JP2002510016A - 化成処理によるアルミニウムへのコバルト−スズ合金被膜 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 斜板型コンプレッサー（10）が、その軸に平行に配置されたシリンダー・ボア（18）を持つシリンダー・ブロック（12,14）を持つ。シリンダー・ブロック内に回転自在に取付けられた回転シャフト（22）が、アルミニウム製斜板（20）を保持する。斜板（20）は、回転シャフト（22）内に固定され、２つの主表面（26）及び端面（28）を持つ。斜板（20）は、少なくとも0.2 wt.%のコバルトと残部スズの被膜層を持つ。シリンダー・ボア（18）内に係合されたピストン（16）が、ピストン（16）と斜板の主表面（26）との間に摺動自在に介在するシュー（24）を持つ。シュー（24）は、斜板（20）の回転運動をピストン（16）の直線運動へ変換する。斜板（20）の被覆された表面（26）は、シュー（24）と摺動自在に接触している。斜板（20）上の被膜は、金属メッキ又は高精度研磨を必要とすることなく、低珪素アルミニウム合金の使用を許容する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、斜板を回転させることにより、冷媒ガスを圧縮する、斜板型コンプレ
ッサーに関する。より具体的には、本発明は、部品上の摩耗を低減するために、
斜板表面にスズとコバルトの表面被膜を施すことによる、斜板コンプレッサーに
対する改良に関する。斜板本体は、アルミニウム又はアルミニウム合金から製作
される。

【０００２】 従来から、自動車の空調システムなどのシステムにおいて、斜板型コンプレッサ
ーが使用されている。既知の斜板型コンプレッサーによると、斜板とピストンが
往復すると原動力の伝達が行われ、それにより気体の吸引、圧縮、及び放出が行
われる。斜板は通常、アルミニウムやアルミニウム合金からなり、回転する際に
鉄又はアルミナの様な軽量セラミックからなるシューに摺動接触する。シューと
斜板の界面における金属同士の接触は、斜板との間でのシューの過度の摩耗及び
焼付きの可能性を防ぐために、特別な予防措置が採られることを、要する。

【０００３】 従来の斜板コンプレッサーにおいて、以下の問題が起こりがちである。1)冷媒が
斜板型コンプレッサーから漏れ出る際に、冷媒ガスに含まれる油の量が減少する
。斜板型コンプレッサーがこの状態で運転される際には、斜板の摺動面における
潤滑性が低下する。極端な場合には、斜板の摺動面におけるシューの焼付きが、
高温摩擦熱の生成に起因して、起こる。2)液体冷媒の圧縮が起こる場合には、斜
板の摺動面における潤滑性が低下する。結果として、シューの斜板表面との焼付
きが起こり得る。

【０００４】 シュー／斜板の界面における潤滑性を向上させ、コンプレッサーの斜板の摩耗を
低下させるために、いくつかの方法が開発されてきた。従来の斜板は、表面摩耗
性を改良するために、スズ被膜で処理されている。

【０００５】 米国特許第5,655,432号は、アルミニウムに対して直接接合された架橋ポリフル オロ・エラストマー、潤滑性添加物及び耐負荷添加物により斜板を処理したもの
である。材料が、粘性流体として塗付され、ある領域においてのみ部品を被覆す
るために、部分的にマスキングされる。被膜はまた、13〜50ミクロンの範囲で塗
付され、そして、最大許容誤差が10ミクロンしかないので、部品は被覆後に機械
加工を必要とする。

【０００６】 被覆過程自体が、製造上の複雑さを高め、そして、製造公差を維持することを、
従来のスズ化成被膜におけるよりも困難にする。

【０００７】 米国特許5,056,417号は、スズと、銅、ニッケル、亜鉛、鉛およびインジウムか らなる群から選択される少なくとも一種の金属とからなる表面被膜層で斜板本体
を処理するものである。それら５種の材料はいずれもスズと合金化されて耐摩耗
性を向上させる一方で、それらのうちで斜板に対する被膜を接合する作用をする
と記載されているものはない。本発明は、アルミニウム製斜板上でのスズの高い
潤滑性を保つために、改良された耐摩耗性そしてまた斜板に対する優れた接着性
を持つスズ／コバルト被膜を開示する。それで、本発明において、添加されたコ
バルトが、従来の付着性被覆スズ化成被膜を改良した付着性を、スズ／コバルト
被膜に与え、それが、アルミニウム製斜板の耐摩耗性を向上させる。

