JP2002503674A - βシート模倣物およびその使用に関する方法 - Google Patents

βシート模倣物およびその使用に関する方法

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Abstract

(57)【要約】 β−シート模倣物およびそれらに関する方法が開示される。β−シート模倣物は、プロテアーゼおよびキナーゼインヒビター、ならびに転写因子およびタンパク質−タンパク質結合相互作用のインヒビターとして有用性を有する。本発明の方法は、β−シート模倣物の投与、あるいは標的のプロテアーゼ、キナーゼ、転写因子および/またはタンパク質−タンパク質結合相互作用に関連した種々の状態の処置のための薬剤の製造に関するβ−シート模倣物の使用を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、一般にβシート模倣物に関し、より詳細には生物学的活性ペプチド
およびタンパク質を阻害するβシート模倣物に関する。
【0002】 (発明の背景) βシートコンホメーション(β鎖コンホメーションともいう)は、多くのポリ
ペプチド中に存在する2次構造である。βシートコンホメーションは、隣接する
アミノ酸間の軸距離が約3.5Åで、ほぼ完全に伸張している。βシートは、異
なるポリペプチド鎖中のNH基とCO基との間の水素結合により安定化される。
さらに、ペプチド結合の双極子は、βシートに本質的な安定性を与える鎖にそっ
て交互になる。βシート中の隣接する鎖は、同一方向に伸び得る(すなわち、平
行βシート)か、または反対方向に伸び得る(すなわち、逆平行βシート)。2
つの形態は二面角がわずかに異なるが、両方とも立体的には好ましい。βシート
コンホメーションの伸張したコンホメーションにより、βシートの交互の面に突
き出るアミノ酸側鎖が生じる。
【0003】 ペプチドおよびタンパク質におけるβシートの重要性は、十分に確立されてい
る(例えば、Richardson,Nature 268:495−499,
1997;Halversonら、J.Am.Chem.Soc.113:67
01−6704,1991;Zhang,J.Biol.Chem.266:1
5591−15596,1991;Maddenら、Nature,353:3
21−325,1991)。βシートは、多くの生物学的なタンパク質−タンパ
ク質認識事象において重要であり(これには、プロテアーゼとそれらの基質との
間の相互作用、プロテインキナーゼとそれらの基質またはインヒビターとの間の
相互作用、タンパク質を含有するSH2ドメインの、タンパク質標的を含むそれ
らの同属ホスホチロシンへの結合、ファルネシルトランスフェラーゼのそのタン
パク質基質への結合、ならびにMHC IおよびIIとそれらの抗原性ペプチド
との間の相互作用が挙げられる)、そして多くの疾患状態に関係している。
【0004】 生物学的に活性なタンパク質またはペプチドのβシート構造を模倣するインヒ
ビターは、幅広い種々の状態の処置に効用を有する。例えば、ras癌遺伝子の
タンパク質産物であるRasは、細胞分裂および細胞増殖を調節するシグナル伝
達に関与する膜結合タンパク質である。ras遺伝子の変異は、ヒトの癌と関連
する最も一般的な遺伝的異常である(Barbacid,M.「ras gen
es」56:779〜827、1987)。これらの変異は、常に「オン」とな
る増殖シグナルとなり、癌性の細胞に至る。細胞膜に限局化するため、Rasは
、そのC末端CaaX配列内のシステインのファルネシルトランスフェラーゼ(
FTase)によるプレニル化を必要とする。(配列CaaXにおいて、「a」
は疎水性側鎖を有するアミノ酸、そして「X」は別のアミノ酸として定義される
。)この翻訳後修飾は、その活性に重要である。配列CaaXを有するFTas
eのペプチドインヒビターは、細胞培養および動物全体において腫瘍の増殖を遮
断するかまたは遅延させることが示された(Kohlら、「Selective
inhibition of ras−dependent transfo
rmation by a farnesyltransferase inh
ibitor」Science 260:1934〜1937、1993;Bu
ss,J.E.&Marsters,Jr.J.C.「Farnesyl tr
ansferase inhibitors:the successes a
nd surprises of a new class of poten
tial cancer chemotherapeutics」Chemis
try and Biology 2:787〜791、1995)。
【0005】 起源的にPTKのsrcサブファミリーにおいて同定されたSH2ドメインは
、非触媒配列であり、そして種々のシグナル変換タンパク質の中に保存される約
100アミノ酸からなる(Cohenら、Cell 80:237〜248、1
995)。SH2ドメインは、ホスホチロシン結合モデュールとして機能し、そ
して重要なタンパク質−タンパク質会合を媒介する(Pawson、Natur
e 573〜580、1995)。特に、SH2ドメインの役割は、チロシンキ
ナーゼレセプターのための重要なシグナル変換器として明確に規定される(EG
F−R、PDGF、インシュリンレセプターなどのようなRTK)。自己リン酸
化RTK上のホスホチロシン含有部位はSH2−タンパク質のための結合部位と
して役立ち、そしてこれにより、生化学的シグナル経路の活性化を媒介する(C
arpenter,G.,FAESEB J.6:3283〜3289、199
2;Sierke,S.およびKoland,J.、Biochem.32:1
0102〜10108、1993)。SH2ドメインは、活性化された増殖因子
レセプターの細胞応答への結合について担当し、これには遺伝子発現、細胞増殖
、細胞骨格構造および代謝における変化が挙げられる。
【0006】 少なくとも20のサイトゾルタンパク質が、SH2ドメインを含有し、そして
細胞内シグナル伝達に機能することが確認された。SH2ドメインのこの分布は
、特定のタンパク質ファミリーに限定されず、幾つかのクラスのタンパク質、プ
ロテインキナーゼ、脂質キナーゼ、タンパク質ホスファターゼ、ホスホリパーゼ
、Ras制御タンパク質および幾つかの転写因子において見出される。多くのS
H2含有タンパク質は、公知の酵素活性を有するが、他のもの(Grb2および
Crk)は、細胞表面レセプターと下流のエフェクター分子との間の「リンカー
」および「アダプター」として機能する(Marengere,L.ら、Nat
ure 369:502〜505、1994)。シグナル変換において活性化さ
れる酵素活性を有するSH2ドメインを含有するタンパク質の例には、タンパク
質チロシンキナーゼのsrcサブファミリー(src(pp60c-src)、ab l、lck、fyn、fgrなど)、ホスホリパーゼC−γ(PLC−γ)、ホ
スファチジルイノシトール 3−キナーゼ(pl−3−キナーゼ)、p21−r
as GTPase活性化タンパク質(GAP)およびSH2含有タンパク質チ
ロシンホスファターゼ(SH−PTPase)が挙げられるが、これらに限定さ
れない(Songyangら、Cell 72:767〜778、1993)。
細胞内チロシンは、表面レセプターが、増殖因子レセプター、サイトカインレセ
プター、インスリンレセプター、およびTまたはB細胞レセプターを介する抗原
媒介シグナル伝達のための多様なリガンドに連動する場合に、リン酸化される。
タンパク質のチロシン残基でのリン酸化は、細胞シグナル変換、腫瘍性形質転換
、および細胞周期の制御において重要である。これらの種々のSH2−タンパク
質が、活性化細胞表面レセプターからさらなる分子相互作用(これは、細胞応答
を究極的に規定する)のカスケードへのシグナル伝達を占めるという中心的な役
割のため、特定のSH−2タンパク質結合を遮断するインヒビターは、種々の潜
在的治療用途のための薬剤として望まれ得る。
【0007】 チロシンリン酸化およびSH2結合の阻害が薬物開発のための標的となる疾患
領域には、以下のものが挙げられる。
【0008】 癌: シグナル伝達を媒介するSH2ドメインは明らかに、癌遺伝子およびプ
ロト癌遺伝子チロシンキナーゼ活性ならびに細胞増殖の調節における重要な要素
である(Carpenter、Fed.Am.Soc.Exp.Biol.J.
6:3283〜3289、1992)。SH2ドメインは、重要なセットの基質
を規定し(これにより、活性化RTKはシグナル伝達を媒介し、そして非レセプ
ターチロシンキナーゼはRTKと会合する)、それゆえ、抗癌剤開発のための標
的である。RTKとSH2含有基質との相互作用を、模倣性インヒビターを使用
して遮断する能力は、シグナル伝達を阻害しそしてこれにより発癌活性を取り除
く手段を提供する。生物学的重要性はまた、ほぼ完全にSHドメインから構成さ
れるタンパク質であるv−crk癌遺伝子(これは、ホスホチロシン含有タンパ
ク質と相互作用することにより、細胞の形質変換を引き起こし得る)により示さ
れる。上記のように、SH2ドメインを介した他のタンパク質へのv−crkの
結合を遮断するインヒビターの能力は、抗癌剤として有効であると期待される。
【0009】 免疫調節:多くの免疫応答の調節は、SH2ドメインを含有するチロシンキナ
ーゼを通してシグナルを伝達するレセプターにより媒介される。特異的抗原T細
胞レセプター(TCR)を介するT細胞の活性化は、リンフォカイン分泌および
細胞増殖に至るシグナル伝達カスケードを開始させる。TCR活性化に続く最も
早い生化学的応答のひとつは、チロシンキナーゼ活性の増加である。特に、T細
胞の活性化および増殖は、p56lckおよびp59fynチロシンキナーゼ、ならび
にZAP−70およびSyk(WeissおよびLitman、Cell 76
:263〜274、1994)(これらは、SH2ドメインを含有する)の活性
化を媒介するT細胞レセプターにより制御される。さらなる証拠は、いくつかの
srcファミリーキナーゼ(lck、blk、fyn)が、B細胞抗原レセプタ
ーから至るシグナル伝達に関与し、それゆえ、いくつかの独立したレセプター構
造から受容した刺激を統合するのに役立ち得るということを示す。従って、これ
らのSH2ドメインキナーゼとそれらの同属レセプターとの相互作用を遮断する
インヒビターは、自己免疫疾患、移植の拒絶に効能を有する免疫抑制剤、または
リンパ性白血病の場合には抗炎症剤ならびに抗癌剤として役立ち得る。
【0010】 さらに、SH2ドメインを含有する非膜貫通PTPaseが公知であり、専門
用語は、それらをSH−PTP1およびSH−PTP2と称する(Neel、C
ell Biology 4:419〜432、1993)。SH−PTP1は
、PTP1C、HCPまたはSHPと同一でありそしてSH−PTP2はまた、
PTP1DまたはPTP2Cとして公知である。SH−PTP1は、全ての系統
および分化の全ての段階の造血系細胞において高レベルで発現される。SH−P
TP1遺伝子は、虫食い(motheaten(me))マウス表現型の原因と
して同定されたので、これは、その細胞基質との相互作用を遮断するインヒビタ
ーの効果を予測するための基礎を提供する。従って、SH−PTP1機能の阻害
は、上に記載したような潜在的治療用途を有する、マイトジェン刺激に対するT
細胞の応答の低下、NK細胞機能の減少、およびB細胞前駆体の枯渇になると期
待される。
【0011】 糖尿病: 2型(非インスリン依存性)糖尿病において、チロシンホスファタ
ーゼ(SH−PTP2)は、活性化インスリンレセプターキナーゼの効果を相殺
し、重要な薬物の標的となり得る。インビトロ実験は、PTPaseの注入が、
内因性タンパク質上のチロシン残基のインスリン刺激のリン酸化を遮断すること
を示す。従って、インヒビターは、糖尿病におけるインスリン作用を調節するの
に役立ち得る。
【0012】 神経再生: グリア増殖因子は、チロシンリン酸化およびSchwann細胞
のマイトジェン応答を促進するerb−B2レセプターチロシンキナーゼ(p1
85erbB2)の特異的アクチベーターであるリガンドである。その結果、神経障 害に続くSchwann細胞の活性変化によるチロシンリン酸化の調節は、重要
な治療的戦略であり得る。erb−B2シグナル伝達活性のインヒビターは、グ
リア細胞起源の腫瘍の処置に重要な役割を有し得る。
【0013】 別のクラスのβ−シート模倣物は、プロテインキナーゼのインヒビターであり
、これには、タンパク質チロシンキナーゼおよびセリン/スレオニンキナーゼが
挙げられる。
【0014】 固有のチロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド増殖因子レセプターのため
の幅広い種々の細胞基質が、ここで特徴付けられる。多数のレセプターチロシン
キナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーの中には途方もなく大きな多様性があ
るが、これらのレセプターにより使用されるシグナル伝達機構は、多くの共通の
特徴を共有する。生化学的および分子遺伝学的研究は、RTKの細胞外ドメイン
に対するリガンドの結合が、細胞内ドメインの固有のチロシンキナーゼ触媒活性
を迅速に活性化することを示した。増加した活性は、共通の配列モチーフを含む
多数の細胞内基質のチロシン特異的リン酸化となる。その結果、これは、多数の
下流のシグナル伝達分子および細胞内経路のカスケードの活性化を引き起こし、
リン脂質代謝、アラキドン酸代謝、タンパク質リン酸化(他のプロテインキナー
ゼを含む)、カルシウムの移動および転写調節を調節する。RTK細胞質ドメイ
ンの増殖因子依存チロシンキナーゼ活性は、複数の細胞応答を開始する細胞内シ
グナルの生成のための主要な機構である。それゆえ、代替基質として役立つイン
ホビターまたはチロシンキナーゼ活性のインヒビターは、このシグナル伝達を遮
断する可能性を有する。
【0015】 RTKサブファミリーの多くは、触媒ドメインの構造的類似性ならびに細胞外
のリガンド結合性領域における特徴的なモチーフを基礎にして認識可能である。
これらの構造的考察に基づいて、RTKのいくつかのサブファミリー(各々、い
くつかのメンバーを含む)を規定する命名が発展した(Hanks、Curr.
Opin.Struc.Biol.1:369〜383、1991;Ullri
ch、A.およびSchlessinger、J.Cell 61:203〜2
12、1990)。それらのプロトタイプメンバーに基づいて称されるレセプタ
ーサブファミリーの例には、EGFレセプター、インスリンレセプター、血小板
由来増殖因子(PDGFレセプター)、線維芽細胞増殖因子レセプター(FGF
R)、TRKレセプターおよびEPH/ECKレセプターが挙げられる。これら
のサブファミリーの各々のメンバーは、チロシンキナーゼ活性を遮断しそして細
胞内シグナル伝達を阻害する模倣物インヒビターの開発のための分子標的となる
。これらの標的が価値を有するいくつかの治療領域が、以下に特定される。
【0016】 癌: 正常の細胞増殖を媒介することに加えて、RTKのEGFRファミリー
のメンバーは、種々の急速進行性上皮癌においてしばしば過剰発現しており、そ
してこれは、悪性腫瘍の発達に直接寄与すると考えられている。多数の研究が、
EGFRがしばしば、特定の種類の腫瘍(グリア芽細胞腫、扁平上皮癌、および
脳腫瘍を含む)において増幅されていることを示した(Wongら、Proc.
Natl.Acad Sci USA 84:6899〜6903、1987)
。さらに、HER2/p185erbB2(あるいは、ラットでは「neu」と称さ れる)、HER3/p160erbB3、HER4/p180erbB4(Plowan,
Gら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1746〜17
50(1993))は、EGFRに対して広範なアミノ酸配列相同性を有する3
種のRTKである。HER2/p185erbB2はしばしば、ヒト乳癌および卵巣 癌において増幅され、そして過剰発現しており(Wongら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 84:6899〜6903、1987)、そし
てこの増幅は、患者の予後の悪さと相関している。p185neuおよびEGFR の同時過剰発現は、げっ歯類の線維芽細胞を相乗的に形質変換させ、この状態は
しばしば、ヒトの癌において観察される。最後に、HER3の発現は、種々のヒ
ト腺癌において増幅されている。EGFRに対してインビトロの阻害活性を示し
、EGF依存細胞増殖を阻害するいくつかのインヒビターが公知であり、これは
、この活性を有する化合物の治療的可能性を示す。さらに、ヒト慢性骨髄性白血
病では、増大したチロシンキナーゼ活性が、細胞のc−ablプロト癌遺伝子の
活性化の結果としてこの疾患の根底にある。インヒビターは、抗癌剤として機能
する。
【0017】 血管新生: 多様な範囲の生物学的応答(これには、血管新生を誘起する可能
性が含まれる)を媒介する少なくとも7つのFGFRメンバーが存在する。さら
に、別個のサブファミリーを示す7つのlgLを有するRTKのグループが提案
された。その公知メンバーであるFLT1、FLK1およびFLT4は、構造お
よび発現の類似性を示す。これらのレセプターは、血管内皮増殖因子(VEGF
)の作用を媒介する。いくつかの証拠は、この増殖因子レセプターのサブファミ
リーが血管の形成に重要な役割を果たすことを示す。血管形成は、腫瘍細胞に酸
素を供給するため、腫瘍により再活性化されるプロセスであるので、これらの増
殖因子のキナーゼ活性を阻害するβ−鎖模倣物は、血管新生の阻害を通して腫瘍
増殖を抑制するのに役立ち得る。
【0018】 再狭窄: PDGFレセプターは、環状血管分野における阻害のための標的と
して大きな関心を集めているが、これは、PDGFレセプターが、環状動脈バル
ーン血管形成後の再狭窄、そしてまたアテローム性動脈硬化において重要な役割
を果たすと考えられているためである。血管の損傷表面での血小板によるPDG
Fの放出は、血管平滑筋細胞のPDGFレセプターの刺激、およびその結果生じ
る新生内膜肥厚の原因となる。キナーゼ活性の模倣物インヒビターは、増殖を予
防し、そしてこの手術の手順からより大きな好結果を導く。
【0019】 シグナル変換経路の多くの要素は、タンパク質基質のセリン/スレオニン(s
er/thr)残基のリン酸化を含む。これらの基質のいくつかは、プロテイン
キナーゼ自身であり、その活性はリン酸化により調節される。2つの重要なse
r/thr特異的プロテインキナーゼが、シグナル変換:サイクリックAMP依
存プロテインキナーゼA(PKA)およびプロテインキナーゼC(PKCファミ
リー)において中心的役割を果たす。多数の他のセリン/スレオニン特異的キナ
ーゼ(マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼのファミリーを含む)
は、増殖因子レセプターまたはサイトカインレセプターシグナル伝達のいずれか
で活性化される重要なシグナル変換タンパク質として役立つ。細胞内シグナル伝
達のため重要な他のタンパク質ser/thrキナーゼは、カルシウム依存プロ
テインキナーゼ(CaM−キナーゼII)およびc−rafプロト癌遺伝子であ
る。
【0020】 PKCは、種々の生理学的プロセスを制御するための細胞表面シグナル変換に
おいて重要な役割を果たし(Nishizuka、Nature 334:66
1〜665、1988)、大きなアイソザイムのファミリーを表し、これらは、
種々の組織ならびにそれらの基質特異性におけるそれらの構造および発現が異な
る(HugおよびSarre、Biochem J.291:329〜343,
1993)。分子のクローニングは、少なくとも8つのアイソザイムを立証した
。この多様性および差次的発現のため、個々のアイソザイムの活性化は、異なる
細胞特異的応答:増殖の刺激、分化の阻害、または分化の誘導を生じる。細胞増
殖を刺激するその能力のため、それは、抗癌剤開発のための標的となる(Pow
is、Trends in Pharm.Sci.12:188〜194、19
91)。哺乳動物細胞におけるPKCアイソザイムの過剰発現は、c−jun、
c−fos、c−mycのような初期のプロト癌遺伝子の増大した発現と相関が
あり、そして一つの過剰発現細胞系は、ヌードマウスにおいて腫瘍を引き起こす
【0021】 免疫調節の領域における治療的適用は、抗原によるT−細胞の活性化がPKC
の活性化を含むので明らかである。引き続いて、活性化されたPKCは、NF−
κBの転写性活性化、IL−2の生成、および究極的には、T−細胞の増殖に必
要なシグナルカスケードの分枝を活性化する。この分枝経路を介するシグナル伝
達をブロックするインヒビターは、T−細胞活性化を阻止することを示した。従
って、T−細胞におけるPKCのインヒビターとして機能し得る模倣物は、シグ
ナル伝達をブロックし、そして移殖の拒絶において有用な免疫抑制剤として、あ
るいは、リンパ性白血病の抗ガン剤として役立ち得る。PKCの活性化剤は、マ
ウスの皮膚における浮腫および炎症を起こし(Henningsら、Carci
nogenesis 8:1342−1346,1987)、従って、インヒビ
ターはまた、強力な抗炎症性化合物として役立つことも期待される。このような
抗炎症性活性薬は、喘息、関節炎および他の炎症媒介プロセスにおける使用を見
出す。さらに、スタウロスポリンおよびそのアナログ、UCN01およびCGP
4125(こららは、インビトロにおいて、強力なPKCインヒビターとして特
徴付けられた)は、動物モデルにおいて抗腫瘍活性を有し(Powis,Tre
nds in Pharm.Sci.12:188−194,1991)、そし
て関連化合物は臨床試験が考慮されている。
【0022】 プロテアーゼ阻害に関して、カテプシンBは、通常、プロ酵素処理およびタン
パク質代謝回転に関係するリソソーム性システインプロテアーゼである。活性レ
ベルの上昇は、腫瘍転移(Sloane, B.F.ら、「カテプシンBおよび
その内因性インヒビター:腫瘍悪性度におけるその役割」Cancer Met
astasis Rev.9:333−352,1990)、慢性関節リウマチ
(Werb,Z.「プロテイナーゼおよびマトリクス分解」Textbook
of Rheumatology,Keller,W.N.;Harris,W
.D.;Ruddy,S.;Sledge,C.S.編、1989,W.B.S
aunder Co.,Philadelphia,PA,300−321頁)
、および筋ジストロフィー(Katunuma N.およびKominami
E.,「筋肉消耗性疾患におけるリソソーム性システインプロテイナーゼの異常
発現」Rev.Physiol.Biochem.Pharmacol.108
:1−20,1987)に関係している。
【0023】 カルパインは、細胞質ゾル性または膜結合性のCa++活性化プロテアーゼで
あり、これは細胞内のカルシウムレベルの変化に応答して細胞骨格タンパク質の
分解を担う。これらは、関節炎および筋ジストロフィーにおける組織分解に寄与
する(Wang K.K.およびYuen P.W.,「カルパイン阻害:その
治療上の可能性の概要」Trends Pharmacol.Sci.15:4
12−419,1994を参照のこと)。
【0024】 インターロイキン変換酵素(ICE)は、プロIL−1βを炎症の鍵メディエ
イターであるIL−1βに切断し、それゆえICEのインヒビターは関節炎の処
置に有用であると証明され得る(例えば、Miller B.E.ら、「マウス
マクロファージにおける成熟IL−1β産生物の阻害およびWIN 67694
による炎症のマウスモデル、IL−1β変換酵素のインヒビター」J.Immu
nol.154:1331−1338,1995を参照のこと)。ICEまたは
ICE様プロテアーゼもまた、アポトーシス(計画された細胞死)において作用
し得、それゆえガン、AIDS、アルツハイマー病、および不規則性(disr
egulated)アポトーシスが関係する他の疾患において役割を果たす(B
arr,P.J.;Tomei,L.D.,「ヒト疾患におけるアポトーシスお
よびその役割」Biotechnol.12:487−493,1994を参照
のこと)。
【0025】 HIVプロテアーゼは、HIV(AIDSウイルス)のライフサイクルにおい
て鍵となる役割を果たす。ウイルス成熟の最終段階において、HIVプロテアー
ゼは、ポリタンパク質前駆体を切断し、ビリオンコアの機能酵素および構造タン
パク質にする。HIVプロテアーゼインヒビターは、AIDSに対する優れた治
療標的として迅速に同定され(Huff,J.R.,「HIVプロテアーゼ:A
IDSに対する新規な化学療法の標的」J.Med.Chem. 34:230
5−2314を参照のこと)、そしてリトナビル(ritonavir)、クリ
クシバン(Crixivan)、およびサクイナビル(saquinavir)
の近年のFDA認可により証明されるように、既にその処置において有用である
と証明されている。
【0026】 アンジオテンシン変換酵素(ACE)は、血圧の調節において中心的役割を果
たすレニン−アンジオテンシン系の一部である。ACEは、アンジオテンシンI
を、その血管収縮活性に起因する、強力な昇圧剤であるオクタペプチドアンジオ
テンシンIIに切断する。ACEの阻害は、高血圧の処置において治療的に有用
であると証明された(Williams,G.H.,「高血圧の処置における変
換酵素インヒビター」N.Engl.J.Med.319:1517−1525
, 1989)。
【0027】 C型肝炎ウイルス(HCV)は、今日、世界中で、非A非B肝炎の主な原因で
ある。5,000万人もの人々が感染していると見積られる。現在、この消耗性
疾患の進行を停止するための利用できる、満足のいく処置は存在しない。ウイル
スのライフサイクルの間、約3000個のアミノ酸を有するポリタンパク質が産
生され、そして、宿主およびウイルス性プロテアーゼによってタンパク質分解的
に切断され、成熟ウイルスの遺伝子産物を産生する。HCV NS3タンパク質
内に位置したセリンプロテイナーゼは、ウイルス複製に必須であると考えられる
非構造タンパク質を産生する4つの特異的な部位で切断する。従って、HCVプ
ロテアーゼのインヒビターは、薬物設計の魅力的な標的であり、そして優れた治
療的有用性を有し得る(Neddermannら、Biol.Chem.378
:469−476,1997)。
【0028】 コラーゲナーゼは、細胞外マトリクス(例えば、結合組織、皮膚、血管)の主
要な構成要素であるコラーゲンを切断する。コラーゲナーゼ活性の上昇は、関節
炎(Krane S.M.ら、「慢性関節リウマチにおけるマトリクス分解の機
構」 Ann.N.Y.Acad.Sci.580:340−354,1990
)、腫瘍転移(Flug M.およびKopf−Maier P.,「基底膜お
よびそのガン細胞浸潤における関与」Acta Anat.Basel 152
:69−84,1995)、および結合組織の分解に関係する他の疾患に寄与す
る。
【0029】 トリプシン様セリンプロテアーゼは、止血/凝固(Davie,E.W.およ
びK.Fujikawa,「血液凝固における基礎的機構」Ann.Rev.7
99−829,1975)および補体活性化(Muller−Eberhard
, H.J.,「補体」Ann.Rev.Biochem.44:697−72
4, 1975)に関係する大きくかつ高度に選択的な酵素のファミリーを形成
する。これらのプロテアーゼの配列決定は、特異性を改変するアミノ酸挿入を有
する相同のトリプシン様コアの存在を示し、これは一般に他の高分子成分との相
互作用の原因である(Magnussonら、「タンパク質分解および生理学的
調節」 Miami Winter Symposia 11:203−239
,1976)。
【0030】 トリプシン様セリンプロテアーゼであるトロンビンは、フィブリノーゲンから
のフィブリンの産生および血小板レセプターの活性化の両方において限定された
タンパク質分解を提供するように作用し、従って血栓症および止血において重要
な役割を果たす(Mann,K.G.,「膜上における血液凝固複合体のアセン
ブリ」Trends Biochem.Sci.12:229−233,198
7)。トロンビンは、フィブリノーゲンにおける181個のArg−またはLy
s−Xaaの配列のうちのわずか2個のArg−Gly結合の選択的切断を介す
るフィブリノーゲンのフィブリノペプチドAおよびBの除去において顕著な特異
性を示す(Blomback,H.,Blood Clotting Enzy
mology,Seeger,W.H.(編)、Academic Press
,New York,1967,143−215頁)。
【0031】 多くの重大な疾患状態は、急性冠状動脈症候群(coronary synd
rome)を含む異常止血に関する。アスピリンおよびヘパリンは、急性冠状動
脈症候群を有する患者の処置に広く使用される。しかし、これらの薬剤は、いく
つかの固有の制限を有する。例えば、アテローム硬化プラークの破裂を併発する
血栓症は、アスピリンおよびヘパリンによる阻害に対して比較的耐性であるトロ
ンビン媒介の血小板依存的プロセスである傾向がある(Fusterら、「冠状
動脈疾患の病原および急性冠状動脈症候群」N.Engl.J.Med. 32
6:242−50,1992)。
【0032】 トロンビンインヒビターは、インビボでの血管損傷部位での血栓形成を防止す
る。さらに、トロンビンはまた、冠状動脈における機械的損傷部位での平滑筋細
胞増殖を開始する強力な増殖因子でもあるので、インヒビターは、この増殖性の
平滑筋細胞応答をブロックし、そして再狭窄を減少させる。トロンビンインヒビ
ターはまた、血管壁細胞における炎症性応答を減少させる(Harkerら、A
m.J.Cardiol、75:12B−16B,1995)。
【0033】 さらに、少なくとも2つの、十分に規定された転写因子、核因子(NF)κB
および活性化タンパク質(AP)−1は、細胞内酸化還元(redox)状態に
よって調節される。酸化還元状態による遺伝子発現の調節は、有望な治療的意味
合いを有する。例えば、酸化還元調節された転写因子NF−κBおよびAP−1
の結合部位は、疾患の病因(例えば、AIDS、ガン、アテローム硬化症および
糖尿病合併症)と直接的に関連する多くの遺伝子のプロモーター領域に位置され
る(SenおよびPacker、FASEB Journal 10:709−
720、1996)。より詳細には、DNA上のコンセンサス部位に対するNF
−κBおよびAP−1のおよびAP−1のような転写因子の結合は、酸化剤−還
元剤ホメオスタシスによって、特に、チオール−ジスルフィド平衡によって推進
される。
【0034】 NF−κBの場合、NF−κB機能の調節において重要な役割を担う生理学的
に関連のあるチオールは、還元チオレドキシンである。チオレドキシンは、抗酸
化機能を有する重要なタンパク質オキシドリダクターゼである。チオレドキシン
は、活性化されたNF−κBのDNA結合をアップレギュレートすることが見出
され、従って、遺伝子発現を増大させる(Schenkら、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 91:1672−1676、1994)。チオレ
ドキシンは、活性化された細胞質ゾルのNF−κBの還元と関連付け(詳細には
、cys−62の還元)、従ってこれは、核転座およびDNA結合(Hayas
hiら、J.Biol.Chem.268:11380−11388、1993
)に寄与し得る。
