JP2002503743A5 - - Google Patents

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JP2002503743A5
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Description

【書類名】 明細書
【発明の名称】ポリマーフィルムおよびその製造法
【特許請求の範囲】
【請求項】 (i)960kg/m3より大きい密度および100g/10分より高いMFR2を有する低分子量部分;および
(ii)高分子量部分
を有するポリエチレン組成物を含むインフレーションポリエチレンフィルム、ただし、該ポリエチレン組成物は、929〜934kg/m3の密度および12〜30g/10分のMFR21を有し、該フィルムは、
少なくとも15MPaの横方向の引張強度;
縦方向に少なくとも300MPaおよび横方向に少なくとも400MPaの1%セカント弾性率;および
ローネックで運転する機械において35〜45μmの厚さを有するフィルムにされるとき、少なくとも5g/μmの落槍衝撃強度
を示す。
【請求項】 (i)960kg/m3より大きい密度および100g/10分より高いMFR2を有する低分子量部分;および
(ii)高分子量部分
を有するポリエチレン組成物を含むインフレーションポリエチレンフィルム、ただし、該ポリエチレン組成物は、935〜939の密度および7〜20g/10分のMFR21を有し、該フィルムは、
少なくとも20MPaの横方向の引張強度;
縦方向に少なくとも400MPaおよび横方向に少なくとも500MPaの1%セカント弾性率;および、
ローネックで運転する機械において35〜45μmの厚さを有するフィルムにされるとき、少なくとも5g/μmの落槍衝撃強度;または
ハイネックで運転する機械において20〜30μmの厚さを有するフィルムにされるとき、少なくとも8g/μmの落槍衝撃強度;
を示す。
【請求項】 フィルムが均一な外観を有する、請求項または記載のポリエチレンフィルム。
【請求項】 ポリエチレン組成物が、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンならびにそれらの混合物の群から選択される2〜10%のコモノマーを含み、低分子量成分が1%未満のコモノマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエチレンフィルム。
【請求項】 30〜50%の低モル質量部分および70〜50%の高モル質量部分を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエチレンフィルム。
【請求項】 エチレン重合触媒および助触媒の触媒系の存在下、少なくとも1工程が気相で行なわれるところの一連の重合工程からなる多工程反応シークエンスにおいてポリエチレン組成物を製造する工程、ここで、該製造する工程は、
エチレン、所望により水素およびコモノマーを第一反応ゾーンまたは反応器での第一重合または共重合反応に付して第一ポリマーを製造すること;
第一反応ゾーンから第一ポリマーおよびその中の触媒を回収すること;
第一ポリマーを第二重合ゾーンまたは反応器に供給すること;
追加のエチレンおよび所望により水素およびコモノマーを第二反応ゾーンに供給すること;
該追加のエチレンおよび所望により追加のモノマーおよび水素を第一ポリマーおよびその中の触媒の存在下で第二重合反応に付して50g/10分未満のMFR21を有する第二重合生成物を製造すること;および
一緒にされた重合生成物を第二反応ゾーンから回収すること;
によって行われる;および
こうして得られたポリエチレン組成物をインフレーションしてフィルムにする工程
を含む、インフレーションポリエチレンフィルムの製造法
【請求項】 少なくとも15MPaの横方向の降伏点引張強度;
縦方向に少なくとも300MPaおよび横方向に少なくとも400MPaの1%セカント弾性率;および
少なくとも5g/μmの落槍衝撃強度
を示すインフレーションポリエチレンフィルムの製造法において、
エチレン、所望により水素およびコモノマーを第一反応ゾーンまたは反応器での第一重合または共重合反応に付して100g/10分以上のMFR2を有するポリマーを製造すること;
第一反応ゾーンから第一重合生成物を回収すること;
第一重合生成物を第二反応ゾーンまたは反応器に供給すること;
追加のエチレンおよび所望により水素およびコモノマーを第二反応ゾーンに供給すること;
該追加のエチレンおよび所望により追加のモノマーおよび水素を第一重合生成物の存在下で第二重合反応に付して50g/10分未満のMFR21を有する第二重合生成物を製造すること;および
一緒にされた重合生成物を第二反応ゾーンから回収すること;
によってポリエチレン組成物を製造する工程;および
こうして得られたポリエチレン組成物をインフレーションしてフィルムにする工程
を含む方法。
【請求項】 35〜45%、特に37〜43%のエチレンホモポリマーまたはコポリマーが、100g/10分以上のMFR2を有するポリマーを与える条件で製造され、かつ65〜55%、特に63〜57%のエチレンホモポリマーまたは好ましくはコポリマーが、50g/10分未満のMFR21を有するポリマーを与える条件で製造される、請求項または記載の方法。
