番号16)をコードするオープンリーディングフレ
ームを含む。このオープンリーディングフレームは、ヌクレオチド7〜9位のN
末端メチオニンをコードする開始コドンを含む。
【0060】 配列番号17のヌクレオチド配列は、331アミノ酸残基を含み、そして推定
分子量が約35.5kDaであるcbrBポリペプチド(配列番号18)をコー
ドするオープンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレー
ムは、ヌクレオチド19〜21位のN末端ロイシンをコードする開始コドンを含
む。
【0061】 配列番号19のヌクレオチド配列は、332アミノ酸残基を含み、そして推定
分子量が約35.7kDaであるcbrCポリペプチド(配列番号20)をコー
ドするオープンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレー
ムは、ヌクレオチド91〜93位のN末端メチオニンをコードする開始コドンを
含む。
【0062】 本発明のcbrポリペプチド(cbrA、cbrB、およびcbrC)は、鉄
調節に関与する公知の遺伝子に対してアミノ酸配列相同性を有する。S.aur
eus cbrA(配列番号16)、cbrB(配列番号18)、およびcbr
C(配列番号20)ポリペプチドは、それら自体の間で、ならびにErwini
a chrysanthemi由来のcbrA、cbrB、およびcbrC遺伝
子のアミノ酸配列と、局所配列同一性を共有することが見出された(それぞれG
enBank登録番号gi|809541、gi|809542、およびgi|8
09541)。B.Maheら(1995)Mol.Microbiol.18
:33−43を参照のこと。本発明のcbrA、cbrB、およびcbrCポリ
ペプチドはまた、Bacillus subtilis(GenBank登録番
号gnl|PID|e118284、gnl|PID|e1182835、およびg
nl|PID|e1182836)を含む他の細菌種の鉄調節遺伝子と配列同一性
を共有する。F.Kunstら(1997)Nature 390:249−2
56およびBacillus intermeius(GenBank登録番号
gnl|PID|e245932)を参照のこと。コンピュータープログラムBL
AST(Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:40
3−410)を用いて同一性を比較した。
【0063】 S.aureusおよび他の細菌種のcbrタンパク質間の強い相同性は、c
brA、cbrB、およびcbrCが、S.aureusにおける鉄調節に関与
することを示す。鉄はほとんどの微生物の増殖および増幅に必須であるので、本
発明のポリペプチドは、それらの機能をブロックするアンタゴニストを作製する
ためのスクリーニング方法において有用である。アンタゴニストは、例えば、S
.aureusまたは他のStaphylococcus種の感染を処置するた
めの抗生物質として使用され得る。本発明のポリペプチドのアンタゴニストは、
種々の濃度での鉄の存在下での細菌の増殖能力を測定することにより同定され得
る。
【0064】 本発明のポリペプチドの他の使用は、以下を含む:特に、免疫アッセイにおい
てS.aureusを検出するために、エピトープタグとして、SDS−PAG
Eゲル上の分子量マーカーとして、分子篩ゲル濾過カラムのための分子量マーカ
ーとして、免疫アッセイにおけるS.aureusの検出のために本発明のS.
aureusポリペプチドに特異的に結合する抗体を生成するために、S.au
reusおよび他のStaphylococcus種に対する免疫応答を生成す
るために、ならびにS.aureus、他のStaphylococcus種お
よび他の細菌属に対するワクチンとして。
【0065】 本発明の単離された核酸分子(特にDNA分子)は、遺伝子マッピングのため
、および例えば、サザンブロット分析およびノザンブロット分析による生物学的
サンプル中のS.aureusを同定するためのプローブとして有用である。本
発明のS.aureusポリヌクレオチドはまた、特定のS.aureusポリ
ヌクレオチドについてのプライマーを用いて、PCRによってS.aureus
を検出することにおいて有用である。本発明の単離されたポリヌクレオチドはま
た、本発明のポリペプチドを作製することにおいて有用である。
【0066】 (エノラーゼポリヌクレオチドおよびポリペプチドの特徴) 配列番号21に示されるヌクレオチド配列を、S.aureus重複クローン
BTAAI44およびBTAGE12を配列決定することによって決定した。こ
のヌクレオチド配列は、434アミノ酸残基を含み、そして推定分子量が約47
.1kDaであるエノラーゼポリペプチド(配列番号22)をコードするオープ
ンリーディングフレームを含む。このオープンリーディングフレームは、ヌクレ
オチド103〜105位のN末端メチオニンをコードする開始コドンを含む。
【0067】 本発明のエノラーゼポリペプチドは、他の細菌種由来の公知のエノラーゼ遺伝
子とアミノ酸配列同一性相同性を有する。配列番号22のS.aureusエノ
ラーゼポリペプチドは、Bacillus subtilis(GenBank
登録番号gi|460259およびgnl|PID|e1186078)、Spo
ngilla sp.(GenBank登録番号gi|1839206)、My
cobacterium tuberculosis(GenBank登録番号
gnl|PID|e304557)、Methanococcus jannas
chii(GenBank登録番号gi|1590967)、およびCampy
lobacter jejuni(GenBank登録番号gi|437277
)を含む、他の細菌種由来のエノラーゼ遺伝子のアミノ酸配列と局所配列同一性
を共有する。
【0068】 本発明のS.aureusエノラーゼタンパク質を、ラミニン(LN)/ラミ
ニンレセプター(LNRec)相互作用に関与する分子として同定した。本発明
のS.aureusエノラーゼタンパク質は、培養中のS.aureusとMD
CK細胞との間の架橋実験においてLNRec活性を担うことが示されている。
本発明のS.aureusエノラーゼ遺伝子を、まずLNRec分子に対するモ
ノクローナル抗体を生成させ、そしてその抗体を使用することによりクローン化
し、続いてLNRec分子を単離した。LNRec分子を精製し、そして部分的
に配列決定した。部分アミノ酸配列分析を使用して、本発明のS.aureus
エノラーゼ遺伝子をクローン化し、そして単離した。S.aureusによる感
染の特徴的な特徴は、血流浸潤および広汎性の転移膿瘍形成である。従って、本
発明のS.aureusエノラーゼポリペプチドは、ワクチンおよび抗生物質の
両方のための標的を提示する。本発明の抗生物質は、ペプチド、ポリペプチド、
抗体(およびそれらのフラグメント)、低分子、および本発明のS.aureu
sエノラーゼポリペプチド、またはエノラーゼ関連分子に結合する、そしてS.
aureusのラミニンへの結合を防ぐ他の薬物を含む。本発明の遮断分子は、
エノラーゼポリペプチドのラミニンへの、またはエノラーゼ関連分子のラミニン
への結合を直接遮断することにより作用し得る。エノラーゼポリペプチドまたは
エノラーゼ関連分子への分子の結合を測定するためのアッセイ;S.aureu
sのラミニンへの結合を測定するためのアッセイ;およびS.aureusの転
移活性を測定するためのアッセイは、Lopesら(1985)Science
229:275−277に記載および引用されるアッセイ、Brentani
(1989)Oncogenesis 1:247−260に記載および引用さ
れるアッセイ、当該分野で公知のアッセイ、および本明細書中に開示のアッセイ
を含む。
【0069】 S.aureusのエノラーゼポリペプチドおよび他の細菌種のエノラーゼポ
リペプチド間の構造的相同性および同一性は、S.aureusのエノラーゼポ
リペプチドが、他の細菌エノラーゼポリペプチド(Babbittら(1996
)Biochemistry 35:16489−16501により記載される
エノラーゼポリペプチドを含む)由来のエノラーゼポリペプチドと同じ機能を共
有することを示す。本発明のエノラーゼポリヌクレオチドおよびポリペプチドは
、ワクチンとして使用するための変異体S.aureusエノラーゼ遺伝子、ポ
リペプチド、および変異体S.aureus株を生産するため、および米国特許
第5,703,219号および同第5,703,219号に記載の方法を使用し
てヒトおよび他の動物において免疫応答を誘導するために有用である。米国特許
第5,703,219号および同第5,703,219号に記載の方法において
、S.aureusエノラーゼポリペプチドおよびポリペプチドは、Helic
obacter pyloriエノラーゼポリペプチドおよびポリペプチドの代
わりに置き換えられる。本発明のS.aureusエノラーゼポリペプチドおよ
びポリペプチドを調整するための改変は、本明細書中に開示された情報および当
該分野で公知の情報を用いてなされる。
【0070】 本発明のエノラーゼポリペプチドの他の使用は、以下を含む:特に、免疫アッ
セイにおいてS.auresを検出するために、エピトープタグとして、SDS
−PAGEゲル上の分子量マーカーとして、分子篩ゲル濾過カラムのための分子
量マーカーとして、免疫アッセイにおけるS.aureusの検出のためにS.
aureusエノラーゼに特異的に結合する抗体を生成するために、S.aur
eusおよび他のStaphylococcus種に対する免疫応答を生成する
ために、ならびに上記で議論したようにS.aureusおよび他のStaph
ylococcus種に対するワクチンとして。
【0071】 本発明の単離された核酸分子(特にDNA分子)は、遺伝子マッピングのため
、および例えば、サザンブロット分析およびノザンブロット分析による生物学的
サンプル中のS.aureusを同定するためのプローブとして有用である。本
発明のエノラーゼポリヌクレオチドはまた、エノラーゼポリヌクレオチドについ
てのプライマーを用いてPCRによってS.aureusを検出することにおい
て有用である。本発明の単離されたポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプ
チドを作製することにおいて有用である。
【0072】 (詳細な説明) 本発明は、組換えS.aureus核酸およびそのフラグメントに関する。本
発明はさらに、組換えS.aureusポリペプチドおよびそのフラグメントに
関する。本発明はまた、これらのポリペプチドを使用して、免疫学的応答を生じ
、そしてStaphylococcus属のメンバー、少なくともS.aure
us属の単離物によって引き起こされる疾患に対する免疫学的防御を付与するた
めの方法に関する。本発明はさらに、抗原性S.aureusポリペプチドをコ
ードする核酸配列、および生物学的サンプル中のS.aureus核酸およびポ
リペプチドを検出するための方法に関する。本発明はまた、本発明のポリペプチ
ドおよびペプチドに特異的な抗体、ならびに宿主動物において産生されるこのよ
うな抗体を検出するための方法に関する。
【0073】 (定義) 以下の定義を提供して、本発明者らが本発明であると考える主題を明瞭にする
。 本明細書中で使用される句「病原性因子」は、動物において疾患状態または
病気を引き起こす因子を意味する。例えば、疾患状態を生じるか、または動物を
、疾患状態に感受性であるような生物に感染させる(例えば、二次感染)かのい
ずれかである、細菌、原生動物、真菌、ウイルス、および後生動物寄生生物がこ
の定義に含まれる。さらに、動物において疾患状態を生じるStaphyloc
occus属の種および系統が含まれる。
【0074】 本明細書中で使用される用語「生物」は、それが病原性因子であるか否かにか
かわらず、任意の生存している生物学的系(ウイルスを含む)を意味する。
【0075】 本明細書中で使用される用語「Staphylococcus」は、Stap
hylococcus属のメンバーである細菌の任意の種または系統を意味する
。そのような種および系統は、当業者に公知であり、そして病原性であるものお
よび病原性でないものを含む。
【0076】 本明細書中で使用される句「本発明の1つ以上のS.aureusポリペプチ
ド」は、表1(さらに、配列番号)において記載されるS.aureusポリペ
プチドのうちの1つ以上のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。これら
のポリペプチドは、本発明のS.aureusポリペプチドが、さらなるアミノ
酸配列(ブドウ球菌由来であってもよいし、非ブドウ球菌由来であってもよい)
に連結されている、融合タンパク質として発現され得る。この句はさらに、本発
明のS.aureusポリペプチドのフラグメントを含むポリペプチドを含む。
さらなる定義は、本明細書中を通して提供される。
【0077】 (表1の説明) 以下の表1は、S.aureus由来の11の遺伝子のヌクレオチド配列およ
びそれらがコードするポリペプチドの配列を示す。この表は、S.aureus
遺伝子の名前、続いて配列同定番号(配列番号)、および遺伝子のヌクレオチド
配列またはポリペプチド配列を列挙する。この表はまた、そのヌクレオチド配列
を含むプラスミドクローンを列挙する。各遺伝子の実際のヌクレオチド配列また
はアミノ酸配列もまた、配列表の対応する配列番号の下に示される。
【0078】 (表2の説明) 表2は、JamesonおよびWolf、(1988)Comp.Appl.
Biosci.4:181〜186のアルゴリズムを用いて本発明者らによって
推定されたような、表1に記載される各S.aureusポリペプチドに存在す
る抗原性エピトープ保有フラグメントの抗原性エピトープを含む残基を列挙する
。Jameson−Wolf抗原性分析を、コンピュータプログラムPROTE
AN(Power MacIntosh バージョン3.11、DNASTAR
,Inc.、1228 South Park Street Madison
,WI)を用いて行った。表1に示される各S.aureusポリペプチドは、
表2に記載される残基を含む1つ以上の抗原性エピトープを有する。抗原決定基
を推定するために使用される分析基準に依存して、この決定基の正確な位置はわ
ずかに変化し得ることが理解される。表2に記載する示された残基および位置は
、表1および配列表に示される各遺伝子についてのアミノ酸配列に対応する。
【0079】 (表3の説明) 本発明のS.aureusポリペプチドは、表3に示されるような天然の変異
または人工操作由来の1つ以上の保存的アミノ酸置換を含み得る。変化は、好ま
しくはマイナーな性質のもの、例えば、タンパク質の折り畳みまたは活性に有意
に影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換である。表3に示されるような以下の群
からの残基は、互いに置換され得る:芳香族、疎水性、極性、塩基性、酸性、お
よび低分子。
【0080】 (核酸分子) 配列決定されたS.aureusゲノムDNAを、S.aureus ISP
3株から得た。S.aureus ISP3株は、当業者にとって便利なように
、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託した。S.aureus I
SP3株を、ATCC、10801 University Blvd.Man
assas,VA 20110−2209に1998年4月7日に寄託し、そし
て受託番号202108を付与された。本明細書中の他の箇所で議論されるよう
に、本発明のポリヌクレオチドは、DNAをクローニングおよび配列決定するた
めの周知かつ標準的な手順の慣用的適用によって容易に入手され得る。例えば、
ライブラリーを得るため、および配列決定するための詳細な方法を以下に提供す
る。広範な種々のStaphylococcus aureus株を使用して、
クローニングのため、ならびに本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを
入手するためにS.aureusゲノムDNAを調節し得る。広範な種々のSt
aphylococcus aureus株は、アメリカンタイプカルチャーコ
レクション(ATCC)のような認可された寄託機関から公に入手可能である。
核酸配列およびアミノ酸配列におけるマイナーな変動が、S.aureus株に
よって予測され得ることが認識される。本発明は、すべてのStaphyloc
occus aureus株由来の本発明の遺伝子(ポリヌクレオチドおよびポ
リペプチドの両方を含む)を提供する。すなわち、すべてのStaphyloc
occus aureus株由来のfemX遺伝子、furA〜C遺伝子、fm
tB遺伝子、pbpG遺伝子およびpbpF遺伝子、ならびにCbrA〜C遺伝
子が本発明に含まれる。
【0081】 他に示さない限り、本発明においてDNA分子を配列決定することによって決
定されるすべてのヌクレオチド配列は、自動化DNA配列決定機(例えば、Mo
del 373、Applied Biosystems,Inc.、Fost
er City、CAより)を用いて決定され、そして本発明において決定され
たDNA分子によってコードされるポリペプチドのすべてのアミノ酸配列は、上
記で決定されたDNA配列の翻訳によって推定された。従って、この自動化アプ
ローチによって決定された任意のDNA配列について当該分野において公知であ
るように、本発明において決定された任意のヌクレオチド配列は、幾分の誤差を
含み得る。自動化により決定されたヌクレオチド配列は、配列決定されたDNA
分子の実際のヌクレオチド配列に対して代表的には少なくも約90%同一、より
代表的には少なくとも約95%〜少なくとも約99.9%同一である。実際の配
列は、当該分野において周知の手動のDNA配列決定法を含む他のアプローチに
よってより正確に決定され得る。当該分野においてまた公知であるように、決定
されたヌクレオチド配列における、実際の配列と比較して単一の挿入または欠失
は、このヌクレオチド配列の翻訳におけるフレームシフトを生じ、その結果、決
定されたヌクレオチド配列によってコードされる推定アミノ酸配列は、そのよう
な挿入または欠失の位置で始まり、配列決定されたDNA分子によって実際にコ
ードされるアミノ酸とは完全に異なる。表1と、表1に列挙されるクローンの核
酸配列、または表1に列挙されるクローンによって発現されるタンパク質のアミ
ノ酸配列のいずれかとの間に矛盾が生じる場合、表1に列挙されるクローンが制
御(controlling)である。核酸分子またはポリヌクレオチドの「ヌ
クレオチド配列」によって、DNA配列またはRNA配列のいずれかを意味する
ことが意図される。本明細書中において提供される情報(例えば、表1における
ヌクレオチド配列)を用いて、S.aureusポリペプチドをコードする本発
明の核酸分子は、開始物質としてゲノムDNAを用いるDNAをクローニングを
するための手順のような、標準的なクローニングおよびスクリーニング手順を用
いて入手され得る。例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLO
NING A LABORATORY MANUAL(Cold Spring
Harbor、N.Y.第2版、1989);Ausubelら、CURRE
NT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Jo
hn Wiley and Sons,N.Y.1989)を参照のこと。
【0082】
【表1】 本発明の例として、表1に記載される核酸分子は、S.aureus ISP3
ゲノムDNA由来のDNAライブラリーにおいて発見された。
【0083】 本発明の核酸分子は、RNAの形態(例えば、mRNA)、またはDNAの形
態(例えば、クローニングによって得られるか、または合成的に生成されるDN
AおよびゲノムDNAを含む)であり得る。このDNAは、二本鎖または一本鎖
であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、センス鎖としても知られるコード鎖
であり得るか、またはこれはアンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖であり得る
【0084】 「単離された」ポリヌクレオチド配列によって、そのネイティブな環境から取
り出した、核酸分子、DNAまたはRNAが意図される。これは、ネイティブな
染色体から単離された本発明のS.aureusポリヌクレオチドを含むDNA
のセグメントを含む。これらのフラグメントは、S.aureus DNAのみ
からなる単離されたフラグメント、およびベクター配列または他の外来DNAの
ような異種配列を含むフラグメントの両方を含む。例えば、部分的または実質的
に精製され得る、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のた
めに単離されたとみなされる。単離されたDNA分子のさらなる例は、異種宿主
細胞または溶液中の(部分的にまたは実質的に)精製されたDNA分子に導入さ
れ、そして維持された組換えDNA分子を含む。単離されたRNA分子は、本発
明のDNA分子のインビボまたはインビトロRNA転写物を含む。本発明に従う
単離された核酸分子は、部分的にまたは実質的に精製され得る、合成的に生成さ
れるこのような分子をさらに含む。用語「単離された」は、その技術が本発明の
ポリヌクレオチド配列を識別する特徴を示さない場合、ゲノムライブラリーまた
はcDNAライブラリー、全細胞mRNA調製物、ゲノムDNA消化物(電気泳
動によって分離されたものを含む)、剪断された全細胞ゲノムDNA調製物、ま
たは他の組成物をいうのではない。
【0085】 さらに、本発明の単離された核酸分子は、上記の核酸分子とは実質的に異なる
が、その遺伝コードの縮重に起因して、なおS.aureusポリペプチドおよ
び本発明のペプチド(例えば、表1のポリペプチド)をコードする配列を含むD
NA分子を含む。つまり、本発明のS.aureusポリペプチドをコードする
全ての可能なDNA配列である。これは、当該分野で公知である遺伝コードおよ
び種特異的なコドン優先性を含む。従って、上記の縮重改変体を生成して、例え
ば特定の宿主に対するコドン発現を最適化すること(例えば、細菌mRNAにお
けるコドンを、哺乳動物または他の細菌宿主(例えば、E.coli)によって
好まれるコドンに変化させる)は、当業者にとっては慣用的である。
【0086】 本発明はさらに、表1に示されるヌクレオチド配列を有する単離された核酸分
子または上記の配列の1つに相補的な配列を有する核酸分子を提供する。このよ
うな単離された分子(特にDNA分子)は、遺伝子マッピングのための、および
、例えば、PCRまたはノーザンブロット分析によって、生物学的サンプル中で
S.aureusを同定するためのプローブとして有用である。特定の実施態様
において、本発明のポリヌクレオチドは、300kb、200kb、100kb
、50kb、10kb、7.5kb、5kb、2.5kb、および1kbより短
い。別の実施態様において、そのポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの
コード配列を含む。
【0087】 本発明はさらに、本明細書中に記載される(例えば、表、配列表に示されるか
、または寄託されたクローンに含まれる)ポリヌクレオチド配列の一部またはフ
ラグメントをコードする核酸分子に関する。本発明のポリヌクレオチドフラグメ
ントについての用途は、プローブ、プライマー、分子量マーカー、そして本発明
のポリヌクレオチドフラグメントを発現するための使用を含む。フラグメントは
、ポリヌクレオチド配列の部分、任意の2つの整数から選択される、少なくとも
10の連続するヌクレオチドの長さであるヌクレオチドを含み、これらのうちの
1つは5’ヌクレオチド位置を示し、そしてこれらの第2のものは3’ヌクレオ
チド位置を示し、ここで各々の開示されたポリヌクレオチド配列についての第1
のヌクレオチド、すなわち5’の大部分のヌクレオチドは、1位である。すなわ
ち、長さが少なくとも10の連続するヌクレオチドのフラグメントが占有し得る
5’および3’ヌクレオチド位置のすべての組み合わせは、個々の種として本発
明に含まれる。「少なくとも」は、フラグメントが、10の連続する長さのヌク
レオチド塩基であり得るか、または10と全体のヌクレオチド配列マイナス1の
長さとの間の任意の整数であり得ることを意味する。従って、本発明には、ポリ
