JP2002500775A - 白黒光熱写真用および熱転写用要素用の現像剤としての2―置換されたマロンジアルデヒド化合物 - Google Patents

白黒光熱写真用および熱転写用要素用の現像剤としての2―置換されたマロンジアルデヒド化合物

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Abstract

(57)【要約】 2-置換マロンジアルデヒド化合物は、ヒンダードフェノール現像剤と組み合わせると、共現像剤として有用であり、高コントラストの白黒光熱写真および熱転写要素をもたらす。光熱写真および熱転写要素は、紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体を、後続する露光工程では、フォトマスクとして使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】 白黒光熱写真用および熱転写用要素用の現像剤としての 2−置換されたマロンジアルデヒド化合物発明の技術分野: 2-置換されたマロンジアルデヒド化合物は、ヒンダードフェノールと組み合 わせると、共現像剤として有用であり、非常に高コントラストの白黒光熱写真お よび熱転写要素をもたらす。技術の背景: 液体現像せずに熱で現像するハロゲン化銀含有光熱写真用画像形成材料(すな わち、熱現像性写真要素)は、当該分野において長年知られている。前記材料は 、「乾燥銀」組成物またはエマルションとしても既知であり、通常、(a)放射線 照射すると、銀原子を発生する感光性化合物;(b)比較的非感光性の還元性銀発 生源;(c)例えば、非感光性の還元性銀発生源中の銀イオンのような銀イオンの ための還元剤(すなわち、現像剤);および(d)バインダーで被覆された支持体 を含んでいる。 感光性化合物は、通常、非感光性の還元性銀発生源と触媒的に接近していなけ ればならない写真用ハロゲン化銀である。触媒的な接触は、感光性ハロゲン化銀 の放射線または光での露光によって(銀斑点、クラスターまたは核としても知ら れている)銀原子を発生するときに、上記銀原子が還元性銀発生源の還元を触媒 作用し得るような、この2種の物質の密な物理的関係を要する。銀原子(Ag° )は銀イオン還元用の触媒であって、感光性ハロゲン化銀は、非感光性の還元性 銀発生源と、多数の異なる形態で触媒的に接近させて配置できるものと長年解さ れてきた。ハロゲン化銀は、例えば、ハロゲン含有発生源を還元性銀発生源に添 加して部分複分解することによって(例えば、米国特許第3,457,075号公報参照 );ハロゲン化銀と還元性銀発生源の共沈によって(例えば、米国特許第3,839, 049号公報参照)"in situ"で生成され得る。ハロゲン化銀を、"ex situ"で生成 して(すなわち、予備形成して)、有機銀塩に添加することもある。ハロ ゲン化銀の光熱写真材料への添加は、リサーチ・ディスクロージャー(Reserch D isclosure)1978年6月、第17029項に記載されている。当該分野において、ハロゲ ン化銀をex situで生成すると、組成や粒子寸法をより正確に制御できることか ら、in situ法で生成するよりも、もっと具体的な特性を光熱写真要素に付与し たり、より矛盾なく行うことができることも報告されている。 非感光性の還元性銀発生源は、銀イオンを含有する物質である。通常、好まし い非感光性の還元性銀発生源は、炭素数10〜30の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩で ある。ベヘン酸または同等の分子量の酸の混合物の銀塩が、一般に使用される。 他の有機酸または他の有機物質の塩(例えば、銀イミダゾレート)も提案されて いる。米国特許第4,260,677号公報には、非感光性の還元性銀発生源としての無 機または有機銀塩の錯体の使用が開示されている。 写真用および光熱写真エマルションの両者において、写真用ハロゲン化銀の露 光は、銀原子(Ag°)の小さなクラスターを生成する。このクラスターの画像 態様の分布は、当該分野では潜像として知られている。この潜像は、一般に、通 常の手段では視認できない。したがって、可視画像を得るためには、感光性エマ ルションをさらに現像しなければならない。これは、銀原子のクラスター(すな わち、潜像)を有するハロゲン化銀粒子と触媒的に接近している銀イオンの還元 によって達成される。これによって、白黒画像が製造される。写真要素では、ハ ロゲン化銀を還元して、白黒画像を形成する。光熱写真要素では、非感光性の銀 発生源を還元して可視の白黒画像を形成するが、多数のハロゲン化銀は、ハロゲ ン化銀として残留し、還元されない。 光熱写真要素において、有機銀塩のための還元剤(「現像剤」とも呼ばれる。 )は、銀イオンを金属銀に還元することができる物質、好ましくは有機物質であ り得る。高温において、潜像の存在下で、非感光性の還元性銀発生源(例えば、 ベヘン酸銀)の銀イオンを、銀イオン用還元剤によって還元する。これによって 、銀原子のネガ型白黒画像が生成される。 メチルガレート、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、カテコール、ピロガロー ル、アルコルビン酸およびアスコルビン酸誘導体のような通常の写真現像剤は有 用であるが、それらは非常に反応し易い光熱写真組成物となって、光熱写真要素 の調製および塗布中に曇る傾向がある。結果として、一般には、ヒンダードフェ ノール現像剤が好ましかった。 液体現像ではなく、熱で現像される熱転写画像形成構造物(すなわち、熱現像 性材料)は、画像形成分野において広く知られており、画像の生成を助けるため に熱の使用に頼っている。上記要素は、通常、(a)熱感応性の還元性銀発生源;( b)熱感応性の還元性銀発生源のための還元剤(すなわち、現像剤);および(c) バインダーを上に被覆した(紙、プラスチック、金属、ガラス等のような)支持 体または基材を含んでいる。 一般的な熱転写構造物において、画像形成層は、長鎖脂肪酸の銀塩をベースと している。通常、好ましい非感光性の還元性銀発生源は、炭素数10〜30の長鎖脂 肪族カルボン酸の銀塩である。ベヘン酸または同等の分子量の酸の混合物の銀塩 が通常使用される。高温において、ベヘン酸銀を、メチルガレート、ヒドロキノ ン、置換ヒドロキノン、ヒンダードフェノール、カテコール、ピロガロール、ア ルコルビン酸およびアスコルビン酸誘導体等のような銀イオン用還元剤で還元す ることにより、銀原子の画像が形成される。 ある種の熱転写構造物は、それらを熱転写記録装置(例えば、サーマルプリン ター、熱転写ファクシミリ等)のサーマルヘッドと接触させて画像形成する。例 えば、非粘着層を画像形成層の一番上に塗布して、使用する装置のサーマルヘッ ドへの熱転写構造物の粘着を防止する。その後、前記熱転写構造物を高温(通常 、約60〜225℃)に加熱すると、画像が形成される。 画像形成技術者は、長年、光熱写真および熱転写技術分野が写真技術分野とは はっきりと区別されると認識してきた。光熱写真および熱転写要素は、湿式現像 を要する従来のハロゲン化銀写真要素とは明らかに異なる。例えば、米国特許第 5,545,507号公報参照。 米国特許第5,496,695号公報には、白黒光熱写真および熱転写要素のための共 現像剤として、ヒドラジド化合物が有用であると記載されている。これらの要素 は、(i)ヒンダードフェノール現像剤および(ii)トリチルヒドラジドまたはホル ミルフェニルヒドラジン共現像剤を含有し、高いDmax(>5.00)、早い感光速度 および高コントラスト(>20.0)を有する要素を提供する。 米国特許第5,545,515号公報には、白黒光熱写真および熱転写要素のための共 現像剤として、ヒンダードフェノール現像剤とアクリロニトリル化合物との組み 合わせが記載されている。上記組み合わせには、さらにトリチルヒドラジドまた はホルミルフェニルヒドラジン共現像剤を含んでいてもよい。 米国特許第5,545,505号公報には、白黒光熱写真および熱転写要素用の共現像 剤として、ヒンダードフェノール現像剤、トリチルヒドラジドまたはホルミルフ ェニルヒドラジンおよびアミン化合物の組み合わせが記載されている。 米国特許第5,545,507号公報には、白黒光熱写真および熱転写要素用の共現像 剤として、ヒンダードフェノール現像剤、トリチルヒドラジドまたはホルミルフ ェニルヒドラジン、および水素原子供与化合物の組み合わせが記載されている。 米国特許出願第08/530,694号(1995年9月19日出願)には、白黒光熱写真お よび熱転写要素用の共現像剤として、ヒンダードフェノール現像剤、トリチルヒ ドラジドまたはホルミルフェニルヒドラジンおよびヒドロキサミン化合物の組み 合わせが記載されている。 乾燥型光熱写真または熱転写要素において、湿式ハロゲン化銀材料で従来は得 られている高いコントラストを達成できることが、特に望ましい。上記乾燥系の 反応性を高め、銀被覆重量を低下させることによって銀の量を低減し、高コント ラストを達成するのに要する現像剤と共現像剤化合物の量を減らし、かつコスト を低下させるるのが有利であろう。そのため、光熱写真および熱転写要素で使用 するための新規な現像剤系が望まれている。発明の要旨: 本発明は、(i)少なくとも1種のヒンダードフェノール現像剤および(ii)少な くとも1種の2-置換されたマロンジアルデヒド化合物共現像剤を含有する還元剤 系(すなわち、現像剤系)が、高コントラストおよび高い画像密度(Dmax)を 有する白黒光熱写真および熱転写要素を提供することに関する。 