JP2002513701A - インクジェットで刷り込み可能な構造体に用いる水で活性化するポリマー - Google Patents

インクジェットで刷り込み可能な構造体に用いる水で活性化するポリマー

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JP2002513701A
JP2002513701A JP2000547174A JP2000547174A JP2002513701A JP 2002513701 A JP2002513701 A JP 2002513701A JP 2000547174 A JP2000547174 A JP 2000547174A JP 2000547174 A JP2000547174 A JP 2000547174A JP 2002513701 A JP2002513701 A JP 2002513701A
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Abstract

(57)【要約】 水で活性化するアクリルポリマーおよびそれから作製された画像転写構造体を提供する。ポリマーは乾燥時には手で触れたとき非粘着性だが、インクジェットプリンタのインク中の水などの水により活性化されると粘着性になる。ポリマーは、好ましくは少なくとも1種類のアクリル酸アルキル、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、メタクリル酸、およびアクリル酸を含むモノマー混合物の乳化重合により調製されたアクリルコポリマーである。水で活性化するポリマーで作製された画像転写シートは、柔軟性のある裏材、少なくとも1層の非透水性の層、少なくとも1層の水で活性化するポリマー、および保護用の粘着防止層を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明はインクジェットで刷り込み可能で、接着性の画像転写に使用すること
ができる水で活性化するポリマーおよびこのようなポリマーから作製された構造
体に関する。
【0002】 (発明の背景) ラベル、テープ、およびこれと同様な構造体は現代社会では至るところにある
。多くのこのような構造体は感圧接着剤(PSA)などの接着剤でコーティング
された剥離ライナーを含み、接着剤は紙またはフィルムの表面材料に貼り付けら
れている。剥離ライナーを除去することにより構造体、すなわち接着剤でコーテ
ィングされた表面材料は基板に付着することが可能になる。
【0003】 大部分のPSAは乾燥時に粘着性であり、インクジェットプリンタに簡単に用
いることができない。さらに、このようなPSAは一般に親水性でなく、水ベー
スのインクジェット用インクで直接その上に刷り込むことが難しい。その代わり
、表面材料またはライナーがインクを受け入れるだけである。このようなPSA
がインクジェットプリンタの使用に適さないことは、プリンタにおいて接着剤が
プリンタの出口を塞ぐ傾向を有することにより一層ひどくなる。
【0004】 水で活性化する接着剤を調合する試みがなされてきたが、今日まで製造された
接着剤の多くはゴムベースであり、したがって酸化および紫外線劣化を受けやす
かった。多くのゴムベースおよび他の接着剤は溶剤で担持され、したがって環境
、健康、および安全上の理由から好ましくない。下記の特許が代表的なものであ
る。Theissenによる米国特許第3,681,179号には、常態で粘着
性のある感圧接着剤でコーティングされたフィルムを備えた、水で活性化する接
着剤系を有する太陽光線制御用フィルム構造について開示し、これは薄く粘着性
のない、連続した水溶性の層で被覆される。粘着性のないエマルジョンアクリル
接着剤については開示されていない。
【0005】 欧州特許第199,468号および第297,451号には、ポリアクリレン
イミンまたは他のビニルのへテロ環式モノマー、ヒドロキシ置換有機化合物、可
塑剤/粘着付与剤/充填剤、および酸化防止剤を含む、水で活性化するホットメ
ルト接着剤の配合方法が記述されている。水で活性化するエマルジョンアクリル
接着剤の製造については何も記述されていない。
【0006】 Colon他による米国特許第4,331,576号および第4,325,5
81号には、ビニルピロリドンおよび他のへテロ環式モノマーを含有するポリマ
ーをベースにした普通の水溶性ホットメルト接着剤が開示されている。エマルジ
ョンアクリル類については開示されていない。
【0007】 Morrisonによる米国特許第4,052,368号およびharrin
gtonによる米国特許第4,172,824号には、一般に可塑剤と組み合せ
たコポリエステルを含むポリエステルベースの接着剤を含む水に敏感なホットメ
ルト接着剤が記述されている。この系はエマルジョンアクリル類ではない。
【0008】 上記で確認された特許は、乾燥時に非粘着性で、接着剤になるように水で活性
化され、かつ「貼り紙なし」または「ライナーなし」構造、すなわちそれぞれ表
面材料かライナーのどちらかを必要としない構造に用いることができる、親水性
のアクリルエマルジョンポリマーの製造可能性については何も開示または示唆し
ていない。
【0009】 (発明の概要) 本発明によれば、乾燥時に非粘着性だが湿潤時に粘着性になり、画像転写構造
体用の水で活性化する接着剤として特に有用な、水を受容する水分散性のアクリ
ルポリマーが提供される。本発明の一実施形態において、組成物は、モノマーの
全重量を基準にしてアルキル基が炭素原子を4から約8個有する1または複数種
のアクリル酸アルキルを約40から70重量%、アクリル酸メチルを約5から1
5重量%、酢酸ビニルを約7から約17重量%、およびメタクリル酸および/ま
たはアクリル酸を約10から25重量%含むモノマー混合物を乳化重合すること