【0035】 AP−1複合体におけるFosおよびJunのDNA結合活性はまた、酸化還
元状態によって調節されることが発見された(Abateら、Science
249:1157−1162、1990)。各タンパク質は、そのDNA結合ド
メインにおいて単一の保存システイン(リジンおよびアルギニンによって隣接し
た)を含む。このチオールは、ジスルフィド結合の部分が見受けられず、その酸
化された形態であるスルフェン酸またはスルフィン酸として存在し得る。Ref
−1(エンドヌクレアーゼDNA修復活性をまた有する二官能性核タンパク質)
は、この調節システインの還元によってAP−1DNA結合を刺激する。この重
要なシステインがセリンと置換されたFosミュータントは、AP−1DNA結
合活性において3倍増加を誘発し、もはや酸化還元コントロール(redox
control)を受けなかった(Okunoら、Oncogene 8:69
5−701、1993)。従って、fosファミリーのうち少なくとも4つのメ
ンバー、junファミリーのうち3つ、そしてATF/CREBファミリーのう
ち少なくとも4つの転写因子の全ては、この保存システインを含むので、転写因
子の酸化還元コントロールは広範に見える。
【0036】 上述のように、NF−κBおよびAP−1のような転写因子の調節は、重要な
治療的意味を有する。例えば、AP−1は、腫瘍産生の重要なメディエーターで
ある(Yoshiokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
92:4972−4976、1995)。従って、AP−1転写活性を抑制する
化合物は、ガンの処置における有用性を有する。さらに、炎症性サイトカインお
よびエンドトキシンに対する応答を調節における直接的な役割によって、NF−
κBの活性化が慢性関節リウマチのような慢性疾患および敗血症性ショックのよ
うな急性症状の進展において重要な役割を担う。自己免疫性疾患、例えば、全身
性エリテマトーデス(SLE)、およびアルツハイマー疾患はまた、NF−κB
の活性化に関連すると考えられる。同様に、NF−κBは、HIV遺伝子発現の
活性化において重要な役割を担う。さらに、NF−κBに関すると考えられる症
状は、インフルエンザ、アテローム硬化症、腫瘍形成および毛細管拡張性運動失
調(AT)を含む。
【0037】 PDZドメインを含むタンパク質は、β−シート模倣物に対してさらなる可能
性を有する標的を構成する。80−100個のアミノ酸残基を有するこれらのド
メインは、タンパク質のカルボキシル末端における、コンセンサス(conse
nsus)X−Ser/Thr−X−Val配列への結合によるタンパク質−タ
ンパク質相互作用を媒介する。また、内部(または、C−末端でない)のPDZ
ドメインを介するタンパク質相互作用も説明される。配位されたおよび配位され
ていないPDZドメインの結晶構造が決定され、そして、6つのβ−鎖および2
つのα−ヘリクスを有する構造を示し、この構造は、β−シート配座を介して認
識ポリぺプチド配列と結合する。従って、適切なβ−シート模倣物のスクリーニ
ングによって、PDZドメイン含有タンパク質を標的とする、有効な戦略が証明
されるべきである。標的のPDZドメイン含有タンパク質はさまざまであるが、
シグナル変換において重要である。PSD−95(膜会合グアニル酸キナーゼ)
は、3つのPDZドメインを含み、そのうち2つは、Shaker型K+チャネ ルおよびN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)レセプターを標的とし、
それらの機能が必要とされるクラスター形成を生じる。PTPL1/FAP1(
タンパク質チロシンホスファターゼ)は、5つのPDZドメインを有し、そのう
ち2つは、腫瘍壊死因子レセプターファミリーの膜貫通タンパク質であるFas
(これは、多くの細胞型におけるアポトーシスを媒介する)と相互作用する。従
って、PDZドメインを含むタンパク質を標的とする化合物は、抗ガン剤として
の有用性を証明し得る。
【0038】 トリプターゼ(tryptase)(肥満細胞において独占的に発見されたト
リプシン様セリンプロテアーゼ)は、炎症のメディエーターとして可能性のある
役割のためにかなりの関心が寄せられる。例えば、肺トリプターゼは、吸入され
た抗原の、細胞表面IgEレセプターへの結合に対する応答において、炎症の他
のメディエーターと共に放出される(IshizakaおよびIshizaka
、Prog.Allergy 34:188−235、1984)。トリプター
ゼはまた、インビトロにおける、血管作用性腸ぺプチドを切断することが示され
た(Caugheyら、J.Pharmacol.Exp.Ther.244:
133−137,1988:TamおよびCaughey、Am.J.Resp
ir.Cell Mol.Biol.3:27−32,1990)。これらの結
果は、トリプターゼが喘息患者において、気管支拡張ぺプチドのタンパク質分解
を経由して気管支収縮を増加させ得ることを示唆する。現在の発見(アレルギー
性のヒツジにおいて、合成トリプターゼインヒビターが気道応答をブロックした
)は、この仮説と一貫性する(Clarkら、Am.J.Respir.Cri
t.Care Med.152:2076−2083、1995)。
【0039】 トリプターゼは、細胞外マトリクス分解タンパク質プロストロメライシン(p
ro−MMP−3)およびMMP−3を介するプロコラーゲナーゼ(pro−M
MP−1)を活性化し、組織再構築および炎症(Gruberら、J.Clin
.Invest.84:8154−8158、1989)、従って、おそらく慢
性関節リウマチにおける酵素の役割を示唆する。さらに、プロストロメライシン
は、活性化された場合、アテローム硬化のプラークの周囲の細胞外マトリクスを
分解することが示された。異常に高いレベルのトリプターゼ含有肥満細胞が、冠
状動脈アテローマにおいて発見されたので、トリプターゼは、アテロームの破裂
(血栓の放出)、冠状アテローム性動脈硬化症の最終イベントにおける役割を担
い得る(Kaartinenら、Circulation 90:1669−1
678、1994)。
【0040】 トリプターゼの他の活性は、以下を含む。トリプターゼは、フィブリノーゲン
を切断するが、内因性のプロテイナーゼインヒビターの存在下では、不活性化さ
れず(Schwartzら、J.Immunol.135:2762−2767
、1985;Renら、J.Immunol.159:3540−3548、1
997)、そして局所抗凝固薬として機能し得る。線維芽細胞に対して強力なマ
イトジェンであること、および肺線維症および間質性肺疾患に関与し得ることが
示された(Ruossら、J.Clin.Invest.88:493−499
、1991)。トリプターゼはまた、内皮細胞およびケラチノサイトのPAR−
2(プロテイナーゼ活性化レセプター−2)の活性化に応答性を有し得る(Mo
linoら、J.Biol.Chem.272:4043−4049、1997
)。
【0041】 アレルギー応答および炎症応答における肥満細胞の中心的な役割が与えられた
場合、トリプターゼの阻害は、有意な治療効果をもたらし得る。トリプターゼの
インヒビターは、以下の予防または処置に有用であり得る:喘息、肺線維症およ
び間質性肺炎、腎炎、肝線維症、肝炎、肝硬変、水腫、乾癬、アトピー性皮膚炎
、慢性関節リウマチ、インフルエンザ、クーロン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾
患、鼻アレルギー、およびアテローム性動脈硬化症。
【0042】 カイメースは、肥満細胞からまた放出されるキモトリプシン様プロテアーゼで
ある。アンギオテンシン−I(ang−I)をアンギオテンシン−II(ang
−II)へと切断し、アンギオテンシン−I変換酵素(ACE)よりも優れた有
効性および選択性を有することが示された(Okunishiら、J.Hype
rtension 2:227−284、1984;Urataら、Circ.
Res.66:883−890、1990)。心臓組織において、カイメースは
、ang−Iからのang−IIの主要な供給源であることが示された(Del
l’Italiaら、Am.J.Physiol.(Heart Circ.P
hysiol.38)269:H2065−H2073、1996)。さらに、
増加したカイメース活性は、イヌにおけるバルーン損傷誘発血管肥厚において示
された(Shiotaら、FEBS Lett.323:239−242、19
93)。このような証拠によって、カイメースの阻害が、高血圧、虚血性心臓疾
患、およびうっ血性心不全に対する治療となり得ることが示唆される。
【0043】 ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性因子(uPA)は、フィブリン溶解性の系
の一部として、プラスミノゲンをプラスミンへ転換する、トリプシン様セリンプ
ロテイナーゼである。これは、急性大量肺閉塞症(acute massive
pulmonary embolism)における血栓溶解に長く使用されて
いる。他の研究によって、uPAがまた、細胞侵襲性に関する細胞外タンパク質
分解性カスケードの鍵イニシエーターであることが示された(Mullinsお
よびRohlich、Biochem.Biophys.Acta 695:1
77−214、1983;TestaおよびQuigly、Cancer Me
tast.Rev.9:353−367、1990)。さらに、uPAは、その
増殖因子ドメインを介してuPAレセプター(uPAR)と結合し、さらに、細
胞遊走に関する他のタンパク質の活性を調節する。uPAの過剰発現は、ガン侵
襲性および転移において役割を担うようである;高レベルのuPA、PAI−1
(プラスミノゲン活性化因子インヒビター−1)、およびuPARは、乏しい患
者の予後に相関する。種々のモデル系における多数の研究によって、uPAのイ
ンヒビターが腫瘍細胞の侵襲性および転移を減少させることが示される(Tes
taおよびQuigly、同上;Andreasenら、Int J Canc
er 72:1−22、1997)。従って、uPAの阻害は、以下の処置に有
用であり得る:乳ガン、前立腺ガン、卵巣ガン、ヒト腎臓ガン、胃ガンおよび肺
ガン。最近の証拠によって、uPAのインヒビターはまた、再狭窄の予防に有用
であり得ることが示される(Loskutoff、Circulation 9
6:2772−2774、1997)。
【0044】 βシートが果たす重要な生物学的役割の観点から、天然に存在するか、または
合成のペプチド、タンパク質または分子の固有のβシート構造を安定化し得る化
合物が当該分野で必要とされる。安定なβシート構造の作製、ならびにこのよう
な安定化された構造を使用してβシート構造に関する生物学的認識事象をもたら
すか、または改変することもまた当該分野で必要とされる。本発明は、これらの
必要を満たし、そしてさらなる関連した利点を提供する。
【0045】 (発明の要旨) 簡潔に述べると、本発明はβシート模倣物およびその使用に関し、これは1つ
以上のプロテアーゼ阻害、キナーゼ阻害、転写因子の調節によって、および/ま
たはタンパク質−タンパク質結合相互作用の阻害による、温血動物における治療
効果を達成するための医薬の製造に関する使用を含む。この治療効果は、温血動
物への治療的有効量のβシート模倣物(二環式環系を含む)の投与に起因する。
ここで、βシート模倣物は、一般構造(I)(その薬学的に受容可能な塩を含む
)を有し:
【0046】
【化15】
【0047】 ここで、 Aは、−C(=O)−、−(CH20-4−、−C(=O)(CH21-3−、−
(CH21-2O−および−(CH21-2S−から選択され; Bは、NおよびCHから選択され; Cは、−C(=O)−、−C(=O)(CH21-3−、−(CH20-3−、−
O−、−S−、−O−(CH21-2−および−S(CH21-2−から選択され; Dは、NおよびC(R4)から選択され; Eは、
【0048】
【化16】
【0049】 から選択され; Fは、任意のカルボニル部分であり; R1およびR4は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体から独立して選択され; R2およびR2’は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体からそれぞれ選択され
る1個以上の環置換基を表すか、あるいはR2はCまたはYと一緒になって、縮 合した置換または非置換の単素環式環または複素環式環を形成し; R3は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択されるか、あるいはCと 一緒になって、−(CH21-2−、−O−および−S−から選択される架橋部分
を形成し; YおよびZは、分子の残余を表し;そして 二環式環の任意の2個の隣接するCH基は、二重結合を形成し得る。
【0050】 F(すなわち、任意のカルボニル部分)が存在し、そしてEが−N(Z)−で
ある1つの実施態様において、本発明の化合物は、以下の構造(II)を含む:
【0051】
【化17】
【0052】 ここで、A、B、C、D、R2、R2’、R3、YおよびZは、構造(I)に関し て上記で定義したとおりである。
【0053】 本実施態様の好ましい局面において、以下の構造(IIa)および(IIb)
【0054】
【化18】
【0055】 で表されるように、Aは−C(=O)−または−(CH2)−のいずれかであり 、そしてCは−(CH22−である。本実施態様において、6員環は飽和であっ
ても良く、または不飽和(芳香族を含む)であっても良い。例えば、構造(II
a)および(IIb)のBおよびDが両方とも−CH−である場合(従って、二
重結合を形成し得る隣接するCH基を構成する)、本発明の化合物は、以下の芳
香族構造(IIc)および(IId)を含む:
【0056】
【化19】
【0057】 同様に、以下の構造(IIe)および(IIf):
【0058】
【化20】
【0059】 を有する不飽和の化合物がまた、構造(IIa)および(IIb)の化合物の代
表となる。
【0060】 Fが存在し、そしてEが−C(R1)(NHZ)−である別の実施態様におい て、本発明の化合物は、以下の構造(III)を含む:
【0061】
【化21】
【0062】 ここで、A、B、C、D、R1、R2、R2’、R3、YおよびZは、構造(I)に
関して上記で定義したとおりである。
【0063】 本実施態様の好ましい局面において、以下の構造(IIIa)および(III
b):
【0064】
【化22】
【0065】 で表されるように、Aは−C(=O)−または−(CH2)−のいずれかであり 、そしてCは−(CH22−である。本実施態様において、6員環は飽和であっ
ても良く、または不飽和(芳香族を含む)であっても良い。例えば、構造(II
Ia)および(IIIb)のBおよびDが両方とも−CH−である場合(従って
、二重結合を形成し得る隣接するCH基を構成する)、本発明の化合物は、以下
の芳香族構造(IIIc)および(IIId)を含む:
【0066】
【化23】
【0067】 同様に、以下の構造(IIIe)および(IIIf):
【0068】
【化24】
【0069】 を有する不飽和の化合物がまた、構造(IIIa)および(IIIb)の化合物
の代表となる。
【0070】 Fが存在し、そしてEが−C(R1)(Z)−であるさらなる実施態様におい て、本発明の化合物は、以下の構造(IV)を含む:
【0071】
【化25】
【0072】 ここで、A、B、C、D、R1、R2、R2’、R3、YおよびZは、構造(I)に
関して上記で定義したとおりであるが、但し、ZはR1置換基を有する炭素原子 に結合した−NH−部分を含まない(従って、上記の構造(III)の化合物と
は区別される)。
【0073】 本実施態様の好ましい局面において、以下の構造(IVa)および(IVb)
【0074】
【化26】
【0075】 で表されるように、Aは−C(=O)−または−(CH2)−のいずれかであり 、そしてCは−(CH22−である。
【0076】 本実施態様において、6員環は飽和であっても良く、または不飽和(芳香族を
含む)であっても良い。例えば、構造(IVa)および(IVb)のBおよびD
が両方とも−CH−である場合(従って、二重結合を形成し得る隣接するCH基
を構成する)、本発明の化合物は、以下の芳香族構造(IVc)および(IVd
)を含む:
【0077】
【化27】
【0078】 同様に、以下の構造(IVe)および(IVf):
【0079】
【化28】
【0080】 を有する不飽和の化合物がまた、構造(IVa)および(IVb)の化合物の代
表となる。
【0081】 Fが存在せず、そしてEが−N(Z)−、−C(R1)(NHZ)−または− C(R1)(Z)−のいずれかであるさらなる実施態様において、本発明の化合 物は、以下の構造(V)、(VI)および(VII)を含む:
【0082】
【化29】
【0083】 ここで、A、B、C、D、R1、R2、R2’、R3、YおよびZは、構造(I)に
関して上記で定義したとおりである。
【0084】 R3がCと一緒になって、架橋部分を形成するなおさらなる実施態様において 、本発明の化合物は、以下の構造(VIII)を含む:
【0085】
【化30】
【0086】 ここで、Xは−(CH21-2−、−O−および−S−から選択される架橋部分で
あり、そしてA、B、C、D、E、F、R2、R2’、YおよびZは、構造(I)
に関して上記で定義したとおりである。
【0087】 Fが存在し、Aが−C(=O)−であり、Cが−(CH22−であり、そして
Eが−N(Z)−または−C(R1)(NHZ)−のいずれかである本実施態様 の1つの局面において、本発明の化合物は、以下の構造(VIIIa)および(
VIIIb)を含む:
【0088】
【化31】
【0089】 Fが存在するなおさらなる実施態様において、R2はCと一緒になって、以下 の構造(IX)および(X):
【0090】
【化32】
【0091】 で表されるような置換または非置換の単素環式環または複素環式縮合環を形成す
る。ここで、A、B、C、D、E、R2、R2’、R3およびYは上記で定義した とおりであり、そしてR’は1個以上の任意の環置換基である。
【0092】 構造(IX)の1つの局面において、R2およびCは一緒になって、以下の構 造(IXa)および(IXb):
【0093】
【化33】
【0094】 で表されるような縮合した5員環、6員環、7員環または8員環を形成する。こ
こで、A、B、D、E、R2、R2’、R3、R’およびYは上記で定義したとお りである。
【0095】 構造(X)の1つの局面において、R2およびCは一緒になって、以下の構造 (Xa)および(Xb):
【0096】
【化34】
【0097】 で表されるような縮合した5員環、6員環、7員環または8員環を形成する。こ
こで、A、B、C、D、E、Y、R2、R2’、R3およびR’は上記で定義した とおりであり、そしてXは−C(=O)−、−NH−、−NR’−、−O−およ
び−S−から選択される。
【0098】 Fが存在するなおさらなる実施態様において、R2はYと一緒になって、以下 の構造(XI):
【0099】
【化35】
【0100】 で表されるような置換または非置換の単素環式環または複素環式縮合環を形成す
る。ここで、A、B、C、D、E、R2、R2’およびR3は上記で定義したとお りである。
【0101】 本実施態様の1つの局面において、R2およびYは一緒になって、以下の構造 (XIa)および(XIb):
【0102】
【化36】
【0103】 で表されるような縮合した5員環、6員環、7員環または8員環を形成する。こ
こで、A、B、C、D、E、R2、R2’およびR’は上記で定義したとおりであ
り、R’は任意の置換基であり、そしてXは−NH−、−NR’−、−O−およ
び−S−から選択される。
【0104】 本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照することにより
明確となる。
【0105】 (発明の詳細な説明) 上記のように、β−シートは、多くの生物学的認識事象に重要な構造的構成要
素である。本発明のβ−シート模倣物は、天然または合成のペプチド、タンパク
質、あるいは分子のβ−シート構造の付与、および/または安定化するために役
立ち、特に、コンホメーションの安定性について役立つ。さらに、本発明のβ−
シート模倣物は、タンパク質分解性の分解に、より抵抗性であり、したがって、
ペプチド、タンパク質、またはこれらを含む分子を分解に対してより抵抗性にす
る。β−シート模倣物は、タンパク質、ペプチドまたは分子のC−末端またはN
−末端のいずれかに位置され得る。あるいは、β−シート模倣物は、タンパク質
、ペプチドまたはその分子自身の内部に配置され得る。そして、1個以上の本発
明のβ−シート模倣物が、タンパク質、ペプチドまたは分子に組み込まれ得る。
【0106】 本発明のβ−シート模倣物は、一般的に、上記の構造(I)、ならびに構造(
II)〜(XI)により表されるより特定の実施態様により表される。本発明の
β−シート模倣物は、天然に存在するL−アミノ酸からなるβ−シートの3次元
構造、ならびに1個以上のD−アミノ酸からなるβ−シートの構造を模倣するよ
うに構成され得る。従って、構造(I)のβ−シート模倣物の全ての立体構造は
、本発明の範囲内である。
【0107】 例えば、構造(II)のβ−シート模倣物は、以下の構造(II’)および(
II”):
【0108】
【化37】
【0109】 を含む。同様に、構造(III)のβ−シート模倣物は、以下の構造(III’
)〜(III””):
【0110】
【化38】 を含む。
【0111】 構造(IV)のβ−シート模倣物は、これらの同様の立体構造を含むが、構造
(III’)〜(III””)の「Z−NH」部分は、「Z」部分で置換されて
いる。
【0112】 本明細書で用いられるように、R1、R2、R2’、R3およびR4部分を規定す るために使用される用語「アミノ酸側鎖部分」は、天然に存在するタンパク質中
にある任意のアミノ酸側鎖部分を表し、以下の表1で確認される天然に存在する
アミノ酸側鎖部分を含む(しかし、これらに限定されない)。本発明の他の天然
に存在する側鎖部分には、フェニルグリシン、3,5−ジブロモチロシン、3,
5−ジヨードチロシン、ヒドロキシリジン、ナフチルアラニン、チエニルアラニ
ン、γ−カルボキシグルタメート、ホスホチロシン、ホスホセリン、およびグリ
コシル化アミノ酸(例えば、グリコシル化セリン、アスパラギン、およびトレオ
ニン)の側鎖部分が含まれる(しかし、これらに限定されない)。
【0113】
【表1】
【0114】 天然に存在するアミノ酸側鎖部分の他に、本発明のアミノ酸側鎖部分はまた、
それらの種々の誘導体を含む。本明細書で用いられるように、アミノ酸側鎖部分
の「誘導体」には、天然に存在するアミノ酸側鎖部分へのすべての改変および/
または変更が含まれる。例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
フェニルグリシン、およびフェニルアラニンのアミノ酸側鎖部分は、一般的に低
級鎖アルキル、アリール、またはアラルキル部分として分類され得る。アミノ酸
側鎖部分の誘導体には、他の直鎖または分岐、環式または非環式、置換または非
置換、飽和または不飽和の、低級鎖アルキル、アリール、またはアラルキル部分
が含まれる。
【0115】 本明細書で用いられるように、「低級鎖アルキル部分」は1〜12個の炭素原
子を含み、「低級鎖アリール部分」は6〜12個の炭素原子を含み、そして「低
級鎖アラルキル部分」は7〜12個の炭素原子を含む。したがって、1つの実施
態様において、アミノ酸側鎖誘導体は、C1-12アルキル、C6-12アリール、およ
びC7-12アラルキルから選択され、そしてより好ましい実施態様では、C1-7ア ルキル、C6-10アリール、およびC7-11アラルキルから選択される。
【0116】 本発明のアミノ酸側鎖誘導体は、さらに、低級鎖アルキル、アリール、および
アラルキル部分の置換された誘導体を含む。ここで、置換基は以下の化学部分の
1個以上から選択される(しかしこれらに限定されない):−OH、−OR、−
COOH、−COOR、−CONH2、−NH2、−NHR、−NRR、−SH、
−SR、−SO2R、−SO2H、−SOR、およびハロゲン(F、Cl、Br、
およびIを含む)、ここで、Rの各存在は独立して低級鎖アルキル、アリール、
またはアラルキル部分から選択される。さらに、本発明の環式低級鎖アルキル、
アリール、およびアラルキル部分には、ナフタレンならびに複素環式化合物(例
えば、チオフェン、ピロール、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾー
ル、ピラゾール、3−ピロリン、ピロリジン、ピリジン、ピリミジン、プリン、
キノリン、イソキノリン、およびカルバゾール)が含まれる。アミノ酸側鎖誘導
体は、さらに、低級鎖アルキルおよびアラルキル部分のアルキル部分のヘテロア
ルキル誘導体を含み、アルキルおよびアラルキルのホスホネートおよびシランを
含む(しかしこれらに限定されない)。
【0117】 本発明の状況で用いられるように、用語「分子の残り」(YおよびZにより表
されるような)は、任意の化学部分であり得、アミノ酸側鎖部分および上記で定
義したようなその誘導体を含む(がこれらに限定されない)。例えば、β−シー
ト模倣物がペプチドまたはタンパク質の長さの範囲内に位置する場合、Yおよび
Zは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸を表し得る。あるいは、2以上のβ
−シート模倣物が連結される場合、第1のβ−シート模倣物のY部分は、第2の
β−シート模倣物を表し得るが、一方、逆に、第2のβ−シート模倣物のZ部分
は、第1のβーシート模倣物を表す。
【0118】 β−シート模倣物がペプチドまたはタンパク質の末端に位置する場合、または
β−シート模倣物がペプチドまたはタンパク質と関連していない場合、Yおよび
/またはZは適切な終結部分を表し得る。例えば、Z部分についての代表的な終
結部分は、−H、−OH、−R、−C(=O)R、および−SO2R(ここで、 Rは、低級鎖アルキル部分、低級鎖アリール部分、および低級鎖アラルキル部分
から選択される)を含む(がこれらに限定されない)か、またはタンパク質合成
に関する適切な保護基(例えば、BOC、FMOC、およびCBZ(すなわち、
それぞれ、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカル
ボニル、およびベンジルオキシカルボニル))であり得る。
【0119】 同様に、Y部分についての代表的な終結部分は、
【0120】
【化39】
【0121】 (ここで、X’は、Cl、F、Br、またはIであり、そしてRの各存在は独立
して、低級鎖アルキル部分、低級鎖アリール部分、および低級鎖アラルキル部分
から選択される)、または複素環式部分(例えば、ピリジン、ピラン、チオファ
ン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ベンズチアゾール、オキサゾ
ール、ベンズオキサゾール、イミダゾール、およびベンズイミダゾール)を含む
(がこれらに限定されない)。
【0122】 より詳細には、本発明の適切なZおよびY終結部分は、以下の基を含む:
【0123】
【化40】
【0124】 ここで、 Xは、必要に応じて存在し、そして直鎖または分岐、環式または非環式、飽和
または不飽和の、C1-12アルキルから選択され、このC1-12アルキルは必要に応
じて、ハロゲン、=O、OR、ONRR、C(O)R、C(O)OR、CN、O
C(O)R、C(O)NRR、C(O)NROR、NH2、NO2、NHOR、C
(NR)、NHR、C(O)NRR、NHC(NR)NHR、P(OR)3およ びSiRRRから選択される1以上の置換基によって置換され; R6は、H、CN、NO2、SiRRR、およびP(OR)3から選択され; R7は、C5-14アリール、C4-13ヘテロアリール、C3-14シクロアルキル、C5 -14 シクロアルキレン、およびC2-13ヘテロシクロアルキルから選択され、この 各々は、必要に応じて、X、ハロゲン、OR、ONRR、C(O)R、C(O)
OR、CN、OC(O)R、NR2、C(O)NRR、C(O)NROR、NR C(O)R、C(NR)NHR、NHC(NR)NHR、NO2、SO2R、SO 2 NRR、SiRRR、OP(OR)3、CH2P(OR)3およびCF2P(OR )3から選択される1以上の置換基で置換され得; R8は、各存在において独立して、H、X、R7、ハロゲン、OR、=C=O、
C(O)R、C(O)OR、CN、OC(O)R、NR2、C(O)NRR、N RC(O)R、C(NR)NHR、NO2、SO2R、SO2NRR、SiRRR 、およびP(OR)3から選択されるか、または一緒になって、飽和もしくは不 飽和のC2-14シクロアルキルを形成し得、このC2-14シクロアルキルは、必要に
応じて、=O、X、R7、ハロゲン、OR、=C=O、C(O)R、C(O)O R、CN、OC(O)R、NR2、C(O)NRR、NRC(O)R、C(NR )NHR、NO2、SO2R、SO2NRR、SiRRR、およびP(OR)3から
選択される1以上の置換基で置換され; R9は、H、X、R7、ハロゲン、C(O)R、C(O)OR、CN、NR2、 C(O)NRR、NRC(O)R、C(NR)NHR、NO2、SO2R、SO2 NRR、SiRRR、およびP(OR)3から選択され、ここでP=0〜2であ り; R10は、H、X、R7、ハロゲン、OR、C(O)R、C(O)OR、CN、 NR2、およびC(O)NRRから選択され;そして R6〜R10の上記定義におけるRの各存在は、独立して、H、C1-6アルキル、
3-14シクロアルキル、C5-14シクロアルキレン、C6-14アリール、C4-13ヘテ
ロアリール、およびC2-13ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つ
のR基が存在する場合、一緒になって飽和または不飽和のC2-8シクロアルキル を形成する。
【0125】 プロテアーゼインヒビターの状況では、Y終結部分はさらに以下の基を含む: −N({C(R112C(O)−Tmn−Wk−R122 ここで、 m=0〜1; n=0〜20; k=0〜1; R11は各存在で、独立して、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され
; Tは各存在で、独立して、C=O、C(O)−N(R12)、およびN(R12
から選択され; Wは各存在で、独立して、C2-14複素環から選択され;そして R12は各存在で、独立して、H、X、X−R6、X−R7、X−N(R82、X
−O−R9、X−S(O)p10、およびP(OR)3から選択されるか、または 一緒になって、飽和または不飽和の、C2-14シクロアルキルを形成し得、このC 2-14 シクロアルキルは必要に応じて、ハロゲン、=O、OR、ONRR、C(O
)R、C(O)OR、CN、OC(O)R、C(O)NRR、C(O)NROR
、NH2、NO2、NHOR、C(NR)NHR、NHC(NR)NHR、P(O
R)3およびSiRRRから選択される1以上の置換基によって置換され;そし て R、R6、R7、R8、R9、R10、X、およびpは、すぐ上で定義した通りであ
り; ただし、n=0の場合、R12の各々は、両方ともがハロゲンであることはない
【0126】 上記の構造(I)の状況では、二環式環の任意の2つの隣接するCH基は、二
重結合を形成し得る。このような二重結合は、孤立して、または2以上のさらな