本発明の白黒光熱写真および熱転写要素は、 (a)感光性ハロゲン化銀、 (b)非感光性の還元性銀発生源、 (c)非感光性の還元性銀発生源用の還元剤系、および (d)バインダー を含む感光性画像形成用光熱写真エマルション層を少なくとも1つ有する支持体 を含み、前記還元剤系は、 (i) 少なくとも1種のヒンダードフェノール現像剤、および (ii)式: (式中、Rは、芳香族基または電子吸引性基を表す。) で表される少なくとも1種の共現像剤 を含有する。 本発明は、高い感光速度、安定性、高い画像密度と、高解像度、良好な鮮明性 、高コントラストおよび優れた保存安定性を提供し得る、熱現像可能な光熱写真 および熱転写要素を提供する。350〜450nmでの低い吸収の可能性は、コンタク ト印刷、プルーフィングおよび複写(「デューピング」)のようなグラフィック アート用途での本発明の要素の使用を促進する。 本発明で使用される光熱写真要素は、画像態様での露光の後または露光と同時 に、好ましくは約80℃〜約250℃(176〜482F°)の温度で約1秒〜約2分間、 水を実質上含まない条件下で熱現像されると、白黒銀画像が得られる。 ここでは、本発明の光熱写真要素中の感光性ハロゲン化銀と非感光性の還元性 銀発生源を含有する層を、エマルション層と呼ぶ。本発明によれば、還元剤系の 1つ以上の成分は、エマルション層またはエマルション層に隣接する層に添加さ れる。エマルション層に隣接する層は、例えば、保護用トップコート層、プライ マー層、中間層、不透明層、帯電防止層、ハレーション防止層、バリアー層、補 助層等であってよい。還元剤系は、光熱写真エマルション層またはトップコート 層中に含まれることが好ましい。 本発明は、最初に電磁波で露光された後、上記光熱写真要素を加熱することに よって可視画像を形成する方法も提供する。 本発明は、 (a)紫外線または短波長の可視光を透過する支持体上の本発明の光熱写真要素 を、前記要素の感光性ハロゲン化銀が感応する電磁波で露光し、潜像を生成させ る工程、 (b)露光された要素を加熱して、潜像を可視画像に現像する工程、 (c)上に可視画像を有する前記要素を、紫外線または短波長の可視光を発光す る光源と紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体との間に配置する工程 、およびその後、 (d)前記要素上の可視画像を介して画像形成媒体を紫外線または短波長の可視 光で露光することにより、前記要素上の可視画像を有する領域内では紫外線また は短波長の可視光を吸収し、および要素上の可視画像を有しない領域内では紫外 線または短波長の可視光を透過する工程 を含む方法も提供する。 前記工程(a)では、光熱写真要素を、可視光、赤外線またはレーザ光で露光す ることができる。 本発明の熱現像性白黒熱転写要素は、 (a)非感光性の還元性銀発生源、 (b)非感光性の還元性銀発生源用の還元剤系、および (c)バインダー を上に塗布した支持体 を含んで成り、前記還元剤系は、 (i)少なくとも1種のヒンダードフェノール現像剤、および (ii)式: (式中、Rは、芳香族基または電子吸引性基を表す。) で表される少なくとも1種の共現像剤 を含有する。 本発明の熱転写要素において、非感光性の還元性銀発生源を含有する層を、熱 転写層または熱転写エマルション層と呼ぶ。本発明の熱転写要素に使用する場合 、還元剤系の1つ以上の成分は、熱転写エマルション層またはエマルション層と 隣接する層に添加される。エマルション層と隣接する層は、例えば、保護用トッ プコート層、プライマー層、帯電防止層、不透明層、バリアー層、補助層等であ ってよい。還元剤は、熱転写層またはトップコート層中に含まれていることが好 ましい。 本発明に使用される熱転写要素は、好ましくは約80〜約250℃(176〜482°F )の温度で約1秒〜約2分間、水を実質上含まない条件下で熱現像すると、白黒 銀画像が得られる。 本発明は、上述の本発明の熱転写要素を加熱することによる可視画像の形成方 法も提供する。 さらに、本発明は、 (a)紫外線または短波長の可視光を透過する支持体上の熱転写要素を加熱して 、該要素上に可視画像を形成する工程、 (b)上に可視画像を有する熱転写要素を、紫外線または短波長の可視光発生源 と紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体との間に配置する工程、およ びその後、 (c)要素上の可視画像を介して、画像形成媒体を紫外線または短波長の可視光 で露光することにより、要素上の可視画像を有する領域内では紫外線または短波 長の可視光を吸収し、および要素上の可視画像を有しない領域内では紫外線また は短波長の可視光を透過する工程 を含む方法も提供する。 本発明で使用される還元剤系(すなわち、現像剤と共現像剤の組み合わせ)は 、既知の現像剤またはその組み合わせを含む光熱写真および熱転写要素に比べる と、画像コントラストの顕著な向上をもたらす。 本発明の光熱写真および熱転写要素は、白黒画像を調製するのに使用できる。 本発明の光熱写真材料は、例えば、通常の白黒光熱写真技術において、電子的に 発生する白黒ハードコピー記録において、グラフィックアート分野(例えば、光 植字)において、デジタルプルーフィングにおいて、およびデジタルX線写真画 像形成において使用できる。本発明の材料は、高い感光速度、強く吸収する白黒 画像、並びに乾燥型でかつ迅速なプロセスを与える。 本発明において、水を実質上含まない条件下での加熱とは、80〜250℃の温度 での加熱を意味する。「水を実質上含まない条件」とは、反応系が空気中の水と ほぼ平衡しており、反応を誘導または促進するための水が、外部から要素へ特別 にもしくは積極的には供給されないという意味である。そのような条件は、T.H. James著、ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス(The Theor y of the Photographic Process)、第4版、Macmillan出版、1977年、374頁に 記載されている。 本明細書において使用する下記の用語を以下の通り定義する。 「アリール」は、(融合された環および置換された環を含む)芳香族環式構造 を意味し、好ましくはフェニルまたはナフチルを表す。 「エマルション層」とは、感光性ハロゲン化銀と非感光性の還元性銀発生源物 質を含有する光熱写真要素の層;あるいは非感光性の還元性銀発生源物質を含有 する熱転写要素の層を意味する。 また、「スペクトルの赤外線領域」とは、約750〜約1,400nmを意味し、「ス ペクトルの可視領域」とは、約400〜約750nmを意味し、および「スペクトルの 赤色領域」とは、約640〜約750nm、好ましくは、約650〜約700nmである。 ここで、「光熱写真要素」とは、少なくとも1つの光熱写真エマルション層お よび支持体、トップコート層、受像層、ブロッキング層、ハレーション防止層、 下地またはプライマー層等を含む構造物を意味し; 「スペクトルの短波長の可視領域」とは、約400〜約450nmまでのスペクトル 領域を意味し;および 「熱転写要素」とは、少なくとも1つの熱転写エマルション層および支持体、 トップコート層、受像層、ブロッキング層、ハレーション防止層、下地またはプ ライマー層等を含む構造物を意味する。 「スペクトルの紫外領域」とは、約400nm以下、好ましくは約100〜約400n mのスペクトル領域であって、特に、約190〜約400nmの間の領域である。 前述の式において、Rは、別の置換基を含んでいてもよい。当該分野において 周知の如く、置換は、容認されるのみならず望ましい場合もあり、本発明で使用 される化合物については置換が予想されるものとする。特定の置換基の論議およ び説明を簡略化するために、「基」および「部位」という用語を使用して、置換 できる化学種と置換できない化学種とを区別する。すなわち、「アリール基」の ように「基」という用語を用いて置換基を説明する場合、前記置換基は、基本的 な基の正確な定義を超えて更に別の置換基の使用を包含する。「部位」を使用し て置換基を説明する場合、未置換の基のみを包含するものとする。例えば、「ア ルキル基」という言葉は、メチル、エチル、プロピル、t-ブチル、シクロヘキシ ル、イソオクチル、オクタデシル等のような単なる炭化水素アルキル鎖のみなら ず、ヒドロキシル、アルコキシ、フェニル、ハロゲン原子(F、Cl、Brおよ びI)、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ等のような当該分野において既知 の置換基を有するアルキル鎖も包含するものとする。例えば、アルキル基は、エ ーテル基(例えば、CH3-CH2-CH2-O-CH2-)、ハロアルキル類、ニトロアルキル類 、カルボキシアルキル類、ヒドロキシアルキル類、スルホアルキル類等を包含す る。他方、「アルキル部位」は、メチル、エチル、プロピル、t-ブチル、シクロ ヘキシル、イソオクチル、オクタデシル等のような単なる炭化水素アルキル鎖の みの包含に限定される。非常に強い電子吸引性または酸化性置換基のように、他 の活性な成分と反応する置換基は、当業者によって当然、不活性でないかまたは 無害でないとして除外される。 本発明の他の観点、長所および利益は、詳細な説明、実施例および請求の範囲 から自明である。本発明の詳細な説明 光熱写真要素では、露光後、現像すると高いコントラストを現す製品が望まれ ている。このような要望は、コントラストが鮮明性の発現に直接関係するという 認識に基づいている。従って、高いコントラストを表す製品は、高い鮮明性とい う可視的な印象を与える 一般的に、コントラストは、D−LogE曲線から派生する2つの方法で定義され る。第1の方法は、2つの特定の濃度の間のD−LogE曲線の直線部の勾配で定義 されるγの決定法である。第2の方法は、D−LogE曲線の凸部の全体的なシャー プさからの決定法である。