JP4152900B2 - βシート模倣物およびプロテアーゼインヒビターとしてのその使用 - Google Patents

βシート模倣物およびプロテアーゼインヒビターとしてのその使用 Download PDF

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Description

(先行出願に対する相互参考文献)
本出願は、米国特許出願第08/410,518号(1995年3月24日出願)の一部継続出願である米国特許出願第08/549,006号(1995年10月27日出願)の一部継続出願である。
(技術分野)
本発明は、一般にβシート模倣物(mimetic)に関し、より詳細にはプロテアーゼインヒビターとしての使用のためのβシート模倣物に関する。
(発明の背景)
βシートコンホメーション(β鎖コンホメーションともいう)は、多くのポリペプチド中に存在する2次構造である。βシートコンホメーションは、隣接するアミノ酸間の軸距離が約3.5Åで、ほぼ完全に伸張している。βシートは、異なるポリペプチド鎖中のNH基とCO基との間の水素結合により安定化される。さらに、ペプチド結合の双極子は、βシートに本質的な安定性を与える鎖にそって交互になる。βシート中の隣接する鎖は、同一方向に伸び得る(すなわち、平行βシート)か、または反対方向に伸び得る(すなわち、逆平行βシート)。2つの形態は二面角がわずかに異なるが、両方とも立体的には好ましい。βシートコンホメーションの伸張したコンホメーションにより、βシートの交互の面に突き出るアミノ酸側鎖が生じる。
ペプチドおよびタンパク質におけるβシートの重要性は、十分に確立されている(例えば、Richardson, Nature 268:495−499, 1997;Halversonら、J.Am.Chem.Soc. 113:6701−6704, 1991;Zhang, J.Biol.Chem.
266:15591−15596, 1991;Maddenら、Nature, 353:321−325, 1991)。βシートは、プロテアーゼとタンパク質分解基質との間の相互作用を含む多くの生物学的認識事象において重要である。プロテアーゼ活性は、多くの疾患状態に関係している。
カテプシンBは、通常、プロ酵素処理およびタンパク質代謝回転に関係するリソソーム性システインプロテアーゼである。活性レベルの上昇は、腫瘍転移(Sloane, B.F.ら、「カテプシンBおよびその内生インヒビター:腫瘍悪性度におけるその役割」Cancer Metastasis Rev. 9:333−352, 1990)、慢性関節リウマチ(Werb, Z. 「プロテイナーゼおよびマトリクス分解」 Textbook of Rheumatology, Keller, W.N.;Harris, W.D.;Ruddy, S.;Sledge, C.S.編、1989, W.B. Saunder Co., Philadelphia, PA, 300−321頁)、および筋ジストロフィー(Katunuma N.およびKominami
E., 「筋肉消耗性疾患におけるリソソーム性システインプロテイナーゼの異常発現」 Rev. Physiol.Biochem.Pharmacol. 108:1−20, 1987)に関係している。
カルパインは、細胞質ゾル性または膜結合性のCa++活性化プロテアーゼであり、これは細胞内のカルシウムレベルの変化に応答して細胞骨格タンパク質の分解を担う。これらは、関節炎および筋ジストロフィーにおける組織分解に寄与する(Wang K.K.およびYuen P.W., 「カルパイン阻害:その治療上の可能性の概要」 Trends Pharmacol.Sci. 15:412−419, 1994を参照のこと)。
インターロイキン変換酵素(ICE)は、プロIL−1βを炎症の鍵メディエイターであるIL−1βに切断し、それゆえICEのインヒビターは関節炎の処置に有用であると証明され得る(例えば、Miller B.E.ら、「マウスマクロファージにおける成熟IL−1β産生物の阻害およびWIN 67694による炎症のマウスモデル、Il−1β変換酵素のインヒビター」 J.Immunol. 154:1331−1338, 1995を参照のこと)。ICEまたはICE様プロテアーゼもまた、アポトーシス(計画された細胞死)において作用し得、それゆえガン、AIDS、アルツハイマー病、およびアポトーシスが関係する他の疾患において役割を果たす(Barr, P.J.;Tomei, L.D., 「ヒト疾患におけるアポトーシスおよびその役割」 Biotechnol. 12:487−493, 1994を参照のこと)。
HIVプロテアーゼは、HIV(AIDSウイルス)の生活環において鍵となる役割を果たす。ウイルス成熟の最終段階において、HIVプロテアーゼは、ポリタンパク質前駆体を切断し、ビリオンコアの機能酵素および構造タンパク質にする。HIVプロテアーゼインヒビターは、AIDSに対する優れた治療標的として迅速に同定され(Huff, J.R., 「HIVプロテアーゼ:AIDSに対する新規な化学療法の標的」 J.Med.Chem. 34:2305−2314を参照のこと)、そしてリトナビル(ritonavir)、クリクシバン(Crixivan)、およびサクイナビル(saquinavir)の近年のFDA認可により証明されるように、既にその処置において有用であると証明されている。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)は、血圧の調整において中心的役割を果たすレニン−アンジオテンシン系の一部である。ACEは、アンジオテンシンIをその血管収縮活性により強力な昇圧剤であるオクタペプチドアンジオテンシンIIに切断する。ACEの阻害は、高血圧の処置において治療的に有用であると証明された(Williams, G.H., 「高血圧の処置における変換酵素インヒビター」 N.Engl.J.Med. 319:1517−1525, 1989)。
コラゲナーゼは、細胞外マトリクス(例えば、結合組織、皮膚、血管)の主要な構成要素であるコラーゲンを切断する。コラゲナーゼ活性の上昇は、関節炎(Krane S.M.ら、「慢性関節リウマチにおけるマトリクス分解の機構」
Ann.N.Y.Acad.Sci. 580:340−354, 1990)、腫瘍転移(Flug M.およびKopf−Maier P., 「最下部膜およびそのガン細胞侵入の関与」 Acta Anat.Basel 152:69−84, 1995)、および結合組織の分解に関係する他の疾患に寄与する。
トリプシン様セリンプロテアーゼは、止血/凝固(Davie, E.W.およびK.Fujikawa, 「血液凝固における基礎的機構」 Ann.Rev. 799−829, 1975)および補体活性化(Muller−Eberhard, H.J., 「補体」 Ann.Rev.Biochem. 44:697−724, 1975)に関係する大きくかつ高度に選択的な酵素のファミリーを形成する。これらのプロテアーゼの配列決定は、特異性を改変するアミノ酸挿入を有する相同のトリプシン様コアの存在を示し、これは一般に他の高分子成分との相互作用の原因である(Magnussonら、「タンパク質分解および生理学的調節」 Miami Winter Symposia 11:203−239, 1976)。
トリプシン様セリンプロテアーゼであるトロンビンは、フィブリノーゲンからのフィブリンの発生および血小板レセプターの活性化の両方において限定されたタンパク質分解(preoloysis)を提供するように作用し、従って血栓症および止血において重要な役割を果たす(Mann, K.G., 「膜上における血液凝固複合体のアセンブリ」 Trends Biochem.Sci. 12:229−233, 1987)。トロンビンは、フィブリノーゲンにおける181個のArg−またはLys−Xaaの配列のうちのわずか2個のArg−Gly結合の選択的切断を介するフィブリノーゲンのフィブリノペプチドAおよびBの除去において顕著な選択性を示す(Blomback, H., Blood Clotting Enzymology, Seeger, W.H.(編)、Academic Press, New York, 1967, 143−215頁)。
多くの重大な疾患状態は、急性冠状動脈症候群(coronary syndrome)を含む異常止血に関する。アスピリンおよびヘパリンは、急性冠状動脈症候群を有する患者の処置に広く使用される。しかし、これらの薬剤は、いくつかの本質的な制限を有する。例えば、アテローム硬化プラークの破裂を併発する血栓症は、アスピリンおよびヘパリンによる阻害に対して比較的耐性であるトロンビン媒介の血小板依存的プロセスである傾向がある(Fusterら、「冠状動脈疾患の病原体および急性冠状動脈症候群」 N.Engl.J.Med.
326:242−50, 1992)。
トロンビンインヒビターは、インビボでの血管損傷部位での血栓形成を防止する。さらに、トロンビンはまた、冠状動脈における機械的損傷部位での平滑筋細胞増殖を開始する強力な成長因子でもあるので、インヒビターは、この増殖性の平滑筋細胞応答をブロックし、そして再狭窄を減少させる。トロンビンインヒビターはまた、血管壁細胞における炎症性応答を誘起する(Harkerら、Am.J.Cardiol 75:12B−16B, 1995)。
βシートが果たす重要な生物学的役割の観点から、天然に存在するか、または合成のペプチド、タンパク質または分子の本質的なβシート構造を安定化し得る化合物が当該分野で必要とされる。安定なβシート構造の作製、ならびにこのような安定化された構造を使用してβシート構造を含む生物学的認識事象をもたらすか、または改変することもまた当該分野で必要とされる。本発明は、これらの必要を満たし、そしてさらなる関連した利点を提供する。
(発明の要旨)
簡潔に述べると、本発明はβシート模倣物に関し、より詳細には天然または合成のペプチド、タンパク質または分子のβ鎖構造を安定化するβシート模倣物に関する。
本発明の1つの局面において、二環式環系を含むβシート模倣物が開示され、ここでβシート模倣物は以下の一般構造(I)およびその薬学的に受容可能な塩を有する:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;Aは、−C(=O)−、−(CH21-4−、−C(=O)(CH21-3−、−(CH21-2O−および−(CH21-2S−から選択され;Bは、NおよびCHから選択され;Cは、−C(=O)−、−(CH21-3−、−O−、−S−、−O−(CH21-2−および−S(CH21-2−から選択され;YおよびZは、分子の残り(remainder)を表し;そして二環式環の任意の2つの隣接するCH基は、二重結合を形成し得;但し、(i)R1は、水素以外のアミノ酸側鎖部分またはその誘導体であり、(ii)R1がベンジルであり、R2およびR3が両方とも水素であり、Aが−CH2CH2−であり、そしてBがCHである場合、Cは−CH2−ではなく、(iii)R1がメチルであり、R2およびR3が両方とも水素であり、Aが−CH2O−であり、そしてBがCHである場合、Cは−CH2−ではなく、そして(iv)R1がベンジルであり、R2およびR3が両方とも水素であり、Aが−CH2−であり、そしてBがCHである場合、Cは−S−ではない。
上記構造(I)の1つの実施態様において、以下の構造(II)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;Aは、−C(=O)−、−(CH21-4−および−C(=O)(CH21-3−から選択され;Bは、NおよびCHから選択され;Cは、−C(=O)−および−(CH21-3−から選択され;YおよびZは、分子の残りを表し、そして二環式環系は飽和である(すなわち、二環式環系の隣接するCH基間に二重結合を有しない)。
BがCHであり、そしてR3が水素である構造(II)の実施態様において、以下の構造(III)、(IV)および(V)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1およびR2は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;nは1〜4の整数であり;pは1〜3の整数であり;そしてYおよびZは分子の残りを表す。
BがNであり、そしてR3が水素である構造(II)の実施態様において、以下の構造(VI)、(VII)および(VIII)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1およびR2は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;nは1〜4の整数であり;pは1〜3の整数であり;そしてYおよびZは分子の残りを表す。
本発明の本局面の好適な実施態様において、以下の構造(IX)、(X)および(XI)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1およびR2は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;nは1〜4の整数であり;そしてYおよびZは分子の残りを表す。
本発明の本局面のさらに好適な実施態様において、nが2である上記構造(X)のβシート模倣物および以下の構造(Xa)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1およびR2は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;そしてYおよびZは分子の残りを表す。
