JP2002507384A - アデノウイルスベクターの製造方法、それによって製造したベクターおよびその使用 - Google Patents

アデノウイルスベクターの製造方法、それによって製造したベクターおよびその使用

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JP2002507384A
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Abstract

(57)【要約】 転写因子MAZおよびSp1のための多数の結合部位が、DNA分解酵素I保護実験により5型アデノウイルスの主要後期プロモータ内に特定された。このプロモータの基部領域において、MAZおよびSp1は両方ともTATAボックスに接するGC富裕配列と相互反応する。2つのMAZ結合部位は、転写開始部位に対して−18および−36に集中する。Sp1は−18GC富裕配列にのみ結合した。プロモータの遠位部領域にもまたいくつかの相互作用部位が存在した。MAZおよびSp1は両方とも−166に集中する配列と相互作用し。MAZは−130に集中する別の部位と弱く結合した。MAZまたはSp1の過剰発現は、一過性発現アッセイで主要後期プロモータからの発現を活性化させた。主要後期プロモータのGC富裕配列の変異分析によって、MAZ活性化の主要標的はTATA配列に接するGC富裕配列であり、一方、Sp1は遺伝子発現を刺激するために遠位部GC富裕配列成分を必要とすることが示唆された。この活性化は、アデノウイルスE1A蛋白質によって強化され、さらに、E1Aと両転写因子との間の相互作用の証拠が免疫沈澱アッセイを用いて得られた。MAZおよびSp1による活性化もまた、標的として完全な5型アデノウイルスゲノムを用いたトランスフェクション実験で観察された。L1およびL5両領域からの後期mRNAレベルの増加は、MAZまたはSp1発現プラスミドがウイルスDNAとともにトランスフェクトされたときに観察された。予想に反して、MAZおよびSp1による主要後期プロモータの活性化は、ウイルスDNAが複製できるか否かにかかわらず検出された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願の基礎となる研究は、米国立癌研究所のグラント番号CA38965に
より部分的に補助された。合衆国政府は本発明において一定の権利を有する。発明の属する技術分野 本発明は一般にベクターの製造に関し、より具体的にはアデノウイルスベクタ
ーの製造、このベクターによるウイルス粒子の製造、さらに、興味のある特定の
DNAを挿入するために、このベクターで細胞を核酸感染(トランスフェクト)
させてベクター含有細胞を製造することに関する。本発明は転写因子MAZおよ
びSp1を利用してアデノウイルスの主要後期プロモータ(major late promoter
, MLP)を活性化させる。順をおってMLPを活性化することによって、アデ
ノウイルスゲノムの2つの末端セグメント(これは挿入された任意の非アデノウ
イルスDNAと接する)を含むベクターが複製、増幅および被包化収納される。
したがって、本発明はまた、治療用蛋白質、アンチセンスRNA、およびリボザ
イム(これらのコード配列は、ベクター内の上記アデノウイルスゲノム配列と接
している)のin vivo発現系に関する。
【0002】従来技術 アデノウイルス主要後期プロモータ(MLP)は、ウイルスの構造蛋白質の大
半およびいくつかの非構造蛋白質をコードする主要後期転写ユニットの発現を制
御する(文献22に概説)。MLPは感染初期および後期で活性を示すが、DN
A複製の開始後に最大活性に達する。遺伝的および生化学的研究によって、多数
の転写因子結合部位および発現を調節する対応するDNA結合蛋白質がMLPで
特定された。これらには、TATAボックス結合蛋白質(TBP)およびTFI
ID複合体(TATA成分と結合する)、−50のUSF/MLTF結合部位、
−70近くのCAATボックス、+1のイニシエーター部位、並びに、細胞因子
とウイルスIVa2蛋白質を含む蛋白質複合体と結合する下流成分が含まれる(
文献22に概説)。これら因子結合部位の大半は多様なアデノウイルス血清タイ
プのMLPで保存されていて、これらの部位が適切な転写調節に重要であるとい
う結論を有力視させる(図1および文献25)。
【0003】 MLPの興味深い構造的特性はTATAボックス周辺のGC富裕配列の存在で
ある(図1)。これらの配列は、ヒトのアデノウイルスおよび他のいくつかのア
デノウイルスで良好に保存されていて(図1および文献25)、MLPに対する
これら配列の機能的重要性を暗示する。このGC富裕成分はAT塩基対で広範囲
に置換しても完全細胞抽出物での主要後期プロモータの活性を抑制しないが(2
9)、上流のTATA近傍のGC富裕成分の変異はウイルス感染細胞でのMLP
の活性を低下させた(3)。さらに、Yuら(30)は、TATA近傍のGC富裕
配列は、MLPが高次コイル形成プラスミドDNAに存在するときヌクレアーゼ
感受性構造を形成することを見出したが、この観察の生理学的意義は明らかでは
ない。
【0004】 我々は、これまで亜鉛フィンガー蛋白質MAZおよびSp1によるGC富裕プ
ロモータの転写調節に関心をもってきた(20)。MLPのGC富裕配列はMA
ZおよびSp1の強力な結合部位であるので、プロモータと相互反応してその活
性を調節するこれらの因子の能力を調べていた。本明細書に示したこれらの結果
は、両因子はMLPのGC富裕配列と相互反応してMLP活性を刺激し、E1A
蛋白質に反応することができることを示唆した。
【0005】発明が解決しようとする課題 一般に本発明は、アデノウイルスベクター、特に2つの細胞性転写因子の過剰
発現によってそれら自身を複製できるベクターの製造に関する。 本発明は、アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配
列遺伝子を欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベ
クターを提供する。ある実施態様では、ベクターはさらにE1A遺伝子を欠失し
ている。別の実施態様では、ベクターはさらにE1B遺伝子を欠失している。別
の実施態様では、ベクターはさらにアデノウイルスゲノムの領域内に1つまたは
2つ以上の転写因子の核酸の挿入を含む。ある実施態様では、転写因子はMAZ
および/またはSP1である。
【0006】 本発明は以下の(a)−(c)および適切な担体の希釈剤を含む医薬組成物を
提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントおよび直線状ア
デノウイルスゲノムの末端セグメントの間に挿入された核酸を含むアデノウイル
スベクター、ここで末端セグメントはアデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸
およびパッケージング配列遺伝子を含み;(b)アデノウイルスゲノムの複製開
始点の核酸とパッケージング配列遺伝子を欠失しているアデノウイルスゲノムを
含むヘルパーアデノウイルスベクター;および(c)1つまたは2つ以上の転写
因子の核酸を含むベクター。
【0007】 本発明は、以下の(a)−(c)で細胞をトランスフェクトさせ、それによっ
てアデノウイルス主要後期プロモータを活性化させることを含むアデノウイルス
主要後期プロモータ活性化方法を提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノム
の末端セグメントおよび直線状アデノウイルスゲノムのそれら末端セグメントの
間に挿入された核酸を含むアデノウイルスベクター、ここで末端セグメントはア
デノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含み
;(b)アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸とパッケージング配列遺伝子
を欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベクター;
および(c)1つまたは2つ以上の転写因子の核酸を含むベクター。ある実施態
様では、転写因子はMAZおよび/またはSP1である。また別の実施態様では
、本方法はさらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターで細胞をトラン
スフェクトすることを含む。
【0008】 本発明は、以下の(a)−(c)で細胞をトランスフェクトし、それによって
ウイルス粒子を製造することを含む、問題の蛋白質をコードする核酸を含有する
ウイルス粒子の製造方法を提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノムの末端
セグメントおよび直線状アデノウイルスゲノムのそれら末端セグメントの間に挿
入された核酸を含むアデノウイルスベクター、ここで末端セグメントはアデノウ
イルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含み;(b
)アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を
欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベクター;お
よび(c)転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター。ある実施態様
では、転写因子はMAZおよび/またはSP1である。また別の実施態様では、
本方法はさらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターで細胞をトランス
フェクトすることを含む。別の実施態様では細胞はヒトの細胞である。
【0009】 本発明は、以下の(a)−(c)および適切な希釈剤または担体を含む医薬組
成物を対象者に投与し、それによって対象者に遺伝子を挿入することを含む遺伝
子の治療方法を提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメント
および直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントの間に挿入された核酸を含
むアデノウイルスベクター、ここで末端セグメントはアデノウイルスゲノムの複
製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含み;(b)アデノウイルス
ゲノムの複製開始点の核酸とパッケージング配列遺伝子を欠失しているアデノウ
イルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベクター;および(c)転写因子の
1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター。ある実施態様では、転写因子はMA
Zおよび/またはSP1である。また別の実施態様では、本方法はさらにE1A
遺伝子をコードする核酸を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0010】 当然のこととして、本発明は、所望の治療用蛋白質をコードする遺伝子を含有
するベクター、ヘルパーDNA配列を含有するベクターおよびMAZおよび/ま
たはSp1遺伝子を含有するベクターを製造するいくつかの手段を意図している
が、これらには本明細書で詳述するように既知の組換え技術が含まれ、したがっ
て、本発明はそのような合成製造物をも包含しようとするものである。
【0011】 同様に、本発明は、適切なホスト細胞に挿入されたとき問題の蛋白質を発現す
ることができるウイルス粒子の製造、および治療のためにそのような構築物の細
胞への直接導入を達成する遺伝子治療にも及ぶ。 本発明の他の用途および利点は、以下の説明図に続く詳細な説明により当業者
には明らかとなろう。
