JP2002510291A - ガングリオシドgm3によって誘導される神経細胞のアポトーシス - Google Patents

ガングリオシドgm3によって誘導される神経細胞のアポトーシス

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JP2002510291A JP55062798A JP55062798A JP2002510291A JP 2002510291 A JP2002510291 A JP 2002510291A JP 55062798 A JP55062798 A JP 55062798A JP 55062798 A JP55062798 A JP 55062798A JP 2002510291 A JP2002510291 A JP 2002510291A
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ノール,エリザベス
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ケース ウェスタン リザーブ ユニバーシティ
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Abstract

(57)【要約】 この発明は、ガングリオシドGM3が増殖しているCNS細胞の増殖を阻害し、アポトーシスを誘導する能力に関する。さらにこの発明では、迅速に増殖するヒト神経グリア細胞の初代培養および9Lラットグリオザルコーマ培養細胞株の細胞数をGM3が減少させる能力について示す。加えて、GM3が正常ヒトCNS細胞の静止状態培養細胞に影響を与えないことを示す。マウスの異種移植片モデル系において、腫瘍細胞を移植して3日後にGM3を単回投与した結果、宿主動物の無症状の生存期間が有意に延びた。したがって、GM3はヒトの高度なグリオーマの化学療法剤として有効である。

Description

【発明の詳細な説明】 ガングリオシドGM3によって誘導される神経細胞のアポトーシス 本出願は、米国仮出願番号60/047,430号(1997年5月22日出 願)の出願日の優先権を有する。 発明の分野 単純なガングリオシドGM3(天然に存在するリガンド)は、細胞増殖を選択 的に調節すること、および星状膠細胞のアポトーシスを誘導することが知られて いる。さらに、GM3は、選択的な化学療法剤として、ヒト患者における高い悪 性度のグリオームを処置するために有用であることが明らかにされている。 発明の背景 脊髄動物の正常な発達時において、約2倍もの細胞が産生し、それらは、最終 的には、成熟した神経系に取り込まれる。このような大過剰の細胞には、過剰な 細胞を排除し、それによって動物にとって不必要な栄養負荷を防止する機構が存 在しなければならない。過剰な細胞を選択的に取り除くための1つの機構は、プ ログラム化された細胞死、すなわち、アポトーシスの誘導である。 アポトーシスは、中枢神経系(CNS)の発達において重要な役割を果たして いる。しかし、正常なCNS発達時にアポトーシスを誘導する因予は、明確に同 定されていない。 ガングリオシド(すべての哺乳動物細胞の表面成分)は、多くの他の組織と比 較して、CNSで非常に発現している(Fishman、P.H.およびR.O .Brady、ガングリオシドの生合成および機能、Science、1976 、194:906〜915頁;Ledeen,R.W.およびR.K.Yu、ガ ングリオシド:構造、単離および分析、Methods Enzymol.19 82、83:1309〜191頁)。特定のガングリオシドの発現は、発達によ って調節されている(Irwin,L.N.およびC.C.Irwin、海馬、 網膜および眼蓋のガングリオシド組成の発達時の変化、Dev.Neurosc i.、1979、2:129〜138頁;Irwin,L.N.、D.B.Mi chaelおよびC.C.Irwin、胎児ラット脳および胎児マウス脳のガン グリオシドパターン、J.Neurochem.、1980、34:1527〜 1530頁;Hilbig.R.他、マウスおよびラットの脊髄におけるガング リオシドの発達パターン、Roux’s Arch.、1982、191:28 1〜284頁;Rosner,H.、ニワトリの眼葉における脳の発達および成 熟化の生化学的指標としてのガングリオシド変化、Brain Res.198 2、236:49〜61頁)。初期の発達時において、GD3(Irwin,L .N.D.B.MichaelおよびC.C.Irwin、胎児ラット脳および 胎児マウス脳のガングリオシドパターン、J.Neurochem.、1980 、34:1527〜1530頁;Hilbig.R.他、マウスおよびラットの 脊髄におけるガングリオシドの発達パターン、Roux’s Arch.、19 82、191:281〜284頁)、およびGM3(Heffer−Lauc, M.他、抗GM3(113Neu5AC−ラクトシルセラミド)ガングリオシド 抗体は小脳発達の重要な段階時におけるヒト胎児プルキンエニューロンを標識す る、Neurosci.Lett.、1996、213:91〜94頁)が、C NSで高いレベルで発現している。これらは、その後、減少する(Goldma n,J.E.他、GD3ガングリオシドは未成熟な神経外胚葉細胞の糖脂質特徴 を有する、J.Neuroimmunol.、1984、7:179〜192頁 )。