凸部のシャープさによって、一般には、通常のD−Lo gE曲線の凸部での露光量に対する濃度の相対変化が表される。例えば、シャープ な凸部は、露光量に対する(低レベルの濃度での)濃度の上昇が非常に早いこと に相当するが、緩慢な凸部は、露光量に対する(低レベルの濃度での)濃度の上 昇が非常に緩やかであることを表す。γ値が高いかまたは凸部がシャープであれ ば、画像のコントラストは、比較的高い。γ値が低いかまたは凸部が緩慢であれ ば、画像のコントラストは、比較的低い。コントラストは、露光領域全体を通し ても維持されなければならない。従って、約2.0〜Dmaxの間の濃度での高いγも 、鮮明な画像を達成するためには必要である。 コントラストは、それぞれの特定の使用において、最適化されなければならな い。ある種の使用においては、感度曲線の特定部を変化させて製品のコントラス トを増減しなければならない。 光熱写真および熱転写系は、遅い速度、低いDmax、乏しいコントラスト、お よび高いDmaxでの不十分な鮮明性のために、画像形成系における湿式ハロゲン 化銀用の代替品としては、未だ幅広い使用が見い出されていなかった。欧州特許 出願第0627660号および米国特許第5,434,043号公報には、例えば、ハレーション 防止機能、平均粒径0.10μm未満のハロゲン化銀粒子、医療用またはグラフィッ クアートのレーザ記録利用に対する要求を満たす赤外線光熱写真物品を導く赤外 線超増感のような、光熱写真要素が有する大抵の特徴や性質が記載されている。 ビスフェノール現像剤のみを含む従来の光熱写真要素は、約3.0を超えるγを めったに示さない。このような材料は、連続トーン再生が要求される医療用画像 形成や同様の用途には十分適しているが、非常に高いγ(例えば、>5.0)を要 するグラフィックアート用途には適さない。 2-置換マロンジアルデヒド化合物を共現像剤として含む本発明の光熱写真要素 におけるD−LogE感度曲線のシャープさは、ハードドットの従来法で現像された 白黒湿式ハロゲン化銀画像形成フィルムにおける伝染性現像曲線で観られるシ ャープさと同程度である。このことは、画像印刷利用、コンタクトプルーフおよ びグラフィックアートにも有用な複写フィルムにおけるプレートの再生に有用な 高画質の改良されたハードドット乾燥銀マスクの調製を可能にする。上記マスク は、現在、従来の湿式ハロゲン化銀材料から製造されている。非感光性の還元性銀発生源用還元剤系 本発明の白黒光熱写真および熱転写要素において、有機銀塩用の還元剤系(す なわち、現像剤系)は、少なくとも1種のヒンダードフェノール化合物と、式: (式中、Rは上記と同様の意味を現す。) で表される少なくとも1種の共現像剤を含む。 ヒンダードフェノール現像剤は、特定のフェニル環上に水酸基を1つだけ含有 し、その水酸基に対してオルト位に少なくとも1つの別の置換基を有する化合物 である。前記現像剤は、(ヒドロキノンのように)同一のフェニル環上に2つの 水酸基を含有する通常の写真現像剤とは異なる。ヒンダードフェノール現像剤は 、水酸基がそれぞれ別のフェニル環上に配置されている限り、水酸基を1つ以上 含有できる。ヒンダードフェノール現像剤としては、例えば、ビナフトール類( すなわち、ジヒドロキシビナフチル)、ビフェノール類(すなわち、ジヒドロキ シビフェニル)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニ ル)メタン類、ヒンダードフェノール類、およびヒンダードナフトール類が挙げ られ、いずれも様々に置換されていてよい。 代表的なビナフトール類としては、1,1'-ビ-2-ナフトール、1,1'-ビ-4-メチル -2-ナフトールおよび6,6'-ジブロモ-ビ-2-ナフトールが挙げられる。別の化合物 については、米国特許第5,262,295号公報の第6欄12〜13行が参照され、その内 容をここに挿入する。 代表的なビフェノール類としては、2,2'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5 -ジメチルビフェニル;2,2'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラ-t-ブチルビフ ェニル;2,2'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5'-ジクロロビフェニル;2-(2 -ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4-メチル-6-n-ヘキシルフェノール 、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'5,5'-テトラ-t-ブチルビフェニル;および4,4'-ジヒ ドロキシ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルが挙げられる。別の化合物につい ては、米国特許第5,262,295号公報の第4欄17〜47行が参照され、その内容をこ こに挿入する。 代表的なビス(ヒドロキシナフチル)メタン類としては、4,4'-メチレンビス(2- メチル-1-ナフトール)が挙げられる。別の化合物については、米国特許第5,262, 295号公報の第6欄14〜16行が挙げられ、その内容をここに挿入する。 代表的なビス(ヒドロキシフェニル)メタン類としては、ビス(2-ヒドロキシ-3- t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン(CAO−5);1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン[パーマナックス(Permanax);登 録商標]、1,1-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン;2,2-ビス (4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン:4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル- 6-メチルフェノール);および2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プ ロパンが挙げられる。別の化合物については、米国特許第5,262,295号公報の第 5欄63行〜第6欄8行が参照され、その内容をここに挿入する。 代表的なヒンダードフェノール類としては、2,6-ジ-t-ブチルフェノール;2,6 -ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール;2,4-ジ-t-ブチルフェノール;2,6-ジクロロ フェノール;2,6-ジメチルフェノール;および2,t-ブチル-6-メチルフェノール が挙げられる。 代表的なヒンダードナフトール類としては、1-ナフトール;4-メチル-1-ナフ トール:4-メトキシ-1-ナフトール;4-クロロ-1-ナフトール;2-メチル-1-ナフ トールが挙げられる。別の化合物については、米国特許第5,262,295号公報の第 6欄17〜20行参照。 共現像剤は、2-置換マロンジアルデヒド化合物またはその混合物であってよい 。 2-置換マロンジアルデヒド化合物は、式中に示す位置にR基が結合しているこ とも要求される。マロンジアルデヒド化合物の2-置換位にあるR基は、置換され ていてもよい。 本発明において、Rの電子吸引性は、その「ハメット定数σp」によって決定 される。ハメット定数σpは、ハメット則:LogK/K°=σpρ(ただし、K °は、25℃における水溶液中での対照試料の酸解離定数であり、Kは、パラ置換 された酸の解離定数であり、およびρは、パラ置換安息香酸の解離定数であって 、1.0である。)で定義される。正のハメット値(σ)は、その基が電子吸引性 であることを示す。フェニルは、文献値ではハメット値σpは−0.01もしくは0 であるが、容認されるべきである。ハメット値σpが2.0以上のRが好ましい。 電子吸引基の例としては、シアノ、ハロゲン、ホルミル、アルコキシカルボニ ル、メタロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、アセチル、パーフ ルオロアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、並びにLange著、 ハンドブック・オブ・ケミストリー(Handbook of Chemistry)、第14版、McG raw-Hill出版(1992年):第9章、2〜7頁に列挙されたその他の基が挙げられ る。 Rは、アリール基、またはハロゲン(例えば、ブロモ、クロロ、ヨード)のよ うな電子吸引基であってよい。アリールは、例えば、フェニル、ナフチル、トル イル、ピリジニル、フリル等のような、置換基を有するまたは有しない芳香族単 環あるいは多重環の基を包含する。マロンジアルデヒドの2-位において有効なア リール基は、電子吸引性であることが好ましい。 2-置換マロンジアルデヒド化合物は、酢酸アルデヒド中、トリエチルオルトホ ルムアルデヒドと適した置換アセトアルデヒドとの反応により調製できる。多数 の2-置換マロンジアルデヒド化合物が市販されている。2-置換マロンジアルデヒ ド化合物は、「ケト-エノール」互変異性体であってよい。簡略化するために、 本発明で有用な代表的な2-置換マロンジアルデヒド共現像剤化合物を、そのエノ ール形態のみを以下に示す。これらの代表例は、例示であって、本発明はこれら に限定されるものではない。 還元剤系において、ヒンダードフェノール現像剤は、画像形成層の1〜15重量 %含まれていなければならない。