JP2002505854A - ストレプトコッカス・ニューモニアエのpyrH遺伝子および蛋白 - Google Patents

ストレプトコッカス・ニューモニアエのpyrH遺伝子および蛋白

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、pyrHポリペプチドおよびpyrHポリペプチドをコードするポリヌクレオチドならびに組換え技術によるかかるポリペプチドの製造方法を提供する。抗細菌化合物のスクリーニングのためのpyrHポリペプチドの使用方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、新たに同定されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびに
それらの製造および使用、ならびにそれらの変種、アゴニストおよびアンタゴニ
スト、そしてそれらの使用に関する。詳細には、本発明は、UMP(ウリジン1
リン酸)キナーゼファミリーのポリヌクレオチドおよびポリペプチド(以下、p
yrHという)に関する。
【0002】 発明の背景 ストレプトコッカス属(Streptococci)は医学的に重要な微生物属を形成して
おり、ヒトにおいて、例えば中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎
、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎を包
含する、いくつかの型の疾患を引き起こすことが知られている。ストレプトコッ
カス属の単離から100年以上も経過しているため、ストレプトコッカス・ニュ
ーモニアエ(Streptococcus pneumoniae)は、より詳細な研究がなされた微生物
の一つである。例えば、事実、DNAが遺伝物質であるという初期の見解の大部
分は、この微生物を用いたGriffithならびに、Avery、MacleodおよびMcCartyの 研究において述べられた。ストレプトコッカス・ニューモニアエに関する研究は
膨大であるにも関わらず、この微生物の毒性に関しては多くの疑問が残されてい
る。抗生物質の開発のための標的としてストレプトコッカス属の遺伝子および遺
伝子産物を用いるのはとりわけ好ましいことである。
【0003】 ストレプトコッカス・ニューモニアエ感染の頻度は過去20〜30年間に劇的
に上昇している。これは多重抗生物質耐性株の出現、および免疫系が低下した人
の集団の増加に起因している。いくつかのまたは全ての標準的な抗生物質に対し
て耐性を有するストレプトコッカス・ニューモニアエ株を単離することはもはや
めずらしいことではない。この現象がこの生物に対する新しい抗菌剤、ワクチン
および診断試験についての必要性を形成した。
【0004】 UMPキナーゼは、グルコース代謝中間体からデノボ回路を経るか、または外
来性のウラシルおよびウリジンからのピリジン3リン酸ヌクレオシドの生合成に
関与する。ピリジン3リン酸ヌクレオチドは、RNA、DNA、リン脂質および
ペプチドグリカンのような巨大分子の生合成における前駆体である。
【0005】 エシェリキア・コリ(Escherichia coli)におけるpyrHの遺伝子産物の本
質的な性質は、温度感受性変異体の構築によって示された(Yamanaka, K., Ogur
a, T., Niki, H., and Hiraga, S. 1992. J. Bacteriol. 174, 7517-7526)。低
温感受性変異体もまた、エシェリキア・コリ(Yamanaka, K., Ogura, T., Niki,
H., and Hiraga, S. 1992. J. Bacteriol. 174, 7517-7526. Bucurenci, N., S
erina, L., Zaharia, C., Landais, S., Danchin, A., and Barzu O. 1998. J.
Bacteriol. 180, 473-477)およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella ty
phimurium)(Ingraham, J.L., and Neuhard, J. 1972. J. Biol. Chem. 247, 6
259-6265)において単離された。さらに、UMPキナーゼの重要な生理学的役割
にしたがって、pyrH変異体は、巨大分子合成の阻害を包含する多面発現効果
、膜における欠損および細胞形態の変化を示す(Yamanaka, K., Ogura, T., Nik
i, H., and Hiraga, S. 1992. J. Bacteriol. 174, 7517-7526)。
【0006】 明らかに、抗生物質活性に関して化合物をスクリーニングするのに有用である
という目下の利益を有する本発明pyrH具体例のごとき因子に対する必要性が
ある。かかる因子は、感染、機能不全および疾病の発生におけるそれらの役割を
調べるのにも有用である。感染、機能不全または疾病の予防、改善または修正に
おいて役割を果たしうる、かかる因子ならびにそれらのアンタゴニストおよびア
ゴニストに対する必要性もある。
【0007】 本発明の特定のポリペプチドは、既知のバシラス・ズブチリス(Bachillus. s
ubtilis)のsmbA、シネコシスチス(Synechocystis)属のpyrH、マイコ
バクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)のpyrH、マイコバクテリウ
ム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)のpyrH、エシェリキ
ア・コリのsmbA、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae
)のpyrH、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)のpyrH、 マイコプラズマ・ニューモニアエ(Mycoplasma pneumoniae)のpyrH、クラ ミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のpyrH、マイコプラズマ ・ゲニタリウム(Mycoplasma genitalium)のsmbA、テルムス・アクアティ カス(Thermus aquaticus)のpyrH、アーケオグロブス・フルギダス(Archa
eoglobus fulgidus)のpyrH、メタノコッカス・ジャナシイ(Methanococcus
jannaschii)のpyrH、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)
のpyrHおよびボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)のsm
bA蛋白に対するアミノ酸配列相同性を有する。GeneBank Z99112; GeneBank D9
0915; GeneBank Z97369; GeneBank Z74024; GeneBank D26562 and X78809; Gene
Bank U32786; GeneBank AE000589; GeneBank AE000021; GeneBank U60196; Gene
Bank U39730; GeneBank X83598; GeneBank AE000962; GeneBank U67566; GeneBa
nk AB005215; GeneBank AE001158参照。
【0008】 発明の概要 表1(配列番号:2)に示すアミノ酸配列および既知アミノ酸配列またはバシ
ラス・ズブチリスのsmbA、シネコシスチス属のpyrH、マイコバクテリウ
ム・レプレのpyrH、マイコバクテリウム・ツベルクローシスのpyrH、エ
シェリキア・コリのsmbA、ヘモフィルス・インフルエンザのpyrH、ヘリ
コバクター・ピロリのpyrH、マイコプラズマ・ニューモニアエのpyrH、
クラミジア・トラコマチスのpyrH、マイコプラズマ・ゲニタリウムのsmb
A、テルムス・アクアティカスのpyrH、アーケオグロブス・フルギダスのp
yrH、メタノコッカス・ジャナシイのpyrH、ピロコッカス・ホリコシのp
yrHおよびボレリア・ブルグドルフェリのsmbA蛋白のごとき他の蛋白の配
列の間の相同性により、pyrHポリペプチドであると同定されたポリペプチド
提供することが本発明の目的である。
【0009】 pyrHポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド、詳細には本明細書
でpyrHと命名されたポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを提供
することが本発明のさらなる目的である。 本発明の特に好ましい具体例において、ポリヌクレオチドは、表1(配列番号
:1)に示す配列を含むpyrHポリペプチドをコードする領域を含み、全長遺
伝子またはその変種が包含される。 本発明のもう1つの特に好ましい具体例において、表1(配列番号:2)のア
ミノ酸配列を含むストレプトコッカス・ニューモニアエ由来のpyrH蛋白、ま
たはその変種がある。
【0010】 本発明のさらなる態様は、pyrH、詳細にはストレプトコッカス・ニューモ
ニアエのpyrHをコードしている単離核酸分子が提供され、それにはmRNA
、cDNA、ゲノムDNAが包含される。本発明のさらなる具体例は、生物学的
、診断学的、予防的、臨床的もしくは治療的に有用なその変種、およびそれらを
含む組成物を包含する。 本発明のもう1つの態様によれば、治療または予防を目的とした、特に遺伝学
的免疫を目的とした、本発明ポリヌクレオチドの使用が提供される。本発明の特
に好ましい具体例には、pyrHの天然に存在する対立遺伝子変種およびそれに
よりコードされるポリペプチドがある。
【0011】 本発明のもう1つの態様において、本明細書においてpyrHと称されるスト
レプトコッカス・ニューモニアエのポリペプチド、ならびに生物学的、診断学的
、予防的、臨床的もしくは治療的に有用なその変種およびそれらを含む組成物が
提供される。 本発明の特に好ましい具体例には、pyrH遺伝子の天然に存在する対立遺伝
子によりコードされるpyrHポリペプチドの変種がある。 本発明の好ましい具体例において、上記pyrHポリペプチドの製造方法が提
供される。 本発明のさらに別の態様によれば、例えば、抗体を含め、抗細菌剤として有用
なかかるポリペプチドの阻害剤が提供される。
【0012】 本発明の特定の好ましい具体例によれば、pyrH発現の評価、疾病の治療、
遺伝学的変異のアッセイ、ならびに細菌、特にストレプトコッカス・ニューモニ
アエ細菌に対する免疫学的応答を生起するための生物へのpyrHポリペプチド
またはポリヌクレオチドの投与のための、製品、組成物および方法が提供される
【0013】 本発明のこのおよび他の態様の特定の好ましい具体例によれば、特に、厳密な
条件下でpyrHポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションするポリヌク
レオチドが提供される。 本発明の特定の好ましい具体例において、pyrHポリペプチドに対する抗体
が提供される。 本発明の他の具体例において、本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの
結合、あるいは相互作用して、それらの活性を阻害または活性化する化合物の同
定方法が提供され、該方法は、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドと
の間の結合あるいは他の相互作用を可能にする条件下で、本発明ポリペプチドま
たはポリヌクレオチドをスクリーニングすべき化合物と接触させて、化合物との
結合あるいは他の相互作用を評価し(かかる結合または相互作用は、ポリペプチ
ドまたはポリヌクレオチドと化合物との結合あるいは相互作用に応答して検出可
能なシグナルを提供することのできる第2の化合物に関連している)、次いで、
化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの結合または相互作用から生じ
るシグナルの存在または不存在を検出することにより、化合物がポリペプチドま
たはポリヌクレオチドに結合あるいは相互作用して、それらの活性を活性化また
は阻害するかどうかを決定することを含む。
【0014】 本発明のさらにもう1つの態様によれば、pyrHアゴニストおよびアンタゴ
ニスト、好ましくは静細菌性または殺細菌性アゴニストおよびアンタゴニストが
提供される。
【0015】 本発明のさらなる態様において、単細胞または多細胞生物に投与するための、
pyrHポリヌクレオチドまたはpyrHポリペプチドを含む組成物が提供され
る。
【0016】 本発明のもう1つの具体例において、配列番号:1の配列を含むポリヌクレオ
チド;配列番号:2の配列を含むポリペプチド;少なくとも1つの配列が配列番
号:1の配列を含む一連のポリヌクレオチド配列;少なくとも1つの配列が配列
番号:2の配列を含む一連のポリペプチド配列;配列番号:1の配列を含むポリ
ヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号:2の配列を含むポリペプチド
配列をコードしているポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号:1
の配列を含むポリヌクレオチド;配列番号:2の配列を含むポリペプチド;少な
くとも1つの配列が配列番号:1の配列を含む一連のポリヌクレオチド配列;少
なくとも1つの配列が配列番号:2の配列を含む一連のポリペプチド配列;配列
番号:1の配列を含むポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号:2
の配列を含むポリペプチド配列をコードしているポリヌクレオチド配列を示すデ
ータセットよりなる群から選択されるメンバーを格納したコンピューター可読媒
体が提供される。本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の配列
番号:1の配列を含むポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、該ポリヌクレオ
チド配列を少なくとも1個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較し
て相同性を同定する工程を含む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づ
く方法を提供する。
【0017】 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の配列番号:2の配列
を含むポリペプチドを提供し;次いで、該ポリペプチド配列を少なくとも1個の
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して相同性を同定する工程を含
む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づく方法を提供する。 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の配列番号:1の配列
を含む第1のポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、上記の第1のポリヌクレ