ヌクレオチド配列の任意の5’および3’ヌクレオチド塩基位置によって特定さ
れる連続するフラグメントが含まれ、ここで、連続するフラグメントは、10と
全体のヌクレオチド配列マイナス1の長さとの間の任意の整数である。5’およ
び3’位置によって特定されるポリヌクレオチドフラグメントは、上記の記載を
用いて直ちに予見され得、従って、単に明細書を不必要に長くしない目的のため
に、個々に列挙されない。しかし、上記の種の各々は、本発明に含まれることが
、具体的に指摘される。
【0088】 さらに、本発明は、ヌクレオチドの位置ではなく、ヌクレオチドのサイズによ
って特定されるフラグメントの亜属を含むポリヌクレオチドを含む。本発明は、
10と全体のヌクレオチド配列マイナス1の長さとの間の整数から選択される、
連続するヌクレオチド中の任意のフラグメントサイズを含む(ここで、1は各々
の開示されるポリヌクレオチド配列についての最初のヌクレオチドまたは最も5
’ヌクレオチドである)。連続するヌクレオチドフラグメントの好ましいサイズ
は、20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチ
ド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチ
ド、100ヌクレオチド、125ヌクレオチド、150ヌクレオチド、175ヌ
クレオチド、200ヌクレオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、
350ヌクレオチド、400ヌクレオチド、450ヌクレオチド、500ヌクレ
オチド、550ヌクレオチド、600ヌクレオチド、650ヌクレオチド、70
0ヌクレオチド、750ヌクレオチド、800ヌクレオチド、850ヌクレオチ
ド、900ヌクレオチド、950ヌクレオチド、1000ヌクレオチドを含む。
診断プローブおよびプライマーとして有用であり得る、連続するポリヌクレオチ
ドフラグメントの他の好ましいサイズは、上記で議論したように、フラグメント
サイズが50と300ヌクレオチドとの間の各々の整数を表すフラグメントサイ
ズを含む50〜300ヌクレオチド長フラグメントを含む。配列表のポリヌクレ
オチド配列、または寄託されたクローンのポリヌクレオチド配列の大部分に(全
てでなければ)対応するより長いフラグメントもまた、本発明に従って、有用で
ある。好ましいサイズは、もちろん、例示を意味し、本発明を制限するものでは
ない。なぜなら、10と、配列表または寄託されたクローンの全体のヌクレオチ
ド配列の長さマイナス1の長さとの間の任意の整数を表す全てのサイズのフラグ
メントが、本発明に含まれるからである。本発明のさらなる好ましい核酸フラグ
メントは、このポリペプチドのエピトープ保有部分をコードする核酸分子を含む
【0089】 連続するヌクレオチドにおいて特定されたポリヌクレオチドフラグメントは、
上記の記載を用いてすぐに予見され得、従って、単に明細書を不必要に長くしな
い目的のために、個々に列挙されない。
【0090】 本発明はまた、配列表または寄託されたクローンの任意のヌクレオチド配列に
ついて上記に記載されるような5’および3’塩基位置によって、またはヌクレ
オチド塩基のサイズによって特定される、任意のフラグメントの除外を提供する
。上記に示されるような、5’および3’塩基位置によって、またはヌクレオチ
ドのサイズによって特定されるヌクレオチド配列のフラグメントの任意の数は、
本発明から除外され得る。
【0091】 別の局面において、本発明は、ストリンジェントはハイブリダイゼーション条
件下で、上記に記載した本発明の核酸分子中のポリヌクレオチドの一部(例えば
、表1のヌクレオチド配列または表1に列挙されたプラスミドクローンのS.a
ureus配列)にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、単離された核
酸分子を提供する。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」によっ
て、以下:50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM
クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5
×Denhardt溶液、10% 硫酸デキストラン、および20μg/ml
変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中において42℃で一晩のインキュベーショ
ン、続いて0.1×SSC中での約65℃でのフィルターの洗浄工程が意図され
る。
【0092】 ポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって
、参照ポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド塩基、およびより好ま
しくは、少なくとも約20ヌクレオチド塩基、なおより好ましくは、少なくとも
約30ヌクレオチド塩基、およびなおより好ましくは、約30〜70(例えば、
50)ヌクレオチド塩基にハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたは
RNAのいずれか)が意図される。これらは、上記で議論したように、診断プロ
ーブおよびプライマーとして有用である。「少なくとも20ヌクレオチド塩基の
長さ」のポリヌクレオチドの一部によって、例えば、参照ポリヌクレオチド(例
えば、表1に示されるようなヌクレオチド配列)のヌクレオチド配列からの20
以上の連続するヌクレオチド塩基のヌクレオチドが意図される。プローブおよび
プライマーとして使用され得る、表1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする
ポリヌクレオチドの一部はまた、5’および3’塩基位置によって、または上記
のヌクレオチド塩基におけるサイズによって正確に特定され得るか、または同様
の様式で正確に除外され得る。
【0093】 S.aureusポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、以下をコー
ドする核酸:表1の全長S.aureusポリペプチド、表1に列挙されたプラ
スミドクローンによって発現される全長ポリペプチド、ならびに表1のS.au
reusポリペプチドおよび表1に列挙されたプラスミドクローンによって発現
されるポリペプチドの一部を含み得るが、これらに限定されない。上記の全長配
列をコードする核酸もまた本発明に含まれ、そして、さらに、さらなる配列(例
えば、プレタンパク質配列、またはプロタンパク質配列、またはプレプロタンパ
ク質配列のような付加された分泌リーダー配列をコードする配列)が含まれる。
上記の全長配列およびその一部をコードする核酸は、さらに本発明に含まれ、そ
してさらに、異なる供給源由来の核酸配列によってコードされるさらなる異種ア
ミノ酸配列をさらに含む。
【0094】 例えば、非コード5’および3’配列を含むがそれに限定されない、さらなる
非コード配列とともに上記のタンパク質配列をコードする核酸もまた、本発明に
含まれる。これらの配列は、転写およびmRNAプロセシングにおいて役割(例
えば、mRNAのリボソーム結合および安定性)を果たし得る、転写された非翻
訳配列を含む。さらなる機能性を提供するさらなるコード配列もまた、本発明に
含まれる。
【0095】 従って、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、融合されたポリペプ
チドの精製を容易にするペプチドをコードする配列のような、マーカー配列に融
合され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実施態様において、マーカーア
ミノ酸配列は、とりわけ、ヘキサヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクター
(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsw
orth,CA,91311)において提供されるタグ)であり、これらの多く
は市販されている。例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製
を提供する。Gentzら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci
.86:821〜24を参照のこと。「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝
集素タンパク質由来のエピトープに対応する、精製に有用な別のペプチドである
。Wilsonら、(1984)Cell 37:767を参照のこと。以下に
議論するように、他のこのような融合タンパク質は、N末端またはC末端におい
てFcに融合したS.aureusを含む。
【0096】 (改変体および変異体ポリヌクレオチド) 本発明はさらに、表1のS.aureusポリペプチドの一部、アナログ、も
しくは誘導体をコードする核酸分子の改変体、または表1に列挙されたプラスミ
ドクローンによってコードされる核酸分子の改変体、ならびにS.aureus
ポリペプチドの一部、アナログ、および誘導体を含むその改変体ポリペプチドに
関する。改変体は、天然に存在し得る(例えば、天然の対立遺伝子改変体)。「
対立遺伝子改変体」によって、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子
のいくつかの代替的な型の1つが意図される。例えば、B.Lewin、Gen
es IV(1990)を参照のこと。天然に存在しない改変体は、当該分野で
公知の変異誘発技術を用いて産生され得る。
【0097】 このような核酸改変体は、ヌクレオチドの置換、欠失、または付加によって産
生された改変体を含む。置換、欠失、または付加は、1つ以上のヌクレオチドを
含み得る。改変体は、コード領域中で、非コード領域中で、またはその両方で変
化され得る。コード領域中での変化は、保存性または非保存性のアミノ酸置換、
欠失、または付加を産生し得る。これらの中で特に好ましいものは、サイレント
な置換、欠失、または付加であり、これらは、本発明のS.aureusタンパ
ク質またはその一部の特性および活性を変化させない。この点に関してまた特に
好ましいものは、保存性置換である。
【0098】 このようなポリペプチド改変体は、アミノ酸置換、欠失、または付加によって
産生される改変体を含む。その置換、欠失、または付加は、1つ以上の残基を含
み得る。変化は、保存性または非保存性のアミノ酸置換、欠失、または付加を産
生し得る。これらの中で特に好ましいものは、サイレントな置換、欠失、または
付加であり、これらは、本発明のS.aureusタンパク質またはその一部の
特性および活性を変化させない。この点に関してまた特に好ましいものは、保存
性置換である。
【0099】 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含む組換えベクター、およびこ
の組換えベクターを含む宿主細胞、ならびにこのようなベクターおよび宿主細胞
の作製方法、および組換え技術によるS.aureusポリペプチドまたはペプ
チドの産生のためにそれらを使用するための方法に関する。
【0100】 本出願は、表1に示された核酸分子に対して、または表1に列挙されたプラス
ミドクローンの核酸配列に対して少なくとも90%。95%、96%、97%、
98%、もしくは99%同一である核酸分子に関する。上記の核酸配列は、それ
らがS.aureus活性を有するポリペプチドをコードするか否かに拘らず、
含まれる。このことは、特定の核酸分子が、S.aureus活性を有するポリ
ペプチドをコードしない場合においてさえ、当業者はなおその核酸分子の使用法
(例えば、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用法)を知っているから
である。S.aureus活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核
酸分子の使用は、とりわけ、S.aureus遺伝子またはその対立遺伝子改変
体をDNAライブラリーから単離する工程、およびS.aureus mRNA
発現サンプル、S.aureusを含むことが疑われる環境サンプルをノーザン
ブロット分析によって検出する工程を含む。
【0101】 好ましいのは、実際に、S.aureusタンパク質活性を有するポリペプチ
ドをコードしている、表1に示される核酸配列に対して、または表1に列挙され
たプラスミドクローンの核酸配列に対して、少なくとも90%、95%、96%
、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する核酸分子である。「
S.aureus活性を有するポリペプチド」によって、類似の活性を示すが、
特定のタンパク質の活性を測定することに適切な特定の生物学的アッセイにおい
て測定される場合、本発明のS.aureusタンパク質の活性に対して同一で
あることが必要ではないポリペプチドが意図される。
【0102】 もちろん、遺伝コードの縮重に起因して、当業者は、表1に列挙されたプラス
ミドクローンの核酸配列、または表1に示された核酸配列に少なくとも90%、
95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する核酸
分子の大多数が、S.aureusタンパク質活性を有するポリペプチドをコー
ドすることをすぐに認識する。実際、これらのヌクレオチド配列の縮重改変体は
、すべて同一のポリペプチドをコードするので、このことは、上記に記載された
比較アッセイを実行することさえなしに、当業者には明らかである。当該分野に
おいて、縮重改変体でないこのような核酸分子について、妥当な数がまた、S.
aureusタンパク質活性を有するポリペプチドをコードすることがさらに認
識される。このことは、当業者が、以下にさらに記載するように、タンパク質機
能により少ない効果を与えるようであるか、または有意に効果を与えないようで
あるかのいずれかのアミノ酸置換(例えば、1つの脂肪族アミノ酸の第2の脂肪
族アミノ酸への置換)に十分に熟知しているからである。
【0103】 少なくとも、例えば、本発明の参照ヌクレオチド配列に95%「同一」である
ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、ポリヌクレオチド配列が
S.aureusポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌ
クレオチドあたり5までの点変異を含み得ること以外は、ポリヌクレオチドのヌ
クレオチド配列は、参照配列に対して同一であることが意図される。言い換えれ
ば、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一なヌクレオチド配列を有する
ポリヌクレオチドを得るために、参照配列中の5%までのヌクレオチドが、欠失
され得、挿入され得、または別のヌクレオチドと置換され得る。問い合わせ配列
は表1に示される配列の全体、ORF(オープンリーディングフレーム)または
本明細書中に記載されるような特定された任意のフラグメントであり得る。
【0104】 実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリペプチドが、本発明のヌク
レオチド配列に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、も
しくは99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラムを使用して
従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列との間の最
も良好な全体的な適合性(全体的な配列アラインメントとしてもまた参照される
)を決定するための好ましい方法は、Brutlagらのアルゴニズムに基づく
FASTDBコンピュータープログラムを使用して決定され得る。Brutla
gら、(1990)Comp.App.Biosci.6:237−245を参
照のこと。配列アラインメントにおいて、問い合わせ配列および対象配列は、両
方共にDNA配列である。RNA配列は、最初にUをTに転換することによって
比較され得る。この全体的な配列アラインメントの結果は、同一性パーセントで
ある。DNA配列のFASTDBアラインメントにおいて同一性パーセントを計
算するために使用される好ましいパラメーターは:Matrix=Unitar
y、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1、Joini
ng Penalty=30、Randomization Group Le
ngth=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=5、
Gap Size Penalty=0.05、Window Size=50
0または対象ヌクレオチド配列の長さ、どちらかより短い方。
【0105】 対象配列が、5’末端または3’末端の欠失のために(内部欠失のためにでは
なく)問い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけれ
ばならない。これは、同一性パーゼントを計算する場合に、FASTDBプログ
ラムが対象配列の5’末端および3’末端を考慮しないからである。5’末端お
よび3’末端で切断されている対象配列について、問い合わせ配列について、同
一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、一致/整列し
ない対象配列の5’および3’側である問い合わせ配列の塩基の数を計算するこ
とによって補正される。ヌクレオチドが一致/整列しているか否かは、FAST
DB配列アラインメントの結果によって決定される。次いで、このパーセントは
、同一性パーセントから差し引かれ、上記のFASTDBプログラムによって特
定のパラメーターを使用して計算され、最終的な同一性パーセントのスコアに到
達する。この補正されたスコアが、本発明の目的のために使用されるものである
。FASTDBアラインメントによって示されるように、問い合わせ配列と一致
/整列していない対象配列の5’および3’の外側のヌクレオチドのみが、同一
性パーセントのスコアを手動で調整する目的で計算される。
【0106】 例えば、90ヌクレオチドの対象配列は、同一性パーセントを決定するために
100ヌクレオチドの問い合わせ配列と整列される。欠失は、対象配列の5’末
端で生じ、従って、FASTDBアラインメントは、5’末端での最初の10ヌ
クレオチドの一致/整列を示さない。10個の不対合ヌクレオチドは、配列の1
0%(一致していない5’および3’末端でのヌクレオチドの数/問い合わせ配
列中のヌクレオチドの総数)を示し、ゆえにFASTDBプログラムによって計
算される同一性パーセントのスコアから10%が差し引かれる。残りの90ヌク
レオチドが完全に一致した場合、最終的な同一性パーセントは90%である。別
の例において、90ヌクレオチドの対象配列が、100ヌクレオチドの問い合わ
せ配列と比較される。この場合、欠失は内部欠失であり、そのため問い合わせ配
列と一致/整列しない対象配列の5’または3’のヌクレオチドは存在しない。
この場合、FASTDBによって計算される同一性パーセントは、手動で補正さ
れない。再び、問い合わせ配列と一致/整列しない対象配列の5’および3’ヌ
クレオチドのみが、手動で補正される。他の手動の補正は、本発明の目的のため
にはなされない。
【0107】 (ベクターおよび宿主細胞) 本発明はまた、本発明の単離されたDNA分子を含むベクター、組換えベクタ
ーを含む宿主細胞、および宿主細胞によって発現される本発明のS.aureu
sポリペプチドおよびペプチドの産生に関する。
【0108】 組換え構築物は、感染、形質導入、トランスフェクション、トランスベクショ
ン(transvection)、エレクトロポレーション、および形質転換の
ような、周知の技術を用いて宿主細胞に導入され得る。ベクターは、例えば、フ
ァージ、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスベクターであり得る。レ
トロウイルスベクターは、複製コンピテントであるか、または複製欠損であり得
る。後者の場合、ウイルス増殖は一般的に相補する宿主においてのみ起こり得る
【0109】 ポリヌクレオチドは、宿主中で増殖のために選択マーカーを含むベクターに結
合され得る。一般的に、プラスミドベクターは、沈澱物(例えば、リン酸カルシ
ウム沈澱物)中、または荷電した脂質を有する複合体中で導入され得る。ベクタ
ーがウイルスである場合、それは、適切なパッケージング細胞株を用いてインビ
トロでパッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。
【0110】 好ましいのは、目的のポリヌクレオチドに対するシス作動制御領域を含むベク
ターである。適切なトランス作動因子は、宿主によって供給され得、補完するベ
クターによって提供され得、または宿主への導入に際してベクターそれ自体によ
って供給され得る。
【0111】 この点における好ましい特定の実施態様において、ベクターは、誘導性であり
得るか、および/または細胞型特異的であり得る特定の発現を提供する。このよ
うなベクターの中で特に好ましいものは、操作が容易な環境因子(例えば、温度
および栄養添加物)によって誘導性のベクターである。
【0112】 本発明において有用な発現ベクターには、染色体由来ベクター、エピソーム由
来ベクター、およびウイルス由来ベクター(例えば、細菌プラスミド、バクテリ
オファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、ウイルス(例えば、バキ
ュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽の
ポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルス)由来のベクタ
ー)、ならびにそれらの組み合わせ由来のベクター(例えば、コスミドおよびフ
ァージミド)が挙げられる。
【0113】 DNAインサートは、適切なプロモーター(少数の例を挙げれば.、例えば、
ファージλPLプロモーター、E.coli lac、trpおよびtacプロ
モーター、SV40初期および後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLT
Rのプロモーター)に作動可能に連結されるべきである。他の適切なプロモータ
ーは、当業者に公知である。発現構築物は、転写開始領域、終結領域、および転
写される領域内に、翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含む。この構築物
によって発現される成熟転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるポリペ
プチドの最初に翻訳開始部位を、そしてそのポリペプチドの最後に適切に配置さ
れた終結コドン(UAA、UGA、またはUAG)を含む。
【0114】 示されるように、発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカー
を含む。このようなマーカーには、真核細胞培養については、ジヒドロ葉酸レダ
クターゼまたはネオマイシン耐性遺伝子、E.coliおよび他の細菌の培養に
ついては、テトラサイクリン、カナマイシン、またはアンピシリンの耐性遺伝子
が挙げられる。適切な宿主の代表的な例には、細菌細胞(例えば、E.coli
細胞、Streptomyces細胞およびSalmonella typhi
murium細胞);真菌細胞(例えば、酵母細胞);昆虫細胞(例えば、Dr
osophila S2およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞
(例えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowesメラノーマ細胞);なら
びに植物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。上記の宿主細胞について
