JP2002512510A - 動物のクローニング方法 - Google Patents

動物のクローニング方法

Info

Publication number
JP2002512510A
JP2002512510A JP53881598A JP53881598A JP2002512510A JP 2002512510 A JP2002512510 A JP 2002512510A JP 53881598 A JP53881598 A JP 53881598A JP 53881598 A JP53881598 A JP 53881598A JP 2002512510 A JP2002512510 A JP 2002512510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
totipotent
cell
embryo
cloned
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP53881598A
Other languages
English (en)
Inventor
ストレルチェンコ,ニコライ・エス
ベトハウザー,ジェフリー・エム
ジャーゲラ,ゲイル・エル
ペイス,マーヴィン・エム
ビショップ,マイケル・ディー
Original Assignee
インフィジェン・インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by インフィジェン・インコーポレーテッド filed Critical インフィジェン・インコーポレーテッド
Publication of JP2002512510A publication Critical patent/JP2002512510A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/87Introduction of foreign genetic material using processes not otherwise provided for, e.g. co-transformation
    • C12N15/873Techniques for producing new embryos, e.g. nuclear transfer, manipulation of totipotent cells or production of chimeric embryos
    • C12N15/877Techniques for producing new mammalian cloned embryos
    • C12N15/8771Bovine embryos
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0608Germ cells
    • C12N5/0611Primordial germ cells, e.g. embryonic germ cells [EG]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2502/00Coculture with; Conditioned medium produced by
    • C12N2502/13Coculture with; Conditioned medium produced by connective tissue cells; generic mesenchyme cells, e.g. so-called "embryonic fibroblasts"
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2510/00Genetically modified cells
    • C12N2510/04Immortalised cells