により調製されたアクリルベースのポリマーを含む。
【0010】 中程度のガラス転移温度(例えばある配合物では約−20℃から0℃)を有す
るのもかかわらず、ポリマーは乾燥時に室温で手で触れたとき非粘着性だが、イ
ンクジェットプリンタのインク中の水などの水分に曝されると粘着性になる連続
フィルムとして注型することができる。乳化重合ポリマーから注型されたフィル
ムは、水を受容するかまたは親水性で、再パルプ化可能で、水で活性化し、可視
光線に対して透明である。これらは水ベースのインクを用いてその上に直接刷り
込むことができ、また活性化および基板に接着した後に水を塗布することにより
基板から除去することができる。これらは変更可能な装飾用の接着性画像シート
および同様の構造体に用いられるインクジェットで刷り込み可能なポリマーとし
て特に有用であり、手圧を用いて室温で100%の画像転写をもたらす。これに
対して、ほとんどの市販の画像転写シートはせいぜい約60から80%の画像転
写しかもたらさない。
【0011】 本発明の別の態様において、インクジェットで刷り込み可能な、水で活性化す
る接着性構造体を提供する。一実施形態において、構造体はコーティングしたま
たはしていない柔軟性のある裏材(すなわち剥離ライナー)に塗布されたUVワ
ニス層などの少なくとも1層の非透水性の層の上にコーティングされた、少なく
とも1層の水で活性化するアクリルポリマーの層を含む。連続した水溶性の保護
用の粘着防止層が水で活性化するアクリルポリマー層にコーティングされる。水
で活性化する層は乾燥時に非粘着性だが、水に曝されたとき粘着性になる。その
結果、水ベースのインクジェットプリンタのインクで印刷されたとき、粘着防止
層は印刷された画像領域内で溶解し、ポリマー層は画像領域内で粘着性になるが
、その上に直接印刷されなかった他の領域では粘着性にならない。この構造体は
、ラベルまたは装飾用画像シートとして有用であり、水で活性化するポリマー(
その時点で粘着性である)を対象物に付着し、柔軟な基板またはライナーの一部
または全部を除去することにより対象物または表面に適用される。
【0012】 本発明の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明および添付図面の考察によ
り明らかになるであろう。
【0013】 (発明の詳細な説明) 本発明は、乾燥時には非粘着性だが、親水性で水に分散しやすく、水で活性化
する、すなわち個人用インクジェットプリンタのインク中の水など少量の水分に
よってさえ活性化し、かつ粘着性で感圧接着剤として機能するようになるアクリ
ルポリマーを提供する。基板に塗布したとき活性化された接着剤は基板に付着す
るが、さらに水を与えることにより除去可能である。有利には接着剤は色インク
を含むインクジェットプリンタに用いられるインクに受け入れられ、可視光線に
対して透明である。また接着剤は金属の薄片または顔料を含有するインクに受け
入れられる。
【0014】 本発明の一実施形態において、アクリルポリマーは、モノマーの全重量を基準
にして重量パーセントで、(a)炭素原子を4から約8個含有するアルキル基を
有する少なくとも1種類のアクリル酸アルキル、好ましくは2種類のそのような
アクリル酸アルキルの混合物を約40から70%、(b)アクリル酸メチルを約
5から15%、(c)酢酸ビニルを約5から約20%、および(d)1または複
数のメタクリル酸およびアクリル酸を約5から25%、より好ましくはその2種
類の混合物、例えばメタクリル酸を約1から5%、アクリル酸を約5から20%
含む混合物を含む、モノマー混合物の乳化重合により調製される。
【0015】 現在の好ましい実施形態(下記の実施例2)において、モノマー混合物はメタ
クリル酸メチルを含まない。他の実施形態において、モノマー混合物はモノマー
の全重量を基準にしてメタクリル酸メチルを約5重量%まで、より好ましくは約
3.5重量%未満含むことができる。
【0016】 上述のように第一モノマー成分としてアクリル酸アルキルの混合物を使用する
ことが好ましい。有用なアクリル酸アルキルにはアクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチルなどがある。アクリル酸2−
エチルヘキシルとアクリル酸ブチルの混合物が好ましい。同様に、ポリマーの第
四モノマー成分としてアクリル酸およびメタクリル酸の混合物を使用することが
好ましい。酸モノマーは結果として得られるポリマーに極性と親水性を付与する
【0017】 ポリマーを形成するために用いられたモノマーの身元(indentity)
および相対量は、ポリマーが乾燥時に室温で手で触れたとき非粘着性であるよう
な十分に高いガラス転移温度(Tg)および/またはその他の特性(例えば高い
平坦部モジュラス)を有するように選択される。この目的のために、かなりの量
の酢酸ビニルおよび/または酸モノマーを用いることが好ましい。
【0018】 本明細書で用いる用語「手で触れたとき非粘着性である」とは、フィルムとし
て注型し乾燥したとき、室温(約20〜25℃)および通常の相対湿度(約25
%RH未満)の条件下でコポリマーに粘着感がないことを意味する。湿度が十分
に高くなればコポリマーは大気中の水分を吸収し始め、粘着性になり始めるが、
コポリマーはより高い相対湿度においてさえ非粘着性のままであるようにみえる
。粘着防止層(下記に記述する)をコポリマーに被せて、高い大気湿度から保護
するのが有利である。
【0019】 好ましい実施形態において、モノマー混合物はモノマーの全重量を基準にして
重量パーセントで、アクリル酸ブチルを約10から20%、アクリル酸2−エチ
ルヘキシルを約40から60%、アクリル酸メチルを約5から15%、酢酸ビニ