【０００８】 本発明は、耐焼付き性が改良された新規な斜板型コンプレッサーを提供する。

【０００９】 本発明によれば、その軸に平行に配置されたシリンダー・ボアを持つシリンダー
・ブロック；該シリンダー・ブロック内に回転自在に取付けられた回転シャフト
；上記シリンダー・ブロック内で上記回転シャフトと共に回転する様に該回転シ
ャフトに固定された斜板；上記シリンダー・ボア内に往復動可能に係合されたピ
ストン及び；該ピストンと上記斜板との間に摺動自在に介在するシュー、を有す
る斜板型コンプレッサーが提供され、上記斜板が、アルミニウム又はアルミニウ
ム合金からなる母材を有し、上記斜板の表面の少なくとも一部に、少なくとも0.
2 wt. %のコバルト及び残部がスズからなる被膜層が形成され、上記斜板の表面 の上記被膜部分が上記シューと摺動自在に接触している。

【００１０】 更に、本発明によれば、斜板型コンプレッサー用斜板を被覆する方法が提供され
、それは、重量で13%未満の珪素を含む低珪素アルミニウム合金から、２つの表 面及び端面を持つ斜板を準備する工程及び； 上記斜板を49℃〜66℃（120〜150 °F）で水溶性スズ浴に晒す工程、を有し、該浴が、0.5〜0.9%コバルト及び残部
スズの化成被膜を上記斜板表面に設けるだけの量のスズとコバルトを有する。

【００１１】 本発明を以下に、例を用い、添付の図面を参照して、説明する。

【００１２】 図１に示されるのは、冷却回路を通じて冷媒ガスを圧送する自動車用斜板型コン
プレッサー10の分解斜視図である。コンプレッサー10は、往復運動するピストン
16を複数備えた２ピースのシリンダー・ブロック12, 14を有する。明確化のため
、図１は、そのような往復動ピストン16のうちの一つのみを取り出したものであ
る。使用に際しては、それぞれのピストン16がシリンダ・ボア18内で往復運動す
る。

【００１３】 各ピストン16は、軸方向に延びる回転可能シャフト22上に固定可能に設けられた
斜板20と連動する。シリンダー・ボア内の各ピストン16の往復動が、連続的に冷
媒ガスを吸入、圧縮、そして放出する。各ピストン16と斜板20と間には、一対の
旋回シュー24が配置されている。シュー24は斜板20の回転運動を、ピストン16の
直線運動に変換する。斜板20は、シュー24と接触する、２つの主表面26（明確化
のため一方のみ図示する）を持つ。

【００１４】 シャフト22の回転は、シリンダ・ブロック12及び14の間での斜板20の回転を引き
起こす。主表面26は、シュー24と接触し、そしてシュー24とのせん断型摩擦接触
にさらされる。ピストン16が僅かにねじれたりゆがんだりした場合、端面28がピ
ストン16に接触する場合もある。端面28及び主表面26は、ピストン16やシュー24
との接触から摩耗を防ぐため、被覆が施される。表面被膜30はコンプレッサーの
効率を向上するために、低い摩擦係数を持つべきである。

【００１５】 本発明による斜板20の形状は、従来の斜板と同じものが使用できる。斜板の本体
20の母材を構成する材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であるべきであ
る。アルミニウム合金としては例えば、高珪素型アルミニウム合金、アルミニウ
ム−珪素−マグネシウム型合金、アルミニウム−珪素−銅−マグネシウム型合金
及び、珪素を含有しないアルミニウム合金、とすることが出来る。

【００１６】 斜板20は通常、軽量かつ高強度とするためにアルミニウム又はアルミニウム合金
から製造される。共晶組織形成の必要量より多量の珪素である過共晶珪素含有ア
ルミニウム及びアルミニウム合金が使用されることが良くある。

【００１７】 本発明の表面被膜30は過共晶アルミニウムに対して用いられる場合がある一方、
重量で12.5%未満の珪素を含む過共晶でないアルミニウム及びアルミニウム合金 上での使用が主に意図される。

【００１８】 ここで使用される硬質結晶粒とは、例えば初晶珪素のように、平均粒径が20μm 以上100μm以下でビッカーズ硬度で300より大きい硬さを持つ、より好ましくは 、ビッカース硬度で600より大きい硬さを持つ結晶粒を意味する。一例としては 、高珪素型アルミニウム合金は、斜板20に適した材料の一つと考えられる。アル
シル合金は重量で約13%から30%珪素を含み、それはアルシル合金が共晶組織を形
成するのに必要な量より多い珪素を含むことを意味するので、アルシル合金は母
材組織中に拡散した初晶珪素を含む。またアルシル合金は優れた特性を持ち、斜
板における非常に激しい摺動作用に耐え得る。