る二重結合(芳香族環系を含む)と連続して存在し得る。例えば、代表的な孤立
二重結合は、上記の構造(IIe)、(IIf)、(IIIe)、(IIIf)
、(IVe)、(IVf)、(VIIIa)、および(VIIIb)の化合物を
含む。共役二重結合から得られる代表的な芳香族化合物は、上記の構造(IIc
)、(IId)、(IIIc)、(IIId)、(IVc)および(IVd)に
より表される。
【0127】 本発明の特定の実施態様では、上記の構造(II)を有するβ−シート模倣物
が開示され、ここで、Aは−C(=O)−であり、BはNであり、Cは−(CH 22−または−C(=O)CH2−であり、DはNであり、そして必要に応じて カルボニル部分Fが存在し、これは、以下の構造(IIg)、(IIh)、およ
び(IIh’)により表される:
【0128】
【化41】
【0129】 同様に、BおよびDが両方ともCHである場合、本発明の代表的なβ−シート模
倣物は、以下の構造(IIi)、(IIj)、および(IIj’)の化合物を含
む:
【0130】
【化42】
【0131】 本発明の別の特定の実施態様では、上記の構造(III)を有するβ−シート
模倣物が開示される。この実施態様の1つの局面では、DはNであり、そしてこ
の化合物は以下の構造(IIIi)を有する:
【0132】
【化43】
【0133】 ここで、Aは、−C(=O)−、−(CH20-4−、および−C(=O)(CH 21-3−から選択され;Bは、NおよびCHから選択され;Cは−C(=O)−
および−(CH20-3−から選択され;そして二環式環系は、飽和している(す
なわち、二環式環系の隣接するCH基の間に二重結合を含まない)。
【0134】 BがCHであり、そしてR3が水素であるこの実施態様では、以下の構造(I IIj)、(IIIk)、および(IIIl)を有する化合物が開示される:
【0135】
【化44】
【0136】 BがNであり、そしてR3が水素である構造(IIIi)の1つの実施態様で は、以下の構造(IIIm)、(IIIn)、および(IIIo)を有する化合
物が開示される:
【0137】
【化45】
【0138】 本発明のこの局面の好ましい実施態様では、以下の構造(IIIp)、(II
Iq)、(IIIr)および(IIIr’)を有する化合物が開示される:
【0139】
【化46】
【0140】 上記の構造(IIIi)の別の実施態様では、以下の構造(IIIs)を有す
る化合物が開示される:
【0141】
【化47】
【0142】 ここで、Aは、−(CH20-4−、−(CH21-2O−、および−(CH21-2 S−から選択され;Cは、−(CH20-3−、−O−、−S−、−O(CH21 -2 −および−S(CH21-2−から選択され;そして二環式環系は飽和している
【0143】 Aが−(CH20-4−である構造(IIIs)の1つの実施態様では、以下の
構造(IIIt)を有する化合物が開示される:
【0144】
【化48】
【0145】 Aが−(CH21-2O−または−(CH21-2S−である構造(IIIs)の
1つの実施態様では、以下の構造(IIIu)および(IIIv)を有する化合
物が開示される:
【0146】
【化49】
【0147】 Cが−(CH21-3−である構造(IIIs)の1つの実施態様では、以下の
構造(IIIw)を有する化合物が開示される:
【0148】
【化50】
【0149】 ここで、Aは、−(CH21-4−、−(CH21-2O−、および−(CH21-2 S−から選択される。
【0150】 Cが−O−または−S−である構造(IIIs)の1つの実施態様では、以下
の構造(IIIx)および(IIIy)を有する化合物が開示される:
【0151】
【化51】
【0152】 Cが−O(CH21-2−または−S(CH21-2−である構造(IIIs)の
1つの実施態様では、以下の構造(IIIz)および(IIIza)を有する化
合物が開示される:
【0153】
【化52】
【0154】 本発明のさらなる実施態様では、上記の構造(IV)を有するβ−シート模倣
物が開示される。この実施態様の1つの局面では、Aは−C(=O)−であり、
BはCHまたはNであり、Cは−(CH22−または−C(=O)CH2−であ り、DはNであり、そして必要に応じてカルボニル部分が存在し、以下の構造(
IVg)、(IVg’)、(IVh)、および(IVh’)により表される通り
である:
【0155】
【化53】
【0156】 Fが存在しない本発明の実施態様では、構造(V)、(VI)、および(VI
I)を有する化合物が開示される。構造(V)の化合物に関しては、Aが−C(
=O)−であり、BおよびDが両方ともCHまたはNであり、そしてCが−(C
22−である場合、本発明の代表的な化合物は、以下の構造(Va)、(Vb
)、および(Vc)を含む:
【0157】
【化54】
【0158】 同様に、構造(VI)では、Aが−C(=O)−であり、BおよびDが両方と
もCHまたはNであり、そしてCが−(CH22−である場合、本発明の代表的
な化合物は、以下の構造(VIa)、(VIb)、および(VIc)を含む:
【0159】
【化55】
【0160】 構造(VII)に関しては、Aが−C(=O)−であり、BおよびDが両方と
もCHまたはNであり、そしてCが−(CH22−である場合、本発明の代表的
な化合物は、以下の構造(VIIa)、(VIIb)、および(VIIc)を含
む:
【0161】
【化56】
【0162】 構造(VIII)の化合物に関しては、構造(VIIIa)および(VIII
b)のBおよびDが両方ともCHまたはNであり、そしてXが−S−、−O−、
または−(CH22−である1つの実施態様では、構造(VIIIc)、(VI
IId)、(VIIIe)、および(VIIIf)の化合物を得る:
【0163】
【化57】
【0164】 構造(IX)の1つの実施態様では、Aが−C(=O)−であり、BおよびD
が両方ともNであり、Eが−N(Z)−、−C(R1)(NHZ)−、または− C(R1)(Z)−であり、そしてFが存在する場合、本発明の化合物は、構造 (IXc)〜(IXh)を含む:
【0165】
【化58】
【0166】 構造(X)の1つの実施態様では、Aが−C(=O)−であり、BがNであり
、DがNであり、そしてEがZ−Nである場合、本発明の化合物は、構造(Xc
)および(Xd)を含む:
【0167】
【化59】
【0168】 構造(XI)の1つの実施態様では、Aが−C(=O)−であり、BがNであ
り、Cが−CH2C(=O)−であり、DがNであり、そしてEがZ−Nである 場合、本発明の化合物は、構造(XIc)を含む:
【0169】
【化60】
【0170】 本発明のβ−シート模倣物は、当業者によって、公知の有機合成技術により合
成され得る。例えば、構造(I)の種々の実施態様は、以下の反応スキームに従
って合成され得る。
【0171】 構造(III)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る(
ここで、n=0〜4、p=0〜3、およびm=0〜2): (反応スキーム(1))
【0172】
【化61】
【0173】 (反応スキーム(2)) 構造(IIIk)は以下の反応スキームにより合成され得る:
【0174】
【化62】
【0175】 (反応スキーム(3)) 構造(IIIl’)を有する構造(IIIl)の代表的化合物は、以下の反応
スキームにより合成され得、ここで、スキーム(3)における構造(IIIl’
’)は二環式環系中に二重結合を有する本発明の代表的構造である:
【0176】
【化63】
【0177】 さらに、構造(IIIl’’’)を有する構造(IIIl)の代表的化合物は
、以下の反応スキームにより合成され得、そして、構造(IIIl)のAが−C
(=O)(CH21-3−である場合、関連化合物(以下で(IIIi’)と命名
される)は以下の反応スキームにより合成され得る:
【0178】
【化64】
【0179】 (反応スキーム(4)) 以下の構造(IIIm’)および(IIIm’’)(ここでR3は水素である )を有する構造(IIIm)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成
され得る(HolmesおよびNeel、Tet. Lett. 31:556
7−70, 1990を参照のこと):
【0180】
【化65】
【0181】 構造(IIIi)の代表的化合物(ここでR3はアミノ酸側鎖部分またはその 誘導体である)はまた、上記のスキーム(4)に従って調製され得る。
【0182】 (反応スキーム(5)) 構造(IIIn’)を有する構造(IIIn)の代表的化合物は、以下の反応
スキームにより合成され得る:
【0183】
【化66】
【0184】 (反応スキーム(6)) 構造(IIIo)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
【0185】
【化67】
【0186】 (反応スキーム(7)) 以下に示される構造(IIIp’)および(IIIp’’)を有する構造(I
IIp)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る:
【0187】
【化68】
【0188】 (反応スキーム(8)) 構造(IIIq’)および(IIIq’’)を有する構造(IIIq)の代表
的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る(Jungheimおよび
Sigmund、J. Org. Chem. 52:4007−4013,
1987を参照のこと):
【0189】
【化69】
【0190】 (反応スキーム(9)) 構造(IIIr)は、以下の反応スキームにより合成され得る(Perkin
、J. Chem. Soc. Perk. Trans. 1:155−16
4, 1984を参照のこと):
【0191】
【化70】
【0192】 (反応スキーム(10)) 構造(IIIt)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
【0193】
【化71】
【0194】 (反応スキーム(11)) 構造(IIIu)および(IIIv)は、以下の反応スキームにより合成され
得る:
【0195】
【化72】
【0196】 (反応スキーム(12)) 構造(IIIw)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
【0197】
【化73】
【0198】 (反応スキーム(13)) 構造(IIIx)および(IIIy)は、以下の反応スキームにより合成され
得る:
【0199】
【化74】
【0200】 (反応スキーム(14)) 構造(IIIz)および(IIIza)は、以下の反応スキームにより合成さ
れ得る:
【0201】
【化75】
【0202】 上記構造(I)の定義によれば、二環式環系は隣接するCH基を含み得る(す
なわち、二環式環系は、少なくとも一部は−CH−CH−基により形成され得る
)。このような−CH−CH−基が−C=C−に置換される化合物もまた、構造
(I)の範囲内に含まれる(すなわち、二環式環の任意の2つの隣接するCH基
が一緒に二重結合を形成し得る)。
【0203】 反応スキーム(15)、(16)、および(17)は、構造(III)の代表
的化合物を調製するためのさらなる合成方法論を説明する。
【0204】 (反応スキーム(15))
【0205】
【化76】
【0206】 (反応スキーム(16))
【0207】
【化77】
【0208】 (反応スキーム(17))
【0209】
【化78】
【0210】 構造(IV)の代表的化合物は、以下の反応スキーム(18)〜(21)によ
り調製され得る。
【0211】 (反応スキーム(18))
【0212】
【化79】
【0213】 (反応スキーム(19)) MillerおよびWatkins、J.Am.Chem.Soc.90:1
515、1976の方法による出発物質。
【0214】
【化80】
【0215】 あるいは、構造(IVc)および(IVd)は、反応スキーム(19−1)に
よって作製され得る。
【0216】 (反応スキーム(19−1))
【0217】
【化81】
【0218】 (反応スキーム(20))
【化82】
【0219】 (反応スキーム(21))
【化83】
【0220】 あるいは、構造(IVf)は、以下の反応スキーム(21−1)によって作製
され得る。
【0221】 (反応スキーム(21−1)
【0222】
【化84】
【0223】 構造(VIII)の代表的化合物は、反応スキーム(22)および(23)に
より、ウラゾールまたはピラゾリジンジオンのどちらかから合成され得る。
【0224】 (反応スキーム(22)) 構造(VIIIc)は、以下の反応スキームによってウラゾールから合成され
得る:
【0225】
【化85】
【0226】 (反応スキーム(23)) 構造(VIIId)は、以下の反応スキームにより、ピラゾリジンジオンから
合成され得る:
【0227】
【化86】
【0228】 あるいは、ピラゾリジンジオン出発物質は、以下の反応スキームによって合成
され得る:
【0229】
【化87】
【0230】 構造(II)の代表的化合物は、以下の反応スキーム(24)によって合成さ
れ得る: (反応スキーム(24))
【0231】
【化88】
【0232】 構造(II)のさらに代表的化合物は、以下の反応スキーム(25)により、
作製され得る: (反応スキーム(25))
【0233】
【化89】
【0234】 構造(III)のさらに代表的な化合物は、以下の反応スキーム(26)によ
って作製され得る。
【0235】 (反応スキーム(26))
【0236】
【化90】
【0237】 構造(V)、(VI)および(VII)の化合物は、代表的な前駆体中間体が
、位置Fにカルボニル部分を含まないことを除いて、構造(II)、(III)
および(IV)の化合物について上記に開示したのと同じ一般的な技術によって
作製され得る。
【0238】 さらに、構造(IX)の化合物は、反応スキーム(27)に従って調製され得
る: (反応スキーム(27))
【0239】
【化91】
【0240】 構造(IIe)の代表的化合物は、以下の反応スキーム(28)によって、作
製され得る: (反応スキーム(28))
【0241】
【化92】
【0242】 構造(X)の代表的化合物は、以下の反応スキーム(29)によって、作製さ
れ得る: (反応スキーム(29))
【0243】
【化93】
【0244】 構造(XIc)の代表的化合物は、以下の反応スキーム(30)によって、作
製され得る: (反応スキーム(30))
【0245】
【化94】
【0246】 構造(XId)の代表的な化合物は、以下の反応スキーム(31)によって、
作製され得る: (反応スキーム(31)):
【0247】
【化95】
【0248】 構造(IIh’)の代表的な化合物は、以下の反応スキーム(32)および(
33)によって、作製され得る: (反応スキーム(32)):
【0249】
【化96】
【0250】 (反応スキーム(33)):
【0251】
【化97】
【0252】 本発明のβ−シート模倣物の1実施態様において、Y基は、以下の構造:
【0253】
【化98】
【0254】 を有し、ここで好ましい立体配置は以下:
【0255】
【化99】 である。
【0256】 好ましいR4基は、約2〜約10個の炭素原子および少なくとも1つの窒素原 子を有する有機アミン(organoamine)部分である。適切な有機アミ
ン部分は化学式C2-104-201-60-2を有し;そして、好ましくは、化学式C 3-77-141-40-1を有する。本発明の例示的な有機アミン部分は以下のもの である(ここで、Rは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素)、低級鎖アルキル(
例えば、メチル)、およびヒドロキシ低級鎖アルキル(例えば、ヒドロキシメチ
ル)から選択され;そしてXは、CH2、NH、SおよびOから選択される):
【0257】
【化100】
【0258】 上記の構造において、R5は、以下から選択される:(a)1〜約12個の炭 素原子のアルキル(必要に応じて1〜4のハライド、C1-5アルコキシ、および ニトロで置換されている)、(b)−C(=O)NH−C1-5アルキル(ここで 、このアルキル基は必要に応じてハライドまたはC1-5アルコキシで置換されて いる)、(c) −C(=O)NH−C1-10アラルキル(ここで、このアリール
基は、ニトロ、ハライド、−NH−(C=O)C1-5アルキル、−NH−(C= O)C6-10アリール、C1-5アルキル、およびC1-5アルコキシから独立して選択
される5つまでの基で必要に応じて置換され得る)、および(d)4〜約11個
の環原子の単環式および二環式ヘテロアリール(ここで、この環原子は炭素およ
びヘテロ原子(酸素、窒素、および硫黄)から選択され、そしてヘテロアリール
環は、約4つまでのハライド、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、−C(=O)
NHC1-5アルキル、−C(=O)NHC6-10アリール、アミノ、−C(=O) OC1-5アルキル、および−C(=O)OC6-10アリールで必要に応じて置換さ れ得る)。
【0259】 好ましいR5基は、以下のものであり:
【0260】
【化101】
【0261】 ここで、R6は、水素、ニトロ、ハライド、NH−C(=O)−C1-5アルキル、
NH−C(=O)−C6-10アリール、C1-5アルキル、およびC1-5アルコキシで
あり;
【0262】
【化102】
【0263】 ここでXはハライドであり;
【0264】
【化103】
【0265】 ここで、Eは、−O−、−NH−、または−S−であり、そしてR7およびR8
、水素、C1-5アルキル、−C(=O)OC1-5アルキル、−C(=O)OC6-10 アリール、−C(=O)NHC1-5アルキル、および−C(=O)NHC6-10ア リールから独立して選択され;そして
【0266】
【化104】
【0267】 ここで、EおよびR6は、すでに定義されているとおりである。
【0268】 本発明のβ−シート模倣物は、自動化固相ペプチド合成を含む標準的なペプチ
ド合成プロトコルに使用され得る。ペプチド合成は、段階的プロセスであり、こ
こでペプチドは単一のアミノ酸の段階的付加によるペプチド鎖の伸長によって形
成される。アミノ酸はペプチド(アミド)結合の形成によりペプチド鎖に連結さ
れる。ペプチド連結は、ペプチドのアミノ基をアミノ酸のカルボン酸基に結合す
ることにより形成される。このように、ペプチドはカルボキシル末端からアミノ
末端へと合成される。アミノ酸付加の個々の工程は、所望の長さおよびアミノ酸
配列のペプチド(またはタンパク質)が合成されるまで繰り返される。
【0269】 上記のようなペプチド(あるいはタンパク質または分子)合成を完了するため
に、ペプチドに付加すべきアミノ酸のアミノ基は、アミノ酸とペプチドとの間の
ペプチド結合形成(すなわち、アミノ酸のカルボキシル基の、ペプチドのアミノ
基への結合)を妨害すべきではない。このような妨害を防ぐために、ペプチド合
成に使用されるアミノ酸のアミノ基は適切な保護基で保護される。代表的なアミ
ノ保護基は、例えば、BOC基およびFMOC基を含む。従って、本発明の1つ
の実施態様では、本発明のβ−シート模倣物は、遊離のカルボン酸基および保護
されたアミノ基を有し、従って、標準的な合成技法によるペプチドへの組み込み
に適切である。
【0270】 本発明のβ−シート模倣物は、典型的に適切なリンカーを介して、固体支持体
上で合成され得る。次いで、β−シート模倣物は、例えば、アミノ分解によって
固体支持体から切断され得、そして例えば色素生産性の基質であるBAPNA(
ベンゾイルアルギニンパラニトロアニリド(analide))のような適切な
試剤に対する競合的基質としてスクリーニングされ得る(Eichlerおよび
Houghten、Biochemistry 32:11035−11041
、1993を参照のこと)(参考として本明細書中で援用される)。あるいは、
適切なリンカー部分を用いることで、このようなスクリーニングは、β−シート
模倣物を依然として固体支持体に付着させたままで、実施され得る。
【0271】 上記速度論的分析により基質が選択されると、β−シート模倣物は、C末端へ
の改変により(すなわち、Y部分への改変により)インヒビターへ変換され得る
。例えば、末端Y部分は、−CH2Cl、−CF3、−H、または−C(O)NH
Rで置換され得る。適切なR部分は、基質のライブラリーを用いて、あるいは、
WassermanおよびHoの手順の改変版を用いて生成されるインヒビター
のライブラリーを用いて選択され得る(J. Org. Chem. 59:4
364−4366, 1994)(本明細書に参考として援用される)。
【0272】 β鎖テンプレートを含む化合物のライブラリーは、基質認識または結合に対す
る最適配列を決定するために構築され得る。このようなライブラリーを使用する
ための代表的な方策を以下に議論する。
【0273】 代表的なβ−シート模倣物基質ライブラリーは以下のように構築され得る。以
下が、β−シート模倣物基質ライブラリーを調製するために使用され得る方法論
の例示であること、および他のライブラリーが類似の様式で調製され得ることが
理解されるべきである。
【0274】 第1の工程において、以下のタイプのライブラリー:
【0275】
【化105】
【0276】 R1、R3、R=アミノ酸側鎖部分またはその誘導体; Y=H、Ac、SO2R;そして、丸で囲まれた「P」は固体支持体を表す 。 が固体支持体上で構築され得る(PEGA樹脂、Meldal, M.、Tet
rahedron Lett. 33:3077−80, 1992;制御され
た細孔ガラス、Singhら、J. Med. Chem. 38:217−1
9, 1995)。次いで、固体支持体は、適切な緩衝液中で酵素(例えばプロ
テアーゼ)とともに透析バッグ中(Bednarskiら、J.Am.Chem .Soc.109:1283−5、1987)に置かれ得る。次いで、このバッ
グは大量の緩衝液とともにビーカー中に置かれる。酵素反応はHPLCによって
時間の関数としてモニターされ、そしてポリマーから切断された物質はMS/M
Sにより分析される。この方策は、特定の標的物に対する最良の基質に関する情
報を提供する。
【0277】 β−シート模倣物の合成は次に示すレトロ合成手順により説明される:
【0278】
【化106】
【0279】 この技法により生成されるライブラリーの複雑性は、(R1)(R3)(R)(
Y)である。R1、R3、およびRが天然に存在するアミノ酸側鎖部分から選択さ
れ、nは一定であり、そして、Yは上で定義したようにH、Ac、または−SO 2 Rであると仮定すると、約24,000メンバーを有するライブラリー[(2 0)(20)(20)(3)]が生成される。
【0280】 特定の標的物(例えば、酵素)に対してライブラリーをスクリーニングした後
、次いでライブラリーは、回収され、そして第2の標的物などでスクリーニング
され得る。
【0281】 さらに、インヒビターのライブラリーは、標準的な色素生産性アッセイにおい
て構築され、そしてスクリーニングされ得る。例えば、ライブラリーは以下のよ
うに構築され得る。ここで、以下の実施例は、以下に提供される特定の実施例に
類似の様式で調製され得るインヒビターライブラリーの代表例にすぎない。
【0282】
【化107】
【0283】 (Wassermanら、J. Org. Chem. 59:4364−6,
1994を参照のこと)。
【0284】 さらなる代替的な方策は、以下に示すように側鎖R基を介してライブラリーを
連結することである。
【0285】
【化108】
【0286】 以下の例示の構造を有するアスパラギン酸プロテアーゼインヒビターのライブ
ラリーが、構築され得、そして次いで樹脂から切断され得、そしてスクリーニン
グされ得る:
【0287】
【化109】
【0288】 同様に、メタロプロテアーゼについては、以下に示す例示の構造を有するライ
ブラリーが構築され得、次いで樹脂から切断されてヒドロキサム酸のライブラリ
ーを提供し得る:
【0289】
【化110】
【0290】 本発明のβ−シート模倣物の活性は、多数の生物学的に活性なペプチドを挙げ
る表2を参照することによりさらに説明され得る。特に、表2のペプチドは基質
またはインヒビターとしての生物学的活性を有することが公知である。
【0291】 (表2) (生物学的活性ペプチド)
【0292】
【表2】
【0293】 より一般的には、本発明のβ−シート模倣物は、R2、R1’、R3、F、Yお よびZ部分(ならびに、構造(I)自体のA、B、C、DおよびE部分)の適切
な選択により、任意の数の生物学的活性ペプチドを模倣するために合成され得る
。これはさらに、表3により説明される。表3は、生物学的に活性な化合物を得
るために構造(I)のβ−シート模倣物に作成され得る種々の改変を開示する。
表3において、R2およびR3は、「R2/R3」カラムに基づいて示される原子ま
たは基の中から独立して選択される。
【0294】 (表3) (生物学的に活性な化合物を得るための構造(I)への改変)
【0295】
【化111】
【0296】
【表3】
【0297】 本発明のβ−シート模倣物が生物学的に活性なペプチドの1つ以上のアミノ酸
に対して置換される場合、得られるβ−シート改変ペプチドの構造(PAMのよ
うな固体支持体からの切断の前)は以下の図式により表され得、ここでAA1か らAA3は同じまたは異なるアミノ酸を表す:
【0298】
【化112】
【0299】 正確なβ−シート模倣物は、コンピュータモデリングを含む任意の種々の技法、
無作為化技法(randomization technique)、および/
または天然基質選択アッセイを用いることにより選択され得る。β−シート模倣
物はまた、β−シート模倣物のライブラリーを合成し、そしてこのようなライブ
ラリーメンバーをスクリーニングして上で開示したように活性なメンバーを同定
することにより生成され得る。
【0300】 一旦、最適化されたβ−シート模倣物が選択されると、次いで、改変がそこに
付着した種々のアミノ酸に対して行われ得る。種々のアミノ酸置換を有する一連
のβ−シート改変ペプチドは、次いで、固体支持体から切断され、そして好まし
い基質を同定するためにアッセイされる。このような基質の生成は多くのβ−シ
ート改変ペプチドの合成およびスクリーニングを含み得ることが理解されるべき
である。ここで、各β−シート改変ペプチドは、種々の異なるβ−シート模倣物
と組み合わせた種々のアミノ酸置換を有する。さらに、固体支持体からのβ−シ
ート改変ペプチドの切断の後、上記図式においてZ部分がAA3でありそしてY 部分がAA2およびAA1であることもまた認識されるべきである。(この図式は
例示のために示されるが、付加的またはより少数のアミノ酸がβ−シート模倣物
に連結され得る−すなわち、AA3は存在し得ないかあるいは付加的なアミノ酸 がそこに連結され得る;そしてAA2および/またはAA1は省略され得るかある
いは付加的なアミノ酸はそこに連結され得る。) 一旦、好ましい基質が上で開示された手順により同定されると、基質は公知の
技法によって、容易にインヒビターに変換され得る。例えば、C末端アミノ酸(
この場合にはAA1)は、基質に対するインヒビター活性を与えることが公知で ある多くの部分の付加により改変され得る。これには、−CF3(公知の可逆的 セリンプロテアーゼインヒビター)、−CH2Cl(公知の非可逆的セリンプロ テアーゼインヒビター)、−CH22および−CH2S(CH32 +(公知のシス
テイニルプロテアーゼインヒビター)、−NHOH(公知のメタロプロテアーゼ
インヒビター)、
【0301】
【化113】
【0302】 (公知のシステイニルプロテーゼインヒビター)、ならびに
【0303】
【化114】
【0304】 (公知のアスパルチルプロテアーゼインヒビター)を含む(しかしこれらに限定
されない)。
【0305】 本発明のβ−シート模倣物の有用性は特定の実施態様に関して開示されている
が、広範な種類およびタイプの化合物が本発明のβ−シート模倣物を含むように
作成され得ることが理解される。例えば、本発明のβ−シート模倣物はペプチド
またはタンパク質の2つ以上のアミノ酸に置換され得る。ペプチドまたはタンパ
ク質のβ−シート構造を改善および/または改変することに加えて、特にコンフ
ォメーションの安定性に関して、本発明のβ−シート模倣物はまたタンパク質分
解性の分解を阻害するために役立つ。これにより、本発明のβ−シート模倣物の
組み込みのため、タンパク質分解性の分解がより少なくなる傾向があるペプチド
またはタンパク質の付加された有利点が生じる。
【0306】 より詳細には、本発明のβ−シート模倣物は、天然に存在するペプチドまたは
合成ペプチド、タンパク質および分子において広く利用性を有する。例えば、ペ
プチド、タンパク質および分子。例えば、本明細書中に開示されるβ−シート模
倣物は、キナーゼおよびプロテアーゼのインヒビターとして活性を有し、ならび
にMHC IIインヒビターとしての有用性を有する。例えば、本発明のβ−シ
ート模倣物は、P’置換基として好ましいアルギニンまたはリジンを含む、トリ
プシン様セリンプロテアーゼの大ファミリーのインヒビターとしての活性を有す
る。これらの酵素は、止血に関与し、そして第VIIa因子、第IXa因子、第
Xa因子、第XIa因子、トロンビン、カリクレイン、ウロキナーゼ(これはま
た、ガンの転移に関与する)およびプラスミンが挙げられる(しかし、これらに
限定されない)。関連酵素であるトリプターゼ(tryptase)は、炎症応
答に関与する。従って、これらの酵素を選択的に阻害する能力は、循環器病、炎
症性疾患、および腫瘍学に関与する治療学的用途において広範な有用性を有する
【0307】 例えば、以下の構造の化合物は、第VIIa因子およびトロンビンインヒビタ
ーの文脈において本発明のさらなる実施態様を示す。
【0308】 (第VIIaインヒビター)
【0309】
【化115】
【0310】 (トロンビンインヒビター)
【0311】
【化116】
【0312】 別の局面では、本発明は、貯蔵または投与のために調製された薬学的組成物を
包含し、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に、治療的有効量の本発
明のβ−シート模倣物または化合物を含む。抗凝固療法は、種々の血栓症状態、
特に冠動脈および脳血管疾患の処置および予防が必要とされる。当業者は、抗凝
固療法を必要とする状況に容易に気づく。
【0313】 本発明の化合物の「治療的有効量」は、投与経路、処置される温血動物のタイ
プ、および検討中の特定の動物の肉体的特徴に依存する。この量を決定するため
のこれらの因子およびそれらの関連は、医療分野の当業者に周知である。この量
および投与方法は、最適の有効性を達成するために適合され得るが、体重、食餌
、併用薬物のような因子、および医療分野の有名な当業者が認識するような他の
因子に依存する。
【0314】 本発明の化合物の「治療的有効量」は、所望の影響および治療徴候に依存する
広い範囲をとり得る。代表的には、用量は、約0.01mg/kg体重と100
mg/kg体重との間、好ましくは約0.01mg/kg体重と10mg/kg
体重との間である。
【0315】 治療的使用のための「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学の分野で周知で
あり、そして、例えば、Remingtons Pharmaceutical
Sciences, Mack Publishing Co. (A.R.
