JP2003518936A - 長期間培養された雄または雌の体細胞核の、人為的に誘導される遺伝子改変を含む、除核レシピエント細胞への移植による、標的遺伝子改変を有する動物をクローニングする方法。 - Google Patents

長期間培養された雄または雌の体細胞核の、人為的に誘導される遺伝子改変を含む、除核レシピエント細胞への移植による、標的遺伝子改変を有する動物をクローニングする方法。

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Abstract

(57)【要約】 長期培養体細胞をドナー細胞として、および除核卵母細胞をレシピエント細胞として用いて分割細胞質雑種を作成する、核移植の改良法。このような細胞質雑種は、適当な宿主環境で養育して、生存能力のある動物クローンへと発生させるのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 1.関連技術 本発明は、2000年1月4日に出願されたU.S.仮特許出願第60/17
4383および60/174424からの優先権を主張し、これら仮出願の開示
内容は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。 2.発明の分野 本発明は、概して、雌雄のドナー細胞を用いて開発された細胞質雑種の、効率
のよい発生を可能とする、核移植の改良された方法に関する。本発明により、長
期間培養された胎児以外の体細胞の核を除核卵母細胞に移植して、胚、胎児、お
よび/または動物に発生することができる、生存能力のある、全能性を有する細
胞質雑種が作成される。本発明によりさらに、所望の遺伝子改変動物を作成する
ための、ドナー細胞のゲノムの標的遺伝子操作法が提供される。
【0002】 3.発明の背景 動物のクローニングに関する近年の発見は、科学に新しい変革をもたらした。
今や、農学研究、医学研究、および基礎生物学研究にクローニング技術が適用で
きる可能性があることは疑いの余地がない。クローニングにより、従来のマイク
ロインジェクション法よりも、形質転換動物を作成するための安価かつより効率
的な方法が提供される。
【0003】 過去20年間、動物、特に哺乳動物をクローニングする方法が切実に探求され
、かつ開発されてきた。クローニングのために今日用いられている主な方法は、
「核移植(nuclear transfer)」または「核移植(nuclear transplantation)」と
して知られる。核移植法は当該分野で周知であり、多くの参考文献に開示されて
いる(例えば、Campbell et al., Theriogenology, 43: 181 (1995); Collas et
al., Mol. Report Dev., 38: 264-267 (1994); Keefer et al., Biol. Reprod.,
50: 935-939 (1994); Sims et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 90: 6143-
6147 (1993); WO97/07668; WO 97/07669; WO 94/26884; WO 94/24274;ならびにU
.S.特許第4,944,384および5,057,420(これらはウシの核移植を開示する)を参照
されたい。)これらの文献は全て、引用により本明細書中に完全に組み込まれる
。)。
【0004】 核移植プロトコルには、典型的に、(1)卵母細胞を除核する;(2)除核卵母細
胞と組み合わせるための細胞を単離する;(3)該細胞または該細胞から単離され
た核を除核卵母細胞に挿入して、細胞質雑種細胞を作成する;(4)細胞質雑種を
動物の子宮に移植して、胚を形成させる;および、(5)胚を発生させる:工程が
含まれる。
【0005】 卵母細胞は死んだ動物から得られてもよいが、典型的には、生きている動物の
卵管および/または卵巣のいずれかから単離される。卵母細胞は典型的には、除
核に先立ち、本技術分野の通常の知識を有する者に公知の種々の培地中で成熟さ
れる。一般的には、核移植法で用いられる卵母細胞は第2減数分裂中期にあるも
のである。卵母細胞は、新鮮で、かつ保存されていないのが最良であると一般に
考えられている。ウシの卵母細胞などの一定の卵母細胞は低温に対して非常に敏
感であり、また、低温保存後はあまり有用でないことが見出されている。
【0006】 卵母細胞の除核は、吸引(Smith & Wilmut, Biol. Reprod., 40: 1027-1035 (1
989))、DNA特異的蛍光色素の使用によるもの(例えば、Tusnoda et al., J. R
eprod. Fertil. 82: 173(1988)を参照されたい)、および紫外線照射(例えば、Gu
rdon Q.J. Microsc. Soc., 101: 299-311(1960)を参照されたい)を含む、当該分
野の専門家に周知の多くの方法にて行われることができる。除核は、本明細書中
に引用により組み込まれるU.S.特許第4,994,384に開示されるような、当該分野
で公知の他の方法によって行われてもよい。好ましくは、卵母細胞は、除核前、
および除核中に、ミクロフィラメント崩壊剤またはチューブリン崩壊剤を含む培
地に曝される。ミクロフィラメントの崩壊により細胞膜およびその下の細胞皮層
に適度な流動性が与えられ、その結果、膜に囲まれた卵母細胞の一部が、細胞構
造のダメージを最小に抑えながら、ピペットに容易に吸引されることが可能とな
る。
【0007】 近年まで、ドナーの核は、従来、ほとんど全て、始原生殖細胞および胚体細胞
から単離されていた。発生の過程において、一定の遺伝子はそれ以上転写されな
いように、いわゆる「インプリントされる」ことが知られている。インプリンテ
ィングに関する研究により、「インプリンティング」が生殖細胞形成中に消去さ
れる(即ち、リプログラミング)ことが示されている。
【0008】 1990年代半ばになって初めて、培養細胞系統からの核移植に関する報告が
示された。これらの報告(例えば、Wilmut et al., Nature (London) 385, 810-1
83)(1997))は、胚のみならず胚盤胞、卵巣および他の生殖および生殖関連細胞/
組織(例えば乳房上皮細胞、卵丘細胞)から得られたドナー細胞の有用性を示唆し
ている。本発明以前は、胚以外の、および非−生殖/生殖関連組織から得られた
体細胞(以下、「NENS体細胞」と呼ぶ)が、生存能力のある動物クローンの作
成におけるドナー細胞として有用であることは見出されていなかった。実際、St
ice et al.のU.S.特許第5,945,577に記載されているように、1990年代後半
まで、胚または未分化細胞型のみが核移植法におけるあらゆる種類の胎児の発生
を指向することができると広く考えられていた。
【0009】 Stice et al.のU.S.特許第5,945,577は、分化したドナー体細胞から除核卵母
細胞への核移植からの、発生段階の進んだ胚および胎児の発生を教示する。Stre
lchenko et al.のU.S.特許第6,022,197は、成体の耳に穴を空けて得た繊維芽細
胞培養物由来の繊維芽細胞を核移植法における核のドナーとして用いることがで
きることを示している。両引用文献はしかし、生存能力のある動物がNENS体
細胞核の提供を用いる方法により作成されることは示していない。
【0010】 ドナー体細胞に関して、本発明以前は、成功したクローニング実験(即ち、生
存能力のある動物クローンを作成すること)は全て、雌のドナーからのドナー核
を用いている。研究者等は概して、雌の生殖器官関連体細胞のみが、卵母細胞環
境により適切にリプログラムされ得る能力を保持し得ると考えた(例えば、Capec
chi, PNAS 97: 956-957(2000年2月1日)を参照されたい)。即ち、雄の体細胞核と
雌の卵母細胞細胞質の間の本来的な不和合性のため、雄の細胞では、初期の胚発
生のプロセスに通常関連するゲノムの脱メチル化およびメチル化のパターンの複
雑な変更(これが適切に行われることが、胚外組織と胎児組織の間のバランスの
とれた生育を保つのに必要である。例えば、S.M. Cell 96: 185-193(1999)を参
照されたい)が適切に行われないと考えられていた(例えば、Capechi, PNAS 97:
956-957(2000年2月1日)を参照されたい)。
【0011】 分裂細胞周期は一般に、4つの別個の時期、G1、S、G2、およびM期に分
けられる。いわゆる「スタートイベント」、すなわち、別の細胞周期に移るため
のコミットメントはG1期でなされる。一度「スタートイベント」が起こると、
細胞は、前DNA合成期であるG1期の残りを経る。その後のS期は、DNA合
成が起こる時期である。G2期はDNA合成と分裂の間の期間である。分裂はM
期で起こる。(好ましくはG0またはG1期の)ドナーの核は、融合または直接注
入のいずれかにより細胞周期のM期のレシピエント細胞に都合よく導入される。
【0012】 典型的には、ドナー細胞を除核卵母細胞のビテリン周囲空間に移植して、細胞
質雑種を作成する。レシピエントの卵母細胞は、ドナー細胞との融合前の第2分
裂中期で停止されるのが都合よい。
【0013】 融合は、典型的には、直流電気パルスを接触/融合面を通じて適用することに
より誘導されるが、さらに交流電流を用いてドナー細胞とレシピエント細胞が整
列するのを補助してもよい。電気的細胞融合法で生じる電位パルスは、原形質膜
を一時的に破壊するのに十分足るものであり、かつ、膜が迅速に修復するのに十
分短いものである。融合は細胞を例えばポリエチレングリコールなどの融合促進
剤に曝すことにより、または不活性化されたウイルス、センダイウイルスなどを
用いることにより、誘導されてもよい。ドナーの核が小さい場合、融合法よりも
、卵母細胞に直接マイクロインジェクションを行うことが好ましいこともある。
【0014】 典型的には、細胞質雑種は、ドナー核とレシピエント卵母細胞の融合の前、そ
の間、および/またはその後、電気的および/または非電気的方法で活性化され
る。活性化方法には、電気パルス、化学的に誘導されたショック、精子の侵入、
卵母細胞中の二価の陽イオンのレベルを増すこと、および卵母細胞中の細胞内タ
ンパク質のリン酸化を(キナーゼインヒビターを用いるなどして)減じることが含
まれる。活性化された細胞質雑種または胚は、典型的には当該分野の専門家に周
知の培地中で培養され、それらの培地には、制限されるものではないが、組織培
養培地−199(TCM−199)+10%子牛血清、タイロード−アルブミン−
ラクテート−ピルベート(TALP)、Ham’sF−10+10%子牛血清(F
CS)、合成卵管液(「SOF」)、B、CR1aa培地、および高カリウム単
純培地(「KSOM」)が含まれる。
【0015】 核移植による胚の構築は、Spemannにより1930年代に最初に提案された(Sp
emann, Embryonic Development and Induction 210-211, Hofner Publishing Co
., New York (1938))。しかし、1950年代の初期になり、ようやく核が発生
を指向することができると立証された(Briggs and King, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 38 455-461(1952))。哺乳動物細胞を用いる核移植実験で最初に成功をお
さめたものが、McGrath & Solterにより1983年に報告されたが、この報告で
は、ハツカネズミ(ネズミ)の接合体(zygote)を除核卵母細胞に挿入して、生きた
子孫を得ている(McGrath & Solter, Science 220: 1300-1312(1983))。
【0016】 ヒツジの胚細胞を用いた初期の核移植実験の一つが、Willadsenにより198
6年に報告された(Willadsen, Nature 320: 63-65(1986))。ヒツジの胚細胞を核
移植のドナーとして用いる動物のクローニングに関する報告は、1990年半ば
に現れた(Campbell et al., Nature 380: 64-66(1996)); PCT公開WO95/20042)。
しかし、1997年になって初めてヒツジのクローニングがWilmut et alにより
開示される方法を用いて実施できるようになったことは疑いの余地がない(Wilmu
t et al., Nature 385: 810-183 (1997))。Wilmut et al.の公開文献は、核移植
前にドナー細胞を休止させる方法を含む方法を開示している。乳房体細胞ドナー
と除核卵母細胞を用いてヒツジが作り出された。
【0017】 核移植法を用いるウシのクローニングが、ネズミやヒツジ同様に成功すること
はこれまで報告されていない。ほとんどの報告で、胚が、子宮外では生存しない
ことが示されている。しかし、雌ウシに関してはクローニングが成功したことが
報告されている(例えば、Kato et al., Science 282: 2095-2098 (1998); Wells
et al., Biol. Reprod. 60: 996-1005 (1999); およびStrelchenko et al., U.