最も高いレベルのGD3およびGM3の発現は、局所的な細胞増殖の期間と 相関する。これは、ガングリオシドが、CNS神経細胞の増殖および分化を調節 し得ることを示唆する(Bremer,E.G.他、ガングリオシドによって媒 介される細胞増殖の調節、増殖因子の結合およびレセプターのリン酸化、J.B iol.Chem.1984、258:6818〜6825頁;Bremer. E.G.、J.SchlessingerおよびS.Hakomori、ガング リオシドによって媒介される細胞増殖、上皮増殖因子レセプターのチロシンリン 酸化に対するGM3の特異的作用、J.Biol.Chem.1986、261 :2434〜2440頁;Cannella,M.S.他、軸索外方成長(o utgrowth)の刺激因子としてのepi−GM3とGM3およびGM1と の比較、Devel.Brain Res.、1988、39:137〜143 頁;Durand,M.他編、初代培養におけるニューロンの発達に対するガン グリオシドの作用に関する証拠、Ganngliosides and Neu ronal Plasticity、R.Tettamanti他編、1986 、Liviana:Padova、イタリア、295〜307;Yim,S.H .他、発達中のラット脳から培養される希突起神経膠細胞の分化は外因性のGM 3ガングリオシドによって増強される、J.Neurosci.Res.199 4、38:268〜281頁)。 ガングリオシドは、大部分の哺乳動物細胞の形質膜に存在し、中枢神経系(C NS)に多く存在する(P.H.Fishman、R.O.Brady、Sci ence 194:906〜15頁(1976);R.W.Ledeen、R. K.Yu、Methods Enzymol.83:139〜91頁(1982 ))。ガングリオシドの発現は、脳の発達により調節されており、最も単純なガ ングリオシドのGM3は、胚発生の16日目(E16)までは主としてラットの 脳で発現し、その後の発達期間中はより低いレベルであり(R.K.Yu.L. J.Macala、T.Taki、H.M.Weinfield、F.S.Yu 、J.Neurochem.50:1825〜9頁(1988))、低レベルの 発現が成体期間中を通じて持続されている。GM3は、ヒト脳の初期発達の脳室 帯で発現している(M.Stojijikovic他、Int.J.Dev.N eurosci.14:35〜44頁(1996))。成体ラットの脳において は、GM3は白質および小脳の第VI層で強く発現している(M.Kotani 他、Glycobiology、4:855〜65頁(1994))。インビト ロにおいて、外部から添加されたガングリオシドは細胞の形質膜に迅速に取り込 まれ(T.W.Keenan、E.Schmid、W.W.Franke、H. Wiegandt、Exp.Cell Res.92:259〜70頁(197 5);R.A.Laine、S.Hakomori、Biochem.Biop hys.Res.Commun.、54:1039〜45頁(1973))、そ して数多くの生物学的作用を引き起こす。1つの共通した作用は、細胞増殖の 調節である。EGF誘導の3T3繊維芽細胞細胞株およびA431(KB類表皮 ガン)細胞株の増殖(E.G.Bremer、S.Hakomori、P.D. Bowen、E.Raines、R.Ross、J.Biol.Chem.25 9:6818〜25頁(1984):E.G.Bremer、J.Schles singer、S.Hakomori、J.Biol.Chem.261:23 34〜40頁(1986))、PDGF誘導の3T3繊維芽細胞株およびSH− SY5Y神経芽腫細胞株の増殖(E.G.Bremer、S.Hakomori 、P.D.Bowen、E.Raines、R.Ross、J.Biol.Ch em.259:6818〜25頁(1984);E.G.Bremer、J.S chlessinger、S.Hakomori、J.Biol.Chem.2 61:2334〜40頁(1986);D.L.Hynde.M.Summer s.B.J.Van、M.S.O’Dorisio、A.J.Yates、J. Neurochem.65:2251〜8頁(1995))、FGF誘導のBH K繊維芽細胞株の増殖(E.G.Bremer、S.Hakomori、Bio chem.Biophys.Res.Commun.、106:711〜8頁( 1982))、ならびにインスリン誘導のHL−60白血病細胞株の増殖(N. Nojiri、M.Stroud、S.Hakomori、J.Biol.Ch em.、266:4531〜7頁(1991))は、外部から添加されたGM3 によって阻害される。適切なレセプター(EGFレセプター(R)、PDGF− R、およびインスリン−R)のリン酸化は、GM3によって阻害される(E.G .Bremer、S.Hakomori、P.D.Bowen、E.Raine s、R.Ross、J.Biol.Chem.259:6818〜25頁(19 84);E.G.Bremer、J.Schlessinger、S.Hako mori、J.Biol.Chem.261:2334〜40頁(1986); N.Nojiri、M.Stroud、S.Hakomori、J.Biol. Chem.、266:4531〜7頁(1991);Q.Zhou、S.Hak omori、K.Kitamura、Y.Igarashi、J.Biol.C hem.