JP2002507118A - ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドからなるワクチン組成物 - Google Patents

ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドからなるワクチン組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明はヘリコバクターピロリ感染に対する保護免疫応答を誘導するためのポリペプチドおよびワクチン組成物に関する。本発明はさらに、ヘリコバクターピロリ感染の処置または予防のための組成物の製造におけるヘリコバクターピロリポリペプチドの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドからなるワクチン組成物技術分野 本発明はヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)感染に対する保護免 疫応答を誘導するためのポリペプチドおよびワクチン組成物に関する。本発明は さらに、ヘリコバクターピロリ感染の処置または予防用組成物を製造するための ヘリコバクターピロリ ポリペプチドの使用に関する。背景技術 ヘリコバクターピロリ グラム陰性菌のヘリコバクターピロリ(H.ピロリ)は、重要なヒト病原菌であ り、いくつかの十二指腸疾患に関与する。この細菌による胃上皮へのコロナイゼ ーションは、消化性潰瘍疾患の進行の危険の著しい増加とともに、能動的な炎症 および進行性の慢性胃炎を招来する。胃粘膜の一生に及ぶ炎症は胃癌の危険の有 意な増大ときわめて密接に相関する。 胃粘膜をコロナイズするためには、H.ピロリは多数のビルレンス因子を用いる 。このようなビルレンス因子は、それにより細菌が粘膜と会合および/または上 皮細胞と結合する数種の接着因子、酸性環境を中和するのを助けるウレアーゼお よび粘膜をさらに液化させる蛋白分解酵素からなる。さらに、H.ピロリは、高度 に運動性であり、粘膜中を遊泳し、腺窩に潜在する。運動しないH.ピロリは、実 験モデルで粘膜に感染できない(Eatonら,Infection & Immunity 64(7),2445- 2448,1996)ことから、運動性は必須のビルレンス因子であることが示されてい る。これには多くの考えうる理由があり、もっとも明白な理由は遊泳や粘膜細胞 への付着が できないこと、および胃内の有害物質を回避できないことである。 局所的(粘膜性)ならびに全身性抗体の両者の産生による、H.ピロリに対する 強力な見かけ上の宿主免疫応答にもかかわらず、病原体は胃粘膜に通常、宿主の 寿命の間維持される。この理由は、多分、自然に誘導される免疫応答は不適当で あるかまたは抗原の誤ったエピトープを指向するものであるからであろう。また は、免疫システムがH.ピロリを共動生物として扱うので(一生の宿主/細菌関係 から指示されるような)免疫応答には不適当な種類である可能性がある。 H.ピロリ感染の病原性ならびに免疫学を理解するためには、この細菌の抗原構 造を明らかにすることが重要である。とくに、多くの細菌病原体が主要なビルレ ンス因子を構築することが示されている表面に暴露され、表面に会合し、かつ分 泌されるタンパク質であるH.ピロリの診断およびワクチン組成物の製造に有用で あるタンパク質の特性の解明が必要である。このようなタンパク質が表面に結合 することに加えて、生存および/またはコロナイゼーションにも必須であれば、 ワクチン仲介免疫療法の標的としてのそれらの有用性は増大する。 ストレスを受けたりまた危害を加えられる恐れのある場合は常に、H.ピロリ細 胞は桿菌から球菌型に転換する。球菌型では、H.ピロリ細胞は抗体や他の抗菌剤 に対する感受性がはるかに低い。情況証拠からH.ピロリはこの形態での個体間に 多分、水を介してまたは直接接触(口−口または排泄物−口)によって伝達され ることが示されている。したがって有効なワクチン組成物はH.ピロリの球菌およ び桿菌型の両者に対して免疫応答を発揮しなければならない。全身性免疫は多分 粘膜感染に対する保護に限られた役割を果たすのみであるから、ワクチン組成物 はまた胃で局所的に保護免疫機構を増強することが重要である。鞭毛フックタンパク質 H.ピロリからの鞭毛フックは、78kDaのFlgEサブユニットから構成されること が示されている(O'Tooleら,Molecular Microbiology,14(4),691-703,1994) 。鞭毛フックの役割は鞭毛を膜下の鞭毛運動神経と連結することである。膜外部 に突出しているフック部分は短く(鞭毛の約10マイクロメーターに比べて)、約 60ナノメーターである。H.ピロリの鞭毛と同様、フックは多分シートにより被覆 されている(Geisら,J.Med.Microbiol.38(5),371-377,1993)。 FlgEポリペプチドのアミノ酸配列は、たとえばmustelaeのような他のヘリコバ クター種との限られたホモロジーを含めて、他の既知のフックタンパク質と有意 な類似性を有する(O'Tooleら、前出)。FlgEポリペプチドに対して生起された ポリクローナル抗体は、鞭毛タンパク質AおよびBに対して交叉反応性を現わし 、多分、共通のエピトープの存在を示すものである。FlgEをノックアウトしたH. ピロリの生成は、鞭毛のない非運動性の細菌を生じ、この場合、FlgEポリペプチ ドはなお産生されるが、細胞質内に回収できるのみであった。