オチド配列と第2のポリヌクレオチド配列間の少なくとも1個の重複領域につい
てスクリーニングする工程を含む、ポリヌクレオチドアセンブリーのためのコン
ピューターに基づく方法を提供する。
【0018】 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の配列番号:1の配列
を含むポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、該ポリヌクレオチド配列を少な
くとも1個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して相同性を同定
する工程を含む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づく方法を提供す
る。 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の配列番号:2の配列
を含むポリペプチド配列を提供し;次いで、該ポリペプチド配列を少なくとも1
個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して相同性を同定する工程
を含む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づく方法を提供する。 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の配列番号:1の配列
を含む第1のポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、上記の第1のポリヌクレ
オチド配列と第2のポリヌクレオチド配列間の少なくとも1個の重複領域につい
てスクリーニングする工程を含む、ポリヌクレオチドアセンブリーのためのコン
ピューターに基づく方法を提供する。
【0019】 開示した本発明の精神および範囲内での種々の変更および修飾は、以下の記載
を読むこと、および本明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易に
明らかとなろう。
【0020】 発明の説明 本発明は、とりわけ、以下に非常に詳細に説明する、pyrHポリペプチドお
よびポリヌクレオチドに関する。詳細には、本発明は、バシラス・ズブチリスの
smbA、シネコシスチス属のpyrH、マイコバクテリウム・レプレのpyr
H、マイコバクテリウム・ツベルクローシスのpyrH、エシェリキア・コリの
smbA、ヘモフィルス・インフルエンザのpyrH、ヘリコバクター・ピロリ
のpyrH、マイコプラズマ・ニューモニアエのpyrH、クラミジア・トラコ
マチスのpyrH、マイコプラズマ・ゲニタリウムのsmbA、テルムス・アク
アティカスのpyrH、アーケオグロブス・フルギダスのpyrH、メタノコッ
カス・ジャナシイのpyrH、ピロコッカス・ホリコシのpyrHおよびボレリ
ア・ブルグドルフェリのsmbAポリペプチドに対するアミノ酸配列相同性によ
り関連付けられる、ストレプトコッカス・ニューモニアエのpyrHのポリペプ
チドおよびポリヌクレオチドに関する。特に本発明は、それぞれ配列番号:1お
よび配列番号:2として表1に示すヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を有す
るpyrHに関する。
【0021】 表1 pyrHポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列 (A) ストレプトコッカス・ニューモニアエ pyrHポリヌクレオチド配列由来
の配列 [配列番号:1]. 5'-ATGGCGAATCCCAAGTATAAACGTATTTTAATCAAGTTATCAGGTGAAGCCCTTGCCGGT GAACGTGGCGTAGGGATTGATATCCAAACAGTTCAAACAATCGCAAAAGAGATTCAAGAA GTTCATAGCTTAGGTATCGAAATTGCCCTTGTTATTGGTGGAGGAAATCTCTGGCGTGGA GAACCTGCAGCAGAAGCAGGTATGGACCGTGTTCAGGCAGATTACACTGGAATGCTTGGG ACTGTTATGAATGCTCTTGTGATGGCAGATTCATTGCAACAAGTTGGGGTTGATACGCGT GTACAAACAGCTATTGCTATGCAACAAGTGGCAGAGCCTTATGTCCGTGGACGTGCCCTT CGTCACCTTGAAAAAGGCCGTATCGTTATCTTTGGTGCTGGAATTGGTTCACCATATTTC TCGACAGATACAACAGCGGCCCTTCGTGCAGCTGAAATCGAAGCAGATGCCATCCTCATG GCTAAAAATGGCGTCGATGGTGTGTACAATGCCGATCCTAAGAAGGACAAGACAGCCGTT AAGTTTGAAGAATTGACCCACCGTGATGTTATCAACAAAGGTCTTCGTATCATGGACTCA ACAGCCTCAACCCTCTCAATGGACAACGACATTGACTTGGTTGTCTTCAACATGAACCAA TCAGGCAACATCAAACGTGTCGTATTTGGTGAAAATATCGGAACAACAGTTTCAAATAAT ATCGAAGAAAAGGAATAA-3'
【0022】 (B) この表中のポリヌクレオチド配列から推定されるストレプトコッカス・ニ ューモニアエpyrHポリペプチド配列 [配列番号:2] NH2-MANPKYKRILIKLSGEALAGERGVGIDIQTVQTIAKEIQEVHSLGIEIALVIGGGNLWRG EPAAEAGMDRVQADYTGMLGTVMNALVMADSLQQVGVDTRVQTAIAMQQVAEPYVRGRAL RHLEKGRIVIFGAGIGSPYFSTDTTAALRAAEIEADAILMAKNGVDGVYNADPKKDKTAV KFEELTHRDVINKGLRIMDSTASTLSMDNDIDLVVFNMNQSGNIKRVVFGENIGTTVSNN IEEKE-COOH
【0023】 寄託物質 ストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993株を含有する寄託物は、ナショ
ナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・
リミテッド(NCIMBという)、23ストリート、マッカードライブ、アベル
ディーンAB21RY、スコットランドに1996年4月11日寄託し、NCI
MB受託番号40794が付与された。寄託したことにより、寄託株をストレプ
トコッカス・ニューモニアエ 0100993株という。1996年4月17日に、E. c
oli中のストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993のDNAライブラリーが 同様にNCIMBに寄託され、受託番号40800を付与された。ストレプトコ
ッカス・ニューモニアエ株寄託物を、本明細書では「寄託株」または「寄託株の
DNA」という。 寄託株は全長のpyrH遺伝子を含んでいる。寄託株中に含まれるポリヌクレ
オチド配列ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本
明細書の配列に関する任意の記載に矛盾する事象において支配的である。 寄託株の寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条
約の条件下でなされている。特許が発行されると何らの制限または条件もなく、
最終的に株は分譲される。寄託は当業者の便宜のためにのみ提供され、35U. S.C.112条のもとに要求されるような、寄託が実施可能要件であることを承
認するものではない。 寄託物を製造、使用または販売するためにはライセンスが必要であるが、その
ようなライセンスはここでは賦与されていない。 本発明の1の態様において、寄託株に含有されるストレプトコッカス・ニュー
モニアエ0100993株によって発現可能な成熟ポリペプチドをコードしてい
る単離核酸分子が提供される。さらに本発明により、寄託株中のDNAのpyr
Hヌクレオチド配列およびそれによりコードされるアミノ酸配列が提供される。
また、本発明により、寄託株から単離されたpyrHポリペプチド配列およびそ
れから誘導されるアミノ酸配列が提供される。
【0024】 ポリペプチド 本発明ポリペプチドは表1[配列番号:2]のポリペプチド(詳細には、成熟
ポリペプチド)ならびにポリペプチドおよびフラグメント、詳細にはpyrHの
生物学的活性を有するものを包含し、さらに表1[配列番号:2]のポリペプチ
ドまたはその重要部分に対して少なくとも70%、好ましくは表1[配列番号:
2]のポリペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドお
よびフラグメント、より好ましくは表1[配列番号:2]のポリペプチドに対し
て少なくとも90%の同一性を有し、さらにより好ましくは表1[配列番号:2
]のポリペプチドに対して少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドおよ
びフラグメント、さらに通常には少なくとも30個、より好ましくは少なくとも
50個のアミノ酸を含むかかるポリペプチドの部分を包含する。
【0025】 また本発明は、式: X-(R1)m-(R2)-(R3)n-Y で示されるポリペプチドを包含する。式中、アミノ末端においてXは水素または
金属であり、カルボキシル末端においてYは水素または金属であり、R1および R3はアミノ酸残基、mは1ないし1000の間の整数またはゼロ、nは1ない し1000の間の整数またはゼロ、R2は本発明のアミノ酸配列、詳細には表1 から選択されるアミノ酸配列である。上式中、R2は、そのアミノ末端残基が左 にあってR1に結合し、そのカルボキシル末端残基が右にあってR3に結合するよ
うに方向づけられる。mおよび/またはnが1よりも大きいいずれのR基により
示されるアミノ酸残基鎖も、ヘテロポリマーまたはホモポリマーであってよく、
ヘテロポリマーが好ましい。
【0026】 フラグメントは、前述のポリペプチドのアミノ酸配列のすべてではなく一部に
対して全く同一であるアミノ酸配列を有する変種ポリペプチドである。pyrH
ポリペプチドについては、フラグメントは「独立して存在(free standing)」 しているか、または一部分もしくは領域を形成することにより、大型のポリペプ
チド内に含まれていてもよく、最も好ましくは単一の連続した領域、すなわち大
型の単一ポリペプチドとして含まれる。 好ましいフラグメントは、例えば、表1[配列番号:2]のアミノ酸配列の一
部分を有する末端切断されたポリペプチド、またはそれらの変種を包含するが、
その例としてはアミノ末端を含む一連の残基を切断、またはカルボキシル末端を
含む一連の残基を切断したものがある。宿主細胞、とりわけストレプトコッカス
・ニューモニアエにおける、本発明のポリペプチドの分解形態もまた好ましい。
また、構造的または機能的属性により特徴づけられたフラグメント、例えばアル
ファーヘリックスおよびアルファーヘリックス形成領域、ベータシートおよびベ
ータシート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領
域、親水性領域、疎水性領域、アルファー両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、
可変領域、表面形成領域、基質結合領域、および高抗原性指標領域を含むフラグ
メントなども好ましい。 pyrH活性を媒介し、あるいは活性を改善し、望ましくない活性を減じられ
たフラグメントである生物学的に活性のあるフラグメントも好ましい。動物、と
りわけヒトにおいて抗原的または免疫原的なフラグメントもまた含まれる。個体
、特にヒトにおけるストレプトコッカス・ニューモニアエの生存に必須の機能、
あるいは疾病を開始または維持する能力を付与する酵素の受容体またはドメイン
を含むフラグメントが特に好ましい。 本発明ポリペプチドのフラグメントである変種を、ペプチド合成による対応全
長ポリペプチドの製造に使用してもよく、それゆえ、これらの変種を全長のポリ
ペプチド製造のための中間体として用いてもよい。本発明ポリヌクレオチドのフ
ラグメントである変種を用いて本発明の全長のポリヌクレオチドを合成してもよ
い。
【0027】 アミノ酸を示す標準的な1文字および3文字法のほかに、本発明の特定のポリ
ペプチドを説明する際にXまたはXaaを用いる。XおよびXaaは、天然に存
在する20種のアミノ酸のいずれかが、ポリペプチド配列中のそのように記載さ
れた位置にあることを意味する。
【0028】 ポリヌクレオチド 本発明の別の態様は単離ポリヌクレオチドに関するものであり、それには表1
[配列番号:2]の推定アミノ酸配列を有するpyrHポリペプチドをコードす
る全長遺伝子およびそれに密接に関連するポリヌクレオチドおよびそれらの変種
が包含される。 本明細書に提供される情報を用いて、例えば表1[配列番号:1]に示すポリ
ヌクレオチド配列を用い、出発物質としてストレプトコッカス・ニューモニアエ
0100993細胞を用いて細菌からの染色体DNAフラグメントをクローニングおよ
び配列決定するために用いるような標準的なクローニングおよびスクリーニング
を用いて、pyrHポリペプチドをコードしている本発明ポリヌクレオチドを得
て、次いで、全長のクローンを得てもよい。例えば、本発明ポリヌクレオチド配
列、例えば表1[配列番号:1]に示す配列を得るために、イー・コリ(E.coli
)またはいくつかの他の適切な宿主におけるストレプトコッカス・ニューモニア
エ 0100993の染色体DNAのクローンの典型的なライブラリーを、部分的配列に
由来する、好ましくは17量体またはそれ以上の長さの放射性標識化オリゴヌク
レオチドにてプローブする。プローブのDNAに同一であるDNAを担持するク
ローンは厳密な条件を用いて区別できる。元の配列から設計した配列決定プライ
マーを用いてこのように同定した個々のクローンを配列決定することにより、両
方向で配列が伸長できるようになり、全遺伝子配列を決定できる。このような配
列決定は便宜的にプラスミドクローンから調製した変性二本鎖DNAを用いて実
施する。適切な技法については、Maniatis,T.、Fitsch,F.F.およびSambrookら、
Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨー
ク(1989)に記載されている(Screening By Hybridization 1.90およびSequenc
ing Denatured Double-Stranded DNA Templates 13.70参照)。本発明の典型例 において、表1[配列番号:1]に示すポリヌクレオチドが、ストレプトコッカ
ス・ニューモニアエ 0100993由来のDNAライブラリー中に見いだされた。
【0029】 表1[配列番号:1]に示すDNA配列は、表1[配列番号:2]に示すアミ
ノ酸残基数とほぼ同数のアミノ酸残基からなる蛋白をコードしている読み枠を含
んでおり、蛋白の推定分子量は、当該分野でよく知られたアミノ酸残基の分子量
を用いて算出できる。ヌクレオチド番号1からヌクレオチド番号736で始まる
終止コドンまでの間の配列番号:1のポリヌクレオチドは配列番号:2のポリペ
プチドをコードする。 本発明のpyrHはUMP(ウリジン1リン酸)キナーゼファミリーの他の蛋 白に構造的に関連している。GeneBank Z99112; GeneBank D90915; GeneBank Z97