ルを約10から20%、アクリル酸を約5から20%、およびメタクリル酸を約
1から5%含む。特に好ましい実施形態において、モノマーの量はおおよそアク
リル酸ブチル12%、アクリル酸2−エチルヘキシル48%、アクリル酸メチル
9%、酢酸ビニル12%、アクリル酸16%、およびメタクリル酸3%である。
【0020】 水で活性化するアクリルコポリマーは、好ましくは酸素のない環境で、適切な
重合開始剤および乳化剤(界面活性剤)の存在下で遊離基乳化重合により調製さ
れる。相分離を引き起こすことなく安定な乳濁液を形成するのに十分な界面活性
剤が含まれる。また好ましくは1または複数種の賦活剤、レドックス剤、および
連鎖移動剤がポリマーの調製に使用される。
【0021】 様々な非イオン性、アニオン、および/またはカチオン性界面活性剤をアクリ
ルコポリマーの調製に用いることができるが、2種類以上の界面活性剤の混合物
、例えばHenkel of America,Inc.(King of P
russa,PA)から入手できるラウリルエーテルナトリウム界面活性剤Di
sponil FES77;J.T.Baker(Mallinckrodt
Baker,Inc.,Phillipsburg,NJ)から入手できるTS
PP(ピロリン酸ナトリウム);およびAmerican Cyanamid(
Wayne,NJ)から入手できるスルホコハク酸ナトリウムジオクチル界面活
性剤Aerosol OT−75を使用することが好ましい。これらに限定され
ないが有用な界面活性剤の他の例には、Aldrich(Milwaukee,
WI)から入手できる臭化セチルトリメチルアンモニウム;Hercules,
Inc.(Wilmington,DE)から入手できる非イオン性のエトキシ
ル化ロジン酸乳化剤AR−150;Rhone−Poulencから入手できる
硫酸化したエトキシル化ノニルフェノールAlipal CO−436;Hen
kel of America,Inc.から入手できる硫コハク酸ナトリウム
アルキルアリル界面活性剤Trem LF40;エトキシル化ノニルフェノール
Polystep F−9およびエトキシル化硫酸ナトリウムノニルフェノール
Polystep B−27、これらは共にStepan Company,I
nc.(Winnetka,IL)から入手できる;および米国特許第5,22
1,706号(参照により本明細書に合体する)に記載され、VWR Scie
ntific Corp.,Sargent−Welch Division(
Westchester,PA)から入手できる硫コハク酸の二ナトリウム塩/
エトキシル化アルキルアルコール半エステルがある。その他の界面活性剤には、
Union Carbide(Danbury,CT)により製造されたTri
ton X系列の界面活性剤がある。一般には恐らく同じ重合反応にカチオン性
とアニオン性の両方の界面活性剤は使用しない。しかしながらアニオン界面活性
剤とカチオン性界面活性剤の組み合せを、本明細書に記載のエマルジョンコポリ
マーの調製においては進んで用いる。
【0022】 これらに限定されないが有用な重合開始剤の例には水溶性開始剤、例えば過硫
酸ナトリウム(Na228)および過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、過酸化水
素およびヒドロ過酸化tert−ブチル(t−BHP)などの過酸化物、および
VAZO(登録商標)開始剤などのアゾ化合物があり、それらは単独もしくは1
または複数種の還元剤または賦活剤、例えば亜硫酸水素塩、二亜硫酸塩、アスコ
ルビン酸、エリトルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(He
nkel of America,Inc.から入手できる)、硫酸鉄(II)
、硫酸アンモニウム鉄(II)、およびエチレンジアミン四酢酸鉄(III)と
組み合せて用いられる。モノマーの遊離基重合を促進するのに十分な開始剤が用
いられる。
【0023】 また、アクリルコポリマーの平均ポリマー鎖長を制御するために、好ましくは
少量(例えばモノマーの約0.01から0.5重量%)の連鎖移動剤または他の
分子量調節剤を使用する。これらに限定されないが、その例にはn−ドデシルメ
ルカプタン(n−DDM)、t−ドデシルメルカプタン(t−DDM)、モノチ
オグリセロール、メルカプト酢酸塩類、および長鎖アルコール類がある。
【0024】 エマルジョンポリマーは、約3時間にわたって供給されるモノマー混合物に対
し、モノマー重量を基準にして過硫酸塩約0.5%から約1%または当量の触媒
の存在下で、約70℃の反応温度で優れた転換を示して調製される。反応のpH
は炭酸水素ナトリウムまたは類似の薬品の添加により約4.0から約6.0の範
囲に調整することができる。
【0025】 実際の生産技術は特定のモノマー組成物、使用し得る装置、およびその他の考
慮すべき事項により変わる可能性があるが、一般にはエマルジョンポリマーは、
通常の界面活性剤、炭酸水素ナトリウム、および脱イオン水に溶かしたモノマー
の一部または全部を含有する1または複数の予備乳濁液を最初に混合し;反応性
界面活性剤およびその他の反応器用成分(例えばFe−EDT、AAR150、
過酸化水素)を窒素下で反応器に加え;反応器を70℃±2℃に加熱し、次いで
予備乳濁液の投入物を時間をかけて加え(好ましくは段階的に加えるかまたは混
合された供給量を連続的に加え);例えば過硫酸カリウムを含有する開始剤の投
入物を加え;予備乳濁液の供給および任意の促進剤の添加を続け;任意の後反応
投入物(例えばt−BHP、アスコルビン酸、およびより多量の水)を加え;反
応器の内容物を35℃未満まで冷却し;エマルジョンポリマーを濾過することに
より調製される。反応混合物を濾過する前に生物致死剤、例えばKathon