【0012】課題を解決するための手段 一般に本発明は、アデノウイルスベクター、特にアデノウイルス主要後期プロ
モータ(MLP)と相互反応することが判明した2つの細胞性転写因子の過剰発
現によってそれら自身で複製することができるベクターの製造に関する。類似の
DNA配列と相互反応する2つの細胞性転写因子のアデノウイルス主要後期プロ
モータ内の結合部位が特定された。これらの転写因子はMAZおよびSp1と称
される。本明細書で示すように、MAZまたはSp1の過剰発現はアデノウイル
スの主要後期プロモータの活性を顕著に誘発し、両因子はアデノウイルスによっ
てコードされるE1A転写活性化蛋白質と相互反応し、さらにそれら両因子はE
1A蛋白質と協力して主要後期プロモータを活性化させることができる。完全な
アデノウイルスDNAが細胞にトランスフェクトされ、アデノウイルスDNAの
複製がヒドロキシウレアによって阻害された場合、MAZまたはSp1の過剰発
現は、主要後期転写ユニットのL1およびL5領域によってコードされるmRN
A蓄積を増進する。このウイルスゲノム領域の発現にDNA複製が通常は要求さ
れるので、L5RNA蓄積の増進は予想に反していた。
【0013】 上記で述べたように、MAZまたはSp1の過剰発現が予想に反してL5RN
Aの蓄積を活性化させることができるということが観察されたので、それ自身で
複製できないアデノウイルスベクターを補足させる実験を企画した。直線状アデ
ノウイルス染色体の末端由来の短いDNAセグメント(数百塩基対)を含有する
ベクターDNA分子を調製する。これらの末端セグメントはアデノウイルスのD
NA複製開始点(ベクターDNA分子の複製と増幅に必要)およびパッケージン
グ配列(ベクターDNA分子のウイルス粒子内への被包化収納に必要)を含む。
非アデノウイルスDNA(例えば治療用蛋白質をコードするDNA)はアデノウ
イルスゲノムのこれら2つの末端セグメントの間に挿入される。正常なアデノウ
イルスとは対照的に、このアデノウイルスベクターは、ウイルスDNAの複製お
よびウイルス粒子内へのその集合組立(アッセンブリー)に必要な生成物をコー
ドするアデノウイルス遺伝子の全てを欠いているためにヒトの細胞で増殖できな
い。末端配列(ベクター分子に存在する)を除くアデノウイルスゲノムの全てを
含有するヘルパーDNA分子を製造する。このヘルパーDNA分子は、ベクター
DNAの複製および被包化収納に必要なトランス作用性機能の全てを提供するで
あろう。ヘルパーDNAそれ自体は、複製開始点を欠いているために複製および
増幅が不能で、パッケージング配列を欠いているためにウイルス粒子中にパッケ
ージングされず、さらに2種のDNAが、効率的相同的組換えのために必要な共
通配列を共有していないためにベクターDNAと効率的に組換えを起こすことが
できない。
【0014】 ベクターおよびヘルパーDNAを混合してヒトの細胞(通常アデノウイルスが
複製できる)にトランスフェクトした場合、ほとんどまたは全くベクター粒子は
生成されない。なぜならば、ヘルパーDNAは複製されず、したがって主要後期
転写ユニット内でコードされる遺伝子生成物の全てが発現されないからである。
主要後期プロモータの完全な発現の活性化のため、および主要後期転写ユニット
の" 下流"部分によってコードされるL3、L4およびL5族mRNAの蓄積を 誘発するために複製が必要であることが示された(Shenk(1996)で概説)。しか
しながら、上記で特記したように、MAZまたはSp1の過剰発現は予想に反し
て、DNA複製がなくてもアデノウイルス主要後期転写ユニットの下流部分から
生じるRNAの蓄積を活性化することができることが現時点で判明した。したが
って、これらの結果によって、ベクターおよびヘルパーDNAがMAZおよび/
またはSp1をコードするプラスミドと一緒に、アデノウイルスが複製できるヒ
トの細胞にトランスフェクトされる場合、ベクターDNAは複製し、さらにウイ
ルス粒子にパッケージングされるであろうと予想される。ヘルパーDNAが複製
されなくとも、MAZおよび/またはSp1はヘルパー内の主要後期ユニットの
発現を活性化させるためにベクターは複製される。ヘルパーDNAによってコー
ドされるウイルス性生成物は、ベクターDNAの複製およびウイルス粒子へのパ
ッケージングを可能にする。トランスフェクションを成功させるために、非常に
効率的にトランスフェクすることができる細胞株を用いなければならない。この
要求に適合する293細胞クローンがある。
【0015】 本発明にしたがって、当技術分野で通常の分子生物学、微生物学および組換え
DNA技術を用いることができる。そのような技術は文献で完全に説明されてい
る。例えば以下の文献を参照されたい:Sambrook et al., "Molecular Cloning:
A Laboratory Manual"(1989); "Current Protocols in Molecular Biology" Vo
lumes I-III [R.M. Ausubel, ed.(1994)]; "Cell Biology: A Laboratory Handb
ook" Volumes I-III[J.E. Celis, ed.(1994)]; "Current Protocols in Immunol
ogy" Volumes I-III[J.E. Coligan ed.(1994)]; "Oligonucleotide Synthesis"
(M.J. Gait ed.(1984)); "Nucleic Acid Hybridization"[B.D. Hames & S.J. Hi
ggins eds.(1985)]; "Transcription and Translation"[B.D. Hames & S.J. Hig
gins, eds.(1984)]; "Animal Cell Culture"[R.I. Freshney, ed.(1986)]; "Imm
obilized Cells and Enzymes"[IRL Press, (1986)]; B.perbal, "A Practical G
uide to Molecular Cloning"(1984)。
【0016】 " レプリコン"とは、in vivoで自律的DNA複製ユニット(すなわちそれ自体
の制御にしたがって複製できる)として機能する一切の遺伝的成分(すなわちプ
ラスミド、染色体、ウイルス)である。" ベクター"は、プラスミド、ファージ またはコスミドのようなレプリコンで、それに別のDNAセグメントを結合させ
て、この結合セグメントの複製を惹起させることができる。
【0017】 " DNA"とは、一本鎖形または二本鎖螺旋を有するデオキシリボヌクレオチ ド(アデニン、グアニン、チミンまたはシトシン)のポリマー形を指す。この用
語は、この分子の一次または二次構造のみを指し、特定の三次元構造に限定され
ない。したがってこの用語は、とりわけ直鎖状DNA分子(例えば制限フラグメ
ント)、ウイルス、プラスミドおよび染色体で見出される二本鎖DNAを含む。
特定の二本鎖DNA分子の構造を考察する場合、配列は、DNAの非転写鎖(す
なわちmRNAと相同な配列を有する鎖)に沿って5'から3'方向の配列のみを
示す通常の方法にしたがって本明細書では記載されている。 " 複製開始点"とは、DNA合成に加わるDNA配列を指す。
【0018】 DNA" コード配列"とは、適切な調節配列の制御下に置かれたとき、転写さ れポリペプチドに翻訳される二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は5' (アミノ)末端の開始コドンおよび3'(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンに よって定められる。コード配列には原核細胞の配列、真核細胞mRNA由来のc
DNA、真核細胞(例えば哺乳類細胞)DNA由来のゲノムDNA配列、および
合成DNA配列が含まれるが、ただしこれらに限定されない。ポリアデニル化シ
グナルおよび転写終止配列は、通常はコード配列の3'側に位置している。 転写および翻訳制御配列は、DNA調節配列(例えばプロモータ、エンハンサ
ー、ポリアデニル化シグナル、ターミネータなど)で、これらはホスト細胞での
コード配列の発現のために備えられる。
【0019】 " プロモータ配列"は、細胞内のRNAポリメラーゼと結合し、下流(3'方向
)のコード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明
を明らかにするために、プロモータ配列は、転写開始部位によってその3'末端 の境界が仕切られ、上流(5'方向)に伸長し、バックグラウンドを越えるレベ ルで転写を開始させるために必要な最小限の塩基または成分を含む。プロモータ
配列内で、転写開始部位(ヌクレアーゼS1によるマッピングによって簡便に限
定される)は、RNAポリメラーゼの結合に必要な蛋白質結合ドメイン(コンセ
ンサス配列)と同様に見出されるであろう。真核細胞プロモータは、しばしば(
常にというわけではない)" TATA"ボックスおよび" CAT"ボックスを含む
。原核細胞プロモータは、−10および−35コンセンサス配列の他にシャイン
=ダルガーノ配列を含む。これらプロモータには、細菌、酵母、昆虫または哺乳
類のプロモータが含まれる。プロモータの例には以下が含まれる:CMV、HM
CV、SV40およびRSV。
【0020】 " 発現制御配列"は、別のDNA配列の転写および翻訳を制御および調節する DNA配列である。コード配列は、RNAポリメラーゼがこのコード配列をmR
NAに転写し、続いてこれがコード配列によってコードされる蛋白質に翻訳され
るとき、転写および翻訳制御配列の" 制御下"にある。 " シグナル配列"はコード配列の前に包含させることができる。この配列はポ リペプチドのN−末端側にシグナルペプチドをコードし、このペプチドは、ホス
ト細胞に情報を伝えて細胞表面にポリペプチドを誘導するか、または媒体中にポ
リペプチドを分泌させる。さらに、シグナルペプチドは、蛋白質が細胞を出る前
にホスト細胞によって切り取られる。シグナル配列は、原核細胞および真核細胞
に本来存在する多様な蛋白質に付随して見出される。
【0021】 外因性または異種DNAが細胞内部に導入されたとき、細胞はそのようなDN
Aによって" 形質転換"されたという。形質転換DNAは、その細胞のゲノムを 構成している染色体DNA中に組み込まれ(共有結合により連結され)てもよい
し、組み込まれてなくてもよい。例えば原核細胞、酵母および哺乳類細胞では、
形質転換DNAはプラスミドのようなエピソーム成分で維持されることもある。
真核細胞に関しては、安定に形質転換された細胞は、形質転換DNAが染色体に
組み込まれ、その結果、染色体の複製を介して娘細胞により形質転換DNAが受
け継がれる細胞である。この安定性は、形質転換細胞を含む娘細胞集団で構成さ
れた細胞株またはクローンを樹立する真核細胞の能力によって示される。" クロ
ーン"とは、ただ1つの細胞または共通の先祖から有糸分裂によって得られた細 胞集団である。" 細胞株"とは、何代にもわたってin vitroで安定に増殖できる 初代培養細胞のクローンである。
【0022】 一定の長さのDNA配列で、少なくとも約75%(好ましくは少なくとも約8
0%、最も好ましくは少なくとも約90または95%)のヌクレオチドが適合す
るとき、2つのDNA配列は" 実質的に相同"である。実質的に相同な配列は、 配列データバンクで利用できる標準的ソフトを用いるか、またはサザンハイブリ
ダイゼーションを用いて例えば具体的な系について規定されるように厳格な(ス
トリンジェントな)条件下で比較して特定できる。適切なハイブリダイゼーショ
ン条件を規定することは当技術分野で既知である。例えば以下を参照されたい:M
aniatis et al., 上掲書;DNA Clonig, Vols. I-II, 上掲書;Nucleic Acid Hyb
ridization, 上掲書。 少なくとも約70%(好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なく