Abstract

(57)【要約】 本発明は、クローニング技術に関する。本発明は、部分的には、不死化された全能性の細胞に関するものであり、それらの細胞は、クローニング動物、核移植技術を用いてそれらの細胞から生産された胚、それらの細胞及び胚から生じた動物、並びにそのような細胞、胚、及び動物を創出するためのプロセスにとって、有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 動物のクローニング方法 発明の分野 本発明は動物のクローニングに関する。 発明の背景 本発明の背景に関する以下の論考は、本発明の理解において読み手を助けるた めにのみ提供されるのであって、本発明の先行技術を記載する又は構成するもの ではない。 研究者たちはこの20年間にわたり哺乳類動物をクローン化する方法を開発し ている。これらの報告された方法は;(1)細胞、通常は胚性細胞を単離すること ;(2)その細胞又はその細胞から単離した核を脱核卵母細胞(例えば、卵母細胞 の核がすでに摘出された)へ挿入すること;及び(3)この胚をin vivoで成熟 させること、というステップを典型的に含む。 哺乳類細胞を用いて最初に成功した核移植実験は1983年に報告された。そ こではネズミ(マウス)の接合体から単離された前核が脱核卵母細胞へ挿入され 、同じような子孫(たち)が生まれた。McGrathとSolter、198 3,Science 220:1300〜1302。次いで、マウスの始原生殖 細胞(PGC)を用いたキメラマウス胚(例えば、胚の他の細胞とは著しく異な る核DNAを有する細胞のサブセットを含む胚)の生産が記載された。これらの 細胞は、多分化能性細胞(例えば、他のタイプの細胞へ分化し得るが、成長した 動物へは分化しない細胞)であり、それを生むことも可能である。Matsui 等、1992,Cell 70:841〜847及びResnick等、199 2,Nature 359:550;Kato等、1994,Journal of Reproduction and Fertility抄録集、生殖研 究学会年次会議、サザンプトン,13:38。 マウス多分化能性細胞に関するいくつかの刊行物は、前駆細胞を多分化能性細 胞へ変換するスチール因子の重要性を強調している。”多分化能性胚性幹細胞及 びその製造方法(Pluripotent Embryonic Stem Cells and Methods of Making Sa me)”と題する米国特許第5,453,357号、及び第5,670,372号 が、Hoganへ付与された。同刊行物はマウス多分化能性細胞が強くて均一な アルカリホスファターゼ染色を示すと述べている。 ネズミ動物は胚性細胞を用いる核移植技術からは決して明瞭にクローン化され なかったが、ヒツジ(ovine)(羊;sheep)動物をクローン化する技術分野ではい くらかの進歩が報告された。ヒツジ胚性細胞を核ドナーとして利用して最初に成 功した核移植実験の1つが、1986年に報告された。Willadsen、1 986,Nature 320:63〜65。10年後、ヒツジ胚性細胞から別 の子羊(lamb)がクローン化されたことが報告された。Campbell等、1 996,Nature 380:64〜66及びPCT公開WO95/2004 2。最近、ヒツジ体細胞の乳組織からもうひとつの子羊がクローン化されたと報 告された。Wilmut等、1997,Nature 385:810〜813 。ヒツジ動物をクローン化するいくつかの方法は、血清を除いたヒツジ体細胞及 びヒツジ胚性ディスク(disk)から単離される細胞を、核ドナーとして利用する ことに集中した。PCT公開WO96/07732及びWO97/07669。 ヒツジ動物をクローン化する別の方法は、核移植後にin vivoで成熟した卵母細 胞の活性化状態を操作することに関係した。PCT公開WO97/07668。 子羊がほとんど生産されない一方で、クローン化子羊について開示する刊行物 は、クローニング効率がせいぜい約0.4%であると報じている。これまでの評 価のために計算されるクローニング効率とは、クローン化子羊の数をその数のク ローン化子羊を生産するために使用された核移植の回数で割った比率のことであ る。 ウシ動物をクローン化する技術分野に特有なより遅れた進歩にもかかわらず、 2−64細胞胚由来の胚性細胞を用いてウシ動物がクローン化された。このウシ 動物は、米国特許第4,994,384号及び第5,057、420号に発表さ れた核移植技術を利用することによってクローン化された。他の報告では、胚盤 胞期胚の内部細胞塊の細胞を利用する核移植技術によってクローン化ウシ胚が形 成された。SimsとFirst、1993,Theriogenology 39:313及びKeefer等、1994,Mol.Reprod.Dev. 38:264〜268。さらに、別の刊行物は、胎児組織から単離されるPGC を利用した核移植技術によってクローン化ウシ胚が製造されると報じた。Del haise等、1995,Reprod.Fert.Develop.7:12 17〜1219;Lavoir、1994,J.Reprod.Dev.37: 413〜424;及び”胚性幹細胞様の細胞(Embryonic Stem Cell-Like Cells) ”と題したPCT出願WO95/10599。しかしながら、これらの報告は、 クローン化されたPGC由来のウシ胚が妊娠の最初の3ヶ月間を過ぎると決して 明らかには発育しないことを実証した。同様に、ウシ胚由来の胚性幹細胞(例え ば、未分化、多分化能性で、安定な核型を示す永久細胞系を確立し得る胚由来の 細胞系)(ESC)は、55日以降は決して発育しなかったが、これは恐らく不 完全な胎盤発達のためである。Stice等、1996,Biol.Repro d.54:100〜110。 ヒツジ及びウシ動物をクローン化するこの進歩にもかかわらず、クローニング 効率を高める方法と材料とについて、当技術分野には大きなニーズが残っている 。また、核ドナーとして利用されうる多様な細胞を拡張する、特に核ドナーを非 胚性細胞へ拡張することについて、当技術分野には大きなニーズが残っている。 さらに、染色体操作及びトランスジェニック・クローン化動物の生産のために使 用され得る核型が安定した永久細胞系について、長く感じられているニーズが当 技術分野に残っている。 概要 本発明はクローニング技術に関する。本発明は、部分的には、動物をクローン 化するのに有用な不死化された全能性細胞に関するものであり、それらの細胞は 、核移植技術を用いてそれらの細胞から生産される胚、それらの細胞及び胚から 生じる動物、並びにそのような細胞、胚及び動物を創出するためのプロセスにと って、有用である。 本発明は哺乳類クローニングの技術分野で今日利用されている手段及び方法に 対して多くの利点を提供する。このような構成及び利点は以下のものを含む: (1)ほとんどのあらゆる細胞タイプからのクローン化動物の生産。本発明は 非全能性細胞を全能性細胞へ再プログラム化する材料及び方法を提供する。これ ら非全能性細胞は非胚性起源であり得る。本発明のこの構成は、ある現存動物の 表現型を評価し、その後に容易にその動物をクローン化する永久細胞系を確立す る能力を考慮に入れる。 (2)ほとんどのあらゆる細胞タイプからの永久細胞系の創出。永久細胞系は 、核移植クローニング技術のためにほとんど無制限の遺伝物質供給源を提供する 。本発明の1つの態様では、非全能前駆細胞を全能性及び永久細胞へ再プログラ ム化し得る。これら非全能前駆細胞は非胚性細胞であり得る。永久細胞系(例え ば、クローニングに現在使用されている初代培養細胞系より低い分化速度を有す る永久細胞)は、その細胞系内のより低い細胞不均一性によ再クローニング効率 を増強するという利点を提供する。また、永久細胞系は、すでに染色体(genome )を操作された(例えば、トランスジェニックな)細胞、胚及び動物を生産する ようにin vitroで操作し得る。さらに、永久細胞系は他のタイプの細胞系より容 易に保存、移送及び培養で再確立され得る。 (3)非同時性、永久性で、核型の安定した細胞系を完全なin vitroの胚生産 システムにおいて利用することの結果としての胚クローン化効率の増強。 クローニング効率は、核移植から生じる胚の数とその胚を生産するために実施 した核移植の回数との比率によって表現され得る。また、クローニング効率は、 生きて産まれる動物の数とその動物を生産するために実施した核移植の回数との 比率によっても表現され得る。本発明の不死化された全能性の細胞 第一の態様では、本発明は全能性哺乳類細胞を構成とする。好ましくは、この 全能性哺乳類細胞は不死化細胞である。さらに、この哺乳類細胞は好ましくは有 蹄類の細胞であり、さらに好ましくはウシの細胞である。 本明細書で使用する”哺乳類(mammalian)”又は”哺乳動物(mammal)”という 用語は、いずれかの温血動物又はその動物由来の細胞に言及し得る。本発明の哺 乳類動物は好ましくは絶滅の危機に瀕した動物であるか、又は、より好ましく は、飼育動物である。 本明細書で使用する”有蹄類(ungulate)”という用語は、蹄を有する4本足の 動物に言及し得る。別の好ましい実施形態では、有蹄類は、ウシ科、ヒツジ科、 シカ科、ブタ科、ウマ科及びラクダ科という家畜又は野生の典型物から成る群か ら選択される。このような典型物の例は、雌ウシ又は雄ウシ、バイソン、アメリ カバイソン、ヒツジ、オオツノヒツジ、ウマ、ポニー、ロバ、ラバ、シカ、ヘラ ジカ、カリブー、ヤギ、水牛、ラクダ、ラマ、アルパカ、及びブタである。ウシ 科の種で特に好ましいのは、Bos taurus、Bos indicus、 及びBos buffaloesの雌ウシ又は雄ウシである。 本明細書で使用する”ウシ”という用語は、Bos属又はBovidae科の いずれかの近縁属に属する反制動物の科に言及し得る。Bovidae科は、例 えば、純種のアンテロープ、ウシ、ヒツジ、ヤギを含む。特に好ましいウシ種は 、Bos taurus、Bos indicus及びBos buffalo esである。他の好ましいウシ種は、Bos primigenius及びBo s longifronsである。 本明細書で使用する”全能”という用語は、胚、胎児及び動物のような発生中 の体における細胞のすべてを生じさせる細胞に言及し得る。”全能”という用語 は、動物における細胞のすべてを生じさせる細胞にも言及し得る。全能性細胞は 、1又はそれ以上の核移植方法から胚を創出する方法に利用されるとき、発生中 の細胞塊の細胞のすべてを生じさせ得る。動物は子宮外で機能する動物であって よい。動物は、例えば生きて産まれる動物として存在し得る。全能性細胞はまた 、臓器採取に有用な動物のような不完全な動物を生産する(例えば、ホメオティ ック遺伝子の操作によって、頭部の成長を停止させる遺伝的な修飾(genetic mod ification))ためにも使用され得る。 本明細書で使用する”発生中の細胞塊”という用語は、すべての細胞又はその 細胞の一部が細胞分裂をしている細胞の集団に言及し得る。発生中の細胞塊は、 例えば、胚、胎児、及び/又は動物であり得る。発生中の細胞塊は、in vitro( 例えば、培養中)又はin vivo(例えば、子宮内)で分裂し得る。発生中の細胞 塊は、1回又はそれ以上の核移植方法の産物であり得るか又は卵母細胞の活性 化(例えば、精子を介した受精)の産物であり得る。 本明細書で使用する”生きて産まれる”という用語は、好ましくは子宮外で存 在する動物に言及する。”生きて産まれる”動物は母性の宿主から出てから少な くとも1秒間生きている動物であり得る。”生きて産まれる”動物は子宮内環境 の循環系を生存のために必要としない場合もある。”生きて産まれる”動物は移 動性の動物であり得る。このような動物は思春(pubital)前期及び後期 の動物を含み得る。また、”生きて産まれる動物”はある時間の間死んでいる場 合もある。すでに論じたように、”生きて産まれる”動物はその種の正常動物に 存在する部分を欠損し得る。例えば、”生きて産まれる”動物は1又はそれ以上 のホメオティック遺伝子の欠損又は操作の結果として頭部を欠く場合がある。 本明細書で使用する”全能”という用語は、”多分化能”という用語から区別 されなければならない。後者の用語は発生中の細胞塊の内部にある細胞の亜集団 へ分化する細胞に言及し得るが、その発生中の細胞塊の細胞のすべてを生じさせ 得ない細胞なのである。”多分化能”という用語は、生きて産まれる動物の細胞 をすべては生じさせ得ない細胞に言及し得る。 本明細書で使用する”全能”という用語はまた、”キマー(chimer)”又 は”キメラ”という用語からも区別されなければならない。後者の用語は、細胞 塊の他の細胞の核DNAとは有意に異なるヌクレオチド塩基配列を有する核DN Aを保有する細胞のサブグループを含む発生中の細胞塊へ言及し得る。発生中の 細胞塊は、例えば、胚、胎児及び/又は動物として存在し得る。 細胞に関連して本明細書で使用する”不死化”又は”永久”という用語は、ヘ イフリック限界を超えた細胞に言及し得る。ヘイフリック限界とはある細胞系が 老衰する前に起こる細胞分裂の数として定義され得る。ヘイフリックはたいてい の非不死化細胞に対しこの限界を約60回の分裂とした。例えば、Hayfli ckとMoorhead、1961,Exp.Cell.Res.25:585 〜621;及びHayflick、1965,Exp.Cell.Resear ch 37:614〜636を参照のこと。これらはすべての図、表及び図面を 含めそのまま本明細書に援用する。従って、不死化細胞系は、その細胞系の細胞 が60回以上分裂することができるならば、非不死化細胞系から区別され得る。 ある細胞系の細胞が60回以上分裂することができるならば、その細胞系は不死 化又は永久細胞系である。本発明の不死化細胞は好ましくは70回以上分裂する ことができ、さらに好ましくは80回以上分裂することができ、最も好ましくは 90回以上の細胞分裂をすることができる。 典型的には、不死化又は永久細胞は、不死化及び永久細胞が非不死化細胞の密 度よりも低い密度で継代され得ることに基づいて、非不死化及び非永久細胞から 区別され得る。特定すると、不死化細胞は、培養する条件が細胞間の物理的接触 を許容しないときに、周密状態(例えば、細胞単層がプレート全体に広がるとき )まで生育させ得る。従って、細胞が物理的にはお互いに接触しない細胞密度で 細胞が培養されるとき、不死化細胞は非不死化細胞から区別され得る。 細胞に関連して本明細書で使用する”培養される”や”培養する”という用語 は、in vitroの細胞培養を確立することに言及し得る。例えば、細胞は細胞培養 基で希釈され、細胞培養プレート又は細胞培養皿へ加え得る。細胞培養プレート は当業者には普通に知られている。細胞は様々な濃度及び/又は細胞密度で培養 され得る。 ”細胞の培養”という用語の意味はまた”細胞の継代”という用語へ拡張し得 る。本発明の不死化細胞は当業者によく知られた細胞培養技術を使用して継代さ れ得る。”細胞の継代”という用語は、(1)堅い支持体から細胞を遊離するこ と及びこの細胞の解離、及び(2)細胞の増殖に適した新鮮な培地で細胞を希釈 すること、という工程に典型的に関わるような技術に言及し得る。不死化細胞は 、細胞が相互に接触しない条件で細胞を培養することによってうまく生育され得 る。細胞の継代はまた、培養細胞が浴している液体培地の一部を除去すること及 び別の供給源からの液体培地を細胞培養物に加えることに言及し得る。 不死化又は永久細胞に関連して本明細書で使用する”増殖”という用語は、あ る期間にわたってサイズが増加し得る及び/又は数が増加し得る細胞のグループ に言及し得る。 本明細書で使用する”周密状態”という用語は、大きい比率の細胞がそのグル ープの少なくとも1の別の細胞と物理的に接触している細胞グループに言及し得 る。周密状態はまた与えられた条件において最大の細胞密度まで生育する細胞の グループとして定義され得る。例えば、ある細胞グループが単層で増殖すること が可能で、適切な生育培地の入った培養容器に置かれるならば、その単層が培養 容器の著しく広い表面領域にわたって広がったときそれらは周密状態である。細 胞によって覆われる表面領域は好ましくは全表面領域の約50%を表し、さらに 好ましくは全表面領域の約70%を表し、最も好ましくは全表面領域の約90% を表す。 細胞に関連して本明細書で使用する”培養”という用語は、液体培地において 静的状態にあるか又は細胞分裂をしている1又はそれ以上の細胞に言及し得る。 ほとんどのあらゆる細胞タイプが細胞培養条件の中に置かれ得る。細胞は1又は それ以上の実質的に似ている細胞とともに懸濁で及び/又は単層で培養され得る 。細胞は異質な集団の細胞とともに懸濁で及び/又は単層で培養され得る。前の 文章で利用された”異質な”という用語は、例えば細胞のタイプ及び細胞周期ス テージのようないずれかの細胞特性に関連し得る。細胞はフィーダー細胞ととも に懸濁で及び/又は単層で培養され得る。”フィーダー細胞”という用語は、後 に定義される。細胞培養物は細胞系を確立するために利用され得る。 本明細書で使用する”懸濁”という用語は、細胞が堅い支持体に付着しない細 胞培養条件に言及し得る。懸濁で増殖している細胞は当業者によく知られている 装置を使用して増殖中に撹拌され得る。 本明細書で使用する”単層”という用語は、適切な培養条件で増殖中に堅い支 持体に付着している細胞に言及し得る。適切な生育条件のもとで単層で増殖して いる細胞のごく一部分は単層の細胞には付着しているが堅い支持体には付着して いない場合がある。好ましくはこれらの細胞の15%未満が堅い支持体に付着せ ず、さらに好ましくはこれらの細胞の10%未満が堅い支持体に付着せず、最も好 ましくはこれらの細胞の5%未満が堅い支持体に付着しない。 不死化ウシ細胞に関連して本明細書で使用する”実質的に似ている”という用 語は、同一の生物体及び同一の組織由来の細胞に言及し得る。”実質的に似てい る”はまた、著しくは分化していない細胞集団にも言及し得る。例えば、好まし くは細胞集団の細胞の15%未満が分化していて、より好ましくは細胞集団の10 %未満が分化していて、最も好ましくは細胞集団の5%未満が分化している。 本明細書で使用する”細胞系”という用語は、1回以上継代され得る培養細胞 に言及し得る。本発明は2、5、10、15、20、30、50、80、100 及び200回以上継代され得る細胞系に関する。細胞の継代という概念について は前に定義されている。 好ましい実施形態では、(1)全能性細胞はアルカリホスファターゼ陽性では ない;(2)全能性細胞は少なくとも1の前駆細胞から生じる;(3)前駆細胞は動 物のいずれかの領域から単離される及び/又は生じる;(4)前駆細胞は培養中の いずれかの細胞から単離される及び/又は生じる;(5)前駆細胞は、非胚性細胞 、非胎児細胞、分化細胞、体細胞、胚性細胞、胎児細胞、胚性幹細胞、始原生殖 細胞、生殖隆線細胞、非同時性細胞集団より単離される細胞、及び同調集団が細 胞周期のG0ステージにとどまっていない同調化細胞集団より単離される細胞よ りなるグループから選択される;(6)前駆細胞は好ましくは哺乳類動物から、よ り好ましくは有蹄類動物から、最も好ましくはウシ科動物から単離される及び/ 又は生じる。 本明細書で使用する”アルカリホスファターゼ陽性”という用語は、細胞性ア ルカリホスファターゼの検出可能な存在に言及し得る。アルカリホスファターゼ 陽性でない細胞は細胞性アルカリホスファターゼを視覚化する方法を用いても認 め得るほどに染まらない。細胞性アルカリホスファターゼの存在を検出する方法 は当業者によく知られている。例えば、Matsui等、1991,"マウスの 培養始源生殖細胞に対するスチール因子及び白血球阻害因子の効果"、Natu re 353:750〜752を参照のこと。アルカリホスファターゼに対して 認め得るほどに染まる細胞の例は当技術分野に見出される。例えば、”多分化能 性胚性幹細胞及びその製造方法”と題した米国特許第5,453,357号、1 995年9月26日、Hoganへ発行、を参照のこと。これはすべての図、表 及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。 本明細書で使用する”前駆細胞”という用語は、全能性細胞の細胞系を創出す るために使用される細胞に言及し得る。細胞系は好ましくは永久性である。前駆 細胞は哺乳類動物から、好ましくは有蹄類動物から、より好ましくはウシ動物か ら単離され得る。前駆細胞はほとんどいずれかの細胞性実体から単離され得る。 例えば、前駆細胞は、胞胚、胚、胎児及び細胞系(例えば、胚性細胞から確立さ れた細胞系)から単離され得るが、好ましくは胎児及び/又は胎児細胞から確立 された細胞系から単離され、より好ましくは子宮外の動物及び/又は細胞培養物 及び/又はそのような子宮外の動物から確立された細胞系から単離され得る。子 宮外の動物は新生の動物、思春期の動物、1年たった動物及び成人の動物として 存在し得る。子宮外の動物は生きている又は死後であり得る。前駆細胞は不死化 され又は非不死化され得る。これらの例は限定的であることを意味せず、これら 例示的な前駆細胞の更なる記載が後に提供される。 本明細書で使用する”から生じる”という用語は、1又はそれ以上の細胞の1 又はそれ以上の別の細胞への変換に言及し得る。例えば、非全能前駆細胞は後に 記載される本発明の構成を利用することによって全能性細胞へ変換され得る。こ の変換方法は再プログラミング工程として言及され得る。別の例では、前駆細胞 は、後で定義されるような、フィーダー細胞層を生じ得る。さらに、”から生じ る”という用語は、後で記載されるように、本発明の不死化全能性細胞から全能 胚を創出することに言及し得る。 本明細書で使用する”再プログラミング”又は”再プログラム化された”とい う用語は、非全能性細胞を全能性細胞へ変換し得る材料及び方法に言及し得る。 全能性細胞と非全能性細胞との間の異なる構成は、前に記載されている。非全能 性細胞を全能性細胞へ変換するための材料及び方法の例は前駆細胞を受容体リガ ンドカクテルとともにインキュベートすることである。受容体リガンドカクテル については後に記載する。 本明細書で使用する”単離される”という用語は、別の細胞グループから機械 的に分離される細胞に言及し得る。細胞グループの例は発生中の細胞塊、細胞培 養物、細胞系及び動物である。これらの例は限定的であることを意味せず、本発 明はいずれかの細胞グループに関する。 本明細書で使用する”非胚性細胞”という用語は、胚から単離されない細胞に 言及し得る。非胚性細胞は分化され得るか又は非分化であり得る。非胚性細胞は 子宮外の動物から単離される細胞のようなほとんどのあらゆる体細胞に言及し得 る。これらの例は限定的であることを意味しない。 本発明の目的のために、本明細書で使用する”胚”又は”胚性”という用語は 、母性宿主の子宮膜へ着床されていない発生中の細胞塊に言及し得る。従って、 本明細書で使用する”胚”という用語は、受精した卵母細胞、サイブリッド(本 明細書で定義する)、前胞胚期の発生中の細胞塊及び/又は母性宿主の子宮膜へ の着床より前の発生段階にある他のいずれかの発生中の細胞塊に言及し得る。本 発明の胚は生殖隆線を示さない場合がある。従って、”胚性細胞”は胚から単離 される及び/又は生じる。 胚は細胞発生の多くのステージを表し得る。例えば、1細胞胚は接合体として 言及され、開裂した胚から生じる堅い細胞の球状塊は桑実胚として言及され、割 腔を有する胚は胞胚として言及され得る。 本明細書で使用する”胎児”という用語は、母性宿主の子宮膜に着床した発生 中の細胞塊に言及し得る。胎児は例えば生殖隆線のような明確な構成を含み得る 。生殖隆線は当業者によって容易に確認される構成であり、ほとんどの動物種の 胎児において認知され得る構成である。本明細書で使用する”胎児細胞”という 用語は、胎児から単離される及び/又は胎児から生じる又は胎児から派生するい ずれかの細胞に言及し得る。”非胎児細胞”という用語は、胎児から派生しない 又は単離されない細胞である。 本明細書で使用する”始原生殖細胞”という用語は、生殖細胞になることがで きる二倍体の体細胞に言及し得る。始原生殖細胞は発生中の細胞塊の生殖隆線か ら単離され得る。生殖隆線は当業者によく知られている発生中の細胞塊の一部分 である。例えば、Strelchenko、1996,Theriogenol ogy 45:130〜141及びLavoir、1994,J.Reprod .Dev.37:413〜424を参照のこと。 本明細書で使用する”胚性幹細胞”という用語は、in vitroの細胞培養で維持 されている、胚から単離された多分化能性細胞に言及し得る。胚性幹細胞はフィ ーダー細胞とともに又はそれなしで培養され得る。胚性幹細胞は、胞胚期の胚及 び前胞胚期の胚を含め、いずれかの発生段階にある胚から単離される胚細胞から 確立され得る。胚性幹細胞は当業者によく知られている。例えば、”有蹄類の胚 から派生した培養内部細胞塊の細胞系”と題したWO97/37009、St iceとGolueke、1997年10月9日公開、及びYangとAnde rson、1992,Theriogenology 38:315〜335を 参照のこと。これらはともにすべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に 援用する。 本明細書で使用する”分化細胞”という用語は、未分化の表現型から分化した 表現型へ発生した前駆細胞に言及し得る。例えば、胚性細胞は腸を裏打ちする上 皮細胞へ分化し得る。分化細胞がin vivo又はin vitroで前駆細胞へ復帰するこ とは全くありそうにない。しかしながら、本発明の材料及び方法は分化細胞を不 死化全能性細胞へ再プログラム化し得る。分化細胞は例えば胎児又は生きて産ま れる動物から単離され得る。 非胚性細胞から生じる本発明の全能及び/又は不死化細胞と対照的に、胚性細 胞の例が”核移植用の全能性細胞”と題したWO96/07732で論じられて いて、これはすべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。この WO96/07732刊行物は主にヒツジ動物に関する。本発明の独自の構成は 、好ましい実施形態及び例示的な実施形態の記述において本明細書に記載される 材料及び方法を利用することによって不死化全能性細胞が非胚性細胞から再プロ グラム化されるということである。 本明細書で使用する”非同時性集団”という用語は、細胞周期のいずれかのス テージに捉えられていない細胞に言及し得る。多くの細胞は細胞周期を通じて発 達することができ、いかなるステージにも捉えられないが、細胞のなかにはある 時間の間細胞周期のあるステージに捉えられ得るものがある。細胞周期のいくつ かの知られているステージはG0、G1、S、G2及びMである。細胞の非同時性 集団はこれらフェーズのいずれかの1へ又は優勢的にいずれかの1へ同調化する ように操作されない。細胞は、血清遮断のような当技術分野で知られている多く の技術を利用することによって、例えば細胞周期のG0期に捉え得る。非不死化 細胞を細胞周期の1部分に捉えるための方法の例が”核移植用の静止期細胞集団 ”と題されたWO97/07669に論じられていて、これはすべての図、表及 び図面を含めそのまま本明細書に援用する。 本明細書で使用する”同調性集団”及び”同調化”という用語は、細胞周期の ある特定のステージに捉えられている(つまり、細胞は分裂していない)集団の 細胞分画に言及し得る。好ましくはある細胞集団の細胞の約50%が細胞周期の 1のステージに捉えられていて、より好ましくはある細胞集団の細胞の約70% が細胞周期の1のステージに捉えられていて、最も好ましくはある細胞集団の細 胞の約90%が細胞周期の1のステージに捉えられている。細胞周期のステージ は、相対的な細胞のサイズ及び当業者によく知られている多様な細胞マーカーに よって区別され得る。例えば、当業者によく知られているフローサイトメトリー 技術を使用することによってそのようなマーカーにより細胞を区別し得る。また 、例えば光学顕微鏡及びマイクロメーターの利用によるような当業者によく知ら れた技術を利用してサイズによって細胞を区別し得る。 好ましい実施形態では、(1)本発明の全能性細胞は修飾された核DNAを含 む;(2)修飾されたDNAは組換え産物をコードする配列を含む;(3)組換え産 物はポリペプチドである;(4)組換え産物はリボザイムである;(4)組換え産物 は生物学的体液又は組織において発現される;(5)組換え産物は1又はそれ以上 の疾患に対し抵抗性を与える又は部分的に与える;(6)組換え産物は1又はそれ 以上の寄生体に対し抵抗性を与える又は部分的に与える;(7)修飾された核DN Aは調節要素として機能し得る少なくとも1の他のDNA配列を含む;(8)調節 要素はプロモーター、エンハンサー、インシュレーター及びリプレッサーからな るグループから選択される;(9)調節要素は乳タンパク質プロモーター、尿タン パク質プロモーター、血液タンパク質プロモーター、涙管タンパク質プロモータ ー、滑膜タンパク質プロモーター、顎下腺タンパク質プロモーター、カゼインプ ロモーター、β−カゼインプロモーター、メラノコルチンプロモーター、乳血清 タンパク質プロモーター、αラクトアルブミンプロモーター、乳清酸タンパク質 プロモーター、ウロプラキンプロモーター、αアクチンプロモーターからなるグ ループから選択される。 本明細書で使用する”修飾された核DNA”という用語は、1又はそれ以上の 組換えDNA技術によって操作された、本発明の細胞、胚、胎児又は動物の核デ オキシリボ核酸の配列に言及し得る。これらの組換えDNA技術の例は当業者に よく知られていて、(1)他の生物体(例えば、ヒト生物体)由来のDNA配列 を標的核DNAに挿入すること、(2)標的核DNAから1又はそれ以上のDN A配列を欠失させること及び(3)1又はそれ以上の塩基の突然変異(例えば部 位特異的突然変異)を標的核DNAに導入することを含み得る。修飾された核D NAを有する細胞は本発明の目的のために”トランスジェニック細胞”として言 及され得る。トランスジェニック細胞は本明細書で提供される核移植クローニン グ技術の材料として有用であり得る。 哺乳類細胞の核DNAの挿入、欠失及び突然変異のための方法及び手段は当業 者によく知られている。"分子クローニング、実験マニュアル第2版"、1989 ,Sambrook、FritschとManiatis、コールドスプリング ハーバーラボラトリープレス;米国特許第5,633,067号、"トランスジ ェニックウシ又はトランスジェニックウシ胚を生産する方法"、DeBoer等 、1997年5月27日発行;米国特許第5,612,205号、"哺乳類細胞 における相同的組換え"、Kay等、1997年3月18日発行;及びPCT公 開WO93/22432、”トランスジェニック着床前胚を同定する方法”を参 照のこと。これらはすべて、すべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に 援用する。これらの方法は、異物のDNAフラグメント、及び標的DNA染色体 の挿入、欠失及び/又は突然変異をもたらすような適切に設計された異物のDN Aフラグメントを用いて細胞をトランスフェクトするための技術を含む。 トランスジェニック細胞は多様な仕方で入手され得る。例えば、トランスジェ ニック細胞はトランスジェニック動物から単離され得る。トランスジェニック動 物の例は、トランスジェニックウシ及びヒツジ動物に関して本明細書で記載され るように、当技術分野でよく知られている。トランスジェニック動物から単離さ れた細胞は、本明細書で提供される材料及び方法を使用することによって全能及 び/又は不死化細胞へ変換され得る。もうひとつの実施態様では、トランスジェ ニック細胞は本発明の全能及び/又は不死化細胞から創出され得る。非トランス ジェニック細胞をトランスジェニック細胞へ変換するための材料及び方法はすで に記載したように当技術分野でよく知られている。 本明細書で定義される細胞タイプのいかなるものも修飾された核DNAを保有 するように変化され得る。例えば、本明細書で定義される胚性幹細胞、胎児細胞 及びいずれかの全能及び不死化細胞は修飾された核DNAを保有するように変化 され得る。 挿入、欠失及び/又は突然変異によって標的DNA染色体を修飾する方法の例 は、レトロウィルスの挿入、人工染色体技術、遺伝子挿入、組織特異的プロモー ターを用いたランダム挿入、相同的組換え、遺伝子ターゲティング、転移性因子 、及び/又は異物のDNAを導入する他のいずれかの方法である。当業者によく 知られている他の修飾技術は、染色体からDNA配列を欠失させること及び/又 は核DNA配列を変化させることを含む。核DNA配列を変化させる技術の例は 部位特異的突然変異及びポリメラーゼ連鎖反応法である。それ故、本発明は、全 能、不死化及びトランスジェニックであるウシ細胞を提供する。上記のトランス ジェニック、全能、不死化細胞は、クローン化トランスジェニック動物を生産す るためのほとんど無制限なドナー細胞供給源として役立ち得る。 本明細書で使用する”組換え産物”という用語は、修飾された核DNAの少な くとも一部を含むDNA配列から生産される産物に言及し得る。この産物とは、 例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント 、調節要素(後に記載される用語)に結合するポリペプチド、構造タンパク質、 RNA分子及び/又はリボザイムである。これらの産物は当技術分野でよく定義 されている。この産物リストは例示的な目的のためであり、本発明は他のタイプ の産物にも関する。 本明細書で使用する”リボザイム”という用語は、特定の領域で他のRNA分 子を開裂し得るリボ核酸分子に言及し得る。リボザイムはRNA分子の特定の領 域に結合し、次いでその結合領域内の又はその結合領域に隣接した領域を特異的 に開裂し得る。それによってリボザイム技術は生のメッセンジャーRNA分子か ら翻訳されるポリペプチドの量を減少させ得る。リボザイムに関する特別な記載 としては、”共有結合を形成せずに基質RNAを開裂するRNAリボザイム”と 題した米国特許第5,354,855号、Cech等、1994年10月11日 発行及び”RNAリボザイムポリメラーゼ、脱リン酸酵素、制限エンドリボヌク レアーゼ及び方法”と題した米国特許第5,591,610号、Cech等、1 997年1月7日発行、を参照のこと。