369; GeneBank Z74024; GeneBank D26562 and X78809; GeneBank U32786; GeneB
ank AE000589; GeneBank AE000021; GeneBank U60196; GeneBank U39730; GeneB
ank X83598; GeneBank AE000962; GeneBank U67566; GeneBank AB005215; GeneB
ank AE001158参照。
【0030】 本発明は、表1[配列番号:1]のコーディング配列に対して全長にわたり同
一であるポリヌクレオチド配列を提供する。成熟ポリペプチドのコーディング配
列またはそれらのフラグメント、ならびにその他のコーディング配列を有する読
み枠中の成熟ポリペプチドのコーディング配列またはそのフラグメント、例えば
リーダーまたは分泌配列、プレ、プロ、プレプロ蛋白配列をコードする配列も本
発明により提供される。ポリヌクレオチドは、例えば、転写された非翻訳配列、
終止シグナル、リボソーム結合部位、mRNAを安定化する配列、イントロン、
ポリアデニル化シグナル等の転写非翻訳配列、および付加アミノ酸をコードする
付加コーディング配列等の非コーディング5'および3'配列等の非コーディング
配列をも含有しうるが、これらに限定するのではない。例えば、融合ポリペプチ
ドの精製を促すマーカー配列をコードすることもできる。本発明のある好ましい
態様において、マーカー配列は、pQEベクター(Qiagen, Inc.)中に提供され
るようなヘキサ−ヒスチジンペプチド(Gentzら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA
, 86:821-824(1989)に記載される)またはHAタグ(Wilsonら、Cell,37:76
7(1984))である。本発明のポリヌクレオチドはまた、構造遺伝子および遺伝 子発現を調節する天然の配列をも含むが、これらに限定するものではない。
【0031】 本発明の好ましい具体例は、表1の配列番号:1に示すヌクレオチド1からヌ
クレオチド736のすぐ上流までのポリヌクレオチドあるいはヌクレオチド73
6までを含むポリヌクレオチドであり、どちらも、pyrHポリペプチドをコー
ドいしている。
【0032】 また本発明は、式: X-(R1)m-(R2)-(R3)n-Y で示されるポリヌクレオチドを包含する。式中、分子の5’末端においてXは水
素または金属であるか、またはYと一緒になって共有結合を示し、分子の3’末
端においてYは水素または金属であるか、またはXと一緒になって共有結合を示
し、R1およびR3の各存在は独立していずれかの核酸残基であり、mは1ないし
3000の間の整数またはゼロ、nは1ないし3000の間の整数またはゼロ、
2は本発明の核酸配列、詳細には表1から選択される核酸配列である。上のポ リヌクレオチドの式中、R2は、5’末端残基が左にあってR1に結合し、3’末
端残基が右にあってR3に結合するように方向づけられる。mおよび/またはn が1よりも大きいいずれかのR基により示される核酸鎖はヘテロポリマーまたは
ホモポリマーであってよく、ヘテロポリマーが好ましい。好ましい具体例におい
て、XおよびYは一緒になって共有結合を示し、上の式のポリヌクレオチドは閉
環状ポリヌクレオチドであって、該式が第1鎖を示し、それに対し第2鎖が相補的
である2本鎖ポリヌクレオチドであることができる。もう1つの好ましい具体例 において、mおよび/またはnは1ないし1000の間の整数である。
【0033】 本発明ポリヌクレオチドがスタフィロコッカス・ニューモニアエ由来であるの
が最も好ましいが、同じ分類学上の属の生物であっても好ましい。例えば、それ
らを同じ分類学上の科または目の生物から得てもよい。
【0034】 上記した本明細書の用語「ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド」
は、本発明ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含し、詳
細には、細菌のポリペプチド、より詳細には表1[配列番号:2]に示すアミノ
酸配列を有するストレプトコッカス・ニューモニアエのpyrHのポリペプチド
を包含する。該用語は、コーディング配列および/または非コーディング配列を
含んでいてもよいさらなる領域を伴った、ポリペプチドをコードしている単一の
連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージまたは挿入配列また
は配列の編集により分断されたもの)を含むポリヌクレオチドを包含する。 さらに本発明は、表1[配列番号:2]の推定アミノ酸配列を有するポリペプ
チドの変種をコードする本明細書に記載のポリヌクレオチドの変種にも関する。
本発明ポリヌクレオチドのフラグメントである変種を用いて本発明の全長ポリヌ
クレオチドを合成してもよい。
【0035】 さらに特に好ましい具体例は、表1[配列番号:2]のpyrHポリペプチド
のアミノ酸配列を有するpyrH変種をコードするポリヌクレオチドであり、そ
の中には、いくつか、少しの、5ないし10、1ないし5、1ないし3、2、1
または0個のアミノ酸残基を置換、欠失または付加を任意の組み合わせで施した
アミノ酸配列を有する。中でもとりわけ好ましいものは、pyrHの特性および
活性を変化させないサイレント置換、付加および欠失である。
【0036】 本発明のさらに好ましい具体例は、表1[配列番号:2]に示すアミノ酸配列
を有するpyrHポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して、そ
の全長にわたり少なくとも70%の同一性があるポリヌクレオチド、およびかか
るポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチドである。あるいはまた、
pyrHポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対してその全長にわ
たり少なくとも80%同一である領域を含むポリヌクレオチド、およびそれに対
して相補的なポリヌクレオチドが最も非常に好ましい。この点に関して、全長で
少なくとも90%同一であるポリヌクレオチドがとりわけ好ましく、中でも少な
くとも95%の同一性を有するものが特に好ましい。さらに少なくとも95%の
同一性を有するものの中でも少なくとも97%であるのがより好ましく、中でも
少なくとも98%および少なくとも99%であるのが特に好ましく、さらに少な
くとも99%であるのがより好ましい。 特に好ましい具体例は、表1[配列番号:1]のDNAによりコードされる成
熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペプチド
をコードしているポリヌクレオチドである。
【0037】 本発明はさらに本明細書上述の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに
関する。この点に関して、本発明は特に厳密な条件で本明細書上述のポリヌクレ
オチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書で用いる「厳
密な条件」および「厳密なハイブリダイゼーション条件」なる用語は、配列間の
同一性が少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%である場合のみに起こ
るハイブリダイゼーションを意味する。厳密なハイブリダイゼーション条件の例
としては、50%ホルムアミド、5xSSC(150mM NaCl、15mM
クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデン ハーツ溶液、10%硫酸デキストラン、および20マイクログラム/mlの変性
し、剪断されたサケ精子DNAを含有する溶液中、42℃で一晩インキュベーシ
ョンし、続いて約65℃で0.1xSSC中でハビリダイゼーション支持体を洗 浄するものである。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Samb
rookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリ
ング・ハーバー、ニューヨーク(1989)、とりわけその第11章に実例が示され
ている。
【0038】 本発明はまた、厳密なハイブリダイゼーション条件下で、配列番号:1に示す
ポリヌクレオチド配列に関する完全遺伝子を含む適当なライブラリーを、配列番
号:1に示す上記ポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントの配列を有する
プローブでスクリーニングし、DNA配列を単離することにより得ることのでき
るポリヌクレオチド配列を本質的に含むポリヌクレオチドをも提供する。かかる
ポリヌクレオチドを得るために有用なフラグメントには、例えば本明細書の別の
箇所において説明するプローブおよびプライマー等がある。
【0039】 本発明のポリヌクレオチドアッセイに関してここでさらに論じるが、例えば上
述の本発明のポリヌクレオチドを、pyrHをコードするcDNA全長およびゲ
ノムクローンを単離するための、およびpyrH遺伝子に高度な配列類似性を有
するその他の遺伝子のcDNAおよびゲノムクローンを単離するための、RNA
、cDNAおよびゲノムDNA用のハイブリダイゼーションプローブとして使用
することができる。このようなプローブは通常少なくとも15塩基を含む。好ま
しくはこのようなプローブは少なくとも30塩基を有し、少なくとも50塩基を
有していてもよい。とりわけ好ましいプローブは少なくとも30塩基を有し、5
0塩基またはそれ以下である。 例えば、pyrH遺伝子のコーディング領域は、表1(配列番号:1)に示す
DNA配列を用いてオリゴヌクレオチドプローブを合成してスクリーニングする
ことにより単離できる。次いで、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する
標識オリゴヌクレオチドを、cDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラ
リーのスクリーニングに用い、プローブがライブラリーのいずれのメンバーにハ
イブリダイゼーションするのかを決定する。
【0040】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、例えば、疾病とりわけヒト
の疾病の治療法および診断法の発見のための研究試薬および材料として使用でき
、とりわけポリヌクレオチドアッセイに関連して本明細書でさらに論じる。 表1(配列番号:1または2)の配列由来のオリゴヌクレオチドである本発明
ポリヌクレオチドを本明細書記載の方法に使用してもよいが、好ましくはPCR
に使用して、本明細書で同定したポリヌクレオチドの全体または一部が感染した
組織に転写されるかどうかを決定する。かかる配列が、病原体が達成した感染段
階および感染型の診断にも有用であることが理解される。
【0041】 また本発明は、さらなるアミノもしくはカルボキシル末端アミノ酸、または成
熟ポリペプチドに内在するアミノ酸を加えた成熟蛋白であるポリペプチドをコー
ドできるポリヌクレオチドも提供する(例えば成熟形態が一つ以上のポリペプチ
ド鎖を有する場合)。このような配列は、前駆体から成熟形態への蛋白のプロセ
ッシングに役割を担い、蛋白の輸送を可能にし、蛋白の半減期を延長もしくは短
縮し、またはとりわけアッセイもしくは製造のための蛋白の操作を容易にするこ
とができる。一般的にインビボの場合、付加アミノ酸は、細胞性酵素によりプロ
セッシングされ、成熟蛋白から取り除かれる。 1またはそれ以上のプロ配列と融合した成熟形態のポリペプチドを有する前駆
蛋白は、ポリペプチドの不活性形態でありうる。プロ配列が除去されると、通常
にはこのような不活性前駆体が活性化される。プロ配列のいくつかまたはすべて
を活性化の前に除去できる。通常、このような前駆体はプロ蛋白と称される。
【0042】 核酸塩基を示す標準的なA、G、C、T/Uのほかに、本発明のある種のポリ
ヌクレオチドを説明する場合にNを用いる。Nは、隣接するヌクレオチド位置と
一緒になって作用する場合において、正確な読み枠を読中で読まれる場合で、N
がそのような読み枠において未成熟終止コドンを形成する効果を有する塩基でな
いことが好ましい場合を除き、4種のDNA塩基またはRNA塩基のいずれかが
DNAまたはRNA配列のその指定位置にあることを意味する。
【0043】 要するに、本発明のポリヌクレオチドは成熟蛋白、リーダー配列を加えた成熟
蛋白(プレ蛋白と称することができる)、プレ蛋白のリーダー配列ではない1ま
たはそれ以上のプロ配列を有する成熟蛋白の前駆体、またはリーダー配列および
1またはそれ以上のプロ配列を有するプロ蛋白の前駆体であるプレプロ蛋白をコ
ードしていてもよく、プロ配列は通常ポリペプチドの活性および成熟形態を生成
するプロセッシング段階で除去される。
【0044】 ベクター、宿主細胞、発現 本発明はまた、ポリヌクレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含むベク
ター、本発明のベクターで遺伝子操作される宿主細胞および組換え技法による本
発明のポリペプチドの製造にも関する。本発明のDNA構築物に由来するRNA
を用い、無細胞翻訳系を用いてこのような蛋白を製造できる。 組換え体を製造するために、宿主細胞を遺伝子操作して、発現系もしくはそれ
らの一部、または本発明のポリヌクレオチドを組み込むことができる。ポリヌク
レオチドの宿主細胞への導入は、例えば、Davisら、Basic Methods in Molecula
r Biology(1986);Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、 第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・
スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)のように、多くの標準的な実験マ
ニュアルに記載される方法により行うことができ、例えばリン酸カルシウムトラ
ンスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トラン
スベクション、マイクロインジェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクシ
ョン、エレクトロポレーション、トランスダクション、スクレープ負荷、バリス
ティック導入および感染等がある。
【0045】 適当な宿主の代表的なものには、細菌細胞、例えばストレプトコッカス属 (Streptococci)、スタフィロコッカス属(Staphylococci)、エンテロコッカ ス属(Enterococci)、イー・コリ(E.coli)、ストレプトミセス(Streptomyce
s)およびバチルス・ズブチリス(Bacillus subtiis)細胞;真菌細胞、例えば 酵母細胞およびアスペルギルス属(Aspergillus)細胞;昆虫細胞、例えばドロ ソフィラS2(Drosophila S2)およびスポドプテラSf9(Spodoptera Sf9) 細胞;動物細胞、例えばCHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK
、293およびボウズ(Bows)黒色腫細胞;ならびに植物細胞等がある。