LX(Rohm & Haas,Philadelphia,PAから1.5%
溶液として入手できる)を細菌の繁殖を防ぐために加えてもよい。
【0026】 幾つかの実施形態において、コポリマーは連続重合により調製され、モノマー
を別個の段階で反応させる。この目的のために、モノマー、界面活性剤、開始剤
、およびその他の成分の別々の予備乳濁液が調製され、反応器に最初の石鹸(界
面活性剤)溶液および触媒(開始剤)溶液を装入し、モノマーの第一予備乳濁液
を徐々に反応器に供給し、重合を開始させ伝播させる。第一予備乳濁液の重合後
、モノマーの第二予備乳濁液を徐々に反応器に供給し、重合を続ける。その結果
、乳化されたコポリマー粒子のコポリマー系は、バッチ重合により調製されたエ
マルジョンコポリマーとは全く異なる。理論に結び付けられないが、2つのモノ
マー予備乳濁液の連続重合はドメイン型コポリマー粒子の乳濁液をもたらし、各
粒子は第一コポリマー組成物の内部核、および部分的または全体的に核をカプセ
ル化する第二コポリマー組成物の外部殻または領域を有すると考えられる。
【0027】 (実施例) 実施例および表において下記の略語を用いる。 モノマー BA:アクリル酸ブチル 2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル MA:アクリル酸メチル VAc:酢酸ビニル AA:アクリル酸 MAA:メタクリル酸 MMA:メタクリル酸メチル 界面活性剤 TSPP:ピロリン酸ナトリウム Disponil FE77:ラウリルエーテルナトリウム界面活性剤 Aerosol OT−75:硫コハク酸ナトリウムジオクチル界面活性剤 触媒、開始剤、およびその他 AWC:ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム Fe−EDTA:エチレンジアミン四酢酸の鉄(III)塩 t−BHP:ヒドロ過酸化tert−ブチル nDDM:n−ドデシルメルカプタン Di−water:脱イオン水 Kathon LX:3(2H)−イソチアゾールオンの5−クロロ−2−メチ
【0028】 実施例1: 水で活性化するエマルジョンアクリルコポリマーを下記の重合実験計画を用い
て連続重合により調製した。モノマー混合物は、モノマーの全重量を基準にして
BA12%、2−EHA48%、MA9%、VAc12%、AA16%、および
MAA3%から構成された。
【0029】 表1に、実施例1〜3のアクリルコポリマーを調製するために用いたモノマー
、界面活性剤、開始剤、およびその他の成分の身元および量を要約する。 窒素の入り口弁、撹拌器、および温度計を備えたジャケット付きの多頚反応容
器に、最初の反応器投入物Aを装入し、温度を70℃まで上げた。 別個の容器で石鹸溶液Bおよびモノマー投入物C1およびC2を調製した。予
備乳濁液IおよびIIを、石鹸溶液Bの半分とモノマー投入物C1、および石鹸
溶液Bの半分とモノマー投入物Cを混合することにより調製した。反応器の温度
が70℃に達したとき、触媒投入物Dを一度に反応器に導入した。同時に予備乳
濁液Iを90分かけて反応器に供給した。その後、予備乳濁液IIをそれに次ぐ
90分をかけて反応器に供給した。また、促進剤投入物Eをモノマーが導入され
ている間に180分かけて反応器に供給した。その後、幾らかある未反応モノマ
ーを、30分かけて反応器に導入された蒸解用の触媒投入物Fで除去した。次い
で反応器を35℃まで冷却し、生物致死剤(Kathon LX)を1.5%水
溶液として反応器に加えた。
【0030】 結果としてのエマルジョンアクリルコポリマーは、pHが約4.0から6.0
、重量分析により決定された固形分が約50%、ブルックフィールド粘度計RV
(#4@12rpm)により決定された粘度が約12,500cps、示差走査
熱量測定(DSC)により決定されたTgが約−17℃、ゲル含量が約16%、
数平均分子量(MN)と重量平均分子量(MW)は両者ともゲル透過クロマトグラ
フィーにより決定され、MNが約12,690から14,116、MWが約58,
000から73,000であった。
【0031】 実施例2: 水で活性化するエマルジョンアクリルコポリマーを、連続重合を用いないこと
を除いて実施例1と同様に調製した。代わりに単一モノマー投入物Cを予め乳化
し、180分かけて反応器に供給した。コポリマーは、pHが約4.0から6.
0、固形分が約50%、粘度が約5,900cps、Tgが約−17℃、ゲル含
量が約28%、MNが約12,400から13,400、およびMWが約77,0
00から86,000であった。
【0032】 実施例3: アクリルコポリマーを、実施例1の連続重合反応の実験計画を用いて調製した
が、モノマー投入物にはその上にメタクリル酸メチルが含まれた。モノマーの重
量百分率は、BA12%、2−EHA46%、MA8%、VAc12%、AA1
5%、MAA3%、およびMMA5%であった。結果として得られるコポリマー
は、pHが約4.0から6.0、固形分が約52%、粘度が約20,000cp
s、およびTgが約−15℃であった。実施例3のコポリマーは、実施例1およ
び実施例2と比べて不満足な画像転写特性を示した。
【0033】
【表1】
【0034】 本発明のアクリルコポリマーは乾燥時に手で触れたとき非粘着性であるために
、その接着特性の評価には問題がある。それにもかかわらず、下記の方法を用い
てせん断強さ、90°はく離、および180°はく離のデータを実施例2のコポ
リマーについて得た。すなわち、シリコーンでコーティングした剥離紙上にブル
ノーズ・コータを用いてポリマーをコーティングし、70℃で15分間接着剤を
乾燥することにより試験試料を調製した。乾燥被膜重量は約20g/m2であっ
た。次いで乾燥した試料を湿らせたペーパータオルで拭き、それにより接着剤を