これらはすべての図、表及び図面を含め そのまま本明細書に援用する。 本明細書で使用する”生物学的な体液又は組織”という用語は、生物学的生物 体の中にあるいずれかの体液又は組織に言及し得る。この体液は涙、唾液、乳汁 、尿、羊水、精液、血漿、卵管液及び滑膜液を含み得るが、それに限定されるも のではない。組織は胚、心臓、血液、肝臓、筋肉、脳、膵臓、皮膚等を含み得る が、それに限定されるものではない。 本明細書で使用する”抵抗性を与える”という用語は、病気又は寄生された状 態の症状を完全に消去する又は部分的に軽減する組換え産物の能力に言及し得る 。従って、例えば病気が炎症に関連している場合、組換え産物は、その組換え産 物の発現時に炎症が減少する場合、その炎症に対して抵抗性を与える。組換え産 物は、例えばその組換え産物が炎症の原因であるポリペプチドをコードしている mRNA分子に特異的に結合するアンチセンスRNA分子であれば、病気又は寄 生された状態に対して抵抗性を与える又は部分的に与える。病気又は寄生体に対 して抵抗性を与える他の例は後に記載される。また、疾患の例も後に記載される 。 寄生体及び寄生体に対する抵抗性を与える戦略の例は後に記載される。これら 寄生体の例は、限定しないが、体内寄生生物、昆虫、無脊椎性、細菌性、ウィル ス性及び真核生物性の寄生体を含む。これら寄生体は本発明の材料及び方法によ ってコントロールされ得る病的状態を導き得る。 本明細書で使用する”調節要素”という用語は、別のDNA配列から生産され る産物の量を増加又は減少させ得るDNA配列に言及し得る。調節要素は産物の 構成的な生産(例えば、産物が定常的に発現され得る)を起こし得る。また、調 節要素は誘導可能な仕方で組換え産物の生産を増強又は減衰させ得る(例えば、 特定のシグナルに応じて産物が発現され得る)。調節要素は、例えば、栄養、光 又はトランスジェニック生物体のシステムへある物質を加えることによってコン トロールされ得る。当業者によく知られている調節要素の例は、プロモーター、 エンハンサー、インシュレーター及びリプレッサーである。例えば、"トランス ジェニック動物の産出と用途"、1997、L.M.Houdebine編、ハ ードウッド・アカデミック・パブリッシャーズ、オーストラリアを参照のこと。 これはすべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。 本明細書で使用する”プロモーター”という用語は、組換え産物をコードする DNA配列の隣に位置するDNA配列に言及し得る。プロモーターは好ましくは 隣のDNA配列と機能的につながっている。プロモーターは典型的にはDNA配 列から発現される組換え産物の量を、プロモーターが存在しないときに発現され る組換え産物の量に比較して増加させる。ある生物体由来のプロモーターが、別 の生物体を起源とするDNA配列からの組換え産物の発現を増強するために利用 され得る。さらに、1のプロモーター要素は縦につながった多数のDNA配列に 対して発現される組換え産物の量を増加させ得る。つまり、1のプロモーター要 素は1又はそれ以上の組換え産物の発現を増強し得る。多数のプロモーター要素 が当業者によく知られている。プロモーター要素の例は後に記載される。 本明細書で使用する”エンハンサー”という用語は、組換え産物をコードする DNA配列の隣に位置しているDNA配列に言及し得る。エンハンサー要素は典 型的にはプロモーター要素の上流に位置しているか又はコーディングDNA配列 (例えば、組換え産物へ転写又は翻訳されるDNA配列)の下流に位置し得る。 従って、エンハンサー要素は組換え産物をコードするDNA配列より100塩基 対、200塩基対又は300以上の塩基対上流に位置し得る。エンハンサー要素 は、DNA配列から発現される組換え産物の量を、プロモーター要素によって与 えられる増加した発現量より以上に増加させ得る。多数のエンハンサー要素が当 業者に容易に利用可能である。 本明細書で使用する”インシュレーター”という用語は、組換え産物をコード するDNA配列に隣接するDNA配列に言及し得る。インシュレーター要素は組 換え産物の発現を生物体の特定組織へ指示し得る。多数のインシュレーター要素 が当業者によく知られている。例えば、Geyer等、1997,Curr.O pin.Genet.Dev.7:242〜248を参照のこと。これはすべて の図、表及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。 本明細書で使用する”リプレッサー”又は”リプレッサー要素”という用語は 、組換え産物をコードするDNA配列の近傍に位置するDNA配列に言及し得る が、リプレッサー配列はDNA配列から発現される組換え産物の量を減少させ得 る。リプレッサー要素は特定の分子又は特定の分子群がリプレッサー要素である DN A配列に結合することによってコントロールされ得る。これらの分子はリプレッ サー要素を活性化又は不活性化し得る。多くのリプレッサー要素が当業者に利用 可能である。 "乳タンパク質プロモーター"、"尿タンパク質プロモーター"、"血液タンパク 質プロモーター"、"涙管タンパク質プロモーター"、”滑膜タンパク質プロモー ター”及び”顎下腺タンパク質プロモーター”という用語は、動物の特定された 体液又は腺又は細胞タイプ内におけるタンパク質の特定の発現を調節するプロモ ーター要素に言及する。例えば、乳タンパク質プロモーターは、動物の乳汁に発 現されるタンパク質の発現をコントロールし得る調節要素である。例えば、カゼ インプロモーター、αラクトアルブミンプロモーター、乳清酸タンパク質プロモ ーター、ウロプラキンプロモーター及びαアクチンプロモーターのような他のプ ロモーターは当業者によく知られている。 好ましい実施形態では、(1)全能性細胞は操作にかけられる;(2)操作は核 移植法において全能性細胞を利用する工程を含む;(3)操作は全能性細胞を低温 保存する工程を含む;(4)操作は全能性細胞を解凍する工程を含む;(5)操作は 全能性細胞を継代する工程を含む;(6)操作は全能性細胞を同調化する工程を含 む;(7)操作は全能性細胞を異物のDNAでトランスフェクトする工程を含む; 及び(8)操作は細胞を別の細胞又は細胞グループから解離させる工程を含む。 本明細書で使用する”操作”という用語は、ある対象に対する管理又は取り扱 いという、この用語の通常の使い方に言及し得る。操作の例は本明細書に記載さ れている。 本明細書で使用する”核移植”という用語は、1の細胞由来の核DNAという 完全な補充物を脱核細胞へ導入することに言及し得る。核移植法は当業者によく 知られている。”ウシ胚を増産すること”と題した米国特許第4,994,38 4号、Prather等、1991年2月19日発行及び”ウシの核移植”と題 した米国特許第5,057,420号、Massey、1991年10月15日 発行、を参照のこと。これらはいずれも、すべての図、表及び図面を含めそのま ま本明細書に援用する。核移植はまた透明体によって囲まれていない卵母細胞を 使用することによって達成し得る。 核移植の基本原理は以前に記載されているが、この技術はいずれかの新しいパ ラメータの導入に対して敏感であり得る。それ故、核移植の分野で記載されてい る技術に対する著しい変更は、核移植の効率に対するその変更の実際的な効果を 決定するために何らかの実験を必要とする場合もある。核移植の効率に影響を及 ぼし得る変数の1例は、脱核及び核移植に利用される卵母細胞の齢である。 本明細書で使用する”低温保存”という用語は、本発明の細胞、胚又は動物を 冷凍することに言及し得る。本発明の細胞、胚又は動物の部分は、好ましくは0 ℃以下、より好ましくは−80℃以下の温度で、そして最も好ましくは−196 ℃以下の温度で冷凍される。本発明の細胞及び胚は不定量の時間の間低温保存さ れ得る。生物材料は50年以上の間低温保存され得ることが知られている。例え ば、50年以上の間低温保存されている精液が雌のウシ動物を人工授精するため に利用され得る。低温保存の方法及び手段は当業者によく知られている。例えば 、”胚の直接移植のための低温保存法”と題した米国特許第5,160,312 号、1992年11月3日、Voelkelへ発行、を参照のこと。 本明細書で使用する”解凍する”という用語は、低温保存された細胞、胚又は 動物の部分の温度を増加させる方法に言及し得る。低温保存された材料を解凍方 法の後にそれが活性になるように解凍する方法は当業者によく知られている。 本明細書で使用する"トランスフェクトされた"、”形質転換”及び”トランス フェクション”という用語は、異物のDNAを細胞性の生物体へ挿入する方法に 言及する。この方法は、関心対象の核酸分子が宿主細胞の外膜又は壁を通過しや すくなるように、高い塩濃度、電場、リポソーム、多陽イオンミセル又は界面活 性剤でその細胞を処置すること、のような多様な技術に関わる。上記の特定され た方法は限定的なものではなく、本発明は当業者によく知られているいずれかの 形質転換技術に関する。例えば、"分子クローニング、実験マニュアル第2版"、 1989,Sambrook、FritschとManiatis、コールドス プリングハーバーラボラトリープレス、及び"トランスジェニック動物の産出と 用途"、1997、L.M.Houdebine編、ハードウッド・アカデミッ ク・パブリッシャーズ、オーストラリアを参照のこと。これらはいずれもすでに 本明細書に援用された。 本明細書で使用する”異物のDNA”という用語は、標的細胞へトランスフェ クトされ得るDNAに言及し得るが、この異物のDNAは標的生物の核DNAと 比べると、少なくとも1の塩基対修飾を保有している。異物のDNA及びトラン スフェクションについてはすでに記載した”修飾された核DNA”と組み合わせ ることでさらに理解され定義され得る。 本明細書で使用する”解離させる”という用語は、細胞を別の細胞から引き離 すのに有用な材料及び方法に言及し得る。例えば、割球(即ち、胞胚期胚の細胞 性の成員)は、当業者によく知られている技術及び装置によって発生中の細胞塊 の残り部分から引き離し得る。例えば、”ウシ胚を増産すること”と題した米国 特許第4,994,384号、1991年2月19日発行、を参照のこと。これ は、すべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。また、培養に おいて増殖している細胞は前に記載されている細胞継代のような方法を促進する ためにお互いに分離され得る。さらに、培養細胞の培養細胞グループからの解離 は後に記載されるように、核移植方法の第一工程として有用であり得る。細胞が 胚から解離されるとき、この解離操作は胚の数を増やすための工程としてだけで なく、再クローニングのような本明細書に記載される方法にとって有用であり得 る。 別の態様では、本発明は、(a)少なくとも1の前駆細胞を単離すること;及 び(b)その前駆細胞を全能性哺乳類細胞へ変換する刺激を前駆細胞へ導入する こと、という工程を含む方法によって製造される、不死化された全能性哺乳類細 胞を構成とする。 本明細書で使用する”変換する”という用語は、前駆細胞が不死化及び/又は 全能になる現象に言及し得る。”変換する”という用語は、この前駆細胞が非不 死化及び/又は非全能であるときには、本明細書で使用する”再プログラム”と いう用語と同義である。前駆細胞は様々な割合で全能、不死化細胞へ変換され得 る。例えば、ごく少ない割合の前駆細胞が全能、不死化細胞へ変換されることは あり得る。当技術分野では、前駆細胞を多分化能性細胞へ変換する技術が論じら れている。Matsui等、1992,Cell 70:841〜847。 本明細書で使用する”刺激”という用語は、前駆細胞を不死化及び/又は全能 性細胞へ変換するのに有用な材料及び/又は方法に言及し得る。刺激は、例えば 、電気的、機械的、温度関連的及び/又は化学的であり得る。刺激は1又はそれ 以上の様々なタイプの刺激の組み合わせであり得る。刺激は前駆細胞の不死化及 び/又は全能性細胞への変換を達成するいずれかの時間の間前駆細胞へ導入され 得る。 刺激に関連して本明細書で使用する”導入する”という用語は、前駆細胞が刺 激と接触する1工程又は数工程に言及し得る。例えば、刺激が化学的な性質であ れば、その刺激はその刺激を細胞培地と混合することによって前駆細胞へ導入さ れ得る。 好ましい実施形態では(1)前駆細胞はフィーダー細胞と共培養される;(2 )前駆細胞はフィーダー細胞と共培養されない;(3)フィーダー細胞は胎児細胞 から確立される;(4)胎児細胞はいかなる細胞タイプも胎児から除去されていな い胎児から生じる;(5)胎児細胞は1又はそれ以上の細胞タイプが胎児から除去 された胎児から生じる;(6)刺激はフィーダー細胞によって前駆細胞へ導入され る;(7)フィーダー細胞はこの刺激の唯一の供給源である;(8)刺激は機械的な 仕方で前駆細胞へ導入される;(9)その唯一の刺激は機械的な仕方で前駆細胞へ 導入される;(10)刺激はフィーダー細胞によって及び機械的な仕方で前駆細胞 へ導入される;(11)刺激は前駆細胞を受容体リガンドカクテルとともにインキ ュベートする工程を含む;(12)前駆細胞は有蹄類の動物、好ましくはウシ動物 から単離される;(13)前駆細胞は、非胚性細胞、始原生殖細胞、生殖隆線細胞 、分化細胞、動物を起源とする細胞、胚性幹細胞、胎児細胞及び胚性細胞からな るグループから選択される;(14)受容体リガンドカクテルは、サイトカイン、 成長因子、栄養因子及び神経栄養因子、LIF及びFGFからなるグループから 選択される少なくとも1の構成成分を含む;(15)LIFはヒトLIFのアミノ 酸配列と実質的に似ているアミノ酸配列を有する;及び(16)FGFはウシb FGFのアミノ酸配列と実質的に似ているアミノ酸配列を有する。 本明細書で使用する”機械的な仕方”及び”機械的な刺激”という用語は、刺 激がフィーダー細胞によって導入されない場合に細胞へ刺激を導入することに言 及し得る。例えば、精製されたLIF及びbFGF(後に定義される)は、前駆 細胞が生育している細胞培地へこれら精製された産物を加えることによって前駆 細胞への刺激として導入され得る。 本明細書で使用する”フィーダー細胞”という用語は、標的細胞とともに共培 養して生育される細胞に言及し得る。標的細胞は、例えば前駆細胞及び全能性細 胞であり得る。フィーダー細胞は、例えばペプチド、ポリペプチド、電気シグナ ル、有機分子(例えば、ステロイド)、核酸分子、成長因子(例えば、bFGF)、 他の因子(例えば、LIF及びスチール因子のようなサイトカイン)及び代謝性 栄養物を標的細胞へ供給し得る。不死化全能性細胞のようなある種の細胞は、健 全な生育のためにフィーダー細胞を必要としない場合もある。フィーダー細胞は 好ましくは単層で生育する。 フィーダー細胞は多数の細胞タイプから確立され得る。これらの細胞タイプの 例は、胎児細胞、マウス細胞、バッファローラットの肝細胞及び卵管細胞である 。これらの例は限定的であることを意味しない。組織サンプルは当業者によく知 られている方法(例えば、ブレンダーの使用)によってフィーダー細胞系を確立 するために分解され得る。フィーダー細胞は前駆細胞と同じ又は異なる動物種に 由来し得る。胎児細胞から確立されるフィーダー細胞の例では、有蹄類の胎児及 び好ましくはウシの胎児が、1又はそれ以上の細胞タイプ(例えば、始原生殖細 胞、頭部の細胞及び体腔部分の細胞)が胎児から除去されたフィーダー細胞系を 確立するために利用され得る。フィーダー細胞系を確立するために全体の胎児が 利用されるとき、フィーダー細胞(例えば、線維芽細胞)及び前駆細胞(例えば 、始原生殖細胞)は同一の供給源(例えば、1の胎児)から生じ得る。 本明細書で使用する”受容体リガンドカクテル”という用語は、1又はそれ以 上の受容体リガンドのカクテルに言及し得る。受容体リガンドは細胞の外側又は 内側に位置している受容体タンパク質に結合するいずれかの分子に言及し得る。 受容体リガンドは、サイトカインのリガンドファミリー、神経栄養因子のリガン ドファミリー、成長因子のリガンドファミリー及びマイトジェンのリガンドファ ミリーという分子から選択され得るが、これらはいずれも当業者にはよく知られ ている。受容体/リガンド対の例は、上皮細胞成長因子受容体/上皮細胞成長因 子、インスリン/インスリン受容体、cAMP依存性プロテインキナーゼ/cA MP、成長ホルモン受容体/成長ホルモン及びステロイド受容体/ステロイド、 である。ある種の受容体は交叉反応性を示すことが示されている。例えば、イン スリン様成長因子受容体1(IGFR1)とインスリン様成長因子受容体2(I GFR2)のような異種の受容体がいずれもIGF1に結合し得る。受容体リガ ンドカクテルが刺激を含む場合、この受容体リガンドカクテルは当業者に知られ ている様々なやり方で前駆細胞へ導入され得る。 本明細書で使用する”サイトカイン”という用語は、当業者によく知られてい る受容体リガンドの大ファミリーに言及し得る。サイトカインの受容体リガンド ファミリーは、白血病阻害因子(LIF)、カルジオトロフィン1(CT−1)、毛 様体神経栄養因子(CNTF)、幹細胞因子(SCF)、オンコスタチンM(OSM )及びIL−6、IL−11及びIL−12を含むインターロイキン(IL)フ ァミリーのいずれかの成員といった成員を含む。本発明の教示では、前駆細胞の 全能性細胞への変換のためにスチール因子(当技術分野では幹細胞因子としても 知られている)の機械的な付加を必要としない。 本明細書で使用する”成長因子”という用語は、細胞成長及び/又は細胞増殖 効果を引き起こすいずれかの受容体リガンドに言及し得る。成長因子の例は当技 術分野でよく知られている。線維芽成長因子(FGF)は成長因子の1例である 。”bFGF”という用語は、塩基性FGFに言及し得る。 アミノ酸配列に関連して本明細書で使用する”実質的に似ている”という用語 は、好ましくは50%又はそれ以上のアミノ酸同一性、より好ましくは70%又 はそれ以上のアミノ酸同一性又は最も好ましくは90%又はそれ以上のアミノ酸 同一性を有している2つのアミノ酸配列に言及し得る。アミノ酸の同一性はその 類似性又は関連性を評価するアミノ酸配列の1の性質である。同一性は2つの配 列における同一残基の数を全残基数で割り、それに100を掛けて評価される。 従って全く同じ配列の2コピーは100%の同一性であるが、あまり高度に保存 されていない及び欠失、付加又は置換を有する配列は低い程度の同一性を有する 。当業者は配列比較の実行及び配列同一性の決定のためにいくつかのコンピュー タ プログラムが利用可能であることを認知するだろう。 別の態様では、本発明は、(a)1又はそれ以上の前駆細胞を単離すること; 及び(b)前駆細胞を全能性細胞へ変換する刺激へその前駆細胞を導入すること 、という工程からなる不死化された全能性哺乳類細胞を製造する方法を構成とす る。全能性哺乳類細胞に関連してすでに本明細書で明確にした実施形態は、いず れも全能性哺乳類細胞を製造する方法に関するものである。本発明のクローン化全能胚 本発明は部分的にはクローン化全能胚に関する。従って、本発明の態様は、( 1)胚が全能性である;(2)胚が不死化及び/又は全能性細胞から生じる;及び (3)胚が非胚性細胞から生じる;及び(4)上記のいずれかの組み合わせ、で あるクローン化哺乳類胚を構成とする。 胚に関連して本明細書で使用する”全能”という用語は、生きて産まれる動物 へ発生し得る胚に言及し得る。”生きて産まれる”という用語は、すでに定義付 けた。 本明細書で使用する”クローン化”という用語は、別の細胞、胚性細胞、胎児 細胞及び/又は動物細胞の核DNAと実質的に似ている又は同一である核DNA 配列を有する細胞、胚性細胞、胎児細胞及び/又は動物細胞に言及し得る。”実 質的に似ている”及び”同一である”という用語は、本明細書に記載されている 。クローン化された胚は1回の核移植から生じ得る、また別のやり方では、クロ ーン化胚は少なくとも1回の再クローニング工程を含むクローニング方法から生 じ得る。もしクローン化胚が少なくとも1回の再クローニング工程を含むクロー ニング方法から生じるとすれば、再クローニング工程は不死化、全能性細胞から 生じた胚から単離される胚性細胞を利用し得るので、このクローン化胚は不死化 全能性細胞から間接的に生じ得ることになる。 好ましい実施形態では、(1)クローン化哺乳類胚は好ましくは有蹄類の胚で あり、より好ましくはウシの胚である;(2)クローン化ウシ胚は複数性の胚の1 の成員になり得るが、その複数性の胚は実質的に似ている核DNA配列を共有す る;(3)クローン化哺乳類胚は複数性の胚の1の成員になり得て、その複数 性の胚は同一の核DNA配列を共有する;(4)クローン化哺乳類胚は生きて産ま れる哺乳類動物の核DNA配列と実質的に似ている核DNA配列を有する;(5 )クローン化哺乳類胚の1又はそれ以上の細胞は修飾された核DNAを有する; (6)クローン化胚は操作にかけられる;(7)操作は胚を適切な培地で培養する工 程を含む;(8)胚を培養するのに適切な培地はCR−2培地である;(9)培地 はフィーダー細胞を含み得る;(10)胚の操作は胚を雌の子宮へ着床させる工程 を含む;(11)雌動物は好ましくは有蹄類動物であり、より好ましくはウシ動物 である;(12)雌の発情周期は胚の発生周期に同調化されている;及び(13) 操作は胚を人工的な環境でインキュベートする工程を含む。 本発明の全能性細胞のための修飾された核DNAに関するすべての好ましい実 施形態は、本発明のクローン化胚へ拡張される。さらに、本発明の全能性細胞と ともに記載された操作もすべて本発明のクローン化胚に適用される。 核DNA配列に関連して本明細書で使用する”実質的に似ている”という用語 は、ほとんど同一である2つの核DNA配列に言及する。この2つの配列は核D NAの複製の間に正常に起こっている複製エラーの違いによって異なる場合があ る。実質的に似ているDNA配列は好ましくは97%以上同一であり、より好ま しくは98%以上同一であり、最も好ましくは99%以上同一である。核DNA 配列に関連して本明細書で使用する”同一性”という用語は、すでに本明細書に 記載されているアミノ酸配列に関連したこの用語の同じ使用法に言及し得る。 胚に関連して本明細書で使用する”複数性”という用語は、実質的に似ている 核DNA配列を有する少なくとも2つの胚を含むセットに言及し得る。好ましい 実施形態では、その複数性は5又はそれ以上の胚、10又はそれ以上の胚、10 0又はそれ以上の胚又は1000又はそれ以上の胚からなる。こう呼ばれる3つ 以上の胚が発生するのは約1/100,000の確率で起こるので、少なくとも 5つの胚又は動物の複数性は天然に存在している胚又は動物ではなくクローン化 された胚又は動物に関するものである。 胚に関連して本明細書で使用する”培養する”という用語は、胚を培養基の中 に置くことに関わる。胚は、胚がその培地にあって静的であるが機能的であるこ とを可能にする又は胚がその培地において生育することを可能にするだけの適切 な時間の間、培養基の中に置かれ得る。胚を培養するのに適した培養基は当業者 によく知られている。例えば、”ウシ胚のin vitro培養”と題した米国特許第5 ,213,979号、First等、1993年5月25日発行及び”ウシ胚の 培地”と題した米国特許第5,096,822号、Rosenkrans,Jr 等、1992年3月17日発行、を参照のこと。これらはすべての図、表及び図 面を含めそのまま本明細書に援用する。 本明細書で使用する”適した培地”という用語は、細胞増殖を可能にするいず れかの培地に言及し得る。適した培地は最大の増殖を促進する必要はなく、適度 の細胞増殖でよい。胚の発生に適した培地についてはすでに論じられている。 本明細書で使用する”CR−2培地”という用語は、胚を培養するのに適した 培地に言及し得る。CR−2培地は以下の成分を1又はそれ以上含み得る;塩化 ナトリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム、L−乳酸ヘミカルシウム及び無 脂肪酸BSA。これらの成分は、この培地において、約115mM塩化ナトリウ ム、約3mM塩化カリウム、約25mM重炭酸ナトリウム、約5mM乳酸ヘミカ ルシウム及び約3mg/mL無脂肪酸BSAという濃度で存在し得る。また、上 記成分は、この培地において、0〜1M塩化ナトリウム、0〜100mM塩化カ リウム、0〜500mM重炭酸ナトリウム、0〜100mM乳酸ヘミカルシウム 及び0〜100mg/mL無脂肪酸BSAという濃度で存在し得る。 ”フィーダー細胞”という用語は、すでに本明細書で定義されている。本発明 の胚はフィーダー細胞とともに又はそれなしで培地で培養され得る。別の好まし い実施形態では、フィーダー細胞は堆積細胞であり得る。 胚に関連して本明細書で使用する”着床させる”という用語は、雌動物を本明 細書に記載される胚で妊娠させることに言及し得る。この技術は当業者によく知 られている。例えば、SeidelとElsden、1997,"乳牛における 胚移植"、W.D.ホード・アンド・サンズ社、ホーズ・デアリマン[Hoard s Dairyman]、を参照のこと。胚は子宮内で発生させ得るし、また別 に、胎児は分娩前に子宮環境から除去され得る。 発情周期に関連して本明細書で使用する”同調化された”という用語は、当業 者によく知られている生殖支援技術に言及し得る。これらの技術は前のパラグラ フで引用した文献に詳しく記載されている。典型的には、雌動物の発情周期を胚 の発生周期と同調化するためにエストロジェン及びプロゲステロンホルモンが利 用される。本明細書で使用する”発生周期”という用語は、本発明の胚及び胚内 部の各細胞分裂の間に存在する時間周期に言及する。この時間周期は有蹄類由来 の胚に対しては予測可能であり、レシピエント動物の発情周期に同調化され得る 。 ”人工的な環境”という用語は、胚又は他の発生中の細胞塊の発生を促進する ものに言及する。人工的な環境は、発生中の細胞塊の種とは異なる種の子宮環境 又は卵管環境であり得る。例えば、発生中のウシ胚がヒツジ動物の子宮又は卵管 へ置かれ得る。SticeとKeefer、1993,"ウシ胚の多世代クロー ニング"、Biology of Reproduction 48:715〜 719。また、人工的な発生環境はin vitroで組み立て得る。このタイプの人工 的な子宮環境は当技術分野で知られている生物学的及び化学的成分を使用して合 成され得る。 別の態様では本発明は核移植の工程を含む方法によって製造される、全能であ るクローン化哺乳類胚を構成とする。好ましくは、核移植は(a)不死化された 全能性哺乳類細胞及び(b)胚の形成を可能にする段階にある卵母細胞との間で 起こる。 好ましい実施形態では、(1)卵母細胞は脱核卵母細胞である;(2)全能性哺 乳類細胞及び卵母細胞は好ましくは有蹄類動物を起源とし、より好ましくはウシ 動物を起源とする;(3)全能性哺乳類細胞は有蹄類の1の種を起源とし、卵母細 胞は有蹄類の別の種を起源とし得る;(4)卵母細胞は幼若卵母細胞である;(5 )全能性哺乳類細胞は卵母細胞の卵黄周囲の空間に置かれる;(6)核移植に利用 される全能性細胞はすでに記載された細胞(例えば、非胚性細胞、始原生殖細胞 、生殖隆線細胞、分化細胞、胎児細胞、非胎児細胞、非始原生殖細胞、非同時性 細胞集団から単離される細胞、同時性細胞集団から単離される細胞、現存動物か ら単離される細胞及び胚性幹細胞)のいずれからも生じ得る;(7)核移植は全能 性哺乳類細胞をレシピエント卵母細胞へ転座する工程を含む;(8)転座は全能性 哺乳類細胞の核ドナーをレシピエント卵母細胞へ注入する工程を含み得る;(9) 転座は全能性哺乳類細胞とその卵母細胞を融合する工程を含み得 る;(10)融合は全能性哺乳類細胞及び卵母細胞に対し1又はそれ以上の電気パ ルスをデリバリーする工程を含み得る;(11)融合はその全能性哺乳類細胞及び その卵母細胞に対し適切な濃度の少なくとも1の融合試薬をデリバリーする工程 を含み得る;(12)核移植はその全能性哺乳類細胞及びその卵母細胞を活性化す る工程を含み得る;及び(13)活性化はDAMP及び/又はイオノマイシンを卵 母細胞及び/又はサイブリッドへ導入することによって達成される。 本明細書で使用する”脱核卵母細胞”という用語は、その内容物の一部が除去 された卵母細胞に言及し得る。典型的には針を卵母細胞の中に入れ、核が針の内 側の空間へ吸引され得る。その針は原形質膜を破裂させることなく卵母細胞から 除去され得る。この脱核技術は当業者によく知られている。米国特許第4,99 4,384号;米国特許第5,057,420号;及びWilladsen、1 986,Nature 320:63〜65を参照のこと。脱核卵母細胞は幼若 又は老化卵母細胞から製造され得る。”幼若卵母細胞”及び”老化卵母細胞”の 定義は本明細書で提供される。核移植は1の核ドナーと1以上の脱核卵母細胞と を結合することによって達成され得る。さらに、核移植は1の核ドナー、1又は それ以上の脱核卵母細胞及び1又はそれ以上の脱核卵母細胞の細胞質を結合する ことによって達成され得る。 本明細書で使用する”サイブリッド”という用語は、核ドナー全体がレシピエ ント卵母細胞の細胞質へ転座されている構築物に言及し得る。例えば、In V itro Cell.Dev.Biol.26:97〜101(1990)を参 照のこと。 本発明は核移植によって創出されるクローン化哺乳類胚に特に関するが、ここ で卵母細胞の核は物理的にはその核から摘出されていない。ドナー細胞由来の核 DNAが細胞分裂の間に複製される素材となるクローン化胚を創出することが可 能である。例えば、Wagoner等、1996,”ウシ卵母細胞の機能的な脱 核:遠心分離及び紫外光の効果”Theriogenology 46:279 〜284を参照のこと。 本明細書で使用する”別の有蹄類”という用語は、核ドナーがレシピエント卵 母細胞の起源となる有蹄類とは別の種、属又は科を起源とする状況に言及し得る 。 例えば、核ドナーとして使用される全能性哺乳類細胞が水牛から生じ得る一方で 、卵母細胞レシピエントは家畜雌ウシから生じ得る。この例は限定的であること を意味せず、核ドナー及びレシピエント卵母細胞についていずれかの有蹄類種/ 科の組み合わせが本発明によって予見される。 本明細書で使用する”幼若卵母細胞”という用語は、成熟の開始以来28時間 未満の間in vitroで成熟した及び/又はin vivoで排卵された卵母細胞に言及し 得る。卵母細胞は当業者によく知られている方法を使用して生きた動物から単離 され得る。例えば、Pieterse等、1988,”卵巣の経膣超音波スキャ ニングにおけるウシ卵母細胞の吸引”Theriogenology 30:7 51〜762を参照のこと。卵母細胞は死亡した又は生きて産まれる動物の卵巣 又は卵管から単離され得る。卵母細胞のin vitro培養に適した培地は当業者によ く知られている。例えば、米国特許第5,057,420号を参照のこと。これ は本明細書に援用する。 本明細書で使用する”成熟”という用語は、卵母細胞がin vitroの培地でイン キュベートされる方法に言及し得る。卵母細胞は当業者によく知られている多く の培地とともにインキュベートされ得る。例えば、ウシ生物体に対してはSai to等、1992,Roux’s Arch.Dev.Biol.201:13 4〜141,ヒツジ生物体に対してはWells等、1997,Biol.Re pr.57:385〜393を参照のこと。これらはともにすべての図、表及び 図面を含めそのまま本明細書に援用する。成熟培地は微小管阻害剤(例えば、サ イトカラシンB)を含め多くのタイプの成分を含み得る。成熟培地に取り込まれ 得る他の成分の例が”核移植用細胞質体レシピエントとしての不活性化卵母細胞 ”と題したWO97/07668、CampbellとWilmut、1997 年3月6日公開、に論じられている。これはすべての図、表及び図面を含めその まま本明細書に援用する。成熟の時間は卵母細胞が成熟培地に置かれる時間及び その卵母細胞が次いで核移植法に利用される時間から決定され得る。 幼若卵母細胞はその卵細胞質の出現によって同定され得る。ある種の細胞性素 材(例えば、脂質)が卵細胞質の中にまだ分散していないので、幼若卵母細胞は 密集した外観を有し得る。密集した外観は細胞質性素材の塊として構成化され得 る。”密集した”外観は、より均一な外観をした卵細胞質を有する28時間以上 経った卵母細胞の外観と対照的である。 核移植に関連して本明細書で使用する”転座”という用語は、全能性哺乳類細 胞の核ドナーとレシピエント卵母細胞とを結合することに言及し得る。転座は例 えば融合及び/又は直接注入のような技術によって実施され得る。 胚に関連して本明細書で使用する”注入”という用語は、針で卵母細胞に穿孔 すること及びその針の中にある核ドナーを卵母細胞へ挿入することに言及し得る 。好ましい実施形態では核ドナーは卵母細胞の細胞質又は卵母細胞の卵黄周囲空 間へ注入され得る。この直接注入法は、核移植に関連してすでに本明細書に援用 された刊行物に示されているように、当業者によく知られている。核移植に対す る直接注入アプローチでは、全能性哺乳類細胞全体が卵母細胞へ注入され得るか 、又は全能性哺乳類細胞から単離される核が卵母細胞へ注入され得る。このよう な単離される核は核膜だけに囲まれ得るか、又は単離される核はいずれかの比率 の核膜及び原形質膜によって囲まれ得る。卵母細胞はその原形質膜の強度を高め るために、核ドナーの注入より前にスクロースの中で卵母細胞をインキュベート するような前処置をされ得る。 核ドナー(例えば、本発明の不死化及び全能性細胞)を脱核卵母細胞の卵黄周 囲空間の中へ置く技術は当業者によく知られていて、核移植に関連して本明細書 ですでに引用した特許及び引用文献において充分記載されている。 本明細書で使用する”融合”という用語は、全能性哺乳類細胞の核ドナー及び レシピエント卵母細胞に相当する脂質膜の部分を結合することに言及し得る。脂 質膜は、例えば細胞の原形質膜又は核膜に相当し得る。融合は、例えば核ドナー とレシピエント卵母細胞がお互いに隣接して置かれるとき、又は核ドナーがレシ ピエント卵母細胞の卵黄周囲空間の中に置かれるとき、両者の間で起こり得る。 全能性哺乳類細胞が卵母細胞の中へ転座する特定の例が他の好ましい実施形態に おいて後に記載される。これらの転座技術は、核移植に関連して本明細書ですで に引用した引用文献に充分記載されている。 本明細書で使用する”電気パルス”という用語は、核ドナー及びレシピエント 卵母細胞を電流にさらすことに言及し得る。