【請求項】 ループ反応器および気相反応器をこの順序で含む反応器カスケードで重合を行うことを含む、請求項6〜8のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーフィルムに関する。特に、本発明は、中密度ポリエチレン組成物からインフレーションされ、かつ改善された衝撃特性および優れた機械的特性および良好な加工性を有するポリマーフィルムに関する。本発明はまた、ポリマーフィルムの製造法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
環境上およびコスト削減の点から、より薄いフィルム(薄肉化)に対する要求が増大している。包装ラインでのフィルム強度および性能は、薄肉化にかかわらず維持されるべきなので、将来の要求を満たすために、高い機械的特性を有するより剛性の高いフィルムが望まれている。
【0003】
インフレーションフィルム用途に使用されるポリオレフィン物質は、次の5群の物質に分けることができる。
1)広い分子量分布(MWD)を有し、かつ1つの反応器でのラジカル重合により製造される低密度ポリエチレン(LDPE);
2)狭いMWDを有し、かつ1つの反応器においてチーグラー触媒の存在下での重合により製造される直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
3)広いMWDを有し、かつ1つの反応器においてCr触媒の存在下での重合により製造される高密度/中密度ポリエチレン(HD/MDPE)
4)双峰性の(広い)MWDを有し、かつ連続した(カスケードの)2個の反応器においてチーグラー触媒の存在下での重合により製造される高密度ポリエチレン(HDPE)
5)双峰性の(広い)MWDを有し、かつ2個のカスケード反応器においてチーグラー触媒の存在下での重合により製造される直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
【0004】
PEフィルムの市場は、上記種類の物質に基づいて、包装要求に対する改善された解決を継続して開発している。
【0005】
典型的には926kg/m3より低い密度を有する、フィルム用途において使用される単峰性LLD物質(上記2)は、良好な機械的特性(引裂強度または落槍衝撃強度など)を示す。しかし、該物質の剛性が十分高くない用途がある。そのような用途では、より高い密度を有する物質が使用される。剛性を増加させるために密度を増加させると、代わりに機械的特性が悪くなった。
【0006】
双峰性LLDフィルム物質(上記5)は、単峰性LLDと比較して、機械的特性と剛性とのバランスが優れている上に、加工性も優れている。この種の物質は、例えばフィンランド特許出願No.945926に記載されている。他のいくつかの双峰性LLDPE型物質は、欧州特許出願No.0492656、同0691367、同0773257および同0773258に開示されている。
【0007】
しかし、さらに高い剛性が要求される用途がある。高い剛性を有する入手可能な双峰性高密度フィルム物質(上記4)がある。この種の物質は、例えば欧州特許出願No.0691353で論じられている。不幸なことに、そこでは機械的特性の低下が認められる。
【0008】
双峰性(または多峰性)ポリエチレンに伴う1つの問題は、非常に異なる分子量(またはメルトフローレート)およびコモノマー含量(または密度、または分岐度)を有する成分から成るという事実故の、物質の固有の不均一性である。分子量の相違に伴う問題は、例えばBohm、EnderleおよびFleissneerによる論文(改善された特性を有する双峰性ポリエチレングレードの工業的合成)で論じられている。そこでは、分子量比が10より高いポリマーを機械的にブレンドするときに問題が予期され得ることが記載されている(第355頁)。異なる分岐度(または異なる密度)に伴う問題は、Morgan、Hill、BarhamおよびFryeによる最近の論文(直鎖状ポリエチレンと2個のエチレンブチレンコポリマーとの三元混合における液−液相分離、Polymer、Vol.38、No.8、pp.1903-1909,1997)で研究されている。著者らは、直鎖状PEが比較的分岐度の低いエチレン−ブテンコポリマーと混合されるときに相分離が生じ得ることを示している(例えば、図1および図4)。また、Alamo、Kim、Mandelkern、Galante、Wignall、LondonoおよびStehlingによる論文(ホモポリマーとコポリマーとの混合物の共結晶化:Polyolefins,Polym. Mater. Sci. Eng., Vol.78, pp.213-214,1998, page213)には、直鎖状PEを8モル%より高い分岐濃度を有する分岐したPEと混合すると、溶融物中で相分離が生じることが記載されている。
【0009】
インフレーションフィルムのためのMDPEの消費は増大しており、市場は、典型的には、単峰性のCrに基づく製品によって供給されている。これらの物質は、剛性改善のための共押出フィルムにおいて広く使用されるが、包装によって要求される衝撃などの他の物理的特性への寄与は比較的小さい。フィルムインフレーションラインでの加工性および最終フィルムの物理的特性は、ポリマー構造、特にMWDおよびSCBDに非常に依存する。
【0010】
