JP2005336199A5 - - Google Patents
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腫瘍抑制遺伝子の別の例は、網膜芽腫(RB)である。完全なRB cDNAヌクレオチド配列、および得られるRBタンパク質(p110RBと表す)の推定アミノ酸配列(配列番号7および8)は、Leeら(1987)および図3に示される。図2に示すアミノ酸配列をコードするDNA分子(配列番号8)、または図3に示すDNA配列を有するDNA分子(配列番号7)も、網膜芽腫腫瘍抑制タンパク質を発現するのに有用である。p56RBと呼ばれるp110RBの短縮型も有用である。p56RBの配列については、Huangら(1991)参照。別の腫瘍抑制遺伝子は、本発明のベクターに使用され得る。例示の目的のみでは、これらは、p16タンパク質(Kambら(1994))、p21タンパク質、ウィルムス腫瘍WT1タンパク質、ミトシン、h−NUC、または結腸ガンDCCタンパク質であり得る。ミトシンは、1993年10月22日に出願されたX.ZhuおよびW−HLeeの米国特許出願第08/141,239号、および1994年10月24日に出願された同発明者らによる続きの一部継続出願の代理人整理番号P−CJ1191に記載されており、これらは両方とも本明細書中に参考として援用されている。同様に、h−NUCは、参考として援用されている1993年12月20日に出願されたW−HLeeおよびP−L Chen、米国特許出願第08/170,586号に記載されている。
本発明のベクターの例は、p53タンパク質をコードする外来遺伝子、または本発明で提供されるその活性フラグメントを有する組換えアデノウイルス発現ベクターである。p53ポリペプチドのアミノ酸配列を、以下の表Iに記載する(配列番号9)。
組換えアデノウイルスの構築
Ad5/p53ウイルスを構築するため、p53(表I;配列番号9)の完全長cDNAを含有する1.4kbのHindIII−SmaIフラグメントをpGEM1−p53−B−T(Dr.WenHwaLeeより贈呈された)から単離し、標準的なクローニング手順(Sambrookら(1989)を用いて、発現ベクターpSP72(Promega)のマルチクローニングサイトに挿入した。p53挿入物を、XhoI−BglII消化およびゲル電気泳動に続いてこのベクターから回収した。次に、p53コード配列をpNL3CまたはpMNL3CMVアデノウイルス遺伝子転換ベクター(Dr.RobertSchneiderより贈呈された)に挿入した。このベクターは、PML2をバックグラウンドとしてAd55’逆末端反復、およびウイルスのパッケージングシグナル、およびAd2主要後期プロモーター(MLP)またはヒトサイトメガロウイルス初期遺伝子プロモーター(CMV)のいずれかの上流のE1aエンハンサー、それに続くトリパータイトリーダーcDNAおよびAd5配列3325〜5525bpを含有する。これらの新しい構築物は、Ad5のE1領域(360〜3325bp)を、Ad2 MLP(A/M/53)またはヒトCMVプロモーター(A/C/53)(どちらもトリパータイトリーダーcDNAに続く)によって操作されるp53で置換した(図4参照)。p53挿入片は、残存する下流のE1bポリアデニル化部位を使用する。さらにMLPおよびCMVが操作するp53組換え体(A/M/N/53、A/C/N/53)を作成した。これは、タンパク質IX(PIX)コード領域の除去のために、さらに705ヌクレオチドのAd5配列の欠失を持っていた。コントロールとして、p53挿入物を持たない親のPNL3Cプラスミドから組換えアデノウイルスを作成した(A/M)。第2のコントロールは、CMVプロモーターの制御下のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をコードする組換えアデノウイルスよりなっていた(A/C/β−gal)。プラスミドは、NruIまたはEcoRIのいずれかで線状化し、Cla I消化Ad5 d1309変異体またはd1327変異体(JonesおよびShenk(1979))の大きなフラグメントを用いて、Ca/PO4トランスフェクションキット(Stratagene)を使用して同時トランスフェクトした。ウイルスプラークを単離し、そして組換え体を、制限消化解析およびp53cDNA配列下流のトリパータイトリーダーcDNA配列に対する組換え体特異的プライマーを使用したPCRにより同定した。組換えウイルスを限界希釈によりさらに精製し、そしてウイルス粒子を精製し、標準的な方法(GrahamおよびvanderErb(1973); GrahamおよびPrevec(1991))によって力価測定した。