Gennaro編、1985)に記載されている。例えば、滅菌生理食塩水お
よび生理学的pHのリン酸緩衝化生理食塩水が使用され得る。保存剤、安定化剤
、染料、および着香剤(flavoring agent)さえも薬学的組成物
中に提供され得る。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp−ヒド
ロキシ安息香酸エステルが保存剤として添加され得る。さらに、抗酸化剤および
懸濁剤が使用され得る。
【0316】 トロンビン阻害は、血栓症状態を有する個体の抗凝固療法に有用であるだけで
なく、貯蔵した全血の凝固を防止するためおよびテストまたは貯蔵用の他の生物
学的試料中の凝固を防止するためのような、血液凝固の阻害が必要とされるとき
はいつでも有用である。したがって、トロンビンインヒビターは、トロンビンを
含むまたは含むことが疑われる任意の媒体に添加または接触され得、そしてその
媒体中で血液凝固が阻害されることが所望される(例えば、血管移植片、幹、整
形外科的補綴物、心臓補綴物、および体外循環系からなる群より選択される物質
に哺乳動物の血液を接触させる場合)。
【0317】 トロンビンインヒビターは、種々の血管病理の処置における相乗的効果を達成
するために適切な抗凝固剤または血栓溶解剤(例えば、プラスミノーゲンアクチ
ベーターまたはストレプトキナーゼ)とともに同時投与され得る。例えば、トロ
ンビンインヒビターは、組織プラスミノーゲンアクチベーター媒介血栓溶解性再
灌流の効能を増強する。トロンビンインヒビターは、血栓形成後に最初に投与さ
れ得、そしてその後、組織プラスミノーゲンアクチベーターまたは他のプラスミ
ノーゲンアクチベーターが投与される。それらはまた、ヘパリン、アスピリン、
またはワルファリンと組み合わされ得る。
【0318】 本発明のトロンビンインヒビターは、錠剤、カプセル剤(それぞれは持続放出
処方または時間放出(timed release)処方を含む)、丸剤、粉剤
、顆粒剤、エリキシル剤(elixer)、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、お
よび乳剤のような経口形態で投与され得る。同様に、それらは、静脈内(ボーラ
スまたは注入)、腹腔内、皮下、または筋肉内形態で投与され得、これらはすべ
て薬学の分野の当業者に周知の形態を用いて投与され得る。有効であるが無毒性
の量の所望の化合物は、抗凝集剤としてまたはフィブリンから構築される眼を処
置するように用いられ得る。これらの化合物は、眼内にまたは局所的に、ならび
に経口または非経口で投与され得る。
【0319】 トロンビンインヒビターは、蓄積注入または移植調製物の形態で投与され得る
。これらは、活性成分の持続放出を可能にするような様式で処方され得る。活性
成分は、ペレットまたは小シリンダー中に圧縮され得、そして蓄積注入または移
植物として皮下または筋肉内に移植され得る。移植物は、生分解性ポリマーまた
は合成シリコーンのような不活性物質(例えば、Silastic、シリコーン
ゴム、またはDow−Corning Corporationにより製造され
た他のポリマー)を使用し得る。
【0320】 トロンビンインヒビターはまた、小さなユニラメラ小胞、大きなユニラメラ小
胞、およびマルチラメラ小胞のようなリポソーム送達システムの形態で投与され
得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジ
ルコリンのような種々のリン脂質から形成され得る。
【0321】 トロンビンインヒビターはまた、化合物分子が結合されている個々のキャリア
としてのモノクローナル抗体の使用により送達され得る。トロンビンインヒビタ
ーはまた、標的可能な薬物キャリアとしての可溶性ポリマーに結合され得る。こ
のようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロ
キシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタル
ニドフェノール(polyhydroxyethyl−aspartarnid
e−phenol)、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリ
リジンが含まれ得る。さらに、トロンビンインヒビターは、薬物の制御された放
出を達成するために有用な生分解性ポリマーのクラスに結合され得る。例えば、
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポ
リε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタ
ール、ポリジヒドロピラン(polydibydropyran)、ポリシアノ
アクリレート、および架橋したまたは両親媒性のヒドロゲルのブロックコポリマ
ーが挙げられる。
【0322】 投与量および投与の方法は、最適効能を達成するように適合され得るが、体重
、食餌、併用薬物のような因子、および医療分野の当業者が認識するような他の
因子に依存する。投与が日常の基礎に基づいて非経口(例えば、静脈内)である
べき場合、注入可能な薬学的組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかの通
常の形態として、注入前の液体中での溶液または懸濁液に適切な固体形態として
、あるいは乳剤として調製され得る。
【0323】 本発明の活性化合物の経口投与に適切な錠剤は、以下のように調製され得る: 量−mg 活性化合物 25.0 50.0 100.0 微晶質セルロース 37.25 100.0 200.0 改変食用コーンスターチ 37.25 4.25 8.5 ステアリン酸マグネシウム 0.50 0.75 1.5 。
【0324】 すべての活性化合物、セルロース、およびコーンスターチの一部を混合し、そ
して10%コーンスターチペーストに顆粒状化する。得られた顆粒をふるいにか
け、乾燥し、そして残りのコーンスターチおよびステアリン酸マグネシウムと混
合する。次いで、得られた顆粒を、1錠剤につきそれぞれ25.0、50.0、
および100.0 mgの活性成分を含む錠剤に圧縮する。
【0325】 上に示した活性化合物の静脈内投与形態は、以下のように調製され得る: 活性化合物 0.5〜10.0mg クエン酸ナトリウム 5〜50mg クエン酸 1〜15mg 塩化ナトリウム 1〜8mg 注入用水(USP) 1mlまで適量。
【0326】 上記の量を利用すると、活性化合物は、注入用水中の塩化ナトリウム、クエン
酸、およびクエン酸ナトリウムの予め調製された溶液に、室温で溶解される(U
SP、United States Pharmacopoeia/Natio
nal Formulary for 1995、United States
Pharmacopoeia Convention, Inc., Roc
kville, Marylandにより出版、1994の版権の1636ペー
ジを参照のこと)。
【0327】 本発明の化合物は、開示されたように作成および選択された場合、インビトロ
およびインビボでトロンビンの強力なインヒビターとして有用である。このよう
に、これらの化合物は、血液の凝固を防止するためのインビトロ診断試薬として
、および異常血栓症により特徴づけられる症状を有すると疑われる哺乳動物にお
ける血栓症を予防するためのインビボ診断剤として有用である。
【0328】 本発明の化合物は、血液吸引チューブ中の凝血を阻害するためのインビトロ診
断剤として有用である。静脈穿刺により得られた血液をチューブ中に吸引する手
段として、その中が真空である、栓をしたテストチューブを使用することは、医
療分野では周知である(Kasten, B.L.、「Specimen Co
llection」、Laboratory Test Handbook、第
2版、Lexi−Comp Inc.,Cleveland pp.16−17
、Jacobs, D.S.ら編、1990)。血液からの、哺乳動物の血清の
単離に有用である場合、このような真空チューブは凝血阻害添加剤を含んでいな
くてもよい。血液からの、哺乳動物の血漿の単離に有用である場合、これらは凝
血阻害添加物(例えば、ヘパリン塩、EDTA塩、クエン酸塩、またはシュウ酸
塩)をその代わりに含んでいてもよい。本発明の化合物は、第Xa因子またはト
ロンビンの強力なインヒビターであり、そしてこのように、血液採取チューブに
吸引する哺乳動物の血液の凝血を防止するために、血液採取チューブに組み入れ
られ得る。
【0329】 本発明の化合物は、血液採取チューブ中で、単独で、本発明の他の化合物と組
み合わせて、または他の公知の凝血のインヒビターと組み合わせて使用される。
このようなチューブに添加すべき量は、哺乳動物の血液がチューブ中に吸引され
るときに凝血の形成を阻害するに十分な量である。このようなチューブへの化合
物の添加は、それらの液体組成物の導入によるような当該分野で周知の方法によ
り、それらの固体組成物として、または固体へ凍結乾燥される液体組成物として
達成され得る。本発明の化合物は、2〜10mLの哺乳動物の血液と合わされた
ときにこのような化合物の濃度が血塊形成を阻害するに十分である量で血液採取
チューブに添加される。代表的には、必要とされる濃度は、約1〜10,000
nMであり、10〜1000nMが好ましい。
【0330】 転写因子の調節に関して、本発明の化合物は、転写因子(このDNAに結合す
る能力は細胞オキシドレダクターゼによるシステイン残基の還元によって制御さ
れる)を調節する。1つの実施態様において、転写因子はNF−κBである。こ
の実施態様において、本発明の化合物は、免疫および/または炎症性応答のメデ
ィエイタとしての活性を有するか、あるいは細胞増殖を制御するのに役立つ。別
の実施態様において、転写因子は、AP−1であり、そして細胞オキシドレダク
ターゼはRef−1である。この実施態様において、本発明の化合物は、抗炎症
性および/または抗ガン剤としての活性を有する。なおさらなる実施態様におい
て、転写因子は、Mybおよびグルココルチコイドレセプターから選択される。
本発明の文脈内で調節され得る他の転写因子としてはまた以下が挙げられる:R
el−A、c−Rel、Rel−B、p50およびp52のようなNFκBファ
ミリーのようなもの;Fos、FosB、Fra−1、Fra−2、Jun、J
unBおよびJunDのようなAP−1ファミリーのようなもの;ATF;CR
EB;STAT−1、−2、−3、−4、−5および−6;NFAT−1、−2
および−4;MAF;甲状腺因子;IRF;Oct−1および−2;NF−Y;
Egr−1;ならびにUSF−43。
【0331】 本発明の方法の実施において、本発明の化合物の治療的有効量は、それを必要
とする温血動物に投与される。例えば、本発明の化合物は、以下から選択される
状態で診断を受けているか、またはその発症の危険性がある温血動物に投与され
得る:クローン病、喘息、慢性関節リウマチ、虚血、再灌流障害、対宿主性移植
片病(GVHD)、筋萎縮側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、同種移植
拒絶および成人T細胞白血病。
【0332】 以下の実施例は例示のために提供されるが、限定のために提供されるものでは
ない。
【0333】 (実施例) (実施例1) (代表的なβシート模倣物の合成) 本実施例は、本発明の代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
【0334】 (構造(1)の合成:)
【0335】
【化117】
【0336】 フェニルアラニンベンズアルドイミン(構造(1))を、次のようにして合成
した。室温のCH2Cl2(150ml)中で攪拌したL−フェニルアラニンメチ
ルエステルヒドロクロリド(7.19g,33.3mmol)とベンズアルデヒ
ド(3.4ml,33.5mmol)との混合物に、トリエチルアミン(7.0
ml,50mmol)を加えた。得られた溶液に無水硫酸マグネシウム(2g)
を加え、その混合物を14時間攪拌した後、セライトの1インチパッドを通して
CH2Cl2で濾過した。その濾液を減圧下で最初の容積の約半分まで濃縮した後
、等容積のヘキサンで希釈した。その混合物を飽和NaHCO3水溶液、H2Oお
よびブラインで2回抽出し、次いで、無水Na2SO4で乾燥し、そして濾過した
。その濾液を真空下で濃縮して、無色の油状物8.32g(収率93%)を得た
1H NMR分析は、ほぼ純粋(>95%)なフェニルアラニンベンズアルド イミンを示した。その粗生成物をさらに精製することなく使用した。
【0337】 (構造(2)の合成:)
【0338】
【化118】
【0339】 α−アリルフェニルアラニンベンズアルドイミン(構造(2))を、次のよう
にして合成した。−78℃のTHF(150mL)中で攪拌したジイソプロピル
アミン(4.3ml,33mmol)の溶液に、n−ブチルリチウムの溶液(2
.5Mヘキサン溶液13ml,33mmol)を滴下した。得られた溶液を20
分間攪拌し、次いで、THF(30ml)中のフェニルアラニンベンズアルドイ
ミン(7.97g,29.8mmol)の溶液をゆっくりと加えた。得られた暗
赤橙色溶液を15分間攪拌し、次いで、臭化アリル(3.1ml,36mmol
)を加えた。その淡黄色溶液を−78℃で30分間攪拌した後、室温に加温し、
さらに1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、その混合物を酢酸
エチルに注いだ。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、次いで、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して、粘稠な
黄色油状物8.54gを得た。カラムクロマトグラフィーによる精製で、α−ア
リルフェニルアラニンベンズアルドイミン7.93g(87%)を粘稠な無色油
状物として得た。
【0340】 (構造(3)の合成:)
【0341】
【化119】
【0342】 α−アリルフェニルアラニンヒドロクロリド(構造(3))を、次のようにし
て合成した。メタノール(50ml)中で攪拌したα−アリルフェニルアラニン
ベンズアルドイミン(5.94g,19.3mmol)の溶液に、5%塩酸水溶
液(10ml)を加えた。その溶液を室温で2時間攪拌し、次いで、真空下で濃
縮して、橙褐色のカラメル質にした。その粗生成物をCHCl3(10ml)に 溶解し、その溶液を加熱沸騰させた。ヘキサン(約150ml)を加え、わずか
に濁ったその混合物を冷却させた。結晶化した固体から液体をデカンテーション
して取り除き、次いで、その固体をヘキサンでリンスし、そして回収した。残存
溶媒を真空下で除去して、純粋なα−アリルフェニルアラニンヒドロクロリド3
.56g(72%)を白色結晶性固体として得た。
【0343】
【数1】
【0344】 (構造(4)の合成:)
【0345】
【化120】
【0346】 N−tert−ブチルオキシカルボニル−α−アリルフェニルアラニン(構造
(4))を、次のようにして合成した。THF(15ml)と水(5ml)との
混合物中で攪拌したD,Lα−アリルフェニルアラニンヒドロクロリド(565
mg,2.21mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネートを加
え、続いて固形重炭酸ナトリウムを注意深く少しずつ添加した。得られた二相混
合物を室温で2日間激しく攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈した。その有機相
を分離し、水およびブラインで洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
そして濾過した。濾液を真空下で濃縮して無色の油状物を得て、それをカラムク
ロマトグラフィー(ヘキサン中の5〜10%EtOAc勾配で溶出)で精製する
ことにより、N−tert−ブチルオキシカルボニル−α−アリルフェニルアラ
ニン596mg(86%)を得た。
【0347】
【数2】
【0348】 (構造(5)の合成:)
【化121】
【0349】 構造(5)のアルデヒドを、次のようにして合成した。CH2Cl2(50ml
)とメタノール(15ml)の混合物中−78℃で攪拌した構造(4)のオレフ
ィン2.10g(6.57mmol)の溶液に、その溶液がはっきりと青色にな
るまでオゾンを吹き込んだ。その溶液をさらに15分間攪拌し、次いで、硫化ジ
メチルをゆっくりと加えた。得られた無色の溶液を−78℃で10分間攪拌し、
次いで、室温に加温し、そして6時間攪拌した。その溶液を真空下で濃縮して、
粘稠な淡黄色油状物2.72gを得、それをカラムクロマトグラフィー(ヘキサ
ン中の10〜20%EtOAc勾配で溶出)で精製することにより、純粋なアル
デヒド1.63gを粘稠な無色油状物として得た。
【0350】
【数3】
【0351】 (構造(6)の合成:)
【化122】
【0352】 構造(6)のヒドラゾンを、次のようにして合成した。室温のTHF(50m
l)中で攪拌した構造(5)のアルデヒド(1.62g,5.03mmol)の
溶液に、ヒドラジン水和物(0.32ml,6.5mmol)を加えた。得られ
た溶液を室温で10分間攪拌し、次いで、3日間加熱還流した。その溶液を室温
に冷却させ、次いで、真空下で濃縮して、1.59g(粗収率105%)の無色
泡状物にした。このヒドラゾン粗生成物(構造(6))を精製することなく使用
した。
【0353】
【数4】
【0354】 (構造(7)の合成:)
【化123】
【0355】 構造(7)の環状ヒドラジドを、次のようにして合成した。構造(6)の粗ヒ
ドラゾン(55mg,0.18mmol)と酸化白金(5mg,0.02mmo
l)とをメタノール中に取り、そのフラスコに、ゴム風船を付けた三方コックを
装着した。そのフラスコに水素ガスを3回フラッシュし、風船を水素で膨らませ
、その混合物を水素雰囲気下で17時間、激しく攪拌した。その混合物をセライ
トを通して酢酸エチルで濾過し、その濾液を真空下で濃縮して、白色泡状物にし
た。その白色泡状物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、構造(7)の
純粋な環状ヒドラジド44mgを得た(80%)。
【0356】
【数5】
【0357】 (構造(8)の合成:)
【化124】
【0358】 構造(8)を次のようにして合成した。90℃のアクリル酸エチル(200m
l)中で攪拌した構造(7)の環状ヒドラジド(4.07g,13.32mmo
l)の溶液に、ホルムアルデヒド(37%水溶液1.2mL)を加えた。その混
合物を15時間加熱還流し、次いで、室温に冷却し、真空下で濃縮して白色泡状
物にした。その生成物をカラムクロマトグラフィー(5%アセトン/クロロホル
ム、次いで、10%アセトン/クロロホルム)で分離することにより、二環式エ
ステルの最も極性の低いジアステレオマー(構造(8b))0.851gと、よ
り極性の高いジアステレオマー(8a)とを得た。不純な画分を第2のクロマト
グラフィーにかけて、より純粋な構造(8b)を得た(合計の収率25%)。
【0359】
【数6】
【0360】
【化125】
【0361】 (構造(9b)の合成:)
【0362】
【化126】
【0363】 構造(9b)を次のようにして合成した。THF(1ml)中で攪拌した最も
極性の低いエチルエステル(すなわち構造(8b))(31mg,0.074m
mol)の溶液に、水酸化リチウム水溶液(1M,0.15ml)を加えた。得
られた混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、反応物を5%クエン酸水溶液でク
エンチした。その混合物を酢酸エチル(2×)で抽出し、次いで、合わせた抽出
物を水およびブラインで洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
濾過し、真空下で濃縮して無色のガラス状物にした。その粗製酸(構造(9b)
)をさらに精製することなく以降の実験に使用した。
【0364】 (構造(10b)の合成:)
【0365】
【化127】
【0366】 構造(10b)の化合物を次のようにして合成した。構造(9b)の粗製酸(
30mg,0.074mmol)、HArg(PMC)pNA(41mg,0.
074mmol)およびHOBt(15mg,0.098mmol)をTHF(
1ml)に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.026ml,0
.15mmol)を加え、その後、EDC(16mg,0.084mmol)を
加えた。得られた混合物を室温で4時間攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈し、
5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出し
た。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して、
淡黄色ガラス状物54mgを得た。生成物をカラムクロマトグラフィーで分離す
ることにより、カップリングした(すなわち保護された)生成物(構造(10b
))のジアステレオマーの混合物33mg(50%)を得た。MS(CI+,N
3)m/z 566.6(M+H+)。
【0367】 (構造(11b)の合成:)
【化128】
【0368】 構造(11b)のβシート模倣物を次のようにして合成した。TFA(5ml
)中のH2O(0.25ml)、1,2−エタンジチオール(0.125ml) およびフェノール(360mg)の溶液を調製し、この溶液(2ml)に構造(
10b)の保護生成物(33mg,0.035mmol)を溶解した。得られた
溶液を室温で3時間攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その濃縮物にエーテル
を加え、得られた沈殿物を遠心分離によって集めた。その沈殿物をエーテルで粉
末化し、さらに2回遠心分離し、次いで、真空デシケーター中で14時間乾燥し
た。その粗生成物(14mg)をHPLCクロマトグラフィーで精製することに
より、構造(11b)のβシート模倣物を得た。MS(CI+,NH3)m/z 954.8(M+Na+)。
【0369】 (構造(12b)の化合物の合成:)
【化129】
【0370】 構造(12b)を次のようにして合成した。−50℃のTHF(1ml)中で
攪拌した構造(9b)の粗製酸(24mg,0.062mmol)とN−メチル
モルホリン(0.008ml)との溶液に、クロロギ酸イソブチルを加えた。得
られた濁った混合物を10分間攪拌し、次いで、N−メチルモルホリン0.01
6ml(0.14mmol)を加え、続いて、THF(0.5ml)中のHAr
g(Mtr)CH2Cl(50mg,0.068mmol)の溶液を加えた。そ の混合物を20分間、−50℃で維持し、次いで、1時間で室温まで加温させた
。その混合物を酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウ
ム水溶液およびブラインで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾
過し、真空下で濃縮して、49mgの無色ガラス状物(構造(12))を得た。
カラムクロマトグラフィーによる分離で、より極性の低いジアステレオマー12
mgと、より極性の高いジアステレオマー16mgとを得た。
【0371】
【数7】
【0372】 (構造(13b)の合成:)
【化130】
【0373】 構造(13b)のβシート模倣物を次のようにして合成した。構造(12b)
のより極性の高いジアステレオマー(16mg,0.021mmol)を95%
TFA/H2O(1ml)に溶解し、得られた溶液を室温で6時間攪拌し、次 いで、真空下で濃縮して11mgの粗製物を得た。その粗生成物をエーテルで粉
末化し、沈殿物をエーテルで2回洗浄し、次いで、高真空下で14時間乾燥した
1H NMR分析は、完全に脱保護された生成物とMtr保護基を含有する生 成物との1:1混合物を示した。その混合物を95% TFA/H2Oに溶解し 、2日間攪拌し、生成物を上記のようにして回収した。HPLCによる生成物の
精製で、構造(13b)の純粋な化合物5mgを得た。MS(EI+)m/z
477.9(M+)。
【0374】 (実施例2) (代表的なβシート模倣物の合成) 本実施例は、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
【0375】 (構造(14)の合成:)
【0376】
【化131】
【0377】 ヒドロキサム酸N,O−ジメチル(構造(14))を以下のように合成した。
周囲温度のTHF(150ml)中で撹拌したBoc−Ng−4−メトキシ−2 ,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル−L−アルギニン(8.26g,14
.38mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(2.
78g,28.5mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(
2.45g,16.0mmol)の混合物に、N,N−ジイソプロピルエチルア
ミン(7.5ml,43mmol)を添加し、次いで固体EDC(3.01g,
15.7mmol)を添加した。得られた溶液を16時間撹拌し、次いで、酢酸
エチル(200ml)で希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水
溶液、水およびブラインで順次抽出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、そして濾過した。この濾液を真空下で濃縮して白色泡状物7.412g
を得た。
【0378】
【数8】
【0379】 (構造(15)の合成:)
【0380】
【化132】
【0381】 構造(15)を以下のように合成した。室温のジクロロメタン(150ml)
中で撹拌したアルギニンアミド(7.412g,13.99mmol)の溶液に
、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.9ml,17mmol)を添加し
、次いでジ−tert−ブチルジカーボネート(3.5ml,15.4mmol
)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(0.175g,1.43mmol)
を添加した。得られた溶液を1.5時間撹拌し、次いで、水に注いだ。水相を分
離し、ジクロロメタン各100mlで2回抽出した。合わせた抽出物をブライン
と共に振とうし、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。濾液を
真空下で濃縮して白色泡状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィーで精製
して白色泡状物8.372gを得た。
【0382】
【数9】
【0383】 (構造(16)の合成:)
【0384】
【化133】
【0385】 アルギナール(構造(16))を次のようにして合成した。乾燥アルゴン雰囲
気下−78℃のトルエン中で撹拌したアルギニンアミド(構造(15))の溶液
に、水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1.0M,7.3ml)
を15分間かけて滴下した。得られた溶液を30分間撹拌し、次いでさらに水素
化ジイソブチルアルミニウム(3.5ml)を添加し、撹拌を15分間続けた。
メタノール(3ml)を滴下し、この溶液を−78℃で10分間撹拌し、次いで
、室温まで加温した。この混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、飽和酒
石酸カリウムナトリウム水溶液50mlと共に2.5時間激しく撹拌した。水相
を分離し、そして酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。この抽出物を元の
有機溶液と合わせ、ブラインと共に振とうし、次いで、無水硫酸ナトリウムで乾
燥し、そして濾過した。この濾液を真空下で濃縮して白色泡状物を得、それをフ
ラッシュクロマトグラフィーで分離することにより、上記アルデヒド1.617
gを白色泡状物として得た。
【0386】
【数10】
【0387】 (構造(17)の合成:)
【0388】
【化134】
【0389】 ヒドロキシベンゾチアゾール(構造(17))を次のようにして合成した。乾
燥アルゴン雰囲気下−78℃の無水ジエチルエーテル(60ml)中で撹拌した
ベンゾチアゾール(1.55ml,14mmol)の溶液に、n−ブチルリチウ
ム溶液(ヘキサン中2.5M,5.6ml,14mmol)を10分間かけて滴
下した。得られた橙色溶液を45分間撹拌し、次いで、ジエチルエーテル(5m
l)中のアルギナール(構造(16))(1.609g,2.819mmol)
の溶液をゆっくりと添加した。この溶液を1.5時間撹拌し、次いで、飽和塩化
アンモニウム水溶液を添加し、この混合物を室温まで加温させた。この混合物を
酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、そして合わせた抽出物を水およびブラ
インで抽出し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液
を真空下で濃縮して黄色油状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(溶
離液、30%酢酸エチル/ヘキサン、次いで40%酢酸エチル/ヘキサン)で精
製し、ヒドロキシベンゾチアゾール(ジアステレオマーの約2:1混合物)1.