とも約90または95%)のアミノ酸残基が同一であるとき、または保存的置換
を示すとき、2つのアミノ酸配列は" 実質的に相同"である。
【0023】 DNA構築物の" 異種"領域とは、大きなDNA分子内で特定可能なDNAセ グメントであって、自然の中ではこの大きな分子と結合した状態で見出されるこ
とがないものである。したがって、異種領域が哺乳類の遺伝子をコードする場合
、通常この遺伝子は本来の生物のゲノム内で哺乳類のゲノムDNAと接していな
いDNAと接するであろう。異種コード配列のまた別の例は、そのコード配列自
体が天然ではその中に存在しない構築物である(例えば、そのゲノムコード配列
がイントロンまたは天然と異なるコドンを有する合成配列を含むcDNA)。対
立遺伝子座変種または天然に存在する変異現象は、本明細書で規定するDNA異
種領域を発生させない。
【0024】 " 治療的に有効な量"という語句は、標的細胞集団のS期活性における臨床的 に顕著な変化、または他の病理的特徴(例えばそのような変化の存在および活性
に付随する血圧上昇、熱または白血球数の上昇)を防止するために、および好ま
しくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは
少なくとも90%減少させるために十分な量を指すために本明細書では用いられ
る。
【0025】 DNA配列は発現制御配列に" 機能的に連結"され、このとき当該発現制御配 列はこのDNA配列の転写および翻訳を制御および調節する。" 機能的に連結" という用語は、発現されるべきDNA配列の前に適切な開始シグナル(例えばA
TG)を有すること、並びに発現制御配列の制御下でこのDNA配列の発現およ
びこのDNA配列によってコードされる所望の生成物の産生を可能にするために
正確な読み枠を維持することを含む。組換えDNA分子に挿入することを所望す
る遺伝子が適切な開始シグナルを含まない場合は、そのような開始シグナルをこ
の遺伝子の前に挿入することができる。
【0026】 本発明は主に、非アデノウイルス性DNA配列を含むアデノウイルス性ベクタ
ーを治療として使用することに関する。このベクターは直線状のアデノウイルス
染色体の末端に由来する2つの短いDNAセグメント(数百塩基対)を含有し、
このセグメントは、アデノウイルスの複製開始点(ベクターDNA分子の複製お
よび増幅に必要)およびパッケージング配列(ベクターDNA分子をウイルス粒
子に被包化収納するために必要)を含み、任意の非アデノウイルス性DNA配列
と接している。ヘルパーDNA分子(ベクター分子に存在する末端配列を除く全
てのアデノウイルスゲノムを含有する)は、ベクターDNAの複製および被包化
収納に必要なトランス作用性機能の全てを提供する。MAZおよび/またはSp
1および/またはE1Aのin vivoもしくはin vitro発現は、アデノウイルスの 主要後期プロモータ、または配列番号:1−15の配列(これらはヘルパーDN
Aに含まれる)のいずれかを活性化させ、したがって所望の治療用DNA配列を
含有するベクターの複製、増幅および被包化収納を惹起させるであろう。
【0027】 ある実施態様では、本発明は、本明細書で述べるアデノウイルス構築物および
転写因子(MAZ、Sp1およびE1A)を用いて任意の治療用蛋白質もしくは
治療用アンチセンスRNA配列または治療用リボザイムを発現させる方法のよう
な遺伝子治療を包含する。 本発明は、直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントおよびこの直線状ア
デノウイルスゲノムの末端セグメントの間に挿入された核酸を含むアデノウイル
スベクターを提供し、ここで末端セグメントは、アデノウイルスゲノムの複製開
始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含む。ある実施態様では、アデノ
ウイルスベクターは5型アデノウイルスである。本明細書で意図されるように、
この核酸は蛋白質、アンチセンスRNA、またはリボザイムをコードする。蛋白
質は興味をもたれる任意の治療用蛋白質であろう。さらに、ベクターは選別可能
なマーカーを含む。選別可能マーカーはベータガラクトシダーゼまたはベータラ
クタマーゼである。
【0028】 本発明は、アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配
列遺伝子を欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベ
クターを提供する。ある実施態様では、ベクターはさらにE1A遺伝子が欠失し
ている。別の実施態様では、ベクターはさらにE1B遺伝子が欠失している。別
の実施態様では、さらにベクターは、アデノウイルスゲノム内に1つまたは2つ
以上の転写因子核酸の挿入を含む。ある実施態様では、転写因子はMAZおよび
/またはSP1である。本発明では、E1AおよびE1B遺伝子領域内の核酸の
欠失は、完全な核酸配列の欠失であるか、またはこの遺伝子の機能を失わせるた
めに十分な欠失であることが意図されている。MAZおよびSP1は、MAZお
よびSP1(すなわち転写因子として)の機能的活性をもつ、任意のおよび全て
のその類似体、フラグメント、同族体、変異体または変種を指す。
【0029】 本発明は、以下の(a)−(c)および適切な希釈剤または賦形剤を含む医薬
組成物を提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントおよび
この直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントの間に挿入された核酸を含む
アデノウイルスベクター、ここで末端セグメントは、アデノウイルスゲノムの複
製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含み;(b)アデノウイルス
ゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を欠失しているアデ
ノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベクター;および(c)転写因
子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター。
【0030】 本発明は、以下の(a)−(c)で細胞をトランスフェクトし、それによって
アデノウイルスの主要後期プロモータを活性化させることを含むアデノウイルス
主要後期プロモータの活性化方法を提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノ
ムの末端セグメントおよびこの直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントの
間に挿入された核酸を含むアデノウイルスベクター、ここで末端セグメントは、
アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含
み;(b)アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列
遺伝子を欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベク
ター;および(c)転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター。ある
実施態様では転写因子はMAZおよび/またはSP1である。別の実施態様では
、本方法はさらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターで細胞をトラン
スフェクトすることを含む。
【0031】 本発明は、問題の蛋白質をコードする核酸を含むウイルス粒子を製造する方法
を提供する。本方法は、以下の(a)−(c)をで細胞をトランスフェクトし、
それによってウイルスを製造することを含む:(a)直線状アデノウイルスゲノ
ムの末端セグメントおよびこの直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントの
間に挿入された核酸を含むアデノウイルスベクター、ここで末端セグメントは、
アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含
み;(b)アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列
遺伝子を欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベク
ター;および(c)転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター。ある
実施態様では転写因子はMAZおよび/またはSP1である。別の実施態様では
、本方法はさらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターで細胞をトラン
スフェクトすることを含む。
【0032】 本発明は、以下の(a)−(c)および適切な希釈剤または賦形剤を含む医
薬組成物を対象者に投与し、それによって対象者に遺伝子を挿入すること含む遺
伝子治療の方法を提供する:(a)直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメン
トおよびこの直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントの間に挿入された核
酸を含むアデノウイルスベクター、ここで末端セグメントは、アデノウイルスゲ
ノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含み;(b)アデノ
ウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を欠失して
いるアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウイルスベクター;および(c
)転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター。ある実施態様では転写
因子はMAZおよび/またはSP1である。別の実施態様では、本方法はさらに
E1A遺伝子をコードする核酸を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0033】 さらに本ベクターは、以下を含む(ただしこれらに限定されない)他のサイト
カインまたは増殖因子と一緒に投与できる:IFNγまたはα、IFN−β;イ
ンターロイキン(IL)1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−
12;腫瘍壊死因子(TNF)α、TNF−β;顆粒球コロニー刺激因子(G−
CSF);顆粒球/マクロファージCSF(GM−CSF);付属分子(インテ
グリン上科に属するものおよびIg上科に属するものを含み、例えばLFA−1
、LFA−3、CD22およびB7−1、B7−2並びにICAM−1T細胞副
刺激因子であるが、ただしこれらに限定されない)。本発明では、アデノウイル
スベクターは化学療法または放射線療法と同様に併用して使用するすることも意
図される。DNA損傷薬剤または因子は当業者には知られており、細胞に用いた
ときDNA損傷を誘発する化学物質または治療方法の一切を指す。そのような薬
剤および因子にはDNA損傷を誘発する照射および波動、例えばγ線照射、X線
、UV照射、マイクロ波、電子照射などが含まれる。
【0034】 本発明の好ましい実施態様では、293細胞がトランスフェクトされ、ヘルパ
ーDNAはアデノウイルスE1AおよびE1B遺伝子を欠失しているであろう(
E1AおよびE1B遺伝子は腫瘍原性で、アデノウイルス核酸感染293細胞に
存在し発現される)。この系のデザインがベクターDNAとヘルパーDNAの組
換えを防止できるとしても、E1AおよびE1B遺伝子をヘルパーから分離し、