p53タンパク質検出
Saos−2またはHep3B細胞(5×105)は、ウイルス/細胞のプラーク形成ユニットの感染多重度(MOI)の増加している24時間の間、指示した組換えアデノウイルスで感染させた。
次に細胞を一度PBSで洗浄し、溶解緩衝液(50mMTris−HCl Ph 7.5、250 mM NaCl、0.1% NP40、50mM NaF、5mM EDTA、10 μg/mlアプロチニン(aprotinin)、10μg/mlロイペプチン(leupeptin)、および1mMPMSF)中で回収した。細胞タンパク質(約30μg)を、10%SDS−PAGEにより分離し、そしてニトロセルロースへ転写した。メンブレンはα−p53抗体PAb1801(Novocastro)でインキュベートし、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させたヒツジ抗マウスIgGとインキュベートした。p53タンパク質は、KodakXAR−5フィルムで化学ルミネセンス(ECLキット、Amersham)により可視化した。
Ad5/p53ウイルスを構築するため、p53(表I;配列番号9)の完全長cDNAを含有する1.4kbのHindIII−SmaIフラグメントをpGEM1−p53−B−T(Dr.WenHwaLeeより贈呈された)から単離し、標準的なクローニング手順(Sambrookら(1989)を用いて、発現ベクターpSP72(Promega)のマルチクローニングサイトに挿入した。p53挿入物を、XhoI−BglII消化およびゲル電気泳動に続いてこのベクターから回収した。次に、p53コード配列をpNL3CまたはpMNL3CMVアデノウイルス遺伝子転換ベクター(Dr.RobertSchneiderより贈呈された)に挿入した。このベクターは、PML2をバックグラウンドとしてAd55’逆末端反復、およびウイルスのパッケージングシグナル、およびAd2主要後期プロモーター(MLP)またはヒトサイトメガロウイルス初期遺伝子プロモーター(CMV)のいずれかの上流のE1aエンハンサー、それに続くトリパータイトリーダーcDNAおよびAd5配列3325〜5525bpを含有する。これらの新しい構築物は、Ad5のE1領域(360〜3325bp)を、Ad2 MLP(A/M/53)またはヒトCMVプロモーター(A/C/53)(どちらもトリパータイトリーダーcDNAに続く)によって操作されるp53で置換した(図4参照)。p53挿入片は、残存する下流のE1bポリアデニル化部位を使用する。さらにMLPおよびCMVが操作するp53組換え体(A/M/N/53、A/C/N/53)を作成した。これは、タンパク質IX(PIX)コード領域の除去のために、さらに705ヌクレオチドのAd5配列の欠失を持っていた。コントロールとして、p53挿入物を持たない親のPNL3Cプラスミドから組換えアデノウイルスを作成した(A/M)。第2のコントロールは、CMVプロモーターの制御下のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をコードする組換えアデノウイルスよりなっていた(A/C/β−gal)。プラスミドは、NruIまたはEcoRIのいずれかで線状化し、Cla I消化Ad5 d1309変異体またはd1327変異体(JonesおよびShenk(1979))の大きなフラグメントを用いて、Ca/PO4トランスフェクションキット(Stratagene)を使用して同時トランスフェクトした。ウイルスプラークを単離し、そして組換え体を、制限消化解析およびp53cDNA配列下流のトリパータイトリーダーcDNA配列に対する組換え体特異的プライマーを使用したPCRにより同定した。組換えウイルスを限界希釈によりさらに精製し、そしてウイルス粒子を精製し、標準的な方法(GrahamおよびvanderErb(1973); GrahamおよびPrevec(1991))によって力価測定した。
p53タンパク質検出
Saos−2またはHep3B細胞(5×105)は、ウイルス/細胞のプラーク形成ユニットの感染多重度(MOI)の増加している24時間の間、指示した組換えアデノウイルスで感染させた。
