JP2005336199A - 組換えアデノウイルスベクターおよび使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 組換えアデノウイルス発現ベクターを包含する薬学的組成物であって、該組換えアデノウイルス発現ベクターが、さらに部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNAおよび外来タンパク質をコードする遺伝子を包含する薬学的組成物であり、1つの局面において、上記タンパク質IX 遺伝子配列の欠失が5'ウイルス末端の約3500bpから5'ウイルス末端の約4000bpに広がっており、または、他の実施形態においては、アデノウイルスの初期領域3および/または初期領域4の非必須DNA配列の欠失をさらに包含する、薬学的組成物。
【選択図】 なし
Description
本出願は、1994年5月19日に出願された米国特許出願第08/233,777号の一部継続出願であり、これは1993年10月25日に出願された米国特許出願第08/142,669号の一部継続出願である。その内容は本明細書に参考として援用されている。
(項目2) 前記タンパク質IX 遺伝子配列の欠失が5'ウイルス末端の約3500bpから5'ウイルス末端の約4000bpに広がる項目1に記載の薬学的組成物。
(項目3) アデノウイルスの初期領域3および/または初期領域4の非必須DNA配列の欠失をさらに包含する、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目4) アデノウイルスE1aおよびE1bと称されるDNA配列の欠失をさらに包含する、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目5) 初期領域3および/または初期領域4、ならびにアデノウイルスE1aおよびE1bと称されるDNA配列の欠失をさらに包含する、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目6) E1aおよびE1bの3'位置の40までのヌクレオチドの欠失、タンパク質IXの欠失、およびポリアデニル化シグナルをコードする外来DNA分子を包含する、項目4または5に記載の薬学的組成物。
(項目7) 前記アデノウイルスが血清型1、2、5、または6から選択されるC群アデノウイルスである、項目1から6に記載の薬学的組成物。
(項目8) 前記遺伝子が2) 6キロベースまでのDNA分子である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目9) 前記遺伝子が4) 5キロベースまでのDNA分子である、項目6に記載の薬学的組成物。
(項目10) 前記遺伝子が外来性機能タンパク質または生物学的に活性なそのフラグメントをコードする、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目11) 前記遺伝子が外来性機能腫瘍抑制タンパク質または生物学的に活性なそのフラグメントをコードする、項目10に記載の薬学的組成物。
(項目12) 前記遺伝子が自殺タンパク質または機能的にそれと等価のタンパク質をコードする、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目13) 部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNA、および外来タンパク質をコードする遺伝子を包含する組換えアデノウイルス発現ベクター、ならびに遺伝子治療のための1以上の薬学的に受容可能なキャリアの使用。
(項目14) 部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNA、および外来性機能タンパク質をコードする遺伝子を包含する組換えアデノウイルス発現ベクター、ならびに過剰増殖哺乳類細胞を形質転換するための1以上の薬学的に受容可能なキャリアの使用。
(項目15) 部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNA、および外来性機能タンパク質をコードする遺伝子を包含する組換えアデノウイルス発現ベクター、ならびにガンを治療するための1以上の薬学的に受容可能なキャリアの使用。
(項目16) 前記遺伝子にコードされる前記外来性機能タンパク質が腫瘍抑制タンパク質であり、そして前記ガンが内因性野生型腫瘍抑制タンパク質の不足に関する、項目15に記載の使用。
(項目17) 前記腫瘍が非小細胞肺ガン、小細胞肺ガン、肝ガン、黒色腫、網膜芽腫、乳ガン、結腸直腸ガン、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、頚ガン、肉腫、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、網内細胞組織の腫瘍、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫、膠芽腫、神経芽腫、卵巣腫瘍、骨肉腫、および腎ガンである、項目16に記載の使用。