上記構造(I)の別の実施態様において、以下の構造(XII)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;Aは、−(CH21-4−、−(CH21-2O−および−(CH21-2S−から選択され;Cは、−(CH21-3−、−O−、−S−、−O(CH21-2−および−S(CH21-2−から選択され;YおよびZは、分子の残りを表し、そして二環式環系は飽和である。
Aが−(CH21-4−である構造(XII)の実施態様において、以下の構造(XIII)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;nは1〜4の整数であり;Cは、−(CH21-3−、−O−、−S−、−O(CH21-2−および−S(CH21-2−から選択され;YおよびZは、分子の残りを表す。
Aが−(CH21-2O−または−(CH21-2S−である構造(XII)の実施態様において、以下の構造(XIV)および(XV)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;mは1〜2の整数であり;pは1〜3の整数であり;そしてYおよびZは、分子の残りを表す。
Cが−(CH21-3−である構造(XII)の実施態様において、以下の構造(XVI)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;pは1〜3の整数であり;Aは、−(CH21-4−、−(CH21-2O−および−(CH21-2S−から選択され;そしてYおよびZは、分子の残りを表す。
Cが−O−または−S−である構造(XII)の実施態様において、以下の構造(XVII)および(XVIII)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;pは1〜3の整数であり;そしてYおよびZは、分子の残りを表す。
Cが−O(CH21-2−または−S(CH21-2−である構造(XII)の実施態様において、以下の構造(XIX)および(XX)を有するβシート模倣物が開示される:
ここで、R1、R2およびR3は、独立してアミノ酸側鎖部分およびその誘導体から選択され;pは1〜3の整数であり;mは1〜2の整数であり;そしてYおよびZは、分子の残りを表す。
本発明のさらなる局面において、βシート改変ペプチドまたはタンパク質が開示され、ここで、本発明のβシート模倣物は、天然に存在するかまたは合成のペプチドまたはタンパク質の少なくとも1つのアミノ酸に共有結合している。本実施態様において、上記構造(I)〜(XX)におけるYおよび/またはZは、ペプチドまたはタンパク質の1つ以上のアミノ酸を表す。関連する実施態様において、天然または合成のペプチドまたはタンパク質のβ構造を与え、かつ/または安定化する方法が開示される。本方法は、本発明の1つ以上のβシート模倣物を、ペプチドまたはタンパク質の内部またはその端部に共有結合する工程を包含する。
さらなる実施態様において、本発明の化合物の有効量を温血動物に投与することにより、温血動物においてプロテアーゼを阻害する方法が開示される。プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼ(例えば、トロンビン、エラスターゼおよび第X因子)、ならびにアスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼおよびメタロプロテアーゼが挙げられる。
本発明によれば、天然に存在するか、または合成のペプチド、タンパク質または分子の本質的なβシート構造を安定化し得る化合物が得られる。
本発明の他の局面は、以下の詳細な説明を参照すれば明らかとなる。
(発明の詳細な説明)
上記のように、β−シートは、多くの生物学的認識事象に重要な構造構成成分である。本発明のβ−シート模倣物は、天然または合成のペプチド、タンパク質、あるいは分子のβ−シート構造を与えおよび/または安定化するために役立ち、特にコンホメーションの安定性について役立つ。さらに、本発明のβ−シート模倣物は、タンパク質分解性の分解により抵抗性であり、したがって、ペプチド、タンパク質、またはこれらを含む分子を分解に対してより抵抗性にする。
本発明のβ−シート模倣物は、一般的に、上記の構造(I)、ならびに、構造(II)〜(XX)により示されるより特定の実施態様により示され、そして以下の構造(I’)〜(I””)により示される立体化学を有する:
ここで、R1、R2、R3、A、B、C、Y、およびZは上で定義されたとおりである。言い換えれば、構造(I)、ならびに構造(II)〜(XX)により示されるより特定の実施態様のすべての立体コンホメーションは、本発明の範囲内に含まれる。例えば、本発明のβ−シート模倣物は、天然に存在するL−アミノ酸を含むβ−シートの3次元コンホメーション、ならびに1またはより多くのD−アミノ酸を含むβ−シートの構造を模倣するように構築され得る。好適な実施態様においては、β−シート模倣物は、構造(I’)または(I”)の立体コンホメーションを有する。
本発明の文脈において用いられるように、(上記の構造(I)〜(XX)におけるYおよびZにより示されるような)用語「分子の残り」は任意の化学部分であり得る。例えば、β−シート模倣物がペプチドまたはタンパク質の長さの範囲内に位置する場合、YおよびZはペプチドまたはタンパク質のアミノ酸を示し得る。あるいは、2またはより多くのβ−シート模倣物が連結されるならば、第1のβ−シート模倣物のY部分は第2のβ−シート模倣物を示し得るが、反対に、第2のβ−シート模倣物のZ部分は第1のβ−シート模倣物を示す。β−シート模倣物がペプチドまたはタンパク質の末端に位置される場合、あるいはβ−シート模倣物がペプチドまたはタンパク質と会合されない場合、Yおよび/またはZは適切な末端部分を示し得る。Z部分についての代表的な末端部分には、−H、−OH、−R、−C(=O)R、および−SO2R(ここでRはC1−C8アルキルまたはアリール部分である)を含み(しかし、これらに限定されない)、あるいは、BOC、FMOC、またはCBZ(すなわち、それぞれ、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、およびベンジルオキシカルボニル)のようなタンパク質合成に適切な保護基であってもよい。同様に、Y部分についての代表的な末端部分には、−H、−OH、−R、−NHOH、−NHNHR、−C(=O)OR、−C(=O)NHR、−CH2Cl、−CF3、−C25、−C(=O)CH22 +
(ここでRはC1−C8アルキルまたはアリール部分である)、または複素環式部分(例えば、ピリジン、ピラン、チオファン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ベンズチアゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、イミダゾール、およびベンズイミダゾール)を含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるように、用語「アミノ酸側鎖部分」は、天然に存在するタンパク質中にある任意のアミノ酸側鎖部分を表し、以下の表1に同定される天然に存在するアミノ酸側鎖部分を含む(しかしこれらに限定されない)。本発明の他の天然に存在する側鎖部分には、3,5−ジブロモチロシン、3,5−ジヨードチロシン、ヒドロキシリジン、ナフチルアラニン、チエニルアラニン、γ−カルボキシグルタメート、ホスホチロシン、ホスホセリン、およびグリコシル化アミノ酸(例えば、グリコシル化セリン、アスパラギン、およびトレオニン)の側鎖部分が含まれる(しかしこれらに限定されない)。
天然に存在するアミノ酸側鎖部分の他に、本発明のアミノ酸側鎖部分はまた、それらの種々の誘導体を含む。本明細書で用いられるように、アミノ酸側鎖部分の「誘導体」には、天然に存在するアミノ酸側鎖部分へのすべての改変および/または変更が含まれる。例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびフェニルアラニンのアミノ酸側鎖部分は、一般的に低級鎖アルキル、アリール、またはアラルキル部分として分類され得る。アミノ酸側鎖部分の誘導体には、他の直鎖または分岐、環式または非環式、置換または非置換、飽和または不飽和の、低級鎖アルキル、アリール、またはアラルキル部分が含まれる。
本明細書で用いられるように、「低級鎖アルキル部分」は1〜12炭素原子を含み、「低級鎖アリール部分」は6〜12炭素原子を含み、そして「低級鎖アラルキル部分」は7〜12炭素原子を含む。したがって、1つの実施態様において、アミノ酸側鎖誘導体は、C1-12アルキル、C6-12アリール、およびC7-12アラルキルから選択され、そしてより好ましい実施態様では、 C1-7アルキル、C6-10アリール、およびC7-11アラルキルから選択される。
本発明のアミノ酸側鎖誘導体は、さらに、低級鎖アルキル、アリール、およびアラルキル部分の置換された誘導体を含む。ここで、置換基は以下の化学部分の1つまたはそれ以上から選択される(しかしこれらに限定されない):−OH、−OR、−COOH、−COOR、−CONH2、−NH2、−NHR、−NRR、−SH、−SR、−SO2R、−SO2H、−SOR、およびハロゲン(F、Cl、Br、およびIを含む)、ここで、Rの各存在は独立して低級鎖アルキル、アリール、またはアラルキル部分から選択される。さらに、本発明の環式低級鎖アルキル、アリール、またはアラルキル部分には、ナフタレンならびに複素環式化合物(例えば、チオフェン、ピロール、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3−ピロリン、ピロリジン、ピリジン、ピリミジン、プリン、キノリン、イソキノリン、およびカルバゾール)が含まれる。アミノ酸側鎖誘導体は、さらに、低級鎖アルキルおよびアラルキル部分のアルキル部分のヘテロアルキル誘導体を含み、アルキルおよびアラルキルのホスホネートおよびシランを含む(しかしこれらに限定されない)。
二環式ラクタムが当該分野で公知である。例えば、Columbo, L.ら、Tet. Lett. 36(4):625−628, 1995;Baldwin, J.E.ら、Heterocycles 34(5):903−906, 1992;および、Slomczynska, U.ら、J. Org.
Chem. 61:1198−1204, 1996を参照のこと。しかし、本発明の二環式ラクタムはこれらの参考文献に開示されていない。
上記のように、本発明のβ−シート模倣物は、タンパク質、ペプチド、または分子のβ−シート構造を与えおよび/または安定化するために役立つ。β−シート模倣物は、タンパク質、ペプチド、または分子のC末端もしくはN末端のいずれかに位置し得、あるいは、タンパク質、ペプチド、または分子自体の中に位置し得る。さらに、本発明の1より多いβ−シート模倣物は、タンパク質、ペプチド、または分子中に組み入れられ得る。
本発明のβ−シート模倣物は、多くの反応スキームにより合成され得る。例えば、構造(I)の種々の実施態様は、以下の反応スキーム(1)〜(17)に従って合成され得る。
(反応スキーム(1))
構造(III)およびその代表的化合物(構造(IIIa)を有する)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(2))
構造(IV)は以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(3))
構造(Va)を有する構造(V)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得、ここで、スキーム(3)における構造(Ia)は二環式環系中に二重結合を有する本発明の代表的構造である:
さらに、構造(Vb)を有する構造(V)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得、そして、構造(II)のAが−C(=O)(CH21-3−である場合、関連化合物(以下で(IIa)と命名される)は以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(4))
以下の構造(VIa)および(VIb)(ここでR3は水素である)を有する構造(VI)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る(HolmesおよびNeel、Tet. Lett. 31:5567−70, 1990を参照のこと):
構造(II)の代表的化合物(ここでR3はアミノ酸側鎖部分またはその誘導体である)はまた、上記のスキーム(4)に従って調製され得る。
(反応スキーム(5))
構造(VIIa)を有する構造(VII)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(6))
構造(VIII)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(7))
以下に示される構造(IXa)および(IXb)を有する構造(IX)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(8))
構造(Xb)および(Xc)を有する構造(X)の代表的化合物は、以下の反応スキームにより合成され得る(JungheimおよびSigmund、J.