図面の簡単な説明 図1: H.ピロリ感染マウス(n=9〜10/群)のFlgEポリペプチドによる治療的免疫 の効果。結果を幽門洞(=A)、胃体(=B)または全体(A+C)(=C)に 会合したH.ピロリ数の平均±SEMとして示す。略号:CFU、コロニー形成単位(細 菌数);白色バー=DOC+CT、0.5%デオキシコール酸を含むリン酸塩緩衝食塩溶 液をコレラ毒素10μg/マウスとともにを投与した。陰影付バー=FlgE+CT、マ ウスには100μgのFlgEと10μgのコレラ毒素を投与した。cfuにおける低下は幽門 、また全胃について計算し、 有意であった。 **p<0.01,*p<0.05(Wilcoxon-Mann-Whittneyの順位和検定)。 図2: ELISAにより測定したマウスからの血清IgG:感染およびFlgEによる免疫に対す る応答。値は平均力価±SEMで表す。n=9〜10/群。ELISAはH.ピロリ株244で コートした。感染の兆候としてはH.ピロリ特異的抗体がDOC+CT(=A.対照/2 44)で処置した動物の血清中に見いだすことができる。FlgE+コレラ毒素による 免疫後(=B.FlgE/244)この反応性は4倍に増大した(**p<0.01;Wilcoxo n-Mann-Whittneyの順位和検定)。C=FlgE特異性。特異的FlgE IgGはFlgE+CT を投与した動物で上昇したが、対照動物には検出できなかった。発明の開示 本発明の目的は、H.ピロリ感染に対する保護免疫応答の誘導および診断に有用 とすることができる抗原性H.ピロリポリペプチドを提供することにある。この目 的は、よく保存された必須なポリペプチドをコードするH.ピロリ遺伝子の組換え クローニングにより達成された。この遺伝子の核酸配列は、O'Tooleら,Molecul ar Microbiology,14(4),691-703,1994により報告されたflgE遺伝子の配列に 類似する。運動性に必須のタンパク質であることから、flgE遺伝子はすべてのH. ピロリ株によって発現される。 H.ピロリFlgEポリペプチドはわずかなフックタンパク質の小部分が細菌の外部 の存在するのみであり、それは多分シートで被覆されていると思われるにもかか わらず、驚くべきことに、アジュバントのコレラ毒素とともに投与した場合H.ピ ロリ感染マウスモデルにおいて治療的抗原として作用できることが見いだされた 。すなわち、以下の実験データは、H.ピ ロリFlgEポリペプチドは経口的免疫原として用いられた場合、免疫応答のスティ ミュレーターとして作用し、免疫処置の1カ月前にH.ピロリで感染させたマウス において、H.ピロリのコロナイゼーションの有意な低下を招来することを示すも のである。 これらの結果は、H.ピロリ感染の処置および防止のためにヒトにおいて使用さ れる経口ワクチン組成物におけるH.ピロリFlgEポリペプチドの使用を強く支持す るものである。FlgEポリペプチドはそれ自体、H.ピロリ感染の検出ならびに適当 な医薬組成物として投与した場合、このような感染に対して保護的または治療的 免疫応答を誘導するワクチン組成物の製造の両者に、有用であると思われる。 したがって、本発明の一態様においては、ヘリコバクターピロリ感染に対する 保護免疫応答の誘導に用いられるヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドを提供 する。「ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチド」の語は、O'TooleらによりMol ecular Microbiology,14(4),691-703,1994に開示され、配列番号:1として 掲げたヌクレオチド配列の遺伝子によりコードされ、またはNational Center fo r Biotechnology Information(受入番号U09549)から入手できるかまたは機能 的に同等な抗原性を保持する上記ポリペプチドの実質的に類似の修飾型であるポ リペプチドを意味することを意図するものである。 「保護免疫応答」の語は、組成物を治療的および/または予防的目的に適当に する免疫応答として理解されるべきである。 「機能的に同等な抗原性」の語は、全身性および粘膜性免疫応答を誘導し一方 胃粘膜に会合したH.ピロリ細胞の数を低下させる能力として理解されるべきであ る。本技術分野の熟練者は、機能的に同等な抗原性を保持するFlgEポリペプチド の修飾型を、既知の方法たとえばインビボ誘導抗体 によるエピトープマッピングの使用によって同定することができる。 本発明の好ましい形態においては、ヘリコバクターピロリ感染に対する保護免 疫応答の誘導に用いられるヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドは実質的に配 列表における配列番号:2に掲げたアミノ酸配列を有するか、または機能的に同 等な抗原性を維持するその修飾型である。 すなわち、ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドは配列表における配列番号 :2と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドに厳密に限定されるものではな いことを理解すべきである。