2-置換マロンジアルデヒド化合物共現像剤は、 画像形成層の0.01〜1.5重量%含まれていなければならない。 本発明の光熱写真または熱転写要素に添加される還元剤系についての上述の量 は、使用される特定の化合物、エマルション層の種類、および還元剤系の成分が エマルション層に含まれているのか、トップコート層中に含まれているのかに依 存して変化してよい。しかしながら、ヒンダードフェノールは、エマルション層 中に含まれる場合、ハロゲン化銀1モルに対し、0.01〜50モルの量、好ましくは 0.05〜25モルの量でなければならず、また、2-置換マロンジアルデヒド化合物は 、ハロゲン化銀1モルに対し、0.0005〜25モル、好ましくは0.0025〜10モルの量 でなければならない。 多層構造物において、還元剤系の現像剤の1つをエマルション層以外の層に添 加する場合、前記よりもわずかに高い割合が必要である場合があり、ヒンダード フェノールは、それが含まれる層の2〜20重量%でなければならず、また、使用 する場合は、置換された2-置換マロンジアルデヒド共現像剤も、それが含まれる 層の0.2〜20重量%でなければならない。 本発明の光熱写真要素は、他の共現像剤または共現像剤の混合物を、本発明の 2-置換マロンジアルデヒド共現像剤と組み合わせて含有していてよい。例えば、 米国特許第5,496,695号公報に記載のトリチルヒドラジドまたはホルミルフェニ ルヒドラジン化合物;米国特許第5,545,515号公報に記載のアクリロニトリル化 合物;米国特許第5,545,505号公報に記載のアミン化合物が使用でき;水素原子 供与化合物や米国特許第5,545,507号公報に記載のヒドロキサミン酸化合物も使 用できる。 本発明の光熱写真要素は、保存安定剤、トーナー、現像促進剤、アキュタンス 染料、現像後安定剤または安定剤前駆体、および他の画像変調剤のような添加物 をさらに含有していてもよい。感光性ハロゲン化銀 上述のように、本発明は、光熱写真要素に使用する場合、感光性ハロゲン化銀 を含有する。感光性ハロゲン化銀は、臭化銀、ヨウ化銀、塩化銀、ヨウ化臭化銀 、 ヨウ化臭化塩化銀、臭化塩化銀等のようないかなる感光性ハロゲン化銀でもあり 得る。感光性ハロゲン化銀は、還元性銀の発生源として供給する非感光性の還元 性銀化合物と触媒的に接近して配置されている限り、どのような形態でもエマル ション層に添加することができる。 感光性のハロゲン化銀は、立方晶、8面体晶、12面体斜方晶、オルト斜方晶 、4面体晶、他の多角形晶等を含むがそれらに限定されないどのような形態であ ってもよく、その上に結晶をエピタキシャル成長することもできる。 ハロゲン化銀粒子のハロゲン化物比は、全体を通して均一であっても、臭化銀 とヨウ化銀に比が連続的に変化する、勾配のついたハロゲン化物含量を有しても よく;また、あるハロゲン化物比の別個のコアと、別のハロゲン化物比の別個の シェルから成るコア−シェル型であってもよい。光熱写真要素および上記材料を 調製する方法において有用なコア−シェルハロゲン化銀粒子は、米国特許第5,38 2,504号公報に記載されている。イリジウムドープしたコアを有するコア−シェ ル型ハロゲン化銀粒子が特に好ましい。この種のイリジウムドープしたコア−シ ェル型粒子は、米国特許第5,434,043号公報に記載されている。 ハロゲン化銀は、ex situで調製(すなわち、予備成形)されて、コーティン グ溶液を調製する前に、バインダー中で有機銀塩と混合されてよい。ハロゲン化 銀は、例えば、米国特許第3,839,049号公報に従って、どのような方法で予備成 形されてもよい。例えば、長時間かけてホモゲナイザーを用いてハロゲン化銀と 有機銀塩をブレンドすることが有効である。この種の材料は、しばしば「予備成 形エマルション」と呼ばれる。上記ハロゲン化銀と有機銀塩を調製する方法およ びそれらをブレンドする方法は、リサーチ・ディスクロージャー(Reserch Discl osure)1978年6月、第17029項;米国特許第3,700,458号公報および同第4,076,539 号公報;並びに特願昭49(1974年)-13224号、同昭51(1976年)−42529号およ び同昭50(1975年)-17216号に記載されている。 本発明の実施では、赤外線増感される光熱写真材料中において、0.10μm未満 の予備成形ハロゲン化銀粒子を使用することが望ましい。欧州特許出願第062766 0号および米国特許第5,434,043号公報に開示されているように、イリジウムドー プしたハロゲン化銀粒子とイリジウムドープしたコア−シェル型ハロゲン 化銀粒子を使用することも好ましい。 本発明の材料中で使用する場合、予備成形したハロゲン化銀エマルションは、 未洗浄であっても、または溶解性塩を除去するために洗浄することもできる。後 者の場合、溶解性塩を、冷却および濾過によって除去するか、エマルションを、 例えば、米国特許第2,618,556号公報;同第2,614,928号公報;同第2,565,418号公 報;同第3,241,969号公報;および同第2,489,341号公報に記載の手順で、凝固洗浄 することもできる。 in situ法(すなわち、ハロゲン含有化合物を有機銀塩に添加して、有機銀塩 の銀をハロゲン化銀に部分転化する方法)を使用することも有効である。 本発明で使用する感光性ハロゲン化銀は、非感光性の還元性銀塩1モルに対し 、約0.005〜約0.5モルの範囲、好ましくは約0.01〜約0.15モル、特に0.03〜0.12 モルの範囲で用いることができる。 本発明で使用されるハロゲン化銀は、常套の湿式現像型ハロゲン化銀写真材料 または、従来技術の熱現像可能な写真材料と同様の方法で化学増感およびスペク トル増感できる。 例えば、それは、化学増感剤(例えば、硫黄、セレン、テルル等を含有する化 合物、または金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、もし くはそれらの組み合わせ等を含有する化合物)、ハロゲン化錫等のような還元剤 、あるいはそれらの組み合わせを用いて化学増感することができる。この手法の 詳細は、T.H.James著、ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセ ス、第4版、第5章、149〜169頁に記載されている。適した化学増感手順は、米 国特許第1,623,499号公報[シェパード(Shepard)];同第2,399,083号公報[ウ ォーラー(Waller)];同第3,297,447号公報[マクヴェイ(McVeigh)];および同 第3,297,446号公報[ダン(Dunn)]にも開示されている。 感光性ハロゲン化銀への増感染料の添加は、スペクトル増感によって、可視光 および赤外光に対する高い感度を与えるのに役立つ。すなわち、感光性ハロゲン 化銀は、ハロゲン化銀をスペクトル増感する様々な既知の染料でスペクトル増感 できる。使用できる増感染料の非限定的な例としては、シアニン染料、メロシア ニン染料、錯体シアニン染料、錯体メロシアニン染料、ホロ極性シアニン染料、 ヘミシアニン染料、スチリル染料およびヘミオキサノール染料が挙げられる。上 記染料の内、シアニン染料、メロシアニン染料および錯体メロシアニン染料が特 に有用である。 添加する増感染料の適した量は、ハロゲン化銀1モルにつき、一般に、約10-1 0 〜10-1モル、好ましくは約10-8〜10-3モルである。超増感剤 光熱写真要素の速度を最大レベルまで上げて、更に感度も向上させるために、 超増感剤を使用することが望ましいことがある。感度を増加させる超増感剤であ れば如何なる超増感剤も使用できる。例えば、好ましい赤外線超増感剤は、欧州 特許出願第0559228号に記載されており、式: Ar-S-M Ar-S-S-Ar (式中、Mは、水素原子またはアルカリ金属原子を表す。) で表されるヘテロ芳香族メルカプト化合物またはヘテロ芳香族ジスルフィド化合 物が挙げられる。 上記の超増感剤において、Arは、芳香族環、複素環、または1つ以上の窒素 、硫黄、酸素、セレンまたはテルル原子を含有する複素環と融合した芳香環を表 す。 好ましい超増感剤は、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-メ チルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールおよび2-メルカプトベ ンズオキサゾールである。 超増感剤は、エマルション層中に、銀1モルにつき増感剤少なくとも0.001モ ルの一般的な量で使用される。通常、その範囲は、銀1モルにつき、超増感剤0. 001〜1.0モルの間、好ましくは0.01〜0.3モルの間である。非感光性の還元性銀発生源物質 本発明は、光熱写真および熱転写要素において使用される場合、非感光性の還 元性銀発生源を包含する。本発明で使用できる非感光性の還元性銀発生源は、還 元性銀イオンの発生源を含有する如何なる化合物でもあり得る。好ましくは、光 に比較的安定で、露光した光触媒(例えば、ハロゲン化銀)と還元剤の存在下、 80℃以上に加熱すると銀画像を形成する銀塩である。 有機酸の銀塩、特に長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。鎖は、通常、炭 素数が10〜30、好ましくは15〜28である。適した有機銀塩としては、カルボキシ ル基を有する有機化合物の銀塩が挙げられる。その例としては、脂肪族カルボン 酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩が挙げられる。脂肪族カルボン酸の銀塩 の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン 酸銀、カプリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル 酸銀、酒石酸銀、フロ酸銀、リノール酸銀、酪酸銀、および樟脳酸銀、並びにそ れらの混合物が挙げられる。