すなわち、上記から明らかなように、フィルムインフレーションのために利用可能な物質は、剛性と他の機械的特性との間のバランスの点で制限された代替物となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の問題を除去し、新規のインフレーションポリマーフィルムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、インフレーションフィルムを製造する方法を提供することである。
【0013】
これらおよび他の目的は、以下の明細書から明らかになるであろうところの公知方法および生成物に対するそれらの利点と共に、以下に記載されかつ特許請求される本発明によって達成される。
【0014】
上記したように、従来技術において一般に信じられていることは、剛性の増加を求めるならば、物質の密度を増加させることにより、機械的特性のいくつかは犠牲にされなければならないということである。しかし、この確信に対して、驚くべきことに、より高い密度を有する物質が双峰性であり、かつ密度の増加が特定の方法でなされるならば、剛性は増加しながら、機械的特性は影響受けないでそのままであるということが今見出された。その結果、機械的特性はLLDと等しいが、剛性は改善された物質が得られる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
特に、本発明における物質は、
i.少なくとも960kg/m3の密度およびMFR2>100g/10分および低いコモノマー含量を有する、30〜50重量%、好ましくは35〜45重量%、特に37〜43重量%の低分子量部分、および
ii.890〜920kg/m3の範囲であると計算される密度および高いコモノマー含量を有する、70〜50重量%、好ましくは65〜55重量%、特に63〜57重量%の高分子量部分
を有する双峰性の中密度ポリエチレンを含み、ただし、本発明のポリエチレンは、約920〜945kg/m3、特に925〜940kg/m3の密度およびMFR21が5〜50g/10分の範囲であるメルトフローレートを有する。高分子量部分のコモノマー含量は、低分子量部分よりも少なくとも約2倍高く、好ましくは少なくとも約3倍高い。
【0016】
本発明における双峰性MDPE物質は、伸長速度の増加と共に増加する伸長粘度を有する。従って、それは、インフレーションフィルムの製造に特によく適する。本発明に係るフィルムは、組成物の密度およびMFRならびにフィルムインフレーション条件に応じて、15MPa以上の横方向の引張強度、ならびに縦方向に少なくとも300MPaおよび横方向に400MPa以上の1%セカント弾性率を示す。
【0017】
本発明の組成物は、好ましくは、反応器の一方において高分子量部分を、別の反応器において低分子量部分を製造するために異なる量の水素およびコモノマーを用いて運転される少なくとも2個の反応器によって形成される反応器カスケードにおいてエチレンを重合または共重合することにより製造される。
【0018】
本発明のインフレーションフィルムは、請求項およびの特徴部分に記載されたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る方法は、主に、請求項およびの特徴部分に記載されたことを特徴とする。
【0020】
本発明によって重要な利点が得られる。すなわち、本発明は、同じ剛性レベルで従来のCrに基づく物質と比較して、改善された引裂耐性および優れたフィルム均一性を有する生成物を提供する。さらに、本発明の生成物は、薄肉化、および下流加工速度の増加を可能にする、改善された剛性/耐衝撃性バランスおよびより高い剛性を有する。
【0021】
MDPE物質は、フィルムインフレーションに特に適し、種々のフィルムライン(LD、LLDおよびHDライン)および共押出フィルムライン上を運ばれることを可能にする改善された加工性を有する。
【0022】
次に、本発明を、以下の詳細な説明および添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】
定義
本発明の目的に関して、「スラリー反応器」とは、スラリー状で運転し、ポリマーが粒状で生じる、連続式もしくは簡単なバッチ式攪拌タンク反応器またはループ反応器などの任意の反応器を意味する。好ましい実施態様によれば、スラリー反応器はループ反応器を含む。
【0024】
「気相反応器」とは、任意の機械的に混合されるまたは流動床の反応器を意味する。好ましくは、気相反応器は、少なくとも0.2m/秒の気体速度を有する機械的に攪拌される流動床反応器を含む。
【0025】
「メルトフローレート」、略して「MFR」とは、標準のピストンおよび荷重を有する実験室レオメーターにおいて標準温度で標準の円筒形ダイを通って押出されたポリマーの重量を意味する。MFRは、ポリマーの溶融粘度の尺度であり、したがってそのモル質量の尺度でもある。略号「MFR」には一般に、試験におけるピストンの荷重を示す下付き数字が添えられる。すなわち、例えばMFR2は、2.16kg荷重を示し、MFR21は21.6kgの荷重を示す。MFRは、例えば次の試験、すなわちISO1133C4、ASTMD 1238およびDIN 53735の1つを使用して決定することができる。
【0026】
「フローレート比」、略してFRRとは、異なる荷重を使用して同じポリマーから測定された2個のMFR値の間の比を意味する。略号FRRには一般に、どの荷重がFRRの決定に使用されたかを示す下付き数字が添えられる。すなわち、FRR21/5は、MFR21とMFR5との比として得られた。FRRは、MWDの幅の広さの尺度である。高いFRRが広いMWDに対応する。