、269:1959〜65頁(1994))。 いくつかの研究により、別のガングリオシドのGM1が、CNSニューロンに 対して支持作用を有することが示唆されている(C.L.Schengrund 、Brain Res.Bull.24:131〜41頁(1990))。GM 3の支持作用についてはあまり知られていない。GM3はまた、ヒト白血病細胞 株のHL−60およびU937の細胞増殖を阻害し、その細胞分化を調節し、そ して単核細胞的な分化を誘導する(N.Nojiri、F.Takaku、Y. Terui、Y.Miura、M.Saito、Proc.Natl.Acad .Sci.USA、83:782〜6頁(1986))。一方、抗GM3抗体は 、ニューロ−2a神経芽腫細胞の分化を媒介する(D.Chatterjee、 M.Chakraborty、G.M.Anderson、Brain Res .、583:31〜44頁(1992);M.Chakraborty、G.M .Anderson、A.Chakraborty、D.Chatterjee 、Brain Res.、625:197〜202頁(1993))。ニューロ −2a細胞およびPC−12細胞の軸索生成は、GM3によって増大する(M. S.Cannella、F.J.Roisen、T.Ogawa.M.Sugi moto、R.W.Ledeen、Brain Res.、467:137〜4 3頁、1988)。さらに、培養された希突起膠細胞の濃化(thicknes s)プロセスの回数もまた増大する(S.H.Yim、E.Yavin、J.A .Hammer、R.H.Quarles、J.Neurochem.、57: 2144〜7頁(1991);S.H.Yim、R.G.Farrer、J.A .Hammer、E.Yavin、R.H.Quarles、J.Neuros ci.Res.、38:268〜81頁(1994))。 ガングリオシドは脳に多量に存在しているが、特に発達時におけるCNS細胞 に対するその機能についてはほとんど知られていない。 ガングリオシドは、ニューロン細胞の分化を調節すると考えられている(Ca nnella,M.S.他、軸索外方成長の刺激因子としてのepi−GM3と GM3およびGM1との比較、Devel.Brain Res.、1988、 39:137〜143頁;Dimpfel,W.、W.MollerおよびU. Mengs編、培養神経芽腫細胞のガングリオシド誘導の軸索形成、Gangl iosides in Neurological function、M.M .RapportおよびA.Gorio編、1981、Raven:New Y ork、119〜124;Ferrari,G.、M.FabrisおよびA. Gorio、ガングリオシドはPC12細胞の軸索外方成長を増強する、Dev .Brain Res.、1983、8:215〜221頁;Katoh−se mba,R.、S.D.SkaperおよびS.Varon、GM1ガングリオ シドとPC12フェノクロモサイトーマ(phenochromocytoma )細胞との相互作用:軸索外方成長および増殖に対する血清(serumand )NGF依存的な作用、J.Neurosci.Res.、1984、12:2 99〜310頁;Leskawa,K.C.およびE.L.Hogan、外因的 な精製ガングリオシドに対するインビトロでの神経芽腫の応答の定量、J.Ne urosci.Res.、1985、13:539〜550頁;Matta,S .C.、G.YorkeおよびF.J.Roisen、神経芽腫およびフェノク ロモサイトーマの培養における個々のガングリオシドの軸索および代謝の影響な らびに神経増殖因子とのその相互作用、Dev.Brain Res.1986 、27:243〜252頁)。その一方で、様々なガングリオシドが、正常なグ リアおよび形質転換グリアで発現している(Irwin,L.N.、D.B.M ichaelおよびC.C.Irwin、胎児ラット脳および胎児マウス脳のガ ングリオシドパターン、J.Neurochem.、1980、34:1527 〜1530;Goldman,J.E.、S.S.GeierおよびM.Hir ano、初代培養における胚マトリックスからの星状膠細胞および希突起膠細胞 の分化、J.Neurosci.、1986、6(1):52〜60頁;Sun g,C.C.他、ヒト希突起膠腫における糖脂質およびミエリンタンパク質、G lycoconjugate J.、1996、13:433〜443;Kim ,S.U.、G.MorettoおよびR.K.Yu、培養されているヒトのニ ューロン細胞およびグリア細胞のガングリオシドの神経免疫学、J.Neuro chem.、1986、15:303〜321頁;Shinoura,N.他、 脳腫瘍におけるガングリオシド組成および臨床データに対するその関係、Neu rosurg.、1992、31:541〜549頁;Stojiljkovi c,M.他、ヒトの初期脳発達におけるガングリオシドGM1およびGM3: 免疫組織化学的研究、Int.J.Devel.Neurosci.、1996 、14:35〜44頁)。ヒトの脳腫瘍の大部分はグリアに由来する。小児にお いては、グリオームは、67%のCNS腫瘍を含み、第2番目に最も頻繁に診断 される小児悪性疾患である(Parkin,D.M.他、小児ガンの国際的な発 生率、1988、IARC Scientifc Publication、I nternational Agency for Research on Cancer)。