むしろ本発明は、置換、小欠失、挿入または逆位の ような修飾をもつが、それにもかかわらずそのポリペプチドはヘリコバクターピ ロリFlgEポリペプチドの生物活性を実質的に有し、機能的に同等な抗原性を保持 するポリペプチドを包含する。ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドの定義に は、したがって、配列表の配列番号:2に掲げたアミノ酸配列と少なくとも90% のホモロジー、好ましくは少なくとも95%のホモロジーを有するアミノ酸配列の ポリペプチドが包含される。 他の態様においては、本発明は、ヘリコバクターピロリ感染に対する保護免疫 応答を誘導するワクチン組成物において、免疫学的有効量の上に定義したような ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドを、所望により医薬的に許容される担体 または希釈剤とともに含有してなるワクチン組成物を提供する。 この関連において、「免疫学的有効量」の語は、感染動物におけるH.ピロリ感 染を絶滅するか、もしくは感受性の高い動物の感染を防止するヘリコバクターピ ロリに対する有意な保護応答を誘導する量として理解すべきである。通常、経口 投与の場合のH.ピロリ抗原の免疫学的有効量は、約1μg〜1000mg、好ましくは 約10μg〜100mgであり、また、非経口投与 の場合には、約100μg以下である。 ワクチン組成物は所望により、さらに医薬的に許容される担体または希釈剤、 1種または2種以上の予防的もしくは治療的に使用される他の免疫学的に活性な 抗原からなる。生理学的に許容される担体および希釈剤は本技術分野の熟練者に 周知であり、たとえばリン酸緩衝食塩溶液(PBS)または経口ワクチンの場合H CO3 -ベースの処方物また腸溶性皮膜を施した粉末処方物が包含される。 ワクチン組成物は、所望により酸分泌阻害剤好ましくはプロトンポンプ阻害剤 (PPI)たとえばオメプラゾールをともに包含しまた投与することができる。ワ クチンは既知の送達システムたとえばリポソーム、ISCOM、コヘレエート(cochl eates)等(たとえばRabinovichら,Science 265,1401-1404,1994参照)中に 処方するか、または分解性のもしくは非分解性のポリマーマイクロスフェアに結 合もしくは導入することができる。抗原は、生存弱毒化細菌、ウイルスもしくは ファージまたは同種類の死滅ベクターと会合させることも可能である。抗原は、 不活性なまたはアジュバント型(すなわちコレラBサブユニット)の担体タンパ ク質に化学的または遺伝子的にカップリングさせることもできる。したがって、 本発明は他の態様として、さらにアジュバントたとえばコレラ毒素からなるワク チン組成物を提供する。このような医薬的に許容される型のコレラ毒素は本技術 分野では、たとえばRappuoliら,Int.Arch.Allergy & Immunol.108(4),327- 333,1995;およびDickinsonら,Infevtion and Immununity 63(5),1617-1623, 1995により周知である。 本発明のワクチン組成物は、治療的および予防的目的の両者に使用できる。し たがって、本発明は、H.ピロリに感染したヒトを含めた哺乳動物において、治療 用または予防用ワクチンとして使用するための上述のよう なワクチン組成物を包含する。これに関連して、「予防的目的」の語は、ヘリコ バクターピロリによる将来の感染に対して保護する免疫応答を誘導することを意 味し、一方「治療的目的」の語は現存するヘリコバクターピロリ感染を撲滅でき る免疫応答を誘導することを意味する。 本発明のワクチン組成物は、好ましくは任意の哺乳動物の粘膜たとえば舌下、 鼻、扁桃、胃、腸(小腸および大腸)、直腸および膣粘膜に投与される。粘膜ワ クチンは、その目的に適当なアジュバントとともに投与することができる。ワク チンはまた、経口的にまたは非経口的に、皮下、皮内もしくは筋肉内に、所望に より適当なアジュバントとともに投与することができる。ワクチン組成物は所望 により抗微生物治療剤とともに投与することができる。 さらに他の態様においては、本発明は、 i)ヘリコバクターピロリ感染の処置、予防または診断のための組成物、 ii)ヘリコバクターピロリに対する保護免疫応答を誘導するために使用されるワ クチン、および iii)ヘリコバクターピロリの診断のためのキット の製造における上に定義したヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドの使用を提 供する。 なおさらに他の態様においては、本発明は、ヘリコバクターピロリ感染のイン ビトロ診断方法において、上に定義したヘリコバクターピロリFlgEポリペプチド を所望により標識または固体支持体にカップリングして使用する少なくとも1工 程からなる方法を提供する。上記方法は,例えば(a)所望により固体支持体に結 合した上記ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドを哺乳動物から採取した体液 と接触させ、ついで(b)上記FlgEポリペプチドに結合した上記体液からの抗体 を検出する工程から構成するこ とができる。抗体の好ましい検出方法は、本技術分野で周知のELISA(固相酵素 免疫測定法)である。 他の態様においては、本発明は、人を含む哺乳動物のヘリコバクターピロリ感 染を検出する診断キットにおいて、上述のインビトロ診断を実施する方法を可能 にする成分から構成される。