Org. Chem. 52:4007−4013, 1987を参照のこと):
(反応スキーム(9))
構造(XI)は、以下の反応スキームにより合成され得る(Perkin、J. Chem. Soc. Perk. Trans. 1:155−164,
1984を参照のこと):
(反応スキーム(10))
構造(XIII)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(11))
構造(XIV)および(XV)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(12))
構造(XVI)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(13))
構造(XVII)および(XVIII)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
(反応スキーム(14))
構造(XIX)および(XX)は、以下の反応スキームにより合成され得る:
上記構造(I)の定義によれば、二環式環系は隣接するCH基を含み得る(すなわち、二環式環系は、少なくとも一部は−CH−CH−基により形成され得る)。−CH−CH−基が−C=C−に置換されるような化合物もまた、構造(I)の範囲内に含まれる(すなわち、二環式環の任意の2つの隣接するCH基が一緒に二重結合を形成し得る)。構造(I)の定義によるR1が水素以外の部分であることに留意すべきである。構造(I)の検査は、R1が結合される二環式環原子が本発明の構造(I)よる炭素−炭素二重結合の一部であり得ないことを示す。しかし、R2およびR3は水素であり得、したがって、 R2および/またはR3が結合される二環式環原子は、構造(I)の化合物中の炭素−炭素二重結合の一部を形成し得る。
反応スキーム(15)、(16)、および(17)は、二環式環系が一部分−C=C−基により形成される構造(I)の代表的化合物を調製するための合成方法論を説明する。
(反応スキーム(15))
(反応スキーム(16))
(反応スキーム(17))
本発明のβ−シート模倣物において、好ましいY基は以下の構造を有する:
ここで、好ましい立体化学は
である。
好ましいR4基は、約2〜約10個の炭素原子および少なくとも1つの窒素原子を有する有機アミン部分である。適切な有機アミン部分は化学式C2-104-201-60-2を有し;そして、好ましくは、化学式C3-77-141-40-1を有する。本発明の典型的な有機アミン部分は以下のものである:
上記の構造において、R5は、(a)1〜約12個の炭素原子のアルキル、必要に応じて1〜4のハライド、C1-5アルコキシ、およびニトロで置換されている、(b)−C(=O)NH−C1-5アルキル、ここでアルキル基は必要に応じてハライドまたはC1-5アルコキシで置換されている、(c) −C(=O)NH−C1-10アラルキル、ここでアリール基は、ニトロ、ハライド、−NH−(C=O)C1-5アルキル、−NH−(C=O)C6-10アリール、C1-5アルキル、およびC1-5アルコキシから独立して選択される5つまでの基で必要に応じて置換され得る、および(d)4〜約11個の環原子の単環式および二環式ヘテロアリール、ここで環原子は炭素およびヘテロ原子(酸素、窒素、および硫黄)から選択され、そしてヘテロアリール環は、約4つまでのハライド、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、−C(=O)NHC1-5アルキル、−C(=O)NHC6-10アリール、アミノ、−C(=O)OC1-5アルキル、および−C(=O)OC6-10アリールで必要に応じて置換され得る。
好ましいR5基は、以下のものである:
ここで、R6は、水素、ニトロ、ハライド、NH−C(=O)−C1-5アルキル、NH−C(=O)−C6-10アリール、C1-5アルキル、およびC1-5アルコキシである;
ここで、Xはハライドである;
ここで、Eは、−O−、−NH−、または−S−であり、そしてR7およびR8は、水素、C1-5アルキル、−C(=O)OC1-5アルキル、−C(=O)OC6-10アリール、−C(=O)NHC1-5アルキル、および−C(=O)NHC6-10アリールから独立して選択される;および
ここで、EおよびR6は、すでに定義されているとおりである。
本発明のβ−シート模倣物は、自動化固相ペプチド合成を含む標準的なペプチド合成プロトコルに使用され得る。ペプチド合成は、段階的プロセスであり、ここでペプチドは単一のアミノ酸の段階的付加によるペプチド鎖の伸長によって形成される。アミノ酸はペプチド(アミド)結合の形成によりペプチド鎖に連結される。ペプチド連結は、ペプチドのアミノ基をアミノ酸のカルボン酸基に結合することにより形成される。このように、ペプチドはカルボキシル末端からアミノ末端へ合成される。アミノ酸付加の個々の工程は、所望の長さおよびアミノ酸配列のペプチド(またはタンパク質)が合成されるまで繰り返される。
上記のようなペプチド(あるいはタンパク質または分子)合成を完了するために、ペプチドに付加すべきアミノ酸のアミノ基は、アミノ酸とペプチドとの間のペプチド結合形成(すなわち、アミノ酸のカルボキシル基の、ペプチドのアミノ基への結合)を妨害すべきではない。このような妨害を防ぐために、ペプチド合成に使用されるアミノ酸のアミノ基は適切な保護基で保護される。代表的なアミノ保護基は、例えば、BOCおよびFMOC基を含む。従って、本発明の1つの実施態様では、本発明のβ−シート模倣物は遊離のカルボン酸基および保護されたアミノ基を有し、そしてこのように、標準的な合成技法によるペプチドへの組み込みに適切である。
本発明のβ−シート模倣物は、天然に存在するまたは合成のペプチド、タンパク質、および分子に広い有用性を有する。例えば、本明細書に開示されるβ−シート模倣物は、トリプシン様セリンプロテアーゼの大きなファミリー(P’置換基としてアルギニンまたはリジンを選択するものを含む)のインヒビターとしての活性を有する。これらの酵素は、血液凝固に関連し、そして第VIIa因子、第IXa因子、第Xa因子、トロンビン、カリクレイン、ウロキナーゼ(これはガン転移にも関連する)、およびプラスミンを含む(しかしこれらに限定されない)。したがって、これらの酵素を選択的に阻害する能力は、心臓血管病および腫瘍学に関連する治療適用に広い有用性を有する。このために、以下のβ−シート模倣物は固体支持体(例えば、PAM樹脂)上で合成され得る:
上記のβ−シート模倣物において、Lは任意のリンカーである。
β−シート模倣物は、次いで、例えばアミノリシスにより固体支持体から開裂され、適切な試薬(例えば、色素原基質BAPNA(ベンジロイルアルギニン(benzyoylarginine)パラニトロアナリド)に対する競合基質としてスクリーニングされ得る(EichlerおよびHoughten、Biochemistry 32:11035−11041, 1993を参照のこと)(本明細書に参考として援用される)。あるいは、適切なリンカー部分を用いることにより、β−シート模倣物が固体支持体にまだ付着されている間に、このようなスクリーニングが行われ得る。
上記速度論的分析により基質が選択されると、β−シート模倣物は、C−末端への改変により−すなわち、Y部分への改変により−プロテアーゼインヒビターへ変換され得る。例えば、末端Y部分は、−CH2Cl、−CF3、−H、または−C(O)NHRで置換され得る。適切なR部分は、基質のライブラリーを用いて、あるいは、WassermanおよびHoの手順の改変を用いて生成されるインヒビターのライブラリーを用いて選択され得る(J. Org. Chem. 59:4364−4366, 1994)(本明細書に参考として援用される)。
β−鎖テンプレートを含む化合物のライブラリーは、基質認識または結合に対する最適配列を決定するために構築され得る。このようなライブラリーを使用するための代表的な方策を以下に議論する。
代表的なβ−シート模倣物基質ライブラリーは以下のように構築され得る。以下が、β−シート模倣物基質ライブラリーを調製するために使用され得る方法論の例示であること、および他のライブラリーが類似の方法で調製され得ることが理解されるべきである。
第1の工程において、以下のタイプのライブラリー:
1、R3、R=アミノ酸側鎖部分またはその誘導体;
Y=H、Ac、SO2R;そして、丸で囲まれた「P」は固体支持体を表す。
が固体支持体上で構築され得る(PEGA樹脂、Meldal, M.、Tetrahedron Lett. 33:3077−80, 1992;制御された細孔ガラス、Singhら、J. Med. Chem. 38:217−19, 1995)。次いで、固体支持体は、適切な緩衝液中で酵素(例えばプロテアーゼ)とともに透析バッグ中に置かれ得る。次いで、このバッグは大量の緩衝液とともにビーカー中に置かれる。酵素反応はHPLCによる時間の関数としてモニターされ、そしてポリマーから開裂された物質はMS/MSにより分析される。この方策は、特定の酵素/プロテアーゼに対する最良の基質に関する情報を提供する。
上記のβ−シート模倣物の合成は次に示す逆合成手順により説明される:
この技法により生成されるライブラリーの複雑性は、(R1)(R3)(R)(Y)である。R1、R3、およびRが天然に存在するアミノ酸側鎖部分から選択されると仮定すると、nは一定であり、そして、Yは上で定義したようにH、Ac、または−SO2Rであり、24,000メンバーの種類を有するライブラリー[(20)(20)(20)(3)]が生成される。
プロテアーゼに対するライブラリーをスクリーニングした後、ライブラリーは、次いで回収され、そして第2のプロテアーゼなどでスクリーニングされ得る。
さらに、インヒビターのライブラリーは、標準的な色素原アッセイにおいて構築され、そしてスクリーニングされ得る。例えば、ライブラリーは以下のように構築され得る。ここで、以下の実施例は、以下に提供される特定の実施例に類似の方法で調製され得るインヒビターライブラリーの代表例にすぎない。
(Wassermanら、J. Org. Chem. 59:4364−6,
1994を参照のこと)。
さらなる他の方策は、以下に示すように側鎖R基を介してライブラリーを連結することである。
アスパラギン酸プロテアーゼインヒビターのライブラリーは、以下の例示の構造を有するように構築され得、そして次いで樹脂から開裂され、そしてスクリーニングされる:
同様に、メタロプロテアーゼについては、以下に示す例示の構造を有するライブラリーが構築され得、次いで樹脂から開裂されてヒドロキサム酸のライブラリーを提供する:
本発明のβ−シート模倣物の活性は、生物学的に活性なペプチドを挙げる表2を参照することによりさらに説明され得る。特に、表2のペプチドは基質またはインヒビターとしての生物学的活性を有することが公知である。
上記の生物学的に活性なペプチドを考慮して、本発明のβ−シート模倣物は、その1つまたはそれより多いアミノ酸に対して置換され得る。例えば、以下のβ−シート改変ペプチドが合成され得る:
より一般的には、本発明のβ−シート模倣物は、R1、R2、R3、Y、およびZ部分(ならびに、構造(I)自体のA、B、およびC部分)の適切な選択によりいくつもの生物学的活性ペプチドを模倣するために合成され得る。これはさらに、表3により説明される。表3は、生物学的に活性な化合物を得るために構造(I)のβ−シート模倣物に作成され得る種々の改変を開示する。表3において、R2およびR3は、「R2/R3」カラムに基づいて示される原子または基の中から独立して選択される。
本発明のβ−シート模倣物が生物学的に活性なペプチドの1つまたはそれより多いアミノ酸に対して置換される場合、得られるβ−シート改変ペプチドの構造(PAMのような固体支持体からの開裂の前)は以下の図式により表され得、ここでAA1からAA3は同じまたは異なるアミノ酸を表す:
正確なβ−シート模倣物は、コンピュータモデリングを含む任意の種々の技法、無作為化技法(randomization technique)、および/または天然基質選択アッセイを用いることにより選択され得る。β−シート模倣物はまた、β−シート模倣物のライブラリーを合成し、そしてこのようなライブラリーメンバーをスクリーニングして上で開示したように活性なメンバーを同定することにより生成され得る。
一旦、最適化されたβ−シート模倣物が選択されると、次いで、改変がそこに付着した種々のアミノ酸に対して行われ得る。種々のアミノ酸置換を有する一連のβ−シート改変ペプチドは、次いで、固体支持体から開裂され、そして好ましい基質を同定するためにアッセイされる。このような基質の生成が多くのβ−シート改変ペプチドの合成およびスクリーニングを含み得ることが理解されるべきである。ここで、各β−シート改変ペプチドは、種々の異なるβ−シート模倣物と組み合わせた種々のアミノ酸置換を有する。さらに、固体支持体からのβ−シート改変ペプチドの開裂の後、上記図式においてZ部分がAA3でありそしてY部分がAA2およびAA1であることもまた認識されるべきである。(この図式は例示のために示されるが、付加的なアミノ酸またはより少数のアミノ酸がβ−シート模倣物に連結され得る−すなわち、AA3は存在し得ないかあるいは付加的なアミノ酸がそこに連結され得る;そしてAA2および/またはAA1は省略され得るかあるいは付加的なアミノ酸はそこに連結され得る。)
一旦、好ましい基質が上で開示された手順により同定されると、基質は公知の技法によって、容易にインヒビターに変換され得る。例えば、C末端アミノ酸(この場合にはAA1)は、基質に対するインヒビター活性を与えることが公知である多くの部分の付加により改変され得る。これには、−CF3(公知の可逆的セリンプロテアーゼインヒビター)、−CH2Cl(公知の非可逆的セリンプロテアーゼインヒビター)、−CH22 +および−CH2S(CH32 +(公知のシステイニルプロテアーゼインヒビター)、−NHOH(公知のメタロプロテアーゼインヒビター)、
(公知のシステイニルプロテーゼインヒビター)、ならびに
(公知のアスパルチルプロテアーゼインヒビター)を含む(しかしこれらに限定されない)。
本発明のβ−シート模倣物の有用性はいくつかの実施態様に関して開示されているが、広範な種類およびタイプの化合物が本発明のβ−シート模倣物を含むように作成され得ることが理解される。例えば、本発明のβ−シート模倣物はペプチドまたはタンパク質の2つまたはそれより多くのアミノ酸に置換され得る。ペプチドまたはタンパク質のβ−シート構造を改善および/または改変することに加えて、特にコンフォメーションの安定性に関して、本発明のβ−シート模倣物はまたタンパク質分解性の分解を阻害するために役立つ。これにより、本発明のβ−シート模倣物の組み込みのため、タンパク質分解性の分解がより少なくなる傾向があるペプチドまたはタンパク質の付加された有利点が生じる。
別の局面では、本発明は、貯蔵または投与のために調製された薬学的組成物を包含し、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に、治療的有効量の本発明のβ−シート模倣物または化合物を含む。抗凝固療法は、種々の血栓症状態、特に冠動脈および脳血管疾患の処置および予防が必要とされる。当業者は、抗凝固療法を必要とする状況に容易に気づく。
本発明の化合物の「治療的有効量」は、投与経路、処置される温血動物のタイプ、および検討中の特定の動物の肉体的特徴に依存する。この量を決定するためのこれらの因子およびそれらの関連は、医療分野の当業者に周知である。この量および投与方法は、最適の有効性を達成するために適合され得るが、体重、食餌、併用薬物のような因子、および医療分野の有名な当業者が認識するような他の因子に依存する。
本発明の化合物の「治療的有効量」は、所望の影響および治療徴候に依存する広い範囲をとり得る。代表的には、用量は、約0.01 mg/kgと100 mg/kg体重との間、好ましくは約0.01と10 mg/kg体重との間である。
治療的使用のための「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学の分野で周知であり、そして、例えば、Remingtons Pharmaceutical
Sciences, Mack Publishing Co. (A.R.