(項目18) 部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNA、および自殺タンパク質または機能的にそれと等価のタンパク質をコードする遺伝子を包含する組換えアデノウイルス発現ベクター、ならびに動物体内の腫瘍の増殖を阻害する1以上の薬学的に受容可能なキャリアの使用。
(項目19) 部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNA、および自殺タンパク質または機能的にそれと等価のタンパク質をコードする遺伝子を包含する組換えアデノウイルス発現ベクター、有効量のチミジンキナーゼ代謝産物またはその機能的等価物、ならびに被験体内の腫瘍細胞の増殖を阻害する1以上の薬学的に受容可能なキャリアの使用。
(項目20) チミジンキナーゼ代謝産物がガンシクロビル、または6−メトキシプリンアラビノヌクレオチド、またはその機能的等価物である、項目19に記載の使用。
(項目21) 腫瘍細胞が肝細胞ガンである、項目19に記載の使用。
(項目22) 腫瘍細胞の増殖を減少させるキットであって、項目12の薬学的組成物の成分、チミジンキナーゼ代謝産物またはその機能的等価物、薬学的キャリア、および該キットを用いる肝細胞ガンの治療用の使用説明書を包含する、キット。
本発明は、部分的または全体的に欠失したアデノウイルスのタンパク質IX DNA、および外来タンパク質またはその機能的フラグメントまたは変異体をコードする遺伝子を有することで特徴付けられる組換えアデノウイルス発現ベクターを提供する。形質転換した宿主細胞、および組換えタンパク質の生産方法、および遺伝子治療はまた、本発明の範囲内に包含されている。
野生型アデノウイルスの混入頻度を減少させるために、組換え率を減少させるウイルスまたは細胞株のいずれかを改良することが望ましい。例えば、C群ウイルスに低い相同性を有する群由来のアデノウイルスは、293細胞中のAd5配列と組換える傾向がほとんどない組換えウイルスを設計するために使用され得る。しかし、ウイルスと細胞の配列の間の組換えを減少させるもう1つのより容易な手段は、組換えウイルスの欠失のサイズを増加することであり、その結果、それと293細胞中のAd5遺伝子との間の共有している配列の範囲が減少する。
プラスミドpAd/MLP/p53/E1b−を、これらの操作の出発物質として用いた。このプラスミドは、pBR322誘導体pML2(pBR322の1140から2490塩基対を欠失した)に基づいており、そしてアデノウイルス5型配列の357から3327塩基対の欠失を除く、1塩基対から5788塩基対に広がるアデノウイルス5型配列を含有する。Ad5357/3327欠失部位では、アデノウイルス2型後期プロモーター、アデノウイルス2型トリパータイトリーダーcDNA、およびヒトp53 cDNAからなる転写単位を挿入した。それは、Ad5E1aおよびE1b遺伝子を欠失しているが、Ad5タンパク質IX遺伝子は含有している代表的なE1置換ベクターである(アデノウイルスベクターについての概説は、GrahamおよびPrevec(1992)を参照)。Ad2DNAは、GibcoBPLから得た。制限エンドヌクレアーゼおよびT4DNAリガーゼは、New England Biolabsから得た。E.coli DH5αコンピテントセルはGibcoBPLから購入し、293細胞はアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から得た。prep−A遺伝子DNA精製樹脂は、BioRadから得た。LB肉汁細菌成長培地は、Difcoから得た。QiagenDNA精製カラムは、Qiagen,Incから得た。Ad5 dl327は、R.J.Schneider、NYUから得た。MBS DNAトランスフェクションキットは、Stratageneから購入した。
材料および方法
細胞株
組換えアデノウイルスは、10%を限度としてウシ血清(Hyclone)を補充したDME培地で維持したヒト初期(embyonal)腎臓細胞株293(ATCC CRL1573)で成長および増殖させた。Saos−2細胞は、15%のウシ胎児血清を補充したKaighn's培地で維持した。HeLaおよびHep 3B細胞は、10%ウシ胎児血清を補充したDME培地で維持した。他の全ての細胞株は、10%ウシ胎児血清を補充したKaighn's培地で成長させた。Saos−2細胞は、Dr.EricStanbridgeより贈呈された。他の全ての細胞株は、ATCCから得た。