【0027】
直鎖状ポリエチレンは、インフレーション法により2つの型の機械でフィルムにされる。典型的には、直鎖状低密度PEは、フィルムインフレーションにおいて比較的低いブローアップ比および比較的低いフロストライン高さが使用されることを意味する、いわゆる「ローネック(lowneck)」条件で運転する機械において加工される。典型的にはローネックで流れるポリマーは、比較的低い分子量(および約1のMFR2)を有する。ダイとフロストラインとの間の溶融ポリマーゾーンにおいてポリマーの緩和が起こる。
【0028】
他方、高密度PEは通常、比較的高いブローアップ比および比較的高いフロストライン高さが使用される、いわゆる「ハイネック(high neck)」条件を伴う機械において加工される。典型的にはハイネックで流れるポリマーは比較的高い分子量(および約7のMFR21)を有する。ダイとフロストラインとの間の溶融ポリマーゾーンにおいてポリマーの何らかの緩和、特に二軸延伸が起こる。典型的には、延伸が、延伸方向におけるポリマーの機械的強度を増加させる。これは、機械的により強いフィルムが「ハイネック」条件で得られ、例えば落槍衝撃強度が増加することを意味する。
【0029】
従来公知の(および上記第4〜5頁に列挙した)ポリエチレンは、これらの適用の1つのために特に設計されている。本発明の顕著な特徴はその柔軟性であり、それは、これらの適用の両方における使用を可能にする。
【0030】
本明細書の表2(実施例の項)は、これらの運転方法の例を示す。そこでは、60mmの押出機および200mmのダイ(ダイギャップ1.2mm)を有する、Windmoller& Holscherによって製造された機械を、3:1のブローアップ比および650mmのフロストライン高さで運転した。これは、「ローネック」条件の例である。他方、65mmの押出機および160mmのダイ(ダイギャップ1.5mm)を有する、Alpineによって製造された機械を、4:1のブローアップ比および1280mmのフロストライン高さで運転した。これは、「ハイネック」条件の例である。
【0031】
ポリマー組成物
本発明におけるポリマー組成物は、高モル質量部分および低もしくは中モル質量部分を含む、双峰性のモル質量分布を有する中密度ポリエチレン組成物である。高モル質量部分は、ポリマーの機械的特性を改善するコモノマーを含む。驚いたことに、この改善は、直線的でない。図1は、4種類のMDPE−型ポリマー組成物(2つは単峰性MWDを有し、2つは双峰性MWDを有する)の剛性と機械的特性との間の関係を示す。
【0032】
図1から明らかなように、より高級であるオレフィンの使用(1−ヘキセン対1−ブテン)は、例えばポリマーの密度を増加させることにより剛性がたとえいくらか増加したとしても機械的特性は許容され得るレベルのままであるように機械的特性を改善する。従来公知であるように、コモノマーは通常、単峰性生成物のポリマー分子量分布の低いモル質量部分において蓄積される。これに対して、双峰性ポリマーの場合は、コモノマーが高モル質量部分に集中する。その結果、図1からも明らかなように、同じ剛性レベルでは、コモノマーは、対応する単峰性ポリマーと比較して機械的特性を改善するだけでなく、剛性が増加するときの機械的特性の低下を止める効果も有する。すなわち、大きい範囲の高い剛性に関して、双峰性の中密度ポリエチレンの機械的特性は、対応する単峰性ポリマーよりもかなり高い。コモノマーとして1−ブテンを有する双峰性ポリエチレンは、典型的には、コモノマーとして1−ヘキセンを有する単峰性物質と比較して優れた機械的特性を有する。
【0033】
一般に、ポリマー組成物中に0.1〜10%の量のコモノマーが好ましく、特にその量は約2〜8重量%である。
【0034】
本発明の1実施態様によれば、ポリエチレン組成物が、
(i)960kg/m 3 より大きい密度および100g/10分より高いMFR 2 を有する低分子量部分、
(ii)高分子量部分
を含み、かつ約925〜940kg/m 3 の密度およびMFR 21 =5〜MFR 2 =15g/10分の範囲のメルトフローレートを有する。
【0035】
好ましくは、上記ポリエチレン組成物が、約925〜940kg/m 3 の密度およびMFR 21 =5〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有する。
【0036】
さらに、上記ポリエチレン組成物が好ましくは、
少なくとも960kg/m 3 の密度およびMFR 2 >100g/10分および低いコモノマー含量を有する、30〜50重量%、好ましくは35〜45重量%、特に37〜43重量%の低分子量部分、および
890〜920kg/m 3 の範囲であると計算される密度および高いコモノマー含量を有する、70〜50重量%、好ましくは65〜55重量%、特に63〜57重量%の高分子量部分
を含む。
【0037】
本発明に係る中密度ポリエチレンは、70〜50%の高モル質量部分および30〜50%の低モル質量部分を含み、ポリマーのメルトフローレートは約MFR215〜MFR215g/10分の範囲であり、好ましくは約MFR215〜40g/10分の範囲である。組成物は、約2〜8%のコモノマーを含み、低モル質量部分は1%未満のコモノマーを含む。ポリマー生成物の密度は、約920〜945kg/m3、特に約925〜940kg/m3である。−20℃でのシャルピー衝撃強度は一般に90kJ/m2より高く、フローレート比FRR21/5は20より高い。