ハロゲン原子または水酸基で置換され得る銀塩も有 効に使用できる。芳香族カルボン酸および他のカルボキシル基含有化合物の銀塩 の好ましい例としては、安息香酸銀、置換安息香酸銀塩(例えば、3,5-ジヒドロ キシ安息香酸銀、o-メチル安息香酸銀、m-メチル安息香酸銀、p-メチル安息香酸 銀、2,4-ジクロロ安息香酸銀、アセトアミド安息香酸銀、p-フェニル安息香酸銀 等);ガレ酸銀;タンニン酸銀;フタル酸銀;テレフタル酸銀;サリチル酸銀; フェニル酢酸銀;ピロメリット酸銀;米国特許第3,785,830号に記載の3-カルボ キシメチル-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオンの銀塩等、および米国特許第3,330 ,663号に記載のチオエーテル基含有脂肪族カルボン酸の銀塩が挙げられる。 メルカプト基もしくはチオン基を含有する化合物またはそれらの誘導体の銀塩 を使用することができる。上記の化合物の好ましい例としては、3-メルカプト-4 -フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀塩、2-メルカプトベンズイミダゾールの銀塩 、2-メルカプト-5-アミノチアジアゾールの銀塩、2-(2-エチルグリコールアミド )ベンゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチオグリコール酸(ただし、アルキル基 の炭素数は12〜22である。)の銀塩のようなチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢 酸の銀塩のようなジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5-カルボキシル -1-メチル-2-フェニル-4-チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2 -メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩( 例えば、3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-チオアゾールの銀塩のような1,2,4-メ ルカプトチオアゾール誘導体の銀塩)、並びに米国特許第3,201,678号に開示さ れているような3-(2-カルボキシエチル)-4-メチル-4-チオアゾリン-2-チオンの 銀塩のようなチオン化合物の銀塩が挙げられる。 さらに、イミノ基含有化合物の銀塩を使用することができる。この化合物の好 ましい例としては、ベンゾチトリアゾールおよび置換されたその誘導体の銀塩( 例えば、銀メチルベンゾトリアゾールおよび銀5-クロロベンゾトリアゾール等) 、米国特許第4,220,709号に記載の1,2,4-トリアゾール類または1-H-テトラゾー ル類の銀塩、並びにイミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩が挙げられる 。 アセチレンの銀塩も使用できる。銀アセチリドは、米国特許第4,761,361号公 報および同第4,775,613号公報に記載されている。 銀ハーフ石けんを使用することが便利であることも分かっている。銀ハーフ石 けんの好ましい例は、ベヘン酸銀とベヘン酸の等モル混合物であって、その混合 物中の銀固形分は約14.5重量%と分析され、市販のベヘン酸のナトリウム塩の水 溶液からの沈殿によって調製される。 透明フィルム裏地上に製造された透明シート材料は、透明コーティングを要す る。この目的のために、遊離ベヘン酸約15%以下を含有しかつ銀固形分(分析値 )が22%のベヘン酸銀フル石けんを使用することができる。 銀石けんエマルションを製造するのに用いられる方法は、当業者に周知であり 、リサーチ・ディスクロージャー、1983年4月号、第22812項および同1983年10月 号、第23419項、並びに米国特許第3,985,565号に開示されている。 現像の出発点を形成するハロゲン化銀と非感光性の還元性銀発生源物質は、触 媒的に接近(すなわち、反応性会合)していなければならない。「触媒的に接近 」または「反応性会合」とは、同じ層内、隣接する層内、または厚さ1μm未満 の中間層によって互いに分離された層内にあるべきであることを意味する。ハロ ゲン化銀と非感光性の還元性銀発生源は、同じ層内に含まれていることが好まし い。 予備形成されたハロゲン化銀を含有する本発明の光熱写真エマルションは、上 述の化学増感剤またはスペクトル増感剤で増感できる。 還元性銀発生源は、通常、エマルション層の約5〜約70重量%を占めており、 好ましくは、エマルション層の約10〜約50重量%のレベルで含まれている。バインダー 本発明で使用される感光性ハロゲン化銀、非感光性の還元性銀発生源、還元剤 系、およびその他の添加剤は、通常、少なくとも1種のバインダーに添加される 。本発明において使用できるバインダーは、別個に、または互いに組み合わせて 使用できる。バインダーは、例えば、溶液または懸濁液中の他の成分を保持する のに十分な極性の天然および合成の樹脂のようなポリマー材料から選ばれること が好ましい。 典型的な親水性バインダーは、透明または半透明の親水性コロイドである。親 水性バインダーの例としては、天然物質(例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、 セルロース誘導体等のようなタンパク質;澱粉、アラビアガム、プルラン、デキ ストリン等のような多糖類);および合成ポリマー(例えば、ポリビニルアルコ ール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドポリマー等のような水溶性ポリビ ニル化合物)が挙げられる。親水性バインダーのもう一つの例は、写真要素の寸 法安定性を高めるために使用されるラテックス形態の分散されたビニル化合物で ある。 典型的な疎水性バインダーの例は、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、 ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリス チレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート類、メタクリレートコポリマ ー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー等で ある。コポリマー(例えば、ターポリマー)もポリマーの範疇に包む。ポリビニ ルブチラールおよびポリビニルホルマールのようなポリビニルアセタール、並び にポリ酢酸ビニルおよびポリ塩化ビニルのようなビニルコポリマーが特に好まし い。 バインダーは、親水性でも疎水性でもあり得るが、好ましくは銀含有層中では 疎水性である。場合により、上記ポリマーを2種以上組み合わせて使用してよい 。 バインダーは、好ましくは、エマルション層の約30〜90重量%の基準で、特に 約45〜85重量%の基準で使用される。非感光性の還元性銀発生源に対する還元剤 系の割合および活性が、特定の現像時間および温度を要する場合、バインダーは 、その条件下で耐えることができなければならない。通常、バインダーは、250 °F(121℃)において60秒間で分解しないかまたはその構造保全性を失わない こと が好ましく、350°F(177℃)において60秒間で分解しないかまたはその構造保 全性を失わないことがより好ましい。 ポリマーバインダーは、その中に分散される成分を坦持するのに十分な量、す なわち、バインダーとしての作用の有効な範囲内で使用される。有効な範囲は、 当業者によって適宜決定することができる。光熱写真および熱転写組成物 光熱写真および熱転写エマルション層用組成物は、バインダー、感光性ハロゲ ン化銀、(必要であれば)非感光性の還元性銀発生源、非感光性の還元性銀発生 源のための還元剤系、および任意の添加物を、例えば、トルエン、2-ブタノンま たはテトラヒロドフランのような不活性な有機溶媒中に溶解や分散することによ って調製できる。 画像を向上させる「トーナー」またはその誘導体の使用は、非常に望ましいが 、本発明の要素に必須ではない。トーナーは、エマルション層の約0.01〜10重量 %の量、好ましくは約0.1〜10重量%で存在し得る。トーナーは、米国特許第3,0 80,254号公報;同第3,847,612号公報;および同第4,123,282号公報に示されている ように、光熱写真および熱転写技術において周知の化合物である。 