の適切な培養培地および条件は、当該分野で公知である。
【0115】 細菌における使用のために好ましいベクターの中には、Qiagenから市販
されているpQE70、pQE60、およびpQE9、pQE10;Strat
ageneから市販されているpBSベクター、Phargescriptベク
ター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18
A、pNH46A;Novagenから市販されているpETシリーズのベクタ
ー;ならびにPharmaciaより市販されているptrc99a、pKK2
33−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5が含まれる。好ましい
真核生物ベクターには、Stratageneより市販されているpWLNEO
、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG;ならびにPharm
aciaより市販されているpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL
がある。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかである。
【0116】 本発明における使用のために適切な公知の細菌プロモーターの中には、E.c
oli lacIおよびlacZプロモーター、T3、T5、およびT7プロモ
ーター、gptプロモーター、λPRおよびPLプロモーター、ならびにtrp
プロモーターが含まれる。適切な真核生物プロモーターには、CMV前初期プロ
モーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロ
モーター、レトロウイルスLTRのプロモーター(例えば、ラウス肉腫ウイルス
(RSV)のプロモーター)、ならびにメタロチオネインプロモーター(例えば
、マウスメタロチオネイン−Iプロモーター)が含まれる。
【0117】 構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE
AE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフ
ェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、または他の方法によっ
て行われ得る。このような方法は、多くの標準的な実験室マニュアルに記載され
ている(例えば、Davisら、Basic Methods In Mole
cular Biology(1986))。
【0118】 高等真核生物による本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベク
ター中にエンハンサー配列を挿入することによって増加し得る。エンハンサーは
、所定の細胞型においてプロモーターの転写活性を増加させるように作用する、
DNAのシス作動エレメントであり、通常約10〜300ヌクレオチドである。
エンハンサーの例は、SV40エンハンサー(これは、ヌクレオチド100〜2
70の複製起点の後の側に位置する)、サイトメガロウイルス初期プロモーター
エンハンサー、複製起点の後の側に存在するポリオーマエンハンサー、およびア
デノウイルスエンハンサーが含まれる。
【0119】 小胞体のルーメンへの、細胞膜周辺腔への、または細胞外環境への翻訳された
ポリペプチドの分泌のために、適切な分泌シグナル(例えば、アミノ酸配列KD
EL)が、発現されたポリペプチドに組み込まれ得る。シグナルは、ポリペプチ
ドに対して内因性であり得るか、または異種のシグナルであり得る。
【0120】 ポリペプチドは、修飾された形態(例えば、融合タンパク質)で発現され得、
そして分泌シグナルを含むだけではなく、また、さらなる異種の機能的領域を含
み得る。例えば、さらなるアミノ酸の領域、特に荷電したアミノ酸が、ポリペプ
チドのN末端に付加されて、精製の間の、またはその後の操作および保存の間の
宿主細胞中での安定性および持続性を改善し得る。また、ペプチド部分が、精製
を容易にするためにポリペプチドに付加され得る。このような領域は、ポリペプ
チドの最終調製に先立って除去され得る。分泌もしくは排出を生じるための、安
定性を改善するための、および精製を容易にするための、ポリペプチドへのペプ
チド部分の付加は、とりわけ、当該分野においてよく知られた、そして慣用的な
技術である。好ましい融合タンパク質は、タンパク質を可溶化させるために有用
な免疫グロブリン由来の異種領域を含む。例えば、EP−A−O 464 53
3(カナダ国対応特許2045869)は、別のヒトタンパク質またはその一部
とともに、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を
開示する。多くの場合において、融合タンパク質におけるFc部分は、治療およ
び診断における使用のために完全に有利であり、従って、例えば、改善された薬
物動態学的な特性を生じる(EP−A 0232 262)。他方、いくつかの
使用については、融合タンパク質が、記載された有利な様式で発現され、検出さ
れ、そして精製された後で、Fc部分の除去が可能であることが望ましい。これ
は、Fc部分が治療および診断における使用のために障害であることがわかった
ときのような場合である(例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として使
用される場合)。薬物の探索において、例えば、ヒトタンパク質、例えば、hI
L−5レセプターは、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高スループ
ットスクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合された。Benne
tt,D.ら(1995)J.Molec.Recogn.8:52〜58およ
びJohanson,K.ら、(1995)J.Biol.Chem.270(
16):9459〜9471を参照のこと。
【0121】 S.aureusポリペプチドは、精製のために用いられる、硫酸アンモニウ
ムまたはエタノール沈澱、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィーまたはカチ
オン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相
互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシア
パタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、および高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)を含む周知の方法によって、組換え細胞培養から
回収および精製され得る。本発明のポリペプチドは、天然に精製された産物、化
学合成手順の産物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、細菌細胞
、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む)から組換え
手順によって産生された産物を含む。
【0122】 (ポリペプチドおよびフラグメント) 本発明はさらに、表1に列挙されたプラスミドクローンによってコードされる
アミノ酸配列、または表1のアミノ酸配列、または上記のポリペプチドの一部を
含むペプチドもしくはポリペプチドを有する単離されたS.aureusポリペ
プチドを提供する。
【0123】 (改変体および変異体ポリペプチド) 本発明のS.aureusポリペプチドの特性を改善または変化させるために
、タンパク質操作が行われ得る。当業者に公知の組換えDNA技術が、単一もし
くは複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または融合タンパク質を含む、新規な変
異体タンパク質すなわちムテインを作製するために使用され得る。このような修
飾されたポリペプチドは、例えば、活性の増強または安定性の増加を示し得る。
さらに、これらのポリペプチドは、対応する天然のポリペプチドよりも、少なく
とも特定の精製および保存条件下において、より高い収率で精製され得、そして
より良好な安定性を示し得る。
【0124】 (N末端およびC末端欠失変異体) 1つ以上のアミノ酸が、生物学的機能を実質的に損失することなく、N末端ま
たはC末端から欠失され得ることが当該分野で公知である。例えば、Ronら、
J.Biol.Chem.,268:2984−2988(1993)は、3、
8、または27N末端アミノ酸残基が欠失した場合でさえ、ヘパリン結合活性を
有する改変KGFタンパク質を報告した。従って、本発明は、表1に示されるS
.aureusポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ末端から欠失した1つ以上
の残基を有するポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチドを提供する。
【0125】 同様に、生物学的に機能的なC末端欠失ムテインの多くの例が公知である。例
えば、インターフェロンγは、タンパク質のカルボキシ末端から8から10アミ
ノ酸残基を欠失させることによって、10倍までより高い活性を示す(例えば、
Dobeliら、(1988)J.Biotechnology 7:199−
216を参照のこと。従って、本発明は、表1に示されるS.aureusポリ
ペプチドのアミノ酸配列のカルボキシ末端から1つ以上の残基を有するポリペプ
チドを提供する。本発明はまた、以下に記載されるようなアミノ末端およびカル
ボキシ末端の両方から1つ以上のアミノ酸が欠失したポリペプチドを提供する。
【0126】 本発明は、本明細書に記載されるアミノ酸配列の部分またはフラグメントをコ
ードするポリヌクレオチド、ならびに本明細書に記載される単離されたアミノ酸
配列の部分またはフラグメントにさらに関する。フラグメントは、表、配列表に
記載されるアミノ酸配列、および寄託されたcDNAクローンによってコードさ
れるアミノ酸配列の部分を含み、その部分は、長さが少なくとも7個の連続する
アミノ酸であり、その一方がN末端位置を表し、そして他方がC末端位置を表す
任意の2つの整数から選択される。本明細書に開示された各ポリペプチドの第1
の、または最もN末端のコドンは、1位である。任意の所定のアミノ酸配列上で
長さが少なくとも7個の連続するアミノ酸残基が占有し得るN末端およびC末端
の位置の全ての組み合わせは、個々の種として本発明に含まれる。少なくともは
、フラグメントが、長さが7個の連続するアミノ酸残基であり得るか、または7
と全長アミノ酸配列中の残基の数マイナス1との間の任意の整数であることを意
味する。従って、本発明に含まれるのは、配列表に示されるか、または寄託され
たcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列の任意のN末端およびC
末端位置によって特定される連続するフラグメントの種であり、ここで、その連
続するフラグメントは、7と全長配列における残基の数マイナス1との間の任意
の整数である。N末端およびC末端位置によって特定されるポリペプチドフラグ
メントは、上記の記載を使用して即座に認識され得、そしてそれゆえ明細書を不
必要に長文にしないという目的のみによって個々には列挙していない。しかし、
上記の種の各々が本発明に含まれるということが特に指摘される。
【0127】 さらに、本発明は、N末端およびC末端位置によってではなくむしろ、アミノ
酸残基のサイズにより特定されるフラグメントの亜属を含む。本発明は、7と全
長配列における残基の数マイナス1との間の整数から選択される連続するアミノ
酸残基の任意のフラグメントサイズを含む。連続するポリペプチドフラグメント
の好ましいサイズは、少なくとも7アミノ酸残基、少なくとも10アミノ酸残基
、少なくとも20アミノ酸残基、少なくとも30アミノ酸残基、少なくとも40
アミノ酸残基、少なくとも50アミノ酸残基、少なくとも75アミノ酸残基、少
なくとも100アミノ酸残基、少なくとも125アミノ酸残基、少なくとも15
0アミノ酸残基、少なくとも175アミノ酸残基、少なくとも200アミノ酸残
基、少なくとも225アミノ酸残基、少なくとも250アミノ酸残基、少なくと
も275アミノ酸残基、少なくとも300アミノ酸残基、少なくとも325アミ
ノ酸残基、少なくとも350アミノ酸残基、少なくとも375アミノ酸残基、少
なくとも400アミノ酸残基、少なくとも425アミノ酸残基、および少なくと
も450アミノ酸残基を含む。好ましいサイズは、7と全長配列における残基の
数マイナス1との間の任意の整数を表す全てのサイズのフラグメントが本発明に
含まれるので、当然に、本発明を例示することを意味するが、限定することを意
味しない。
【0128】 本発明のアミノ酸残基のサイズによって特定される連続するポリペプチドフラ
グメントは、上記の記載を使用して即座に認識され得、そしてそれゆえ、明細書
を不必要に長文にしないという目的のみによって個々には列挙していない。
【0129】 本発明はまた、N末端およびC末端の位置によって、または上記のアミノ酸残
基のサイズによって特定される任意のフラグメントを除外することを提供する。
N末端およびC末端位置によって、または上記のアミノ酸残基のサイズによって
特定される任意の数のフラグメント。
【0130】 上記のフラグメントは、活性である必要はないことを特に指摘する。なぜなら
、それらは、例えば、免疫アッセイにおいて、エピトープマッピングにおいて、
エピトープタグ化において、ポリペプチドの特定の部分に対する抗体を惹起する
ために、ワクチンとして、および分子量マーカーとして有用であるからである。
【0131】 構造または機能的ドメインによって特徴づけられるポリペプチドおよびポリヌ
クレオチドフラグメントがまた好ましい。例えば、αへリックスおよびαへリッ
クス形成領域、βシート、およびβシート形成領域、ターン、およびターン形成
領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域
、β両親媒性領域、可撓性領域、表面形成領域、基質結合領域、ならびに高抗原
性指標領域を含むフラグメントである。
【0132】 他の好ましいフラグメントは、生物学的に活性なフラグメントである。生物学
的に活性なフラグメントは、本発明のポリペプチドの活性と類似の、しかし必ず
しも同一である必要のない、活性を示すフラグメントである。フラグメントの生
物学的活性は、改善された所望の活性、または減少した所望でない活性を含み得
る。
【0133】 (他の変異体) 上記で議論したタンパク質のNおよびC末端欠失形態に加えて、S.aure
usポリペプチドのいくつかのアミノ酸配列が、そのタンパク質の構造または機
能の有意な効果なしに変更され得ることがまた、当業者によって理解される。配
列におけるこのような差異が考慮される場合、活性を決定するタンパク質上の重
要な領域が存在することが思い出されるべきである。
【0134】 従って、本発明はさらに、実質的にS.aureusポリペプチド活性を示す
か、または以下に記載するタンパク質部分のようなS.aureusタンパク質
の領域を含む、S.aureusポリペプチドの改変を含む。このような変異体
には、活性にほとんど影響を及ぼさないように、当該分野で公知の一般規則に従
って選択される欠失、挿入、逆位、反復、および型置換が含まれる。例えば、表
現型サイレントなアミノ酸置換を作成する方法に関するガイダンスが提供される
。アミノ酸配列の変化に対する抵抗性を研究するための2つの主要なアプローチ
が存在する。Bowie,J.U.ら(1990),Science 247:
1306−1310を参照のこと。第1の方法は、変異が自然選択によって受容
されるかまたは拒絶されるかのいずれかである、進化のプロセスに依存する。第
2のアプローチは、クローン化遺伝子の特定の部位にアミノ酸変化を導入するた
めの遺伝子操作、および機能性を維持する配列を同定するための選択またはスク
リーニングを使用する。
【0135】 これらの研究は、タンパク質が、アミノ酸置換に対して驚くほど抵抗性である
ことを明らかにした。これらの研究は、どのアミノ酸変化が、タンパク質の特定
の位置で許容される傾向があるかを示す。例えば、最も埋包されたアミノ酸残基
は、非極性の側鎖を必要とするが、一方、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保
存されない。他のこのような表現型サイレント置換は、Bowieら(前出)お
よびそこに引用される参考文献によって記載される。代表的に保存的置換として
考えられるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの間の
1つの残基と別の残基の置換;水酸基を有する残基SerとThrとの交換、酸
性残基AspとGluとの交換、アミド残基AsnとGlnとの間の置換、塩基
性残基LysとArgとの交換、および芳香族性残基Phe、Tyrの間の置換
である。
【0136】 従って、表1のポリペプチドのフラグメント、誘導体、アナログ、またはホモ
ログ、あるいは表1に列挙されるプラスミドによってコードされるものは、(i
)1つ以上のアミノ酸残基が、保存されたかまたは保存されていないアミノ酸残
基(好ましくは、保存されたアミノ酸残基)によって置換され、そしてそのよう
な置換されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコードされ得るか、または
されないかもしれないもの;あるいは(ii)1つ以上のアミノ酸残基が、置換
基を含むもの;あるいは(iii)S.aureusポリペプチドが、別の化合
物(例えば、そのポリペプチドの半減期を増大させる化合物(例えば、ポリエチ
レングリコール))に融合したもの;あるいは(iv)さらなるアミノ酸が上記
の形態のポリペプチドに融合したもの(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド
またはリーダーまたは分泌配列または上記の形態のポリペプチドもしくはプロタ
ンパク質配列の精製に使用される配列)であり得る。このようなフラグメント、
誘導体、およいびアナログは、本明細書の教示から当業者の技術範囲内であると
解釈される。
【0137】 従って、本発明のS.aureusポリペプチドは、天然の変異もしくはヒト
操作のいずれかに由来する1つ以上のアミノ酸置換、欠失、または付加を含み得
る。示されるように、変化は、好ましくは、そのタンパク質の折り畳みまたは活
性に有意に影響を与えない保存的アミノ酸置換のようなマイナーな性質のもので
ある(表3を参照のこと)。
【0138】
【表3】 機能に必須である本発明のS.aureusタンパク質中のアミノ酸は、当該
分野で公知の方法(例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変
異誘発)によって同定され得る。例えば、Cunninghamら(1989)
Science 244:1081−1085を参照のこと。後者の手順は、そ
の分子中の全ての残基位置で単一アラニン置換を導入する。次いで、得られる変
異体分子は、特定のタンパク質の機能を測定するために適切なアッセイを使用し
て生物学的活性について試験される。
【0139】 高度に所望される改善された特徴(例えば、凝集しにくい)を有するタンパク
質を産生し得る他の荷電したかまたは天然のアミノ酸での荷電アミノ酸の置換が
特に興味深い。凝集は、活性を減少し得るのみでなく、薬学的処方物を調製する
際には問題でもあり得る。なぜなら、凝集体は免疫原性であり得るからである。
例えば、Pinckardら(1967)Clin.Exp.Immunol.
2:331−340;Robbinsら(1987)Diabetes 36:
838−845;Clelandら(1993)Crit.Rev.Thera
peutic Drug Carrier Systems 10:307−3
77を参照のこと。
【0140】 本発明のポリペプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そして好
ましくは、実質的に精製されている。S.aureusポリペプチドの組換え産
生されたバージョンは、Smithら(1988)Gene 67:31−40
に記載される1ステップ法によって実質的に精製され得る。本発明のポリペプチ
ドはまた、天然または組換えの供給源から、タンパク質精製の分野で周知の方法
において、本発明のポリペプチドに対する抗体を使用して、精製され得る。
【0141】 本発明はさらに、(a)表1に示される完全アミノ酸配列を有する全長S.a
ureusポリペプチドのアミノ酸配列;(b)表1に示される、N末端メチオ
ニンを除く完全アミノ酸配列を有する全長S.aureusポリペプチドのアミ
ノ酸配列;(c)表1に列挙されるプラスミドによってコードされる完全アミノ
酸配列;ならびに(d)表1に列挙されるプラスミドによってコードされるN末
端メチオニンを除く完全アミノ酸配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む単離されたS.aureusポリペプチドを提供する。本発明のポリペプ
チドはまた、上記(a)、(b)、(c)、および(d)に記載されるものに、
少なくとも80%同一、より好ましくは、少なくとも90%同一、そしてなおよ
り好ましくは、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドを包含する。
【0142】 本発明のさらなるポリペプチドには、上記のものに対して、少なくとも90%
類似性、より好ましくは、少なくとも95%類似性、そしてなおより好ましくは
、少なくとも96%、97%、98%、または99%類似性を有するポリペプチ
ドが含まれる。
【0143】 本発明のさらなる実施態様は、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むが
、50を超えない保存的アミノ酸置換、40を超えない保存的アミノ酸置換、3
0を超えない保存的アミノ酸置換、そして20を超えない保存的アミノ酸置換を
含むアミノ酸配列を有するS.aureusポリペプチドのアミノ酸配列を含む
ポリペプチドに関する。少なくとも1つを有するが、10、9、8、7、6、5
、4、3、2、または1を超えない保存的アミノ酸置換を有するS.aureu
sポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドもまた提供される。
【0144】 本発明の問い合わせアミノ酸配列に対して例えば、少なくとも95%「同一」
なアミノ酸配列を有するポリペプチドにより、対象ポリペプチド配列が、問い合
わせアミノ酸配列の各100アミノ酸ごとに5つまでのアミノ酸変化を有し得る
ことを除いて、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が問い合わせ配列に対して同一
であることが意図される。換言すれば、問い合わせアミノ酸配列に対して少なく
とも95%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、対象配列に
おける5%までのアミノ酸残基が、別のアミノ酸配列で、挿入、欠失、(消去)
、または置換され得る。参照配列中のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミ
ノ末端またはカルボキシ末端位置で生じ得るか、またはこれらの末端位置の間の
どこかで、参照配列の残基の間に個々に、もしくは参照配列内の1つ以上の連続
する基においてのいずれかで、挟まれて、生じ得る。
【0145】 実際問題として、任意の特定のポリぺプチドが、例えば、表1に示されるアミ
ノ酸配列、または表1に列挙されるプラスミドによりコードされるアミノ酸配列
に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同
一であるか否かは、公知のコンピュータープログラムを使用して従来的に決定さ
れ得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列との間の最も良好な全体的
な適合性(全体的な配列整列としてもまた参照される)を決定するための好まし
い方法は、Brutlagら(Comp.App.(1990)Biosci.