Ad5/p53ウイルスを構築するため、p53(表I)の完全長cDNAを含有する1.4kbのHindIII−SmaIフラグメントをpGEM1−p53−B−T(Dr.WenHwa Leeより贈呈された)から単離し、標準的なクローニング手順(Sambrookら(1989)を用いて、発現ベクターpSP72(Promega)のマルチクローニングサイトに挿入した。p53挿入物を、XhoI−BglII消化およびゲル電気泳動に続いてこのベクターから回収した。次に、p53コード配列をpNL3CまたはpMNL3CMVアデノウイルス遺伝子転換ベクター(Dr.RobertSchneiderより贈呈された)に挿入した。このベクターは、PML2をバックグラウンドとしてAd5 5’逆末端反復、およびウイルスのパッケージングシグナル、およびAd2主要後期プロモーター(MLP)またはヒトサイトメガロウイルス初期遺伝子プロモーター(CMV)のいずれかの上流のE1aエンハンサー、それに続くトリパータイトリーダーCDNAおよびAd5配列3325〜5525 bpを含有する。これらの新しい構築物は、Ad5のE1領域(360〜3325bp)を、Ad2 MLP(A/M/53)またはヒトCMVプロモーター(A/C/53)(どちらもトリパータイトリーダーCDNAに続く)によって操作されるp53で置換した(図4参照)。p53挿入片は、残存する下流のE1bポリアデニル化部位を使用する。さらにMLPおよびCMVが操作するp53組換え体(A/M/N/53、A/C/N/53)を作成した。これは、タンパク質IX(PIX)コード領域の除去のために、さらに705ヌクレオチドのAd5配列の欠失を持っていた。コントロールとして、p53挿入物を持たない親のPNL3Cプラスミドから組換えアデノウイルスを作成した(A/M)。第2のコントロールは、CMVプロモーターの制御下のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をコードする組換えアデノウイルスよりなっていた(A/C/β−gal)。プラスミドは、NruIまたはEco RIのいずれかで線状化し、Cla I消化Ad 5d1309変異体またはd1327変異体(JonesおよびShenk(1979))の大きなフラグメントを用いて、Ca/PO4トランスフェクションキット(Stratagene)を使用して同時トランスフェクトした。ウイルスプラークを単離し、そして組換え体を、制限消化解析およびp53CDNA配列下流のトリパータイトリーダーCDNA配列に対する組換え体特異的プライマーを使用したPCRにより同定した。組換えウイルスを限界希釈によりさらに精製し、そしてウイルス粒子を精製し、標準的な方法(Grahamおよびvander Erb(1973); GrahamおよびPrevec(1991))によって力価測定した。
p53タンパク質検出
Saos−2またはHep3B細胞(5×105)は、ウイルス/細胞のプラーク形成ユニットの感染多重度(MOI)の増加している24時間の間、指示した組換えアデノウイルスで感染させた。次に細胞を一度PBSで洗浄し、溶解緩衝液(50mM Tris−HCl Ph 7.5、250 mM NaCl、0.1% NP40、50mM NaF、5mM EDTA 、10 μg/mlアプロチニン(aprotinin)、10μg/mlロイペプチン(leupeptin) 、および1mM PMSF)中で回収した。細胞タンパク質(約30μg)を、10%SDS−PAGEにより分離し、そしてニトロセルロースへ転写した。メンブレンはα−p53抗体PAb1801(Novocastro)でインキュベートし、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させたヒツジ抗マウスIgGとインキュベートした。p53タンパク質は、KodakXAR−5フィルムで化学ルミネセンス(ECLキット、Amersham)により可視化した。
細胞(5×103/ウェル)を、96ウェルタイタープレート(Costar)にプレートし、一晩付着させた(37℃、7%CO2)。次に細胞を、示したように0.3〜100のMOI範囲の精製した組換えアデノウイルス粒子で24時間感染させた。培地は感染後24時間で交換し、そして合計72時間までインキュベートを続けた。3H−チミジン(Amersham、1μCi/ウェル)を回収18時間前に添加した。細胞は、ガラスファイバーフィルターで回収し、そして取り込み放射活性のレベルをβ−シンチレーションカウンターで測定した。3H−チミジンの取り込みは、培地コントロールの平均%(+/−SD)として表し、MOIに対してプロットした。
T225フラスコにプレートした約2.4×108のSaos−2細胞を、MOI3または30でA/M/N/53またはA/M精製ウイルスのいずれかを含有する懸濁緩衝液(PBS中1%ショ糖)で処理した。一晩感染後、細胞を、BALB/c無胸腺ヌードマウスの左右側腹に皮下注射した(1群あたり4マウス)。片側の側腹にはA/M/N/53処理細胞を注射し、一方反対側の側腹にはA/M処理細胞を注射し、それぞれのマウスをそれ自身のコントロールとした。緩衝液で処理した細胞を両側腹に注射した動物を、別のコントロールとした。次に、腫瘍の大きさ(長さ、幅、および高さ)および体重を週2回8週間にわたって測定した。腫瘍体積は、測定した腫瘍の大きさの平均の2分の1に等しい半径の球形とみなして各動物に関して評価した。