S.特許第6,011,197号(発行日:2000年1月4日)を参照されたい)。
【0018】 現在利用可能な核移植法の主な問題は、それらが典型的に採取および維持する
のがかなり困難なドナー細胞を要すること、かなり新鮮なドナー細胞または短期
間だけしか培養されていないドナー細胞を用いなければならないこと、クローニ
ング効率が低く、そして、遺伝子操作を方向性をもって用いることができないと
いうことである。 多くの核移植研究は、ドナー細胞として胚細胞または卵細胞を用いている。胚
幹細胞は、除核卵母細胞の発生を満期まで維持する点で、ドナー細胞として特に
有用な細胞であることが見出されている。マウス胚幹細胞の遺伝子操作は、マウ
スの遺伝子研究に変革をもたらした。残念なことに、胚幹細胞は他の種では容易
に入手できない。
【0019】 核移植のための有蹄類の内部細胞塊細胞の使用も報告されている。そのような
細胞の単離は、細胞質雑種を作成するために、かなり新鮮なドナー細胞(これは
わずかしか入手できない)がこれらの方法に必要とされる場合に、特に煩雑であ
る。例えば、多くの先行の核移植クローニングで用いられていた胚細胞系統は、
妊娠期間が10日未満である胚由来のものであり、約5継代未満、継代保存され
たものであった(例えば、Campbel et al., Nature, 380: 64-68 (1996); Stice
et al., Biol. Reprod., 54: 100-110 (1996))。そのような細胞は、クローニン
グ法に用いられるドナー細胞の明白な分化を防ぐために、典型的にはフィーダー
細胞層の上で維持される。そのような細胞を採取することに伴う問題ゆえに、多
くの研究者らはドナー細胞として体細胞を用いることを提唱してきた。
【0020】 体細胞核移植に関連する主な問題は、非常にクローニング効率が低いことであ
った。Wilmut et al.により開示されるクローニング法(Wilmut et al., Nature
385: 810-183 (1997))を用いる体細胞クローニングから生きた動物が誕生する効
率は、約300分の1と見積もられ、クローニング効率は最高で0.4%(すな
わち、クローン化子ヒツジの数を、当該数のクローン化子ヒツジを作成するのに
用いられた核移植数で割ったもの)である。クローニング効率が低いことが、そ
のような技術の営利的な見込みを明らかに減じていることは明らかである。
【0021】 体細胞クローニングの成功は、新鮮な細胞か(Wakayama et al., Nature (Lond
on) 394: 369-374 (1998))、またはインビトロで短期間継代培養した後の細胞(W
ilmut et al., Nature (London) 385: 810-813 (1997); Kato et al., Science
282: 2095-2098 (1998))かのいずれかのドナー細胞の使用にほぼ限られていたが
、これらは標的遺伝子操作を許容せず、当該クローニング法の限界をもたらす。
【0022】 それゆえ、生存能力のある動物に発生することができる細胞質雑種を形成する
能力を保持する長期培養ドナー細胞の使用を提供し、容易に採取できるドナー体
細胞を用いて高いクローニング効率を提供し、そして細胞質雑種形成の前に遺伝
子操作法、特に遺伝子ノックアウト法を用いることができる体細胞核移植クロー
ニング法が必要とされている。
【0023】用語の定義 活性化:「活性化」なる用語は、核移植工程前、工程中、および工程後に細胞
を刺激して分裂させるのに有用な物質および方法を意味する。 動物クローン:「動物クローン」なる用語は、他の動物の遺伝子と実質上類似
または同一であるゲノムを有する生存能力のある動物であって、精子と有核卵母
細胞の融合以外の方法で作成された動物を意味する。「実質上類似」は、遺伝子
が、DNAの複製中に通常生じる複製エラーの違いにより異なっていることを意
味する。
【0024】 クローン:「クローン」なる用語は、他のバイオマス(例えば、細胞、器官、
胎児、動物など)の核DNA配列と実質上類似または同一である核DNA配列を
有するバイオマスを意味する。「実質上類似」は、2つの配列が、核DNAの複
製中に普通に生じる複製エラーの違いにより異なっていてもよいことを意味する
【0025】 クローニング効率:「クローニング効率」なる用語は、細胞質雑種からの動物
クローンの産生効率を意味する。 卵丘細胞:「卵丘細胞」なる用語は、卵母細胞を囲む細胞および/または組織
から単離された培養細胞または非培養細胞を意味する。 細胞質雑種:「細胞質雑種」なる用語は、完全な核ドナーが卵母細胞などのレ
シピエント細胞の細胞質に移植された構造を意味する。 胚:「胚」なる用語は、母系宿主の子宮に移植される前の発生中の細胞塊を意
味する。「胚」なる用語は、受精した卵母細胞、細胞質雑種、移植前の段階の発
生中の細胞集団などが含まれることを意味する。
【0026】 胎児:「胎児」なる用語は、母系宿主の子宮に移植された発生中の細胞塊を意
味する。 繊維芽細胞:「繊維芽細胞」なる用語は、結合組織基質を構成するトロポコラ
ーゲンおよびムコ多糖類を分泌する、脊椎動物の結合組織に存在する細胞型を意
味する。 繊維芽細胞様細胞:「繊維芽細胞様細胞」なる用語は、独特の扁平形態を有す
る培養細胞であって、培養につき、単層で生育することができる培養細胞を意味
する。
【0027】 融合:「融合」なる用語は、細胞核ドナーおよびレシピエント卵母細胞の脂質
膜部分の結合を意味する。 遺伝子改変動物:「遺伝子改変動物」なる用語は、遺伝子組換え技術により導
入された遺伝子改変を有する動物を意味する。 遺伝子改変細胞:「遺伝子改変細胞」なる用語は、遺伝子組換え技術により導
入された遺伝子改変を有する細胞を意味する。 内部細胞塊:「内部細胞塊」なる用語は、本来、胚を生じる細胞を意味する。 長期培養:「長期培養」なる用語は、適当な生育培地中で10継代またはそれ
以上培養された細胞を意味する。
【0028】 変更された核DNA:「変更された核DNA]なる用語は、1またはそれ以上
の組換えDNA技術により操作された核のデオキシリボ核酸を意味する。 NENS体細胞:「NENS体細胞」なる用語は、胚、胚盤胞、胎児、または
生殖関連組織、例えば卵巣、卵管、乳腺、生殖管など以外の源から得られた体細
胞を意味する。 核移植:「核移植」なる用語は、1の細胞からの核DNAの全量を除核細胞に
導入することを意味する。
【0029】 多能性:「多能性」なる用語は、細胞が、発生中の細胞塊内で全ての細胞、例
えば胚、胎児または動物を生じるというのではないが、その細胞集団内の特定の
細胞群に分化できることを意味する。 休止細胞:「休止細胞」なる用語は、分割していない細胞を意味する。 リプログラミング:「リプログラミング」なる用語は、非全能性細胞を全能性
細胞に変換できる物質および方法を意味する。 血清飢餓処理:「血清飢餓処理」なる用語は、血清を含むとしても、その量が
低く、培養細胞が十分休止する培地中で細胞を培養することを意味する。 体細胞:「体細胞」なる用語は、生殖細胞以外の細胞を意味する。 満期動物:「満期動物」なる用語は、発生した環境(例えば子宮)の外で1週ま
たはそれ以上、生命維持装置または医薬の介入を必要とせずに生存することがで
きる動物を意味する。「完全な満期動物」なる用語は、その動物の新生児の基準
の範囲内まで生理学的に発達した満期動物を意味する。
【0030】 全能性:「全能性」なる用語は、(「多能性」細胞とは対照的に) 細胞が、発
生している細胞集団内で全ての細胞、例えば胚、胎児または動物などを生じるこ
とができることを意味する。 形質転換動物:「形質転換動物」なる用語は、完全または部分的に人為的遺伝
子操作法により作成されたゲノムを有する動物を意味する。 有蹄:「有蹄」なる用語は、蹄を有する四つ足の動物を意味する。 生存能力のある動物:「生存能力のある動物」なる用語は、人工生命維持装置
または医薬の介入を必要とせずに、宿主動物の体外で365日以上生存すること
ができる動物を意味する。
【0031】発明の概要 本発明は、胚盤胞段階までの胚発生、細胞質雑種妊娠率、および出生率を増す
点で改良された核移植クローニングを提供する。このような効果は、5継代以上
、好ましくは7継代以上、より好ましくは10継代以上、およびさらにより好ま
しくは15継代以上長期培養した核ドナー細胞を用いることにより達成される。
本発明は、さらに、長期培養中の核ドナー細胞の全能性およびクローニング能力
を維持するための方法を提供する。このような方法により、10またはそれ以上
の継代後に、新鮮に採取された核ドナー細胞により提供されるものに等しいまた
はそれより優れたクローニング能力を示す核ドナー細胞が提供される。このよう
な方法により、当該分野で公知の遺伝子操作法をインビトロでの培養中に用いる
ことが可能となることにより、核移植前の核ドナー体細胞の標的遺伝子操作が初
めて可能となる。当該分野の専門家には理解されるように、部位特異的に遺伝子
操作された細胞を用いるクローニングは、農学、医学、および基礎生物学研究に
適用できる、価値ある手段である。
【0032】 本発明の一具体例では、(a)5継代またはそれ以上培養した体細胞培養物由来
の体細胞、または該体細胞から単離された核を除核卵母細胞に挿入して、細胞質
雑種を作成する、(b)細胞質雑種を活性化する;(c)活性化された細胞質雑種を
培養する;(d)工程(c)の活性化された細胞質雑種を適当な宿主に移植して、活
性化された細胞質雑種を胎児へと発生させる;(e)胎児が生存でき、そして該宿
主の体外で生存できる動物へと成熟できるようになるまで、胎児を宿主中に維持
する;工程を含む、核移植による生存能力のある動物のクローニングの改良され
た方法が提供される。この方法の工程中に生じた細胞質雑種、活性化された細胞
質雑種、胎児、および動物、および、それらから採取されてよい細胞、核、およ
び他の細胞成分も、本発明の具体例として主張される。
【0033】 本発明の他の具体例では、哺乳動物由来のドナー細胞、またはドナー細胞核を
、ドナー細胞と同種の除核卵母細胞に導入して細胞質雑種を作成すること、細胞
質雑種を同種の宿主養母の子宮に挿入して、細胞質雑種の子宮への移植を引き起
こして胎児を形成させること、および胎児をクローン化された哺乳動物へと発生
させることを含む、核移植により哺乳動物をクローニングする改良された方法で
あって、該改良が、ドナー細胞またはドナー細胞の核、5継代以上培養された体
細胞を用いることを含む方法が提供される。
【0034】 次いで、さらに、動物、より好ましくは哺乳動物、およびより詳細には有蹄動
物をクローニングするための方法であって、(a)NENS体細胞を得る、(b)該
NENS体細胞を5継代またはそれ以上培養する;(c)工程(b)の培養されたN
ENS体細胞または該培養NENS体細胞から単離された核を除核卵母細胞に挿
入して、細胞質雑種を作成する;(d)細胞質雑種を活性化する;(e)活性化され
た細胞質雑種を培養する;(f)工程(e)の活性化された細胞質雑種を適当な宿主
に移植して、活性化された細胞質雑種を胎児へと発生させる;(g)胎児が生存で
き、そして宿主の体外で生存できる動物へと成熟できるようになるまで、胎児を
宿主中に維持する:工程を含む方法が提供される。この方法の工程中に作成され
た細胞質雑種、活性化された細胞質雑種、胎児、および動物、およびそれらから
採取されてよい細胞、核、および他の細胞成分も本発明の具体例として主張され
る。
【0035】 本発明の好ましいドナー細胞は、体細胞、より詳細には、NENS体細胞であ
る。特に好ましいドナー細胞は、NENS繊維芽様細胞、より好ましくはNEN
S繊維芽細胞である。皮膚細胞などの繊維芽細胞を用いるクローニングにより、
動物の性または年齢に制限されずに容易に入手でき、かつ非侵襲性であるという
利点が得られる。
【0036】 本発明以前は、どのタイプの体細胞を用いるクローニング効率も全て低く、0
〜ほぼ10%の範囲であった。ドナーNENS体細胞からレシピエント細胞への
核移植を用いる生存能力のある動物のクローニングが反復可能性をもって成功し
た報告はこれまでない。本発明により、10%を上回る、15%またはそれ以上
の範囲のクローニング効率が得られ得る。先行の体細胞核移植クローニングと比
較して、明らかに高い妊娠率および出生率が示されている。