活性化させ、紙製の表面材料(Avery Dennison‘s Fasso
n Roll Division,Painesville,OHから入手した
50lb/連(約23kg/連)のDSX(登録商標)紙で、高速加工用に設計
され明るい白色のコーティングされていない紙)に貼り付け、剥離ライナーを除
去した。次いで、露出したアクリルコポリマーの面を湿らせたペーパータオルで
拭き、それにより接着剤を活性化させ、次いでガラスまたはステンレススチール
製のパネルに付着させ、標準せん断、90°はく離、および180°はく離試験
を行なった。
【0035】 より具体的には、せん断はPressure−Sensitive Tape
Council(PSTC)の試験法#7(第6版)に従って測定した。静荷
重500gで、オーバーラップ寸法は1/2in.×1/2in.(約13mm
×13mm)であった。試験は、引張速度20ft/分(約6.1m/分)で室
温で行なった。 90°はく離は、PSTC試験#2(第6版)に従って測定した。滞留時間は
20分、引張速度は12m/分であった。 180°はく離は、PSTC試験#1(第6版)に従って測定した。滞留時間
は20分、引張速度は12m/分であった。 接着剤の性能試験の結果を表2に示した。破壊様式、すなわち紙のちぎれは「
pt」として括弧の中に示した。はく離の値は表面材料の破壊前の、試料の引裂
かれていない部分から決定された。
【0036】
【表2】
【0037】 本発明に従って調製した水で活性化する感圧性接着剤は、画像転移シートのイ
ンクを受容する接着剤成分として特に有用であり、その一実施形態を図に示す。
画像転移シート10は4つの主要部材、すなわち柔軟性をもつ裏材20、1層ま
たは多層の非透水性の層40、親水性でインクを受容する、水で活性化する接着
剤60、および保護用の水溶性の分離層80を備える。より詳細には好ましい実
施形態において、柔軟性をもつ裏材は好ましくは外面22および内面24を有す
る紙シート20を備える。低密度ポリエチレン(LDPE)のきわめて薄い層2
6が紙シートの内面24にコーティングされている。これに限定されないがLD
PEコーティング紙の例には、9LDMT−70漂白/13IDTLとして市販
されているJen−Coat,Inc.(Wesleyan,MA)から入手で
きる1連当たり92lb(約40kg)のコーティング紙がある。
【0038】 水に不溶のUVワニスの第一層40aがLDPEコーティング紙上にコーティ
ングされている。ワニスは液体として塗布することができ、次いで紫外線(UV
)で硬化される。一実施形態においてワニスは被膜重量(乾燥後に測定)が約1
〜5g/m2、より好ましくは約2.5〜4.5g/m2である。別法では、シリ
コーンの薄層(約0.5g/m2)がUVワニス層40aの代わりに用いられる
。 第二UVワニス層40bもまた水に不溶であり、第一UVワニス層の上にコー
ティングされる。層40aおよび40bは別個のコーティング段階で塗布される
ため、それらは境界面42にわたって相互に分離できる。UVワニスの第二層は
乾燥したUVワニスの第一層に約4〜6g/m2のコーティングで塗布される。
【0039】 これには限定されないがUVワニスの例には、Environmental
Ink and Coating Corp.(Morgantown,NC)
から入手できるEnvirocure UV−1801、およびSun Che
mical(Rochester,NY)から入手できるClear Coat
ing RCA01291Rがある。Envirocure UV−1801は
非黄化性であり、すぐれた屈曲性および耐亀裂性を呈し、またすぐれた耐すり傷
性を提供する。Clear Coating RCA01291Rは光および温
度に対して安定であり、すぐれた接着力とともに高い光沢および披着性を示す。
【0040】 シリコーンの薄層(約0.5g/m2)は第一UVワニス層の代替え物として
用いることができる。その他のUVワニスの代替え物には水ベースのワニス、溶
剤ベースのワニス、およびホットメルトワニスがある。
【0041】 上述のように調製した水を受容し、水で活性化するアクリルポリマー60aの
第一層を、第二UVワニス層40bに、好ましくは乾燥被膜重量約20から25
g/m2で直接コーティングする。このアクリルポリマーの第一層は水で活性化
し、湿ったとき粘着性になる。これは好ましくはマイヤーロッドを用いて塗布さ
れる。水を受容し、水で活性化するアクリルコポリマー60bのより薄い層を、
フレキソ・グラビア印刷のコーティング技術を用いてアクリルポリマー60aの
第一層に、被膜重量約2から5g/m2で直接コーティングする。コポリマー6
0bの第二層をフレキソ印刷法で塗布することによって第一層60a中に若干あ
るワイヤマークが塞がれ、接着剤コーティングの粗さが50から70%減少し、
最終製品の外観が改善される。
【0042】 水溶性の保護分離層80を、アクリルコポリマーの第二層60bの外面にコー
ティングする。分離層は好ましくはポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアル
コール(PVOH)、および水溶性デンプンからなり、水ベースのコーティング
材(固形分約8から9%)として塗布され、次いで被膜重量約1から2g/m2
まで乾燥される。好ましい分離層は、重量パーセントでPAA3%、PVOH2
%、デンプン3.5%、および水91.5%を含むコーティング材として塗布す
る。より一般的には好適な分離層は、約1から8%の間のPAA、約1から5%
の間のPVOH、および約2から10%の間のデンプンを用いて調製することが
できる。好ましくは、Rohm & Haas,Philadelphia,P
Aから1.5%溶液として入手できるKathon LXなどの生物致死剤を貯