【0046】 本発明のポリペプチドを製造するために非常に多くの発現系を使用できる。こ
のようなベクターには、染色体、エピソームおよびウイルス由来のベクター、例
えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母
エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、例えばバキ
ュロウイルス、パポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、アデノ
ウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス等のウイル
ス由来のベクター、ならびにそれらを組み合わせたものに由来するベクター、例
えばプラスミドおよびバクテリオファージの遺伝学的エレメント由来のベクター
、例えばコスミドおよびファージミド等がある。発現系の構築物は発現を制御お
よび引き起こす調節領域を含有していてもよい。この点に関して、一般的には、
宿主中にポリヌクレオチドを保持、伸長または発現するのに、および/またはポ
リペプチドを発現するのに適した任意の系またはベクターを発現に使用できる。
周知のおよび通常的な種々の任意の技術により、適当なDNA配列を発現系に挿
入してもよく、例えばSambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(
上述)に記載されている。
【0047】 翻訳蛋白を、小胞体内腔、ペリプラスミックスペースまたは細胞外環境へ分泌
させるために、適当な分泌シグナルを発現するポリペプチドに組み込むことがで
きる。これらのシグナルはポリペプチドに本来的なものであってもく、あるいは
異種性のシグナルでもよい。
【0048】 本発明のポリペプチドは周知の方法により、組換え細胞培養物から回収および
精製でき、その方法には、例えば硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽
出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマ
トグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー
、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィ
ー等がある。高速液体クロマトグラフィーを精製に用いるのが最も好ましい。ポ
リペプチドが単離および/または精製中に変性した場合、再び活性なコンホーメ
ーションにするために、蛋白再生のための周知の技法を用いることができる。
【0049】 診断、予後、セロタイピングおよび突然変異アッセイ 本発明はまた診断試薬として使用するための本発明のpyrHポリヌクレオチ
ドの使用にも関する。真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトにおけるpyrHの
検出は、疾患の診断のための診断法を提供する。pyrH遺伝子を含む生物に感
染したまたは感染の疑いのある真核生物(本明細書において「個体」とも称する
)とりわけ哺乳動物、特にヒトを種々の方法により核酸レベルで検出できる。 診断用の核酸は、感染した個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟
骨および皮膚より得ることができる。ゲノムDNAを直接検出に使用してもよく
、あるいは分析の前にPCRもしくはその他の増幅法を用いることにより酵素的
に増幅できる。RNA、cDNAおよびゲノムDNAもまた同じ方法で用いるこ
とができる。増幅法を用いると、個体に存在する原核生物の種および系統を、原
核生物遺伝子の遺伝子型の分析により特徴づけすることができる。対照配列の遺
伝子型と比較した場合の増幅産物の大きさの変化により、欠失および挿入を検出
できる。点突然変異は、増幅DNAを標識化pyrHポリヌクレオチド配列にハ
イブリダイズさせることにより同定できる。完全に対合した配列はRNアーゼ消
化により、または融解温度の差により、誤対合二重らせんから区別できる。変性
剤含有または不含ゲル中のDNAフラグメントの電気泳動の移動度の変化を検出
することにより、または直接的なDNAの配列決定により、DNA配列の差を検
出してもよい。例えばMeyersら、Science,230:1242(1985)参照。また、特異 的な位置での配列の変化を、ヌクレアーゼ保護アッセイ、例えばRNアーゼおよ
びS1保護または化学的切断法によって明らかにしてもよい。例えばCottonら、
Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85:4397-4401 (1985)参照。
【0050】 本発明の遺伝子の突然変異または多型性(対立遺伝子変異)を担持する細胞を
、種々の技術により、DNAまたはRNAレベルで、例えばセロタイピングする
ことにより検出してもよい。例えば、RT−PCRを用いてRNAにおいて突然
変異を検出することができる。RT−PCRは自動検出系、例えばGeneScan等と
組み合わせて用いるのがとりわけ好ましい。RNA,cDNAまたはゲノムDN
Aを同じ目的でPCRまたはRT−PCRに用いてもよい。例を挙げると、py
rHをコードする核酸に相補的なPCRプライマーは、突然変異を同定および分
析するのに用いることができる。代表的なプライマーの例を表2に下記する。
【0051】 表2 pyrHポリヌクレオチド増幅用プライマー 配列番号: プライマー配列 3 5'-GGTAGGATGAAAGAAGGAGAG-3' 4 5'-GCCATATTCTTTCTTATTCC-3'
【0052】 また本発明は、式: X-(R1)m-(R2)-(R3)n-Y で示されるプライマーを包含する。式中、分子の5’末端においてXは水素また
は金属であり、分子の3’末端においてYは水素または金属であり、R1および R3は核酸残基、mは1ないし20の間の整数またはゼロ、nは1ないし20の 間の整数またはゼロ、R2は本発明のプライマー配列、詳細には表2から選択さ れるプライマー配列である。上のポリヌクレオチドの式中、R2は、5’末端残 基が左にあってR1に結合し、3’末端残基が右にあってR3に結合するように方
向づけられる。mおよび/またはnが1よりも大きいいずれかのR基により示さ
れる核酸残基の鎖はヘテロポリマーまたはホモポリマーであってよく、表1のポ
リヌクレオチドの領域に相捕的なヘテロポリマーが好ましい。好ましい具体例に
おいてmおよび/またはnは1ないし10の間の整数である。
【0053】 本発明はまた、5'および/または3'末端から1、2、3または4個のヌクレ
オチド除去したプライマーをも提供する。該プライマーを用いて、感染個体から
単離された遺伝子を増幅してもよく、次いで、該遺伝子をDNA配列を調べるた
めの種々の技法に供してもよい。このように、DNA配列における突然変異を検
出し、感染の診断および感染性物質のセロタイピングおよび/または分類に使用
することができる。
【0054】 本発明はさらに、疾患、好ましくは細菌感染、より好ましくはストレプトコッ
カス・ニューモニアエによる感染の診断方法を提供し、該方法は、表1[配列番
号:1]の配列を有するポリヌクレオチドの発現レベルの上昇を個体由来の試料
から検出することを特徴とする。pyrHポリヌクレオチドの発現の増加または
低下は、ポリヌクレオチドの定量法として当該分野でよく知られたいずれかの方
法、例えば増幅、PCR、RT−PCR、RNアーゼ保護、ノーザンブロッティ
ングおよびその他のハイブリダイゼーション法を用いて測定できる。
【0055】 さらに、正常対照組織サンプルと比較して、pyrH蛋白の過剰発現を検出す
るための本発明診断アッセイを用いて、例えば感染の存在を検出してもよい。宿
主由来のサンプル中のpyrH蛋白のレベルを決定するために用いることができ
るアッセイ技法は、当業者に周知である。かかるアッセイ法には、ラジオイムノ
アッセイ、競争結合アッセイ、ウェスタンブロット分析およびELISAアッセ
イ等がある。
【0056】 本発明のポリヌクレオチド配列は、また、染色体同定に有益でもある。該配列
は、個々の微生物染色体、特にストレプトコッカス・ニューモニアエ染色体上の
特定位置を特に標的とし、該位置にハイブリダイズできる。本発明の染色体に関
連する配列のマッピングは、その配列と微生物病原性および疾病に関連する遺伝
子あるいは成長、生存および/または生態学的地位に重要な染色体領域との相関
において重要な第1段階である。いったん1つの配列が正確な染色体位置に位置付
けられると、染色体上の該配列の物理的位置を遺伝子地図データと相関させるこ
とができる。かかるデータは、例えば、World Wide Web上で入手可能な微生物ゲ
ノム配列において見出される。次いで、遺伝子と微生物病原性、疾病との間の関
係または成長、生存および/または生態学的地位に決定的な同じ染色体領域に位
置付けされたゲノム領域との関係は、遺伝子と別の遺伝子または表現型との間の
遺伝学的関係を定義付けるための方法、例えば、連鎖分析(物理学的に隣接する
遺伝子の共同遺伝)によって同定される。
【0057】 表現型の異なる微生物間のRNAまたはゲノム配列における差異もまた決定で
きる。ある特定の表現型の微生物のいくつかまたは全てにおいて突然変異または
配列が観察されるが、該表現型を欠くいかなる微生物においても観察されない場
合、該突然変異または配列はおそらく、該表現型を引き起こす因子である。この
ように、微生物病原性、成長特性、生存特性および/または生態学的特性を与え
る染色体領域を同定することができる。
【0058】 ディファレンシャル発現 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドをディファレンシャルスクリー
ニング法のための試薬として用いてもよい。当該分野で既知の多くのディファレ
ンシャルスクリーニングおよびディファレンシャルディスプレー法があり、そこ
では本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを用いてもよい。例えば、デ
ィファレンシャルディスプレー技法はChuangら、J. Bacterial. 175: 2026-2036
(1993)に記載されている。該方法は、ランダムリープライム(randomly-primed )RT−PCRを用いてmRNAの存在を同定することによって生物中に発現さ
れる遺伝子を同定する。感染前と感染後のプロファイルを比較することにより、
感染の間にアップレギュレートおよびダウンレギュレートされた遺伝子を同定す
ることができ、RT−PCR産物を配列決定し、未知のORFに位置付けできる
【0059】 インビボ発現技法(IVET)は、Camilliら、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA
. 91: 2634-2638 (1994)に記載されている。IVETは、研究室の培養物と比較
して感染の間にアップレギュレートされた感染において重要な役割を意味する遺
伝子を同定する。該技法によって同定されたORFは、感染確立および/または
維持において重要な役割を有すると思われる。該技法において、標的生物のラン
ダムな染色体フラグメントを、プラスミドベクター中でプロモーターを欠くリコ
ンビナーゼ遺伝子の上流にクローン化する。リゾルベース部位に隣接する抗生物
質耐性遺伝子を有する標的生物中に該構築物を導入する。抗生物質存在下での培
養により、フラグメントがリコンビナーゼ遺伝子の転写を支持できるプラスミド
ベクター中にクローン化し、それにより、抗生物質耐性の消失を引き起こしたも
のを集団から除外する。耐性プールを宿主中に導入し、感染後の種々の時間で細
菌を回収し、抗生物質耐性の存在について評価することができる。各抗生物質感
受性細菌によって運搬された染色体フラグメントは、感染の間に通常、アップレ
ギュレートされる遺伝子のプロモーターまたは該遺伝子の一部を有するであろう
。リコンビナーゼ遺伝子の上流の配列決定は、アップレギュレートされた遺伝子
の同定を可能にする。
【0060】 また、RT−PCRを用いて、遺伝子発現パターンを分析してもよい。本発明
のポリヌクレオチドを用いるRT−PCRの場合、メッセンジャーRNAを細菌
感染組織から、例えば、48時間のネズミ肺感染から単離し、ランダムヘキサヌ
クレオチドでプライムされたRNA試料の逆転写、次いで、遺伝子特異的プライ
マー対を用いるPCRによって、各mRNA種の量を評価する。得られるPCR
産物の定量による特定のmRNA種の存在および量の決定は、感染組織において
転写される細菌遺伝子における情報を提供する。遺伝子転写の分析を感染の種々
の時間で行って、その遺伝子産物が抗細菌性についてスクリーニングするための
標的を示すというより明白な理解を可能にする細菌病原性における遺伝子レギュ
レーションの詳細な知見を得ることができる。使用されるPCRプライマーの遺
伝子特異的性質のため、細菌のmRNA調製物が哺乳動物RNA不含である必要
のないことは理解されよう。これにより、研究者は、単純で迅速なRNA調製を
感染組織から行って、細菌中で非常に短命な(半減期2分のオーダー)細菌のm RNAを得ることができる。最適には、細菌のmRNAを感染したネズミ肺組織
から、TRIzole(GIBCO-BRL)の存在下、非常に短時間で機械的に分散し 、続いて、TRIzole試薬の製造者にしたがって処理し、DNAアーゼ処理
することによって混入しているDNAを除去して調製する。好ましくは、該過程
は、適当に標識化した配列特異的オリゴヌクレオチドプローブでノーザンをプロ
ーブすることによって検出する場合、最大量のストレプトコッカス・ニューモニ
アエ16SリボソームRNAを与える条件を見出すことによって最適化される。
典型的には、5’ダイ標識プライマーを最適には8〜25サイクルで終了するP
CR反応の各PCRプライマー対に用いる。PCR産物は、6%ポリアクリルア
ミドゲル上で分離し、GeneScanner(ABI製造)を用いて検出および定量する。
【0061】 これらの技術の各々は、特定の応用に依存する利益または不利益を有しうる。
当業者は、特定の最終用途を考慮して、最も適切なアプローチを選択するであろ
う。
【0062】 抗体 本発明のポリペプチドもしくはそれらの変種、またはそれらを発現する細胞を
免疫源として用いて、かかるポリペプチドに免疫特異的な抗体を得ることができ
る。本明細書で用いる「抗体」には、モノクローナルおよびポリクローナル抗体
、キメラ、一本鎖、サル化抗体およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメント
が包含され、さらに免疫グロブリン発現ライブラリーの産物等のFabフラグメ
ントも包含される。 本発明のポリペプチドに対して生じる抗体は、ポリペプチドまたはエピトープ
が付いたフラグメント、アナログまたは細胞を、好ましくはヒトはでない動物に
通常の実験法を用いて投与することにより得ることができる。連続的細胞系培養
により産生される抗体を提供する、当業者周知の技術を用いて、モノクローナル
抗体を調製することができる。例としては、Kohler, G.およびMilstein, C.,N
ature, 256:495-497 (1975); Kozborら、Immunology Today, 4:72 (1983 );Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R Liss, Inc. 、77-96頁(1985)に記載されるような種々の技法がある。 一本鎖抗体の産生のために記載された技術(米国特許第4946778号)を