【0037】 それゆえ、本発明により、動物、特に哺乳動物を、10パーセント(10%)を
越すクローニング効率でクローニングする方法であって、(a)5継代またはそれ
以上培養した体細胞培養物由来の体細胞または該体細胞から単離された核を除核
卵母細胞に挿入して、細胞質雑種を作成する;(b)細胞質雑種を活性化する;(
c)活性化された細胞質雑種を培養する;(d)工程(c)の活性化された細胞質雑
種を適当な宿主に移植し、活性化された細胞質雑種を胎児へと発生させる;(e)
胎児が生存でき、そして生存能力のある動物へと成熟できるようになるまで、宿
主中に胎児を維持する:工程を含む方法が提供される。この方法の工程中に作成
された細胞質雑種、活性化された細胞質雑種、胎児および動物、およびそれらか
ら採取されてよい細胞、核、および他の細胞成分も、本発明の具体例として主張
される。
【0038】 本発明の好ましい具体例では、体細胞は5継代またはそれ以上(細胞数の約1
0回の2倍化)、より好ましくは7継代またはそれ以上(細胞数の約14回の2倍
化)、より好ましくは10継代(細胞数の約20回の2倍化)またはそれ以上、お
よびさらにより好ましくは15継代(細胞数の約30回の2倍化)、適当な生育培
地上で培養される。都合よくは、細胞はコンフルエントまで培養され、化学的お
よび/または機械的手段により分けられ、それぞれ各継代終了に際して、新たな
生育培地に置かれる。
【0039】 本発明のドナー細胞は、レシピエント細胞との融合、またはレシピエント細胞
へのマイクロインジェクションの前に、休止状態に誘導されるのが好ましい。共
にRoslin Institute(Edinburgh)に譲渡されたPCT/GB96/02099お
よびWO97/07668の示すところに従い、ドナー核は、移植時、細胞周期
のG0またはG1期のいずれかにあることが好ましい。ドナーは細胞質雑種の正
確な倍数性を維持するために、移植時、二倍体でなければならない。ドナー細胞
は細胞周期のG0期にあることが特に好ましい。
【0040】 本発明により、雄の動物、好ましくは雄の哺乳動物を、核移植法を用いてクロ
ーニングするための方法が提供される。本発明者等は、雄ドナー由来の核を用い
て生存能力のある雄の動物(特に、生存能力のある雄の哺乳動物)をクローン化す
ることに最初に成功したと考えられる(Capecchi et al., PNAS 97: 956-957、95
7頁(2000年2月1日)を参照されたい)。一方、U.S.特許第6,011,197は、ドナー細
胞として胚生殖細胞を用いて一頭の雄のホルスタインが作成されたことを示すが
、そのような動物が本明細書に定義されるような「生存能力のある動物」であっ
たかどうかは示されていない。さらに、そのような動物は、胚由来の生殖細胞を
用い、および二重核移植法を用いて作成されたが、この二重核移植法は、この手
段の市場における有用性を減じるものである。
【0041】 本発明者等は、U.S.特許第6,011,197に、「実質的に全タイプのプレカーサー
細胞」を用いて、その「不死化された、全能性」ドナー細胞(例えば、LIF(白
血病阻害因子)およびFGF(繊維芽細胞成長因子)と共培養されることによりリ
プログラムされた細胞)を作成することができること(U.S.特許第6,011,197のコ
ラム30、24-25行目)、そのような細胞を核移植法に用いてクローン化された胚を
作成することができること(U.S.特許第6,011,197のコラム37、19-20行)、作成さ
れた胚を子宮または人工子宮環境に移植することができること(U.S.特許第6,011
,197のコラム41、59-60行)、およびそのような胚を満期まで発生させることがで
きること(U.S.特許第6,011,197のコラム42、17行目)に関する記載を示している
が、胚生殖細胞からは胚しか形成されなかったことを示している。出願人らは、
改変されたDNAの除核卵母細胞への核移植を用いて、外来異種DNAを胚、な
らびに成体の繊維芽細胞に挿入することにより遺伝子改変動物が作成され得るこ
とを明らかにしているStice et alのU.S.特許第5,945,577を示す。出願人らは、
Stic et al.の特許には、生存能力のある動物に関する証明はないことを示す。
出願人等はさらに、該特許に示される最良の遺伝子変換胎児は、中期段階の胚由
来の胚細胞を用いて作成されたこと(即ち、二重核移植を含む)を示す。出願人等
はさらに、Stice et al.により作成された胎児の胎児DNAに導入された遺伝子
の改変が、標的遺伝子改変ではなく、むしろ、非特異的なランダムな改変である
ことを示す。出願人等は、核移植における長期培養体細胞由来の体細胞の有用性
およびそのような長期培養物の有利な特性に関する理解なしには、標的遺伝子改
変は不可能であることを主張する。
【0042】 それゆえ、本発明によりさらに、雄の動物、特に雄の哺乳動物を、雄の動物か
ら採取された体細胞、好ましくは繊維芽細胞または繊維芽様細胞の核を用いてク
ローニングする方法が提供される。該方法には、(a)5継代またはそれ以上培養
した体細胞培養物由来の雄の体細胞、または該体細胞から単離された核を、除核
卵母細胞に挿入して細胞質雑種を作成する;(b)細胞質雑種を活性化する;(c)
活性化された細胞質雑種を培養する;(d)工程(c)の活性化された細胞質雑種を
適当な宿主に移植して、活性化された細胞質雑種を胎児へと発生させる;(e)胎
児が生存でき、そして宿主の体外で生存できる動物へと成熟できるようになるま
で、宿主中に胎児を維持する:工程を含む。そのような方法の工程中に作成され
た細胞質雑種、活性化された細胞質雑種、胎児、および動物、およびそれらから
採取されてよい細胞、核、および他の細胞成分も、本発明の具体例として主張さ
れる。
【0043】 ドナー細胞核のレシピエントは中期Iから中期IIの卵母細胞であることが好
ましいが、本発明は、接合体および2細胞胚を含む、当該分野の専門家に公知の
他のレシピエントを用いて使用されてよい。卵母細胞の活性化は、精子を用いる
受精または当該分野で公知の単為生殖活性化スキームによるものであってよい。
レシピエントは卵母除核細胞であることが特に好ましい。好ましい卵母細胞は、
非活性化された、または前もって活性化された除核中期II卵母細胞である。レ
シピエントが除核中期II卵母細胞である場合、活性化は移植時に施されてもよ
い。
【0044】 細胞質雑種は、宿主への移植前に、電気刺激などの当該分野の専門家に公知の
方法を用いて活性化されることが好ましい。当該分野で公知の、非電気的活性化
法には、エタノール、タンパク質キナーゼインヒビター(例えば、6−ジメチル
プリン(DMAP)、イオノフォア(例えば、イオノマイシン)、温度変化、タンパ
ク質合成インヒビター(例えば、シクロヘキサミド)、タプシガルギン(thapsigar
gin)、ホルボールエステル(例えば、ホルボール12−ミリステート13−アセ
テート(「PMA」)および機械的手段(例えば、1996年3月5日に発行されたSusko
-Parrish et al., U.S特許第5,496,720を参照されたい)が含まれる。
【0045】 当該分野の専門家には理解されるように、活性化法は、用いられる特定の細胞
系統に関して最適化されるべきである。例えば、Ozil et al., Development 109
: 117-127 (1990)は、特定のパルス系列とCa2+コントロールのみで、倍化さ
れたウサギの卵母細胞を妊娠中期まで発生を進行させることができたことを報告
している。ウサギにおける電気的活性化のためのパルスの間隔は、約4分である
と報告されている(Ozil et al., Development 109: 117-127 (1990))が、マウス
ではそれは約10〜20分であることが(Cutberson et al., Nature 316: 541-5
42(1985))、および雌ウシでは約20〜30分であることが(Robl et al., in Sy
mposium on Cloning Mammals by Nuclear Transplantation (Seidel ed.), Colo
rado State University, 24-27 (1992))報告されている。
【0046】 本願発明者らは、日本の黒色食肉用雄ウシに関して、融合段階で心電図マニピ
ュレーター200(BTX, San Diego)を用いて10μ秒間、2.5kV/cmの直
流の2のパルスを施した後、さらに5時間、CR1aa培地中でシクロヘキシア
ミド(10μg/ml;Sigma Chemical)を用いて培養することにより、細胞質雑
種が活性化されて、胚盤胞段階まで発生が進行するのみならず、胎児が発生して
満期まで生存できたことを見出した。
【0047】 本発明者らは、必ずしも満期までではなくとも胚盤胞段階にまで至る、細胞質
雑種の改良された活性化が、細胞質雑種または除核卵母細胞(「細胞質体」)をま
ずタンパク質キナーゼインヒビター、例えば6−ジメチルアミノプリン(DMA
P)に曝し、ついで電気パルス刺激を施すことにより達成することができること
を見出した。しかし、この方法で形成された胚盤胞は、胚盤胞が胎児へと発生す
るのに必要な提供される核のDNAリプログラミングが欠けている可能性がある
ことが見出された。しかし、本発明により、ドナー細胞から除核卵母細胞への核
移植により作成される細胞質雑種からの胚盤胞の発生を改良するための方法であ
って、ドナー細胞核との融合前に除核卵母細胞をタンパク質キナーゼインヒビタ
ーを用いて活性化し、次いで融合中、または融合後に細胞質雑種を電気刺激する
ことを含む方法が提供される。
【0048】 培養されたドナー細胞は、当該分野の専門家に周知の方法により遺伝子改変さ
れてよい。Molecular Cloning a Laboratory Manual, 2nd Ed., 1989, Sambrook
, Fritsch and Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory Press; 1997年3月18
日に発行されたU.S.特許第5,612,205, Kay et al.;1997年5月27日に発行された
DeBoer et al.のU.S.特許第5,633,067を参照されたい。哺乳動物細胞からの所望
の遺伝子を挿入、消去または変更するあらゆる公知の方法を用いて核ドナーを改
変してよい。細胞ゲノムにおける特異的部位または特異的部位群において、一の
遺伝子または遺伝子群を挿入、消去または変更することを可能とする相同組換え
法が含まれる。消去、挿入、および/または変異により標的DANゲノムを変更
する例は、レトロウイルスの挿入、人工染色体法、遺伝子挿入、組織特異的プロ
モーターを用いるランダム挿入法、遺伝子ターゲッティング、転移因子、および
/または外来DNAを導入するための、または改変されたDNA/改変された核
DNAを作成するためのあらゆる他の方法である。他の改変法には、ゲノムから
DNA配列を消去すること、および/または核DNA配列を改変することが含ま
れる。例えば、核DNA配列は部位特異的突然変異により改変されてよい。
【0049】 このような特徴に関して、遺伝子操作されて標的遺伝子が改変された動物クロ
ーンを作成する方法であって、(a)5継代またはそれ以上体細胞を培養して、長
期培養物を作成する;(b)工程(a)の長期培養物の体細胞の核DNAを標的方法
で改変する;(c)工程(b)の体細胞の改変された核DNAを除核卵母細胞に挿入
して細胞質雑種を作成する;(d)細胞質雑種を活性化する;(e)活性化された細
胞質雑種を培養して胚を作成する;(f)胚を適当な宿主に移植して、胚を胎児へ
と発生させる;(g)胎児が生存でき、そして宿主の体外で生存できる動物へと成
熟できるようになるまで、宿主中に胎児を維持する;工程を含む方法が提供され
る。該方法の工程中に作成された細胞質雑種、活性化された細胞質雑種、胚、胎
児、および動物、およびそれらから採取されてよい細胞、核、および他の細胞成
分も、本発明の具体例として主張される。
【0050】 本発明の他の具体例では、核移植により哺乳動物をクローニングする改良され
た方法であって、哺乳動物由来のドナー細胞、またはドナー細胞核を、ドナー細