成人においては、脳腫瘍は原発性CNS腫瘍の40%〜67% の間である(Bohnen,N.J.他、脳腫瘍の識別的および分析的な疫学、 Cancer of the Nervous System、P.M.Bla ckおよびJ.S.Loeffer編、1997、Blackwell Sci ence:Cambridge Mass、3〜24)。CNS腫瘍は、すべて の成人悪性疾患の約2%(Giles,G.G.、B.K.Armstrong およびL.N.Smith、Cancer in Australia、198 7)を占めているが、異常に多い年間死亡数の原因となっている(Hoffma n,R.M.編、Fertile seed and rich soil;T he Development of clinically relevan t models of human cancer by surgical orthotopic implantation of intact t issue、抗ガン薬剤開発指針:前臨床スクリーニング、臨床試験および承認 、B.A.Teicher編、1997、Humana Press:Toto wa、N.J.127〜144)。原発性CNS悪性疾患の中で、多形グリア芽 細胞腫(glioblastoma multiforme、GBM)は最も悪 い予後を有し、平均余命は29週〜36週の間である(Ammirati,M. 他、グリア芽細胞腫(supratentorial glioblastom as)および再生星状膠細胞腫の患者の生存および生活の質に関する手術切除の 程度の影響、Neurosurgery、1987、21:201〜206頁; Harsch、G.R.他、再発グリア芽腫細胞腫および再生星状膠細胞腫の再 手術、Neurosurgery、1987、21:615〜621頁)。積極 的な手術切除、その後の補助的な治療(放射線療法、免疫療法、化学療法)を用 いた場合でも、大多数のGBM患者は、その疾患で死亡する(Wen,P.Y. およびD.Schiff編、星状膠細胞腫患者の臨床的評価、神経学的手術の最 近の問題−星状膠細胞腫:診断、処置および生物学、P.M.Black、W. C.SchoeneおよびL.A.Lampson編、1993、Blackw ell Scientific:Boston、Mass、26〜36)。CN S悪性疾患の処置は、側副脳組織の感受性、および腫瘍に隣接する細胞に対する 損傷の著しい結果のために複雑である。 発明の要旨 本発明は、増殖性CNS細胞の増殖を阻害し、そのアポトーシスを有するガン グリオシドGM3の能力に関する。本発明はさらに、GM3が、ヒトのグリア腫 瘍および9Lラット神経膠肉腫細胞株を迅速に増殖させる初代培養における細胞 数を減少させ得ることを明らかにする。さらに、GM3は、正常なヒトCNS細 胞の静止培養物に対しては作用を有しないことが明らかにされている。ネズミの 外植片モデル系において腫瘍細胞を頭蓋内に移植した3日後にGM3を1回注射 することによって、症状を伴わない宿主動物の生存期間の著しい増大が生じる。 従って、GM3は、ヒトの高い悪性度のグリオームの化学療法薬剤として有用で ある。 そのようなものとして、本発明の第1の局面は、増殖性神経細胞のアポトーシ スを誘導するための新規な化学療法薬剤であって、GM3を含む化学療法薬剤を 包含する。 本発明の第2の局面は、GM3化学療法薬剤を使用して、増殖性神経細胞のア ポトーシスを選択的に誘導することに関する。 本発明のさらなる局面は、脳腫瘍を有する患者における増殖性神経細胞の増殖 を阻害し、そのアポトーシスを誘導するために、該患者を処置することに関する 。 本発明のさらなる局面は、化学療法計画を必要とする患者を処置するための化 学療法計画に関する。 従って、本発明は、患者において、高い悪性度のグリオームを含む脳腫瘍を選 択的に処置することができ、それによって、そのような患者の平均生存期間を増 大させることによって患者の予後を高めることができるという利点を有する。 別の利点は、身体内で通常的に産生される化学薬剤の化学療法的に有効な組成 物での使用、それによってそのような処置に典型的に関連する有害な副作用の危 険性を減少させる使用に関する。 本発明のさらに別の利点および利益は、好ましい実施形態の下記の詳細な説明 を読み、理解することによって当業者には明らかである。 図面の簡単な説明 図1は、50μMのGM3で処理した星状膠細胞が増殖するためのDNAフラ グメント化を表すTUNELラベリングを示している。 図2Aおよび2Bは、GM3処理時およびGM3非処理時における、増殖中の 星状膠細胞の形態学的特徴を示している。 図3Aおよび3Bは、非増殖中の星状膠細胞に及ぼすGM3の効果を示してい る。 図4は、GM3で処理したニューロンおよびグリア前駆細胞が増殖するための DNAフラグメント化を表すTUNELラベリングを示している。 図5は、in vitroにおけるヒトグリア細胞腫瘍の成長およびラット9 L細胞系列に対するGMB処理の効果を示している。 図6A〜6Eは、対照細胞培養(6A、6C)、およびGMB処理した細胞培 養(6B、6D、6E)における形態学的変化を示している。 図7は、in vitroにおけるヒトグリア芽細胞の多形(GBM’s)に 対する、GM3濃度増加の影響を示している。 