蔵寿命を向上させるために加える。
【0043】 画像転写シートにとって不可欠ではないが、粘着防止層は、製品の取り扱い易
さおよび貯蔵性を改善し、デスクトップ型プリンタを通るシートの送りを向上さ
せ、また一般に水で活性化するコポリマー層を外界の湿度から保護する。好まし
い実施形態のように適切に配合された場合、粘着防止層はまた画像転写シートの
印刷された画像と非画像領域との間のきれいな破断を助長する。デンプンは粘着
防止層に幾分脆さを与えることによりきれいな破断を助長する。これに対して完
全にPVOHで作製されたフィルムは余り脆さがなく、シートの画像領域に沿っ
て非画像領域を移動させる傾向がある。デンプンはまたきわめて高いPAAの水
中透視性をバランスさせるのを助ける。完全にPAAで形成された粘着防止層は
、湿度環境に曝されると大気から外界の湿気を吸収するに従って、手で触れたと
き粘着性になりやすい。
【0044】 粘着防止層の非水成分、すなわちPAA、PVOH、およびデンプンは、接着
剤および印刷可能な構造体の配合業界の技術者には周知の様々な製造業者から入
手できる。現在の好ましいPVOHは、ポリ酢酸ビニルの加アルコール分解によ
り製造された水溶性ポリマーのAir Products & Chemica
ls,Inc.(Allentown,PA)から入手できるAirvol10
7である。Airvol107は高い引張強さと、フィルムの成形し易さを兼ね
備える。現在の好ましいデンプンは、予めゼラチン化し、安定化し、架橋した最
小粒径90を有するもち性のトウモロコシデンプン(リン酸ヒドロキシプロピル
二デンプン)のCerestar USA,Inc.(Hammond,IN)
から入手できるCerestar12640 Polar Tex−Insta
nt Starchである。
【0045】 粘着防止層は、画像転写シートの想像される用途次第で配合し直すことができ
る。例えば、画像転写シートが皮膚に対して、水で除去できる「入れ墨」を転写
するために用いられることになる場合は、粘着防止層は一実施形態において水8
4.5%、デンプンAirvol107 2.0%、水で活性化する接着剤10
%、および生物致死剤Kathon LX 1.5%により配合される。接着剤
(上述)に湿ったとき皮膚に対する接着力を促進するような余分の粘着性を付与
する。
【0046】 層20〜80の各々の厚さは図1では誇張されていることを理解されたい。実
際には、例えば水で活性化するポリマー層が厚さ0.5と2mil(0.013
と0.05mm)の間にあり、柔軟性をもつ裏材が同様の薄い寸法の厚さを有す
るラベルシートなどの画像転写シートは、薄いシートまたはロールとして調製す
ることができる。より好ましくは、水で活性化するコポリマーの2層はドットゲ
イン、すなわち画像転写シートに刷り込まれたインクのドットの横方向の動きを
最小にするように十分大きな組み合せ厚さを有する。これはある程度までプリン
タに左右されるが、一般にドットゲインは約1mil(約0.025mm)の組
み合せ厚さを有する水吸収性の材料(すなわち水で活性化するコポリマー層に粘
着防止層を加えたもの)で画像転写シートを構築することにより最小にすること
ができる。
【0047】 画像転写シート10は室温および通常の相対湿度(約25%RH未満)の乾燥
時に非粘着性である。しかしながら、粘着防止層80は水溶性であり、水で活性
化するコポリマー層60aおよび60bは水を受容し、水ベースのインクジェッ
ト用インク中の水などたとえ少量であっても水分に曝されたとき粘着性になる。
その結果、画像転写シートがインクジェットプリンタを通過し、画像を刷り込ま
れるとき、粘着領域がシートの上の層60a、60b、および80に形成される
。これらの層は薄くかつ水を受容し、それらは粘着防止層80の外面から、第一
の親水性で、水で活性化するポリマー60aと第二のUVワニス層40bとの境
界まで全断面にわたって活性になる。したがって、シートの粘着防止層の表面に
印刷されるが、シートは耐水性の第二のUVワニス層までの全域にわたって粘着
性になる。
【0048】 印刷された画像は、手圧を用いて今や粘着性であるシート面を対象物に貼り付
け、第一UVワニスのフィルム層と柔軟性をもつ裏材に沿ってシートの非活性領
域を剥ぎ取ることにより対象物に直接転写することができる。構造体の画像(粘
着性)領域と非画像(非粘着性)領域の間できれいな破断が形成される。きれい
な破断は、脆い粘着防止層80(デンプンで脆くした)および脆い第二(内側)
UVワニス層40により容易になる。残るのは、第二UVワニスのフィルム層に
よりその外面で保護された鮮明な、転写された画像である。
【0049】 実施例1〜3で行なった印刷試験の結果、実施例1および2の水で活性化する
アクリルコポリマーを用いてすぐれた画像転写、すなわちインクジェットプリン
タを通過させ基板に貼り付けた後、通常80%を超え、100%に達することさ
えある画像転写を提供する画像転写シートを形成することができることが判明し
た。しかしながら、実施例3を用いて調製した類似の構造体は、部分的な画像転
写のみの余り満足できない結果をもたらした。
【0050】 本発明の実施例2に従って調製した水で活性化する組成物を用いて、上記の方
法で画像転写シートを構築し、インクジェットプリンタで濃淡のない画像を印刷
し、転写された画像の質を評価することができるように24枚の異なる基板に貼
り付けた。各ケースにおいて、水で活性化するコポリマーを被膜重量約24から
30g/m2(乾燥重量)で塗布した。画像シートを基板に室温で手圧を用いて
貼り付けた後、剥離ライナーおよびシートの非画像領域を剥ぎ取る前に、画像シ
ートを基板の上に約1から3分滞留させた。これはシート中に幾らかある過剰の