Gennaro編、1985)に記載されている。例えば、滅菌生理食塩水および生理学的pHのリン酸緩衝化生理食塩水が使用され得る。保存剤、安定化剤、染料、および着香剤(flavoring agent)さえも薬学的組成物中に提供され得る。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが保存剤として添加され得る。さらに、抗酸化剤および沈殿防止剤が使用され得る。
トロンビン阻害は、血栓症状態を有する個体の抗凝固療法に有用であるだけでなく、貯蔵した全血の凝固を防止するためおよびテストまたは貯蔵用の他の生物学的試料中の凝固を防止するためのような、血液凝固の阻害が必要とされるときはいつでも有用である。したがって、トロンビンインヒビターは、トロンビンを含むまたは含むことが疑われる任意の媒体に添加または接触され得、そしてその媒体中で血液凝固が阻害されることが所望される(例えば、血管移植片、幹、整形外科的補綴物、心臓補綴物、および体外循環系からなる群より選択される物質に哺乳動物の血液を接触させる場合)。
トロンビンインヒビターは、種々の血管病理の処置における相乗的効果を達成するために適切な抗凝固剤または血栓溶解剤(例えば、プラスミノーゲンアクチベーターまたはストレプトキナーゼ)とともに同時投与され得る。例えば、トロンビンインヒビターは、組織プラスミノーゲンアクチベーター媒介血栓溶解性再灌流の効能を増強する。トロンビンインヒビターは、血栓形成後に最初に投与され得、そしてその後、組織プラスミノーゲンアクチベーターまたは他のプラスミノーゲンアクチベーターが投与される。それらはまた、ヘパリン、アスピリン、またはワルファリンと組み合わされ得る。
本発明のトロンビンインヒビターは、錠剤、カプセル剤(それぞれは持続放出処方または時間放出(timed release)処方を含む)、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤(elixer)、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、および乳剤のような経口形態で投与され得る。同様に、それらは、静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下、または筋肉内形態で投与され得、これらはすべて薬学の分野の当業者に周知の形態を用いて投与され得る。有効であるが無毒性の量の所望の化合物は、抗凝集剤としてまたはフィブリンから構築される眼を処置するように用いられ得る。これらの化合物は、眼内にまたは局所的に、ならびに経口または非経口で投与され得る。
トロンビンインヒビターは、蓄積注入または移植調製物の形態で投与され得る。これらは、活性成分の持続放出を可能にするような様式で処方され得る。活性成分は、ペレットまたは小シリンダー中に圧縮され得、そして蓄積注入または移植物として皮下または筋肉内に移植され得る。移植物は、生分解性ポリマーまたは合成シリコーンのような不活性物質(例えば、Silastic、シリコーンゴム、またはDow−Corning Corporationにより製造された他のポリマー)を使用し得る。
トロンビンインヒビターはまた、小さなユニラメラ小胞、大きなユニラメラ小胞、およびマルチラメラ小胞のようなリポソーム送達システムの形態で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのような種々のリン脂質から形成され得る。
トロンビンインヒビターはまた、化合物分子が結合されている個々のキャリアとしてのモノクローナル抗体の使用により送達され得る。トロンビンインヒビターはまた、標的可能な薬物キャリアとしての可溶性ポリマーに結合され得る。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタルニドフェノール(polyhydroxyethyl−aspartarnide−phenol)、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが含まれ得る。さらに、トロンビンインヒビターは、薬物の制御された放出を達成するために有用な生分解性ポリマーのクラスに結合され得る。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン(polydibydropyran)、ポリシアノアクリレート、および架橋したまたは両親媒性のヒドロゲルのブロックコポリマーが挙げられる。
投与量および投与の方法は、最適効能を達成するように適合され得るが、体重、食餌、併用薬物のような因子、および医療分野の当業者が認識するような他の因子に依存する。投与が日常の基礎に基づいて非経口(例えば、静脈内)であるべき場合、注入可能な薬学的組成物は、液体の溶液または懸濁液として、注入前の液体中での溶液または懸濁に適切な固体形態として、あるいは乳剤としてのいずれかの通常の形態に調製され得る。
本発明の活性化合物(例えば、構造(47)、(20b)、(37)、(39)、(29a)、(35)、(45)、(51)、(29b)、(41)、および(13b))の経口投与に適切な錠剤は、以下のように調製され得る:
量−mg
活性化合物 25.0 50.0 100.0
微晶質セルロース 37.25 100.0 200.0
改変食用コーンスターチ 37.25 4.25 8.5
ステアリン酸マグネシウム 0.50 0.75 1.5

すべての活性化合物、セルロース、およびコーンスターチの一部を混合し、そして10%コーンスターチペーストに顆粒状化する。得られた顆粒をふるいにかけ、乾燥し、そして残りのコーンスターチおよびステアリン酸マグネシウムと混合する。次いで、得られた顆粒を、1錠剤につきそれぞれ25.0、50.0、および100.0 mgの活性成分を含む錠剤に圧縮する。
上に示した活性化合物の静脈内投与形態は、以下のように調製され得る:

活性化合物 0.5−10.0mg
クエン酸ナトリウム 5−50mg
クエン酸 1−15mg
塩化ナトリウム 1−8mg
注入用水(USP) 1mlまで適量
上記の量を利用すると、活性化合物は、注入用水(USP、United States Pharmacopoeia/National Formulary for 1995、United States Pharmacopoeia Convention Inc., Rockville, Marylandにより出版、1994の版権の1636ページを参照のこと)中の塩化ナトリウム、クエン酸、およびクエン酸ナトリウムの予め調製された溶液に、室温で溶解される。
本発明の化合物は、開示されたように作成および選択された場合、インビトロおよびインビボでトロンビンの強力なインヒビターとして有用である。このように、これらの化合物は、血液の凝固を防止するためのインビトロ診断試薬として、および異常血栓症により特徴づけられる症状を有すると疑われる哺乳動物における血栓症を予防するためのインビボ薬学的薬剤として有用である。
本発明の化合物は、血液吸引チューブ中の凝血を阻害するためのインビトロ診断試薬として有用である。静脈穿刺により得られた血液をチューブ中に吸引する手段として、その中が真空である、栓をしたテストチューブを使用することは、医療分野では周知である(Kasten, B.L.、「Specimen Collection」、Laboratory Test Handbook、第2版、Lexi−Comp Inc.,Cleveland pp.16−17、Jacobs, D.S.ら編、1990)。血液からの、哺乳動物の血清の単離に有用である場合、このような真空チューブは凝血阻害添加剤を含んでいなくてもよい。あるいは、血液からの、哺乳動物の血漿の単離に有用である場合、これらは凝血阻害添加物(例えば、ヘパリン塩、EDTA塩、クエン酸塩、またはシュウ酸塩)を含んでいてもよい。本発明の化合物は、第Xa因子またはトロンビンの強力なインヒビターであり、そしてこのように、血液採取チューブに吸引する哺乳動物の血液の凝血を防止するために、血液採取チューブに組み入れられ得る。
本発明の化合物は、血液採取チューブ中で、単独で、本発明の他の化合物と組み合わせて、または他の公知の凝血のインヒビターと組み合わせて使用される。このようなチューブに添加すべき量は、哺乳動物の血液がチューブ中に吸引されるときに凝血の形成を阻害するに十分な量である。このようなチューブへの化合物の添加は、それらの液体組成物の導入によるような当該分野で周知の方法により、それらの固体組成物として、または固体へ凍結乾燥される液体組成物として達成され得る。本発明の化合物は、2〜10 mLの哺乳動物の血液と合わされたときにこのような化合物の濃度が血餅形成を阻害するに十分である量で血液採取チューブに添加される。代表的には、必要とされる濃度は、約1〜10,000 nMであり、10〜1000 nMが好ましい。
以下の実施例は例示のために提供されるが、限定のために提供されるものではない。
(実施例1)
(代表的なβシート模倣物の合成)
本実施例は、本発明の代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
構造(1)の合成:
フェニルアラニンベンズアルジミン[構造(1)]を、次のようにして合成した。室温のCH2Cl2(150ml)中で攪拌したL−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(7.19g,33.3mmol)とベンズアルデヒド(3.4ml,33.5mmol)との混合物に、トリエチルアミン(7.0ml,50mmol)を加えた。得られた溶液に無水硫酸マグネシウム(2g)を加え、その混合物を14時間攪拌した後、セライトの1インチパッドを通してCH2Cl2で濾過した。その濾液を減圧下で最初の容積の約半分まで濃縮した後、等容積のヘキサンで希釈した。その混合物を飽和NaHCO3水溶液、H2Oおよびブラインで2回抽出した後、無水Na2SO4で乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して、無色の油状物8.32g(収率93%)を得た。1H NMR分析は、ほぼ純粋(>95%)なフェニルアラニンベンズアルジミンを示した。その粗生成物をさらに精製することなく使用した。
構造(2)の合成:
α−アリルフェニルアラニンベンズアルジミン[構造(2)]を、次のようにして合成した。−78℃のTHF(150mL)中で攪拌したジイソプロピルアミン(4.3ml,33mmol)の溶液に、n−ブチルリチウムの溶液(2.5Mヘキサン溶液13ml,33mmol)を滴下した。得られた溶液を20分間攪拌した後、THF(30ml)中のフェニルアラニンベンズアルジミン(7.97g,29.8mmol)の溶液をゆっくりと加えた。得られた暗赤橙色溶液を15分間攪拌した後、臭化アリル(3.1ml,36mmol)を加えた。その淡黄色溶液を−78℃で30分間攪拌した後、室温に加温し、さらに1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、その混合物を酢酸エチルに注いだ。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して、粘稠な黄色油状物8.54gを得た。カラムクロマトグラフィーによる精製で、α−アリルフェニルアラニンベンズアルジミン7.93g(87%)を粘稠な無色油状物として得た。
構造(3)の合成:
α−アリルフェニルアラニン塩酸塩[構造(3)]を、次のようにして合成した。メタノール(50ml)中で攪拌したα−アリルフェニルアラニンベンズアルジミン(5.94g,19.3mmol)の溶液に、5%塩酸水溶液(10ml)を加えた。その溶液を室温で2時間攪拌した後、真空下で濃縮して、橙褐色のカラメル質にした。その粗生成物をCHCl3(10ml)に溶解し、その溶液を加熱沸騰させた。ヘキサン(約150ml)を加え、わずかに濁ったその混合物を冷却した。結晶化した固体から液体をデカンテーションして取り除いた後、その固体をヘキサンで濯ぎ、そして回収した。残存溶媒を真空下で除去して、純粋なα−アリルフェニルアラニン塩酸塩3.56g(72%)を白色結晶性固体として得た。
構造(4)の合成:
N−tert−ブチルオキシカルボニル−α−アリルフェニルアラニン[構造(4)]を、次のようにして合成した。THF(15ml)と水(5ml)との混合物中で攪拌したD,Lα−アリルフェニルアラニン塩酸塩(565mg, 2.21mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネートを加え、次いで固形重炭酸ナトリウムを注意深く少しずつ添加した。得られた二相混合物を室温で2日間激しく攪拌した後、酢酸エチルで希釈した。その有機相を分離し、水およびブラインで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。濾液を真空下で濃縮して無色の油状物を得て、それをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の5−10%EtOAc勾配で溶出)で精製することにより、N−tert−ブチルオキシカルボニル−α−アリルフェニルアラニン596mg(86%)を得た。
構造(5)の合成:
構造(5)のアルデヒドを、次のようにして合成した。CH2Cl2(50mL)とメタノール(15ml)との混合物中−78℃で攪拌した構造(4)のオレフィン2.10g(6.57mmol)の溶液に、その溶液がはっきりと青色になるまでオゾンを通した。その溶液をさらに15分間攪拌した後、硫化ジメチルをゆっくりと加えた。得られた無色の溶液を−78℃で10分間攪拌した後、室温に加温し、そして6時間攪拌した。その溶液を真空下で濃縮して、粘稠な淡黄色油状物2.72gを得、それをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10−20%EtOAc勾配で溶出)で精製することにより、純粋なアルデヒド1.63gを粘稠な無色油状物として得た。
構造(6)の合成:
構造(6)のヒドラゾンを、次のようにして合成した。室温のTHF(50ml)中で攪拌した構造(5)のアルデヒド(1.62g,5.03mmol)の溶液に、ヒドラジン水和物(0.32ml,6.5mmol)を加えた。得られた溶液を室温で10分間攪拌した後、3日間加熱還流した。その溶液を室温に冷却した後、真空下で濃縮して、1.59g(粗収率105%)の無色泡状物にした。このヒドラゾン粗生成物[構造(6)]を精製することなく使用した。
構造(7)の合成:
構造(7)の環状ヒドラジドを、次のようにして合成した。構造(6)の粗ヒドラゾン(55mg,0.18mmol)と酸化白金(5mg,0.02mmol)とをメタノールに取り、そのフラスコに、ゴム風船を付けた三方コックを装着した。そのフラスコに水素ガスを3回フラッシュし、風船を水素で膨らませ、その混合物を水素雰囲気下で17時間、激しく攪拌した。その混合物をセライトを通して酢酸エチルで濾過し、その濾液を真空下で濃縮して、白色泡状物にした。その白色泡状物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、構造(7)の純粋な環状ヒドラジド44mgを得た(80%)。
構造(8)の合成:
構造(8)の化合物を次のようにして合成した。90℃のアクリル酸エチル(200ml)中で攪拌した構造(7)の環状ヒドラジド(4.07g,13.32mmol)の溶液に、ホルムアルデヒド(37%水溶液1.2ml)を加えた。その混合物を15時間加熱還流した後、室温に冷却し、真空下で濃縮して白色泡状物にした。その生成物をカラムクロマトグラフィー(5%アセトン/クロロホルムの後、10%アセトン/クロロホルム)で分離することにより、二環式エステルの最も極性の低いジアステレオマー[構造(8b)]0.851gと、より極性の高いジアステレオマー(8a)を得た。不純な画分を第2のクロマトグラフィーにかけて、より純粋な構造(8b)を得た(合計の収率25%)。
構造(9b)の合成:
構造(9b)の化合物を次のようにして合成した。THF(1ml)中で攪拌した最も極性の低いエチルエステル(すなわち構造(8b))(31mg,0.074mmol)の溶液に、水酸化リチウム水溶液(1M,0.15ml)を加えた。得られた混合物を室温で2時間攪拌した後、反応を5%クエン酸水溶液でクエンチした。その混合物を酢酸エチル(2×)で抽出した後、合わせた抽出物を水およびブラインで洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して無色のガラス状物にした。その粗製酸[構造(9b)]をさらに精製することなく以降の実験に使用した。