22gを白色泡状物として得た。
【0390】 このヒドロキシベンゾチアゾールの混合物(1.003g,1.414mmo
l)を室温のCH2Cl2(12ml)中で撹拌し、そしてトリフルオロ酢酸(3
ml)を添加した。得られた溶液を1.5時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮し
て、ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩1.22gを黄色泡状物
として得た。
【0391】 MS(EI+):m/z 506.2(M+H+)。
【0392】 (構造(18b)の合成:)
【0393】
【化135】
【0394】 二環式化合物(構造(18b))を以下のように合成した。実施例1で得た構
造(9b)の二環式酸(151mg,0.387mmol)およびHOBt水和
物(71mg,0.46mmol)をTHF(5ml)に溶解し、そして、ジイ
ソプロピルエチルアミン(0.34ml,1.9mmol)を添加し、続いてE
DC(89mg,0.46mmol)を添加した。10分間撹拌した後、THF
(1ml)中のベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩(構造(17
))(273mg,0.372mmol)の溶液を、THF(0.5ml)すす
ぎ液と共に添加した。この混合物を室温で15時間撹拌し、次いで酢酸エチルで
希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブライン
で順次抽出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして
真空下で濃縮して、297mgの黄色ガラス状物とした。1H NMR分析は、 構造(18b)を含む4つのジアステレオ異性アミドの混合物を示した。
【0395】 MS(ES+):m/z 877(M+)。
【0396】 (構造(19b)の合成:)
【化136】
【0397】 構造(19b)を次のようにして合成した。粗ヒドロキシベンゾチアゾール(
247mg,0.282mmol)をCH2Cl2(5ml)に溶解し、Dess
−Martin ペルヨージナン(periodinane)(241mg,0
.588mmol)を添加した。この混合物を室温で6時間撹拌し、次いで酢酸
エチルで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液と共に10分間激しく撹拌し
た。有機溶液を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出
し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液を真空下で
濃縮して黄色ガラス状物252mgを得た。1H NMR分析は、構造(19b )を含む2つのジアステレオ異性ケトベンゾチアゾールの混合物を示した。
【0398】 (構造(20b)の合成:)
【化137】
【0399】 ケトベンゾチアゾール(構造(20))を以下のように合成した。ケトベンゾ
チアゾール(19)(41mg,0.047mmol)を95%トリフルオロ酢
酸水溶液(0.95ml)に溶解し、チオアニソール(0.05ml)を添加し
た。得られた暗色溶液を室温で30時間撹拌し、次いで、真空下で濃縮して暗褐
色ゴム状物にした。このゴム状物をジエチルエーテルで粉末化し、遠心分離した
。この溶液を除去し、残った固体をさらに2回、上記のように粉末化し、そして
回収した。この黄色固体を真空デシケーターで2時間乾燥し、次いで、HPLC
(Vydac逆相C−4カラム(22×250mm ID))で精製した。移動
相:A=水中、0.05% TFA;B=アセトニトリル中、0.05% TF
A。流速は10.0mL/分とした。使用した勾配は25分間で8% Bから2
2% Bまでであり、その後、22%の無勾配溶離とした。目的のピーク(構造
(20b))は42分に溶出し、脱保護された生成物(構造(20b))2.5
mgが得られた。
【0400】 MS(ES+):563.5(M+H+)。
【0401】 (実施例3) (代表的なβシート模倣物のタンパク質加水分解基質としての活性) この実施例では、本発明の代表的なβシート模倣物がトロンビンおよび第VI
I因子の基質として選択的に役立つ能力を例示する。上記構造(11b)のβシ
ート模倣物を、実施例1に開示した手順に従って合成し、さらに修飾することな
くこの実験で使用した。
【0402】 この実験のトロンビンアッセイおよび第VII因子アッセイは共に、Hita
chi UV/Vis分光光度計(モデルU−3000)を使用して37℃で行
なった。構造(11b)を脱イオン水に溶解した。濃度は342nmでの吸光度
から決定した。8270リットル/mol/cmの吸光係数を用いた。反応緩衝
液に関して、構造(11b)の加水分解速度は、9920リットル/mol/c
mというp−ニトロアニリンの吸光係数を用い、405nmにおける吸光度の変
化から決定した。初速度は反応進行曲線の最初の直線部分から計算した。速度論
的パラメーターは、GraFit(バージョン3.0, Erithacus
Software Limited)を用いて、実験データに対する簡単なミカ
エリス−メンテンの式の非加重非線形最小二乗フィッティングによって決定した
【0403】 トロンビンアッセイについては、pH8.4トリス緩衝液(トリス,0.05
M;NaCl,0.15M)中で実験を行なった。6.4 NIH単位のウシト
ロンビン(Sigma製)を10mlのアッセイ緩衝液に溶解して10nMトロ
ンビン溶液を得た。UVキュベットに130〜148μlの緩衝液および100
μlのトロンビン溶液を添加し、37℃で2分間プレインキュベートし、そして
最後に2〜20マイクロリットル(最終容積を250μlにする量)の0.24
mM構造(11b)溶液を添加して反応を開始した。この反応の最初の二分間を
初速度測定のために記録した。8つの構造(11b)濃度点を集めて速度論的パ
ラメーターを得た。kcatとKMは、それぞれ50s-1および3μMと計算された
。kcat/KMは1.67×107-1-1であることが分かった。
【0404】 第VII因子アッセイには、pH8.0トリス緩衝液(0.05M トリス,
5mM CaCl2,0.15M NaCl,0.1% TWEEN 20,0 .1% BSA)を使用した。10μlの20μMヒト第VIIa因子(FVI
Ia)および22μMヒト組織因子(TF)をアッセイ緩衝液に入れて、それぞ
れ160nM FVIIaおよびTF溶液を作製した。40〜48μlの緩衝液
、25μlのFVIIaおよび25μl TF溶液をキュベットに添加し、37
℃で5分間インキュベートし、次いで、2〜10μlの2.4mM構造(11b
)溶液をこのキュベットに添加して反応を開始した(最終容積は100mlであ
った)。最初の3分間の反応進行曲線を記録した。5つの構造(11b)濃度点
を集めた。この初速度を、GraFitを用いて、構造(11b)の濃度に対し
て線形最小二乗フィッティングした。kcat/KMをその傾きから計算し、17,
500M-1-1であることがわかった。
【0405】 この実験のトロンビンアッセイおよび第VII因子アッセイではどちらの場合
も、(D)FPR−PNAをコントロールとして実施した。このコントロールと
比較した構造(11b)の活性は、トロンビンおよび第VII因子について、そ
れぞれ0.76および1.38であった(第VII因子:Kcat/KM=1.27
×104-1-1;トロンビン:Kcat/KM=2.20×107-1-1)。
【0406】 (実施例4) (代表的なβシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性) この実施例は、トロンビン、第VII因子、第X因子、ウロキナーゼ、組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、プロテインC、プラスミンおよび
トリプシンのプロテアーゼインヒビターとして機能する、本発明の代表的なβシ
ート模倣物の能力を例示する。上記構造(13b)のβシート模倣物を、実施例
1に開示した手順に従って合成し、この実験で使用した。
【0407】 この実験の阻害アッセイは全て、Bio−Radマイクロプレートリーダー(
モデル3550)を用いて、96ウェルマイクロプレート中、室温で行なった。
0.29mgの構造(13b)を200mlの0.02N塩酸の脱イオン水溶液
に溶解した。この溶液(2.05mM)を、全ての阻害アッセイ用のストック溶
液とした。発色基質の加水分解を405nmでモニターした。典型的には30秒
〜2分間隔で90回プレートを読み取ることにより、反応進行曲線を記録した。
GraFitにおける、一次反応に対する非加重非線形最小二乗フィッティング
により、初速度を決定した。次いで、決定した初速度を、GraFitを用いて
構造(13b)の濃度に対して非線形最小二乗フィッティングすることによりI
50を得た。典型的には、IC50を決定するために8つの構造(13b)濃度点
を使用した。
【0408】 トロンビンアッセイについては、基質として、N−p−トシル−Gly−Pr
o−Arg−pNA(Sigma製)を、1%DMSO(v/v)、pH8.4
トリス緩衝液中、0.5mM濃度で使用した。構造(13b)ストック溶液から
2段階の希釈を行なった。先ず、0.02N塩酸塩溶液中に1:2000希釈、
次いで、pH8.4トリス緩衝液中に1:100希釈。この構造(13b)の最
終希釈液を第1点(10nM)とした。この第1点から、希釈率2で、7つの連
続希釈液を作成した。各反応ウェルに100μlの10nMトロンビン溶液およ
び50μlの構造(13b)溶液を添加した。酵素およびインヒビターの混合物
を20分間インキュベートし、次いで、100μlの0.5mM基質溶液を添加
して反応を開始させた。トロンビンに対する構造(13b)のIC50は1.2±
0.2nMであることがわかった。
【0409】 第VII因子アッセイでは、基質として、S−2288(Pharmacia
製)D−Ile−Pro−Arg−pNAを脱イオン水中20μMで使用した。
構造(13b)のストックから、pH8.0トリス緩衝液中に1:100希釈液
を作成した。この希釈液をこのインヒビターの第1点(20μM)とした。この
濃度点から、希釈率2で、さらに6つの連続希釈液を作成した。50μlの16
nM FVIIaおよびTF複合体溶液および40μlのインヒビター溶液を各
ウェルに添加し、この混合物を20分間インキュベートした後、10μlの20
mM S−2288を添加した。第VII因子に対する構造(13b)のIC50 は140±3nMであることがわかった。
【0410】 第X因子アッセイにおいて、緩衝液および基質は、トロンビンアッセイに使用
したものと同じである。pH8.4トリス緩衝液中に1:100希釈液を作って
、これを第1点とした。希釈率2で、7つの希釈液を作成した。アッセイプロト
コルは、トロンビンの代わりにpH8.4トリス緩衝液中の25nMウシの第X
a因子(Sigma製)を使用した点以外は、トロンビンの場合と同じである。
第X因子に対する構造(13b)のIC50は385±17nMであることがわか
った。
【0411】 ウロキナーゼアッセイにおいて、緩衝液は、脱イオン水中のpH8.8 0.
05Mトリスおよび0.05M NaClであった。水中0.5mMのS−24
44(Sigma製)、pyroGlu−Gly−Arg−pNAを基質として
使用した。第VII因子および第X因子の場合と同じ希釈手順を用いた。アッセ
イプロトコルは、18.5nMのヒトウロキナーゼ(Sigma製)を使用した
点以外は、トロンビンの場合と同じである。IC50は927±138nMである
ことが分かった。
【0412】 組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA):緩衝液、基質および構造
(13b)の希釈スキームは、第VII因子アッセイに利用したものと同じであ
った。
【0413】 活性化プロテインC(aPC):緩衝液はトロンビンアッセイで使用したもの
と同じであった。アッセイ緩衝液中の1.25mM S−2366を基質として
利用した。構造(13b)の希釈はウロキナーゼアッセイの場合と同じであった
【0414】 プラスミン:緩衝液(トロンビンアッセイを参照のこと);アッセイ緩衝液中
1.25mMのS−2551(Pharmacia製)、D−Val−Leu−
Lys−pNAを基質として使用した。構造(13b)の希釈についてはウロキ
ナーゼアッセイを参照のこと。
【0415】 トリプシンアッセイでは、pH7.8トリス(0.10M トリスおよび0.
02M CaCl2)を緩衝液として利用した。基質として、BAPNA(Si gma製)を、1%DMSO(v/v)脱イオン水溶液中、1mg/mlで使用
した。第VII因子アッセイの場合と同じ構造(13b)の希釈液を作成した。
40μlの50μg/mlウシトリプシン(Sigma製)および20μlの構
造(13b)溶液を反応ウェルに添加し、この混合物を5分間インキュベートし
た後、40μlの1mg/ml BAPNAを添加して反応を開始させた。トリ
プシンに対する構造(13b)のIC50は160±8nMであることがわかった
【0416】 前記のアッセイでは、(D)FPR−CH2Cl(「PPACK」)をコント ロールとして実施した。このコントロールと比較して構造(13b)の活性は高
かった(表4参照)。
【0417】
【表4】
【0418】 プロトロンビン時間(PT)については、100μlのコントロール血漿(S
igma製)を1〜5μlの緩衝液(0.05Mトリス,0.15M NaCl
,pH=8.4)または試験化合物(すなわちPPACKまたは構造(13b)
)と共に緩衝液中でインキュベート(37℃で30分間)することにより、これ
を決定した。次いで、予め温めておいた(37℃で約10分間)カルシウム入り
トロンボプラスチン(Sigma製)200μlを、前記血漿試料にすばやく添
加した。血塊が形成するのに要する時間をストップウォッチを用いて手動で記録
し(表5参照)、PPACKに匹敵することがわかった。
【0419】
【表5】
【0420】 (実施例5) (代表的なβシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性) この実施例では、トロンビン、第VII因子、第X因子、ウロキナーゼ、組織
プラスミノーゲンアクチベーター、活性化プロテインC、プラスミン、トリプタ
ーゼおよびトリプシンのインヒビターとして機能する、本発明のさらなる代表的
なβシート模倣物の能力を例示する。前記構造(20b)のβシート模倣物を実
施例2に開示した手順に従って合成し、この実験に使用した。
【0421】 Bio−Radマイクロプレートリーダー(モデル3550)を用いて、全て
の阻害アッセイを96ウェルマイクロプレート中、室温で行なった。構造(20
b)の1mM水溶液を、全ての阻害アッセイ用のストック溶液とした。発色基質
の加水分解を405nmでモニターした。代表的には30秒〜2分間隔で60回
プレートを読み取ることにより、反応進行曲線を記録した。GraFit(Er
ithacus Software Limited, London, En
gland)における、一次反応に対する非加重非線形最小二乗フィッティング
により、初速度を決定した。次いで、決定した初速度を、GraFitを用いて
構造(20b)の濃度に対して非線形最小二乗フィッティングすることにより、
Kiを得た。これらアッセイの一般的形式は次の通りである:100mlの基質
溶液および100mlの構造(20b)溶液をマイクロプレートウェルに添加し
、次いで50mlの酵素溶液を添加して反応を開始させた。通常、Kiの決定に
は、8つの構造(20b)濃度点を使用した。9種類のセリンプロテアーゼに対
する構造(20b)のKi値を表6に示す。
【0422】 トロンビン:基質として、N−p−トシル−Gly−Pro−Arg−pNA
(Sigma製)を1%DMSO(v/v)のpH8.0トリス緩衝液(トリス
,50mM、Tween 20、0.1%、BSA,0.1%、NaCl,0.
15M、CaCl2,5mM)中、0.5mM濃度で使用した。構造(20b) ストック溶液から2段階の希釈を行なった。先ず水中の1:100希釈液を作り
、次いでpH8.0トリス緩衝液中の1:50希釈液を作って、それを第1点(
200nM)とした。その第1点から、アッセイ用に、7つの連続希釈液を作成
した。
【0423】 第VII因子:pH8.0トリス緩衝液(トロンビンアッセイを参照のこと)
中2.05mMのS−2288(Pharmacia製)、D−Ile−Pro
−Arg−pNAを使用した。構造(20b)のストックから、1:100希釈
液をトリス緩衝液中に作成した。この濃度点から、アッセイ用に、さらに7つの
連続希釈液を作成した。
【0424】 第X因子:緩衝液および基質はトロンビンアッセイに用いたものと同じとした
。pH8.0トリス緩衝液中に1:100希釈液を作成し、それを第1点とした
。その第1点から、アッセイ用に、さらに7つの希釈液を作成した。
【0425】 ウロキナーゼ:緩衝液,50mMトリス、50mM NaCl、pH=8.8
。緩衝液中0.25mMのS−2444(Sigma製)、pyroGlu−G
ly−Arg−pNAを基質として利用した。構造(20b)のストックから、
第1点として、緩衝液中に1:10希釈液を作成し、その第1点からアッセイ用
に、さらに7つの希釈液を作成した。
【0426】 組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA):緩衝液、基質および構造
(20b)の希釈スキームは、第VII因子アッセイに用いたものと同じとした
【0427】 活性化プロテインC(aPC):緩衝液はトロンビンアッセイで用いたものと
同じとした。アッセイ緩衝液中1.25mMのS−2366を基質として利用し
た。構造(20b)の希釈液はウロキナーゼアッセイの場合と同じとした。
【0428】 プラスミン:緩衝液(トロンビンアッセイを参照のこと);アッセイ緩衝液中
1.25mMのS−2251(Pharmacia製)、D−Val−Leu−
Lys−pNAを基質として利用した。構造(20b)の希釈についてはウロキ
ナーゼアッセイを参照のこと。
【0429】 トリプターゼ:0.1Mトリス、0.2M NaCl、0.1mg/ml ヘ
パリン、pH=8.0を緩衝液として利用した。緩衝液中の0.5mM S−2
366(Pharmacia製)、L−pyroGlu−Pro−Arg−pN
Aを基質として使用した。構造(20b)の1mMストックから、水中に10m
M溶液を作成し、次いでこの10mM溶液から緩衝液中に1mM溶液を作成し、
それを第1濃度点とした。この点から、アッセイ用に、さらに7つの希釈液を作
成した。
【0430】 トリプシン:緩衝液、基質および構造(20b)の希釈スキームは、トロンビ
ンに使用したものと同じであった。
【0431】
【表6】
【0432】 前記表6に示すデータによって例示されるように、構造(20b)は、繊維素
溶解酵素に対して良好な特異性を持つ良好なトロンビンインヒビターとして機能
した。
【0433】 (実施例6) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、下記の構造(21)を有する本発明の代表的なβシート模倣
物の合成を例示する。
【0434】
【化138】
【0435】 構造(21)を次のように合成した。CH2Cl2 0.43mL中のNa−FM
OC−Ne−Cbz−a−エタナール−Lys−Ome[Phe−OMeから構 造(5)を調製するために使用した方法と同じ方法によって、Ne−Cbz−L ys−OMeから合成したもの]48mg(0.859mmol)、Cys−O
Et.HCl 15.9mg(0.0859mmol)およびTEA 13.2
μL(0.0945mmol)の溶液をAr下に室温で2時間撹拌した。ビス(
ビス(トリメチルシリル)アミノ)スズ(II)(39.8μL)を添加し、こ
の反応系を一晩撹拌した。この反応溶液を10mLのEtOAcで希釈し、各6
mLの10%クエン酸、水およびブラインで洗浄した。この有機層をNa2SO4 で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。得られた残渣を、40%EtOAc/ヘキ
サンを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、真
空乾燥後に、無色の油状物12.9mg(23%)をジアステレオマーの混合物
1H NMR(CDCl3)による)として得た。MS ES(+)m/z 6
58.2(MH+,30),675.3(M+Na+,100),696.1(M
+K+,45)。
【0436】 (実施例7) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する
【0437】 (構造(22)の合成:)
【0438】
【化139】
【0439】 構造(22)を次のように合成した。ジクロロメタン(100ml)中のDM
AP(270mg)およびメタノール(3ml)と共に撹拌したCbz−Glu
(OBn)−OH(5g,13.5mmol)の溶液に、0℃でEDCI(3g
)を添加した。0℃で3時間撹拌した後、この溶液を室温(rt)で一夜撹拌し
た。濃縮後、この残渣をEtOAc(100ml)および1N HCl(100
ml)に取り出した。水相を分離し、EtOAc(100ml)で抽出した。合
わせた有機抽出物を飽和NaHCO3(100ml)、ブライン(100ml) で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、シリカゲルの短いパッドに通し、濃縮して、 4.95gの油状物(95%)を得た。この生成物は、さらに精製しなくても次
の反応に使用できるほど純粋だった。
【0440】
【数11】
【0441】 (構造(23)の合成:)
【0442】
【化140】
【0443】 構造(23)を次のように合成した。1,4−ジオキサン(40ml)および
2O(20ml)中でトリエチルアミン(8.4ml,60mmol)と共に 撹拌したL−Glu−OH(4.41g,30mmol)の溶液に、Boc2O (7g,32mmol)を室温で添加した。1.5時間撹拌した後、この溶液を
6N HCl(pH2)で酸性化し、EtOAc(3×100ml)で抽出した
。合わせた有機抽出物をH2O(100ml)、ブライン(50ml)で洗浄し 、乾燥(Na2SO4)し、そして濃縮して、油状物(9.5g)を得た。さらに
精製することなく、この油状物を次の反応に使用した。
【0444】 1,2−ジクロロエタン(200ml)中の前記油状物(9.5g)とパラホ
ルムアルデヒド(5g)およびp−TsOH・H2O(400mg)との混合物 を、モレキュラーシーブ4Aを満たしたDean−Stark冷却器を用いて6
時間加熱還流した。EtOAc(100ml)および飽和NaHCO3(50m l)を添加した後、この溶液を飽和NaHCO3(3×50ml)で抽出した。 合わせた水性抽出物を6N HCl(pH2)で酸性化し、EtOAc(3×1
00ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(100ml)で洗浄し
、乾燥(Na2SO4)し、そして濃縮して油状物を得た。この粗製油状物をフラ
ッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=80:20から70:30
から60:40)で精製することにより、油状物(4.04g,52%)を得た
。この油状物は静置するとゆっくりと固化した。
【0445】
【数12】
【0446】 (構造(24)の合成:)
【0447】
【化141】
【0448】 構造(24)を次のように合成した。THF(10ml)中の1,1,1,3
,3,3−ヘキサメチルジシラザン(2.1ml,10mmol)の撹拌溶液に
0℃でn−BuLi(4mlの2.5Mヘキサン溶液,10mmol)を添加し
た。得られた溶液を同じ温度で30分間撹拌した。−78℃に冷却した後、この
撹拌溶液にTHF(10ml)中のカルボン酸(23)(1.02g,3.94
mmol)の溶液を添加し、続いてこの添加注射器をTHF 5mlでリンスし
た。得られた溶液を−78℃で1時間撹拌し、PhCH2Br(0.46ml, 3.9mmol)を添加した。−30℃で3時間撹拌した後、この溶液に1N
HCl(50ml)を添加し、得られた溶液をEtOAc(100ml)で抽出
した。この有機抽出物をブライン(50ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し
、そして濃縮して油状物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー
(ヘキサン:EtOAc=80:20から60:40から50:50)で精製す
ることにより、泡状の固体(1.35g,98%)を得た。
【0449】
【数13】
【0450】 (構造(25)の合成:)
【化142】
【0451】 構造(25)の合成を次のように行なった。乾燥THF(5ml)中のカルボ
ン酸(24)(1.05g,3.0mmol)の撹拌溶液に、室温で1,1’−
カルボニルジイミダゾール(500mg,3.1mmol)を添加した。得られ
た溶液を室温で30分間撹拌した。このアシルイミダゾールの溶液を精製するこ
となく次の反応に使用した。
【0452】 一方、THF(5ml)中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザ
ン(1.6ml,7.5mmol)の撹拌溶液にn−BuLi(3mlの2.5
Mヘキサン溶液,7.5mmol)を0℃で添加した。同じ温度で30分間撹拌
した後、この溶液を−78℃まで冷却した。この撹拌溶液に、THF(5ml)
中のCbz−Glu(OBn)−OMe(1.16g,3mmol)の溶液を添
加し、続いてこの添加注射器をTHF 2mlでリンスした。得られた溶液を同
じ温度で15分間撹拌した。この撹拌溶液に、THF 3ml中の前記アシルイ
ミダゾールを添加した。−78℃で30分間撹拌した後、この溶液に飽和NH4 Cl(50ml)を添加し、EtOAc(2×75ml)で抽出した。合わせた
有機抽出物を飽和NaHCO3(50ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、 乾燥(Na2SO4)し、シリカゲルの短いパッドに通し、濃縮して油状物を得た
。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=90
:10から80:20から70:30から60:40)で精製することにより、
油状物(1.48g,69%)を得た:MS(ES+)m/z 734.4(M
+NH4 +)。
【0453】 (構造(26a)の合成:)
【化143】
【0454】 構造(26a)を次のように合成した。EtOH/AcOH(10/1ml)
中の前記出発ケトエステル(25)(530mg,0.7mmol)の撹拌溶液
を、20atmのH2圧下、10%Pd/C(約100mg)で2日間処理した 。セライトの短いパッドを通して濾過した後、この濾液を濃縮して、EtOAc
(50ml)に溶解した。この溶液を1N HCl(30ml)、飽和NaHC
3(30ml)、ブライン(30ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そ して濃縮して油状物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘ
キサン:EtOAc=80:20から60:40から50:50から20:80
から0:100)で精製することにより、泡状の固体(95mg,34%)を得
た。
【0455】
【数14】
【0456】 立体化学は2D NMRで割り当てた。
【0457】 (構造(27a)の合成:)
【化144】
【0458】 構造(27a)を次のように合成した。室温のTHF 1ml中で撹拌した二
環式エステル(26a)28mg(0.070mmol)の溶液に、1.0M水
酸化リチウム水溶液0.14mlを添加した。この混合物を20時間激しく撹拌
し、次いで5%クエン酸水溶液(1ml)でクエンチした。この混合物を酢酸エ
チル(3×25ml)で抽出し、次いで合わせた抽出物を水とブラインで洗浄し
、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過と、真空下にこの濾液を濃縮することに
より、白色泡状物26mgを得て、それをさらに精製することなく使用した。
【0459】 (構造(28a)の合成:)
【0460】
【化145】
【0461】 構造(28a)を以下のように合成した。二環式酸(27a)(26mg,0
.067mmol)、ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩(構造
(17)61mg,0.083mmol)、EDC(21mg,0.11mmo
l)およびHOBt水和物(16mg,0.10mmol)をTHF(5ml)
に溶解し、そして、ジイソプロピルエチルアミン(0.34ml,1.9mmo
l)を添加した。この混合物を室温で15時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈
し、そして5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブライ
ンで順次抽出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そし
て真空下で濃縮して、60mgの黄色ガラス状物とした。1H NMR分析によ り、4つのジアステレオマーアミドの混合物が示された。MS(ES+):m/
z 898(M+Na+)。
【0462】 (構造(29a)の合成:)
【化146】
【0463】 構造(29a)のβシート模倣物を以下のように合成した。粗ヒドロキシベン
ゾチアゾール(28a)(60mg,0.068mmol)をCH2Cl2(2m
l)に溶解し、Dess−Martinペルヨージナン(58mg,0.14m
mol)を添加した。この混合物を室温で6時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希
釈し、そして10%チオ硫酸ナトリウム水溶液と共に10分間激しく撹拌した。
この有機溶液を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出
し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液を真空下で
濃縮することによって、42mgの黄色ガラス状物を得た。1H NMR分析に より、2つのジアステレオマーのケトベンゾチアゾールの混合物が示された。
【0464】 このケトベンゾチアゾール(42mg,0.048mmol)を95%トリフ
ルオロ酢酸水溶液(0.95ml)に溶解し、そしてチオアニソール(0.05
ml)を添加した。得られた濃色溶液を室温で18時間撹拌し、次いで真空下で
濃縮して濃褐色ゴム状物とした。このゴム状物をジエチルエーテルで粉末化し、
そして遠心分離した。溶液を除去し、残った固体をさらに2回、上記のように粉
末化し、そして回収した。黄色固体を真空デシケーター中で2時間乾燥し、次い
でHPLCにより精製して、1.4mgの脱保護された生成物を得た。MS(E
S+):562.4(M+H+)。HPLC:(tR=21.17分)。
【0465】 (構造(26b)の合成:)
【化147】
【0466】 構造(26b)を以下のように合成した。MeOH/AcOH(10/1ml
)中の上記出発ケトエステル(25)(615mg,0.86mmol)の撹拌
溶液を、3日間20atmのH2圧下で、10%Pd/C(約60mg)で処理 した。Celiteの短いパッドを通して濾過した後、この濾液を濃縮して油状
物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOA
c=80:20から60:40から50:50から0:100)により精製して
、より極性の高い画分(50mg)を回収した。Rf 0.12(ヘキサン:E
tOAc=60:40);MS(ES+)m/z 433(M+H+)。
【0467】 上記油状物を、2日間還流温度で1,2−ジクロロエタン(10 ml)中p
−TsOH・H2O(5mg)で処理した。濃縮後、油状生成物を分取TLC( ヘキサン:EtOAc=80:20から60:40)により精製して、油状物(
10mg)を得た。TLC Rf 0.36(ヘキサン:EtOAc=60:4
0)
【0468】
【数15】
【0469】 立体化学は2D NMRにより割り当てた。
【0470】 (構造(28b)の合成:)
【化148】
【0471】 構造(28b)を以下のように合成した。室温でTHF 1ml中で撹拌した
二環式エステル(26b)12mg(0.030mmol)の溶液に、0.06
0mlの1.0M水酸化リチウム水溶液を添加した。この混合物を25時間激し
く撹拌し、次いで5%クエン酸水溶液(1ml)でクエンチした。この混合物を
酢酸エチル(3×25ml)で抽出し、次いで合わせた抽出物を水およびブライ
ンで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濾液の真空下で
の濃縮により、19mgの白色泡状物を得た。
【0472】 この泡状物、ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩(30mg,