トーナーの例としては、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイミド;スク シンイミド、ピラゾリン-5-オン、キナゾリノン、1-フェニルウラゾール、3-フ ェニル-2-ピラゾリン-5-オンおよび2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド 類;N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミドのようなナフタルイミド類;コバルト-ヘ キサミントリフルオロ酢酸のようなコバルト錯体類;3-メルカプト-1,2,4-トリア ゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4-ト リアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールのようなメルカプタ ン類;(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN-(ジメチルアミノメ チル)ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミドのようなN-(アミノメチル)アリー ルジカルボキシイミド類;N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメ チルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウム)トリ フルオロ酢酸および2-(トリブロモメチルスルホニルベンゾチアゾール)の組み 合わせのような、ブロック化ピラゾール類、イソチウロニウム誘導体およびあ る種の光漂白剤の組み合わせ;3-エチル-5-[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデ ン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-o-アゾリジンジオンのようなメロシアニ ン染料類;フタラジノン、フタラジノン誘導体、または金属塩もしくはその誘導 体[例えば、4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメト キシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン];フタル酸、4- メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロフタル酸無水物、キナゾ リンジオン類、ベンズオキサジンまたはナフトキサジン誘導体のような、フタラ ジンと1種以上のフタル酸誘導体との組み合わせ;アンモニウムヘキサクロルロ ーデート(III)、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびカリウムヘキサクロルロ ーデート(III)のような、トーン変調剤としてのみならずハロゲン化銀のin si tu形成用のハロゲン化物イオン発生源としても機能するロジウム錯体類;アンモ ニウムペルオキシジスルフェートおよび過酸化水素のような、無機過酸化物およ び過硫化物;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジ ン-2,4-ジオンおよび6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンのようなベン ズオキサジン-2,4-ジオン類;2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-ア ミノピリミジンおよびアザウラシルのような、ピリミジン類およびアシメトリー -トリアジン類;並びに3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テ トラアザペンタレンおよび1,4-ジ-(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H -2,3a,5,6a-テトラアザペンタレンのようなテトラアザペンタレン誘導体が挙げ られる。 本発明において使用される光熱写真要素は、さらに曇りの生成を保護し、貯蔵 中の感度の低下を安定化することができる。本発明の実施において必要ではない が、水銀(II)塩をエマルション層に曇り防止剤として添加することも有利で有 ることがある。この目的の為に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水 銀である。 単独でまたは組み合わせて使用できる他の適した曇り防止剤および安定化剤は 、米国特許第2,131,038号公報および同第2,694,716号公報に記載のチアゾリウム 塩;米国特許第2,886,437号公報に記載のアザインデン類;米国特許第2,444,605 号公報に記載のトリアザインドリジン類;米国特許第2,728,663号公報に記載の 水銀塩;米国特許第3,287,135号公報に記載のウラゾール類;米国特許第3,235,6 52号公報に記載のスルホカテコール類;英国特許第623,448号公報に記載のオキ シム類;米国特許第2,839,405号公報に記載の多価金属塩;米国特許第3,220,839 号公報に記載のチウロニウム塩;米国特許第2,566,263号公報および同第2,597,9 15号公報に記載のパラジウム塩、白金塩および金塩;並びに米国特許第5,460,93 8号公報に記載の2-(トリブロモメチルスルホニル)キノリン類が挙げられる。現 像中に熱を加えると安定化剤を発生し得る安定化剤前駆体化合物を、本発明の安 定化剤と組み合わせて使用することもできる。そのような前駆体化合物は、例え ば、米国特許第5,158,866号公報、同第5,175,081号公報、同第5,298,390号公報 および同第5,300,420号公報に記載されている。 本発明の光熱写真および熱転写要素は、米国特許第2,960,404号公報に記載の 種類の多価アルコールおよびジオール;米国特許第2,588,765号公報および同第3 ,121,060号公報に記載されているような脂肪酸またはエステル等;並びに英国特 許第955,061号公報に記載されているようなシリコーン樹脂のような可塑剤と潤 滑剤を含有し得る。 前述のエマルション層を含有する光熱写真および熱転写要素は、デンプン、二 酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、および米国特許第2,992,101号公報および同第2 ,701,245号公報に記載の種類のビーズを含むポリマービーズのようなマット化剤 を含有してもよい。 本発明のエマルションは、溶解性塩(例えば、塩化物、硝酸化物等)を含む層 、蒸着した金属層、米国特許第2,861,056号公報および同第3,206,312号公報に記 載されているようなイオン性ポリマー、または米国特許第3,428,451号公報に記 載されているような不溶性無機塩を含む層のような帯電防止層または導電性層を 含有する光熱写真および熱転写要素内で使用できる。 本発明の光熱写真および熱転写要素は、帯電効果を低減し、かつ加工用装置を 通しての輸送を高めるために、導電性下地層を含有していてもよい。そのような 層は、米国特許第5,310,640号公報に記載されている。光熱写真用構造物 本発明の光熱写真および熱転写要素は、支持体上に1層以上の層を含み得る。 単層の要素は、(使用するのであれば)ハロゲン化銀、非感光性の還元性銀発生 源物質、非感光性の還元性銀発生源のための還元剤系、バインダー、並びにトー ナー、アキュタンス染料、コーティング助剤および他の助剤のような任意の物質 を含んでいなければならない。 2層構造物は、(使用するのであれば)ハロゲン化銀と非感光性の還元性銀発 生源をあるエマルション層(通常、支持体と隣接する層)中に含有し、およびそ の他の成分を第2層に含有するか、あるいはその他の成分を上記両方の層の間に 分配しなければならない。全ての成分を含有する単一エマルション層コーティン グと保護用トップコートから成る2層構造物も考えられる。 本発明の光熱写真および熱転写要素は、ワイヤー巻きロッドコーティング、デ ィップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティング、または 米国特許第2,681,294号公報に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティング を包含する様々なコーティング法で塗布できる。所望により、米国特許第2,761, 791号公報;同第5,340,613号公報;および英国特許第837,095号公報に記載の方法 によって、2層以上を同時に塗布することができる。エマルション層の湿潤膜厚 は、通常、約10〜150μmであって、層は、対流空気中、約20〜100℃の温度で乾 燥され得る。マクベス・カラー・デンシトメーター(MacBeth Color Densitomete r)TD504型で測定した場合、最大画像密度0.2以上、特に0.5〜4.0の範囲を与え るように層の厚さを選ぶことが好ましい。 本発明の光熱写真および熱転写要素は、アキュタンス染料およびハレーション 防止染料を含有することがある。前記染料は、既知の技術に従って、アキュタン ス染料として光熱写真エマルション層中に組み込まれてもよい。前記染料は、既 知の技術に従って、ハレーション防止用裏地層、ハレーション防止用下地層とし てまたはオーバーコートとしてハレーション防止層中に組み込まれてもよい。本 発明の光熱写真要素は、ハレーション防止コーティングを、エマルションおよび トップコート層が塗布される側とは反対側の支持体上に含有することが好ましい 。本発明において有用なハレーション防止用およびアキュタンス染料は、米国特 許第5,135,842号公報;同第5,226,452号公報;同第5,314,795号公報;および同第5, 380,635号公報に記載されている。 現像条件は、使用する構造物によって変化するが、通常、画像態様で露光した 材料を、適した高温に加熱する。光熱写真要素内で使用する場合、露光後に得ら れた潜像を、約80〜250℃、好ましくは約100〜200℃の中程度の高温で、十分な 時間、一般には約1秒〜約2分間加熱することによって現像できる。加熱は、ホ ットプレート、アイロン、ホットローラーのような典型的な加熱手段、カーボン またはチタン白等を用いた熱発生源、要素中の抵抗層等によって行われてよい。 所望により、画像形成した要素を、潜像の安定化を強めかつ高めるのには十分 であるが、可視画像を生成するのには不十分な温度および時間において第1加熱 工程に付した後、可視画像を生成するのに十分な温度および時間の第2加熱工程 に付してよい。