核移植のために、核ドナー及びレシ ピエント卵母細胞は電極の間に配置され、電流にさらされる場合がある。電流は 1パルス又は数パルスのように多種多様な時間細胞へデリバリーされ得る。細胞 は典型的には電気パルスのデリバリーに適した培地の中で培養される。核移植の ために利用される電気パルス条件の例は、核移植に関連して本明細書ですでに引 用した引用文献及び特許において記載されている。 本明細書で使用する”融合試薬”という用語は、全能性哺乳類細胞の核ドナー がレシピエント卵母細胞に隣接して置かれるときに異なる細胞由来の原形質膜の 部分が融合する確率を増加し得るいずれかの化合物又は生物学的生物体に言及し 得る。好ましい実施形態では、融合試薬はポリエチレングリコール(PEG)、ト リプシン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、レクチン、アグルチニン、ウイル ス類及びセンダイ・ウイルスからなるグループから選択される。これらの例は限 定的であることを意味せず、当技術分野で知られている他の融合試薬も適用可能 であり、本明細書に含まれる。 融合試薬に関連して本明細書で使用する”適切な濃度”という用語は、適度な 量の融合をもたらす融合試薬のいずれかの濃度に言及し得る。融合は、例えば光 学顕微鏡、色素及び蛍光脂質を利用するような、当技術分野で知られている多く の技術によって測定され得る。 ”活性化”という用語は、核移植工程の前、間、後に細胞を分裂するよう刺激 するのに有用ないずれかの材料及び方法に言及し得る。サイブリッドは核移植が 起こった後で分裂するために刺激を必要とする場合がある。本発明は当業者に知 られているいずれかの活性化材料及び方法に関する。電気刺激は時にサイブリッ ドの活性化を刺激するのに充分であるが、サイブリッドの適切な活性化には他の 手段が時に有用又は必要である。胚を活性化するのに有用な化学的材料及び方法 は本発明の他の好ましい実施形態において以下に記載される。 非電気的な活性化手段の例は、エタノールのような薬剤;イノシトール三リン 酸(IP3);Ca++イオノフォア(例えば、イオノマイシン)及びタンパク質キ ナーゼ阻害剤(例えば、6−ジメチルアミノプリン(DMAP));温度変化;タン パク質合成阻害剤(例えば、シクロヘキサミド);12−ミリステート13−アセ テート(PMA)のようなホルボールエステル;機械的技術;及びタプシ ガーギン(thapsigargin)を含む。本発明は当技術分野で知られて いるいずれかの活性化技術を含む。例えば、”単為生殖的な卵母細胞の活性化” と題された米国特許第5,496,720号、1996年3月5日発行、Sus ko−Parrish等、を参照のこと。これはすべての図、表及び図面を含め そのまま本明細書に援用する。 別の好ましい実施形態では、(1)クローン化胚の1又はそれ以上の細胞は修 飾された核DNAを含む;(2)クローン化胚は操作にかけられる;(3)操作は少 なくとも1の独立した細胞をクローン化胚から分ける工程を含む;(4)操作はそ の独立した細胞を核移植法における核ドナーとして利用する工程を含む;(5) 独立した細胞は胞胚期胚の内部細胞塊から分離される;(6)独立した細胞は前胞 胚期の胚から分離される;(7)操作は再クローニングの方法を含む;(8)再ク ローニング方法は、(a)胚を1又はそれ以上の細胞へ分割すること及び(b) (i)(a)の独立した細胞と(ii)卵母細胞との間で少なくとも1回の二次的な 核移植を実施すること、という工程を含む;(9)二次的な核移植に利用される卵 母細胞は老化卵母細胞である;(10)独立した細胞は二次的な核移植のために脱 核卵母細胞の卵黄周囲空間の中に置かれる;(11)二次的な核移植は転座、注入 、融合及び独立した細胞及び/又は脱核卵母細胞の活性化という工程の少なくと も1を含む;(12)二次的な核移植から生じるクローン化哺乳類胚の1又はそれ 以上の細胞は修飾された核DNAを含む;及び(13)二次的な核移植から生じる クローン化哺乳類胚はさらに次の操作にかけられる場合があるが、その次の操作 は、不死化細胞及び/又はクローン化胚に関連して本明細書において定義された 操作工程のいずれかのものである。 本明細書で使用する”独立した細胞”という用語は、本発明のクローン化哺乳 類胚から単離された細胞に言及し得る。独立した単一細胞は当業者によく知られ ている技術によって残りの胚性塊から単離され得る。すでにそのまま本明細書に 援用された米国特許第4,994,384号及び5,957,420号を参照の こと。 本明細書で記載される”二次的な核移植”という用語は、”再クローニング” 工程としても言及される。好ましくは、再クローニング工程は、核移植の産物が 生きて産まれる動物であるように、核移植の間に核の再プログラミングを増強す るために利用され得る。その再クローニング工程は独特である、なぜなら再クロ ーニングに向けられたこれまでの営為は胚の数を増やすことに向けられていたの であって、核の再プログラミングの増強のためではなかったからである。二次的 な核移植の回数については後でより詳しく論じる。 すでに本明細書に記載した転座、注入、融合及び活性化工程に関する好ましい 実施形態のいずれもがこの二次的な核移植工程に関連する。 本明細書で使用する”内部細胞塊”という用語は、胚そのものを生む細胞に言 及し得る。胞胚の外側を裏打ちする細胞は胚の栄養芽層として言及され得る。内 部細胞塊を胚から単離する方法は当業者によく知られている。SimsとFir st、1993,Theriogenology 39:313及びKeefe r等、1994,Mol.Reprod.Dev.38:264〜268を参照 のこと。これらはすべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。 ”前胞胚期”という用語は当技術分野でよく知られていて、すでに言及されてい る。 本明細書で使用する”老化卵母細胞”という用語は、成熟又は排卵の開始以来 28時間以上の間in vitroで成熟した及び/又はin vivoで排卵された卵母細胞 に言及し得る。老化卵母細胞はその構成的に均質な卵細胞質によって同定され得 る。この外観はすでに本明細書に記載した幼若卵母細胞の外観と対照的である。 卵母細胞の齢は卵母細胞が適切な成熟培地に置かれる時間と卵母細胞が活性化さ れる時間との間に経過した時間によって定義され得る。卵母細胞の齢は核移植の 効率を劇的に高め得る。 本明細書で使用する”in vivoで排卵された”という用語は、動物が発情期に ある構成を示してから何時間かが経過した動物から単離される卵母細胞に言及し 得る。発情期にある動物の構成は本明細書に開示された引用文献に記載されてい るように、当業者によく知られている。 もうひとつの態様では、本発明はクローン化哺乳類胚を製造する方法に関する 。その方法は(a)不死化された全能性哺乳類細胞;及び(b)胚の形成を可能 にする段階にある卵母細胞との間での核移植の工程を含む。好ましい実施形態で は、 クローン化哺乳類胚に関する本発明の実施形態はいずれもクローン化哺乳類胚を 製造する方法に適用される。本発明のクローン化胎児 もうひとつの態様では、本発明は本発明の全能胚から生じるクローン化哺乳類 胎児を構成とする。好ましくは、哺乳類胎児は有蹄類の胎児であり、より好まし くは、有蹄類の胎児はウシ胎児である。胎児は妊娠した雌動物の子宮から単離さ れ得る。 好ましい実施形態では、(1)胎児の1又はそれ以上の細胞は(本明細書です でに定義された)修飾された核DNAを含む;及び(2)胎児は本明細書で定義 されたいずれかの操作にかけられる場合がある。例えば、1の操作は妊娠した雌 動物の子宮から胎児を単離し、その胎児から細胞(例えば、始原生殖細胞)を単 離し、その単離された細胞を核移植の核ドナーとして利用するという工程を含み 得る。 本発明の他の態様は(1)(a)すでに定義したクローン化哺乳類胚を製造する こと及び(b)クローン化哺乳類胚が胎児へ発育するように操作することという 工程を含む方法によって製造されるクローン化哺乳類胎児;(2)(a)すでに定 義したクローン化哺乳類胚を製造すること及び(b)クローン化哺乳類胚が胎児 へ発育するように操作することという工程を含むクローン化哺乳類胎児の製造方 法;(3)少なくとも1の細胞タイプを胎児から単離する工程を含む、本発明のク ローン化胎児を(例えばフィーダー細胞層を創出するために)使用する方法;( 4)胎児の少なくとも1の部分を独立した細胞へ分割する工程を含む、本発明の クローン化胎児を(例えばフィーダー細胞層を確立するために)使用する方法、 を構成とする。本発明のクローン化動物 もうひとつの態様では、本発明は本発明のクローン化胚から生じるクローン化 哺乳類動物を構成とする。その胚は全能であり、本発明ですでに定義したいずれ かの方法から生じ得る。 好ましい実施形態では、クローン化哺乳類動物は(1)好ましくはクローン化 有蹄類動物であり、より好ましくはクローン化ウシ動物である;及び(2)思春 期前及び後の動物からなるグループから選択される動物と同年齢か又はより高齢 である。 また別の態様では、本発明はクローン化哺乳類動物に関するが、その動物は複 数性の動物の1の成員であり、その動物の複数性は実質的に似ている核DNA配 列を有する。核DNA配列に関連した”実質的に似ている”という用語は、本明 細書ですでに定義されている。 好ましい実施形態では、(1)複数性は5又はそれ以上の動物、10又はそれ 以上の動物、100又はそれ以上の動物又は1000又はそれ以上の動物からな る;及び(2)複数性の動物は同一である核DNA配列を有し得る。核DNA配 列に関連した”同一である”という用語は、本明細書ですでに記載されている。 もうひとつの態様では、本発明は修飾された核DNAを含む1又はそれ以上の 細胞を有するクローン化哺乳類動物に関する。すでに記載された修飾された核D NAに関する好ましい実施形態のすべてが本発明のクローン化ウシ動物に適用さ れる。 また別の態様では、本発明は、哺乳類動物から少なくとも1の構成成分を単離 する工程を含む、クローン化哺乳類動物を使用する方法を構成とする。 本明細書で使用する”構成成分”という用語は、動物のいずれかの部分に関す ることができる。構成成分は体液、生物学的体液、細胞、組織、器官、生殖子、 胚及び胎児からなるグループから選択され得る。前駆細胞は本発明のクローン化 生物から単離される体液、生物学的体液、細胞、組織、器官、生殖子、胚及び胎 児から生じ得る。 本明細書で使用する”生殖子”という用語は、動物の生殖系に直接又は間接的 に関係するいずれかの細胞に言及し得る。生殖子の例は精母細胞、精原細胞、卵 母細胞及び卵原細胞である。生殖子は動物から採取される体液、組織及び器官の 中に存在し得る(例えば、精子は精液に存在する)。例えば、人工授精の目的で精 液を採取する方法は当業者によく知られている。例えば、"畜牛の生殖及び人工 授精の生理学(第2版)"、Salisbury等、版権1961,1978, WH フリーマン・アンド・カンパニー、サンフランシスコ、を参照のこと。し かしながら、本発明は動物からいずれかのタイプの生殖子を採取することに関す る。 ”組織”という用語は、すでに定義されている。”器官”という用語は、動物 から単離されるいずれかの器官又は器官のいずれかの部分に関する。器官及び組 織の例は、神経組織、脳組織、脾臓、心臓、胚、胆嚢、膵臓、精巣、卵巣及び腎 臓である。これらの例は限定的ではなく、本発明は、本発明のクローン化動物か ら単離されるいずれかの器官及びいずれかの組織に関する。 好ましい実施形態では、本発明は(1)操作にかけられ得る体液、生物学的体 液、細胞、組織、器官、生殖子、胚及び胎児に関する;(2)操作は生殖子、胚及 び/又は胎児組織を低温保存する工程を含み得る;(3)操作はこの低温保存され た項目を解凍する工程を含む;(4)操作は精液をX染色体保有精液とY染色体保 有精液とに分離する工程を含み得る;(5)操作は人工授精のために精液を製造す る方法を含む;(6)操作は所望のポリペプチドを生物学的体液又は組織から精製 する工程を含む;(7)操作は生物学的体液又は組織の濃縮を含む;及び(8)操 作は1又はそれ以上のクローン化動物、クローン化組織、クローン化器官及び/ 又はクローン化器官の部分をレシピエント動物へトランスファーする(例えば、 レシピエント生物はドナー源とは異なる種であり得る)工程を含み得る。 精液を分離することに関連して本明細書で使用する”分離する”という用語は 、精液サンプルを性特定の画分へ分画するための当業者によく知られている方法 に言及し得る。このタイプの分離は実用化されているフローサイトメーターを使 用することによって達成され得る。遺伝物質の含量によって精子を分離するため にサイトメーターを利用する方法が当技術分野でよく知られている。さらに、精 液は、その性に関連した特性によって当技術分野で知られている他の方法によっ て分離され得る。”性に関連した膜タンパク質及び子孫が所望の性である確率を 高める方法”と題した、米国特許第5,439,362号、5,346,990 号及び5,021,244号、Spaulding、それぞれ、1995年8月 8日、1994年9月13日及び1991年6月4日発行、を参照のこと。これ ら はいずれもすべての図、表及び図面を含めそのまま本明細書に援用する。 精液の製造法は当業者によく知られている。これら製造工程の例は、"畜牛の 生殖及び人工授精の生理学(第2版)"、Salisbury等、版権1961, 1978,WH フリーマン・アンド・カンパニー、サンフランシスコ、に記載 されている。 本明細書で使用する”精製”という用語は、サンプルの特定のポリペプチド又 はポリペプチド類の比活性を高めることに言及し得る。比活性は標的ポリペプチ ドの活性とサンプルの全ポリペプチド濃度の比として表現され得る。活性は、例 えば、触媒活性及び/又は結合活性であり得る。また、比活性は標的ポリペプチ ドの濃度と全ポリペプチド濃度の比としても表現され得る。精製法は透析、遠心 分離及びカラムクロマトグラフィー技術を含むが、これらは当業者によく知られ ている方法である。例えば、Young等、1997,"トランスジェニック酪 農動物の乳汁にある生物医薬タンパク質の生産"、BioPharm 10(6) :34〜38、を参照のこと。 本明細書で使用する”トランスファーする”という用語は、細胞のグループ、 組織、器官及び/又は器官の部分を動物へ移すことに関連し得る。細胞、組織、 器官及び/又は器官の部分は、例えば、(a)in vitroで発育され、次いで動物 にトランスファーされる、(b)動物から除去されて別の種のもうひとつの動物 へトランスファーされる、(c)動物から除去されて同じ種のもうひとつの動物 へトランスファーされる、(d)動物の1の部分(例えば、動物の肢)から除去 され、次いで同じ種のもうひとつの部分(例えば、その動物の脳)へトランスフ ァーされる及び/又は(e)上記が任意に組み合わされ得る。”トランスファー する”という用語は、細胞、組織及び/又は器官を動物に加えることに関連し得 るし、また動物から細胞、組織及び/又は器官を除去しそれを他の供給源由来の 細胞、組織及び/又は器官で置換することにも関連し得る。 本明細書で使用する”トランスファーする”という用語は、クローン化哺乳類 動物由来の1又はそれ以上の細胞、組織、器官及び/又は器官の部分を別の生物 体へ着床させることに言及し得る。例えば、クローン化哺乳類生物体由来の神経 組織が、アルツハイマー病のような神経性疾患を治療するためにヒト神経系の適 切な部位へ移植され得る。また、ブタ生物を起源とするクローン化細胞、組織及 び/又は器官がヒトレシピエントへトランスファーされ得る。本発明のこの好ま しい態様を達成するための外科的な方法は当業者によく知られている。トランス ファー方法は、トランスファー工程の前にレシピエント生物体から細胞、組織又 は器官を除去する工程を含み得る。 別の態様では、本発明は(1)(a)クローン化哺乳類胚を生産するための本明 細書で記載された方法のいずれか1つによってクローン化哺乳類胚を製造するこ と及び(b)生きて産まれる動物へ発育するようにクローン化哺乳類胚を操作す ることという工程からなる方法によって製造されるクローン化哺乳類動物;(2 )(a)クローン化哺乳類胚を製造するための本明細書で記載された方法のいずれ か1つによってクローン化哺乳類胚を製造すること及び(b)生きて産まれる動 物へ発育するようにクローン化哺乳類胚を操作することという工程を含む方法; 及び(3)(a)本明細書で記載された胚を生産する方法のいずれか1つによって クローン化哺乳類胚を製造すること及び(b)生きて産まれる動物へ発育するよ うにクローン化哺乳類胚を操作することという工程を含むクローン化哺乳類動物 、を構成とする。 好ましい実施形態では、(1)生きて産まれる動物は好ましくは有蹄類動物で あり、より好ましくはウシ動物である;(2)操作は胚を動物の子宮へ着床させる 工程を含み得る;(3)動物の発情サイクルは胚の発生段階へ同調化され得る;及 び(4)操作は胚を人工的な環境へ移すという工程を含み得る。 上記に記載した本発明の概要は限定的ではなく、本発明の他の構成及び利点は 、特許請求の範囲だけでなく好ましい実施形態に関する以下の詳しい記載からも 明らかになるであろう。 図面の簡単な説明 図1は、本発明の、不死化された全能性の細胞を前駆細胞から生じさせること に関連した複数の実施態様を図解している。図は、不死化された全能性の細胞が 、胚性幹細胞、始原生殖細胞、及び動物から単離した細胞から生じ得るというこ とを示している。図1に示す前駆細胞源は限定的ではなく、他の前駆細胞源が本 明 細書中に記載されている。 図2は、本発明の、クローニングに関連した実施態様を図解している。図は、 (a)前駆細胞を不死化された全能性の細胞へとプログラムし直し;(b)不死化さ れた全能性の細胞を、未熟な卵母細胞を用いる第一の核移植のドナーとして用い ;(c)第一の核移植から生じた胚を培養し;(d)第一の核移植から生じた胚から単 離した細胞を、成熟した卵母細胞を用いる第二の核移植のドナーとして用い;及 び(e)第二の核移植から得られた胚を培養し、生きて生まれる動物を発生させ 得る、というクローニング手順を図解している。核移植から得られた胚は、培養 するか及び/又は凍結保存し解凍することができる。 図3は、本発明の、全能性の細胞株及びクローン化された動物を樹立する経路 に関連した複数の実施態様を図解している。線維芽細胞は、本明細書中に記載さ れたあらゆる起源から単離することができる。この図は、実施例のセクションで さらに詳細に記載する。 図4は、本発明の、クローン化されたトランスジェニック細胞株及びクローン 化されたトランスジェニック動物を創出する複数の実施態様を図解している。こ の図は、実施例のセクションでさらに詳細に記載する。 好ましい実施態様の詳細な説明 本発明は、クローニング技術に関連する。本発明は、クローニング技術の分野 で現在用いられているツール及び方法にまさる複数の利点を提供する。例えば、 本発明は、動物をクローニングするのに有用な不死化された全能性の細胞に一部 関連している。これらの不死化された全能性の細胞は、事実上あらゆる種類の細 胞を用いることにより、クローン化された動物を作出する方法のもととなり得る 。例えば、生きて生まれた動物から単離した細胞を、不死化された全能性の細胞 へとプログラムし直すことができる。本発明のこの構成は、現存する動物の表現 型を評価し、次いでその動物をクローニングするための永続する細胞株を容易に 樹立する能力を提供する。本明細書中で先に記載されるように、本技術分野にそ のような利点の認められる方法はなかった。 加えて、本発明の不死化された全能性の細胞により、事実上あらゆる種類の細 胞から永続する細胞株を創出することが可能である。この再プログラミングの方 法は、本明細書中で先に記載されている。これらの永続する細胞株は、核移植ク ローニング技術のためのほぼ無限のドナー細胞源を提供する。さらに、この構成 は、これらの細胞株の分化速度がクローニングに用いられる現存する細胞株より も遅いために、クローニング効率を増すという利点を提供する。例えば、胚性幹 細胞株には、全能性ではない細胞のコロニーが複数ひそんでいる可能性がある。 本発明の全能性の不死化された細胞は、先に報告された細胞株よりも高い割合で 全能性の細胞を含む。 さらに、本発明の、不死化された全能性の細胞、全能性のクローン化された胚 、及びクローン化された動物を創出する方法及びプロセスにより、先に報告され たクローニングのツール及び技術にまさる高いクローニング効率が示される。特 に、本発明の全能性の不死化された細胞株及び洗練された核移植技術は、この高 いクローニング効率を提供する。この高い効率は、本技術分野で長らく感じられ ていた必要性を満足させる。 I. 不死化され、かつ全能性である細胞 A. 不死化され、かつ全能性である細胞の生産 本発明の不死化された全能性の細胞は、事実上あらゆる種類の前駆細胞から作 出し得る。本発明の好ましい実施態様は、以下の種類の前駆細胞に関連する。す なわち、(1)in vitroあるいはin vivoで2つの配偶子の結合から生じさせた胚 ;(2)胚(例えば、前胚盤胞細胞及び内細胞塊細胞(inner cell mass cells))か ら生じさせた胚性幹細胞(ESC);(3)胚の内細胞塊由来の、培養した及び培養して いない細胞;(4)胎児から生じさせた、培養した及び培養していない細胞;(5)発 生中の細胞塊(例えば、生殖隆起細胞)から生じさせた始原生殖細胞;(6)始原 生殖細胞から生じさせた、不死化された培養した細胞(不死化された細胞は本技 術分野では胚生殖細胞(EGC)と呼ばれる);及び(7)動物から単離した、培養 した及び培養していない細胞である。 ESC及びEGCは、本技術分野で既知の方法により容易に生産しうる。例えば、St ice et al.,1996,Biology of Reproduction 54:100-110を参照のこと。 Strelchenko,1996,Theriogenology 45:130-141も参照のこと。すべての図、表 、及び図面を含めたその全体はここで引用することにより本明細書の一部となる 。組み込むESCは、それから始原生殖細胞及びEGCが得られる胎児のもとであるこ とが示されてきた。それゆえ、ESCは始原生殖細胞及びEGCのほぼ無限の起源であ る。 動物由来の細胞は、ほぼあらゆるタイプの組織から単離し得る。例えば、耳パ ンチを動物から取ることができ、その試料由来の細胞を分離することができ、分 離した細胞を続いて、当業者にはよく知られている細胞培養技術を用いてin vit roで培養することができる。好ましくは、本発明の細胞はウシ(bovine)動物か ら抽出する。初代培養細胞を不死化された全能性の細胞にプログラムし直すため の材料及び方法の例は、以下の例示的な実施態様の中で説明する。 本発明の例示的な実施態様はウシの動物に向けられたものだが、本発明の材料 及び方法は、あらゆる動物から単離した前駆細胞を用いた、不死化された全能性 の細胞の生産に適用し得る。好ましくは、不死化された全能性の細胞は有蹄類( ungulate)から抽出する。本発明に想定される好ましい有蹄類の例は、先に説明 してある。 本発明の不死化された全能性の細胞は好ましくは、受容体リガンドカクテルに て処理したあと、前パラグラフに示した細胞の例から生産する。受容体リガンド の例は、当業者にはよく知られている。サイトカイン及び/又は増殖因子が、本 発明の好ましい受容体リガンドである。例えば、R & D Systems Catalog,614 M cKinley Place N.E.,Minneapolis,MN 55413を参照のこと。例示的な実施態様 においては、、様々な量のヒト組み換え体白血病阻害因子(hrLIF)及び塩基性 ウシ線維芽細胞増殖因子(bFGF)を培地に加えて、前駆細胞を、不死化された全 能性の細胞にプログラムし直すことができる。様々な濃度のこれら2つのサイト カインは、好ましくは1-1000ng/mLの濃度で、より好ましくは10-500ng/mLのあい だの濃度で、最も好ましくは約100ng/mLで培地に加えることができる。外来性の 可溶型及び膜結合型のスティール因子(steel factor)は、前駆細胞を全能性の 不死化された細胞に転換するのには必要ではない。 これらの例は限定を意図するものではなく、あらゆるサイトカイン又はサイト カインの組み合わせを、以下に記載する例示的な実施態様で記載するものに加え ることあるいは除くことが可能である。不死化された全能性の細胞を生じさせる のに好ましいサイトカインは、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor ;FGF)、白血病阻害因子(Leukemia inhibitor factor;LIF)、カルジオトロフィ ン1(cardiotrophin 1;CT-1)、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic fac tor;CNTF)、幹細胞因子(stem cell factor;SCF)、オンコスタチンM(oncostat in M;OSM)、及びIL-6、IL-11、及びIL-12を含むインターロイキン(IL)ファミ リーのあらゆるメンバーからなる群から選択され得る。 他のサイトカイン及びサイトカイン以外の他の分子を、以下に記載する例示的 な実施態様で記載する受容体リガンドカクテルに加え、あるいは除いて、前のパ ラグラフで記載したあらゆる細胞から不死化された全能性の細胞を創出すること ができる。不死化された全能性の細胞を生じさせるあらゆる条件は、本明細書中 に記載のものから修飾し得る。これらの修飾された条件が不死化された全能性の 細胞を生じさせる能力は、以下に記載するセクション“不死化され、かつ全能性 である細胞の確認”にて定義する方法によってモニターし得る。 B. 不死化され、かつ全能性である細胞の培養 細胞を培養する様々な方法が本技術分野に存在する。例えば、Culture of ani mal cells:a manual of basic technique(2nd.edition),Freshney,copyright 1987,Alan R.Liss,Inc.,New Yorkを参照のこと。特に、不死化された全能 性の細胞の前駆細胞である細胞も、不死化された全能性の細胞自体も、フィーダ ー層上で培養することができる。フィーダー細胞の例は、当業者にはよく知られ ており、in vitroで培養される多数の異なる細胞から得られる。例えば、Strelc henko,1996,Theriogenology 45:130-141や、以下に記載する例示的な実施態様 も参照のこと。しかし、不死化された全能性の細胞の前駆細胞も、不死化された 全能性の細胞自体も、フィーダー層上で培養する必要はない。 C. 不死化され、かつ全能性である細胞の確認 不死化された細胞の確認 不死化された細胞は、ヘイフリック限界(Hayflick limit)に限定されない細 胞として確認することができる。ヘイフリック限界は、60回細胞分裂以上分裂す る細胞と定義される。それゆえ、60回細胞分裂以上分裂した細胞は、不死化され た細胞である。加えて、不死化された細胞は概して、不死化されていない細胞よ りも低い細胞密度で継代することができる。 上に記載した材料及び方法(例えば、サイトカインで細胞を培養する)は、不 死化されていない細胞を不死化された細胞へと転換し得る。初代細胞から不死化 された細胞株を得るための他の方法が、本技術分野には存在する。例えば、細胞 内のテロメラーゼの活性を操作することにより、細胞を不死化され得る。例えば 、1997年7月8日に発行されたWestらの“テロメア長及び/又はテロメラーゼ活 性に関連した状態の治療及び診断”と題する米国特許番号5,645,986を参照のこ と。すべての図、図面、及び表を含めたその全体はここで引用することにより本 明細書の一部となる。 さらに、細胞の不死性は、不死化された細胞に特異的な、低分子量及び巨大分 子のマーカーの両方を確認することにより決定し得る。マーカーの存在又は存在 の欠如は、細胞の不死化の決定であり得る。加えて、マーカーに付随する現象は 不死性の指標であり得る。例えば、そのマーカーが酵素である場合は、その酵素 の存在の指標及び/又はその酵素の一定のレベルの触媒活性が、特定の種類の細 胞が不死化されたことの適切な指標となり得る。 低分子量のマーカーには、特異的なヌクレオシド、脂質結合シアル酸、ポリア ミン、及び偽ウリジン(pseudouridine)が含まれる。これらの例は限定的では なく、本発明は本技術分野で知られている他のあらゆる低分子量のマーカーに関 連する。 巨大分子のマーカーは、核酸ポリマー、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質 、酵素、増殖因子、増殖因子受容体、ホルモン、ホルモン受容体、癌遺伝子、癌 遺伝子産物、及び特異的な糖タンパク質を含むいくつかの種類に分けられる。巨 大分子のマーカーは、細胞外タンパク質、膜結合タンパク質、及び/又は、膜結 合あるいは可溶性であり得る細胞内タンパク質からなる群から選択され得る。不 死化された細胞のこのようなマーカーの1は、例えばテロメラーゼあるいはそれ に 付随する活性である。上記米国特許5,645,986参照のこと。不死化された細胞に 特異的なマーカーの他の例は、以下のリストから選択し得る。 1) 上皮増殖因子(EGF)及びその受容体(EGF-R) 2) トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF-α)及びその受容体 3) c-erbB2受容体チロシンキナーゼ(HER2産物) 4) ヒアルロン酸受容体(おそらく、完全な膜糖タンパク質であるCD44) 5) 腫瘍マーカーである癌胎児抗原(CEA)ファミリー(例えば、糖付加され たタンパク質であるT1) 6) 不死化された細胞でテロメア長を維持するリボヌクレオタンパク質である 、テロメラーゼ 7) ホスファターゼ:胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、生殖細胞アルカリ ホスファターゼ、前立腺酸ホスファターゼ(PAS) 8) カテプシンD(ラミニンの分解を触媒する) 9) オルニチン脱炭酸酵素(ODC)(ポリアミン合成における律速段階を触媒す る) 10) ベーターグルクロニダーゼ 11) アルファ-6インテグリン 12) ケラチンK8 13) 癌遺伝子産物:ras癌遺伝子(k-ras、Ha-ras、p21)、v-src、c-myc 14) サイクリンD1、サイクリンA、及び網膜芽腫遺伝子タンパク質(Rb) 15) p53発現の変化あるいはp53変異 16) ヘテロリボヌクレオタンパク質-A2(hnRNP-A2)過剰発現 17) L-プラスチン 18) ガングリオシドフコシル-GM1 19) Mob-1発現(mob-1)(プロ炎症性サイトカインに対する相同性) これらの例は限定的ではなく、本発明は、本技術分野で知られている不死化され た細胞に特異的なあらゆるマーカーに関連する。 本技術分野で知られている不死化のマーカーに加えて、不死化のマーカーは本 技術分野でよく知られている方法を用いて確認し得る。例えば、不死化マーカー は、特異的な種類の細胞に独特な特定の分子(例えば、核酸分子及びポリペプチ ド分子)を解析することにより確認し得る。 核酸の不死化マーカーに関係する例の中で、不死化された細胞及び不死化され ていない細胞を、核酸配列内容について解析し得る(例えば、核酸プローブを用 いたハイブリダイゼーション技術)。特定の不死化された細胞由来の核酸試料及 び特定の不死化されていない細胞由来の核酸試料を、特定の核酸配列に関して選 別し得る。不死化されていない細胞由来の核酸試料が、不死化された細胞に存在 する核酸配列を欠いている場合は、この核酸配列は不死化されていない細胞から 不死化された細胞を区別するマーカーとなり得る。同様に、不死化されていない 細胞由来の試料が不死化された細胞に欠けている核酸配列を有している場合は、 この核酸配列は不死化されていない細胞から不死化された細胞を区別するマーカ ーとなり得る。同様の方法により、ポリペプチド分析技術(例えば、本技術分野 で知られているPAGE、SDS-PAGE、抗体を含む手順、及びHPLC技術)を用いてポリ ペプチドマーカーを解明し得る。全能性の細胞の確認 全能性の細胞は、多数の分析により確認し得る。これらの分析の例には、次の ものが含まれる。すなわち、 (1) 全能性の細胞に特異的なマーカーを確認すること; (2) 1回あるいはそれ以上の核移植サイクルを細胞で行うこと(以下に記載 するように)及び、得られた胚を動物へと発生させること である。 マーカーは、全能性でない細胞から全能性の細胞を区別するのに用い得る。マ ーカーは、低分子量のマーカー、巨大分子のマーカー、細胞表面マーカー、及び 細胞内マーカーの群から選択され得る。全能性の細胞を確認するのに適切であり 得るマーカーの例は、アルカリホスファターゼ、サイトケラチン、ビメンチン、 ラミニン、及びc-kitからなる群から選択され得る。これらのマーカーは、当業 者にはよく知られており、これらの例は限定を意図するものではない。 これらのマーカーのうちのいくつかは、全能性であると確認された培養ウシ細 胞に関してすでに試されている。以前に言及したように、本発明の全能性の不死 化されたウシ細胞は、概してアルカリホスファターゼに関して目に見えるほどに は染色されない。それゆえ、本発明の細胞は、先に引用した刊行物で議論した多 能性の細胞とよい対照をなしている。先に記載した例示的なマーカーのうちのい くつかは、多能性の細胞にも全能性の細胞にも存在し得るため、多能性の細胞に 特異的ではない可能性があるということに注意するべきである。例えば、不死化 された全能性のウシ細胞はアルカリホスファターゼに関して目に見えるほどには 染色されないが、不死化された全能性のブタ細胞はアルカリホスファターゼに関 して目に見えるほどに染色される。本発明は、当業者に知られている全能性の細 胞に特異的なあらゆるマーカーに関連する。 本技術分野で明確には定義されていない全能性のマーカーは、不死化の細胞マ ーカーを解明する方法を解説した前のセクションで定義したプロセスによって解 明され得る。 細胞の全能性を決定する好ましい分析は、細胞が全能性の胚及び最終的にはク ローン化された動物をもたらすかどうかを決定することである。