【0038】
好ましい実施態様の特定の例として、フィルムインフレーション用の以下の双峰性のZ−Nに基づくMDPEポリマーを挙げることができる。
【0039】
20g/10分のMFR21および931kg/m3の密度を有するMDPE、
13g/10分のMFR21および937kg/m3の密度を有するMDPE。
【0040】
驚くべきことに、本発明に係る組成物は、ひずみ硬化を示す、すなわちその伸長粘度は伸長速度の増加と共に増加することが分かった。この特徴は、伸長粘度が伸長速度の増加と共に減少するひずみ薄肉化を示す、クロム触媒を使用して製造された単峰性物質の挙動と逆である。これは、図2および3に示される。それらは、本発明に係る物質および従来の物質の伸長粘度を各々せん断速度および伸長速度の関数として示す。
【0041】
この相違は、例えばフィルムインフレーションにおいて重要な意義を有する。実際、フィルムラインにおいて正確に一定の物質供給および運転条件を維持することは不可能である。ダイへの物質供給が減少すると、伸長速度は増加する。物質がひずみ薄肉化挙動を有する場合、その伸長粘度は減少する。この結果、物質は伸長に対する抵抗がより小さくなり、その結果、フィルム厚さの変化が生じる。しかし、物質がひずみ硬化を示す場合は、その伸長粘度が伸長速度の増加と共に増加する。粘度の増加は伸びを阻止し、従って、より一定のフィルム厚さが得られる。
【0042】
十分な剛性および優れた加工性と組み合わされた優れた機械的特性により、本発明のポリエチレン組成物は、フィルムインフレーションに非常によく適する。フィルムは均一な外観を有し、一般に以下の特徴を示す。
A.組成物が929〜934の密度および12〜30g/10分のMFR21を有する場合、フィルムは一般に、「ローネック」条件を使用してインフレーションされ、得られるフィルムは以下の特性を有する。
−少なくとも15MPaの横方向の引張強度;
−縦方向に少なくとも300MPaおよび横方向に少なくとも400MPaの1%セカント弾性率;および
−35〜45μmの厚さを有するフィルムにされると、フィルムは少なくとも5g/μmの落槍衝撃強度を有する。
B.他方、組成物が935〜939の密度および7〜20g/10分のMFR21を有する場合、フィルムは、ローネックを使用してインフレーションされ得る。そして、フィルムは以下の特性を有する。
−少なくとも20MPaの横方向の引張強度;
−縦方向に少なくとも400MPaおよび横方向に少なくとも500MPaの1%セカント弾性率;および
−35〜45μmの厚さを有するフィルムにされると、フィルムは少なくとも5g/μmの落槍衝撃強度を有する。
C.フィルムは、ハイネックを使用してインフレーションすることもでき、得られるフィルムは以下の特性を有する。
−少なくとも20MPaの横方向の引張強度;
−縦方向に少なくとも400MPaおよび横方向に少なくとも500MPaの1%セカント弾性率;および
−20〜30μmの厚さを有するフィルムにされると、フィルムは少なくとも8g/μmの落槍衝撃強度を有する。
【0043】
重合法
ポリマー組成物を製造するために、エチレンは、適する触媒、好ましくはチーグラー−ナッタ触媒(下記を参照)の存在下、高められた温度および圧力で重合される。重合は、スラリー反応器および気相反応器の群から選択される一連の重合反応器で行われる。ループ反応器が、スラリー反応器での重合の特に好ましい実施態様である。生成物の高モル質量部分および低または中モル質量部分は、反応器において任意の順序で製造され得る。
【0044】
上記したように、好ましくはチーグラー−ナッタ触媒を使用して組成物を製造する。かかる触媒は、一般には元素周期律表(IUPAC,1990)の4〜5族の遷移金属の化合物である活性化合物を含む。典型的には、活性化合物は、Ti、VまたはZrのハロゲン含有化合物である。しばしば、該触媒は、Mgおよび/またはAlのハロゲン含有化合物などの他の金属の化合物も含む。
【0045】
触媒は、従来公知の任意の粒状支持体に担持されていなくてもよいし、担持されていてもよい。典型的には、支持体物質は、ケイ素、アルミニウム、チタンまたはアルミニウムなどの無機元素の酸化物である。また、上記元素の混合酸化物であってもよい。しかし、通常は有機ポリマーである有機支持体も使用され得る。すなわち、支持体は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、ポリスチレンなどであり得る。
【0046】
適する担持されていない触媒の例は、例えばEP−B−491566に示されている。適する担持された触媒の例は、例えばEP−B−688794またはEP−B−604850に示されている。特に適する触媒は、EP−B−688794に従って製造されるものである。なぜならば、その触媒は、高いおよび低い水素濃度の両方で、エチレン(コ)ポリマーを高収率で製造することができるからである。これは、1つの重合工程が高水素濃度で行われ、1つの重合工程が低水素濃度で行われる、本発明に係る組成物を製造するときの有益な特徴である。
【0047】
触媒は、一般には2または13族の金属のアルキル含有化合物、典型的にはトリエチルアルミニウムなどのアルミニウムアルキルである助触媒と共に使用される。
【0048】