図8は、正常なヒト中枢神経系(CNS)の組織培養に対する、GM3の効果 を示している。 図9は、9Lラット腫瘍細胞を移植した動物の生存時間に対する、GM3処理 の効果を示している。 好ましい実施形態の詳細な説明 増殖中のラットCNS(中枢神経系)神経細胞をガングリオシドGM3に暴露 すると、細胞の増殖が阻害され、アポトーシスが誘起された。本発明は、ヒトC NS腫瘍細胞をGM3処理すると、そのin vitroにおける増殖が阻害さ れ、結果として異種移植脳腫瘍モデルにおいて、移植後の症状の現れない期間( symptom−free post−implement interval s)が延長されることになることが実証された。 GM3がin vitroにおいてヒトGBMの成長を阻害する機構は明らか である。特別な理論と結びつけなくとも、GM3が腫瘍細胞の増殖を阻害すると 同時に、活発に増殖している細胞のアポトーシスを誘起するであろうことが考え られる。この仮説に矛盾することなく、GM3処理により、ラット神経細胞前駆 体の増殖が著しく阻害されると同時に、アポトーシスが迅速に誘起された。この アポトーシスの誘起は、p27kip1発現の増加制御およびpRb(高リン酸化網 膜芽腫タンパク質)発現の低下に関連する。2つの方向からの実証は、ヒト腫瘍 細胞もまた、GM3暴露に応答してアポトーシスを受けることを示唆するもので ある。第1に、GM3で処理された培養中の細胞数は、初発集団および対照培養 のいずれと比較しても減少しており、これは細胞死を示唆するものである。第2 に、GM3暴露後に見られた円形形態および核のフラグメント化は、アポトーシ スの特徴である。 GM3暴露に対する培養の応答の程度は、細胞特異的または腫瘍特異的である と思われる。本発明で調べたすべての腫瘍は、グリア芽細胞の多形(GBM)で あるとキャラクタライズされており、同一の条件下において同様の密度で培養し たにも拘わらず、それらのGM3に対する応答は異なっていた。いくつかの培養 では、細胞数の減少が80%を超える一方で、別の腫瘍の培養を用いた並行実験 においては、細胞数の減少はわずか35%であった。このGM3処理に対する応 答性の違いは、培養継代数の違いによるものではないと思われる。というのも、 最初の7つの培養はオリジナルの平板培養から、あるいは切除された腫瘍の初期 継代からとったものであるためである。 異なる腫瘍からの細胞のGM3に対する応答性を調節する1つの因子は、増殖 速度である。非増殖中の齧歯類動物のCNS細胞は、in vitroにおける GM3処理に応答したアポトーシスを受けないが、さらに活発に分化するように なる。同様に、GM3を発育中のラットに脳室内注射すると、脳室および副脳室 の増殖中の細胞手段においてのみ細胞死が起こった。本発明に示されるように、 GM3は、正常なヒト神経細胞の静止培養における細胞数を減少させることはな く、ラットへにおけるGM3注射に付随する神経学的挙動の変化は見られなかっ た。したがって、異なる腫瘍の培養内の細胞は、異なる細胞周期時間を有し、G M3への応答はこの細胞周期時間と直接に関係しているのかもしれない(すなわ ち周期時間が短いと細胞死も増加する)。 本発明では、GM3処理が、正常なヒト脳細胞の静止培養における細胞数を有 意に変化させることなく、ヒトおよび齧歯類動物の腫瘍細胞の初代培養の増殖を 有意に低下させることを実証した。さらに、GM3による単一処理は、ラット9 L脳腫瘍細胞が頭蓋内移植されたヌードマウスにおける、移植後の症状の現れな い期間を引き延ばした。これらのデータをすべて考え合わせると、GM3はヒト の良性神経膠腫の効果的な治療方法を与える。 以下に、GM3を腫瘍細胞列および正常細胞列に適用した場合の、in vi troおよびin vivoの両方における結果を示す実施例である。本実施例 で使用したGM3は、シグマ社(Sigma)より入手したものであり、ウシの 脳から純度98%に精製されたものである。通常の生理食塩水(滅菌)を担体と して使用した。 実施例1 本実施例においては、GM3が増殖中の星状膠細胞のアポトーシスを誘起する ことを証明する。星状膠細胞は、スミスら(Smith et al.,Dev .Biol.138,377−390(1990))によって記載されるように 、生まれたばかりの(PO)Sprague−Dawleyラットの大脳皮質よ り調製し、10%の胎児ウシ血清(FBS)を添加したデルベッコ改変イーグル 培地(Delbecco’s modified Eagles medium :DMEM)中に維持した。 GM3によって誘起される星状膠細胞の細胞死のメカニズムを調べるために、 細胞を抗GFAP抗体、および、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフ ェラーゼによって媒介されるdUTP−ジゴキシニンニック末端標識(term inal deoxynucleotidyl transferase−me diated dUTP−digoxigenin nick−end lab eling:TUNEL)法によって2重標識した。星状膠細胞の形態学的変化 は、50μMのGM3とともにインキュベートしてから18時間後に明確に現れ た。72時間までに、大部分の細胞が高度に収縮して核が縮小され、これはアポ トーシスが誘起されたことを示すものであった。これらの形態学的変化に矛盾す ることなく、TUNEL陽性の細胞の個体数が実質的に増加した。