上記診断キットは、たとえば(a)ヘリコバクター ピロリFlgEポリペプチド、および(b)上記FlgEポリペプチドに結合した抗体を検 出するための試薬から構成することができる。抗体を検出するための上記試薬は たとえば、酵素標識抗-免疫グロブリンおよびその酵素の色素原基質とすること ができる。 さらに他の態様においては、本発明は、ヒトを含む哺乳動物に、ヘリコバクタ ーピロリに対する保護免疫応答を誘導する方法において、上記哺乳動物に免疫学 的有効量の上に定義したヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドを投与する工程 、または別法として上に定義したワクチン組成物の免疫学的有効量を上記哺乳動 物に投与する工程から構成される方法を提供する。 実験方法 この記載を通じて、「標準プロトコール」ならびに「標準操作」の語は、分子 クローニング技術の関連で使用された場合、通常の実験室マニュアル、たとえば Current Protocols in Molecular Biology,F.Ausubelら編集,John Wiley and Sons,Inc.,1994;Sambtook,J.,Fritsch,E.F.& Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor LaboratoryP ress,Cold Spring Harbor,NY,1989に見いだされるプロトコールまたは操作と して理解されるべきである。 組換ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドの調製 DNA配列情報 FlgEポリペプチドをコードする遺伝子の配列情報は、the National Center fo r Biotechnology Information(受入番号U09549;配列番号:1)から入手した 。 ヘリコバクターピロリのJ99株からの膜および分泌タンパク質のORFを含有す るDNA配列のPCR増幅およびクローニング H.ピロリのJ99株からの配列を、ポリメラーゼチェーン反応(PCR)を用いる 増幅クローニングによりクローニングした。遺伝子のオープンリーディングフレ ームの5'−ならびに3'−末端に特異的な合成オリゴヌクレオチドプライマー(下 記参照)を設計し購入した(GibcoBRL Life Technologies,Gaithersburg,MD, USA)。FlgEの順行プライマー(配列の5'−末端に特異的)は5'−最末端におけ るNcoIクローニング部位を包含するように設計し、一方逆行プライマーには、p ET28bベクターのリーディングフレーム各H.ピロリ配列のクローニングを可能に するように5'−最末端にEcoRI部位を包含させた。pET-28bベクターのNcoI−Ec oRI部位にクローン化された挿入体を、さらに6個のヒスチジン残基(C−最末 端において)を含有する付加的な20カルボキシ末端アミノをコードするベクター DNA配列に融合する。 順行プライマー(配列番号:3) 5'−TAT ACC ATG GTG CTT AGG TCT TTA T−3' 逆行プライマー(配列番号:4) 5'−GCG AAT TCA ATT GCT TAA GAT TCA A−3' ヘリコバクターピロリのJ99株から調製したゲノムDNAをPCR増幅反応の 鋳型DNAのソースとして用いた(Current Protocols in Molecular Biology,F .Ausubelら編,John Wiley and Sons,Inc.,1994)。H.ピロリORFを含有するD NA配列を増幅するためには、ゲノム DNA(50ng)を、最終容量100μl中2mM MgCl2、特定のH.ピロリORFに相補性 で隣接する1μMの合成オリゴヌクレオチドプライマー(順行および逆行プライ マー)、0.2mMの各デオキシヌクレオチド三リン酸、dATP、dGTP、dCTP、dTTP、 ならびに2.5単位の熱安定性DNAポリメラーゼ(Amplitaq,Roche Molecular S ystems,Inc.,Branchburg,NJ,USA)を含有する反応バイアルに導入した。各O RFについて増幅DNA産物を得るために、Perkin Elmer Cetus/GeneAmp PCRSyst em 9600熱サイクラーを用い、以下の熱サイクリング条件を使用した。 +94℃で2分間変性; +94℃で15秒+30℃で15秒および+72℃で1.5分、2サイクル; +94℃で15秒+58℃で15秒および+72℃で1.5分、23サイクル; 反応は+72℃で6分間行なって終結した。 熱サイクリング反応が完了したならば増幅したDNAの各サンプルを洗浄し、 Qiaquick Spin PCR精製キット(Qiagen,Gaithersburg,MD,USA)を用いて精製 した。増幅DNAサンプルを標準操作により、制限エンドヌクレアーゼNdeIお よびEcoRIでの消化に付した。DNAサンプルを、ついで、1.0%NuSeive(FMC BioProducts,Rockland,ME,USA)アガロースゲル上電気泳動に付した。DNA をエチジウムブロミドおよび長波長UV照射に暴露することにより可視化した。 アガロースゲルから単離したスライス中に含有されるDNAを、Bio 101 GeneCl ean Kitプロトコール(Bio 101 Vista,CA,USA)を用いて精製した。