胞と同種の除核卵母細胞へ導入して細胞質雑種を作成すること、細胞質雑種を同
種の宿主養母の子宮に挿入して、細胞質雑種を子宮に移植し、胎児を形成させる
こと、および胎児をクローン化された哺乳動物へと発生させることを含む方法で
あって、改良が、ドナー細胞またはドナー細胞核として5継代以上培養された体
細胞を用いることを含み、および、ドナー細胞、またはドナー細胞核が遺伝子変
換されて、核酸または核酸配列の少なくとも一つの付加、置換または欠失を含む
方法が提供される。
【0051】 本発明は、原則、鳥、両生類、および魚類を含む全動物に適用できる。しかし
、目下想定されるその最大の市場に有用性は、ヒト以外の哺乳動物に関するもの
である。その適用性は、Bos類(畜牛、雄牛、ヒツジ、およびヤギを含むいわ
ゆる「ウシ属」)に属する反芻動物ファミリーのみならず、ラクダ、ブタ、およ
び水牛などの他の有蹄動物に及ぶ。
【0052】発明の詳細な説明 本発明は、核移植法を用いる、部位特異的遺伝子改変動物の産生のために提供
される。さらに、雄または雌の両ドナー由来の体細胞、特にNENS体細胞の、
成功が得られ、かつ反復可能なクローニングが提供される。
【0053】 本発明者等は、5継代またはそれ以上、より好ましくは長期培養後、およびさ
らにより好ましくは15継代またはそれ以上培養後の細胞の遺伝子の全能性を見
出した。このような発見は、ドナー細胞、特に体細胞の長期培養物において、細
胞が健康な動物クローンを生じることができるという、広く知られている知識を
考慮してなされた。そのような広く知られている知識に対して、本願発明者等は
、5継代またはそれ以上の、ドナー細胞、特に体細胞(およびより詳細にはNE
NS繊維芽細胞またはNENS繊維芽様細胞)の培養に際して、クローニング効
率が改良されること、およびそのような細胞を長期培養した場合に、思いがけず
さらに改良されたクローニング効率が得られ得ることを発見した。継続的な培養
がどのようにドナー細胞の核の全能性を改良するのかは明らかでない。
【0054】 本願方法は、細胞ドナーとして皮膚細胞を用いてクローンを作成するのに特に
用いられることができる。皮膚細胞を用いることによるクローニングにより、動
物の性または年齢に制限されることなく、容易に入手でき、そして非侵襲性であ
るという利点が提供される。これまで、成体の動物のクローニングの成功は主と
して、雌の生殖組織細胞、例えば乳房上皮細胞(Wilmut et al., Nature(London)
385: 810-813 (1997))、卵丘細胞(Kato et al., Science 282: 2095-2098(1998
); Wells et al., Biol. Reprod. 60: 996-1005(1999))、または卵管上皮細胞(K
ato et al., Science 282: 2095-2098 (1998))の使用に制限されていた。2週齢
の子牛由来の皮膚細胞のクローン化は成功したが、その研究から作成された一頭
の子牛はわずか7週間しか生存せず、リンパ球形成不全で死亡した(Renard et a
l., Lancet 353: 1489-1491(1999))。マウスでは、10から12週齢のマウス由
来の尾の先端細胞がクローニングに用いられ、274の胚から1匹だけ、生存能
力のあるクローンが生じた(Wakayama et al., Nat. Genet. 22: 127-128(1999))
。本発明の発見はそれゆえ、絶滅の危機にある種の組織の貯蔵および保存に重要
な意味を持つ。
【0055】 マウスの胚幹細胞の遺伝子操作により、マウスの遺伝子研究に革命がもたらさ
れた。しかし、他の種では、胚幹細胞は利用されていない。クローニングにおけ
る先行技術は新鮮な(Wakayama et al., Nature(London) 394: 369-374(1998))、
または短期(10日未満の)インビトロ培養後(Wilmut et al., Nature (London)
385: 810-813(1997); Kato et al., Science 282: 2095-2098 (1998); Wells et
al., Biol. Reprod. 60: 996^1005 (1999); Schnieke et al., Science 278: 2
130-2133 (1997); Cibelli et al., Science 280: 1256-1258 (1998))のいずれ
かに収集された細胞の使用に制限されていたので、標的遺伝子操作はマウス以外
の種ではいずれも生産的でなかった。
【0056】 本発明者等により長期培養後の細胞の遺伝子の全能性が立証されたことは、部
位特異的遺伝子操作とクローニングを組み合わせるのに極めて重要である。本発
明者等は、加齢した動物の繊維芽細胞がクローニング能力を維持しており、長期
培養が成体ドナー体細胞のクローニング能力に影響を及ぼさないことを示した。
【0057】 ドナー細胞の長期培養により、本発明者等は、当該分野で周知の遺伝子改変お
よび「ノック−アウト」法を用いてドナー細胞のゲノムにおいて選択的に標的遺
伝子に変化を起こすこと、または遺伝子を選択的に消去することが可能となった
。遺伝子のターゲッティングは、遺伝子の不活性化のみならず、あらゆる意図的
な方法で遺伝子の活性を改変することをも意味する。そのように遺伝子改変され
たドナー細胞由来の核を、次いで本明細書に開示する核移植法に用いて、最終的
にそのゲノムに標的遺伝子改変を有する生存能力のある動物を作成することがで
きる。そのような遺伝子ターゲッティングおよびクローニング法を用いて作成さ
れた動物を用いて、特定のブロックされた遺伝子の機能、遺伝子配列の保存の重
要性を決定することができ、およびそのように作成された動物は、病状のモデル
として、ならびに当該分野の専門家には容易に理解できる他の目的のために用い
ることができる。例えば、免疫に関与する一定の認識タンパク質の基の遺伝子を
改変して、宿主動物由来の組織を他の動物により免疫許容される(ヒトに用いら
れるブタ組織など)ものとすることが可能となり、または遺伝子を改変して、市
場においてより重宝される動物(例えば、より多くの乳を作り出す乳牛など)を作
成することが可能となる。
【0058】 本発明の一態様において、遺伝子改変動物および非遺伝子改変動物を作成する
ことができる方法であって、(a)二倍体のドナー細胞を単離する;(b)二倍体の
ドナー細胞が増殖するよう構成された培地上で、二倍体のドナー細胞を10回以
上、好ましくは約20回以上、およびさらにより好ましくは30回以上2倍化す
るまで培養する;(c)好ましくは標的方法で、任意に工程(b)の二倍体ドナー細
胞の1またはそれ以上の細胞のゲノムを改変する;(d)任意に工程(c)の細胞か
ら安定な所望の変異体をスクリーニングおよび選択する;(e)工程(b)、または
任意に工程(c)もしくは(d)の細胞由来の核を用いて、核移植法を用いて胚を再
構築する;(f)胚をインビボまたはインビトロで胚盤胞へと培養する;(g)任意
に工程(f)の胚盤胞から安定な所望の変異体をスクリーニングおよび選択する;
(h)胚盤胞が満期動物へと発生するのを許容し得る培地に胚盤胞を移す:工程を
含む方法が提供される。
【0059】 特に好ましいドナー細胞は、繊維芽細胞または繊維芽様細胞である。繊維芽細
胞は耳の皮膚の生検材料から収集されてよい。有利であると認められる調製法に
おいて、組織の生検材料は小片(3mm)にて切り出され、次いで該小片は組織
外植片としてDMEM(Gibco, 15)+10%子牛血清(FBS)および抗体(Gibco,
cat#152409013)中37.5℃にて、5%COおよび95%空気から成る湿っ
た雰囲気中で培養される。1週間培養後、繊維芽細胞の単層が組織外植片の周り
に形成された。次いで外植片を取り出し、新たに培養を開始し、繊維芽細胞を週
に一回回収して凍結した。長期保存のために、培養細胞はトリプシン処置の後で
回収され、10%のジメチルスルホキシド(Sigma)中に凍結され、次いで液体窒
素中に保存されてよい。核移植に使用するに際し、細胞を解凍し、次いでコンフ
ルエントまで継代培養する。各継代(継代当たり、細胞が2倍になると見積もら
れる)に関し、細胞をコンフルエントまで培養し、0.1%(w/v)トリプシン(Dif
co)およびEDTA(Nacalai)溶液中で1分間37℃にて培養し、さらなる継代の
ために3つの新たな培養皿に置くことにより、細胞を分ける。通常は、各継代は
約6日続ける。
【0060】 ドナー細胞の繊維芽細胞表現型の確認は、(繊維芽細胞に関しては)細胞骨格フ
ィラメントビメンチンに対する、または(上皮細胞に関しては)サイトケラチンに
対するモノクローナル抗体を用いた免疫細胞化学により行われてよい。好ましい
確認プロトコルでは、細胞はLab−Tekチャンバースライド(Nalge Nunc In
ternation)中でコンフルエントまで生育させる。細胞をPBSで洗浄し、メタノ
ール中4℃にて20分間固定する。固定後、細胞をPBX中で洗浄し、PBS中
3%のBSAを用いて15分間37℃にてブロックする。ブロックを除き、1:
40希釈の抗−ビメンチンクローン−11(Sigma, cat#6630)または1:400
希釈の抗−全サイトケラチンクローン−11(Sigma, cat#2931)いずれか100
μlを添加する。スライドを1時間37℃にてインキュベートする。細胞をPB
Sで洗浄し、次いで100μlの1:300希釈FITC−標識抗マウスIgG
と共に1時間インキュベートする。細胞をPBS中で洗浄し、PBS中50%の
グリセロールをたらし、カバーグラスをかぶせ、次いで蛍光顕微鏡で観察する。
自己蛍光および二次抗体に関する適当なコントロールも含まれるべきである。
【0061】 細胞周期段階の分析は、Kubota et al., PNAS 97: 990-995(2000)に開示され
るように行われてよい。簡単には、異なる継代の細胞培養物をいずれも血清とと
もにコンフルエントまで生育させる。トリプシン処理の後、細胞をDMEM+1
0%FBSで洗浄し、次いで1mlのPBS中5×10細胞/mlの濃度に、
グルコース(6.1mM)と共に4℃にて再懸濁する。細胞を3mlの氷冷エタノ
ールを添加して一晩固定する。核染色のために、細胞を次いでペレットにし、P
BSで洗浄し、30μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma)および0.3mg
/mlのRNaseA(Sigma)を含むPBS中に再懸濁する。細胞を暗中、室温
で1時間インキュベートした後、30μmメッシュを通して濾過した。細胞をBe
cton Dickenson FACs Caliber上に集め、Cell Quest 3.1ソフトウェアを用いて
分析してよい。
【0062】 種々の継代の培養ドナー体細胞の倍数性を試験するために、染色体数は、中期
細胞展開物の通常の調製法(例えば、Kubota et al., PNAS 97: 990-995(2000)を
参照されたい)を用いて種々の継代培養において決定し得る。一具体例では、培
地に移した24時間後、細胞を低張性のKCl(0.075M)で15分間37℃
にて処理する。細胞を次いで酢酸メタノール(v:v=1:3)中に固定し、細胞
懸濁液の少量をきれいな顕微鏡観察用スライドグラス上に展開する。染色体を5
%ギムザで10分間染色する。明確な細胞の境界内でよく伸びた染色体の数を光
学顕微鏡下、100×倍率で、表面を油で覆って計測する。少なくとも100の
中期展開物/群が計測されるはずである。
【0063】 ドナー細胞核に関して好ましいレシピエント細胞は、除核卵母細胞である。好
ましい除核法は、Kubota et al., Mol. Repro. Dev. 51: 281-286 (1998)および
Kubota et al., PNAS 97: 990-995 (2000)に記載されている。簡単には、除核は
透明帯をガラス針で切開し、次いで極体と周囲の細胞質を取り出す。除核が成功
したことは、細胞質体と推定されるものをHoechst 3342蛍光染色することにより
確認することができる。除核は、当該分野の専門家に周知の他の方法により行わ
れてもよい。例えば、除核には、典型的には極体および隣接する細胞質を吸引す