6:237−245)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープロ
グラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせ配列および対象
配列は、両方ともにアミノ酸配列である。この全体的な配列整列の結果は、同一
性パーセント(%)で示される。FASTDBアミノ酸整列において使用される
好ましいパラメーターは:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、M
ismatch Penalty=1、Joining Penalty=20
、Randomization Group Length=0、Cutoff
Score=1、Window Size=配列長、Gap Penalty
=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size
=500または参照アミノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0146】 対象配列が、N末端またはC末端欠失のために(内部欠失のためではなく)問
い合わせ配列より短い場合、手動の補正が同一性パーセントの結果に対してなさ
れなけらばならない。これは、全体的同一性パーセントを計算する場合に、FA
STDBプログラムが対象配列のN末端およびC末端切断を考慮しないからであ
る。N末端およびC末端で切断される対象配列について、問い合わせ配列に対し
て、同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応す
る参照残基と一致/整列しない対象配列のN末端およびC末端側である問い合わ
せ配列の残基の数を計算することによって補正される。残基が一致/整列されて
いるか否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、この
パーセントは、同一性パーセントから差し引かれ、上記のFASTDBプログラ
ムによって特定のパラメーターを使用して計算され、最終的な同一性パーセント
のスコアに到達する。この最終的な同一性パーセントのスコアは、本発明の目的
で使用されるものである。問い合わせ配列と一致/整列していない対象配列のN
末端およびC末端側の残基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する
目的で考慮される。すなわち、対象配列の最も遠いN末端およびC末端残基の外
側の問い合わせアミノ酸残基位置のみである。
【0147】 例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために
100残基の問い合わせ配列と整列される。欠失は、対象配列のN末端で生じ、
従ってFASTDB整列は、N末端での最初の10残基の一致/整列を示さない
。10個の不対合残基は、配列の10%(一致していないN末端およびC末端で
の残基の数/問い合わせ配列中の残基の総数)を表し、その結果FASTDBプ
ログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから10%が差し引かれ
る。残りの90残基が完全に一致した場合、最終的な同一性パーセントは90%
である。別の例において、90残基の対象配列が、100残基の問い合わせ配列
と比較される。この場合、欠失は、内部欠失であり、そのため問い合わせ配列と
一致/整列しない対象配列のN末端またはC末端の残基は存在しない。この場合
、FASTDBによって算出される同一性パーセントは、手動で補正されない。
再び、FASTDB整列において示される、問い合わせ配列と一致/整列しない
対象配列のN末端およびC末端の外の残基位置のみが手動で補正される。他の手
動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0148】 上記のポリペプチド配列は、それらがその正常な生物学的活性を有するか否か
にかかわらず含まれる。なぜなら、特定のポリペプチド分子が生物学的活性を有
さない場合でさえ、当業者はなお、ポリペプチドの使用方法(例えば、ワクチン
として、または抗体の作製のために)について知っているからである。S.au
reus活性を有さない本発明のポリペプチドの他の使用としては、当業者に公
知の方法を用いて、特に、エピトープタグとして、エピトープマッピングにおい
て、そしてSDS−PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラム上の分子量マ
ーカーとしての使用が挙げられる。
【0149】 以下に記載のように、本発明のポリペプチドはまた、ポリクローナル抗体およ
びモノクローナル抗体を惹起するために用いられ得る。これらの抗体は、S.a
ureusタンパク質発現を検出するためのアッセイにおいて、またはS.au
reusのタンパク質機能を増強もしくは阻害し得るアゴニストおよびアンタゴ
ニストとして有用である。さらに、このようなポリペプチドは、S.aureu
sタンパク質結合タンパク質(これは、また本発明による候補アゴニストおよび
候補アンタゴニストである)を「捕捉」するための酵母ツーハイブリッド系にお
いて用いられ得る。例えば、Fieldsら(1989)Nature 340
:245〜246を参照のこと。
【0150】 (エピトープ保有部位) 別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドのエピトープ保有部分を
含むペプチドおよびポリペプチドを提供する。これらのエピトープは、本発明の
ポリペプチドの免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープである。「免疫原性
エピトープ」は、本発明のポリペプチド全体またはそのフラグメントが免疫原で
ある場合、インビボにおいて抗体応答を誘発するタンパク質の部分と定義される
。一方では、抗体が結合し得るポリペプチドの領域は、「抗原決定基」または「
抗原性エピトープ」と定義される。タンパク質の免疫原性エピトープのインビボ
の数は、一般に、抗原性エピトープの数より少ない。例えば、Geysenら、
(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998
−4002を参照のこと。しかし、抗体は、それが免疫原性エピトープであるか
否かにかかわらず、ファージ提示のような方法を用いることにより、任意の抗原
性エピトープを生じ得る。例えば、Petersen G.ら(1995)Mo
l.Gen.Genet.249:425〜431を参照のこと。従って、免疫
原性エピトープおよび抗原性エピトープの両方が本発明に含まれる。
【0151】 本発明の免疫原性エピトープを含む例証的なアミノ酸配列の一覧表を本明細書
に記載する。これらの説明は、JamesonおよびWolf(1988)Co
mp.Appl.Biosci.4:181〜186(この参考文献はその全体
が参考として援用される)のアルゴリズムを用いて、最高程度の抗原性を有する
と予想されるエピトープを含むアミノ酸残基を単に列挙することが示される。J
ameson−Wolf抗原性分析は、デフォルトパラメーターを用いる、コン
ピュータープログラムPROTEANを用いて実行された(Power Mac
Intosh用(バージョン3.11),DNASTAR,Inc.,1228
South Park Street Madison,WI)。他の免疫原
性エピトープを含むアミノ酸残基は、Jameson−Wolf分析に類似のア
ルゴリズムを用いて、または当該分野で公知の方法を用いる抗原性応答のための
インビボ試験により、日常的に決定され得る。例えば、Geysenら、前出;
米国特許第4,708,781号;同第5,194,392号、同第4,433
,092号;および同第5,480,971号(これらの参考資料はその全体が
参考として援用される)を参照のこと。
【0152】 この記載されたエピトープ性アミノ酸配列は、免疫原性エピトープを含むこと
が特に示される。表2は、Jameson−Wolf分析により決定された免疫
原性エピトープの重要な残基のみを列挙する。従って、N末端、C末端またはN
末端およびC末端の両方のいずれかに隣接するさらなる残基が、配列に付加され
、本発明のエピトープ保有ポリペプチドを生成し得る。従って、免疫原性エピト
ープは、さらなるN末端またはC末端アミノ酸残基を含み得る。さらなる隣接ア
ミノ酸残基は、本発明のポリペプチド(異種ポリペプチド配列)由来の連続して
隣接するN末端および/またはC末端配列であり得るか、または本発明のポリペ
プチド由来の連続隣接配列および異種ポリペプチド配列の両方を含み得る。
【0153】 免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドは、
少なくとも7アミノ酸残基長である。「少なくとも」とは、免疫原性エピトープ
または抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドが、7アミノ酸残基長であ
り得るか、7アミノ酸と本発明の完全長ポリペプチドのアミノ酸残基数との間の
任意の整数であり得ることを意味する。免疫原性エピトープまたは抗原性エピト
ープを含む好ましいポリペプチドは、少なくとも10、15、20、25、30
、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90
、95または100アミノ酸残基長である。しかし、7と完全長ポリペプチドの
アミノ酸残基数との間のそれぞれの整数およびあらゆる整数が本発明に含まれる
ことが示される。
【0154】 免疫原性エピトープ保有フラグメントおよび抗原性エピトープ保有フラグメン
トは、上記のような連続するアミノ酸残基の数によって特定化され得るか、また
は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20または22の
アミノ酸配列上のこれらのフラグメントのN末端およびC末端位置によりさらに
特定化され得るかのいずれかである。フラグメント(例えば、少なくとも7また
は少なくとも15連続アミノ酸残基長)が配列番号2のアミノ酸配列を占め得る
N末端位置およびC末端位置のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。再度、
「少なくとも7連続アミノ酸残基長」とは、7アミノ酸残基長または7アミノ酸
と本発明の完全長ポリペプチドのアミノ酸残基数との間の任意の整数を意味する
。特に7と全長ポリペプチドのアミノ酸残基数との間のそれぞれの整数およびあ
らゆる整数が本発明に含まれる。
【0155】 本発明の免疫原性エピトープ保有ポリペプチドおよび抗原性エピトープ保有ポ
リペプチドは、例えば、本発明のポリペプチドを特異的に結合する抗体を作製す
るため、および本発明のポリペプチドを検出するためのイムノアッセイにおいて
有用である。この抗体は、例えば、本発明のポリペプチドのアフィニティー精製
において有用である。この抗体はまた、当該分野で公知の方法を用いる、種々の
定性的イムノアッセイまたは定量的イムノアッセイにおいて(特に本発明のポリ
ペプチドのために)慣用的に用いられ得る。例えば、Harlowら、Anti
bodies:A Laboratory Manual,(Cold Spr
ing Harbor Laboratory Press;第2版、1988
)を参照のこと。
【0156】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で公知の合成方法および組
換え方法を含むポリペプチド作製のための任意の従来の手段により産生され得る
。例えば、エピトープ保有ペプチドは、化学合成の公知の方法を用いて合成され
得る。例えば、Houghtenは、多数のペプチド(例えば、248の個々の
10〜20mg)およびHA1ペプチドのセグメントの単一アミノ酸改変体を示
す別個の13残基ペプチド(そのすべては、4週間未満で調製されそして特徴付
けられた(ELISA型の結合研究により))の合成のための簡易な方法を記載
している(Houghten,R.A.Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 82:5131〜5135(1985))。この「Simultan
eous Multiple Peptide Synthesis(SMPS
)」プロセスは、Houghtenおよび共同研究者(1986)の米国特許第
4,631,211号にさらに記載される。この手順において、種々のペプチド
の固相合成のための個々のレジンは、別々の溶媒透過性パケットに含まれ、固相
方法に関与する多数の同一反復工程の最適使用を可能にする。完全に手動手順は
、500〜1000以上の合成が同時に実行されることを可能にする(Houg
htenら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.82:513
1〜5135の5134)。
【0157】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、インビボ免疫化、インビトロ免疫化
およびファージ提示方法を含むがこれらに限定されない、当該分野で周知の方法
による抗体を誘導するために用いられる。例えば、Sutcliffeら、前出
;Wilsonら、前出、およびBittleら(1985)J.Gen.Vi
rol.66:2347〜2354を参照のこと。インビボ免疫化が用いられる
場合、動物は遊離のペプチドで免疫化され得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は
、高分子キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)また
は破傷風毒素)へのペプチドの結合によりブーストされ得る。例えば、システイ
ン残基を含むペプチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミ
ドエステル(MBS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得、一方、
他のペプチドは、グルタルアルデヒドのような、より一般的な結合剤を用いてキ
ャリアに結合され得る。ウサギ、ラットおよびマウスのような動物は、遊離のペ
プチドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、約100μg
のペプチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントを含有する
乳濁液の腹腔内および/または皮内注射によって免疫される。いくつかのブース
ター注射は、有用な力価の抗ペプチド抗体(例えば、固相に吸着する遊離のペプ
チドを用いるELISAアッセイにより検出され得る)を提供するために、例え
ば、約2週間の間隔で、必要であり得る。免疫された動物由来の血清における抗
ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択により(例えば、当該分野で周知
の方法による、固体支持体上のペプチドへの吸着および選択した抗体の溶出によ
り)上昇され得る。
【0158】 当業者が理解するように、そして上記で考察したように、免疫原性エピトープ
または抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドが、異種のポリペプチド配
列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA
、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはその部分(CH1、CH2、
CH3、ドメイン全体およびドメインの部分の両方を含むその任意の組み合わせ
)と融合し、キメラポリペプチドを生じ得る。これらの融合タンパク質は、精製
を容易にし、そしてインビボにおける半減期の延長を示す。このことは、例えば
、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブ
リンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質に
ついて示されている。例えば、EPA0,394,827;Traunecke
rら(1988)Nature 331:84〜86を参照のこと。IgG部分
に起因するジスルフィド結合二量体構造を有する融合タンパク質はまた、単量体
ポリペプチドまたはそのフラグメント単独よりも他の分子を結合および中和する
ことにおいてより効果的であり得る。例えば、Fountoulakisら(1
995)J.Biochem.270:3958〜3964を参照のこと。上記
のエピトープをコードする核酸はまた、発現されるポリペプチドの検出および精
製において補助するためのエピトープタグとして目的の遺伝子で組み換えられ得
る。
【0159】
【表2】 (抗体) 本発明はさらに、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体およびT細胞
抗原レセプター(TCR)に関する。本発明の抗体としては、IgG(IgG1
、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA
2を含む)、IgD、IgE、IgM、およびIgYが挙げられる。本明細書中
で使用される場合、用語「抗体」(Ab)は、単鎖抗体全体、およびこれらの抗
原結合フラグメントを含む、抗体全体を含むことを意味する。最も好ましくは、
抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり、Fab、Fab’およ
びF(ab’)2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合
化Fv(sdFv)、ならびにVLドメインまたはVHドメインのいずれかを含む
フラグメントを含むがこれらに限定されない。これらの抗体は、鳥類および哺乳
動物を含む任意の動物起源由来であり得る。好ましくは、これらの抗体はヒト、
ネズミ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリの抗体であ
る。
【0160】 抗原結合抗体フラグメント(単鎖抗体を含む)は、可変領域単独、または以下
の全体もしくは一部との組合せを含み得る:ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH
2ドメイン、およびCH3ドメイン。本発明内には、可変領域とヒンジ領域、C
H1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメインとの任意の組合せもまた
含まれる。本発明はさらに、本発明のポリペプチドを特異的に結合する、キメラ
抗体、ヒト化抗体、ならびにヒトモノクローナル抗体およびヒトポリクローナル
抗体を含む。本発明はさらに、本発明の抗体に対して抗イディオタイプである抗
体を含む。
【0161】 本発明の抗体は、単一抗原特異的、二抗原特異的、三抗原特異的またはより多
くの多抗原特異的であり得る。多抗原特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの
異なるエピトープに特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドならびに
異種組成物(例えば、異種ポリペプチドもしくは固体支持材料)の両方に特異的
であっても良い。例えば、WO93/17715;WO92/08802;WO
91/00360;WO92/05793;Tutt.Aら、J.Immuno
l.147:60〜69(1991);米国特許第5,573,920号、同第
4,474,893号、同第5,601,819号、同第4,714,681号
、同第4,925,648号;Kostelny.S.A.ら、J.Immun
ol.148:1547〜1553(1992)を参照のこと。
【0162】 本発明の抗体は、抗体によって認識されるかまたは特異的に結合される本発明
のポリペプチドのエピトープまたは部分について記載または特定され得る。この
エピトープまたはポリペプチド部分は、本明細書中に記載されるように、例えば
、N末端位置およびC末端位置によって、連続するアミノ酸残基のサイズによっ
て、または表および図に列挙されるように特定され得る。本発明の任意のエピト
ープまたはポリペプチドを特異的に結合する抗体はまた、除外され得る。従って
、本発明は、本発明のポリペプチドを特異的に結合する抗体を含み、そしてその
抗体の除外を可能にする。
【0163】 本発明の抗体はまた、これらの交差反応性について記載または特定され得る。
本発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オーソログ(ortholog)
、またはホモログを結合しない抗体は、含まれる。本発明のポリペプチドに対し
て、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未
満、65%未満、60%未満、55%未満、および50%未満の同一性(当該分
野で公知の方法、および本明細書中に記載される方法を使用して計算されるよう
に)を有するポリペプチドを結合しない抗体もまた、本発明に含まれる。本発明
において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(本明細書中に記載
されるような)下において本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリ
ヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのみを結合する抗体が、さらに
含まれる。本発明の抗体はまた、これらの結合親和性について記載または特定さ
れ得る。好ましい結合親和性としては、5×10-6M、10-6M、5×10-7
、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10
M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×
10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および1
-15M未満の解離定数またはKdを有する結合親和性が挙げられる。
【0164】 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドを精製、検出、および標的化する、当
該分野で公知の方法を含むがこれらに限定されない使用を有し、これは、インビ
トロおよびインビボの両方の診断方法ならびに治療方法を含む。例えば、これら
の抗体は、生物学的サンプルにおいて本発明のポリペプチドのレベルを定性的お
よび定量的に測定するための免疫アッセイにおける使用を有する。例えば、Ha
rlowら、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL
(Cold Spring Harbor Laboratory Press
、第2版、1998)を参照のこと(これらの全体が参考として援用される)。
【0165】 本発明の抗体は、単独で、または他の組成物と組み合わせて使用され得る。こ
れらの抗体はさらに、N末端もしくはC末端で異種ポリペプチドに対して組換え
的に融合され得るか、またはポリペプチドもしくは他の組成物に対して化学的に
結合体化され得る(共有結合および非共有結合体化を含む)。例えば、本発明の
抗体は、異種ポリペプチド、薬物、または毒素のような、検出アッセイにおける
標識、およびエフェクター分子として有用である分子に組換え的に融合され得る
か、または結合体化され得る。例えば、WO92/08495;WO91/14
438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP
0 396 387を参照のこと。
【0166】 本発明の抗体を、当該分野において公知である任意の適切な方法により調製し
得る。例えば、本発明のポリペプチドまたはその抗原性フラグメントは、ポリク
ローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために動物に投与され得る。モノクロ
ーナル抗体は、ハイブリドーマ技術および組換え技術の使用を含む、当該分野に
おいて公知である広範な技術を使用して調製され得る。例えば、Harlowら
、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL、(Col
d Spring Harbor Laboratory Press.第2版
、1988):Hammerlingら、:MONOCLONAL ANTIB
ODIES AND T−CELL HYBRIDOMAS 563〜681(
Elsevier、N.Y.、1981)(上記の参考文献は、その全体が参考
として援用される)を参照のこと。
【0167】 FabおよびF(ab’)2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメント
を産生するため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生するため
)のような酵素を使用して、タンパク質分解性切断によって産生され得る。
【0168】 あるいは、本発明の抗体は、当該分野で公知である方法を使用する、組換えD
NA技術の適用を通じてかまたは合成化学を通じて産生され得る。例えば、本発
明の抗体は、当該分野で公知である種々のファージディスプレイ法を使用して調
製され得る。ファージディスプレイ法では、機能的な抗体ドメインは、それらを
コードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子の表面上に提示される。所
望の結合特性を有するファージは、抗原(代表的には固体表面またはビーズに結
合されたかまたは捕捉された抗原)を用いて直接的に選択することによって、レ
パートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウ
ス、から選択される。これらの方法で使用されるファージは、代表的には、Fa
bを有するfdおよびM13を含む糸状ファージである。Fvまたはジスルフィ
ドで安定化されたFv抗体ドメインは、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VI
IIタンパク質のいずれかに組換え融合される。本発明の抗体を作製するために
使用され得るファージディスプレイ法の例は、Brinkman U.ら、J.
Immunol.Methods 182:41〜50(1995):Ames
,R.S.ら、J.Immunol.Methods 184:177〜186
(1995):Kettleborough.C.A.ら、Eur.J.Imm
unol.24:952〜958(1994);Persic,L.ら、Gen
e 187:9〜18(1997);Burton,D.R.ら、Advanc
es in Immunology 57:191〜280(1994);PC
T/GB91/01134;WO90/02809;WO91/10737;W
O92/01047;WO92/18619;WO 93/11236;WO
95/15982;WO 95/20401;および米国特許第5,698,4
26号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,58
0,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5
,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、
同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,72
7号および同第5,733,743号(上記の参考文献は、それらの全体が参考
として援用される)に開示されるものを含む。
【0169】 上記の参考文献に記載されるように、ファージ選択の後、ファージからの抗体
コード領域を単離し得、そして使用し、抗体全体(ヒト抗体を含む)、または任
意の他の所望される抗原結合フラグメントを生成し、そして任意の所望される宿
主(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む)中で発現す
る。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換え産生
するための技術もまた、当該分野で公知の方法(例えば、WO92/22324
;Mullinax.R.L.ら、BioTechniques 12(6):
864〜869(1992);およびSawai.H.ら、AJRI 34:2
6〜34(1995);ならびにBetter,M.ら、Science 24
0:1041〜1043(1988)に開示される方法)(上記の参考文献は、
それらの全体が参考として援用される)を使用して用いられ得る。
【0170】 単鎖Fvおよび抗体を産生するために使用され得る技術の例は、米国特許第4
,946,778号および同第5,258,498号;Hustonら(199
1)Methods in Enzymology 203:46〜88;Sh
u,L.ら(1993)PNAS 90;7995〜7999;およびSker
ra,A.ら、Science 240:1038〜1040(1988)に記
載されるものを含む。ヒトにおける抗体のインビボでの使用およびインビトロで
の検出アッセイを含む、いくつかの使用については、キメラ、ヒト化、またはヒ
ト抗体を使用することは、好ましくあり得る。キメラ抗体を産生するための方法
は、当該分野において公知である。例えば、Morrison、Science
229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:
214(1986);Gillies,S.D.ら(1989)J.Immun
ol.Methods 125:191〜202;および米国特許第5,807
,715号を参照のこと。抗体は、CDRグラフト化(grafting)(E
P 0 239 400;WO 91/09967;米国特許第5,530,1
01号;および同第5,585,089号)、被膜化(veneering)ま
たは再表面化(resurfacing)(EP 0 592 106;EP
0 519 596;Padlan E.A.、(1991)Molecula
r Immunology 28(4/5):489〜498;Studnic
ka G.M.ら(1994)Protein Engineering 7(
6):805〜814;Roguska M.A.ら(1994) PNAS
91:969〜973)、ならびに鎖シャッフリング(米国特許第5,565,
332号)を含む、種々の技術を使用してヒト化され得る。ヒト抗体は、上記の
ファージディスプレイ法を含む、当該分野で公知の種々の方法によって作製され
得る。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、同第5,
545,806号、および同第5,814,318号;ならびにWO 98/4
6645(上記の参考文献は、それらの全体が参考として援用される)もまた参
照のこと。
【0171】 さらに、本発明において、本発明のポリペプチドに組換え融合されたかまたは
化学的に結合体化された抗体が(共有結合性および非共有結合性の両方の結合体
を含む)含まれる。この抗体は、本発明のポリペプチド以外の抗原に特異的であ
り得る。例えば、抗体を使用し、本発明のポリペプチドを、インビトロまたはイ
ンビボのいずれかで、本発明のポリペプチドを特定の細胞表面レセプターに特異
的な抗体に融合させるかまたは結合させることによって、特定の細胞型に標的化
し得る。本発明のポリペプチドに融合されたかまたは結合体化された抗体はまた
、当該分野で公知の方法を使用してインビトロイムノアッセイおよび精製方法に
て使用され得る。例えば、Harborら、前出およびWO 93/21232
;EP 0 439 095;Naramura,M.ら、Immunol.L
ett.39:91〜99(1994);米国特許第5,474,981号:G
illies,S.O.ら(1992)PNAS 89:1428〜1432;
Fell,H.P.ら、(1991)J.Immunol. 146:2446
〜2452(上記の参考文献は、それらの全体が参考として援用される)を参照
のこと。
【0172】 本発明はさらに、可変領域以外の抗体のドメインに融合されたかまたは結合さ
れた本発明のポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、本発明のポリペプチド
を、抗体のFc領域、またはその部分に融合または結合し得る。本発明のポリペ
プチドに融合された抗体部分は、ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン
、およびCH3ドメイン、あるいはそのドメイン全体または部分の任意の組合せ
を含み得る。本発明のポリペプチドは、このポリペプチドのインビボの半減期を
増加するためか、または当該分野で公知の方法を使用してイムノアッセイにおけ
る使用のために上記の抗体部分に融合または結合され得る。このポリペプチドは
また、マルチマーを形成するように上記の抗体部分に融合または結合され得る。
例えば、本発明のポリペプチドに融合されたFc部分は、Fc部分の間でジスル
フィド結合を通じて二量体を形成し得る。より高次なマルチマー型は、このポリ
ペプチドをIgAおよびIgMの部分に融合することにより作製され得る。本発
明のポリペプチドを抗体部分に融合または結合するための方法は、当該分野にお
いて公知である。例えば、米国特許第5,336、603号、同第5,622,
929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,4
47,851号、同第5,112,946号;EP 0 307 434、EP
0 367 166;WO 96/04388;WO 91/06570;A
shkenazi,A.ら(1991)PNAS 88:10535〜1053
9;Zheng,X.X.ら(1995)J.Immunol.154:559
0〜5600;およびVil,H.ら(1992)PNAS 89;11337
〜11341(上記の参考文献は、それらの全体が参考として援用される)を参
照のこと。
【0173】 本発明はさらに、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用する抗体に関する。例えば、本発明は部分的にかまたは完全にかのいず
れかで、本発明のポリペプチドとのレセプター/リガンド相互作用を妨害する抗
体を含む。レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の両方が含まれる。
リガンド結合を妨害しないが、レセプター活性化を妨害するレセプター特異的抗
体が含まれる。レセプター活性化(すなわち、シグナル伝達)は、本明細書中に
記載される技術または当該分野において公知の技術によって決定され得る。リガ
ンド結合およびレセプター活性化の両方を妨害するレセプター特異的抗体もまた
含まれる。同様に、リガンドに結合し、そしてこのレセプターに対するリガンド
の結合を妨害する中和抗体、ならびにこのリガンドに結合し、それによってレセ
プター活性化を妨害するが、このリガンドがこのレセプターに結合することを妨
害しない抗体が含まれる。さらに、このレセプターを活性化する抗体が含まれる
。これらの抗体は、リガンド媒介性レセプター活性化により影響される、全てか
または全てよりも小さい生物学的活性のいずれかに対するアゴニストとして作用
し得る。この抗体は、本明細書中に開示される比活性を含む生物学的活性に対し
てアゴニストまたはアンタゴニストとして特定され得る。上記の抗体のアゴニス
トは、当該分野において公知である方法を使用して作製され得る。例えば、WO
96/40281;米国特許第5,811,097号;Deng,B.ら(1
998)Blood 92(6):1981〜1988;Chen,Z.ら(1
998)Cancer Res.58(16):3668〜3678;Harr
op,J.A.ら(1998)J.Immunol.161(4):1786〜
1794;Zhu,Z.ら(1998)Cancer Res.58(15):
3209〜3214;Yoon,D.Y.ら(1998)J.Immunol.
160(7):3170〜3179;Prat,M.ら(1998)J.Cel
l.Sci.111(Pt2):237〜247;Pitard,V.ら(19
97)J.Immunol.Methods 205(2):177〜190;
Liautard,J.ら(1997)Cytokinde 9(4):233
〜241;Carlson,N.G.ら(1997)J.Biol.Chem.