この分析は、細 胞の全能性に関する決定的な分析の典型である。そのような分析の例には、以下 のステップが含まれる。すなわち、(1)潜在的に全能性である細胞を、除核し た卵母細胞を用いた核移植に用いること;(2)得られた細胞質雑種を発生させる こと;(3)細胞質雑種から個々の細胞へと発生した胚を分離し、1又はそれ以上 の個々の細胞を二巡目の核移植にかけること;(4)ステップ(3)から得られた細 胞質雑種を胚に発生させること;(5)ステップ(2)あるいは(4)由来の胚を子 宮環境に着床させること;及び(6)その胚を発生させること。その後の胎児が 妊娠の最初の3ヶ月を過ぎて発生するなら、最初に核移植に用いた細胞は最も有 能な全能性の細胞である。核移植に用いた細胞が生きた、クローン化された動物 に発生するなら、その細胞は決定的に全能性である。この典型的な分析に用いる 技術の例(例えば、卵母細胞の除核及び核移植)は、本技術分野及び以下に定義 する例示的な実施態様において完全に記載されている。 それゆえ、本明細書中で提供する材料及び方法は、ウシ動物をクローニングす るための不死化された全能性の細胞を構成する最初のものである。上に記載した ように、これらの材料及び方法は、有蹄類間の核DNA配列相同性の程度が高いた め、他の有蹄類に適用することができる。不死化された全能性の細胞を確認する ための分析を用い、当業者によって本明細書中に記載の方法及び材料は修飾され 、あらゆる種類の前駆細胞から不死化された全能性の細胞が作出され得る。それ ゆえ、本発明は、本明細書中に記載のあらゆる材料及び方法、並びに不死化され た全能性の細胞を生じさせるためのこれらの方法に対する修飾を含む。なぜなら 、当業者は本明細書中に記載の材料及び方法を不死化された全能性の細胞を確認 する方法と組み合わせて用いることにより、不死化された全能性の細胞を容易に 作出し得るからである。 II. トランスジェニックな不死化され、かつ全能性である細胞 当業者が容易に入手可能な材料及び方法を、本発明の不死化された全能性の細 胞をトランスジェニックな不死化された全能性の細胞に転換させるのに用い得る 。いったん、核DNAを本発明の不死化された全能性の細胞内で修飾したなら、こ れらの細胞から生じる胚及び動物も修飾された核DNAを含み得る。それゆえ、ト ランスジェニック動物及びキメラ動物を作出するために、当業者が容易に入手可 能な材料及び方法を不死化された全能性の細胞に適用し得る。例えば、すべて本 明細書中で、すべての図、図面及び表を含めた全体が引用文献として援用されて いる、“乳汁中に目的のタンパク質分泌するトランスジェニック動物(Transgeni c Animals Secreting Desired Proteins Into Milk)”と題するEPO 264166;“ 乳汁からの目的の成分の単離(Isolated of Components of Interest From Milk )”と題するWO 94/19935;“トランスジェニックな移植前の胚の確認方法(Metho d for Identifying Transgenic Pre-implantation Embryos)”と題するWO 93/22 432;“乳汁中への抗体のトランスジェニック生産(Transgenic Production of A ntibodies in Milk)”と題するWO 95/175085を参照のこと。 トランスジェニック細胞を生じさせる方法は、典型的には、次のステップを含 む;(1)特異的なDNA配列を細胞の核染色体(nuclear genome)に挿入するのに 有用な適切なDNA構築物をアセンブリすること;(2)このDNA構築物を細胞にトラ ンスフェクトすること;(3)ランダムな挿入及び/又は相同組み換えを起こさせ ること。このプロセスから得られる修飾は、適切なDNA構築物の標的染色体への 挿入;標的染色体からのDNAの欠失;及び/又は標的染色体の変異であり得る。 DNA構築物には、目的の遺伝子も、調節プロモーター、インスレーター、エン ハンサー、及びリプレッサーを含む様々なエレメントも、そのDNA構築物から転 写されるRNAへのリボソーム結合に関するエレメントも含まれ得る。DNA構築物は 、本明細書中で以前に確認したリボザイム及びアンチセンスDNA及び/又はRNAも コードし得る。これらの例は、当業者にはよく知られており、限定を意図するも のではない。 調節エレメントに関するDNA配列並びにデータベース及び商業分野から容易に 入手可能な遺伝子を組み合わせて得られる有力な組み換えDNA技術のため、当業 者は本明細書中に記載の材料及び方法を用いてトランスジェニック細胞を樹立す るのに適したDNA構築物を、容易に生じさせることができる。 トランスフェクション技術は当業者にはよく知られており、DNA構築物の細胞 へのトランスフェクションを行うための材料及び方法は、商業的に入手可能であ る。DNA構築物にて細胞をトランスフェクトするのに典型的に用いられる材料は 、例えばLipofectin(登録商標)といった脂溶性化合物である。特定の脂溶性化 合物は、DNA構築物の細胞へのトランスフェクションを仲介するリポソームを形 成するように誘導され得る。 DNA構築物由来の標的配列を、DNA構築物の合理的な設計により核染色体の特異 的な領域に挿入し得る。これらの設計技術及び方法は当業者にはよく知られてい る。次のものを参照のこと:1997年5月27日に発行されたDeBoerらの米国特許5, 633,067、“トランスジェニックウシあるいはトランスジェニックウシ胚の作出 方法(Method of Producting a Transgenic Bovine or Transgenic Bovine Embry o)”;1997年3月18日に発行されたKayらの米国特許5,612,205、“哺乳類細胞に おける相同組み換え(Homologous Recombination in Mammalian Cells)”;及びP CT公示WO 93/22432、“トランスジェニックの移植前胚を確認する方法”。いず れも本明細書中で、すべての図、図面及び表を含めた全体を引用 することにより本明細書に援用する。いったん目的のDNA配列が核染色体に挿入 されたなら、挿入領域の位置も、目的のDNA配列が核染色体に挿入される頻度も 、当業者によく知られている方法によって確認し得る。 導入遺伝子が不死化された全能性の細胞の核染色体にいったん挿入されたなら 、その細胞はトランスジェニック動物をクローニングするための核ドナーとして 用い得る。トランスジェニック動物に関連した実施態様の記載は、以下に、より 詳細に記載されている。 A. 疾患及び寄生生物 クローン化されたトランスジェニック動物の、特定の寄生生物及び疾患に対す る抵抗性を増強するために、目的のDNA配列を(核の細胞)染色体に挿入し得る 。寄生生物の例には、ミミズ、ハエ、ダニ、及びノミが含まれる。感染因子には 、細菌、真菌、及びウイルスが含まれる。疾患の例には、ヨーネ病、BVD、結核 、口蹄疫、BLV、BSE及びブルセラ症が含まれる。これらの例は限定ではなく、本 果て梅井は本技術分野で知られているあらゆる疾患あるいは寄生生物あるいは感 染因子に関連する。例えば、Hagan & Bruners Infectious Diseases of Domesti c Animals(7th edition),Gillespie & Timoney,copyright 1981,Cornell Uni versity Press,Ithaca NYを参照のこと。 導入遺伝子は、疾患あるいは寄生生物状態の症状を完全に排除するかあるいは 部分的に解消することにより、あるいは寄生生物又は疾患を制御するタンパク質 を生産することにより、特定の寄生生物あるいは疾患に対する抵抗性を与え得る 。 B. DNA 構築物のエレメント及びDNA構築物の生産 宿主の性質に応じて、幅広い種類の転写及び翻訳調節配列を用い得る。転写及 び翻訳調節シグナルは、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、唾液腺ウイ ルス、シミアンウイルス、又は類似のものといったウイルス起源から得ることが できるが、これに対し、調節シグナルは高レベルの発現の可能性を生じさせる特 定の遺伝子配列と関連している。あるいは、アクチン、カゼイン、アルファ-ラ クトアルブミン、ウロプラキン、コラーゲン、ミオシン、及び類似のものといっ た、哺乳類発現産物由来のプロモーターを用い得る。転写調節シグナルは選択す ることができ、それにより抑制あるいは活性化が可能になり、そのため遺伝子産 物の発現を調節し得る。化学物質又は薬剤といった外部因子によって抑制あるい は開始され得る調節シグナルが目的のものである。調節エレメントの他の例は、 本明細書中に記載されている。 C. 好ましい組み換え産物の例 様々なタンパク質及びポリペプチドは、トランスジェニック細胞を創出するの に適したDNA構築物内にある遺伝子によってコードされ得る。それらのタンパク 質又はポリペプチドには、ホルモン、増殖因子、酵素、凝固因子、アポリポタン パク質、受容体、薬剤、医薬、bioceuticals、nutraceuticals、癌遺伝子、癌抗 原、癌抑制因子、サイトカイン、ウイルス抗原、寄生生物抗原、細菌抗原及び化 学的に合成されたポリマー及び化学的、細胞的及び/又は酵素的な過程によって 生合成及び/又は修飾されたポリマーが含まれる。これらの化合物の特異的な例 には、プロインスリン、インスリン、成長ホルモン、アンドロゲン受容体、イン スリン様成長因子I、インスリン様成長因子II、インスリン増殖因子結合タンパ ク質、上皮増殖因子、TGF-α、TGF-β、真皮増殖因子(PDGF)、血管新生因子(酸 性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子及びアンジオジェニン)、マ トリックスタンパク質(IV型コラーゲン、VII型コラーゲン、ラミニン)、癌遺伝 子(ras、fos、myc、erb、src、sis、jun)、E6又はE7トランスフォーミング配列 、p53タンパク質、サイトカイン受容体、IL-1、IL-6、IL-8、IL-2、α、β、又 はγIFN、GMCSF、GCSF、ウイルスキャプシドタンパク質、及びウイルス細菌及び 寄生生物生物由来のタンパク質が含まれる。発現し得る他の特異的なタンパク質 及びポリペプチドには次のものが含まれる。すなわち、フェニルアラニン水酸化 酵素、α-1-アンチトリプシン、コレステロール-7α-水酸化酵素、端を切断され たアポリポタンパク質B、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質E、アポ リポタンパク質A1、LDL受容体、酸化リポタンパク質のスカベンジャー受容体、 それぞれの分子変異体、VEGF、及びこれらの組み合わせである。他の例は、凝固 因子、アポリポタンパク質、薬剤、癌抗原、ウイルス抗原、寄生生物抗 原、モノクローン性抗体、及び細菌抗原である。当業者は、これらのタンパク質 がタンパク質の幅広い種類に属しており、これらの種類のうちの他のタンパク質 も用い得るということを容易に認める。これらは単に例なのであって、いかなる ようにも限定を意図するものではない。 DNA構築物から細胞に組み込まれる遺伝物質には、(1)正常ではその細胞に見 出されない核酸配列;(2)正常でその細胞に見出されるが生理的に有意な程度に は発現していない核酸分子;(3)正常でその細胞に見出され、正常で生理的に望 ましい程度に発現している核酸分子;(4)細胞における発現を修飾され得る他の 核酸分子;及び(5)上記のあらゆる組み合わせ;が含まれるということにも留 意すべきである。 加えて、DNA構築物は細胞の核DNAに組み込まれることになる可能性があり、組 み込まれたDNAは、特定の領域で他のRNA分子を切断し得るようなリボ核酸分子に 転写され得る。RNA分子を切断し得るリボ核酸分子は、本技術分野ではリボザイ ムと呼ばれ、それらはRNA分子そのものである。リボザイムはRNA分子上の別々の 領域に結合し、その結合領域又は結合領域の近接した範囲内の領域を特異的に切 断することができる。そのため、リボザイム技術は、以前は無傷であったメッセ ージRNA分子から翻訳されるポリペプチドの量を減らし得る。 さらに、DNA構築物は、細胞の核相補物内に組み込まれ、転写された際には特 異的なRNA又はDNA配列の両方に結合し得るRNAを作り得る。この核酸配列は、メ ッセージ(mRNA)に結合してこれらのメッセージの翻訳を阻害するアンチセンス 技術に用いられる。そのため、アンチセンス技術は細胞内で特定のポリペプチド の合成を阻害又は部分的に阻害し得る。 III. 核移植 不死化されていない、かつ全能性でない細胞を用いた核移植(NT)技術は、当 業者には充分知られている。米国特許4,994,384(Pratherら)及び5,057,420(M asseyら)を参照のこと。上に記載したような不死化された全能性の細胞を用い ることにある利点のすべては、NT技術にとっても利点である、すなわち、不死化 された全能性の細胞は核ドナーのほとんど無限の起源であるという事実及 びこれらの細胞はNTの効率を増すという事実である。例示的な実施態様は、全能 性のウシ胚の効率よい作出を提供する、2サイクルのNT技術を明確に定めている 。この技術はあらゆる哺乳類、好ましくは有蹄類に適用し得る。 A. 核ドナー 本発明の不死化された全能性の細胞は、クローン化された胚を生むためのNT過 程の核ドナーとして用い得る。上に記載したように、不死化された全能性の細胞 はほとんどあらゆる種類の細胞から生じさせることができる。NT技術のために、 ドナー細胞は増殖中の細胞塊から分離し得る、あるいは細胞株から単離し得る。 細胞全体をレシピエント卵母細胞の卵黄周囲の空間に置き得る、あるいは核ドナ ーを針の中に吸引し、針をレシピエント卵母細胞の中に置き、核ドナーを放出し 、卵母細胞の形質膜を著しく損なうことなく針を除くことによってレシピエント 卵母細胞に直接インジェクトし得る。あるいは、例えば、細胞核(核質)を核ド ナーから単離し、レシピエント卵母細胞の卵黄周囲の空間に置くかあるいはレシ ピエント卵母細胞に直接インジェクトし得る。 B. レシピエント卵母細胞 レシピエント卵母細胞は典型的には卵質の一部を除かれた卵母細胞であり、除 かれた卵質は卵母細胞核を含む。除核技術は当業者にはよく知られている。例え ば、米国特許4,994,384及び5,057,420を参照のこと。 卵母細胞は、生きた動物の卵管及び/又は卵巣のいずれかから、本技術分野で よく知られており本明細書中に記載されている卵管回復手順あるいは経腟的な卵 母細胞回復手順により単離し得る。さらに、卵母細胞は死亡した動物から単離し 得る。例えば、卵巣は屠殺場から得られ、卵母細胞はこれらの卵巣から吸引し得 る。卵母細胞は最近犠牲にした動物の卵巣から、あるいは卵巣が凍結された及び /又は解凍された際にも単離し得る。 卵母細胞は当業者によく知られている様々な培地中で成熟し得る。卵母細胞を 成熟させるのに適したそのような培地の一例は、以下に記載の例示的な実施態様 に描写されている。卵母細胞をこの種類の培地中、5% CO2を含む39℃の環境内 でうまく成熟させ得る。卵母細胞を成熟培地中に置く前に、卵母細胞は凍結保存 し、解凍し得る。細胞及び胚の凍結保存の手順は、本明細書中に記載のように本 技術分野ではよく知られている。 核ドナーは未熟なあるいは成熟した卵母細胞のいずれかに組み込まれ得る。卵 母細胞の齢は、卵母細胞が成熟培地に置かれてから経過した時間及び、活性化さ れた時間によって決定し得る。未熟な卵母細胞は、活性化の前にin vitroで28時 間より短いあいだ培養した卵母細胞として定義され得る。成熟した卵母細胞は、 活性化の前にin vitroで28時間以上培養した卵母細胞として定義され得る。 卵母細胞の齢は、その卵質の出現によって機能的に確認され得る。例えば、特 定の細胞物質は未熟な卵母細胞の卵質内にはまだ分散していないため、未熟な卵 母細胞は核濃縮した外観を有する。これに対し、成熟した卵母細胞はより均一な 細胞質を構成とする。成熟した卵母細胞をNTに用いることを議論している公示物 は、“核移植の細胞質体レシピエントとしての不活性化された卵母細胞”と題す るWO 97/07662である。 核ドナー細胞及びレシピエント卵母細胞は、同じ種あるいは異なる種から得ら れる。例えば、ウシの不死化された全能性の細胞は、ウシの除核した卵母細胞に 挿入し得る。あるいは、ヤギュウに由来する不死化された全能性の細胞は、ウシ の除核した卵母細胞に挿入し得る。あらゆる核ドナー/レシピエント卵母細胞の 組み合わせが、本発明により想定される。好ましくは、核ドナー及びレシピエン ト卵母細胞を、有蹄類の1の種あるいは異なる種から得る。種交差NT技術は、絶 滅の危機に瀕したクローン化された動物を作出するのに用いられ得る。 卵母細胞は、核ドナーとレシピエント卵母細胞の融合の前、最中、及び/又は 後に電気的及び/又は非電気的な手段によって活性化され得る。例えば、卵母細 胞を、融合の前に非電気的な活性化に適した1あるいはそれ以上の成分を含む培 地中に置き得る。あるいは、融合させた細胞質雑種を、非電気的な活性化に適し た1又はそれ以上の成分を含む培地中に置き得る。活性化過程は、以下により詳 細に議論している。 C. インジェクション/融合 核ドナーは、当業者には充分有名な様々な材料及び方法を用いて卵母細胞に移 入し得る。一例においては、核ドナーはレシピエント卵母細胞に直接インジェク トされ得る。直接のインジェクションは、核ドナーを針に穏やかに引き、レシピ エント卵母細胞に針で穴をあけ、核ドナーを卵母細胞中に放出し、膜を著しく損 なうことなく針を卵母細胞から除くことにより達成され得る。適切な針は、本技 術分野で、特に引用文献として本明細書中に援用されている公示物によって定め られているように、ガラス毛細管から形成し得る。 別の例においては、核ドナーとレシピエント卵母細胞由来の形質膜の少なくと も一部を、当業者にはよく知られている技術を用いて一緒に融合し得る。すべて の図、表、及び図面を含む全体を引用文献として本明細書中に援用している、Wi lladsen,1986,Nature 320:63-65を参照のこと。一般的には、以前に、本明細 書中に引用文献として援用している他の引用文献中で定めているように、脂質膜 は電気的及び化学的な手段によって一緒に融合し得る。 非電気的な細胞融合の手段の他の例は、細胞質雑種をポリエチレングリコール (PEG)、及び/又はセンダイウイルスを含む溶液中でインキュベートすることを 含む。様々な分子量のPEGを細胞融合に用い得る。 一過程としてのNTの効率は小さな修飾に敏感だが、融合に関する他の変数は不 適切な実験無しに決定し得る。例えば、細胞融合技術に対する修飾は、顕微鏡下 で細胞融合の程度を観察することによってその効率をモニターし得る。それから 、得られた胚をクローン化し、選択可能なマーカーに関する分析及び/又は動物 を発生させるのに関する分析を含みうる、不死化された全能性の細胞を確認する ために本明細書中で先に記載したのと同じ方法により、全能性の胚として定義す る。 D. 活性化 卵母細胞及び細胞質雑種を活性化する方法は当業者には知られている。すべて の図、表、及び図面を含む全体が本明細書中で引用文献として援用されている、 1996年3月5日発行のSusko-Parrishら米国特許5,496,720,“単為生殖的な卵母 細胞活性化”を参照のこと。 電気的な及び非電気的な手段の両方を、細胞質雑種を活性化するのに用い得る 。活性化に非電気的な手段を用いることは必ずしも必要ではないが、非電気的な 活性化は、未熟な卵母細胞をレシピエントとして用いる場合には特に、細胞質雑 種の発生能を増強し得る。 細胞を活性化する電気的な技術の例は本技術分野ではよく知られている。米国 特許4,994,384及び5,057,420を参照のこと。細胞を活性化する非電気的な手段に は、細胞分裂の確率を高める、本技術分野で知られているあらゆる方法が含まれ 得る。核ドナー及び/又はレシピエントを活性化する非電気的な手段の例は、エ タノール;イノシトール3リン酸(IP3);Ca++イオノフォア及び6-ジメチルアミ ノプリンといったタンパク質キナーゼインヒビター;温度変化;タンパク質合成 インヒビター(例えば、シクロヘキサミド);ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸 (PMA)といったホルボールエステル;機械的技術、thapsigardin、及び精子因 子に細胞を導入することによって達成し得る。精子因子には精子のあらゆる成分 が含まれ得る。活性化のための他の非電気的な方法には、細胞あるいは細胞集団 を寒冷ショック及び/又は機械的ストレスにかけることが含まれる。 好ましいタンパク質キナーゼインヒビターの例は、6-ジメチルアミノプリン(D MAP)、2-アミノプリン、スフィンゴシンといったタンパク質キナーゼA、G、及び Cインヒビターである。チロシンキナーゼインヒビターも細胞を活性化するのに 用い得る。 NT過程は小さな修飾に敏感だが、活性化に関する他の変数は不適切な実験無し に決定し得る。他の活性化材料及び方法は、以下及び米国特許5,496,720に記載 の典型的なプロトコールで定める明記された条件を修飾することにより確認し得 る。 活性化された胚の効率及び全能性に対するあらゆる修飾の結果は、“不死化さ れ、かつ全能性である細胞の確認”と題するセクションで先に記載した方法によ り確認し得る。全能性の胚を確認する方法には、(a)胚の中の全能精細胞の特 異的マーカーを確認すること、及び(b)動物に発生させることにより胚が全能 性であるかどうか決定することといった、ひとつあるいはそれ以上の分析が含ま れ得る。それゆえ、たとえこれらの修飾が本明細書中で明確に言及されていない か もしれないとしても、本発明は、本明細書中に記載の活性化手順に対するあらゆ る修飾に関連する。 F. 核移植により得られた胚の操作 NTにより得られた胚を様々な方法で操作することができる。本発明は、少なく とも1回のNTにより生じるクローニングされた胚に関する。 本発明の例示的な態様は、2回又はそれ以上のNT手順により、全能性胚を生産 する効率を向上することができることを示す。クローニングされた全能性の胚を 生産するための方法に2回又はそれ以上のNT手順を導入することにより胎盤発生 を向上することができることが、例示的な態様により示される。さらに、全能性 の胚を生産するための方法に関与するNTサイクルの回数の増加により、非全能性 の細胞を全能性の細胞に変換するための必要な因子を示すことができる。2回又 はそれ以上のNTサイクルを導入することの生じた胚の全能性に対する効果は、驚 くべき結果であり、それは本技術分野で以前に同定され又は探求されなかった。 2回又はそれ以上のNTサイクルを全能性の胚をクローニングすることに導入す ることは、別の利点を提供しうる。複数回のNT手順をクローニングされた全能性 の胚を生産する方法に導入することによ再クローニングされた全能性の胚の数を 増加する方法を提供する。 複数回のNT手順をクローニングされた全能性の胚を形成するために使用する場 合、第一の手順、第二の手順、又はそれに続くNT手順において、未熟な又は成熟 した卵母細胞をレシピエントとして使用することができる。例えば、第一のNT及 びその後第二のNTを行う場合、第一のNTではレシピエントとして未熟な除核卵母 細胞を使用することができ、そして第二のNTではレシピエントとして成熟した除 核卵母細胞を使用することができる。あるいは、NTについての同一の2サイクル モデルに関しては、第一のNTではレシピエントとして成熟した除核卵母細胞を使 用することができ、そして第二のNTではレシピエントとして未熟な除核卵母細胞 を使用することができる。さらに、両方のNTサイクルでレシピエントとして未熟 な除核卵母細胞を使用することができ、あるいは両方のNT サイクルで2サイクルNTの実施態様において、レシピエントとして成熟した除核 卵母細胞を使用することができる。 2回又はそれ以上のNTサイクルを導入するNT技術については、活性化工程を1 回又はそれ以上のNTサイクルの前に、後に、及び/又は同時に行うことができる 。本明細書中で前に明らかにしたように、本明細書中で定義したように、活性化 工程は電気的及び/又は非電気的手段により達成することができる。本明細書の 以降に記載する例示的な態様は、NTサイクルの1回の後に活性化工程を導入する NT技術について記載する。しかしながら、活性化工程は、NTサイクルと組み合わ せて(例えば、NTサイクル同時的に)行うこともでき、及び/又は活性化工程は NTサイクルの前に行うこともできる。 例えば、本発明の好ましい態様は、レシピエントとして未熟な除核卵母細胞を 使用し、その後活性化することに関する。次には、このことの後に、レシピエン トとして成熟した除核卵母細胞を使用する第二の工程を行う。この第二のNT手順 は、活性化を伴わない。この実施態様は、限定的であることを意味せず、そして 本発明は、場合により活性化手順を前に、後に、同時に行う、あらゆる回数のNT サイクルにも関する。 NT技術は、実質的に、核ドナーとしてどんな細胞も使用することができる。例 えば、好ましい態様においては、第一のNTでは本発明の不死化された全能性の細 胞を核ドナーとして使用することができ、そして第二のNTでは胚性幹細胞を核ド ナーとして使用することができる。本実施態様における第二のNTサイクルでは、 卵割球(胚から単離された細胞)、核ドナーとして胎児から単離された細胞(例え ば、始原生殖細胞)、あるは同期させた細胞(本明細書中で記載したもの)を使 用することができる。本発明は、一部分においては、ほぼあらゆる種類の細胞を 核ドナーとしてあらゆるNTにおいて使用することに関する。クローニングされた 全能性の胚を生産するための全体的な効率に対する異なる核ドナーを使用するこ との効率は、前の“不死化され、かつ全能性である細胞の同定”と題される項で 記載した全能性についての試験を実施することにより試験することができる。 NTにより得られたクローニングされた全能性の胚は、(1)バラバラにし (disaggregated)、又は(2)さらに発生させることができる。 胚がバラバラにされる場合、これらの胚由来の細胞を培養細胞を樹立するため に使用することができる。あらゆる種類の胚性細胞を使用して、培養細胞を生産 することができる。これらの培養細胞は時々、科学的用語においては、胚性幹細 胞あるいは胚性幹様細胞と呼ばれる。胚性幹細胞は、初期胚、桑実胚、及び胞胚 ステージの胚に由来する。培養胚細胞の生産については、複数の方法が当業者に は既知である。これらの方法は、本明細書中に引用することにより先に援用され た特定の引用文献中に列挙されている。 胚を子宮内で発生させるならば、発生過程の胎児から単離された細胞を培養細 胞を生産するために使用することができる。好ましい態様においては、細胞株を 樹立するために、28日〜75日齢の発生過程の細胞塊の生殖隆起から、始原生殖細 胞を単離する。これらの培養細胞は時々、胚性生殖細胞(EG)と呼ばれる。これ らの培養細胞は、当業者によく知られた方法を用いて生産することができる。本 方法は、本明細書中で引用することにより前に援用された引用文献中に列挙され ている。 NTにより得られるクローニングされた全能性の胚は、胚の凍結保存及び/又は 溶解により操作することもできる(すべての表、図、及び図面を含めた全体を本 明細書中で引用文献として援用している、“胚の直接移植のための凍結保存方法 ”と題する、1992年11月3日に発行された、Voelkelの米国特許番号5,160,312; 及び“風洞フリーザー”と題する、1980年8月14日に発行されたSullivanらの米 国特許番号4,227,381を参照のこと)。その他の胚操作方法は、本明細書の以後に 記載する、培養、胚移植の実行、NTのための分離、NTにおいて使用するための樹 立されつつある細胞株についての分離、分裂、凝集、交尾、そしてNTにより得ら れた胚のバイオプシーを含む。例示的な操作手順は、限定的であることを意味し ておらず、本発明は、当業者に既知のあらゆる胚操作に関する。 IV. クローニングされた胚の発生 A. 全能性 全能性の胚は、“不死化され、かつ全能性の細胞の確認”のセクションに記載 した方法により確認することができる。個々の細胞を単離し、これらの同様の試 験に供することができる。試験は、全能性の細胞を確認するための同様のマーカ ー、及び妊娠期間の第二の3ヶ月を経過するまで、あるいは好ましくは生きて生 まれた動物を生じるまでの、胚を発生させることにより全能性を決定するための 試験に関する。全能性に関してその他のマーカーを同定する方法も、そのセクシ ョンに記載されている。 B. in vitro での胚の培養 in vitroでの胚の培養方法は、当業者によく知られている(すべての表、図、 及び図面を含めた全体を本明細書中で引用し、援用する、“ウシ胚のin vitro培 養”と題する1993年5月25日に発行されたFirstらの米国特許番号5,213,979;及 び“ウシ胚培地”と題する1992年3月17日に発行されたRosenkrans,Jr.らの米 国特許番号5,096,822を参照のこと)。さらに、クローニングされた胚をin vitro で培養するために適した培地についての例示的な態様は、本明細書の以降に記載 される。フィーダー細胞層は、in vitroにおいてクローニングされた胚を培養す るために使用する場合、あるいは使用しない場合がある。フィーダー細胞は、前 及び以後の例示的な態様中に記載する。 本発明の態様では着床前にin vitroにおいてすべての細胞及び胚を培養するこ とを考慮するため、本発明は、生物をクローニングするための従来の材料及び方 法よりも優れている。例えば、ヒツジ動物をクローニングするために記載される クローニング方法は、胚が適した宿主中に着床する前に、ヒツジ宿主動物の卵管 中におけるin vivoの発生工程を必要とする。本発明の態様では子宮中への着床 前にin vivoの発生工程を必要としないため、本発明の材料及び方法は、他の人 により以前に記載されたクローニング方法を超える進歩性を示す。 IV.クローン胚の発生 A.全能性 全能性の胚は、”不死化全能性細胞の確認”セクションに説明されている方法 によって確認することができる。個々の細胞を単離し、これら類似の試験にかけ ることができる。これらの試験は、全能性細胞を確認するための類似のマーカー と関係しており、また、ある胚を妊娠期間の2/3を過ぎるまで、又はより好ま しくは、生きている動物として誕生させるまで発生させることにより全能性を確 認するための試験とも関係している。全能性の他のマーカーを確認する方法もま たそのセクションに説明されている。 B.in vitro 胚培養 in vitroで胚を培養する方法は当業者には周知である。1993年5月25日 発行の来国特許第5,213,979号”ウシ胚のin vitro培養”("In vitro Culture of Bovine Embryos")Firstら、及び1992年3月17日発行の米国 特許第5,096,822号”ウシ胚培地”("Bovine Embryo Medium")Rosenk rans,Jr.ら、を参照せよ。これらはいずれも、すべての図、表、図面を含む全 体をここで引用することにより本明細書に援用する。さらに、in vitroクローン 胚培養に適した培地について具体的な実施態様を以下に説明する。フィーダー細 胞層は、in vitroクローン胚培養においては、利用してもしなくてもよい。フィ ーダー細胞については既に説明したが、以下の具体的な実施態様中でも説明する 。 本発明の実施態様は、移植に先立つすべての細胞及び胚のin vitro培養を考慮 しているため、本発明は、生物をクローニングするための従来の材料及び方法よ りも優れている。例えば、ヒツジ個体のクローニングのために説明されたクロー ニング方法は、胚を適当なホストに移植する前に、ヒツジ宿主動物の卵管におけ るin vivo発生ステップを必要とする。本発明の実施態様は子宮内への移植に先 立つin vivo発生ステップを必要としないため、本発明の材料及び方法は、従来 他者が説明してきたクローニング方法を越えた創意に富んだステップを表してい る。 C.子宮内(in utero)胚発生 クローン胚は、NT処置後は、人工的又は天然の子宮環境において培養できる 。 人工的な発生環境の例は開発されており、いくつかは当業者に知られている。人 工的環境の構成要素は、例えば、一つの構成要素を修飾し胚の成長速度を監視す るような些細な実験によって修飾できる。 胚を動物の子宮内へ移植する方法も当業界では周知である。好ましくは、胚の 発生段階を動物の発情期サイクルと同調させる。 ある種からの胚を他種の動物の子宮環境内に移植することもできる。例えば、 ウシ胚がヒツジ卵管内で発生できることは、当業界で示されている。SticeとKee fer、1993、”多世代のウシ胚クローニング”("Multiple generational bo vine embryo cloning")Biology of Reproduction 48:715-719。本発明は、他 の有蹄類子宮環境における、有蹄類胚のいかなる組み合わせにも関係するもので ある。胚と子宮間の種の交差関係は、絶滅の危機に瀕する種のクローン動物の効 果的な作製を見込むことができる。例えば、バイソンの胚は家畜ウシの子宮内で 発生できる。他の例としては、オオツノヒツジの胚は大きな家畜ヒツジの子宮内 で発生できる。 いったん胚が動物の子宮内に移植されたら、その胚は誕生まで発生できる。あ るいは、胚を子宮内で発生させた後、ある選択された時期に取り出すことも可能 である。誕生前に胎児を子宮から取り出す外科的方法は、当業界では周知である 。 V.クローン動物 A.ウシクローン動物 本明細書で既に説明したように、本発明は、クローニング前に動物の表現型を 評価可能であるという利点を提供する。以前の報告では、卵割球からのウシ動物 のクローニングという、表現型の評価が不可能な方法のみが可能であったため、 これは本発明の利点である。 1匹のクローン動物からは、複数の生産物を単離できる。例えば1匹の動物( 例えば雄ウシ)から精液を回収できる。精液は低温保存することもできるし、精 子を性特異的分画に分けることもできる。