その結果ベクターの増殖時に野性型アデノウイルスが生成されるためには2つの
別個の組換え事象が要求されるとことになるということはこのベクター系に安全
性と利点を付加するであろう。
【0035】 さらに別の実施態様ではベクター増殖系の変型が示されるであろう。これはM
AZおよび/またはSp1遺伝子のヘルパー構築物へのクローニングおよびヘル
パーDNAではなくヘルパーウイルスの使用を含む。 さらに別の実施態様では、アデノウイルスL4−100kDa蛋白質の発現は
プラスミドまたは293細胞のゲノム内から指令される。なぜならば、この蛋白
質は後期ウイルスmRNAの効率的な翻訳に必要で(文献31で概説)、その構
造性発現は、ヘルパーウイルスによってコードされるmRNAによる蛋白質の生
産を強力に高めるからである。
【0036】 また別の特徴では、本発明は、転写因子MAZおよびSp1をコードする遺伝
子の使用、およびアデノウイルスのMLPを活性化するためにそれらの遺伝子生
成物を使用することを包含する。さらに別の特徴では、MAZおよびSp1を用
いて上記のようにヘルパーDNAのMLPを活性化し、したがって治療用蛋白質
をコードするDNAを含むベクターを含有するアデノウイルス粒子の複製および
被包化収納を上記のように刺激することができる。
【0037】 本明細書で用いられるように、" 医薬組成物"とは、適切な希釈剤、保存料、 可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または賦形剤と混合された治療的に有
効な量のベクター指す。本明細書で用いられる" 治療的に有効な量"とは、ある 症状および投与計画について治療効果を提供する量を指す。そのような組成物は
液体または凍結乾燥されているか、そうでなければ乾燥薬剤で以下を含む:種々
の緩衝成分を含む希釈剤(例えばトリス−HCl、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液)
、pH、イオン強度、表面に吸収されるのを防止するアルブミンまたはゼラチン
のような添加物、洗剤(例えばトゥイーン20、トゥイーン80、プルロニック
F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えばグリセロール、ポリエチレングリコール
)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存料(例
えばチオメロサール、ベンジルルコール、パラベン)、膨張剤または張度改変剤
(例えばラクトース、マンニトール)、ポリエチレングリコールのようなポリマ
ーの蛋白質への共有結合、金属イオンとの複合化、または材料の以下の調製物へ
の取り込み;ポリマー化合物(例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル
など)の粒子化調製物、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、一
層または多層小胞、赤血球ゴーストまたはスフェロプラスト。そのような組成物
は、物理的状態、可溶性、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアラン
スに影響を与えるであろう。制御放出組成物または徐放性組成物には親油性蓄積
体(例えば脂肪酸、ワックス、油)製剤が含まれる。さらに本発明に包含される
ものはポリマー(例えばポロキサマーまたはポロキサミン)被覆粒子化組成物で
ある。本発明の組成物の他の実施態様では、粒状形に保護被覆、種々の投与ルー
ト(非経口、経肺、経鼻、および経口ルートを含む)のためにプロテアーゼ抑制
物質または浸透強化物質が包含される。ある実施態様では、医薬組成物は以下の
ルートで投与される:非経口、癌周辺、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、
皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、および腫瘍内。
【0038】 さらに、本明細書で用いられるように、" 医薬的に許容できる担体"は当業者 には周知で、0.01−0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液または
0.8%食塩水が含まれるが、ただしこれらに限定されない。さらに、そのよう
に医薬的に許容できる担体は、水溶液もしくは非水性溶液、分散液および乳剤で
あろう。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
植物油(例えばオリーブ油)および注射可能有機エステル(例えばオレイン酸エ
チル)である。水性担体には、水、アルコール/水溶液、乳剤または分散剤(食
塩水および緩衝媒体を含む)が含まれる。非経口賦形剤には、塩化ナトリウム溶
液、リンゲルデキストロース液、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リ
ンゲル液または固定油が含まれる。静脈内用担体には、体液栄養物補液、電解質
補液、例えばリンゲルデキストロースなどを基剤にした補液が含まれる。保存料
および他の添加物、例えば抗菌剤、抗酸化剤、照合薬剤、不活性ガスなどもまた
含むことができる。
【0039】 " アジュバント"という用語は、抗原に対する免疫反応を強化する化合物また は混合物を指す。アジュバントは、抗原をゆっくりと放出する組織の蓄積所とし
て、さらに非特異的に免疫反応を強化する類リンパ系の活性化物質として機能す
ることができる(Hood et al., Immunology, 2nd Ed.,(1984), Benjamin/Cummin
gs:Menlo Park, California, p.384)。アジュバントを用いない抗原のみによる
初回攻撃は、しばしば液性または細胞性免疫反応を誘発することができないであ
ろう。アジュバントにはフロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全ア
ジュバント、サポニン、水酸化アルミニウムのような鉱物ゲル、リゾレシチンの
ような界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油また
は炭水化物乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールおよ
び潜在的に有用なヒトのアジュバント、例えばBCG(Bacille Calmette-Gueri
n)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)が含まれる
が、ただしこれらに限られない。好ましくは、アジュバントは医薬的に許容でき
るものである。
【0040】 制御放出または徐放性組成物は親油性蓄積体(例えば脂肪酸、ワックス、油)
中に製剤を含む。本発明に包含されるものはまた、ポリマー(例えばポロキサマ
ーまたはポロキサミン)で被覆した粒子化組成物、および組織特異的レセプター
、リガンドもしくは抗原に対して製造した抗体と結合させた化合物、または組織
特異的レセプターのリガンドと結合させた化合物である。本発明の組成物の他の
実施態様では、種々の投与ルート(非経口、経肺、経鼻および経口投与を含む)
のために保護被覆、プロテアーゼ抑制物質または浸透強化物質が粒子化形態に包
含される。
【0041】 投与時に化合物はしばしば迅速に粘膜表面または循環系から除去され、したが
って比較的短時間の薬理活性を生じる。結果として、治療効果の維持のために比
較的大量の生物活性化合物の頻回投与が要求される。水溶性ポリマー(例えばポ
リエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの
コポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドンまたはポリプロピレン)の共有結合によって改変され
た化合物は、対応する未改変化合物よりも静脈注射後の血中半減期が実質的に長
くなることが知られている(Abuchowski et al., 1981; Newmark et al., 1982;
およびKatre et al., 1987)。そのような改変はまた、水溶液中での化合物の溶
解性を高め、凝集を防ぎ、化合物の物理的および化学的安定性を高め、さらに化
合物の免疫原性および反応性を大きく減少させる。結果として、未改変化合物の
場合よりも少ない回数または低い投与量で、そのようなポリマー化合物付加物に
よりin vivoで所望の生物学的活性が達成できる。
【0042】 投与量:十分な量は、約1μg/kgから約1000mg/kgを含むがただ
しこの量に限定されない。十分な量は10mg/kgであろう。医薬的に許容で
きる組成物は医薬的に許容できる担体を含む。活性な成分を含有する治療用組成
物の調製は当技術分野で周知である。典型的には、そのような組成物は、鼻咽頭
に到達させるポリペプチドエアロゾルとして、または注射可能な溶液もしくは分
散剤のどちらかとして調製されるが、注射前の溶液用もしくは分散剤用に適した
固体または液体も調製できる。調製物はまた乳化させてもよい。活性な治療用成
分はしばしば、医薬的に許容できる活性成分と適合する賦形剤と混合される。適
切な賦形剤は、例えば水、食塩水、デキストロース、グリセロース、エタノール
など、またはそれらの組み合わせである。所望の場合は、さらに組成物は、微量
の湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤のような活性成分の効果を高める補助物質
を含むことができる。
【0043】 活性成分は、医薬的に許容できる中和塩として治療用組成物に製剤化できる。
医薬的に許容可能な塩には、酸付加塩(ポリペプチドまたは抗体分子の遊離アミ
ノ基により生成される)が含まれ、これらは、無機酸(例えば塩酸、燐酸)また
は有機酸(例えば酢酸、蓚酸、酒石酸、マンデル酸など)により生成される。遊
離カルボキシル基で生成される塩もまた、無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、
カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは鉄)および有機塩基(例えばイソプ
ロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、
プロカインなど)から得ることができる。
【0044】 " A"(ここで" A"は単一の蛋白質、DNA分子、ベクターなど)を含む組成
物が、実質的に" B"(ここで" B"は1つまたは2つ以上の夾雑蛋白質、DNA
分子、ベクターなど)を含まないときは、その組成物中で重量で少なくとも約7
5%の蛋白質、DNA、ベクター(AおよびBが属する物質種のカテゴリーに応
じて)が" A"である。好ましくは" A"は重量で少なくとも90%、最も好まし
くは重量で少なくとも約99%のA+B物質種を含む。
【0045】 本発明の治療用組成物を指して用いられる場合" 単位用量"という用語は、ヒ ト用の分割できない単位投薬量として適切である物理的に特定される単位量を指
し、各単位量は、必要な希釈剤(すなわち担体)と結合させた、所望の治療効果
を生じるように計算された予め決定した量の活性物質を含有する。典型的には、
本発明のキットはまた、販売のためにぴったりと格納された状態でバイアルを収
納する手段、例えば所望のバイアルをその中に保持することができる注入または
吹き込み成形プラスチック容器を含む。容器の数またはタイプに関係なく、本発
明のキットはまた、動物の体内にこの完全な複合組成物を注射/投与または静置
することを補助する器具を含み、またはそれらと一緒に包装することができる。
そのような器具は、吸入器、注射筒、ピペット、ピンセット、計量スプーン、点
眼器、または任意の医療用として承認された投薬用媒体である。
【0046】 以下の実施例は、本発明の好ましい態様をさらに完全に説明するために提示さ
れる。しかしながらこれら実施例は一切本発明の範囲を限定するものと解しては