0.041mmol)、EDC(10mg,0.052mmol)およびHOB
t水和物(9mg,0.059mmol)をTHF(2ml)中に溶解し、そし
て、ジイソプロピルエチルアミン(0.026ml,0.15mmol)を添加
した。この混合物を室温で30時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして
5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽
出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し
て28mgの黄色ガラス状物とした。1H NMR分析により、4つのジアステ レオマーアミドの混合物が示された。MS(ES+):m/z 898(M+N
+)。
【0473】 (構造(29b)の合成:)
【化149】
【0474】 構造(29b)を以下のように合成した。粗ヒドロキシベンゾチアゾール(2
8b)(28mg)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、そしてDess−Mar
tinペルヨージナン(29mg,0.071mmol)を添加した。この混合
物を室温で18時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして10%チオ硫酸
ナトリウム水溶液と共に10分間激しく撹拌した。この有機溶液を分離し、飽和
重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出し、次いで無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、そして濾過した。この濾液の真空下での濃縮により、32mgの黄
色ガラス状物を得た。1H NMR分析により2つのジアステレオマーケトベン ゾチアゾールの混合物が示された。
【0475】 このケトベンゾチアゾール(32mg)を95%トリフルオロ酢酸水溶液(0
.95ml)に溶解し、そしてチオアニソール(0.05ml)を添加した。得
られた濃色溶液を室温で20時間撹拌し、次いで真空下で濃縮して濃褐色ゴム状
物とした。このゴム状物をジエチルエーテルで粉末化し、そして遠心分離した。
溶液を除去し、残った固体をさらに2回、上記のように粉末化し、そして回収し
た。黄色固体を真空デシケーター中で2時間乾燥し、次いでHPLCにより精製
して、1.3mgの脱保護された生成物を得た。MS(FB+):562.36
(M+H+);HPLC:tR=21.51分(勾配 40分間にわたって0から
90% CH3CN中の0.1%TFA/H2O中の0.1%TFA)。
【0476】 (実施例8) (代表的なβシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性) この実施例は、トロンビン、第VII因子、第X因子、第XI因子およびトリ
プシンのインヒビターとして機能する、本発明のさらなる代表的なβシート模倣
物の能力を例示する。上記構造(29a)および(29b)のβシート模倣物を
実施例7に開示した手順に従って合成し、そしてこの実験で使用した。
【0477】 プロテイナーゼインヒビターアッセイは、第XI因子について以下に記載した
以外は、実施例5に記載したように行なった。結果を表7に示す。
【0478】 第XI因子。このアッセイにおいては、トロンビンアッセイと同じ緩衝液を利
用した。1mM S−2366(Pharmacia製)、L−pyroGlu
−Pro−Arg−pNA水溶液を、基質として用いた。構造(29a)または
(29b)の1mMストック水溶液から、緩衝液中の1:10希釈液を作製した
。この100μM溶液から、アッセイ用緩衝液中の7つの連続1:5希釈液を作
製した。
【0479】
【表7】
【0480】 (実施例9) (代表的なβシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性) この実施例は、トロンビン、第VII因子、第X因子、第XI因子、トリプタ
ーゼ、aPC、プラスミン、tPA、ウロキナーゼおよびトリプシンのインヒビ
ターとして機能する、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の能力を例示す
る。上記構造(20)および(29b)のβシート模倣物をそれぞれ実施例2お
よび7に開示した手順に従って合成し、そしてこの実験に使用した。
【0481】 プロテイナーゼインヒビターアッセイは、第XI因子について実施例8に記載
したように行った以外は、実施例5に記載されているように行なった。結果を表
8に示す。
【0482】
【表8】
【0483】 *選択性はトロンビンのKiに対する酵素のKiの比率である。
【0484】 (実施例10) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例は、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
【0485】 (構造(30)の合成:)
【化150】
【0486】 構造(30)を以下のように合成した。n−ブチルリチウム(700μL,1
.75mmol,ヘキサン中2.5M)を、−78℃のTHF(1ml)中のト
リス(メチルチオ)メタン(256μL,1.95mmol)の溶液に5分間に
わたって添加した。この混合物を40分間撹拌し、次いで2mlのTHF中のビ
ス−Boc−アルギニナール(実施例2の構造(16))(100mg,1.7
5mmol)の溶液を滴下して5分間にわたって処理した。1.5時間撹拌した
後、反応系を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、そして室温まで戻した。層を分 離し、そして水層をEtOAcで抽出し(3×)、ブラインで洗浄し(1×)、
乾燥し(Na2SO4)、そして濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(Et
OAc:ヘキサン 1:4)による精製により、93mg(73%)のオルトチ
オメチルエステル(構造(30))および8mgの回収アルデヒド(構造(16
))を得た。
【0487】
【数16】
【0488】 (構造(31)の合成:)
【0489】
【化151】
【0490】 構造(31)を以下のように合成した。2.5mlの12:1メタノール/水
中の77mg(0.11mmol)のオルトチオメチルエステル(構造(30)
)、117mg(0.43mmol)の塩化第二水銀および39mg(0.18
mmol)の酸化第二水銀の混合物を室温で4時間撹拌した。この混合物をセラ
イトを通して濾過し、そして残渣をEtOAcで洗浄した(3×)。濾液を水で
希釈し、そしてEtOAcで抽出した(3×)。有機層を75%NH4OAc/ NH4Clで2回洗浄し、次いでNH4Clで洗浄し、そして乾燥(Na2SO4
した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(E
tOAc/Hex,1:3)により精製して、48mg(72%)の構造(31
)の2つのジアステレオマーを1:2.7の比率で得た。
【0491】
【数17】
【0492】 (構造(32)の合成:)
【0493】
【化152】
【0494】 構造(32)を以下のように合成した。THF/水(4ml,1:3)中の3
2mgのメチルエステル(構造(31))(0.051mmol)の溶液を5m
g(0.119mmol)のLiOH・H2Oで処理した。45分間撹拌した後 、反応物を5%クエン酸で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した(3×)。合わ
せた抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して、30m
g(96%)の構造(32)を白色固体として得た。この生成物をさらに精製す
ることなく使用した。
【0495】
【数18】
【0496】 (構造(33)の合成:)
【0497】
【化153】
【0498】 構造(33)を以下のように合成した。THF(5ml)中の構造(32)の
化合物(29mg,0.047mmol)、HOBt(8mg,0.056mm
ol)およびEDC(11mg,0.056mmol)の溶液に、フェネチルア
ミン(7ml,0.056mmol)を添加し、続いてジイソプロピルエチルア
ミン(12μL,0.071mmol)を添加した。この反応混合物を室温で一
晩撹拌し、そして5%クエン酸で希釈した。有機層を分離し、そして水相をEt
OAcで抽出した(3×)。合わせた抽出物をNaHCO3の飽和溶液、ブライ ンで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして濾過した。濃縮後、粗生成物をクロマ
トグラフィー(EtOAc/Hex,1:1)で2段階で精製して、26mg(
77%)の構造(33)を得た。
【0499】
【数19】
【0500】 (構造(34)の合成:)
【0501】
【化154】
【0502】 構造(34)を以下のように合成した。THF(5ml)中のフェネチルアミ
ド(構造(33),25mg,0.035mmol)の溶液に、18mgのp−
トルエンスルホン酸一水和物(0.093mmol)を添加した。この反応混合
物を室温で一晩撹拌して、TLCによるベースラインスポットを得た。この溶液
を真空下で濃縮し、そして残渣をエーテルで2回洗浄して過剰のpTsOHを除
去して、構造(34)を黄白色固体として得、これをさらに精製することなく使
用した。1H NMR(500MHz, CDCl3)は予想された生成物と一致
したが、個々のピークの割り当てはブロードになったため困難であった。MS(
ES+)m/z 520.4(M+H+)。
【0503】 構造(34)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成につ
いて実施例2において記載した手順と類似の方法で)、続いて酸化および脱保護
を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して
記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(35)を得た。
【0504】 (実施例11) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例は、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
【0505】 (構造(36)の合成:)
【0506】
【化155】
【0507】 構造(36)を、ベンジルアミンおよび構造(32)から出発して、化合物(
34)と類似の方法で合成した。1H NMR(500MHz,CDCl3)は予
想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロードになったため
困難であった。MS(FAB+)m/z 506.4(M+H+)。
【0508】 構造(36)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成につ
いて実施例2において記載した手順と類似の方法で)、続いて酸化および脱保護
を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して
記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(37)を得た。
【0509】 (実施例12) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例は、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
【0510】 (構造(38)の合成:)
【0511】
【化156】
【0512】 構造(38)を、p−クロロフェネチルアミンおよび構造(32)から出発し
て、構造(34)と類似の方法で合成した。1H NMR(500MHz,CD Cl3)は予想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロード なため困難であった。MS(ES+)m/z 554.5(M+H+)。
【0513】 構造(38)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成につ
いて実施例2において記載した手順と類似の方法で)、続いて酸化および脱保護
を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して
記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(39)を得た。
【0514】 (実施例13) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する
【0515】 (構造(40)の合成:)
【0516】
【化157】
【0517】 構造(40)を、p−メトキシフェネチルアミンおよび構造(32)を用いて
、化合物(34)と類似の方法で合成した。1H NMR(500MHz,CD Cl3)は予想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロード なため困難であった。MS(ES+)m/z 550.5(M+H+)。
【0518】 構造(40)を、実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成に
ついて実施例2において記載した手順と類似の方法で)、続いて酸化および脱保
護を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関し
て記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(41)を得た。
【0519】 (実施例14) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する
【0520】 (構造(42)の合成:)
【0521】
【化158】
【0522】 構造(42)を次のように調製した。10ml丸底フラスコにCH2Cl2(1
0ml)、2,3−ジメチルアミノプロピオン酸メチル二塩酸塩(19.9mg
,0.103mmol,1.5当量)およびジイソプロピルエチルアミン(53
ml,0.304mmol,4.4当量)を添加した。この懸濁液を室温で1時
間マグネチックで撹拌した時点で、構造(30)の化合物(50mg,0.06
8mmol,1当量)、塩化水銀(II)(82.4mg,0.304mmol
,4.4当量)および酸化水銀(II)(25.7mg,0.120mmol,
1.7当量)を添加した。得られた黄色懸濁液を16.5時間撹拌した。この間
に懸濁液は灰色に変色した。この反応物をCH2Cl2(50ml)で希釈し、飽
和NH4Cl水溶液(5ml)、飽和NaCl水溶液(5ml)で洗浄し、Na2 SO4で乾燥した。この濁った懸濁液を濾過し、そして溶媒を真空下で除去した 。この白色固体を分取薄層クロマトグラフィーで精製することにより、イミダゾ
リン構造(42)(25.3mg,収率52%)を透明な非晶質固体として得た
【0523】
【数20】
【0524】 (構造(43)の合成:)
【0525】
【化159】
【0526】 構造(43)を次のように合成した。25ml丸底フラスコに、構造(42)
の化合物(230mg,0.33mmol)、CHCl3(5ml)およびMn O2(500mg,5.75mmol,17.4当量)を入れた。5時間撹拌し た後、この懸濁液を濾過し、固体をメタノールで洗浄した。溶媒を真空下で除去
し、残渣を酢酸エチル(5ml)およびメタノール(1ml)に溶解し、新たな
MnO2(500mg)を入れて、この反応系を室温で15時間撹拌した。固体 を濾過し、溶媒を真空下で除去した。この残渣をシリカゲルによるカラムクロマ
トグラフィー(1:1酢酸エチル:ヘキサンで溶出し、次いで純粋な酢酸エチル
で溶出し、次いで1:9メタノール:酢酸エチルで溶出)で精製することにより
、所望の生成物(構造(43),190mg,収率83%)を非晶質固体として
得た。
【0527】
【数21】
【0528】 (構造(44)の合成:)
【0529】
【化160】
【0530】 構造(44)を、構造(33)から構造(34)への構築に使用した方法と同
じ方法によって合成した。この生成物をさらに精製することなくカップリングに
使用した。
【0531】 構造(44)を実施例1の構造(9a)と(構造(18)の合成について実施
例2に記述した手順と類似の方法で)反応させた後、(それぞれ構造(19)の
脱保護に関して記載した方法と類似の方法で)脱保護を行なうことにより、下記
表9に示す構造(45)を得た。構造(45)の調製では、このカップリング段
階を、類似のヒドロキシ化合物ではなく構造(44)のカルボニル化合物で行な
った。
【0532】 (実施例15) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する
【0533】 (構造(46)の合成:)
【0534】
【化161】
【0535】 構造(46)を、構造(16)およびチアゾールから出発して、構造(17)
と類似の様式で合成した。この化合物をさらに精製することなくカップリング段
階に使用した。
【0536】 構造(46)を実施例1の構造(9a)と(構造(18)の合成について実施
例2に記述した方法と類似の方法で)反応させた後、(それぞれ構造(18)お
よび(19)の酸化および脱保護に関して記載した方法と類似の方法で)酸化お
よび脱保護を行なうことにより、下記表9に示す構造(47)を得た。
【0537】 (実施例16) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する
【0538】 (構造(48)の合成:)
【0539】
【化162】
【0540】 −25℃のTHF(5ml)中で撹拌したα−Boc−β−Fmoc−2,3
−ジアミノプロピオン酸(818mg,1.92mmol)の溶液に、4−メチ
ルモルホリン(0.23ml,2.1mmol)を添加し、続いてクロロギ酸イ
ソブチル(0.25ml,1.9mmol)を添加した。得られた懸濁液を5分
間撹拌し、次いで5mlのTHFを使って濾過した。この濾液を氷/水浴で冷却
し、次いで、水(2.5ml)に溶解したホウ水素化ナトリウム(152mg,
0.40mmol)を滴下した。この混合物を15分間撹拌し、次いで、水(5
0ml)を添加し、この混合物をCH2Cl2(3×50ml)で抽出した。合わ
せた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液
を真空下で濃縮することにより、淡黄色固体を得、それをフラッシュクロマトグ
ラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン溶離液)で精製して、596mgのアル
コールを白色固体として得た。
【0541】 このアルコール(224mg,0.543mmol)を塩化メチレンに溶解し
、Dess−Martinペルヨージナン(262mg,0.64mmol)を
添加した。この混合物を室温で1時間撹拌し、次いで酢酸エチル(50ml)で
希釈し、10%Na223水溶液、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで順
次抽出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃
縮して白色固体を得た。この固体をフラッシュクロマトグラフィーで精製するこ
とにより、169mgのアルデヒド構造(48)を白色固体として得た。
【0542】 (構造(49)の合成:)
【0543】
【化163】
【0544】 構造(49)を、構造(48)およびベンゾチアゾールから出発して、構造(
17)と類似の様式で合成した。この化合物を、ジアステレオマーの1:1混合
物として、さらに精製することなくカップリング段階(下記)に使用した。MS
(EI+):m/z 446.4(M+H+)。
【0545】 (構造(50)の合成:)
【0546】
【化164】
【0547】 構造(49)および二環式酸構造(9a)(27mg,0.069mmol)
およびHOBt水和物(71mg,0.46mmol)をTHF(1ml)に溶
解し、ジイソプロピルエチルアミン(0.0.059ml,0.34mmol)
を添加し、続いてEDC(19mg,0.099mmol)を添加した。この混
合物を室温で20時間撹拌し、次いで、酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶
液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽出した。この有機
溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して黄色泡状物61
mgを得た。1H NMR分析は、ジアステレオマーアミドの混合物を示した。
【0548】 この泡状物をCH3CNに溶解し、ジエチルアミンを添加した。この溶液を室 温で30分間撹拌し、次いで、真空下で濃縮して黄色泡状物を得た。この泡状物
をヘキサンでリンスし、DMF(0.5ml)に溶解した。別のフラスコで、カ
ルボニルジイミダゾール(16mg,0.99mmol)およびグアニジンヒド
ロクロリド(10mg,0.10mmol)をDMF(1ml)に溶解し、ジイ
ソプロピルエチルアミン(0.035ml,0.20mmol)を添加し、続い
てDMAP(1mg)を添加した。この溶液を室温で1.5時間撹拌し、次いで
、前記アミンの溶液を添加し、撹拌を16時間続けた。この溶液を真空下で濃縮
し、次いでこの残渣に水を添加し、この混合物を酢酸エチル(3×25ml)で
抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
そして濾過した。濾液を真空下で濃縮して、58mgの構造(50)を黄色泡状
物として得た。MS(ES+):m/z 680.6(M+H+)。
【0549】 構造(50)を酸化して、構造(51)の対応するケトンを得た。
【0550】 (実施例17) (代表的なβシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性) この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物がトロンビン、第
VII因子、第X因子、第XI因子、トリプターゼ、aPC、プラスミン、tP
A、ウロキナーゼ、トロンビン−トロンボモジュリン複合体およびトリプシンの
インヒビターとして機能する能力を例示する。表9に挙げる構造のβシート模倣
物は表10に示す阻害活性を有した。
【0551】 プロテイナーゼインヒビターアッセイは実施例9に記述したように行なった。
トロンビン−トロンボモジュリン複合体に関するアッセイは、インヒビターおよ
び基質の添加の前に、トロンビンを4nMトロンボモジュリンと共に室温で20
分間プレインキュベートした点を除き、トロンビンの場合と同様に行なった。
【0552】
【表9】
【0553】 δ B=CHに関するテンプレートの立体化学は、注記する場合を除き(脚
注εを参照)、(3R,6R,9S)である。
【0554】 ε テンプレート立体化学は(3S,6R,9S)である。
【0555】 ★ HPLCは、0〜90%アセトニトリル/水、0.1%TFAの勾配を
用い、逆相C−18カラムで行なった。
【0556】
【表10】
【0557】 (実施例18) (血管移植片における血小板沈着に対する代表的なβシート模倣物の効果) 血管移植片における血小板沈着に対する本発明化合物の効果を、Kellyら
,Proc. Natl. Acad. Sci., USA 89:6040
−6044(1992)に記述されているようにシャントに対して近位に化合物
を導入した点を除き、Hansonら「合成抗トロンビンD−フェニルアラニル
−L−プロリル−L−アルギニルクロロメチルケトンによる急性血小板依存性血
栓症の妨害」Proc. Natl. Acad. Sci., USA 85
:3148−3188(1988)の手順に従って測定した。その結果を構造(
20b)、(39)および(29b)について、それぞれ図1、2および3に示
す。
【0558】 (実施例19) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例では、下記の構造を有する本発明のさらなる代表的なβシート模倣
物の合成を例示する。
【0559】
【化165】
【0560】 構造(52)を、実施例2の中間体(16)の代わりに下記中間体(53)を
用いることによって合成し得る:
【0561】
【化166】
【0562】 中間体(53)を、次の反応スキームに従って合成し得る:
【0563】
【化167】
【0564】 あるいは、中間体(53)を、下記反応スキームに従って合成し得る:
【0565】
【化168】
【0566】 (実施例20) (MHC IおよびMHC IIに結合する代表的なβシート模倣物) 以下の構造(54)、(55)および(56)を、本明細書中で開示された技
術により合成した。
【0567】 構造(54)および(55)がMHC I分子に結合する能力は、Ellio
tら(Nature 351:402−406,1991)により記載されるよ
うに、本質的に証明され得る。同様に、構造(56)がMHC II分子に結合
する能力は、Kwokら(J.Immunol.155:2468−2476,
1995)の手順によって証明され得る。
【0568】
【化169】
【0569】 (実施例21) (SH2ドメインに結合する代表的なβシート模倣物) 以下の構造(57)を、本明細書中に開示された技術により合成し、そして構
造(58)を合成し得る。
【0570】
【化170】
【0571】 MS ES(−)104.3(M−H+-;HPLC Rt 17.28’(0 −90% アセトニトリル/H2O,0.1% TFA)。
【0572】
【化171】
【0573】 構造(58)がSTAT6のSH2ドメインに結合する能力、または構造(5
7)がタンパク質チロシンホスファターゼSH−PTP1のSH2ドメインに結
合する能力は、Payneら(PNAS 90:4902−4906,1993
)により開示された手順によって証明され得る。SH2結合模倣物のライブラリ
ーを、Songyangら(Cell 72:767−778,1993)の手
順によってスクリーニングし得る。
【0574】 (実施例22) (タンパク質キナーゼに結合する代表的なβシート模倣物) 以下の構造(59)を、本明細書中に開示された技術により合成し得る。
【0575】
【化172】
【0576】 構造(59)がタンパク質キナーゼの基質またはインヒビターとして働く能力
を、Songyangら(Current Biology 4:973−98
2,1994)の手順により証明し得る。
【0577】 (実施例23) (代表的なβシート模倣物の合成) 本実施例は以下の構造(60)〜(63)を有する本発明の代表的なβシート
模倣物の合成を例示し、ここで、BはNまたはCHである:
【0578】
【化173】
【0579】 (構造(60)の合成:)
【0580】
【化174】
【0581】 (構造(61)の合成:)
【0582】
【化175】
【0583】 (構造(61)の代替合成:)
【0584】
【化176】
【0585】 (構造(62)の合成:)
【0586】
【化177】
【0587】 (構造(62)の代替合成:)
【0588】
【化178】
【0589】 (構造(63)の合成:)
【0590】
【化179】
【0591】 (実施例24) (代表的なβシート模倣物のバイオアベイラビリティー) 本実施例は、上記実施例2で合成され、そして上記実施例9で報告される生物
活性を有する構造(20b)の化合物のバイオアベイラビリティーを説明する。
【0592】 詳細には、構造体(20b)の薬力学的および薬物動態学的な研究を、オスの
Sprague Dawleyラットで行った。ラットに、静脈内(IV)に4
mg/kg、または経口的(PO)に10mg/kgの構造(20b)の生理食
塩水溶液を投与した。ラット群(n=3または4)を、投薬の後0.25、0.
5、1、2、4および8時間で屠殺し、そして瀉血した。有効性のパラメータ(
aPTTおよびTT)をそれぞれの血漿試料について測定した。血漿中の構造(
20b)の濃度を、トリプシン阻害アッセイにより測定した。この実験の結果を
、4mg/kg IV投薬および10mg/kg PO投薬について、図4Aお
よび4Bにそれぞれ示す。図4Aおよび図4Bに示されるデータは、IVおよび
PO投与の両方による構造(20b)のインビボの有効性を示す。平均構造(2
0b)濃度値の非コンパートメント薬物動態学分析は、7.5時間(IV)およ
び4.5時間(PO)の終端の(terminal)半減期を示す。経口的に投
与された構造(20b)のバイオアベイラビリティーは、約27%である。
【0593】 (実施例25) (代表的なβシート模倣物の合成) この実施例は、さらに、以下に示す構造を有する本発明の代表的なβシート模
倣物の合成を示す。
【0594】 (構造(64)の合成:)
【0595】
【化180】
【0596】 構造(64)を以下のように合成した。150ml丸底フラスコに、5.19
g(24.7mmol)の1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、75mlのト
ルエン、および3.3mL(24.7mmol)のトリエチルアミンを入れた。
反応系を、水を共沸除去しながら3時間加熱還流した。この時、2.07mlの
アニリンを加え、そして反応系を再び、水を共沸除去しながら、6時間還流した
。反応溶液を冷却すると、結晶性の生成物が形成され、濾別した(4.68g)
。この溶液を次いでNaHCO3および酢酸エチルで抽出し、重炭酸塩層を酸性 化し、第2のEtOAc洗浄で再び抽出した。有機層を、Na2SO4で乾燥し、
濾過し、そしてこの溶媒を除去して、さらに1.24gの生成物を得た。総収量
は、5.92g(82%)であった。
【0597】
【数22】
【0598】 (構造(65)の合成:)
【0599】
【化181】
【0600】 構造(65)を、以下のように合成した。THF(2ml)中の構造(64)
のイミド−酸(53.4mg、0.2mmol)を、−40℃まで冷却し、そし
て24.2μl(0.22mmol)のNMMおよび28.2μlのIBCF(
0.22mmol)で処理した。反応系を、3分間攪拌し、そして次いで、0.
69ml(0.69mmol)の1Mのジアゾメタンのエーテル溶液を加えた。
温度をゆっくり−20℃まで上げ、そしてこの反応系を2時間この温度で攪拌し
た。この反応系を、0℃に温め、さらに3時間攪拌した。
【0601】 この反応系を、EtOAc(30ml)で希釈し、そして有機相を5%クエン
酸、NaHCO3、および飽和NaClで洗浄した。次いで、Na2SO4で乾燥 し、そして濃縮して、62.4mgの残渣を得た。この粗生成物をTHFに溶解
し、−40℃まで冷却し、そして74ulの4MのHClのジオキサン溶液で処
理した。この反応系を−20℃まで温め、そして1時間攪拌した。続いて、この
反応系を2時間0℃で攪拌した。この時反応混合物のTLCは、出発のジアゾケ
トンの消失を示した。この溶媒を除去し、そしてこの生成物を分取用TLC(E
tOAc/ヘキサン、7/3)で精製し、22.6mg(38%)の純粋なクロ
ロメチルケトンを得た。
【0602】
【数23】
【0603】 (構造(66)の合成:)
【0604】
【化182】
【0605】 構造(66)を、以下のように合成した。910mg(5.14mmol)の
4−フェニルウラゾールの塩化メチレン(50ml)の攪拌懸濁液に、1.65
4g(5.14mmol)のヨードベンゼンジアセテートを加えた。深紅色が現
れ、攪拌して、全ての物質が溶液になった。室温で15分間攪拌した後に、56
0mgの90%純粋な2,4−ペンタジエン酸(penatdienoic a
cid)を加え、そしてこの色が次第に薄くなり、白色固体が形成された。15
分後、さらに70mgのペンタジエン酸を加えた。室温で2時間攪拌した後、こ
の塩化メチレンを減圧下で除去した。エーテル(25ml)を加え、そして得ら
れた懸濁液を、−20℃まで冷却し、そして固体物質(1.41g、100%)
を濾別した。この生成物を、EtOAc/シクロヘキサンから再結晶化し得た。
【0606】
【数24】
【0607】 (構造(67)の合成:)
【0608】
【化183】
【0609】 構造(67)を、以下のように合成した。構造(66)のディールス−アルダ
ー付加物(432mg、1.57mmol)を、MeOH(50ml)中の10
%Pd/C(150mg)と混合した。この反応系を、水素雰囲気下(水素風船
)で一晩攪拌した。18時間後、アリコート(1ml)を取り除き、そしてこの
溶媒を減圧下でエバポレートした。残渣の1H NMRは、飽和生成物への95 %より多い変換を示した。この反応混合物を、セライトを通して濾過し、そして
この溶媒をロータリーエバポレーターにより除去し、424mgの結晶性生成物
を得た。
【0610】
【数25】
【0611】 (構造(68)の合成:)
【0612】
【化184】
【0613】 構造(68)を以下のように合成した。450mg(1.64mmol)の(
67)の塩化メチレン(40ml)溶液に、142μLの塩化オキサリル(1.