水分が多孔性の基板を透過することを可能にした。次いで、剥離ライナーおよび
シートの非画像領域を剥ぎ取り、基板に転写された画像を残した。一般に、水分
を吸収する紙の基板上では画像は約1分間の滞留でよいが、ガラスの基板上では
画像を約2または3分間滞留させた。画像転写試験の結果を表3に示した。
【0051】
【表3】
【0052】 表3に示したように、本発明の組成物は4つを除いた全ての試験用基板に対し
て室温ですぐれた画像転写を促進した。用語「良」、「普通」、「劣」は刷り込
まれた画像シートから基板への画像転写を記述するために用いる。よく画定され
た、滑らかな縁を有する濃淡のない画像(solid image)に対して、
用語「良」は画像が基板にきれいに(ほぼ完全に)転写されたことを意味し、「
普通」は画像が切れた縁をもつが、他の点では画像がよく転写されていることを
意味し、また「劣」は転写された画像が切れていて、部分的な転写のみであるこ
とを意味する。表3に一覧表示した4つを除いた全ての基板に対し、実施例2に
従って配合した、水で活性化するアクリルコポリマーで作製された構造体はすぐ
れた画像転写を提供し、基本的に刷り込まれた画像の100%が画像転写シート
から基板に転写された。これに対して、最もよい市販の画像転写シートは60%
から80%の画像転写を提供するにすぎないと思われる。蝋引きされた表面およ
び露出した粗い木材の表面は画像転写を十分に受け付けなかった。画像転写は、
ゆっくり剥ぎ取った場合とは対照的に剥離ライナーを素早く、流体運動で剥ぎ取
った場合に改良された。
【0053】 最もよい結果は、濃淡のない画像および濃淡のない縁を有する画像で見られた
。多くの部分からなる非画像領域をもつ小さな、込み入った図案は、不満足な画
像転写を示す傾向があった。また画像転写は、画像領域のインク分を減少させる
につれて落ちる傾向がある。したがって淡い画像(例えば淡青色、ピンクなど)
は、鮮やかな濃淡のない色の画像よりも完全には転写されない傾向がある。一般
にdpi(1インチ当たりのドット数)で表されるインク到達範囲が高い場合、
よりよい質の画像およびよりよい画像転写を生ずる。
【0054】 ときどき画像転写構造体で観察される別の現象に「後縁」効果があり、これは
基板に画像を貼り付けた後に、刷り込まれた転写シートを基板から剥ぎ取るとき
に起こることがある。これは基板から転写シートを剥ぎ取る場合に関わった剥離
角とせん断力の関数と考えられる。貼り付けられた転写シートを一端で把持し基
板から持ち上げるとき、初期の剥離角は鋭角で比較的低いせん断力が生ずる。し
かしながら、このプロセスの終わりに画像転写シートの後縁が基板および転写さ
れた画像から剥ぎ取られるとき、剥離角は鈍角で、より大きなせん断力が生ずる
【0055】 一般に滑らかな縁を有する、よく画定された濃淡のない画像では、転写シート
の非画像部分が、基板上に残される輪郭のはっきりした明確な画像領域からきれ
いに切り離される。しかしながら、不規則な込み入った図案および/または非常
に明るい(低い色密度)画像では、転写シートの小さな非画像部分が画像領域の
後縁から完全には離れることができず、むしろ基板上に残ることがある。これが
起こった場合、少量の非画像残留転写シート材料は、その残留分にテープ片を押
し付け、基板から残留分を持ち上げることにより、転写された画像に影響を及ぼ
すことなく除去することができる。
【0056】 本発明に従って調製した画像転写シートの上に印刷された画像の色質を評価す
るために、色密度試験を3種類の異なるインクジェットプリンタ、すなわちCa
non(Bubble Jet)620、Hewlett Packard69
4C、およびEpson Stylus600により行なった。各ケースにおい
て、画像転写シート(「試料」)は360dpiに設定したインクジェットプリ
ンタを通して送られ、色付き画像(黄、藍色、黒、または赤紫色)を刷り込まれ
た。画像を白色の写真複写用紙の基板に転写し、色密度(印刷された画像から反
射された光の強度を測定し、無次元の量として表す)を、デンシトメーターX−
Rite(登録商標)Model No.428を用いて評価した。また比較の
ために通常の写真複写用紙(「ペーパー」)に同じ色付き画像を刷り込み、色密
度を評価した。高い色密度が低い色密度よりも好ましく、0.05単位以上の差
は有意であると考えられる。試験結果を表4に示した。
【0057】
【表4】
【0058】 表4に示したように、本発明の画像転写シートは3種類の全てのインクジェッ
トプリンタで容易に刷り込まれた。シートから転写された画像は高い色密度、す
なわちほとんどの色に対して普通の写真複写用紙の密度よりもさらに高い色密度
を特徴とした。
【0059】 粘着防止層の水を吸収する性質および水で活性化するポリマー(接着剤)層の
ために基板に貼り付けられた転写画像を、例えば画像を湿らせた布で拭き取るこ
とにより基板から除去することができるということの価値を理解されたい。画像
を保護するUVワニスのフィルムは普通の家庭用洗剤で除去することができる。
しかしながら、ある用途においてはより恒久的な画像が所望され、例えば1また
は複数の架橋成分または層を構造体中に組み込むことによりそれを形成すること
ができる。例えば、架橋促進剤の層を水で活性化するポリマーの1または複数の
層の最上部にコーティングしてもよい。次いでインクジェット用インク中の水で
活性化することにより、すなわち水が構造体中に移行するにつれてそれが架橋剤
を水で活性化するコポリマー層中に運ぶことにより架橋を促進することができる
。これらに限定されないが架橋促進剤の例には、酢酸亜鉛、ジンクオクトアート
、アルミニウムアセチルアセトナート、および炭酸ジルコニルアンモニウムなど
の亜鉛、アルミニウム、およびジルコニウムの塩がある。このような架橋剤0.