BALB/c無胸腺ヌードマウス(約5週齢)は、1×107のH69小細胞肺ガン(SCLC)細胞を右側腹に皮下注射された。腫瘍は、それらが約25〜50mm3になるまで発達させた。マウスに、A/C/53またはA/C/β−gal組換えアデノウイルス(2×109のプラーク形成ユニット(pfu))のいずれかを、腫瘍塊の下の皮下空間に腫瘍周辺部注射した。腫瘍を、アデノウイルス処理後2日および7日で動物から摘出し、そしてPBSでリンスした。腫瘍サンプルを、ホモジナイズし、全RNAをTriReagentキット(MolecularResearch Center、Inc.)を使用して単離した。ポリA RNAをPolyATract mRNA IsolationSystem(Promega)を使用して単離し、そして約10 ngのサンプルを組換えp53 MRNA発現を決定するRT−PCR(Wangら(1989))に使用した。プライマーは、アデノウイルストリパータイトリーダーCDNAとp53CDNA下流との間の配列を増幅するように設計し、内因性p53ではなく組換え体でのみ増幅されることを確実にした。
200 μl容量中の約1×107のH69(SCLC)腫瘍細胞を、雌のBALB/c無胸腺ヌードマウスに皮下注射した。腫瘍を2週間発達させ、この時点で動物を腫瘍の大きさによって無作為抽出した(N=5/群)。A/M/N/53またはコントロールA/Mアデノウイルス(2×109pfu/注射)または緩衝液のみ(PBS中1%ショ糖)のいずれかの腫瘍周辺部注射を、1群あたり週2回計8用量投与した。腫瘍の大きさおよび体重は、週2回7週間測定し、腫瘍容積を上記のように評価した。次に、動物はマウス生存に対する処理効果を引き続き観察された。
組換えp−53アデノウイルスの構築
p53アデノウイルスを、アデノウイルス5型のE1aおよびE1b領域を、Ad2MLPプロモーター(A/M/53) またはCMV(A/C/53)プロモーターのいずれかの制御下のp53 cDNAで置き換えることにより構築した(図4中に図示する)。このE1置換は、組換えアデノウイルスの複製する能力を激しく損ない、Ad5 E1遺伝子産物をトランスに供給する293細胞へのそれらの伝達を制限する(Grahamら、(1977))。p53組換えアデノウイルスを制限消化およびPCR分析の両方により同定した後、組換えアデノウイルス(A/M/53)の1つからのp53cDNA配列全体を配列決定して、変異がないことを確認した。これに続いて、p53組換え体の精製した調製物を用いてHeLa細胞を感染し、表現型的に野生型のアデノウイルスの存在についてアッセイした。HeLa細胞(E1欠失アデノウイルスの複製に許容ではない)を、1〜4×109感染単位の組換えアデノウイルスを用いて感染させて、3週間培養し、細胞変成効果(CPE)の出現について観察した。このアッセイを用いて、組換えアデノウイルスの複製または野生型の混入は検出されなかった。これらは野生型アデノウイルスで感染させたコントロール細胞において、約109中1の感受性のレベルで観察されたCPEにより容易に明らかとなる。
p53組換えアデノウイルスがp53タンパク質を発現するかどうかを測定するために、内因性p53タンパク質を発現しない腫瘍細胞を感染させた。ヒト腫瘍細胞株であるSaos−2(骨肉腫)およびHep3B(肝細胞ガン)を、p53組換えアデノウイルスA/M/53またはA/C/53を用いて、0.1〜200 pfu/細胞の範囲のMOIで24時間感染させた。感染細胞から調製したライゼートのウエスタン分析は、両方の細胞タイプにおける用量依存的なp53タンパク質発現を示した(図5)。両方の細胞株は、A/M/53を用いた感染の後よりもA/C/53を用いた感染の後の方が、より高いレベルのp53タンパク質を発現した(図3)。非感染細胞において、p53タンパク質は検出されなかった。内因性野生型p53のレベルは通常非常に低く、細胞抽出物のウエスタン分析ではほとんど検出されない(Bartekら、(1991))。しかし、野生型p53タンパク質レベルが、A/M/53またはA/C/53のいずれかを用いた低MOIでの感染の後に容易に検出されることは明白であり(図5)、このことは低用量の組換えアデノウイルスでも、潜在的に有効なレベルのp53を生成し得ることを示唆する。
p53陰性骨髄腫細胞株であるSaos−2への野生型p53の再導入は、この通常は紡錘型の細胞の、肥大化および平坦化を生じさせる(Chenら、(1990))。準集密(subconfluent)Saos−2細胞(1×105細胞/10cmプレート)をA/C/53ウイルスまたはコントロールのA/Mウイルスのいずれかを用いて50のMOIで感染させ、感染していないコントロールプレートが集密(confluent)になるまで37℃で72時間インキュベートした。この時点で、予想された形態変化はA/C/53処理プレートにおいて明らかであったが(図6、パネルC)、感染していないプレート(図6、パネルA)あるいはコントロールのウイルス感染細胞プレートでは明らかではなかった(図6、パネルB)。この効果は細胞密度の作用ではなかった。なぜなら、最初に低密度で播種したコントロールプレートが、その集密がA/C/53処理プレートの集密に近づいた72時間目で、正常な形態を維持していたからである。以前の結果は、50のMOIでのSaos−2細胞におけるp53タンパク質の高レベルの発現を示しており(図5A)、これらの結果は、これらの組換えアデノウイルスにより発現されたp53タンパク質が、生物学的に活性であるという証拠を提供した。