インキュベー ション72時間後までに、いくらかの死細胞がカバーグラスから脱離していたの で、これらの培養中のTUNEL陽性細胞の個体数は、細胞死の程度を少な目に 表していると思われる。すべての培養において、おそらくは髄膜細胞または内皮 細胞と思われる、少数のGFAP陰性細胞は、GM3とともに72時間インキュ ベートした後であっても正常であることが判った。 壊死に起因するあらゆるランダムなDNA開裂は、潜在的にTUNELによっ て標識されるため、アポトーシス性ヌクレオソーム内DNAフラグメント化を調 べた(図1)。特徴的なDNAフラグメント化は、最初48時間後に見られ、G M3とともにインキュベート後72時間で明確になる。これはTUNEL染色デ ータに矛盾しない。超微細構造に関しては、アポトーシス性細胞死の特徴的性質 、たとえば細胞収縮、クロマチンの凝縮、核の統合性の損失、および原形質膜が 観察された(図2)。 実施例2 GM3に対する応答が星状膠細胞の増殖状態と関連するかどうかを確認するた めに、GM3を接触阻害された非増殖中の星状膠細胞に添加した。GM3は、こ れらの接触阻害された非増殖中の星状膠細胞において、細胞の形態学的特徴にお ける変化または細胞死を誘起することはなかった。 実施例1および2の結果の分析から、GM3は未成熟の増殖中の星状膠細胞に おけるアポトーシスを選択的に誘起することがわかる。さらにこれらの結果は、 神経細胞の活発な増殖が、これらの細胞のGM3に対する感受性に貢献すること を実証するものである。 実施例3 本実施例においては、GM3がニューロンおよびグリア前駆体のアポトーシス を誘起することを示す。混合細胞培養(有糸分裂後のニューロン、ニューロン前 駆体およびグリア前駆体)を、スミスら(Smith et al.,Dev. Biol.138,377−390(1990))によって記載されるように、 E15の脳から調製し、DMEM+10%FBSまたはFBS+1%N2内に維 持した。 GM3がニューロンおよびグリア前駆体に与える効果を調べるために、混合培 養をGM3で処理し、細胞死を二重標識法により検定したところ、抗β−チュブ リン陽性細胞およびA2B5陽性細胞がTUNEL陽性となり、特徴的なDNA フラグメント化が見られた(図4)。インキュベーション72時間後までに、約 80%の細胞が死んだ。残りの細胞は損傷を受けておらず、これらの細胞の大部 分はβ−チュブリン陽性ニューロンであった。この結果は、GM3が成熟ニュー ロンに与えるプロセス発芽後促進効果(process−outgrowth promoting effect)に矛盾しない。GM3処理の最後の24時 間の間に、これらの残った細胞をBrdUとインキュベートし、抗β−チュブリ ン抗体および抗BrdU抗体によって二重標識すると、残った生存細胞の大部分 (>99%)がβチュブリン陽性/BrdU陰性を示し、有糸分裂後のニューロ ンは非増殖中の星状膠細胞と同様にGM3処理に対する感受性が低いことが判っ た。また同時に、これらの観察から、GM3暴露によるアポトーシスは、すべて のクラスの神経細胞において、増殖中には誘起されるが、非増殖中には誘起され ないことが示された。 以下の実施例において、すべての腫瘍試験片は、WHOグレード1.1.3お よび/またはSt.Anne−MayoグレードIVに従って、グリア芽細胞の 多形(GBM)と診断されたものである。非腫瘍性細胞は、ラスミュッセン(R asmussen)不全のために大脳半球切除を植えた3歳の男性から得たもの である。 培養は標準的な方法を用いて作製した。簡単に説明すると、腫瘍試料を酵素的 に解離し、1×105 〜6の密度で12mmのポリ−L−リジンでコートしたカバ ーグラスに広げ、5%CO2の共存下で37℃に維持した。培養を少なくとも2 4時間増殖させた後、媒質に懸濁させた100μMのGM3を試験培養に添加し た。平行対照培養物は、実験の開始時に単独で媒体を受け取った。アッセイのほ とんどは、オリジナルの平板培養または腫瘍試料の初代培養からとった細胞に対 して行った。培養は、10%FBSおよびインシュリン、トランスフェリン、セ レン、プロゲステロン、プトレシン、3,3’,5トリヨード−L−サイロニン 、チロキシン、およびBSAのV分画を含有するN2補充剤を添加したDMEM 中で増殖させた。 7日間にわたるGM3の暴露に続き、培養を4%パラホルムアルデヒド中に固 定し、DNA染色Dapi(1:10000分子プローブ)で5分間染色し、Z eiss Axiophot電子顕微鏡で観察した。残存した細胞を定量するた めに、10の連続した40Xのランダムに選択された領域内の細胞数を計数し、 平均をとった。各腫瘍に対して、少なくとも3つの別個の培養をアッセイし、デ ータを集めた。GM3濃度増加の影響を調べるために、濃度100μMおよび4 00μMにて、上記の並行実験を行った。 実施例4 下記実施例において、GM3治療が一次ヒト腫瘍細胞の拡大を阻害したかどう かを決定するために、試験管内の進行したヒト神経膠腫にGM3を使用する。こ の実施例において用いられた腫瘍サンプルは、多様な腫瘍部位からの進行した病 変であった。7つの独立した腫瘍サンプルをアッセイした。 各腫瘍サンプルにおいて、単回使用において100μMGM3を用いた。この 結果、7日間にこれらの実験培養物において細胞数の有意な減少が生じた(図5 )。 