適用して、本発明ポリペプチドに対する一本鎖抗体を得ることができる。また、
トランスジェニックマウスまたはその他の生物、例えばその他の哺乳動物を用い
てヒト化抗体等の抗体を発現させてもよい。
【0063】 別法として、ファージディスプレイ技法を用いて、抗−ポリペプチドを有する
ことにつきスクリーニングされたヒト・リンパ球のPCR増幅されたv遺伝子の
レパートリーから、抗−pyrHを有することについてスクリーニングされたヒ
トから、あるいは無処理のライブラリーから、ポリペプチドに対する結合活性を
有する抗体遺伝子を選別することもできる(McCafferty, J.ら、Nature 348: 552-554 (1990); Marks, J.ら、Biotechnology 10:779-783 (1992))。こ れらの抗体の親和性はチェインシャフリング(chain shuffling)により改善す ることもできる(Clackson, T.ら、Nature 352:624-628 (1991))。
【0064】 二つの抗原結合ドメインが存在する場合、各ドメインは「二特異性」抗体と称
する異なるエピトープに対して指向される。
【0065】 上記抗体を用いてポリペプチドを発現するクローンを単離または同定してもよ
く、上記抗体を親和性クロマトグラフィーにより精製することができる。 従って、とりわけpyrH−ポリペプチドに対する抗体を、感染、とりわけ細
菌感染の治療に用いてもよい。
【0066】 ポリペプチド変種には抗原的、エピトープ的または免疫学的に等価な変種等が
あり、本発明の特定の態様である。本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」
なる用語は、本発明により蛋白またはポリペプチドに対して生成した場合、病原
および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨害する特定の抗体により
特異的に認識されるポリペプチドまたはその同等物を包含する。本明細書で用い
る「免疫学的に等価な誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を産生させる
のに適した処方を用いた場合、抗体が病原および哺乳動物宿主間での即時的な物
理的相互作用を妨害するように作用するペプチドまたはその等価物を包含する。
【0067】 ポリペプチド、例えば抗原的、免疫学的に等価な誘導体、またはそれらの融合
蛋白は、マウスまたはその他の動物例えばラットもしくはニワトリを免疫するた
めの抗原として使用できる。融合蛋白はポリペプチドに安定性を付与できる。抗
原は、例えば抱合することにより、免疫原性キャリヤ蛋白、例えばウシ血清アル
ブミン(BSA)またはキーホール・リンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin:KLH)に結合することができる。あるいはまた、蛋白も
しくはポリペプチド、またはそれらに抗原的もしくは免疫学的に等価なポリペプ
チドの多重コピーを含む多重抗原ペプチドは、免疫原性を改良するための十分な
抗原性を有しているので、キャリヤーを使用しなくてすむ。
【0068】 好ましくは、抗体またはそれらの変種を、個体における免疫原性を減じるため
に修飾する。例えば、個体がヒトである場合、最も好ましくは、抗体は「ヒト化
」されており;この場合、ハイブリドーマ由来の抗体の相補性決定領域がヒト・
モノクローナル抗体に移植されており、例えばJones,P.ら、Nature 321:522-525
(1986)またはTempestら、Biotechnology 9:266-273(1991)に記載されている
。 本発明のポリヌクレオチドを遺伝学的免疫において使用する場合、例えばプラ
スミドDNAの筋肉への直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet.1:363(1992);Ma
nthorpeら、Hum.Gene Ther.4:419(1963))、特異的蛋白キャリヤーとDNAと
の複合体の送達(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985(1989))、リン酸カルシウム とのDNA共沈(Benvenisty & Reshef、PNAS 83:9551(1986))、種々の形態 のリポソーム中へのDNA封入(Kanedaら、Science 243:375(1989))、微粒 子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Eisenbraunら、DNA Cell Biol.12:7
91(1993))およびクローン化レトロウイルスベクターを用いたインビボ感染(
Seegerら、PNAS 81:5849(1984))等の適切な送達方法を用いるのが好ましい。
【0069】 アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセイおよび分子 本発明ポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細胞標品、化学ライブラリー
、および天然産物混合物中における小型分子基質およびリガンドの結合を評価し
てもよい。これらの基質およびリガンドは天然基質およびリガンドであってもよ
く、構造上または機能上の模倣物であってもよい。例えば、Coligan et al.,Cur
rent Protocols in Immunology 1(2):Chapter 5 (1991)参照。
【0070】 また本発明は、pyrHポリペプチドまたはポリヌクレオチドの作用を増強(
アゴニスト)または阻害(アンタゴニスト)する化合物、詳細には、静菌性およ
び/または殺菌性化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法をも提
供する。該スクリーニング方法は高処理量の方法である。例えば、アゴニストま
たはアンタゴニストをスクリーニングするために、pyrHポリペプチド、この
ようなポリペプチドの標識基質またはリガンドを含む、合成反応混合物、膜、細
胞表面膜もしくは細胞壁のごとき細胞コンパートメント、またはそれらのいずれ
かの調製物を、pyrHアゴニストまたはアンタゴニストとなりうる候補分子の
存在下または不在下でインキュベーションする。候補分子がpyrHポリペプチ
ドにアゴナイズまたはアンタゴナイズする能力は、標識化リガンドの結合の低下
またはこのような基質からの生成物の産生の低下に反映される。結合しても影響
を及ぼさない分子、すなわちpyrHの効果を誘導しない分子は、最も良好なア
ンタゴニストである可能性がある。結合性が良好で、基質からの生成物の生成速
度を高める分子はアゴニストである。基質からの生成物の生成速度またはレベル
はリポーターシステムを用いることにより強調できる。この点に関して有用なリ
ポーターシステムには、生成物に転換される比色測定用標識化基質、pyrHポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド活性の変化に応答するリポーター遺伝子、お
よび当該分野で周知の結合アッセイ等があるが、これらに限定するものではない
【0071】 pyrHアンタゴニストのアッセイのもう1つの例は競争アッセイであり、競
争阻害アッセイに適した条件下で、pyrHおよび潜在的アンタゴニストを、p
yrH結合分子、組換えpyrH結合分子、天然基質もしくはリガンド、または
基質もしくはリガンド模倣物と混合する。例えば放射活性または比色測定用化合
物によりpyrHを標識し、結合分子に結合した、または生成物に変換されたp
yrH分子の数を正確に決定して、潜在的なアンタゴニストの効果を評価できる
【0072】 潜在的アンタゴニストには、本発明ポリペプチドに結合し、そのことによりそ
の活性を阻害し消失させる小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体な
どがある。また、潜在的アンタゴニストは、密接に関連した蛋白または抗体のご
とき小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであってもよく、それらは結合分子
の同じ部位に結合するが、pyrHにより誘導される活性を誘導せず、それゆえ
pyrHを結合から排除することによりpyrHの作用を妨害する。 潜在的アンタゴニストには、ポリペプチドの結合部位に結合し、およびそれを
占領し、それにより細胞性結合分子への結合を妨害して、正常の生物学的活性を
妨害する小型分子等がある。小型分子の例としては、小型有機分子、ペプチド、
ペプチド様分子等があるが、これらに限定するものではない。その他の潜在的ア
ンタゴニストにはアンチセンス分子等がある(これらの分子についての記載に関
してはOkano,J.,Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy-nucleotides as Anti
sense Inhibitors of Gene Expression,CRCプレス、ボッカラートン、フロ リダ州(1988)参照)。好ましい潜在的アンタゴニストには、pyrH関連化合
物およびpyrH変種等がある。
【0073】 本明細書に示す各DNA配列を、抗細菌化合物の発見および開発に使用しても
よい。コードされている蛋白は、発現した場合、抗細菌剤のスクリーニングのた
めの標的として使用されうる。さらに、コードされている蛋白のアミノ末端領域
または各mRNAのシャイン−ダルガノ配列または他の翻訳容易化配列をコード
しているDNA配列を用いてアンチセンス配列を構築し、目的コーディング配列
の発現を制御することもできる。
【0074】 本発明は、感染の続発症に関与する病因および哺乳動物宿主間の最初の物理的
相互作用を妨害するための本発明ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは阻害物
質の使用を提供する。とりわけ本発明分子を、内在デバイス上の哺乳動物細胞外
マトリックス蛋白または傷における細胞外マトリックス蛋白への細菌の付着、詳
細にはグラム陽性細菌の付着の防止;例えば、哺乳動物チロシンキナーゼのホス
ホリレーションを開始することによる、pyrH蛋白により媒介される哺乳動物
細胞への侵入のブロック(Rosenshine et al.,Infect.Immunol.60:2211(1992))
;哺乳動物細胞外マトリックス蛋白と細菌pyrH蛋白との間の、組織ダメージ
を媒介する細菌付着のブロック;内在デバイスの移植または他の外科的方法以外
により開始される、感染における通常の病状の進行のブロックに使用することが
できる。
【0075】 本発明アンタゴニストおよびアゴニストを、例えば、疾病の抑制および治療に
用いてもよい。
【0076】 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(本明細書中、エッチ・ピ
ロリともいう)菌は、胃癌、潰瘍、胃炎を発病している世界中の人々の3分の1
以上の胃に感染している(国際癌研究機関(International Agency for Researc
h on Cancer)(1994)Schistomoses,Liver Flukes and Helicobacter Pylori (International Agency for Research on Cancer,Lyon,France;http://w
ww.uicc.ch/ecp/ecp2904.htm))。さらに、この国際癌研究機関は、最近 になって、ヘリコバクター・ピロリと胃腺癌の間の因果関係を認識し、その細菌
をグループI(限定的)発癌物質と分類した。本発明により提供されるスクリー
ニング法を用いて見出される本発明の好ましい抗菌化合物(pyrHポリペプチ
ドおよび/またはポリヌクレオチドのアゴニストおよびアンタゴニスト)、特に
狭スペクトルの抗生物質は、ヘリコバクター・ピロリ感染の治療に有用である。
このような治療はヘリコバクター・ピロリ誘発性癌、例えば胃腸癌の出現を減少
させる。かかる治療はまた胃潰瘍および胃炎も治癒する。
【0077】 ワクチン 本発明の別の態様は、個体とりわけ哺乳動物における免疫学的反応を誘導する
方法に関し、該方法は、感染、詳細には細菌感染、最も詳細にはストレプトコッ
カス・ニューモニアエ感染から個体を防御するための抗体および/またはT細胞
応答を生じさせるに十分なpyrHまたはそのフラグメントもしくは変種を個体
に接種することを特徴とする。かかる免疫学的応答が細菌の複製を遅らせる方法
も提供される。本発明のさらにもう1つの態様は、個体における免疫学的応答の
誘導方法に関し、該方法は、疾病が個体においてすでに確立されているか否かに
かかわらず、インビボでpyrH、またはそのフラグメントもしくは変種を発現
させるためにpyrHまたはそのフラグメントもしくは変種の発現を指令する核
酸ベクターをかかる個体に送達して、例えば、抗体および/またはT細胞免疫応
答(例えば、サイトカイン産生T細胞または細胞毒性T細胞)を生じさせる免疫
学的応答を誘導して、該個体を疾病から防御する抗体を産生させることを特徴と
する。迅速に遺伝子を所望細胞中に投与する方法としては、粒子上にコーティン グすること等がある。かかる核酸ベクターはDNA、RNA、修飾核酸、または DNA/RNAハイブリッドを含んでいてもよい。
【0078】 本発明のさらなる態様は、免疫学的反応を宿主内に誘導できる、または誘導さ
れたた宿主に導入した場合、pyrHまたはそれによりコードされている蛋白に
対する免疫学的反応を該宿主に誘導する免疫学的組成物に関し、その組成物は組
換えpyrHまたはそれによりコードされている蛋白を含み、pyrHまたはそ
れによりコードされている蛋白に対する抗原をコードし発現するDNAを含む。
免疫学的応答を治療的または予防的に用いてもよく、また免疫学的応答はCTL
またはCD4+T細胞から生じるような抗体免疫または細胞性免疫の形態であっ てもよい。
【0079】 pyrHポリペプチドまたはそれらのフラグメントを、それ自身は抗体を産生
しないが、第1の蛋白を安定化し、免疫原的および保護特性を有する融合蛋白を
産生する能力のある共存蛋白(co-protein)と融合させてもよい。好ましくは、
かかる融合組換え蛋白は、抗原補蛋白、例えばヘモフィルス・インフルエンザエ
(Hemophilus influenzae)由来のリポ蛋白D、グルタチオン−S−トランスフ ェラーゼ(GST)またはベーターガラクトシダーゼのごとき共存蛋白、蛋白を
可溶化してそれらの産生および精製を促進する比較的大きな共存蛋白等を含む。
さらに、共存蛋白は免疫系において普遍的な刺激を提供するという意味で、アジ
ュバントとして作用することができる。共存蛋白は第1の蛋白のアミノまたはカ
ルボキシル末端のどちらかに結合できる。
【0080】 本発明は、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよびSato Y.ら、S
cience 273:352 (1966)に記載されているような免疫刺激DNA配列を含む組成 物、とりわけワクチン組成物、および方法を提供する。
【0081】 また、本発明は、ストレプトコッカス・ニューモニアエに感染した動物モデル
において、かかる遺伝的免疫化実験に用られるDNA構築物中の細菌細胞表面蛋
白の不変領域をコードすることが示されている、説明したポリヌクレオチドまた
はとりわけそれらのフラグメントを用いる方法を提供し、これらはとりわけ予防