64mmol)および一滴のDMFを加えた。この反応系を、室温で一晩Ar下
で攪拌した。この塩化メチレンをロータリーエバポレーターにより除去し、TH
F(30ml)を加えた。この溶液を−20℃まで冷却し、2mlの1Mのジア
ゾメタンのエーテル溶液を加えた。次第に室温まで温めながら、これを4時間攪
拌した。この反応系を、次いで−78℃まで冷却し、そして500uLの4Mの
HClのジオキサン溶液を加えた。次第に室温まで温めながら、この反応系を再
びAr下で攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、クロロメチルケトンおよびメチル
エステルの混合物(1H NMR分析による)を得た。これをシリカゲルのクロ マトグラフィー(EtOAc)を行い、185mg(36%)のクロロメチルケ
トンを得た。
【0614】
【数26】
【0615】 (構造(69)の合成:)
【0616】
【化185】
【0617】 構造(69)を以下のように合成した。60mlの塩化メチレン中の4−フェ
ニルウラゾール(1.179g、6.65mmol)に、2.14gのヨードベ
ンゼンジアセテート(6.64mmol)を加え、そしてこの反応混合物を室温
で攪拌した。全ての固体が次第に溶解するにつれて、深紅色が現れた。約15分
後、10ml塩化メチレン中の640mgのソルビナール(6.66mmol)
を、反応フラスコに加え、そしてこの深紅色がゆっくり薄くなった。2時間後、
この塩化メチレンを減圧下で除去した。エーテル(30ml)を得られた残渣に
加え、そして一晩−20℃まで冷却した。この形成した固体物質(1.55g、
収率86%)を、ろ紙上に集めた。
【0618】
【数27】
【0619】 (構造(70)の合成:)
【0620】
【化186】
【0621】 100ml丸底フラスコ中の0.78g(3.0mmol)の構造(64)の
酸に、20mlのTHFを加え、そしてこの反応混合物を−20℃まで冷却した
。4−メチルモルホリン(0.34ml、3.0mmol)を加え、そして続い
て0.42ml(3.3mmol)のイソブチルクロロホルメートを加えた。得
られた懸濁液を、5分間攪拌し、そして次いで0.9mlの水中の0.34g(
9.0mmol)の水素化ホウ素ナトリウムの懸濁液を、手早く加えた。4〜5
分後、40mlの水を加え、そしてこの懸濁液を125mlの酢酸エチルで抽出
した。EtOAc層を、次いで水およびブラインで洗浄し、そしてMgSO4で 乾燥した。濾過し、そして溶媒をエバポレートして粗製のアルコールを得た。
【0622】 この粗製のアルコールを、40mlのジクロロメタンに溶解し、2.0g(4
.7mmol)のDess−Martinパーヨージナン(periodina
ne)試薬を室温で加えた。この反応系を2時間攪拌し、40mlのジクロロメ
タンで希釈し、そして3×20mlの1:1(体積)10%重炭酸ナトリウム溶
液および10%チオ硫酸ナトリウム溶液、1×40mlの水、1×40mlのブ
ラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、溶媒をエバポレートし
、そして30%EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィー
を行い、純粋なアルデヒドを得た(0.5g、67% 2工程)。
【0623】
【数28】
【0624】 (構造(71)の合成)
【0625】
【化187】
【0626】 25ml丸底フラスコ中の3mlテトラヒドロフランに、0.066ml(0
.69mmol)のプロピオル酸メチルを加え、そしてこの溶液を−78℃まで
冷却した。n−ブチルリチウム(0.28ml、0.69mmol)を滴下し、
そしてこの反応系を7〜10分間攪拌し、この時点で、0.15g(0.6mm
ol)の構造(70)のアルデヒドの3mlジクロロメタン溶液を、手早く加え
た。この反応系を、−78℃で35〜45分間攪拌し、次いで、1.5mlの飽
和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。この有機溶媒を減圧下で除去し、そし
て水層を24mlのEtOAcで抽出し、次にブラインで洗浄した。この有機層
を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして減圧下で溶媒をエバポレートして、
粗生成物を得た。40%EtOAc/ヘキサンを用いる分取用TLC精製を行い
、生成物(107mg、47%)を得た。
【0627】
【数29】
【0628】 (実施例26) (代表的なβ−シート模倣物の活性) この実施例において、実施例25の化合物を、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVE
C)におけるTNF誘導性V−CAM発現の阻害についてアッセイした。炎症性
サイトカインでの刺激の際に、HUVECは細胞表面接着分子(これは、E−セ
レクチン、V−CAMおよびI−CAMを含む)を発現する。プロテアソームア
ンタゴニストは、これらの接着分子のTNFα誘導性発現を阻害し、このことに
よって白血球接着および炎症応答を調節する機構を提供する。
【0629】 より詳細には、化合物(65)、(68)、(69)および(71)を、テト
ラメチルベンジジンをo−フェニレンジアミン−ペルオキシドの代わりに使用す
ること以外はDeisher,KaushanskyおよびHarlanにより
記載される手順(「Inhibitors of Topoisomerase
II Prevent Cytokine−Induced Express
ion of Vascular Cell Adhesion Molecu
le−1, While Augmenting the Expressio
n of Endothelial Leukocyte Adhesion
Molecule−1 on Human Umbilical Vein E
ndothelial Cells」Cell Adhesion Commu
n.1:133〜42,1993)(本明細書中に参考として援用される)によ
りアッセイした。
【0630】 この実験の結果は以下の通りである:化合物(65)、9.6±0.1μM;
化合物(68)、14.2±0.8μM;化合物(69)、32.4±1.7μ
M;および化合物(71)、4.9±0.18μM。
【0631】 (実施例27) (β−シート模倣物の固相合成で使用される代表的なリンカーの合成) この実施例は、β−シート模倣物の固相合成で使用されるリンカーの合成を例
示する。
【0632】
【化188】
【0633】 (構造(72)の合成)
【0634】
【化189】
【0635】 500mLの丸底フラスコに、トリス(メチルチオ)メチルアルギノール(3
0)(10.70g、14.8mmol)およびCH2Cl2(20mL)を磁気
スターラーと共に入れた。125mLのエルレンマイヤーフラスコにシステイン
メチルエステル塩酸塩(3.81g、22.2mmol)、CH2Cl2(50m
L)、およびジイソプロピルエチルアミン(8.5mL、6.3g、48.7m
mol)を入れた。この混合物をシステインメチルエステルが溶解するまで撹拌
し(25分)、そしてこの溶液はジイソプロピルエチルアミン塩酸塩のわずかに
曇った懸濁液として観察された。この懸濁液を、アルギノールを含むフラスコに
添加し、そしてさらなるCH2Cl2(100mL)を反応物に添加した。HgC
2(17.7g、65.1mmol)およびHgO(5.46g、25.2m mol)を反応混合物に添加し、そして懸濁液を水銀塩が懸濁されたままになる
ように十分に速く撹拌した。このフラスコを、光学的にキャップし、そして室温
で22時間撹拌した(この時間までに、開始物質は消失した)。黄色の溶液を飽
和塩化アンモニウムでクエンチし、そしてCH2Cl2で希釈した。この層を分離
し、そして水層を2回CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4/M
gSO4で乾燥し、そしてシリカゲルパッドでろ過した。この溶媒を減圧下で取 り除き、そして残渣を連続して2回シリカゲルで精製した。最初の時には7:3
の酢酸エチル/へキサンで溶出し、そして2回目の時には1:1の酢酸エチル/
へキサン、次いで7:3の酢酸エチル/へキサンで溶出した。合わせた精製物は
、7.97g(収率75%)のNα,NG−ビスBoc−NG’−Mtr−1−[
(4’−カルボキシメチル)チアゾリン−2−イル]アルギノールを淡黄色泡状
体として得た。
【0636】
【数30】
【0637】 CαHは観察されない。
【0638】 (構造(73)の合成)
【0639】
【化190】
【0640】 300mLの丸底フラスコにクロロホルム(20mL)およびアルギノール(
72)(7.97g、11.1mmol)を充填し、そして磁気スターラーを配
備した。二酸化マンガン(IV)(9.65g、111mmol、10当量)を
添加し、そしてフラスコに栓をした。追加のクロロホルム(10mL)を添加し
、そしてこの懸濁液を8時間、室温で激しく撹拌し、この後、シリカゲルでろ過
し、酢酸エチルでリンスした。この溶媒を減圧下で除去し、そしてこの残渣をシ
リカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して(45:55 EtOAc/へ
キサン)、Nα,NG−ビスBoc−NG’−Mtr−1−[(4’−カルボキシ
メチル)チアゾール−2−イル]アルギノール(4.83g、収率61%)淡黄
色非晶質固体として得、そして1.89g(24%)の出発物質を回収した。
【0641】
【数31】
【0642】 (構造(74)の合成)
【0643】
【化191】
【0644】 H2O(1mL)を含む25mLのコニカルフラスコに2.0NのLiOH( 0.25mL、0.50mmol、1.5当量)およびNα,NG−ビスBoc −NG’−Mtr−1−[(4’−カルボキシメチル)チアゾール−2−イル] アルギノール(238mg、0.33mmol)をTHF溶液(1mL)として
添加した。第2の部のTHF(1mL)を使用してアルギノールを含むフラスコ
をリンスし、そしてこの反応系に添加した。均質な混合物を室温で6.5時間、
磁気で撹拌し、この時点で5% HCl(0.34mL、0.55mmol)お
よび酢酸エチル(10mL)を添加した。有機層を分離し、そして水層を2×1
0mL酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和NaClで洗浄し、そして
Na2SO4で乾燥した。溶媒を取り除いて212mg(収率92%)のNα,N G −ビスBoc−NG’−Mtr−1−[(4’−カルボン酸)チアゾール−2−
イル]アルギノールを淡黄色泡状体として得た。
【0645】
【数32】
【0646】 (構造(75)の合成)
【0647】
【化192】
【0648】 磁気スターラーを備えた250mLの丸底フラスコにCH2Cl2(10mL)
、酸(74)(3.40g、4.86mmol)およびトリフルオロ酢酸(2m
L)を充填した。1.5時間後、反応は不完全であった。追加のトリフルオロ酢
酸(5mL)を添加し、この溶液をさらに4時間撹拌した。この溶媒を減圧下で
除去し、そして残渣をTHF(50mL)に溶解した。飽和NaHCO3溶液( 50mL)を添加し(pH約7〜8)、続けてTHF(20mL)中の9−フル
オレニルメチル(fluorenylmethyl)−N−スクシンイミジルカ
ーボネート(1.97g、5.83mmol、1.2当量)を添加した。16時
間室温で撹拌した後、開始物質はなお存在し、そしてpH=7.0であった。2
MのNa2CO3溶液(約3mL)を添加し(pH=8.5)、続けて第2の部の
FmocONSu(328mg、0.97mmol、0.2当量)を添加した。
この溶液を室温でさらに2時間撹拌する。この反応混合物を2×100mLへキ
サンで洗浄した。酢酸エチル(100mL)を添加し、そして反応混合物を6N
HClでpH=0まで酸性化した。この有機層を分離し、そして水層を2×1
00mL酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和NaClで洗浄し、そし
てNa2SO4で乾燥した。この溶媒を除去して粗Fmoc酸を褐色泡状体として
得た。この泡状体を最小の酢酸エチルに溶解してエチルエーテル(250mL)
にピペットで移した。この沈殿物を遠心分離し、そして回収した。この上清を濃
縮してエチルエーテル(50mL)に滴下した。白色沈殿物を遠心分離し、そし
て合わせた沈殿物を減圧下で乾燥して3.42g(収率98%)のNα−Fmo
c−NG’−Mtr−1−[(4’−カルボン酸)チアゾール−2−イル]アル ギノールを白色粉末として得た。
【0649】
【数33】
【0650】 (構造(76)の合成)
【0651】
【化193】
【0652】 アルギノールエステル誘導体(42)(1.35g、1.93mmol)を7
0mlのEtOAcに室温で溶解した。この溶液に二酸化マンガン(IV)(5
g、89.2mmol)を添加し、そしてこの懸濁液を室温で5時間、激しく撹
拌した後、シリカゲルを通してろ過した。この溶媒を除去し、そして残渣をフラ
ッシュクロマトグラフィー(30% へキサン/EtOAc)により精製して所
望のアルコール(76)(0.23g、18%)およびケトン(0.153g、
11.5%)を得た。
【0653】
【数34】
【0654】 (構造(77)の合成)
【0655】
【化194】
【0656】 エステル(76)(70mg、0.1mmol)をTHF(10mL)および
水(10mL)の混合物に溶解した。この溶液にLiOH(18mg、4.3m
mol)を添加し、そしてこの溶液を7時間加熱還流した。得られた溶液をエバ
ポレートした。この残渣を水に溶解し、そしてエーテルで抽出した。水層をエバ
ポレートした。得られた残渣をMeOHに溶解し、そしてDowex樹脂(50
W×8、H+形態)を添加してこの溶液を酸性化した。この樹脂をろ過して取り 除き、そしてろ液をエバポレートして酸を得た(35mg、60%)。
【0657】
【数35】
【0658】 (構造(78)の合成)
【0659】
【化195】
【0660】 CH3CN/DMF(80mL:80mL)中の4−(クロロエチル)安息香 酸(8.0g、0.046mol)にNaN3(6.0g、0.092mol) 、テトラ−n−ブチルアンモニウムアジド(触媒)、ヨウ化テトラ−n−ブチル
アンモニウム(触媒)を添加し、そして反応系を7〜9時間の間、穏やかな還流
で加熱し、その時点で反応混合物は1つの固体ブロック(one solid
block)に変化した。水(350mL)およびEtOAc(500mL)を
添加し、そして水層をEtOAc(2×400mL)で抽出した。有機層をH2 O(250mL)、ブライン(300mL)で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥
した。ろ過および溶媒のエバポレーションにより黄色がかった固体(9.4g)
を得た。これは次の工程での使用に十分純粋であった。IR(CDCl3)v-1 2111。
【0661】 (構造(79)の合成)
【0662】
【化196】
【0663】 (78)(9.4g、0.053mol)のTHF/DME溶液(175mL
:60mL)にトリフェニルホスフィン(15.2g、0.058mol)を添
加し、そして反応系を10分の間、撹拌した。H2O(1.2mL)を添加し、 そして反応系を室温で22〜24時間激しく撹拌し、その時点で溶液は濃い懸濁
液に変化した。オフホワイトの固体をろ過し、そしてTHF(3×40mL)で
洗浄し、乾燥後に16.4gの純粋なイミノホスホランを得た。MS(ES+)
(M+H+)426.1。
【0664】 (構造(80)の合成)
【0665】
【化197】
【0666】 イミノホスホラン(79)をTHF/H2O(320mL:190mL)中で 懸濁し、そして2N HCl(64mL)を添加し、そして反応系を5時間加熱
還流した。濃HCl(11mL)を添加し、還流をさらに20時間、続けた。溶
媒を真空中で除去し、そして得られたオフホワイトの固体を高真空下で2時間乾
燥し(18.0g)、そしてさらに精製すること無く次の工程に使用した。
【0667】 (構造(81)の合成)
【0668】
【化198】
【0669】 4−(アミノエチル)安息香酸・HCl(80)(9.0g、0.019mo
l、理論値)のCH3CN(320mL)中の懸濁液にTEA(7.7mL、0 .053mol)を添加し、そして懸濁液を0℃まで冷却した。Fmoc−ON
Su(9.3g、0.026mol)を一度に添加し、そして反応系を室温まで
1時間かけて加温し、そしてさらに1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、そ
して残渣をEtOAc(1200mL)に溶解し、そして10%クエン酸(22
0mL)およびブライン(220mL)で洗浄してNa2SO4で乾燥した。ろ過
および溶媒のエバポレーションによって粗生成物を得、これを8% MeOH/
CHCl3を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋な 生成物を得た(2.4g)。
【0670】
【数36】
【0671】
【化199】
【0672】 (構造(82)の合成)
【0673】
【化200】
【0674】 窒素下で2.20g(8.4mmol)の4−ヨード−メチルベンゾエートに
1.95g(12.26mmol)のBoc−プロパルギルアミン、0.33g
(1.26mmol)のトリフェニルフォスフィン、0.08g(0.42mm
ol)のヨウ化銅(I)、2.11mL(15.1mmol)のトリエチルアミ
ン、および250mLのDMFを添加した。この溶液を撹拌し、そして窒素で1
5分間、脱気し、続けて0.10g(0.42mmol)の酢酸パラジウム(I
I)を添加して室温で18時間撹拌した。この溶液をEtOAcで希釈し、そし
て5%クエン酸(4×)、ブライン(2×)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥 した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 へキサン/EtOAc
)により精製して橙色固体としてエステル(82)(2.37g、98%)を得
た。
【0675】
【数37】
【0676】 (構造(83)の合成)
【0677】
【化201】
【0678】 1atmのH2下で2.86g(9.88mmol)のアルキン(82)に4 0mLの無水ジエチルエーテルおよび触媒量の酸化白金(IV)を添加した。反
応系をTLCによりモニターし、そして13時間後に完了した。この混合物をC
eliteのパッドを通してろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして溶媒を
真空下で除去してエステル(83)を橙色油状物として得た(2.72g 94
%)。
【0679】
【数38】
【0680】 (構造(84)の合成)
【0681】
【化202】
【0682】 2.72g(9.27mmol)のエステル(83)に1.17g(27.1
8mmol)の水酸化リチウム一水和物、50mLのTHFおよび50mLのH 2 Oを添加した。この溶液を室温で16時間撹拌し、そして5%クエン酸でクエ ンチした。この反応系をEtOAc(4×)で抽出し、そして合わせた抽出物を
ブラインで洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。溶媒の除去により酸(84) (2.38g、92%)を淡黄色固体として得た。
【0683】
【数39】
【0684】 (構造(85)の合成)
【0685】
【化203】
【0686】 2.38gの酸(84)へ、20mLのジクロロメタンおよび20mLのTF
Aを添加した。この溶液を2時間室温で攪拌し、そして溶媒を減圧下で除去して
、アミノ酸(85)(3.57g)を淡橙色の固体として得た。1H NMR( CD3OD,500MHz)δ1.98(m,2H),2.79(m,2H), 2.95(m,2H),7.35(d,J=8.0Hz),7.97(d,J=
8.0Hz)。
【0687】 (構造(86)の合成)
【0688】
【化204】
【0689】 3.57g(12.20mmol)のアミノ酸(85)へ、70mLの1,4
ジオキサン、70mLのH2O、1.29g(12.20mmol)、および4 .93g(14.6mmol)のN−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオ
キシ)スクシンイミドを添加した。この濁った混合物を48時間攪拌し、大量の
EtOAcで希釈し、そして飽和塩化アンモニウムで洗浄した。この混合物をE
tOAc(×3)で抽出し、そして合わせた有機物を飽和重炭酸塩、ブラインで
洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、淡黄色固体を得、
これをエーテルで洗浄して酸(86)を白色粉末として得た(2.85g 58
%;(75)に基づいて83%)。1H NMR(CD3OD,500MHz)δ
1.81(m,2H),2.68(m,2H),3.12(m,2H),4.3
7(m,2H),7.30(m,4H),7.38(m,2H),7.65(d
,J=8.0Hz,2H),7.79(d,J=7.5Hz,2H),7.92
(d,J=8.0Hz,2H);MS(ES+)m/z 402(M+H+)。
【0690】
【化205】
【0691】 (構造(87)の合成)
【0692】
【化206】
【0693】 シアノメチルトリフェニルホスホニウムクロリド(CMTPP)(8.2g、
24mmol)の溶液を75mLのジクロロメタン中で調製し、そして10分間
攪拌した。Fmoc−Lys(Boc)(10g、21.3mmol)、1−(
ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC
I)(4.9g、25.6mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DM
AP)(2.2mmol)を添加しながら、この反応容器をシールし、そして1
2時間室温で攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、そして油状物を得、これを30
0mLの酢酸エチルおよび100mLの1N HCl中に攪拌しながら溶解した
。層を分離し、そして有機相を2×50mLのブラインで抽出した。酢酸エチル
を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮して固体を得た。この物質をさらなる
精製をせずに使用した。MS(ES+)752(M+H+)。
【0694】 (構造(88)の合成)
【0695】
【化207】
【0696】 構造(87)の化合物(16g、21.3mmol)を100mLのMeOH
に溶解し、そして−78℃に冷却した。オゾンをこの反応溶液を通して3時間ガ
スディスパージョンチューブを用いてバブリングした。この生成物を減圧下でM
eOHの除去によって単離し、そして酢酸エチル/ヘキサン(3:7)の移動相
中で平衡化したシリカゲルカラム(200g乾燥重量)上で精製した。この生成
物を酢酸エチル/ヘキサン(4:6)で溶出して、そして乾燥後5.1gを得た
(2個の工程について47%)。MS(ES+)511(M+H+)。
【0697】 (構造(89)の合成)
【0698】
【化208】
【0699】 ケトエステル(88)(5.1g、9.8mmol)を100mLのTHF中
に溶解した。水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム(1.4g、11.8mm
ol)をこの溶液へ添加した後、この容器をシールし、そして4時間攪拌した。
反応はこの時点で不完全であり、そしてさらなる水素化ホウ素物(0.21g、
2.4mol)を添加し、そしてさらに1時間攪拌を続けた。反応混合物を減圧
下で油状物まで濃縮し、そして平衡化したシリカゲルカラム(150g乾燥重量
)に適用し、そして酢酸エチル/ヘキサン(4:6)で溶出し、2.7gの生成
物を得た(53%)。MS(ES+)513(M+H+)。
【0700】 (構造(90)の合成)
【0701】
【化209】
【0702】 ヒドロキシエステル(89)(2.7g、5.3mmol)を100mLのT
HF中に溶解しそして0℃〜5℃へ冷却した。0.2N LiOH(66.5m
L、13.3mmol)を冷却した溶液へ添加し、そして30分間攪拌した。反
応はこの時点で不完全であり、そしてさらなる0.2N LiOH(10.4m
L、2.1mmol)を添加した。この反応系をさらに30分間攪拌し、次いで
300mLの酢酸エチル/0.2N HCl(2:1)でクエンチした。この水
相を分離し、100mLの酢酸エチルで洗浄し、そして合わせた有機抽出物を硫
酸マグネシウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液を油状物まで減圧下でエバ
ポレートして、そして固体まで乾燥した(2.0g、78%)。CDCl3δ1 .2−1.8(m,15H),3.1(m,2H),4.1−4.5(m,5H
),4.6(m,1H),5.4(m,1H),7.2(m,2H),7.4(
m,2H),7.6(m,2H),7.8(m,2H);MS(ES+)501
(M+H+)。
【0703】 (構造(91)の合成) 構造(91)を以下のスキームで示すような標準的手順によって合成した。
【0704】
【化210】
【0705】 (実施例28) (β−シート模倣物の固相合成のための代表的成分の合成) (ウラゾール(urazole)合成) 以下の合成は、本発明のβ−シート模倣物の固相合成において使用される、ウ
ラゾール成分を調製するために使用される代表的手順である。
【0706】 (構造(92)の合成)
【0707】
【化211】
【0708】 構造(92)を、CooksonおよびGupte(Org.Synthes
es,第VI巻(1988),936)の方法の少しの改変によって合成した。
160mLのEtOAc中の2−n−ブチルアニリン(12.0mL、76.6
mmol)を、添加漏斗を介して、324mLの20%ホスゲン(トルエン中)
へ室温で30分かけて添加した。この溶液を30分間還流し、溶媒を蒸留によっ
て除去した。この残渣の油状物を75mLのクロロホルムに溶解し、そして添加
漏斗を介して15分かけてトルエン中のメチルヒドラジノカルボキシレート(6
.90g、76.6mmol)の懸濁液へ室温で添加した。この混合物を1.5
時間還流し、そしてこの間に固体全てが溶解した。室温まで冷却すると、沈殿が
形成し、そして真空濾過によって回収した。これをトルエンで洗浄し、そして減
圧下で乾燥して18.17gのオフホワイトの粉末を得た(89%)。この生成
物をさらなる精製なしで次の工程において使用した。TLC(CH2Cl2/Me
OH、95/5)Rf0.12;1H NMR(CD3OD)δ0.94(t,3 H,J=7.4Hz),1.39(m,2H),1.56(m,2H),2.6
1(m,2H),3.74(s,3H),7.09−7.21(m,4H);M
S(ES+)m/z 265.8(M+H-,100)。
【0709】 (構造(93)の合成)
【0710】
【化212】
【0711】 構造(92)の化合物(18.03g、68.0mmol)を、190mLの
4N KOH中に懸濁し、そして2時間加熱還流した。冷却して、この透明なピ
ンク色の溶液をエーテル(6×)で抽出し、そして濃HClで酸性化した。この
沈殿物を真空濾過によって回収し、水およびEtOAcで洗浄し、そして減圧下
で一晩乾燥させて14.00gの白色固体を得た(88%)。[必要ならば、ウ
ラゾールはMeOHまたは別の適切な溶媒系から再結晶し得る。]TLC(CH 2 Cl2/MeOH/AcOH,94/4/2)Rf0.63;UVによる純度★ ;397%;1H NMR(CD3OD)δ0.89(t,3H,J=7.3Hz ),1.32(m,2H),1.51(m,2H),7.18−7.42(m,
4H);MS(ES−)m/z 232(M−H+)。注:ウラゾールは一般的 に弱い質量スペクトルを与える。 ★純度のおおまかなチェックは、以下のように、ウラゾールの酸化から誘導され
たトリアゾリンのUV吸光度を測定することによって得られ得る。ウラゾール(
5−10mg)およびビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン(40m
g)をDMF中に溶解してメスフラスコ中で5mLにした。このピンク色の溶液
の吸光度を、DMFブランクに対して、1cm光路長を有するキュベット内で、
520nm(ε=177)で測定する。これらの条件下で、もとのウラゾールの
純度を以下の方程式によって得る:純度=2.82(A)(MW)/(m)、こ
こでAは吸光度、MWはウラゾールの分子量、そしてmはサンプルのウラゾール
の重量(mg)である。
【0712】 (構造(94)の合成)
【0713】
【化213】
【0714】 4−(フルオロメチル)−ベンジルアミン(4.1mL、28.5mmol)
を、THF(25mL)中のメチルヒドラジノカルボキシレート(2.56g、
28.5mmol)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(4.62g、
28.5mmol)の攪拌溶液へ添加した。この溶液を18時間室温で攪拌した
。形成した白色沈殿物を真空濾過によって回収し、冷THFで洗浄し、そして減
圧下で乾燥して3.22gの(94)を得た(39%)。1H NMR(DMS O−d6)δ3.57(s,3H),4.26(d,2H,J=6.0Hz), 7.44(d,2H,J=8.0Hz),7.64(d,2H,J=8.0Hz
);MS(ES+)m/z 292(M+H+,100)。
【0715】 (構造(95)の合成)
【0716】
【化214】
【0717】 構造(94)の化合物(3.22g、11.0mmol)を20mLの4N
KOHに懸濁し、そして3時間加熱還流した。冷却の際に、この溶液を濃HCl
で酸性化した。白色沈殿が形成し、そして真空濾過によって回収し、冷水で洗浄
し、そして減圧下で一晩乾燥して、2.45gの白色固体を得た(86%)。U
Vによる純度:383%;1H NMR(DMSO)δ4.62(s,2H),7
.46(d,2H,J=8.0Hz),7.70(d,2H,J=8.0Hz)
,10.29(bs,2H);MS(ES−)m/z 258(M−H+,10 0)。
【0718】 (ジエン合成) 以下の合成は、本発明のβ−シート模倣物の固相合成において使用される、ジ
エン成分を調製するために使用する手順の代表である。
【0719】 (構造(95)の合成)
【0720】
【化215】
【0721】 150mLの乾燥ジクロロメタン中のメタクロレイン(7.01g、100m
mol)およびメチル(トリフェニルホスホルアニリデン)アセテート(35.