【００１９】 硬質結晶粒を持ち斜板本体20に適用可能な他の材料は、アルミニウム−マグネシ
ウム、アルミニウム−珪素−マグネシウム、アルミニウム−鉄−マグネシウム、
アルミニウム−クロムなどの金属間化合物である。

【００２０】 斜板本体20は、シュー24に直接接触するアルミニウム又はアルミニウム合金から
出来ているのが一般的である。しかしながら、本発明によれば、作動中に斜板本
体20の表面被膜層30が、シューとの摩擦抵抗が著しく低下する様に、シュー24と
接触する。シュー24と接触する主表面26を被覆することが必要なだけであるが、
製造の簡略化のために斜板20全体が被覆される。

【００２１】 本発明によれば、斜板本体20は、表面被膜層30を持つ。表面被膜層30は少なくと
も、斜板本体20の表面のシュー24と摺動自在に接触する部分に形成される。 しかしながら、表面被膜層30は、斜板本体20の全表面に亘って形成されても良い
。表面被膜層30はシュー24との摩擦抵抗を低減する様に作用し、斜板本体20の摺
動する主表面26における焼付きの発生を防止する。

【００２２】 本発明の化成処理被膜層30は、主にスズから構成され、コバルトで改良される。
被膜層30がスズのみから構成されるのであれば、摩擦係数が小さくなるが、同時
にスズの特性により表面被膜層がかなり軟質となってしまい、その結果表面被膜
層30が摩耗しやすくなってしまう。具体的には、表面被膜30は、スズ／コバルト
の総重量に基き0.2〜2.1 wt.%のコバルト及び残部スズからなり、そして98.9〜9
9.7 wt.%のスズ及び0.3〜1.1 wt.%のコバルトであればより好ましく、0.5〜0.9
wt.%のコバルト及び残部スズであれば、最も好ましい。

【００２３】 表面被膜層30の母相組織中におけるスズ及びコバルトの共存が硬度の向上だけで
なく摩擦係数の低減をもたらし、高い耐摩耗性が得られることが、本発明の発明
者らにより見出された。加えて、コバルトの添加により、被膜の斜板20への付着
性が向上する。

【００２４】 表面被膜30は、一般的な化成被覆工程によって斜板20に施される。水溶性スズ浴
が本発明に従い準備され、塩化コバルトが浴中に溶解され、その水溶液が120°F
を越える温度まで加熱される。浴中のコバルトの濃度は、0.2〜2.1 wt.%のコバ ルト及び残部スズの斜板上の被膜を設けるのに必要なものとなっている。浴の温
度は120°Fと150°Fの間が好ましい。斜板20上にその量のコバルト／スズを設け
るために、浴は、0.003〜0.03 wt.%の塩化コバルト及び6〜7.2 wt.%のスズ酸カ リウム、を含む。より好ましくは、スズ酸カリウムの量を同じに維持して、塩化
コバルトが0.005〜0.015 wt.%とされ、最も好ましくは、塩化コバルトが0.007〜
0.013 wt.%とされる。また、浴が、キレートやpH緩衝液の様な浴において使用さ
れる、一般的な材料を有する場合もある。

【００２５】 コバルト・イオン源は塩化コバルトが好ましく、硝酸コバルトの様な化合物は同
じ結果を示さない。

【００２６】 表面被膜30を施す前に、斜板20は、表面の油を取除き被膜塗付部分の準備をする
洗浄溶液に、晒される。洗浄方法には、溶剤、酸あるいはアルカリの洗浄が含ま
れるのが一般的である。部品はその後、被覆のために5〜6分間溶液に晒される。

【００２７】 表面被膜30の厚さは、0.8から2.5ミクロンであるのが好ましい。出願人は、表面
被膜層30の厚みが0.8ミクロン未満である場合は、摩擦係数が充分には低減しな いことを見出した。その一方で、表面被膜層30の厚みが2.5ミクロンより大きい 場合は、長期に及ぶ使用の間に、剥離などに対する強度に関する不具合を生じや
すくなる。

【００２８】 斜板20とシュー24との間の摩擦係数が小さいため、斜板20上でのシュー24の滑ら
かな摺動が確保される。表面被膜層30は、強度に優れており、それによりその被
膜層に生じる摩耗量が減少する。さらにまた、冷媒ガスのコンプレッサー外部へ
の漏れによる不十分な潤滑といった好ましくない状況下で、液体冷媒が圧縮され
ている、つまりコンプレッサーが作動させられているような場合でも、斜板20へ
のシュー24の焼付きが防止される。