これと対応する未処理対照培養物に対して、腫瘍培養物における細胞数へのG M3処理の効果は、腫瘍特異性であった。例えば細胞数は、GBM−1の培養物 において約57%減少したが、GBM−7の培養物において細胞数は85%より も多く減少した。GM3の効果は、一次腫瘍培養に限定されなかった。ラット9 L細胞系の培養物、すなわち生体内研究に対して確立されている脳腫瘍モデルに おける細胞数は、約65%減少した。これはヒトの一次培養物における平均的減 少に近い(図5)。 GM3処理培養物における細胞の形態学は、対照培養物とは異なっていた(図 6A〜6E)。対照培養物において、細胞密度は試験管内において7日間で増加 し、細胞の大部分は平らにされ、よく粘着した。これに対してGM3処理培養物 において、細胞密度は同じ期間で減少し、残留細胞は丸くなり、高度に屈折しう るもの(refractile)であった。GM3処理培養物中(対照培養物中 ではない)の多くの細胞は、染色体断片化を有しており、これはDNAステイン Dapiによって明らかにされ(図6A〜6E)、GM3培養物は有意量の細胞 破片を含んでいた。細胞数に対するGM3処理の効果は、より高い濃度において 増加した。100μM又は400μMGM3に暴露された腫瘍GBM−5の平行 培養物において、100μMGM3で処理されたものよりも、400μMGM3 で処理された培養物においては細胞が有意に少なかった(図7)。 実施例5 正常なヒトCNSの静止培養物においてGM3処理が細胞数を減少させたかど うか決定するために、外来性GM3(100μM)を、非新生物CNS組織に由 来する培養物に添加した。細胞の密度は、試験管内での7日間に有意には変わら なかった。さらには対照と比較して、GM3処理培養物における細胞数に有意差 はなかった(図8)。このことは、GM3が正常なヒトCNS細胞に対して毒性 がないことを示唆しており、これは以前のすべての研究と矛盾がない。 実施例6 生体内における腫瘍成長に対するGM3の効果を評価するために、9Lラット 神経膠肉腫細胞を、マウスの頭蓋内に移植した。1〜1.5×106細胞を、2 つの別々の実験において、18匹のスイスヌードマウスの大脳実質内に立体空間 的 に注入した。各実験においてこれらの動物は、移植手順の直後に、対照グループ 又は実験グループのどちらかに無作為に割当てられた。細胞移植の72時間後、 対照動物は、0.9%塩化ナトリウム5mlの頭蓋内注入を受けたが、一方、実 験動物は0.9%塩化ナトリウム5モル中の0.3mgのGM3を受けた。すべ ての動物は、神経障害(発作、片側不全麻痺、運動失調、ジスキネジー、歩行困 難等)の徴候について毎日評価され、検出された場合、この動物は犠牲にされた 。両方の実験で生き残ったラットを共同計算し、平均+/−S.D.[標準偏差 ]を決定し、統計学的有意性を2テールスチューデントテストによって評価した 。グループ1における動物のうち、これらの動物のうちの一匹は、急速に進行す る感染症状を示し、腫瘍成長の症状を示す前にこの動物は犠牲にしなければなら なかった。この動物はこのデータの組から除外した。 GM3の注入は、ホスト動物において無症状の期間を伸ばした(図9)。対照 動物(N=9)のうち、平均移植後生存期間は18日(+/−3)であった。1 3日目に、約20%(2/9)の動物が神経障害を示し、移植後23日以上では 、顕著な神経障害を伴なわない動物は生存しなかった。これに対して、GM3の 単回注入を受けた実験動物(N=8)の場合、平均移植後生存期間は23日(0 .03の対照に比べたP値)であった。17日目に一匹の動物に神経障害が生じ たが、2匹の動物は、移植後30日まで無症状であった。すなわち、すべての対 照動物が犠牲にされた7日後である。 前記実施例は、GM3の単回処理が、9L細胞の移植後にホスト動物の平均無 症状生存時間を増加させたことを証明している。試験管内アッセイをベースとし た場合、この増加した生存時間は、GM3処理後の移植腫瘍細胞の成長率におけ る低下を最も反映しているように見える。GBMと診断された患者についての平 均生存率は29〜36週間と予測されているので、固有の治療毒性がほとんどな いならば、平均生存率におけるあらゆる増加は有益であろう。GM3は、自然発 生分子であり、これは非増殖性神経細胞において細胞死を誘発するのではなく、 その成熟を強化する。従ってGM3処理は、残存する生活の質との厳しい妥協が 必要なものではなさそうである。 その他のいくつかの方法は、GM3処理されたホスト動物の無症状生存期間を 向上させうる。第一に試験管内研究では、GM3誘発細胞死の効力が、より高い 濃度で高まったことが示唆されている。非増殖性神経細胞に対する効果は、より 高い濃度でより顕著なものになりうるが、GM3濃度を増加させた結果、生存期 間が延長される結果になることがある。第二に、現在の研究は、腫瘍移植の3日 後のGM3の単回注入を使用している。GM3の多数回注入は、結果として腫瘍 成長のより大きな制限を生じ、これに付随する無症状生存期間の延長が生じるで あろう。最近の試験管内研究は、1週間以上のGM3の持続使用の結果、腫瘍細 胞の大部分においてより大きな細胞損失が生じることを示している。これは10 0%に近い。 これらの研究をまとめることにより、GM3はGBMと診断された患者への治 療薬と見做される。GM3での増殖性CNS細胞の処理によって、細胞増殖を阻 害し、アポトーシスを誘発する。