そのような方法およびその利点は、米国特許第5,279,928号公報 に記載されている。 熱転写要素中で使用する場合、画像は、熱スタイラスまたは印刷ヘッドを用い た上記温度で加熱するか、あるいは熱吸収材料と接触させながら加熱するだけで 現像できる。 本発明の熱転写要素は、レーザ放射線での露光による直接現像を促進するため に、染料を含んでいてもよい。好ましくは、染料は赤外線吸収染料であり、レー ザは赤外線を発光する半導体レーザである。放射線露光すると、染料によって吸 収された放射線が、熱転写要素を現像する熱に転化される。支持体 本発明において使用される光熱写真および熱転写エマルションは、広く様々な 支持体上に塗布できる。支持体または基材は、画像形成要件に依存して、広範な 材料から選択できる。支持体は、透明であるか、または少なくとも半透明であり 得る。典型的な支持体としては、ポリエステルフィルム、下塗りしたポリエステ ルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン ナフタレート)、酢酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ ビニルアセタールフィルム、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレンも しくはポリプロピレンまたはそれらの混合物)、ポリカーボネートフィルム、お よび関連材料または樹脂状の材料、並びにガラス、紙等が挙げられる。通常、可 撓性支持体が用いられ、特に、部分アセチル化できるポリマーフィルム支持体、 またはポリマー下塗り剤もしくはプライマー剤で被覆できるポリマーフィルム支 持体であり得る。支持体に好ましいポリマー材料は、ポリエステルのような良好 な熱安定性を有するポリマーである。特に好ましいポリエステルは、ポリエチレ ンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートである。 光熱写真または熱転写要素をフォトマスクとして使用する場合、支持体は透明 であるか、または最終画像形成工程において使用される放射線(すなわち、紫外 線または短波長の可視光)に対して非常に高い透過性を有していなければならな い。 米国特許第4,374,921号公報に示されるような裏面耐熱層を有する支持体を光 熱写真画像形成系に使用することもできる。フォトマスクとしての使用 上述のように、350〜450nmの範囲における光熱写真および熱転写要素の非画像 形成部の低い吸光度の可能性は、紫外線または短波長の可視光に感光性を有する 画像形成媒体のその後の露光工程において、本発明の光熱写真および熱転写要素 の使用を促す。例えば、光熱写真または熱転写要素を画像形成した後、現像する ことにより、可視画像が得られる。現像された光熱写真または熱転写要素は、可 視画像がある領域では紫外線または短波長の可視光を吸収し、可視画像のない領 域では紫外線または短波長の可視光を透過する。その後、現像された要素は、マ スクとして使用され、紫外線または短波長の可視光の光源と、例えば感光性ポリ マー、ジアゾ化合物またはフォトレジストのような紫外線または短波長の可視光 感光性画像形成媒体との間に配置され得る。この工程は、画像形成媒体が印刷用 プレートを含んで成り、かつ光熱写真または熱転写要素が画像形成用フィルムと して供給される場合に、特に有用である。 本発明の目的および利点を、以下の実施例によって示すが、これらの実施例に 引用された特定の物質およびその量、並びに他の条件および詳細は、本発明を不 当に限定するものではないと考えるべきである。実施例 以下の実施例において使用される物質はいずれも、特に特定していない限り、 アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.、ミルウォーキ ー、ウイスコンシン州)等の標準的な商品供給源から容易に入手した。本実施例 において、特に断りのない限り、%はすべて重量%を表す。以下の別称および材 料を使用した。 アクリロイド(Acryloid、登録商標)A-21は、ローム・アンド・ハース(Rohm &Haas、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)製のアクリル系コポリマーである 。 ブトヴァール(Butvar、登録商標)B-79は、モンサント・カンパニー[(Monsant o Company)、セント・ルイス(St.Loues)、ミズーリ州]製ポリ(ビニルブチラー ル)樹脂である。 CAB171-15Sは、イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical C o.)製の酢酸セルロースブチレート樹脂である。 CBBAは、2-(4-クロロベンゾイル)安息香酸である。 デスモドゥール(Desmodur、登録商標)N3300は、バイエル・ケミカルズ(Bay er Chemical、ピッツバーグ、フィラデルフィア州)相製の脂肪族ヘキサメチレ ンジイソシアネートである。 マロンジアルデヒドは、アクロス・ケミカル・カンパニー(Acros Chemical C ompany、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)から入手した。 MEKは、メチルエチルケトン(すなわち、2-ブタノン)である。 MeOHは、メタノールである。 MMBIは、2-メルカプト-5-ベンズイミダゾールである。 4-MPAは、4-メチルフタル酸である。 パーマナックス(Permanax、登録商標)WSOは、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3, 5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン[CAS RN=7292-14-0]であり、 セント・ジーン・フォトケミカルズ・インコーポレイテッド[(St.Jean PhotoCh emicals,Inc.)、ケベック]製である。これは、非感光性の還元性銀発生源のた めの現像剤(すなわち、ヒンダードフェノール現像剤)であって、ノノックス( Nonox、登録商標)としても知られている。 PETは、ポリ(エチレンテレフタレート)である。 PHPは、ピリジニウムハイドロブロマイド過臭化物である。 PHZは、フタラジンである。 TCPAは、テトラクロロフタル酸である。 増感染料−1は、米国特許第5,541,054号公報に記載されており、以下の構造 を有する。 曇り防止剤Aは、2-(トリブロモメチルスルホニル)キノリンである。この調製 法は、米国特許第5,460,938号公報に開示されており、以下の構造を有する。 ビニルスルホン−1(VS-1)は、欧州特許出願第0600589A2に記載されており 、以下の構造を有する。 H2C=CH−SO2−CH2−CH(OH)−CH2−SO2−CH=CH2 ハレーション防止染料−1(AH-1)は、以下の構造を有する。この化合物の調製 は、米国特許第5,380,635号公報の実施例1fに記載されている。 試料は、赤外線安全光の下でデュアルナイフコーターを用いて塗布した。光熱 写真エマルションおよびトップコート組成物を、CAB 171-15S樹脂中にAH-1を含 有するハレーション防止裏地被覆を設けた7miL(177.8μm)厚の青みがか ったポリエチレンテレフタレート支持体上に塗布した。蝶番付きナイフを上げた 後、支持体をコーターベッドの所定の位置に置いた。次いで、ナイフを下げて、 所定の位置でロックした。ナイフの高さは、スクリューノブで制御されかつ電流 計で測定されるウエッジで調節した。ナイフ#1を、支持体と層#1の湿潤厚の 和から成る所望の厚さに相当するクリアランスまで上げた。ナイフ#2を、支持 体、層#1の湿潤厚および層#2の湿潤厚の和から成る所望の厚さに等しい高さ まで上げた。 溶液#1と#2のアリコートを、対応するナイフの前の支持体上に同時に流し 出した。即座に、両方のナイフを通り越すように支持体を引っ張り出し、オーブ ンに入れて、2層コーティングを生成した。次に、被覆された光熱写真または熱 転写要素を、ブルーM(登録商標)オーブン内で回転しているベルトに支持体を 貼して乾燥した。エマルション調製 以下の実施例は、ヒンダードフェノール現像剤と組み合わせた2-置換されたマ ロンジアルデヒド化合物の使用について記載している。 実施例で使用する予備形成臭化ヨウ化銀エマルション、銀石鹸分散体、ホモゲ ナートおよびハロゲン化ホモゲナート溶液の調製を以下に示す。 組成物A: 以下の手順で、組成物Aを調製した。4-置換イソオキサゾール共現像剤をトッ プコート層に組み込んだ。 予備形成したイリジウムドープしたコア−シェル型ベヘン酸銀石けんは、米国 特許第5,434,043号公報に記載の方法と同様にして調製し、その内容をここに挿 入する。 予備形成した石けんは、直径0.05μmのイリジウムドープしたコア−シェル型 臭化ヨウ化銀エマルション(ヨウ化物含量8%および臭化物含量92%のコア25% ;およびイリジウム1×10-5モルを含有する全て臭化物から成るシェル75%)2. 0重量%を含有していた。このベヘン酸銀石けん分散液を、ブトヴァー ル(登録商標)B-79ポリビニルブチラール樹脂1.00%を含有する2-ブタノン中で 固形分23.1%となるまで均質化した。 この銀石けん分散液208.0gに、2-ブタノン27g、およびピリジニウムハイドロ ブロマイド過臭化物0.135gのメタノール1.88g溶液2.10mLを添加した。1時 間混合した後、カルシウムブロマイド0.100gのメタノール1.35g溶液1.50mL を添加した。