272(17):11295〜11301;Taryman,R.E.ら(19
95)Neuron 14(4):755〜762;Muller,Y.A.ら
(1998)Structure 6(9):1153〜1167;Bartu
nek,P.ら(1996)Cytokine 8(1):14〜20(上記の
参考文献は、それらの全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0174】 (診断アッセイ) 本発明はさらに、本発明のStaphylococcusポリペプチドをコー
ドする遺伝子の発現を検出することにより動物におけるStaphylococ
cus感染をアッセイする方法に関する。この方法は、動物からの組織または体
液を、Staphylococcus特異的抗体、核酸、またはタンパク質につ
いて分析する工程を包含する。Staphylococcusに特異的な核酸の
分析は、本発明の核酸配列をハイブリダイゼーションプローブまたはプライマー
のいずれかとして用いる、PCRまたはハイブリダイゼーション技術によってア
ッセイされる。例えば、Sambrookら、Molecular cloni
ng:A Laboratory Manual(Cold Spring H
arbor Laboratory Press、第2版、1989、54頁の
参考文献):Eremeevaら(1994)J.Clin.Microbio
l.32:803〜810(PCR増幅したDNAの制限フラグメント長の多形
性の分析による、点在する熱群のRickettsiae種間の差違を記載する
)、およびChenら、1994 J.Clin.Microbiol.32:
589〜595(PCRによってB.burgdorferi核酸を検出する)
を参照のこと。
【0175】 Staphylococcusによる感染に関連する疾患状態の診断がすでに
なされている場合、本発明は、この疾患状態の進行または退行をモニタリングす
るために有用である。それによって、増強したStaphylococcus遺
伝子発現を示す患者は、より低いレベルでこれらの遺伝子を発現する患者と比較
して、より悪い臨床結果を経験する。
【0176】 「生物学的サンプル」によって、Staphylococcusポリペプチド
、mRNAまたはDNAを含む動物、細胞株、組織培養物、または他の供給源か
ら得られる任意の生物学的サンプルが意図される。生物学的サンプルとしては、
Staphylococcusのポリペプチドまたは核酸を含むことが推測され
る体液(例えば、唾液、血液、血漿、尿、粘液、滑液など)、組織(例えば、筋
肉、皮膚、および軟骨)ならびに任意の他の生物学的供給源が挙げられる。組織
のような生物学的サンプルを得るための方法は、当該分野で周知である。
【0177】 本発明は、動物におけるStaphylococcus感染に関連する疾患を
検出するために有用である。好ましい動物としては、サル(monkey)、人
猿(ape)、ネコ、イヌ、鳥類、ウシ、ブタ、マウス、ウマ、ウサギ、および
ヒトが挙げられる。特に好ましいのはヒトである。
【0178】 総RNAは、Chomezynskiら(1987)Anal.Bioche
m.162:156〜159(1987)に記載される一工程のグアニジン−チ
オシアネート−フェノール−クロロホルム方法のような任意の適切な技術を使用
して、生物学的サンプルから単離され得る。次いで、相補配列間のハイブリダイ
ゼーションについて可能にするように表1において同定される核酸配列に対して
十分な相同性を有するStaphylococcusポリペプチドをコードする
mRNAが、任意の適切な方法を使用してアッセイされる。これらの方法として
は、ノーザンブロット分析、S1ヌクレアーゼマッピング、ポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応との組み合わせにおける逆転写(RT−P
CR)、およびリガーゼ連鎖反応との組み合わせにおける逆転写(RT−LCR
)が挙げられる。
【0179】 ノーザンブロット分析は、Haradaら(1990)Cell 63:30
3〜312に記載されるように実施され得る。簡潔にいうと、総RNAを、上記
のような生物学的サンプルから調製する。ノーザンブロット分析のために、この
RNAを適切な緩衝液(例えば、グリオキサール/ジメチルスルホキシドリン酸
緩衝液)中で変性させ、アガロースゲル電気泳動に供し、そしてニトロセルロー
スフィルター上に移す。このRNAがUVリンカーによってフィルターに連結さ
れた後、このフィルターを、ホルムアミド、SSC、デンハルト溶液、変性サケ
精子、SDS、およびリン酸ナトリウム緩衝液を含む溶液中でプレハイブリダイ
ズする。任意の適切な方法(例えば、32PをマルチプライムされるDNA標識系
(Amersham))に従って標識された、表1に示されるS.aureus
ポリペプチドのDNA配列を、プローブとして使用する。一晩のハイブリダイゼ
ーションの後、このフィルターを洗浄し、そしてX線フィルムに曝露する。本発
明に従ってプローブとして使用するDNAは、上記の節において記載し、そして
それは、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド長である。
【0180】 S1マッピングは、Fujitaら(1987)Cell 49:357〜3
67に記載されるように実施され得る。S1マッピングにおける使用のためのプ
ローブDNAを調製するために、本発明の上記のS.aureus DNA配列
のセンス鎖をテンプレートとして使用して、標識されたアンチセンスDNAを合
成する。次いで、このアンチセンスDNAを適切な制限エンドヌクレアーゼを使
用して消化して、所望される長さのさらなるDNAプローブを生成する。このよ
うなアンチセンスプローブは、標的mRNA(すなわち、Staphyloco
ccusポリペプチドをコードするmRNA)に対応する、可視化された保護バ
ンドのために有用である。
【0181】 StaphylococcusポリペプチドをコードするmRNAのレベルは
、例えば、Makinoら(1990)Technique 2:295〜30
1に記載されるRT−PCR方法を使用してアッセイされる。この方法によって
、ポリアクリルアミドゲルバンド中の「アンプリコン(amplicon)」の
放射能は、標的mRNAの初期濃度に直線的に関連する。簡潔にいうと、この方
法は、RTプライマーおよび適切な緩衝液を含む反応混合物中の生物学的サンプ
ルから単離される、さらなる総RNAを含む。プライマーのアニーリングのため
のインキュベーションの後、この混合物にRT緩衝液、dNTP、DTT、RN
アーゼインヒビターおよび逆転写酵素が補充され得る。RNAの逆転写を達成す
るためのインキュベーションの後、次いで、このRT産物を標識されたプライマ
ーを使用してPCRに供する。あるいは、標識されたプライマーよりもむしろ、
標識されたdNTPが、このPCR反応混合物中に含まれ得る。PCR増幅は、
従来の技術に従って、DNAサーマルサイクラーで実施され得る。増幅を達成す
るための適切な数の回数の後、このPCR反応混紡物をポリアクリルアミドゲル
上で電気泳動する。このゲルを乾燥した後、適切なバンド(本発明のStaph
ylococcusポリペプチドをコードするmRNAに対応する)の放射能を
、画像分析機を使用して定量する。RTおよびPCR反応成分および条件、試薬
およびゲル濃度、ならびに標識方法は、当該分野で周知である。RT−PCT方
法における改変は、当業者に明らかである。本発明の核酸を検出し得る他のPC
R方法は、PCR PRIMER:A LABORATORY MANUAL(
C.W.Dieffenbachら編、Cold Spring Harbor
Lab Press、1995)において見出され得る。
【0182】 本発明のポリヌクレオチド(DNAおよびRNAの両方を含む)は、バイオチ
ップ技術を使用して本発明のポリヌクレオチドまたはStaphylococc
us種(S.aureusを含む)を検出するために用いられ得る。本発明は、
高密度のチップアレイ(1cm2あたり1000より多いオリゴヌクレオチド)
および低密度のチップアレイ(1cm2あたり1000未満のオリゴヌクレオチ
ド)の両方を含む。本発明のポリヌクレオチドのアレイを含むバイオチップは、
生物学的サンプルおよび環境的サンプルにおいて、Staphylococcu
s種(S.aureusを含む)を検出するために、およびS.aureus感
染または他のStaphylococcus感染を有する動物(ヒトを含む)を
診断するために、使用され得る。本発明のバイオチップは、迅速な示唆的な病原
体の検出および診断を迅速に用いるために、本発明のポリヌクレオチド配列に加
えて、他の病原体のポリヌクレオチド配列(細菌、ウイルス、寄生生物、および
真菌のポリヌクレオチド配列を含む)を含み得る。このバイオチップはまた、S
.aureus感染および他のStaphylococcus感染をモニターす
るために、ならびに診療所における薬物治療に対する遺伝的変化(欠失、挿入、
ミスマッチなど)および研究室における薬物の開発をモニターするために、使用
され得る。本発明のポリヌクレオチドのアレイを含むバイオチップ技術はまた、
本発明の遺伝子を含む、複数の遺伝子の発現を同時にモニターするために使用さ
れ得る。さらに、本発明のバイオチップは、本発明のポリヌクレオチドに結合す
る多数のペプチド、ポリペプチド、抗体、低分子および他の薬物化合物をスクリ
ーニングするために使用され得る。このバイオチップはまた、ペプチド、ポリペ
プチド、抗体、低分子および他の薬物化合物の、本発明のポリヌクレオチドに対
する相対的な結合および結合親和性(オンレート(on−rate)またはオフ
レート(off−rate)を測定するために使用され得る。選択されるアレイ
を含むこのポリヌクレオチドは、フラグメントについて同じ様式(すなわち、連
続する塩基対およびそれを含む5‘および3’位置ならびに長さ)で特定され得
る。バイオチップ技術を用いてStaphylococcus種(S.aure
usを含む)を検出するための本発明のポリヌクレオチドの方法および特定の使
用は、当該分野で公知の方法および使用、ならびに以下の方法および使用を含む
:米国特許第5324633号、同第5510270号、同第5545531号
、同第5445934号、同第5677195号、同第5532128号、同第
5556752号、同第5527681号、同第5451683号、同第542
4186号、同第5607646号、同第5658732号および国際特許第W
O/9710365、同第WO/9511995、同第WO/9743447、
同第WO/9535505、これらの各々は、これら全体が本明細書中に援用さ
れる)。
【0183】 本発明のポリヌクレオチドを使用するバイオセンサはまた、S.aureus
または他のStaphylococcus種およびその感染を検出、診断、なら
びにモニターするために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドを使用するバ
イオセンサはまた、本発明の特定のポリヌクレオチドを検出するために使用され
得る。本発明のポリヌクレオチドを使用するバイオセンサはまた、診療所におけ
る薬物治療に対する遺伝的変化(欠失、挿入、ミスマッチなど)および研究室に
おける薬物の開発をモニターするために使用され得る。さらに、本発明のバイオ
センサは、本発明のポリヌクレオチドに結合する多数のペプチド、ポリペプチド
、抗体、低分子および他の薬物化合物をスクリーニングするために使用され得る
。本発明のバイオセンサはまた、ペプチド、ポリペプチド、抗体、低分子および
他の薬物化合物の、本発明のポリヌクレオチドに対する相対的な結合および結合
親和性(オンレートまたはオフレート)を測定するために使用され得る。バイオ
センサを用いてStaphylococcus種(S.aureusを含む)を
検出するための本発明のポリヌクレオチドの方法および特定の使用は、当該分野
で公知の方法および使用、ならびに以下の方法および使用を含む:米国特許第5
721102号、同第5658732号、同第5631170号、および国際特
許第WO/9735011、同第WO/9720203、これらの各々は、これ
ら全体が本明細書中に援用される)。
【0184】 従って、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むバイオチップおよびバイ
オセンサの両方、ならびにそれらの使用の方法を包含する。
【0185】 生物学的サンプル中のStaphylococcusポリペプチドレベルをア
ッセイする工程は、抗体に基づく技術のような任意の技術分野で公知の方法を使
用して生じ得る。例えば、組織中のStaphylococcusポリペプチド
発現は、古典的な免疫組織学的方法で研究され得る。これにおいて、特定の認識
が一次抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)によって提供されるが、二
次抗体検出系は、蛍光、酵素、または二次抗体に結合体化される他のものを利用
し得る。結果として、病原体試験のために組織片の免疫組織学的染色が得られる
。組織をまた、ウエスタンブロットまたはドット/スロットアッセイのためのS
taphylococcusポリペプチドの遊離のために、例えば、尿素および
中性界面活性剤で抽出し得る。例えば、Jalknen,M.ら(1987)J
.Cell.Biol.101:976〜985;Jalknen,M.ら(1
985)J.Cell.Biol.105:3087〜3096を参照のこと。
この技術において、この技術はカチオン性固相の使用に基づき、Staphyl
ococcusポリペプチドの定量は、単離されたStaphylococcu
sポリペプチドを標準として使用して達成され得る。この技術はまた、体液に対
して適用され得る。
【0186】 Staphylococcusポリぺプチド遺伝子の発現の検出に有用な、他
の抗体に基づく方法としては、ELISAおよびラジオイムノアッセイ(RIA
)ようなイムノアッセイが挙げられる。例えば、Staphylococcus
ポリぺプチドに特異的なモノクローナル抗体は、Staphylococcus
ポリぺプチドを検出し、そして定量するために、免疫吸着剤としておよび抗体標
識プローブとしての両方で使用され得る。サンプル中に存在するStaphyl
ococcusポリぺプチドの量は、直線回帰コンピューターアルゴリズムを使
用して標準調製物中に存在する量に関して算出され得る。このようなELISA
は、Iacobelliら(1988)Breast Cancer Rese
arch and Treatment 11:19−30に記載される。別の
ELISAアッセイでは、2つの異なる特異的のモノクローナル抗体を使用して
体液中のStaphylococcusポリぺプチドを検出し得る。このアッセ
イでは、抗体の一方が免疫吸着剤として、そして他方が酵素標識プローブとして
使用される。
【0187】 上記の技術は、基本的に「1工程」アッセイもしくは「2工程」アッセイとし
て行われ得る。「1工程」アッセイは、Staphylococcusポリぺプ
チドを固定化抗体と接触させ、そして洗浄を伴わないでこの混合物を標識化抗体
と接触させる工程を包含する。「2工程」アッセイは、この混合物を標識化抗体
と接触させる工程の前の洗浄を包含する。他の従来の技術もまた適切なように使
用され得る。通常、アッセイシステムの1つの成分を支持体に固定することが所
望される。それにより、このシステムの他の成分が、この成分と接触することを
可能にし、ならびにこのサンプルから容易に除去されることを可能にする。上記
の改変方法および本発明に含まれる他の免疫学的な方法はまた、Harlowら
,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,(Col
d Spring Harbor Laboratory Press,第2版
1988)に見出され得る。
【0188】 適切な酵素標識としては、例えば、オキシダーゼ群由来の標識が挙げられる。
オキシダーゼは、基質と反応することによって過酸化水素の生成を触媒する。グ
ルコースオキシダーゼは、それが優れた安定性を有し、そしてその基質(グルコ
ース)が容易に入手可能であるので、特に好ましい。オキシダーゼ標識の活性は
、酵素標識抗体/基質反応により形成される過酸化水素の濃度を測定することに
よってアッセイされ得る。酵素に加えて、他の適切な標識としては、放射性同位
元素(例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチ
ウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc))、お
よび蛍光標識(例えば、フルオレッセインおよびローダミン)、ならびにビオチ
ンが挙げられれる。
【0189】 本発明のStaphylococcusポリぺプチドの特異的抗体のためのさ
らなる適切な標識は、以下に提供される。適切な酵素標識の例としては、リンゴ
酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラー
ゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロールリン酸デヒドロゲナー
ゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスフ
ァターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ
、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒド
ロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられ
る。
【0190】 適切な放射性同位元素の例としては、3H、111In、125I、131I、32P、35 S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu
217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pdなどが挙げられる。インビボ画
像処理を使用する場合、111Inが好ましい同位元素である。なぜなら、111In
は、125Iもしくは131I標識のモノクローナル抗体の肝臓による脱ハロゲン化の
問題を避けるからである。さらに、この放射ヌクレオチド(radionucl
eotide4)は、画像処理のためにより都合よいγ放出エネルギーを有する
。例えば、Perkinsら(1985)Eur.J.Nucl.Med.10
:296−301;Carasquilloら(1987)J.Nucl.Me
d.28:281−287を参照のこと。例えば、1−(P−イソチオシアネー
トベンジル)−DPTAを有するモノクローナル抗体にカップリングされた111
Inは、非腫瘍組織、特に肝臓にほとんど取り込みを示さず、従って、腫瘍局在
化の特異性を増大する。Estebanら(1987)J.Nucl.Med.
28:861−870を参照のこと。
【0191】 適切な非放射活性同位体標識の例としては、157Gd、55Mn、162Dy、52
r、および56Feが挙げられる。
【0192】 適切な蛍光標識の例としては、152Eu標識、フルオレッセイン標識、イソチ
オシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン標
識、アロフィコシアニン標識、o−フタルデヒド標識、およびフルオレサミン標
識が挙げられる。
【0193】 適切な毒素標識の例としては、Pseudomonas毒素、ジフテリア毒素
、リシン、およびコレラ毒素が挙げられる。
【0194】 化学発光標識の例としては、ルミナル標識、イソルミナル標識、芳香族アクリ
ジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エ
ステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、およびエクオリン標識が
挙げられる。
【0195】 核磁気共鳴対照試薬の例としては、重金属(例えば、Gd、Mn、および鉄)
が挙げられる。
【0196】 上記に記載した標識を抗体に結合するための代表的な技術は、Kennedy
ら(1976)Clin.Chim.Acta 70:1−31、およびSch
ursら(1977)Clin.Chim.Acta 81:1−40に提供さ
れる。以下で言及されるカップリング技術は、グルタールアルデヒド法、過ヨウ
素酸法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スクシン
イミドエステル法であり、これらの全ての方法は、本明細書中に参考として援用
される。
【0197】 関連した局面において、本発明は、S.aureus感染に対して特異的な抗
体を含む血清のスクリーニングにおける使用のための診断キットを包含する。こ
のようなキットは、少なくとも1つの抗S.aureus抗体と特異的に免疫反
応性であるエピトープを含む単離されたS.aureus抗原を含み得る。この
ようなキットはまた、上記の抗体の抗原への結合を検出するための手段を含む。
特定の実施態様において、このキットは、組換え的に生成されたまたは化学的に
合成された、ペプチド抗原もしくはポリペプチド抗原を含み得る。このペプチド
抗原もしくはポリペプチド抗原は、固相支持体に付着され得る。
【0198】 さらに特定の実施態様において、上記のキットの検出手段は、上記のペプチド
抗原もしくはポリペプチド抗原が付着される固相支持体を含む。このようなキッ
トはまた、付着されていないレポーター標識された非ヒト抗体を含み得る。この
実施態様において、この抗体のS.aureus抗原への結合は、レポーター標
識した抗体の抗S.aureusポリペプチド抗体への結合により検出され得る
【0199】 関連した局面において、本発明は、被験体におけるS.aureus感染を検
出する方法を包含する。この検出方法は、被験体由来の体液、好ましくは血清を
、単離したS.aureus抗原と反応させる工程、および結合した抗体の存在
についてこの抗原を試験する工程を包含する。特定の実施態様において、この方
法は、固相支持体に付着されたポリペプチド抗原を含み、そして血清をこの支持
体と反応させる。続いて、この支持体を、レポーター標識された抗ヒト抗体と反
応させる。次いで、レポーター標識された抗体の存在についてこの支持体を試験
する。
【0200】 上記のアッセイおよびキットにおいて使用される固体表面試薬は、タンパク質
材料を固相支持体材料(例えば、ポリマー性ビーズ、ディップスティック、96
ウェルプレートまたはフィルター材料)に付着するための公知の技術により調製
される。これらの付着方法は、一般的に、タンパク質の支持体への非特異的な吸
着、またはタンパク質の固相支持体上の化学反応基(例えば、活性化したカルボ
キシル基、ヒドロキシル基、またはアルデヒド基)への共有結合的な付着(代表
的に、遊離アミン基を介して)を包含する。あるいは、ビオチン化抗原と共に、
ストレプトアビジン被覆プレートが使用され得る。
【0201】 本発明のポリペプチドおよび抗体(それらのフラグメントを含む)は、バイオ
チップおよびバイオセンサー技術を使用して、ブドウ球菌種(S.aureus
を含む)を検出するために使用され得る。本発明のバイオチップおよびバイオセ
ンサーは、ブドウ球菌種(S.aureusを含む)を特異的に認識する抗体を
検出するための本発明のポリペプチドを含み得る。本発明のバイオチップおよび
バイオセンサーはまた、ブドウ球菌種(S.aureusを含む)または本発明
の特定のポリペプチドを検出するために、本発明のポリペプチドを特異的に認識
する抗体を含み得る。本発明のポリペプチドおよび抗体を含むバイオチップまた
はバイオセンサーは、生物学的サンプルおよび環境サンプル中のブドウ球菌種(
S.aureusを含む)を検出するため、ならびにS.aureus感染もし
くは他のブドウ球菌感染を有する動物(ヒトを含む)を診断するために使用され
得る。従って、本発明は、本発明のポリペプチドまたは抗体を含むバイオチップ
およびバイオセンサー、ならびにそれらの使用方法の両方を包含する。
【0202】 上記で議論した本発明のバイオチップは、迅速な示差的な病原検出および診断
における使用のために、本発明のポリペプチド配列に加えて、細菌、ウイルス、
寄生生物、および真菌のポリペプチド配列を含む他の病原体のポリペプチド配列
をさらに含み得る。本発明のバイオチップは、迅速な示差的な病原検出および診
断における使用のために、本発明の抗体またはそれらのフラグメントに加えて、
細菌、ウイルス、寄生生物、および真菌のポリペプチド配列を含む他の病原体に
特異的な抗体またはそれらのフラグメントをさらに包含し得る。本発明のバイオ
チップおよびバイオセンサーはまた、S.aureus感染もしくは他のブドウ
球菌感染をモニターするため、および研究所での治療開発および薬物開発におい
て薬物治療に応じる遺伝的変化(アミノ酸欠損、挿入、置換など)をモニターす
るために使用され得る。本発明のポリペプチドまたは抗体を包含するバイオチッ
プおよびバイオセンサーはまた、本発明のポリペプチドを含む多数のポリペプチ
ドの発現を同時にモニターするため使用され得る。さらに、本発明のバイオチッ
プおよびバイオセンサーは、本発明のポリペプチドに結合する、膨大な数のポリ
ヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、抗体、低分子、および他の薬物化合物
をスクリーニングするために使用され得る。このバイオチップはまた、ポリヌク
レオチド、ペプチド、ポリペプチド、抗体、低分子および他の薬物化合物の本発
明のポリペプチドに対する相対的な結合または結合親和性(オン速度またはオフ
速度)を測定するために使用され得る。本発明のバイオチップおよびバイオセン
サーを構成するために使用されるポリぺプチドは、フラグメントについてと同じ
様式で(すなわち、それらの連続したアミノ酸残基中のN末端位およびC末端位
または長さによって)特定化され得る。バイオチップおよびバイオセンサー技術
を使用してブドウ球菌種(S.aureusを含む)または特定のポリペプチド
を検出するための本発明のポリヌクレオチドおよび抗体の方法ならびに特定の使
用は、当該分野に公知の技術、本発明のポリぺプチドを使用するバイオチップお
よびバイオセンサーについて上記に列挙した米国特許および世界特許の技術、お
よび以下の技術を含む:米国特許第5324633号、同第5658732号、
同第5135852号、同第5567301号、同第5677196号、同第5
690894号、同第5527681号、同第5510270号、同第5545
531号、同第5445934号、同第5677195号、同第5532128
号、同第5556752号、同第5451683号、同第5424186号、同
第5607646号、および世界特許第WO/9729366号、同第WO/9
612957号、同第WO/9710365号、同第WO/9511995号、
同第WO/9743447号、同第WO/9535505号が挙げられ、各々は
それらの全体において本明細書中に援用される。
【0203】 (処置) (アゴニストおよびアンタゴニスト−アッセイおよび分子) 本発明はまた、本発明のS.aureusポリペプチドの生物学的活性を増強
またはブロックする化合物を同定するために、化合物をスクリーニングする方法
を提供する。本発明はさらに、S.aureusを殺傷もしくは増殖を遅延させ
る化合物を提供する。S.aureusアンタゴニスト(S.aureusリガ
ンドを含む)が抗生物質耐性を予防的もしくは治療的にブロックする能力は、当
業者により容易に試験され得る。例えば、Strandenら(1997)J
Bacteriol.179(1):9−16を参照のこと。
【0204】 アゴニストは、天然の生物学的機能を増大する化合物、または本発明のポリペ
プチドと類似する様式で機能する化合物であるが、アンタゴニストはそのような
機能を減少または排除する。可能性のあるアンタゴニストとしては、本発明のポ
リペプチドに結合し、それによって、それらの活性を阻害または排除する小有機
分子、ペプチド、ポリペプチド、および抗体が挙げられる。
【0205】 アンタゴニストは、例えば、ペプチドグリカン架橋形成を阻害するために使用
され得る。S.aureusに対する抗体は、抗生物質耐性を処置するために、
S.aureusに結合し、そしてS.aureus活性を阻害するために使用
され得る。上記のアンタゴニストのいずれかは、薬学的に受容可能なキャリアと
共に組成物中に使用され得る。
【0206】 (ワクチン) 本発明はまた、本発明の1つ以上のポリペプチドを含むワクチンを提供する。
ワクチンの組成物における異質性は、本発明のS.aureusポリペプチドを
組み合わせることによって提供され得る。この型の多成分ワクチンは、Stap
hylococcus属の多数の種および株に対する防御免疫応答の惹起におい
て、単一ポリペプチドワクチンよりも効果的であると思われるので、所望され得
る。
【0207】 多成分ワクチンは、多数の免疫原性成分に対する抗体産生を惹起することが当
該分野で公知である。例えば、Deckerら(1996)J.Infect.