的または治療的免疫反応を刺激することができる蛋白エピトープを同定するのに
有用である。この研究は、哺乳動物、とりわけヒトにおける細菌感染とりわけス
トレプトコッカス・ニューモニアエ感染の予防薬または治療的処置の開発のため
に、感染に抵抗しこれを一掃するのに成功した動物の必須器官から特に価値ある
モノクローナル抗体をうまく調製することを可能にすると思われる。
【0082】 ポリペプチドを宿主接種用抗原として用いて、例えば損傷組織への細菌の付着
を阻害することにより細菌の侵入に対して防御する特異的抗体を得てもよい。組
織損傷の例としては、例えば機械的、化学的もしくは熱的ダメージにより、また
は内在デバイスの埋め込みにより引き起こされた皮膚または結合組織の創傷、ま
たは粘膜、例えば口、乳腺、尿道または膣の創傷等がある。
【0083】 また本発明は、適切な担体と一緒になった免疫原性組換え蛋白を含有するワク
チン処方を包含する。蛋白は胃で分解されうるので、非経口的に、例えば皮下、
筋肉内、静脈内または皮膚内等に投与するのが好ましい。非経口投与に適した処
方には、抗酸化剤、緩衝液、静細菌剤、および処方を個体の体液(好ましくは血
液)と等張にする溶質を含有していてもよい水性または非水性無菌注射液、およ
び懸濁化剤または増粘剤を含有していてもよい水性または非水性無菌懸濁液等が
ある。処方は1回投与または多回投与用容器、例えばシールしたアンプルおよび
バイアルに入れてよく、使用直前に無菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾
燥状態として保存してもよい。ワクチン処方は処方の免疫原性を高めるアジュバ
ント系を含有していてもよく、例えば水中油系または当該分野で周知のその他の
系等がある。投与量はワクチンの特異的活性に依存し、通常の実験法により容易
に決定できる。 本発明を特定のpyrH蛋白に関して説明したが、本発明は天然に存在する蛋
白および、実質的に組換え蛋白の免疫原特性に影響しない付加、欠失または置換
を施した類似の蛋白のフラグメントを包含することが理解されよう。
【0084】 組成物、キットおよび投与 本発明はまた上述のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはそれらの
アゴニストもしくはアンタゴニストを含む組成物にも関する。本発明ポリペプチ
ドを、細胞、組織もしくは生物に用いられる未滅菌もしくは滅菌済み担体と混合
して、例えば対象への投与に適した医薬的担体と混合して用いることができる。
このような組成物は、例えば溶媒添加物または治療上有効量の本発明ポリペプチ
ド、および医薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。このような担体には生
理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール
およびそれらの組み合わせ等があるが、これらに限定するものではない。処方は
投与法に適したものにすべきである。さらに本発明は、1またはそれ以上の上記
本発明組成物成分を充填した1またはそれ以上の容器を含む診断用および医薬用
パックおよびキットにも関する。
【0085】 本発明ポリペプチドおよびその他の化合物を、単独で、あるいは治療用化合物
等のその他の化合物と組み合わせて用いてもよい。 いずれかの有効かつ利便的な方法、例えば、とりわけ局所、経口、経膣、静脈
内、腹膜腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、または皮膚内の経路で医薬組成物を投与
してもよい。 治療において、または予防薬として、活性物質を注射用組成物として、例えば
好ましくは等張の無菌水性分散物として個体に投与できる。 別法として、組成物を局所適用用、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟
膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合用の糸、ならびにエアロゾー
ル等の形態に処方してもよく、適当な慣用的な添加物、例えば保存剤、薬物の浸
透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびクリームには軟化剤を含有していてもよ
い。かかる局所用処方は、適合した慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基
剤、およびローションにはエタノールまたはオレイルアルコールを含有していて
もよい。このような担体は重量で処方の約1%から約98%であってよく、より
通常には重量で処方の約80%までとする。 哺乳動物とりわけヒトに投与するために、活性物質の1日あたりの投与量は、
0.01mg/kgから10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgであ る。医者はあらゆる場合、個体に最も適した実際の投与量を決定し、年齢、体重
および特に個体の反応性に応じて変化させる。上述の投与量は、平均的なケース
の典型例である。もちろん、高用量および低用量の範囲が適合する個々の例もあ
り、かかる例は本発明の範囲内である。
【0086】 内在デバイスには外科的インプラント、補てつデバイスおよびカテーテル等が
あり、即ち個体の体に導入し、長時間その位置に存在するものである。このよう
なデバイスには、例えば人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、血管
カテーテル、脳脊髄液シャント、尿カテーテル、継続的歩行可能腹膜透析(cont
inuous ambulatory peritoneal dialysis:CAPD)カテーテル等がある。 本発明の組成物を注射により投与し、内在デバイスの挿入の直前に、関連細菌
に対する全身的な効果を得てもよい。手術後、デバイスが体内に存在する期間中
、処置を続けてもよい。さらに、外科的手技中に広げるカバーに用いて、細菌性
創傷感染、とりわけストレプトコッカス・ニューモニアエの創傷感染を防御する
こともできる。
【0087】 多くの整形外科医は、補てつ関節を有するヒトについては、菌血症を生じうる
歯科的処置の前に抗生物質予防法を考慮すべきであると考えている。遅延性の重
篤な感染は、時々補てつ関節を失うに至る深刻な合併症であり、有意性のある罹
病率および死亡率を伴う。それゆえ、この状況において、予防的な抗生物質に代
わるものとして、活性物質の使用を拡張することが可能である。
【0088】 上述の治療に加え、一般的には本発明組成物を創傷の治療薬として使用して、
創傷組織に曝露したマトリックス蛋白に細菌が付着するのを防いでもよく、歯科
治療においては抗生物質による予防法に代えて、またはそれと組み合わせて予防
的に使用してもよい。
【0089】 別法として、本発明の組成物を用いて挿入直前の内在デバイスを浸してもよい
。創傷または内在デバイスを浸すためには、活性物質は1μg/mlから10m
g/mlの濃度であるのが好ましい。 ワクチン組成物を便宜的に注射可能な形態にする。慣用的なアジュバントを用
いて免疫反応を高めてもよい。ワクチン化に適した単位投与量は、抗原0.5〜 5μg/kgであり、このような投与量は1〜3週間隔で1〜3回投与するのが
好ましい。本発明化合物については、指示した投与量範囲では、適切な個体への
投与を妨げるような不利な毒性効果は観察されない。 本明細書に開示した各文献を、参照によりその全体が本明細書に記載されてい
るものとみなす。本願が優先権を主張しているいずれの特許出願も、参照により
その全体が本明細書に記載されているものとみなす。
【0090】 配列データベースおよびアルゴリズム 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、検索分析に有用なデー
タベースならびに配列分析アルゴリズムにおける成分として特に有用である。「
データベースおよびアルゴリズム」と標題を付けたこのセクションおよびそれに
関連する請求の範囲において使用する場合、「本発明のポリヌクレオチド」およ
び「本発明のポリヌクレオチド配列」なる語は、コンピューターで読取り可能な
形態に圧縮または該形態で保存されるかあるいはその可能性のある本発明のポリ
ヌクレオチドのいずれかの検出可能な化学的または物理的特性を意味する。例え
ば、クロマトグラフィック・スキャン・データまたはピーク・データ、写真デー
タまたはそれから導き出されるスキャン・データ、コールド・ベース(called b
ase)、およびマススペクトログラフィックデータがある。「データベースおよ びアルゴリズム」と標題を付けたこのセクションおよびそれに関連する請求の範
囲において使用する場合、「本発明のポリペプチド」および「本発明のポリペプ
チド配列」なる語は、コンピューターで読取り可能な形態に圧縮または該形態で
保存されるかあるいはその可能性のある本発明のポリペプチドのいずれかの検出
可能な化学的または物理的特性を意味する。例えば、クロマトグラフィック・ス
キャン・データまたはピーク・データ、写真データまたはそれから導き出される
スキャン・データおよびマススペクトログラフィックデータがある。
【0091】 本発明は、本発明の配列を格納したコンピューター可読媒体を提供する。例え
ば、本発明のポリヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド;本発明のポリペ
プチドの配列を含むポリペプチド;少なくとも1個の配列が本発明のポリヌクレ オチド配列の配列を含む一連のポリヌクレオチド配列;少なくとも1個の配列が 本発明のポリペプチド配列の配列を含む一連のポリペプチド配列;本発明のポリ
ヌクレオチド配列の配列を含むポリヌクレオチド配列を示すデータセット;本発
明のポリペプチド配列の配列を含むポリペプチド配列をコードするポリヌクレオ
チド配列を示すデータセット;本発明のポリヌクレオチド配列の配列を含むポリ
ヌクレオチド;本発明のポリペプチド配列の配列を含むポリペプチド;少なくと
も1個の配列が本発明のポリヌクレオチド配列の配列を含む一連のポリヌクレオ チド配列;少なくとも1個の配列が本発明のポリペプチド配列の配列を含む一連 のポリペプチド配列;本発明のポリヌクレオチド配列の配列を含むポリヌクレオ
チド配列を示すデータセット;本発明のポリペプチド配列の配列を含むポリペプ
チド配列をコードするポリヌクレオチオド配列を示すデータセットよりなる群か
ら選択されるメンバーを格納したコンピューター可読媒体が提供される。コンピ
ューター可読媒体は、情報またはデータを格納するためのいずれかの構成の物質
であることができ、例えば、商業上入手可能なフロッピーディスク、テープ、ハ
ードドライブ、コンパクトディスクおよびビデオディスクを包含する。
【0092】 また、本発明により、文字配列、特に遺伝子配列の分析方法が提供される。配
列分析の好ましい方法は、例えば、同一性および類似性分析のような配列相同性
分析、RNA構造分析、配列アセンブリー、分岐学分析、配列モチーフ分析、オ
ープンリーディングフレーム決定、核酸塩基コーリング(calling)およびシー クエンシングクロマトグラムピーク分析の方法を包含する。
【0093】 コンピューターに基づく方法は、相同性同定を行うために提供される。該方法
は、コンピューター可読媒体中の本発明のポリヌクレオチドの配列を含むポリヌ
クレオチド配列を提供し;次いで、該ポリヌクレオチド配列を相同性を同定すべ
き少なくとも1個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較する工程を 含む。
【0094】 また、コンピューター可読媒体中の本発明のペプチドの配列を含むポリペプチ
ド配列を提供し;次いで、該ポリペプチド配列を相同性を同定すべき少なくとも
1個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較する工程を含む、相同性 同定のを行うためのコンピューターに基づく方法が提供される。 またさらに、コンピューター可読媒体中の本発明のポリヌクレオチドの配列を
含む第1のポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、第1のポリヌクレオチド配列
と第2のポリヌクレオチド配列間の少なくとも1個の重複領域についてスクリーニ
ングする工程を含む、ポリヌクレオチドアセンブリーのためのコンピューターに
基づく方法が提供される。
【0095】 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の本発明のポリヌクレ
オチドの配列を含むポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、該ポリヌクレオチ
ド配列を相同性を同定すべき少なくとも1個のポリヌクレオチドまたはポリペプ チド配列と比較する工程を含む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づ
く方法を提供する。 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の本発明のポリペプチ
ドの配列を含むポリペプチド配列を提供し;次いで、該ポリペプチド配列を相同
性を同定すべき少なくとも1個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比 較する工程を含む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づく方法を提供
する。
【0096】 本発明のさらなる具体例は、コンピューター可読媒体中の本発明のポリヌクレ
オチドの配列を含む第1のポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、第1のポリヌ
クレオチドと第2のポリヌクレオチド配列間の少なくとも1個の重複領域について
スクリーニングする工程を含む、ポリヌクレオチドアセンブリーのためのコンピ
ューターに基づく方法を提供する。 本明細書に開示される各引用文献は、出典明示により完全に本明細書の一部と
する。本出願が優先権主張するいずれの特許出願も、出典明示により本明細書の
一部とする。
【0097】 用語 以下の説明は、本明細書、とりわけ実施例において汎用される特定の用語の理
解を容易にするために示すものである。 「疾病」は、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および
心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎を包含する、細菌
により引き起こされる疾病または細菌による感染に関連した疾病を意味する。 「宿主細胞」は外来性ポリヌクレオチド配列により形質転換もしくはトランス
フェクションされた、または形質転換またはトランスフェクションすることので
きる細胞である。
【0098】 「同一性」は、当該分野で公知であり、配列の比較で決定されるような、2ま
たはそれ以上のポリペプチド配列あるいは2またはそれ以上のポリヌクレオチド
配列の間の関係である。また、当該分野では、「同一性」は、場合によっては、
配列の鎖間の対合によって決定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオ
チド配列間の配列の関連性の度合を意味する。「同一性」は、Computational Mo
lecular Biology,Lesk,A.M.編,Oxford University Press,New York,1988;