ならない。本発明は、その特徴を外れることなく他の形態または態様で具現化ま
たは実施できる。したがって、本実施例は説明的なもので、添付の請求の範囲に
よって示される本発明の範囲を制限するものではなく、同等な意味および範囲内
に含まれる一切の変形は本発明の範囲内に包含される。多様な参考文献が本明細
書を通して引用され、それらの各々は参照により本明細書に含まれる。
【0047】実施例 実施例1: アデノウイルス主要後期プロモータ(MLP)は、ウイルスの構造蛋白質の大
半およびいくつかの非構造蛋白質をコードする主要後期転写ユニットの発現を制
御する(22に概説)。MLPは感染初期および後期に活性を示すが、DNA複
製の開始後に最大活性に達する。遺伝学的および生化学的研究によって、多数の
転写因子結合部位およびMLPによる発現を調節する対応するDNA結合蛋白質
が特定された。これらには、TATA成分に結合するTATAボックス結合蛋白
質(TBP)およびTFIID複合体、−50のUSF/MLTF結合部位、−
70近傍のCAATボックス、+1のイニシエータ部位、および蛋白複合体(細
胞因子およびウイルスIVa2蛋白質を含む)と結合する下流の成分が含まれる
(22に概説)。これらの因子結合部位の大半は多様なアデノウイルス血清型を
もつMLPで保存されており、これらの部位が適切な転写調節に重要であると考
えざるをえない(図1および参考文献25)。
【0048】 MLPの興味深い構造的特性は、TATAボックス周囲のGC富裕配列の存在
である(図1)。これらの配列は、いくつかの他のアデノウイルスと同様にヒト
アデノウイルスで良好に保存されており(図1および文献25)、このことは、
MLPにとってこの配列が機能的に重要であることを暗示している。GC富裕成
分は、広範囲にAT塩基で置換しても全細胞抽出物での主要後期プロモータ活性
を抑制しないが、上流のTATA基部GC富裕成分における変異はウイルス感染
細胞でのMLP活性を低下させた(3)。さらに、Yuら(30)は、MLPが高
次螺旋形成プラスミドに存在するときは、TATA基部GC富裕配列はヌクレア
ーゼ感受性構造を形成することを見出した。しかしながら、この発見の生理学的
重要性は明らかではない。
【0049】 我々は、亜鉛フィンガー蛋白質MAZおよびSp1によるGC富裕プロモータ
転写調節に興味をもってきた(20)。MLPのGC富裕配列はMAZおよびS
p1のための潜在的結合部位であるので、これら因子のプロモータと相互反応す
る能力およびその活性を調節する能力を調べた。結果は、両因子はMLPのGC
富裕配列と相互反応し、MLP活性を刺激し、さらにE1A蛋白質と反応するこ
とを示唆した。
【0050】 材料と方法 プラスミド、ウイルスおよび細胞: fluエピトープタグ付きMAZおよびSp1を産生する発現プラスミドにつ
いては以前に記載した(20)。289アミノ酸残基のE1A蛋白質のcDNA
(13SのE1A)はCMVプロモータから発現された(23)。エピトープタ
グ付きYY1発現プラスミドはYY1cDNAをプラスミドpRep4(InVitr
ogen)にYY1cDNAを挿入して調製した。MLP構築物(pMLP−260
/+11)は、PfuDNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いてポリメラーゼ
連鎖反応によって生成したDNAフラグメントをクローニングすることによって
調製した。プロモータフラグメントは、ルシフェラーゼレポータープラスミドp
GL2−ベーシック(Promega)でクローニングした。最小MLP構築物は、主要
後期開始部位(pGL2−ベーシックでクローニング)に対して−48から+1
1の配列を含んでいる。これらは、二本鎖オリゴヌクレオチドをルシフェラーゼ
ベクターでクローニングして調製した。主要後期L1RNA5'末端の検出のた めのハイブリダイゼーションプローブを供給するプラスミドは、第一のリーダー
および第二のリーダーの一部分を含むcDNAを生成することにより調製した。
このcDNAを−260から+1までのプロモータ配列と融合させ、ベクターp
SP72(Promega)でクローニングした。L5領域の一部分を含むゲノムDNA
クローンは、89から92マップユニットのAd5DNA配列をpGem4(Pr
omega)でクローニングして調製した。
【0051】 5型アデノウイルス(Ad5)E1Aマイナス変異体であるdl312(11
)は、E1A蛋白質を発現している293細胞で増殖させ(6)、ウイルスDN
Aは以前に記載(19)されたように精製ウイルスから調製した。感染は20p
fu/細胞の感染数で実施した。 HeLa細胞は,10%の胎児クローンII血清(HyClone Laboratories)補
充ダルベッコー(Dulbecco's)最少必須培養液で維持した。293細胞は、10
%のウシ胎児血清(HyClone Laboratories)補充イスコブ(Iscoves)改変ダルベ
ッコー培養液(IMDM)で増殖させた。
【0052】 発現アッセイ: HeLaおよび293細胞を燐酸カルシウム沈殿法によりトランスフェクトし
、採集して以前に記載(20)したようにルシフェラーゼアッセイのために処理
した。ウイルスDNAを293細胞にトランスフェクトする場合は改変プロトコ
ルを用いた。ウイルスDNAおよび発現プラスミドを混合し、この溶液を1ml
の総容積とし0.3MのCaCl2最終濃度に調製した。沈澱を生成させるため に、1mlのヘペス緩衝食塩水(2)をDNA−カルシウム混合物に添加し、ピ
ペットで5回出し入れして混合した。1分間沈殿を形成させ、この2ml全部を
10%ウシ胎児血清を補充した9mlのIMDMを含む293細胞の10cmプ
レート上に加えた。沈殿物を細胞とともに12−16時間保温し、続いてこの細
胞を洗浄し、新しい培養液を加えた。トランスフェクションの開始後44−48
時間でRNA調製のために細胞を採集した。DNA複製をヒドロキシウレア(Ca
lbiochem)で阻害させる場合は、薬剤(10mM)をトランスフェクションの開
始後1時間で添加し、採集までこの培養液を維持した。
【0053】 一般に、RNAはグアニジニウム溶解およびCsCl2中での遠心によって調 製した。トリゾール試薬(Life Technologies)を用いて、いくつかのRNA調製
物をグアニジニウム/フェノール抽出法(4)によって作製した。ヌクレアーゼ
S1分析は本質的に以前に記載(20)したようにいくつかの改変を加えて実施
した:RNA/DNAハイブリッドは1300ユニットS1(Boehringer Mannh
eim)/mlで消化した;L5DNA/RNAハイブリッドは30℃で消化した;
さらにヌクレアーゼ消化は1時間実施した。末端標識プローブの調製手順および
ハイブリダイゼーション条件は文献に記載されている(Parks & Shenk, 20)。
MLP5'末端プローブはScaI部位(Ad5ヌクレオチド7148)で標識 した。L5プローブはBg1II部位(Ad5ヌクレオチド32491)で標識
した。ルシフェラーゼRNAの検出のために、MLPルシフェラーゼプラスミド
DNAをルシフェラーゼコード領域のXbaI部位で標識した。ハイブリダイゼ
ーションは、47℃(MLP5'末端プローブまたはルシフェラーゼプローブ) または50℃(L5プローブ)で8−16時間実施した。
【0054】 トランスフェクト細胞抽出物の蛋白質の免疫沈澱は、文献(2)にしたがって
fluエピトープタグ(14)に特異的な単クローン性(モノクローナル)抗体
12CA5および" E1A"緩衝液条件(9)を用いて実施した。ウェスタン分 析は以前の記載(20)にしたがって実施し、fluエピトープタグに対する抗
体またはE1A蛋白質(8)に対するM73モノクローナル抗体を用いた。
【0055】 ウイルスDNAの複製をモニターするために細胞を上記のようにトランスフェ
クトしたが、ただしリン酸カルシウムトランスフェクション混合物の規模を50
%に落とし、1穴につき2.5mgのAdDNAおよび5mgの適切なプラスミ
ドで6穴プレートの293細胞をトランスフェクトした。文献に記載(Volkert &
Young, 28)された改変ハート(Hirt)法を用いてトランスフェクション後4
8−72時間でDNAを採集した。HindIIIでDNAを消化し、サザンブ
ロット(2)で分析した。Ad5の配列5788−6095と相補的な32P標識
リボプローブを上記のブロットとハイブリダイズさせた。
【0056】 DNA分解酵素Iによるフットプリンティングおよびin vitro転写: DNA分解酵素Iによるフットプリンティングおよびin vitro転写アッセイの
詳細は文献に記載されている(Parks & Shenk, 20)。精製組換えMAZは以前
に記載(20)されたように調製し、組換えSp1は購入した(Promega)。完 全細胞の粗抽出物を調製してin vitro転写に用いた(15)。転写反応は以前の
実験と少し異なり、非特異的DNAとしてポリdG/dC−dG/dCではなく
pBluescript SKを用いた。スーパースクリプト(Superscript)II逆転写酵素(
Life Technologies)を用いて50℃で実施するプライマー伸長(20)によって
、反応混合物から単離したRNAを分析した。
【0057】 結果 MAZおよびSp1はMLP内の多数の部位に結合する: 転写因子MAZおよびSp1についての興味から、これらの因子が、転写開始
部位に対して−18(−18GC)、−36(−36GC)および−166(−
166GC)に集中するGC富裕配列を介してMLPの活性に影響を与える可能
性を調べた。MLPについて−166の部位は、異なって転写されるIVa2プ
ロモータの−45に位置する。−18GCおよび−36GC配列(図1)は、T
ATAモチーフに接し、さらに多様なアデノウイルスで保存されているので特に
興味をそそる実験対象物である。MAZおよびSp1と相互反応する−18GC
および−36GC配列の能力を先ず調べた。フットプリント反応によって、MA
Zは多数の部位でMLPと結合することが明らかになった(図2A)。2つの部
位は−100の上流で、残りの2つの部位はTATAボックス近くのGC富裕配
列に一致する。アッセイに添加したMAZの量を定量することによって、TAT
Aボックスに接する2つの結合部位の存在が明らかになった。−18GC結合部
位はより低い蛋白質濃度で占領され、さらにもっと高い濃度ではより低い親和性
でMAZは−36GC結合部位と結合した。Sp1とプロモーターとの相互反応
はMAZほど広範囲ではなかった(図2B)。MLPの遠位部領域では、Sp1
は−166部位とのみ結合し、プロモータの基部では、Sp1は−18GC配列
とだけ結合する。
【0058】 MAZとSp1はE1Aと協調してMLPを活性化させる: MLPのGC富裕配列はMAZおよびSp1と相互作用することを確認した後
、転写因子はプロモータの活性に影響を与えるか否かを調べた。この実験を実施
するために、MLPレポータープラスミドの活性に対するMAZまたはSp1の
過剰発現の影響を調べる一過性発現アッセイを用いた。主要後期開始部位に対す
る−260から+11の配列をルシフェラーゼレポータープラスミドでクローニ
ングし、エピトープタグ付きMAZまたはSp1をコードする発現プラスミドと
ともにこの構築物を同時トランスフェクトした。Ad5の13SmRNAによっ
てコードされる289アミノ酸残基のE1Aアクチベータ蛋白質の過剰発現の影
響を調べた(22に概説)。MAZはルシフェラーゼ活性を40−50倍増加さ
せ、一方、E1AまたはSp1は4−10倍のより穏やかな増加を与えた(図3
A)。興味深いことには、MAZおよびE1Aを一緒に同時トランスフェクトし
たとき、2つの蛋白質の効果は増大し、ベクターだけで認められた値と比較して
200倍の増加が得られた。同様に、E1AおよびSp1の組み合わせは、いく
つかの実験で200倍に達するような非常に高い増加をもたらした。
【0059】 MAZおよびSp1がトランスフェクトしたプラスミドから産生されることを
確認するために、エピトープタグ付き蛋白質の存在について細胞抽出物をウェス