H. ピロリDNA配列のpET-28b原核生物発現ベクターへのクローニング pET-28bベクターは標準操作によりNcoIおよびEcoRIでの消化によるクローニ ングのために調製した。消化したのち、DNA挿入体を、前に消化 したpET-28b発現ベクターに標準操作によってクローン化した。ついで、リゲー ション反応の産物を用いて、以下に記載するように大腸菌のBL21株をトランスフ ォームするために使用した。 組換えプラスミドによるコンピーテントな細菌のトランスフォーメーション コンピーテントな細菌、大腸菌株BL21または大腸菌株BL21(DE3)をクローン 化H.ピロリ配列を有するpET発現プラスミドで、標準方法によってトランスフォ ームした。略述すれば1μlのリゲーション反応混合物を50μlのエレクトロコン ピーテン細胞と混合し、高圧パルスに付し、ついでサンプルを0.45ml SOCメジウ ム(0.5%酵母エキス、2.0%トリプトン、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgSO4お よび20mMのグルコース)中、+37℃において1時間、振盪しながらインキュベー トした。サンプルを、ついで、25μg/mlの硫酸カナマイシンを含有するLBア ガープレート上に播いて一夜増殖させた。BL21のトランスフォームされたクロー ンを、ついで採取し、下記のようにクローン化された挿入体を分析して評価した 。 H. ピロリ配列を有する組換えpET発現プラスミドの同定 組換えpET-28b H.ピロリ遺伝子でトランスフォームされた個々のBLクローン を、最初のPCR増幅クローニング反応に使用した各H.ピロリ配列に特異的な同じ 順行および逆行プライマーを用いてクローン化挿入体のPCR増幅によって分析し た。成功した増幅は、発現ベクター中へのH.ピロリ配列のインテグレーションを 標準操作によって確認した。 BL21 トランスフォーマントからプラスミドDNAの単離および調製 適切にクローン化したH.ピロリORFを含有する組換pET-28bベクターの個々のク ローンを取り出し、5mlの25μg/mlの硫酸カナマイシンを加えたLBブロス中で 一夜インキュベートした。翌日、プラスミドDNAを単 離し、Qiagenのプラスミド精製プロトコール(Qiagen Inc.,Chatsworth,CA.USA )を用いて精製した。 大腸菌中の組換H.ピロリ配列の発現 pETベクターはクローニングまたはプラスミド調製の目的のため任意の大腸菌 株K-12、たとえばHMS174、HB101、JM109,DH5α等中で増殖させることができる 。発現のための宿主にはT7RNAポリメラーゼの遺伝子の染色体コピーを含有 する大腸菌株が包含される。これらの宿主は、バクテリオファージDE3のリソゲ ン、lacI遺伝子、lacU5プロモーターおよびT7RNAポリメラーゼの遺伝子を有す るラムダ誘導体である。T7RNAポリメラーゼは、イソプロピル-β-D-チオガラク トシド(IPTG)の添加によって誘導され、T7RNAポリメラーゼは任意の標的プラ スミド、たとえばその関心遺伝子を有するpET-28bを転写する。本発明者らの実 験室で用いた株には、BL21(DE3)が包含される(Studier,F.W.,Rosenberg, A.H.,Dunn,J.J.& Dubendorff,J.W.,Methods Enzymol.108,60-89,199 0)。 組換えH.ピロリ配列を発現させるためには、上述のように単離されたプラスミ ドDNA 50ngを上述のようなコンピーテントBL21(DE3)細菌を用いてトランス フォームした(NovagenによりpET発現系キットの部分として提供された)。トラ ンスフォームされた細胞をSOCメジウム中で1時間培養し、ついで培養液を25μg /mlの硫酸カナマイシンを含有するLBプレート上でプレーティングした。翌日、 細菌コロニーをプールし、硫酸カナマイシン(25μg/ml)を含有するむLBメジ ウム中で、600nmにおける光学密度が0.5〜1.0 O.D.単位になるまで増殖させ、こ の時点で1mMのIPTGを培養液に加えて3時間H.ピロリ組換えDNA構築体の遺伝 子発現を誘導した。 遺伝子発現をIPTGで誘導したのち、細菌をSorvall PC-3B遠心分離器により350 0×g、4℃において15分間遠心分離してペレット化した。このペレットを冷10m M Tris-HCl,pH8.0,0.1M NaClおよび0.1mM EDTA(STE緩衝液)50ml中に再懸濁 した。細胞をついで2000×g、4℃で20分間遠心分離した。湿ったペレットを秤 量して、タンパク質精製の準備ができるまで−80℃で凍結した。分析方法 精製したタンパク質のプレパレーションの濃度を、アミノ酸含量から計算した 吸収係数を用いて分光光度法によって定量した(Perkins,S.J.,Eur.J.Bioc hem.157,169-180,1986)。タンパク質濃度はまた、標準としてウシ血清アル ブミンを使用し、Bradford,M.M.,Anal.Biochem.72,248-254,1976およびLo wry,O.H.,Rosebrough,N.,Farr,A.L.& Randall,R.J.,1951の方法でも測 定した。 ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド(SDS-PAGE)ゲル(12%または 4〜25%勾配アクリルアミド)はBioRad(Hercules,CA,USA)から購入し、ク ーマシーブリリアントブルーで染色した。分子量マーカーには、ウサギ骨格筋ミ オシン(200kDa)、大腸菌β−ガラクトシダーゼ(116kDa)、ウサギ筋ホスホリ ラーゼB(97.4kDa)、ウシ血清アルブミン(66.2kDa)、オバルブミン(45kDa )、ウシカルボニックアンヒドラーゼ(31kDa)、大豆トリプシンインヒビター (21.5kDa)、卵白リゾチーム(14.4kDa)およびウシアプロチニン(6.5kDa)が 包含される。 封入体からのFlgEの精製 以下の工程は4℃で実施した。細胞ペレットを10%グリセロール、200μg/ml リゾチーム、5mM EDTA、1mM PMSFおよび0.1%β−メルカプトエタノールとと もに溶解緩衝液中に再懸濁した。細胞破壊器を通したのち、 得られたホモジネートを0.2%DCCとし、10分間攪拌し、ついで遠心分離した(10 ,000g×30分)。ペレットを最初に10%グリセロール、10mM EDTA、1%TritonX- 100、1mM PMSFおよび0.1%β−メルカプトエタノールを含有する溶解緩衝液に より、ついで1M尿素、1mM PMSFおよび0.1%β−メルカプトエタノールを含有 する溶解緩衝液により洗浄した。得られた白色のペレットは主として未破壊細胞 および膜物質を含まない封入体から構成される。 以下の工程は室温にて実施した。封入体を1mM PMSFおよび0.1%β−メルカプ トエタノールを含有する溶解緩衝液中8M尿素20mlに溶解し、室温で1時間イン キュベートした。溶解しなかった物質を遠心分離(100,000×gで30分間)して 除去した。澄明な上清をろ過し、溶解緩衝液中8M尿素に平衡化したNi2+-NTAア ガロースカラムに負荷した。カラムを8M尿素、1mM PMSFおよび0.1%β−メル カプトエタノールを含有する溶解緩衝液250ml(50床容量)で洗浄し、ついで8 M尿素、1mM PMSF、0.1%β−メルカプトエタノールならびに20、100、200、お よび500mMのイミダゾールを含有する溶解緩衝液の継続的工程によって展開した 。分画をOD280nmにおける吸収によってモニターし、ピーク分画をSDS-PAGEによ り分析した。2つのバンド、大きなバンドMr=78kDaおよび小さいバンドMr=60k Daをクーマシーブリリアントブルー染色により可視化した。組換えFlgE(78kDa )の純度は、90%以上と評価された。可溶性タンパク質の精製に関しては、組換 えタンパク質を含有する分画を100mMイミダゾールで溶出した。 尿素は、0.5%DOCと尿素を連続的に次のように6M、4M、3M、2M、1M 、0.5Mついで0Mと減少させて含有するTBSに対する透析によって、FlgEか ら徐々に除去した。各透析工程は室温において最低4時間実施した。 透析後、サンプルをAmiconの使用による加圧ろ過により、細胞を撹拌しながら 濃縮した。タンパク質濃度はついでPerkins,BradfordおよびLowryの方法によっ て測定した。発明の実施例 実施例1:治療的免疫処置 1.材料および方法 1.1.動物 雌性SPE BALB/cマウスはBomholt Breeding Centre(Denmark)から購入した。 それらは通常のMakrolonケージで飼育し、水および飼料は自由に摂取させた。動 物は到着時4〜6週齢であった。 1.2.感染 最低1週間の順化ののち、動物に2型株H.ピロリ(株244、最初は潰瘍患者から 単離された)を感染させた。この株がマウス胃の良好なコロナイザーであること は早くに証明されている。−70℃に保持した保存液からの細菌を、10%ウシ胎児 血清補充ブルセラ培地中、+37℃、微好気性雰囲気(10%CO2,5%O2)で一夜 増殖させた。動物にオメプラゾールの経口用量(400μmol/kg)を投与し、3〜 5時間後にH.ピロリの経口接種(約107〜108CFU/動物)を行った。感染は接種 後2〜3週間に対照動物でチェックした。 1.3.免疫処置 感染から1月後に、2群のマウス(10マウス/群)に、34日間にわたって4回 (日1、15、25および35)免疫した。PBS中に溶解した精製組換えFlgE+0.5%デ オキシコール酸(DOC)を100μg/kgの用量で投与した。 アジュバントとして、対照群およびFlgE群の両者の動物に各免疫処置とともに コレラ毒素(CT)10μg/マウスも投与した。オメプラゾール(400 μmol/kg)は抗原を酸分解から保護する方法として免疫処置の3〜5時間前にす べての動物に経口的に投与した。動物は最終の免疫処置から1〜2週後に屠殺し た。 群1:0.5%DOCとともに10μgのCTを含有する300μlのPBS 群2:0.5%DOCとともに100μgのFlgEおよび10μgのCTを含有する300μlのPBS 1.4.感染の分析 マウスはCO2および頚椎脱臼により屠殺した。腹腔および胸腔を開き、心臓穿 刺により血液をサンプリングした。ついで、胃を摘出した。胃を大弯に沿って切 断したのち、食塩水で濯ぎ、ついで2つの等しい小片に切断した。幽門および胃 本体からの面積25mm2の粘膜を外科用メスで別個に削り落とした。粘膜を削り落 としたものをブルセラ培地に懸濁し、希釈し、Blood Skirrowプレートにプレー ティングした。