同様に、ヒトの一次GBM腫瘍細胞の成長は、 GM3処理によって阻害される。これに対して正常な非増殖的CNS細胞は、G M3処理後のアポトーシスを受けるようには誘導されない。GM3応答性のこの 強力な増殖依存性は、例えばGBMのように高度に増殖的なヒトのCNS悪性病 の治療における強力な薬剤であることを示している。 様々な種類の神経細胞のアポトーシスの誘発は、本発明を実施することにおい て達成することができる。多形性神経膠芽腫(GBM)、星状細胞腫(星状神経 膠腫)、寡突起神経膠芽腫(oligodendrocytomas)、上衣腫 、神経膠腫瘍、及びその他の様々な混合神経膠腫は、本発明に従って治療される 細胞の範囲内にある。 本発明によれば様々な治療法を用いることができる。例えばGM3の投与は、 単回使用、多数回使用においてでもよく、あるいは徐放性(slow rele ase)懸濁液ポリマー配合物としてであってもよい。投与される量は、腫瘍の 成長を阻害するのに必要な量によって決定される。患者に投与されるGM3の効 果的な量の一般的な範囲は、約5μM〜50μM(あるいは約1mg〜16g) である。治療法は、少なくとも腫瘍成長が完全に阻害されるまで続けるべきであ ろう。一般的に、これは約1日から約6ヶ月(又は必要であればそれ以上)であ ってもよい。 本発明の実施によれば、化学療法薬を送り込むために様々な通常の手段を用い ることができる。このような手段には、GM3の腫瘍への直接使用(単独又は徐 放性ポリマーと組合わせたもの)、動脈内注入、及び腫瘍内への立体空間的注入 が含まれる。 さらにはその他の補助療法及び化学治療方法もGM3治療と共に用いることが できる。例えば照射療法の前投与又は後投与は、GM3治療と共に用いることが できる効果的な補助療法である。 本発明は、好ましい実施態様を参照して記載された。上で詳細に記載された説 明を読んで理解すれば、他の人々が修正及び変更を思い付くことは明白であろう 。本発明は、添付請求項又はこれらと同等のものの範囲内にある限り、このよう な修正及び変更のすべてを含むものと考えられるものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ノール,エリザベス アメリカ合衆国、02146 マサチューセッ ツ州、ブルックリン、ダブリュー―309、 サミット アベニュー 227 (72)発明者 中辻 裕司 アメリカ合衆国、44106 オハイオ州、ク リーブランド ハイツ、オーバールック ロード #716 2300 (72)発明者 ブラック,ピーター,マクラーレン アメリカ合衆国、02108 マサチューセッ ツ州、ボストン、ルイスバーグ スクエア 13

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.アポトーシス誘導有効量のガングリオシドGM3を含む、増殖神経細胞の アポトーシスを誘導する組成。 2.アポトーシス誘導有効量が約5μMから約50μM GM3である請求項 1に記載の組成。 3.従来の治療アジュバントをさらに含む請求項1に記載の組成。 4.従来の治療アジュバントが通常の生理食塩水(無菌)を含む請求項3に記 載の組成。 5.他の化学療法剤をさらに含む請求項1に記載の組成。 6.アポトーシス誘導有効量のガングリオシドGM3を該増殖神経細胞へ導入 することを含む、増殖神経細胞のアポトーシスを選択的に誘導する方法。 7.アポトーシス誘導有効量が約5μMから約50μMである請求項6に記載 の方法。 8.神経細胞がグリア腫瘍、グリオブラストーマ多形(GBMs)、アストロ サイトーマ、オリゴデンドロサイトーマの一つあるいはそれ以上である請求項6 に記載の方法。 9.ガングリオシドGM3を含む治療的に有効量の化学療法剤を該患者に投与 することを含む、脳腫瘍を有する患者の治療法。 10.該脳腫瘍が高度あるいは低度のグリオーマあるいはアストロサイトーマ である請求項9に記載の方法。 11.腫瘍の増殖を阻害する必要性から、単回投与、複数回投与、高分子の遅 遊離性懸濁液投与としてGM3を該患者に投与することを含む請求項9に記載の 方法。 12.該投与がGM3を介し、GM3の動脈内注射、GM3の腫瘍内注射でG M3を腫瘍に直接投与し腫瘍層に運ばれる遅遊離性生体高分子と併用する請求項 9に記載の方法。 13.約1日から約6ヶ月間該投与が続く請求項11に記載の方法。 14.該患者においてGM3が増殖神経細胞に対して選択的である請求項9に 記載の方法。 15.脳腫瘍のGM3治療と組み合わせてその前あるいはその後にアジュバン ト治療を実施することをさらに含む請求項9に記載の方法。 16.アジュバント療法が放射線療法である請求項15に記載の方法。 17.脳腫瘍がグリオブラストーマ多形(GBMs)、アストログリオーマ、 オリゴデンドロサイトーマ、脳室上衣腫、混合グリオーマの一つあるいはそれ以 上である請求項15に記載の方法。 18.治療的に有効量のGM3をそれを必要とする患者に投与することを含む 化学療法的養生法。 19.GM3のアストロサイトへの投与によりp27Kip1存在量を増加させC dK阻害を誘導する方法。 20.高リン酸化網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)を同時に減少させる請求 項19に記載の方法。
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