次に細胞を一度PBSで洗浄し、溶解緩衝液(50mMTris−HCl Ph 7.5、250 mM NaCl、0.1% NP40、50mM NaF、5mM EDTA、10 μg/mlアプロチニン(aprotinin)、10μg/mlロイペプチン(leupeptin)、および1mMPMSF)中で回収した。細胞タンパク質(約30μg)を、10%SDS−PAGEにより分離し、そしてニトロセルロースへ転写した。メンブレンはα−p53抗体PAb1801(Novocastro)でインキュベートし、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させたヒツジ抗マウスIgGとインキュベートした。p53タンパク質は、KodakXAR−5フィルムで化学ルミネセンス(ECLキット、Amersham)により可視化した。
腫瘍内RNA解析
BALB/c無胸腺ヌードマウス(約5週齢)は、1×107のH69小細胞肺ガン(SCLC)細胞を右側腹に皮下注射された。腫瘍は、それらが約25〜50mm3になるまで発達させた。マウスに、A/C/53またはA/C/β−gal組換えアデノウイルス(2×109のプラーク形成ユニット(pfu))のいずれかを、腫瘍塊の下の皮下空間に腫瘍周辺部注射した。腫瘍を、アデノウイルス処理後2日および7日で動物から摘出し、そしてPBSでリンスした。腫瘍サンプルを、ホモジナイズし、全RNAをTriReagentキット(MolecularResearchCenter、Inc.)を使用して単離した。ポリA RNAをPolyATract mRNA IsolationSystem(Promega)を使用して単離し、そして約10ngのサンプルを組換えp53 mRNA発現を決定するRT−PCR(Wangら(1989))に使用した。プライマーは、アデノウイルストリパータイトリーダーcDNAとp53cDNA下流との間の配列を増幅するように設計し、内因性p53ではなく組換え体でのみ増幅されることを確実にした。
BALB/c無胸腺ヌードマウス(約5週齢)は、1×107のH69小細胞肺ガン(SCLC)細胞を右側腹に皮下注射された。腫瘍は、それらが約25〜50mm3になるまで発達させた。マウスに、A/C/53またはA/C/β−gal組換えアデノウイルス(2×109のプラーク形成ユニット(pfu))のいずれかを、腫瘍塊の下の皮下空間に腫瘍周辺部注射した。腫瘍を、アデノウイルス処理後2日および7日で動物から摘出し、そしてPBSでリンスした。腫瘍サンプルを、ホモジナイズし、全RNAをTriReagentキット(MolecularResearchCenter、Inc.)を使用して単離した。ポリA RNAをPolyATract mRNA IsolationSystem(Promega)を使用して単離し、そして約10ngのサンプルを組換えp53 mRNA発現を決定するRT−PCR(Wangら(1989))に使用した。プライマーは、アデノウイルストリパータイトリーダーcDNAとp53cDNA下流との間の配列を増幅するように設計し、内因性p53ではなく組換え体でのみ増幅されることを確実にした。
組換えアデノウイルスからのp53タンパク質発現
p53組換えアデノウイルスがp53タンパク質を発現するかどうかを測定するために、内因性p53タンパク質を発現しない腫瘍細胞を感染させた。ヒト腫瘍細胞株であるSaos−2(骨肉腫)およびHep3B(肝細胞ガン)を、p53組換えアデノウイルスA/M/53またはA/C/53を用いて、0.1〜200pfu/細胞の範囲のMOIで24時間感染させた。感染細胞から調製したライゼートのウエスタン分析は、両方の細胞タイプにおける用量依存的なp53タンパク質発現を示した(図5)。両方の細胞株は、A/M/53を用いた感染の後よりもA/C/53を用いた感染の後の方が、より高いレベルのp53タンパク質を発現した(図3;配列番号7および8)。非感染細胞において、p53タンパク質は検出されなかった。内因性野生型p53のレベルは通常非常に低く、細胞抽出物のウエスタン分析ではほとんど検出されない(Bartekら、(1991))。しかし、野生型p53タンパク質レベルが、A/M/53またはA/C/53のいずれかを用いた低MOIでの感染の後に容易に検出されることは明白であり(図5)、このことは低用量の組換えアデノウイルスでも、潜在的に有効なレベルのp53を生成し得ることを示唆する。