本発明に係る組成物は、2以上のカスケード反応器を含む多工程重合法で有利に製造することができる。カスケードスラリー反応器のみを含む方法を使用することも可能であるが、かかる方法は、低密度を有する成分が反応希釈剤に溶解されるときに生じ得る問題故に、好ましくない。すなわち、少なくとも1つの気相反応器を含む方法を使用することが好ましい。欧州特許明細書EP−B−517868に従う、ループ反応器および気相反応器を含む方法は、本発明の組成物の製造に特に有益であることが見出された。該方法は、安定した連続運転を可能にし、その結果、均一かつ一様な生成物が得られる。
【0049】
なお、本発明に係る組成物は、混合触媒を使用して単一反応器中で製造することもできる。ここで、1つの触媒粒子は、異なる種類の活性種を含む。この場合、両方の活性種がメタロセン種であってもよく、あるいは、それらの1つまたは両方がチーグラー種であってもよい。
【0050】
以下において、反応器系を、欧州特許明細書No.0517868に開示されたものと類似しており、かつ1つのループ反応器(「第一反応器」という)および1つの気相反応器(「第二反応器」という)をこの順に含む系を特に参照して説明する。しかし、反応器系は、反応器を任意の数および順序で含み得ることを理解すべきである。
【0051】
全ての重合工程において、C3-18オレフィン、好ましくはC4-10オレフィン、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンならびにそれらの混合物などの群から選択されるコモノマーも使用することできる。コモノマーの使用は、高モル質量部分の製造に特に好ましい。
【0052】
双峰性エチレンホモ−またはコポリマーの製造に使用される実際の重合反応器の他に、重合反応系は、予備反応器などの多数の追加の反応器も含み得る。予備反応器は、必要ならば、触媒の予備重合およびオレフィン供給の調節のための任意の反応器を含む。反応系の全ての反応器は、好ましくは、直列に(カスケード式に)配列される。
【0053】
本発明によれば、重合は、以下の工程を含む。
−エチレン、所望により水素および/またはコモノマーを第一反応ゾーンまたは反応器での第一重合反応に付す工程;
−第一重合生成物を第一反応ゾーンから回収する工程;
−第一重合生成物を第二反応ゾーンまたは反応器に供給する工程;
−追加のエチレンおよび所望により水素および/またはコモノマーを第二反応ゾーンに供給する工程;
−該追加のエチレンおよび任意の水素および/またはコモノマーを第一重合生成物の存在下で第二重合反応に付して第二重合生成物を製造する工程;および
−第二の重合生成物を第二反応ゾーンから回収する工程。
【0054】
すなわち、プロセスの第一工程では、エチレンおよび任意のコモノマーを触媒と共に、第一重合反応器に供給する。これらの成分と共に、モル質量調節剤としての水素を、ポリマーの所望のモル質量を達成するのに必要な量で反応器に供給する。あるいは、第一反応器の供給は、先の反応器からの反応混合物と共に、あるならば、添加された新しいモノマー、任意の水素および/またはコモノマーおよび助触媒から成り得る。触媒の存在下で、エチレンおよび任意のコモノマーは重合し、粒状形の生成物、すなわちポリマー粒子を生じ、それは、反応器に循環される流体に懸濁される。
【0055】
重合媒体は典型的には、モノマー(すなわちエチレン)および/または炭化水素を含み、流体は液体または気体のいずれかである。スラリー反応器、特にループ反応器の場合、流体は液体であり、ポリマーの懸濁物がスラリー反応器を通って連続的に循環され、それによって炭化水素媒体またはモノマー中の粒状のポリマーの懸濁物がより多く製造される。
【0056】
スラリー反応器の条件は、製造全体の少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも35重量%がスラリー反応器中で重合されるように選択される。温度は、40〜110℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲である。反応圧力は、25〜100バール、好ましくは35〜80バールの範囲である。960kg/m3を超える密度を有するポリエチレンを製造するためには、重合は好ましくは90℃より高い温度で臨界超過条件で行われる。
【0057】
スラリー重合では、1より多い反応器を直列で使用することができる。そのような場合、スラリー反応器で製造された不活性炭化水素中のポリマー懸濁物が、不活性成分およびモノマーの分離を生じることなく、先のスラリー反応器より低い圧力で作用する続くスラリー反応器に周期的にまたは連続的に供給される。
【0058】
重合熱は、反応器を冷却ジャケットによって冷却することにより除去される。スラリー反応器中での滞在時間は、十分な重合度を得るために、少なくとも10分、好ましくは20〜100分でなければならない。
【0059】
本発明の1実施態様によれば、光不活性炭化水素が反応器に供給される。かかる炭化水素の例は、プロパン、イソブタン、n−ブタンおよびイソペンタンである。好ましくは、プロパンが光不活性炭化水素として使用される。
【0060】
上記で論じたように、低モル質量ポリエチレンが所望の生成物である場合、水素が反応器に供給される。水素は、少なくとも100モルH2/キロモルエチレン、好ましくは300〜600モルH2/キロモル エチレンの比で反応器に添加され得る。
【0061】
例えばフラッシュタンクにおいて生成物の揮発性成分を蒸発させるために、反応媒体を含む第一重合生成物の圧力を、第一反応ゾーンの後で低下させる。フラッシュの結果、ポリエチレンを含む生成物流から水素が除かれ、追加のエチレンの存在下での第二重合に付されて高モル質量ポリマーを製造することができる。