Dis.174:S270−275を参照のこと。さらに、最近、B型肝炎、ジ
フテリア、破傷風、百日咳四種混合(tetravalent)ワクチンは、ヒ
ト乳児において4つ全ての病原性因子に対する防御レベルの抗体を惹起すること
が実証された。例えば、Aristegui,J.ら(1997)Vaccin
e 15:7−9を参照のこと。
【0208】 本発明は、単一成分ワクチンに加えて、多成分ワクチンを包含する。これらの
ワクチンは、1つより多いポリペプチド、免疫原または抗原を含む。従って、多
成分ワクチンは、1つより多い本発明のS.aureusポリペプチドを含むワ
クチンである。
【0209】 さらに、全細胞および全ウイルスワクチンは、本発明の範囲内である。このよ
うなワクチンは組換え的に生成され得、そして表1に記載される1つ以上のS.
aureusポリペプチドの発現を包含し得る。例えば、本発明のS.aure
usポリペプチドは、細胞内部に、細胞表面上、またはペリプラズム空間中に分
泌させられるかまたは局在させられるかのいずれかであり得る。さらに、組換え
ウイルスが使用される場合、本発明のS.aureusポリペプチドは、例えば
、ウイルスエンベロープ、キャプシド表面上、またはキャプシド内部に局在化さ
れ得る。異質性タンパク質を発現する細胞を使用する全細胞ワクチンは、当該分
野で公知である。例えば、Robinson,K.ら(1997)Nature
Biotech.15:653−657;Sirard,J.ら(1997)
Infect.Immun.65:2029−2033;Chabalgoit
y,J.ら(1997)Infect.Immun.65:2402−2412
を参照のこと。これらの細胞は生きたままで投与され得るか、または投与前に殺
傷され得る。例えば、Chabalgoity,J.ら(前出)は、扁形動物脂
肪酸結合タンパク質の一部分を、その細胞表面上で融合タンパク質として発現す
る、生きている弱毒化Salmonellaワクチン株のマウスにおける首尾の
良い使用を報告している。
【0210】 多成分ワクチンはまた、当該分野に公知の技術を使用して、本発明の1つ以上
のS.aureusポリぺプチド、またはそれらのフラグメントをさらなる非ブ
ドウ球菌成分(例えば、ジフテリア毒素もしくは破傷風毒素、および/または免
疫応答を惹起することが公知の他の成分)と組み合わせることによって調製され
得る。このようなワクチンは、Staphylococcus属および非ブドウ
球菌病原性因子の両方のメンバーに対する防御免疫応答の惹起に有用である。
【0211】 本発明のワクチンはまた、DNAワクチンを包含する。DNAワクチンは、現
在、多くの感染性疾患について開発中である。例えば、Boyerら(1997
)Nat.Med.3:526−532;Spier,R.(1996)Vac
cine 14:1285−1288の概説を参照のこと。このようなDNAワ
クチンは、本ポリペプチドの発現を可能にする様式に配向された、本発明の1つ
以上のS.aureusポリぺプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。例
えば、B.burgdorgeri OspAをコードするプラスミドDNAの
直接投与は、ボレリアチャレンジに対してマウスにおいて防御免疫を惹起するこ
とが示された。Lukeら(1997)J.Infect.Dis.175:9
1−97を参照のこと。
【0212】 本発明はまた、免疫応答を調節し得る分子と同時投与されるワクチンの投与に
関する。例えば、Kimら(1997)Nature Biotech.15:
641−646は、DNA免疫により生じる免疫応答は、免疫応答を刺激する分
子をコードするDNA配列を同時投与した場合に増大されることを報告している
。同様の様式において、本発明のワクチンは、免疫調節因子をコードする核酸ま
たは免疫調節因子自身のいずれかと同時投与され得る。これらの免疫調節因子と
しては、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)およびCD8
6が挙げられる。
【0213】 本発明のワクチンは、受動免疫またはの能動免疫のいずれかによってブドウ球
菌感染に対する耐性を与えるために使用され得る。本発明のワクチンが、ブドウ
球菌感染に対する耐性を与えるために能動免疫を介して使用される場合、本発明
のワクチンは、ブドウ球菌感染の防止または弱毒化のいずれかの防御免疫応答を
惹起するために動物に投与される。本発明のワクチンが、ブドウ球菌感染に対す
る耐性を与えるために受動免疫を介して使用される場合、このワクチンは、宿主
動物(例えば、ヒト、イヌ、またはマウス)に提供され、そしてこの抗血清によ
り惹起された抗血清が回収され、そしてStaphylococcus属のメン
バーにより引き起こされる感染を有する疑いのあるレシピエントに直接的に提供
される。
【0214】 抗体、または抗体のフラグメントを毒素分子で標識できることは、受動免疫が
行われる場合のブドウ球菌感染を処置するためのさらなる方法を提供する。この
実施態様において、本明細書中に開示されるS.aureusポリぺプチド、ま
たはそれらのフラグメント、ならびに他のStaphylococcusタンパ
ク質を認識し得る抗体、または抗体のフラグメントは、患者への投与前に毒素分
子で標識される。このような毒素誘導体化抗体がStaphylococcus
細胞に結合する場合、毒素部分はこれらの細胞に局在化され、そしてそれらの死
を引き起こす。
【0215】 従って、本発明は、本発明のポリぺプチドに応じて産生される抗血清によって
認識されそして結合される抗原を有する生物体から生じるブドウ球菌感染を、予
防または弱毒化する手段に関連しそしてその手段を提供する。本明細書において
使用されるように、ワクチンの動物への投与が、疾患の症状もしくは状態の全体
的な弱毒化もしくは部分的な弱毒化(すなわち、抑制)、または疾患に対する動
物の全体的な免疫もしくは部分的な免疫のいずれかを生じる場合に、ワクチンは
疾患を予防または弱毒化したといわれる。
【0216】 ワクチン(またはそれが惹起する抗血清)の投与は、「予防」目的または「治
療」目的のいずれかのためであり得る。予防的に提供される場合、この化合物は
、ブドウ球菌感染の任意の症状より前に提供される。化合物の予防的な投与は、
引き続く任意の感染を予防または弱毒化するために使用される。治療的に提供さ
れる場合、化合物は、動物がStaphylococcus属のメンバーに感染
したかもしれないことを示す症状を検出した際に、または検出した後に提供され
る。化合物の治療的投与は、実際の任意の感染を弱毒化するために使用する。従
って、本発明のS.aureusポリぺプチド、およびそれらのフラグメントは
、感染の発症前(予想される感染を防止または弱毒化するために)または実際の
感染の開始後のいずれかで提供され得る。
【0217】 本発明のポリぺプチドは、ネイティブなタンパク質の一部分またはそれらの機
能的な誘導体をコードするか否かに関わらず、純粋な形態で投与され得るか、ま
たは高分子キャリアとカップリングさせられ得る。このようなキャリアの例は、
タンパク質および炭水化物である。本発明のポリぺプチドの免疫原性を増大する
ための高分子キャリアとして作用し得る適切なタンパク質としては、キーホール
リンペットヘモシアニン(KLH)破傷風毒素、百日咳毒素、ウシ血清アルブミ
ン、およびオボアルブミンが挙げられる。本発明のポリぺプチドをこのような高
分子キャリアにカップリングするための方法は、Harlowら,ANTIBO
DIES:A LABORATORY MANUAL,(Cold Sprin
g Habor Laboratory Press,第二版、1988)に開
示される。
【0218】 レシピエント動物が組成物投与に耐性を示し得るか、さもなければ組成物がこ
の動物への投与に適している場合、組成物は、「薬学的にまたは生理学的に受容
可能」であるといわれる。このような薬剤は、投与される用量が生理学的に有意
である場合、「治療的に有効量」で投与されるといわれる。薬剤は、その存在が
、レシピエント患者の生理機能において検出可能な変化を生じる場合、生理学的
に有意である。
【0219】 全ての場合において、本発明のワクチンは薬学的に受容可能な化合物として投
与されるが、当業者は、薬学的に受容可能な化合物の組成物は、投与される動物
に伴い変化することを認識する。例えば、ヒトのために意図されるワクチンは、
一般に、フロイントアジュバントと共に同時投与されない。さらに、本発明のS
.aureusポリぺプチドの純度のレベルは、通常、ヒト以外の動物に投与さ
れるときよりもヒトに投与されるときの方がより高い。
【0220】 当業者によって理解されるように、本発明のワクチンが動物に提供される場合
、ワクチンは、塩、緩衝液、アジュバント、または組成物の効力の改善に所望さ
れる他の物質を含み得る組成物中に存在し得る。アジュバントは、特異的な免疫
応答を特異的に増大させるために使用され得る物質である。これらの物質は、一
般に、2つの機能を果たす:(1)投与後に迅速に代謝されることから抗原を防
御する、および(2)免疫応答を非特異的に刺激する。
【0221】 通常、アジュバントおよび組成物は免疫系に提示される前に混合されるか、ま
たは別々にであるが免疫される動物の同じ部位に提示される。アジュバントは、
これらの組成物に基づいて、大別していくつかのグループに分けられ得る。これ
らのグループには、オイルアジュバント(例えば、フロイント完全アジュバント
およびフロイント不完全アジュバント)、無機塩(例えば、AlK(SO42
AlNa(SO42、AlNH4(SO4)、シリカ、カオリン、および炭素)、
ポリヌクレオチド(例えば、ポリIC酸およびポリAU酸)および特定の天然物
質(例えば、Mycobacterium tuberculosis由来のワ
ックスD、ならびにCorynebacterium parvum、またはB
ordetella pertussis、およびBrucella属のメンバ
ーに見出された物質)が含まれる。アジュバントとして有用な他の物質は、例え
ば、Quil A(Superfos A/S,Denmark)のようなサポ
ニンである。本発明の使用に好ましいアジュバントとしては、アルミニウム塩(
例えば、AlK(SO42、AlNa(SO42、およびAlNH4(SO4))
が挙げられる。ワクチン組成物における使用に適した材料の例は、REMING
TON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES 1324−1
341(A.Osol編,Mack Publishing Co,Easto
n,PA,(1980)(本明細書中に参考として援用される)に提供される。
【0222】 本発明の治療的組成物は、注射、急速注入(rapid infusion)
、鼻咽頭吸着(鼻腔内(intranasopharangeally))、経
皮吸着(dermoabsorption)により非経口的に投与され得るか、 または経口的に投与され得る。あるいは、組成物は、筋肉内、または静脈内に投 与され得る。非経口投与のための組成物は、滅菌水性溶液もしくは滅菌非水性の 溶液、懸濁液、およびエマルジョンを包含する。非水性溶媒の例は、プロピレン グリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブオイル)、お よび注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。キャリアま たは密封包帯を使用して皮膚透過性を増大し得、そして抗原の吸収を増大し得る 。経口投与のための液体投薬形態は、一般に、液体投薬形態を含むリポソーム溶 液を包含し得る。リポソーム懸濁に適した形態としては、当該分野において使用 される不活性希釈液(例えば、精製水)を含むエマルジョン、懸濁液、溶液、シ ロップ、および通常、エリキシルが挙げられる。不活性希釈液に加えて、このよ うな組成物はまた、アジュバント、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、または甘味料 、香味料、もしくは香料を含み得る。
【0223】 本発明の治療的組成物は、カプセル化形態で投与され得る。例えば、ポリ(D
L−ラクチド−コ(co)−グリコリド)から構成される生分解性のミクロスフ
ェア中にカプセル化されたワクチンを使用する鼻腔内免疫。Shahin,R.
ら(1995)Infect.Immun.63:1195−1200を参照の
こと。同様に、経口投与カプセル化Salmonella typhimuri
um抗原もまた使用され得る。Allaoui−Attarki,Kら(199
7)Infect.Immun.65:853−857。本発明のカプセル化ワ
クチンは、ワクチンと粘膜との接触を伴う経路(例えば、鼻腔内、結腸内、十二
指腸内)を含む種々の経路で投与され得る。
【0224】 多回投与レジメを利用する場合、免疫の時間的調整のために、様々な多くの技
術が存在する。免疫された動物により発現される免疫グロブリンレパートリーの
発現のレベルおよび多様性を増大するために、本発明の組成物を一度より多く使
用することが可能である。代表的に、多数回の免疫が与えられる場合、組成物は
1〜2ヶ月あけて与えられる。
【0225】 本発明によれば、治療的組成物の「有効量」は、所望の生物学的効果を達する
のに十分な量である。一般に、有効量の組成物を提供するのに必要とされる投薬
量は、動物またはヒトの年齢、状態、性別、および疾患の程度のような因子、(
あれば)および当業者により調節可能であり得る他の可変因子に依存して変化す
る。
【0226】 本発明の抗原性調製物は、有効量の単回投薬または多数回投薬のいずれかによ
り投与され得る。本発明の組成物の有効量は、1投薬あたり0.01〜1,00
0μg/ml、より好ましくは1投薬あたり0.1〜500μg/ml、そして
最も好ましくは1投薬あたり10〜300μg/mlで変化し得る。
【0227】 (実施例) (実施例1:寄託サンプルからの選択されたDNAクローンの単離) 本発明のポリヌクレオチドを含むS.aureusクローンを、S.aure
usゲノムDNAライブラリーから単離するために、3つのアプローチを使用し
得る。S.aureus株ISP3は、当該分野において広範な種々のS.au
reus株が使用され得るが、S.aureus株を得るための簡便的な供給源
として寄託されている。
【0228】 S.aureusゲノムDNAを、以下の方法を使用して調製する。リッチな
培地(例えば、Trypticase Soy Broth,Brain He
art Infusion brothまたはSuper broth)で一晩
増殖させた細菌培養物をペレット化し、TES(30mM Tris−pH8.
0,25mM EDTA,50mM NaCl)で2回洗浄し、そして5mlの
高塩濃度のTES(2.5M NaCl)中に再懸濁する。リソスタフィンを、
最終濃度が約50μg/mlになるまで添加して、そしてプロトプラスト細胞を
作製するために、その混合物を37℃にて1時間穏やかに旋回した。次いで、こ
の溶液をインキュベーター中に配置(または振盪ウォーターバス中に配置)し、
そして55℃まで暖める。次いで、500μlのTES中20% サルコシル(
sarcosyl)(最終濃度2%)を添加して細胞を溶解する。次に、グアニ
ジンHClを最終濃度が7M(5.5ml中3.69g)まで添加する。この混
合物を、55℃にて60〜90分間穏やかに攪拌する(溶液は透明になる)。次
いで、2.0mlの5.7M CsClを使用してSW41ウルトラクリアチュ
ーブ中にCsCl勾配を設定し、そして2.85M CsClを重層する。この
勾配にDNA含有GuHCl溶液を注意深く重層する。この勾配を、30,00
0rpm、20℃、24時間遠心し、そして下位のDNAバンドを収集する。容
量をTE緩衝液で5mlまで増加させる。次いで、このDNAをプロテアーゼK
(10μg/ml)で37℃にて一晩処理し、そしてエタノールで沈殿させる。
この沈殿したDNAを、所望の緩衝液中に再懸濁する。
【0229】 第1の方法では、プラスミドを、本発明のポリヌクレオチドに対応するポリヌ
クレオチドプローブを使用して、プラスミドS.aureusゲノムDNAライ
ブラリーをスクリーニングすることにより直接的に単離する。特に、30〜40
ヌクレオチドの特定のポリヌクレオチドを、報告された配列に従って、Appl
ied Biosystems DNAシンセサイザーを使用して合成する。こ
のオリゴヌクレオチドを、例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32 P−γ−ATPで標識し、そして通常の方法に従って精製する。(例えば、Ma
niatisら,Molecular Cloning:A Laborato
ry Manual,Cold Spring Harbor Press,C
old Spring,NY(1982)を参照のこと。)ライブラリーを、当
業者に公知の技術を使用して上記に記載されるような適切な宿主(例えば、XL
−1 Blue(Stratagene))に形質転換する。例えば、Samb
rookら、MOLECULAR CLONING:A LOBORATORY
MANUAL(Cold Spring Harbor,N.Y.第2版、1
989);Ausubelら、CURRENT PROTOCALS IN M
OLECULAR BIOLOGY(John WileyおよびSons,N
.Y.1989)を参照のこと。形質転換体を、1.5%寒天プレート(適切な
選択薬剤(例えば、アンピシリン)を含有する)上に、プレートあたり約150
の形質転換体(コロニー)の密度でプレートする。細菌コロニースクリーニング
のための通常の方法に従って、これらのプレートをナイロン膜を使用してスクリ
ーニングする。例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONI
NG:A LOBORATORY MANUAL(Cold Spring H
arbor,N.Y.第2版、1989);Ausubelら、CURRENT
PROTOCALS IN MOLECULAR BIOLOGY(John
WileyおよびSons,N.Y.1989)、または当業者に公知の他の
技術を参照のこと。
【0230】 あるいは、表1のポリヌクレオチドの5’末端および3’末端に由来する15
〜25ヌクレオチドの2つのプライマーを合成して、そしてこれを用いてテンプ
レートとしてS.aureusゲノムDNA調製物(例えば、寄託されたS.a
ureus ISP3)を使用するPCRによって、所望のDNAを増幅する。
PCRを通常の条件、例えば、0.5μgの上記のDNAテンプレートを含む2
5μlの反応混合物中で実行する。好都合な反応混合物は、1.5〜5mM M
gCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、20μMの各dATP、dCTP、
dGTP、dTTP、25pmolの各プライマーおよび0.25ユニットのT
aqポリメラーゼである。Perkin−Elmer Cetus自動サーマル
サイクラーを用いて、35サイクルのPCR(94℃で1分の変性;55℃で1
分のアニーリング;72℃で1分の伸長)を行う。増幅した産物をアガロースゲ
ル電気泳動により分析し、そして予期した分子量のDNAバンドを切り出しそし
て精製する。DNA産物をサブクローニングしそして配列決定することにより、
このPCR産物が選択した配列であることを確認する。
【0231】 最後に、表1のDNA配列の重複オリゴを合成し得、そして当該分野で公知の
PCR法を使用して所望の長さのヌクレオチド配列を生成するために使用し得る
【0232】 (実施例2(a):E.coliにおけるstaphylococcusのポ
リペプチドの発現および精製) 細菌発現ベクターpQE60を、本実施例における細菌発現に用いる。(QI
AGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatswort
h,CA,91311)。pQE60は、アンピシリン抗生物質耐性(「Amp
r」)をコードし、そして細菌性複製起点(「ori」)、IPTG誘導プロモ
ーター、リボゾーム結合部位(「RBS」)、ニッケル−ニトリロ−トリ−酢酸
(「Ni−NTA」)アフィニティー樹脂(QIAGEN,Inc.,前出)を
用いるアフィニティー精製を可能にするヒスチジン残基をコードする6つのコド
ンおよび適切な単一の制限酵素切断部位を含む。これらのエレメントを配置し、
それによってポリペプチドをコードする挿入されたDNAフラグメントが、この
ポリペプチドのカルボキシル末端に共有的に結合された6個のHis残基(すな
わち、「6×Hisタグ」)を有するこのポリペプチドを発現する。
【0233】 本発明のS.aureusタンパク質の所望の部分をコードするDNA配列を
、S.aureusポリヌクレオチドの一部をコードする5’配列および3’配
列にアニーリングするPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、S.au
reusゲノムDNAからか、または寄託されたDNAクローンから増幅する。
pQE60ベクターへのクローニングを容易にするための制限部位を含む、さら
なるヌクレオチドを、5’配列および3’配列にそれぞれ加える。
【0234】 成熟タンパク質をクローニングするために、5’プライマーは、適切な制限部
位に続いて表1において所望のS.aureusポリヌクレオチド配列のアミノ
末端コード配列のヌクレオチドを含む配列を有する。5’プライマーおよび3’
プライマーが始まるタンパク質コード配列中の点を変更し、成熟形態よりもより
短いかまたはより長い完全なタンパク質の任意の所望の部分をコードするDNA
セグメントを増幅し得ることを当業者は理解する。3’プライマーは、適切な制
限部位に続いて表1の所望のコード配列の3’末端(終止コドンを除く)に相補
的なヌクレオチドを含む配列を有し、そのコード配列は、そのリーディングフレ
ームをpQE60ベクター中の6つのHisコドンのリーディングフレームを有
するように保持するように制限部位と整列される。
【0235】 増幅したS.aureus DNAフラグメントおよびベクターpQE60を
、プライマー中の部位を認識する制限酵素を用いて消化し、次いで消化したDN
Aを互いに連結する。S.aureus DNAを、IPTG誘導プロモーター
から下流にかつ開始AUGおよび6つのヒスチジンコドンとインフレームにS.