1995年8月8日発行の米国特許第 5,439,362号、1994年9月13日発行の米国特許第5,346,9 90号、及び1991年6月4日発行の米国特許第5,021,244号”性 関連膜蛋白質及び産子を望ましい性にする確率を高める方法”("Sex-associate d Membrane Proteins and Methods for Increasing the Probability that Offs pring Willbe a Desired Sex")Spauldingら、を参照せよ。これらすべては、す べての図、図面、表を含む全体をここで引用することにより、本明細書に援用す る。精液回収方法は当業者には周知である。”生殖の生理学及家畜の人工授精( 第2版)”(”Physiology of Reproduction and Artificlal Insemination of Cattle(2nd.Edition)“)Salisburyら、著作権1961年、1978年、W.H .Freeman & Co.,San Francisco。 本発明は、部分的には、クローン動物、好ましくはウシのクローン動物から回 収されるいかなる生産物にも関係する。生産物は、動物から単離されるいかなる 体液若しくは臓器でもあり得るし、又は、体液若しくは臓器から単離されるいか なる生産物でもあり得る。好ましい実施態様においては、生産物、例えば乳汁及 び肉が、クローン動物、好ましくはウシクローン動物から回収され得る。他の実 施態様においては、本発明は、去勢された動物である雄子ウシの表現型を決定し 、クローン動物が生殖的機能を有し精液生産に使用できるようにこの動物をクロ ーニングすることと関係する。本発明の他の好ましい実施態様は、本発明のクロ ーン動物から、好ましくはウシクローン動物から得られた生産物、例えば異種移 植材料、精子、胚、卵母細胞、あらゆる種類の細胞、及び産子と関係する。 ここで既に説明した異種移植材料は、ある生物から取り出され他の生物中に移 植されるいかなる細胞材料とも関係し得る。細胞性材料をある生物から取り出し て他の生物中に移植する医学的手法は当業者には周知である。好ましい異種移植 細胞材料の例は、肝臓、肺、心臓、神経、胆嚢、及び膵臓の細胞材料から成る群 から選択できる。 B.非ウシクローン動物 ウシ動物と他の有蹄類間の高いDNA配列相同性のため、本発明の材料及び方 法は他の有蹄類のクローン化にも利用できる。本発明の材料及び方法は、当業界 の現状で知られる哺乳類のクローニングに最も効果的な手段である。 好ましい実施態様において、本発明の材料及び方法は、絶滅の危機に瀕する種 、 例えばバイソンのクローン化に利用できる。さらに、本発明の材料及び方法は、 商業的に有意義な有蹄類、例えばブタのクローン化に利用できる。ある動物から 単離された初期細胞を不死化全能性細胞に再プログラムする方法のために、その 動物の種がウシに近接していればいるほど、本発明のクローニング方法が成功す る確率は高くなる。非ウシ動物のクローニングについては以下の具体的な実施態 様を説明する。 C.核DNA修飾を伴うクローン動物 以前のセクションで説明したように、当業者には周知のトランスジェニック技 術を使用して、本発明の方法からトランスジェニック動物を作製することができ る。好ましくは、クローントランスジェニックウシ動物はこれらの方法から生産 される。これらのクローントランスジェニック動物は、これら動物に固有の疾病 及び寄生生物に耐性あるいは部分的耐性になるよう修飾できる。これらの疾病及 び寄生生物の例は以前のセクションに概説されている。 さらに、クローントランスジェニック動物は、それらが組換え生産物を生産す るように修飾することができる。組換え生産物の例は以前のセクションに概説さ れている。これらの生産物の発現は、この目的に達するように、適当なプロモー ター因子及び他の制御因子を選択的に修飾することにより、クローントランスジ ェニック動物内の特定の細胞あるいは領域に導入できる。 例えば、ヒト組換え生産物は、ウロプラキンプロモーターを、組換え生産物を コードするDNA配列に技術的につなげることにより、ウシの尿中に発現できる 。あるいは、ウシ動物の乳汁中にヒト組換え生産物を選択的に発現させる例は、 当業者には周知である。 組換え生産物(単数あるいは複数)がクローントランスジェニック動物の特定 の組織又は液中にいったん発現されたら、適当な組織又は液を当業界では周知の 方法を用いて回収できる。組換え生産物は、当業者には周知の標準的な精製技術 を使用して、液又は組織から精製できる。実施例 以下の実施例は非限定的であり、本発明の様々な態様及び構成の単なる代表例 である。実施例1フィーダー層の調製 フィーダー細胞層は、妊娠10〜20日のマウス胎児から調製された。頭、肝 臓、心臓及び消化管を取り除き、残りの組織を、37℃で、0.025%トリプ シン−0.02%EDTA(Difco、カタログ番号0153-61-1)中で洗浄及びイン キュベーションした。遊離細胞を、MEM−アルファをペニシリン、ストレプト マイシン、10%ウシ胎児血清及び0.1mM 2−メルカプトエタノールで補 完した培地を入れた組織培養皿中で培養した。フィーダー細胞培養は、2〜3週 間の期間にわたり、37.4℃、3.5%CO2含有加湿空気中で樹立された。 フィーダー細胞として使用する前に、マウス繊維芽細胞を、最終濃度10μg/ mLのマイトマイシンC(Calbiochem、カタログ番号47589)で3時間前処理し 、前平衡成長培地を加える前に、PBSで5回洗浄した。 フィーダー細胞は、30〜70日のウシ胎児からも同じ方法を用いて樹立で きる。ウシ胎児細胞のマイトマイシンCによる処理は、任意でよい。実施例2非胚性組織からの培養細胞の樹立 ここに定義される材料及び方法によって提供される一つの利点は、事実上いか なる種類の前駆体細胞からも不死化全能性細胞を作製する能力である。これらの 前駆体細胞には、例えば、胚細胞、培養胚細胞、始原生殖細胞、胎児性細胞、及 び成体動物の組織から単離された細胞がなり得る。成体ウシの腎臓及び耳から単 離された細胞が、不死化全能性細胞作製の前駆体細胞として利用された。 細胞はそれら個々の組織から単離された後、実施例3に定義される材料及び方 法に供され得る。 成体動物の組織から不死化全能性細胞を作製する最初のステップには、単離さ れた細胞の初期培養が含まれる。成体動物の組織から単離された細胞の培養方法 を以下に示す。例示した方法は耳をパンチしたサンプルに関係しているが、この 方法はいかなる種類の組織から単離された細胞にも適用可能である。 以下のステップは、無菌的手法を利用して行うことが望ましい。 1) 各耳サンプルを、2個の別々の35mmペトリ皿中で、2mLのトリプシ ン/EDTA溶液で2回洗浄する。各耳サンプルは、別々に取り扱う。耳サンプ ルを、2mLのトリプシン/EDTA溶液を入れた35mmペトリ皿中で、滅菌 はさみ及びメスを用いて細かく刻む。刻まれた断片は、直径1mm未満であるこ とが望ましい。 2) 刻まれた耳断片を、トリプシン/EDTA溶液中で、40〜50分間、3 7℃のインキュベーター中で時々揺らしながらインキュベーションする。トリプ シン/EDTA溶液については以下により詳細に説明する。皿は、CO2の蓄積 を減らすため、伸縮性材料、例えばパラフィルム(Parafilm)(登録商標)で覆っ てもよい。 3) 消化された耳断片を15mLの滅菌チューブに移す。消化された耳断片を 回収した皿を2mLのトリプシン/EDTA溶液で洗浄して、この洗浄液も滅菌 チューブに移す。 4) このチューブを、2分間、高速でボルテックスにかける。 5) 5mLの培地(以下に定義)を加えてトリプシンを失活させる。 6) 15mLチューブを、280×gで10分間遠心する。 7) 上清をデカンテーションし、細胞ペレットを、チューブ側面を穏やかに叩 くことによって残りの溶液中に再懸濁する。 8) このチューブに2mLの培地を加え、ステップ(6)と同様に遠心する。 9) ステップ(7)と同様に上清をデカンテーションし、ペレットを再懸濁し 、次に2mLの培地を加える。 10)2〜3個の耳断片を、DNA分析のため、15mLチューブに入れて−2 0℃で保存する。 11)再懸濁した細胞を、ヌンク(Nunc)35mm培養皿中に移し、37℃、5 %CO2/95%加湿空気環境でインキュベーションする。 12)培地を2日ごとに交換する。 トリプシン/EDTA溶液: 0.025%トリプシン(w/v)(Bacto Trypsin、Difcoカタログ番号0153-61 -1) 0.02%EDTA(Sigma)(w/v) トリプシン及びEDTAを、Ca2+及びMg2+非含有ダルベッコのリン酸塩緩衝 食塩水(Dulbecco's phosphate-buffered saline、PBS)(Gibcoカタログ番号450 −1600EA)に加え、0.2μmフィルターで濾過滅菌する。 培地: アルファ最小必須培地(Alpha minimum essential medium、MEM)(Biowhittake r)を、10%ウシ胎児血清(Hyclone)、4mM L−グルタミン、100U/m Lペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、0.25μg/mLアン ホテルシンB(Fungl zone)と混合する。 この方法は、成体ウシ動物から単離した腎臓及び肝臓細胞の培養樹立にも利用 することができた。以上に述べたように、この方法は、いかなる種又は科の動物 であっても、成体動物から単離されるいかなる種類の細胞からの細胞培養作製に も利用できる。実施例3前駆体細胞からの不死化全能性細胞の再プログラム及び樹立 以下に説明する再プログラム手順は、不死化全能性細胞作製のために、いかな る種類の細胞も前駆体細胞として利用できる。一例として、前述した細胞培養物 を、以下に説明する再プログラム手順の前駆体細胞として利用できる。他の例と して、以下の手順では、始原生殖細胞が不死化全能性細胞作製の前駆体細胞とし て利用された、本発明の一実施例を説明する。再プログラムプロセスの実施例は 、図2に説明されている。 妊娠動物から約40日齢のウシ胎児を得た。生殖隆起は腹腔の尾側腹面に位置 していた。生殖隆起を無菌的に取り出し、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)(Gibco、 カタログ番号14287-015)に500U/mLペニシリン/500μg/mLストレ プトマイシンを加えた液中で洗浄した。この組織を1〜1.5mmの断片にス ライスし、プロナーゼE(3mg/mL;Sigma、カタログ番号P6911)を含むタ イロード乳酸塩(Tyrodes Lactate、TL)HEPES(Biowhittaker、カタログ 番号04-616F)溶液中に、35〜37℃で、30〜45分間放置した。プロナー ゼEの蛋白質分解反応により生殖隆起断片はバラバラにされ、細胞懸濁液になっ た。TL HEPES溶液中での希釈及び遠心により、プロナーゼEを除去した 。このステップの後、細胞懸濁液を凍結し、−196℃で保存した。 解凍した細胞懸濁液(最終濃度100,000cells/mL)を、マウス初期 胚繊維芽細胞フィーダー層を入れた35mmペトリ皿中に入れた。使用した培養 培地は、MEMアルファ(Biowhittaker、カタログ番号12-169F)を、0.1m M 2‐メルカプトエタノール(Gibco、カタログ番号21985-023)、4mMグルタ ミン、100ng/mLヒト組換え白血病阻害因子(human recombinant leukemi a inhibitory factor、hrLIF;R&D System、カタログ番号250-L)、100ng/ mLウシ塩基性繊維芽細胞増殖因子(bovine basic fibroblast growth factor、 bFGF;R&D System、カタログ番号133-FB)、及び10%ウシ胎児性血清(FCS、H yClone、カタログ番号A1111D)で補完し,たものであり、培養条件は37.5℃ 、3.5%CO2であった。外因性の鉄因子(例えば膜結合型鉄因子及び可溶性 鉄因子)は、培養培地に添加しなかった。24時間後、及び48時間後に再び、 補完した培養培地を置換した。6日間の初期培養後、hrLIF及びbFGFの 濃度をそれぞれ40ng/mLに下げた。9日間培養後、hrLIF及びbFG Fを培地から完全に除去した。 生殖隆起細胞のin vitro培養の初期には、単純な胚体が時々観察された。これ らの胚体は、継代するにつれ最終的には消失した。生殖隆起細胞からの不死化全 能性細胞系の樹立の割合は100%であり、性依存的ではないようであった。表 1に樹立された7つの不死化全能性細胞株のデータを示す。樹立された不死化全 能性細胞株は、2〜3日ごとに交換される、MEM−アルファを10%FCSで 補完した培地中で維持した。過密になった細胞は、毎週、1:4〜1:8の比率 で希釈して継代した。細胞の継代は、0.025%トリプシン−0.02%ED TA混合物と共にインキュベーションし、新鮮な増殖培地中に新しい培養液を調 製することにより、行った。MEM−アルファ培地の不死化全能性細胞に対す る増殖促進能力は、1:100に希釈したインシュリン−トランスフェリン、亜 セレン酸ナトリウム補完物(Sigma、カタログ番号11884)の添加により高まった 。マイコプラズマ汚染に対する防止策として、タイロシン酒石酸塩(tylosine t artate、Sigma、カタログT3151)を加えた短期間培養を行った。NTの前には、 マイコプラズマ配列に特異的なDNAプライマー(Stratagene、カタログ302007 )を用いたPCRにより、細胞株中のマイコプラズマの存在を試験した。 表1 樹立されたウシ不死化全能性細胞株の特徴 実施例4胚の構築 以下に示す本発明の実施例は、本発明の全能性胚の作製に利用される材料及び 方法を説明している。本発明の不死化胚は、本発明の不死化全能性細胞をNT処 置における核ドナーとして利用することにより、作製できる。既に述べたように 、多段階NT処置は全能性胚の作製に利用できる。以下の2つの例は、2回のN Tの使用を説明する、多段階NT処置を説明する。 NT処置に使用されるマイコプラズマ非含有不死化全能性細胞は、不死化全能 性細胞の一群を、フィーダー層からガラス針を用いて切り出すことにより調製さ れた。単離された不死化全能性細胞を、1〜3mg/mLプロナーゼEを含むT L HEPES溶液中、約32℃で、1〜4時間、つまりこの例において細胞を バラバラにするのに必要な時間、インキュベーションした。いったん細胞が単細 胞の懸濁液になってからは、2〜3時間以内にNTに使用した。 卵巣から吸引した卵母細胞を、成熟培地中で一晩(16時間)成熟させた。培 地199(Biowhittaker、カタログ番号12-119F)を、黄体形成ホルモン10I U/mL(LH;Sigma、カタログ番号L9773)、1mg/mLエストラジオール(Sig ma、カタログ番号E8875)、及び10%FCS又は発情期ウシ血清で補完した培地 を使用した。16時間の成熟の間に、卵丘層が拡大し、第一極体が排出された。 最初のNT処置において、若卵母細胞は卵丘層を取り除かれ、核材料を、サイ トカラシンB(cytochalasin B)(7μg/mL、Sigma、カタログ番号C6762)で 補完したTL HEPES溶液中のヘキスト33342(Hoechst 33342)5m g/mL(Sigma、カタログ番号2261)で、15分間染色された。次に卵母細胞 を、ミネラルオイル存在下、TL HEPES中で脱核した。細胞懸濁液から適 当な大きさ(12〜15μm)の不死化全能性細胞を1個取り出し、脱核した卵 母細胞の卵黄周囲の空間に注入した。次に、不死化全能性細胞及び卵母細胞膜の 融合を、500μmチャンバー内での、90ボルト、15マイクロ秒間の電気パ ルス適用による電気融合によって誘導した。 サイブリッドの活性化は、1mg/mL BSAを含むHECM(hamster em bryo culture medium)中の5μMカルシウムイオノフォアA23187(calci um ionophore A23187)(Sigma、カタログ番号C-7522)、又はイオノマイシンCa 塩(ionomycin Ca-salt)に4分間さらし、続いて30mg/mL BSAを含 むHECM中に1:1000希釈し5分間置くことにより、誘導した。HECM 培地については、例えば、SeshagiriとBarister、1989、”ハムスター8細 胞胚のin vitro発生のグルコース阻害にはリン酸塩が必須である”("Phosphate is required for inhibition of glucose of development of hamster eight-c ell embryos in vitro")Biol.Reprod.40:599-606を参照せよ。このステップ の次に、1.9mM 6−ジメチルアミノプリン(DMAP;Sigma製、カタログ番 号D2629)を含むCR2培地中で4時間インキュベーションし、HECM中で1 回洗浄し、続いてBSA(3mg/mL)を含むCR2培地中、5%CO2含有 加湿空気下、39℃で培養した。CR2培地については、例えば、Rosenkransと First.1994、”ウシ接合子のin vitro分裂及び発生速度に対する遊離アミ ノ酸及びビタミン類の影響”("Effects of free amino acids and vitamins on cleavage and developmental rate of bovine zygotes in vitro")J.Anim.Sci.72:434-437を参照ぜよ。サイブリッドの有糸分裂に より胚が形成された。3日後、胚を10%FCSを含むCR2培地中に移し、残 りのin vitro培養期間、培養した。 表2は胚盤胞(blastocyst)の発生に対する卵母細胞齢の影響を示す。in vit roで作製された胚からの卵割球又は不死化全能性細胞を、NT処置における核ド ナーとして利用しデータを得た。発生の潜在能力は、若老卵母細胞の対比で測定 した。 表2 異なる細胞源に対する卵母細胞齢の影響 表2に提示されたデータは、培養液中で16〜28時間維持された卵母細胞 は、不死化全能性細胞のより適当なレシピエントであり、一方、培養液中で28 〜48時間維持された老卵母細胞は、胚由来卵割球のより適当なレシピエントで あることを示す。さらに、活性化処置も若老卵母細胞間では異なった。若卵母細 胞をNT処置で使用する時は、これらの研究から、イオノマイシン及びDMAP による化学的活性化を必要とするようである。一方、老卵母細胞は、これらの研 究によれば、電気融合により容易に活性化されるようである。実施例52次核移植(再クローニング) 桑実胚期の第1世代NTからの胚を、プロナーゼE(1〜3mg/mL、TL HEPES中)又はサイトカラシンB処理後の機械的操作によりバラバラにし た。1個の卵割球を、脱核した老卵母細胞(28〜48時間インキュベーション )の卵黄周囲の空間中に入れた。老卵母細胞は、成熟した”若”卵母細胞を、追 加の時間、3mg/mL BSAを含むCR2培地中で、5%CO2含有加湿空 気中、 39℃でインキュベーションすることにより作製された。 不死化全能性細胞から作製された胚からの卵割球を、脱核した卵母細胞中に、 等張ソルビトール溶液(0.25M)中30℃で、500μmチャンバー内にお ける105ボルト15マイクロ秒間の電気パルスによる電気融合によって、融合 した。老卵母細胞は、若卵母細胞における化学的活性化ではなく、融合パルスに よって同時に活性化された。 卵割球−卵母細胞融合後、第2世代NTからのサ-rブリッドを、BSA(3m g/mL)で補完したCR2培地中、5%CO2含有加湿空気下、39℃で培養 した。培養第3日に発生している胚を評価し、第7日まで10%FCSを含むC R2培地中でさらに培養した。形態学的に良好〜普通の品質の胚を、非外科的に レシピエント雌中に移植した。表3は、再クローニング(二重NT)した不死化 全能性細胞の使用により獲得された、妊娠期間の延長を示す。 表3 二重NT後の不死化全能性細胞由来胎児の発生 実施例6非ウシ有蹄類のクローニング 本実施例は、非ウシ有蹄類のクローニング方法を供給する。そのような有蹄類 の例は、ウシ科、ヒツジ科、シカ科、ブタ科、ウマ科、及びラクダ科、例えば、 バイソン、ヒツジ、オオツノヒツジ、カリブー、レイヨウ、シカ、ヤギ、スイギ ュウ、ラクダ、及びブタから成る群から選択できる。 不死化全能性細胞株は、非ウシ有蹄類から単離される多様な種類の細胞から、 ウシ動物に関係する以前の例で説明した方法、又は、本実施例中で説明するこれ らの方法のためのスクリーニング手順の使用によって製造できる。非ウシ有蹄類 から単離される事実上いかなる種類の細胞も、不死化全能性細胞株の樹立に利用 することができる。例えば、バイソンから取った耳パンチサンプルは、様々な細 胞培養培地、例えばMEM−アルファ培地を用いて、in vitroで培養できる。 バイソン由来初期細胞は、次に、細胞培養培地をhrLIF及びbFGFで補 完することにより、以前の例及び本実施例中に説明されるように、不死化全能性 バイソン細胞へと変換又は再プログラムされ得る。あるいは、バイソン由来初期 細胞は、増殖培地を本実施例中に説明されるそのような再プログラム分子を確認 する方法によって確認された他の種類の分子で補完することによって、不死化全 能性細胞に変換され得る。再プログラムされたバイソン由来細胞は、その全能性 を、選択されたマーカー、例えばアルカリホスファターゼ、ラミニン、及びc-ki tの分析により試験することができる。さらに、バイソン由来細胞は、例えば、 もし細胞分裂回数がヘイフリック限界を越え、及び/又はもし細胞が互いに物理 的接触しない条件下で培養した後にも成長し集合することが可能であったら、不 変と見なすことができる。 いったん全能性不死化細胞が核ドナーとして樹立されたら、適当な脱核卵母細 胞をNTのために調製できる。同種又は異種からの卵母細胞を、NTのための核 ドナーとして使用できる。例えば、バイソン由来核ドナー細胞は、バイソン由来 脱核卵母細胞、若しくは他種、例えばウシからの脱核卵母細胞中へ融合又は直接 注入することができる。 本実施例中に説明されるように、卵母細胞は、いかなる有蹄類からも様々な方 法、例えば動物を屠殺しその卵管から卵母細胞を回収すること、又は動物の卵巣 を卵巣子宮摘出術によって摘出し、卵管若しくは卵巣から卵母細胞を単離するこ とによって獲得できる。卵母細胞は、経膣卵母細胞回収のような方法の利用によ り、生きている動物からも獲得できる。次に卵母細胞を、ここに説明されている ヒツジ又はウシに適用される方法を用いて脱核できる。これらの方法は、他の有 蹄類由来の卵母細胞にも容易に適用できる。 核移植技術は、脱核卵母細胞及び核ドナー細胞が調製された後に実施できる。 若又は老卵母細胞をNT処置に利用することができ、NT回数は本実施例中に説 明するように変更し得る。さらに、NTのための融合ステップを決定するパラメ ータも、ここに説明するように変更してもよい。活性化ステップは、1回又はそ れ以上のNTサイクルに適用できる。例えば、以前の具体的な実施例中に定義さ れたNTサイクルは、クローンバイソンの作製に適用できる。NTの結果得られ る胚は、その全能性を、1個又はそれ以上のマーカー、例えばアルカリホスファ ターゼ、サイトケラチン、ヴィメンチン(vimentin)、ラミニン、及びc-kitの試 験の利用により、試験できる。さらに、胚は、その全能性を胚を動物の子宮内に 移植し誕生まで発生させることにより試験できる。 非ウシ有蹄類のための上述の方法によって、いったんクローン全能性胚が生産 されれば、その胚をさらに操作できる。そのような操作には、低温保存、解凍、 培養、胚を単細胞にまでバラバラにすること、及び胚移植が含まれる。胚は、人 工的発生環境(前述)で培養することができるし、又は適切に同調された雌動物 の子宮中に移植することもできる。ある種由来の胚は、同種又は異種の子宮内に 移植することができる。例えば、バイソン由来の胚をウシの子宮内に移植するこ とができる。その胚は、誕生まで発生させることもできるし、又は誕生前に子宮 環境から回収することもできる。実施例7動物をクローニングするための多様な方法 図3は、本発明の多様な実施態様を説明している。動物を、再プログラムされ た細胞から、全能性不死化細胞へとクローン化することができる。 繊維芽細胞培養は、成体ウシ動物から取り出した耳パンチから、上述のように 調製した。しかしながら、細胞培養は、いかなる種類の分化した細胞からも樹立 できた。これらの培養から単離された個々の細胞は、図3のステップ2で示され るように、核移植プロセスにおいて核ドナーとして利用された。1回の核移植サ イクルが胚獲得に利用されてはいるが(図3中、ステップ3で示す)、これらの胚 の獲得には、複数回の核移植サイクルを適用することも可能であった。(1)核 移植の前又は後の刺激の付加、及び(2)核移植の前又は後の活性化ステップ、 もまた任意である。 図3ステップ3の胚は、ここに説明されるようにレシピエント雌ウシ中に移植 され、胎児(ステップ7)がその雌から単離された。ステップ3の胚から単離さ れる細胞は、胚性幹細胞培養(ステップ4)の樹立に利用できる。さらに、ステ ップ3の胚は、ホスト雌に移植して、クローン動物(ステップ5)にまで発生さ せることができる。 図3中、8、9、10、11、及び12で示すステップは、全能性不死化細胞 樹立のために実行された。ステップ7の胎児は、3段階で操作された。ステップ 8の操作は、生殖隆起細胞、厳密には始原生殖細胞の、ステップ7の胎児からの 単離を含んでいた。ステップ9において、始原生殖細胞はフィーダー細胞と共培 養された。フィーダー細胞は、マウス繊維芽細胞、又は始原生殖細胞を取り出し た胎児の残り、のいずれかから樹立された。実施例1がフィーダー細胞の樹立方 法を定義している。フィーダー細胞樹立に適当であるように胎児を均一なものへ と消化(digest)する前に、頭部及び体腔内容物を胎児から除去した。しかしな がら、頭部及び体腔内容物を除去する前に胎児を消化することも可能である。さ らに、始原生殖細胞を単離する胎児以外の胎児からフィーダー細胞を樹立するこ とも可能である。 ステップ10において、始原生殖細胞、頭部、及び体腔内容物を除去した胎児 消化物を用いた細胞培養が樹立された。ステップ11は、いかなる種類の細胞も 除去されていない胎児を利用しても細胞培養が樹立できることを説明している。 ステップ12において、細胞培養は、(1)機械的刺激を受ける、又は(2) 機械的刺激を受けない、のいずれかであった。適用する時には、機械的刺激は、 培養培地を、100ng/mLヒト組換え白血病阻害因子(hrLIF;R&D System 、カタログ番号250-L)及び100ng/mLウシ塩基性繊維芽細胞増殖因子(b FGF;R&D System、カタログ番号133-FB)から成る、レセプターリガンドカクテ ルで補完することによって行われた。ステップ12の後、前述のように、細胞を 細胞培養液から単離し、核移植プロセスにおける核ドナーとして利用した。ステ ップ13では1回の核移植サイクルが利用されたが、2回以上の核移植サイクル を利用することも可能であった。 胚は、ステップ13の核移植プロセス後発生した。ステップ14の胚は、レシ ピエント雌ウシ中に移植してクローンウシ動物にまで発生させることができる。 図3のステップ1、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、及び 16のいかなる発生している細胞集合から単離した細胞も、トランスジェニック 動物のクローニングに適当なトランスジェニック細胞を形成させるため、DNA 構築物にトランスフェクトすることができる。次の例で、トランスジェニック動 物クローニングのための一実施例を定義する。実施例8トランスジェニック動物のクローニング クローントランスジェニック動物の作製に適当なトランスジェニック細胞は、 成体動物から単離した細胞から調製できる。図4は、そのようなトランスジェニ ック細胞の作製に利用できるプロセスを説明している。トランスジェニック細胞 は、本発明の技術を使用して、ほとんどいかなる種類の細胞からも作製できるが 、図4はトランスジェニック胚性幹細胞及びトランスジェニック不死化全能性細 胞の樹立の手順を説明している。 繊維芽細胞培養は、既に定義したように、ウシ動物から取り出した耳パンチか ら樹立できる。個々の細胞は、この細胞培養から単離し、核移植プロセスにおけ る核ドナーとして利用することができる。単回の核移植サイクル又は複数回の核 移植サイクルを適用できる。他のいずれかのステップは、以前の例中に定義され ている。 核移植プロセスから発生した、前胚盤胞期の胚、及び/又は、胚盤胞期の胚を 、胚性幹細胞樹立に利用できる。胚性幹細胞調製の材料及び方法は、Sticeら、 1996、Biology of Reproduction 54:100-110に記述されており、ここでの引 用事項は、すべての図、表、及び模式図を含むその全体に含まれている。不死化 全能性細胞は、以前の例中に定義される手順によって樹立できる。 次に、細胞をDNA構築物にトランスフェクトできる。細胞は、図4中に示さ れるように、多様なステップでトランスフェクトできる。トランスジェニック細 胞調製のための材料及び方法は、既に参照した出版物中に定義されている。本発 明の不死化全能性細胞は、(a)G418で表される化合物に対して細胞を耐性 にする生産物をコードするネオマイシン遺伝子、(b)酵素α−グルコシダーゼ をコードする遺伝子、(c)カゼインプロモーター因子、から成るDNA構築物 に、うまくトランスフェクトされた。トランスフェクトされた細胞は、トランス ジェニック修飾のため、G418を含む細胞培養条件下でのトランスジェニック 細胞の選択によって、選択された。次にトランスジェニック細胞は、トランスジ ェニック修飾のため、1又はそれ以上のスクリーニング技術の利用により、スク リーニングされる。これらの技術の例は、(1)ポリメラーゼ連鎖反応、(2) サザンブロッティング、及び(3)FISH−フィルター処置、である。これら の技術は、当業者には周知である。後の2つの技術は、胚性幹細胞核DNA中に 挿入された遺伝子配列のコピー数の決定に利用される。 これらのスクリーニング手順は、図4に示されるいかなるステップにおいても 、トランスフェクトされた細胞に適用できる。クローントランスジェニック動物 は、トランスジェニック胎児から作製できる。 本発明が、当業者が実行し利用するためには充分詳しく説明し例示されてきた 一方で、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない、様々な変更、修正、及び改善は 明らかであろう。 当業者は、本発明が、提示された点のみならずこの分野に固有の課題について 、目的を果たし、結果及び利点を得るために充分適応されていることを容易に評 価する。細胞株、胚、動物、及びそれらを作製するプロセス及び方法は、好まし い実施例の代表例であり、具体例であり、本発明の範囲の限定を意図するもので はない。その中での修正及び他の使用法が当業者には可能であろう。このような 修正は、本発明の趣旨内に包含されており、請求項の範囲に定義されている。 当業者にとっては、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、ここに開示 されている本発明に対して様々な置き換え及び修正を実行できることは、容易に 明らかであろう。 実施例中に提示されたすべての特許及び出版物は、本発明が属する業界におけ る当業者のレベルを示している。すべての特許及び出版物は、まるで個々の出版 物が特異的及び個別的に引用事項を含んでいると示されたのと同程度に、ここで の引用事項を含んでいる。 ここに適切に例示しながら説明された本発明は、ここには特に開示されていな い、いかなる因子(単数又は複数)、限定(単数又は複数)の非存在下においても 、実行することができる。従って、例えば、ここでの各場合において、"〜を含 む(comprising)"、"基本的に〜から成る(consisting essentially of)"、及 び”〜から成る(consisting of)”といういかなる語も、他の二語のいずれかに よって置換することができる。採用された語及び表現は、限定ではなく説明の語 として使用されたのであって、そのような語及び表現の使用において、示され説 明されている構成と同等のいかなるものも、又はそれらの部分をも排除する意図 はない、しかし、請求されている本発明の範囲内で様々な修正が可能なことは認 識されている。従って、本発明は好ましい実施態様及びいずれかの構成により特 異的に開示されてはいるが、ここに開示された概念の修正及び応用が当業者によ って訴えられる可能性があること、及び、そのような修正及び応用は、添付した 請求項に定義されるように本発明の範囲内と考えられること、は理解されるべき である。 さらに、本発明の構成又は態様がマーカッシュ群の語で説明されたら、当業者 は、本発明はそれにより、マーカッシュ群の語の、個々の語又はその下群の語で もまた説明されると認識するであろう。例えば、もしXが臭素、塩素、及びヨウ 素から成る群から選択されると説明されたら、Xが臭素である請求項、及びXが 臭素及び塩素である請求項が完全に説明される。 他の実施例は、以下の請求項中に述べられている。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年1月6日(1998.1.6) 【補正内容】 【図1】 【図2】【図3】【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 60/073,019 (32)優先日 平成10年1月29日(1998.1.29) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 ジャーゲラ,ゲイル・エル アメリカ合衆国ウィスコンシン州53717, マディソン,オークブリッジ・コート 9,ナンバー 17 (72)発明者 ペイス,マーヴィン・エム アメリカ合衆国ウィスコンシン州53532, デ・フォレスト,ヴィンバーン・ロード 3749 (72)発明者 ビショップ,マイケル・ディー アメリカ合衆国ウィスコンシン州53960― 0159,リオ,ホール・ロード,ウエスト・ 4628