【0062】
少なくとも15MPaの横方向の降伏点引張強度、縦方向に少なくとも300MPaおよび横方向に少なくとも400MPaの1%セカント弾性率、ならびに少なくとも5g/μmの落槍衝撃強度を有するポリエチレン組成物を製造するために、エチレン、所望により水素およびコモノマーを第一工程で反応させて、100g/10分以上のMFR2を有するポリマーを製造する。
【0063】
第二反応器は好ましくは、エチレンおよび好ましくはコモノマーが気体反応媒体中で重合される気相反応器である。
【0064】
気相反応器は、通常の流動床反応器であるが、他の型の気相反応器も使用され得る。流動床反応器では、床は、生成したおよび生成しているポリマー粒子ならびにポリマー画分と共に来るなおも活性な触媒から成る。床は、気体成分、例えばモノマーを、粒子を流体として作用させるような流速で導入することにより、流動状態に保たれる。流動気体は、窒素およびプロパンなどの不活性担体気体および調節剤としての水素も含み得る。流動気相反応器には、機械的混合機を備えることができる。
【0065】
使用される気相反応器は、50〜115℃、好ましくは60〜110℃の温度範囲および10〜40バールの反応圧および1〜20バールのモノマー分圧で運転され得る。
【0066】
第二重合工程では、好ましくは、50g/10分未満のMFR21を有する第二重合生成物が製造される。
【0067】
次いで、気体反応媒体を含む第二重合生成物の圧力が、例えばフラッシュタンクにおいて、生成物の気体成分および可能な揮発性成分の一部を所望により分離するために、第二反応器後に開放され得る。オーバーヘッド流およびその一部は第二反応器に再循環される。
【0068】
高モル質量重合反応器と低または中モル質量重合反応器との間の製造スプリット(分担)は、50〜70:50〜30である。好ましくは、35〜45%、特に37〜43%のエチレンホモポリマーまたはコポリマーが、100g/10分以上のMFR2を有しかつポリマーの低モル質量部分を構成するポリマーを提供する条件で製造され、65〜55%、特に63〜57%のエチレンホモポリマーまたは好ましくはコポリマーが、50g/10分未満、特に約5〜50g/10分のMFR2を有しかつポリマーの高モル質量部分を構成するポリマーを提供する条件で製造される。低モル質量部分の密度は好ましくは、960kg/m3より高く、最終ポリマーの密度は好ましくは925〜940kg/m3である。
【0069】
本発明のエチレンのポリマーおよびコポリマーはブレンドされ、所望により公知技術において従来使用される添加剤およびアジュバントと配合され得る。すなわち、適する添加剤としては、帯電防止剤、難燃剤、光および熱安定剤、顔料、加工助剤およびカーボンブラックが挙げられる。チョーク、タルクおよび雲母などのフィラーも使用され得る。
【0070】
【実施例】
以下の非限定的実施例により本発明を説明する。
【0071】
分析方法の説明
シャルピー衝撃強度
シャルピー衝撃強度は、ISO179法に従って測定される。試験片を水平な単一のビームとして支持し、振り子を1回振動させることにより破壊する。衝撃ラインの通路は、支持体の間でかつ(最終的な)ノッチの反対側である。
落槍衝撃強度
落槍衝撃強度は、ISO 7765−1法を使用して測定される。直径38mmの半球ヘッドを有する槍を、穴の上に把持されたフィルム上に0.66mの高さから落とす。試験片が損なわれるならば、槍の重量を減少させ、損なわれないならば、重量を増加させる。少なくとも20回個の試験片を試験する必要がある。試験片の50%が損なわれる重量を計算する。
降伏点引張強度
降伏点引張強度は、引張実験から得られる。実験は、ISO 1184法に従って行われる。試験片を、主軸に沿って一定速度で伸長させる。
セカント弾性率
1%伸び時のセカント弾性率も、引張り試験から得られる。値は、応力−ひずみ曲線上での1%ひずみ時の応力とひずみとの比である。
引裂強度
引裂強度は、ISO 6383法を使用して測定される。フィルム試験片を横切る引裂を伝播するのに必要な力を、振り子デバイスを使用して測定する。振り子は、重力によって弧を描くように動き、試験片を前もって入れられた切り込みから引裂く。試験片の一方の側は振り子によって保持され、他方の側は固定部材によって保持される。引裂強度は、試験片を引裂くのに必要な力である。
【0072】
実施例1
生産規模プラントのループ反応器を、95℃の温度および60バールの圧力で運転した。410g/10分のMFR2および970kg/m3の密度を有する50トン/時のポリエチレンが形成されるように、エチレン、水素、プロパン希釈剤およびEP688794に従って製造された重合触媒を反応器に添加した。活性触媒を含むポリマーを反応媒体から分離し、気相反応器に移した。該反応器において追加のエチレン、水素および1−ブテンコモノマーを添加し、20g/10分のMFR21および930.5kg/m3の密度を有する、合計で12.5トン/時のポリエチレンを形成した。その物質を、ポリマーの重量につき2000ppmのIrganoxB225添加剤および1500ppmのステアリン酸カルシウムと配合し、ペレット化した。全ポリマー中の高MFR物質(または低分子量物質)の画分は40%であった。ポリマーの1−ブテン含量が分析され、6.4重量%、すなわち3.3モル%であることが分かった。ループ反応器で製造された物質はコモノマーを含んでいなかったので、気相反応器で製造された画分のコモノマー含量は11重量%、すなわち5.8モル%であるに違いなかった。対応する密度は904kg/m3であると推定された。