ることにより、成熟した卵母細胞から中期の染色体を除去することが含まれ得る
。除核操作中、卵母細胞を5〜10分間、5μg/mlのHoechst33342(+5μ
g/mlサイトカラシンB)に曝した後、蛍光顕微鏡下で除核操作を行ってもよ
い。
【0064】 一の好ましい方法では、核移植は(例えば、マイクロインジェクションよりも
むしろ)核融合により行われ、次いで細胞質雑種を活性化する。この方法では、
直径約10−15μmの細胞をそれぞれピックアップし、除核卵母細胞のビテリ
ン囲空間に移植する。膜融合は、交流電流(AC)整列パルスなどの電気パルスを
施した後、直流(DC)パルスを施すことにより通常達成されるが、これらのパル
ス法は、当該分野の専門家に周知である。
【0065】 電気パルスのみでも細胞質雑種を活性化することはできるが、細胞をさらに活
性化することが好ましい。好ましい除核法は、Kubota et al., mol. Repro. Dev
. 51: 281-286 (1998)およびKubota et al., PNAS 97: 990-995 (2000)に記載さ
れている。簡単には、細胞質雑種をDC−パルスにより活性化させた後、強力な
タンパク質合成インヒビターであるシクロヘキシイミドと共に5時間培養する。
活性化は、当該分野の専門家に周知の他の活性化法により行われてもよい。一の
有利な活性化プロトコルでは、除核された卵母細胞をツィンマーマン細胞融合培
地に入れ、次いでBTX200装置を用いて0.1kV/cmのAC電流に5−
10秒間供した後、1.2kV/cmのDCパルスに30μ秒間供した。融合を
顕微鏡で確認し、融合した卵細胞を、10μg/mlのサイトカラシンDを追加
したKSOM培地中で1時間培養し、次いで10μg/mlのシクロヘキシイミ
ドのみを含む同じ培地中でさらに4時間培養することにより活性化に供する。
【0066】 活性化された細胞質雑種または胚は、宿主、例えば子宮に移植する前に、適当
な培地上で好ましくは培養される。活性化された細胞質雑種は、2細胞以上の発
生段階まで培養されることが好ましい。好ましい具体例では、胚はCR1aa培
地中で48時間38.5℃にて、5%CO、5%Oおよび90%Nから成
る湿った雰囲気中で培養する。分割胚は、5%のFBSを追加したCR1aa培
地中で卵丘細胞と共に5日間、共培養してもよい。胚盤胞は、同調したレシピエ
ントの子宮に非外科的に、または外科的に移植されてよい。当該分野の専門家に
周知の方法および培地を用いる他の手段を用いてもよい。一方法では、クローン
化された胚を3回新鮮なKSOMで洗浄し、次いで0.1%BSAを含むKSO
M中で4日間、および次いで1%のBSAを含むKSOM中でさらに3日間、5
%CO、5%Oおよび90%N下で39℃にて培養する。胚の発生を試験
し、および当該分野で公知の方法で評価する。分割率を2日目に記録し、次いで
胚をさらに7日間培養する。7日目、胚盤胞の発生を記録し、胚および/または
動物体が得られることが未だ決定されていない1または2の胚を、同調した各養
母の子宮に非外科的に移植する。
【0067】 養母は好ましくは、懐胎40、60、90および120日目など、定期的に直
腸触診または超音波検査により妊娠を試験する。好ましくは妊娠期間を通じて、
注意深い観察と継続的な超音波測定(1ヶ月間)を行い、懐胎の種々の段階で胚の
流産を評価する。可能ならば、クローンの状態を確認するためのDNAのタイピ
ングのため、ならびに通常の病理学的試験のために、流産した胎児はいずれも回
収されるべきである。
【0068】 本発明以前になされた報告(Shiels et al., Nature (London) 399: 316-317 (
1999))により、クローン化されたヒツジが成体の核ドナー動物の短縮されたテロ
メア(これは、ドナー細胞の短時間のインビトロ培養中にさらに短縮される)を受
け継ぐことが示された。これらの観察により、健康なクローンは加齢したドナー
動物からは得られない可能性があることが示唆された。本発明者らは、17歳の
ウシ由来の細胞を用いて4頭の生存能力のある子牛のクローニングに成功し、こ
の説を一掃した(Kubota et al., PNAS 97: 990-995(2000年2月1日)。
【0069】 本発明者らによる報告(Kubota et al., PNAS 97: 990-995 (2000))以前には、
多くの当業者により、雌の体細胞核のみがうまくリプログラムされて正常な胚形
成を推進すると考えられていた(Capecchi, PNAS 97: 956-957(2000年2月1日)を
参照されたい)。雄の体細胞が有効にリプログラムされて正常な胚発生を推進し
、かつ生存能力のある動物を作り出すことができるという発見は、当該分野で予
想外のことであった。それゆえ、核移植法において雄の体細胞を核ドナーとして
使用することが本発明の態様である。
【0070】 今日まで、体細胞を用いる全般的なクローニング効率は低く、報告されている
効率は0〜約10%の範囲である。本明細書に開示される発明による全般的なク
ローニング効率は15%を超え、これは体細胞を用いる先行のクローニング効率
を有意に超えるものである。
【0071】 満期動物をクローニングするための改良された方法は、核移植法を用いるもの
であり、(a)5またはそれ以上継代した体細胞培養物由来の体細胞または該体細
胞から単離された核を除核卵母細胞に挿入して細胞質雑種を作成する;(b)任意
に細胞質雑種を活性化する;(c)細胞質雑種を培養する;(d)工程(c)の細胞質
雑種を適当な宿主に移植して、細胞質雑種を胎児へと発生させる;(e)胎児が生
存でき、そして満期動物へと成熟できるようになるまで、宿主細胞中に胎児を維
持する:から成る工程を包含する。そのような方法の工程中に作成された細胞質
雑種、活性化された細胞質雑種、胎児および動物、およびそれらから採取されて
よい細胞、核、および他の細胞成分も本発明の具体例として主張される。作成さ
れる満期動物は、生存能力のある動物であることが特に好ましい。
【0072】 対象である発明をより分かりやすく開示するために、以下の実施例を、同実施
例を実施するのに用いられた材料および方法と共に示す。以下の実施例は無制限
であり、単に本発明の種々の態様および特徴を表したものにすぎない。
【0073】実施例1長期培養後の成体の雄の繊維芽細胞由来の子牛のクローニング 材料および方法 成体体細胞の収集および培養: 皮膚生検材料を、遺伝的価値の高い17才の黒毛和種肉用牛の耳から得た。組
織生検材料を小片(3mm)に切断し、次いで該小片を組織外植片としてDME
M(GIBCO、カタログ番号12100-061)+10%FBSおよび抗生物質(GIBCO、カタ
ログ番号15240-013)中で、37.5℃にて、5%COおよび95%空気から成
る湿った雰囲気中で培養した。一週間培養後、繊維芽細胞の単層が組織外植片の
周りに形成された。外植片を次いで除去し、繊維芽細胞をコンフルエントまで培
養した。細胞株を17継代まで培養皿の上で通常通り維持し、次いで以下に記載
するように凍結保存した。各継代に関して(一継代当たり推定2倍の細胞増)、細
胞はコンフルエントまで培養し、0.1%(wt/vol)トリプシン(Difco)およびE
DTA(Nacalai Tesque, Kyoto)溶液中で1分間37℃にて培養することにより
各細胞を分離し、次いでさらなる継代のために3つの新たな培養皿の上に置いた
。規定通り、各継代は約6日継続した。長期保存のために、種々の継代の細胞を
トリプシン処理後に集め、10%ジメチルスルホキシド(Sigma)中で凍結し、次
いで液体窒素中に保存した。
【0074】細胞特異的マーカー ドナー細胞の繊維芽細胞表現型の確認を、(繊維芽細胞に関しては)細胞骨格フ
ィラメントビメンチンに対するモノクローナル抗体を、(上皮細胞に関しては)サ
イトケラチンに対するモノクローナル抗体を用いる免疫細胞化学染色により行っ
た。簡単には、細胞をLab-Tecチャンバースライド(Nalge Nunc.)中で、コンフル
エントまで生育させた。細胞をPBSで洗浄し、次いでメタノール中、4℃にて
20分間固定した。固定後、細胞をPBS(139mM NaCl/2.7mM KCl/4.3mM NaHPO.7HO/1.48nM KHPO
)中で洗浄し、次いでPBS中3%のBSAを15分間、37℃で用いてブロ
ックした。ブロックを除去し、次いで1:40希釈のアンチビメンチンクローン
V9(Sigma、カタログ番号6630)または1:400希釈の抗全サイトケラチンク
ローン−11(Sigma、カタログ番号2931)いずれか100μlを添加した。スラ
イドを1時間37℃にてインキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、100μ
lの1:300希釈FITC標識抗−マウスIgGと共に1時間インキュベート
した。細胞をPBSで洗浄し、PBS中50%のグリセロールで覆い、カバーグ
ラスをかぶせ、ついで蛍光顕微鏡で観察した。自己蛍光および二次抗体に関する
適当なコントロールも含まれた。
【0075】細胞周期の分析 : 細胞周期段階の分析を、Boquest et al., Biol. Reprod. 60: 1013-1019(1999
)に開示されているように行った。簡単には、種々の継代の細胞培養物をいずれ
もコンフルエントまで生育させ、血清飢餓処理または血清非飢餓処理を施し、次
いでトリプシン処理した。トリプシン処理後、細胞をDMEM+10%FBSで
洗浄し、1mlのPBS中、グルコース(6.1mM)および0.5mMのEDT
Aと共に4℃にて懸濁し、5×10細胞/mlの濃度とした。細胞を3mlの
氷冷エタノールの添加により一晩固定した。核染色のために細胞を次いでペレッ
トとし、PBSで洗浄し、次いで30μg/mlのプロピジウムヨーダイド(Sig
ma)および0.3mg/mlのRNaseA(Sigma)を含むPBS中に再懸濁した
。細胞を1時間室温にて、暗中にてインキュベートした後、30μmのメッシュ
(Spectrum Laboratories)を通して濾過した。1万個の細胞をBecton Dickinson
FACs Caliberに集め、CELL QUEST 3.1ソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて
分析した。
【0076】細胞増殖アッセイ : 血清飢餓処理したドナー細胞が休止期にあるかどうかを試験するために、細胞
の増殖能力を、細胞DNAへの5−ブロモ−2’−デオキシ−ウリジン(BrdUrd)
の取り込みを検出するための免疫蛍光アッセイ(Gratzner, Science 218: 474-47
5 (1982); Ellwart et al., Cytometry 6: 513-520 (1985))により測定した。5
、10および15継代のコンフルエント細胞を血清飢餓処理し(0.5%FBS)
、次いで細胞の増殖をBrdUrdの取り込みにより1、2、3、4、5および6日目
に測定した。非コンフルエント細胞も対照として含めた。簡単には、BrdUrd標識
液(Boehringer Mannheim、カタログ番号1296-736)を細胞培養物に24時間37
℃にて添加した。細胞をトリプシン処理により回収し、Carnoy固定液により固定
した。固定された細胞懸濁液を、抗−BrdUrd溶液をのせたきれいな顕微鏡用スラ
イドグラスにたらし、次いで30分間37℃にてインキュベートした。抗マウス
Ig−フルオレセイン溶液で3回洗浄した後、37℃にてさらにインキュベート
し、スライドグラスを台に載せ、蛍光顕微鏡を用いて試験した。5継代のコンフ
ルエント細胞を血清飢餓処理せずに、同様に対照として測定した。さらに、5、
10、および15継代の培養1日目に、非コンフルエント細胞も処理し、BrdUrd
を取り込んだ細胞を数えた。
【0077】染色体分析 種々の継代において、培養ドナー体細胞の倍数性を試験するために、染色体数
を、通常の中期展開物調製(Verma et al., in Human Chromosomes (Pergamon, Y
ork), pp. 26-27 (1989))を用いることにより、培養5、10、および15継代
目に決定した。簡単には、培養皿に蒔いた24時間後、細胞を低張KCl(0.