タンブロットアッセイによって分析した。両蛋白質が発現され(図3B、レーン
2、5)、さらに、E1Aをともに与えられた細胞で再現可能な強いSp1発現
強化が得られることが認められた(図3B、レーン6)。このSp1レベルの増
加は、E1AプラスSp1をトランスフェクトされた細胞で検出されるレポータ
ーの活性化の一因となるであろう。E1Aの発現の影響は、MAZ蛋白質発現レ
ベルに対しては無視できる程度のものである(図3B、レーン4)。
【0060】 安定したレベルのルシフェラーゼRNA(図3C)が測定され、MAZまたは
Sp1またはE1Aとの組み合わせ効果による活性化はMLPによるRNA蓄積
増加のためであることが確認された。トランスフェクトされた細胞から得られた
全RNAのハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼS1による定量によって
、一過性発現アッセイで得られた結果と一致する結果が得られた。ルシフェラー
ゼのRNAレベルは、レポーター遺伝子およびからの発現ベクターをトランスフ
ェクトした細胞では検出できなかった(図3C、レーン2)。同様に、E1A単
独またはSp1単独ではルシフェラーゼRNA検出のために必要なレベルの刺激
は得られなかった(図3C、レーン4、6)。これは、E1AまたはSp1単独
では比較的軽度な程度でレポーターが活性化することを示した一過性アッセイと
一致した(図3A)。MAZによる刺激はルシフェラーゼアッセイでより強く、
これはmRNAの検出でも同じであった(図3C、レーン3)。約75ヌクレオ
チドのバンドが明瞭で、そのサイズはMLP−ルシフェラーゼ発現プラスミドに
由来する正確に開始されたmRNAと一致する。さらに、ルシフェラーゼアッセ
イから予想されたように、MAZプラスE1AまたはSp1プラスE1Aの組み
合わせ効果によって、RNAレベルで最高の増加が得られ(図3C、レーン5、
7)、MAZのみがレポーター遺伝子とともに発現される場合よりも約3−4倍
多いレポーターRNAが生成された。
【0061】 E1AおよびMAZまたはE1AおよびSp1の組み合わせ効果は、E1Aは
これら亜鉛フィンガー蛋白質と相互作用する可能性を示唆し、以前の実験ではS
p1およびE1Aはin vitroで複合体を形成することができることが示された(
16)。この以前のSp1に関する結果を確認し、さらにE1AとMAZとの可
能な相互反応を調べるために、免疫沈澱実験を実施した。fluエピトープタグ
付きMAZを発現するベクターまたはSp1発現ベクターをE1Aの存在下また
は非存在下でHeLa細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞
の抽出物から得た蛋白質を抗fluエピトープタグ抗体で免疫沈澱させ、SDS
ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、ニトロセルロースにブロットを移した。
続いて2組のウェスタンブロットを抗E1Aまたは抗エピトープタグ抗体をプロ
ーブとして分析した。エピトープタグに対する抗体によって、MAZおよびSp
1はトランスフェクトされた細胞から免疫沈澱することが示された(図3D、左
パネル)。以前のin vitroの結果と符合し、E1Aに対する抗体によって、E1
AはSp1とともに共沈することが示された(図3D、右パネルのレーン1)。
MAZおよびE1Aをトランスフェクトした細胞の抽出物では、ある程度のE1
AがMAZと共沈することが明瞭である(図3D、右パネルのレーン3)が、た
だしSp1と共沈するよりもMAZと共沈するE1Aの方が実質的に少ない。こ
のことは、MAZ−E1A相互反応は、E1AとSp1との相互反応よりもこの
免疫沈澱条件に対してより不安定であることを示しているのかもしれない。しか
しながら、エピトープタグ付きMAZに対する抗体と共沈するE1Aのレベルの
低下は、転写因子プラスE1Aを発現するプラスミドを与えられたトランスフェ
クト細胞ではSp1と比較してMAZ発現レベルが実質的に低いことを少なくと
も部分的に反映している可能性が高い。
【0062】 MAZはTATAモチーフと接するGC配列を介して転写を活性化させる: MLPとGC富裕結合因子との間の極めて興味深いDNA蛋白質相互反応は、
TATAボックスと直接接する−18GCおよび−36GC配列で生じる(図1
)。プロモータのこの領域内のMAZおよびSp1によって生成されたフットプ
リントは実際TATA配列に及ぶ(図2)。変異分析を実施し、これらのGC富
裕配列がMLPの活性化に関与しているのか否かを調べた。−36GC配列、T
ATA成分、−18GC配列およびイニシエーター領域のみを含む最小MLP(
−45から+11)を構築し、−18GCモチーフ(M1)、−36GCモチー
フ(M2)、両モチーフ(M3)または両モチーフとともにTATAおよびイニ
シエーター成分(M4)を破壊する塩基対置換を含む変異誘導体を作製した(図
4A)。DNA蛋白質相互反応に対する変異の影響をフットプリントアッセイに
よって調べた(図4BおよびC)。野性型最小プロモータの場合、−18GCお
よび−36GC配列での相互反応パターンは、完全な長さのプロモータで観察さ
れるものと同一であった。すなわち、2つのMAZ結合部位および1つのSp1
部位が明瞭であった。−18GC配列の変異(M1)は、1つのMAZ結合部位
の破壊と一致するMAZフットプリントのサイズを減少させ、M1変異はSp1
との相互反応を完全に阻害した。したがって、−18GC変異体によって、MA
Zは最小プロモータ領域内の2つの別々の部位と相互反応すること、およびただ
1つのSp1結合部位が存在することが確認された。−36GC変異(M2)は
MAZによって保護される領域のサイズを減少させて、−36GC配列もまたM
AZ結合部位を確認させたが、Sp1フットプリントには変化を与えなかった。
二重GC配列変異(M3)は、MAZおよびSp1がプロモータと相互反応する
能力を実質的に阻害した。
【0063】 プロモータ活性に対するこれらの変異の効果を調べるために、変種プロモータ
を含む高次コイル形成鋳型DNAを用い、完全細胞抽出物中でin vitro転写を実
施し、反応生成物をプライマー伸長によってアッセイした。GC配列の変異は転
写効率を低下させた(図5A、レーン2−5)。−18配列の変異(M1)は野
性型プロモーターと比較して約2倍転写を減少させ、−36GC配列の変異(M
2)は約3倍転写を減少させた。両GC配列の変異(M3)はさらに顕著な減少
(5倍)をもたらした。両GC配列、TATAボックスおよびイニシエーター内
に変異をもつプロモータ(M4)でプログラムされた転写反応は、プロモータ配
列を含まないベクターの場合または鋳型DNAを含まない場合と同様に、検出可
能な生成物を生じなかった(図5A、レーン6−8)。過剰発現MAZおよびS
p1による最小プロモータおよびその変異誘導体をトランスフェクト細胞内で活
性化させる能力を調べた。293細胞はアデノウイルスE1A蛋白質を含み、さ
らにMAZおよびSp1はウイルス転写アクチベータの存在下でMLPを非常に
強く活性化するので、293細胞を用いた。fluエピトープタグ付きMAZま
たはSp1のどちらかを発現するエフェクタープラスミドとともに各MLP構築
物を細胞にトランスフェクトした。GC変異はMAZによる活性化に影響を与え
たが、Sp1による軽度の活性化に対してはほとんど影響を示さなかった(図5
B)。単一GC変異(M1またはM2)はいずれもMAZによる活性化に対して
ほとんど影響をもたなかったが、両方のGC変異が存在する場合(M3)は、M
AZによる活性化は、野性型最小プロモータの場合の30−50倍と比較して約
10−15倍まで減少した。そのモチーフの全てに変異を含むMLP(M4)お
よびプロモータのないルシフェラーゼプラスミドはMAZによって5倍の活性化
を示した。この活性化は、Sp1による全ての構築物の定常的な2−3倍の活性
化と同様に、おそらくMLPの外側にあるルシフェラーゼベクター内のGC富裕
配列によるものであろう。
【0064】 Sp1がTATAモチーフと接するGC配列を介して最小プロモータを活性化
できない(図5B)ということは、Sp1は−166に集中するその上流の結合
部位(図2)を介して作用しMLPの転写に影響を与えることを示唆している。
この仮説と一致して、Sp1はE1Aと協調して、この上流のGC成分を含むレ
ポーターを強く活性化した(図3A)。
【0065】 MAZおよびSp1によるウイルスゲノムに存在するMLPの活性化: MAZおよびSp1がMLPを活性化する能力をさらに調べるために、ウイル
スゲノム内のMLPの活性化を調べた。この場合は、プラスミド構築物に存在し
ない、上流または下流のさらに別の配列がプロモータの活性に影響を与えるかも
しれず、他のウイルス遺伝子生成物がプロモータの調節に影響を与えるかもしれ
ず、さらにウイルスDNAの複製がプロモータの活性に影響を与えるかもしれな
い。発現ベクターによる同時トランスフェクションによって添加MAZおよびS
p1の影響が効果的にモニターできるように、ウイルスによる感染ではなくウイ
ルスDNA分子のトランスフェクションを用いた。DNA複製が生じる条件下、
またはDNA複製を阻害するヒドロキシウレアの存在下で293細胞にアデノウ
イルスDNAをトランスフェクトした。トランスフェクション後48時間してR
NAを採集し、ウイルスゲノムのL1またはL5領域によってコードされるRN
Aを検出するプローブを用いハイブリダイゼーションによって分析した。L1お
よびL5RNAは両方ともMLPで開始する転写物から生成される。ウイルス感
染細胞では、L1RNAはウイルスDNA複製開始の前後の両方で発現され、一
方、L5RNAはDNA複製が開始した後でのみ生成される(17、22、27
に概説)。
【0066】 レポータープラスミドを用いた実験によって予想したように(図3A、5B)
、ウイルスゲノムDNAとMAZまたはSp1発現プラスミドとの同時トランス
フェクションは、MLPからの発現を刺激した。L1RNAのレベルはMAZお
よびSp1の両方によって2から5倍増加した(図6A、レーン1、3、5)。
ヒドロキシウレアの添加は、L1RNA(図6A、レーン1、2を比較)と同様
にウイルスDNA(図6C)の蓄積を抑制し、DNA複製開始前の感染細胞での
主要後期プロモータの活性化の低下と符合する(20に概説)。薬剤の存在下で
は、MAZまたはSp1はL1RNAの蓄積を17倍も刺激した(図6A、レー
ン4、6)。MAZおよびSp1は類似の効果をもたらし、これは、より完全な
(−260から+11)MLPを含むルシフェラーゼレポーターを用いる一過性
アッセイと一致した(図3A)。ゲノムDNAプラスMAZまたはSp1を同時
トランスフェクトした細胞のL1RNAレベルは非常に高く、これは20pfu
/細胞の感染数でAd5を感染させた293細胞で蓄積される量に匹敵する(図
6A、レーン8)。
【0067】 この転写因子はまた、主要後期転写ユニットのL5領域を介して転写を刺激し
た。L5RNAの蓄積は、MAZまたはSp1発現プラスミドなしにウイルスゲ
ノムを与えられた細胞でヒドロキシウレアによって実質的に阻害された(図6B
、レーン2)。ヒドロキシウレア処理はまた感染細胞でL5RNAの蓄積を阻害
した。この阻害は、主要後期転写ユニット(L1およびL5)の5'基部ドメイ ンのみがウイルスDNA複製がなくても転写されることを示した以前の実験(1
7、22、27で概説)と一致する。MAZをウイルスDNAと同時トランスフ
ェクトした場合、ヒドロキシウレアの非存在下でL5RNA蓄積は軽度に増加し
、DNA合成が薬剤で阻害された場合はL5RNAの蓄積は強く刺激された(図
6B、レーン3、4)。Sp1は、DNAの複製がないときMAZと同じように
は効果的にL5RNAの蓄積を刺激せず(図6B、レーン6)、トランスフェク
トしたDNAに由来するL5RNAレベルは、MAZが存在する場合でも感染後
に達成されるレベルよりも実質的に低い(図6B、レーン8)。最後に、コント
ロールとしてYY1(別の亜鉛フィンガー蛋白質(23))をコードする発現プラ