【0073】
実施例2
気相反応器を、83℃の温度および25バールの圧力で運転した。約1g/10分のMFR21および917kg/m3の密度を有する8kg/時のポリエチレンが形成されるように、エチレン、水素、1−ヘキセンコモノマーおよびEP688794に従って製造された重合触媒を反応器に添加した。活性触媒を含むポリマーを反応媒体から分離し、別の気相反応器に移した。該反応器において追加のエチレン、水素および1−ヘキセンコモノマーを添加し、13g/10分のMFR21および937kg/m3の密度を有する、合計で13kg/時のポリエチレンを形成した。その物質を、ポリマーの重量につき2000ppmのIrganoxB225添加剤および1500ppmのステアリン酸カルシウムと配合し、ペレット化した。全ポリマー中の高MFR物質(または低分子量物質)の画分は39%であった。従って、低分子量画分の密度は968kg/m3であると推定された。
【0074】
実施例3
実施例1に従って製造された物質を、Windmoller & Holscherフィルムライン上でインフレーション法によりフィルムにした。押出機は60mmであり、ダイは200mmであり、ダイギャップは1.2mmであり、ブローアップ比(BUR)は3であり、フロストライン高さ(FLH)は3個のダイ直径(3DD)に等しかった。物質およびフィルムの特性は、表1の第3欄に見ることができる。
【0075】
比較例1
市販の単峰性物質をインフレーション法によりフィルムにした。フィルムは、200mmのダイ、1.4mmのダイギャップ、BUR2および低FLHでインフレーションされた。(データは、J.C.Dewartの発表(メタロセン触媒されたMDPEを用いた中密度ポリエチレン用途範囲の拡大)から取られたものである。発表は、AppliedMarket Information(ブリストル、英国)によって組織された、フランクフルトでの1997年6月3〜5日のEurofilm 97会議で行われた。)物質およびフィルムの特性は、表1の第二欄に見ることができる。
【0076】
比較例2
別の市販の単峰性物質を、実施例1に示した条件を使用したインフレーション法によりフィルムにした。物質およびフィルムの特性は、表1の第1欄に見ることができ、表2の第1欄にも見ることができる。
【表1】
Figure 2002503743
【0077】
実施例4
実施例2に従って製造された物質を、実施例1に示した条件を使用してインフレーション法によりフィルムにした。物質およびフィルムの特性を表2の第3欄に示す。
【0078】
実施例5
実施例2に従って製造された物質を、Alpine フィルムライン上でインフレーション法によりフィルムにした。押出機は65mmであり、ダイは160mmであり、ダイギャップは1.5mmであり、ブローアップ比(BUR)は4であり、フロストライン高さ(FLH)は8DDに等しかった。物質およびフィルムの特性は、表2の第4欄に見ることができる。
【0079】
実施例6
実施例1および実施例2で製造されたサンプルならびに比較例1で使用されたサンプルの伸長粘度を、細管レオメーターを使用し、かつCogswell法を使用して圧力低下データから伸長粘度を計算することにより測定した。方法は、Cogswell:ポリマー溶融レオロジー、工業的実施のための指針、WoodheadPublishing Ltd 1997, ISBN 1 85573 198 3により詳細に記載されている。伸長粘度は、せん断速度および伸長速度の関数として、各々、添付した図2および図3に示す。図は、本発明にかかる物質はひずみ硬化(伸長粘度が伸長速度またはせん断速度の増加と共に増加する)を示すが、従来の物質は、ひずみ薄肉化(伸長粘度が伸長速度またはせん断速度の増加と共に減少する)を示すことを示している。
【0080】
比較例3
比較例2で使用された物質を、実施例3に記載されたものに従ってインフレーション法によりフィルムにした。物質およびフィルムの特性を表2の第2欄に示す。
【表2】
Figure 2002503743
この生成物の主な利点は、同じ剛性レベルで従来のCrに基づく物質と比較して、改善された衝撃耐性および引裂耐性ならびに優れたフィルム均一性および加工性である。この種の生成物は、HDおよび共押出ライン上でのインフレーションフィルム加工に特に適する。
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、コモノマーとして各々1−ブテンおよび1−ヘキセンを含む単峰性および双峰性ポリマー組成物からインフレーション法で作られたフィルムの剛性と機械的特性との間の関係を示す。
【図2】
図2は、本発明におけるポリエチレン組成物から製造された2つのサンプルに関する、ダイでの同じせん断速度に対してプロットされたコグスウェル法(Cogswellmethod)に従う伸長粘度を、参照サンプルと比較して示す。
【図3】
図3は、本発明におけるポリエチレン組成物から製造された1つのサンプルに関する、コグスウェル法に従う伸長粘度対伸長速度を、参照サンプルと比較して示す。
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