aureusタンパク質コード領域を配置する様式で、制限化したpQE60ベ
クターに挿入する。
【0236】 この連結混合物を、Sambrookら、前出、によって記載されるような標
準的手順を用いて、コンピテントE.coli細胞に形質転換する。プラスミド
pREP4(lacリプレッサーを発現しそしてカナマイシン耐性(「Kanr
」)を与える)の複数のコピーを含む、E.coli株M15/rep4を、本
明細書中に記載される例証的な実施例を実行するのに用いる。この株(これは、
S.aureusポリペプチドを発現するのに適している多くの1つにすぎない
)は、市販されている(QIAGEN,Inc.,前出)。形質転換体を、アン
ピシリンおよびカナマイシン存在下のLBプレート上で増殖する能力によって同
定する。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローニングした
DNAの正体を、制限分析、PCRおよびDNA配列決定によって確認する。
【0237】 所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカ
ナマイシン(25μl/ml)の両方を補充したLB培地中の液体培養物におい
て一晩(「O/N」)増殖する。O/N培養物を用いて、約1:25から1:2
50の希釈度で、大培養に接種する。細胞を、600nm(「OD600」)で
0.4と0.6との間の光学濃度まで増殖させる。次いで、イソプロピル−β−
D−チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を、1mMの最終濃度まで添加し
、lacIリプレッサーを不活性にすることによって、lacリプレッサー感受
性プロモーターからの転写を誘発する。続いて、細胞を、さらに3〜4時間イン
キュベートする。次いで、細胞を遠心分離によって収集する。
【0238】 次いで、細胞を、6Mの塩酸グアニジン(pH8)中で、4℃にて3〜4時間
攪拌する。細胞片を、遠心分離によって取り除き、そしてS.aureusポリ
ペプチドを含む上清を、ニッケル−ニトリロ−トリ酢酸(「Ni−NTA」)ア
フィニティー樹脂カラム(QIAGEN,Inc.,前出)へ充填する。6×H
isタグを有するタンパク質は、高いアフィニティーでNi−NTA樹脂へ結合
する。そしてこのタンパク質を単純な1工程の手順において精製し得る(詳細に
ついては:The QIAexpressionist,1995,QIAGE
N,Inc.,前出、を参照のこと)。手短に言えば、上清を、6M塩酸グアニ
ジン(pH8)中でカラムへ充填し、このカラムを、初めに10容量の6M塩酸
グアニジン(pH8)を用いて洗浄し、次いで、10容量の6M塩酸グアニジン
(pH6)用いて洗浄し、そして最後にS.aureusポリペプチドを6M塩
酸グアニジン(pH5)を用いて溶出する。
【0239】 次いで、精製したタンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)または2
00mM NaClを加えた50mM 酢酸ナトリウム(pH6)緩衝溶液に対
してタンパク質を透析することによって再生する。あるいは、タンパク質を、N
i−NTAカラム上に固定する間に首尾良く再び折り畳み得る。推奨される条件
は、以下である:プロテアーゼインヒビターを含む500mM NaCl、20
% グリセロール、20mM Tris/HCl(pH7.4)中で6M〜1M
の尿素の直線勾配を用いて再生する。再生を、1.5時間以上の時間にわたり行
うべきである。再生後、このタンパク質を、250mM イミダゾールの添加に
よって溶出し得る。イミダゾールを、PBS、または200mM NaClを加
えた50mM 酢酸ナトリウム(pH6)緩衝溶液に対する最後の透析工程によ
って取り除く。精製したタンパク質を、4℃で保管するかまたは−80℃で凍結
する。
【0240】 あるいは、本発明のポリペプチドを、変性しない方法によって生成し得る。こ
の方法において、細胞を遠心分離によって収集した後、各々1Lの培養物からの
細胞ペレットを、25mlの溶解緩衝液A中に4℃にて再懸濁する(溶解緩衝液
A=50mlの緩衝溶液あたり1錠のComplete EDTA−free
プロテアーゼインヒビターカクテル(Boehringer Mannheim
#1873580)を有する、50mM リン酸ナトリウム、300mM Na
Cl、10mM 2メルカプトエタノール、10% グリセロール、pH7.5
)。550nmでの吸光度は、約10〜20 O.D./mlである。次いで、
この懸濁液を、−70℃(エタノール−ドライアイス浴を用いる)から室温まで
の3回の凍結/解凍サイクルに通す。この細胞を、氷上に保ちながら約80Wに
て短い10秒の破壊を3分間にわたって、超音波処理によって溶解する。次いで
、この超音波処理したサンプルを4℃にて30分間15,000RPMで遠心分
離する。上清を、1.0mlのCL−4B樹脂を含むカラムに通し、アガロース
に非特異的に結合し得るいかなるタンパク質のサンプルもあらかじめ取り除き、
そして素通りの分画を収集する。
【0241】 この事前明澄化した素通りを、ニッケル−ニトリロ−トリ−酢酸(「Ni−N
TA」)アフィニティー樹脂カラム(Qiagen,Inc.,前出)へ適用す
る。6×Hisタグを有するタンパク質は、高い親和性でNi−NTA樹脂と結
合し、そして単純な1工程手順において精製され得る。手短に言えば、この上清
を、溶解緩衝液A中にて4℃でカラムへ充填し、このカラムを、始めに10容量
の溶解緩衝液Aを用いて、溶出物のA280がベースラインに戻るまで洗浄する
。次いで、このカラムを、5容量の40mM イミダゾール(92%溶解緩衝液
A/8%緩衝液B)を用いて洗浄する(緩衝液B=50mM リン酸Na、30
0mM NaCl、10% グリセロール、10mM 2−メルカプトエタノー
ル、500mM イミダゾール、最終緩衝液のpHは7.5にすべきである)。
このタンパク質を、緩衝液Bに対する溶解緩衝液Aの比率を調整することによっ
て作製した一連の漸増イミダゾール溶液を用いて、カラムから溶出する。3つの
異なる濃度を用いる:3容量の75mM イミダゾール、3容量の150mM
イミダゾール、5容量の500mM イミダゾール。精製したタンパク質を含む
画分を、タンパク質サイズに依存して8%、10%、または14%SDS−PA
GEを用いて分析する。次いで、精製したタンパク質を、容易に作業可能な緩衝
液中にそれを置くためにリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に対して2回透析す
る。この精製したタンパク質を、4℃で保管するか、または−80℃で凍結する
【0242】 以下は、S.aureusが封入体の形態で存在する場合に、E.coliに
おいて発現されたS.aureusを精製するために用いられ得る別の代替的方
法である。他で指定しない限り、全ての以下の工程を、4〜10℃で行う。
【0243】 E.coli発酵の生成段階の完了時に、細胞培養物を、4〜10℃に冷却し
、そして細胞を15,000rpmで連続遠心分離(Heraeus Sepa
tech)によって収集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予
想収量、および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適
切な量(重量で)を、100mM Tris、50mM EDTA(pH7.4
)を含む緩衝溶液中に懸濁する。この細胞を、高剪断ミキサーを用いて均質な懸
濁液へと分散させる。
【0244】 次いで、マイクロフルイダイザー(Microfuidics,Corp.ま
たは APV Gaulin,Inc.)に4000〜6000psiで2回、
溶液を通過させることによって、細胞を溶解する。次いで、このホモジネートを
、NaCl溶液を用いて0.5M NaClの最終濃度まで混合し、続いて、7
000×gにて15分間遠心分離する。得られたペレットを、0.5M NaC
l、100mM Tris、50mM EDTA(pH7.4)を用いて再び洗
浄する。
【0245】 得られた洗浄した封入体を、1.5塩酸グアニジン(GuHCl)を用いて2
〜4時間、可溶化する。15分間の7000×gの遠心分離後、ペレットを捨て
、そしてS.aureusポリペプチド含有上清を4℃にて一晩インキュベート
し、さらなるGuHCl抽出を可能にする。
【0246】 不溶性粒子を取り除くための高速遠心分離(30,000×g)に続き、Gu
HCl可溶化タンパク質を、激しく撹拌することによって50mM ナトリウム
(pH4.5)、150mM NaCl、2mM EDTAを含む20容量の緩
衝液とGuHCl抽出物を迅速に混合することにより再折り畳みさせる。再折り
畳みをした希釈したタンパク質溶液を、さらなる精製工程の前に、混合せずに1
2時間4℃で保存する。
【0247】 再折り畳みしたS.aureusポリペプチド溶液を清澄化するため、予め調
製した、適切な表面領域を有し、40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)を用
いて平衡化した0.16μmメンブランフィルターを備えた接線濾過ユニット(
例えば、Filtron)を、使用する。濾過したサンプルを、カチオン交換樹
脂(例えば、Poros HS−50,Perseptive Biosyst
ems)へ充填する。このカラムを、40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)
を用いて洗浄し、そして同一緩衝液中で250mM、500mM、1000mM
、および1500mMのNaClを用いて、段階的な様式において、溶出する。
溶出液の280nmでの吸光度を、連続的にモニタリングする。画分を収集し、
そしてSDS−PAGEによってさらに分析する。
【0248】 次いで、S.aureusポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量
の水と混合する。次いで、希釈したサンプルを、以前に調製した、強力なアニオ
ン(Poros HQ−50,Perseptive Biosystems)
交換樹脂および弱いアニオン(Poros CM−20,Perseptive
Biosystems)交換樹脂の直列カラムのセットへ充填する。このカラ
ムを、40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)を用いて平衡化する。両方のカ
ラムを、40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)、200mM NaClを用
いて洗浄する。次いで、CM−20カラムを、10カラム容量の、0.2M N
aCl、50mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)から1.0M NaCl、5
0mM 酢酸ナトリウム(pH6.5)までの範囲の直線勾配を用いて溶出する
。画分を、溶出液の一定のA280のモニタリング下で収集する。次いで、S.a
ureusポリペプチドを含む画分(例えば、16%SDS−PAGEによって
決定した)をプールする。
【0249】 得られたS.aureusポリペプチドは、上記の再折り畳み工程および精製
工程の後に95%を超える純度を示す。5μgの精製したタンパク質を充填した
場合、クーマシーブルー染色した16%SDS−PAGEゲルから、主要な混入
物バンドは、観察されない。この精製したタンパク質をまた、エンドトキシン/
LPS混入について試験する。代表的に、LPS含有量は、LALアッセイによ
り0.1ng/ml未満である。
【0250】 (実施例2(b):E.coliにおけるstaphylococcusのポ
リペプチドの発現および精製) あるいは、ベクターpQE10を用いて、本発明のポリペプチドをクローニン
グおよび発現し得る。違いは、ポリペプチドをコードする挿入したDNAフラグ
メントが、このポリペプチドのアミノ末端に共有結合した6つのHis残基(す
なわち、「6×Hisタグ」)を有するこのポリペプチドを発現することである
。細菌性発現ベクターpQE10(QIAGEN,Inc.,9259 Eto
n Avenue,Chatsworth,CA,91311)を、本実施例に
用いる。pQE10プラスミドの構成成分を、本発明のポリペプチドをコードす
る挿入したDNA配列が、アミノ末端に共有結合した6つのHis残基(すなわ
ち、「6×Hisタグ」)を有するポリペプチドを発現するように配置する。
【0251】 表1のポリペプチドの所望の部分をコードするか、または表1に列挙したプラ
スミドによって発現されるDNA配列を、ゲノムS.aureus DNAまた
は本発明の表1のクローン中に列挙したプラスミドクローン由来のDNAのいず
れかに由来のPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。これらの
PCRプライマーは、本発明のポリペプチドの所望のアミノ酸配列をコードする
ヌクレオチド配列にアニーリングする。pQE10ベクターにおけるクローニン
グを容易にするための制限部位を含むさらなるヌクレオチドを、5’プライマー
配列および3’プライマー配列に、それぞれ加える。
【0252】 本発明のポリペプチドをクローニングするために、5’プライマーおよび3’
プライマーを、それぞれのヌクレオチドコード配列を増幅するために選択する。
当業者は、5’プライマー配列および3’プライマー配列が始まるタンパク質コ
ード配列中の点を、本発明のポリペプチドの任意の所望の部分をコードするDN
Aセグメントを増幅するために変化し得ることを理解する。6×Hisタグのコ
ード配列のリーディングフレームが、S.aureusポリペプチドのリーディ
ングフレームを有するように維持するために、6×Hisタグのコード配列が制
限部位と整列するように、5’プライマーを設計する。3’プライマーを、終止
コドンを含むように設計する。次いで、増幅したDNAフラグメントを、pQE
60プラスミドについて上に記載されたように、クローニングし、そしてタンパ
ク質を発現する。
【0253】 表1のアミノ酸配列をコードするDNA配列をまた、クローニングし得、そし
て直前に記載されたのに類似したプロトコルによって融合タンパク質として発現
し得る。ここで、pET−32b(+)ベクター(Novagen,601 S
cience Drive,Madison,WI 53711)を、pQE1
0の代わりに優先的に用いる。
【0254】 (実施例2(c):E.coliにおけるStahphilococcalポ
リペプチドの発現および精製) 細菌性発現ベクターpQE60を本実施例での細菌性発現のために用いる(Q
IAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatswor
th,CA,91311)。しかし、本実施例において、6つのHisコドンの
翻訳を阻止し、従って、6×Hisタグを有さないペプチドを生成するように、
ポリペプチドコード配列を挿入する。
【0255】 S.aureusアミノ酸配列の所望の部分をコードするDNA配列を、所望
の部分のS.aureusポリペプチドの対応する5’ヌクレオチド配列および
3’ヌクレオチド配列へアニーリングするPCRオリゴヌクレオチドプライマー
を用いてS.aureusゲノムDNAプレップから増幅する。pQE60ベク
ターにおけるクローニングを容易にするための制限部位を含むさらなるヌクレオ
チドを、5’プライマー配列および3’プライマー配列へ加える。
【0256】 本発明のS.aureusポリペプチドをクローニングするために、5’プラ
イマーおよび3’プライマーを、それぞれのヌクレオチドコード配列を増幅する
ために選択する。当業者は、5’プライマー配列および3’プライマー配列が始
まるタンパク質コード配列中の点は、本発明のポリペプチドの任意の所望の部分
をコードするDNAセグメントを増幅するために変化し得ることを理解する。3
’プライマーおよび5’プライマーは、適切な制限部位に続いてコード配列の5
’末端および3’末端にそれぞれ相補的なヌクレオチドを含む。3’プライマー
は、さらに、インフレーム終止コドンを含むように設計される。
【0257】 増幅したS.aureus DNAフラグメントおよびベクターpQE60を
、プライマー中の部位を認識する制限酵素を用いて消化し、次いで消化したDN
Aを互いに連結する。制限化したpQE60ベクターへのS.aureus D
NAの挿入は、IPTG誘導プロモーターから下流かつ開始AUGにインフレー
ムにその関連した終止コドンを含む、S.aureusタンパク質コード領域を
配置する。この関連した終止コドンは、挿入部位の下流の6つのヒスチジンコド
ンの転写を阻止する。
【0258】 この連結混合物を、Sambrookら、によって記載されるような標準的手
順を用いて、コンピテントE.coli細胞に形質転換する。プラスミドpRE
P4(lacリプレッサーを発現しそしてカナマイシン耐性(「Kanr」)を
与える)の複数のコピーを含み、E.coli株M15/rep4を、本明細書
中に記載される例証的な実施例を実行するのに用いる。この株(これは、S.a
ureusポリペプチドを発現するのに適している多くの1つにすぎない)は、
市販されている(QIAGEN,Inc.,前出)。形質転換体を、アンピシリ
ンおよびカナマイシン存在下のLBプレート上で増殖する能力によって同定する
。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローニングしたDNA
の正体を、制限分析、PCRおよびDNA配列決定によって確認する。
【0259】 所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカ
ナマイシン(25μl/ml)の両方を補充したLB培地の液体培養物において
一晩(「O/N」)増殖する。O/N培養物を用いて、約1:25から1:25
0の希釈度で、大培養に接種する。細胞を、600nm(「OD600」)で0
.4と0.6との間の光学濃度まで増殖する。次いで、イソプロピル−β−D−
チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を、1mMの最終濃度まで添加し、l
acIリプレッサーを不活性にすることによって、lacリプレッサー感受性プ
ロモーターからの転写を誘発する。続いて、細胞を、さらに3〜4時間インキュ
ベートする。次いで、細胞を遠心分離によって収集する。
【0260】 S.aureusポリペプチドを精製するために、次いで、細胞を、6Mの塩
酸グアニジン(pH8)中で、4℃にて3〜4時間攪拌する。細胞片を、遠心分
離によって取り除き、そしてS.aureusポリペプチドを含む上清を、20
0mM NaClを補充した50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に対
して透析する。あるいは、このタンパク質をプロテアーゼインヒビターを含む5
00mM NaCl、20%グリセロール、25mM Tris/HCl(pH
7.4)に対してそれを透析することによって首尾よく再折り畳みし得る。再生
後、このタンパク質を、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマ
トグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製し得る。あるい
は、抗体カラムのようなアフィニティークロマトグラフィー工程を用いて、純粋
なS.aureusポリペプチドを得ることが可能である。この精製したタンパ
ク質を、4℃で保管するか、または−80℃で凍結する。
【0261】 以下の代替的方法を用いて、S.aureusポリペプチドが、封入体の形態
で存在する場合に、E.coliにおいて発現されるS.aureusポリペプ
チドを精製する。他に明記しない限り、全ての以下の工程は、4〜10℃で行わ
れる。
【0262】 E.coli発酵の生成段階の完了時に、細胞培養物を、4〜10℃に冷却し
、そして細胞を15,000rpmで連続遠心分離(Heraeus Sepa
tech)によって収集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予
想収量、および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適
切な量(重量で)を、100mM Tris、50mM EDTA(pH7.4
)を含む緩衝溶液中に懸濁する。この細胞を、高剪断ミキサーを用いて均質な懸
濁液へと分散させる。
【0263】 次いで、マイクロフルイダイザー(Microfuidics,Corp.ま
たはAPV Gaulin,Inc.)に4000〜6000psiで2回、溶
液を通過させることによって、細胞を溶解した。次いで、このホモジネートを、
NaCl溶液と0.5M NaClの最終濃度まで混合し、続いて、7000×
gにて15分間遠心分離する。得られたペレットを、0.5M NaCl、10
0mM Tris、50mM EDTA(pH7.4)を用いて再び洗浄する。
【0264】 得られた洗浄した封入体を、1.5塩酸グアニジン(GuHCl)を用いて2
〜4時間、可溶化する。15分間の7000×gの遠心分離後、ペレットを捨て
、そしてS.aureusポリペプチド含有上清を4℃にて一晩インキュベート
し、さらにGuHCl抽出させる。
【0265】 不溶性粒子を取り除くための高速遠心分離(30,000×g)に続き、Gu
HCl可溶化タンパク質を、激しく撹拌することによって50mM ナトリウム
(pH4.5)150mM NaCl、2mM EDTAを含む20容量の緩衝
液とGuHCl抽出物を迅速に混合することにより再折り畳みさせる。再折り畳
みをした希釈したタンパク質溶液を、さらなる精製工程の前に12時間、混合せ
ずに4℃で保存する。
【0266】 再折り畳みしたS.aureusポリペプチド溶液を清澄化するため、以前に
調製した、適切な表面領域(例えば、Filtron)を有する(40mM 酢
酸ナトリウム(pH6.0)を用いて平衡化した)0.16μmメンブランフィ
ルターを備えた接線濾過ユニット(例えば、Filtron)を、使用する。濾
過したサンプルを、カチオン交換樹脂(例えば、Poros HS−50,Pe
rseptive Biosystems)へ充填する。このカラムを、40m
M 酢酸ナトリウム(pH6.0)を用いて洗浄し、そして同一緩衝液中で25
0mM、500mM、1000mM、および1500mMのNaClを用いて、
段階的な様式において、溶出する。溶出液の280nmでの吸光度を、連続的に
モニタリングする。画分を収集し、そしてSDS−PAGEによってさらに分析
する。
【0267】 次いで、S.aureusポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量
の水と混合する。次いで、希釈したサンプルを、以前に調製した、強力なアニオ
ン(Poros HQ−50,Perseptive Biosystems)
交換樹脂および弱いアニオン(Poros CM−20,Perseptive
Biosystems)交換樹脂の直列型カラムのセットへ充填する。このカ
ラムを、40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)を用いて平衡化する。両方の
カラムを、40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)、200mM NaClを
用いて洗浄する。次いで、CM−20カラムを、10カラム容量の、0.2M
NaCl、50mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)から1.0M NaCl、
50mM 酢酸ナトリウム(pH6.5)までの範囲の直線勾配を用いて溶出す
る。画分を、溶出液の一定のA280のモニタリング下で収集する。次いで、S.