p53組換えアデノウイルスがp53タンパク質を発現するかどうかを測定するために、内因性p53タンパク質を発現しない腫瘍細胞を感染させた。ヒト腫瘍細胞株であるSaos−2(骨肉腫)およびHep3B(肝細胞ガン)を、p53組換えアデノウイルスA/M/53またはA/C/53を用いて、0.1〜200pfu/細胞の範囲のMOIで24時間感染させた。感染細胞から調製したライゼートのウエスタン分析は、両方の細胞タイプにおける用量依存的なp53タンパク質発現を示した(図5)。両方の細胞株は、A/M/53を用いた感染の後よりもA/C/53を用いた感染の後の方が、より高いレベルのp53タンパク質を発現した(図3;配列番号7および8)。非感染細胞において、p53タンパク質は検出されなかった。内因性野生型p53のレベルは通常非常に低く、細胞抽出物のウエスタン分析ではほとんど検出されない(Bartekら、(1991))。しかし、野生型p53タンパク質レベルが、A/M/53またはA/C/53のいずれかを用いた低MOIでの感染の後に容易に検出されることは明白であり(図5)、このことは低用量の組換えアデノウイルスでも、潜在的に有効なレベルのp53を生成し得ることを示唆する。
Ad/p53のインビボ発現
ガン細胞のエクスビボ処理およびそれに続く動物への注射は、腫瘍抑制の重要な試験を提供したが、より臨床的に意味のある実験は、注射したp53組換えアデノウイルスがインビボで定着した腫瘍(established tumor)において、感染してp53を発現し得るかを確認することである。これに対処するために、H69(SCLC、p53null)細胞をヌードマウスに皮下注射し、腫瘍を32日間発達させた。この時点で、A/C/53またはA/C/β−galアデノウイルスのいずれかの2×109pfuの一回注入を、腫瘍の周辺の腫瘍周辺空間(peritumoralspace)に注射した。次いで、腫瘍をアデノウイルス注射後2日目または7日目のいずれかで切除し、そして各々の腫瘍からポリARNAを単離した。次に、組換えp53特異的プライマーを用いて、p53処理腫瘍中のp53mRNAを検出するためにRT−PCRを用いた(図9、レーン1、2、4、5)。β−gal処置動物から切除した腫瘍からは、p53シグナルは明白ではなかった(図9、レーン3および6)。アクチンプライマーを用いた増幅をRT−PCR反応のコントロールとし(図9、レーン7〜9)、一方組換えp53配列を含むプラスミドを組換えp53特異的バンドのポジティブコントロールとした(図9、レーン10)。この実験は、p53組換えアデノウイルスが、腫瘍周辺空間への一回注入の後、定着した腫瘍内でのp53mRNAの発現を特異的に生じさせることを示す。この実験はまた、p53組換えアデノウイルスを用いた感染の後、少なくとも1週間のインビボでのウイルスの持続を示す。
ガン細胞のエクスビボ処理およびそれに続く動物への注射は、腫瘍抑制の重要な試験を提供したが、より臨床的に意味のある実験は、注射したp53組換えアデノウイルスがインビボで定着した腫瘍(established tumor)において、感染してp53を発現し得るかを確認することである。これに対処するために、H69(SCLC、p53null)細胞をヌードマウスに皮下注射し、腫瘍を32日間発達させた。この時点で、A/C/53またはA/C/β−galアデノウイルスのいずれかの2×109pfuの一回注入を、腫瘍の周辺の腫瘍周辺空間(peritumoralspace)に注射した。次いで、腫瘍をアデノウイルス注射後2日目または7日目のいずれかで切除し、そして各々の腫瘍からポリARNAを単離した。次に、組換えp53特異的プライマーを用いて、p53処理腫瘍中のp53mRNAを検出するためにRT−PCRを用いた(図9、レーン1、2、4、5)。β−gal処置動物から切除した腫瘍からは、p53シグナルは明白ではなかった(図9、レーン3および6)。アクチンプライマーを用いた増幅をRT−PCR反応のコントロールとし(図9、レーン7〜9)、一方組換えp53配列を含むプラスミドを組換えp53特異的バンドのポジティブコントロールとした(図9、レーン10)。この実験は、p53組換えアデノウイルスが、腫瘍周辺空間への一回注入の後、定着した腫瘍内でのp53mRNAの発現を特異的に生じさせることを示す。この実験はまた、p53組換えアデノウイルスを用いた感染の後、少なくとも1週間のインビボでのウイルスの持続を示す。