スミドによるMLPの活性化を調べた。MLPにはYY1のための既知の結合部
位は存在せず(10)、予想したようにYY1の過剰発現は発現に影響を与えな
かった。
【0068】 考察 本明細書で示したように、MAZおよびSp1はMLPと多くの部位で結合で
きる。これらの部位にはTATAモチーフと接するGC富裕成分が含まれる(図
1C)。MAZはTATA配列の上流および下流の両方で結合し、一方、Sp1
は下流部位と結合するが上流では結合しない(図1A)。過剰発現MAZまたは
Sp1は、相応に大きいMLPセグメント(−260から+11)を含むルシフ
ェラーゼレポーターを用いるトランスフェクションアッセイ(図2AおよびC)
、または完全なAd5ゲノムが細胞にトランスフェクトされるアッセイ(図6)
でMLPを活性化することができる。対照的に、最小MLP(−45から+11
)を含むレポーターは過剰発現MAZと反応するが、Sp1とは反応しない(図
5B)。このことは、大きなMLPセグメントを含むレポーターは、−166に
集中する上流の結合部位を介してSp1と反応することを示唆している。以前に
ゲノムフットプリントによって、感染細胞内でこの上流部位は占領されているこ
とが示された(1)。最後に、MAZおよびSp1はともにE1Aと協力してM
LPの転写を誘発する(図3AおよびC)。この協調作用と符合して、トランス
フェクトされた細胞抽出物から得られたE1Aは、エピトープタグ付きMAZお
よびSp1蛋白質に対するモノクローナル抗体により同時に免疫沈澱する(図3
D)。以前の実験によって、Sp1およびE1Aはin vitroで相互作用すること
が示された(16)。
【0069】 MAZまたはSp1によるウイルスゲノムに存在するMLPの活性化は、DN
A複製がヒドロキシウレアで阻害されたときに極めて顕著であった(図6)。こ
のことは、MAZまたはSp1の過剰発現は、通常DNA複製によって仲介され
るMLP活性化機能を代替できることを示しているのかもしれない。これまでの
ところ、このプロモータの活性化におけるDNA複製の役割は明かではない(2
2に概説)。おそらく、MAZおよびSp1は、DNA複製に依存する転写活性
化機構の正常な一部分として機能している。複製は、MAZおよびSp1により
接近しやすいゲノム性鋳型を生じ、順々にこれら因子の補充が増加することによ
って、転写開始複合体の他の成分が引きつけられるのであろう。より高濃度のM
AZまたはSp1は、トランスフェクションによる裸出DNAの細胞への配送と
相まって、より接近しやすい鋳型の必要性を排除し、さらにヒドロキシウレアに
よるDNA複製の抑制を代償するのかもしれない。驚くべきことには、MAZの
過剰発現はDNAが複製されないときにL5RNAの蓄積を(Sp1ではより限
定された範囲で)強化した(図6)。通常、DNA複製は主要後期ユニットの遠
位部(L5領域を含む)の転写に必須であるが、このユニットが転写される強さ
を制御する機構は分かっていない(22に概説)。DNAが複製されていないと
きのMLPの活性化はL5RNAの蓄積をもたらすといういう観察は、完全な長
さの転写は単なる質量作用効果であることを示唆している。すなわち、プロモー
タがより活性化し、より多くのRNAポリメラーゼがそのユニットの転写を開始
し、引続きより多くの分子がユニットの末端に移動しL5RNAを生成する。
【0070】 Yu & Manley(29)は、TATAモチーフと接しているGC富裕成分中に塩基
対の置換を含む大量のMLP誘導体セットのHeLa完全細胞抽出物における転
写活性を調べた。GC富裕配列中に多数のGからAへの遷移をもつそれら変種の
いくつかは、無細胞アッセイで野性型活性を示した。対照的に、本明細書の置換
変異体(これらはMAZおよびSp1のGC富裕成分との結合を妨げる(図4))
は、野性型の最小MLPよりもいくぶん活性が低い(2.5倍)。これらの明ら
かに矛盾する結果についてはいくつかの可能な説明が考えられる。2つの実験で
は異なる変異が調べられ、以前の実験で分析された変異はMAZおよびSp1の
結合を阻害するか否かは不明である。異なる結果は、異なるMLPセグメントを
in vitro転写アッセイで使用したことによるのかもしれない。すなわち、以前の
実験は−66から+193の配列を用い、この実験は−45から+11の配列を
用いた。より大きなMLPセグメントと結合するが、最小MLPにアクセスでき
ない因子は、TATAモチーフと接するGC富裕配列内の変異の効果を分かりに
くくするであろう。
【0071】 Brunetら(3)は、感染細胞内のアデノウイルス染色体に対するTATAモチ
ーフと接するGC富裕成分内の変異の影響を調べた。TATA成分の下流のGC
富裕配列中における多数のGからAへの遷移は明らかな影響を示さなかったが、
上流のGC富裕領域における置換は2から6倍MLPの活性を減少させた。した
がって、最小MLPに関するこれらの結果(図5)は、ウイルスゲノム上のML
Pの変異分析の結果(3)と同様に、TATAモチーフに隣接するGC富裕配列
はMLPの完全な活性の一助となることを主張している。
【0072】 これらのGC富裕成分は、MAZおよびSp1のための結合部位として役立つ
ことによってMLP活性に寄与しているのであろうか。過剰発現Sp1は最小M
LPを活性化しないが、しかしSp1は293細胞では数量が限定されておらず
、そのためSp1の添加は最小MLPレポーターの活性に影響を与えない可能性
がある。さらにまた、Sp1族の他のもの(7、13)が活性化に役割を果して
いるかもしれない。MAZは最小MLPを明瞭に活性化し(図5B)、したがっ
てMAZおよびおそらくはSp1族のものはこれら配列を介してMLP活性に影
響を与える可能性が高い。
【0073】 MAZが−18および−36に集中するGC配列と結合するとき、そのDNA
分解酵素IのフットプリントはTATAモチーフと重なり合う(図2および4B
)。さらに、TFIID/TFIIA/TFIIB複合体が開始複合体の形成時
にプロモータと相互作用するとき、TFIIAおよびTFIIBは、TATA配
列の上流および下流の両方でプロモータDNAと接触する(5、18、26)。
MLPの場合、これらの接触はMAZが位置しているGC富裕配列内で生じるで
あろう。MAZ、TFIIAおよびTFIIBはMLPのこれらのドメインと同
時に接触できるかもしれない。これら因子とMLPとの同時に起こる相互作用を
示すための試みでは、これまでのところ決定的な結果は得られていない。さらに
また、MAZがTATAモチーフと接しているGC富裕配列と相互作用するとき
、TBPはプロモータDNAとの直接結合から除外されるかもしれないというこ
とが考えられる。この場合、TFIIDは、蛋白質−蛋白質相互作用によってプ
ロモータにもたらされるかもしれない。TATAモチーフ内の2つの単塩基対変
化は、感染細胞でのMLPから適切に開始させた転写物の発現を低下させたが、
完全には阻害しなかった(21)ということは注目すべきことである。おそらく
、TFIIDは、この変異ウイルスではもっぱらMAZとSp1とのその相互作
用を介してプロモーターにもたらされる。以前には、MAZは、特定可能なTA
TAモチーフがなくてもセロトニン1aレセプター(ここには対応するTATA
成分をもつようにはみえない一連の転写開始部位の極めて基部にMAZ/Sp1
部位が見出される)内のプロモータ配列にTFIIDをもたらすと説明された(
20)。直接的なTBP−DNA相互反応がなくても主要後期プロモータにTF
IIDを誘導するMAZおよびおそらくはSp1族のものの潜在能力は、2つの
別個の開始メカニズムがMLPを作動させるという興味をそそる可能性を提示し
た。開始態様の1つは、TFIIDとTATAモチーフの直接結合を必要とし、
他の態様は、TFIIDをMAZまたはSp1結合プロモータにもたらすために
蛋白質−蛋白質相互反応を必要とするであろう。
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111-2148.
【0075】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 アデノウイルスMLP配列のアラインメント。比較のために、MLP由来の4
つの配列モチーフの略図が示されている。これは、TATAモチーフ、イニシエ
ーター配列およびTATAボックスと接するGC富裕配列(−36GCおよび−
18GC)を含む。図の下に、MAZ(19)およびSp1(12)のためのコ
ンセンサス結合部位が、MLP内のTATAモチーフと接するGC富裕コンセン
サス配列と比較されている。
【図2】 DNA分解酵素I保護によるMLPにおけるDNA−蛋白質相互反応の分析。
(A)MAZ蛋白質の量を増加させながら、開始部位に対してヌクレオチド+4
7から−260までのMLPフラグメント(ヌクレオチド+47を32Pで末端標
識)と保温した。DNA分解酵素Iによる限定的消化後にフットプリント反応生
成物を処理し、GAシークェンシング階段標識の隣でシークェンスゲルで電気泳
動した。オートラジオグラムの側面の棒線は保護領域を示す。黒色の棒線は強い
MAZ結合部位を表し、灰色の棒線は弱いMAZ結合部位を表す。開始部位に対
するヌクレオチドの位置はオートラジオグラムの側面に表示されている。(B)
このパネルに示した実験は上記のように実施したが、Sp1蛋白質を含むフット
プリント反応を伴う。Sp1フットプリントは斜線入り棒線で示されている。(
C)フットプリント実験の要約で、MAZおよびSp1のための結合部位を示し
ている。データは、切り取ったものをオフォト(Ofoto)ソフトを用いて走査し、
図はキャンバス(Canvas)3.5ソフトを用いて調製した。
【図3】 MAZ、Sp1およびE1AによるMLPの活性化。(A)MLP−ルシフェ
ラーゼレポータープラスミドを活性化させるMAZ、Sp1およびE1Aの能力
を調べる同時トランスフェクション実験。MLP−ルシフェラーゼ構築物は−2
60から+10のMLP配列を含んでいた。HeLa細胞にレポータープラスミ
ド(10μg)および以下の種々のエフェクタープラスミドをトランスフェクト
した:pCMV−E1A(1μg)、pCMV−MAZ(10μg)またはpC
MV−Sp1(10μg)。必要な場合には、挿入物を含まないCMV発現ベク
ターを加え、一定量のCMVプロモータ含有プラスミドを維持した。結果は、挿
入エフェクター配列を含まない発現プラスミドを加えたときに得られた活性に対
する達成活性レベルとして表されている。棒グラフは、5つの別個の実験から算
出した標準偏差と併せて活性化の平均レベルを表している。(B)トランスフェ
クト細胞におけるエピトープタグ付きMAZおよびSp1蛋白質の発現をモニタ
ーするウェスタンブロット分析。発現プラスミドの生成物は各レーンの上部に表
示されている。「ベクター」はからの発現プラスミドを与えられた細胞を意味す
る。マーカー蛋白質のキロダルトンによるサイズはオートラジオグラムの右側に
表示されている。(C)(A)のようにトランスフェクトした細胞で産生された
ルシフェラーゼRNAの分析。RNAはオートラジオグラムの上部に示したML
P−ルシフェラーゼプローブDNAとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼー
ションはS1ヌクレアーゼで消化して停止させ、消化生成物は変性ポリアクリル
アミドゲルで電気泳動した。MLP特異的シグナルは矢印で示し、マーカーDN
Aのサイズは表示されている。(D)(A)のようにトランスフェクトした細胞
抽出物の免疫沈澱アッセイ。各トランスフェクションで用いた蛋白質発現プラス
ミドはオートラジオグラムのレーンの上部に表示されている。パネル上方で、免
疫沈澱はfluエピトープタグに対して特異的なモノクローナル抗体を用いて実
施した。免疫沈澱蛋白質はウェスタンブロット法のために処理し、再びfluエ
ピトープタグに対して特異的なモノクローナル抗体を用いた。右側のパネルでは
、同一の免疫沈澱蛋白質セットをE1A蛋白質に対するモノクローナル抗体(a
−E1Ablot)をプローブとして用いて調べた。