aureusポリペプチドを含む画分(例えば、16%SDS−PAGEによっ
て決定した)をプールする。
【0268】 得られたS.aureusポリペプチドは、上記の再折り畳み工程および精製
工程の後に95%を超える純度を示す。5μgの精製したタンパク質を充填する
場合、クーマシーブルー染色した16%SDS−PAGEゲルから、重大な混入
物バンドは、観察されなかった。この精製したタンパク質をまた、エンドトキシ
ン/LPS混入について試験した。代表的に、LPS含有量は、LALアッセイ
により0.1ng/ml未満である。
【0269】 (実施例2(d):他の細菌中におけるS.aureusのクローニングおよ
び発現) S.aureusポリペプチドをまた、以下において生成し得る:S.Ski
nnerら、(1988)Mol.Microbiol.2:289−297ま
たはJ.Moreno(1996)Protein Expr.Purif.8
(3):332−340の方法を用いてS.aureus中で;C.Rushら
、1997年4月、Microbiol.Biotechnol.47(5):
537−542の方法を用いてLactobacillus中で;またはCha
ngらの、米国特許第4,952,508号の方法を用いてBacillus
subtilisを中で。
【0270】 (実施例3:COS細胞におけるクローニングおよび発現) S.aureus発現プラスミドを、S.aureusポリペプチドをコード
するDNAの一部を発現ベクターpDNAI/AmpまたはpDNAIII(こ
れらは、Invitrogen,Inc.から入手し得る)へクローニングする
ことによって作製する。発現ベクターpDNAI/Ampは、以下を含む:(1
)E.coliおよび他の原核生物細胞における増殖に有効なE.coliの複
製起点;(2)プラスミドを含む原核生物細胞の選択のためのアンピシリン耐性
遺伝子;(3)真核生物細胞における増殖のためのSV40の複製起点;(4)
CMVプロモーター、ポリリンカー、SV40イントロン;(5)赤血球凝集素
フラグメントをコードするいくつかのコドン(すなわち、精製を容易にする「H
A」タグ)、続いてDNAをCMVプロモーターの発現制御下に都合の良く配置
し、そしてポリリンカー中の制限部位によってSV40イントロンおよびポリア
デニル化シグナルと作動可能に連結し得るように配置した、終止コドンおよびポ
リアデニル化シグナル。このHAタグは、Wilsonら、1984、Cell
37:767によって記載されるインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由
来するエピトープに対応する。標的タンパク質へのHAタグの融合は、HAエピ
トープを認識する抗体を用いた組換えタンパク質の容易な検出および回収を可能
にする。pDNAIIIは、さらに、選択可能なネオマイシンマーカーを含む。
【0271】 S.aureusポリペプチドをコードするDNAフラグメントをベクターの
ポリリンカー領域にクローニンして、組換えタンパク質発現をCMVプロモータ
ーによって指向させる。プラスミド構築ストラテジーは、以下の通りである。S
.aureusゲノムDNAプレップ由来のDNAを、E.coliにおけるS
.aureusの発現のためのベクターの構築について上に記載されるのとほと
んど同じように、都合の良い制限部位を含むプライマーを用いて増幅する。5’
プライマーは、Kozak配列、AUG開始コドン、およびS.aureusポ
リペプチドの5’コード領域のヌクレオチドを含む。3’プライマーは、S.a
ureus DNAの3’コード配列に相補的なヌクレオチド、終止コドン、お
よび都合の良い制限部位を含む。
【0272】 PCR増幅したDNAフラグメントおよびベクターpDNAI/Ampを、適
切な制限酵素を用いて消化し、次いで連結する。この連結混合物を、SURETM (Stratagene Cloning Systems,La Jolla
,CA 92037)のような適切なE.coli株に形質転換し、この形質転
換した培養物を、アンピシリン培地プレートにプレートし、次いで、これを、イ
ンキュベートし、アンピシリン耐性コロニーの増殖をさせる。プラスミドDNA
を耐性コロニーから単離し、そして制限分析または他の手段によって、S.au
reusポリペプチドをコードするフラグメントの存在について試験する。
【0273】 組換えS.aureusポリペプチドの発現のために、COS細胞を、上に記
載されるような発現ベクターを用いて、例えば、Sambrookら、(前出)
によって記載されるように、DEAE−デキストランを使用してトランスフェク
トする。細胞を、ベクターによるS.aureusの発現のための条件下でイン
キュベートする。
【0274】 S.aureus−HA融合タンパク質の発現を、例えば、Harlowら、
前出、において記載される方法を用いて放射性標識および免疫沈降によって検出
する。この目的のために、トランスフェクションの2日後、細胞を35S−システ
インを含む培地中で、8時間インキュベーションすることによって標識する。細
胞および培地を収集し、細胞を洗浄し、そして界面活性剤を含むRIPA緩衝液
(Wilsonら(前出)によって記載されるように、150mM NaCl、
1%NP40、0.1%SDS、1%NP−40、0.5%DOC、50mM
TRIS(pH7.5))を用いて溶解する。タンパク質を、HAに特異的なモ
ノクローナル抗体を用いて、細胞溶解物および培養培地から沈殿させる。次いで
、沈殿したタンパク質を、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーによ
って分析する。予想されるサイズの発現産物が、細胞溶解物において見られる。
これは、陰性コントロールにおいて見られていない。
【0275】 (実施例4:CHO細胞におけるクローニングおよび発現) ベクターpC4を、本実施例におけるS.aureusポリペプチドの発現の
ために用いる。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC
受諾番号37146)の誘導体である。このプラスミドは、SV40初期プロモ
ーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含む。これらのプラスミドを用い
てトランスフェクトされたジヒドロ葉酸活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣
細胞または他の細胞を、化学療法薬剤メトトレキセートを補充した選択培地(α
マイナスMEM,Life Technologies)中で細胞を増殖するこ
とによって、選択し得る。メトトレキセート(MTX)に対して耐性の細胞にお
けるDHFR遺伝子の増幅は、十分に考証されている。例えば、Altら、19
78,J.Biol.Chem.253:1357−1370;Hamlinら
、1990、Biochem.et Biophys.Acta,1097:1
07−143;Pageら、1991,Biotechnology 9:64
−68。漸増濃度のMTXにおいて増殖した細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結
果として標的酵素であるDHFRを過剰産生することによって、薬物に対する耐
性を発現させる。第2の遺伝子をDHFR遺伝子に連結する場合、通常、この第
2の遺伝子を同時増幅しそして過剰産生する。このアプローチを用いて、100
0コピーを超える増幅した遺伝子を保有する細胞株を発生することは、当該分野
で公知である。続いて、メトトレキセートを取り除く場合、細胞株を、宿主細胞
の1つ以上の染色体に組み込まれた増幅した遺伝子を含む細胞株から得る。
【0276】 プラスミドpC4は、目的のポリペプチドを発現するために、ラウス肉腫ウイ
ルスの長末端反復配列(LTR)の強力なプロモーター(Cullenら、(1
985)Mol.Cell.Biol.5:438−447);およびヒトサイ
トメガロウイルス(CMV)の最初期の遺伝子のエンハンサーから単離したフラ
グメント(Boshartら、1985,Cell 41:521−530)を
含む。このプロモーターの下流は、遺伝子の組込みを可能にする以下の単一の制
限酵素切断部位である:Bam HI、Xba I、およびAsp 718。こ
れらのクローニング部位の後ろに、このプラスミドは、ラットプレプロインシュ
リン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含む。他の効率の高い
プロモーターをまた、発現のために使用し得る(例えば、ヒトβアクチンプロモ
ーター、SV40早期または後期プロモーター、もしくは他のレトロウイルス(
例えば、HIVおよびHTLVI)由来の長末端反復配列)。Clontech
のTet−OffおよびTet−On遺伝子発現システムおよび類似のシステム
を用いて、哺乳動物細胞中で調節された様式でS.aureusポリペプチドを
発現し得る(Gossenら、1992、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA89:5547−5551)。mRNAのポリアデニル化のために、
他のシグナル(例えば、ヒト成長ホルモンまたはグロビン遺伝子)をもまた使用
し得る。染色体中に組み込まれた目的の遺伝子を保有する安定な細胞株をまた、
gpt、G418またはハイグロマイシンのような選択マーカーを用いて同時ト
ランスフェクトの際に選択し得る。初めに、1つを超える選択マーカー(例えば
、G418およびメトトレキセート)を使用することが有利である。
【0277】 プラスミドpC4を、制限酵素を用いて消化し、次いで当該分野で公知の手順
によって仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化する。次いで、このベクタ
ーを1%アガロースゲルから単離する。S.aureusポリペプチドをコード
するDNA配列を、この遺伝子の所望の部分の5’および3’配列の対応するP
CRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。制限部位、Kozak配
列、AUG開始コドンおよびS.aureusポリペプチドの5’コード配列の
ヌクレオチドを含む5’プライマーを合成し、そして使用する。制限部位、終止
コドン、およびS.aureusポリペプチドの3’コード配列に相補的なヌク
レオチドを含む3’プライマーを合成しそして使用する。増幅したフラグメント
を制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、次いで1%アガロースゲル上で再び
精製する。次いで、単離したフラグメントおよび脱リン酸化したベクターを、T
4DNAリガーゼを用いて連結する。次いで、E.coli HB101細胞ま
たはXL−1 Blue細胞を形質転換し、そして例えば、制限酵素分析を用い
て、プラスミドpC4に挿入したフラグメントを含む細菌を、同定する。
【0278】 活性DHFR遺伝子を欠くチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トランスフェ
クトに用いる。5μgの発現プラスミドpC4を、LipofectinTMまた
はLipofectAMINETM(LifeTechnologies Gai
thersburg、MD)のような、脂質媒介トランスフェクション試薬を用
いて、0.5μgのプラスミドpSVneoを用いて同時トランスフェクトする
。このプラスミドpSV2−neoは、優位な選択マーカーである、G418を
含む抗生物質のグループに対して耐性を与える酵素をコードするTn5由来のn
eo遺伝子を含む。この細胞を、1mg/mlのG418を補充したαマイナス
MEMに播種する。2日後、この細胞をトリプシン処理し、そして10、25、
または50ng/mlのメトトレキセートおよび1mg/mlG418を補充し
たαマイナスMEMにおいてハイブリドーマクローニングプレート(Grein
er,Germany)に播種する。10〜14日後、単一コロニーをトリプシ
ン処理し、次いで異なる濃度のメトトレキセート(50nM、100nM、20
0nM、400nM、800nM)を用いて6ウェルペトリ皿または10mlフ
ラスコに播種する。次いで、最も高い濃度のメトトレキセートで増殖するクロー
ンを、さらに高い濃度のメトトレキセート(1μM、2μM、5μM、10mM
、20mM)を含む新しい6ウェルプレートへ移す。同じ手順を、100〜20
0μMの濃度で増殖するクローンを得るまで繰り返す。所望の遺伝子産物の発現
を、例えばSDS−PAGEおよびウェスタンブロットによってか、または逆相
HPLC分析によって分析する。
【0279】 (実施例5:S.aureusに関する定量的マウス軟部組織感染モデル) ポリペプチドおよびペプチドを含む本発明の組成物を、以下の定量的マウス軟
部組織感染モデルを用いて、ワクチンとしての機能する能力か、または細菌種(
例えば、S.aureus)に対して免疫応答を増強/刺激する能力についてア
ッセイする。マウス(例えば、NIH Swiss雌マウス、およそ7週齢)を
、生物学的防御に有効な量を用いるか、または上に議論されるような、当該分野
で公知の方法を用いて、免疫増強する/刺激するのに有効な量の本発明の組成物
を用いて初めに処理する。例えば、Halrowら、ANTIBODIES:A
LABORATORY MANUAL,(Cold Spring Harb
or Laboratory Press、第2版、1988)を参照のこと。
適切な開始用量の例は、1動物あたり20μgである。
【0280】 マウスをチャレンジするのに用いる所望の細菌種(例えば、S.aureus
)を、一晩培養物として増殖する。この培養物を、適切な培地において、5×1
8cfu/mlの濃度まで希釈し、よく混合し、連続的に希釈し、そして滴定
する。所望の用量を、滅菌PBS(3g/100ml)中に事前に膨潤させた滅
菌Cytodex3マイクロキャリアビーズで1:2にさらに希釈する。マウス
を従順(しかしまだ動いている)になるまで一時的に麻酔し、そして0.2ml
のCytodex3ビーズ/細菌混合物を、各動物の鼠径部に皮下注射する。4
日(注射の日を1日目として数える)後、マウスを屠殺し、そして膿瘍の内容物
を摘出し、1.0mlの滅菌PBSを含む15mlコニカルチューブ中へ置く。
次いで、膿瘍の内容物を酵素的に処理し、そして以下のようにプレートする。
【0281】 膿瘍を、初めに、チューブの中に置いた滅菌ガラスビーズと共にボルッテクス
することによって破壊しする。次いで、3.0mlの調製した酵素混合物(1.
0mlコラゲナーゼD(4.0mg/ml)、1.0mlトリプシン(6.0m
g/ml)および8.0mlPBS)を、各チューブに加え、続いて20分間3
7℃でインキュベーションする。次いで、この溶液を遠心分離し、そしてこの上
清を捨てる。次いで、0.5ml dH20を加え、そしてこのチューブをボル
テックスし、次いで10分間、室温でインキュベートする。次いで、0.5ml
の培地を加え、そしてサンプルを連続的に希釈し、そして寒天プレート上にプレ
ーティングし、そして37℃で一晩増殖させる。次いで、別個でかつ分離したコ
ロニーを有するプレートを計数し、陽性および陰性コントロールサンプルと比較
し、そして定量する。この方法を用いて、組成物を同定し、そして本発明の組成
物の有効な用量を、マウスおよびヒトの両方において有効であることが当該分野
で公知の組成物と比較することによって、ヒトおよび他の動物について適切かつ
有効な用量を決定する。本発明の組成物を用いてのヒトおよび他の動物の有効な
処置のための用量を、マウスの上記の実験からのデータを用いて推定する。ヒト
および他の動物におけるさらなる研究が、当該分野で公知の臨床試験の方法を用
いて、最も有効な用量を決定するために必要であり得ることが理解される。
【0282】 (実施例6:S.aureus感染に関するマウス全身性好中球減少症モデル
) ポリペプチドおよびペプチドを含む本発明の組成物を、以下の定性的マウス全
身性好中球減少症モデルを用いて、ワクチンとしての機能する能力か、または細
菌種(例えば、S.aureus)に対して免疫応答を増強/刺激する能力につ
いてアッセイする。マウス(例えば、NIH Swiss雌マウス、およそ7週
齢)を、生物学的防御に有効な量を用いるか、または上に議論されるような、当
該分野で公知の方法を用いて、免疫増強する/刺激するのに有効な量の本発明の
組成物を用いて初めに処理する。例えば、Halrowら、ANTIBODIE
S:A LABORATORY MANUAL,(Cold Spring H
arbor Laboratory Press、第2版、1988)を参照の
こと。適切な開始用量の例は、1動物あたり20μgである。次いで、マウスに
、250〜300mg/kgのシクロホスファミドを腹腔内注射する。C.P.
注射の日を1日目として計数し、このマウスを、PMNLの回復が始まるまで、
5日間未処置のままにしておく。
【0283】 マウスをチャレンジするのに用いた所望される細菌種(例えば、S.aure
us)を、一晩培養物として増殖する。この培養物を、適切な培地において、5
×108cfu/mlの濃度まで希釈し、よく混合し、連続的に希釈し、そして
滴定する。所望される用量を、培地中の4%ビール酵母中で1:2にさらに希釈
する。
【0284】 マウスに、細菌/ビール酵母チャレンジを腹腔内注射する。ビール酵母溶液単
独をコントロールとして用いる。次いで、マウスをチャレンジ後の最初の一週間
、1日2回、そして次の一週間1日1回、罹患率および死亡率を確認するためモ
ニターする。実験の最後まで残っているマウスを屠殺する。この方法を用いて、
組成物を同定し、そして本発明の組成物の有効な用量を、マウスおよびヒトの両
方において有効であることが当該分野で公知の組成物と比較することによって、
ヒトおよび他の動物について適切かつ有効な用量を決定する。本発明の組成物を
用いてのヒトおよび他の動物の有効な処置のための用量を、マウスの上記の実験
からのデータを用いて推定する。ヒトおよび他の動物におけるさらなる研究が、
当該分野で公知の臨床試験の方法を用いて、最も有効な用量を決定するために必
要であり得ることが理解される。
【0285】 本明細書中で引用される全ての刊行物(特許、特許出願、学術論文、実験マニ
ュアル、本、または他の文書)の開示は、その全体が参考として援用される。
【0286】 本発明は、本明細書中に記載される特定の実施態様によって範囲を限定される
べきではなく、これらは、本発明の個々の局面の個々の例証として解釈される。
機能的に等価な方法および構成成分は、本明細書中に示されるおよび記載される
ものに加えて、本発明の範囲内にあり、そしてこのことは先の記述および添付す
る図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲の
範囲内にあると解釈される。
【0287】
【表4】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/04 C07K 16/12 4C085 C07K 14/31 C12N 1/15 4H045 16/12 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/53 N C12P 21/02 C12R 1:445) C12Q 1/68 (C07K 14/31 G01N 33/53 //(C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA C12R 1:445) A61K 37/02 (C07K 14/31 C12N 5/00 A (31)優先権主張番号 60/084,674 (32)優先日 平成10年5月7日(1998.5.7) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 9410 Key West Avenue, Rockville, Marylan d 20850, United State s of America (71)出願人 ルドウィグ インスティチュート フォー キャンサー リサーチ ブラジル国 サン パウロ, シーイーピ ー−01590−010 サン パウロ, アンダ ー 109−40, ルア プロフェッサー アントニオ プルデンテ (72)発明者 シンプソン, アンドリュー ジェイ. ジー. ブラジル国 サン パウロ, シーイーピ ー−04619−005 サン パウロ, カンポ ベロ, ルア ガブリエル ダヌンジオ 1409, アパートメント 101 (72)発明者 チョイ, ギル エイチ. アメリカ合衆国 メリーランド 20850, ロックビル, ポトマック オークス ドライブ 11429 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA07 BA31 BA41 CA03 CA09 DA02 DA06 GA11 HA08 HA12 HA17 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ02 QQ06 QQ42 QR32 QR56 QR62 QS25 QS34 4B064 AG01 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA53Y AA90X AA91X AB01 AB02 BA02 BA08 CA24 CA25 CA44 CA45 CA46 4C084 AA02 AA06 AA13 CA53 DC22 NA10 ZB352 4C085 AA03 AA13 AA14 BA13 BB22 BB23 DD63 DD88 GG02 GG03 GG04 GG05 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA11 DA75 DA76 EA31 EA52 FA72 FA74 GA26

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポ
    リヌクレオチドを含む、単離された核酸分子: (a)表1に示されるポリペプチドのアミノ酸配列のいずれか1つをコードす
    るヌクレオチド配列;または (b)(a)におけるヌクレオチド配列のいずれか1つに相補的なヌクレオチ
    ド配列; (c)表1に示されるヌクレオチド配列のいずれか1つに少なくとも95%同
    一であるヌクレオチド配列;または (d)表1に示されるヌクレオチド配列のいずれか1つに相補的なヌクレオチ
    ド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の(a)または(b)におけるヌクレオチド
    配列に同一なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにストリンジェントな
    ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、
    単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の(a)におけるポリペプチドのエピトープ
    保有部分をコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の単離された核酸分子であって、前記ポリペ
    プチドのエピトープ保有部分が表2に列挙されるアミノ酸配列を含む、単離され
    た核酸分子。
  5. 【請求項5】 組換えベクターを作製するための方法であって、請求項1に
    記載の単離された核酸分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法によって作製された、組換えベクター
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  8. 【請求項8】 ポリペプチドを産生する方法であって、以下: (a)請求項7に記載の宿主細胞を増殖させ、該細胞によってタンパク質が発
    現される工程;および (c)発現されたfemXポリペプチドを回収する工程、 を包含する、方法。
  9. 【請求項9】 以下からなる群から選択されるポリペプチドを含む単離され
    たポリペプチド: (a)表1の完全アミノ酸配列の1つからなるポリペプチド; (b)N末端残基を除く表1の完全アミノ酸配列の1つからなるポリペプチド
    ; (c)生物学的活性を有する(a)のポリペプチドのフラグメント;および (d)(a)のポリペプチドに特異的な抗体に結合する(a)のポリペプチド
    のフラグメント。
  10. 【請求項10】 前記ポリペプチドが(a)である、請求項9に記載の単離
    されたポリペプチド。
  11. 【請求項11】 前記ポリペプチドが(b)である、請求項9に記載の単離
    されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 前記ポリペプチドが(c)である、請求項9に記載の単離
    されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 前記ポリペプチドが(d)である、請求項9に記載の単離
    されたポリペプチド。
  14. 【請求項14】 請求項9に記載のポリペプチドに特異的な、単離された抗
    体。
  15. 【請求項15】 請求項10に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単
    離された抗体。
  16. 【請求項16】 請求項11に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単
    離された抗体。
  17. 【請求項17】 請求項12に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単
    離された抗体。
  18. 【請求項18】 請求項13に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単
    離された抗体。
  19. 【請求項19】 請求項8に記載の方法によって産生される、ポリペプチド
  20. 【請求項20】 表1におけるいずれか1つのポリペプチドのアミノ酸配列
    からなる群から選択される配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含
    む、単離されたポリペプチド。
  21. 【請求項21】 表2に示すS.aureusエピトープのアミノ酸配列を
    含む、単離されたポリペプチド抗原。
  22. 【請求項22】 請求項9に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド
    配列を有するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
  23. 【請求項23】 請求項14〜18のいずれか1項に記載の抗体を産生する
    ハイブリドーマ。
  24. 【請求項24】 以下を含むワクチン: (1)表1において同定されるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群か
    ら選択される1つ以上のS.pnuemoniaeポリペプチド、またはそのフ
    ラグメント;および (2)薬学的に受容可能な希釈剤、キャリア、もしくは賦形剤; であって、ここで該ポリペプチドが、動物においてStaphylococcu
    s属のメンバーに対する防御的抗体を惹起するのに有効な量で存在する、 ワクチン。
  25. 【請求項25】 動物においてStaphylococcus属のメンバー
    によって引き起こされる感染を予防または減弱する方法であって、該動物に請求
    項9に記載のポリペプチドを投与する工程を包含し、ここで該ポリペプチドが、
    該感染を予防もしくは減弱するのに有効量投与される、方法。
  26. 【請求項26】 サンプル中のStaphylococcusポリペプチド
    をコードする1つ以上の核酸配列をアッセイすることを包含する、動物から得ら
    れた生物学的サンプルにおいてStaphylococcus核酸を検出する方
    法であって、以下: (a)ハイブリダイゼーションが起こる条件下で、該サンプルを1つ以上の上
    記核酸プローブと接触させる工程、および (b)該生物学的サンプル中に存在する該1つ以上のStaphylococ
    cus核酸配列への該1つ以上のプローブのハイブリダイゼーションを検出する
    工程、 を包含する、方法。
  27. 【請求項27】 動物から得られた生物学的サンプル中のStaphylo
    coccus核酸を検出する方法であって、以下: (a)該サンプル中の1つ以上のStaphylococcus核酸配列を、
    ポリメラーゼ連鎖反応を使用して増幅する工程、および (b)該増幅されたStaphylococcus核酸を検出する工程、 を包含する、方法。
  28. 【請求項28】 動物から得られた生物学的サンプル中のStaphylo
    coccus抗体を検出するためのキットであって、以下: (a)固体支持体に結合した請求項9のポリペプチド;および (b)検出手段、 を包含する、キット。
  29. 【請求項29】 動物から得られた生物学的サンプル中のStaphylo
    coccus抗体を検出する方法であって、以下: (a)該サンプルを請求項9に記載のポリペプチドと接触させる工程;および (b)抗体−抗原複合体を検出する工程、 を包含する、方法。
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