構造(10b)の合成:
構造(10b)の化合物を次のようにして合成した。構造(9b)の粗製酸(30mg,0.074mmol)、HArg(PMC)pNA(41mg,0.074mmol)およびHOBt(15mg,0.098mmol)をTHF(1ml)に溶解した後、ジイソプロピルエチルアミン(0.026ml,0.15mmol)を加え、次いでEDC(16mg,0.084mmol)を加えた。得られた混合物を室温で4時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して、淡黄色ガラス状物54mgを得た。生成物をカラムクロマトグラフィーで分離することにより、カップリングした(すなわち保護された)生成物[構造(10b)]のジアステレオマーの混合物33mg(50%)を得た。MS(CI+,NH3)m/z 566.6(M+H+)。
構造(11b)の合成:
構造(11b)のβシート模倣物を次のようにして合成した。TFA 5ml中のH2O 0.25ml、1,2−エタンジチオール0.125mlおよびフェノール360mgの溶液を調製し、その溶液2mlに構造(10b)の保護生成物(33mg,0.035mmol)を溶解した。得られた溶液を室温で3時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。その濃縮物にエーテルを加え、得られた沈殿物を遠心分離によって集めた。その沈殿物をエーテルで粉末化し、さらに2回遠心分離した後、真空デシケーター中で14時間乾燥した。その粗生成物(14mg)をHPLCクロマトグラフィーで精製することにより、構造(11b)のβシート模倣物を得た。MS(CI+,NH3)m/z 954.8(M+Na+)。
構造(12b)の化合物の合成:
構造(12b)の化合物を次のようにして合成した。−50℃のTHF(1ml)中で攪拌した構造(9b)の粗製酸(24mg,0.062mmol)とN−メチルモルホリン(0.008ml)との溶液に、クロロギ酸イソブチルを加えた。その濁った混合物を10分間攪拌した後、N−メチルモルホリン0.016ml(0.14mmol)を加え、次いでTHF(0.5ml)中のHArg(Mtr)CH2Cl(50mg,0.068mmol)の溶液を加えた。その混合物を20分間、−50℃で維持した後、1時間で室温まで加温した。その混合物を酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、49mgの無色ガラス状物[構造(12)]を得た。カラムクロマトグラフィーによる分離で、より極性の低いジアステレオマー12mgと、より極性の高いジアステレオマー16mgとを得た。
構造(13b)の合成:
構造(13b)のβシート模倣物を次のようにして合成した。構造(12b)のより極性の高いジアステレオマー(16mg,0.021mmol)を95%
TFA/H2O(1ml)に溶解し、得られた溶液を室温で6時間攪拌した後、真空下で濃縮して11mgの粗製物を得た。その粗生成物をエーテルで粉末化し、沈殿物をエーテルで2回洗浄した後、高真空下で14時間乾燥した。1H NMR分析は、完全に脱保護された生成物とMtr保護基を含有する生成物との1:1混合物を示した。その混合物を95% TFA/H2Oに溶解して2日間攪拌し、生成物を上記のようにして回収した。HPLCによる生成物の精製で、構造(13b)の純粋な化合物5mgを得た。MS(EI+)m/z 477.9(M+)。
(実施例2)
(代表的なβシート模倣物の合成)
本実施例は、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
構造(14)の合成:
ヒドロキサム酸N,O−ジメチル[構造(14)]を次のようにして合成した。室温のTHF(150ml)中で攪拌したBoc−Ng−4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル−L−アルギニン(8.26g,14.38mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.78g,28.5mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(2.45g,16.0mmol)の混合物に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.5ml,43mmol)を加え、次いで固体EDC(3.01g,15.7mmol)を加えた。得られた溶液を16時間攪拌した後、酢酸エチル(200ml)で希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽出した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して白色泡状物7.412gを得た。
構造(15)の合成:
構造(15)の化合物を次のようにして合成した。室温のジクロロメタン(150ml)中で攪拌した上記アルギニンアミド(7.412g,13.99mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.9ml,17mmol)を加え、次いでジ−tert−ブチルジカーボネート(3.5ml,15.4mmol)とN,N−ジメチルアミノピリジン(0.175g,1.43mmol)とを加えた。得られた溶液を1.5時間攪拌した後、水に注いだ。水層を分離し、ジクロロメタン各100mlで2回抽出した。合わせた抽出物をブラインと共に振とうした後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。濾液を真空下で濃縮して白色泡状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィーで精製して白色泡状物8.372gを得た。
構造(16)の合成:
アルギナール[構造(16)]を次のようにして合成した。乾燥アルゴン雰囲気下−78℃のトルエン中で攪拌したアルギニンアミド[構造(15)]の溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1.0M,7.3ml)を15分間かけて滴下した。得られた溶液を30分間攪拌した後、さらに水素化ジイソブチルアルミニウム(3.5ml)を加え、攪拌を15分間続けた。メタノール(3ml)を滴下し、その溶液を−78℃で10分間攪拌した後、室温に加温した。その混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液50mlと共に2.5時間激しく攪拌した。水層を分離し、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。その抽出物を元の有機溶液と合わせ、ブラインと共に振とうした後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して白色泡状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィーで分離することにより、上記アルデヒド1.617gを白色泡状物として得た。
構造(17)の合成:
ヒドロキシベンゾチアゾール[構造(17)]を次のようにして合成した。乾燥アルゴン雰囲気下−78℃の無水ジエチルエーテル(60ml)中で攪拌したベンゾチアゾール(1.55ml,14mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M,5.6ml,14mmol)を10分間かけて滴下した。得られた橙色溶液を45分間攪拌した後、ジエチルエーテル(5ml)中のアルギナール[構造(16)](1.609g,2.819mmol)の溶液をゆっくりと加えた。その溶液を1.5時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、その混合物を室温に加温した。その混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、合わせた抽出物を水およびブラインで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して黄色油状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(溶離液、30%酢酸エチル/ヘキサンの後、40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することにより、ヒドロキシベンゾチアゾール(ジアステレオマーの約2:1混合物)1.22gを白色泡状物として得た。
そのヒドロキシベンゾチアゾールの混合物(1.003g,1.414mmol)を室温のCH2Cl2(12ml)中で攪拌し、トリフルオロ酢酸(3ml)を加えた。得られた溶液を1.5時間攪拌した後、減圧下で濃縮して、ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩1.22gを黄色泡状物として得た。
MS(EI+):m/z 506.2(M+H+)。
構造(18b)の合成:
二環式化合物[構造(18b)]を次のようにして合成した。実施例1で得た構造(9b)の二環式酸(151mg,0.387mmol)とHOBt水和物(71mg,0.46mmol)とをTHF(5ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(0.34ml,1.9mmol)を加え、次いでEDC(89mg,0.46mmol)を加えた。10分間攪拌した後、THF(1ml)中の上記ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩[構造(17)](273mg,0.372mmol)の溶液を、THF(0.5ml)すすぎ液と共に加えた。その混合物を室温で15時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽出した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、297mgの黄色ガラス状物とした。1H NMR分析は、構造(18b)を含む4つのジアステレオ異性アミドの混合物を示した。
MS(ES+):m/z 877(M+)。
構造(19b)の合成:
構造(19b)を次のようにして合成した。粗ヒドロキシベンゾチアゾール(247mg,0.282mmol)をCH2Cl2(5ml)に溶解し、Dess−Martin ペルヨージナン(periodinane)(241mg,0.588mmol)を加えた。その混合物を室温で6時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液と共に10分間激しく攪拌した。有機溶液を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。その濾液を真空下で濃縮して黄色ガラス状物252mgを得た。1H NMR分析は、構造(19b)を含む2つのジアステレオ異性ケトベンゾチアゾールの混合物を示した。
構造(20b)の合成:
ケトベンゾチアゾール[構造(20)]を次のようにして合成した。ケトベンゾチアゾール(19)(41mg,0.047mmol)を95%トリフルオロ酢酸水溶液(0.95ml)に溶解し、チオアニソール(0.05ml)を加えた。得られた暗色溶液を室温で30時間攪拌した後、真空下で濃縮して暗褐色ゴム状物にした。そのゴム状物をジエチルエーテルで粉末化し、遠心分離した。その溶液を除去し、残った固体をさらに2回、上記のようにして粉末化し、そして回収した。その黄色固体を真空デシケーターで2時間乾燥した後、HPLC(Vydac逆相C−4カラム(22×250mm ID))で精製した。移動相:A=0.05% TFA/水;B=0.05% TFA/アセトニトリル。流速は10.0mL/分とした。使用した勾配は25分間で8% Bから22% Bまでであり、その後、22%の無勾配溶離とした。目的のピーク(構造(20b))は42分に溶出し、脱保護された生成物(構造(20b))2.5mgが得られた。
MS(ES+):563.5(M+H+)。
(実施例3)
(代表的βシート模倣物のタンパク質加水分解基質としての活性)
この実施例では、トロンビンおよび第VII因子の基質として選択的に機能する、本発明の代表的βシート模倣物の能力を例示する。前記構造(11b)のβシート模倣物を実施例1に開示した手順に従って合成し、さらに修飾することなくこの実験で使用した。
この実験のトロンビンアッセイと第VII因子アッセイは共に、Hitachi UV/Vis分光光度計(モデルU−3000)を用いて37℃で行なった。構造(11b)を脱イオン水に溶解した。濃度は342nmの吸光度から決定した。8270リットル/mol/cmという吸光係数を使用した。反応緩衝液に関して9920リットル/mol/cmというp−ニトロアニリンの吸光係数を用い、405nmにおける吸光度の変化から、構造(11b)の加水分解速度を決定した。初速度は反応進行曲線の最初の直線部分から計算した。速度論的パラメーターは、GraFit(バージョン3.0, Erithacus Software Limited)を用いて、実験データに対する簡単なミカエリス−メンテンの式の非加重非線形最小二乗フィッティングによって決定した。
トロンビンアッセイについては、pH8.4トリス緩衝液(トリス,0.05M;NaCl,0.15M)中で実験を行なった。6.4 NIH単位のウシトロンビン(Sigma製)を10mlのアッセイ緩衝液に溶解して10nMトロンビン溶液を得た。UVキュベットに130〜148μlの緩衝液と100μlのトロンビン溶液を加え、37℃で2分間プレインキュベートし、最後に2〜20マイクロリットル(最終体積を250μlにする量)の0.24mM構造(11b)溶液を加えて反応を開始させた。その反応の最初の二分間を初速度測定のために記録した。8つの構造(11b)濃度点を集めて速度論的パラメーターを得た。kcatとKMは、それぞれ50s-1および3μMと計算された。kcat/KMは1.67×107-1-1であることがわかった。
第VII因子アッセイには、pH8.0トリス緩衝液(0.05Mトリス,5mM CaCl2,0.15M NaCl,0.1% TWEEN 20,0.1%BSA)を用いた。10μlの20μMヒト第VIIa因子(FVIIa)および22μMヒト組織因子(TF)をアッセイ緩衝液に入れて、それぞれ160nM FVIIaおよびTF溶液とした。40〜48μlの緩衝液、25μlのFVIIaおよび25μl TF溶液をキュベットに加え、37℃で5分間インキュベートした後、2〜10μlの2.4mM構造(11b)溶液をそのキュベットに加えて反応を開始させた(最終体積は100mlとした)。最初の3分間の反応進行曲線を記録した。5つの構造(11b)濃度点を集めた。その初速度を、GraFitを用いて、構造(11b)の濃度に対して線形最小二乗フィッティングした。kcat/KMをその勾配から計算したところ、17,500M-1-1であることがわかった。
この実験のトロンビンアッセイと第VII因子アッセイではどちらの場合も、(D)FPR−PNAをコントロールとした。このコントロールと比較した構造(11b)の活性は、トロンビンと第VII因子について、それぞれ0.76と1.38だった(第VII因子:Kcat/KM=1.27×104-1-1;トロンビン:Kcat/KM=2.20×107-1-1)。
(実施例4)
(代表的βシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性)
この実施例では、トロンビン、第VII因子、第X因子、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、プロテインC、プラスミンおよびトリプシンのプロテアーゼインヒビターとして機能する、本発明の代表的βシート模倣物の能力を例示する。前記構造(13b)のβシート模倣物を実施例1に開示した手順に従って合成し、この実験で使用した。
この実験の阻害アッセイはすべて、Bio−Radマイクロプレートリーダー(モデル3550)を用いて、96ウェルマイクロプレート中、室温で行なった。0.29mgの構造(13b)を200mlの0.02N塩酸脱イオン水溶液に溶解した。この溶液(2.05mM)を、全ての阻害アッセイ用のストック溶液とした。発色基質の加水分解を405nmで監視した。代表的には30秒〜2分間隔で90回プレートを読み取ることにより、反応進行曲線を記録した。GraFitにおける、一次反応に対する非加重非線形最小二乗フィッティングにより、初速度を決定した。次に、決定した初速度を、GraFitを用いて構造(13b)の濃度に対して非線形最小二乗フィッティングすることによりIC50を得た。代表的には、IC50の決定に8つの構造(13b)濃度点を使用した。