【００２９】 結果として、上述のような作用により、本発明による斜板コンプレッサーは、極
めて激しい使用に充分耐え、長寿命を達成することが出来る。

【００３０】 ［実験結果］ 例１：図１に示される斜板型コンプレッサーによれば、斜板20は、珪素を10〜12
.5 wt.%含有するアルミニウム合金から作られた斜板本体20及び、斜板本体20の 全面に形成された表面被膜層30（符号が図面に加えられなければならないことに
なる）からなる。

【００３１】 表面被膜層30が、以下の過程により形成された。斜板20が、140°Fのアルカリ洗
浄剤にて5分間洗浄された。斜板本体20は、重量で6.6 wt.%のスズ酸カリウム及 び0.007 wt.%の塩化コバルトを含み130°F〜147°Fに保たれた水溶液槽中に、5 分間浸された。その後、Sn/Co浴から取り出され、水洗された。その結果、斜板 本体20の全面に亘って、スズ及びコバルトからなる表面被膜層30が形成された。
結果として形成された表面被膜層30は、1.0マイクロメートルの厚みを持ち、99.
5 wt.%のスズ及び0.5 wt.%のコバルトからなっていた。

【００３２】 例２：例１における様な斜板本体20であり、以下の過程により、表面被膜層30が
形成された。斜板20が、アルカリ洗浄剤を用い140°Fで5分間洗浄された。斜板 本体20は、重量で6.6 wt.%のスズ酸カリウム及び0.005 wt.%の塩化コバルトを含
み130〜147°Fに保たれた水溶液槽中に、5分間浸された。その後、Sn/Co浴から 取り出され、水洗された。その結果、斜板本体20の全面に亘って、スズ及びコバ
ルトからなる表面被膜層30が形成された。結果として形成された表面被膜層30は
、1.0マイクロメートルの厚みを持ち、0.36 wt.%のコバルト及び残部スズからな
っていた。

【００３３】 例３（比較例）：例１及び２における様な斜板本体が、本発明によるものではな
い、Sn被膜組成により、以下の様に被覆された。斜板本体20が、6.6 wt.%のスズ
酸カリウムを含み130°F〜147°Fに保たれた水溶液槽中に、5分間浸された。そ れは、被覆され、溶液から取出され、そして、水洗された。その結果、斜板本体
20の全面に亘って、1.0マイクロメートルの厚みを持ち100 wt.%のスズからなる 表面被覆層30が形成された。

【００３４】 図２Ａ及び２Ｂは、先に準備された3つの異なる被膜に対して行われた2時間の熱
量計試験の比較を示す。熱量計試験は、一般的なスズ被膜の、摩耗の進行と付着
性の低下を測定する。試験試料は同じ条件に置かれ、被膜の摩耗が比較される。
組立てられたコンプレッサーが、高速使用と低速使用の両方に供せられる。試験
用コンプレッサー・ポンプは低速での使用を模擬した点19にて1時間、および高 速での使用を模擬した点26にて1時間、運転された。点19及び26において、コン プレッサーはそれぞれ1000 rpm及び3000 rpmとされる。例１乃至３において準備
された３つの被膜を比較するデータが表１に含められている。斜板本体20の、両
主表面26の摩耗が、比較された。

【００３５】

【表１】

【００３６】 図２Ａ，２Ｂ及び表１に示される様に、本発明の実施形態に従う表面被膜層30を
持つ斜板20について計測された付着性は、比較例３において記載された従来型被
膜についてのものよりも、はるかに高かった。また、本発明の異なる程度のコバ
ルトの間での比較は、表面被膜層の組成においてコバルトを添加する程度が高い
ことが、斜板20の付着性と耐摩耗性を向上させるのに有効であることを、示して
いる。それで、スズのみを含む、比較例３の表面被膜層30は、本発明によるスズ
とコバルトの被膜よりも、早期摩耗し易い。

【００３７】 図２Ａ及び２Ｂに示される試験結果から明らかな様に、本発明によれば、斜板型
コンプレッサーが厳しい条件で運転されるにも関わらず、被膜の付着性の低下が
表面被膜層30の効果のために大きく減少する。