Biocomputing:Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.編,Academic P
ress,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,ParpyrHrif
fin, A.M.およびGriffin, H.G.編,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence
Analysis in Molecular Biology,Von Heinje,G.Academic Press,1987;およ
びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDevereux, J.編,M Stockton
Press,New York,1991;およびCarllio,HおよびLipman,D.,SIAM J.Applied Ma
th., 48:1073(1988)に記載されている方法(これらに限らない)を含め、公知 方法により容易に決定することができる。同一性を決定する好ましい方法は、テ
ストする配列間に最大の対合を与えるように設計されている。そのうえ、同一性
を測定する方法は公に入手できるコンピュータ・プログラムに集成されている。
2つの配列の間の同一性を測定する好ましいコンピュータ・プログラム方法は、
例えば、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら,Nucleic Acids Researc
h(1984)12(1):387)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S. F.ら, J.M
olec.Biol.(1990)215:403−410)を包含するが、これに限らない。BLAST Xプ
ログラムはNCBIおよび他の源(BLAST Manual,Altshul, S.ら,NCBI NLM NIH B
ethesda,MD20894;Altschul,S.ら,J.Mol.Biol.,215:403−410(1990))か
ら公に入手できる。また、周知のスミス・ウォーターマン(Smith Waterman)ア ルゴリズムを用いて同一性を決定することもできる。
【0099】 ポリペプチド配列の比較のためのパラメーターは以下のものを包含する: (1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (197
0);(2)比較マトリックス:Hentikoff and Hentikoff, Proc. Natl. Acad. S
ci. USA. 89: 10915-10919 (1992)からのBLOSSUM62;(3)ギャップペナルティ
ー:12;(4)ギャップ長ペナルティー:4 これらのパラメーターに関して有用なプログラムは、Genetics Computer Grou
p, Madison WI.から「ギャップ」プログラムとして公に利用できる。上記パラメ
ーターはポリペプチド比較のための省略時パラメーターである(エンドギャップ
についてペナルティーを伴わない)。 ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメーターは下記のものを包含する
: (1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch, J.Mol.Biol. 48:443-453 (1970) ;(2)比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=;(3)ギャップペ
ナルティー:50;(4)ギャップ長ペナルティー:3 これらのパラメーターに関して有用なプログラムは、Genetics Computer Grou
p, Madison WI.から「ギャップ」プログラムとして公に利用できる。上記パラメ
ーターはポリヌクレオチド比較のための省略時パラメーターである。
【0100】 ポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての「同一性」に関する好ましい 意味は、下記(1)および(2)に示される。 (1)さらにポリヌクレオチドの具体例は、配列番号:1の対照配列に対して少
なくとも50、60、70、80、85、90、95、97または100%の同
一性を有する単離ポリヌクレオチド配列を包含し、本発明ポリヌクレオチド配列
は配列番号:1の対照配列と同一であってもよく、あるいは対照配列と比較して
ある程度の数までのヌクレオチドの変化を有していてもよい。かかる変化は、少
なくとも1個のヌクレオチドの欠失、置換(トランジションおよびトランスバー
ジョンを包含)または挿入からなる群より選択され、該変化は対照ヌクレオチド
配列の5’または3’末端の位置あるいはそれらの末端位置の間の位置において
、対照配列中のヌクレオチドにおいて個々にまたは散在して、あるいは対照配列
中の1またはそれ以上の連続した群として生じてもよい。配列番号:1中の全ヌ
クレオチド数と個々の同一性パーセント値(100で割ったもの)とをかけて、
その積を配列番号:1中の全ヌクレオチド数から差し引くことによりヌクレオチ
ド変化の数を決定する。これを下式により説明する: nn≦xn−(xn・y) 式中、nnはヌクレオチド変化の数であり、xnは配列番号:1中の全ヌクレオチ
ド数であり、yは、例えば70%なら0.70、80%なら0.80、85%な
ら0.85、90%なら0.90、95%なら0.95、97%なら0.97、
100%なら1.00であり、・は積の演算子であり、xnとyとの整数でない 積は切り捨てにより最も近い整数とした後、xnから差し引く。配列番号:2の ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列の変化は、好ましくはコー
ディング配列中のナンセンス、ミスセンスまたはフレームシフト変異を引き起こ
す可能性があり、それゆえ、かかる変化に随伴してポリヌクレオチドによりコー
ドされているポリペプチドが変化する。 例えば、本発明ポリヌクレオチド配列は配列番号:1の対照配列と同一であっ
てもよく、すなわち、100%同一であってもよく、あるいは対照配列と比較し
てある程度の数までの核酸の変化を有していてもよい(その場合、同一性%は1
00%未満である)。かかる変化は、少なくとも1個の核酸の欠失、置換(トラ
ンジションおよびトランスバージョンを包含)または挿入からなる群より選択さ
れ、該変化は対照ポリヌクレオチド配列の5’または3’末端の位置あるいはそ
れらの末端位置の間の位置において、対照配列中の核酸において個々にまたは散
在して、あるいは対照配列中の1またはそれ以上の連続した群として生じてもよ
い。配列番号:1中の全核酸数に個々の同一性を示す整数を100で割った値を
かけて、その積を配列番号:1中の全核酸数から差し引くことにより同一性%値
についての核酸変化数を決定する。あるいはこのことは下式により説明される:
n≦xn−(xn・y) 式中、nnは核酸変化の数であり、xnは配列番号:1中の全核酸数であり、yは
、例えば70%なら0.70、85%なら0.85等であり、xnとyとの整数 でない積は切り捨てにより最も近い整数とした後、xnから差し引く。
【0101】 (2)さらにポリペプチドの具体例は、配列番号:2のポリペプチド対照配列に
対して少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97または10
0%の同一性を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドを包含し、該ポリペ
プチド配列は配列番号:2の対照配列と同一であってもよく、あるいは対照配列
と比較してある程度の数までのアミノ酸の変化を有していてもよい。かかる変化
は、少なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換(保存的および非保存的置換を包含
)または挿入からなる群より選択され、該変化は対照ポリペプチド配列のアミノ
またはカルボキシ末端の位置あるいはそれらの末端位置の間の位置において、対
照配列中のアミノ酸において個々にまたは散在して、あるいは対照配列中の1ま
たはそれ以上の連続した群として生じてもよい。配列番号:2中の全アミノ酸数
と同一性を示す整数を100で割った値とをかけて、その積を配列番号:2中の
全アミノ酸数から差し引くことによりアミノ酸変化の数を決定する。これを下式
により説明する: na≦xa−(xa・y) 式中、naはアミノ酸変化数であり、xaは配列番号:2中の全アミノ酸数であり
、yは、例えば70%なら0.70、80%なら0.80、85%なら0.85
、90%なら0.90、95%なら0.95、97%なら0.97、100%な
ら1.00であり、・は積の演算子であり、xaとyとの整数でない積は切り捨 てにより最も近い整数とした後、xaから差し引く。 例えば、本発明ポリペプチド配列は配列番号:2の対照配列と同一であっても
よく、すなわち、100%同一であってもよく、あるいは対照配列と比較してあ
る程度の数までのアミノ酸の変化を有していてもよい(その場合、同一性%は1
00%未満である)。かかる変化は、少なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換(
保存的または非保存的置換を包含)または挿入からなる群より選択され、該変化
は対照ポリペプチド配列のアミノまたはカルボキシ末端の位置あるいはそれらの
末端位置の間の位置において、対照配列中のアミノ酸において個々にまたは散在
して、あるいは対照配列中の1またはそれ以上の連続した群として生じてもよい
。配列番号:2中の全アミノ酸数に個々の同一性パーセント値(100で割った
もの)をかけて、その積を配列番号:2中の全アミノ酸数から差し引くことによ
り同一性%値についてのアミノ酸変化数を決定する。これを下式により説明する
: na≦xa−(xa・y) 式中、naはアミノ酸変化の数であり、xaは配列番号:2中の全アミノ酸数であ
り、yは、例えば70%なら0.70、85%なら0.85等であり、xaとy との整数でない積は切り捨てにより最も近い整数とした後、xaから差し引く。
【0102】 「単離」とは、「人の手によって」天然の状態から変化させられた、すなわち
、天然物の場合、その本来の環境から変化または除去あるいはその両方が行われ
たことを意味する。例えば、天然において生体に存在するポリヌクレオチドまた
はポリペプチドは、「単離」されていないが、その天然状態で共存する物質から
分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書に用いる用語
としての「単離」がなされている。
【0103】 「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、一般に、修飾されていないRNAも
しくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであってよい、ポリリボ
ヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをも意味する。従って、「ポ
リヌクレオチド」は、とりわけ一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖
領域の混合物または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一
本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRN
A、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖もしくは三本鎖、または一本鎖および
二本鎖領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子
を包含するがこれらに限らない。加えて、本明細書で用いる「ポリヌクレオチド
」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域を意
味する。かかる領域における鎖は同一の分子または異なる分子由来のものでよい
。この領域はこれらの分子の一つまたはそれ以上の全てを含んでいてもよいが、
より典型的にはいくつかの分子の一領域のみを含む。三重らせん領域の分子の一
つは、オリゴヌクレオチドであることがしばしばである。本明細書で用いる場合
、「ポリヌクレオチド」なる用語は、一つまたはそれ以上の修飾した塩基を含有
する、前記したDNAまたはRNAを包含する。このように、安定性または他の
理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAも、本明細書が意図するろと
ころの「ポリヌクレオチド」である。さらに、イノシン等の普通でない塩基、ま
たはトリチル化塩基等の修飾塩基を含むDNAまたはRNA(二つの例だけを示
す)も、本明細書での用語ポリペプチドである。当業者に既知の多くの有用な目
的を提供するDNAおよびRNAに、非常に多くの修飾がなされていることは、
明らかであろう。「ポリヌクレオチド」なる用語は、本明細書で用いる場合、ポ
リヌクレオチドのこのような化学的、酵素的または代謝的に修飾した形態、なら
びにウイルス、とりわけ単純型細胞および複雑型細胞を含む、細胞に特徴的なD
NAおよびRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」は、しばしば
、オリゴヌクレオチド(複数でも可)と称される短鎖ポリヌクレオチドを包含す
る。
【0104】 本明細書で用いる「ポリペプチド」は、ペプチド結合により直鎖で互いに結合
している2個またはそれ以上のアミノ酸を含むペプチドまたは蛋白をいうのに用
いる。「ポリペプチド」は、当該分野で通常例えばペプチド、オリゴペプチドお
よびオリゴマーとも称される短鎖、および多くの型があり、当該分野で一般的に
蛋白と称する長鎖の両方を意味する。ポリペプチドは、遺伝子によりコードされ
る20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでいてもよい。「ポリペプチド」は、
プロセッシングおよび他の翻訳後修飾のような自然の工程により、ならびに化学
修飾によるものを包含する。かかる修飾は基礎的なテキストおよびさらに詳細な
論文ならびに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知
である。同じタイプの修飾がポリペプチド中にいくつかの部位に同程度または種
々の程度で存在してもよいことが理解されるであろう。修飾は、ペプチド骨格、
アミノ酸側鎖、およびアミノもしくはカルボキシ末端を包含するポリペプチドの
いずれの場所にあってもよい。修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、
ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌ
クレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有
結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結
合形成、脱メチル化、共有結合架橋形成、シスチン形成、ピログルタミン酸塩形
成、ホルミル化、ガンマー−カルボキシル化、糖鎖形成、GPIアンカー形成、
ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白加水分解プ
ロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アル
ギニル化などの転移RNA媒介の蛋白へのアミノ酸付加、およびユビキチネーシ
ョンがある。例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties、第2版、
T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993)に記載されて
いる。例えば、Posttranslational Covalent Modification of Proteins、B.C.J
ohnson編、アカデミック・プレス、ニューヨーク(1983)のWold,F., Posttrans
lational Protein Modifications:Perspective and Prospects、1〜12頁;Seif
terら、Meth.Enzymol. 182:626-646(1990)およびRattanら、Protein Synthesi
s:Posttranslational Modifications and Aging,Ann. N. Y. Acad. Sci. 663:
48-62(1992)参照。ポリペプチドは分枝状あるいは分枝ありまたはなしの環状 であってもよい。環状、分枝状、および分枝状かつ環状のポリペプチドは、翻訳
後の天然プロセスから生じるものであってもよく、同様に全く合成的な方法によ
り製造されるものであってもよい。
【0105】 本明細書で用いる「変種」なる用語は、対照ポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドとは各々異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドであるが、本質的な特
性は保持している。典型的なポリヌクレオチドの変種は、別の対照ポリヌクレオ
チドとはヌクレオチド配列が異なる。変種のヌクレオチド配列の変化は、対照ポ
リヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させるも
のであってもよく、変化させないものであってもよい。以下に論じるように、ヌ
クレオチドの変化は結果的に、対照配列によりコードされるポリペプチドにおけ
るアミノ酸置換、付加、欠失、融合および末端切断を招く。典型的なポリペプチ
ドの変種は、別の対照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的には、差
異は、対照ポリペプチドおよび変種の配列が、全体的に非常に類似しており、多
くの領域で同一なものに限られる。変種および対照ポリペプチドは、1またはそ
れ以上の置換、付加、欠失が任意の組み合わせで起こることにより、アミノ酸配
列が変化し得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝学的コードにより
コードされたものであってもなくてもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ドの変種は、例えば対立遺伝子変種のような自然発生的なものでもよく、または
自然発生することが知られていない変種でもよい。ポリヌクレオチドおよびポリ
ペプチドの非自然発生変種は、突然変異技術または直接的合成、および当業者に
知られた他の組み換え法により製造できる。
【0106】 実施例 以下の実施例は、詳細に説明したこと以外は、当業者に周知で通常的な標準的
な技法を用いて実施する。実施例は説明のためにのみ示すもので、本発明を限定
するものではない。 実施例1:菌株の選択、ライブラリーの製造および配列決定 配列番号:1に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドを、イー・コリ(E.
coli)中のストレプトコッカス・ニューモニアエの染色体DNAのクローンの ライブラリーから得た。重複するストレプトコッカス・ニューモニアエのDNA
を含有する2個またはそれ以上のクローンからの配列決定データを用いて配列番
号:1の隣接DNA配列を構築した場合もある。通常の方法、例えば以下の方法
1および2によりライブラリーを製造できる。 全細胞DNAは、ストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993から、標準法
に準じて単離し、二つの方法のどちらかによりサイズ分画する。
【0107】 方法1 標準法に準じてサイズ分画化するために、全細胞DNAを注射針に通して機械
的に剪断する。11kbpまでの大きさのフラグメントを、エクソヌクレアーゼ
およびDNAポリメラーゼで処理することにより、平滑末端化し、EcoRIリ
ンカーを付加する。フラグメントを、EcoRIで切断されているベクターラム
ダZapIIに連結し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、次いで
パッケージングしたライブラリーで大腸菌を感染させる。ライブラリーは標準法
により増幅する。
【0108】 方法2 全細胞DNAは、ライブラリーベクター(例えば、RsaI、PalI、Al
uI、Bshl235I)にクローニングするための一連のフラグメントを適切
に生じる1の制限酵素または制限酵素の組み合わせで部分的加水分解し、かかる
フラグメントを標準法に準じてサイズ分画化する。EcoRIリンカーをDNA
およびフラグメントに連結し、次いでEcoRIで切断されているベクターラム
ダZapIIに連結し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、次いで
パッケージングしたライブラリーで大腸菌を感染させる。ライブラリーを標準法
により増幅する。
【0109】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/108 A61K 45/00 4C086 39/395 48/00 4H045 45/00 A61P 31/04 5B075 48/00 37/04 A61P 31/04 C07K 14/315 37/04 16/12 C07K 14/315 C12N 1/21 16/12 C12P 21/02 C C12N 1/21 G06F 17/30 170F C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // G06F 17/30 170 A61K 37/02 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA13 BA80 CA03 DA06 EA04 GA11 HA15 4B064 AG01 CA02 CA19 CC24 DA01 DA13 DA15 4B065 AA26X AA49Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA17 BA01 BA22 CA04 NA14 ZB351 ZB352 4C085 AA03 AA13 AA14 BA14 BB11 CC07 CC21 CC23 GG01 GG08 GG10 4C086 AA01 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB35 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA11 DA75 DA76 EA29 EA50 FA74 5B075 ND04 UU19

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドコードして
    いるポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオ
    チドを含む単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 ストレプトコッカス・ニューモニアエ中に含まれるpyrH
    遺伝子により発現されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードしているポリヌクレ
    オチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む単離
    ポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一
    であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含
    む単離ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項1のポリヌクレオチドに相捕的な単離ポリヌクレオチ
    ド。
  5. 【請求項5】 ポリヌクレオチドがDNAまたはRNAである請求項1のポ
    リヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 配列番号:1に示す核酸配列を含む請求項1のポリヌクレオ
    チド。
  7. 【請求項7】 配列番号:1に示すヌクレオチド1からヌクレオチド番号7
    36で始まる終止コドンまでを含む請求項1のポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし
    ている請求項1のポリヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 請求項1のポリヌクレオチドを含むベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9のベクターを含む宿主細胞。
  11. 【請求項11】 請求項10の宿主細胞から上記DNAによりコードされて
    いるポリペプチドを発現させることを含む、ポリペプチドの製造方法。
  12. 【請求項12】 pyrHポリペプチドまたはフラグメントの製造方法であ
    って、該ポリペプチドまたはフラグメントの生成に十分な条件下で請求項10の
    宿主を培養することを含む方法。
  13. 【請求項13】 配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%同
    一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  14. 【請求項14】 配列番号:2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項14のポリペプチドに対する抗体。
  16. 【請求項16】 請求項14のポリペプチドの活性または発現を阻害するア
    ンタゴニスト。
  17. 【請求項17】 治療上有効量の請求項14のポリペプチドを個体に投与す
    ることを含む、pyrHポリペプチドを必要とする個体の治療方法。
  18. 【請求項18】 治療上有効量の請求項16のアンタゴニストを個体に投与
    することを含む、pyrHポリペプチドの阻害を必要とする個体の治療方法。
  19. 【請求項19】 個体における請求項14のポリペプチドの発現または活性
    に関連した疾病の診断方法であって、 (a)該ポリペプチドをコードしている核酸配列を決定すること、および/ま
    たは (b)個体由来の試料中の該ポリペプチドの存在または量について分析するこ
    と を含む方法。
  20. 【請求項20】 請求項14のポリペプチドと相互作用して、その活性を阻
    害または活性化する化合物の同定方法であって、 化合物とポリペプチドとの間の相互作用を可能にする条件下で、ポリペプチド
    を含む組成物とスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を
    評価し(かかる相互作用はポリペプチドと化合物との相互作用に応答した検出可
    能シグナルを提供しうる第2の成分に関連したものである)、 次いで、化合物とポリペプチドとの相互作用により生じるシグナルの存在また
    は不存在を検出することにより、化合物がポリペプチドと相互作用して、その活
    性を活性化または阻害するかどうかを決定する ことを含む方法。
  21. 【請求項21】 哺乳動物における免疫学的応答を誘導する方法であって、
    抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせて動物を疾病から防御するに十分
    な請求項14のpyrHポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種を哺
    乳動物に接種することを含む方法。
  22. 【請求項22】 哺乳動物における免疫学的応答を誘導する方法であって、
    pyrHポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をインビボで発現さ
    せて、抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせる免疫学的応答を誘導して
    該動物を疾病から防御するために、請求項14のpyrHポリペプチドまたはそ
    のフラグメントもしくは変種の発現を指令する核酸ベクターを送達することを含
    む方法。
  23. 【請求項23】 配列番号:1の配列を含むポリヌクレオチド;配列番号:
    2の配列を含むポリペプチド;少なくとも1つの配列が配列番号:1の配列を含 む一連のポリヌクレオチド配列;少なくとも1つの配列が配列番号:2の配列を 含む一連のポリペプチド配列;配列番号:1の配列を含むポリヌクレオチド配列
    を示すデータセット;配列番号:2の配列を含むポリペプチド配列をコードして
    いるポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号:1の配列を含むポリ
    ヌクレオチド;配列番号2の配列を含むポリペプチド;少なくとも1つの配列が 配列番号:1の配列を含む一連のポリヌクレオチド配列;少なくとも1つの配列 が配列番号:2の配列を含む一連のポリペプチド配列;配列番号:1の配列を含
    むポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号:2の配列を含むポリペ
    プチド配列をコードしているポリヌクレオチド配列を示すデータセットよりなる
    群から選択されるメンバーを格納したコンピューター可読媒体。
  24. 【請求項24】 コンピューター可読媒体中の配列番号:1の配列を含むポ
    リヌクレオチド配列を提供し;次いで、該ポリヌクレオチド配列を少なくとも1 個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して相同性を同定する工程
    を含む、相同性同定を行うためのコンピューターに基づく方法。
  25. 【請求項25】 コンピューター可読媒体中の配列番号:1の配列を含む第
    1のポリヌクレオチド配列を提供し;次いで、上記の第1のポリヌクレオチド配列
    と第2のポリヌクレオチド配列間の少なくとも1個の重複領域についてスクリー ニングする工程を含む、ポリヌクレオチドアセンブリーのためのコンピューター
    に基づく方法。
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