075M)で15分間37℃で処理した。細胞を次いで酢酸メタノール(vol:vol=
1:3)中に固定し、細胞懸濁液の数滴をきれいな顕微鏡用スライドグラスにのせた
。染色体を5%のギムザで10分間染色した。完全な細胞の境界内でよく展開し
た染色体の数を、光学顕微鏡下1,000×倍率で、オイル下で数えた。少なく
とも100中期展開物/群を数えた。
【0078】ドナー細胞およびレシピエント卵母細胞の調製および核移植 ドナー細胞はいずれも、コンフルエントに達した後5日間血清飢餓処理(0.
5%FBS)し(5、10、および15継代)、またはコンフルエントに達した際
、10%血清中でさらに5日間生育させた(これは、5継代細胞のみ)(Wilmut et
al., Nature (London) 385: 810-813(1997); Campbell et al., Nature (Londo
n) 380: 64-66 (1996))。核移植直前、ドナー細胞をトリプシン処理し、遠心分
離により洗浄し、次いで0.5%FBSを追加したPBS中に懸濁した。レシピ
エント卵母細胞の収集、成熟化、および除核は、成熟培養24時間後、Kubota e
t al., Mol. Reprod. Dev. 51: 281-286 (1998)に開示されているように行った
。除核が成功したことは、Hoechst 33342染色により確認した。約10−15μ
mの直径を有する細胞(Wells et al., Biol. Reprod. 57: 385-393 (1997))を、
Kubota et al., Mol. Reprod. Dev. 51: 281-286 (1998)に開示されている方法
を用いてレシピエントの細胞質体のビテリン周囲空間に移植した。移植後、細胞
と細胞質体の複合体を、2.5kV/cmの直流の2パルスを、それぞれElectr
ocell Manipulator 200 (BTX, San Diego)により10/μ秒で用いて融合させた
。これらの電気パルスにより、最初の卵母細胞の活性化も同時に誘導された。次
いで、融合を顕微鏡試験により確認した。全ての融合胚を、CR1aa培地中で
シクロヘキシイミド(10μg/ml;Sigma)と共に、さらに5時間培養するこ
とによりさらに活性化した(Rosenkrans et al., Theriogenology 35: 266 (1991
))。
【0079】クローン化された胚のインビトロ培養および胚の移植 : 核移植された胚を、CR1aa培地中で48時間、38.5℃にて、5%CO および90%Nから成る湿った雰囲気中で培養した。分割率を記録し、次い
で分割胚を、5%FBSを追加したCR1aa培地中、卵丘細胞との共培養にて
さらに5日間培養した。7日目、胚盤胞の発生を記録し、1または2の良質の胚
盤胞を各同調レシピエントの子宮に非外科的に移植した。レシピエントを、懐胎
40、60、90および120日目に直腸触診または超音波検査法により妊娠を
調べた。
【0080】マイクロサテライトマーカーの遺伝子型 : 新生児のクローン化の状態を確認するために、個体の同定および家系診断を、
Inoue et al., Animal Sci. Technol. 68: 443-449(1997)に開示されている23
−マイクロサテライトマーカーを用いて行った。ドナーの雄牛、5、10、およ
び15継代細胞、6頭のクローン動物、および6頭の養母由来の全ゲノムDNA
を、QIA−amp血液キット(Wiagen, Chatsworth, CA)を用いて末梢血白血球
から調製した。マイクロサテライトマーカーのためのPCRプライマーを、蛍光
色素[6−FAM、HEX、およびTET(Applied Biosystems/Perkin-Elmer)]
で標識し、次いでDNAタイピングをInoue et al., Animal Sci. Technol. 68:
443-449(1997)に開示されるように行った。遺伝子型は、ABI373ADNAシーク
エンサー(Applied Biosystems/Perkin-Elmer)を用いてポリアクリルアミドゲル
電気泳動により決定し、次いでGENSCAN672およびGENOTYPERソフトウェア(Applie
d Biosystems/Perkin-Elmer)により分析した。
【0081】統計学的分析 : 胚発生実験は、少なくとも3回繰り返した。処置群間の違いは、x試験によ
り分析した。結果ドナー細胞の特徴付け : クローニングに用いられた細胞を、(i)細胞型特異的マーカー染色、(ii)細
胞周期分析、(iii)細胞増殖アッセイ、および(iv)染色体分析により統計学
的に特徴付けた。
【0082】 ドナー体細胞に特徴的な細胞型を調べるために、培養細胞を細胞特異的マーカ
ー(サイトケラチン18およびビメンチン)で、2、5、10、および15継代に
て染色した(図3Aおよび3B)。図3Aはビメンチン−FITCを用いる免疫細
胞化学によりウシ繊維芽細胞を特徴付けたものを示し、一方、図3Bは、サイト
ケラチン−FITC−標識を用いてそれらの細胞を特徴付けたものを示す。図3
に示されるように、10および15継代の皮膚細胞は全てビメンチン-ポジティ
ブであったが、サイトケラチン-ネガティブであり、それらが繊維芽細胞である
ことが立証された。2および5継代の細胞の大部分はビメンチン-ポジティブで
あり、サイトケラチン-ネガティブであったが、少数の細胞はサイトケラチンに
関してポジティブな染色を示し、初期の継代では皮膚の上皮細胞が混入していた
ことが示唆される。これは部分的に、5継代の細胞由来のクローン胚の発生が相
対的に劣ることの原因となっている可能性もある。
【0083】 図4Aおよび4Bは、血清飢餓培養物と非血清飢餓培養物由来の5継代細胞を
示す典型的な細胞周期FACsヒストグラムを示す。図4Aは、5継代の血清飢
餓処理をしたウシ繊維芽細胞培養物の、各細胞周期段階の細胞の割合に関するヒ
ストグラムであり、図4Bは5継代の血清飢餓処理をしていないウシ繊維芽細胞
培養物の、各細胞周期段階の細胞の割合に関するヒストグラムである。
【0084】 非血清飢餓培養物において、64.9±1.0%の細胞がG+G段階にあ
り、血清飢餓処理にて、G+G期にある細胞の割合は84.5±8.1%ま
で有意に増加した(非飢餓培養物:S=7.3±0.6%およびG+M=19
.7±0.3%;血清飢餓培養物:S=1.1±0.8%およびG+M=7.