トロンビンアッセイについては、基質として、N−p−トシル−Gly−Pro−Arg−pNA(Sigma製)を、1%DMSO(v/v)pH8.4トリス緩衝液中、0.5mM濃度で使用した。構造(13b)ストック溶液から2段階の希釈を行なった。先ず、0.02N塩酸塩溶液中に1:2000希釈、次いでpH8.4トリス緩衝液中に1:100希釈。その構造(13b)の最終希釈液を第1点(10nM)とした。この第1点から、希釈率2で、7つの連続希釈液を作成した。各反応ウェルに100μlの10nMトロンビン溶液と50μlの構造(13b)溶液を加えた。その酵素とインヒビターとの混合物を20分間インキュベートした後、100μlの0.5mM基質溶液を加えて反応を開始させた。トロンビンに対する構造(13b)のIC50は1.2±0.2nMであることがわかった。
第VII因子アッセイでは、基質として、S−2288(Pharmacia製)D−Ile−Pro−Arg−pNAを脱イオン水中20μMで使用した。構造(13b)のストックから、pH8.0トリス緩衝液中に1:100希釈液を作成した。この希釈液をこのインヒビターの第1点(20μM)とした。この濃度点から、希釈率2で、さらに6つの連続希釈液を作成した。50μlの16nM FVIIaおよびTF複合体溶液と40μlのインヒビター溶液を各ウェルに加え、その混合物を20分間インキュベートした後、10μlの20mM S−2288を加えた。第VII因子に対する構造(13b)のIC50は140±3nMであることがわかった。
第X因子アッセイにおける緩衝液と基質は、トロンビンアッセイに使用したものと同じである。pH8.4トリス緩衝液中に1:100希釈液を作って、それを第1点とした。希釈率2で、7つの希釈液を作成した。アッセイ手順は、トロンビンの代わりにpH8.4トリス緩衝液中の25nMウシの第Xa因子(Sigma製)を使用した点以外は、トロンビンの場合と同じである。第X因子に対する構造(13b)のIC50は385±17nMであることがわかった。
ウロキナーゼアッセイにおいて、緩衝液は、脱イオン水中のpH8.8 0.05Mトリスおよび0.05M NaClとした。水中0.5mMのS−2444(Sigma製)pyroGlu−Gly−Arg−pNAを基質として使用した。第VII因子および第X因子の場合と同じ希釈法を用いた。アッセイ手順は、18.5nMのヒトウロキナーゼ(Sigma製)を使用した点以外は、トロンビンの場合と同じである。IC50は927±138nMであることがわかった。
組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA):緩衝液、基質および構造(13b)の希釈法は、第VII因子アッセイに使用したものと同じとした。
活性化プロテインC(aPC):緩衝液はトロンビンアッセイで用いたものと同じとした。アッセイ緩衝液中の1.25mM S−2366を基質として使用した。構造(13b)の希釈はウロキナーゼアッセイの場合と同じであった。
プラスミン:緩衝液(トロンビンアッセイを参照のこと);アッセイ緩衝液中1.25mMのS−2551(Pharmacia製)D−Val−Leu−Lys−pNAを基質として使用した。構造(13b)の希釈についてはウロキナーゼアッセイを参照のこと。
トリプシンアッセイでは、pH7.8トリス(0.10Mトリスおよび0.02M CaCl2)を緩衝液として使用した。基質として、BAPNA(Sigma製)を、1%DMSO(v/v)脱イオン水溶液中、1mg/mlで使用した。第VII因子アッセイの場合と同じ構造(13b)の希釈液を作成した。40μlの50μg/mlウシトリプシン(Sigma製)と20μlの構造(13b)溶液を反応ウェルに加え、その混合物を5分間インキュベートした後、40μlの1mg/ml BAPNAを加えて反応を開始させた。トリプシンに対する構造(13b)のIC50は160±8nMであることがわかった。
前記のアッセイでは、(D)FPR−CH2Cl(「PPACK」)をコントロールとした。このコントロールと比較して構造(13b)の活性は高かった(表4参照)。
プロトロンビン時間(PT)については、100μlのコントロール血漿(Sigma製)を1〜5μlの緩衝液(0.05Mトリス,0.15M NaCl,pH=8.4)または試験化合物(すなわちPPACKまたは構造(13b))と共に緩衝液中でインキュベート(37℃で30分間)することにより、これを決定した。次に、予め温めておいた(37℃で約10分間)カルシウム入りトロンボプラスチン(Sigma製)200μlを、前記血漿試料にすばやく加えた。血塊が形成するのに要する時間をストップウォッチを用いて手動で記録したところ(表5参照)、それがPPACKに匹敵することがわかった。
(実施例5)
(代表的βシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性)
この実施例では、トロンビン、第VII因子、第X因子、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、活性化プロテインC、プラスミン、トリプターゼおよびトリプシンのインヒビターとして機能する、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の能力を例示する。前記構造(20b)のβシート模倣物を実施例2に開示した手法に従って合成し、この実験に使用した。
Bio−Radマイクロプレートリーダー(モデル3550)を用いて、全ての阻害アッセイを96ウェルマイクロプレート中、室温で行なった。構造(20b)の1mM水溶液を、全ての阻害アッセイ用のストック溶液とした。発色基質の加水分解を405nmで監視した。代表的には30秒〜2分間隔で60回プレートを読み取ることにより、反応進行曲線を記録した。GraFit(Erithacus Software Limited, London, England)における、一次反応に対する非加重非線形最小二乗フィッティングにより、初速度を決定した。次に、決定した初速度を、GraFitで構造(20b)の濃度に対して非線形最小二乗フィッティングすることにより、Kiを得た。これらアッセイの一般的形式は次の通りである:100mlの基質溶液と100mlの構造(20b)溶液をマイクロプレートウェルに加えた後、50mlの酵素溶液を加えて反応を開始させた。通常、Kiの決定には、8つの構造(20b)濃度点を使用した。9種類のセリンプロテアーゼに対する構造(20b)のKi値を表6に示す。
トロンビン:基質として、N−p−トシル−Gly−Pro−Arg−pNA(Sigma製)を1%DMSO(v/v)pH8.0トリス緩衝液(トリス,50mM、Tween 20,0.1%、BSA,0.1%、NaCl,0.15M、CaCl2,5mM)中、0.5mM濃度で使用した。構造(20b)ストック溶液から2段階の希釈を行なった。先ず水中の1:100希釈液を作り、次にpH8.0トリス緩衝液中の1:50希釈液を作って、それを第1点(200nM)とした。その第1点から、アッセイ用に、7つの連続希釈液を作成した。
第VII因子:pH8.0トリス緩衝液(トロンビンアッセイを参照のこと)中2.05mMのS−2288(Pharmacia製)D−Ile−Pro−Arg−pNAを使用した。構造(20b)のストックから、1:100希釈液をトリス緩衝液中に作成した。この濃度点から、アッセイ用に、さらに7つの連続希釈液を作成した。
第X因子:緩衝液と基質はトロンビンアッセイに用いたものと同じとした。pH8.0トリス緩衝液中に1:100希釈液を作成し、それを第1点とした。その第1点から、アッセイ用に、さらに7つの希釈液を作成した。
ウロキナーゼ:緩衝液,50mMトリス、50mM NaCl、pH=8.8。緩衝液中0.25mMのS−2444(Sigma製)pyroGlu−Gly−Arg−pNAを基質として使用した。構造(20b)のストックから、第1点として、緩衝液中に1:10希釈液を作成し、その第1点からアッセイ用に、さらに7つの希釈液を作成した。
組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA):緩衝液、基質および構造(20b)の希釈法は、第VII因子アッセイに用いたものと同じとした。
活性化プロテインC(aPC):緩衝液はトロンビンアッセイで用いたものと同じとした。アッセイ緩衝液中の1.25mM S−2366を基質として使用した。構造(20b)の希釈液はウロキナーゼアッセイの場合と同じとした。
プラスミン:緩衝液(トロンビンアッセイを参照のこと);アッセイ緩衝液中1.25mMのS−2251(Pharmacia製)D−Val−Leu−Lys−pNAを基質として使用した。構造(20b)の希釈についてはウロキナーゼアッセイを参照のこと。
トリプターゼ:0.1Mトリス、0.2M NaCl、0.1mg/mlヘパリン、pH=8.0を緩衝液として使用した。緩衝液中の0.5mM S−2366(Pharmacia製)L−pyroGlu−Pro−Arg−pNAを基質として使用した。構造(20b)の1mMストックから、水中に10mM溶液を作成した後、その10mM溶液から緩衝液中に1mM溶液を作成し、それを第1濃度点とした。この点から、アッセイ用に、さらに7つの希釈液を作成した。
トリプシン:緩衝液、基質および構造(20b)の希釈法は、トロンビンに使用したものと同じとした。
前記表6に示すデータによって例示されるように、構造(20b)は、繊維素溶解酵素に対して良好な特異性を持つ良好なトロンビンインヒビターとして機能した。
(実施例6)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例では、下記の構造(21)を持つ本発明の代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(21)を次のように合成した。CH2Cl2 0.43mL中のNa−FMOC−Ne−Cbz−a−エタナール−Lys−Ome[Phe−OMeから構造(5)を調製するために使用した方法と同じ方法によって、Ne−Cbz−Lys−OMeから合成したもの]48mg(0.859mmol)、Cys−OEt.HCl 15.9mg(0.0859mmol)およびTEA 13.2μL(0.0945mmol)の溶液をAr下に室温で2時間攪拌した。ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)スズ(II)(39.8μL)を加え、その反応を一夜攪拌した。その反応溶液を10mLのEtOAcで希釈し、各6mLの10%クエン酸、水およびブラインで洗浄した。その有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、40%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、真空乾燥後に、無色の油状物12.9mg(23%)をジアステレオマーの混合物(1H NMR(CDCl3)による)として得た。MS ES(+)m/z 658.2(MH+,30),675.3(M+Na+,100),696.1(M+K+,45)。
(実施例7)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例では、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(22)の合成:
構造(22)を次のように合成した。ジクロロメタン(100ml)中でDMAP(270mg)およびメタノール(3ml)と共に攪拌したCbz−Glu(OBn)−OH(5g,13.5mmol)の溶液に、0℃でEDCI(3g)を加えた。0℃で3時間攪拌した後、その溶液を室温(rt)で一夜攪拌した。濃縮後、その残渣をEtOAc(100ml)と1N HCl(100ml)に取り出した。水相を分離し、EtOAc(100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、シリカゲルの短いパッドに通し、濃縮して、4.95gの油状物(95%)を得た。その生成物は、さらに精製しなくても次の反応に使用できるほど純粋だった。
構造(23)の合成:
構造(23)を次のように合成した。1,4−ジオキサン(40ml)とH2O(20ml)中でトリエチルアミン(8.4ml,60mmol)と共に攪拌したL−Glu−OH(4.41g,30mmol)の溶液に、Boc2O(7g,32mmol)を室温で加えた。1.5時間攪拌した後、その溶液を6N HClで酸性化(pH2)し、EtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をH2O(100ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮して、油状物(9.5g)を得た。さらに精製することなく、その油状物を次の反応に使用した。
1,2−ジクロロエタン(200ml)中の前記油状物(9.5g)とパラホルムアルデヒド(5g)およびp−TsOH・H2O(400mg)との混合物を、モレキュラーシーブ4Aを満たしたディーン−スターク冷却器を用いて6時間加熱還流した。EtOAc(100ml)と飽和NaHCO3(50ml)を添加した後、その溶液を飽和NaHCO3(3×50ml)で抽出した。合わせた水性抽出物を6N HClで酸性化(pH2)し、EtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(100ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮して油状物を得た。その粗製油状物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=80:20→70:30→60:40)で精製することにより、油状物(4.04g,52%)を得た。この油状物は静置するとゆっくりと固化した。
構造(24)の合成:
構造(24)を次のように合成した。THF(10ml)中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(2.1ml,10mmol)の攪拌溶液に0℃でn−BuLi(4mlの2.5Mヘキサン溶液,10mmol)を加えた。得られた溶液を同じ温度で30分間攪拌した。−78℃に冷却した後、その攪拌溶液にTHF(10ml)中のカルボン酸(23)(1.02g,3.94mmol)の溶液を加え、次いでその添加注射器をTHF 5mlで濯いだ。得られた溶液を−78℃で1時間攪拌し、PhCH2Br(0.46ml,3.9mmol)を加えた。−30℃で3時間攪拌した後、その溶液に1N HCl(50ml)を加え、得られた溶液をEtOAc(100ml)で抽出した。その有機抽出物をブライン(50ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮して油状物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=80:20→60:40→50:50)で精製することにより、泡状の固体(1.35g,98%)を得た。
構造(25)の合成:
構造(25)の合成を次のように行なった。乾燥THF(5ml)中のカルボン酸(24)(1.05g,3.0mmol)の攪拌溶液に、室温で1,1’−カルボニルジイミダゾール(500mg,3.1mmol)を加えた。得られた溶液を室温で30分間攪拌した。そのアシルイミダゾールの溶液を精製することなく次の反応に使用した。
一方、THF(5ml)中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(1.6ml,7.5mmol)の攪拌溶液にn−BuLi(3mlの2.5Mヘキサン溶液,7.5mmol)を0℃で加えた。同じ温度で30分間攪拌した後、その溶液を−78℃に冷却した。その攪拌溶液に、THF(5ml)中のCbz−Glu(OBn)−OMe(1.16g,3mmol)の溶液を加え、次いでその添加注射器をTHF 2mlで濯いだ。得られた溶液を同じ温度で15分間攪拌した。その攪拌溶液に、THF 3ml中の前記アシルイミダゾールを加えた。−78℃で30分間攪拌した後、その溶液に飽和NH4Cl(50ml)を加え、EtOAc(2×75ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3(50ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、シリカゲルの短いパッドに通し、濃縮して油状物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=90:10→80:20→70:30→60:40)で精製することにより、油状物(1.48g,69%)を得た:MS(ES+)m/z 734.4(M+NH4 +)。