11g、105mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で2時間還流した。溶媒を減
圧下でエバポレートし、そしてこの生成物を短いシリカゲルカラムでのクロマト
グラフィー(EtOAc−ヘキサン、1:9)によって精製した。生成物含有画
分のエバポレート後、化合物(95)を透明な油状物として得た(8.71g、
69%)。TLC(EtOAc−ヘキサン、1:4)Rf0.59 1H NMR
(CDCl3)δ1.89(s,3H),3.76(s,3H),5.33−5 .37(m,2H),5.87(d,J=16Hz,1H),7.37(d,J
=16Hz,1H)。
【0722】 (構造(96)の合成)
【0723】
【化216】
【0724】 化合物(96)を、K.Satoら(J.Org.Chem.32:177,
1967)の手順の改変によって合成した。窒素雰囲気下で0℃に冷却した、2
5mLの乾燥THF中のNaH(鉱物油中60%、0.40g、10mmol)
の懸濁液へ、トリエチルホスホノクロトネート(2.50g、10mmol)を
攪拌しながら滴下した。添加後、この溶液を1.5時間0℃で攪拌した。この赤
褐色の溶液(0℃に維持した)へ、3,3−ジメチルブチルアルデヒド(1.0
0g、10mmol)を滴下した。この溶液を室温まで加温し、そして1時間室
温で攪拌した。この混合物を酢酸エチル(75mL)および水(75mL)で希
釈し、そしてこの2個の層を分離した。この有機層を水(2×50mL)および
ブライン(75mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧
下で除去し、そしてシリカのフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキ
サン、1:9)によって1.00gの(96)を淡黄色の固体として得た(51
%)。TLC(EtOAc/ヘキサン、1:9)Rf0.60 1H NMR(C
DCl3)δ0.90(s,9H),1.29(t,J=7Hz,3H),2. 04(d,J=6Hz,2H),4.19(q,J=7Hz,2H),5.80
(d,J=15.5Hz,1H),6.13−6.17(m,2H),7.24
−7.39(m,2H)。
【0725】 (構造(97)の合成)
【0726】
【化217】
【0727】 メタノール(15mL)および水(5mL)中のメチル7,7−ジメチル−2
,4−オクタジエノエート(96)(0.99g、5mmol)および水酸化ナ
トリウム(0.60g、15mmol)の溶液を、30分間還流した。室温まで
冷却後、溶媒を減圧下で除去し、そしてこの残渣を水(30mL)に溶解した。
得られた溶液を濃HClでpH2まで酸性化し、そしてこの沈殿物を濾過によっ
て回収し、水(10mL)で洗浄し、そして減圧下で乾燥して0.84gの酸を
白色固体として得た(99%)。1H NMR(CDCl3)δ0.92(s,3
H),2.07(d,J=6.5Hz,2H),5.80(d,J=15.5H
z,1H),6.19−6.23(m,2H),7.34−7.40(m,2H
)。
【0728】 (実施例29) (代表的なβ−シート模倣物の固相合成) この実施例は、代表的なβ−シート模倣物(100)〜(277)(表11−
15)の固相合成を例示する。この実施例の化合物を、以下の反応スキームに従
って合成した。
【0729】
【化218】
【0730】 一般的な手順:β−ストランド模倣物の合成を、DMF中25%のピペリジン
を使用する、FmocPAL樹脂の脱保護によって開始した。DMFを用いる過
度の洗浄に続いて、この樹脂を、Kaiser試験が陰性になるまで、DMF中
で、酸フッ化物のN−Fmoc−4−アミノメチル安息香酸、または(81)ま
たは(86)およびのHunigs’塩基で処理した。あるいは、Fmoc−保
護されたチアゾールベースの(75)またはイミダゾールベースの(77)リン
カーを、BOP、HOBtおよびDIEAを使用して、この樹脂に結合した。い
くつかの例において、同一の方法によるトリアゾールベースの(75)またはイ
ミダゾールベースの(77)リンカーの前に、Fmoc−Leuまたは別のアミ
ノ酸をこの樹脂に結合させた。構造(217)−(221)の場合は、イソシア
ネート(91)を、ジクロロメタン中の触媒HClの存在下、一晩、Wang樹
脂へ結合させた。全てのFmoc−保護リンカーの脱保護を、DMF中25%の
ピペリジンでの処理によって実施し、そしてBoc−保護リンカー(77)の脱
保護を、ジクロロメタン中のTMS−C1(1M)およびフェノール(3M)に
よって30分間実施した。リジノール(lysinol)誘導体(90)を、陰
性のKaiser試験が達成されるまで、DMF中で、PyBOP、HOBtお
よびHunigs’塩基を使用して、樹脂結合リンカーである、N−Fmoc−
4−アミノメチル安息香酸、(81)、または(86)へ結合した。次いで、D
MF中25%のピペリジンでこの樹脂を処理して、FMOC基を切断した。DM
Fで洗浄することに続いて、ジエン酸(dienoic acid)を、Kai
ser試験の結果が陰性になるまで、DMF中で、PyBOP、HOBtおよび
Hunigs’塩基を使用して、樹脂結合リンカーへ結合させた。この付加環化
を、ピラゾリジンジオン(示されず)またはウラゾールのDMF溶液を[ビス(
トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンのDMF溶液で前処理することによ
って、実施した。ポリマー支持ジエンを得られた溶液で2〜16時間処理した。
次いで、この樹脂をDMFおよびCH2Cl2で洗浄した。ケトアミドへの酸化を
、Dess−Martinペリオジナン(periodinane)のDMSO
溶液でこの樹脂を60分間処理することによって、実施した。この樹脂をCH2 Cl2で洗浄し、そしてこの生成物を、95:5のTFA:H2Oでのこの樹脂を
1〜12時間処理することによって、この樹脂から切断した。上澄み液を回収し
、そしてこの樹脂をさらなるTFAで洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮し
た。この残渣をジエチルエーテルで沈殿させ、そしてこのエーテルをデカントし
た。得られた固体を1:1のCH3CN:H2Oで再構成し、凍結乾燥させた。表
11〜15の化合物(100)〜(227)の各々は、LCMS(ES+)へあ
てると、予想された(M+H+)ピークを提供した。これらの化合物を、ジアス テレオマーの混合物として凝固酵素の阻害についてアッセイした。
【0731】 表11〜15に記載の全ての化合物は、トロンビンインヒビターとしてKi<
100nMを有するか、または第VIIa因子インヒビター(表15)としての
活性を有した。表11〜15中の「★」を有する化合物は、トロンビンインヒビ
ターとしてKi<10nMを有し、そして好ましい実施態様を表す。
【0732】 (表11)
【0733】
【化219】
【0734】
【表11】
【0735】 (表12)
【0736】
【化220】
【0737】
【表12】
【0738】
【0739】 (表13)
【0740】
【化221】
【0741】
【表13】
【0742】 (表14)
【0743】
【化222】
【0744】
【表14】
【0745】 (表15)
【0746】
【化223】
【0747】
【表15】
【0748】 (実施例30) (代表的なβ−シート模倣物の合成) 本実施例は、本発明の代表的なβ−シート模倣物の合成をさらに示す。
【0749】
【化224】
【0750】 (構造(228)の合成)
【0751】
【化225】
【0752】 メチル−2,4−ジオキソ−ペンタノエート(14.4g、0.10mol)
および10.6gのトリメチルオルトアセテートを、100mLのメタノールに
溶解し、次いで300μLの塩化アセチルを添加した。この溶液を、次いで、室
温で6時間撹拌した。次いで、アリコートを取り、その溶媒をロータリーエバポ
レーターを用いて除去した。その残渣の1H NMR分析により、メチルエノー ルエーテルへの完全な転換が示唆された。この反応溶液を真空下でエバポレート
した。1H NMRによれば、純度は90%であり、この材料を精製せずに次の 工程に使用した。
【0753】 2−メトキシ−4−オキソ−2−ペンテノン(1.58g、10mmol)お
よび1.63gのt−ブチルジメチルシリルクロリド(11mmol)を、15
mLのDMFに溶解した。トリエチルアミン(1.553mL、12mmol)
を添加し、この反応系を一晩、アルゴン下にて室温で撹拌した。明朝、50mL
のヘキサンを添加し、この反応系を冷NaHCO3溶液で抽出した。このヘキサ ン層をNa2SO4で乾燥し、ヘキサンを真空下で除去して、2.01gのジエン
を油状物として得た(78%)。これを、さらに精製することなく使用した。
【0754】
【数40】
【0755】 (構造(229)の合成)
【0756】
【化226】
【0757】 CH2Cl2(5mL)中の4−フェニルウラゾール(177mg、1mmol
)およびヨードベンゼンジアセテート(322mg、1mmol)の混合物に、
ジエン(228)(269mg、1.05mmol)のCH2Cl2溶液を添加し
た。この反応混合物を30分間撹拌し、次いで0℃に冷却した。BF3・OEt2 (141mg、1mmol)を滴下して加え、この反応系を30分間撹拌して、
CH2Cl2(50mL)で希釈し、NaHCO3溶液(2×15mL)、水(1 5mL)、およびブラインで洗浄して、乾燥し、そしてエバポレートした。粗生
成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:3
、v/v)によって精製し、純粋な生成物を得た(97mg、32%)。
【0758】
【数41】
【0759】 (実施例31) (代表的なβ−シート模倣物の合成) 本実施例は、本発明の代表的なβ−シート模倣物の合成をさらに示す。
【0760】 (構造(24)の合成)
【0761】
【化227】
【0762】 火炎乾燥した(flame−dried)250mLの丸底フラスコに、13
0mLの乾燥THFを加えた。このフラスコをアルゴン雰囲気下で−78℃に冷
却し、そして10mLの2.5M n−BuLiを、次いで5.3mLのヘキサ
メチルジシラザンを、添加した。この溶液を−78℃で30分間撹拌し、次いで
2.2mLのメチルプロピオレートを添加した。−78℃で50分間撹拌した後
に、2.5mL(22mmol)のヘキサジエナールを添加した。この反応系を
次いで、4時間かけて徐々に−30℃まで加温した。−30℃で1時間経った後
、酒石酸水溶液の添加により、この反応系をクエンチした。この反応混合物を次
いで、EtOAcと水との間で分配し、そしてその水層をさらなる酢酸エチルで
洗浄した。合わせた有機層を次いで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナト
リウムで乾燥して、濃縮し、約4.1gの赤色がかった油状物を得た。シリカゲ
ルを通すフラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/80%ヘキサン)
により、3.1gの黄色がかった油状物を得た(78%)。
【0763】
【数42】
【0764】 (構造(25)の合成)
【0765】
【化228】
【0766】 500mLの丸底フラスコに、フェニルウラゾール(4.91g)および15
0mLの塩化メチレンを入れた。ヨードベンゼンジアセテート(8.94g)を
このフラスコに添加し、この反応系を10分間撹拌して、深赤色となった。次い
で、5.0gの化合物(230)を50mLの塩化メチレンに溶解した溶液を添
加すると、この反応系は瞬時に脱色された。この反応系を室温でさらに3時間撹
拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、その残渣を高真空下に一晩
置いた。その残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(40%EtO
Ac/ヘキサン)によって精製し、エピマーアルコールの約60/40ジアステ
レオマー混合物を8.3g得た(84%)。
【0767】
【数43】
【0768】 (構造(26)の合成)
【0769】
【化229】
【0770】 1.0gの(231)(ジアステレオマー混合物として)のアセチレンアルコ
ール溶液を、40mLのMeOHに溶解して、氷浴中で0℃に冷却した。この反
応混合物に、80mg(約3当量の水素化物)の粉末状水素化ホウ素ナトリウム
を、撹拌しながら添加した。0℃で1時間経った後、この反応系を室温まで加温
し、さらに1時間撹拌した。100mLのEtOAcおよび60mLの水を添加
することによって、この反応系をクエンチした。これらの層を分液漏斗によって
分離し、その水相をさらなるEtOAcで2回、抽出した。合わせた有機相を次
いで塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を
ロータリーエバポレーターによって除去し、その残渣をフラッシュクロマトグラ
フィー(40/60 EtOAc/ヘキサン)によって精製して、630mgの
ジアステレオマーアルコールの混合物を得た(約63%)。
【0771】
【数44】
【0772】 (構造(27)の合成)
【0773】
【化230】
【0774】 357mgの化合物(231)(ジアステレオマー混合物として)の、50m
Lの塩化メチレン中の溶液に、424mgの粉末状のDess−Martin試
薬を添加した。この反応系を室温で6時間撹拌した。これを次いで、チオ硫酸ナ
トリウム溶液と共に5分間撹拌して、炭酸水素塩水溶液で抽出した。有機相を塩
化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。塩化メチレン
をロータリーエバポレーションによって除去し、348mgの固体残渣を得た(
97%)。
【0775】
【数45】
【0776】 (構造(28)の合成)
【0777】
【化231】
【0778】 100mLの丸底フラスコに、357mgの化合物(232)(アルコールの
異性体混合物として)および25mLのTHFを入れた。この反応溶液を0℃に
冷却し、その反応系を室温まで昇温させて、さらに1時間撹拌した。これを次い
で、40mLのEtOAcおよび30mLの水で抽出した。水相を1mmolの
酒石酸で酸性化し、そして40mLの新しいEtOAcで再抽出した。有機相を
無水NaSO4で乾燥し、濾過して、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し 、328mgの固体残渣を得た。
【0779】
【数46】
【0780】 (実施例32) この実施例において、実施例31の化合物(231)および(233)を、チ
オレドキシンによるインシュリンジスルフィド還元をブロックする能力について
アッセイした。チオレドキシンは、NF−kBのp50サブユニットのCys6
2に関与するジスルフィド結合の還元によるDNA結合についてNF−kBを上
方制御することが示されている。チオレドキシンはまた、低分子量チオールに比
べて104倍速くインシュリンのジスルフィド結合を還元することでもまた公知 である(Holmgren、J.Biol.Chem.254:9627−96
32、1979)(本明細書中で参考として援用される)。従って、NF−kB
活性化のインヒビターがチオレドキシンの阻害によって作用している場合、チオ
レドキシンによるインシュリンの還元を阻止することもまた可能であるべきであ
る。以下のアッセイは、そのジスルフィド結合がチオレドキシンの存在下で還元
される場合の650nmにおけるインシュリンの増加する濁度を分光学的に測定
する。
【0781】 Holmgrenの方法のわずかな改変が使用された。96ウェルマイクロタ
イタープレート上で、0.1Mリン酸カリウムpH6.5緩衝液中のチオレドキ
シンの溶液を、0.33mMジチオスレイトール(DTT)および2mM ED
TAの存在下で15分間予備活性化した。基質およびインヒビターの溶液を添加
し、8μMのチオレドキシン、0.13mMのインシュリン、および0〜100
μMの化合物(231)または(233)のいずれかの最終濃度とした。溶液の
濁度をSpectra Max 250吸光度プレートリーダー(Molecu
lar Devices)上で60分間の経過にわたって650nMにて測定し
た。この結果は、化合物(231)または(233)の濃度の増加と共に濁度が
減少することを証明する。
【0782】 ネガティブコントロールとして、DTTおよびEDTAの存在下でのインヒビ
ターは、チオレドキシンの存在なしで、濁度を示さなかった(DTTは、実験を
行った期間に渡ってはチオレドキシンを減少させなかった)。ポジティブコント
ロールとして、構造的に関連した天然の産物であるパルセノリド(parthe
nolide)およびサントニンを、インヒビターに代えて上記のアッセイで試
験した。パルセノリド(これは不飽和のエキソメチレンラクトンを含み、濃度に
依存する様式でNF−kB活性化を阻害するものとして公知である(Borkら
、FEBS Lett. 402: 85〜90,1997))は、同様にイン
シュリンのチオレドキシンが誘発する濁度をブロックした。サントニン(これは
飽和したラクトン基を含み、NF−kB活性化を阻害しない)は、インシュリン
のチオレドキシンが誘発する濁度をブロックしなかった。まとめると、これらの
結果は、化合物(231)および(233)が、チオレドキシンの阻害によって
NF−kB活性化を防止する証拠である。
【0783】 (実施例33) (プロテアーゼインヒビターとしての例示的なβ−シート模倣物の活性)
【0784】
【化232】
【0785】 本実施例は、メタロプロテイナーゼロイシンアミノペプチダーゼMおよびサー
モリシンのインヒビターとしての構造(234)のβ−シート模倣物(反応スキ
ーム20で開示された方法により調製される)の活性をさらに例示する。この方
法は、Spungin−Bialikら、FEBS Lett.(1996)3
80,79〜82の方法の改変である。
【0786】 以下のプロトコルを使用した:50mM Tris−Cl、100mM Na
Cl、1mM CaCl2、0.005% Triton X−100を含む緩 衝溶液(pH=7.5)を調製する。第2の緩衝溶液(EDTA中の40mM)
を第1の緩衝溶液から調製する。基質(Suc−Ala−Ala−Phe−pN
A)の750μMの溶液を50mMのストック溶液(DMSO)から水中で調製
する。サーモリシンの15nMの溶液を緩衝液で、20%グリセロール/H2O 中の200μMのサーモリシンストック溶液を希釈することにより調製する。市
販のLeucine Aminopeptidase Mの溶液(Sigma,
水中の2.6mg/mlストック)を、緩衝液で50μg/mlまで希釈する。
50%EtOH/H2O中のインヒビターを水で希釈して所望の濃度レベルの3 倍とした。ウェル(96ウェルマイクロタイタープレート)あたり50μlの酵
素、基質、およびインヒビターを、所望の数のマイクロタイターストリップに添
加する。これにより、サーモリシンについて5nM、そして基質について250
μMの最終濃度を得る。次いで、このウェルを室温で20分間インキュベートす
る。20分後、緩衝溶液中のEDTAを全てのウェルに、ウェルあたり50μl
で添加する。そして同時に、ウェルあたり50μlでウェルに添加する。これに
より、10μg/mlの最終濃度を得る。このプレートを100倍で405nm
で、21秒間隔で読み取る。Ki値を先のようにして(実施例5)計算した。化 合物(234)について得られたKiの値は、サーモリシンおよびロイシンアミ ノペプチダーゼMについて、それぞれ6μMおよび11μMであった。これらの
結果は、本発明のβ−シート模倣物が、メタロプロテイナーゼインヒビターとし
て機能し得ることを実証する。
【0787】 (実施例34) (プロテアーゼインヒビターとしての例示的なβ−シート模倣物の活性)
【0788】
【化233】
【0789】 本実施例は、システインプロテイナーゼ、パパインのインヒビターとしての構
造(235)のβ−シート模倣物(反応スキーム15で開示された方法により調
製される)の活性をさらに例示する。このアッセイ方法は、Mellorら、B
iochem.J.(1993)290,289の方法の改変である。
【0790】 このアッセイを、実施例4のようにマイクロタイタープレート中で行った。以
下のプロトコルを使用した:0.05M クエン酸ナトリウム、0.15M N
aCl、2mM DTT、1mM EDTAを含む緩衝液(pH=6.5)を調
製する。基質(Ac−Phe−Gly−pNA)の2mMのストック溶液を緩衝
液中で200μMに希釈する。インヒビターの5mMストック溶液(50%Et
OH/H2O中)を緩衝液中で500μMに希釈し、6個の連続する1:5希釈 物を作製する。ウェルあたり、各緩衝液、基質およびインヒビターの100μL
のアリコートを(適切な濃度で)、8個のウェルマイクロタイターストリップへ
と添加する。パパインの1.0mMストック溶液を緩衝液中で200μMに希釈
し、そして5分間インキュベートし、その後100μLのアリコートをアッセイ
ウェルに添加する。このプレートを100倍で405nmで、21秒間隔で読み
取るべきである。IC50値を以前のようにして(実施例4)計算した。化合物(
234)は、8μMのIC50値を示した。この結果は、本発明のβ−シート模倣
物がシステインプロテイナーゼインヒビターとして機能し得ることを実証する。
【0791】 (実施例35) (抗血栓剤としての例示的なβ−シート模倣物の活性) 本実施例は、抗血栓剤としての表14の構造(221−14)および(221
−21)のβ−シート模倣物の活性を示す。ラット(Splague Dawl
ey)を一晩絶食させ、ペントバルビタールの麻酔下で使用した。5cmの絹糸
を含むポリエチレンチューブを右カルチド(cartid)動脈および左ジャン
グラー(junglar)静脈の間に設置した。(20mg/mlで50%プロ
ピレングリコールで溶解し、そして5ml/kgで経口投与した)上記の化合物
の1つの100mg・kgの経口投与の30分後、またはアルガトロバン(0.
3mg/kg)の静脈内投与の1分後に、血液をチューブを介して7分間循環し
た。循環の終わりにおいて、チューブを取り除き、血栓のウェット重量および血
栓のタンパク質含有量を測定した。血液をまた腹腔動脈から抜き出し、そしてA
PTTを測定した。
【0792】 これらの実験の結果を図5Aおよび5Bに示す。これらは、ネガティブコント
ロール(化合物の添加なし)、化合物221〜14(図5A)または221〜2
1(図5B)、およびアルガトロバン(ポジティブコントロール)のそれぞれに
ついて血栓タンパク質(μg/血栓)をプロットする。これらの結果は、試験し
た化合物の両方が血栓形成を顕著に阻害することを示す。
【0793】 以上より、本発明の特定の実施態様が本明細書中で例示の目的で記載されてき
たが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく種々の改変がなされ得るこ
とが理解される。従って、本発明は添付の特許請求の範囲による以外は限定され
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、血管移植片中の血小板沈殿物の構造(20b)の種々の濃度の効果を
示すプロットである。
【図2】 図2は、血管移植片中の血小板沈殿物の構造(39)の種々の濃度の効果を示
すプロットである。
【図3】 図3は、血管移植片中の血小板沈殿物の構造(29b)の種々の濃度の効果を
示すプロットである。
【図4A】 図4Aは、静脈内投与および経口投与の両方による構造(20b)のバイオア
ベイラビリティを示す。
【図4B】 図4Bは、静脈内投与および経口投与の両方による構造(20b)のバイオア
ベイラビリティを示す。
【図5A】 図5Aは、抗血栓剤として作用する構造(221−5)の性能を示す。
【図5B】 図5Bは、抗血栓剤として作用する構造(221−6)の性能を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 209/48 C07D 487/04 137 4H006 471/04 104 141 4H045 487/04 137 145 141 487/18 145 498/04 487/18 513/04 498/04 325 513/04 A61K 37/02 325 C07D 209/48 Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID,IL ,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC, LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ, TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 カーン, マイケル エス. アメリカ合衆国 ワシントン 98034, カークランド, 80ティーエイチ プレイ ス エヌ.イー. 10916 (72)発明者 トゥリンスキー, ジョン イー. アメリカ合衆国 ワシントン 98119, シアトル, 4ティーエイチ アベニュー ダブリュー. 625, アパートメント 103 (72)発明者 マシュー, ジェシーモル アメリカ合衆国 ワシントン 98004, ベレブー, エヌ.イー. 33アールディ ー プレイス ナンバーエイ11 110052 Fターム(参考) 4C050 AA01 BB05 BB06 CC05 CC08 EE02 EE03 FF03 GG03 GG04 HH01 HH03 HH04 4C065 AA03 BB04 CC01 DD01 EE02 HH02 JJ06 KK08 LL01 PP06 4C072 AA01 BB02 CC01 CC11 CC16 EE03 EE13 FF03 GG09 HH02 UU01 4C084 AA02 AA07 BA01 BA14 BA16 BA17 BA32 DC32 DC34 DC35 DC36 DC44 NA14 ZA162 ZA362 ZA392 ZA532 ZA592 ZA662 ZA942 ZB112 ZB152 ZB262 ZB272 ZC202 4C204 BB01 CB04 DB30 EB03 FB24 GB21 4H006 AA01 AB99 4H045 AA10 BA11 BA51 DA56 EA22 HA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の構造を有する化合物およびその薬学的に受容可能な塩
    : 【化1】 ここで、 Aは、−C(=O)−、−(CH20-4−、−C(=O)(CH21-3−、−
    (CH21-2O−および−(CH21-2S−から選択され; Bは、NおよびCHから選択され; Cは、−C(=O)−、−C(=O)(CH21-3−、−(CH20-3−、−
    O−、−S−、−O−(CH21-2−および−S(CH21-2−から選択され; Dは、NおよびC(R4)から選択され; Eは、 【化2】 から選択され; Fは、任意のカルボニル部分であり; R1、R3およびR4は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体から独立して選択 され; R2およびR2’は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体からそれぞれ選択され
    る1個以上の環置換基を表し、ここで、少なくとも1個のR2はCと一緒になっ て、縮合した置換または非置換の単素環式環または複素環式環を形成し; R’は、環置換基であり; YおよびZは、分子の残余を表し;そして 二環式環の任意の2個の隣接するCH基は、二重結合を形成し得る。
  2. 【請求項2】 Eが、 【化3】 である、請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 Eが、 【化4】 である、請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 Eが、 【化5】 であるが、但し、ZはR1置換基を有する炭素原子に結合した−NH−部分を含 まない、請求項1に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 以下の構造を有する請求項1に記載の化合物: 【化6】
  6. 【請求項6】 以下の構造を有する請求項1に記載の化合物: 【化7】 ここで、Xは、−C(=O)−、−NH−、−NR’−、−O−および−S−
    から選択される。
  7. 【請求項7】 以下の構造を有する化合物およびその薬学的に受容可能な塩
    : 【化8】 ここで、 Aは、−C(=O)−、−(CH20-4−、−C(=O)(CH21-3−、−
    (CH21-2O−および−(CH21-2S−から選択され; Bは、NおよびCHから選択され; Cは、−C(=O)−、−C(=O)(CH21-3−、−(CH20-3−、−
    O−、−S−、−O−(CH21-2−および−S(CH21-2−から選択され; Dは、NおよびC(R4)から選択され; Eは、 【化9】 から選択され; Fは、任意のカルボニル部分であり; R1、R3およびR4は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体から独立して選択 され; R2およびR2’は、アミノ酸側鎖部分およびその誘導体からそれぞれ選択され
    る1個以上の環置換基を表し、ここで、少なくとも1個のR2はCと一緒になっ て、縮合した置換または非置換の単素環式環または複素環式環を形成し; R’は、環置換基であり; YおよびZは、分子の残余を表し;そして 二環式環の任意の2個の隣接するCH基は、二重結合を形成し得る。
  8. 【請求項8】 Eが、 【化10】 である、請求項7に記載の化合物。
  9. 【請求項9】 Eが、 【化11】 である、請求項7に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 Eが、 【化12】 であるが、但し、ZはR1置換基を有する炭素原子に結合した−NH−部分を含 まない、請求項7に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 以下の構造を有する請求項7に記載の化合物: 【化13】
  12. 【請求項12】 以下の構造を有する請求項7に記載の化合物: 【化14】 ここで、Xは、−NH−、−NR’−、−O−および−S−から選択され、X
    を有する前記環は、5員環、6員環、7員環または8員環である。
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