p53組換えアデノウイルスの活性をさらに試験するために、ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害するそれらの能力を、3H−チミジンの取り込みを測定してアッセイした。内因性野生型p53を発現しない細胞への野生型p53の導入が、細胞をG1/S移行で停止させ得ることが既に示されており、これは標識チミジンの、新たに合成されたDNAへの取り込みの阻害につながる(Bakerら、(1990);Mercerら、(1990); Dillerら、(1990))。種々のp53欠損腫瘍細胞株を、A/M/N/53、A/C/N/53、または非p53発現コントロール組換えアデノウイルス(A/M)のいずれかを用いて感染させた。A/M/N/53およびA/C/N/53組換え体の両方による、強い、用量依存的なDNA合成の阻害が、試験した9つの異なる腫瘍細胞株中7つにおいて観察された(図7)。両方の構築物は、細胞が変異p53を発現するかp53タンパク質を発現できないかにかかわらず、これらのヒト腫瘍細胞におけるDNA合成を阻害し得た。このアッセイにおいて、A/C/N/53構築物が一貫してA/M/N/53よりも強力であることも見出された。Saos−2(骨髄腫)細胞およびMDA−MB468(乳ガン)細胞において、ほとんど100%のDNA合成阻害が、A/C/N/53構築物を用いて、少なくとも10のMOIで達成された。コントロールアデノウイルスによる阻害が10〜30%のみである用量でいずれのp53組換えアデノウイルスを用いても、DNA合成の50〜100%の阻害が観察された。対照的に、HEPG2細胞(内因性野生型p53を発現する肝ガン細胞株、Bressacら、(1990))またはK562(p53が無効である(null))白血病細胞株において、いずれの構築物を用いても、コントロールウイルスに比較して有意なp53特異的効果は観察されなかった。
p53組換えアデノウイルスについてのより厳密な機能の試験において、腫瘍細胞をエクスビボで感染させ、次にその細胞をヌードマウスに注射して、組換え体が腫瘍成長をインビボで抑制する能力を評価した。A/M/N/53ウイルスまたはコントロールA/Mウイルスを用いて3または30のMOIで感染させたSaos−2細胞を、ヌードマウスの反対側の側腹に注射した。そして腫瘍サイズを8週間にわたって週に2回測定した。30のMOIでは、いずれの動物においても、p53処置側腹における腫瘍の成長は見られなかった。一方コントロール処置腫瘍は成長し続けた(図8)。コントロールウイルスで処置した腫瘍の進行性肥大は、緩衝液処置コントロール動物において観察された肥大に類似していた。p53処置マウスの4匹中2匹の腫瘍が6週間後にいくらかの成長を示し始めたが、3のMOIでのコントロールアデノウイルスとp53組換え体との間には腫瘍成長に明確な差がある。従って、A/M/N/53組換えアデノウイルスは、インビボ環境においてp53特異的腫瘍抑制を仲介し得る。
ガン細胞のエクスビボ処理およびそれに続く動物への注射は、腫瘍抑制の重要な試験を提供したが、より臨床的に意味のある実験は、注射したp53組換えアデノウイルスがインビボで定着した腫瘍(established tumor)において、感染してp53を発現し得るかを確認することである。これに対処するために、H69(SCLC、p53null)細胞をヌードマウスに皮下注射し、腫瘍を32日間発達させた。この時点で、A/C/53またはA/C/β−galアデノウイルスのいずれかの2×109pfuの一回注入を、腫瘍の周辺の腫瘍周辺空間(peritumoral space)に注射した。次いで、腫瘍をアデノウイルス注射後2日目または7日目のいずれかで切除し、そして各々の腫瘍からポリARNAを単離した。次に、組換えp53特異的プライマーを用いて、p53処理腫瘍中のp53 MRNAを検出するためにRT−PCRを用いた(図9、レーン1、2、4、5)。β−gal処置動物から切除した腫瘍からは、p53シグナルは明白ではなかった(図9、レーン3および6)。アクチンプライマーを用いた増幅をRT−PCR反応のコントロールとし(図9、レーン7〜9)、一方組換えp53配列を含むプラスミドを組換えp53特異的バンドのポジティブコントロールとした(図9、レーン10)。この実験は、p53組換えアデノウイルスが、腫瘍周辺空間への一回注入の後、定着した腫瘍内でのp53mRNAの発現を特異的に生じさせることを示す。この実験はまた、p53組換えアデノウイルスを用いた感染の後、少なくとも1週間のインビボでのウイルスの持続を示す。