30分後、以下の赤外線増感染料プレミックスを添加した。 材 料 重 量 CBBA 1.400g 増感染料-1 0.006g MMBI 0.128g メタノール 4.800g 1.5時間混合した後、ブトヴァールB-79ポリビニルブチラール40.0gを添加し た。30分撹拌した後、2-(トリブロモメチルスルホニル)キノリン1.10gおよび1 ,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン(パ ーマナックス、登録商標)10.06gを添加した。15分後、デスモドゥールN33000. 450gの2-ブタノン4.7g溶液4.97gを添加した。15分後、4-メチルフタル酸0.45 0gおよびテトラクロロフタル酸0.35gを加えた後、さらにフタラジン0.945gを 添加した。 以下の方法で、トップコート溶液を調製した。アクリロイド-21(登録商標) ポリメチルメタクリレート4.52gおよびCAB 171-15S酢酸セルロースブチレート1 15gを、2-ブタノン1.236Kgおよびメタノール147g中で溶解するまで混合した 。その後、このプレミックス100gに、ベンゾトリアゾール0.090g、ビニルスル ホン-1(VS-1)0.160g、および以下の実施例において記載する量の2-置換マロ ンジアルデヒドを加えた。感度測定: 塗布し乾燥した、上記組成物Aから調製した光熱写真要素を、1.5インチ×11 インチ(3.8cm×27.9cm)の試験片にカットした。811nmの光を発光する半導体レ ーザーを組み込んだレーザー感度計で6秒間露光した。コーティングを、以下の 実施例において示す時間、ロール現像機で現像した。 光熱写真要素の感度に適合したフィルターを用いて、特別仕様のコンピュータ ー走査型デンシトメーターで感度測定を行った。この測定は、市販のデンシトメ ーターから得られる測定結果と同等であると考えられる。 Dminは、現像後の未露光部の濃度である。それは、校正マークの露光面にお ける8個の最も低い濃度の値の平均値である。 Dmaxは、校正マークの露光面における最も高い濃度である。 速度-2は、Dmin上の濃度1.00に相当する値:Log1/E+4[式中、Eは、露 光量(Ergs/cm2)を示す。]である。 速度-3は、Dmin上の濃度2.90に相当する値:Log1/E+4[式中、Eは、露 光量(Ergs/cm2)を示す。]である。 コントラスト-1は、Dmin上の濃度点0.60と2.00を結んだ線の傾きの絶対値で ある。 コントラスト-3は、Dmin上の濃度点2.40と2.90を結んだ線の傾きの絶対値で ある。 2-置換マロンジアルデヒド化合物は、ヒンダードフェノール現像剤としてパー マナックス(登録商標)を用いたヒンダードフェノール現像剤系で評価した。評 価した2-置換マロンジアルデヒド化合物は、MA-01、MA-02、MA-03およびMA-04で あった。これら化合物の構造は、上記の通りである。実施例1 上記の如く調製したトップコート溶液20gに、以下のうち、1つを添加した。 MA-01:1.30×10-4モル MA-02:1.10×10-4モル MA-03:1.01×10-4モル MA-04:2.67×10-4モル MA-05:2.25×10-4モル MA-06:1.06×10-4モル MA-07:3.47×10-4モル パーマナックス(登録商標)現像剤のみを含有する試料を、対照として使用し た。 ハレーション防止裏地被覆中にAH-1を含有する7miL(178μm)厚のポリ エステル支持体上に光熱写真エマルション層およびトップコート層をデュアルナ イフ塗布した。光熱写真エマルション層用の第1ナイフギャップは、支持体から 3.7miL(94μm)上に設定し、トップコート層のための第2ナイフギャップ を、支持体から5.3miL(135μm)上に設定した。試料は、ブルーM(登録商 標)オーブンにおいて180°F(82.2℃)で4分間乾燥した。 以下に示す感度結果は、2-置換マロンジアルデヒド化合物の添加により、ヒン ダードフェノール現像剤を含む光熱写真エマルションのコントラスト、速度およ びDmaxが高まったことを示している。Dmaxが高まると同時に、Dminが抑制さ れていることも注目すべきである。感度は、高コントラストのハイブリッド湿式 ハロゲン化銀エマルションについて計測された値と同等である。 請求の範囲で規定するような本発明の精神または範囲を逸脱することなく、前 記記載から適当な改良および変更が可能である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)感光性ハロゲン化銀、 (b)非感光性の還元性銀発生源、 (c)銀イオン用還元剤系、および (d)バインダー を含む少なくとも1つの感光性画像形成用光熱写真エマルション層を有する支持 体を含む白黒光熱写真要素であって、前記還元剤系が、 (i) 少なくとも1種のヒンダードフェノール、および (ii)式: (式中、Rは、芳香族基または電子吸引性基を表す。) で表される少なくとも1種の2-置換されたマロンジアルデヒド化合物 を含有する、白黒光熱写真要素。 2.前記式中Rが、電子吸引性アリール基である請求項1または15記載の光 熱写真要素。 3.前記式中、Rが、約0.20以上のハメット値σpを有する電子吸引性基であ る請求項1または15記載の光熱写真要素。 4.前記式中、Rが、シアノ基、ハロゲン、ホルミル基、アルコキシカルボニ ル基、ヒドロキシカルボニル基、メタロキシカルボニル基、ニトロ基、アセチル 基、パーフルオロアルキル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル 基からなる群より選ばれる請求項1または15記載の光熱写真要素。 5.非感光性の還元性銀発生源(b)が炭素数10〜30のカルボン酸の銀塩であ る請求項1または15記載の光熱写真要素。 6.前記還元性銀発生源(b)がベヘン酸銀を含む請求項1または15記載の 光熱写真要素。 7.共現像剤が、2-置換されたマロンジアルデヒド化合物を含む請求項1また は15記載の光熱写真要素。 8.バインダー(d)が疎水性である請求項1または15記載の光熱写真要素。 9.前記ヒンダードフェノールが、ビナフトール類、ビフェノール類、ビス( ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン類およびナ フトール類からなる群より選ばれる請求項1または15記載の光熱写真要素。 10.ヒンダードフェノールがビス(ヒドロキシフェニル)メタン類である請 求項9記載の光熱写真要素。 11.(a)紫外線または短波長の可視光を透過する支持体上の請求項1記載の 光熱写真要素を、該要素の感光性ハロゲン化銀が感応して潜像を生成する電磁波 で露光した後、該要素を加熱して、該要素上に可視画像を形成する工程、 (b)上に該可視画像を有する前記要素を、紫外線または短波長の可視光発生源 と紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体との間に配置する工程、およ びその後、 (c)前記要素上の可視画像を介して紫外線または短波長の可視光感光性画像形 成媒体を紫外線または短波長の可視光で露光することにより、該要素上の可視画 像を有する領域内では紫外線または短波長の可視光を吸収し、および該要素上の 可視画像を有しない領域内では紫外線または短波長の可視光を透過する工程 を含む方法。 12.前記画像形成媒体が、耐現像性を有する紫外線または短波長の可視光感 光性画像形成媒体である請求項11記載の方法。 13.前記工程(a)における前記要素の露光を、赤色もしくは赤外線を発光す るレーザまたは赤色もしくは赤外線を発光する半導体レーザで行う請求項11記 載の方法。 14.紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体が、印刷プレート、コ ンタクトプルーフまたは複写フィルムである請求項11記載の方法。 15.(a)非感光性の還元性銀発生源、 (b)銀イオン用還元剤系、および (c)バインダー を含む少なくとも1つの画像形成用熱転写エマルション層を有する支持体を含む 白黒熱転写要素であって、前記還元剤系が、 (i)少なくとも1種のヒンダードフェノール、および (ii)式: (式中、Rは、芳香族基または電子吸引性基を表す。) で表される少なくとも1種の共現像剤 を含有する、白黒熱転写要素。 16.(a)紫外線または短波長の可視光を透過する支持体上の請求項15記載 の熱転写要素を加熱して、該要素上に可視画像を形成する工程、 (b)上に該可視画像を有する前記要素を、紫外線または短波長の可視光発生源 と紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体との間に配置する工程、およ びその後、 (c)該要素上の可視画像を介して、紫外線または短波長の可視光感光性画像形 成媒体を紫外線または短波長の可視光で露光することにより、該要素上の可視画 像を有する領域内では紫外線または短波長の可視光を吸収し、および該要素上の 可視画像を有しない領域内では紫外線または短波長の可視光を透過する工程 を含む方法。 17.前記画像形成媒体が、耐現像性を有する紫外線または短波長の可視光感 光性画像形成媒体である請求項16記載の方法。 18.前記要素の加熱を、赤色もしくは赤外線を発光するレーザまたは赤色も しくは赤外線を発光する半導体レーザで行う請求項16記載の方法。 19.紫外線または短波長の可視光感光性画像形成媒体が、印刷プレート、コ ンタクトプルーフまたは複写フィルムである請求項16記載の方法。
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