構造(26a)の合成:
構造(26a)を次のように合成した。EtOH/AcOH(10/1ml)中の前記出発ケトエステル(25)(530mg,0.7mmol)の攪拌溶液を、20気圧のH2圧下、10%Pd/C(約100mg)で2日間処理した。セライトの短いパッドを通して濾過した後、その濾液を濃縮して、EtOAc(50ml)に溶解した。その溶液を1N HCl(30ml)、飽和NaHCO3(30ml)、ブライン(30ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮して油状物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=80:20→60:40→50:50→20:80→0:100)で精製することにより、泡状の固体(95mg,34%)を得た。
立体化学は2D NMRで割り当てた。
構造(27a)の合成:
構造(27a)を次のように合成した。室温のTHF 1ml中で攪拌した二環式エステル(26a)28mg(0.070mmol)の溶液に、1.0M水酸化リチウム水溶液0.14mlを加えた。その混合物を20時間激しく攪拌した後、5%クエン酸水溶液(1ml)でクエンチした。その混合物を酢酸エチル(3×25ml)で抽出した後、合わせた抽出物を水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過と、真空下にその濾液を濃縮することにより、白色泡状物26mgを得て、それをさらに精製することなく使用した。
構造(28a)の合成:
構造(28a)を以下のように合成した。二環式酸(27a)(26mg,0.067mmol)、ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩(構造(17)61mg,0.083mmol)、EDC(21mg,0.11mmol)およびHOBt水和物(16mg,0.10mmol)をTHF(5ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(0.34ml,1.9mmol)を添加した。この混合物を室温で15時間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して、60mgの黄色ガラス状物とした。1H NMR分析により、4つのジアステレオマーアミドの混合物が示された。MS(ES+):m/z 898(M+Na+)。
構造(29a)の合成:
構造(29a)のβシート模倣物を以下のように合成した。粗ヒドロキシベンゾチアゾール(28a)(60mg,0.068mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、デス−マーチンペルヨージナン(58mg,0.14mmol)を添加した。この混合物を室温で6時間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして10%チオ硫酸ナトリウム水溶液と共に10分間激しく攪拌した。この有機溶液を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液の真空下での濃縮により、42mgの黄色ガラス状物を得た。1H NMR分析により、2つのジアステレオマーケトベンゾチアゾールの混合物が示された。
このケトベンゾチアゾール(42mg,0.048mmol)を95%トリフルオロ酢酸水溶液(0.95ml)に溶解し、そしてチオアニソール(0.05ml)を添加した。得られた濃色溶液を室温で18時間攪拌し、次いで真空下で濃縮して濃褐色ゴム状物とした。このゴム状物をジエチルエーテルで粉末化し、そして遠心分離した。溶液を除去し、残った固体をさらに2回、上記のように粉末化し、そして回収した。黄色固体を真空デシケーター中で2時間乾燥し、次いでHPLCにより精製して、1.4mgの脱保護された生成物を得た。MS(ES+):562.4(M+H+)。HPLC:(tR=21.17分)。
構造(26b)の合成:
構造(26b)を以下のように合成した。MeOH/AcOH(10/1ml)中の上記出発ケトエステル(25)(615mg,0.86mmol)の攪拌溶液を、3日間20気圧のH2下で、10%Pd/C(約60mg)で処理した。Celiteの短いパッドを通して濾過した後、この濾液を濃縮して油状物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=80:20→60:40→50:50→0:100)により精製して、より極性の高い画分(50mg)を回収した。Rf 0.12(ヘキサン:EtOAc=60:40);MS(ES+)m/z 433(M+H+)。
上記油状物を、2日間還流温度で1,2−ジクロロエタン(10 ml)中p−TsOH・H2O(5mg)で処理した。濃縮後、油状生成物を分取TLC(ヘキサン:EtOAc=80:20→60:40)により精製して、油状物(10mg)を得た。
立体化学は2D NMRにより割り当てた。
構造(28b)の合成:
構造(28b)を以下のように合成した。室温でTHF 1ml中で攪拌した二環式エステル(26b)12mg(0.030mmol)の溶液に、0.060mlの1.0M水酸化リチウム水溶液を添加した。この混合物を25時間激しく攪拌し、次いで5%クエン酸水溶液(1ml)でクエンチした。この混合物を酢酸エチル(3×25ml)で抽出し、次いで合わせた抽出物を水およびブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濾液の真空下での濃縮により、19mgの白色泡状物を得た。
この泡状物、ベンゾチアゾリルアルギノールトリフルオロ酢酸塩(30mg,0.041mmol)、EDC(10mg,0.052mmol)およびHOBt水和物(9mg,0.059mmol)をTHF(2ml)中に溶解し、そしてジイソプロピルエチルアミン(0.026ml,0.15mmol)を添加した。この混合物を室温で30時間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽出した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して28mgの黄色ガラス状物とした。1H NMR分析により、4つのジアステレオマーアミドの混合物が示された。MS(ES+):m/z 898(M+Na+)。
構造(29b)の合成:
構造(29b)を以下のように合成した。粗ヒドロキシベンゾチアゾール(28b)(28mg)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、そしてデス−マーチンペルヨージナン(29mg,0.071mmol)を添加した。この混合物を室温で18時間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして10%チオ硫酸ナトリウム水溶液と共に10分間激しく攪拌した。この有機溶液を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで抽出し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液の真空下での濃縮により、32mgの黄色ガラス状物を得た。1H NMR分析により2つのジアステレオマーケトベンゾチアゾールの混合物が示された。
このケトベンゾチアゾール(32mg)を95%トリフルオロ酢酸水溶液(0.95ml)に溶解し、そしてチオアニソール(0.05ml)を添加した。得られた濃色溶液を室温で20時間攪拌し、次いで真空下で濃縮して濃褐色ゴム状物とした。このゴム状物をジエチルエーテルで粉末化し、そして遠心分離した。溶液を除去し、残った固体をさらに2回、上記のように粉末化し、そして回収した。黄色固体を真空デシケーター中で2時間乾燥し、次いでHPLCにより精製して、1.3mgの脱保護された生成物を得た。MS(FB+):562.36(M+H+);HPLC:tR=21.51分(勾配 40分間にわたって0→90% CH3CN中の0.1%TFA/H2O中の0.1%TFA)。
(実施例8)
(代表的βシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性)
この実施例は、トロンビン、第VII因子、第X因子、第XI因子およびトリプシンのインヒビターとして機能する、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の能力を例示する。上記構造(29a)および(29b)のβシート模倣物を実施例7に開示した手順に従って合成し、そしてこの実験で使用した。
プロテイナーゼインヒビターアッセイは、第XI因子について以下に記載した以外は、実施例5に記載したように行なった。結果を表7に示す。
第XI因子。このアッセイにおいては、トロンビンアッセイと同じ緩衝液を利用した。1mM S−2366(Pharmacia製)、L−pyroGlu−Pro−Arg−pNA水溶液を、基質として用いた。構造(29a)または(29b)の1mMストック水溶液から、緩衝液中の1:10希釈液を作製した。この100μM溶液から、アッセイ用緩衝液中の7つの連続1:5希釈液を作製した。
(実施例9)
(代表的βシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性)
この実施例は、トロンビン、第VII因子、第X因子、第XI因子、トリプターゼ、aPC、プラスミン、tPA、ウロキナーゼおよびトリプシンのインヒビターとして機能する、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の能力を例示する。上記構造(20)および(29b)のβシート模倣物をそれぞれ実施例2および7に開示した手順に従って合成し、そしてこの実験に使用した。
プロテイナーゼインヒビターアッセイは、第XI因子について実施例8に記載したように行った以外は、実施例5に記載されているように行なった。結果を表8に記載する。
*選択性はトロンビンのKiに対する酵素のKiの比率である
(実施例10)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例は、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(30)の合成:
構造(30)を以下のように合成した。n−ブチルリチウム(700μL,1.75mmol,ヘキサン中2.5M)を、−78℃のTHF(1ml)中のトリス(メチルチオ)メタン(256μL,1.95mmol)の溶液に5分間にわたって添加した。この混合物を40分間攪拌し、次いで2mlのTHF中のビス−Boc−アルギニナール(実施例2の構造(16))(100mg,1.75mmol)の溶液を滴下して5分間にわたって処理した。1.5時間攪拌した後、反応を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、そして室温まで戻した。層を分離し、そして水層をEtOAcで抽出し(3×)、ブラインで洗浄し(1×)、乾燥し(Na2SO4)、そして濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:4)による精製により、93mg(73%)のオルトチオメチルエステル(構造(30))および8mgの回収アルデヒド(構造(16))を得た。
構造(31)の合成:
構造(31)を以下のように合成した。2.5mlの12:1メタノール/水中の77mg(0.11mmol)のオルトチオメチルエステル(構造(30))、117mg(0.43mmol)の塩化第二水銀および39mg(0.18mmol)の酸化第二水銀の混合物を室温で4時間攪拌した。この混合物をCeliteを通して濾過し、そして残渣をEtOAcで洗浄した(3×)。濾液を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した(3×)。有機層を75%NH4OAc/NH4Clで2回洗浄し、次いでNH4Clで洗浄し、そして乾燥した(Na2SO4)。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/Hex,1:3)により精製して、48mg(72%)の構造(31)の2つのジアステレオマーを1:2.7の比率で得た。
構造(32)の合成:
構造(32)を以下のように合成した。THF/水(4ml,1:3)中の32mgのメチルエステル(構造(31))(0.051mmol)の溶液を5mg(0.119mmol)のLiOH・H2Oで処理した。45分間攪拌した後、反応物を5%クエン酸で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した(3×)。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮して、30mg(96%)の構造(32)を白色固体として得た。この生成物をさらに精製することなく使用した。
構造(33)の合成:
構造(33)を以下のように合成した。THF(5ml)中の構造(32)の化合物(29mg,0.047mmol)、HOBt(8mg,0.056mmol)およびEDC(11mg,0.056mmol)の溶液に、フェネチルアミン(7ml,0.056mmol)およびそれに続いてジイソプロピルエチルアミン(12μL,0.071mmol)を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌し、そして5%クエン酸で希釈した。有機層を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(3×)。合わせた抽出物をNaHCO3の飽和溶液、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして濾過した。濃縮後、粗生成物をクロマトグラフィー(EtOAc/Hex,1:1)で2段階で精製して、26mg(77%)の構造(33)を得た。
構造(34)の合成:
構造(34)を以下のように合成した。THF(5ml)中のフェネチルアミド(構造(33),25mg,0.035mmol)の溶液に、18mgのp−トルエンスルホン酸一水和物(0.093mmol)を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌して、TLCによるベースラインスポットを得た。この溶液を真空下で濃縮し、そして残渣をエーテルで2回洗浄して過剰のpTsOHを除去して、構造(34)を黄白色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。1H NMR(500MHz, CDCl3)は予想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロードになったため困難であった。MS(ES+)m/z 520.4(M+H+)。
構造(34)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成について実施例2において記載した手順と類似の方法で)、その後酸化および脱保護を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(35)を得た。
(実施例11)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例は、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(36)の合成:
構造(36)を、ベンジルアミンおよび構造(32)から出発して、化合物(34)と類似の方法で合成した。1H NMR(500MHz,CDCl3)は予想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロードになったため困難であった。MS(FAB+)m/z 506.4(M+H+)。