【図4】 MAZおよびSp1結合に対するTATAモチーフに接するGC富裕配列内の
変異の影響。(A)野性型最小MLPおよびその変異誘導体の配列。(B)野性
型および変異MLPと結合するMAZ(B)およびSp1(C)をアッセイする
ためにDNA分解酵素Iフットプリント分析を実施した。プローブDNAはルシ
フェラーゼコード領域内で5'末端標識が施されている。野性型DNAに対する 強い(黒色)および弱い(灰色)MAZフットプリントおよびSp1フットプリ
ントがオートラジオグラムの側面に棒線によって指摘されている。開始部位に対
する配列の位置はGA配列反応の隣に示されている。
【図5】 最小MLPの活性に対するMLP変異の影響。ルシフェラーゼレポータープラ
スミドを図4Aに示した最小プロモータフラグメントを用いて調製した。(A)
野性型および変異MLPのin vitro転写活性を完全細胞抽出物で分析した。反応
生成物は、プライマー伸長および変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって
分析した。転写反応に用いた鋳型DNAはオートラジオグラムのレーンの上部に
表示されている。75塩基マーカー(M)の泳動は左側に表示され、MLP特異
的バンドは矢印で示されている。(C)野性型および変異MLPルシフェラーゼ
プラスミドを用いたトランスフェクション実験。MAZ(灰色の棒線)またはS
p1(斜線入り棒線)を発現するエフェクタープラスミド(1μg)とともに、
プラスミド(0.2μg)を293細胞にトランスフェクトした。活性化は、7
つの別個の実験から算出した。
【図6】 トランスフェクトしたウイルスDNAからの主要後期遺伝子の発現。アデノウ
イルスDNA(10μg)を各レーンの上部に示した因子を産生する発現プラス
ミド(10μg)とともに293細胞にトランスフェクトした。「ベクター」は
挿入物をもたないエフェクター発現プラスミドが加えられたことを示している。
細胞をトランスフェクション後48時間で採集し、全RNAを単離した。このR
NAをL1RNA(A)またはL5領域からのRNA(B)の5'末端を検出で きるようにデザインした〔32P〕−末端標識プローブとハイブリダイズさせた。
48時間のトランスフェクション中にヒドロキシウレアが存在(+)していたか
または存在していなかった(−)かが表示されている。マーカーDNAのサイズ
はオートラジオグラムの左側に示されている。陰性コントロールRNAは偽似ト
ランスフェクト細胞から調製し、陽性コントロールRNAは20pfu/細胞の
感染数でアデノウイルスを感染させた細胞から単離した。(C)トランスフェク
トしたアデノウイルスDNAの複製。ウイルスDNAは、トランスフェクション
後72時間でハート(Hirt)法により採集し、サザンブロットで分析した。Ad
5HindIII−Eフラグメントに特異的な〔32P〕−標識リボプローブをハ
イブリダイゼーションプローブとして用いた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 4H045 1/19 1/21 1/21 A61K 35/76 5/10 C12N 15/00 ZNAA // A61K 35/76 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AU,BA,BB,BG,BR,CA,CN, CU,CZ,EE,GD,GE,HR,HU,ID,I L,IS,JP,KP,KR,LC,LK,LR,LT ,LV,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,RO,SG,SI,SK,SL,TR,TT,U A,UZ,VN,YU Fターム(参考) 4B024 AA01 CA04 DA02 EA02 FA02 GA11 GA19 HA12 HA15 HA17 4B065 AA93X AA95Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 4C084 AA13 BA35 NA14 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 4C087 AA01 AA02 AA03 BB21 BB33 BC11 BC30 BC83 NA14 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 EA20 FA74 【要約の続き】 作用の証拠が免疫沈澱アッセイを用いて得られた。MA ZおよびSp1による活性化もまた、標的として完全な 5型アデノウイルスゲノムを用いたトランスフェクショ ン実験で観察された。L1およびL5両領域からの後期 mRNAレベルの増加は、MAZまたはSp1発現プラ スミドがウイルスDNAとともにトランスフェクトされ たときに観察された。予想に反して、MAZおよびSp 1による主要後期プロモータの活性化は、ウイルスDN Aが複製できるか否かにかかわらず検出された。

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントおよび前記直
    線状アデノウイルスゲノムの末端セグメントの間に挿入された核酸を含むアデノ
    ウイルスベクターであって、前記末端セグメントがアデノウイルスゲノムの複製
    開始点の核酸およびパッケージング配列遺伝子を含む前記アデノウイルスベクタ
    ー。
  2. 【請求項2】 前記アデノウイルスベクターが5型アデノウイルスである請
    求項1のアデノウイルスベクター。
  3. 【請求項3】 前記核酸がcDNAである請求項1のベクター。
  4. 【請求項4】 前記核酸がゲノムDNAである請求項1のベクター。
  5. 【請求項5】 前記核酸がRNAである請求項1のベクター。
  6. 【請求項6】 前記核酸が蛋白質、アンチセンスRNAまたはリボザイムを
    コードする請求項1のベクター。
  7. 【請求項7】 さらに機能的に核酸に連結されたRNA転写プロモータまた
    は核酸に連結された発現成分を含む請求項6のベクター。
  8. 【請求項8】 プロモータが、細菌プロモータ、酵母プロモータ、昆虫プロ
    モータまたは哺乳類プロモータを含む請求項6のベクター。
  9. 【請求項9】 さらに選択可能なマーカーを含む請求項1のベクター。
  10. 【請求項10】 前記選択可能マーカーがベータガラクトシダーゼまたはベ
    ータラクタマーゼである請求項9のベクター。
  11. 【請求項11】 アデノウイルスゲノムの複製開始点の核酸およびパッケー
    ジング配列遺伝子を欠失しているアデノウイルスゲノムを含むヘルパーアデノウ
    イルスベクター。
  12. 【請求項12】 さらにE1A遺伝子を欠失している請求項11のヘルパー
    アデノウイルスベクター。
  13. 【請求項13】 さらにE1B遺伝子を欠失している請求項11のヘルパー
    アデノウイルスベクター。
  14. 【請求項14】 さらに、アデノウイルスゲノムの領域内に転写因子の1つ
    または2つ以上の核酸が挿入されている請求項11のヘルパーアデノウイルスベ
    クター。
  15. 【請求項15】 前記転写因子がMAZである請求項14のヘルパーアデノ
    ウイルスベクター。
  16. 【請求項16】 前記MAZの核酸がMAZ核酸の−260から+11まで
    の配列から成る請求項14のヘルパーアデノウイルスベクター。
  17. 【請求項17】 前記転写因子がSP1である請求項14のヘルパーアデノ
    ウイルスベクター。
  18. 【請求項18】 さらに機能的に核酸に連結されたRNA転写プロモータま
    たは核酸に連結された発現成分を含む請求項14のベクター。
  19. 【請求項19】 プロモータが、細菌プロモータ、酵母プロモータ、昆虫プ
    ロモータまたは哺乳類プロモータを含む請求項18のベクター。
  20. 【請求項20】 さらに選択可能なマーカーを含む請求項11のベクター。
  21. 【請求項21】 前記選択可能マーカーがベータガラクトシダーゼまたはベ
    ータラクタマーゼである請求項20のベクター。
  22. 【請求項22】 請求項1および11のベクターを含むホスト細胞。
  23. 【請求項23】 前記ホストが原核細胞または真核細胞である請求項22の
    ホスト細胞。
  24. 【請求項24】 前記真核細胞が酵母、昆虫、植物または哺乳類細胞である
    請求項23のホスト細胞。
  25. 【請求項25】 請求項1のベクター、請求項11のベクター、および転写
    因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクターおよび適切な担体の希釈剤を含
    む医薬組成物。
  26. 【請求項26】 請求項1のベクター、請求項11のベクター、および転写
    因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクターを細胞にトランスフェクトし、
    それによってアデノウイルス主要後期プロモータを活性化させることを含むアデ
    ノウイルス主要後期プロモータを活性化させる方法。
  27. 【請求項27】 前記転写因子がMAZである請求項26の方法。
  28. 【請求項28】 前記転写因子がSP1である請求項26の方法。
  29. 【請求項29】 さらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターで細
    胞をトランスフェクトすることを含む請求項26の方法。
  30. 【請求項30】 問題の蛋白質をコードする核酸を含有するウイルス粒子の
    製造方法であって、前記方法が請求項1のベクター、請求項11のベクター、お
    よび転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクターを細胞にトランスフェ
    クトし、それによって前記ウイルス粒子を製造することを含む前記ウイルス粒子
    の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記転写因子がMAZである請求項30の方法。
  32. 【請求項32】 前記転写因子がSP1である請求項30の方法。
  33. 【請求項33】 さらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターを細
    胞にトランスフェクトすることを含む請求項30の方法。
  34. 【請求項34】 前記細胞がヒトの細胞である請求項30の方法。
  35. 【請求項35】 請求項1のベクターおよび適切な希釈剤または担体を含む
    医薬組成物;請求項10のベクターおよび適切な希釈剤または担体を含む医薬組
    成物;および転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクターおよび適切な
    希釈剤または担体を含む医薬組成物;または請求項1のベクター、請求項10の
    ベクター、および転写因子の1つまたは2つ以上の核酸を含むベクター並びに適
    切な希釈剤または担体を含む医薬組成物を対象者に投与し、それによって対象者
    に遺伝子を挿入することを含む遺伝子治療方法。
  36. 【請求項36】 前記転写因子がMAZである請求項35の方法。
  37. 【請求項37】 前記転写因子がSP1である請求項35の方法。
  38. 【請求項38】 さらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターを含
    む医薬組成物を投与することを含む請求項35の方法。
  39. 【請求項39】 さらにE1A遺伝子をコードする核酸を含むベクターおよ
    び希釈剤または担体を含む医薬組成物を対象者に投与することを含む請求項35
    の方法。
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