6±2.0%)。10および15継代では、コンフルエントのドナー培養体細胞
の82〜90%が、細胞継代数または血清飢餓処理にも関わらず、細胞周期のG +G段階にあった。
【0085】 血清飢餓処理に対する培養細胞の反応を測定するために、細胞の増殖率をBrdU
rdの取り込みにより試験した。5、10および15継代のコンフルエント細胞を
血清飢餓処理に供し、飢餓処理6日目まで、毎日BrdUrdの取り込みを試験した。
表1:
【0086】
【表1】
【0087】 に示すように、BrdUrdの取り込みを防ぐための血清飢餓処理は、コンフルエント
および非コンフルエント培養物の両方に関して、5継代の細胞よりも、10およ
び15系代の細胞に関してより有効であった。
【0088】 BrdUrdの取り込みの完全な阻害が、10、および15継代の細胞において、飢
餓の3日目〜6日目の間に認められたが、5継代の細胞の一部(〜4%)は少なく
とも6日間血清飢餓処理に対して反応を示さず(表1)、ここでも初期継代におい
て他の細胞型が混入している可能性があることが示唆される。 種々の継代のドナー細胞の染色体分析を、正常な染色体数を確認するために行
った。表2で明らかなように、大部分の細胞(70−80%)は、試験された継代
数にも関わらず、正常な染色体数(XおよびY染色体を含む60の染色体)を示し
た。
【0089】
【表2】
【0090】クローニング能力におけるドナー細胞継代数の影響 長期培養後の成体体細胞のクローニング能力を試験するために、17歳の雄牛
由来の皮膚繊維芽細胞を5、10および15継代培養した後、核移植アッセイを
行った。表3は、皮膚繊維芽細胞に関する融合率、分割率および胚盤胞形成率を
示す。
【0091】
【表3】
【0092】 表3で明らかなように、ドナー細胞の処理または継代数に関わらず、融合率は
低かった(36−43%、P>0.05)。5継代にて、核移植における血清飢餓
処理の影響を試験した。分割率(66対78%)および胚盤胞の発生率(21対2
8%)は、血清飢餓処理ドナー細胞と非血清飢餓処理ドナー細胞由来の胚の間で
異ならなかった(表3;P>0.05)。 表4で明らかなように、非血清飢餓処理細胞からは妊娠は確立されなかったが
(n=10レシピエント)、血清飢餓処理細胞からは30%の妊娠率(n=10レ
シピエント;表4)が確立された。
【0093】
【表4】
【0094】 それゆえ、10および15継代のドナー細胞に関して、全ドナー細胞に対して
血清飢餓処理を施した。5継代細胞のものに比べて10および15継代のドナー
細胞から、先のデータと比較して有意に高率の胚盤胞の発生が得られた(37お
よび33%対21%、P<0.05)。核移植後、10継代の細胞から9頭の妊
娠が(n=14レシピエント)、15継代の細胞から3頭の妊娠が得られ、それぞ
れ、4頭および2頭の正常なクローン子牛が満期に誕生した。雄の子牛は199
8年12月21日、23日、24日および30日に、および1999年2月7日
および8日にそれぞれ誕生した(表3;図1)。総じて、15継代の細胞由来の胚
から(15および17%)よりも、10継代の細胞由来の胚から(64および29
%)高い妊娠率および分娩率が示された。
【0095】クローンの分析 誕生した6頭のクローンの中で、10継代由来の2頭は誕生後すぐに死亡した
。死亡の一つは、アカバン(Akabane)ウイルスの感染によるものであり、他方は
分娩時の難産によるものであった。術後の解剖により、これら2頭のクローンに
おいて大きな、または組織病理学的な異常はまったく認められなかった。クロー
ンの妊娠の妊娠期間(平均294日;291−299日の範囲)は、受精によるも
のの平均妊娠期間(285日)よりも9日長かった。クローンの誕生時の体重(平
均36kg;30.7−42.5kgの範囲)は、この種の受精によるものの雄
の子牛の誕生時の平均体重(30kg)よりも20%重かった。4頭の生存クロー
ン、およびドナーの雄牛を図1に示す。本出願時現在のこれらのクローン化され
た子牛は22−24月齢である。これらの獣医学的試験では、これらの子牛は、
通常の生殖により得られた、同月齢の子牛と比較して、健康かつ正常であること
が示されている。クローン化された子牛に関して測定された成長曲線ならびに約
30以上の血液パラメータでは、クローンと同月齢の子牛の間で違いは認められ
なかった。
【0096】 これらの子牛のクローンの状態を確認するために、DNAのタイピングを6頭
のクローン、ドナーの雄牛、および5、10、および15継代のドナー細胞に関
して、23のマイクロサテライトマーカーを用いることにより行った(Inoue et
al., Animal Sci. Technol. 68: 443-449 (1997)を参照されたい)。クローンの
それぞれの養母もアッセイに含まれた。図2に示すように、全6頭のクローンは
ドナーの雄牛、核ドナー細胞、およびそれぞれ互いに、分析された全23のDN
Aマーカーに関して同一であった(レーン1:ドナーの雄牛;レーン2−4:5
、10および15継代のドナー細胞;レーン5−10:6頭のクローン;レーン
11−16:6頭の養母)。同一のマイクロサテライトマーカーの11のセット
がレーン1−10で認められた。赤いバンドは、(塩基対に関する)DNA分子量
マーカーであった。マイクロサテライトマーカーのためのPCRプライマーは、
蛍光色素:6−FAM(ブルー)、HEX(黄色)、およびTET(緑)で標識した。
すでに、これらの23のマイクロサテライトマーカーにより、31兆の個体が区
別され、3300万の雄親が除外されることが示されている(Inoue et al., Ani
mal Sci. Technol. 68: 443-449 (1997)を参照されたい)。
【0097】実施例2 成体ウサギの繊維芽細胞長期培養物由来のクローン胚の調製 本明細書に開示される方法による長期培養繊維芽細胞を用いてウサギの胚のク
ローニングに成功した。材料および方法 卵母細胞および接合体の源 成熟したダッチベルテッド雌ウサギを、12時間間隔をあけて、2回の0.3
mgのFSH(FSH−O、Schering-Plough Animal Health, Kenilworth, NJ)
、および4回の0.4mgのFSHの皮下注射を施して、過剰排卵させた(Yang
et al., Mol. Reprod. Dev. 27: 110-117 (1990))。最後のFSH注射の12時
間後、100IUのhCG(Sigma, St Lois, MO)を静脈注射して、排卵を誘発し
た。hCG注射の13.5時間後に、動物を腹壁切開し、次いで排卵された卵母
細胞を、卵管から、3mg/mlのBSA(Fraction V, Sigma A-9418)を追加し
たダルべッコ-変更PBSを用いて流し出した。D−PBS溶液中10μg/m
lのヒアルロニダーゼ(Sigma)に短期間曝し、次いで小径パスツールピペットを
用いてピペッティングすることにより卵丘細胞を取り出した。
【0098】卵母細胞の除核 : 卵母細胞を、非侵襲性の極微操作法(Collas et al., Biol. Reprod. 43: 877-
884 (1990))により卵丘細胞を取り出し、次いで除核した。簡単には、卵母細胞
をホールスライド上、PBS+15%子牛血清(FBS、Hyclone、Cat No. 1009
9-41)および5μg/mlのサイトカラシンBの小滴に入れ、オイルをたらした
。ノマルスキ光学装置を備えた倒立Nikon顕微鏡により、大部分の卵母細胞にお
いて核染色体が視覚化でき、視覚によりコントロールしてそれらを除くことがで
きた。しかし、一定の細胞においては、細胞質の着色と顆粒化のために、通常の
光学顕微鏡により染色体を観察することができなかった。これらの場合に核の位
置はUV光に短時間(2−3秒)曝した後、Hoechst33342で染色することにより確
認することができた。核を周囲の細胞質の約10%と共に、好ましくは第一極体
と共に取り出した。除核が成功したことを、短期間UV光に曝すことにより確認
した。
【0099】ドナー細胞の調製 : 繊維芽細胞を成体雄ウサギの生検試料から収集した。生検領域の毛を剃り、表
面を70%のアルコールで清浄した。組織の小片を耳から切り出し、10×抗生
物質抗菌溶液(Gibco BRL Cat. No. 15240-062)を含むPBS中で数回洗浄し、次
いで1mmの立方体に切断し、ぺトリ皿においてDMEM培地+10%FBSを
用いて外植片として培養した。約14日後、これらの外植片から伸びている繊維
芽細胞をCa2+−Mg2+不含PBSで2回洗浄し、次いでトリプシン処理し
た。これらの細胞を遠心分離により洗浄し、再懸濁し、次いで核移植のために用
い(非継代細胞)または15継代までDMEM培地+10%FBS中でさらに培養
した。DMEM培地中0.5%のFBSにコンフルエント細胞培養物を3−5日
間完全に曝すことにより、血清飢餓処理細胞を得た。細胞単層をトリプシン処理
し、次いで細胞をDMEM+0.5%または10%FBS中の遠心分離により洗
浄し、微量にて39℃にて使用まで1時間インキュベートした。小さな(直径1
0−15μm)の滑膜表面細胞を核移植のために選択した。
【0100】核移植、胚の培養、および胚の移植 : 核移植:ドナー細胞を、除核卵母細胞のビテリン周囲空間に導入して、細胞質雑
種を作成した。電気融合のために、0.1mMの塩化カルシウムおよび0.1m
Mの塩化マグネシウムを含む0.3Mのマンニトール溶液中の卵母細胞−繊維芽
細胞複合体を、BTX200Electro Cell Manipulatorの3.5mmのギャップ
チャンバーにマニュアル通り配置し、次いで短い2−3秒のAC(0.1kV)の
パルスに曝した後、すぐに2.4kV/cm、60μ秒DCパルスに曝した。細
胞質雑種を、2.5mMのDMAPと共に、5.0μg/mlのサイトカラシン
Bを含むTCM199中で2時間培養することによりさらに活性化した。
【0101】 胚培養:胚を、KSOM+0.1%BSAの100μl量中で2日間培養し、次
いで、KSOM+1%BSAを取り替えて、残りの培養を5%O、5%CO ;90%Nから成る湿った雰囲気中で39℃にて培養した。胚盤胞の発生を記
録し、Hoechst 33342エピフルオレセイン染色後に胚盤胞細胞数を数えた。 胚移植:培養期間を最短にし、胚を(融合を評価後)接合体と推定される段階で、
または一晩培養後の2細胞段階で移植した。全レシピエントに15μgのGnR
Hアナログ(Cystorelin, Abbott Labs, Athens, GA)を投与して、卵母細胞ドナ
ーと同調させるために排卵を誘導した。クローン胚を用いた妊娠を維持する機会
を増すために、いくつかの胚を、同時期に受精させた毛色に特徴のあるレシピエ
ントの雌に移植した(アルビノの雄とつがわせたが、ダッチベルテッドの雄由来
のクローン胚を受胎した)。
【0102】ドナー細胞の特徴づけ : 細胞特異的マーカー染色:核移植に用いられる培養細胞の繊維芽細胞の表現型
の免疫細胞化学的確認を、細胞骨格フィラメントビメンチン(繊維芽細胞特異的
細胞マーカー)またはサイトケラチン(上皮細胞特異的細胞マーカー)に対するモ
ノクローナル抗体を用いる染色(Franke et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 75:50
34-5038 81978); Franke et al., Exp. Cell Res. 123: 25-46 (1979))により行
った。簡単には、細胞をLab-Tekチャンバースライド(nalge Nunc International
, Napemille, IL)中でコンフルエントまで生育させた。細胞をPBSで3回洗浄
し、メタノール中4℃にて20分間固定した。固定後、細胞を3回PBSで洗浄
し、PBS中3%のBSAで15分間37℃にてブロックした。ブロックを除き
、100μlの1:40希釈の抗ビメンチン(ビメンチンクローンV9、Sigma)
または1:400希釈の抗サイトケラチン(全サイトケラチンクローンe−11
、Sigma)を添加した。スライドを1時間37℃にてインキュベートした。細胞を
3回PBSで洗浄し、1時間100μlの1:300希釈のFITC標識抗マウ
スIgGと共にインキュベートした。細胞を3回PBSで洗浄し、PBS中50
%のグリセロールをたらしてカバーグラスをかぶせ、蛍光顕微鏡下で観察した。
自己蛍光および二次抗体に関する適当なコントロールも含まれた。
【0103】 フローサイトメトリーによる細胞周期の決定:細胞周期段階の特性を決定する
ためのフローサイトメトリーを、当該分野で公知のように(Boquest et al., BIo
l, Reprod. 60: 1013-1019(1999); Prather et al., Cloning 1: 17-24 (1999))
行った。簡単には、細胞をトリプシン処理し、10%FBSを含むDMEM中に
、約5×10細胞/チューブの濃度で再懸濁した。細胞をペレットとし、1m
lの4℃「塩水GM」(6.1mMグルコース、137mM NaCl,5.4
mM KCl、1.5mM NaHPO・7HO、0.9mMKH 、0.5mM EDTA)に再懸濁下した。細胞を穏やかに攪拌しながら4℃の
エタノールをゆっくりと添加し、次いで4℃にて一晩培養することにより固定し