【００３８】 スズ／コバルト被膜で被覆された斜板20は、コバルトの添加故に、純粋なスズ被
膜の低い耐摩耗性により起こされる低い付着性を、示すことはない。

【００３９】 ［更なる実験結果］ 例１乃至３において準備された試料について、標準テープ付着性試験が行われた
。その試験は、応力下に置かれた際に除去され得る被膜の量を計測するものであ
る。 3M 610セロハン・テープが、2〜3 mmの条状にして、被覆された斜板に貼付され た。テープは、テープの接着力を確認するため、消しゴムにより擦られ、その後
そのテープが、テープと斜板20表面との間の角度を90°に保ち素早く一動作で剥
がされる。コバルトを持たない（全てスズ）被膜が、最も低い付着性を示した。
被膜中のコバルトの量を増大させると対応して付着性が向上した。つまり、0.00
5 wt.% Coのコバルト／スズ被膜は、0.005 wt.%のコバルト／スズ被膜に対して 付着性が向上した。

【００４０】 また、本発明によれば、斜板の表面被膜層30が摩耗により徐々に減少する状態に
おいてさえも、斜板20の表面上に分散した初晶珪素が斜板表面上に露出そして付
着する。初晶珪素は、高い硬度を持つので、表面被膜層30のそれ以上の摩耗が防
止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施形態による斜板コンプレッサーの分解図である。

【図２Ａ】 本発明の実施形態及び従来のスズ斜板に対し行われた2時間のコンプレッサー付 着性試験の図である（前方主表面）。

【図２Ｂ】 本発明の実施形態及び従来のスズ斜板に対し行われた2時間のコンプレッサー付 着性試験の図である（後方主表面）。

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 その軸に平行に配置されたシリンダー・ボア（18）を持つシリ
   ンダー・ブロック（12,14）；該シリンダー・ブロック内に回転自在に取付けら れた回転シャフト（22）；上記シリンダー・ブロック内で上記回転シャフト（22
   ）と共に回転する様に該回転シャフト（22）に固定された斜板（20）；上記シリ
   ンダー・ボア（18）内に往復動可能に係合されたピストン（16）及び；該ピスト
   ン（16）と上記斜板（20）との間に摺動自在に介在するシュー（24）、を有し、 上記斜板（20）が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる母材を有し
   、上記斜板の表面（26,28）の少なくとも一部に、少なくとも0.2 wt. %のコバル
   ト及び残部がスズからなる、被膜層が形成され、上記斜板の表面の上記被膜部分
   が、上記シュー（24）と摺動自在に接触している、 斜板型コンプレッサー。
2. 【請求項２】 上記斜板（20）の上記母材は、20〜100μメートルの平均粒径 及びビッカース硬度で300を越える硬さを持つ硬質結晶粒を含む、請求項１に記 載の斜板型コンプレッサー。
3. 【請求項３】 上記斜板（20）の上記母材は、ビッカース硬度で600を越える 硬さを持つ硬質結晶粒を含む、請求項２に記載の斜板型コンプレッサー。
4. 【請求項４】 上記斜板（20）の上記母材は、重量で13%〜30%の珪素を含むア
   ルミニウム−高珪素形合金からなる、請求項１乃至３のいずれかに記載の斜板コ
   ンプレッサー。
5. 【請求項５】 上記斜板（20）が、重量で13%以下の珪素を持つアルミニウム −珪素形合金からなる、請求項１乃至３のいずれかに記載の斜板形コンプレッサ
   ー。
6. 【請求項６】 上記斜板（20）が、重量で約10〜12.5%を持つアルミニウム− 珪素形合金からなる、前記請求項のいずれかに記載の斜板コンプレッサー。
7. 【請求項７】 上記被膜層の厚さが0.8〜2.5ミクロンである、前記請求項のい
   ずれかに記載の斜板コンプレッサー。
8. 【請求項８】 上記表面被膜層の厚さが1.1〜1.8ミクロンである、請求項７に
   記載の斜板コンプレッサー。
9. 【請求項９】 上記被膜層が0.2〜2.1 wt. %のコバルトを有する、前記請求項
   のいずれかに記載の斜板コンプレッサー。
10. 【請求項１０】 上記被膜層が0.3〜1.1 wt. %のコバルトを有する、請求項９
    に記載の斜板コンプレッサー。
11. 【請求項１１】 斜板型コンプレッサー用斜板を被覆する方法であって、 重量で13%未満の珪素を含む低珪素アルミニウム合金から、２つの表面（26 ）及び端面（28）を持つ斜板を準備する工程及び； 上記斜板（20）を49℃〜66 ℃（120〜150°F）で水溶性スズ浴に晒す工程、を有し、該浴が、0.5〜0.9%コバ
    ルト及び残部スズの化成被膜を上記斜板表面に設けるだけの量のスズとコバルト
    を有する、方法。
12. 【請求項１２】 上記浴中の上記コバルトは塩化コバルトにより供給される、
    請求項11に記載の方法。