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.不死化された全能性哺乳類細胞。 2.下記ステップを含むプロセスによって製造される不死化された全能性哺乳 類細胞: (a)1又はそれ以上の前駆細胞を単離すること;及び (b)前記1又はそれ以上の前駆細胞を、前記1又はそれ以上の前駆細胞を 前記全能性の哺乳類細胞へと変換する刺激へ導入すること。 3.前記哺乳類細胞が有蹄類細胞である、請求項1及び2の全能性哺乳類細胞 。 4.前記有蹄類細胞がウシ細胞である、請求項3の全能性哺乳類細胞。 5.前記刺激が受容体リガンドカクテルを含む、請求項2の全能性哺乳類細胞 。 6.前記哺乳類細胞が非胚性細胞から生じる、請求項1及び2の全能性哺乳類 細胞。 7.前記哺乳類細胞が始原生殖細胞から生じる、請求項1及び2の全能性哺乳 類細胞。 8.前記哺乳類細胞が修飾された核DNAを含む、請求項1及び2の全能性哺 乳類細胞。 9.前記哺乳類細胞が操作の対象である、請求項1及び2の全能性哺乳類細胞 。 10.前記前駆細胞をフィーダー細胞と共培養するステップを含む、請求項2 の全能性哺乳類細胞。 11.下記ステップを含む、不死化された全能性哺乳類細胞を製造する方法: (a)1又はそれ以上の前駆細胞を単離すること;及び (b)前記1又はそれ以上の前駆細胞を、前記1又はそれ以上の前駆細胞を 前記全能性哺乳類細胞へと変換する刺激へ導入すること。 12.全能性であり、かつ不死化された細胞から生じる、クローン化哺乳類胚 。 13.全能性であり、かつ下記(a)と(b)との間での核移植のステップを 含むプロセスによって製造される、クローン化哺乳類胚: (a)不死化された全能性哺乳類細胞;及び (b)前記胚の形成を可能にするステージの卵母細胞。 14.前記哺乳類胚が有蹄類胚である、請求項12及び13のいずれか1項の クローン化哺乳類胚。 15.前記有蹄類胚がウシ胚である、請求項14のクローン化哺乳類胚。 16.前記胚の1又はそれ以上の細胞が修飾された核DNAを含む、請求項1 2及び13のいずれか1項のクローン化哺乳類胚。 17.前記全能性哺乳類細胞が有蹄類の1の種を起源とし、かつ前記卵母細胞 が有蹄類の別の種を起源とする、請求項13のクローン化哺乳類胚。 18.前記核移植が前記全能性哺乳類細胞及び前記卵母細胞の活性化のステッ プを含む、請求項13のクローン化哺乳類胚。 19.前記胚が操作の対象である、請求項12及び13のいずれか1項のクロ ーン化哺乳類胚。 20.前記操作が、前記胚を適切な有蹄類の子宮へ着床させるステップを含む 、請求項19のクローン化哺乳類胚。 21.前記操作が下記ステップを含む、請求項19のクローン化哺乳類胚: (a)前記胚を1又はそれ以上の独立した細胞へ分けること;及び (b)少なくとも1回の、下記(i)と(ii)との間の二次的な核移植を 実施すること: (i)(a)の独立した細胞;及び (ii)卵母細胞。 22.下記(a)と(b)との間の核移植のステップを含む、クローン化哺乳 類胚を製造する方法: (a)不死化された全能性哺乳類細胞;及び (b)前記胚の形成を可能にするステージの卵母細胞。 23.請求項12、13、14、15、16、17、18、19、20及び2 1のいずれか1項の胚から生じる、クローン化哺乳類動物。 24.下記ステップを含むプロセスによって製造される、クローン化哺乳類動 物: (a)請求項12、13、14、15、16、17、18、19、20及び 21のいずれか1項のクローン化哺乳類胚の製造;及び (b)前記クローン化哺乳類胚を動物へと発生させるような前記クローン化 哺乳類胚の操作。 25.前記哺乳類動物が有蹄類動物である、請求項23及び24のいずれか1 項のクローン化哺乳類動物。 26.前記有蹄類動物がウシ動物である、請求項25のクローン化哺乳類動物 。 27.前記動物の1又はそれ以上の細胞が修飾された核DNAを含む、請求項 23及び24のいずれか1項のクローン化哺乳類動物。 28.クローン化哺乳類動物からの構成成分であって、体液、細胞、組織及び 器官からなる群から選択される前記構成成分の少なくとも1つを単離するステッ プを含む、前記クローン化哺乳類動物を使用する方法。 29.前記体液が精液である、請求項28の方法。 30.下記ステップを含む、クローン化哺乳類動物を製造する方法: (a)請求項22の方法によるクローン化哺乳類胚の製造;及び (b)前記クローン化哺乳類胚を動物へと発生させるような前記クローン化 哺乳類胚の操作。
JP53881598A 1997-03-06 1998-03-05 動物のクローニング方法 Pending JP2002512510A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US81203197A 1997-03-06 1997-03-06
US81285197A 1997-03-06 1997-03-06
US7301998P 1998-01-29 1998-01-29
US08/812,031 1998-01-29
US08/812,851 1998-01-29
US60/073,019 1998-01-29
PCT/US1998/004345 WO1998039416A1 (en) 1997-03-06 1998-03-05 Method of cloning animals