定着した腫瘍の遺伝子治療の可能性に対処するために、腫瘍を有するヌードマウスモデルを用いた。H69細胞をマウスの右側腹の皮下空間に注射し、腫瘍を2週間成長させた。次にマウスは、緩衝液または組換えウイルスの腫瘍周辺注射を、週に2回全部で8用量受けた。緩衝液またはコントロールA/Mウイルスを用いて処置されたマウスにおいて、腫瘍は処置を通じて迅速に成長し続けたが、A/M/N/53ウイルスを用いて処置した腫瘍は、大幅に減少した速度で成長した(図10A).注射の停止後、コントロール処置腫瘍は、成長し続けたが、一方p53処置腫瘍はいかなる外因性p53の追加の供給もなしに少なくとも1週間成長をほとんどまたは全く示さなかった(図10A)。緩衝液のみを用いて処置したコントロール動物は、いずれのウイルスで処置した群に比較しても腫瘍成長を加速させたが、体重における有意な差は、処置期間中3つの群の間では見出されなかった。いくつかの動物における腫瘍潰瘍形成が、42日目以降の腫瘍サイズの測定の適切性を制限した。しかし、生存時間を測定するために動物を継続してモニターすることにより、p53処置動物についての生存有利性が示された(図10B)。最後のコントロールアデノウイルス処置動物は83日目に死亡したが、一方緩衝液単独処置コントロールはすべて56日目までに死亡した。対照的に、A/M/N/53を用いて処置した5匹すべての動物は、生存し続けた(細胞接種後130日目)(図10B)。まとめると、このデータは、定着したp53欠損腫瘍を有する動物における腫瘍成長および生存時間の両方に対するp53特異的効果を確証した。
高レベルの野生型p53タンパク質を用量依存的様式で発現し得る組換えヒトアデノウイルスベクターを構築した。各々のベクターはE1aおよびE1b領域における欠失を含んでおり、これはベクターをウイルス複製欠損にする(ChallbergおよびKelly(1979); Horowitz、(1991))。さらに重要なことは、これらの欠失がE1bの19および55 kdタンパク質を含むことである。19kdタンパク質は、アポトーシスの阻害に関与することが報告されており(Whiteら、(1992);Raoら、(1992))、一方55kdタンパク質は野生型p53タンパク質に結合し得る(Sarnowら、(1982); Heuvelら、(1990))。これらのアデノウイルス配列を欠失することにより、p53機能の潜在的インヒビターを、p53への直接的な結合またはp53介在性アポトーシスの潜在的阻害から取り除いた。残りの3'E1b配列(すべてのタンパク質IXコード配列を含む)をさらに欠失したさらなる構築物を作製した。この欠失がアデノウイルスのパッケージングサイズ収容能力を野生型ウイルスより約3kb減少させることが報告されているが(Ghosh−Choudhuryら、(1987))、これらの構築物はE3領域においても欠失されているので、A/M/N/53およびA/C/N/53構築物は十分にこのサイズ範囲内である。pIX領域を欠失することにより、293細胞内に含まれる配列に相同なアデノウイルス配列は約300塩基対に減少され、これは複製能力のある野生型のアデノウイルスを組換えを通して再生する機会を減少させる。pIXコード配列を欠く構築物はpIXを有する構築物と同等の有効性を有するようである。
感染された細胞におけるp53タンパク質の発現についての強い用量依存性に一致して、腫瘍細胞増殖のp53特異的阻害が示された。細胞分裂は、野生型p53タンパク質発現を欠くことが知られている広範囲の腫瘍細胞タイプにおいて、阻害され、阻害はDNA合成の阻害によって示された。BacchettiおよびGraham(1993)は最近、類似の実験において、p53組換えアデノウイルスによる卵巣ガン細胞株SKOV−3におけるDNA合成のp53特異的阻害を報告した。卵巣ガンに加えて、さらなるヒト腫瘍細胞株(臨床的に重要なヒトガンの代表であり変異p53タンパク質を過剰発現する株を含む)が、本発明のp53組換え体により増殖阻害され得ることが示された。これらの腫瘍タイプにおけるDNA合成を阻害することにおいてA/C/N/53組換え体が90〜100%有効であるMOIでは、コントロールアデノウイルス介在性の抑制は20%以下である。
本明細書中および他のグループにより(Chenら、(1990); Takahashiら、(1992))示される研究は、野生型p53の発現を欠くヒト腫瘍細胞がp53を用いてエクスビボで処置され、処置された細胞が動物モデルに移入される場合、腫瘍成長の抑制を生じ得ることを示している。本出願人らは、腫瘍成長の抑制および生存時間の増加の両方を生じる、インビボで定着した腫瘍の腫瘍抑制遺伝子治療の最初の証拠を示す。本出願人らの系において、腫瘍細胞への送達は、腫瘍塊への直接注射によらなかった。むしろ、p53組換えアデノウイルスは腫瘍周辺空間に注射され、そしてp53mRNA発現が腫瘍内に検出された。組換え体により発現されたp53は、機能性であり、コントロールである非p53発現アデノウイルス処置腫瘍に比較して、腫瘍成長を強く抑制した。