た。細胞を次いでPBS、0.5mM EDTAで洗浄し、ペレットとした。フ
ローサイトメトリーの前に、細胞のペレットを1時間室温で、30μg/mlの
プロピジウムヨーダイドで染色し、30μmのメッシュ(Spectrum; Los Angeles
, CA)により濾過した。細胞をFACsCalibur(Becton Dickinson, San Jose, C
A)にて分析した。1万個の細胞を、Cell Questプログラム(Becton Dickinson)を
用いる更なる細胞周期分析のために集めた。DNAの一のパラメータヒストグラ
ムにより、細胞周期のG/G(2CDMA含量)、S(2Cおよび4C間)およ
びG+M(4C)期に存在している細胞群が識別できた。細胞周期段階に相関し
ている蛍光を示しているゲートを満たした細胞に基づき、割合を算出した。
【0104】結果 : 58の核移植融合物の中で、16の細胞質雑種が、活性化された後に胚盤胞へ
と発生したことが認められた。非継代細胞は胚盤胞へと発生するのが有意に少な
い傾向にあるのが認められた。 本発明は好ましい具体例に関して記載されているが、当業者には、本発明に対
する種々の変更および/または改変が、添付の請求の範囲により定義される発明
の意図および範囲から離れることなくなされ得ることが容易に分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
本出願の添付物は、少なくとも一のカラー写真を含む。カラーの図を含むこの
出願のコピーは、請求により、および必要な手数料を支払うことにより、特許お
よび商標事務局により提供される。 本明細書に組み込まれる、および本明細書の部分を構成する添付図は、本発明
の目下好ましい具体例を示し、前記の一般的な記載および以下に示す好ましい具
体例の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。それらは本明細
書に開示する発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【図1】 図1は17歳の雄ウシから得られたドナー細胞を用いてクローン
化された4頭の子牛の写真である。
【図2】 図2は、ドナーの雄ウシから得られたDNA、種々の継代のドナ
ー体細胞および6のクローンのDNAに関する、23のマイクロサテライトマー
カーを用いるDNAマイクロサテライトアッセイの写真である。
【図3A】 図3Aは、免疫細胞化学ビメンチン−FITC−標識により特
徴づけられたウシ属の繊維芽細胞の写真である。
【図3B】 図3Bは、免疫細胞化学サイトケラチン−FITC−標識によ
り特徴づけられたウシ属の繊維芽細胞の写真である。
【図4A】 図4Aは、各細胞周期段階における細胞の割合に関する、5継
代非血清飢餓処理ウシ属繊維芽細胞培養物のヒストグラムである。
【図4B】 図4Bは、各細胞周期段階における細胞の割合に関する、5継
代血清飢餓処理ウシ属繊維芽細胞培養物のヒストグラムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核移植により生存能力のある動物をクローニングする改良さ
    れた方法であって、 (a)5継代またはそれ以上培養した体細胞培養物由来のNENS体細胞、または
    該体細胞から単離された核を、除核された卵母細胞に挿入し、細胞質雑種を作成
    する; (b)細胞質雑種を活性化する; (c)活性化された細胞質雑種を培養する; (d)工程(c)の活性化された細胞質雑種を適当な宿主に移植して、活性化された
    細胞質雑種を胎児へと発生させる; (e)胎児が生存でき、そして該宿主の体外で生存できる動物へと成熟できるよう
    になるまで、宿主中に胎児を維持する; 工程を含む方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法により作成された動物。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法により作成された器官または組織。
  4. 【請求項4】 請求項1の方法により作成された胚。
  5. 【請求項5】 請求項1の方法により作成された胎児。
  6. 【請求項6】 請求項1の方法により作成された細胞由来の細胞系統。
  7. 【請求項7】 核移植により哺乳動物をクローニングする改良された方法で
    あって、哺乳動物由来のドナー細胞またはドナー細胞核をドナー細胞と同種の除
    核卵母細胞に導入して細胞質雑種を作成し、細胞質雑種を同種の宿主養母の子宮
    に挿入して細胞質雑種を子宮へ移植して胎児を形成させ、次いで胎児をクローン
    動物へと発生させることを含み、改良が、5継代以上培養したドナー細胞、また
    はドナー細胞核、NENS体細胞を用いることを含む方法。
  8. 【請求項8】 請求項7の方法により作成された動物。
  9. 【請求項9】 請求項7の方法により作成された器官または組織。
  10. 【請求項10】 請求項7の方法により作成された胚。
  11. 【請求項11】 請求項7の方法により作成された胎児。
  12. 【請求項12】 請求項7の方法により作成された細胞由来の細胞系統。
  13. 【請求項13】 動物をクローニングするための方法であって、 (a)NENS体細胞を得る; (b)該NENS体細胞を5継代またはそれ以上培養する; (c)工程(b)の培養NENS体細胞または該培養NENS体細胞から単離された
    核を除核卵母細胞に挿入して、細胞質雑種を作成する; (d)細胞質雑種を活性化する; (e)活性化された細胞質雑種を培養する; (f)工程(e)の活性化された細胞質雑種を適当な宿主に移植して、活性化された
    細胞質雑種を胎児へと発生させる; (g)該胎児が宿主の体外で生存できる動物として生存できるようになるまで、胎
    児を該宿主中に維持する、 工程を含む方法。
  14. 【請求項14】 請求項1の方法により作成された動物。
  15. 【請求項15】 請求項1の方法により作成された器官または組織。
  16. 【請求項16】 請求項1の方法により作成された胚。
  17. 【請求項17】 請求項1の方法により作成された胎児。
  18. 【請求項18】 請求項1の方法により作成された細胞由来の細胞系統。
  19. 【請求項19】 10パーセント(10%)を越すクローニング効率で哺乳動
    物をクローニングするための方法であって、 (a)5継代またはそれ以上培養した体細胞培養物由来の体細胞、または該体細胞
    から単離された核を除核された卵母細胞に挿入して、細胞質雑種を作成する; (b)細胞質雑種を活性化する; (c)活性化された細胞質雑種を培養する; (d)工程(c)の活性化された細胞質雑種を適当な宿主に移植して、活性化された
    細胞質雑種を胎児へと発生させる; (e)胎児が生存でき、そして該宿主の体外で生存できる動物へと成熟できるよう
    になるまで、宿主中に胎児を維持する; 工程、ここでクローニング効率は10パーセント(10%)を越す、を含む方法。
  20. 【請求項20】 雄の哺乳動物をクローニングする方法であって、 (a)5継代またはそれ以上培養した体細胞培養物由来の雄の体細胞、または該体
    細胞から単離された核を除核卵母細胞に挿入して、細胞質雑種を作成する; (b)細胞質雑種を活性化する; (c)活性化された細胞質雑種を培養する; (d)工程(c)の活性化された細胞質雑種を適当な宿主に移植して、活性化された
    細胞質雑種を胎児へと発生させる; (e)胎児が該宿主の体外で生存できる動物として生存できるようになるまで、胎
    児を宿主中に維持する: 工程を含む方法。
  21. 【請求項21】 雄の体細胞が雄のNENS体細胞である、請求項20記載
    の方法。
  22. 【請求項22】 雄の体細胞が、10継代またはそれ以上培養した体細胞培
    養物由来のものである、請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 ドナー細胞から除核卵母細胞への核移植により作成された
    細胞質雑種からの胚盤胞の発生率を改良する方法であって、 (a)タンパク質キナーゼインヒビターおよびタンパク質合成インヒビターからな
    る群から選択されるインヒビターを用いて、ドナー細胞核との融合前、融合中、
    または融合後に、除核卵母細胞を活性化する;および、 (b)融合前、融合中、または融合後に、細胞質雑種を電気刺激する; 工程を含む方法。
  24. 【請求項24】 標的遺伝子操作による標的遺伝子改変を有する動物クロー
    ンを作成するための方法であって、 (a)体細胞の核DNAを標的方法で改変し、遺伝子改変細胞を作成する; (b)工程(a)の体細胞を5継代またはそれ以上培養し、遺伝子改変細胞を選択す
    る; (c)工程(b)の体細胞の改変された核DNAを除核卵母細胞に挿入して細胞質雑
    種を作成する; (d)細胞質雑種を活性化する; (e)活性化された細胞質雑種を培養して胚を形成させる; (f)胚を適当な宿主に移植して、胚を胎児へと発生させる; (g)該胎児が生存でき、そして該宿主の体外で生存できる動物へと成熟できるよ
    うになるまで、該胎児を該宿主中に維持する; 工程を含む方法。
  25. 【請求項25】 請求項1の方法により作成された動物。
  26. 【請求項26】 請求項1の方法により作成された器官または組織。
  27. 【請求項27】 請求項1の方法により作成された胚。
  28. 【請求項28】 請求項1の方法により作成された胎児。
  29. 【請求項29】 請求項1の方法により作成された細胞由来の細胞系統。
  30. 【請求項30】 核移植により哺乳動物をクローニングする改良された方法
    であって、 (a)哺乳動物由来のドナー細胞またはドナー細胞核を、ドナー細胞と同種の除核
    卵母細胞に導入して、細胞質雑種を作成すること; (b)細胞質雑種を同種の宿主養母の子宮に挿入して、細胞質雑種を子宮に移植し
    、次いで胎児をクローン化された哺乳動物へと発生させること; を含み、改良が、ドナー細胞またはドナー細胞核として5継代以上培養された体
    細胞を用いることを含み、ドナー細胞またはドナー細胞核が、少なくとも一核酸
    または核酸配列のの付加、置換または欠失を含むよう、遺伝子変換されている方
    法。
  31. 【請求項31】 請求項30の方法により作成される動物。
  32. 【請求項32】 請求項30の方法により作成される器官または組織。
  33. 【請求項33】 請求項30の方法により作成される胚。
  34. 【請求項34】 請求項30の方法により作成される胎児。
  35. 【請求項35】 請求項30の方法により作成される細胞由来の細胞系統。
  36. 【請求項36】 遺伝子改変動物および遺伝子非改変動物を作成することが
    できる方法であって、 (a)二倍体のドナー細胞を単離する; (b)二倍体のドナー細胞を約20回以上細胞が2倍化するまで培養する; (c)任意に工程(b)の二倍体ドナー細胞の1またはそれ以上の細胞のゲノムを標
    的方法で改変する; (d)任意に工程(c)の細胞から、安定な所望の変異体をスクリーニングおよび選
    択する; (e)工程(b)、または任意に工程(c)もしくは(d)の細胞由来の核を用いて、核
    移植法を用いて胚を再構築する; (f)インビボまたはインビトロで胚を胚盤胞へと培養する; (g)任意に工程(f)の胚盤胞から、安定な所望の変異体をスクリーニングおよび
    選択する; (h)工程(f)または(g)の胚盤胞を、胚盤胞が満期動物へと発生することを許容
    し得る培地に移す: 工程を含む方法。
  37. 【請求項37】 請求項36の方法により作成された動物。
  38. 【請求項38】 請求項36の方法により作成された器官または組織。
  39. 【請求項39】 請求項36の方法により作成された胚。
  40. 【請求項40】 請求項36の方法により作成された胎児。
  41. 【請求項41】 請求項36の方法により作成された細胞由来の細胞系統。
  42. 【請求項42】 満期動物をクローニングするための改良された方法であっ
    て、 (a)5継代またはそれ以上培養した体細胞培養物由来の体細胞、または該体細胞
    から単離された核を除核卵母細胞に挿入して、細胞質雑種を作成する、 (b)任意に細胞質雑種を活性化する; (c)細胞質雑種を培養する; (d)工程(c)の細胞質雑種を適当な宿主に移植して、細胞質雑種を胎児へと発生
    させる; (e)胎児が生存でき、そして該宿主の体外で満期動物へと成熟できるようになる
    まで、胎児を宿主中に維持する; 工程を含む方法。
  43. 【請求項43】 請求項42の方法により作成された動物。
  44. 【請求項44】 請求項42の方法により作成された器官または組織。
  45. 【請求項45】 請求項42の方法により作成された胚。
  46. 【請求項46】 請求項42の方法により作成された胎児。
  47. 【請求項47】 請求項42の方法により作成された細胞由来の細胞系統。
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