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002512510A true JP2002512510A (ja) 2002-04-23

Family

ID=27372211

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53881598A Pending JP2002512510A (ja) 1997-03-06 1998-03-05 動物のクローニング方法

Country Status (7)

Country Link
EP (1) EP0973871A1 (ja)
JP (1) JP2002512510A (ja)
AU (1) AU745334B2 (ja)
BR (1) BR9808192A (ja)
CA (1) CA2282722A1 (ja)
NZ (1) NZ337495A (ja)
WO (1) WO1998039416A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002500864A (ja) * 1998-01-21 2002-01-15 ユニバーシティ・オブ・ハワイ 成体の体細胞核を再構成した被核除去卵母細胞からの動物の満期の成長
JP2005523031A (ja) * 2002-04-24 2005-08-04 ユニバーシテイ・オブ・ジヨージア・リサーチ・フアウンデイシヨン 冷却死骸からのクローン化された仔の生産
JP2006081542A (ja) * 2004-08-18 2006-03-30 Institute Of Physical & Chemical Research クローン哺乳動物の作成方法

Families Citing this family (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002505100A (ja) * 1998-03-02 2002-02-19 ユニヴァーシティー オヴ マサチューセッツ アパブリック インスティテューション オヴ ハイアー エデュケイション オヴ ザ コモンウェルス オヴ マサチューセッツ リプレゼンティド バイイッツ アム 種間核移植によって作製された胚性または幹細胞様細胞株
US6700037B2 (en) * 1998-11-24 2004-03-02 Infigen, Inc. Method of cloning porcine animals
US6258998B1 (en) * 1998-11-24 2001-07-10 Infigen, Inc. Method of cloning porcine animals
JP2002534118A (ja) * 1999-01-13 2002-10-15 ピーピーエル セラピューティクス (スコットランド) リミテッド 二重核移植法及びその結果物
JP2002537785A (ja) * 1999-03-04 2002-11-12 ピーピーエル セラピューティクス (スコットランド) リミテッド 体細胞の遺伝的改変とそれらの使用
DE69934914T2 (de) * 1999-06-04 2007-10-18 Istituto Zootecnico E Caseario Per La Sardegna Verfahren zur rekonstruktion eines nicht-menschlichen tierischen embryos mittels kerntransfer und die herstellung des tieres daraus.
NZ508739A (en) * 1999-06-30 2002-11-26 Woo Suk Hwang Method for producing cloned tigers by employing inter-species nuclear transplantation technique
JP3652308B2 (ja) * 1999-06-30 2005-05-25 ソウル ナショナル ユニバーシティー インダストリー ファウンデーション クローンウシの生産方法
MXPA02002443A (es) * 1999-09-07 2004-07-16 Advanced Cell Tech Inc Restauracion de telomeros y extension de la longevidad en animales clonados con celulas somaticas senescentes.
EP1356031B1 (en) 2000-03-15 2011-07-27 The University Of Georgia Research Foundation, Inc. Effective nuclear reprogramming in mammals
AU2001278204A1 (en) * 2000-08-01 2002-02-13 Xy Genetics, Llc Methods of selecting and cloning animals
CA2430738A1 (en) * 2000-12-05 2002-06-13 Universite De Montreal Method of cloning animals
US7309811B2 (en) 2001-02-23 2007-12-18 Elan Pharmaceuticals, Inc Transgenic mice knockouts of BACE-1
EP1370132A2 (en) 2001-03-21 2003-12-17 Geron Corporation Use of telomerase reverse transcriptase to create homozygous knockout animals
ATE514717T1 (de) 2002-07-18 2011-07-15 Merus B V Rekombinante produktion von antikörpermischungen
USRE47770E1 (en) 2002-07-18 2019-12-17 Merus N.V. Recombinant production of mixtures of antibodies
MXPA05004870A (es) 2002-11-08 2005-11-04 Hematech Llc Ungulados transgenicos que tienen actividad reducida de la proteina prion y sus usos.
US20100069614A1 (en) 2008-06-27 2010-03-18 Merus B.V. Antibody producing non-human mammals
EP2395016A3 (en) 2003-05-30 2012-12-19 Merus B.V. Design and use of paired variable regions of specific binding molecules
DK1737971T3 (da) 2004-01-20 2017-11-13 Merus Nv Blandinger af bindingsproteiner
EP1749102A4 (en) 2004-04-22 2009-02-25 Kirin Pharma Kk TRANSGENIC ANIMALS AND USES THEREOF
CN105441385A (zh) 2007-02-23 2016-03-30 奥卡塔治疗公司 重编程分化细胞和从重编程的细胞产生动物和胚胎干细胞的高效方法
WO2009134130A2 (en) 2008-05-02 2009-11-05 Pharming Intellectual Property Bv Treatment of bleeding with low half-life fibrinogen
US9796788B2 (en) 2010-02-08 2017-10-24 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Mice expressing a limited immunoglobulin light chain repertoire
US20130045492A1 (en) 2010-02-08 2013-02-21 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Methods For Making Fully Human Bispecific Antibodies Using A Common Light Chain
LT3095871T (lt) 2010-02-08 2019-05-27 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Bendros lengvosios grandinės pelė
WO2012020077A1 (en) 2010-08-11 2012-02-16 Inserm (Institut Mational De La Santé Et De La Recherche Médicale) Methods of growing an embryo to a blastocyst stage of development
WO2012122512A1 (en) 2011-03-10 2012-09-13 Hco Antibody, Inc. Recombinant production of mixtures of single chain antibodies
US10130081B2 (en) 2011-08-05 2018-11-20 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Humanized universal light chain mice
US9248181B2 (en) 2012-04-20 2016-02-02 Merus B.V. Methods and means for the production of Ig-like molecules
CA3124228A1 (en) 2014-03-21 2015-09-24 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Non-human animals that make single domain binding proteins
CN107438622A (zh) 2015-03-19 2017-12-05 瑞泽恩制药公司 选择结合抗原的轻链可变区的非人动物

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE68928914T2 (de) * 1988-08-04 1999-09-09 Amrad Corp Ltd (in vitro)-vermehrung von embryonalen stammzellen unter verwendung von leukämie-inhibitionsfaktor (lif)
JP2988753B2 (ja) * 1990-08-29 1999-12-13 科学技術振興事業団 不死化細胞株の樹立方法とその細胞株
WO1994007997A1 (en) * 1992-10-06 1994-04-14 The Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Long-term proliferation of primordial germ cells
US5453357A (en) * 1992-10-08 1995-09-26 Vanderbilt University Pluripotential embryonic stem cells and methods of making same
AU1439295A (en) * 1993-12-17 1995-07-03 Abs Global, Inc. Ungulate preblastocyst derived embryonic stem cells and use thereof to produce cloned transgenic and chimeric ungulates
GB9417831D0 (en) * 1994-09-05 1994-10-26 Biotech & Biolog Scien Res Biological manipulation
FR2726003B1 (fr) * 1994-10-21 2002-10-18 Agronomique Inst Nat Rech Milieu de culture de cellules embryonnaires totipotentes aviaires, procede de culture de ces cellules, et cellules embryonnaires totipotentes aviaires
WO1997020035A1 (en) * 1995-11-29 1997-06-05 Utah State University Establishment, maintenance, and transfection of totipotent embryonic stem cells from the embryos of domestic animals
CN1212009A (zh) * 1996-01-09 1999-03-24 加利福尼亚大学董事会 有蹄动物胚胎干样细胞、制法及用该细胞产生转基因的有蹄动物的方法
US5945577A (en) * 1997-01-10 1999-08-31 University Of Massachusetts As Represented By Its Amherst Campus Cloning using donor nuclei from proliferating somatic cells
JP3159713B2 (ja) * 1997-03-14 2001-04-23 クセルト―セントロ・ステユデイ・エ・ラボラトリ・テレコミニカチオーニ・エツセ・ピー・アー デジタル化ビデオシーケンス符号器における運動推定回路

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002500864A (ja) * 1998-01-21 2002-01-15 ユニバーシティ・オブ・ハワイ 成体の体細胞核を再構成した被核除去卵母細胞からの動物の満期の成長
JP2005523031A (ja) * 2002-04-24 2005-08-04 ユニバーシテイ・オブ・ジヨージア・リサーチ・フアウンデイシヨン 冷却死骸からのクローン化された仔の生産
JP2006081542A (ja) * 2004-08-18 2006-03-30 Institute Of Physical & Chemical Research クローン哺乳動物の作成方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2282722A1 (en) 1998-09-11
EP0973871A1 (en) 2000-01-26
WO1998039416A1 (en) 1998-09-11
AU6688098A (en) 1998-09-22
BR9808192A (pt) 2000-10-24
AU745334B2 (en) 2002-03-21
NZ337495A (en) 2001-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6011197A (en) Method of cloning bovines using reprogrammed non-embryonic bovine cells
JP2002512510A (ja) 動物のクローニング方法
US6258998B1 (en) Method of cloning porcine animals
US5942435A (en) Transgenic swine compositions and methods
US6700037B2 (en) Method of cloning porcine animals
US5213979A (en) In vitro culture of bovine embryos
US6107543A (en) Culture of totipotent embryonic inner cells mass cells and production of bovine animals
JP4095898B2 (ja) 人工染色体を含むトランスジェニック動物のクローニング
AU2002252076A1 (en) Cloning of transgenic animals comprising artificial chromosomes
JP2003514515A (ja) 核移行のためのドナー細胞の調製と選択
JP2003518936A (ja) 長期間培養された雄または雌の体細胞核の、人為的に誘導される遺伝子改変を含む、除核レシピエント細胞への移植による、標的遺伝子改変を有する動物をクローニングする方法。
US20030217378A1 (en) Cloning using rapidly matured oocytes
AU782358B2 (en) Method of cloning animals
US20040055025A1 (en) Immune response replication in cloned animals
WO2002062131A2 (en) Method of cloning transgenic mammalian animals using pseudonuclei

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050307

A072 Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A073

Effective date: 20050816