アデノウイルスベクターAANTK:α−フェトタンパク質プロモーター(AFP−P)およびエンハンサー(AFP−E)を、ヒトゲノムDNA(Clontech)から、末端に制限部位を含むプライマーを用いたPCR増幅を用いてクローン化した。210bpのAFP−Eを単離するために用いたプライマーは、NheI制限部位を5'プライマーに、Xba I、Xho I、Kpn Iリンカーを3'プライマーに含んだ。5'プライマー配列は、5'−CGC GCT AGC TCTGCC CCA AAG AGC T−3'(配列番号3)であった。5'プライマー配列は、5'−CGC GGT ACC CTC GAG TCTAGA TAT TGC CAG TGG TGG AAG−3'(配列番号4)であった。1763 bpのAFEフラグメントを単離するために用いたプライマーは、NotI制限部位を5'プライマーに、XbaI部位を3'プライマーに含んだ。5'プライマー配列は、5'−CGT GCG GCC GCT GGA GGA CTT TGAGGA TGT CTG TC−3'(配列番号5)であった。3'プライマー配列は、5'−CGC TCT AGA GAG ACC AGT TAGGAA GTT TTC GCA−3'(配列番号6)であった。PCR増幅のために、DNAを97℃で7分間変性し、続いて5サイクルの増幅(97℃で1分間、53℃で1分間、72℃で2分間)、および最後の72℃で10分間の伸長を行った。増幅したAFEをNotIおよびXba Iを用いて消化し、Not I、Xho I、Xba I、Hind III、Kpn I、Bam HI、Nco I、Sma I、およびBgl II部位を含むポリリンカーにより分離されるアデノウイルス5型配列1〜350および3330から5790を含むプラスミドベクター(pA/ITR/B)のNotI、XbaI部位に挿入した。増幅したAFP−EをNhe IおよびKpn Iを用いて消化し、Xba IおよびKpn Iを用いて消化してあったAFP−Eを含む上記の構築物に挿入した。次に、この新たな構築物を、さらにXbaIおよびNgoMIを用いて消化してアデノウイルス配列3330〜5780を除去し、これを次にアデノウイルス2型のヌクレオチド4021〜10457を含むプラスミドpACNのXbaI、NgoMI制限フラグメントで置き換えて、α−フェトプロテインのエンハンサーおよびプロモーターの両方を含むプラスミドpAANを構築した。次に、この構築物をEcoRIおよびXbaIを用いて消化して、Ad5逆方向末端反復(inverted terminal repeat)、AFP−E、およびAFP−Pを含む2.3 kbフラグメントを単離し、続いてこれをEcoRI、XbaI消化した上記のpACNTKの8.55 kbに結合して、TK遺伝子が、アデノウイルスのバックグラウンドでα−フェトプロテインのエンハンサーおよびプロモーターにより駆動されるpAANTKを生じさせた。次に、このプラスミドをEcoRIを用いて線状化して、ClaI消化したALBGLの大きいフラグメントとともに上記のように同時トランスフェクトし、組換え体(AANTKと名付けた)を上記のように単離し精製した。
HCCの治療のためのACNTKおよびAANTKの有効性を、3H−チミジン取り込みアッセイを用いて評価して、細胞増殖に対するHSV−TK発現およびガンシクロビル処理の併用の効果を測定した。細胞株を、ACNTKまたはAANTKまたはコントロールウイルスACN(Willsら、1994前出)(HSV−TKの発現を生じさせない)のいずれかを用いて感染し、次に増加する濃度のガンシクロビルを用いて処理した。この処理の効果を、ガンシクロビルの増加する濃度の作用として評価し、そして取り込まれる3H−チミジンを50%阻害するために要求されるガンシクロビルの濃度を測定した(ED50)。さらに、各々の細胞株のアデノウイルス介在性遺伝子トランスファーおよび発現を、マーカー遺伝子であるβ−ガラクトシダーゼの発現を生じさせるコントロールウイルスを用いて測定した。以下の図14および表2に示すデータは、ACNTKウイルス/ガンシクロビル併用処理が、ガンシクロビルと併用したコントロールアデノウイルスであるACNに比較して、試験したすべての細胞株における細胞増殖を阻害し得たことを示す。対照的に、AANTKウイルスベクターは、α−フェトプロテインを発現することが示されているHCC細胞株においてのみ有効であった。さらに、AANTK/GCV併用は、細胞を高密度でプレートした場合に、より有効であった。
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