しかし、p53ウイルス処置群およびコントロールウイルス処置群の両方が、緩衝液処置コントロールに比較して腫瘍抑制を示した。腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−2、IL−4、またはIL−7の局所発現が、ヌードマウスにおいてT細胞非依存性の一過性腫瘍抑制を導き得ることが示されている(Hochら、(1992))。単球のアデノウイルスビリオンへの被曝はまた、IFN−α/βの弱いインデューサーである(GoodingおよびWold(1990)で概説される)。それゆえ、ヌードマウスにおけるなんらかの腫瘍抑制が、コントロールアデノウイルスにおいてさえも観察されても、驚異ではない。このウイルス介在性の腫瘍抑制は、前述したエクスビボコントロールウイルス処置Saos−2腫瘍細胞においては、観察されなかった。p53特異的インビボ腫瘍抑制は、図10中で、動物を継続してモニターすることによって劇的に示された。p53処置マウスの生存時間は顕著に増加した。アデノウイルスコントロール処置動物5匹中0匹に比較して、5匹の動物中5匹が細胞接種後130日以上生存した。生存する動物はなお成長する腫瘍を呈し、これは最初にp53組換えアデノウイルスで感染されなかった細胞を反映し得る。より高いかまたはより頻繁な投与スケジュールがこれに対処し得る。さらに、プロモーター遮断(Palmerら、(1991))またはさらなる変異が、これらの細胞にp53組換えアデノウイルス処置に対する耐性を与え得る。例えば、最近記載されたWAF1遺伝子(野生型p53により誘導される遺伝子であり、続いて細胞周期のS期への進行を阻害する(El−Deiryら、(1993);Hunter (1993)))における変異が、p53耐性腫瘍を生じさせ得る。
この実施例では、本明細書に記載の遺伝子治療方法における、自殺遺伝子の使用およびこのような遺伝子の組織特異的発現を示す。肝細胞ガンを標的として選択した。なぜならこれはヒトを冒す最も一般的な悪性腫瘍の1つであり、世界中で1年間に概算で1,250,000の死亡を引き起こすからである。このガンの発生は東南アジアおよびアフリカにおいて非常に高く、ここで肝細胞ガンは、B型およびC型肝炎感染ならびにアフラトキシンへの被曝に関連している。外科手術が、HCCを治癒するための可能性提供する現在唯一の治療であるが、患者の20%未満が切除の候補と考えられている(RavoetC.ら、1993)。しかし、肝細胞ガン以外の腫瘍は同じく本明細書に記載のその増殖を減少させる方法に適用され得る。
HLF細胞株以外のすべての細胞株を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)12301Parklawn Drive, Rockville Marylandから得た。ATCC受託番号を括弧内に記す。ヒト胎児腎細胞株293(CRL 1573)を用いて本明細書に記載の組換えアデノウイルスを生成し増殖させた。細胞を10%の定義され補充された(defined,supplemented)仔ウシ血清(Hyclone)を含むDME培地中で維持した。肝細胞ガン細胞株Hep 3B(HB 8064)、Hep G2(HB8065)、およびHLFを10%ウシ胎児血清を添加したDME/F12培地中で維持し、乳ガン細胞株MDA−MB468(HTB 132)およびBT−549(HTB122)も同様にした。Chang肝臓細胞(CCL 13)を、10%ウシ胎児血清を添加したMEM培地中で増殖させた。HLF細胞株を日本のKyushuUniversity School of MedicineのDrs. T. MorsakiおよびH. Kitsukiから得た。
本明細書中でACNTKおよびAANTKと名付け、タンパク質IX機能を欠く2つのアデノウイルス発現ベクター(図11に示した)は、腫瘍細胞内でTK自殺遺伝子の発現を生じさせ得る。AANCATと名付けた第3のアデノウイルス発現ベクターを、アデノウイルスベクターを用いて、特異的な細胞タイプに対して遺伝子発現を特異的に標的する可能性をさらに示すために構築した。これらのアデノウイルス構築物を、図11および12に示すようにして組立て、そしてこれらは腫瘍抑制遺伝子の発現について既に記載した構築物の誘導体である。
細胞を24−ウェル組織培養プレート(Costar)中に1×105細胞/ウェルでプレートし、一晩壁着させた(37℃、7%CO2)。ACBGLの一晩の感染を、30の感染多重度(MOI)で実施した。24時間後、細胞を3.7%ホルムアルデヒド; PBSを用いて固定し、1mg/mlXgal試薬(USB)用いて染色した。データを、各々のMOIでの陽性に染色された細胞の百分率を概算することにより記録した(+、++、+++)[+=1〜33%、++=33〜67%、および+++=>67%]。