構造(36)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成について実施例2において記載した手順と類似の方法で)、その後酸化および脱保護を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(37)を得た。
(実施例12)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例は、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(38)の合成:
構造(38)を、p−クロロフェネチルアミンおよび構造(32)から出発して、構造(34)と類似の方法で合成した。1H NMR(500MHz,CDCl3)は予想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロードになったため困難であった。MS(ES+)m/z 554.5(M+H+)。
構造(38)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成について実施例2において記載した手順と類似の方法で)、その後酸化および脱保護を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(39)を得た。
(実施例13)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例では、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(40)の合成:
構造(40)を、p−メトキシフェネチルアミンおよび構造(32)を用いて、化合物(34)と類似の方法で合成した。1H NMR(500MHz,CDCl3)は予想された生成物と一致したが、個々のピークの割り当てはブロードになったため困難であった。MS(ES+)m/z 550.5(M+H+)。
構造(40)を実施例1の構造(9a)と反応させ(構造(18)の合成について実施例2において記載した手順と類似の方法で)、次いで酸化および脱保護を行なって(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して記載した方法と類似の方法で)、下記表9に示す構造(41)を得た。
(実施例14)
(代表的なβシート模倣物の合成)
この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
構造(42)の合成:
構造(42)を次のように調製した。10ml丸底フラスコにCH2Cl2(10ml)、2,3−ジメチルアミノプロピオン酸メチル二塩酸塩(19.9mg,0.103mmol,1.5当量)およびジイソプロピルエチルアミン(53ml,0.304mmol,4.4当量)を加えた。この懸濁液を室温で1時間マグネチックで撹拌した時点で、構造(30)の化合物(50mg,0.068mmol,1当量)、塩化水銀(II)(82.4mg,0.304mmol,4.4当量)および酸化水銀(II)(25.7mg,0.120mmol,1.7当量)を加えた。得られた黄色懸濁液を16.5時間攪拌した。この間に懸濁液は灰色に変色した。その反応物をCH2Cl2(50ml)で希釈し、飽和NH4Cl水溶液(5ml)、飽和NaCl水溶液(5ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。その濁った懸濁液を濾過し、溶媒を真空下で除去した。その白色固体を分取薄層クロマトグラフィーで精製することにより、イミダゾリン構造(42)(25.3mg,収率52%)を透明な非晶質固体として得た。
構造(43)の合成:
構造(43)を次のように合成した。25ml丸底フラスコに、構造(42)の化合物(230mg,0.33mmol)、CHCl3(5ml)およびMnO2(500mg,5.75mmol,17.4当量)を入れた。5時間攪拌した後、その懸濁液を濾過し、固体をメタノールで洗浄した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチル(5ml)とメタノール(1ml)に溶解し、新たなMnO2(500mg)を入れて、その反応を室温で15時間攪拌した。固体を濾過し、溶媒を真空下で除去した。その残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(1:1酢酸エチル:ヘキサンで溶出後、純粋な酢酸エチルで溶出し、次いで1:9メタノール:酢酸エチルで溶出)で精製することにより、所望の生成物(構造(43),190mg,収率83%)を非晶質固体として得た。
構造(44)の合成:
構造(44)を、構造(33)から構造(34)への構築に使用した方法と同じ方法によって合成した。生成物をさらに精製することなくカップリングに使用した。
構造(44)を実施例1の構造(9a)と(構造(18)の合成について実施例2に記述した方法と類似の方法で)反応させた後、(それぞれ構造(19)の脱保護に関して記述した方法と類似の方法で)脱保護を行なうことにより、下記表9に示す構造(45)を得た。構造(45)の調製では、そのカップリング段階を、類似のヒドロキシ化合物ではなく構造(44)のカルボニル化合物で行なった。
(実施例15)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例では、本発明のさらなる代表的βシート模倣物の合成を例示する。
構造(46)の合成:
構造(46)を、構造(16)とチアゾールから出発して、構造(17)と類似の方法で合成した。この化合物をさらに精製することなくカップリング段階に使用した。
構造(46)を実施例1の構造(9a)と(構造(18)の合成について実施例2に記述した方法と類似の方法で)反応させた後、(それぞれ構造(18)および(19)の酸化および脱保護に関して記述した方法と類似の方法で)酸化と脱保護を行なうことにより、下記表9に示す構造(47)を得た。
(実施例16)
(代表的なβシート模倣物の合成)
この実施例では、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
構造(48)の合成:
−25℃のTHF(5ml)中で攪拌したα−Boc−β−Fmoc−2,3−ジアミノプロピオン酸(818mg,1.92mmol)の溶液に、4−メチルモルホリン(0.23ml,2.1mmol)を加え、次いでクロロギ酸イソブチル(0.25ml,1.9mmol)を加えた。得られた懸濁液を5分間攪拌した後、5mlのTHFを使って濾過した。その濾液を氷/水浴で冷却した後、水(2.5ml)に溶解したホウ水素化ナトリウム(152mg,0.40mmol)を滴下した。その混合物を15分間攪拌した後、水(50ml)を加え、その混合物をCH2Cl2(3×50ml)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を真空下で濃縮することにより、淡黄色固体を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン溶離液)で精製して、596mgのアルコールを白色固体として得た。
そのアルコール(224mg,0.543mmol)を塩化メチレンに溶解し、デス−マーチンペルヨージナン(262mg,0.64mmol)を加えた。その混合物を室温で1時間攪拌した後、酢酸エチル(50ml)で希釈し、10%Na223水溶液、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで順次抽出した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して白色固体を得た。その固体をフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、169mgのアルデヒド構造(48)を白色固体として得た。
構造(49)の合成:
構造(49)を、構造(48)とベンゾチアゾールから出発して、構造(17)と類似の方法で合成した。この化合物を、ジアステレオマーの1:1混合物として、さらに精製することなくカップリング段階(下記)に使用した。MS(EI+):m/z 446.4(M+H+)。
構造(50)の合成:
構造(49)と二環式酸構造(9a)(27.mg,0.069mmol)およびHOBt水和物(71mg,0.46mmol)をTHF(1ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(0.0.059ml,0.34mmol)を加えた後、EDC(19mg,0.099mmol)を加えた。その混合物を室温で20時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで順次抽出した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して黄色泡状物61mgを得た。1H NMR分析は、ジアステレオマーアミドの混合物を示した。
前記泡状物をCH3CNに溶解し、ジエチルアミンを加えた。その溶液を室温で30分間攪拌した後、真空下で濃縮して黄色泡状物を得た。その泡状物をヘキサンで濯ぎ、DMF(0.5ml)に溶解した。別のフラスコで、カルボニルジイミダゾール(16mg,0.99mmol)とグアニジン塩酸塩(10mg,0.10mmol)をDMF(1ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(0.035ml,0.20mmol)を加えた後、DMAP(1mg)を加えた。その溶液を室温で1.5時間攪拌した後、前記アミンの溶液を加え、攪拌を16時間続けた。その溶液を真空下で濃縮した後、その残渣に水を加え、その混合物を酢酸エチル(3×25ml)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、58mgの構造(50)を黄色泡状物として得た。MS(ES+):m/z 680.6(M+H+)。
構造(50)を酸化して、構造(51)の対応するケトンを得た。
(実施例17)
(代表的なβシート模倣物のプロテアーゼインヒビターとしての活性)
この実施例では、トロンビン、第VII因子、第X因子、第XI因子、トリプターゼ、aPC、プラスミン、tPA、ウロキナーゼ、トロンビン−トロンボモジュリン複合体およびトリプシンのインヒビターとして機能する、本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の能力を例証する。表9に挙げる構造のβシート模倣物は表10に示す阻害活性を有した。
プロテイナーゼインヒビターアッセイは実施例9に記述したように行なった。トロンビン−トロンボモジュリン複合体に関するアッセイは、インヒビターと基質の添加の前に、トロンビンを4nMトロンボモジュリンと共に室温で20分間予備インキュベートした点を除き、トロンビンの場合と同様に行なった。
δB=CHに関するテンプレートの立体化学は、注記する場合を除き(脚注εを参照)、(3R,6R,9S)である。
εテンプレート立体化学は(3S,6R,9S)である。
*HPLCは、0−90%アセトニトリル/水,0.1%TFAの勾配を用い、逆相C−18カラムで行なった。
(実施例18)
(血管移植片における血小板沈着に対する代表的なβシート模倣物の効果)
血管移植片における血小板沈着に対する本発明化合物の効果を、Kellyら,Proc. Natl. Acad. Sci., USA 89:6040−6044(1992)に記述されているようにシャントに対して近位に化合物を導入した点を除き、Hansonら「合成抗トロンビンD−フェニルアラニル−L−プロリル−L−アルギニルクロロメチルケトンによる急性血小板依存性血栓症の妨害」Proc. Natl. Acad. Sci., USA 85:3148−3188(1988)の手順に従って測定した。その結果を構造(20b)、(39)および(29b)について、それぞれ図1、2および3に示す。
(実施例19)
(代表的βシート模倣物の合成)
この実施例では、下記の構造を有する本発明のさらなる代表的なβシート模倣物の合成を例示する。
構造(52)は、実施例2の中間体(16)の代わりに下記中間体(53)を用いることによって合成し得る。
中間体(53)は次の反応スキームに従って合成し得る。
あるいは、下記反応スキームに従って中間体(53)を合成し得る。
説明のために本明細書中で本発明の特定の実施態様について記述したが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な改変を加えうることは、前記の説明から理解されるだろう。したがって、本発明は、添付の請求の範囲以外によっては限定されない。
図1は、血管移植片における血小板沈着に対する種々の濃度の構造(20b)の効果を示すプロットである。 図2は、血管移植片における血小板沈着に対する種々の濃度の構造(39)の効果を示すプロットである。 図3は、血管移植片における血小板沈着に対する種々の濃度の構造(29b)の効果を示すプロットである。

Claims (18)

  1. 二環式環系合物であって、該二環式環系化合物は以下の構造:
    を有し、ここで、R、RおよびRは、天然のアミノ酸の側鎖部分から独立して選択され;Aは、−(CH1〜4−であり;Bは、NおよびCHから選択され;Cは、−(CH1〜3−であり;Yは、NHC(R)C(=O)Rであり、ここで、Rは2〜10個の炭素原子および少なくとも1つの窒素原子を有する有機アミン部分であり、そしてRは、(a)ハライド、C1〜5アルコキシおよびニトロから独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換される、1〜12個の炭素原子のアルキル、(b)−C(=O)NH−C1〜5アルキル(該アルキル基は、ハライドまたはC1〜5アルコキシで必要に応じて置換される)、(c)−C(=O)NH−C1〜10アラルキル(ここで、アリール基が、ニトロ、ハライド、−NH−(C=O)C1〜5アルキル、−NH−(C=O)C6〜10アリール、C1〜5アルキルおよびC1〜5アルコキシルから独立して選択される5個までの基で必要に応じて置換され得る)、ならびに(d)4〜11個の環原子の単環式ヘテロアリールおよび二環式ヘテロアリール(ここで、該環原子は炭素および複素原子(酸素、窒素および硫黄)から選択され、かつ該へテロアリール環は、ハライド、C1〜5アルキル、C1〜5アルコキシ、−C(=O)NHC1〜5アルキル、−C(=O)NHC6〜10アリール、アミノ、−C(=O)OC1〜5アルキルおよび−C(=O)OC6〜10アリールから独立して選択される4つまで基で必要に応じて選択され得る)から選択され;Zは、Hであり;そして該二環式環の任意の隣接する2個のCH基が二重結合を形成し得;但し、(i)Rは、水素以外の天然のアミノ酸の側鎖部分であり、(ii)Rがベンジルであるとき、RおよびRは両方とも水素であり、BはCHでない、二環式環系合物。
  2. BがNである、請求項1の二環式環系化合物。
  3. Aが−(CH−でありかつCが−CH−である、請求項2に記載の二環式環系化合物。
  4. が水素である、請求項3に記載の二環式環系化合物。
  5. 以下の構造:
    を有する、請求項4に記載の二環式環系化合物。
  6. 以下の構造:
    を有する、請求項4に記載の二環式環系化合物。
  7. 以下の構造:
    を有する、請求項4に記載の二環式環系化合物。
  8. 以下の構造:
    を有する、請求項4に記載の二環式環系化合物。
  9. 以下の構造:
    を有する、
    請求項4に記載の二環式環系化合物。
  10. 以下の構造:
    を有する、
    請求項4に記載の二環式環系化合物。
  11. 以下の構造:
    を有する、
    請求項4に記載の二環式環系化合物。
  12. 以下の構造:
    を有する、
    請求項4に記載の二環式環系化合物。
  13. 以下の構造:
    を有する、
    請求項3に記載の二環式環系化合物。
  14. BがCHである、請求項1に記載の二環式環系化合物。
  15. Aが−(CH−でありかつCが−CH−である、請求項14に記載の二環式環系化合物。
  16. が水素である、請求項15に記載の二環式環系化合物。
  17. 以下の構造:
    を有する、
    請求項16に記載の二環式環系化合物。
  18. 以下の構造:
    を有する、
    請求項16に記載の二環式環系化合物。
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