プレートを微好気性条件下に3〜5日間インキュベートし、コロ ニー数を計数した。H.ピロリの同一性はウレアーゼおよびカタラーゼ試験、なら びに直接顕微鏡観察またはグラム染色によって確認した。 1.5.抗体測定 血清抗体は血液から集めた。遠心分離の前に血液は等量のPBSで希釈した。血 清は分析まで−20℃に保持した。血清抗体は、プレートをH.ピロリ244株の粒子 分画またはFlgEでコートし、次に様々な希釈度の血清を加えたELISAを用いて測 定した。ELISAをアルカリホスファターゼ標識抗−マウスIg抗体で展開した。抗 −Ig抗体は抗−重鎖/抗−軽鎖型であり、抗体のすべての種類を検出しなければ ならない。 2.結果 2.1.治療的免疫処置:CFUに対する効果 この試験の動物は、免疫処置1カ月前にH.ピロリ244株で感染させた。1群10 匹のマウスをついでコレラ毒素(CT)、または組換えFlgEポリペプチドとCTで 免疫処置した。最後の免疫処置から4週後に、動物を屠殺し、CFUを測定した( 図1)。CT単独で処置した動物は、胃本体および幽門部の両者において高度に感 染された。組換えFlgEポリペプチドおよびCTで能動的に免疫された動物では、幽 門部および胃全体におけるCFU値がCT処置動物に比較して有意に低下した(それ ぞれ、p<0.01およびp<0.05、Wilcoxon-Mann-Whittney順位和検定)。 2.2.治療的免疫処置:抗体形成および分泌に対する効果 感染の兆候としてH.ピロリ特異的な抗体が血清に見出される(対照/244)。F lgE+CTを投与された動物では株244に対する力価(膜タンパク質として)が4倍 に増加した(p<0.01)。FlgE+CTを投与された動物のみで、FlgEに対する特異 的血清IgG力価を測定することができた(図2)。 FlgE特異的血清IgGはFlgEを投与した動物で増加したが、対照動物では検出 できなかった。 結果は、組換えFlgE H.ピロリポリペプチドは、アジュバントとしてコレラ毒 素とともに経口投与した場合、全身的なFlgE特異的なIg抗体の上昇として測定さ れ、高度に免疫原性であることが示された。FlgEによる免疫ではH.ピロリの粒子 分画に対するIg力価もまた、有意に上昇した。FlgEとともにコレラ毒素で免疫し たのちには、さらに、感染マウスの胃粘膜にコロナイズしたH.ピロリの数に劇的 な低下が見られた。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年7月16日(1999.7.16) 【補正内容】 請求の範囲 1.ヘリコバクターピロリ感染に対する保護免疫応答を哺乳動物に誘導するため のヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドまたはその機能的に同等な抗原性を維 持している修飾型から構成されるワクチン組成物。 2.FlgEポリペプチドは配列表の配列番号:2に示したアミノ酸配列より実質的 に構成される請求項1記載のワクチン組成物。 3.ポリペプチドは配列番号:2に少なくとも90%のホモロジーを有するアミノ 酸配列から構成される請求項2記載のワクチン組成物。 4.ポリペプチドは配列番号:2に少なくとも95%のホモロジーを有するアミノ 酸配列から構成される請求項2記載のワクチン組成物。 5.医薬的に許容される担体または希釈剤を包含する請求項1〜4のいずれかに 記載のワクチン組成物。 6.アジュバントからなる請求項1〜5のいずれかに記載のワクチン組成物。 7.アジュバントは医薬的に許容される型のコレラ毒素である請求項6記載のワ クチン組成物。 8.リポソーム、ISCOM、コヘレエートおよびポリマーマイクロスフェアから選 択される物質を包含する請求項1〜7のいずれかに記載のワクチン組成物。 9.生存弱毒化細菌、ウイルスおよびファージから選択されるベクターからなる 請求項1〜7のいずれかに記載のワクチン組成物。 10.哺乳動物におけるヘリコバクターピロリ感染に対する処置、予防または診断 のための組成物の製造におけるヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドまたはそ の機能的に同等な抗原性を維持している修飾型の使用。 11.ヘリコバクターピロリに対して哺乳動物に保護免疫応答を誘導するために使 用されるワクチン組成物の製造におけるヘリコバクターピロリFlgEポリペプチド またはその機能的に同等な抗原性を維持している修飾型の使用。 12.FlgEポリペプチドは請求項2〜4のいずれかに記載の定義を有するものであ る請求項10または11記載の使用。 13.哺乳動物はヒトである請求項10〜12のいずれかに記載の使用。 14.組成物は医薬的に許容される担体もしくは希釈剤を包含する請求項10〜13の いずれかに記載の使用。 15.組成物はアジュバントから構成さる請求項10〜14のいずれかに記載の使用。 16.アジュバントは医薬的に許容される型のコレラ毒素である請求項15記載の使 用。 17.組成物はリポソーム、ISCOM、コヘレエートおよびポリマーマイクロスフェ アから選択される物質を包含する請求項10〜16のいずれかに記載の使用。 18.生存弱毒化細菌、ウイルスおよびファージから選択されるベクターから構成 される請求項10〜16のいずれかに記載の使用。 19.