2から約2重量%を水で活性化するポリマーの最上層にコーティングして浸出す
る架橋剤層を形成する。
【0060】 別の実施形態において、メタクリル酸グリシジル(GMA)などのエポキシで
官能化したモノマーを、水で活性化するコポリマーの調製に用いられるモノマー
混合物に添加することができる。熱で活性化された架橋(例えば約120℃)は
水耐久性の三次元マトリックスをもたらすことになる。これに限定されないがエ
ポキシ含有PSAを通して架橋する例は、米国特許第4,812,541号(M
allya他による)に見られ、これは参照により本明細書に合体する。別法で
は耐水性の改良は、モノマー混合物中にメタクリル酸トリフルオロエチルなどの
フルオロアクリル酸モノマーを組み込むことにより目標に導くことができる。結
果として得られるポリマーは水で活性化するが、また幾分水耐久性でもあるはず
である。
【0061】 他の変形形態および修正形態もまた本発明の範囲に入る。例えばUV硬化性接
着剤を第二接着剤として使用することができる。上記の水で活性化するポリマー
を2層コーティングする代わりに、UVワニスに隣接する水で活性化する層の1
つをUV硬化可能なPSAに換えることができる。一旦硬化すると、UV硬化可
能なPSA層が転写された画像の水堅牢度または耐久性を改善することになる。
これに限定されないがUV硬化可能なPSAの例は米国特許第5,686,50
4号(Angによる)に見られ、これは参照により本明細書に合体する。他の好
適なUV硬化可能な接着剤は、National Starch and Ch
emical Co.(Bridgewater,NJ)、Reichhold
Chemicals,Inc.(Research Triangle Pa
rk,NC)、およびH.B.Fuller Co.(St.Paul,MN)
から入手できる。
【0062】 本明細書に記載したその他の画像転写構造および水で活性化するアクリルコポ
リマーの使用法は、本出願と同時出願の「Image Transfer Sh
eets and a Method of Manufacturing t
he Same」という名称の米国特許出願に見られ、これは参照により本明細
書に合体する。この出願もまた画像転写シートの好ましい製造方法を開示する。
【0063】 本発明はインクジェットプリンタと共に使用することには限定されず、他のプ
リンタ、ペン、および水ベースのインクを用いる塗布具と共に利用することがで
き、またイソプロパノールなどの匹敵するヒドロキシル化した溶剤を対象とする
こともできる。各ケースにおいてアクリルコポリマーは、水または溶剤に曝され
たとき活性(粘着性)になり、画像をもつシートの粘着性の領域は基板に転写可
能になる。本発明は印刷された文章、すなわちアルファベットと数字を組み合せ
た文字には限定されない。それとは反対に本明細書に記載の接着剤および構造体
は、文章、画像だけでなくあらゆる種類の図を伴う様々な用途に用いることを意
図している。したがって、こどもが水ベースのインクで画像転写シートに絵を描
き、それによりシートの画像のある領域を活性化し、次いで手圧を使って絵を基
板に転写することができる。 この記述および特許請求の範囲を通じて、数の範囲に関係する用語「約」は具
陳された低および高の両方の値に変更を加えることを意図している。
【図面の簡単な説明】
図は、本発明により調製したインクジェットで刷り込み可能な、水で活性化す
る構造体の一実施形態の概略の断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 133/08 C09J 133/08 4J100 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 2H086 BA15 BA34 2H113 AA03 BC01 DA53 EA10 3B005 FB18 FB23 FC08Z GB03 4D075 AA04 AC43 CA47 DC27 EA35 EB22 4J040 DE021 DE022 DF041 DF042 DG011 DG012 GA05 GA07 HA256 HC14 HD02 HD15 JA03 JA09 JB04 KA11 KA18 KA38 LA02 MB03 NA21 PA34 4J100 AG04Q AJ02S AL03P AL03R AL04P CA06 EA07 JA03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)1または複数種のアクリル酸アルキル、(b)アクリ
    ル酸メチル、(c)酢酸ビニル、および(d)メタクリル酸および/またはアク
    リル酸を含み、メタクリル酸メチルを含まないモノマー混合物から形成されたア
    クリルコポリマーであって、前記アクリルコポリマーが、(a)フィルムとして
    注型され、乾燥されたとき手で触れた場合に非粘着性であり、(b)画像を刷り
    込まれたとき粘着性になり、基板にすぐれた画像転写をもたらすことができるよ
    うになるアクリルコポリマーを含む、水で活性化する接着剤。
  2. 【請求項2】 1または複数種のアクリル酸アルキルがアクリル酸ブチル、
    アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、およびその混合物からな
    る群から選択される、請求項1に記載の水で活性化する接着剤。
  3. 【請求項3】 モノマー混合物がアクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチル
    ヘキシルの両方を含む、請求項1に記載の水で活性化する接着剤。
  4. 【請求項4】 コポリマーが、モノマーの全重量を基準にして、 (a)そのアルキル基が炭素原子を約4から約8個有する、1または複数種の
    アクリル酸アルキルを約40から70重量%、 (b)アクリル酸メチルを約5から15重量%、 (c)酢酸ビニルを約5から20重量%、および (d)メタクリル酸、アクリル酸、またはメタクリル酸とアクリル酸の混合物
    を約5から25重量%含むモノマー混合物から形成される、請求項1に記載の水
    で活性化する接着剤。
  5. 【請求項5】 モノマー混合物がメタクリル酸約1から5重量%およびアク
    リル酸約5から20重量%を含む、請求項4に記載の水で活性化する接着剤。
  6. 【請求項6】 モノマー混合物がモノマーの全重量を基準にして重量パーセ
    ントで、アクリル酸ブチルを約12%、アクリル酸2−エチルヘキシルを約48
    %、アクリル酸メチルを約9%、酢酸ビニルを約12%、アクリル酸を約16%
    、およびメタクリル酸を約3%含む、請求項4に記載の水で活性化する接着剤。
  7. 【請求項7】 アクリルコポリマーが少なくとも80%の画像転写を提供す
    ることができる、請求項1に記載の水で活性化する接着剤。
  8. 【請求項8】 基本的に(a)1または複数種のアクリル酸アルキル、(b
    )アクリル酸メチル、(c)酢酸ビニル、および(d)メタクリル酸および/ま
    たはアクリル酸からなるモノマー混合物から形成されたアクリルコポリマーであ
    って、前記アクリルコポリマーが、(a)フィルムとして注型され、乾燥された
    とき手で触れた場合に非粘着性であり、(b)画像を刷り込まれたとき粘着性に
    なり、基板にすぐれた画像転写をもたらすことができるようになるアクリルコポ
    リマーを含む、水で活性化する接着剤。
  9. 【請求項9】 基本的に、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
    ル、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、メタクリル酸、およびアクリル酸からなる
    モノマー混合物から形成されたアクリルコポリマーであって、前記コポリマーが
    フィルムとして注型され、乾燥されたとき手で触れた場合に非粘着性であり、イ
    ンクジェットプリンタで濃淡のない画像を刷り込まれたとき粘着性になり、基板
    にすぐれた画像転写をもたらすことができるようになるアクリルコポリマーを含
    む、水で活性化する接着剤。
  10. 【請求項10】 モノマー混合物がモノマーの全重量を基準にして重量パー
    セントで、アクリル酸ブチルを約10から20%、アクリル酸2−エチルヘキシ
    ルを約40から60%、アクリル酸メチルを約5から15%、酢酸ビニルを約1
    0から20%、アクリル酸を約5から20%、およびメタクリル酸を約1から5
    %を含む、請求項9に記載の水で活性化する接着剤。
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