2×106の細胞(HepG2、Hep 3B、HLF、Chang、およびMDA−MB468)を、3点平行で10 cmプレートに播種して一晩インキュベートした(37℃、7% CO2)。次に、各々のプレートをMOI=30または100のいずれかでAANCATを用いて感染するかまたは感染せず、3日間インキュベートした。次に、細胞をトリプシン処理し、PBSを用いて洗浄し、100μlの0.25M Tris pH7.8中に再懸濁した。サンプルを3回凍結融解し、そして上清を新たなチューブに移して、60℃で10分間インキュベートした。次にサンプルを4℃で5分間スピンし、上清をBradfordアッセイ(Bio−RadProtein Assay Kit)を用いてタンパク質濃度についてアッセイした。サンプルを、0.25 M Tris、25μlの4mMアセチルCoA、および1μlの14C−クロラムフェニコールを用いて等しいタンパク質濃度に、最終容量75μlに調整して、一晩37℃でインキュベートした。500μlのエチルアセテートを各々のサンプルに添加してボルテックスすることにより混合し、次に5分間室温で遠心分離した。次に、上層を新たなチューブに移し、減圧下での遠心分離によりエチルアセテートを蒸発させた。次に、反応産物を25μlのエチルアセテートに溶解して、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートにスポットし、プレートをあらかじめ平衡化したTLCチャンバー中に置いた(95%クロロホルム、5%メタノール)。次に溶媒をプレートの上部まで移動させ、次にプレートを乾燥させX線フィルムに感光させた。
細胞を、96−ウェルマイクロタイタープレート(Costar)中に5×103細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートした(37℃、7%CO2)。細胞を、DMEM; 15% FBS; 1%グルタミンで順次希釈したACN、ACNTK、またはAATKウイルスを用いて、30の感染多重で、一晩の間トランスフェクトした。この時点で細胞に、3点平行で、0.001と100mM(マイクロモラー)との間の対数間隔でガンシクロビル(Cytovene)を投与した。1μCi 3H−チミジン(Amersham)を各々のウェルに、回収の12〜18時間前に添加した。感染後72時間で、細胞をガラス繊維フィルター上に回収し、そして取り込まれた3H−チミジンを、液体シンチレーション(TopCount,Packard)を用いて計数した。結果を未処理コントロール増殖のパーセントとしてプロットし、培地コントロールに対する増殖における50パーセント減少のための有効用量(ED50±SD)として表にした。ED50値を、理論式を用量応答データにあてはめることにより概算した。
細胞(HLF、ヒトHCC)をプレートし、ACNまたはACNTKを用いて感染して、上記のように増殖アッセイのためにガンシクロビルで処理した。ガンシクロビル投与72時間後に、細胞をスピンして、上清を除去した。ラクテートデヒドロゲナーゼのレベルを比色的に測定した(Promega、Cytotox96(登録商標))。平均(+/− S.D.)LDH放出をM.O.I.に対してプロットした。
ヒト肝細胞ガン細胞(Hep 3B)を、10匹の雌の無胸腺nu/nuマウス(Simonsen Laboratories, Gilroy, CA)に、皮下注射した。各々の動物は、約1×107細胞を左側腹に受けた。マウスを腫瘍サイズにより無作為抽出する前に、腫瘍を27日間成長させた。マウスを、ACNTKまたはコントロールウイルスACN(100μl中1×109 iu)の腫瘍内注射または腫瘍周辺注射で、1日おきに総数3用量を処置した。アデノウイルスの最初の投与の後24時間から、マウスにガンシクロビル(Cytovene100 mg/kg)を、毎日全部で10日間腹腔内投与した。マウスを、腫瘍サイズおよび体重について週に2回モニターした。腫瘍の測定は3次元で、ノギスを用いて行い、体積は式4/3πr3を用いて計算した。ここでrは平均腫瘍寸法の1/2である。
組換えアデノウイルスを用いて、3つのHCC細胞株(HLF、Hep3B、およびHep−G2)を感染した。1つのヒト肝臓細胞株(Chang)および2つの乳ガン細胞株を、コントロールとして用いた(MDAMB468およびBT549)。AFPプロモーター/エンハンサーの特異性を示すために、ウイルスAANCATを構築した。このウイルスを用いて、HCC腫瘍マーカーであるα−フェトプロテイン(AFP)を発現する(Hep3B、HepG2)または発現しない(HLE、Chang、MDAMB468)いずれかの細胞を感染した。図13に示すように、AANCATは、AFPを発現し得るHCC細胞においてのみCATマーカー遺伝子の発現を生じさせた(図13)。
Claims (1)
- 組換えアデノウイルス発現ベクターを包含する薬学的組成物であって、該組換えアデノウイルス発現ベクターが、さらに部分的または全体的に欠失したタンパク質IX DNAおよび外来タンパク質をコードする遺伝子を包含する薬学的組成物。
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