哺乳動物におけるヘリコバクターピロリ感染のインビトロ診断方法において 、 (a) ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドまたはその機能的に同等な抗原 性を維持する修飾型を哺乳動物から採取した体液と接触させ、ついで (b) 上記FlgEポリペプチドに結合した上記体液からの抗体を検出する 工程からなる方法。 20.FlgEポリペプチドは請求項2〜4のいずれかに記載の定義を有するものであ る請求項19記載の方法。 21.FlgEポリペプチドは固体支持体に結合させる請求項19〜20のいずれかに記載 の方法。 22.哺乳動物はヒトである請求項19〜21のいずれかに記載の方法。 23.請求項19記載の方法に使用するための診断キットにおいて、キットはヘリコ バクターピロリFlgEポリペプチドまたはその機能的に同等な抗原性を維持する修 飾型からなるキット。 24.FlgEポリペプチドは請求項2〜4のいずれかに記載のように定義される請求 項23記載のキット。 25.ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドまたはその機能的に同等な抗原性を 維持する修飾型を哺乳動物に投与する工程からなる、ヘリコバクターピロリに対 する保護免疫応答を哺乳動物に誘導する方法。 26.FlgEポリペプチドは請求項2〜4のいずれかに記載のように定義される請求 項25記載の方法。 27.哺乳動物はヒトである請求項25または26記載の方法。 28.方法は予防的方法である請求項25〜27のいずれかに記載の方法。 29.方法は治療的方法である請求項25〜27のいずれかに記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/569 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヘリコバクター・ピロリ感染に対する保護免疫応答の誘導に使用するための ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドまたはその機能的に同等な抗原性を維持 している修飾型。 2.実質的に配列表の配列番号:2に示すアミノ酸配列を有し、ヘリコバクター ピロリ感染に対する保護免疫応答の誘導に使用するための請求項1記載のH.ピロ リFlgEポリペプチド。 3.ヘリコバクターピロリ感染に対する保護免疫応答の誘導のためのワクチン組 成物において、請求項1または2に記載のヘリコバクターピロリFlgEポリペプチ ドの免疫学的有効量および所望により医薬的に許容される担体または希釈剤から 構成されるワクチン組成物。 4.さらにアジュバントから構成される請求項3記載のワクチン組成物。 5.アジュバントは医薬的に許容される型のコレラ毒素である請求項4記載のワ クチン組成物。 6.ヘリコバクターピロリに感染したヒトを含む哺乳動物において治療的ワクチ ンとして用いるための請求項3〜5のいずれかに記載のワクチン組成物。 7.ヘリコバクターピロリによる感染からヒトを含む哺乳動物を保護する予防的 ワクチンとして使用するための請求項3〜5のいずれかに記載のワクチン組成物 。 8.ヘリコバクターピロリ感染の処置、予防または診断のための組成物の製造に おける請求項1または2に定義したヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドの使 用。 9.ヘリコバクターピロリに対する保護免疫応答の誘導に使用するためのワクチ ンの製造における請求項1または2に定義したヘリコバクターピ ロリFlgEポリペプチドの使用。 10.ヘリコバクターピロリ感染の診断のための診断キットの製造における請求項 1または2に定義したヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドの使用。 11.請求項1または2に定義したヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドを、所 望により標識するかまたは固体支持体にカップリングして、使用する少なくとも 一つの工程から構成されるヘリコバクターピロリ感染のインビトロ診断方法。 12.(a) 所望により固体支持体に結合させた上記ヘリコバクターピロリFlgEポ リペプチドを哺乳動物から採取した体液と接触させ、ついで (b) 上記FlgEポリペプチドに結合した上記体液からの抗体を検出する 工程からなる請求項11記載の方法。 13.請求項11または12記載の方法の実施を可能にする成分から構成されるヒトを 含む哺乳動物におけるヘリコバクターピロリ感染を検出するための診断キット。 14.(a) ヘリコバクターピロリFlgEポリペプチドおよび (b) 上記FlgEポリペプチドに結合した抗体を検出するための試薬からなる 請求項13記載の診断キット。 15.哺乳動物にヘリコバクターピロリ感染に対する保護免疫応答を誘導する方法 において、上記方法は、上記哺乳動物に請求項1または2において定義したヘリ コバクターピロリFlgEポリペプチドの免疫学的有効量を投与する工程からなる方 法。 16.哺乳動物にヘリコバクターピロリ感染に対する保護免疫応答を誘導する方法 において、上記方法は上記哺乳動物に請求項3〜7のいずれかに 記載のワクチン組成物の免疫学的有効量を投与する工程からなる方法。 17.上記哺乳動物はヒトである請求項15または16記載の方法。
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